1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十九年一月二十一日(金曜日)午前十時七分開議
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議事日程 第二號
昭和十九年一月二十一日
午前十時開議
第一 朝鮮に於ける裁判手續簡素化の爲の國防保安法及治安維持法の戰時特例に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第二 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第三 朝鮮私設鐵道補助法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第四 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第五 海軍刑法及海軍軍法會議法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第六 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第七 訴訟費用等臨時措置法案(政府提出) 第一讀會
第八 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第九 會社等臨時措置法案(政府提出) 第一讀會
第十 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第十一 經濟關係罰則の整備に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第十二 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第十三 勞働者年金保險法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十四 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第十五 北支那開發株式會社法及中支那振興株式會社法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十六 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第十七 農林中央金庫特別融通及損失補償法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十八 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第十九 絲價安定施設法廢止及蠶絲業統制法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二十 右議案の審査を付すへき特別委員の選擧
第二十一 石炭配給統制法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二十二 右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
第二十三 企業整備資金措置法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二十四 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第二十五 船舶職員法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二十六 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第二十七 簡易生命保險法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二十八 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=0
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001・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 昨年十二月二十
八日、侯爵鍋島直泰君襲爵仰付ケタルニ付、
又去ル五日、侯爵音羽正彥君滿三十歲ニ達
セラレタルニ付、何レモ貴族院議員ニ就職
セラレマシタ、就キマシテハ、其ノ部屬ハ、
鍋島侯爵ヲ第七部ニ、音羽侯爵ヲ第八部ニ
定メマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=1
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002・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 他ノ諸般ノ報〓
ハ、御異議ガナケレバ朗讀ヲ省略致シタイ
ト存ジマス、御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=2
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003・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス
左ノ報〓書ハ朗讀ヲ經サルモ參
照ノタメ玆ニ載錄ス
昭和十八年十二月二十七日本院ニ於テ可決
シタル陸海軍ニ對スル感謝決議文ハ卽日之
ヲ陸軍大臣及海軍大臣ニ送致セリ
同月三十一日海軍次官ヨリ陸海軍ニ對スル
本院ノ感謝決議ニ對シ左ノ謝電アリタル旨
ノ通牒ヲ受領セリ
聯合艦隊司令長官
貴族院ノ御懇篤ナル感謝竝ニ敬弔ノ決議
ニ接シ感激ニ堪ヘズ今ヤ戰局ハ洵ニ重月
大ナリ聯合艦隊將兵ハ常ニ聖旨ヲ奉體
シ愈々必勝ノ信念ヲ固メ旺盛ナル攻擊精
神ト多年鍊磨ノ術力トヲ以テ勇戰奮闘宿
敵ヲ撃滅シ以テ聖戰完勝ニ邁進センコト
ヲ誓フ玆ニ聯合艦隊ヲ代表シ深甚ナル謝
意ヲ表ス
支那方面艦隊司令長官
貴族院ノ御鄭重ナル感謝竝ニ敬弔ノ決議
ニ接シ感激ニ堪ヘズ今ヤ戰局ハ苛烈ヲ極
ム支那方面艦隊將兵ハ常ニ聖旨ヲ奉體
シテ勇戰奮鬪誓ツテ敵ヲ擊滅シ以テ護國
ノ大任ヲ全フセンコトヲ期ス玆ニ支那方
面艦隊ヲ代表シ深甚ナル謝意ヲ表ス
去ル十七日陸軍次官ヨリ陸海軍ニ對スル本
院ノ感謝決議ニ對シ左ノ謝電謝辭アリタル
旨ノ通牒ヲ受領セリ
東部軍司令官
第八十四議會開會ニ方リ貴衆兩院ヨリ熱
誠眞摯ナル感謝敬弔ノ決議ヲ忝ウシ寔ニ
感激ニ堪ヘス玆ニ軍將兵一同ニ代リ深甚
ナル謝意ヲ表ス戰局ノ前途愈〓、苛烈ノ度
ヲ加ヘントスルノ秋御稜威ノ下戮力協心
至誠奉公以テ皇軍ノ威武ヲ中外ニ宣揚シ
重責完遂ニ邁進センコトヲ期ス
中部軍司令官
第八十四囘帝國議會開會ニ方リ鄭重ナル
感謝竝ニ敬弔ノ決議ヲ賜ハリ感激ニ堪ヘ
ス玆ニ中部軍將兵ヲ代表シ深厚ナル感謝
ノ意ヲ表ス
西部軍司令官
第八十四囘帝國議會開會ニ際シ全會一致
ノ熱誠溢ルル決議ヲ寄セラレ感激ニ堪ヘ
ス將兵一同益〓志氣ヲ〓揚シ誓ツテ國民
ノ期待ニ副ハンコトヲ期ス右謹ミテ謝意
フルチ
北部軍司令官
十二月二十七日第八十四囘帝國議會開會
ニ際シ貴衆兩院ニ於テハ夫々全會一致ノ
決議ヲ以テ軍及戰歿將兵一同ニ對シ熱誠
眞摯ナル感謝敬弔ノ意ヲ寄セラレ寔ニ感
激ニ堪ヘス大東亞戰爭ノ戰局愈、苛烈ヲ
極メ敵ノ反攻ハ日ヲ逐ウテ熾盛ナラント
シツツアル時軍ハ御稜威ノ下將兵一同愈、
戮力協心益〓北東方面ノ護ヲ鞏クシテ敵
擊滅ニ邁進シ以テ銃後國民ノ熱烈ナル御
後援ニ副ハンコトヲ期ス
關東軍司令官
第八十四囘帝國議會開會セラルルニ方リ
貴衆兩院ヨリ陸軍將兵竝ニ戰歿者ニ對シ
鄭重ナル感謝竝ニ敬弔ノ決議ヲ忝ウシ感
激ニ堪ヘス玆ニ隸下將兵一同ヲ代表シ深
厚ナル謝意ヲ表ス今後益、、奮勵努力北邊
ノ護リヲ鞏クシ聖戰日的完遂ニ邁進シ以
テ銃後ノ期待ニ副ハンコトヲ期ス
朝鮮軍司令官
第八十四囘帝國議會ニ際シ貴衆兩院夫々
全會一致ヲ以テ陸軍將兵竝ニ戰歿者ニ對
シ熱誠ナル感謝敬弔ノ決議ヲ賜ハリ寔ニ
感激ノ至リナリ當軍將兵一同志氣益〓旺
盛粉骨碎身誓ツテ聖慮ヲ安ンシ奉リ以テ
御期待ニ副ハンコトヲ期シアリ茲ニ隷下
一同ヲ代表シ深甚ナル感謝ノ意ヲ表ス
臺灣軍司令官
御鄭重ナル感謝敬弔ノ決議ニ接シ感激ニ
堪ヘス將兵一同ニ代リ厚ク御禮申上ク
支那派遣軍司令官
第八十四囘帝國議會開會ニ方リ熱烈ナル
感謝竝ニ敬弔ノ決議ヲ賜ハリ感激ニ堪ヘ
ス支那派遣軍將兵一同ハ大東亞戰爭決戰
酣ナルノ機ヲ迎へ愈。奮勵努力以テ聖慮ヲ
安ンシ奉リ銃後ノ熱誠眞摯ナル御支援ニ
應ヘンコトヲ期ス
南方派遣軍司令官
第八十四囘帝國議會開會ニ際シ御鄭重ナ
ル感謝敬弔ノ決議ニ接シ感激ニ堪ヘス南
方軍ハ御稜威ノ下將兵一同志氣益〓旺
盛愈〓必勝ノ信念ヲ鞏クシ敵ノ非望ヲ粉
碎シ以テ速カニ天業ヲ達成シ聖慮ヲ安ン
シ奉ランコトヲ期シアリ茲ニ深厚ナル謝
意ヲ表ス
香港占領地總督
第八十四囘帝國議會開會ニ際シ貴衆兩院
ノ熱誠溢ルル感謝竝ニ敬弔ノ決議ヲ忝ウ
シ誠ニ感激ニ堪ヘス玆ニ隸下將兵一同ヲ
代表シ謹ミテ深甚ナル謝意ヲ表ス
航空軍司令官
第八十四囘帝國議會開會ニ際シ院議ヲ以
テ軍將兵竝ニ戰歿者ニ對シ熱誠懇篤ナル
感謝敬弔ノ辭ヲ賜ハリ感謝ニ堪ヘス今ヤ敵
ハ大規模ナル反攻ニ出テ戰局ハ刻一刻悽愴
熾烈ノ度ヲ加ヘツツアルノ秋貴意ヲ速カ
ニ隸下將兵ニ傳達シ以テ我等一同愈〓、加
重セラルヘキ責務ノ重大ナルヲ銘肝シ粉
骨碎身一意航空戰力ノ培養ヲ圖リ誓ツテ
敵米英ヲ擊滅シ以テ聖旨ニ應ヘ奉ルト共
ニ御期待ニ副ハンコトヲ期ス玆ニ當軍將
兵一同ヲ代表シ深甚ナル謝意ヲ表ス
去ル十八日政府ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
朝鮮ニ於ケル裁判手續簡素化ノ爲ノ國防
保安法及治安維持法ノ戰時特例ニ關スル
法律案
朝鮮私設鐵道補助法中改正法律案
海軍刑法及海軍軍法會議法中改正法律案
訴訟費用等臨時措置法案
會社等臨時措置法案
經濟關係罰則ノ整備ニ關スル法律案
勞働者年金保險法中改正法律案
北支那開發株式會社法及中支那振興株式
會社法中改正法律案
農林中央金庫特別融通及損失補償法中改
正法律案
絲價安定施設法廢止及蠶絲業統制法中改
正法律案
石炭配給統制法中改正法律案
企業整備資金措置法中改正法律案
船舶職員法中改正法律案
簡易生命保險法中改正法律案
昨二十日內閣總理大臣ヨリ左ノ通第八十四
囘帝國議會政府委員仰付ケラレタル旨ノ通
牒ヲ受領セリ
大藏省所管事務政府委員
