第81回帝国議会　衆議院　臨時利得税法中改正法律案外十一件委員会　第7号　昭和18年2月8日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  昭和十八年二月八日（月曜日）午前十時十六分開議
  　出席委員左の如し
  　　委員長　松村光三君
  　理事　川崎巳之太郎君　理事　小泉純也君
  　　理事　河野密君　理事　永野護君
  　　理事　藤本捨助君　理事　三木武夫君
  　　　　有馬英治君　　　小野義一君
  　　　　小野秀一君　　　川崎末五郎君
  　　　　勝正憲君　　　木村正義君
  　　　　九鬼紋七君　　　小林絹治君
  　　　　駒井重次君　　　坂本宗太郎君
  　　　　田中勝之助君　　　中村三之丞君
  　　　　中島彌團次君　　　原口純允君
  　　　　橋本祐幸君　　　古河和一郎君
  　　　　松岡秀夫君　　　松永壽雄君
  　　　　前田善治君　　　三善信房君
  　　　　山中義貞君　　　渡邊善十郎君
  　出席國務大臣左の如し
  　　　　　　　　農林大臣　井野碩哉君
  　　　　　　　　大藏大臣　賀屋興宣君
  　　　　　　　　商工大臣　岸信介君
  　出席政府委員左の如し
  　　　　　　　　大藏次官　谷口恒二君
  　　　　　大藏省主税局長　松隈秀雄君
  　　　　　　　大藏書記官　池田勇人君
  　　　　　　　大藏書記官　平田敬一郎君
  　　　　　商工省企業局長　豐田雅孝君
  　　　　━━━━━━━━━━━━━
  本日の會議に上りたる議案左の如し
  　臨時利得税法中改正法律案（政府提出）
  　臨時租税措置法中改正法律案（政府提出）
  　酒税法中改正法律案（政府提出）
  　酒造組合法中改正法律案（政府提出）
  　清涼飮料税法中改正法律案（政府提出）
  　取引所税法中改正法律案（政府提出）
  　砂糖消費税法中改正法律案（政府提出）
  　物品税法中改正法律案（政府堤出）
  　遊興飮食税法中改正法律案（政府提出）
  　入場税法中改正法律案（政府提出）
  　特別行爲税法案（政府提出）
  　輸出する物品に對する内國税免除又は交付金交付の停止等に關する法律案（政府提出）

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• 001・松村光三

  ○松村委員長　會議ヲ開キマス、豫メ御願
  ヒ申シ、又御協議ヲ致シマスルガ、明日ハ部
  屋ヲ使ハレナイ豫定デアリマスノデ、成べ
  ク本日中ニ質疑ヲ或ル程度終了致シタイト
  考ヘテ居リマスノデ、其ノ意味ニ於テ御質
  疑ヲ御願ヒ致シマス-古河サン

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• 002・古河和一郎

  ○古河委員　ソレデハ主税局長ニ御伺セシ
  タイノデアリマスガ、現在ノ租稅ハ昭和十
  五年ニ割期的ノ、所謂理想的ノ稅法ガ制定
  サレタノデアリマス、其ノ中デ直接國稅ノ
  税務ニ付キマシテハ、其ノ後取扱者ニ於キ
  マシテモ、其ノ複雜ナルコトニ閉口致シマ
  ツテ、異口同音ニ單一化ヲ希望シテ居ルノ
  デアリマス、卽チ法人ガ一事業年度ノ決定
  ヲスルニ當リマシテモ、十一枚ノ表ヲ作成
  セナケレバナラヌト云フヤウナ複雜ナルコ
  トニナツテ居リマス、故ニ此ノ議會內ニ於
  キヤシテモ、行政ノ簡易化ヲ强調サレテ居
  ルノデアリマスルカラ、所謂此ノ稅法ハ此
  ノ行政簡易化ニ逆行シテ居ルモノト思フノ
  デアリマスガ、マ速カニ改正セラレル所ノ意
  思ガアルカドウカト云フコトヲ御尋ネシタ
  イノデアリマス

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• 003・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　只今古河委員ノ御尋ネ
  ハ稅法ガ昭和十五年ノ稅制改正ノ目標デ
  アツタ所ノ簡易化ト云フコトカラ稍、〓遠ザカ
  リツツアツテ、複雜性ヲ加ヘテ居ルガ、之
  ヲ近イ將來ニ改正スル考ヘハナイカ、斯ウ
  云フ御尋ネデゴザイマス、稅制ガ複雜化シ
  ツツアリマスルコトハ、洵ニ御意見ノ通リデ
  アリマス、此ノ點ハ先達テモ申上ゲタノデ
  アリマスルガ、租稅負擔ノ輕イ時代ニ於キ
  マシテハ、餘リ他ノ點ヲ考慮シナイデ租稅
  政策ヲ決メルコトガ出來タノデアリマスル
  ガ、次第ニ國民ノ租稅負擔ガ重クナリマスル
  ト云フト、各種ノ經濟諸政策トノ調和ヲ圖
  リマスル上ニ於キマシテ、卽チ或ハ轉廢業
  者ニ對シマスル措置デアルトカ、或ハ重要
  產業ニ對シマスル負擔ノ輕減等ニ依リマス
  ル生產增强策ヲ圖ル、或ハ資金ノ蓄積ノ政策
  ヲ助長スルト云ツタヤウナ觀點カラ、稅法
  ニ對シテ種々ノ考慮ヲ要スベキ點ガ現ハレ
  マシテ、ソレ等ノ點ヲ考慮致シマスル結果、
  複雜性ヲ加ヘマスルコトハ巳ムヲ得ナイ所
  デアリマス、併シ稅法ガ複雜化致シマシテ、
  官民トモ其ノ煩ニ惱ムト云フコトハ極力避
  ケナケレバナラナイコトデゴザイマスルノ
  デ、今後ニ於キマスル稅法ノ改正ノ機會ニ
  於キマシテハ、一方ニ於テ出來ルダケ稅法
  ノ簡易化ヲ圖ルト共ニ、他方重要諸政策ト
  ノ調和ニ付テモ適當ナ調節ヲ圖ル、卽チ二
  ツノ目的ハ一面カラ見マスルト云フト矛盾
  シテ居ルノデアリマスルガ、此ノ目的ハ兩
  方トモ大切ナコトデアリマスルノデ、其ノ
  目的ヲ兩方トモ達シ得マスルヤウニ適當ニ
  調節ヲ圖ツテ行ク、斯ウ云フコトガ必要デ
  アラウト思ヒマスノデ、今後ニ於テモ御趣
  旨ノ點ニ鑑ミマシテ十分〓究ヲ致シタイト
  思ヒマス

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• 004・古河和一郎

  ○古河委員　只今主稅局長ノ御話ヲ聽キマ
  シテ滿足ニ存ズル次第デアリマスルガ、實
  ニ現在ノ稅制ハ複雜デアリマシテ、事務的
  ノ仕事ガ非常ニ多イ、ソレ故ニ實地ノ檢査
  ガ粗漏ニナリ、粗漏ナルガ故ニ課稅ノ公平
  ヲ欠クト云フ現狀ニアルノデアリマス、其
  ノ例ヲ擧ゲマスレバ幾ラデモアルノデアリ
  マスルガ、今御話ヲ聽キマシテ早晩何トカ
  ナサルヤウニ考ヘラレルノデアリマスカ
  ラ、其ノ例ハ擧ゲズニ置キマス
  ソレカラ臨時利得稅ニ付キマシテ御尋ネ
  シタイト思フノデアリマス、現在ノ稅法ニ
  於キマシテモ少額資本ノ法人ニ對シテ非常
  ニ重壓ナル課稅ニナツテ居ルノデアリマス、
  個人ト比較致シマシテ此ノ少額ノ資本金ノ
  法人ハ非常ナル重課ヲサレテ居ル現狀デア
  ルノデアリマス、然ルニ又法人ノミノ利得
  稅ノ改正ヲ見マス時ニ、益〓少額資本ノ法人
  ハ重課サレルヤウナコトニナルト考ヘラレ
  ルノデアリマス、現在ニ於テモ此ノ小サイ
  所ノ法人ハ個人ニ還元シタイト云フ所ノ意思
  ヲ澤山ニ持ツテ居ルノデアリマス、然ルニ一
  方ニ於キマシテ企業許可令ガアリマスガ爲
  ニ、是ガ障壁ニナツテ個人ニ還元スルコト
  モ出來ナイ、斯ウ云フヤウナ現狀ニアルノ
  デアリマスルカラ、何トカ大藏省ト商工省
  ト御協議下サツテ、之ヲ是正シテ戴キマシ
  テ、解散スレバ直チニ個人デ營業ノ出來ル
  ヤウニシテ戴キタイト思フノデアリマス、
  之ニ付キマシテ主稅局長ノ御意見ヲ御伺ヒ
  致シタイト思ヒマス

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• 005・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　資本ノ少イ法人、所謂小
  法人ノ負擔ガ臨時利得稅ニ於テ相當過重デ
  アルト云フ御話デアリマスルガ、此ノ點ニ
  付キマシテハ從來ニ於キマシテモ資本金額
  十万圓以下ノ小法人、卽チ其ノ企業形態ガ
  大體ニ於テ個人ニ似テ居リマス法人ニ付キ
  マシテハ、特ニ稅率ヲ百分ノ十ヅツ輕減致
  シテ居リマスルノデ、相當緩和ニ相成ツテ
  居ルト思フノデアリマス、今囘ノ臨時利得
  稅ノ改正ハ、基準年度ノ平均利益ヲ廢止ス
  ルノデアリマシテ、大體之ニ依ツテ負擔ノ
  增加致シマスル者ハ、事變前ノ利益ノ多カ
  ツタ者デアリマシテ、是等ハ相當資本ノ多イ
  法人ノ方ニ其ノ傾向ガアツタノデアリマス
  ルカラ、小法人ニ對シマスル今囘ノ改正ノ
  影響ハ、比較的少カラウト思ツテ居ルヤウ
  ナ次第デアリマス、尙ホ法人組織デ企業ヲ
  致シマスルコトガ不利デアルカラ、寧ロ個
  人經營ニ戾リタイ、斯ウ云フヤウナ場合ニ
  於テ、企業許可令ガ妨ゲヲナシテ居ルト云
  フヤウナ實情ガアルヤウデアリマスルナラ
  バ、關係當局トモ其ノ點ニ關シテハ十分ニ
  協議ヲ遂ゲルヤウニ致シタイト存ジマス

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• 006・古河和一郎

  ○古河委員　只今御親切ナル御答辯ヲ戴キ
  マシテ、滿足ニ存ズル次第デアリマス、元來
  少額ナル所ノ法人ノ純益ヲ決定セラレル上
  ニ於キマシテ、何レノ財務局ニ於キマシテ
  モ二十万圓以下ノ法人ハ殆ド個人ニ等シイ
  ヤウナ調査方ヲナサレマシテ、唯賣上ノミ
  ヲ調査スルトカ、或ハ個人的ナ少額資本ノ
  會社デアレバ、個人ノ預金ヲ調査スルトカ
  ト云フ風デ、唯單ナル一ツノコトヲ調査シ
  テ、直チニ標準率ヲ課ケテ、個人ノ純益ヲ
  調査スルノト同ジヤウナコトヲナスツテ居
  ルノデアリマス、尤モ二十万圓以上ノ會社
  ニ付キマシテハ、相當ナル時間ヲ費シテ調
  査ヲナサツテ居ルノデアリマスガ、此ノ少
  額ナル所ノ法人ニ付キマシテハ、實際ニ於
  テ調査ヲナサルコトガナイト言ウテモ宜イ
  ヤウナ狀態ニアルノデアリマス、是モ今申
  上ゲタ所ノ稅ガ餘リ複雜デアツテ、事務的ノ
  仕事ガ多イノデ調査ヲスル所ノ時間ガ少ク
  ナル、ソレガ故ニ此ノ少額ナル所ノ法人ガ、
  其ノ爲ニ調査ヲ粗漏ニサレテ、實地ニ副ハ
  ナイ所ノ決定ヲサレテ居ルノデアリマス、
  斯クノ如クシテ其ノ決定ヲサレマシテ、サ
  ウシテ審査ヲ請求致シマスト、此ノ審査ニ
  付キマシテハ個人ノ審査デアレバ、大抵其
  ノ年ニオ片付ケニナルノデアリマスガ、法
  人ノ審査ニ付キマシテハ出シテモ放ツトケ
  ト云フヤウニ「ルーズ」ニナリマシテ、幾ラ
  ヤカマシク言ヒマシテモ、一ツトシテ手ヲ
  着ケラレナイヤウナ現狀ニアリマス、是モ
  同ジク稅ガ複雜ナルガ爲ニ事務的ニ要スル
  時間ヲ其ノ方へ取ラレテシマツテ、ココマデ
  手ガ屆カヌノヂヤナイカト思フノデアリマ
  スルガ、此ノ調査粗漏ノ爲ニ斯クノ如キ間
  違ツタル決定ヲサレ、ソレニ依ツテ審査ヲ請
  求スル、請求シテモ調査ヲナサラナイデ其
  ノ儘時效ニ掛ルマデ放ツテ置カレル、旣
  稅金ハ納メテ居リマスルカラ、モウ時效ニ
  掛ツテ、何トカ取下ニシタラドウカト云フ
  ヤウナ風デ、終ヒニ取下ゲニスルヤウナ狀
  態ニナリ、甚ダ遺憾ニ考ヘマスノデ、此ノ
  法人ニ對スル審査ヲモウ少シ早ク御處理ヲ
  ナサツテ戴キタイト思フノデアリマスルガ、
  主稅局長ノ御意見ヲ御伺ヒ致シマス

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• 007・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　所謂小法人ノ中ニハ大法
  人ト異ナリマシテ、經理事務ヲ擔當スル專
  門ノ係ガ居ラヌト云フヤウナコトノ爲ニ、
  必要ナル貸借對照表、財產目錄等ガ作レテ
  ナイ、中ニハ決算モ十分致シテ居ラナイ、
  斯ウ云フヤウナモノガゴザイマスルノデ、
  是ガ法人稅ノ調査ニ當リマシテハ、稅務署ニ
  於テモ苦心致シテ居ルノデアリマス、隨ヒ
  マシテ中ニハ考課狀面ニ依ツテ決定スルト
  云フヤウナコトガ出來マセヌ爲ニ、認定ノ
  方法ニ依ラザルヲ得ナイヤウナモノモアル
  ノデゴザイマスルガ、其ノ場合ニ於キマシ
  テモ、成ベク小法人ハ小法人トシテノ權衡
  ヲ失セザルヤウニ、小法人同士ノ釣合ヲ取
  ルヤウニ、認定ヲ致シテ居ルヤウナコトガ
  アルノデゴザイマス、個人ノ率ヲ高ク用ヒ
  ルト云フコトハ、出來ルダケ避ケテ居ルノ
  デアリマス、左樣ニ致シマシテ、認定課稅
  ヲ致ス場合ガアルノデアリマスルカラ、隨
  ヒマシテソコニ審査ノ請求ガ出來ルト云フ
  ヤウナコトニナル場面ガ生レテ參ルノデア
  リマスルガ、其ノ場合ニ於キマシテ、調査
  ヲ致シマスルノニモ、先程申シタヤウナ會
  社ノ經理狀況デアリマスル爲ニ、相當手數
  ヲ要スルノデアリマスルガ、其ノ場合ニ於
  キマシテ、出來ルダケ早ク調査ヲ致シマシ
  テ、出來ルダケノ資料ニ依ツテ適正ナ課稅ヲ
  行フコトハ、稅務當局トシテ勿論ヤラナケ
  レバナラヌコトデアリマスルカラ、サウ云
  テ
  フ風ニ指導シテ參リタイト思ヒマス、數ガ
  相當ゴザイマスノデ、御話ノヤウニ審査請
  求後調査ノ遲レテ居ルモノガアルダラウト
  ハ思ツテ居リマス、此ノ點ニ付キマシテハ
  ソレデハ納稅者ガ迷惑スルバカリデナク、
  役所ノ事務トシテモ未決ガ多クシテ片付カ
  ナイノデアリマスカラ、出來ルダケ審査請
  求ヲ早ク處理スルヤウニト云フコトハ、時
  ニ觸レ、折ニ觸レ注意ハ致シテ居ルノデゴ
  ザイマスルガ、只今更ニ御意見ガゴザイマ
  シタカラ、今後ニ於キマシテモ、審査事務
  ノ速カナル處理ニ付キマシテハ財務局、稅
  務署等ニ其ノ趣旨ヲ徹底スルヤウニ指導シ
  テ參リタイト思ツテ居リマス

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• 008・古河和一郎

  ○古河委員　大變御親切ナル御答辯ヲ戴キ
  マシテ滿足ニ思ヒマス、併シ小法人ノ純益
  ヲ決定サレマス場合ニ、今局長ハ他ノ均衡
  上不公平ニナラナイヤウニヤツテ居ルト云
  フ御話デアリマシタガ、私共知ツテ居リマ
  スル範圍內ニ於キマシテハ聊カ違ツテ居ル
  ノデアリマス、所謂純益ハ個人ト同ジヤウ
  ニ御出シニナルカモ知レマセヌガ、稅率ヲ
  課ケル時ニ、法人ノ方ガ非常ニ稅率ガ高イ
  ノデアリマス、故ニ同ジヤウナ商賣ヲシテ
  居リマシテ、賣上金額モ個人ト小法人ト等
  シイ、然ルニ稅額ニ於キマシテハ殆ド倍カ
  ラ課カルノデアリマスカラ、私共ノ希望ト
  致シマシテハ、純益ヲ同ジヤウニスルノデ
  ハナクシテ、稅額ヲ以テ平等ニ不公平ノ起
  ラナイヤウニシテ戴クヤウニ出來マイカト
  思ツテ居リマスガ、其ノ點ニ付キマシテ御
  伺ヒ致シマス

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• 009・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　只今ノ御話ハ小法人ノ純
  益ヲ調ベマシタ場合ニ於キマシテ、稅率ガ
  個人ト法人トデハ違ツテ居リマスカラ、個
  人ノ場合デアツタナラバ納ムベカリシ稅額
  ニナルヤウニ、純益ノ方ヲ査定シテ落シテ
  決メルト云フヤウナコトガ出來ルカドウカ
  ト云フコトデアリマスガ、是ハ現在個人ト
  法人トニ付キマシテ稅率ノ差等ヲ設ケテ居
  リマスノハ、ソコニソレダケノ理由モアル
  次第デアリマスカラ、直チニ稅額デ同ジニ
  ナルヤウナ風ニ直スト云フコトハ困難デア
  ラウカト思フノデアリマス、純益ヲ計算ス
  ルニ當リマシテ、個人デアレバ認メラレナ
  イヤウナ經費ト云フヤウナモノモ、法人ニ
  付テハ認メルコトニナツテ居リマス、例へ
  バ經營者ガ自分ノ勞務ニ對シテ或ル程度ノ
  給料ヲ取ツテ居ルト云フヤウナコトハ、個
  人デハ認メラレナイノデアリマスガ、法人
  デアレバ認メルト云フヤウナコトニモナリ
  マスカラ、純益ノ算出上ニ於キマシテ、或
  ル程度個人トノ差等ガ付クト思ヒマスカラ、
  其ノ方面ニ付キマシテハ、無理ノナイト云
  ヒマスカ、或ハ適正ナル算出方法ヲ出來ル
  ダケスルコトニ致シマシテ、出テ來マシタ
  純益ニ付テハ稅率ガ違フカラ、負擔ヲ揃ヘ
  ルト云フ意味デ、更ニ斟酌スルト云フヤウ
  ナコトハ致サナイ方ガ宜シイデアラウト思
  ヒマス

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• 010・古河和一郎

  ○古河委員　次ニ相續稅ノ物納ノコトニ付
  キマシテ御尋ネシタイノデアリマス、先年
  相續稅ガ非常ニ滯納ガ多イ、又相當ノ相續
  稅ヲ課稅サレテ、其ノ後物ガ安クナツテ納
  メラレナイヤウナ狀態ニナルト云フコトガ
  原因ニナリマシテ、物納ガ許可サレルコト
  ニナツタノデアリマス、丁度先般資料ヲ要
  求シマシタ中ニ、相續稅ノ物納ノコトヲ御
  依賴シタノデアリマシタガ、ソレヲ見マス
  ルト、十七年中ニハ一件モナイト云フコト
  デアリマス、折角良イ所ノ稅法ガ利用サレ
  ナイト云フコトニナツテ居ルノデアリマス、
  之ニ付テハ何カ理由ガアルダラウト思ヒマ
  シテ、色々調ベマシタ所ガ、物納スル場合
  ニヤハリ個人ガ賣買ヲシタ時ト同ジヤウニ
  讓渡利得稅或ハ所得稅ガ課稅サレルノデア
  リマス、是ガ邪魔ニナツテ物納ノ許可ヲ申
  請スル人ガナイノヂヤナイカト思フノデア
  リマスルカラ、此ノ物納ニ付キマシテハ讓
  渡利得ノ稅或ハ所得稅ヲ免除スルト云フコ
  トガ出來ナイカト、斯ウ思フノデアリマス
  ガ、主稅局長ノ御意見ヲ御伺ヒ致シタイ

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• 011・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　相續稅ノ物納制度ハ昭和
  十六年春ノ議會ニ御協賛ヲ得マシタ制度デ
  アリマスルガ、其ノ後此ノ制度ニ依ツテ不
  動產ヲ以テ相續稅ヲ物納シタ者ガアルカト
  云フ御尋ネニ對シマシテハ、資料ヲ以テ御
  答へ致シマシタ通リ現在マデノ所ハゴザイ
  マセヌ、是ハ考ヘテ見マスルノニ其ノ後ニ
  於キマスル不動產ヲ價格、卽チ土地又ハ建
  物、或ハ山林ニ致シマシテモ、大體ニ於テ
  價格ガ上向キデアリマシテ、强ヒテ相續開
  始當時課稅標準ニナリマシタ其ノ價格デ物
  納シナクテモ、時價ヲ以テ處分シテ納メ得
  ル、斯ウ云フ點ガ主ナル原因デハナイカト
  思フノデゴザイマス、隨ヒマシテ將來不動
  產價格ガ下向キニナツテ來ル、課稅標準ニ
  ナツタ價格ヨリモ稅ヲ納メル當時ニ於テ下
  ツテ來ルト云フヤウナコトニナレバ、此ノ
  制度ハ或ル程度マデ活用サレルト思フノデ
  ゴザイマス、尙ホ只今御述ベニナリマシタ
  物納ノ機會ニ於キマシテ、讓渡利得又ハ山
  林ニ對スル所得稅ヲ免除スルト云フヤウナ
  コトニナリマスレバ、ソレハ其ノ方ガ一層
  效果的デアリマスルコトハ、議論ノ餘地ガナ
  イノデアリマスルガ、一體物納制度ヲ設ケ
  マシタ趣旨ハ相續稅ノ納付ニ當リマシテ、
  課稅標準ニナツタ相續財產ヲ處分シテ納メ
  ルト云フコトニナリマスルト、必ズシモ賣
  レルカドウカ分ラナイ、非常ニ賣リ難イヤ
  ウナ事情モアルデアラウ、又サウ云フ賣ラ
  ナケレバナラナイト云フヤウナコトガ分リ
  マスルト、價格ノ點ニ付テモ足元ヲ見透カ
  サレル、所謂値ヲ落サレルト云フ點ニ對シ
  テ、ソレデハ相續稅ヲ納メル上ニ困難ヲ感
  ズルデアラウト云フ點カラ出マシタ一種ノ
  便法デアリマシテ、卽チ處分上困難ヲ感ズ
  ル點ヲ救フト云フニアルノデアリマス、ソ
  レヲ外ニ賣ツテ現金ヲ調達シタ場合ニ於テ
  讓渡利得ノ稅ガ課カリ、或ハ山林所得ガ課
  カル、ソレトノ釣合ヒヲ破ツテマデ不動產
  ヲ物納セシメルト云フコトニナリマスルト、
  今度ハ通常ノ手段ニ依ツテ現金ヲ取得シタ
  モノトノ釣合ガ非常ニ破レマスルカラ、物
  納制度ヲ創設シタ趣旨、卽チ處分シニクイ
  ト云フ場合ニ於テ、政府ガ課稅標準ニ認メ
  タ價格ヲ以テ引取ツテ上ゲル、卽チ物納セ
  シメルト云フコトデ目的ハ達スルノデアツ
  テ、其ノ後ノ問題ハ今度ハ物納シナカツタ
  人卽チ普通ニ讓渡シテ現金ヲ得タ人ノ釣
  合ハ釣合デ又考ヘル方ガ宜シカラウト存ジ
  テ居ル次第デアリマス

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• 012・古河和一郎

  ○古河委員　主稅局長ノ御意見ト私ノ意見
  トソコニ食違ヒガアルノダラウト思フノデ
  アリマス、私ハ讓渡利得トカ、或ハ所得稅
  ヲ課稅サレルガ爲ニ物納ヲ許可申請シイナノ
  ダト思フ、尤モ主稅局長ノ御話ノ如ク此ノ
  物納制度ガ創設サレマシテカラコチラト云
  フモノハ、物價ガ高クナツテ居リマスルカ
  ラ、ソレガ爲ニナイソデアラウカトモ考へ
  ラレルノデアリマス、納メル方ノ心理狀態
  ト致シマシテ相續稅ヲ相當課稅サレテ居ル
  上ニ、物納スルガ爲ニ讓渡利得ヲリ、所得
  稅ヲ取ラレル、コンナコトナラ止メテ置カ
  ウカ、斯ウ云フコトニナルノヂヤナイカト
  思フノデアリマス、相當高クナツテ居リマ
  スルガ、又高クナツテ居ナイヤウナモノモ
  ゴザイマス、故ニ此ノ物納ノ制度ガ創設ニ
  ナツテカラ一件モナイト云フヤウナコトハ
  サウ云フコトガ原因ヂヤナイカ知ラト私ハ
  思フノデアリマスルガ、今後一層御〓究下
  サツテ善處ヲ願ヒタイノデアリマス
  次ニ御伺ヒシタイノハ特別行爲稅ノ中ノ
  免稅點ノコトデアリマス、此ノ大東亞戰爭
  ニ參加致シマシタ勇士諸君或ハ其ノ他ノ方
  方、所謂戰死セラレタリ戰病死セラレタリ、
  又殉職セラレタ方々ノ遺族ニ對シマシテハ
  凡ユル方面ノ恩典ガアルニモ拘リマセズ、
  此ノ稅法ニハ是等ノ赫々タル武動ヲ御立テ
  ニナツタ方々ノ最後ヲ飾ル御葬式ノ寫眞ノ
  如キモノガ免稅ニナツテ居リマセヌ、是ハ
  非常ニ遺憾ト心得マスルノデ、何トカ之ヲ
  免稅スルヤウニ御願ヒシタイト思フノデア
  リマス、之ニ付キマシテ局長ノ御意見ヲ御
  伺ヒ致シマス

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• 013・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　只今古河委員ノ御述べニ
  ナリマシタ英靈ノ御寫眞ノヤウナ場合ニ對
  シテ、其ノ料金ガ一圓五十錢以上デアリマ
  スル爲ニ特別行爲稅ガ課カルト云フヤウナ
  コトデアツテハ、英靈ニ對スル親切心ガ如
  何デアルカト云フヤウナ御話デアリマスガ、
  其ノ點ニ付キマシテハ稅法施行ノ際ニ於テ
  篤ト考慮致シタイト考ヘマス

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• 014・古河和一郎

  ○古河委員　ソレカラ一時ノ收入所得ニ對
  シテ課稅サレルカドウカト云フコトヲ御伺
  ヒシタイノデアリマスガ、現在ノ稅法ハ遺
  憾ナク總テヲ課稅スルヤウニサレテ居ルノ
  デアリマスガ、此ノ一時ノ所得ニ對シテハ
  何等課稅ヲスルヤウナコトガナイ、是ハ甚
  ダ不公平ダラウト思フノデアリマスガ、此
  ノ問題ニ付キマシテ局長ノ御意見ヲ御伺ヒ
  致シマス

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• 015・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　所謂一時所得ニ對シマシ
  テハ現在ノ所得稅法ニ於キマシテ、第十一
  條ノ六號ノ「乙種ノ事業所得中營利ヲ目的
  トスル繼續的行爲ヨリ生ジタルニ非ザル一
  時ノ所得」ヲ非課稅所得ト致シテ居リマス、
  隨ヒマシテ其ノ他ノ場合ニ於テハ一時所得
  モ亦課稅所得ニ入ルノデアリマスガ、十一
  條ノ六號ニ書イテアリマスルヤウナ場合ニ
  於キマスル一時所得ハ、現在非課稅ニナツ
  テ居ルノデアリマス、此ノ點ニ付キマシテ
  ハ一時所得モ斯カル際ニ於テハ出來ルダケ
  課稅範圍ニ入レルヤウニ工夫スベキデアル
  斯ウ考ヘマシテ〓究ハ續ケテ居ルノデゴザ
  イマス、今考ヘラレマスル一時所得中課
  稅外ニナツテ居ルモノトシテ稍〓著シイモノ
  ト致シマシテハ、個人ノ株式ノ讓渡利得位
  ノモノデアラウカト思ツテ居リマス、ソレ
  以外ト致シマシテ一種ノ射倖的ナ所得トデ
  モ申シマスカ、債劵ガ當ツタト云フヤウナ
  一時所得デアリマス、是ハ金額モ大シタモ
  ノデゴザイマセヌ、是等ニ付キマシテ〓究
  ハ致シテ居ルノデアリマスガ、今囘ハ直接
  稅方面ノ增稅案ハ之ヲ見合ハセルコトニ致
  シマシタノデ、今後ノ機會ニ於キマシテ適
  當ニ考慮致シタイト斯樣ニ存ジテ居ル次第
  デアリマス

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• 016・古河和一郎

  ○古河委員　能ク分リマシタ、ソレカラ砂
  糖ニ付テ少シ御伺ヒシタイノデアリマスガ、
  砂糖ニ付テ關稅ガ五圓三十錢課カツテ居ル
  ノデアリマス尤モ此ノ砂糖ニ付テノ關稅
  ヲ創設サレタ趣意ト云フノハ、砂糖ノ生產ヲ
  保護スル爲ニ出來タノデアリマス、然ルニ
  臺灣ニ於ケル砂糖ノ生產狀況ヲ見マスルノ
  二、旣ニ十年以前ヨリ自給自足ノ產糖ガ得
  ラレル狀態ニアリマス、昨年ノ如キハ非常
  ニ豐作デアツテ、澤山ニ出來タヤウニ心得
  テ居リマス、所ガ砂糖ノ主產地デアル所ノ
  「ジャワ」其ノ他南方方面ヲ此ノ大東亞戰ニ
  於テ攻略致シテ、モウ關稅ノ必要ハ何時ト
  ハナシニ忘レテシマフヤウナ狀態ニナツタ
  ノデアリマス、然ルニ此ノ關稅ノ廢止ガ今
  囘出テ居リマセヌ、其ノ理由ヲ御聽キシタ
  イノデアリマス

