1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○大日本育英會法案
○青年學校教育費國庫補助法中改正法律案
○公立學校職員年功加俸國庫補助法中改正法律案
―――――――――――――――――――――発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00119440131&spkNum=0
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001・会議録情報2
委員氏名
委員長 子爵 野村益三君
副委員長 男爵 淺田良逸君
公爵 鷹司信輔君
侯爵 筑波藤麿君
伯爵 酒井忠正君
關屋貞三郎君
子爵 松平康春君
子爵 伊集院兼高君
松井茂君
入江貫一君
男爵 井田磐楠君
安井英二君
男爵 加藤成之君
山岡萬之助君
田所美治君
田澤義鋪君
諸橋久太郎君
野田六左衞門君
岩元達一君
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昭和十九年一月三十一日（月曜日）午前十時十二分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00119440131&spkNum=1
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002・野村益三
○委員長(子爵野村益三君) ソレデハ是ヨ
リ開會致シマス、三案ヲ兼ネテ御說明ヲ伺
ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00119440131&spkNum=2
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003・岡部長景
○國務大臣(子爵岡部長景君) ソレデハ大
日本育英會法案外二件ニ付キマシテ、提案
ノ理由竝ニ其ノ內容ノ主ナル點ニ付テ御說
明ヲ申上ゲマス、先ヅ大日本育英會法案ニ
付テ御說明ヲ申上ゲマスルガ、先般設立致
シマシタ財團法人大日本育英會ハ、愈〓事業
ニ著手致シマシテ、舊臘第一囘ノ奬學生ノ
銓衡ヲ終ッテソレ〓〓送金ヲ致シタ譯デア
リマシテ、目下第二囘ノ銓衡ニ銳意努力中
デアリマスルガ、本來本財團法人ハ暫定的
措置トシテ設立セラレタノデアリマシテ、本
制度ノ趣旨ニ鑑ミマシテ、之ニ事業ノ確實
性ト永續性トヲ附與シテ、鞏固ナル國家的
施設ト致シマスル爲ニ、之ヲ特別法ニ依ル
特殊法人ト爲スコトノ必要ナルコトハ、豫
テヨリ唱ヘラレテ居ッタ所デアリマシテ、
今囘大日本育英會法案ヲ策定致シマシテ、
本議會ニ提出シテ御協賛ヲ御願ヒスルコト
ト致シタ次第デアリマス、本法案ノ立テ方
ハ、他ノ金庫法、營團法等ニ依ル特殊法人ノ
用例ニ從ッタ點ガ多イノデアリマスカラ、
玆ニハ專ラ本案自體ノ特異ノ點ヲ主トシテ
御說明申上ゲタイト思ヒマス、先ヅ本法人
ノ性格ノ點ニ付テ申上ゲマス、本法人ノ業
務ノ主タルモノハ學資ノ貸與デアリマシテ、
內容的ニハ金錢ノ貸借關係デアリマスルガ、
無利子デアル關係カラ、全然收益ヲ伴ハナ
イモノデアリマシテ、寧ロ返還ノ免除トカ、
不能トカ云フヤウナ場合ガ必ズ起ルデアリ
マスカラ、損失ヲ生ズルコトガ豫期サレル
ノデアリマス、此ノ點ガ從來アリマスル所
ノ金庫或ハ營團等ト全然異ナッテ居ルノデ
アリマス、從ヒマシテ此ノ事業ガ確實ニ且
永續的ニ實施サレマスル爲ニハ强力ナル
國家ノ支援ガナケレバナラナイノデアリマ
シテ、貸費資金ノ調達方法ニ付キマシテモ、
其ノ償還及利子ノ支拂ニ付キマシテモ、或
ハ其ノ事務費ニ至ル迄モ、國家ヨリ全面的
ニ援助サレナケレバ到底成リ立チ得ナイノ
デアリマス、此ノ點ガ本法案ノ條文策定ニ
當リマシテ最モ考慮ヲ拂ッタ所デアリマス、
以下法案ノ中主ナル點ニ付テ御說明申上ゲ
マス、第一ニハ、第一條ノ本會ノ目的デア
リマスルガ、優秀ナル學徒ニシテ經濟的理
由ニ依リ修學困難ナル者ニ對シマシテ、學
資ノ貸與其ノ他之ガ育英上必要ナル事業ヲ
行ヒ、以テ國家ノ有用ノ人材ヲ育成スルコ
トヲ明記致シタノデアリマス、第二ニハ、
第三條ノ本會ノ基金ニ付テノ規定デアリマ
ス、百萬圓ノ基金ヲ造成致スコトト致シマ
シタノハ、本會ニ法人格ヲ附與致シマスル
爲ノ財的根據ヲ置イタノニ外ナラナイノデ
アリマス、尤モ本會ノ事業費或ハ事務費等
ハ、別ニ國ニ於テ面倒ヲ見ルコトトナッテ
居ルノデアリマシテ、此ノ事ハ後ニ申述べ
タイト思ヒマス、第三ニハ、第十六條ノ本
會ノ業務ノ規定デアリマスルガ、第一號ノ
學資ノ貸與ハ本會ノ中心ノ事業デアルコト
ハ申ス迄モアリマセヌ、其ノ外ニ本會ト致
シマシテハ、奬學生ノ進學ノ輔導ヲ致シマ
ストカ、或ハ寮舍ヲ造ッテ收容シ進學ノ便
宜ヲ圖ルトカ、其ノ他ノ福利施設等モ漸
次計畫實施致シタイト考ヘマシテ、第二
號以下ノ規定ヲ設ケタ次第デアリマス、
第四ニハ、第十七條ノ貸與學資ノ資金ノコ
トデアリマスルガ、是ハ大藏省預金部ヨリ
ノ融通ヲ受ケルコト、其ノ他別ニ尙適當ナ
ルモノガアレバソレニ依リ得ルコト、或
寄附金ヲ以テ充當シ得ルコト等ヲ規定シテ、
資金融通ノ方法ヲ明カニ致シタ次第デアリ
マス、第五ニハ、第二十七條及第二十八條
ノ規定ニ付テデアリマスルガ、前ニ申上ゲ
マシタ通リ、本法人ニ對スル政府ノ保證及
補助ノ件ヲ定メタノデアリマシテ、之ヲ以
テ本法人ノ財政的基礎ヲ確立シ、之ニ永續性
ト國家性トヲ附與致サムトスルモノデアリ
マス、第十六條第一項第一號ニ規定シテ居
リマスル學資ノ貸與ニ要シマスル資金ハ、
每年度所要額ヲ大藏省預金部ヨリ借入レル
コトニナッテ居リマシテ、政府ハ其ノ借入金
ノ元本ノ償還ト利息ノ支拂ニ付テ、二億七
千四百萬圓ヲ限度トシテ居リマシテ、之ヲ
保證スルコトヲ得ルコトヲ第二十七條ニ規
定シタノデアリマス、卽チ此ノ保證ニ依リ
マシテ、大日本育英會ニ其ノ業務ヲ永續的
ニ行ヒ得ル基礎ヲ與へ、又之ニ依リ事業ノ
國家的意義ヲ明確ニシタノデアリマス、次
ニ第二十八條ノ補助ニ關シマシテハ、先ヅ
大日本育英會ノ貸費ノ方法ノ〓略ヲ御說明
申上ゲマス、育英會ノ貸費致シマスル人員
ハ中等學校六千人、專門學校千五百人、
高等學校千三百人、大學千二百人ト致シテ
居ルノデアリマシテ、各年度ニ於テ新タニ
貸費ヲ始メマスル人員ハ合計一萬人デアリ
マスルガ、此ノ計畫ニ依リ貸費ヲ行ッテ參リ
マスト、昭和五十七年度卽チ丁度四十年目
ニ於テ貸費人員ノ累計ガ二十九萬二千九百
餘名トナリマシテ、其ノ貸費總額ガ三億六
千四百萬圓トナリ)以下增減ガナイコトト
ナル計算デアリマス、而シテ此ノ貸費總額
ノ中ノ二億七千四百萬圓ヲ預金部ヨリ借入
レ、殘リノ九千百萬圓ハ貸費ノ返還金中カ
ラ預金部ニ對スル償還金ヲ差引キマシタ殘
額ヲ育英會ニ於テ償還準備トシテ保有シテ
居リ、之ヲ貸費資金ニ充當スルコトト致サ
ムトスルノデアリマス、而シテ預金部ヨリ
ノ借入金ハ五年据置二十五年賦ヲ以テ償還
致シマスルガ、其ノ償還ノ方法ハ奬學生卽
チ貸費ヲ受ケタ者ノ中、死亡者ノ貸費額ニ
相當スル額ヲ年々償還シテ、三十年目ニ生
存者ノ分ヲ纏メテ償還スルコトニナッテ居リ
そう、而シテ死亡者ニ對スル貸費ハ返還ヲ
免除致シマスル關係上、當然ニ育英會ノ損
失トナル譯デアリマシテ、此ノ損失ヲ補塡
致シマス方法トシテ、貸費ノ返還金ヲ基礎
トシテ勅令ノ定ムル所ニ依リ算出致シマシ
タ金額、卽チ前述ノ償還準備トシテ保有ス
ベキ金額デ、實際ハ貸費資金ニ充當シテ居
ル金額ニ對シマシテ、一定ノ運用利子收入
ヲ補給スル方式ヲ採用シタ次第デアリマス、
第二十八條第一項第一號ハ、貸費資金トシ
テ預金部ヨリ借入レタ金額ニ對スル利子ノ
補助、同項第二號ハ貸費ノ返還金ヲ基礎ト
シテ算出シタ金額ニ對スル補助ヲ規定致シ
マシテ、第二項デ其ノ補助計算ノ基礎トナ
スベキ金額ノ限度ヲ定メタノデアリマス、
第三項ニ於テハ貸費業務ニ要スル事務費及
ビ貸費ノ返還不能其ノ他ノ理由ニ基ク育英
會ノ損失等ニ付テ、每年度豫算ノ範圍內ニ
於テ補助スルコトヲ得ル規定ヲ設ケタノデ
アリマス、第六ニハ附則ニ付テ申上ゲマス、
第一ハ、本法ハ出來ルダケ早ク之ヲ實施致
シタイト考ヘテ居リマスコト、第二ハ、此
ノ特殊法人ノ設立ニ當リマシテハ、設立委
員ヲ設ケ、廣ク衆智ヲ集メマシテ十分ニ議
ヲ練リ、萬全ノ用意ヲ致シタイト云フコト、
第三ハ、財團法人大日本育英會ハ解散シテ、
此ノ權利義務ハ本會ガ承繼スルコト等ガ其
ノ重要ナル點デアリマス、以上大日本育英
會法案中其ノ主ナル點ニ付テ〓略御說明申
上ゲタノデアリマスガ、其ノ他ノ點ハ、先
ニモ申述べマシタ通リ、他ノ特殊法人ニ於
テ定メラレテ居ル事項ト大同小異デアリマ
スカラ、特ニ御說明致スコトハ省略サセテ
戴キタイト存ジマス、次ニ靑年學校〓育費
國庫補助法中改正法律案ノ御說明ヲ申上ゲ
やく、御承知ノ通リ靑年學校ハ國民學校ト
同樣、國民ノ義務〓育デアリマスノデ、市
町村立靑年學校職員ノ俸給、此ノ中ニハ指
導員ノ手當ヲ含ンデ居リマス、以下同樣デ
アリマス、ソレカラ賞與、死亡賜金、旅費、
臨時家族手當、臨時手當及戰時勤勉手當ヲ、
國民學校職員ノ諸給與ノ場合ト同樣ニ、市
町村負擔カラ都道府縣負擔ニ移管サレルコ
トニナッタノデアリマス、而シテ從來市町村
立靑年學校、是ハ市町村立靑年學校ニ相當
スル東京都立靑年學校ヲモ含ムモノデアリ
マス、以下サウ云フ風ニ御解釋願ヒマス、
其ノ職員ノ俸給ニ付テハ、國庫ノ豫算ニ計上
セラレタ定額ヲ以テ、市町村ニ對シ補助シ
テ來タモノデアリマスガ、年功加俸ニ付テ
モ國庫豫算ニ定メラレタ額ヲ以テ、都道府
縣ニ對シ補助シテ來タノデアリマス、然ル
ニ靑年學校ノ〓育整備擴充ハ、時局下特ニ
其ノ必要ヲ加ヘテ參リマシタ上ニ、地方財
政上ノ見地カラモ、今囘市町村立靑年學校
職員ノ給與デ、都道府縣ノ負擔ニ移管サレ
マス俸給、賞與、死亡賜金及ビ赴任旅費竝
ニ從來カラ都道府縣費支辨ニナッテ居リマシ
タ年功加俸ノ爲、都道府縣ニ於テ要スル經
費ニ付テハ、國民學校職員ノ場合ト同樣ニ、
國庫カラ其ノ半額ヲ定率補助スルコトニ改
正致シ、以テ靑年學校〓育ノ徹底ヲ圖リタ
イト存ズルノデアリマス、本改正法ニ依ツ
テ國庫補助ノ對象ト致シマス靑年學校ハ
市町村立ノ靑年學校ニ限ルノデアリマシテ、
是ハ國民學校ノ場合ト同樣ノ趣旨ニ依ルモ
ノデアリマス、尙市町村立靑年學校職員
中、國庫ニ於テ其ノ給與ノ半額ヲ補助スル
職員ハ、國民學校職員ノ場合ト同樣義務就
學者ノ〓授及ビ訓練ヲ擔任スル職員ニ限ル
ノデアリマス、次ニ公立學校職員年功加俸
國庫補助法中改正法律案ニ付テ御說明申上
ゲマス、只今御說明致シマシタ靑年學校〓
育費國庫補助法ノ改正ニ依リマシテ、市町
村立靑年學校職員ノ年功加俸ニ對スル國庫
補助金モ之ニ包含サレテ、其ノ半額ガ定率
補助サレルコトニナリマスカラ、本法カラ
靑年學校職員ヲ除外スルノ要ガアリマスル
シ、又靑年學校〓員養成所ハ昭和十九年度
カラ官立靑年師範學校ト致シタイノデ、本
法中ノ職員カラ之ヲ除外スルノ必要ガアル
