1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十八年二月二十日(土曜日)
午後一時十九分開議
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議事日程 第十三號
昭和十八年二月二十日
午後一時開議
第一 便郵年金法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二 航空法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第三 木船保險法案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一昨十九日貴族院に於て本院の送付に係る左の政府提出案を可決したる旨同院より通牒を受領せり
公立學校職員年功加俸國庫補助法中改正法律案
義務教育費國庫負擔法中改正法律案
一議員より提出せられたる質問主意書左の如し
全世界囘教圈に對する帝國政府の方針に關する再質問主意書
提出者 四王天延孝君
(以上二月十九日提出)
一去十八日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第七部選出決算委員 松尾三藏君
一去十八日に於ける特別委員の異動左の如し
戰時行政特例法案(政府提出)外二件委員
辭任河上丈太郎君 補闕菊地養之輔君
辭任今成留之助君 補闕高橋壽太郎君
辭任中原謹司君 補闕近藤英次郎君
辭任村松久義君 補闕信太儀右衞門君
辭任青木精一君 補闕小松茂藤治君
辭任喜多壯一郎君 補闕楠美省吾君
辭任中西敏憲君 補闕高橋熊次郎君
辭任高木義人君 補闕小野寺有一君
昭和十八年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する法律案(政府提出)外九件委員
辭任中西敏憲君 補闕小笠原三九郎君
戰時刑事特別法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)委員
辭任金井正夫君 補闕三田村武夫君
商工經濟會法案(政府提出、貴族院送付)外二件委員
辭任星一君 補闕菅野和太郎君
兵役法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)外三件委員
辭任黒澤酉藏君 補闕吉田貞次郎君
藥事法案(政府提出、貴族院送付)外二件委員
辭任江藤源九郎君 補闕星一君
一昨十九日東條内閣總理大臣より左の通發令ありたる旨の通牒を受領せり
技術院參技官 岡田重一郎
第八十一囘帝國議會政府委員被仰付
北海道廳長官 坂千秋
第八十一囘帝國議會内務省所管事務政府委員被仰付
一昨十九日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第七部選出
決算委員 池本甚四郎君(松尾三藏君補闕)
一昨十九日特別委員理事補闕選擧の結果左の如し
戰時刑事特別法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)委員
理事 宮崎一君(理事金井正夫君去十八日委員辭任に付其の補闕)
一昨十九日に於ける特別委員の異動左の如し
北海道鐵道株式會社所屬鐵道外十一鐵道買收の爲公債發行に關する法律案(政府提出)外一件委員
辭任久山知之君 補闕藤本捨助君
農業團體法案(政府提出)外一件委員
辭任石坂繁君 補闕野村嘉久馬君
戰時行政特例法案(政府提出)外二件委員
辭任吉田賢一君 補闕金子定一君
商工經濟會法案(政府提出、貴族院送付)外二件委員
辭任高岡大輔君 補闕吉川大介君
辭任高野孫左衞門君 補闕河盛安之介君
藥事法案(政府提出、貴族院送付)外二件委員
辭任山口喜久一郎君 補闕深澤吉平君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=0
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001・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、日程第一乃至第三ハ、同一委員ニ付託
シタル議案デアリマスカラ、一括議題トナ
スニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=1
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002・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第一、郵便年金法中改正法律
案、日程第二、航空法中改正法律案、日程
第三、木船保險法案、右三案ヲ一括シテ第
一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報〓ヲ求
メマス-委員長八角三郞君
第、郵便年金法中改正法律案(政府
提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第二航空法中改正法律案(政府提出、
貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第三木船保險法案(政府提出、貴族院
送付)第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一郵便年金法中改正法律案(政府提出、貴
族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十八年二月十八日
委員長八角三郞
衆議院議長岡田忠彥殿
報〓書
一航空法中改正法律案(政府提出、貴族院
送付)
官報號外
候此段及報告候也
昭和十八年二月十八日
衆議院議長岡田忠彥殿
報告書
一木船保險法案(政府提出、
候此段及報告候也
昭和十八年二月十八日
衆議院議長岡田忠彥醫
〔八角三郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=2
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003・八角三郎
○八角三郞君 ノ經過竝ニ結果ニ付テ御報〓申上ゲマス、
本委員會ハ前後四囘ニ亙リ會議ヲ開キ、
ノ方針等ニ關シ、
詳細ナル說明ヲ聽取致シマシテ、
ヲ致シマシタ、
先日本會議ニ於テ、
レタ通リデアリマスルカラ、
テ中上ゲマス
ルガ、
二千四百圓ヲ、
テ、長期貯蓄ノ增强ニ資スルト共ニ、
年金制度ノ機能ヲ、
トスルモノデアリマス
次ニ航空法中改正法律案ハ、
界ノ實情ニ卽應スルヤウ、
スル規定ヲ整備致シマシテ、
長、航空通信士、
四和十八年二月二十一日衆議院凍記 第十四號
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノヽ議決致責ヲ、明確ニ致シマシタルコト、
委員長八角三郞マデ擴張指定シ得ルヤウ改メタルコト、
航空運送營業ノ外ニ航空食糧事業、
見事業等、
貴族院送付)業ヲ、
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致點ヲ、
次ニ木船保險法案ハ、
シ、
委員長八角三郞
備セントスルモノデアリマシテ、
〓略ヲ申述ベマスレバ、
只今議題トナリマシタ郵便木船主ノ相互保險組合トシ、
年金法中改正法律案外二案ノ委員會ノ審議公法的權限ヲ與ヘ、
部ヲ補助シ、
其致シテ居ルノデアリマス、
ノ間祕密會ヲ以テ最近ノ海運事情竝ニ政府
約一時間ニ亙リマシテ、シ、
愼重審議ノニハ、
此ノ法案ノ提案ノ理出ハ、リマス、
遞信大臣ヨリ中述ベラトシ、補塡範圍ハ、
其ノ要旨ニ付共同海損及ビ衝突賠償ニマデ及ボスモノデ
アリマス、
先ヅ郵便年金法中改正法律案デアリマス通保險ハ元受保險金額ノ九割、
本案ハ現行ノ郵便年金ノ最高制限額元受保險金額ノ全部ニ付キ、
行フコトト致シテ居ルノデアリマス
三千六百圓ニ引上ゲマシ
郵便
付テ御紹介申上ゲマス、
遺憾ナク發揮セシメン
案ノ關係ニ付テ申上ゲマスルガ、
一、今日ノ民間航空ノ實情ハ、
今日ノ航空トシテノ活動狀況ハドウデアルカ、
航空機職員ニ關機乘員ノ養成方針ハ、ドウナツテ居ルカトノ
新タニ航空機質問ガアリマシタガ、
航空機整備士等ノ資格職現在民間航空ハ、
郵便年金法中改正法律案外二件
又飛行場用ニ供シテ居リ、
周圍ノ特別地域ノ限界ヲ、現在ノ千「メート爲メ、
ル」ヨリ、必要アル場合ニハ二千「メートル」居ル、
又ニ於テ中央養成所二簡所、
魚群探所ノ開設ヲ豫定シテ居ル外、
一般ニ航空機ヲ使用シテ營ム事
新タニ許可制ノ下ニ置イタコトノ三又南方航空路整備ノ方針ハドウデアルカ、
改正ノ要旨ト致スモノデアリマス
木船ノ建造ヲ促進イカ、
木船海運ノ振興ヲ圖リマスル爲メ、是
ト密接ナル關係ヲ有スル木船保險制度ヲ整テハ、
本制度ノ分ノ用意ヲ持ツテ居ル、
第一ニ經營形態ハ本航空會社ヲシテ當ラシメ、
此ノ組合ニハ日航資本金ノ擴充モ考慮中デアル、
政府ニ於テ事務費ノ急物資ノ空中輸送ニ付テハ、
免稅ノ特典ヲモ認ムルコトト
第二ニ保險ノ目
的ハ、總「トン」數二十「トン」以上ノ木船ト致船舶運營會ノ機構ヲ擴大スル意向ガアルカ
差當リ總「トン」數七十「トン」以上ノモドウカ、
付保ヲ强制スルコトニシタノデアハ、企業合同ノ前提デハナイカ、
第三ニ保險金額ハ保險價格ノ全部航實務者ヲ統合スル意向デアルカドウカト
全損、分損、救助費、ノ質問ガアリマシタノニ對シマシテ、
ヨリ、
尙ホ再保險ニ付キマシテハ、普ナイ、運行實務者ノ班制度ハ、
戰時保險ハハ關係ナク、
國營再保險ヲセシムル意向ハナイガ、
ニ關シテハ援助ヲ惜シマナイ、
次ニ各法案ニ對スル質疑ノ主ナルモノニニ關シテハ、
航空法中改正法律舶ヲ運航セシムルヤウナ極端ナル方法ハ、
質問ノ第實情ユ卽シナイモノト考ヘルトノ答辯ガア
豫備空軍リマシタ
又航空
ドウカ、
之ニ對シ政府ヨリ、云フ質問ニ對シ、
其ノ全力ヲ擧ゲテ軍ノ使船料ハ當分變更シナイ、
第一讀會ノ續
更ニ其ノ運營ヲ强化スル低物價政策ニ則リ、
