1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○戰時民事特別法中改正法律案
○會社等臨時措置法中改正法律案
○司法官試補及辯護士試補たる資格の特例に關する法律案発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=0
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001・木村尚達
○委員長(木村尙達君) ソレデハ是レ
カラ開會致シマス、先ヅ本委員會ニ付
託サレマシタ戰時民事特別法中改正法
律案外二件ニ付テ政府ノ御說明ヲ求メ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=1
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002・松阪廣政
○國務大臣(松阪度政君) 戰時民事特
別法中改正法律案外二件ノ提出ノ理由
ニ付キマシテハ、本會議ニ於キマシテ
御說明申シタ通リデゴザイマスガ、更
ニ敷行致シマシテ、其ノ理由ヲ御說明
申上ゲタイト思ヒマス、先ヅ戰時民事
特別法中改正法律案デゴザイマスルガ、
司法ノ部門ニ於キマシテモ、大東亞
戰爭進展ノ段階ニ應ジマシテ、特別法
ノ制定竝ニ之ガ改正ト、數次ニ亙ル特
別ノ措置ヲ講ジテ參ツタノデアリマス
ルガ、最近ノ諸情勢ニ鑑ミマシテ、民
事司法ノ上ニ若干ノ尙簡素化ヲ圖ル
ノ必要ヲ認メマシテ、玆ニ戰時民事特
別法ニ若干ノ改正ヲ加フルコトト致シ
タノデアリマス、其ノ要點ハ、大體四
點デゴザイマスルガ、第一ハ、民事訴
訟ニ於キマシテ、口頭辯論又ハ準備手
續ノ期日ニ、當事者ノ雙方ガ出頭セズ、
又ハ辯論若シクハ陳述ヲ爲サズシテ退
廷スルコト、卽チ所謂休止ヲ爲スコト
二囘ニ及ビマシタル時ハ、訴ノ取下ア
リタルモノト看做サムトスル點デゴザ
イマス、第八條ノ二ガ之ニ當ツテ居リ
やっく、現行法ニ於キマシテハ、休止ノ
囘數ニ何等ノ制限ナク、唯休止後三月
內ニ期日ノ指定ノ申立ヲ爲サナイ場合
ニ於テノミ、訴ノ取下アリタルモノト
看做サレルノデアリマスルガ、今日ノ
實情ニ於キマシテハ、休止後三箇月ノ
期日ニ近ヅクト、期日ノ指定ノ申立ヲ
スルト云フヤウナコトデ、休止ト期日
指定ノ申立ノ交互反覆ヲ致シマシテ、
訴訟ノ實體ハ、甚ダ進行遲々タルノ事
件ガ少クナイノデアリマス、斯クノ如
キハ、裁判所、當事者共ニ此ノ決戰下、
勞力等ノ浪費ヲ重ネマシテ、紛爭解
決ハ却テ遷延スルト云フ極メテ好マシ
カラザル結果ト相成リマスルノデ、此
ノ弊ヲ矯メムト致サムトスルノガ、此
ノ改正ノ點デゴザイマス、併シナガラ
他面空襲其ノ他ノ災害等當事者ノ責ニ
歸スルコトノ出來ナイ事由ニ因ツテ、
出頭スルコトノ出來ナカツタ者ガ、右
ノ效果ヲ受ケマスルコトハ、頗ル酷デ
アリマスルカラ、斯カル當事者ハ、當
該事由ノ止ミタル後一週間內ニ期日指
定ノ申立ヲ爲セバ、訴ノ取下ト看做サ
ルヽコトナク手續ヲ續行シ得ルモノト
爲サムトスルノデアリマス、第二點ハ、
除權判決ノ前提タル公示催告ニ關スル
モノデアリマシテ、第十一條ノ二ニ當
リマス、喪失シタル手形、株劵其ノ他
法律ニ於テ無效ト爲シ得ベキコトヲ定
メマシタル證書ノ無效宣言ノ爲ニスル
公示催告ノ期間ハ、民事訴訟法第七百
八十三條ノ特別規定ニ依リマシテ六箇
月ト定メラレテ居ルノデアリマスルガ、
空襲等ニ基因スル災害ニ因リ、是等ノ
證書ノ滅失ノ危險ガ增大シテ來マシタ
今日、此ノ期間ハ長キニ失スルト考ヘ
ラレマスルノデ、右特別規定ノ適用ヲ
排除致シマシテ、同法第七百六十七條
ノ一般ノ規定ニ依リマシテ、二箇月ト
セムトスルモノデアリマス、第三ノ點ハ、調
停委員ノ指定ニ關スルモノデアリマシテ、第
十七條ノ二、及第十九條ノ改正規定デ
アリマス、調停委員會ヲ開ク場合ニ於キ
マシテ、調停主任ハ每年豫メ地方裁判
所長ノ選任致シマシタル者、又ハ當事者
ノ合意ニ依リ選定セラレタル者ノ中カ
