1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十八年二月二日(火曜日)
午後一時七分開議
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議事日程 第七號
昭和十八年二月二日
午後一時開議
第一 戰時行政特例法案(政府提出) 第一讀會
第二 許可認可等臨時措置法案(政府提出) 第一讀會
第三 教育基金特別會計法外二十三法律の廢止に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第四 石油專賣法案(政府提出) 第一讀會
第五 交易營團法案(政府提出) 第一讀會
第六 燃料局特別會計法案(政府提出) 第一讀會
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一昨一日東條内閣總理大臣より左の通發令ありたる旨の通牒を受領せり
大藏書記官 加藤八郎
大藏書記官 阪田泰二
第八十一囘帝國議會大藏省所管事務政府委員被仰付
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=0
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001・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、御諮リ致シマス、豫算委員長及ビ公立
學校職員年功加俸國庫補助法中改正法律案
外一件委員長ヨリ、本日本會議中委員會ヲ
開キタイトノ申出ガアリマス、之ヲ許可ス
ルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=1
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002・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ之ヲ許可致シマス
昨日議長ニ御一任ニナリマシタ「レンネル」
鳥沖海戰ノ戰果ニ對スル祝賀竝ニ感謝ノ電
報ハ、昨日山本聯合艦隊司令長官宛發送致
シマシタ、玆ニ其ノ電文ヲ朗讀致シマス
〓戰以來每囘海戰ニ於テ絕大ナル戰果ヲ
收メ中外ヲ驚嘆セシメタル忠勇無双ノ帝
國海軍航空部隊ハ今又レンネル島沖ニ於
テ有力ナル敵大艦隊ヲ捕捉シテ强襲猛攻
或ハ之ヲ擊沈シ或ハ之ヲ擊破シテ執拗頑
强ナル敵反抗企圖ヲ挫折ス勳功洵ニ偉大
全國民齊シク感起感奮セザルナシ衆議院
ハ特ニ院議ヲ以テ深甚ナル感謝慶祝ノ誠
意ヲ披瀝シ併セテ將兵諸士ノ勇健ヲ祈ル
現地關係指揮官各位ニハ閣下ヨリ宜敷御
傳達ヲ乞フ
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=2
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003・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 尙ホ一言致シマス、
去ル一月二十九日本會議ニ於ケル本多市郞
君ノ質疑中、「此ノ戰爭ニ勝ツ爲ニ必要デア
リマシタナラバ」以下四十三字ノ言辭ハ、
同君ヨリ之ヲ取消シタキ旨議長マデ申出ガ
アリマシタ、議長ニ於テハ議會ノ權〓ノ爲
メ、本多君ニ對シ、將來斯ノ如キコトナキ
ヤウ十分ニ注意ヲ致シマシタ所、同君ニ於
テモ之ヲ諒承セラレマシタ、仍テ其ノ部分
ヲ取消スコトト致シ、之ヲ速記錄ヨリ削除
致シマス-日程第一乃至第三ハ便宜上一
括議題トナスニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=3
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004・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第一、戰時行政特例法案、日
程第二、許可認可等臨時措置法案、日程第
三、〓育基金特別會計法外二十三法律ノ廢
止ニ關スル法律案、右三案ヲ一括シテ第一
讀會ヲ開キマス-東條內閣總理大臣
第戰時行政特例法案(政府提出)
第一讀會
第二許可認可等臨時措置法案(政府
提出)第一讀會
第三〓育基金特別會計法外一一十三法
律ノ廢止ニ關スル法律案(政府提出)
第一讀會
戰時行政特例法案
戰時行政特例法
大東亞戰爭ニ際シ生產力擴充其ノ他綜合
國力ノ擴充運用ノ爲特ニ必要アルトキハ勅
令ノ定ムル所ニ依リ左ニ揭グル措置ヲ爲
スコトヲ得
ー法律ニ依ル人又ハ法人ノ行爲ニ對ス
ル禁止又ハ制限ノ全部又ハ一部ヲ解除
スルコト
二法律ニ依リ監督又ハ命令、處分其ノ
他ノ行爲ヲ爲ス甲ノ行政廳又ハ官吏ノ
職權ヲ乙ノ行政廳又ハ官吏ヲシテ行ハ
シムルコト
前項第二號ノ場合ニ於テハ甲ノ行政廳又
ハ官吏ノ職權ニ係ル罰則ノ適用ニ付テハ
乙ノ行政廳又ハ官吏ハ之ヲ甲ノ行政廳又
ハ官吏ト看做ス
前項ニ定ムルモノノ外第一項ノ規定實施
ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
許可認可等臨時措置法案
許可認可等臨時措置法
大東亞戰爭ニ際シ行政簡素化ノ爲必要ア
ルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ法律ニ依
リ許可、認可、免許、特許、承認、檢査、
協議、屆出、報〓等ヲ要スル事項ニ付左
ニ揭グル措置ヲ爲スコトヲ得
-許可、認可、免許、特許、承認、檢
査協議、屆出、報〓等ヲ要セザルコ
トトスルコト
二許可、認可、免許、特許、承認、檢
査協議等ヲ要セズ屆出、報告等ヲ以
テ足ルモノトスルコト
三許可、認可、免許、特許、承認、檢
査等ノ申請アリ又ハ協議アリタルトキ
一定期間ノ經過ニ依リ許可、認可、免
許、特許、承認、檢査等アリ又ハ協議
調ヒタルモノト看做スコト
四甲法令ニ依ル許可、認可、免許、特
許承認、檢査、協議、屆出、報〓等
アリタルトキ乙法律ニ依ル許可、認
可、免許、特許、承認、檢査、協議、屆
出、報告等アリタルモノト看做スコト
五許可、認可、免許、特許、承認、檢
査等ヲ爲シ又ハ屆出、報〓等ヲ受クル
甲ノ行政廳又ハ官吏ノ職權ヲ乙ノ行政
廳又ハ官吏ヲシテ行ハシムルコト
六前各號ニ揭グルモノノ外手續又ハ處
理ノ簡㨗化ノ爲ノ必要ナル措置
前項第五號ノ場合ニ於テハ甲ノ行政廳又
ハ官吏ノ職權ニ係ル罰則ノ適用ニ付テハ
乙ノ行政廳又ハ官吏ハ之ヲ甲ノ行政廳又
ハ官吏ト看做ス
前項ニ定ムルモノノ外第一項ノ規定實施
ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〓育基金特別會計法外二十三法律ノ廢
止ニ關スル法律案
第一條左ノ法律ハ之ヲ廢止ス但シ昭和
十七年度分ニ付テハ仍其ノ效力ヲ有ス
〓育基金特別會計法
〓育改善及農村振興基金特別會計法
職員健康保險特別會計法
對支文化事業特別會計法
昭和十年法律第五號
昭和十三年法律第九號
第二條左ノ法律ハ之ヲ廢止ス
昭和十一年法律第三十七號
昭和二年法律第四十一號
明治三十八年法律第三十五號
土地賃貸價格調査法
土地賃貸價格調査委員會法
土地賃貸價格改訂法
明治二十八年法律第二十二號
明治三十四年法律第三十九號
昭和二年法律第五十六號
農工銀行補助法
絲價安定融資補償法
絲價安定融資擔保生絲買收法
絲價安定融資損失善後處理法
輸出資金及輸出品製造資金融通損失
補償法
明治三十二年法律第五十三號
大正五年法律第十六號
航路統制法
東北振興電力株式會社法
附則
第三條本法中第一條及第四條乃至第六
條ノ規定ハ昭和十八年四月一日ヨリ之
ヲ施行シ其ノ他ノ規定ハ公布ノ日ヨリ
之ヲ施行ス
第四條〓育基金特別會計ニ屬スル基
金〓育改善及農村振興基金特別會計
ニ屬スル基金竝ニ對支文化事業特別會
計ニ屬スル資金及權利義務ハ之ヲ一般
會計ニ歸屬セシム
昭和十七年度對支文化事業特別會計歲
出豫算ニ於ケル事業費ノ支出殘額ハ之
ヲ一般會計ニ繰越シ使用スルコトヲ得
第五條職員健康保險特別會計ニ屬スル
積立金ハ之ヲ健康保險時別會計ニ歸屬
セシム
職員健康保險特別會計ニ屬スル收入及
支出ノ未濟額ハ之ヲ健康保險特別會計
ノ收入及支出ノ未濟額トス
第六條健康保險特別會計法中左ノ通改
正ス
第三條ヲ削リ第四條ヲ第三條トシ第五
條ヲ第四條トス
第六條中「大藏省預金部ニ之ヲ預入ル
ルコトヲ得」ヲ「之ヲ大藏省預金部ニ預
入ルベシ」ニ改メ同條ヲ第五條トス
第七條ヲ第六條トス
第七條本會計ノ積立金ハ國債ヲ以テ
保有シ又ハ大藏省預金部ニ預入レ之
ヲ運用スルコトヲ得
第九條中「收入支出及積立金ノ運用ニ
關スル規定」ヲ「收入支出ニ關スル規
程」ニ改ム
第七條第二條ノ規定施行前ニ輸出資金
及輸出品製造資金融通損失補償法第一
條ノ契約ニ基キ銀行(商工組合中央金
庫ヲ含ム)ガ融通シタル資金ニ關シテ
ハ舊法ハ第二條ノ規定施行後ト雖モ仍
其ノ效力ヲ有ス
第八條第二條ノ規定施行前ニ爲シタル
行爲ニ關スル罰則ノ適用ニ付テハ舊法
ハ同條ノ規定施行後ト雖モ仍其ノ效力
ヲ有ス
〔國務大臣東條英機君登壇〓発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=4
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005・東條英機
○國務大臣(東條英機君) 只今議題トナリ
マシタル戰時行政特例法案及ビ許可認可等
臨時措置法案ニ付キマシテ提案ノ理由ヲ御
說明致シマス、先ヅ戰時行政特例法案ニ付
キマシテ、御說明申上ゲマス
今ヤ戰局ハ正ニ重大デアリマス、帝國ガ
能ク此ノ重大局面ヲ突破致シマシテ、此ノ
戰ヒヲ戰ヒ拔キ、勝チ拔キ、以テ聖戦ノ目
的ヲ達成致シマスル爲ニハ、國家總力ヲ高
度ニ結集シ、一面ニ於テ一億一心、盡忠報
國ノ精神ヲ彌ガ上ニモ昂揚致シマスルト共
ニ、他面ニ於キマシテハ、必要生產力ノ增
强ニ一層ノ努力ヲ致シ、而シテ以テ戰力增
强ニ驀進セネバナラヌト存ズルノデアリマ
ス
顧ミマスルニ支那事變以來、强化ノ一途
ヲ迪ツテ參リマシタル國民活動ニ對シマスル
統制的制限ハ、必ズシモ重複煩雜ノ弊ナシ
トハ言ヒ難イノデアリマシテ、是ガ爲ニ却
テ生產力ノ增强、其ノ他國家總力ノ發揮ガ
阻碍サレルノ結果ヲ招來シテ居ル場合モ少
クナイト存ズルノデアリマス、言フマデモ
ナク統制ニ依ル制限ノ目的ト致シマスル所
ハ、制限其ノモノニアラズシテ、眞ニ必要
ナル事項ニ國力ヲ集中シ、最大ノ效率ヲ擧
ゲントスルニアルノデアリマス、卽チ今日
ニ於キマシテハ、一方諸般ノ統制ノ强化ハ
必要ナルコトデアリマスルガ、他面戰爭遂行
ニ眞ニ必要ナル生產部門ニ對シマシテハ、
出來得ル限リ統制ノ畫一的制限ニ依ル障碍
ヲ排除致シマシテ、之ニ對シテ彈力アル指
導監督ヲ行ヒ、而シテ最高ノ能率ヲ發揮セ
シメ、以テ時局ノ要求ヲ充足スルノ要アリ
ト信ズルノデアリマス、尙又戰時ニ於キマ
シテ特別ノ事情ノ存シマスル場合ニ於キマ
シテハ、平時ナラバ其ノ禁止制限ガ必要ナリ
ト認メラレル所ノ事項ト雖モ、特例的措置
ト致シマシテ之ヲ行フコトヲ許容シ、或八
積極的ニ國家的要求トシテ之ヲ行ハシメ、
以テ國家總力ノ最高度發揮ニ遺憾ナキヲ期
スルノ要アリト信ズルノデアリマス
次ニ又行政事務ガ其ノ性質ニ從ヒ數箇
ノ行政廳ニ所管セラレ、隨テ其ノ指導監督
ガ複雜多岐トナリ、是ガ爲ニ生產事業、其
ノ他國民生活ニ障碍ヲ與ヘツツアル場合モ
少クナイト存ズルノデアリマス、隨ヒマシ
テ指導監督機構ヲ能フ限リ單一化ツ、一元
化シ、行政廳ノ指導監督ヲ簡素强力ナラシ
メマスルト共ニ、國家ノ要請スル所及ビ國
民ノ依據スベキ所ヲ簡明直截ナラシメ、以
テ國家總力發揮ニ萬全ヲ期スルノ要アリト
考ヘルモノデアリマス、仍テ政府ハ生產力
ノ飛躍的擴充强化、其ノ他各般ニ亙ル綜合
國力ノ擴充發揮ノ具體的要求ニ應ジマスル
爲ニ、戰時特例法案ヲ立案致シタ次第デア
リマス、卽チ本法案ノ骨子ハ勅令ヲ以チマ
シテ、一、法律ニ依ル人又ハ法人ノ行爲ニ對ス
ル禁止又ハ制限ノ全部又ハ一部ヲ解除シ、
二、法律ニ依リ監督又ハ命令、處分其ノ他ノ
行爲ヲ爲ス行政廳又ハ官吏ノ職權ヲ他ノ行
政廳又ハ官吏ヲシテ之ヲ行ハシムルコトヲ
得ルコトトナサントスルモノデアリマス、
尙ホ今囘政府ハ特ニ戰時行政職權特例ナル
勅令ノ御制定ヲ奏請致シマシテ、現時局下
絕對ニ必要ナル鐵鋼、石炭、輕金屬、船舶、
航空機等ノ重要軍需物資ノ生產增强ニ關シ
マシテ、内閣總理大臣ニ於テ各省大臣ニ對
シ必要ナル指示ヲナシ得ルノ途ヲ開キ、戰
時行政ノ强力ナル推進統一體制ヲ整備致シ
マスルト共ニ、時宜ニ應ジテ右生產ニ關係
アル各省、其ノ他行政官廳及ビ官吏ノ職權
ヲ調整シ、以テ指導監督ノ單純一元化ヲ圖
ルコトヲ期シテ居ル次第デアリマス
以上述ベマシタル如ク、本法案ハ許可認
可等臨時措置法案、及ビ先ニ申上ゲマシタ
ル戰時行政職權特例案ト相呼應致シマシ
テ、又他ノ行政上ノ措置ト相俟チマシテ、
現時局下各種法的制約ノ强化及ビ指導監督
機構ノ錯雜ヨリ來ル所ノ餘弊ヲ除去シ、
國民總員ノ進取潑刺タル自主的積極的活動
ヲ伸張セシメ、以テ生產力ノ飛躍的ノ擴充、
其ノ他戰力强化ニ資スル所大ナルモノガア
ルト信ズルノデアリマス
次ニ許可認可等臨時措置法案ニ付キマ
シテ御說明致シマス、政府ハ大東亞戰爭ノ
完遂、大東亞建設ノ完成ノ爲ニハ行政ノ簡
素强力化ヲ徹底的ニ斷行スルコトガ是非共
必要ト考ヘマシテ、曩ニ行政機構ノ改變及
ビ職員定員ノ減少ヲ實施致シマスルト共ニ、
行政事務其ノモノニ付キマシテモ、出來
得ル限リ簡素化ヲ圖ツテ參ツタノデアリ
マス、而シテ從來各種法制ニ基ク許可認可
等ヲ要スル事項ガ多數ニ上リ、且ツ重複併
存致シテ居ルコトハ、行政事務ヲ複雜煩瑣
ナラシメ、延イテハ或ハ生產力擴充ヲ阻碍
シ、或ハ國民生活ヲ窮屈ナラシメ、國民公私
ノ敏速潤達ナル活動ヲ妨グル結果ヲ齎シテ
居ル主ナル原因ノ一ツヲ成シテ居ルノデア
リマス、此ノ實情ニ鑑ミマシテ、政府ハ今
日マデ勅令以下ノ命令、又ハ行政的措置ニ
依リマシテ機會アル每ニ是ガ簡素化ヲ圖ツ
テ參ツタノデアリマスルガ、此ノ際更ニ之
ヲ全面的徹底的ニ整理スルヲ必要ト認メテ
居ルノデアリマス、是ガ爲ニハ法律ヲ要ス
ル事項モ少クナイト考へラレマスルノデ、
本法案ヲ提出シ、之ニ基キマシテ許可認可
等ヲ要シマスル事項ニ付テ、勅令ノ定ムル
所ニ依リ之ヲ整理シ、屆出等ヲ以テ許可認
可等ニ代ヘ、處分行政廳等ヲ變更シ、其ノ
他許可認可等ノ手續或ハ處理ノ簡捷化ヲナ
シ得ルノ途ヲ開カントシテ居ル次第デアリ
さく、何卒御審議ノ上速カニ御協賛ヲ與ヘ
ラレンコトヲ切望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=5
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006・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 森山法制局長官
〔政府委員森山銳一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=6
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007・森山鋭一
○政府委員(森山銳一君) 只今議題トナツ
テ居リマスル〓育基金特別會計法外二十三
法律ノ廢止ニ關スル法律案ニ付キマシテ、
提案ノ理由ヲ御說明申上ゲマス
近時法律ノ數ガ非常ニ多數ニ上ツテ參リ
マシテ、行政事務ノ處理モ勢ヒ複雜煩瑣ニ
ナツテ居ル次第デゴザイマスガ、是等多數
法律ノ中ニハ、或ハ時勢ノ變遷ニ伴ヒマシテ
制定當時ノ事情ニ變化ヲ來シ、旣ニ現在ニ
於テ其ノ存置ノ理由ノ比較的薄弱ニナツタ
ヤウナモノモアリ、或ハ又其ノ法律ニ依ツ
テ企圖セラレタ所ノ當初ノ目的ガ殆ド達成
セラレテ、最早之ヲ存續セシメテ置ク必要