大日本航空會社ノ機構改革モ考ヘテアル、
航空機乘員ノ養成ニ付テハ、本年度
地方養成所四箇補助金制度ノ運用ニ依リ、
急速養成ノ施途ヲ執ツテ居ルトノ答辯ガアリマシタ
設ヲモ考慮シテ居ルトノ答辯ガアリマシタ、次ニ南方地域ノ海運問題ニ關シ、
方針ハドウデアルカ、
是ガ爲ニ一大航空會社ヲ設立スル意向ハナ狀況ハドウカ、
又大型機ニ依リ緊急物資ノ空中輸送
ガ出來ルノデハナイカトノ質問ニ對シマシ運ハ、軍用船ヲ除キ、
南方航空網ノ整備確立ニ付テハ、十民間ノ數社ニ、
其ノ具體化ハ大日
是ガ爲メ將來デアル、拿捕船及ビ引揚船ノ中、
尙ホ緊要ナモノハ軍用ニ供シ、
軍ト共ニ其ノ營會デ運航スル、
實現ヲ期シテ居ルト云フ答辯ガアリマシタ乘組員中、
次ニ本船保險法案ノ關係ニ付キマシテハ、其ノ他ハ現地人ヲ使用シタイ考ヘデアルト
ノ答辯ガアリマシタ
先般行ハレタ運航實務者班ノ設置尙ホ木造船問題ニ關シ、
又今後運手方法、
性ニ付テ質問ガアリマシタノニ對シ、
政府ヨリ、
運營會ノ機構ヲ擴大セシムル意向ハツテ居ル、
企業合同ト域ノ實情ニ卽シテ、
又政府ハ業者ヲ强制的ニ集約セル適正賃金ヲ定ムル方針デアル、
業者ノ自主的統合造船ノ安全性ニ付テハ、
集約ノ程度ナク、
運營會ヲ一會社ニシテ、全船成所等ノ如キ皆採用人員ニ對シ十倍以上ノ
志願者ガアリ、
テ居ルトノ答辯ガアリマシタ
次ニ港灣荷役問題ニ關シ、
次ニ運賃及ビ傭船料引上ノ童向ハアルカ元化、
機帆船運賃ノ統制狀況ハドウカト遇等ニ付テ質問ガアリマシタノニ對シ、政府ヨ
政府ヨリ、汽船ノ公定傭リ、港灣行政ニ付テハ實質的ニ諸屆出手續ノ
運賃モ全般的ニハ簡易化、
二九二
當分引上ゲナイ方針デ
機帆船運賃ハ目下公定ノ準備中デア
ツテ、差向キ代行停止價格ニ依ルコトトシ、
實情ニ卽スル方
運營ノ
拿捕船及ビ引揚船ノ
又船員ノ補充ハドウスルカ
等ノ質問ニ對シ、政府ヨリ、南方ニ於ケル海
原則トシテ定期船ハ
貨物船ハ運營會ニ、地方的
ナルモノハ特殊ノ會社ニ擔當セシムル方針
現地ニ必
其ノ他ノモノハ運
尙ホ南方ニ於ケル船舶ノ
幹部ハ日本人ヲ以テ充テルガ、
造船用木材ノ入
造船職工ノ賃金及ビ木造船ノ安全
政府
木材ノ確保ニ關シテハ萬全ノ策ヲ執
造船工ノ賃金ニ關シテハ、各地
出來高拂ヒ制度ヲ加味
尙ホ木
不安ノ如キハ毫モ
又海員志願者ノ如キハ各級學校、養
海國日本ノ眞面目ヲ發揮シ
港灣行政ノ一
荷役力增强方策及ビ港灣勞務者ノ待
海陸連絡ノ强化等ヲ圖ルト、共ニ、
行政特例ノ準用ヲ〓究シテ居ル、港灣荷役ニ
付テハ港灣作業會社ヲシテ一定勞務者ヲ確
保セシメ、政府ニ於テ常傭勞務者ノ賃金ノ半
額ヲ補助シ、成績ノ優秀ナルモノニ對シテハ
奬勵金ヲ與ヘル外、福利施設ノ改善ヤ食糧ノ
確保等ヲ圖ツテ、荷役力ノ增强ニ萬全ヲ期
シテ居ルトノ答辯ガアツタノデアリマス、又
船員優遇方策ニ付テノ質問ニ對シ、政府ヨリ
軍用船ニアラザルモ、軍ノ指示ヲ受ケ運航
スル船舶ノ乘員ニ對シ、乘員ハ軍屬トナシ、
軍屬タルト否トニ拘ラズ、船員死亡セル場
合ニ於テハ公葬ヲ行フコトトシ、船員援護會
ヲ創設シ、船員援護ノ徹底ヲ期スルコトト致
シテ居ルトノ答辯ガアツタノデアリマス、
又小木船造船業者ニ對スル融資ハ、從來圓
滑迅速ヲ缺クノ嫌ヒガアル、此ノ點特ニ注
意ヲ拂ハルル用意アリヤトノ問ニ對シ、今
後ハ設備擴張資金ハ、戰時金融金庫ニ於テ
ナサシメ、又產業設備營團ヲシテ、設備セ
シムル等ノ方法ヲ講ジ、尙ホ運轉資金ハ戰
時金融金庫ヲシテ當ラシムル方針デアル、
尙ホ近ク具體的ナ方針ヲ決定シ、關係ノ向
ニ通達シ、從來ノ不備ヲ補フ考ヘデアル、其
ノ他運營會、造船補助、航路ニ關スルモノ、
設備セントスル造船所等ニ付キ、重要ナ
ル質問ガアリマシタガ、其ノ詳細ハ速記錄
ニ就キ御覽ヲ願ヒマス
斯クテ質疑ヲ終リ、討論採決ヲ行ヒマシ
タル所、三案トモ政府原案ノ通リ、全會一
致ヲ以テ可決致シタ次第デアリマス、右ヲ
以テ御報告ヲ終リマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=3
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004・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 三案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=4
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005・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ三案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=5
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006・森下國雄
○森下國雄君 直チニ三案ノ第一一讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=6
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007・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 森下君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=7
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008・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ三案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
郵便年金法中改正法律案
第二讀會(確定議)
航空法中改正法律案第二讀會(確定議)
木船保險法案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=8
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009・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、三案トモ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=9
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010・森下國雄
○森下國雄君 委員ニ付託シタル議案ノ審
査終了ヲ待ツ爲メ、此ノ際暫時休憩セラレ
ンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=10
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011・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 森下君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=11
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012・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、暫時休憩致シマス
午後一時三十三分休憩
午後三時十五分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=12
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013・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 休憩前ニ引續キ會議
ヲ開キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=13
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014・森下國雄
○森下國雄君 議事日程追加ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、農業
團體法案及ビ水產業團體法案ノ兩案ヲ一括
シテ議題トナシ、委員長ノ報告ヲ求メ、其
ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=14
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015・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 森下君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=15
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016・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ追加セラレマシタ-農業
團體法案、水產業團體法案、右兩案ヲ一括
シテ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報
告ヲ求メマス-委員長東〓實君
農業團體法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
水產業團體法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一農業團體法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十八年二月二十日
委員長東〓實
衆議院議長岡田忠彥殿
附帶決議
政府ハ農業團體ノ重大使命ニ鑑ミ速ニ農
