1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十九年二月二日（水曜日）午後一時三十七分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=0
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001・野村益三
○委員長(子爵野村益三君) ソレデハ是ヨ
リ開會致シマス、御質疑ノ繼續ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=1
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002・松井茂
○松井茂君 私ハ文部大臣ニ御伺ヒ致シタ
イト存ズル點ガ三ツ程アルノデアリマス、
第一ハ思想問題ニ關シマスル中央ノ統一機
關ノ設定ニ付テ御伺ヒ致シタイノデアリマ
ス、目下國民ノ總動員ト云フ非常ナ時期ニ
際會シテ居リマシテ、何レノ問題モ皆其ノ
結論ガ精神問題デアルコトハ、今更申上ゲ
ル迄モゴザイマセヌ、又此ノ精神問題コソ
ハ、殊ニ此ノ際是非共勝チ拔カネバナラナ
イ時ニ於キマシテ、何ヨリモ重大ナル根本
問題デアリマシテ、若シモ一旦敵ノ空襲ノ
アリマスル時ナドニ於テハ、豫テカラ敵ノ
謀略戰ノ恐ルベキ實情ニ照シマシテモ、萬
ガ一、平素國內ニ於キマシテ最モ剛健ナル
國體精神ガ全國民ニモット〓〓注入サレテ
居ラナケレバ、是迄ノ大震火災ノ例ニ照シ
マシテモ、又各國ノサウ云フ騒擾ノ際ニモ、
必ズ流言蜚語ガ出マシテ、思想問題ニ關係
スルコトハ動カスベカラザル事實デアルノ
ハ、是亦申上ゲル迄モナイノデアリマス、
斯ク考ヘテ來マスルト、ドウシテモ此ノ問
題ガ目下ニ於テ急務中ノ急務デアルト云フ
ノ外ハナイノデアリマス、然ルニ之ガ政府
ノ監督指導機關ト云フモノハ、各省ニソレ
ゾレ思想問題ニ付テノ職責モゴザイマシテ、
殊ニ大東亞戰爭後ト云フモノハ、其ノ範圍
ガ從前ニ比シマシテ非常ニ擴大シ來ッタノ
デアリマス、然ルニモ拘ラズ各〓分立ノ弊ガ
アルカノ如ク見エマシテ、之ヲ具體的ニ統
一 、互ニ各省ノ連絡ヲ執ル上ニ於キマシ
テハ、尙未ダ遺憾ノ點ガ少クナイヤウニ痛
感ヲ致シテ居ル者ノ一人デアリマス、故
此ノ際政府ハ斷乎トシテ之ガ中央ノ統一機
關ヲ確立セラルヽト云フコトガ最モ急務デ
アルト確信致シマス、文部大臣ハ此ノ重要
ナル思想問題ノ機構ニ付キマシテ、先般衆
議院ノ大日本育英會法案ノ委員會ノ席上ニ
於テ、或委員ノ質問ニ御答ニナッタコトヲ
速記錄ニ依ッテ拜讀致シマスルト、文部大臣
ノ御說ニ、政府ノ部內ニモ文部省ガ推進力
トナッテ各方面ニ對シテ働キ掛ケヲスルト云
フ點ニ於テ、文部省ハ出來ルダケサウ云フ
方面ニ力ヲ致ス考デアルト斯ウ御答ニナッタ
ヤウデアリマスガ、私モ今日ノ實情ニ照シ
マシテ、其ノ御答辯ハ一應ハ尤モトハ存ジ
マスルガ、併シナガラ時代ハ到底斯クノ如
キ御言葉中ノ出來ルダケト云フヤウナ微溫
的ノコトヲ許サヌ時代ニ遭遇シテ居ルノデ
ハナイカト思フノデアリマス、此ノ點ニ付
テハ定メテ文部大臣ニ於キマシテモ實際上
ハ御同感デアラウカト察スルノデアリマス、
元來此ノ思想問題ガ多方面ニ亙ッテ居ルノ
ハ當然デアリマス、其ノ爲ニ其ノ實行方法
ガ誠ニ困難デアルト云フ、斯クノ如キ御答
辯ノアッタコトハ十分ニ私モ御察シ申スノデ
ゴザイマスガ、併シ斯クテハ實行力ガ伴ヒ
マセヌカラ、此ノ際是非共速カニ官制ヲ以
テ何處カ一箇所ニ集中ヲサレルト云フコト
ガ最モ必要ト存ジマス、或ハ總理大臣直屬
說モゴザイマセウ、或ハ文部省中心說モゴ
ザイマセウ、或ハ內務省ガ地方長官ヲ統轄
致シテ居リマスルカラ此ノ方面ニ統一サセ
タラト云フヤウナ說モゴザイマセウ、何レ
モソレ〓〓理由ガナイデモゴザイマセヌ、
併シサウ議論ヲ致シテ居リマスルト殆ド限
リハゴザイマセヌカラ、結局大乘的ニ何處
カデ、小異ヲ捨テテ大同ニ就キマシテ、
本ニ統一ヲ致シマシテ、サウシテ各省ニ各、2
ノ立場ガゴザイマスルカラ、ソレハソレデ
宜シイカラ、其ノ連絡ヲ執リマスト云フコ
トガ最モ必要ナンデアリマス、其ノ方法ト
致シマシテハ、内閣トシテハ情報局ヲモット
擴大致シマシテ、內閣トシテデナシニ、寧ロ
「ドイツ」ノ如クニ思想問題ニ關スル獨立ノ
省ヲ設クルト云フコトモ一ツノ方法デアリ
W くり、又此ノ說ハ、大臣モ能ク御體驗ノア
ル如クニ、國民精神總動員中央聯盟ニ於テ
モ此ノ意見ハ度々出マシタ、是モ一ツノヤリ
方デアリマス、併シ實際問題トシテ、今日
サウ云フコトハ事情ガ許サナイ情況ニ在ル
ヤウニ私ハ察シマス、ソコデ文部大臣ノ衆
議院ニ於ケル御說ノ如クニ、文部省ニ統一
スルト云フコトガ最モ公平ナ適當ナ說デア
ラウト信ジマス、又内務省說モ立派ナ理由
ガゴザイマスルガ、元來社會〓育ナリ〓化
事業ノ如キ系統ノ事柄ハ沿革上元ハ內務省
ノ所屬ニ在ッタノデアリマスルガ、閣議
ノ決定ニ基キマシテ、靑年團ガ文部省ニ移
リマシタ當時、〓化ノ事業モ內務省ヨリ
文部省ニ移管セラレタコトハ御承知ノ通
リデアリマス、果シテ然リトセバ、是ハ文
部省ト內務省ノ關係ニ於テ、文部省ノ方ニ
移管サレタ以上ハ、文部省ガ、今日ノ制度
トシテ之ヲ改正シナイ限リハ、文部省ガ
當然オヤリニナルコトニナルノデアリマス、
思想問題ハ餘リニモ各省ニ關係ガアルカラ、
到底統一ハムツカシイト云フ反對議論モナ
イデモゴザイマセヌガ、私ハソレハ決心次
第デ出來ルト信ジマス、恰モ防空問題ガ、
各省ニ非常ニ關係ガアリマシテ、之ニ付テ
モ内閣直屬說、或ハ「ドイツ」ノヤウニ航空大
臣モ出來テ、軍防空ト民防空ヲ打ッテ一丸
トスル說ガアル、色々ノ說ガ我ガ國デモ是
迄アルノデアリマス、是モ議論ヲスレバ各、〓
理由ハ立チマセウ、結局此ノ問題ニ付キマ
シテハ、御承知ノ如クニ、近クハ愈〓内務省
ニ統一スルコトニ相成リマシテ、各省大臣
ハソレ〓〓主務大臣ト致シマシテ持場々々
ニ於テ防空上ノ事ニ關係ヲ致シテ居リマス、
併シ結局內務省ノ今囘新設ノ防空總本部ニ
於テ、之ヲ統一致シマシテ、各省ト連絡ヲ執
ルト云フコトニナッタコトハ御承知ノ通リデ
アリマス、是ト同樣ニ思想問題ハ各省ニ關
係ガアルノデアリマス、既ニ文部省ガ思想
問題ノ元締デアル以上、新タニ官制ヲ御發布
ニナッテ、ハッキリト文部大臣ガ之ヲ行フコ
トハ、恰モ防空問題ニ於テ內務大臣ノ如ク
ニ爲サルヤウニ、致府ニ於テ御決行ヲ希望
致ス次第デアリマス、斯ウ云フコトニ對シ
マシテ、文部大臣ノ御高見ガ如何デアラウ
カト云フコトヲ承リタイノデゴザイマス、
尙此ノ場合ニ付加ヘテ置クコトヲ御許シヲ
願ヒタイ、國民思想ノ問題ハ、結局所謂俗
ニ申上ゲル、是迄ノ社會〓育ノ問題デアリ
マスル以上、社會〓育ト言ヘバ社會〓化ト
モ稱シ得ベキコトト存ジマス、ソコデ曩ニ
ハ御承知ノ如クニ小橋文部大臣ノ時代ニ於
キマシテ、初メテ全國ニ向ッテ〓化總動員
運動ヲ行ヒマシタ、然ルニ當時非常ニ歡迎
サレマシテ、ドウカ度々總動員ヲ行ッテ吳レ
ト云フ意見ガ〓化團體カラ盛ニ出タノデア
リマス、文部省ガ其ノ時ニ言ハレルノニ、
總動員ハ注射ヲスルヤウナモノデアルカラ
サウ度々ヤッテハ總動員ニナラヌ、效キ目
ハナイ、ト云フウマイコトヲ仰ッシヤッタノ
デアリマシタ、ケレドモ皆ソレヲ希望シタ
ノデアリマス、ソンナ關係モゴザイマシタ
ラウガ、茲ニ新タニ文部大臣モ永ク理事長
トシテ御貢獻ニナリマシタ所ノ、國民精神
總動員中央聯盟ガ生レルコトニナリマシテ、
此ノ席ニ御列席ノ安井委員ノ如キモ、當時
ノ文部大臣トシテ非常ニ御盡力ニナッタノ
デアリマス、私モ及バズナガラ創立後永ク
關係ヲ致シテ居ッタ者ノ一人デアッタノデア
リマス、其ノ後幾變遷、御承知ノ如クニ内
閣ハ官制ヲ發シマシテ、內閣ニ委員ヲ置キ
マシテ、國民精神總動員中央聯盟ノ理事長
ヤ、貴族院議員等ノ中カラモ委員ヲ任命ス
ルコトニ相成リマシテ、其ノ官制ノ中ニモ、
委員長ハ閣僚ノ一員ヲ以テ之ニ充ツト云フ
コトニ相成リマシテ、當時ノ荒木文部大臣
ハ其ノ閣僚ノ一員トシテ、此ノ聯盟ノ委員
長ニナラレマシタ點カラ申上ゲマシテモ、
當時國民思想ノ問題ハ事實上文部省ガ中心
トナッテ居リタルノ觀ガアッタノデアリマス、
然ルニ其ノ後時代ノ變遷ハ、茲ニ新タニ精
動ニ代リマスノニ大政翼贊會ノ發生ヲ見ル
ニ至リマシテ、首相ガ之ガ總裁トナラレマ
シタ爲ニ、一見如何ニモ內閣直屬デアッテ
情報局ガ中心デアルヤウナ工合ニナッテ居
リ、又事實今日サウナッテ居ルノヂヤナイ
カト思ハレルノデアリマスルガ、併シ私共
間違ッテ居ルカモ存ジマセヌガ、チヨット考
ヘル所ニ依リマスルト、總裁ガ首相ダカラ
シテト云フコトニ囚ハレルコトハ斷ジテナ
イノデアリマス、旣ニ永イ間文部省ガ、官
制ノ上カラ玆ニ傳統的ニ社會〓育ト云フコ
トヲ標榜シテ居ルノデアリマス、現在ハ又
〓學局ニハ思想課ヲ御設ケニナル、又國民
〓育局ニハ前ノ社會〓育局ノ中ニ靑少年
ノ〓化事業ガアッタト同ジヤウニ、今囘モ引
續イテサウ云フ官制ニ今日ナッテ居ルト云
フコトニ鑑ミマシテモ、常識上カラ言ッテ
モ、ドウシテモ文部省ガ中心トナルベキモ
ノデアラウト存ジマス、總理大臣ガ總裁ニ
ナッタカラト言ッテ、内閣ニ屬セナケレバナ
ラヌト云フコトハ斷ジテナイノデアリマシ
テ、之ヲ〓育審議會ノ例ニ照シマシテモ
官制上首相ガ總裁トナッテ居ラレタニモ拘
ラズ、事實上文部省ガ中心トナッテ立派ナ
ル成績ヲ擧ゲ來ッタノデアリマス、然ラバ
總理大臣ガ總裁ダカラト云フコトハ斷ジテ
ナイノデアリマス、以上ガ私ノ新官制ヲ御
設置ニナッテ、防空問題ノヤウニ此ノ際御
決行ヲ願ヒタイト云フ意見デゴザイマス、
尙此ノ場合ニ一言中央〓化〓體聯合會ト
大政翼贊會トノ關係ニ付テ申上ゲテ置キタ
イト存ジマス、此ノ席ニハ多數此ノ方面ニ
御關係ノ方モ御列席ニナッテ居リマス、同會
ハ御承知ノ如クニ、二十年來國民思想ノ向
上ノ爲ニ力ヲ致シ來リマシテ、殊ニ今日ノ
隣組常會ノ達成ヲ圖リ來ッタコトハ御承知ノ
通リデゴザイマシテ、大臣モ非常ニ本協會
ノ事業ニ付テ御共鳴下サッタコトハ一同誠ニ
感謝致シテ居ルノデアリマス、同會ト大政
翼賛會トノ關係モ、一時多少問題モアリマ
シテ、政府ハ兎角何デモ近來統制々々トヤ
ラレルノデ、中央〓化團體聯合會モ大政翼
贊會ト一〓ニナッタラ宜カラウ、チヨット尤
モ千萬デ、私共ハ一〓ニナルナラバ一緒ニ
ナッテ國家ニ盡ス、中央〓化團體聯合會ハ區々
タル考ハ持タチイ、國家ノ爲ニ支障ガア
レバ合體シテモ宜シイト云フ私ハ一個ノ考