ラ、事件每ニ、二人以上ノ調定委員ヲ指
定スルノデアリマスルガ、期日ニ出頭
ヲ命ゼラレタル調停委員ガ不出頭ノ爲、
其ノ期日ニ委員會ヲ開クコトノ出來ヌ
場合ヲ生ズルコトガゴザイマス、斯カ
ル場合ニ於テ、偶〓調停ヲ行フ現場ニ來
合セタ者トカ、或ハ附近ノ者ノ中ニハ、
右ニ述ベマシタ指定セラルヽ條件ニハ
副ヒマセヌガ、知識經驗ガアリマシテ、
調停委員タルニ適當ト認メラルヽ者モ
アリマセウカラ、調停主任ハ斯カル場
合ニ、卽座ニ斯カル人ヲ調停委員ニ指定
シ、期日ヲ無爲ニ過スコトナク調停手
續ヲ進ムルコトガ、戰時下紛爭ノ速カ
ナル解決ニ資スル所以ト考フルノデア
リマス、仍テ戰時民事特別調停ニ付キ
マシテ、第十七條ノ二ノ規定ヲ設ケ、
之ヲ他ノ總テノ調停ニモ準用セムガ
爲第十九條ノ準用規定ニ追加ヲ爲サ
ムトスルノデアリマス、第四ノ點ハ、
登記ニ關スル特例デアリマシテ、第二
十條乃至第二十二條ガ之ニ當リマス、
先ヅ勞力資材ノ節約、印刷能力ノ關係
等ヨリ致シマシテ、裁判所ガ爲スベキ
登記事項ノ公〓ハ、戰時中ハ之ヲ爲サ
ザルモノト致シマシテ、登記及公〓ヲ
對抗要件トスル商業登記ニ付キマシテ
ハ登記ノ時ニ登記及公告アリタルモ
ノト看做スコトト致シ、次ニ謄本抄本
ノ交付ノ煩雜ヲ制約セムガ爲ニ、登記
ニ付キマシテモ、登記事項ノ變更ナキ
コト及或事項ノ登記ナキコトノ證明ノ
制度ヲ擴充致シ、登記簿ノ謄本抄本
ノ再認證ノ制度ヲ設ケマシテ、尙登記
ノ手續中、登記申請書ノ添附書類、登
記ノ共同申請人ノ範圍及登記ノ移記、
轉寫ニ付キマシテ簡便ナル方法ヲ認メ、
其ノ細目ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ムルコ
トト致サムトスルノデアリマス、次ヘ
會社等臨時措置法中改正法律案デアリ
マスルガ、最近我ガ本土ニ對スル敵ノ
空襲モ日ヲ逐ウテ熾烈トナツテ參リマ
シタノデ、將來大規模ナル空襲等ニ因
ル災害ノアツタ場合等ニ、會社其ノ他
ノ法人ガ災害ニ因リ所要ノ法律上ノ手
續ヲ履ムコトガ出來ナイ爲ニ、機能ヲ
停止スルガ如キコトガアリマシテハ、
產業上經濟上誠ニ憂慮ニ堪ヘヌ次第デ
アリマスルカラ、是等災害ノ下ニ於
キマシテモ、會社其ノ他ノ法人ヲシテ
其ノ業務ヲ機動的ニ運營セシメ、其ノ
責務ヲ果スニ支障ナカラシムルノ途ヲ
開カムガ爲、會社等臨時措置法中ニ若
干ノ特別規定ヲ追加セムトスルモノデア
リマス、本法案ハ、先ヅ之ヲ會社ニ付
規定致シマシテ、次ニ之ヲ他ノ法人ニ
準用スルコトト致シタノデアリマス、
會社ニ關スル特例ハ、矢張リ大體四點
アルノデアリマスルガ、第一ハ、戰時
災害其ノ他ノ災害ノ影響ヲ受ケマシタ
會社ノ爲、株主總會ノ招集ニ付キマシ
テ、二ツノ特例ヲ設ケムトスルモノデ
アリマス、其ノ第一ハ、第三條ノ二ノ
規定スル所デアリマシテ、此ノ種災害
ニ因リ株主名簿ヲ喪失シ、記名株主ノ
全部又ハ一部ノ氏名住所ヲ確知スルコ
トノ出來ナクナツタ株式會社ニ在リマ
シテハ、其ノ株主ニ對スル通知ヲ爲ス
コトガ出來マセヌ爲ニ、株主總會招集
ノ途ヲ講ゼラルヽコトガ考ヘラレルノ
デアリマスルカラ、當該株主ニ對スル招
集通知ヲ省略致シマシテ總會ヲ招集ス
ルコトガ出來ルコトニ致サウトスルノ
デアリマス、其ノ方法トシマシテハ、
此ノ種會社ニハ遲滯ナク株主名簿喪失
等ノ事項ヲ公〓サセマシテ、株主ニ所
要事項ノ申出ヲ促スト共ニ、總會招集
ノ場合、株主ノ氏名住所ノ不明ナル株
式ガ資本總額ノ二十分ノ一ヲ超ユルト
キハ、總會ヲ開クベキ旨及會議ノ目的
タル事項ヲ公〓スルコトヲ要スルモノ
ト致シ、斯クシテ招集サレタル總會ニ
於キマシテ、特別決議ヲナス場合ノ定
足數ノ計算ニ付キマシテハ、氏名住所
不明ノ株主ハ、總株主ノ員數ニ算入サ
レナイコトトシタノデアリマス、第二
點ハ、第三條ノ三ニ規定スル株主總會
招集地ニ付テノ特例デアリマスルガ、
現在總會ハ必ズ本店所在地又ハ之ニ隣
接スル地、若シ定款デ他ノ地ヲ指定シ
テアリマスル場合ニハ、其ノ地ニ之ヲ
招集スルコトヲ要スルノデアリマスル
ガ、前ニ述ベマシタル通リ、災害ニ因
