1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十九年一月二十九日（土曜日）午後一時九分開議
出席委員左の如し
委員長 谷原公君
理事 沖藏君 理事 坂口平兵衞君
理事 長井源君 理事 宮崎一君
大川光三君 金子定一君
木下信君 木崎爲之君
佐久間渡君 坂下仙一郎君
曾木重貴君 高野孫左衞門君
高見之通君 土屋源市君
中井一夫君 中瀬拙夫君
仲井間宗一君 長沼權一君
南雲正朔君 西方利馬君
濱野徹太郎君 村松久義君
山田竹治君 八並武治君
安田桑次君
出席國務大臣左の如し
司法大臣 岩村通世君
出席政府委員左の如し
司法次官 大森洪太君
司法省民事局長 齋藤直一君
司法省刑事局長 池田克君
司法省刑政局長 正木亮君
司法省調査官 佐藤藤佐君
司法書記官 石田壽君
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本日の會議に上りたる議案左の如し
訴訟費用等臨時措置法案（政府提出、貴族院送付）
會社等臨時措置法案（政府提出、貴族院送付）
經濟關係罰則の整備に關する法律案（政府提出、貴族院送付）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=0
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001・谷原公
○谷原委員長 是ヨリ訴訟費用等臨時措置
法案外二件委員會ヲ開會致シマス、訴訟費
用等臨時措置法案、會社等臨時措置法案、
經濟關係罰則ノ整備ニ關スル法律案、此ノ
三案ハ主管官廳ガ同一デアリマスルカラ一
括議題トスルコトニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=1
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002・谷原公
○谷原委員長 御異議ナシト認メマス、ソ
レデハ一括付議致シマス、之ニ對シ政府ノ
說明ヲ聽クコトニ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=2
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003・岩村一木
○岩村國務大臣 只今議題トナリマシタ訴
訟費用等臨時措置法案外二法律案ニ付テ提
案ノ理由ヲ御說明申上ゲマス、先ヅ第一ニ
訴訟費用等臨時措置法案デアリマスガ、本
會議ニ於テ既ニ申述ベマシタ如ク、現在行
ハレテ居リマスル民事及ビ刑事ノ訴訟費用、
執達吏ノ手數料竝ニ執達吏ニ對スル補助金
等ノ額ハ、何レモ二十數年前ニ改メラレタ
ル儘、一囘ノ改正モナク今日ニ及ンデ居ル
ノデアリマシテ、其ノ間著シク經濟情勢ヲ
異ニ致シテ居リマスル爲ニ、甚ダ實情ニ副
ハヌモノガ多ク、之ヲ現在ノ儘ニ放置致シ
マスル時ハ、訴訟關係人及ビ執達吏ニ對シ、
多大ノ不利不便ヲ强要スル結果トナリ、延
イテハ決戰體制下民刑訟訴制度竝ニ執達吏
制度ノ運用上重大ナル支障ヲ來シ、隨テ戰
力增强ノ上ニモ好マシカラザル影響ヲ與フ
ルコトナキヲ保シ難イノデアリマス、仍テ
今囘是等訟訴費用手數料等ニ關シ戰時下必
要ナル臨時ノ特例ヲ設ケマシテ、其ノ調整
ヲ圖ラントスルモノデアリマス
此ノ特例ノ內容ニ付テ一言申上ゲタイト存
ズルノデアリマスガ、其ノ要點ハ次ノ二點ニ存ス
ルノデアリマス、卽チ第一ハ訟訴費用、手數料
等ノ增額デアリマス、申スマデモナク裁判
上ノ證人鑑定人ハ、國民ノ義務トシテ裁判
所ニ出頭シ、裁判上重要ナル事項ニ付テ證
言又ハ鑑定ヲナスモノデアリ、執達吏ハ國
家ヨリ官吏ニ準ズルモノトシテノ待遇ヲ與
ヘラレテ、裁判ノ執行ヲ擔當スル機關デア
リマスガ、是等ニ對スル日當、旅費、宿泊料
等ハ現在極メテ少額デアリマシテ、到底其
ノ實費ヲスラ償フニ足リナイ狀態デアリマ
スルノデ、之ヲ相當額增加致シマスルト共
ニ、訟訴書類ノ書記料、執達吏ノ手數料等
ヲモ併セテ增額セントスルモノデアリマス
第二ハ執達吏ニ對スル補助金ノ增額デア
リマス、執達吏ハ國家ヨリ定額ノ棒給ヲ受
ケルコトナク、依賴人カラ手數料ヲ徵收ス
ルコトニナツテ居ルノデアリマシテ、國家
ハ手數料ガ一定ノ額ニ達シナイ時ニノミ、
其ノ不足額ヲ補給シテ居ルノデアリマス、
而シテ其ノ一定ノ額ハ大正十年以來一年六
百圓ト定メラレテ居ルノデアリマスガ、最
近執達吏役場ノ費用等、著シク騰貴致シテ
居リマスル爲ニ、此ノ額ガ低額ニ失スルコ
トニナリマシタカラ、玆ニ其ノ額ヲ相當增
加スルコトガ出來ルヤウニ致シタイト存ズ
ルノデアリマス
次ニ會社等臨時措置法案ニ付キ御說明致
シマス、政府ニ於キマシテハ大東亞戰爭ノ
完勝ヲ期シ、國內態勢ヲ强化シ、國力ヲ擧
ゲテ戰力ノ增强ニ集中スル爲メ、夙ニ行政
事務ノ簡素强化ヲ圖リ、著々其ノ實績ヲ擧
ゲテ居ルノデアリマスガ、民間ニ於ケル會
社其ノ他ノ法人企業ニ付キマシテモ、能フ
限リ手續等ヲ簡易ニシ、以テ勞力、費用、
資材等ノ節約ヲ期シ、其ノ餘力ハ全部之ヲ
戰力增强ニ振向ケル必要ノアリマスコトハ
申スマデモアリマセヌ、是ガ爲メ司法省ニ
於キマシテハ、商法其ノ他ノ法人ニ關スル
諸法令ヲ〓究調査致シマシテ、會社、株主
債權者等ノ利害得失ヲ十分者慮致シマシテ、
戰時下特ニ簡素化スルヲ相當ト認メマシタ
事項ニ付キ、本法ニ於テ大東亞戰爭中ノ特
例ヲ置カントスル次第デアリマス、其ノ要
點ハ大體次ノ五點デアリマス
第一ハ比較的規模ノ小サイ株式會社ノ公
告方法ノ緩和規定ヲ置カントスルノデアリ
マー、株式會社ノ公〓ハ、官報又ハ時事ニ
關スル事項ヲ揭載スル日刊新聞紙ニ揭ゲル
コトヲ要スルノデアリマスルガ、戰時ニ於
ケル用紙節約ノ爲メ、官報モ新聞紙モ共ニ
紙面ガ狹隘トナツテ參リマシタノデ、小額
資本ノ株式會社ハ隨意商法ニ規定スル方法
以外ノ公〓方法ヲ、定メルコトヲ得ルモノ
ト致サントスルノデアリマス
第二ハ株主總會ノ簡易化ノ規定ヲ設ケン
トスルノデアリマス、株主多數ヲ擁スル
株式會社ノ株主總會ノ招集ニハ、多クノ手
數ト費用トヲ要スル實情デアリマスノデ、
株主ノ員數ノ非常ニ多イ株式會社ニ於キ
マシテハ、公〓ヲ以テ總會招集ノ通知
ニ代フルコトヲ得ルモノトシ、此ノ場
合ニ於キマシテ、定款ノ變更其ノ他ノ
特別決議ヲ要スル事項ノ決議ニ付キ、
定足數ノ緩和ヲ致サントスルノデアリ
マシテ、是等ハ當該會社ノ定款ニ其ノ旨ヲ
定メタ場合ニ限ルノデアリマス、此ノ外ニ
一般ノ株式會社ニ於キマシテ、株主總會ノ
決議ヲ要スル事項ニシテ、株主ノ利害ニ重
大ナル影響ナキモノニ付キマシテハ、定款
ニ規定スルコトニ依リ、總會ノ決議ニ依ラ
ザルコトヲ得ルモノト致スノデアリマシテ、
是等ノ事項ハ勅令ヲ以テ指定スルコトニ相
成ツテ居リマス
第三ハ多額ノ社債ヲ發行スル株式會社ノ
社債ノ登記ヲ簡略ニセントスルノデアリマ
ス、社債ノ登記ハ相當複雜詳細デアリマス
ガ、監督ガ十分行ハレテ居リマス銀行會社
ノ或ルモノニ付キマシテハ、之ヲ思切リ簡
單ニシ、事務處理ノ圓滑ヲ期シタイト存ズ
ルノデアリマス
第四ハ會社ノナスベキ公〓、財產目錄其
ノ他ノ書類ノ謄本及ビ抄本ノ交付竝ニ信託證
書其ノ他ノ書類ノ謄本ノ備ヘ置ニ關シテハ、
機密ノ保持其ノ他公益上ノ理由ニ依リ勅令
ヲ以テ特例ヲ設ケントスルノデアリマス
第五ハ會社ノ合併及ビ資本減少ノ場合ニ、
債權者ニ對シテナスベキ催告等ニ付キ、之
ヲ簡略ニセントスルノデアリマス、以上申
述ベマシタ第二乃至第五ノ點ハ必要ニ應ジ
營團、金庫、組合等ニ準用シテ、會社以外ノ
或ル種ノ法人ニ付キマシテモ、必要ナル限
度ニ於テ手續ノ簡素强力化ヲ圖ラントスル
次第デアリマス
次ニ經濟關係罰則ノ整備ニ關スル法律案
ニ付キ御說明ヲ申上ゲマス
今ヤ戰局洵ニ重大ナル秋ニ當リマシテ、
益〓經濟統制ノ圓滑ナル遂行ヲ期シテ參リマ
スコトハ、刻下喫緊ノ要務デアリマス、而
シテ是ガ爲ニハ經濟統制ノ遂行上重大ナル
支障ヲ及ボシマスル經濟犯罪ノ防遏ニ力ヲ
致スベキハ勿論ノコトデアリマスルガ、
方ニ於キマシテハ、經濟統制ノ運用ノ中
核ヲナス官吏其ノ他ノ公務員竝ニ其ノ運用
ノ實際ヲ擔當スル經濟團體ノ役職員ノ綱紀
ノ一層ノ振肅ヲ圖リマスルト共ニ、經濟ノ
統制ノ運用ニ關スル官廳又ハ經濟團體ノ重
要ナル祕密ヲ漏泄スル等ノ行爲ニ付キマシ
テモ、必要ナル刑法的措置ヲ講ズルノ要ア
リト存ズルノデアリマス、政府ト致シマシ
テハ、豫テ是等ノ點ニ付キ深キ關心ヲ持ツ
テ居タ所デアリマシテ、公務員ノ瀆職ニ關
スル處罰規定ノ整備ニ付キマシテハ、去ル
第八十三囘帝國議會ノ御協賛ヲ得マシタ戰
時刑事特別法中改正法律ニ依リマシテ、旣
ニ其ノ實施ヲ見タ所デアリマス、其ノ他ノ
點ニ付キマシテモ、曩ニ本會議ノ席上申述
ベマシタ司法省內ノ經濟關係罰則調査委員
會ニ諮問シテ、銳意是ガ成案ヲ得ルコトニ
努力致シテ參リマシタ結果、玆ニ右委員會
ノ答申ニ基キ且ツ經濟統制進展ノ實情ヲモ
愼重ニ考慮致シマシテ、時局下眞ニ已ムヲ
得ザル範圍ノ經濟關係罰則ノ整備ヲ行ハン
トスルモノデアリマス、本法案ノ骨子ハ之
ヲ要約シテ申上ゲマスレバ次ノ四點ニアル
ノデアリマス
第一ハ經濟團體ノ役職員ノ瀆職ニ關スル
處罰規定ヲ整備シ、其ノ刑ヲ加重スルト共
ニ是ガ統一ヲ圖ラントスルモノデアリマス、
本法案ハ經濟團體ノソレ〓〓ノ性質、職能
等ニ鑑ミ、瀆職ニ關スル處罰ノ規定ヲ適當
ニ整備統一致シマスルト共ニ、刑ノ加重ヲ
モ行ヒ、併セテ此ノ種ノ規定ノ不備トセラ
レテ居リマシタ所謂經營會社及ビ代行機關、
ノ瀆職行爲ニ付キ是ガ處罰規定ヲ新設セン
トスルモノデアリマス、本法案第一條乃至
第五條及ビ第七條ガ卽チ之ニ該當スルノデ
アリマシテ、第一條ハ國家總動員法第十八
條第一項若クハ第三項ノ規定ニ依リ、設立
セラレマシタ統制會其ノ他ノ重要事業團體、
營團及ビ金庫等ガ、公的色彩頗ル濃厚ナル
點ニ著目シ、是等ノ經濟團體ノ役職員ハ、
罰則ノ適用ニ付テハ總テ之ヲ公務員ト看做
シ、刑法瀆職罪等ノ規定ノ適用アルモノト
致シタモノデアリマス、第二條ハ所謂國策
會社及ビ經濟統制法令ニ依リ、統制若クハ
統制ノ爲ニスル經營ヲナス會社若クハ組合
等ガ、國策事業ヲ經營シ、又ハ經濟統制ノ
遂行上、重要ナル地位ヲ占ムル點ニ鑑ミ、
是等經濟團體ノ役職員ノ瀆職行爲ニ付キ必
要ナル處罰ヲ爲サントスルモノデアリマス、
第三條ハ第二條ニ揭グル役職員ノ所謂事前
收賄及ビ事後收賄ニ關スル規定、第四條ハ
賄賂ノ沒收及ビ追徵ニ關スル規定、第五條
ハ贈賄罪ニ關スル規定デアリマス、第七條
ハ所謂代行機關ニ付キ、從來ノ法規ノ不備
ヲ補ヒ、統制事務若クハ統制ノ爲ニスル經
營事務ヲ代行スル者ヲ、當該經濟團體ノ職
員ト看做スコトニ依リ、本法案ノ瀆職罪及
ビ祕密漏泄罪ノ成立アルモノト爲サントス
ル規定デアリマス
第二ハ經濟ノ統制ニ關スル重要ナル祕密
ノ漏泄等ヲ防遏スル爲メ、必要ナル處罰規
定ヲ新設セントスルモノデアリマス、經濟
ノ統制ニ關スル祕密ノ保護ニ付キマシテハ、
軍機及ビ國家機密等ノ保護ニ比較致シマス
ルト不備ノ存スルヲ免レナイ實情ニアルノデ
アリマス、卽チ第六條ハ是ガ不備ヲ補ハン
トスルモノデアリマシテ、其ノ趣旨ハ公務
員若クハ公務員タリシ者又ハ勅令ヲ以テ定
ムル經濟團體ノ役職員若クハ役職員タリシ
者ガ自己又ハ第三者ノ利益ヲ圖リ、經濟ノ
統制ニ關スル官廳又ハ經濟團體ノ重要ナル
祕密ニシテ、職務上知得シタルモノヲ漏泄
又ハ竊用スル行爲ヲナシタル場合ニ之ヲ處
罰セントスルニアルノデアリマス
第三ハ祕密漏泄罪等ニ關スル日本證劵取引
所法第八十五條及ビ第八十七條竝ニ外國爲
替管理法第十四條ノ規定ニ付キソレ〓〓相
當ナル刑ノ加重ヲ行ヒ、他ノ同種ノ刑罰ト
ノ均衡ヲ得シムルト共ニ「漏洩」ナル用語ヲ「漏
泄」ト改ムルコトニ依リ、用語ノ統一ヲナサ
ントスルモノデアリマス、卽チ第十條及ビ
第十一條ガ之ニ該當スルノデアリマス
第四ハ以上ノ措置ニ伴ヒ、關係法律ノ條
文ノ整理ヲ爲サントスルモノデアリマシテ
第十二條乃至第二十八條ガ之ニ該當スルノ
デアリマス
以上三法案ノ內容ニ付キマシテ御說明申
上ゲマシタガ、何卒愼重御審議ノ上何レモ
御可決アランコトヲ切望致シマス、尙ホ詳
細ノ點ニ付キマシテハ御質問ニ應ジマシテ
御答ヘヲ申上ゲタイト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=3
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004・沖藏
○沖委員 一寸議事進行ニ付テ、政府ノ方
ニ御願ヒ申上ゲタイノデスガ、今ノ御說明
ヲ拜聽致シマスト澤山勅令ガ出ルヤウデア
リマシテ、ソレヲ一々御說明願ハネバナラ
ヌコトニナル譯デアリマスガ、何カ凡ソ勅
令ノ內容ミタイナモノヲ文書ニシタモノ
デモアリマスレバ、ソレヲ御配付ガ御願ヒ
出來マスナラバ、非常ニ議事ノ進行上便宜
デアリマスカラ、御願ヒ申上ゲテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=4
