1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十八年十月二十六日(火曜日)
午前十一時四十六分開議
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開院式 勅語奉答文に關する會議
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=0
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001・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 諸君、本日第八十三
囘帝國議會開院式ヲ擧ゲサセラレ、優渥ナ
ル勅語ヲ賜ハリマシタ、仍テ玆ニ奉答文
案ノ會議ヲ開キマス、奉答文ハ例ニ依リマ
シテ起草委員ヲ設ケテ之ヲ起草セシメ、其
ノ委員ノ數ハ十八名トシ、議長ニ於テ指名
スルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=1
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002・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ委員ヲ指名致シマス
開院式勅語奉答文起草ノ件委員
靑木精一君猪野毛利榮君
大石大君金子定一君
岸田正記君小山邦太郞君
小山谷藏君〓水留三郞君
杉山元治郞君高田耘平君
手代木隆吉君富田愛次郞君
眞崎勝次君松野鶴平君
三浦虎雄君山口忠五郞君
山田六郞君吉植庄亮君
只今指名致シマシタ委員諸君ハ、直チニ議
長應接室ニ御參集相成リ、委員長及ビ理事
ノ互選ヲ行ハレ、引續キ起草セラレシコト
ヲ望ミマス暫時休憩致シマス
午前十一時四十八分休憩
午後零時二十二分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=2
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003・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 休憩前ニ引續キ會議
昭和十八年十月二十六日
ヲ開キマス、開院式勅語奉答文起草ノ件、
委員長ノ報告ヲ求メマス-委員長高田耘
平君
報告書
一開院式勅語奉答文起草ノ件
右ハ別紙ノ通起草致候此段及報〓候也
昭和十八年十月二十六日
委員長高田耘平
衆議院議長岡田忠彥殿
〔別紙〕
恭シク惟ルニ
車駕親臨シテ玆ニ第八十三囘帝國議會
開院ノ盛式ヲ擧ケサセラレ優渥ナル
勅語ヲ賜フ〓等感激ノ至ニ勝ヘス今ヤ
皇軍勇武每戰偉功ヲ奏シ大ニ國威ヲ中
外ニ宣揚ス是レ偏ニ
陛下ノ稜威ニ賴ラスムハアラス臣等謹ミ
テ聖旨ヲ奉體シ時局洵ニ重大ナルニ
鑑ミ擧國一體愈〓忠誠ヲ致シ更ニ總力
ヲ發揮シテ速ニ聖戰ノ目的ヲ達成スル
ニ努メムコトヲ誓フ臣等愼重審議協賛
ノ任ヲ完ウシ以デ上
陛下ノ隆恩ニ應ヘ奉リ下國民ノ委託ニ酬
イムコトヲ期ス衆議院議長臣岡田忠彥誠
恐誠惶謹ミテ奏ス
〔高田耘平君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=3
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004・高田耘平
○高田耘平君 開院式ニ賜ハリマシタ勅
語ニ對スル奉答文起草委員會ノ經過竝ニ結
果ニ付テ御報告申上ゲマス、起草委員ハ先
刻議長ヨリ指名セラレマシタ後、直チニ會
議ヲ開キ、委員長及ビ理事ノ互選ヲ行ヒマ
シタ、其ノ結果委員長ニハ不肖私ガ當選致
シ、理事ニハ岸田正記君ガ御當選ニ相成リ
マシタ、委員會ハ引續キ案文ノ起草ニ付キ
マシテ愼重ニ協議ノ結果、滿場一致ヲ以テ
成案ヲ得マシタ、此ノ成案ヲ謹ンデ朗讀致
シマス
恭シク惟ルニ
車駕親臨シテ茲ニ第八十三囘帝國議會
開院ノ盛式ヲ擧ケサセラレ優渥ナル
勅語ヲ賜フ臣等感激ノ至ニ勝ヘス今ヤ
皇軍勇武每戰偉功ヲ奏シ大ニ國威ヲ中
外ニ宣揚ス是レ偏ニ
陛下ノ稜威ニ賴ラスムハアラス臣等謹ミ
テ聖旨ヲ奉體シ時局洵ニ重大ナルニ
鑑ミ擧國一體愈〓忠誠ヲ致シ更ニ總力
ヲ發揮シテ速ニ聖戰ノ目的ヲ達成スル
ニ努メムコトヲ誓フ臣等愼重審議協贊
ノ任ヲ完ウシ以テ上
陛下ノ隆恩ニ應ヘ奉リ下國民ノ委託ニ酬
イムコトヲ期ス衆議院議長臣岡田忠彥誠
恐誠惶謹ミテ奏ス
奉答文案ハ只今謹讀致シマシタ通リ起草致
シマシタ、此ノ段御報〓申上ゲマス
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=4
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005・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 只今委員長ヨリ御報
告ニ相成リマシタ奉答文案ニ御異議ナケレ
バ敬意ヲ表スル爲メ御起立アランコトヲ
望ミマス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=5
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006・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 起立總員、奉答文案
ハ全會一致可決セラレマシタ
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=6
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007・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御決議ニナリマシタ
奉答書ハ宮中ノ御都合ヲ伺ヒマシテ捧呈
致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=7
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008・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御報告ヲ致スコトガ
ゴザイマス、去ル十月二日東久邇宮盛厚王
殿下照宮成子內親王殿下ト御結婚納釆ノ儀
行ハセラレタルニ付マシテ、議長ハ本院ヲ
代表致シテ參內天機竝ニ御機嫌ヲ奉伺致
シマシタ、續イテ東久通宮邸ニ參殿御祝詞
ヲ言上致シマシタ
又十月十三日御結婚ノ禮ヲ行ハセラレタ
ル際、議長ハ「フィリピン」ノ獨立祝典參列
ノ爲メ不在デアリマシタ故ヲ以テ、當日內
ケ崎副議長ハ本院ヲ代表致シテ參內天機
竝ニ御機嫌ヲ奉伺シ、且ツ皇太后陛下ノ御
機嫌ヲ奉伺致シマシタ、續イテ東久邇宮邸
竝ニ鳥居坂御殿ニソレノ。〓參殿御祝詞ヲ言
上致シマシタ、此ノ段謹ンデ御報〓ヲ申上
ゲマス
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=8
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009・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 是ヨリ全院委員長ノ
選擧ヲ行ヒマス
全院委員長ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=9
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010・武知勇記
○武知勇記君 今期議會ニ於キマシテハ、
全院委員長ノ選擧ハ特ニ之ヲ議長ニ一任セ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=10
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011・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 武知君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=11
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012・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、就キマシ
テハ議長ハ一松定吉君ヲ全院委員長ニ指名
致シマス
〔拍手〔起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=12
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013・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 此ノ場合御諮リ致ス
コトガアリマス、今期議會ニ於テモ衆議院
規則第四十四條ニ依リマシテ、建議案審査
ノ爲メ常任委員ヲ設ケ、其ノ數ハ二十七人
ト致シタイト思ヒマス、之ニ御異議アリマ
セヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=13
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014・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ其ノ通リ決シマシタ-次ニ常任
委員ノ選擧ヲ行ヒマス
常任委員ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=14
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015・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 是ヨリ諸君ハ各部ニ
御參集ノ上、常任委員ノ選擧ヲ行ハレ)其
ノ結果ヲ御屆ケアランコトヲ望ミマス、其
ノ結果ハ之ヲ各控室ニ配付致サセマス
〔參照〕
常任委員選擧ノ結果左ノ如シ
豫算委員
第一部
安藤正純君阿子島俊治君
荒川眞〓君伊藤東一郞君
伊藤三樹三君池田秀雄君
石坂繁君
第二部
井坂豐光君小川〓太郞君
小高長三郞。君太田正孝君
加藤弘造君加藤知正君
川口壽君
第三部
金井正夫君河盛安之介君
神尾茂君木下義介君
木原七郞君〓寬君
喜多壯一郞君
第四部
久山知之君黑澤西藏君
小坂武雄君河野密君
木暮武太夫君佐藤芳男君
坂本宗太郞君
第五部
信太儀右衞門君篠原陸朗君
島田俊雄君角猪之助君
曾木重貴君田中源君
田中貢君
第六部
田村秀吉君高橋熊次郞君
堤康次郞君東條貞君
中村三之丞君中村庸一郞君
中島彌國次君
第七部
野口喜一君野本吉兵衞君
原惣兵衞君濱地文平君
濱野徹太郞君船渡佐輔君
堀内一雄君
第八部
松浦伊平君松浦周太郞君
松田正式松永壽雄君
松村(三浦)松村光三君
松尾三藏君
第九部
松延彌三郞君眞鍋儀十君
森田重次郞君藤本捨助君
森谷新一君山口馬城次君
渡邉健君
決算委員
第一部
赤間德壽君逢澤寛君
飯塚茂君石田善佐君
出井兵吉君
第二部
岩瀬亮君植村武一君
小澤治君小野寺有一君
大島高精君
第三部
岡田啓治郞君奧久登君
奥野小四郞君長內健榮君
唐橋重政君
第四部
北勝太郞君小山亮君
小林絹治君小林鐵太郞君
駒井重次君
第五部
佐藤洋之助君坂下仙一郞君
下出義雄君鈴木正吾君
田中好君
第六部
高城憲夫君高野孫左衞門君
高畠龜太郞君圖師兼貳君
中井亮作君
第七部
長沼權一君鶴惣市君
野村嘉久馬君則元卯太郞君
原玉重君
第八部
古河和一郞君松本治一郞君
三木與吉郞君山野平一君
八木宗十郞君
第九部
八木元八君矢部藤七君
安田桑次君吉田貞次郞君
吉川吉郞兵衞君
請願委員
第一部
池崎忠孝君石榑敬一君
小野義一君內池久五郞君
小田彥太郞君
第二部
大島寅吉君大野一造君
大橋〓太郞君加藤宗平君
川上法勵君
第三部
北村又左衞門君岸井壽郞君
毛山森太郞君小篠雄二郞君
佐々井一晁君
第四部
薩摩雄次君鈴木重次君
鈴木忠吉君菅又薰君
宗前〓君
第五部
田中和一郞君田邊德五郞君
賴母木眞六君遠山暉男君
中川寛治君
第六部
永山忠則君中埜半左衞門君
野田正昇君林佳介君
橋本祐幸君
第七部
坂東幸太郞君廣野規矩太郞君
深水吉毅君二田是儀君
星一君
第八部
本多市郞君松原五百藏君
正木〓君森田正義君
森川仙太君
第九部
桃原茂太君吉田敬太郞君
吉田正君吉川大介君
森部隆輔君
懲罰委員
第一部
安倍寛君伊藤〓君
伊禮肇君
第二部
今成留之助君上田孝吉君
植松練磨君
第三部
牛塚虎太郞君岡本馬太郞君
沖藏君
第四部
木崎爲之君藏原敏捷君
佐久間渡君
第五部
〓水留三郞君田子一民君
谷原公君
第六部
長井源君南條德男君
箸本太吉君
第七部
肥田琢司君藤生安太郞君
牧野良三君
第八部
松永東君松山常次郞君
紫安新九郞君
第九部
守屋榮夫君森口淳三君
八並武治君
建議委員
第一部
安藤覺君新井堯爾君
加藤七郞君
第二部
菅野和太郞君紀藤常亮君
菊地養之輔君
第三部
小浦總平君齋藤憲三君
齊藤正身君
第四部
酒井利雄君田下政治君
田万〓臣君
第五部
竹內俊吉君中助松君
南〓武夫君
第六部
原口純允君福田重〓君
古田喜三太君
第七部
別所喜一郞君本多鋼治君
本領信治郞君
第八部
星野靖之助君松岡秀夫君
前川正一君
第九部
水谷長三郞君山崎常吉君
由谷義治君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=15
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016・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 常任委員ニ當選セラ
レタル諸君ハ午後一時各委員室ニ於テ委員
長及ビ理事ヲ互選セラレンコトヲ望ミマ
ス-尙ホ御諮リ致シマス、本會期中
一本會議日、質問日ハ別ニ之ヲ定メズ
議長ニ於テ隨時決定シ得ルコト
二本會議中委員會ノ開會許可ハ議長ニ
於テ之ヲ爲シ得ルコト
三法律案ノ上程ニ成規ノ日時ヲ要セザ
ルコト
右孰レモ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=16
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017・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ其ノ通リ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=17