ノデアリマスノデ、本法ヲ改正セムトスル
ノデアリマス、以上三件ニ付キマシテ〓略
ヲ御說明致シマシタ、何卒御審議ヲ願ヒタ
イト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00119440131&spkNum=3
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004・野村益三
○委員長(子爵野村益三君) 此ノ際參考資
料ニ付テ申上ゲタイト思ヒマス、當局カラ
御提出ニナッタ數種ノ參考資料ガアラウト
思ヒマスカラ、是ハ一ツ成ルベク早ク御差
出シ願ヒタイ、ソレカラ尙諸君ニ於カセラ
レマシテモ、參考資料ノ御要求ガアレバ、
此ノ際御申出ヲ願ヒタイト存ジマス、殊
育英事業ニ付テノ狀態竝ニ比較、例ヘバ十
年前ト今日ト云フヤウナ一般ノ狀態ヲ知ル
ヤウナ資料ハ、一ツ成ルベク早ク御差出ヲ
願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00119440131&spkNum=4
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005・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 私ハ一二ノ參考資料ヲ
御願ヒシタイト思ヒマス、都道府縣別人口
ト各種中等學校員數ノ比例、竝ニ入學セム
トスル志望者ト入學シ得ル人間トノ比率調
査書、ソレガ一ツデアリマス、二番目ニハ
各都道府縣ニ對スル私立學校ヘノ補助金交
付ニ關スル調査書、第三ニハ大東亞ノ各國
各地方カラ日本ニ來ル留學生ヲ輔導監督ス
ベキ機關、團體ノ狀況調書、其ノ次ハ只今
御說明ニアリマシタ中學校ハ六千人トカ、
專門學校ハ千五百人トカ云フコトガ揭ゲテ
アリマスガ、是ハ凡ソ日本ノ中學生ニ對ス
ル何割位ニナルノカ、各學校每ニ其ノ割合
ノ調書、ソレダケヲ御願ヒ致シタイト思ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00119440131&spkNum=5
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006・田所美治
○田所美治君 資料ヲ頂戴スレバ大抵分ル
コトカモ知レマセヌ、其ノ中ニ入ッテ居レ
バ仕合セデアリマスガ、或ハナイカモ知レ
マセヌ、中等學校以下ト申シマセウカ、中
等學校ト國民學校位デ宜シウゴザイマス、
中等學校〓員ノ待遇關係ヲ知ルノニ俸給、
賞與、マア俸給デモ宜シウゴザイマス、國
民學校ノ〓員ノ待遇ハ年々多少ハ向上シテ
來テ居ルト思ヒマスケレドモ、何シロ斯ウ
云フ時代デ、他ノ方へ轉業スル者、或ハサ
ウデナクテモ戰爭ノ爲ニ缺員ヲ生ジテ居
ル、其ノ補塡ガウマク行ッテ居ルダラウカト
心配スルノ餘リ伺フノデアリマス、ソレ等
ノ學校ニ付テノ〓員ノ不足數、ソンナモノ
ガ分リマスヤウナモノガアレバ頂戴シタイ
ト思ヒマス、年々何ハ向上シテ行ッテ居ル、
四五年或ハ三年位デモ宜シウゴザイマスガ、
兎ニ角一生懸命ヤラレテ居リマスケレドモ、
ナカ〓〓ソレデ十分ト云フ譯ニハ行キマス
マイカラ、ソンナ關係ノ分ルヤウナモノヲ
戴キタイト思ヒマス、出來ルダケデ宜シウ
ゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00119440131&spkNum=6
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007・關屋貞三郎
○關屋貞三郞君 資料ニ付テ只今田所サン
ノ御話、私モ承リタイト思ッテ居ッタノデス
ガ、私ハ其ノ上ノ中學校以上專門學校、高
等學校、大學ノ〓授、助〓授、或ハ〓諭モア
ルカモ知レマセヌ、サウ云フ人達ノ俸給ナ
リ手當ナリ、要スルニ是ハ文部省ニ必ズシモ
伺フ譯デモナイノデスガ、一般ノ行政官ト
ノ權衡ガドンナ風ニナッテ居ルカ、伺ヒタイ
ト思フノデアリマス、專門學校、高等學校
以上、詰リ大學迄デスネ、ソレノ俸給、手
賞、大學ナラ講座給トカ色々アリマスケレ
ドモ、ソンナモノヲ分ケマシテ······ソレカ
ラ年末手當ノヤウナモノ迄承リタイト思ヒ
マン、ザットデ宜シウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00119440131&spkNum=7
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008・松井茂
○松井茂君 私モ一ツ御取調べ出來レバ願
ヒタイノハ、育英會法案ニ付キマシテ、從
來各府縣ニ於キマシテ、舊藩ヲ基ニシタリ
或ハ府縣ヲ基ニ致シマシテノ育英會ガ澤山
アルヤウデスガ、是等ノ育英會ト云フモノ
ノ名前、創立ガ何時頃ダカ、資金ガドノ位
ニナッテ居ルカ、又卒業者ガドノ位出テ居ル
カ尙償還方法ハドウナッテ居ルカ、給與ニ
ナッテ居ルノカ或ハ後金ヲ返スノデアルカ、
尙御取調べ出來レバ、ドウ云フヤウナ學校
ヲ卒業ヲシタカ、斯ウ云フモノノ御調ヲ願ッ
テ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00119440131&spkNum=8
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009・野村益三
○委員長(子爵野村益三君) 其ノ他御要求
ハ宜シウゴザイマスカ······ソレデハ又隨時
御申出ヲ願フト致シマセウ、是ヨリ御質疑
ヲ願フノデアリマスガ、先ヅ大日本育英會
法案ニ付テノ御質疑ヲ御願ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00119440131&spkNum=9
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010・關屋貞三郎
○關屋貞三郞君 私ガ一番先ニ質問致シマ
スノハ稍〓、越越ノ嫌モアリマスガ、大臣ノ御
都合モアラウト思ヒマスカラ、此ノ育英會
法ニ付キマシテ大臣ノ御意見ヲ承リタイト
思ヒマス、先ヅ以テ大日本育英會ガ、今日
此ノ時局ノ非常ニ切迫シタ場合ニ、殊ニ國
家有用ノ人材ヲ要スル場合、又我ガ國ノ將
來ヲ考ヘマシテモ、益〓人材ヲ要スルノデア
リマシテ、サウ云フ場合ニ此ノ法案ヲ御出
シ下スッタト云フコトハ、私ハ誠ニ適當ナ處
置ト考ヘマシテ、文部當局ニ對シテ深ク敬
意ヲ表スル者デアリマス、ソコデ私ハ此ノ
逐條ノ問題ニ付テ承ルコトハ暫ク別ト致シ
マシテ、此ノ育英會法ガ眞ニ效果ヲ擧ゲル
ヤウニシタイト云フ觀點カラシテ承ッテ見タ
イト思フノデアリマス、從ヒマシテ此ノ事
柄ハ〓育全般ニ亙ルコトデアラウカトモ思
フノデアリマシテ、或ハ本會議等デ御質問
シタ方ガ、一般ノ社會ニ對シテモ多少ノ反
響ガアルカト思ヒマスルガ、今年ノ會議ハ
非常ニ急イデ居ルノデ、議事ヲ促進シテ居
ル際ニ本會議デ御話スルノモ如何カト思ヒ
マシテ、此ノ委員會デ申上ゲヨウト思フノ
デアリマス、尤モ此ノ委員會ハ、マダ十分
速記錄ハ拜見致シテ居リマセヌガ、衆議院
ニ於キマシテ各方面ノ〓育問題ニ付テ御質
疑ガアッタヤウデ、多大ノ效果ヲ擧ゲテ居ル
ト思フノデアリマスガ、是ハ私ハ能ク見テ
居リマセヌカラ、或ハ私ノ申上ゲルコトガ
衆議院ノ質問ト重複シナイトモ限リマセヌ、
サウ云フ場合ニハ然ルベク御指摘ヲ願ヒタ
イト思ヒマス、私ハ此ノ育英ノ事業ヲ本當
ニ效果ヲ擧ゲルト云フコトニ付テハ、斯ウ
云フヤウナ方法、卽チ貸費制度ト云フヤウ
ナコトハ最モ必要デアリマスガ、私ハソレ
ト同時ニ、若シクハソレニ先ダッテ最モ必要
ナコトハ學生ヲ〓育スル〓員ノ問題ダラ
ウト思フノデアリマス、此ノ〓員ノ、卽チ
〓育者ノ素質ガ優秀デナケレバ、如何ニ斯
ウ云フ貸費制度ガ出來マシテモ、所謂國家
有用ナル人材ヲ育成スルト云フコトハ出來
ナイノデアリマシテ、先ヅ以テ〓育者ノ素
質ヲ最モ良クスルト云フコトガ、同時ニ若
シクハ之ヨリモ先ダッテ、當局トシテハ御考
ニナルベキモノデアラウ、又旣ニ御考ニナッ
テ居ルコトト思フノデアリマス、又私共
モ幾ラカサウ云フ事情ヲ萬更知ラヌ者デモ
アリマセヌノデ、現ニ澤山優秀ナル〓育者
ガ我ガ國ニアルト云フコトモ存ジテ居リマ
スルガ、是ダケヲ以テ十分トハ言ヘナイダ
ラウ、成ルベク多數ノ優秀ナル人材ヲ〓育
界ニ招致シテ、〓育ト云フ崇高ナル使命ヲ
達成セシメルヤウニスルト云フコトガ、文部
省トシテ、卽チ政府トシテ執ルベキ必要ナ
ル方法デアラウト思フノデアリマス、勿論
〓育者ハ必ズシモ待遇ノ如何ト云フヤウナ
問題デ、其ノ使命ガ達成セラルヽト云フ譯
デハアリマセヌ、小サナ例ヘバ昔ノ私塾ト
云フヤウナ場合、我々ノ最モ尊敬スルヤウ
ナ先輩ガ私塾ヲ經營セラレテ、其ノ小サナ私
塾カラシテ澤山ノ人材ガ出テ居ルコトハ我
我モ承知致シテ居リマスルガ、今日ノヤウ
ナ大規模ナ國家〓育ト云フヤウニナリマス
レバ、單ニサウ云フ偶然ノコトバカリヲ考
ヘテ居ル譯ニ行カナイノデアリマス、矢張
リ結局ハ立派ナ〓育者ヲ作ル爲ニハ、〓育
者ノ精神的及ビ物質的ノ待遇ト云フ問題ガ
非常ニ必要デアル、サウ云フ風ニ考ヘルノデ
アリマス、近來國民學校若シクハ中等學校等ニ
於キマシテ、物質的ノ方面、段々物質的ト云フ
ト何ダカ語弊ガアルカモ知レマセヌガ、サウ
云フ待遇問題ガ大變善クナッテ來ツヽアルト
云フコトハ私モ認メマス、只今資料ノ要求ガ
アリマシタカラ、資料ヲ拜見スレバ、尙
層能ク分ルダラウト思ヒマスガ、併シナガ
ラ私ガ今日〓育者ノ待遇ニ於テ甚ダ不十分
デアル、寧ロ貧弱デアルト思フノハ、專門
學校、高等學校以上、大學ノ方面ノ〓育者
ニ對スル待遇デアラウト思フノデアリマス、
私ハ只今此ノ資料ノ要求モ願ッテ置キマシ
タカラ、ソレデ或ハ數字等ヲ擧ゲテ申上ゲ
ルノガ正當カモ知レマセヌケレドモ、數字
ヲ見ル迄モナク、決シテ宜クテイ、殊ニ他
ノ行政官等カラ比ベマシテモ非常ニ劣ッテ居
ルト云フコトハ、是ハ確カデアルト思フノデ
アリマス、デ私ハ必ズシモ此處デ數字ヲ一
一申上ゲテ御意見ヲ承ル必要ハナイ、必ズ
外ト比較致シマシテ、通常ノ行政官或ハ司
法官等トモ比ベマシテモ、非常ニ少イ、菲薄
デアルト云フコトヲ申上ゲテモ間違ナイト
思フノデアリマス、殊ニ專門學校以上ノ大
學等ニ於テ、此ノ基礎的ノ學科ヲ專修セラ
レ〓究シテ居ル方々ト云フモノハ、世間カ
ラ餘リ直チニ利用サレルヤウナコトガナイ
モノデアリマスカラ、自分ノ專攻ニ熱心ニ
御從事ナスッテ居ルダケデアリマシテ、政
府ナリ或ハ團體ナリ、私立學校モアリマス
カラ、サウ云フ方面カラ受クル待遇以外ニ
ハ、通常ノ人ニハ收入ノ道モナイ、動モス
ルト後顧ノ憂ガソコニ起ッテ來ルノデハナ
イカト思フノデアリマス、應用方面ハ、殊
ニ近來ハ科學ガ必要ニナッテ來タト云フコ
トカラ、隨分色々ナ方面ニ利用セラレテ居
ルヤウデアリマスルカラ、相當ナ待遇モ受
ケテ居ラウト思ヒマスガ、此ノ基礎學科ノ
方面ハ、ドウモサウ云フ機會ガナイ、又サ