大藏書記官福田赳夫君
同池田勇人君
同不田敬一郞君
同渡邊喜久造君
同松崎健吉君
同吉村成一君
同村岡信勝君
專賣局理事稻森實君
官報號外昭和十九年一月二十一一日
同濱田德海君
同深澤家治君
陸軍省所管事務政府委員
陸軍大佐佐藤裕雄君
司法省所管事務政府委員
司法省調査官佐藤藤佐君
大東亞省所管事務政府委員
大東亞書記官杉原荒太君
同愛知揆一君
軍需省所管事務政府委員
軍需省部長石川信吾君
同渡邊渡君
軍需省航空兵器
總局總務局長大西瀧治郞君
軍需省航空兵器太田輝君
總局第四局長
軍需省部長山口六平君
軍需書記官北野重雄君
軍需省軍需官長沼弘毅君
同松下勇三君
運輸通信省所管事務政府委員
鐵道監平山孝君
同堀木鎌三君
同三浦義男君
同向笠金吾君
運輸通信省海運岡本忠雄君
總局總務局長
貴族院譯書迹記錄第一一號/き甲辭贈呈ノ仍
運輸通信省海運新谷寅三郞君
總局海運局長
運輸通信省海運山縣昌夫君
總局船舶局長
運輸通信省海運石井
總局船員局長敬之君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=3
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004・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ本日ノ會
議ヲ開キマス、去ル十九日、正三位勳二等功
五級子爵松平保男君薨去セラレマシタ、誠
ニ哀悼ノ至リニ堪ヘマセヌ、就キマシテハ、
弔辭ヲ贈呈致シタイト存ジマス、御異議ハ
ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=4
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005・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=5
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006・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 子爵松平保男君
薨去ニ付、第六部選出請願委員ニ闕員ヲ生
ジマシタ、就キマシテハ、第六部ニ於テ其
ノ補關選擧ヲ行ハレムコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=6
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007・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 請暇ノ件ニ付御
諮リヲ致シマス、候爵德川義親君、侯爵前田
利建君、侯爵鍋島直泰君、侯爵音羽正彥君、
何レモ公務ニ付會期中、甲爵原田能雄君、川
上親晴君、何レモ病氣ニ付會期中、請暇ノ
申出ガゴザイマシタ、許可ヲ致シテ御異議
委員選擧ノ件議員ノ請暇內閣總理大臣ノ演說
ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=7
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008・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=8
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009・松平頼壽
○議長(伯爵松本賴壽君) 內閣總理大臣、
外務大臣ヨリ、發言ヲ求メラレテ居リマス
是ヨリ許可ヲ致シマス、吏條內閣總理大臣
〔國務大臣東條英機君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=9
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010・東條英機
○國務大臣(東條三機君) 先般開院式ニ當
リマシテハ、特ニ優渥ナル勅語ヲ賜リ、誠
ニ恐懼感激ニ堪ヘナイ次第デアリマス、私
ハ諸君ト共ニ謹ンデ聖旨ヲ奉體シ、全力ヲ
擧ゲテ、決戰下重大ナル職責ノ遂行ニ當リ、
速カニ戰爭目的ヲ達成シ、以テ聖慮ヲ安ン
ジ奉ラムコトヲ深ク期スルモノデアリマス、
顧ミマスレバ、大東亞戰爭勃發以來旣二一一
年有餘、皇軍將兵ハ、御稜威ノ下、愈〓善謀
勇戰ヲ續ケテ居ルノデアリマス、私ハ茲ニ
諸君ト共ニ皇軍將兵ノ健闘ニ對シ、滿腔ノ、
謝意ヲ表シマスルト共ニ、忠烈ナル難歿勇
士ニ對シ謹ンデ敬弔ノ誠ヲ捧ゲ、遺族ノ方々
ニ對シ衷心ヨリ同情ノ意ヲ表シ、且戰傷
病將兵ノ速カナル再起奉公ノ日ヲ祈念スル
モノデアリマス、而シテ私ハ又諸君ト共ニ、
戰ヒ拔ク國民諸君ノ力鬪ニ對シマシテ、深
五
甚ナル敬意ヲ表スルモノデアリマス、大東亞
ノ戰局ヲ大觀致シマスルニ、敵ノ反攻ハ最
近愈。熾烈執拗ノ度ヲ加ヘテ居ルノデアリ
マス、而シテ彼等ハ御承知ノ如キ大損害ヲ
反覆受ケテ居ルニモ拘ラズ、只管物量ヲ恃
ンデ逐次基地ヲ進メ、又我ガ海上交通線ニ
攻撃ヲ加ヘ、輸送ノ上ニ侮ルベカラザル影
響ヲ及シテ居ルノデアリマス、此ノ深刻ナ
ル戰局ニ對處シ、我ガ第一線將兵ハ、〓戰
ニ獲得セル戰略的優位ヲ活用シ、連綿不斷、
勇戰奮鬪、敵ニ甚大ナル損害ヲ與ヘテ居ル
ノデアリマス、特ニ最近「ソロモン」方面ニ於
テ、「ギルバート」方面ニ於テ、又支那方面ニ
於テ擧ゲツヽアル赫々タル大戰果ハ、正ニ
戰史ニ其ノ比ヲ見ザルモノデアリマシテ、
唯之ヲ知ラザルハ、其ノ指導者ニ依リ眼ヲ
掩ハレタル米英ノ一般大衆ノミデアリマス、
而シテ此ノ間、敵ノ人的戰力ニ與ヘツヽア
ル損害ノ如何ニ大ナルカハ特ニ注目ヲ要ス
ル所デアリマシテ、一人克ク十人ヲ斃サズ
ンバ巳マザル皇軍將兵ノ前ニ、不逞ニモ挑
戰シ來レル米英軍ノ前途タルヤ正ニ暗澹タ
ルモノガアリ、彼等ヲ待ツモノハ唯最後ノ
敗北ノミデアリマス、此ノ前線將兵ノ勇戰
敢鬪ニ呼應シ、一億國民ハ愈〓奮起シタノデ
アリマス、今ヤ學徒ハ出陣シ、徴兵適齡ハ
低下セラルヽニ至ッタノデアリマス、是等ハ
交戰國ノ夙ニ實施シテ居ル所ノモノデアリ
マスルガ、今日初メテ帝國ガ之ヲ斷行スル
ニ到ッタノハ、一面、敵米英ニ對シ動員上帝
國ノ有スル優位ヲ示シマスルト共ニ、叉
面米英撃摧ノ斷乎タル帝國ノ決意ノ程ヲ
示スモノデアリマス、一方戰力、特ニ航空戰
力ノ增强ニ付キマシテハ、能ク多方面ノ困
難ヲ排除シテ、一路飛躍的上昇ノ線ヲ辿リ、
生產ノ現狀ハ、昨年度ニ比スレバ既ニ二倍
以上ニ達シテ居ルノデアリマス、御承知ノ
如ク、昨年十一月一日軍需省ガ新設セラレ、
而シテ云ル十五日ニハ、航空機生產ニ關シ
マスル業務ニ付、陸海軍當局ヨリノ移管ヲ
了シマシテ、玆ニ軍需省ハ愈〓本格的ニ其ノ
機能ヲ發揮スルコトトナッタノデアリマス、
斯クシテ航空機增產ニ關シマスル態勢ハ愈〓
强化セラレ、今後ノ航空機生產ハ更ニ現狀
ノ數倍ニ達スル躍進ヲ期待セラルヽ次第デ
アリマス、固ヨリ戰力增强ニ關シマシテハ、
苛烈ナル作戰ノ要求ニ鑑ミ、尙幾多ノソコ
ニ工夫努力ノ要アルヲ痛感セラルヽノデア
リマスルガ、嘗テ纖維工業ニ於テ短時日ノ
中ニ世界水準ヲ突破シ、世界最高ノ技能ト
能率トヲ示セル我等一億ノ卓越セル咨質ヲ、
今ヤ轉ジテ以テ航空機工業ニ遺憾ナク發揮
スルニ於キマシテハ、航空機ノ飛躍的增產
ハ期シテ待ツベキモノガアルノデアリマス、
政府ト致シマシテハ、以上ノ確信ノ下ニ、
國民諸君ト共ニ、行政査察ノ實績等ニモ照
ラシ、不斷ノ工夫ト努力トヲ加ヘ、以テ必
ズヤ前線ノ要望ニ應ヘテ、航空戰力ノ劃期
的增强ヲ具現セムコトヲ固ク期スルモノデ
アリマス、先般來、南太平洋方面ニ於テ示
サレタル如ク、莫大ナル犧牲ヲモ顧ミルコ
トナク、遮二無二挑戰シ來レル戰法ヨリ見
マスルモ、敵米英、特ニ米國ガ、口ニ長期
戰ヲ呼號シツヽモ、內實頻リニ短期戰ヲ渴
望シテ居リマスルコトハ明カナル所デアリ
マス、而シテ是レ正ニ長大ナル補給路ニ
依ラザルヲ得ザル作戰上ノ不利ハ固ヨリ、
彼等ノ內外ニ於ケル深刻ナル苦惱不安ニ基
クニ外ナラナイノデアリマス、卽チ米國ノ
最モ恃ミトスル軍需生產モ既ニ飽和點ニ達
シ、資材及勞力ノ問題ヨリ、不安ハ益〓深
刻トナリツヽアルノデアリマス、一七、英
國ハ、國力酒渴シ、疲弊ノ度愈〓濃濃ナルモ
ノガアルノデアリマス、而モ帝國ニ對シ時
間ヲ與フルナラバ、帝國ノ點略據點ハ愈〓
鞏固トナリ、南方ノ軍需資源ハ益〓戰力化セ
ラレ、大東亞民族ノ結束ハ彌ガ上ニモ强化
セラレ、斯クシテ帝國ノ地位ハ、彼等ノ力
ヲ以テシテハ如何トモ爲シ得ザルニ到ルベ
キハ、彼等ノ當然考慮シテ居ル所デアリ、
又彼等ノ最モ恐レテ居ル所デアリマス、而
シテ擅ニ無名ノ師ヲ起シ、國民ヲ戰爭ノ苦
惱ニ驅リ立テツヽアル所ノ彼等米英指導者
ト致シマシテハ、年ト共ニ募ル國民ノ苦惱
ト不滿トニ直面シテハ、當面ヲ糊塗シテ自
己ノ面目ヲ保持セムガ爲ニ、無謀ノ暴擧モ
之ヲ敢テセザルヲ得ナイノデアリマス、更
ニ國家ノ利害關係ニ付、根本的ニ矛盾ヲ藏
スル彼等聯合國ノ間ニ於テハ、是ガ救フベ
カラザルモノトナルニ先ダチ、速カニ事態
ヲ收拾セムト焦慮スルハ亦當然ノコトデア
リマス、今ヤ敵ハ焦ッテ居ルノデアリマス、
敵ノ焦ッテ居ル今コソ、敵ヲ徹底的ニ叩イテ
之ヲ破局ニ追込ムニ逸スベカラザル好機デ
アリマス、玆ニ於キマシテカ、帝國ハ飽ク
迄モ冷靜沈着、此ノ機會ヲ捉ヘテ更ニ一段
ト猛烈ニ敵ニ打擊ヲ加へムトシテ居ルノデ
アリマス、旣ニ此ノ邀擊作戰ハ展開セラレ
テ居ルノデアリマス、例ヲ六次ニ亙ル3,
ゲンビル」島沖航空戰、四次ニ亙ル三十七
バートㄴ諸島沖航空戰ニ見マシテモ、斯ク
ノ如キ大損害ヲ反覆被ルコトハ、假令如何
ニ物量ヲ恃ム米國ニ取リマシテモ致命的ノ
痛手トナルベキハ、蓋シ相、像ニ難クナイ所デ
アリマス、況ヤ數萬ノ敵將兵ガ短時日ノ間
ニ南溟深ク其ノ生命ヲ失ヘルヲ思ヒマスレ
バ其ノ影響ノ如何ニ深刻ナルカハ、蓋シ
思ヒ半バニ過グルモノガアルノデアリマス、
敵側指導者ガ、其ノ儼然タル事實ヲ前ニシテ
極力之ヲ隱蔽セムト努メツヽアリマスルコ
トモ誠ニ宜ナル哉デアリマス、而シテ此ノ
間、敵ヲ邀撃スル皇軍ノ威力ヲ愈〓偉偉ナ
ラシムルト共ニ、機ヲ逸セズ、來ルベキ攻
勢作戰へノ切替ヲ可能ナラシムルモノハ、
正ニ一億官民ヲ擧ゲテ一路邁進シツヽアル
戰力、特ニ航空戰力ノ增强ニ在ルノデアリ
マス、固ヨリ是ト共ニ物心兩面ニ亙リ、常
ニ長期戰ノ構ヘヲ固ムルノ要アルハ多言ヲ
要シナイ所デアリマス、而シテコヽニ所謂
長期戰ノ構ヘトハ、內ニ强靱ナル耐久ノ姿
勢ヲ整へ、外ニ隨時隨所ニ痛擊ヲ加フル積
極的攻勢ノ態勢タルベキハ、亦言ヲ俟タナ
イ所デアリマス、之ヲ要シマスルノニ、今
