1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十八年二月五日（金曜日）午前十時十八分開議
出席委員左の如し
委員長 山本厚三君
理事 瀧澤七郎君 理事 古田喜三太君
理事 山田順策君 理事 吉田敬太郎君
理事 渡邊善十郎君
小笠原三九郎君 小田彦太郎君
小山倉之助君 奧野小四郎君
小谷節夫君 木暮武太夫君
篠原陸朗君 田中藤作君
鶴惣市君 中村三之丞君
中井一夫君 永野護君
濱野清吾君 廣野規矩太郎君
松田正一君 三木與吉郎君
宮澤裕君 桃原茂太君
渡邊泰邦君
出席政府委員左の如し
大藏次官 谷口恒二君
大藏省理財局長 田中豐君
大藏省銀行局長 山際正道君
大藏書記官 阪田泰二君
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本日の會議に上りたる議案左の如し
日本證券取引所法案（政府提出）
市街地信用組合法案（政府提出）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=0
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001・山本厚三
○山本委員長 是ヨリ開會致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=1
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002・中井一夫
○中井(一)委員 此ノ際議事ノ進行ニ關シ
テ發言ヲ求メタイト思ヒマス、本法案ハ我
ガ國ノ取引所制度ニ付キマシテ、洵ニ劃期
的ナ根本的ナ大改革ヲナサントスルモノデ
アリマス、隨ヒマシテ本法案ガ實施セラレ
マスル曉ニ於キマシテハ、其ノ產業經濟其
ノ他各方面ニ與ヘマスル影響ハ、洵ニ重大
ナルモノガアルト信ズルノデアリマス、隨
テ本委員會開會サレマシテ以來、多數ノ同
僚諸君カラ、洵ニ傾聽スベキ御論議モアリマ
シタ、尙ホ今後トモ同樣傾聽スベキ御論議
ガアルコトト存ジマスルシ、又之ニ對シテ
政府當局ノ種々貴重ナル御答辯モ承ルコト
ガ出來ルト思フノデアリマス、唯併シナガ
ラ何分ニモ本法案ノ影響スル所、各方面ニ
於テ重大ナルモノガアリマスガ故ニ、委員
長ノ御取計ヒニ於キマシテ、質疑ガ或ル程
度マデ進行致シマスルナラバ、私共委員ト
政府當路ノ間ニ於キマシテ懇談的ナ會合ヲ
致シテ、双方胸襟ヲ開イテ、更ニ問題ノ檢討
ヲ致ス機會ヲ御作リヲ願ヒタイト思フノデ
アリマス、委員ノ中ニハ私ト同樣ナ見解ヲ
持タレル方モアリマスノデ、特ニ此ノコト
ヲ申述ベマシテ、委員長ノ格別ノ御取計ヒ
ヲ御願ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=2
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003・山本厚三
○山本委員長 只今ノ中井君ノ御話ハ至極
御尤モト思ヒマスカラ、委員長ニ於テ適當
ノ機會ニ取計フコトニ致シマス-永野君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=3
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004・永野護
○永野委員 私ハ此ノ法案ノ審査ニ當リマ
シテ、三ツノ點ニ付テ政府ノ御所見ヲ承リ
タイト思フノデアリマス、其ノ第一ハ株價
ノ形成ニ付テ、第二ハ取引所ノ機構ト取引員
ノ位置、身分ニ付テ、第三ハ新取引所ノ運
用ニ付テデアリマス
先ヅ第一ニ株價ノ形成問題ニ付キマシテ、
政府ノ御所見ヲ承リタイノデアリマスガ、
其ノ基礎條件トシテ、政府ハ株式證劵ノ產
業機構中ニ占メマスル位置ニ付テ、如何ナル
認識ヲ御持チデアリマスカ、之ヲ承リタイ
ノデアリマス、ト申シマスルノハ、近時我
ガ日本ノ產業機構ヲ、或ル場合ニハ國營ニ
スベキモノデアル、又ハ營團化スルノガ理
想的デアル、或ハ之ヲ特殊法人ノ形態ヲ持
タシメテ、資本ト經營ニ或ル程度ノ分離ヲ生
ゼシムルコトガ、理想的ノ形態デアルト云フ
ヤウナ議論ガ頻リニ行ハレテ居リマスルガ
故ニ、先ヅ此ノ取引所ノ最モ主要ナル取扱
物件タル株式ニ對スル政府ノ御所見ヲ承リ
マスルコトガ、伺ハントスル株價ノ形成ニ
關スル問題ノ前提條件トナルト信ズルカラ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=4
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005・田中豐
○田中(豐)政府委員 只今ノ御質問ハ、新
取引所ノ最モ重要ナル取扱ノ對象物件デア
ル株式ノ、產業機構中ニ於テ占ムル地位如
何其ノ前提トシテ、又企業形態ニ對スル
政府ノ考ヘ方如何ト云フ御質問ト拜承致シ
タノデアリマスガ、企業ノ形態ニ關スルコ
トニ付キマシテハ、本會議ニ於テ大藏大臣
カラモ御說明申上ゲテ居リマス如ク、特上
例ヘバ營團主義デアルトカ、株式組織主義
デアルトカ云フコトヲ、觀念的ニ考ヘテ居
ル譯デハナク、特ニ其ノ場合ノ必要ニ依ツ
テ、公共的色彩ノ非常ニ濃厚ナルモノデア
ルトカ、或ハ事業ガ危險デアツテ、民間ノ
資本ニ任スコトガ不適當ダト云ツタヤウ
ナ、特別ノ必要アルモノニ付キマシテ、營
團的ナ方式ヲ採リ、或ハ所謂金庫ト云ツタ
ヤウナ方式ヲ採ツテ參ツテ居ルノデアリマ
スケレドモ、一般的ナ產業ノ形態トシマシテ
ハ、株式組織ニ依ル形態ガ、適當デアルト云
フ風ニ考ヘテ居ル次第デアリマシテ、全ク具
體的ナ場合ニ依ツテ、營團トカ金庫トカ云フ
ヤウナモノノ必要アル場合ニハ其ノ方式
ニ依ルト云フコトヲ考ヘテ居ル次第デアリマ
ス、隨ヒマシテ御話ノ如ク資本ト經營ノ分離
トカ、色々ナ問題ガ各方面ニ於テ論議サレ
テ居リマスルガ、只今私ノ申述ベマシタヤウ
ナ考ヘノ下ニ、場合ニ依ツテ、必要アル場合
ニ營團ト云フヤウナ形態ヲ採ツテ居ルニ過ギ
マセヌノテ、現狀ニ於キマシテハ、一般スノー
企業形態ノ基本的ナモノハ、依然トシテ株
式組織デアルト考ヘテ居ル次第デアリマス、
之ヲ極ク最近ノ數字デ申シマスト、內地全體
ノ會社資本、之ニ對シマシテ營團、金庫ト云ツ
タヤウナ形態ヲ占メマス資本ノ「パーセンテー
ジ」ハ、公稱資本ニ於キマシテ一一·八%、三%
足ラズノモノデゴザイマス、拂込資本ニ於
キマシテハ一·六%、二%足ラズノモノデゴザ
イマス、最近營團、金庫等ノ形態ガ漸ク增
加致シテ居リマスガ、現狀ニ於キマシテハ、
マダ其ノ程度ノモノデアリマス、依然トシ
テ株式組織ガ企業形態ノ基本的ナモノデア
リ、隨テ其ノ株式ナルモノガ產業資金調達
ノ根幹、主要手段デアルト云フコトニ付キ
マシテハ何等變化ガナイト考へテ居リマ
ス、隨ヒマシテ當局ニ於キマシテ、先般此
ノ證劵取引所ノ改革案ヲ發表致シマシタ際
ニ於キマシテモ、產業資金調達手段トシテ
株式ト云フモノヲ最モ重視シテ、其ノ考へ
ノ下ニ本證劵取引所法案ヲ立案シタノデア
ルト云フコトヲ、聲明ニモ加ヘタヤウナ次
第デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=5
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006・永野護
○永野委員 產業資本調達ノ根幹トシテ、
株式ノ重要性ヲ御認メニナリマシタ以上、
日本ノ情勢ガ產業設備ノ擴大ヲ日ニ〓〓要求
シテ居リマス今日、國民ヲシテ株式ニ對ス
ル信賴ト興味ヲ持續スルコトハ、生產擴充
ノ前提條件デアルト思フノデアリマス、如
何ニ國民ヲシテ株式ニ興味ヲ持タシメルカト
云フコトハ、一ニハ株式ヲ通ジテ事業經營
ニ或程度マデ參畫シ、或ハ之ヲ監督シ得ル
ト云フ點デアリマスルケレドモ、一面其ノ會
社ノ實績ノ向上スルニ從ツテ、株價モソレ
ニ比例シテ値上リヲスルデアラウト云フ
期待ガ、國民ノ此ノ株式ニ對スル興味ヲ持
タシメル大キナ原因デアルト思フノデアリ
やくり、然ルニ今囘此ノ日本證劵取引所法案
ノ出現ニ依リマシテ、簡單ニ考ヘマスルト、
一見此ノ二ツノ要素ヲ失ツタカノ如キ誤解
ヲ餘ヘル餘地ガ生ジタノデアリマス、卽チ
株式ノ中デ、長年ノ花形株ト致シマシテ、
最モ取引數モ多クアリマシタ各株式取引所
ノ株式ガ、一朝ニシテ一種ノ營團的出資證
劵ニ變ツテシマツタノデアリマス、之ニ對
シテ何等本人ノ意見ヲ問フコトモナク、全
ク寢耳ニ水ノ間ニ、經營ニ參畫スルト云フ
興味ト事業ノ監督ガ出來ルト云フ安心性ヲ
失ハシメタノデアリマス、更ニ第二ノ點、
卽チ業績ノ向上ニ依ツテ、株價ノ値上リヲ來
スデアラウト云フ興味ハ、此ノ新取引所ノ
機構ガ株價ノ公正ナル形成ト云フコトヲ、
其ノ第一條件トシテ居リマスル點ヤ、又
ハ場合ニ依ツテハ取引所自體ガ、賣買ノ相
手方トナルト云フ制度ガ出現致シマシタノ
デ、假令內容ノ向上ハアツテモ、他ノ理由
ニ依ツテ株價ノ昂騰ヲ抑止セラレルノデハ
ナイカト云フヤウナ疑念ヲ持ツタノデアリ
マット、元來從來ノ觀念ニ依リマスルト、取
引所ハ所謂行司デアリマシテ相撲取リデハ
ナイノデアリマス、是ガ從來ノ取引所機構
ノ觀念ノ中核ヲ成スモノデアリマシテ、此ノ第
一命題ニ動搖ヲ來スト云フコトハ、餘程ノ
政府ノ決意ガアルモノト看取セシムルノデ
アリマス、勿論今日戰爭遂行ノ爲ニハ如何
ナル犠牲ヲモ忍バネバナラナイ非常時デア
リマスカラ、公債消化ト云フ最大目的ノ爲ニ
ハ不當ニ株式市場ニ資金ガ流出スルト云
フコトヲ防ガナケレバナラナイ、又過當投
機ニ依ツテ國民經濟ノ堅實性ヲ失ハシメル
コトハ、嚴ニ戒メナケレバナラナイコトデア
ルト云フヤウナコトハ、勿論言ヲ俟タナイ所
デハアリマスルケレドモ、一方生產力擴充資
金ヲ、株式ト云フ「ルート」ヲ通ジテ獲得スル
ト云フ此ノ基本方針ノ變ラナイ以上、ソユ
ニ程度ノ問題デハアリマスルケレドモ、何等
カ國民ノ株式ニ對スル興味ヲ失ハシメナイ
方法ヲ講ズル必要ガアルノデハナイカト思
フノデアリマス、ソコデ是ハ立法論ニ亙リマ
スルケレドモ、私共ハ取引所ノ機能ノ第一ハ、
公正ナル取引ノ圓滑化デアリマシテ、公正ナ
ル株價ノ形式及ビ其ノ維持ハ、公正ナル取引
ノ結果トシテ、自ラ生レ出ヅルモノデアル
ト信ズルノデアリマス、隨テ私ハ本立法ノ第
一條ニ揭ゲテアリマスル三ツノ主要目的ノ
順位ハ、寧ロ逆ニスベキモノデハナイカト
思フノデアリマス、ソレカラ第二ニハ株價
ノ操作ヲ取引所自體ガスルト云フコトハ
從來ノ觀念カラ申シマスルト、先程カラ申
シマスルヤウニ非常ニ重大ナコトデアリマ
スルカラ、出來レバ玆ニ不必要ナル不安ノ
念ヲ取去ル爲ニ、株價ノ操作ハ從來ノ如ク戰
時金融金庫ヲシテ行ハシメ、若シ從來ノ戰
時金融金庫機構ダケデ、實際上ノ操作ニ不便
ヲ御感ジニナル點ガアレバ、ソレハ其ノ點ヲ
御改正ニナツタラ如何カト思フノデアリマス、
例ヘバ戰時金融金庫ガ、自ラ市場ニ出動ス
ル機會ヲ持タナイカラ、第三者ヲ通ジルト
云フ不便ガアルト云フノナラバ、宜シク戰
時金融金庫自體ニ、特殊取引員ノ資格ヲ御與
ヘニナツタラ如何カト思フノデアリマス、
是ハ蠶絲取引所ニ於テ三井、三菱ニ特殊取
引員ノ位置ヲ持タシメタト云フ前例モアル
コトデアリマス、尙ホ私ハ只今ハ自由主義
經濟時代ト異ナリマシテ、金融統制ガ完全
ニ行ハレテ居リマスルカラ、株式資金ノ調
節ガ全ク政府ノ自由自在ナンデアリマス、
又他方會社經理統制令其ノ他ノ法律ニ依リ
マシテ、株價決定ノ最大要素デアリマスル
所ノ配當率、及ビ更ニ之ニ對スル課稅率ヲ、
全ク政府ハ其ノ權限ニ收メテ居ルノデアリ
マスルカラ、此ノ事情ノアリマスル以上、
曾テ日本ニ出現致シマシタヤウナ株價ノ變
動ト云フヤウナコトハ、決シテ起ルモノデ
ナイト思フノデアリマス、右樣ナ事情ガ私
ガ先程申シマスヤウナ、不安ヲ一層深カラ
シメル所以デアリマス、此ノ點ニ關スル政
府ノ御所見ヲ承リタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=6
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007・田中豐
○田中(豐)政府委員 只今色々ト御意見ヲ
拜聽致シタノデアリマスガ、兎モ角結論ニ
於テ株式ト云フモノヲ、產業資金調達ノ手
段トシテ重視スルナラバ、之ニ對スル國民