ノ少クナツタモノモアリ、其ノ外各種事情
ノ變化ニ依リマシテ、現狀ノ下デハ其ノ存
置ノ理由ノ乏シクナツタ法律ガ、相當アル
ノデゴザイマシテ、是等ノ法律ヲ此ノ際整
理致シマスレバ、煩雜ナ行政ノ簡素化スル
ノニ役立ツコトト存ゼラルルノデアリマス、
仍テ此ノ趣旨ニ依リマシテ、政府ニ於キマ
シテハ、今囘現行法律中現下ノ狀況ニ鑑
ミマシテ、存置ノ理由乏シキモノト認メラ
レマス所ノ〓育基金特別會計法外二十三法
律ヲ廢止スルコトト致シマシテ、是ガ爲メ
必要ナル法律案ヲ提出致シタ次第デゴザイ
マス、何卒御審議ノ上速カニ御協賛ヲ與ヘラ
レンコトヲ希望スル次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=7
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008・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 各案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=8
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009・森下國雄
○森下國男君 日程第一乃至第三ノ三案ヲ
一括シテ議長指名四十五名ノ委員ニ付託セ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=9
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010・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 森下君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=10
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011・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
四乃至第六ハ便宜上一括議題トナスニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=11
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012・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第四、石油專賣法案、日程第
五、交易營團法案、日程第六、燃料局特別會
計法案、右三案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キ
マス-岸商工大臣
第四石油專賣法案(政府提出)
第一讀會
第五交易營團法案(政府提出)
第一讀會
第六燃料局特別會計法案(政府提出)
第一讀會
石油專賣法案
石油專賣法
第一條政府ハ石油ノ專賣權ヲ有ス
第二條本法ニ於テ石油トハ揮發油、燈
油輕油、機械油、重油、石油副製ロ叚
此等ノ類似品ニシテ勅令ヲ以テ定ムル
モノヲ謂フ
第三條石油ハ政府又ハ政府ノ命ヲ受ケ
タル者ニ非ザレバ之ヲ輸入シ若ハ移入
シ又ハ輸出シ若ハ移出スルコトヲ得ズ
第四條石油ノ製造ヲ爲サントスル者ハ
命令ノ定ムル所ニ依リ政府ニ屆出ヅベ
シ其ノ製造ヲ廢止セントスルトキ亦同
ジ
第五條前條ノ規定ニ依リ石油ノ製造ヲ
爲ス旨ノ屆出ヲ爲シタル者(以下石油
製造者ト稱ス)ノ製造シタル石油ハ〓
府之ヲ收納ス
第六條政府ハ收納スル石油ノ規格ヲ定
ムルコトヲ得
前項ノ規格ニ適合セザル石油ニ付テハ
政府ハ適當ナル處理ヲ爲スベキ旨ヲ命
ズルコトヲ得
第七條政府ハ收納シタル石油ニ對シ賠
償金ヲ交付ス
賠償價格ハ政府之ヲ定メ豫メ公示ス
第八條石油製造者ハ其ノ製造シタル石
油ヲ總テ政府ニ納付スベシ但シ命令ヲ
以テ定ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
政府ハ納付ノ期日及場所ヲ定ムルコト
ヲ得
第九條政府ハ其ノ賣渡ス石油ノ價格ヲ
定メ之ヲ公示スベシ
第十條輸出、移出其ノ他命令ヲ以テ定
ムル用途ニ供スル場合ニ於テハ政府ハ
前條ノ價格ニ拘ラズ特ニ定メタル價格
ヲ以テ石油ノ賣渡ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ前條ノ價格ヨリ低キ
價格ヲ以テ賣渡ス石油ニ付テハ政府ハ
買受人ヲシテ其ノ買受價額ト同條ノ規
定ニ依リ算出シタル金額トノ差額ノ全
部又ハ一部ニ相當スル擔保ヲ提供セシ
ムルコトヲ得
前項ノ擔保ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ
之ヲ定ム
第十一條前條第一項ノ規定ニ依リ買受
ケクル石油ハ之ヲ讓渡シ、質入シ又ハ
其ノ用途ヲ變更スルコトヲ得ズ但シ政
府ノ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在
ラズ
第十二條第十條第一項ノ規定ニ依リ第
九條ノ價格ヨリ低キ價格ヲ以テ石油ヲ
買受ケタル者之ヲ讓渡シ、質入シ又ハ
其ノ用途ヲ變更シ若ハ正當ノ事由ナク
シテ目的ノ用途ニ使用セザルトキハ命
令ノ定ムル所ニ依リ政府ハ買受人ヲシ
テ其ノ買受價額ト第九條ノ價格ニ依リ
算出シタル金額トノ差額ニ相當スル金
額ヲ納付セシム
買受人前項ノ金額ヲ納付セザル場合ニ
於テ第十條第二項ノ規定ニ依リ提供シ
タル擔保アルトキハ之ヲ以テ納付セ
シムベキ金額ニ充ツ但シ金錢以外ノ擔
保ハ之ヲ公賣ニ付シ公賣ノ費用及前項
ノ金額ニ充テ不足アルトキハ之ヲ徵收
シ殘金アルトキハ之ヲ還付ス
第十三條石油ハ政府又ハ政府ノ指定シ
タル賣捌人(以下石油賣捌人ト稱ス)ニ
非ザレバ之ヲ業トシテ賣渡スコトヲ得ズ
石油賣捌人及石油ノ賣渡ニ關スル規定
ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十四條石油賣捌人ハ政府ノ定ムル價
格ヲ超エテ石油ヲ賣渡スコトヲ得ズ
第十五條石油ハ政府ノ賣渡シタルモノ
ニ非ザレバ之ヲ所有シ、所持シ、讓渡
シ、質入シ又ハ消費スルコトヲ得ズ但
シ石油緩造者納付期日前若ハ正當ノ事
由ニ因リ納付ノ遲延シタル場合ニ於テ
所有若ハ所持シ又ハ第八條第一項但書
ノ場合ニ於テ所有シ、所持シ若ハ消費
スルハ此ノ限ニ在ラズ
第十六條石油製造者、石油賣捌人及第
十條第一項ノ規定ニ依リ石油ヲ買受ケ
タル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ石油ノ
製造、納付、賣渡又ハ使用ニ關スル事
實ヲ帳簿ニ記載スベシ
第十七條當該官吏ハ石油製造者、石油
賣捌人又ハ第十條第一項ノ規定ニ依リ
石油ヲ買受ケタル者ニ對シテ質間ヲ爲
シ又ハ左ニ揭グル物件ニ付檢査ヲ爲シ
若ハ監督上必要ノ處分ヲ爲スコトヲ得
-石油製造者、石油賣捌人又ハ第十
條第一項ノ規定ニ依リ石油ヲ買受ケ
タル者ノ所持スル石油
二石油ノ製造、納付、賣渡又ハ使用
ニ關スル一切ノ帳簿書類
三石油ノ製造、賣渡又ハ使用上必要
ナル建築物、機械、器具、容器、材
料其ノ他ノ物件
第十八條本法ニ依リ納付セシムベキ金
額ノ徵收ニ關シテハ國稅徵收法ヲ準用
ス
第十九條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
三年以下ノ懲役又ハ一萬圓以下ノ罰金
黑糖、大人
一第三條ノ規定ニ違反シ石油ノ輸入
若ハ移入又ハ輸出若ハ移出ヲ爲シタ
ル者
二第八條又ハ第三十二條ノ規定ニ違
反シ政府ニ納付スベキ石油ヲ讓渡
シ、消費シ又ハ隱匿シタル者
三第十一條ノ規定ニ違反シ石油ヲ讓
渡シ、質入シ又ハ其ノ用途ヲ變更シ
タル者
第二十條第十四條ノ規定ニ違反シ政府
ノ定ムル價格ヲ超エテ石油ヲ賣渡シタ
ル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五千圓以下
ノ罰金ニ處ス
第二十一條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ一年以下ノ懲役又ハ一一千圓以下ノ罰
金ニ處ス
一第十三條第一項ノ規定ニ違反シ石
油ヲ賣渡シタル者
二第十五條ノ規定ニ違反シ政府ノ賣
渡サザル石油ヲ所有シ、所持シ、讓
渡シ、質入シ又ハ消費シタル者
第二十二條前三條ノ罪ヲ犯シタル者ニ
ハ情狀ニ因リ懲役及罰金ヲ併科スルコ
トヲ得
第二十三條第四條ノ規定ニ違反シ屆出
ヲ爲サズシテ石油ノ製造ヲ爲シタル者
ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十四條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
一正當ノ事由ナクシテ第六條第二項
ノ規定ニ依リ政府ノ命令シタル處理
ヲ爲サザル者
二正當ノ事由ナクシテ政府ノ指定シ
タル納付期日ニ石油ヲ納付セザル者
三第十六條ノ規定ニ依ル帳簿ノ記載
ヲ爲サズ又ハ之ニ不正ノ記載ヲ爲シ
タル者
四第十七條ノ規定ニ依ル當該官吏ノ
質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ、〓僞ノ陳
述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒ミ、
妨ゲ若ハ忌避シタル者
第二十五條第十九條乃至第二十一條又
ハ第二十三條ノ罪ヲ犯シタル者アルト
キハ其ノ犯罪ニ係ル石油及其ノ容器ハ
之ヲ沒收ス其ノ石油又ハ容器ヲ沒收ス
ルコト能ハザルトキハ其ノ價額ヲ追徵
ス
第二十六條法人ノ代表者又ハ法人若ハ
人ノ代理人、使用人其ノ他ノ從業者其
ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第十九條乃
至第二十一條、第二十三條又ハ第二十
四條第一號乃至第三號ノ違反行爲ヲ爲
シタルトキハ行爲者ヲ罰スルノ外其ノ
法人又ハ人ニ對シ各本條ノ罰金刑ヲ科
ス
第二十七條間接國稅犯則者處分法ハ第
二十三條、第二十四條又ハ本法ニ基キ
テ發スル命令ニ依ル犯罪ニ之ヲ準用ス
間接國稅犯則者處分法中收稅官吏及稅
務署長ニ屬スル職務ヲ行フベキ官吏ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十八條石油製造者石油ノ製造ヲ廢
止スルモ製造場又ハ藏置場ニ石油ノ現
存スル間ハ仍本法ヲ適用ス
附則
第二十九條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第三十條本法施行ノ際現ニ石油ノ製造
ヲ爲ス者ハ本法施行後一月以内ニ命令
ノ定ムル所ニ依リ政府ニ屆出ヅベシ
前項ノ規定ニ依ル屆出ヲ爲シタル者ハ
之ヲ石油製造者ト看做ス同項ニ揭グ
ル者同項ノ規定ニ依ル屆出ヲ爲サザル
場合ト雖モ同項ノ期間內ニ於テハ亦同
ジ
第二十三條ノ規定ハ第一項ノ期間內同
項ニ揭グル者ニ之ヲ適用セズ
第三十一條本法施行ノ際現ニ業トシテ
石油ノ賣渡ヲ爲ス者ニシテ本法施行
後其ノ賣渡ヲ繼續セントスルモノハ本
法施行ノ日ヨリ二月以內ニ石油賣捌人
ノ指定ヲ受クベシ
前項ノ規定ニ依リ指定ヲ受ケタル者ハ
之ヲ石油賣捌人ト看做ス同項ニ揭グル
者同項ノ規定ニ依ル指定ヲ受ケザル場
合ト雖モ同項ノ期間內ニ於テハ亦同ジ
第三十二條石油製造者ガ本法施行ノ際
現ニ所有スル石油ハ之ヲ政府ニ納付ス
ベシ但シ命令ヲ以テ定ムル場合ハ此ノ
限ニ在ラズ
第七條ノ規定ヘ前項ノ規定ニ依リ政府
ニ納付スル石油ニ之ヲ準用ス
第三十三條石油製造者以外ノ者ガ本法
施行ノ際現ニ所有スル石油ニ付テハ第
十五條ノ規定ヲ適用セズ
前條第一項但書ノ場合ニ於テ所有シ、
所持シ又ハ消費スル石油ニ付亦同ジ
第三十四條揮發油及アルコール混用法
ハ之ヲ廢止ス但シ本法施行前ニ爲シタ
ル行爲ニ關スル罰則ノ適用ニ付テハ本
法施行後ト雖モ仍其ノ效力ヲ有ス
第三十五條揮發油稅法ハ之ヲ廢止ス但
シ左ニ揭グル揮發油ニ付テハ仍同法ニ
依ル
本法施行前ニ揮發油稅ヲ課シ又ハ
課スベカリシモノ
二揮發油稅法第七條ノ規定ニ依リ本
法施行前ニ製造場又ハ保稅地域ヨリ
引取リタルモノ
三本法施行前ニ外國輸出又ハ朝鮮移
出ノ目的ヲ以テ製造場又ハ保稅地域
ヨリ引取リタルモノ
第三十六條石油業法中左ノ通改正ス但
シ本法施行前ニ爲シタル行爲ニ關スル罰
則ノ適用ニ付テハ仍從前ノ規定ニ依ル
「石油輸入業」ヲ「原油輸入業」ニ、「石油
輸入業者」ヲ「原油輸入業者」ニ改ム
第四條第一項中「石油ノ輸入」ヲ「原油
ノ輸入」ニ、「精製ニ必要ナル石油」ヲ
「精製ニ必要ナル原油」ニ改メ同條第二
項ヲ削ル
第五條中「石油ヲ」ヲ「原油ヲ」ニ改ム
第六條中「所有スル石油」ヲ「所有スル
原油」ニ改ム
第七條第一項中「石油ノ販賣價格」ヲ
「原油ノ販賣價格」ニ改ム
第三十七條人造石油製造事業法中左ノ
通改正ス但シ本法施行前ニ爲シタル行
爲ニ關スル罰則ノ適用ニ付テハ仍從前
ノ規定ニ依ル
第九條削除
第十六條第一項ヲ削ル
第十八條削除
第二十二條人造石油製造會社第十六
條又ハ第十七條ノ規定ニ依ル命令ニ
違反シタルトキハ其ノ取締役又ハ其
ノ職務ヲ行フ監査役ヲ三千圓以下ノ
罰金ニ處ス
交易營團法案
交易營團法
第一章總則
第一條交易營團ハ戰時ニ際シ國家經濟
總力ノ增强ヲ圖ル爲交易ノ統制運營ヲ
爲スト共ニ重要物資ノ貯藏ヲ確保及增
强シ竝ニ貯藏重要物資ノ利用ヲ有效且
適切ナラシムルコトヲ目的トス
交易營團ハ法人トス
本法ノ重要物資ノ範圍ハ命令ヲ以テ之
ヲ定ム
第二條交易營團ハ主タル事務所ヲ東京
市ニ置ク
交易營團ハ政府ノ認可ヲ受ケ必要ノ地
ニ從タル事務所ヲ設置スルコトヲ得
第三條交易營團ノ資本金ハ三億圓トシ
之ヲ三百萬口ニ分チ一口ノ出資金額ヲ
百圓トス但シ資本金ハ政府ノ認可ヲ受
ケ之ヲ增加スルコトヲ得
第四條交易營團ハ出資ニ對シ出資證劵
ヲ發行ス
前項ノ出資證劵ニ關シ必要ナル事項ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條政府ハ二億五千萬圓ヲ交易營團
ニ出資スベシ
前項ノ出資ハ國債證劵ヲ交付シテ之ヲ
爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル國債證劵ノ
交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣之
ヲ定ム
政府ノ引受ケタル出資ノ出資金拂込ハ
其ノ他ノ出資ノ出資金拂込ト之ヲ異ニ
スルコトヲ得
第六條交易營團ハ定款ヲ以テ出資者ノ
資格ヲ制限スルコトヲ得
第七條交易營團ノ出資者ノ責任ハ其ノ
出資額ヲ限度トス
出資者ハ交易營團ニ拂込ムベキ出資額
ニ付相殺ヲ以テ之ニ對抗スルコトヲ得
ズ
第八條出資者ハ交易營團ノ承認ヲ經テ
其ノ持分ヲ讓渡スコトヲ得
第九條拂込ヲ怠リタル出資者ニ對シ交
易營團ガ一月以上ノ相當ノ期間ヲ定メ
拂込ノ請求ヲ爲シタルニ拘ラズ出資者
ガ拂込ヲ爲サザルトキハ交易營團ハ政
府ノ認可ヲ受ケ其ノ出資者ノ持分ヲ處
分スルコトヲ得
交易營團ハ持分ノ處分ニ依リテ得タル
金額ヨリ滯納金額及定款ヲ以テ定ムル
違約金ノ額ヲ控除シタル金額ヲ從前ノ
出資者ニ拂戾スコトヲ要ス
持分ノ處分ニ依リテ得タル金額ガ滯納
金額ニ滿タザル場合ニ於テハ交易營團
ハ從前ノ出資者ニ對シ不足額ノ辨濟ヲ
請求スルコトヲ得
前三項ノ規定ハ交易營團ガ損害賠償及
定款ヲ以テ定ムル違約金ノ請求ヲ爲ス
コトヲ妨ゲズ
出資者ガ第一項ノ期間內ニ拂込ヲ爲サ
ザルトキハ交易營團ハ其ノ出資者ニ對
シ二週間以内ニ出資證劵ヲ交易營團ニ
提出スベキ旨ヲ通知スルコトヲ要ス此
ノ場合ニ於テ提出ナキ出資證劵ハ其ノ
效力ヲ失フ
前項ノ場合ニ於テハ交易營團ハ遲滯ナ
ク失效シタル出資證劵ノ番號竝ニ其ノ
出資者ノ氏名及住所ヲ公告スルコトラ
要ス
第十條交易營團ハ定款ラ以テ左ノ事項
ヲ規定スベシ
-目的
二名稱
三事務所ノ所在地