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005・大森佳一
○大森政府委員 勅令案ノ草稿ト申シマス
ルカ內容ニ付キマシテ、マダ具體的ニ決マ
ツテ居リマセヌケレドモ、其ノ筋書トモ言
フベキ程度ノモノハ御配付ヲ申上ゲテ置キ
マシタ、尙ホソレニ基イテ機會ガアレバ口
頭デ御說明ヲ申上ゲテ結構ダト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=5
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006・谷原公
○谷原委員長 議案ニ對シテ質疑ノ通〓ガ
アリマスカラ、是カラ質疑ヲ進メルコトニ
致シマス、通〓順ニ依ツテ順次許シマス-
大川光三君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=6
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007・大川光三
○大川委員 私ハ先ヅ經濟關係罰則ノ整備
ニ關スル法律案ニ付テ御伺ヒヲ致シマス、去
ル第八十一囘帝國議會ニ於キマシテ、日本證
劵取引所法ノ祕密漏泄ニ關スル處罰規定ガ、
他ノ同種ノ刑罰ト比較對照シテ均衡ヲ得テ
居ナイト云フコトガ論議ノ中心ニ相成リマ
シタ、然ルニ今囘其ノ議會側ノ要望ニ應ジ
テ、廣ク經濟關係法規ノ不備缺陷ノ是正ト
刑罰ノ統一トヲ期シ、本案ヲ御提案ニ相成
リマシタ司法當局ノ御英斷ト御熱意ニ對シ
マシテ、私ハ深甚ノ敬意ヲ表スル者デゴザ
イマス、殊ニ今囘ノ政府御提案ノ法律案ハ、
總テ戰爭完遂ニ直接關係ヲ有スルモノバカ
リデゴザイマシテ、本案モ亦戰爭遂行上至
大ノ關係ヲ有スルモノナルコトヲ信ジテ疑
ヒマセヌ、併シ如何ニ法規ノ改廢整備ヲ見
マシテモ、法ノ運用宜シキヲ得ナケレバ所
期ノ目的ヲ達成スルコトガ出來マセヌ、司
法大臣ハ過般ノ豫算總會ノ席上、司法官ハ
司法官ニ課セラレタル職責ヲ全ウシテ國家
ニ御奉公ヲ勵ミ以テ戰爭完遂ニ協力致シテ
居ルト、斯樣ニ申サレマシタガ、洵ニ至言
デゴザイマシテ、私ノ今モ尙ホ共感措ク能
ハザル所デゴザイマス、併シ謂ハルヽ所ノ
裁判、檢察ノ實際ニ於テ名實之ニ伴ハズ、
國民ノ一部ニ之ヲ信賴シ悅服シ得ザル者ガ
アリト致シマスレバ、獨リ我ガ司法ノ威信
ノ爲ノミナラズ、戰爭完遂上洵ニ寒心ニ堪
ヘナイ所ト存ズルノデアリマス、私ハ此ノ見
地ニ立チマシテ、以下司法省全體ニ關スル問
題ニ付テ御質問ヲ致シタイノデゴザイマス
第一ニ伺ヒタイト存ジマスルコトハ、今
囘ノ經濟關係罰則ノ刑罰ノ加重ニ伴ヒマシ
テ、各種經濟團體ノ役職員ノ瀆職罪ノ檢擧
ニ付テ如何ナル態度ヲ以テ臨マルヽ御方針
デアリマセウカ、從來ヨリ檢擧ガ最モ困難
ナリトセラレマスル瀆職罪、就中司法警察
官ヲ以テシテハ手ノ屆カヌヤウナ高イ所ニ
陣取ツテ、而モ國民疑惑ノ焦點トナツテ居
リマスル所謂大物役員ノ檢擧ニ如何ナル對
策ヲ有セラルヽデアリマセウカ、又此ノ際
檢事ノ捜査ニ强制力ヲ附與セラルヽノ御用
意アリヤ否ヤヲ先ヅ伺ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=7
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008・岩村一木
○岩村國務大臣 御答ヘヲ申上ゲマス、法
律ヲ制定致シマシテモ、是ガ運用ニ付テ十
分意ヲ致サナケレバ法律制定ノ目的ヲ達シ
得ナイト云フコトニナルノデアリマシテ、
此ノ點ハ御協賛ヲ願ツタナラバ十分ニ注意
ヲ致シテ、此ノ運用ニハ萬全ノ注意ヲ拂フ
積リデゴザイマス、瀆職事件ノ檢擧ト云フ
モノハ相當難カシイモノデアルガドウスル
カト云フ御話デアリマスガ、成程御話ノ通
リ瀆職事件ノ檢擧ト云フモノハ相當困難デ
アリマス、贈賄者モ收賄者モ共ニ之ヲ隱サ
ントスル、サウシテ證據ト云フモノハ殘ラ
ヌノデアリマシテ非常ニ困難ナモノデアリ
マス、併シナガラヤハリ天網恢々ト云ヒマ
スカ、犯罪ヲ致シマスルト其ノ各般ニ關係
ヲ持ツノデアリマシテ、特殊ノ事件ガ檢擧
セラレル、段々注意ヲ致シマスルト、他ノ
犯罪ニ及ブト云フヤウナ關係ガ自然現ハレ
テ來ルモノデゴザイマス、無論捜査ニハ非
常ニ困難トハ思ヒマスルガ、今日ヤハリ此
ノ瀆職罪等ノ檢擧ト云フモノハ行ハレテ居
ル、ヤハリ注意ヲスルトシナイトハ非常ニ
違フト思フ、一ツノ事件ヲ搜査致シマシテ、
ソレダケデ其ノ事件ヲ打切ルト云フコトデ
アレバ進展シナイノデアリマスガ、ヤハリ
贈賄、收賄ノ關係ト云フモノハ段々掘下ゲ
テ行キマスト、其ノ關係バカリデナク、例
ヘバ甲ガ乙ニ贈賄シテ居ルト云フ場合ニ、
段々調ベテ行キマスト、乙ハ又他ノ者カラ
收賄シタト云フコトガ擧ツテ來ル、甲、乙、
丙、丁、戊癸ト云フ風ニ段々捜査ト云フ
モノハ進展シテ參ルノデアリマス、要スル
ニ捜査ニ對スル注意ヲ十分ニ用ヒルカ、用
ヒナイカト云フコトガ犯罪ヲ檢擧スルカシ
ナイカト云フコトニ付テ餘程關係ヲ持ツモ
ノデアリマス、經濟關係ノ罰則ノ制定ヲ仰
グ以上ハ、捜査ニ付テハ一層注意ヲ致シマ
シテ、先程御話ノ大物デアルカラ檢擧ハ出
來ヌトカ、小サイモノヲ檢擧スルト云フコ
トデハナク、寧ロ害惡ヲ流スノハ所謂大物
ト申シマスカ、サウ云フ大キナ犯罪ト云フ
モノハ社會ニ大キナ害毒ヲ流スノデアリマ
スカラ、サウ云フ點ヲ特ニ注意ヲ致シテ檢
擧致サナケレバナラヌト思ヒマス、檢事局
ト致シマシテハ、社會的ニ特ニ地位ガアル
カラ其ノ檢擧ヲ躊躇スルト云フコトハ絕對
ニアリマセヌ、私ハ斯樣ナ考ヘハ少シモ持
ツテ居リマセヌ、嚴正公平ニ捜査權ヲ行フ
ト云フコトニ付テハ十分御信賴ヲ願ヒタイ
ト存ジマス
ソレカラ搜査ニ付テ何カ檢事ニ强制力ヲ
與ヘタラドウカト云フ御話ガアリマシタ、
是ハ從來カラ問題ニナツテ居ルノデアリマ
シテ、私共深ク此ノ問題ニ付テハ關心ヲ持
ツテ居ルノデアリマス、併シ此ノコトハ議
會ニ於テモ度々問題ニナツタコトデアリマ
シテ、各方面ニ影響スル所ガ相當ニ廣イノ
デアリマス、併シナガラ段々ニ解決シテ參
ツタノデアリマシテ、例ヘバ國防保安法ノ
如キ、治安維持法ノ如キ、段々檢事ノ强制
捜査力ト云フモノハ充實シテ參ツテ來タノ
デアリマス、是カラ其ノ他ノ犯罪ニモ段々
及ボサナケレバナラヌノデハナイカトハ思
ヒマスルガ、唯其ノ程度方法等ニ付テ色々
議論ガアリマス、幸ヒ現在司法省ニ民刑法
典ノ調査準備ノ委員會ガ出來テ居リマス、
其ノ委員會デ十分〓究シテ見タイト思ツテ
〓究ノ一項目ニ致シテ居リマス、ドウカ左
樣御諒承ヲ願ヒタイト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=8
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009・大川光三
○大川委員 次ニ第二點ト致シマシテ、略
式手續ノ範圍擴張ニ伴ヒ區裁判所ノ判事ヲ
如何ニ配置替ヘセラレマシタカト云フコト
ヲ伺ヒタイノデアリマス、去ル第八十三囘
帝國議會ニ於キマシテ、戰時刑事特別法中
ノ改正ヲ見マシテ、略式手續ノ範圍ガ擴張セ
ラレ、所謂事案ノ内容單純ニシテ犯罪ノ成立明
白ナル場合ニ於テハ、略式命令ヲ以テ一年以
下乃至三年以下ノ體刑ヲ科スルコトガ出來ル
ヤウニ相成リマシタガ、是ハ我ガ裁判史上非
常ナル變革デゴザイマシテ、略式手續ヲ發ス
ル區裁判所ノ權限擴張ト云フヨリハ寧ロ判
事ノ責任加重ナリト考へルノデアリマス、
ソレガ爲メ略式命令ヲ發スル判事ニハ特ニ
練達堪能ノ人士ヲ以テ之ニ充テル考ヘナリ
ト當時當局ハ御言明ニ相成リマシタガ、果
シテ其ノ後如何ナル措置ヲセラレタノデゴ
ザイマセウカ、承リタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=9
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010・大森佳一
○大森政府委員 只今御示シニナリマシタ
通リ、先般ノ改正ニ依リマシテ略式手續ガ
相當廣範圍ニ擴充セラレマシタ、之ニ對シ
マシテ最モ必要トスルノハ區裁判所判事ノ
人事デアルコト全ク御說ノ通リデアリマス、
左樣ナ關係デアリマシテ、私共主力ヲ此ノ
方面ニ傾注致シテ居ルノデアリマス、此ノ
前旣ニ數次ニ亙リマシテ戰時刑事特別法其
ノ他戰時ノ手續ガ制定ニ相成リマシテ、ヤ
ハリ同樣ノ趣旨ノ下ニ區裁判所ノ人事ニ付
キマシテ相當注意ヲ致シテ參リマシタ、卽
チ昨年ノ九月末日ニ於キマシテ、全國區裁
判所ノ判事ハ總計五百十六人デアリマシテ、
其ノ中六級以上ト申シマスルト、司法省管
下ニ於キマシテハ昇級ガ比較的遲イノデア
リマスルカラ、十年以上ノ勤續者デアリマ
ス、卽チ六級以上、詰リ十年以上ノ勤續者
ガ八六%ヲ占メテ居リマシテ、又四級以上
ト申シマスルト十五年以上ノ勤續者ニ當リ
マスルガ、是ガ五〇%ヲ占メテ居リマス、
卽チ年齡カラ申シマシテモ經驗カラ申シマ
シテモ相當區裁判所判事ニハ重キヲ置イテ
居ルノデアリマス、然ルニ其ノ後更ニ先般
ノ臨時議會デ只今御示シノ略式手續ノ擴充
ト云フコトニナリマシタカラ、更ニ此ノ人
事ニ重キヲ置キマシテ、丁度昭和十七年カ
ラ逆算致シマスルト、昭和十七年ノ三月下
旬ニ遡ツテ考ヘテ見マシテ、ソレカラ昨年
ノ十二月末日マデノ間之ヲ合算致シマスル
ト、控訴院判事カラ區裁判所判事ニ轉補致
シマシタ者ガ二十名、司法裁判所判事ヨリ
區裁判所判事ニ轉補致シマシタ者ガ百九
名、司法裁判所部長ヲシテ區裁判所判事ヲ
兼ネシメタ者ガ三十五名ニ達シテ居ルノデ
アリマス、卽チ今日私共ノ出來得ル限度ニ
於キマシテハ、區裁判所判事ノ人事ト云フ
コトニ、相當主力ヲ傾注致シテ居ル積リデ
アリマス、併シ勿論之ヲ以テ完璧ナリトハ考
ヘテ居ナイノデアリマス、只今ノ御希望モ
アリマシテ、我々其ノ御希望ヲ十分ニ斟酌
致シマシテ、更ニ此ノ上トモニ好結果ヲ擧
ゲタイト存ジテ居リマス、尙ホ略式手續自
體ニ付キマシテハ、先般幸ニ司法省內ニ勅
任調査官ヲ任設セラレマシタカラ、早速數
府縣ニ付キマシテ實際ノ調査ヲ致サセマシ
テ、其ノ範圍內ニ於キマシテ、先ヅ成績良
好デアラウト思ツテ居リマスルケレドモ、
是亦今日ノ程度ヲ以テ決シテ樂觀ハシナイ
ノデアリマシテ、十分ニ努力ヲ致シタイト
存ジテ居リマス、右一應御報〓ヲ申上ゲテ
置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=10
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011・大川光三
○大川委員 第三點ト致シマシテ、略式命
令ニ對シテ正式裁判ノ請求アリタル場合ニ
ハ如何ナル判事ガ其ノ裁判ノ衝ニ當ラレ
ルカト云フコトヲ伺ヒタイノデアリマス、
當局ノ御說明ニ依リマスルト略式命令係
判事ニハ練達堪能ノ人士ヲ以テ之ニ當テ
ルトノコトデゴザイマスガ、然ラバ斯カル
練達堪能ノ判事ガ發シタ略式命令ニ對スル
正式裁判ニハヨリ以上ノ老練ナ判事ヲ以
テシナケレバナラヌト存ジマス、下位ニ
居ル判事ガ自分ヨリモ上席ノ判事ノ裁判ヲ
是正スルト云フヤウナコトハ、實際問題ト
致シマシテ中々困難ガ伴フト存ジマスルガ、
御當局ノ御所見ハ如何デゴザイマセウ、又
只今次官ノ御說明ニ依リマシテ、昭和十七
年ノ三月下旬以來、昭和十八年ノ十二月
末日マデニ、相當廣範圍ノ判事ヲ區裁判所
ニ轉補サレタト承リマシテ、當局ガ、人事
行政ノ上ニ拂ハレツヽアル御苦心ノ程ハ、
十分之ヲ諒承致シタノデアリマスガ、然ラ
バ斯カル老練ナル判事ヲ正式裁判ノ衝ニ當
ラシメルト云フ意味デゴザイアセウ、若シ
然リト致シマスレバ勢ヒ略式命令係判事ニ
人ヲ得ナイ結果トナリ、若シ又是等ノ判事
ニ略式命令係ヲ擔當セシメルト致シマナス
ラバ、正式裁判ニ其ノ人ヲ得ザル結果トナ
ルト存ズルノデゴザイマスルガ、果シテ如
何ナル御考ヘデゴザイマセウ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=11
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012・大森佳一
○大森政府委員 御說御尤モニ存ズルノデ
アリマス、御承知ノヤウニ、刑事訴訟法ノ
下ニ於キマシテハ、略式手續ヲ致シマシタ
判事ト、正式裁判ヲ取扱ヒマスル判事ト同
一判事デアツテ差支ヘナイコトニナツテハ
居リマスケレドモ、是ハ規定上ダケノ問題
デアリマシテ、實際ノ場合ニ於テハ、異ツ
タル判事ニ取扱ハシメルコトガ、最モ適當
デアラウト思フノデアリマス、其ノ趣旨ニ
從ヒマシテ出來得ル限リ略式裁判ヲナシタ
ル判事ハ、正式裁判ヲ取扱フ判事トハ異ニ
スル仕組ニ致シテ居リマス、而モ其ノ方針
ニ於キマシテ正式裁判ニ當ル判事ノ方ガ比
較的優秀デアリ、練達デアリ、經驗者デア
ル、斯ウ云フ風ニ折角苦心ヲ致シテ居ル次