ノ信賴、興味ヲ保タシメナケレバナラナイ、
然ルニ今囘ノ取引所法ノ改革ハ一見國民ノ
株式ニ對スル信賴ト興味ト云フモノヲ失ハ
シメルガ如キ誤解ヲ生ゼシメル點ガ多々ア
ルヤウニ思フガ、之ニ對スル所見如何ト云
フ御趣旨ト拜承致スノデアリマスガ、仰セ
ノ如ク產業資金調達ノ主要手段トシマシテ、
株式ヲ重視致シマスコトハ政府ノ考ヘテ
居ル所デアリマシテ、其ノ爲ニハ國民一般
ガ株式ニ對シテ、御話ノ如ク十分ノ信賴感
ト、又之ニ投資スル興味ト云フモノヲ持タ
シメナケレバナラナイト云フコトハ、御尤
モナコトデゴザイマス、唯此ノ興味ト云フ
ヤウナ點ガ、少シ度ヲ過シマスト所謂過當
投機トナリ、其ノ爲ニ又株式ニ對スル興味
ハ增シタガ、他ノ方面ニ於テ經濟政策上ノ
色々支障ガ生ズルト云フコトニ相成リマス
ノデ、此ノ點ニ於テモ御言葉ニアリマシタ
如ク、程度ノ問題デアリマシテ、大體ノ根
本的ナ考ヘ方ト致シマシテハ、全ク吾々モ
同樣ニ考ヘテ居ル次第デアリマス、ソコデ
然ラバ改革ノ如何ナル點ガ、サウ云フ誤解
ヲ生ゼシメルカト云フコトデ御例示ニナリ
マシタ、例ヘバ當所株ガ第一ナクナルト云フコ
下、之ニ付キマシテハ、御話ノ如ク、多年
投機ノ對象トサレマシテ、株ノ代表的ナモ
ノト云フヤウナ感ジノ下ニ、之ニ各種ノ投
機ガ集ツテ參ツテ居ツタ譯デゴザイマス、
併シ取引所ヲ改革致シマス以上、此ノ當所
株ト云フモノガ、一面ニ於テサウ云ツタ花
形株ノ役目ハ果シマシタガ、又他面ニ於テ
過當投機ノ對象トシテ、各種ノ弊害ヲ流シ
テ居ルコトハ事實デアリマシテ、取引所機
構改革問題ノ根本ハ、此ノ當所株ニアリト
マデ從來言ハレテ居ツタ次第デアリマス、
特ニ當所株的存在ガ、現在ノ經濟機構ニ於
テ必ズシモ必要デハナイ、弊害ノ方ガ多
イ、斯ウ云フヤウナ狀况ニ於キマシテ、機
構ノ改革ニ伴ヒ、當所株ト云フモノガナク
ナツタコトハ已ムヲ得ナイコトデアルト思
フノデアリマス、此ノ半面ニ於テ御話ノ如
〃、此ノ當所株ヲ所有シテ居ツタ者、或
賣買致シテ居ツタ者ガ、何等ノ豫〓ナク斯
ウ云フモノガ消エテナクナルト云フコトニ
付キマシテノ御非難モアリマシタガ、先ヅ
當所株ナルモノハ、國民ノ一般ノ投資物件
デハナイ、是ハ少シ言過ギカモ知レマセヌ
ガ、他ノ一般ノ株ト非常ニ性格ヲ異ニシ
テ、卽チ產業資金ヲ調達スル爲ニハ、國民
大衆ノ信賴ト、興味ヲ繫ガナケレバナラヌ
ト云ツタヤウナ意味ニ於ケル投資ノ對象デ
ハナカツタト、吾々ハ考ヘテ居リマス、多少當
所株ガナクナルト云フコトニ付キマシテ、御
話ノヤウナ傾向モアリマセウケレドモ、此
ノ爲ニ信賴ト興味ガナクナルト云フマデニ
論ズベキモノデハナイノデハナイカト云フ
風ニ考ヘテ居リマス
第二點トシマシテ、株式價格ノ公正ナル
形成ト云フヤウナ問題、或ハ新取引所ガ賣
買ヲ自ラ行フト云フヤウナコトガ、國民ノ
信賴ト興味ヲ失ハシメルト云フ感ガアルト
云フ御話デゴザイマスガ、此ノ公正ナル價
格ノ形成ト云フコトニ付キマシテハ、御話
ノ如ク取引所ニ於テ公正ナル、自由ナル賣
買取引ヲ認メテ、其ノ需給投合ノ結果、ソ
コニ出來テ參ル値段ガ最モ公正ナルモノデ
アル、隨テ第一條ノ書キ方モ、賣買取引ヲ
自由ニシテ、其ノ結果公正ナル價格ヲ作ル
ト云フヤウニ書イタラドウカト云フヤウナ
御話モアツタ譯デアリマスガ、當局ト致シ
マシテモ公正ナル價格ガ如何ナルモノデア
ルカト云フコトニ付キマシテハ、大體ニ於
テ御話ノヤウニ、取引所ニ於テ取引ガ行ハ
V、而モ健全ナル、而シテ賢明ナル需給ガ
ソコニ集リマシテ、其ノ投合ノ結果形成セ
ラレマシタル價格ガ、公正ナルモノデアルト
考ヘテ居リマス、唯、只今申上ゲマシタ如
ク、其ノ需給ノ要素ガ健全デアリ、且ツ賢
明デアル限リニ於キマシテハ、ソレハ會社
ノ經濟實體ヲ反映シ、又其ノ時ノ國策ニ順
應シタ經濟政策ト云フモノモ織込ミマシタ
價格ガ出來ルモノデアルト、吾々ハ考ヘル
ノデアリマス、大體ニ於キマシテ自由ナル
需給ノ投合ノ結果、形成セラレタル價格ガ
公正ナルモノデアルト考ヘテ居ルノデアリ
マスガ、永野委員モ御承知ノ通リ、取引所
ナルモノハ非常ニ過敏性ト申シマスカ、非
常ニ敏感性ヲ持ツテ居リマス、又附和雷同
性ト申シマスカ、サウ云ツタ性格ヲ本來ノ
性格トシテ取引所ハ備ヘテ居ルノデアリマ
ス、自由ナル需給ノ投合ノ結果、形成サレ
タル値段ガ公正デアルト申シマシテモ、是
ハ此ノ敏感性ト雷同性トノ爲ニ、時ニ行キ
過ギルト云フコトハ往々ニシテ從來モアリ
マシタコトデゴザイマス、斯ウ云ツタヤウ
ナ場合ガ出テ來ルコトガ、卽チ取引所ノ弊
害デアルトシテ、今囘改革ヲセナケレバナ
ラヌト云フコトニナリマシタ主要ナル原因
デゴザイマス、隨テ取引所ニ於ケル投機ガ
過當ニナリ、或ハ其ノ結果、需給ノ投合ニ
依ツテ拵ヘラレタル價格ト云フモノガ、或
ハ非常ニ高過ギタリ、安過ギタリスルコト
ハ好マシクナイ次第デアリマシテ、斯ウ云
フ値ガ出來ナイヤウニ、取引所ノ機構運營、
或ハ總テノツレニ伴フ色々ナ條件ヲ改革シ
ヨウト云フノガ、今囘ノ目的デアリマス、其
ノ爲ニ從來自由自在ニ幾ラデモ過當投機ニ
走リ得タ時ノ取引所制度ト比ベテ、幾分興
味ガ薄ライダカノ感ガアルコトハ、是ハ巳
ムヲ得ナイコトデアルト考ヘルノデアリマ
ス、併シナガラ根本ニ於テ國民大衆ガ株式
ニ投資シテ、ソレニ依ツテ必要ナル產業資
金ヲ調達スルト云フ考ヘ方ハ、堅持致シテ居
ル譯デアリマスカラ、。勿論全然株式ニ妙味
ガナイ、興味ガナイ、投資ヲ誘致シ得ナイト
云フ狀態ニ、之ヲ制約シテシマフト云フ意
圖ハ毛頭ナイ譯デゴザイマス、又一ツノ例
トシテ御擧ゲニナリマシタ取引所ガ行司役
デアルニ拘ラズ、自ラ賣買スル、此ノコトハ
非常ニイケナイ、ダカラ是ノ一ツノ方法トシ
テ、從來通リ賣買操作ハ、戰時金融金庫ヲ
シテヤラシメタラ宜イデハナイカ、或ハ又
戰時金融金庫ノ從來ノヤリ方デ支障ガアル
ト云フナラバ、戰時金融金庫ヲ特殊ナ取引
員トシテヤラシメタラ宜イデハナイカト云
フ御意見デゴザイマスガ、只今申上ゲマシ
タヤウニ、大體取引所ノ價格ト云フモノハ、
自由ナ需給ノ投合ノ結果ニ依ツテ形成セラ
レタルモノガ公正ナモノデアル、併シソレ
ニハ行過ギト云フヤウナコトガアルカラ、
ソレニ對シテサウ云フコトノ出來ナイヤウ
ニ、色々ナ方策ヲ講ジテ居ルノデアル、過當
ナル投機ノ弊害ヲ除去スルヤウナ方策ヲ講
ジテ居ルノデアル、斯ウ云フ建前デ新取引
所ヲ立テテ居ルノデアリマスガ、サウ致シ
マス以上、取引所ノ任務ハヤハリ公正ナル
價格ヲ作ラスヤウニ、色々ト市場ノ取引ヲ管
理、指導シテ行クト云フコトガ、一ツノ任
務デアラウト思フノデアリマス、隨ヒマシ
テ取引所自ラ其ノ任務ヲ實行スル意味ニ於
テ、有價證劵ノ賣買ヲスルト云フコトハ
極ク自然ニ考ヘ得ルコトデアルト思フノデ
アリマス、唯取引所自體ガ賣買スルト云フ
コトハ、從來ノ取引所ノ觀念トハ可ナリ懸
離レテ居リマスコトハ、御話ノ通リデアリ
マシテ、是ガ一般ノ取引員ニ與ヘル不安ト
云フヤウナモノハ考ヘザルヲ得ナイノデア
リマシテ、其ノ爲ニ政府ニ於キマシテハ
日本證券取引所ガ賣買ヲ當然ヤツテ宜イノ
ダト云フコトデハナク、特ニ政府ニ於テ必
要アリト認メ、證劵取引所ニ命令ヲシタ場
合ニハサウ云フコトヲヤレ、斯ウ云フコ
トニ致シタ譯デアリマシテ、取引所ノ任務
竝ニ取引所ヲシテ賣買セシメル弊害ト、兩者
ヲ考ヘ併セマシテ、サウ云フ特殊ノ場合ニ
於テ政府ノ命令ヲ受ケテ取引ヲスルト云
フ組織ニ致シテ居ル譯デアリマス、併シ又
戰時金融金庫ヲシテ、從來通リヤラシメルト
云フコトモ殘ツテ居ルノデアリマシテ、
昨日モ中村委員ニ御答ヘ申上ゲマシタヤウ
ニ、此ノ運用ハ主トシテ戰時金融金庫デヤツ
テ行ク、特ニ戰時金融金庫デハ第三者的ナ
立場ニアルガ故ニ、取引所ノ內部ノ事情ニ
通ゼズ、相場ノ急變等ニ際シテ、機宜ノ
措置ガ執レナイト云フ憾ミガアリマスノ
デ、サウ云フ場合ニ於テハ、日本證劵取引
所ヲシテ賣買ヲ行ハシメルト云フ建前ニ致
シテ居ル譯デアリマス、先程仰セニナリマシ
タ取引員ニシタラドウカト云フコトデゴザ
イマスガ、戰時金融金庫ヲ取引員ニスルコ
トニ依ツテ、或ル程度從來ノ缺陷ハ防ギ得ル
ト思ヒマス、併シナガラ取引員ニ致シマシテ
モ、取引員トシテ常時賣買ニ從事致シテ居ル
譯デハアリマセヌ、特ニ相場ノ暴騰、暴落
等ノ場合ニ於テ戰時金融金庫ハ隨時發動致
スノデアリマスカラ、其ノ發動ノ時期其ノ
他ニ付キマシテハ戰時金融金庫ノ判斷、其
ノ他ニ於テ常時株式市場ヲ管理致シテ居ル
取引所トハ格段ノ相違ガアルト思フノデ
アリマス、取引員ト致シマシテモ、證劵
取引所ヲシテ賣買セシメルヤウナ、十分ナ
機能ハ發揮シ得ナイト考ヘテ居ル次第デア
リマス、ソレカラモウ一點現在ハ資金統制
ガ完備シテ、金融ノ面カラモ株式資金ニ對
スル統制ハ十分出來テ居ル、又會社經理統
制令モアツテ株價ノ根源ヲナス配當等ニ對
スル制御ガ出來ルデハナイカ、或ハ又課稅
ノ方法モアルデハナイカ、ソレニ依ツテ旨
クヤツテ行クナラバ株價ニ大變動ハナイ、
隨テ政府ガ株價ノ變動ヲ豫想シテ色々ナ
干涉ヲスルト云フヤウナ考ヘ方ハ要ラナイ
ノデハナイカト云フヤウナ御趣旨デアツタ
ト存ジマスガ、御話ノ如ク段々金融行政モ
資金ニ關スル統制ハ整備シテ參リマシタ、
又經理統制ニ依ツテ配當其ノ他ニ對スル政
府ノ規制權モ出來テ居ル譯デアリマスガ、
併シナガラ例ヘバ最近ノ斯ウ云フヤウナ統
制ガ大分整備致シマシタ昨年以來ノ株價ノ
動キヲ見マシテモ、尙且ツ色々ト不合理ナ
點ガアルノデアリマシテ、政府ニ於テ之ヲ
統制スベキ必要ヲ感ズルノデアリマス、金
融統制會社經理統制令、何レモ從來ノヤウニ
株價ハ自由ニ相成ラヌト云フヤウニハナツ
テ居リマスケレドモ、其ノ下ニ於キマシテ
モ、尙ホ株價ノ勢ヒハ御承知ノヤウニ昨年
非常ニ騰貴ヲ致シマシテ、誰デモ株ヲ買ヘ
バ儲カルト云フヤウナ思想ガ瀰漫致スヤウ
ニ相成ツタ時代モアルノデアリマス、ソレ
ハ皆金融統制令ニ致シマシテモ、經理統制
令ニ致シマシテモ或ハ株價統制令ニ致シマ
シテモ、取引所制度ノ根本ニ觸レズシテ、
外廓カラ色々株價ヲ統制スル方式ニ過ギナ
イノデアリマス、サウ云フ現ハレタ結果ヲ
抑ヘルヨリモ、寧ロ其ノ取引ノ方法自體、
卽チ取引所制度ノ根本ニ改革ヲ致スコトニ
依ツテ、ソコニ行ハレル取引-自然ノ經
路ニ依ツテ出來タ價格ト云フモノガ、公正
ニナリ得ルヤウニ組織ヲ變更スコルトガ、
此ノ際最モ必要デアルト考ヘテ居ル次第デ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=7
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008・永野護
○永野委員 只今理財局長ノ御答辯ノ中ニ、
或ハ私ノ申上ゲマシタ趣意ニ誤解ガアツタ
ノデハナイカト思フ節ガアリマスカラ、ソ
レヲ一ツ申上ゲテ置キタイト思ヒマス、ト
申シマスルノハ私ハ決シテ當所株ノ上場ヲ
禁止セラレタカラ、ソレデ株式ニ對スル興
味ヲ失ツタト申上ゲテ居ルノデハナイノデ
アリマス、當所株ノ上場禁止ハ、私自體モ
贊成ナノデアリマス、唯其ノ禁止ノ道程ガ、
一斑ヲ以テ全豹ヲ推スト云フヤウナ感ジ
カラ、此ノ傾向ガ他ノ株式ニモ及ビハシナ
イカト云フ點ニ、國民一般ガ不安ヲ持ツタ
ト云フコトヲ申上ゲテ居ルノデアリマシテ、
當所株自體ニ付テ吾々ガ彼レ此レト申上ゲ
テ居ルノデハナイノデアリマスカラ、或
是ハ私ノ方ノ誤解カモ知レマセヌケレドモ、
念ノ爲ニ申上ゲテ置ク次第デアリマス
ソレカラ株價ヲ外部カラ操作スル機構ノ問
題デアリマスケレドモ、私ト雖モ決シテ過去ア
リシガ如ク絕對的ニ自由ナル取引ヲ要望シ
テ居ルノデハ斷ジテナイノデアリマス、或
ル程度ノ株價ノ操作ガ必要デアルト云フコ
トハ痛感シテ居ルノデアリマス、併シナガ
ラ私ハヨク此ノ官廳ノ施設ニ現ハレマスル
トコロノ極メテ一時的、部分的ノ現象ニ驚
イテ全般的、永久的ノ制度ヲ御布キニナル
コトガ時ニアルノデアリマス、例ヘバ昨年、
或ル特殊ノ財閥株ガ多少程度ヲ超シタ値上
リヲシタト云フコトハ事實デアリマス、併
シナガラ半面ニ寧ロ數年前ヨリモ値下リヲ
シテ居リマス所ノ株式モ、多數アツタノデ
アリマシテ、日〓、日露戰後ノ株式熱狂時
代ノ如ク、何等見境ヒナク、熱狂シテ居ル
時トハ其ノ性質ガ斷然違フノデアリマス、
一時的、部分的ノ現象ニ對スル應急的ノ處
置ヲ執ル必要ガアルコトハ私モ認メマス、
併シテガラソレダカラト云ツテ全般的、永
久的ノ機構ノ問題ヲ、ソレノ爲ニオヤリニ
