1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十八年二月二日（火曜日）午前十時十七分開議
出席委員左の如し
委員長 松村光三君
理事 小泉純也君 理事 河野密君
理事 永野護君 理事 藤本捨助君
小野義一君 小野秀一君
川崎末五郎君 勝正憲君
木村正義君 九鬼紋七君
小林絹治君 紅霧昭君
駒井重次君 坂本宗太郎君
坂下仙一郎君 田下政治君
中村三之丞君 中島彌團次君
原口純允君 橋本祐幸君
一松定吉君 古河和一郎君
松岡秀夫君 松永壽雄君
前田善治君 正木清君
山中義貞君 渡邊善十郎君
出席國務大臣左の如し
大藏大臣 賀屋興宣君
出席政府委員左の如し
大藏省主税局長 松隈秀雄君
大藏書記官 子爵 戸田忠肅君
大藏書記官 池田勇人君
大藏書記官 平田敬一郎君
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本日の會議に上りたる議案左の如し
臨時租税措置法中改正法律案（政府提出）
酒税法中改正法律案（政府提出）
酒造組合法中改正法律案（政府提出）
清涼飮料税法中改正法律案（政府提出）
取引所税法中改正法律案（政府提出）
砂糖消費税法中改正法律案（政府提出）
物品税法中改正法律案（政府提出）
遊興飮食税法中改正法律案（政府提出）
入場税法中改正法律案（政府提出）
特別行爲税法案（政府提出）
輸出する物品に對する内國税免除又は交付金交付の停止等に關する法律案（政府提出）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=0
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001・松村光三
○松村委員長 是ヨリ會議ヲ開キマス、本
委員會ニ付セラレタル議案ハ、臨時利得稅
法中改正法律案外十一件デアリマス、是等
ニ關シマシテ先ヅ政府ヨリ提案理由ノ說明
ヲ聽取致シタイト存ジマス-大藏大臣発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=1
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002・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 本委員會ニ付託トナリマ
シタ稅法中改正等法律案十二件ノ法律案ニ
付キマシテ、提案ノ理由ヲ說明致シタイト
存ジマス、本會議ニ於テモ申上ゲマシタ如
ク、政府ハ財政需要ノ增加ニ備フルト共
ニ、增稅ガ國民經濟及ビ國民生活ニ及ボス
影響等ニ付キ愼重考究ヲ遂ゲマシタ上、現
下ニ於ケル經濟諸情勢ニ照シ、臨時軍事費
追加豫算ノ財源ノ一部ニ充ツル爲メ、此ノ
際間接稅ヲ中心トスル增稅ヲ行フノ要アリ
ト認メマシテ、之ニ關スル法律案ヲ本議會
ニ提出致シタ次第デアリマス
先ヅ今次增稅案ノ作成ニ當リマシテハ、
消費ノ節約、購買力ノ吸收ヲ圖ルト共ニ、
國庫收入ヲ增加シテ戰時財政ノ强化ニ資ス
ル見地ヨリ、決戰下ニ於ケル國民生活ノ確
保及ビ國民負擔力ノ關係等ヲ考慮致シマシ
テ、奢侈的消費ニ對シテハ特ニ高率ノ課稅
ヲナスト共ニ、決戰下トシテハ尙ホ節約可
能ナリト認メラルル方面ノ消費ニ對スル課
稅ニ付キ、稅率ヲ引上ゲ又ハ課稅範圍ヲ擴
張スル爲メ、酒稅其ノ他ノ間接稅ニ付キ改
正ヲ行ヒ、又特別行爲稅ヲモ同樣ノ趣旨ニ
依ツテ創設スルコトニ致シタノデアリマス、
是ト同時ニ現下ノ情勢ニ顧ミ、一部產業ノ
編成替、資金ノ蓄積其ノ他戰時下ニ於テ緊
要ナル諸政策ノ圓滑ナル遂行ニ資シマス爲
メ、適當ト認ムル租稅上ノ措置ヲ講ズル等
ノ必要上臨時租稅措置法ヲ改正スルコトト
致シタノデアリマス
次ニ今囘ノ增稅案ニ付キマシテ、其ノ內
容ヲ說明致シタイト存ジマス、先ヅ酒稅デ
アリマスルガ、酒稅ニ付キマシテハ、主ト
シテ庫出稅ノ引上ヲ行ヒ、總稅額ニ於テ大
體十割程度ノ增徵ヲ行フコトト致シタノデ
アリマス、酒類中消費高ノ最モ多イ〓酒ニ
付テ申シマスレバ、今囘ノ改正案ニ於テ
ハ、一率ニ增徵ヲ行フコトヲ避ケマシテ、
〓酒ヲ其ノ品質等ニ應ジ、第一級酒乃至第
四級酒ノ四階級ニ區分致シ、品質ノ特ニ優
良ナル第一級酒ニ付テハ、庫出稅ヲ一石ニ
付キ三百六十二圓ダケ引上ゲマシテ、現在
ノ造石稅ト合シマシテ、一石ニ付テ現在百
五十三圓デアリマスルノヲ五百十五圓ト
致シマシタ、第二級酒、第三級酒及ビ第四
級酒ニ付テモ庫出稅ヲ引上ゲマシテ、現在
造石稅、庫出稅ト合シテ百圓デアリマスル
ノヲ、第二級酒三百四十圓、第三級酒二百
十圓、第四級酒二百圓ト致シタノデアリマ
ス、其ノ結果、〓酒ノ小賣價格ハ、第一級
酒ハ一升ニ付キ大體七圓程度トナリマス、
第二級酒ハ五圓程度ニナリマス、第三級酒
ハ三圓五十錢程度トナリ、第四級酒ハ三圓
三十錢程度ト相成ル見込デアリマス、又〓
酒ト共ニ一般的消費ニ充テラレテ居リマス
ル合成〓酒ニ付キマシテモ、〓酒ノ引上ニ
準ジマシテ、相當程度ノ增徵ヲ行フコトト致
シタノデアリマス、「ビール」ニ付キマシテ
ハ庫出稅ノ稅率ヲ、現行一石ニ付キ八十七
圓八十錢デアリマスルノヲ百七十七圓八十
錢ニ引上ゲマシタ結果、普通壜一本小賣價
格五十八錢デアリマスルノガ、大體九十錢
程度ト相成ルコトト存ジテ居リマス
其ノ他味淋、燒酎、雜酒等ニ付キマシテ
モ、必要ニ應ジ品質等ニ依リ差等ヲ設ケナ
ガラ、〓酒トノ權衡ヲ保持スルヤウニ、主
トシテ庫出稅ニ付テ適當ト認ムル稅率ノ引
上ヲ行フコトト致シテ居ルノデアリマス、
尙ホ生產力擴充關係ノ產業、其ノ他ノ重要
ノ產業ニ從事スル勞務者ニ對シマシテハ、
〓酒、合成〓酒、燒酎及ビ「ビール」ノ若干
數量ヲ限リマシテ、低廉ナル價格ヲ以テ供
給致シマスル爲メ、特ニ稅率ヲ引上ゲザル
コトト致シタノデアリマス、尙ホ今囘ノ增稅ノ
施行ノ萬全ヲ期シマス爲メ、酒稅法ニ付キ必
要ナル改正ヲ行フコトト致シテ居リマス
次ニ酒造組合法デアリマスルガ、酒類ノ
生產及ビ配給ニ付テハ、現下ノ情勢ニ鑑ミマ
シテ、其ノ統制ヲ强化スルノ必要ガ認メラ
レマスルノデ、酒造組合法ヲ酒類業團體法
ニ改ムルト共ニ、其ノ內容ニ付キ適當ナル
改正ヲ行フコトト致シタノデアリマス、其
ノ第一ハ〓酒、味淋、燒酎等ノ製造者ニ付
テハ、從來ヨリ酒造組合ヲ設ケテ居ルノデ
アリマスルガ、今囘更ニ合成〓酒、「ビー
ル」、雜酒等ノ總テノ酒類製造者ニ對シ、
ソレ〓〓酒造組合ヲ設置セシムルト共ニ、組
合ノ統制機能ヲ擴充スル爲メ、組合ノ設立、
統制ノ實行等ニ關スル規定ヲ整備スルコト
ト致シタノデアリマス、第二ハ生產ト極メ
テ密接ナル關係ニ立チマスル配給部門ニ於
キマシテモ、今後ノ必要ニ應ズル爲メ、酒
類販賣業者ノ團體ヲ系統的ニ整備確立セシ
ムルト共ニ、是等ノ團體ヲシテ、酒類ノ配
給統制ニ關スル機能ヲ擴充强化セシムル爲
メ、酒造組合ニ於ケルト同樣、設立統制ノ
實行等ニ關スル規定ヲ整備スルコトト致シ
タノデアリマス
次ニ〓涼飮料稅ニ付キマシテハ、其ノ消費
ノ性質及ビ酒類トノ權衡ヲモ考慮致シマシ
テ、總稅額ニ於テ十割程度ノ增徵ヲ行フコ
トト致シ、增徵ノ割合ハ、第一種玉「ラム
ネニ輕ク、第三種「ソーダ」水等ニ重ク致
シテ居リマス、卽チ第二種「サイダー」等ニ
付キマシテハ一石ニ付キ三十五圓、第三種
「ソーダ」水ニ付キマシテハ、炭酸瓦斯一
「キログラム」ニ付キマシテ十四圓ノ增徵ヲ
行フコトト致シテ居リマス、之ニ依リザ
イダー」普通壜、一本ノ小賣價格二十二錢ノ
モノハ、砂糖消費稅ノ增徵ト合セマシテ、
三十錢程度トナル見込デアリマス
次ニ取引所稅中取引稅ニ付キマシテハ、
株式ノ賣買取引ニ對スル現行稅率万分ノ五
ヲ万分ノ八ニ、万分ノ七ヲ万分ノ十ニ引上
グル外、日本證劵取引所法ノ制定ニ伴ヒマ
シテ、取引所稅法ニ付キ必要ナル改正ヲ行
フコトト致シタノデアリマス
次ニ砂糖消費稅ニ付キマシテハ、第一ニ
一般的ノ增徵トシテハ、他ノ消費稅ニ比較
シテ輕ク致シマシテ、總稅額ニ於テ大體二
割程度ノ增徵ヲ行フコトト致シタノデアリ
マヽ、第二種乙卽チ普通ノ白砂糖ニ付キマ
シテハ、現行百斤ニ付キ十二圓ノ稅率ヲ十
四圓五十錢ニ引上ゲマシタ、其ノ他ノ砂糖、
糖水及ビ糖蜜ニ付キマシテモソレ〓〓適當
ニ稅率ノ引上ヲ行ツテ居ルノデアリマス、
右ノ引上ニ依リ、家庭用ノ白砂糖一斤三十
錢五厘デアリマスルノガ三十三錢程度トナ
ル見込デアリマス、第二ニ料理店、旅館業
等ノ業務用、菓子其ノ他ノ製造加工用ノ砂
糖等ニ付キマシテハ、其ノ消費ノ性質ニ顧
ミマシテ、家庭用等ノ砂糖トハ區別ヲ致シ、
或ル程度負擔ヲ加重スルヲ適當ト認メマシ
テ、一般消費稅ノ外、更ニ白砂糖其ノ他上
級ノ砂糖等ニ付テハ百斤ニ付キ十圓、其ノ
他ニ付テハ百斤ニ付キ五圓ノ稅率ヲ以テ特
別消費稅ヲ附加シテ課稅スルコトト致シタ
ノデアリマス、以上ノ改正ニ依リ、砂糖消
費稅ニ付キマシテハ、總額ニ於テ大體七割
程度ノ增收ト相成ル見込デアリマス
次ニ物品稅ニ付テ申シマスレバ、物品稅
ノ中第一種及ビ第二種ハ、御承知ノ如ク奢
侈的性質ヲ有スル物品竝ニ國民生活上比較
的不急ト認メラレ、又ハ其ノ消費ガ負擔力
ヲ示スト認メラルル物品ニ付キ、廣ク課稅
スルモノデアリマス、今囘ノ增稅ニ於キマ
シテハ、奢侈的性質特ニ濃厚ト認メラルル
甲類ノ物品ニ付テハ、現行稅率百分ノ五十
ヲ百分ノ八十ニ引上ゲ、其ノ他ニ付テハ乙
類ノ現行稅率百分ノ二十ヲ百分ノ三十ト致
シ、丙類ニ付テハ第一種ニ於テハ現行稅率
百分ノ十ヲ据置キ、第二種ニ於テハ現行稅
率百分ノ十ヲ原則トシテ百分ノ二十ニ引上
グルコトト致シマシタガ、一部ノモノハ新
タニ丁類トシテ百分ノ十ニ据置クコトト致
シタノデアリマス、又第一種乙類ノ物品中、
織物、家具、書畫骨董等ニシテ相當高價ナ
ル物ニ付テハ稅率ヲ特ニ百分ノ六十トシ、
他ノ乙類ノ物品ヨリモ重課スルコトト致シ
タノデアリマス、他面現行ノ課稅最低限ヲ
或ル程度引下グルト共ニ、課稅物品ノ擴張
ヲ行ヒ、「バター」、「チーズ」幻燈機、罐詰、
罎詰箱詰等ノ食料品、靴塗料類、滋養强壯
劑等ニ對シ新タニ課稅スルコトト致シタ
ノデアリマス、物品稅中第三種ニ付キマシ
テハ、先ヅ「マッチ」ニ付テハ現行稅率千本
ニ付キ十錢ヲ十五錢ニ引上ゲマシタ外、砂
糖トノ權衡ヲ考慮致シマシテ、飴等ニ付テ
ハ百斤ニ付キ二圓五十錢「サッカリン」ニ付
テハ一「キログラム」ニ付キ十圓ノ增徵ヲ行
フト共ニ、新タニ蜂蜜ニ對シ百斤ニ付キ五
圓ノ稅率ヲ以テ課稅スルコトト致シタノデ
アリマス、以上ノ結果、物品稅ハ總稅額ニ
於テ大體八割程度ノ增加ヲ來ス見込デアリ
マス
次ニ遊興飮食稅ニ付キマシテハ、今次增
稅ノ趣旨ニ顧ミ相當大幅ノ增稅ヲ行フコト
ト致シマシタ、卽チ藝妓ノ花代ニ付テハ現
行稅率百分ノ百ヲ百分ノ二百ニ引上ゲ、其
ノ他ノ花代竝ニ花代以外ノ料金ニ付テモ相
當ノ增徵ヲ致ス案ニ相成ツテ居リマス、普
通ノ飮食ノ料金ニ付テハ一圓五十錢ト云
フ課稅最低限ハ之ヲ据置キ變更致シマセヌ
ガ、其ノ稅率ハ現在百分ノ二十又ハ三十デ
アリマスノヲ百分ノ三十乃至五十ニ引上グ
ルコトト致シテ居ルノデアリマス、又是ト
共ニ宿泊ノ料金ニ對スル課稅最低限ハ、現
在食事代ヲ除キ五圓トナツテ居リマスガ、之
ヲ引下ゲテ三圓トスル等課稅最低限ヲ引下
ゲ、其ノ他仕出料理ニ課稅スル等課稅範圍ノ
擴張ヲ行フコトト致シマシタ、以上ノ增徵
ニ依リ遊興飮食稅ハ總稅額ニ於テ大體七割
程度ノ增加トナル見込デアリマス
入場稅ニ付キマシテハ、第一種卽チ映畫館、
劇場等ニ付キマシテハ、課稅最低限ノ引下ゲ
ハ之ヲ行ハナイコトト致シマシタ、又入場料
ガ五十錢未滿ノモノニ付キマシテモ特ニ稅
率ヲ据置イタノデアリマス、五十錢以上ノ
モノニ付テハ現行稅率百分ノ三十乃至百分
ノ八十ヲ百分ノ四十乃至百分ノ百二十ト致
シ、其ノ他ノモノ及ビ特別入場稅ニ付テモ
適當ニ增徵スルコトト致シタノデアリマス、
尙ホ本稅施行ノ實情ニ顧ミ本稅ヲ間接稅ノ
形式ニ改ムルコトト致シ、之ニ必要ナル改
正ヲ行フコトト致シタノデアリマス
次ニ從來外國ニ輸出スル物品及ビ內地、
臺灣、樺太ヨリ朝鮮ニ移出スル物品ニ付テ
ハ內國稅ヲ免除シ、又ハ交付金ヲ交付シテ參
ツタノデアリマスルガ、現下ニ於ケル交易情勢
及ビ行政ノ簡素化等ヲ考慮致シマシテ之ヲ停
止又ハ廢止スルコトト致シタノデアリマス
次ニ新稅ト致シマシテハ特別行爲稅ヲ創
設スルコトト致シタノデアリマス、特別行
爲稅ハ寫眞ノ撮影、整髮美容、織物衣類ノ染
色仕立、書畫ノ表裝、印刷、製本等ニ付テハ、
其ノ消費ノ性質ニ鑑ミ、他ノ消費稅トノ權衡
上此ノ際或ル程度ノ負擔ヲナサシムルヲ適
當ト認メマスルノミナラズ、之ニ課稅スルコ
トニ依リ消費ノ節約、購買力ノ吸收ニモ資シ
得ルトノ見地カラ、印刷、製本ニ付テハ百分
ノ二十、其ノ他ニ付テハ百分ノ三十ノ稅率
ヲ以テ課稅セントスルノデアリマス、尤モ
寫眞ノ撮影ニ付キマシテハ一組一圓五十
錢整髪美容ハ一囘一圓、染色刺繍ニ付テ
ハ一件五圓又ハ十圓、仕立ニ付テハ三圓乃
至二十五圓程度等ノソレ〓〓適當ト認ムル
課稅最低限ヲ設クルコトト致シテ居リマス、
以上述ベマシタ如ク、今囘ハ主トシテ間接
稅ヲ中心トスル增稅デアリマシテ、直接稅
ニ付キマシテハ昨年ニ於テ相當大幅ノ增稅
ヲナシマシタコトデモアリマスルノデ、戰
時國民生活諸般ノ樣相等ヲ種々考慮致シマ
シタ結果、今囘ハ是ガ增徵ヲ見合ハセルコ
トト致シタノデアリマスルガ、臨時利得稅
ニ付キマシテハ適當ト認ムル改正ヲ若干行
ツテ居ルノデアリマス、卽チ臨時利得稅ニ
付キマシテハ、第一ニ、從來法人ニ付テハ
昭和十一年以前三年以內ニ終了シタ事業年
度ノ平均利益率ヲ基準利益率ト致シマシ
テ、資本ノ百分ノ十ヲ超エ基準利益率以下
ノ分ニ付テハ稅率ヲ百分ノ三十五ト致シテ
居ルノデアリマス、併シナガラ基準年度ヨ
リ既ニ相當年數ヲ經過シタ爲ニ、之ヲ基準ト
スルコトガ必ズシモ適當デナイノミナラズ、
現在ニ於テモ其ノ適用ニ付キ種々制限ヲ設
ケテ、旣ニ實益ガ少クナツテ居リマスル關
係上、課稅手續ノ簡易化ヲモ考慮致シマシ
テ、今囘之ヲ廢止スルコトニ致シタノデア
リマス、第二ニ個人ノ營業者ニシテ利益金
額少額デアル者ニ對シマシテハ、施行フ實
情ニ鑑ミ、負擔緩和ノ規定ヲ設クルコトト
致シタノデアリマス
次ニ臨時租稅措置法ノ改正ニ付キ說明ヲ
致シマス、其ノ改正ノ第一ハ、時局下愈〓緊
切ナリト認メラルル一部產業ノ編成替ニ關
スルモノデアリマス、時局ノ要請ニ依ル企
業ノ合同、整理ノ場合ニ於キマシテハ、現
在法人稅、所得稅、營業稅及ビ登錄稅ヲ輕
減又ハ免除シテ居ルノデアリマスガ、最近
ニ於ケル企業合同ノ進捗ノ狀況ニ顧ミマシ
テ、右ノ輕減免除ノ期間ヲ一年間延長スル
コトト致シテ居リマス、尙ホ右ノ企業合同
ノ場合ニ於テ、營業ヲ廢止シタ者ノ受ケル
補償金ニ付キマシテ所得稅ヲ輕減又ハ免除
致スコトトナシ、又事業ノ統制ノ必要上、
不動產、鑛業權等ヲ讓渡シタ者ニ對シマシ
テモ、讓渡利得ノ計算ニ付キ特例ヲ設クルコ
トト致シタノデアリマス、第二ハ最近ニ於ケ
ル經濟狀況ヨリ見マスル時ハ、個人ノ營業利
益ガ各種ノ事情ニ依リ相當急激ニ變動スルヲ
免レ難イノデアリマスルガ、此ノ場合ニ於テ
前年ノ實蹟ニ依リ所得稅、營業稅等ヲ課稅致
シマスルコトハ、其ノ負擔ガ相當困難ナル場
合ガ豫想セラレマスノデ、營業利益ガ著シク
減少シタ者ニ對シ所得稅、營業稅等ヲ或ル程
度輕減スルコトト致シタノデアリマス、第
三ハ法人ガ額面以上ノ價格ヲ以テ株式ヲ發
行シタ場合ニ於ケル額面超過金額ニ對シマ
シテハ、企業基礎ノ强化、資金ノ蓄積等ノ
見地ヨリ或ル程度負擔ヲ輕減スルヲ適當ト
認メマシテ、課稅上ノ特例ヲ設クルコトト
致シタノデアリマス、第四ハ事業ノ統制ノ
必要上、設備其ノ他ヲ讓渡シタ法人ガ、時
局ノ要請ニ應ジ行政官廳ノ指導斡旋ニ依リ
マシテ解散ヲシナイ場合ニ於テハ、事情ニ
依ツテ或ル程度負擔ヲ緩和スルノ必要ガ豫
想セラレマスルノデ、此ノ場合ニ於テハ法
人稅、營業稅等ヲ輕減シ得ル途ヲ開イタノ
デアリマス、尙ホ以上ノ外木材又ハ薪炭ノ
增產ノ必要上山林ヲ增伐シタル者、鑛業權ノ
使用權者ニ付キマシテモ或ル程度所得稅等
ヲ輕減スル等、現下緊要ナル諸政策トノ調和
ヲ圖リマスル爲メ必要ト認ムル各種ノ租稅上
ノ措置ヲ講ズルコトト致シタノデアリマス
以上今次增稅等ニ關スル法律案ノ〓要ヲ
申上ゲタノデアリマスガ、今囘ノ增稅等
ニ依リマシテ幾ラノ增收ガアルカト申シ
マスルニ、平年度ニ於キマシテ酒稅ニ於テ
四億千四十餘万圓、〓涼飮料稅ニ於テ千百
二十餘万圓、砂糖消費稅ニ於テ七千九百餘
万圓、物品稅ニ於テ二億八千百四十餘万圓、
遊興飮食稅ニ於テ二億七千七百十餘万圓、
入場稅ニ於テ千二百八十餘万圓、特別行爲
稅ニ於テ七千百五十餘万圓、骨牌稅ニ係ル
印紙收入三百餘万圓、臨時利得稅五千二百
八十餘万圓ヲソレ〓〓增加致シテ居ルノデ
アリマス、併シナガラ所得稅、法人稅、取
引所稅等ニ於キマシテ合計五千三百八十餘
万圓ヲ減少致シマスルノデ、結局平年度約十
一億四千五百万圓ノ增收デアリマス、初年
度デアリマスル昭和十八年度ニ於テ約十億
七百万圓ノ增收トナル見込デアリマス、此
ノ十八年度ノ增收額ハ、臨時軍事費追加豫
算ノ財源トシテ一般會計ヨリ同特別會計ニ
