1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十年一月二十二日(月曜日)午前十時五分開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程 第四號
第一 兵役法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二 陸軍軍法會議法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第三 海軍軍法會議法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第四 戰時民事特別法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第五 會社等臨時措置法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第六 司法官試補及辯護士試補たる資格の特例に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第七 現役青年學校職員俸給費國庫補助法案(政府提出) 第一讀會
第八 農林中央金庫法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第九 産業設備營團法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十 石炭配給統制法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=0
-
001・徳川圀順
○議長(公爵徳川園順君) 諸般ノ報告
ハ御異議ガナケレバ、朗讀ヲ省略致
シマス
〔參照〕
昨二十一日委員會ニ於テ當選シタル正
副委員、長ノ氏名左ノ如シ
號外
貴族院議事速記錄第四號
資格審査委員會
委員長男爵安保〓種君
副委員長子爵松平忠壽君
豫算委員會
委員長子爵八條隆正君
副委員長男爵矢吹省三君
懲罰委員會
委員長伯爵柳原義光君
副委員長男爵大井成元君
請願委員會
委員長子爵高橋是賢君
副委員長男爵久保田敬一君
決算委員會
委員長男爵深尾隆太郞君
副委員長子爵大岡忠綱君
同日委員長ヨリ左ノ通分科ヲ決定シ及
分科擔當委員ヲ選定シタル旨ノ報告書
ヲ提出セリ
豫算委員
第一分科(歳入、大藏省)
侯爵井上三郞君
子爵大河內輝耕君
子爵八條隆正君
子爵舟橋〓賢君
入江貫一君
賀屋興宣君
男爵小畑大太郞君
男爵矢吹省三君
富田健治君
赤池濃君
中山太一君
出光佐三君
昭和二十年一月二十三日
兼務
三井〓一郞君
第二分科(外務省、司法省、大東亞
省
公爵徳川家正君
侯爵東〓彪君
伯爵後藤一藏君
子爵伊東二郞丸君
子爵阪谷希一君
山田三良君
男爵大藏公望君
堀切善次郞君
男爵中御門經民君
山岡萬之助君
江口定條君
岩元達一君
兼務
子爵野村益三君
入江貫一君
松村義一君
出光佐三君
第三分科(內務省、文部省、厚生省)
公爵山縣有道君
侯爵久我通顯君
伯爵橋本實斐君
子爵野村益三君
子爵實吉純郞君
安藤紀三郞君
村瀨直養君
男爵山根健男君
中川望君
藤沼庄平君
松村義一君
當間重民君
米原章三君
兼務
堀切善次郞君
次田大三郞君
江口定條君
第四分科(陸軍省、海軍省、軍需省)
侯爵中御門經恭君
伯爵溝口直亮君
子爵大河內正敏君
子爵河瀨眞君
男爵向山均君
三井〓一郞君
岡喜七郞君
伍堂卓雄君
男爵前田勇君
男爵肝付兼英君
次田大三郞君
結城安次君
橋本〓之助君
岩田宙造君
兼務
侯爵細川護立君
子爵伊東二郞丸君
子爵土岐章君
第五分科(農商省、運輸通信省)
侯爵細川護立君
侯爵池田宣政君
子爵土岐章君
子爵北條雋八君
下村宏君
男爵杉溪由言君
男爵坊城俊賢君
千石興太郞君
栗林德一君
河西豊太郞君
山上岩二君
柴田兵一郞君
兼務
子爵河瀨、眞君
男爵小畑大太郞君
請願委員
第一分科(大藏省、農商省、軍需省)
侯爵黑田三重拾捌
伯爵柳澤保承君
子爵稻垣長堅君
白根竹介君
男爵佐竹義履君
男爵北大路信明君
三浦新七君
西野元君
瀧正雄君
三橋四郞次君
諸橋久太郞君
二瓶泰次郞君
第二分科(內務省、司法省、文部省、
厚生省)
公爵岩倉具榮君
侯爵大久保利謙君
子爵富小路隆直君
子爵北小路三郞君
小山松吉君
田中都吉君
湯澤三千男君
男爵多久龍三郞君
男爵合富鈞君
大橋理祐君
奧主一郞君
佐藤助九郞君
第三分科(運輸通信省)
侯爵西〓吉之助君
子爵入江爲常君
男爵久保田敬一君
寺島健君
大橋八郎君
長谷川起夫君
男爵八代五郞造君
稻畑勝太郞君
塩田團平君
野田六左衞門君
兼務
諸橋久太郞君
第四分科(內閣、外務省、陸軍省、
海軍省、大東亞省)
侯爵中山輔親君
伯爵渡邊昭君
子爵高橋是賢君
子爵波多野二郞君
子爵齋藤齊君
大野綠一郞君
男爵小原謙太郞君
男爵櫻井武雄君
有賀光豐君
伊藤傳七君
永瀬寅吉君
兼務
田中都吉君
佐藤助九郞君
決算委員
第一分科(歳入、大藏省)
公爵桂廣太郞君
子爵大岡忠綱君
子爵綾小路護君
松村眞一郎君
男爵深尾隆太郞君
男爵明石元長君
黑田英雄君
竹下豐次君
唐澤俊樹君
兒玉謙次君
奧村嘉藏君
大谷五平君
第二分科(內務省、司法省、文部省、
厚生省)
候爵淺野長武君
子爵松平乘統君
子爵梅園篤彥君
姉崎正治君
男爵穗積重遠君
黑崎定三君
男爵伊藤一郞君
松本學君
瀧川儀作君
岩田三史君
渡邊覺造君
兼務
左近司政三君
第三分科(外務省、陸軍省、海軍省、
大東亞省、軍需省)
侯爵德川賴貞君
侯爵大炊御門經輝君
伯爵黑田〓君
子爵宍戶功男君
子爵水野勝邦君
左近司政三君
長世吉君
男爵加藤成之君
男爵毛利元良君
太田耕造君
水野甚次郞君
大藪守治君
兼務
大谷五平君
第四分科(農商省、運輸通信省)
侯爵四條隆德君
伯爵二荒芳德君
子爵京極高銳君
田邊治通君
男爵鶴殿家勝君
森山銳一君
男爵水谷川忠麿君
佐々木八十八君
熊谷三太郞君
渡邊甚吉君
兼務
竹下豐次君
同日內閣總理大臣ヨリ左ノ通第八十六
囘帝國議會政府委員仰付ラレタル旨ノ
通牒ヲ受領セリ
司法省所管事務政府委員
司法書記官辻朔郎君
文部省所管事務政府委員
文部次官藤野惠君
厚生省所管事務政府委員
厚生省部長佐伯敏男君
同齋藤昇君
軍事保護〓授護局長宮脇參三君
軍需省所管事務政府委員
軍需省部長高嶺明達君
同山口喬君
同榎本隆一郞君
同北野重雄君
同赤間文三君
軍需省航空兵器酒卷宗孝君
總局總務局長
軍需省航空兵器太田輝君
總局第四局長
本日第九部ニ於テ部長ノ補闕選擧ヲ行
ヒシニ侯爵德川義親君當選セリ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=1
-
002・徳川圀順