後ニ於ケル戰爭遂行ノ要諦ハ、敵ガ焦慮シ
テ總反攻シ來タレル此ノ好トヲヲ捉捉シテ、
敵戰力ノ擊指ヲ□ルト共ニ、イガ無力、特
ニ航空戰力ヲ飛躍的ニ增强セシメツヽ、物
心兩面ニ亙ル長期戰ノ構ヘヲ固メ、斯クシ
テ更ニ攻勢ニ轉ジテ、以テ遂ニ敵ヲ屈服セ
シムルニ在ルノデアリマス、以上ノ戰爭遂
行ノ要諦ニ基キ、政府ト致シマシテハ、國
內ノ決戰施策ニ遺憾ナキヲ期シ、特ニ昨秋
來、國內態勢ノ決戰化ニ付各般ノ措置ヲ執ッ
テ參ッタノデアリマスルガ、今後更ニ政府
ノ力ヲ致サムトスル施策ノ重點ニ付一言致
シタイト思ヒマス、今日前線ニ速カニ優
秀ナル航空機ヲ十分ニ供給シ得ルヤ否ヤハ、
正ニ現下ノ戰局ノ大勢ヲ決シ、今後ノ戰爭ノ
勝敗ヲ決スルモノデアリマス、大量ノ航空機
ヲ速カニ生產スル、卽チ量ト時トハ航空戰力
增强ノ絕對的要求デアリマス、固ヨリ是ハ生
易シイ業デハナイノデアリマスルガ、必勝ノ爲
ニハ何トシテデモ之ヲ完遂シナケレバナラ
ナイノデアリマス、先程モ申述ベマシタル
如ク、政府ト致シマシテハ、國民諸君ト共ニ、
確信ヲ以テ之ガ必成ヲ期スルモノデアリマ
ス、而シテ戰力增强、特ニ航空戰力ノ增强
ノ爲ニハ鐵輕金屬、石炭其ノ他ノ重要
軍需物資ノ增產ト共ニ、國民勤勞ノ强化、
又海陸輪送力ノ確保向上ガ、根本的要件ト認
メラレルノデアリマス、重要軍需物資ノ增
產ニ付キマシテハ、政府ハ作戰上ノ要求ニ
對應シ、劃州的ナル增產計畫ノ下ニ、之ガ
實現ニ高遺憾ナキヲ期シ、渾身ノ努力ヲ致
シテ居ル次第デアリマス、之ニ伴ヒ國民勤
勞ノ强化ニ付キマシテハ、政府ト致シマシ
テハ、量ノ增加、卽チ人ヲ增スト云フコト
ト、質ノ向上、卽チ生產效率ノ上昇ニ付、
有ラユル措置ヲ講ズル所在デアリマス、量
ノ增加ニ付キマシテハ、國民動員ノ强化ト
シテ更ニ國民ノ負擔ヲ增大シ、國民生活ノ
上ニモ影響スル所尠カラザルモノガアルノ
デアリマスルガ、政府ハ今後ノ苛烈ナル戰
局ニ對應シ、强力ニ之ガ實行ニ當ラムコト
ヲ期シテ居ルモノデアリマス、固ヨリ國民
諸君ハ、此ノ緊急ナル國家ノ要求ニ對シ、
欣然トシテ之ニ應ゼラルベキコトヲ、私
固ク信ジテ疑ハザルモノデアリマス、又質
ノ向上ニ付キマシテハ、各方面ニ亙リ尙幾
多ノ改善向上ノ餘地アルヲ認メラレテ居ル
ノデアリマシテ、政府ト致シマシテハ、之
ガ指導ニ更ニ一段ノ力ヲ加フルト共ニ、各
方面ニ於ケル當事者ノ此ノ點ニ關スル一層
ノ工夫ト努力トニ依リ、萬遺憾ナキヲ期ス
ルモノデアリマス、海陸輸送力ノ確保向上
ニ付キマシテハ、今ヤ海上輸送ノ上ニ於テ
被リツヽアル損害ハ、蓋シ輕視スベカラザ
ルモノガアルノデアリマス、此ノ際、海空
ヨリスル護衞ノ强化ニ依リ、船舶ノ損耗ヲ
極力減少致シマスルト共ニ、政府ト致シマ
シテハ、輸送船、乘組員、稼航率、荷揚能
率等、各般ノ問題ニ亙リ緊急ノ對策ヲ講ジ、
特ニ萬難ヲ排シテ船舶ノ建造ヲ促進シ、更
ニ陸運ヲ强化シ、以テ綜合的ニ輸送力ノ確
保向上ヲ圖ッテ居ル次第デアリマス、以上ノ
諸方策ト相竝ビ、食糧ノ確保ハ必勝ノ爲缺
クベカラザル要件デアリマス、政府ハ從來
トモ、食糧ノ自給態勢ノ强化ニ關シマシテ
ハ愼重ナル計畫ノ下ニ努力シテ參ッタノデ
アリマシテ、今ヤ帝國ノ食糧ハ、國民諸君
ノ努力ニ依リ、米穀ニ加フルニ、特ニ麥、
芋類等ヲ割期的ニ增產シ、更ニ滿洲國ノ非
常ナル協力ニ依ッテ、今後點ガ如何ニ長期ニ
亙リマセウトモ、何等ノ不安モナキ狀態ニ
達シタノデアリマス、皇國農村ノ傳統ノ醇
風美俗ノ下、老若男女ヲ問ハズ、相倚リ相
扶ケ、幾多ノ因難ヲ突破シテ、孜々トシテ食
糧增產ニ挺身シテ居リマスル農村ノ方々ノ
御努力ハ、誠ニ感銘ニ堪ヘザル所デアリマス、
固ヨリ戰時下、特ニ此ノ戰爭ガ長期トナル
ニ伴ヒ、食糧ノ確保ガ如何ニ重大ナル問題
デアルカハ、御史特ニ第一次歐洲大戰ノ史
實ニ徴スルモ明カナル所デアリマス、政府
ト致シマシテモ、食糧ノ增產、配給ノ圓滑
化ニ今後更ニ意ヲ用ヒ、愈、〓糧自給ノ强化
ヲ圖ラムトスルモノデアリマシティ此ノ點
ニ關シマシテハ、此ノ上トモ國民諸君ノ協
力ヲ强ク期待スルモノデアリマス、尙戰局
ノ進展ニ對處シ、租稅及國民貯蓄ノ增强ヲ圖
ルハ固ヨリ、產業資金ノ效率的使用ヲ圖ル
ノ要特ニ切ナルモノガアルノデアリマシテ、
政府ト致シマシテハ、國民諸君ノ協力ノ下
ニ、之ガ成果獲得ニ萬全ヲ期スル次第デア
リマス、以上ノ施策ニ竝行シ、官吏服務
ノ決戰化ハ、萬般ノ施策ノ根本的前提ヲ
成スモノデアリマス、曠古ノ重大戰局ニ鑑
ミ、今ヤ我々官吏ノ職責遂行ノ如何ハ、
直チニ國民ノ志氣ニ反映シ、國民ノ活動
ヲ左右シ、戰爭遂行ニ至大ノ影響ヲ及スノ
デアリマス、此ノ秋ニ當リ特ニ戰時官吏服
務令ノ御制定公布ヲ見、戰時下ニ處スル官
吏ノ道ニ付明示セラルヽ所ガアッタノデア
リマスルガ、此ノ際我々官吏ハ、愈、(カメージン)
省ミ、切瑳琢磨、本勅令ニ示サレタル所ヲ
拳々服膺シ、以テ戰時下ノ御奉公ニ此ニカノ
遺憾ナカラムコトヲ固ク期シテ居ル次第デ
アリマス、戰爭遂行ノ要諦ト、之ニ基ク政
府ノ國內施策ノ要點ハ以上ノ通リデアリマ
スルガ、玆ニ私ノ特ニ强調致サムトスルモ
ノハ、我等一億國民ニ一貫シテ流ルヽ必勝
ノ信念デアリマス、大東亞戰爭究極ノ勝利
獲得ノ確信デアリマス、申ス迄モナク戰爭
ハ畢竟意志ト意志トノ戰ヒデアリマス、今
ヤ世界ノ列强ハ國力ヲ擧ゲテ戰フコト玆ニ
數年、此ノ秋ニ當リ最後ノ勝利ハ、飽ク迄
モ最後ノ勝利ヲ固ク信ジテ鬪志ヲ繼續シタ
モノニ歸スルノデアリマス、最後ノ勝敗ノ
岐レ目ハ眞ニ紙一重デアリマス、今囘ノ戰
ヒニ於テモ、今後我々ニ襲ヒ掛ッテ來ル苦
難ハ、愈〓深刻ナルモノガアルコトヲ覺悟
シナケレバナラヌノデアリマス、同時ニ我
ガ猛擊ノ前ニ、敵ノ蒙ル苦惱ノ更ニ增大ス
ルコトハ固ヨリ當然デアリマス、斯クシテ敵味
方雙方共疲レニ疲レ果テタ末、必勝ノ信念ニ
動搖ヲ來シ、鬪志ヲ一步デモ早ク失ッタ方ガ參
ルト云フ過程ヲ辿ルベキハ、當然豫想セラ
ルヽ所デアリマス、此ノ點ニ於テ世界ニ冠
タル國體ヲ有シ、絕對不敗ノ帝國ニ敵對シ
來タル國々コソ誠ニ憐レムベキモノデアリ
マス、三千年來彌榮エニ榮エマス皇室ヲ戴
ク大和民族ノ盡忠報國ノ精神力ハ萬邦無比
デアリマス、而シテ白存自衞ノ爲已ムニ已
マレズシテ起チ上ッタ此ノ大東亞戰爭ニ於
テ、此ノ力ハ何物ヲモ燒キ盡サズムバ止マザ
ル勢ヲ以テ進ンデ居ルノデアリマス、危險
ガ身近ニ迫レバ迫ル程、困難ガ眼前ニ積レ
バ積ル程、我等一億國民ノ精神力ハ熾烈ト
ナッテ居ルノデアリマス、曩ニ「アッツ」島ニ
於テ、而シテ最近「タラワ」、「マキン」兩島ニ
於テ、我ガ勇士ハ寡兵克ク數倍、十數倍ノ
敵ヲ殪シテ玉碎シテ居ルノデアリマス、是
等ノ勇士ハ、我々一億國民ニ代ッテ大和民
族ノ精神力ガ如何ナルモノデアルカヲ嚴カ
ニ敵ニ示シテ居ルノデアリマス、而モ是等
ノ勇士ト何等異ル所ナキ偉烈ヲ遺サレテ居
ル忠烈ノ將士ノ、數知レザルモノガアルコ
トヲ、我々ハ忘ルヽコトガ出來ナイノデア
リマス、誠ニ鬼神ヲ哭カシムル此ノ偉大ナ
ル精神力コソ、我々一億國民ニ脈々トシテ
流レテ居ル底力デアリマス、此ノ世界ニ類
ヲ見ザル精神力アレバコソ、我々ハ必ズヤ
此ノ正義ノ戰ヒノ究極ノ勝利ヲ獲得スルコ
トガ出來ルノデアリマス、敵ガ內心恐レヲ
爲シテ居ルノモ實ニ我々ノ此ノ精神力ナノ
デアリマス、此ノ偉大ナル精神力ノ上ニ立
千、而シテ前ニ申述ベマシタル諸方策ノ實行
ニ依ッテ劃期的戰力ノ增强ヲ圖ル時、茲ニ
我々ノ前途ニハ唯最後ノ勝利アルノミデア
リマス、飜ッテ大東亞ノ情勢ヲ觀マスルニ、
昨年十一月、大東亞會議ノ開催セラレマシ
タコトハ御承知ノ通リデアリマス、大東亞
戰爭完遂、大東亞建設完成ノ途上ニ於キマ
シテ、割期的盛事トシテ此ノ大會議ガ開催
セラレ、各國ヲ代表スル責任アル指導者自
ラガ親シク一堂ニ相集ヒ、親陸明朗ナル雰
圍氣ノ下ニ、公然ト大東亞ノ將來ヲ議シ、
共同ノ決意ニ到達シタノデアリマス、卽チ
大東亞各國ハ、共存共榮、獨立親和、文化昂
揚經濟發展、世界進運貢獻ノ五原則ノ下
ニ、大户亞戰爭ヲ完遂シ、大東亞ヲ建設シ、
以テ卅界平和ノ確立ニ客與セムコトヲ堂々
實言致シタノデアリマス、惟フニ大声亞共同宣
言コソハ、我ガ緊國ノ大理想ガ正ニ大東亞
諸民族ノ理想ト相合致スルヲ示スモノデア
リ、而シテ其ノ全東亞入ノ共同ノ心ヲ最モ
嚴カニ全世界ニ闡明シタルモノニ外ナラナ
イノデアリマス、今ヤ大東亞十億ノ民族ハ、
愈〓提携ヲ密ニシ、必ズ東亞ノ侵略者、共
同ノ宿敵米英ヲ完全ニ却ケ、道義ニ基ク大
東亞ヲ建設シ、世界平和ニ寄與セムコトヲ
固ク期シテ、獻身的努力ヲ致シテ居ルノデ
アリマス、此ノ間ニ於ケル大東亞諸民族ノ
帝國ニ對スル心カラナル協力ニ對シマシテ
ハ、誠ニ感激ニ堪ヘザル所デアリマシテ、
此ノ機會ニ於キマシテ、私ハ諸君ト共ニ大
東亞諸民族ニ對シマシテ深甚ナル謝意ヲ表
スルモノデアリマス、今ヤ日滿一德一心ノ
紐帶ハ愈〓、固ク、而モ昨年日華同盟條約及ビ
「タイ」國ノ新領土ニ關スル日「タイ」條約ノ
締結ヲ始メ、「ビルマ」國及ビ「フィリピン」
國ノ獨立等ガ相次イデ行ハレタノデアリマ
ス、又「マライ」、「スマトラ」、「ジャワ」、
ボルネオ」、「セレベス」等ニ於ケル原住民
ノ政治參與モ著々トシテ具現セラレ、原住
民ノ帝國ニ對スル協力ハ更ニ一段ト目覺マ
シキモノガアルノデアリマス、而シテ大東
亞諸國家ノ指導者ハ、敵側ノ惡辣ナル謀略
ト手段ヲ擇バザル恫愒トニ拘ラズ、敢然ト
シテ之ニ抗シツヽ能ク大局ヲ達觀シ、率
先其ノ國民ヲ指導シ、國民亦有ラユル苦難ニ
耐ヘテ一路最後ノ勝利ニ向ッテ邁進致シテ
居ルノデアリマス、最近ニ至リ、米英ハ大
東亞各地域ニ於ケル都市ノ非軍事施設ヲ盲
爆シ、無辜ノ民衆ヲ殺傷致シテ居ルノデア
リマス、此ノ敵ノ非人道的ナル行爲ニ基キ
生命ヲ奪ハレ、家ヲ失ヘル幾多ノ大東亞ノ
民衆ニ對シマシテハ、私ハ衷心ヨリ同情ノ
意ヲ表シマスルト共ニ、敢然トシテ此ノ苦
境ヲ突破シツヽアル大東亞ノ民衆ニ對シマ
シテ心カラナル敬意ヲ表スルモノデアリマ
ス、此ノ憎ムベキ敵ノ暴狀ハ、正ニ天人倶ニ
容スベカラザル所デアリマス、遠カラズ帝
國ハ之ニ對シ斷乎報復膺懲ノ鐵槌ヲ下サム
トスルモノデアリマス、帝國ノ此ノ斷乎タ
ル決意コソ、米英ノ大衆ノ以テ肝ニ銘ス
ベキ所デアリマス、今ヤ大東亞十億民族
ノ結束ハ、日ニ〓〓强化セラレ、大東亞
解放、大東亞建設ノ大事業ハ、著々トシテ
其ノ巨步ヲ進メテ居ルノデアリマス、此ノ
秋ニ當リ、今ニ及ンデ敵米英ガ重慶ヲ誘ヒ、
「カイロ」ニ於テ彼等ノ今後ノ方途ヲ議スル
ガ如キハ、旣ニ米英ト重慶トノ精神的連繫
ノ破綻ヲ暴露スルモノニ外ナラナイノデア
リマス、卽チ自主獨立、永久友好ノ日華本
然ノ關係ニ立チ還レル新事態ニ直面シ、今
ヤ抗日名目ヲ失ヘル重慶政權下ノ民衆ノ、
新シキ動向ニ眼ヲ掩ヒ得ザル敵米英トシテ
ハ、猶未ダ迷夢ヨリ醒メズ、依然トシテ從
來ノ行懸リニ拘泥スル重慶指導者ヲ懷柔ス
