1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十八年二月三日(水曜日)午後一時九分開議
出席委員左の如し
委員長 矢野庄太郎君
理事 大橋清太郎君 理事 南鐵太郎君
赤間徳壽君 伊藤五郎君
長内健榮君 金光邦三君
坂口平兵衞君 鈴木忠吉君
田部朋之君 高木義人君
高梨乙松君 遠山暉男君
中西敏憲君 森川仙太君
森部隆輔君
出席國務大臣左の如し
大藏大臣 賀屋興宣君
出席政府委員左の如し
臺灣總督府財務局長 中嶋一郎君
大藏書記官 河野一之君
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本日の會議に上りたる議案左の如し
昭和十八年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する法律案(政府提出)
營繕用品資金特別會計法案(政府提出)
造幣局の資金に關する法律案(政府提出)
昭和十五年法律第六十九號中改正法律案(大東亞戰爭に關する一時賜金として交付する爲公債發行に關する件)(政府提出)
樺太内地行政一元化に伴ふ樺太廳特別會計と他の會計との關渉に關する法律案(政府提出)
昭和十二年法律第八十號改正法律案(通信事業特別會計に於ける簡易生命保險及郵便年金の事務の取扱に要する經費に關する件)(政府提出)
朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提出)
朝鮮簡易生命保險及郵便年金特別會計法案(政府提出)
臺灣事業公債法中改正法律案(政府提出)
臺灣官設鐵道用品資金會計法中改正法律案(政府提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111734X00219430203&spkNum=0
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001・矢野庄太郎
○矢野委員長 是ヨリ會議ヲ開キマス、本
委員會ノ審査決定ニ付託セラレテ居リマス
議案ハ昭和十八年度一般會計歲出ノ財源ニ
充ツル爲公債發行ニ關スル件外九件デゴザ
イマス、審議ニ入ルニ先立チマシテ政府ノ
說明ヲ求メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111734X00219430203&spkNum=1
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002・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 本委員會ニ付託ニ相成リ
マシタ昭和十八年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債發行ニ關スル法律案外九件ニ付
キマシテ、提案ノ理由ヲ說明申上ゲマス
先ヅ昭和十八年度一般會計歲出ノ財源ニ
充ツル爲公債發行ニ關スル法律案ニ付キ申上
ゲマス、昭和十八年度一般會計歲出ノ財源ト
致シマシテハ、現行ノ震災善後公債法及ビ
道路公債法ニ依ル公債ヲ發行致シマスル外、
歲入ノ不足ヲ補塡スル爲メ十四億六千九百
万圓ヲ限リ公債ノ發行ヲ要シマスルノデ、
其ノ起債ノ權能ヲ得ル必要ガアルノデアリ