ヲ持ッテ居ッタノデアリマス、然ルニ政府モ
段々御考ニナリ、大政翼贊會モ段々御考ニ
ナッテ、是ハ合併ヲセナイデ其ノ儘ニヤッテ居ッ
タ方ガ、能率上宜イダウト云フヤウナコト
カラ、只今ノ所デハサウ云フ空氣モ餘リナ
イカノ如ク察セラレテ居ルノデアリマス、
ソレデ私ノ多年ノ體驗上、文部省ハ大イニ
此ノ會ヲ御活用アッテ然ルベキコトト存ジマ
スサウシテ此ノ上ナガラ活キタル所ノ〓
化事業、思想問題ノ達成ニ邁進セラレムコ
トヲ心カラ希望致スノデアリマス、私ハ只
今此ノ會ノ第一線ニハ立ッテ居リマセヌ、唯
顧問トナリマシテ時々地方ヘモ參リマシテ
出來得ルダケ地方ノ活事情ニ接シタイト念
願シテ居リマシテ、近日モ群馬縣ニ三日間
バカリ參ル積リデ居リマス、ソンナ關係カ
ラ、此ノ隣組常會等ト云フモノハ非常ニ思
想問題ノ根本問題ニナルノダカラト云フノ
デ、私ハ度々此ノ貴族院ノ本會議ヤ或ハ委
員會ノ席上ニ於キマシテ、御迷惑トハ存ジ
マシタガ、實ニ屢〓此ノコトヲ强調致シマ
シタ、當時常會ト云フヤウナコトガ一般ニ
分ッテ居リマセヌデ、如何ニモ私ガ常會ノ話
ナドヲスルトサッパリ共鳴者ガ少カッタノデ
アリマス、貴族院ノ速記者ハ割合ニ····割
合ト云フト失敬デスガ上手ナ筈デアリマス
ルガ、常會ト云フ言葉ガ矢張リ分ラヌト見
エマシテ、三水ニ爭フ、淨ト云フ字ガ速記
ニモ出テ居ルノデアリマス、又議員ノ御方
モ何ダカ盛ニ、常會ダノ言フガ何ノコトダ、
私ハ常會ノ說明モシタガナカ〓〓受ケ入レ
ラレナイヤウナ狀況デアリマシタ、徒ニ過
去ノコトヲ申スノデハナイガ事實ハサウデ
アッタ、處ガ文部省ガ非常ニ此ノ中央〓化團
體等ヲ能ク指導サレマシテ、中央〓化〓體
聯合會モ文部省トノ提携ガ非常ニ密デアリ
マシタ爲ニ、益〓常會ト云フモノガ盛ニ相
成ッタヤウナ實情デアッタノデアリマス、處
ガ最近ニ於ケル隣組常會ハ、御承知ノ如ク
ニ國民常會ト云フ言葉ニナッテ、全國的ニ迄
ナッテ常會ト云フコトハ殆ド常識ニナッテ參
リマシタ、處ガ思想問題ト常會ノ關係ト云
フモノハ影ガ餘程薄イノデアリマス、隣組
常會ト言ヘバ配給常會ノヤウニナリマシテ
成ル程經濟ノコトモ大切デセウ、配給ガ惡
イトハ申シマセヌ、便利デアリマス、ソコデ
餘程思想問題ヲ此ノ常會ニ······文部省ガ陣
頭ニ立タレテ中央〓化團體ヲ能ク御善用
ナサル、今日之ヲ御善用ニナルト云フコトガ最
モ必要ナ時機ニ遭遇シテ居ルモノト存ジマス、
以上ガ私ノ第一ノ思想問題トシテ中央機關ノ
設立ノ問題ト、中央〓化團體聯合會ニ付テノ
コトモ申上ゲタ次第デアリマス、序ニ私ノ質問
ヲ續ケサセテ戴キタウゴザイマス、次ニ第二
ノ問題トシテ御伺ヒ致シタイコトハ大日本育英
會法案ニ付キマシテ、家庭的輔導對策トシテ
ノ寄宿舍制度ノ確立問題デアリマス、法案
中ノ第一條ニ「優秀ナル學徒」ト云フ文字ガ
アリマスルガ、是レ迄長イ間秀才〓育ノ必要
ト云フコトガ叫バレ來タッテ居リマスノデ、
動モ致シマスルト、此ノ「優秀ナル學徒」ト
云フ言葉ハ先天的ニ優秀ナル頭腦明皙ナ知識
ノ卓越者ニ偏スルノ誤解ヲ生ジ易イノデア
リマス、ソコデ昨日モ段々之ニ付テハ御當局
ニ於カレテモ、人格ト云フコトガ大變必要
ナンデアッテ唯知識ノ問題バカリデハナイト
云フ御答辯ガゴザイマシタノデ、其ノ御趣旨
ハ一應ハ諒承ヲ致シタノデアリマス、併シ萬
一之ガ運用ヲ誤ルコトニナリマスルト一大事
デアリマスルカラ、玆ニ老婆心ノ爲一言致シタ
イコトハ、兎角道德問題ト知識ト云フ問題
ハ往々兩立シ難イト云フコトハ、今モ昔モ同
ジコトデゴザイマス、之ヲ思想問題ノ實驗上ヨ
リ申上ゲマシテモ、一時長野縣ニ於キマシテハ、
惡思想ガ〓育界ニ傳播致シマシタ、內情ハド
ウ云フ狀況デアッタカト云フト、縣下ノ秀才
ガ中央ニ留學ヲ致シマシテ、〓里ニ歸リマス
ルト、知識欲ニ富ンダ所ノ若イ學徒ハ其ノ東
京カラ歸ッタ所ノ者ヲ非常ニ歡迎ヲ致シマ
シタ、此ノ結果長野縣ノ當時ノ小學校卽チ今
ノ國民學校ナドニ於テ、盛ニ全國第一位ニ位
スベキ共產黨事件ヲ生ジタノデアリマス、其
ノ原因ヲ採ッテ見レバ、必ズシモ是ハ其ノ秀
才ノ學徒ダケノ罪デハナイノデアッテ、其ノ
根本問題ハ大學ヲ始メ中央ニ於テ赤化思想
ト云フモノガアッタコトガ基ニナッテ居ルノ
ハ申ス迄モナイノデアリマス、ソコデ私ハ
最近長野縣ニモ參リマシテ、是レ迄モ度々
參ッテ居リマスガ、昔ノコトト今日ノコトヲ
較ベマシテ、今日ハ非常ニ狀況ガ變ッテ來マ
シテ、誠ニ今昔ノ感ニ堪ヘザルモノガアッタ
ノデアリマス、此ノ體驗カラ、萬一ニモ將來
此ノ法案第一條ノ「優秀ナル學徒」ト云フ所
ノ意味ガ誤解サレマシテ、道義心ノ方面ヲ
輕ク視ルト云フヤウナコトニナリマシタナ
ラバ大變ナ大キナ問題ヲ生ズルノデアリ
マス、元來第一條ニ「學資ノ貸與」トアリマス
ガ、貸與デアル以上ニハ返スト云フコトハ
道德上當然ノコトデアリマス、然ルニ萬一
ニモ借リ倒シヲスルヤウナ如キ惡例ヲ將來
ニ貽スヤウナコトニナリマスルト、容易ナ
ラヌコトデアリマス、惡イ例ヲ貽スコトニ
ナリマス、他ノ此ノ種ノ團體ニ於キマシテ
モ、借リ倒シノ例ハ尠クナイノデアリマス、
私共モ長ク私ノ縣ノ育英團體ノ方ニ五十年
モ關係シテ居リマス、今モ關係ヲ持ッテ居リ
マスガ、比較的借リ倒シノ少イ方デアリマ
スガ、多イ所ガ澤山アルノハ御承知ノ通リ
デアリマス、ソンナ細カイコトハ申上ゲマ
セヌガ、兎ニ角是非共創業ノ際ガ大切デア
リマスカラ、借リ倒シノナイヤウニスルト
云フコトニ、道德上非常ニ厲行シナケレバ
ナラヌ必要ガアルノデアリマス、此處ニ私
ハ貴重ノ時間ヲ費シテコンナコトヲ申上ゲ
ルノハ恐縮デハゴザイマスガ、昔ノ武士ガ
證文ニ「若シモ何時々々迄ニ返金ヲ致サザル
時ハ御笑ヒ下サルベク候」書イタト云フコト
ガ傳ハッテ居リマス、此ノ精神コソ日本精神
デアリマス、此ノ意味ニ於テ、特ニ最初ノ貸與
者ガ自ラ後進ニ對シテ範ヲ示サナケレバナ
リマセヌ、サウシテ是迄ノ惡イ慣習ヲ打破ツ
テ、昔ノ武士ノ精神デアッテコソ本當ノ德義
上ノ人格者デアリマスカラ、サウ云フ者ヲ
御選定ニナリマセヌト、頭ダケ良イダケデ
ハ何モナリマセヌ、ソコデ私ハ家庭的輔導
對策トシテノ寄宿舍制度ノ確立ヲ熱望スル
所ノ一人デアリマス、十六條ニ、「學資ノ貸與
ヲ受クル學徒ノ輔導」ト云フ、「輔導」ト云フ
コトガゴザイマス、偖テ輔導ト云フコトガ
大問題デアリマスガ、昨日モ段々此ノ輔導
ト云フコトニ付キマシテ御話ガゴザイマシ
ク、ゴザイマシタガ、實行問題トシテハナ
カナカ容易ノ問題デアリマセヌ、私モ長イ
間育英團體ニ關係シ、寄宿舍ノ方ニモ關係
シテ居リマス、創立者デアリマス、五十年
前カラ、今日モ關係ヲ致シテ居リマス、其
ノ體驗上カラ色々ノ事ヲ痛感シテ居ルモノ
デアリマス、其ノ內容ハ申上ゲマセヌガ結
論ト致シマシテ、ドウシテモ起居進退ヲ共
ニ致シマセヌ以上ハ、輔導ノ實ヲ擧ゲ得ル
モノヂヤゴザイマセヌ、起居進退ヲ금관리
シテスラ尙且容易ノモノヂヤナイノデアリ
そく、昔ノ塾ノ問題デモ分リマス、又近來
盛ニ鍊成ト云フコトガ唱ヘラレ、又道場ト
云フヤウナコトモ多年ノ問題ニナッテ、相當
ノ成績モ上ッテ居ルヤウデゴザイマス、只今
私ガ寄宿舍ナドト申シマシタガ、今日ノ經
濟狀態デ建築ナゾノ非常ニ困難ナル時代ニ
不用心ノコトヲ言フト云フヤウナ考ガチ
ヨット出ルカモ存ジマセヌ、今囘ノ戰爭ト同
ジヤウニ「アメリカ」式ニ大量デヤレバ何デ
モ宜イト云フノハ大間違デアルト同ジヤウ
二、今度ノ育英問題モ徒ニ大量主義ヲ取ラ
ナイデ、餘程此ノ輔導ノ方法ガ完全ニナル
コトヲ御考ニナッテ居ラレルコトガ非常ニ必
要デアル、斯ウ云フ意味カラ、私ハ此ノ育英
ノコトニハ、起居進退ヲ共ニスル所ノ寄宿
舍ト云フモノガ必要條件デアルト云フコト
ヲ、主張スルノデアリマス、從ッテ十六條ノ
四ニ「前各號ノ業務ニ附帶スル業務」トアリ
マスガ「附帶スル」デハナイ、私ニ言ハセル
ト必要條件デアルト迄之ヲ强ク主張致シタ
イノデアリマス、サモナイト、徒ニ口ニハ
家庭的ト稱シマシテモ、眞ニ起居進退迄ノ
コトガ行ハレマセヌケレバ、其ノ實ガ擧ガ
ルモノデハナイト云フコトヲ、重ネテ申上
ゲルノデアリマス、願ハクハ今カラ速カニ
寄宿舍ノ出來ルヤウニ準備ヲ願ヒタイ、經
費ノ上ニ於テ多少減少サレテモ、又建物ノ
惡イノハ「バラック」デモ宜シイ、サウシ
テ彼等ヲシテ獨立獨行、自炊サシテサウシ
テ本當ノ獨立精神ヲ起サシテ、之ヲ指導セ
ラレテコソ、效果ガ擧ルノデアリマス、
ソレニ付テハ矢張リ寄宿舍ニ入レマセヌ
ト鍊成ガ出來ナイト私ハ信ジマス、此ノコ
トニ付テ御高見ヲ承リタイト存ジマス、
終リニ第三段ニ申上ゲタイコトハ、御承知
ノ如クニ、從來各府縣或ハ都市ナドニ於
テ、或ハ法人ヲ以テ、或ハ非法人ヲ以テ、
全國ニ種々ノ私立的ノ育英團體ガアリマシ
テ、防長育英會ヲ初メ到ル處ニ色々ノ會ガ
出來テ居リマシテ、此ノ委員ノ御方デモ澤
山御關係ノアルコトト存ジマス、ソコニ又
日本ノ家庭愛、〓土愛ノ一種言フベカラザ
ルノ妙味ガアルノデアリマス、又幾多ノ人材
ガ是等ノ育英團體カラ出マシテ、如何ニ後身
ヲ感憤奮起セシメテ居ルカト云フコトモ、
今更申上ゲル迄モナイノデアリマス、ソコ
デ是等ノ會ノ將來ノ存立問題ト云フモノハ、
私共ノ長イ間ノ體驗上カラ非常ニ重要ナ問
題ト存ジテ居リマス、私ガ今日知ル限リニ於
テ、今囘特別法人ガ出來ルコトニナリマシタノ
デ、非常ニ心配シテ居ル者ガ多イノデアリ
マック。丁度社會事業ノ問題ニ付テ、非常ニ
社會事業團體ガ一時心配致シテ、今多少落
チ付キ掛ッテ居ルノト同ジヤウニ、ナカ〓〓
心配致シテ居ルノデアリマス、モウ我々ノ
團體ハ駄目ダト云フコトデ、隨分氣ヲ腐ラ
シテ居ル所ノ方面モゴザイマス、是ハ一大
事デアリマス、ソコデ昨日モ此ノ問題ニ付
テ段々御當局カラ種々具體的ニ、イヤ立派
ナモノハ存在シテ置ク積リデアル、又モノ
ニ依レバ、向フカラ合流ヲ希望シテ來ルモ
ノモ段々アル、モノニ依ッタラバ臨機應變
ニ合流モサセヨウト云フヤウナ意味ノ御深
切ナル御答辯ガゴザイマシタ、ガ、秀才ヲ
取ルト云フト滓ガアトニ殘ルト云フコト
ニナル、其ノ誤解ガ大キイ、滓ガ殘ッテハ
國家ノ爲ニ工合ガ惡イ、滓ニナラヌヤウニ
ヤラナケレバナラヌ、ソコニ苦心ガ要ル、
若シモサウ云フヤウナ、外ノ團體ガ影ガ薄
クナルト云フコトハ、杞憂ニ堪ヘナイノデ
アル、ソコデ文部省ハ之ニ對シテ明確ニ御
方針ヲ聲言サレテ、彼等ニ一時モ早ク安心
ヲ御與ヘ下サルコトヲ切ニ希望致ス次第デ
アリマス、旣ニ斯ウ云フモノガ存立シテ
居ッテ相當貢獻ヲシ來ッテ居リマス以上ハ、