業關係國策會社等ニ對シ徹底的整理ヲ斷
行シ其ノ業務ヲ農業團體ニ移讓セシムベ
シ
報〓書
一水產業團體法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十八年二月二十日
委員長東〓實
衆議院議長岡田忠彥殿
附帶決議
本法案第九條ノ字句ハ妥當ナラザルノ憾
アリ、政府ハ委員會ニ於ケル言明ニ基キ
速ニ漁業法第一條ト共ニ適當ノ措置ヲ講
ズベシ
〔東〓實君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=16
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017・東郷實
○東郷實君 只今議題トナリマシタ農業〓
體法案外一件ノ委員會ニ於ケル審査ノ經過竝
ニ結果ヲ御報告申上ゲマス、先ヅ最初ニ法
案ノ骨子ニ付キ、其ノ大要ヲ說明申上ゲテ
置クコトガ便利カト存ジマスカラ、ソレヲ
申上ゲマス
卽チ第一ニ、農業團體法案ニ付テ申上ゲ
マスガ、新農業團體ハ農會、產業組合、畜
產組合、養蠶業組合及ビ茶業組合ノ各系統
團體ヲ統合整備致シマシテ、戰力增强ノ基
礎タル食糧ノ增產確保ニ、全農業者ノ總力
ヲ結集シ、其ノ活動ノ最高效率ヲ發揮セシ
メ、以テ大東亞戰爭ノ完遂ニ、遺憾ナキ體
勢ヲ確立スル爲ニ、中央農業會及ビ全國農
業經濟會ヲ中央ニ、道府縣農業會ヲ道府縣
ニ、市町村農業會ヲ市町村ニ、ソレ〓〓設
ケントスルモノデアリマス、而シテ是等新
系統〓體ノ最下部團體タル市町村農業會
ハ、農業者及ビ農業ニ密接ナル關係ヲ有ス
ル者等ヲ以テ之ヲ組織シ、農業ニ關スル國
策ノ協力機關トシテ、中央農業會ハ指導事
業ヲ、全國農業經濟會ハ經濟事業ヲ、道府
縣及ビ町村農業會ハ指導、經濟、金融ノ諸事
業ヲ併セ行フコトニ致シタノデアリマス、
隨テ中央農業會ハ經費團體、全國農業經濟
會ハ出資團體、道府縣及ビ市町村農業會ハ、
經費及ビ出資ノ兩制度ヲ併セ採ル團體トシ
テアルノデアリマス
次ニ本團體ハ其ノ重大使命ニ鑑ミマシテ、
中央〓體ノ會長、理事長等ハ主務大臣之ヲ
任命シ、其ノ他ノ團體ノ役員ハ大體團體ノ
推薦致シマシタモノニ付テ、行政官廳ガ之
ヲ任命又ハ認可スルコトニナツテ居リマス、
又行政官廳ハ事業等ノ施行、命令、其ノ他
團體ノ責務遂行上ニ必要ナル處分等ヲナス
ノ外、必要アル場合ハ團體ノ構成員以外ノ
モノニ對シマシテモ、團體ノ行フ農業統制
施設ニ對スル服從命令、協力命令等ヲ發動
スルコトヲ得ルモノト致シマシテ、團體運
營上其ノ創意及ビ能力ノ發揮ヲ全ウセシム
ルト共ニ、行政官廳ノ指導監督ニ依リ、其
ノ適正ナル運營ヲナサシムルニ遺憾ナキヲ
期スルト云フコトニナツテ居リマス
尙ホ農業團體ノ統合ニ伴ツテ、既存團體法
規ノ改廢ガ行ハレテ居リマスガ、其ノ主ナル點
ヲ申上ゲマスレバ、產業組合中央金庫ヲ農
林中央金庫ト改メ、新タニ森林組合系統團
體ノ加入ノ途ヲ開イタノト、畜產組合法ヲ
馬匹組合法ト改メタ點等デアリマス、以上
ガ農業團體法案ノ骨子ノ要點デアリマス
次ニ水產業團體法案ニ付テ御說明申上ゲ
マス、水產業團體ハ水產會及ビ漁業組合ノ
各系統團體、水產物製造業者ノ團體等ヲ統
合整備致シマシテ、戰爭遂行上水產業ニ對ス
ル要請ニ應ズルノ體制ヲ整ヘントスルモノ
デアリマス、卽チ中央水產業會ヲ中央ニ、道
府縣水產業會ヲ道府縣ニ設立ヲ致シ、道府
縣水產業會ハ、漁業會及ビ製造業會ヲ以テ
組織スルモノデアリマシテ、漁業會ハ漁業者ヲ
以テ、製造業會ハ水產物ノ製造業者ヲ以テ、
之ヲ組織スルモノデアリマス、尙ホ此ノ外ニ
新タニ規模ノ相當大ナル漁業等ニ付キマシ
テハ、原則トシテ道府縣ヲ地區トスル特別漁
業會ヲ設立シ得ルノ途ヲ開イテ居リマス、
而シテ水產業團體ノ加入關係ハ、當然加入ヲ
原則ト致スノデアリマス、是等水產業團體
ハ、水產業ニ關スル國策ノ協力機關トシテ、
指導事業及ビ經濟事業ヲ併セ行ヒ、漁業會
ハ指導事業ノミヲ行フ場合モアルノデアリ
マス、其ノ他水產業團體ノ經理、機關及ビ
監督等ニ付キマシテハ、大體農業團體ト同
樣デアリマスガ、唯漁業會ニ付キマシテハ、
經費制度ノミノモノモ、之ヲ認メルコトニ
ナツテ居リマス、以上ガ水產業團體法案ノ
骨子ノ大要デアリマス
而シテ右兩案ハ、我ガ國ノ農業界及ビ水
產業界ニ取リマシテハ、實ニ劃期的ナ發展
ヲ招來スベキ重大法案デアリマスノデ、委
員會ハ一月三十日以降二月二十日、卽チ本
日ニ至ルマデ會議ヲ開クコト實ニ十四囘、
右兩案ヲ一括議題ト致シマシテ、法案其ノ
モノニ付テハ勿論、是等ニ關聯致シマシタ
國家重要ノ諸問題ニ付キ、委員諸君及ビ政
府當局トノ間ニ、極メテ眞劍ニシテ而モ適
切ナ質疑應答ガ重ネラレタノデアリマス、
但シ詳細ハ之ヲ速記錄ニ就テ御覽ヲ願フコトニ
致シマシテ、此處ニハ法案ノ審議上特ニ必要ナ
リト思ハレマス事項ノミニ付テ、極メテ簡單ニ御
報〓申上ゲタイト存ジマス
先ヅ最初ニ農業團體法案關係ノ質疑ニ付
テ申上ゲマス、其ノ第一ハ新團體ノ機構ニ
關スル點デアリマス、地方ガ一本建ニナツ
テ居ルノニ、中央ノミガ三本建デアルノハ、
如何ニモ現狀重視ノ統合案デアルカノ如キ感
ヲ與ヘル、中央ヲ一本建ニセザリシ理由如何、
又中央ヲ三本建ニスル以上、道府縣以下ノ團
體モ、同樣三本建ニシタ方ガ宜イデハナイカ
トノ質問ニ對シ、政府委員ヨリハ、之ヲ實體的
ニ見テ指導、事業、金融ノ三部門ヲ、唯
ツニ引ツ括メテ見タ所デ、其ノ活動ガ果シ
テ巧ク行クカドウカ頗ル疑問デアツテ、其
ノ邊ノ見透シガ十分デナイカラ、寧ロ專門
ニ應ジテ之ヲ三ツニ致シタ方ガ宜イデハナ
イカト考ヘタ結果デアル、併シ地方ニ於テ
ハ事業ノ分量其ノ他ニ鑑ミ、之ヲ分劃スル
ノ要ナシト考ヘ、之ヲ一本建ニシタトノ答
辯ガアリマシタ
第二ハ、新農業團體ト、農事實行組合及
ビ養蠶實行組合トノ關係デアリマス、此
ノ點ニ付テハ多クノ委員諸君ヨリ熱心ニ、
是等ノ實行組合ハ今日農村ニ於ケル第一
線ノ實踐部隊トシテ、農業ニ關スル凡ユ
ル仕事ノ擔任實行ノ任ニ當リ、我ガ國農
業政策ノ推進上擧ゲテ來タ功績ハ極メ
テ大ナルモノガアルバカリデハナク、將
來ト雖モ實行組合ノ活動ハ、益〓其ノ必要ヲ
痛感スルニモ拘ハラズ、新團體法案ニ於テ
ハ、實行組合ノ加入ヲ認メテ居ナイノハ不
都合ヂヤナイカトノ質問ガアリマシタ、之
ニ對シ當局ヨリ、實行組合ノ會員ハソレ〓〓
新團體ニ加入スルノデアルカラ、其ノ上
更ニ組合トシテモ加入スルコトニナレバ、
所謂二重加入ト云フコトニナル、併シ政府
トシテハ、二重加入マデシナクトモ貯金、貸
付其ノ他ノ經濟事業及ビ農事統制ニ關係ス
ル事業ニ付テハ、新農業團體ノ統制ニ服シ、
協力致スコトヲ法令ニ依ツテ規定シ、員外
利用、員外貸付等モ出來ルコトニシテ居ル
カラ、實質的ニハ何等現在ノ活動範圍ト變
リハナイ、故ニ農業會ト實行組合トノ事業
上ノ運營連絡ニ付テハ、今後ト雖モ別ニ支
障ハナイト考ヘテ居ルトノ說明ガアツタノ
デアリマス
第三ハ地方農業會ノ會長ノ問題デアリマ
ス、此ノ點ニ關シテモ多クノ委員諸君カラ、
地方ノ實情等ニ立脚致シマシテ、眞摯ナル意
見ノ開陳ガアリマシタ、卽チ會長ノ選任ニ
付テハ、市町村農業會ノ會長ノ選任方法ハ、
總會ニ於テ推薦シタル者ニ就キ市町村長ノ
意見ヲ徵シ、地方長官ガ之ヲ命ズトアルガ、
然ラバ市町村制ノ改正ニ依レバ、市町村長
ニ各團體ニ對スル指示權ヲ與ヘテアルカラ、
其ノ意見ヲ徵スル必要ハナイデハナイカ、
又町村制ノ改正ニ依レバ、町村長ノ選任方法
ハ町村會デ選擧シ、地方長官ガ認可スルコト
ニナツテ居ルノニ、本案デハ地方長官ノ任命
トナツテ居ルガ、兩者ヲ區別シタ理由如何、又
農業團體ガ一ツノ自治的責任團體デアルト
云フ意味ニ於キマシテ、之ヲ認可制ニ改メ
ルノガ適當デハナイカトノ質問ニ對シ、當
局ヨリ、市町村長ノ指示權ハ團體ノ仕事等
ニ付テノ指示デアツテ、別ニ市町村長ニ監督
權ガアツテナスモノデハナク、團體長ヲ如
何ナルモノニセヨトカ云フヤウナ指示ハ含
マレテ居ナイト考ヘル、又本團體ガ生產ヲ
確保スル爲ノ農業團體トシテ、政府ノ翼贊
機關トスル以上ハ、行政官廳ノ任命トスル
方ガ實情ニ卽スルト考ヘ、道府縣農業會ノ
會長ヲ主務大臣ノ任命トシタノデ、ソレニ
合ハセ市町村農業會ノ會長ハ、之ヲ地方長
官ノ任命トシタノデアルトノ答辯ガアリ、
更ニ本法案ニ於ケル任命ト、町村制ニ於ケ
ル認可トハ、實質的ニハ大ナル差異ハナイ
ト考ヘルトノ言明ガアリマシタ
次ニ町村長ヲシテ農業會長ヲ兼ネシムル
ノ問題ハ、無論是ハ法令ノ上ニハ何等ノ規
定ハナイノデアリマス、併シ實際問題ト致
シマシテハ、極メテ重要ナル問題デアリマ
スノデ、委員諸君ヨリ幾度モ質問ガ繰返サ
レタノデアリマス、今之ヲ要約致シマスレ
バ、最近町村長ノ仕事ハ煩瑣複雜ヲ極メテ
居ル、ト同時ニ農業團體長ノ仕事モ亦生產、
供出、配給等戰時對應ノ必要ナル事務ガ、
最近特ニ多キヲ加ヘテ來テ居ル、然ルニ町
村ニ於ケル新農業會ハ、各種ノ團體ヲ統合
スルノデアルカラ、其ノ仕事ハ今後一層煩
雜多忙ヲ極メルコトニナル、隨テ多忙ナル
町村ヲシテ、會長ヲ原則的ニ兼務セシムル
ノ方針ヲ執ルコトハ、新〓體ノ第一線的活
動機關タル町村農業會ノ活動ガ、期待ニ反
スル結果ヲ來スナキヲ保シ難イ、故ニ町村
農業會ノ會長ハ、適任者ヲ得ル限リ之ヲ專
任トシ、會長自ラ陣頭ニ立ツテ、其ノ職能ヲ
完全ニ發揮スルヤウニ指導スル方ガ、適當
ナリト信ズルガ、政府ノ御所見如何ト云フ
コトニナリマス、之ニ對スル農林、內務兩
當局ノ意見ヲ綜合致シマスレバ、其ノ人ハ勿
論其ノ他諸般ノ事情ニ照シテ、適任者ナリ
ト考ヘラレル場合ニハ、原則的ニ町村長ヲ
兼ネシムルヤウ指導スルト云フコトニナリ
マス、更ニ然ラバ其ノ適否ノ認定ハ、體
何人ガスルノカ等ノ質問ニ對シマシテハ、
其ノ認定ハ結局地方長官ガスルガ、其ノ際
ハ道府縣農業會ノ會長等ノ意見ヲモ徵シテ
選任スルト云フ建前ヲ適當ト考ヘル、又兼
務ノ指導ニ付テハ干涉ニ亙ラズ、條理ヲ盡
シタ指導ヲナシ、團體長ガ町村長ヲ兼ネル
コトモ、一向差支ヘガナイ旨ノ答辯ガアリ
マシタ、更ニ新團體ノ眞ノ使命ヲ完遂セシ
ムルニハ、町村農業會ノ會長ヲ專心其ノ業
ニ當ラシメ、所謂陣頭指揮ノ下ニ努力スル
ニアラズンバ、此ノ團體ノ眞ノ使命ヲ全ウ
スルコトニ行カナイノデアルガ、ソレヲヤ
