1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
地方鐵道及軌道に於ける納付金等に關する法律案(政府提出)(第一二號)
鐵道抵當法中改正法律案(政府提出)(第一三號)
日本通運株式會社法中改正法律案(政府提出)(第一四號)
郵便法中改正法律案(政府提出)(第一五號)
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昭和二十年一月二十四日(水曜日)午前十時十四分開議
出席委員左の如し
委員長 横川重次君
理事 宇田耕一君 理事 勝又春一君
理事 野口喜一君
赤松寅七君 石田善佐君
大島高精君 大島寅吉君
大野一造君 大橋清太郎君
岡本傳之助君 木原七郎君
小林鐵太郎君 中川重春君
藤井伊右衞門君 藤生安太郎君
山野平一君 吉田賢一君
出席國務大臣左の如し
運輸通信大臣 前田米藏君
出席政府委員左の如し
運輸通信政務次官 前田房之助君
運輸通信參與官 南條徳男君
運輸通信省企畫局長 鈴木恭一君
運輸通信省鐵道總局長官 堀木鎌三君
運輸通信省海運總局長官 小野猛君
運輸通信省海運總局總務局長 有田喜一君
運輸通信省海運總局海運局長 福原敬次君
運輸通信省海運總局船舶局長 瀧山敏夫君
運輸通信省海運總局船員局長 白石萬隆君
運輸通信省港灣局長 嶋野貞三君
運輸通信省航空局長 飯野毅夫君
鐵道監 向笠金吾君
鐵道監 小野哲君
鐵道監 三浦義男君
鐵道監 福川篤四郎君
鐵道監 小倉俊夫君
鐵道監 瀧清彦君
通信院總裁 塩原時三郎君
通信院總務局長 小林武治君
通信院業務局長 立花章君
通信院工務局長 齋藤正一君
通信院通信監督局長 松永忠男君
通信院貯金保險局長 中村純一君
通信院電波局長 吉田弘苗君
通信院防衞通信施設局長 神尾健夫君
運輸通信書記官 金丸徳重君
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本日の會議に上りたる議案左の如し
地方鐵道及軌道に於ける納付金等に關する法律案(政府提出)
鐵道抵當法中改正法律案(政府提出)
日本通運株式會社法中改正法律案(政府提出)
郵便法中改正法律案(政府提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612396X00219450124&spkNum=0
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001・横川重次
○橫川委員長 是ヨリ開會致シマス、
先ヅ政府ノ議案ニ對スル說明ヲ聽取致
シマス-前田運輸通信大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612396X00219450124&spkNum=1
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002・前田米藏
○前田國務大臣 四案ヲ順次御說明申
上ゲタイト思ヒマス、先ヅ地方鐵道及
軌道ニ於ケル納付金等ニ關スル法律案
ノ提案ノ理由ヲ御說明申上ゲマス
地方鐵道又ハ軌道ガ事業經營上ノ理
由ニ基カズシテ、國有鐵道ノ運賃トノ
權衡ヲ圖ル爲メ、其ノ他戰時施策ニ依
ツテ運賃ノ引上ヲ致スコトガアリマス、
此ノ場合之ニ因ル增收利益ハ其ノ增收
ノ原因ヨリ見テ、之ヲ其ノ會社ノ所得
ニ歸屬セシメズ、一定ノ基準ニ依ツテ
政府ニ納付致サセマスト共ニ、之ヲ財
源トシテ戰時ニ於ケル地方鐵道、又八