○議長(公爵德川〓順君) 是ヨリ本日
ノ會議ヲ開キマス、請暇ノ件ニ付御諮
リヲ致シマス、坂野鉄次郞君、能谷三
太郞君、何レモ病氣ニ付十日間、請暇
ノ申出ガゴザイマシタ、許可ヲ致シテ
御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=2
-
003・徳川圀順
○議長(公爵德川圏頤君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=3
-
004・徳川圀順
○議長(公爵徳川閉順君) 昨二十一
日、第一部選出請願委員西野元君、第
三部選出決算委員男爵水谷川忠麿君、
何レモ都合ニ依リ委員辭任ノ中出ガゴ
ザイマシタ、許可ヲ致シテ御異議ゴザ
イマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=4
-
005・徳川圀順
○議長(公爵徳川開順君) 御異議ナイ
ト認メマス、就キマシテハ、第一部、
第三部ニ於テ各〓其ノ補闕選擧ヲ行ハ
レムコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=5
-
006・徳川圀順
○議長(公爵德川園順君) 是ヨリ議事
日程ニ移リマス、日程第一、兵役法中
改正法律案、日程第二、陸軍軍法會議
法中改正法律案、日程第三、海軍軍法
會議法中改正法律案、政府提出、笑
議會、是等ノ三案ヲ一括シテ議題ト爲
スコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=6
-
007・徳川圀順
○議長(公爵德川圀順君) 御異議ナイ
ト認メマス、杉山陸軍大臣
兵役法中改正法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和二十年一月十九日
內閣總理大臣小磯國昭
海軍大臣米內光政
陸軍大臣杉山元
兵役法中改正法律案
兵役法中左ノ通改正ス
第四十四條ノ二戰時又ハ事變ノ際
其ノ他特ニ必要アル場合ニ於テハ
命令ノ定ムル所ニ依リ徵兵檢査ノ
執行ヲ次年ニ延期スルコトヲ得
第四十六條現役兵トシテ入營スベ
キ者入營ノ際行フ身體檢査ニ於テ
疾病其ノ他身體又ハ精神ノ異常ニ
因リ三十一日以內ニ治癒ノ見込ナ
ク且勤務ニ堪ヘズト認ムル者ナル
トキハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ
入營ヲ延期シ之ヲ歸〓セシム
現役兵トシテ入營スベキ者疾病其
ノ他避クベカラザル事故ニ因リ入
營スベキ期日ニ入營シ難キトキ又
ハ第三十九條第一項各號ノ一ニ該
當スルトキハ命令ノ定ムル所ニ依
リ其ノ入營ヲ延期ス
前二項ノ場合ニ於テハ入營延期ノ
期間ニ相當スル期間現役期間ヲ延
長ス
前項ノ規定ニ依リ延長シタル期間
ハ次ニ服スベキ兵役ノ期間ニ之ヲ
通算ス
第四十七條削除
第四十九條第一號及第二號ヲ左ノ如
タムハ
削除
二削除
第五十一條第二項中「徴兵檢査ヲ受
ケタル者」ノ下ニ「(徵集ヲ延期セラ
レアル者ヲ除ク)」ヲ加ヘ「徵兵適齡
又ハ徴兵適齡未滿」ヲ「年齡十七年
未滿」ニ、同項第二號ヲ左ノ如ク改
ム
二補充兵又ハ國民兵ニシテ召集
中ノ者又ハ其ノ召集ヲ終リタル
者(命令ヲ以テ定ムル者ヲ除ク)
第五十三條第一項中「第四十六條第
二項、第四十七條、」ヲ削ル
第六十五條第一項中「第四十六條ノ
規定ニ依リ後レテ入營シタル者又
ハ」及但書ヲ削ル
第六十七條第二國民兵ニシテ未ダ
徵兵檢査ヲ受ケザル者(徵集ヲ延
期セラレアル者ヲ含ム以下同ジ)
ヲ召集シタル場合ニ於テハ召集中
ハ之ニ對シ徵兵檢査ヲ行ハズ
第六十七條ノ二第二國民兵ニシテ
未ダ徵兵檢査ヲ受ケザル者ヲ召集
シタル場合ニ於テハ召集中ニ於テ
勅令ノ定ムル所ニ依リ第三十二條
乃至第三十五條ノ規定ニ準ジ之ヲ
現役兵若ハ補充兵ニ徵集シ又ハ徵
集若ハ兵役ヲ免除スルノ處分ヲ爲
スコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル處分ヲ受ケタル
者ハ徵兵檢査ヲ受ケタルモノト看
做大
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
陸軍軍法會議法中改正法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和二十年一月十九日
內閣總理大臣小磯國昭
陸軍大臣杉山元
陸軍軍法會議法中改正法律案
陸軍軍法會議法中左ノ通改正ス
第三十一條中「陸軍錄事及陸軍警査」
ヲ「錄事及警査」ニ改ム
第四十二條錄事ハ陸軍ノ法務部ノ
將校、准士官又ハ下士官ヲ以テ之
三条の
第四十三條警査ハ陸軍ノ法務部ノ
下士官又ハ兵ヲ以テ之ニ充ツ
第四十九條ノ二特設軍法會議ニ於
テハ長官ハ陸軍ノ將校ヲシテ法務
官ニ代リ裁判官ノ職務ヲ行ハシム
ルコトヲ得
第五十條中「陸軍ノ兵科將校又ハ」ヲ
削ル
第六十三條及第七十條中「兵科將校」
ヲ「將校」ニ改ム
第六十九條及第九十六條第一項中
「法務部將校」ノ下ニ「又ハ將校ノ勤
務ニ服スル法務部見習士官」ヲ加フ
第七十三條ノ二長官ハ錄事又ハ警
査タル降軍ノ法務部ノ將極、准士官
又ハ下士官ヲシテ陸軍司法警察官
ノ職務ヲ行ハシムルコトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ
第三十一條、第四十二條、第四十三
條及第七十三條ノ二ノ改正規定施行
ノ期Hハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
各改正規定ハ當該規定施行前ニ生ジ
タル事件ニモ亦之ヲ適用ス
前項ノ規定ハ各改正規定施行前從前
ノ規定ニ依リ爲シタル訴訟手續ノ效
力ヲ妨ゲズ
海軍軍法會議法中改正注律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
照和二十年一月十九日
內閣總理大臣小磯國昭
海軍大臣米內光政
海軍軍法會議法中改正法律案
海軍軍法會議法中左ノ通改正ス
第三十一條中「〓軍錄事及海軍警査」
ヲ「錄事及警査」ニ改ム
第四十二條錄事ハ海軍ノ法務科ノ
時務士官、准士官又ハ下士官ヲ以
テ之ニ充ツ
第四十三條警査ハ海軍ノ法務科ノ
下十官又ハ兵ヲ以テ之ニ充ツ
第七十三條ノ三長官ハ錄事又ハ警
査タル〓軍ノ法務科ノ特務士官、
准士官又ハ下士官ヲシテ〓軍司法
〓察宮ノ職務ヲ行ハシムルコトヲ
)得
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
本法ハ本法施行前ニ生ジタル事件ニ
モ亦之ヲ適用ス
前項ノ規定ハ本法施行前從前ノ規定
ニ依リ爲シタル訴訟手續ノ效力ヲ妨
ゲズ
〔國務大臣杉山元君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=7