ナルト、失フ所ガ或ハ得ル所ヨリモ多イノ
デハナイカト云フ懸念ガアルカラ此ノ愚見
ヲ申上ゲタ次第デアリマス、是カラ先ハ意
見ノ相違ニナリマスルカラ、此ノ問題ハ是
デ私ハ打切リマス
次ニ第二、取引所ノ機構ト取引員ノ位置、
身分ト云フコトニ付キマシテ、政府ノ御所
見ヲ承リタイノデアリマス、私ノ信ズル所
ニ依リマスルト、有價證劵ノ重要性ハ益〓〓增
大致シマシテ、寧ロ貨幣ノ經濟機構ニ持ツ
重要性ノ壘ヲ摩スルニ至ルト思フノデアリ
マス、故ニ此ノ度ノ機構改革ニ當ツテ、此ノ
重要性ニ相應スルヤウナ取引所機構ヲ作ツ
テ戴キタイ、之ヲ具體的ニ申シマスルナラ
バ、取引所ノ經濟界ニ於ケル位置ハ、日本
銀行ノソレニ匹敵スル存在タラシメナケレ
バナラナイ、ソコデ更ニ具體的ニ申シマス
ルト、其ノ役員ノ選任ハ政府ノ御裁斷ニ俟
ツコトニナツテ居リマスカラ、此ノ選任ニ
當リマシテハ、今申シマシタヤウナ經濟界
ノ重要性ヲ十分御考慮ニナリマシテ、少ク
モ日本銀行ノ役員ニ匹敵シ得ル人選ヲ希望
スルノデアリマス、次ニ取引員ニ付テデア
リマスルガ、此ノ取引員ヲ純然タル「コン
ミッション·マーチャント」トシテ御認メニナ
ルヤ否ヤ、若シモ純手數料主義デ立行クモ
ノトシテ取引員ヲ御認メニナルノナラバ、
必ズシモ數百万圓ノ資金ヲ必要トシナイノ
デハナイカ、寧ロソレト反對ニ相當ノ人格
的ノ要素ヲ、資金的要素ト同格ニ御置キニ
ナツテモ差支ヘナイノデハナイカ、從來率
直ニ申シマシテ取引員ノ社會的ノ扱ヒハ、
其ノ任務ノ重大性ニ比較シテ如何ニモ低カ
ツタノデアリマスルガ、是ハ從來政府ガ物
的ノ要素、卽チ資產一點張リデアリマシテ、
人格的ノ要素ヲ無視致シテ居リマス爲
ニ-無視ト云フノハ過言デアリマスケレド
干、缺格條件トシテハ認メテ居リマス、併
シ積極的ノ條件トシテハ認メテ居ラナカツ
ク、ソコデ如何ニ人格者デアリ、如何ニ練
達堪能ノ士デアリマシテモ、或ル一定ノ資
產ガナイ者ハ、此ノ市場カラ締出シラサレテ
居ツタノデアリマス、此ノ事實ガ非常ニ重
要ナル社會的公共性ヲ持チ、或ル意味カラ
申シマスルト、人ノ命ヲ預ツテ居リマスル
醫師、又ハ訴訟事務ヲ擔任シテ居リマスル
辯護士ナドヨリモ、モツト重イ社會的ノ任
務ヲ持ツテ居ルニモ拘ハラズ、頗ル社會的
ニ低イ地位ニ甘ンジナケレバナラナカツタ
實情デアリマス、私ハ此ノ改革ニ當リマシ
テ、政府ハ取引所ノ地位ノ向上ヲ御圖リニ
ナルト共ニ、取引員ノ社會的地位ノ向上シ
得ルヤウニ運用シテ戴キタイト思フノデア
リマス、此ノ點ニ關スル政府ノ御所見ヲ承
ハリタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=8
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009・谷口恒二
○谷口政府委員 只今取引所役員及ビ取引
員ノコトニ付テ御話ガアリマシテ、ソレ等
ノ者ノ地位ヲ將來ニ於テハ向上スルヤウニ
運用シテ行クガ宜シカラウト、當局ノ意見
ヲ御質シニナツタノデアリマスガ、先程來
御話ニナツテ居リマスルヤウニ、政府ト致
シマシテハ、株式ノ產業界ニ於ケル地位ヲ、
依然最モ重視シテ居ルノデアリマシテ、今
囘此ノ取引所ノ改造ト申シマスルカ、新シ
イ施設トシテノ日本證劵取引所ニ關スル法
律案ヲ提出致スニ付キマシテハ、株式ノ地
位ヲ十分ニ認メマシテ、ソレノ公正ナル價
格ノ形成、或ハ流通ノ圓滑ノ爲ニ、ソレノ
中樞ノ機關トシテ日本證劵取引所ヲ設立ス
ルコトニ相成ツタノデアリマス、隨ヒマシ
テ仰セノ如ク、ソレノ役員トナラレル方、
日本證劵取引所總裁、日本證劵取引所副總
裁以下役員トシテ、其ノ運用ノ責ニ任ゼラ
レル方々ノ人選ニ付キマシテハ、最モ愼重
ヲ期スル考ヘデ居ルノデアリマス、法案ニ
依リマスレバ、ソレ等ノ役員ハ政府之ヲ命
ズト云フコトニ相成ツテ居ルノデアリマス
ガ、御指摘ノ點ハ法文ノ體裁ヨリハ、ソレ
ノ實際ノ運用ニ付テドウ云フ方々ヲ選ブコ
トニスルカ、實際ノ運用ニ付テ最モ愼重ナ
ル考慮ヲ拂フベキデアル、若シ其ノ人選ヲ
誤マルヤウナコトガアリマセウカ、延イテ
ハ日本證劵取引所ノ地位、信用ニモ係ハル
コトデアリマシテ、此ノ日本證劵取引所ガ、
將來ニ於テ金融界ニ於ケル日本銀行ノ如キ
重サヲ持ツニ至ルカドウカト云フ點ハ洵
ニ人選ノ點ニ最モ關係ガアルト思フノデア
リマス、就キマシテハ此ノ總裁、副總裁以
下ノ役員ノ人選ニ付テハ、最モ愼重ヲ期シ
マシテ、其ノ貫祿、閱歷、人格等ニ付テハ
十分念ノ入ツタ調査ヲ遂ゲマシタ上デ、運
用ヲ致シテ行キタイト左樣ニ考ヘテ居ルノ
デアリマス
次ニ取引員ノ地位身分ノ件デアリマスガ、
取引員ハ株式資本ノ下ニ於キマシテ、今日
ニ於テモ極メテ重要ナル仕事ニ當ツテ居ラ
レルノデアリマシテ、其ノ世間的ノ見方、
待遇必ズシモ低イトモ思ハナイノデアリマ
スガ、吾々ハ其ノ地位ニ對シテ今日ニ於テ
千、十分敬意ヲ拂ツテ居ルノデアリマスガ、
將來此ノ日本證劵取引所ガ生マレ出マシテ、
國家ノ要請スル主トシテ株式ニ關スル取引
機關トシテノ證劵取引所ノ取引員ニナラレ
ルニ付キマシテハ、其ノ地位一段ト向上ス
ルコトハ疑ヒヲ容レナイ所デアルト思フノ
デアリマス、之ニ付キマシテハ法案ノ中ニ
モ、是ガ株式會社デアルコトヲ必要トシ、
又ソレニ關スル資本的ノ條件モ規定致シテ
居リ、又缺格條項トシテ人的要素ノコトモ
書イテアルノデアリマスガ、之ニ付キマシ
テモ御指摘ノ通リ人格的要素ヲ考ヘルト云
フコトハ、極メテ重要ナルコトデアルト思
フノデアリマス、今日色々物的、金錢的ナ
評價ガ行ハレルノデアリマスガ、ヤハリ基
本ニ於キマシテハ、人格ノ信賴スベキモノ
アリヤ否ヤト云フ點ガ、運用上ノ最モ重要
ナル點デアルト思フノデアリマス、當局ト
致シマシテハ取引員ノ產業經濟界ニ於ケル
重キ社會的ノ任務ニ鑑ミマシテ、今後ノ運
用上ニ於キマシテハ、其ノ社會的地位ノ一
層向上スルヤウニ、出來ルダケノ配慮ヲ致
シタイト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=9
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010・永野護
○永野委員 第三ニ、此ノ新機構ノ運用ニ
付テ承リタイノデアリマスガ、〓算取引所
ヲ何處ト何處ニ置クカ、或ハ賣買仕法ヲ如
何ニ取極メルカ、更ニ舊機構カラ新機構ニ
移ル間ニ經過的ニ執ラナケレバナラナイ各
般ノ處置、是等ノコトニ付テハ如何ナル方
法ニ依リ御決メニナリマスカ、其ノ方針ト
具體的フ成案ガ伺ヒ得ルナラバ、御聽カセ
願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=10
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011・田中豐
○田中(豐)政府委員 實施上ノ問題トシテ
新市場ヲ何處ニ置クカ、又新組織ノ下ニ於
テ如何ナル賣買仕法ヲ執ルカ、更ニ現在ノ制
度カラ新シイ制度ニ移リ變リノ經過的ノ措
置ヲドウスルカ、斯ウ云フ御質問デアリマ
スガ、市場ノ開設ニ關シマシテハ先日來度
度申上ゲマシタ如ク、抽象的ニ言ヘバ、現
在竝ニ將來ニ亙ル產業的ノ各種條件ヲ考ヘ
テ、必要ノ地ニ必要ナ市場ヲ置クト云フコ
トナンデゴザイマスガ、具體的ニ申上ゲマ
スレバ、〓算取引所ニ付テハ其ノ弊害ニモ
鑑ミテ、出來ルダケ其ノ設置場所ヲ少クス
ルト云フコトヲ申上ゲテ居リマス、又實物
市場ニ付キマシテハ、將來株式ノ實物取引
ノ繁榮ヲ期スルト云フ必要モアリマスノデ、
必要ノ地ニ必ズ實物取引所ヲ置クト云フコ
トヲ考ヘテ居リマスガ、差當リノコトトシ
テハ、現在取引所ノアリマス十一ノ場所ニ、
實物取引所ハ存置スル、斯樣ニ考ヘテ居ルヤ
ウナ次第デアリマス、賣買仕法ノ問題ニ付
キマシテハ、昨日モ申シマシタヤウニ、各
種ノ問題ガアリマシテ、是等ヲ決定致シマ
ス爲ニ、取引委員會ニ附議致シマシテ、各
種ノ專門家ノ意見等ヲ徵シテ決定致シタイ
ト考ヘテ居ル次第デアリマスガ、問題トシ
テ考ヘテ居リマスモノハ、短期取引ヲ廢止
スルカドウカ、長期ノ限月ヲ短縮スベキカ
否ヤ、或ハ實物ノ取引ノ期限ノ十五日ガ現
在ノ儘デ適當デアルヤ否ヤ、或ハ是等ノ各取
引ニ當リマシテ、現在ノ仕法ニ付テ改善ス
ベキ點ハドウデアルカ、各種ノ問題ガアル
ト思ヒマスガ、サウ云ツタ點ガ問題ニナリ
得ルト思フノデアリマス、尙ホ第三ノ點ト
シマシテ、現在ノ取引ヲドウ云フ風ニ新取引
所ニ移シテ行クカ、或ハ又現在ノ取引所ハ
ドウ云フ風ニナツテ新取引所トナルカト云
ツタヤウナ問題デアルト思フノデアリマ
スガ、賣買取引所ニ付キマシテハ、其ノ間
ニ移リ變リノ際ニ於テ取引所ヲ暫クノ間休
止スル、一、、二日ノコトハ場合ニ依ツテ
ハ仕方ナイカトモ存ジマスガ、休止スルト
云フヤウナコトナクシテ、自然ニ新シイ制
度ニ推移シ得ルヤウナ方法ヲ考究致シテ、實
施致シタイト考ヘテ居ル次第デアリマス、
其ノ點ニ付キマシテハ色々ト法律上、或ハ取
引上ノムヅカシイ問題ガアルト思ヒマス、
大體ニ於キマシテ暫クノ間ハ取引所デ行ハ
レタ取引ヲ、新取引所ノ取引ト看做スト云
フヤウナ規定モ必要デアルカモ知レマセヌ、
サウ云ツタヤウナ方法ニ依ツテ、最モ圓滑
ニ新制度ノ取引ニ移行致シタイト考ヘテ居
ル次第デゴザイマス、又現在ノ取引所ノ資
產デアルトカ、其ノ他ノ株主ノ關係、サウ
云ツタヤウナモノハ總テ新取引所ニ引繼ギ
マシテ、普通ノ會社ノ合併トカ吸收ト云フ
コトデハナク、法律ノ規定ニ依ツテ新シイ
取引所トナルト云フコトニ依ツテ、資產ノ
實際ヲ引繼ギシテ、又株主關係モ新取引所
ノ出資者ニナルト云フヤウナ方法デ設立致
シタイト考ヘテ居ル次第デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=11
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012・永野護
○永野委員 私ノ此ノ際特ニ當局ニ對シテ
希望シテ置キマス點ハ、此ノ取引所ノ設置
場所、賣買仕法ヲ如何ニ決メルカト云フ問
題、或ハ過渡的ノ處置等ニ付キマシテハ
最モ公平ニ最モ實情ニ卽スルヤウニ、之ヲ
決定スル爲ニ、成ルタケ廣ク此ノ業者或ハ
學識經驗アル者ノ知識經驗ヲ攝取セラレマ
ス方法ヲ、何力具體的ニ御考ヘニナツテ居
リマスルカ、或ハ現ニ此ノ新法案ノ中ニ、
其ノ意味ガ織リ込マレテ居ルノデアリマス
カ、其ノ點ニ付テ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=12
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013・田中豐
○田中(豐)政府委員 昨日來御說明申上ゲ
マシタヤウニ、各方面ノ意見ヲ聽キ、今後十
分ニ公正ナル見地カラ決定致シタイト云フ
コトヲ、色々ノ點デ申上ゲテ居ルノデアリ
マスガ、サウ云フコトヲ色々御〓究願フ爲
ニ、本法ノ施行ニ關スル重要ナル事項ヲ附
議スル爲メ、取引委員會ヲ置クコトニナツ
テ居リマス、此ノ委員會ニハ關係各省ノ官
吏、產業界ノ代表者、金融界ノ代表者、或
ハ其ノ方面ノ學識經驗ノ深イ方ヲ御願ヒ致
シマシテ、十分檢討致シタイト思ツテ居リ
マス、取引委員會ニ於キマシテハ、取引仕
法ノ問題ガ主タル問題ニ相成ルモノト思ヒ
マス、尙ホ經過的ナ問題トシマシテ、此ノ
移リ變リニ於ケル現在ノ取引所ノ資產等ヲ、
新取引所ニ吸收統合致シマス爲ニ、其ノ評
價ノ公正等ヲ期スル爲ニ、取引所資產評價
委員會ト云フモノヲ設ケマシテ、其ノ方面
ノ專門家ニ御願ヒシテ、政府ノ認可致シマ
ス評價ノ公正ヲ期シタイト存ジテ居ル次第
デアリマス、其ノ二ツノ組織ガ法案ニ記載
シテアル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=13
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014・永野護
○永野委員 取引委員會ノ設立ハ、何時頃
ノ豫定デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=14
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015・田中豐
○田中(豐)政府委員 本法ガ施行ニナリマ