リ是等ノ地ニ總會ヲ招集スルコトガ著
シク困難トナリマシタ場合ニハ、便宜
他ノ適當ナ地ニ之ヲ招集スル途ヲ開カ
ムトスルノデアリマス、第二ハ株主總
會ノ省略ニ關スルモノデアリマシテ、
第四條ノ二、第四條ノ三及第九條ガ之
ニ當リマス、本來株主總會ハ株式會社
最高ノ議決機關ト致シマシテ、株式會
社制度ノ核心ヲ成スモノデアリマスル
カラ、濫リニ之ガ省略等ハ考フベキデ
ナク、災害下ニ於キマシテモ飽ク迄之
ヲ開催シ得ルヤウニ致シマス爲ニ、前
ニ述ベマシタ特例ヲ開イタノデアリマ
スルガ、災害ノ程度ガ更ニ深刻ナ場合
三、、斯カル特例ニモ拘ラズ尙且總會
ノ招集ガ著シク困難ニ陷ル場合モ起リ
得ルノデアリマス、斯樣ナ場合ニ總會
ノ決議ヲ要スル事項ヲ執行セムトスル
ニ當リ、會社ノ理事者ガ空シク手ヲ拱
イテ總會ヲ招集シ得ル時期ノ到ルヲ
待ツノ外ナシト云フコトデハ、會社業
務ノ運營ハ著シク阻害サレルコトト
ナリマシテ、甚ダ憂慮スベキコトデア
リマスルノミナラズ、株主ヤ會社債權
者トシマシテモ、理事者ガ非常災害下
ニ於キマシテ、之ニ卽應スル對策ヲ講
ズルニ支障ガアリマスヤウデハ頗ル不
安トナラザルヲ得ナイノデアリマス、
仍テ本法案ハ斯カル場合ノ特例トシマ
シテ會社ノ取締役又ハ〓算人ハ、總會
デ決議スベキ事項ヲ總會ニ依ラズシテ
自ラ決スルコトヲ得ルモノト致シマシ
タガ、是ハ飽ク迄總會ヲ招集スルコト
ヲ得ルニ至ル迄ノ臨機ノ措置デアリマ
スルカラ、會社ノ目的ノ變更、合併、
解散等會社存立ノ根本ニ觸ルヽ重要事
項ヤ、其ノ他性質上理事者ヲシテ決定
セシムルコトノ不適當ナ事項等ニ付キ
マシテハ、一應之ヲ理事者ノ權限ノ外
ニ置キ、唯法令又ハ法令ニ基ク命令ニ
依ル場合ニ限リ理事者ガ之ヲ決スルコ
トヲ得ルコトト致シマシタ、又本特例
ニ依リ理事者ガ總會決議事項ヲ自ラ決
シ得ル場合ニ於キマシテハ、愼重ヲ期
スルノ爲、理事者ハ豫メ監督官廳又ハ
裁判所ノ認可ヲ受ケル必要アルモノト
致シ、其ノ認可ノ申請ニ際シマシテハ
監査役ヲシテ所要ノ調査ヲ遂ゲタル上、
意見ヲ認可所管廳ニ報告セシメ、理事
者ハ本特例ニ依リ當該事項ヲ決定シタ
コトヲ次囘ノ株主總會ニ報告スルコト
ヲ要スルモノト致シタノデアリマス、尙
ホ此ノ特例ニ依リマシテ理事者ノ權限
ハ非常ニ擴張サレマスルノデ、萬一理事
者又ハ監査役ニ於キマシテ、此ノ制度
ヲ惡用シマスルヤウデハ、其ノ害恐ル
ベキモノガアリマスルカラ、是等ノ者
ガ所管廳ニ對スル認可ノ申請又ハ意見
ノ報告ヲ爲スニ當リ、不實ノ申述ヲ爲
シ又ハ事實ヲ隱蔽シタル場合ニハ、相
當ノ刑事制裁ヲ以テ臨ムコトト致シタ
ノデアリマス、改正ノ第三點ハ債券ナ
キ社債ノ募集ヲ認メムトスルモノデア
リマシテ、第五條ノ二及附則第二項以
下ガ之ニ當リマス、最近ノ紙ノ事情竝
ニ印刷ノ能力等ノ狀況ニ於キマシテハ、
社債劵ノ製作ガ非常ニ困難トナリマシ
テ、社債ヲ募集シテ其ノ拂込ヲ徵シナ
ガラ、債券ヲ交付セズニ其ノ儘トナツ
テ居ルト云フ例ガアルノデアリマスル
ケレドモ、斯樣ナコトハ事業資金ノ吸
收ノ上カラモ、社債流通ノ上カラモ、
好マシカラヌ現象デアリマスルカラ、
玆ニ特例ヲ設ケマシテ、社債募集ノ場
合ニハ、其ノ社債ニ付テ債券ヲ發行シ
ナイコトヲ定メ得ルコトト致シ、斯カ
ル社債ニ付キマシテハ、發行會社又ハ
社債募集ノ委託ヲ受ケタル會社カラ社
債ノ登錄ヲ請求スルコトヲ要スルモノ
ト致シ、尙ホ此ノ種ノ社債ニ付キマシテ
ハ、社債權者ハ登錄ノ抹消ヲ請求出來
ナイコトニセムトスルモノデアリマス、
最後ニ改正ノ第四點ハ、第六條ノ第二
項ニ規定スル株主名簿其ノ他ノ書類ノ
備へ置キノ場所ニ關スル特例デアリマ
ス、最近ノ空襲等ノ狀況ニ鑑ミマシテ、
株主名簿、社債原簿及信託證書等原本
ヲ會社ノ本店ニ備へ置クコトヲ要スル
重要書類等ヲ他ノ安全ナ場所ニ疎開サ
セテ、不測ノ損害ニ備ヘシムルコトニ
致シタノデアリマス、以上ノ四點ハ何
レモ必要ニ應ジマシテ營國、金庫、組
合等會社ニ非ザル法人ニ準用致シマス
ルガ、、其ノ場合ハ勅令ヲ以テ之ヲ規定
致シマス、第八條ノ改正規定ハ其ノコ