-
008・杉山元
○國務大臣(杉山元君) 只今議題ニ相
成リマシタ兵役法中改正法律案及陸軍
軍法會議法中改正法律案ニ付キマシテ、
其ノ提案理由ニ付テ說明致シマス、先
ヅ兵役渉中改正法律案ニ付テ申上ゲマ
ス、改正ノ第一ハ、未ダ徵兵檢査ヲ受
ケマセズニ召作サレテ居リマス徵兵適
齡未滿ノ第二國民兵ニ對シマシテ、徵
兵檢査ニ依ルコトナク、鳴格相當ノ役
種ヲ定メムトスルモノデアリマス、第
二國民兵ハ、戰局ノ要請ニ依リマシテ、
最近之ヲ召集スルノ必要ヲ生ズルニ至
リマシタガ、現行法律ノ規定ニ依リマ
シテハ、是等ノ者ハ徵兵滴齡ニ達シテ
居リマセヌ爲ニ、入隊當初ニ於テ體格
相當ノ役種ヲ定ムルコトガ出來マセヌ、
ソレノミナラズ、軈テ徵兵酒齡ニ達シ
マシテ旣ニ一人前ノ軍ミハニナツテ居リ
マシテモ、又改メテ徵兵檢査ヲ受ケナ
ケレバナラヌト云フコトニ担成ツテ居リ
マスルノデ、入隊ノ當初ヨリ轉格相當
ノ役種ヲ定メマスルコトハ、軍戰力上
ヨリモ、亦本人ノ士氣上ヨリモ、必要
ト考ヘラレマスルノデ、之ヲ改正セム
トスルモノデアリマス、、第二ハ、入營
ノ際ニ疾病ノ爲卽日歸〓致シマシタ者、
及ビ〓定ノ期日と入營不能ノ者等ニ對
シマスル再徵兵檢査ノ制度ヲ廢止セム
トスルモノデアリマス、從來現役兵ト
シテ入營致シマスル者ガ、入營時ノ身
體檢査ニ於テ疾病ノ爲ニ卽日歸〓ト
ナリマシタル者、竝ニ所定ノ入營期日
ヨリ三十一日以內ニ入營スルコトノ出
來ナカツタ者ハ、翌年再ビ徵兵檢査ヲ
行フコトニナツテ居ルノデアリマスル
ガ、一度檢査ヲ受ケマシテ現役兵ト
決定致シマシタル者ヲ、前申シマシタ
理由ニ依ツテ一年間入營ヲ遲ラシムル
コトハ、一日モ速カニ皇軍ノ一員タラ
ムコトヲ希望致シマスル壯丁ノ熱意ニ
副ハザルバカリデナク、目下現役兵ハ
年數囘ニ亙ツテ入營ヲシテ居リマスル
現況デアリマスルノデ、其ノ必要ヲ認
メザルニ至リマシタノデ、之ヲ廢止セ
ムトスルモノデアリマス、第三ハ戰
時車變ニ際シテ必要ニ應ジ徵兵檢査ノ
實施ヲ延期シ得ル如クセムトスルモノ
デアリマス、徵兵檢査ハ每年之ヲ實施
スルコトニナツテ居リマシテ、本人ノ
都合ニ依リマシテハ之ヲ翌年三月ニ延
期スルコトヲ認メテ居ルノデアリマス
ルカ、官ノ都合ニ依ツテ之ヲ延期シ得
ル規完ハナイノデアリマス、現下ノ情
〓ニ昭ラシマシテ、今直チニ徴兵檢査
ノ延期ヲ實施シナケレバナラヌカドウ
カト云フコトハ斷定ハ出來ヌノデゴザ
イマスルガ、今後ノ情勢ノ變化ニ依リ
マシテハ、一部ニ於テ徵兵檢査ノ延期
ノ必要ヲ生ズル虞ガアリマスルノデ、
新タニ官ノ都合ニ依ツテモ之ヲ延期シ
得ル規定ヲ設ケムトスルモノデアリマ
ス、以上三點ガ兵役法中改正法律案ノ
趣旨ノ內容デアリマス、次ニ陸軍軍法
會議法中改正洪律案ニ付テ說明致シマ
ス、改正ノ要點ハ三點デアリマス、第
一、特設軍法會議ニ於テハ、長官ハ
陸軍ノ兵科及各部ノ將校ヲシテ、法務
官ニ代ツテ裁判官ノ職務ヲ行ハシムル
コトガ出來ルト云フコトニスルコトデ
アリマス、戰地ニ在リマスル軍法會議等
ニ於キマシテ、戰死等ノ爲法務部ノ將
校全員ヲ缺クニ至リマシタ際、戰況等
ニ依リマシテ之ヲ早急ニ補充致シマス
ルコトガ出來ヌ場合ガゴザイマス、又
島嶼ニ在ル、島ニ居リマスル所ノ部隊
等ニハ、犯罪發生ノ際適時ニ法務部
ノ將校ヲ派遣スルコトガ不可能ナル場
合ガアリマスルノデ、是等ノ場合ニ、
現行法ノ規定ニ依リマスレバ、裁判官
タル法務官ヲ缺キマシテ、裁判ヲ爲ス
途ガアリマセヌ爲ニ、軍ノ統率上適當
ナラザルモノガアルノデアリマス、仍
テ陸軍ノ睡設軍法會議ニ於キマシテハ、
長官ハ、兵科及各部ノ將校ノ中ヨリ
適當ナル者ヲ選ビマシテ、之ヲシテ法
務官ニ代ツテ裁判官ノ職務ヲ行ハシム
ルコトト致シマシタ、尙之ニ關聯シテ
特設軍法會議ニ於テハ、長官ハ、陸軍
ノ兵科將校ノ外、更ニ各部將校ヲシテ
豫審官又ハ檢察官ノ職務ヲ行ハシムル
コトガ出來ルヤウニ致シマシテ、以テ
戰局ニ卽應シテ軍司法ノ運營上遺憾ナ
カラシメムトスルモノデアリマス、第
二ハ、陸軍ノ軍法會議ノ職員中、文官、
同待遇者デアリマスル陸軍錄事及陸
軍警査ヲ軍人制ニ改メマシテ、陸軍ノ
法務部ノ武官及兵ヲ以テ錄事又ハ警査
ノ職ニ充ツルコトト爲スコトデアリマ
ス、陸軍ノ法務部ノ准士官、下士官及
兵制度ノ新設ニ伴ヒマシテ、軍法會議
錄事ニハ、陸軍法務部ノ將校、准士官
又ハ下士官ヲ以テ、又軍法會議警査ニ
ハ同下士官又ハ兵ヲ以テ、ソレ〓〓
之ニ充ツルコトトシ、尙之ニ關聯シテ
軍法會議ノ長官ハ、錄事又ハ警査タル
法務部ノ將校、准士官又ハ下士官ヲシ
テ、陸軍司法警察官ノ職務ヲ行ハシメ
ルコトガ出來ルヤウニ致シマシテ、以
テ曩ニ實施セラレマシタ法務官武官制
ノ趣旨ノ徹底ヲ期シマシテ、軍司法ノ
運營ヲシテ完璧ナラシメムトスルノガ
其ノ第二デアリマス、第三ハ、實務修
習中ノ將校ノ勤務ニ服シテ居リマスル
法務部見習土官ハ、實務修習中ノ法務
校ト同樣ニ檢察官ノ職務ヲ行ヒ、
又裁判官ノ評議ノ傍聽ヲ許スコトトナ
ス次第デアリマス、幹部候補生出身ノ
法務部見習官ハ即本をよくニ任ゼラレマ
スル前ニ稍、長期間實務修習ヲ命ゼラレ
ルコトニナツテ居ルノデアリマスガ、
是等ノ者ハ司法官試補タルノ資格ヲ有
ツテ居リマシテ、且陸軍法務訓練所ニ
於テ一定ノ〓育ヲ受ケマシタル後ニ部
隊付トナツテ將校ノ勤務ヲ命ゼラル
ノデアリマシテ、此ノ見習士官ハ、實
務修習中ノ法務部將校ト同樣ニ遇シマ
シテ、檢察官ノ職務ヲ行ヒ、又裁判官
ノ評議ノ傍聽ヲ許スコトト致シマシ
テ、其ノ實效ヲ擧ゲシムルヤウニ致シ
タイトスルノデアリマス、以上說明致シ
マシタノガ、兩改正法律案ヲ提出致シマ
シタ理由ノ要旨デアリマス、何卒御審議ノ
上速カニ御協賛アラムコトヲ切望致シアス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=8
-
009・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 米內海軍大
臣
〔國務大臣米內光政君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=9
-
010・米内光政
○國務大臣(米內光政君) 只今上程セ
ラレマシタ海軍車法會議法中改正法律
案ニ付キマシテ、提案ノ理由ヲ御說明申
上ゲマス、本改正法律案ノ目的トスル
點ハ二點デゴザイマス、第一ハ、海軍
軍法會議ノ錄事及警査ハ、從來文官及
文官待遇者デアリマシタガ、之ヲ軍人
ニ改メタコトデアリマス、軍法會議ハ
軍紀風紀ノ維持振肅ト云フ軍統帥上ノ
要求ヲ、其ノ運營ノ上ニ全幅的ニ反映
セシムベキ使命ヲ有スルモノデアリマ
シテ、此ノ使命達成ノ爲ニハ、斯カル
統帥上ノ要求ヲ體得理解シタル軍人ニ
シテ、司法ニ關スル時殊〓育ヲ受ケタ
ル者ヲ以テ軍法會議ノ職員トスルヲ最