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• 017・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　砂糖ノ關稅ニ付キマシテ
  ハ古河委員ノ御述ベニナリマシタヤウニ、其
  ノ沿革ハ本邦砂糖製造業ノ保護、殊ニ臺灣
  〆
  ニ於キマスル砂糖ノ保護ト云フ點ニ發シテ
  居リマスル點ハ御意見ノ通リデゴザイマス、
  最初ニ於キマシテハ其ノ點相當手厚イ保護
  ニナツテ居ツタノデアリマスルガ、臺灣糖
  業ノ發達ニ伴ヒマシテ、漸次保護關稅ノ色
  彩ヲ薄メテ行ツテ居リマス、尙ホ今日砂糖
  ニ對シマスル關稅ガ現存シテ居ルノデアリ
  マスガ、之ヲ此ノ際撤廢スルカドウカト云
  フ問題デアリマスルガ、獨リ砂糖ノ關稅ニ
  止マラズ關稅全體ニ亙リマシテ交易ノ狀況
  ノ變化ニ對應致シマシテ、改正案ヲ考慮ス
  ベキ時期ニ際會致シテ居ルノデアリマス、
  御承知ノ通リ今日ノ交易ハ、所謂從來ノ第
  =
  三國トノ間ノ交易ハ殆ドナイノデアリマシ
  テ、共榮圈內ノ貿易デアリマスカラ、此ノ
  新事態ニ卽應シタ關稅率ヲ大局的見地ニ基
  イテ立ツベキデアリマスガ、何シロ目下戰
  爭遂行中ノ段階ニゴザイマシテ、情勢モ目
  マグルシイヤウニ變化致シテ居リマスシ、
  又關稅改正ノ基礎トナルベキ各種資料等ニ
  付キマシテモ、之ヲ蒐集スルコトガ困
  難デアリ、蒐集致シマシテモモウ事情
  ガ變ツテ居ル、斯ウ云フヤウナ點モ考
  ヘヽ暫ク改正ノ提案ヲ見送ツテ居ル
  ノデアリマスガ、併シ大東亞共榮圈
  内ノ交易及ビ大東亞共榮圈ト其ノ以外ノ地
  域トノ交易ニ付テ、新シク關稅ヲ見直シテ
  改正スルノ必要ガアリマスコトハ當然デア
  リマス、ソレノ根本方針ニ付キマシテハ昨
  年ノ大東亞建設審議會ニ於キマシテモ決メ
  ラレテ居ルヤウナ次第デアリマスルカラ、
  其ノ具體的實行案ニ付キマシテハ、今後關
  係方面トモ密接ナ連絡ヲ取リマシテ、樹立
  致シテ參リタイト思ツテ居リマス、其ノ場
  合ニ於キマシテハ砂糖ノ關稅モ當然檢討サ
  ルベキ範圍ニ入ツテ來ルコトト存ジテ居ル
  ノデアリマス
  そ

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• 018・古河和一郎

  ○古河委員　私ハ南方ヲ占領シタト云フ見
  1.或ハ是ガ又元
  地カラ申シテ居リマスノデ、
  ?ノヤウニナリマスレバ關稅ノ必要モアリマ
  3.
  スガ、元來「ジャワ」ノ砂糖ガ非常ニ安イ、ソ
  レガ爲ニ保護關稅ノ五圓三十錢、又砂糖取
  引所ノアツタ時分ニハ一圓ノ格差ヲ設ケテ
  居ツタ、合計致シマスト六圓三十錢ノ保護
  ヲ與ヘテ居ツタノデアリマス、ソレダケ「ジャ
  ワㄴノ砂糖ガ生產費ガ安ク付クノデアリ
  W.H.丁度精白双ニ於キマシテハ私ノ調査
  一Apoxne
  致シタ所ニ依リマスト、百斤ノ生產者ノ最
  高販賣價格ハ二十七圓六十錢、其ノ中十二
  圓ノ消費稅ガ課カツテ居リマスカラ、十五
  ?
  1圓六十錢ト云フコトニナルノデアリマス、
  25サウシテ製造者ガ申シテ居ルノハ其ノ生產
  費ハ十三圓ダ、二圓六十錢ハ其ノ他ノ販賣
  經費トカ或ハ利潤トカニ持ツテ行ツテ居ル
  ノデアル、斯ウ云フコトヲ申シテ居ルノデ
  :=
  アリマスルガ、果シテ十三圓ノ生產費ヲ要
  -1.
  シテ居ルカドウカ、私資料ヲ要求シテ居ツ
  々タノデアリマスルガ、
  未ダニ資料ヲ戴クコ
  +トガ出來マセヌノデ、實際ノ生產費ヲ知ルコ
  トガ出來マセヌ、砂糖取引所ガアツタ時ニハ
  砂糖調査所ト云フモノガアリマシテ、rtサウ
  シテ砂糖ノコトヲ詳細ニ調ベテ居ツタノデ
  アリマスルガ、取引所ガ解散致シマスト同
  th두
  時ニ、是モナクナリマシテ、業者ニ付キマ
  シテハ一々御調ベニナツテ居ルノデアラウ
  ト思フノデアリマスルガ、絕對ニ祕密ニシ
  テ出サナイ故ニ吾々ハ知ルコトガ出來マ
  セヌ、ア故ニ資料ヲ戴キタイト云フテ要求シ
  タノデアリマスルガ、ソレモ不可能ニ終ツ
  タ譯デアリマス、私ハ砂糖ニ付キマシテハ
  此ノ關稅ヲ撤廢スルノドウノト云フソンナ
  チツポケナ話デハナイノデアリマシテ、砂
  P1
  糖ヲ專賣ニセヨト云フコトヲ言ハントスル
  が
  者デアリマス、南方ノ「ジャワ」ノ如キ生產
  費ノ非常ニ安イ所、又臺灣ニ於キマシテハ
  保護關稅ナリ格差ノヤウナモノヲ設ケテ保
  護ヲ與ヘテ居ル、百斤ニ對シテ六圓餘リノ
  差ガアルノデアリマスガ、ドウシテモ南方
  T:ノ砂糖ト臺灣ノ砂糖トヲ融和シテ巧ク値段
  ヲ決メル我ガ國ノ領有ニナツタ所ノ33-3
  ワ」ト、或ハ臺灣トノ生產價格ヲ決メル
  ト云フヤウナコトハ非常ニ難カシイコトデ、
  砂糖ハ人間ノオギヤツト生レタ時カラ嘗メ
  ルモノデアリマス、ドウシテモ人間ノ生キ
  ル上ニナクテハナラヌモノニナツテ居リマ
  ス、然ルニ現在ノ配給機構ヲ見マスルト、
  Fアノ半島人ノ如キ辛イ物ノ好キナ、唐辛子
  バカリ食フヤウナ者ニ對シテモ同ジヤウニf
  『6半島人ハ砂糖ノ配給ハ辭退
  配給シテヤル、
  ナク受ケテ居リマスケレドモ食ヒマセヌ、
  一,
  之ヲ受ケテ置イテ、米トカ或ハ醬油トカ他
  ノ〓料ト物々交換ヲスル、サウデナケレバ
  闇取引ヲスル、行現在砂糖一斤ガ一圓五十錢
  Lヤバカリデ闇取引サレテ居ルヤウナ狀態デア
  ルノデアリマズ、故ニ是等ノ配給機構ヲ是
  正スル前ニ、又價格ノ闇取引ヲ封ジル爲ニ
  モ、砂糖ノ專賣法ヲ至急ニ實施サレタナラ
  バ、斯カル不合理ナ點ガ一掃サレ、價格モ臺:
  灣ト「ジャワ」トノ砂糖ニ付テ專賣局ガ如何ヤ
  ウニモ出來ルト考ヘルノデアリマス、サウ
  デナイト徒ラニ臺灣ノ糖業者ガ暴利ヲ占メ
  ル狀態ニナルノデ、現在デモ隨分暴利ヲ貪
  ツテ居ルコトハ事實デアリマス、此ノ聖戰
  下ニ於キマシテ、斯カル不合理ナコトハ一
  日モ忽セニスルコトハ出來ヌノデアリマ
  スルカラ、之ヲ是正スル上ニ砂糖專賣法
  ヲ制定セラレンコトヲ希望致シマス、私此
  ノ點ニ付テ大藏大臣ノ所見ヲ御伺ピシタイ中Fご
  ∴mオ出マシ
  ト思ウテ居ツタノデアリマスガ、
  ÷
  ニナリマセヌカラ、先ヅ局長ニ御伺ヒ致シ
  マス

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• 019・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　大東亞共榮圈內ニ於キマ
  シテ多量ニ生產サレマスル物資ノ中、砂糖
  ハ其ノ著シイモノデアル、而モ生產費ガ各
  地ニ依ツテ相當異ツテ居ルカラ、其ノ價格
  ヲ適當ニ定メ、且ツ配給ヲ合理的ナラシメ、
  製造者ノ利益ヲ調整スル爲ニ、專賣制度ニ
  3づ
  致シタラドウカト云フコトデゴザイマスル
  ガ、是ハ中々大キナ問題デゴザイマス、大
  東亞共榮圈全體ノ財政負擔ヲ如何ニスベキ
  カト云フコトニモ關聯シテ參ル問題デアリ
  マシテ、2大東亞共、榮圈內ニ於テ專賣制ヲ布
  クトシタナラバ、先ヅ砂糖カラスベキデアそ
  ルカ、或ハ議論ノ立テ方ニ依ツテハ煙草ヲ
  h或ハ「ア
  選ンダ方ガ宜シイノデハナイカ、
  ルコール」、致醉飮料ヲヤツタラドウカ、斯
  1ウ云フヤウナ問題モゴザイマス、
  隨ヒマシ
  テ是等ノ根本方針ハ大東亞建設審議會ニ於
  テ取上ゲラレテ、先ヅ其ノ基本方針ガ定メ
  ラレ、イ其ノ基本方針ニ基イテ具體的〓究ガ
  チ1
  進メラレテ立案セラルベキモノデアル、斯
  樣ニ存ジテ居ル次第デアリマス、只今マデ
  ノ所デハ砂糖ヲ專賣ニスルト云フヤウナ方
  針ハ決ツテ居リマセヌガ、今後ノ問題トシ
  テ、先程モ申上ゲマシタヤウニ、如何ナル
  E
  品目ニ付テ專賣制ヲ行フベキデアルカ、或
  ハ專賣ニ依ラズ、他ノ方法ニ依ルベキデア
  ルカト云フコトハ段々ニ〓究サレテ、逐次
  は具體案ガ出來テ參ルコトト思フノデアリマ
  ス

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• 020・古河和一郎

  ○古河委員　主稅局長ノ御話デアリマスル
  ガ、私考ヘマスルノニ、石油專賣ノ理由
  月is
  ハ同ジヤウナ狀態ニアルノヂヤナイカト思
  *ハレル譯デアリマス、町
  石油モ南方デ澤山ニ
  S.砂糖モヤハリ南方デ
  出ルノデアリマシテ、
  マま
  安イモノガ澤山穫レル、謂ハバ狀態ガ同ジ
  ·コトヂヤナイカト思フフデアリマス、石油
  ノ専賣ヲセラレルノモ、砂糖ノ專賣ヲセラ
  レルノモ、何等變リガナイト考ヘルノデア
  リマス、今直チニ之ヲ創設セヨト言ヒマシ
  タ所デ、サウモ參リマスマイケレドモ、今
  後一層御〓究ニナリマシテ、砂糖配給ノ狀
  態ヲ商工省ナリ其ノ他ニ付キマシテ能ク御
  調ベニナツテ遲クトモ來議會ニ提案サレン
  コトヲ希望致シマス
  最後ニ御尋ネシタイコトハ前ニ申上ゲ
  マシタ一時ノ所得ニ關聯シタコトデアリマ
  スガ、丁度私ノ選擧區內ニ斯ウ云フコトガ
  アルノデアリマス、或ル信用組合ガ山ヲ持
  ツテ居リマシタ、所ガ買手ガ出來マシテ、
  ソレヲ處分シタ、買ツタ人ハ御禮ト云ツテ、
  組合ノ理事長ガ世話ヲシタモノデアリマス
  カラ、理事長ノ所へ何デモ一万圓包ンデ禮
  ニ行ツタサウデアリマス、ケレドモ自分ハ
  信用組合ノ理事長ヲシテ居ルノミデ、斯ウ
  云フ禮ヲ貰フベキデナイカラト言ヒマシテ、
  之ヲ信用組合へ提出致シタノデアリマス、
  サウシテ信用組合ハ總會ノ決議ニ依リマシ
  テ、理事長ニ對シテ、此ノ賣買ノ努力ニ對
  ~
  シテ一万圓ヲ贈呈致シマシタ、是レ卽チ一
  時ノ所得ノヤウニ私ハ考ヘルノデアリマス
  ガ、稅務當局ニ於テハ之ヲ一時ノ所得ト見
  ズシテ課稅サレタノデアリマス、之ヲ財務
  局ノ直稅部長ガ獨斷デオヤリニナツタヤウ
  ナ形跡ガアル、此ノ理事長ガ貰フ前ニ財務
  局ニ行キマシテ個人係ノ係長ニ詳細御話シ
  テ、稅金ガ課カルモノデアリマセウカ課カ
  ラヌモノデアリマセウカト言ツテ御尋ネヲ
  シタ、サウシタラ係長ハソレハ課カリマセ
  又、一時ノ所得デアリマスカラ課カリマセ
  ヌト言ツタノデアリマス、又稅務署長ナリ
  直稅課長ナリモ同樣ニ言ウタノデアリマス、
  所ガ直稅部長ガ、ソレハソンナモノヲ課稅
  セズニ放ツテ置クノハ怪シカラヌト言ツテ
  課稅シタノデアリマス、ソコデ本人ハドウ
  モ怪シカラヌ、署長ナリ、課長ナリ、又財
  務局マデ行ツテ係長ニ聽イテ、課カラヌト
  云フコトヲ確メテ居ルニモ拘ラズ、課稅ス
  ルトハ怪シカラヌト言ヒマシテ審査請求ヲ
  致シマシタ、所ガ先ニ申シマシタヤウニ、
  審査會ニモ掛ケズ、現在ソレナリニ突込ン
  デアルヤウナ狀態デアリマス、是ハ課稅ス
  ルノガ正當デアルカ、課稅シナイノガ正當
  デアルカ、ソレヲ局長ニ御伺ヒシタイノデ
  アリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=20

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• 021・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　具體的問題デアリマシテ、
  實ハ私トシテハ今日初メテ伺フノデ詳細ノ
  事情ヲ承知致シテ居リマセヌカラ、卽席ノ
  判斷ハ困難デアリマスガ、問題ハ信用組合
  ノ理事長トシテノ資格ニ於テ貰ツタ金額デ
  アルカ、或ハ信用組合ノ理事長デハナク、
  單ニ個人トシテ世話ヲシタ、其ノコトニ對
  スル謝禮デアルカト云フコトニ依ツテ可否
  ガ分レテ參ルト思フノデアリマス、隨ヒマ
  シテドウ云フ事情ノ下ニ其ノ金ガ支給サレ
  タノカト云フコトヲ能ク調ベマシテ、理事長
  タル資格ニ於テ收入シタルモノデアルナラ
  バ、課稅所得ト見テ差支ヘナイト思フノデ
  アリマスガ、是ハ具體的問題デアリマスカ
  ラ、其ノ邊ノコトヲ能ク取調ベマシテ、財
  務局ナリ稅務署ナリニ指示致シマシテ、適
  當ノ處置ヲ付ケサセタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=21

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• 022・古河和一郎

  ○古河委員　此ノ問題ハ理事長一人ガ貰ウ
  タノデハアリマセヌ、金額ハ違ヒマスガ、
  姫路市ノ市會議員モ貰ツタノデアリマス、
  所ガ市會議員ニハ課稅シテナイノデアリマ
  ス、サウシテ理事長ダケ課稅サレテ居ルノ
  デアリマス、今調査シテト云フ御話デアリ
  マスガ、ドウカ十分御調査下サツテ、斯ウ
  云フ內部ノ人ガ一方ハ課カラナイト言ヒ
  最後ニ課稅時期ニ於テ上ノ部長ガ、ソレハ
  課稅シナケレバイカヌト云フコトニナルト、
  實際働イテ居ル人ハ氣持好ク仕事ガ出來ナ
  イヤウナ狀態ニナルノデハナイカト私ハ考
  ヘマス、其ノ意味ニ於テ、事務ヲ統制監督
  セラレル上ニ於テ重大ナ一事デハナイカト
  思フノデアリマス、能ク御調ベニナリマシ
  テ御善處ヲ希望致シマス、私ノ質問ハ是デ
  終リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=22

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• 023・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　先般河野委員カラ御質問
  ノアリマシタ中小商工業者轉廢業ニ關スル
  經費トシテドノ位ノ金額ガ見積ラレテアル
  カト云フコトニ對スル資料ヲ得マシタノデ、
  此ノ機會ニ申上ゲテ置キタイト思ヒマス、
  昭和十八年度ニ於キマシテ共助費補助トシ
  テ約一千八百餘万圓程、ソレカラ損失補償、
  利子補給ノ金額トシテ約三千二百万圓、合セ
  テ約五千百万圓程見積ラレテ居リマス、是ハ一
  般會計ノ分デゴザイマシテ、其ノ他ニ特別會計
  デ僅カノ金額ガアルヤウニ伺ツテ居リマス
  次ニ川崎委員カラ御尋ネノアリマシタ羽
  毛ヲ新シク物品稅ノ第一種甲類ニ追加シタ
  場合ニ於ケル稅額ノ增加見込ノ點デアリマ
  スガ、調ベマシタ所ニ依ルト、大體之ニ依
  ツテ增加スル稅額ハ約一万圓程度ニ見込ム
  コトガ出來ルカト思ツテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=23

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• 024・河野密

  ○河野委員　其ノ一千八百万圓ト三千二百
  万圓ハ各省ニ跨ツテ居ルノデアリマスカ、
  何處ト何處ニ入ツテ居ルノデアリマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=24

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• 025・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　共助費補助一千八百万圓
  ノ內譯ヲ申上ゲマスト、大藏省約四百二十
  五万圓、農林省約三百八十一万圓、商工省
  約四百十四万圓、厚生省約六百二十七万圓
  ト相成ツテ居リマス、ソレカラ損失補償ト
  利子補給ハ國民更生金庫ニ對スルモノデ、
  此ノ三千二百万圓ト云フモノハ商工省所管
  ノ計上ニナツテ居ル譯ナノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=25

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• 026・川崎巳之太郎

  ○川崎(巳)委員　只今ノ羽毛類ノ增加ノ率ヲ
  特ニ仰シヤツテ、御答辯下サイマシタ御親
  切ヲ感謝致シマス、ソコデ一万圓增收ニナ
  ルト云フコトハ結構ナコトデゴザイマスル
  ガ、二十二万圓程上ゲテ居ル所ニ又一万圓
  加ヘルト云フ御話デアツテ、物議ヲ起シテ
  マデモ無理ヤリニ取立テル程ノ稅金デハナ
  イデハナイカ、斯ウ常識上思ハレル、五万
  圓トカ十万圓トカ云フコトナラバ課稅ノ意
  義モアリマスガ、サウ云フ感ジヲ持チマス
  ノト、ソレカラ純綿ガ澤山供給ニナツテ居
  ル時デアレバソレハ宜イノデスガ、其ノ代
  用品ガ中々ナイノデス、ソレデ安イ羽毛品
  デ間ニ合ハセルト云フノデアルカラ、ソレ
  ハ少シ柔カニ所謂大目ニ見テヤツタ方ガ宜
  イノデハナイカト思ヒマスガ、ドウ云フモ
  ノデセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=26

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• 027・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　羽毛ニ付キマシテハ其ノ
  値段モ調ベテ見タノデアリマスルガ、蒲團
  綿ノ一號品デアリマスルト、百匁一圓八錢
  乃至一圓四錢位出シテ居ルヤウデアリマス、
  精撰羽毛ハ、水禽類ニ付キマシテハ、等
  ハ百匁四圓六十五錢位デアリマシテ、二等
  ハ三圓二十五錢、三等ハ二圓十五錢、四等
  ト雖モ一圓ト云フヤウナ風ニナツテ居リマ
  シテ、〓シテ値段ノ高イモノデアリマスル
  シ、又羽毛ノ蒲團ヲ用ユルト云フヤウナ者
  ハ、現在ニ於キマシテハ大體ニ於テ負擔力
  ニ餘裕ノアル階層ノ使用致シマスモノデア
  リマスルカラシテ、此ノ程度ノモノハ物品稅
  ノ課稅範圍ニ取入レルコトヲ適當ト認メタ
  次第デアリマス、將來綿ノ配給ガ現在ヨリ
  モ一層困難ニナツテ、綿ノ蒲團ガ得ラレナ
  イ、モウ羽毛デナケレバ、代替、代用ガ出來ナ
  イト云フヤウナ時代ニナリ、其ノ價格モ非常
  ニ下ツテ參ルト云フ時代ニナリマスレバ、
  考慮ノ餘地ハアルト思フノデアリマスルガ、
  現在ト致シマシテハヤハリ羽根蒲團ニクル
  マルト云フ方ハ比較的負擔力ニ餘裕ガアル
  ノデハナイカ、斯樣ニ存ジマシタノデ、增
  收ノ點ハ第二義ト致シマシテ、此ノ際課稅
  範圍ニ入レルコトニ致シタノデアリマス、
  殊ニ先日モ御話シマシタヤウニ、羽毛デア
  リマスルケレドモ、ソレヲ紙ノ袋等ニ入レ
  マシテ羽根蒲團ト同ジヤウナ恰好デ作ツテ
  居ルモノニ付キマシテハ、羽毛ト認メテ課
  稅シナイコトニナルト、羽根蒲團トノ釣合
  ガ非常ニ惡イ、今取扱デモ課稅シテ居ルヤウ
  ナ次第デアリマスルノデ、ヤハリ此ノ際取
  扱デヤルヨリモ法律上明カニシタ方ガ宜シ
  イト思フノデアリマス、サウ致シマスレバ、
  强ヒテ羽毛ノ形デ袋ニ包ンデ來ルト云フヤ
  ウナコトヲシナイデ、ドウセ課稅ニナルナ
  ラバ羽根蒲團ニマデ仕立テテシマフノデハ
  ナイカト思フノデアリマス、隨テ斯ウ改正
  シタ曉ニ於キマシテハ、多少課稅ノ消費減
  モアルデセウシ、又羽毛ノ儘デナクテ羽根
  蒲團ノ方デドウセ課稅問題ニヲルナラバ、
  羽根蒲團ニマデ行ツテシマハウ、斯ウ云フ
  コトニモナラウト思ヒマスノデ、增收額ハ餘
  リ見込ンデナイ、斯ウ云フ譯デアリマス

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• 028・川崎巳之太郎

  ○川崎(巳)委員　御趣意ハ能ク分リマシタ、
  ソレカラ寫眞ニ付テ稅ガ課カルヤウデス
  ガ、何カ私ニ手紙ガ來テマダ能ク讀ム暇ガ
  ナカツタノデスガ、其ノ中軍人若シクハ軍
  事ノ記念ニ使フヤウナ引伸ノ擴大寫眞、ア
  ア云フモノハ特免ヲシテ貰フヤウナコトハ
  出來ナイデセウカ、例ヘバ電報ハ弔電ハス
  ツカリヤメテ居リマスケレドモ、軍人ノ弔
  電ダケハ許スト云フノデアリマスカラ、之
  ニ付テ特別ノ御考慮ヲ拂ヘナイダラウカト
  云フコトニ付テ御意見ヲ伺ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=28

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• 029・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　先程モ一寸申上ゲタノデ
  アリマスルガ、戰死サレタ方ノ寫眞ヲ飾ル
  爲ニ、寫眞ノ引伸ヲシタト云フヤウナ場合
  ニ於キマシテハ、施行ニ當ツテ考慮ヲ致シ
  タイト思ツテ居ルノデアリマス、ソレカラ
  英靈ノ葬儀等ノ場合ニ於キマシテ公葬ト云
  フコトニナリマスト、大體市區町村等ニ於
  テ營マレマスノデ、其ノ場合ニ寫眞ヲ撮影
  スルト云フコトニナレバ、撮影依賴者ガ市
  區町村デアリマスカテゝ是ハ課稅外ニナル
  ト思フノデアリマス、其ノ他ハ一般ノ場合
  ニ於キマスル出征ノ記念寫眞トカ送別等ニ
  付テマデ擴ゲルト云フコトハ少シ困難カト
  思ツテ居リマス

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• 030・川崎巳之太郎

  ○川崎(巳)委員　此ノ際古河君御質問ノコ
  トニ關シテ一寸一言御尋ネ致シマス、御質
  問ト云フヨリモ御監督ノ稅務署ノ場合ナノ
  デ、是カラ先ノ行政上ノ御參考マデニ一寸
  簡單ニ申上ゲテ置キタイト思ヒマス、ソコ
  デ御相手ガ裁判所ノ方ニ申上ゲルノデハナ
  イノデスカラ、イツ何日何ノ何某ト云フ實
  名ハ略シマスガ、斯樣ナ事件ガアルガ御調
  査置キヲ願ヒタイト云フコトナノデス、一
  ツハ福島縣ノ或ル稅務署デ、是ハ日本國中
  何十箇所アルカ知リマセヌガ、其ノ中デ競
  賣處分ガ一番多イト云フノデス、其ノ管轄
  內ノ一般人民ガ何カ滯納ナリガ特ニ多イナ
  ラバ兎モ角モ、餘リ目立ツノデ最近-去
  年カ一昨年ノ、其ノ邊ノ期間ニ在任ヲシテ居
  ル其ノ役人ガ特ニソンナ癖ガアルノデハナ
  イカト云フコトヲ地方ノ者ガツブヤイテ居
  ル譯デスガ、若シサウ云フ征伐癖ノアル役
  人ガ〓ツテ來ルト云フコトハ困ルト云フ譯
  デ、ソレニ付テ一ツ御調ベ置キヲ願ヒタイ
  ノデアリマス、別ニ今御答辯ハ要リマセヌ
  ソレカラ今度ハ靑森縣下ノ或ル稅務署デ
  ゴザイマスガ、ソコハドウモ鑛區稅ヤ何ヤ
  ノ滯納ヲ見込ンデ、滯納ニナリサウニ仕組
  ンデ行ツテ、ソレヲ競賣ニ付シテ居ル、ソ
  レデ殘念ガル仲間ノ方カラ皮肉ニ考ヘマス
  ルト云フト、競落スル人間ト、稅務署トガ
  グルニナツテ居ルノデハナイカト云フノデ
  ス、餘リ其ノ手バカリ始終用ヒマスノデ、
  惡イ癖ノ役人ダト云ツテ大イニ憤慨シテ居
  ルサウデゴザイマス、其ノヤリ口ハ鑛區稅
  ノ納稅期ガ十二月頃デ、年末デゴタ〓〓シ
  テ居ツテヒヨツト忘レテ居ル時ニ、サア一
  日違ツタト云フヤウナコトデ競賣ニ付ス
  ル、殊ニ其ノ催促ノ通知ガ丁度期限ノ切レ
  ル一日前位ニ來ル、田舍ハ郵便ノ配達ノ不
  完全モアルデセウガ、左樣ナコトデ、サア
  通知ヲ受ケテ、家ノオ父サンガ留守ダト云
  フノデ女房ガソレヲ持チ步イテ居ル中ニ日
  ガ暮レテシマフ、一人二人ナラ宜イノデス
  ガ、皆ガ其ノ手ヲ食フラシイ、ソレカラ滯
  納ノ爲ニ其ノ鑛區權ヲ取上ゲル場合ニハ競
  賣ニ付スル其ノ場合、役場ナリ何ナリニ誰
  ニデモ分ルヤウニ告示デモスレバ宜イケレ
  ドモ、餘リ皆ニ分ツテハ困ル、少數ノ關係
  者ダケガ內證デ分レバ宜イノダト云フノ
  デ、告示ノ方法ガ極メテ短期間、小サイ紙
  デ狹イ範圍デヤル、ダカラ聽イテ見ルト、
  何處其處デ見タト云フ人モアルシ、オヤ、
  ソンナモノハ見ナイト云フ人モアル、ソレ
  デハマルデ人民イヂメニヤルヤウナモノデ
  アル、丁度此ノ頃敵國「アメリカ」ニ於テ日
  本人ヲ所在地カラ何百里先ヘ移シテ、其ノ
  留守ノ所ヲ競賣ニ付シテ、競賣ノ役人ト買
  受ケル奴トグルニナツテ、二東三文ニ叩キ
  落スト云フコトヲヤツテ居リマスガ、サウ
  云フヤウナコトヲ米國デハナクテ、靑森縣
  ノ或ル所デヤツテ居ル、是ハタマラナイコ
  トダ、斯ウ云フ話ヲ聞カサレマシタ、是ハ
  少シ話ガ仰山過ギルカモ知レマセヌ、多分
  尾鰭ヲ付ケタ話ダト思フ、又サウデアルコ
  トヲ希望スルノデアリマスガ、苦痛ヲ愬ヘ
  テ居ルコトハ事實デアリマスカラ、御參考
  マデニ御耳ニ入レテ置イテ、適當ナ機會ニ
  御調査ヲ御願ヒシタイト思ヒマス

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• 031・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　只今川崎委員ノ御注意ノ
  點ニ付キマシテハ、事實ヲ調査致シマシテ、
  不心得ノ者ガアリマスルヤウデアリマスル
  ナラバ能ク注意ヲ致シ、又監督致シテ居ル
  者ニモ御趣旨ノ徹底スルヤウニ致シタイト
  思ツテ居リマス、唯一言此處デ申上ゲテ置
  キマスノハ、稅務署ト致シマシテハ、競賣
  ガ目的デハナクテ、稅金ガ入レバモウソレ
  デ目的ヲ達スルノデアリマスカラ、强ヒテ
  稅金ヲ取リタクナイ顏ヲシテ競賣スルト云
  フノハ、餘程稀ナ場合デアラウト思ヒマス、
  競賣ヲ致シマスレバ非常ニ手續モ厄介デア
  リマスルシ、又稅金額ニ對シテ足リナカツ
  タリ、餘ツタリ致シマシテ、〓算ノ手續モ
  要ル、ソレヨリハ稅金ヲ納メテ貰フ方ガ簡
  單ナノデスカラ、ヨク〓〓ノ場合デナケレ
  バ、可ナリノ場合デナケレバ、競賣マデ行
  カナイノデアリマスガ、場合ニ依ツテ早ク滯
  納ヲ整理シタイト云フ、所謂功ヲ焦ルトデ
  モ申シマスカ、サウ云フ者ガ少競賣ヲ急
  グヤウナ向キガアルカモ知レマセヌ、其ノ
  點ニ付キマシテハ實情ヲ調査致シマシテ、
  競賣センガ爲メノ競賣ト云フヤウナコトガ
  アツテハイケマセヌカラ、十分ニ注意致シ
  マス

