1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十八年二月二十三日(火曜日)午前十時二十分開議
出席委員左の如し
委員長 前田房之助君
理事 阿子島俊治君 理事 中助松君
理事 水谷長三郎君 理事 米田吉盛君
小松茂藤治君 木下郁君
有馬英治君 川島正次郎君
金光邦三君 白川久雄君
菊地養之輔君 北れい吉君
楠美省吾君 金井正夫君
小野寺有一君 近藤英次郎君
永野護君 庄司一郎君
林信雄君 牧原源一郎君
三浦一雄君 信太儀右衞門君
眞崎勝次君 金子定一君
同月十八日委員河上丈太郎君、今成留之助君、中原謹司君、村松久義君、青木精一君喜多壯一郎君、中西敏憲君及高木義人君辭任に付其の補闕として菊地養之輔君、高橋壽太郎君、近藤英次郎君信太儀右衞門君、小松茂藤治君、楠美省吾君、高橋熊次郎君及小野寺有一君を議長に於て選定せり
同月十九日委員吉田賢一君辭任に付其の補闕として金子定一君を議長に於て選定せり
出席政府委員左の如し
内閣恩給局長 平木弘君
内閣東北局長 宇都宮孝平君
法制局長官 森山鋭一君
法制局參事官 佐藤基君
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本日の會議に上りたる議案左の如し
恩給法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)
東北興業株式會社法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)
會計檢査院法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112037X01419430223&spkNum=0
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001・前田房之助
○前田委員長 是ヨリ會議ヲ開キマス、是
ヨリ恩給法中改正法律案、東北興業株式會
社法中改正法律案、會計檢査院法中改正法
律案、此ノ三法案ノ審議ニ移リマス、先ヅ
政府ヨリ三法案ニ付テノ說明ヲ御願ヒ致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112037X01419430223&spkNum=1
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002・森山鋭一
○森山(銳)政府委員 只今議題ニナリマシ
タ三ツノ法律案ニ付キマシテハ、過日本會
議ニ於テ大體ノコトヲ申上ゲタノデアリマ
スガ、玆ニ稍〓詳細ニ亙ツテ御說明申上ゲ
タイト思ヒマス
恩給法中改正ノ點ハ數點ニ亙ツテ居ルノ
デアリマスガ、其ノ第一ノ點ハ恩給事務ノ
簡素化デアリマス、此ノ點ニ付キマシテハ
先ヅ恩給金額分擔ノ規定ヲ當分ノ內停止ス
ルコトト致シマシタ、現行法デハ恩給ハ原
則トシテ公務員ニ最後ニ俸給ヲ給シマス經
濟、卽チ國庫ナリ府縣ナリデ負擔スルコト
トナツテ居リマスガ、內部關係デハ公務員
ニ俸給ヲ給シマシタ經濟相互ノ間デ、其ノ