ル外ニハ、最早何等施スベキ術ハ無イノデ
アリマス、而シテ「カイロ」會談ニ依ッテ重
慶政權下ノ民衆ノ得タルモノハ、遂ニ儚ナ
キ夢物語ト、內容ナキ援助ノ約束ノミデア
リ、之ニ依ッテ自ラノ身ニ襲ヒ來ルモノハ、
故ナキ戰爭ニ依ル苦惱ノ延長ト增大ノミデ
アリマス、曩ニ「ビルマ」總反攻ヲ呼號シ、
今ニモ重慶ヲ直接援助セムコトヲ豪語セル
英米ハ、今ヤ雨期明ケ後、乾期旣ニ半バヲ
過グルモ、未ダニ何等爲ス所ヲ知ラズ、斯
クシテ再ビ空シク新シキ雨期ヲ迎ヘムト致
シテ居ルノデアリマス、又敵米英ノ說ク理
想人道ノ、如何ニ空虛デアリ不信ナルカハ、
現ニ英人ノ支配下ニ在ル諸民族ニ對シ、將
又米人ノ支配下ニ在ル黑人ニ對スル、彼等
ノ爲ス所ニ徵スレバ、極メテ明白ナルモノ
ガアルノデアリマス、抑、人種的差別ヲ撤廢
シ、萬邦共榮ノ樂ヲ偕ニセムトスルハ、我
我亞細亞人ノ多年ノ宿望デアリ、永遠ノ理
想デアリマス、然ルニ敵米英ハ、他民族ノ
奴隸化ニ依ッテ、專ラ自己ノミノ繁榮ヲ圖
ラムトシテ居ルノデアリマス、而シテ東亞
ニ於テ彼等ノ企圖スル所ハ、現ニ築キ上ゲ
ラレツヽアル新シキ大東亞ヲ、再ビ之ヲ舊態
ニ引戾シ、以テ專ラ彼等ノ搾取スル虞ゲラ
レタル東亞タラシメムトスルニ外ナラナイ
ノデアリマス、是レ我等ノ理想ト天地霄壤
ノ差ノアル所デアリマシテ、我々大東亞十
億民族ノ決シテ空認シ得ザル所デアリマス、
殊ニ「インド」ノ大衆ガ依然トシテ英米ノ暴
力ノ前ニ塗炭ノ苦シミヲ重ネテ居リマスル
コトハ、誠ニ同情ニ堪ヘナイ所デアリマス、
今ヤ「インド」解放ハ我々十億ノ抑ヘムトス
ルモ抑へ得ザル熱情デアリマス、既ニ「ス
バス·チャンドラ·ボース」氏ヲ首班トシテ
幾多ノ「インド」ノ志士ハ、「インド」獨立ノ
爲ニ起立ッタノデアリマス、而シテ曩ニ自
由「インド」假政府首班「ポース」氏ヲ大東亞
會議ニ迎へ、其ノ席上ニ於テ、帝國ハ「イン
ド」獨立ノ第一階梯トシテ、皇軍ノ占領下
ニアル「アシダマン」諸島及ビ「ニコバル」諸
島ヲ近ク自由「インド」假政府ニ歸屬セシム
ルノ用意アル旨ヲ闡明致シマシタルコトハ、
御承知ノ通リデアリマス、爾來「スバス·チャ
ンドラ·ボース」氏指導ノ下ニ、「インド
ノ自由ト獨立トヲ獲得セムトスル世紀ノ大
事業ハ、著々トシテ進捗シツヽアルノデア
リマス、既ニ精神的ニ、飽クナキ英米ヨリ
離反セル「インド」四億ノ民衆ハ、此ノ正義
ノ大運動ニ機ヲ逸セズ呼應セムト、致シテ居
ルノデアリマス、今ヤ此ノ運動ノ進展ニ伴
ヒ、「インド」民衆ノ桎梏離脫、獨立蹶起ノ
勢ハ、正ニ全「インド」ヲ蔽ハムト致シテ居
ルノデアリマス、斯クシテ愈〓「インド」ニ
於テ自由「インド」假政府ノ大旆ノ進メラレ
ル日モ遠カラザルコトヲ期待サレルノデア
リマス、之ニ對シ帝國ハ、大東亞ノ諸國家
ト共ニ、「インド」解放ノ爲更ニ實力ヲ以
テ積極的ナル援助ヲ送ルモノナルコトヲ、
玆ニ重ネテ中外ニ闡明スル次第デアリマス、
轉ジテ歐洲ノ情勢ヲ見マスルニ、我ガ盟
邦「ドイツ」ハ、幾多ノ波瀾ノ眞只中ニ磐石
ノ構ヘヲ布イテ、一路米英ノ擊摧ニ邁進致
シテ居ルノデアリマス、「ドイツ」ノ嘗メ來
レル苦難ノ程ハ、我々ノ察スルニ餘リアル
所デアリマス、而モ「ドイツ」ハ、國ヲ擧ゲ
テ能ク之ヲ克服シテ、戰意愈〓揚リ、飽ク
迄モ究極ノ勝利ヲ固ク信ジテ、敢闘ヲ續ケ
テ居ラルヽノデアリマス、而シテ今ヤ幾多ノ
試鍊ヲ重ネ、來ルベキ一大決戰ニ備ヘテ、
態勢ヲ整ヘタル「ドイツ」軍ハ、機ニ乘ジテ
其ノ最モ得意トスル陸上決戰ニ於テ米英軍
ニ痛擊ヲ浴セ、敵ヲシテ再ビ起ツ能ハザラ
シメムト致シテ居ルノデアリマス、遠カラ
ズシテ起ルベキ此ノ「ドイツ」軍ノ縱橫ノ活
躍コソ、正ニ刮目シテ待ツベキモノガアル
ノデアリマス、今ヤ日獨兩國ハ崇高ナル道義
ニ基ク世界ノ新秩序建設ニ付、終始渝ラザ
ル相互信賴ト、共同ノ敵米英トノ戰ヒニ於
テ流サレタル將兵ノ血ニ依リ、不可分ノ
體ヲ成シテ居ルノデアリマス、斯クシテ日獨ノ
提携、特ニ其ノ精神的提携ハ、戰局ノ苛烈ト
ナルニ伴ヒ益〓緊密ノ度ヲ加ヘテ居ルノデ
アリマス、又「ムッソリーニ」統帥ノ强力ナル
指導ノ下ニ再出發セル「イタリー」人ハ、著々
トシテ態勢ヲ整ヘ、樞軸ノ紐帶强化ニ邁進
シテ居ルノデアリマス、玆ニ私ハ諸君ト共
ニ、「ドイツ」ヲ中軸トスル歐洲盟邦諸國ノ
健闘ニ對シマシテ、滿腔ノ敬意ヲ表シマスル
ト共ニ此ノ上トモ、提携ヲ更ニ緊密ニシ、東
西相呼應シテ米英ヲ擊摧シ、以テ共同ノ使
命ヲ達成セムコトヲ改メテ固ク期スルモ
ノデアリマス、以上、重大戰局ニ臨ミマス
ル政府ノ所信ヲ披瀝致シタノデアリマスル
ガ、ドウカ諸君ニ於カレマシテハ、政府ノ決意
ヲ篤ト御了解ヲ賜リ、此ノ上トモ愈〓心カラ
ナル御協力ヲ賜リマスルト共ニ、今囘政府
提出ノ豫算案、法律案ニ付キマシテ、何卒
御審議ノ上速カニ協賛ヲ與ヘラレムコトヲ
切望スル次第デアリマス、終リ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=10
-
011・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 重光外務大臣
〔國務大臣重光葵君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=11
-
012・重光葵
○國務大臣(重光葵君) 不肖、昨年四月揣
ラズモ帝國ノ外政擔當ノ重任ヲ拜シマシテ、
本日玆ニ帝國政府ノ外交方針ニ付所見ヲ開
陳スルノ機會ヲ得マシタコトハ、私ノ最モ
光榮トスル所デゴザイマス、戰局ハ、御承知
ノ通リ益〓深刻トナリ、米英ハ昨年來ノ反
攻ニ依ッテ、漸ク東西樞軸防衞ノ外郭ニ接觸
スルニ至リマシタ、彼等ハ此ノ上自力ノミ
ヲ以テ進攻スルノ困難ナルヲ感ジ、如何ナ
ル犠牲ヲ拂ッテモ必要ナル他國ノ力ヲ借ラ
ムトスルニ至リ、之ガ爲ニ大東亞會議ト前
後シテ「モスコー」ニ相會シ、更ニ「カイロ」
及ビ「テヘラン」ニ到ッテ彼等ハ協議ヲ致シ
タノデゴザイマス、彼等ハ玆ニ西、歐洲大
要塞ニ對シ、又東、帝國ニ對シテ、速カニ
總反擊ニ出ヅルコトニ決シタ模樣デアリマ
ス、是ガ本年ニ於ケル彼等ノ企圖デゴザイ
マス、米英首腦部ハ、昨年十一月下旬重慶側
ヲモ加ヘマシテ「カイロ」會議ヲ開キ、帝國ニ
對シ假借ナク攻撃ヲ加ヘ、無條件降伏ヲ强
要スベシト稱シ、本土以外ノ帝國ノ領域
ハ、悉ク之ヲ奪取シテ、或ハ自己ノ領土
ト爲シ、或ハ之ヲ支那ニ分チ與フベシト約
シ、重慶政權ノ離脫ヲ防止セムト致シタ
次第デゴザイマス、彼等ハ今日旣ニ全力ヲ
擧ゲテ對日總反攻ヲ實行シツヽアリト聲明
致シテ居ルノデアリマスガ、今日迄彼等ノ
獲得シタモノハ、我ガ前哨線ニ散在スル數
箇ノ島嶼ニ過ギナイノデアリマス、而シテ、
之ガ代償トシテ支拂ッタモノハ、海底ニ葬
リ去ラレタル多數ノ艦船、竝ニ數十萬ノ兵
員デアルノデアリマス、而モ米國民ハ、何
ノ爲ニ米國ノ安全トハ何等ノ關係ノ無イ東
亞ノ僻地ニ於テ戰ッテ居ルノデアルカ、又戰
ハネバナラヌノデアルカト云フコトヲ了解
スルニ苦シンデ居ル樣子デアリマス、米國
大統領ハ、其ノ政策タル「ニユー·デイール」
ナルモノガ國內的ニ行詰ルヤ、之ガ打開ヲ
外ニ求メムトシテ、盛ニ戰爭熱ヲ煽ッテ、國
民ノ視聽ヲ强イテ國外ニ轉ジ、今ニモ米大
陸ガ外敵ニ依リ襲擊侵略セラルヽガ如クニ
宣傳ヲ致シタノデアリマス、米國ノ挑發サ
ヘナカッタナラバ、今次戰爭ハ起ラヌデ濟ン
ダ筈デアリマス、米大陸ノ安全ヲ脅威スル
モノ何處ニモナク、米國國民ハ平和ヲ享樂
シ得タルベキニモ拘ハラズ、不測ノ冒險ニ
追ヒ入レラレ、不必要ニシテ高價ナル犧牲
ニ甘ンゼシメラレテ居ル次第デアルノデア
リマス、而シテ彼ハ、恰モ世界ノ管理者デ
アリ、東亞ノ支配者デアルガ如キ行動ニ出
テ、歐洲戰爭ヲ挑發シタル上ニ、擅ニ東亞
ニ介入シ來ッテ、遂ニ帝國ニ對シテ所謂經
濟的制裁ヲ加ヘ、更ニ進ンデ經濟戰爭ノ手
段ニ訴ヘタノデアルノデアリマス、太平洋
戰爭ガ、眞珠灣以前ニ旣ニ米國ニ依ッテ開
始セラレテ居マシタコトハ、現ニ米國政府
白身ニ依リ發表セラレタ多クノ文書ニ依ッ
テモ明白ナ所デアルノデアリマス、斯クノ
如クシテ、米國ハ植民地的戰爭ニ乘リ出シ
タノデアリマシテ、米國ノ戰爭ハ要スルニ
政略戰爭デアリマス、蓋シ右ハ米國ガ全世
界ニ亙リ、英國ニ代リ世界制覇ノ基礎ヲ固
メムトシツヽアル點ヨリ見テモ明カナ事實
デゴザイマス、米英ハ單ニ與國ヲ驅使セム
トスルノミナラズ、有ラユル策略ト威壓トヲ
弄シテ、中立國ヲ戰爭ニ引キ入レ、戰禍ノ擴大
ヲ憚ラズ、擅ニ之ヲ利用セムト致シテ居ルノ
デアリマス、「トルコ」其ノ他ニ對スル壓迫ハ、
國際道義ヲ蹂躪シテ居ルモノデアッテ、般
ノ忿懣ヲ招イテ居ル次第デゴザイマスガ、「ト
ルコ」ノ態度ハ變化ナク、又同樣ナ脅迫ヲ蒙ッ
タ南米「アルゼンチン」ハ尙毅然タル態度
ニ出テ居ル次第デゴザイマス、米英ノ東西
ニ於ケル反攻ハ、斯クノ如クニシテ鳴物入リ
デ開始セラレタノデアリマスルガ、勝利ハ
單ニ宣傳ヤ欺瞞ニ依ッテ得ラルヽモノデハ
ナイノデアリマス、東西樞軸ノ堅陣ハ儼ト
シテ微動ダモ致シテ居ラナイノデアリマス、
歐洲要塞ニ於キマシテハ、「ドイツ」軍ハ必要
ニ應ジテ前線ノ整理ヲ行ヒ、磐石ノ堅陣ト、
萬全ノ準備トヲ以テ敵ヲ邀擊セムコトヲ期
シテ居ルノデアリマス、過去ニ於テ苦キ經
驗ヲ有スル「ドイツ」國民ガ、「ヒットラー」總
統統率ノ下ニ、一致協力シテ未曾有ノ試鍊ニ
應ヘ、確乎タル自信ヲ示シ、終局ノ勝利ニ向ッ
テ邁進シツヽアル狀況ハ、實ニ世界史上ノ
壯觀ト言ハナケレバナリマセヌ、斯クテ「ド
イツ」軍ハ戰勢ヲ轉換シテ攻勢ノ機ヲ捉ヘ
ムトシ、「ドイツ」國民ハ激シキ空襲ノ下ニ
不屈ノ精神ヲ以テ勝利ヲ確信シ、敢闘ヲ續
ケテ居ルノデアリマシテ、此ノ點ハ敵側ス
ラモ承認セザルヲ得ザル事實デゴザイマス、
帝國政府ハ常時「ドイツ」政府ト緊密ナル連
繫ヲ保チマシテ、軍事上ハ勿論、各般ノ問
題ニ付テ有ラユル協力ヲ遂ゲツヽアル次第
デゴザイマス、新「イタリー」ハ「ムッソリー
ニㄴ統帥指導ノ下ニ、樞軸ノ一環トシテ再
ビ力强ク起チ上リツヽアルノデアリマス、
帝國及「ドイツ」トノ共同戰線ニ於キマシテ、
그「イタリー」ガ光輝アル將來ヲ拓キマスルコ
トハ、期シテ俟ツベキモノガアルノデアリマ
ス、過般「イタリー」政變後、敵側ハ頻リニ
和平ノ宣傳ヲ行ヒマシテ、樞軸與國ヲ動搖
セシメムト策動致シタノデアリマスルガ、是ハ
彼等ノ常套手段デアルノミナラズ、彼等ノ
國內不安及ビ戰爭早期終結ノ要望ヲ反映シ
テ居ルモノデアリマシテ、畢竟スルニ彼等
ノ焦躁感ヲ示ス以外ノ何物デモナイノデア
リマス、歐洲ニ於ケル樞軸與國ハ、敵側ノ宣
傳ニモ拘ラズ、確乎不動、共同戰爭ヲ完遂
セムトシツヽアルノデアリマス、太平洋方面
ニ於ケル敵ノ熾烈ナル反攻ニ對シ、我ガ東
亞保衞ノ堅陣ハ聊カモ搖イデ居ラナイノデ
アリマス、是ハ申ス迄モナク、御稜威ノ下、