繰入ルルコトト致シテ居ルノデアリマス
最後ニ遊興飮食稅法中改正法律案ノ附則
ニ規定シテ居リマス地方分與稅法中一部改正
ニ付キ御說明申上ゲマス、御承知ノ如ク地方
分與稅中配付稅ハ所得稅、法人稅、入場稅
及ビ遊興飮食稅ノ一部ヲ以テスルコトト相
成ツテ居リ、其ノ割合ヲ法定致シテアリマ
スル關係上、今囘ノ遊興飮食稅及ビ入場稅
ノ增徵等ニ伴ヒ、ソレ等配付稅ノ基本タル
國稅ニ異動ヲ來シマスルノデ、之ニ付テハ
現行法ニ依ル程度ノ額ヲ維持スルコトヲ目
安ト致シマシテ、尙ホ地方團體ニ於ケル新規
負擔ノ財源充足ノ爲メ配付稅ヲ若干增額ス
ルコトトナシ、ソレ〓〓配付稅ノ割合ニ付キ
必要ナル改正ヲ加ヘントスル次第デアリマス
以上稅制ノ改正等ニ關スル法律案ニ付キ
一括說明ヲ致シタ次第デアリマス、何卒御
審議ノ上速カニ御贊成下サレンコトヲ希望
致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=2
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003・松村光三
○松村委員長 御諮リ致シマス、大藏次官
ハ直チニ出席ノ豫定デアリ、主稅局長モ貴
族院カラ直チニ參ラレル豫定デアリマス、
隨テ質疑ヲ續行致シタイト考ヘマスガ、如
何デスカ
〔「異議ナシト」呼ブ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=3
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004・松村光三
○松村委員長 ソレデハ續行致シマス、尙
ホ大藏大臣ハ午後ハ出ラレル豫定デアリマ
スノデ、大藏大臣ガ出席セラレタナラバ、
午後モ引續キ質疑ヲ致シタイト考ヘテ居リ
マスノデ、左樣御諒承ヲ願ヒマス、此ノ際
資料ノ要求ガゴザイマシタナラバドウカ······発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=4
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005・河野密
○河野(密)委員 資料ハ一々讀上ゲルコト
ヲ避ケマシテ、書面ニシテ提出シタイト思
ヒマスカラ宜シク御願ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=5
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006・松村光三
○松村委員長 結構デゴザイマス、ソレデ
ハ書面デ提出シテ戴キマシテ、速記錄ノ最
後ニ參照トシテ留メルコトニ致シマス-
ソレデハ大臣ハ午後出席スル豫定デアリマ
スカラ、大臣ニ關スル質疑ハ午後成ベク一
括シマシテ御願ヒ致シマス、大臣ヲ除キマ
シテ、只今主稅局長ガ見エテ居リマスカ
ラ-小野君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=6
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007・小野義一
○小野(義)委員 私ハ大藏大臣ニ本會議デ
質問致シマシタ其ノ延長ヲ、少シ此處デ分析
シタイト思ツテ居ツタノデアリマスガ、今
御退席ニナリマシタカラ、午後ニ大臣ヘノ
質問ヲ致シマス、折角主稅局長ガ御見エデ
アリマスカラ、一點ダケ私主稅局長ニ伺ヒ
タイト思ヒマス、先程大臣ノ御說明ニ、十
八年度ニ於テ增收ハ十億圓、平年度ハ十一
億四千万圓、此ノ十八年度ニ十億圓ト見込
ンダノハ、何時カラ此ノ改正稅法ヲ施行ス
ルト云フ見地デ算盤ヲ出サレタノデアリマ
スカ、坊間傳フル所ニ依リマスト云フト
先ヅ二月二十日頃ニハ議會ガ終ルダラウ、サ
ウシタラ直チニ實施スルノデハナイカ、サウ
ナレバ平年度ト同ジヤウナ增收ガ得ラレル
ヤウニ思フノデスガ、ヤハリ是ハ四月カラト
云フコトヲ豫期サレテ居ルノデアリマスカ
尙ホ是ハ事前審査ノ時ニ起ツタ問題デス
ガ、其ノ時主稅局長ハ御出席デアリマシタ
カドウカ私忘レマシタガ、專賣局長官ハ
確カニ居ラレタ、南君ノ御意見トシテ、
煙草ノ値上ヲヤル時ニ、是ハ古イ定價デ印
刷シテ出シタモノハ其ノ儘消費サレルマデ
ハ詰リ賣レテシマフマデハ、其ノ儘ノ値
段デ据置イタラドウカ、斯ウ云フ質問ガア
ツタヤウデス、所デ實際トシテハ、モウ何
時デモ値上ハ大藏省令ノ改正デ卽刻ニヤル
ノデアリマス、ソコデ他ノ間接稅--他ノ
間接稅ト云フト、煙草ナンカハ專賣ヂヤナ
イカト云フ形式論ハアリマスケレドモ、實
ハ實質上ハ間接稅デアリマスカラ、煙草ト
酒ナンカトノ權衡ガ得ラレナイノデス、是
ハ當然ノコトデアリマスケレドモ、ソコカ
ラ考ヘテ、南君ノアノ御發言ハ私非常ニ意
味ガアルト思ツタノデス、サウナレバ、他
ノ間接稅トノ均衡モ相當得ラレルヤウニ思
フ、普通ノ間接稅ハ議會ノ協贊ヲ經テ、斯
ウ云フ工合ニ委員會ヲ開イテ審議シテ、漸
ク實施スルノデアリマスガ、煙草ノ方ハ直
グニヤル、ソコデ非常ナ買占、賣惜ガ行ハ
レル、アノ時專賣局長官ハ、サウ買占、賣
惜ハナイト云フコトデアツタガ、ドウモ實
際ハサウデナイヤウデス、相當アツタヤウ
デス、是ハ非常ニ良クナイコトデアル、此
ノ酒ナンカニ付テモ相當買占ガアルト云フ
コトモ聞キマス、其ノ程度ハ分リマセヌケ
レドモ、併シ是ハドウモ致シ方ハアリマセ
又、議會ノ協賛ヲ經ナクチヤナラヌノデア
リマスカラ、併シ議會ノ協賛ヲ經タ以上ハ
直グニデモ實施ニナルノデハアリマスマイ
カ、煙草トノ均衡カラ見ルト云フト、モウ
二月末或ハ三月初カラ實施スル、サウ云フ
方法モ執リ得ルノデアリマスケレドモ、玆
ニ十億圓ト見タ以上ハ、ヤハリ來年度ニナ
ツテ來ルヤウニモ思ハレマス、今ノ煙草ノ
値上問題ト、此ノ十億圓ノ根據、之ヲ一ツ
御說明ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=7
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008・松隈秀雄
○松隈政府委員 只今御尋ネノ昭和十八年
度ニ租稅ノ增收額ヲ見積ツテ居リマスルノ
ハ、四月一日以後ノ分ヲ見積ツテ居ル次第
デゴザイマス
尙ホ煙草トノ關係ニ於キマシテ、間接
稅ノ增徵ヲ受ケマスルモノガ經過的ニ舊
稅率デ安イ負擔デ引取ラレハシナイカ
斯ウ云フ御話デゴザイマスガ、稅法ニ於
キマシテ其ノ附則ヲ以チマシテ、或ル程
度以上ノ「ストック」ヲ持ツテ居リマスレバ
其ノ「ストック」ニ對シテハ課稅スル途ヲ設ケ
テ居リマス、其ノ場合ニ於テ、非常ニ少イ
數量ニマデ課稅スルコトガ、理論的ニハ宜
シイノデアリマスガ、ソレハ非常ニ手數ガ
煩雜デアリマスルノデ、已ムヲ得ズ或ル數
量ヲ限ツテ居リマス、例ヘバ酒デ申シマス
ルト改正規定施行ノ際ニ製造場又ハ保稅
地域以外ノ場所ニ於テ、各酒類ヲ通ジ合計
一石以上ノ酒類ヲ所持スル場合ニ於キマシ
テハ、ソレカラ特別ノ場合ニ於テ一石ニ滿タ
ナイ場合、例ヘバ合計二斗ノ場合デモ、其ノ課
稅ヲスルコトニ致シテ居リマス、其ノ場合ニ於テ
ハ、其ノ製造場若クハ保稅地域以外ノ場所デ
アルニ拘ラズ、稅法施行ノ日ニ於テ其ノ品物ハ
製造場又ハ保稅地域カラ引取ツタモノトシ
テ追掛ケテ課稅スルト云フ規定ガ置イテゴ
ザイマス、尙ホ物品稅等ニ付テ申上ゲマシ
テモ、第二種ノ物品ニ付キマシテハ價格千
圓以上ノモノ、「マッチ」デ云ヘバ百万本以
上ノ「マッチ」、飴デ云ヘバ三千斤以上ノモ
ノ「サッカリン」デ云ヘバ十「キロ」以上
ノモノト云フヤウナ風ニ、稅額デ百圓前後
以上ノモノハ稅法施行前ニ引取ツテモ、
稅法施行ノ日ニ引取ツタモノトシテ遡ツテ
課稅ヲシ得ル途ヲ開イテゴザイマスルノデ、
或ル程度マデ見越引取ニ對シマスル遡及課
稅ノ方法ハ講ジテアル次第ダト思ヒマス、
ソレカラ酒類等ニ付テ幾分見越買ガ行ハレ
ルカトモ思ヒマスガ、御承知ノ通リ酒類ノ
ヤウナモノニ付キマシテハ配給計畫ヲ立テ
テ配ツテ居リマスルノデ、見越買ノ點ハ他
ノ物品等ニ比ベルト餘程少イノデハナイカ
ト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=8
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009・松村光三
○松村(光)委員長 ソレデ宜シウゴザイマ
スカ-中村三之丞君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=9
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010・中村三之丞
○中村(三)委員 只今戴イテ居リマスル租稅
法規ノ改正等ニ關スル法律案要綱ヲ見マス
ルト、第四ニ「新ニ特別行爲稅ヲ創設シテ消
費ノ抑制、購買力ノ吸收ヲ圖ルコト」ト云フ
項目ガアリマス、是ハ今囘ノ增稅案ノ中ニ
於テ吾々トシテ注目スベキ一ツノ案デアリ
マン、先ヅ此ノ點ニ付テ局長ニ御伺ヒヲ致
シマス、特別行爲稅ト云フモノガ新タニ我
ガ國稅制ノ中ニ織込マレテ來タ、特別行爲
稅ハ稅トシテ如何ナル本質ヲ示スモノデア
リマスカ、先ヅ御伺ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=10
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011・松隈秀雄
○松隈政府委員 今囘新シク設ケマシタ特
別行爲稅ハ御話ノ如ク消費ノ節約、購賣力
ノ吸收ヲ狙ヒマスルト同時ニ、併セテ國庫
收入ノ增加ヲ圖ラントスルモノデアリマス、
稅ノ分類ノ上カラハ之ヲ間接稅ト致シテ居
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=11
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012・中村三之丞
○中村(三)委員 私ハ特別行爲稅ト云フモノ
ハ最終段階ニ課セラルル所ノ取引稅ヂヤナ
イカト思フ、或ハ他ノ言葉ヲ以テ申シマス
ルナラバ、一囘轉賣上稅ノ性質ヲ有シ、此
ノ特別行爲稅ト云フモノガ將來非常ニ伸ビ
ルト云フ玆ニ意圖ヲ持ツテ居ラレル、又其
ノ意圖ヲ持ツテ居ルニアラズンバ、玆ニ七
千万圓ノ收入ヲ有スル特別行爲稅ヲ新設セ
ラレマシタル意義ナシト言ハナケレバナリ
マセヌ、私ハ左樣ニ考ヘル発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=12
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013・松隈秀雄
○松隈政府委員 租稅ヲ分ケマシテ、直接
税間接稅、其ノ他-其ノ他ト云フノハ
流通稅デアリマスガー-ニ分ケルノガ普通
デアリマスルガ、直接稅ハ比較的明瞭デア
リマスガ、間接稅ト流通稅ノ區分ニ至リマ
シテハ、其ノ國ノ法制ノ建前、沿革等ニ依
ツテモ異ツテ參ル次第デアリマス、我國ニ
於キマシテハ物品稅ヲ間接稅ト致シテ扱ツ
テ居リマス、今囘特別行爲稅ヲ設ケタノデ
アリマスガ、是モ間接稅ト云フ建前ニ致シ
テ居リマス、外國ニ於キマシテハ御話ノ如
ク賣上稅ト云フモノガアリマス、此ノ賣上
稅ハ物品ノ流通致シマスル各段階ニ於テ課
稅ヲ致シマスル關係上、流通稅ト云フ範疇
ニ入レテ說明シテ居ル者ガ多イノデアリマ
ス、デ御承知ノ通リ賣上稅ナル稅制ヲ設ケ
テ居リマスル國ニ於キマシテハ、物品ノ賣
上代金デアリマセウト、「サービス」ノ賣上代
金デアリマセウト、一樣ニ賣上代金ヲ課稅
標準トシテ稅ヲ徵收シテ居ルノデアリマス、
我國ニ於キマシテハ從來賣上稅ノ制度ヲ採
ラズ、物品稅ノ制度ニ依ツテ居リマシタノ
デ、物品ノ賣上ダケニ課稅シテ居ツタノデ
アリマスルガ、今囘物品ノ賣上トノ權衡上、
品物ノ方ハ餘リ使ハナイケレドモ、主トシテ
他人ノ勞務ヲ煩ハスト云フ場合ニ於テハ、ヤ
ハリ奢侈的分子ガ相當含マレ、ソコニ擔稅
力ガ窺ハレマスルノデ、權衡上課稅シタ方
ガ宜シイト云フコトニナツタノデアリマス
ガ、全體ノ制度ヲ賣上稅ニ改編スルト云フ
所マデ至ツテ居リマセヌノデ、別ノ稅法ト
致シマシテ特別行爲稅法ト云フ法律ニ致シ
タノデアリマス、ソコデ物品稅モ間接稅ト
致シテ居リマスノデ、特別行爲稅法案モ
ヤハリ建前ヲ間接稅ト致スコトニ致シタノ
デ、先程說明申上ゲタヤウナ次第デアリマ
ス、賣上稅ト云フコトニデモ致セバ、或ハ流
通稅ト云フ方ニシテ說明シタ方ガ宜イカト
思ヒマスガ、我ガ國ノ現在デハ先ヅ間接稅
ト申上ゲタ方ガ適當カト思フノデアリマス、
是等ノ稅ガ將來ニ非常ニ伸ビテ行ク潜在力
ト申シマスカ、サウ云フモノヲ持ツテ居ル
カドウカト云フ點ニ付テハ、色々見方モア
ルト思フノデアリマスガ、或ル程度ハ伸ビ
ルト思ツテ居リマスルガ、サウ非常ニ澤山
ノ期待ハ掛ケラレナイカト思ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=13
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014・中村三之丞
○中村(三)委員 法制上竝ニ慣習上物品稅
竝ニ特別行爲稅ヲ間接稅ニ入レラレタト云フ
コトハ稅務當局トシテノ何時モノ御答ヘデ
アリマス、併シナガラ之ヲ一般稅制論ノ上
カラ見マスルナラバ、私達ハ今申シタ解釋
ガ出來ルト思フノデアリマス、一體物品稅
其ノモノガ贅澤稅、賣上稅、或ハ小賣賣上
稅或ハ製造賣上稅、或ハ生產賣上稅ト言
ツテ宜シイ、私共ノ注目スル所ハソコニア
ル、一體物品稅ハ行詰ツテ居ル、成程稅率
ヲ百分ノ百、或ハソレ以上上ゲルト云フコ
トモアリマセウ、或ハ品目ヲ擴大强化スル
ト云フコトモアリマセウ、或ハ課稅最低限
ヲ撤廢シテシマフ、勿論是ハ徵稅上手數ガ
掛カルデセウガ、理論上サウ云フヤウナコ
トモ考へ得ラレル、日本ノ稅制、殊ニ此ノ
戰爭增稅ニ於テ稅率ト云フモノヲドノ邊ニ
持ツテ行クカト云フコトハ頗ル重大問題ニ
ナツテ來タ、又吾々トシテ愼重ニ考ヘナケ
レバナラヌ所デアリマスガ、少クトモ此ノ
特別行爲稅ト云フモノハ物品稅ト相竝ンデ
一般取引稅ノ性質ヲ帶ビテ來タト云フ觀察
ハ私ハ間違ナカラウト思フ、ソコデ此ノ特
別行爲稅ト云フモノハドノ段階ニ於テ御課
ケニナルノデアルカ、元來行爲ト云フモノ
ハ、私ハ此ノ行爲ト云フコトヲ取引ト解釋
スルノデス、先ヅ是カラ一ツ御說明ヲ願ヒ
タイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=14
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015・松隈秀雄
○松隈政府委員 特別行爲稅ハ個々ノ行爲
ヲ捉ヘテ課稅スルノデアリマスルガ、其ノ
課稅ノ對象ニナリマスル行爲ハ特別行爲稅
法ノ第一條ニ列擧シテアル行爲デアリマシ
テ、其ノ行爲ヲ致シマシタ場合ニ於キマシ
テ、其ノ行爲ノ依賴ヲ受ケテ代金ヲ受取ル
人ガ稅ヲ徵收シテ國ニ拂込ム義務ヲ負フト
云フコトニ相成ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=15
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016・中村三之丞
○中村(三)委員 例ヘバ織物、衣類ノ染色、
仕立ト云フコトガ玆ニ特別行爲稅ノ對象ト
シテ揭ゲラレテ居ル、織物、衣類ノ染色、
仕立ト云フモノハ相當ノ技術的段階ヲ經テ
來ルダラウト私ハ思フ、染色、仕立ノドノ
段階ニ於テ御課ケニナルノデスカ、此ノ段
階ノ課ケ方ニ依ツテ茲ニ私共ハ議論ガ起ツ
テ來ルダラウト思フ、卽チ流通稅カ間接稅
カト云フ議論モサウ云フ所カラ來ルノデア
リマシテ、段階ノ仕方ナンデアル、大藏當局
ガ一般取引稅ヲ囘避セラレテ居ル態度ハ私
ハ分ル、ナゼナラバ課稅段階ノ累積性ト云
フコトニ付テ中々〓究ヲ要スル、當局トシ
テソレニ向ツテ採用スルニ躊躇ヲスルト云
フ、其ノ稅務當局ノ態度ハ私ハ了解ヲセラレ
ルノデアリマスガ、併シ此ノ財源ヲ得ル場
合ニ於テハモウソコマデ行カナケレバナラナ
イ、ト云ツテソレヲ徹底サセルコトハ出來
ナイ、或ル程度ニ止ツテ居ルト云フノガ此
ノ特別行爲稅ノ現ハレナンデアル、卒直ニ
申シマスナラバ、一般取引稅ハヨウヤレナ
イ、ト云ツテモウ消費課稅ト云フコトガ稅
率ガ段々增シテ、或ル程度限界點ニ達シタ、
是デハナラヌト云フノデ少々前進シテ現ハ
レテ來タモノガ此ノ特別行爲稅ト云フ風ニ
私ハ解釋シテ居ルノデアリマスカラ、問題
ハ如何ナル取引ノ段階ニ於テ課ケラレルノ
デアリマスカ、具體的ニ御說明ヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=16
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017・松隈秀雄
○松隈政府委員 如何ナル取引ノ段階ト云
フ御尋ネデアリマスルガ、個々ノ取引ニ於