恩給金額ヲ分擔スルコトトナツテ居ルノデ
アリマス、例ヘバ府縣ノ巡査ノ恩給ハ府縣
ノ負擔デアリ軍人ノ恩給ハ國庫ノ負擔デ
アリマスガ、巡査ヲ十年、軍人ヲ五年在職
致シマシタ者ニ巡査トシテ恩給ヲ給シマス
場合ニハ、府縣デ恩給ヲ給シマシテ、其ノ
內部關係デハ府縣ハ國庫ニ對シマシテ軍人
ノ在職年五年ニ相應スル分擔額ヲ請求スル
コトトナツテ居ルノデアリマスガ、此ノ分
擔ノ事務ハ甚ダ複雜煩瑣デアリマシテ、多
クノ人手ヲ要シマスノデ、戰時下人手節約
ノ目的デ、此ノ事務ヲ當分ノ內停止スル事
ニ致シマシタ、是ガ改正法律案ノ附則第三
條ノ規定デアリマス、而シテ各經濟間ノ負
擔ノ不均衡ヲ生ジマスモノニ付テハ、別途
財政上ノ措置ニ依ツテ是正致スノデアリマ
ス、次ハ恩給金額ノ基礎トナリマス俸給ニ
關スル規定ノ改正デアリマス、現行法デハ
恩給金額ハ公務員ノ退職前一年內ノ俸給總
額ヲ基礎トシ、尙ホ公務傷病ニ因ル死亡又
ハ退職ノ場合ハ一級、其ノ他ノ場合ハ二年
据置ノ後ニナサレタル昇給ニ限リ、一部分一
昇給ヲ認メ、之ヲ基礎トシテ計算スルコト
ニナツテ居リマスガ、前者ノ場合二級以上、
後者ノ場合退職前一年內ニ二級以上昇給シ
タル者ハ、其ノ一年內ニ受クル俸給月額ヲ
合算シタルモノヲ以テ俸給總額トシ、之ヲ
基礎トシテ恩給金額ヲ算出スルコトニナツ
テ居リマス爲メ、之ニ依ツテ恩給計算事務
ガ非常ニ複雜トナツテ居リマスノミナラズ、
又戰死ノ際拔群ノ功績ニ依リマシテ二階級
モ進級シ、軍神ト仰ガレルヤウナ人々ノ場
合デモ、現行法デハ一階級ノ進級ダケシカ
認メテ居リマセヌカラ、此ノ進級シマシタ
階級ノ俸給額ガ、其ノ儘、恩給金額計算ノ
基礎トナラズ、甚ダ遺憾ナ點ガアリマスノ
デ、今囘ハ原則トシマシテ、恩給金額ハ、
退職當時ノ俸給額デ計算スルコトト致シマ
シタ、改正法律案ノ第六十條乃至第六十四
條等ノ規定ガ是デアリマス、併シナガラ此
ノ原則ヲ一貫シマスト、退職直前ニ極メテ
大幅ニ昇給シマシタ場合ハ、恩給金額モ亦
之ニ伴ツテ多額トナリマシテ、均衡ヲ失ス
ルヤウナコトニモナリマスノデ、改正法律
案ノ第五十九條ノ二ノ改正規定デ之ヲ制限
シ、退職又ハ死亡前一年內ニ如何ニ大幅ニ
昇給シテモ、公務傷病ニ因ル死亡又ハ退職
ノ場合ハ、二級ヲ、其ノ他ノ場合ハ一級ヲ限
リ之ヲ認メルコトトシ、適正ナ恩給金額ヲ算
出シ得ルヤウニ規定ヲ改メマシタ、斯クノ
如ク第五十九條ノ二デ恩給ノ基礎俸給ヲ變
更シマスト、自然扶助料額計算ノ方法モ之
ニ伴ツテ變更シナケレバナリマセヌノデ、
之ニ必要ナ改正ヲ致シマシタ、第七十五條
ノ改正規定ガ是デアリマス、尙ホ右ノ如ク
恩給ノ基礎俸給ヲ改正致シマスト、改正法
ニ依ル年金恩給金額ガ、從前ノ額ヨリ多額
トナル場合モアリマスノデ、大東亞戰爭ノ
勃發シマシタ昭和十六年十二月八日以後本
法施行前ニ戰死シマシタリ、公務傷病ノ爲
ニ退職シマシタ者ノ年金恩給デ多額トナル
場合ハ、改正法施行ノ日カラ之ヲ增給スル
コトト致シマシタ、本法律案ノ附則第五條
ノ規定ガ是デアリマス
第二ノ點ハ、公務員デアツタ者ガ外國政
府職員トシテ就職シ、更ニ之ヲ退職シマシテ、
公務員トシテ再就職シマシタ場合ニ、外國政
府職員トシテノ在職年ヲ、公務員ノ恩給年