皇軍ノ勇戰奮鬪ノ賜デアリマシテ、全國民
ノ感激措ク能ハザル所デゴザイマス、私ハ
玆ニ我ガ忠勇ナル陸海將兵ノ武運長久ヲ切
ニ祈ルト共ニ、殉國フ英靈ニ對シ、謹ン
デ敬弔ノ意ヲ表スルモノデゴザイマス、
米英ノ恃ム所ハ主トシテ物質力デアリ
マス、現代戰爭ニ於テ物質力ノ重要ナル
コトハ否定出來マセヌ、併シナガラ勝敗ハ
單ニ物質力ノ優劣ニ依ッテ定マルモノデハ
アリマセヌ、物質力ノ點カラ觀テモ、敵
幾多ノ弱點ガアルノデアッテ、人的資源ニ至ッ
テハ少カラズ脆弱點ヲ敵ガ有スルコトハ
見逃シ難イノミナラズ、地ノ利ハ寧ロ我レ
ニアルノデアリマス、而モ國民戰意ノ點ニ
至ッテハ、彼ハ到底我ガ敵デハナイノデアリ
マス、蓋シ我ガ必勝ノ信念ハ、數ニ非ズ又
量ニ非ズ、將又地ノ利ニモ非ズシテ、宜エ
人ノ和ニ在ルノデアリマス、我ガ國民ノ今
日當面スルノハ、共ニ生クルカ、共ニ死ス
ルカノ問題デアルノデアリマス、吾人ヲ促
スモノハ、過去ニ於テ幾多國難ヲ克服シタ
祖先ノ偉業ヲ顧ミ、皇國ノ偉大ナル將來ヲ
確保セムコトヲ期スル敢鬪ノ精神其ノモノ
デアリマス、皇國ノ光輝アル將來ハ、一億
敢鬪ニ依ッテ必ズ招來セラレルノデゴザイ
マス、御稜威ノ下、前線ニ於ケル皇軍ノ勇
戰ト、銃後戰線ニ於ケル國民總員ノ蹶起ト
ニ依リ、最後ノ勝利ノ我レニ在ルベキコト
ハ毫モ疑ヲ挾ム餘地ハナイノデアリマス、
此ノ必勝ノ信念ハ、今次ノ戰爭ガ、我ニ取ツ
テハ帝國存立ノ戰デアリ、東亞ニ取ッテハ
興隆ノ懸ル聖戰デアル所ヨリ生ズルノデア
リマス、歐洲ニ於テ「ドイツ」ガ大國トシテ其
ノ實力ヲ伸張スルコトハ、東洋ニ於テ帝國
ガ大國ノ實力ヲ具備スルコトト共ニ、米英
ノ終始阻止セムト致ス所デアリマシテ、是
レ卽チ歐洲ニ於テハ勢力均衡政策ナルモノ
ヲ實施シ、支那ニ於テ門戶開放、機會均等
ノ形ニ於キマシテ半植民地的政策ヲ運用シ
タ所以デアリマス、數箇ノ勢力ヲシテ相互
ニ衝突牽制セシメ、其ノ間ニ全世界ニ亙リ
事實上ノ支配權ヲ設定スルノガ、彼等英米
ノ根本政策デアリマシテ、是ガ所謂過去ニ
於ケル英國流ノ平和態勢デアリ、現在企圖
サレテ居ル米國流ノ平和態勢ナノデアリマ
ス、日本ト支那トガ提携協力シテ、東亞ノ
安定ヲ保チ、繁榮ヲ圖ルコトハ、彼等ヨリ
之ヲ見レバ東亞ノ復興デアリ、彼等ノ退却
ヲ意味スルモノデアリマス、彼等ハ過去ニ
於テ、帝國ヲ利用シテ支那ヲ抑制シ、帝政「ロ
シア」ノ進出阻止ノ政策ニ出デ、帝國ガ强
大トナルニ及ンデ、我ヲ控制セムガ爲ニ、支
那ヲ拉シ來ッテ利用スルノ政策ヲ執ルニ至
リマシタ、是ガ東亞禍亂ノ重要ナル背景ヲ
成スモノデアリマシテ、卽チ分割シテ支配
スルコトハ彼等ノ傳統的政策ナノデアリマ
ス、米國大統領ノ最近ノ演說ニ徵スルモ、
米英ハ實ニ帝國ノ抹殺ヲ企圖スルモノデア
リマシテ、此ノ戰爭ガ我ガ祖國ノ興廢ヲ賭
スル防衞ノ鬪爭ナル所以デアリマス、吾人
ニシテ半途挫折スルガ如キコトアラムカ、
單リ帝國ノ存在ガ永久ニ否認セラレルノミ
ナラズ、東亞モ舊態ニ復セシメラレ、自主
獨立ヲ全ウスベキ機會ハ永遠ニ失ハレルノ
デアリマス、實ニ今次戰爭ハ、樞軸諸國ニ
取リマシテハ、眞ニ自存自衞ノ戰爭デアリ、
「アジア」ニ取ッテハ自主獨立ノ戰爭デアル
ノデアリマス、帝國ハ悠久三千年ノ光輝ア
ル歷史ヲ有シ、帝國ガ世界ノ雄邦トシテ「ア
ジア」解放、東亞復興ノ大業ニ挺身シツヽ
アルノハ、正ニ天與ノ使命デアルノデアリ
マス、帝國ハ志ヲ同ジウスル東亞ノ各國各
民族ト相協力シテ、米英ノ非道ナル企圖ヲ
斷乎粉碎セムトスルモノデゴザイマス、今次
大戰ハ正ニ世界ノ大變動デゴザイマス、英
國ノ世界帝國維持ヲ目的トスル對獨挑戰ニ
始ッタ戰爭ハ、獨「ソ」戰爭ニ依ッテ其ノ樣相
愈〓深刻ヲ加ヘ、右ハ「テヘラン」會議以後ノ
世界情勢ニ遺憾ナク反映サレテ居ル次第デ
ゴザイマス、更ニ又大東亞戰爭勃發ニ依ツ
テ、「アジア」解放、東亞復興ノ重大ナル意義
ガ現實ニ加ッテ來タノデゴザイマス、구
ジア」ガ米英ノ植民地若シクハ半植民地タル
時代ハ旣ニ去リマシタ、「アジア」ヲ救フモ
ノハ「アジア」人以外ニハアリ得ナイノデア
リマス、米英ノ支配勢力ガ殘存スル限リ、
東亞ノ安定ハ到底望ミ難ク、禍〓ハ永久ニ
絕エマセヌ、摺亂勢力ガ驅逐セラレテ玆ニ
初メテ東亞ハ其ノ本然ノ姿ニ復歸シ得ルノ
デゴザイマス、過去ニ於テ日支兩國間ニ幾
多ノ悲シムベキ紛爭ヲ見タル後、今日兩國
ノ關係ガ永久ニ安定スル基礎ヲ見出シタノ
モ、全ク外來ノ支配的勢力ガ一掃セラレタ
コトニ起因スル次第デゴザイマス、支那ガ
戰爭ニ參加ヲ致シマシテ、日支兩國間ニ基
礎關係ガ設定セラレテ既ニ一年餘ニナリマ
ス、其ノ間我ガ政策ハ著々進捗ヲ見テ、昨
年十月ニハ同盟條約ノ締結ヲ見、兩國國交
永遠ノ基調ハ明定セラレ、根本的友好關係
ハ茲ニ確平不動ノモノトナッタノデゴザイマ
ス、今ハ支那內部ニ於テ完全ナル和平狀態
ノ確立セラルヽコトガ、期待セラルヽ譯デ
アリマスルガ、帝國トシテハ、終始一貫、
旣定ノ政策ヲ徵底セシムベク、努力ヲ致ス
決意デゴザイマス、戰爭ノ進行ト共ニ、經濟
問題等幾多ノ困難ノ伴フノハ當然ノコトデ
ゴザイマスガ、兩國ハ相共ニ携ヘテ如何ナ
ル難關ヲモ突破スル覺悟ヲ以テ進ンデ居ル
次第デゴザイマス、帝國ト一德一心ノ關係
ニアル滿洲國ノ絕大ナル協力ハ、帝國ノ感
謝措ク能ハザル所デアリマシテ、又東亞ノ
有力ナル一員デアル「タイ」國トハ、既ニ開
戰直後同盟關係ニ入リマツテ、共同〓線ニ
立ッテ東亞復興ノ爲甚大ナル貢獻ヲナシツ
ツアルコトハ、誠ニ欣快ノ至リデゴザイマ
ス、東亞諸國代表ハ「インド」假政府首班
ヲモ迎ヘマシテ、昨年十一月初頭東京ニ於
テ相會シ、冬國共同ノ政策トシテ大東亞宣
言ヲ發表シ、東亞建設ノ理想ト、世界平和
ノ基礎タルベキ大方針ヲ闡明致ス所ガアリ
マシタ、大東亞宣言ニ依ッテ表示セラルヽ
諸原則ハ、歸スル所、東亞ヲ解放シ保衞シ
復興スルト共ニ、廣ク世界各國ト提携シテ、
恆久平和ノ確立ニ積極的ニ貢獻セムコトヲ
期スルモノデアリマスガ、是等ノ原則ハ、
戰時下自ラ各種ノ不便ガアルニ拘ラズ、關
係各國ノ眞摯ナル協力ニ依リ、著々實現セ
ラレツヽアル次第デゴザイマス、今ヤ東亞
ノ天地ニハ復興ノ機運澎湃トシテ起ッテ居
ルノデアリマシテ、獨立ノ榮譽ヲ贏チ得タ
ル「ビルマ」及ビ「フィリピン」ハ、新興ノ意
氣ヲ以テ世界ノ進運ニ容與セムコトヲ期シ、
大東亞宣言ノ精神ヲ實行ニ移シテ居ル次第デ
ゴザイマス、又多年「インド」ノ宿望タル獨
立モ、自由「インド」假政府ノ成立ニ依ッテ其ノ
礎石ガ置カレタノデアリマス、以上東亞復興
「アジア」解放ノ目標コソハ、實ニ吾人ニ對
シ飽ク迄勝チ拔ク自信ヲ與フル所以デモア
ルノデアリマス、帝國ノ堅持スル對外政策
ハ、廣ク國際間ニ友好善隣ノ關係ヲ發展セ
シメムトスルノデアリマシテ、大東亞宣言
ノ原則第五ニ謂フ所ノ「萬邦トノ交誼ヲ篤
ウシ、人種的差別ヲ撤廢シ、普ク文化ヲ交
流シ進ンデ資源ヲ開放シ以テ世界ノ進運ニ
貢獻ス」ル趣旨モ、亦玆ニ存スルノデアリ
マス、世界的共存共榮ノ觀念ハ、閉鎖ニ非
ズシテ開放ニ在ルノデアリマス、排他ニ非
ズシテ協力ニ在ルノデアリマス、蓋シ此ノ國
際親和ノ政策ヲ擴大推進スルコトハ、世界
ヲ禍亂ヨリ救濟シ、破壞ヲ去ッテ建設ニ就
ク大道ナルコトヲ確信致スノデアリマス、
帝國ハ右ノ方針ニ則ッテ、特ニ隣接諸國トノ
相互親善ノ關係ヲ增進スルト共ニ、更ニ進
ンデ世界各國ニ對シ廣ク同一ノ方針ヲ以テ
望マムトスルモノデゴザイマス、現在帝國ト
中立關係ニ在ル遠近ノ諸國ニ對シテハ、
戰禍ノ擴大ヲ避クルハ勿論、益〓交誼ヲ篤ウ
セムコトヲ努メテ居ルノデゴザイマス、就
中日「ソ」兩國ノ關係ハ、大東亞戰爭ノ勃發
ニ依ッテモ、將又歐洲戰爭ノ進展ニ依ッテモ、
何等影響ヲ蒙ムル所ナク、兩國間ノ中立關
係ハ堅ク維持セラレテ居ル次第デゴザイマ
ス、敵米英ハ今日頻リニ總攻撃ヲ叫ビ、歐
亞ニ於ケル樞軸ノ堅陣ニ對シ攻勢ニ出デテ
居ルノデアリマシテ、太平洋方面ニ於ケル
反擊モ日ヲ逐ウテ熾烈ヲ加ヘテ居ル狀況デ
ゴザイマス、斯樣ナル狀況ノ下ニ、蓋シ本
年ハ世界戰局ノ大勢ヲ決定スル重大ナル秋
デアラウト考ヘマス、仍テ私ハ微力ヲ顧ミ
ズ、大御心ヲ體シ、外政ノ運用ニ最善ノ努
力ヲ致ス覺悟デゴザイマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=12
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013・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ議事日程
ニ入リマス、日程第一、朝鮮ニ於ケル裁判
手續簡素化ノ爲ノ國防保安法及治安維持法
ノ戰時特例ニ關スル法律案、政府提出、第
一讀會、安藤内務大臣
左ノ案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ
タメ玆ニ載錄ス以下之ニ傚フ
朝鮮ニ於ケル裁判手續簡素化ノ爲ノ國
防保安法及治安維持法ノ戰時特例ニ關
スル法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十九年一月十八日
內閣總理大臣東條英機
內務大臣安藤紀三郞
朝鮮ニ於ケル裁判手續簡素化ノ爲ノ國
防保安法及治安維持法ノ戰時特例ニ關
スル法律案
朝鮮ニ在リテハ國防保安法第三十四條及
治安維持法第三十四條ノ規定ハ戰時ニ於
テハ之ヲ適用セズ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ハ本法施行前第一審ノ辯論ノ終結ア
リタル事件ニ付テハ之ヲ適用セズ
戰時終了ノ際ニ於テ必要ナル經過規定ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣安藤紀三郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=13
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014・安藤紀三郎
○國務大臣(安藤紀三郞君) 只今上程ニ相
成リマシタル朝鮮ニ於ケル裁判手續簡素化
ノ爲ノ國防保安法及治安維持法ノ戰時特例
ニ關スル法律案ニ付キマシテ、提案ノ理由
ヲ御說明致シタイト存ジマス、戰時下社會
公共ノ安寧ヲ害スル各種犯罪ニ對シマシテ、
裁判ノ審理判決ヲ敏速ナラシメ、以テ治安
確保ノ萬全ヲ期シマスルコトノ必要デアリ
マスルコトハ、內地外地ヲ通ジマシテ、略〓
同一ノ狀況下ニアリマス、而シテ內地ニ
於キマシテハ、曩ニ裁判所構成法戰時特例
竝ニ戰時刑事特別法等ニ必要ナル改正ヲ加
ヘ裁判手續ニ關シ、全面的ニ二審制ヲ採
用スルコトト相成リマシタノデ、朝鮮ニ於
キマシテモ、內地ノ制度ニ照應致シ、別途
制令ヲ以チマシテ、內地ノ法制ト略〓同一内