トヲ規定シタモノデゴザイマス、以上
ガ會社等臨時措置法中改正法律案ニ付
テヾゴザイマス、最後ニ司法官試補及
辯護士試補タルノ資格ノ特例ニ關スル
法律案ニ付テ申述ベマス、是亦本會議
ニ於テ申述ベマシタ如ク、高等試驗ガ
昨年度ニ引續キ本年度モ停止セラレル
コトト相成リマシタ處、昨年度ニ於キ
マシテハ地方裁判所及區裁判所ハ本職
ノ判檢事竝ニ其ノ補充源デアリマスル
豫備判檢事ニ相當數ノ過剩員ガゴザイ
マシタガ爲ニ、新規ニ司法官試補ヲ採
用スル必要ヲ認メナカツタノデアリマ
ス、然ルニ昨年十二月末ニ於キマシテ
ハ、判事ノ過剰員ハ僅カニ三名ニ減少
致シ、檢事ノ現在員ハ定員ニ一致スル
狀態ニ相成ツタノデアリマス、而シテ
本年以降將來生ズベキ判檢事ノ補充源
ト致シマシテハ現在、豫備判檢事合計
約百四十名竝ニ近ク任官ノ見込デアリ
マスル司法官試補約五十五名ヲ有シテ
居ルノデアリマスルガ、是等ノ豫備判
檢事及司法官試補モ昭和二十二年三月
末頃迄ニハ、大體補職シ終ル見込デア
リマスカラ、其ノ後ノ缺員ノ補充ニ充
テル爲ニハ、司法官試補ノ實務修習期
間ヲ考慮ニ入レマシテ、本年ノ適當ナ
ル時期ニ新規ノ司法官試補ヲ採用シテ
置カネバナリマセヌノデ、本年度ノ高
等試驗ノ停止ニ伴ヒ、司法官試補ノ資
格ニ付特例ヲ設ケル必要ヲ生ズル譯デ
アリマスル、尙辯護士試補ニ付キマシ
テモ、辯護士ヲ志望スル者ノ進路ヲ引
續キ鎖シテ置クコトハ妥當ナル處置デ
☆
ハアリマセヌノデ、併セテ其ノ資格ニ
關スル特例ヲ設クルコトト致シタ次第
デアリマス、以上本案提案ノ理由ヲ更
ニ御說明申上ゲタノデアリマスルガ、
何卒愼重御審議ノ上、御可決アラムコ
トヲ切望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=2
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003・木村尚達
○委員長(木村尙達君) ドウデゴザイ
マセウカ、是カラ審議ヲ續ケマセウカ、
或ハ今日初メテ說明ヲ御聽キニナツタ
ノチ、此ノ次カラ開キマセウカ、ドチ
ラニ致シマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=3
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004・小山松吉
○小山松吉君 此ノ御提出ニナツテ居
ル參考資料ヲ能ク拜見シタ上デ〓究シ
タイト思フノデスガ、成ルベクナラバ
今日午前中位オヤリニナツテ、ソレカ
ラ後ハ明日デモ明後日デモオヤリニナ
ツテハドウデゴザイマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=4
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005・木村尚達
○委員長(木村尚達君) サウ致シマセ
ウカ······ソレデハサウ云フコトニ致シ
マセウ、今日午前中ダケ質疑ニ入リマ
シン、最初ニ戰時民事特別法中改正法
律案、此ノ點カラ始メマス、何カ質疑
ノアル方ハ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=5
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006・光行次郎
○光行次郞君 私ハ本文ノ詳細ニ付テ
彼此申スノデハゴザイマセヌガ、裁判
A
所ニ於テハ、現時ノ狀態ニ於テ民事訴
訟法ヲ一時中止シテ、緊急ナルモノヲ
調停ニ依ツテ、之ヲ取扱フト云フヤウ
ナ御考ハナイノデアリマセウカ、承リ
タイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=6
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007・松阪廣政
○國務大臣(松阪廣政君) 成ルベク調