第デアリマス、尤モ地方ニ依リマシテハ、
區裁判所ニ一人ダケノ判事ノ所ガアリマス
カラ、是ハ實際ニ於テ已ムヲ得マセヌケレ
ドモ、數人以上ノ判事ヲ配置致シテ居ル區
裁判所ニ於キマシテハ、今申シタヤウナ手
續ヲ致シテ居リマス、サウシテ只今申シタ
多數ノ區裁判所判事ヲ拵ヘタノデアリマス
ガ、是ハ總テ正式裁判ニ當ツテ居ルノデハ
ナイノデアリマシテ區裁判所事務一般ニ當
ツテ居リマスカラ、此ノ中ニ略式ヲ取扱フ
モノ、又正式裁判ニ當ルモノガ自ラ分レテ
居ルノデアリマス、此ノ分レ方ニ依ツテ練
達ノ方ヲ正式裁判ニ成ダケ差向ケタイ、斯
ウ云フ方針ニ依リマシテ只今申上ゲタヤウ
ナ注意ヲ以テ臨ンデ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=12
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013・大川光三
○大川委員 只今ノ次官ノ御答辯ニ關聯シ
テ一言御尋ネヲ致シタイノデアリマス、略
式命令ヲ發シタ判事ハ當該略式裁判ニ關與
セシメナイト云フ方針ヲ執ツテ居ル、斯樣
ニ仰セニ相成ツタノデアリマスガ私モ全ク
同感デゴザイマス、併シナガラ自ラ發シタ
略式命令ノ事案ニ付テ、自ラ公判ニ於テ裁
判ヲスルコトハ必ズシモ非難スベキモノデ
ナイト私ハ存ズルノデアリマス、寧ロ同一
ノ判事ガ同一ノ事案ニ付テ愼重審理ヲ重ネ、
眞實ヲ發見致シマスコトハ却テ好マシイコ
トカトモ存ズルノデアリマス、明鏡止水、
神ノ境地ニ立ツテ過ツテハ改ムルニ何ノ憚
ル所ナシトノ英斷ヲ有セラルヽ多クノ判事
ガ居ラルヽコトヲ私ハ十分承知致シテ居リ
マス、併シナガラ一般國民ノ中ニハ、略式
命令ヲ出シタ判事ハ面目上公判ニ於テモ略
式命令ヲ維持スルデアラウ、自己ノ先入主
ニ囚ハレテ判事ガ檢事化スルデアラウトノ
危惧ノ念ヲ懷クモノモ亦少シトシナイト存
ジマス、斯クテハ事案ニ對スル國民ノ信賴
感ヲ失ヒ、法ノ威信ヲ保持スルコトモ出來
ナイト存ジマスルノデ、只今次官ノ御答辯
ノ略式裁判ヲ發シタ判事ハ、當該正式裁判
ニ關與スルヲ許サナイト云フ原則、確カナ
極メヲ御立テ下サル御意思ガアルデゴザイ
マセウカ、重ネテ御伺ヒスル次第デゴザイ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=13
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014・大森佳一
○大森政府委員 旣ニ御話ニナリマシタ通
リ、略式ヲ取扱ヒマシタ判事ト正式裁判
ニ當リマスル判事ガ同一人デアリマスルコ
トハ固ヨリ違法デハナイノデアリマス、刑
事訴訟法ニモ其ノ點ハ明記セラレテ居ルノ
デアリマス、而シテ之ヲ同一人ニスルコト
ガ事實上ニ於テ得策ナリヤ否ヤト云フコト
ニ付キマシテハ、今御述ベニナリマシタヤ
ウニ二樣ノ見解ノアルコトハ是レ亦私共モ
考ヘテ居ルノデアリマス、併シ結局ニ於キ
マシテ、ドチラガ宜イカト申シマスルト、
大多數的ノ見地カラ申シマスルト、判事ヲ
異ニシタ方ガ宜イト思フ、ノミナラズ實際
ノ便宜カラ申シマシテモ、公判外ニ略式手
續ヲ執リマシタル判事、公判ニ於テ正式裁
判ニ當ル判事ヲ分ケテ置キマス方ガ、事件
ノ取扱ヒモ便利デアル、デアリマスルカラ
判事一人シカ居ナイト云フ所ハ別トシテ、
然ラザル限リハ判事ハ成ルベク之ヲ分ケテ
行キタイ、此ノ方針デ今後トモ進ンデ參リ
タイト存ジテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=14
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015・大川光三
○大川委員 質問ノ第五點ト致シマシテ、
抅留中ノ被〓人ヨリ正式裁判ノ請求アリタ
ル場合、被〓人ハ其ノ公判期日ノ一日モ早
カランコトヲ希望致スノデアリマスルガ、
當局トシテハ大體幾日位ノ期間內ニ公判ヲ
開クベキガ相當デアルト御考ヘニナツテ居
ルデゴザイマセウカ、曩ニ略式手續ノ範圍
ヲ擴張セラレマシタ趣旨ハ、申上ゲルマデ
モナク事件ノ一層敏活ナル處理ヲ圖ラント
スルニアリマス、然ルニ偶、、略式命令ニ不服
ノ故ヲ以テ正式裁判ヲ請求致シマシテモ、
其ノ公判期日ガ、荏苒トシテ容易ニ指定サ
レナイ、甚ダシキハ一箇月以上モ被〓人ヲ
抅留シタ儘放置セラレル、ソレガ爲メ被〓
人ハ公判期日ヲ待チ切レズシテ心ナラズモ
正式裁判ノ請求ヲ取下ゲテ略式命令ニ服罪
ヲスル、若シ斯樣ナ事例ガ頻々ト起ルヤウ
ナコトガゴザイマスレバ、折角略式命令ノ
範圍ヲ擴張シテ、迅速ナル審理ヲ進メント
スル法ノ親心ニモ悖ル結果トナルト存ジマ
ス、司法當局ハ此ノ點ニ關シ如何ナル御高
配ヲ賜ハツテ居ルノデゴザイマセウカ、此ノ
際勾留中ノ被〓人ノ正式裁判ニハ一定ノ期
限ヲ定メ、其ノ期限內ニ必ズ公判ヲ開延セ
シムルヤウ促進ノ方途ヲ御講ジ下サル御意
思ガアルカドウカ、又大體幾日位ノ期間內
ニ公判ヲ開クベキガ相當ト思量セラレテ居リ
マスルカ承リタイノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=15
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016・大森佳一
○大森政府委員 全ク御示シノ通リニ略式
手續キヲ擴張シマシタ所以ハ、裁判ノ敏速
ト云フコトニ重キヲ置イタコト正ニ其ノ一
ツノ理由デアリマス、隨テ略式手續擴充ノ
結果、裁判ガ却ツテ遲延ヲスルト云フヤウ
ナコトハ、私共ノ最モ望マザル所デアリマ
ス、而シテ今日ノ實際ヲ申シマスルト、成
ベク早ク公判ニ掛ケルコトヲ望ンデ居リマ
スケレドモ或ル裁判所ニ依リマシテハ、事
件ガ多數ノ場合ニハサウモナリ兼ネルコト
モアルノデアリマス、ソレデ只今ノヤウナ
御話モ出タコトカト考ヘルノデアリマス、
併シ略式手續ニ對スル正式裁判ノ要求ナル
ガ故ニ、故意ニ之ヲ延バスト云フコトハ絕
對ニナイノデアリマス、是ハ他ノ事件ニ比
シテ早ク取扱ハナケレバナラナイト云フ方針ニ
付テハ私共固ク之ヲ守ツテ居ル所デアリマ
ス、然ラバ幾日以內ニ必ズ公判ニ掛ケナケ
レバナラナイト云フ其ノ期限デアリマスガ、
實際ニ於テ此ノ期限ハ設ケニクイノデアリ
マス、之ヲ設ケマシテモ、事實ニ於テ公判
ニ掛ケラレナケレバソレマデデアリマスカ
ラ、是ハ具體的ニ幾日以內ト云フコトハ避
ケテ、成ベク早クヤルト云フ抽象的ノ方針
ヲ强ク進メテ參ル方ガ得策カト存ジマス、
尙ホ然ラバ今日如何ナル裁判所ニ於テドノ
位ノ程度デ事件ガ進ンデ居ルカト云フコト
ニ付キマシテハ、今日調査ノ表ヲ持ツテ居
リマセヌカラ、次囘マデニ、何等カ取調ベマ
シテ御答ヘヲシタイト存ジテ居リマス、何
レニ致シマシテモ「裁判ノ促進ト云フコトニ
付キマシテハ、此ノ上トモニ十分ニ努力ヲ
致ス考ヘデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=16
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017・大川光三
○大川委員 次ニ第六點ト致シマシテ二審
制採用ニ伴ヒ、當局ハ保釋許可ニ付キ如何
ナル考慮ヲ拂ハレツヽアルカト云フコトヲ
伺ヒタイノデアリマス、曩ニ劃期的ナル裁
判所構成法戰時特例ノ改正ヲ見マシテ、今
ヤ上〓裁判ガ國民的信賴、國民的注目ノ的ト
ナツテ參リマシタ、原審デ不服ノ判決ヲ言渡
サレタ時ニハ上告審デ救ハレナイ限リ、他ニ救
ハレル途ハナイノデゴザイマス、然ルニ飜ツ
テ思ヒマスルニ此ノ國民的信賴ノ的ニ憧憬レ、
折角上告ヲ申立テントシ、又ハ上〓ヲ申立テ
ナガラ、保釋ヲ許サレナイ爲ニ上告ヲ思ヒ
止マリ、又ハ上〓ヲ取下ゲテ、血淚ヲ呑ンデ原
審判決ニ服スル者ガ如何ニ多イコトデゴザ
イマセウカ、殊ニ經濟犯罪ハ今日激增ノ一途
ヲ辿リ、其ノ質ト量トヲ以テ既ニ刑事司法ノ
全貌ヲ一變セシメタ觀ガゴザイマス、然ルニ
經濟事件ニ於テ其ノ對象トナルベキ人々ハ、
從來ノ被告人ト著シク事情ヲ異ニスル人達
デアリマス、彼等ハ性格異常者デモナク、
盗癖アル前科者デモナク、又貧窮者デモナ
イ、其ノ經歷ニ於テモ生活ニ於テモ一般ノ
國民ト異ラザルコトガ通常デアリマス、斯
カル通常人ニ對スル第一審判決ガ終了シ、
最早證據湮滅ノ憂ヒナク逃亡ノ虞モナイ、
而モ責任アル親族、友人、知己、辯護人ニ
於テ其ノ身柄ヲ引受ケントノ申出アルニモ
拘ラズ、尙且ツ保釋ガ許サレナイ事例ガ餘
リニモ多イノデゴザイマス、私ハ最近控訴
院部長カラ在野法曹ニナラレタ方ニ御話ヲ
承ツタノデアリマスガ、一度自分ガ保釋ヲ
許可シタ被〓人ガ逃亡デモスルト、ソレガ
最後如何ナル被〓人ニモ信ヲ置クコトガ出
來ナクテ、保釋ヲ許ス氣ニハナレナイ、併
シ今在野法曹トナツテ初メテソレガ誤リデ
アツタコトヲ痛感スルト述懷セラレタノデ
アリマスルガ、一人ノ逃亡者アルヲ惧レテ、
九十九人ノ善良ナル被〓人ヲ必要以上ニ拘
留スルヤウナコトガ、果シテ人的資源缺乏
ノ今日、國家ノ爲メ策ヲ得タモノデゴザイ
マセウカ、而モ斯クノ如キ保釋許可ガ嚴格
デアル結果ト致シマシテ、被〓人ガ被ル有
形無形ノ損害ニ止マラズ、實ニ司法ノ威信
ニモ關スルナキヤヲ私ヲ憂フルモノデアリ
マス
今其ノ二三ノ例ヲ簡單ニ申上ゲマスルト、
第一ニ全國ノ拘置所ニハ各、、定員ノ定メガア
ルコトト存ジマス、然ルニ抅留ガ長引ク結
果ト致シテ、何レノ抅置所モ滿員ノ盛況デ
ゴザイマス、定員以上ニ被〓ヲ收容スルコ
トハ、裁判所自ラ遵法精神ヲ蹂躪セラヒテ
居ルトノ世ノ謗リヲ免レナイト私ハ存ズル
ノデアリマス
第二ニ更ニ寒心ニ堪ヘナイト存ジマスル
コトハ、事實上ニ於ケル二審制度ノ破壞
デアリマス、保釋ガ許可サレナイ結果、
被〓人ハ少クトモ三箇月以上ノ未決拘留ノ
危險ヲ覺悟シナケレバ上告ガ出來ナイ、ソ
レガ爲メ已ムナク上告ヲ思ヒ止マリ、審
刑ニ服スル者ガ餘リニモ多イト云フヤウデ、
ドウシテ二審制度ノ妙味ヲ發揮スルコトガ
出來ルデゴザイマセウカ當局ノ一御說明ニ
依リマスト、區裁判所事件ニ付テ控訴タル
地方裁判所ニ於テ取消變更セラレタモノガ
昭和十七年度カラ過去五年ニ遡ツテ、其ノ
平均ガ三割一分トナツテ居リ、又地方裁判
所カラ其ノ控訴審デ取消變更サレタモノガ
同ジク二割七分ト相成ツテ居ルト申サレマ
シタガ、斯クノ如キ從來ノ控訴ノ利益ハ二
審制ノ下ニ於キマシテハ之ヲ上告審ニ求メ
ナケレバナリマセヌ、然ルニ保釋ガ許サレ
ズシテ此ノ恩惠ニ浴セシメルコトガ出來ナ
イヤウデ、ドウシテ司法ノ威信ヲ保持出來
ルデゴザイマセウカ
第三ニ不均衡ナル判決是正ノ道ヲ失フト
云フコトデアリマス、同ジ控訴院管下ノ下
級裁判所デアリナガラ、甲區裁判所ト乙區
裁判所トノ間ニ〓シテ刑罰ニ輕重ガアル、
例ヘバ近來大阪控訴院管下ノ經濟事犯ニ付
テ其ノ著シキヲ私ハ見ルノデアリマシテ、
此ノ判決ニ凸凹ガアルコトハ、判事ノ獨立
性ニ鑑ミテ已ムヲ得ナイコトトハ存ジマス
ルガ、裁カレル裁判所ニ依ツテ被〓人ニ運
不運ガ伴フト云フガ如キハ、國家ノ裁判ニ
對スル國民的信賴ヲ失ヒ、延テハ戰意〓揚
ノ面ニ累ヲ及ボスナシト誰ガ保證シ得ルデ
ゴザイマセウカ、今囘御提案ノ經濟關係
罰則ノ整備ニ關スル法律案ハ、法規ト法規
トノ刑罰ノ均衡ヲ圖ラントセラレル趣旨カ
ト拜察致シマスルガ、此ノ裁判所ト裁判所
ノ判決ノ不均衡ヲ是正致シマスル途ハ上〓
以外ニ方法ハナイノデアリマス、然ルニ保
釋不許可ニ依ツテ此ノ唯一ノ方途ヲモ阻止
セラルヽヤウナコトガゴザイマスナラバ、
裁判所ノ至公至平ハイツノ日ニカ實現スル
デゴザイマセウ、以上私ハ私ノ淺キ經驗ト
狭キ視野ニ立ツテ事例ヲ申上ゲタノデゴザ
イマスガ、若シ誤リアラバ御〓示ヲ冀ヒ、
併セテ當局ノ御所信ヲ御伺ヒスル次第デア
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=17
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018・池田克
○池田(克)政府委員 刑事被告事件、就中
經濟統制法令違反事件ノ被告ニ對スル保釋
責付ノ取扱ヒ方ガ非常ニ嚴格過ギル、裁判
所ニ於キマシテ全ク保釋責付ノ許可ヲ惜シ
ム傾向ニアル、其ノ點ニ付テノ御指摘デゴ
ザイマスガ、司法部ト致シマシテハ、般
ニ刑事被告事件ニ付テハ勿論デアリマスル
ガ、特ニ經濟事件ニ付キマシテハ御承知デ
モゴザイマス通リ、今日此ノ決戰下ニ卽應
致シマシテ、生產力ノ增强、生產ノ擴充ヲ
シナケレバナラヌト云フコトハ絕對ノ要請
デゴザイマス、隨ヒマシテ此ノ被告ニ付キ
マシテモ、可能ナル限リニ於キマジテ身柄
ノ拘束ヲ解キマシテ、少シデモ增產力ノ
增强ノ方ニ御奉公ヲ申上ゲル機會ヲ與ヘ
ルト云フコトガ、是ハ全ク裁判所トシテ執
ルベキ處置デゴザイマス、又裁判所ニ協力
シマス檢事トシテノ當然ニ心懸ケナケレバ
ナラヌ方針ダト思ヒマス、左樣ナ點デゴザ
イマシテ、其ノ趣旨ニ付キマシテハ從來
色々ノ方法デ以テ、又適當ノ機會ニ裁判所