モ適當デアルト信ズルノデアリマス、
ト
此ノ意味ニ於テ、曩ニ法務官ノ武官制ノ
實施ヲ見タ次第デアリマスガ、其ノ後
ノ戰局ノ推移ニモ鑑ミ、錄事、警査等
ノ補助機關ニ付テモ軍人制ヲ實施スル
コトガ、軍司法ノ運營上必要(デアルト
考ヘ、所要ノ改正ヲ致シタ次第デアリ
マッド、第二ハ、錄事及警査タル武官ヲ
シビ、所要ニ應ジ、〓軍司法警察官ノ
職務ヲ行ハシメ得ルコトト致シタノデ
アリマス、最近海軍要員ノ急激ナル膨
脹ニ伴ヒ、海軍軍法會議ニ於ケル受理
事件數亦激增致シテ居リマスガ、其ノ
大部分ハ專門家ニ非ザル海軍司法警察
官職務執行者ヨリ送致セラレテ居ルノ
デアリマス、此ノ專門家ニ非ザル者ヨ
リ送致セラレテ來ル多數事件ノ處理ニ
當リマシテハ、·軍法會議ニ檢察官ノ補
佐トシテ搜査權限アルモノヲ置ク必要
ガアリマスノデ、錄事、警査タル武官
ヲシテ、海軍司法警察官ノ戰務ヲ行ハ
シメ得ルコトニ致シタ次第デアリマス、
以上申述ベマシタ理由ニ依リ、本改正
法律案ヲ提出致シタ次第デアリマス、
何卒御密議ノ上、御協賛ヲ與ヘラレム
コトヲ切望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=10
-
011・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマ
シタ兵役法中改正法律案外二件ノ特別
委員ハ其ノ數ヲ十二名トシ、其ノ委
員ノ指名ヲ議長ニ一任スルノ動議ヲ提
出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=11
-
012・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=12
-
013・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 戶澤子爵ノ
動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=13
-
014・徳川圀順
○議長(公爵德川圀順君) 御異議ナイ
ト認メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致
サセマス
〔小野寺書記官則讀〕
兵役法中改正法律案外二件峙別委員
侯爵淺野長武君伯爵山本〓君
子曾立花種忠君子宮谷儀二君
山田三良君男爵淺田良逸君
內田重成君建部遯吾君
男爵井上〓純君田口弼一君
中川望君上野喜左衞門君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=14
-
015・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 日程第四、
戰時民事特別法中改正法律案、日程第
五、會社等臨時措置法中改正法律案、
日程第六、司法官試補及辯護士試補タ
ル資格ノ時例ニ關スル法律案、政府
提出、第一讀會、是等ノ三案ヲ一括シ
テ議題ト爲スコトニ御異議ゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=15
-
016・徳川圀順
○議長(公爵徳川圏順君) 御異議ナイ
ト認メマス、松阪司法大臣
戰時民事特別法中改正法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和二十年一月十九日
內閣總理大臣小磯國昭
司法大臣松阪廣政
戰時民事特別法中改正法律案
戰時民事時別法中左ノ通改正ス
第八條ノ二第一審ニ於テ常事者雙
方ガ口頭辯論又ハ準備手續ノ期日
ニ出頭セズ又ハ辯論若ハ陳述ヲ爲
サズシテ退廷スルコト二囘ニ及ビ
タルトキハ訴ノ取下アリタルモノ
ト看做ス但シ當事者ガ其ノ責ニ歸
スベカラザル事由ニ因リ最終ノ期
日ニ出頭スルコト能ハザリシ場合
ニ於テ其ノ事由ノ止ミタル後一週
間ノ不變期間內ニ期日指定ノ申立
ヲ爲シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ハ上訴審ノ訴訟手續ニ
之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テハ同項
中訴ノ取下トアルハ上訴ノ取下ト
ス
第二章中第十一條ノ次ニ左ノ一條ヲ
加フ
第十一條ノ二民事訴訟法第七百八
十三條ノ規定ハ之ヲ適用セズ
第十七條ノ二調停主任ハ遲滯ヲ避
クル爲特ニ必要アリト認ムル場合
ニ限リ地方裁判所長ノ選任シタル
者又ハ當事者ノ合意ニ依リ選定セ
ラレタル者ニ非ザル者ト雖モ適當
ト認ムル者ヲ調停委員ニ指定スル
コトヲ得
第十九條中「第十六條及第十七條」ヲ
「第十六條乃至第十七條ノ二」ニ改ム
第五章登記
第二十條裁判所ガ爲スベキ登記事
項ノ公告ハ之ヲ爲サズ
商法第十二條ノ規定ノ適用ニ付テ
ハ登記ノ時ニ登記及公告アリタル
モノト看做ス
第二十一條登記事項ニ變更ナキコ
ト、或事項ノ登記ナキコト又ハ登記
薄ノ謄本若ハ抄本ノ記載事項ニ變更
ナキコトノ證明ラ受ケントスル考
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ手數料ヲ
納仕シテ之ヲ請求スルコトヲ得
第二十二條登記ノ中請書ニ添附ス
ベキ書類、登記ノ申請人及登記ヲ
移シ又ハ轉寫スル場合ニ關シテハ
勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ
得
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
本法施行ノ際現ニ繫屬スル訴訟ニ付
本法施行前ノ期日ニ於テ當事者雙方
ガ出頭セズ又ハ辯論若ハ陳述ヲ爲サ
ズシテ退廷シタル囘數ハ第八條ノ二
ニ規定スル向數ニ之ヲ算入セズ
本法施行前ニ登記シタル事項ニシテ
公告ナカリシモノニ付テハ本法施行
ノ時ヲ以テ登記ノ時ト看做シ第二十
條第二項ノ規定ヲ適用ス
會社等臨時措置法中改正法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和二十年一月十九日
內閣總理大臣小磯國昭
海軍大臣米內光政
外務大臣兼重光葵
大東亞大臣
陸軍大臣杉山元
大藏大臣石渡莊太郞
運輸通信大臣前田米藏
司法大臣松阪廣政
內務大臣大達茂雄
文部大臣一四治重
農商大臣島田俊雄
厚生大臣廣瀨久忠
軍需大臣𠮷田茂
會社等臨時措置法中改正法律案
會社等臨時措置法中左ノ通改正ス
第三條ノ二戰爭ニ起因スル災害其
ノ他勅令ヲ以テ定ムル災害ニ因リ
株主名簿ヲ喪失シタル株式會社ニ
株主ノ氏名又ハ住所ヲ確知スルコ
ト能ハザル記名株式アルトキハ會
社ハ遲滯ナク勅令ノ定ムル所ニ依
リ公〓スルコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依ル公告ヲ爲シタル