マス、卽チ昭和十八年度一般會計ノ歲出總
額九十九億九千五百五十餘万圓ニ對シ、普
通歲入八十一億七千六百九十万餘圓竝ニ前
年度剩餘金三億三千二十万餘圓ヲ充當シテ、
尙ホ不足スル十四億八千八百三十餘万圓ハ
公債財源ニ依ルノ必要ガアルノデアリマシ
テ、此ノ內現行ノ公債法ニ依リ調達シ得マス
ル震災善後公債分百餘万圓及ビ道路公債分
千八百三十餘万圓ヲ差引キ、十四億六千九
百万圓ヲ限リ起債スルノ必要ガアルノデア
リマス、尙ホ從來ノ例ニ依レバ昭和十八年
度歲出豫算中若干ノ金額ハ翌年度ニ繰越
サルル結果ニナルデアラウト存ゼラレマス
ル處、其ノ繰越額ノ財源タル公債ハ必ズシ
モ之ヲ昭和十八年度內ニ於テ發行スルノ
必要ハアリマセヌノデ、之ヲ其ノ翌年度ニ
於テ發行シ得ルコトトスルノヲ適當ト認メ
マシテ、本法律案ヲ提出致シマシタ次第デ
アリマス
次ニ營繕用品資金特別會計法案ニ付キ說
明致シマス、大藏省營繕管財局ニ於テ、其
ノ司掌スル營繕事業ヲ經營致シマスニ付キ
マシテ必要ナル營繕用品ハ所謂統制物資デ
アリマスル爲メ、是ノ入手ガ圓滑ニ參リマ
セヌ爲ニ營繕事業ノ遂行ニ際シ屢〓其ノ圓
滑ナル進捗ヲ害セラルルノ狀況ナルニ顧ミ
マシテ、營繕用品ヲ適宜ノ時機ニ購入シ、之
ヲ貯藏加工致シマシテ、隨時適切ニ、本事
業ノ需用ニ應ズルコトト致シマス等ノ必要
上營繕用品資金ヲ設置スル必要ガアルノ
デアリマスガ、其ノ歲入歲出ハ、之ヲ一般
ノ會計ト區分經理スルノ必要ガアリマスノ
デ、特別會計設置ニ關スル本法律案ヲ提出
致シタ次第デアリマス
次ニ造幣局ノ資金ニ關スル法律案ニ付キ
說明致シマス、造幣局ニ於ケル事業量ハ、
近時著シク增大致シテ參リマシテ、從來ノ造
幣局据置運轉資本額四百万圓ヲ以テシマシ
テハ、本事業ノ圓滑ナル遂行ヲ期スルコト
困難ナル狀況トナリマシタノデ從來ノ据置
運轉資本ニ、更ニ二千六百万圓ヲ增加シテ、
之ヲ三千万圓ト致サントスルノデアリマス、
而シテ此ノ資本ノ增加ニ充當致シマスル財
源ハ、造幣局資金ノ內ヨリ使用スルノヲ適
當ト認メマシテ、昭和十八年度以降ニ於テ、
漸次ニ造幣局資金ノ內ヨリ、所要ノ金額ヲ
繰入レ得ルコトト致シタイノデアリマスガ、
資本ノ增加及ビ資金ノ使用ニ付キマシテハ
法律ヲ制定シテ其ノ途ヲ拓クノ必要ガアル
ノデアリマス
次ニ同局ノ事業ノ擴張ニ伴ヒマスル廳舍、
工場其ノ他ノ建物及ビ其ノ附屬設備ノ新營
擴張ニ付キマシテハ、從來昭和十五年度ヨ
リ同十九年度ニ亙ル繼續事業トシテ施行中
デアリマシテ、其ノ經費總額二千三百五万
八千百七十五圓ノ財源ハ、之ヲ造幣局資金
ノ內ヨリ拂出シ、一般會計ニ繰入レ得ルコ
トト相成ツテ居ルノデアリマスガ、今囘前
ニ申述ベマシタ通リ、事業量ノ增大ニ伴ヒ
マシテ、更ニ造幣局ノ工場等ヲ新設又ハ擴
張スル等ノ必要ガ生ジマシタル爲メ、之ヲ
昭和十八年度ヨリ同二十年度ニ亙ル繼續事
業ト致シマシテ、之ニ關スル經費總額六千
百七十九万六千七百圓ヲ增加スルノ必要
ガアリマスル處、既定ノ繼續事業ニ付キ節
減致シマスル額三万六千五百九十六圓ヲ差
引キマシテ、純增加額六千百七十六万百四
圓ノ財源ハ、之ヲ造幣局資金ノ內ヨリ拂出
シ、一般會計ニ繰入レ得ルコトト致ス等ノ
必要ガアルノデアリマス、以上ノ理由ニ依
リマシテ本法律案ヲ提出致シタ次第デアリ
マス
次ニ昭和十五年法律第六十九號中改正法
律案ニ付キ說明致シマス、大東亞戰爭ニ關