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• 032・松村光三

  ○松村委員長　小泉君

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• 033・小泉純也

  ○小泉(純)委員　私ハ主稅局長ニ酒稅法中
  ト酒類團體法ニ付キマシテ、二、三疑點ヲ
  質シテ置キタイト思フノデアリマス、今議
  會ハ速記錄ガ非常ニ遲レマシテ、十分ニ前
  ノ質問應答ヲ調査スルコトガ出來ナイノデ
  アリマシテ、相成ベクハ重複ヲ避ケタイト
  考ヘマスルガ、私ノ伺ツテ居ル記憶ニアル
  範圍ニ於キマシテハ、重複ノナイヤウニ簡
  單ニ御尋ネ申上ゲヨウト思ヒマス、萬一重
  複ノ點ガアリマシテモ、尙ホ簡單ニ御答辯
  ヲ願ヘレバ幸ヒニ思ヒマス
  第一番ニ御伺ヒ申上ゲテ置キタイノハ、
  酒造行政ノ根本ト申シマスルカ、法律案要
  綱ノ三ニアリマスルヤウナコトカラ致シマ
  シテ、今日、酒ガ贅澤品ニアラズ、又一部
  ノ嗜好品ニアラズシテ、國家ノ必需品デア
  ルト云フヤウニ、酒ノ價値ガ轉換サレテ居
  リマスルコトハ、今マデノ議員ト政府當局
  トノ問答ニ依ツテ、是ガ明カニサレテ居ル
  ノデアリマス、然ラバ必需品的價値ヲ持ツテ
  參リマシタ酒ヲ、今後如何ニシテ最低限度
  ニ於テ維持スルカト云フコトニ、當然考へ
  ガ行カナケレバナラヌノデアリマシテ、ソ
  レト最モ關聯スル問題ハ、米ノ不足ト、如
  何ニ米ヲ消費サセナイカト云フコトモ今日
  國家ノ緊急問題デアリマス、此ノ米ノ不足
  下、酒ノ必需品的使命ト云フモノヲバ抱キ
  合セマシテ、何處ニ酒ノ最低限度ノ充足ヲ
  セラルルノデアルカ、私共ハ今日米ヲ使用
  セズニ、酒ヲバ或ル程度充足シテ行カウト
  スルニハ勢ヒ合成清酒及ビ燒酎ト云フ方面
  ニ其ノ分野ヲ開拓シテ行カナケレバ、米ノ
  不足ヲバ是レ以上來サズシテ、酒ヲ或ル程
  度保持スルト云フ政策ハ執リ得ナイノデハナ
  イカト思フノデアリマス、此ノ酒ヲ或ル程
  度補給シテ行クニ付キマシテ、當局トシテ
  ハドウ云フ方面ニ考ヘヲ持ツテ行カレルノ
  デアリマスルカ、合成〓酒ノ將來ノ育威ト
  申シマスルカ、增產ト云フヤウナコトニ付
  キマシテノ御考ヘヲ承ツテ置キタイノデア
  リマス

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• 034・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　御話ノ通リ〓酒ノ原料デ
  アリマスル米ニ付キマシテハ、國民ノ主要
  食糧デアリマスル關係上及ビ最近ノ米穀事
  情ガ相當窮屈ニナツテ居リマスルノデ、最近
  ニ於キマシテハ連年米ノ使用ヲ減ラサレテ
  居ルヤウナ實情デアリマス、最近ノ酒造年
  度ニ於キマスル〓酒ノ爲ノ玄米ノ使用見込
  石數ガ、約百二十六万石デアリマスルコト
  ハ、先日モ申上ゲタ通リデゴザイマス、併
  シ一方ニ於キマシテ、酒ハ重要產業ニ從事
  スル勞務者ハ勿論、家庭用等ニ於キマシテ
  モ、相當必要ナ部面ガゴザイマスルノデ、サ
  ウ減ラス譯ニハ參ラナイ、斯ウ云フコトユナ
  リマスレバ、米ヲ減ラサレタコトニ依リマ
  スル清酒ノ減ヲ補ヒマスル方法ヲ、相當力
  ヲ入レテ考ヘナケレバナラナイコトハ御說
  ノ通リデアリマス、其ノ方法ト致シマシテ
  ハ、〓酒ヲ出來ルダケ餘計造ルヤウニスル、
  其ノ實行方法ト致シマシテハ先般新聞ニモ
  書カレテアリマシタ通リ〓酒ヲ搾リマスル
  直前ニ、醪ニ「アルコール」ヲ混和スルト云
  フコトニ依リマシテ、〓酒ヲノバシテ造ル
  ト云フヤウナコトモ一ツノ方法デアリマス
  ルガ、其ノ以外ニ於テ重要ナ補充ニナリマ
  スルノハ、只今御指摘ニナリマシタ合成〓
  酒ノ製造デゴザイマス、合成清酒ニ於キマ
  シテハ、其ノ原料ハ甘藷、馬鈴薯、其ノ他ノ
  澱粉原料デアリマスルノデ、米ヨリハ使用
  ガ比較的容易ナノデアリマスルガ、併シ是
  トテモ國民ノ代用食糧ニナツテ居リマス
  ル關係上、サウ十分ニハ使ヘナイノデアリ
  マス、而モ最近ニ於キマシテハ、石炭ガ非常
  ニ窮屈ニナツテ居リマスルカラ、燃料ノ關
  係カラ言ヒマシテ、思フヤウニ增產ガ出來
  ナイ事情モアルノデアリマス、合成〓酒ニ
  付キマシテ、最近ノ製造石數ヲ申上ゲマス
  ルト、非常ニ伸ビテ居ルノデアリマシテ、
  例ヘバ昭和十三酒造年度ハ十一万三千石、
  昭和十四酒造年度ハ十六万四千石、昭和十
  五酒造年度ハ三十二万五千石、昭和十六酒
  造年度ハ四十二万一千石、昭和十七酒造年
  度ノ見込ハ約四十三万八千石ト云ツタヤ
  ウナ狀況ニアリマスノデ、大體生產ハ增
  加ノ傾向ヲ迪ル、之ニ依リマシテ〓酒ノ減
  ハ相當減殺シテ居ルト思ヒマス、今後ノ大
  體ニ於テノ見透シト致シマスレバ、米ヲサ
  ウ澤山〓酒ニ使ヒ得ル時期ガ來ルマデニハ、
  マダ暫ク掛ルト思ヒマスノデ、大體合成〓
  酒ノ方ガ仲ビテ清酒ノ減ヲ補フ狀態ハ續タ
  ヤウニ思ツテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=34

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• 035・小泉純也

  ○小泉(純)委員　只今ノ御答辯カラ致シマ
  シテ、米ガ當分使ヘナイカラ、其ノ補充ノ
  一策トシテ、合成清酒ヲ出來ルダケ伸バシ
  テ行カウト云フ政府ノ御方針ガ明瞭ニナツ
  タノデアリマシテ、私共モ全ク同感ニ考ヘ
  ルノデアリマス、ソコデ合成〓酒ト云フモ
  ノガ國家ガ要請スル酒ノ最低限度ヲ充ス主
  要ナルモノニ將來ナツテ參リマスレバ、此
  ノ合成〓酒ノ原料、甘諸其ノ他ヲ最モ效果
  的ニ使用セシメテ、其ノ增產ヲ圖ラナケレ
  バナラナイト思フノデアリマス、現在此ノ
  方面ノコトヲ調査〓究致シテ見マスト、其ノ
  點ニ於テ總テガ十分ノ效果ヲ發揮シテ居ナ
  イ憾ミヲ吾々ハ多ク耳ニスルノデアリマ
  ス、卽チ在來ノ〓酒業者、合成〓酒ノ方面
  ニ經驗ノナイ酒造家ニ原料ノ甘諸ガ配給サ
  と、ソレガ不生產的ニ消費サレテ居ル、
  或ハソレガ十分ニ適當ナ機會ニコナサレズ
  シテ、徒ラニ腐ラセテ居ルト云フヤウナコ
  トモ聞クノデアリマス、一方最近ノ完全ニ近
  イ所ノ蒸餾設備ヲ持ツテ居ル工場ガ原料不
  足ノ爲ニ遊休シテ居ルト云フヤウナ不合理
  ヲ來シテ居ルト承ツテ居リマス、斯クノ如キ
  ハ今日少イ原料ヲ以テ多クノ生產ヲ期サナ
  ケレバナラヌト云フ此ノ決戰態勢下ニ於テ、
  最モ勇斷ヲ以テ所謂重點主義的ノ增產ト云
  フ方面ニ向ケテ行カナケレバナラナイノデ
  ハナイカト考ヘルノデアリマス、一貫作業
  ヲ以テ能ク合成〓酒ノ製造ヲナシ得ル所謂
  蒸餾酒業者ノ設備ヲ十分ニ活用ヲセラレタ
  イト私ハ希フノデアリマス、又輸送ト云フモ
  ノガ今日凡ユル物資ニ重大ナル基底ヲナシ
  テ居ルノデアリマスガ、其ノ輸送ト云フ方
  面カラ考ヘマシテモ、原料ヲ遠隔ノ地ニ輸
  送スルトカ、或ハ出來上ツタモノガ又遠隔
  ノ方面ニ輸送サレナケレバナイト云フ例モ
  國內ニ多イノデアリマス、更ニ最モ戒心ヲ
  シナケレバナラヌノハ、酒ノ名前ヤ、其ノ
  起ツタ土地ノコトハ其ノ業者ノ名譽ノ爲ニ
  私此處ニ申上グルコトヲ差控ヘマスルガ、
  劣惡ナル酒業者ガ極メテ衞生上危險ナ合成
  〓酒等ヲ造リマシテ、ソレガ問題ヲ起シテ
  居リマスコトハ主稅局長ニ於テハ幾多實例
  ニ於テ御承知ノコトト思ヒマス、斯ウ云フ
  コトモヤハリ合成〓酒ノ重點主義ト云フモ
  ノガ徹底シテ居ラズ、小サイ十分ノ設備ヲ
  持タナイ所ノ俄カ造リノ酒屋ヲシテ少量ノ
  酒ヲ造ラシメルト云フヤウナ、人情主義的
  ト申シマスカ、在來ノ社會政策的ナコトカ
  ラ致シマシテ惹キ起ル所ノ弊害デアラウト
  思フノデアリマス、經濟的ノ關係カラ致シ
  マシテモ、國民保健ノ上カラ致シマシテモ、
  ドウシテモ重點主義的ノ原料甘藷ノ配給ヲ黴
  底强化サレナケレバナラナイ段階ニ到達シ
  テ居ルノデハナイカト思フノデアリマスガ、
  此ノ點ニ付キマシテ御所見ヲ承ツテ置キタ
  イノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=35

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• 036・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　合成〓酒ノ主タル製造原
  料デアリマス甘藷ノ配給計畫ヲ立テルニ當
  リマシテ、合成〓酒ヲ造ル爲ニ性能ノ良イ
  蒸餾機ヲ持ツテ居リマスル合成〓酒製造業
  者ヲ中心ト致スト云フコトニ付テハ議論ノ
  餘地ノナイ所デアリマス、唯其ノ主義ダケ
  デ行キ得ナイ事情モアリマシテ、最近ニ於
  キマシテ執リマシタ計畫ヲ申上ゲマスト、
  實ハ只今御指摘ノ甘藷ノ一部分ヲ酒造組合中
  央會ヲシテ在來ノ〓酒業者ノ方ニ割當テタ
  コトハ一昨年ノ米ヲ減シタ時ノ事情カラ起
  ツテ居ルノデアリマシテ、一昨年ニ於キマ
  シテ酒造用米ヲ急ニ從來ヨリ五十万石減シ
  タノデアリマス、其ノ場合ニ於キマシテ〓
  酒業者ハ米ヲ減スナラバ何トカ代リノ澱粉
  原料ヲ得テ合成〓酒ヲ造リタイ、斯ウ云フ
  希望ガ相當强カツタノデアリマス、又一度
  ニ五十万石ノ酒造用米ヲ減スト云フコトハ
  相當ナ減額デモアリマシタノデ、甘藷ノ配
  給エ當リマシテ一部分ヲ中央會ヲ通ジテ〓
  酒業者ニ配ツテ、之ニ依ツテ合成〓酒又ハ
  燒酎ヲ造ルト云フヤウナ政策ヲ執ツタノデ
  アリマス、昨年甘藷ノ配給ニ當リマシテ、
  合成〓酒、燒酎等ノ爲ニ又六千五百万貫程
  ノ甘藷ノ配給ヲ致シタノデアリマスガ、依
  然トシテ〓酒業者ノ使ヒマス米ハ殖エマセ
  ヌシ、更ニ其ノ後三十數万石減ツタヤウナ
  實情ニモアリマスノデ、最近ニ於キマシテ
  モ一部分甘藷ハ〓酒業者ノ手ヲ通ジテ合成
  〓酒化サレテ居ル部分ガアルノデアリマス、
  是ハ大體ニ於テハ變則的ノ處置ト言ツテ宜
  イノデアリマスガ、又一面カラ申上ゲマス
  ト、從來ノ性能ノ高イ蒸餾機ヲ持ツテ居リ
  マス合成〓酒業者ガ、ソレガ爲ニ非常ニ甘
  諸ノ入手難ニ陷ツテ困ツテ居ルカト云フト、
  決シテサウ云フ事情デハナクテ、是等ノ連
  中ハ從來ノ原料ト同程度或ハソレ以上ニ貰
  ツテ居ルノデアリマスカラ、其ノ點カラ申
  上ゲレバ配給計畫ガ著シク不當デアルト云
  フコトハ言ヘナイト思フノデアリマス、唯
  理論的ニ言フナラバ、性能ノ高イ蒸餾機ヲ
  持ツ合成清酒業者ヲシテ全部ノ合成〓酒ヲ製
  造セシメテ、ソレヲ配給スルト云フコトガ考ヘラ
  レルノデアリマスガ、實際問題ト致シマスト、必ズ
  シモ其ノ理論通リニ行カナイ、サウ云フ所
  ニ甘藷ヲ集メルト云フコトガ輸送ノ困難ナ場
  合ガアル、ソレカラ集メルコトニ依ツテ出
  來マシタ合成〓酒ヲ今度ハ消費地ニ配ツテ
  行クト云フ場合ニ於テモ、又輸送上ノ困難、
  輸送ニ伴ヒマス樽トカ其ノ他ノ容器、包裝
  等ノ物資ノ入手難ト云ツタヤウナモノデゴ
  ザイマスノデ、現在ノヤウナ窮屈ナ時ニハ
  理論ニ從ツテ一所ニ集メルト云フコトガ結
  局配給ヲ惡クスル、ソレヨリモ地方的ニ分
  散セシメテ地方ノ消費ニ間ニ合フヤウナモ
  ノハ地方々々デ原料モ集メ、出來タモノモ
  近所デ消費シテシマフト云フ方ガ生產配給
  ノ上ニ於テ都合ガ好イト云フヤウナ場合モ
  ゴザイマスノデ、ソレ等ノ點モ考慮ノ中ニ
  加ヘテ今甘藷ノ配給ノ計畫ヲ立テテ居ルヤ
  ウナ次第デアリマス、將來ノ見透シトシマ
  シテハ劣惡合成酒ガ小釀造人ノ爲ニ出來
  テ居ルト云フヤウナ事情モ聞イテ居リマス
  ノデ、或ハ合成〓酒ヲ造ルニ致シマシテモ、
  「アルコール」ノ出來ルマデハ性能ノ高イ蒸
  餾機ヲ持ツテ居ル者ヲシテ造ラシメテ、其
  ノ「アルコール」ヲ〓酒業者ニ配ツテ、サウ
  シテ之ニ副原料ヲ加ヘテ合成〓酒ニスルト
  云フ過程ハ、〓酒業者ニヤラセルヤウニスル
  ト云フヤウナコトモ一ツノ方法デアラウカ
  ト思ツテ居ルノデアリマスルガ、マア是等
  ノコトニ付キマシテハ、今後ノ情勢モ見マ
  シタ上適當ナル方策ヲ立テタイト思ツテ居
  ル次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=36

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• 037・小泉純也

  ○小泉(純)委員　只今ノ御說明ニ依ツテ實
  情ガ能ク分リマシタ、尙ホ將來ノ見透シニ對ス
  ル主稅局長ノ御答辯ハ、私モ是非サウ云フ
  ヤウナ方法ヲ採ツテ戴クコトガ、先程申シ
  マシタ重點主義ト申シマスルカ、高能率ノ
  理想ニ合致スル所以デアリマシテ、斯ウ云
  フ點モ十分ニ速カニ實現セラレルヤウニ要
  望シテ已マナイノデアリマス、次ニ御尋ネ
  申上ゲタイコトハ、現在ノ酒造界程凡ユル
  業界ニ於テ舊態依然タルモノハナイデハナ
  イカト云フコトヲ私共考ヘルノデアリマス、
  父祖傳來ノ家業デアルカラト申シテ參リマ
  シタガ、ココ一、二年來、殊ニ大東亞戰爭ガ勃
  發シマシテカラハ、凡ユル業者ガ實ニ忍ビ難
  キヲ忍ンデ、父祖傳來ノ家業ヲ擲ツテ、率先
  シテ轉廢業ヲシテ居ルコトハ御承知ノ通リ
  デアリマス、唯茲ニ酒造界ダケガ全ク舊態
  依然トシタ狀態ニアルト云フコトヲ私共考
  ヘマシテ、此ノ點ニ付テ當局ハドウ云フヤ
  ウナ方針ヲ御持チデアラウカト云フコトヲ
  考ヘルノデアリマス、平時百石カラ三百石
  位造ツテ居リマシタ酒屋サンガ、今日段々
  段々減ラサレマシテ、或ハ三十石トカ或ハ
  五十石トカ云フヤウナ原料米ノ配給ヲ受ケ
  テ、尙ホ父祖傳來ノ家業ト稱シテ之ヲ維持
  セントシテ居ルコトハ、徒ラニ物資ト勞
  力ノ浪費デアリ、先程カラ申シマスル產業
  ノ重點主義ト云フヤウナコトニ相反スル時
  代逆行ノ現象デハナイカト思ヒマス、殊
  國策ノ犠牲トナリマシテ、率先轉廢業ヲ致シ、
  或ハ企業整備ヲ致シテ居リマスル他ノ業者
  トノ權衡モ失スル譯デアリマシテ、思想上
  ノ影響、國家ノ損害ト云フモノハ測リ知ル
  コトガ出來ナイト思ヒマス、勿論父祖傅
  來ノ家業トシテヤツテ參ツテ居リマスル小
  サナ酒造業者ニ對シ、同情ハ致シマスルケ
  レドモ、最早今日ノ決戰態勢下ニ於キマシ
  テハ、サウ云フ同情ヲ以テ存續セシムルコ
  トハ出來ナイ、所謂淚ヲ揮ツテ凡ユル產業
  ヲ國家目的ニ集中ヲスルト云フコトガ必要
  ナ段階ニ入ツテ參ツタノデアリマスルカラ、
  宜シク能率ノ效果的良質ナル工場ニ集約シ
  テ生產ノ增强ヲ圖ツテ行ク、サウシテ又一
  方小サナモノヲ轉廢業セシメテ、是等ノ勞
  力ヲ國家ノ重要產業ニ振向ケルト云フヤウ
  ナ考ヘカラ致シマシテ、酒造界ノ企業整備
  ニ對スル所ノ當局ノ御方針ヲ承ツテ置キタ
  イノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=37

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• 038・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　酒類製造業者ニ於キマシ
  テモ、最近情勢ノ急激ナル變化ニ對應致シ
  マシテ、相當國策ニ副フ處置ハ執ツテ參ツ
  テ居ルノデアリマス、原料デアル米ガ減ラ
  サレタコトニ對シマシテハ、ソレニ相應シ
  テ、機宜其ノ宜シキヲ得マスルヤウニ有力
  ナル生產統制ヲ行ツテ居リマス、又配給ガ
  段々問題ニナツテ參リマシタ場合ニ於キマ
  シテハ製造業者モ一面販賣業者デアリマ
  スノデ、其ノ卸賣部面ニ於キマシテハ酒類
  販賣會社ヲ作リマシテ、配給ノ適正ヲ期ス
  ル等、相當國策ノ線ニ沿ウテ活動致シテ居
  ルノデアリマスルガ、酒造組合法ハ、實際今
  酒類製造業者ガ活動シテ居ル所ト睨合ハセマ
  スト、如何ニモ規定ガ古クテ實際ノ活動ニ合
  ハナイ點ガアリ、中ニハ規定ノ爲ニ抑ヘラ
  レテ、モウ少シ活動シタイト思ツテモ出來
  ナイ點ガゴザイマスノデ、今囘酒造組合法
  ノ改正法律案ヲ提案致シマシテ、酒造組合ノ
  面目ヲ近代的ニ一新シマシテ、從來ヤツテ
  居リマスルコトガ法律ノ正面ニ出テ來ル、
  又從來ヤツテ居リマスルコト以上ニ更ニ强
  ク統制ガ行ヒ得マスルヤウニ、サウシテ國
  策ノ遂行ニ協力ノ出來マスルヤウニ致サン
  トシテ居ル次第デアリマス
  次ニ酒類ノ製造業ヲ企業整備的ニ見マシ
  テ再編成スル考ヘガアルカドウカト云フ御
  尋ネデアリマスルガ、此ノ點ニ付キマシテ
  ハ先日中村委員ノ御質問ニ際シマシテモ御
  答へ申上ゲタ次第デアリマス、段々製造致
  シマスル數量ガ減ツテ參ツテ居リマスル〓
  酒業者等ニ付キマシテハ、此ノ際生產費モ
  高ク付キマスシ、勞力或ハ資材ノ點ニ付キ
  マシテモ效率ガ上ラヌト云フヤウナ實情モ
  アリマスカラ、他ノ企業ニ倣ツテヤハリ適
  當ニ之ヲ集約シテ、遊休資材ハ國家ノ更ニ
  一層重要ナ目的ニ向ケルヤウニ指導シテ參
  ル必要ガアルト存ジテ居リマス、ソレノ具
  體案ヲ立テルニ當リマシテ、政府ノ命令ニ
  依ツテヤルカ、改正酒造組合、法ノ規定ニ
  依ウテ組合ガ自治的ニ活動致シマシテ案ヲ
  作リ、ソレヲ大藏省ニ於テ指導シテ參ルガ
  宜イカト云フコトハ今後ノ問題トシテ〓究
  致シマスガ、相當整備ヲ要シマスルコトダ
  ケハ認メラルルノデアリマス、尙ホ雜酒、果
  實酒ノヤウナ、石數ト致シマシテハ幾分殖
  エテ居ルト云フヤウナモノニ付キマシテモ、
  非常ニ種類ガ多過ギタリ、又小サナ製造業
  者ガ多クテ混然タル狀態ニアリマスモノ
  ニ付キマシテモ整理統合ヲ圖ル必要ガアル
  ト思ツテ居ルノデアリマス、ソレカラ合成
  〓酒、「ビール」ノヤウナ大工場生產ノモノ
  ニアリマシテモ、ヤハリ資材ノ關係、燃料
  ノ關係等カラ致シマシテ、或ル工場ハ休ン
  デ他ノ工場ニ集約的ニ製造セシメルト云フ
  ヤウナコトモ考ヘル餘地ガアルノデアリマ
  スカラ、今後ノ問題ト致シマシテハ、大體
  整理統合ヲ必要トスルト云フ方針ノ下ニ、
  愼重ヲ期シテ實行ニ移スヤウニ指導シテ參
  リタイト思ヒマス

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• 039・小泉純也

  ○小泉(純)委員　次ニ、只今申上ゲマシタ
  整理統合ノ必要カラヤハリ起ツテ來ル問題
  +
  デアリマスガ、整理統合シナケレバナラヌ
  ト云フ私共ノ主張モ、今ノ主稅局長ノ御話
  モ、國家ノ必要トスル酒類ヲ出來ルダケ充
  タシテヤルト云フ考ヘ方カラノ要望ニ外ナ
  ラナイノデアリマス、ソコデ國家ノ必要ト
  スル酒類ト申シマスレバ、要項ノ第三ニア
  リマス通リ、國家重要產業ニ從事スル勞務
  者等ニ對シテ生產配給統制ヲ强化スルト云
  フヤウニナツテ居リマシテ、最モ國家ガ必
  要トスル酒ハ勞務者階級ノ飮ム酒デアルト
  云フコトモ言ヒ得ルノデアリマス、ソコデ
  私ハ國家ノ必要トスル酒類ノミニ出來ルダ
  ケ生產ヲ集中致シマシテ、今申上ゲタヤウ
  ナ所謂國家ノ必要ト云フ見地カラ見タ不必
  要ナル酒類ノ製造ヲ出來得ルダケ極端ニ抑
  壓ヲスル政策ヲ執ラナケレバナラヌノデハ
  ナイカト思フノデアリマス、殊ニ先刻ノ御
  答辯ノ中ニモ觸レラレマシタガ、最近幾多
  ノ酒ガ出テ居ルト云フコトハ申上ゲルマデ
  モナイト思ヒマスガ、參考ノ爲ニ私ガ調ベ
  タモノダケヲ申上ゲマシテモ、恐ラク世間
  ノ者ハソンナニ酒ノ種類ガアルカト驚カレ
  ル位ノ多數ニ上ツテ居ル、百合酒ガアル、
  柿酒ガアル、枇杷酒ガアル、紫蘇酒ガアル、
  松葉酒ガアル、葡萄酒ガアル、蘭酒ガアル、
  無花果酒ガアル、蘇鐵酒ガアル、「バナナ」
  酒ガアル、「スツポン」酒ガアル、「ホルモ
  ン」酒ガアル、砂糖酒ガアル、高粱酒ガアル、
  殆ド凡ユルモノガ酒ニ造ラレテ居ルノガ今
  日ノ實情デアルノデアリマス、斯クノ如キ
  ハ其ノ製造者カラ申シマスレバソレ〓〓理
  由ガアリマセウケレドモ、之ヲ大觀スルニ、
  酒不足ノ現狀ニ付ケ込ンダ舊體制的利潤追
  求ノ一ツノ現ハレデアルト云フコトモ、是
  ハ明確ニ言ヒ得ルコトデハナイカト思フノ
  デアリマス、所謂酒不足ニ付ケ込ム所ノ時
  局便乘的酒類デアルト言フコトガ出來ルノ
  デアリマス、平常ナラバ一顧ノ價値モナイ
  ヤウナ斯ウ云フモノヲバ此ノ儘現存セシメ
  テ置イテハ、酒ノ重點的國家ノ要望ヲ充タス
  コトハ出來ナイノデアリマシテ、是等ニ對
  スル整理ヲ御考ヘニナルト共ニ、斯ウ云フヤ
  ウナ時局便乘的利潤追求ノ餘弊トシテ現ハ
  レテ參ル今後ノ新規免許ニ對シマシテ、當
  局ハ斷然タル處置ヲ執ラレンコトヲ要望
  致シ、又只今申上ゲマシタヤウナ私共ノ考
  ヘニ付テ、主稅局長ノ御考ヘヲ承リタイノ
  デアリマス

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• 040・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　果實酒、雜酒ニ屬シマス
  ル中ニハ、御話ノ如ク非常ニ種類ガ多ク、
  其ノ公定價格モ府縣ニ於テ決メルモノモア
  リマス爲ニ非常ニ複雜ニナツテ居リマス、
  又其ノ價格ノ決メ方ニ遺憾ナ點モアリマス
  關係上、有利ナ點ヲ狙ツテ殊更品種ニ作
  爲ヲ加ヘテ異ヲ立テルト云フヤウナ狀況モ
  アリマスノデ、是等ノ整理統合、及ビ根本
  ノ價格問題ノ合理化ト云フコトハ、今後ノ
  酒造行政トシテ大イニ考ヘテ參ラナケレバ
  ナラヌコトト思ヒマスカラ、十分ニ調査〓
  究致シマシテ、出來ルダケ適當ナ方策ヲ執
  ルヤウニ致シテ參リタイト思ヒマス

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• 041・小泉純也

  ○小泉(純)委員　只今ノ御方針ニ付キマシテ
  ハ、是非速カニ之ヲ斷行サレルコトヲ要望
  スルノデアリマス、是ハ單ナル酒造界ダケ
  ノ問題デナクシテ、果實酒等ガ澤山出〓ハ
  リマスコトハ國民保健ノ上ニモ非常ナ影
  響ヲ齎ラスノデアリマス、所謂果實ガ眞ニ靑
  果トシテ國民ニ供給サレズシテ、サウ云フ
  果實酒ノ方面ニ流レテ行クト云フヤウナ傾
  向ヲ取ルノデアリマシテ、是ハ國民保健ト云
  フヤウナ上カラ考ヘテ行カナケレバナラヌ
  問題デアルト思フノデアリマス、現ニ前ノ
  委員會ニ於キマシテ、濁酒ヲ許セト云フヤウ
  ナ委員ノ質問ニ對シテ、主稅局長カラ洵ニ蘊蓄
  ヲ傾ケテノ御所見ヲ拜聽シタノデアリマスガ、
  アノ時ノ御話ノ中ニモ、濁酒ノ原料トシテ
  一ツノ廢物利用的役割ヲナスデハナイカト
  云フ議論ガアルケレドモ、サウ稱シテ置イテ
  實際ハ良イ米ヲ其ノ方面ニ多數使ツテシマ
  フノダト云フコトモ一ツノ反對論デアツタ
  ト記憶シテ居リマスガ、果實ノ如キモサウ云
  フコトガ明カニ言ヒ得ルノデアリマシテ、
  廢物利用ト稱シテ實ハサウデナイ、高ク賣
  レル果實酒ヲ造ルト云フヤウナ傾向ガ非常
  ニ多イノデアリマシテ、靑果ヲ國民保健
  上供給スルト云フヤウナ問題ト關聯致シマ
  シテモ、此ノ澤山ノ種類ノ果實酒ニ付キマ
  シテハ、速カニ根本的整理ト申シマスカ、
  統合ト申シマスカ、只今ノ主稅局長ノ御方
  針ヲ實際ノ上ニ移サレル日ノ速カナランコ
  トヲ要望シテ已マナイノデアリマス
  次ニ酒類業團體法ニ付キマシテ、細カイ
  條文ノ二三ノ疑ヒヲ質シテ置キタイノデア
  リマスガ、其ノ前ニ一言觸レテ置キタイノハ、
  前囘ノ委員會デ或ル委員カラ、酒造組合ノ
  統合ニ付テ在來ノ酒造組合ニ、今後出來ル
  組合モ總テヲ一本ニ統〓スルト云フヤウナ
  御意見ガアリマシテ、主稅局長カラモ答辯
  ガアツタノデアリマスルガ、ソレニ關聯
  シテ私ノ意見モ申上ゲテ、尙ホ明カニシテ
  戴キタイト思ヒマス、既ニ幾多ノ製造工程
  ヲ經マシテ、各〓酒ト申シマシテモ、其ノ
  工程ニ相違ガアリ、原料ニ相違ガアル、是
  等ノモノヲバ唯一ツニ統合スルト云フコトハ、
  机ノ上ノ單ナル學說ニ過ギナイノデハナイ
  カト思フノデアリマス、何デモ彼デモ總
  テヲ一ツニ纒メヨウト云フコトハ、恰モオ
  互ヒノ衣類ヲ、人絹モ絹モ羅紗モ總テハ衣
  類デアルカラ一本ニセヨト云フヤウナ議論
  トモ聽カレマスシ、又鑛山ノ統制會ト石炭
  ノ統制會モ一ツニシテモ宜イデハナイカト
  云フヤウナ單ナル學說的ノ意見デハナイカ
  ト思フノデアリマス、寧ロ之ヲ統合セヨト
  云フナラバ、釀造酒、蒸餾酒、「ビール」ト云
  フヤウナ製造工程ノ一貫シタモノヲバ一ツ
  ニシテ行クト云フヤウナ方針ガ執ラルルナ
  ラバ、首肯スルコトガ出來ルノデアリマス
  ルガ、〓酒トカ合成〓酒トカ全然原料ト製造
  工程ノ違フモノヲバ、同一ニ致シマシテハ、
  眞ニ其ノ運營ヲ期スルコトハ出來ナイト考
  ヘルノデアリマス、今日全產業ニ於ケル所
  ノ統制ト云フ問題ガ喧シク言ハレ、統制經
  濟ハドウシテモ强化サレテ行カナケレバナ
  ラヌノデアリマスルガ、其ノ中ニ机ノ上デ
  立テマシタル理論ト、運用ニ於ケル實際ト
  ヲドウ調和シテ行クカト云フコトガ現在ニ
  於ケル日本ノ統制經濟ノ進ムベキ途デアル
  コトハ、玆ニ論ズルマデモナイノデアリマ
  ス、酒造界ニ於ケル此ノ組合ノ統制ニ付キ
  マシテモ、理論ト實際ヲ調和サレマシテ、
  單ナル學說ニ陷ラズ、又單ナル末梢的ナ實
  情ニ囚ハレズ、眞ニ實際カラ申シマシテモ
  亦理論カラ申シマシテモ、時代ノ要求ニ合
  致シタ適當ナル運營ガ期セラルルヤウニ要
  望スルノデアリマシテ、此ノ點ヲ更ニ主稅
  局長カラ明カニセラレタイト思フノデアリ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=41