ラシムルモノニハ、ドウシテモ其ノ待遇等
ニ付テモ、大イニ考慮ノ必要ガアルト思フガ、
政府ハ其ノ點ニ付テ、如何ナル用意ガアルカ
ト云フヤウナ質問ニ對シマシテ、政府ハ御
趣旨ニ付テハ同感デアル、併シ各種團體統
合ノ結果、〓體ノ經費等モ若干餘裕ノ出來
ルコトト思フガ、尙ホソレデモ十分デナイ場
合ニ於テハ、政府ニモ助成等ノ途ガアルノ
デアルカラ、何等カノ考慮モスルト云フヤ
ウナ御答辯ガアリマシタ
第四ハ道府縣農業會ノ支部ノ問題デアリ
ひと、郡ノ團體ハ新團體ガ成立スルト同時
ニ解散シ、其ノ權利義務ハ、總テ府縣農業
會ニ承繼サレルト言フガ、郡ノ團體デ家畜
市場其ノ他ノ財產ヲ持ツテ居ル場合ニハ、
其ノ所有ハ府縣ノ團體ニ移ルト思フガ如何
トノ質問ニ對シ、當局ヨリ郡ノ團體ノ財產
ハ、府縣ノ團體ニ其ノ所有ガ移ル譯デハア
ルガ、其ノ財產ノ管理及ビ利用ニ付テハ從
來ノ狀態ヲ尊重シ、支部ニ於テ之ヲ管理シ、
其ノ利用ヲ優先的ニ致スコトヲ認メテ行キ
タイトノ答辯ガアツタノデアリマス
次ニ支部ノ區域ト、地方事務所ノ區域ト
ノ關係如何トノ質問ニ對シ、農林、內務兩
當局ヨリ、支部ノ區域ハ必ズ地方事務所
ノ管轄區域ニ合致セシムルヤウナ方針ハ
執ラヌ積リデアルトノ答辯ガアリマシ
タ、支部長ヲ理事トスル理由、及ビ地
方事務所長ヲ以テ支部長ヲ兼ネシムル意
思ガアルカドウカトノ質問ニ對シマシ
テハ、當局ヨリ、苟クモ府縣農業會ニ於テ、
郡市區域ニ亙ツテ支部ヲ設ケ、ソコニソレ
ゾレノ責任者ヲ設ケル以上ハ、其ノ支部ノ
仕事モ重要デアルカラ、其ノ責任者ハヤハ
リ團體トシテ相當ノ待遇ヲ與ヘル必要ガア
ラウト考へ理事ト致シタノデアリ、尙ホ地方
事務所長トノ關係ニ付テハ、農林、內務兩
當局ヨリ、兼務セシムルガ如キ方針ハ執ラ
ナイトノ答辯ガアリマシタ
第五ハ新農業團體ト國策會社トノ關係デ
アリマス、國策會社ノ現狀ニ付キマシテハ、
多クノ委員諸君カラ頗ル不滿ノ意思表示ガ
アリ、是ガ刷新ノ必要ガ强調セラレタノデ
アリマス、而シテ實際問題ト致シマシテハ、
新農業團體ノ重大使命ニ鑑ミ、生產資材及
ビ生活必需品等ノ配給竝ニ生產物ノ集荷
ハ、原則トシテ一元的ニ新農業團體ヲシテ、
之ニ當ラシムルコトガ至當デアルトノ主張
ニ對シ、農林當局ヨリ生產物ノ集荷竝ニ生產
資材ノ配給等ハ、出來ル限リ新〓體ヲ使フ
コトガ宜イト思フカラ、其ノヤウニ指導シ
テ行クコトニシタイ、併シ國策會社ハ統制
經濟ノ發展過程ニ於テ必要トセラレタ機關
デアリ、生產者、配給業者、消費者ノ各層ニ
依リ成立シテ居ルモノデアルカラ、能ク其
ノ機能ヲ勘案シテ、具體的實情ニ卽シテ善
處シタイトノ答辯ガアリマシタ、右ノ外新
團體ノ事業ニ關スル問題、養鷄組合、藁加
工組合、園藝組合等ノ如キ任意組合等ノ取
扱ニ關スル問題ヲ初メト致シマシテ、委員
諸君ヨリ茶業及ビ養蠶業關係ノ諸問題、統
合團體ノ範圍、特殊團體ノ措置、系統團體
間ノ監査指導ノ問題、團體ノ經理、團體役
職員ノ給料、待遇ノ問題等法案其ノモノニ
付キ、或ハ政治的ニ、或ハ事務的ニ凡ユル
角度カラ、極メテ眞摯適切ナ檢討ガ重ネラ
レタノデアリマス、而シテ更ニ之ニ關聯致
シマシテ、戰力增强ノ基盤ヲ成スベキ諸問
題卽チ米價問題ヲ中心トスル食糧對策ヲ
初メ、農產物價格ノ問題、民族確保ノ問題、
自作農創設ノ問題、農地價格ノ問題、勞力
ノ問題、農民鍊成ノ問題等、廣ク現下ノ重
要農政問題ニ付キ、極メテ建設的ナ論議ガ
穩カナ言葉ノ裡ニ、熱烈火ノ如キ叫ビヲ藏
シナガラ、頗ル活潑ニ展開サレタコトヲ、
玆ニ附言致シテ置キマス
次ニ水產業團體法案ニ關シマシテモ、農
業團體法案ニ對スルト同樣、頗ル適切ナル
質疑應答ガ行ハレタノデアリマス、卽チ先
ヅ第一ニ、本法第九條ニ「漁業トハ營利ノ
目的ヲ以テ」云々トアル點ニ付テ、斯クノ
如キハ實ニ自由經濟時代ノ遺物ヲ其ノ儘承
繼シタモノデアツテ、決戰態勢下ニ於ケル
今囘ノ漁業者ニ取リテ、其ノ實際ニ副ハザ
ルノ甚ダシキモノデアルガ故ニ、速カニ之
ヲ削除スベキデアルトノ要望的質問ガ、多
數ノ委員諸君カラ開陳セラレタノデアリマ
ス、之ニ對シテ當局ヨリ、本規定ハ本法ノ
漁業ニハ遊魚等ヲ包含セシメナイ趣旨ノ法
律上ノ表現デアリ、漁業法トノ關係上、漁
業權ニ對スル影響ヲ考慮シテ、漁業法デ規
定シタル條項ヲ、其ノ儘踏襲シタルニ過ギ
ナイノデアツテ、決シテ漁業者ヲ利潤追求
スルモノナリトナシタルモノデハナイノデ
アルカラ、御趣旨ノ點ニ付テハ成ベク速カ
ナル機會ニ於テ、漁業法ノ改正ト共ニ其ノ
實現ヲ圖ルヤウ努メタイ所存デアルトノ言
明ガアリマシタ、右ノ外漁業會ノ地區、特
別漁業會及ビ製造業會ノ種類、新團體ノ事
業本法案ト水產統制令トノ關係等ニ關ス
ル質疑ガ行ハレタバカリデナク、水產問題
ニ關スル一般的質問ト致シマシテハ、水產
物ノ增產對策、及ビ之ニ伴フ各種生產資材
ノ供給確保ニ關スル問題、魚類ノ公定價格
ニ關スル問題、特ニ大衆向キ魚類價格引上、
及ビ公定價格ノ定メナキ魚類ニハ、速カニ
公定價格ヲ設定スベシトノ問題等、廣ク生
產增强ノ根幹ニ觸レタ極メテ建設的ナ質疑
ガ熱心ニ行ハレタノデアリマス、併シ時間
等ノ關係ガアリマスノデ、其ノ內容ハ總テ
速記錄ニ讓リマシテ、玆ニハ全部之ヲ省略
致シマス
斯クテ本日午後二時二十分最終ノ委員會
ヲ開キ、討論ニ入ルニ先ダチ、委員會ノ態
度決定上必要ナリト信ズル重要事項數點ニ
付キ、委員長ヨリ總括的質問ヲ試ミ、之ニ對
シ農林大臣ヨリソレ〓〓御答辯ガアリマシ
タ、卽チ委員長ヨリ一、本法案ノ實施ニ當
リテハ、從來ノ沿革及ビ地方ノ事情等ヲ參
酌シ、特ニ深甚ナル注意ヲ拂ヒ、苟クモ混
亂乃至不安等ノ生ゼザルヤウ、萬全ノ方途
ヲ講ズルノ要アリト認ムルガ、政府ニ其ノ
用意アリヤ如何、二、本法案ノ運營ニ付テ
ハ努メテ是ガ官僚化ヲ防止シ、團體自己ノ
責任ト創意トニ依リ、國家奉公ノ使命ヲ全
ウセシムルノ要アリト認ムルガ、之ニ對ス
ル政府ノ方針如何、三、市町村長ノ農業團
體長兼任ハ、特ニ適任者タル場合ニ限リ之
ヲ行ヒ、一般的ニ强要スルガ如キ指導ハ、
之ヲナサザルヲ適當ト認ムガ、之ニ對スル
政府ノ所見如何、四、本法案第四十六條ニ
ハ「行政官廳ハ會長ノ行爲ガ法令、法令ニ基
キテ爲ス處分若ハ會則ニ違反シ又ハ公益ヲ
害シタルトキ其ノ他農業ノ整備發達上會長
ヲ不適當ナリト認ムルトキハ之ヲ解任スル
コトヲ得」ト規定セルガ「農業ノ整備發達上會
長ヲ不適當ナリト認ムルトキ」トハ如何ナルコ
トヲ意味スルヤ、其ノ點ヲ明確ニセラレタ
シ、五、農事實行組合、養蠶實行組合等ノ
團體ヲシテ、市町村農業會ノ會員タラシメ
得ルヤウ、適當ノ措置ヲ講ズルコト必要ナ
リト認ムルガ、之ニ對スル政府ノ所見如何、
六、厚生福利施設ニ關シテハ、特ニ農業團
體ノ活動ヲ遺憾ナカラシムルヤウ、勅令、
命令等ノ制定ニ留意セラレンコトヲ希望ス
ルガ、之ニ對スル政府ノ答辯ヲ求ム、七、
水產業團體ノ使命タル計畫生產ニ必要ナル
資材ノ配給、竝ニ其ノ生產物ノ集荷ハ成ベ
ク新團體ヲシテ一元的ニ行ハシメ、是ト重
複セル國策會社等ノ事業ハ、水產業團體ニ移
讓セシムルコト必要ナリト認ムルガ、之川
對スル政府ノ所見如何トノ質問ヲ試ミ、之
ニ對シ農林大臣ヨリ、一農業團體ノ統合
ハ戰力增强ノ基礎タル食量生產增强ヲ主眼
トスルモノデアルカラ、本法ノ實施ニ當リ
テハ徒ラニ晝一ノ弊ニ流レ、却テ生產增强
ニ支障ヲ招來スルガ如キコトハ、嚴ニ愼シム
ベキハ當然デアツテ、十分從來ノ沿革及ビ
地方ノ實情ヲ參酌シ、苟クモ混亂等ノ生ゼザ
ルヤウ、實施上適切ナル指導乃至措置ヲ講
ズル、二、農業團體ヲシテ眞ニ國策ノ協力
機關トシテ活動セシメ、其ノ國家的使命ヲ
達成セシムル爲メ、之ニ必要ナル若干ノ監
督規定ヲ設ケタノデアルガ、農業生產ノ增强
ハ團體自己ノ責任ト創意ニ基ク活動ニ俟ツ所
大ナルハ當然ノ次第デアツテ、政府ノ指導監
督ノ要諦モ亦其ノ健全ナル發達ヲ圖ルニア
ルモノト考ヘラレル、殊ニ事業運營ノ中心
タルベキ會長ノ選任等ニ付テハ、團體ノ總
意ヲ十分ニ尊重スルヤウ指導致シタイ所存
デアル、三市町村長ノ農業團體長兼任ニ付
テハ、市町村長タル人ノミノ條件ニ限ラズ、
其ノ他諸般ノ條件ヨリ見テ、適當ナリト考
ヘラレル場合ニ於テハ、之ヲ兼ネルヤウ指
導スルト共ニ、一面〓體長ガ諸般ノ條件ヨ
リ見テ、市町村長タルニ滴當ナル場合ニ付
テハ、寧ロ之ヲシテ市町村長ヲ兼ネシムル
ト云フ風ニ指導致シテ參リ、且ツ是ガ指導
ニ付テモ、一般的ニ强要スルガ如キ下涉的
態度ハ執ラナイ方針デアル、四、一農業ノ整
備發達上會長ヲ不適當ナリト認ムルトキ」ニ
該當スル事例ト致シマシテハ、例ヘバ一、
專業運營上措置ヲ誤リ金員ノ信望ヲ失ヒタ
ル場合、ニ、總會ノ決議ニ依リ不信任ヲ表
明セラレタル場合、三、疾病等ノ爲メ業務
遂行上ニ支障ヲ來ス場合、四、其ノ他右ノ
事態ニ準ズル場合ニシテ、農業ノ整備發達
上著シク在職ヲ不適當トスル場合等デアル、
五、農事實行組合、養鷺實行組合ハ、自然
發生的ノ團體トシテ存在セシメ、之ヲ維持
育成セシムル從來ノ方針ニハ、何等變リハ
ナイノデアツテ、唯之ヲ市町村農業舎ノ會
員トシナカツタノハ、農業者ガ亞制加入ニ
ナツテ居ルノデ、二重加入ヲ避ケル意味デ
アリ、今後ニ於テハ、員外利用協力命令等ノ
方法ニ依ツテ、從來通リ部落團體ノ活動ニ
支障ナキコトヲ期シテ居ル次第デアルガ、尙
ホ御趣旨ノ次第モアルカラ、十分考究スルコ
トニ致シタイ、六、現農業團體ニ於テ行ツ
テ居ル厚生福利施設ハ、引續キ新農業團體ニ
於テ之ヲ行ヒ得ルコトハ勿論、將來ニ於テモ
其ノ必要性等ニ鑑ミ、農業團體ヲシテ之ニ當
ラシメルヲ滴當ト認ムルモノニ付テハ、從來通
リ之ヲシテ行ハシメタキ所存デアツテ、法令ノ
制定實施ニ當ツテモ右趣旨ニ依リ措置スル、
七、水產業團體ノ使命タル計畫生產ノ達成
ノ爲メ必要ハル〓項ニ關シテハ、政府ハ久
般ノ施策ヲ講ジテ、是ガ實現ヲ圖ラントス
ルモノデアツテ、水〓業團體ヲシテ資材ノ
配給及ビ生產物ノ集荷ヲ一元的ニ行ハシメ、
是ト重複スル四策會社等ノ事業ヲ移讓セシ
ムルコトニ關シテハ、能ク其ノ機能ヲ勘案
シ、各種ノ資材又ハ生產物ノソレ〓〓ノ具
體的實情ニ應ジ、適切ナル方策ヲ採リタイ
所存デアルト述ベラレテ、政府ノ意ノ在
所ヲ明確ニセラレタノデアリマス、之ニ對
シ委員長ヨリ、本注案ノ生命ハ、要スルニ
運營ノ如何ニ係ルノデアルカラ、是ガ運、