キマシテ稅法ニ·規定シテ居ル織物、被服類
ノ染色ヲ依賴シ、又ハ被服類等ノ仕立ヲ依
賴スルト云フコトデアレバ、其ノ度每ニ本
法ニ該當致シマスルカラ課稅ニナル譯デア
リマス、尤モ織物ナリ被服類ナリヲ製品ト
シテ販賣致シマスル者ガ、其ノ製品ヲ作リ
上ゲル途中ノ段階ニ於テ染色ヲシ、又ハ仕
立ヲ致シマシタ場合ニハ結局其ノ出來上ツ
タモノヲ販賣致シマスル際ニ物品稅ノ課稅
ガアリマスルカラ、サウ云フ製品ノ販賣業
者ガ製品ヲ作リ上ゲル途中ノ段階ニ於テ致
シマスル染色、刺繍、捺染、仕立等ハ特ニ
課稅シナイト云フ規定ヲ置イテアリマス、
ソレ以外デアリマスレバ、個々ノ行爲ガ稅
法ニ該當スレバ一々課稅ニナル、例ヘバ私
ガ白生地ヲ持ツテ居テ、之ヲ一遍染色ニ出
シタトスレバ稅法ニ該當シマスカラ課稅ニ
ナリマス、染色ヲシタモノヲ引取ツテ、更
ニ之ニ刺繍ヲシタイト云フ考ヘヲ起シテ刺
繡ニ出シタト云フコトニナレバ、其ノ刺繍
ノ際ニ又課稅ニナリマス、染色、刺繍ガ出
來上ツテ、其ノ生地ヲ持ツテ居リマシテ、
之ヲ一ツ着物ニ仕立テテ見タイト云フノデ
仕立屋ニ持ツテ行ツテ仕立テサセルト云フ
コトニナリマスレバ、是モヤハリ免稅點以
上ノ場合デアレバ課稅ニナル、サウ云フ場
合ニ於テハ三段階、此ノ稅法ニ該當スル行
爲ヲシタノデアルカラ三囘課稅サレルノハ
已ムヲ得ナイコトト思ツテ居ルノデアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=17
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018・中村三之丞
○中村(三)委員 大體明白ニナリマシタ、
ソコデ今例ニ引カレタ點、或ハ織物ナドヲ
見マスルト物品稅ト特別行爲稅ト云フモノ
ハ一ツノ繫リヲ持ツテ居ル、又持タサナケレ
バ稅收ハ得ラレナイト云フコトニナル、今
局長ガ仰セラレマシタ三段階ニ課カルト云
フ其ノコトガ、私ガ先ニ申上ゲマシタ一般
取引稅ノ性質ヲ有スルモノデハナイカト云
フコトニナルト思フノデアリマス、斯ウ云フ
ヤウニオヤリニナツテ來ナケレバ、モウ稅
率ヲ上ゲルコトバカリデス、百分ノ十、百分
ノ二十ト云フバカリデハ是ハ單純ナモノデ
ス、ソレヨリモ今言ツタ段階ニ於テ自然ニ
課カツテ行クト云フコト是ガ今日ノ國庫增
收ノ上ニ於ケル所ノ-配給段階ニ於ケル
累積性ト云フコトハ或ル點ニ於テ缺點ハア
リマスルガ、或ル點ニ於テ國庫ノ增收ヲ得
ラレルノデアツテ、戰爭增稅ニ於テハココ
マデ發展シナケレバナラナイト思フノデア
リマス、更ニ進ンデ今例示サレテ居リマス寫
眞ノ撮影以下、印刷、製本、是以外ニマダ
何カアルノデアリマスカ、大體第一期ノ特
別稅ハココニ揭ゲラレテ居リマス範圍內デ
アルノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=18
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019・松隈秀雄
○松隈政府委員 戰時ノ課稅デアリマスカ
ラ、課稅ノ對象ニナリマスル行爲ハ法律ヲ
以テ明瞭ナラシムル必要ガアルノデアリマ
シテ、法律ニ一號カラ六號マデ明示シテゴ
ザイマス、隨ヒマシテ之ニ該當シナイ行爲
ハ課稅ノ範圍外ト云フコトニナリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=19
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020・中村三之丞
○中村(三)委員 併シ一見シテ是ガ先程申シ
マシタ伸張力ヲ何處マデ有セシムルカト云
フ問題デス、今年ノ如キモ主稅局長ハ、斯
ウ云フ言葉ハ餘リ好マシクアリマセヌガ、
「サービス」ニ課ケルト云フヤウニ新聞等
ニ發表シテ居リマス、サウ云フモノニ課ケル
ナラバ、例ヘバ周旋料デアルトカ、手數料
デアルトカ云フモノニモ當然課カラナケレバ
ナラナイノデハアリマセヌカ、ソレヲドウ
云フ譯デ除外セラレルノデアルカ、或ハ將
來課カルノデアルカ、之ヲ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=20
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021・松隈秀雄
○松隈政府委員 賣上稅ヲ起シマスレバ先
程モ申シマシタヤウニ物品ノ賣上ゲデアラ
ウト、其ノ他實際ノ賣上代金若クハ報償金、
手數料ト云ツタモノニ課稅出來ルノデアリ
マスガ、現在ノ我ガ國ニ於キマシテハマ
ダ賣上稅ノ創設ヲスル所マデ至ツテ居リマ
セヌ、併シ物品稅トノ釣合上他人ノ勞務ヲ
煩ハス或ル種ノ行爲ノ中、特ニ奢侈的性質
ノ濃厚ナモノニ付キマシテハ、此ノ際課稅
範圍ヲ擴張スルノヲ適當ト認メマシテ、法
律ニ書イテアル一號乃至六號程度マデ擴ゲ
タノデアリマスルガ、此ノ外ニ周旋料トカ
或ハ仲立料ト云フヤウナモノニ此ノ際課稅
ヲ致シマセヌデシタノハ、ソレ等ハ商行爲
ニ伴ツテ當然起ルベキ負擔ノヤウニモ考ヘ
ラレマスルノデ、今日ノ程度デハ其處マデ
課稅ヲ及ボスノモ如何カト考ヘマシテ、大
體ニ於テ奢侈的性質ガ强ク、此ノ戰時下ノ
生活トシテハ出來ルダケ節約可能ノ方面ニ
付テ先ヅ課稅ヲスルト云フコトヲ以テ開始
シタヤウナ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=21
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022・中村三之丞
○中村(三)委員 特別行爲稅ガ本年新タニ
出來タト云フ其ノ當初ニ於テ今ノ局長ノ御
考ヘハ、當局トシテ左樣デアラウト思ヒマ
ス、併シナガラ吾々ハ每年々々增稅ハ已ム
ヲ得ナイト思フ、巨大ナル財政需要ニ應ズ
ベキ機會每ニ增稅ヲスルコトニアラズンバ
戰爭財政ハ運營出來ナイト言ツテ宜シイ、
ソコデ此ノ一ツノ稅ヲ今年バカリデナク、
此ノ一ツノ稅ガ何處マデ伸ビテ、ドレダケ
日本ノ戰爭增稅ニ力ヲ及ボスカト云フ點ヲ
吾々ハ今カラ考ヘテ行カナケレバナラヌ、
稅務當局亦其ノ御考ヘガアルノデアラウト
思ヒマスルシ又ナケレバナラナイ筈デアリ
マス、ソコデ此ノ特別行爲稅ト云フモノハ
奢侈的課稅トシテ出テ來タト云フ今ノ御話
ハ軈テハ是ガ伸ビテ行ク、現ニ物品稅ガサ
ウデアル、物品特別稅ハ北支事變特別稅ノ
一環トシテ大藏當局ガナサレマシタル當時
ハ主トシテ贅澤品課稅デアツタ、別言致シ
マスレバ、生活第二義品ニ課ケルト云フノ
ガ當時ノ建前デアツテ、慥カ一千万圓程度
ノ收入ニ過ギナカツタ、併シナガラソレダ
ケデハイケナイ、ノミナラズ奢侈的消費ニ
對スル課稅ハモウ稅デハナイ、製造禁止乃
止ハ制限マデ今日ハ至ツテ居ル、サウ云フ
性質ヲ帶ビテ來テ居ル、サウシマルナラバ、
將來此ノ特別行爲稅ト云フモノモ-物品
稅ガ當初ハ奢侈的課稅デアツタモノガ、今
日デハモウ或ル程度必需品ニ近イモノニマ
デ課稅サレル、現ニ「マッチ」ニモ稅金ガ課カ
ル、電球ニモ課カル、オ茶ニモ課カルト云
フヤウニ物品稅ハ其ノ伸張力ヲ示シテ來テ
居ル、ソコデ此ノ際私ハ主稅當局トシテ御
言明願ヒタイコトハ、此ノ特別行爲稅ヲ來
年、再來年ニウント伸バシテ少ナクトモ數億
位ノ增收ヲ得ルヤウナ御方針デアルノデア
ルカ、又ハ一寸ヤツテ見ルト云フノデアル
カ、私ハ一寸ヤツテ見ルト云フノデハ甚ダ
不滿デアル、特別行爲稅ト云フモノガ日本
獨特ノモノデ、外國流ノ賣上稅ニアラズ又取
引稅デモナイ、大藏當局ガ頭ヲ絞ツテ日本獨
特ノ特別行爲稅ト云フモノヲ出シテ來タノ
ダ、之ヲ將來ウント伸バシテ、日本ノ財政需
要ニ應ズベク增稅ニ力ヲ入レテ來ルト云フ方
針デナケレバナラナイ、又サウデナケレバ
意味ヲナサヌ、私ハ玆ニ將來ノ爲ニ主稅局
長ノ今一層ノ突込ンダ御言明ヲ煩ハシタイ
ト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=22
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023・松隈秀雄
○松隈政府委員 特別行爲稅ヲ將來如何ニ
發展セシメテ行クカト云フ見透ノ問題デア
リマシテ、是ハ中々御答ヘノ困難ナ問題デ
アリマス、戰時財政ノ膨脹ニ伴ツテ財政需
要ガ增シテ參ル場合ニ於キマシテ、主稅當
局トシテハ歲入增加ノ方法ヲ各方面ニ亙ツ
テ考ヘナケレバナラナイノデアリマス、隨
ツテサウ云フ意味ニ於テ將來特別行爲稅法
ノ課稅範圍ヲ擴充スルト云フヤウナコトニ
付テモ〓究ヲ致サナケレバナリマセヌケレ
ドモ、特別行爲稅法ノ中ニ更ニ先程御示シ
ノヤウナ仲立料或ハ手數料或ハ銀行ノ受取
リマスル貸付ニ對スル利子ト云フヤウナモノ
マデヲ含メテ來ルカドウカト云フコトハ、考慮
ヲ要スル問題デアリマシテ、サウ云フ必要
ガアルト云フヤウナ場合ニ於キマシテハ
寧ロ物品稅法、特別行爲稅法兩者ヲ通ジ
テ、其ノ課稅範圍ノ擴張ヲ致スカ、或ハ之ヲ
此ノ際解體シテ、賣上稅ニ編成シ直スト云フ方
ガ宜シイカト云フ問題トシテ、〓究ヲシテ參
リタイト思ツテ居リマスノデ、差當リノ所ト
致シマシテハ、特別行爲稅法ノ課稅範圍ヲ著
シク廣ク擴大スルノハ如何カト思ツテ居リ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=23
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024・中村三之丞
○中村(三)委員 現在ノ狀態ニ於テ、卽チ
特別行爲稅創設ノ當初ニ於テハ、主稅局長ノ
仰セラレタ通リ無理ハナイト思ヒマス、併
シナガラ事前ニ至ツテ居ル、私ハ物品稅ト
特別稅トヲ寄セテシマツテ、サウシテモウ少
シ飛躍セシメテ、今主稅局長ガ仰セラレタ
取引稅ノ創設ハ不可避デアル、ソコニ行カ
ナケレバイケナイ、モウ戰爭增稅ハソレヲ
要求シテ居ル、斯樣ニ私ハ見透スノデアリ
マシテ、來年度ノ增稅ニ當リマシテハ一段
ノ工夫ヲ凝ラサレンコトヲ私ハ希望致シテ
置キマス
次ニ法律案要綱ヲ拜見致シマスルト、第
三「酒類ニ付テハ國家重要產業ニ從事スル
勞務者等ニ對シ若干數量ヲ限リ低廉ナル價
格ヲ以テ供給スル爲特ニ稅率ヲ低クスルト
共ニ酒類ノ生產及配給ニ付統制ヲ强化ス
ルコト」ト云フコトガアル、私ハ酒ト云フ
モノニ付キマシテ唯飮ムカ飮マヌトカ云フ
位ニ思ツテ居ツタノデアリマスガ、此ノ要
綱ニ見マスルト、酒類ト云フモノガ殊ニ重
要產業ノ勞務者ト關係ヲシテ、相當考慮ス
ベキ問題トシテ浮ビ上ツテ來タ、特ニ若干
數量ヲ限リテ重要產業ニ從事スル勞務者ニ
對シテ低廉ナル價格ヲ以テ供給スルト云フ
コトハ、玆ニ一ツノ勞務對策ト相絡ンデ來
タト云フコトガ、今囘ノ法律案要綱ノ中ニ
於ケル注目スベキモノトシテ私ハ擧ゲルノ
デアリマス、ソコデ吾々ハ此ノ際主稅局長
ノ酒造行政ニ關シテ御伺ヒヲシテ置カナケ
レバナラヌ、一體來年ハ米ニ依ツテドレダ
ケ酒ヲ造ラレル、或ハ合成酒其ノ他ハドウ
セレルカ、差支ナイ範圍ニ於テ所謂酒造計
畫ト云フモノガ立タナケレバナラナイ、酒
ヲ造ルト云フモノ、是ハモウ國家性ヲ持ツ
テ來タ、國家重要產業ニ從事スル勞務者ト
云フコトニ關係シテ來タノデアリマスカ
ラ、從來ト違ツテ來タ、計畫生產ニナラナ
ケレバナラヌ、私ハ此ノ酒ノ計畫生產ニ付
テ先ヅ其ノ〓略ヲ御示シ願ヒタイト思ヒマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=24
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025・松隈秀雄
○松隈政府委員 酒類ニ付キマシテハ、曾
テハ嗜好品ト云ツタヤウナ見方モアツタノ
デアリマスルガ、其ノ後物資ノ關係カラ致
シマシテ、最近ニ於テハ生產ガ基準年度ニ
對シテ半分以下ニ減ツテ居リマスノデ、今
日ノ酒類ガ著シク生活必需品的容貌ヲ具ヘ
ルヤウニナツテ參ツタ次第デアリマス、ソ
コデ從來ト酒類ニ對シマスル考ヘヲ變ヘナ
ケレバナラヌト、斯樣ニ存ジテ居リマス、
卽チ酒類ノ生產ニ當リマシテモ計畫生產ヲ
行ツテ、配給ニ付キマシテモ從來ノヤウナ
自由配給ヲ致シマセヌデ、配給徑路ヲ確立
シテ、統制的ナ配給ヲシ、重點配給ヲ行フ
ト云フコトガ必要ニナツテ參ルノデアリマ
ス、大藏當局ノ酒稅行政ハ只今申上ゲマシ
タヤウナ觀點カラ漸次擴充强化ヲ見ントシ
ツツアルヤウナ次第デアリマス、先ヅ生產
ニ付キマシテ、最近ノ酒造年度ニ於テドノ
程度ノ酒類ガ生產サレルカト云フコトヲ申
上ゲテ見タイト思フノデアリマス、〓酒ニ
付キマシテハ昭和十七酒造年度ノ製造見込
高ハ百六十万二千石程度ヲ見込ンデ居リマ
ス、前酒造年度ハ二百七万三千石デアリマ
スノデ、二割二分程度減ツテ居リマス、是
バ酒造用米ノ規正ヲ受ケマシタ數量ガ約二
割ト云フコトニナツテ居リマスルノデ、〓
酒ノ如キモノハ原料ガ抑ヘラレマスト、直
チニソレダケ減ルヨリ外途ガゴザイマセヌ
ノデ、大體二割二分程度減ツテ居ル譯デア
リマス、合成〓酒ハ昭和十七酒造年度ノ見
込ハ四十三万八千石程度ヲ見込ンデ居リマ
ス、前酒造年度ニ於テハ四十二万一千石程
度デアリマスルノデ、是ハ四分程度殖エル
コトニナツテ居リマス、〓酒ノ原料ガ國民
主要食糧デアリマスル米デアリマスル關係
上此ノ方面ニ於テハ相當强ク制約ヲ受ケ
ルノデアリマス、隨テ〓酒ノ減リマシタ分
ヲ出來ルダケ合成清酒ヲ以テ置換ヘタイト
思フノデアリマスルガ、合成〓酒ノ原料モ、
其ノ主タルモノハ甘藷、馬鈴薯等、同ジク
國民ノ食糧ニ供セラレルモノデアリマスカ
ラ、是モ十分ニ使フ譯ニハ行カナイノデア
リマスルガ、米ヲ減ラサレマシタ關係上、
芋ニ付テハ相當考慮ガ拂ハレマシタ結果、
今年ハ前年ヨリモ芋ヲ酒類ノ原料ニ使フ分
量ハ殖エルト思ツテ居リマス、大體芋トシ
テハ酒類全部デ六千五百万貫位ノモノヲ使
用出來ル見込デアリマス、ソレカラ申シマ
スルト、モウ少シ合成〓酒ガ殖エテ宜イノ
デアリマスルガ、合成〓酒ニ付キマシテハ
相當石炭ヲ要スルノデアリマスルガ、石炭
事情ガ窮迫シテ居リマシテ、或ル程度石炭
ノ制約ヲ受ケマスルノデ、其ノ點ヲ見込ミ
マスルト、大體四十三万八千石程度ヲ見込
ムコトガ宜カラウト思ツテ居リマス、濁酒、
白酒、味淋等ハ其ノ數量モ極メテ僅カナモノデ
アリマス、燒酎ニ付キマシテハ新式燒酎ト舊
式燒酎トヲ合ハセテ三十四万八千石程度ヲ
見込ンデ居リマス、前酒造年度ニ於テハ三
十二万七千石程度デアリマスルカラ、是一
六分程度殖エルノデアリマス、前酒造年度
ニ於キマシテハ、芋ノ配給關係上燒酎ハ非
常ニ減產ニナリマシタ、今年ハ燒酎ハ幾分
殖エルト云フコトニナツテ居リマス、「ビー
ルニ付キマシテハ、昭和十七酒造年度ニ
於テハ百十六万一千石程度ヲ見込ンデ居リ
マス、前酒造年度ニ於キマシテハ百四十一
万一千石程度デアリマスノデ、一割七分餘
減ツテ居リマス、是ハヤハリ石炭ノ關係ヲ
考慮致シマシテ、此ノ程度ニ出來ルモノト
見込ンダ次第デアリマス、其ノ他果實酒、
雜酒等ハ何レモ數量ノ少イモノデアリマス
ルノデ、數字ハ省略致シマスガ、以上申シ
マシタ致醉飮料全體ヲ合計致シマスルト、
昭和十七酒造年度ニ於テハ三百七十三万
四千石程度出來ルコトニナツテ居リマシ
テ、前酒造年度ニ於キマスル四百四十六万
四千石ニ對シマシテハ、一割六分餘減少ス
ルコトニナツテ居リマス、是ハ先程申シマ
シタヤウニ米ガ減リ、石炭ガ減ルト云フヤ
ウナ原材料ノ減少ニ基ク結果デアリマス、
是等ノ酒類ヲ合理的ニ配給スルノデアリマ
スルガ、從來モ酒類ノ配給ニ當リマシテハ、
重要產業勞務者ニ對シマシテ、特配用ト致
シマシテ、或程度ノ數量ヲ確保致シテ居
ルノデアリマスルガ、今囘ハ酒稅ノ稅率ノ
引上割合ガ相當キツイノデアリマスルカラ、
ソレ等重要產業勞務者等ニ對シマスル配給
數量ノ中、若干量ハ特ニ稅率ヲ引上ゲナイ
値段デ配給ヲ致シタイ、斯樣ニ考ヘテ居ル
次第デアリマス、ソレカラ次ハ家庭用、業務
用、ソレカラ特殊用等ニ分ケテ計畫的ニ配給
致シテ居ルノデアリマスルガ、今後ハ法律
ニ決メラレマシタ酒類委員會ト云フモノガ
ゴザイマスルノデ、此ノ酒類委員會ニモ諮
問致シマシテ、一層配給ノ計畫化、合理化
ヲ圖ツテ參ルヤウニ致シタイト思ツテ居リ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=25
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026・中村三之丞
○中村(三)委員 酒ノ計畫生產ニ付テノ〓
要ハ御示シニ依ツテ大體分リマシタ、ソコ
デ國家重要產業ニ從事スル勞務者ニ對シテ
ハ其ノ計畫ヲ以テ十分賄ヘル、此ノ確信
ヲ以テ進ンデ居ルノダト思フ、私ハ今日ノ
段階ニ於テハ國家重要產業ニ從事シテ居ル
者ニ對シテハ、特別ノ取扱ヲモツト强化シ
テ宜シイト思フ、乏シキヲ憂ヘズ、齊シカ
ラザルヲ憂フルナント云フコトハ自由主義
デアル、國家ノ目的達成ノ爲ニ必要ナル產
業ニ從事シテ居ル勞務者ニ對シテハ、ウン
ト酒ヲ廻スコトガ私ハ必要ダト思フ、是一
禁酒論トカ、ソンナコトヲ言フノデハナイ