ウ云フ方面ノ人ハ、〓究室ニ籠ッテ專心勉
强シテ貰ハナケレバ困ルノデアリマスカ
ラ、サウ云フ人ニ對シテハ、私ハ殊ニ待遇
ヲ好クスル必要ガアルト思フノデアリマ
ス、然ルニ今日迄ハサウ云フ方面ガ實際閑
却セラレテ居ッタ、現ニ私モチヨット速記錄
ヲ拜見シマシタガ、例ヘバ南方科學ト云
ウヤフナモノニ付テモ、大臣ノ御言明ノ
通リ、專門學者ガ少イト云フコトヲ衆議院
デ仰セラレテ居ッタヤウデアリマスガ、少イ
ニ違ナイノデアリマス、サウ云フ科學ヲ如
何ニ從來勉强シテモ餘リ役ニ立タナイ、役
ニ立タヌコトハアリマセヌガ、顧ミラレナ
イト云フヤウナコトデ、今日ノ日本ノ憂ハ、
サウ云フ基礎學科ノヤウナモノガ十分ニ
進ンデ居ナイ、從ッテ應用方面ニ於テ潑刺タ
ル發明發見ト云フヤウナモノガ、動モスル
ト外ノ國ニ劣ルト云フヤウナコトガアリ得
ルト思フノデアリマス、ドウシテモ是ハ考
ヲモウ少シ變ヘナケレバ、我ガ國ノ進步ト
云フコトハナカ〓〓ムツカシイ、旣ニ今日
ハモウ實ニ大切ナ決戰態勢ニアル時期デア
リマシテ、最近非常ニサウ云フ方面ニ於テ
モ著シイ進歩ヲ見テ居ルヤウデアリマスガ、
矢張リモウ少シ其ノ根本ニ培ッテ置カナケレ
バ、戰爭ノ際ニモ亦平和ノ時代ニ於テモ、
各國ト競爭スルコトハムツカシイト云フコ
トニナル虞ガアルノデアリマシテ、要スル
ニサウ云フ方面ハ殊ニ必要デアル、是ハ基
礎學科バカリ申スノデハアリマセヌガ、特
ニ私ハサウ云フ點ニ力ヲ入レテ申上ゲルノ
デアリマシテ、兎ニ角全體ニ付テ學者ニ對
スル待遇ガ甚ダ菲薄デアルト云フコトハ
言明シテモ差支ナイト思フノデアリマス、
實ハ私ハ貴族院ニ入リマシテカラ以來、司
法官ノ待遇ノ問題ニ付テ一二度質問ヲ致シ
タコトガアリマスルガ、所謂司直ノ府デア
ル此ノ司法官ノ待遇ガ唯何トナシニ外ノ
行政官ヨリモ劣ルト云フ理由ハチットモナイ
ノデアリマス、唯沿革的ニ劣ッテ居ッタト云フ
コトデ質問ヲ致シタコトモアリマスガ、此
ノ頃司法省ノ方ニ承ッテ見マスト、漸次改善
セラレマシテ、近來ハ良クナッタト云フコト
ヲ聞イテ居ルノデアリマス、然ルニモ拘ラ
ズ〓育者ノ方面ハ昔ト今モ餘リ違ヒガナイ
ヤウニ見受ケラレルノデアリマス、是ハ非
常ニ遺憾ナコトデアル、無論文部省デハ相
當ニ努力セラレテ、財政當局ト交涉セラレ
テ居ルノデアリマセウガ、何樣多數デアル、
非常ニ數ガ多イ、ソレデアルカラドウモナ
カナカムヅカシイト云フコトデ、今迄終ツ
テ居ルヤウニ承ッテ居リマスガ、數ガ多クテ
モ、其ノモノノ性質ガ相當ニ必要デアレバ、
是ハドウシテモサウシナケレバナラヌノデ
アリマス、元來文部省ト云フヤウナ役所ハ、
文部省ニ依ッテ何モ收入ヲ得ル譯デモ何デモ
ナイ、寧ロ澤山經費ヲ要スル役所ナノデア
リマス、役所ノ性質ガサウデアルカラ、私
ハ何ニモ遠慮會釋モナイト思フノデアリマ
ス要スルニ財政當局ニ對シテ十分ニ文部
省ノ性格、卽チ〓育者ト云フモノノ待遇ノ
必要ナルコトヲ力說セラレタナラバ、必ズ
ヤ財政當局モ、是ハ分ラズニ濟ンデハ居ル
マイト思フノデアリマス、要スルニ是ハ文
部當局ノ熱意ノ問題ニ歸著スルト思フノデ
アリマス、現ニ地方廳アタリノコトヲ御覽
ニナリマシテモ、私モ極ク昔地方廳ニ居リ
マシタガ、最近ノコトハ疎イ譯デアリマス
ケレドモ、私ハ餘リ違ハヌト思フノデアリ
マス、例ヘバ法科出身ノ、或ハ文科デモ構
ヒマセヌガ、兎モ角文官試驗ヲ受ケテ部長
ナリ知事ナリニナッタ人ト、中等學校長アタ
リノ人ノ年輩ヲ比ベテ見レバ、或ハ中等學校長
ノ方ガ知事ヨリ先輩ノ人ガ可ナリ居リハシ
ナイカ、其ノ人ト云フモノガ御承知ノ通リ
待遇官デアリ、サウシテ何等官以上ニハ上
レナイ、モウ一生掛ッテモ上レナイト云フノ
ガ現在ノ有樣デアリマス、ソレカラ例ヘバ
大學〓授ノヤウナ者ニ付テモ停年ガ來ル、
停年ガ來タ場合ニ、其ノ學科如何ニ依ッテハ外
ノ行政官アタリト比ベテ非常ニ菲薄デアリ、
サウシテ又停年デ罷メタ場合ニ、各種ノ恩典
ト云フヤウナモノモ十分デハナイ、外ノ行
政官デアレバ、何カ或種ノ功勞ヲ立テル機
會ガアル、從ッテ恩典ヲ頂戴スルコトモアリ
マスケレドモ、大學ノ如キ〓育ニ從事シテ
居ル人ハ、特別ニ何カ非常ナ發明發見デモ
スレバ兎モ角デアリマスガ、通常ノ仕事ヲ
シテ居ル譯デアリマスルカラ、特殊ノ恩典
ガ行ク筈ガナイノデアリマス、コヽハ大變
ナ違ヒダト思フノデアリマス、從ッテ私ハ少
クトモ停年デ罷メルヤウナ大學〓授ガアレ
バ、サウ云フ人ニ對シテ相當ナ待遇ヲシテヤ
ルヤウナ途ヲ御開キニナルベキデハナイカ
ト思フノデアリマス、數字ヲ擧ゲナイデ色
色申上ゲマシタガ、是ハ私ハ先刻モ申上ゲマ
スル通リ、數字ヲ見ル迄モナク大體ニ於テ
サウ云フ物質的方面ノ待遇ガ非常ニ菲薄デ
アルト云フコトヲ申上ゲタイノデアリマス、
菲薄ト云フコトハ要スルニ比較ノ問題デア
リマシテ、勿論今日ノ色々社會情勢ト云フ
ヤウナコトモアリマスシ、矢張リ他ノ行政
官等トノ比較ヲ考ヘテ勘案セラルベキモノ
デアルト思フノデアリマス、ソレカラ更ニ
精神的ノ方面ト云フコトハ、是ハ物資的ノ方
面ヨリモ尙以上ニ〓育者ニ對シテハ必要ナ
モノデアラウト思フノデアリマス、此ノ精
神的ノ待遇ノ問題ハ、本省トシテモ亦地方
廳トシテモ餘程考ヘテ戴キタイト思フノ
デアリマス、本省ハ大學始メ直轄學校ヲ
持ッテ居ラレマス、地方廳ハ地方廳ノ管轄
ノ諸學校ヲ持ッテ居ル、中等學校モアリ、
國民學校モアルノデアリマス、處ガ地方ノ
コトヲ申上ゲマスト、是ハ昔モ今モ同ジコ
トデアリマスケレドモ、例ヘバ地方デハ〓
育ニ關スル部長、今日デハ學務部長ハナク
ナッタノデアリマスガ、部長ナリ課長ナリガ
アッテ、國民學校ノ方ハ是ハ市町村ノ方ニ關
係シマスガ、中等學校ナラ中等學校ノ豫算
ヲ持ッテ居ル、又人事モ持ッテ居ルノデス、
任免ナリ黜陟ナリ、サウ云フ人事ヲ持ッテ居
ル、サウ云フ譯デアルカラシテ、動モスル
ト校長ヲ部下扱ヒシナイトモ限ラナイ、是
ハ大切ナコトダト思フノデス、隨分古イコ
トヲ申上ゲテ恐レ入リマスガ、私ハ斯ウ云
フ經驗ガアリマス、或縣ノ學務課長ニ遇然
會ッタ處ガ、其ノ人ノ言フノニ、何某ハ甞テ
自分ガ使ッタ人ダト云フコトヲ言ッテ居ッタ、
ソレハ〓育者タル立派ナ人デ、其ノ時ハ中
等學校デアッタヤウデアリマスガ、後デ文理
科大學ノ學長ニナッタ方デアリマスガ、ソレ
ヲサウ云フ言葉ヲチョット使ッタ、誤解デモ
何デモナイ、學務課長ハ學務課長ノ仕事ヲ
ヤル、校長ハ校長ノ仕事ヲヤル、而モ其ノ
年數モ非常ニ違ッテ大先輩デアル、其ノ人ヲ
恰モ部下デアルカノ如キ氣分ヲ持ッタト見
エマシテサウ云フ言葉ヲ發シタ、是ハ昔ノ
コトデアリマスケレドモ、今モ尙斯ウ云フ
組織ニナッテ居ル以上ハ、動モスルトサウ云
フ事ガ起リ得ルノデアリマス、本省ニ於テ
ハサウ云フコトハ萬々ナイト思ヒマスケレ
ドモ、併シ矢張リ直轄學校長等ニ對シテハ
餘程本省ノ方デモ大事ニシテ戴イテ、是尺
或場合ニ於テハ先生扱ヒニシテモ宜イト思
フノデアリマス、又斯ウ云フ例ガアッタコト
ヲ聞イテ居リマス、視學官トカ視學ト云フ
者ガ地方ノ國民學校卽チ前ノ小學校ニ行ッ
テ見テ、色々所謂視察シタ、サウ云フ際ニ
校長ニ何カ缺點ガアッタ、ソレヲ〓員ノ居ル
前デ、〓員室デ校長ヲ詰責シタト云フコト
デアリマス、是ハ時々起リ得ルコトト思ヒ
マスガ、サウ云フコトデハ到底校長ノ威信
ヲ維持スルコトハ出來ナイ、ドウモ矢張リ
〓育者ト云フ者ニ對スル觀念ガ少シ違フノ
ヂヤナイカ、通常ノ事務ヲ執ル人ノヤウナ
考ヲ以テ〓育者ヲ遇シテ居ッタノデハ到底立
派ナ〓育者ヲ得ルコトハ出來ナイ、結局是
ハ文部省ニ向ッテ我々ガ申上ゲルノハ少シ
失禮カモ知レマセヌケレドモ、所謂〓育者
尊重ト云フ氣分ヲ、政府ニ於テモ民間ニ於テ
モモット多ク持ッテ戴ク必要ガアリハシナイ
カ、サウ云フコトデナイト、如何ニ此ノ育
英法ガ出來マシテモ、本當ニ此ノ大日本育
英會法ノ效果ヲ擧ゲルコトハ出來ナイ、卽
チ國家有要ノ人材ヲ育成スルト云フコトハ
ムツカシイ、斯ウ云フ風ニ思フノデアリマ
ス、畏多イコトデアリマスガ、一六六、皇室ニ
於カセラレマシテハ、觀櫻、觀菊ノ御宴ニ
モ、小學校長若シクハ中等學校長、是ハ公
立モ私立モ同ジク、區別ナク前年來御召ニ
ナッテ居ル、近來ハ觀櫻、觀菊ノ御召モアリ
マセヌケレドモ·····サウ云フ際ニモ御召
ニナッテ居ルコトヲ承知致シテ居ルノデアリ
やっ、又地方行幸ノ際等ニ於キマシテ、地
方ニ於テ御陪食ガアル際ニ、國民學校長ト
云フヤウナ人達モ、其ノ縣ニ於テ功勞ノアッ
タ人デアレバ、此ノ光榮ニ浴スルコトモ、
我々ハ承知致シテ居ルノデアリマス、サウ
云フ有難イ思召ニ、政府ノ施設モ副ヒ奉ル
ヤウニシテ行カナケレバナラヌモノト思フ
ノデアリマス、デ若シモ政府ニ於テ直接ニ
監督ニナッテ居ル學校、若シクハ地方廳ニ於
テ監督ニナッテ居ル學校ニ付テ、〓育者尊重
ト云フコトガ出來レバ、民間ニ於テモ無論
之ニ傚ッテ、一般ニ〓育者ノ尊重ト云フ氣風
ガ出來ルデアラウ、サウスルト物質的ニモ
精神的ニモ待遇ヲ良クスルコトガ出來得ルト
思フノデアリマス、右申上ゲタヤウナ譯デ
精神的ニモ物資的ニモ矢張リ〓育者ト云フ
モノヲ優遇セラレマシテ、人格モ學力モ共
ニ備ッタ人ガ續々〓育界ニ入ッテ、サウシテ自
分ノ使命ヲ全ウスルト云フ風ニアリタイト
思フノデアリマス、動モスルト法科萬能ト
云フヤウナ風ニナッテ相當ノ人、可ナリノ人
ハ行政官ニナリ、〓育家ノ方ハドチラカト
云フト、サウ云フ方面デナイ人ガ〓育家ニ
ナル、第二流ノ人ガ〓育家ニナルト云フヤ
ウナコトガアッテハ、私ハ非常ニ將來國家ノ
爲ニ憂慮スベキモノデアラウト思フノデア
リマス、ドウシテモ此ノ育英會法ヲ御作リ
ニナル以上ハ、之ニ先ダッテ先ヅ〓育者ニ優
秀ナ人ヲ御集メニナルト云フコトヲ一ツ英
斷ヲ以テ御實行願ヒタイ、サウ云フコトヲ
希望シテ止マナイノデアリマス、岡部文部
大臣ハ此ノ非常時局下ニ御就任ニナツ
テ、各般ノ方面ニ亙ッテ文〓ノ振興ニ御骨
折ニナッテ居ル、而モ實際各種ノ要求ガアッ
テ非常ニ困難ノコトガアルコトハ我々モ常
ニ御推察致シマシテ、御骨折ニ對シテ感謝
致シテ居ルノデアリマス、又次官以下
ノ方々モ大臣ヲ助ケテ此ノ方面ニ大イニ努
力セラレテ居ルコトハ、我々ハ十分承知
致シテ居ルノデゴザイマスルガ、唯
今迄ノ何ト申シマスカ、政府トシテ〓育
尊重、卽チ優遇ト云フ問題ガ伴ッテ來ルノデ
アリマスガ、其ノ實行ガ甚ダ足ラナイト云
フコトヲ私ハ率直ニ申上ゲタイノデアリマ
ス、或ハ必要ガアレバ、追加豫算ヲ御取リ
ニナッテモ宜イデアリマセウシ、又明年度カ
ラ早速御實行ナスッテモ宜カラウ、サウ致シ
マシテ、是ハ育英會ノミニハ限ラナイノデ
アリマスガ、〓育全般ノ振興ト云フコトガ
初メテ出來ルノデアラウト考ヘルノデアリ
やべ、甚ダ簡單デ十分意ヲ盡シテ居リマセ
ヌケレドモ、之ニ對シテ文部大臣ノ御考ヲ
承リマシタナラバ、此ノ育英會法ヲ議スル
上ニ於キマシテ參考ニナルデアラウト思
フノデアリマス、ドウゾ十分御意見ノアル
所ヲ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00119440131&spkNum=10