スレバ、直チニ委員會ヲ構成致シタイト考
ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=15
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016・永野護
○永野委員 私ハ出來得ベクンバ、卽刻ニ
デモ此ノ委員會ノ形成ヲナサツテ、成ルタ
ケ事前ニ十分ナル御審議ヲ御盡シニナルヤ
ウニ、是ハ希望トシテ申上ゲテ置キマシテ、
私ノ質問ヲ終リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=16
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017・田中豐
○田中(豐)政府委員 御希望ノ點デ御答ヘ
申上ゲナクトモ宜イノカモ知レマセヌガ、
事前ニ審議致ス爲ニ、卽刻ニモ委員會ヲ開
ケト云フ御話デゴザイマス、例ヘバ取引仕
法ナドニ付キマシテモ、昨日モ申上ゲマシ
タヤウニ、新制度ハ色々準備ノ關係モアリ
マシテ、ハツキリハ致シマセヌガ、七月カ
ラ發足致シタイト考ヘテ居ルヤウナ次第デ
アリマス、ソレマデニ各種ノ問題-ソレ
ヨリ早ク決メナケレバナラヌ問題モアリマ
セウガ、多クノ問題ハソレマデニ決定スル
コトニ相成ルト思ヒマス、隨テ新法施行後
直ニ委員會ヲ開イテ審議ヲ願フト云フコト
ニナツテモ、總テ事前ニ十分審議スルコト
ニナルト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=17
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018・山本厚三
○山本委員長 渡邊君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=18
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019・渡邊善十郎
○渡邊(善)委員 取引所制度改善ノ問題ハ
多年ノ懸案デアリマシテ、旣ニ今マデ十分
論議サレタ事項デアリマス、今マデノハ自
由經濟時代ニ出來マシタ立法ニ付テ檢討サ
レタノデアリマスガ、只今大東亞戰爭ガ勃
發シマシテ、此ノ戰時狀態ニ卽應スル爲ニ
ハ、當然取引所ノ機構ヲ變ヘナケレバナラ
ヌト云フコトハ、已ムヲ得ナイコトト私ハ
考ヘテ居リマス、今度政府ノ御提案ニナリ
マシタ日本證券取引所法案ノ內容ニ付キマ
シテハ、先輩ノ委員諸氏カラ、適切ナ御質
問ガアリマシテ、之ニ對シテ政府ノ懇切ナ
ル御答辯ガアリマシタノデ、大體ニ於テ私
ハ是ハ能ク諒解スルコトガ出來タノデアリ
マス、唯私ハ自分ガ業界ノ實情ヲ知ル者ノ
一人デアリマス關係上、是ガ實施サレマス
場合ノ細イ點ニ付キマシテ、二、三御聽キ致
シタイト思フノデアリマス
第一ハ度々問題ニナツテ居リマス賣買取
引ノ問題デアリマス、現在ノ市場デ行ハレ
テ居リマス取引ハ、實物或ハ〓算取引ニナ
ツテ居ル、其ノ中〓算取引ニ於キマシテハ、
長期取引ト短期取引ノ二ツニ分レテ、短期
ガ三十日間取引デ、長期ガ三箇月間ノ取引
ニナツテ居ルノデアリマス、先般來政府ノ
御意向ヲ伺ヒマスト長期取引ハ古イ制度
ノ下ニ設ケラレタモノデアツテ、三箇月ハ
長キニ失スル、理論的ニハ是ハ二箇月デモ
宜イト思フノガ、尙ホ多年慣行サレタ習慣
モアルカラ之ニ對シテハ十分檢討シテ、適
當ナル期間ニ定メルト云フ御話デアリマス、
洵ニ御尤モナ御意見ト思フノデアリマス、
私共業界ノ實情ヲ知ル者ノ立場カラ之ヲ檢
討致シマスト、一時二箇月制ガ行ハレタコト
モアリマス、併シ行ヒマシタ結果、非常ニ
運用上ニ不便ノ點ヲ發見シマシテ、又三箇
月ニ直サレマシタ、現在ニ於テハ三箇月ガ
行ハレテ居ル次第デアリマス、而シテ私共
ハ三箇月ガ非常ニ適當ナ方法デアルト云フ
コトヲ考ヘマスノハ、現在非常ニ大量ノ取
引ノアリマシタヤウナ場合ニ、或ハ二箇月
制デアリマスト、ソレヲコナス時ニ或ハ當月、
或ハ翌月ト云フ風ニ分ケマシタ場合ニハ
非常ニ株價ニ變動ヲ與ヘルコトガアリマス、
又或ハ消化ガ困難ナ場合ガアル、サウ云フ
場合ニ是ガ或ハ翌月、翌々月ト云フ風ニ
三期ニ分ケマシテ之ヲ處理シマス場合ニハ、
大シタ變動モナク、極ク圓滿ニ消化ガ出來
マス、又株價ノ公正ナ價格ヲ形成スルコト
モ出來ルノデアリマス、ソレト又更ニ一步
ヲ進メマシテ、三箇月ハ投機氣分ガ濃厚デ
アルカラト云フヤウナ御意見ガアルトシマ
シタナラバ、昨日理財局長ガ御話ニナリマ
シタヤウニ、現在行ハレテ居リマス短期ノ
長所ヲ採入レテ、サウシテ長期ノ取引ノ中
ニ、期限內ト雖モ期限前ニ於キマシテ株ヲ
欲スル者ハ、金ヲ出セバ其ノ株ガ取レル、
又株ヲ資金ニ換ヘタイ者ハ、期限內ト雖モ
ソレヲ提供スレバ、取引所ニ於テ資金ヲ渡
スト云フヤウナ方法モアリマス、サウシテ
實物ノ資金ヲ非常ニ多クスルコトモ出來ル
シ、投機ヲ緩和スルコトモ出來ルノデアリ
マス、又更ニ現在大東亞戰爭ノ大戰果ニ鑑
ミマシテ大東亞共榮圈ガ愈〓確立シマシ
タ場合ニ、南方方面ハ殊ニ莫大ナ資產ヲ持
ツテ居リマス所ノ華僑方面ガ、日本ノ有價
證劵ニ依ツテ投資ヲスル場合、又或ハ南方
各地方ニ於キマスル有價證劵ガ上場サレル
ヤウナ場合ニ於キマシテハドウシテモ三
箇月ガ必要ト私ハ考へテ居ルノデアリマス、
此ノ點ニ付キマシテハ、只今伺ヒマスト、
證劵取引委員會ニ於キマシテ、御審議ガア
ルヤウニ伺ツテ居リマスガ、十分ノ御檢討
ヲ御願ヒシタイト存ズルノデゴザイマス
ソレカラ尙ホモウ一ツ申上ゲタイコトハ
取引員ノ賣買證據金ノ問題デアリマス、是
ハ御承知ノヤウニ、取引員ガ取引所ニ向ツ
テ賣買ヲシマシタ場合ニハ卽刻證據金ヲ
提供スルノデアリマスケレドモ、今マデノ習
慣ノ上カラ申シマシテ、委託者カラ委託ヲ受
ケマシタ場合ニ、直チニ證據金ヲ徵收スルコト
ハ中々困難デアリマス、殊ニ委託者ガ或ハ銀
行デアルトカ、信託デアルトカ、保險會社
デアルトカ、有力ナル方面デアル場合ニ於
キマシテハ、證據金ヲ徵收スルト云フコトハ
先ヅ難カシイノデアリマス、サウ云フ場合
ガアリマスノデ、此ノ證據金ニ付キマシテ
ハノ法律ヲ以チマシテ、必ズ委託者カラ證
據金ヲ徵收シロト云フ御命令ニナリマシテ
モ、實行ハ非常ニ困難デアルノデハナカラ
ウカト考ヘルノデアリマス、ソレト尙ホ現
在行ハレテ居リマスヤウニ、取引所ニ納入
シマス證據金ト委託證據金トハ、相當ノ差
ヲ置イテ戴キタイト思フ、是ハ今ノ取引員
ガ取引所ニ向ツテ賣買ヲシマス場合ニ、證
據金ノ立替モアリ、或ハ又仕切金其ノ他ニ
對シテ立替金ヲ要スル場合ガアルノデアリ
マス、サウ云フ場合ヲ考慮致シ、又取引員
ハ取引所ニ對シテ絕對ノ責任ヲ持ツテ居リ
マス、又取引委託者ハ取引員ニ對シテハ絕
對ノ權利ヲ持ツテ居リマスケレドモ、取引
所ニ對シテハ何等ノ義務ヲ負ツテ居ラナ
イ、サウ云フ關係カラ取引員ハ取引所ニ於
テハ義務ヲ持チナガラ、委託者ニ對シテ持
ツテ居ル所ノ權利ハ非常ニ少イノデアリマ
ス、ソレヲ確保スル爲ニハ、是非トモ委託
證據金ヲ相當ノ程度マデ引上ゲテ戴キタイ
ト思フノデアリマス
ソレカラモウ一點御願ヒシマスコトハ、取引
員ノ資格ノ問題デアリマス、是ハ先刻來御話ノ
ヤウニ、取引所ノ地位ヲ向上シ、取引員ノ品位
身分ヲ向上シマス爲ニ成ベク取引員ノ資格ヲ
高メマスコトハ、非常ニ結構ナコトデアリマス
ケレドモ、此ノ取引員ノ資格ト云フモノハ非常
ニ波瀾ガ多イノデアリマス、而モ又非常ニ
ソレニ伴フ危險ガ多ク、又特別ノ技術ヲ持
タナケレバナラヌノデアリマス、長年ノ經
驗ヲ持チ、サウシテ色々苦心經營ノ結果、
此ノ業務ヲヤリ得ルノデアリマス、取引員
ノ認許ニ當リマシテハ、先刻次官閣下ノ御
話ガアリマシタヤウニ、物的ニ資本ヲ要ス
ルバカリデナク、本當ニ其ノ人的要素ニ重
キヲ置カレマシテ、立派ナ人格デアリ、立派
ナ手腕ノアル人物ガアリマシタナラバ、成べ
ク之ヲ登用スルヤウニシテ戴キタイト思フ、
希クバ只今營業シテ居リマス所ノ從業者ハ、
新設取引所ノ取引員ニ落伍者ナク成ベク多
數ノ者ヲ其ノ方へ統合シテ戴キタイト考へ
ル次第デアリマス、其ノ外尙ホ自己賣買ノ
問題、或ハ小口落ノ問題等ガアリマスガ、
之ニ付キマシテ政府ニ於カレマシテハ、成
ルベク多年ノ習慣ヲ尊重セラレマシテ、サ
ウシテ急激ナル變化ニ依ツテ當業者ニ對シ
テ非常ナ損害、或ハ經濟界ニ波瀾ヲ起スコ
トノナイヤウニ、御注意ヲ願ヒタイト思ヒ
マス、是等當業者ニ對シマシテ出來ル限リ
指導育成ト云フヤウナ親心ヲ持ツテ、暖カ
ナ氣分デ以テ御取扱ヒヲ願ヒタイト思フノ
デアリマス、今當業者ハ此ノ事變以來非常
ニ時局ヲ認識シマシテ、サウシテ自肅自戒、
職域奉公ニ色々邁進致シテ居リマス際デア
リマスカラ、ドウゾ一ツ當業者ノ氣分モ十
分ニ御了察願ヒマシテ、出來得ル限リ當業
者ニ對シマシテ、御理解ヲ持ツテ戴キタイ
ト御願ヒスル次第デアリマス、以上ノ點ニ
付キマシテ、政府ノ御所見ヲ伺フコトガ出
來マスレバ非常ニ仕合セト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=19
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020・田中豐
○田中(豐)政府委員 色々實狀ニ付キマシ
テ御意見ヲ拜聽致シマシタ、是等ノ點ニ對
シマシテ考ヘテ居ル所ヲ申上ゲタイト存ジ
マス、第一ハ取引仕法、殊ニ限月ノ問題デ
ゴザイマスガ、之ニ付キマシテハ、昨日來
度々申上ゲテ居ルノデアリマス、唯理論的
ニハ短縮スベキモノト吾々ハ考ヘテ居ル
ケレドモ、多年ノ慣行ヲ急ニ變へルト云フ
ヤウナコトカラ、影響スル所モ大キイコトデ
アルカラ、尙ホ十分考慮スル、斯樣ニ考ヘ
テ居ル次第デゴザイマスガ、只今嘗テ二箇
月制ニシテ巧ク行カナカツタノデ、又三箇
月ニ變ヘタ歷史モアルト云フヤウナコトモ
承ツタノデアリマス、唯此ノ限月ノ問題
ニ付キマシテハ、大量ノ取引ヲ消化スル、
或ハ相場ヲ平準化スルト云フヤウナ意味デ、
三箇月ガ宜イ、又大東亞ノ共榮圈ト云フヤ
ウナコトヲ廣ク考ヘテ見ルト、期限モ三箇
月ノ方ガ宜イト云フヤウナ御意見ヲ承ツタ
ノデアリマスガ、大量ノ取引ヲ消化シテ行
クト云フヤウナ考ヘ方カラ致シマスト、期
限ガ三箇月カ二箇月カト云フ問題ヨリ別ニ
取引ノ區切リヲ三ツ、四ツニ分ケテ居ルコ
トバ取引ヲ澤山ニシテ、需要供給ヲ分散
セシメテ居ルコトデアリマシテ、是ハ却ツ
テ大量ノ需給ヲ一ツ所ニ集メテ、公正ナル
價格ヲ作リ、又價格ノ變動ヲ少クスルト云
フ考ヘ方カラ致シマスルト、當限、先限、
中限トシテ居ル分ケ方ハ、其ノ理論ニハ合
ハナイト考ヘルノデアリマス、出來ル限リ
一ツノ取引ニ集メテ、大キナ流レトシテ價
格ヲ公正ニ形成シ、價格ノ變動ヲ防グト云
フ考ヘ方ノ方ガ宜イノデハナイカト云フコ
トヲ、吾々トシテハ考ヘテ居ルノデアリマ
ス、併シナガラ是ハ根本ニ於キマシテハ
色々理窟ハアルコトト思ヒマスケレドモ、
十分今後考究致シタイト考ヘテ居ル次第デ
アリマス、又將來我ガ國ガ大東亞共榮圈ノ
中心トシテ-中心デハアリマスルガ、將
來此ノ共榮圈內ニ於ケル色々ノ企業ノ株式
ガ、東京ナリ此ノ中央ノ市場ニ集マツテ取
引セラレル、ソレノ受渡シ等ヲ考ヘレバ
限月ハ三箇月ト云フヤウナ長イ方ガ宜イノ
デハナイカト云フヤウナ考ヘ方モ、勿論ア
リ得ルト思フノデアリマス、サウ云ツタ場
合ニ於キマシテモ、三箇月ガ宜イカ、或ハ
二箇月ガ宜イカ、或ハモツト短カクテモ宜
イカト云フヤウナコトガ考ヘラレルノデア
リマシテ、御話ノ如クサウ云フ必要ガアレ
バ、何時デモ又限月、期限ト云フモノハ長
クシ得ルト云フヤウニ考ヘテ居ル次第デア
リマス
第二點ハ證據金ノ問題デアリマシテ、御
話ノ如ク現狀ニ於キマシテハ、取引員ガ委
託者カラ證據金ヲ取ルト云フコトガ、中々
厲行致シ難ク、其ノ爲ニ取引員ノ經營上色
色支障ガアルト云フコトハ、十分吾々モ承
知致シテ居ルノデアリマス、此ノ改正ヲ
機會ニ、總テノ機構ガ變ツテ行クノト同時
ニ、成ベク取引員モ客カラ證據金ヲ取リ得
ルヤウナ雰圍氣ヲ作ツテ、卽チ總テノコト
ガ嚴格ニヤカマシクナツタノダカラ、得意
ニ對シテモ證據金ヲ十分要求出來ルヤウナ
雰圍氣ガ出來テ來ルト存ズルノデアリマス、
又取引員ノ地位ノ向上ニ件ツテ、サウ云ツ
タ點モ改善セラレルト考ヘテ居ル次第デア
リマス、又一般委託者カラ取引員ガ徵收致