停ニ依ツテ處理致シタイト思ヒマスル
ガ、只今ノ處、マダ民事全般ヲ中止ス
ルト云フ考ハ持ツテ居リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=7
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008・小山松吉
○小山松吉君 只今ノ光行君ノ御尋ニ
對シテ關係ガアルカラ御尋ヲ致シマス
ガ、調停ノ近頃ノ成績ハ一體ドウ云フ
風ニナツテ居リマスカ、例ヘバ民事裁
判ヲ止メテ、全部調停デ之ヲ賄ツテ行
クト云フヤウナコトニナツテモ、實際
ニ於テ國民ノ利害關係ニハ影響ガナ
イ、又國民ハソレヲ以テ滿足スルヤウ
ナ狀況ノ成績ヲ得テ居ルノデアリマセ
ウカ、チヨツト伺ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=8
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009・齋藤直一
○政府委員(齋藤直一君) 御答ヘ申上
ゲマスガ、大東亞戰爭後特ニ民事關係
ノ事件ハ、訴訟ノ方面ニ於キマシテ減
少ヲ示シテ居リマスガ、尙調停事件ニ
於キマシテモ、其ノ總數ニ於キマシテ
ハ減少ヲ示シテ居ルヤウデゴザイマス、
此ノ原因ハ色々考ヘラレルト存ジマス
ガ、只今大臣カラ御答ガアリマシタヤ
ウニ、裁判所ニ於キマシテハ、民事ノ
紛爭ノ解決デ其ノ性質ノ許シマスルモ
ノハ、成ルベク戰時下調停ノ方法ニ依
ツテ解決スルノガ良策デアルト云フ考
カラ、申立ニ依ル調停事件ノ外ニ、職
權デ訴訟事件ヲ調停ニ移シテ、之ガ解
決ヲ圖ルト云フヤウナコトモヤツテ居
ルヤウデアリマス、併シ事件ノ中ニハ
其ノ性質、調停ニ適セズ飽ク迄訴訟
ノ方法ニ依ツテ解決スルノヲ相當トス
ルノモゴザイマスノデ、必ズシモ總
テノ事件ヲ調停ノミニ依ツテ解決スル
ヤウナコトハ採ツテ居ラヌヤウデゴザ
イマス、具體的ニ事件每ニ相當ナ方法
ヲ採ツテ居ルヤウデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=9
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010・小山松吉
○小山松吉君 只今ノ御答ニ依リマシ
テ、御趣意ハ能ク分リマシタ、大體ノ
數ノ上デ申シマスルト、調停デ結末ヲ
附ケタ方ガ國民ハ喜ンデ居ル譯デアリ
マセウカ、是非トモ訴訟ニ依ラナケレ
バナラヌモノハ致シ方ナイト思ヒマス
ガ、大體ハ訴訟ニ依ツテ裁判ヲスルヨ
リハ、初メカラ成ルベク調停ヲ勸誘ス
ルト云フヤウナ方針ヲ採ツテモ、國民
ニ別ニ不滿ハナイト認メテ宜シウゴザ
イマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=10
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011・齋藤直一
○政府委員(齋藤直一君) 紛爭ノ解決
ノ方法ト致シマシテ、調停ヲ勸誘シテ、
ソレデ成立致シマスル率ガ相當多イ所
カラ見マスト、是ハ御承知ノ如ク當事
者双方ノ合意ニ依ツテ、或解決點ニ達
スルノデゴザイマスカラ、詰リ當事者
ガ滿足シテ其ノ解決ニ達シタト云フコ
トニナリマスカラ、調停デ解決シタモ
ノニ付キマシテハ、當事者ガ滿足シテ居
ルト一應考ヘナケレバナルマイト思ヒ
マスノデ、數字ノ統計ノ上カラ申上ゲマ
スレバ、調停デ片ガ附イタト云フコト
ハ、畢竟當事者ガ其ノ紛爭ノ解決ニ付
テ滿足シタト見ルコトガ出來ルト思ヒ
マイク。併シ只今仰セノ中ニモゴザイマ
シタヤウニ、性質上矢張リドコ迄モ訴
訟ノ方法ニ依ツテ解決ヲ求メタイト云
フヤウナ事件モゴザイマスノデ、訴訟
ニ依ツテ解決シタコトニ依リ當事者ガ
滿足ヲ得ルト云フ事件モアルダラウト
思ヒマス、大體ハ調停デ紛爭ノ解決ヲ
スル方ガ、滿足ノ程度ガ多イト思ヒマス
ガ、一〓ニソレノミトモ斷定出來ズ、矢
張リ訴訟ノ方法デ滿足ヲ得ラレタト云