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018・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 諸般ノ報〓ヲ致シマ
ス
〔書記官朗讀〕
一本日政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如
シ
(第一號)昭和十八年度歲入歲出總豫算追
加案
(特第一號)昭和十八年度特別會計歲入歲
出豫算追加案
(追第一號)豫算外國庫ノ負擔トナルベキ
契約ヲ爲スヲ要スル件
衆議院議員ニシテ大東亞戰爭ニ際シ召集
中ナルニ因リ其ノ職ヲ失ヒタルモノノ補
關及復職ニ關スル法律案
昭和十三年法律第八十四號中改正法律案
(大東亞戰爭ニ際シ召集中ノ者ノ選擧權
及被選擧權等ニ關スル件)
會計法戰時特例中改正法律案
帝國鐵道會計法中改正法律案
所得稅法及地租法中改正法律案
國有財產法中改正法律案
國債關係事務簡捷化ニ關スル法律案
軍需會社法案
裁判所構成法戰時特例中改正法律案
戰時民事特別法中改正法律案
一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
決議案(陸海軍ニ對スル感謝竝戰死者ニ
對スル敬弔ニ關スル件)
提出者
前田米藏君井野碩哉君
小川〓太郞君太田正孝君
勝正憲君勝田永吉君
金光庸夫君〓瀨一郞君
近藤英次郞君四王天延孝君
眞藤愼太郞君田邊七六君
津雲國利君東〓實君
永井柳太郞君橋本欣五郞君
松村謙三君三好英之君
八角三郞君安藤覺君
阿子島俊治君靑木精一君
綾部健太郞君伊豆富人君
今牧嘉雄君上田孝吉君
植松練磨君越智太兵衞君
勝又春一君川崎末五郞君
川島正次郞君岸井壽郞君
〓寬君久山知之君
窪井義道君小泉純也君
小柳牧衞君齊藤正身君
作田高太郞君澤田利吉君
田嶋榮次郞君田中武雄君
田万〓臣君田村秀吉君
高橋守平君武知勇記君
津崎尙武君鶴見祐輔君
東條白酒豐田收君
中井一九六七番中井川浩君
中瀨拙夫君中西敏憲君
中村梅吉君長野高一君
楢橋渡君西方利馬君
野口喜一君野田武夫君
羽田武嗣郞君濱地文平君
肥田琢司君一松定吉君
福家終 む眞鍋儀十君
松田正五松村光三君
宮澤裕君森下國雄君
山本金正氏依光好秋君
小児童年大120年松田竹千代君
橫川重次君前田房之助君
三浦一雄君
〔左ノ報〓ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲
玆ニ揭載ス〕
一議員ノ異動左ノ如シ
茨城縣第一區選出議員內田信也君退職者
トナリタリ
大阪府第三區選出議員高梨乙松君死去セ
ラレタリ
群馬縣第二區選出議員篠原義政君死去セ
ラレタリ
愛知縣第三區選出議員加藤鯛一君死去セ
ラレクリ
福島縣第二區選出議員助川啓四郞君死去
セラレタリ
山口縣第二區選出議員岸信介君退職者ト
ナリタリ
秋田縣第二區選出議員小山田義孝君臨時
召集ヲ令セラレ入隊ニ付退職者トナリタ
リ
岐阜縣第三區選出議員間宮成吉君臨時召
集ヲ令セラレ入隊ニ付退職者トナリタリ
佐賀縣第二區選出議員愛野時一郞君臨時
召集ヲ令セラレ入隊ニ付退職者トナリタ
リ
鹿兒島縣第二區選出議員濱田尙友君臨時
召集ヲ令セラレ入隊ニ付退職者トナリタ
一昨二十五日貴族院ヨリ同院成立シタル旨
ノ通牒ヲ受領セリ
一昨二十五日東條内閣總理大臣ヨリ左ノ通
發令アリタル旨ノ通牒ヲ受領セリ
內閣書記官長星野直樹
法制局長官森山銳
法制局參事官佐藤基
同入江俊郞
同佐藤達夫
企畫院次長安倍源基
企畫院部長梶原茂嘉
柏原兵太那
同同同原鼎三
堀田健男
同渡邉渡
企畫院調査官平井豊
情報局總裁天羽英二
情報局次長村田五郞
情報局情報官堀公
同橋本政實
同武藤富男
技術院總裁子爵井上匡四郞
技術院次長和田小六
技術院參技官本多靜雄
特許局長官中村幸八
第八十三囘帝國議會政府委員被仰付
外務次官松本俊
外務省政務局長上村仲
外務省調査局長山田芳太郞
第八十三囘帝國議會外務省所管事務政府
委員被仰付
內務次官唐澤俊樹
內務省地方局長新居善太郞
內務省警保局長町村金五
內務省國土局長宮村才一郞
内務省防空局長上田誠
內務省管理局長竹內德治
內務書記官小林千秋
朝鮮總督府政務總監田中武雄
朝鮮總督府財務局長水田直昌
臺灣總督府總務長官齋藤樹
臺灣總督府財務局長高橋衞
第八十三囘帝國議會內務省所管事務政府
委員被仰付
大藏次官谷口恒二
大藏省總務局長迫水久常
大藏省主計局長植木庚子郞
大藏省主稅局長松隈秀雄
大藏省理財局長田中豐
大藏省銀行局長山際正道
專賣局長官木內四郞
大藏書記官前田克已
同窪谷直光
第八十三囘帝國議會大藏省所管事務政府
委員被仰付
陸軍次官冨永恭次
陸軍法務中將大山文雄
陸軍主計中將栗橋保正
陸軍中將吉積正雄
陸軍少將佐藤賢了
同那須義雄
陸軍大佐二宮義〓
第八十三囘帝國議會陸軍省所管事務政府
委員被仰付
海軍次官澤本賴雄
海軍中將岡敬純
海軍主計中將山本丑之助
海軍少將保科善四郞
海軍大佐矢牧章
海軍主計大佐山沖芳市
第八十三囘帝國議會海軍省所管事務政府
委員被仰付
司法次官大森洪太
司法省民事局長齋藤直一
司法省刑事局長池田克
第八十三囘帝國議會司法省所管事務政府
委員被仰付
文部次官菊池豊三郞
文部省總務局長藤野惠
文部省專門〓育局長永井浩
第八十三囘帝國議會文部省所管事務政府
委員被仰付
農林次官石黑武重
農林省總務局長重政誠之
農林書記官笹山茂太郞
食糧管理局長官湯河元威
第八十三囘帝國議會農林省所管事務政府
委員被仰付
商工省總務局長椎名悅三郞
商工省企業局長豐田雅孝
商工省金屬局長高嶺明達
商工省化學局長津田廣
商工省機械局長美濃部洋次
商工省纖維局長山口喬
商工省交易局長山本茂
商工書記官赤間文三
燃料局長官菱沼勇
物價局長官西川浩
金屬囘收本部長難波經
第八十三囘帝國議會商工省所管事務政府
委員被仰付
遞信次官小松茂
遞信省總務局長小林武治
遞信省電氣局長塩原時三郞
海務院長官妹尾知之
海務院次長安田丈助
海務院部長新谷寅三郞
第八十三囘帝國議會遞信省所管事務政府
委員被仰付
鐵道次官長崎惣之助
鐵道監平山孝
同佐藤榮作
同堀木鎌三
同三浦義男
第八十三囘帝國議會鐵道省所管事務政府
委員被仰付
厚生次官武井群嗣
厚生省勤勞局長中村敬之進
厚生書記官靑柳郞
第八十三囘帝國議會厚生省所管事務政府
委員被仰付
大東亞次官山本熊
大東亞省總務局長竹內新平
大東亞省滿洲事務局長今吉敏雄
大東亞省支那事務局長宇佐美珍彥
大東亞省南方事務局長水野伊太郞
大東亞書記官華山親義
第八十三囘帝國議會大東亞省所管事務政
府委員被仰付
一本日委員長及理事互選ノ結果左ノ如シ
門院式勅語奉答文起草ノ件委員
委員長高田耘平君
理事岸田正記君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=18
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019・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 暫時休憩致シマス
午後零時三十三分休憩
午後四時三十六分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=19
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020・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 休憩前ニ引續キ會議
ヲ開キマス、內閣總理大臣ヨリ發言ノ通〓
ガアリマス-内閣總理大臣東條英機君
國務大臣ノ演說
〔國務大臣東條英機君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=20
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021・東條英機
○國務大臣(東條英機君) 本日開院式ニ當
リマシテハ、特ニ優渥ナル勅語ヲ賜ハリ、
洵ニ恐懼感激ニ堪ヘヌ次第デアリマス、私
ハ諸君ト共ニ謹ンデ聖旨ヲ奉體シ、全力
ヲ擧ゲテ決戰下重大ナル職責ノ遂行ニ當
リ、速カニ戰爭目的ヲ達成シ、以テ聖慮
ヲ安ンジ奉ランコトヲ深ク期スルモノデア
リマス
大東亞戰爭勃發以來正ニ一年ニ垂ントシ、
皇軍將兵ハ凡ユル困難ヲ克服シテ御稜威
ノ下敵ノ執拗ナル反攻ヲ擊摧シ、戰果ヲ
擴大致シテ居ルノデアリマス、私ハ諸君ト
共ニ皇軍將兵ノ善謀勇戰ト、言語ニ絕スル
勞苦トニ對シマシテ心カラ感謝ノ意ヲ表ス
ルモノデアリマス、而シテ此ノ機會ニ於キ
マシテ、私ハ又諸君ト共ニ護國ノ華ト散ラ
レタル勇士ニ對シ謹ンデ敬弔ノ誠ヲ捧ゲ、
戰傷病將兵ノ速カナル再起奉公ノ日ヲ祈念
シ、更ニ遺族ノ方々ニ對シマシテ衷心カラ
同情ノ意ヲ披瀝スルモノデアリマス
一方銃後ニ於キマシテハ國民諸君ハ或
ハ其ノ子ヲ、或ハ其ノ兄弟ヲ前線ニ送リツ
ツ、專ラ力ヲ戰力ノ增强ニ傾倒シ、將兵ヲシ
テ何等後顧ノ憂ヒナクシテ、縱橫ニ其ノ戰
力ヲ發揮セシメンコトヲ唯是レ努メテ來ラ
レテ居ルノデアリマス、此ノ間ニ於キマス
ル國民諸君ノ擧ゲラレタル功績ト、又嘗メ
ラレタル勞苦ノ如何ニ大ナルカニ思ヒヲ致
シマシテ、私ハ玆ニ諸君ト共ニ國民諸君ニ
對シマシテ深甚ナル謝意ヲ表スルモノデア
リマス(拍手)
現下ノ戰局ヲ大觀致シマスルニ、〓戰ニ
慘敗ヲ喫セル敵米英ハ、帝國ヲ中核トスル
大東亞ニ於ケル人的結束ト、其ノ豐富ナル
資源ノ戰力化トニ依リマシテ、帝國ノ戰力
ガ急速ニ擴充シツツアル事實ニ直面シ、愕
然トシテ帝國ニ一大反撃ヲ加ヘ、以テ速カ
ニ帝國ヲ壓倒センコトヲ決意スルニ至ツタ
ノデアリマス、斯クテ敵米英ハ凡ユル危險
ヲ冒シ、手段ヲ選バズシテ反攻ノ擧ニ出デ、
戰鬪ハ日ニ日ニ熾烈ノ度ヲ加ヘテ居ルノデ
アリマス、而シテ彼等ガ猪突猛進ヲ敢テシ
ツツアル此ノ機ニ乘ジマシテ、帝國ハ彼等
ニ猛擊ヲ加ヘテ、敵ノ戰力ヲ破碎シ、勝利
ヘノ途ヲ確保セントシテ居ルノデアリマス、
此ノ緊迫セル情勢ニ對處シ、吾々國民ノ果
スベキ責務ハ唯一途ニ戰力ヲ急速ニ增强
スルニアルノデアリマス、敵米英ニ痛擊ヲ
加フベキ必勝ノ戰力ヲ、最モ敏速ニ、而モ
間斷ナク整備シテ、以テ遺憾ナク前線ノ要
求ヲ充足スルニアルノデアリマス、此ノ責
務タルヤ決シテ生易シイモノデハナイノデ
アリマス、從來ノ考へ方、從來ノ行キ方デ
ハ到底成シ遂ゲ得ナイモノデアリマス、
億國民悉クガ眞ニ一切ノ惰性ヲ放擲シテ、
一切ノ行掛リヲ擲ツテ、渾身ノ力ヲ傾倒シ
テコソ、始メテ果シ得ルモノデアリマス
(拍手)而モ戰局ノ推移ハ吾々ニ、寸刻ノ猶
豫モ與ヘテ居ラナイノデアリマス
曩ニ政府ガ「現情勢下ニ於ケル國政運營
要綱」ヲ決定致シマシタル所以ハ、實ニ玆ニ
存スルノデアリマス、而シテ今囘議會ノ召
集ヲ奏請致シマシテ、時局ニ關シ緊急ナル
諸議案ノ御審議ヲ願フコトト致シマシタ所
以ノモノモ實ニ玆ニ存スルノデアリマス、
政府ノ今囘行ハントスル國政運營刷新ノ
眼目ト致シマスル所ハ、統帥ト國務トノ關
係ヲ愈〓、緊密化シテ、雄渾活潑ナル戰爭指
導ノ遂行ヲ圖リ、又戰爭完遂ノ一翼トシテ、
機敏潑刺タル對外施策ヲ行フト共ニ、是等
ニ卽應致シマシテ、國內諸般ノ態勢ヲ劃期
的ニ强化セントスルニアルノデアリマス
而シテ國內態勢强化ノ目標トスル所ハ、官
民ヲ擧ゲテ不屈不撓、軍需生產ノ急速增强、
特ニ航空戰力ノ躍進的擴充ヲ圖リ、之ヲ中
心ト致シマシテ、帝國ノ決勝態勢ヲ徹底的ニ
强化セントスルニアルノデアリマス、今
ソ一億國民悉クガ總員戰鬪配置ニ就キ、官
民一人々々ガ、新シク生レ變ツタ氣魄ヲ以
テ、文字通リ完勝ノ一點ニ總力ヲ集中シナ
ケレバナラヌ秋デアリマス(拍手)此ノ信念
ノ下ニ、政府ト致シマシテハ、決心ヲ新タ
三ヽ從來ノ官廳ノ傳統、行掛リ等ニ一切
拘泥スルコトナク、苟クモ必要ナル施策ハ
思ヒ切ツテ强力ニ之ヲ斷行スルコトニ決意
シタノデアリマス、國內態勢强化ノ具體的
方策ニ付キマシテハ、屢次之ヲ發表致シテ
參リマシタガ、其ノ重點ト致シマスル所ハ、
行政運營ノ決戰化、國民動員ノ擴大及ビ國
内防衞態勢ノ强化ニアルノデアリマス、而
シテ是等ノ方途實行ノ基本的措置ト致シマ
シテ、政府ト致シマシテハ愈く民心ノ作
興ヲ圖リマスルト共ニ、國論統一ノ爲ニハ
萬全ノ處置ニ出ヅベキハ勿論ノコトデアリ
マス
以上ノ趣旨ニ基キマシテ政府ハ急速ニ、
國內態勢强化方策ノ實行ニ着手致シタノデ
アリマス、政府ハ先ヅ行政運營ノ決戰化方
策ト致シマシテ、農商省、軍需省、運輸通
信省ノ設置ヲ始メト致シマシテ、行政機構
ノ整備ヲ行ヒ、再ビ其ノ職員ノ大幅縮減ヲ
圖リ、又官廳事務ノ刷新ヲ圖リマスルト共
ニ、豫算ヲ徹底的ニ單純化スルコトニ方針
ヲ決定致シタノデアリマス
國民動員ノ擴大ニ付キマシテハ、學生等
ニ對スル一般徴集猶豫ノ停止、及ビ徵集徵
用ノ範圍ノ擴大普遍化等ニ對スル措置ヲ急
速ニ進メ、又之ニ關聯ヲ致シマシテ、〓育
ニ關スル戰時非常ノ措置ヲ定メタノデアリ
マス
國內防衞態勢ノ强化ニ付キマシテハ、國
内防衞行政ノ統一的運營ヲ期シマシテ、新
タニ防空總本部ヲ設置スルコトト致シ、更
ニ帝都及ビ重要都市ニ於キマスル人員、施
設ヲ疎開スル方針ヲ定メタノデアリマス
今ヤ國內態勢ノ徹底强化ガ最モ迅速ニ、
最モ力强ク實行セラルルヤ否ヤハ正ニ大
東亞戰爭ノ成否ヲ決スベキモノト考ヘルノ
デアリマス、此ノ見地ニ基キマシテ政府ト
致シマシテハ、旣ニ決定セル事項ノ今後ノ
運營ニ付キマシテモ、又新タニ着手スベキ
幾多ノ事項ニ付キマシテモ、飽クマデモ强
靱果斷ナル態度ヲ以テ臨ミ、必ズ是ガ成果
ヲ擧ゲ、以テ作戰上ノ要求ヲ充足センコト
ヲ固ク期シテ居ル次第デアリマス、未曾有
ノ重大戰局下、政府ハ愈〓、國民諸君ノ心カ
ラナル協力ヲ切望シテ已マナイモノデアリ
マス
帝國ガ自存自衞ノ爲メ已ムニ已マレズシ
テ起チ上リ、一切ノ障碍ヲ破碎シテ、速力
ニ禍根ヲ芟除シ、以テ大東亞ヲ解放セント
スル此ノ正義ノ大戰爭ニ於キマシテ、究極
ノ勝利ノ我レニ歸スベキハ吾等ノ信ジテ疑
ハザル所デアリマス(拍手)而モ開戰以來ノ
作戰ノ經緯ニ鑑ミ、又現實大東亞ニ於ケル
情勢竝ニ彼我攻防ノ大勢ヲ達觀致シマスル
秋吾々ハ愈〓必勝ノ信念ヲ堅クスルモノ
デアリマス、況ンヤ戰局ノ現段階ヲ轉機ト
シテ、一億官民悉ク戰鬪配置ニ就キ、愈〓決
意ヲ新タニシテ、一切ヲ大君ノ御爲ニ捧ゲ
マツリ、眞ニ總力ヲ米英擊摧ノ一點ニ集中
スルコトトナレル以上吾等ノ前途ニハ唯勝
利アルノミデアリマス(拍手)
飜ツテ歐洲ノ形勢ヲ見マスルニ、「イタリーL
ニ於ケル「バドリオ」一派ノ恥ヲ知ラザル裏
切リ行爲ハ、我等ノ洵ニ遺憾トスル所デア
リマス、併シナガラ彼等ノ此ノ行爲ハ徒ラ
ニ「イタリー」國民ヲシテ歸趨ニ迷ハシメ、
塗炭ノ苦ミニ陷ラシムル結果ヲ招來セルニ
過ギナイノデアリマシテ、之ニ依ツテ樞軸
國ノ必勝ノ態勢ニハ微動ダモスル所ハナイ
ノデアリマス
而シテ「ヒトラー」總統ノ機敏適切ナル處
置ニ依リ、今ヤ「ムッソリーニ」統帥ハ再ビ
同志ノ「イタリー」人ヲ糾合シテ政府ヲ樹立
シ、日獨兩國ト愈〓力ヲ戮セテ依然米英ノ擊
摧ニ邁進スルニ至ツタノデアリマス、日獨
兩國ハ直チニ新政府ヲ承認致シタノデアリ
マスルガ、私ハ衷心ヨリ「ムッソリーニ」統帥
ノ再起ヲ慶祝致シマスト共ニ、今後ノ健鬪