ニ當リテハ、深キ注意ヲ拂ヒ、其ノ效果ヲ
擧ゲル上ニ於テ、萬遺憾テキヲ期セラシル
ヤウニ、特ニ此ノ場合改メテ要望致シテト
クト申述ベタ次第デアリマス
右終ツテ討論ニ入リ、先ヅ農業團體法案
ヲ議題ト致シマシタ所、成島勇君ヨリ、政
府ハ農業團體ノ重大使命ニ鑑ミ、速カニ農
業關係國策會社等ニ對シテ徹底的整理ヲ斷
行シ、其ノ業務ヲ農業團體ニ移讓スベシト
ノ附帶決議ヲ附シ、原案賛成ノ意見ノ開陳
ガアリ、採決ノ結果原案及ビ附帶決議ハ、
何レモ滿場一致ヲ以テ可決セラレマシタ
次イデ水產業團體法案ヲ議題ト致シマシタ
所、靑山憲三君ヨリ、本法案第九條ノ字句
ハ、妥當ナラザルノ憾ミアリ、政府ハ委員
會ニ於ケル言明ニ基キ、速カニ漁業法第一
條ト共ニ、適當ノ措置ヲ講ズベシトノ附帶
決議ヲ附シテ、原案贊成ノ意見ノ開陳ガア
リマシタ、而シテ是亦採決ノ結果、原案竝
ニ附帶決議共ニ、全會一致ヲ以テ可決セラ
レタノデアリマス
最後ニ私ハ衷心ヨリ右兩案ノ成立ヲ祈念シ、
且ツ其ノ運營宜シキヲ得テ、直ニ戰力增强
ノ基盤トシテノ農漁村確立ノ大使命ヲ達成、
セシムルト共ニ、三千万農漁民諸君ノ前途
ニ光明ヲ與ヘ、以テ農國日本、海國日本ノ
威力ヲ、全世界ニ發揚センコトヲ念願致シ
マシテ、私ノ御報告ヲ終ルコトニ致シマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=17
-
018・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 討論ノ通告ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-三宅正一君
〔三宅正一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=18
-
019・三宅正一
○三宅正一君 私ハ本案ニ對シマシテ、委
員長ノ報告ニ贊成ノ意思ヲ陳述セントスル
者デアリマス、併シナガラ本案ハ委員會審
議ノ過程ニ見ラレマシタルガ如ク、各種ノ
點ニ於テ委員側ニモ不滿ヲ持ツテ居ルノデ
アツテ、之ヲ通シマスル所以ハ、此ノ重大
ナル時局ニ當ツテ、從來ノ懸案ヲ解決スル
ト共ニ、少シデモ農漁業團體ヲ强力ニ致シ
マシテ、決戰體制下ニ於ケル食糧ノ增產、
供出ノ促進ニ寄與セシメントスル議員側ノ
熱意ガ現ハレテ、之ヲ通過スルニ決シタノ
デアリマシテ、私ハ本案ノ通過ニ當ツテハ、
政府ハ宜シク其ノ點ヲ考慮シ、苟クモ統合
ノ爲ニ經過的ニモ能率ヲ低下スル如キコト
ナク、直チニ決戰體制ニ間ニ合フヤウ、之
ヲ措置セラレルコトヲ第一ニ要望シタイト
考ヘルノデアリマス、而シテ決戰下ニ於キ
マスル根本ノ問題ハ、本年ニ於ケル食糧ノ
供出ト、而シテ本明年ニ於ケル所ノ增產ノ
達成ニアルノデアリマシテ、農業者ノ創意
ト責任トニ於テ、供出ト增產トニム與セシ
ムルガ如ク、之ヲ運用セシメラレルコト
ハ、私ハ政府ノ責任デアルト考ヘテ居ルノ
デアリマス、私ハ先ヅ供出ノ問題ニ付テ政
府ヲ鞭撻シタイト考ヘルノデアリマスガ、
供出ノ基礎デアル本年ノ生產米ハ、政府ノ
統計ニ依レバ、六千六百万石ノ數字ガ現ハ
レテ居ルノデアリマス、併シナガラ私ノ信
ズル所ニ依リマスレバ、六千六百万石ノ統
計ハ過少ニ過ギテ、遙カニモツト大キナ實
際ノ生產ガアツタト云フ事實ヲ、私ハ確認
シタイト考ヘルノデアリマス、此ノ點ニ付
テ私ハ數箇ノ實際ノ部落ニ就テ調ベテ見タ
ノデゴザイマスガ、一例ヲ擧ゲマスルナラ
バ、信濃川ノ「デルタ」地帶ニ於ケル豐饒ナル
農村ノ一例ヲ申上ゲマスルナラバ、二十八
戶、三十八町七反步ノ耕地ノアル一部落ニ
於テ、實地調査ニ依リマスト、反當實收ハ
二石六斗八升八合ニナツテ居ルノニ對シテ、
役場ヘノ報〓ハ、反當二石三斗七升五合デ
アリマシテ、一反ニ付キ實ニ三斗一升三
合一俵弱ノ付ケ落シガアルノデアリマス、
之ヲ割合ニ付テ見マスト、報〓ヨリ大略
八分ノ增收ニナツテ居ルノデアリマスカラ、
六千六百万石ノ八分ノ實際ノ增收デアルト
致シマスルナラバ、五百万石、卽チ本年ノ
生產ハ七千百万石ノ計畫生產ニ到達シテ居
ルモノデアルト云フ事實ノ下ニ、供出ヲ强
行スベキデアルト私ハ信ジテ居ルノデアリ
マス、故ニ施策宜シキヲ得マスルナラバ、
四千百万石ノ曾テナキ供出ノ外ニ、私ハ更
ニ數百万石ノ供出ヲ農民ノ協力ノ下ニ實現
致シマスルコトハ、不可能デナイト考ヘテ
居ルノデアリマス、更ニ少シク實情ニ付テ
申述ベマスルナラバ、供出ニ對シマスル政
府ノ措置ガ緩漫ニ過ギテ居リマシタ爲ニ、
早場地方ニ於テハ九月ノ收穫、而シテ遲イ
所モ十一月ノ收穫ヲ過ギテ三筒月、其ノ間
ニ於キマシテ、農家カラ橫流レヲ致シマシ
タ米ノ量ハ、私ハ相當ナモノデアルト考へ
ルノデアリマス、卽チ親戚知己ヘノ贈與、
販賣、燒酎、焚キ物、呉服等トノ物々交換、
少數デハアリマスケレドモ、惡質ナル闇賣
リ、及ビ濁酒ニ潰サレタ米ト云フモノハ、
一戶ニ付キマシテ、私ハ最低一俵位ヅツハ
アルモノトノ計算ヲシナケレバナラナイト
思ツテ居ル者デアリマス、而シテ更ニ保有米
ヲ(發言スルモノ多シ)保有米ヲ農民ノ赤誠
ニ愬ヘマシテ、奮起一番供出セシメマスルナ
ラバ、更ニ數俵ノ私ハ供出ガ不可能デハナ
イト信ジテ居ルノデアリマス、是等ノ供出
餘力ヲ全部供出セシメマスルナラバ、端境
期ニ於キマスル所ノ農家ノ飯米ハ、多少ノ
不足ヲ來タスコトハ當然デゴザリマスルケ
レドモ、併シナガラ是ハ農家ヲシテ決戰的
增產ニ努力セシメマスル契機トナルノデア
リマシテ、麥ハ旣ニ蒔付ヲ終ツテ居リマス
ルケレドモ、是ダケ農家ガ思ヒ切ツテ出シ
マスナラバ、其ノ增反ハ出來ナクテモ、除
莫、肥培ニ一層ノ力ヲ盡シ、馬鈴薯ハ四月
植付ケテ、六月ノ收穫デアリ、廿藷ハ五六
月植エテ、十月ノ收穫デアリマスカラ、自
家用保有米ヲウント出シマスナラバ、之h
對シマス補助食糧トシテ、是等ノ增產ニ農
家ハ一層努力スルコトニナルノデアリマシ
テ、私ハ此ノ供出ヲ督勵致ツマスコトハ、
其ノ意味ニ於テ增產ニ農家ヲ轉ゼシメマス
所ノ、一ツノ大キ效果ガアルト云フコトヲ
考ヘテ居ルノデアリマス、而シテ供出ガ不
成功ニ歸シマシテ、農家ガ餘分ニ米ヲ持ツ
テ居ルト云フコトニナリマスナラバ、横流
レハ免レナイ、此ノ風ガ農村ニ滲透致シマ
スナラバ、他ノ物資ニ付テモ闇賣リ、闇買
ヒノ風ヲ成シマシテ、農民精神ヲ破壞スル
結果ニナルコトヲ、私ハ惧レルノデアリマ
ス
更ニ我ガ國ノ農業專情ハ、五反百姓ガ實
ニ百八十五万戶デアリマス、此ノ零細農ハ
屑米、雜穀、芋等ノ混合ニ依リマシテ、指導
宜シキヲ得レバ五六俵ハ出シ得ル階級デア
ル、指導宜シキヲ得ナケレバ食ツテシマフ
階級デアリマスコトハ、農村ノ實情ニ付テ
明白デアリマス、故ニ私ハ此ノ際是等ノ實
體ニ卽シマシテ、百八十五万戶ノ農家ガ喜
ンデ之ヲ出シテ-私ハ新潟縣ニ於テ、自
分ノ〓里ニ於キマシテハ常ニ農民ニ言ツテ
居ルノデアリマスガ、十年前ノ農民ハ糧飯
ヲ食ツテ居ツタノデアル、此ノ戰爭ノ時代
ニ、其ノ愛國心ヲ振起シテ出スコトガ、戰
爭ニ勝ツ所以デアルコトヲ說キマス時ニ、
早場米ノ供出ガ、或ル村ニ於テ割當ノ二倍
半出シタト云フ事實ガアリマスコトヲ考へ
ナケレバナラナイト、私ハ考ヘルノデアリ
マス、故ニ割當數量ノ强行供出、及ビ餘剩
保有米ノ節約供出ハ、國ノ爲メタルニ止マ
ラズ、實ニ農民精神保有ノ爲ニ必要ナノデ
アリマシテ、農業團體ノ名譽ト任ニ掛ケ
テ之ヲ敢行セシムルコトガ、團體統合ノ第
一ノ狙ヒデナケレバナラヌト考ヘテ居ルノ
デアリマス
然ラバ供出促進ノ方法ハ、ドウヤツタラ
宜イカト云フコトガ問題デアリマスガ、第
一ハ政府ノ決意デアリマス、單ニ農林省ダ
ケデヤラウト思ツテモ、此ノ大キナ仕事ハ
出來ナイ、行政特例ニ於テ五大品目ヲ決メ
テ、總理大臣ニ一元的ニ權限ヲ集中シテヤ
ルト云フ體制ヲ作ルト云フコトガ、增產ニ
ナルト同ジヤウニ、私ハ米ノ供出、增產ニ付
テモ、何ガ故ニ政府ハ、特ニ農林省ハ此ノ
重大ナル問題ニ付テ、之ヲ鐵、石炭、「アル
ミニウム」船等ト同ジニ行政特例ニ加ヘテ、
九ユル增產障碍ノ素因ヲ排除シテ、斷乎トシ
テ供出モ增產モ、豫定通リ敢行スルト云フ氣
棒ヘヲ示サレナカツタカト云フコトニ付テ、
深甚ナル遺憾ノ意ヲ表サザルヲ得ナイノデ
アリマス(拍手)私ハ斯クノ如キ政府ノ決意
ニシテ定マリマスナラバ、供出ハ農民ノ愛
國心ニ愬ヘテ、マダ〓〓出シ得ルモノデア
ルト云フコトヲ考ヘルノデアリマス
第二ニハ、農民ニ對スル時局認識ノ徹底
デアリマス、戰爭事情ニ致シマシテモ、不
敗デノ熊勢ニアルコトハ固ヨリデアルガ、外
米輸入等ニ賴ルコトガ、如何ニ戰力ノ增强ニ
惡イ影響ヲ與ヘルカ、此ノ大事ナ問題ヲ能
ク呑込マセマスナラバ、此ノ增產、供出ガ
非常ニ多ク行ハレルコトヲ、期待致シテ居
ルノデアリマス、而モ農民ニ付テ申シマス
ナラバ、彼等ノ子弟ハ徵用エトシテ工場ヘ
行ツテ居ル、彼等ノ親戚ハ都會ニ居ル、此
ノ船腹事情ノ窮屈ナ時ニ、農民ガ思ヒ切ツ
テ出シテ吳レナケレバ、彼等ノ愛スル子等
モ亦飢ヱルノデアルト云フコトヲ、赤誠ヲ
以テ愬ヘマス時ニ於テ、私ハ必ズヤ農民ハ
思ヒ切ツタ供出ヲナシテ吳レルト云フコト
ヲ確信スルノデアリマシテ、之ニ協力致ス
コトガ吾々ノ任務デアルト考へ、政府ニ此
ノ點ヲ指摘致シタイト考ヘルノデアリマス
第三ニハ農民ノ不滿ヲ解消スルコトガ
供出ノ條件デアリマス、農民ハ彼等ノ供
出致シマスモノハ、公定價デ出シマシテ、
サウシテ後全デアリマス、彼等ノ買ブ必要
品ハ、前令デ闇デ買ハセラレテ居ルノデア
リマス、是ガ農民ヲシテ供出ヲ澁ラセ、時
局認識ニ疑問ヲ抱カセル所以デアリマシテ、
私ハ或ル村ニ於テ、配給ノ「ネル」ハ大巾一尺
三十錢、六番者ヨリ買ヒマスレバ是ガ六十
錢晒ノ褌ガ、配給デ來マスト七十錢、店
デ買ヒマスレバ二圓ト云フ實情ヲ愬ヘラレ
テ居ルノデアリマスガ、彼等ハ斯ウ云フ事
情ヲ見マス時ニ暗クナル、私ハ神ヲ畏レ、
天ヲ敬ツテ土ヲ耕シマス農民ニダケハ、セ
メテ闇ヲ〓ヘナイヤウニシナケレバ、皇國
農村ノ建設ハ不可能デアルト信ズルノデア
リマス(拍手)
隨テ今日ニ於テ產業組合ト商業組合トノ
繩張論ヲ鬪ハスガ如キコトハ、時代遲レ
デアリマス、私ハ農村ニ關スル限リハ、
古イ商業主義ヲ揚棄致シマシテ、農村ニ
居ル商業者ハ、十分ナ手當ヲ致シマシ