會社ガ株主總會ヲ招集セントスル
場合ニ於テハ同項ノ記名株式ヲ有
スル株主ニ對シテハ總會招集ニ關
スル通知ハ之ヲ爲スコトヲ要セズ
前項ノ場合ニ於テ第一項ノ記名株
式ノ金額ガ資本ノ二十分ノ一ヲ超
ユルトキハ會日ヨリ三週間前ニ總
會ラ開クベキ旨及會議ノ目的タル
事項ヲ公〓スルコトヲ要ス此ノ公
告ハ之ヲ同項ノ規定ニ依ル公〓ト
併セ爲スコトヲ妨ゲズ
第一項ノ會社ノ總會ニ於テ商法第
三百四十三條ニ定ムル決議ヲ爲ス
場合ニ於テハ同項ノ記名株式ヲ有
スル株主ハ之ヲ總株主ノ員數ニ算
入セズ
第三條ノ三前條第一項ノ災害ニ因
リ法令又ハ定款ノ定ムル地ニ株主
總會ヲ招集スルコト著シク困難ト
爲リタル株式會社ニ在リテハ總會
ハ之ヲ他ノ適當ナル地ニ招集スル
コトヲ得
第四條ノ二第二條ノ二第一項ノ災
害ニ因リ株主總會ヲ招集スルコト
著シク困難ト爲リタル株式會社ニ
在リテハ總會ノ決議ヲ要スル事項
ハ會社ノ業務若ハ〓算ヲ監督スル
官廳又ハ裁判所ノ認可ヲ得テ取締
役又ハ〓算人之ヲ決スルコトヲ得
此ノ場合ニ於テハ取締役又ハ〓算
人ハ次囘ノ總會ニ於テ其ノ旨ヲ報
告スルコトヲ要ス
前項ノ規定ハ目的ノ變更、資本ノ
增加及減少、社債ノ募集、商法第
百九十六條又ハ第二百六十六條
(同法第二百八十條及第四百三十
條第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含
스스ニ規定スル發起人、取締役、
監査役及〓算人ノ責任ノ免除、合
併營業ノ全部ノ讓渡、解散、繼
續組織變更竝ニ保險契約全部ノ
移轉ニハ之ヲ適用セズ但シ法令又
ハ法令ニ基ク命令ニ依ル場合ハ此
ノ限ニ在ラズ
第一項ノ場合ニ於テ必要ナル事項
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條ノ三監査役ハ勅令ノ定ムル
所ニ依リ取締役又ハ〓算人ガ前條
ノ規定ニ依リ認可ヲ得テ決セント
スル事項及事由ヲ調査シ監督官廳
又ハ裁判所ニ其ノ意見ヲ報告スル
コトヲ要ス
第五條ノ二株式會社ガ社債ヲ募集
セントスル場合ニ於テハ其ノ社債
ニ付債劵ヲ發行セザルモノト爲ス
コトヲ得此ノ場合ニ於テハ社債ヲ
發行スル會社又ハ社債募集ノ委託
ヲ受ケタル會社ハ社債權者ノ爲ニ
社債ノ登錄ヲ請求スルコトヲ要ス
前項ノ場合ニ於テ必要ナル事項ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六條ニ左ノ一項ヲ加フ
戰爭ニ起因スル災害ヲ避クル爲必
要アルトキハ株主名簿、社債原簿、
信託證書其ノ他勅令ヲ以テ完ムル
會社ノ書類ハ之ヲ適當ナル場所ニ
備置クコトヲ得
第八條中「前五條」ヲ「第三條乃至前
條」ニ改ム
第九條取締役、監査役若ハ〓算人
又ハ此等ニ準スル者第四條ノ二(前
條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ
規定ニ依ル認可ノ申請又ハ第四條
ノ三(前條ニ於テ準用スル場合ヲ
含ム)ノ規定ニ依ル意見ノ報〓ヲ
爲スニ當リ監督官廳又ハ裁判所ニ
對シ不實ノ申述ヲ爲シ又ハ事實ヲ
隱蔽シタルトキハ三年以下ノ懲役
又ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
社債等登錄法中左ノ通改正ス
第三條第一項ヲ左ノ如ク改ム
社債ノ登錄ハ左ノ場合ニ於テ之ヲ
爲ス
-社債權者ノ請求アリタルト
キ
二社債ヲ發行スル會社又ハ社債
募集ノ委託ヲ受ケタル會社ノ會
社等臨時措置法第五條ノ二ノ起
定ニ依ル請求アリタルトキ
第七條ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ第三條第一項第二號ノ規定ニ
依リ登錄ヲ爲シタル社債ニ付テハ
此ノ限ニ在ラズ
司法官試補及辯護七試補タル資格
ノ躰例ニ關スル法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝〓議會ニ提出ス
昭和二十年一月十九日
內閣總理大臣小磯國昭
司法大臣松阪廣政
司法官試補及辯護士試補タル資格
ノ特例ニ關スル法律案
高等試驗本試驗ヲ受クルコトヲ得ル
者ニシテ高等試驗ヲ行ハザル年ニ於
テ銓衡委員會ノ銓衡ヲ經タルモノハ
之ヲ裁判所構成法第五十八條及辯護
士法第三條ノ成規ノ試驗ニ合格シタ
ル者ト看做ス但シ昭和十六年勅令第
千百二十七號第一項ニ揭グル者ニ付
テハ辯護土法第三條ノ成規ノ試驗ノ
ミニ合格シタル者ト看做ス
銓衡委員會ニ關シ必要ナル事項ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣私阪廣政君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=16
-
017・松阪廣政
○國務大臣(松阪廣政君) 只今上程セ
ラレマシタ戰時民事特別法中改正法律
案外二件ニ付、提案ノ理由ヲ申上ゲマ
ス、先ヅ最初ニ戰時民事務別法中改正
法律案デアリマスルガ、最近ノ情勢ニ
鑑ミマシテ、民事司法ニ關シマシテモ、
尙若干ノ簡素化ヲ圖ルノ必要ヲ認メ
マシテ、戰時民事時別法中ニ改正ヲ
加ヘムトスルモノデアリマス、民
事訴訟ニ於キマシテ、所謂休止ノ
反覆ニ因ル訴訟遲延ノ弊ヲ矯メム
ガ爲、休止ヲ爲スコト二囘ニ及ビマシ
タルトキハ、訴ノ取下アリタルモノト
看做シマスコト、又登記ニ關シマシテ
ハ、勞力、資材節約等ノ關係ヨリ致シマ
シテ、裁判所ガ爲スベキ登記事項ノ公
告ヲ爲サザルモノトシ、登記ノ證明制
度ヲ擴充政シマシテ、登記申請者ノ添
附書登記ノ申請人及ビ登記ノ移記、
轉寫ニ付キマシテ、簡便ナル方法ヲ認
メ、其ノ他喪失致シマシタル手形、株
劵等ノ證書ノ無效宣言ノ爲ニ致シマス
ル公示催告ノ期間ヲ短縮シ、又調停委
員ノ指定ニ關シ簡易ナル手續ヲ認メム
トスルコト等ガ、本法案ノ要點デゴザ
イマス、又會社等臨時措置法中改正法
律案ニ付キマシテハ、本法案ハ、將來
ノ空襲等ニ因ル災害ノアリマシタ場合
三·七、會社其ノ他ノ法人ガ、其ノ業務
ヲ機動的ニ運營シ、青務ヲ果スニ支障
ナカラジムルノ途ヲ開カムガ爲、會社
等臨時措置法中ニ改正ヲ加ヘムトスル
モノデアリマス、其ノ主要ナル點ハ、
先ヅ災害ニ因リ株主名簿ヲ喪失シ、氏
名住所ヲ確知スルコトノ出來ナイ記名
株主アルニ至リマシタ場合ニ、株式會
社ニ於ケル株主總會招集ノ簡易方法ヲ
設ケマシテ、又株主總會ヲ招集スベキ
地ノ時例ヲ認ムル等、株主總會招集ニ
關シ特例ヲ認メ、以テ招集ニ支障ナカ
ラシメ、更ニ災害ノ程度ニ依リマシテ、
株主總會ノ招集ガ著シク困難ニ陷リタ
ル會社ノ爲ニ、豫メ監督官廳又ハ裁判
所ノ認可ヲ受ケテ、總會デ決議スベキ
事項ノ或モノヲ取締役又ハ〓算人自ラ
決スルコトヲ得ルノ〓述ヲ開キ、株主名
簿其ノ他ノ書類ヲ安全ナ場所ニ疎開サ
セテ差支ナキコトト致シ、尙最近紙其