ヲ祈ツテ已マナイノデアリマス(拍手)
今ヤ「ドイツ」ハ歐洲戰局ノ新局面ニ處
シ、異常ナル決意ノ下ニ、周到ニシテ大規
模ナル國內總動員ヲ敢行シ、歐洲ニ於ケル
確固タル態勢ニ立ツテ新タニ縱橫ノ作戰ニ
出デントシテ居ルノデアリマス、帝國ハ盟
邦「ドイツ」ガ此ノ新作戰ニ於テ軈テ所期ノ
戰果ヲ收メ、帝國ト相携ヘテ米英ヲ屈服セ
シムル日ノ近カランコトヲ期待シ、之ヲ確
信スルモノデアリマス(拍手)
一方大東亞ノ情勢ヲ見マスルニ、多年米
英ノ野望ニ塗炭ノ苦ミヲ重ネテ參リマシタ
大東亞ノ諸國家、諸民族ヲ宿敵米英ノ桎梏
ヨリ解放セントスル大事業ハ、極メテ堅實
ナル步ミヲ以テ着々トシテ其ノ基礎ヲ築キ
上ゲテ居ルノデアリマス、曩ニ「ビルマ」ハ
獨立シ、今又「フイリピン」共和國ノ獨立ヲ
見ルニ至ツタノデアリマス、帝國ガ國際信
義ノ上ニ立ツテ約束セル所ハ、常ニ必ズ現
實ノ姿トナツテ顯ハレテ參ツテ居ルノデア
リマス(拍手)是レ實ニ八紘爲宇ノ肇國ノ大
理想ノ顯現ニ外ナラズ、帝國ノ最モ本懷ト
スル所デアリマス(拍手)
今ヤ滿洲國ニ於キマシテハ、畏クモ皇帝
陛下御躬ラ率先御垂範遊バサレ、國民上下
三枚力强キ躍進ノ步ヲ進メ、帝國トノ交
諠日ニ敦キヲ加ヘ、帝國ニ對スル物心兩面
ニ亙リマスル所ノ協力、洵ニ大ナルモノガ
アルノデアリマス、玆ニ帝國ハ滿洲國ノ渝
ラザル協力ニ感謝スルト共ニ、其ノ健全ナ
ル發展ニ更ニ一段ノ力ヲ致サンコトヲ固ク
期スルモノデアリマス(拍手)
中華民國ニ付キマシテハ、本年初頭以來
帝國ガ旣定ノ方針ニ從ヒ、租界ノ還付ヲ初
メ、幾多ノ案件ノ具體的措置ヲ急速ニ進メ
テ參ツテ居リマスルコトハ、御承知ノ通リ
デアリマス、而シテ日華基本條約ノ根本的
ナル改訂ニ付キマシテモ、近ク是ガ具體化
ヲ見ルノ運ビニ至ツテ居ルノデアリマス、
先般汪主席兼行政院院長來朝セラレ、私ハ
膝ヲ交ヘテ、日華兩國ノ共同戰爭遂行ノ方
途ニ付キマシテ忌憚ナキ意見ノ交換ヲ行ヒ、
完全ナル意見ノ一致ヲ見ルニ至ツタノデア
リマス、汪主席以下中國ノ官民ガ、愈〓帝國
ノ眞意ニ共鳴シ、「中國人ノ中國」ノ理想達
成ノ爲メ、將又大東亞十億民衆ノ解放ノ爲
メ邁進セントスル烈々タル氣魄ニ對シマシ
テハ、私ハ改メテ玆ニ衷心ヨリ敬意ヲ表スル
モノデアリマス(拍手)此ノ秋ニ當リ、兄
弟尙ホ牆ニ相閱ギ、中國吏生ノ雄圖ニ參與
シ得ズ、延イテハ大東亞民族共同ノ大事業
ニ行ヲ共ニシ得ザル重慶政權下ノ民衆ニ對
シマシテハ、私ハ洵ニ同情ノ念ニ堪ヘザル
モノガアルノデアリマス(拍手)
「タイ」國ニ付キマシテハ、先般北部「マ
ライ」ノ四州及ビ「シヤン」ノ二州ラ、「タイ」
國ノ領土ニ編入スルノ措置ヲ了シタノデア
リマス、今ヤ日「タイ」兩國ノ關係ハ日ニ日
ニ敦キヲ加ヘ、「タイ」國ノ帝國ニ對スル協
力ニ對シマシテハ、帝國ノ深ク感謝スル所
デアリマス、而シテ帝國ト致シマシテハ
此ノ上トモ「タイ」國ノ興隆ノ爲メ、全幅ノ
力ヲ致サンコトヲ深ク期シテ居ル次第デア
リマス(拍手)
「ビルマ」國ハ去ル八月一日目出タクモ獨
立致シタノデアリマス、曾テ英國ノ野望ノ爲
メ、空シク其ノ生命ヲ奪ハレタル「ビルマ」ハ
英國ノ重ナル壓制ニ呻吟スルコト多年、而モ
大東亞戰爭勃發スルヤ蹶然トシテ起チ上リ、
帝國ニ全幅ノ協力ヲ寄セテ參ツタノデアリ
マス、而シテ今ヤ「ビルマ」民衆ノ多年ノ
宿望ハ達セラレ、其ノ獨立ハ玆ニ實現致シ
タノデアリマス、私ハ諸君ト共ニ此ノ機會
ニ改メテ「ビルマ」國ノ獨立ヲ祝シ、今後
ノ發剌タル發展ヲ祈ルト共ニ、「ビルマ」國
ガ大東亞防衞ノ第一線ニ於テ、愈く帝國ト
相携ヘテ健鬪ヲ續ケラレンコトヲ切望シテ
已マナイ次第デアリマス(拍手)而シテ帝國
ト致シマシテ、今後益〓「ビルマ」國ノ興隆
ノ爲メ更ニ協力援助ノ勞ヲ致サンコトヲ固
ク期スルモノデアリマス
去ル十月十四日吾々ハ「フイリピン」共和
國獨立ノ目出タキ日ヲ迎ヘタノデアリマ
ス、玆ニ「フイリピン」ハ四百年ニ亙ル他
民族ノ支配ヨリ脫シ、特ニ最近四十年ニ及
ブ米國ノ欺瞞ト壓制下ヨリ解放セラルルニ
至ツタノデアリマス、今ヤ千八百万ノ比島
民衆ハ「ラウレル」大統領ノ逞シキ統率ノ下
ニ比島人ノ比島ヲ建設スルト共ニ、帝國ト
相結ンデ大東亞戰爭ノ完遂竝ニ道義ニ基ク
大東亞ノ建設ニ大イニ寄與セントシテ居ル
ノデアリマス、帝國ハ「フイリピン」國民
ノ此ノ大事業ガ順調ニ進展センコトヲ祈念
スルト共ニ、其ノ完成ノ爲メ凡ユル協力ヲ
致サンコトヲ茲ニ改メテ深ク期スル次第デ
アリマス(拍手)
曩ニ私ハ本議場ニ於キマシテ「マライ」
「スマトラ」「ジヤワ」「ボルネオ」「セレベ
ス」等ニ於キマスル原住民ノ民度ニ應ズル
政治參與ニ關シマシテ聲明スル所ガアツタ
ノデアリマスルガ、爾來是ガ具體的措置ハ
極メテ順調ニ進メラレテ來タノデアリマス、
而シテ是等民衆ハ大東亞戰爭完遂ノ爲メ帝
國ニ對シ愈〓、協力ノ實ヲ發揮シテ居ルノデ
アリマス、此ノ機會ニ於キマシテ私ハ改メ
テ是等民衆ニ對シ、心カラ感謝ノ意ヲ表シ
マスルト共ニ、其ノ福祉增進ノ爲メ此ノ上
トモ更ニ一段ノ力ヲ致サントスルモノナル
コトヲ改メテ表明スルモノデアリマス(拍
手)
萬邦ヲシテ各〓、其ノ所ヲ得シメ、兆民ヲ
シテ悉ク其ノ堵ニ安ンゼシムル所ノ我ガ肇
國ノ大理想ハ、以上申述ベマシタル如ク、
步一步實現セラレテ居ルノデアリマス、多
年米英蘭ノ蹂〓ニ委セ、其ノ搾取ニ苦シン
デ居リマシタル東亞ハ、今ヤ大東亞ノ爲メ
ノ大東亞トナリ、道義ニ基ク新シキ世界建
設ノ先驅トシテ力强ク發足致シテ居ルノデ
アリマス
飜ツテ「インド」四億ノ民衆ハ依然トシテ
英國ノ彈壓ノ下ニ、又最近ニ於キマシテハ
米國ノ野望モ加ハリ、言語ニ絕スル苦惱ヲ
續ケテ居ルノデアリマス、今ヤ英國ノ虐政
ト、英米軍ノ暴戾トハ、彼等ト印度民衆ト
ノ軋轢乖離ヲ愈〓激化セシメ、深刻ナル社
會混亂ヲ惹起シ、其ノ結果遂ニ「インド」ニ
於ケル空前ノ饑饉ヲ持チ來ラスニ至ツタノ
デアリマス、而モ其ノ慘狀ハ日ニ月ニ惡化
ノ度ヲ加ヘテ居リマスルコトハ、英米自ラ
認メテ居ル所デアリマス、斯クテ「インド」
ニ於キマシテハ、志アル者ハ悉ク牢獄ニ投
ゼラレ、無辜ノ民衆ハ總テ飢ヱニ泣ク、是レ
正ニ世界ノ悲劇デアリ、人類共同ノ痛恨事
デアリ、吾々ノ斷ジテ放置シ得ザル所デア
リマス(拍手)
此ノ秋ニ當リ「インド」ノ志士「スバス·チ
ヤンドラ·ボース」氏ノ下ニ憂國ノ「インド」
人ハ祖國解放ノ爲ニ結策シテ起チ上リ、去
ル十月二十一日「インド」假政府ノ樹立ヲ
見ルニ至ツタノデアリマス、玆ニ於テカ帝
國ハ直チニ二十三日同政府承認ノ意思ヲ表
明致シタノデアリマシテ、今後帝國ハ同政
府ヲ飽クマデモ支援シ、「インド」ノ獨立
ト解放ノ爲ニハ凡ユル力ヲ致サントノ決意
ヲ、本議場ヲ通ジ中外ニ聲明シ得マスルコ
トハ、吾々ノ洵ニ欣ビトスル所デアリマス
(拍手)
蓋シ「インド」ノ完全ナル獨立ト自由ト、而
シテ「インド」四億民衆ノ永遠ノ繁榮コソハ
帝國ノ衷心ヨリ念願スル所デアリマス、而モ
此ノ帝國ノ目指ス所ハ、大東亞全民族ノ心
カラナル協力ヲ得ルハ勿論、更ニ全世界
ノ人士ノ志ヲ得ルモノナルコトヲ私ハ信ジ
テ疑ハナイノデアリマス(拍手)而シテ私ハ
此ノ澎湃タル「インド」解放ノ機運ト逞シキ
大東亞民族ノ協力トハ、必ズヤ「インド」ニ
其ノ獨立ト自由ト繁榮トヲ齎ス日ノ遠カラ
ザルコトヲ確信スルモノデアリマス(拍手)
以上重大戰局ニ臨ミマスル政府ノ所信ヲ披
瀝致シタノデアリマスルガ、ドウカ諸君ニ
於カレマシテハ政府ノ決意ヲ篤ト了解セラ
レマシテ、此ノ上トモ愈〓心カラナル協力
ヲ賜ハリマスルト共ニ、今囘政府提出ノ豫
算案、法律案ニ付キマシテ何卒御審議ノ上
速カニ協賛ヲ與ヘラレンコトヲ切望スル次
第デアリマス、終リ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=21
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022・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 陸軍大臣及ビ海軍大
臣ヨリ戰況ニ關シ報〓ノ爲發言ヲ求メラレ
テ居リマス陸車大臣東條英機君
陸軍大臣海軍大臣ノ戰況ニ關スル報告
〔國務大臣東條英機君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=22
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023・東條英機
○國務大臣(東條英機君) 前囘本議場ニ於
キマシテ報告致シマシタ以後ニ於キマスル
作戰一般ノ推移ニ付キマシテハ、大本營發
表ニ依リ御承知ノ如ク、今ヤ敵ノ本格的總
反攻ヲ邀ヘマシテ、各方面共ニ戰況愈〓く激
烈ト相成ツテ居ルノデアリマス、以下其ノ
狀況ニ付キマシテ報〓致シタイト存ジマス、
第一ニ北東方面ニ付テ申上ゲマス、「アッツ」
島ニ於ケル山崎部隊ノ壯烈鬼神ヲ泣カシム
ル戰鬪ニ付キマシテハ前囘本議場ニ於キマ
シテ詳細御說明ヲ致シタ次第デアリマスル
ガ、「キスカ」島ニアリマシタ部隊ハ自主的
ニ撤退センムルコトニ決セラレ、七月二十
九日何等敵ノ妨害ヲ受クルコトナク、一兵
ヲモ餘サズ撤退シ、新任務ニ就カシメラレ
テ居リマス、敵ノ制空制海權下、斯クノ如
キ行動ガ成功致シマシタル所以ノモノハ、
御稜威ノ下海軍ノ決死的協力ト山崎部隊英
靈ノ加護トニ依ルモノデアリマシテ、米軍
ガ我ガ「キスカ」部隊ノ撤退後、全ク之ヲ察
知スルコトナク、約二週間餘ニ亙リ依然ト
シテ「キスカ」島ニ對シ相次イデ爆擊、銃砲
擊ヲ加ヘ、八月十五日ニ至ツテ漸ク同島ニ
上陸シマシタコトハ、敵側ノ公式發表ニ依
リ明カデアリマス
「キスカ」部隊撤退後、幌莚ニ對シマシテ
敵機ガ來襲シマシタコトハ、其ノも度大本
營ヨリ發表セラレタ通リデアリマスガ、敵
ノ來襲延機數ハ約三十機デアリマス、之に
對シ我ガ方ハ其ノ約半數ヲ擊墜シ、其ノ殘
リノ少クモ三分ノ一ニ損傷ヲ與へ、米國自
ラ極メテ高價ナル試ミデアツタコトヲ認メ
テ居ルノデアリマス
第二ニ「ニューギニア」、「ソロモン」方面
ノ狀況ニ付キマシテ申上ゲマス、「ニューギ
三つ··方面ニ於キマシテハ我ガ一部隊ガ本
春以來「サラモア」南方地區ニ於テ優勢ナル
敵ト相對シテ居ツタノデアリマスルガ、六
月三十日ニ至リ敵ノ一部隊ハ「サラモア」東
南方地區ニ上陸シテ參リ、我ガ先遣部隊ハ
寡兵能ク勇戰奪鬪之ヲ拒止致シテ居ツタノ
デアリマス、然ルニ敵ハ更ニ九月四日及ビ
同月二十二日、ソレ〓〓「ラエ」、「フインシ
ハーフェン」附近ニ有力ナル一部隊ヲ上陸
セシメマシタガ、此ノ方面我ガ陸海航空部
隊ハ、相協力シテ之ヲ攻撃スルト共ニ、各
方面ノ我ガ地上部隊亦渾然一體トナリ、目
下「フインシハーフェン」方面ノ敵ヲ攻擊激
戰中デアリマス、先程入手致シマシタ情報
ニ依リマスルト、敵ノ遺棄死體約二千、鹵
獲火砲十四門、機銃多數ノ戰果ヲ擧ゲテ居
リマス(拍手)
尙ホ「サラモア」及ビ「ラエ」附近ニ於テ勇
戰中デアリマシタ我ガ部隊ハ敵ニ大打擊ヲ
與ヘ、十月中旬、「ラエ」北方地區ニ集結ヲ
完了シ、又「マダン」南方地區ノ我ガ部隊ハ、
「ラム」河上流右岸地區ニ進出セル敵ト十月
上旬以來交戰中デアリマス、「ニューギニア」、
「ソロモン」方面ニ於ケル敵航空勢力ハ、第
一線機約千二百機、後方、約千八百機デア
リマシテ、敵ノ戰法ハ先ヅ其ノ優勢ナル航
空兵力ヲ以テ確實ニ制空シ得タル地點ニ上
陸シ、飛行基地ヲ急速ニ設置シ、更ニ之ヲ
根據トシテ制空範圍ヲ擴大シツツ、一五一
步作戰ヲ進メテ來テ居ルノデアリマス、而
モ敵ハ上陸後我ガ地上部隊ノ勇戰ヲ恐レテ、
其ノ地上兵力ヲ以テスル力攻ヲ避ケ、專ラ
兵力ヲ增强スル一方、其ノ優勢ナル航空及
ビ艦艇ヲ以テ我ガ後方補給ノ遮斷ヲ行ヒ、
我ガ地上第一線戰力ノ低下ヲ待ツテ攻勢ヲ
執ルヲ例ト致シテ居リマス、之ニ對シマシテ
陸軍航空部隊ハ、海軍航空部隊ト協力致シ
マシテ、或ハ遠ク敵航空基地ヲ攻擊シ、或
ハ近ク直接地上部隊ノ戰鬪ニ協力スルト共
ニ、我ガ後方根據地及ビ輸送船團ノ掩護ニ
任ズル等、連續不斷ノ戰鬪ヲ致シテ居リマ
最近ニ於ケル航空戰鬪ノ戰果統計ヲ見
ス、
マシテモ、我ガ損害一機ニ對シ敵ハ常ニ數
倍ヲ擊墜破セラレテ居ルノデアリマス、而
シテ我ガ航空部隊將兵ノ敢鬪ト、其ノ戰技
ノ卓越トハ常ニ局部ノ戰鬪ニ於テ赫々タル
戰果ヲ收メテ居ルノデアリマス、而シテ我
ガ地上部隊亦不屈不撓、凡ユル困難ヲ克服
シ、常ニ寡ヲ以テ衆ニ當リ、皇軍ノ本領ヲ
遺憾ナク發揮シテ居ルノデアリマス、六月以
降「ニューギニア」方面ニ於テ敵ニ與ヘ
マシタル損害ハ、擊墜破セル敵飛行機約五
百、擊沈破セル敵艦艇十八隻、輸送船約四十
隻、舟艇約五十隻以上、地上戰鬪ニ依リ敵
ニ與ヘタル損害ハ少クモ一万二千ヲ超エ、
鹵獲火砲銃器多數デアリマス
申スマデモナク此ノ方面ノ作戰ハ炎熱瘴
癘不毛ノ地域ニ於キマシテ行ハレテ居ルノ
デアリマシテ、彼我共ニ「マラリヤ」、、「デン
グ」熱其ノ他幾多ノ惡疫ヲ征服シナケレバ
ナラナイバカリデナクシテ、現地物資ハ殆
ド皆無ニ近ク、補給ハ悉ク追送ニ依ラネバ
ナラヌノデアリマス、隨ヒマシテ我ガ第一
線將兵ノ勞苦ハ想像ニ餘リアル所デアリマ
スルガ、敵ノ苦惱亦極メテ大デアリマシテ、
俘虜ノ言、其ノ他ヲ綜合致シマシテモ、
敵第一線將兵ハ生活ニ惱ミ、惡疫患者ノ外
精神病患者サヘ續出シ、長期間第一線ニ從
軍シ得ナイモノノ如ク、敵ノ損害、特ニ人
的損耗ハ極メテ大ナルモノガアルノデアリ
マス
「ソロモン」方面一般ノ狀況ニ付キマシテ
ハ後刻海軍大臣ヨリ報〓セラレルコトト
存ジマス
第三ニ南方方面ニ付テ申上ゲマス「ビル
マ」正面ニ於ケル航空作戰逐次激化ノ傾向
ニアリマスコトニ付キマシテハ、旣ニ御承
知ノコトト存ジマスガ、六月以後雨季ニ入
リマシテモ、敵機ノ來襲ハ大ナル變化ヲ示
サズ、每月ノ來襲延機數ハ約一千機ノ多キ
ヲ算ヘ、九月ニ入リマスルヤ更ニ千六百機
ニ增加シ、終始激烈ナル戰圖ヲ繼續シテ居ル
次第デアリマス、此ノ方面ニ於キマスル敵
航空勢力ハ第一線機約一千機内外ト判斷セ
ラレマスルガ、其ノ戰法ハ主トシテ我ガ後
方補給遮斷ニ重點ヲ置キマスルト共ニ、後
方攪亂ノ目的ヲ以テ、屢〓市街地ノ盲爆ヲ
行ツテ居リマス、我ガ陸軍航空部隊ハ、「ビ
ルマ」、佛印、「タイ」「マライ」ノ極メテ
廣汎ナル地域ニ亙リマシテ、寡兵能ク常時
不斷ノ防空ニ任ジ、又「ベンガル」灣、或ハ
「スマトラ」、「ジヤワ」島南方海上ノ全域ニ
亙リ、哨戒任務ニ服シ、又機ヲ見テ西北濠
洲方面ノ攻擊ニ任ジテ居ル次第デアリマス、
又我ガ軍ハ雲南省方面ノ重慶軍ニ對シマシ
テ、其ノ意表ニ出デ、十月中旬突如進攻ヲ
起シマシタガ、敵ノ有力ナル一部隊ヲ怒江
正面ニ包圍致シマシテ、重慶直系軍ニ大打
擊ヲ與ヘ、目下尙ホ戰鬪續行中デアリマス
「ビルマ」ノ反攻ハ敵ガ屢〓呼號シテ居ル
所デアリマシテ、今ヤ其ノ徵候ガ逐次濃化
シツツアリマスルガ、軍ハ愈〓此ノ方面ノ
防衞態勢ヲ强化シ、滿ヲ持シテ次期作戰ニ
備ヘテ居ルノデアリマス
其ノ他南方全般ニ於キマスル所ノ治安ノ
良好デアリマスルコトハ、御同慶ニ堪ヘヌ
所デアリマス
第四ニ支那、滿洲方面及ビ內地ノ狀況ニ
付キマシテ申上ゲマス、在支敵空軍ハ米支
合計約三、四百機ト判斷セラレマス、其ノ
中核ヲナスモノハ、有力ナル長距離爆撃機