ガ、ソレガ現實ノ生產力增强ニ役立テバウ
ント〓シテ宜シイ、吾々飮マナクテモ宜シ
イ、此ノ覺悟ヲ持ツニ非ズンバ、生產力增
强ハ出來ルモノデハナイ、サウ云フ觀點カ
ラ此ノ第三項ニ示サレテ居ル重要產業ニ從
事スル勞務者ニ對シテハ見込ガアルノカ、
又安イ値段ヲ以テ供給スルト仰シヤイマス
コトハ前ノ値段デ以テ供給セラレルノデ
アリマスカ、割引ヲセラレルノデアリマス
カ、ソレ等ノ具體的ノコトヲ御示シヲ願ヒ
マス、又ドウ云フ方法ヲ以テ配給セラレル
ノカ、途中デ此ノ酒ガ橫ヘ流レテシマツテ、
肝腎ノ勞務者ノ手ニ入ラナイト云フコトニ
ナリマシテハ何ニモナラナイ、ココニモ私
ハ配給徑路ノ適正化ヲ圖ルト云フコトガ今
日必要デアルト思ヒマスガ、是等ノ點ニ付
テ如何ニナサラントスルノデゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=26
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027・松隈秀雄
○松隈政府委員 酒類ノ配給計畫ニ付キマ
シテハ、〓酒ニアリマシテハ重點配給用ガ
二割七分程度、家庭用ガ五割二分程度、特
殊用-是ハ冠婚葬祭、應召、入營、歸還ト云
ツタヤウナ用途等デアリマスガ、ソレニ對
シテ三%程度、業務用ニ對シテ一六%程度ノ比
率ヲ以テ配リタイト考ヘテ居リマス、合成
〓酒ニ於キマシテハ重點配給用ガ三九%、
家庭用ガ四五%、特殊用ガ三%、業務用ガ
一二%程度ノ配給ヲ致シタラ如何カト思ツ
テ居リマス、其ノ他燒酎、「ビール」等ニ付
キマシテモ、重點配給用竝ニ家庭用ニ重キ
ヲ置キ、業務用ハ成ベク減ラス方針ヲ以テ
配給計畫ヲ立テルヤウニ致シタイト思ツテ
居リマス、次ニ重要產業勞務者等ニ對シマ
シテ今囘ノ增稅ノナカツタ値段デ配給致シ
マスル其ノ方法ハ、今囘庫出稅ガ法律ニ規
定シテアル通リニ上ツタノデアリマスルガ、
特ニ酒稅法ノ第二十七條ノ三ト云フ規定ヲ
置キマシテ、大藏大臣ノ定ムル用途ニ充ツ
ル爲メ、命令ノ定ムル所ニ依ツテ製造場カ
ラ移出スルモノニ付キマシテハ、新シク定
メタ稅率ト、ソレカラ左ニ揭グル割合ト云
フノハ增稅前ノ稅率デアリマス、ソレトヲ
引イタ差額ニ付テ庫出稅ヲ輕減スル、斯ウ
云フ規定ヲ置イテ居リマスカラ、丁度庫出
稅ガナカツタ元ノ庫出稅ノ稅率デ引取ツテ
行ツタト同ジ負擔デアル、斯ウ云フ酒ガ要
ル譯デアリマス、其ノ酒トシテ今ドノ位ノ
石數ヲ豫定シテ居ルカト申シマスルト、〓
酒合成〓酒ヲ合セテ約五十万石、燒酎約
六万石、ㄱビール」約十二万石程度ノモノハ、
只今申上ゲマシタ稅率ヲ引上ゲナイ所ノ價
格ヲ以テ配給致シタイト思フノデアリマス、
斯樣ニ相當ノ增稅ヲ一面ニ於テ行ツテ置キ
ナガラ、他面ニ於テ增稅ヲ受ケナイ酒ヲ重
點配給致スノデアリマスカラ、是ガ目的ト
致シテ居リマスル需要者ノ所ニ確實ニ渡ル
必要ガアルノデアリマシテ、ソレガ爲ニハ
配給徑路ヲ正ス必要ガアリマスノデ、一方
ニ於キマシテ、酒造組合法ノ改正法律案ヲ
提案致シマシテ、配給機構ノ整備ヲ圖ルコ
トニ致シテ居リマスト共ニ、酒稅法中ニ於
キマシテ、今申上ゲマシタヤウナ安イ酒ヲ
橫流シタト云フヤウナ場合ニ於キマスル
罰則ヲ設ケテ取締ルコトニ致シテ居リマス、
尙ホ實際ノ扱ヒト致シマシテハ、此ノ種重
點配給ノ酒類ヲ扱ヒマスルノハ、各種業務ニ
付テアリマスル統制會、若シクハ場合ニ依
リマシテハ產業報國會ト云ツタヤウナ團
體ヲ利用シテ、配ルコトニ致シタイト思ツ
テ居リマス、現在モ重點配給用ノ酒類ハ各
業種ニ付テアル統制會若シクハ產業報國
會其ノ他ノ業種ノ世話ヲシテ居ル團體ノ
人員ヲ調ベサセ、ソレカラ其ノ所屬團體員
ノ中ニ於テ酒ヲ飮ム者ト飮マナイ者、場合
ニ依ツテハ酒ヲ飮ム者ノ中、强飮者ト弱飮
者ヲ分ケマシテ、凡ソ一箇月ナリ、或ハ數
箇月ナリノ所要量ヲ主稅局デ調ベサセテ、
ソレニ對シテ或ル程度ノ割合ノ配給ヲ致シ
マシテ、其ノ世話ヲスル團體ニ於テ切符又
ハ通帳ヲ以テ目的ノ重要產業勞務者其ノ他
ニ配ルヤウニ致シテ居ルノデアリマスガ、
今後モ大體從來ノ方法ヲ襲用シテ參リタイ
ト思ヒマスガ、價格ノ上ニ於テモ相當差ガ
出來タコトデモアリマスカラ、業者ノ自肅
ヲ求メルト共ニ、一方罰則ヲ强化シ、監督
上ニ付テモ十分注意シテ參リタイト思フノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=27
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028・中村三之丞
○中村(三)委員 私ハ一寸極端ナ議論カモ
知レマセヌガ、此ノ戰力增强ノ急務ナル時ニ、
重要產業ニ從事スル勞務者ニ對シテ酒ヲ與
ヘル、之ニ依ツテ能率ガ上ルトスルナラバ
是等ニ供給スル酒ハ無稅ニシテ宜シイ、只
ニ近イ程度ニシテヤツテ宜イト思フ、是位思
ヒ切ツタ程度ニシテ鞭撻スルコトガ出來レ
バ是ハ戰力增强デス、普通ノ考ヘデハイ
ケナイ、斯樣ニ思ツテ居リマスガ、今統制
會ト仰シヤツタノデスガ、統制會ハサウ云
フ經濟行爲ガ出來ルノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=28
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029・松隈秀雄
○松隈政府委員 統制會ニ斡旋シテ貰ツテ
居ルト云フ程度デアツテ、統制會ガ買取販
賣スルト云フ經濟行爲ヲヤツテ居ルト云フ
譯デハアリマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=29
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030・中村三之丞
○中村(三)委員 分リマシタ、私ハ一步進ン
デ統制會ニコンナコトハヤラシテ宜イト思
フノデス、是ハ商工省ノ問題ニナリマスガ、
統制會ハ統制事業デナケレバ一步モ出ラレ
ナイ、ソンナコトヲ言ウテ居ルカライケナ
イ、コンナコトハ統制會ニヤラセルガ宜シ
イ、或ハ統制會ニ迷惑ガ掛ルカモ知レマセ
ヌガ、ヤツテ宜イノデス、サウシテ此ノ配
給徑路ヲ的確ナラシメルト云フ位ニ、斯ウ
云フコトマデ統制會ガ世話スル、是ハ親心
デス、此處マデ行カナケレバナラヌト思ヒ
マスガ、大藏省デ御考へニナツテ、今ノヤウ
ナ〓リ廻ツタ御答辯ヲナサラズニ、本當ニ
積極的ニ統制會ニ務メサセヨウトスルナラ
バ、重要產業ニ從事スル勞務者ニ對シテノ
大藏省ノ對策ヲ確立シテ戴キタイ、私ハ斯
樣ニ思ツテ居リマス、ソレカラ今御說明ヲ
伺ヒマスト、米ヲ原料トシタ酒ト云フモノ
ハ、段々米穀對策上減ツテ居ル、相當遊休
設備ガ出テ居ルダラウト思フ、私共ハ半分
以上遊休設備デハナイカト思フ、一體今日
ノ日本ノ現有設備、現有資材、現有人的資
源ヲ以テ生產力ヲ增强スルト云フコトニ付
テハ、現在ノ遊休未働設備ヲ十分軍需產業
ニ集中動員スル、何デモカンデモヤツタラ
宜シイ、私ハ酒造業ニ於テ遊ンデ居ルモノ
ハ、是ハ屑鐵ニナルモノハウントヤラセナサ
ルガ宜シイ、大藏省ハ從來酒造業者ニ對シ
テ非常ニ溫情ヲ以テセラレタト云フ、私ハ
其ノ心情ハ諒トスル、併シナガラ今國家非
常ノ秋、思切ツテ此ノ酒造業ノ遊休設備ヲ
轉換スルガ宜シイ、是位ノコトヲナサラナ
ケレバ、現有設備、現有資材ヲ以テ戰力增
强ト云フコトハ困難デアル、私ハ酒造業ニ付
テモ、產業設備營團等ニ於テ買上ゲルト云
ツタヤウナコトヲ思ヒ切ツテナサルガ宜イ
ト思フ、是ハ主稅當局ガ現在ノ戰力增强ニ
主稅行政ヲ通ジテ貢獻ヲセラレル一ツノ道
デハナイカト思ツテ居ル、酒造業ノ遊休設
備未働設備ガ多イト云フ私ノ見込ハ間違
ツテ居リマスカドウカ、此ノ邊數字的ニ御
示シヲ願ヘレバ仕合セデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=30
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031・松隈秀雄
○松隈政府委員 只今中村委員ノ仰シヤツ
タコトハ正ニ其ノ通リデアリマシテ、酒造
業ニ於テハ、殊ニ〓酒ニアリマシテハ其ノ主
タル原料ガ米デアリマスル關係上、サウシテ
其ノ米ハ御承知ノ通リナ米穀需給關係カラ
致シマシテ、漸次制約ヲ受ケテ居リマス、
昨年ニ於キマシテ、酒類ノ爲ニ使ヒマシタ
米ハ百七十二万石程度デアリマスルガ、今
年ハ大體百三十九万石程度デアラウカト思
ツテ居リマス、約二割程度減ツテ居リマス、
一時ハ酒類全體ノ爲ニハ三百六十万石程度
モ使ツテ居ツタノデアリマスルカラ、其ノ
點カラ言ツテ酒類全體ノ製造量ガ減ツテ居
ル、隨テ相當遊休設備ヲ生ジテ居ルト云フ
コトハ事實デアリマス、此ノ場合ニ於キマ
シテ物的戰力ヲ增强致シマスル爲ニ、凡ユ
ル方面ニ於ケル遊休設備ヲ利用動員スルコ
トノ必要デアリマスコトハ仰セノ通リデア
リマス、現在酒類ノ製造場ハ、〓酒ダケニ
付テモ約六千餘アルト思フノデアリマスガ、
先程申上ゲタヤウナ製造高モ減ツテ居リマ
ス場合ニ於テ、此ノ製造工場ヲ如何ニ整理ス
ルカト云フコトハ十分ニ考ヘナケレバナラナ
イコトデアリマス、從來ハ主トシテ自治的
統制ニ任シテ參ツタノデアリマスルガ、今囘
ハ酒稅法竝ニ酒造組合法ノ改正ヲ致シマシ
テ、自治的統制ニ於テモ一段ト强化ヲ致シ
マスルト共ニ、政府モ必要ガアレバ、更ニ
政府ノ命令ニ依ツテ統制ヲ强化シ得ル規定
ヲ置キマシタノデ、今後ノ問題ト致シマシ
テハ十分ニ御趣旨ノアル所ヲ體シテ考ヘ參
リタイト思ヒマス、尙ホ今マデニ付キマシ
テモ或ル程度ノ整理ハ行ヒ、遊休設備モ出
シテ居ルノデアリマシテ、例ヘバ銅「タンク〓
ノ如キモノハ、今銅ノ拂底シテ居ル際ニ非
常ニ喜バレマシテ、是ハ相當量ヲ供出シテ
居リマス、ソレカラ小型ノ精米機ノ1/21
ター」アタリモ、目下之ヲ出スコトニ付テ
組合デ調査ヲ致シテ居ルヤウナ次第デアリ
マスガ、更ニ又一層進ンデ遊休設備ノ供出
ト云フコトニ參ラナケレバナラヌト云フコ
トハ考ヘテ居リマスノデ、今後ノ問題トシ
テ善處致シタイト存ジテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=31
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032・中村三之丞
○中村(三)委員 同時ニ更ニ進ンデ整理合
同ヲセラレル、一體五十石ヤ三十石造ラレ
テモ何ニモナラナイ、最近勅令ヲ改正セラ
レテ「アルコール」ニ付テハ特例ヲ設ケラレタ
ヤウデアリマスガ、僅カナ材料ヲ小サイ製
造業者ニ分配スルト云フヤリ方ハ、是ハモ
ウイケナイ、皆集中動員ナンデス、氣ノ毒
ダケレドモ仕方ガナイ、是ガ今日ノ戰力增
强デアル、私ハサウ云フコトニ御出ニナラ
ナイト、今日ノ時代的要請ニ合ハナイ、此
ノ點ニ付テモ一段ノ努力ヲ私ハ煩ハシタイ
ト思フ、吾々色々世俗的ニ接觸シテ見マス
ト色々ナ酒ガ出來ル、中ニハ百合根酒ト
稱シテ、百合根ヲ利用シテヤルト云フコト
マデアルサウデアリマスガ、一體斯ウ云フモ
ノニ人ヲ使ハスコトハ--又吾々常識的ニ考
ヘテ製造高ハ小サクアルニ致シマシテモ、
オ雛サンニ使フ白酒ナント云フモノモ製造
ヲ禁止シテ宜シイ、アンナモノヲ飮ンデ居
ル時代デハナイト云フ議論ハ私ハ正當デハ
ナイカト思フ、是ハ一種ノ不要不急ナモノ
デス、不要不急ナル此ノ雜酒ト申シマスカ、
今申上ゲルヤウナ贅澤ナ酒ハ、假令釀造高
ガ少クアリマシテモ捨テテ宜イ、是ハ局長
モ同感ダト思フ、收入ガ減ツテモ構ハヌ、
贅澤サセナイ、斯ウ云フコトハアナタ方新
聞ニ發表シテ居ラレル、然ルニ斯ウ云ツタ
無意味ノ酒トカ、不要不急ナ酒ヲヤラセル、
斯ウ云フヤウナコトハ私ハ無意味ナ人的資
源不要ナル設備ヲ增ス一方デハナイカト
思フノデアリマス、斯ウ云フコトニ對スル
御見解ヲ明カニシテ戴キタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=32
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033・松隈秀雄
○松隈政府委員 酒類製造業者ノ整理合同
ノ必要ニ付テハ大體之ヲ認ムルモノデア
リマスルガ、ソレノ具體的實行方法ニ付テ
ハ中々難カシイ問題ガアルノデアリマシテ、
例ヘバ簡單ニ釀造石數ノ小サナ所ヲ止メサ
セテ、大キナ所ニ統合スルト云フダケデ問
題ハ解決スルカト云フト、サウモ行カナイ
〓デアリマス、御承知ノ通リ現在ハ輸送力
ト云フ問題ガ相當重要デアリマス、ソレカ
ラ資材ノ關係、壜箱釘ト云ツタヤウナ
モノガ相當窮屈ニナツテ居リマス、ソコデ
小サイモノヲ止メサセテ大キイ所デ纏メテ
造ルト云フコトニナリマスルト、其處デ荷
造リヲシテ消費地ニ輸送スルト云フコトニ
ナルノデアリマスルガ、其ノ荷造リノ物資
ガ得難イ、ソレカラ輸送ガ困難デアルト云
フヤウナ場合ニ於キマシテハ、小釀造家ト
雖モ其ノ附近ノ需要ヲ賄ツテ居ルト云フ所
ハ寧ロ自給自足ト云フ原則ニ依ツテ、ソレ
ヲ殘シテ置イテヤル方ガ却テ物資勞力ノ節
約ニナルト云フヤウナ關係モアリマスルノ
デ、一〓ニ小サイモノヲ切捨テテ大キイモ
ノニ併セルト云フ譯ニモ參ラヌカト思ヒマ
ス、併シ製造場ガ多過ギテ遊休設備ヲ持ツ
テ居ルコトハ事實デアリマスルカラ、之二
付テハ適當ナ案ヲ立テマシテ、物的戰力ノ
增强ト云フ國家ノ大方策ニ副フヤウニハシ
テ參リタイト思ツテ居リマス、ソレカラ〓
酒ガ米ノ關係デ減リマシタ關係上、色々ナ
「アルコール」含有飮料ト云フモノガ〓酒ニ代
ツテ現ハレテ參リツツアルノデアリマシテ、
是ハ或ル程度廢物利用ノヤウナ場合ニ於キ
マシテハ强ヒテ抑壓スルニモ及バナイカ
ト思ツテ、特別ニ資材ヲ要シナイト云フヤ
ウナ場合ニ於テハ認メテ居ル例ガアルノデ
アリマシテ、御話ノ百合根酒ノヤウナモノ
ハ認メルカドウカト云フコトモ、一ニ懸ツ
テ其ノ原料ガ廢物デアツテ、捨テテ置ケバ
何ニモナラナイケレドモ、之ヲ利用スルト
或ル程度ノ「アルコール」含有飮料ガ得ラレ
ル、而モ其ノ場合ニ於テ運送力モ餘リ煩ハ
サナイ、或ハ新シク設備ヲスル爲ニ物資ヲ
使フコトモナイト云フヤウナコトデアルナ
ラバ、必ズシモ排斥シナイデモ宜シイ、、斯
ウ思ツテ居ルノデアリマスルガ、是ハ各個
ノ具體的ノ場合々々ニ應ジテ是非ヲ判斷ス
ベキモノデアルト思フ次第デアリマス、白
酒ノヤウナ特殊目的ニノミ使ハレル酒ヲ今
日殘スカドウカト云フ點ハ御意見ノ點モア
リマスルノデ、將來ノ問題トシテハ十分ニ
考ヘタイト思ヒマス、少クトモ今日マデ之
ヲ殖ヤスト云フヤウナコトハシテ居リマセヌ
ガ、絕對禁止スルカドウカト云フコトニ付キ
マシテハ、モウ少シ考ヘサシテ戴キタイト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=33
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034・中村三之丞
○中村(三)委員 今仰シヤツタ點ハ一ツノ
意見デスガ、輸送力ノ關係ニ於テハ或ル點
ニ於テ酒バカリヂヤナイ、米ニシテモ、野
菜ニシテモ白給自足ト云フ體制ニ變ツテ來
タ、縣「ブロック」打破ト云ツテモ中々出來
ルコトデハナイ、白給自足ヲヤル、是ハ一
ツノ考ヘ方デアリマス、併シナガラ其ノ縣
內ニ於ケル整理統合ハ私ハ出來ヌコトハナ
イト思フ、詰リ縣內ニ於ケル分散主義ヲ止
メテ、集中主義ヲナサルガ宜イ、私ノ意見
ハソコデスカラ、是ハ當局トシテ是非ヤツ
テ欲シイ、今言フ不要不急ノ酒、廢物利用
ト云フコトヲ言ハレタノデスガ、成程色々
百合根酒トカ蜜柑トカハ廢物利用デス、併
シ廢物利用スルダケニ砂糖ガ要ル、是ハ私
ハ製造ノコトハ詳シク存ジマセヌガ、砂糖
ガ要ルダラウト思フ、廢物利用以上ニ有用
物資ガ要ルナラバドヴナルカト云フ議論モ
立チ得ルト思フ、廢物利用ノ物ニ或ル程度
砂糖ガ要ツテ、ソレガ酒精飮料トシテ賣ラ
レルト云フヨリモ、本當ニ廢物利用ノモノ
ヲ捨テテ、ソレニ要スル砂糖ハ家庭用ニ廻ハ
スト云フコトモ私ハ理論上成立ツト思フ、
斯ウ云フヤウニナサルト云フコトガ、是ガ
一番重點主義デアル、是ガ戰力增强デアル、
要ラヌモノハ思ヒ切ツテ捨テテシマフ、斯
ウ云フコトデナケレバ集中動員ハ不可能デ
アルト思フ、此ノ意味ニ於テ私ハ御尋ネシ
タノデアリマシテ、折角御努力ヲ私ハ御願
ヒヲスル、時間ガナイヤウデアリマスカラ、
此ノ程度デ止メテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=34
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035・松村光三
○松村委員長 御諮リ致シマス、午後續行
ノ豫定デアリマスルガ、本會議ガアリマス
ルノデ、本會議ハ割合ニ早ク濟ムダラウト
云フ見込デアリマス、ハツキリ致シマセヌ
ガ、三時半頃ニハ終リハシナイカト云フノ
デ一應休憩シテ、大藏大臣ガ折角出席サレ
ルコトデアリマスカラ、本會議終了後續行
ト云フ豫定ニ致シマシテ、其ノ時ノ臨機ニ
處置ヲ執リタイト思ヒマスガ、如何デアリ
マスカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=35
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036・松村光三
○松村委員長 左樣御取計ラヒマス、是ヲ
以テ一應休憩致シマス
正午休憩
午後三時四十九分開議発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=36
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037・松村光三
○松村委員長 休憩前ニ引續キ會議ヲ開キ
やく、此ノ際御諮リ致シマスガ、大藏大臣
ガ出席デアリマスルノデ、成ベク大藏大
臣ニ關スル事項ヲ御質疑願ヒマシテ、其ノ
他ノ政府委員ニ關スル部分ハ出來得ル限リ
アトニオ〓シヲ御願ヒ致シタイト思イマ
ス-小野君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=37
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038・小野義一
○小野(義)委員 先般本議場デ以テ御尋ネ
致シマシタコトニ付キマシテ、懇切ナ御答
辯ヲ得タノデアリマスルガ、何分ニモ發言
ノ時間ノ制限ヲ受ケテ居リマシタノデ、盡
シ得ナイ所ガ相當ニアリマス、本日ハ重ネ
テ大藏大臣ニ御所見ヲ伺ヒタイ點ガアルノ
デアリマス、私ノ御尋ネシタ要點ハ、モウ
少シ增稅ヲ强化サレテハドウカ、是ガ第一
點第二點ハ公債ノ登行方法ヲ轉換サレテ
ハ如何、第三點ハ國費減少、公債發行額ヲ
節約スルト云フ意味カラ、中央官廳ノ整理
統合ハ如何、府縣ノ廢合ハ如何、此ノ三點
デアツタノデアリマスルガ、今日ハ逆ニ第
三ノ方カラ申上ゲマス
中央官廳ノ整備統合、府縣ノ廢合ト云フ
コトニ付テ總理大臣ヨリ御答辯ヲ得ルノガ
筋合デアルケレドモ、オイデガナイ、內閣
ノ長官ノ方々ノ御答辯デ結構デアルト申シ
タノデアリマシタケレドモ、御答辯ガナ
カツタ、唯大藏大臣ガ國費ノ減少ト云フコ
トニ付テハ出來ルダケヤル、同感ダト云フ
御言葉デアツタノデアリマス、隨テ行政機
構府縣ノ廢合ノ問題ハ其ノ儘ニ流レテ居
ツタノデアリマスガ、之ニ付テハ昨日豫算
總會デ總理大臣ハ小川君ノ質問ニ關聯シテ
御答ヘガアツタ、其ノ御趣旨カラ行キマス
ルト、機構イヂリハ大嫌ヒダト云フコトデ
アツタ、ダカラ御好キニナルマデ待ツ外ハ
ナイ、ソレカラ府縣ノ廢合ニ付テハ、內務
大臣ガヤハリ小川君ノ質問ニ對シマシテ-
小川君ハ私ト同ジヤウナコトヲ言ハレテ居
リマス、府縣「ブロック」ト云フコト、此ノ對
立ヲ緩和スル上ニモ府縣ノ廢合如何ト云フ
意味ノ質問デアリマシテ、內務大臣ハ、府
縣「ブロック」ト云フコトハ相當緩和サレテ
居ル、府縣ノ廢合ヲヤラヌデモ、今ノ所ハ
宜イヤウニ思フト云フヤウナ御答辯デアツ
タ、是モ亦私共ト意見ノ相違ト云フコトニ
歸着致シマシテ、此ノ第三ノ問題ハハツキ
リ致シマシタ、是ハ大藏大臣ニ御尋ネスル
筋合デハアリマセヌガ、順序トシテ申加ヘ
テ置キマス
第二ノ公債發行ノ方法轉換如何、實ハ今
朝程官報號外デ速記錄ヲ手ニ入レマシタノ
デ、其ノ點ニ於テ大藏大臣ノ御答辯、チヨ
ツト私ノ申シタコトガ徹底シナカツタノデ
ハナイカト云フ疑問ヲ今持ツテ居リマス、
斯ウ云フ工合ニ仰シヤツテ居ル「日銀ノ勘
定ニ公債及ビ債劵トアリマスルガ、是ハ御
承知ノ如ク日本銀行法ヲ改正致シマシテ、
債劵ニ付キマシテモ、場合ニ依レバソレガ
日銀ノ融通シマスル資金ニ依ツテ賄ヒ得
ル、斯ウ云フ途ヲ開キマシタ譯デアリマス、
其ノ理由カラ致シマスルト、日本銀行ノ
勘定ノ金融上ノ性質カラ申シマスルト、公
債モ債劵モ同ジニ扱ヒマシテ宜シイ譯デア
リマス、若シモ此ノ手持ガ殖エルト云フナ
ラバ、兩者ノ合計ガ過度ニ殖エマスルコト
ガ、御示シノ如ク惡イ徵候デアリマス、ソ
レハ資金ノ蓄積ノ增加ニ依ツテ極力之ヲ防
イデ參ル」、斯ウ言ツテ居リマス、私ノ質問
申シタノハ今マデハ改組前、五月以前ノ
日銀ノ、「バランスシート」ニハ公債トノミ
アツタ、所ガ債劵ガ加ハツタ、ソレハ御答
辯ノ通リデス、金融上ノ性質ハ同ジコトデ
アリマセウ、併シ是ハ擔保ニ取ルノデナク
テ所有スルノデアリマスガ、要スルニ資金
ノ放出ニナルコトハ同ジデス、併シ私ノ申
スノハサウデハナイ、若シ日本ニ不幸ニシ
テ「インフレーション」ガ起ルトスルナラ
バ、是ハ公債ノ「インフレ」カラ起ルデアラ
ウ、ソコデ公債ノ賣レ殘リガ日銀ノ手持ニ
堆積スル、事變直前ノ昭和十二年三月ニハ
六億デアツタノガ、今日ハ五十億ヲ突破シ
テドン〓〓殖エル、一體ドレダケ殖エルカ
ト云フコトハ、日銀ノ所有公債ノ數字ヲ見
レバ分ルノデ、吾々ハ始終警戒シ得ル、ド
ウ云フ工合ニナルノダ、「インフレーシヨ
ン」ノ進行果シテ憂フベキ狀態ニアルカド
ウカ、ソレデアルノニ公債及ビ債劵トシマ
スト、公債ガドレダケアルカト云フコトガ
分ラナイ、債劵ト云フノハ勿論報國債劵、
貯蓄債劵ト云フヤウナ實質上ノ公債デハア
リマスマイ、恐ラク融資命令ヲ受ケル所ノ
興業銀行ノ社債或ハ拓殖銀行、朝鮮殖產銀
行、戰時金融金庫、サウ云フモノヲ言フノ
ダラウト思ヒマス、成程通貨膨脹ト云フ點
カラ見レバ、公債ト引換ニ日銀劵ガ出テモ、
債劵ト引換ニ日銀劵ガ出テモソレハ同ジ
コトデアリマセウ、併シ公債ト債劵トハ性
質ガ違フト思フ、例ヘバ「ドイツ」ガ「イン
フラチオン」ヲ受ケテ、其ノ後ニ何ガ一番
モノヲ言ツタカ、何ガ一番モノヲ言ハナカ
ツタカ、公債ハモウ「ゼロ」ニナツテシマツ
タノデアリマス、是ハ一番イケナカツタ、
一番宜カツタノハ土地其ノ他ノ不動產、工
場ト云フヤウナモノ、ソレカラ社債、次ガ
株式、ソレカラ公債-公債ハ殆ドモウ價
値ハナクナツテシマツタ、ナゼ社債ガ宜イ
カト云フト、說明スルマデモナク後ロニ物
ヲ持ツテ居ルカラデアリマス、サウ云フ點
カラ云ツテ、債劵ヲ假ニ日本銀行ガ相當持
ツテ居ツテモ、公債「インフレ」ト云フ見透
シハ出テ來ナイガ、公債ガ多クナルト云フ
コトガ心配デス、ソコデ近頃ノヤウニ公債
及ビ債劵トナサラナイデ、公債ナラ公債、
手持有價證劵トシテデモ一公債、二債劵、
斯ウ云フ工合ニシテ貰ヒタイト云フノガ私
ノ註文デアツタソデアリマスガ、此ノ速記
錄ニ現ハレタル御答辯ニ依リマシテハ其
ノ點ガ一寸外レテ居ル、私ノ言ヒ方ガ恐ラ
ク惡カツタノデアリマセウ、此ノ點ヲ第一
ニ伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=38
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039・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 只今ノ御質問デゴザイマ
スルガ、債劵ト公債ノ違ヒト云フコトハ、
今御述ベニナリマシタ所デハ、私ハ仰セノ
通リノ違ヒガアルト思ヒマス、併シ戰時日
本ノ「インフレーション」ノ進行如何、其ノ
「インフレーション」ハ詰リ國內ノ經濟秩序
ノ保持ガ出來ルカ出來ヌカト云フコトデア
リマスルカラ、ソレニ依ツテノ我ガ國ノ運
命如何、勝敗如何ト云フコトデハ、私ハ寸
毫ノ區別ヲ致シテ居リマセヌ、一寸速記ヲ
御停止願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=39
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040・松村光三
○松村委員長 速記ヲ止メテ下サイ
〔速記中止〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=40
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041・松村光三
○松村委員長 速記開始発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=41
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042・小野義一
○小野(義)委員 是ハ正面ノ意見ノ相違デ
ハアリマセヌ、モウ少シ附加ヘタイノデアリ
マスガ、成程公債ガイカナイ時ハ、社債ダ
ツテ、株式ダツテ萬事休ス、ソレハ一ツノ見
方ダト思ヒマス、又サウ云フコトヲ豫想シ
テ議論ヲスルコトニナリマスト、私ノ議論
ハ潰滅致シマスカラ、モウ此ノ以上ハ申上
ゲヤウガアリマセヌ、第一點ノ、モウ少シ
增稅ヲ强化サレテハドウカト云フコトニ對
シテモ、正面ノ御反對デハナイヤウデアリ
やく、ソンナコトヲ言ツテ吳レルノハ嬉シ
イゾト云フ御答デアリマシタ、ソコデ私ハ
大藏大臣內心ハモツト强クオヤリニナリタ
イノダラウト思フ、斯ウ云フ所マデ想像ノ
言葉ヲ挾ンダ譯デアリマス、速記錄ヲ拜見
シマスト、斯ウ云フ工合ニ仰シヤツテ居ラ
レマス、「而モ昭和十八年度ニ於キマシテハ
戰爭情勢ハ是等ノ國民生活ニ又一層ノ努力
ト忍苦ヲ、其ノ程度ヲ培加スルノデアルト思
フノデアリマス」間ヲ置キマシテ「息苦シク
ナリマスルコトノ、其ノ呼吸ノ一ツデモ樂
ニシ得ルコトガアリマスレバ」ト云フ言葉
ガアリマス、是ハ他ノ機會ニ仰セニナツタ
所謂政治的考慮ト云フコトデアリマセウ、
私大イニ傾聽ノ價値アリトハ思ヒマス、又
改正租稅法規ノ中デモ、產業戰士ニハ稅ノ
課カラヌ酒ヲ特配スルト云フヤウニ、今朝
程中村サンガ指摘サレタ所ノ勞務對策ヲ加
ヘラレタ、是ナドハ味ノアルコトト思ヒマ
ス、或ハ營業所得ノ急ニ惡クナツタ者ニハ
手加減スル、洵ニ結構ナコトデアリマスガ、
其ノ代リ又擔稅力ノアル所ニハ思ヒ切ツテ
納稅セシメルコトハ、私ヤハリ必要デハナ
カラウカト思ヒマス、オ情ケデハナク、足
リナイ所カラ取ラウト云フノハ無理デアル
ガ、餘ル所カラ取ルト申スノハ始終政府
當局ガ言ハレル通リ、二千六百三年、卽チ
昭和十八年、一九四三年ハ決勝體制ノ年デ
アル、「アメリカ」モ生產力ヲ十分ニ擴張シ
六、最早今年ガ頂點デアラウ、ソコデ「ア
メリカ」ハ今マデノ「ストック」ト生產力、
其ノ總テヲ擧ゲテ日本ニ突貫シテ來ルダラ
ウ、既ニ「ソロモン」海戰ニ於テアレ程シツ
コク食ヒ下ツテ居ル、恐ラク謂ハバ天目山
ト云フカ、關ケ原ノ戰爭ト云フカ、サウ云
フ覺悟デ「アメリカ」ガ來テ居ル、ソコデ日
本トシテモ決勝體制デ國力ノ總テヲ最高限
度ニ發揮スルト云フコト、是ハ政府當局始
終仰セニナツテ居ル、大藏大臣ハサウ云フ
コトヲ仰セニナツタカドウカ知リマセヌ
ガ、現ニ今日モ先程商工大臣ガ本會議デ是
ト同ジヤウナ言葉ヲ使ツテ居ラレマス、決
戰體制下ニ於テ國家ノ總力ヲ例外ナシニ最
高度ニ發揮スル、其ノ見地カラ云ヘバ、如
何ナル方面ニ於テ來年ヤラウ、今年ハ此ノ
程度ニ止メヨウト云フ程度問題ハイカヌノ
デアリマス、政治デアレ、經濟デアレ、何
デアレ、武力ハ勿論ノコトデアルガ、思想
戰デモ何デモ最高度ニ發揮スベキモノデア
ル、ソコデ財產稅デモ設ケテ、取レル者カ
ラ取レト云フヤウナコトガ新聞ニアリマシ
タガ、財產ノ五割モ取ラレタト云フコトニ
ナルト、種ガナクナリマスカラ、來年取ラ
ウトシテモ元ガナイ、親ガナイ、取レナイ、
ソレハ是非ナイガ、所得ヲ取ラウト云フノ
デアリマス、來年ハ來年デ又新タニ所得ガ
生レルノデアリマス、サウスルト是ハ元本
ヲ食ハナイデ、ズツト續イテ行クノデアリ
マス、此ノ所得ヲモツト多ク追求スルト云
フコトハ、國家總力ヲ最高度ニ發揮スルト
云フコトデアルナラバ、財政方面ニ於テ當
然然ルベキモノデハナイカ、此ノ點ニ付テ
モウ一度御所見ヲ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=42
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043・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 只今ノ仰セ御尤モデゴザ
イマシテ、私モ本年度ハ國家ノ總力ヲ發揮
シテヤルベキモノデアルト思ヒマス、總力
發揮ニ於テドウナルカト申シマスト、私ハ
今年直接稅ノ增稅ヲシナクテモ、總力發揮
ニハ同ジダト思ツテ居ルノデアリマス、ト
申シマスノハ、何レ臨時軍事費ノ追加豫算
モ出マスカラ全貌ヲ申上ゲルコトニナリマ
スガ、國家ノ資金面カラ見マシタ總力發揮
ニハ極力努メテ居リマス、詰リ簡單ニ言ヘ
バ、直接稅デ總力發揮ニ向ハセルカ、國民貯
蓄ノ增强ニ依ツテ總力發揮ニ向ハセルカ、
其ノ何レヲ選擇スルカト云フ段階デアリマス、
然ラバ何時マデモ國民貯蓄ニ依ツテ行クカ、
何モ彼モ何處マデモ行クカ、卽チ政府收入デ
言ヘバ、公債デ何處マデモ行ケルカト言ヘバ
ソレハ私ハサウハ思ヒマセヌ、ドウシテモ
租稅ヲ或ル程度ニ增徵シテ行カナケレバナ
リマセヌカラ、長クソレデ行ク積リハアリ
マセヌ、但シ今年度ハ物資、資金、勞力ヲ
直接稅デヤリマシタ-或ル程度ヤルト假
定致シマシテモ同等ノモノヲ國民貯蓄ノ增
加デヤリマスレバ、物的戰力ノ增强ニハ少
シモ差異ナク行ケルト云フノガ一ツノ理由
デアリマス、他ノ理由ニ相成リマスト、昨
年直接稅ノ大增稅ヲ致シ、新タニ所得稅ヲ
負擔スル階級モ非常ニ殖エテ居リマス、御
承知ノ如ク稅ハ慣熟致シマセヌト、徵稅者、
納稅者共ニ事實ニ卽シナイ點ガ中々多イノ
デアリマス、相當國民ノ多數ノ層ニ新タナ
ル徵稅ヲ致シマシテ、此ノ點ニ付テハ新タ
ナル變動ガ起リ、所謂納稅ニハ苦痛ガ伴フ
モノデアリマスカラ、相當其ノ苦痛ガアル、
此ノ點モ事實トシテ否ミ難イ所デアルト思
ヒマス、ソレカラ國民全體ト致シマシテ、
總力戰ノ結果、生活ノ全方面ニ、戰時ノ要
請ニ基キマシテ、前ニモ申上ゲタ如ク、今
御示シガアリマシタ如ク、非常ナル努力ト
苦痛ヲ伴フモノデアリマス、而モ其ノ努力
ハ今年ハ空襲ニ致シマシテモ、昨年ノ如
ク一囘限リ、輕微ナモノデアルト云フコト
ハ、到底吾々ノ覺悟トシテハ左樣ナコトデ
ハ濟ミマセヌ、色々ノ方面デ國民ハ非常ナ
ル苦痛デアル、貯蓄ノ必要ナル增加モ必ズ
十七年度ヨリ十八年度ノ方ガ增加スルト思
ヒマス、間接稅モ非常ニ上リマシテ、國民
ノ生計ニ差向ケマス金ハ非常ニ增加シ、凡
ユル部面ニ於テ國民ハ其ノ感觸ノ上ニ於テ
非常ナ苦シサガ多イト思ヒマス、然リトス
レバ、今年ノ戰力發揮ニ、直接今年ヤラナ
ケレバ完成出來ナイト云フコトデナケレ
バ-其ノ點ハ總進軍ヲスル際ノ、途中ノホ
ンノ煙草一本ニ過ギマセヌガ、或ハ路上ニ
腰ヲ掛ケテノ數分間ノ休憩ニ過ギマセヌ
ガ、是ハ政治全體トシテ致シタ方ガ宜イト
云フ考ヘデ、サウ云フコトヲ申シテハ恐入
リマスガ、私增稅ヲドウスルカト云フ直感
ノ第一ニソレガ參リマシタ、今申上ゲマシ
タノハ、寧ロ其ノ直感ヲ後カラ解剖シテ見
タ所デアリマス、尙ホ一方ソレニ致シマシ
テモ直接稅ト間接稅ノ比率ノ問題ハ詰リ
從來ノ觀念ノ間接稅ニ於キマシテハ、擔稅
力ニ非常ニ副ハザル點ガ多イノデアリマス、
富者ニモ貧者ニモ一律ニ課カルト云フ點ガ
多イノデアリマス、其ノ點ノ內容等ヲ考ヘテ
見マスル時ニ、一面昨年ノ直接稅ト增稅ト
云フモノハ相當急激ナモノデアリマシテ、
直接稅ト間接稅ノ比率ニ於キマシテ、寧ロ日
本ハ昨年ダケノ數字ノ面カラハ直接稅ニ重
ク課カリ過ギテ居ルトモ見ラレル數字デア
リマス、今年ノ間接稅ノ引上ヲ致シマシタ
後ヲ比較致シマスト、是ハ英獨米ナドニ較
ベマシテ、日本ガ直接稅ノ方ニ餘計課カツ
テ居ルト云フコトニハ無論ナリマセヌガ、
唯今囘引上ゲマシタ間接稅ノ內容ト云フモ
ノハ、主トシテ戰時下ニ於テ新タニ發達致
シマシタ遊興飮食稅、物品稅ト同ジヤウナ
性質ノ行爲稅、特別行爲稅ト云フ方面ガ非
常ニ伸ビテ居リマス、ソレハ一律ノ間接稅
ニアラズシテ、所得ノ多イ者ガ爲シ得ル消
費又ハ行爲、擔稅力ガ伴ヒマスル者ノ行爲、
消費等ニ高率ノ課稅ヲ致スト云フコトニ相
成ツテ居リマス、又酒ニ付キマシテモ從來
ハ專賣制度ヲ布クニアラズンバ實行シ難イ
カノ如ク考ヘラレマシタガ、今囘酒ノ品質ノ
程度ニ應ジテ稅率ニ非常ナ差等ヲ設ケマシ
タ、是亦或ル意味デ所得能力、擔稅能力ニ
應ズルモノデアリマス、間接稅トハ申シナ
ガラ、煙草ノ値上ニ致シマシテモ、非常ニ
直接稅的ノ色彩ガ强イ行キ方デアリマス、
此ノ點ガ單純ナル間接稅ノ從來ノ比率デハ
寧ロ行カナイ、稅負擔ノ上カラ言ヘバ私ハ
直接稅的間接稅デアルト思ピマス、ソレガ
一點デアリマス、併シサウ申シマシテモ、
ソレハ所得ガアツテモ斯カル消費ヲ爲サザ
リセバ、行爲ヲ爲サザリセバ課カラナイノ
デハナイカト云フコトニモ相成リマスルガ、
併シ現在ニ於キマシテハ所得ガ多クシテ斯
カル奢侈的行爲ヲシナイデ置キマス場合ニ
ハ其ノ資金ハ全部蓄積ニ向ヒマシテ、是
ガ公債其ノ他ノ財源トナリ、生產擴充資金
ノ財源トナリマシテ、戰力增强ニ全幅ノ役
ニ立チマス譯デアリマス、唯稅トシテ殘ル
問題ハ所謂富ノ配分等ノ觀點カラ致シマス
下、ソレハ不十分カモ知レマセヌ、現下ノ
要請ニ十分ニ應ズル點、斯樣ナ點ヲ考慮致
シマシテ、今囘ハ十八年度ニ於テ直接稅ノ