檢事局ノ方ニ其ノ趣旨ヲ十分ニ傳達シテ居
ルノデアリマス、又裁判所ニ於キマシテ
モ、檢事局ニ於キマシテモ、其ノ趣旨ハ十
分ニ念頭ニ存シツヽ其ノ保釋責付ノ問題
ニ付テ取扱ヲシテ居ルノデハナイカト思ツ
テ居リマス、實際全國ノ裁判所ヲ通ジマシ
テ、私正確ニハ數字ヲ記憶致シマセヌケレ
ドモ、最近マデノ調査ノ結果ニ依リマシテ
モ、保釋責付ノ大體ノ條件ト云ヒマスト、過
半數ノ者ガ保釋責付ノ許可ガ與ヘラレテ居
ル實情デゴザイマス、是ハ具體的ノ事件デ
ゴザイマスカラ、果シテ、先ニ申上ゲマシ
タ趣旨ガドノ程度ニ行ハレマスカ、其ノ點分
リマセヌケレドモ、大體過半數ノ者ガ保釋
責付ノ許可ガ與ヘラレテ居ルト云フ實情デ
ゴザイマス、或ハ多數ノコトデゴザイマス
カラ、一二當然ニ保釋ヲ許可シ、又責付ノ
許可ヲ與ヘナケレバナラヌニ拘ラズ、ソレ
ガ與ヘラレナカツタト云フ事例モ或ハアラ
ウカト思ヒマス、併シナガラ司法部ニ於キマ
シテ、殊ニ裁判所方面ニ於キマシテモ、右
申シマシタヤウナ趣旨ノ下ニ、適當ナ取扱
ヲシテ居ルノデハナイカト思ヒマス、尙ホ
併シ御意見ノ次第モゴザイマスカラ、更ノ
實務家會同等ノ機會ヲ通ジマシテ、御論議
ノ點ニ付テモ十分ニ裁判所ノ實務家方面ニ
傳達スル積リデゴザイマス、尙ホ此ノ保釋
責付ノ取扱方ガ嚴格デアル爲ニ、現在各地
ノ刑務所ガ滿員ノ盛況ヲ呈シテ居ル、刑務
所ノ定員ヲ超エテ收容サレテ居ルト云フタヤ
ウナ御說モゴザイマシタケレドモ、今日全
國ノ刑務所ヲ通ジマシテ、刑務所、殊ニ抅
置所、被〓人ヲ拘束シマス所ノ拘置所デア
リマスガ、抅置所デ定員ヲ定メテアリマス
ノハ大阪タケデゴザイマス、其ブ他ハ定員
ノ定メハゴザイマセヌ、而モ大阪ノ抅置所
ニ於キマシテハ、定員ヲ超エマスルモノニ付
キマシテハ、大阪ノ刑務所ニ相當ノ餘裕ガゴ
ザイマシテ、其ノ方ニ收容シテ居ルト云フ
風ナ關係モゴザイマシテ、刑務所ノ定員ヲ
超エテ收容サレテ居ルト云フ事實ハナイヤ
ウニ私ハ存ジテ居ルノデゴザイマス、尙ホ
二審制ノ全面的ナ作用ニ依リマシテ、被〓
人ヲシテ所謂從來ノ三審制ノ下ニ於ケル上
訴ノ利益ヲ失ハシメ、又ソレガ爲ニ各地各
地ノ不均衡ノ判決ノ是正ノ途モ失ハシムル
虞ガアルト云フヤウナ御懸念ガゴザイマシ
タ、此ノ點ニ付キマシテモ、實ハ司法省ト致
シマシテモ重大ナ關心ヲ持ツテ居リマシテ、
二審制ノ運用ノ狀況ナドニ付テ調査ヲシテ
居ルノデゴザイマスケレドモ、只今マデノ
調査ニ依リマスレバ、二審制ノ全面的ナ作
用ト云フコトガ、先程モ御指摘ニナリマシ
タヤウニ、判事ニ對シテ非常ニ責任ノ重キ
ヲ加ヘシメル、隨ヒマシテ具體的ナ事件ヲ
取扱ヒマスル判事ニ於キマシテモ責任ノ重
キヲ加ヘテ參リマシタコトニ付テ十分反省
シ又念頭ニ存シツヽ裁判事務ヲ行フ爲デゴ
ザイマセウ、從來三審制ノ下ニ於テ行ハレ
マシタ手續ガ相當愼重ニナサレテ居リマス、
又色々ナ證人デアリマストカ其ノ他參考人
ナドヲ呼ビマス、或ハ證據調べ等ニ於キマ
シテモ相當ニ愼重サヲ加ヘテ居リマス、隨
ヒマシテ一審ノ審理ニ要シマスル日數ノ如
キモ相當ニ長キヲ加ヘテ居ルヤウナ次第デ
ゴザイマス、又第一審ノ判事ト致シマシテ
ハ、二審制モゴザイマセヌ爲ニ、是ハ人間ト
シテ當然考ヘラレルコトデゴザイマスルケ
レドモ、從來デゴザイマスト、イヽ加減ト
云フコトハ語弊ガゴザイマスルケレドモ、二
審デ以テ或ル程度ノコトガ出來ルダラウト
云フノデ裁判ガナサレタト云フ風ナコトモ
免レナカツタ點ガアラウカト思ヒマスケレ
ドモ、今日ニ於キマシテハ、左樣ナコトモ
許サレマセヌ、第一審ニ於テ全責任ヲ以テ
裁判ヲシナケレバナラヌト云フ責任感ガゴ
ザイマスモノデスカラ、自ラ例ヘバ執行猶
豫ノ言渡シヲスルト云フヤウナ事例モ相當
多キヲ加ヘテ居ルト云フ實情デアリマス、
旁〓二審制ノ全面的ノ作用ニ依リマシテ、
審ノ裁判ト云フモノガ愼重ニ而モ責任ヲ持
ツテ扱ハレテ居ル、隨ヒマシテ二審制ニナ
リマシタ爲ニ從來ノ裁判ト云フモノガ、國
民ノ信賴ノ念ヲ失ハシメ、或ハソレニ重大
ナル影響ヲ及ボスト云フ風ナ關係ハ萬々是
ナキコトヲ私ハ信ズル者デアリマス、尙ホ
不權衡ノ判決ノ是正ノ點ナドニ付キマシテ
モ上告審ニ於テ勿論事實審理ナドノ開カレ
ル途モアリマス、又二審制ノ實施ノ結果ニ
依リマシテモ、大審院ニ於キマシテ事實審
理ノ行ハレル事例ナドモ相當多キヲ加ヘテ
居ルノデアリマス、之ニ依ツテ國民ノ信賴ニ
對シテ重大ナル影響ヲ及ボス、或ハ國家正
義ノ實現ニ對シテ不安ヲ抱カシメルト云フ
ヤウナコトハナイト私ハ考ヘルノデアリマ
ス、併シナガラ何レニ致シマシテモ御指摘
ノ點ハ重大ナル點デアリマシテ、適當ノ機
會ニ凡ユル方法ニ於テ、實務家ノ方ニ十分
ニ御論議ノ次第ハ傳達致シマシテ、裁判ノ
適正ニ行ハレマスルヤウニ注意シタイト思
ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=18
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019・大川光三
○大川委員 只今ノ御說明デ大體ノコトハ
諒承致シマシタガ、尙ホ機會ガアリマスルナ
ラバ經濟事犯ニ付テ保釋ヲ許シタ者、不許
可ニシタ者等ニ關スル統計ガゴザイマスル
ナラバ適當ナ機會ニ御示シガ戴キタイト思
ヒマス、又先程御話ノ大阪拘置所ノ定員ハ
收容人員ガ超過シテ居ナイ、斯ウ云フ御言
葉デゴザイマシタガ、若シ左樣ナコトデア
レバ私ハ大變嬉シク思フノデアリマスガ、
尙ホ此ノ點モ能ク御調査相成リマシテ、若
シ不幸ニシテ定員以上ニ收容致シテ居ルト
云フ風ナコトデゴザイマスルナラバ、速力
ニ善處セラレンコトヲ希望致シマス
次ニ私ハ訴訟費用等臨時措置法ニ關シテ
御伺ヒヲ致シマス、本案御提案ノ理由トシ
テ大臣ノ御說明ヲ承リマスルト、現在行ハ
レテ居ル民事及ビ刑事ノ訴訟費用、執達吏
ノ手數料竝ニ執達吏ニ對スル補助金等ノ額
ハ現下ノ諸情勢ニ鑑ミ、明カニ低額ニ失シ、
之ヲ放置スルコトハ訴訟關係人及ビ執達
吏ニ對シテ多大ノ不利不便ヲ强要スル結果
トナリ、延イテハ決戰體制下ニ於テ訴訟ノ促
進ヲ阻碍スルノ憂ヒモ多分ニアルト考ヘル
トノ御趣旨デゴザイマシタガ、私ハ其ノ御
提案ノ理由ニハ全然同感ノ意ヲ表スル者デ
ゴザイマス、唯特ニ私ノ希望ヲ申上ゲテ御
質問致シタイト存ジマスルコドハ、今日證
人鑑定人ガ多大ノ不利ヲ蒙ムルト云フコ
トハ、單ニ日當旅費ガ低額ナリトノ金錢問
題ダケデハナイノデゴザイマス、證人、鑑
定人トシテ裁判所ニ出頭致シマスルコトハ
是ハ國民ノ義務デアリマシテ、國民ハ十分
之ヲ承知致シテ居リマス、隨テ其ノ日當旅
費ガ安イカラト云フ不平不滿ヲ持ツヤウナ
者ハ餘リ多ク見受ケマセヌ、ソレヨリモ肝要
ナコトハ決戰體制下一刻千金ノ思ヒデ增產
ニ勵シンデ居ル產業人、日々目ノ廻ルヤウニ
多忙ヲ極メテ居リマスル町會役員トカ隣組長、
其ノ他銃後ニ於テ戰ツテ居ル人々ガ偶〓證人、
鑑定人トシテ御呼出シヲ受ケテ萬障ヲ排シ
テ定刻ニ出頭致シマシタニモ拘ラズ、裁判
ガ中々開廷サレナイ、九時ガ過ギ、十時ガ
過ギ、十一時モ近カラントシテ漸ク開延サ
レテモ、證人調ベガ直グ行ハレルトハ限ラ
ナイ、場合ニ依レバ晝食拔キデ午後二時、
三時ニ至ラナケレバ證人トシテノ義務ガ果
セナイ最後ニ裁判長カラ旅費日當ガ請求出
來ル旨ヲ如何ニ懇切丁寧ニ告ゲラレマシテ
モ、之ヲ受取ル手數ト時間ヲ惜ンデ、旅費
日當ヲ受取ラズニ倉皇トシテ歸ツテ行ク證
人ノ如何ニ多イコトデゴザイマセウ、私、
證人、鑑定人ノアル事件ニハ裁判所ガ特ニ
工夫ヲ凝ラシ、改善ヲ加ヘテ格別ノ便宜ヲ
與ヘラレルコトヲ切望致シマスト共ニ、曩
ニ制定セラレマシタ戰時特別法ノ證人、鑑
定人ノ訊問ニ代ヘル書面提出ノ條文ノ活用
ヲ望ンデ巳マナイ者デアリマスガ、此ノ點
ニ關スル當局ノ御所見ヲ承リタイト思ヒマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=19
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020・大森佳一
○大森政府委員 只今御指摘ノヤウニ裁判
所ニ呼出サレマシタ證人、鑑定人ガ多クノ
時間ヲ裁判所ニ於テ空費ヲスルト云フ事例
ニ付キマシテハ、私共ハ確カニ見聞致シテ
居リマス、洵ニ申譯ナイコトニ存ズルノデ
アリマス、實ハ是ハ多年ノ問題デア、失マジ
テ、何トカ改善ヲシタイト云フコトニ我々
努力ヲシテ居リマスケレドモ、微力ニシテ
未ダ其ノ實效ヲ擧ゲ得ナイコトハ甚ダ慚愧
ニ堪ヘナイノデアリマス、是ハ御承知ノヤ
ウニ今日ノ裁判ノ取扱ヒト致シマシテ一日
ニ數件、十數件ヲ取扱ハナケレバナリマセ
ヌ關係上、證人ヲ呼ビマシテモ後ノ番ニナ
ツタリスル關係ガ多大ノ原因ニナルノデア
リマス、若シ是ガ裁判所ガ常ニ一日一件ヲ
取扱フト云フコトニナリマスレバ、是ハ極
メテ問題ガ簡單ニ解決ガ出來ルノデアリマ
スケレドモ、事件多數ノ爲ニ左樣ニ出來テ
イ實情デアリマシテ、甚ダ殘念ニ存ズルノ
デアリマス、併シ現狀ノ下ニ於テモ勿論改
善シ得ベキコトハ改善シナケレバナラナイ
ノデアリマス、今日ハ御承知ノ如クニ出勤
時間モ固ク厲行サレテ居リマスルカラ、以前
ヨリハ其ノ弊ガ餘程緩和サレテ居ルト思ヒ
マス、併シナガラ之ニ付キマシテモ決シテ
滿足スベキ狀態ダトハ思ツテ居ナイノデア
リマシテ、更ニ努力ヲ重ネタイト思ツテ居
リマス、尙ホ御指摘ニナリマシタ書面以ヲ
テ提出シ得ルト云フ條文、是ハ御承知ノヤ
ウニ民事訴訟ニ於テ先ヅ開カレマシテ、民
事ニ於テハ相當活用サレテ居ルヤウニ思ヒ
マス、刑事ニ付キマシテハ是ハマダ實施後
間モナイノデアリマスルカラ、今日實績上
ドウト云フコトハ申サレマセヌケレドモ
折角出來マシタ條文デアリマス、而モ斯樣
ナ戰力增强ヲ專ラニスル時、無駄ノ手數ヲ
省キタイト云フ爲ノ規定デアリマスカラ今
日ニ於テコソ厲行スベキモノデアリマス、
之ヲ善用シテ良キ結果ヲ擧ゲタイト云フコ
トニ折角努力中デアルト云フコトニ御諒承
ヲ願ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=20
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021・大川光三
○大川委員 次ニ私ハ會社等臨時措置法案
ニ付テ御伺ヒヲ致シマス、此ノ法案ヲ拜見
致シマシテ私共ノ直感致シマスコトハ勅令
ニ委任セラルヽ點ガ餘リニ多イ、ソレガ爲
メ此ノ條文ダケデハ容易ニ其ノ是非ヲ決シ
兼ネルノデアリマス、ソコデ私ハ以下數點
ニ亙ツテ事務的ノ御質問ヲ申上ゲタイト存
ジマスルガ、先程承リマスルト勅令案ノ要
綱ト申シマセウカ、之ニ關スル參考資料ヲ
頂戴シタノデアリマスルカラ、詳シクハ其ノ
參考資料ヲ拜見スルコトニ致シマシテ搔摘
ンデ御質問ヲ申上ゲマス、條文第二條ノ「其
ノ資本金ノ總額ガ勅令ヲ以テ定ムル額ニ滿
タザルモノニ在リテハ」トアル、其ノ額ハ大
體如何ナル數額ヲ豫定セラレマスルカ、又
同條ノ「商法第百六十六條第二項ニ定ムル公
告方法ト異ル定ヲ爲スコトヲ得」トアル、其
ノ「異ル定」トハ如何ナル場合ヲ豫定セラレマ
スルカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=21
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022・大森佳一
○大森政府委員 只今御尋ネノ第二條關係
ノ勅令デアリマスルガ、マダ各官廳トノ交
涉ガ十分ニ進ンデ居リマセヌカラ具體的、
明確ナコトハ申上ゲ兼ネマスルケレドモ、
司法省トシテ先ヅ此ノ位ノ所ヲ希望シテ居
ルト云フ程度ハ申述ベテ宜シイノデアリマ
ス、ソレハ資本金二十萬圓ニ滿タザル株式
會社、之ヲ第二條デ適用ショウ、斯樣ニ存
ジテ居リマス、御承知ノヤウニ第二條ノ趣
旨ハ小規模ノ株式會社ニ對シマシテ商法第
百六十六條第二項ニ定メテアリマスヤウニ、
官報又ハ日刊新聞ニ必ズ依ラナケレバナラ
ナイト云フコトニシマスノハ今日ニ於テハ
酷ダト存ズルノデアリマス、卽チ官報ノ紙面
モ少クナリマシタシ、新聞ニ於テモ紙面甚
ダ少ク殊ニ地方新聞ニ於テ然リヲ感ズルノ
デアリマス、デアリマスカラ是等ニ付キマ
シテハ他ノ方法ニ依ル餘裕ヲ持タシメヨウ
ト云フ趣旨ニ外ナラナイノデアリマシテ、
要スルニ小サイ株式會社ヲ助ケタイト云フ
意味ニ過ギナイノデアリマス、然ラバド
ウ云フ公告方法ヲ定メタラ宜イカト云フ譯
デアリマスガ、是ハ凡ソ公〓ニ適スル方法
ナラバ定款デ以テソレヲソレ〓〓決メテ
宜シイノデアリマスケレドモ、大體先ヅ私
共ノ豫想致シマスルニハ、本店ノ店頭ニ揭
示スルガ如キハ最モ多ク採用セラルヽ例カ
ト存ズルノデアリマス
尙ホ序デヲ以チマシテ何ガ故ニ二十萬圓
ヲ限度トシタカト云フ點ニ付テ簡單ニ申述
ベタイト存ズルノデアリマス、昭和十六年
ノ十二月末ノ調査デアリマスルカラ現在ト
ハ多少違ヒマセウケレドモ、此ノ調査ニ依
リマスルト、株式會社ノ數ガ三萬八千百九
十五社アルヤウデアリマス、此ノ中デ二十