ヲ有シマスル米軍デアリ、我ガ本土攻擊ヲ
企圖シツツアリマスルコトハ申スマデモ
ナイコトデアリマス、軍ハ七月以後重慶、
衡州、零陵、建甌、寶慶、桂林、昆明等相
次イデ敵策動ノ根據地ヲ攻擊致シマシテ、
之ニ大打撃ヲ與ヘ、其ノ企圖ヲ破碎シ、以
テ我ガ本土防衞ノ第一線ヲ、形成シテ居ル
ノデアリマスルガ、今後尙ホ一瞬ノ偷安ヲ
許サザル狀況デアリマス、七月下旬以後此
ノ方面ノ我ガ航空戰果ハ、擊墜破敵機約百
二十四機、擊沈破船舶十八隻、軍事施設ノ
破壞多數、我ガ損害約四十機デアリマス
支那ニ於ケル地上作戰ハ、各方面トモ不
斷ノ討伐ヲ實施中デアリマスルガ、敵ノ戰意
ハ重慶ノ呼號ニ反シ逐次低下シ、我ガ對支施
策ノ進捗ト相俟チマシテ、俘虞若クハ歸順者ノ
數ハ頗ル增加シテ居ルノデアリマシテ、軍
ハ愈、潑剌タル對敵壓迫ヲ繼續シ、以テ敵ノ戰
意破碎ニ邁進致シテ居ル次第デアリマス
滿洲方面ニ於キマシテハ靜謚ヲ保ツテ
居リマシテ、其ノ護リ磐石デアリマスルコ
トハ、從來ト變化ナイ所デアリマス
次ニ各方面ヨリスル我ガ本土ノ攻擊ニ對
シマシテハヽ前述ノ如ク各方面第一線ニ於
キマシテ敵ヲ積極的ニ制壓シ、又備ヘヲ整
ヘマシテ、我ガ本土ノ防衞ニ當ツテ居リマ
スルト共ニ、內地ニ在リマスル防衞部隊亦
日夜ヲ分タズ警戒ニ任ジテ居リマスルコト
ハ、皆樣ノ常ニ御覽ノ通リデアリマシテ、
本土防衞ノ完璧ヲ期シ、一意其ノ任務ニ邁
進シテ居ル次第デアリマス
第五ニ南方占領地ニ於キマスル軍政ノ狀
況ニ付キ說明致シマス、短時日デハアリマ
スルガ、先般私ガ視致シマシタル結果ニ依
リマシテモ、南方占領地ノ軍政ハ引續キ順調
ナル進展ヲ續ケテ居リマシテ、特ニ治下諸
民族ハ我ガ相次グ公明正大ナル施策ニ浴
シハ能ク帝國ノ眞意ヲ解シテ、嬉々トシテ
各〓其ノ分ニ應ジテ、大東亞戰爭ノ完遂ニ
協力致シテ居リマス、卽チ「ジヤワ」27)
トラ」等ニ於キマシハ、原住民ノ防衞義勇軍
志願者相繼ギ、各種產業ノ復舊開發、木造
船ノ建造ニ於キマシテモ、進ンデ積極的ニ
事業ニ從事シ、又治安ガ極メテ良好ニ保タ
レアリマスルコト等、何レモ原住民ノ心ヨ
リノ協力ヲ如實ニ示スモノト考ヘテ居リマ
ス、而シテ現下ニ於キマスル軍政ハ、決戰卽
應ノ態勢整備ヲ重點ト致シマシテ、特ニ警
備機構ノ强化、交通通信ノ整備、重要生產施
設ニ對スル防空設備ノ改善、現地自給力ノ
强化等ニ意ヲ用ヒテ施策中デアリマシテ
現地自給力强化ニ關シマシテハ、兵器ノ修
理兵器材料ノ現地自活モ其ノ範圍ヲ擴大
シテ居リマスルノミナラズ、逐次製鐵、伸
鐵「セメント」製造施設ノ建設移駐等ヲ實
行シツツアリマスルノデ、生活必需物資生
產施設ノ建設ト相俟ツテ、現地ノ自給力ハ
一段ト向上シテ來ルモノト確信ヲ致シテ居
リマス
以上各方面ノ戰況竝ニ占領地軍政ニ付キ
マシテ、御說明致シタノデアリマスルガ、
之ヲ要シマスルニ、各方面ノ狀況ヲ通ジ今
日最モ緊要ナルモノハ、航空戰力ノ增强デ
アリ、制空權ノ擴大デアリマス、御承知ノ
如ク現下戰局ノ歸趨ハ、制空權ノ掌握如何
ニ依ルコト絕大デアリマスルガ、特ニ東亞
ニ於ケル地勢ノ特質、就中我ガ當面スル現
戰況ハ、其ノ關係ヲ如實ニ示シテ居ルノデ
アリマス
旣ニ申述べマシタル如ク我ガ航空部隊
ハ常ニ局部ノ戰術的戰鬪ニ於キマシテハ
有利ナル戰果ヲ得テ居ルノデアリ、且又我
ハ有利ナル航空戰略態勢ヲ保持シテ居ルノ
デアリマシテ、更ニ是ガ戦力增强ヲ圖ルコ
トニ依リマシテ、必勝ノ道ハ自ラ瞭カナノ
デアリマス
軍ト致シマシテハ、愈、皇軍獨特ノ戰法
ヲ〓究致シマルト共ニ、量ニ於キマシテモ
凡ユル工夫ヲ凝ラシ、兩々相俟ツテ、米英航
空勢力ノ擊滅ヲ期シテ居ル次第デアリマス
各位ニ於カレマシテモ、航空戰力ノ劃期
的增强ニ關シマシテ、此ノ上トモ全幅ノ御
協力ヲ切望致ス次第デアリマス、戰局ノ
前途ニハ固ヨリ幾多ノ困難ヲ豫想セラレマ
スルガ、我ノ苦痛ニ更ニモ增シテ敵ノ苦痛
ノ大ナルコトヲ銘心シ、陸軍ト致シマシテ
ハ御稜威ノ下密ニ海軍ト協同シ、愈〓必勝
ノ信念ヲ堅持シ、必勝ノ施策ヲ盡シ、現戰
局ニ對應シツツ、將來ノ積極作戰ノ準備ニ
邁進センコトヲ期スルノデアリマス
終リニ臨ミ、各戰場ニ於キマシテ戰歿セ
ラレマシタル幾多ノ貴キ英靈ニ對シ謹ンデ
敬弔ノ誠ヲ捧ゲマスルト共ニ、其ノ御遺族
ニ對シマシテ深ク御同情ヲ申上ゲ、又常ニ
熱誠渝ラザル國民各位ノ御後援ニ對シマシ
テ、厚ク御禮ヲ申上ゲル次第デアリマス、
終リ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=23
-
024・岡田忠彦
○議長 (岡田忠彥君)海軍大臣嶋田繁太
郞君
〔國務大臣嶋田繁太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=24
-
025・嶋田繁太郎
○國務大臣(嶋田繁太郞君) 本年六月本議
場ニ於テ說明致シマシタ以後ニ於ケル海軍
作戰ノ〓要ニ付テ申上ゲマス
大東亞戰爭開始以來精銳ナル我ガ陸海
軍部隊ガ西太平洋及ビ「インド」洋ニ亙ツテ
築キ上ゲマシタ帝國ノ優位ナル戰略態勢ハ
引續イテ强化セラレ、全域ニ亙ル我ガ軍不
斷ノ果敢ナル作戰ニ依リマシテ隨所ニ敵ヲ
擊碎シテ居リマスガ、敵モ亦各方面ヨリ相
次イデ執拗ナル反撃ニ出デ、戰局ハ全般ニ
於テ熾烈ナル決戰ノ樣相ヲ示シ、戰機極メ
テ重大デアリ、卒國海軍ハ御稜威ノ下、陸
軍部隊ト緊密ナル協同ヲ以チマシテ、廣大
ナル戰域ニ亙リ旺盛ナル攻擊精神ヲ以テ敵
兵力ノ捕捉殲滅ニ努メテ居リマス、此ノ期
間ニ於ケル主ナル作戰ヲ大別致シマシテ、
ㄱインド」洋方面、北太平洋方面、南太平洋
方面ノ順序ニ是ガ大要ヲ說明致シマス
先ヅ「インド」洋方面ニ於キマシテハ、陸
軍部隊ノ「ビルマ」方面ノ作戰ニモ呼應シ、
占領地周邊ノ備ヘヲ益〓固ムルト共ニ、潜水
艦及ビ航空機ヲ以テ進ンデ敵ノ後方ヲ攻擊
攪亂シ、遠ク「アフリカ」東岸ニ亙リ、所要
海域ノ制御ニ任ジテ居リ、又近ク十月十二
日我ガ航空部隊ハ長驅「セイロン」島及ビ
「インド」東岸「マドラス」ヲ急襲シ、船舶及
ビ軍事施設ヲ爆碎致シマシタ、更ニ濠洲西
北岸方面ニ對シマシテハ、有力ナル航空部
隊ヲ以、屢〓「ポートダーウイン」、ㄱブロッ
クスクリーク」及ビ「ドライスデール」等、敵
大型機ノ巢窟タル要地ニ大規模ナル空襲ヲ
加へ、敵機合セテ五十九機ヲ擊墜擊破シマ
シタ外、軍事施設ニ多大ノ損害ヲ與ヘマシ
タ是等ノ攻擊ニ於キマシテハ、敵ノ警戒
モ極メテ嚴重デアリマシテ、到ル處壯烈ナル
空中戰ヲ展開シ、中ニハ攻擊目標ニ至ル途
上、敵機トノ交戰ニ依リ片舷機ノミトナリ、
尙ホ能ク豫定ノ攻擊ヲ續行シ、見事ニ目的
ヲ達成シテ長途歸還シタモノモアリマス
次ニ北太平洋方面ニ於キマシテハ、書
「アッツ」島ニ於キマスル壯烈ナル戰鬪ガア
リ、將兵ノ士氣愈〓振ヒ、引續キ彼我活發ナ
ル作戰ガ行ハレマシタガ、「キスカ」島守備
ノ帝國陸海軍部隊ハ、七月下旬全ク敵ノ意
表ヲ衝イテ全兵力ヲ撤收シ、何等敵ノ妨害
ヲ受クルコトナク新任務ニ就キマシタ、九
月十二日敵飛行機北千島ニ來襲致シマシタ
ガ、精銳ナル我ガ陸海軍部隊ハ、之ヲ邀擊
シテ忽チ其ノ大半ヲ擊墜シ、次イデ十月十
四日、我ガ海軍航空部隊ハ、長驅「アッツ」
島ヲ急襲シテ、敵軍事施設ヲ惧破炎上セシ
メ、斯クシテ帝國北方ノ護リハ儼トシテ確
保セラレテ居リマス
轉ジテ南太平洋方面ニ於キマシテハ、引
續キ激烈テル〓鬪ガ行ハレ、特ニ彼我航空
戰ハ極メテ熾烈デアリマシテ、六月十六日、
「ルシガ」沖航空戰ノ如キ、我ガ海軍航空部
隊ハ勇猛ナル戰鬪ニ依リ、敵輸送船七隻ヲ
屠リ、敵ノ反攻準備ニ大ナル打撃ヲ與ヘタ
ノデアリマスルガ、敵ハ益、、兵力ヲ增派シ、
六月末日ヨリ「ソロモン」群島及ビ「ニュー
ギニア」ニ於テ、逐次反擊ヲ進メテ參リ、
玆ニ彼我ノ有力部隊至近ニ對峙シ、一層苛
烈ナル戰鬪ヲ交ユルコトトナツタノデアリ
マス
卽チ六月三十日、敵有力部隊「ソロモン」
群島中部ノ「レンドバ」島ニ對シ、次イデ七
月五日「ニューヂヨーヂア」島ニ對シ、ソレ
ゾレ上陸シテ參リマシタ、爾來同方面ハ、
陸海空ニ亙ル壯烈ナル戰場トナリ、帝國海
軍部隊ハ陸軍部隊ト極メテ緊密ナル協力ノ
下ニ、書夜連續此ノ敵ニ果敢ナル攻擊ヲ反
復スルト共ニ、敵艦艇、飛行機及ビ輸送船
ニ大ナル打擊ヲ與ヘマシタ、此ノ間我ガ陸
軍部隊及ビ海軍陸戰隊ハ、前人未到ノ密林
ヲ戰場トシ、惡疫ヲ克服シ、連日多數敵機
ノ空爆下ニ於テ終始勇戰奮鬪、隨所ニ果敢
ナル攻擊ヲ加ヘテ敵上陸部隊ヲ擊碎シ、
又海軍航空部隊之ニ呼應シテ優勢ナル敵
ノ空襲ヲ反擊シ、其ノ上空警戒、地上砲
火ヲ冒シツツ敵艦船及ビ揚陸地點ノ攻擊
竝ニ敵航空部隊ノ制壓ニ努メ、更ニ進ンデ
敵ノ後方基地竝ニ遠ク「バニコロ」島、「フナ
フチ」島、「カントン」島方面敵ノ補給基地ニ
痛爆ヲ加ヘマシタ、又此ノ間我ガ水雷戰隊
ハ附近海面ニ於キマシテ、屢〓敵ノ有力ナ
ル海上部隊ヲ强襲シ、「クラ」灣夜戰、「コ
ロンバンガラ」島沖夜戰ヲ初メ、相次グ海
戰ニ於キマシテ敵巡洋艦及ビ驅逐艦各〓六
隻ヲ擊沈シ、輸送船其ノ他ノ艦艇五隻ヲ擊
沈破致シテ居リマス、是等ノ損害ニ苦慮シ
名 以七月中旬以後益〓同方面兵力ノ增
强ニ努メマシテ、八月十五日ニハ有力ナル
部隊ヲ以テ「ベララベラ」島ニ上陸シマシタ
ノデ、海軍部隊ハ直チニ之ニ反覆猛擊ヲ加
へ敵艦船、飛行機ニ甚大ナル損害ヲ與ヘ
タノデアリマス
斯クテ「ニユーヂヨーヂア」島方面ノ戰場
ハ、彼我部隊互ニ交錯シテ愈激烈ヲ加ヘ
我ガ軍ノ勇戰奮鬪ニ依リ、敵ノ損害ハ洵ニ
甚大ナルモノガアリマシタガ、十月初旬ニ
至ツテ、此ノ方面ノ我ガ部隊ハ之ヲ集結ス
ルコトトナリ殆ド敵ノ妨害ヲ受クルコト
ナク、ソレ〓〓之ヲ附近ノ基地ニ撤收致シ
マシタ
「ニユーギニア」東部方面ニ於キマシテ
モ、戰闘ハ同樣ニ苛烈ヲ極メ、彼我近距離
ニ對峙シテ、終始活潑ナル作戰ヲ續ケテ居
リ、我ガ海軍陸戰部隊ハ陸軍部隊ト密接ニ
協同シテ、瘴癘困苦ノ下、敵ノ擊滅ニ努メ
テ居リマス、又九月四日敵輸送船團ニ依ル
「ホポイ」附近上陸作戰ニ伴ツテ起リマシタ
ル此ノ方面航空戰ハ壯烈ヲ極メタモノデ
アリマシテ、同日此ノ輸送船團ニ對スル我
ガ陸海軍航空部隊ノ協同攻擊、同十二日海
軍航空部隊ノ「モロベ」灣敵在泊艦船ニ對ス
ル攻擊、竝ニ十月十二日ヨリ十五日ニ亙ル
同方面ノ敵在泊艦船及ビ陸上軍事施設ニ對
スル攻擊等、何レモ多大ノ戰果ヲ收メ、特
ニ九月二十二日「クレチン」岬沖ニ於キマシ
テハ寡勢克ク敵ノ輸送船團ニ肉薄シ、雷
擊ヲ決行シテ、同時ニ我ニ六倍スル敵ノ戰
鬪機ト壯烈ナル空中戰ヲ交ヘ、一擧ニ敵巡
洋艦三隻、驅逐艦二隻及ビ輸送船一隻ヲ擊
沈シ、敵機十四機ヲ擊墜シテ居リマス
斯クテ九月以後、此ノ方面ニ於テ擊沈シ
マシタモノ合セテ輸送船十八隻、巡洋艦四
隻、驅逐艦二隻、又擊破炎上セシメマシタ
モノ輸送船二十一隻、巡洋艦、驅逐艦各、と
四隻、其ノ他小艦艇多數ニ上ツテ居リマス
次ニ潜水艦戰ニ付デ申上ゲマス、我ガ潜水
艦部隊ハ常ニ廣大ナル海域ニ亙リ、勇敢ナ
ル作戰ヲ行ツテ居リマシテ、六月以來今日
マデニ敵ノ船舶二十隻、約十七万八千「ト
ン」ヲ撃沈シマシタ外、七月二十日「サンク
リストバル」南方海面ニ於キマシテ、敵ノ
「サンフランシスコ」型巡洋艦一隻、又九月
十二日「ニユーヘブリデス」東方海面ニ於キ
マシテ乙級巡洋艦一隻、更ニ十月三日南太
平洋ニ於キマシテ驅逐艦二隻ヲ、何レモ擊
沈致シテ居リマス、又大東亞各海域ニ於ケ
ル敵ノ潜水艦ニ對スル我ガ掃蕩作戰モ、非
常ナル苦心ノ中ニ極メテ活潑ニ行ハレ、廣
キ海域ニ亙ツテ風浪寒暑ヲ冒シ、見エザル
敵ヲ相手トシテ、日夜防備竝ニ護送任務等
ニ從事シテ居リマス、是等艦艇及ビ航空部
隊ガ七月以降四箇月間ニ確實ニ擊沈致シマ
シタ敵ノ潜水艦、合計二十二隻ニ上ツテ居
リマス
斯クテ全作戰ヲ通ジマシテ前囘說明以後
四箇月間ニ、海軍部隊ノ擧ゲマシタ戰果ヲ
綜合致シマスルト、艦船ノ擊沈シマシタモ
ノ巡洋艦十七隻、驅逐艦十八隻、潜水艦二
十二隻、輸送船七十隻、約三十二万「トン」、
其ノ他艦艇七十三隻デアリマシテ、其ノ他
ニ擊破シタモノ多數ニ上リマス、之ニ對シ
テ我ガ方ノ喪失シマシタモノハ驅逐艦六
隻其ノ他艦艇十二隻デアリマス
飛行機ニ於キマシテハ、撃墜撃破シマシ
タモノ千六百十三機ニ上リ、我ガ方ノ喪失
四百十五機デアリマシテ、航空戰ノ如何ニ
苛烈ナルカヲ示シ、戰局ノ大勢之ニ負フ所
極メテ大ナルモノガアリ、今尙ホ晝夜ヲ分
タズ激烈ナル航空戰ガ展開サレテ居リマス
寡兵克ク敵ノ優勢ニ當リ、是ガ撃滅ヲ期ス
ル我ガ將兵ノ苦心ハ、洵ニ並々ナラヌモノ
ガアリマスルガ、烈々タル攻撃精神ト百千
鍊磨ノ術力トヲ以チマシテ、飽クマデ滅敵
ノ信念ニ燃エテ居ルノデアリマス(拍手)
敵ハ斯クノ如ク多大ノ損害ヲ受ケナガラ、
只管之ヲ國民ニ祕匿シ、一方我ガ軍ノ損害
ニ付キマシテハ、徒ラニ荒唐無稽ノ數字ヲ
示シテ居リマスルガ、何レ遠カラズ其ノ眞
相ハ知レ渡ルモノト思ヒマス
今ヤ戰局ハ愈〓深刻ヲ加ヘ、激戰各方面ニ
行ハレテ、帝國陸海軍部隊ハ隨所ニ其ノ眞
價ヲ發揚シ、武威ヲ中外ニ輝カシテ居リマ
スルガ、敵亦其ノ戰力ヲ傾倒シテ各方面ヨ
リ反攻ノ態勢ヲ進メテ居リマシテ、以上ノ
外既ニ九月以來、敵機動部隊ハ相次イデ南
鳥島、그ギルバート」方面及ビ大鳥島ニ來
襲シ、倉皇トシテ我ガ捕捉ヲ逃レ去リマシタ
ガ、今後更ニ各方面ニ反撃ノアルコトハ必
然デアリ、一層苛然ナル戰鬪隨所ニ起リ、聊
カモ油斷ヲ許サヌ狀況デアリマシテ、今ヤ
國ヲ擧ゲテ來ルベキ決戰ニ備ヘ、文字通リ
總員戰鬪配置ニ就クベキ重大ナル秋ト存ズ
ル次第デアリマス(拍手)
海軍ト致シマシテハ、多年鍊磨ノ實力ノ
滿ヲ持シ、隨時敵ヲ邀へ擊ツノ態勢ヲ愈〓、
固メテ居リマシテ、全將兵常ニ聖旨ヲ奉
體シ、益〓旺盛ナル士氣、强靱不屈ノ精神ヲ
以テ、勇戰奮鬪誓ツテ敵軍ヲ擊滅シ、以テ
戰爭最終ノ目的ヲ達成シ、上聖明ニ應ヘ
奉ランコトヲ固ク期シテ居リマス(拍手)
終リニ臨ミ、壯烈君國ニ殉ゼラレマシタ
ル幾多忠勇ナル將兵ニ對シ、玆ニ衷心哀悼
ノ誠ヲ捧ゲ、其ノ遺家族ニ對シマシテ、深
厚ナル同情ノ意ヲ表シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=25
-
026・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御諮リ致シマス、前
田米藏君外七十六名提出決議案、陸海軍ニ
對スル感謝竝戰死者ニ對スル敬弔ニ關スル件
ヲ此ノ際議題トナスニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=26
-
027・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ右決議案ヲ議題ト致シマス、提出一
者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-提出者田中武
雄君
決議案(陸海軍ニ對スル感謝竝戰死者
ニ對スル敬弔ニ關スル件)(前田米藏
君外七十六名提出)
決議案
決議
米英擊滅ノ聖戰起リテヨリ未タ二箇年ニ
至ラサルニ我カ忠勇ナル陸海軍ハ曠古ノ
大戰果ヲ收メ敵ヲ東亞ノ天地ヨリ驅逐シ
テ皇威ヲ中外ニ宣揚ス今ヤ大東亞共榮圈
ノ建設着々進捗シ、ビルマ國ノ獨立、フ
イリピン國ノ獨立、自由インド假政府ノ