シマス委託證據金ト、取引員ガ取引所ニ納
付致シマス賣買證據金、是ハ現在ニ於キマ
シテハ御話ノヤウニ取引員ハ客カラ納メル
モノノ半額ヲ取引所ニ納メル、斯ウ云フコ
トニ相成ツテ居ルノデアリマスガ、此ノ制度
ハ客ノ委託金ヲ或程度取引員ガ流用シテ、自
己賣買ノ投機資金ニスルト云フヤウナ弊害
モアル譯デアリマス、併シナガラ是ハ一方
オ客ガ委託證據金ヲ取引員ニ渡サナイ爲ニ
渡シタモノノ中カラサウ云フ流用モ利クト
云フコトデ、兩者カラ見得ルノデアリマス
ガ、先程申シタ如ク委託者カラ取引員ハ證
據金ハ必ズ取ル、其ノ代リ取引員ハ其ノ證
據金ヲ自己ノ投機資金ニ流用シタリスルコ
トノナイヤウニ、賣買證據金ト委託證據金
ハ漸次接近セシメテ行ク、斯ウ云フ風ニ考
ヘテ居ル次第デアリマス
次ニ取引員ノ資格ノ問題、之ニ付キマシ
テハ個人組織、法人組織、何レデモ從來ハ
認メラレテ居リマシタノヲ、今囘ハ一定資
本金以上ノ株式會社ト云フコトニ限ツタノ
デアリマスガ、勿論人格的要素モ重視致シマ
シテ、從來ノ經歷其ノ他ヲ十分勘案致シマ
シテ、將來ノ取引員ト云フモノノ地位ヲ向
上シ、指導シテ行クト云フ方面モ、十分考ヘ
テ見タイト思ヒマス
又小口落ノ問題、自己賣買ノ問題等ニ付
テモ御話ガアリマシタガ、小口落ニ付キマ
シテハ是ガ多年ノ慣行デアリマシテ、殊
取引所ノ計算上、整理上カラ斯ウ云フ方法
ガ必要デアルト云フコトニ承ツテ居リマシ
テ、承知致シテ居ルノデアリマスガ、一方
小口落ニハ非常ナ弊害モアリマシテ、委託
者カラ證據金ハ取ルケレドモ、小口落シタ
分ニ付テハ、取引所ニ賣買證據金ヲ出サナ
クテモ宜イ、隨テ其ノ證據金ヲ取引員ガ流
用シテ自己賣買ノ資金ニスル、過當投機ニ
流レルト云フヤウナ弊害モ間々アツタヤウ
デアリマス、隨テ此ノ小口落ノ問題ニ付キマ
シテハ、取引ノ整理上必要ナラバ、小口落ト云
フモノハ勿論存續致シマスガ、其ノ幣害ト
認メマス證據金ノ流用ト云フ面ニ於テ之ヲ
制限シ、漸次禁止スル方向ニ進ミタイト考ヘ
テ居ル次第デアリマス、又取引員ノ自己賣
買ニ付キマシテモ、是ハ色々ナ考ヘ方ガア
リ得ルノデアリマスガ、取引員ガ株式價格
ノ專門家トシテ、其ノ專門家ノ意見ヲ價格ニ
導入スル、又取引員ヲ惡質ナル委託者カラ
保護スルト云フ意味ニ於キマシテモ、自己
賣買ト云フモノヲ絕對ニ禁止スルト云フコ
トハ困難デアラウト考ヘテ居リマス、唯自
己賣買ニハ幾多ノ弊害ガアリマス、此ノ自
己賣買ハ將來制限スル方向ニ向ツテ、其ノ弊
害ヲ除去スルコトニ努メタイト考ヘテ居ル
次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=20
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021・渡邊善十郎
○渡邊(善)委員 此ノ機會ニ御伺ヒ致シマ
スケレドモ、昨年ノ下期ニ於キマシテ、株ガ
連續暴騰シマシタ際ニ、大藏大臣ハ株價ノ
抑制ノ策トシテ、增資新株ノ割當ニ對シテ、制
限ヲ設ケラレルト云フヤウナ御聲明ガアリマ
シタ、市場ハ之ニ對シテ非常ニ不安ヲ感ジ
テ居ル次第ナノデアリマス、何カ之ニ對シ
テ御方針デモアリマスナラバ御知ラセヲ願
ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=21
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022・田中豐
○田中(豐)政府委員 昨年秋十一月ノ半バ
頃デゴザイマシタカ、今後增資ノ行ハレルモ
ノニ對シテハ、必ズシモ舊來ノ株主ニ割當セ
シメナイ、又增資ニ際シテ場合ニ依ツテハ
減配ヲ考慮スルト云フヤウナコトヲ、當局ハ
發表致シタノデアリマスガ、此ノ趣旨ハ申
上ゲルマデモナク現在ノ時局ニ於テ增資ヲ
スル、增資ガ許サレルト云フコトハ、全ク
此ノ戰爭完遂ノ爲ノ國家ノ要請ニ基イタ企
業ノミガ、增資ヲ認メラレテ居ルノデアリ
マシテ、會社ノ經營ガ良イカラトカ、或ハ資
本株主、其ノ他色々ナ努力ニ依ツテ增資
ガ認メラレルト云フヨリモ、寧ロ事業其ノ
モノノ性質上、國家ガドウシテモ此ノ事業
ハ擴張シナケレバナラヌト云フ要請ニ基ク
ト云フモノガ大部分デアリマス、隨テ此ノ
增資ニ依ツテ株價ガ上ル、ソコニ「プレミ
アム」ト云フモノガ發生スルノデアリマス
ガ、其ノ增資ニ依ル利益ト云フモノヲ、總
テ舊來ノ株主ガ壟斷スルト云フコトハ、此
ノ增資ガ行ハレル趣旨カラ考ヘマシテモ、
社會的ニ考ヘマシテモ、必ズシモ妥當デハ
ナイ、寧ロ是ハ「プレミアム」ヲ付ケテ公募
シテ、其ノ集マツタ金デ、其ノ會社ガ益〓生
產擴充ヲ達成シ得ルヤウナ資金ニ充テルコ
トガ妥當デアル、斯樣ナ趣旨カラ發表シタ
ヤウチ方針ヲ決定致シタ譯デアリマス、併
シ是ハ增資新株ハ全部舊株主ニ割當テナイ、
或ハ一ツノ旨味モナイヤウニ減配ヲシロト
云フノデハナイノデアリマシテ、ソレニ依
ツテ生ズル利益ハ、株主以外ノ者ニモ-
全部ハ壟斷セシメナイト云フヤウナ方針ナ
ノデアリマス、ソレヲ實行スル基準如何ト云フ
御尋ネデゴザイマスガ、此ノ問題ハ例ヘバ
時ノ株價ニモ依リマスシ、拂込ニ對シテ株
價ガドレ位離レテ居ルカト云フヤウナ株價
ノ狀態ニモ依リマスシ、增資ノ金額ニモ依
リマス、又配當ノ狀態ニモ依リマス、又其
ノ增資ガ前ノ增資ト、ドレ位時日ガ經ツテ
居ルカト云フヤウナ問題ニモ依リマシテ、
劃一的ニドウ云フ場合ニハドウスルト云フ
標準ヲ申上ゲルコトハ、困難デアルト思フ
ノデアリマス、併シナガラ大體ノ考ヘ方ト
致シマシテハ、例ヘバ兩三年ヲ通ジテ倍額
以上ノ增資ヲシタ場合ニ於キマシテハ、其
ノ倍額以上ノ增資分ニ付テ、舊株主ニ割當
テナイコトヲ考慮スル、斯ウ云フ風ニ考ヘ
テ居リマス、唯劃一的ニハ決メラレヌ問題
デアリマスノデ、大體ノ標準ヲ其ノ邊ニ置
イテ、其ノ會社ノ株價ノ事情ナリ、或ハ各
種ノ資金、或ハ上場株カ否カト云フヤウナ
コトニ依リマシテ、具體的ニハ決定致シタ
イト思ツテ居リマス、大體ノ考ヘ方ハ只今
申上ゲタヤウナコトニナリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=22
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023・渡邊善十郎
○渡邊(善)委員 モウ一ツ御伺ヒ致シタイ
ノデアリマスガ、大藏省ニ於キマシテハ株
式會社ノ配當ニ對シテ、段々減配ヲ慫慂ス
ルト云フヤウナ御意向ハ別ニゴザイマセヌ
カ、世間ノ一部ニ於キマシテハ、近頃非常
ニ減配會社ガ殖エテ參リマシタノデ、或ヘ
大藏省ノ御方針トシテ、漸次配當ヲ減ジサ
セルノデハナイカト云フ風ニ觀テ居ルノデ
アリマスガ、サウ云フ御方針ガアリマスナ
ラバ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=23
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024・田中豐
○田中(豐)政府委員 御話ノ如ク、平和產
業其ノ他ノ方面ノ企業ニ於キマシテハ、減配
ヲスル會社ガ相當アルヤウデゴザイマス、
經理統制ノ運用トシテ、配當ヲドウスルカ
ト云フ根本方針ニ付キマシテハ、抽象的ニ
申上ゲレバ、要スルニ會社ノ經營ヲ堅實ニ
スルト云フ觀點カラ、或ハ償却ガ不足デア
ルノニ、相當高率ノ配當ヲ續ケルトカ、或
ハ其ノ他ノ經營ガ適正デナイノニ、配営ハ
相當多ク出シテ居ルト云フヤナ場合ニハ減
配ヲ慫慂シテ、或ル程度ノ減配ヲシテ戴イ
テ居ル例ハ間々アル譯デアリマス、又特別
ノ監督ニ屬シマス保險會社トカ、或ハ取引
所等ニ付キマシテ減配ヲ慫慂シ、又ハ增配
ヲ抑止シタ例モアリマス、併シナガラ一
般會社ニ對シマシテ、特ニ現在ノ配當ノ水
準ヲ引下ゲルト云フ方針ヲ以テ臨ンデ居ル
ト云フコトハナイノデアリマシテ、シ
ゾレノ會社ノ事由ニ依ツテ、減配ヲ適當ト
スルモノニ付キマシテハ減配ヲ强ヒ、或
慫慂スルト云フコトハ致シテ居リマスガ、
全體的ニ減配ノ方針デアルト云フコトハ、
マダ考ヘテ居ナイ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=24
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025・渡邊善十郎
○渡邊(善)委員 會社ノ內容ヲ充實スル爲ニ
減配ヲシテ、サウシテ社內留保ヲ多クスル
ト云フコトハ、非常ニ結構ナコトデゴザイ
マスケレドモ、株價形成ノ一要件トシテ、
ヤハリ配當率ガ大體其ノ採算ノ基準ニナツ
テ居リマス關係上、近頃ノ會社ノ成績ヲ見
マスト、相當ニ會社ノ營業成績ガ擧ツテ居
ルニモ拘ラズ、減配ヲシテ社內留保ニ努メ
テ居ル會社ガ、段々多クナツテ來テ居リマス、
サウ云フ關係上、一般ノ株主ハ今マデ公債
ニ準ズルモノトシテ非常ニ確實ナ、此ノ會
社ノ株劵ハ七分ナラ七分、八分ナラ八分ノ
配當ガ當分續クモノトシテ、ソレニ投資ヲ
シマシタモノガ、或ハツレガ一部減配サレ
ルト云フコトニナリマスト、非常ニソコニ
資金計畫ノ上ニモ影響ヲ與ヘマス、又株價
ノ上ニモ非常ニソレガ影響サレルヤウナコ
トニナリマスノデ、政府御営局ニ於テモ、
只今ノ御聲明ニ依リマシテ、配當ニ付テ何
等ノ御慫慂ガナイト云フコトハ伺ツテ居リ
マスケレドモ、株價ノ變動ノ方ニモ相當ニ
配當ノ率ノ動キト云フモノハ響クコトニナ
リマスノデ、其ノ點ニ付テハ十分御考慮ヲ
煩ハシテ貰ヒタイト考ヘルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=25
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026・山本厚三
○山本委員長 是ニテ休憩致シマス、午後
一時半カラ續行致シマス
午前十一時五十一分休憩
午後一時四十五分開議発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=26
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027・山本厚三
○山本委員長 是ヨリ開會致シマス、市街
地信用組合法案ニ付テ審議致シマス-山
田順策君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=27
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028・山田順策
○山田(順)委員 長イ間農林大臣ノ所管デ
アリマス市街地信用組合ガ、此ノ度市街地
信用組合法ニ依リマシテ大藏大臣ノ專管ニ
ナリ、庶民金融機關トシテノ本然ノ使命ヲ
達成スルト云フコトニ相成リマスコトハ、
洵ニ市街地信用組合關係ノ一人ト致シマシ
テ、衷心大藏當局ニ敬意ヲ表スル次第デゴ
ザイマス、ソコデ私ハ此ノ際市街地信用組
合法ヲ通覽致シマスト、マダ隔靴搔痒ノ感
ガアルヤウナ點ガアルノデゴザイマスカラ、
各條ニ付テ質疑ヲ致シテ行キタイト存ズル
ノデゴザイマス
先ヅ第一ニ二十四條デゴザイマスガ、二
十四條ノ二項ニ「法人ハ勅令ヲ以テ定ムル
モノヲ除クノ外市街地信用組合ノ組合員ト
爲ルコトヲ得ズ」斯ウ云フコトニナツテ居
リマス、最近御承知ノ通リ市街地信用組合
ノ權成員デアル其ノ組合員ノ、各種ノ產業
部面ニ關係シテ居ル方面ニ於キマシテ、中小
商工業者ノ再編成竝ニ各物資ノ不足ノ爲ニ
統制セラレマシテ、段々ト其ノ企業者ガ、
或ハ家庭工業者タル組合員ガ、一ツノ有限
會社ヲ作リ、乃至ハ統制會社ヲ作ルト云フ
コトニ相成ツテ來テ居ルノデアリマス、ソ
コデ組合員タル法人ト云フモノハ、勅令ヲ以
テ定メルコトニナルノデゴザイマスガ、其
ノ組合員タル法人ノ種類ハ、ドノ程度ノモ
ノヲ豫定サレテ居リマスカ、此ノ際御聽キ
申シタイト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=28
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029・谷口恒二
○谷口政府委員 從來所謂市街地信用組合
ハ產業組合ノ法制ノ下ニ入ツテ居ツタノ
デアリマスガ、今囘市街地信用組合法案ヲ
提出致シマシテ、吾々トシテ從來ヨリハ更
ニ其ノ關係ヲ深クスルヤウナコトニ相成ツ
タノデアリマシテ、當局ト致シマシテハ將