容ノ朝鮮總督府裁判所令戰時特例竝ニ朝鮮
戰時刑事特別令等ヲ制定致スベク、目下手
續中デゴザイマス、然ル處、一方國防保安
法及治安維持法ハ、法律トシテ朝鮮ニモ施
行セラレテ居リ、且此ノ兩法中ニハ三審制
ヲ規定スル條文ガ存シテ居リマシテ、是等
ノ法律規定ハ、制令ヲ以テ致シマシテハ之
ヲ排除スルコトガ出來マセヌノデ、此ノ
度、本法ニ依リマシテ、國防保安法及治安
維持法ニ對スル戰時特例ヲ規定シ、法律ト
制令トノ牴觸ヲ調整致シマシテ、全面的ニ
二審制ヲ實施セムトスル次第デゴザイマス、
何卒御審議ノ上速カニ御協賛アラムコトヲ
御願ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=14
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015・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御質疑ガナ
ケレバ、日程第二、特別委員ノ選擧ニ移リ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=15
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016・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
特別委員ノ選擧ハ、本會期中特別ノ場合ヲ
除キ、其ノ特別委員ノ數ヲ九名トシ、其ノ
指名ヲ議長ニ一任スルノ動議ヲ提出致シ、
而シテ只今上程セラレマシタ朝鮮ニ於ケル
裁判手續簡素化ノ爲ノ國防保安法及治安維
持法ノ戰時特例ニ關スル法律案ノ特別委員
ノ數ヲ十五名トシ、其ノ委員ノ指名ヲ議長
ニ一任スルノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=16
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017・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=17
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018・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=18
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019・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ書記官ヲシテ朗
讀致サセマス
〔小野寺書記官朗讀〕
朝鮮ニ於ケル裁判手續簡素化ノ爲ノ國防
保安法及治安維持法ノ戰時特例ニ關スル
法律案特別委員
公爵山縣有道君侯爵四條隆德君
伯爵橋本實斐君關屋貞三郞君
子爵秋月種英君子爵富小路隆直君
大野綠一郞君男爵山中秀二郞君
田口弼一君男爵松平外與麿君
男爵村田保定君澤田牛麿君
丸山鶴吉君諸橋久太郞君
秋田三一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=19
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020・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第三、朝鮮
私設鐵道補助法中改正法律案、政府提出、
第一讀會、安藤內務大臣
朝鮮私設鐵道補助法中改正法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十九年一月十八日
內閣總理大臣吏條英機
大藏大臣賀屋興宣
內務大臣安藤紀三郞
朝鮮私設鐵道補助法中改正法律案
朝鮮私設鐵道補助法中左ノ通改正ス
第一條第二項中「十年」ヲ「十五」年ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣安藤紀三郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=20
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021・安藤紀三郎
○國務大臣(安藤紀三郞君) 只今議題トナ
リマシタル朝鮮私設鐵道補助法中改正法律
案提出ノ理由ヲ御說明致シマス、朝鮮ニ於
ケル私設鐵道ニ對シマシテハ、現行朝鮮私
設鐵道補助法ニ依リマシテ、補助金ヲ交付
スルコトヲ得ルコトト相成ッテ居リマスル
處現在補助ヲ受ケテ居リマスル私設鐵道
中、近ク其ノ補助期間ノ滿了スルモノガア
リマスルガ、是等ハ何レモ未ダ業績ノ進展
ガ豫期ノ如クナラズ、尙當分ノ間政府ヨリ
相當ノ補助ヲ致サナケレバ經營困難ノ狀態
ニ在リマス、而シテ是等ノ鐵道ハ、何レモ
國營代行線タルノ特質ヲ有シテ居リマシテ、
生產力擴充上重要ナル物資ノ輸送ニ當ルベ
キ重大使命ヲ帶ビ、之ガ運營ノ如何ハ、現
時局下戰力增强ニ至大ノ關係ヲ有シマスル
コトニ鑑ミマシテ、今囘本法ニ必要ナル改
正ヲ加へ、之ガ助成ノ爲必要アル場合ニ於
テハ、現在ノ補助期間ヲ更ニ五年間延長シ
得ルノ途ヲ開カムト致ス次第デゴザイマス、
何卒御審議ノ上速カニ御協賛アラムコトヲ
御願ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=21
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022・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今日程ニ上リマシタ
朝鮮私設鐵道補助法中改正法律案ハ、朝鮮
ニ於ケル裁判手續簡素化ノ爲ノ國防保安法
及治安維持法ノ戰哇特例ニ關スル法律案ノ
特別委員ニ併託セラレムコトノ動議ヲ提出
致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=22
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023・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=23
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024・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ行異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=24
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025・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=25
-
026・松平頼壽
○議長/伯爵松平賴壽君) 日程第五、海軍
刑法及海軍軍法會議法中改正法律案、政府
提出、第一讀會、嶋田海軍大臣
海軍刑法及海軍軍法會議法中改正法律
案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十九年一月十八日
內閣總理大臣東條英機
海軍大臣嶋田繁太郞
海軍刊法及海軍軍法會議法中改正法律
第一條海軍刑法中左ノ通改正ス
第八條中「候補生、」ノ下ニ「見習尉官、」
ヲ加フ
第二條海軍軍法會議法中左ノ通改正ス
第三十二條中「充ツ」ノ下ニ「戰時事變
ニ際シ必要アルトキハ海軍ノ將校相當
官ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得」ヲ加フ
第三十四條ニ左ノ一項ヲ加フ
前二項ノ規定ハ第三十一一條後段ノ規
定ニ依リ將校相當官ヲ以テ判士ト爲
ス場合ニ之ヲ準用ス
第四十七條第二項中「裁判長トス」ノ下
ニ「上席判士ハ將校タル判士タルコト
ヲ要ス」ヲ加フ
第四十九條第二項第二號及第五十二條
第二項第二號中「候補生」ノ下ニ「、見習
尉官」ヲ加フ
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣嶋田繁太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=26
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027・嶋田繁太郎
○國務大臣(嶋田繁太郞君) 只今議題トナ
リマシタ海軍刑法及海軍軍法會議法中改正
法律案ニ付キマシテ、提案ノ理由ヲ說明申上
ゲマス、先般海軍ニ見習尉官制度ガ設ケラ
レマシタニ伴ヒマシテ、海軍刑法及海軍軍
法會議法中、之ニ對應スベキ規定ヲ設ケル
必要ヲ生ジマシテ、是等法律中、之ニ關スル
規定ヲ整備シマスルト共ニ、最近戰爭ノ進
展ニ伴ヒマシテ、海軍將校ノ大多數ガ第一
線ノ配置ニ就イテ居リマス關係上、海軍軍
法會議ノ判士ノ召集ニ困難ヲ來シマシテ、
軍法會議ノ開延ニ支障ヲ生ジ、延イテハ被
〓事件ノ處理ノ遲延スルヲ免レザル狀況ト
ナリマシタノデ、戰爭事變ノ特例ト致シマ
シテ、判士トナルベキ者ノ範圍ヲ擴張シ、
將校ノミニ限ラズ、將校相當官ヲモ判士ト
爲シ得ル如ク改メル必要ヲ痛感致シ、又其
ノ判士トシテノ資質ニ關シマシテ差支ナシ
ト認メラルヽニ依リマシテ、此ノ點ニ付海
軍軍法會議法中關係ノ規定ヲ改正セムトス
ルモノデアリマス、卽チ本改正法律案ノ要
點ハ〓ネ二點デアリマシテ、第一ハ、海軍
刑法中、海軍軍人ノ名稱例ニ關スル規定中
ニ見習尉官ヲ加ヘル如ク之ヲ整備シマスル
ト共ニ、海軍軍法會議法中、見習尉官ヲ被〓
人トスル場合ニ於キマスル軍法會議ノ判士ノ
區別ニ關スル規定ヲ整備シタコトデアリマス、
第二ハ、海軍軍法會議ノ職員タル判士ニハ、
戰時事變ノ際上ハ席判士ヲ除クノ外、將校相
當官ヲモ之ニ充テ得ルコトニ改正シタコトデ
アリマス、以上ノ理由ニ依リマシテ、本改
正法律案ヲ提出致シマシタ次第デアリマ
ス、何卒御審議ノ上速カニ御協賛ヲ與ヘラ
レムコトヲ切望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=27
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028・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
海軍刑法及海軍軍法會議法中改正法律案ノ
特別委員ノ數ヲ十二名トシ、其ノ委員ノ指
