1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
農林中央金庫法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)(第二六號)
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昭和二十年二月二日(金曜日)午前九時二十一分開議
出席委員左の如し
委員長 高橋熊次郎君
理事 赤城宗徳君 理事 愛野時一郎君
理事 小笠原八十美君 理事 恒松於莵二君
理事 森部隆輔君
馬岡次郎君 小高長三郎君
加藤知正君 唐橋重政君
木村寅太郎君 黒澤酉藏君
小山邦太郎君 土屋源市君
野村嘉久馬君 平野力三君
松浦伊平君 松原五百藏君
前川正一君 村上國吉君
森川仙太君 山口馬城次君
山田六郎君 吉田賢一君
出席國務大臣左の如し
農商大臣 島田俊雄君
出席政府委員左の如し
專賣局長官 濱田幸雄君
厚生省部長 佐伯敏男君
厚生省部長 齋藤昇君
農商政務次官 小山倉之助君
農商參與官 長野高一君
農商省總務局長 楠見義男君
農商省農政局長 西村彰一君
農商省山林局長 鈴木一君
農商省水産局長 寺田省一君
農商省纖維局長 篠山千之君
馬政局長官 梶原茂嘉君
食糧管理局長官 湯河元威君
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本日の會議に上りたる議案左の如し
農林中央金庫法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=0
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001・高橋熊次郎
○高橋委員長 是ヨリ開會致シマス、
本日劈頭ニ農商大臣ニ對スル質疑ヲ保
留シテ居ラレタ委員諸君ノ質疑ヲハ此ノ
際大臣ニ對シテノミ御繼續アランコトヲ
希望シマスガ、其ノ前ニ二、三委員長ヨ
リ質疑ヲ致シテ置キタイ點ガアリマスカ
ラ、ソレヲ先ヅ簡單ニ申上ゲマス
米ノ還元配給ノコトデアリマスガ、
是ガ径來大臣ノ迭ル每ニ方針ガ違ツ
テ參ツテ居ル、初メニ還元配給ヲシナ
イト云フコトヲ斷言サレ、其ノ方針デ
進マレタ、次ニハ還元配給ヲスルト云
フコトヲ公言セラレテ、新聞紙等ニ其
ノ記事ガ現ハレテ居ル、此ノ委員會デ
先日當局ノ御聲明ハ還元配給ハシナイ
ノデアル、斯ウ云フ御言明デアツタノ
デアリマスガ、是ハ一般ガ迷ツテ居リ
マスルカラハツキリサシテ置ク方ガ、
供出米等ノ措置ニ當ツテ適當ダト思ヒ
マスガ、大臣ヨリハツキリ御答辯ヲ願
ツテ置キタイコトガ一ツ
ソレカラ動トモスルト從來農產物增產
推進隊、是ガ地方ニ於テ農業會ノ指導方
面ト衝突ヲ致ス例ガ少クナイノデアリマ
シテ、生產增强ノ上ニ非常ナ支障ヲ來シ
テ居ルノデアリマス、當局ノ御說明ニ依
リマスルトサウ云フ方針デハナイノデア
ル、此ノ機關ハ農業會ニ協力シテ農產增
强ニ努メルノデアツテ、ソレヲ援助スル
意味ナノデアル、生產技術ヲ直接指導
スルト云フヤウナコトハヤラナイ方針
ナノダ、斯ウ云フコトデアリマスガ、
其ノヤウニ承知シテ宜シイノデアルカ、
此ノ二點ニ付テ御伺ヒシタイノデアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=1
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002・島田俊雄
○島田國務大臣 第二點ノ推進隊ノコ
トデアリマスガ、是ハ委員長ノ御話ノ
通リノ意味ニ我々ハ心得テ、又其ノ通
リニヤツテ居ル積リデアリマス、何カ
特定ノ場所デ今御質問ニナツタヤウナ
事柄ガアルトシマスレバ、ソレハ何カノ
行違ヒデアラウト考ヘマスガ、推進隊
ハ地方ニ於テ政府ノ方針ノ下ニ農業會
等ト十分協力ヲシテ、互ニ邪魔ニナルト
カ云フコトノ絕對ニナイヤウニシテ、增
產ノ推進ヲスルト云フ考ヘ方デ行ツテ
居ルコトヲハツキリ申上ゲテ置キマス
ソレカラ還元配給ノコトハ是ハ色々
見方ガアルト思ヒマスガ、結局還元配給
スルト云フコトハ供出ガ强過ギテ供出
ヲ多ク出サセ過ギタ、或ハ出ス方カラ
云ヘバ出シ過ギタト云フコトカラ、結
局自分ノ飯米ガナクナルカラ後ニ至ツ
テ又配給ヲシテ貰ハナケレバナラヌ、
一旦出シテ又配給シテ貰ハナケレバナ
ラヌ、斯ウ云フコトニナルノデアリマ
シテ、原則トシテ考ヘレバ還元配給ヲ
シナイ、自家ノ保有米デ適當ニ處置ヲ
シテ行ケル程度以外ノモノヲ出サセル
ト云フコトハナイヤウニ、又サウ云フ
コトノ成ベク出來ナイヤウニヤリタ
イト云フノガ希望デアリマスケレドモ、
ソレガヤハリ供出ニ急ナルノ餘リ、後カ
ラ又補給シテヤルカラト云フヤウナコ
トガ起リ、ソレガ色々ナ形ニナツテ現
ハレルノデアラウト考ヘマス、是等ノ
點モヤリ方ニ於テ供出ノ割當ヲスル場
合ニ、又供出セシムル場合ニ注意シナ
ケレバナラヌコトデアリマスガ、方針
トシテハ還元配給ハシナイ、其ノ意味
ハ一旦取上ゲタラヤラナイト云フノデ
ハナクテ、還元配給ヲシナケレバナラ
ナイヤウナ供出ニナラヌヤウニヤリタ
イ、斯ウ云フコトニ御諒解ヲ願ツテ置
キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=2
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003・高橋熊次郎
○高橋委員長 拜承致シマシタ-黑
澤酉藏君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=3
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004・黒澤酉藏
○黑澤委員 私ハ先日大臣ガ〓糧ハ兵