來ノ市街地信用組合ノ發展ニ付キマシテハ、
出來ルダケノ力ヲ盡シテ、是ガ發展ニ資シ
テ行キタイト云フ考ヘヲ持ツテ居ルノデア
リマス
先ヅ第一番ニ御話ニナリマシタ問題ニ
付キマシテハ、大體信用組合ナルモノハ個
人ノ組合ト云フコトニ、其ノ趣旨ガアルト
思ヒマスケレドモ、御指摘ニナリマシタヤ
ウナ色々ノ事情モ、洵ニ御尤モデアリマシ
テ、其ノ間ノ關係ハ十分ニ者慮致シマシテ、
法人デアリマシテモ、或ル範圍ノモノハ
之ヲ指定スルト云フコトハ、是非致サナケ
レバナラナイト考ヘテ居ルノデアリマス、此
ノ大體ノ腹案ヲ持ツテ居リマスカラ、銀行
當局カラ更ニ其ノコトヲ御答ヘ申上ゲタイ
ト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=29
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030・山際正道
○山際政府委員 現在ノ大體ノ腹案トシテ加
入シ得ル法人トシテ定メタイ考ヘヲ持ツテ
居リマスルモノハ、商業組合、商業小組合、
工業組合、工業小組合、自動車運輸商業組
合、產業組合、是等ノモノヲ考ヘテ居ルノ
デゴザイマスルガ、尙ホ其ノ外ニ只今モ御
話ノゴザイマシタ有限會社ト小規模ノ會社
ヲ、之ニ加入サセルカドウカト云フ問題ガ
アルノデゴザイマス、是ハ原則論カラ申上
ゲマスルナラバ、市街地信用組合ガ一般庶
民ノ綜合共同的ノ金融機關デアルト云フ建
前カラ申シマシテ、所謂營利會社等ヲ組合員
トスルト云ブコトハ原則的ニハ如何カト
云フ所モアラウト思フノデアリマスルガ、只
今御話ノヤウナ極メテ小規模ノ有限會社ト
云フモノハ、其ノ實質ニ於テ個人ノ經營ス
ル商工業等ト異ナラザル關係ニモアルヤウ
ニ思ヒマスルノデ、是等ノモノニ付キマシテ
ハ實情ニ應ジマシテ、今後相當ニ考ヘテ
行キタイト思ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=30
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031・山田順策
○山田(順)委員 只今ノ御答辯ニ依リマシ
テ諒承致シマシタ
次ニ第三十一條ノ點デゴザイマスルガ、
其ノ一項ニ「其ノ他命令ヲ以テ定ムル金融機
關ヘノ預金又ハ金錢信託」ト云フコトガ規定
サレテ居ルノデアリマスルガ、銀行其ノ他
命令ヲ以テ定ムル金融機關ト云フノハ、ド
ウ云フ金融機關ヲ御豫想ニナツテ居リマス
ルカ、此ノ點ヲ御伺ヒシタイト思フノデゴ
ザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=31
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032・山際正道
○山際政府委員 現在ノ腹案トシテ考ヘテ
居リマスル所ハ、銀行ノ外ハ、例ヘバ庶民
金庫、產業組合中央金庫、信用組合聯合會ナ
ドニ預金ヲ致シマスルコト其ノ他信託會
社、或ハ場合ニ依リマシテハ、今囘法律案
ノ御審議ヲ願ツテ居リマスル銀行ガ、信託業
務ヲ兼營致シマスル場合ニハ其ノ兼營ス
ル信託業務ノ方面、是等ノ方面ヲ豫想致シ
テ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=32
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033・山田順策
○山田(順)委員 大體諒承致シマシタガ、
私共ノ考ヘテ居リマスルノハ、市街地信用組
合ト致シマシテ、先ヅ產業組合ノ中央金庫
ヲ對象トシテ考ヘテ居ルノガ、常識ノヤウ
ニ思フノデゴザイマシテ、大體サウ云フヤ
ウナ方向ニ持ツテ行カレルヤウナ御趣旨ノ
ヤウニモ考ヘテ居ルノデゴザイマスルガ、
此ノ點ニ付キマシテハ、私共ハ市街地信用組
合ノ上部ノ機關ト致シマシテ、何トカ特定
ノモノヲ將來考ヘル必要ガアルデハナイ
カト思フノデス、ソレハ何故カト申シマス
レバ、今囘ノ農業團體法ニ依リマシテ、產
業組合中央金庫ト云フモノハ、農林中央金
庫ト云フコトニ相成ルノデゴザイマシテ、
農林中央金庫ト云フモノハ農業者竝ニ農
業園體ノ生產擴充ノ上ニ、積極的ニ乘リ出
シテ行クト云フコトニ相成ルノデゴザイ
マス、市街地信用組合ハ何トシテモ市街地
ニ於ケル商工業者ノ、產業竝ニ經濟ニ彈力性
ヲ與ヘテ行クト云フ趣旨ノ下ニ、特殊ナル
營業ノ方針ヲ持ツテ居ルノデゴザイマスガ、
此ノ點ニ付テハ少クトモ將來、市街地信用
組合全國二百八十六ノ上層ノ機關トシテ、
十分ニ緊密ナル連絡ヲ持チ、而モ市街地信
用組合ノ本然ノ使命ヲ達成スルヤウニ出來
得ルヤウナ點ヲ考ヘテ貰ヒタイ、現在過程
的ニ、經濟的ニ、今銀行局長サンノ言ハレル
ヤウナ點ヲ考ヘラレルコトモ、是亦當然ノコ
トノヤウニ考ヘラレマスルガ、將來永遠ノ
コトヲ考ヘマスレバ、玆ニ何等カノ特殊ナ
ル關係ヲ考ヘテ戴イテ、此ノ市街地信用組
合ガ、折角大藏省ニ所管サレタト云フ實力
ノアル上層ノ機關ヲ、ソコニ考ヘテ戴キタ
イ斯ウ思フノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=33
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034・山際正道
○山際政府委員 本法案ニ於キマシテハ、
市街地信用組合ノ中央的ト申シマスカ、所
屬致シマスル機關トシテ、一應現狀ヲ尊重
致シマシテ、產業組合中央金庫ト云フコトニ
致シテ居ルノデアリマス、只今御話ノ如ク、
今囘農業團體ノ整備ニ關スル法律ガ實施致
サレマスル結果ハ、產業組合中央金庫ハ農
林中央金庫ト云フコトデ、其ノ性格ガ餘程ハ
ツキリ方向ヲ示サレタヤウナ關係ニナルト
思フノデアリマス、左樣ナ關係ヲ考ヘマス
時ニ、市街地信用組合ヲ何時マデモ產業組
合中央金庫ト結付ケテ置クト云フコトニ付
キマシテハ、理論上只今御指摘ノ如ク、再檢
討ヲ要スル問題ガ生ジタト云フコトハ、蔽ヒ
難イ事實デアルト思フノデゴザイマス、併
シナガラ何分ニモ現狀ニ於キマシテハ、直
チニ之ヲ產業組合中央金庫ト切離シマスル
コトハ、從來ノ取引關係ガ密接デアリ、又
他ノ系統機關ニ俄カニ變更スルコトニ依ツ
テ、其ノ間ニ徒ラニ摩擦混亂ヲ生ゼシメル
虞レガアリマス爲ニ、其ノ事ハ同時ニ又產
業組合中央金庫ニ取ツテバカリデナク、市
街地信用組合自體ニ取リマシテモ、此ノ際
ノ措置トシテハ穩當デナイト考ヘマスルガ
故ニ、斯樣ナ立法ニ致シテアルノデゴザイ
マス、只今モ申上ゲマシタ通リ、此ノ問題
ハ確カニ將來〓究ヲ要スル問題デアリマシ
テ、私共ノ心組ミト致シマシテハ、啻ニ今
後アルベキ農林中央金庫トノ關係ノミナラ
ズ、或ハ庶民金庫トカ、或ハ商工組合中央
金庫トカ、斯樣ナ各種ノ機關ノ機能分野、
ソレ等ノモノト市街地信用組合ノ事業トノ
關係ヲ、綜合的ニ考慮ヲ致シマシテ、檢討
ヲ進メタイト考ヘテ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=34
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035・山田順策
○山田(順)委員 次ニ、第三十三條デゴザ
イマスガ、御承知ノ通リ現在ノ市街地信用
組合ト云フモノハ、事業年度ガ一月カラ十
二月ト云フコトニナツテ居ルノデアリマス、
此ノ三十三條ニ依リマスト、市街地信用
組合ノ事業年度ハ四月ヨリ翌年三月マデ、
斯ウ云フコトニ相成ツテ居ルノデアリマス、
隨テ此ノ法律ガ議會ヲ通過シテ實施サレマ
スル際ニハ、事業年度ガ變リマスルノデ、
ソコデ差當リ玆ニ支障ヲ來スノハ役員ノ任
期ノ問題ニ相成ルノデゴザイマス、隨テ事
業年度ガ變リマスカラ、臨時總會ヲ二度開
クト云フコトニナルノデゴザイマス、卽チ
一例ヲ申上ゲレバ來年一月役員ノ任期ガ來
テ居ル、併シナガラ事業年度ハ四月カラ三
月ニ相成ルノデゴザイマスルカラ、ソコデ
役員ノ任期ト云フモノニ付テハ、此ノ法律
ヲ施行スル際ニ於キマシテハ、一月ノ役員
ノ選擧ト云フモノヲ延長致シマシテ四月ト
云フコトニ相成リマスレバ、三箇月間ノ延
長ヲスルト云フコトニナリマス、サウスル
ト現在ノ市街地信用組合トシテ、運營上非
常ニ工合ガ良ク行クヤウニ考ヘルノデゴザ
イマス、若シ全國ノ市街地信用組合ガ、サ
ウ云フヤウナ方法ヲ採ル場合ニハ、大藏省
ニ於テハドウ云フヤウナ取扱ヒヲ致シマス
カ、此ノ一點ヲ御伺ヒ致シタイト存ズルノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=35
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036・阪田泰二
○阪田政府委員 只今ノ御尋ネニ對シテ御
答ヘ致シマスガ、今囘ノ法律ガ施行サレマ
シタ時ニ、現在ノ市街地信用組合ハ、當然此
ノ新ラシイ法律ニ基ク市街地信用組合ニ代
ル譯デゴザイマスガ、其ノ時ニ於キマス現
在ノ役員ハ、其ノ儘新ラシイ組合ノ役員ト看做
ス、斯ウ云フヤウナ規定ヲ施行ニ關スル勅
令ニ入レル積リデゴザイマス、サウ云フ風
ニシテ新ラシイ組合ノ職員ト看做サレマシ
タモノハ在任期間ダケ在任スル、斯ウ云フ
ヤウナコトニ考ヘテ居リマス、其ノ役員ガ
偶〓御示シニナリマシタヤウナ來年ノ一月
ニ任期ガ滿了スルト云フヤウナ場合デゴザ
イマスガ、之ニ付キテマシテハ、組合ノ組
合長、理事、監事等ノ任期ヲ定メマシタ此
ノ第十二條ノ第二項ノ規定デゴザイマスガ、
此ノ規定ニ依リマシテ、任期ハ組合長理事
ハ三年、監事ノ任期ハ二年、斯ウ云フ風ニ
致シテゴザイマスガ、但シ定款ニ別段ノ定
メガアル時ハ此ノ限リデナイ、斯ウ云フヤ
ウナ一條ヲ設ケマシテ、大體組合ノ定款ト
致シマシテハ、役員ノ任期ガ滿了シテモ、
次ノ總會ナリ、總代會デ役員ガ選任サレテ、
ソレガ認可ヲ受ケテ正式ニ就任スルマデ
任期ガソレダケ延ビル、サウ云フヤウナ定
款ノ規定ヲ各組合トモ設ケテ戴クヤウニス
ル、斯ウ云フヤウニ考ヘテ居ルノデアリマ
シテ、サウ云フヤウナヤリ方デ支障ナク行
ケルト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=36
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037・山田順策
○山田(順)委員 能ク了承致シマシタ、次
ニ四十二條ノ點デゴザイマスガ、「市街地
信用組合ハ總會ノ決議ヲ以テ他ノ市街地信
用組合ト合併ヲ爲シ又ハ命令ヲ以テ定ムル
金融機關ニ對シ事業全部ノ讓渡ヲ爲スコト
ヲ得」此ノ點デゴザイマスガ、此ノ命令ヲ以
テ定ムル金融機關ト云フノハ、具體的ニ申
シマスレバ、ドウ云フヤウナ金融機關ヲ指
シテ居ルノデスカ、之ヲ一點御伺ヒ致シタ
イト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=37
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038・山際正道
○山際政府委員 只今腹案トシテ考ヘテ居
リマスルコトハ只今貴族院ニ於テ御審議
ヲ願ツテ居リマスル普通銀行等ノ貯蓄銀行
業務又ハ信託業務ノ兼營等ニ關スル法律ガ
施行セラレマス結果、貯蓄銀行業務ヲ營ム
普通銀行ガ出來テ參ルノデアリマス、現在
市街地信用組合ガヤツテ居リマスル仕事ノ
實體カラ考ヘマシテ、若シモ組合的性質ニ
於キマスルヨリモ、普通ノ金融機關ノ姿ニ
引直シタ方ガ宜シイト云フ場合ニハ、此ノ
貯蓄銀行業務ヲ營ム普通銀行ト云フノガ、
一番似合ヒノ機關デアルヤウニ思フノデア
リマス、隨ヒマシテ事業全部ノ讓渡ヲ必要
トスルヤウナ場合ガ生ジマシタナラバ、此
ノ貯蓄銀行業務ヲ營ム普通銀行ニ、ソレヲ
讓渡セシメルノガ適當デハナイカト考ヘテ
居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=38
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039・山田順策
○山田(順)委員 サウシマスト要スルニ今
度ノ普通銀行ニ對シテ貯蓄竝ニ信託、サウ
云フヤウナコトヲ許ス法律案ガ出テ居リマ
スルガ、之ニ依ツテ將來市街地信用組合ノ
中ノ或ル組合ヲシテ、サウ云フモノニ合併