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• 042・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　只今ノ御質問ハ一昨日一
  松委員カラモ詳シイ御尋ネガアリマシタ
  際ニ、御答ヘ致シテ置イタ通リデアリマス、
  差當リト致シマシテハ、總テノ酒類ヲ通ジ
  テ一組合ニ纒メルト云フヤウナ考ヘハ持ツ
  テ居リマセヌ、酒造組合法ノ改正案ガ通過
  致シマシタ曉ニ於キマシテモ、現在〓酒、
  濁酒、白酒、味淋、燒酎ノ製造業者ヲ以テ
  作ツテ居リマスル酒造組合、酒造組合聯合
  會酒造組合中央會ハ一應其ノ儘ト致シマ
  シテ、現在任意組合ノ形デ全國一單位ノ組
  合デアル合成清酒ノ組合ト、全國一單位デ
  アル「ビール」ノ製造業者ノ組合、同ジク全國
  一單位デアル果實酒ノ組合トカ、同ジク全
  國一單位デアル雜酒ノ組合トヲ、新シク法
  律ニ依ツテ認メラレタル酒造組合ニナルヤ
  ウニ指導シテ參リタイト考ヘテ居リマス、
  其ノ場合ニ於テ、果實酒ト雜酒ニ付キマシ
  テハ、限界ノ付ケニクイモノモゴザイマス
  ルカラ、或ハ場合ニ依ツテハ、是ハ一ツノ
  團體ニ纒メルコトガアルカモ知ラヌ、斯樣
  ニ考ヘテ居ル次第デアリマス、將來ノ問題
  ト致シマシテハ、更ニ情勢ノ變化ニ應ジマ
  シテ、酒造組合ノ分離統合ヲ行フヤウナコ
  トハアリ得ルコトデアリマス、其ノ點ニ關
  シテハ、只今御述ベニナリマシタ御所見ハ
  大イニ參考ニナルト思ヒマス

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• 043・小泉純也

  ○小泉(純)委員　只今ノ御答辯デ能ク分リ
  マシタガ、ソレデハ今囘ノ酒造組合中改正法
  律案ニ關シテハ、只今任意組合トシテ全國
  單一ニアリマスル合成〓酒、麥酒、果實酒、
  雜酒等ノ組合員ニ付テ同ジク法人格ヲ與フ
  ルト云フヤウナコトカラ、是ガ出來タト解
  釋ヲシテ宜イノデアリマスカ

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• 044・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　只今御述ベニナリマシタ
  ヤウナ酒類ノ製造業者ガソレ〓〓任意組
  合ヲ作ツテ居ルノデアリマスルガ、之ヲ母
  體トシテ今囘ノ改正サレマスル酒造組合法
  ニ基イテ改メテ酒造組合設置ノ申請ヲシテ
  參リマスレバ、ソレヲ認可スル見込デゴザ
  イマスルカラ、ソレニ依ツテ法人格ガ與ヘ
  ラレルコトニナルト思フノデアリマス

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• 045・小泉純也

  ○小泉(純)委員　ソレデハ此ノ合成〓酒、
  麥酒、果實酒、雜酒ト云フノハ、ソレ〓〓〓
  別々ニ法人格ガ與ヘラレルノデアリマスル
  カ、尙ホ規定ノ上デドレガサウ云フ規定ニ
  當ルノカ、私能ク分ラナイノデアリマスルガ、
  其ノ點モ御說明ヲ願ヒタイノデアリマス

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• 046・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　第一條ニ「本法ニ於テ酒類
  製造者トハ酒稅法ニ依リ酒類製造ノ免許ヲ
  受ケタル者ヲ謂フ」ト、斯ウ改マリマシタ、
  從來ハ是ガ「酒類製造者ト稱スルハ〓酒、濁
  酒白酒、味淋又ハ燒酎ヲ製造スル者ヲ謂
  フ」ト云ツテ五種類ニ限ツテアリマシタガ、
  今度ハ御話ノ合成〓酒ノ製造業者デアラ
  ウト、「ビール」ノ製造業者デアラウト、果
  實酒ノ製造業者デアラウト、又ハ雜酒ノ製
  造業者デアラウト、第一條ガ總テヲ包含ス
  ルヤウニ酒類製造者ト書イタノデアリマス、
  サウシテ現行法ノ第二條ヲ御覽ニナリマス
  ト、「酒類製造者ハ稅務署管內ヲ一區域トシ
  酒造組合ヲ設クルコトヲ得但シ土地ノ狀況」
  トアルヲ改メテ今度ハ「必要アルトキハ」ト第
  二條ヲ改正シテ居リマスルガ、特別ノ區域
  ニ依ルコトヲ得」ト、斯ウナツテ居ルノデア
  リマス、隨ヒマシテ合成〓酒ノ例ヲ取ツテ
  申上ゲレバ、合成〓酒ノ製造業者モ第一條
  ガ改メラレタカラ、第二條ニ所謂酒類製造
  者ニナルノデアリマス、サウシテ是ハ組合
  ヲ作ルコトガ出來ルノデアリマス、原則ハ
  稅務署管內ヲ一區域トスルモノト、斯ウナ
  ツテ居ルノデアリマスガ、必要アルトキハ
  稅務署管内ヲ一區域トシナイデ特別ノ區域
  ニ依ルコトヲ得ト、斯ウナリマスルカラ、
  全國ヲ以テ一ツノ區域トスルコトガ出來ル
  ト云フ譯デアリマス、合成清酒ノ製造業者
  ニ付キマシテハ、現在全國ヲ一區域トスル
  申合セ組合ガアツテ、大體ニ於テ運營ガ適
  當ニ行ハレテ居リマスノデ、殊更ニ細分ス
  ル必要ガナイト認メマスルカラ、是等ノ規
  定ノ活用ニ依リマシテ現在ノ組合ガ法人格
  ヲ得ルヤウニナルト思フノデアリマス、其
  ノ他ノ酒類ニ付テモ大體同樣デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=46

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• 047・小泉純也

  ○小泉(純)委員　能ク分リマシタ、次ニ第四
  條ノ二デアリマスガ、「政府ハ必要アリト認ム
  ルトキハ區域及組合員タル資格ヲ定メ」トナ
  ツテ居リマスルガ、此ノ組合員タル資格ト
  云フコトニ付キマシテドウ云フ標準ヲ以テ
  御定メニナルノデアリマスカ、其ノ內容ヲ
  承ツテ置キタイノデアリマス、殊ニ〓酒業
  者ノ製造スル合成〓酒ト現在日本合成酒組
  合員ノ製造スル合成〓酒トハ、稅法上ニ於
  テハ等シク合成〓酒デハアリマスケレドモ、
  其ノ製造工程、品質等ニ於テハ相當ノ相違
  ガアルト吾々ハ承知致シテ居ルノデアリマ
  ス、斯ウ云フモノニ對シテハドウ云フ標準
  ヲ以テ資格ヲ定メラレルノデアルカ、此ノ
  第二條ノ資格ヲ定メルト云フ所ニ疑義ガア
  ルノデアリマスガ、御說明ヲ願ヒタイト思
  ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=47

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• 048・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　只今御述べニナリマシタ
  ヤウニ、合成清酒ト酒稅法ニ於テ言ツテ居
  ルモノノ中ニハ、所謂新式蒸餾機ニ依ツテ
  精度ノ高イ「アルコール」ヲ得マシテ、ソレ
  ニ依ツテ造ツテ居リマス、合成〓酒ト其
  ノ以外ノ蒸餾機ニ依ツテ「アルコール」ヲ得
  テ造ツテ居ル合成清酒、或ハ其ノ他ノ方法
  ニ依ツテ造ツテ居ル合成〓酒等モアルノデ
  ゴザイマス、ソコデ原料「アルコール」ヲ採
  リマスル蒸餾機ノ精度ヲ標準ト致シマシテ、
  組合ヲ別箇ニ作ル必要ガアルト云フヤウナ
  場合ニ於テハ、サウ云フコトノ出來ルヤウ
  ナ規定ヲ置イテオク必要ガゴザイマスノデ、
  第四條ノ二ヲ設ケテ、其ノ場合ニ於テ地域
  ヲ全國一地域ニスルカ、或ハモウ少シ細カ
  ナ地域ニスルカヲ考へル爲ニ、地域ヲ定メ
  ルト云フ字句ヲ入レ、又蒸餾機ノ性能ニ依
  ツテ資格ヲ定メテ組合ヲ別箇ニ作ラセルト
  云フヤウナコトモ出來ルヤウニ、第四條ノ
  二ニ組合員タル資格ヲ定メル、斯ウ云フヤ
  ウナ規定ヲ入レテ、必要ガアレバ獨立ノ酒
  造組合ノ設置ガ出來ルヤウニ致シテ居ル次
  第デアリマス
  〔委員長退席、川崎(巳)委員長代理着
  店

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• 049・小泉純也

  ○小泉(純)委員　次ニ第五條ノ六デゴザイ
  マスガ、「酒造組合ヲ指定シ」云々ト書イテ
  アリマスガ、〓酒、合成清酒、雜酒ノ製造ヲ兼
  營シテ居ルヤウナ業者ニ對スル規定ノ方針
  ハドウデアリマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=49

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• 050・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　先程申上ゲタ通リ、酒造
  組合法ノ改正法律案ガ通過致シマシタ曉ニ
  於テハ、大體一應現狀ヲ基礎トシテ、從來ア
  ル組合ハ存置シ、新シク出來ル組合ハ現在
  ノ母體ガ法人格ヲ得ルヤウニシテ參ル積リ
  デゴザイマスガ、其ノ後ノ情勢ニ應ジテ必
  要ガ出テ參ツタヤウナ場合ニ於テハ、酒造
  組合ニ一應納マリマシタ會員ヲ適當ニ移動セ
  シメルト云フヤウナ必要モ起ツテ來ルカト
  思フノデアリマス、其ノ場合ニ於キマシテ
  ハ現在甲ノ酒造組合ニ屬シテ居ル組合員
  ヲ、其ノ蒸餾機ノ性質或ハ製造サレル酒類
  ノ品質等カラ見マシテ、乙ノ組合員ニスル方
  ガ統制ガ圓滑適正ニ行ク、斯ウ云フヤウニ
  思ハレマスレバ、サウ云フコトガ爲シ得ル
  ト云フ規定ヲ置イタ次第デアリマシテ、是
  ノ運用ハ將來ノ問題デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=50

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• 051・小泉純也

  ○小泉(純)委員　次ニ第六條ニ「但シ命令
  ヲ以テ定ムル酒造組合ニ付テハ此ノ限ニ
  在ラス」ト云フノガアリ、第六條ノ四ニ「酒
  造組合聯合會及命令ヲ以テ定ムル酒造組合
  ハ」トアリマスガ、此ノ命令ヲ以テ定ムル酒造
  組合ト第六條四ノ但書トハ別ナモノノヤウ
  ニ解釋セラレルガ、左樣ニ解釋シテ宜シイ
  ノデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=51

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• 052・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　第六條ハ聯合會ヲ設置ス
  ルコトヲ得ル規定デアリマスガ、此ノ規定
  ハ、稅務署單位ノ組合ノアルヤウナ場合ニ
  於キマシテハ、府縣ヲ一區域トスル聯合會
  ヲ設置セシメルコトガ必要ニナツテ參ルノ
  デ置イテアルノデアリマス、併シ先程申シマ
  シタヤウニ、合成〓酒、「ビール」等ニ付キ
  マシテハ全國ヲ一單位トスル組合デ事足ル
  ノデアリマスカラ、稅務署每ニ組合ヲ作ラ
  セマセヌ、隨テ聯合會ノ必要モナイ譯デアリ
  マスカラ、第六條ノ「但シ命令ヲ以テ定ム
  ル酒造組合」ト云フノニハ、合成清酒業者
  ノ酒造組合、「ビール」製造業者ノ酒造組合
  ノヤウナモノヲ指定致シタイト思フノデアリ
  マン、第六條ノ四ハ中央會ヲ作ル規定デア
  リマシテ、ココニ「命令ヲ以テ定ムル酒造
  組合」ト云フノハ第六條ノ但書トハ違フノデ
  アリマシテ、其ノ點ハ御話ノ通リデアリマ
  ス、是ハ府縣單位ノ酒造組合ヲ指定シテ、ソ
  レガ集マツテ中央會ヲ作ルト云フ規定デゴ
  ザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=52

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• 053・小泉純也

  ○小泉(純)委員　第十條ノ十ニ「酒販組合
  中央會ハ法人トス」ト改正案ノ趣旨ガ明確
  ニナツテ居リマスガ、第六條但書ノ「命令
  ヲ以テ定ムル酒造組合」ハドウ云フ風ニナ
  ルノデアリマスカ、又明確ナル規定ハ何處
  ニアルノデアリマスカ

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• 054・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　現行法第七條ニ「酒造組
  合酒造組合聯合會及酒造組合中央會ハ法
  人トス」ト云フ規定ガゴザイマス、ソコデ
  合成〓酒「ビール」製造業者ノ酒造組合等モ
  此ノ第七條ノ規定ガ酒造組合デアル以上當然
  適用ニナルノデアリマスカラ、法人格ガ與ヘラ
  レル譯デアリマス、第十條ノ十ニ付キマシ
  テハ新シク出來ル組合デアリマシテ、酒造
  組合トハ違フ系統ノ組合デアリマスカラ、
  是ハ特ニ「法人トス」ト云ツテ其ノ旨ヲ明カ
  ナラシメタ次第デアリマス

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• 055・小泉純也

  ○小泉(純)委員　御懇切ナル御答辯ヲ戴キ
  マシテ十分ニ了承スルコトガ出來マシタノ
  ヲ感謝致シマス、最後ニ一點將來ノ記錄ノ
  爲ニ伺ツテ置キタイノハ、酒類委員會ノコ
  トデアリマス、大藏大臣初メ政府委員ハ今
  マデノ酒稅法中ノ質問應答ノ間ニ應々酒類
  委員會ト云フコトニ言及サレマシテ、酒類
  委員會ヲ活用シテ一級酒、二級酒、三級酒、
  四級酒ヲ決メ、又ハ生產配給其ノ他ニ酒類
  委員會ヲ活用スルト云フヤウナコトヲ度々
  御引用ニナツテ居ルノデアリマス、此ノ酒
  類委員會ノ規定ハ別ニ定メラレルヤウニナ
  ツテ居リマスガ、出來得マスレバ主稅局長ノ
  今日御考ヘニナツテ居ラレマス酒類委員會
  ノ構成內容ニ付テ承ツテ置キタイノデアリ
  マス

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• 056・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　酒類委員會ハ只今ノ見透
  シト致シマシテハ、中央ト地方ニ設置致シ
  タイト思ツテ居リマス、中央委員會ハ酒類
  ノ生產、配給、消費ニ關係ノアリマスル諸
  官廳ノ官吏、例ヘバ農林省、商工省、厚生
  省或ハ經濟警察ノ關係モアリマシテ、
  内務省ト云ツタヤウナ關係各省ノ官吏、ソ
  レカラ原材料ノ關係デ企畫院ノ官吏ト云ツ
  タヤウナ官吏ヲ豫定シテ居リマス、大藏省
  ノ官吏ガ入リマスコトハ勿論デアリマス、
  ソレニ貴衆兩院議員、ソレカラ釀造關係ノ
  技術者、關係業者代表、是ハ生販兩者ノ代表
  ノヤウナモノヲ豫定シテアルノデアリマス、
  更ニ學識經驗アル者等ヲ加ヘテ組織致シタ
  イ見込デアリマス、其ノ運用ニ當リマシテハ、
  一般部會ト品質部會ト云フ風ニ分ケマシ
  テ、酒類ノ配給計畫等ヲ大體一般部會ニ於
  テ審議致シタイト思ツテ居リマス、品質ノ
  級別ノ決定、酒類品質ノ審査等ヲ大體品質
  部會ニ於テ致シタイト思ツテ居リマス、例
  ヘバ〓酒ノ第一級酒ノ如キモノハ中央ノ酒
  類委員會ノ品質部會ニ於テ審査スル見込デ
  アリマス、地方委員會ハ大體之ヲ財務局每
  ニ設置致シマシテ、主トシテ〓酒二級酒ノ
  審査ニ當ラシメタイト思ツテ居リマス、尙
  ホ御承知ノ通リ現在道府縣ニ設置シテ居リ
  マスル地方酒類配給協議會ト云フノガゴザ
  イマスガ、是ハ大體存置致シマシテ、末端
  配給トノ結付キハ此ノ協議會ヲ活用シテ參
  リタイ所存デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=56

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• 057・小泉純也

  ○小泉(純)委員　內容ヲ明カニサレマシテ
  私滿足ニ堪ヘナイノデアリマス、在來斯ウ云
  フ委員會ハ大〓政府ノオ役人ダケガ委員ニ
  ナラレマシテ運用シテ居ラレタ例ガ非常ニ
  多イノデアリマスガ、今囘ノ酒類委員會ニ
  ハ只今承リマスレバ貴衆兩院議員、學識經
  驗者等モ包含シテ行カウト云フヤウテ御考
  ヘデアリマシテ、十分此ノ方面ニ凡ユル者
  ヲ動員シテ衆智ヲ集メ、又實際的ナ事情ニ
  明ルク、民衆ト繫ガリヲ持ツテ居リマス議
  員モ入レヨウト云フヤウナ御考ヘニ付キマ
  シテハ私非常ニ滿足ヲ感ズルノデアリマス、
  出來得ル限リ多數包含セラレマシテ、官民
  一體能ク酒類委員會ノ任務ヲ全ウスルコト
  ガ出來マスヤウニ此ノ上トモ御配慮ヲ希望
  シ致マシテ私ノ質問ヲ終リマス1ミ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=57

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• 058・川崎巳之太郎

  ○川崎(巳)委員長代理　午前ノ此ノ委員會
  ハ此ノ程度デ終リタイト思ヒマスガ、-
  言主稅局長ニ御伺ヒシタイ、先程小泉委員ノ
  質問ニ御答ヘナサル時ニ、酒ヲ造ル方法ハ、
  第一ニ米、ソレカラ米ノ次ニ米以外ノ雜穀
  ガアル、又其ノ間ニ酒ニ水ヲ混ゼ、「アルコー
  ル」ヲ差シテ酒ヲ造ル方法モアルト云フ風
  ニ伺ヒマシタガ、ソレハ實際行ハレテ居ツテ、
  吾々御客ニナル人間ハ大イニ迷惑シテ居ル
  ノデスガ、アレハ惡德ノ酒屋ガヤルダケト
  思ツテ居ルノデスガ、公ニ大藏省ニ於テ御
  認メニナツテ居ル造リ方ナノデゴザイマセ
  ウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=58

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• 059・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　先程〓酒減產對策ト致シ
  マシテ、「アルコール」ヲ〓酒醪ニ入レマシテ
  〓酒ヲノバス方法モアルト云フコトヲ申土
  ゲマシタノハ、附隨シテ申上ゲマシタ關係上
  說明ガ不十分デアツタト思フノデアリマス
  ガ、從來ハ〓酒ノ原料トシテ「アルコール」
  ヲ認メテ居リマセヌ、隨テ〓酒醪ニ「アル
  コール」ヲ入レマスコトモ〓酒ノ製造トシテ
  ハ違反デアリマス、本年ノ一月二十五日ニ
  勅令、卽チ酒稅法ノ施行規則ヲ改正致シマ
  シテ、特ニ製造方法ヲ屆出サセテ豫メ稅務
  署長ノ承認ヲ得マシタ場合ニ於キマシテハ、
  〓酒ノ醪ニ「アルコール」ヲ咖ヘマシテ、サ
  ウシテ搾ツタ酒ヲ〓酒トシテ査定スルコト
  ヲ認メルコトニ致シタノデアリマス、尙ホ
  是ハヤリ方如何ニ依リマシテハ酒類ヲ腐敗
  セシムル、或ハ品質上懸念ノアルモノモ出
  來マスルノデ、()相當〓究ヲ要スル問題デア
  リマス、ソコデ目下許シテ居リマスルノハ
  大體ニ於テ試驗的ナモノデアリアシテ、酒
  造組合中央會ヲシテ全國ニ五十五程ノ製造
  所ヲ設定セシメテ試驗的ニ造ラシメマシテ、
  其ノ方法ガ成功致シマスレバ次ノ酒造年度
  カラハ或ル程度擴ゲタイト思ツテ居ルノデ
  アリマス、尙ホ大藏省ノ所管シテ居リマス
  ル釀造試驗所ニ於キマシテハ既ニ一部其ノ
  方法ヲ試ミマシテ相當ノ成績ヲ擧ゲテ居リ
  マスルカラ、大體今行ハシメテ居ル試驗モ
  間違ヒハナカラウト思ツテ居リマス、ソレ
  カラ只今御尋ネノ酒ニ「アルコール」ヤ水ヲ
  入レテ御客ニ飮マサレテ居ルノデ、是ハ不正
  品デアツテ御客ガ迷惑シテ居ルト云フノハ、
  先ニ申上ゲタノトハ全ク違フノデアリマシ
  テ、是ハ出來上ツテシマツタ〓酒ニ「アル
  コール」ヲ入レル、或ハ調味料ヲ入レルト
  云フヤウナコトニ依ツテ酒ヲノバシテ脫稅
  ヲ圖ルモノデアリマス、前ノ例ハ稅務署ニ
  製造方法等ヲ申〓ヲ致シマシテ承認ヲ受ケ
  テ製造スルノデアリマスルカラ、稅ハ完全
  ニ納メテ出テ行ク品物デアリマスシ、其ノ
  「アルコール」等モ燃料局拂下「アルコール」
  デアリマスカラ品質ノ保證モ十分出來ル
  ノデアリマス、其ノ間全ク違フモノデアリ
  マス、唯御心配ニナツタヤウナ、酒不足ノ
  折柄、酒ニ加工ヲシテ、稅務署カラ見レバ
  所謂犯則行爲ヲ敢テ致シマシテ、御客ニ迷
  惑ヲ掛ケテ居ルヤウナ事實ガ時々アルヤウ
  デアリマスカラハ是ガ取締ニ付キマシテハ、
  警察方面トモ連絡ヲ致シマシテ十分注意ヲ
  シテ參リタイト思ツテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=59

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• 060・川崎巳之太郎

  ○川崎(巳)委員長代理　其ノ點ハ明瞭ニナ
  リマシタ、アト四等ニ分ケテ値段及ビ稅金
  モ多少違フノデスガ、其ノ檢査ハ倉元デ何1
  レスルノデセウガ、其ノ含有裁分モ、ソユさ
  %オ客ノ口ヘ入ル時マデ
  ダケデシタノデハ、m.
  ニ其ノ通リニ行クカドウカ、幾ツモノ手ヲ
  經ルカラ其ノ點懸念ニ堪ヘナイ、ソレヲ例7
  ヘバ三等酒ヲ特等酒トシテ賣村ケラレナイ〓
  ヤウニ、御客ノ口ニ行クマデノ間保持セラ
  レルニハドンナ方法ヲ取ツテ居ラレルカ
  ソコヲ一ツ御說明願ヒタイ

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• 061・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　第一級酒、第二級酒ニ付
  キマシテハ原則トシテ壜詰ニ致シタイト思
  ツテ居リマス、サウ致シマスレバ、封緘サ
  レテ居リマスノデ、品質ノ保證ハ比較的容
  易デアルト思ヒマス、家庭用酒ハ勿論ノコ
  ト、業務用酒ニ付キマシテモ出來レバサウ
  致シタイト思ツテ居リマスガ、業務用酒ニ
  付テハ或ハ一部分ハ、第一級酒、第二級酒
  ニ付テモ樽等ヲ用ヒルコトガアルカト思ツ
  テ居ルノデアリマス、三級酒、四級酒ニ村
  キキマシテハ全部遲詰ニスルト云フコトハ曩
  ノ關係デ出來マセヌノデ是ハ壜詰ノモノ
  アリ、量リ賣ノモノアリト云フ譯デアリマe
  スガ、規格ヲ定メテゴザイマスノデ其ノ
  規格ヲ嚴守スルヤウニ十分監督シテ參リタ
  イト思ツテ居リマス、ソレカラ料理店ニ於
  キマシテハ壜詰等デ配給致シマシテモ、御
  *
  客ノ席マデ其ノ壜詰ヲ持ツテ來ナイ、燗德
  利ニ入レテ客席ニ出スト云フコトニナル爲
  ニ、兎角惡イ酒ヲ良イ酒ト稱シテ、未來店
  ラ高イ代金ヲ取ルト云フヤウナ弊害ヲ生ズ
  2
  ル虞ガゴザイマスノデ、先日モ申上ゲマシ
  タガ、大體酒類委員會ニモ諮リマシテ、出
  來マスレバ料理店ヲ三階級、場合ニ依ツテ
  二階級ニ分ケマシテ、サウシテ其ノ料理店
  等デ出シマスル酒類ハ何級酒デアル隨テ
  價格ハ幾ラデアルト云フコトヲ客ニモ分ル
  ヤウニ明示サセ、卽チ配給經路ヲ正シテ
  アレコレノ酒ヲ配ルト云フコトナク、料理
  店ニ依ツテ三通リナリ、二通リナリノ酒ヲ
  ル分ケテ配給シテ、其ノ値段ヲ公定シテ動カ
  サナイヤウニセシメルト云フ方法ヲ講ジテ
  參リタイト思ツテ居リマス:

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=61

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• 062・川崎巳之太郎

  ○川崎(巳)委員長代理　御趣意ハ能ク分リ
  マシタ-ソレデハ今朝カラ續イテノ委員
  會ハ、此ノ程度デ休憩致シマシテ、午後ハ
  一時カラ再開致シマス
  午後零時四十三分休憩
  午後一時二十四分開議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=62

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• 063・松村光三

  ○松村委員長　是ヨリ會議ヲ開キマス-
  二
  三善君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=63

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• 064・三善信房

  ○三善委員　農林大臣ガ御見エデスカラ酒
  ノ問題ヲ農林大臣ニ御聽キスルト云フコト1.
  こと
  ハ一寸見當違ヒノヤウナ感ガアリマスガ、
  農村ニ關係アル問題デスカラ一應農林大
  書二臣ニ御聽キシタイト思ヒマス、〓糧事情ノ
  さ
  1と、關係カラ酒ガ非常ニ減石サルテ滲リマシタ오참11
  ガ、是ハ私ハ巳ムヲ得ナイコトデハナイカ
  ト思ヒマス唯茲ニ相當考ヘル餘地ガアリ
  ハセヌカト思ヒマスノハ、從來ノ日本ノ〓
  酒ハ主トシテ米カラ造ツテ居リマシタガ、
  最近合成酒ガ其ノ釀造方法等モ非常ニ巧ク
  ナツテ參リマシテ、最近ノ合成酒ト云フモ
  ノハ相當良イ成積ノモノガ出ルヤウデアリr
  マス其ノ原料ハ大體甘藷ヲ以テ原料ニス
  ルノガ一番宜イト思ヒマスガ、サウスルト甘
  藷モヤハリ〓糧デアル米モ同ジク食糧デ
  アル、斯ウ云フコトニナツテ參リマス、何
  レヲ原料トシタ方ガ〓糧事情ノ上ニ效果的
  デアルカ、갤わ斯ウ云フコトガ一應考ヘラルナ
  ケレバナラヌコトダト思ヒマス、若シ米ヲ
  以テ從來ノ通リ〓酒ヲ造ルト致シマスナレ
  バ大體米ノ一石カラ一石ノ〓酒ガ出來ル
  ト見タラ適當ダト思ヒマス、之ニ代ツテ甘
  藷ヲ原料トシテ酒ヲ造ルト致シマスト、先
  ヅ甘藷ノ三百貫程度カラ六石ノ酒ガ取レル
  ト思ヒマス、之ヲ〓糧事情ノ上カラ考ヘマ
  スト、甘諸ヲ原料トシタ方ガ〓糧事情ノ上ニ
  却テ好イ影響ヲ來シ、〓糧ノ緊迫セル今日
  ノ狀態ヲ緩和スルコトモ出來ルノデハナイ
  カト考ヘマスガ、農林大臣ハ其ノ點如何ニ
  御考ヘニナリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=64

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• 065・井野碩哉

  ○井野國務大臣　從來酒造用原料トシマシ
  テハ、主トシテ米ガ使ハレテ居ツタノデア
  リマスガ、其ノ米ノ一般消費ガ增加シテ參
  リ、殊ニ支那事變以來勞力資材ノ不足カラ
  供給モ減退シテ來テ居ルノデアリマス、勢
  ヒ米ノ消費ニ付テ色々ナ方面カラ消費節約
  ヲシナケレバナラヌ事態ニ直面シテ參ツタ
  ノハ御承知ノ通リデアリマス、隨テ酒造米
  ニ付キマシテモ數年前カラ段々減少シテ參
  リマシテ、サウシテ其ノ減少シタ數量ヲ食
  糧ニ〓ハスト云フヤウニシテ來タノデアリ
  マシテ、其ノ補塡トシテハ今御話ノヤウニ
  甘藷ガ酒造用ノ原料トナル、殊ニ技術ガ進
  ンデ來タノデアリマスカラ、甘藷ヲ以テ最
  近ハ米ノ節約シタ部分ヲ補フ、卽チ合成酒
  ヲ以テ補フト云フ方針デ二三年前カラ農林
  省トシテモ其ノ原料提供ニ當ツテ來タノデ
  アリマス、併シ甘藷ヲ原料トスル合成酒モ、
  今日ノ設備ノ關係、或ハ庫ノ關係等カラ當
  初農林省ガ豫期シテ居リマシタヤウナ數量
  ハ中々出來ナイ事情ニアリマス、デアリマ
  スカラ現在ノ狀態ニ於テハ米ノ原料ト甘藷
  ノ原料ト云フモノヲ充テル其ノ割合ハ、今
  ノ狀態ニ於テ行クヨリ設備關係カラ仕方ガ
  ナイト云フ風ニ考ヘテ居ル譯デアリマス、
  ソレデ三善君御話ノヤウニ、米ヲモツト節
  約シテ甘藷デウント原料ヲ出ストシテモ、
  酒トシテノ製造能力ガソコニナイノヂヤナ
  イカト考ヘルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=65