萬圓ノ資本ニ滿タザルモノガ二萬八千百九
十一社アルヤウデアリマス、卽チ相當多數
ノモノガ二十萬圓未滿ノ資本デアリマスル
カラ、先ヅ二十萬圓未滿ヲ限度トスルコト
ガ適當デナイカト存ジマシタノガ一ツデア
リマスルシ、御承知ノ他ノ種類ノ會社、卽
チ合名會社、合資會社、株式合資會社、ソ
レカラ有限會社、是等ニモ資本ノ額ノ極メ
テ大キイモノモアリマスケレドモ、大體二
十萬圓程度ノ會社ガ此ノ株式ニ多イノデア
リマス、更ニ今申述ベマシタ各種ノ會社ハ
御承知ノ通リ公〓方法ニ制限ガナイノデア
リマスカラ、其ノ制限ノナイ各種ノ會社ノ
大多數ヲ占メル先ヅ二十萬圓見當、是ガ適
當デハナイカト考ヘタ次第デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=22
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023・大川光三
○大川委員 第三條ノ「株式會社ニシテ其ノ
株主ノ員數ガ勅令ヲ以テ定ムル數ヲ超ユル
モノ」トアル、其ノ「勅令ヲ以テ定ムル數」ノ
〓略ヲ承リタイノデアリマス、尙ホ此ノ員數
ト第二條ノ資本金ノ數額トハ何等ノ關係ヲ
有セザルヤ否ヤヲ併セテ御伺ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=23
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024・大森佳一
○大森政府委員 第三條第一項ニアリマス
ル「勅令ヲ以テ定ムル數」ト云フノハ、大體
ニ於テ司法省ト致シマシテハ五千人程度斯
樣ニ考ヘテ居ルノデアリマス、卽チ記名株
式ヲ有スル株主ノ數ガ五千人ヲ超エタ株式
會社ニハ、此ノ第三條ノ便法ヲ認メヨウト
云フ積リデアリマス、第二條ノ方ハ御承知
ノヤウニ小規模ノ株式會社ニ之ヲ適用シヨ
ウト云フノデアリマスルシ、第三條ノ方ハ
株主多數ヲ擁スル株式會社、卽チ大規模ノ株
式會社ニ此ノ便法ヲ認メテヤラウ、斯ウ云
フ趣旨ニ外ナラナイノデアリマス、デアリマス
カラ第二條ノ「資本」ト第三條ノ「株主ノ員數」
トニハ何等關係ガナイ、第三條ハ要スルニ
株主多數ヲ持ツテ居ル株式會社ニハソレ
ゾレノ通知ノ方法ハ、是ハ面倒デアラウカ
ラ、公〓ノ方法デ之ヲ樂ニシテヤラウ、斯
ウ云フ趣旨ニ過ギナイノデアリマス1発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=24
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025・大川光三
○大川委員 第四條中ノ「株主ノ利害ニ重
大ナル影響ヲ及ボサザルモノ」トハ如何ナ
ル事項デゴザイマセウカ、其ノ他第六條以
下ノ各條文ニ付キマシテ、今少シ明確ニナ
リマスルヤウニ、當局ヨリ進ンデ御說明ヲ
シテ戴キマスルナラバ幸甚ニ存ズル所デゴ
ザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=25
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026・大森佳一
○大森政府委員 御指圖ニ依リマシテ、逐
次一應ノ御說明ヲ申上ゲタイト存ズルノデ
アリマス、第四條デアリマスルガ、御承知
ノヤウニ株主總會ノ決議ヲ要スル事項ハ商
法ニソレ〓〓定マツテ居ルノデアリマス、
併シ其ノ間ニ自ラ輕重大小ノ區別モアリマ
セウカラ、比較的簡易ナモノニ付テハ、必
ズシモ常ニ株主總會ニ依ルト云フコトニシ
ナイデ、ソレヨリモ樂ナ方法ヲ採リ得ルノ
途ヲ開カウト云フノガ此ノ規定デアリマス、
所デ第四條第一項ニハ「株主ノ利害ニ重大
ナル影響ヲ及ボサザルモノ」トアリマシテ、
第二項デソレヲ勅令ニ讓ツテ居ルノデアリ
マス、其ノ勅令規定事項トシテ司法省ニ於
テ今日考ヘテ居リマスノハ、先ヅ支店ノ所
在地ノ變更デアリマス、卽チ支店ヲ新設致
シ又ハ廢止ヲ致シ又ハ移轉ヲ致シマス、其
ノ結果所在地ノ變更ヲ生ズルノテアリマス
ガ、之ヲ一々定款ノ變更ナルガ故ニ株主總
會ノ決議ヲ經ナケレバナラナイト云フコト
ハ甚ダ面倒デアリマスルカラ、之ヲ株主總會
ノ決議ニ依ラザル便法ヲ認メテモ宜カラウ
ト思フノデアリマス、ソレカラ次ニハ比較
的小規模ノ營業ノ一部ノ讓渡ノ場合テアリ
マス、是モ會社ノ生命ニ影響スルヤウナ程
度ナラバ勿論重大事項デアリマスルケレドモ、
比較的小部分ノ讓渡ナラバ、必ズシモ常ニ
總會ニ依ルコトハ要ラナイデアラウ、斯ウ
云フ趣旨デアリマス、次ニ比較的小規模ノ
營業ノ讓受デアリマス、是モ先程申上ゲタ
ト同樣ノ趣旨デ便法ニ依ラシメテ宜イノデ
ハナイカト思フノデアリマス、ソレカラ取
締役ガ同種ノ營業ヲ目的トスル他ノ會社ノ
無限責任社員又ハ取締役トナルコトノ認許
デアリマス、次ニ取締役、監査役又ハ〓算
人ガ受クベキ報酬ノ決定デアリマス、先ヅ
以上申述ベタヤウナモノハ今日必ズシモ此
ノ戰時下ニ限リ總會ノ決議ヲ俟タズシテ、
他ノ便法デ決メテ宜カラウト云ウヤフニ致
シタイノデアリマス、而シテ然ラバ何ガ故
ニ是ダケ餘リ多クモナイ事項ヲ勅令ニ讓ツ
タカト申シマスルト、私共此ノ制限タルヤ
極メテ嚴格ニ守ツテ行キタイノデアリマス、
如何ニ戰時法デアレバト申シマシテモ、必
要以上ニ商法ノ定ムル所ノ規定ノ變更ヲ致
シタクハナイノデアリマス卽チ此ノ制限
ハ固ク之ヲ守ルト云フコトハ變更ハ致シマ
セヌケレドモ、併シ斯樣ナ戰爭デアリマス
ルカラ、今日ニアリマシテモ明日ノ狀態ハ
豫測ハ出來マセヌ、不幸ニシテ事情ガ餘程
變化シマスルナラバ、此ノ條項モ多少更ニ
擴大スルノ必要ヲ生ジマセウ、卽チ多少ノ
餘裕ハ存シナケレバナラナイト存ジタノデ
アリマシテ、ソレガ爲ニ一々法律ノ改正ト
云フコトハ是亦言フベクシテ行ヒ難イコト
デアリマスルカラ勅令ニ讓ツタ次第デアリ
マス、是ハ勿論定款デ便法ニ依ル旨ヲ定メ
テ置カナケレバナラナイノデアリマシテ、
定款デハドウ云フ便法ヲ定メテモ宜イト思
ヒマスルケレドモ、例ヘバ取締役又ハ取締
役會ニ一任スルトカ、或ハ商法ノ定ムル所
ノ決議方法ヨリモ輕イ他ノ決議方法ヲ定メ
ル、卽チ書面評決ノ途ヲ執ルトカソレ〓〓
定款デ欲スル所ノモノヲ定メレバ宜イノダ
ラウト思フノデアリマス、第五條ハ「勅令ヲ
以テ定ムル株式會社」是ハ具體的ニドノ株
式會社ト云フコトヲ勅令デ以テ定メタイト
存ズルノデアリマス、ソレデ今日差當リ考へ
テ居リマスノハ、日本興業銀行、日本勸業
銀行、日本發送電株式會社、東洋拓殖株式
會社、北支那開發株式會社等デアリマス、此ノ
會社ハ申上ゲルマデモナク、ソレ〓〓行政
官廳ヨリ嚴重ナル監督ヲ受ケテ居リマスル
カラ、勿論相當程度信賴シテ宜イト思フノ
デアリマスルノミナラズ、是等ノ會社ハ其ノ
發行シテ居リマスル社債ガ格段ニ多イノデ
アリマス、デアリマスカラ是等ノ數種ノ會社
ニ付キマシテ、社債ノ登記ニ今少シク簡單ナ
方法ヲ定メテ參リタイト云フノガ第五條ノ
趣旨デアリマス、只今述ベマシタノハ五會
社デアリマスルガ、是ガ今申上ゲマシタ通
リ格段ト社債ノ數ガ多イノデアリマシテ、
或ハ是ヨリハ少イケレドモ併シ他ノ會社ヨ
リハ遙カニ多イト云フ、一、二ノ會社ガ加
ハルカモ知レマセヌ、併シ差當リトシテハ
今申上ゲタ五會社ヲ考へテ居ルノデアリマ
ス、ドウ云フヤウナ簡單ナ規定ヲ致スカト
申シマスルト、御承知ノ商法第三百五條及
ビ擔保附社債信託法第三十四條ノ規定ニ拘
ラズ各囘ニ於ケル社債ノ總額ヲ登記スルヲ
以テ足ルモノトシマシテ、又此ノ登記申請
デアリマスルガ、其ノ申請者モ簡單ニシテ
總裁デアルトカ或ハ其ノ他會社ヲ代表スベ
キ取締役一人カラ申請ヲシテ宜シイ、斯ウ
云フヤウニシタイト思フノデアリマス、卽
チ申請ノ手續及ビ登記ノ揭載事項、之ニ餘
程手心ヲ加ヘタイ、斯樣ニ考ヘテ居ルノデ
アリマス、次ニ第六條デアリマスルガ「會社
ノ爲スベキ公〓、財產目錄其ノ他ノ書類ノ
謄本及抄本ノ交付竝ニ信託證書其ノ他ノ書
類ノ謄本ノ備置ニ付キマシテ、便法ヲ講ジ
タイト思フノデアリマス、併シ之ニハ勿論
條件ガアリマシテ「機密ノ保持其ノ他公益上
ノ理由」ニ基カナケレバナラナイノデアリマ
スルガ、機密ノ保持ハ申上ゲルマデモナク
國家機密デアリマス、ソレカラ公益上ノ理
由トシテハ種々アリマセウガ、今日當面ノ
問題トシテ考ヘテ居リマスルノハ紙ノ不足
ノ問題デアリマス、斯樣ナ場合デアリマス
ルカラ紙ヲ極度ニ節約セシメナケレバナラ
ナイト存ジマス、ソレカラ今一ツハ業者間、
特ニ銀行ノ業者ニアリ勝チダサウデアリマ
スルガ、必要以上ノコトヲ公告ニ揭ゲマシ
テ、サウシテ不當ノ競爭ヲ助長スルト云フ
弊ガアルヤウニ聞キ及ンデ居ルノデアリマ
ス、斯カル際デアリマスルカラ不當競爭ハ
勿論之ヲ止ムベキデアリマシテ、ソレ等ノ
點ヲ公益上ノ理由ト考ヘテ居ルノデアリマ
ス、サウシテ勅令事項ト致シマシテハ、是
等ハ監督官廳ヲ持ツ會社ニ限リタイト思フ
ノデアリマシテ、サウシテ此ノ監督官廳ハ
機密ノ保持其ノ他公益上ノ理由カラ商法第
二百八十三條、銀行法第十一條等ノ規定ニ
ニ依ル貸借對照表ノ公〓ニ付テ相當ノ制限
ヲ加へ得ルコトニシタイト云フノガ一ツ、
ソレカラ商法第四百二十一條及ビ其ノ準用
規定ニ依リマスル債權申出ニ付テノ公〓、
是ハ御承知ノヤウニ今日デハ三囘致サナケ
レバナラナクナツテ居リマスルガ、之ヲ二回
デ宜シイトシタイト思フノデアリマス、ソ
レカラ又銀行ノ臨時休業ノ公〓、是ハ店頭
揭示デ結構ダト云フコトニシタイト思フノ
デアリマス、更ニ又日本興業銀行法第十三
條ノ三、日本勸業銀行法第三十五條ノ三、
北海道拓殖銀行法第十二條ノ三等ノ規定ニ
依ル各種債劵ノ賣出ニ關スル公〓ハ是ハ止
メテシマハウト思フノデアリマス、是等ハ
新聞其ノ他ニ於テ十分ニ民間ニ知レテ居ル
コトデアリマスルカラ、一々會社自身ガ公
告ヲスルノ必要モナイノデアリマス、ソレ
ヲ此ノ際止メテシマヒタイト思フノデアリ
マス、ソレカラ又擔保附社債信託法第二十
二條ノ規定ニ依ル公〓モ亦之ヲ必要ナシト
認メテ止メタイト思フノデアリマス、尙ホ
財產目錄其ノ他ノ書類ノ謄本又ハ抄本ノ交
付ノ特例ト致シマシテハ、監督官廳ハ是等
ノ書類ノ謄本又ハ抄本ノ交付ニ付キマシテ、
ソレ〓〓會社ニ對シ其ノ記載事項ヲ省略シ
タイ、又謄本、抄本ノ交付ヲナスコトノ必
要ナシト云フ旨ノ指示ヲ適宜ナシ得ルコト
ニシタイト思フノデアリマス、卽チ勅令ニ
依リマシテ是等ノ監督官廳ニ委任ヲ致シマ
シタ指示權ヲ與ヘテ、其ノ指示權ノ發動ニ
依リマシテ適宜其ノ處置ヲナサシメタイト
考ヘテ居ル次第デアリマス、尙ホ又信託證
書其ノ他ノ書類ノ謄本ノ備置キノ特例デア
リマスガ、是ハ信託證書、社債權者集會ノ決
議錄等、是等ハ各支店ニ備置カナケレバナラ
ナイヤウニ現行法上ハナツテ居リマスルケレ
ドモ、是ハ止メタイ、其ノ趣旨デアリマス、
次ニ第七條デアリマスガ、是ハ勅令ヲ以テ
定ムル會社ノ合併又ハ資本ノ減少ノ場合ニ
於キマシテ、債權者ニ對シテナスベキ催告
其ノ他ノ事項ニ付テ勅令デヤハリ簡易ナ方
法ヲ執ラシメヨウ、斯ウ云フ趣旨デアリマ
ス、是モ會社ヲ限定シタイノデアリマシ
テ、合併ノ場合ニアリマシテハ、合併當
事者ノ雙方又ハ一方ガ其ノ主タル營業ニ
付テ官廳ノ監督ヲ受クルモノニ限リマス、
又資本ノ減少ノ場合ニアツテハ、其ノ會
社ノ主タル營業ニ付テ官廳ノ監督ヲ受ケ
タルモノニ限ルノデアリマス、之ヲ要スル
ニ監督官廳ノアル場合ニ限ツテ此ノ規定ヲ
適用シタイト思フノデアリマス、ソレカラ
次ニ商法第百條關係ノ期間ハ法定二箇月ニ
ナツテ居リマスルケレドモ、之ヲ大體三週
間程度ニ縮メタイト云フノガ一ツデアリマ
ス、ソレカラ又商法第三百七十七條、是ハ
御承知ノヤウニ三箇月ニナツテ居リマスル
ケレドモ大體ニ於テ一箇月ニ限定シタイ、
斯ウ云フ積リデアリマス、卽チ第七條ニ於
キマシテハ、監督ヲ受ケテ居ルヤウナ會社
ノ合併又ハ資本ノ減少ニ付テ、是等催告等
ノ手續ヲ商法所定ノ期間ニ比シテ簡素化シ
タイト云フ趣旨デアリマス、次ニ第八條デ
アリマスルガ、前ニ申シマシタソレ〓〓ノ
規定ヲ此ノ會社デナイ會社以外ノ法人ニ準
用シタイト云フノデアリマスルガ、此ノ準
用セントスル會社以外ノ法人、是モ相當强
ク制限ヲシタイ積リデアリマス、今日考へ
テ居リマスル所デハ、第三條ヲ市街地信用
組合、商工組合中央金庫、農林中央金庫、
之ニ準用シタイト存ジテ居リマス、次ニ第
四條ヲ市街地信用組合、商工組合、商工組
合中央金庫、農林中央金庫ニ準用シタイト
思ツテ居リマス、第五條ヲ戰時金融金庫、
南方開發金庫、產業設備營團ニ準用シタイ
ト思ツテ居リマス、第六條ヲ日本銀行、商
工組合中央金庫、農林中央金庫、庶民金庫
ニ準用シタイト思ツテ居リマス、又第七條
ヲ市街地信用組合ニ準用シタイト思ツテ居
リマス、今申シマシタソレ〓〓準用ノ客體
ニナリマスルモノハ多少ノ伸縮ハアルカモ
知レマセヌ、併シ大體ヲ斯樣ナコトニ見當
ヲ付ケマシテ、サウシテ多ク之ヲ擴ゲタク
ナイ積リデアリマス、大體斯樣ナ程度デ多