限ニ通算スル規定ヲ設ケタコトデアリマス、
御承知ノ如ク近時公務員ガ本屬廳ノ承認ヲ
受ケ、外國政府職員トナリマス者ガ增加致
シマシタガ、是等ノ者ハ、謂ハバ政府ノ命
令デ外國政府職員トナリマスモノデアリ、
又公務員ノ官等ニ付キマシテハ、旣ニ外國
政府職員在職年ヲ通算シテ居リマスノデ、
此ノ種ノ在職年ヲ恩給年限ニ通算致シマス
ノガ適當デアルト考へマシテ、外國政府職
員トシテノ在職年ヲ、公務員ノ在職年ニ通
算スルノ途ヲ開クコトト致シマシタ、本法
律案ノ第八十二條ノ二及ビ第八十二條ノ三
ノ規定ガ之ニ關スル規定デアリマス、尙ホ
改正法律施行前ニ外國政府職員トナリマシ
タ者ニモ、此ノ通算ノ恩典ヲ及ボスベキデ
アルト考ヘマシテ、必要ナ規定ヲ設ケマシ
タ、改正法律案ノ附則第六條ノ規定ガ是デ
アリマス、次ハ昨年陸軍デハ敵ノ空襲ニ備
ヘマシテ、防衞召集制度ヲ設ケマシタガ、
此ノ種ノ召集ニ依ツテ部隊ニ編入セラレマス
軍人ノ在職期間ハ、現在ノ情況デハ比較的
短期間デアルト考ヘラレマスノデ、此ノ場
合ノ在職年ヲ、現行法ノ一般ノ計算方法卽
チ月ヲ單位トシマシテ計算スルノガ適當デ
ハアリマセヌノデ、在職年計算ノ特例ヲ設
ケ得ルヤウニ致スノデアリマス、改正法律
案第二十八條ノ二ノ規定ガ是デアリマス、
尙ホ今囘官廳職員優遇制度ノ創設ニ依リマ
シテ、巡査ヤ看守等デ從來判任官待遇デア
リマシタモノガ、新タニ判任官ニナリ得ル
ノ途ガ開カレルコトニナリマスノデ、恩給
法第二十三條、第二十五條及ビ第二十六條
ノ規定ヲ改正致スノデアリマス
以上申上ゲマシタ外ニ、恩給法第十六條ノ
規定ヲ改正致シマシテ、文官デハアルガ、
俸給ハ府縣其ノ他ノ地方經濟デ給シマス者ノ
恩給ヲ、當該府縣其ノ他ノ地方經濟デ負擔セ
シムルコトガ出來ルヤウニシ、又〓育職員ノ
一時恩給デ從來市町村又ハ之ニ準ズベキ地
方經濟ノ負擔ニ屬シテ居リマシタ一時恩給
ヲ、府縣又ハ之ニ準スベキ地方經濟ニ於テ負
擔セシメルコトトシ、更ニ本年四月ヨリ師範
學校制度ノ改正ニ依リマシテ、從來道府縣
立デアリマシタ師範學校ガ官立ニナリマス
ノデ必要ナ改正ヲナシ、又夫又ハ成年ノ子
ニ給スル扶助料及ビ兄弟姉妹ニ給スル一時
扶助料ノ給與條件ヲ緩和シマシテ、是等ノ
者ヲ扶養スル者ガアリマシテモ、生活困難
ナ者ニハ恩給ヲ給スルコトガ出來ルヤウニ
改メ、更ニ昨年海軍ノ下士官兵ノ官職名ガ
改正セラレマシタノデ、之ニ伴ヒ必要ナ改
正、其ノ他規定整理等ノ爲ニ今囘ノ改正ヲ
致スコトトナツタノデアリマス、以上ニ依
リマシテ大體恩給法中改正法律案ノ說明ヲ
終リマス
次ニ東北興業株式會社法中改正法律案ニ
付テ御說明申上ゲマス、東北興業株式會社
ハ昭和十一年十月創立以來、專ラ其ノ使命
ノ達成ニ努メテ參リ、現在卽チ昭和十七年
十二月末ノコトデスガ、關係投資會社ハ五
十、之ニ對スル會社出資額ハ九千三百餘万
圓ニ達シ、直營事業ハ其ノ數十九、計畫資
金約一千七百万圓ニ達シテ居リマシテ、投
下資金總額約一億一千万圓ニ達シテ居ルノ
デアリマス、然ルニ現下ノ情勢ハ、資源ノ開
發ト物資ノ增產トヲ圖ルノ必要ガ益〓大ナ
ルモノガアリマスノデ、同會社ハ今囘東北
振興ト時局ノ要求ニ對應シテ、更ニ事業ノ
擴充ヲ計畫シ、昭和二十三年度迄ニ既ニ投