國家ハ私立學校ト同ジヤウニ之ヲ御奬勵ニ
ナルノハ當然過ギル問題デアリマス、ソコ
デ將來文部省ハ、是等ノ團體ニ對シテ、單
リ物質上ノミナラズ精神上ヨリ之ヲ御奬勵
ニナルコトガ最モ必要デアラウト思フ、私
ハ豫テカラ文部省デモモット斯ウ云フ方面
ノ團體ヲ御奬勵ニナルコトヲ熱望致シマシ
タ餘リ、〓育審議會ノ特別委員會ノ席上ニ
於テモ、文部當局ニ向ッテ希望ヲ申述ベマシ
ク、其ノ要領ハ、彼等ノ團體ノ代表者ヲ文
部省ニ御集メニナッテ、ソレデ彼等同士ニ互
ニ意見ノ交換ヲサセルヤウニナサレルト、
長所ヲ採リ短所ヲ補ッテ大變志氣ヲ鼓舞ス
ルコトニナリマスルト云フコトヲ申上ゲタ
ノデアリマシタガ、今尙其ノ點ハ其ノ儘ニ
ナッテ居リマス、ソレデ此ノ問題ハ、成ル程
各府縣ニ關係ガアルノデ、地方長官ガ餘程
熱心ニナッテ、一面ニ於テハ其ノ管內ニ於ケ
ル所ノ育英團體ヲ集メマシテ、志氣ヲ鼓舞
スルト云フコトモ勿論必要デアリマセウ、
又是ト同時ニ、文部省ガ其ノ代表者ヲ御集
メニナッテ、ソレデ之ヲ激勵ナサレルト云フ
ヤウナ方法モ必要デアラウト存ジマス、殊ニ
今日丁度大日本育英會ノ設立ノ時機デアリ
マシテ、好時機デゴザイマスルカラ、何卒
斯ウ云フ點ニ於キマシテモ御考慮ノ上、適
當ニ物質上及ビ精神上ニ是等ノ方面ヲ激勵
セラレムコトヲ希望致スノデアリマス、此
ノ點ニ付キマシテ又御高見ヲ承ルコトガ出
來レバ幸ヒト存ジマス、以上三問題ガ私ノ
御尋ネ致シタイト云フ要領デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=2
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003・岡部長景
○國務大臣(子爵岡部長景君) 松井委員ノ
御質問ニ對シテ御答ヘ致シマス、第一問ニ
付キマシテハ衆議院ニ於テモ同樣ナ御質
問ガ强力ニ發セラレマシテ、思想參謀本部
ト云フヤウナ體制ノモノヲ作ッテ思想〓化
ノ中心機關トシタラドウカト云フヤウナ御
質問モゴザイマシテ、ソレヲ總理ニ傳ヘテ
吳レト云フ御傳言モ承ッタ譯デアリマス、至
極御意見ノアル所ハ御尤デアリマスルガ、
先程御話ノ中ニアリマシタヤウニ、思想ノ
關係ト云フモノハ、各省ソレ〓〓色々ノ面
カラシテ關係ガアルノデアリマシテ、所謂
是ハ立場々々ニ依ッテ議論ヲスレバ際限ノ
ナイコトデアルガ、小異ヲ捨テテ大同ニ就
クト云フ氣持ヲ以テヤラナケレバイケナイ
ダラウト云フ御意見ハ、モウ其ノ通リト存
ズルノデアリマスルガ、唯ソコニ矢張リ私
ハ思想問題ガ旣ニアルノデ、ソレヲアッサリ
大同ニ就キ得ルヤウナコトデアレバ誠ニ結
構デアリマスルガ、ドウモナカ〓〓此ノ小
異ヲ捨テニクイト云フ所ニ大體思想問題ガ
アルノデアリマシテ、ソレヲ矢張リ或程度
迄ハ打破シ、或ハ善導シテ行カナケレバ、
大同ニ就クト云フ所迄來ナイノデアリマ
ス、今ノ思想參謀本部ト云フヤウナモノヲ
作ッテヤリマスト云フコトハ一ツノ形ヲ作
ル、是ハ形ハ出來マセウガ、ドウモ矢張リ
ソコニ魂ガ入リ、又ソレヲ官民ヲ通ジテ國
民全體ニ滲透サセルト云フコト、是ガ實績
ヲ擧ゲルコトニ付テハ相當努力······相當ド
コロデハアリマセヌ、非常ナ努力ヲ拂ハナ
ケレバナラヌコトデアルト考ヘテ居ルノデ
アリマシテ、先般······チョット速記ヲ止メ
テ戴キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=3
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004・野村益三
○委員長(子爵野村益三君) 速記中止
〔速記中止〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=4
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005・野村益三
○委員長(子爵野村益三君) 速記開始発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=5
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006・岡部長景
○國務大臣(子爵岡部長景君) ソレデ要ス
ルニ思想ノ問題ハ、唯形バカリ、或ハ唯運
動ヲヤッテ居ルダケデハナカ〓〓滲透シナ
イノデアリマシテ、又ソコニハ或ハ情報局、
翼贊會等ニ於テモ相當矢張リ色々ナ國民運
動ヲ展開シテ指導モシテ居ル譯デアリマス、
又各省ニ於テモソレ〓〓所管事項ノ關係ニ
於テ色々者慮サレテ居ル譯デアリマスガ、
先ヅ此ノ思想ハ、何ト申シマシテモ唯皮相
的ナ宣傳運動デハナカノ〓魂ガ入リマセヌ
ノデ、ドウシテモソコニ思想的ノ根柢カラ
ハツキリシタモノガナクテハ力强イ指導ニ
ハナリマセヌノデ、此ノ思想ノ根柢ヲ培フ
ト云フコトハ、何ト申シマシテモ文部省デ
ヤラナケレバナリマセヌコトデアリマス、
之ノ無イ運動ハ唯空虛ナ運動、皮相的ナモ
ノニナッテシマヒマスカラ、其ノ意味ニ於テ
文部省ガ是ハ當然ヤラナケレバナラヌ仕事
デアリマス、サウ云フ關係カラ、今囘ノ豫
算ニ於テモ百數十萬圓ヲ要求致シマシテ、
是ガ成立スレバ、思想問題ニ付テモ文部省
トシテハ從來ヨリハ大分面目ヲ一新シタ仕
事ガ出來ルト考ヘテ居リマシテ、一昨日デ
アリマシタカ、政府委員カラ具體的ニ御說
明申上ゲマシタヤウナ色々ナ仕事ヲ考ヘテ
居ル譯デアリマス、併シ之ニハ固ヨリ種々
ノ面ガアリマシテ、第一官吏自體ノ思想問
題カラシテ矢張リ十分根柢ヲ固メテ行カナ
ケレバナラヌコトハ勿論デアリマスルシ、
國民一般ニ對シテハ尙更其ノ必要ガアルノ
デアリマシテ、中央〓化團體聯合會ノ如キ、
數十年ノ沿革ヲ持チ、非常ニ全國的ニ組織
ノ出來タ團體ナドハ、斯ウ云フ際ニハ大イ
ニ活動シテ戴カナケレバナラヌト考ヘテ居
ルノデアリマス、殊ニ關係者ハ無論、〓化
事業ニ非常ニ興味ヲ持ッタ方ガ大體其處ニ
加ッテ居ラレルノデアリマスルカラ、今後矢
張リ思想、〓化、啓發ト云フヤウナ問題ニ
ハ、此ノ團體ノ方々ニハ大イニ御協力願フ
必要ガアルト考ヘマスルノデ、今ノ御話ノ
通リ、文部省トシテモ相當此ノ團體ニハ期
待ヲ掛ケテ居ル譯デアリマス、是ハ今ハ各
町內會、或ハ部落會、更ニ小サク隣組常會
等ニ於テ、是ハモウ御話ノ通リ、此ノ〓化
團體聯合會デ從來主張シテ居ラレタモノ
ヲ、國民精神總動員時代ニモ我々〓ヘテ戴
イテ、實踐班ト云ッテ採リ入レタリシタ譯
デアリマシテ、是ガ非常ニ急速度ニ全國的
ニ普及シタ譯デ、〓化事業團體ハ能ク指導
スレバ相當有效ナモノト考ヘテ居リマス、
動モスルト、唯形式的或ハ物質的ナコトニ
趨リ易イノデ、ドウモ其ノ魂ガ拔ケテ行キ
ハシナイカト云フコトヲ心配シテ居ル譯デ
アリマス、併シ御說ノ通リ思想運動ノ中心
ヲハッキリサセルト云フコトハ望マシイコト
ト思ッテ居リマスノデ、衆議院カラノ依賴モ
アッテ、總理トモ能ク相談致シタイト考ヘテ
居リマスルガ、今日ノ處、マダ具體的ナ進
捗ハシテ居ラナイノデアリマス、併シ文部
省ノ關スル限リハ、文〓方面ニ於テハ、今
ノ思想問題ハ相當强力ニ採リ上ゲテ行カナ
ケレバナラヌ、又行カウト準備ヲ進メテ居
ル譯デアリマス、ソレカラ次ニハ「優秀ナ
ル學徒」ト云フ此ノ育英會法案ニアリマスル
第一條ノ規定ハ、御話ノ通リ、此ノ優秀ト
云フノハ兎角秀才、唯學校ノ成績ガ良イ、
學業ノ成績、學科ノ成績ガ良イト云フヤウ
ナ風ニ取ラレ易イト云フコトハ、御說ノ通
リデアリマス、是ハ我々初メカラサウ云フ
風ナ所謂秀才病ニ取憑カレタト云フヤウナ
型ノ人デハ困ル、人格又體格、自然健康ナ
ル精神ノ宿ルヤウナ體格ヲ持ッタ者デナケ
レバ困リマスシ、思想的ニ見マシテモ、立
派ナ人間、國家ノ有用ノ材ニナルヤウナ者
ヲ選ンデ育英ノ對象トスルト云フコトハ十
分徹底サセルヤウニシテ居リマス、是ハ今ノ處
ソンナ間違ヒハナイト考ヘテ居リマスルガ、
貸シ倒レニナルヤウナコトデハ大變デアル
ソレハ御說ノ通リデアリマシテ、從來種々
ノ團體ガ斯ウ云フヤウナ育英事業ヲヤッテ
居ラレタ場合ニハ、色々ナ事情モアリマシ
タラウガ、兎ニ角國家的ナ非常ナ施設トシ
テ是ガヤラレルノデアリマスルカラ、サウ
云フヤウナ不心得ナ者ニ對シテハ制裁ノ方
法ハ幾ラモアルト考へマスルノデ、普通ノ
私ノ團體ガ數十人或ハ數百人ト云フヤウナ
程度ノモノヲヤッテ居ル場合トハ餘程違フ
ト考ヘマス、マア一例ヲ以テ言ヘバ、若シ
出タ者ガ役人ニナルト、是ガ借リ倒シヲス
ルト云フヤウナコトハ想像出來ナイト思フ
ノデアリマス、併シ衆議院デモ斯ウ云フ意
見ガアリマシテ、マア返スト云フコトニナ
ルノダト何カ收入ノ途ヲ計ルヤウナ所ヘ就
職シナケリヤ返セナクナルヂヤナイカ、併
シ秀才ハ必ズシモ月給取リニナル、或ハ事
業ヲヤル人バカリデナク、ソンナニ收入ナ
ドノナイ崇高ナ又色々國家的ナ使命モアル
ダラウ、サウ云フヤウナ方面ニ行ク人ハ返
スコトガ出來ナクナルデハナイカト云フコ
トヲ言ッテ居ラレマシタガ、是亦御尤モナ考
ヘ方ト思フノデアリマス、ソレニ對シテハ
又別途ニサウ云フ方法ヲ講ジナケレバナラ
ナイト、是ハマア全部給付デヤルコトニ致
シマスレバ、又色々弊害モアリマスルシ矢
張リ獨立ナ氣持ヲ十分ニ持タス、依賴心ヲ
餘リ强クサセナイト云フ見地カラ、返ス義
務ハ感ジテ居ッタ方ガ宜カラウト考ヘテ居
ル譯デアリマス、又範圍カラ申シマシテモ、
遺リッ切リノ金デアッタナラバ限度ガアリマ
ス、返スト云フコトニナリマスレバ又循環
シテ、計算デモ御覽ノ通リ四十年目ニハ
スッカリ充實シテ、後ハ循環シテヤッテ行
ケル、三十萬人前後ノ人間ガ絕エズ給費ヲ
受ケルコトガ出來ルト云フコトニナリマス
レバ、國家ノ將來ノ爲ニ大イニ貢獻スルダ
ラウト考ヘテ居リマス、只今ノ優秀ナル者
ハ道義心ヲ十分强クスル必要ガアル、從ッテ
補導ノ爲ニモ寄宿舍等ヲ設ケテ、大イニ家
族的ナ指導モ必要デアラウト云フ御意見デ
アリマシタ、今日ノ〓育ハ御承知ノ通リ國
民學校カラ專門學校ニ至リマスル迄、總テ學
校令ニ依ッテ「皇國ノ道ニ則リ」ト云フコトヲ
揭ゲテアリマスルノデ、今後ノ〓育ノ方針ハ
是デ以テ一貫シテ行クノデアリマスルカラ、
優秀ナル者トシテ選バレタル者ハ、皇國ノ
道ニ則ラナイヤウナ者ハ資格ハナイ譯デア
リマス、唯寄宿舍デ以テ補導スルト云フコ
トモ、補導ノ事業ノ一ツトシテ考ヘテ居リ
マスルガ、何分ニモ非常ナ數デアリマスル
カラ、之ヲ相當數寄宿舍へ收容スルト云フ