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011・岡部長景
○國務大臣(子爵岡部長景君) 〓育及學問
ノ振興ト云フコトニ付テ非常ニ熱心ナル御
意見ヲ拜聽致シマシテ、誠ニ御同感ニ堪ヘ
ナイノデアリマス、〓育ノ根本ハ矢張リ〓
育者ニ其ノ人ヲ得ルニアルト云フコトハ、
是ハ申ス迄モナイコトデアリマス、固ヨリ
斯ウ云フ風ナ崇高ナ職務デアリマスルカラ、
物質的ノ問題等ハ從タル問題デアルトハ申
シナガラ、併シ國家及社會トシテハ矢張リ
是等ニ對シテ物心兩方面カラ優遇ノ途ヲ講
ズルト云フコトハ當然ノ事デアリマス、矢
張リ良キ人ヲ得ル爲ニハソレダケノ事ヲシ
ナケレバナラヌト常ニ考ヘテ居ルノデアリ
NY、斯ウ云フ風ナ見地カラ、〓員ノ優遇、
待遇改善ト云フコトニ付キマシテハ、出來
ルダケノコトハシタイト考ヘマシテ、或ハ
勅令ノ御改正ヲ願ヒ、又豫算等モ計上致シ
マシテ、ソレ〓〓ノ措置ハ執ッテ居ル譯デア
リマス、例ヘバ師範學校ノ如キモ、昨年之
ヲ官立ニ移シマシテ、專門學校程度ニ上ゲ
マシタ、待遇ニ付テモ、卒業生ハ前ヨリハ
大分改善サレタノデアリマス、是ダケノ措
置ニ依リマシテ、昨年四月ノ師範學校入學
志望者ハ、從來トハ非常ニ面目ヲ一新シマ
シテ、成績ノ良イ者、又素質ノ非常ニ良イ
者ガ多數入學志望ヲ致シテ參リマシテ、數
ニ於テモ從來ヨリハズット志望者ガ殖エテ
來タヤウナ譯デアリマス、從ッテ其ノ採用合
格者モ益〓、資質ガ向上シテ·來テ居ルト云フ
コトハ、是ハ非常ニ喜バシイ現象ダト考ヘ
テ居ル譯デアリマス、ソレカラ又靑年學校
〓員ニ付キマシテモ、先程御說明申上ゲマ
シタヤウニ、來年度カラ師範〓育令ノ改正
ヲ願ッテ、靑年師範學校ト云フモノヲ全國各
府縣ニ官立トシテ、專門學校ト同樣ナ、靑
年學校ニ對スル師範學校ヲ各府縣ニ設置ス
ルコトニ、今手續ヲ進メテ居ル譯デアリマ
スガ、是亦從來ノ靑年學校〓員養成所ヨリモ
多數優秀ナ者ガ其處ニ志望シテ來ルデアラ
ウト云フコトヲ信ジテ居ル譯デアリマス、
ソレカラ又高等師範學校モ、今囘ノ豫算ニ
於キマシテ金澤ニ一校新設スルコトニ致シ
マシタ、今囘ハ理科系統ダケデアリマスル
ガ、是亦多數ノ志望者ヲ見テ居ル譯デアリ
マス、尙靑年學校〓員ノ待遇改善等モ、別
ノ法律案ニ付テ御說明申上ゲマシタヤウナ
譯デ、國庫カラ半額ヲ正式ニ補助スルコト
ニナッタ譯デアリマシテ、此ノ爲ニ國庫ノ負
擔ガ約一千萬圓バカリノ增額ニナッテ居リ
そく、ソレカラ其ノ他ノ中等學校ノ〓職員
ノ待遇改善モ百數十萬圓ノ增額ニナリマシ
タノデ、是モ豫算ニ計上シテ居ル譯デアリ
やく、待遇改善ニ付キマシテハサウ云フヤ
ウナコトヲ十九年度ニ於テハスルコトニナッ
テ居リマス、尙〓員ノ確保ト云フコトニ付
キマシテハ、政府ニ於テモ非常ニ重要視シ
テ居リマスノデ、昨年ノ十月ノ閣議決定ニ
於キマシテ、學徒ノ入營徵集猶豫ヲ暫ク停
止スルト云フコトニナッタコトハ御承知ノ通
リデアリマス、アノ際ニ法文科系統ノ者ハ
軍ノ幹部候補生トシテ全部入營スルコトニ
ナッタ譯デアリマスルガ、唯特ニ〓員確保ノ
目的ヲ以チマシテ、文理科大學、高等師範、
全國ノ各師範、其ノ他〓員養成機關ニ在學
シテ居リマス者ハ、是ハ軍ノ要請デナク、
〓員確保ト云フ特殊ナ見地カラ、是ハ特ニ
入營延期ト云フコトニナッタ譯デアリマス、
此ノ入營延期ノ者ハ、今後ノ情勢ニ依ル譯
デスガ、理工科系統ノ者ハ軍ノ要請ニ依ツ
テ入營延期ヲシテ其ノ儘引續イテ〓育ヲ受
ケルト云フコトニナッタノデアリマスガ、是
ハ全然軍ノ要請カラ入營延期ヲスルコトニ
ナッタ譯デアリマス、唯〓員ノ確保ト云フ
コトハ、是ハ軍關係以外ノ特殊ナ手續デ入
營延期ガ出來ル譯デアリマスガ、今ノ軍關
係以外ニ於テ、〓育者ノ確保ニ重要ナ意義
ヲ認メテ居リマスコトハ、此ノ點デ御了承
ヲ戴ケルト思フノデアリマス、ソレカラ學
者ノ優遇ト云フコトハ、是ハ學問ヲ振興サ
セル爲ニハ、學者ニ對シテドウシテモ十分
ナ優遇ヲ與ヘナケレバナラヌコトハ仰セノ
通リデアリマシテ、是亦政府トシテハ出
來ルダケノコトハ致シタイト考ヘ、之ニ
對シマシテ種々努力ヲシテ參ッテ居ル譯デ
アリマス、學問ノ〓究ノ爲ニハ、待遇バカ
リデナク、矢張リ〓究費ト云フモノモ相當
ヤラナケレバ〓究ノ成果ヲ擧ゲルコトハ容
易デナイノデアリマス、從來ハ動モスルト
此ノ〓究部面ハ餘リ惠マレテ居ラナカッタ
ト存ジテ居リマスルガ、是ハ此ノ頃ハ殊ニ戰爭
ガ此ノ科學ニ俟ツコトガ多大ナルモノガアル
ヤウナ次第デアリマシテ、急速ニ此ノ科學〓究
ト云フコトニ付テハ色々助成ノコトヲ定メ
マシテ、豫備金カラ七百五十萬圓バカリヲ
支出シテ助成シテ居ルヤウナ譯デアリマス
ガ、來年度ハ一千八百五十萬圓ガ科學〓究
所ノ助成費トナッテ居ル譯デアリマス、是ハ
全ク從來其ノ前例ヲ見ナイ譯デアリマス、
其ノ關係デモ今御話ノ通リ、眞ノ科學者ハ
今各方面ニ非常ニ要請セラレマスノデ、皆
相當ノ待遇ヲ以テ之ヲ引張リ凧ノヤウニシ
テ居ルヤウナ譯デアリマスノデ、此ノ大學、專門
學校等ニ於ケル學者ニ對シマシテモ、矢張リ
或程度ノ待遇ヲ與ヘナイト、質ノ良イ者ハ皆
他ニ取ラレテシマフト云フヤウナ狀態ニモ
アリマスノデ、待遇、殊ニ俸給等ハ、是ハ自
然科學ノ方ト此ノ科學〓究ノ方トヲ差等ヲ
設ケル譯ニモ參リマセヌカラ、科學〓究ノ
爲ニハ所謂科學〓究手當ト云フモノヲ支給
スルコトニ致シテ、其ノ豫算約百八十萬圓バ
カリヲ國庫ニ要求シテ居ルヤウナ譯デアリ
マス、固ヨリ是デ決シテ十分トハ申セナイ
ノデアリマスガ、ソレヲ以テ政府ノ意ノ在
ル所ハ一應御了承戴キタイト思ヒマスガ、
併シ何ト申シマシテモ學問ノ振興ト云フコ
トハ、〓育ト相俟ッテ今後日本トシテハ非常ニ
力ヲ注ガナケレバナラヌ問題デアルト考ヘ
テ居ルノデアリマス、殊ニ基礎學等ニ於キ
マシテハ、從來ハ動モスレバサウ云フ學問
ハ歐米ノ學者ノ〓究ヲ採リ入レテ間ニ合セ
テ居ッタト云フヤウナ傾向ガ濃厚デアリマシ
タ爲ニ、基礎學問ナドト云フコトニ付テノ
社會一般ノ理解ガマダ〓〓薄イヤウニ思フ
ノデアリマス、ソコデ眞ニ基礎學科及應用
學科、又自然科學ノミナラズ精神科學方面
ニ於キマシテモ、大イニ是カラ學問ヲ起ス
爲ニハ、學者ノ優遇ハ固ヨリノコト、又〓
究費等ニ關シテモ大イニ之ヲ一ツ供給シテ、
基礎カラ學問ノ振興ヲ圖ルト云フコトニ、
是ハ單ニ政府ノミナラズ國ヲ擧ゲテ其ノ方
向ニ向ッテ大イニ努力シナケレバ、今後ノ世
界ノ競爭ニハ太刀打チ出來ナイノデハナカ
ラウカト考ヘマスノデ、此ノ點ニ付テハ今
關屋委員ノ仰セノ通リ、我々トシテハ今年
カラ大イニ其ノ方面ニ力ヲ注イデ、國家將
來ノ爲ニ大イニ萬全ノ備ヘヲ爲シテ行カナ
ケレバナラヌト思フノデアリマス、此ノ精
神科學ノ方面ニ至リマシテハ、今申シマシ
タ通リ大學生其ノ他壯丁ハ總テ入營スルコ
トニナリマシタノデ、學者ハ〓育面デハ非
常ニ手ガ空クコトニナリマシタ、ソコデ其
ノ間ニ〓究面ヲ十分ニ伸バシテ貰ヒタイト云
フ見地カラ、是等ノ學校ノ〓職員ニ對シマ
シテハ、其ノ方ニ力ヲ注イデ貰フヤウニ指
導モシ、又私立大學等ノ精神科學方面ノ法
文系統ノ學者ニ對シマシテハ、精神科學ノ
〓究ニ對スル補助ヲ支給シテ、時ヲ有效ニ
利用スルヤウニ指導シテ補助シテ參リタイ
ト考ヘテ居ル譯デアリマス、是等ハ併シ何
レモマダ〓〓決シテ十分ドコロデハナイノ
デアリマスガ、マア我々ノ意思ノアル所ハ
御推察戴キ、又之ガ充實ニ對シテハドウカ
十分御協力戴キタイト考ヘルノデアリマス、
是ハ矢張リ單ニ政府當局ノ考バカリデナ
〃、社會全體ガサウ云フ風ニ理解ヲ持チ、
熱意ヲ持ッテ來ナケレバ、ナカ〓〓實現ハ困
難ナコトデアリマスカラ、特ニソレヲ希望
シテ御答ト致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00119440131&spkNum=11
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012・關屋貞三郎
○關屋貞三郞君 只今文部大臣カラ大變御
理解ノアル御答辯ヲ戴キマシテ、深ク感謝
致ス譯デアリマス、各方面ニ亙リマシテ既
ニ追加豫算ナリ或ハ來年度ノ豫算ニ色々御
計上ニナッタサウデアリマシテ、此ノ點
ハ確カニ有益ナル效果ヲ收メルニ違ヒナイ
ト思ヒマスガ、私ノ申上ゲマスノハ、極
メテ大體論デアリマスガ、要スルニ〓育者
ヲ、精神的ニモ物質的ニモモウ一層優遇
シテ戴キタイト云フ意味デアリマシテ、其
ノ部分々々ノコトニ付キマシテモ勿論必
要デアル、又重點主義ト云フコトモアリ
マスカラ、サウ云フ方面ニ力ヲ御入レニナ
ルコトハ結構デアリマスガ、兎ニ角全體
ニ付テ優遇ヲシテ戴キタイ、物質的ノ方面
ニ付テハ經費ヲ要シマスガ、精神的ノ方
面ニ付テハ必ズシモ經費ヲ要シナイノデ、
要スルニ文部省ノ方針ヲモウ一層ハッキリ
シテ戴キタイ、今迄デモソレハ無論尊重ヲ
シテ下サッテ居ルトハ思ヒマスガ、動モスル
ト先刻申上ゲマシタヤウナ地方廳アタリノ、
ソレハ古イ例カモ知レマセヌケレドモ、存
外ソレガ又新シイ例デアルカモ知レマセヌ、
ソレヲ非常ニ私ハ虞レルノデス、モウ少シ
養成ノ衝ニ當ッテ居ル人達ハ〓育家ト云フ
モノヲ尊重シテ戴キタイ、是ハ決シテ今ノ
官公立ノ人バカリヂヤナイノデ、私立學校
デモ何デモ、要スルニ〓育ト云フモノノ尊
重、卽チ〓育家ト云フ者ヲ尊重スルト云フ
コトヲ事實ノ上ニ現シテ戴キタイ、常ニサ
ウ云フ態度ヲ以テ〓育家ニ接シテ戴キタイ
ト云フコトヲ熱望スルノデアリマス、是ハ
決シテ私昨今ノ心附キデハナイノデ、サウ
云フ方面ニ嘗テ關係致シタコトモアリマシ
テ、誠ニ是デハドウダラウカ、第一、其ノ
當時自分自身モ甚ダ不十分ダト云フコトヲ
自覺シテ居ッタノデアリマスガ、一般ニサウ
云フ氣分ガ足ラナイト云フコトヲ、少シ諄
イヤウデアリマスケレドモ申上ゲマシテ、
文部大臣カラ地方廳アタリニ對シテモ色々
ナ機會ニ於テ〓育家尊重ト云フコトヲ御指
示ヲシテ戴キタイ、又鼓吹シテ戴キタイト
云フコトヲ切望スルノデアリマス、サウ致
シマスレバ、或ハ場合ニ依ッテハ、多少物質
方面ガ遲レマシテモ、〓育者ハ欣然トシテ
此ノ使命ニ邁進スルコトデアラウト思フノ
デアリマス、是ガ本當ニ所謂國家有用ノ人
材ヲ造ル所以デアラウカト思フノデアリマ
ス、殊ニ此ノ育英會法ノ審議ノ際ニ此ノコト
ヲ申上ゲマスコトハ、必ズシモ私ハ不適當
トハ思ハナイノデアリマス、此ノ育英會ノ
事業ヲ本當ニ達成スル爲ニハ是ハ第一ノ
前提條件デアル、是ガナケレバ此ノ目的ヲ
達シ得ナイト云フコトヲ、殊ニ力强ク申
上ゲマシテ私ノ質問ヲ終リマス、ドウゾ文
部大臣ニ於カレマシテハ、十分ニ此ノ趣旨
ノ達成スルヤウニ御盡力ヲ願ヒタイト思ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00119440131&spkNum=12
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013・田所美治
○田所美治君 今度ノ議會ハ短期デゴザイ