スル一時賜金トシテ交付スル公債ノ發行ハ
現行ノ昭和十五年法律第六十九號ニ依リ昭
和十五年度乃至同十七年度中ニ一時賜金賜
與ノ發令アリタル者ニ對シ交付スル場合ニ
限ラレテ居リマスルガ、右公債ハ昭和十八
年度ニ於テ一時賜金賜與ノ發令アリタル者
ニ對シテモ之ヲ發行交付シ得ルコトトスル
ノ必要ガアリマスノデ、昭和十五年法律第
六十九號中改正ニ關スル本法律案ヲ提出致
シマシタ次第デアリマス
次ニ樺太內地行政一元化ニ伴フ樺太廳特
別會計ト他ノ會計トノ關渉ニ關スル法律案
ニ付キ說明致シマス、樺太內地行政一元化
ニ依リ、樺太廳ニ於ケル氣象、海事、航空、
通信、陸運等ニ關スル事務ハ、昭和十八年
度ヨリソレ〓〓文部省、遞信省又ハ鐵道省
ニ移管セラルルコトト相成リ、之ニ伴ヒマ
シテ、通信事業及ビ鐵道事業所屬ノ財產ハ、
之ヲ通信事業特別會計又ハ帝國鐵道特別會
計ノ資本ニ編入致シマスルト共ニ、樺太事
業公債法ニ依リ、從來樺太ニ於ケル通信事
業及ビ鐵道事業ノ事業費支辨ノ爲メ發行致
シマシタ公債等ヲ、爾今通信事業特別會計
又ハ帝國鐵道特別會計ノ負擔ト致シマスル
外、樺太廳特別會計ト一般會計、通信事業
特別會計、帝國鐵道特別會計等トノ間ニ於
テ、會計ニ關スル種々ナル關涉事項ヲ生ジ
マスルノデ、是ガ處理上ノ必要ニ基キマシ
テ、本法律案ヲ提出致シタ次第デアリマス
次ニ昭和十二年法律第八十號改正法律案
ニ付キ說明致シマス、過般實施ノ行政簡素
化ニ依リ、從來厚生大臣ノ管理ニ屬シテ居
リマシタ簡易生命保險及ビ郵便年金ニ關ス
ル事務ハ、之ヲ遞信大臣ノ管理ニ屬セシム
ルコトトナリマシタノト、遞信省ノ遞信局
及ビ郵便局ニ於ケル簡易生命保險及ビ郵便
年金事務ノ管理ニ關スル事務ハ、之ヲ遞信
大臣ノ管理ニ屬スル簡易保險局ニ於テ取扱
フコトト相成リマシタノト尙ホ又遞信局及
ビ郵便局ニ於ケル簡易生命保險及ビ郵便年
金事務ノ取扱ニ關シ生ズル收入ハ之ヲ事務
取扱ノ便宜上、通信事業特別會計ノ所屬ト
致シマスル等トノ爲メ昭和十二年法律第八
十號ヲ改正スルノ必要ガアリマスノデ、本
法律案ヲ提出致シタ次第デアリマス
次ニ朝鮮事業公債法中改正法律案ニ付キ
說明致シマス、朝鮮總督府特別會計ニ於ケ
ル既定繼續費タル鐵道建設及ビ改良費、道
路修築改良費及ビ港灣修築改良費等ノ追加
額其ノ他五億五千九百六十餘万圓ニ付キマ
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シテハ同特別會計歲計ノ現狀竝ニ其ノ經費
ノ性質ニ顧ミマシテ之ヲ公債財源ニ依ルコ
トト致シマシタル所、道路修築改良費等ノ旣
定額ノ內、昭和十七年度ニ於テ公債財源ニ
依ル豫定ノモノニ決算上不用トナスベキモ
ノ等ガ四百三十餘万圓アリマスル爲メ差引
五億五千五百三十万圓ダケ現行ノ朝鮮事業
公債法ニ依ル公債ノ發行限度ヲ增加スルノ
必要ガアリマスノデ本法律案ヲ提出致シマ
シタ次第デアリマス
次ニ朝鮮簡易生命保險及ビ郵便年金特別
會計法案ニ付キ說明致シマス、今囘新タニ
朝鮮總督府ニ於テ郵便年金事業ヲ經營スル
コトト相成リマシタノニ伴ヒマシテ、之一
關スル歲入歲出ヲ特別ニ經理スル必要ガア
ルノデアリマスガ、經理事務ノ簡捷ヲ圖リ
マス爲ニ、現ニ同總督府ニ於テ經營致シテ
居リマスル簡易生命保險事業ノ歲入歲出ト
併セ經理スルノガ適當ト認メラレルノデア
リマス、而シテ是ガ爲ニハ朝鮮簡易生命保
險特別會計ヲ廢止シ、新タニ簡易生命保險