コトハ、ナカ〓〓是ハチヨット出來難イコト
デアリマス、寄宿舍ニ收容スルト云フコト
ガ、エライ家族主義的ナ輔導ガ果シテ能ク
出來ルカドウカ、最モ家族主義的ナ輔導ハ、
家庭ニアルノガ一番良イデハナイカトモ考
ヘルノデアリマス、併シ寄宿舍等モ無論非
常ニ必要デアリ、殊ニ〓里ヲ離レテ東京ト
カ都會へ來ル人間ヲ、下宿屋ナドデ唯ゴロ
ゴロサシテ置クト云フコトハ、輔導ノ上ニ
於テハ決シテ望マシイコトデハアリマセヌ
カラ、矢張リ寄宿舍ト云フコトモ考ヘテ居
リマスルガ、併シ寄宿舍ガ最善ノ方法トモ
必ズシモ言ヘナイノデナカラウカト思ッテ
居ルノデアリマス、ソレカラ又衆議院ニ於
テノ一ツノ懸念ハ、是ハ金ハ貰フ、寄宿舍
ニハ置イテ貰フト云フト、一種ノ特殊ナ存
在ニナッテシマッテ、却テ其ノ人達ノ才能ヲ十
分伸バシ得ナイヤウナ妙ナ存在ニナッテシマ
ヒヤシナイダラウカト云フ懸念モアリマシ
タ、ソレハ少シ行キ過ギタ心配カトモ考ヘ
ラレマスルガ、ソンナヤウナ事モ、從來ノ
色々補助ヲ貰ッテ居ッタ學徒達ノ氣持カラ申
シマスルト、矢張リ多少考ヘテ置カナケレ
バナラヌ問題デアラウト思フ、或者ハ斯ウ
云フ給費ヲ受ケルコトヲ恥カシイコトノヤ
ウニ考ヘテ、人ニハ隱シテ置クト云フヤウ
ナ者モアルト云フ風ニ聞イテ居リマスルガ、
今度ノ育英會ニ依ッテ補助ヲ受ケル優秀ナ
ル學徒ト云フモノハ、恥カシガラレルヤウ
ナコトニハシタクナイ、之ヲ受ケルコトヲ
以テ恥カシイヤウニ考へサセルコトニハシ
タクナイ、寧ロ良イ意味ニ於テノ誇トスル
ヤウナ考、又大イニ責任ヲ感ジテ貰ハナケ
レバナラヌト思フノデアリマシテ、サウ云
フヤウナコトヲ色々考ヘ合セマシテ、育英
會ノ事業ト云フモノハ、萬全ヲ期シテ行キ
タイト思ッテ居ル譯デアリマス、ソレカラ從
來ノ育英團體ガ、斯ウ云フ大キナ育英事業
ガ國家的ニヤラレルト云フト、非常ニ肩身
ガ狭クナル、心細ク感ジテ居ル者モアルト
云フコトデアリマスルガ、是ハ資力ノ關係
ニ於テ、非常ニ違ヒガアルカラ何トナシニ
壓迫感ヲ感ズルト云フコトモアリ得ルゴト
カモ知レマセヌガ、此ノ會ハサウ云フヤウ
ナ結果ニハ決シテナラナイヤウニ、十分從
來ノ輔導團體ハ奬勵モシ、又助長モシテ行ッテ
宜イノデハナカラウカ、〓黨愛或ハ色々ノ
特殊ノ關係ニ於テ、非常ニ人情味ノ籠ッタ個
人的ノ育英團體ト云フモノハ、非常ニ意義
ノアルモノデアルト考へテ居ルノデアリマ
ス、先般來モ又今モ御話モアリマシタガ、
良イ者ハ皆育英會ノ方デ取ラレテシマッテ、
後ハ滓ガ殘ルト云フヤウナコト、是モマア
育英會ノ方ハ供給スル金ガ十分ニアル、私
的ナ諸、ノ團體ノハ十分ナコトヲシテヤレナ
イカラ、良イ者ハ自然育英會ノ方ニ行ッテシ
マフト云フ御懸念モ御尤モト思フノデアリ
そう、サウ云フコトハ我々モ聞イテ居リマ
スガ、併シ育英會ハ必ズシモ良イ者ヲ吸收
シテシマフト云フヤウナ考デハナク、色々
ノ個人團體ニ於テ、補助ヲシテ、ドウモ少シ
足リナイ、モウ少シ補助ヲシテ貰ヘバ非常
ニ〓育ヲ受ケル上ニ於テ都合ガ好イノダケ
レドモ、會トシテハサウ云フモノハ出シ切
レナイ爲ニ、ソレヲ補フト云フコトモ考ヘ
テ宜イダラウト申シテ居ルノデアリマス、ソ
レデアリマスカラ、先ヅ個人團體ノ方ニ於
テ或程度迄補助ヲシテ貰ヒ、足ラザル所ヲ
育英會ノ方ニ於テ補フト云フコトモ考ヘラ
レルト思フノデアリマス、サウナレバ此ノ團
體ナドハ非常ニ活キテ來ル譯デアリマス、良
イ者ヲ收容シ得ル譯デアリマス、特殊ノ地
方的ノ關係トカ、或ハ舊藩ノ關係トカ云フ
ノデ、特殊ノ人間ヲ世話ヲシテ、足ラザル
所ヲ育英會デ補フト云フヤウナコトモ、是
ハ考ヘ得ルコトト思フノデアリマス、從ッテ
從來ノ育英團體ガ肩身ノ狭イ思ヒヲスルト
カ、或ハ滓バカリニナッテシマフト云フヤ
ウナコトハ決シテナイト思ッテ居ルノデア
リマス、又此ノ育英團體ハ特殊ナ色々ナ事
情ノモノモアルダラウト思フノデアリマス、
例ヘバ或國體ハ〓育者ノ子弟ヲ專ラ世話ヲ
スルトカ、或ハ警察官ノ子弟ヲ世話ヲスルト
カ、サウ云フヤウナ特殊ノ目的ヲ持ッタ團
體モアルノデアリマスガ、必ズシモ優秀ナ
者バカリトモ限ラナイト思フノデアリマス、
サウ云フヤウナ特殊ナ學徒モ此ノ育英會ノ
方デハ取扱フコトト思フノデアリマス、或
ハ孤兒デアルトカ、色々ノ關係カラ申シマ
シテ、育英會ノ方デ取上ゲルダケノ條件ハ
備ハッテ居ラナイケレドモ、或特殊ノ事情デ
以テドウシテモ世話ヲシテヤラナケレバナ
ラヌト云フヤウナ者ガ、ソレ〓〓ノ會ノ目
的カラ申シマシテ色々アラウト思フノデア
リマス、又殊ニ秀才ニシテモ、日本人ノ秀
才ノ數ハ年ニ一萬人位ノモノデハナカラウ
ト思フノデアリマス、マダ〓〓之ニ數十百
倍スル秀才ガナクテハ困ルト思フノデアリ
マスノデ、決シテサウ云フヤウナ點ノ御心
配ハナカラウト考ヘテ居リマス、一應御答
ヘ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=6
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007・松井茂
○松井茂君 御懇篤ナル御答辯ニ與リマシ
テ、誠ニ感謝致シマス、寄宿舍ノ問題ハ段
段御話モゴザイマシタガ、私モ長イ間ノ體
驗上、下手ヲヤリマスルト、ナカ〓〓良イ
黃金時代ガアルカト思フト、心配時代モアッ
タノデアリマス、ドウカ此ノ問題ハ此ノ
上ナガラ宜シク御考慮ヲ願ッテ置キタイト
思ヒマス、其ノ外別ニ特ニ申上ゲルコトモ
ゴザイマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=7
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008・入江貫一
○入江貫一君 實ハ文部大臣ノ御出席ノ時
ニ伺ヒタイト思ヒマシタケレドモ、大臣御
忙シイヤウデアリマスカラ質問ヲサシテ戴
キマス、昨日本案ニ付キマシテ細カイ點ニ
付テ質問ヲ致シマシタノデアリマスガ、ソ
レニ關シテマダ幾ラカ伺ヒタイ點モアリマ
スケレドモ、先ヅ其ノ方ハ措キマシテ、大
體ノコトニ付キマシテ、先日來色々質問應
答ガゴザイマシタコトニ關聯シテ、二三簡
單ニ伺ヒタイト思フノデアリマス、文部大
臣ニ伺ヘレバ尙結構ト思ヒマシタケレドモ、
御都合モ御アリノヤウデスカラ、政府委員
ニ伺ヒマシテ、必要ナ所ハ文部大臣ニ御話
ヲ願フト云フコトニ致シタイト思ヒマス、
第一點ハ東亞共榮圈內ノ各國及各民族カラ
多數ノ留學生ヲ招致致シマシテ之ヲ〓育シ、
東亞共榮圈內確立ノ爲ニ中心人物トシテ活
動サセルト云フコトハソレハ非常ニ必要
ナコトデアルコトハ申ス迄モナイコトト存
ジマス、就イテハ是等多數ノ留學生ニ對シ
テ、文部當局トシテハ如何ナル方法ヲ以テ
之ヲ〓育指導シテ行カレル御考デアリマス
カ、具體的ノコトヲ伺ヒタイト思フノデア
リマス、新聞紙デ承リマスト、昨年中文部
大臣ハ此ノ東亞共榮圈內ニ於ケル留學生ニ
付テ御下問ヲ拜シマシタヤウニ拜承スルノ
デアリマス、聖慮ノ程誠ニ恐懼ニ堪ヘナイ
ノデアリマス、日露戰爭後ニ、日本ノ實力
ヲ支那方面デ認メテ、多數ノ留學生ヲ派遣
シタノデアリマスガ、是等日本ノ〓育ヲ受
ケタ留學生ガ、後日排日、侮日、抗日ノ中
心人物ニ多數ナッタ、今日デモソレガ殘ッテ
居ッテ重慶政權ニ於ケル排日ノ中心人物ハ
元日本ノ留學生デアッタト云フノガ非常ニ
多イ、其ノ一ツノ原因ハ、ソレ等留學生ガ
日本ニ參リマシタ時ニ、學問〓究ノコトニ
付テハ多ク私立學校ノ設備ニ放任シテアッタ
ラシイノデアリマス、勿論官立ノ大學ニモ
入ッタ者ハアリマスガ、多數ガ私立學校デ
放任セラレタル〓育ヲ受ケタ、又社會的ナ
私的生活ニ於テ申シマスレバ、隨分日本人
カラ侮辱モサレ、冷遇モサレ、又中ニハ金
錢的ニハ不當ノ待遇モ受ケタ、是等ガ彼等
ヲシテ抗日、排日ニ趨カシメル原因ノ少クト
モ一ツニナッテ居ルト云フ話ヲ聞イテ居ル
ノデアリマス、サウ云フコトガ將來共榮圈
內ノ留學生ニ萬一デモアリマスレバ、誠
遺憾ニ堪ヘナイコトト存ズルノデアリマス、
ソレニ付キマシテ今日大東亞共榮圈內ノ留
學生ニ對スル施設ト致シマシテハ、滿洲國
若シクハ中華民國アタリデハ、彼等自身或
施設ヲ設ケテ居ルヤニ聞キマス、併シソレ
トテモ勿論十分デハナイヤウデアリマス、
其ノ他南方諸國カラ來ル留學生ノ爲ニ色々
ナ施設ガアルコトハ、昨日御配付ノ書類デ
モ拜見スルノデアリマスガ、是トテモ數ニ
於テ、量ニ於テ十分ト言フ譯ニハ行カナイ
ト思ヒマス、此ノ共榮圈內ノ留學生ニ對ス
ル施設、取扱ト云フモノハ、文部當局トシ
テハドウ云フ風ニ御考ニナッテ居リマスカ、
或ハ公、或ハ半公ノ法人、恰モ育英會ノ如キ
法人ナドヲ作ルカ、或ハ現在アル、又將來
出來ル法人、其ノ他育英施設ヲ補助シ、之ヲ
統合シテ民間ノモノニ爲サル御考ガアルノ
デアリマスカ、ソレ等ノ點ヲ具體的ニ伺ヘ
レバ誠ニ結構ダト存ジマス、次ニソレ等留
學生ヲシテ所謂形而下ノ學問ト申シマスカ、
理科系ノ學問ヲ〓究セシメ、共榮圈ノ產業
開發ノ爲ニ盡力サセル、其ノ中心人物タラ
シメルト云フコトノ必要デアルコトハ申ス
迄モナイコトト思ヒマス、サウシテソレ等
ヲ〓育スル機關ト致シマシテハ、我ガ國ニ
於テ益〓其ノ方面ノ學問ヲ盛ニサレル今日デ
アリマスカラ、ソレ等ノ〓育ノ施設ハ決シ
テ乏シイコトハナイト存ジマス、併シナガラ一方
形而上ト申シマスカ、所謂法文科系ノ學問モ
亦彼等ニ取ッテハ非常必要ナモノガアラウト
思ヒマス、例ヘテ申シマスレバ、是ハホン
ノ例デアリマスガ、共榮圈內ノ各國ノ國體
ノ學問ト申シマスカ〓究ト申シマスカ、是
ハ今日「フィリッピン」ニ於テモ、中華民國ニ
於テモ、「ビルマ」ニ於テモ、先ヅ共和國ト
申サレルノカト存ジマスガ、併シ共和國ト
言ヒ或ハ民主國ト言ヒマシテモ、從來ノ歐
米流ノ法律學デハ是ハ解ケナイデアラウト
思フノデアリマス、從來ノ歐米流ノ「リパブ
リック」、「デモクラシー」ト云フヤウナ觀念
トハ違フ一種ノ觀念デ解釋シナケレバナラ
ナイノカト思ヒマス、國際關係ニ於テモ亦
然リデアリマシテ、共榮圈內ノ各國ノ御互
ノ關係、及ビ各國ト日本トノ關係ノ如キモ、
今迄ノ國際法的ニ一〓ニ論ズルコトハ出來
ナイデアラウト思ヒマス、經濟事象ニ關シ
マシテモ、最近ノ經濟事象ハ今迄ノヤウナ
自由主義經濟ノ學問學理デハ說明ガ出來ナ
イコトガ多々アラウカト思ヒマス、又ソレ
等ノ外ニモ東洋ノ倫理トカ哲學トカト云フ
コトモ十分彼等ニ〓究サセ、〓育シ指導シ
ナケレバナラヌコトデハナイカト思ッテ居リ