器以上ノ兵器ダト云フ御話ガアツテ、
洵ニ其ノ通リダト考ヘルノデアリマス、
今日ノ農村ニ兵糧ノ外ニ、例ヘバ航空
機ノ大部分トモ云ヒタイ位ノ質材ハ、
此ノ戰局ノ推移カラ云フト、農村ガ供
出シナケレバナラヌヤウニナツテ參ツ
タヤウデアリマス、又昨日モ此處デ論
議サレマシタガ、簡易製鐵ニ致シマシ
テモ、農商省ガ力ヲ入レナケレバ是モ
出來ナイ、簡易製鐵ノ七五%ハ木炭ノ
生產ニ依ル外ハナイノデアリマスカラ、
サウシテ見マスルト農商行政ト云フモ
ノハ日一日ト戰局ノ推移ト共ニ重大
ヲ加ヘマシテ、殆ド農村ガ戰フト云フ
ヤウナコトニ、食糧バカリデナク兵器
ノ生產ニ於テモサウナツテ來タヤウデ
アリマス、デアリマスカラ昨日ノ農商
行政ト今日ノ農商行政トハ、全ク面目
ヲ異ニスルヤウナ重要サヲナシテ來タノ
デアリマス、此ノ時ニ斯ウ云フ時代ニ
當リマシテ、熟私共農村ニ居ル者ガ
考ヘテ見ルト、ドウモ責任ハ愈〓重大ニ
ナルノデハアルケレドモ、行政ノ組立
ガドウモ我々ニ分ラナイ點ガ澤山アル
ノデアリマス、ト云フノハ農商大臣ノ
考へ方ガ農民ニ直結シテ、總テノ施策
ガ徹底サレナケレバナラヌ筈ナノデア
リマスガ、現實ハサウナツテ參ラヌノ
デアリマス、實ハ率直ニ申シマスト、
農商當局ガ色々ナ施策ヲヤリマシテモ、
農村へ參リマストソレガ徹底セナイノ
デアリマス、ソレハ驚ク程徹底シテナ
イノデアリマス、是ハ何故デアラウカ
ト申シマスト、私ハドウシテモ是ハ行
政ノ組立ニ大キナ缺陷ガアルノデハナ
イカ、斯ウ思フノデアリマス、-トラフ
ノハ率直ニ申シマスト、農商省ノ手足
ハ府縣廳デアリマスガ、是ガ本當ノ手足
ニナツテ居ナイノデハナイカ、ナツテ
居ル形ニハナツテ居リマスケレドモ、
地方長官初メ總テノ地方廳ノ役人ノ任
免權ハ、內務省ガ持ツテ居ルノデアリ
マシテ、內務省ノ課長アタリノ言フコフトハ
隨分能ク徹底シテ末端マデ行キマスガ、
農商省ノ方ノコトニ對シテハドウモ徹
底セナイ、是ガ實情デアルノデアリマス、
是ハドウシテモ斯ウ云フ時代ニナツテ
來レバ府縣廳ノ行政ノ九割九分マデハ
農商行政デアリマスカラ、是ハ內務省
ト農商省ト云フモノヲ一ツニ合併シテ
シマツテ、寧ロ農政省ト云フヤウナモ
ノニデモシテ、農林行政ガ末端マデ徹
底スルヤウナコトニシナカツタナラバ
此ノ重大ナ責任ヲ本當ニ果スコトガ出
來ルカドウカト云フコトニ、非常ニ疑
問ヲ持ツノデアリマスガ、斯ウ云フ點
ニ對シテ私ハ機構イヂリト云フモノハ
ドウモ贊成シナイ者デアリマスガ、何
カモツト農商大臣ノ意圖ガ農村ニ直結
スルヤウナコトニナラナイモノデアラウ
カト考ヘマス、此ノ點ニ對シテ私共ハ
地方ニ居リマスノデ、幾ツモ事例ヲ持
ツテ居リマスケレドモ、時間ガアリマ
セヌカラ申シマセヌ、賢明ナル島田農
相ハ能ク御分リデアリマスカラ申シマ
セヌガ、何カ此ノ點ニ對シテ打ツ手ガ
ナイモノデセウカ、私ハ此ノ儘デ行ツ
タノデハ、幸ヒ地方長官ニ良イ人ガアリ、
農業ニ熱心ナ人ガアリ、經濟部長ニ非
常ニ譯ノ分ツタ人ガアリマスレバ、事
績ガ擧リマスケレドモ、サウデナイ人
ガ局ニ當ルト旨ク行カヌ、斯ウ云フノ
ガ實情デアリマス、又農業會ノ關係ニ
於キマシテモ同ジコトデアリマシテ、
隱然ト言ツテハヲカシイノデアリマス
ガ、今日デハ地方ノ道府縣ノ農業會ト
縣廳トノシツクリ行ツテ居ルト云フ縣
ハ、割合ニ少イノデアリマス、農商省
ノ意圖ヲ體シテ農業會ガ活動シ始メル
ト、縣廳ノ方ハ機嫌ガ惡イ、縣廳ノ言
フコトダケヲハイ〓〓ト聽イテ居ツタ
ノデハ旨ク行カナイ、オ互ヒニ牽制シ
合フヤウナ、遠慮ヲスルヤウナ、妙ナ
空氣ガソコニアルノデアリマス、弘
決シテ議論ヲ言フノデハアリマセヌ、
是ハ事實ナノデアリマス、之ヲ何トカ
シテ解消シナケレバ、今日デハモウ農
村ト農商省デ戰ヲスルヤウナ時代ニナ
ツテ來タノデハナイカ、此ノ點ニ對シ
テ大臣ノ率直ナ御所見ヲ承リタイト存
ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=4
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005・島田俊雄
○島田國務大臣 只今黑澤君ノ御述べ
ニナリマシタ點ハ、現在ノ行政部面ニ於
ケル大キナ病ト云ヒマスカ、憂ヒト云
ヒマスカ、ソコニ直接觸レタ御質問ト
思ヒマス、ソレハ御質問ト云フヨリハ
寧ロ事實ヲ指摘サレタ點デアリマシテ、
私モ其ノ點ニ付テハ憂ヒヲ共ニシテ居
リマス、憂ヒヲ共ニシテ居ルノデアリ
マスガ、然ラバドウスレバ宜シイカ、今
一例ニ御話ニナリマシタヤウニ、人事
ノ點ニ付テ農商省ガ地方廳ノ人事ニ關
與シ、之ヲ動カスコトノ出來ルヤウニ
シタナラバ、或ハ救ハレハセヌカト云
フ考ヘ方、是モ豫テ屢〓聞ク所デアリマ
ス、ケレドモ又地方廳ト云フモノノ綜
合官廳デアルト云フ性質カラ之ヲ考ヘ
マスト、是レ亦サウ簡單ニ左樣ニ行ク
譯ニハイカナイ、縣ノ常局ト縣ノ農業
會縣ノ系統ノ農業團體、是ハ農業團
體バカリデハナイ、水產ニシマシテモ
森林ニシマシテモ、サウ云フ農商省ノ
系統ノ團體ト縣ノ當局トノ間ノ連絡融
和斯ウ云フ點ニ付テハ其處ニ今ノ
御話ノヤウナコトガ起ルノデアリマス
ガ、之ヲ善クシテ行クノ途ト云フコト
ハ、ドウモ簡單ニ人事ノ行政ヲ一元シ
タラバト云フヤウナ點ダケデハ、解決
ノ出來ナイモノデハナカラウカト思フ
ノデアリマス、然ラバドウスルカト云
フト、一面ニ於テハ農商省自體トシテ色
色ナコトヲ指令シタリ、相談ヲシテ、
地方廳デ一應納得ヲシテヤルト云フコ
トニナツタモノニ付テハ、切々指揮ト云
ヒマスカ、監督ト云ヒマスカ、世話ヲ
能ク燒クト云フコト、サウシテ其ノ命
令ナリ指令ナリガ何處マデ行ツテ居ル
カト云フコトヲ突止メテ行クト云フ仕
事ヲ、丹念ニヤツテ行クト云フコトガ、
一ツノ途デアラウト思フ、尙ホ今一ツ
ハ行政廳自身ニ對シテ、內務省ノ人事
ヲ掌ツテ居ル方面カラモ協力ヲシマシ