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• 066・三善信房

  ○三善委員　大臣ガ米ヲ原料トスルヨリ芋
  ヲ原料トシタ方ガ、食糧需給ノ上カラ言フト
  食糧ノ緩和ヲ圖ル上ニ付テハ適當ダト云フ
  此ノ御意見ニハ大體一致シテ居ルカト思ヒ
  マス、唯今御述べニナツタ所ニ依リマス
  、、釀造等ノ設備ニ於テマダ十分デナイカ
  ラ甘藷ノミヲ以テヤル譯ニ行カヌ、御尤モ
  ナ御意見ト思ヒマス、併シ今日ノ合成酒ハ
  「アルコール」ヲ造ツテ、ソレヲ原料トシテ
  合成酒ヲ造ルト殆ド設備モ要ラナイ位
  デ、是ハ大藏省ノ方ガ却テ能ク御承知カモ
  知レマセヌガ、芋ノ原料サヘアレバ合成酒
  ヲ造ル設備ニハ別ニ不自由ナイト思ヒマス、
  唯私ガ〓糧事情ノ上カラ甘藷ヲ使ツタ方ガ
  遙カニ效果的ダト云フコトヲ考ヘマスノハ
  水田一反ノ米ノ平均收量ハ二石デアリマス、
  ダカラ水田一反カラ〓酒二石ガ出來ルコト
  ニナルノデアリマス、所ガ畑地一反ノ現在ノ
  甘藷ノ收穫高ガ先ヅ三百五十貫トシテモ、畑
  地一反カラ六石ノ〓酒ガ取レルコトニナリマ
  ス、ダカラ土地ノ利用ト云フ方面カラ申シ
  マシテモ、水田一反カラ僅カニ一一石ノ〓酒
  ガ取レルニ拘ハラズ、畑地一反カラ六石ノ
  〓酒ガ出來ルト云フコトニナリマスルナラ
  バ、私ハモツト甘諸ヲ原料トシテ酒ヲ醸造
  シテモ食糧事情ニ於テハサウ影響セヌノデ
  ハナイカト云フ考ヘヲ持ツ譯デゴザイマス、
  最近酒ガ不足シマスケレドモ、勞務ノ上カ
  ラ云ヒマシテモ、酒ハドウシテモナクテハ
  ナラヌノデアリマスカラ、サウ云フコトモ
  一ツ是非御〓究ヲ願ツテ置カナケレバナラ
  ヌト思ヒマス
  更ニ御尋ネ致シタイト思ヒマスガ、今日酒
  ノ稅ノ改革ニ依リマシテ、工場、鑛山方面
  ノ勞務者ニ對シテハ重點的ニ配給シ、ソシ
  テ稅ノ上ラナイ前ノ酒ヲ配給スルト云フコ
  トニナツテ居リマス、是ハ農村ニモ是非配
  給シテ戴カナケレバナラヌト思ヒマスガ、農
  林大臣ハ農村ニ配給スルト云フコトニナレ
  バ、農村ニ對シテハ一年中、或ハドノ期間、
  何十日位ヲ基準トシテ此ノ勞務用ノ酒ヲ配
  給スルノガ適當ト御考ヘニナルノデアリマ
  セウカ、大藏省ノ先般ノ御說明デハ、農村
  ノ方ニモヤハリ稅ノ上ル前ノ値段ヲ以テ酒
  ヲ配給スルト言ハレマシタガ、サウ云フ
  コトニナリマスレバ、農村ノ勞務ノ期間、
  詰リ農繁期ト云フコトニナルト思ヒマスガ、
  農繁期ト云フノハドノ程度ヲ指スノデアリ
  マセウカ、私共ノ考ヘル所ニ依リマスト、
  夏ノ百日ハ非常ニ勞務ノ大切ナ期間デアリ
  マスカラ、夏百日ヲ指シ、併セテ稻ノ收穫
  時期ノ數十日ヲ指サレルノデアリマセウカ、
  兎ニ角農繁期ニ酒ヲ重點的ニ配給スルト言
  ハレタコトニ對シテ、大臣ノ御所見ヲ承ツ
  テ見タイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=66

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• 067・井野碩哉

  ○井野國務大臣　農村ニ付テモ今囘ノ酒ノ
  稅ガ上ル前ノ價格デ特別ニ配給ヲシテ貰ヒ
  マスコトニ付テハ、大藏省トモ大體ノ話ハ
  付イテ居リマス、唯其ノ數量ハ總テノ他ノ
  重要產業方面ノ特配ト併セテ考ヘマセヌ
  トドレダケノモノガ農村ニ廻ハルカト云
  フコトハマダ的確ニ申上ゲラレマセヌ、其
  ノ爲ニ何カ大藏省ノ方デ委員會ヲ御作リニ
  ナリマシテ、ソコデ御相談ニナルコトユナ
  ツテ居リマスカラ、其ノ決定シタ分量ニ應
  ジテ、最モ農村ノ大事ナ時ニ之ヲ配給スル
  コトニ致シタイ、昨年ハ御承知ノ通リ刈入
  ノ時ニ特配ヲ致シマシタ、又種蒔或ハ田植
  ノ時ニ之ヲ配ツタ場合モアルノデアリマス
  カラ、ソレ等ハ數量ニ應ジテ、又農村ノ色
  色ナ事情ヲ能ク調ベテ決定シタイト思ツテ
  居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=67

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• 068・三善信房

  ○三善委員　農村ノ事情ニ應ジテ配給シテ
  下サルコトハ最モ適當ダト思ヒマスガ、大
  藏省ノ方ニ御尋ネ致シタイノハ、大藏省
  ノ方デハ重點的ニ配給ナサル、而モ稅ノ上ル
  前ノ値段デ配給サレルト云フコトニ付テハ、
  農村ト、工場、鑛山等ノ勞務者ニ對シテドウ云
  フ配分デヤラレル積リデアリマセウカ、ソ
  レハ勞務者ノ數ニ應ズルトカ、或ハ其ノ季
  節的ナ日數ニ應ズルトカ、大カソコニ基準
  ガナケレバナラヌト思ヒマスガ、其ノ點ヲ
  一ツ明瞭ニ御答ヘヲ願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=68

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• 069・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　今囘酒類庫出稅ヲ引上ゲ
  マセヌ酒ヲ重要產業ニ從事致シマスル勞務
  者及ビ農林水產關係業者ニ特配致シタイト
  考ヘテ居ルノデアリマスルガ、其ノ大體ノ
  數量ハ、清酒及ビ合成〓酒ヲ合ハセテ五十万
  石トシテ、豫算ニモ其ノ減收ヲ見積ツテ立
  テテアルノデアリマスルガ、是ガ實際ノ配給
  ニ付キマシテハ、折角酒類委員會モ出來
  ルノデアリマスカラ、此ノ委員會ニ關係官
  廳卽チ農林、水產業ニ關係致シマスモノ
  ニ付キマシテハ農林當局ヲ加ヘマシテ、其
  ノ外貴衆兩院議員、關係業者、學識經驗ア
  ル者等ヲ加ヘテ、十分審議シタ上確定シタ
  方ガ宜シイト思ツテ居リマス、唯從來特配
  致シマシタ例ハ、先程農林大臣カラ御述ベ
  ニナリマシタヤウニ、田植、稻刈、新穀感
  謝等ノ場合ニ於テ持配ヲ致シテ居リマスル
  ガ、今後モサウ云フ風ニ致シタ方ガ宜イ
  カ、或ハ或ル期間ヲ限ツテ配給シタ方ガ宜
  イカト云フコトニ付テハ、酒類委員會ニ掛
  ケテ決メタイト思ヒマス、尙ホ從來ハ「ビー
  ルニ付キマシテハ餘リ農村ノ方ニ廻ツテ
  居ラナイ實情デアリマスノデ、今後ハ夏期ニ
  於テハ、「ビール」ニ付キマシテモヤハリ特
  配ノ數量ガゴザイマスノデ、是等モ希望ガ
  アレバ農村ノ方ニ廻ルヤウニ計畫シタイト
  思ヒマス

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• 070・三善信房

  ○三善委員　私ノ希望ヲ今申上ゲルコトモ
  ドウカト思ヒマスケレドモ、只今ノ御話デ
  ハ委員會ヲ作ツテ適當ニ其ノ五十万石ノ酒
  ヲ分配サレル、斯ウ言ハレマシタガ、固ヨリ
  重要工業方面ノ重勞務者ニ對シテノ酒ノ配
  給ト云フコトハ餘程注意シナケレバナラヌ
  ト思ヒマス、ソレト同樣ニ農村ノ勞務者ト
  云フモノハ、夏百日ト云フモノハ朝早クカラ
  夜遲クマデ八時間ヤ十時間デハアリマセヌ、
  十二時間モ十五時間モブツ通シ働イテ居ル
  ト云フノガ農村ノ實情デアリマスカラ、ド
  ウシテモ田植トカ刈取ト云フコトデナクシ
  テ、私共通常夏百日ト言ウテ居リマスガ、
  此ノ勞働日數ヲ十分御〓究下サツテ之ニ從
  事スル所ノ勞務者ノ數等ヲ考慮ニ入レテ下
  サツテ、農村ヘノ配給ト云フコトニ付テ萬
  全ノ御配慮ヲ願ツテ置キタイト思ヒマス、
  農林大臣モ同樣ニ其ノ點ハ一ツ御考慮ヲ願
  ツテ置キタイト思ビマス
  尙ホ濁酒ノ問題ハ、今マデ色々御答辯モ
  アツタト云フコトデアリマスガ、今日ノ實情
  ハ農村ハ東北方面ハ勿論デアリマスガ、其
  ノ他ノ方面デモ濁酒ヲ造ツテ居ルト云フコ
  トハ政府自身モ御承知ニナツテ居ルト思フ
  ノデス、殆ド公然ト造ツテ取締ハ實際手ガ
  屆カナイト云フヤウナ狀態ニナツテ居ルト
  思ヒマス、ソコデ私ハ、此ノ際思ヒ切ツテ濁
  酒ノ釀造ヲ御認メ下サツタラ如何デアラウ
  カ、サウ思ヒマスノハ、私ハソレデ決シテ
  米ノ消費量ニ大ナル支障ハ來タサナイノデ
  ハナイカ、米ノ供出ニモ亦非常ニ影響ハ來
  タサナイノデハナイカ、ト思ヒマスノハ、
  大體農村ニハ碎米ト云フモノガ二百万石カ
  三百万石カアリマス、之ヲ原料トシテ造リ
  マスト、サウ大シテ食糧事情ノ上ニモ影響
  ヲ及ボサズニ濟ムノデハナイカト思ヒマス、
  殊ニ農村デ自ラ作ツタモノヲ原料トシテ酒
  ヲ釀造シテ一日ノ勞ヲ慰メルト云フコトハ
  ドウシテモ認メテ戴イタ方ガ宜イノデハナ
  イカ、效果ガアツテ、法ノ取締ガ出來ヌト云
  フコトナラバ寧ロ御許シニナツタ方ガ妥當
  デハナカラウカ、斯ウ云フ風ニ考ヘマス、
  又一面是ハ米ヲ出ス方カラ考ヘマシテ、斯
  ウ云フコトモ私共ハ常ニ考ヘテ居リマス、
  米ヲ供出セイ供出セイト云フダケデモイカ
  ヌカラ、供出シタ者ニハ何カ御褒美ヲヤ
  ル、斯ウ云フ觀點カラシマスト、米ヲ政府
  ノ割當ダケ完全ニ出シタ者、本年ハ四千百万
  石ノ割當ニナツテ居リマスカラ、其ノ四
  千百万石ノ割當ヲ完全ニ履行シタ所ノ地
  方ニ對シテハ濁酒ヲ造ツテ宜イ、其ノ餘ツ
  タ米カラ濁酒ヲ造ツテモ宜イト云フコトニ
  ナリマスト、私ハ喜ンデ供出スルノデハ
  ナイカト思フ、自分ノ食フノハ少シ辛抱
  シテ、芋カ何カ食ツテデモ供出米ダケハ完
  全ニ出スノデハナイカ、御褒美トシテモサ
  ウ云フコトヲ一ツノ奬勵ノ方法トシテ考ヘ
  テ下サツテモ宜イヂヤナイカト思フ、又個
  人ニ認メテハ取締上困難ダト中シマスケレ
  ドモ、農事實行組合トカ何トカヲ基準ニシ
  テ之ニ許シテ下サツテ、其ノ農事實行組合
  ガ責任ヲ持ツテ米ヲ供出スル、政府ノ割當
  米ヲ供出シタナラバ御褒美デ或ル程度ノ酒
  ヲ造ツテモ宜イ、斯ウ云フコトニナルナラ
  バ米ノ供出ト酒問題ガ一擧ニシテ解決出來
  ハシナイカ、但シ是ニハ相當ノ課稅ハナサ
  ツテモ差支ナイト思ヒマス、農林大臣ノ之
  ニ對スル御考ヘト、大藏省ノ御考ヘヲ一ツ
  御聽キシタイト思ヒマス

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• 071・井野碩哉

  ○井野國務大臣　濁酒製造ニ付テノ農村ノ
  色々ノ要望ナリ、又實情ニ付キマシテハ私
  モ色々知ツテ居リマスガ、唯今日之ヲ公ニ
  許スコトガ宜イカドウカト云フ問題ニ付テ
  ハ、私自身モ尙ホ色々〓究シナケレバナラ
  ヌ點ガアリマスルシ、大藏省自體トシテハ
  固ヨリ此ノ點ニ付テハ稅ノ收入ノ見地カラ
  見ラレテモ相當ニ大キナ問題ダラウト思フ
  ノデアリマス、今三善君ノ御話ノヤウニ、
  供出米ヲ奬勵スル上ニ於テ、供出米ノ割當
  一杯出シタ者ニハ濁酒ヲ認メタラ宜イヂヤ
  ナイカト云フ御話デアリマスガ、サウ云フ
  ヤウナ場合ニハ或ハ今後大藏省カラ特ニ配
  慮ヲ願フ特別配給ノ上ニ於テ相當ニ考慮
  ヲシマスト、同ジ效果ガ收メラレルノデハ
  ナイカ、兎ニ角濁酒ノ製造ヲ今公ニ認メマ
  スルト、唯サヘ、供出米自體ニ於テモ政府
  ハ割當量ヲ確保スルノニ非常ニ努力ヲ致シ
  テ居ルノデアリマスガ、濁酒ヲ許スト云フ
  ト、寧ロ米ガソツチニ流レテ行クト云フ心
  配モアリマスルシ、又今日公ニ許サナクテ
  モ色々造ツテ居ルコトガアルト云フ事態ガ、
  今度ハ公ニ許セバ又一層サウ云ツタ事態ヲ
  大キク誘發スル虞レモアリマスシ、斯ウ云
  フ問題ハサウ簡單ニ片付ケル譯ニハ行カナ
  イ問題ヂヤナイカ、農林省トシテモ色々シテ
  貰ヒタイコトハ大藏省ニ要求モシテ居ルノデ
  アリマスガ、此ノ問題ニ付テハ農林省自體
  ガヤハリモウ少シ能ク考ヘテ行カナイト、
  其ノ效果ニ付テ果シテ好イ結果ニナルカ惡
  イ結果ニナルカ、マダ私モハツキリシタ見
  透シヲ持ツテ居リマセヌ

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• 072・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　濁酒公許ノ困難デアリマ
  スル事情ニ付キマシテハ先日詳シク申述ベ
  タノデ、今日ハ重複ヲ避ケマシテ說明ヲ省
  略致シマスガ、結論ト致シマシテハ、濁酒
  ヲ公許シタト致シマシテモ、今濁酒密造ニ
  付テ問題ガ起ツテ居ルヤウナ問題ガ依然ト
  シテ殘ルノデアリマシテ、隨テ之ヲ公許ス
  ルト云フコトハ容易ナラザル問題デアリマ
  スノデ、大藏省ト致シマシテハ啻ニ財政
  問題バカリデハナク、食糧事情ノ問題、國
  民保健ノ問題、官民ノ相剋摩擦ヲ避ケル問
  題、其ノ他各種ノ觀點カラ見マシテ、公許ト
  云フコトハ容易ニスベキモノデナイ、斯樣
  ニ考ヘテ居ルヤウナ次第デアリマス

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• 073・三善信房

  ○三善委員　濁酒問題ニ付テ簡單ニモウ一
  ツ御尋ネシマスガ、只今ノ大藏省ノ主稅局
  長ノ御話デハ、或ハ衞生上ノ問題、或ハ食糧
  事情、或ハ稅ノ問題、斯ウ云フコトヲ御考
  ヘニナツテ居ラレマスガ、稅ノ問題ハ私ハ
  濁酒ニモ稅ヲ御掛ケニナツテモ宜イト思ヒ
  マスカラ、別ニサウ御心配下サラヌデモ宜
  イノヂヤナイカ、ソレカラ衞生上ノ問題ト
  云フノハ、恐ラク濁酒ノ中ニ含ンデ居ル「フー
  ゼル」油ノコトダト思ヒマス、是ハ「フー
  ゼル」油ガアリマスト健康上宜クナイト思
  ヒマス、併シ今日ノ合成酒ノ惡イヤツトカ、
  一番下等ナ酒ナンカ夏腐ツタノヲ飮ムヨリ
  ヒ遙カニ衞生上ハ宜イト思ヒマスカラ、此
  ノ點ハ問題ニナラヌト思ヒマス、ソレカラ
  密造ガ依然トシテ殘ルヂヤナイカ、此ノ御
  心配ハ私ガ先程言ヒマシタヤウニ、農村ノ
  團體ニ責任ヲ負ハセルト云フコトニナルト、
  さ自ラ自肅シテ、サウシテ自分デサウ云フコ1-
  トハオ互ヒニ摘發シ合ツテ、サウ云フコト
  ハ自肅シテ出來ナイコトニナツテ來ルト思
  フ、ダカラ密造ハ是デ防ガレルデハナイカ
  ト思ヒマス、今御話ノ點ハ餘程根本的ニ考
  ヘ方ガ私共ト違ツテ居ルヤウニ思ヒマス
  ソレカラ農林大臣ハ供出米ノ方ニモ影響ス
  ルト云フ御話デアリマシタガ、却テ供出ハ良
  クナルト思フ、是ハ見方ノ相違カモ知レマ
  セヌガ、ヤハリ酒ヲ飮ミタイ爲ニハ政府ノ
  割付ケタ供出米ナラバ出サウ、進ンデ出シ
  テ甘藷カ何カ他ノ物ヲ〓ツテ行ク、農村ニハ
  他ノモノヲ食ベヨウトスレバアルノデス、
  今米ノ配給ハ農村ノ一人ニ對シテ幾ラト、
  今マデ米ヲ食ハナカツタ所ニモ頭割デ配給
  スルノデアリマスカラ他ノ物ヲ食ツテ
  行ケバ、〓土〓ヲヤツテ行ケバ米ハ相
  當私ハ供出出來ルト思フ、ダカラ農村ニ
  割付ケタ米ヲ供出スルナラバ酒ヲ造ツ
  テモ宜イト云フロトニナレバ、喜ンデ
  供出シテ來ルト思フ、私ハ米ノ生產ト云フ
  コトハ生產ハ勿論シナケレバナラヌガ、
  供出ガ一番大事ダト思フ、生產ダケドンナ
  ニ作リマシテモ、供出ガ思フヤウニナカツ
  タラ食糧問題ハ解決出來ヌト思フ、農村ハ
  何トカヤツテ行ケルト思フ、芋デモ其ノ他
  副食物ガ相當アリマス、ダカラ私ハ却テ濁
  酒ヲ御造ラセニナツタ方ガ供出ノ方モ好轉
  シテ來ルンヂヤナイカ、其ノ爲ニ供出米ニ
  影響ヲ來スコトハナイダラウト思ヒマス、
  サウシテ濁酒ハ他ノ〓酒ト違ヒマス、アレ
  ハ粕ト共ニ食フノデスカラ食糧ハソレダケ
  減ツテ行キマス、是ハ濁酒ヲ飮ンダ者ニハ
  分ルノデスガ、濁酒ハ粕ノ儘飮ムノデスカ
  ラ、清酒ト違ヒマシテオ腹ガ一杯ニナツテ、
  却テ農村ノ〓糧ト云フモノハ消費ガ減ツテ
  來マスカラ私ハサウ云フ點カラ考ヘテモ
  供出ニハ影響ハナイト思ヒマス是ハツ
  十分御研究ヲ願ツテ置キタイト思ヒマス
  密造ヲ其ノ儘サセテ置クト云フコトハ或ハ
  社會情勢カラ云ツテモ、法ノ權威ノ上カラ
  云ツテモ、唯造ツタモノヲ知ラヌ顏ヲシテ
  ドウニモ取締モ出來ヌト云フヤウナ狀態デ
  ハ私ハ非常ニ適當デナイト思ヒマスルノデ、
  此ノ點ハ特ニ一ツ御〓究置キヲ願ヒタイト
  思ヒマス唯意見ノ相違デアリマスカラ是
  レ以上申上ゲテモ致シ方ナイト思ヒマスカ
  ラ、私ノ精神ヲ申上ゲテ御〓究ヲ願ツテ置
  キタイト思ヒマス

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• 074・松村光三

  ○松村委員長　木村君

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• 075・木村正義

  ○木村(正)委員　農林大臣御急ギノヤウデ
  1
  アリマスカラ、私ハ實ハ濁酒問題ニ付テハ
  相當御意見ヲ御聽キシタカツタノデアリマ
  スケレドモ、私ノ考ヘヲ最初ニ申述べマシ
  テ御〓究ノ御參考ニ供シタイト思ヒマス
  只今農林大臣モ仰シヤツタト思ヒマスガ、
  濁酒問題ト云フノハ單ナル酒ノ問題デハナ
  クシテ、農村問題、農村生活ニ關スル問題、
  農業ノ本質ニ關スル問題トシテ私ハ御檢討
  ヲ願ハナクチヤナラヌト思フ、ツコデ農村
  ヲ萎微沈滯セシメタリ、或ハ農村生活ノ樂
  ミヲ取去ツタリ、農業ノ本質ヲ無視スル凡
  ユル障碍ト云フモノハ、私ハ斷然今後ノ農
  業ノ重要性ニ鑑ミマシテ之ヲ除去シナケレ
  バナラヌト思ヒマス、私ハ過去六、七十年間
  ノ日本ノ政治ノヤリ方ト云フモノハ斯
  ウ云フ農村ノ本質、農業ノ特質ヲ眞ニ尊重
  シタ政治ガ行ハレテ居ナイト思ヒマス今
  日マデ農村ノ萎微沈滯シタ根本原因ハツコニ
  アル、是等ノ障碍ヲ除去シナクチヤナラヌト
  み
  思フツコデ簡單ニ申上ゲマスガ農業ハ申
  上ゲルマデモナク、農民ガ自ラ耕シ、白ラ生
  產シ、其ノ生產物ヲ神ニ祀リ祖先ニ供へ
  家族共ニ之ヲ味ハウト云フ所ニ農業天業
  ノ特性ガアル、之ヲ無視シテハナラナイ、農
  業ノ特性ト云フモノハ農民無上ノ樂シミガソ
  コニアル、此處ニ農村振興ノ私ハ基礎ガア
  ルト思フ、之ヲ破壞シ、之ヲ無視スルヤウナ
  政治ガソコヘ行ハレマシタナラバ、如何ニ
  農村振興ノ計畫ヲ立テ、農村ガ國ノ本デア
  ルトカ、大東亞建設ノ本デアルト言ヒマシ
  テモ、ソレハ唯意味ヲナサナイ結果ニ終リ
  ハシナイカト私ハ思フ、ソコデ農民ガ自ラ
  生產シタル物ヲ絕對ニ自ラ之ヲ使用消費セ
  シメザルト云フコトハ農業ノ特性ノ打壞ハ
  ス、農民天賦ノ悅樂ヲ剝奪スルモノデアル、
  農民ヲシテ農民タラシメズシテ、農民ヲシ
  テ商賣人タラシメルモノデアル、サウ云フ
  政治ガ行ハルマスルナラバ、강農民ト云フモ
  ノハ農村ニ落着クコトハ出來けイ、農民ヲ
  工業家タラシメタリ、農民ヲ商人タラルメルス
  ヤウナ政治ガ行ハレルト致シマシタナラ£3バツ
  レハトンデモナイ所ニ私ハ持ツテ行クト思ヒH.C
  マス、今日ノ農民ニ本當ノ農民魂ガナクナツ
  テ商賣人ノヤウナ根性ニナツタト云フノハ
  サウ云フ所ニ私ハ原因ガアルト思ヒマス、ツご
  コデ自分デ作ツタ米デ自分デ酒ヲ農業ノ一
  部トシテ之ヲ作ツテ飮ム、煙草デモ同ジデアご
  リマス、自分ノ畑デ作ツテソレヲ刻ンデ
  喫ム、是ハ當然農業天業ノ特質デアル、是
  ハ農業ト切離スコトガ出來ナイ、農業ヲヤル*
  以上ハ、サウ云フコトガ出來ルト云フコトハ、
  是ハ當然ナ結論デアリマス、之ヲ色々政治ノ
  上カラ、財政上ノ見地トカ色々ノ見地カラ
  ム,
  制限ヲシテ居ル、是ハ餘程考ヘナイト國ノ本い
  マ:モヲ動カスモノデアル、工業家ガ自ラ造ツタ物
  ス
  ヲ自ラ使用スル人之ヲ禁止スルト云フヤウナ
  モノガ何ガアリマスカa
  ク異などワトスリ¥公商賣人ガ自ラ手ニ
  入レタ品物ヲ人ニ賣ラズシテ自分デ使フト
  云フコトヲ禁止スルモノガ何ガアリマスカ、
  國家ノ治安ノ土カラ、軍事上ノ必要カラ禁ゼ
  ラレタモノハアリマセウ、併シソレ等ノ以外ノ
  モノハ工業家ハ自分デ造ツタモノヲ自分デ使
  フ、商賣人ハ自分ノ取扱フ商品ヲ自分デ使ツ
  2テ差支ヘナイ、農業ハ、治安ノ關係若シクハ軍
  事上ノ必要カラ使ハレナレバ別デアリマ〓
  スケレドモ、其ノ他ノモノ一付テ自ラ之ヲ生ニ
  產シ、自ラ之ヲ使用シ樂シムト云フコトハ當
  然ノコトデアル獨リ此ノ農民ニ農業ノ當
  %然ナコトヲ禁止スルト云フノハ、是ガ根本
  7
  ニ於テ誤ツテ居ル、ソコデ酒トカ煙草ト云
  ワモノハ農民ノミナラズ、殊ニ農民ハ最
  子上ノ嗜好物トシテ之ニ依ツテ一日ノ勞ヲ慰
  メサウシテ次ノ働キノ原動力トナル、酒
  ハ百藥ノ長ト昔カラ言ハレテ、丸娛樂ノナイ
  s.農村デハ是ガ唯一ノ樂シミデアリ、之ニ依ツ
  -
  テ保護サレテ居ル、此ノ樂シミヲ奪ヒ、而モ
  立派ナ米ガ出來ルノニ其ノ立派ナ米デ自分
  ノ酒ガ造レヌト云フヤウナ狀態ニ押込メテ
  置クト云フノハ、農民ニ對シ農村ニ對シ、其
  ヌ
  ノ木質特質ヲ打壞ハスモノデアツテ、オ前ハ
  立派ナ農民タルナカル斯ウ云クコトヲ强
  量フルヤウナ結果ニナルト思ヒマス、3ソコデ
  -先程申シマシタ工業家デ、何ヲ工業家ガ禁ゼエ
  〓
  ラレテ居ル、治安其ノ他ノ關係デハ別デアリv
  )マスケレドモ、何ガ禁ゼラレタモノガアルカ、七ノ
  
  商人ガ何ガ禁地ラレクモノガアルカ、農民
  すト相對シテ其ノ仕事ノ本質、職業ノ本質カラ
  出來ルモノヲ禁ゼラレテ居ルヤウナモノガ,1
  何ガアルカ心〓斯ウ云フ點ヲ篤ト御〓究下み
  E.수
  ランコトヲ私ハ農村振興ノ爲ニ切望シテ已
  ミマセス、主稅局長カラ此ノ間三點、四點伺
  ヒマシタ、是ハ行政上ノ今日ノ理由トシテハ
  御尤モナ理由デアル、併シソレ等ノモノハ總
  ベテ行政上ノ手段ニ依ツテ排除シ得ルモノ
  デアリマス、衞生上ノ問題デアルトカ、或
  ハ供出米ガ減ルダラウ、是ハ却テ今三善君
  モ言ハレルヤウニ殖エマス、殖エサセル方
  法ハ澤山アル、サウ云フコトヲ許シタナラ
  バ、斯ウ云フヤリ方ヲスルト云フナラバ供
  出米モドン〓〓殖エル、增產モドン〓〓出
  來ルト云フコトハ行政上ノ措置トシテ澤山
  アル、ソレカラ一定量ヲ限ツテ許スト云フ
  コトデ、サウ云フコトハ許ス方法ガアリマ
  スカラ是モ出來ルコトト思ヒマス、又監督
  ノ方法モ講ゼラレテ、ソレガ必要デアル以
  上ハ半農半商ノヤウナモノハ、農ヲヤツテ
  居ル以上ハ是ハ許スベキデ、稅收入ノ減ト
  云フヤウナコトハ是ハ私ハサウ考ヘナクテ
  モ宜イト思フ、主稅局デ御考ヘニナツダ
  色々ノ行政上ノ御考ヘハ御尤モデハアリマ
  スケレドモ、今日ハ行政的ニ考フベキニア
  ラズシテ、政治的ナ大キナ農村振興、農民
  ノ特質ヲ如何ニシテ維持スルカト云フ見地
  カラ此ノ問題ヲ御〓究下サイマシテ、自家
  用ダケハ御許シニナラレナクテハ不合理デ
  アル、私カラ言ハシムレバ、農民天賦ノ權
  利ト言ツテモ宜イ、農村天賦ノ特質ヲ破壞
  スルモノデアル、斯ウ云フ風ニ考ヘマスカ
  ラ、私ハ特ニ御〓究ヲ煩ハシタイト思ヒマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=75

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• 076・井野碩哉

  ○井野國務大臣　只今木村君ノ御述ベニナ
  リマシタ前段ノ御意見ニ付テハ全ク同感デ
  アリマス、農村ノ育成發展ノ爲ニハ、サウ
  云ツタ觀點カラ育成シテ行クコトハ當然デ
  アルト思ヒマス、唯後段ノ結論ニ私ハ必ズ
  シモ御贊成ヲ申上ゲナイ、ト申シマスノハ
  今日農村トシテモ自ラ作ツタ物ハ自ラ全部
  自分デ使フト云フコトヲ原則トシナケレバ、
  農民ノ本當ノ精神〓揚ナリ、又經營ノ合理
  化ト云フ點ニ至ラナイトハ考ヘテ居ナイノ
  デス、農民モヤハリ國家ノ國民トシテノ務
  ヲ果サナケレバナリマセヌ、今日戰力增强
  ノ上ニ、租稅ト云フ觀點カラ見マシテモ、
  國民一般ノ負擔スベキモノハヤハリ農民モ
  負擔スルト云フ氣持ガ宜イト思ヒマス、酒
  モ自ラ造リ、ソコデ稅ハ免レルト云フ氣持
  デナシニ、ヤハリ國家ニ自分デ作ツタモノ
  ハ提供スル、サウシテ稅ヲ取ツテ戴イテ、
  而モ其ノ配給ヲ受ケルト云フ建前ノ方ガ私
  ハ適當デアルト思フノデアリマス、今御話
  ノ工業生產ナリ、或ハ其ノ他ノ問題デ自分デ
  作ツタモノデ自分デ使ハナイモノハ一ツモナイ
  ト云フ御話デアリマスガ、今日ハ恐ラク私
  ハ皆逆デハナイカト思フ、石炭ニシロ、鐵
  ニシロ皆殆ド自家用ニ使ハナイデ國家ノ統
  制ニ服サナケレバナラヌ時代ト思フ、戰力
  增强ノ上ニ於テ凡ユル足ラザル資材ヲ最モ
  重點的ニ利用スルト云フ場合ニハ自分ガ
  作ツタモノハ自分ガ使フノダト云フ觀念ハ
  皆或ル稅度捨テテ居ルノデアリマス、併シ
  農村ニ於テハ米ノ自家用保有米トシテ、是
  ハ農村ノ自ラ作ル生產ノ樂シミト申シマス
  カ、經營上色々ノ氣持カラ私ハドウシテモ
  此ノ保有米ハ殘シテ居リマス、併シ酒造米
  ニ至ツテハ是ハ或ル程度國家ノ御用ノ爲ニ
  自ラ提供スルト云フコトガ適當デアルト考
  ヘテ居ル、其ノ意味カラ私ハ必ズシモ酒ヲ
  農民自ラガ作ラナケレバ農村ノ氣持ヲ阻碍
  スルト云フ風ニハ考ヘテ居リマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=76