マスカラ、成ルベク簡單ニ御尋シテ見ヨウ
ト思ヒマスガ、文部大臣モ丁度オイデニナッ
テ居リマスカラ、好イ機會ニ、或ハ今デモ宜
シウゴザイマスガ······丁度關屋君ガ終始〓
育ノコトニ熱心ニ御心配ニナッテ、〓員ノ待遇
關係ニ御觸レニナッテノ問答ガアッタヤウデ
アリマスガ、文部大臣ガ此ノ際苦心シテ御精勵
ニナッテ居ル狀況ヲ承ッテ、其ノ一端ハ了解
致シマシタ、私ハ好イ機會デゴザイマスカラ、
文部大臣ノ戰時下ニ於ケル〓育ニ對スル御經
綸ヲ、極ク大體デ宜シウゴザイマスケレドモ
承ルコトガ出來レバ、〓育者ハ勿論ノコト、
國民一般ガ安心ヲスル····斯ウ云フ言葉ヲ
使ッテ見マセウ、サウ云フ御考ノ一端ヲ伺フ
コトガ出來レバ仕合セデアルト、斯ウ申シ
テ見タイト思フノデアリマス、時局益〓緊迫
シテ參リマスシ、今日迄ニ御就任以來御ヤ
リニナッテ居ルコト、其ノ以上ニ色々又緊迫
ノ情勢ニ伴隨致シマシテドウ云フヤウニナラ
ナケレバナラヌ、ト云フコトガ段々出來テ來
ヨウカト思ヒマスガ、此ノ間ニ、戰時下ニ
於テモ〓育ノコトハ力ヲ減ジナイデ行ク、
ノミナラズ戰後ノコトヲ考ヘマスト、此ノ
聖戰ノ目的等ニ付キマシテ、ドウシテモ今
〓育ヲ減退スルナドト云フコトガアッテハ
ナラヌ、ノミナラズ他日東洋ハ無論ノコト、
世界ニ對シテモ指導ヲシ、固ヨリ又後レヲ
取ッテハイカヌ、斯ウ云フコトデ行カナケレバ
ナリマセヌカラシテ、餘程御苦心ノ境遇ニ
御立チニナッテ居ル、斯ウ云フコトヲ推察ス
ルノデアリマス、而モ御就任以來色々御精
勵ニナッテ、私ハ民間ニ居リマシテソレヲ拜
見シテ居リマシテ、マア〓〓已ムヲ得ザル
是ハ處置デアラウ、又其ノ間ニ際シテ、其
ノ短所ヲ補フ方法モ講ジル色々大小各種ノ
問題ガ續出シテ來ツヽアルノデ、今後ノコ
トヲ考ヘルト、尙〓育ノ方カラ言フト、頗
ル心配ニ堪ヘヌヤウナ情勢ニ段々迫ッテ來
ハセヌカ、コンナニモ思ハレルノデアリ
マスガ、其ノ間ニ只今ノヤウナ文部大臣ガ
オイデ下サル以上ハ、色々御心配ヲ願ハナ
ケレバナラヌ、斯ウ云フ譯デアリマスカラ、
ドウ云フ方面カラデモ宜シウゴザイマスケ
レドモ、今御述ニナッタ例ヘバ學徒ノ文科方
面ト理科方面ニ付テノ入營關係、又其ノ間
ニ國民〓育ノ方ノ指示、入營ノ延期ノコト
等、色々ノコトガオアリニナルダラウト思
ヒマスガ、大體ノコトニ付テ、將來ニ亙ッテ
ハ是ハ分リマセヌケレドモ、固ヨリ御考ハ
私ト同ジコトダラウト思フノデアリマスガ、
私以上ニ又御心配願ッテ居ルダラウト思ヒ
マスカラ、一應我々ニ分リマスヤウナ大體
ノコトヲ伺フコトガ出來レバ仕合セダト思
ヒマス、マア要スルニ戰時下ニ於ケル岡部
文相ノ御經綸ノ一端ヲ拜聽スルコトガ出來
タラ結構ト思ヒマス、更ニ局長方モ居ラレ
マスシ、政府委員モ皆御揃ヒデアリマスカ
ラシテ、各部面デ又コンナコトモヤッテ居ル
ノデアル、是モ一ツ參考ニ聽イテ置ケ、以
テ將來ヲトシテ宜シイ、斯ウ云フ御考ガア
リマスナラバ、モウ忌憚ナク、此處ハ御懇
談的ニヤッテ居ル場合デアリマスカラ、御披
瀝ヲ願ッタラ非常ニ安心セシムル事柄ガ多
イダラウト考ヘマス、好イ機會デアリマス
カラ、私本案ニ對シテ、少シ短期デアリマ
スカラ、皆樣モ御問ニナリマセウガ、伺ッテ
見タイト思フノデアリマス、先ヅ育英會法
ノコトガ問題ニナッテ居リマスカラ、育英會
ノ方ノコトニ限ッテ御尋ネシマスガ、是ハ宜
イコトヲオヤリニナリマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00119440131&spkNum=13
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014・野村益三
○委員長(子爵野村益三君) チヨット田所
サンニ申上ゲマスガ、前段ノ御要求ハ如何
デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00119440131&spkNum=14
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015・田所美治
○田所美治君 今伺ヘレバ、是ハ後〓シニ
シテモ結構デス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00119440131&spkNum=15
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016・岡部長景
○國務大臣(子爵岡部長景君) 非常ニ大キ
ナ御質問ヲ投ゼラレマシテ、御答辯ニチヨツ
ト當惑スル譯デアリマスルガ、私就任以來、
昨年ト云フモノハ殆ド戰時非常措置デ終始
シテシマッタヤウナ譯デアリマシテ、マダ其
ノ後始末モ付イテ居ラナイヤウナ狀態デア
リマス、〓育ノ全面ニ亙ッテマダチヨット手
ガ著ケラレナカッタヤウナ次第デゴザイマ
ス、併シ今日ハモウ戰爭ノ眞只中デアリマ
スルノデ、唯將來ノ計畫ヲ樹テテ居ルヤウ
ナ時代デモアリマセヌノデ、モウ今日卽日
ノ問題ヲ片ッ端カラ處理シテ行カナケレバ
ナラヌヤウナ時代デアリマスルガ、大體ニ
於テハ新聞ニ發表シマシテ御承知ノコトト
考ヘマスルガ、要スルニ問題ハ軍ノ要請ト
生產面ノ要請ト云フ、二ツノ要請ガ時局下
最モ窮迫シタル而モ大キナ重要ナ要請デア
リマスルノデ、昨日佐藤軍務局長カラ御說
明ヲ御聽キニナッタコトト存ジマスルガ、
人口問題ニ付キマシテモ相當ナ程度ニナッ
テ居リマスルノデ、謂ハバ此ノ學校ニ在ル
學徒ト云フモノガ、一番各方面カラ目指サ
レル譯デアリマシテ、隨分極端ナコトヲ言
フ者モアルノデアリマスルガ、併シ御說ノ通
リ、〓育ト云フ問題ハ、今日ノ問題デアル
ト同時ニ又明日ノ問題デモアリマスルノ
デ、我々ハ此ノ國家ノ悠久ト云フコトヲ常
ニ念頭ニ置キツヽ、今日ノ國家ノ要請ニ對
シテ如何ニ處理シテ行クカト云フ所ニ苦心
ガ存スル譯デアリマス、今日ノ要請ヲ全面
的ニ承ケ容レレバ、〓育ヲ暫ク停止スルト
云フコトガ一番要請ニ應ジルコトデアラウ
ト思ヒマスケレドモ、併シサウ云フコトハ
爲スベキコトデハナイノデアリマス、國家
全體トシテハ、飽ク迄モ矢張リ〓育ヲシテ
國家有用ノ材ヲ育成スルノハ勿論、又專門
學校、中等學校乃至ハ國民學校等ニ於テモ〓
育ヲ十分充實シテ、國民ノ素質ヲ益〓向上シ
テ行クト云フコトヲ忘レテハナラヌノデア
リマス、從ッテ此ノ軍ノ要請ハ、是ハモウ
殆ド絕對ト申シテモ宜イノデアリマスルノ
デ、徵集猶豫ノ停止ト云フコトヲ致シマシテ、
法文系統ノ者ハ直チニ入營スルコトニナッ
タノデアリマス、併シ是等ノ學徒ハ非常ニ
勇躍シテ軍務ニ馳セ參ジタト云フコトハ、
各方面カラ異口同音ニ我々ノ聞ク所デアリ
マシテ、近ク衆議院ノ方ニ於キマシテ、矢
張リ此ノ委員會ニ於テ陸軍ノ軍務局長、海
軍ノ兵務局長カラ、入營後ニ於ケル是等學
徒ノ動靜ニ付テ、非常ニ喜バシイ狀況ニア
ルト云フ御報告ヲ承リ、ソレガ本會議ニモ
報〓サレマシテ、又更ニ本會議ニ於テモ有
力ナル感謝激勵ノ演說迄アッタヤウナ譯デ
アリマシテ、學徒ガ如何ニ今日目覺メ、又
緊張シテ國家ノ爲ニ命ヲ捧ゲテ御奉公シテ
居ルカト云フコトハ、是ハモウ我々常ニ感
激ノ外ナイノデアリマス、ト同時ニ又軍ノ
要請カラ軍ノ技術要員トシテ役立タセル爲
ニ、入營ヲ延期シテ學窓ニ殘ッテ勉强シテ
居リマスル者モ、非常ニ緊張シテヤッテ居
リマシテ、寧ロ早ク實戰ノ方面へ出テ、自
分ノ學問ヲオ役ニ立テタイト云フヤウナ熱
意ニ燃エテ居ルト云フ次第デアリマスルシ、
又勤勞方面ニ於キマシテモ非常ナ要請ガア
リマスルノデ、之ニ對シマシテモ學徒ハ矢
張リ學徒タルノ矜持ヲ保チツヽ、實際ノ勤
勞奉仕ニ服スルト云フコトガ最モ效果的デ
アリ、又緊張シタル精神ハ一般ノ職工ニモ
非常ナ良イ影響モアルヤウナ實情デアリマ
シテ、現ニ此ノ春モ或軍需工場ニ參リマシ
タ所ガ、或高等工業學校ノ生徒ガ百人バカ
リ、其處ニ勤勞奉仕ニ來テ手傳ッテ居リマ
スル者ガ、每朝裸體ニナッテ體操ヲヤッテ居
ル、ソレヲ每日ヤルモノデアリマスカラ、
今迄ノ職工達ガ非常ニソレニ感激ヲシテ、
皆ソレヲヤリ出シタト云フヤウナコトモ聞
イテ居リマス、又其ノ工場等ハ從來、出席
率ト言ヒマスカ勤務率ガ餘リ良クナカッタ
サウデアリマスガ、最近ニ數千人、一萬人
近イ職エガ、朝ノ通勤ニハ殆ド日ニ二人三
人位ノ遲刻者ガアル位ノ程度デ、非常ナ良
イ成績ヲ擧ゲテ居ル、マアソレハ學徒ノ何
バカリデハアリマセヌガ、學徒ナドノ影響
ガアルト云フコトヲ社長カラ聞イタヤウナ
譯デアリマシテ、勤勞方面ニ於テモ學徒
ガ非常ニ張リ切ッテ奉仕的ナ心持ヲ以テヤッ
テ居ルト云フコトハ誠ニ喜バシイコトデア
リマス、斯ウ云フヤウナコトハ寧口今日
ニ於キマシテ、此ノ勤勞等ハモウ〓育ノ一
環トシテ之ヲ實施シテ行クト云フ方針ヲ以
テ臨ンデ居ルノデアリマシテ、唯勞務ノ提
供ト云フヤウナ低調ナ考ヘ方デナク、矢張
リ行學一體ト云フ見地ニ立脚シテ、之ヲ指導
シテ參ルヤウニ致シテ居ル譯デアリマス、國
民學校ノ高等科ノ義務制停止ト云フコトモ
已ムヲ得ナイモノデアリマシテ、此ノ年齡ハ極
ク低イモノデアリマスルケレドモ、矢張リ相
當家庭等ニ於テノ手助ケニナリマスルシ、暫
ク義務付ケルコトダケハ猶豫シテ、必要ナル
モノハ矢張リサウ云フ實生活ニ役立タセル
ヤウニシタ方ガ宜カラウト云フヤウナ譯デ、
是モ〓育方面カラ見マスレバ遺憾ナコトデ
アリマスガ、併シ全般的カラ見マシテ、此ノ
四月カラ義務制實施ヲ暫ク延期スルコトニ
致シテ居ルヤウナ譯デアリマス、靑年學校
ハ、是ハ實務ニ付テノ〓育デアリマシテ、餘
リ是ハ坐學ニ多クノ時間ヲ取ルト、實際ノ
仕事ノ能率ニモ關係ヲシマスルノデ、是亦
行學一致ト云フヤウナ意味ヲ以チマシテ
仕事卽〓育ト云フヤウナ方針デ、成ルベク
工場等ニ於テモ、其ノ心持ヲ以テ靑年勤勞
者ヲ指導スルヤウニ致シテ居ル譯デアリマ
ス、尙先達テノ閣議決定ニ於キマシテ、是
等ノ勤勞者ガ實際仕事ヲスル上ニ於キマシ
テ其ノ效果ヲ擧ゲルコトニハ、矢張リ指導
者ガ十分ニ能ク指導ヲスルコトガ絕對ニ必
要デアルコトハ經驗上明カデアリマスノデ、
學校ノ〓職員、或ハ地方ノ官吏、視學官ト
云フヤウナモノヲ、軍需工場ニ送リマス場
合ニハ、軍需監理官ヲ兼任サセルコトニ致
シマス、或ハ又勞務管理官ヲ兼任サセテ、
學徒勤勞ノ徹底ヲ圖ルト云フコトニ致シ
テ居リマスシ、又サウ云フ會社ノ色々勤勞
ニ關スル係員ノ少シ主ダッタ人ヲ、文部省
或ハ地方廳ノ囑託ニ致シマシテ、矢張リ此
ノ勤勞ノ徹底ヲ圖ルヤウナコトニスルト云
フコトヲ閣議デ決定シタヤウナ譯デアリマ
ス、今日ハ此ノ學徒ガ唯手傳ヒニ行ッテ居ル
ト云フ實情デアリマセヌノデ、此ノ春參リ
マシタ或大キナ電波通信機ノ製作工場等ニ
於キマシテハ、大學或ハ專門學校等ノ電氣
科ノ學生ガ、是ハモウズウト仕事ヲ助ケニ
行ッテ居ルノデアリマスルガ、學問モアリマ
スル關係デ、試驗ダトカ或ハ色々ノ調節
トカ云フヤウナ一番複雜ナ微妙ナ仕事ヲ、
サウ云フヤウナ人ガ擔當シテヤッテ居ルヤ
ウナ譯デアリマス、會社工場等ニ於テモ非
常ニ重寶ガッテ喜ンデ居ルヤウナ譯デアリマ