樹立ニ方リ仇敵米英ハ各地ニ總反抗ヲ企
圖シ失地奪還ニ狂奔シ戰局倍、熾烈悽愴
ヲ極ム而モ帝國陸海軍ハ陸ニ海ニ空ニ猛
戰激鬪每ニ敵ヲ擊摧シテ覬覦ヲ許サス帷
幄ノ神等國土ノ鐵壁ト相待ツテ彌〓聖戰
完勝ノ信念ヲ堅クス是レ固ヨリ御稜威
ノ下皇軍將兵至誠盡忠ノ武勳ニ依ルモノ
ニシテ全國民感謝感激措ク能ハサル所ナ
リ皇國ノ隆替繫ツテ此ノ連續決戰ニ在ル
ヲ念ヒ國ヲ擧ケテ戰鬪配置ニ就キ戰力ノ
增强ニ邁進シ以テ將兵諸士ニ酬ユルト共
ニ天業ノ達成ニ努メムコトヲ期ス
衆議院ハ特ニ院議ヲ以テ帝國陸海軍ノ偉
勳ニ對シ深ク感謝ノ意ヲ致シ併セテ戰歿
將兵諸士ノ崇高ナル英靈ニ對シ厚ク敬弔
ノ忱ヲ表ス
右決議ス
〔田中武雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=27
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028・田中武雄
○田中武雄君 只今上程セラレマシタ陸海
軍ニ對スル感謝竝ニ戰死者ニ對スル敬弔決
議案ニ付キマシテ、提案者ノ一人トシテ其
ノ趣旨ヲ申述ベタイト存ジマス、玆ニ先ヅ
其ノ案文ヲ朗讀致シマス
決議
米英撃滅ノ聖戰起リテヨリ未タ二箇年ニ
至ラサルニ我カ忠勇ナル陸海軍ハ曠古ノ
大戰果ヲ收メ敵ヲ東亞ノ天地ヨリ驅逐シ
テ皇感ヲ中外ニ宣揚ス今ヤ大東亞共榮圈
ノ建設著々進捗シ「ビルマ」國ノ獨立、「フ
イリピン」國ノ獨立、自由「インド」假政
府ノ樹立ニ方リ仇敵米英ハ各地ニ總反抗
ヲ企圖シ失地奪還ニ狂奔シ、戰局倍〓熾烈
悽愴ヲ極ム而モ帝國陸海軍ハ陸ニ海ニ空
ニ猛戰激鬪每ニ敵ヲ擊摧シテ覬覦ヲ許サ
ス帷幄ノ神籌國土ノ鐵壁ト相待ツテ彌〓、
聖戰完勝ノ信念ヲ堅クス是レ固ヨリ
御稜威ノ下皇軍將兵至誠盡忠ノ武動ニ依
ルモノニシテ全國民感謝感激措ク能ハサル
所ナリ皇國ノ隆替繫ツテ此ノ連續決戰ニ
在ルヲ念ヒ國ヲ擧ケテ戰鬪配置ニ就キ戰
力ノ增强ニ邁進シ以テ將兵諸士ニ酬ユル
上海)天業ノ達成ニ努メムコトヲ期ス
衆議院ハ特ニ院議ヲ以テ帝國陸海軍ノ偉
動ニ對シ深ク感謝ノ意ヲ致シ併セテ戰歿
將兵諸士ノ崇高ナル英靈ニ對シ厚ク敬弔
ノ忱ヲ表ス
右決議ス
〔拍手起ル〕
諸君、過去數百年ニ亙リマシテ、東亞諸
民族ヲ塗炭ノ苦ミニ陷レマシタル所ノ米英
兩國擊滅ノ聖戰起リテヨリ未ダ二箇年ニ足
リマセヌガ、我ガ忠勇ナル陸海軍將兵諸士
ハ陸ニ海ニ空ニ連戰連勝、敵ヲ東亞ノ天
地ヨリ撃退シ去リ、其ノ雄大果敢ナル作戰
ト之ニ伴フ大戰果ハ世界各國ヲシテ驚嘆措
ク能ハザラシメ、敵ノ心膽ヲ寒カラシムル
ト同時ニ、東亞ノ諸民族ハ靡然トシテ皇軍
ノ恩威ノ下ニ歸服シ、殊ニ「ビルマ」「フイリ
ピン」ノ如キハ我ガ國支援ノ下ニ早クモ獨
立國トナリマシテ、自由「インド」假政府モ
亦樹立サレ、「ジヤワ」ㄱスマトラ」モ是亦其
ノ政治參與ヲ許サレ、倶ニ共ニ協力ヲ誓ヒ、
我ガ必勝不敗ノ體制ノ確立ト共ニ東亞共榮
圈ノ建設ハ日下共ニ進ミ、前途ノ光明赫々
タルモノアルニ至リマシタコトハ、帝國ハ
申スニ及バズ、東亞各國民族ノ爲メ、延イ
テハ世界人類ノ爲メ洵ニ慶賀ニ堪ヘマセヌ
(拍手)是レ全ク大稜威ノ下皇軍將兵諸士
ノ粉骨碎身、一死報國ノ武動ニ依ルモノデア
リマシテ、全國民感謝感激措ク能ハザル所
デアリマス(拍手)殊ニ百戰苦鬪ノ結果、壯
烈ナル戰死ヲ遂ゲラレ、或ハ戰傷ヲ受ケ、
又ハ病魔ニ冒サレ、恨ミヲ呑ンデ散華セラ
レマシタ將兵諸士ノ英靈ニ對シマシテハ、
痛惜ノ情、洵ニ禁ジ難キモノガアリマス、
君國ノ爲メ死シテ護國ノ鬼トナラルルコト
ハ固ヨリ武人ノ本懷トスル所デハアリマセ
ウガ、征戰完勝ノ日ヲ見ズシテ斃レラレマ
シタコトハ返ス〓〓モ痛恨ノ限リデアリ
マス(拍手)又御遺族ノ御胸中モ亦察スルニ
餘リガアリマス
今ヤ戰局ハ急速ニ進展致シマシテ、正一
熾烈ナル決戰段階ニ入リ、失地ヲ囘復シテ
再ビ東洋制覇ヲ夢想スル敵米英ノ總反攻ハ、
日ヲ逐ヒ益く苛烈ノ樣相ヲ呈シ來リマシタ
ガ、皇軍ノ勇猛ナル邀撃ニ依リ每戰失敗ノ
憂目ヲ見ナガラ、尙且ツ執拗頑强ナ態度ヲ
續ケテ居ルノ現狀デゴザイマス
然レドモ我ガ方ニ於キマシテハ、北方ニ
ハ堅陣ヲ構ヘテ敵撃退ノ固メヲ立テ微動ダ
モセザル精銳アリ、南方ニハ敵ノ奇襲ニ備
ヘテ儼然待機スル無敵海軍ト、剛勇無双ノ
陸軍部隊アリ、又支那大陸ニ於キマシテハ、
頑敵ヲ剿滅シツツ蔣·米英合作ノ全支ニ亙
ル我ガ本土空襲基地ヲ潰滅シテ、重慶政權
ヲシテ氣息奄々タラシメテ居ル所ノ猛將勇
兵ガ居リマス
飜ツテ國內ニ於キマシテハ輦轂ノ下ヲ
始メ、其ノ他ノ都市要地ニハ、國土防衞ノ網
ハ隈ナク張リ〓ラサレテ敵機ノ空襲ニ備へ、
敵艦ノ近付クノヲ許サヌ嚴重堅固ナ鐵壁陣
ヲ構ヘテ居ツテ、內外相俟テ相應ジテ必勝
ノ態勢ヲ確立シテ居ルコトハ諸君御承知ノ
通リデアリマシテ、實ニ國運ノ隆替、東亞
ノ興廢繫ツテ今後ノ連續決戰ノ輸贏ニアル
ヲ思ヒ、全國民ノ戰意ハ炎々トシテ燃上リ、
敢鬪ノ精神ハ彌ガ上ニモ昂揚シ、一億國民
悉ク體當リノ戰鬪配置ニ就キ、戰力增强ノ
一路ニ驀進シ、征戰ノ大目的ヲ完遂シテ、
速カニ上御一人ノ叡慮ヲ安ンジ奉リ、下
ハ第一線將兵ノ忠誠勇武ニ應フベク、猛然
奮起シテ居ルノデアリマス(拍手)
茲ニ衆議院ハ特ニ院議ヲ以テ帝國陸海軍
ノ偉大ナル動功ニ對シテ深甚ナル感謝ノ意
ヲ表シ、此ノ間忠肝義膽、鬼神ヲモ哭カシ
ムル幾多戰歿將兵ノ英靈ニ對シマシテハ、
心カラ厚ク敬弔ノ忱ヲ表シタイト存ジマス、
何卒滿場一致御賛成アランコトヲ望ム次第
デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=28
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029・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 採決致シマス、本案
ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=29
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030・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 起立總員、仍テ本案
ハ全會一致可決致シマシタ
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=30
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031・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 此ノ際戰死者ノ英靈
ニ對シ默禱ヲ捧ゲタイト存ジマス、諸君ノ
御起立ヲ望ミマス
〔總員起立默禱〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=31
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032・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 默禱ヲ終リマス、諸
君ノ御着席ヲ望ミマス-陸軍大臣及ビ海
軍大臣ヨリ發言ヲ求メラレテ居リマスー
陸車大臣東條英機君
〔國務大臣東條英機君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=32
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033・東條英機
○國務大臣(東條英機君) 只今ハ全會一致
ヲ以チマシテ殉國ノ英靈ニ對スル敬弔ト
全將兵ニ對シマスル感謝ノ爲メ御懇篤ナル
御決議ヲ戴キマシタコトハ、陸軍大臣ト致
シマシテ洵ニ感激ニ堪ヘザル所デアリマス、
玆ニ厚ク御禮ヲ申上ゲル次第デアリマス、
御決議ハ直チニ英靈ニ報告シマスルト共
ニ、全將兵ニ傳達致スコトト致シタイト存
ジマス、愈〓苛烈ノ度ヲ加ヘツツアリマス
ル戰局ニ處シマシテ、御稜威ノ下、全陸軍
將兵ハ士氣頗ル旺盛、後顧ノ憂ナク一意任
務ニ邁進シ、着々戰果ヲ收メツツアリマス
ルコトハ、官民各位ノ熱烈ナル御後援又御
協力ニ俟ツ所洵ニ大ナルモノガアルノデア
リマシテ、深ク此ノ點感銘致シテ居ル次第
デアリマス
曩ニモ申上ゲマシタル通リ今後愈、深刻
トナルベキ現下ノ戰局ニ當リマシテ、軍ノ
責務更ニ重大ヲ加ヘマスルノ秋、只今ノ御
決議ヲ賜ハリ、全將兵ハ感奮誓ツテ聖慮
ヲ安ンジ奉リ、國民ノ熱誠ニ應フルノ決意
ヲ更ニ固クスルモノデアリマス、玆ニ陸軍
ヲ代表致シマシテ衷心ヨリ感謝ノ言葉ヲ申
上ゲル次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=33
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034・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 海軍大臣嶋田繁太郞
君
〔國務大臣嶋田繁太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=34
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035・嶋田繁太郎
○國務大臣(嶋田繁太郞君) 只今ハ全會一
致ヲ以チマシテ、御鄭重ナル感謝竝ニ弔意
ノ御決議ヲ戴キ洵ニ感謝ニ堪ヘマセヌ、直
チニ全海軍ノ將兵ニ傳達致シマスルト共ニ、
護國ノ英靈ニ報告スルコトト致シマス
大東亞戰爭勃發以來、陸海軍部隊ガ緊密
ナル協同ノ下ニ廣汎ナル地域ニ亙リ、赫々
タル戰果ヲ擧ゲ得マシタルコトハ偏ニ
御稜威ノ然ラシムル所デアリマシテ、感激措
ク能ハザル所デアリマス、戰局ハ正ニ深刻ナ
ル決戰ノ段階ニ入リ、敵ノ反攻日ニ熾烈ノ
度ヲ加ヘテ參リマシタガ、此ノ敵ヲ擊破屈
服セシメン爲ニハ、國家總力ヲ餘ス所ナク
結集致シマシテ、速カニ最大ノ戰力ヲ發揮
スルコトガ最モ肝要ト存ジマス、我等海軍
將兵一同ハ優渥ナル聖旨ヲ奉體シ、熱誠
溢ルル國民ノ御後援ノ下ニ益〓必勝ノ信
念ヲ固メ、不屈不撓ノ勇猛心ヲ以テ實力ヲ
全幅發揮シ、誓ツテ戰爭目的ノ達成ヲ期ス
ルモノデアリマス、玆ニ海軍ヲ代表致シマ
シテ厚ク御禮ヲ申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=35
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036・森下國雄
○森下國雄君 議案上程ニ關スル緊急動議
ヲ提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、衆議
院議員ニシテ大東亞戰爭ニ際シ召集中ナル
ニ因リ其ノ職ヲ失ヒタルモノノ補關及復職
ニ關スル法律案及ビ昭和十三年法律第八十
四號中改正法律案ノ兩案ヲ一括議題トナ
シ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=36
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037・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 森下君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=37
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038・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、衆議院議員ニシテ大東亞戰爭ニ際シ召
集中ナルニ因リ其ノ職ヲ失ヒタルモノノ補
關及復職ニ關スル法律案及ビ昭和十三年法
律第八十四號中改正法律案、右兩案ヲ一括
シテ第一讀會ヲ開キマス-安藤國務大臣
衆議院議員ニシテ大東亞戰爭ニ際シ
召集中ナルニ因リ其ノ職ヲ失ヒタルモ
ノノ補關及復職ニ關スル法律案(政府
提出)第一讀會
昭和十三年法律第八十四號中改正法律
案(政府提出)第一讀會
衆議院議員ニシテ大東亞戰爭ニ際シ召
集中ナルニ因リ其ノ職ヲ失ヒタルモノ
ノ補闕及復職ニ關スル法律案
衆議院議員ニシテ大東亞戰爭ニ際シ召集
中ナルニ因リ其ノ職ヲ失ヒタルモノニ付
テハ議院法第八十四條及衆議院議員選擧
法第七十九條ノ規定ハ之ヲ適用セズ
衆議院議員ニシテ大東亞戰爭ニ際シ召集
中ナルニ因リ其ノ職ヲ失ヒタルモノ其ノ
殘任期間中ニ召集ヲ解除セラレタルトキ
ハ其ノ職ニ復ス
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第一項ノ規定ハ本法施行前召集セラレタ
ル者ニ付テモ亦之ヲ適用ス但シ其ノ者ニ
關シ衆議院議員選擧法第七十九條ノ規定
ニ依ル選擧會又ハ補關選擧ニ關スル〓示
アリタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第二項ノ規定ハ本法施行前召集ヲ解除セ
ラレタル者ニ付テモ亦之ヲ適用ス
昭和十三年法律第八十四號中改正法律
案
昭和十三年法律第八十四號中左ノ通改正
ス
第一條第一項中「北海道會法」ノ上ニ「東
京都制、」ヲ加へ「市町村長」ヲ「區市町村
長」ニ改ム
第一條ノ二東京都制、北海道會法、府
縣制、市制、町村制又ハ此等ニ基キテ
發スル勅令ニ依リ設置スル議會ノ議員
大東亞戰爭ニ際シ召集中ナルニ因リ其
ノ職ヲ失フ場合ニ於テハ東京都制第
五十八條、北海道會法第十四條、府
縣制第三十七條、市制第三十八條若ハ
第百四十六條又ハ町村制第三十五條、
第百二十六條若ハ第百三十六條ノ規定
又ハ東京都制、市制若ハ町村制ニ基キ
テ發スル勅令中ノ此等ノ規定ニ該當ス
ル規定ニ拘ラズ當該議會ノ決定ヲ經ル
コトヲ要セズ
第一條ノ三東京都制、北海道會法、府
縣制、市制、町村制又ハ此等ニ基キテ
發スル勅令ニ依リ設置スル議會ノ議員
ニシテ大東亞戰爭ニ際シ召集中ナルニ
因リ其ノ職ヲ失ヒタル者ニ付テハ東京
都制第十六條、北海道會法第十四條、
府縣制第八條、市制第二十條若ハ第百
四十六條又ハ町村制第十七條、第百二
十六條若ハ第百三十六條ノ規定又ハ東
京都制、市制若ハ町村制ニ基キテ發ス
ル勅令中ノ此等ノ規定ニ該當スル規定
ハ之ヲ適用セズ但シ議員ノ數當該議員
ノ定數ノ三分ノ二ニ滿タザルニ至リタ
ルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二條第一項中「北海道會法」ノ上ニ「東
京都制」ヲ、「其ノ職ヲ失ヒタル者」ノ下
ニ「其ノ殘任期間中ニ」ヲ加フ
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第一條ノ二ノ改正規定ハ本法施行前召集
セラレタル者ニ付テモ亦之ヲ適用ス但シ
同條ニ揭グル當該規定ニ依ル決定ニ對ス
ル訴願及訴訟ニ付テハ仍當該規定ニ依ル
第一條ノ三ノ改正規定ハ本法施行前召集
セラレタル者ニ付テモ亦之ヲ適用ス但シ