下シタ資金ヲ合シマシテ、總額約二億七千五
百万圓ノ資金ヲ以テ、重點的ニ化學工業、
機械工業、鑛山事業、農水產事業等ヲ遂行
スルコトト致シタノデアリマス、而シテ之
ニ對スル資金ハ株式、社債、借入金等ヲ以テ
調達スル計畫デアリマスガ、現在ノ同會社
ノ資本構成ヲ以テシマシテハ、前述ノ計
畫ヲ實行スルニハ困難ヲ來シマスノデ、
其ノ資本金三千万圓ヲ五千万圓ニ增加シ、
社債發行限度モ從前通リ拂込ミタル株
式金額ノ五倍トシ、尙資金調達ノ圓滑ヲ
圖ル爲、東北興業債劵ノ元本ノ償還及ビ
利息ノ支拂ニ付テハ政府ガ保證ヲナシ得ル
コトトシ、約三億圓ノ資金ヲ以テ之ニ充當
スルコトト致シタイノデアリマス、更ニ御承知
ノ如ク同社ハ其ノ使命ニ鑑ミマシテ、早急ニ
利益ヲ望ムコトハ困難ナルノミナラズ、豫
定ノ配當ハ之ヲ維持セネバナラヌ事情ニア
リマスノデ、增資額二千万圓中半額ハ政府
ノ出資トシ、政府以外ノ者ノ所有スル株式
ニ對シテハ、年六分ノ優先配當ヲ認ムルト
共ニ、政府ノ補給金モ事業ノ擴大セラルル
ニ伴ヒ、自然之ヲ增加セネバナラヌコトニ
ナリマス、卽チ現在同法第二十六條ニ規定
サレテ居リマス補給金八百五十万圓ニテハ
不足ヲ生ジマスノデ、斯カル限度ヲ撤廢シ、
每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額
ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込金額
ニ對シテ、年六分ノ割合ニ達シナイ場合ニ
ハ、年六分ニ達スルマデ政府以外ノ者ノ所
有スル株式ニ對スル年六分ノ配當金ト、當
該營業年度ニ於テ支拂ヒタル社債及借入金
ノ利息額ノ合計額ヲ限度ト致シマシテ、第
十五營業年度マデ政府ニ於テ補給金ヲ交付
スルコトトシ、尙ホ其ノ他配當準備金ノ積
立及ビ政府ノ所有スル株式ニ對スル配當ニ
關シ、附隨的改正ヲナシ、且從來政府ヨリ
交付スル補給金ニ對シ收支計算上利益トシ
テ之ニ課稅シテ參ツタノデアリマスルガ、
此ノ際之ヲ免除スル等、同社機能ノ强化ヲ
圖ラントスルモノデアリマス、以上ヲ以チ
マシテ東北興業株式會社法中改正法律案ノ
說明ヲ終マリス
次ニ會計檢査院法中改正法律案ノ御說明
ヲ申上ゲマス、會計檢査院法中ノ改正ハ數
點ニ亙ツテ居リマスガ、便宜之ヲ逐條的ニ
御說明申上ゲマス、最初ニ第二條ノ改正デ
アリマスガ、此ノ改正ノ第一點ハ行政簡素
化實施ノ爲ノ改正デゴザイマス、政府ハ曩
ニ部內各方面ニ亙リ、行政ノ簡素化ヲ實施
致シマシタノデアリマスガ、當時會計檢査
院ニ付キマシテモ、同樣簡素化ノ爲ニ現在
ノ四部制ヲ三部制トシ、之ニ伴ヒ部長一
人奏任檢査官二人、其ノ他職員ノ減少ヲ
行フ方針ヲ決定致シタノデアリマス、併シ
右ノ部制竝ニ部長及ビ檢査官ノ定員ハ何レ
モ會計檢査院法中ニ定メラレテ居リマス爲、
當時直チニ之ヲ實施スルコトガ出來マセヌ
デシタノデ、今囘是ガ實施ノ爲必要ナル同
法中ノ改正ヲ行ハントスルモノデアリマシ
テ、新シイ第二條ノ規定ノ第一項前段ニ於
テ、簡素化ニ依ル新ラシイ定員ヲ規定致シ
タノデアリマス、此ノ新ラシイ規定第一項
ノ後段ハ改正ノ第二點デアリマシテ、職員