ス、學徒モ亦モウ自分ノ學問ガ直チニ戰爭
ニ役立ツテ居ル譯デアリマシテ、是亦非常
ニ緊張味ヲ持ッテ熱心ニヤッテ居ルヤウナ譯
デアリマス、併シ今關屋委員カラ御質問ガ
アリマシタヤウナ譯デ、〓育ト云フ問題及
學問ノ振興ト云フコトハ、是ハドウモ從來
ノマダ考ヘ方デハ甚ダ不徹底デアルト私ハ
常ニ考ヘテ居ルノデアリマスガ、之ヲ一ツ
今後ハ本格的ナ認識ヲ國民一般ニ與ヘ、又
政府ハ出來ルダケ一ツサウ云フ方面ニ力ヲ
注イデ、國家ノ將來ト云フモノハ、モウ外
國ニ依存シナイデ外國ト鎬ヲ削リ彼等ノ進
步ニ寧ロ凌駕スルト云フ意氣込ミヲ以テ、
各方面ニ努力ヲシテ行クヤウニシナケレバ
ナラヌト考ヘテ居ルノデアリマス、一方思
想問題等ニ於キマシテモ、非常ニ今日必ズ
シモ樂觀ハ許サナイ狀態ニアリマスルシ、
矢張リ日本ハ今迄何ト申シマシテモ外國カ
ラノ脅威ヲ受ケタコトモ餘リナク、思想等
ニ付キマシテモ隨分自由主義的ナ方面モ多
イノデアリマス、今日此ノ非常ナ重大ナ時
局ニ拘ラズ、思想問題ガ矢張リ閑却出來ナ
イト云ッタヤウナ實情ニアルコトハ非常ニ遺
憾ナコトデアリマシテ、此ノ方面ニ對シマ
シテハ、今囘ノ豫算ニモ計上シテ御協賛ヲ
願ッテ居ル譯デアリマスルガ、文部省ト致シ
マシテハ思想ノ根本ヲ衝キ、又思想ノ各
現レ等ニ付テモ十分〓究モ致シマシテ、之
ニ對シテ善導シテ行クト云フコトニ力ヲ注
イデ參リタイト思ッテ居ル譯デアリマス、宗
〓〓化方策委員會等モ最近設ケラレルコト
ニナリマシテ、皆樣方ノ御協力モ仰ギ、又
其ノ他各方面或ハ〓育團體、〓育者、或ハ
文化團體、宗〓團體、乃至ハ藝能團體等、
社會ノ各方面ニ亙リマシテ、此ノ思想問題
ニ付テノ或ハ懇談、或ハ指導等ヲ强化シ
テ參リタイト考ヘテ居ル譯デアリマス、尙
今年カラ滿十九歲ノ者モ徵兵ニ應ズルコト
ニナル譯デアリマスルノデ、法文科系統ノ
大學ト云フモノハ、チヨット今ノ所デハドウ
云フ形ニナルカ、是ハ甚ダ問題デアリマス
ルガ、精神科學ノ重要デアルコトハ申ス迄
モナイノデアリマシテ、此ノ法文科系統ノ
學問ヲ、如何ニシテ此ノ時局下ニ於テ更ニ
又振興ノ方法ヲ講ズルカト云フコトニ付キ
マシテハ、本年度ニ於キマシテ、頻リニ〓
究モシテ見タイト考ヘテ居ル譯デアリマス、
甚ダ期待ニ副ヒマセヌガ、一應之ヲ以テ答
辯ト致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00119440131&spkNum=16
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017・田所美治
○田所美治君 各方面ニ亙ッテ非常ニ御苦
心ナ狀況ヲ審カニシマシテ、又ソレニ對シ
テ御執リニナッテ居ル策ノ一端モ承リマシ
タ、軍ノ要請、生產ノ要請、其ノ二大眼目
ノ國策ニ副ハナクチヤナラヌ、斯ウ云フ情
勢ノ下ニヤッテ居ルト云フコトデアリマス、
誠ニサウデアラウト思ヒマス、外ハ第一線、
內ハ生產、斯ウナッテ參リマス、ソレニ對シ
テノ今日ノ學徒ノ成績ハ、第一線、軍務ニ
於ケル好評、竝ニ勤勞方面ニ於テ、生產方
面ノ一二ノ例ヲ御擧ゲニナリマシテ安心
致シマシタ、ソレデコソ私ハ從來ノ〓育ガ
若干ナリ其ノ基礎ヲ誤マラズニ行ッテ居シタ、
斯ウモ言ヘヨウト存ジマス、卽チ、學問ガ直
チニ働イテソレガ戰線ニ現レテ居ル、其ノ
成績ハ良好デアル、又生產ノ面、卽チ勤勞
ノ方面ヲ見ルト、學徒ガ學問ノ〓場カラ出
テ行ッテ工場ニ行ッタ、其ノ成績モ亦良好デ
アル、斯ウ云フコトデアルナラバ、卽チ文
部省ガ多年七十年間御〓育ニナッテ居ル國
民ノ〓育ノ成果ト云フモノガ、國力ノ緊切ノ
方面ニ其ノ放果ヲ及ボシテ來タ、斯ウ云フ
ヤウニ思ヒマス、私ハ文部大臣ニ對シテ特
ニ其ノ點ヲ非常ニ喜ンデ居ル譯デアリマス、
又色々ノ方面ヲ御述ニナリマシテ、義務〓
育ノ延長モ此ノ四月カラヤルノハ延期シタ、
〓科書迄作リ、三四年ハ師範學校ノ養成計
畫モ立テラレル、私ハ早クヤラナクチヤナ
ラヌ、四年モ經ッテカラヤルノハ何事ダ、斯
ウ政府ヲ督勵シテ居ッタヤウナ譯デアリマス
ガ、是モ此ノ四月カラ逼迫ノ時勢デ一時延
期スル、頗ル遺憾ト存ジマス、抑〓義務年限
ノ延長ハ矢張リ國防力ノ增進、生產力ノ增
進ト云フコトニ著眼シマシテ、サウシテ世
界各國ニ劣ルドコロデナイ、躍進シナケレ
バナラヌ、サウ云フコトデ內容ガ出來テ居
ル、ソレガ又延期ニナッタ、其ノ眼目ヲ一應
伺ッテ見タイト思ヒマスガ、政府委員ガ御出
デニナレバ、ドウ云フ所ヲ狙ッタノデスカ、斯
ウ御伺ヒシテ見タイ、元來義務〓育ニナラ
ヌ前モ、百五十萬內外デセウ、尋常小學
ノ六年カラ、其ノ中ノ百三十萬程ハ高等小
學校へ行ッテ居ッタノデアリマスカラ、僅カ
ニマア本當ニ行カヌト云フ者ハ十萬乃至十
五萬位、四月カラ御延期ニナリマシテモ、强
制シテモホンノ十萬カソコラ、或ハ今日デハ
數萬ニナッテ居リマセウ、義務年限延長ノ發
表以來モウ四箇年經過シマシタカラ、ソレガ
ドレダケ役ニ立ツモノデアルカ、八年ヤラナ
ケレバ今日ノ戰爭ハ出來ナイ、斯ウ云フヤウ
ナ意味デ其ノ御話モ當時ノ政府當局カラ聞
キマシタ、詰リ兵器ノ戰爭、科學ノ戰爭デア
ル、斯ウ云フ場合デアルカラ機械ノコトモ一
通リ知ラナケレバナラナイ、昔ノ步兵ガ唯驀
進シテ行クト云フヤウナコトデハイカヌノ
ダ、學問ノ力ガナクチヤナラヌ、斯ウ云フ
意味ニ承リ、ソシテ此ノ施策ガ立ッタモノト
思フノデアリマスガ、折角ソレガ行キヨッ
テ、問題ハ、尋常小學デヤメマシテモ、卽
チ隨意ニ委シテ置キマシテモ、百五十萬ノ
中百三十萬以上ト云フモノハ、當時數年前
ニ既ニ高等小學ニ行ク、斯ウナッテ居リマス
カラ、何處ヲ御狙ヒニナッタモノダラウカ、
斯ウマア一寸疑フノデアリマス、僅カ十萬
內外、或ハモット少イノデアリマセウ義務年
限ヲ御止メニナッタ處デ、ソレハ僅カニ五六
萬位ガ、生產ノ方面トカ家庭ノ方面トカ、今
御說明ノヤウナ所ニアル、金モ此ノ四五年準
備サレマシタカラ、僅カノ數萬ニ對スルモ
ノガ若シ殘ッテ居レバソレダケノコトデアル
シ、是モ亦實際ハ理想通リ行キマスマイカ
ラ、其ノ數萬ガ悉ク本年入ルト云フコトモ
期待出來マセヌ、義務年限延長ニナッテモ、
免除猶豫等モ出テ參リマセウカラ、此ノ延
期サレタ狙ヒ所ハ何處デアッタラウカ、コン
ナニモ思フノデアリマス、ソレハチヨット細
カイコト、具體的デアリマスガ、其ノ點ニ
付テハチヨット了解ガムツカシウゴザイマス
カラ御說明ヲ願ヒタイト思フノデアリマス、
唯マア精神上ノ氣持ノ上カラ義務年限ノ延
長モ暫クヤラヌデ延期シテヤラウ、斯ウ云
フコトデ、軍部ノ方ニ精神上、或ハ生產ノ
方面ニ强メル、斯ウ云フ精神上ノコトナラ
バ、ソレハ又其ノ說明ハ付クダラウト思ヒ
マスガ、實際ノ問題トシテハソレハ大シタコ
トヂヤナカッタノダラウ、大キナ一ツノ制度
ノ改革ヲ御延期ニナッタ時デゴザイマスカラ
伺ッテ見タイ、政府委員カラ伺ヒマス、ソレ
カラ大學ノコトデ法文科ノ御話ガアリマシ
テ、豫テ文部大臣ハ議員デオイデニナリマ
シタ時分ニモ、法文系統ハ日本デハ多過ギ
ル、理科ノ方面ガ之ニ對シテ非常ニ少イ、
是デハイカヌト云フノデ、〓育ニ關スル改
正意見ヲ御發表ニナッテ居リマス、私ハ頗ル
贊成デ居リマシタ、併シナカ〓〓ソレハ困
難デ、ドウシテソレヲ實現スルカト云フコ
トニ付テハ、平常デハナカ〓〓ムツカシイ
コトナノデアリマスガ、今度ハ丁度國策ノ
要請カラ、法文ノ方ハ徵兵延期ヲ止メタト
云フコトデ自然整理ガ出來ル、是デ學校ノ
當局ト雖モ、蓋シ從來アリマシタヤウナ、
文部大臣ガ仰シヤルヤウナ法文ノ方ガ無暗
ニ多クシテ、ソレハ何萬デモ宜イ、片ッ方ハ
千カ二千デ宜シイト、ソンナコトハ考ヘテ
居ラヌデアリマセウガ、併シ自然ニサウナッ
テ來ル、日本ノズット社會制度、官吏制度、
政治方面ノ法制ノ關係ノ進步ト云フモノガ、
國家組織ノ機構ノ基ニナリマシタカラ、自
然ニサウナッテ行ッタノデアリマセウガ、是
ナドハ今度自然ノ好イ整理ガ出來ヨウト思
ヒマス、國民モ亦其ノ方ニ向フ方ガ國家ノ
爲ニ宜イノデアリマスカラ、是モ私喜バシ
イト思フノデアリマスガ、其ノ法文ノモ
ノニ付テ考ヘテ居ルノデアリマス、色々ノ
御考モゴザンセウ、政府委員ノ方カラモ
少シ伺ッテ見タイト思ヒマスガ、或ハソレ
ハ唯〓究ヲサスダケデハマダ困ルダラウト
思フノデアリマス、〓究ハ學生ノ中デ〓へ
テ居ルト同時ニ、ヤラナクチヤナラヌ、ソ
レヲ一層强メルト云フコトハ結構デアリマ
スガ、或ハ進ンデ〓員ノ不足ヲ補フ爲ニ、
ソレ等ノ人ガ專門學校以下ノ學校ニ〓ヘニ
行ク、斯ウ云フ風ニ御取扱ニナッテハドウ
カ、或ハ社會〓育ノ關係······社會〓育ノ
振興ニ付テハ、是ハ遲レテ居リマス、〓育
審議會アタリデモ一番シマヒニ論議ヲ致シ
マシタガ、是ハ日本ハ數十年ト云ヒマスカ
百年モ遲レテ居ルダラウ、或ハ其ノ間ニ遲
レテ居ルト云フコトガ學校〓育デ間ニ合ッ
テ居ッタト云フコトハ、又仕合セナ狀況モ
アッタデアリマセウガ、社會〓育ノ方面ニ、
今ノ法文ノ〓育ニ當ッタ人ガヤッタ靑年團ノ
〓育、少年團ノ〓育、壯年團······「ドイツ」
アタリデヤッテ居リマス「フォルクス·ホッ
ホ·シューレ」、「ユニヴァーシテイ」ニ於テ、
大學ニ於テ、高等學校ノ卒業生トカㄱギム
ナジウム」ノ卒業生トカ云フ、本當ノ正科
デナクシテ、自由ニ學者ガ社會的ニ國民全
體ヲ〓育シテ行ク、之ヲ日本デモヤッテ、幾
分カ著手ヲサレテ居ッタヤウデアリマスガ、
ソンナモノヲ此ノ際ウント一ツ包容ナスッ
タラドウカ、大學ニ於ケル餘裕ノアル先生
ハ、法文ノ系統ノ者ハ、精神科學ノ方面ヲ
〓究スルダケデナシニ、之ヲ社會的ニ廣ク
「エキスパンド」シテ行ク、擴ゲテ行クト云フ
ヤウニ御考ヘヲ願ヒタイ、御計畫モアレバ
ソンナコトモ伺ッテ見タイト思フノデアリ
マス、理科ノ奬勵ヲ色々御ヤリニナリマシ
テ、サッキ關屋君ニ御答ニナリマシタ、專
門上何萬モ御採リニナル、頗ル結構ナコト
デアリマス、遲レタリト雖モヤラナケレバ
ナラヌト思ヒマスガ、ソレハ唯上ノ方ダケ
デナシニ、國民〓育或ハ中等〓育、サウ云
フ基礎〓育ノ側ニ付テモ一ツ御考ヲ十分ニ
此ノ上トモ御願ヒシタイ、コンナヤウニ思
フノデアリマス、日本ノ理科〓育ノ方面デ
遲レテ居リマスコトハ、寧ロ國民ノ理科知
識ガ遲レテ居ル、卽チ國民〓育ト云ヒマス
カ、中等〓育ト云ヒマスカ、基礎的ノ方面
ニ於テ、國民ガ一般ニ理科ノ知識ガ足リマ
セヌコトハ萬申ス迄モアリマセヌガ、其ノ
方面デデスナ、一ツ此ノ際丁度戰ヒヲ目的
ニシテ居リマシテ、其ノ戰ヒハ理科ノ方面
ヲ精神方面ト相共ニデスナ、十分ニ發揮
シナクチヤナラヌ時、斯ウ云フ時ニ、中等
學校ニ於ケル或ハ國民學校ニ於ケル理科
ノ方面ニ付テ何カ御施設アリヤ、斯ウマア
一ツ伺ッテ見タイノデアリマス、私ハ矢張
リ、チヨット一端ヲ言ヘバ、昔文部省デヤリ
マシタ······私モ關係ヲ致シマシタカラ、僅カ
バカリデハアリマスケレドモ、當時ハ僅カ
何十萬ノ金デアリマシタガ、理科ノ實驗〓
育ナドヲ指導スル爲ニ、中等學校へ少々バ
カリノ助成ヲ致シタヤウナコトガアリマス、
ソンナコトモ御考ニナッテ居ルダラウト思