マス、是等ノ問題ヲ十分ニ彼等ニ〓究サセ、
〓育スルト云フコトハ、東亞共榮圈確立ノ
上カラモ忽セニスルコトガ出來ナイ緊要ナ
ル事柄デハナイカト思ヒマス、ソレ等ヲ〓
育スル爲ニ如何ナル施設ニ於テ之ヲ〓育サ
セル御心組デアリマセウカ、在來ノ學校ノ
〓室若シクハ〓究室ニ委セテ之ヲ〓育サセ
ルト云フ御心持デアリマスカ、或ハ又特殊
ノ〓育機關ヲ設ケ若シクハ相連絡セシムル
ヤウナ施設ヲ作ッテ、サウシテ此ノ重要ナ精
神文化ヲ〓究セシメル必要ヲ御認メデアリ
マセウカ、御認メナラ如何ナル具體的方法
ヲ以テナサイマス御積リデアリマセウカ)
其ノ點ヲ伺ヒタイノデアリマス、是等ノ點
ハ大東亞省ノ管轄ニ屬スル部分モアラウカ
ト存ジマス、併シ一國文〓ノ府タル文部省
ノ御考モ十分立ッテ居ルコトト考ヘルノデア
リマス、又國務大臣タル文部大臣トシテ
ノ御考モ承リタカッタノデアリマスガ、代
テ御說明ヲ願ヘレバソレデ結構デアリマス、
尙序ナガラ承リタイノハ、我ガ國ニ於ケル
所謂法文科系ノ學問デアリマスガ、是等ト
雖モ決シテ忽セニシテハナラナイ學問ガ澤
山アラウト思ヒマス、例ヘバ國體ニ關スル
學問、或ハ我ガ國ノ古典ノ〓究トカ云フコ
トハ勿論デアリマス、其ノ他只今留學生ニ
付テ申上ゲマシタヤウナ最近ノ事象ニ於ケ
ル法律、經濟、文化等ノ學問ハ、是ハ思フニ
至急ニ〓究スベキ必要ガアルノデハナイカ
ト思ヒマス、之ニ付テ文部省ト致シマシテハ、
ソレ等ノ〓究ヲ在來ノ通リ學校ノ〓室トカ、
或ハ〓究室トカニ御委セニナッテ置ク御積リ
デアリマセウカ、或ハ物質的ト申シマスカ、
理科系統ノ學問ヲ今日振興シナケレバナラ
ナイ爲ニ、御答ニナッタガ如ク色々ナ此ノ緊
急ヲ要スル學問ノ〓究及其ノ學徒ノ養成ト
云フコトニ付テ、何カ格段ノ施設デモ御計
畫ニナッテ居ルノデアリマスカ、其ノ點ヲ具體
的ニ御說明ヲ願ヘレバ仕合セト思ヒマス、
其ノ外モウ一點伺ヒタイ點モアリマスガ、
多少性質ヲ異ニシマスカラ、取敢ズ今ノ點
ヲ先ヅ伺ヒマシテカラニ致シタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=8
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009・野村益三
○委員長(子爵野村益三君) 入江君ニ申シ
マスガ、ドウデスカ大東亞省關係者ノ出席
ヲ要求シマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=9
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010・入江貫一
○入江貫一君 出來マスレバ願ヒタイト思
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=10
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011・永井浩
○政府委員(永井浩君) 留學生ノ問題ニ付
キマシテハ、昨年閣議デ之ガ大綱ヲ決定ニ
相成リマシテ、文部省ト大東亞省ト兩々相
俟チマシテ、留學生ノ指導ニ遺憾ナイヤウ
ナ施設ヲ講ズルコトニ致シテ居リマス、大
體留學生ノ問題ニ付キマシテハ、是等留學
生ノ輔導、特ニ生活輔導ノ問題ト豫備〓育、
準備〓育ナリ、學校ニ於ケル〓育ノ問題、
此ノ二ツガ內容ヲ成スモノデアルト思フノ
デアリマスガ、只今申上ゲマシタ前ノ生活
輔導其ノ他一般輔導ノ問題ニ付キマシテハ、
大東亞省ガ所管ヲ致シ、準備〓育、豫備〓
育學校〓育、總テ〓育ト云フ面カラノ問
題ニ付キマシテハ、是ハ文部省ガ專ラ所管
ヲ致シ、兩々相俟チマシテ留學生ノ指導ニ
遺憾ナカラシメムト致シテ居ルノデアリマ
ス、處デ現在我ガ國ニ留學致シテ居リマス
留學生ノ數ハ大體三千人前後ノ數デゴザイ
そう、今後ニ於キマシテドウ云フ風ニシテ
留學生ガ參リ、ドウ云フ風ニ〓育シ、ドウ
云フ風ニシテ歸國セシメルカト云フコトニ
付テ、極メテ簡單ニ御話シ申上ゲタイト思
フノデアリマスガ、一例ヲ採ッテ申シマス
ト、滿洲國ニ於キマシテハ其ノ關係ガ甚ダ
明確ニナッテ居リマシテ、滿洲國ノ民政部大
臣ガ每年日本ニ留學セシムル候補者ヲ二百
人宛選定ヲ致シマシテ、一年間豫備〓育ヲ
滿洲國デヤッテ、此ノ豫備〓育ヲ受ケマシタ
二百人ノ者ヲ內地ニ送ルノデアリマス、ソ
コデ內地ニ於キマシテ從來ハ各志望ノ學校
ニ於テ銓衡ヲ致シマシテ其ノ入否ヲ決定
致シテ居ッタノデアリマス、中華民國ノ留學
生ハ、事變ニナリマシテ一時減リマシタガ、
其ノ後又段々殖エテ參リマシテ、現在ハ千
五百人程度居ルノヂヤナイカト思ッテ居リ
W 、或ハモウ少シ多イカモ分リマセヌ、
此ノ方ハ滿洲國ニ於キマスルヤウニ、每年
非常ニ組織立ッタ銓衡方法デ以テ現地デ銓
衡シテ我ガ國ニ留學セシムルト云フダケ
ノ組織ハマグ出來テ居リマセヌ、今後ニ於
キマシテハ段々サウ云フ風ニナッテ行カウカ
ト思フノデアリマスガ、是亦段々其ノ銓衡
方法等ニ付キマシテ、大東亞省モ目下〓究
ヲ進メテ居ルヤウデアリマス、南方ノ留學
生ニ於キマシテハ、是ハ目下「タイ」、、「ビル
Z「フィリピン」、「ジャワ」、「アフガン」等
カラ相當數參ッテ居ルノデアリマスガ、今後
此ノ方面カラノ留學生ノ數ハ相當多クナッ
テ參ルト思ヒマス、是等ノ留學生ノ選定ニ
付キマシテハ、只今中華民國ニ付テ申上ゲ
マシタヤウニ、能ク大東亞省ガ中心ニナリ
マシテ、ソレ〓〓現地ノ政治機關ト協議ノ
上ニ、適當ナル候補者ヲ寄越スト云フコト
ニナッテ居リマス、斯ク致シマシテ、是等留
學生ヲ希望致ス者ガ、現地デ豫備〓育ヲ受
ケタリ、或ハ我ガ國ニ參リマシテ豫備〓育
機關ニ依ッテ、日本語ノ〓育其ノ他ノ準備
〓育ヲ終ヘマシテ、愈〓正規ノ學校ニ入ルト
云フコトニ相成ルノデアリマスガ、先程モ
申シマシタヤウニ、從來ハ各學校ニ於テソ
レゾレ試驗ヲ一應致シテ居ッタノデゴザイ
マスガ、今年カラハ是ハ文部省ニ於キマシ
テ統一的ニ試驗ヲ致シタイト思ヒマシテ、
目下著々準備ヲ進メマシテ、不日是等ノ者
ニ對シマシテ全部ニ試驗ヲ施行致シマシテ、
其ノ結果是ナラバ內地ノ諸學校ニ於テ講義
ヲ受ケ、〓育ヲ受ケマシテモ理解シ得ルダ
ケノ能力、學力ガアルモノト思ハレル者ヲ
選定致シマシテ、尤モ此ノ選定ニ當リマシ
テハ、是ハ內地人ノ上級學校ニ關スル入學
試驗ノ如キムヅカシイモノヂヤゴザイマセ
又、ソレ等ニ付キマシテハ十分ニ是等外國
留學生ノ能力ヲ念頭ニ置イテ居ルモノデア
リマスルカラ、其ノ點ヲ御了承願ッテ置キ
タイト思フノデアリマスガ、サウ云フ手續
デ銓衡シテ、是ナラバ〓育ヲ受ケ得ラレル
ダケノ能力、學力アリト認メタ者ヲ、之ヲ
各適當ナル學校ニ配當致スト云フコトニ
致シタイト思ッテ居リマス、之ガ配當ニ當
リマシテハ、是ハ無論本人ノ希望、ソレカ
ラソレ〓〓現地機關乃至ハ大東亞省等ノ希
望モ參酌ヲ致シマシテ配當致シタイト思ッテ
居リマス、從來中華民國、滿洲等ニ於キマ
シテノ留學生ヲ特ニ收容致ス爲ニ、第一高
等學校又ハ東京工業大學等ニハ、特設豫科
ノ制度ガゴザイマシテ、之ニ收容致シテ居ッ
タノデゴザイマスガ、今後ニ於キマシテハ
是等ノ數ヲ殖ヤシマシテ、出來ルダケ施設
ノ良イ、〓育成績ノ宜シイ學校ニ配當致ス
ト云フ風ニ致シタイト思ッテ居リマス、無論
私立ニモ十分ニ立派ナ學校ガアルノデアリ
マスガ、官立ノ學校ニ於テ相當是ハ引受ケ
テ行キタイト云フ風ニ思ッテ、大體ソレ等ノ
學校ノ目星ヲ付ケテ居ル次第デアリマス
南方留學生其ノ他大陸留學生ノ〓育ニ當リ
マシテハ、其ノ〓育方針トシマシテハ、成
ルベク此ノ日本人學生ノ間ニ混在セシメマ
シテ、全ク日常起居ノ中ニ日本ノ精神ヲ體
得致シテ行クト云フ行キ方デ參リタイト思
ヒマス、從ッテ留學生ダケヲ集メテ一ツノ學
級ヲ作ルト云フヤウナ方法ニハ依リマセヌ
デ、高等學校等四十人ノ「クラス」、學級デ
アリマスナラバ、其ノ中ニ一人二人トカ、
二人三人トカ云ッタヤウナ者ヲ入レテ〓育
ヲスル、寄宿舍ノ制度ガゴザイマス所ニ於テ
ハ寄宿舍ノ中ニ入レテ、全ク日本人學生ト同
ジ〓育、修鍊ノ方法デ進メテ參リタイト云フ
風ニ思ッテ居リマス、固ヨリ之ガ入學、進學等
ニ付キマシテハ、是ハ腹ノ底ニ於キマシテハ十
分ナル大愛ヲ以テ、大目ニ見テヤルコトガ必
要デアルト思フノデアリマスガ、本人自體ニ對
スル〓育方針トシマシテハ、是ハ內地人學生
ニ對スルト同ジ行キ方、詰リ差別ヲ附ケナイ
行キ方デ〓育ヲスルト云フコトガ、却テ眞ニ
留學生ニ何物カ日本的ナモノヲ與ヘルコト
ガ出來ルト思ヒマスノデ、大體左樣ナ行キ
方デ參リタイト思ッテ居ルノデアリマス、文
部省ニ於キマシテモ、是等留學生ニ對シテ
特別ニ考ヘ、又指導ヲ致ス爲ニ、專任ノ〓
學官ヲ置ク豫定デゴザイマシテ、十九年度
ノ豫算ニ計上致シ、目下御協賛ヲ御願ヒ致
シテ居ルヤウナ譯デアリマス、其ノ他色々
ノ方面カラ斯ウシタ留學生ニ付キマシテノ
〓育ノ施設ヲ考ヘマシテ、御話ノ如クニ、
嘗テノ留學生ノ如ク、日本ニ留學シテ却テ
排日、抗日ノ傾向ヲ植ヱ付ケラレテ歸ルト
云フヤウナコトハ、絕對ニアリマセヌヤウ
ニ致シテ行ク積リデゴザイマスルシ、又十
分ニソレダケ出來マスル段取リガ目下立ッテ
居ルヤウニ思ヒマスノデ、御安心ヲ戴イ
テ結構カト思フノデアリマス、次ニ是等ノ
留學生ニ對スル〓育ニ付テハ、殊ニ理科系
ノモノニ付テハ問題ハナカラウガ、法文科
系ノ學問ニ付テ、或ハ歐米流ノ法學デアッタ
リ、又從來ノ自由主義的ナ國際法學乃至經
濟學等ヲ〓ヘルト云フヤウナコトガアッテ
ハ由々シイコトデアルカラ、ドウ云フヤウ
ナ風ニ〓育シテ行クカト云フ、〓育內容的
ナ御質問デゴザイマス、是ハ誠ニ御話ノ如
クニ、非常ニ大切ナ問題ダト思ヒマス、我
ガ國ニ留學致シマシテ、我ガ日本獨得ノ學
問、日本的見地ニ立ッタ學問ヲ受ケルノデナ
シニ、却テ米英流ノ學問ヲ間接ニ聽クト云
フヤウナ結果ニ若シナッタト致シマスレバ、
是亦日本ニ留學セシメタ理由ガナクナルコ
トハ申ス迄モアリマセヌ、此ノ點ガ非常ニ
御心配ナ所デアラウト思ヒマス、是等ニ付
キマシテハ、單リ留學生ニ對スルノミナラ
ズ、御指摘ノ如ク法學、經濟學、國際法學
乃至ハ哲學等ニ至ル迄、殘念ナガラ從來往
往ニシテ西洋思想ニ偏シ過ギタ觀念ヲ基ニ
シテ組立テラレタ學問ト云フモノガ、〓授
サレルカノ傾キガアッタノデアリマスガ、是
等ニ付キマシテハ、最近ニ於キマシテハ固
ヨリノコトデアリマスガ、尙眞ニ日本
精神、日本主義ニ基イタ斯ウシタ精神科學
ノ〓究ナリ樹立ナリト云フコトガ、近來非