少ノ伸縮ハアルト云フコトニ御諒承ヲ願ヒ
タイノデアリマス、甚ダ蕪雜デアリマスル
ケレドモ、一應ノ御說明ヲ申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=26
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027・大川光三
○大川委員 當局ヨリ色々御懇篤ナル御答
辯御說明ヲ戴キマシタノデ私ノ質問ハ之
ヲ以テ終了致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=27
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028・濱野徹太郎
○濱野(徹)委員 一寸只今御說明ノアツタ
條文ニ付テ御伺ヒ致シマス、今御親切ナ御
說明ヲ承ツタ中デ第二條ノ「公〓方法ト異
ル定ヲ爲スコトヲ得」ト云フノガアリマス、
是ハ色々ノ方法モ想像出來マスガ、結局公
告ト云フコトハ第三者ニ告知セシメルコト
ヲ必要ト致シマセウカラ、幾ラ簡便ナ方法
デモ會社ノ屋外ノ揭示ハドウ云フモノデア
ラウカ、之ニ付テ御考ヘガ伺ハレマスカ、
若シ伺ハレマスナラバ、一般的ニ斯ウ云ツ
タヤウナコトガ想像セラルヽト云フヤウナ
通常アリ觸レタ、而モ官報若シクハ時事ニ
關スル事項ヲ揭載スル新聞以外ノ大凡ノ
標準ニナリサウナ所ヲ御示シヲ願ヘレバ結
構デアリマス
ソレカラ序ニ第三條「勅令ヲ以テ定ムル
數」ト云フ數ハ御示シヲ願ヒマシタガ、
體此ノ數ヲ定メルノハイツヲ標準トスルカ、
例ヘバ五千株ト云フコトニナリマスト、近
頃ハサウ云ツタ所謂會社屋ハアリマセヌケ
レドモ、身內ノ者ニ株ヲ切換へルコトモ出
來マスシ、又株ヲ縮小シテ十人ノ株ヲ買收
シテ一人ニスルト云フヤウナ方法ガ出來マ
スト、自然又紛糾ガ起ル場合ガアリマスノ
デ、此ノ所謂「勅令ヲ以テ定ムル數」ト云
フノハイツノ日デアルカ、葉書デ知ラセル
ナラバ葉書ヲ發送スル日デアルカト云フ期
日ヲ御示シ願ヒタイ、同條第二項ノ「資本ノ
半額以上ニ當ル株主出席シ」ト云フノハ總會
ノ日ノヤウニモ當ルノデスガ、其ノ邊ノ一
項ト二項ノ時期ヲ御示シ願ヒタイ、サウシ
テ二條ト三條トノ關係デアリマスガ、二條
ノ事項ハ明カニ定款ノ記載事項デアリマス
ガ、サウスルト此ノ「公〓方法ト異ル定ヲ
爲ス」ト云フコトハ定款ヲ變更スルコトデ
アリマス、定款ノ變更ハ或ル一定ノ條件ノ
下デスガ、第三條ニ依ルト是ハドウ云フ關
係ニナリマスカ、此ノ第三條ニ依ツテ單ナ
ル議決權ノ過半數ヲ以テナスベキモノデア
ルカ、第三條ニ依ラズシテ、第二條ニ依ツ
テモウ當然是ハ許サレタル方法デ行クノカ、
或ハ此ノ第二條ダケデ行クナラバ、株主ノ
員數ガ勅令ヲ以テ定メタ數ヲ超エナイ所デ
ハ株主總會ヲ開カナケレバナラナイ、其ノ
株主總會ハヤハリ難カシイ資本ノ半數、ソ
レカラ頭數ノ半數ト云フソレニ依ルノデア
リマセウカ、一般ノ資格ノナイ該當シナイ
會社ニ付テハドウ云フ風ニナルカ、其ノ點
ヲ御伺ヒ致シマス、更ニ序デアリマスカラ
伺ヒマスガ、第四條ノ「定款ヲ以テ總會ノ決
議ニ依ラザルモノトスルコトヲ得」ト云フコ
トガアリマスガ、大體其ノ事項モ目標ハ
御示シ下スツテ結構デシタガ、營業ノ一部
ヲ讓渡、讓受ト云フコトハ、是ハ業態自體
ヲ示スコトデアラウト存ジマス、サウスル
ト既ニ營業一部ノ讓渡若クハ讓受ト云フコ
トガ此ノ事項ニ入リマス以上ハ、當然會社
自體ガ營業ヲ一部廢棄スル、或ハ一部新タ
ニ異ル業態ノ營業ヲ創設スルト云フ場合モ
讓渡、讓受ト看做シテヤハリ此ノ條文ニ依
ルベキモノデアリマセウカ、是カラ色々ノ
軍需會社ノヤウナ種類ノモノガ出來マスル
ト企業ノ一貫性ト云フ點カラ、此ノ邊ノ
コトガ想像サレルラシイト思ヒマスカラ、
御說明ヲ承ツテ置キタイ尙ホ「定款ヲ以テ總
會ノ決議ニ依ラザルモノトスルコトヲ得」ト
云フコトニ付キマシテハ、例ヘバ取締役ニ
一任スルト云ツタヤウナ法律ニ堪能ナ當局
ノ方カラ凡ソ想像シ得ベキ方法ヲ御示シ願
フト、大イニ當業者ガ樂デハナイカト思フ
ノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=28
-
029・大森佳一
○大森政府委員 先ヅ第一點デアリマスル
ガ、第二條ニ豫想シテ居リマスル商法第百
六十六條第二項ニ定ムル公告方法ト異ル定
メデアツテ、サウシテ有效ナル定メノ典型
的ナモノハドンナモノデアラウカ、斯ウ云
フ御質問ノヤウニ承リマシタ、先ヅ私共ノ
豫想シテ居リマスルノハ、店頭ニ揭示ヲス
ルコト、卽チ本店所在地ノ店先ニ揭示ヲス
ルト云フノガ多ク行ハレル例ダト思フノデ
アリマス、御示シニナリマシタ屋內ノ揭示
ト云フノハ、御說ノ通リ、是ハ甚ダ望マシ
カラザル公〓方法デアリマシテ、多クノ場
合ニ於テサウ云フノハ公告ニ該當セザルモ
ノト見ラレルダラウト思フノデアリマス、
其ノ外ニ豫想セラレマスノハ、日刊新聞デ
ナイ業界新聞ト申シマスカ、料理新聞トカ、
アヽ云フ種類ノ新聞ニ揭載スルコトヲ先ヅ
認メテ宜カラウト思フノデアリマス
次ニ第三條關係デアリマスガ、第二點ノ
御尋ネデアリマス、記名株式ヲ有スル株主
ノ員數五千人ト云フコトガ限界ニナツテ居
リマスガ、其ノ限界ハ何時ヲ以テ決メルカ
ト云フ御話デアリマシタ、是ハ解釋上公〓
ノ時ヲ基準ニシテ決メルベキモノダト考ヘ
テ居リマス、ソレハ又法文上自ラ明カニナ
ツテ居ルヤウニ存ズルノデアリマス、卽チ
公〓ノ時ニ五千人ヲ超エテ居リマスルナラ
バ此ノ法律ヲ適用スル條件ハ充タサレル譯
デアリマス、隨ヒマシテ公〓ヲスル時ニハ
五千人ヲ超エテ居ツタカラ此ノ公〓ノ便法
ヲ採ツタ、然ルニ其ノ後五千人ヲ缺ケタト
云フ場合ガアリマシテモ、此ノ手續ハ決シ
テ違法ニハナラナイト存ズルノデアリマス、
卽チ公〓ノ時ニ五千人ヲ超エテ居レバソレ
デ十分デアル、其ノ後株主ノ員數ニ減少ガ
アリマシテモソレハ少シモ構ハナイ、斯樣
ナ積リデアリマス、又第二項ニ於キマシテ
資本ノ半額以上ニ亙ル株主出席シ云々ト云
フノハ、ソレハ株主總會當日ノ計算ニ依ル
ベキモノダト存ズルノデアリマス
ソレカラ第三點ト致シマシテ、例ヘバ第
二條ノ公〓方法ヲ定メル場合、又第三條ノ
「定款ニ定アル場合」是ハ第一項第二項共ニア
ルノデアリマス、卽チ是等ノ便法ハ總テ定
款ニ其ノ旨ノ規定ガナケレバナラナイコ
トニ此ノ法案デハナツテ居ルノデアリマス、
然ルニ今日ノ會社ノ定款デハ固ヨリ斯樣ナ
コトヲ豫想シテ居リマセヌカラ、斯樣ナ定
款ノ便法ヲ作ラウト思ヒマスナラバ、是カ
ラ定款ノ變更ヲ致サナケレバナリマセヌ、
併シ此ノ定款ノ變更ハヤハリ商法所定ノ手
續ニ依ラナケレバナラナイノデアリマシテ、
ソレ自身ハ此ノ法案ノ便法ニハ依レナイ譯
デアリマス、併シ一度商法所定ノ手續ヲ經
マシテ便法ヲ採リ得ル途ヲ開キマシタナラ
バ、爾後ハ此ノ規定ニ依リ簡略ニ參ル譯デ
アル、斯樣ニ存ジテ居ルノデアリマス
次ハ第四點デアリマスルガ、營業ノ一部
ノ讓受又ハ一部ノ讓渡、是ハ其ノ一部ノ讓
渡、又讓受、共ニ比較的輕微ノ場合ニ限リ
タイノデアリマシテ、ソレヲ勅令ニ如何ニ
表ハスカト云フコトニ付テハマダ具體的ニ
決ツテ居リマセヌケレドモ、資本ト比較ヲ
致シマシテ、資本ノ何分ノ一ト云フ工合ニ
致シマスルカ、或ハ價格ニ致シマシテ、是
レ是レノ價格以下ニスルカト云フコトニ付
テハドチラヲ取ルカハ今尙ホ考慮中デア
リマス、要スルニ比較的輕微ノモノト云フ
コトヲ頭ニ入レテ、ソレガ明カニナルヤウ
ニ勅令ヲ設ケタイ、斯樣ニ考ヘテ居リマス、
サウシテ例ヘバ營業ヲ讓受ケマシタ場合ニ、ソ
レダケ新シイ營業ガ殖エテ目的ガ變更ニナ
ルコトモアリマセウ、又營業ヲ讓渡シマシタ
場合假令一部デアリマシテモソレガ爲ニ目的
ガ少クナツテ變更スルト云フコトモアリ得マセ
ウ、併シ斯樣ナ場合ノ目的ノ變更ハ是ハヤハリ
定款ノ變更ノ商法所定ノ手續ヲ要スルノデ
アリマス、玆ニ許サレル便法トシテ採リ
得ル營業ノ讓渡若クハ讓受ハ是ガ爲ニ目的
ノ變更ニナラナイ場合ダケヲ豫想シテ居ル
積リデアリマス、尤モ軍需會社ニ付キマシ
テハ軍需會社法ニ別段ノ規定ガアリマスル
カラ、之ニ依ルノデアルケレドモ、軍需會
社以外ノ場合ニ付キマシテハ讓渡讓受ニ依
ツテ目的ノ變更ニナラナイ場合、是ダケガ
便法ニ値ヒスル、斯樣ニ御考ヘヲ願ヒタイ
ノデアリマス、ソレカラ第四條關係ノ定款
ヲ以テ總會ノ決議ニ依ラザルモノトスルコ
トガ出來ル、其ノ方法トシテハドウ云フモ
ノガ豫想サレルカト云フコトノ御質問ノヤ
ウニ承リマシタ、例ヘテ申シマスルト取
締役ニ一任スル卽チ取締役ノ一人ガ之ヲ專
斷ニ決シテ宜イト云フコトモアリマセウ、
或ハ取締役會ノ決議ニシテモ宜イト云フコ
トモアリマセウ、或ハ株主ノ數ガ餘リ多ク
ナイヤウナ會社ニアリマシテハ書面表決、
往復葉書ヲ取ツテソレデ決ヲ採ルト云フコ
トモ考ヘラレマセウガ、大抵ノ場合ハ御承
知ノヤウニ株式會社ニ於キマシテハ株主ガ
多イノデアリマスルカラ取締役ノ一人若ク
ハ取締役ノ決議ニ一任スルト云フコトガ多
クナルダラウト豫想シテ居ルノデアリマス、
以上一應申上ゲマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=29
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030・谷原公
○谷原委員長 仲井間宗一君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=30
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031・仲井間宗一
○仲井間委員 法文ニ付テ簡單ニ承リタイ、
會社法ニ付キマシテ詳細ナ御說明ヲ承リマ
シタ、十分ニ理解ガ出來マシタ、此ノ經濟
關係罰則ノ整備ニ關スル法律案ノ法文ニ付
テ伺ヒタイノデアリマスガ、其ノ第一條ノ
「前項ノ團體竝ニ營團、金庫及此等ニ準ズル
モノハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム」之ノ勅令ハ出來
テ居ルノデアリマセウカ、是カラ勅令ガ出
ルノデアリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=31
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032・池田克
○池田(克)政府委員 只今御尋ネノ點ニ村
キマシテハ御手許マデ慥カ御配付申上ゲテア
ルト思ヒマスガ、經濟關係罰則ノ整備ニ關
スル法律案參考資料司法省刑事局、此ノ參
考資料ノ附屬ノ表ノ二枚目デゴザイマス、
頁數デ申シマスト四十二頁マデ本文ガゴザ
イマシテ、第一表ガ現行ノ瀆職規定一覽表
デアリマス、第二表ト致シマシテ整備豫定
案括弧シテ書イテゴザイマス、此ノ整備
豫定案、是ガ一應勅令指定ノ際ニ考ヘテ居
リマスルソレ〓〓ノ內容デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=32
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033・仲井間宗一
○仲井間委員 ソレカラ第六條デゴザイマ
スガ、第一條ニハ是等ノ「團體又バ營團、倉
庫若ハ此等ニ準ズルモノノ役員其ノ他ノ職
員ハ罰則ノ適用ニ付テハ之ヲ法令ニ依リ公
務ニ從事スル職員ト看做ス」ト云フ規定ガア
リマスガ、第六條ニ「以下經濟團體ト稱ス」ト
云フ文句ヲ用ヒテ、「團體、營團、金庫、會
社及組合竝ニ此等ニ準ズルモノ」ト例示致シ
マシテ、其ノ次ニ「勅令ヲ以テ定ムルモノノ
役員其ノ他ノ職員」トナツテ居ル、此ノ經濟
團體ノ役職員ノ中デ、特ニ勅令ヲ以テ役職
員ト云フコトヲ指摘シテアルノデアリマス、
サウ致シマスト第一條ニ指摘シテアルモノ
ト第六條ニ指摘シテアルモノノ範圍ニ付テ
何カ區別ガアルノデアリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=33
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034・池田克
○池田(克)政府委員 御指摘ノ通リ第一條
及ビ第二條ニ規定シテ居リマスル團體、營團、
金庫、會社、組合、是等ニ準ズルモノ、此
ノ全部ガ第六條ノ所謂經濟團體ニ該當スル
譯デゴザイマスケレドモ、併シナガラ第六
條ノ趣旨ト致シマス所ハ、特ニ經濟ノ統制
ニ關シマスル官廳ナリ或ハ經濟團體ノ重要
ナル祕密ヲ保護スルト云フ建前デゴザイマ
スカラ、其ノ趣旨カラ致シマシテ、實ハ保
護ヲ是非トモシナケレバナラナイ最小限度
ニ規定ヲ致シマスル爲ニ、今申上ゲマシタ
經濟團體ノ中デ、勅令デ以テ定メルト云フ
風ニ範圍ハ狹イノデゴザイマス、而シテ今
日勅令ヲ以テ定ムルコトニ一應豫定シテ居
リマスルノハ、第一條ニ規定サレテ居リマス
ル團體、ソレカラ營團、金庫ノ一部及ビ是
等ニ準ズルモノトシテ日本證劵取引所、日