ヒマスガ、或ハ地方費デヤラシムルカ、或
ハ國費デ御ヤリニナッテモ宜カラウト思フ、
サウ云フ方面ノコトヲ何カ御考ニナッテ居レ
バ具體的ナ御說明ヲ伺ッテ見タイト思フノ
デアリマス、思想問題ニ付テモ御心配ニナッ
テ居ル、是ハマア際限モゴザイマセヌシ、
申上ゲル必要モゴザイマセヌガ、是モナカ
ナカ心配ナコトダト思ヒマスケレドモ、元
來文部大臣ハ國體〓育、皇國ノ道ニ則リ我
ガ國ノ〓育ヲヤル、我ガ國民ノ鍊成ヲスル
ト云フコトニ付テハ、議員トシテノ御在職
中カラモサウデアッタノデアリマスカラ、此
ノ上何モ申上ゲル必要モゴザイマセヌ、穴
ガアッタラ潜ル思想問題ノコトデアリマスカ
ラ、萬御遺算ナキヤウ希望シテ巳マヌ譯デ
アリマス、要スルニ〓育ノコトハ、從來甚
ダ不徹底不十分ト思フカラ、此ノ際時局
下色々ノ方面ニ付テ考へテ行クト云フコト
ヲ承リマシテ安心致シマシタ、ドウカシッ
カリ、御遠慮ナク御推進ヲ願ヒタイ、斯ウ
申上ゲテ置キマセウ、何カ參考ニナルコト
ガアレバ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00119440131&spkNum=17
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018・藤野惠
○政府委員(藤野惠君) 只今田所サンカラ
御尋ガゴザイマシタ、第一點ノ國民學校ノ
高等科ノ義務制ヲ延期シタコトニ付テノ理
由ト申シマセウカ、ドウ云フ意圖ノ下ニ之
ガ延期ヲシタカト云フコトノ御尋デゴザイ
やく、此ノ點ハ田所サンノ夙ニ御承知ヲ戴
イテ居リマス通リ、〓育審議會ニ於テモ十
分ニ論議ガ盡サレマシテ確定ヲ致シマシタ
方針デゴザイマスノデ、十九年度カラ實施
セラルベキ豫定ニ相成ッテ居リ、文部省ト致
シマシテモ著々準備ハ進メテ居ッタ次第デア
リマス、然ルニ御承知ノヤウナ思ハザル非
常ナル時局ニ當面ヲ致シマシテ、大學ヨリ
國民學校ニ至リマスル迄、此ノ非常時ニ對
處スベキ〓育ノ臨時非常ノ措置ヲ講ジナケ
レバナラヌト云フ場合ニ相成リマシタ、ソ
コデ文部省ト致シマシテモ、段々大臣カラ
御述ベノゴザイマシタヤウニ、各方面ノ國
家ノ要請ト云フモノヲ綜合勘案ヲ致シマシ
テ、サウシテ全般ニ亙リマスル非常措置ヲ
講ジタ次第デアリマシテ、高等科義務制モ
亦其ノ一環トシテ考ヘラレル譯デアリマス、
之ヲモウ少シ具體的ニ申上ゲマスルト、仰
セノ通リ、事實高等科義務制ノ實施ハ生產
能率ヲ上ゲルト云フ趣旨デゴザイマシタ、
然ルニ今日ノ產業ノ實情ニ於キマシテハ、
往年ト少シク趣ヲ異ニシテ參ッテ居ル點ガア
ルノデアリマス、ソレハ工場ニ於キマスル
大量生產方式ノ適用ト云フモノガ相當擴大
ヲサレマシテ、若干其ノ生產工程ニ簡單化
サレタ部分ガゴザイマシテ、分業等ノ關係
ヨリ作業單位ガ簡易化サレルト云フ結果ヲ
招來致シマシタ、或場合ニ於キマシテハ、
初等科終了程度ノ者ヲ以チマシテモ、或程
度ノ役ニハ立ツト云フ事情モ發生シテ居ル
次第デアリマシテ、今日ノ勞務ノ非常ニ急
迫セル事情ト睨ミ合セマシテ、此ノ點ヲモ
考ノ一ツトシテ入レテアリマス、併シナガ
ラソレヨリモット緊切ナル關係ハ、御承知
ノヤウニ、今日生產ノ事情或ハ主要食糧
ノ增產或ハ殊ニ日用品ノ配給組織ト云フヤ
ウナモノガ、統制ノ强化ニ伴ヒマシテ非常
ニ復雜ニナッタ爲ニ、御承知ノヤウニ各家
庭ニ於キマスル手不足ト云フモノハ非常
ナ程度ニ達シテ居リマス、是ハ直接ノ勞
務トハ申シ難イノデアリマスルケレドモ、
是等ノ家庭內ニ於キマシテ、卑近ナ場合ニ
於キマスル手助ケ或ハ勞務ノ簡單ナ家庭
內ノ仕事ト云フヤウナ、所謂間接ナ勞務ト
云フ方面ニハト是等初等科終了程度ノ兒童
モ十分御役ニ立ッテ居ル譯デアリマス、是等
ヲ勞務事情トシテ考ヘマシタノト、今一點
ハ、實ハ文部省トシテモ段々準備ハ致シテ
參リマシタガ、御承知ノヤウニ資材ガ非常
ニ窮屈デアリマス、各地方ニ於キマシテモ
高等科ノ義務制ヲ實施致シマスル爲ノ設備
ニハ相當當惑ヲ致シテ居ルト云フ事情モゴ
ザイマシテ、ソレニ一方〓員ノ養成モ極力
努メテハ居リマスルガ、之ガ寳施ノ爲ニハ
相當員數ノ〓員モ急激ニ增スコトニ相成リ
やっ、是等ニ對スル諸般ノ事情ヲ綜合致シ
マシテ、一應今囘ノ〓育非常措置ノ一環ト
致シマシテ之ヲ延期ハ致シマシタ、併シナ
ガラ是ハ田所委員ノ仰セラレマスル通リ、
文部省トシテハ大方針トシテ決定致シテ居
リマスルカラ、之ヲ見合セタト云フコトハ
今日ノ時局ニ當面致シテ暫ク之ヲ延期ヲ致
スト云フニ過ギマセヌ、之ガ將來ノ義務制ト
云フコトニ付キマシテハ、事情ノ許ス時期
ガ到來致シマスレバ、直チニ之ガ實現ヲ期
スルト云フ考デ居ル次第デアリマス、ソレ
カラ第二點ノ法文系ノ〓職員等ノ點ニ付キ
マシテ色々御懇ロナ御示唆ヲ戴キマシタ點、
誠ニ有難ク拜承致シテ居リマス、大臣カラ、
法文系ノ〓職員等ニ付テ、或ハ〓究等ニ從
事セシムル意圖ノアルコトヲ御述ニナリマ
シタガ、其ノ外ニ、法文系ノ〓職員等ヲ、
必要ニ應ジテハ專門學校ノ方面ニ、或ハ社
會〓育ノ第一線ニ活用スルヤウナ方法ヲ考
ヘタラドウカトノ御示ハ、誠ニ是ハ有難イ
次第デゴザイマシテ、我々モ實ハ左樣ナコ
トヲ考ヘテ居リマス、大臣ノ仰セラレマシ
タノハ、取敢ズ其ノ當該法文系學校トシテ、
法文系ノ是レ迄ノ〓究ガ急激ニ力ヲ失ッテシ
マフト云フコトデアッテハナラヌト云フヤウ
ナ點カラ、ソレ等ニ對スル國家ノ助成ト云
フコトヲ考ヘラレテ居ルノデアリマシテ、
此ノ點ハ文部省ト致シマシテハ、是等ノ〓
員ヲ、何ト申シマセウカ、文化或ハ〓育、
各方面ニ於テ十分之ヲ活用シテ、サウシテ
法文系ノ精神科學ノ向上ニ資シタイト云フ
考デ居ル次第デゴザイマス、ソレガラ第三
ノ國民〓育、中等〓育等ニ於キマスル理科
〓育ノ必要、是ハ誠ニ御同感デゴザイマシ
テ、此ノ點ハ實ハドウ施策ガアルカトノ御
尋デゴザイマシタガ、御承知ヲ戴イテ居
リマスル通リ、〓育審議會ノ決定ニ基キマ
シテ、國民學校制度ニ於キマシテハ從來
小學校ノ時代ハ第三學年以上ニナリマセヌ
ト理科ノ方ハヤラナカッタノデアリマスガ、
國民學校制度ニナリマシテカラ、旣ニ第一
學年カラ所謂自然觀察ト云フ時間ヲ設ケマ
シテ、之ヲ指導致シテ居リマス、實ハ是ハ
實施ヲ致シマシテ非常ニ效果ガアッタノデ
アリマシテ、所謂想像、工夫、觀察ノ力ヲ
國民學校ノ初等科第一學年カラ課スルト云
フコトハ、低學年ノ一二年ノ兒童ノ觀察力
ナリ或ハ自然ニ對スル非常ニ細心ナ見方ト
云フモノヲ指導スル上ニ、大キナ效果ガアッ
タト考ヘテ居リマス、ソレカラ中等學校モ
御承知ノ如ク今囘中等〓育令ガ改正セラレ
マシテ、理科方面ハ非常ニ强化セラレマシ
テ、授業時數モ相當ニ實習アタリハ殖エテ
居リマス、同時ニ〓科內容モ要目ガスッカリ
改リマシタ次第デアリマスガ、同時ニ只
今嘗ッテノ御施設ガ、文部省ニ講ゼラレマシ
タ理科設備ノ國庫ヨリノ補助デアリマスガ、
之モ現在講ジテ居リマシテ、中學校ニ付キ
マシテハ理科設備、高等女學校ニ付キマシ
テハ家事科方面ノ設備等ニ付テ、或程度ノ
助成ヲ國庫ヨリ致シテ居ル次第デアリマス、
是等ニ付キマシテハ今後モ更ニ强化スル
ヤウニ致シテ參リタイ、斯ウ考ヘテ居リマ
ス、思想方面ニ付キマシテハ他ノ政府委員
ヨリ御答ヘ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00119440131&spkNum=18
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019・近藤壽治
○政府委員(近藤壽治君) 先程田所委員カ
ラ色々示唆ニ富ンダ御話ヲ承リマシタガ、
只今文部省トシテ考ヘテ居リマスコトニ付
テ御說明申上ゲマス、先程來田所委員カラ
精神科學其ノ他ヲ發達セシムル爲ニ社會〓
育方面ニモ使ッタラドウカト云フ色々ナ御話、
大學ノ〓授ヲ其ノ方面ニ活用スル用意ハナ
イカト云フ御話モアリマシタガ、只今私ノ
方ノ考ヘテ居リマスコトハ、先程大臣ガ御
話ニナリマシタヤウニ、時局下軍ノ要請竝
ニ產業ノ要請、及ビ今日大東亞戰爭ノ目標
トシテ居リマスル大東亞ノ文化〓揚ト云フ
ヤウナ諸々ノ點ヲ考ヘ合セマシテ、今後ノ
〓育施設トシテ考ヘテ居ル所ノモノニ付テ
御話ヲ申上ゲタイト思フノデアリマスガ、
ソレニハ先ヅ國內ノ總テノ人々ノ大東亞戰
爭ニ對スル明確ナル認識ト、之ヲ戰ヒ拔
ク不拔ノ確信ト云フモノヲ持ッテ居ルノデ
ナケレバ、時局ノ窮迫ト共ニ漸次思想的
ナ問題ガ起ッテ來ル、又其ノ思想動搖ヲ孕
ミマスコトニ依ッテ、折角產業戰士其ノ他
ガ多數徵用サレマシテモ、能率ノ問題ニ影
響ヲ與ヘテ來ルト云フ關係ガ如實ニ現レテ
居リマス關係カラ、先程ノ時局ノ要請ニ應
ヘマス爲ニハドウシテモ皇國ノ觀念ヲ明
白ニ把握シテ行クト云フ、確信ヲ摑ムト云
フコトガ根本ノ問題デアラウカト思フノデ
アリマシテ、之ガ爲ニハ色々ノ手段ガアリ
マスガ、先ヅ第一ニハ學者ヲ總動員シテ〓
究所、殊ニ精神科學ノ〓究所及ビ學者〓究
機關ノ連絡協調ヲ圖ッテ、ソレ等ガ無駄ノナ
イヤウニシ、而モ等シクソレ〓〓ノ立場カ
ラ皇國ノ道ヲ闡明シ、大東亞ノ文化昂揚ニ
資スルト云フ線ニ沿ウテ〓究ヲ進メテ行キ
マス爲ニ、日本諸學振興委員會ト云フモノ
ガ以前カラ拵ヘラレテ居リマシタガ、更に
今度ハ之ヲ擴充强化致シマシテ、先程申上
ゲマシタヤウニ、各大學及ビ〓究所等ト十
分ナ連絡ヲ取リナガラ、現下最モ必要トシ
マス學界ノ問題、思想界ノ問題ヲ其處デ協
議ヲ致シ、ソレ〓〓適當ト思ハレル所ノ學
者ニソレ等ノ問題ヲ委囑致シテ、專心其ノ
方面ノ〓究ヲヤッテ戴ク、此ノ〓究ノ成果ハ
學會、講演會ニ於テ發表ヲ致シマスルト同
時ニ、ソレヲ本省トシマシテハ公刊ヲ致シ
テ國內竝ニ、廣クハ大東亞ノ學界ニモソレ
ヲ提供致シタイ、斯樣ニ思ッテ居リマス、尙
此ノ學會ニ於キマシテハ、斯ウ云フ其ノ委
託〓究、特別〓究ヲ、各〓是ハモウ官立、私
真公立ヲ問ヒマセズ、各優秀ナ〓授ヲ動
員致シマスルト同時ニ、是等ノ人々ヲシテ
各大學及高等學校、専門學校、師範學校其ノ
他ニ特ニ文化講義ト云フモノヲ實施致シテ
居リマスル關係上、斯ウ云フモノニ續々〓
授講義ヲ擔任ヲ同 つ、全國的ニ最モ有效
適切ナ方法ニ利用致シタイト、斯樣ニ思ッテ
居ルヤウナ次第デアリマス、其ノ外一方ニ
ハ斯ウ云フ學會ヲ動員致シテ、出來ルダケ
マア戰時體制ヲ取リマスルト同時ニ、此ノ
學問ヲ受ケ容レル國民ノ心持ト云フモノヲ
出來ルダケ斯ウ云フ風ナ分野ニ副ウテ行カ
セネバナラヌ、言ヒ換ヘテ見レバ先程御話
ノ社會〓育的方面ト云フモノガ、十分今
日ノ時局ニ於テ徹底シテ行クノデナケレバ
億兆一心ノ實ガ擧ラナイノデアリマスカラ
其ノ方面ニ於キマシテ是ハ總テノ娛樂機關
モ、社會〓育機關モ、學會モ一ツニシテ行
カネバナラヌ、ト云フヤウナ考カラ、本
年ヨリハ特ニ圖書館ノ如キモ博物館ノ如キ
モ、特ニ圖書館ノ如キハ在來迄唯圖書館ノ
貸出ス圖書ヲ保管シテ、〓究者ノ便ニ供ス
ルト云フヤウナ、〓究圖書館的性格ノモノ
デアリマシタガ、段々ト此ノ時局ガ、紙ガ少
クナリ本ノ個人的入手ガ困難ニナリマス關
係上、矢張リ是ハ圖書館ヲ中心ニシテ、思