テ、此ノ趣意ヲ徹底セシムルヤウニ努
力ヲスル、又一面ニ於キマシテハ農業
團體、此ノ農業團體白體ノ動キ方ニ付
テモ、大イニ注意ヲシテ見ナケレバナ
ラヌ點ガアルノデアリマス、是ハ中央
地方ヲ通ジマシテ農業團體自體ノ動キ
ヲ强力化スルト云ヒマスカ、或ハ徹底
セシムルヤウニ、之ヲヤハリ强化シテ
行クト云フコトモシナケレバナラヌダ
ラウト思フノデアリマス、人事ノ問題
ハ、地方長官ノ更迭ニ付テハ閣議ニ於テ
決定スルコトデアリマスカラ、農商大臣
トシテ之ニ關與スルハ機會ガアリマス、
又ソレ以下ノ人事ニ付キマシテモヤハ
リ農商省トシテハ、經濟部其ノ他ノモ
ノニ付テハ、ソレ〓〓意見ヲ述べ、連
絡ヲ取ル方法ガアリマス、現在ハ少數
ナガラ人事ノ交流ト云フコトモヤツテ
居リマシテ、地方廳、內務省部內ノコト
モ農商省ニ分ルヤウニナリ、農商省ノ
ヤツテ居ルコトモ、內務系統ニハ徹底
スルヤウニ組織ガ出來テ居ルノデアリ
やべり、出來テ居ルノデアルガ、事實ニ
當ツテ今御話ノヤウナ點ノアルコトハ、
是ハ農商省バカリデハナイ、一般ノ我
ガ國ノ行政ノ實地ニ付テ、サウ云フコ
トノ弊害ト云ヒマスカ、弱點ト云フモ
ノガドウモアルヤウニ考ヘラレルノデ
アリマス、其ノ點ニ付テハ機構ノ改革
ト云フヨリモ、現在ノヤリ方ヲモツト
充實强化シテ行クト云フ方法ニ依ルコ
トガ滴當デハナイカト思フノデアリマ
ス、現ニ農商省ト致シマシテハソレ等
ノ點ヲ考ヘテ民情委員、ソレカラ增產
推進ノコトニ付テハ推進本部ト云フモ
ノヲ作ツテ、部外ノ有力ナ人達ヲソコ
ニ囑託シテ、農商省ノ民情視察、又增
產推進ト云フコトデ、地方ニソレ等ノ
人ヲ派遣シテ報告ヲ求メ、事柄ニ依レ
バ現地ニ於テ解決ノ付クモノハシテ貰ハ
ウト云フコトデ、之ヲ一兩年此ノ方ヤ
ツテ居リ、私ノ就任後ニ於テモ一度之
ヲヤツテ一應ノ報告ヲ得テ居ルノデア
リマスガ、ソレ等ノ報告ニ徵シ、其ノ
活動ノ跡ニ付テ見マスト、是ハ非常ニ
效果ガアル、中央地方ノ意思ノ疏通ニ
付テ大キナル效果ガアルコトヲ私ハ現ニ
認メテ居ルノデアリマス、此ノ考ヘ方
ヲ更ニ押進メテ參レバ、中央ノ意思ガ
地方ニ徹底シ、又地方ノ考へ方ガ中央
ニ直結シテ來ルト云フ方ニ向ツテ行ク
コトヲ期待出來ルト私共ハ考ヘテ居ル
ノデアリマス、ソコデ機構イヂリト云
フコトニ直グモノヲ持ツテ行クト云フ
コトハ、ヤハリ此ノ戰爭中、斯ウ云フ
逼迫シタ時期ニ於テハ、其ノ點ハ餘程
考ヘテヤラナイト、ソレヲヤル間ニ、
陣立テヲ直ス間ニ手數ガ掛ツテ戰力ニ
落チ、生產力ガ落チル、ヨリ不徹底ガ
ナル、斯ウ云フヤウナ憂ヒガナイト云
フコトヲ斷言出來ナイモノデアリマス
カラ、ソレヲ一面カラ見レバ、傳柔不
斷ト云フヤウニ見エルカモ知レマセヌ
ガ、私ハ必ズシモサウハ思ハナイノデ
アリマス、努力シ努力シテ尙ホ及バザ
ル所ガアツテ、初メテソコニ一部ノ機
構ノ改革モセネバナラヌ、斯ウ云フヤ
ウナ考ヘ方デ進ムコトガ遲イヤウデア
ツテ、實ハ現時ノ逼迫セル事情ニ寧ロ
合ツテ居ルノデハナイカト云フヤウニ
考ヘテ居ルノデアリマス、必ズシモ今
ノ御話ニ對シテ否定スル意味ヲ持ツテ
居ル譯デハナイガ、憂ヒハ共ニシテ居
ルケレドモ、其ノヤリ方ニ付テハ、或
ハ黑澤君ノ御意見トハ少シ離レテ居ル
ヤウナコトヲ言ツテ居ルカモ知レマセ
又は、営務者トシテ事實ニ當ツテ考ヘ
マスト、ドウモ今私ガ申スヤウニ、雙
方ノヤリ方ヲ段々現在ノ機構ノ上ニ於
テ緊張サセ、强化シテ行クコトニ努メ
ルコトガ先ヅ第一デ、ソレヲ努メズシテ
次ノ段ニ直グ移ツテ行クト云フ考ヘ方
ハ如何ナモノデアラウカト云フ風ニ考
ヘテ居リマス、併シ此ノ人事ノコトモ
簡單明朗ニ直グ出來、直グ行ハレルト
云フヤウナコトデアレバ、是ハ又考ヘ
モノデアリマスガ、其ノコト自體モ之
ヲ容易ニ實現スルコトニ付テハ、他ノ
省トノ關係等モアリマシテ、中々難カ
シイ點ガアリマスカラ、農商省自體ト
シテモ御承知ノヤウニ食糧ノコトニ付
テモ、增產ニ付テハ農政局ガ之ヲヤリ、
配給集荷ノコトニ付テハ食糧管理局ガ
需給ノコトヲ掌リ、或ハ日用品、副食
物ト云フヤウナモノニ付テハソレ〓
各局課ニ分レテ居リマスカラ、斯ウ云
フヤウナモノニ付テモ農商省內部自體
トシテモ、現ニ食糧關係ニ付テハ綜合
シタ委員會ヲ作ツテ、部內デ連絡ヲ取
ツテ居リマスガ、是等ノヤリ方ヲ今一
段强化シテ行クト云フヤウナ考ヘ方モ
亦アリマスガ、是トテモヤハリ一部ハ
機構イヂリト云フコトニナルノデ、其
ノ點ニ付テハ愼重ナル態度ヲ持シテ居
ルヤウナ次第デアリマシテ、其ノ點ハ
中々難カシイ點デアリマス、併シ御指摘
ノヤウナコトガアルノハ認メテ居ルノ
デアリマシテ、ソレヲ成ベク少クシテ
一元的ニ行クト云フ所ニ持ツテ行キタ
イ、斯ウ云フコトニ努力シテ居ルト云
フコトヲ申上ゲテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=5
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006・黒澤酉藏
○黑澤委員 モウ時間ガアリマセヌカ
ラ意見ハ申上ゲマセヌガ、今ノ大臣ノ
御趣旨トハ私ノ考ヘハ一寸違ツテ居リ
マスケレドモ、ソレヲドウ實行スルカ、
實行シタ場合ニ太省ハモツト簡素ニシ
テ、大綱ダケニ止メテ、大部分ノ本省
ノ人ヲ地方第一線ノ方へ出動サセ、地
方ノ强化ヲスル、是ハ決シテ縣廳ヲ强
化セヨト云フ意味デハナイ、縣廳モズ
ツト人ヲ減ラシテ縣ノ大綱ダケヲヤレ
バ宜イ、寧ロ私ハ農業會-農業會モ
縣農業會ヨリハ寧ロ郡支部ノヤウナ所
ヲウント强化シテ、ソコヲ生產指導ノ
基地トスルト云フ方法ニスルノガ最モ
適切ヂヤナイカ、ソレニハ上ノ方ハズ
ツト簡素ニシテ、町村或ハ郡支部程度
ノ所ヲ十分ニ强化スル爲ニ、本省ヤ縣
廳ナドノ者ハ五分ノ一、甚ダシキハ十
分ノ一位ニ減ラシテ宜イ、サウシテ地方
ヲウント敢鬪サセルヤウナ態勢ニシテ
强化シタ方ガ宜イヂヤナイカト思ヒマ