名ヲ議長ニ一任スルノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=28
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029・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=29
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030・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=30
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031・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔小野寺書記官朗讀〕
海軍刑法及海軍軍法會議法中改正法律案
特別委員
侯爵大炊御門經輝君伯爵柳澤保承君
子爵宍戶功男君子爵波多野二郞君
織田萬君男爵柴山昌生君
黑崎定三君男爵中御門經民君
富田健治君大橋理祐君
塩田團平君出光佐三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=31
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032・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第七、訴訟
費用等臨時措置法案、日程第九、會社等臨
時措置法案、日程第十一、經濟關係罰則ノ
整備ニ關スル法律案、政府提出、第一讀會、
是等ノ三案ヲ一括シテ議題ト爲スコトニ御
異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=32
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033・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、岩村司法大臣
訴訟費用等臨時措置法案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十九年一月十八日
內閣總理大臣兼東條英機
陸軍大臣
司法大臣岩村通世
海軍大臣嶋田繁太郞
訴訟費用等臨時措置法案
訴訟費用等臨時措置法
第一條戰。時ニ於ケル民事訴訟費用、刑
事訴訟費用、執達吏手數料等ニ關スル
特例ハ本法ノ定ムル所ニ依ル
第二條民事訴訟費用法第二條第一項及
第二項ノ書記料竝ニ同法第三條ノ飜譯
料ハ百分ノ百ヲ增加ス
第三條民事訴訟費用法(他ノ法律ニ於
テ準用スル場合ヲ含ム以下同ジ)第九
條及刑事訴訟費用法(他ノ法律ニ於テ
準用スル場合ヲ含ム以下同ジ)第二條
ノ日當ハ五圓以內、民事訴訟費用法第
十一條及刑事訴訟費用法第三條ノ日當
ハ十五圓以內、民事訴訟費用法第十二
條及刑事訴訟費用法第五條ノ止宿料ハ
十五圓以內、民事訴訟費用法第十三條
及刑事訴訟費用法第四條ノ旅費ハ鐵道
及汽船ヲ通ズル水路ヲ除クノ外一里每
ニ一圓以內ニ於テ裁判所、豫審判事又
ハ受託判事ノ意見ヲ以テ定ムル所ニ依
ル
第四條執達吏手數料規則第十七條ノ日
當ハ證人ニ付テハ二圓以內、鑑定人ニ
付テハ五圓以內、同法第十八條第一項
ノ旅費ハ一里每ニ五十錢以内、同條第
二項ノ宿泊料ハ十圓以內トス
前項ニ揭グルモノヲ除クノ外執達吏手
數料規則及大正八年法律第四十一號ニ
依ル手數料及立替金ハ百分ノ百ヲ增加
ス
第五條執達吏一年間ニ收入シタル手數
料ガ勅令ノ定ムル額ニ滿タザルトキハ
國庫ヨリ其ノ不足額ヲ支給ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前要シタル費用ニ付テハ仍從前
ノ例ニ依ル
戰時終了ノ際ニ於テ必要ナル經過規定ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
會社等臨時措置法案
右勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十九年一月十八日
內閣總理大臣兼東條英機
陸軍大臣軍需大臣
厚生大臣小泉親彥
司法大臣岩村通世
海軍大臣嶋田繁太郞
大藏大臣賀屋興宣
運輸通信大臣八田嘉明
內務大臣安藤紀三郞
大東亞大臣靑木一月
外務大臣重光葵
農商大臣山崎達之輔
文部大臣子爵岡部長景
會社等臨時措置法案
會社等臨時措置法
第一條戰時ニ於ケル會社其ノ他ノ法人
ニ關スル特例ハ本法ノ定ムル所ニ依ル
第二條株式會社ニシテ其ノ資本ノ總額
ガ勅令ヲ以テ定ムル額ニ滿タザルモノ
ニ在リテハ商法第百六十六條第二項ニ
定ムル公告方法ト異ル定ヲ爲スコトヲ
得
第三條株式會社ニシテ其ノ株主ノ員數
ガ勅令ヲ以テ定ムル數ヲ超ユルモノニ
在リテハ株主總會ノ招集ハ定款ニ定ア
ル場合ニ限リ株主ニ對スル通知ニ代ヘ
會日ヨリ三週間前ニ總會ヲ開クベキ旨
及會議ノ目的タル事項ヲ公〓シテ之ヲ
爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ定款ノ變更其ノ他商
法第三百四十三條ニ定ムル決議ヲ要ス
ル事項ハ定款ニ定アル場合ニ限リ資本
ノ半額以上ニ當ル株主出席シ其ノ議決
權ノ過半數ヲ以テ之ヲ決スルコトヲ得
第四條株式會社ノ株主總會ノ決議ヲ要
スル事項ニシテ株主ノ利害ニ重大ナル
影響ヲ及ボサザルモノニ付テハ定款ヲ
以テ總會ノ決議ニ依ラザルモノトスル
コトヲ得
前項ノ事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條勅令ヲ以テ定ムル株式會社ノ社
債ノ登記ニ付テハ勅令ヲ以テ別段ノ定
ヲ爲スコトヲ得
第六條會社ノ爲スベキ公〓、財產目錄
其ノ他ノ書類ノ謄本及抄本ノ交付竝ニ
信託證書其ノ他ノ書類ノ謄本ノ備置ニ
付テハ機密ノ保持其ノ他公益上ノ理由
ニ依リ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコト
ヲ得
第七條勅令ヲ以テ定ムル會社ノ合併又
ハ資本ノ減少ノ場合ニ於テ債權者ニ對
シテ爲スベキ催〓其ノ他ノ事項ニ付テ
ハ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第八條前五條ノ規定ハ勅令ノ定ムル所
ニ依リ會社ニ非ザル法人ニ之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
戰時終了ノ際ニ於テ必要ナル經過規定ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
經濟關係罰則ノ整備ニ關スル法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十九年一月十八日
內閣總理大臣兼東條英機
陸軍大臣軍需大臣
厚生大臣小泉親彥
司法大臣岩村通世
海軍大臣嶋田繁太郞
大藏大臣賀屋興宣
運輸通信大臣八田嘉明
內務大臣安藤紀三郞
大東亞大臣靑木一男
外務大臣重光葵
農商大臣山崎達之輔
文部大臣子爵岡部長景
經濟關係罰則ノ整備ニ關スル法律案
第一條國家總動員法第十八條第一項若
ハ第三項ノ規定ニ依リ設立セラレタル
團體又ハ營團、金庫若ハ此等ニ準ズル
モノノ役員其ノ他ノ職員ハ罰則ノ適用
ニ付テハ之ヲ法令ニ依リ公務ニ從事ス
ル職員ト看做ス
前項ノ團體竝ニ營團、金庫及此等ニ準
ズルモノハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條特別ノ法令ニ依リ設立セラレタ
ル會社、國家總動員法共ノ他經濟ノ統
制ヲ目的トスル法令ニ依リ統制若ハ統
制ノ爲ニスル經營ヲ爲ス會社若ハ組合
又ハ此等ニ準ズルモノノ役員其ノ他ノ
職員其ノ職務ニ關シ賄賂ヲ收受シ又ハ
之ヲ要求若ハ約束シタルトキハ三年以
下ノ懲役ニ處ス因テ不正ノ行爲ヲ爲シ
又ハ相當ノ行爲ヲ爲サザルトキハ七年
以下ノ懲役ニ處ス前項ノ會社、組合及
此等ニ準ズルモノハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
第三條前條第一項ニ揭グル役員其ノ他
ノ職員タラントスル者其ノ擔當スベキ
職務ニ關シ請託ヲ受ケテ賄賂ヲ收受シ
又ハ之ヲ要求若ハ約束シタルトキハ同
項ニ揭グル役員其ノ他ノ職員ト爲リタ
ル場合ニ於テ二年以下ノ懲役ニ處ス
前條第一項ニ揭グル役員其ノ他ノ職員
タリシ者其ノ在職中請託ヲ受ケテ職務
上不正ノ行爲ヲ爲シ又ハ相當ノ行爲ヲ
爲サザリシコトニ關シ賄賂ヲ收受シ又
ハ之ヲ要求若ハ約束シタルトキハ二年
以下ノ〓役ニ處ス
第四條第二條第一項及前條ノ場合ニ於
テ收受シタル賄賂ハ之ヲ沒收ス其ノ全
部又ハ一部ヲ沒收スルコト能ハザルト
キハ其ノ價額ヲ追徵ス
第五條第二條第一項及第三條ニ規定ス
ル賄賂ヲ供與シ又ハ其ノ申込若ハ約束
ヲ爲シタル者ハ三年以下ノ黴役又ハ五
千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者白首シタルトキ
ハ其ノ刑ヲ減輕シ又ハ免除スルコトヲ
得
第六條公務員、若ハ公務員タリシ者又ハ
第一條若ハ第二條ノ團體、營團、金庫、
會社及組合竝ニ此等ニ準ズルモノ以
下經濟團體ト稱ス)ニシテ勅令ヲ以テ
定ムルモノノ役員其ノ他ノ職員若ハ役
員其ノ他ノ職員タリシ者自己又ハ第三
者ノ利益ヲ圖リ重要物資ノ生產、配給
又ハ消費ノ締制其ノ他經濟ノ統制ニ關
スル官廳又ハ當該經濟團體ノ重要ナル
祕密ニシテ職務上知得シタルモノヲ漏
泄シ又ハ竊用シタルトキハ五年以下ノ
黴役ニ處ス
第七條經濟團體ノ行フ統制事務若ハ統
制ノ爲ニスル經濟事務ヲ代行スル法人
ノ役員其ノ他ノ職員又ハ人若ハ其ノ使
用人ニシテ當該事務ニ從事スルモノハ
本法ノ適用ニ付テハ之ヲ當該經濟團體
ノ當該事務ニ從事スル職員ト看做ス
第八條第二條第一項、第三條及第六條
ノ罪ハ刑法第四條ノ例ニ從フ
附則
第九條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之
アルモノ
第十條日本證劵取引所法中左ノ通改正
ス
第八十五條中「五千圓以下ノ罰金」ヲ
「二年以下ノ黴役又ハ五千圓以下ノ
罰金」ニ改ム
第八十七條中「漏洩」ヲ「漏泄」ニ、「三千
圓以下ノ罰金」ヲ「二年以下ノ黴役又ハ
五千圓以下ノ罰金」ニ改ム
第十一條外國爲替管理法中左ノ通改正
ス
第十四條中「漏洩」ヲ「漏泄」ニ、「千圓以
下ノ罰金」ヲ「二年以下ノ〓役又ハ二千
圓以下ノ罰金」ニ改ム
第十二條國家總動員法中左ノ通改正ス
第四十六條及第四十七條削除
第十三條昭和十二年法律第九十一一號中
左ノ通改正ス