想的ナ指導及〓究ヲヤラサナケレバナラヌ
ノデアリマスカラ、之ヲ最モ時局ニ有效ニ
働カセル爲ニハ、圖書館ガ指導的ナ一ツノ
機關ニナル、或意味ニ於テハ社會啓蒙的ナ
役割ヲ演ゼシメネバナラヌト云フ觀點カラ
本省ニ於キマシテハ圖書館ノ指導、讀書指
導ト云フヤウナ方面ニ、本年カラ相當力ヲ
入レテ行キタイト思ッテ居リマシテ、各縣立
其ノ他ノ此ノ圖書館ニモ補助ヲ致シマスル
ト同時ニ、今後ノ館員ヲ、本當ニ時局ノ思想
ニ目覺メ國民ヲ指導スルニ足ルヤウナ心構
ヲ與ヘル爲ニ、圖書館員ノ鍊成ト云フモノ
ヲ十分ニヤッテ、全國ノ圖書館ガ一齊ニドノ
方面ニモ、國民ノ思想的〓究的方面ニ興味
ヲ持タセルカト云フヤウナコトニ十分關心
ヲ持ツヤウニ、今日骨ヲ折ツテ居ルヤウナ次
第デアリマス、ノミナラズソレニ卽應シマ
シテ、矢張リ此ノ一番重要ナ思想的ナ問題
國民結集的ノ問題ト云フヤウナ點カラ言ヒ
マスト、娛樂機關ト是迄言ハレテ居ッタモ
ノガ、是亦文〓トハ緣ガナイコトハナイノ
デアリマスケレドモ、十分ニ一〓ニナッテ來
ナカッタ、例ヘバ映畫ノ問題デアリマストカ、
演劇ノ問題デアリマストカ、其ノ外色々
ノ問題、例ヘバ浪花節、漫才ノ如キニ至ル
迄是ハ民心ニハ相當大キナ大衆的影響ヲ
與ヘルモノデアリマスルノニ、ソレガ〓育
機關トシテ現下取上ゲラレルコトガ今日迄
十分デナカッタト云フヤウナコトヲ考ヘマシ
テ、旣ニ著手致シテ居リマスルガ、是等ノ
モノヲ一環トシテ、一ツ文部省ガ〓育的ニ
觸レテ行クコトニ致シマシテ、例ヘバ藝能
者サウ云フ藝人ノ團體、藝能者中央聯盟
ト言ッタヤウナモノト、我々ノ方ト密接ナ
連絡ヲ取リマシテ、是等ノ人々ノ懇談會ヲ
催シ、或ハ思想鍊成ヲヤルト云フヤウナコ
トヲ、先日モ既ニ第一囘ヲ行ッテ見マシタ、
是ハ地方巡業ヲ中心ニシテヤッテ居ル役者
ノ座頭ヲ中心ニシテ集メテ、數日ノ間鍊成
ヲヤッテ見マシタノデスガ、是等ハ、斯ウ
云フコトヲヤッテ貰ッテ國家ノ意圖、又今後
ノ我々藝人ガ向フベキ途ヲ、眞實ニ話合ッテ
戴クト云フヤウナコトハ、生レテ初メテダ
ト云フコトヲ言ッテ、非常ニ喜ンデ居リマシタ、
斯ウ云フモノガ社會ニ及ス影響ト云フモノ
ハ相當多イノデアリマスルカラ、此ノ戰時下
ノ新シイ〓育ハ、斯クノ如キモノニモ滲透セ
シメテ行カナケレバナラヌト考ヘテ居ル次
第デアリマス、殊ニ映畫ノ方面ノ俳優、是
等ノ方面ニモソレ〓〓映畫會社等ト連絡ヲ
保チマシテ、是ハ一方ニ會社經營者ノ方面
モ鍊成スル機會モ數囘ヤリマシタシ、又現
ニ舞臺ニ立ッテ實演スル處ノ俳優ト云フヤ
ウナ人々ニモ、斯ウ云フヤウナ〓育的ナ施
設及ビ今後ノ見透シ、戰局ノ問題、日本文
化ノ使命ト言ッタヤウナ問題ニ對シテ、親シ
ク講義モシ、座談モシ、生活モシ、ト言ッタ
ヤウナコトヲヤッテ居リマスルト云フト、非
常ニ喜ンデ彼等ハ反感ドコロヂヤナイ、本
當ニ彼等ノ使命ヲ反省シテ、一緒ニウマク
ヤッテ行カウト云フ氣分ニナリツヽアルコト
ハ、我々ノ意外ニシテ居ル程ソレ程熱心ニ
ヤリツヽアルノデアリマス、サウ云フ娛樂
方面ヲ〓育化シテ行クト云フ〓育ヲ、今後
ハヤッテ行カウト云フコトモ考ヘテ居リマ
ス、尙宗〓家ノ方面、是ガ先日モ發表ニナ
リマシタヤウニ、今後此ノ宗〓家、所謂是
ハ神道〓派、佛〓ノ宗派及ビ「キリスト」〓
〓團、ソレ等ヲ打ッテ一丸トシテ、總テガ皇
國ノ興廢ヲ決スル非常時局ニ對シテ、平素
カラ申シテ居ラレマス此ノ宗〓ノ使命ニ
鑑ミマシテモ、率先挺身シテ國民ニ範ヲ示
シテ、我々ニ大キナ勇氣ト安心トヲ與ヘテ、
不拔ノ魂ヲ培ッテ行カネバナラナイト云フ
考ヘカラ、戰時下ノ時局對策委員會ヲ設置
致シ、今後是等モ本當ニ國家ノ要請スル所
謂〓育ニ卽應シテ進ンデ行クヤウニヤッテ行
キタイト、斯樣ニ存ジテ居ル次第デアリマ
シテ、旣ニ是等ハ各宗派ノ全國ノ所謂特別
布〓師ト云フヤウナ〓師ヲ集メマシテ、特
別講習會ヲ數囘ニ亙ッテ行ヒマシタガ、今後
三月迄ニモ急速ニ進メテ行キタイト、斯樣
ニ考ヘテ居ル次第デアリマス、其ノ外中心
ニナリマスル問題ハ、產業人殊ニ勤勞者ノ
問題デアリマスガ故ニ、此ノ問題ニ於キ
マシテハ十分一ツ新シイ工夫ヲ以テ考ヘテ
行カネバナラナイト考ヘテ居リマシテ、本
年只今ヨリ道府縣ニ交付金ヲ以チマシテ、
是ハ道府縣ニ思想對策委員會ト云フモノガ
知事ヲ中心ニ設置サレテ居リマスルカラ、
道府縣ノ思想對策委員會ニ金ヲ渡シマシテ、
之ヲ中心ニ、各府縣ノ國民學校ニ在學シテ
モウ既ニ三月ニ卒業シテ實業戰線ニ飛込ム
ト云フヤウナ生徒、是等ニ對シマシテ、是
迄六箇年ノ所謂〓育界デ育テラレタ空氣、
ソレカラ是カラ行カウトスル產業界ノ空氣
ト云フモノヲ、所謂產業界ノ生活ト云フモ
ノノ橋渡シヲサセルヤウナ一ツノ生活的訓
練ガ必要デアル、サウデナイト云フト、兎
角ドウモ是等ノ純眞ナ生徒ガ卒業シテ行キ
マシテカラ、却テ今日此ノ性格的ニ色々ナ
不良性ヲ增シテ來マシタト云フコトハ、
方ニハ明カニ數字ノ示シテ居ル所デアルノ
デアリマスカラ、此ノ點ヲ矯正スルノデナ
ケレバ、將來ノ日本ト云フモノハ寒心ニ堪
ヘヌ所ガアルノデアリマスノデ、ソコデ卒
業シテ、サウシテ產業戰線ニ行クベキ生徒
ニ對シテ、十分ナル實社會ノ訓練ヲ卒業迄
ニ與ヘテ行カナケレバナラヌト云フコトデ
ヤラセルコトニナッテ居リマス、之ニハ受入
レマスヤウナ會社ノ職員モ一〓ニ來テ、實
際ニ是等ノ指導ヲヤッタリ話ヲシテ戴ク、又
此方カラモ見學モヤルト云フヤウナ風ニシ
テ、此ノ中間ノ連絡〓育ヲ施スト云フノガ新
シイ試ミデアリマス、尙是等ノ生徒ガソレ〓
職場ニ送リ出サレマスト同時ニ、其處ノ學校
ノ職員ガ、常ニ是等ノ職場ト自分ノ母校トノ
連絡ヲ取ラセマシテ、家〓ヲ忘レサセナイヤ
ウニ、彼等ノ性格ト云フモノヲドウカシテ保
持シテ、益〓能率ヲ增進シ、彼等ガ伸ビテ行ク
ヤウニシテ行カナケレバナラヌト云フヤウナ
關係カラ、ソレ〓〓ノ學校カラ出身シマシ
タ生徒ヲ歷訪シ、彼等ヲ激勵スル制度ヲモ
拵ヘテ、サウ云フモノヲ保護シテ行カウ、
斯ウ云フヤウナ計畫ヲヤッテ居リマス、ト同
時ニ是等ノ者ガ入リマシテカラ實業、所謂
實際ノ職場ニ入リマシテカラノ〓養ト云フ
ヤウナモノニ對シマシテハ、旣ニ是ハ勤勞
者中央協議會ナドデモ過去ニヤッテ來マシ
タヤウナ事實ニ鑑ミマシテ、勤勞者高等〓
育ノ學業、高等勤勞學校ノ開始ト云フヤウ
ナコトヲ、ソレ〓〓今ヤラセツヽアルノデ
アリマス、是ハ專ラ勤勞者ノ中デソレ〓〓
伍長トカ班長トカ云フヤウナモノニ爲スベ
キ人、及ビサウ云フモノヲ更ニ一段ト取上
ゲテ行クヤウナ、一ツノ時局的ナ〓養デモ
アリマスシ、又此ノ〓養ヲ得ルコトニ於テ
斯樣ナ徵用者ヲ彼等ガ受持ツ所ノ、十人ナ
リ五十人ナリ百人ヲ本當ニ愛護シテ、生產
戰線ニ活躍セシメルヤウナ高イ〓養ヲ與ヘ
ルコトノ必要ヲ痛感致シテ居ルノデアリマ
ス、是等ハ各工場其ノ他ト連絡ヲ取リマシ
テ、又工場等ガ非常ニ要求ヲ致シテ參ッテ居
ルノデアリマス、多數ノ徵用工ガ來テモ、
ソレヲ本當ニ勞務的ニ是等ヲ指導シテ行ク
コトハナカ〓〓困難デアル、詰リ能率ノ上
ガラヌ所ハサウ云フ所ニアルノデアル、ド
ウシテモ此ノ伍長級、班長級ノ者ヲハッキリ
ト會社ガ摑ンデ、生產ヲシテ行キ、所謂統
制ヲ取ッテ行クト云フコトガ重要デアルガ、
サウ云フ〓育ガ是迄缺ケテ居ルト云フヤウ
ナ所カラ、此ノ方面ニ相當ニ今日ハ努力シ
テ行カウト云フコトデ、ソレ〓〓計畫ヲ致
シテ居ルシ、又實施モ既ニヤッテ居ルヤウナ
次第デアリマス、其ノ他斯ウ云フ風ナ徵用
工ガ澤山出テ行キマスト同時ニ、學徒ノ方
デモ年ニ四箇月間ノ勤勞場面ニ於テ働キマ
スト云フ實情ニナリマスト云フト、今後ハ
愈〓此ノ生產部面ノ經營ト、ソレカラ學校〓
育ト云フモノガ、離レテ居ッテハ相成ラヌ、
學校ガ生產ニ卽應スルト同時ニ、生產部面ガ
〓育的デナクテハ、日本ノ將來ノ問題ハ大
變ニ寒心ニ堪ヘナイ、此ノ二元ノモノヲ一
元ニスル新シイ工夫ヲ考ヘテ行クト云フコ
トガ重要ナ問題ト考ヘマスルカラシテ、今
後ノ文部省トシマシテハ、出來ルダケ是等
ノ工場、產業部面ニ對シテ、實際上經營ヲ
シテ居ラレマスル方、管理者、經營者ト云ッ
タヤウナ方ト、文部ノ當局及ビ我々ノ方ノ
〓育的指導者ト云フモノガ、機會ヲ求メテ
會ヲ開キ、或ハ座談會ヲ開キ、懇談會ヲ開
キ、鍊成會ヲ開クト云フ風ニシマシテ、是
等ニ多數入ッテ來マス徵用者ヲ本當ニ〓育
的ニ仕込ム、ソレガ同時ニ生產的デアルト
云フヤウチ方法デ、終始一貫ヤッテ戴クヤウ
ニト云フヤウナ、サウ云フ計畫モ目下行ヒ
ツヽアルヤウナ始末デアリマス、其ノ外尙
斯ウ云フ時節ニナリマスト、色々ナ問題ニ
付テ一番大事ナ問題ハ、我ガ國ノ風紀、我
ガ國ノ思想文化ノ根源ニナッテ居リマスル
家庭ノ〓養ト云フモノガ一番大事デアリマ
スカラ、家庭〓育ノ振興ト云フヤウナモノ
ニ著眼ヲ致シマシテ、母親學校ト云フヤウ
ナモノヲ開催致シテ居ルノデアリマスガ、
是ハ或高等學校ノ如キモノハソコノ中ノ最
モ優秀ナ〓員ヲ選ンデ、時間ヲ差繰リマシ
テ、各地方々々々ニ三日位ヅヽ出テ行キマ
シテ、サウシテ農村ニ、夜ナリ又ハ學校ノ
授業ガ濟ンデカラ行ッテ話ヲ致スト云フヤ
ウナ風ニ、講習ヲ致シテ居リマスガ、ナカ
ナカ是モ相當效果ガアルヤウデアリマス、
尙斯ウ云フ問題ハ澤山ゴザイマスガ、餘リ
ドウモ縷々述ベテ居リマスト時間ガ掛リマ
スガ、其ノ外斯ウ云フ問題ニ對シマシテ、
實際上文獻的ニ之ヲ知ラセマスル爲ニ、曩
ニ「國體ノ本義」「臣民ノ道」ヲ著ハシマスト
同樣ニ、最近デハ國史〓說、神勅、詔勅ノ
謹解、古典ノ編纂、國史ノ編纂、大東亞史
ノ編纂、家ノ本義ノ編纂等々ヲヤリマシテ、
之ニ依ッテ文獻的ニモ十分ナル國民ノ據リ
處ヲ示シテ行キタイ、斯ウ云フヤウニシテ
目下進ミツヽアルヤウナ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00119440131&spkNum=19
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020・野村益三
○委員長(子爵野村益三君) 御異議ガナケ
レバ、今日ハ此ノ程度ニ止メテ、明日ハ午
前十時ヨリ開會致サウト存ジマス······今日
ハ是ニテ散會致シマス
午後零時二十三分散會
出席者左ノ如シ
委員長子爵野村益三君
副委員長男爵淺田良逸君
委員
公爵鷹司信輔君
侯爵筑波藤麿君
伯爵酒井忠正君
關屋貞三郞君
子爵松平康春君
子爵伊集院兼高君
松井茂君
入江貫一君
安井英二君
男爵加藤成之君
山岡萬之助君
田所美治君
田澤義鋪君
諸橋久太郞君
野田六左衞門君
岩元達一君
國務大臣
文部大臣子爵岡部長景君
政府委員
文部省總務局長藤野惠君
文部省專門〓育局長永井浩君
文部省國民〓育局長阿原謙藏君
文部省〓學局長近藤壽治君
文部省科學局長〓水虎雄君
文部書記官伊藤日出登君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00119440131&spkNum=20
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