フ事件モ存在スルダラウト考ヘラレル
ノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=11
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012・小山松吉
○小山松吉君 別ニ外ニ御質問モナイ
ヤウデゴザイマスカラ、モウ一應關聯
シタコトヲ伺ヒタイト思ヒマス、此ノ
法案ノ戰時民事特別法中改正法律案第
十七條ノ二ニ依リマスト、遲滞ヲ避ク
ル爲特ニ必要アル場合ニハ適當ト認ム
ル者ヲ調停委員ニ指定スルコトガ出來
ルト云フノデアリマスガ、遲滯ヲ避ク
ル爲特ニ必要アル場合デアツテ、調停
裁判所長又ハ當事者ノ合意ニ依ツテ調
停ヲ圓滿ニ終結スル爲ニ、斯ウ云フ適
當ナ人ガアルト云フヤウナコトガア
ル場合ニ於テハ、其ノ調停委員ヲ指
定スルコトガ出來ルト云フコトニナラ
ナイノデアリマスカ、遲滯ヲ避クル
爲特ニ必要アル場合ニ限ル譯デアリ
マスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=12
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013・齋藤直一
○政府委員(齋藤直一君) 御答ヘ申上
ゲマス、御承知ノ如ク、只今總テノ調停
關係ノ法律ニ依リマシテ、調停委員ニ指
定セラレマス者ノ資格ヲ御指摘ノ條文
ニ揭ゲテアリマスヤウニ、地方裁判所
長ガ豫メ選任致シマシタ者カ、又ハ當
事者ノ合意ニ依ツテ選定セラレタ者ト
限ツテ居リマス趣旨ハ、調停委員ノ指
定ヲ最モ適當ナ者ノ中カラ愼重ニ致サ
ムト云フ立法ノ趣旨ト考ヘラレマスノ
デ、萬已ムヲ得ナイ場合ノ外ハ、成ル
ベク其ノ立法趣旨ニ副フヤウニ致シテ
行クノガ宜シイノデハナイカ、併シ例
ヘテ申上ゲマスト、出張先デ調停期日
ヲ開クト云フ場合ニ、呼ビ出シテ居ル
調停委員ノ人ガ出テ來ナイノデ、其ノ
日ニ期日ガ開ケナイデ一旦其ノ日ハ引
上ゲテ、又別ノ日ニ期日ヲ指定シテ、
モウ一遍呼ビ出シテヤリ直サナクテハ
ナラヌト云フコトニナリマスト、事件
ノ實質上ノ進行ガ遲レマスカラ、サウ
云フ已ムヲ得ナイ場合ニ限ツテ此ノ例
外ヲ認メヨウト云フノデゴザイマスカ
ラ、只今御指摘ノヤウナ例ノ場合ニモ、
成ル程今度改正ニナリマシタ條文ト同
ジヤウナコトガアレバ便利ノヤウニモ
考ヘラレマスガ、數日ヲ爭フ程ノ事件
デナイ場合ニハ、サウ云フ適當ナモノ
ニ付テ、調停主任ガ當事者ノ合意ヲ進
メル期間モゴザイマセウシ、又地方裁
判所長ノ選任ノ追加ト云フコトハ何時
デモ出來ルノデアリマシテ、其ノ爲ニ
要スル日數ハ僅カデアリマセウカラ、
成ルベクハ原則ニ復リマシテ、地方裁
判所長ノ方カラサウ云フ適任者ノ選任
ノ追加デモシテ貰フト云フ途ガ存スル
ト考ヘラレマスノデ、今囘ノ改正案ニ
ハ特ニ遲滯ヲ避クル爲必要ガアルト
云フヤウナ場合ニ限ツテ例外ヲ認メム
ト致シタモノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=13
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014・小山松吉
○小山松吉君 能ク分リマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=14
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015・木村尚達
○委員長(木村尙達君) 何カ御質問ガ
ゴザイマスカ、ソレデハ今日ハザツト
デアリマスカラ、次ノ會社等臨時措置
法中改正法律案、此ノ點ニ付テ何カ御
質問ガアルナラバドウゾ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=15
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016・村田保定
○男爵村田保定君 此ノ參考資料ノ中