スガ、ソレニ對シテハドウ云フ風ナ御
考ヘデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=6
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007・島田俊雄
○島田國務大臣 御氣持ハ能ク分リマ
ス、隨テサウ云フ風ニ持ツテ行クコトガ
出來レバソレモ結構ダト思ヒマスガ、
サウ云フコトヲスル場合ニ、本省ノ人
ヲ減ラシ、地方廳ノ人ヲ減ラシテ一線
ノ方ニ持ツテ行クト云フ御考ヘ方ニハ
私ハドウモ贊成出來ナイ、今一番必要
ナノハ地方へ滲透シテ行クコトデアリ
マスガ、同時ニ其ノ事ニ付テ指圖ヲス
ル人間ガ少イコトガ非常ニ憂ヒトセラ
レテ居ル所デアリマス、ヤハリ中央ト
カ、地方ノ本部タル地方廳トカニハ相
當ナ人材ト云フカ、働キ手ガ充實シテ
居リマセヌト、地方ソレカラ下部ヲ有
力ナルモノニスレバ、俗ニ言フ尾大振
ハズト云フコトニナツテ、ヤハリ同ジヤ
ウナ弊害ガ起ツテ來ルノデアリマス、
氣持ハ質問セラレタ趣意ニ持ツテ行ク
ヤウナ考ヘ方デ考ヘネバナラヌト思ツ
テ居リマスガ、尤モ單純ナ意味デ行政
ノ簡素化トカ、或ハ人員ノ淘汰ト云フ
意味デ農商省、或ハ地方廳ノ人數ガ多
過ギル、ソレヲ減ラシタラドウカト云
フ問題ニ付テハ、是ハ別途ノ觀點カラ、
ソレモヤハリ出來レバシナケレバナラ
ヌト考ヘテ居リマスガ、地方ノ者ヲ
地方ニ移シテ行クト云フ考ヘ方ハ、
ドウモ動モスレバ尾大振ハズニナル、
或ハ封建制度ノヤウニ墮シテ行ク、
斯ウ云フ又他ノ一面ノ弊害ガアリマ
スノデ、先刻申上ゲタヤウニ、中央
ノ人間ヲ成ベク地方ニ派出スル、サウ
シテ地方ノ樣子ヲ隅々マデ見テ來ル、
地方ニ出テ行ケバ縣廳所在地ダケデ、
縣廳デ話ヲ聽イテ歸ルトカ、或ハ地方
事務所ノ所マデ行ツテ歸ルトカ云フコ
トナシニ、山ノ隅マデ、里ノ端マデ行
ツテ現地ヲ見テ來ル、斯ウ云フヤウナ
考ヘ方、サウ云フヤウナヤリ方ニ付テ
相當ナ處置ヲ執レバ極メテ地方ノ强
化ト云フコトニモ「マツチ」シテ行ク、地
方モソレデ强化サレテ、ソコデ人間ヲ
殖ヤセバ殖エタ人間ガ活キテ働クト云
フコトニ相成ルデアラウ、斯ウ云フヤ
ウナ考ヘ方ヲシテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=7
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008・黒澤酉藏
○黑澤委員 次ハ他ノ問題デ一寸御聽
キシマスガ、都市ノ疎開者、空襲等ニ
依ツテ起ル被害者ノ處置ナドニ對シテ
ハ、前金ノ處置ハ執ツテ居ルノデスガ、
是等ノ疎開者ノ農村部落ノヤウナモノ
ヲ設定シテ行ク、斯ウ云フ點ニ付テ御
尋ネ致シタイノデアリマスガ、是ハ申
上ゲマセヌデモ能ク御分リト思ヒマス、
今ノ都市疎開者ガ農村ニ如何ナル影響
ヲ及ボシテ居ルカト云フコトハ御承知
ノ通リデアリマス、ソコデ關東地方ノ
ヤウナ氣候ノ好イ所ニ於テモ隨分平地
林モアルシ、土地ガアルノデアリマス、
東北ナドデモ隨分土地ガアリマス、北
海道ナドニ行キマスト、五十萬町步位
ノ土地ガアル、隨分アチコチニ少イト
雖モマダ相當ノ餘サレテ居ル土地ガア
ルノデアリマスカラ、サウ云フ所ニ寧
ロ計畫的ニ疎開者ノ農村部落ヲ作ル、
斯ウ云フコトヲシテ行クナラバ、一方
ニハ食糧ノ增產ニモナルシ、一方ニハ
弊害モ防グシ、一擧兩得デアラウト思
ヒマスガ、斯ウ云フ點ニ對シテハドン
ナ風ニ御考ヘデアリマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=8
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009・島田俊雄
○島田國務大臣 此ノ點ニ付テ此ノ內
閣ト云ヒマスカ、政府全體トシテドウ
云フ方針ヲ以テ臨ムト云フコトニ付テ
ハマダ大方針ガ決定サレテ居ルトハ
考ヘマセヌ、ト同時ニ是ハ戰爭ト云フ
大キナ對象物ガアリマシテ、其ノ戰爭
ノ苛烈ニナルニ從ツテ、疎開者ト云フ
モノガ出テ來ル、是ハ戰爭中ノ、韻、
バ見方ニ依リマスト、一時的ノ現象ト
モ言ヘルノデアリマス、併シナガラ全
體カラ言ツテ、都市ト農村トノ關係カ
ラ言ヘバ、平時ト雖モ都會ニ集中シテ
居ル人日ヲ地方へ分散セシムルト云フ
コトハヤハリアル問題デアリマス、
ソコデ斯樣ナコトヲ考へ合セテ、現在ノ
多クノ疎開者ニ付テ之ヲ考ヘルト
是ハ農商大臣トシテデハナシニ、〓
國務大臣ノ一人トシテ、或ハ政治ニ關
係シタ、經驗ヲ持ツテ居ル者ノ一人ト
シテ、自分ノ考ヘヲ申上ゲテ見ルナラ
バ、學童等ノ臨時ノモノハ暫ク別ト致
シマシテ、都會カラ疎開シテ行ク者ハ、
成ベク之ヲ農村ニ自然ニ吸收シテ行
クト云フ考ヘ方デ行クノガ適當デハナ
イカト思フノデアリマス、御一新ノ際
ニ廢藩置縣等ノ時ニハ、隨分藩ノ子弟、
藩ノ士ガ固マツテ疎開ラシタ、一〇一
疎開デアリマスガ、疎開ヲシテ開墾等ノ
コトデ、一村一部落ヲ成シテ移ツタト
云フコトガアル、又國ト國トノ關係カ
ラ言ヒマスト、日本內地ノ人口ヲ疎開
スル意味ニ於テ、滿洲ハ之ヲ受入レル、
又ハコチラカラハ疎開スルト云フ意
味デ、密集シテ居ル、人口ヲ適當ニ疎
開シヨウ、併シ滿洲ノ方ニ行クニシテ
モ、滿洲國ガ內地カラ行ク所ノ開拓民
ヲ吸收シテ、サウシテ永遠ニアソコニ
內地部落ヲ作ルト云フコトデハナクテ、
ソレヲ以テ開拓ノ天職ト云ヒマスカ、
大目的ヲ達シテ、ソレヲ擴ゲテ大東亞
ニ及ブト云フ大キナ理想ヲ持ツテ始メ
テ居ルコトデアルト思ヒマスガ、元農
村ノ者ガ都會ニ集中シテ都會ノ人口ヲ
成シテ居ルノデアルカラ、其ノ者ガ或
ル機會ニ於テ疎開ヲスルナラバ、ヤハ
リソレ〓〓地方ガ吸收シテ、其ノ所々
ニ於テ自立ナリ、所ヲ得シムルヤウニシ
テ、段々農村ニ所謂歸農者トシテ受入
レルヤウナ形ニナルノガ自然デアラウ、