四資本金額、出資及資產ニ關スル事
項
五役員ニ關スル事項
六業務及其ノ執行ニ關スル事項
七會計ニ關スル事項
八公〓ノ方法
定款ハ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ變更スル
コトヲ得
第十一條交易營團ハ勅令ノ定ムル所ニ
依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登
記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對
抗スルコトヲ得ズ
第十二條交易營團ニハ營業稅ヲ課セズ
第十三條交易營團ニ付解散ヲ必要トス
ル事由發生シタル場合ニ於テ其ノ處置
ニ關シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第十四條交易營團ニ非ザル者ハ交易營
團又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用フルコト
ヲ図チ
第十五條民法第四十四條、第五十條、
第五十四條及第五十七條竝ニ非訟事件
手續法第三十五條第一項ノ規定ハ交易
營團ニ之ヲ準用ス
第二章職員
第十六條交易營團ニ役員トシテ總裁一
人副總裁二人、理事五人以上、監事
三人以上及評議員若干人ヲ置ク
總裁ハ交易營團ヲ代表シ其ノ業務ヲ總
理ス
副總裁ハ定款ノ定ムル所ニ依リ交易營
團ヲ代表シ總裁ヲ輔佐シテ交易營團ノ
業務ヲ掌理シ總裁事故アルトキハ其ノ
職務ヲ代理シ總裁缺員ノトキハ其ノ職
務ヲ行フ
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ交易營團
ヲ代表シ總裁及副總裁ヲ輔佐シテ交易
營團ノ業務ヲ掌理シ總裁及副總裁共ニ
事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ總裁
及副總裁共ニ缺員ノトキハ其ノ職務ヲ
行フ
監事ハ交易營團ノ業務ヲ監査ス
評議員ハ交易營團ノ業務ニ關スル重要
事項ニ付總裁ノ諮問ニ應ジ又ハ總裁ニ
對シ意見ヲ述ブルコトヲ得
第十七條總裁、副總裁、理事、監事及
評議員ハ政府之ヲ命ズ
總裁、副總裁及理事ノ任期ハ三年、監
事及評議員ノ任期ハ二年トス
第十八條總裁、副總裁及理事ハ定款ノ
定ムル所ニ依リ從タル事務所ノ業務ニ
關シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行爲ヲ
爲ス權限ヲ有スル代理人ヲ選任スルコ
トヲ得
第十九條總裁、副總裁及理事ハ他ノ職
業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ政府ノ認
可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二十條交易營團ノ役員其ノ他ノ職員
ハ之ヲ法令ニ依リ公務ニ從事スル職員
ト看做ス
第三章業務
第二十一條交易營團ハ左ノ業務ヲ行フ
-物資ノ輸出及輸入竝ニ之ニ伴フ當
該物資ノ買入及賣渡
二重要物資ノ保有、買入及賣渡
三前二號ノ業務ニ附帶スル業務
交易營團ハ政府ノ認可ヲ受ケ前項ノ業
務ノ外交易營團ノ目的達成上必要ナル
業務ヲ行フコトヲ得
第一項第一號ノ輸出及輸入ノ業務ノ範
圍ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之
ヲルチ
交易營團ハ第一項第一號及第二號ノ業
務ニ付テハ政府ノ定ムル計畫ニ依リテ
之ヲ行フベシ
第二十二條交易營團ハ命令ノ定ムル所
ニ依リ政府ノ認可ヲ受ケ契約ニ依リ法
人其ノ他ノ團體ヲシテ前條第一項ノ業
務ノ一部ヲ取扱ハシムルコトヲ得
前條第四項ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ
法人其ノ他ノ團體ガ同條第一項ノ業務
ヲ取扱フ場合ニ之ヲ準用ス
第一項ノ規定ニ依リ同項ノ法人其ノ他
ノ團體ガ同項ノ業務ヲ行フ場合ニ於テ
ハ同項ノ法人其ノ他ノ團體ノ役員又ハ
使用人ニシテ同項ノ業務ニ從事スルモ
ノハ之ヲ交易營團ノ當該業務ニ從事ス
ル職員ト看做ス
第二十三條交易營團ハ命令ノ定ムル所
ニ依リ政府ノ認可ヲ受ケ物資ノ生產、
輸出、輸入、販賣又ハ保管ヲ業トスル
者ヲシテ交易營團ノ所有スル重要物資
ノ保管ヲ爲サシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ保管ニ要シタル費用
ハ交易營團ノ負擔トス
第二十四條交易營團必要アリト認ムル
トキハ輸出若ハ輸入ヲ業トスル者又ハ
業務ニ關シ重要物資ヲ所有若ハ保管ス
ル者ニ對シ其ノ輸出若ハ輸入ノ狀況又
ハ所有若ハ保管ノ狀況ニ關シ報〓ヲ爲
サシムルコトヲ得
交易營團必要アリト認ムルトキハ政府
ノ認可ヲ受ケ職員ヲシテ前項ニ揭グル
者ノ業務ニ關スル帳簿書類其ノ他ノ物
件ヲ檢査セシムルコトヲ得
交易營團前項ノ規定ニ依リ職員ヲシテ
檢査セシムル場合ニ於テハ同項ノ規定
ニ依ル認可アリタルコトヲ證スル書面
及其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベ
シ
第四章會計
第二十五條交易營團ノ事業年度ハ每年
四月ヨリ翌年三月迄トス
第二十六條交易營團ハ設立ノ時及每事
業年度ノ初ニ於テ財產目錄、貸借對照
表及損益計算書ヲ作成シ定款ト共ニ之
ヲ各事務所ニ備置クコトヲ要ス
第五章監督及補助
第二十七條交易營團ハ政府之ヲ監督ス
第二十八條交易營團ハ業務開始ノ際業
務ノ方法ヲ定メ政府ノ認可ヲ受クベシ
之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
第二十九條交易營團借入金ヲ爲サント
スルトキハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第三十條交易營團剩餘金ノ處分ヲ爲サ
ントスルトキハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第三十一條交易營國ハ命令ノ定ムル所
ニ依リ剩餘金中ヨリ準備金ノ積立ヲ爲
スペシ
第三十二條交易營團ノ每事業年度ニ於
ケル配當シ得ベキ剩餘金額ガ政府以外
ノ出資者ノ拂込出資金額ニ對シ年百分ノ
四ノ割合ニ達セザルトキハ政府ハ之ニ
達セシムベキ金額ヲ補給スベシ但シ其
ノ額ハ政府以外ノ出資者ノ拂込出資金
額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ニ相當スル
額及第二十一條第一項第二號ノ業務ノ
爲借入レタル借入金ノ利息ニシテ當該
事業年度ニ於テ支拂ヒタル額ノ合計額
ヲ超ユルコトヲ得ズ
每事業年度ニ於ケル配當シ得ベキ剩餘
金額ガ政府以外ノ出資者ノ拂込出資金
額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過スル
トキハ其ノ超過額ハ先ヅ之ヲ前項ノ規
定ニ依ル補給金ノ償還ニ充ツベシ
前條ノ準備金中損失ノ塡補又ハ配當準
備ノ爲積立テタル金額ハ後事業年度ニ
於ケル第一項ノ規定ニ依ル補給金ノ計
算ニ付テハ之ヲ配當シ得ベキ剩餘金ト
看做ス
第三十三條交易營團ハ每事業年度ニ於
ケル配當シ得ベキ剩餘金額(前條第二
項ノ規定ニ依リ償還ニ充ツベキ金額ア
ルトキハ之ヲ控除シタル殘額トス以下
同ジ)ガ政府以外ノ出資者ノ拂込出資
金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過セ
ザルトキハ政府ノ出資ニ對シ剩餘金ノ
配當ヲ爲スコトヲ要セズ
交易營團ハ每事業年度ニ於ケル配當シ
得ベキ剩餘金額ガ拂込出資金額ニ對シ
年百分ノ四ノ割合ニ達セザル場合ニ於
テ政府以外ノ出資者ノ拂込出資金額ニ
對シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過スルトキ
ハ其ノ超過金額ヲ政府ニ配當スベシ
第三十四條交易營團ガ第三十二條第一
項ノ規定ニ依リ受クル補給金ハ法人稅
法ニ依ル所得及臨時利得稅法ニ依ル利
益ノ計算上之ヲ益金ニ算入セズ
第三十五條政府ハ交易營團ニ對シ第二
十一條第一項第一號ノ輸出及輸入ニ伴
フ價格差損ヲ補償スル爲價格差損補償
金ヲ交付スルノ契約ヲ爲スコトヲ得
前項ノ契約ハ之ニ基キ交付スベキ價格
差損補償金ノ總額ガ帝國議會ノ協贊ヲ
經タル金額ヲ超エザル範圍內ニ於テ之
ヲ爲スコトヲ要ス
第一項ノ價格差損ヲ決定スル基準ハ政
府之ヲ定ム
第三十六條政府ハ交易營團ニ對シ業務
及財產ノ狀況ニ關シ報告ヲ爲サシメ、
檢査ヲ爲シ其ノ他監督上必要ナル命令
ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第三十七條政府ハ交易營團ノ役員ノ行
爲ガ法令、定款又ハ政府ノ命令ニ違反
シタルトキ、公益ヲ害シタルトキ其ノ
他交易營圍ノ業務運營上役員ヲ不適當
ナリト認ムルトキハ之ヲ解任スルコト
ヲ得
第六章罰則
第三十八條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
ー正當ノ事由ナクシテ第二十三條第
一項ノ規定ニ依ル保管ヲ爲サザル者
二第二十四條第一項ノ規定ニ依ル報
〓ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ報告ヲ爲シタ
ル者
三第二十四條第二項ノ規定ニ依ル檢
査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
第三十九條人又ハ法人ノ代理人、戶主、
家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其
ノ人又ハ法人ノ業務ニ關シ前條第一號
又ハ第二號ノ違反行爲ヲ爲シタルトキ
ハ其ノ人又ハ法人ハ自己ノ指揮ニ出デ
ザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコト
乙四、
第四十條第三十八條第一號及第二號ノ
罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、
取締役其ノ他法人ノ業務ヲ執行スル役
員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキ
ハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營
業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル
未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第四十一條左ノ場合ニ於テハ交易營團
ノ總裁、副總裁、理事又ハ監事ヲ千圓
以下ノ過料ニ處ス
一本法ニ依リ政府ノ認可ヲ受クベキ
場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二本法ニ規定セザル業務ヲ營ミタル
トキ
三第二十一條第四項ノ規定ニ違反シ
政府ノ定ムル計畫ニ依ラズシテ業務
ヲ行ヒタルトキ
四政府ノ監督上ノ命令又ハ處分ニ違
反シタルトキ
第四十二條第二十二條第一項ノ規定ニ
依リ交易營團ノ業務ノ一部ヲ取扱フ法
人其ノ他ノ團體同條第二項ノ規定ニ違
反シ政府ノ定ムル計畫ニ依ラズシテ業
務ヲ取扱ヒタルトキハ當該法人其ノ他
ノ團體ノ役員ヲ千圓以下ノ過料ニ處ス
第四十三條左ノ場合ニ於テハ交易營團
ノ總裁、副總裁、理事又ハ監事ヲ五百
圓以下ノ過料ニ處ス
一第九條第六項ノ規定ニ違反シ公告
ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ不正ノ公〓ヲ
爲シタルトキ
二本法又ハ本法ニ基キテ發スル勅令
ニ違反シ登記ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ
不正ノ登記ヲ爲シタルトキ
三第二十六條ノ規定ニ違反シ書類ヲ
備置カザルトキ又ハ其ノ書類ニ記載
スベキ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記
載ヲ爲シタルトキ
第四十四條第十四條ノ規定ニ違反シ交
易營團又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用ヒタ
ル者ハ五百圓以下ノ過料ニ處ス
附則
第四十五條本法施行ノ期日ハ各規定ニ
付勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十六條重要物資管理營團法ハ之ヲ
廢止ス但シ本法施行前從前ノ罰則ヲ適
用スベカリシ行爲ニ付テハ仍從前ノ規
定ニ依ル
第四十七條政府ハ設立委員ヲ命ジ交易
營團ノ設立ニ關スル事務ヲ處理セシム
第四十八條設立委員ハ定款ヲ作成シ政
府ノ認可ヲ受クベシ
第四十九條前條ノ認可アリタルトキハ
設立委員ハ遲滯ナク二億三千萬圓ノ出
資ノ引受ヲ政府ニ禀請シ且總出資ヨリ
重要物資管理營團ノ出資ニ引當ツベキ
出資及政府ニ割當ツベキ出資ヲ控除シ
タル殘餘ノ出資ニ付出資者ヲ募集スベ
シ
第五十條設立委員ハ前條ノ募集ヲ終リ
タルトキハ出資申込書ヲ政府ニ提出シ
設立ノ認可ヲ申請スベシ
前項ノ認可ヲ受ケタルトキハ設立委員
ハ遲滯ナク重要物資管理營團ノ出資ニ
引當ツベキ出資以外ノ出資ニ付第一囘
ノ拂込ヲ爲サシムルコトヲ要ス
第五十一條前條第二項ノ拂込完了シタ
ルトキハ設立委員ハ遲滯ナク其ノ事務
ヲ交易營團總裁ニ引繼グベシ
總裁前項ノ事務ノ引繼ヲ受ケタルトキ
ハ總裁、副總裁、理事及監事ノ全員ハ
設立ノ登記ヲ爲スベシ
交易營團ハ設立ノ登記ヲ爲スニ因リテ
成立ス
第五十二條交易營團ノ成立ニ依リ重要
物資管理營團ハ之ニ吸收セラルルモノ
トシ重要物資管理營團ノ權利義務ハ交
易營團ニ於デ之ヲ承繼ス
第五十三條本法ニ規定スルモノノ外交
易營團ノ設立ニ關シ必要ナル事項ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十四條登錄稅法中左ノ通改正ス
第十九條第七號中「重要物資管理營團」
ヲ「交易營團」ニ、「重要物資管理營團
法」ヲ「交易營團法」ニ改ム
第五十五條印紙稅法中左ノ通改正ス
第五條第六號ノ六ヲ左ノ如ク改ム
六ノ六交易營團ノ發スル出資證劵
燃料局特別會計法案
燃料局特別會計法
第一條燃料局ニ於テアルコール及石油
ノ專賣事業ヲ經營スル爲固定資本及据
置運轉資本ヲ置キ事業上ノ收入及附屬
雜收入ヲ以テ其ノ歲入トシ事業上ノ諸
費用ヲ以テ其ノ歲出トシ特別會計ヲ設
置ス
第二條燃料局固定資本ハ從來燃料局酒
精部ニ於テ使用シ竝ニ將來アルコール
及石油ノ專賣事業ヲ經營スル爲增加ス
ル所ノ土地、建物、工作物、船舶、機
械重要ナル器具及永遠保存品ヲ以テ
之ニ充ツ
燃料局据置運轉資本ハ昭和十七年度末
現在ノ燃料局酒精部据置運轉資本ヲ以
テ之ニ充テ尙必要ニ應ジ一般會計ヨリ
漸次繰入シテ五千萬圓トス
第三條本會計ノ据置運轉資本ニ不足ヲ
生ジタルトキハ大藏大臣ハ借入金ヲ爲
シ一時之ヲ補足スルコトヲ得但シ其ノ
金額ハ六千萬圓ヲ超過スルコトヲ得ズ
前項ノ借入金ハ遲クトモ翌年度ニ於テ
之ヲ償還スベシ
大藏大臣ハ第一項ノ借入金ニ代ヘ當該
年度內ニ限リ國庫餘裕金ヲ繰替使用ス
ルコトヲ得
第四條本會計ノ歲出額ハ其ノ實際ノ歲
入及据置運轉資本ノ合計額ヲ超過スル
コトヲ得ズ
第五條固定資本ノ維持、修理及補充ハ
本會計ノ歲入ヲ以テ之ヲ支辨スベシ
第六條本會計ニ於ケル事業ノ益金及固
定資本ニ屬スル物件ノ賣拂代金ハ之ヲ
一般會計ノ歲入ニ繰入ルベシ
第七條政府ハ每年本會計ノ歲入歲出豫
算ヲ調製シ歲入歲出ノ總豫算ト共ニ之
ヲ帝國議會ニ提出スベシ
第八條本會計ノ收入支出ニ關スル規程
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
第九條本法ハ昭和十八年度ヨリ之ヲ施
行ス但シ燃料局酒精部特別會計ニ關シ