ニ、大正十二年ノ關東大震災ニ依ル株
主名簿ノ喪失會社ノ名簿ガ出テ居リ
マスガ、戰爭等ノ災害ニ依ツテ株主名
簿ヲ喪失シタ例ガアルノデアリマセウ
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=16
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017・齋藤直一
○政府委員(齋藤直一君) 今囘ノ大東
亞戰爭後ノ空襲等ニ依リマス被害ニ付
テハ、マダ聞イテ居リマセヌノデゴザ
イマスガ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=17
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018・木村尚達
○委員長(木村尙達君) 他ニアリマセ
又カ、ソレデハ其ノ次ノ司法官試補及
辯護士試補タル資格ノ特例ニ關スル法
律案、此ノ方ニ付テ何カ御質問ガアリ
マシタラ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=18
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019・奧田剛郎
○男爵奧田剛郞君 此ノ法律案ハ司法
部ノ要員ヲ採用スルノト、辯護士試補
タル者ヲ採用スル試補タル者ノ途ヲ開
ク爲ニ設ケラレタル特例デアリマスガ、
遠カラザル將來ニ於テ同ジヤウナコト
ガ行政部ノ方ニ付テモ考ヘ得ラレマス
ノデスガ······此ノ方ハ勅令ヲ以テスレ
バ宜シイ譯デスガ、行政部ノ方ハ如何
樣ナ風ニ其ノ措置ヲ講ゼラレルノデア
リマセウカ、一應御尋ネ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=19
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020・松阪廣政
○國務大臣(松阪廣政君) 其ノ點ハ私
ヨリ御答ヘ致シマス、行政官トシテノ
所謂高等試驗ノ本試験ヲ受ケ得ル者ニ
對シテ、稍〓之ト似タヤウニ奏任官ノ銓
衡委員會ヲ設ケテ、其ノ銓衡ニ依ツテ
高等試驗行政科ノ試驗ニ合格シタルモ
ノト看做ス旨ノ勅令ノ制定ヲ仰グ方針
ニ政府トシテハ決シテ居ルノデアリマ
ス、稍〓此ノ司法官ノ場合ト違ヒマスル
ノハ、行政部ニ於キマシテハ、此ノ銓
衡委員會ノ銓衡ハ、採用シタル後ニ行
フノデアリマシテ、先ヅ昭和十八年又
ハ高等試驗ヲ行ハザル年ノ、各廳ニ於キ
マシテ高等官ノ候補者トシテ決定セラレ
タ者ガ、一定ノ習修ヲ終ヘマシタ後ニ、
其ノ者ニ對シテ、奏任官ノ銓衡委員會
ノ銓衡ヲ經マシテ、其ノ銓衡ヲ經タ場
合ニハ高等試驗ノ行政科試驗ニ合格
シタル者ト看做スコトニシテ、高等官
ニ採用スルト云フコトニ致スコトニ決
シタ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=20
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021・奧田剛郎
○男爵奧田剛郎君 モウ一點ハ、高等
試驗ハ主トシテ學力ノ方ノ檢定デアリマ
スガ、今日ニ於テハ、官吏ノミガ學力ニ
秀デヽ居ラナケレバナラヌ、民間ハソ
レヨリモ劣ツテ居テ宜イト云フノデハ
ナクテ、等シク無論學力ガナケレバナ
ラナイト思ヒマスガ、殊ニ大切ナ事柄
ハ、寧ロ其ノ人格ト云フ方ニアルト思
ハレルノデアリマス、ソコデ司法部ニ
付テ特ニ考ヘテ見マスルト、司法部ノ
官吏ト云フモノハ、嚴格ナル法律、窮
屈ナル法律ノ下ニ處置ヲ執リ、其ノ一
度執ツタ處置ハ、行政部ノヤウニ、行
政上ノ處置トカ、或ハ政策上ノ處置ヲ
執リ得ナイノデ、矢張リ法律ニ依ツテ
縛ラレルト云フダケニ、其ノ執ル處置
ガ、人ノ生命、身體、財產ニ及ボス影
響ガ重大デアリ、從ツテ其ノ結果ハ治
安ニモ及ボスト云フコトニナリマスノ
デ、殊更ニ人柄ト云フコトガ大切デア