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• 077・木村正義

  ○木村(正)委員　是ハ何レ又適當ナ席デ相
  當長ク御論議セネバナラヌ、農村ノ本質、農
  民ノ特質、農業ノ性質等カラ論ジナクチヤナ
  ラヌ問題ト思ヒマス、唯農林大臣ハ少シ私
  ノ言ツタノヲ誤解サレテ居ルノデアツテ、
  私ノ言ツタノハ、サウ云フ國家ニ奉仕スベ
  キ部分ガアルノハ言フヲ俟タナイコトデ、
  現ニヤツテ居リ、又昔カラヤツテ居ルコト
  デアル、唯農業トシテ當然ナシ得ルモノデ、
  自分ガ斯ウシタイト思フ時ニハ、其ノシタ
  イコトハ仕事ノ特質トシテ、當然出來ルコ
  トハ國家ガ之ヲ許スト云フノガ當然デアル、
  又總テノモノガ大體サウナツテ居ル、餘程
  ナ軍事上其ノ他特別ノ必要ガアルニアラズ
  ンバイケナイ、石炭ノ問題デモ、今日ノ時
  局等カラ石炭ガ使ヘナイ、掘ツタ人ガ使ハ
  ウト思ヘバ平生チツトモ差支ヘナイ、今マデ
  ヤツテ居ツタ、併シ是ハ統制經濟ニナツテヤ
  ツテ居ルコトデ、酒ト云フモノハ何モ戰爭
  ニナラヌ前カラ、サウ云フ國家財政上ノ見
  地カラヤツテ居ルダケデアリマスカラ、其
  ノ點ニ考慮ヲ加ヘナクチヤイカヌ、斯ウ云
  フ私ノ議論デアリマス、隨テ今アナタノ仰
  シヤツタコトハ、少シ言葉ノ一部分ノ方面
  ヲ御考ヘニナツテ居ラレル
  ソレカラ主稅局ニ其ノ問題ト關聯致シマシテ、
  今日酒ヲ造ツテ居ル者デモ、自家用米トシテ幾
  ラカ保有ヲ許シテ居ルノデアル、今日酒ヲ造ツ
  テ居ル者ハ自分デ飮ンデハイカヌト云フコトニ
  ハチツトモナツテ居ナイ、何千石カ作ツタ、其
  ノ何「パーセント」ハ自家用米トシテ使ヒ得
  ルヤウニナツテ居ル、サウ云フ議論カラ言フ
  トサウ云フ酒造家ニモ使ハセテハイカヌ、
  皆庫出稅ヲ取ツテヤラナクチヤナラナイ、
  斯ウ云フ議論ニナル、併シソコハ酒ヲ造ル
  者デモ幾ラカソコデ飮ンデ宜カラウ、斯
  ウ云フコトニナツテ居ルト思フ、ソレガ
  違ツテ居レバ違ツテ居ルト云フコトヲ承リ
  タイガ、私ハ幾分殘スコトモ當然デアルト
  思フ、ソレト同ジデ、農民ガ當然ナシ得ル
  コトヲ、其ノ天賦ノ仕事ヲ奪ツテシマフト
  云フヤウナコトハ、是ハ國家ガ餘程ナ犠牲
  ヲ拂ハシテ居ルモノデアル、拂ハシテモ宜シ
  イ、ソレデ農村ガ振興シ、農民ガ健全ニナ
  ルナラバ宜シイ、國家ノ目的ト合ハナイ結
  果ニナル、國家ノ目的ト農村ノ振興ト兩々
  相俟ツヤウニ政治ト云フモノハ考ヘルベキ
  デアル、斯ウ云フコトヲ私ハ言ツテ居ル譯
  デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=77

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• 078・井野碩哉

  ○井野國務大臣　私ノ申上ゲタコトモ、決
  シテ木村君ノ御意見ヲ誤解シテノ意見デハ
  ナイノデアリマス、結局根本論トシテ、ア
  ナタノ御考ヘ方ハ私モ宜イト思フ、ソレガ
  酒造米ヲ農村自體ニ酒トシナケレバ、ソレ
  ガ目的ヲ達成シナイカ否ヤト云フコトニ付
  テハ、寧ロ今日ノ狀態ニ於テハ現在政府ガ
  執ツテ居ル政策ノ方ガ適切デアルト云フコ
  トヲ申上ゲタノデアリマス、例ヘバ行政上
  ノ手段ト言ハレマシタガ、供出米等ニモ濁
  酒ヲ許セバ供出米ハ多クナル、三善サンモ
  此ノコトヲ言ハレマシタガ、其ノ點ニ付テ
  モ中々〓究ノ餘地ガアルノデアリマス、ト
  云フノハ供出米ハ何ヲ基準トシテ政府ガ決
  定スルカト云ヘバ、結局農村ガ申告シ
  テ來ル生產高ヲ基準トシテ決定シテ參
  ルノデアリマス、自分勝手ニ幾ラデモ
  酒ガ造レルト云フコトニナツテ參リマス
  ルト、生產高ノ申告ト云フモノニ果シテ
  正確性ガ得ラレルカドウカ、ソレカラ餘
  程考ヘナケレバナラヌコトニナリマス、
  是等ノコトヲ考ヘテ見マスト、今日國家ガ米
  ノ管理ヲシテ居ル、石炭ノ問題ニシテモ、
  或ハ鐵ノ問題ニシテモ、國家ハ總テ戰力增
  强ノ上カラ必要物資ノ統制、計畫經濟ヲ致
  シテ居ルノデアリマスカラ、米モソレト同
  ジ觀點カラ見マシテ、政府自體ノ計畫ノ下
  ニ幾ラノ數量ヲ供出サセルカト云フ其ノ基
  準量ヲ自家用米、食用米トシテノミ保有ス
  ルコトヲ認メテ、アトハ政府ニ供出サセ、
  或ハ酒ヲ造ルナリ他ノモノヲ造ルノニ必
  要ナモノハ農村ニ持タシテ行ク、斯ウ云フ
  計畫經濟ノ方ガ、今日ノ此ノ物ノ足リナイ
  時ニハ適當ナ施策ヲナシ得ルト云フコトヲ
  申上ゲテ居ルノデアリマス、併シ氣持ノ上
  ニ於テハアナタノ御氣持ト違ヒハナイ、出
  來レバサウ云フコトモシテ見タイガ、色々
  ナ難點ガアルノデ、中々出來ナイト云フコ
  トヲ申上ゲ居ルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=78

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• 079・木村正義

  ○木村(正)委員　一ツ御〓究ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=79

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• 080・松村光三

  ○松村委員長　此ノ際商工大臣ニ關スル質
  疑ヲ御願ヒ致シマス--河野君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=80

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• 081・河野密

  ○河野(密)委員　御忙シイ所ヲワザノ〓御
  出ヲ願ツテ相濟ミマセヌ、私ハ今度ノ改正
  稅法ノ中ニ商工省關係ノ問題ガ相當織込マ
  レテ居リマスノデ、最初カラ商工大臣ニ
  度御質問ヲ申上ゲタイト云フコトヲ御願ヒ
  シテ置イタノデアリマスガ、質問モ大體終
  リニ近付キマシタノデ、此ノ機會ニ御伺ヒ
  致シタイト思フノデアリマス
  今度ノ臨時租稅措置法ノ改正案ノ中ニ色
  色ナ點ガ織込マレテ居リマス、第一條ノ改
  正ノ中ニ重要產業ニ對スル補助助成ノ觀點
  カラモ、幾ツカノ點ガ織込マレテ居リマス、
  ソレカラ第一條ノ十七以下ニ所謂企業ノ整
  備ニ基ク犧牲者ノ救濟トデモ申シマセウ
  カ、ソレニ對スル觀點カラ色々ナ點ガ織込
  マレテ居リマス、其ノ中ニハ私達ガ企業整
  備ガ始マツテ以來、大藏當局ノ陳情ヲ申上
  ゲタ色々ナコトガ織込マレテ居ルノモアル
  ノデアリマス、洵ニ結構ダト存ズルノデア
  リマスガ、ソコデ商工大臣ニ先ヅ御尋ネシ
  タイノハ、臨時租稅措置法ノ改正ニ依リマ
  シテ、大藏省ノ資料ニ依リマスト、約三千
  四百餘万圓ノ所得稅、法人稅其ノ他ノ減收
  ヲ見込ンデ居ルノデアリマシテ、是ハ勿論企
  業整備ノミニ依ルノデハナイノデアリマス
  ガ、本年行ハレル企業整備ニ付テ、商工當
  局トシテハドウ云フ程度ノコトヲ御考ヘニ
  ナツテ居ルカ、所謂企業整備ノ全貌ニ付テ
  ドウ御考ヘニナツテ居ルカ、是ガ第一デア
  リマス
  其ノ次ハ企業整備ニ基ク國庫ノ支出ト致
  シマシテ、本日大藏當局カラ承ル所ニ依リマ
  スルト、共助金ノ利子補給トシテ千八百餘
  万圓、ソレカラ損失補償其ノ他トシテ三千
  二百万圓、合計五千百万圓ヲ大體中小商工
  業ノ企業整備ニ基ク支出トシテ計上サレテ
  居ラレルノデアリマスガ、是ハ洵ニ數字ガ
  小サイノデアリマス、私ハ此ノ臨時租稅措
  置法デ減收見込トナツテ居ル三千四百餘万
  圓、勿論是ハ企業整備ニ基クモノダケデハ
  ナイガ、三千四百餘万圓ノ減收ヲ見込ンデ
  居ルニ拘ラズ、企業整備ニ對スル國庫ガ支
  出シヨウト云フ金ガ五千百万圓ト云フノハ
  餘リニ小サイト思フノデアリマスガ、モツ
  ト大キハ額ヲ考ヘテ居ルノダラウト思ヒマ
  スルシ、又居ツテ然ルベキモノデアルト思
  フノデアリマスガ、其ノ點ニ對スル商工大
  臣ノ御意見ヲ承リタイノデアザマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=81

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• 082・岸信介

  ○岸國務大臣　企業整備ノ問題ハ御承知ノ
  ヤウニ、支那事變以來漸次經濟ノ運營上、統
  制經濟ノ强化ニ伴ヒマシテ今日マデ行ハレ
  テ參ツタモノデアリマス、其ノ進行ノ狀況ハ
  他ノ一般戰時經濟ノ運營ノ面ト常ニ有機的
  ナ關係ヲ持チツツ今日ニ至ツタ譯デアリマ
  ス、大體政府ト致シマシテハ、昨年春此ノ
  中小企業整備ニ關スル內閣ノ方針ト云フモ
  ノヲ決定致シマシテ、之ニ基キマシテ現
  在其ノ整備ヲ行ツテ居ル譯デアリマス、特
  ニ中小企業ノ中、商業ノ部門ニ關シマシテ
  所謂第一次指定ト致シマシテ、相當ナ業種
  ニ亙リマシテ是ガ第一段ノ整備ヲスルト云
  フコトデ、各府縣ト連絡ヲ保チマシテ、第
  一次整備ノ大體ノ目鼻ガ付イテ今日ニ來テ
  居ルノデアリマス、是ハ大體本年ノ三月マ
  デニ、第一次指定ニ依ル整備ト云フモノガ
  大體ニ於テ行ハレルコトダラウト思ヒマス、
  然ルニ昨年暮以來ノ我ガ國ノ直面致シテ居
  リマスル戰爭段階ニ對應致シマス爲ニ、國
  內ニ於テ戰力增强、特ニ超重點ヲ置クベキ
  五ツノ產業ヲ取上ゲマシテ、之ニ凡ユル經
  濟總力ヲ集中スルト云フ政策ガ執ラレテ來
  タノデアリマス、ト同時ニ海上輸送力其ノ他ノ
  方面ニ於キマシテハ、作戰ノ進行ト共ニ相
  當ナ切詰メラレタ事態ガ發生ヲ致シテ居ル
  ノデアリマス、是等ニ依リマスト、今後企業
  ノ整備ノ問題モ、從來步ンデ參リマシタノ
  トハ、更ニ又一段、範圍ニ於キマシテモ、其
  ノ深サニ於キマシテモ、强イモノガ起ツテ
  來ザルヲ得ナイ情勢ニ立至ツテ居ルノデア
  リマス、是等ニ處シマシテ、政府トシテドウ
  云フ方策ヲ採ルカト云フ問題ニ關シマシテ
  ハ、目下政府部內ニ於テ〓究ヲ致シテ居リ
  マシテ、今日茲ニマダ申上ゲル時期ニ達シテ
  居ラナイノデアリマス、萬全ノ方法ヲ立テテ
  此ノ新シイ事態ニ十分ニ對處シテ行キマシ
  テ、經濟界ノ不安若シクハ此ノ整備途上ニ
  於ケル色々ナ困難ナ問題ヲ十分ニ解決シテ
  行キタイト考ヘテ居リマス、今日マデ行ツテ
  來テ居リマスル所謂第一次指定產業ノ整備、
  又中小工業方面ニ於テ、各企業別ニ立テ
  テ居リマスル所ノ整備要綱ニ基イテノ整備
  ト云フモノニ付テ、政府ガ從來支出シテ參ツ
  テ居リマスル金額又補助等ノ額ニ付キマシ
  テハ、先程御話ニナリマシタヤウニ、大藏
  省ヨリ出テ居ル數字ガ大體サウナツタ譯デ
  アリマス、併シ是ハ國庫ガ直接ニ出シテ居
  リマスル、損失トシテ國庫ガ結局ニ於テ負
  擔スル所ノモノデアリマスガ、其ノ他御承
  知ノ通リ此ノ中小商工業ノ整備ニ付キマシ
  テハ、更生金庫ヲシテ大體其ノ資產ヲ引受
  ケサセルコトニ致シテ居リマス、此ノ更生
  金庫ガ此ノ資產ヲ引受ケテ、是カラ由ツテ
  生ズル損失ニ對シテハ、政府ガ補償スルコ
  トニナツテ、豫算外ノ契約ニ依ツテ負擔ス
  ルコトニナツテ居リマスガ、大體私共今日ノ
  規模ニ於テ、更生金庫ノ引受ケル資產ノ金額
  ハ約五億三千万圓位ニ見込ンデ居リマス、
  其ノ他更生金庫以外ニ、各業別ニ組合ガア
  リマシテ、其ノ組合ガ先ヅ業界ノ共同的ノ
  力トシテ、是等ノ財產施設等ヲ引受ケルモ
  ノモアリマス、又組合等ガ共助金等ノ形ニ
  於キマシテ、同業者ノ共助ノ形ニ於テ出ス
  金、又政府ガ此ノ共助金ニ對スル補助、先
  程御擧ゲニナリマシタガ、是等ノ金額ヲ總
  テ合ハセマシテ、今日ノ規模ニ於テ行フ中
  小企業ノ整備ニ要スル總資金トシマシテハ、
  約十一億圓程度ノモノヲ豫想致シテ居リマ
  ス、之ニ對シマシテハ、更生金庫、組合又
  政府ノ補助金等ニ依ツテ、此ノ資金ノ賄ヒ
  ヲ付ケテ行ク考ヘデアリマス、唯今後ノ情
  勢ノ變化ニ對處致シマシテハ、更ニ政府ト
  シテハ、强力ナル方策ヲ立テル必要ガアラ
  ウカト思ヒマス、之ニ付テハ折角政府部內
  ニ於テ〓究致シテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=82

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• 083・河野密

  ○河野(密)委員　詳細ナ御說明ヲ戴キマシ
  テ滿足致シマス、併シ私ノ極ク大雜把ナ計
  算デアリマスガ、其ノ大雜把ノ計算ニ依リマ
  シテモ、相當ニ大キナ額ヲ要スルト思フノ
  デアリマシテ、中小企業ノ整備ト言ヒマス
  カ、其ノ反面カラ見マスルナラバ、重要產業
  ノ助成、所謂超重點主義ノ五ツノ品目ニ對
  スル國家ノ超重點的ナ增產、斯ウ云フコト
  ハ日ノ當ル所謂表ノ面デアツテ、其ノ反面
  ガ所謂中小企業ノ整理、不急不要產業ノ整
  理統合、斯ウ云ツタ問題デアラウト存ジマ
  ス、ソコデ私ハ此ノ費用ノ點デ御尋ネシタ
  イノデアリマスガ、鐵石炭等ノ增產ニ付
  テハ四億八千四百餘万圓ト云フモノガ豫算
  ニ計上致サレテ居リマス、更ニ資金、勞務、
  動力、資材ト云フヤウナモノニ付テハ、御
  承知ノヤウニ戰時行政特例ニ依リマシテ、
  特殊ナ措置ガ講ゼラレルコトニ相成ツテ居
  ルノデアリマス、私ハ此ノ日ノ當ル面ニ、
  主トシテ資金デアリマスガ、ソレヲ動員ス
  ル、或ハ特別ナ措置ヲ講ズルコトバカリガ、
  是ガ超重點的ナ措置デハナイ、一面カラ言
  フナラバ、ソレニ依ツテ整理サレ、或ハ轉
  廢業ヲ命ゼラレル人ニ對スル生活ノ保障モ、
  或ハ中小企業ニ雇ハレテ居ル勞務者ニ對ス
  ル或ル程度ノ措置ヲ講ズルト云フノモ、是
  ハ私ハ超重點的ナ增產ヲヤル上ニ付テノ重
  要ナル要素デアルト思フノデアリマス、ソ
  コデ御尋ネシタイノハ、此ノ資金、勞務、
  資材、動力ヲ擧ゲテ居リマスガ、資產ト云
  フ中ニハ、當然ニ私ハ企業整備其ノ他ニ依
  ル人々ニ對スル特殊ナ措置、應急的ナ措置
  ヲ講ズルト云フ手段モ含マレルモノト解釋
  致シマスルガ、左樣ナコトヲ御考へニナツ
  テ居リマスルカ、御伺ヒシタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=83

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• 084・岸信介

  ○岸國務大臣　只今ノ御意見ノ如ク、超重點
  產業ニ於ケル生產增强ト云フモノヲ確保シ
  テ參リマス爲ニハ、一面ニ於テ是ト關聯ノ
  アル一聯ノ產業ハ、ヤハリ超重點產業ト十
  分ノ調和ヲ保ツテ其ノ生產ガ推シ進メラレ
  テ行カナケレバナラナイト同時ニ、其ノ反
  面ニ於キマシテ重點產業ニ關係ノナイ部面
  ニ於ケル各種ノ企業整備ノ問題ガ必然ニ起
  ツテ來ル譯デス、政府トシテハ此ノ後重點
  產業ノ生產增强ヲ確保スル爲ニハ、是等ノ
  凡ユル產業ノ面ニ亙ツテノ施設ヲ誤ラナイ
  ト云フコトデナイト、本當ニ必要トシテ居
  ル生產增强ハ期セラレナイ譯デアリマス、
  唯ソレヲ行ツテ行ク手段トシテドウ云フ方
  法ヲ採ルカト云フ問題ニナリマスト、色々
  ナ考ヘ方ガ起ツテ來ル譯デアリマス、今囘
  提案サレテ居ル戰時特例ニ關スル法律案及
  ビ其ノ勅令ニ關聯致シマシテ、所謂資材、
  資金、勞務、動力ヲ或ル一箇所ニ集中シテ
  ヤツテ行クト云フ此ノ資金ノ關係ハ、ココ
  デハ重點產業ニ對スル資金ノ供給ノ面ダケ
  ヲ取扱ツテ居ルノデアリマス、併シナガラ政
  府ハ他ノ所謂犧牲ヲ受ケル-河野君ノ御言
  葉ノ日ノ當ラナイ方面ノ反面ノ產業ニ對シ
  テノ產業資金ノ關係ヲ十分考ヘナイトイケ
  ナイノデアリマシテ、之ニ對シテハアノ法
  律直接ノ運用トシテ考へテ居ル資金ノ中ニ
  ハ考ヘテハ居リマセヌケレドモ、別途ノ方
  法デ之ニ對スル對策ハ目下政府部內デ考ヘ
  テ居ル譯デアリマス、之ニ付キマシテハ十
  分違算ノナイ方法ヲ實施シテ行ク考ヘデア
  リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=84

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• 085・河野密

  ○河野(密)委員　御趣旨ノ點デ大體滿足ニ
  存ジマスガ、モウ一ツ御尋ネシタイノハ、今
  貴族院ニ掛ツテコチラニ來ルコトニナツテ
  居ル商工組合法ガ制定ニナルト、其ノ商工
  組合法ハ此ノ中小企業整備ノ問題ニ相當關
  係ノアル法律ダラウト存ジマスガ、其ノ商
  工組合法ヲ通ジテ相當整備統合ノ役ニ立テ
  ヨウト云フヤウニ御考へニナツテ居ルヤウ
  ニ存ズルノデアリマス、何ト申シマシテモ
  私ハ中小企業ノ前途ニ光明ヲ與ヘルコトガ
  ドウシテモ必要カト存ジマス、中小商工業
  者ノ南方移轉ト云フ問題ニ付テ何カ政府ニ
  於テ特別ナ御施策ガナケレバナラナイト思
  ヒマスガ、其ノ點ニ付テ御伺ヒ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=85

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• 086・岸信介

  ○岸國務大臣　中小商工業企業整備ノ問題
  ハ、御承知ノヤウニ起リハ、統制ノ强化ニ依ル
  コトカラ今ノヤウナ多數ノ弱イ企業ヲ其ノ
  儘ニ存續スルコトハ到底不可能デアルト云
  フ見地カラ起ツテ參ツタノデアリマスガ、最
  近ニ於キマシテハ中小企業ノ再編成ハ二ツ
  ノ目標ヲ持タザルヲ得ナクナツテ來テ居リ
  マス、一面ニ於テハ企業ヲ整備致シマシテ、從
  來持ツテ居ル中小企業ノ特長ヲ生カスト共
  ニ、統制强化ノ後ニ於ケル重點產業ニ凡ユ
  ル力ヲ集中スル結果、資材、勞力、資金等
  ガ少クナリ取扱物資ガ少クナル、之ニ對處
  シテ十分ナル配給若シクハ生產機構トシテ
  役立テ得ルト云フ程度ニ之ヲ整理シテ行ク
  ト云フ面ト、モウ一ツハ是カラ出テ來ル餘
  剩ノ人ノ力ヲ緊要產業部面ニ用ヒテ行クト
  云フ、此ノ二ツヲ今日ノ企業整備ノ問題ハ
  持ツテ居ルノデアリマス、隨ヒマシテ是カ
  ラ出テ來ル餘剩ノ人員ニ付テハ、先ヅ私ノ
  希望トシテハ、國內ニ於テ勞務ノ不足シテ
  居ル重點產業、緊要產業ノ部面ニ於テ先ヅ
  其ノ勞務ノ不足ヲ補ツテ、此ノ方面ノ生產
  增强ヲヤツテ戴キタイト云フノガ第一ノ願
  ヒデアリマス、ソレニハ中小企業ノ整備カラ
  出テ來ル人ヲ適當ニ鍊成シ、訓練スル必要
  ガアル、又之ニ適シタ職業ヲ與ヘルト云フ
  意味ニ於テ、職業ノ世話ヲスル必要ガアル
  ト云フ見地カラ色々施設ヲ致シテ居ルコト
  ハ御承知ノ通リデアリマス、併シナガラ同
  時ニ是ダケデ濟ムト云フ問題ヂヤナクテ、
  又日本ノ今マデト違ヒマシテ大東亞共榮圈
  全體ノ經濟開發、又產業活動ト云フモノヲ
  日本ガ中心トシテヤツテ行カナケレバナラ
  又、斯ウ考ヘテ見マスルト人ノ不足ト云
  フ事柄ハ國內ノミナラズ大東亞共榮圈全面
  ニ亙ツテノコトデアリマシテ、是等ノ方面
  ニヤハリ中小企業者ノ整備カラ出テ來ル人
  人ヲ活動セシムルコトモ國家的ノ必要ガ緊切
  デアルト思フノデアリマス、又中小企業ノ
  整理ニ依ツテ轉廢業スル人々ノ異常ノ强イ
  希望ガ又南方方面ニ新シイ職域ヲ求メテ活動
  スルト云フ點ニアルコトモ私ハ能ク承知シ
  テ居リマス、唯南方方面ノ現實ノ事情ハ御
  承知ノ通リ作戰ガ行ハレテ居ル事態デアリ
  マスノデ、之ニ多數ノ者ガ出掛ケテ行クト
  云フコトハマダ現在ノ段階ニ於テハ適當デ
  ナイ、又大陸其ノ他ニ活動シタ日本人ノ過
  去ノ經驗ニ鑑ミマシテモ今後南方諸地域ニ
  出掛ケテ行ク所ノ產業人ニ付キマシテハ、
  特ニ斯ウ云フ中小ノ形態ニ於テ行ハレル各
  種ノ仕事ニ付キマシテハ十分ニ鍊成ヲ加ヘ
  マシテ、又向フノ事情ニ適シ、向フノ事情ヲ
  十分ニ會得シ、眞ニ南方地域ノ指導者的地
  位ヲ保ツニ相應シイ人々ノ鍊成ヲ致シマシ
  テ、サウ云フ形デ出テ貰ヒタイ、又一度出
  テ行ク以上十分ニ是等ガ成功シ、將來ノ發
  展ガ確實ダト云フ見据ヘヲ付ケテ出テ行ク
  ト云フコトガ何ヨリモ必要ダト思ヒマス、
  政府トシマシテハサウ云フ現在ノ狀況カラ
  申シマスト、サウ云フ準備トサウ云フ鍊成
  ヲ今日トシテハ加ヘテ事態ノ進展ニ伴ツテ
  適時ニ出テ行クト云フコトニ致シタイト考
  ヘテ居リマス、現ニ滿洲開拓移民ニ付キマ
  シテモ、此ノ中小商工業ノ整備ノ結果、轉廢
  業者ガ出テ行キタイト云フ考ヘガアリマシ
  テ、是等ニ付キマシテモ農業者ノ場合ト同
  樣ナ鍊成ヲ加ヘ、訓練ヲ致シマシテ向フニ
  モ是等ノ人々ガ安住シテ開拓ノ目的ヲ達シ
  得ルダケノ準備ヲシテ試驗的ニ一部出テ參
  ツテ居リマス、是等ハ相當ナ今日成績ガ
  擧ツテ居ルヤウデアリマス、南ノ方ニ出マ
  ス場合ニ於キマシテモサウ云フ準備ヲ十分
  ニシテ行クト云フ事柄ガ必要デアリ、其ノ
  準備ガ却テ十分デナイト折角ノ夢ガ最初
  ニ出掛ケテ行ク先遣隊ノ人々ノ不成功ニ依
  ツテ逆ノ效果ガ起ルヤウナ場合ガアリマス
  ノデ、是等ノ場合ニ付キマシテハ政府トシ
  テ十分事情ヲ調ベ、又鍊成ヲ加ヘテ事態ノ
  變遷推移ヲ見テ、適當ニ進出ヲ圖ツテ行キ
  タイ、斯ウ云フ風ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=86

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• 087・河野密

  ○河野(密)委員　時間ヲ御急ギノヤウデア
  リマスカラ、最後ニタツタ一ツ御尋ネヲ申
  上ゲマス、今度ノ增稅案ノ中ニモ消費稅ヲ
  增徵シタ部分ダケハ物價ヲ上ゲテ宜イト思
  言ウテ居ルヤウデアリマス、是ハ大藏省、
  商工省兩省ガ十分御打合セノ上デ御決メニ
  ナツタコトト存ジマス、是ハ趣旨トシテハ
  尤モナコトト存ズルノデアリマスガ、此ノ機
  會ニ商工大臣ニ御尋ネシタイト思ヒマスノ
  ハ、物價ノ問題ニ對シテ商工省ガ最近ドウ
  考ヘテ居ルダウラカト云フ點デアリマス、長
  イコトハ申シマセヌ、先般ノ豫算總會デ或
  ル人ノ質問ヲ聽イテ御答辯ニナルノヲ伺ツ
  テ居リマスルト、大體從來ノ價格ヲ維持シ
  テ行クト云フノガ物價ノ基準デアル斯ウ
  云フ御答辯デアツタノデアリマス、私ハ是
  ハ極メテ尤モナコトダト存ジマス、物價ノ
  基準如何ト云フコトハ色々議論ニナリマシ
  タガ、旣ニ國際物價ヲ基準ニスルト云フコ
  トノ執ルベカラザルコトハ固ヨリデアリマ
  シテ、適正價格ト云フヤウナコトガ問題ニ
  ナリマシタ時分ニ、適正價格ト云フコトハ
  ナイノデアツテ、大體ニ於テソレハ政治
  的ナ價格デアル、物價ト云フモノハ一種ノ
  國策ニ應ズル政治的ナ見地カラ定メテ宜シ
  イノダト、斯ウ云フ議論ヲ吾々ハシタノデ
  アリマスガ、政府ノ方ニ於テモ大體サウ云
  フ御考ヘデ、是ハ安定價格デアル、一部分
  安定ヲ維持スルト云フ意味合ニ於テ此ノ程
  度ニ物價ノ基準ヲ決メルト云フ、政府ノ國
  策トシテソコニ決メルノダト斯ウ云フノ
  ガ物價ノ基準デアツタト私ハ承知シテ居ル
  ノデアリマス、ソコデ今日ノ物價ノ基準ト
  云フモノモ勿論安定ヲ中心ニシテ、安定ヲ
  シナケレバナラヌト云フコトハ固ヨリ是ハ
  當然デアル、從來ノ價格ヲ維持スルト御考
  ヘニナルノハ當然デアリマスガ、今申上ゲ
  マシタヤウニ、消費稅ヲ上ゲルナラバ消費
  稅ヲ上ゲタ範圍ニ於テ物價ヲ動カス、是モ
  私ハ其ノ價格ト云フモノガ政治的ナ意味ヲ
  持ツテ居ル以上ハ當然デアルト思フノデア
  リマス、斯ウナリマスト物價ト云フモノハ
  適正デアルトカ不適正デアルトカ云フコ
  ト、或ハ原價計算デアルトカ色々ナ要素モ
  アリマセウケレドモ、ソレモ一ツノ基準ト
  シテ考ヘラレルニ違ヒナイガ、一應國家ガ
  斯ウ云フ風ニシタイト云フ政治的ナ意思ニ
  依ツテ私ハ大體物價ト云フモノハ決メラレ
  得ルモノダ、斯ウ思フノデアリマス、從來
  ノ價格政策ハ私ハ大體ニ於テ妥當デアツタ
  ト思ヒマスガ、ソコデ若シサウ云フ意味ニ於
  テ考ヘルナラバ、玆ニ物價ト云フモノニ所謂
  國家ノ目標デアル增產ヲ目標ニスル、其ノ
  安定價格ト云フモノカラ一步拔ケ出シテ增產
  價格ト云フヤウナモノヲ玆ニ考ヘテ見ルコ
  トハ決シテ不合理デナイシ、妥當ナモノヂ
  ヤナイカ、斯ウ云フコトヲ私ハ考ヘルノデ
  アリマスガ、御急ギデアリマスカラ詳シイ
  コトハ申上ゲマセヌガ、此ノ點ニ付テノ商
  工大臣ノ御意見ヲ承リタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=87