其ノ者ニ關シ同條ニ揭グル當該規定ニ依
ル選擧會又ハ補關選擧ニ關スル〓示アリ
タル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
〔國務大臣安藤紀三郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=38
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039・安藤紀三郎
○國務大臣(安藤紀三郞君) 只今上程ニ相
成リマシタル兩法案ニ付キマシテ、其ノ提
案ノ理由竝ニ法案ノ內容ヲ御說明申上ゲマ
ス
先ヅ衆議院議員ニシテ大東亞戰爭ニ際シ
召集中ナルニ因リ其ノ職ヲ失ヒタルモノノ
補關及復職ニ關スル法律案ニ付キマシテ御
說明ヲ申上ゲマス、政府ニ於キマシテハ、
大東亞戰爭必勝ノ信念ヲ堅持致シマシテ、
去月二十一日割期的ナル國政運營ノ新方針
ヲ決定シテ國政運營ノ決戰化ヲ圖ルコトト
致シ、目下着々其ノ實現ニ努力致シツツア
ル次第デゴザイマス、而シテ此ノ新方針ニ
於ケル重要ナル一翼タル國民動員ノ面ニ於
キマシテモ、或ハ一般徵集猶豫ノ停止或ハ
徵集及ビ徴用ニ關スル除外例ノ撤廢或ハ女
子動員ノ强化等、全面的ニ動員ノ徹底强化
ヲ圖ルコトニ相成ツタノデゴザイマス、然
ルニ帝國議會ノ議員各位ノ中ニハ、現ニ軍
籍ニ身ヲ置カルル方々ガアリ、旣ニ今議會
ヲ目前ニ控ヘラレマシテ、壯ナル決意ヲ以
テ奮躍應召入隊セラレマシタル方々モア
リ、今後尙ホ御召ニ應ジテ戰場ニ立タレル
方々モアルデアラウト云フコトハ蓋シ想察
シ得ル所デゴザイマス、然ルニ衆議院議員
ハ召集ニ因ツテ當然ニ議員タル其ノ職ヲ失
フコトニ相成ツテ居リマス、是ガ爲ニ、衆
議院議員ニ對シ召集ガアリマスルト、現行
法ノ下ニ於キマシテハ、一面是ガ補闕ノ爲
ニ補關選擧等ヲ執行シナケレバナリマセヌ
ト共ニ、他面應召シタル議員ハ爾後全ク議
員ノ職ヲ囘復スル途ヲ鎖サレ、假令舊ノ任
期中ニ於キマシテ召集ヲ解除セラレタル場
合ニ於キマシテモ、舊ノ議員ノ職ニ復スル
コトハ出來ナイノデゴザイマス、斯クノ如
キ事態ハ、現下ノ決戰狀態ニ鑑ミマシテ、
洵ニ適當デナイト考へマスルノデ、假令衆
議院議員タル人ガ大東亞戰爭ニ際シ召集ニ
應ジテ其ノ職ヲ失ヒ、隨テ闕員ヲ生ジマシ
タル場合ニ於キマシテモ其ノ補闕ヲ行ハズ
闕員ノ儘トシ、他方應召シタル議員ガ舊ノ
任期中ニ於キマシテ召集ヲ解除セラレマシ
タル曉ニ於キマシテハ舊ノ議員ノ職ニ復
スルコトニ致サントスルノデゴザイマス、
右ノ如キ趣旨ヲ以チマシテ本案ヲ提出致シ
タ次第デゴザイマス
以下本案ノ內容ニ付キマシテ其ノ主要ナ
ル事項ヲ御說明申上ゲマス、第一ニ衆議院
議員ニシテ大東亞戰爭ニ際シ召集中ナルニ
因リ其ノ職ヲ失ヒタルモノニ付キマシテ
ハ是ガ補關ヲ行ハザルノ趣旨ヲ以チマシ
テ、議員法第八十四條及ビ衆議院議員選擧
法第七十九條ノ規定、卽チ補關選擧等ニ關
スル手續ニ關スル規定ヲ適用セザルコトニ
致シタノデゴザイマス、議員ガ應召ニ因ツ
テ失職シ闕員ヲ生ズルコトニ對シマシテ
ハ、必ズ是ガ補關ヲ行フ現行ノ規定ヲ其ノ
儘ニ致シテ置キマスコトハ、當該議員ガ召集
解除トナリマシタル場合ニ於キマシテ、議
員ノ職ニ復セシメヨウトスル本案ノ趣旨、
目的ニ副ヒマセヌ、ノミナラズ、補關選擧
等ノ執行ヲ頻繁ナラシムル虞ガアリ、時局
柄是亦適當ナラズト認メマスノデ、應召ノ
爲ノ關員ニ付キマシテハ是ガ補關ヲ行ハナ
イロトニ致シタノデゴザイマス、斯クノ如
ク應召ニ因リ失職シタルモノニ付キマシテ
補闕ヲ行ハナイコトニ致シマスルト、議員
ノ關員數ガ逐次多クナリ、或ハ衆議院ノ機
能上支障ヲ生ズルニ至ル虞ナキヤトノ御懸
念モアルコトデアラウカト存ジマスルガ、
此ノ點ニ付キマシテハ現ニ衆議院議員ニシ
テ軍籍ヲ有セラルル方々ノ數竝ニ從來ノ衆
議院議員ノ一任期間內ニ生ジマシタル闕員
ノ實績等ニ徵シマシテ、萬々其ノ考慮ヲ要
セザルコトノヤウニ考ヘラレマスルノデ、
臨時立法タル本案ニ於キマシテハ是ガ爲ノ
特別ノ措置ハ之ヲ講ゼザルコトニ致シタノ
デゴザイマス
第二ニ衆議院議員ニシテ大東亞戰爭ニ際
シ召集中ナルニ因リ其ノ職ヲ失ヒタルモノ
ガ召集ヲ解除セラレタル時ハ、直チニ舊ノ
議員ノ職ニ復スルコトニ致シタノデゴザイ
マス、申スマデモナク一旦榮譽アル御召ヲ
蒙ツテ應召セラルル人々ハ、固ヨリ一切ヲ
抛ツテ盡忠報國ノ一念ニ燃エテ軍務ニ專念
御從事ニ相成リマスルコトハ言ヲ俟タザル
所デアリマシテ、是コソ日本國民タル者ガ
齊シク有スル覺悟デアリ矜恃デアルト固ク
信ジマス、併シナガラ應召者ガ歸還致シマシ
タル場合ニ於キマシテ、其ノ人ガ舊衆議院
議員デアリ、而モ應召ニ依ツテ議員タル職
ヲ失ツタル者デアリ、且又其ノ舊ノ任期中
ニ於テ、召集ヲ解除セラレタト云フコトデ
アリマスルナラバ、之ヲ舊ノ議員ノ職ニ復
セシムルコトニ致シマスコトハ、現下總動
員ノ態勢ニアルコト、竝ニ適材ヲ各、適所ニ
就ケテ、此ノ決戰ノ爲ニ參畫セシメラルル
ト云フ意味カラ見マシテ、極メテ至當ノ措
置ト考ヘマスルノミナラズ、現ニ地方議會
ノ議員ニ付キマシテハ、夙ニ昭和十三年以
來應召シタル議員ガ召集ヲ解除セラレタル
場合ニ於キマシテ、舊ノ議員ノ職ニ復セシ
ムル措置ヲ講ジテ居リマスルコトハ御承知
ノ通リデアリマシテ、今囘衆議院議員ニ付
キマシテモ、是ト同樣ノ措置ヲ講ゼントス
ルニ外ナリマセヌ
尙ホ本件ニ關シマシテハ、衆議院議員ニ
シテ應召セル者ニ付テハ、其ノ職ヲ失ハシ
メザルコトト、應召中モ衆議院議員タル
ノ身分ヲ繼續セシムルノ建前ヲ執ルベキデ
アルト云フ御意見モアラウト存ジマスガ、
元來衆議院議員ニシテ應召セル者ガ其ノ職
ヲ失フト云フコトハ議院法及ビ衆議院議
員選擧法ニ於キマシテ多年堅持シ來ツタル
所ノ建前デアリマシテ、之ヲ今變更致スコ
トニ付キマシテハ幾多ノ論議モアリ、尙ホ
愼重考究ヲ要スルコトデアリマシテ、輕々
シク玆ニ決定スベキ問題デナイト考ヘマス
ルノデ、臨時立法タル本案ニ於キマシテハ
當面ノ事態ニ對處スル臨時ノ措置ニ止ムル
ヲ穩當ト認メタ次第デゴザイマス
次ニ昭和十三年法律第八十四號中改正法
律案ニ付テ御說明申上ゲマス、御承知ノ如
ク此ノ法律ハ大東亞戰爭ニ際シ召集中ナル
ニ因リ衆議院議員選擧人名簿又ハ地方議會
議員選擧人名簿ニ登錄セラレザル者ガ召集
ヲ解除セラレマシタ場合ニ於ケル名簿登錄
ニ關シマシテ必要ナル措置ヲ講ジ、又地方
議會ノ議員ニシテ大東亞戰爭ニ際シ召集中
ナルニ因リ、其ノ職ヲ失ヒタルモノノ召集
ヲ解除セラレタル場合ニ於ケル復職ニ關シ
マシテ、前ニ御說明申上ゲマシタル衆議院
と議員ノ場合ト略〓同樣ノ措置ヲ講ジテアル
所ノ法律デゴザイマス、而シテ今次ノ改正
ハ右地方議會ノ議員ニシテ大東亞戰爭ニ際
シ召集中ナルニ因リ其ノ職ヲ失フ場合ニ於ケ
ル失職ノ手續竝ニ其ノ職ヲ失ヒタル者ノ補
關ニ關シ、大東亞戰爭ノ新情勢ト、過去數
年ニ亙ル法律運用ノ實績等トニ鑑ミマシテ、
必要ナル〓差ヲ加ヘントスルモノデゴザイ
さい、以下本案ノ內容ニ付キマシテ其ノ主
要ナル事項ヲ御說明申上ゲタイト存ジマス
第一ニ地方議會ノ議員ニシテ大東亞戰爭
ニ際シ召集中ナルニ因リ其ノ職ヲ失フ場合
ニ於ケル失職ノ手續ヲ簡易化致シタノデゴ
ザイマス、地方議會ノ議員ニ付キマシテハ、
其ノ召集中ナルニ因リ失職スル場合ニハ
衆議院議員ニ於ケルト異リマシテ、一々當
該地方議會ノ決定ヲ經ナケレバナラヌコト
ニ相成ツテ居ルノデゴザイマスルガ、一々
斯クノ如キ手續ヲ執リマスルコトハ極メテ
煩雜デアリマスルノミナラズ、召集中ト云
フ事實ハ客觀的ニ明瞭ナル事柄デアリマシ
テ、敢テ地方議會ノ決定ヲ待ツ必要モナキ
事項ト考ヘマスルノデ、其ノ決定手續ヲ廢
止シ事務ノ簡素化ヲ圖ラントスルモノデゴ
ザイマス
第二ニ地方議會ノ議員ニシテ大東亞戰爭
ニ際シ應召中ナルニ因リ其ノ職ヲ失ヒタル
モノニ付キマシテハ前ニ御說明致シマシ
タル衆議院議員ノ場合ト同樣ノ趣旨ヲ以チ
マシテ、其ノ補關ヲ行ハザルコトニ致シタ
ノデアリマス、唯地方議會ニ付キマシテハ
衆議院ト異リ、數多キ地方議會ノ中ニハ應
召中ノ議員ノ關員ガ多數ニ上リ、爲ニ議會
ノ機能上支障ヲ生ズル虞アルモノヲ生ジマ
スル場合モ皆無トハ限ラレマセヌノデ、斯
クノ如キ場合ヲ保障スル趣旨ヲ以チマシ
テ、議員ノ現在數ガ議員定數ノ三分ノ二ヲ
割ルニ至リマシタ場合ニ於キマシテハ、是
ガ補闕ヲ行フコトニ致シタノデゴザイマス、
其ノ他東京都制ノ施行ニ伴フ字句ノ整理
等、規定ノ整備ヲ行ツテ居ルノデゴザイマ
ス
之ヲ要スルニ兩法案ハ、今次大東亞戰爭
ノ新情勢ニ卽應致シマシテ斷行セラルベ
キ、國民動員ノ徹底强化ニ相呼應セントス
ルモノデアリマシテ、現下ノ緊迫セル重大
時局ニ對處スル爲ニ、眞ニ緊要且ツ適當ノ
措置ト考ヘル次第デゴザイマス、何卒御審
議ノ上御協賛アランコトヲ切望致ス次第デ
ゴザイマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=39
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040・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 各案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=40
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041・森下國雄
○森下國雄君 兩案ヲ一括シテ議長指名十
八名ノ委員ニ付託シ直チニ委員ヲ指名セラ
レンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=41
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042・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 只今ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=42
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043・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、委員ノ氏
名ハ書記官ヲシテ報告致サセマス
〔書記官朗讀〕
衆議院議員ニシテ大東亞戰爭ニ際シ召集
中ナルニ因リ其ノ職ヲ失ヒタルモノノ補
闕及復職ニ關スル法律案外一件委員
逢澤實君石坂養平君
卯尾田毅太郞君馬岡次郞君
小野祐之君岡本傳之助君
川崎巳之太郞君勝田永吉君
小松茂藤治君津崎尙武君
西方利馬君古屋慶隆君
村瀨武男君森緊急
山口喜久一郞君山本(三三五)
吉田敬太郞君蠟山政道君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=43
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044・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 只今指名致シマシタ
委員諸君ハ速カニ第八委員室ニ御參集ノ
上、委員長及ビ理事ヲ亙選シ、引續キ審査
セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=44
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045・森下國雄
○森下國雄君 議案上程ニ關スル緊急動議
ヲ提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出會計
法戰時特例中改正法律案、帝國鐵道會計法
中改正法律案、所得稅法及地租法中改正法
律案、國有財產法中改正法律案及ビ國債關
係事務簡捷化ニ關スル法律案ノ五案ヲ一括
議題トナシ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ
望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=45
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046・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 森下君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=46
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047・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、會計法戰時特例中改正法律案、帝國鐵
道會計法中改正法律案、所得稅法及地租法
中改正法律案、國有財產法中改正法律案、
國債關係事務簡捷化ニ關スル法律案、右五
案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キマス-賀屋
大藏大臣
會計法戰時特例中改正法律案(政府提
18第一讀會
帝國鐵道會計法中改正法律案(政府提
出第一讀會
所得稅法及地租法中改正法律案(政府
提出)第一讀會
國有財產法中改正法律案(政府提出)
第一讀會
國債關係事務簡捷化ニ關スル法律案
(政府提出)第一讀會
會計法戰時特例中改正法律案
會計法戰時特例中左ノ通改正ス
第四條大東亞戰爭ニ際シ補助ノ目的タ
ル事業ノ進捗遲延其ノ他避クベカラザ
ル事故ノ爲年度內ニ補助費ノ支出ヲ終
ルコト能ハザリシトキハ豫算又ハ他ノ
法律ニ定ムル場合ノ外之ヲ翌年度ニ繰
越シ使用スルコトヲ得
第五條大東亞戰爭ニ際シ政府ニ於テ賣
買、貸借、請負其ノ他ノ契約ヲ爲サン
トスル場合ニ於テ國務大臣必要アリト
認ムルトキハ會計法第三十一條ノ規定
ニ拘ラズ指名競爭ニ付シ又ハ隨意契約
ニ依ルコトヲ得但シ不動產賣拂ニ付テ
ハ此ノ限ニ在ラズ
第六條大東亞戰爭ニ際シ會計ニ關スル
事務ノ簡捷ヲ圖ル爲必要アルトキハ一
ノ會計又ハ勘定ニ屬スル特定ノ經費又
ハ收入ヲ勅令ノ定ムル所ニ依リ他ノ會
計又ハ勘定ニ屬セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リタル場合ニ於テハ豫
算ノ定ムル所ニ依リ當該會計又ハ勘定
間ニ於テ必要ナル收支ノ調整ヲ爲スモ
ノトス
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
大東亞戰爭終了ノ際ニ於テ必要ナル經過
規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
帝國鐵道會計法中改正法律案
帝國鐵道會計法中左ノ通改正ス
第七條第二項ヲ左ノ如ク改ム
鐵道、軌道其ノ他陸運、陸運ノ用ニ供
スル機械器具ノ製造(自動車ノ製造ヲ
除ク)、修理其ノ他ノ事業及倉庫營業
(臨港倉庫ニ係ルモノヲ除ク)ニ關スル