ルト思ハレルノデアリマス、ソコデ從
來ノヤウニ學力ヲ主トシタ高等試驗ナ
ルモノヲ、此ノ度ノ法律トソレカラ勅
令、將來出ルデアラウ勅令トノ機會ニ
於テ廢止ヲシマシテ、有力ナル銓衡機
關ヲ設ケテ、其ノ銓衡ニ依ツテ採否ヲ
決スルト云フ方ガ適當デハナイカト云
フ考ガ持タレルノデアリマス、ソコデ
政府ハ將來高等試驗ナルモノヲ廢シテ、
此ノ機會ニ銓衡制度ニサレルヤウナ考
ヲ持ツテ居ラレルコトハナイデアリマ
セウカ、或ハ現在無イニシテモ、將來
サウ云フ點ニ付テ考慮セラルヽノ餘地
ガアリマスカ、ドウデアリマスカ、御
伺ヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=21
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022・松阪廣政
○國務大區(松阪廣政君) 官吏ノ龜鑑
タル高等官ガ、學問ニ於テモ固ヨリ大切
デアリマスガ、其ノ人物、人格ノヨリ
大切デアルト云フコトニ付キマシテハ
全ク只今ノ御意見ト同感デゴザイマス、
併シナガラ高等試驗ノ制度ハ、官吏ノ
採用ニ關スル資格ニ付キマシテ情實ノ
弊ヲ除去シ、公正ニ其ノ實力ヲ知ルト
云フ點ニ非常ナ長所ヲ持ツテ居リマス、
ノミナラズ官吏ノ任用制度トモ不可分
ノ重要關係ニアリマスルノデアリマス、
且又此ノ試驗ハ資格試驗デアリマスル
カラ、其ノ資格ヲ得タル者ヲ更ニ各官
廳ガ採用致シマスル際ニハ、ソレ〓〓
各官廳ノ首腦部ノ一定數ノ人ガ寄リマ
シン、事實ニ於テハ人物其ノ他ニ付テ
銓衡ヲ致スノデアリマシテ、此ノ資格
試驗ノ外ニ、實際ハ銓衡ヲヤツテ居ル
ノデアリマスカラ、此ノ事實上ノ銓衡
及ビ資格試驗ノ學術試驗、双方ニ依ツ
テヤルノガ最モ宜シイ事柄デハナイカ
ト思ツテ居リマス、從ツテ政府ト致シ
マシテハ、只今直チニ此ノ試驗制度ヲ
廢止シテ、代フルニ銓衡委員制度ヲ以
テスルト云フ考ハ持ツテ居リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=22
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023・木村尚達
○委員長(木村尚達君) 何カアリマセ
ヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=23
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024・高木正得
○子爵高木正得君 議事進行ニ付テ申
シマスガ、大體皆樣ノ質問モ簡單デ此
ノ程度デハナイカト思ヒマスガ、本日
ハ此ノ程度デ御止メニナリマシテ、次
囘ニ質問ヲ續行スルト、此ノヤウニ取
計ラツテハ如何カト思ヒマス
〔「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=24
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025・木村尚達
○委員長(木村尙達君) ソレデハ本日
ハ此ノ限リデ終リマシテ、次囘ハ明日
ノ午前十時カラ開クコトニ致シマス、
今日ハ是ニテ散會致シマス
午前十時五十八分散會
出席者左ノ如シ
委員長木村尙達君
副委員長男爵奧田剛郞君
委員
公爵岩倉具榮君
伯爵黑田〓君
子爵高木正得君
小山松吉君
光行次郞君
男爵村田保定君
平沼亮三君
國務大臣
司法大臣松阪廣政君
政府委員
司法政務次官中井一夫君
司法參與官伯爵德川宗敬君
司法省民事局長齋藤直一君
司法省刑事局長船津宏君
司法省刑政局長正木亮君
司法省調査官佐藤藤佐君
司法書記官堀內信之助君
同辻朔郞君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008602051X00119450123&spkNum=25
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