ノ一部ニ付テ其ノ定員ノ規定ヲ勅令ニ讓ル
爲ノモノデゴザイマス、卽チ現在ノ第二條
ノ規定ニ於キマシテハ會計檢査院ノ職員
中院長以下理事官ニ至ルマデノ定員ヲ總テ
之ニ定メテ居ルノデアリマスガ、此ノ中書
記官、副檢査官及ビ理事官ニ付キマシテハ、
其ノ職務ノ性質ニ鑑ミマシテ、其ノ定員マ
デモ法律ノ中ニ規定シテ置キマスコトハ、
比較的其ノ必要性ガ少イモノト考ヘラレマ
スノデ、是等ノ定員ハ之ヲ勅令ヲ以テ定メ
得ルコトトナスノガ適當デアルト認メマシ
テ、此ノ第二條ノ規定ノ中カラ此等ノ職員
ノ員數ニ關スル規定ヲ落シタ形ニ改メタノ
デアリマス、次ニ新シイ第二條ノ規定ノ第
二項ハ、改正ノ第三點デアリマシテ、定員
外ノ規定ヲ設ケマシタ點デアリマス、是ハ
今マデニナイ規定ヲ新シク入レタモノデア
リマスガ、最近ノ情勢カラ見マスト、會計
檢査官ガ陸海軍ニ召集セラレマシタ場合ト
カ、其ノ他特別ノ場合ニ於キマシテ之ヲ定
員外トナシ得ル途ヲ拓クコトノ必要ナ場合ガ
考ヘラレル譯デアリマスガ、是ハ一々法律
ニ依リマセヌデ、勅令ノ定ムル所ニ依リマ
シテ、適時適切ニ之ヲ行ツテ行クト云フ方
法ガ適當ト考ヘラレマスノデ、サウ云フ趣
旨デ此ノ第二項ノ規定ヲ設ケルコトト致シ
タノデアリマス、次ニ第三條ノ改正デアリ
マスガ、本條ノ改正ノ第一點ハ、會計檢査
院ノ書記ノ爲ニ優遇ノ途ヲ拓イタコトデア
リマス、卽チ書記ハ現在同條ノ規定ニ依リ
マシテ、判任官ト云フコトニナツテ居ルノ
デアリマスガ、之ヲ今度ハ優遇ノ爲勅令ノ
定ムル所ニ依リマシテ奏任官トナシ得ルコ
トト致シタノデアリマシテ、第三條第一項
ノ但書ニ其ノ旨ノ規定ヲ設ケタノデアリマ
ス、是ハ今般政府ニ於キマシテ一般ニ官吏
其ノ他ノ職員ニ付キ、特別ノ優遇ノ途ヲ拓
クコトト致シマシタノデ、之ニ步調ヲ合
セタ譯デアリマス、第三條ノ改正ノ第二點
ハ、先程第二條ノ改正ニ付キ申上ゲマシタ
コトト關聯致シマスガ、書記官、副檢査官
及ビ理事官ノ定員ヲ勅令デ定メ得ル旨ノ規
定ヲ第二項ニ入レタノデアリマス、最後ニ
第五條ノ改正デアリマスガ、是ハヤハリ、第
二條デ申シ述ベマシタ行政簡素化關係ノコ
トデアリマシテ、部ノ數ヲ簡素化ニ依ル數
ニ改メ、卽チ四部ヲ三部ニ改メ、又部ノ構
成人員ガ現在一部ニ付キ檢査官三人乃至五
人ニナツテ居リマスガ、新シイ部ノ數ト檢
査官定員トノ關係ヲ見合ハセマスト、三人
デ一部ヲ構成スルト云フヤウナコトハアリ
得ナイコトニナリマスノデ、各部ハ四人又
ハ五人ヲ以テ構成スルコトニ改メタモノデ
アリマス、尙ホ附則ニ於キマシテハ、簡素
化實施ノ爲ノ定員減少ニ當リ必要ナ經過的
規定ヲ設ケルコトト致シタノデアリマシテ、
現ニ在職致シテ居リマス檢査官ノ實人員ガ、
改正規定ニ依リマス檢査官ノ簡素化定員ヨ
リ超過致シテ居リマス場合ニハ、其ノ超過
シテ居リマス員數ダケハ直チニ之ヲ減ラス
コトハ出來マセヌノデ、其ノ員數ヲ限リマ
シテ、當分ノ內之ヲ定員外トシテ置クコト
ニ致シタノデアリマス、是ハ一般ノ官吏ニ
付キマシテハ此ノ經過的措置トシテ定員外
ハ本年三月三十一日マデト云フコトニ期限
ヲ定メラレテ居ルノデアリマスガ、檢査官ハ
身分保證ガアリマシテ、一定ノ期間ガ經過
シタ後、之ヲ休職ニスルト云フ途モアリマ