ソレヲ固メテ何處ニ移ス、此處ニ移ス
ト云フ計畫ヲ立テテヤルノハ、理窟ノ
ヤウデアリマスケレドモ、ソレヲスル
コトハ戰爭ニ間ニ合ハナイ、其ノ戰爭
ノ關係カラ出掛ケテ行ク者ヲ地方デ受
入レル時ニハ、唯受入レル、サウシテ
受入レタ地方ニソレ〓〓所ヲ得シムル
ヤウニ處置ヲシテ行クト云フコトガ差
向キノ必要デハナイカ、又ソレデ土著
スレバソレガ農村ノ强化ニモナル、斯
ウ云フコトニ相成ルノデアリマシテ、
此ノ點ニ付テハ指導宜シキヲ得マセヌ
ケレバ他ノ弊害ヲ起スダケダラウト
思ヒマスケレドモ、政府トシテ大キナ
計畫ヲ立テ、或ハ專任ノ役所ヲ拵ヘテ、
疎開者ノ處置ヲスルト云フヤウナ程度
ニハマダナツテ居リマセヌ、其ノ場其
ノ場デ疎開者ヲ處置シテ行クト云フ現
在ノヤリ方ニナツテ居ルノハ、是ハ戰
爭ノ段階ニ從ツテ起ル現象ヲ時々ニ處
置シテ行クノデアリマスガ、今ノ事實
ヲ自然ニ見テ居リマスト、ソレハヤハ
リ地方へ吸收セシムル、疎開者ガ行ツ
タ所ニ落付カセルト云フ、暗默ノ間ニ
サウ云フ方針デ行ハレテ居ルヤウニ自
分ハ承知シテ居リマス、其ノ方針ガヤ
ハリ方針トシテモ大體宜イノデハナイ
カ、斯ウ云フ風ニ考ヘテ居ル次第デア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=9
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010・黒澤酉藏
○黑澤委員 是ハ是デ打切ツテ置キマ
スガ、モウ一ツ農機具用ノ簡易製鐵ヲ
ヤツタ場合ニ、是ガ枠外ノ農機具用ニ
使ヘルヤウニナツテ居ルカ、一般ノ製
鐵ノヤウニ軍需省ノ統制ヲ受ケテ、ソ
ツチノ方ニ吸收サレル、斯ウ云フコト
ニナツテ居ルカドウカ、之ヲ一寸ハツ
キリ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=10
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011・島田俊雄
○島田國務大臣 是ハ軍需省デ計畫的
ニヤツテ居ル場合ハ常然デアリマスガ、
農業會或ハ地方ノ公共團體ト云フヤウ
ナ所デ、特ニ農業用ノ資材ノ爲ニ造ル
ト云フ意味ヲ以テ計畫サレルヤウナモ
ノニ付テハ、是ハ枠外トシテ扱フヤウ
ニヤリタイト思ツテ居リマス、ソレガ
餘リ大キナ規模ニナツテ、分量ガ多ク
ナレバ別デアリマスガ、必要程度ノモ
ノヲヤルト云フノデアリマスレバー
今差向キヤルト云フコトニ付テハソレ
ハ斷言シマセヌガ、枠外トシテ扱フコ
トノ出來ルヤウニヤリタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=11
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012・高橋熊次郎
○高橋委員長 前川正一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=12
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013・前川正一
○前川委員 大臣ニ一、二點御伺ヒシ
タイト思ヒマス、皇國農村ノ建設、標
準農村ノ建設ニ付テ、今マデノ農民ニ
對シテノ政府ノ態度ガ思想的ノ指導ノ
上ニ於キマシテ、非常ニ强化サレヨウ
トシテ居ル點ガアルコトハ、明白ナノ
デアリマス、然ルニ此ノ戰局ガ此處ヘ
參リマスト、農民精神ハモウ一段ト〓
揚サレナケレバナラナイニモ拘ラズ、
逆ニ或ハ軍需會社ノ大口買出シ、般
ノ者ノ買出シナドヲ見テ居リマシテ、
農民ニ必要ナ物ガ手ニ入ラナイト云フ
ヤウナコトガ、一ツノ誘惑トナリマシ
テ、此ノ精神ヲ低落セシメテ居ル、若
シクハ道義ノ觀念ヲ頽廢セシメテ居ル
ト云フヤウナ問題モナイデハナイノデ
アリマス、然ルニ戰局ハ農民ヲサウ云
フヤウナ儘デハ許サナイノデアリマシ
テ、先日大臣モ言ハレマシタヤウニ、
食糧ハ兵器ナノデス、本當ノ戰爭ノ最
後ノ決ヲ取ルモノハ食糧ノ問題ニアル
ト思フ、斯ウ云フ場合ニ於キマシテノ
農民ノ置カレテ居ル地位ハ、完全ナル食
糧ヲ作ル戰士デアリマシテ、陛下ノ
爲ノ武器、陛下ノ爲ノ食糧ヲ作ツテ
居ル農民トシテノ考ヘ方ハ、一段ト變
ツタ考ヘ方ニナラナケレバナラナイト
思ヒマス、勿論其ノ狙ヒガ皇國農村ノ
建設デアリ、標準農村ノ建設デハゴザ
イマセウケレドモ、私ハ今日ノ段階ニ
於キマシテハ、モウ一段ノ飛躍ガ必要
トサレテ居ルノデハナイカト思フノデ
アリマス、又別ナ面カラ見マスルト、
農業ノ行キ方ハ、曾テハ物ヲ作ル爲ノ
農業、物ノ農業デアツタト思フ、ソレガ漸
次移行ヲ致シマシテ、金ノ農業、金ヲ
目標トスル農業ニナツタト思フ、併シ今
日ノ段階ハ祈リノ農業、是ガ非デモ戰
爭ニ勝タネバナラナイ農業デアル、物
ノ農業カラ金ノ農業、更ニ祈リノ農業
ヘト云ツタヤウニ、變化ヲ來シテ居ル
ト思フ、ソレニ對應スル農民ノ精神ヲ
一段ト振起セシメルコトガ、食糧增產
ノ意欲ヲ昂揚セシムル最モ大キナル要
素デアルト思フ、然ルニ農民ガ色々田
舍デ闇ヲヤツテ居リマシテモ、一度御
召シヲ受ケテ參リマスト、特攻隊ニナ
リ得ル血ヲ持ツテ居ル、同ジ日本人デ
アル以上ハ、前線ノ特攻隊モ、銃後デ
闇ヲスル農民モ、同ジ血ガ流レテ居ル、
唯一ツノ違ヒハ、軍人ニハ軍人勅諭ガ
アリ、魂ノ據リ所ガアル、訓練ガアリ
鍊成ガアル、サウシテアヽ云フ神ノ姿
ニマデナリ得ルト思フノデアリマスガ、
田舍ニ居ル間ニ於テハ、サウデナイ面
ガ殘ツテ居ル人達ガ居ルノデアリマス、
今日ノ此ノ段階ノ要請ト致シマシテ、
農民ノ精神ヲモウ一段ト昂メル一ヅノ
方法ト致シマシテ、皇國農民道ノ基幹ト
言ヒマセウカ、中心ト言ヒマセウカ、
指導精神ト言ヒマセウカ、サウ云フモ
ノヲ此ノ際明確ニサレル必要ガアル
デハナイカト思フ、明確ニナツテ居ル
ト言ハレルカモ知レヌト思フノデアリ