本銀行、第二條ノ經濟團體ニ付キマシテハ、
横濱正金銀行ヲ初メトシマシテ、國策會社
ノ主要ナルモノデゴザイマス、而シテ其ノ
國策會社ノ取扱ツテ居リマスル事業ノ性質、
其ノ點カラ見マシテ、經濟祕密ヲ保護スル
必要ガアル、斯樣ナ見地ニ立チマシテ國策
會社ノ主要ナル一部ノモノ、更ニ組合ト致シ
マシテハ例ヘバ鹽業組合デアリマストカ、
或ハ肥料製造業組合デアリマストカ、更に
實質ニ於テハ組合ト同ジダト思ヒマスゲレ
ドモ、農業團體法或ハ水產業團體法ニ依リ
マスル所ノ中央農業會、中央水產業會、斯
樣ナ團體等ヲ勅令ヲ以テ定ムルモノニ豫定
ヲシテ居ル次第デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=34
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035・仲井間宗一
○仲井間委員 結局此ノ一覽表ノ整備豫定
案ノ中カラ重要ナモノガ拔キ出サレテ規定
サレル譯ニナルノデスネ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=35
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036・池田克
○池田(克)政府委員 第六條ノ方ハ左樣デ
ゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=36
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037・仲井間宗一
○仲井間委員 重要物資ト云フ文字ハヨク
使ハレテ居リマスガ、此ノ際尙ホ一應抽象
的デアリマスカラ、重要物資ト云フ意味ヲ
御聽キシタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=37
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038・池田克
○池田(克)政府委員 第六條ニアリマスル
重要物資ト申シマスルノハ、生活必需品ノ
ミナラズ、軍需物資ナドヲ含メマシタ包括
的ノ一ツノ觀念デゴザイマシテ、此ノ言葉
ニ付キマシテハ只今モ御指摘ニナリマシタ
通リニ、從來法律上ノ一ツノ用語ニナツテ
居リマス、詰リ法律カラ見マスレバ、ーツ
ノ旣成ノ〓念ニナツテ居リマス、例ヘテ申
シマスト國防保安法ノ慥カ第十條デアツタ
ト思ヒマスガ、此ノ言葉ガ用ヒラレテ居リ
マス、又刑法ノ第百五條ノ四ニ於キマシテ
モ、重要物資云々ノ言葉ガ使ハレテ居リマ
ス、法律ノ解釋上疑問ノ虞ナキモノト考ヘ
マシテ、此ノ文字ヲ用ヒマシタ次第デゴザ
イマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=38
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039・仲井間宗一
○仲井間委員 軍需資材ニ付キマシテハ割
合明確ニ知ルコトガ出來ルト思ヒマスガ、
生活必需物資ニ付テ重要物資ニ入ルベキモ
ノハ、色々煎ジ詰メテ來ルト、衣食住ニ關
係ノアルモノハ相當皆アルノデアリマシテ、
中々明瞭ニ判定ノシニクイ所ガアリマスガ、
凡ソ今切符制竝ニ配給制ニナツテ居ルモノ
ハ皆重要物資ノ中ニ含マレノルデアリマセ
ウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=39
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040・池田克
○池田(克)政府委員 〓ネ重要物資ノ中ニ
含マレルト云フ考へデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=40
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041・仲井間宗一
○仲井間委員 只今池田司法省政府委員カ
ラ御答辯ガアリマシテ、配給制度ニナツテ
居ルモノハ重要物資ノ中ニ含マレルト言ハ
レマシタガ、配給ノ方法ニモ色々アリマシ
テ、切符制デ配給スルモノモアルシ、或
隣組カラ通〓ヲ受ケテ配給サレ、テ居ルモノ
モアリマス、或ハ傘ノ類トカ靴ノ類トカ云
ツタヤウナ切符制デナイモノマデモ、隣組
ノ通〓ニ依ツテ配給ガ施行サレテ居ルモノ
モアリマス、其ノ限界ハ總テ配給制度ト見
テ差支ナイカドウカ、其ノ區別ニ付テモウ
少シハツキリ司法當局ノ考ヘテ居ラレル條
文ノ適用ノ對象トナルベキ點ニ付テ御考ヘ
ヲ明確ニシテ戴キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=41
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042・池田克
○池田(克)政府委員 切符制ニ依リマスル
モノハ勿論ノコトデゴザイマスルケレドモ、
其ノ他御指摘ニナリマシタヤウナ物資ニ付
キマシテモ、其ノ當該ノ物資ガ第六條ニ所
謂重要物資ニ該當スルヤ否ヤハ、結局此ノ
戰時下ニ於テ國民ノ最低生活ヲ確保スルニ
必要ナル物資ナリヤ否ヤト云フ見地ニ立チ
マシテ觀念セラルベキモノト考ヘルノデア
リマス、隨ヒマシテ本來法律的ニ申シマス
レバ、結局ハ裁判所ノ判斷スベキ問題デア
ラウト思ヒマス、併シナガラ是ハ法律常識
的ニ見マシテ、當該物資ガ果シテ重要物資
ナリヤ否ヤト云フコトニ付キマシテハ戰時
下ニ於キマスル國民ノ最低生活ノ確保ニ必
要ナリヤ否ヤト云フ立場ニ立ツテ考フベキ
モノト思ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=42
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043・仲井間宗一
○仲井間委員 裁判所ノ認定ニ依ル方法、
社會通念ニ依ル方法等ニ付テ、裁判所ガ從
來ノ他ノ法律關係ニ付テモ認定ノ例ガアリ
マス、ソコデヤハリ斯ウ云フコトモ戰時ニ
於ケル所ノ國民最小限度ノ生活ノ基準トナ
ルベキ社會的通念ニ依ツテ認定スベキモノ
デアル、斯ウ云フ風ニ考ヘテ置イテ宜カラ
ウト存ジマスガ、如何デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=43
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044・池田克
○池田(克)政府委員 全ク御說ノ通リデア
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=44
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045・仲井間宗一
○仲井間委員 第六條ノ中ニ「漏泄シ又ハ
竊用」トアリマスガ、是ハ他ノ特別法ノ條
文ニナツテ居リマスガ、此ノ竊用ト云フコ
トヲモウ一遍承リタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=45
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046・池田克
○池田(克)政府委員 竊用ト申シマスノハ、
當該祕密事項ヲ其ノ用法ニ從ツテ不正ニ使
用スル行爲デゴザイマス、具體的ニ例ヲ擧
ゲテ見マスルト、例ヘバ昨年ノ慥カ一月デ
ゴザイマシタカ、絹製品ニ關シテ切符ノ點
數制ガ引上ゲラレタコトガアリマス、アノ
衣料ノ切符制ノ改正ノ議ガアリマシテ、其
ノ改正ノ議ノアルコトヲ例ヘバ職務上當該
官廳ノ官吏ガ知リマシテ、サウシテ自ラ其
ノ事前ニ於テ高クナル所ノ衣料品ノ買溜ヲ
スルト云フ風ナ行爲ガ、本法ニ言フ竊用ノ
一ツノ場合ニ當ルノヂヤナカラウカト考ヘ
マイク。更ニ又過去ニ於テ是モ具體的ニ事例
ガアツタノデアリマスルケレドモ、或ル物資
ノ公定價格ヲ設定スル、或ハ又旣ニ設定サ
レテ居リマスル所ノ公定價格ニ變更ヲ加ヘ
ル、サウ云フ風ナコトノ爲ニ價格形成委員
會ナドデ調査、審議スル譯デアリマスガ、
其ノ價格形成委員會ノ委員ノ地位ニアル者
ガ、事前ニソレヲ材料トシテ投機取引ヲス
ル、「スペキレーション」ヲスル、詰リ買ヒニ
出ル、或ハ賣リニ出スト云フコトデ、財產
的ノ利益ヲ得ルコトハ勿論デアリマスケレ
ドモ、兎ニ角左樣ナ祕密事項ヲ職務上知リ
マシテ、ソレヲ用ヒテ投機取引ヲスルト云
フ風ナコトガ、第六條ニアル「竊用」ノ行爲ノ
例示ニナルノデハナイカト考ルノデゴザイ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=46
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047・仲井間宗一
○仲井間委員 詰リ斯ウ云ツタ公務員、正
シク公正ニ配給スベキ機關ノ者ガ橫流シヲ
シタリ、適正ニ配給シナイデ情實賣リヲヤ
ツタリスルヤウナコトハ、皆ソレニ含マレ
ル譯デゴザイマスネ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=47
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048・池田克
○池田(克)政府委員 此ノ第六條ハ統制經
濟ニ關シマスル官廳或ハ經濟團體ノ祕密デ
ゴザイマスカラ、今御尋ネノコトハ入ラナ
イノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=48
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049・仲井間宗一
○仲井間委員 分リマシタ、第七條ノ「人」
ト云フノハ他ノ特別法ニモ能ク用ヒラレテ
居リマスガ、役職員、使用人以外ノ人ト云
フノハドウ云フモノヲ指シテ居リマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=49
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050・池田克
○池田(克)政府委員 此ノ「人」ト申シマス
ノハ固ヨリ法人ニ對シテノ言葉デゴザイマ
シテ、法人以外ノ自然人ヲ指ス譯デゴザイ
マス、御承知ノ通リ今日經濟〓體ノ行ヒマ
スル所ノ、例ヘバ特定ノ物資ヲ一手ニ買取
リ、或ハ一手ニ販賣スルト云フ風ナ經營事
務ヲ、特定ノ甲ナリ乙ナリガ代行スルト云
フ實際ノ運用ノ狀況ニナツテ居ル、左樣ナ
意味ノ個人ノ代行者ヲ玆デハ「人」ト云フ言
葉ヲ用ヒテ居ル譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=50
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051・仲井間宗一
○仲井間委員 第二條ト三條ト五條ノ收賄
ト贈賄ノ刑期ヲ比較シテ見マスルニ、收賄
ノ方ガ三年以下ノ懲役ニナツテ居ル、ソレ
カラ贈賄ノ方モ三年以下ノ懲役ニナツテ居
ル、ソレカラ第三條ノ事前事後ノ、詰リ贈
收賄ノ約束ヲシタ、之ニ對シテハ二年以下、
同ジ約束ヲスル事犯ニ付テ、收賄ノ方ガ事
前事後ヲ現職ニアル場合ト少シ區別ヲシテ
居リマスガ、此ノ贈賄シタ者ノ刑期ノ三年
ト云フノト事前事後ノ一一年ト云フモノトヲ
比ベルト、贈賄ガ重クテ收賄ガ輕イノデア
リマスガ、其ノ刑期ニ付テ少シ均衡ガ取レ
ナイヤウナ氣持ガ致スノデアリマスガ、其
ノ點ニ付テノ御意向ヲ承リタイノデアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=51
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052・大森佳一
○大森政府委員 御指摘ノ點御尤モニ存ズ
ルノデアリマス、第二條、第三條共ニ收賄
ノ罪デアリマスルガ、是ハ刑法ニ比ベテ稍〓、
輕クナツテ居ルコト御說ノ通リデアリマス、
卽チ刑法デ申シマスト、第二條ニ於テ請託
ヲ受ケタ場合ガ五年以下ニナツテ居ルノデ
アリマスルガ、本案ニ於テハソレヲモ引括
メテ三年以下ノ懲役ニナツテ居リマスルシ、
又「因テ不正ノ行爲ヲ爲シ又ハ相當ノ行爲
ヲ爲サザルトキ」是ハ刑法デハ一年以上ノ
有期懲役ニナツテ居リマスルガ、本案デハ
七年以下デアリマシテ、幾ラカ輕イノデア
リマス、又第三條ハ是レ亦御指摘ノ通リ事
前瀆職、事後瀆職共ニ刑法デハ三年以下ノ
懲役デアリマスルノヲ、本案デハ二年以下
ノ懲役ニ致シマシタ、其ノ趣旨ハ第一條ニ
揭ゲテ居リマスル團體ハ、是ハ餘程公務
的色彩ガ强イノデアリマシテ、第二條ノ團
體ハ之ニ比ベマスルト、公務的色彩ガ幾ラ
カ薄イノデアリマス、デアリマスルカラ第