第九條及第十條ヲ削ル
第十四條農地開發法中左ノ通改正ス
第六十二條及第六十三條削除
第十五條食糧管理法中左ノ通改正ス
第三十八條及第三十九條削除
第十六條蠶絲業統制法中左ノ通改正ス
第四十八條及第四十九條削除
第十七條酒類業團體法中左ノ通改正ス
第十條ノ十七及第十條ノ十八ヲ削リ第
十條ノ十九ヲ第十條ノ十七トス
第十八條鹽專賣法中左ノ通改正ス
第四十條ノ三及第四十條ノ四ヲ削ル
第四十條ノ五中「第四十條ノ三第一項
ニ揭クル者」ヲ「鹽業組合、鹽業組合聯
合會又ハ鹽業組合中央會ノ役員又ハ〓
算人」ニ改メ同條ヲ第四十條ノ三トス
第十九條馬匹組合法中左ノ通改正ス
第四十五條及第四十六條ヲ削リ第四十
七條ヲ第四十五條トス
第二十條自動車交通事業法中左ノ通改
正ス
第五十八條及第五十九條削除
第二十一條貿易組合法中左ノ通〓正ス
第八十四條削除
第九十條及第九十一條ヲ削ル
第九十二條中「第八十九條」ヲ「前條」ニ
改メ「、第九十條ニ揭グル罪ハ刑法第四
條ノ例ニ」ヲ削リ同條ヲ第九十條トス
第二十二條海運組合法中左ノ通改正ス
第三十六條及第三十七條ヲ削リ第三十
八條ヲ第三十六條、第三十九條ヲ第三
十七條トス
第四十條ヲ削ル
第二十三條造船事業法中左ノ通改正ス
第四十八條及第四十九條ヲ削リ第五十
條ヲ第四十八條トシ以下第五十二條迄
順次二條宛繰上グ
第五十三條ヲ削ル
第二十四條貸家組合法中左ノ通改正ス
第四十八條乃至第五十條削除
第二十五條市街地信用組合法中左ノ通
改正ス
第五十六條及第五十七條削除
第五十八條中「第五十六條第一項ニ揭
グル者」ヲ「市街地信用組合ノ組合長、
理事、監事、第十四條ノ規定ニ依ル代理
人又ハ〓算人」ニ改ム
第五十九條中「第五十六條第一項」ヲ
「前條」ニ改ム
第二十六條農業團體法中左ノ通改正ス
第七十一條及第七十二條削除
第七十三條中「第四十五條」ノ下ニ「(第
五十七條及第六十六條ニ於テ準用スル
場合ヲ含ム)」ヲ加フ
第二十七條水產業團體法中左ノ通改正
ス
第七十三條及第七十四條削除
第二十八條商工組合法中左ノ通改正ス
第八十二條及第八十三條削除
第八十四條中「、第八十二條ニ揭グル罪
ハ刑法第四條ノ例ニ」ヲ削ル
第二十九條本法施行前爲シタル行爲ノ
處罰ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
〔國務大臣岩村通世君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=33
-
034・岩村通世
○國務大臣(岩村通世君) 只今上程ニ相成
リマシタ訴訟費用等臨時措置法案外二法律
案ニ付テ、提案ノ理由ヲ御說明申上ゲマス、
先ヅ第一ニ訴訟費用等臨時措置法案デアリ
マスルガ、現在行ハレテ居リマスル民事及
刑事ノ訴訟費用、執達吏ノ手數料竝ニ執達
吏ニ對スル補助金等ノ額ハ、何レモ今カラ
二十數年前ニ改メラレタル儘、其ノ後一囘
ノ改正モ加ヘラルヽコトナク今日ニ及ンデ
居ルノデアリマシテ、現下ノ諸情勢ヨリ考
ヘマスルトキハ、明カニ低額ニ失シ、之ヲ
放置致シマスルコトハ、訴訟關係人及執達
吏ニ對シ多大ノ不利不便ヲ强要スル結果ト
ナリ、延イテハ決戰態勢下ニ於テ訴訟ノ促
進ヲ旨トスベキニ拘ラズ、之ヲ阻碍スルノ
虞モ多分ニアルト存ズルノデアリマス、仍
テ今囘右ノ訴訟費用、手數料等ニ付臨時ノ
特例ヲ設ケテ、其ノ調整ヲ圖ル爲ニ、本案
ヲ提出致シマシタ次第デゴザイマス、大一
會社等臨時措置法案ノ提案ノ理由ヲ御說明
致シマス、政府ニ於キマシテハ、曩ニ行政
事務ノ簡素强化ヲ圖リ、著々其ノ實績ヲ擧
ゲテ居ルノデアリマスルガ、民間ニ於ケル
會社其ノ他ノ法人企業ニ付キマシテモ、能
フ限リ手續等ヲ簡易ニシ、以テ勞力、費用、
資材等ノ節約ヲ期シ、其ノ餘力ハ全部之ヲ
戰力增强ニ振リ向ケル必要ノアルコトハ申
ス迄モアリマセヌ、之ガ爲商法其ノ他法人
ニ關スル諸法令ヲ〓究調査シ、戰時下特ニ
簡素化スルヲ相當ト認メマシタ事項ニ付、
大東亞戰爭中ノ特例ヲ設ケムトスル次第デ
アリマス、其ノ特例トシマシテ、第一ハ、比較的
規模ノ小ナル株式會社ノ公告方法ヲ緩和シ、
第二ハ、株主多數ヲ擁スル株式會社ノ株主
總會ノ招集ハ、定款ノ定ムル所ニ依リ公〓
ノ方法ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ得ルモノトシ、
此ノ場合ニ於ケル定款ノ變更其ノ他ノ特
別決議ニ付定足數ノ緩和規定ヲ設ケ、叉
般ノ株式會社ニ於テ株主ノ利害ニ重大ナル
影響ヲ及サザル事項ニ付テハ、總會ノ決議
ニ依ラズ、任意ニ定款ヲ以テ定ムル方法ニ
依リ決スルコトヲ得ルノ途ヲ拓キ、第三ハ、
一定ノ株式會社ノ社債ノ登記ニ付、第四ハ、
會社ノ爲スベキ公〓、財產目錄其ノ他ノ書
類ノ謄本及抄本ノ交付等、又第五ハ、一定ノ
會社ノ合併又ハ資本ノ減少ノ場合ニ於テ、
債權者ニ對シテ爲ス催告等ニ付、何レモ勅令
ヲ以テ之ガ簡素化ノ特例ヲ認ムルコトヲ得
ルモノト致スノデアリマス、此ノ特例ノ大部分
ハ、必要ナル限度ニ於テ會社以外ノ或種ノ
法人ニモ準用シ、以テ手續ノ簡素强力化ヲ
圖ル次第デアリマス、次ニ經濟關係罰則ノ整
備ニ關スル法律案ニ付提案ノ理由ヲ御說明
申上ゲマス、現下ノ決戰態勢ニ卽應致シマ
シテ、經濟統制ノ圓滑ナル遂行ヲ期シテ參リ
マス爲ニハ、經濟犯ノ防遏ニ一層ノ努力ヲ
致シマスルト共ニ、經濟統制ノ運用ノ中核
ヲ爲ス官吏其ノ他ノ公務員竝ニ其ノ運用ノ
實際ヲ擔當スル經濟團體ノ役職員ノ瀆職ニ
關スル處罰規定ヲ整備シ、尙經濟ノ統制ニ
關スル祕密ノ漏泄等ニ付處罰規定ヲ新設
シ、且又經濟關係罰則ノ統一ヲモ期スルノ
必要ガアルノデアリマス、而シテ是等ノ中、
官吏其ノ他ノ公務員ノ瀆職ニ關スル處罰規
定ニ付キマシテハ、戰時刑事特別法中改正
法律ニ依リマシテ所要ノ整備ガ行ハレ、旣
ニ其ノ實施ヲ見タ所デアリマス、其ノ他ノ點ニ
付キマシテモ、政府ト致シマシテハ豫テヨ
リ深キ關心ヲ有シテ居ッタ所デアリマシタ
ガ、偶〓去ル第八十一囘帝國議會ニ於ケル
法案ノ審議ノ際ノ御論議ノ次第モアリ、司
法省內ニ經濟關係罰則調査委員會ヲ設ケ、
現行法規ノ不備缺陷ノ是正ト、刑罰ノ統一
トヲ期シ得ル法律案ノ作成ニ努力シ、本法案
ヲ得ルニ至ッタノデアリマス、卽チ本法案ハ、
右ノ委員會ノ答申ニ基キ、且經濟統制進展
ノ實情ヲモ愼重ニ考慮致シマシテ、時局下
眞ニ已ムヲ得ザル範圍ノ經濟關係罰則ノ整
備ヲ行ハムトスルモノデアリマス、本法案ノ
骨子ハ、之ヲ要約シテ申上ゲマスレバ次ノ
四點ニ歸スルノデアリマス、第一ハ、經濟
團體ノ役職員ノ瀆職ニ關スル處罰規定ヲ整
備シ、其ノ刑ヲ加重スルト共ニ、之ガ統一
ヲ圖ラムトスルモノデアリマス、卽チ經濟
團體ノソレ〓〓ノ性質職能ニ鑑ミ、瀆職ニ
關スル處罰規定ヲ適當ニ整備統一致シマス
ルト共ニ、刑ノ加重ヲモ行ヒ、併セテ此ノ
種ノ規定ノ不備トセラレテ居リマシタ所謂
經營會社及ビ代行機關ノ瀆職行爲ニ付、之
ガ處罰規定ヲ新設セムトスルモノデアリマ
ス、第二ハ、經濟ノ統制ニ關スル重要ナル
祕密ノ漏泄等ヲ防遏スル爲、必要ナル處罰
規定ヲ新設セムトスルモノデアリマス、經
濟祕密ノ保護ハ、軍機及國家機密等ノ保護
ニ比較致シマスルト、未ダ十分ナラザルモ
ノガアリマスルノデ、本法案ハ、之ガ不備
ヲ補フ爲、經濟ノ統制ニ關スル官廳又ハ經
濟團體ノ重要ナル祕密ノ保護ヲ期シ、公務
員又ハ經濟國體ノ役職員等ニシテ、自己又
ハ第三者ノ利益ヲ圖リ、是等ノ祕密ヲ他ニ
漏泄又ハ竊用シタルモノニ對スル處罰規定
ヲ新設セムトスルモノデアリマス、第三
ハ、日本證劵取引所法及外國爲替管理法ノ
祕密漏泄等ニ關スル處罰規定ニ付、ソレ〓〓〓
相當ナル刑ノ加重ヲ爲シ、他ノ同種ノ刑罰
トノ均衡ヲ得シメムトスルモノデアリマ
ス、第四ハ、以上ノ措置ニ伴ヒ、關係法律ノ
條文ノ整理ヲ爲サムトスルモノデアリマス、
何卒愼重御審議ノ上、三法案ニ對シ何レ
モ御協賛ヲ與ヘラレムコトヲ御願ヒ致シマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=34
-
035・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今上程セラレマシタ
訴訟費用等臨時措置法案外二件ノ特別委員
ノ數ヲ十九名トシ、其ノ委員ノ指名ヲ議長
ニ一任スルノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=35
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036・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=36
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037・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=37
-
038・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔小野寺書記官朗讀〕
訴訟費用等臨時措置法案外二件特別委員
公爵島津忠重君侯爵佐竹義春君
伯爵柳原義光君子爵保科正昭君
子爵秋元春朝君子爵仙石久英君
小山松吉君山田三良君
光行次郞君木村尙達君
內田重成君仁井田益太郞君
男爵伊江朝助君白根竹介君
男爵本多政樹君男爵奧田剛郞君
次田大三郞君結城安次君
山隈康君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=38
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039・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本日ハ、議事ノ
都合ニ依リマシテ、此ノ程度ニ於テ延會致
シタイト思ヒマス、御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=39
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040・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、明日ハ午前十時ヨリ開會致シマス、
議事日程ハ彙報ヲ以テ御通知ニ及ビマス、本
日ハ是ニテ散會致シマス
午後零時十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008403242X00219440121&spkNum=40
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