マスガ、幸ヒニ日本ニハ天孫降臨ノ際
ノ御神勅ノ一ツニ齋庭ノ神勅ガアル
ノデアリマス、是ハ農民ニ賜ハツタル
神勅デアリマス、我々ハ詔ヲ承ケテハ必
ズ謹シムノデアリマス、「吾ガ高天ノ原
ニ御ス齋庭ノ穗ヲ以テ、亦吾ガ兒ニ御セ
マツル」、農民ガ物ヲ作ルノハ陛下ニ
御供ヘ申上ゲル爲ニ作ツテ居ル、而
モ農民ガ作ツテ居リマス五穀ハ、天祖
ヨリ御手ヅカラ戴イタモノデ、其ノ生
命ハ脈々ト續イテ來テ居リマス、此ノ
誇リト大キナル意義トヲ持ツテ居リナ
ガラ、而モソレガ今日實現サレテ居ラ
ナイト云フ情ナイ狀態ニアルト思フ、
勿論之ヲ誤ラシメタモノハ色々ゴザイ
マセウ、農林行政ガ其ノ裏付ケヲシナ
カツタ所モアルト思ヒマスガ、私ハ此
ノ際先ヅ精神ノ昂揚ト致シマシテ、此ノ
齋庭ノ御神勅ヲ農民ノ最後ノ一人ニマ
デ徹底セシムルヤウナ方途ヲ、政府ニ
於テ御執リニナルコトガ、是ガ眞ノ農
民道ノ振起デアリ、皇國農村建設ノ本
當ノ精神的中核ヲ成スモノデハナイカ
ト思フ、軍人ニ對スル軍人勅諭、生產農
民ニ對スル齋庭ノ神勅、斯ウ云フヤウ
ナ高邁ナル建前カラノ農村ノ生產意欲
增强、決戰農民トシテ陛下ノ食糧ヲ
作リ、武器ヲ造ル、農民トシテノ精神
的基礎ヲ置カレルコトガ、何ヨリモ此ノ
決戰段階、土壇場ニ來テ居リマス時ニ、
最モ重要ナルモノデハナイカト考ヘル
ノデアリマスガ、是等ニ對シマシテノ
大臣ノ御所見ヲ承リタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=13
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014・島田俊雄
○島田國務大臣 御述ベニナリマシタ
御意見ニ付テハ、全然同感デアリマ
ス、而シテ此ノ農民ノ精神、實際土ヲ
耕シ、種子ヲ植ヱテ、農作物ヲ作ツテ
居ル其ノ農民ノ氣持ト言ヒマスカ、心
持ハ、是ハ自ラ鋤鍬ヲ取ツテヤラナイ我
我ガ、到底了解スルコトノ出來ナイ深
イ考ヘガアルト私ハ考ヘテ居リマス、
ソレハ他カラ昂揚スルトカ、側カラ激
勵スルトカ云フコトヲ俟タズシテ、三
千年來土ト取組ンデ農ヲ營ンデ居ル眞
ノ農民、農業者ト云フモノノ共通シタ
大精神デアルト思フノデアリマス、無論
ソコニハ經濟上ノ關係デ損得ト云フコ
トモ、人間デアリマスカラナイコトハ
ナイ、併シサウ云フモノヲ離レタ深イ
高イ超越シタ所ニ、我ガ國ノ傳統ノ農
民精神ト云フモノガアツテ、ソレハ動
カスコトノ出來ナイ我ガ國體ヲ貫キ、
國體ト共ニアル大イナル精神ダト思フ
ノデアリマス、ソレハ土ヲ耕シ、〓
擔イデ自ラヤツテ居ル所ノ農民自體ノ
ミガ、腹ノ底カラ知ツテ居ルモノデア
ツテ、他カラ動カスコトノ出來ナイ不
動ノ大精神ガアリ、ソレガ皇國ノ基礎
ニナツテ居ル、農ハ國本ナリト云フ所
以モ、ソコニアルト自分ハ考ヘテ居ル
ノデアリマス、左樣ナコトハ、地方ノ
各地ニアル篤農或ハ精農、サウ云フヤ
ウナ人々ノ言行事績ニ付テ之ヲ見マス
ルト云フト、到ル處ニ之ヲ見ルコトガ
出來ル、先日私ハ大阪府下ニ於ケル篤
農ノ人ノ言行錄ヲ、大阪府知事カラ見
セラレマシテ、短イモノデアリマシタ
カラ、之ヲ全部讀ンデ見タ、ソレヲ讀
ンダ時ニモ、今申上ゲルヤウナ非常ニ
大キナ强イ意思ヲ感ジタノデアリマス、
父祖傳來ノモノ、或ハ自分ノ代ニナツ
テヤツタモノ或ハ他ノ事業ヲシテ居ツ
テ、中途カラ農ニ歸シテサウシテ自ラ
農ヲ營ンデ居ルモノモアリマス、色々
アリマス、併シナガラ農業者トシテ、
百姓トシテ、斯ウシテ土ト取組ンデ居
ル其ノ氣持ハ、只今前川君ノ御話ニナ
ル齋庭ノ御詔ノ其ノ儘ノ精神ヲ自然ニ
體得シテヤツテ居ルノデアリマス、ソ
レ故ニ之ヲ精神作興ノ方面カラ激勵
シタリ、言ツタリスルコトノ必要デナ
イト云フノデハナイ、ソレ等ノ作興、
或ハ激勵ノ色々ナ働キ掛ケガアリ、
是等ヲシテ尙ホソコニ自覺ヲ呼ビ起
サスト云フ所ノ働キガ加ヘラレヽバ
一層其ノ精神ヲ昂揚スルノデアルコト
勿論デアリマスガ、現在デモ日本ノ農
民ハ戰爭ガ苛烈ニナルニ從ツテ、總テ
ノ重荷ハ俺等ノ上ニ來ルノダト云フコ
トヲ皆言ハズ語ラズ自覺ヲシテ、默々ト
シテヤツテ居ルト、斯ウ思ツテ居ルノ
デアリマス、ソレハ蔽フベカラザル强
イ志ヲ持ツテ居ルノデス、强イ根ノ深
イ所カラ來テ居ルト自分ハ考ヘテ居ル
ノデアリマス、隨テ只今御話ニナル何
等カノ形ニ於テ、五箇條ノ御誓文ヲ我
我ガ讀ンデ、立憲政治ノ基礎トシテ國憲
ニ格循シテ行クヤウニ、齋庭ノ穗ノ詔
ヲ農家ノ御題目トシテ之ヲ唱ヘルヤウ
ニ導イテ民ニ知ラシメテ行クト云フコ
トハ、洵ニ結構ナコトデアルト思フノ
デアリマシテ、是等ノコトハ政府トシ
マシテモ、又之ヲ助ケテ戴ク各農業團
體トシマシテモ一ツ考ヘテ、此ノ農民
ノ氣持ヲ我々ガ-自分モ百姓ノ子デ
アルガ、自分ハ實ハ百姓ヲシテ居ラナ
イノデアリマス、百姓ヲシテ居ナライ百
姓ノ子ハ、百姓ノ氣持ハ十分ニ分ツテ居
ルトハ言ヒ得ナイト思フノデアリマス、
併シナガラ傍ニ居ル者ガ、ヤハリ實際ヤ
ツテ居ル人ノ氣持ガ或ル程度分ツテ居
ルト云フコトヲ默々トシテヤツテ居ル
人達ニ知ラシメテ、共々ニ農道ノ根本
タル農業精神ヲ表ハスベキ題目ヲ共ニ
唱ヘルヤウニ致スト云フコトハ、非常ニ
結構ナコトト考ヘマスノデ、前川君ノ
御話ノ御趣意ニハ全然同感デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=14
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015・前川正一
○前川委員 大臣ノ農民ニ對スル絕大
ナ信賴ニ對シテハ敬意ヲ表スルノデア
リマス、篤農家ハ勿論今申シマシタヤウ
ナ精神ガ横溢シテ居リマスガ、篤農家
ニアラザル多クノ農民ノ上ニモ、尙ホ
一段ソレガ掘下ゲラレ、高メラレテ行
カナケレバナラヌヤウナ節ガ多少アル
ノデナイカト私ハ感ジテ居ルノデアリ