軌道ノ輸送力ノ確保增强ヲ圖ル等ノ爲
メ必要ナル補助金等及ビ臨時軍事費特
別會計ヘノ繰入金ニ充用スルコトガ戰
時下最モ適切ナル措置ト考ヘマシテ、
本法案ヲ提出スルコトニ致シタ次第デ
アリマス
次ニ法案ノ骨子ニ付キマシテ御說明申
上ゲマス、先ヅ第一ニ納付金決定ノ基
準ハ勅令ヲ以テ定メルコトト致シタノ
デアリマスガ、其ノ要領ハ運賃ノ變更
ニ因ル收入增加額カラ營業費增加額等
ヲ控除シタ殘額ヲ納付サセルノデアリ
やっ、但シ收益率ノ低イモノヤ、運賃
引上前ヨリモ收益率ノ下ツタモノカラ
ハ、納付サセナイコトト致シタイト考
ヘテ居リマス
第二ニ納付金ノ會計整理ニ付キマシ
テハ、帝國鐵道會計ニ於テ資本勘定ノ
特別ノ資金トシテ、他ノ收支トハ混同
シナイヤウニ致シタイト考ヘテ居リマ
スガ、此ノ納付金ノ使途ハ地方鐵道及
ビ軌道ノ戰時輸送力ノ確保增强ヲ圖ル
等ノ爲メ、必要ナ經費ト臨時軍事費特
別會計ヘノ繰入金ニ充用スルコトニ限
定致シタイト存ジテ居リマス、尙ホ將來
此ノ資金ノ收支ニ不均衡ヲ來シマシテ、
財源ニ不足ヲ來ス場合モ考ヘラレマス
ノシ、帝國鐵道會計ノ收益勘定ヨリ資
金ヲ補足スルコトガ出來ルヤウニ致シ
テ居リマス
第三ト致シマシテハ、此ノ納付金ニ
關スル重要事項ニ付キマシテハ、法令
運用ノ愼重ト適正トヲ期スル意味ヨリ
シテ、特ニ委員會ヲ設ケマシテ、其ノ
意見ヲ徵スルコトト致シタイト存ジテ
居リマス
次ニ補助ニ付テ申上ゲマス、戰時下
地方鐵道又ハ軌道ノ負荷益〓重キヲ加
ヘテ參リマシテ、其ノ輸送力ノ確保增
强ヲ圖リマスニハ種々ノ命令又ハ勸奬
ヲ致シマシテ、特別ノ措置ヲ講ゼシム
ル必要ガアリマスノデ、現行ノ地方鐵
道補助法又ハ樺太地方鐵道補助法デハ
不十分ノ點モアリマスカラ、戰時下ニ
適應シタ補助制度ヲ別ニ設ケルコトト
致シマシテ、地方鐵道又ハ軌道ノ經營
者ガ進ンデ國ノ要請ニ應へ得ルヤウナ
體制ニ致シタイト考ヘテ居リマス
最後ニ此ノ法律ノ施行ニ付テ申上ゲ
タイト思ヒマス、施行期日ハ昭和二十年
四月一日トナツテ居リマスガ、納付金ハ
昭和十九年四月一日以後ノ運賃ノ引上
ニ因ツテ法律施行ノ日以後ニ生ジマシ
タ增收利益ニ付テ之ヲ納付サセルコト
ト致シタイト存ジテ居リマス
次ニ鐵道抵當法中改正法律案ノ提案
理由ヲ御說明申上ゲマス、現行法ノ規
定ニ依リマスト、抵當權ノ設定アル軌
道ガ地方鐵道ニ變更サレマシタ場合ニ
ハ、一應軌道財團ヲ消滅セシメ、改メ
テ鐵道財團ヲ組成ノ上、抵當權ノ設定
及ビ登錄ノ極メテ複雜ナ手續ヲ致サネ
バナラナイノデアリマスガ、此ノ手續
ヲ簡素ニスル爲メ、明治四十二年法律
第二十八號ニ依ツテ從來軌道トシテナ
サレマシタ處分、手續、登錄、其ノ他
ノ行爲ハ鐵道抵當法ノ相當規定ニ依ツ
テナサレタモノト見做スコトト致シタ
イノデアリマス、尙ホ本法施行前軌道
カラ地方鐵道ニ變更ノ手續完了ノモノ
デ抵當關係手續未濟ノモノニモ此ノ簡
素化ノ便益ヲ及ボサセルコトニ致シタ
イト存ジテ居ル次第デゴザイマス
次ニ日本通運株式會社法中改正法律
案ノ提案理由ニ付テ御說明申上ゲマス、
日本通運株式會社ハ昭和十二年設立以
來鐵道小運送ノ助成發達ニ專念致シテ
參リマスルト共ニ、大東亞戰爭直前ヨ
リ六大都市、其ノ他ノ重要地帶ニ於ケ
ル鐵道小運送ノ擔當者トシテ小運送業
ノ統合、貨物自動車、荷牛馬車、其ノ
他ノ運搬具及荷役、機械ノ增備竝ニ勤勞
管理ノ刷新强化等ノ諸方策ヲ講ジテ小
運送能力ノ增强ニ努メテ參リマシタガ、
戰局ノ急迫ニ依リ鐵道輸送ハ更ニ增加
ヲ豫想セラレ、小運送力ノ整備擴充ハ
愈〓急ヲ要スルモノガアリマズノデ、