ト申シマスカ、統合サシテ行カウト云フ御
趣旨ノヤウニ伺ツテ居リマスガ、現在大
藏省デ御調ベニナツテ居ルコトデ、ソレ等
ノ內容等ハ御存知ト思ヒマスガ、二百八十
六ノ市街地信用組合ノ中デ、差當リサウ云
フヤウナ方面へ吸收統合ト云フト誤弊ガア
ルカ知レマセヌガ、合併シタ方ガ宜イト云
フヤウナ御見込ノ付イテ居ル組合ガアリマ
セウカ、其ノ點ニ付テ御伺ヒヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=39
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040・山際正道
○山際政府委員 只今ノ考ヘヲ申シマスト、
直チニ此ノ規定ノ適用ヲ待ツヲ適當トスル
組合ハナイヤウニ考ヘテ居リマス、唯、今後
事態ノ變遷ニ應ジマシテ、或ハ斯カル取扱
ヲ致シマシタ方ガ、實際ニ合フト云フ場
合ガ生ジ得ルカモ知レナイト考ヘマシテ、
豫メ此ノ規定ヲ設ケタ次第デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=40
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041・山田順策
○山田(順)委員 次ニ第六十三條ニ付テ御
尋ネ致シタイト思ヒマスガ、大體市街地信
用組合ヲ除イテノ他ノ信用組合ガ市街地信
用組合ノ許可ヲ受ケルノニハ、總會ノ決議
ニ依ツテ市街地信用組合トナルノデアリマ
ス、ソコデ現在准市街地信用組合ガアルノ
デゴザイマスガ、本法ノ施行ニ當ツテ准市
街地信用組合ト云フモノヲ、大藏省ト致シ
マシテハ積極的ニ改組シテ、サウシテ市街地
信用組合ニスルト云フ御考ヘヲ持ツテ居ラ
レマセウカ、ソコデナゼ斯ウ云フコトヲ申
シマスカト云フト、只今審議サレツツアリ
マス所ノ農業團體法ノ第十五條ニ「左ニ揭グ
ル者ハ市町村農業會ノ會員ト爲ルコトヲ得
但シ其ノ者ガ法人ナルトキハ命令ヲ以テ定
ムル法人ニシテ行政官廳ノ認可ヲ受ケタル
モノニ限ル
一其ノ地區內ニ住所ヲ有スル者ニシテ
農業ニ密接ナル關係ヲ有スルモノ、二、其
ノ他命令ヲ以テ定ムル者、道府縣農業會
ノ地區內ニ住所ヲ有スル法人ニシテ命令
ヲ以テ定ムルモノハ行政官廳ノ認可ヲ受ケ
當該道府縣農業會ノ會員ト爲ルコトヲ得」、
ソコデ准市街地信用組合ト云フモノハ、大
體縣ニ於キマシテモ大キナ町ガ准市街地信
用組合トシテ今日產業組合法ニ依ツテ、是
ガ運營サレテ居ルノデゴザイマス、サウ致
シマスルト農林大臣ガ其ノ町內ニ住居シ
テ居ル所ノ農業關係者ト云フモノニ對シテ、
此ノ農業團體ノ方へ指定スルコトノ權利ヲ
持ツテ居リマスカラ、サウ云フヤウナ場合
ニ於キマシテハ、本法ガ施行サレル際ニ於
キマシテ、准市街地信用組合ノ現在ノ組合
ヲシテ、市街地信用組合ニ移行サセル點ニ
付テ、多少ソコニ摩擦ガアルノデハナイカ
ト考ヘルノデゴザイマシテ、尙ホ一ツハ將
來市街地信用組合トナルベキ要素ヲ持ツテ
居ル其ノ縣下ニ於キマスル町ノ現在ノ所謂
產業組合法ニ依ル信用組合、ソレ等ノ今後
ノ發達助成ノ上ニ於キマシテモ、ソコニ多
少ノ行違ヒガ出テ來ルノデハナイカ、斯ウ
云フコトヲ考ヘマスルト、ソコニ大藏省ト
農林省トノ間ニ緊密ナル折衝ヲ持ツテ、是
ハ將來市街地信用組合トシテ發達スベキモ
ノデアル、是ハ農村ノ所謂農業團體ニ
將來統合スベキ所ノ農業會ニ入ルベキモノ
デアルト云フヤウナ點ニ付テ、相當ニ檢討
シテ行ク必要ガアルト思フノデゴザイマス
ガ、此ノ點ニ付テハ局長サンハドウ云フ風
ニ考ヘテ居リマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=41
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042・山際正道
○山際政府委員 市街地ニ於キマスル信用
組合ト致シマシテハ、將來ハ所謂此ノ市街
地信用組合ガ中心ニ發達シテ行クベキモノ
デアラウト思ヒマスルガ、農村方面ニ於キ
マシテ市町村農業會ノ關係ガ、ソコニ出テ
參リマシテ、具體的ニ市街地信用組合ト此
ノ市町村農業會トドチラデ解決スルノガ
適當デアルカト云フ中間的ナ部分ガ、ドウ
シテモソコニ殘ルト云フコトハ、御指摘ノ
通リデアルト思ノフデアリマス、是ハ只今
御話ノ如ク、農林當局ト大藏當局トガ、最
モ緊密ニ連絡ヲ致シマシテ、只管實情ニ應
ジテ組合員ノ便益ト云フ見地カラ、果シテ
市街信用組合ノ取扱ヲスルノガ宜シイカ、
市町村農業會ノ信用事業ノ方ニ加入サセル
方ガ宜イカ、是ハ正ニ適實ニ判斷スベキモ
ノト思フノデアリマス、段々兩法律案ノ關係
ニ付キマシテ、農林當局トモ協議ヲ續ケテ
居リマスノデ、實際ノ此ノ法律ノ運用ニ當
リマシテハ、只今ノ御指摘ノ點ニ關シマシ
テ、一段ト緊密ナ連絡ノ下ニ、無理ノナイ
ヤウナ取扱ヲ致シマシテ、兩方ガ重複シテ
徒ニ事務ガ煩雜ニナルトカ、或ハ兩方カラ
取殘サレテ、ソコニ便益ガ供與サレナイト
カ、サウ云フ事態ノ起リマセヌヤウニ、十
分注意ヲシテ進ミタイト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=42
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043・山田順策
○山田(順)委員 是ハ條項ニハゴザイマセヌ
ガ、一ツ此ノ際伺ツテ置キタイノデゴザイマス
ガ、從來市街地信用組合ガ結成サレテ居リ、
サウシテ其ノ行政區域ト云フモノガ擴大サ
レテ行ツタ、所謂隣接ノ町村ガ市ニ合併ヲ
サレタ、ソレデ從來隣接ノ町村ニ產業組合
ガ出來テ居ルガ爲ニ、今日デハ一行政區域
內ハ、少クトモ市街地信用組合ノ組合員ヲ、
其ノ區域内ニ擴大シテモ差支ナイヤウニ考
ヘラレルノデゴザイマスガ、今日ノ實情
デハ是ガ事業區域ノ擴張ガ積極的ニ取扱ハ
レテ居ナイノデゴザイマスガ、將來此ノ點
ニ付テ、大藏當局ハドウ云フ風ナ御考ヘヲ
指ツテ居リマスルカ、御伺ヒ致シタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=43
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044・阪田泰二
○阪田政府委員 最近方々デ市制施行地ガ
段々區域ガ擴張サレル、斯ウ云フヤウナ問
題ガアリマシテ、其ノ場合ニ、農村產業組
合ガ市ノ區域内ニ包搆サレル、斯ウ云フ問
題ガ一方ニ起リマスト同時ニ、市街地信用
組合ノ區域ガ、ソコマデ擴張シテモ宜イノ
デハナイカ、斯ウ云フ問題ガ一方デ起ツテ
來ル譯デゴザイマスガ、之ニ付キマシテハ、
從來ノ取扱ト致シマシテハ、ヤハリ市街地
內ノ實情ニ着目致シマシテ、市制施行地ト
云ヒマシテモ、實際ニ於キマシテハ、農業
者ガ主デ、商工業者ガ比較的少イ所ノ農村
地帶ト云フベキ場所ガ、相當アリマスカラ、
サウ云フ地帶ニ對シテハ區域ノ擴張ハ認メ
ナイ、併シナガラ實情ガ商工業者其ノ他勤
勞者トカ、サウ云フ者ノ相當密集シテ住ン
デ居ル地帶デ、市街地ト云ツテモ宜イ、斯
ウ云フ土地デアリマスレバ、新市域ニ包含
サレタモノニ付キマシテハ、市街地信用組
合ノ地區ノ擴張ヲ、積極的ニ認メテ行キタ
イ、斯ウ云フヤウナ方針デ參ツテ居ツタ譯
デアリマス、今囘此ノ新法ニ依リマス市街
地信用組合ニ付キマシテハ、ヤハリサウ云
フ方針ノ延長ト致シマシテ、市制施行地或
ハ指定市街地トカ、サウ云フ風ナ所デハ、
形式的ノ標準バカリニ賴ルコトナク、實質
的ニ一團ノ市街地ヲ成シテ居ル區域ガ、市
街地信用組合ノ區域ニナルヤウニ進メテ行
キタイ、斯ウ云フヤウナ考ヘデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=44
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045・山田順策
○山田(順)委員 最後ニ一點御伺ヒシタイ
コトハ、普通銀行乃至ハ信託會社、或ハ無
盡會社、是ハ其ノ要員ニ付テハ勞務調整
令ノ第七條ノ二號ニ依リ、應召乃至ハ徵用
サレタ際ニ於キマシテ是ガ補充ノ途ガ開カ
レテ居ル、卽チ勞務調整令カラ指定ヲ受ケ
テ居ルノデゴザイマス、隨テ應召シテモ徵
用サレテモ、ドン〓〓補充ガ附クヤウニ相
成ツテ居ルノデゴザイマスガ、獨リ市街地
信用組合ハ指定サレテ居リマセヌ、隨テ應
召乃至ハ徵用サレマシテモ、是ガ職員ノ補
充ニ非常ナ困難ヲ生ジテ居ルノデゴザイマ
ス、此ノ點ニ付テハ勿論厚生省ノ所管デハ
ゴザイマスルガ、大藏省ト致シマシテハ
ヤハリ金融機關ト致シマシテ、普通銀行、
信託乃至ハ無盡會社ト同樣ニ取扱ハレルヤ
ウニ、厚生省ノ方ニ然ルベク交涉シテ戴キ
タイト思フノデゴザイマスガ、此ノ點ニ付
テハ大藏省ハドウ云フ御考ヘヲ持ツテ居ラ
レママカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=45
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046・山際正道
○山際政府委員 金融機關ノ從事員ノ應召
徵用ノ際ニ於ケル補充ノ問題デアリマスル
ガ、只今御指摘ノゴザイマシタ通リ、現在
ノ事態ニ於キマシテハ普通銀行、信託、無
盡會社等ニ付キマシテハ、比較的優遇ノ方
法ガ講ゼラレテ居ルノデゴザイマス、時局下
金融機關ガ果サネバナラヌ仕享ハ、愈〓重大
ヲ加ヘテ參リマス次第デアリマスカラ、私
共ノ考ヘト致シマシテハ是非共其ノ補充
ノ道ヲ全金融機關ニ及ボシタイ考ヘヲ持
ツテ居ルノデアリマス、殊ニ市街地信用組
合ハ最近ノ情勢ニ於キマシテ、國民貯蓄
增强其ノ他ノ點ニ於テ、重要ナル一翼ヲ擔
ヒツツアルノデアリマスカラ、是非トモ是ハ一
般ノ金融機關ト同樣ノ取扱ガ出來マスルヤ
ウニ、吾々トシテハ致シタイ考ヘヲ持ツテ
居リマス、唯累次ノ勞務管理當局トノ交渉
ニモ拘ラズ、未ダニ實現致シテ居リマセヌ
コトハ、私共モ亦遺憾トスル所デアリマス
ガ、今後絕エズ實情ヲ說明致シ、其ノ必要
性ヲ認識シテ貰ヒマシテ、極力其ノ趣旨ガ
達成出來マスヤウニ絕エズ努力ヲ續ケタイ
ト考ヘマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=46
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047・山田順策
○山田(順)委員 一ツ取殘シマシタカラ、
モウ一ツ附加ヘテ御所見ヲ伺ツテ置キタイ
ト思ヒマスガ、第十章ノ雜則ノ五十三條デ
ゴザイマスガ、「主務大臣ハ勅令ノ定ムル所
ニ依リ地方長官ヲシテ本法ニ定ムル職權ノ
一部ヲ行ハシムルコトヲ得」、大體今日マデ
市街地信用組合ノ運營ニ當ツテハ、定款其
ノ他配當率一切ノコトハ、地方長官ニ委任
サレテ居ツタノデゴザイマスガ、今囘ハ此
ノ雜則ニ依リマスルト、主務大臣ハ勅令ノ
定ムル所ニ依リ地方長官ヲシテ本法ニ定ム
ル職權ノ一部ヲ行フトナツテ居ル、其ノ
職權ノ一部ト云フノハ、ドノ程度ヲ指シテ
申シテ居リマスルカ、此ノ點ヲ具體的ニ御
伺ヒ致シタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=47
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048・山際正道
○山際政府委員 第五十三條ノ適用ニ關シ
マシテハ、私共ノ腹案ト致シマシテハ、出
來ルダケ多クノ事項ヲ地方長官ニ委任致シ
タイト考ヘテ居リマス、卽チ定款變更ノ認
可、事業方法變更ノ認可、業務ニ關スル
報〓ノ徵求、帳簿書類等ノ提出、業務及ビ
財產ノ狀況ノ檢査、是等ノ事柄ハ地方長官
ニ委任致シタイ考ヘデアリマシテ、主務大
臣ニ於テ留保致シマスルノハ設立ノ問題、
合併ノ問題、或ハ又必要ニ應ジテ檢査權限
ノ問題、ソレ等ノ極ク主要ナル點ノ之ヲ留
保致シマシテ、他ハ成ベク事務ノ簡素化ヲ
期スル爲ニ、地方長官ニ委任致シタイト考
ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=48
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049・山田順策
○山田(順)委員 能ク了承致シマシタ、私