增稅ヲ行ハズ、今申上ゲタヤウナ間接稅ノ
增稅ニスル斯ウ云フ考ヘ方ヲ致シテ居ル譯
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=43
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044・小野義一
○小野(義)委員 可成リ能ク了解致シマシ
タ、所デ先程御話ノ中ニ貧富ノ懸隔、斯ウ
云フ風ニ取レル御言葉ガアツタノデアリマ
ス、成程金持デナケレバ直接稅的物品稅ヲ
拂ヘナイ、納メルコトガ出來ナイ、ソレニ
依ツテ其ノ富豪ノ富ガ吸收サレルト云フコ
コト、是ハ御尤モデスケレドモ、又大臣御自
身ヂキニ仰シヤル通リニ其ノ富豪ガ物ヲ買
ナハケレバソレマデダ、ソレハ强制サスノ
ダト云フノデスガ、偖テ强制的ナ貯蓄方法
ヲサスノダト云ツテモ、一體金持ガ政府ノ
言フ通リニナリマスカ、ソコデ私ハムヅカシ
イト思ヒマス、妙ニ社會主義、共產主義メイ
タコトヲ申スヤウデアリマスガ、富豪ガ女中ナ
リ何ナリヲ出シテ野菜トカ、酒ナドノ配給ヲ
求メニ行キマスカドウカ、私ノ知ル範圍ニ
於テハ一向見エナイ、昨日總理ノ言ハレタ
ヤウニ闇取引ト云フモノハ重大デアル、チヤ
ント持ツテ行クノデス、早イ話ガ、例ヘバ
刺身ナドト云フモノハ吾々ノ家庭ニハ全然
入リマセヌ、明ケテ昨年カラ入リマセヌ、
料理屋ニハイツデモ入ル、料理屋ノミデハナ
イ、富豪ノ所ヘモチヤント入ツテ居ル、斯ウ
云フヤウナ事實ガアリマス、貯蓄ヲ若シ强
制ナサレバソレハ逃ゲルコトハ出來ナイ
强制デナイ限リハソレハアナタノ希望ニ止
マツテ現實化サレナイ部分ガ、相當多クナ
ルノデハナイカ、今日ハ金ガアツタツテ物ガ
不足デアリマスシ、贅澤ハ許サレナイ、物
見遊山モ出來ナイ、富豪ダカラト居ツテ始
終料理屋ヘ行ツテ、澤山ノ藝妓ノ花代ヲ上ゲ
テ金ヲ散ズル譯デモナイ、貯蓄ト云フコト
ハ勿論所謂購買力ノ吸收ニハナリマスケレ
ドモ、又拂戾シ等モ見込マナケレバナラヌ、
サウシタラ購買力ノ吸收ニハナラナイ、是
ハヤハリ端的ニ購買力ヲ吸收スルニハ租稅
ガ一番宜イ、サウ云フ點ニ於テ租稅ノ强化ヲ
願ヒタイト云フコトデアリマスガ、結局意
見ノ相違デアリマシテ、是レ以上ハ申上ゲ
マセヌ、私ハココ等デ止メテ置キマシテ、尙
ホ大臣ノ將來ノ御健鬪ヲ御祈リ申シテ終リ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=44
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045・松村光三
○松村委員長 中村君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=45
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046・中村三之丞
○中村(三)委員 戰爭經濟財政ト增稅ト云
フコトハ、不可分デアル、是ハ大藏大臣モ御
認メニナツテ居ルト思ヒマス、故ニ大藏大
臣御就任以來財政需要ニ應ズベキ機會每ニ
增稅ヲセラレタノデアラウト思ヒマス、唯問
題ハ如何ナル方面ニ如何ナル內容ヲ以テ戰爭
增稅ヲ行フカニアルト私ハ思ヒマス、今囘
ノ增稅案ニ於テ間接稅ヲ中心トシテ直接稅
ニ觸レナカツタト云フコトハ私ハ之ニ同意ス
ルモノデアル、大藏大臣ノ案其ノモノニ對
シマシテハ吾々ハ之ヲ是認スルモノデアリマ
ス、唯卒直ニ云ヘバ或ハ一年カ二年遲レタ
ニ過ギナイト云フコトニナルダラウト思ヒ
マス、ソコデ何ガ故ニ直接稅ニ手ヲ觸レズ
シテ、間接稅中心ノ增稅案ヲ出シタカト云
フハツキリシタ考ヘ方ヲ御示シニナルコト
ガ、軈テハ來年、再來年ニ於ケル增稅案其
ノモノノ一ツノ基礎的觀念ニナルダラウ
ト思ヒマス、小野サント大臣トノ質疑應答
ノ本會議ニ於ケル速記デハ十分私達ハ納得
ガ行カナイ、アレデハ餘リ理由ガ弱イノデ
ハナイカト思ヒマス、其ノ點ニ於テ大藏大
臣ハ少シモ觸レテ居ラヌ、ソレハ大藏大臣
ノ財政演說中ニ於ケル租稅政策ト經濟政策
ノ調和ト云フコトデアル、是ハ斯ウ云フ御
考ヘデハアリマセヌカ、國家經濟ノ要求ハ
租稅政策ヲ或ル程度制約スルト云フヤウナ
考へ方デハナイカト思フノデアリマスガ、
先ヅソレカラ御伺ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=46
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047・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 國家ノ政策ハ互ヒニ相助
長スルト同時ニ、其ノ政策一個々々ヲ主ニシ
テ考ヘマスルト、互ヒニ相制約スル面ガ多
イト思ヒマス、或ル事項ヲ奬勵致シタイ場
合ニハ、租稅モ皆免除シテ貰ヒタイ、補助
金モ出シテ貰ヒタイト、サウ云フ考ヘ方ヲ
起シマス、又租稅ノ方カラ申シマスレバ、
是モ取リタイ、アレモ取リタイト云フコト
ニ相成リマス、此ノ兩者ガ無制限ニ伸ビマ
スレバ必ズ衝突スル場面ガアリマス、之ヲ
如何ニ調和スベキカト云フコトハ、是ハ政策
全體ノ綜合ノ面カラ大切ナコトデアリマ
ス、其ノ意味ニ於キマシテ常ニ末端ニ於テ
ハ租稅ノ減免ノ要求ガアリマスル場合、其
ノ程度ヲ輕クスルト云フコトモアリマス、
全然致サヌト云フコトモアリマスレバ、同時
ニ租稅政策カラ一本槍ニ參リマシタモノヲ
他ノ政策ノ要求面カラ相當緩和シテ行クト
云フ必要モ認メラレルノデ、戰時ニ於キマ
シテハ國家總力ヲ戰爭ニ直接間接集中ヲ致
シテ參リマスル爲ニ、何レノ政策モ尖銳ト
申シマスカ、大キクナツタト申シマスカ、
ドン〓〓突ツ込ンデ參リマシテ、隨ツテ直
グ競合面ガ出テ參リマス、租稅デモ輕イ中
ハ別ニ問題ハ起ラナイノデスガ、重クナリ
マスルガ故ニ、非常ニ問題ガ多クナル、是
ガ臨時措置法ナドガ起リマシタ原因デアル
ト私ハ思ヒマス、言葉ハ少シ惡イデスガ、
何レノ政策モ尖銳化シテ參リマシテ、其ノ
調節ガ要ル譯デアリマス、今囘ノ臨時措置
法モ、サウ云フ面ニ於キマシテ租稅ノ方カ
ラ言ヘバ利子ニ對シテモツト課稅ヲシタイ、
併シ國民貯蓄ノ面カラ言ヘバ斯ウ云フ態樣
ノモノニ付テハ利子ノ輕減或ハ免除ヲシタ
イ、又產業再編成ノ立場カラ申シマスレバ、
其ノ苦痛ヲ緩和シテ、是等ノ要求ハドウシ
テモ或ル程度取入レナケレバナラヌノデ取
入レタ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=47
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048・中村三之丞
○中村(三)委員 私ハモウ少シ徹底シタ御
考ヘニ進マレナケレバナラヌノデハナイカ
ト思フノデアリマス、ソレハ今マデノ增
稅ハ應能原則デアル、負擔能力ト云フモノヲ
主トシテ居ラレル、是ハ恐ラク最近數百年
間ノ世界ニ於ケル租稅原則デアリマセウ、
自由主義經濟ニ於ケル租稅原則デアル、併
シナガラ今日私ハ是デ統制經濟ハ說明出來
ナイト思フ、殊ニ戰力增强ヲヤラナケレバ
ナラナイ今日ニ於テ、私ハ租稅政策ハ深ク
考ヘナケレバナラナイト思フノデアリマス、
是ハ私ノ獨斷デハナイ、吾々モ多クノ學者
ノ說ヲミマスルト一ツノ原則ガアル、ソ
レハ應能原則デアル、負擔力ト云フ、サウ
云フ原則ノ外ニ此ノ事業、此ノ行爲、此ノ
財產ガ國家目的達成ニ合フカ合ハナイカ、
別言致シマスルナラバ國家價値ガアルカ
ナイカ、斯ウ云フ點ヲ一ツ見テミル、卽チ
軍需產業ハ國家目的達成ノ最端ニアルモノ
デアル、今日此ノ軍需產業ガ後退スルナラ
バ決戰ニハ勝テナイ、斯ウ言ツタ場合ニ於
テハ、成程是等ニ負擔能力ハアツテモ一層
生產力ノ緊急增强ヲ圖ル爲ニ直接稅ハ据置
クカ或ハ寧ロ輕減シテモ宜シイ、卽チ國家
價値乃至ハ國家目的ニ合ツタ事業、消費、
財產ハ寧ロ稅ヲ据置クカ減ラシテ宜シイ、
逆ニ國家目的達成ニ反シタ、又遠イ所ノ消
費所得、財產ニ對シテハ思ヒ切ツタ重課
ヲスルコトガ戰爭增稅ノ新シイ行キ方デハ
ナイカト私ハ考ヘルノデアリマス、之ニ付
テ大藏大臣ノ御所見ヲ承ルコトガ出來レバ
洵ニ幸ヒデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=48
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049・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 應能負擔ト云フコトハ私
ハ戰時ニ於テモ相當重視シナケレバナラヌ
ト思ヒマス、是ハ國民ガ其ノ力ニ應ジテ御
奉公スル、唯應ズルト云フコトヲ餘計行キ
過ギヌヤウニ抑ヘル抑ヘヌト云フ自由主義
的ノ應能原則ハ不贊成デアリマス、力ノ强
イ者ガ餘計御奉公スル、是ガ應能原則デア
ル、其ノ意味ニ於キマシテ租稅ニ於テモヤ
ハリ應能原則ガ大事デアリマス、唯此處デ
申上ゲルノハ恐入リスマガ、戰場ニ於テド
ウデアルカ、此ノ部隊ハ疲レテ居ルカラ働
カサナイ、是ハ新銳ダカラ働カス、是ハ
軍司令官トシテハ色々サウ云フ考慮ガアリ
マセウガ、今敵ガ前面ニ來テ居ルト云フ時
ニハ此ノ部隊ハ疲レテ居ル、能力ガ下ツテ
居ルト云フコトヲ言ツテハ居ラレナイノデ
アリマシテ、戰爭ニ於テハ應能原則トカ負
擔ノ均衡トカ云フコトヲ主ニシテ、惡ク申
セバ之ハ拘泥スルト云フコトハ一擲シナケ
レバナライト思ヒマス、併シナガラソレダ
カラト言ツテサウ云フコトニ構ハヌト、國
家ニ御奉公スル國民ガ、軍隊デモサウデア
ルト思ヒマスガ、力ヲ使ヒ果シテ御奉公ガ
出來ナクナリマスカラ、其ノ意味ニ於キマ
シテ御奉公ノ力ヲ養フ爲ニモヤハリ應能原
則ト云フモノヲ出來ルダケ考ヘテ行カナケ
レバナラナイ、唯ソレ一點張リデ、負擔ノ
公平ノミデ物事ガ進マナイト云フ所ニ問題
ガアリマス、考ヘ方トシテハ應能原則ハヤ
ハリ大事デアルト思ツテ居リマス、サウ云
フヤウニ致シマシテ戰爭目的完遂ノ爲ニ最
前線ニ進ムベキ者ニ對シテ出來ルダケソレ
ヲ鼓舞シ激勵シ、是ガ進メルヤウニスルト
云フコトハ、是ハ萬全ヲ期シテ其ノ方策ヲ
進メナケレバナリマセヌ、併シナガラ軍需
產業ニ於テ唯租稅ヲ輕減シ、金錢的利益ガ
多イカラ產業ガ進ム、斯ウ云フ考ヘ方デ私
ハ行カヌデモ宜シイ、又軍需產業ニ於テモ
利益ガアレバソレハ納付シテ宜シイト思ヒ
マス、又戰時ニ於テハ殆ド直接カ、或ハ非
常ニ間接デモ、直接ニ近イ生產方面ニ凡ユ
ルモノガ集中スルモノデアリマス、是ガ皆
無稅ニナレバ殆ド是ハ稅金ヲ取ル餘地ガナ
イコトニナリハセヌカ、ソレヲ阻碍スルコ
トハ宜シクアリマセヌケレドモ、適當ニ負
擔力ヲ上ゲルト云フコトハ必要デアリマス、
唯ソレガ產業ノ再編成ノ如ク國家ノ政策ノ
要請ニ依リマシテ、從來ノ事業ヲ廢メナケレ
バナラヌ、非常ナ收入ノ激減ガアル、斯ウ
云フ人々ニ對シマシテ、唯從來ノ租稅ノ制
度ノ延長其ノモノニ依ツテ機械的ニ課シテ
行クト云フコトハ是ハ容赦スベキモノデ
アルト思ヒマスノデ、斯樣ナ意味ニ於キマ
シテモ臨時調整ヲ致シタイ、斯ウ云フ風ナ
考ヘ方ヲ致シタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=49
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050・中村三之丞
○中村(三)委員 サウシマスト應能原則
ハ自分ハ動カサナイ、斯ウ云フ御意見デア
リマスカ-然ラバ來年直接稅ニモ手ヲ御
觸レニナラナケレバナラヌ、今年御觸レニ
ナラナイト云フコトハ、一寸一年延バシタ
ト云フ風ニ解釋ガ出來ルノデアリマスルガ、
腹藏ナク其ノ邊ヲハツキリシテ戴キタイト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=50
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051・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 是ハ本會議ニ於キマシテ
モ、先程ノ小野委員ノ御質問ニ對シマシテ
モ御答申上ゲマシタヤウニ、直接稅ノ增稅
ト云フモノハ是カラモ私ハアルト思ヒマス、
又致サナケレバナラヌト思ヒマス、本年
ハ致シマセヌト云フコトハ申上ゲマシタノ
デアリマス、來年致スカ致サヌカ、是ハ只
今明言ハ出來マセヌガ、直接稅ノ增稅ト云
フモノハアルモノダト、又必ズナスベキ時
機ガアルト私ハ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=51
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052・中村三之丞
○中村(三)委員 財政需要ハ十九年度ニ於
テ直接稅ニ手ヲ觸レザルヲ得ザル狀態ニ至
ルト云フコトハ何人モ認ムル所デアリマス、
其ノ時ニハ大藏大臣ハ善處セラレルデアラ
ウト思ヒマシテ私ハ此ノ程度ニ止メ、多少
ノ餘裕ヲ殘シテ置キマス、ソコデ大藏大臣
ノ間接稅中心ノ增稅ト云フコトハ、私ノ言
フ是等ノ間接稅ガ國家目的達成ニ付テハ遠
イモノデアリ、不要不急ノモノデアル、或
ハ贅澤ノモノデアルト言ツタヤウナ考へ方
ガ玆ニ現ハレテ居ルノデハナイカト思フノ
デゴザイマスガ、是等ノ消費稅重課ニ付テ
ノ原則、御考ヘ方ハ私ガ今解釋シテ居ルヤ
ウナコトデハナイカト思ヒマスガ···発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=52
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053・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 大體御話ノヤウダト思ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=53
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054・中村三之丞
○中村(三)委員 分リマシク、ソコデ稅率ノ
問題デスガ分類所得稅ハ何時モ稅率ニ彈力
性ガ附ケテアル、消費稅ハドン〓〓稅率デ
以テ上ゲテ行クガ、マサカ之ヲ百分ノ千ニ
スルト云フコトモ出來ナイダラウ、玆ニ稅率
ト云ラモノノ限界點ガ出テヘ來ルンヂヤナイ
カト思ヒマス、私ハ消費稅ニ於テハ限界點
ハナイト云フコトハ出來ナイト思ヒマス、
所得稅ヲ百分ノ百取ツテ某敵國ノ如ク賣食
ヒサスト云フ行キ方デ行クカ、是ハ將來ノ
問題デアリマスガ、私ハ稅率ヲウント上ゲ
ルト云フコト、ソレガ軈テハ限界點ト云フ
モノニ到着スル、若シ其ノ限界點ヲ破ツテ
行クト云フナラバ、消費ニ關スル事業製造
ハ禁止乃至ハ制限スルト云フ行キ方ヲスル
コトガ統制經濟ノ私ハヤリ方デハナイカト
思ノデアリマスガ、是等ニ付テ御考ヘヲ一
ツハツキリサシテ戴キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=54
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055・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 戰時ニ於キマシテハ總生
產力ヲ戰爭ニ勝ツ爲ニ兵器彈藥其ノ他是等
ノ輸送、斯カルモノノ生產力ノ增强ニ集中
致シマシテ、又國民ガ健康ヲ維持シ、必要
ナル〓育ヲ受ケテ行キマス此ノ最低限度ヲ
維持スルト云フ以外ノモノハ之ヲ擧ゲテ國
民生活ノ確保ト直接戰力ノ增强ニ向ケル必
要ガアルト思ヒマス、此ノ觀點ヨリ或ハ製
造ヲ全然禁止スル、或ハ其ノ製造事業ニ使
用スル勞力、資材ヲ制限スル、斯樣ナコト
ハソレ〓〓ノ場面ニ依ツテ必要デアルト思
ヒマス、ソレハ今ノ資材全體ノ計畫、又國
民ノ生活面、其ノ外ノ判斷カラ參リマシテ、
只今稅ヲ課ケテ居リマスモノハ、只今ト致
シマシテハ、其ノ製造ヲ禁止シナイモノニ
付テ、或ハ全然其ノ行爲ヲ禁止シナイモノ
ニ課ケテアリマス、斯カルモノハ禁止スル
カト云フコトハ、又別ノ觀點カラ〓究ヲシ
テ決定スベキ問題デアラウト思ヒマス、私
ハ是ハ抽象的ニ申上ゲテ居ルノデ、只今ノ
課稅ノ客體ニ付テドウスルカト云フコトノ
具體問題ヲ今申上ゲテ居ル譯ヂヤナイノデ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=55
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056・中村三之丞
○中村(三)委員 午前中主稅局長ノ私ノ質
問ニ對スル御答ヘハサウヂヤナカツタノデ
スガ御答ヘニ依ツテ私ノ解釋スル所ニ依リ
マスト、物品稅ト今囘ノ特別行爲稅ト云フ
モノハ竝ンデ居ル、竝ンダモノヲ集メマス
ルト、主稅局長ノ御說明ニ依レバ課稅段階
ハ三ツ位ノモノガアルト云フコトデアル、
サウスルト特別行爲稅ト物品稅ト云フモノ