運搬能力、荷役能力ノ擴充、厚生施設
ノ充實等ニ付キ日本通運株式會社ヲ中
心トスル鐵道小運送力ノ緊急增强ヲ圖
ルコトトシタノデアリマス、而シテ其
ノ所要事業資金ノ調達ニ關シマシテハ、
會社ノ現狀等ヨリ見テ、此ノ際ハ社
債ニ依ルノヲ適當ト存ズルノデアリマ
ス、然ル所、本會社ハ事業ノ性質上適當
ナル擔保物件ニ乏シキ爲メ、元利支拂
ニ付キ政府ノ保證ノナイ限リ社債ヲ發
行スルコトハ殆ンド、困難ナ實情ニアル
ノデアリマスガ、現在日本通運株式會
社ノ發行スル社債ニ對スル政府ノ元利
支拂保證ノ限度ハ二千萬圓トナツテ居
リマシテ、旣ニ一千萬圓ハ發行濟デア
リ、近ク殘リノ一千萬圓モ發行スル豫
定ニナツテ居リマスノデ、コノ制限ヲ
除キマシテ、本會社ノ發行スル社債ノ
全額ニ付キ政府ニ於テ其ノ元利支拂ノ
保證ヲ爲シ得ルコトトシ、以テ小運送
力ノ急速增强ニ必要ナル事業資金ノ調
達ヲ圓滑ナラシメタク本法律案ヲ提出
シタ次第デアリマス
最後ニ郵便法中改正法案律ニ付キマ
シテ御說明申上ゲマス、此ノ改正法律
案ハ郵便法ニ規定セラレテ居リマ
ス普通通常郵便物ノ料金ヲ改正セント
スルモノデアリマシテ、是ガ改正ノ理
由ニ付キマシテハ、曩ニ本會議ニ於テ
モ說明申上ゲマシタガ、決戰下重要ナ
ル郵便事業ノ圓滑ナル運行ヲ維持スル
上ニ新タナル財源ヲ必要トスルニ立至
ツタノミナラズ、國庫收入ノ增加ニ依
リ戰時財政ノ强化ヲ圖ル必要ガ更ニ加
ハツテ參ツタ爲メデアリマス、仍テ今
囘郵便料金ノ改正ヲ行ヒ、之ニ依ツテ生
ズル增收額ヲ右ノ必要財源ニ充當セン
トスルモノデアリマス
今囘ノ改正料金額ノ決定ニ當リマシ
テハ、郵便ハ戰時下ニ於ケル國民ノ日
常生活ト密接ナル關係ヲ有スル點ニ鑑
ミマシテ、引上割合ハ可及的少ナカラシ
メルヤウ考慮致シマスト共ニ、料金ノ種
類段階ヲ單純化シテ、取扱ノ簡易化ヲ
圖リ、併セテ切手ノ種類ヲ整理シ、切手調
達ノ能率ヲ高メルコトト致シタノデア
リマス、卽チ料金改正ノ內容ハ、御手許
ニ差上ゲテ居リマス參考資料ニアリマスヤ
ウニ、第一種有封書狀七錢ヲ十錢ニ、第
二種通常葉書三錢ヲ五錢ニ、第三種定期
刊行物二錢ヲ五錢ニ、第四種書籍、印刷
物等六錢ヲ十錢ニ改メ、大部分ノ單位
料金ヲ五錢、十錢ノ二種ニ整理ノコト
トシ、第五種農產物種子ニ付キマシテ
ハ例外的ニ低料三錢ト致シマシタノデ
アリマス、之ニ伴ヒマシテ現在發行中
ノ十錢以下ノ郵便切手九種類ヲ三種類
ニ整理致シタイト考ヘテ居リマス
尙此ノ外ニ、運輸通信省令ヲ以テ規
定セラレテ居マス所ノ小包郵便料金ト
特殊取扱料金ニ付キマシテモ、同樣ノ
趣旨ヲ以テ引上ヲ行フ考ヘデアリマス
以上ノ料金改正ニ因ツテ得ラレマス
昭和二十年度增收額ハ、本案ニ依リマ
スル普通通常郵便物料金ニ付キマシ
テハ、大體四千六百五十萬圓、又小包
郵便料金ニ付キマシテハ千百五十萬圓、
特殊取扱料金ニ付キマシテハ一千萬圓、
合計六千八百萬圓ノ見込デ、全體ヲ通
ジテ約二割四分ノ增收ト相成ル豫定デ
アリマス、以上甚ダ簡單デハアリマス
ガ、改正ノ要旨ヲ申上ゲマシタ次第デ
アリマス、何卒四法案ニ付キ宜シク御
審議ヲ御願ヒ申上ゲル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612396X00219450124&spkNum=2
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003・横川重次
○橫川委員長 此ノ際政府ニ申上ゲマ
ス、參考資料デ御提出ニナルベキモノ
ハ成ベク早ク御提出戴キタイト思ヒマ