ノ他資材等ノ關係ヨリシマシテ社債
劵ノ作製困難ナル狀況ニ鑑ミマシテ、
債券ナキ社債ノ發行ヲモ認メムトスル
ノデアリマス、而シテ以上ノ四點ハ、
何レモ必要ニ應ジ營團、金庫、組合等
ノ會社ニ非ザル法人ニモ準用致スコト
ト致シタノデアリマス、次ニ司法官試
補及辯護士試補タルノ資格ノ時例ニ關
スル法律案デアリマスルガ、政府ニ於
キマシテハ、現下諸般ノ情勢ヲ愼重ニ
考慮シマシタ結果、本年度ニ於テモ高
等試驗ノ停止ヲ爲スヲ相當ト認メタハ
デアリマスルガ、昨年度ニ引續キ二箇年
間高等試驗ヲ停止スルコトト相成リマ
スルノデ、司法部ニ於キマシテハ、司
法官試補及辯護士試補ノ資格ニ付キマ
シテ何等カノ特例ヲ設ケル必要ヲ生ジ
タノデアリマス、仍テ種々考究ヲ重ネ
マシテ、本案ノ如ク銓衡委員會ヲ勅令
ヲ以テ設置シ、一定ノ資格ヲ有スル者
ニシテ此ノ委員會ノ銓衡ヲ經タル者ニ
對シ、高等試驗ノ司法科試驗ニ合格シ
タルト同一ノ資格ヲ與フル臨時的措置
ヲ講ズルコト最モ妥當ナリト考ヘタ次
第デアリマス、卽チ高等試驗ノ本試驗
ヲ受クルコドヲ得ル者ヲ銓衡ノ對象ト
致シタノデアリマスルガ、現行法ノ下
ニ於キマシテハ、司法官試補及辯護士
試補タルニハ、高等試驗ノ司法科試驗
ニ合格スルコトヲ要件ト致シテ居リマ
スルノデ、臨時的ノ特例ヲ開クニシマ
シテモ、少クトモ高等試驗ガ行ハレル
モノトスレバ其ノ本試驗ヲ受クルコト
ヲ得ル者ノ範圍ニ限定スルヲ相當ナリ
ト考ヘタ次第デゴザイマス、以上ガ本
案提案ノ趣旨デアリマスガ、何卒愼重
御容議ノ上御協賛アラムコトヲ切望致
ス次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=17
-
018・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今上程セラレマ
シタ戰時民事特別法中改正法律案外二
件ノ特別委員ノ數ヲ十一一名トジ、其ノ
委員ノ指名ヲ議長ニ一任スルノ動議ヲ
提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=18
-
019・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=19
-
020・徳川圀順
○議長(公爵徳川園順君) 戶澤子爵ノ
動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=20
-
021・徳川圀順
○議長(公爵徳川圏順君) 御異議ナイ
ト認メマス、時別委員ノ氏名ヲ朗讀致
サセマス
〔小野寺書記官朗讀〕
戰時民事特別法中改正法律案外二件
特別委員
公會岩倉具榮君伯當黑田〓君
子解秋月種英君子爵高木正得君
小山松吉君光行次郞君
木村尙達君男爵奧田剛郞君
男爵村田保定君澁澤金藏君
山隈康君平沼亮三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=21
-
022・徳川圀順
○議長(公爵徳川圏順君) 日程第七、
現役靑年學校職員俸給費國庫補助法
案〓政府提出、第一讀會、今井文部政務
次官
現役靑年學校職員俸給費國庫補助
法案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和二十年一月十九日
內閣總理大臣小磯國昭
大藏大臣石渡莊太郞
文部大臣二宮治重
現役靑年學校職員俸給費國庫補助
法案
現役靑年學校職員俸給費國庫補
助法
第一條靑年師範學校ヲ卒業シタル
公立靑年學校(道府縣立靑年學校
及勅令ヲ以テ定ムル靑年學校ヲ除
ク)ノ〓諭ニシテ陸軍又ハ海軍ノ
現役ニ服スルモノノ俸給費ヲ補助
スル爲國庫ハ東京都、北海道地方
費及府縣ニ於テ其ノ者ノ俸給ニ要
スル經費ノ全額ニ相當スル金額ヲ
支出ス
前項ノ規定ニ依リ俸給費ヲ國庫ニ
於テ補助スル者ノ範圍ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第二條前條ノ規定ニ依リ國庫ノ補
助スル金額ハ每年度之ヲ東京都、
北海道地方費及府縣ニ交付ス
第三條第一條ノ規定ニ依リ國庫ニ
於テ補助スル公立靑年學校〓諭ノ
俸給費ハ靑年學校〓育〓國庫補助
法ノ適用ニ付テハ同法第一條ノ俸
給ノ爲東京都、北海道地方費及府
縣ニ於テ要スル經費ニ之ヲ算入セ
ズ
附則
本法ハ昭和二十年四月一日ヨリ之ヲ
施行ス
〔政府委員今井健彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=22
-
023・今井健彦
○政府委員(今井健彥君) 只今議題ト
ナリマシタ現役靑年學校職員俸給書國
庫補防法案ニ付キマシテ、其ノ提案ノ
理由ヲ御說明中上ゲマス、本案ノ趣旨
ハ、靑年師範學校ヲ卒業致シマシテ、
公立靑年學校ノ〓諭トナリ、陸海軍ノ
現役ニ服スル者ノ俸給費ヲ、國庫カラ
補助セムトスルモノデアリマシテ、其
ノ範圍ハ、道府縣立靑年學校及ビ之ニ
準ズル東京都立靑年學校ヲ除ク公立靑
年學校ノ〓諭ヲ對象トスルモノデアリ
やっ、而シテ右〓諭ノ身分ハ現職ト致
シマシテ且俸給ノ三分ノ一ヲ支給ス
ルノデアリマスガ、右支給額カラ陸海
軍ニ於テ支給致シマスル俸給、給料ヲ
控除シタル殘額ノ全額ヲ、國庫ヨリ補
助セムトスルモノデアリマス、尙本案ニ
依リマシテ、其ノ取扱ハ、師範學校ヲ
卒業シタル國民學校訓導ニシテ、陸海
軍ノ現役ニ服スル者ニ付キマシテ現
在行ヒツヽアル取扱ト、全ク同樣ト致
サウト致スノデアリマシテ、何卒御審
議ノ上御協賛アラムコトヲ希望致シマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=23
-
024・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今日程ニ上リマ
シタ現役靑年學校職員俸給費國庫補助
法案ハ、兵役決中改正法律案外一一件ノ
特別委員ニ併託セラレムコトノ動議ヲ
提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=24
-
025・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=25
-
026・徳川圀順
○議長(公爵徳川閉願君) 戶澤子爵ノ
動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=26
-
027・徳川圀順
○議長(公爵德川圏願君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=27
-
028・徳川圀順
○議長(公爵德川圀順君) 日程第八、
農林中央金庫法中改正法律案、政府提
出第一讀會、島田農商大臣