監督、助成及統制ニ要スル諸費用ハ本
會計ノ負擔トシ收益勘定ノ歲出トス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
所得稅法及地租法中改正法律案
第一條所得稅法中左ノ通改正ス
第十二條第一項第二號中「其ノ支拂ヲ
受クベキ金額」ノ下ニ「(公債及社債ノ利
子ニ付テハ支拂ヲ受ケタル金額)」ヲ加フ
第二十二條ノ二甲種ノ配當利子所得
中公債及社債ノ利子ニ對スル分類所得
稅ハ其ノ支拂ヲ受ケタル時ニ於ケル稅
率ニ依リ之ヲ賦課ス
第二條地租法中左ノ通改正ス
第十一條第一項第一號ヲ左ノ如ク改ム
-田租翌年二月一日ヨリ末日限
年額全部
第七十一條ニ左ノ一項ヲ加フ
前二項ノ規定ニ依リ申請ヲ爲シタル
田畑ニ付テハ翌年以降第一項ノ規定
ニ依ル申請ヲ爲スコトヲ要セズ
附則
本法ハ昭和十八年十二月一日ヨリ之ヲ施
行ス
國有財產法中改正法律案
國有財產法中左ノ通改正ス
第二十九條ノ二第二十六條第二項ノ規
定ハ大東亞戰爭中及其ノ終了後一年間
ニ同條第一項ノ規定ニ依リ帝國議會ニ
報告スル國有財產增減總計算書又ハ國
有財產現在額總計算書ニ付テハ之ヲ適
用セス
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ旆行ス
國債關係事務簡捷化ニ關スル法律案
第一條明治三十九年法律第三十四號中
左ノ通改正ス
第二條第二項但書ヲ削ル
第二條國債ノ元利金ニ付テハ其ノ消滅
時效完成シタル場合ニ於テモ當分ノ內
之ガ支拂ヲ爲スコトヲ得
第三條昭和十五年法律第六十九號中左
ノ通改正ス
附則ニ左ノ一項ヲ加フ
第一條ノ規定ニ依リ發行スル公債ハ第
二條ノ規定ニ拘ラズ當分ノ內之ヲ登錄
國債ト爲サザルコトヲ得此ノ場合ニ於
テハ無記名證劵ヲ發行スルモノトス
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣賀屋興宣君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=47
-
048・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君)。 只今議題トナリ
マシタ會計法戰時特例中改正法律案外四件
ニ付キマシテ、其ノ提案ノ理由ヲ說明致シ
マス
政府ニ於キマシテハ去ル九月二十一日閣
議ニ於テ決定致シマシタ「現情勢下ニ於ケ
ル國政運營要綱」ノ趣旨ニ基キマシテ、國
內態勢ノ强化確立ヲ圖ル爲メ、行政機構ノ
改革、行政事務ノ簡素化、其ノ他戰時下緊
要ナル各般ノ施策ニ付キマシテ、着々其ノ
具體化ヲ取急イデ居ルノデアリマス、會計
法戰時特例中改正法律案外四件ノ法律案モ
亦悉ク右ノ趣旨ニ出ヅルモノデアリマシ
テ、會計ニ關スル事務ノ外大藏省關係事務
ノ一部ニ付キマシテ、其ノ徹底的簡捷化ヲ
圖リ、以テ決戰行政遂行ノ要請ニ應ヘント
スルモノデアリマス
先ヅ會計法戰時特例中改正法律案ニ付キ
マシテ說明致シマス、政府ハ昭和十二年以
來法律及ビ勅令ノ制定ニ依リ會計法及ビ會
計規則等ノ特例ヲ設ケ、資金前渡前金拂、
〓算拂又ハ隨意契約ヲナシ得ル範圍ヲ擴メ
マス等、戰時ノ實情ニ卽シタル各般ノ措置
ヲ講ジテ參ツタノデアリマスルガ、現下ノ
時局ニ顧ミ必要ナル措置トシテ、更ニ會計
事務ノ簡捷化ヲ圖ルコトト致シタノデアリ
マー、而シテ此ノ際特ニ其ノ必要アリト認メ
ラレマスル補助費定額ノ繰越、指名競爭契
約若シクハ隨意契約ヲナシ得ル場合ノ範圍
ノ擴張又ハ會計事務ノ簡捷ヲ圖ル爲メ會計
相互間ノ關渉ニ關スル事項ニ付キマシテ
ハ法律ノ改正ヲ必要ト致シマスルノデ、
本法律案ヲ提出致シタ次第デアリマス
次ニ帝國鐵道會計法中改正法律案ニ付キ
マシテ說明申上ゲマス、從來商工大臣ノ管理
ニ屬シテ居リマシタル陸運ノ用ニ供スル車
輛其ノ他ノ機械器具ノ製造、修理其ノ他
ノ事業ニ關スル監督等ノ事務及ビ倉庫營業
ニ關スル監督等ノ事務ハ、自動車ノ製造ニ
關スルモノヲ除クノ外、今囘新タニ設置セ
ラルル運輸通信省ニ於テ之ヲ行フコトト相
成リマシタル所、是等ノ事務ノ執行ニ必要
ナル諸費用ハ、從來鐵道、軌道其ノ他陸運
ニ關スル監督等ノ諸費用ヲ帝國鐵道特別會
計ニ所屬セシメテ居リマスルノト同樣ノ取
扱ト致シマスルノヲ適當ト認メラレルノデ
アリマス、而シテ是ガ爲ニハ現行ノ帝國鐵
道會計法中改正ヲ行フ必要ガアリマスルノ
デ、本法律案ヲ提出致シタ次第デアリマス
次ニ所得稅法及地租法中改正法律案ニ付
キマシテ說明致シマス、國內決戰態勢ノ强
化ノ爲メ各般ノ行政ニ亙リマシテ、其ノ簡
捷化ヲ圖ルコトガ緊切デアルノデアリマス
ルガ、稅務行政ニ付キマシテモ、出來得ル
限リ之ヲ簡素化シ、人的及ビ物的資源ノ節
減ヲ圖ルコトト致シタノデアリマス、先ヅ
所得稅ニ付キマシテ、從來甲種ノ配當利子
所得ニ付キマシテハ、總テ支拂期日又ハ支
拂確定ノ日ニ於ケル稅率ニ依リマシテ分類
所得稅ヲ徵收シ來ツタノデアリマス、是ハ
稅率ノ改正アル每ニ新稅率ニ依リマスモノ
ト、舊稅率ニ依ルモノトヲ區別シテ徴稅ス
ルコトトナリマスル關係上、特ニ公社債ニ
付キマシテハ其ノ數ガ非常ニ多イノデアリ
マシテ、偶〓利子ノ受領ヲ遲延致ス者ガア
リマスルノデ、此ノ場合ノ徵稅事務ハ極メ
テ煩雜トナルノハ免レナイノデアリマス、
仍テ今囘之ヲ改正致シマシテ、甲種ノ配當
利子所得中公社債ノ利子ニ對スル分類所得
稅ハ、實際ニ支拂ヲ受ケタル時ニ於ケル稅
率ニ依リ課稅ヲスルコトト致シタノデアリ
マス
次ニ地租法ニ付キマシテハ、二ツノ點ニ
付テ簡易化セントスルモノデアリマス、第
一ハ田租ノ納期ハ現在一月及ビ三月ノ二囘
トナツテ居ルノデアリマスルガ、之ヲ二月
一囘トシ、以テ納稅上及ビ徴稅上ノ手數ヲ
省略セントスルモノデアリマス、第二ニ小
農耕地免租ニ關スル申請ハ、現在ハ每年之
ヲ提出スルヲ要スルコトトナツテ居ルノデ
アリマスルガ、同一田畑ニ付キマシテハ一
囘提出ヲ致シマスレバ、其ノ後重ネテ是ガ
提出ヲ要セザルコトニ改正セントスルモノ
デアリマス
次ニ國有財產法中改正法律案ニ付キマシ
テ說明致シマス、本法案モ亦國內決戰態勢
强化ノ爲メ、國有財產ニ關スル事務ヲ簡捷
化致シマスルト同時ニ、資材ノ節約ヲ圖ラ
ントスルモノデアリマス、現行ノ國有財產
法ニ依リマスレバ、各會計年度間ニ於ケル
國有財產增減總計算書、又ハ每年三月三十
一日現在ノ國有財產現在額總計算書ヲ帝國
議會ニ報告致シマスル際ニハソレ〓〓各
省ノ國有財產增減報告書又ハ國有財產現在
額報告書ヲ添付スルコトニ相成ツテ居ルノ
デアリマスルガ、是ガ調製ノ爲ニハ多大ノ
人手ト資材トヲ要スルノデアリマス、仍テ
玆ニ國有財產法ヲ改正シ、大東亞戰爭中及
ビ其ノ終了後一年間ヲ限リマシテ、是等各
省ノ報〓書ハ之ヲ添付スルコトヲ要セザル
コトト致シタ次第デアリマス
次ニ國債關係事務簡捷ニ關スル法律案ニ
付キマシテ說明致シマス、本法案ハ、國債
關係事務ニ於キマシテモ極力其ノ手續ヲ簡
捷化シ、併セテ國債消化ニ資セントスルモ
ノデアリマス
其ノ一ハ、從來登錄國債ニ付キマシテハ、
債權者ノ請求ガアリマスル場合ニハ記名
證劵ヲ發行スルコトト相成ツテ居ルノデア
リマスルガ、之ヲ發行スルノ必要性ハ乏シ
イノデアリマスルカラ、此ノ際記名證劵ノ
發行ニ伴フ諸種ノ事務ヲ簡捷化スル爲メ、
其ノ發行ヲ廢止スルヲ適當ト認メタノデア
リマス、又國債ノ元利金ニ付キマシテハ、
從來時效完成シタル場合ニ於テハ是ガ支拂
ヲナサザル取扱ヒヲシテ參ツタノデアリマ
スルガ、消滅時效完成ノ有無ヲ一々調査ス
ルノ煩ヲ省キ、以テ國債元利拂事務ノ簡捷
化ヲ圖リ、又愛國心ニ依リマシテ應募シタ
ル國債ノ所有者ニ損失ヲ與ヘマセヌ爲ニ、
今般當分ノ內凡ユル國債ノ元利金ニ付キマ
シテハ、消滅時效完成シタル場合ニ於テモ、
是ガ支拂ヲナシ得ルコトト致サントスルモ
ノデアリマス
最後ニ大東亞戰爭ニ關スル一時賜金公債
ハ、從來之ヲ登錄〓債ト致シマシタル上、
記名證劵ヲ發行交付シテ居ルノデアリマス
ルガ、記名證劵ノ印刷發行及ビ交付ニハ相
當ノ人員手數ヲ要シマスルノデ、之ヲ簡素
化致シマスル爲メ、大東亞戰爭ニ關スル一
時賜金公債ノ交付ハ、之ヲ無記名證劵ヲ發
行交付シ得ルコトト致サントスルモノデア
リマス
以上五件ノ法律案ニ關シマシテ何卒御審
議ノ上速カニ御協賛ヲ與ヘラレンコトヲ希
望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=48
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049・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 各案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付キ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=49
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050・森下國雄
○森下國雄君 五案ヲ一括シテ議長指名十
八名ノ委員ニ付託シ、直チニ委員ヲ指名セ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=50
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051・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 只今ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=51
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052・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、委員ノ氏
名ハ書記官ヲシテ報告致サセマス
〔書記官朗讀〕
會計法戰時特例中改正法律案外四件委員
赤城宗德君池田正之輔君
池本甚四郞君大石齊治君
川上胤三君川副隆君
金子彥太郞君金光邦三君
勝正憲君柏原幸一君
田部朋之君豐田收君
中川重春君成島勇君
山口左右平君矢野庄太郞君
吉川亮夫君渡邊善十郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=52
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053・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 只今指名致シマシタ
委員諸君ハ速カニ第十一委員室ニ御參集
ノ上委員長及ビ理事ヲ互選シ、引續キ審査
セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=53
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054・森下國雄
○森下國雄君 議案上程ニ關スル緊急動議
ヲ提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出軍需
會社法案ヲ議題トナシ、其ノ審議ヲ進メラ
レンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=54
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055・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 森下君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=55
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056・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、軍需會社法案ノ第一讀會ヲ開キマス
東條商工大臣
軍需會社法案(政府提出)第一讀會
軍需會社法案
軍需會社法
第一條本法ハ兵器、航空機、艦船等重
要軍需品其ノ他軍需物資ノ生產、加工
及修理ヲ爲ス事業其ノ他軍需ノ充足上
必要ナル事業ニ付其ノ經營ノ本義ヲ明
ニシ其ノ運營ヲ强力ナラシメ以テ戰力
ノ增强ヲ圖ルコトヲ目的トス
第二條本法ニ於テ軍需會社トハ兵器、
航空機、艦船等重要軍需品其ノ他軍需
物資ノ生產、加工及修理ヲ爲ス事業(以
下軍需事業ド稱ス)ヲ營ム會社ニシテ
政府ノ指定スルモノヲ謂フ
軍需事業ノ範圍ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三條軍需會社ハ戰力增强ノ國家要請
ニ應へ全力ヲ發揮シ責任ヲ以テ軍需事
業ノ遂行ニ當ルベシ
第四條軍需會社ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ生產責任者ヲ選任スベシ
軍需會社生產責任者ヲ選任セザルトキ
ハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ生產責
任者ヲ任命スルコトヲ得
生產責任者ハ政府ニ對シ軍需會社ノ責
務遂行ニ關シ會社ヲ代表シテ其ノ責ニ
任ズルモノトス
生產責任者ノ會社ノ代表及業務執行竝
ニ之ニ伴フ事項ニ關シ必要ナル事項ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
軍需會社選任又ハ任命セラレタル生產
責任者ヲ解任セントスル場合ニ於テハ
政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ解
任ハ效力ヲ生ゼズ
政府生產責任者ヲ不適任ト認ムルトキ
ハ之ヲ解任スルコトヲ得
第五條生產責任者ハ本店又ハ軍需事業
ヲ營ム工場若ハ事業場ニ於ケル業務ニ
關シ生帝擔當者ヲ任命スルコトヲ得
生產擔當者ハ政府ニ對シ生產責任者ノ
指揮ニ從ヒテ擔當業務ヲ遂行スルノ責
ニ任ズルモノトス
政府ハ生產責任者ニ對シ生產擔當者ヲ
置クベキコト又ハ解任スベキコトヲ命
ズルコトヲ得
生產擔當者ノ職務權限ニ關シ必要ナル
事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第六條命令ノ定ムル所ニ依リ生產責任
者及生產擔當者竝ニ軍需會社ノ營ム軍
需事業ニ從事スル者ハ國家總動員法ニ
依リ徵用セラレタルモノト看做ス
前項ニ規定スル者ノ業務從事等ニ關シ
必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第七條軍需會社ノ職員其ノ他ノ從業者
ハ其ノ擔當業務ニ從事スルニ付生產責
任者及生產擔當者ノ指揮ニ從フベシ
第八條政府ハ軍需會社ニ對シ期限、規
格數量其ノ他必要ナル事項ヲ指定シ
軍需物資ノ生產、加工又ハ修理ヲ命ズ
ルコトヲ得
第九條政府ハ軍需會社ニ對シ受注若ハ
發注、設備ノ新設、擴張若ハ改良、原
料若ハ材料ノ取得、使用、保管若ハ移