及ビ郵便年金ノ兩事業ヲ通ズル一特別會計
ヲ設置スルノ必要ガアリマスノデ、之ニ關
スル本法律案ヲ提出致シタ次第デアリマス
次ニ臺灣事業公債法中改正法律案ニ付キ
說明致シマス、臺灣總督府特別會計ニ於ケ
ル既定繼續費港灣費ニ追加致シマシタ新
高港第二期工事施行ニ要スル經費千五百五
十万圓竝ニ既定繼續費鐵道改良費及ビ大甲
溪開發事業費ノ追加額千九百二十餘万圓デ
アリマスガ、內七百五十餘万圓ヲ公債ニ依
ル必要ガアリマス、其ノ合計額二千三百餘
万圓ニ付キマシテハ、同特別會計歲計ノ現
狀竝ニ其ノ經費ノ性質ニ顧ミマシテ、之ヲ
公債財源ニ依ルコトト計畫致シタノデアリ
マス、然ル所鐵道改良費等ノ旣定額ノ內、
昭和十七年度ニ於テ公債財源ニ依ル豫定ノ
モノニ決算上不用ドナスベキモノ等ガ八百
餘万圓アリマスル爲メ、差引千五百十万圓
ダケ現行ノ臺灣事業公債法ニ依ル公債ノ發
行限度ヲ增加スルノ必要ガアリマスノデ、
本法律案ヲ提出致シマシタ次第デアリマス
次ニ臺灣官設鐵道用品資金會計法中改正
法律案ニ付キ說明致シマス、臺灣官設鐵道
用品資金ハ、現行ノ臺灣官設鐵道用品資金
會計法第二條ノ規定ニ依リマスレバ、二百
万圓ト相成ツテ居ルノデアリマスガ、臺灣
ニ於ケル鐵道及ビ自動車交通事業ノ事業量
ノ增大ニ伴ヒマシテ、臺灣官設鐵道用品資
金特別會計ニ於ケル歲入歲出モ亦逐年增加
致シテ參リマシタ爲メ、從來ノ資金額ヲ以
テシマシテハ、其ノ十分ナル機能ヲ發揮ス
ルコト困難ナル狀況ト相成リマシタノデ、
本資金ノ法定額ヲ五百万圓ニ增額ヲ致シマ
シタ、隨テ從來二百万圓デアリマスルカラ、
增加所要額三百万圓ハ之ヲ增加スルノ必要ガ
アルノデアリマス、隨テ今後鐵道自動車等
ノ事業量ノ增加ノ狀況ニ應ジマシテ、又臺
灣總督府ノ財政ノ許容スル所ニ從ヒマシテ、
漸次ニ三百万圓ヲ繰入レテ來ルコトト致シ
タイト存ズルノデアリマス、仍テ之ニ關シ
マスル本法律案ヲ提出致シタ次第デアリマ
ス
以上十件ノ法律案ニ付キマシテハ何卒御
審議ノ上速カニ御贊成ヲ御願ヒ致シタイト
存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111734X00219430203&spkNum=2
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003・矢野庄太郎
○矢野委員長 各案ノ審議ニ付キマシテ、
政府御當局竝ニ委員各位ニ一言申上ゲマス、
政府ニ於カレマシテハ、申上ゲルマデモナ
ク此ノ各案ハ豫算ト關聯スルモノガ頗ル多
イノデアリマスノデ、豫算委員會ニ御提出
ニナリマスル審議ノ資料ハ、當委員會ニモ
御提出ヲ願ヒタイト思ヒマス
ソレカラ委員各位ニ申上ゲマスガ、委員
各位ニ於テ審議ノ爲メ必要トサレル參考資
料ハ、便宜書面ヲ以テ委員長ノ手許ニ御提
出ヲ願ヒマス、尙ホ明日カラ引續キ委員會
ヲ開キタイト存ジテ居リマスガ、委員各位
ニ於テ質問御希望ノ方ハ委員長ノ手許マデ
後刻御申出ヲ願ヒマス、本日ハ是ニテ散會
致シマス
午後一時三十分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111734X00219430203&spkNum=3
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