常ニ旺盛ニ起ッテ參リ、又〓授ヲ致シマ
ス先生方ニ於キマシテモ、斯ウシタコトノ
必要ナコトニ付テハ、肚ノ底カラ大方ハ
分ッテ參ッテ居ルコトデアリマスノデ、是尺
目下ノ大學ニ於キマシテ、留學生ヲシテ惑
ハシムルガ如キ、日本的ナラザル學問ガ〓
授サレルト云フ憂ハ、是ハナイモノデハナ
イダラウカト云フ風ニ思フノデアリマス
併シナガラ是等留學生ニ付キマシテハ、先
程モ申シマシタヤウニ特ニ留學生等ヲ集メ
マシテ特別講義ヲ致シマスルトカ、或ハ日
本ノ精神ヲ把持セシムルニ必要ナル其ノ道
ノ大家ノ方々ニ來テ戴キマシテ、是等留學
生ヲ集メテ能ク講演講義ヲ致シテ戴キマス
トカ、サウ云ッタ特殊ノ施設ハ是ハ講ジテ參
ル積デアリマスルノデ、此ノ點一ツ御了承
願ヒタイト思フノデアリマス、只今ノ問題
カラ出發シテ最後ニ、只今私チヨット御答ヘ
及ビマシタヤウニ、抑〓我ガ國ニ於ケル法文
系統ノ學問、國體、古典等ヲ中心ニシタ諸
學問ト云フモノニ對スル〓究ト云フモノガ、
ドウ云フ風ニ行ハレテ居ルカト云フコトノ
御尋デアリマシタガ、之ニ付キマシテハ一
昨日文部省ノ〓學局長ヨリ思想問題ヲ總括
シテ申シマシタ際ニ、日本諸學振興會其ノ
他ノコトニ付キマシテモ、御答ヘ及ビマシ
夕所デゴザイマスノデアリマスガ、先程モ
色々御答ヘ申上ゲマシタヤウニ、是等精神
科學ニ屬スル日本的ナル學問ノ建設ト云フ
コトハ誠ニ重要ナ問題デアリ、尙〓究ノ餘
地モ非常ニ多イ所デアルト思ハレルノデア
リマスノデ、斯ウシタ機關、其ノ他有ラユル
機關ニ於キマシテ、十分ニ之ガ〓究ヲ促進
致シテ行ク積リデゴザイマス、殊ニ大學ニ
於キマスル法文系統ノ學部ニ於キマシテハ、
御存ジノ如クニ入營延期ノ停止ガ行ハレテ
居リマスルシ、又徵兵年齡低下等ニ伴ヒマ
シテ事實上學生ガ殆ド居ラナイ狀態ニナッテ
居リマス、併シナガラ是等大學ノ使命ハ、
〓育ト同時ニ學ノ蘊奥ヲ極メル所ニアリマ
スノハ申ス迄モナイノデアリマスガ、是等
〓育ノ擔當ノ手ガ非常ニ空キマシタ大學ノ
〓授ニハ、專ラ精神科學ノ〓究ニ當ッテ貰ヒ
タイ積リデゴザイマス、是等大學〓授ノ人
人ガ專ラ今後〓究ヲ進メテ參リマス所ハ、
全ク御話ノ如クニ眞ニ現時局下ニ當ッテノ日
本的觀點カラ考ヘラレマシタル精神諸科學
ノ〓究〓鑚ニアルコトト思ヒマス、ソレ等
ノ〓究ヲ促進スベク、色々ノ面カラ施設ヲ
講ジテ居リマスル次第デゴザイマス、其ノ
點ヲ御答致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=11
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012・入江貫一
○入江貫一君 非常ニ組織立ッテ綿密ナ御
說明ヲ伺ヒマシテ誠ニ有難ウゴザイマス、
唯伺ッタコトデ、チヨット尙伺ッテ見タイト思
ヒマスコトハ、留學生ヲ採用スル上ニ、非
常ナ嚴密デハナイガ、兎ニ角一般的ニ推薦
セラレタ者、志望スル者カラ試驗デモシテ、
能率ノアル者ヲ採用スル、誠ニ結構ナコト
ト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=12
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013・野村益三
○委員長(子爵野村益三君) 速記中止
〔速記中止〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=13
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014・野村益三
○委員長(子爵野村益三君) 速記開始発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=14
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015・入江貫一
○入江貫一君 日本的ナラザル學問ヲ留學
生ニ〓ヘルコトハナイト云フコトハ誠ニ御尤
モト存ジマスガ、最近ノ東亞共榮圈ノ國體
ニ關スル學問トカ、國際法的ノ學問トカ、
乃至ハ今日ノ統制經濟下ニ於ケル經濟的ノ
事象ニ關スル學問ト云フモノガ、今日學問
トシテ十分成リ立ッテ居リマスヤ否ヤ、若シ
成リ立ッテ居ルナラバ、之ヲ留學生ニ〓ヘル
コトハ何デモナイコトト思ヒマスガ、私ハ
ソレガ今日ノ日本ノ學者ノ間デモ十分ハ成
リ立ッテ居ラヌノヂヤナイカト思ヒマス、ソ
レヲドウナサイマスカ、若シ成リ立ッテ居ラ
ヌモノナラ、極メテ必要ナ學問デアリナガ
ラ、成リ立ッテ居ラヌノニ、唯學校ノ〓室、
若シクハ個々ノ〓究室ニ御委セニナッテ御置
キニナル積リカ、或ハ此ノ〓究ヲ促進スル
爲ニ何等カノ方法ヲ御講ジニナルカ、斯ウ
云フコトヲ伺ヒタイト思ヒマスガ、其ノコ
トヲ御說明願ヘレバ結構ト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=15
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016・野村益三
○委員長(子爵野村益三君) 速記中止
〔速記中止〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=16
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017・野村益三
○委員長(子爵野村益三君) 速記開始発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=17
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018・永井浩
○政府委員(永井浩君) ソレカラ文科系ノ
精神科學系ノ學問ト云フモノガ、現在ノ大
學デ〓ヘラレテ居ル學問ト云フモノガ、ド
ウモマダ日本的デナイ傾向ニアルノヂヤナ
イカ、サウ云フヤウナコトデアレバ留學生
ニ對シテ〓ヘルノハドウデアラウカ、ト云
フヤウナ御話、サウシテソレガ眞ニ日本的
ニ組立テラレテ居ルナラバ何モ留學生ニ對
スル特別ノ考慮ハ要ラナイダラウト云フヤ
ウナ御話デアッタト思フノデアリマスル
ガ.発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=18
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019・入江貫一
○入江貫一君 チヨット····違ヒマス、後
デ申上ゲマセウカ····日本的デナイ學問ヲ
ヤッテ居ルダラウトハ申サナカッタノデアリ
マス、日本的ナラザル學問ヲ留學生ニ〓ヘ
ルト云フコトハ考ヘラレナイガ、新シイ事
象、今日ノ「ビルマ」ナリ「フィリピン」ナリ
ノ國體ヲ論ズル時ニ、在來ノ「デモクラシイ」
ナリノ觀念ヲ論ジテハイケナイガ、併シ今
日ノ東亞共榮圈內ニ於ケル彼等ノ國ノ國體
ノ〓究ハ出來テ居ルノカト云フノデス、又
新シイ經濟····統制經濟其ノ他ノ新シイ經
濟ノ事象、例ヲ申シマスレバ例ヘバ頻リニ營
團デアルトカ、金庫デアルトカ、育英會デ
アルトカ云フヤウナ、在來ナカッタ法人ナド
モ出來マス、是等ノ經濟上ノ學問、、日本銀
行ハ在來ノ說明トハ違ッタ性質ノ日本銀行
ニナッタノデアリマス、是等ノ新シイ事象ノ、
尙金融ニ付キマシテモ在來ノ金貨本位トカ、
銀貨本位ト云フヤウナ金融ノ學問ハ全ク今
日デハナクナッテ居ル、ソレニ代ルベキ學問、
ソレ等ガ今日學問トシテ確立サレテ居ルカ
ト云フコトヲ申上ゲタノデアリマス、確立サ
レテ居ルナラバ、之ヲ以テ留學生ニ〓ヘテ、
此ノ東亞共榮圈ノ爲ニ、其ノ學問ノ基礎ニ
立ッテ活動サセルコトガ出來ルガ、確立シナ
イ時ニハ出來ナイ、ソレ等ノ者ニオ前ノ國
ハ斯ウ云フ國體デアル、オ前ノ國ト日本ト
ノ國際關係ハ斯ウ云フ風デアルト云フコト
ヲ〓へ込マナイトイカナイノデハナイカ、
ソレニ付テノ其ノ學問ガ成リ立ッテ居ルカ
ト云フコトヲ伺ッタノデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=19
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020・永井浩
○政府委員(永井浩君) 新シイ殊ニ最近ノ
非常ニ變轉ヲ致シマスル有ラユル政治上、
經濟上、其ノ他ノ變轉ニ卽應スルガ如キ學
問ト云フモノガ今日確立ヲ致シテ居ルカ、
ト云フ御質問デゴザイマスガ、サウシタ學
問ノ確立ト云フコトハ結局度合ノ問題デア
リマシテ、如何ナル狀態ニナリマシタ場合
ヲ確立ト申シマスカ、私共能ク判斷ガ付カ
ナイノデアリマスガ、是等新シイ事象ニ應
ズベキ學問ノ建設ト云フコトニ付キマシテ
ハ、是ハ今ノ〓授連中ガ一生懸命ニ〓究ヲ
致シテ居ルコトデアリマスルシ、又〓究ヲ
致サナケレバナラナイ點デアリマス、自ラ
〓究〓鑽鑽ヲ致シツヽ、又學生ト共ニ步ム、
所謂倶學倶進ト云フヤウナ所デ進ムト言ッ
タヤウナ學問ノモノモ相當アルカト思フノ
デアリマスガ、御話ニアリマス如クニ留學
生ニ對スル〓育ニ付テ、是等ノ學問ガ、學
問的ナ眞ノ意味ニ於テノ確立、確定ノ後ニ、
留學生ニ對シテハ〓ヘナケレバナラナイト
云フヤウナ程ノ御意味デモナイヤウニ存ズ
ルノデアリマシテ、留學生ニ對スル〓授ニ
當ッテハ、十分ニ其ノ留學生ノ本國トノ國際
關係竝ニ日本ノ事象ヲ正當ニ理解スルト云
フコトニ誤解ヲ生ゼシメザルヤウナ考慮、
ト云フヤウナコトニ遺憾ナキ指導ヲヤレ、
ソレダケノ用意ガアルカト云フヤウナ御尋
ネト拜承致シマシテ、其ノ點ニ付キマシテ
ハ今後尙一層十分ニ一ツ注意ヲ致シテ、留
學生ノ指導ニ誤リナキヤウナ風ニ進メテ參
リタイト思ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=20
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021・入江貫一
○入江貫一君 御說明ノ意味ハ諒承致シマ
シタ、確立シタトカ云フヤウナコトヲ私ガ
申上ゲマシタノハ、是ハ又意味ノ取リ樣デ、
餘リ嚴格ナ言葉ヲ使ッタカト思ヒマスガ、御
話ノ通リ、今日ノ新シイ事象ニ於テ留學生
ヲ〓育スル上ニ誤ラナイダケノ用意ガアル
カ、ソレダケノ學者ノ〓究ガアルカ、又ソ
レ等ノ學問ヲ〓究スル爲ニ、個々ノ學者ノ
〓究室ニ任シテ宜シイカ、或ハ何カノ施設