セヌノデ、特ニ期限ヲ定メズ、當分ノ內ト
云フコトニ致シマシテ、定員數ノ自然ニ減
少致シマスノヲ待チマシテ、ソレマデハ之
ヲ定員外トシテ置クト云フコトニ致シタノ
デアリマス、尙ホ此ノ場合ニ於キマシテハ、
部ノ構成人員ヲ、本來ノ場合ヨリモ膨マラセ、
テ置キマセヌト、ドノ部ニモ屬シ得ナイ所
ノ檢査官ガ出來テ參リマスノデ、此ノ定員外、
ノ存スル間ハ、其ノ構成人員一部ニ付テ六人
マデニナシ得ルト云フヤウナ、其ノ旨ノ規
定ヲ設ケタ次第デアリマス、今囘ノ改正ノ要
點ハ大體以上ノ如クデゴザイマス、是デ會計
檢査院法中改正法律案ノ說明ヲ終リマス
以上三法律案ニ付キマシテ何卒速カニ御審
議アランコトヲ切望スル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112037X01419430223&spkNum=2
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003・前田房之助
○前田委員長 一言申上ゲマスルガ、資料
要求ノ方ハ、只今要求サレマスルカ、若シ
クハ次囘ノ委員會マデニ文書ヲ以テ委員長
若シクハ理事ノ手許マデ御申出ヲ願ヒマス、
文書ヲ以テ御申出ノ方ハ速記錄ニ其ノ儘記
錄スルコトニ致シタイト存ジマス、尙ホ質
疑ノ方ハ要項ト共ニ委員長ノ手許マデ速カ
ニ御申出ヲ願ヒタイト存ジマス
先ヅ恩給法中改正法律案ノ審議ニ入リタ
イト存ジマス、直チニ質疑ニ移リマス-
金井正夫君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112037X01419430223&spkNum=3
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004・金井正夫
○金井委員 後日質問ガアリマスナラバ、
其ノ日ニ讓リタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112037X01419430223&spkNum=4
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005・前田房之助
○前田委員長 ソレデハ本日ハ是ニテ散會
ヲ致シマス、次會ハ公報ヲ以テ御通知申上
ゲマス
午前十時四十二分散會
〔參照〕
庄司委員要求ノ參考資料
一、東北六縣ノ人口動態
ニ、東北ノ無醫村數
三、東北ノ木炭、亞炭、代用燃料生產統
計(前年度分)
小野寺委員要求ノ參考資料
東北興業會社ノ定款
二、東北興業會社重役竝ニ幹部ノ氏名、
待遇及在職年數調
米田委員要求ノ參考資料
一、會計檢査院ノ職員增加調(昭和四年
ヨリノ分)(檢査官、書記官、副檢査官)
二、會計檢査ノ結果、不法、不當ノ件數
調(昭和五、六年ヨリ現在迄)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112037X01419430223&spkNum=5
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