農林中央金庫法中改正法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和二十年一月十九日
內閣總理大臣小磯國昭
大藏大臣石渡莊太郞
農商大臣島田俊雄
農林中央金庫法中改正法律案
農林中央金庫法中左ノ通改正ス
第一條第一項中「東京市」ヲ「東京都」
三六九
第五條第一項ラ左ノ如ク改ム
政府、全國農業經濟會、道府縣農
業會、市町村農業會、森林組合聯
合會、森林組合、產業組合聯合會、
產業組合、市街地信用組合、中央
水產業會、道府縣水產業會、製造
業會、漁業會、農業保險組合聯合
會、農業保險組合、家畜保險組合、
漁船保險組合、耕地整理組合聯合
會耕地整理組合、牧野組合、馬
匹組合聯合會、馬匹組合、日本馬
事會、鹽業組合聯合會又ハ廳業組
合ノ外農林中央金庫ノ出資者タル
コトヲ得ズ
第十二條第一項但書中「農業團體關
係者、森林組合關係者、產業組合關
係者及水產業團體關係者」ヲ「所屬〓
體関係者」ニ改ム
第十一修中「所屬全國農業經濟會、
所属道府輕農業會、所屬市町村農業
會、所屬森林組合聯合會、所屬森林
組合、所屬產業組合聯合會、所屬產
業組合、所屬市街地信用組合又ハ所
属水產業團體」ヲ「所屬團體」ニ、「二
分ノ一」ヲ「合計額」ニ、「全國農業經
濟會、道府縣農業會、市町村農業會、
森林組合聯合會、森林組合、產業組
合聯合會、產業組合、市街地信用組
合、水產業團體」ヲ「第五條第一項ニ
掲グル團體」ニ改ム
第十五條第一項中「全國農業經濟會、
道府縣農業會、市町村農業會、森林
組合聯合會、森林組合、產業組合聯合
會產業組合又ハ水產業團體」ヲ「第
五條第一項ニ掲グル團體」ニ改メ同
項ニ左ノ一號ヲ加フ
六日本興業銀行、戰時金融金庫
其ノ他ノ金融機關ニ對シ主務大
臣ノ認可ヲ受ケ貸付ヲ爲スコト
第二十五條第二項中「農林大臣」ヲ
「農商大臣」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣島田俊雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=28
-
029・島田俊雄
○國務大臣(島田俊雄君) 只今上程セ
ラレマシタ農林中央金庫法中改正法律
案ニ付キマシテ、提出ノ理由ヲ說明申
上ゲマス、御承知ノ通リ最近農業團體
ヲ中心ト致シマスル農村ノ貯蓄ハ顯著
ナル成績ヲ示シツヽアルノデアリマシ
テ、其ノ結果、農林水產團體金融ノ中
福機關タル農林中央金庫ノ資力モ、亦
著シキ增强ヲ示スニ至ツタノデアリマ
ス、政府ト致シマシテハ、農林中央金
庫ヲシテ、此ノ增强セラレツヽアリマ
スル資力ニ依リマシテ、農林水產方面
ノ金融ニ遺憾ナキヲ期セシメマスト共
ニ、更ニ國債ノ消化、或ハ又生產力擴
充資金ノ供給等ニ亙リマシテ、種々努
力シテ居リマシテ、相當ノ成績ヲ擧ゲ
ツヽアルノデアリマスガ、此ノ際緊迫
セル時局下ノ要請ニ應へマシテ、更ノ
一段ト活潑ナル機能ヲ發揮致サセマス
ルコトノ必要デアルヲ認メマシテ、現
行ノ農林中央金庫法ニ於テ不便トセラ
ルヽ點ニ對シテ所要ノ改正ヲ致シタイ
ト存ズル次第デアリマス、改正ノ主要
ナル點ハ三點デアリマス、第一點ハ、
農林中央金庫ノ出資者タルベキ團體ノ
範圍ヲ擴張スル點デアリマス、卽チ馬
匹組合、農業保險組合、鹽業組合等ヲ
モ其ノ所屬員ト致スコトニ認メマシテ、
以テ其ノ機能ノ整備ヲ圖ラムトスル點
デアリマス、改正ノ第二點ハ、年賦貸
付限度ノ擴張デアリマシテ、從來自己
資金ノ貸出ニ付テハ〓込出資金及農
林債劵發行額ノ二分ノ一ヲ其ノ限度ト
致シテ居リマシタモノヲ、拂込出資金
及農林債券發行額ノ合計額迄之ヲ認メ
ムトスルモノデアリマス、改正ノ第三
點ハ餘裕金ノ運用ニ關スル點デアリ
マシテ、從來ノ運用範圍ヲ擴大致シマ
シン、日太興業銀行、戰時金融金庫等
ノ金融機關ニ對シマシテモ貸付ヲ爲シ
得ル途ヲ拓カムトスルモノデアリマス、
以上ハ本幸提出ノ理由及改正內容ノ〓
要デアリマス、何卒御審議ノ上御協贊
ヲ與ヘラレムコトヲ御願ヲ申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=29
-
030・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマ
シタ農林中央金庫法中改正法律案ノ特
別委員ハ、其ノ數ヲ十五名トシ、其ノ
委員ノ指名ヲ議長ニ一任スルノ動議ヲ
提川致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=30
-
031・植村家治
○子爵植村家治君 賛成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=31
-
032・徳川圀順
○議長(公爵徳川固顧君) 戶澤子爵ノ
動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=32
-
033・徳川圀順
○議長(公爵徳川閉順君) 御異議ナイ
ト認メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致
サセマス
〔小野寺書記官朗讀〕
農林中央金庫法中改正法律案特別委
員
公爵桂廣太郞君侯爵黑田長禮君
伯爵久松定武君子爵松平康春君
子爵稻垣長賢君松村眞一郎君
小林一三君左近司政三君
男爵岩村一木君男爵古市六三君
男爵西酉乙君今井五介君
菅澤重雄君吉村友之進君
片倉兼太郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=33
-
034・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 日程第九、
產業設備營團法中改正法律案、日程第
十石炭配給統制法中改正法律案、政
府提出、第一讀會、是等ノ兩案ヲ一括
シテ議題ト爲スコトニ御異議ゴザイマ
セヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=34
-
035・徳川圀順
○議長(公爵徳川〓順君) 御異議ナイ
ト認メマス、𠮷田軍需大臣
產業設備當團法中改正法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和二十年一月十九日
內閣總理大臣小磯國昭
大藏大臣石渡莊太郞
運輸通信大臣前田米藏
內務大臣大達茂雄
軍需大臣𠮷田茂
產業設備營國法中改正法律案
產業設備營團法中左ノ通改正ス
第二條第一項中「東京市」ヲ「東京都」
ご受人
第三條及第四條第一項中「二億圓」ヲ
「四億圓」ニ改ム
第七條第二項中「北海道」ノ上ニ東
京都、」ヲ加フ
第二十一條中「十倍」ヲ「十五倍」ニ改
ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