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• 088・岸信介

  ○岸國務大臣　物價ノ問題ニ關シマシテハ
  屢、豫算委員會其ノ他デ論議ガアツタコトデ
  アリマス、理論的ニ如何ナル所ニ標準ヲ置ク
  カ、水準ハドウスルカト云フ問題ニ關シマ
  シテハ、理論的ニハ色々ナ議論ガ私ハ出來
  得ルト思ヒマスガ、現實ノ問題カラ考ヘマ
  スト、今河野君ノ御話ノアリマシタ現實ノ
  物價ノ水準ヲ兎ニ角維持スルト云フコトガ
  其ノ根柢ヲナサナケレバナラヌト思フノデ
  アリマス、併シナガラ是ハ申スマデモナク凡ユ
  ル物價ヲ釘付ケニスルト云フ意味デハナイ
  ノデアリマス、今ノ物價水準ヲ以テ個々ニ安定
  セシムルコトガ、凡ユル產業經濟活動ノ基底
  トシテ適當デアルト云フ見地カラ個々ニ其ノ水
  準ヲ置イテ、安定ヲセシメルト云フコトガ低
  物價政策ノ一番基調デアルト思フノデアリ
  マス、唯斯ク申シマシタカラト言ツテ個々ノ
  物價ガ決シテ一ツ〓〓妥當デアリ個々ノ物價
  ガ悉ク其ノ現在持ツテ居リマスル値段ヲ其ノ
  儘ニ釘付的ニ今後存續サセナケレバナラヌ
  カト申シマスト、是ハサウデハナイト思フ
  ノデアリマス、現ニ個々ノ物價ヲ當ツテ見
  マスルト、色々ナ物資ノ間ノ不釣合ノ問題
  モアリマス、又今御話ノアリマシタヤウニ其
  ノ增產ヲ確保スル上ニ於キマシテ適當デナイ
  ト云フ價格モアリ得ルノデアリマス、唯私共
  一番茲ニ警戒ヲシナケレバナラヌ、又其ノ
  誤リヲ正サナケレバナラヌト云フ事柄ハ、
  所謂物價ヲ吊上ゲルコトニ依ツテ、生產ノ
  一種ノ刺戟トシテ物價ノ値上ゲニ依ツテ增
  產ヲ期待スル、若シクハ增產ガ非常ニ期待
  出來ルト云フ考へ方自身ハ私ハ適當デナイ
  ト思ヒマス、今日ノ狀況カラ申シマシテ、
  實際生產費モ償ハナイデ、又增產ヲシヨウ
  トスルニ付テノ企業ノ安定モ圖ラレナイト
  云フヤウナ公定價格デ若シアリトスルナラ
  バ是ハ適當ナ價格デナイガ故ニ之ヲ適當
  ニ直ス事柄ハ無論シナケレバナラヌト思ヒ
  マスガ、今日ノ增產ハ言フマデモナク一ツ
  ノ國家ノ計畫ニ基イテ資材、勞力、資金等
  凡ユルモノガ國家ノ統制ト計畫ノ下ニ配給
  セラレマシテ初メテ增產ガ出來ル譯デアリ
  マン、唯單ニ自由主義時代ノ如ク値段ヲ上
  ゲレバソレニ依ツテ非常ニ豐富ニナリ物資
  ガ增產サレルト云フヤウニ漫然考ヘル考ヘ
  方ハ私共極力排擊致シ、又ソレハ非常ニ危
  險デアル、若シサウ云フ考ヘ方ニ致シマス
  ト各種ノ物資ノ値段ガ次カラ次ヘト上ツ
  テ參リマシテ、結局惡循環ノ狀況ニ立至ル
  シ、又事實吾々ノ狙ツテ居ルヤウナ生產增
  强ガナサレルモノデハナイ、斯ウ考ヘテ居
  リマス、併シナガラ個々ノ價格ニ付キマシ
  テハ、今申上ゲマシタ通リ、若シモソレガ
  生產ヲ增產シテ行クノニ引合ハナイ、又企
  業モ安定性ヲ缺クト云フヤウナ價格デアル
  ナラバ、之ヲ適當ニ原價計算ヲ行ヒ、其ノ
  他凡ユル見地カラ合理化致シマシテ、適正
  ナ基準ノ下ニ安定シタ企業トシテ增產ガ出
  來ルト云フ値段ニ改正スルト云フコトニ付
  キマシテハ吝カデナイ、斯ウ考ヘマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=88

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• 089・河野密

  ○河野(密)委員　御趣旨ハ能ク分リマシタ、
  私ノ言フノハ、消費稅ヲ增徵シテ、其ノ增
  徵シタ部分ダケ物價ヲ上ゲテソレニ依ツテ
  消費ヲ抑制スルト云フ政府ノ御考へ、是ガ
  私ハ相容レルト思フナラ、是ガ成立ツモノ
  ト致シマスルナラバ、全體ノ物價ヲ抑ヘテ
  置イテ增產ヲシヨウト思フ物ノ物價ダケヲ
  外スト、一ツ上ゲルト云フ行キ方モ茲ニ理
  論上當然成立ツ譯デハナイカト、私ハソコ
  ニ今日ノ所謂價格政策ガ政治的ナ價格デア
  ルト言フ、全體ノ基調ハ安定物價デアル、
  安定ヲ基準トスル物價デアル、併シソコニ
  政治的ナ意味ヲ持ツテ居ル政治的物價ナノ
  デアルカラ、今言フ消費稅ヲ上ゲタダケ其
  ノ物價ヲ吊上ゲテ、其ノ消費ヲ抑制スルト
  云フ觀點モソコニ出テ來ルシ、增產ヲ目標
  トスル物價ニ對シテハ之ニ對シテ適當ナル
  措置ヲ講ズルト云フ考ヘモ成立チ得ルノダ
  ト、斯ウ云フコトヲ私ハ考ヘテ申上ゲタ譯
  デアリマスガ、御急ギノヤウデアリマスカ
  ラ其ノ點ニ付テハモウソレ以上申上ゲマセ
  又、大變恐縮デアリマシタ

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• 090・松村光三

  ○松村委員長　大藏大臣ガ出席デアリマス
  ガ、二時五十分カラ已ムヲ得ザル會議ガア
  ラレマスルノデ、ソレマデノ間十分シカア
  リマセヌガ-坂本君

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• 091・坂本宗太郎

  ○坂本(宗)委員　大變オ忙ガシイ大藏大臣
  ニ御出席戴キマシテ御答辯ヲ伺フコトハ感
  謝ニ堪ヘマセヌ、私ハ極メテ要約致シマシ
  テ簡單ニ質問申上ゲタイ、我ガ國ノ纖維國
  策ト云フモノガ極メテ薄弱デアリ、確立セラ
  レテ居ラナイヤウニ考ヘルノデアリマス、
  只今ノ狀態カラ考ヘマスト、纖維工業ハ平
  和產業ニ屬シテ居ルト云フ感ガ極メテ深イ
  ノデアリマシテ、洵ニ此ノ點ニ付キマシテ
  ハ一般カラ等閑視サレテ居ルヤウデアリマ
  スルケレドモ、是ハ重大ナ問題デアルト私ハ
  考ヘルノデアリマス、仍テ玆ニ先ヅ御質問
  ヲ申上ゲタイノデゴザイマス、最初纖維製
  品トシテノ織物ニ付キマシテ、今囘物品稅
  ガ課セラレルノデアリマスガ、是ハ其ノ種
  目ニ付キマシテ一樣ニ同率ニ引上ゲラレテ
  居ルヤウニ拜察ヲ致シテ居リマスルガ、此
  ノ點ハ私ノ考ヘマスヤウニ、總テガ一律一
  體ニ同率ニ引上ゲラレテ居ルト存ジテ宜シ
  イノデアリマスルカ、又高級品ト見ラルベ
  キヤウナモノ、卽チ奢侈的意味ノアリマス
  ルヤウナモノヲ多ク引上ゲマシテ、大衆的
  ナモノヲ据置クト云フヤウナ御趣旨ハゴザ
  イマセヌカ、又織物ノ消費稅ニ付キマシテ
  ハ引上ゲラレルヤウナ御考ヘガゴザイマセ
  ヌカ、先ヅ以テ之ヲ御伺ヒ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=91

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• 092・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　所謂平和產業ニ付キマシ
  テ之ヲ輕視スル、左樣ナ意味ハナイノデ
  ゴザイマス、唯從來ノ觀念ノヤウニ、其ノ
  產業ノ生產量ヤ利潤ガ多クナルヤウニスル
  コトガ、是ガ重視カト言ヘバ、ソレハ其ノ意
  味ノ重視デハナイノデアリマス、所謂平和
  產業ト雖モ國民ノ生活ニ缺クベカラザル關
  係ガアリマス、其ノ點ニ於テ最小限度ヲ確
  保スルト云フ意味ニ於テハ、之ヲ重視シマ
  スルト共ニ、其ノ產業ニ少シデモ餘力ガア
  レバ、直接戰爭產業ノ方向ニ轉換スル、之
  ヲ最モ現下ノ要請ニ應ジテ適切ニヤツテ行
  キタイ、斯ウ云フ觀點デアリマス、漠然ト
  シテ重視スルトカ輕視スルトカ云フ意味デ
  ハナイノデアリマス、尙ホ織物ニ付キマシ
  テモ、一率ニ增稅ヲスルカドウカ、今囘ハ
  物品稅ニ於キマシテ增稅ヲ致スノデアリマ
  ス、織物消費稅ハ其ノ儘デアリマス、是ハ
  一率デナイノデアリマシテ、施行ノ狀況ニ
  於キマシテハ高價ナルモノニ付キマシテハ
  引上率ヲ特ニ高クスル、斯ウ云フ考ヘデ居
  ルノデゴザスイマス

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• 093・坂本宗太郎

  ○坂本(宗)委員　次ニハ免稅點デアリマス
  ルガ、先刻參考資料ヲ拜見致シマスト、免稅
  點ガヤハリ引上ゲラレテ居ルヤウデアリマ
  スルガ、是等ニ付キマシテハドウ云フ御意
  思デアリマスルカ

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• 094・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　此ノ點ニ付キマシテハ
  國民ノ消費節約及ビ負擔ノ上カラ考ヘマ
  シテ、必需的性質ガ濃厚デアリマシテモ全
  然課稅ノ對象トナラヌカト言ヘバ、ヤハリ
  稅ノ制度カラサウデナイト思ヒマス、必需
  ト申シマシテモ品物、分量ニ依リ一定不動
  ノ必需ノ限界ト云フコトハアリマセヌデ、
  多ク消費スレバソレダケノ擔稅力ヲ見ルト
  云フ點ガアリマスノデ、課稅ノ對象トナリ
  マス織物其ノモノヲ見レバ非常ニ必需
  ノ色ガ濃イモノデアリマシテモ、或ル程度
  ノ課稅ヲ致スト云フコトハ已ムヲ得ヌト存
  ジマス、ソレデ全體ノ觀點カラ一般ニ稅率
  デ重クナリマス場合ニハ課稅ノ範圍ガ擴ガ
  ルト同時ニ、課稅ノ最低限ノ課稅價格ガ下
  ルト云フコトハ已ムヲ得ヌコトデアリマス
  ルノデ、織物ニ付キマシテモ其ノ考慮デ課
  稅ノ最低限ノ引下ヲ若干行フ積リデアリマ
  ス、但シ其ノ度合ハ比較的輕微デアリマ
  ス、又稅率ノ上ゲ方モ高級ナラザルモノニ
  付キマシテハ引上ノ程度ヲ他ノモノカラ見
  マスレバ餘程緩和シタ低イ引上ト致ス、
  斯ウ云フ方針デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=94

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• 095・坂本宗太郎

  ○坂本(宗)委員　絹ト云フモノハ現在ハ相
  當ニ使命ヲ持ツテ居ルノデアリマシテ、從來
  事變前ノ絹ト云フモノニ對スル觀念ト只今
  ノ絹ト云フモノニ對シマス考ハ餘程異ツテ居
  ルノデアリマス、從來ハ絹織物ハ非常ニ贅
  澤品ト考ヘラレテ居リマシタノデアリマス
  ガ、今日ハ御承知ノ通リ棉花モ輸入ハサレ
  ナイノデアリマシテ、殊ド絕對ニ民需ニハ
  綿布ト云フモノガ利用ヲサレナイノデアリマ
  ス、又毛織物ニ於キマシテモ、御承知ノ通リ
  世界ニ供給ヲ致シマスノハ濠洲デゴザイマ
  シテ、殊ニ我ガ國ノ供給產地トシマシテハ
  其ノ八割ハ濠洲カラ參ツテ居ルノデアリマ
  スガ、濠洲生產ノ約五割ト云フモノハ我ガ
  國ニ振向ケラレテ居ツタヤウナ狀況デゴザ
  イマス、ソレガ只今ハ皆無トナツテ居ルノ
  デアリマシテ、ドウシテモ是ハ綿布ニ代ル
  ノニ、又毛織物ニ代ルノニ我ガ國ノ特產デ
  アリマスル絹ヲ以テ之ニ充テルト云フコト
  ヨリ外ニハナイノデアリマズ、絹ヲ以テ自
  給自足ヲ致スヨリ途ハナイノデゴザイマ
  ス、申セバ綿ニ代ルノニ絹ヲ以テ致スノデ
  ゴザイマシテ、ヤハリ以前ノ綿ト同ジ役目
  ヲ果スト云フ風ニ考ヘラレマシテ、決シテ
  是ガ贅澤ダト云フコトニハ考ヘラレナイ、
  奢侈的意味ヲ持ツト云フ風ニハ考ヘラレナ
  イト思フノデゴザイマス、斯樣ナ意味ニ於
  キマシテ此ノ同ジ絹ノ中デモ非常ニ奢侈的
  ノ意味ガ十分ニアリマスモノモゴザイマ
  ス、例ヘバ縮緬類ノ金紗系統ノモノデゴザ
  イマストカ、或ハ御召系統ノモノデゴザイ
  マストカ、是等ハ勿論今日ノ狀況カラ考ヘ
  マスト、先ヅ贅澤ノ部類ニ屬シテ居ルト言
  ツテ宜カラウト思フノデゴザイマス、併シ
  絹織物ノ最モ下級品デアリマスル銘仙等ニ
  於キマシテハ、是等ハ以前ノ綿布ト同ジヤ
  ウニ、國民ノ常着ト云フ風ニ考ヘテ宜カラ
  ウト思フノデゴザイマス、斯樣ナ意味ニ於
  キマシテ、從來十八圓、其ノ以前ガ二十二
  圓ガ免稅點デアツタヤウニ記憶致シテ居
  リマスガ、最近マデハ十八圓ガ免稅點ト
  シテ引下ゲラレテ、今囘又之ヲ十五圓ニ
  引下ゲラレルト云フ風ニ御案ヲ拜見ヲ致
  シテ居ルノデアリマスガ、是ハヤハリ一
  列一體ニ左樣ニナツテ居ルヤウニ拜承致シ
  テ居リマスケルドモ、上級品、贅澤品ニ付
  キマシテハ、是ハドウシテモ消費規正、寧ロ
  生產ヲ嚴禁スルト云フ程度マデヤルコトモ
  已ムヲ得ナイト思フノデゴザイマスケレド
  モ、大衆向ノ銘仙類ニ付キマシテ、卽チ十
  八圓程度ノモノニ付キマシテ、是ガ免稅點
  ヲ尙ホ引下ゲルト云フコトハ、此ノ點ハ如
  何カト存ズルノデアリマシテ、高級品ハ引下
  ゲルト云フコトモ御尤モト存ジテ贊意ヲ表
  スル者デアリマスガ、大衆織物ニ付キマシ
  テハ先刻モ申上ゲマシタ通リ綿布ニ代ルベ
  キ性質ヲ持ツテ居ルノデゴザイマスカラ、
  是等ハ据置ニ願フコトガヤハリ適當ナル處
  置ト考ヘルノデゴザイマス、是等ニ付キマシ
  テノ藏相ノ御意見ハ如何デゴザイマスカ

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• 096・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　絹織物ト云フモノノ見方
  ヲ變ヘナケレバナラヌト云フ御考ヘハ私ハ
  全然御同感デス、サウ云フヤウナ狀態ニ
  ナリマスト結局日本及ビ日本ヲ中心トシ
  マスル共榮圈全體ノ纖維資源ト云フモノ
  ハ相當長イ將來ハ非常ニ豐富有望ニナル
  ト思ヒマスガ、現在及ビココ近イ數年
  ノ間ハ非常ナ不足デアリマス、綿ガ入リ
  マセヌ、毛ガ入リマセヌ、ソレデ共榮圈
  全體トシマシテ、私ハ一番纖維資源ト云フ
  モノガ不足ヲ感ズルモノデアラウト思フ、
  然ルガ故ニ纖維資源ト云フモノニ關シマシ
  テハ、特ニ消費ノ節約ガ必要ナノデアリマス、
  絹ハ固ヨリ木綿ト同ジ地位ニナリマシタガ、
  木綿、「ス·フ」總テノモノガ非常ニ今節約ヲ
  要スル時代デス、吾々ハ一億ノ國民ノコトモ
  考ヘナケレバナリマセヌガ、滿洲ヤ中華民
  國ヤ南方ノ人ノ衣類ノコトモ考ヘナケレバ
  ナラヌ、非常ナ節約ヲ必要トスル時代デア
  リマス、サウ云フ觀點カラ致シマシテ、詰リ
  絹織物ト他ノ物ノ區別ヲシナイデ一律ニ消
  費ノ節約ヲ考ヘナケレバナラヌ、ソレニハ一
  律ニ免稅點ヲ引下グルコトガ相當ニ必要デ
  アルト存ズルノデアリマス、絹織物ヲ別扱
  ヒニシマシテ贅澤品ダト云フ觀念デナク、
  凡ユルモノヲ通ジマシテ、一定限度以上課
  稅ヲスル、而モ此ノ課稅ノ率ハ下ノ方デハ
  少ウゴザイマス、例ヘバ「マッチ」ニ致シマシ
  テモ砂糖ニ致シマシテモ、極ク少量ハ必要
  品ト申シテ宜シウゴザイマスガ、然ラバ負
  擔力ガ全然之ニナイカト言ヘバ若干ノ課稅
  ヲシテ宜シイ、併シナガラソレハ稍〓餘裕
  ガアル場合ニ初メテ消費スル物ヤ奢侈的ト
  見ラレル物カラ見マスト格段ノ差ノ稅率
  ニ於テ課稅ヲ致ス案ニナツテ居ルノデアリ
  マシ、絹織物ニ付テ英米ト自由ニ貿易出來
  マシタ時代ト違フト云フ御考ヘハ全ク御同
  惑デアリマスルガ、併シナガラソレハ私ハ
  總テノ織物ニ付テ同一ノ方法デ行クト云フ
  點デ、十分ニ其ノ觀念モ織込マレテ居ルト考
  ヘテ居ルノデアリマス

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• 097・坂本宗太郎

  ○坂本(宗)委員　只今ノ御話ヲ伺フニ付キ
  マシテモ、私ハ我ガ國ノ纖維國策ト云フモノ
  ガ洵ニ不徹底デアルト云フ風ニ痛感ヲ致ス
  ノデアリマス、卽チ此ノ政府ノ御考ヘ方ガ
  甚ダ徹底ヲ缺イテ居ル一例ト致シマシテハ、
  養蠶、所謂繭ノ生產デアリマスガ、是等ニ
  付キマシテモ、事變勃發當初ニ於キマシテ
  ハ、輸出ノ漸減ヲ來シ、殊ニ大東亞戰爭勃
  發以來輸出ト云フモノハ全ク斷タレタノデ
  アリマスガ、斯ウ云フ際ニ政府ト致シマシ
  テハ、直チニ桑園ノ整理ト云フヤウナコト
  ヲ勵行ヲセラレタ、此ノ桑園ノ整理モ今囘
  ノ整理ハ輸出ガ杜絕シタカラト云フコトデ
  生產過剩ヲ惧レテヤツタコトデハナイヤウ
  ニ聞イテ居ルノデアリマスガ、併シナガラ
  今囘バカリデハナイノデアリマシテ、先年
  ニ於キマシテモ、桑園ノ整理ト云フコトヲ
  致シマシテ、桑ヲ扱取ルノニ奬勵金ヲ與ヘ
  タ、或ハ機械ヲ發明セシメテ、サウシテ盛
  ンニ桑園ノ桑ノ木ヲ拔カセタト云フコトガ
  アツタノデアリマスガ、僅カ一、二年經チマ
  スト、生絲ノ增產ヲ又指導ヲスルト云フヤウ
  ナコトデアリマシテ、今囘モヤハリソレト
  同ジヤウデ、輸出ガ杜絕シタカラ絹ガ國內
  ニ非常ニダブ付クデアラウ、仍テ絹ノ國內
  消費ヲ奬勵致シマシテ、サウシテ生絲ノ價
  格ハ非常ニ大暴落ヲ致シタコトガアルノデ
  アリマスガ、又是ガ直チニ足リナイト云フ
  ヤウナコトデアリマシテ、只今ハ寧ロ繭
  ノ增產ヲ奬勵致シ、盛ニ農林。省ト致シマ
  シテハ、全國ニ亙リマシテ其ノ指導ニ寧
  日ナシト云フヤウナ狀態デアリマス、如
  何ニモ目先ニ因ハレマシテ、將來ノ纖維
  國策ノ見透シガ極メテ幼稚ノヤウニ考ヘ
  ル、是ハ幼稚デハナイノデ、御熱心デナ
  イ、深ク〓究サレナイコトト私ハ思フノ
  デアリマスガ、斯ウ云フ場合ニ於キマシ
  テ、絹ハ成ベク安ク作ラナケレバナラ
  ヌ、又政府ノサウ云フ御方針ガ誤ツテ居ツ
  タノデアリマスカラ、責任ハ政府ニアルノデ
  アリマシテ、今此處デ消費ヲ規正シナケレ
  バナラナイ、仍テ玆ニ或ル價格ニ課稅ヲス
  ル、サウシテ消費ヲ規正スルト云フコトハ、
  何トナク其ノ御方針ニ賴リガ出來ナイノデ
  アリマス、私ハ此ノ絹ト云フモノニ付キマ
  シテハ、只今申上ゲマシタヤウニ、全ク綿
  布ノ代用ヲスル程度ニ安ク今後之ヲ作ラナ
  ケレバナラナイ、詰リ蠶ノ飼育ノ方法其ノ
  他色々ナコトヲ〓究致シマシテ、ドウシテ
  モ現在ヨリモ價格ヲ安ク作ラナケレバナラ
  ナイ、其ノ方法ヲ〓究スベキ時デアラウト
  思フノデアリマスガ、ソレガ安イコトヲ希
  望シテ居リマス時ニ、尙ホ之ニ課稅ヲシテ、
  一層國民ノ需要ヲ困難ナラシムルト云フヤ
  ウナ政策ハ、果シテドウ云フモノデアリマ
  スカ、此ノ點非常ニ私ハ迷ハザルヲ得ナイ
  ノデアリマス、御承知ノ通リ衣食住ト云フ
  コトガ言ハレテ居ルノデアリマシテ、衣食
  足ツテ禮節ヲ知ルトカ、或ハ裸デ道中ガナ
  0
  ルモノカト云フヤウナコトモ申サレテ居ル······

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=97

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• 098・松村光三

  ○松村委員長　坂本君、質疑中デアリマス
  ガ、非常ニ重要ナ會議デ時間ガヤカマシイ
  ヤウデアリマスカラ、特ニ御願ヒ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=98

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• 099・坂本宗太郎

  ○坂本(宗)委員　是等ハ何ヲ物語ツテ居ルカ
  ト云フトヤハリ國民ノ最低ノ生活確保ト云
  フヤウナ意味ガ十分ニ含マレテ居ルノデア
  リマス、寒夜ニ御衣ヲ脫ガセラレ、高樓ニ
  登ツテ民ノ竈ノ賑ハフノヲ御覽ニナツタト
  云フヤウナコトモ、總テ國民ノ最低ノ生活
  ヲ確保シナケレバナラナイ、ソレガ善イ政
  治デアルト云フ風ナ意味ヲ十分ニ示シテ居
  ルノデアリマシテ、國民ノ最モ必要デアリ
  マスル食糧ニ次ギマシテノ衣デアリマス、
  是等ニ付キマシテハ、出來得ル限リ國民ヲシ
  テソレヲ確保セシムルノニ安クソレヲ確保
  スルコトガ出來ルト云フヤウナ御方針ヲ執
  ツテ戴キタイト思フノデアリマス、其ノ意
  味ニ於キマシテ、此ノ大衆的織物ニ付キマ
  シテハ、是非トモ免稅點ノ引下等ニ付キマ
  シテハ御考慮ヲ煩ハシタイ、斯樣ニ考ヘタ
  次第デアリマス、大變御急ギノヤウデアリ
  マスカラ、私ノ質問ハ以上ヲ以テ終リマス、
  御答辯有難ウゴザイマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=99

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• 100・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　只今御質問ノ繭、養蠶其
  ノ他ノ政策ニ付キマシテハ、是ハ農林大臣カ
  ラ御答へ申上ゲルノガ適當デアリマスガ、
  私ハ全面的ニ農林大臣ノ政策ヲ支持致シテ
  居ルノデアリマス、生絲ヲ澤山造ツテ구
  メリカ」ニ出シテ必要ナモノヲ買フ、是ガ
  日本ノ經濟ノ大キナ根柢ヲ成シマシタ時
  ト、大東亞戰爭以後ニ於テソコニ非常ナ變
  革ガ來ル、是ハドウモ當然ナコトダト思ヒ
  マス、其ノ變革ガ來マシテ後モ絹ヲ何處マ
  デモ餘計造ルカ、是ハ同ジ土地ガ他ノ農業
  生產物ノ生產ニモ利用セラレル譯デアリマ
  ス、食糧政策萬般ノ觀點カラ行キマシテ養
  蠶生絲其ノ方面カラノミ見ル譯ニモ參ラヌ
  ノデアリマス、已ムヲ得ヌコトダト私ハ存
  ジテ居リマス、尙ホ絹織物ノ增產ト云フコ
  トモ、隨テ只今ノ經濟ニ於キマシテハ耕地
  反別カラドノ位桑園ニ充テルカト云フヤウ
  ナ觀點カラ參リマスルノデ、所謂消費ヲ自
  然ニ增シテ生產量ガ增シテ單位當リノ價格
  ヲ安クスル、斯ウ云フ古イ時代ノ政策ハ
  寸執リニクイノデアリマス、增產ハ增產、
  又別ノ面カラノ消費ノ全體ノ規正ハ規正、
  斯ウ云フ風ニ行カナケレバナラヌ時代デア
  リマスカラ、隨テ前ニ申上ゲマシタヤウニ
  絹織物ダケ免稅點ヲ高クシテ、外ノモノハ
  低クテモ宜イト云フ譯ニモ中々參リマセヌ、
  他ノ纖維資源モ皆非常ニ重要性ヲ持ツテ居
  ル譯デアリマス、サウ云フ觀點カラ致シマ
  シタ譯デアリマス、又色々政府モ考ヘテ、
  今私ガ申上ゲルノハ尙早デアリマスガ、十
  五圓以下デ國民ノ必需的ナ一般ニ用ヒル絹
  織物ガ出來ルヤウナ工夫ヲシナケレバナラ
  ヌヤウナ時代ニナツテ居ルト思ヒマス、私
  ハソレガ〓究サレテ居ルト思ヒマスシ、私
  自身モ是非サウ云フ〓究ヲヤツテ戴キタイ
  ト云フコトヲ商工大臣トモ話合ツテ居リマ
  シテ、此ノ免稅點デモサウ高クナイ、普通
  ニ大衆的ノ絹織物、銘仙ナドハソレデ行ケ
  ルヤウニ思ツテ居リマス、是ハ餘程先ノコ
  トデ立至リ過ギマシタガ、サウ云フ考ヘヲ
  致シテ居リマスノデ、一寸申上ゲテ置キマ
  ス

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• 101・松村光三

  ○松村委員長　大藏大臣ハ會議ガ濟ミ次第
  來テ戴クヤウニ、申上ゲテ居リマス、又大
  藏大臣ニ關スル質疑ガゴザイマシタラ保留
  シテ戴キマス-三善君

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• 102・三善信房

  ○三善委員　酒ノ問題ハ皆サンカラ御聽キ
  ニナツタト思ヒマスガ、重ネテ聽クコトハ
  ドウカト思フノデスケレドモ、戰時生活ノ單
  純化ト云フコトカラ考ヘマスト、酒ノ銘柄
  ヲ餘リ澤山御作クリニナルコトハ矛盾シテ居
  ラヌカト思ヒマス、米デモ之ハ銘柄ガ澤山ア
  ツタ、ソレヲ殆ド今日ハ皆整理シテシマツ
  テ僅カノモノニシタ、總テ銘柄ヲ整理スル
  コトガ今日戰時上必要ヂヤナイカト思フ、
  御作リニナツテモ取締ガ出來ヌト思フ、私
  ハ銘柄ノ整理カラ言ツテモ酒ハ二通リニナ
  ツタラ宜イト思ヒマス、此ノ間私ハ豫算總
  會デ話シマシタガ、一等酒、二等酒トヤラ
  レテモ、實際料理屋ニ行ツテ其ノ判別ハ出
  來ヌ、取締ト云フモノハ殆ド出來ナイト
  思フ、取締ノ出來ナイ酒ヲ御作リニナツテ
  モ、政府自身ガ闇ヲ作ツタト同ジデス、闇
  ヲ保護サレルト同ジデス、例ヘバ三級ト四
  級トノ違ヒハ十四度ト十五度、一度違ヒデ
  アル、水ヲ入レレバ同ジデス、ソンナコトヲ
  政府ハ心配セヌデモ宜シイ思フ、稅金ハ一
  升ニ十錢シカ違ハヌ、ソンナコトヲナサル
  ヨリハ寧ロ單純ニシテ一一通リ位ニスル、今マ
  デ立派ナ銘酒ヲ造ツテ居ツタ酒屋ハ特ニ御
  認メ下サツテ、別ニ試驗用、〓究用トシテ
  御認メ下サルコトハ宜イト思ヒマスケレド
  モ、其ノ他ハ二種ニスル、其ノ程度ニナサ
  ツタ方ガ取締ノ方カラモ宜イト思フノデス、
  事前審査ノ時ニ御說明ニナツタガ、一級酒
  ハ特殊ノ料理屋ニヤルカラ、ソンナ間違ハナ
  イト言ハレタノデスガ、サウナルト私ハ料
  理屋ニ稅ヲ課ケテ、一等待合トカ二等待合
  ト云フヤウニ稅ヲ課ケテ、ソコカラ酒ノ稅
  金ヲ御取リニナル方ガ宜イト思フ、稅收入
  ヲ增スト云フコトナラバ、一等待合、二等
  待合、一等料理屋、二等料理屋ト云フヤウ
  ニ區別ヲ付ケテ、ソコニ行ツタ時ニハ高イ
  稅金ヲ課スト云フコトデ宜イ、ドウモ酒其
  ノモノノ區別ノ付カヌヤウナモノニ等級ヲ
  付ケテ、無理ナ闇ヲ强メルヤウニナサレテ
  モ、ソレハ無理ダト思ヒマス、サウ云フ點
  ハ今マデ質問サレタデセウ、又御答ヘニナ
  ツタト思ヒマスガ、ソレヲ一點御聽キシタ
  イト思ヒマス
  ソレカラ此ノ間何カ米ノ値段ト煙草ノ値
  段ヲ比較シテ、米一升ト煙草一箇ト同ジダ、
  米ノ値段ガ安イト言ツテ誰カ御聽キニナツ
  タ時ニ、一方ハ稅金ヲ拂フ、斯ウ云フ積リ
  デ考ヘナケレバイカヌ、成程サウダト思フ、
  今度モ酒ノ稅金ヲ高クシタト云フコトデ以
  テ言ヘバ、稅ダケ上ラナケレバナラヌト思
  ヒマスガ、私ハ間違カモ知レマセヌガ、此
  ノ間事前審査ノ時ニハ、一級酒ハ稅ガ三百
  六十二圓高クナリマシタカラ、本當ハ一升
  六圓八十錢デ宜イ筈デス、ソレヲ七圓ニナ
  サツタト云フコトハ、稅ヨリモ更ニ高ク値
  段ガ上ツタト云フコトニナリマス、二級酒
  モ四圓九十錢デ宜イノヲ五圓ニサレタ、三
  級酒ハ三圓四十五錢ヲ三圓五十錢、四級酒
  ハ三圓二十五錢ヲ三圓三十錢、此ノ値段ハ
  稅金ヲ課シタヨリモ尙ホ高クナツテ居ル、
  是ハ低物價政策ニ矛盾シヤシナイカ、稅金
  ハ別ニ稅金トシテ納メルト云フ考ヘ方カラ
  言ヘバ、是ハ低物價政策ト關係ナク考ヘテ宜
  イノデスガ、ソレデナクシテ稅金以上ニ上ゲ
  ラレタト云フコトハ、低物價政策ニ矛盾
  シヤシナイカト思フノデスガ、此ノ點私ハ
  ドウシテモ了解出來ヌノデス、ソレヲ一應
  御伺ヒ致シマス