ス、ソレカラ委員諸君ニ申上ゲマスガ、
委員諸君中特ニ參考資料ノ御要求ノ向
キガゴザイマシタラ理事宛ニ御申出ヲ
願ヒマシテ然ルベク取計ヒタイト存ジ
ママ、直チニ質疑ニ入リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612396X00219450124&spkNum=3
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004・野口喜一
○野口委員 決戰下ノ軍需生產ニ伴ヒ
マスル輸送ト、國內外ノ通信ノ重要性
ヲ含ム複雜化竝ニ國民生活、特ニ輸送
第一主義トナリツヽアリマスル現狀ニ
鑑ミマシテ、全ク運輸及ビ通信行政コソ
大東亞戰爭ノ勝敗ヲ左右スル最大重要
ノ政治デアルト思フノデアリマス、前
線ニ、國內ニ洵ニ重大ナル影響ヲ生ズ
ルモノハ運輸及ビ通信行政デアルト存
ジマス、玆ニ運輸通信關係ノ本委員會
ヲ開會スルニ當リマシテ、其ノ議事ノ
進行上、審議ノ爲メ一般問題ニ關シ、
特ニ重要ト思ハルヽ左ノ三點ヲ御質問
申上ゲタイト存ジマス、一、敵ノ謀略
放送ニ對スル現在ノ狀況竝ニ其ノ對策
如何、二、空襲、地震及ビ雪害ノ被害
狀況竝ニ其ノ復舊對策如何、三、船舶
建造ノ進捗狀況及ビ海上損耗竝ニ船舶
運營ノ實情如何、此ノ三點ヲ御質問申
上ゲルノデアリマス、政府ニ於カレマ
シテハ、出來得ル限リ十分ナル御發表
ヲ御要求申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612396X00219450124&spkNum=4
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005・横川重次
○橫川委員長 之ニ關シマシテ政府ヨ
リ機密ニ亙ルベキ點ガアリ得ルコトデ
アリマスカラ、祕密會ノ要求ガアリマ
ス、祕密會トスルコトニ御異議ゴザイ
マセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612396X00219450124&spkNum=5
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006・横川重次
○橫川委員長 御異議ナケレバ直チニ
祕密會ニ入リマス、議員及ビ關係政府
委員以外ノ方ノ退場ヲ求メマス
午前十時二十八分祕密會ニ入ル
午後一時四分祕密會ヲ終ル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612396X00219450124&spkNum=6
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007・横川重次
○橫川委員長 祕密會ニ於キマシテハ、
野口委員ノ御質問ニ依リマスル所ノ敵
ノ謀略放送ニ關シ、又空襲竝ニ地震、
雪害等ニ對スル被害ノ狀況、竝ニ是ガ
復舊狀況乃至ハ是ガ對策、更ニ船舶ノ
運營ノ狀況、船舶建造ノ狀況等ニ付キ
マシテ、當局ヨリソレ〓〓詳細ナル說
明ガアツタノデアリマス、本日ハ是ニ
テ散會ヲ致シタイト思ヒマス-ソレ
デハ是デ散會致シマス
午後二時二十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612396X00219450124&spkNum=7
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