石炭配給統制法中改正法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和二十年一月十九日
內閣總理大臣小磯國昭
大藏大臣石渡莊太郞
軍需大臣𠮷田茂
石炭配給統制法中改正法律案
石炭配給統制法中左ノ通改正ス
「石炭配給統制法」ヲ「石炭及コーク
ス配給統制法」ニ改ム
第一條本文中「石炭ノ生產業者」ヲ
「石炭又ハ主務大臣ノ指定スルコー
クス(以下コークスト稱ス)ノ生產業
五つ、「輸入、移入」ヲ「輸入若ハ移
入ニ係ル石炭若ハコークス」三四九、
同條第一號中「石炭」ノ下ニ「又ハコー
クス」ヲ加フ
第二條第一項、第四條及第三十條中
「石炭」ノ下ニ「又ハコークス」ヲ加フ
第五條中「石炭」ノ下ニ「若ハコーク
ス」ヲ加フ
第六條中「石炭ノ」ヲ「石炭及コーク
スノ」ニ改ム
第十二條第四項中「石炭鑛業」ノ下ニ
「又ハコークス製造事禾」ヲ加フ
第十四條第一項第一號、第二號及第
五號中「石炭」ノ下ニ「及コークス」ヲ、
同條同項第三號中「石炭鑛業」ノ下ニ
「及コークス製造事業」ヲ加フ
第十五條中「石炭ヲ」ヲ「石炭又ハコー
クスヲ」ニ、「石炭ノ」ヲ「石炭又ハコ
ークスノ」ニ改ム
第十五條ノ二第一項中「石炭ノ生產
業者」ヲ「石炭若ハコークスノ生產業
者」ニ、「石炭ノ所有」ヲ「石炭又ハコー
クスノ所有」ニ、同條第二項中「石
炭ノ」ヲ「石炭又ハコークスノ」ニ改
ム
第二十三條及第二十四條第一項中
「石炭ノ」ヲ「石炭又ハコークスノ」ニ
改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
〔國務大臣吉田茂君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=35
-
036・吉田茂
○國務大臣(寺田茂君) 只今議題トナ
リマシタ產業設備營團法案竝ニ石炭配
給統制法中改正法律案ノ提案ノ理由ニ
付テ御說明ヲ申上ゲマス、先ヅ產業設
備營團法中改正法律案ニ付テ申上ゲマ
ス、產業設備營團ハ、御承知ノ如ク昭
和十六年十二月其ノ業務ヲ開始致シマ
シテ以來、本營團ノ任務デアリマスル
國家緊要許業設備ノ建設ニ、或ハ未動
遊休設備ノ轉活用ニ、更ニ昭和十七年六
月以降ハ標準船舶ノ建造ニ、ソレ〓〓
萬全ノ努力ヲ傾倒シテ參ツタノデゴザ
イマスガ、是等ノ事業遂行ノ爲ノ所要
資金ノ中デ、其ノ相當部分ハ產業設備
ノ建設等ニ投下セラレ固定スルモノデ
ゴザイマス、產業設備營園ニ於キマシ
テハ、是等固定資金調達ノ爲、主トシ
テ產業設備債劵ヲ發行スルト云フ方法
ニ依ルノ外ハナイノデゴザイマス、產
業設備債劵ノ發行ハ、本年度末迄ニ於
キマシテ旣ニ十三億圓デアリマスガ、
更ニ急速ニ擴大致シマスル營團業務ノ
狀況カラ推測致シマシテ、其ノ固定資
金ノ所要額ハ六十億ニ達スル見込デア
リマス、斯樣ナ狀況ニ對シマシテ、此
ノ營團ノ資本金二億圓、產業設備債劵
ノ發行限度タル拂込資本ノ十倍ト云フ
コトヲ以テ致シマシテハ、本營國ハ事
業資金ノ點ニ於キマシテ行詰リヲ來ス
ベキヲ豫想セラルヽニ至リマシタノデ、
今囘政府ハ木營團ノ資本金ヲ、二億圓ヨ
リ四億圓ニ增額ヲ致シマスルト共ニ、其
ノ產業設備債劵發行ノ倍率ヲ十倍カラ
十五倍ニ引上グル等ノ爲ニ、此ノ改正
法律案ヲ提出致シマシタ次第デゴザイ
せい、次ニ石炭配給統制法中改正法律
案ニ付テ申上ゲマス、「コークス」ニ付キ
マシテハ、昭和十七年ノ七月カラ配給
統制ヲ實施致シテ居リマスルガ、其ノ
後戰局ノ進展ニ伴ヒマシテ、「コークス」
ノ需要關係ハ漸次逼迫ノ度ヲ加ヘテ參
リマシテ、其ノ重點的計畫配給確保ノ
必要ガ愈、緊切ニナツテ參リマシタ、
然ルニ從來ノ「コークス」配給統制ニ於
キマシテハ、從前ノ複雜多岐ナ配給機
構ガ其ノ儘存續致シテ居リマシタ上ニ、
配給統制機關ハ單純ニ業者ノ「コーク
乙販賣ニ對スル指示權ヲ有スルト云
フニ止マツテ居ルノデアリマシテ、何
等現物ヲ把握致シテ居リマセヌデシタ
爲ニ、其ノ運營ノ上ニ種々ノ缺陷ヲ現
シマシテ、戰局ノ要請ニ副ヒ難キ狀態デ
ゴザイマシタ、ソコデ斯カル缺陷ヲ排
除致シマシテ、「コークス」ノ配給ニ關
シテ國家意思ノ透徹スル如ク今迄ノ多
元的ナ又複雜ナ配給機構竝ニ配給ノ方
法ヲ一元的ニ致シマシテ、簡素强力ナ
制度ニ切替ヲ斷行スルコトト致シタノ
デゴザイマス、卽チ「コークス」ト石炭
トノ生產、配給及消費ノ各部面ニ於キ
マシテノ特殊ノ關聯性ニ鑑ミマシテ、
旣ニ確立ヲ見テ居リマスル石炭ノ配給
統制機構ヲ全面的ニ活用スルコトト致
シマシテ、日本石炭株式會社及各地方
石炭配給統制株式會社ヲシテ、「コーク
ス」ノ配給統制ヲモ併セテ擔當セシムル
コトト致シマシテ、昨年ノ十月一日ヨ
リ〓ネ石炭ト同樣ノ配給統制ヲ實施ス
ルコトト致シタノデアリマス、從ツテ
「コークス」ニ付テモ總テ石炭ト同樣ノ
規律ヲ致スコトヲ妥當ト致シマスルノ
デ、石炭配給統制ノ基礎法規デアリマ
スル石炭配給統制法ノ對象ニ「コーク
ス」ヲ加ヘマシテ、其ノ各條文ヲ「コー
クス」ニモ適用シテ之ヲ活用致シマ
スルト共ニ、法文上ノ整理ヲモ併セ行
ヒマシテ、「コークス」ノ適正圓滑ナ配
給統制ノ實施ニ遺憾ナキヲ期シヨウト
スル次第デゴザイマス、何卒右兩案御
審議ノ上御協賛ヲ與ヘラレムコトヲ御
願ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=36
-
037・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今上程セラレマ
シタ產業設備營團法中改正法律案外一
件ハ、農林中央金庫法中改正法律案ノ
特別委員ニ併託セラレムコトノ動議ヲ
提川致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=37
-
038・植村家治
○子爵植村家治君 賛成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=38
-
039・徳川圀順
○議長(公爵徳川園順君) 戶澤子爵ノ
動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=39
-
040・徳川圀順
○議長(公爵徳川固顧君) 御異議ナイ
ト認メマス、是ニテ日程全部ヲ議了致
シマシタ、次會ノ議事日程ハ決定次
第彙報ヲ以テ御通知ニ及ビマス、本日
ハ是ニテ散會致シマス
午前十時四十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008603242X00419450122&spkNum=40
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。