やっ、政府ハ戰時農業要員ノ指定ヲサ
レテ居ルノデアリマスガ、勞務者ニハ
一ツノ手帳ノヤウナモノガアリマシテ、
其ノ中ニハ自分ノ魂ノ據リドコロガ旣
ニ明記サレテ居ルノデアリマス、若シ
出來マスナラバ戰時農業要員ニ勞務手
帳ノヤウナモノ、或ハモツト崇高ナモ
ノノ方ガ宜イノデアリマスガ、サウ云
フモノヲ何時デモ肌身離サズ持ツテ居
ツテ、集會ノアル每ニ朗誦シテ共ニ行ク
ト云フヤウナ機會ヲ與ヘルコトモ一ツ
ノ方法デハナイカ、若シクハ農業會ノ
ヤウナ場所ニ、多クノ色々ナ名士ノ時
局ニ相應シクナイヤウナ額トカ、軸ト
カ云フヤウナモノガアルノデアリマス
ガ、私ハ此ノ際サウ云フモノヲ今ノ齋
庭ノ神勅ノヤウナ、實ニ農民ノ道トシ
テ守ラナケレバナラナイ額ナリ、軸ナ
リニ取替ヘラレテ宜イ時ガ來テ居ル、
而モソレニ對スル解說ヲ適當ナ人ニ依
ツテ行フ、農村ノ國民學校、靑年學校、
サウ云ツタ集團ニモ、其ノ〓育ハ普段
カラ行ハレテ置カナケレバナラナイノ
デハナイカ、色々具體的ナ澤山ノ方法
ガ考ヘラレルノデアリマスガ、今大臣
ガソレ等ニ付テ考ヘテ見ヨウト云フ御
話デアリマスガ、尙ホ一層之ヲ具體化
サレマシテ、實現ヲ見ルヤウニ色々ナ
點ヲ御願ヒシタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=15
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016・高橋熊次郎
○高橋委員長 皆樣ニ御注意申上ゲル
ノデアリマスガ、大臣ノ時間ハ非常ニ
少イノデス、ソレデ何レモ大臣ニ對ス
ル御質疑ハ御尤モデ重大ナル質疑ト存
ジマスケレドモ、時間ノ關係上皆樣ノ
質疑ヲ制限シナケレバナラヌ必要ガア
ルノデアリマス、ソレデ詳細ノコトハ
他ノ政府委員ニ對シテ御質疑ヲ願ヒマ
シン、ドウカ簡單ニ朗讀的ニ、再質問
ヲサレザルヤウニ限定致シテ、皆樣ノ
今後ノ御質疑ヲ御許シ致シマス-加
藤知正君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=16
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017・加藤知正
○加藤(知)委員 私ハ農商大臣ニ對シ
マシテ色々ト御質問申上ゲタウゴザイ
マスケレドモ、只今委員長ノ御言葉モア
リ時間ノ關係上、遺憾ナガラ大臣ニ對
スル質問ハ蠶絲業問題ダケニ止メテ
置キタイト存ジマス、ソコデ先ヅ第一
ニ御尋ネ申上ゲタイト存ジマスコトハ、
繭ノ增產問題デアリマスガ、此ノ問題
ニ付テハ去ル昭和十九年十一月七日日
本中央蠶絲會產繭增强委員會ノ決議ニ
依リ、岡本日本中央蠶絲會副會長ノ名
義ヲ以テ、繭增產非常對策ニ關スル
建議書ヲ內閣總理大臣初メ農商大臣、
軍需大臣、陸海軍大臣、大藏大臣ノ各大
臣ニ對シテ建議書ヲ提出シ、次デ十二月
二十六日同ジ委員會ノ決議ニ依リマシ
テ、蠶繭增產非常方策實施方ニ付テ以上
ノ各省大臣ニ對シテ再陳情書ヲ提出シ
タノデアリマス、是ハ岡本日本中央蠶
絲會副會長ノ外酒井中央農業會會長、
今井日本蠶絲統制株式會社社長、片倉
日本蠶絲製造會社社長、小山全國共榮
組合理事長、長野日本眞綿製造販賣組
合理事長等ノ各團體代表者ノ連名ヲ以
テ再陳情ヲ致シテ居ルノデアリマスガ、
私ハ其ノ建議書、其ノ陳情書ニ現ハレ
タル事項ヲ取纏メマシテ、農商大臣ニ對
シ御尋ネ申上ゲタイト存ジマス、左樣
致シマスレバ是ハ私一個ノ私見デハナ
ク、蠶絲業者全體ノ輿論デアリ、又
希望デアリ、要望デアルコトヲ私ガ代
表シテ玆ニ之ヲ御尋ネ申上ゲルモノト
御考ヘ下サイマシテ、御答辯ヲ戴キマ
スレバ洵ニ結構ト存ジマス、ソコデ大
臣ハ旣ニ建議書ニ依リ、又陳情書ニ依
リマシテ十分御承知ノコトデアリマス
カラ、私ハ時間ノ省略上各項目ヲ朗讀
致シマシテ、別ニ之ニ說明ヲ加ヘマセ
ヌカラ、ドウゾ大臣ハ其ノ積リデ各項
目ニ付テ、ソレ〓〓丁寧懇切ニ御答辯
ヲ御與ヘ下サルヤウニ御願ヒ致シマス
ソコデ其ノ第一ガ、昭和二十年度產
繭目標ヲ六千萬貫トセラレタイ、第二
ガ、繭價ハ二百掛トセラレタイ、此ノ
問題ハ大臣ノ大英斷ヲ以テ御解決下サ
イマシタカラ、別ニ今御答辯ヲ戴クニ
及バヌノデアリマスガ、唯併シ之ニ附
帶シテアル繭價供出數量ガ昭和十九年
度供出數量ヲ超エタル場合ハ、其ノ超
過數量ニ付テハ二百五十掛ニセラレタ
イト云フ希望ニ對シ、大臣ハ如何ヤウ
ナ御考ヘヲ御持チデアリマセウカ、御
意見ノ存スル所ヲ御洩ラシ願ヒタイト
存ジマス
第三ガ、一定數量以上ノ繭供出者ニ
對シテハ、綿製品ヲ特配セラレタイ、
若シソレガ出來ナイト云フコトデアリ
マスナラバ、自家用繭ノ認容ニ付テ特
ニ御考慮シテ戴キタイ、只今デハ平均
八百匁位ヲ自家用ト認メルヤウデアリ
マスガ、少クトモ生產繭ノ半分位ハ自
家用繭ニ御認メ下サルヤウニ御願ヒシ
タイト考ヘマスルガ、如何デゴザイマ
セウカ
第四ガ、蠶蛹價格ノ大幅引上ヲ行フ
ト共ニ、蠶蛹ノ三分ノ二ヲ養蠶家ニ還
元セラレタイ
第五ガ、養蠶者及ビ蠶絲業者技術員
ヲ農業要員ニセラレタイ、私ハ此ノ項
目ニ付キマシテ斯樣ニ考ヘテ居ルノデ
アリマス、農業要員ハ頗ル結構デアリ
マスガ、蠶絲ヲ特ニ御奬勵下サルト云
フ意味ニ於キマシテ、特ニ蠶業要員ト
云フモノヲ御設定願ヒタイト思フノデ
アリマス
第六ガ、養蠶ニ必要ナル諸資材ヲ〓
料製作物ト同樣ニ配給セラレタイ
第七ガ、決戰下ニ於ケル纖維資源ノ
重要性及ビ其ノ增產供出ニ對スル國家
ノ要請意思ヲ明確ナラシメ、業者ノ奉
公精神發揮ヲ促ス爲メ、繭增產非常措
置ニ關スル事項ハ特ニ閣議ニ於テ決定
發表セラレタイ
第八ニハ、桑園確保ニ關スル應急施
設ヲ速カニ實施セラレタイ等デゴザイ
マット、之ニ付テ大臣ノ御答辯ヲ戴キタ
イノデアリマスガ、更ニ私ハ是レ以外
ニ蠶作ノ保險制度ヲ是非制定セラレタ
イト考ヘルノデアリマスガ、之ニ付テ