一條ガ刑法其ノ儘デアルノニ比シマシテ、
第二條、第三條ニ付キマシテハ收賄ニ付テ
幾ラカヅヽ其ノ刑罰ヲ低クシタノデアリマ
ス、然ルニ第五條ニナリマスルト御承知ノ
ヤウニ贈賄デアリマスルガ、是ハ刑法並ニ
ナツテ居リマス、卽チ只今ノ御言葉ノヤウ
ニ第二條、第三條モ稍〓刑法ニ比ベテ低キニ反
シ、第五條ノミ刑法通リニナツテ居ルノハ、
確カニ表面上權衡ヲ失スルヤニ考ヘラレル
ノデアリマス、併シ之ニ付キマシテハ私共幾
ラカ苦慮致シタノデアリマスルガ、旣ニ御
承知ノヤウニ商法ノ罰則、卽チ會社ノ罰則
デアリマス、商法第四百九十三條第一一項ニ
於キマシテ、贈賄ノ罰ヲ三年以下ノ懲役又
ハ三千圓以下ノ罰金ニシテ居ルノデアリマ
ス、刑法ハ御承知ノヤウニ是ト同樣ニ三年
以下ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金デアリマ
ス、デアリマスカラ懲役ニ付テ會社法ノ罰
則ニ於キマシテ既ニ三年ヲ持ツテ居ルノデ
アリマスカラ、商法既ニ定メル所ノモノヨ
リモ之ヲ輕クスルト云フノハ確カニ不合理
デアリマス、然ラバ商法通リ三年以下ノ懲
役又ハ三千圓以下ノ罰罰ニスレバ宜イカト
申シマスト、是ハ他ノ刑罰トノ權衡モアリ
マシテ、懲役ヲ三年ニシテ罰金ヲ三千圓ニ
スルト云フノモ多少工合惡イ感ジモ致シマ
ス、デアリマスルカラ收賄ニ付テハ刑法
ヨリ稍〓輕クシマシタケレドモ、贈賄ニ付テ
ハ右申述ベタ商法トノ關係ヲ考ヘマシテ、
刑法通リニ致シタヤウナ次第デアリマス、
右ノ事情ハ御諒承ヲ願ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=52
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053・仲井間宗一
○仲井間委員 本法ノ規定ガ此ノ度議會ニ
提出セラレマシタ、コトハ多年國民ノ要望モ
アリマシテ、私共モ洵ニ共鳴致シテ居ル次
第デアリマスルガ、苟クモ物資ノ生產、配
給消費殊ニ今日國民ノ最低限度ノ生活ヲ
確保セシムルコトガ、此ノ戰爭遂行ノ爲ニ、
國民ノ總力ヲ結集スル上ニ缺クベカラザル
要請デアルノデアリマシテ、其ノ爲ニハド
ウシテモ配給ノ適正ト云フモノガ必要デア
ルノデアリマス、此ノ配給ノ適正ヲ期スル
爲ニ、色々今後政府ニ要望サレテ居ル點ハ
各委員會ニ於テ、或ハ凡ユル機會ニ政府ニ
要望サレテ居ルノデアリマスガ、先ヅ現行
ノ制度ニ於キマシテモ、此ノ配給ノ衝ニ當
ル公ノ機關ガ、眞ニ公正ナル職務ノ執行ニ
當ラナケレバナラヌノデアリマスケレドモ、
色々巷間聞ク所ニ依ルト、遺憾ナル點ガ多々
アルノデアリマシテ、此ノ統制ニ關係ス
ル、或ハ又物資ノ配給等ニ關係ノアル業務
ニ携ハル者ノ不正行爲ニ對スル罰則ヲ規定
シナカツタコトハ、實ニ跛行的ナ感ジガ致
スノデアリマス、一々本席デ具體的ナ例ヲ
申述ベルコトヲ差控へマスルケレドモ、此
ノ配給機構ノ衝ニ當ル機關ガ不正ニ配給ヲ
スル、或ハ橫流シヲスル、或ハ情實ヲスル
ト云ツタヤウナ方面ヲ、相當ニ取締ル必要
ガアルノデハナイカト思フノデアリマスル
ガ、將來其ノ點ニ付テ法規ヲ設定スル御意
向ガアラレマスカ、司法當局ノ御考ヘハド
ンナモノデアルカ、伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=53
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054・大森佳一
○大森政府委員 御質問ノ御趣旨ハ不正ノ
配給ニ付テ何ガ故ニ刑罰法規ヲ制定シナカ
ツタカ、又將來制定スル見込アリヤト云フ
點ニ存スルヤニ拜承致シタノデアリマス、
御承知ノヤウニ此ノ案ニ於キマシテハ不正
配給ノ問題ニ觸レテ居ナイノデアリマス、
併シ只今モ御話ニナリマシタヤウニ、坊間
動モスレバ不正配給ノ事實ガアルト云フコト
ハ、私共耳ニハ致シテ居ルノデアリマス、
サウシテ御承知ノヤウニ司法省內ニ設ケラ
レマシタ經濟關係罰則調査委員會ニ於キマ
シテ、相當嚴重ナル制限ノ下デハアリマス
ルケレドモ、不正配給ニ付テ取締規定ヲ設
クベシトノ答申ヲ得タコトモアリマス、左
樣ナ關係デ事務ノ者ト致シマシテハ、調査
ニ著手致シタコトハ確カニアルノデアリマ
ス、併シテガラ一面考ヘテ見マスト種々ノ
紆餘曲折ハ經マシタケレドモ、今日ノ經濟
統制ハ先ヅ軌道ニ乘リマシテ、是カラ其ノ
〓ニ就イテ行クヤウニ存ズルノデアリマス、
丁度是カラ折角旨イ工合ニ乘出シテ來ルト
云フ矢先ニ於テ、左樣ナ刑罰法規ヲ俄カニ
出スコトハ、是ハ確カニ考慮ノ餘地ガアリ
ハシナイカト云フコトガ一ツ、ソレカラ規
定ヲ致シマスト、是ハ規定ノ如何ニハ依リ
マスケレドモ、相當廣範圍ニ亙ル虞ガアル
ノデアリマス、左樣ナ廣範圍ニ亙ル虞ノア
ルヤウナ取締規定ヲ今俄カニ提案致シマス
ルト、民間ニ如何ナル影響ヲ及ボスデアラ
ウカ、是レ亦考慮ヲ要スルヤニ存ジタノデ
アリマス、デアリマスカラ是ハ大イニ指導
ヲシテ、然ル後ニ必要ガアレバ徐ロニ考ヘ
ルト云フ方途ニ出ヅル方ガ宜クハナイカト
考ヘタノデアリマシテ、左樣ナ考ヘカラ今
囘ハ提案ヲシナカツタノデアリマス、然ラ
バ將來之ヲ提案スルカ否ヤ、是ハ今日明答
スル程度ニハ至ツテ居リマセヌ、提案スル
トモ提案シナイトモ申上ゲルコトハ出來マ
セヌケレドモ、併シ兎ニ角目下重要ノ問題
デアリマスルカラ、私共ニ於テ十分ニ調査
〓究ハ續ケテ參リタイト存ジマス、今日ハ
此ノ程度ニ於テ御諒承ヲ願ヒタイノデアリ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=54
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055・仲井間宗一
○仲井間委員 此ノ種犯罪ノ裏ニハ私ノ窺
ヒ知ル所ニ依リマスト、最小限度ノ生活物
資ノ配給ガナサレテ居ナイ所カラ、色々ノ
缺陷ガ生ジテ來ルヤウニ考ヘルノデアリマ
ス、總理大臣ハ國民生活ノ最低限度ヲ確保
スルト、常ニ凡ユル機會ニ聲明ヲサレテ居リ
マスガ、今ノ配給制度其ノモノデハドウシ
テモ國民ノ最小限度ノ配給量ニハ達シテ居
ナイヤウニ我々ハ考ヘマス、ソコデ買出シ
デアルトカ、又其ノ他闇取引デアルトカ、
色々ノ面白カラザルコトガ出テ參リマスノ
デ、ドウシテモモウ少シ配給制度ヲ整備シ
テカラデナケレバ、只今次官ノ申サレタヤ
ウニ、此ノ法律ノ制定ヲ見ルコトハ今ノ段
階トシテハ少シ早過ギル、斯樣ナ御說明ニ
對シテ私共モ贊意ヲ表スル次第デアリマス
ガ、ドウゾ斯カル犯罪ニ對シテ、取引秩序
ヲ圓滑ニスル爲ニハ、又國民生活ノ最低限
度ヲ確保スル爲ニハ、他ノ省トモ連絡ヲ執
ツテ、司法省カラデモ是非强調シテ、此ノ
公益ノ維持ヲ十分ニ確保シテ戴クヤウニ御
願ヒスル次第デアリマス
ソレカラ最後ニ本法ノ公益ヲ維持スル點
ニ付キマシテ御方策ヲ御伺ヒ致シタイト思
ヒマスルガ、第一祕密ノ漏洩トカ云フヤウ
ナコトハ、大體相當ノ地位ニアル人ガ犯サ
レテ居ルヤウナコトガ多イヤウニ見受ケラ
レルノデアリマス、是ハ結局從來ノ國民ガ
皇國民トシテノ自覺ノ足リナイ點ガ多イノ
デハナイカ、眞ニ國民トシテノ責任感ヲ十
分ニ把持シテ居レバ、斯ウ云フ罪ハ段々減
少サレテ行クコトニナル、有識者ニ多イト
云フコトハ實ニ遺憾ナ點デゴザイマスルノ
デ、凡ユル施策ニ付テ今日皇國ノ國民トシ
テノ自覺ノ要請ニ副フ方策ヲ講ジテ居ルノ
デアリマスガ、尙ホ法律ニ付テモ、民法デ
アルトカ、刑法デアルトカ、商法ニ於テモ
ウ少シク皇國民トシテノ自覺ヲ促スヤウナ、
又ソレニ副フ法規ノ大改正ガ將來行ハレナ
ケレバナラヌト思ヒマス、今ノ法律ハ殆ド
米英ノ秩序ノ時代ニ出來タ法律デアリマス
カラ、制裁法規或ハ取引法規ヲ、唯國民ノ
契約的ナ取引自由ノ原則ノ下ニ規定サレタ
ル思想、從來ノ個人乃至社會ガ國家ト對立
シテ居ルト云フヤウナ思想カラ生レタ制度
ヨリ、眞ニ國家ニ歸一スルト云フ國民的、
日本ノ皇國的ナ基礎ニ立ツ法律ノ編成ヲシ
テ、國民ヲ文化的ニモ司法的ニモ、相俟ツ
テ指導シテ行ク時代ガ來ナケレバナラヌト
思フノデアリマス、サウ云フ點ニ付テ唯取
締ノミニ依ツテ其ノ公益ヲ維持シテ行クト
云フヨリ、一步進ンデ指導ニ依ル國民的自
覺ヲ促スコトニ依ツテ公益ヲ維持シテ行ク
ト云フコトガ、根本的ノ問題デハアルマイ
カ、殊ニ本法案ガ戰時臨時ノ立法デハナク
シテ-此ノ基本法ガ戰時ノ臨時立法モア
リマスガ、恒久的ノ法律モアリマスノデ、
相當ニ長ク本法ガ適用サレナケレバナリマ
セヌカラ、是非皇國民トシテノ自覺ヲ促ス
法制的ノ方面ニ於テ指導サレルヤウナコト
ガ望マシイコトデアリ、是ガ又此ノ前ノ委
員會ニモ要請サレタコトデアリマスガ、司
法省デハ其ノ件ニ付テモ相當ニ考慮ヲシテ
居ルト云フ御答辯ヲ伺ヒマシタカラ、其ノ
點ニ付テ如何ナル御考へヲ今日御持チニナ
ツテ居ラレルカ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=55
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056・岩村一木
○岩村國務大臣 御答ヘヲ申上ゲマス、祕
密ノ漏泄等ニ付テ、或ル階級ノ者ノ漏泄ガ
多イヤウダト云フ御話デアリマス、是ハ私
此處デハツキリ御答へ出來マセヌガ、併シ
高度ノ祕密ヲ知ツテ居ル者ガ其ノ祕密ヲ漏
泄スルト云フコトハ、非常ニ憂フベキ事柄
デアルコトハ申スマデモナイ、只今取締リ、
罰スルト云フバカリデナク、指導シナケレ
バナラヌト思フト云フ御話モゴザイマシタ
ガ、是モ私ハ全ク同感デアリマス、殊ニ戰
爭ノ始マツテ以來、經濟統制ノ如キ、從來
國民ノ經驗セザル經濟現象ガ起ツテ來テ居
ルノデアリマス、十分ニ指導シテ〓ヘテ、
然ル後ニ已ムヲ得ザル者ハ之ヲ罰スル、指
導ト刑罰ノ關係ハ十分ニ考ヘテ刑事政策ヲ
行ハナケレバナラヌト云フコトハ、私モ同
感デゴザイマス、ソレカラ又今日ノ我ガ國
ノ法律ハ自由主義時代ノ法律デアルカラ、
之ニ對シテ何カ檢討ヲ加ヘタナラバドウカ
ト云フコトハ、是モ當然考ヘナケレバナラ
ヌ事柄ト思ヒマス、殊ニ戰時中ハ經濟統制
ノ如キ國家ノ總力ヲ結集スルト云フコトハ
最モ必要デアリマス、斯樣ナ時代ニ於テハ
無論ノコトデアリマス、戰後ニ於テモ戰爭
完勝ノ後ニ、如何ニ經濟現象ヲ取扱ツテ行
クカト云フコトハ今日カラ十分ノ〓究ヲ
シナケレバナラヌト思ヒマス、司法省ニ於
キマシテハ民刑法典ノ調査準備ノ委員會モ
設ケテアリマス、サウ云フヤウナ會ニ於テ
戰爭完勝後ノ法律制度ト云フモノヲ十分〓
究シテ置カナケレバナラヌ、斯樣ニ考ヘテ
居リマス、大體御尋ネノ點、御意見ノ點ハ
私ハ同感デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=56
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057・仲井間宗一
○仲井間委員 私ノ質問ハ是デ終了致シマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=57
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058・谷原公
○谷原委員長 是デ豫メ御通告ノアツタ方
方ノ此ノ三案ニ對スル質疑ハ一應終了シタ
ノデアリマスガ、何レ牽聯質問··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=58
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059・濱野徹太郎
○濱野(徹)委員 私通告スルノヲ忘レテ居
リマシタガ、機會ガアリマシタナラバ御許
シヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=59
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060・谷原公
○谷原委員長 何レ牽聯質問モアルト思ヒ
マスカラ、質疑ハ次會ニ續行スルコトニシ
テ、本日ハ此ノ程度デ散會致シタイト思ヒ
マスガ、御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=60
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061・谷原公
○谷原委員長 次會ハ公報ヲ以テ御通知致
シマスガ、大體三十一日ノ午前十時カラ此
ノ部屋デ開キタイト思ヒマスカラ、豫メ申
上ゲテ置キマス、本日ハ之ヲ以テ散會致シ
マス
午後三時三十九分散會
接発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008412104X00219440129&spkNum=61
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