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• 103・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　三善君ニ御答ヘ致シマス前
  ニ、先程木村委員カラ御尋ネノアリマシタ酒類
  製造業者ニ極ク僅カデハアルケレドモ、自家用
  ヲ認メテ自由ニサセテ居ルト云フ御尋ネガアリ
  マシタガ、アノ部分ハ例ヘバ見本用デアルトカ、
  或ハ審査用デアルトカ、或ハ極ク狹イ範圍デ
  贈答ニ使フ部分ニ付キマシテ、普通ノ酒デア
  レバ酒類製造業者ガ當然販賣會社ニ引繼イ
  デ、販賣會社ノ手ヲ經ナケレバ賣レナイノニ
  對シテ、販賣會社ヲ通ジナイデ宜シイト云フ
  例外ヲ認メテ居ルダケデゴザイマシテ、稅金
  ノ點ハ全部課稅サレル譯デアリマス、造石稅モ
  庫出稅モ其ノ場合ニ於テ課稅サレル譯デアリ
  マスルカラ、一寸其ノ點ヲ申上ゲテ置キマス
  ソレカラ次ニ酒類ノ銘柄整理ノ問題デゴ
  ザイマスルガ、從來酒類ニ付キマシテハ隨
  分價格ガ澤山ゴザイマシテ、高イ酒ハ一升五
  圓モシ、安イ酒ハ一圓位、其ノ間種々ノ段
  階ガアツタ譯デアリマス、其ノ後公定價格ガ
  出來マシテ、現在ニ於テハ特等酒ト上等酒ト
  並等酒ト三通リニナツテ居ル譯デアリマス、
  今囘ハ四階級ニ〓酒ヲ分ケテ居ルノデアリ
  マスガ、現在ハ三等級デアリマスカラ、之ヲ四
  等級ニ致シタ程度デアリマスレバ、著シク複
  雜ニナツタト云フ譯デモナカラウカト思フノ
  デアリマス、ソレカラ今囘ノ如ク酒類ニ付テ
  十割程度ノ增收ヲ圖ルト云フコトニナリマ
  スルト、今マデニナイ强イ引上割合デアリ
  マスノデ、之ヲ簡單ニ二階級位ニ分ケテ盛
  リ付ケルト云フコトニナリマスレバ、相當
  キツク響ク部面モ出テ參リマスノデ、ヤハ
  リ相當高イモノモ拵ヘテ負擔力ノアル方面
  ニハソレヲ消費サセルヤウニ計畫配給シ、
  ソレ程負擔力ノナイ方面ニ對シテハ、增稅
  率ノ低イ酒ヲ配ルヤウニスルト云フ配意モ
  必要ニナツテ來ルノデハナイカト思ヒマス、
  其ノ場合ニ四階級ニ分ケタ爲ニ消費者ガ酒
  ヲ胡麻化サレルト云フコトノ御心配ハ御尤
  モデアリマス、ソコデ從來ノヤウナ機構デ
  アリマスルト、生產モ合理的デナク、配給
  ニ付テモ計畫上遺憾ナ點ガアルト云フコト
  デアツテハ困リマスカラ、今囘酒造組合法
  ヲ改正致シマシテ組合ノ整備强化ヲ圖リ、
  配給上遺憾ナキヲ期スルヤウニ致シテ居ル
  次第デゴザイマス
  ソレカラ第一級酒、第二級酒ハ其ノ見込石
  數カラシテ大體全部ノモノヲ壜詰デ配給出
  來ルデアラウト見込ンデ居ルノデアリマス、
  唯料理屋ニ於キマシテハ之ヲ配給ヲ受ケ
  マシテモ、其ノ儘客席ニ持出ス慣習ニナツ
  テ居リマセヌカラ、下級ノ酒類ヲ仕入レテ
  上級ノ酒類トシテ賣ルト云フヤウナ虞ガア
  リマスノデ、之ニ付キマシテハ酒類委員會
  ノ意見モ徵シマシテ、適當ニ料理屋ヲ二階
  級乃至三階級ニ分チ、酒ヲ配ル階級ヲ決メ
  マシテ、ソシテ公定價格ヲ公示セシメルヤ
  ウニシマシテ、客ニモ安心ヲ與ヘ、不正ノ
  餘地ヲ出來ルダケ少カラシメルヤウニ取扱
  ツテ參リタイト思フノデアリマス
  ソレカラ最後ノ御尋ネデアリマスガ、增
  徵後ノ〓酒ノ價格ヲ七圓、五圓、三圓五十
  錢ト決メテ居リマスガ、其ノ場合ニ於テ第
  一級酒トシテ二十錢程ノ間差ガアリ、次ニ
  十錢程ノ間差ガアルト云フ御尋ネハ其ノ通
  リデゴザイマス、此ノ七圓ト云フノハ大體
  ノ見込デゴザイマスガ、增稅ヲ致シマシテ
  而モ其ノ率ガ相當キツクナツテ居リマス、
  其ノ酒ヲ製造業者ガ庫出ヲシテ破壜ガ出タ
  ト云フヤウナ場合ニ於キマシテハ、製造場
  ヲ出テカラ後ノ負擔ハ製造者ガ背負フト云
  フ場合モ相當アルノデアリマス、サウ致シ
  マスレバ增徵稅額ノ轉嫁シ切レナイ危險負
  擔モ或ル程度アル譯デゴザイマス、ソレカ
  ラ又第一級酒ノ如キモノニ付キマシハ酒類
  製造業者ノ店舗ヲ選ビマシテ相當計畫生產
  ヲサセルヤウニ指導シテ參ルノデアリマス
  ガ、ソレガ爲ニハ或ル程度製造技術ヲ念入
  リニスルト云フ所カラ、從來ノ生產費ヨリ
  モ幾分生產費ガ掛カル、而モ第一級酒ニナ
  レバ宜イケレドモ、場合ニ依ルト審査ノ結
  果不合格ニナツテ第二級酒ニ〓ツテ、努力
  ニ報イラレナカツタト云フ場合モ生ジマス
  ルノデ、多少生產ヲ刺戟スルト云フヤウナ
  關係モゴザイマス、ソレカラ從來ハ上等ノ酒
  デアリマシテモ-從來ノ特等酒ダケハ別デ
  アリマスガ、其ノ他ノ上等ノ酒ニ付テハ必
  ズシモ壜詰ニシテ居ラナカツタノデアリマ
  スガ、今囘ハ第一級酒、第二級酒ハ何レモ原
  則トシテ壜詰デ出サセルト云フコトニナリ
  マシテ、壜詰代ソレカラ包裝費等ニ付キマ
  シテモ或ル程度經費高ニナツテ參ルヤウナ
  關係モアリマスノデ、ソレ等ヲ考慮ニ入レ
  マスルト、十錢乃至二十錢位ノ餘裕ヲ置カ
  ナイコトニナルト、第一級酒、第二級酒ノ製
  造ヲ嫌フ、斯ウ云フコトニナリマシテハ政
  府ガ折角階級別ニ酒ヲ生產セシメテ、相當
  購買力ノ餘裕ノアル方面ニハ上等ノ酒ヲ廻
  ハシテ、購買力ヲ吸收シタイト云フ目的モ
  達セラレナクナリマスノデ旁〓ソレ等ノ事
  情ヲ考慮ニ入レマスレバ、此ノ程度ニ定メ
  ルノガ宜シカラウト今思ツテ居ル譯デアリ
  マスガ、之ニ付キマシテハ尙ホ價格ヲ具體
  的ニ決メルマデニ、更ニ十分ノ檢討ヲ致シ
  テ決メタイト思ヒマス

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• 104・三善信房

  ○三善委員　今ノ後段ノ問題デアリマスガ、
  是ハドノ品物ニ對シマシテモ、今度稅金ノ
  上ツタノハ、稅金ノ上ツタダケ値段ガ高ク
  ナツタノデ酒ニ限ツテ此ノ稅金ノ上ツタ以
  上ニ價格ヲ上ゲルト云フコトハ私ハ當ラナ
  イト思フノデス、今ノ御話デハ、一級酒ノ
  如キハ特殊ノ技術モ要ルト言ハレマスケレ
  ドモ、私ハ今特殊ノ技術ヲ入レテ立派ナ酒
  ヲ造ルト云フヤウナコトハ、戰時下ソン
  ナ考ヘ方ガ間違ヒダト思フ、特殊ノ酒ヲ
  造ラウトスレバ是ハ米カラ選ンデ來ナケレ
  バナラヌ、精白ノ度モ違ハナケレバナラ
  又、又特殊ノ酒ヲ造ルニ付テハ危險モ伴ツ
  テ來ル、銘酒ト云フノハ一方ニハ危險ヲ冐
  シテ造ラナケレバ出來マセヌ、ソレニハ米
  ノ精白モ違ハナケレバナラヌ、米質モ違
  ハナケレバナラヌ、ソンナ贅澤ナ酒ハ今
  日ハ必要ハナイ、唯今マデアツタ酒ノ中
  デ良イモノヲ取上ゲテ一級酒トスルト云
  フコトハ、稅收入ヲ增ス上カラ一通リノ考
  ヘ方ダト思ヒマス、ケレドモ特殊ノ技術ヲ
  設ケテ良イ酒ヲ特ニ造ラナケレバナラヌ
  ト云フコトハ、是ハ御考ヘニナラヌデモ宜
  イコトデハナイカト考ヘマス、其ノ點ハ意
  見ノ違フコトニナルカラ申上ゲマセヌ、ソ
  レデ私ハ消費者ニ間接稅トシテ澤山ノ稅ヲ
  課ケテ、所謂消費者ノ負擔ガ重クナルノデ、
  其ノ上ニ稅以上ノ負擔ヲ消費者ニ掛ケルコ
  トハ間接稅トシテソコマデ行ツテハドウ
  カト思フノデスガ、今御說ノヤウニ、或ハ
  サウ云フ技術ノ指導モ要ルシ、或ハ壜詰代ガ
  要ルト云フガ、ソレハ今日ヤツテ居ル、大
  抵地方ニ行クノハ壜詰デスカラ、殊更壜ノ
  値段ヲ含マヌデモ別ニ差支ナイノデハナイ
  カト思フ、ソレカラ三級酒、四級酒ナドハ
  壜詰ニモシナイ、ソレデモヤハリ石五圓稅
  金ガ上ツタト同ジダ、-
  一級酒ハ石二十圓ノ
  稅金ヲ新タニ消費者ガ拂フヤウナモノデス、
  ソレハ私ハ當ラナイト思フ、是ハ少シ御考
  ヘ下サラヌト唯此ノ際稅率ヲ高メテ、サウ
  シテ消費者ノ負擔ヲ增シテ、製造業者ガソ
  レダケ利益ヲ得ルト云フヤウナ考ヘ方ハ根
  本的ニ考ヘ直シテ戴カナケレバナラヌト思
  ヒマス、唯十分御檢討下サルト云フコトデ
  アリマスカラ、實際小賣値ヲ御決メニナル
  時分ニハ其ノ點十分御考ヘ置キヲ願ハナケ
  レバナラヌコトダト思ヒマス、ソレカラモ
  ウ一ツ申シテ見タイト思フノデスガ、先程
  三級デアツタモノヲ今度ハ四級ニシタダ
  カラサウ大シテ複雜デナイト言ハレルガ、
  三級アルモノヲ寧ロ二級ニスルト云フ方ガ、
  所謂生活ノ單純化ヲスルト云フコトガ、私
  ノ考ヘ方デアリマス、ソレヲ更ニ一ツ增シ
  テ複雜ニスル必要ハナイデハナイカト思フ、
  殊ニ三級、四級ハ先程申上ゲマシタヤウニ唯
  一度違フト云フダケ、唯一度違フト云フノ
  ハ釀造ノ上デハナイノデ、水ヲ入レルダケ
  デ、水ヲ入レテ唯稅ヲ少クスルト云フヤウ
  ナコトヲサレナクテモ、是ハ一本ニサレタ
  方ガ宜イト思フ、取締ハ實際付カナイ、是ガ
  三級ノ酒カ四級ノ酒カ、一度高イカ、低イ
  カ飮ム者ハ絕對ニ分ラナイ、是ハ闇ノ助長
  ト同ジデ、唯小賣業者カ何カガソコニ不當
  ナ利益ヲ得ルト云フコトニナツテ、消費者
  ダケガ負擔ガ重クナルト云フコトニナリマ
  スカラ、是ハ餘程御考ヘ下サラナケレバイ
  カヌト思フ、私ハ酒ノ釀造ト云フコトニ付
  テ、酒ヲコンナニ切詰メテ減石サレヌデモ
  宜イコトガアルノデハナイカト思フ、是ハ
  食糧ノ問題カラ米ハ餘リ使ツテハイケナ
  イト言ヘバ、米ヲ少クスル爲ニ造石高ハ少
  クナルト云フコトニナリマスガ、主要食糧
  以外ノモノデ造ルナラバ、ソレハ增シテモ宜
  イデハナイカ、例ヘバ今日デハ樫ノ實トカ、
  或ハ茶ノ實トカ合成酒ヲ造ル材料ガ非常ニ
  多イ、主要食糧以外ノ殆ド今日廢ツテ居ル
  モノデ使ヘルモノガアルノデアル、サウ云
  フモノヲ利用スレバ、サウ國民ガ酒ガ少イ
  ト言ツテ居ルノニ、食糧事情カラト言ツテ
  減ゼラレヌデモ、其ノ原料ヲ他ニ求ムルト云
  フコトニナレバ、是ハ別ニ〓糧問題ニモ支
  障ヲ來サナイデ、又他ノ問題ニ對シテモ廢
  ツテ居ルモノヲ利用スルト云フコトニナリ
  マスカラ、政府ノ方デ一定ノ造石高ヲ決メ
  テ、ソレ以上ニ原料以外ノ、所謂今マデ殆
  ド顧ミラレナイヤウナ原料ヨリ造ツタ場合、
  サウ云フ場合ハ造石ヲ御認メニナツタ方ガ
  宜イト思フ、サウシマスト食糧問題ニモ關
  係ナクシテ造石ガ相當ニ增加出來ルト思ヒ
  そく、其ノコトニ付テノ御考ヘガアルカド
  ウカ、ソレモ承ツテ見タイト思フ、尙又私
  ハ今樫ノ實トカ茶ノ實ト云フヤウナコトヲ
  申上ゲマシタガ、是デ相當造石ガ出來マス、
  ソレカラ其ノ他モウ一ツ斯ウ云フコトヲ申
  上ゲテ置ク、私ハ九州ノ者デアリマスガ、九
  州ノ方デハ水田ニ三毛作ガ出來ル、米、麥
  ノ外ニ馬鈴薯ガ出來ル、併シ夏馬鈴薯ヲ穫
  ツタラ腐ツテシマフ、併シ之ヲ酒造原料ト
  シテ持ツテ行クト直グ消化ガ出來マスカラ、
  是ハ植ヱテ差支ナイト思フ、併シ其ノ消化
  ノ途ガナイノデスカラ今植ヱマセヌ、植ヱ
  レバ一反二百貫カ三百貫穫レル、ソレハ腐
  ツテシマフカラ誰モ植ヱナイ、酒ヲ造ル、
  是デ「アルコール」ヲ造ル、或ハ合成酒原料
  ノ「アルコール」ヲ造ルト云フコトニナルト、
  是ハ直チニ出來ル、サウ云フ特殊ナ方法ヲ
  以テ行キマシタナラバ、主要食糧ニ別段支
  障ヲ來サズシテ玆ニ〓酒若シクハ合成酒ノ
  造石ガ出來ル、斯ウ云フ風ニ私ハ思ヒマス
  ガ、サウ云フヤウナ特殊ナ事情ノアツタ場合
  三、ソレニ對シテ〓酒ノ造石ヲ御認メニ
  ナルカドウカ、斯ウ云フ點ヲ御聽キシタイ
  ト思ヒマス

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• 105・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　只今御述ベニナリマシタ
  樫ノ實、茶ノ實、蘇鐵ノ實等ヲ以テ致醉飮
  料ガ出來ル場合ニ於テハ、政府ハ之ヲ認メ
  ルカドウカ、斯ウ云フ御質問デアリマスガ、
  是等ノ原料ヲ以テシマシテ相當ノ酒ガ出來
  ルト云フコトデアリマスナラバ、而モ其ノ
  場合ニ於キマシテ特ニ是ガ爲ニ資材ヲ使フ
  コトガナイト云フヤウナコトデアリマスレ
  バ、政府ハ必ズシモ免許ヲ拒否シテ居ル
  譯デハゴザイマセヌ、唯實際問題ニ致シ
  マスルト、大體今マデ世間ノ人ガ捨テテ置
  イタヤウナモノハ割合ニ價値ガナイカラ捨
  テテ置イタノデアリマシテ、之ヲ利用致シ
  マシタ場合ニ於ケル酒質ト云フモノハ〓シ
  テ宜シクナイヤウデアリマス、ソレデアリ
  マスカラ今日モ午前中ニ雜酒ガ實ニ雜多ナ
  モノガアツテ、而モ其ノ中ニ品質ノ宜シク
  ナイモノガアルカラ、アア云フモノヲ認メ
  ナイ方ガ宜イデハナイカト云フ御意見モア
  ツタヤウナ次第デアリマシテ、是ハ見方ニ
  依ルト又サウ云フ非難モ出テ來ルノデゴザイ
  ママ、而モ是等ノ原料ヲ使ヒマスル場合ニ
  於テハドウモ純粹ノ澱粉ト違ヒマシテ酒精
  分ノ出方ガ惡イノデアリマス、ソコデ之ニ
  對シテ酒精分ヲ補給スル爲ニハ兎角砂糖ヲ
  使ヒタガルノデアリマス、其ノ砂糖ノ方ノ
  狀況ハドウカト申シマスト、今日業務用ノ
  砂糖ハ計畫配給ヲ行ツテ居ルノデアリマス
  ガ、或ル程度逼迫シテ居リマスノデ、是等ノ
  場合ニ於テ業務用ノ砂糖ノ配給計畫モ妨ゲ
  ナイト云フヤウナコトモアリマスレバ、ソ
  レ等ノ點ヲ考慮ニ入レテ許可シツツアル實
  情デアリマス、デアリマスカラ重ネテ申上
  ゲマスルト、是等ノ材料ヲ使ヒマスル新シ
  イ酒類ノ免許申請ノアリマシタ場合ニ於テ
  考慮スベキ點ハ技術ガ確カデアルカドウカ、
  ソレカラ新シク鐵、銅其ノ他ノ資材ヲ使フヤ
  ウナ必要ガナイカドウカ、ソレカラ原料ノ入
  手ハ確實デアルカドウカ、補助原料トシテ
  砂糖ノヤウナモノヲ使フ場合ニ於テハ、其
  ノ業務用ノ砂糖ノ配給ヲ受ケル見込ガアル
  カドウカ、而モ製品ガ相當ノモノガ出來テ
  市場性ガアルカドウカ、斯ウ云フヤウナ諸
  點ヲ綿密ニ〓究シマシテ、差支ナイト云フ
  コトデアリマスレバ、全體トシテノ酒類ノ
  數量ノ少イ時期デモアリマスカラ、之ヲ認
  メルヤウニ致シテ居リマス、ソレカラ馬鈴
  薯ハ今申上ゲマシタヤウナ種類ノモノトハ
  大分事情ガ違ツテ居リマシテ、是ハ立派ナ
  合成酒ノ原料デアリマス、馬鈴薯ニ付キマ
  シテハ農林省ニ於キマシテハ甘藷、馬鈴薯
  ハ全國的ニ配給ノ計晝ヲ立テマシテ、甘藷
  馬鈴薯ノ配給會社ノ手ヲ通ジテ、酒類ノ原
  料ニ取入レテ居ルヤウナ次第デアリマス、
  其ノ場合ニ於キマシテ全國的計畫ニ入ツテ居
  ルノデアリマスルケレドモ、特ニ荒蕪地ヲ開
  墾スルトカ、或ハ普通ナラバサウ云フコト
  ハヤラナイケレドモ、特ニ自分ニ作ラシテ
  呉レルナラバ特別ニ作ラウト云フ場合ニ於
  キマシテハ、農林省ニ於テモ例外的ニ增產
  ヲ認メテ當分ノ間一般計畫ノ中ニハ繰入レ
  ナイ、斯樣ナ政策ヲ執ツテ居ルヤウデアリマ
  スカラ、御話ノヤウニ水田等デ放ツテ置ケ
  バ作ラズニ置クケレドモ、特ニ「アルコー
  ル」、合成酒ノ原料ニシテ吳レルナラバ作ル
  ト云フヤウナコトニ依ツテ、一般計畫以外
  ニ特ニ增產ニナル分ニ付テハ農林省トモ
  協議ヲシテ例外ヲ認メルヤウナ餘地ハアル
  ヤウニ思ツテ居リマスノデ、其ノ點ハ具體
  的問題トシテ計畫ヲ伺ツタ上善處致シタイ
  ト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=105

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• 106・三善信房

  ○三善委員　後段ノ問題デアリマスガ、是ハ實
  際問題ヲ申上ゲタノデゴザイマスガ、其ノ點ニ
  對シテハ考慮スルト云フ御話デ、私ガ先程申
  シマシタノハソレヲ原料トシテ造ルコトヲ
  農林省ガ認メタ、ソレハ一般ノ馬鈴薯ト違
  ツテ特殊ノモノデ、サウ云フモノガ直グ原
  料ニ消化サレルト云フ場合ニハ、一方造石高
  ノ方モ增シテ造ルト云フコトヲ御認メニナ
  ルカドウカト云フコトデアリマスガ、ソレ
  ハ今ノ御說デハサウ云フ場合ニハ別個ニ考
  ヘテ造石ヲ認メテ宜イ、斯ウ云フ風ニ伺ツ
  テ宜イト思フノデアリマスガ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008113750X00719430208&spkNum=106

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• 107・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　農林省ノ方ガサウ云フ馬
  鈴薯ハ、一般ノ配給ノ計畫外トシテ、特ニ
  合成酒ノ原料ニ使ハシテ宜イト云フコトデ
  アレバ認メテモ宜イト思フノデアリマス、
  唯其ノ場合ニ於キマシテ特ニ蒸餾機等ヲソ
  レガ爲ニ增設スルト云フコトデナクシテ、
  成ベク其ノ場合ニ於テハ、方針トシテハ旣
  設ノ蒸餾機ヲ使ツテ造ツテ戴ク、斯ウ云フ
  コトニ致シタイト思ヒマス

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• 108・木村正義

  ○木村(正)委員　先程ノ御答ヘデモ酒類製
  造業者ニ自家用トカ造石用ト云フ一定ノモ
  ノハ許サレテ居ルト云フ御答ヘデアリマシ
  タガ、大體造石高ノ何「パーセント」位デア
  ルカ、御伺ヒ致シタイ
  モウ一ツハ濁酒ヲ自家用トシテ農家ニ許可
  サレタ時分ニ、酒稅總額ニ於テドレ位減ズル
  カ、私ハ大體酒稅總額ノ一割五分、精々二
  割ニハナラヌノヂヤナイカト云フ氣ガ致シ
  マスガ、主稅局長トシテ大體ドウ云フ見當
  ヲ御付ケニナツテ居リマスカ、ソレヲ御伺
  ヒ致シマス

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• 109・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　酒類製造業者ガ酒類販賣
  會社ノ手ヲ通ジナイデ處分シ得ル石數ト致
  シマシテハ製造石數ノ多イ所デハ千分ノ
  一位製造石數ノ少イモノデハ百分ノ一程度
  デハナイカト思ツテ居リマス
  次ノ御尋ネデアリマスル農家ニ自家用濁
  酒ヲ許シタ場合ニ於キマスル酒稅ノ減稅額
  デアリマスルガ、是ハ自家用濁酒トシテドノ
  程度ノ課稅ヲスルカト云フコトガ先ヅ減收
  見込ノ基礎ニナル譯デアリマス、隨テ其ノ
  點ガ決リマセヌトハツキリ申上ゲ兼ネル
  ノデアリマスガ、其ノ外ニ濁酒ニ付キマシ
  テハ自家用ヲ認メマシタ時ニハ、濁酒ノ特
  殊性ノ爲ニ減收ト云フモノガ相當大キクナ
  ル、斯ウ云フ懸念ヲ多分ニ持ツテ居ルノデ
  アリマス、最初ノ中ハ或ハソレ程響カヌカ
  モ知レマセヌケレドモ、濁酒ヲ一旦認メルト云
  フコトニナルト、此ノ問題ハ非常ニズル
  ズルト深ミニ入ル懸念ガ多分ニゴザイマス
  ノデ、財政方面ノミカラ申上ゲマシテモ、
  大藏省トシテハ此ノ問題ノ取扱ヒ方ハ餘程
  愼重ニスル必要ガアルト思ツテ居ル次第デ
  アリマス

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• 110・木村正義

  ○木村(正)委員　今私ノ御尋ネシタノハ、
  自家用ノ釀造ヲ許シマシタ時分ニ、私ハ大
  體ノ見當トシテハ無稅トシテドレ位ニナル
  カト云フコトデ御考ヘガアレバ伺ヒタイト
  思ツタノデアリマス、之ニ幾ラカノ稅ヲ課
  スルト云フコトニナレバ是ハ分リマセヌガ、
  兎ニ角ソレハ無稅ニスルト云フ建前ニシテ、
  私ハ一割五分見當乃至一一割程度ダラウト思
  ヒマスガ、御見込ハドウデスカ

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• 111・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　今囘酒類ニ付キマシテハ
  相當稅率ガ引上ゲラレタノデアリマス、其
  ノ場合ニ於キマシテ農家ニ無稅ノ自家用濁
  酒ヲ許スト云フコトニナリマスレバ、他ノ
  酒類トノ釣合ガ非常ニ隔タツテ參リマスル
  ノデ、ヤハリ農家ニダケ自家用濁酒ヲ認メ
  ルト、他ニ全然輕減政策ヲ用ヒナイト云フ
  譯ニハ參ラナクナツテ來ルノデハナイカト
  思フノデアリマス、ソレカラ農家ニ自家用
  濁酒ヲ認メタ場合ニ於テ、農家ガ自分ダケ
  デ飮ンデ居レバ宜イノデアリマスルケレド
  千、他ノ酒ガ高クナツテ參リマスル場合ニ
  於キマシテハ、ツイ親戚ナリ友達ナリニ贈
  與スルト云フコトガ行ハレ勝チデアリマス、
  ソレヲ取締ルト云フコトニナリマスルト、
  是ハ容易ナラザル手數ガ要リマシテ非常ニ
  煩雜ニナツテ參ルノデアリマス、私ハ此ノ
  點ヲ一番惧レテ居ルノデアリマシテ、問題
  ハ行政的ナ問題ト先程仰シヤツタノデアリ
  マスガ、取締方ヲ嚴重ニシテモ、寬大ニシテ
  モ、結果ハヤハリ政治問題ニ響イテ來ルノ
  デハナイカト考ヘマスノデ、是ハ愼重ナル〓
  究ヲ遂ゲタ結果デナケレバ、實行ノ出來ナ
  イ問題ダト斯樣ニ思ツテ居リマス

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• 112・木村正義

  ○木村(正)委員　今主稅局長ノ之ヲ許シテ
  ハ惡イト云フ理由ハ能ク分ツテ居リマスガ、
  私ノ尋ネタ所ト違ツテ居ル、今マデ隨分前
  カラ御〓究ニナツテ居ルヤウデアリマスガ、
  サウ云フコトハ別問題トシテ、一體農家ニ自
  家用トシテ濁酒ヲ許シタ時分ニ稅收入ハ何
  割位減ズルデアラウカ、私ハ其ノコトヲ
  以前御聽キシタコトモアリ、御答ヘニナツ
  タコトモアルノデ、是ハ全然調ベテ居ナイ
  トハ仰シヤラヌダラウト思フガ、サウ云フ
  點ハ十分御調査ニナツテ居ルコトデアリマ
  スカラ、御差支ヘナケレバ大體ノ御見込位
  ハ私ハ御答ヘ出來ルト思フ、併シ御答ヘガ
  ナケレバナイデ結構デス

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• 113・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　ソレヲ見込デ御答ヘ致シ
  マシテモ、其ノ限度デ止マルデアラウト云フ
  斷言ガ出來ナイト致シマスレバ、架空ノ數
  字ヲ言ツタノニ等シイヤウニナリマスノデ、
  結局申上ゲナイ方ガ宜イカト思フノデアリ
  マス、他ノ酒類ト違ツテ、濁酒ダケハ比較
  的密造ガ容易ナンデスカラ、傳播性ト云フ
  モノガ非常ニ早イノデアリマス、ソレデア
  リマスカラドウモ何處デ食止マルカト云フ
  コトノ見透シマデ加ヘタ酒稅減ヲ申上ゲナ
  ケレバ、本當ノ減收ノ見込デハナイノデアリ
  マスガ、ソレガ立チニクイト云フ譯デアリマス

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• 114・松村光三

  ○松村委員長　他也御質疑ハアリマセヌ
  カ-御諮リ致シマス、大臣ニ對スル質疑ハモ
  ウ宜シウゴザイマスカ、ソレトモマダ保留サ
  レテ居ラレル方ガゴザイマスカ-ソレデハ
  本日ハ大體是ヲ以テ散會致シマシテ、御協議
  申上ゲタイ點ガアリマスルノデ、暫ク其ノ
  儘御待チヲ願ヒマス、明日カラ三日間休ミ
  マシテ十二日金曜日午前十時カラ開會致シ
  やく、本日ハ是ヲ以テ散會致シ(マス
  午後三時四十分散會

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