動、技術ノ改良若ハ公開、試驗〓究其
ノ他事業ノ運營ニ關シ必要ナル命令ヲ
發シ若ハ處分ヲ爲シ又ハ政府ノ指定シ
タル事業以外ノ事業ヲ營ムコトヲ制限
若ハ禁止スルコトヲ得
第十條政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ軍
需會社ニ對シ其ノ勤勞管理竝ニ資金調
整及經理ニ關シ必要ナル命令ヲ爲スコ
トヲ得
第十一條政府ハ軍需會社又ハ軍需事業
ノ遂行ニ關係アル者ニ對シ其ノ間ニ於
ケル軍需事業ノ遂行上必要ナル協力關
係ノ設定ニ關シ必要ナル命令ヲ爲スコ
トヲ得
第十二條政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ
軍需會社ニ對シ定款ノ變更、事業ノ委
託、受託、讓渡、讓受、廢止若ハ休止、
合併若ハ解散又ハ事業ニ屬スル設備若
ハ權利ノ讓渡其ノ他ノ處分ニ關シ必要
ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第十三條政府第八條、第九條、第十一
條及前條ノ規定ニ基ク命令又ハ處分ヲ
爲シタル場合ニ於テ必要アリト認ムル
トキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ軍需會社
(第十一條ノ軍需事業ノ遂行ニ關係ア
ル者ヲ含ム)ニ對シ補助金ノ交付、損失
ノ補償又ハ利益ノ保證ヲ爲スコトヲ得
第十四條軍需會社ノ業務執行、株主總
會社員總會及社債權者集會ノ招集及
決議共ノ他軍需會社ノ運營ニ關シテハ
他ノ法律ノ規定ニ拘ラズ勅令ヲ以テ別
段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第十五條軍需會社ニ關シテハ必要アル
トキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ統制、取
締等ニ關スル法律ノ規定ニ付其ノ適用
ヲ排除シ又ハ特例ヲ設クルコトヲ得
第十六條政府ハ軍需會社ニ對シ監督上
必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコ
トヲ得
第十七條政府ハ軍需會社ノ事業運營ニ
關シ考査ヲ爲スコトヲ得
前項ノ考査ニ關シ必要ナル事項ハ命令
ヲ以テ之ヲ定ム
第十八條政府ハ軍需會社ノ業務及財產
ノ狀況ニ關シ報〓ヲ徵シ又ハ當該官吏
ヲシテ其ノ事務所、工場、事業場其ノ
他ノ場所ニ臨檢シ業務ノ狀況若ハ帳簿
書類、設備其ノ他ノ物件ヲ檢査セシム
ルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ當該官吏ヲシテ臨檢
檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ
示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十九條政府ハ本法若ハ本法ニ基キテ
發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス命令若
ハ處分ノ效果ノ確保上支障アリト認ム
ルトキハ軍需會社ノ取締役若ハ監査役
ヲ解任シ又ハ業務ヲ執行スル社員ノ業
務執行權ヲ喪失セシムルコトヲ得
第二十條生產責任者又ハ生產擔當者職
務ヲ懈リ其ノ責任ヲ果サザルトキハ之
ニ對シ左ノ懲戒ヲ行フコトヲ得
-解任
二譴責
懲戒ハ政府軍需生產責任審査會ノ議決
ニ依リ之ヲ行フ
軍需會社ハ命令ノ定ムル所ニ依リ懲戒
解任ノ處分ヲ受ケタル生產責任者又ハ
生產擔當者取締役其ノ他ノ法人ノ業務
ヲ執行スル役員ナルトキハ之ヲ解任シ
又ハ業務執行權ヲ喪失セシメ其ノ他ノ
者ナルトキハ之ヲ解雇スベシ
軍需會社ハ政府ノ指示ニ從ヒ前項ノ規
定ニ該當スル者ニ對シ退職金ノ全部又
ハ一部ヲ支給スルコトヲ得ズ
軍需會社ハ政府ノ指示ニ從ヒ譴責ノ處
分ヲ受ケ其ノ情狀重キ者ニ對シ一定ノ
給與ヲ減ズベシ懲戒ノ處分ハ之ヲ公示
ス
軍需生產責任審査會ニ關スル規程ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
軍需事業ヲ營ム會社其ノ他ノ法人又ハ
軍需事業ニ關スル統制會若ハ統制會社
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ懲戒解任ノ處
分ヲ受ケタル者ニシテ其ノ理事、取締
役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員
タルモノヲ解任シ又ハ其ノ業務執行權
ヲ喪失セシムベシ但シ政府ノ許可ヲ受
ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
軍需事業ヲ營ム會社其ノ他ノ法人又ハ
軍需事業ニ關スル統制會若ハ統制會社
ハ懲戒解任ノ處分ヲ受ケタル者ヲ其ノ
處分アリタル日ヨリ二年間理事、取締
役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員
ト爲スコトヲ得ズ但シ政府ノ許可ヲ受
ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第二十一條軍需會社ノ職員其ノ他ノ從
業者故ナク生產責任者又ハ生產擔當者
ノ指揮ニ從ハザルトキハ之ニ對シ左ノ
懲戒ヲ行フコトヲ得
一譴責
二訓〓
懲戒ハ政府生產責任者又ハ生產擔當者
ノ具狀ニ依リ之ヲ行フ
軍需會社ハ政府ノ指示ニ從ヒ譴責ノ處
分ヲ受ケ其ノ情狀重キ者ニ對シ一定ノ
給與ヲ減ジ及一定期間內昇給ヲ停止ス
ベシ
第二十二條本法中必要ナル規定ハ勅令
ノ定ムル所ニ依リ軍需事業ヲ營ム者ニ
シテ會社以外ノモノ及軍需ノ充足上必
要ナル軍需事業以外ノ事業ヲ營ム會社
其ノ他ノ者ニ對シ之ヲ準用スルコトヲ
得
第二十三條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ二年以下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ罰
金ニ處ス但シ情狀ニ因リ懲役及罰金ヲ
併科スルコトヲ得
-第九條ノ規定(前條ノ規定ニ依リ
準用スル場合ヲ含ム)ニ基キテ發ス
ル命令又ハ同條ノ規定ニ依ル處分若
ハ制限若ハ禁止ニ違反シタル者
二第十條ノ規定(前條ノ規定ニ依リ
準用スル場合ヲ含ム)ニ依ル命令ニ
違反シタル者
三第十一條ノ規定(前條ノ規定ニ依
リ準用スル場合ヲ含ム)ニ依ル命令
ニ違反シタル者
四第十二條ノ規定(前條ノ規定ニ依
リ準用スル場合ヲ含ム)ニ依ル命令
ニ違反シタル者
第二十四條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
-第十六條ノ規定(第二十二條ノ規
定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)二地
キテ發スル命令又ハ同條ノ規定ニ依
ル處分ニ違反シタル者
二第十八條第一項ノ規定(第二十二
條ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含
ム)ニ依ル報〓ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ
報〓ヲ爲シタル者
第二十五條第十八條第一項ノ規定(第第
二十二條ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ
含ム)ニ依ル當該官吏ノ臨檢檢査ヲ拒
ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者ハ六月以下
ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十六條法人ノ代表者又ハ法人若ハ
人ノ代理人、使用人其ノ他ノ從業者ガ
其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第二十三
條又ハ第二十四條ノ違反行爲ヲ爲シタ
ルトキハ行爲者ヲ罰スルノ外其ノ法人
又ハ人ニ對シ各本條ノ罰金刑ヲ科ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣東條英機君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=56
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057・東條英機
○國務大臣(真條英機君) 只今議題トナリ
マシタ軍需會社法案ノ提案ノ理由ヲ說明致
シマス
申上ゲルマデモナク戰爭ノ樣相ハ時々
刻々ニ苛烈ノ度ヲ加ヘツツアルノデアリマシ
テ、今ヤ各種ノ施策ハ總テ之ヲ完勝ノ一點
ニ集中シ、以テ聖戰目的ノ完遂ヲ期セナケ
レバナラヌノデアリマス、是ガ爲ニハ國力
ヲ擧ゲテ軍需生產ノ增强、特ニ航空戰力ノ
躍進的擴充ヲ最短期間ニ實現スルコトガ刻
下最大ノ要請デアルノデアリマス、而シテ
軍需生產ノ急速增强ヲ圖リマスル爲メ、政
府ニ於キマシテハ豫テヨリ銳意各般ノ施策
ヲ講ジツツアルノデアリマスルガ、特ニ軍
需生產其ノモノヲ擔當スル企業ノ生產活動如
何ガ、是ガ成否ノ鍵ヲ握ツテ居ルノデアリマ
スルカラ、此ノ際是等企業ヲシテ眞ニ國ニ殉
ズル企業精神ヲ更ニ昂揚シ、其ノ國家性ヲ經
營上明確ナラシメ、生產責任體制ヲ確立致
シマスルト共ニ、企業ニ對スル行政運營ノ
方法ヲ徹底的ニ刷新シ、企業ヲシテ責任ヲ
以テ國家所要ノ生產增强ニ一意邁進セシム
ルヤウ諸般ノ體制ヲ整備スルコトガ極メテ
緊要デアルト信ズルノデアリマス、是レ本
法案ヲ提出シタル所以デアリマシテ、今其
ノ骨子ヲ要約シテ申述ベマスレバ、凡ソ次
ノ三點ニ歸着スルノデアリマス
卽チ第一ニハ企業精神ヲ昂揚シ、企業ノ
國家性ヲ運營上明確ニ致スコトデアリマス、
是ガ爲ニハ重要企業ハ、戰力增强ノ國家要
請ニ應へ、全力ヲ發揮シ、責任ヲ以テ軍需
事業ノ遂行ニ當ルベキコトヲ法律上明カニ
致シマスルト共ニ、重要企業ニ從事致シマ
スル所ノ役職員其ノ他ノ從業者ハ專心國
家ニ奉仕シ、苟クモ懈怠アラバ國家ニ對シ
テ其ノ責ヲ負フベキ旨ヲ明カニ致シマシテ、
以テ職務ノ國家性ヲ明確ニ致シタイノデア
リマス
第二ニハ生產責任制ヲ確立スルコトデア
リマス、企業ニ負託セラレタル國家的責務
ヲ具體的ニ完遂セシメマスル爲ニハ、責任
ヲ以テ是ガ遂行ノ任ニ當ルベキ生產責任者
ヲ定メ、責任ノ所在ヲ明確ニ致シタノデア
リマス、而シテ生產責任者ノ任務遂行ヲ確
保致シマスル爲ニハ、之ニ對シテ企業ニ於
ケル軍需事業遂行ノ全權ヲ賦與シ、其ノ地
位ヲ確立致シマスルト共ニ、業務執行上必要
アル場合ニ於キマシテハ、商法等ノ法令ノ
特例ヲモ認メマシテ、强力ニ企業運營ヲナ
シ得ルコトトシタノデアリマス、又工場事
業場ノ生產現場ノ末端ニ至ルマデ企業ノ國
家性ヲ滲透セシメテ、迅速果敢ナル生產增
强ヲ期シマスル爲メ、必要ニ應ジ是等ノ生
產現場ニ生產擔當者ヲ置キ、生產責任者ノ
指導ノ下ニ明確簡素ナル命令系統ヲ確立ス
ルコトヲ意圖シテ居ルノデアリマス
第三ニハ企業ニ對シマスル行政運營ノ方
法ヲ刷新スルコトデアリマス、生產責任制
ヲ透徹セシメ、且ツ其ノ效果ヲ强力ニ〓揚
致シマス爲ニハ、企業ニ對スル煩瑣ナル統
制法令及ビ取締法令等ノ適用ヲ極力排除、
又ハ緩和致シマスル外、現場處理ヲ適當ト
スル行政事務ニ付キマシテハ極力現場卽
決ヲナシ得ルガ如ク措置致シマスルト共
ニ、責任生產ノ遂行ニ伴フ企業經理上ノ不
安ヲ除去シ、以テ生產責任者ヲシテ、意
生產ノ增强ニ專念セシムルコトトシタノデ
アリマス
以上申述ベマシタル所ガ本法案ノ骨子デ
アリマスルガ、其ノ意圖致シマスル所ハ、
飽クマデモ現下時局ノ要請ニ基イテ、戰力
增强ノ飛躍的ニ實現スル爲メ、是ガ負託者
タル企業ノ有機的組織ヲ尊重シ、其ノ國家
的責務完遂ニ必要ナル體制ヲ整備セントス
ルモノデアリマシテ、之ニ依ツテ企業內部
ニ盛上ル澎湃タル產業報國ノ精神ヲシテ、
眞ニ其ノ效果アラシメントスルニ外ナラナ
イノデアリマス
以上本法案提案ノ理由ヲ御說明申上ゲタ
ノデアリマスガ、何卒御審議ノ上、速カニ
御協賛アランコトヲ切望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=57
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058・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付キ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=58
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059・森下國雄
○森下國雄君 本案ハ議長指名二十七名ノ
委員ニ付託シ、直チニ委員ヲ指名セラレン
コトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=59
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060・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 森下君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=60
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061・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、委員ノ氏
名ハ書記官ヲシテ報告致サセマス
〔書記官朗讀〕
軍需會社法案委員
今尾登君小笠原三九郞君
小山倉之助君加藤鐐五郞君
川俣〓音君片山一男君
小山亮君佐藤洋之助君
坂口平兵衞君澤田利吉君
田中亮一君田邊七六君
瀧澤七郞君中村梅吉君
中瀨拙夫君中谷武世君
中西敏憲君永田良吉君
永野護君野田武夫君
馬場元治君深澤豐太郞君
船田中君三木武夫君
山本芳治君依光好秋君
渡邊泰邦君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=61
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062・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 只今指名致シマシタ
委員諸君ハ速カニ第十委員室ニ御參集ノ
上、委員長及ビ理事ヲ互選シ、引續キ審査
セラレンコトヲ望ミマス
明二十七日ハ午後一時ヨリ本會議ヲ開キ
マス、本日ハ是ニテ散會致シマス
午後六時五十三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008313242X00119431026&spkNum=62
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