テハ昭和十七年度分ニ限リ第十三條及
第十四條ノ規定ニ拘ラズ仍從前ノ例ニ
依ル
第十條燃料局ニ於テ爲スブタノール及
アセトンノ製造ニ關スル事業ハ本法ノ
適用ニ關シテハ之ヲアルコール及石油
ノ專賣事業ト看做ス
第十一條昭和十七年度ニ於テ燃料局酒
精部特別會計ニ於テ賣拂ヒタルアルコー
ルノ代價ノ內翌年度納付ノ許可アリタ
ルモノハ之ヲ本會計ニ於テ其ノ歲入ニ
受入ルベシ
第十二條燃料局酒精部特別會計ニ屬ス
ル收入及支出ノ未濟額ハ之ヲ本會計ノ
收入及支出ノ未濟額トス
昭和十七年度燃料局酒精部特別會計ノ
歲出豫算中翌年度ニ繰越ヲ要スルモノ
ハ之ヲ本會計ニ繰越シ使用スルコトヲ
得
第十三條作業會計法中左ノ通改正ス
第一條中「第五燃料局酒精部」ヲ削ル
第二條第六項ヲ削ル
第十四條昭和十七年法律第二十號附則
第四項乃至第七項ヲ削ル
〔國務大臣岸信介君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=12
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013・岸信介
○國務大臣(岸信介君) 只今議題ト相成リ
マシタ石油專賣法案外二件ノ提案理由ヲ御
說明致シマス
先ヅ第一ニ石油專賣法案デアリマスガ、
曩ニ支那事變勃發以來石油ノ需給調整ヲ圖
リマス爲メ、石油ノ配給〓權ニ關シテ、根
本的ノ整備ヲ加ヘマスルト共ニ、石油ノ配
給統制乃至消費規正等ヲ一段ト强化致シ、
〓ネ今日マデノ戰時經濟ノ運行ニ對處致シ
テ參ツタ次〓デアリマスガ、大東亞戰爭勃
發以來、戰局ト共ニ石油需給ハ頓ミニ緊要ノ
度ヲ加へ、石油ノ確保ト是ガ徹底的ノ高度
重點配給トガ、時局下益、必要トナツテ來タ
ノデアリマス、從來ノ石油配給制ニ於キマ
シテハ、政府ハ石油ノ現物ハ擧ゲテ之ヲ民
間機關ニ委ネ、唯之ニ對シ配給上ノ指示監
督等ヲナシ居リマシタ關係ニ止マリ、其ノ
爲メ配給ヲ指示致シマスル主體ト、現物ヲ
所持シ之ヲ實際ニ配給致シマスル主體トガ、
二元的ニ分レテ居リマスコトヨリ生ジマス
ル不都合ガ痛感セラレテ參ツタ次第デアリ
マシ、是ニ於キマシテ石油ノ重點配給ヲ行
ヒマスルガ爲ニハ、政府自カラ石油ノ現物
ヲ把握致シ、自ラ其ノ配分ノ衝ニ當ルコト
ヲ必要ト認メマシテ、玆ニ今次戰爭ニ對處
スル戰時中ノ臨時措置トシテ、石油ノ專賣
制ヲ創設スルコトトナリ、本案ヲ提出致シ
タ次第デアリマス
次ニ交易營團法案ノ提案理由ヲ御說明致
シマス、現下ノ決戰段階ニ於キマシテハ
切ノ施策ヲ綜合戰力增强ノ爲ニ集中動員セ
ネバナラヌコトハ申スマデモナイ所デアリ
マシテ、我ガ國現下ノ交易政策モ亦此ノ線
ニ沿ヒ强力ニ推進セラレネバナラナイノデア
リマス、隨テ我ガ國現下ノ交易政策ノ基調
ト致シマシテハ、物資動員計畫ノ一翼ヲナ
ス交易計畫ヲ、其ノ計畫通リ迅速的確ニ遂
行スルコトニアルノデアリマス、然ルニ此
ノ交易ノ實施ニ付キマシテハ、各地域ノ物
價ノ相違、其ノ他諸種ノ障碍ガ橫タハツテ
居ルノデアリマシテ、此ノ諸障碍ヲ調整ス
ルト共ニ、財政的負擔ヲ極力輕減シツツ、
計畫交易ヲ强力ニ遂行セネバナラナイノデ
アリマス、而シテ是ガ爲ニハ各地域ニ亙リ、
各輸出及ビ輸入物資ヲ有機的且ツ一元的ニ
操作スルコトガ、絕對緊要ト認メラレルノ
デアリマス、併シナガラ現在ノ多元的交易
統制機構及ビ間接的統制方法ヲ以テ致シマ
シテハ、其ノ目的ヲ十分ニ達成スルコトガ
出來ナイト存ゼラルルノデアリマス、玆
交易營團ヲ設置致シマシテ、交易ノ統制運
營ノ一元的中樞機關トシテ、其ノ責任ニ於
テ計畫交易ノ迅速且ツ的確ナル遂行ヲナサ
シメントスル次第デアリマス
尙ホ重要物資管理營團ノ業務ハ、最近ノ
物資需給ノ狀況ニ鑑ミマスルト、近來益〓、
交易部門ト密接不可分ト相成リマシタノデ、
此ノ際交易營團ニ重要物資管理營團ノ業務
ヲ繼承セシメントスルモノデアリマス
次ニ燃料局特別會計法案提出ノ理由ヲ說
明致シマス、今囘燃料局ニ於キマシテ、石
油ノ專賣事業ヲ經營スルコトト致シマシタ
ノデアリマスガ、之ニ關スル歲入歲出ハ「ア
ルコール」ノ專賣事業ニ關スル歲入歲出ト
併セ一括經理スルノヲ適當ト認メマス所、
是ガ爲ニハ新タニ燃料局特別會計法ヲ制定
スル等ノ必要ガアリマスルノデ、本法律案
ヲ提出致シタ次第デアリマス
以上ヲ以チマシテ三法案ノ提案理由ニ關
スル御說明ヲ終リマスルガ、何卒御審議ノ
上速カニ御協賛アランコトヲ希望致ス次第
デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=13
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014・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御質疑ノ通告ガアリ
マく、順次之ヲ許シマス-野田武夫君
〔野田武夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=14
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015・野田武夫
○野田武夫君 私ハ只今上程サレマシタ石
油専賣法案ニ關シ、政府ノ御所見ヲ質シタ
イト思ヒマス、近代戰ガ科學戰デアリマス
以上、一面石油戰デアルト言ツテモ、必ズ
シモ過言デハナイノデアリマス、隨テ此ノ
石油行政ニ付キマシテハ、政府トシテハ深
甚ナル考慮ヲ拂フベキダト思ヒマス、只今
政府ノ提案ノ理由ノ御說明ヲ承ツテ居リマ
スト、本法ハ石油ノ高度ノ重點配給ヲナス
ガ爲ニ、特ニ戰時臨時措置法デアルト云フ
御說明デアリマスルガ、石油ハ獨リ國防上
バカリデハナク、產業上ノ重要ナル基本資
材デアリマス、隨テ戰後ト雖モ當然石油ハ
高度ノ重點配給ヲナスベキモノデアリマシ
テ、本法ヲ單ニ戰時臨時立法トナサルコト
ハ、徒ラニ石油ノ產業部門ニ對シ昏迷ニ陷
レルノデアリマシテ、其ノ理由極メテ不明
確ナルモノト私ハ思ヒマス、如何ナル御考
ヘニ依ツテ臨時措置法トナサレマスカ承リ
タイト存ジマス
次ニ石油ハ其ノ原料ノ關係ニ於キマシテ、
又製造關係、需給關係ニ於キマシテモ洵ニ
複雜多岐デアリマシテ、煙草ヤ鹽ト異ナリ
必ズシモ專賣ノ對象トシテ適當ナリト斷定
シ難イノデゴザイマス、殊ニ滿洲國ニ於キ
マシテ、旣ニ石油專賣ヲ實施致シテ居リマ
スガ、其ノ結果ハ必ズシモ豫期ノ成果ヲ收
メテ居リマセヌ、今囘敢テ政府ガ專賣法ヲ
實施セラルルニ至ツタ其ノ根本ノ理由ト目
的ヲ、明示シテ戴キタイト思ヒマス
次ニ政府ハ重要產業部門ニ於キマシテハ、
所謂民間ノ知識經驗創意ヲ結集スルト云フ
意味ニ於キマシテ、統制會組織ヲ活用シ、
其ノ方針ノ下ニ統制經濟ヲ運用スルト云フ
コトヲ明示シテ居ラレマス結果、各業種目
ニ幾多ノ統制會ガ出來テ居リマス、而モ此
ノ統制會ニ對シマシテハ、又幾多ノ重要ナ
ル權限ヲ委讓ナサツテ居ラレマスガ、石油
ノヤウナ重要ナル產業ニ對シマシテ、今日
マデ統制會ノ設立ヲ見ルニ至ラズ、而モ今
囘飛躍的ニ專賣法ヲ御執リニナラナケレバ
ナラナカツタ意味ハ何處ニアルカ、又一方
從來統制會ガ出來テ居ツタノヲ態〓之ヲ壞シ
テ、同時ニ上程致シテ居リマスル所ノ交易
營團ノ如キヲ御作リニナツテ居リマスガ、
政府ハ卽チ從來明示シテ居ラレル重要產業
部門ニ對スル統制會ノ運用理念、所謂統制
經濟ノ運用ノ理念竝ニ方針ニ付キマシテ、
一貫性ヲ缺イテ居ラレルト思フノデアリマ
スガ、此ノ點如何ナル御所見デアリマスカ、
御伺ヒ致シタイト思ヒマス、又假ニ戦爭ヲ
遂行スル上ニ於キマシテ、其ノ基本ノ資材
デアル重要性ニ鑑ミテ、專賣ヲ絕對必要ナ
リト致シマシタナラバ、政府ハ更ニ進ンデ
他ノ重要物資デアリマス鐵トカ、石炭トカ、
輕金屬ト云フヤウナ戰爭遂行上絕對不可缺
ノ重要物資ニ對シマシテモ、同ジク專賣制
ヲ實施ナサル意思アリヤ否ヤ、此ノ點ヲ御
伺ヒシタイト思ヒマス
次ニ政府ハ、只今御說明モアリマシタ通
リ、民間ニハ旣存ノ石油配給機關ガアリマ
ス、此ノ民間ノ石油配給機關ヲドウ御取扱
ニナル御積リデアリマスカ、今日中央ニハ
石油配給統制株式會社、地方ニハ各府縣每ニ
府縣ノ石油販賣株式會社ガアリマスガ、是ハ
卽チ所謂政府ノ慫慂ニ係ル所ノ國策會社デ
アリマス、然ルニ其ノ內容ヲ見マスト中
央地方ヲ通シマシテ此ノ配給部門ニ携ツテ
居ル所ノ從業員ハ約千七、八百名アリマスガ、
其ノ四分ノ一强ハ重役ガ占メテ居リマス、
而モ此ノ從業員ノ全體ノ人件費ヲ見テミマ
スルト、約二百八十餘万圓デアリマスガ、
其ノ內三分ノ一强ノ百万圓ハ、重役ノ報酬
トナツテ居リマス、此ノ點カラ見マスレバ、
如何ニ民間ノ所謂國策會社ノ配給機關ガ其
ノ經營ニ於テモ、運用ニ於テモ、不合理ナル
モノガアルカト云フコトハ明カデアリマス
(拍手)若シ之ヲ御利用ナサルト致シマシタ
ナラバ、此ノ際之ヲ一元的ニスルトカ、
或ハ其ノ他ノ機構竝ニ運營ニ當リマシテ、
一大制新ヲ加ヘル必要ガアルト思ヒマスル
ガ、政府ノ御考ヘ方ハ如何デゴザイマスカ
次ニ御伺ヒ致シタイト思ヒマスルコトハ、
本法實施ニ當リマシテハ、將來精製部門ニ何
等カノ變更ヲ加フル御考ヘハアリマセヌ
カ、卽チ精製部門マデ専賣法ヲ擴大サレ·ル
御考ヘハアリマセヌカ、御尋ネ申上ゲマスヽ
今日南方資源ノ把握ニ依リマシテ、民間
ノ一部ニハ人造石油ヲ輕視スル傾向ガアリ
マスルコトハ、私洵ニ遺憾ニ思フ一人デア
リマス、將來大東亞共榮圈全體ノ石油ヲ、
我ガ國ガ賄フト致シマシタナラバ、其ノ量
ニ於テハ到底天然石油ノミニ依存スルコト
ヲ許シマセヌ(拍手)且ツ南方ノ原油ハ蠟分
ノ含有量其ノ他ノ關係上、高級規格ノ製品
ヲ得ル爲ニハ、ドウシテモ人造石油ノ技術
ニ俟タネバナリマセヌ、又南方資源中〓
ム」トカ、油脂等ヨリスル潤滑油精製ニ至リ
マシテハ、何トシテモ高度ノ人造石油ノ技
術ヲ必要ト致スノデアリマス、政府ハ去ル
第七十議會ニ於キマシテ、人造石油製造事
業法案竝ニ帝國燃料興業株式會社法案ヲ御
出シニナリマシタ時ニ、私ガ本議場ニ於テ
御質問申シマシタノニ對シテ、當時ノ商工
大臣ハ、所謂人造石油七箇年計畫、卽チ「ガ
ソリン」ト重油ノ數量ヲ擧ゲテ確信アリト
云ウテ七箇年計畫ヲ私ニ明示サレタノデア
リマスガ、其ノ七箇年目ガ丁度今昭和十八
年度ニナツテ居ルノデアリマス、而モ商工
省ニ於キマシテハ、更ニ此ノ人造石油ニ對シ
テ、第一次ノ增產計畫ヲ企圖サレタト云フ
コトヲ承ツテ居リマスガ、今日人造石油ノ
現狀ハ如何ニナツテ居リマスカ、更ニ將來
ノ御見透シハドウナツテ居リマスカ、竝ニ
人造石油ノ振興策ニ對シテ、政府ハ如何ナ
ル御方針ヲ持ツテ居ラレマスルカ、御尋ネ
申上ゲタイト思ヒマス
本專賣法ノ實施ニ伴ヒマシテ、十八年度
ノ專賣納付益金トシテ六百二十二万四千圓
ヲ、一般會計ニ計上サレテ居リマスルガ、
大體平年度ノ納付益金ハ、ドノ位ノ御見込
ニナツテ居リマスカ、而シテ此ノ專賣益金
ノ使途ニ付テデアリマスガ、御承知ノ通リ、
日本ノ石油事業ト云フモノハ從來全ク구
メリカ」ノ石油ニ依存致シテ居リマシタ關
係上、南方ノ原油ノ處理ニハ設備其ノ他ニ
於テマダ幾分缺クル所ガアリマス、此ノ際
豐富ナル南方原油ヲ迅速ニ、而モ效率的ニ
處理シ增產スルコトガ、國家ノ要請トナツ
テ居リマスノデ、大藏省ト致シマシテハ此
ノ石油專賣ニ依ル益金ヲ、單ニ財政收入ト
云フ事務的ナ觀念ニ囚ハレズ、我ガ國石油
事業ノ特殊事情ニ鑑ミラレマシテ、專賣益
金ハ優先的ニ無條件ニ、大東亞共榮圈內ニ於
ケル石油ノ開發增產ニ振向ケラレマシテ、
以テ燃料國策ノ大本ヲ確立サレルコトガ妥
當ナリト信ジマスガ、政府ノ御所見ハ如何
デアリマスカ(拍手)
皇軍ノ赫々タル戰果ニ依リマシテ、南方
ノ豐富ナル石油資源ノ獲待ヲ見マシタシ、
更ニ採油竝ニ粘製ニ於テ着々實效ヲ收メテ
居ルコトハ、國家ノ爲ニ慶質ニ堪ヘナイ次
第デゴザイマス、而シテ現在占領地區ニ於
キマシテハ、軍政上現段階ニ於テハ軍直接
ノ支配ノ下ニ、採油モ精製モ行ハレテ居ル
コトハ當然ナル措置ト思ヒマスガ、併シ南
方ニ於キマシテモ、民需ニ付テハ固ヨリ本
專賣法ノ對象トナルノデアリマスガ、此ノ
民需ニ振向ケル生產部門ニ付テハ、其ノ主
體ニ付キ如何ナル御構想ヲ御持チニナツテ
居リマスカ、卽チ民需ニ振向ケル生產部門
ニ付テモ、依然トシテ陸海軍ガ直接其ノ生
產ニ當ラレルカドウカ、或ハ民間ノ企業體
ヲ動員サレルカドウカ、又ハ營團ノ如キモ
ノヲ御作リニナルカドウカ、既ニ今日當然
成案ガアルベキモノト信ジマスガ、政府ノ
御方針ハ如何デゴザイマスカ、御尋ネ申上
ゲタイト思ヒマス
最後ニ、今囘官廳ノ割據主義ヲ打破シ、
產業行政ノ統一ヲ圖リ、以テ決戰下ノ飛躍
的增產ヲ圖ル爲ニ、鐵石炭、輕金屬、航
空機、船舶ノ五種目ニ付キマシテ、總理大
臣ニ對シ勅令及ビ法律ヲ以テ、行政上ノ特權
ヲ付與スルコトニナツタノデアリマシテ、
只今總理大臣カラモ一部ノ御說明ガアツタ
ノデアリマスガ、是ハ極メテ妥當適切ナル
措置ト私ハ思ヒマス、併シ右ニ擧ゲマシタ
重要物資ニ優ルトモ劣ラナイ所ノ石油ヲ、
此ノ品目カラ何故ニ除外シタカ、其ノ理由
ヲ御明示願ヒタイ、現在ノ石油行政ヲ見マ
スルト、先ニ述ベマシタ通リ、大東亞共榮圈
ノ占領地區ニ於キマシテハ、軍政上軍直接
ノ行政ヲ執ラレテ居ルコトハ當然トハ思ヒ
マスガ、本專賣法ノ主タル對象トナルベキ
所ノ國內ノ生產部門ニ對シマシテ、或ハ商
工省、或ハ陸軍省、或ハ海軍省ト云フ如ク、
各別ニ行政ノ措置ヲ執ツテ居ラレルコト
ハ、生產ノ增强、生產ノ計畫性ノ確立、竝 五
此ノ專賣法ノ實施後ニ於ケル效果ノ萬全ヲ
期スル上ニ於テ、極メテ不合理ナル點ガ多
イト思フノデアリマス(拍手)政府ハ此ノ際
戰器ノ一部トモ云フベキ石油ノ重大性ニ鑑
ミ、又先程ノ總理大臣ノ御方針ニ基イテモ
速カニ行政ヲ一元化シ、以テ生產ノ增强ニ
支障ナキヤウ、萬全ノ方途ヲ講ゼラレンコ
トヲ熱望シテ巳マナイノデアリマス、之一
對スル政府ノ御所見ヲ承リタイノデアリマ
ス
以上ヲ以チマシテ、私ノ質問ヲ終リマ
ス、何卒率直ナル御答辯ヲ御願ヒ致シマス
(拍手)
〔國務大臣岸信介君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=15
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016・岸信介
○國務大臣(岸信介君) 只今ノ野田君ノ御
質問中商工大臣ニ對スル御質問ニ付キマシ
テ御答辯申上ゲマス、各種ノ問題ニ觸レテ
居リマスノデ、順次御答ヘ致シマスガ、其
ノ前ニ一言致シテ置キタイト思ヒマス
石油ノ問題ハ、御質問ニモアリマシタ通
リ軍事上、產業上極メテ重大ナル間題デア
リ、而モ大東亞戰爭開始前ノ我ガ國ノ石油
ノ狀況ト、今日ノ石油狀況ト云フモノハ、
皇軍ノ赫々タル大戰果ニ依リマシテ、面目
ヲ全然異ニ致シテ居ルノデアリマス、從來
御承知ノ通リ、石油ニ付キマシテハ、大部
分ヲ敵國側ノ米國ノ供給ニ仰イデ居ツタ日
本ノ實情ガ一變致シマシテ、將來大東亞共
榮圈內ノ石油資源ノ開發ニ依リマシテ、大
東亞共榮圈全體ノ自給對策ト云フモノヲ計
畫シ得ル狀態ニナツテ居ルノデアリマス、
是ハ石油事情ニ付キマシテ、其ノ本質ヲ全
然一變シタモノデアリマス、而モ將來軍事
上及ビ產業上ノ需要ヲ考ヘマス時ニ、御意
見ニモアリマシタ通リ、唯單ニ南洋地域ノ
資源ノ開發ノミヲ以テハ十分デナイ、質的
ニモ量的ニモ、更ニ人造右油事業ノ生產擴
充等ト相俟ツテ、完全ナル液體燃料ノ自給
策ヲ講ジテ行クト云フコトノ必要ナ事柄
ハ、只今御意見ノ通リデアルト思フノデア
リマス、石油ノ事情ガ斯クノ如ク從來トハ
全然其ノ趣ヲ異ニ致シテ居リマスルガ、現
實ノ問題カラ申シマスルト、一面戰爭遂行
ノ爲ニ、各種軍需方面ニ於ケル需要ハ愈〓增大
シ、而モ重要產業部門ニ於ケル生產增强上
必要ナ石油ヲ、其ノ方面ニ確保スル必要モ
亦愈〓重要ナモノガアルノデアリマス、斯ウ
云フ必要ニ應ズル爲ニ、從來ノ不完全ナル
統制機構ト云フモノヲ、更ニ强化致シマシ
テ、政府自ラ石油ノ現物ヲ把握シテ、此ノ