ト申シマスカ、「インスティテュート」ト申
シマスカ、何カノ團體ト申シマスカ、ソレ
等ヲ作ッテ〓究ヲ促進サセル必要ガアリハシ
ナイカ、サウ云フコトヲ伺ッタ積リデアリマ
ス、委員長、大東亞省ガ御見エニテリマシ
タラ伺ヒタイト思フノデアリマスガ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=21
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022・野村益三
○委員長(子爵野村益三君) 今來テ居ラレ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=22
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023・竹内新平
○政府委員(竹內新平君) ソレヂヤ御答へ
致シマス、先程大東亞地域カラ參ッテ居リマ
スル留學生ノ輔導ニ關スル御尋ガアッタノデ
アリマスガ、大東亞結集ノ意味カラ申シマ
シテ、留學生指導ト云フコトガ非常ニ重要
デアリマスルコトハ、政府トシテモ十分認
メテ居ル次第デアリマシテ、是ガ爲ニ、今
日迄多少區々ニナッテ居リマシタ大東亞地
域ニ於ケル留學生指導ノ、國內ニ於ケル行
政面ヲ一元化サセル必要ヲ感ジマシテ、過
般閣議決定ニ於キマシテ是ガ調整ヲ見タ次
第デアリマス、大東亞政策ノ一環トシテ此
ノ皇國ヲ中心トスル爲ニ、大東亞建設ニ挺
身スル者ヲ國內ニ於テ指導スルト云フノ
ガ、大東亞地域ニ於キマスル留學生指導ノ
骨子デゴザイマシテ、之ニハ一定ノ計畫ノ
下ニ、當該政府又ハ現地機關ガ推薦シテ參
リマシタ者カラ、ソレ〓〓內地ニ於キマシ
テ選拔致シマシテ、當該國ノ意思乃至ハ本
人ノ意向ヲモ入レマシテ、各學校ニ配分シ
テ居ルノデアリマス、學校ニ於キマシテノ
〓育ニ付キマシテハ、是ハ文部省ガ一元的
ニ御指導ニナッテ居ルノデアリマシテ、其ノ
點ハ既ニ文部省カラ御說明ガアッタヤウニ
存ジテ居リマス、次ニ大東亞省ニ於テ所管
シテ居リマスル面ハ主トシテ輔導ノ面デ
ゴサイマシテ、現在ニ於キマシテハ各種ノ
輔導園體ガゴザイマスノデ、ソレ等ノ團體
ニ依囑シテ輔導ノ實踐ニ努メテ居ルノデア
リマス、ソレモ區々ニ亙リマスルコトハ、輔
導ノ統一ヲ缺ク虞ガアリマスノデ、是等ノ
輔導團體ノ總力ヲ結集シテ、一元的ニ强力
テ輔導體制ヲ作ルト云フコトヲ考ヘテ居リ
やっく、サウシテ輔導ノ各般ノ事項ニ付キマ
シテハ、勿論生活援護ノ點ニ迄入リマシテ、言
葉ヲ換ヘテ言ヒマスレバ、親ノ代リニナッテ政
府ガ輔導シテヤルト云フヤウナ心持デ、輔導
團體ノ指導ヲ現在迄ヤッテ居ル次第デアリ
マンク。サウシテ結局、留學生ガ我ガ國ニ參
リマシテ、皇國ニ對スル深イ理解ト信賴ト
ヲ持ッテ、東亞本來ノ傳統的精神ヲ作與シテ、
サウシテ併セテ優秀ナル皇國ノ學術ヲモ修
得シタ上デ歸國シテ、ソレ〓〓ノ國ニ於テ
中堅人物トナリ、東亞建設ニ當ルヤウナ人
物ヲ養成スルト云フヤウナコトヲ考ヘマシ
テ、具體的ニ申シマスナラバ、各輔導團體
ニソレ〓〓各方面ノ注意ヲ與ヘマシテ、此
ノ方面ニ對スル政府ノ意圖ニ卽スルヤウナ
輔導ヲ實踐シテ居ル譯デアリマス、之ニ
當リマスル機關ト致シマシテハ、大東亞省
內ノ總務局ニ輔導室ト云フモノヲ作リマシ
テ、勅任參事官ガ其ノ長ヲ致シマシテ、之
ニ相當數ノ輔導官ヲ配置致シマシテ、元
的ニ之ガ統一的ナ輔導ノ指導ヲ致シマスト
同時ニ、是等ノモノハソレ〓〓各輔導ノ團
體ニモ參リマシテ、始終密接ナ聯繫ノ下ニ輔
導ニ缺クルコトナキヤウ實踐致シテ居リマ
ス、極ク細カイコトヲ申シマスレバ、食物
ノ配給或ハ南方カラ參リマスモノノ爲ノ健
康ヲ維持スル爲ノ保溫等ノコトニ付テモ、
出來ルダケ面倒ヲ見テ、彼等ヲシテ安心シ
テ日本ノ輔導ニ服シ、指導ニ服スルト云フ
コト迄心配シテ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=23
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024・入江貫一
○入江貫一君 御說明ニ依リマシテ大體諒
承致シマシタガ、チヨット伺ヒマスガ、只今
迄ハ各團體ヲシテ輔導ニ當ラシメ、其ノ
監督ナリ指導ハ大東亞省ガ當ルト云フヤ
ウナ御說明ノヤウデアリマシタガ、今後ニ
於テモ其ノ方式デオイデニナル積リデアリ
マスカ、或ハ育英會ノヤウナ法人カ何カヲ
造ッテ、其ノ輔導ノ任ニ當ラシメルト云フヤ
ウナ御計畫デアリマスカ、モウ一ツハ、留
學生ハ今日凡ソ幾人位アッテ、サウシテ今後
ハ凡ソ幾人位ヲ招致セラレル御積リデアリ
マスカ、其ノ點ヲ伺ヘレバ、チヨット伺ヒ
タイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=24
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025・竹内新平
○政府委員(竹內新平君) 先程申上ゲマシ
タヤウニ、閣議決定ヲ見ル迄ハ多少指導ノ
面ガ、或ハ文部省ノ面モアリマシタシ、外務
省デ指導シテ居ルヤウナ團體モゴザイマシ
テ、多少區々ニナッテ居リマシタノヲ、閣議
決定ニ於キマシテ大東亞省ニ於テ一元的ニ
指導スルコトニナッタノデアリマス、後は三
今後モ大東亞省ニ於キマシテ、是等ノ團體
ノ總括的ノ輔導ヲシテ行クト云フコトニ變
リハアリマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=25
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026・入江貫一
○入江貫一君 現今ハ何人位留學生ガアッ
テ、將來ハドノ位ニスルト云フ御見込デア
ルカ、ソレカラ輔導ハ今ハ一元的ニシテ居
ルガ、或ハ何カノ施設ヲ設ケルト云フ御氣
持ハアリマセヌカ、此ノ二點ヲ伺ヒタイノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=26
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027・竹内新平
○政府委員(竹内新平君) 現在留學生デ
參ッテ居リマスノハ、十八年度デハ二千六百
九十人デゴザイマス、明年度、十九年度ニ
於テ豫算上措置シテ居リマスル人數ハ、三
千百十三名ヲ豫定シテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=27
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028・入江貫一
○入江貢一君 新タニ來マス者デセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=28
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029・竹内新平
○政府委員(竹內新平君) 是ハ十九年ニ來
マズ、ソレカラ新シイ團體ヲ設ケテソレニ
一元的指導ヲスルカドウカト云フ點ハ、今
ノ所未ダ考ヘテ居リマセヌ、サウシテ大東
亞省ニ於テ、閣議決定ノ趣旨ニ基キマシテ
指導スル考ヲ持ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=29
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030・入江貫一
○入江貫一君 甚ダ長イ時間ヲ取ッテ恐縮
デアリマスガ、モウ一點ダケ伺ハシテ戴キ
タイ、ソレハ昨日御說明ノ中ニ、政府委員
カラ、精神科學ノ學者ハ今後手ガ空ク、先
程モサウ云フ御話ガアリマシタ、就テハ其
ノ者ヲ社會〓育ノ方面ニ充テサシタリ、或
ハ自己ノ〓究ニ沒頭セシメルト云フヤウナ
御說明ガアリマシタ、其ノ外ニ、大東亞ノ
文化ノ振興ニ關シ、或ハ娯樂ト社會〓育
ニ關シ、或ハ少年工ト學校若シクハ家庭ト
ノ連絡ニ關シ、又兒童ト生產勤勞トノコト
ニ關シ、或ハ家庭ノ〓育其ノ他文獻ニ依ル社
會〓育等ニ關シマシテ、詳シク御說明ヲ承
リマシテ、誠ニ周到ナ御用意ノアルコトニ
關シマシテ、敬意ヲ表シタ次第デアリマス、
其ノ中デ、娛樂ト社會〓育ト云フコトニ付
テ、餘程力ヲ入レテ御說明ニナッタヤウニ
感ジタノデアリマス、其ノ方面ニ全ク素人
デアリマス私ニハ能クハ分リマセヌガ、
ソレニ關シテ想ヒ起シタコトガアルノデア
リマス、甚ダ恐縮デアリマスガ、其ノコト
ヲチヨット御話シ申上ゲタイト思ヒマス、ソ
レハ先年私ハ臺灣ニ參リマシタ、其ノ當時、
臺灣デハ皇民化運動ト申シマシテ、皇國ノ
民ニ化スル運動ト云フコトヲ盛ニヤッテ居
ラレマシタ、其ノ皇民化運動ノ一翼トシ
テ、內地語ノ普及ト云フコトヲ非常ニ力ヲ
入レテ行ッテ居リマシタ、社會〓育ノ一ツ
ダラウト思フノデアリマス、サウ云フ方面
ニ私ハ特ニ〓究ニ參ツタ譯デモナシ、又〓
究スル暇モナカッタノデアリマスガ、偶然
ニ、誠ニ偶然ニ臺南ニ於テ新聞紙ヲ見マシ
タラ斯ウ云フ記事ガアリマシタ、簡單デア
リマスカラ、讀ミ上ゲマスガ、高雄カラ
臺南ニ來タ電話デアリマス、「高雄州ノ保安
課デハ健康娛樂ノ提唱ニ併行シテ州下ニ於
ケル演劇興行ニ關シ二十四日午前十時カラ
警察部講習室ニ本島人向興行經營者十五
名、新劇團代表九名竝ニ團所屬劇作家九名
ヲ集メ····」此所ニ名ガアリマスガ名ハチ
ヨット遠慮シマシテ、「某々保安課長、某
保安係長列席ノ上デ指導方法ト興行ニ關シ
種々協議シタガ指導要綱ハ左ノ如クデア
ル、其ノ一ツハ、臺詞ハ皇民鍊成促進上國語
ヲ本旨トスルモ觀衆ノ大多數ハ未ダ國語
不解者ナルニ依リ當分ノ間本島語ヲ使用
スルハ已ムヲ得ザルモ近キ將來ハ國語ヲ
以テナスヤウ俳優ノ人選竝ニ養成ニ今ヨ
リ注意スルヲ要ス、但シ例ヘバ日常ノ挨拶
ノ如キ通常一般的ニ使用セラルヽ語ハ國語
ノ使用ニ努ムルコト」、是ガ一ツデアリマス、
芝居ヲスルノニ、見物人ハ國語ヲ解シナイ
カラ本島語デヤルノハ已ムヲ得ナイ、併シ
其ノ中デ簡單ナ挨拶ダトカ日常ノ言葉ハ日
本語ヲ使ヘ、斯ウ云フ指導デゴザイマス、
其ノ二ハ、宮城遙拜、大神宮遙拜等ヲ每日ヤ
V、斯ウ云フコトデアリマス、三ガ「俳優ノ
舞臺上ニ於ケル所作中禮儀ヲ缺ク者多シ
社會ノ構成分子ハ如何ナル場合ニ於テモ禮
ヲ以テ始メ禮ヲ以テ終ルト云フ觀念アレバ