テ、之ヲ農業團體ニ吸收致シマシテ、
サウシテ公定價デ以テ農民ニ物ヲ渡ス、又
買フノモソレデ出ス、而モ武士ガ金ヲ餘リ
扱ハナカツタト同ジヤウニ、私ノ理想ヲ以
テ致シマスナラバ、農民ハ農業團體ヲ通ジ
テ販賣モヤリ、買フノモ農業團體ヲ通ジテ
買ヒ、現金勘定ナドニハ齷齪シナイヤウニ
致シマスコトガ、本當ノ日本農村ヲ建設ス
ル所以デアルト考ヘルノデアリマシテ(拍手)
此ノ點ニ付テ政府ガ勇斷ヲ揮ハナケレバ、
私ハ供出ノ熱意ハ出テ來ナイト考ヘルノデ
アリマス、而シテ更ニ私ガ必要ヲ感ジマス
コトハ「リンク」セヨト言フコトデアリマス、
農民ニ供出ヲ愬ヘマス時ニ、數年前、昭和
十四年ニ千何百万石ノ米ヲ外國カラ持ツテ
來マシタ時ニ、百數十万「トン」ノ船腹ヲ要
シタ、若シ諸君ガ本當ニ出シテ吳レルナラ
バ、日本中デ使フ農業用ノ全部ノ「ゴム」ハ
四万「トン」デ濟ムノデアル、君等ガ本當ニ
出シテ吳レレバ、鹽ハ外米ヲ輸入スル船ノ
百分ノ一デ持ツテ來レルノデアルト云フコ
トヲ愬ヘテ居ルノデアリマスガ、私ハ供出
ト「リンク」致シマシテ、「リヤカー」ノ「タイ
ヤ」デアリマストカ、「ゴム」靴デアリマスト
カ、純綿ノ作業着デアリマストカ、或ハ又
鹽デアルトカ、農器具デアルトカ云フガ如
キ農業ノ必需物資ヲ供出ト「リンク」セシメ
テ、喜ビナガラ出ス途ヲ講ゼラレルコトガ、
政府トシテモ必要ナコトデアルト云フコト
ヲ御〓へ申上ゲザルヲ得ナイノデアリマス
更ニ供出ノ問題ニ付キマシテハ、時期ガ
遲レテハイケナイト云フコトデアリマス、
遲クモ三月一パイニハ豫定ノ供出ヲ終ラナ
ケレバ時期遲レニナル、四月トナリ、五月
トナレバ、補助作物ノ作付ニモ遲レテシマ
フ、橫流レモアル、食ツテシマフ、私ハ眞面
目ニ外米ニ依存スルコトナシニ、今年ノ一
年ヲ乘越エヨウトスルナラバ、三月一パイ
ニ政府ガ陣頭ニ立タレ、サウシテ凡ユル團
體ヲ動員致シマシテ-ソレハ代議士モ御
手傳ヲスルガ、或ハ翼贊會、壯年團、軍人
會靑年會、ソレダケデナシニ國民學校ノ
生徒モ、靑年學校ノ生徒モ、警察官モ全部
ヲ動員致シマシテ、三月一パイニ米ヲ出サ
ナケレバイカナイ、此ノ事情デアルカラト
云フノデ、農村ヲ米ノ供出ノ興奮ノ坩堝ト
化スルガ如キ熱烈ナル運動ニ依ツテ、私ハ
豫定ノ供出ヲ百石デモ、千石デモ、五百万
石デモ餘計出サセマスルコトガ、農民ノ國
ニ對スル御奉公ノ所以デアルゴトヲ徹底サ
セマスルコトハ、不可能デナイト信ズルノ
デアリマス
更ニ私ハ供出問題ニ付テ、政府ノ注意ヲ
喚起致シタイコトハ、促進ノ爲ニスル奬勵
金ノ支出ノ問題デアリマス、供出奬勵金ヲ
政府ガ出サレルト致シマスルナラバ、僅カ
ノ金デハ最早問題ニナラナイ、出スナラ眼
ノ玉ノ飛出ル程出サナケレバイケナイ、併
シナガラ下手チ出シ方ヲサレタラ逆效果ニ
ナリマス、旣ニ出シテシマツタ正直ナ農民
ガ、後カラ遲レテ出ス者ニダケガ供出金ガ
貰ヘルト云フガ如キコトガアリマシタナラ
バ、是ハ逆效果デアリマス、私ノ氣持カラ
言ヒマスナラバ、私ハ金デ釣ツテ供出ヲサ
セルト云フガ如キ手ハ、最惡ノ手デアルカ
う、成ベクナラバ他ノ手ニ於テヤツテ戴キ
タイト云フコトヲ、希望セザルヲ得ナイノ
デアリマス
供出ノ問題ハ此ノ程度ニ致シマシテ、根本
ノ問題ハ增產ノ問題デアリマス、增產ノ爲
ノ勞力、資材、肥料一切ノ不足ヲ致シマス
ル逆條件下ニ於テ、增產ヲ致シマスルコト
ハ非常ナ困難ナ問題デアリマス、是ハ卽
チ不可能ヲ可能トスル熱烈ナル意思ト、而
シテ科學的ナル創意ト、工夫ニ俟タナケシ
バナラナイト考ヘルノデアリマス、其ノ爲
ニハ尙ホ增產ニ對シテノ第一ノ問題ハ、政
府ノ迫力デアリマス、行政特例ニ加へラレ
ナカツタト云フ其ノ緩イ態度ガ、私ハ增產
ニ心理的ニモ、實際的ニモ太キナ影響ヲ與
ヘルト云フコトヲ感ズルノデアリマシテ、
私ハ宜シク五大品目ト同ジニ米ノ問題、農
業ノ問題ヲ加ヘラレマシテ、一切ノ增產ヲ
阻碍スル問題ヲ揚棄致スガ如ク措置サレル
コトヲ、私ハ要望セザルヲ得ナイノデアリ
マス、而シテ此ノ追力、熱意ニ加フルニ科
學技術ノ動員ヲ必要トスルノデアリマスガ、
第一ニハ私ハ技術員ノ指導力强化ガ必要デ
アルト考ヘルノデアリマス、今日農村ノ持
ツテ居リマス諸種ノ矛盾カラ致シマシテ、
指導員、技術員ノ中ニハ彼等ノ良心ヲ殺シ
テ居ル人々ガ多イノデアリマス、彼等ガ良
心的ニヤレルヤウニ働カセルコトガ、私ハ
增產ノ第一デアルト信ズルノデアリマス、
而シテ勞力、資材ノ不足シテ居リマス今日、
耕地面積ノ擴大ト云フコトハ急ノ間ニ合ヒ
マセヌ、隨テ今日ノ增產ハ耕地面積ノ增大
ニアラズシテ、農家ノ半分ニ達セントスル
低位收穫農家ノ引上デアリマスガ、所謂低
位收穫農家ニハ私ハ二ツノ型ガアルト信ズ
ルノデアリマス、一ツノ型ハ所謂技術管理
ノ遲レタ農家型ト云フ型デアル、モウ一ツ
ノ型ハ職工農家、片手間農家ト言ハレル兼
業農家ノ型デアリマス、兼業農家ノ低位收
穫引上ハ私ハ中々難カシイト信ズル是ハ
土地制度ノ改革ヲ伴ハナケレバナラナイガ、
所謂技術管理ノ遲レタ農家型ノ農家ノ引上
ハ、技術者ノ技術的指導ト、サウシテ隣保
共助ニ依ル農事實行組合ノ援護ガ、增產ヲ
可能ナラシメルモノデアルト信ズルノデア
リマス、前、指摘致シマシタ如ク、耕地開
墾ニ依ル增產ハ、今日多クヲ望ムノガ無理デ
アリマシテ、耕地ニ關スル施策ハ土地改良
ト、自作農創定ト、耕地ノ交換分合ノ促進
ノ三位一體デアリマス、土地改良ノ熱意ハ、
耕地ト農民トガ密着シタ自作農ニアラザレ
バ之ヲ求メ得ズ、勞力ノ節約ト農業改善ニ、
顯著ナル效果ノアリマスル土地改良ノ前提
ヲナシマスル耕地ノ交換分合モ、亦地主ト
小作トガ介在シテ居ツテハ出來ナイノデア
ツテ、自作農デナケレバヤリニクイノデア
リマス、隨テ土地改良モ、耕地ノ交換分合
モ、自作農創設ガ私ハ基礎デアルト考ヘル
ノデアリマス、而シテ白作農ト小作農トデ
ハ、大體ニ於テ一反ニ付キマシテ、一俵位
ノ收穫ノ差ガアリマシテ、同ジ田園デモ白
作農ガ一反ニ付テ一俵餘計穫ルト云フコト
ハヽ全國的ニ言ハレテ居ル所デアリマス、
隨テ小作農ハ自作農ニ比ベマスレバ、低位
收穫農家デアル、此ノ低位收穫農家ノ數ガ、壓
倒的ニ多イト云フ所ニ、日本ノ農業ノ特質ガ
アルノデアリマス、昭和十五年度ノ統計ニ付
テ見マスレバ、三百万町步ノ田圃ノ中、百七
十六万町步ハ小作地デアリ、其ノ戶數ニ至
リマシテハ、五百五十万戶中純小作ガ百四
十六万戶、自小作ハ二百三十三万戶、計三百
八十万戶(「講義ハ止メロ」ト呼ブ者アリ)デ
アリマシテ、純自作農ハ僅カニ、百七十万戶
ニ過ギナイノデアリマス、此ノ三分ノ二ニ當
リマス小作農ガ、他ニ有利ナ仕事ガアリマ
スレバ、他ニ逃ゲヨウトスル所ニ、我ガ國農
村ノ弱イ點ガアルト考ヘルノデアリマス
(「ソンナコトハ止メロ」ト呼ブ者アリ)隨テ
近時多クナリマシタ土地放棄乃至投ヤリ、
荒作リ、斯ウ云フモノハ大體ニ於テ小作地
ノ農家デアリマス、之ヲ自作農ニ引上ゲマ
スコトコソガ、卽チ一反ニ付テ一俵ヅツノ
增收ヲ、此ノ困難ナル時期ニ於テ熱意ヲ以
テ引上ゲルコトデアリ、百七十六万町步ニ付
テ言フナラバ實ニ、千七百六十万俵ノ增收
ヲ確保スル所以デアルト信ズルノデアリマ
ス、政府ハ、戰勝ノ爲ノ至上命令デアリマ
ス增產確保ノ爲メ、卽時小作農ヲ自作農ニ
引上ゲルノ英斷ヲ實行サレルベキデアリマ
ス、我ガ國ノ自作農創設維持政策ハ、今日
マデハ失敗ノ連續デアリマシタ、明治四十
一年百七十万臺デアツタ自作農ハ、昭和十
四年ニハ、百六十万臺ニ轉落シテ居リマス、
巨額ノ金ト努力ヲサレタニ拘ラズ、今マデ
ハ失敗サレマシタ、併シナガラ今ヤ自作農
創設ノ成功スル前提條件ガ整ツタト、私ハ
考ヘルノデアリマス、卽チ其ノ時分ノ失敗
ハ、大正八年ニ石五十圓ノ米ノ相場ノ時ニ自
作農ヲ作ツテ、昭和七年ニハ十七圓ニ米價
ハ下ツタノデアリマス、其ノ暴騰暴落ガ自
作農ヲ惡クシタノデアリマス、第二ニハ豐
凶ノ差ニ依リマシテ、農民ハ動搖ヲ來シタ
ノデアリマス、第三ニハ勞働者デアリマス
ル農民ハ-勤勞者デアリマスル農民ハ、財產
ニ依ツテ生キテ居リマセヌカラ、病氣ニ依
ツテ轉落スル危險ガアツタノデアリマス、
然ルニ米價ハ公定サレマシテ、安定致シマ
シタ、農業保險ノ割期的改正ニ依リマシテ、
凶作ニ於テモ再生產費ヲ補償シテ戴クコト
ガ出來ルヤウニナツタノデアリマス、第三
番目ニハ國民健康保險組合ノ普及ニ依リマ
シテ、病氣ニ對スル此ノ條件ハ無クナツタ
ノデアリマス、私ハ此ノ意味ニ於キマシテ、
增產ノ根本策ハ自作農創定ヲ徹底セラレマ
スルコトガ、卽チ增產確保ノ第一ノ所以デア
ルト考ヘルノデアリマス、農政〓究會ガ昭
和十七年自作農創設ノ爲ニ要スル農地ノ買
收ハ、强制買收ニ依リ得ルモノトスルコト
ト決議サレタノデアリマス、政府ハ宜シク
此ノ自作農創設ノ爲ニ徹底的ナ手段ヲ執ラ
レマシテ、公定價格ニ依ツテ苟クモ耕作者
ガ土地ヲ買ハウトスル場合ニハ、賣レルダ
ケノ手段ヲ執ラレマスルコトガ、增產ノ私
ハ絕對ノ要件デアルト云フコトヲ申上ゲタ
イノデアリマス、時間ガ參リマシタカラ切
上ゲタイト思ヒマスガ、玆ニ初メテ我ガ國
ノ農村ガ、土地ガ投機ノ對象ニナラズニ、
自作農デ占メラレマシタ時ニ、我ガ國ノ農
村ハ、初メテ國本農家ニ私ハ生レ變ルト信
ズルノデアリマス、而モ人口ノ生產力ニ付
テモ、五反未滿ノ百姓ハ、統計ニ依リマス
レバ出生率ガ四人半、二町以上ノ耕作者
ハ六人三分、三町步以上ノ農家ニアリマシ
テハ、七人二分トナツテ居ル、私ハ七人二
分ト云フガ如キ高イ生產力ヲ持チマスル農
家ヲ造成致シマスルコトガ、卽チ是コソ安
定農家創設ノ基本デアルト信ズルノデアリ
マス、勞力不足ニ對シマシテハ、黑澤君其
ノ他ガ主張サレマスル如ク、人間ノ手ニ對
シテ十人前ノ勞力ヲ發揮致シマスル牛馬ノ
耕作力ヲ利用致シマスコトガ必要デアリ、
更ニ私ハ今一點勞力對策トシテ申上ゲテ置
キタイコトハ、今ヤ勞力ノ不足ノ爲ニ、三
番草ヲ取リマスル田圃ヲ、一番草デ止メル
者ガ相當アリ、二番草デ止メル者ハ更ニ多
イノデアリマス、隨テ私ハ一番草デ止メマ
スルナラバ二俵違フ、二番草デ止メルナラ
バ一俵違フ、學生デアリマストカ、產業勞
働者デアリマストカ、都市ニ於ケル農業ノ
前歷者ヲ動員致シマシテ、サウシテ之ヲ農
繁期ノ手傳ニ出サレルガ如キコトモ、今日