配分ニ付テ、責任ヲ以テ最モ重點トスル部
面ニ、必要ナ石油ガ的確ニ配給サレルト云
フコトヲ確保スルガ爲ニハ、ドウシテモ政
府自ラ專賣スルト云フ制度ヲ採ル外ナイノ
デアリマス、御質問ニアリマシタ如ク、石
油ノ專賣ト云フコトニ付キマシテハ、色々
ナ困難モアリ、固ヨリ煙草ヤ鹽等ト違ツタ
事情ガアリマスルケレドモ、現下ノ情勢ニ
對應スル爲ニ、軍事上產業上ノ緊要ナル要求
ニ的確ニ應ズルト云フ爲ニハ、此ノ制度ヲ
採ル必要、ガ强ク要請セラルル所以デアリマ
ス、然ラバ之ヲ臨時措置法トナシタル理由
如何ト云フ問題デアリマスルガ、將來南方
地域ノ石油ガ十分ニ開發セラレ、又東亞共
榮圈全體ニ關スル石油ノ配給機構ヲ、帝國
ヲ中樞トシテ綜合的ニ立テルト云フ必要バ、
固ヨリ私共痛感致シテ居リマスルガ、是ハ今日
ノ段階ニ於キマシテハ、南方諸地域ハ御承知ノ
通リ軍政治下ニアリマシテ、軍政ノ下ニ於
テ石油ガ開發サレテ居ルト云フ實情等モ考
慮致シテ見マスルト、將來此ノ綜合的ナ石
油政策ヲ、ドウ云フ形デ立テルカト云フ問
題ハ、將來ノ時期ニ於キマシテ是ハ考究サ
レナケレバナラナイ、現下戰爭遂行ノ途上
ニ於キマシテ、兎ニ角戰爭ノ要求ト產業上
ノ要求トニ應ジテ行カナケレバナラナイト
云フ必要ヲ滿シテ參リマス爲ニハ、今日ノ
實情ニ基イタ專賣制度ヲ布ク必要ガアル、
將來ノ問題ハ將來ノ間題トシテ、更ニ考究
ノ要ガアルト考ヘルノデアリマス
次ニ統制ノ問題ニ關シマシテ、政府ハ統
制會ノ方法ニ依ツテ、重要產業部門ヲ統制
シテ居ルニモ拘ラズ、本石油事業ニ關シテ
專賣ノ制度ニ依ツテ、其ノ統制ノ完備ヲ期
スルト云フ事柄ハ、統制ニ關スル理念方針
ニ付テ、一貫性ヲ缺クモノデハナイカト云
フ御話デアリマス、政府ガ曩ニ重要產業團體
令ニ基イテ、統制會ノ制魔ヲ定メマシテ、
之ヲ各重要產業部門ニ實施致シテ居リマス
ルガ、是ハ御質問ニモアリマシク通リ、民間
ノ創意ト其ノ責任トヲ全面的ニ活用シテ、
サウシテ當該產業ニ於ケル生產擴充ノ實ヲ
擧ゲルト云フコトガ、其ノ目標デアリマス、併
シナガラ其ノ根本ノ考へ方ニ於キマシテハ、
總テノ產業ニ付キマシテ、政府ハ同樣ナ考
ヘヲ持ツテ居リマス、唯其ノ形式ガ如何ナ
ル形ヲ取ルベキカニ付キマシテハ、各種ノ產
業ニ付キマシテ、ソレ〓〓特殊ノ事由モア
リマス、特ニ配給ノ如キ仕事ニ至リマスト、
今マデノ統制會運用ノ實續ニ顧ミテ見マシ
テモ、現物ヲ眞ニ把握シテ是ガ配給ノ適正
ヲ期スルト云フガ爲ニハ、統制會ノ方式ヨ
リモ、更ニ進ンダ形ヲ考ヘナケレバナラナ
イモノモ少クナイノデアリマス、石油ノ配
給ノ適正、最重點配給ト云フ實ヲ確保スル
ガ爲ニ、統制會ノ形ニ依ラズシテ專賣ノ形ヲ
取リマシタノモ、サウ云フ理由デアリマス、
隨ヒマシテ御質問ニモアリマシタ鐵、石炭、
輕金屬等ニ付テ專賣制ヲ布ク意思ガアルカ
ト云フ御尋ネデアリマシタガ、政府ハ是等
ノ物資ニ付キマシテ、專賣制ラ布ク意思ヲ
持ツテ居リマセヌ、是等ノ物資ニ付キマシ
テハ、統制會ノ制度ヲ全幅的ニ活用致シマ
シテ、其ノ生產增强ノ實ヲ確保シテ參リタ
イ考ヘデアリマス
次ニ本專賣制度ト民間配給機構トノ關係
ニ關スル御質問デアリマス、本專賣制度實
施ノ後ニ於キマシテモ、旣存ノ民間榕構ハ、
極力之ヲ活用スル方針デアリマス、卽チ輸
移出入ニ付キマシテハ、本專賣法中、政府
又ハ政府ノ命ヲ受ケタル者ニ限ツテ輸移出
入ガ出來ルト云フコトニナツテ居リマスル
ガ、實際政府ハ自ラ輪移出入ノ實務ヲナス
ガ如キ事柄ハ、殆ド之ヲ考ヘテ居ラナイノ
デアリマシテ、旣存ノ民間業者ヲ全面的ニ
活用シテ、是等ノ實務ニ當ラシムル考ヘデ
アリマス、又國內配給業務ニ付キマシテハ、
旣存ノ配給業者ヲ賣捌人等ニ指定スル方法
ニ依リマシテ、其ノ石油配給上ノ技術、知
識乃至經驗ト云フモノヲ、全面的ニ活用シテ
參リタイト存ジマス、唯現在ノ民間配給機
構ノ實情ガ、十分ニ其ノ使命ヲ達成セシム
ルノニ適當デアルカドウカ、其ノ制度ニ
大刷新ヲ加フルベキモノガアルデハナイカ
ト云フ御尋ネデアリマスルガ、今日ノ石油
販賣機構ハ、永年ノ多數ノ石油販賣業者ヲ
地方的ニ整理統合致シマシテ、更ニ之ヲ中
央ニ於テ統制スル形ヲ執ツテ參ツタノデア
リマス、隨ヒマシテ此ノ整理統合ノ途上
ニ於キマシテ、從來ノ關係等モアリマシテ、
是ガ最モ合理的ナル形ニ整理統合サレテ
居ラナイ部分モ少クナイノデアリマス、是
等ニ關シマシテハ、從來モサウデアリマシ
タガ、今後ニ於キマシテモ十分ニ監督指導
ヲ致シマシテ、配給業者ノ使命ヲ完全ニ達
スルニ必要ナヤウナ改善ヲ加ヘテ參リタイ
ト存ジマス
次ニ本專賣ハ販賣專賣デアルガ、更ニ精
製部門ニ對スル製造專賣マデ行ク必要ハナ
イカト云フ御尋ネデアリマス、此ノ點ニ關
シマシテハ、現在政府ハ先刻來申上ゲマシ
タヤウナ、此ノ戰時下ニ於ケル最モ緊要ナ
ル石油ノ需給ノ調整、最重點的ナ所ニ必要
量ノ配給ヲ確保スルト云フ所ヲ狙ツテ居リ
マスノデ、今日ノ所精製部門ニマデ專賣制度
ヲ擴張スル意思ハ持ツテ居ラナイノデアリマス
次ニ人造石油ノ問題ニ關スル御質問デ
アリマシタガ、人造石油ノ問題ハ御說ノ
通リ、今後ニ於キマシテモ非常ナ重要性ヲ
持ツテ居ルモノデアリマス、決シテ南方石
油資源ノ確保ニ依リ、又是ガ開發ニ依ツテ
人造石油問題ノ意義ヲ輕カラシメル所ハナ
イノデアリマス、而シテ政府ハ過去ニ於キ
マシテ、人造石油ノ事業ノ確立竝ニ其ノ生
產擴充ノ爲ニ計畫ヲ定メマシテ、爾來今日マ
デ官民一致シテ、人造石油事業ノ確立ニ努
メテ參ツテ居リマス、唯御承知ノ通リ、此
ノ人造石油ノ問題ハ技術的ニモ、或ハ設備
ノ上カラ申シマシテモ、色々ナ困難ノアル
事業デゴザイマシテ、之ニ對シマシテハ政
府ハ凡ユル面カラ、財政的ニモ、技術的ニ
モ之ニ對スル援助指導ヲシテ參ツタノデ
アリマスルケレドモ、資材ノ點カラ
或ハ技術ノ點カラ豫期シマシタ計畫通リ
ノ實績ヲ、今日未ダ擧ゲテ居ラナイコト
ハ甚ダ遺憾デアリマス、併シナガラ從來
技術的ニ非常ニ困難トセラレテ居ツタ所ノ
問題ノ大部分ハ旣ニ解決セラレ、又資材等ノ
爲ニ設備ノ完成ノ遲レテ居リマシタモノ等
ニ付キマシテモ、大體ニ於キマシテ當初計
畫シテ居リマシタ重要ナモノニ付キマシテ
ハ、近ク其ノ完成ヲ見ル狀態デアリマス、而シ
テ將來ノ問題ニ付キマシテハ、御說ノ如ク
南方石油ノ精製ト、此ノ人造石油ノ問題トヲ
併セテ技術的ニモ、又其ノ生產擴充ノ上ニ
於キマシテモ、綜合的ニ處置シテ是ガ振興
ヲ園ツテ行ク必要ガアルト思フノデアリマ
ス、卽チ人造石油ニ依ツテ築キ上ゲラレタ
技術ヲ南方ノ油、是ハ其ノ性質上、從來ハ
潤滑油或ハ航空揮發油等ニ用ヒルコトニ付
キマシテ、相當ノ困難ガ技術的ニアリトセ
ラレタモノデアリマスガ、之ヲ人造石油ノ
技術ト結ビ合ハスコトニ依リマシテ、是等
ノ缺陷ヲ補ツテ十分軍事上、產業上必要ナ
ル油ヲ製造スルコトニ、將來ノ力ヲ用ヒテ
參リタイト考ヘテ居リマス
更ニ南方ノ石油開發ニ付キマシテハ、先
程モ申上ゲタ通リ、現在軍政下ニ於テ軍政
ノ指導ノ下ニ、是ガ開發ガ行ハレテ居ルノ
デアリマス、是ハ單ニ軍用ノ油ノミナラズ、
內地ニ輸入セラレル民需ノ油ニ付キマシテ
モ、南方地域ノ資源開發ニ付キマシテハ、
同樣ナル關係ニ立ツテ居ルノデアリマス、是
ハ將來作戰ノ進展ト現地ノ實情ニ卽シテ、
最モ開發ヲ促進スル上ニ於キマシテ、適シ
タ方法ニ推進セラレテ行クベキモノデアリ
マシテ、今日是ガ開發ニ付キマシテ、一定
ノ形ヲ考ヘルト云フコトハ適當デナイト思
フノデアリマス、以上私ニ對シマスル御質
問ノ大要ヲ御答ヘ申上ゲマス(拍手)
〔國務大臣賀屋興宣君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=16
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017・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君) 只今ノ御質問
中、石油專賣專業ニ依リマス平年度ノ益金
ノ見込額如何、又石油政策ノ爲ニハ其ノ益
金ヲ優先ニシテ使用スベシ、一般ノ財源ニ
充ツルト云フコトデナク優先的ニ使用シテ
ハドウカト云フ御尋ネガアリマシタ、此ノ
點ニ付キマシテ御答へヲ申上ゲマス
石油ノ專賣益金デアリマスガ、是ハ今後
南方ノ油田ノ開發、製油設備ノ能力ノ增
加輸送力ノ增加等ニ依リマシテ漸次增加
シ、好調デアリマスレバ大イニ增加スルト
云フ點ガアリマス、只今平年度幾ラト云フ
コトハ、其ノ點カラ考ヘマシテモ定カニ分リ
兼ネルノデアリマス、又ソレガ分リマシテ
千、最モ戰力ニ關係アル重要物資デアリマス
ノデ、其ノ數量ヲ測定スル有力ナル材料ニ
モナリマスノデ、此ノ點ハ金額ヲ申上ゲ兼
ネル次第デアリマス、尙ホ其ノ益金ヲドウ
使フカト云フ問題デアリマスルガ、石油ハ
國防上、又產業上ニ於キマシテモ生命トモ
申スベキ重要ナルモノデアリマス、大ナル
戰爭モ石油ヲ本トシテ起リ、又戰爭ニ於ケ
ル作戰指導モ石油ノ爭奪ヲ主眼トシテ起ル
ヤウナ事態デアリマスノデ、專賣益金ニ限
定致シマセズ、必要ナモノハドシ〓〓金額
ヲ出ス積リデアリマス(拍手)現狀ニ於キマ
シテモ恐ラク人造石油、天然石油及ビ國ノ內
外ヲ通ジマシタナラバ、專賣益金ヨリ遙カ
ニ大キナモノヲ支出致シテ居ル現狀ト存ジ
マスル次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=17
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018・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 他ニ答辯アリマセヌ
カ-ソレデハ三木武夫君
〔三木武夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=18
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019・三木武夫
○三木武夫君 私ハ只今議題ト相成ツテ居
リマス交易營團法案ニ對シテ以下數點ノ質
疑ヲ致シタイト存ジマス
先ヅ政府ハ大東亞共榮圈內ニ於ケル物資
ノ交流ニ對シ、具體的ニ如何ニシテ我ガ
國ノ指導力ヲ强化、確立スルノデアルカ、
又其ノ間ニ於ケル交易營團ノ果スベキ役割
如何ト云フ點ニ付テ御尋ネヲ致シタイノデ
アリマス、卽チ共榮圈經濟ハ、全體トシテ
有機的ニ統制サレタ一ツノ經濟統一體的性
格ヲ持ツモノデナケレバナラナイノデアリ
マシテ、隨テ圏內ニ於ケル物資ノ交流ハ、
ソレガ日本ヲ對象トスル場合ノミナラズ、
圏內各地域間ノ交流デアツタト致シマシテ
モ、一ツノ物動計畫的物ノ動キヲシナケレ
バナラヌト思フノデアリマス、隨テ端的ニ
言ヘバ、今日ニ於ケル東亞計畫交易ノ性格
ハ、一ツノ大東亞物動計畫ノ實行ニ外ナラ
ヌト思フノデアリマス、而モ其ノ計畫ノ根
柢ヲナスモノハ、一面ニ於テ大東亞戰爭完
遂ノ爲ニ、大東亞ノ廣域ニ亙ツテ現ニ產出サ
レ、或ハ又急速ニ開發スルコトニ依ツテ、
產出ヲ豫想サレル軍需原料品ノ輸入ヲ確
保シテ、我ガ國國防力ノ强化ヲ圖ルト共
ニ、又一面共榮圈ニ於ケル民生ノ安定ヲ
圖ルト云フ所ニ、其ノ基調ガ置カレナケ
レバナラヌト存ジマスノデアリマス、
而モ今日ノ如ク海上輸送力ト云フモノガ、
大イナル制約ヲ受ケテ居リマスル時代ニアツ
テ、物資交易ノ此ノ時代的要請ニ應ヘント
スル爲ニハ、大東亞ニ於ケル物資ノ交易ハ、
我ガ國ノ强力ナル指導ノ下ニ、最モ合理的
ニ、最モ計畫的ニ、最モ能率的ニ運營サレ
ナケレバナラナイノデアツテ、一切ノ無駄
ハ許サレナイノデアル、政府モ此ノ點ニ關
シテハ屢〓機機アル每ニ、大東亞ノ貿易ハ皇
國ヲ樞軸トシテ、皇國ヲ指導者トシテ計畫交
易ノ迅速的確、且ツ强力ナル遂行ヲ期スル
旨ヲ强調サレテ居ルノデアリマス、併シナ
ガラ指導者ト云ヒ、樞軸ト申シマシテモ、
具體的運營ノ面ヲ通ジテ具體的方策ガ現ハ
レナイ場合ハ、一片ノ作文ニ終ルノ危險ナ
シトシナイノデアリマス、政府ハ大東亞ノ
交易ヲ總テ圓ニ依ル綜合決濟制ヲ採ラレル
コトニ依ツテ-斯ウ言フ方式ヲ確立サ
レタ御努力ニ對シテハ敬意ヲ表シマスガ、
是トテモ物資ノ圓滑ナル交流ト云フ裏付ケ
ガナケレバ生キテ來ナイノデアツテ、是ノ
ミヲ以テ我ガ國ガ東亞ノ交易ニ對シテ、指
導的地位ヲ强化サレタトハ言ヘナイト思フ
ノデアリマス、若シ今囘御提案ニ相成ツテ
居リマス交易營團ガ、大東亞交易ノ指導的
役割ヲ果スモノダト致シマスルナラバ、少
クトモ交易營團ノ業務ノ地域的範圍ト云フ
モノハ、大東亞共榮圈全域ニ及バナケレバ
ナラヌト思フノデアリマス、寧ロ軈テハ大
東亞圈外ニモ、交易營團ノ業務ノ範圍ハ擴
大サレナケレバナラナイ、又取扱ノ物資ニ
致シマシテモ、大東亞ニ於ケル重要ナル交
易物資ノ總テヲ網羅シナケレバナラヌト思
フノデアリマス、併シナガラ此ノ業務ノ地
域的範圍、或ハ物資ノ範圍ニ付テハ勅令ニ
委ネラレテ居リマスノデ、旣ニ御成案モア
ルコトト存ジマスカラ、此ノ機會ニ御發表
ヲ願ヒタイト存ジマス
更ニ重要ナ點ハ、日本ノ交易營團ニ結ビ
付ク所ノ現地機構ノ問題デアリマス、御承
知ノ如ク大東亞圈內ハ各地域ニ異ツタ行政
組織ヲ持チ、又各地ニバラ〓〓ナ統制機構
ヲ持ツテ居リマスカラ、如何ニ日本ノ交易
機構ヲ整備シテモ、日本ノ交易營團ニ對應
スル現地ノ機構ヲ整備シナケレバ、交易ノ
計畫性ハ成立タナイト信ズルノデアリマス、
而モ大東亞ノ交易ハ、單ニ日本ニ對スル貿
易ノミナラズ、南方ト南方、或ハ南方ト大
陸、或ハ大陸相互間ノ總テノ交易ニ對シテ
モ、物動計畫的ナ眼カラ睨ミヲ利カサナイ
ナラバ、ドウシテ全體トシテノ大東亞ノ交
易ト云フモノガ、一ツノ計畫性ヲ賦與サレ
ルコトガ出來ルデアラウカ、私ハ何トシテ
モ日本ノ交易營團ト相呼應シテ活動スル現
地灣關ノ必要ヲ、絕對ニ感ジテ居ル一人デ
アリマス、其ノ爲ニハ或ハ現在バラ〓〓ニ
ナツテ居ル現地ノ統制機關ヲ綜合シテ、日
本ニ於ケル一ツノ統制會ノヤウナモノヲ作
ルコトモ一方法デアリマセウ、或ハ日本ノ
交易營團的ノモノヲ各地ニ持ツコトモ一ツ
ノ方法デアツテ、兎ニ角日本ノ資本ニ加へ
テ現地ニ於ケル土着資本ノ導入ヲモ許シテ、
日本ガ企畫經理ノ部門ヲ受持ツト同時ニ、
先方ハ收買、配給ト云フヤウナ實際的ナ部
門ニ協力スルト云フ、日本ト現地トノ合作
ニ依ル何等カノ現地機構ノ確立ト云フコト
ガ、絕對ニ必要ダト思フノデアリマス、若
シモ斯カル急激ナ機構ノ整備ガ困難デアル
トスルナラバ、セメテ交易營團ノ分圓カ支店
カヲ此ノ際東亞ノ各地域ニ御設置ニナル御
用意ガナケレバナラヌト思フノデアリマス、
政府ハ此ノ日本ノ交易譬團ニ對應スル、ドウ
云フ現地機關ト云フモノヲ御想定ニナツテ
居ルノカ、承リタイノデアリマス、若シモ交
易營團ノ業務ノ範圍ガ、地域的ニモ物質的ニ
モ極メテ局限サレタモノデアルシ、又現地機
構ニ對シテモマダ御計畫外ニアルトスルナラバ、
今囘ノ交易營團ト云フモノハ、東亞全域ノ計畫
交易ヲ强力ニ遂行セント言ハレル政府ノ日頃ノ
御抱負トハ、甚ダシク懸ケ離レタモノデアリ、此
ノ營團ノ運營ヲ通ジテ大東亞ノ物資交流ヲ、
現作戰ノ段階要請ニ應ヘ得ルヤ否ヤ、甚ダ疑
問ナキヲ得ナイノデアリマス、更ニ計畫交
易ノ前提ニハ、ドウシテモ大東亞共榮圈內
ニ於ケル具體的產業立地計畫ガナケレバナ
リマセヌ、時局ハ大東亞共榮圈內ニ於ケル
自給自足ト、國防國家體制ノ急速ナル確立
ヲ緊急トシテ居リマスシ、又大東亞共榮圈
內ノ諸地域ト云フモノガ、多年英米ノ植
民地的搾取ノ下ニ置カレタ事實カラシマシ
テモ、此ノ際日本ハ產業ノ立地計畫ヲ樹テ
テ、生產ノ最適分業ニ依リ、各地域ノ負フベ
キ使命ヲ分擔セシムルニアラザレバ、其ノ
上ニ立ツ交易デナケレバ、戰爭經濟ノ要請
ニ應ヘル計畫交易ト云フモノハ出來ナイト
思フ、政府ハ之ニ對シテ如何ナル處置ヲ講
ジツツアルカ、以上ノ點ニ付テ承リタイノ
ガ、私ノ質疑ノ一點デアリマス
次ハ大東亞共榮圈內ニ於ケル物價問題ト
物資交流ノ關係、特ニ是ガ調整策ニ付テ承
リタイノデアリマス、今日物價對策ノ確立