ノ質疑ハ之ヲ以テ終リタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=49
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050・山本厚三
○山本委員長 田中君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=50
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051・田中藤作
○田中(藤)委員 只今ノ質問ニ依ツテ私ノ
聽カント欲スル所ハ、大體明カデアリマス
カラ、私ハ簡單ニ二、三ノ點ニ付テ御伺ヒ致
シタイト思ヒマス、先ヅ法人組合員ノ問題
デ御伺ヒシタイコトハ、有限會社ニ付テハ
考慮スルト云フコトデアリマシタガ、一歩
進ンデ二十万圓未滿ノ株式會社ヲ、法人組
合員トスル意思アリヤ否ヤ、此ノ點ニ付テ
ノ御意見ヲ伺ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=51
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052・山際正道
○山際政府委員 實ハ現在ノ腹案ニ於キマ
シテハ、有限會社ヲ更ニ進メマシテ、資本金
二十万圓以下ノ會社ト云フ所マデ擴張スル
ノガ宜イカドウカト云フ點ニ關シマシテハ、
決定的ナ意見ヲ持ツテ居ラヌノデゴザイマ
ス實情ニ鑑ミマスレバ或ハソレ等ノモノ
ト雖モ、市街地信用組合ノ組合員タルニ相
應シイモノモアラウカトモ思ヒマスガ、尙
ホ是ハ篤ト實情ヲ考慮致シマシタ上デ、將
來適當ニ考ヘタイト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=52
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053・田中藤作
○田中(藤)委員 次ニ御伺ヒシタイコトハ、
四十二條デ貯蓄銀行ヲ營ム普通銀行ニ對シ
テ、信用組合ノ營業ト申シマスカ、事業ヲ命
令ニ依ツテ全部讓渡セシムルコトガアリ得
ルト云フ御答辯ガアツタヤウデアリマスガ、
此ノ點ハ可ナリ重要ナ問題ダト思ヒマス、
言換ヘルト貯蓄銀行ノ活動分野ト信用組合
ノ活動分野ガ、ドウダト云フ根本問題ニナ
ルノデハナイカト思ヒマス、私申上ゲルマ
デモナク、貯蓄銀行ハ營利會社デアル、信
用組合ハ謂ハバ公益法人デス、公ノ團體ナ
ンデス、而モ公ノ團體ノ事業ガ、營利會社
タル銀行ニ讓渡セラレルト云フコトヲ豫想
シテノ立法ダト云フコトハ、ドウモ此ノ活
動分野、卽チ信用組合ノ活動分野ト銀行ノ
活動分野ノ問題デ、可ナリ重大ナ問題ガ起
ルト思フ、ソコデ私ハ此ノ點ニ對シテ、信
用組合ノ活動分野ガドウダトカ、銀行ノ活
動分野ガドウダト云フコトヲ、ハツキリ明示
セラレンコトヲ望ミマス、此ノ點ニ關スル
先ヅ御答辯ヲ御願ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=53
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054・山際正道
○山際政府委員 申スマデモナク市街地信
用組合ハ、相互共同組織ニ依ル金融機關デ
ゴザイマス、又貯蓄銀行ハ只今御示シノ如
ク、株式組織ニ依ル金融機關デゴザイマス、
隨ヒマシテ此ノ組織カラ來マス根本的ナ差
違ガ、ソコニ存スルト思フノデゴザイマシ
テ、市街地信用組合ノ組合員ノ總意ト云フ
モノニ依ツテ、其ノ仕事ガ進メラレテ參リ
マス限リ、貯蓄銀行ノ取扱ヒマスル仕事ノ
分野トハ、性質上ソコニ範圍ガハツキリ分
レテ居ルヤウニ思フノデゴザイマス、然ラ
バ何故斯カル規定ヲ豫メ設ケタノデアルカ
ト云フ問題ガ起リ得ルト思フノデアリマス
ガ、此ノ點ハ市街地信用組合ガ、何處マデ
モ共同組織タル特質ヲ失ハズニ益〓業態ガ
發展シテ參ルコトハ吾々ガ最モ之ヲ期待
シ、且ツ助長致シタイ點デハアリマスケレ
ドモ、將來其ノ地域其ノ經濟事情等ノ變遷
ニ依リマシテ、或ハ市街地信用組合ガ、組
合組織タル實態ヲ失フト云フ場合ガ、今後
場合ニ依ツテハ起リ得ルノデハナイカト云
フコトヲ、極ク稀デアリマスガ豫想シ得ル
ト思ヒマスノデ、斯樣ナ規定ヲ設ケタ次第
デアリマス、本來ノ建前ハ、何處マデモ市
街地信用組合ガ、其ノ共同組織タル實體ニ
基キマシテ特質ヲ發揮シテ、益〓發展センコ
トヲ期待シテ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=54
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055・田中藤作
○田中(藤)委員 御答辯ニ依ツテ大體了承
致シマシタ、只今御答辯ニアツタ如クニ、
組合ノ活動分野ハハツキリ致シテ居リマ
ス、之ヲ普通銀行ニ讓渡スルガ如ク豫想サレ
得ル限リ問題ダト思ヒマスガ、斯ウ云フコ
トハ斷ジテナイヤウニ、御願ヒヲ致シタイ
ト思ヒマス
次デ御伺ヒ致シタイコトハ、先程現在ノ
市街地信用組合デ、差當ツテ整理統合スルモ
ノハナイト云フ御答辯デアツタヤウデゴザ
イマス、大變是ハ結構ダト思ヒマスガ、
昨日ノ大藏大臣ノ御答辯ニ依リマスト、第四
十二條ノ規定ニ依ツテ、市街地信用組合ノ
整理統合ヲ促進スルノダト云フ風ナ御說明
ガアツタト思フノデアリマス、ソコデ此ノ
點大藏大臣ノ御考ヘト只今ノ局長サンノ御
考ヘトニ、多少喰ヒ違ヒガアルノデハナイ
カト云フ感ジガアリマスノデ、此ノ點ヲ更
ニ明カニ御示シヲ戴キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=55
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056・山際正道
○山際政府委員 過日此ノ法案ヲ大藏大臣
ガ御說明申上ゲマシタ際ニ、整理統合ノ問題
ニ觸レマシタノハ、第四十二條ノ第一項ノ
前段ノ關係ヲ、主トシテ申上ゲタノデゴザイ
マス、卽チ他ノ市街地信用組合ト合併ヲ致
シマシテ、此ノ事業ノ益〓能率ノ增進ヲ圖
リ、其ノ使命ノ達成ヲ援助スル、斯樣ナ意味
合ニ於テ申上ゲタノデアリマシテ、後段ノ
事業讓渡ノ點ハ實ハソレ程ノコトニ考ヘテ
居ラヌノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=56
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057・田中藤作
○田中(藤)委員 サウスルト市街地信用組
合相互ノ間ニ於ケル合併ト申シマスカ、整理
統合ニ付テハヤハリ御考ヘガアルヤウデ
ゴザイマスガ、若シサウシタ御考ヘガアル
トスレバ、如何ナル方針ヲ以テ整理統合、
或ハ合併ヲ指導セラレルカト云フコトヲ御
伺ヒシタイノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=57
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058・山際正道
○山際政府委員 具體的ノ場合ト致シマシ
テハ、色々事例モアルノデゴザイマス、例
ヘバ其ノ地域ガ競合致シテ居リ、組合員ガ
重複シテ兩組合ニ加入シテ居ル、或ハ又兩
組合カラ競爭的ナ勸誘ガ行ハレテ居ツテ、
ソコニ人的ニモ物的ニモ無駄ガアルト云フ
ヤウナ事例モ、時折見受ケラレルヤウデア
リマシテ、左樣ナ場合ガ此ノ合併統合ノ結
果能率增進ト云フコトヲ最モ期待シ得ル
事例デハナカラウカト思ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=58
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059・田中藤作
○田中(藤)委員 御說明ハ能ク分ツタノデ
アリマスガ、併シナガラ信用組合ト云フ
ノハ、申スマデモナク中產市民ノ所謂大
衆的ナ金融機關デアリマス、而モ其ノ團體
ハ所謂隣保團結ト申シマスカ、人ト人トノ
繫ガリ、小規模ノ社會的集團ニ依ル金融機
關デアルト思フノデアリマス、而モサウシ
タ隣保的ナ性格ガ、十分金融機關トシテノ
使命ヲ果シテ居ル譯デアリマス、而モ斯ウ
シタモノガ血ノ繫ガリノナイ他ノ組合ト統
合サレルト云フコトニナレバ、ソコニサウ
シタ人的ナ要素ヲ失フコトニナリマシテ、
水臭イ團體ガ出來上ル、サウスルト普通銀
行ト同ジヤウナコトニナリハシナイカト云
フコトヲ、先ヅ惧レル譯ナノデアリマス、
又現在各銀行ニ於テハ支店等ノ店舗ノ增
加ヲ御認メニナツテ居ルヤウデアリマス
卽チ預金吸收ノ第一線機關トシテ大イニ國
策ニ順應スベキデアルト云フ建前デアルカ
ト、私ハ存ジテ居リマスガ、斯ウ云フ見地
カラ申シマシテモ、零細ナル大衆資金ヲ吸
收スルニハ、ヤハリ斯ウシタ血ノ繫リノ隣保
團結トモ言フベキ信用組合ナドガ、最モ適
當デハナイカト思フノデアリマス、斯ウ云
フ意味カラ申セバ、相當今囘數ノ多イ信用
組合ガ、利用如何ニ依リマシテハ其ノ成
績ヲ擧ゲ得ル、國策順應ニ依ツテ大衆預金
ヲ吸收シ得ルト存ズルノデテリマスガ、其
ノ點ニ付テモ更ニ御所信ヲ伺ヒタイト思ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=59
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060・山際正道
○山際政府委員 市街地信用組合ガ、所謂
血ノ繫リノアル隣保的ナ共同團體トシテ、
時局下貯蓄吸收等ノ重要ナル役割ヲ果シテ
居リマスコトハ、洵ニ御說ノ通リト考ヘマス、
隨ヒマシテ私共ト致シマシテハ、此ノ法律
案ニ依リマシテ益〓其ノ發達助長ヲ促シ、
其ノ使命ヲ愈〓達成セシメンコトヲ期シテ
居ル次第デゴザイマス、隨ヒマシテ先程來
合併ノコトガ問題ニナツテ居リマスケレド
モ、私共ト致シマシテハ合併ヲ致シマス結
果、此ノ組合ノ本質デアル隣保共同團體タ
ル特質ヲ失フヤウナコトガアリマシテハ
是ハ市街地信用組合自體ノ自殺行爲デアル
ト思フノデゴザイマス、隨ヒマシテ例ヘバ
合併ヲ致シマスヤウナ場合デモ、果シテ其
ノ結果能ク隣保的特質ヲ維持シ得ルノミナ
ラズ、益〓之ヲ發展シ得ルヤ否ヤ、是ガ重
要ナ判斷ノ觀點ニナラウカト思フノデゴザ
イマシテ、徒ラニ私共ハ合併シテ市街地信
用組合ノ規模ヲ强大ナラシメルコトヲ以テ、
今後市街地信用組合ノ進ムベキ方向トハ考
ヘテ居ラナイノデアリマス、何處マデモ其
ノ特質ヲ活カシマシテ、能ク此ノ時局下重
要ナル金融機關タル使命ヲ果サセテ行キタ
イト考ヘテ居ルノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=60
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061・田中藤作
○田中(藤)委員 私共ト全ク同ジヤウナ考
ヘノ御答辯ヲ戴キマシテ、結構デゴザイマ
ス、是非サウシタ信用組合ノ血ノ繫ガリノ、
所謂隣保團結タル最小預金吸收機關ダ、大
衆ノ金融機關ダト云フ點ヲ特ニ御酌ミ戴イ
テ、將來サウシタ問題ガ假ニアリマシテモ、
營利會社ノ整理統合ナドト同一視セラレヌ
ヤウ御願ヒシタイト思ヒマス、私ノ質問ハ
是デ終リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=61
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062・山本厚三
○山本委員長 本案ニ付テハマダ一人質問
者ガアリマスガ、丁度席ニ居ラレマセヌカ
ラ、之ヲ留保致シマシテ其ノ次ニ移リマス
外貨債外二件ニ付テ質問ノ方ハオアリデス
カ-ナイヤウデスカラ他日ニ讓リマス
ソレデハ證劵取引所法案ニ付テハ大體濟
ミマシタガ、尙ホ大臣ノ御出席ヲ求メテ御
質問ノ方ガアリマスカラ、是ハ明日午後一
時カラ左樣ニ取計ヒマス、本日ハ是ニテ散
會致シマス
午後二時四十分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008112857X00419430205&spkNum=62
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