ヤツテ居ラレマスルケレドモ、一層眞面目
ニ私ハヤラレルコトヲ希望スルノデアリマス
以上要スルニ吾々ハ此ノ重大ナ時期ニ於
テ、政府ガ其ノ積リニナツテ起タレマスル
ナラバ、又農業團體モ其ノ赤誠ヲ承ケテ起
チマスルナラバ、供出ニ於キマシテモ、增
產ニ於キマシテモ、工夫ト努力ト、火達磨
ノ如キ決意ヲ以テスルナラバ、不可能デナ
イコトヲ確信スルノデアリマス、又率直ニ
申上グルナラバ、農林省ノ態度ガ私ハ微溫
的デアルト考ヘル、其ノ方向ハ宜シクトモ、
モツト思切ツタル自作農政策、勞力政策、
一切ノ政策ヲ徹底セラレマシテ、農業團體
統合ノ趣旨ニ合フヤウニ御努力下サイマス
コトヲ御願ヒ致シマシテ、私ノ贊成演說ト
致ス次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=19
-
020・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 是ニテ討論ハ終局致
シマシタ、兩案ノ第二讀會ヲ開クニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=20
-
021・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=21
-
022・森下國雄
○森下國雄君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報〓ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=22
-
023・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 森下君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=23
-
024・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
農業團體法案第二讀會(確定議)
水產業團體法案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=24
-
025・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、兩案トモ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=25
-
026・森下國雄
○森下國雄君 議事日程追加ノ緊急動議ヲ
提出シマス、卽チ此ノ際政府提出、昭和十
二年法律第八十四號中改正法律案ヲ議題ト
ナシ、委員長ノ報〓ヲ求メ、其ノ審議ヲ進
メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=26
-
027・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 森下君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「里議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=27
-
028・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ追加セラレマシタ······昭和
十二年法律第八十四號中改正法律案ノ第一
讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報〓ヲ求メ
マス-委員長矢野庄太郞君
昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案(大東亞戰爭ニ關スル臨時軍事費支辨
ノ爲公債發行ニ關スル件)(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案(大東亞戰爭ニ關スル臨時軍事費支
辨ノ爲公債發行ニ關スル件)(政府提
出
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十八年二月二十日
委員長矢野庄太郞
衆議院議長岡田忠彥殿
〔矢野庄太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=28
-
029・矢野庄太郎
○矢野庄太郞君 只今議題ニナリマシタ昭
和十二年法律第八十四號中改正法律案ニ付
テ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ極メテ簡單ニ御
報〓ヲ申上ゲマス、今改正案ノ條文ヲ朗讀
致シマス「昭和十二年法律第八十四號中左
ノ通改正ス、第一項ヲ左ノ如ク改ム、大東
亞戰爭ニ關スル臨時軍事費支辨ノ爲必要ア
ルトキハ政府ハ臨時軍事費特別會計ニ於ケ
ル歲出豫算額ヨリ當該特別會計ニ於ケル他
會計ヨリノ受入金其ノ他ノ普通歲入ノ豫定
額ヲ控除シタル額ニ相當スル金額ヲ限リ公
債ヲ發行シ又ハ借入金ヲ爲スコトヲ得、附
則」附則ハ略シマス、只今讀上ゲマシタ通リ
ノ法律案デアリマシテ、此ノ法律案ニハ公
債發行又ハ借入金ノ金額ヲ明示シテナイノ
デアリマス、然ラバ金額ノ明示ガナイトス
ルナラバ、其ノ發行限度ニ付テハ政府ハ白
由ニ之ヲ裁量スルコトガ出來ルカト申シマ
スルト、左樣デハナイノデアリマシテ、此
ノ條文ニ只今讀上ゲマシタル通リ、普通歲
入例ヘバ軍事獻納金、一般會計ヨリノ繰
入金、朝鮮、臺灣、通信、鐵道等ノ特別會
計ヨリノ繰入金、雜收入ナドノ、其ノ普通
歲入デ歲出豫算ヲ賄フコトノ出來ナイ部
分ニ限ツテ公債ヲ發行シ、又ハ借入金ヲナ
スコトガ出來ルト云フコトニナツテ居ルノ
デアリマス、詰リ豫算書ニ依リマシテ政府
ノ發行シ得ル公債ノ金額、借入ヲナスコト
ノ出來ル金額ヲ算定シナケレバ分ラナイト
云フコトニナツテ居ルノガ此ノ法律案ノ內
容デアリマス、抑〓昭和十二年法律第八十
四號ハ、第一次近衞内閣ノ時ニ於テ、現賀
屋大藏大臣ガ時ノ大藏大臣デアリマシタ際
ニ、此ノ法律ガ成立致シタノデアリマシテ、
最初成立致シマシタ法律ニハ、公債又ハ借
入金ノ金額ノ限度ヲ定メテ居リマシテ、慥
カ二十億餘万圓トナツテ居ツタノデゴザイ
マスガ、其ノ後軍事費ノ成立ニ伴ヒ、數囘
ニ亙ツテ改正サレマシテ、現在ノ法律ニ於
テハ三百九十四億餘万圓ヲ限ツテ公債ヲ發行
シ、又ハ借入金ヲナスコトガ出來ルト云フ
コトニナツテ居ルノデアリマス、最初ノ二
十億餘万圓ガ三百九十四億餘万圓ニ增加サ
レテ居ルノデアリマスガ故ニ、若シ先例ヲ路
襲シテ此ノ改正案ヲ提出サルルナラバ、凡
ソ六百億圓近クノ金額トシテ協贊ヲ求メテ
來ナケレバナラナイ筈デアリマスルガ、只
今申ス通リニ、此ノ法律案ニハ抽象的ノ標
準ヲ定メテ、其ノ金額ガ幾許ナリヤハ、豫
算明細書ニ依ツテ算定シナケレバナラナイ
コトニナツテ居リマスノデ、先例ヲ變更シ
タト云フ點ニ於テ、委員會ニ於テハ屢〓質質
疑應答ガ交サレマシテ、二囘ニ亙リ懇談會ヲ
開キマシテ、大藏大臣ノ出席ヲ求メテ、何故
ニ先例變更ノ必要ガアルノカト云フコトヲ、
質問應答致シタノデアリマス、其ノ詳細ハ
玆ニ省略致シマシテ、速記錄ニ讓リマスガ、
斯樣ニ質疑應答ガアリマシタ後、昨日質問
ヲ打切リマシテ、本日午後一時更ニ會議ヲ
開キマシテ、討論ニ入ラントスル際、政府
ヨリ發言ヲ求メラレマシタ、政府委員タル
谷口大藏次官カラ發言ヲ求メラレマシテ、
政府ヲ代表シテノ辯明デアルトノコトデア
リマス、卽チ速記錄ノ儘之ヲ讀上ゲマス、
「昭和十二年法律第八十四號中改正法律案
ニ付キマシテハ過日來本委員會ニ於テ種々
御熱心ナル御質問モ是レアリ、ソレ〓〓御
答辯申上ゲタ次第デアリマス、御質問中ニ
盛ラレタ御意見ノ存スル廉ハ了承致シマシ
夕、仰セ御尤モノ次第ト存ジマスガ、政府
ト致シマシテハ本改正案ニ付キ何等他意ア
ル譯デハナク現時ノ大戰下內外諸般ノ事情
ヲ考慮致シマシテ、此ノ際トシテハ巳ムヲ
得ザルノ措置ト認メ原案ノ通リト致シタ次
第デアリマスルカラ、何卒宜シク御諒承ノ
上御贊成アランコトヲ御願ヒ致シマス、尙
ホ一般會計歲出ノ財源ニ充ツル爲メ發行ス
ル歲入補塡公債ニ付キマシテハ」是ハ既ニ
此ノ議場ニ於テ可決セラレマシタ例ノ三十
一億六千八百三十万圓ノコトヲ言フノデア
リマス、「今後ト雖モ先例ニ依リ其ノ金額ヲ
明示シテ御協賛ヲ求メルコトト致シタイト
考ヘテ居リマス、一言附加ヘテ置キマス」斯
樣ニ言明ガアリマシタル後、討論ニ入リ、
滿場一致政府原案贊成ニ決シマシタ次第デ
アリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=29
-
030・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=30
-
031・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=31
-
032・森下國雄
○森下國雄君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=32
-
033・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 森下君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=33
-
034・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案(大東亞戰爭ニ關スル臨時軍事費支
辨ノ爲公債發行ニ關スル件)
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=34
-
035・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通リ
可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=35
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036・森下國雄