ハ、近キ將來ニ於テ、所謂一般取引稅ノ形
ニ合體統合セラレテ行クモノデハナイカ、斯
ウ云フ風ニ私ハ見ルノデゴザイマスガ、是
等ニ關スル、卽チ一般取引稅ト云フモノニ
對スル大藏大臣ノ御考へヲ玆ニシツカリ承
リタイノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=56
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057・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 特別行爲稅ト物品稅ガ合
體スルカドウカ、是ハ只今ノ所デハ別ノ稅
法デヤツテ居リマス、將來ノコト今後ノ發
展ニ俟ツノデアリマシテ、只今私ハ何トモ
申上ゲル考ヘハアリマセヌ、一般取引稅
ニ付キマシテハ、實ハ其ノ內容ニ依ルコトデ
アリマシテ、見方ニ依リマシテハ、只今ノ
物品稅、特別行爲稅ノ如キモノハ非常ニ廣
クナツテ居リマシテ、一般取引稅トモ考ヘ
ラレテ宜イト云フ點モアリマス、唯是ガ如
何ナル行爲、消費ニ付テモ稅率ハ一本デア
リ、徵稅ノ容易ナル點ニ着眼シマシテ、重
複課稅ノ結果トナツテモ宜シイカドウカ、斯
ウ云フ點ニ關シテハ餘程〓究ノ餘地ガアル
ト思ヒマス、一般取引稅ト申シマシテモ、
其ノ內容如何ニ依ツテ非常ニ違フト思ヒマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=57
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058・中村三之丞
○中村(三)委員 消費稅率ト云フコトモ考
ヘラレマスガ、例ヘバ消費稅デ百分ノ百ヲ
取ルヨリモ取引稅デ百分ノ三十位取ツテ三
囘轉サシテソレデ宜イヂヤナイカ、是ハ將
來ノ議論ニナリマスガ、玆ニ私共考ヘル必要
ガアルノヂヤナイカト思フノデアリマス
更ニ私ハ是ハ大藏大臣ニ御伺ヒシナケレバ
ナラヌノデアリマスルガ、日支事變以來
度々ノ間接稅ノ增徵ト云フコトガ、ドウ云
フ風ニ國民ニ刺戟ヲ與ヘタドウカ知リマセ
ヌガ、增徵實施前ニ稅脫ケ、買漁リ、買溜ト
云フモノガ相當强クアツタ、是ハ潜在購買
力ガ機會ヲ得テ勃發シテ居ルト私ハ見ルノ
デアリマス、此ノ恐ルベキ潜在購買力ノ稅
脫ケノ行爲ニ對シマシテハ、モウ是ハ貯蓄
ヲ說イテモ、節約ヲ說イテモ、其ノ殺倒ス
ル力ノ前ニハ無益デアル、是ハ一昨年ノ例
ニ依ツテ明カデアリマス、一昨年ノ間接稅
增徵前ニ於ケル所ノ忌ムベキ傾向、是ハ夙
ニ何等カノ徹底的處置ヲナサラナケレバナ
ラナカツタ筈デアリマス、之ニ付テ私ハ二
ツノ意見ラ持ツテ居リマスガ、是ハマダサ
ウ云フ案モ出テ居ラナケレバ、又サウ云フ
コトガ提案サレテ居ラナイ、私ノ意見ハ稅
法ニ於テ變更權ヲ與ヘルカ、或ハ國家總動
員法ニ於テ之ヲ斷行スルト云フ二ツデアリ
マスガ、是ハ姑ク措キマス、案ガ出テ居リ
マセヌ、併シナガラ現在起リツツアル、或
ハ大キナ聲デ言フ程、サウ云フ風ニナルノ
デハナイカト思ヒマスガ、政治家トシテ言
ハザルヲ得ナイ、私共ノ耳ニシテ居ル點ハ
モウ隨分アル、ソコデ速カニ消費稅ダケ實
施セヨ、拔打的ニ早ク議會ヲ通シテ實施セ
ヨ、ソシテ其ノ場合ハ販賣上ニ於テ或ル程
度ノ制限ヲ加ヘル、或ハ或ル一定期間停止
ナスツテモ宜シイ、或ハ金額デ言ヘバ少イ
モノダト云フヤウナ結論ガ出ルカモ知レヌ
ガ、私ハ金額ダケノ問題デナク、全體ノ問
題トシテ斯ウ云ツタヤウナ消費稅ガ上ゲラ
レル場合ニ、稅拔ケ、買漁リ、買溜ガ出ル
ト云フコトハ、戰爭經濟運行ノ上ニ非常ナ
妨ゲニナル、之ヲ政府ハ見テ居ツテハイケ
ナイ、政治家ハ見テ居ツテハイケナイ、、斷
乎タル處置ヲ執ル必要ガアルノデハナイカ
ト思フ、現ニ郵便貯金ガ之ニ依ツテ引出サ
レテ減ツテシマフナラバ、折角大藏大臣ガ
昨年以來街頭ニ立ツテ叫バレタル貯蓄運動
モ是ガ爲ニ非常ナ禍ヒヲ受ケルト云フコト
ニナラザルヲ得ナイノデス、此ノ點ニ於キ
マシテ私ハ大藏大臣ノ率直ナル御考ヘヲ承
リタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=58
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059・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 總理モ度々申シテ居リマ
スシ、私共ノ考ヘハ眞ニ國民ガ大東亞戰爭
ト云フ本當ニ文字通リ國家ノ興亡、世界ノ
運命ヲ決スベキ戰爭ヲ勝拔ク爲ニ必要ナル
心構ヘト云フモノガ國民ノ肚ノ中カラ湧キ
起ラナケレバ戰爭ニ勝テナイト思ヒマス、
ソレガ大事デアルト思ヒマス、其ノ自覺ガ
徹底致シマスルナラバ、消費稅ガ上ルカラ
上ラヌ前ニ買溜ヲシヨウト云フ不心得ナコ
トハ私ハ非常ニ減少ヲシテ行クベキモノダ
ト思ヒマス、ソレガ減少シテ行クヤウナ心
構ヘガアリマセヌケレバ、防空ト申シ、防
諜ト申シ、其ノ他總テ戰時國民ノ勝ツ爲ノ
努力、勝ツ爲ノ忍苦ト云フモノハ本當ニ出
來マセヌ、之ヲ唯强權ニ依ツテ防グト言ヒ
マシテモ、一億國民ガ二十四時間ノ間己ガジ
シ住居ニ於テ、己ガジシ職場ニ於テ働ク一
ツ一ツノ勤勞ノ熱意其ノモノガ私ハ强權ニ依一イト云フコトハ、
ツテハ出ヌト思ヒマス、一ツノ電燈モ要ラナ
イ時ハ早ク消シテ電力ヲ節約シ、ソレガ戰
力ノ增强ノ爲ニ必要ナ工場ニ〓ハス本ニナ
ルト云フ自覺ヲ以テ消サナケレバ、如何ニ
法令ヲ以テシマシテモ、「ガス」一ツ、電燈一ツ
本當ニ私ハ戰力增强ニ集中スルコトハ出來
ヌト思ヒマス、併シナガラソレナラバ總テ
ノ隅々マデノ自覺ヲ俟ツテ、是ガ何等ノ强
權ナリ法律ニ依ラズシテ行ケルカト云ヘ
バ、急速ナル戰爭需要ニ應ズル爲ニハ、ソ
コニ强制法規ガ要ル場合モアリマス、色々
アリマスガ、要ハ國民ノ本當ノ自覺デアル
ト思ヒマス、一昨年ノ間接稅ノ增稅ノ前ニ
起リマシタ買溜ノ如キ現象ハ、聞キマシテ
モ遺憾ナコトデアリマシテ、今囘ハ幸ニシ
マシテアノ當時ノヤウナ現象ハ起ツテ居ラ
ヌヤウデアリマス、細カイ所ニハドウ云フ
コトガアリマスルカ存ジマセヌガ、大體ノ
狀況ハ、增稅案發表以來注意ヲ致シテ居リ
マスルガ、一昨年ノ秋ノアノ當時カラ見マ
スレバ、非常ナソコニ消費者モ亦販賣業者
ノ方モ所謂自肅ガアリマシテ、全體ノ觀點
カラ見マスレバ、非常ナ進步デアルト存ジ
マス、私共モ其ノ點デ喜ンデ居ル次第デア
リマス、ドウゾサウ云フ風ニナツテ參リマ
スヤウニ、或ハ今囘デモ局部的ニハ遺憾ナ點
點ガ或ハアルカモ知レマセヌ、是ガナイヤウ
ニ行キマスヤウニ、國民ノ勝ツ爲ノ意識ガ
本當ニ徹底シマスルヤウニ、政府ガ働クベ
キ場面ガ、ソコニ不行屆ガアリマスナラ
バ、益〓其ノ點ニモ注意シテ參リタイヤウニ
存ズル次第デアリマス、併シ人間ト致シマ
シテ、兎ニ角何時ガ來レバ、直グ是ダケ餘
計代金ヲ拂ハナケレバナラヌ、今買ヘバ安
卒直ニ申シマシテ誘惑デ
モアリマセウカラ、稅法ノ御審議ガ早ク濟
ミマシテ準備ガ出來マシテ施行期日ガ早カ
ランコトハ、是ハ切ニ希望ヲ致シテ居リマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=59
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060・中村三之丞
○中村(三)委員 根本對策ニ付キマシテハ
難カシイコトデアリマスガ、煙草ノ値上ガ
大藏省告示一本デヤレル、アレハ自由主義
時代ニハ、何故ニ議會ニ掛ケナイカト云フ
コトデ非常ニ攻擊サレタ、併シ今日、過ツ
タ功名カモ知レマセヌガ、兎モ角アレデ煙
草ノ買溜、買漁リヲ防イデシマツタ、私ハ
アア云フ方策モ必要ダト思イマス、局部的
ニアルノデアリマス、私共ノ知ツテ居ル範
圍ニ於テモ相當アル、併シ大藏大臣ハ總理
大臣ト共ニ國民ノ忠誠ヲ信賴サレル-私
ハ須ラク閣僚ハサウデナケレバナラヌト思
フ、臺閣ニアル閣僚自ラ國民ノ忠誠ヲ疑フト
云フコトハ、是ハ私ハナスベカラザル、又言
フベカラザルコトデ、サウデナケレバイカ
スト思フ、併シナガラ吾々政治ノ方面ニ與
ツテ居ル者ハ、サウ云フモノガアルト云フ
事實ヲドウスルカト云フ考ヘ方ヲシナケ
レバナラヌト思ヒマス、ソコデ根本的ノ考
ヘハ別トシテ、是ハ愼重ニ一ツ巧ク國民ノ
忠誠ト共ニ、又其ノ方法ノ宜シキヲ加ヘラ
レテ、斯カルコトガ戰爭經濟ニ於テナイヤ
ウニ努メラレンコトヲ希望致シ、又寧ロ切
望スルノデアリマス、固ヨリ今次ノ時局ハ
一昨年ノ時局ト違ヒマス、此ノ點私ハ非常
ニ大藏大臣トシテオヤリ易イ時期ダト思
フ、此ノ點ニ於キマシテハ私ハ一昨年ノヤ
ウナコトガナイヤウニ思ヒマスガ、併シ局
部的ニハ事實アル、私ハ忌ムベキコトデア
リマスカラ、斯ウ云フ公開ノ席デハ言ハナ
イ、其ノ點ハ善處セラレンコトヲ希望致シ
マス
最後ニ大藏大臣ノ財政演說中ニ注目スベ
キコトガアル、ソレハ徵稅スル者ト納稅ス
ル者トノ一體化ヲ圖ツテ行ク、是ハ私ハ大
藏大臣ノ財政演說トシテ非常ニ注目シテ讀
ンダ、恐ラク今年ノ增稅ヲ合ハセマスナラ
バ四十億突破ノ增稅ガ日支事變以來行ハレ
テ居ル、國民ハ各、納稅報國ノ熱意ニ燃エ
テ居ルト云フコトハ洵ニ御同樣喜バシイコ
トデアリマスガ、又大藏大臣ガ其ノ御演
說ニ於テ申サレタヤウニ、徵稅者ト納稅者
トノ一體化ヲ圖ラントセラレルコトハ、私
共十分能ク分リマス、又吾々モ左樣ニ努力
ヲ致サナケレバナリマセヌガ、現前ノ
事實ハ事實トシテアルコトヲ一ツココデ考
ヘテ置カナケレバナラヌ、ソレハ最近私共
ノ第六感デ感ズルノデアリマスガ、異議申
立再審査ガ多イノデハナイカト思フノデ
アリマス、是ハ後カラ主稅局長、統計
ガアレバ十二年以來大體御示シヲ願ヒタ
イ、是ハ何處ニ原因ガアルノカト云フコト
ヲ靜カニ考ヘテ直シテ貰ヒタイ、一ツハ、
例ヘバ玆ニ或ル時局ノ產業乃至ハ時局商賣
ヲシテ居ル者ハ、十分調ベズシテ、アレハ
儲カツテシマツテ居ルンダト云フヤウナ
觀念デ認定シテ課ケテ居ル、斯ウ云フコト
ガ今言フ異議申立ダトカ、再審査ガ多イト
云フ原因ニナツテ居ハセヌカ、私ハ稅務當
局ガ非常ナ努力ヲシテ居ラレル、殊ニ何千
ロト云フモノヲ以テ日夜努力シテ居ラレル
コトニ對シテ、深ク喜ブ、又敬意ヲ表スル
ガ、ドウモ認定權ノ濫用ト云フコトガ相當
アルノデハナイカト思フ、若シアリトスレ
バ、是ハ大藏大臣ガ徵稅者ト納稅者ノ一體
化ヲ圖ツテ行クト云フ上カラ言ツテ、相當
御考ヘニナラナケレバナラナイノデハナイ
カ、租稅政策ハ金錢ノ問題ヂヤナイ、國民
思想ノ問題デアル、私ハ大藏大臣ノ言ハレ
ル徵稅者、納稅者一體トナツテ、玆ニ一億
一心ノ納稅報國ガ出來ルヤウニシナケレバ
ナラヌ、併シ其ノ前ニハ、若シサウ云フ事
實ガアツタナラバ、之ヲ直シテ掛ルト云フ
コトガ必要デハナイカ、此ノ意味ニ於テ御
伺ヒスルノデアリマスカラ、先ヅ私ガ今申
上ゲマシタサウ云フ傾向ガ數字的ニドウ現
ハレテ居ルカ、大藏大臣ハ斯ウ云フコトニ
對シテドウ云フ風ニシテ、國民ガ喜ンデ稅
ヲ納メルト云フ此ノ方針ヲ確立セラレルカ
ドウカト云フコトニ付テ、御答ヘヲ煩ハシ
タイノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=60
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061・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 納稅ニ付キマシテハ法律
ニ規定ガアリマシテ、是ダケノ課稅物件ガ
アレバ如何ナル稅ヲ課スカト云フコトガ法
律上ノ義務トナツテ居リマス、隨テ徵稅官
吏ノ方デハ之ヲ取立テル、マア職務デアリ
マスルカラ、其ノ意識ガ强クナリマス、又
納稅者ノ方デハ其ノ負擔ノ輕カランコトヲ
冀フノモ人情デアリマスカラ、又多クノ納
稅者等ニ於テハ稅法ニ不案內ナ人モ非常ニ
外イト思ヒマスノデ、其ノ徵稅ニ對シマシ
テ相當不滿ノ起ル場合モアルト思ヒマス、
又徵稅ノ任ニ當リマス者ガ認定ヲ誤リマス
場合モアルト思ヒマス、偶ニハ遺憾ナガラ
故意デ脫稅ヲ圖ラントスル者モアリマス、
是等ノ關係デ、徵稅者ト納稅者ガ動モスレ
バ對立觀念ニナリ易ク、相當サウ云フコト
モアルト思フノデアリマス、殊ニ現在ノ狀
況ニ於キマシテハ、ソレガ假令議會ノ協贊
ヲ經マシタ法規ノ命ズル所トハ云ヘ、非常
ニ重イ稅デアリマス、之ヲ普通ノ世間話ニ
致シマシテモ、從來稅ト云フモノハ家計ノ
中デ、或ハ家賃デアルトカ或ハ食費デアル
トカ云フ經濟ノ支出ノ項目ノ中デ、左程重
要ニ思ハヌデモ濟ンダモノガ、今ヤ一口デ
モ一番大キナ金額デアルト中流階級ノ人デ
モ言ツテ居ルヤウナ譯デアリマス、隨ヒマ
シテ兎ニ角戰爭ノ爲メトハ云ヘ、御國ノ爲
メトハ云ヘ、其ノ苦痛ハ大キイモノデアラウ
ト思ヒマシテ、之ニ對シマシテ徵稅ノ上ニ
於キマシテモ、旣ニ其ノ納稅者ノ心持ヲ察
シテ行クト云フコトガ、私ハ極メテ大切デ
アラウト思ヒマス、又徵稅者ニ致シマシテ
モ、是ハ數字デ申上ゲマスレバ、如何ニ納稅
人員、課稅物件、增稅金額等ニ比シマシテ
徵稅費ノ割合ガ少イカ、課稅ノ任ニ當リマ
スル人員、官吏ガ少イカト云フコトハ著シ
イモノデアリマシテ、餘程ソコニ普通ノ意
味デハ手不足モアリマス、併シナガラ只今
デハ全日本人ガ十分ニ覺悟ヲシマシテモ、
此ノ戰爭ニ勝拔キ、大東亞ノ建設ヲ致シマ
ス爲ニハ、人的資源ガ手不足デアルト云フ
狀態デアリマス、此ノ觀點カラシマシテ、官
吏ノ增員ノ如キハ極力抑制シ、進ンデ減員
ヲスルト云フヤウナ事態デアリマシテモ、
手不足ヲ感ジテ居リマスル徵稅方面ニ於キ
マシテモ、中々增員ノ如キハ思フニ委セズ、
減員ヲ致シマシタ上ニ、今囘ノ增稅ニ付キ
マシテハ極メテ其ノ事態ニ比シマシテ僅少
ナ要員ヲ豫算案ニ計上シテ居ルヤウナ次第
デアリマス、ソコデ對立觀念ヲ拂拭シテ-
是ハ平時デモ必要デアリマスルガ、特ニ今
ハ行カナケレバナラヌ、殊ニ斯ウ云フ機會
ニ所謂官民離間ト申シマスカ、所謂國內ヲ
離間スル謀略ノ手ノ一ツモ伸ビヨウト云フ
譯デアリマス、其ノ點ニ付テ切實ニ感ジテ居
ル次第デアリマス、今囘法案ヲ提出致シマ
シテ、納稅組合等ノ、或ハ納稅預金等ノ案
ノ御審議ヲ御願ヒ致スコトニ相成ツテ居リ
マスガ、是等ハ物的方面カラ納稅ヲ容易ナ
ラシメルト共ニ、サウ云フ機關ガ出來マス
コトハヤハリ徵稅ノ問題ニ關シマシテモ、
稅務署ト納稅者側ガ能ク意思ガ疏通シ、話合
ヒ、兩方ガ諒解シ、自覺シテ行ク上ニモ非常ナ
助ケニナルト考ヘテ居リマス、又私共ガ內部テ徵
稅ノ任ニ當リマスル官吏ニ對シマシテモ、常ニ其
ノ心持デ指導ヲ致スコトヲ從來ヨリ一層强化致
シテ居リマス、又機會アレバ納稅者層ニ對
シマシテモ私共ノ誠意ヲ披瀝シテ、意思ヲ
汲取ツテ貰フ機會ヲ出來ルダケ作ツテ居リ
マスルガ、今後尙ホソレ等ノコトヲ一層增
加シテ參リマス、本當ニ段々稅ハ將來マ
ダマダ重クナリマス、殊ニ只今モ四十億圓
ニモ達スルカト云フ御話ガアリマシタガ、
大東亞戰爭以來七囘ノ增稅カト存ジマスル
ガ、金額ニ致シマスルト、殆ド昭和十六年
ノ間接稅以來デ大部分ヲ占メルヤウナ急激
ナ增加デアルノデアリマス、中々納稅者モ
困難デアリ、徵稅モ困難デアル、ドウシテ
モ兩方トモ國家意識ニ目覺メマシテ、而モ
ソレハ一緒ニ戰爭ヲスルンダト云フ氣分ニ
目覺メル必要ガアルト思ヒマスルノデ、右
ハ若干ノ例ヲ申上ゲマシタガ、其ノ意味デ
今後非常ナル努力ヲ致シタイト存ジテ居リ
マス、尙ホ再審査等ノ要求ガ昨年アタリ大
キイモノニ付キマシテハ、是ハ又特殊ノ原
因ガゴザイマス、先程モ申上ゲマシタヤウ
ニ、昨年ノ直接稅法ノ改正ニ依リマシテ納
稅者層ガ非常ニ殖エマシタ、而モ殖エタ納
稅者ハ所得金額ノ少イ方ニ課稅ノ最低限ヲ
サレマシタ爲ニ殖エタ方デアリマスルカラ、
是ハ納稅者ニ於テモドチラカト言ヘバ稅法
ニ不案內ナ人ガ多イ、ノデアリマス、稅務官
吏ニ致シマシテモ、是等ノ少額ノ所得ノ人々
ニ對シマスル課稅ノ捕捉ト云フモノハ困
難デアリ、且ツ初メテノ層デアリマス、從
來永年徵稅致シマシタ實績等カラ斟酌スル
材料モアリマセヌ、ソレハ課稅ノ認定ニ於
テ往々不十分ナモノガアツタト存ジマス又
ソレ以外ニサウ云フ層及ビ其ノ他ノ層ニ付
キシマシテ最近經濟上ノ狀況ガ變更致シマ
シテ、色々ノ小賣業デアルトカ、其ノ他ノ
モノニ付キマシテ如何ニ原料ヲ使フカ、如
何ニ賣上ゲガアツタカト云フヤウナコトガ、
所謂事業統制ノ上カラ帳面上ハツキリスル
ヤウナモノガ出テ參リマス、出テ參リマス
トドウ云フコトニナルカト言ヘバ、從來ノ
認定カラ行ケバ、左程影響ハナカツタト思
ツテ居ツタモノガ、數字ニシマスト案外ニ
大キナモノニ上ルト云フヤウナ現象モ多々
アツタノデアリマス、ソレニハ又帳簿ノ不
完全モアリマセウ、稅ガ急激ニ非常ニ增加
シタト云フ結果ニ對シテ、兎ニ角機械的ニ
稅務官吏ガ考ヘレバ全ク其ノ事由アリ、帳
面ノ上ノ數字カラ是ダケノ原料ヲ仕入レテ、
サウスレバ是ダケハ先ヅ賣レル、又販賣價
格モ統制サレテ居ルカラ、賣上ゲハ是ダケ
デアル、利益ハ是ダケデアルト機械的ニ出
テ來ルモノモアリマス、併シ從來サウ云フ
モノガナカツタノニ、一足飛ニサウナツテ
參リマスカラ、理窟ハ兎ニ角、納得シ難イ