秩序ヲ紊ス虞ナキヲ以テ演技スル場合ニ
於テモ此ノ觀念ヲ以テスレバ觀衆ニ其ノ
美風ヲ體得セシムル所以ニテ劇ヲ通ジ皇
民鍊成ノ一助トナルヲ以テ特ニ注意ヲ要ス」、
是ガ三デアリマス、四ハ外ノ團體ノ役者ヲ
取ッチヤイカヌトカ、五ハ經營者ハ團員ヲシ
テ約束サシテ他ニ行カナイヤウニシロト云
フコトデアリマス、ソレダケノ記事デアリ
マス、ソレデ私不思議ニ思ッタノデス、御承
知ノ通リ支那系ノ芝居ハ、世話物ミタイナ
新劇モナイデハアリマセヌガ、大多數ハ昔
ノ物語ヲ採ッタ歌劇ミタイナ型ノ定ッタモノ
デアリマス、從ッテ其ノ中ニ於ケル臺詞ナド
モ決ッタモノデアリマス、日本ノ舊劇ノヤウ
ナモノデアリマス、日本ノ勸進帳ヲヤル時
ニ、勸進帳ノ大部分ハ日本語デヤルノハ仕
方ガナイガ、通常ノ挨拶トカ通常ノ言葉ハ
何處カ他ノ言葉デヤレ、ソンナコトヲシテ
勸進帳ノ芝居ガ出來ルモノカドウカト云フ
コトヲ疑問ヲ持ッタノデス、マア外國語デハ
アリマセヌガ、系統ノ違フ言葉ヲチヤン
ポンニ使へ、又サウシテ芝居ヲシロ、斯
ウ云フ指導方法ヲヤッテ居ルノデアリマス、
第三ノ項ニ於テハ尙面白イノデアリマス、芝
居ヲヤリツヽ禮儀ガ惡イコトガアッテハイ
カヌカラ、禮儀ヲ良クシロ、ソレデ以テ觀
衆ニ模範ヲ示セ、斯ウ云フコトハムヅカシ
イ話デ、ドウモ菅原傳授ヲヤル涎クリノ子
供ガ、アレガキチントシテオ手習ヲシテ居ッ
タノデハ芝居ニナラヌト思ヒマス、鮨屋ノ
權太ガ、チヤントシタ形ヲシテ出テ來タノ
デハ、ドウモ芝居ニナラヌ、ドウ云フ譯デ
斯ウ云フ風ナコトヲヤッタノカト云フコトヲ
偶然ニ考ヘタ、ソレデ調査スル積リモ何モ
アリマセヌデシタガ、其ノ土地ノ人ニ聽イ
テ、所謂皇民鍊成運動ト云フモノハ、斯ウ
云フコトヲヤッテ居ルノカト聽キマシタラ、
サウデス、イヤ、其ノ外ニ色々ナコトガア
リマス、皇民鍊成運動デ、オ寺ニ參ッテ佛樣
ノヤウナ媽祖ト云フ神樣ガアリマスガ、媽
祖ヲ拜スト云フコトハ是ハ迷信ダ、ダカラ
寺廟ハ廢シテシマヘ、斯ウ云フ運動ガアッ
テ、或縣ノ如キハ、縣下ニ十五ノ寺廟ガアッ
タノガ十四迄廢シテシマッテ、後ノ一ッダケ
ハ有名ナオ寺デ、是ハ手續上殘ッテ居ル、後
ハ廢スル、斯ウ云フ話デアリマス、所謂排
佛毀釋ヲヤッテ居リマシタ、臺北ノ大學ノ土
族〓究室ノ陳列室ニ參ッテ見マスト、佛樣ガ澤
山······何百トアリマシタガ、其ノ後行ッテド
ウシタノカ聽キマスト、是ハ寺廟ヲ廢シテ、
オ寺ニアッタ佛樣ヲ此處ニ持ッテ來タ、標
本的ニ之ヲ列ベテ大學デヤッテ居リマス、此
ノ寺廟廢止ハ、只今ノ總督ガ赴任サレマシ
テ、ソレハ餘リ極端ダト云フノデ、寺廟廢
止運動ハ暫ク待テト云フノデ待タシテアル
ト云フコトヲ其ノ當時聽イタノデアリマス、
ソレカラ臺南附近ニハ、昔カラ影繪芝居ト
申シマスカ、人形ノ影ヲ映シタ芝居ヲ行ツ
テ居リマス、南方ノ方デモアルサウデア
リマスガ、ソレモドウモ是ハ日本流デナイ、
廢シテシマヘト云フノデ廢シタト云フノデ
アリマス、處ガドノ宮樣カ存ジマセヌガ、殿下
ガオイデニナッテ、廢シタト云フコトヲ御承知
ナイモノデ、此ノ邊ハ昔カラ影繪芝居ガアル
サウダガドンナモノカ見タイト仰シヤッタ、
サア、大騒ギ、當局デハ大騷ギヲシテ其ノ材料
ヲ集メテオ目ニ掛ケタ、其ノ以後一旦廢シ
タ影繪芝居ダケハ禁止ヲ廢シタト云フコト
ガアリマス、ソレカラ在來ノ臺灣語ノ歌ハイ
カヌ、是ハ日本流デナイカラ歌ヲ廢セ、御
承知ノ通リ支那系ノ歌ハ大〓芝居ノ歌ノ一
句ヲ樂器ニ合セテ歌フノデアリマス、ソレ
ガイカヌ、皇民化運動ニ反スルト云フノデ
歌ヲ廢ス、但シ是ハドウモ家庭デ歌フノヲ
廢サセル譯ニイカナイノデ、土地ノ警察ハ
料理屋トカ、「カフエー」トカ云フモノノ
女中ナリ女給ナリオ客サンノ歌フノヲ
廢サシタ、併シドウモ酒ヲ飮ンデ歌ガナク
チヤ困ルダラウト云フノデ、非常ニ親
心ト申シマスカ、中學校ノ國語ノ先生ニ歌
ヲ作ッテ貰ッテ、サウシテ女學校ノ先生ニソ
レニ譜ヲ付ケテ貰ッテ、之ヲ歌へ、勿論日本
語デアリマスガ、サウ云ッテ與ヘタ、併シド
ウモ料理屋デモ「カフエー」デモソレヲ歌フ
者ハマア今ノ處ハアリマセヌト云フ話デア
リマシタ、是等ハ皇民化運動ニ御熱心ノ餘
リ、幹部デハソコ迄行ク積リハナカッタダラ
ウト思ヒマスガ、末端ニ於テ行過ギデハナ
イカト思フノデアリマス、長々ト詰ラヌコ
トヲ申上ゲマシタガ、昨日ノ御說明デ、非
常ニ御熱心ニ娛樂ト社會〓育ト云フコトニ
付テ、或ハ映畫ニ於テ或ハ浪花節ニ於テ或
ハ芝居ニ於テ、社會〓育ヲ加味シテ行カウ
ト云フ御話ガアリマシテ、結構ナコトデハ
アリマスガ、末端ニ至ッテ行キ過キガアリハ
シナイカト云フコトヲ惧レルノデアリマス、
產業戰士ノ慰問ノコトニ付テ聞イタコトガ
アリマスガ、其ノ時ノ話ニ、ドウモ新作ノ
浪花節ハ面白クナイ、矢張リ浪花節ハ赤垣
源藏德利ノ別レトカ、或ハ〓水次郞長トカ、
森ノ石松トカヲ聽ク方ガ面白イ、新シイモ
ノハ御免デスト言ッテ居ッタト云フ話ヲ聞キ
マシタ、新作ト云フノハドンナモノカ存ジ
マセヌガ、中ニハ勿論良イモノモアラウト
思ヒマスガ、地方ノ民謠ニシロ歌謠ニシロ、
新作ハ人ノ嗜好ニ餘リ適ハヌモノデアリマ
シテ、民謠ハ小原節ナント云フ元カラノ歌
ラシイノガ一時流行リマシタガ、新作ノ小
原節ハドウモ流行ラナイヤウニ思ヒマス
其ノ他追分ニシロ木曾節ニシロ、新作ハ餘
リ流行ラナイヤウニ思ヒマス、流行ル流行
ラヌハ別ト致シマシテ、娛樂ガ娛樂ニナラ
ナケレバ、何ノ役ニモ立タヌト思ヒマス、
娛樂ハ、オ前樂シメト言ッテ與ヘテモ、當人
ニハ何ノ娯樂ニモナラナイ、先程申シマシ
タ臺灣ノ芝居デ、役者ガ芝居ヲヤッテ居ナガ
ラ修身ノ講釋ヲシテ見タリ、酒ヲ飮ム所ノ
席デ修身ノ道歌ミタイナモノヲ歌ハレタリ
シテモ、娛樂ニナラナイ、娛樂ニハ自ラ娛
樂ノ本質ガアラウト思ヒマス、申ス迄モア
リマセヌケレドモ、サウ云フ末端ニ至ッテノ
誤解ハ、現ニ無イノデアリマセウカ、ナケ
レバ仕合セデアリマスガ、アルヤウナラバ
御注意ヲ御願ヒ致シタイ、是ダケノコトヲ
申上ゲテ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=30
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031・藤野惠
○政府委員(藤野惠君) 昨日思想等ノコト
ニ關聯致シマシテ、藝能、社會〓育方面ニ
於ケル根源的ナ思想指導ノ重要ナルコトヲ、
他ノ機會ニ於テ申述ベタ次第デアリマスル
ガ、只今又詳細ニ亙リマシテ御述ヲ戴キ、
誠ニ深ク傾聽申上ゲタ次第デアリマス、本
省ニ於テ考ヘテ居リマス藝能方面ニ於ケル
指導ト云フコトモ、全ク入江サンノ只今ノ
御示シニアリマシタ如ク、寧ロ我ガ國ニ於
ケル藝能ト云フモノノ本義、ソレガ深イ意
味合ヒヲ持チ、我ガ國民精神ノ表現トシテ、
又藝能ノ今日ニ至リマスル迄ノ貴イ傳統
ト云フヤウナ、國柄ト云フモノトノ深イ關
聯ニ於テ在リマスル點ヲ十分ニ了得セシメ
マシテ、苟モ藝能人トシテノ其ノ尊イ使命
ヲ逸シテ、サウシテ自ラヲ蔑ミ、或ハ又單
ナル業ノ末ニ走ルコトナク、眞ニ藝能人ト
シテノ自覺ニ徹セシメルト云フ意味合ノ指
導ヲ考ヘテ居ルノデアリマス、或ハ演技演
出其ノ他ノ具體的ナル方法等ハ、十分傳統モ
生カシ、其ノ技巧ヲモ尊重致ス積リデアリ
マス、會〓、臺灣ノ例ヲ御引キニナリマシテ
御指摘ヲ戴キマシタガ、臺灣ノ皇民化云々
ニ付テハ主管外デアリマスカラ言及ハ避ケ
マシテ、兎モ角モ御述ノゴザイマシタ御趣
旨ハ私ノ方デ十分ニ拜承致シマシテ、末々
ノコトニ付テ却テ皇國ノ藝能トシテノ眞價
ヲ失ハシムルヤウナコトハ致サナイ積リデ
アルコトヲ御答ヘ申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=31
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032・入江貫一
○入江貫一君 詰ラナイコトヲ非常ニ長々
ト時間ヲ戴イテ申述べマシクガ、ソレニ對
シテ當局カラ細々ト御說明ヲ戴キマシテ誠
ニ有難ウゴザイマシタ、私ノ質問ハ先ヅ是
デ終了致シタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=32
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033・野村益三
○委員長(子爵野村益三君) チヨット御諮
ヲ申上ゲマス、先程大東亞省ノ政府委員カ
ラ留學生ノ數ヲ御報告ニナリマシタガ、ソ
レニ間違ガアルノデ訂正致シタイト云フ申
出デガアリマス、ソレハ明年度ノ留學生ノ
數ハ新タニ三千百十三名ヲ增加スルト云フ
コトヲ申上ゲマシタガ、サウデナクシテ明年
度ノ留學生ノ數ガ三千百十三名、サウ訂正シ
タイト云フ要求ガアッタノデアリマス、御異
議ガナケレバ左樣ニ取計ヒタイト思ヒマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=33
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034・野村益三
○委員長(子爵野村益三君) ソレデハ其ノ
ヤウニ取計ヒマス、大分時間ガ移リマシタ
ノデ、御異議ガナケレバ今日ハ此ノ程度ニ
致シマシテ、明日ハ場合ニ依リマシテハ午
前ヨリ午後ニ引續イテ續行致シタイト思ヒ
マス、尙成ルベクナラバ明日中ニ御質疑ヲ
完了致スコトガ出來レバ結構ト存ジマス、
其ノ御含ミデ御進行ヲ願ヒマス、ソレデハ
明日ハ午前十時ヨリ開會、今日ハ是デ散會
致シマス
午後四時七分散會
出席者左ノ如シ
委員長子爵野村益三君
副委員長男爵淺田良逸君
委員
公爵鷹司信輔君
侯爵筑波藤麿君
伯爵酒井忠正君
關屋貞三郞君
子爵松平康春君
子爵伊集院兼高君
松井茂君
入江貫一君
男爵井田磐楠君
安井英二君
男爵加藤成之君
田所美治君
田澤義鋪君
諸橋久太郞君
野田六左衞門君
岩元達一君
國務大臣
文部大臣子爵岡部長景君
政府委員
文部省總務局長藤野惠君
文部省專門〓育局長永井浩君
文部省國民〓育局長阿原謙藏君
文部省〓學局長近藤壽治君
文部書記官柴沼直君
大東亞省總務局長竹內新平君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008402329X00319440202&spkNum=34
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