○森下國雄君 議事日程追加ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、兵役
法中改正法律案、共通法中改正法律案、明
治三十八年法律第三十八號改正法律案陸軍
軍法會議法及海軍軍法會議法中改正法律案
ノ四案ヲ一括議題トナシ、委員長ノ報〓ヲ
求メ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=36
-
037・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 森下君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=37
-
038・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ追加セラレマシタ-兵役
法中改正法律案、共通法中改正法律案、明
治三十八年法律第三十八號改正法律案、陸
軍軍法會議法及海軍軍法會議法中改正法律
案右四案ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ開キ
マス、委員長ノ報〓ヲ求メマス-委員長
猪野毛利榮君
兵役法中改正法律案(政府提出、貴族院
送付)第一讀會ノ續(委員長報〓)
共通法中改正法律案(政府提出、貴族院
送付)第一讀會ノ續(委員長報〓)
明治三十八年法律第三十八號改正法律
案(俘虜處罰ニ關スル件)(政府提出、貴
族院送付)第一讀會ノ續(委員長報〓)
陸軍軍法會議法及海軍軍法會議法中改
正法律案(政府提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一兵役法中改正法律案(政府提出、貴族院
送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十八年二月二十日
委員長猪野毛利榮
衆議院議長岡田忠彥殿
報告書
一共通法中改正法律案(政府提出、貴族院
送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十八年二月二十日
委員長猪野毛利榮
衆議院議長岡田忠彥殿
報〓書
一明治三十八年法律第三十八號改正法律
案(俘虜處罰ニ關スル件)(政府提出、貴
族院送付)
右ハ本院ニ於テ決スヘキモノト議決致候
此段及報〓候也
昭和十八年二月二十日
委員長猪野毛利榮
衆議院議長岡田忠彥殿
報〓書
一陸軍軍法會議法及海軍軍法會議法中改
正法律案(政府提出、貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ決スヘキモノト議決致候
此段及報〓候也
昭和十八年二月二十日
委員長猪野毛利榮
衆議院議長岡田忠彥殿
〔猪野毛利榮君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=38
-
039・猪野毛利榮
○猪野毛利榮君 只今議題トナリマシタル
兵役法中改正法律案外三案ノ特別委員會ノ
經過竝ニ結果ニ付テ御報告ヲ致シマス、委
員會ハ去ル十七日、十八日及ビ本日ノ三日
間ニ亙リ、殆ド全員出席ノ上各案ニ付キ政
府委員トノ間ニ熱心ナル質疑應答ガ重ネラ
レ、愼重審議ノ結果四案トモ全會一致原案
通リ可決致サレマシタ、今其ノ內容ヲ簡單
ニ御報告申上ゲマス
先ヅ兵役法中改正法律案ニ付テ御說明ヲ
申上ゲタイト存ジマス、本法案ハ御存ジノ
通リ、大東亞戰爭勃發ヲ契機ト致シマシテ、
朝鮮同胞銃後奉公ノ熱誠ハ、頓ニ〓揚セラレ
タルニ鑑ミ、是等同胞多年ノ要望ニ應ヘル
爲メ、又一面國防ノ完璧ヲ期スル爲ニ、朝
鮮同胞ヲシテ內地同樣兵役ニ就カシムル爲
ノ現法ノ改正デアリマス
次ニ共通法中改正法律案ニ付テ御說明ヲ
申上ゲマス、本案ハ前案ノ改正ニ伴ウテ改
正ヲナスノ法案デアリマス、玆ニ質疑應答
ノ主ナルモノヲ御紹介申上ゲタイト存ジマ
スルガ、時間モ切迫致シテ居リマスルカラ、
委細ハ速記錄ヲ御覽ヲ願フコトニ致シテ、
極ク簡單ニ御說明ヲ申上ゲタイト存ジマス
國語ヲ解セザルモ徵集スルヤ、若シ徵
集スルトセバ、統帥指揮ノ上ニ支障ナキヤ
二、朝鮮同胞ニ對スル戶籍ハ完備セルヤ
三、朝鮮特別志願兵制度ハ將來存續スルノ
考ヘナリヤ
四、海軍ニモ徵集スルノ考ヘナリヤ
五、臺灣ニ對シテ施行スルノ意思アリヤ
之ニ對シテ、
一國語ヲ解セザル者ニハ國語〓育ヲ施ス
考ヘナルヲ以テ、統帥指揮上何等支障ナシ
ト思フ
二、戶籍ニ付テハ昭和十九年施行ニ十分間
ニ合フ考ヘナリ
三、特別志願兵制度ハ廢止スルモ現役兵志
願制度ハ內地同樣ニスル方針ナリ
四、海軍ノ徵集ニ付テハ直チニ徵集セザル
モ、將來ハ徵集スルコトヲ考慮シテ居ル
五、臺灣ニ付テハ本年度實施セル特別志願
兵制度ノ成績ヲ見テ、將來採用スル方針ナ
リ
以上ノ意味ノ答辯ガアリマシタ、尙ホ此
ノ外ニ朝鮮同胞ト、內地人トノ結婚問題、
在滿鮮人ノ〓育問題竝ニ思想問題ニ付テ質
疑ガアリマシタガ、之ニ對シソレ〓〓政府
委員ヨリ答辯ガアリマシタ
次ニ明治三十八年法律第三十八號改正法
律案ニ付テ御說明ヲ申上ゲマス、本法案ハ
卽チ俘虜處罰ニ關スル法律案デアリマス、
現行法ハ舊刑罰體系ノ下ニ制定セラレタル
モノデアリマシテ、罰目、刑名、刑期ナド
ノ全般ニ亙リマシテ滴當ナラザルモノガア
リ、况ヤ大東亞戰爭勃發ニ伴ヘル三十餘万
ノ捕虜ノ現狀ニ鑑ミ、現法上ニ整理新設ヲ
致シ、以テ該法ノ恩威並ビ行ヘル、卽チ我
ガ武士道的精神ヲ法ノ上ニ十二分ニ發露致
サレタルモノデアリマス
陸軍軍法會議及海軍軍法會議法中改正法
律案ニ付テ、是ヨリ御說明ヲ申上ゲマス、此
ノ法案ハ錄事中優秀ナルモノヲ奏任トナシ得ル
法案デアリマス、之ニ對シ、一、陸軍法務官ハ
軍人ナルニ拘ラズ、錄事ガ文官タルノ理由如
何、二、軍法會議法ニ於テハ豫審ヲ先ニシ、公
訴提起ガ後ニナツテ居リマシテ、種々ノ不
便ノ點ガアル、寧ロ公訴提起ヲ先ニシテ、
豫審ヲ後ニスルノ考ヘナキヤトノ質問ニ對
シマシテ、政府ヨリハ、一、困難ナル事情
アリ、早急ニ實現ハ難カシキモ、能ク考究
スベシ、二、軍ニハ軍特別ノ事情アリ、)現
行法ヲ宜シト考フトノ答辯ガアリマシタ、
斯クテ質疑應答ハ終了致シ、本日委員中井
川浩君竝ニ委員堀內一雄君ヨリ、ソレ〓
原案贊成ノ御演說ガアリ、採決ノ結果全員
一致原案贊成ノ意ヲ表シ、玆ニ委員會ハ四
案トモ原案通リ可決致サレマシタ、尙ホ只
今御報告申上ゲタルモ頗ル隔靴搔痒ノ感ガ
アルト存ジマスルガ、是ハ祕密會ノ內容ニ
屬スル部分モ相當アリマシテ、遺憾ナガラ
此ノ席デハ公表致シ兼ネマス爲デアリマス、
此ノ點ハ何卒御諒承ヲ願ヒ、右ヲ以テ委員
長ノ報告ト致シマス、何卒滿場一致御贊成
アランコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=39
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040・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 四案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=40
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041・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ四案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=41
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042・森下國雄
○森下國雄君 直チニ四案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=42
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043・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 森下君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=43
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044・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ四案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
兵役法中改正法律案第二讀會(確定議)
共通法中改正法律案第二讀會(確定議)
明治三十八年法律第三十八號改正法律
案(俘虜處罰ニ關スル件)
第二讀會(確定議)
陸軍軍法會議法及海軍軍法會議法中改
正法律案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=44
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045・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、四案トモ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)
次會ノ議事日程ハ公報ヲ以テ通知致シマ
ス、本日ハ是ニテ散會致シマス
午後四時四十五分散會
衆議院議事速記錄第十號中正誤
頁段行誤正
二四〇四二六債劵債權
衆議院議事速記錄第十二號中正誤
頁段行誤正
三五九二一一一一月二十六日一月三十日発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113242X01419430220&spkNum=45
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