ハ、大東亞經濟圈ニ於ケル最大ノ課題デア
リ、物資交流ノ圓滑化ヲ圖ル爲ニモ、又圈
內ニ於ケル民生ノ安定ヲ圖ル爲ニモ、早急
ニ解決ヲ迫ラレテ居ル問題デアルノデアリ
マス、最近大陸ノ物價ガ非常ナル騰勢ノ途
ヲ迪ツテ居ルト云フコトハ、諸君御承知ノ
通リ、數字ハ持ツテ居リマスルガ、省略ヲ
致シマス、大東亞地域ハ各〓獨立シタ通貨制
度ヲ持チ、各〓、異ナツタル價格體形ト云フモノ
ヲ持ツテ居ルカラ、全地域ニ通ズル綜合的
一律ナ物價政策ト云フモノハ困難デアリマ
スケレドモ出來得ル限リ綜合的ナ手ヲ打ツ
テ、物價水準ノ低下ヲ圖ラナケレバ、物
資ノ交流ト云フモノガ圓滑ニ行ハレルモノ
デハナイノデアリマス、而モ日本ノ戰爭條
件ヲ擴充スル爲ニ、共榮圈各域ノ日本ニ對
スル寄與ヲ一層强化セザルヲ得ナイ一面、
日本ノ反對給付ヲ此ノ際多量ニ豫想スルト
云フコトハ益〓困難ナノデアリマスカラ、大
東亞圈內ニ於ケル物價統制ノ强化ノ必要ト
云フモノハ、今日一層切實ナルモノガアルノ
デアリマス、政府ノ物價政策トシテ交易營
團法案、或ハ爲替交易調整特別會計法案等
ニ盛ラレテ居リマスモノハ、交易物資ノ物
價差ヲ、一種ノ國營的「プール」計算ニナサ
ントスルモノデアツテ、端的ニ言ヘバ大陸
ノ物價ト日本ノ物價トノ遮斷政策ニ外ナラ
ナイノデアリマス、如何ニ物價ヲ遮斷致シ
マシテモ、或ハ日本ノ財政的負擔ヲ增シ、
其ノ他色々ナ形ニ於テ大陸ノ此ノ高物價ト
云フモノハ、日本ニ波及セザルヲ得ナイノ
デアル、併シ若シソレヲ或ル程度マデ防グ
コトガ出來タト致シマシテモ、大東亞共榮
圈ノ主體的地位ニアル日本トシテ、東亞共
榮圈內ニ於ケル物價政策ガ、物價ノ遮斷政
策ト云フ所ニ政策ノ基調ヲ置イテ居ルト云
フコトハ、餘リニ消極的ニ過ギルト思フノ
デアリマス、物價政策ノ重大性ニ鑑ミマシ
テモ、モウ少シ根本的ナ對策ヲ、政府ハ御
執リニナラナケレバナラナイ、或ハ立地計
畫ニ基イテ現地ノ消費ハ、或ル程度現地デ
購ヘルヤウニ輕工業ノ興隆ヲ圖ルトカ、或
ハ積極的ニ通貨ノ安定策、購買力ノ吸收策
ヲ圖ルトカ、兎ニ角此ノ際大陸ノ物價對策
ニ對シテ、日本ハ積極的ニ乘出シテ、綜合
的政策ノ推進ガ必要ダト存ズルノデアリマ
スガ、之ニ對シテ政府ハ如何ナル方策ヲ講
ゼラレツツアルカヲ承ツテ置キタイト思ヒ
マス
又政府ハ物價差ノ補償トシテ、中支ニ特
別圓制度ヲ御持チニナツテ居ルノデアリマ
スガ、此ノ特別圓ト儲備劵トノ爲替比率ト
云フモノハ、商品別ニ依ツテ異ナル非常ニ
複雜ナル組織ニナツテ居ルノデアリマス
ガ、斯ノ如ク商品別ニ依ツテ爲替「レートㄴ
ガ異ナルト云フガ如キ特別圓ヲ持ツト云フ
コトガ、現地ノ通貨、爲替ノ安定ニ反スル
結果ヲ齎サナイデアラウカ、其ノ結果ガ
高物價ヘ拍車ヲ掛ケルヤウナ結果ヲ齎サナ
イデアラウカ、寧ロ斯ウ云フ特別圓ト云フ
モノハ廢止ヲシテ、物價差ノ補償ト云フ
モノハ特別圓ノ爲替操作ニ依ラズ、直接ニ
物價ノ差ダケヲ補償スル一本建ノ制度ヲ
御採用ニナル御意思ハナイカドウカ、
或ハ又政府ハ却テ反對ニ今後ノ共榮圈內ノ
物資ノ交易ニ對シ、通常ノ爲替「レート」ト
ハ切離シタ、貿易上特別ノ圓制度ト言フモ
ノヲ、廣ク各地域ニ御採用ニナルト云フヤ
ウナ御方針ヲ持ツテ居ルカドウカ、此ノ點
ニ付テモ承ツテ置キタイト存ジマス
次イデ交易營團ト交易調整特別會計ノ關
係デアリマスガ、政府ハ物資交易ニ對スル
業務ハ、交易營團ヲ以テ當ラシムルコトニ
シテ居ラレル、所ガ一方ニ於テ資金ノ收支
ト云フモノハ、別ニ特別會計ヲ設ケテ、之
ニ當ラシメヨウト云フ、非常ニ複雜ナル方式
ヲ御執リニナツタノデアリマス、而モ前者
ノ監督商工大臣ノ所轄ニ屬シ、後者ハ大藏
大臣ニ屬シ、而モ現地ノ關係ハ大東亞大臣
ノ管轄ニ屬スルト居フ複雜ナル機構ノ下ニ
置カレテル居ノデアリマス、申スマデモナ
〃戰時貿易ノ要點ト云フモノハ、其ノ迅
速性ト能率性ニ在ルノデアル、隨テ貿易行政
ニ對スル指導監督ト云フモノハ、之ヲ一箇
所ニ集中シテ、一元化スル必要ガ大イニア
ルノデアリマス(拍手)所ガ一ツノ交易ニ對
シテ資金ト物ノ面トヲ分離シテ、敢テ二人
三脚ノ如キ難カシイ仕事ヲ、戰時貿易ニ課
セヨウトスル政府ノ意圖何處ニ在リヤト、
私ハ疑ハザルヲ得ナイノデアル(拍手)一
面ニ政府ハ行政簡素化ヲ遂行シテ、今日
ノ議會ニ於テモ戰時行政特別法案等ヲ提出
シテ、一切ヲ擧ゲテ戰力ノ增强ニ資セント
シテ居ル、此ノ秋ニ方ツテ、而モ戰力增强
ノ中心課題デアル東亞ノ物資ノ交流ニ對シ、
簡素强力ナル體制ガ必要ナルニ拘ラズ、敢
テ各省ガ互ヒニ牽制シ合フガ如キ疑ヒノア
ル複雜ナル體制ヲ選バレタト云フ理由ニ付
テハ、篤ト政府ノ御所見ヲ承ラナケレバナ
ラヌノデアリマス(拍手)斯カル疑ヒヲ深ク
スルモノハ、我ガ國ノ貿易行政ガ、實ニ多
年ニ亙リ國家ノ大局ヲ忘レタ官僚「セクシ3
ナリズム」ノ紛爭ノ歷史其ノモノデアルカ
ラデアル(拍手)寧ロ此ノ際特別會計ノ如
キモノハ設置セズ、價格差ノ補償ト云フモ
ノヲ豫算ニ計上シテ、或ハ彈力性ヲ持タス
爲ニ、豫算外契約ノ形ニ致スコトガナゼイ
ケナイノデアラウカ、却テサウスルコトガ、
此ノ交易營團ノ運營ヲ圓滑ニスル所以デハ
ナカラウカト、私ハ思フノデアリマス、ソ
レニモ拘ラズ、玆ニ資金ト物トヲ切離シテ、
特別會計ヲ御設置ニナツタノデアリマスカ
ラ、其ノ眞ニ巳ムヲ得ザル必要性ト云フモ
ノヲ承リタイト共ニ、此ノ特別會計ノ設置
ニ依リ、交易營團ノ活動ヲ阻碍シ、延イテ
ハ物資交流ノ圓滑化ヲ阻碍セナイト云フ爲
ニ、如何ナル萬全ノ御用意ヲ、政府ハ御持
チニナツテ居ルカ、併セテ承ツテ置キタイ
ノデアリマス(拍手)
最後ニ交易營團ノ實際ノ運用ニ付テデア
リマスガ、端的ニ申セバ、今日ノ調整機關
ト貿易業者ヲドウ處理スルカト云フ點デア
リマス、卽チ五十ニ餘ル調整機關ハ交易營
團ノ一ツノ命令ヲ受ケル、或ハ受託ト申シ
マスカ、受託調整機關トシテ、營團ノ外ニ
一部ハ御殘シニナル御所存デアルカ、或ハ
此ノ際調整機關ト云フモノハ全部御認メニ
ナラス御方針デアリマスカ、更ニ國家總力
ノ發揮ガ要請サレテ居ル今日、貿易業者ノ
持ツテ居ル技能、經驗ト云フモノハ、政府
ガ十分御活用ニナツテ然ルベキダト思フノ
デアリマス、交易營團ガ交易ノ總テノ末梢
ニマデ携ハルト云フヤウナコトデハ、運營
ノ圓滑ハ期サレルモノデハアリマセヌ、併
シナガラ數千ニ上ル今日ノ貿易業者ヲ全部
殘存セシメルト云フコトハ、到底不可能デ
アル、此ノ點ハ貿易業者自身ト雖モ、旣ニ
覺悟ガ出來上ツテ居ルト私ハ思フノデア
リマス、併シナガラ此ノ轉廢業者ニ對シテ
ハ、一般企業整備ノ例モアルコトデアリマ
スシ、彼等ガ多年「アフリカ」ノ涯マデモ、
南米ノ涯マデモ、外貨獲得ノ爲ニ、延イテ
ハ日本ノ輸入力確保ノ爲ニ、活躍シタ其ノ
努力ニ報ユル爲ニモ、轉業ノ斡旋、生活助
成政府ハ萬遺憾ナキ對策ヲ講ゼラレンコ
トヲ要望シテ巳マナイモノデアリマス(拍
手)私ハ以上數點ニ對スル所管大臣ノ御所
見ヲ承ルコトニシテ、私ノ質疑ヲ終リタイ
ト存ジマス(拍手)
〔國務大臣岸信介君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=19
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020・岸信介
○國務大臣(岸信介君) 只今ノ御質問中、
商工大臣ニ對スル分ニ付キマシテ御答辯申
上ゲマス、御質問ノ第一點、大東亞共榮圈
內ノ計畫貿易ニ對スル具體的ノ方針、是ト
交易營團トノ關係ニ對スル御質問デアリマ
スルガ、御說ノ如ク、大東亞共榮圈內ニ於ケ
ル物資ノ交流ハ、我ガ國ヲ中心ト致シマシ
テ、戰力ノ增强及ビ共榮圈內ニ於ケル民生
ノ安定ヲ圖ルコトヲ目途ト致シマシテ、
ノ物動計畫トシテ政府ニ於テ之ヲ定ムベキ
モノデアルト思ヒマス、而シテ是ガ計畫ノ
實施ニ當リマシテ、其ノ計畫通リ之ヲ實施
シテ行クト云フ責務ヲ、交易營團ガ擔フ譯
デアリマシテ、之ニ依リマシテ計畫ガ的確
ニ實施セラルルコトヲ期待シテ居ル次第デ
アリマス
此ノ交易營團ガ相手ト致シマスル地域及
ビ是ガ取扱フ物資ニ付テノ御質問デアリマ
スガ、交易營團ノ性質カラ申シマシテ、出
來ルダケ其ノ相手トスル所ノ地域ハ包括的
ニ廣ク、又取扱物資モ全面的ニ之ヲナスコ
トヲ理想ト致スコト言フヲ俟タナイノデア
リマス、唯地域的ニハ、南方地域ハ先刻來申
上ゲマス通リ、軍政治下ニアリマシテ、現
在此ノ南方占領地域トノ交易ハ、臨時軍事
費特別會計ガ處理致シテ居リマスル關係
上、今日ノ事態ニ於キマシテハ、交易營團
ノ取扱ノ地域カラ、是ガ除カレルノモ已ム
ヲ得ナイ事態ダト考へマス、取扱物資ニ付
キマシテハ、出來ルダケ包括的ニ取扱フ考
ヘデアリマスルガ、唯專賣物資-專賣
ニ依リマシテ國家ガ別ノ制度デ扱ツテ居リ
マス專賣物資、例ヘバ鹽、煙草等ノ如キ、
是ハ營團ノ取扱物資ノ範置外ニアリマス、
又特別ナ物資ニ付キマシテ特別會計ノ定メ
ノアリマスル、例ヘバ米麥類、木炭等ノ如
キモ亦取扱ノ範圍外ニアリマス、併シナガ
ラ物資ノ全體ノ量カラ申シマスルト云フ
ト是等ノ物資ハ全體ノ交流物資ノ極ク一
部分デアリマシテ、大體ニ於キマシテ包括
的ニ交易營團ト云フモノガ、物資ヲ取扱フ
ト云フ趣旨ニ悖ラナイモノダト考ヘテ居リ
マス
次ニ交易營團ト各現地ニ於ケル機構トノ
關係デアリマス、計畫交易ヲ的確ニ實施致
シマスガ爲ニハ、現地ニ於キマシテ、ソレ
ゾレ交易ニ關スル機構ガ整備サレナケレバ
ナラヌコト、言フヲ俟タナイノデアリマ
ス、併シナガラ如何ナル形ニ於テ整備サレル
カト云フコトニ付キマシテハ、ソレ〓〓ノ
地域ニ、ソレ〓〓特殊ノ事情ガアリマスノ
デ、其ノ事情ヲ參酌シテ、現地ニ適當ナ締
制機構ガ整備サレツツアリマス、此ノ整備
サレル統制機構ト交易營團トノ關係ヲ、有
機的ニ十分蜜接ナ關係ヲ取ル組織ニ付キマ
シテハ、或ハ人的ノ方面カラ、或ハ經營的
ナ方面カラ、十分ナ調整ト連絡ヲ圖ツテ行
ク考ヘデアリマス
次ニ交易營團ガ設立サレタ後ニ於ケル現
在アリマスル調整機關トノ關係デアリマ
ス、交易營團ニ依リマシテ、强力ニ一元的
ナ統制ヲ運營致シテ行キマス爲ニハ成ベ
ク調整機關ヲ交易營團ニ吸收統合スルコト
ガ望マシイト考ヘマス、唯現在ノ實情ヲ以
テシマシテハ、交易營國ガ出來マシテモ、
ソレノ能力ト從來トノ關係ヲ考ヘマシテ、
直チニ總テノ調整機關ヲ一時ニ吸收スルコ
トガ、果シテ能率的デアルカドウカニ付キ
マシテモ、十分考ヘナケレバナラヌト思フ
ノデアリマス、是等ノ點ヲ考慮シナガラ、
理想ト致シマシテハ調整機關ヲ總テ吸收ス
ルト云フ方向ニ進ンデ行キタイト考ヘテ居
リマス
尙ホ此ノ交易營團ガ出來マシタ後ニ於ケ
ル貿易業者ノ地位デアリマスガ、御說ノ通
リ我ガ國ノ貿易進展ニ付キマシテハ、現在
ノ貿易業者ノ過去ノ經驗ト其ノ功續ハ、顯
著ナモノガアルノデアリマシテ、是ヲ成
ベク全面的ニ活用スルコトハ、又交易ノ能
率ヲ上ゲル上カラ申シマシテモ、極メテ必
要デアラウト思フノデアリマス、隨ヒマ
シテ交易營國ガ出來マシタ後ニ於キマシ
テモ、是等ノ貿易業者ヲ全面的ニ活用致シ
マシテ、營團自ラガ輸出入ノ仕事ヲヤルト
言フコトハ、極力避ケル方針デアリマス、
唯御意見ニモアリマシタ通リ、現在ノ貿易
業者ノ立場ガ、此ノ多數ノ業者ヲ其ノ儘ニ
存置シ得ルヤ否ヤト云フコトハ、實ハ營團
ガ出來ルカ出來ナイカニ拘ラズ、從來トモ
是ガ整備ニ付キマシテハ、其ノ必要ガ痛感
サレテ參ツテ居ルノデアリマス、營團ガ出
來マシテ之ヲ活用スルニ付キマシテモ、ヤハ
リ適當ノ整備ヲ要スル面モ、少クナカラウ
ト思ヒマス、唯此ノ整備ニ當リマシテ、是
等業者ノ地位ヲ十分ニ擁護致シマシテ、是
等ノ者ガ整備ノ途上ニ於テ其ノ途ニ迷フト
カ、或ハ將來ノ職域奉公ノ新シイ部面ニ出
テ行クト云フヤウナコトニ對シマシテハ、
政府ト致シマシテハ他ノ中小商工業者ノ轉
廢業、其ノ他ノ例ニ準ジマシテ十分ニ施策
スル考ヘデアリマス(拍手)
〔國務大臣賀屋興宣君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=20
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021・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君) 只今ノ御質問ノ
中特別會計ニ關シマスルコトト、特別圓制
度ト申シマスカ、操作ト申シマスルカ、此
ノ點ニ關シマスルコトヲ私ヨリ御答ヘ申上
ゲマス、特別會計設置ノ理由ト致シマシテ
ハ、御承知ノ如ク全資金ハ交易營團ニ於テ
處理スルノデアリマス、特別會計ニ於テハ
資金ノ處理ハ致サナイノデアリマス、只今
ノ交易營團ノ取扱ヒマス交易ハ、戰爭ノ要
請ニ基キマシテ、共榮圈內ノ各國家地域ノ
物資ノ交流デアリマス、ソレガ戰時現象ト
シマシテ、特異ノ價格差ヲ生ジマスル場合ニ、
其ノ價格差ハ利益デアリマシタ場合ハ、是ハ
私人ニ歸屬スベキ性質ノモノデハナイノデアリマ
ス、國家ニ歸屬スベキ性質デアリマス、又損失
ヲ生ジマシタル場合ハ、是ハ私人ノ負擔ス
ベキモノニアラズシテ、國家ノ負擔スベキ
モノデアリマス、謂ハバ其ノ差損差益ハ國
ニ納ムル稅デアリ、國カラ與ヘル補助金デ
アルガ如キ性質ヲ有ジテ居ルモノデアリ
マス、ソレ故ニ假ニ之ヲ交易營團ニ於キマ
シテ、全部ノ處理ヲ致スニ致シマシテモ、
他ノ交易營團ノ收支ヨリ區分ヲ致シマシ
テ、明瞭ニ價格差、價格益ヲ計算スベキモ
ノデアリマス、斯ク致シマシタ場合ニ、其
ノ損ガ生ジマシタ場合ハ、到底交易營團自
ラ處理スル譯ニ參リマセヌ、之ヲ處理致サ
ウト思ヘバ、現狀ニ於テハ國內ニ於テ東亞
共榮圈ヨリ入ル物資ハ、非常ナル高價格ト
ナリマシテ、今日ノ物價水準ヲ破壞スルノ
デアリマス、又利益ノアリマシタ場合モ、
交易營團ガ之ヲ收得スルト云フ理由ハナイ
ノデアリマシテ、正確ニ之ヲ記帳スルノ必
要ガアルノデアリマス、實際的ニ申上ゲレ
バ、其ノ記帳ヲ移シタルモノガ、特別會計
デアリマシテ、特別會計ト申シナガラ役人
ガ居リマスル譯デモナシ、事務所ガアリマ
スル譯デモアリマセヌ、前ニ申上ゲタヤウ
ナ性質ヲ有スル國家的ノ金デアリマスガ故
ニ、此ノ收支計算ヲ明瞭ニシシマスル理由
デ設立致シタノデアリマス、尙ホ只今ノ狀
態ニ於キマシテハ、交易營團ハ全共榮圈內
ノ交易ヲ、全部的ニ扱フ段階ニ至ツテ居リ
マセヌコトハ、只今商工大臣ノ述ベラレマ
シタ通リデアリマス、隨テ價格損、價格益
ハ交易營團ノミニ起ルモノデハアリマセヌ、
仍テ是等ノモノヲ營團內、營團外ノモノヲ
纏メマシテ、收支ヲ明カニスルコトガ適切
デアリマスノデ、特別會計制度ヲ設ケマシ
タ次第デアリマス、隨ヒマシテ此ノ特別會
計ニ依リマシテ、交易營團ノ仕事ガ阻碍セ
ラレルコトハ毫モナイノデアリマス、尙ホ實
際上ノ運營等ニ致シマシテモ、之ヲ輸入ノ
一々、輸出ノ一々ニ於テ計算ヲ致シマスレ
バ、是ハ非常ナ煩雜デアリマス、ソレデ交
易營團自ラノ記帳ニ於テ整理ヲ致シマシテ、
年ニ數囘纏メテ處理スルト云フ極メテ簡素
ナル方法ヲ執リマシテ、能率ヲ阻碍セザル
方法ヲ十分ニ講ジテ居ルノデゴザイマス
次ニ特別圓ノ問題デゴザイマスガ、特別圓
ハ普通ノ圓ト毫モ相違ガナイノデアリマス、
唯只今ノ如キ計畫經濟ノ下ニ於キマシテハ、
地域間國際間ノ資金ノ移動ハ、假令共榮圈
內ト雖モ自由ニ放任スル譯ニハ參リマセヌ、
隨ヒマシテ圓ハ自由ニ共榮圈內ニ流通スル
ト云フ譯ニハ參リマセヌ、併シナガラ大體
ニ於テ其ノ性格ヲ附與シテ宜シイ性質ト限
度ノモノハ、斯樣ナモノヲ認メマスルコト
ガ、特ニ地域間ノ交易ヲ促進シマスル上ニ
有效デアリマスルノデ、是ハ過般「タイ」國ニ
對シマシテモ、今囘佛領印度支那ニ於キマ
シテモ、之ヲ認メマシテ同意致シマシタ次
第デアリマス、其ノ爲替「レート」ハ佛印ニ
於キマシテモ、「タイ」ニ於キマシテモ、ソレ
ゾレ協定シタ「レート」ニ依ツテ居リマス、
但シ貿易上ノ實際ノ便宜ニ基キマシテ、爲
替銀行ガ特殊ノ「レート」ヲ以テ致シマスル
コトガ、非常ニ交易ノ實際ノ手續ヲ簡素ニ
シ、簡略ニスルト云フ場合ガ、是ハ理窟デ