場合モ澤山アリマス、又今申上ゲマシタヤウ
ニ徵稅者ノ認定モ誤ルト云フヤウナ場面モ
アリマス、是等ノヤウナ特殊ノ事由デ以テ
相當最初ノ認定ニ付テハ誤ツタモノモアリ
マセウシ、又誤ラヌモノデモ納稅者ガ、理
窟ハ兎ニ角、納得シ難イト云フモノガ多カ
ツタラウト思ヒマス、機宜ノ處置トシマテシ
特ニ異議アル方ハ再審査ヲ要求シテ下サイ、
オ互ニ納得スルマデ調ベ、又話合ハウ、再
審査ノ期日モ事實上ハ相當手心デ延ビマシ
テ、特ニ相互ノ理解ヲ深メル爲ニヤリマシ
タヤウナ次第デアリマス、是等モ先程申上
ゲマシタヤウナ適切ナル稅ヲ施行スル、納
稅者ニモ出來ルダケ無理ガナイヤウニ、且
ツ納得シテ貰フト云フ調和ノ觀念カラ致シ
タヤウナ譯デアリマス、尙ホ數字等ニ付キ
マシテハ主稅局長カラ申上ゲルコトニ致シ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=61
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062・松隈秀雄
○松隈政府委員 審査請求ノ提出ノ狀況デ
アリマスガ、昭和十二年以來ノ數字ハ手許
ニ持ツテ居リマセヌカラ、後程調ベテ資料
トシテ提出致シタイト思ツテ居リマス、昨
年ノ審査請求ノ件數ト、其ノ前年ノ件數ト
ヲ調ベテ申上ゲマス、昨年ニ付キマシテハ、
只今大臣カラ御話モアリマシタ通リ、特殊ナ
事情モアツテ相當增加致シテ居ルノデアリ
マスガ、分類所得稅、綜合所得稅、個人營
業稅、個人臨時利得稅ヲ通ジマシテ、審査
請求ノアリマシタ件數ハ五十六万五千餘件
デアリマス、實際ノ人數ニ致シマスト、
人デ二件或ハ三件ニ該當シテ居ルヤウナ場
合ガゴザイマスカラ、減ツテ居リマシテ、
人數ト致シマシテハ三十六万四千餘人デア
リマス、其ノ前年ノ審査請求件數ハ二十六
万餘件、實際人員ハ十八万一千餘人デアリ
マスカラ、約件數ニ於キマシテモ實際人員
ニ於テモ倍ニ殖エテ居リマス、之ヲ處分致
シマシテ訂正ヲ致シマシタ件數ハ、件數デ
五十五万一千餘件、實際人員デ三十五万八
千餘人、訂正ノ結果減額サレマシタ金額ハ
約八千万圓ニ及ンデ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=62
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063・中村三之丞
○中村(三)委員 最後ニモウ一ツ申上ゲテ
終リマス、今度ハ私ハ國民ノ中ニ增稅ノ機
會每ニ通脫ヲヤル者ガアル、是ハ吾々政治
家トシテ、又相當當局ノ取締ヲ希望スル、
特ニ遊興飮食稅ガサウデアル、アレハ今複
寫式ニセラレテ相當嚴密ニナリマシタガ、
何カ私共ハ他ニ納稅切手帳ト云フヤウナモ
ノヲ拵ヘテ、先ニ租稅ヲ取ルト云フヤウナ
考へ方ヲナサル必要ガアルノデハナイカト
思ヒマス、要スルニ制度ト組織ヲピツタリ
ヤツテ行カレマスナラバ、增稅每ニ起ル所
ノ脫稅行爲ト云フモノヲ取締レルト思ヒマ
ス、此ノ點ニ付キマシテモ增稅每ニ今後十
分ニ戒心ヲセラレテ、折角增稅シタガ、ソ
レガ逃レテシマフト云フコトニナリマシテ
ハ、國庫ノ收入ニ私ハ決シテ好イ影響ヲ與
ヘナイシ、又人心ノ上ニモ好イ影響ヲ與ヘ
ナイト思ヒマスカラ、斯ウ云ツタヤウナ故
意ニ惡意ヲ以テ脫稅ヲスルヤウナ者ニ對シ
マシテハ、大藏當局ハ水モ漏ラサヌ對策ヲ
以テ此ノ徵稅ノ全キヲ期セラレルコトガ必
要デアルト思ヒマス、此ノ點モ私ノ意見ダ
ケ申上ゲテ置キマシテ、大藏大臣ニ對スル
御尋ネヲ終ツテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=63
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064・松村光三
○松村委員長 此ノ際中村君ノ質疑ニ關聯
シマシテ、徵稅事務ノ刷新ニ付キ木村君ガ
關聯質疑ヲ致シタイト云フ申出ガアリマス
カラ之ヲ許シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=64
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065・木村正義
○木村(正)委員 ソレデハ私ハ先程中村君
ノ質問ニ對シマシテ、大藏大臣カラ徴稅事
務ノ刷新等ニ關シテ一應御伺ヒ致シマシタ
ケレドモ、今後增稅ガ年ト共ニ行ハレルヤ
ウナ情勢下ニアリマシテハ、徵稅事務ノ刷
新ト云フコトニハ最モ大藏當局ガ力ヲ致サ
ナケレバナラヌ點デアルト思ヒマス、然ル
ニ私共ノ見ル所デハ今日マデノ狀況デハ、
稅務署ノ徵稅事務ニハ一大改革ヲ加ヘナケ
レバ先程御話ニナツタヤウニ、徵稅者モ納
稅者モ一體トナツテ國家目的ニ副フヤウナ
考ヘ方ニ國民ヲ導クコトガ非常ニ困難デハ
ナイカト思ヒマス、今日ノ稅務署ノ實情ニ
付キマシテ私ガ此處デ縷、、申上ゲルマデモ
ナク、大藏當局ニ於キマシテハ十分御承知
ノコトデアルト思ヒマスガ、其ノ徴稅事務
ニ當ル人ノ數ノ點カラ申シマシテモ、待遇
ノ點カラ申シマシテモ、素質ノ點カラ申シ
マシテモ、寧ロ他ノ行政事務ニ携ツテ居ル
者ト比較シテ私ハ非常ニ劣ツテ居ルト思フ
ノデアリマス、最モ國民ノ利害ニ直接關係
スル此ノ稅務署、稅務官吏ノ實情ガ斯クノ
如キ狀態ニ放置セラレテアルト云フコト
ハ、是ハ國民ノ精神、心理ノ上ニ及ボス所
モ極メテ重大デアツテ、是ハ增稅ヲヤラル
ル前提トシテハ、此ノ點ニ思ヒ切ツタ改革
ヲ致サナケレバナラヌト思ヒマス、如何ニ
行政簡素化ト申シマシテモ、簡素化ニハ自
ラ其ノ方法ガアルノデアツテ、人ヲ減ラシ、
或ハ其ノ儘ニシテ十分目的ヲ達スレバソレ
デ宜イノデアリマスケレドモ、今日マデノ
徵稅事務ノ狀態ト云フモノハ、吾々カラ考
ヘルト非常ニ遺憾ノ點ガ多イト思フノデア
リマスカラ、如何ニ簡素化ノ時デアリマシ
テモ、增スベキ所ニハ大イニ增ス、待遇ヲ改
善スベキ所ニハ大イニ待遇ヲ改善スル、此
ノ措置ニ出デラルルコトガ私ハ當然デアル
ト思ヒマス、サウ云フ點カラ今囘ノ增稅ニ
當リマシテノ私共ノ希望ト致シマシテハ、
思ヒ切ツタ刷新ノ方策ヲ御立テニナラナク
テハナラヌノヂヤナイカ、其ノ十分ナル方
策ナクシテ、增稅ガ行ハレルト云フコトニ
ナレバ、是ハ今日マデモ存在シテ居ルノデ
アリマスガ、徵稅、納稅ニ對シテ國民ノ考
ヘヲ私ハ餘程惡化セシムルコトニナリハシ
ナイカ、隨テ此ノ點ニ付キマシテハ私共ハ
大藏大臣カラ此ノ機會ニ於テ、徵稅事務ニ
對シテドウ云フ改善刷新ノ對策ヲ御持チニ
ナツテ居ルカト云フコトヲ十分ニ御伺ヒヲ
シテ置キタイト思ヒマス、多少增シタヤウ
ナ御話ガアリマシタケレドモ、多少ノ增員、
唯人ヲ增スダケデハ私ハ改善刷新ニハナラ
ヌト思ヒマスガ、其ノ他各般ニ亙ツテ如何
ナル刷新ノ對策ヲ御持チニナツテ居ルカヲ
此ノ機會ニ御伺ヒシテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=65
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066・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 今ノ御趣旨ノ一面ハ稅務
署ノ人手ガ少イ、モツト優秀ナル者ガ欲シ
イ、給與モ惡イト云フヤウナコトガ其ノ原
因デハナイカ、是等ヲ改善シタラドウカト
云フ御趣旨デアルヤウニ拜察ヲ致シマシ
タ、洵ニ御尤モダト存ジマス、私共モサウ
致シタイト存ジマス、併シ今申上ゲマシタ
ヤウニ日本中手ガ足ラヌ所デアリマシテ
直接戰力增强ニ必要ナル軍需工場等ニ於
.キマシテモ非常ナ手不足ヲ感ジテ居ル
ト云フヤウナ狀況デアリマスルノデ、
官吏全體ノ增員ニ付キマシテ特ニ差控
ヘテ居ル次第デアリマス、唯徵稅事務
ニ付キマシテハ、他ノ普通官廳ト違ヒマシ
テ、鐵道、通信等ノ現業ト同ジク人員ヲ減
ラスニ致シマシテモ、最小限度ノ率ヲ以チ
マシテ、他ノ方面デハ殆ド人員ノ增加ヲ特
別ニ致シマセヌ時ニ、若干デモ增加ヲ致シ
テ居ルヤウナコトデアリマス、此ノ點ハ稅
勞行政カラ見マスレバ甚ダ物足ラナイノデ
アリマスルガ、今申上ゲタヤウナ觀點カラ
此ノ程度ニ止マツテ居ルノデアリマス、又
給與ニ付キマシテモ私務關係カラノミ致シ
マスレバ、增シタイノハ山々デゴザイマ
ス、併シ是ハ全體ヲ見渡シマスルト、或ハ學
校ノ〓員ニ致シマシテモ、又警察官吏ニ致
シマシテモ、其ノ他ノ職員ニ致シマシテモ、
皆給與ガ不十分デアルト云フ聲モ相當痛切
ナルモノガアルクデアリマス、今囘ハ一律
ニ戰時勤勉手當モ出シマシタヤウナ際デア
リマス、ソレ以上特異ノ方法ハ原則トシテ
ハ皆差控ヘテ居ルヤウナ趣意デアリマス、
稅務行政トシテハ不十分ト考ヘマスルガ、
全體ノ情勢カラ已ムヲ得ズ其ノ程度ニ止メ
テ居リマス、併シ今後モ其ノ點ニ付キマシ
テハ出來ルダケ十分ニ力ヲ盡シテ參リタイ
ト存ジテ居リマス、一面此ノ稅務署ニ働イ
テ居リマスル官吏等ニ付キマシテハ、是ハ
社會一般カラ御覽ニナレバ相當御不滿ナ點
モアルカト思ヒマスルガ、併シ今仰セノヤ
ウナ給與ノ狀態、アノ手不足デ繁劇ナ事務
ヲ致シテ居リマスル其ノ心構ヘハ、是ハ稅
務傳統ノ精神ニ依リマシテ、其ノ勤務時間
ニ於キマシテモ、勤務ノ狀態ニ於キマシテ
モ、私共モ之ヲ見マスル時ニ淚ナクシテハ
見ラレナイ程熱心ニ大多數ノ者ガヤツテ居
ルノデアリマス、私ハ是ハ銃後モ前線モ御
國ノ爲ニ盡スト云フ點カラ考ヘマシテ、實
ハ內心喜ビ、又氣ノ毒ニ思ツテ居ルノデア
リマス、此ノ傳統ノ精神ハ益〓之ヲ發揮、
發揚、涵養ヲシテ參リマスルヤウニ努メタ
イト存ジマス、尙ホ一々ノ稅務署ノ行政ニ
付キマシテモ昨年ノ個人營業稅、所得稅等
ニ付キマシテモ、所謂守株墨守ノ態度ヲ
離レマシテ、實際ノ社會ノ實情ニ副フベク
餘程指導ヲ致シテ居リマス、其ノ意味ニ於
キマスル新シキ稅務精神ノ涵養ニ努メテ參
リタイト存ジマス、尙ホ只今モ素質ノ向上
ノ爲ニハ豫メ講習所ヲ設置シマシテ、此處
デ正規ノ講習ヲ受ケテ出シマシタ者ヲ稅務
署ノ第一線ノ中樞ニ配置致シマスル考ヘデ
最近實施ヲ致シテ居リマス、是等ニ付キマ
シテモ相當ノ志願者ガアリマシテ、募集人
員モ超過スルヤウナ狀態デアリマシテ、大
變喜ンデ居ル次第デアリマス、尙ホ其ノ外
稅務署ノ數ノ不足、ソレ等ニ付テモ考究致
シテ居リマスガ、一面經費ヲ全面的ニ出來
ルダケ節約致シマスルヤウナ考ヘ方カラ、
不十分デハアリマスガ、稅務署ノ分離增設
等ニ付キマシテモ出來ルダケハ實行シテ參
リタイト存ジテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=66
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067・木村正義
○木村(正)委員 私ハ徵稅事務ノ刷新ニ關
スル只今ノ大藏大臣ノ御說明ニハ實ハ滿足
ヲ致シマセヌ、今日マデノヤウナ狀態、又
只今御話ニナリマシタ程度デハ依然トシテ
徴稅事務ノ方面ニ一大缺陷ガアルノデハナ
イカト思ヒマス、大藏當局トシテハ他ノ關
係等カラ經費、其ノ他ノ點ヲ考慮サレテ御
遠慮ニナツテ居ルヤウナ點モアルト思ヒマ
ス、併シナガラ今日只今御話ニナツタヤウ
二、稅務官吏ノ淚グマシイ活動ニ對シマシ
テハ、私モ大藏大臣ト同ジヤウニ衷心カラ
同情ヲ致スノデアリマスガ、今日ノヤウナ
狀態ニ放置シテハ迷惑ヲスルモノハ、是ハ
納稅者、或ハ國民ノ側ニアル、今御話ニナ
ツタヤウナ狀態デ國民ニ對スル徴稅ノ事務
ニ誤謬ナリ、或ハ不當ナル點-サウ云フ
點ガナイコトガ保證サレマスルナラバ、ソ
レハ洵ニ結構デアリマスケレドモ、今日ノ
實情カラ申シマスルト、稅務官吏ノ數ガ足
ラナイ、ソレガ素質ガ十分デナイ、ドウカ
スルト二、三箇月前マデ學校ニ居ツタ者ガ
重要ナ事務ヲ執ツテ居ル、斯ウ云フヤウナ
狀態ニ在リマシテハ、此ノ納稅思想ニ對シ
テ國民ガ心カラ納得スルト云フコトニナラ
ヌノデハナカラウカ、隨テ是ハドウシテモ
思ヒ切ツテ一大刷新ヲナサレナケレバナラ
ヌノデハナカラウカ、例ヘバ待遇ノ點等モ
實際調査ヲ致シテ見マスルト、、平均給ハ七
十五圓ニナツテ居ルノニ、大概ノ所ハ六十
二、三圓デアル、直接稅等ヲ取扱ツテ居ル
直接係ノ判任官ノ平均給ヲ調ベルト、平均
給ヨリモ十圓位下ノ所ガ大〓ノ實際支給ヲ
受ケテ居ル俸給額デアリマス、或ハソレニ
相當スル人物ガ居ナイノガ原因カモ知レマ
セヌケレドモ、サウ云フ狀態ニ於テハ素質
ノ良イ者ヲ其處へ引張ツテ來ルト云フコト
ハ困難デハナイカ、況ヤ數ガ少イ、サウシ
テ一人當リ數千件ヲ持ツテ居ル、所得ニシ
テモ純益ニ致シマシテモ、ソレヲ二三箇月
ノ間ニ調査ヲスルト云フコトハ、殆ド人力
デハ不可能デアル、是ハモウ誰ガヤツテモ
私ハ出來ナイト思フ、サウ云フ事務ヲ執ラ
シテ置イテ、國民ニ納稅ノ公正ヲ期スルト
云フコトハ非常ニ困難デハナイカト思ヒマ
ス、隨テ今御話ニナリマシタ點ハ、私ハ十
分認メマスケレドモ、今後增稅ヲ斷行シテ
行ク上ニ付キマジテ、徴稅事務ノ刷新ト云
フコトハ何ガ何デモナサラナクテハナラヌ
ノデハナイカ、サウシテ誤リノナキヲ期サ
ナケレバナラヌノデハナイカ、誤リノアル
點ニハ審査ノ方法等ガアルカラ、ソレデ宜
イデハナイカト御話ニナルカモ知レマセヌ
ケレドモ、サウ云フ再審査ノ方法ト云フコ
トハ末ノ末デアリマス、國民ノ總テニソレ
ヲヤル譯ニハ行カナイノデアツテ、是ハ殆
ド末ノ末ノ問題デアツテ、根本ハ徵稅事務
ニ誤リナキヲ期スル、徵稅ガ公正妥當デア
ル、誤リガナイト云フ方法ヲ執ラナケレバ、
國民ヲ私ハ納得セシメルコトガ出來ナイト
思ヒマス、其ノ意味ニ於キマシテ、今後思ヒ
切ツタ一ツノ改善刷新ノ方策ヲ御執リニナ
ル必要ガアルカト思ヒマス、只今御話ニナ
リマシタ點ハ十分了解致シマシタケレドモ、
其ノ程度ヲ以テシテハ今後ノ徵稅事務ノ一
大改善ガ出來ルト私ハ納得スルコトガ出來
ナイコトヲ申上ゲテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00219430202&spkNum=67
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068・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 御話ハ洵ニ御尤モノ點ガ
アリマスノデ、私共モ出來ルダケ御趣旨ニ副
フヤウニシタイト思ヒマス、唯一ツノ御話
ガアリマシタガ、平均給ハ七十五圓ダガ、
六十五圓シカヤツテ居ナイ是ハ實ハ一パイ
ヤリタイ、十圓餘シテ居ル譯デハ決シテア
リマセヌノデ、ソレハ平均給ヨリモ高イ者
モアリ、又賞與ノ一部財源ニモナリマスル
ノデ、一パイ〓〓實ハ豫算ガ足ラヌト思
フ程使ツテ居リマシテ、結局是ハ御話ノ如
ク給與全體ガ少イト云フコトニナル、又將
來適當ナ機會ガアリマシタラ成ベク早ク考
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069・松村光三
○松村委員長 本日ハ此ノ程度ニ致シマシ
テ、明日午前十時カラ開會致シタイト思ヒ
マス、尙ホ此ノ際御願ヒ致シテ置キマスガ、
大藏當局ノ出席ノ色々打合セノ都合モアリ
マスカラ、明日以後御質疑ヲ御通告願ツテ
居リマス古河サン、河野サン、駒井サン、
田下サン、有馬サン、尙ホ木村サンモ明日
以後ノ御質疑ヲ豫メ御用意下サランコトヲ
此ノ際特ニ御願ヒ致シテ置キマス、本日ハ
是ヲ以テ散會致シマス
午後五時二十分散會
〔參照〕
古河委員要求ノ參考資料
直接國稅滯納者調
但シ昭和十七年自一月十箇月中ニ課稅
至十月
決定セラレタルモノニ付テ
各財務局別ニ
1.法人ト各事業年度ヲ歷年別ニシテ
員數竝ニ各稅種別ニ稅額
2.ニ個人ハ營業者ニシテ昭和十七年分
純益決定ノモノヽ內其人員竝所得、
利得、營業稅每ニ稅額
3.讓渡利得ノ昭和十七年中ニ決定ノ
モノヽ內人員、竝ニ稅額
二、相續稅物納調
昭和十七年中ニ物納ノ許可セラレタル員
數竝ニ稅額
三、間接國稅犯則者調
但シ昭和十七年中ニ檢擧セラレタル件
數竝ニ稅額
1.酒稅
2.〓涼飮料稅
3.遊興稅
4.飮食稅
5.物品稅
四、砂糖ニ付テ(單位百斤)
1.臺灣ニ於ケル昭和十七年ノ產糖高
2.同上生產費竝ニ附帶費各別ニ
3.內地ニ於ケル昭和十七年中ノ消費
高
4.現在ノ各種糖每ニ關稅
河野(密)委員要求ノ參考資料
昭和十八年度各稅別收入見込額調
二、今次稅制改革ニ依ル各稅別增收見込
額調
三、最近五箇年間ニ於ケル歲入總額中ニ
占ムル租稅收入ノ割合調
四最近五箇年間ニ於ケル租稅ト公債ト
ノ比率調
五、最近五箇年間ニ於ケル直接稅、間接
稅(流通稅ヲ含ム)比率調
六、今次增稅ノ結果ニ於ケル直接稅、間
接稅ノ比率
七、最近五箇年間ニ於ケル國民所得ト租
稅トノ割合調
八最近五箇年間ニ於ケル公債發行額ト
ソノ消化狀況調
九、酒造稅ニ於ケル一級、二級、三級、
四級ノ造石見込高及稅收見込額調
一〇、租稅臨時措置ノ改正ニ依ル減收見
込額調
田下委員要求ノ參考資料
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