ナク從來ノ實驗上多イノデアリマスルノデ、
此ノ制度ガ行ハレテ居ル場面ガアルノデア
リマス、併シソレハ全ク其ノ便宜ニ基キマ
スルノデ、同ジモノガ商品別ノ差損差益ニ
於テ現ハレナイ場合エ於テハ、同樣ナモノ
ガ爲替ノ差損益ニ現ハレマスノデ、實際ハ
協定ヲシタル爲替「レート」ヲ紛淆スルガ如
キ虞ハ毫モナイノデアリマス、通貨ノ價値
ノ上ニ於テ不安定ヲ與ヘマスル原因ハ毫モ
ナイノデアリマス、又只今ノ問題ヲ離レマ
シテ、一般貿易ノ上ニ特別ノ「レート」ヲ考
ヘルト云フコトガ、一ツノ方法デナイカト
云フ御尋ネデアリマス、是ハ尙ホ大東亞大
臣ヨリモ御答ヘガアル問題デアリマスルガ、
ソレト申スノハ、最初ニ御述べニナリマシ
タ共榮圈內ノ國家間、地域間ノ大キナ意味
ノ物資調整ノ問題、其ノ意思カラ御出發ニ
ナリマシタ觀點デアリマシテ、私ハ一ツノ
是ハ「サゼスチョン」デアル、考ヘ方デアル
ト存ジテ居リマスガ、關係スル所ガ中々多
イノデアリマスルカラ、只今斯カル「レー
ト」ヲ考ヘルトカ考へナイトカ云フコトニ
付キマシテハ、私ハ御答辯ヲ差控ヘタイト
存ジマス(拍手)
〔國務大臣靑木一男君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=21
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022・青木一男
○國務大臣(靑木一男君) 只今ノ御質問ノ
中デ、私ニ對スル分ニ對シテ御答ヘ申上ゲマ
ス、大東亞共榮圈內ノ交易計畫ハ、單ニ我
ガ國ト圈內各域トノ交易ノミナラズ、我ガ
國以外ノ各國、各地域間ノ交易ニ付テモ、
同樣ノ計畫交易ヲ行フ必要ガアルノデハナ
イカト云フ點ニ付テノ御尋ネガアリマシタ、
此ノ點ハ確カニ私共モ左樣ニ考ヘテ居ルノ
デアリマス、隨ヒマシテ、大東亞省ニ於キ
マシテハ、關係各國政府ト密接ニ連絡ヲ致
シマシテ、又必要ナル支援モ與ヘマシテ、
是等ノ計畫ガ理想的ニ、此ノ大東亞戰爭ヲ
勝拔ク爲ニ、又大東亞共榮圈建設ノ爲ニ、
最モ合理的ナ運用ヲナスヤウニ努力スル積
リデ居リマス
各現地ニ此ノ交易營團ニ對應スベキ現地
機構ヲ作ルコトハ、先程商工大臣ヨリ御說
明ノ通リデアリマスガ、之ニ付キマシテハ
今日マデモ國ニ依ツテ形ハ違ヒマスガ、或
ル程度ノ整備ヲ見テ居リマス、併シ我ガ國
ニ於テ今囘斯ウ云フ制度ヲ確立致シマシタ
以上ハ、之ニ應ズル現地ノ機構モ更ニ各關
係政府ト相談致シマシテ、立派ナ機構ヲ作
ル考ヘデ、只今〓究ヲ進メテ居リマス、其
ノ際ニハ只今御話ノアリマシタ如ク、現地
ノ民間ノ人達、殊ニ其ノ資力、集荷、配給
ノ機構等モ採入レマシテ、我ガ國ト本當ニ
提携シテ有力ニシテ立派ナ組織ヲ作リタイ
ト考ヘテ居リマス
次ニハ產業立地計畫ノ點ニ付テデアリマ
スガ、此ノ問題ハ昨年大東亞建設審議會ニ
於テ、立派ナ御答申ヲ得テ居ルノデアリマス、
政府ニ於キマシテハ此ノ答申ヲ基準トシテ、
其ノ後ニ於ケル內外ノ情勢ヲ勘案シ、具體
的ノ計畫ヲ進メテ居リマス、大體ニ於キマ
シテハ國防ノ要請ト云フコトヲ、先ヅ考へ
ルノハ固ヨリデアリマスガ、資源ノ賦存ノ
狀況其ノ他產業條件ヲ十分勘案致シマシテ、
各地ノ特性ニ應ジ、大體ニ於キマシテハ
適地適業ト云フ趣旨ノ下ニ、ソレ〓〓ノ產
業ノ發展ヲ圖ツテ居ルノデアリマス、此ノ
場合三木君ノ御話ノアリマシタ如ク、從來
ノ米英諸國ガ東亞ニ臨ンダ如キ植民地的、
搾取的ノ計畫ニ墮スルコトナク、本當ノ道
義ニ基ク經濟秩序ヲ作ルト云フ大キナ見地
カラ、新タナル構想ヲ運ラシテ居ル次第デ
アリマス、但シ此ノ大東亞戰爭ノ下ニ於キ
マシテハ、差當リ努力ノ中心ヲ帝國ノ戰力增
强ニ置クコトハ、是ハ當然デアリマス、併シナ
ガラ各地ニ於キマシテモ、我ガ國ニ供出スベ
キ所ノ軍需工業ノ原料、其ノ他ノモノノ生
產ヲ圖ルト同時ニ、現地住民ノ生活必要品
ニ付テモ、出來ルダケノ增產ヲ行ハシメルト
云フコトニ努力セネバナラヌト考ヘテ居リマ
ス、其ノ一例トシテ考ヘテ居ラレマスルノ
ガ、纖維工業或ハ雜工業ノ現地移駐ノ問題
デアリマス、是ハ我ガ國ノ國內事情カテモ來
テ居ルノデアリマスガ、現地ニ於キマシテハ從
來米英其ノ他ノ諸國、或ハ我ガ國カラ日用
品ヲ主ニ買ツテ居ツタ、是ガ急ニ來ナクナ
ツタト云フコトガ、現地住民ノ生活上大キ
ナ問題デアリマスノデ、是等ノ點ヲ補フ爲
ニ現地ノ原料、勞力等ヲ利用シ、又必要ニ
應ジテハ我ガ國カラ設備、技術等モ貸シテ
ヤリマシテ、此ノ產業ノ復興建設ニ協力致
シタイト考ヘテ居リマス
大東亞共榮圈各國ノ物價ガ非常ニ高クナ
ツテ來テ居ルト云フコトハ、仰セノ通リデ
アリマス、此ノコトガ共榮圈內ニ於ケル物
資ノ交流ノ非常ナル障害デアルト云フコト
モ、申スマデモナイ點デアリマシテ、此ノ
法案ノ提案サレタ所以モ、其ノ一半ハ其ノ
點ニアルト存ジマス、此ノコトハ獨リ交易
問題ノ關係ノミナラズ、現地ニ於ケル民生
ノ安定、治安ト云フヤウナコトニモ非常ナ
重大ナル關係ガアル問題デアリマスノデ、
圈內各國共此ノ問題ニハ非常ナ苦心努力ヲ
致シテ居ルノデアリマス、併シナガラ戰爭
ノ影響又先程申シマシタ如ク、事變或ハ大
東亞戰爭ノ結果、從來カラノ物資ノ交流關
係輸出入關係ト云フモノガ一變シテ來マ
シタ爲ニ、急激ニ生活必需品ガ缺乏シタ、
殊ニ從來ノ「ストック」ガ減ツテ來タト云フ
ヤウナ關係上、物價ノ騰貴ヲ見ルニ至ツタ
實情ニアルノデアリマス、ソレニ對シマシ
テハ各國トモ通貨ノ部面竝ニ物資ノ兩面カ
ラ、銳意是ガ對策ヲ講ジテ居リマス、例
バ通貨ノ方面ニ於キマシテハ、出來ルダケ
速カニ安定通貨ヲ造リタイ、勿論滿洲、蒙
疆北支等ニ於テハ旣ニ早ク通貨制度ガ出
來テ居リマシタガ、中南支ニ於キマシテハ、
從來ノ舊法幣ノ下ニアリマシタノデ、此ノ
舊法幣ノ下ニ通貨ノ安定ヲ圖ルト云フコト
ハ不可能デアリマスノデ、昨年春以來此ノ
點ニ付テ儲備劵ニ依ル通貨ノ統一工作ヲ斷
行サレ、昨年末マデニ成功ヲ見ルニ至ツタ
ヤウナ次第デアリマス、此ノ通貨ノ制度ノ
確立ト共ニ、此ノ價値安定ニ付テ、先ヅ以
テ各國トモ、財政ノ方面カラ此ノ通貨ノ膨
脹ヲ來サナイヤウニ非常ナル苦心ヲ拂ツテ
居リマス、此ノ點ニ付キマシテハ、大體ニ
於テ今日マデ健全財政ノ方針ヲ維持シテ來
テ居ルト申上ゲテ宜シイノデアリマスル
ガ、併シナガラ他ノ產業開發、或ハ其ノ他
物資ノ取得ノ爲ニモ、相當巨額ノ通貨ガ出
テ參リマスノデ、此ノ通貨ノ裏付ケヲナス
物價ノ安定ヲ計ルト云フコトハ、非常ニ難
カシイト共ニ重大ナル問題ニナツテ來テ居
リマス、又貯蓄ノ奬勵等モ滿洲國等デハ非
常ニ力ヲ入レテ居リマスガ、他ノ地域デハ
慣習其ノ他ノ爲ニ、中々思フヤウニ參リマ
セヌ、又統制法規ヲ我ガ國ノ如ク徹底的ニ
施行シテ、此ノ物價政策ヲ强行スルト云フ
點ニ至リマシテモ、各國ノ政情或ハ民度等
ノ關係カラ、中々思フヤウニ行カナイ實情
モ諒トセネバナラヌノデアリマス、隨ヒマ
シテ通貨方面カラ此ノ通貨ノ膨脹ヲ避ケ、
物價ノ騰貴ヲ阻止スルト云フコトダケデナ
シニ、今日デハ出來ルダケ物ノ方面カラ、
此ノ對策ヲ講ズル急務ニ迫ラレテ居ルノデ
アリマス、隨ヒマシテ今マデ行ハレテ居リ
マシタ色々ノ制限ヲ解キ、ソレカラ先程申
上ゲマシタヤウナ現地ノ原料、資材、或ハ
勞力ヲ使ツテ出來ルダケ增產ニ努メテ、之
ニ依ツテ出デ行ク通貨ノ裏付ケヲナシ、
方ニ於テハ民生ノ安定ヲ圖ルト共ニ、我ガ
國ニ對スル協力ニ遺憾ナキコトヲ期シテ居
ル實情ニアルノデアリマス、先程大藏大臣
カラ御話ノアリマシタ通リ、現地ノ物價騰
貴ト內地ノ物價トノ價格差ノ調整ニ付キマ
シテハ、今日マデモ色々ノ形デ其ノ調整ガ
行ハレテ居リマスガ、今後此ノ法案ガ通リ
マスレバ、是等ノ調整ノ方法ニ付テモ、簡
明ニ力强ク實行サレルモノト期待シテ居リ
マシー併シ其ノ方法ニ付キマシテハ、各現
地ノ實情ニ應ジテ必ズシモ劃一的ニ堕サナ
イヤウニ、有效ナル方法ヲ執ツテ行ク考ヘ
デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=22
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023・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 今井嘉幸君
〔今井嘉幸君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=23
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024・今井嘉幸
○今井嘉幸君 交易營團法案、異樣ナ存在
デアリマス、一般國民ハ驚キノ眼ヲ以テ見
テ居リマス、殊ニ貿易業者ハ非常ナ不安ヲ
持ツテ居リマス、前質問者カラ色々詳細ナ
ル質問ガアリマシテ、御丁寧ナ當局ノ御說明
モアリマシタノデ、私ハ質問ヲ御遠慮致サ
ウカト思ツテ居ツタノデアリマスガ、ピン
ト來ナイ、少クトモ私ノ考ヘテ居ル貿易業
者ノ立場カラ考ヘテ見マスト、澤山ノ問題ガ殘
ツテ居ルノデアリマスカラ、簡單ニ若干點
ノ質問ヲ致シタイト思フノデアリマス
其ノ第一點ハ、何故ニ貿易ニ對シテ營團
ト云フヤウナ形式ヲ採用シナケレバナラナカ
ツタカト云フ、根本理由ニ付テ、モウ少シ
詳細ニ伺ヒタイノデアリマス、我ガ國ノ經
濟統制ハ、注意スベキ特色ヲ三ツ持ツテ居
ル、其ノ一ツハ指導原理ガ頗ル屢〓、變轉ヲ
致シテ居ルト云フコトデアリマス、想ヒ起
ス、田中總理ガ此處デ肥料分配ノ問題デ、有
名ニナツタノデアリマシテ、ソレ以來此ノ
統制經濟ト云フモノガ始マツテ居ルノデア
リマスガ、內閣ノ迭ル度ニ、否大臣ノ迭ル
度ニ、或ハ大臣ト次官ト喧嘩ヲシタ度ニ變
ツテ居ルト云ツタヤウニ、猫ノ眼ノ如ク此
ノ指導原理ト云フモノガ今日マデ變ツテ來
テ居ルノデアリマス、而シテ今日ハ其ノ經
濟統制ノ最高峰トモ云フベキモノニ達シテ
居ル、營團卽チ是デアリマス、ソレカラ
次ノ特色ハ、我ガ統制經濟ハ、是ハ人民ノ
方ノ側ノ考ヘデアリマスガ、官僚獨善ト云
フモノデアル、指導デアリマスカラ、是八、
上カラ何事カヲヤラナケレバナラヌ、初メ
ハ其ノ機構外ニアリマシテ命令ヲスルトカ、
許可ヲスルト云フ形式デヤツテ居ツタノ
デアリマスガ、段々此ノ統制ガ進ンデ來マ
スト、自然ニ其ノ機構ノ中ニ入リ込ンデ來
ル、ソレハ官權ガ入ルノデハアリマセヌガ、
天降リト云フ形デ其ノ中ニドン〓〓入ル、
サウシテ近來ニ至リマシテハ、其ノ俸給マ
デ御手盛デアリマス、以前ニ取ッテ居ッタ俸
給ト比較致シマシテ、如何ニ今日ハ段違ヒ
デアリマスカ、今日我ガ前線ニ於キマシテ
モ又銃後ニ於キマシテモ、町內會ヲ初メト
致シマシテ隨分無報酬デ活動ヲ致シテ居
ル、血ミドロニ奮勵ヲシテ居ル、ソレ等ノ
狀態ト凡ソ違ツテ居ル、妙ナ現象デハナイ
カト私ハ思フノデアリマス、サウ云フ風ナ
獨善、サウシテ其ノ命令、指導其ノ他ノ點
ニ於キマシテ、普通ノ物事カラ妙ニ考ヘラ
レルモノ、非常識ニモ考ヘラレルモノガ段々
アルノデアリマス、ソレカラ三ノ特色ト
致シマシテ、昨日ノ山崎氏ノ質問ノ中ニモ
アリマシタガ、國民全體ガピツタリトシテ
ナイ、協力ニ遺憾ナ點ガ甚ダ多イト云フコ
トデアル、論ヨリ證據、今日我ガ國ノ經濟
事犯ノ狀態ハドウデアルカ、隨分澤山經濟
事犯ヲ出ス、犯罪人ノ半分以上ハ統制違反
者デアル、而モ其ノ中ノヒドイ者ダケヲヤ
ツテ居ルノデアリマスガ、悉ク之ヲ出セバ、
形容デモアルケレドモ、今日ノ國民學校ノ
校舍ヲ一パイニシテモ、是等ノ違反者ハ容
レ切レナイト云フ程ノ、澤山ノ統制違反者
ヲ今日出シテ居ルヂヤナイカ、是ハ結局同
ジク日本國民デアル、前線ニ出レバ世界無
比ノ兵士ニナルノデアルケレドモ、銃後ニ
歸ツテ來ルト統制違反ヲ出ス、斯ウ云フコ
トハ頗ルヲカシナコトデアリマシテ、是ハ
結局制度其ノモノニ不適當ナコトガアル、
或ハ其ノ實行方法ニ付テ無理ガアルノデナ
イカト思ハレルノデアリマス、交易營團ヲ
見ルニツケマシテモ、ヤハリ此ノ眼デ私共
ハ見ナケレバナラヌ、一般貿易業者ハ斯ウ
云フ風ニ考ヘテ居ルノデアリマスルガ、官
僚獨善ノ點ハ是カラ始マルノデアリマスカ
ラ、マダ批判ノ限リデハアリマセヌガ、此
ノ指導原理ノ方面ニ於キマシテモ、貿易範
圍ニ於キマシテハ、貿易組合ヲ作レト云
フ、ソレカラ今度ハ振興會社ヲ又作レト云
フ、統制會ニシロト云フ、ソレカラ重要物
資管理營團ト云フモノモ拵ヘテ居ル、而シ
テ今度ハ交易營團ト云フモノニスルコトニ
ナツタ、最高峰、最高度ノ統制ヲ今日ヤラ
ウト致シテ居ルノデアリマス、想ヒ起シマ
スガ、世界大戰ノ後ニ「ロシヤ」ニハ商賣人
ガナクナツテ、政府ガ貿易ヲヤラウト云フ
コトニ付テ、吾々ハ驚キノ眼ヲ以テ見タノ
デアル、「フランス」人ガ昔「アメリカ」ノ獨
立シタ時ニ、王サンノナイ國ガ出來タト云
フコトヲ驚イタ程吾々ハ驚イタノデアリマ
ス(「軌道ニ戾レ」ト呼ブ者アリ)今日日本ガ
其ノ最高峰ニ達スルト云フコトハ、殆ド思
ヒモ寄ラナカツタコトデゴザイマス、今日
此ノ態勢ハ世界中「ロシヤ」以外ニハ餘リ多
ク見ナイト私ハ思フノデアリマスガ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=24
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025・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 今井君、議題ニ付テ
ノ質疑ヲ進メラレタラ宜カラウト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=25
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026・今井嘉幸
○今井嘉幸君 終ソレデハ國民ノ協力ト
云フコトハドウデアルカト申シマスト、十
分ニ此ノ制度ヲマダ諒解ヲ致シテ居リマセ
又、而シテ其ノ事物其ノモノガ、果シテソ
レニ適當スルカドウカト云フコトガ、甚ダ
疑ハシイノデアリマス、是ハ貿易業者ノ立
場カラ言フノデアリマスルガ、凡ソ貿易ト
何フモノハ、是ハ自由經濟ノ最初ノモノデ
アツテ、最後ノモノデアルノデアリマス、
何シロ相手ガ外國人デアルノデアリマス、
ソコニハ日本ノ法律ト云フモノハ行ハレナ
イノデアリマス、而シテ此ノ外國人ノ經濟
體制ト云フモノハ、必ズシモ同一デナイ、
先程物價政策ニ付テ色々御話ガゴザイマシ
タケレドモ、斯ウ云フヤウナ日本ノ法律ノ
及バザル所ニ向ツテ號令ヲ掛ケテモ、ソレ
ハ思フヤウニナラナイ、昔英國ノ王樣ガ、
波ニ向ツテ號令シタト云フノデアリマス
ガ、中々サウ云フヤウニ思フヤウニナルモ
ノヂヤナイノデス、ノミナラズ貿易ニ付テ
ハ個性發揮ト云フコトガ、甚ダ大キナ問題
デアリマシテ、臨機應變ノ處置ヲ要スルノデ
アリマス、サウ言フヤウナ事物ニ對シマシ
テ、何ガ故ニ統制ノ最高峯デアル所ノ營團
ト云フ形式ヲ採ラナケレバナラナカツタカ
ト云フ其ノ根本理由ニ付テ伺ヒタイノガ、
第一點デアリマス、此ノ點ノ御說明ガ十分
ニ足ラナカツタト私ハ考ヘルノデ、貿易業
者ハ非常ニ其ノ點ニ向ツテ不諒解デアリマ
スルカラ、此ノ爲ニ十分ノ御說明ヲ希望ス
ル次第デゴザイマス
ソレカラ第二點ハ、適用ノ範圍デゴザイ
マスルガ、是ハ前質問者カラ質問ガアリマ
シタケレドモ、其ノ御說明ガ十分デナカツ
タヤウニ思ハレルカラ、補足ヲシテ戴キタ
イノデアリマス、言換ヘレバ、此ノ交易營
〓ヲ適用スルノハ、第三國貿易ニモ適用ス
ルカドウカ、東亞共榮圈以外ノモノニモ、
適用スルカドウカト云フコトモ分ラナイ、
ソレカラ支那、滿洲ニハ無論適用スルノデ
ゴザイマセウガ、南洋ニ向ツテハドウスル
カ、南洋ト申セバ大陸南洋ト、海洋南洋トノ
二ツニ區別致シマスガ、大陸南洋トハ印度
支那半島ノ南洋デアリ、海洋南洋トハ島デ
アリマスガ、今伺フ所ニ依リマスルト、其
ノ點ガハツキリ致シテ居ラナカツタノデア
リマスガ、聞ク所ニ依リマスルト、ソレハ
大陸南洋ノミニ適用スルノデ、島ノ南洋ニ
付テハ適用シナイ、言換ヘレバ、昔ノ蘭領、
今日ノ東印度諸島及ビ「フイリッピン」ニハ
適用シナイヤウニ伺ツテ居ルノデアリマス、
而シテ此ノ大陸南洋ノ中ノ印度支那半島、
卽チ佛印「タイ」「ビルマ」「マライ」斯ウ云フ
ヤウナ所ニハ適用スルケレドモ、今伺フト
云フト、〓ト云フモノハ其ノ中カラ除外ス
ル、專賣制度ヲ行ツテ居ルモノハ無論除外
スルガ、米モ除外スルト云フコトデゴザイ
ママ、併シナガラ此ノ大陸南洋ノ中ノ主要
ナル物產ト云フモノハ、米ヲ措イテ殆ドナイ
ノデアリマス、「ホンゲイ」ノ石炭位ノモノ
デアル、ソレモ極ク僅カデアル、是ハ數字
ヲ承ツテ見タイノデゴザイマスガ、斯ウ云
フヤウニ殆ド從來ノ貿易ハナイノデアリマ
ス、第一海洋南洋-島ノ南洋ヲ除ク、而シ
テ大陸南洋ノ中デ米モ除ク、殆ド適用スル範
圍ト云フモノハ有名無實ニナルノデナイカ
ト思フ、今日本人ハ南ヘ〓〓ト、南ノ方へ
出テ行クト云フ聲ガ非常ニ多イノデゴザイ
マスケレドモ、此ノ範圍ニ於テ交易營團ノ
適用スル區域ト云フモノハ非常ニ狹イ、是
ハドウ云フ譯デアリマスルカ、モウ少シ大
キクシタラ宜ササウナモノデアルガ、此ノ
點ニ付テ承リタイノデアリマス
ソレカラ第三ハ對支、寧ロ對支那人關係
デアリマス、御承知ノ如ク支那ハ土地大ニ
シテ物豐カニ、人民ハ四億モゴザイマスガ、
此ノ國ハ古イ國デ、個人主義デ今マデ叩キ
上ゲタ國デアルノデアリマス、統制經濟ナ
ント云フコトハ思ヒモ寄ラナイ、サウ云フ
ヤウナモノヲ相手ニシテ、是カラヤツテ行
カナクチヤナラヌノデアリマスガ、彼等ハ
玆ニ交易營團ト云フ怪物ガ現ハレテ來テ、
異樣ナ眼ヲ以テ之ヲ見ルダラウト思フガ、
是ガ果シテ故障ナキヲ得ルカドウカ、一體貿
易ト云フモノハ親シミト溫カミト、個性ノ濃
厚ナル關係ガアツテ、初メテ圓滑ニ行ハル
ルノデゴザイマス、若シ彼等ガ賣惜其ノ他ノ
手違ヒニ依リマシテ、其ノ結果差損ヲ國家ニ
莫大ニ課スルト云フヤウナコトニナツタナラ
バ、此ノ公益營團ノ目的ハ十分ニ達セラレ
ナイノデゴザイマスガ、此ノ點ハ唯單ニ支那
大陸ダケデナイ、南洋ニ付テモ同樣デアル、
南洋ノ華僑ハ八百万ト稱セラレル、殊ニ大陸
南洋ハ其ノ中ノ六百マデモ持ツテ居ルノデ
ゴザイマスガ、其處ニ於ケル華僑ノ經濟力
ハ非常ナモノデアル、殊ニ商業ハ彼等ガ鍵
ヲ握ツテ居ルノデアリマス、而シテ彼等ノ
力ハ其ノ地方ノ政治力ニモ非常ナ影響ヲ及
ボシテ居リ、又本國ノ政治ヲモ動カシテ居
ルヤウナ狀態ニナツテ居ルノデアリマス、
謂ハバ是等ノ地方ハ寧ロ支那ノ領土ノ延長
ナリト言ウテモ宜シイ、實際支那ハ此處ヲ
領土ト致シテ居ツタ時代モアルノデアリマ
ス、「ドイツ」ノ地政學者ハ、將來西南太平洋
ハ民族自覺ノ結果支那ガ支配スルヤウニナ
ル、支那ノ領土ニナルデアラウト云フコト
ヲ、喝破シタコトガアル位デアリマシテ、
此處ハ支那ノ領土、支那人ノ場所デアルト
言ツテモ宜シイ位ノ重要性ヲ持ツテ居ル、
是等ノ華僑ニ對スル對策ハ、先程申上ゲマ
シタ關係ガヤハリ同ジク行ハレルノデゴザ
イマスガ、此ノ華僑對策ニ對シテ御當局ノ
所見ヲ伺ヒタイ、交易營團ヲ實行スル場合
ニ於テ、彼等ヲドウ云フ風ニ扱ツテ行クノ
カト云フコトニ付テ、御意見ヲ伺ヒタイノ
デアリマス
第四ニハ運營ノ中心ヲ何處ヘ置カレルカ
ト云フコトデゴザイマス、元來貿易ノ大半
ハ阪神地方ニ從來アツタメデゴザイマス、
殊ニアメリカ」ガアア云ラ風ニナツテ來テ、
殆ド阪神地方ガ貿易ヲ掌ツテ居ルト言ツテ
モ宜イヤウナ狀態デアリマス、支那、南洋
ニ於テハ殊ニサウデアリマス、殊ニ第三國
ノ貿易業者ガ七百七軒ニ統合セラレマシタ
ガ、其ノ中ノ半分以上ハ阪神地方ニアル、
ノミナラズ支那ノ貿易業者ハ二千五百人ノ
中デ、二千軒マデ阪神地方ニアルノデアリ
マス、殊ニ最モ注意スベキハ、支那ニ於テ
ハ華僑ノ根據地ガアル、南洋ノ華僑ハ廣東、
福建ノ出身者デアリマス、殊ニ神戶ノ華僑
ハ福建、廣東ノ人デアル、謂ハバ華僑ノ一
角ガ神戶、阪神地方ニアリト言ツテモ宜シ
イノデアリマシテ、華僑對策ノ上カラ考ヘ
テ見マシテモ、阪神地方ハ洵ニ重要性ヲ持
ツテ居ルノデゴザイマス、一體政治ノ中心
ハ東京ニアルガ、經濟ノ中心ハ阪神地方ニ
アルト、從來ハ言ツテ居ツタノデゴザイマ
スケレドモ、此ノ頃ニ至ルト、何事モ皆中
央ニ來ナケレバ解決ガ付カナイ、東京々々、
東京へ來ナケレバ夜ガ明ケナイ、或ハ箱根邊
リデ夜ガ明ケルカモ知レナイガ、兎ニ角東
京へ來ナケレバ解決ガ付カナイト云フ時代
ニナツテ居ル、船サヘモ東京ニ中心ヲ移シ
テ來テ居ルノデアリマス、是ハ交通政策上
已ムヲ得ナイト致シマシテモ、先程申上ゲ
ルヤウナ重大ナ關係ノアル所ノ貿易上、今
日作ラレントスル交易營團ノ中心點ハ何處
ニ置カレルカ、營團法ニ依ルト東京ニ置ク
ト書イテアリマスケレドモ、サウ云フヤウ
ナ重要性ヲ占メテ居ル場所ニ、ナゼ中心ノ
場所ヲ置カナイカ、滿鐵ハ大連ニ本社ヲ置
イテ、東京へ支所ヲ置イテ居ルヂヤナイカ、
私ハサウ云フ風ニヤツタラ宜シイト思フ
ノデアリマスが、或ハ他ニ何カ特別ノ方法
ヲ御持チニナツテ居ルノデゴザイマスカ、
先程東亞共榮圈ノ各地ニ、色々設ケルト云
フ御話デゴザイマスガ、普通一般ノ場所デ
ハイケナイ、最モ重要性ヲ占メテ居ル場所
ニハ、ソレダケノ設備ヲシナケレバナラ
ヌト思フノデアリマス、此ノ點ニ付テ御當
局ハ如何ナル御考ヘヲ持ツテ居リマスカ、
御說明ヲ希望スルノデアリマス
終リニモウ一ツ伺ヒタイコトハ、一體營團
ト云フモノハ結局大貿易商ノ專有物ト相成
ルト云フコトヲ、吾々ハ憂フルノデアリマ
ス、ナゼナラバ重要物資營團ハ、ドウ云フ
人ガ持ツテ居ルカ、極ク若干ノ人ガ持ツテ
居ルダケデアリマシテ、殆ド大部分ノ貿
易關係者ハ之ニ關係ヲ致シテ居ナイ、昔
寡頭政治ト云フコトガアリマシタガ、寡頭
經濟段階ニ入ツテ居ルノデゴザイマス、其
ノ重要物資營團ガ其ノ儘交易營團ニ生レ變
ルノデゴザイマスルカラ、凡ソ其ノ性格モ
分ルノデゴザイマス、サウ致シマスルト、
先程申上ゲマシタ七百七軒ノ貿易業者ハ、
ドウナルノデアルカ、殊ニ疑問ト致シテ居
リマスルノハ、昨年指定サレタ佛印ノ指定
貿易商ハ、將來如何ナル立場ニ相成ルカト
云フコトデアリマス、恐ラク此ノ營團ガ出
來マシタナラバ、先程ノ御答辯ノ中ニモ一
寸アリマシタガ、澤山アル貿易業者、卽チ
七百七軒、支那貿易ニ付テハ二千五百軒、
斯ウ云フ貿易者ハ受託者トシテ取扱ハレル
ノデゴザイマセウガ、併シ受託者トシテ取
扱ハレル場合ニ於テ、非常ナル整理統合ヲ受
ケル、整理統制ヲ受ケタナラバ貿易業者モ不
安デアリマスカラ、ソレニ付テ明カナ御答辯
ヲ希望スルノデゴザイマス、恐ラク大ダンビ
ラヲ翳サレテ、非常ナル整理統合ヲ受ケルニ
違ヒナイ、大部分ノ人ハ其ノ中カラハミ出
シテシマフ、サウスルトソコニ失業者ガ非受
ニ出來ル、其ノ主人竝ニ家族、之ニ使ハレテ
居ル被傭人數千人、數万人ノ失業者ガ出來ル
コトニ相成ルノデゴザイマス、ノミナラズ採
リ入レラレテ受託者ト相成ツタ人モ、從來ハ
獨立シテ居ツタモノガ、其ノ獨立性ヲ失フ
ノデアリマス、サウ云フコトニナリマシテ、
ソレニ入ラナイ人ハ廢メテシマフ、サウ云フ
氣分ノ上カラモ失業ノ問題ガ起ツテ來ル、
ソレ等ノ人々ハソレデハドウスルカト申シ
マスト、行ク所ガナイノデアリマス、結局
徵用ノ勞務者ニデモナラナケレバナラヌノ
デゴザイマス、一體今日マデ中小商業者ノ轉
失業ニ付キマシテ、徵用勞務ノ制度ヲ非常
ニ實行致シテ居リマスルガ、御當局ハ此徵
用勞務者ガ如何ナル立場ニアルカ十分御存
ジデセウカ、今日彼等ノ賃銀ト云ヒ、厚生
設備ト云ヒ、實ニ見ルニ堪ヘナイ狀態ニア
ルコトハ、私共方々デ見受ケル所デゴザイ
マシテ、本當ノ勞務ハ歡喜勞働デナケレバ
ナラヌノニ、歡喜勞働ナント云フコトトハ、
凡ソ緣ノ遠イ狀態ニ今日アルノデゴザイ
マス、是デハ戰力增强ガ非常ニヤカマシイ
ケレドモ、ソンナコトハ思ヒモ寄ラザルコ
トデゴザイマスノデ、貿易業者ハ失業ヲス
ル、サウ云フ境涯ニ陷ラナケレバナラヌヤ
ウナ運命ニ、今日向ヒツツアルノデアリマ
ス、前質問者ノ言葉ノ中ニモアリマシタガ、
日本ノ貿易業者ニハ、其ノ性能ヲ十分發揮
スル餘地ヲ、是カラ與ヘナケレバナラヌト
思フノデゴザイマス、元來日本ノ今日興隆
致シタ所ノ功績ニ付テハ、彼等ハ從來與カ
ツテ非常ナル力ガアツタノデゴザイマス、
德川時代ヨリ八幡大菩薩ノ旗ヲ飜シ、サウ
シテ、我ガ南洋貿易ノ先驅ヲ開イタノデゴザ
イマス、而シテ歐洲大戰後ニ於キマシテモ、
日本ノ製品ハ世界ヲ風靡致シタノデアリマ
ス、「マンチェスター」ノ人々モ、是ガ爲ニ顏
色ヲ失ツテ悲鳴ヲ揚ゲタノヲ、吾々ハ眼ノ
前ニマダ見テ居ルノデゴザイマス、サウ云
フヤウナ狀態デ日本ノ貿易業者ト云フモノ
ハ、非常ナル腕前ヲ持ツテ居ル、之ヲ其ノ
能ニ從ツテナゼ御利用ヲナサラナイカ、是等
ノモノハ今出來ル所ノ交易營團ト云フ體制ノ
中ニ、機構ノ中ニ吸收ヲ致シテシマフヨリモ、
更ニ外廓トシテ外ニ殘シテ置イテ、サウシテ
其ノ儘彼等ヲ使ツテ······今日統制會ト云フモ
ノモゴザイマスカラ、其ノ統制會ノ統制組
織ニ依ツテ、之ヲ巧ク扱ツテ行ク所ノ途ハ
ナイデアラウカ、殊ニ彼等ノ中ニハ貿易奉
還、ソレハ吾々ハ覺悟致シテ居ルケレドモ、
併シナガラ奉還ノ結果旨ク國家ノ爲ニ行ク
ヤウニシテ貰ヒタイノダ、吾々自身モ將來
途ノ立ツヤウニシテ貰ハナケレバナラヌト云
フ健氣ナコトヲ言ウテ居リマス(「簡單々々」)
私ハ貿易奉還ト云フ言葉其ノモノニ語弊ガ
アルトハ思ヒマスガ、一方ニ於キマシテ德
川時代ニハ、御朱印船ニ依ツテ國家ガ貿易
權ヲ握リ、其ノ貿易權ノ根本ハ國家ガ有シ
テ居ツタト云フコトカラ考ヘテ見マスト(「簡
單簡單」)奉還ノ言葉モ或ハ適當デナカラウカ
ト思ヒマスルガ、彼等ノ心情ハ貿易奉還異
存ハナイ、併シナガラ是ガ國ノ爲ニナルヤ
ウニシテ貰ヒタイ、吾々ノ途モ立行クヤウ
ニシテ貰ヒタイト云フノガ、彼等ノ望ミデ
アル、極ク少數ノ人々ノ占有物トナツテ大
多數ノ者ガ路頭ニ迷フヤウナコトニナツタ
ラバ、是ハ國策ノ適當ナルモノトハ言ヘナ
イ、所謂乏シカラザルヲ患へズ均シカラザ
ルヲ患フト云フコトガ、是ニモ存在致シテ
居ルノデゴザイマス、斯ウ云フヤウナ觀點
カラ考ヘマシテ、彼等ノ將來ヲ如何ニスル
カ、唯徵用勞務者ニ追込マレテシマフヤウ
ナコトニ相成リハシナイカト云フノガ、彼
等ノ今日ノ此ノ交易法案ニ對スル不安ノ念
デゴザイマス、先程ノ御說明ノ中ニハ、此
ノ點ニ付キマシテ十分ナル御說明ガ足ラナ
カツタノデ、彼等ノ不安ヲ霽ラスヤウニ當
局ノ明細ナル御答辯ヲ希望スル次第デゴザ
イマス、之ヲ以テ私ノ質問ヲ終リマス(拍手)
〔國務大臣岸信介君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=26
-
027・岸信介
○國務大臣(岸信介君) 御答ヘヲ致シマス、
御質問ハ色々ノ點ニ觸レテ居リマスルガ、根
本ニ於キマシテ御諒承ヲ願ヒタイト思ヒマ
スルノハ、現下ノ物資交流ハ過去ノ自由貿
易時代トハ全然其ノ趣キヲ異ニ致シテ居リ
マシテ(拍手)所謂物動的ナ性格ニ依ツテ物
資ノ交流ガサレテ居ルノデアリマス、隨ヒ
マシテ唯儲カルカラ物ガ賣レル、欲シイカ
ラ買フト云フ事柄ガ許サレナイ狀況ニナツ
テ居ルノデアリマシテ、特ニソレガ戰力ノ
增强ト云フ一點ニ集中サレナケレバナラナ
イ現下ノ必要カラ見マスルト云フト、過去
ノ各種ノ統制ノ機構ガ不十分デアリマスモノ
ヲ、完全ニ致ス趣旨ヲ以チマシテ、今囘交
易營團ヲ設立シヨウトスルノデアリマス(拍
手)營團ノ取扱範圍ニ關シマシテハ、先刻モ
御答ヘ申上ゲタノデアリマスガ、尙ホ明確ニ
申上ゲマスルト云フト、南方ノ占領地域ハ
軍政ノ關係デ、是ハ除イテアリマス、其ノ
他ノ滿洲、支那、佛印、「タイ」「ドイツ」
及ビ「イタリア」等トノ交易ハ、此ノ範圍ニ
屬スルモノダト御諒承ヲ願ヒタイト思ヒマ
ス
次ニ華僑對策ノ問題デアリマスルガ、今
日南方諸地域ニ於テ多數ノ華僑ガ交易ニ從
事シテ居リマスコトハ、御說ノ通リデアリ
マス、之ヲ將來交易營團ガ出來マシタ場合
三い、利用スベキ者ハ利用シテ行ツタラ宜
カラウト思ヒマス、併シナガラ日本ノ必要
トスル計畫交易ヲ妨ゲルガ如キ者ニ對シマ
シテハ、斷乎トシテ之ヲ退ケナケレバナラ
ヌト思フノデアリマス
次ニ交易ニ關スル阪神地方ノ重要性ニ付
テ縷々御述ベニナリマシタガ、私共モ全ク其
ノ點ニ付キマシテハ御同感デアリマス、交
易營團ノ設置サレマシタ後ニ於キマシテモ、
阪神地方ニ對シマシテハ有力ナル支所、其
ノ他ヲ配置スル考ヘデアリマシテ、十分實
情ニ適シタ運營ヲシテ參ル考ヘデアリマス
最後ニ交易營園ハ大貿易商ノ一部ノ人々
ガ之ヲ〓斷シ、中小貿易業者トシテハ、其ノ
立ツ所ガナイノデハナイカト云フ御懸念デ
アリマスルガ、是ハ全然左樣ニハ考ヘテ居
リマセヌ、此ノ交易營團ガ出來マシテモ、
交易ノ實務ニ付キマシテハ、出來得ル限リ
從來ノ貿易業者ヲ-ソレハ大貿易業者デ
アルト、中小貿易業者デアルトヲ問ハナイ
ノデアリマスガ、之ヲ活用スル積リデアリ
マス、唯現在ノ中小貿易業者ノ實情ヲ見マ
スルト云フト、實際取扱ノ數量ガ減退シタ
ト云フヤウナ點カラ見マシテモ、現在ノ數
ヲ其ノ儘其ノ規模ニ於テ存續スルト云フコ
トハ、恐ラク何人モ之ヲ期待シテ居ラナイ
ダラウト思ヒマス、私共ハ之ニ對シマシテ
ハ、適當ナ整備ノ方策ヲ講ズル積リデアリ
マスルガ、其途上ニ於テ御懸念ニナツテ
居ルヤウナ、貿易業者ガ其ノ生活ニ迷フト
カ、生活上ノ不安ノ爲ニ色々ノ事態ガ生ズ
ルト云フヤウナコトハ、萬ナイヤウニ十分
ニ施策ヲスル積リデアリマス
特ニ貿易業者ガ多年物資ノ交流ト云フヤ
ウナ事柄ニ對シテ持ツテ居リマスル知識經
驗ト云フモノヲ活カシテ、將來モ之ヲ活用
スル、大東亞共榮圈全體ニ於ケル各種ノ交
易機構ノ整備ニ當リマシテ、又各地域ニ於
ケル集荷配給等ノ業務ノ上ニ於キマシテ、
活用スベキモノニ付キマシテハ、出來ル限
リ活用シテ參リタイト考ヘテ居リマス(拍
手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=27
-
028・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 是ニテ質疑ハ終了致
シマシタ、各案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ
選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=28
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029・森下國雄
○森下國雄君 日程第四乃至第六ノ三案ヲ
一括シテ議長指名三十六名ノ委員ニ付託セ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=29
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030・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 森下君ノ動議ニ御異
講アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=30
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031・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、是ニテ議
事日程ハ議了致シマシタ、次會ノ議事日程
ハ公報ヲ以テ通知致シマス、本日ハ是ニテ
散會致シマス
午後三時四十分散會
衆議院議事速記錄第五號中削除
八十二頁一段十五行六字目以下十八行十四字目
マデ削除ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X00819430202&spkNum=31
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