農商大臣ノ御意見ノ存スル所ヲ御伺ヒ
致シタイト存ズル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=17
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018・島田俊雄
○島田國務大臣 只今加藤君ノ御述べ
ニナリマシタ各項目ハ、旣ニ御話ノヤ
ウナ方面カラノ申出ニ依リマシテ、ソ
レゾレ〓究ヲ致シテ居リマス、中ニハ、
桑園確保等ノコトニ關シマシテハ、豫
算ノ措置モ少額ナガラ講ジテ居ルヤウ
ナ次第デアリマス、尙ホ繭價ヲ二百掛
ニ引上ゲルニ付テ、更ニ追加ノ御主張
ニ付キマシテハ〓究ヲシテ居リマスガ、
此ノコトハ二百掛ニスルト云フコトガ
御承知ノヤウニ相當難關モアツタコト
デアリマスカラ、難カシイコトモアラ
ウカト思ヒマスガ、尙ホ〓究ヲ致シテ
見マス
ソレカラ六千萬貫ノ目標ヲト云フコ
トデアリマスガ、是ハモウ希望トシテ
ハ當然ノコトデアリマスガ、現在ノ桑
園面積ノ上カラ考ヘマシテ、徒ラニ厖
大ナル目標ヲ立テテ之ヲヤリマシテモ、
事實ガ及バナイト云フコトガアリマス
ノデ、目標ハ或ハソレ以上ニ立テテモ、
漸次只今ノ實力ヲ十分ニ發揮シテ、段
段ニ之ヲ殖ヤシテ行クト云フヨリハ
今日ハ寧ロ現狀ヲ維持スルト云フコト
ガモウ可ナリ困難ナ事情ニアリマスノデ、
一以下ニ於テ繭價其ノ他ノ自家用ノモ
ノハ認メルトカ云フヤウナ、各項目ニ
付テ御述べニナリマシタ諸點ヲ併セテ、
十分ニ之ヲ出來ナイマデモ實行致シマ
シテ、サウシテ現在ノ桑園面積ヲ減ラ
サナイヤウニ、只今取レルダケノ繭ヲ
一粒デモ多ク取ルト云フ風ニ持ツテ行
クコトガ目下ノ急務デアルト、斯樣ニ
考ヘテ居リマス、其ノ意味カラ致シマ
シテ、蠶業ニ關係シテ居ル人ニ付テ、
之ヲ農業要員ノ中ニ入レテヤルト云フ
ヤウナコトハ、是ハ旣ニサウ云フ考へ
方ヲ以テ處置ヲ致シテ居リマスガ、何
分徵用、召集等ノ關係カラ致シマシテ、
要員ノ確保ト云フモノハ可ナリ困難ナ
事情ガアルコトハ御承知ノ通リデアリ
せっく、是等ノ點ニ付キマシテハ出來ル
ダケ努力ヲシ、其ノ各項目ニ付テハ、
其ノ陳情ヲ受ケマシタ當時カラ、或八
ソレ以前カラ皆〓究ヲ致シテ居ルヤウ
ナ次第デアリマスカラ、是ハ全部御趣
意ノ通リニ實現スルト云フコトハ申上
ゲ兼ネマスケレドモ、併シナガラ其ノ
線ニ沿ウテ少シデモソレニ近付クヤウ
ニ、少シデモ目的ノ達セラレルヤウニ
ヤリタイト考ヘテ居リマス、保險ノコ
トニ付キマシテハ附加ヘテ御話デアリ
マシタガ、是モ一ツ〓究ヲシテ見ルコ
トニ致シマシテ、相當ノ案ガ出來マシ
タナラバ、其ノ〓究シタモノヲ以テ實
行ニ移シテ行クヤウニシタイ、斯樣ニ
考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=18
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019・高橋熊次郎
○高橋委員長 平野君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=19
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020・平野力三
○平野委員 私ハ三ツノ問題ニ付キマ
シテ大臣ニ率直ニ御質問致シタイ、第
一點ハ、今囘米價ノ値上改正ヲ言明ナ
サツタコトハ洵ニ結構デアリマス、ソ
コデ此ノ米價ノ改正ヲ行ハレルト共ニ、
現在我ガ國ノ農村ニ行ハレテ居リマス
ル所ノ農地制度、小作制度、之ニ付テ
相當根本的ナル改革ヲ斷行スベキ餘地
アリ、必要アリト思フノデアリマスガ、
如何デアリマスカ、其ノ私ノ申シマス
ル理由ハ米價ヲ改正セラルヽ其ノ根
本ノ理由トシテハ農村ニ於ケル生產
意欲ヲ昂揚スル爲ニ、一種ノ生產奬勵
ノ爲ノ米價ノ改正デナクテハナラナイ
ノデアリマスノデ、生產ニ從ハナイ方
面ノ米價ノ値上ニ依ル不當ノ利益ト云
フモノハ、今日ノ戰時經濟ノ上ニ於キ
マシテ必ズシモ正シイトハ申サレヌ、
ソコデ、此ノ點ニ付テ米價ノ値上ト小
作制度、農地制度ニ付テ大臣ハドウ云
フ考ヘヲ持ツテ居ラレルカ、承リタイ、
同時ニ又此ノ制度ヲ此ノ儘ニシテノ米
價改正デアリマシテハ、農林省ガ傳統
的ニ堅持シテ居リマス所ノ自作農創定
ト云フ方向ト矛盾スルノデアリマス、卽
チ米價ガ上レバ土地モ地主ハ賣ラナ
イ、賣ラナケレバ自作農ニナラナイ、
此ノ矛盾ヲ大臣ハドウシテ解決シテ行
カレルノデアリマセウカ、之ニ付テ大
臣ノ明確ナル米價改正ノ當時ニ於キマ
スル考ヘ方ヲ一ツ御言明願ツテ置キタ
イノデアリマス、其ノ一ツノ問題トシ
テハ、昨日農政局長カラ小作制度ニ關
スル御答辯モアリマシタガ、併セテ
大臣カラモソレ等ノ諸點ニ付テ御考ヘ
ガアリマスナラバ、此ノ際御言明ヲ得
テ置キタイト思ヒマス、是ガ第一點デ
アリマス
第二點ハ、現在行ハレテ居リマス生產
奬勵金及ビ供出奬勵金、此ノ二ツノ制
度ハ、米價ヲ改正セラルヽト共ニ、ヤハ
リ制度トシテハ存續セラレルノデアル
カドウカ、其ノ率デアルトカ、色々ナ
問題ニ付テハ別デアリマスガ、此ノ制
度其ノモノハ、存續セラレルノデアラ
ウト考ヘルノデアリマスガ、之ニ對スル
大臣ノ御考ヘハドウデアリマスルカ、
御言明ヲ得テ置キタイト思ヒマス、是
ガ第二點デアリマス
第三點ハ、今日問題ニナツテ居ル配
給機構、其ノ內食糧營團ガ扱ツテ居リ
マス所ノ米ノ問題ニ付テ、農家ノ手許
ヲ百五十「キロ」建デ四十六圓デ離シテ
參リマシタ米價ガ、食糧營團カラ消費
者ニ移リマス時ニハ百四十「キロ」建ニ
ナリマシテ、値段ハ四十九圓九十八錢、
而モ營團ハ此ノ米ヲ二分搗キスルト云
フヤウナ複雜ナ關係カラ、細カイ議論
ハ省略致シマスガ、一石ニ付テ五圓二
十五錢ノ利益ガアル、是ハ屢〓、食糧管
理局長官ノ言明ニ依ツテ明瞭デアリマ
ス、ソレニ「プラス」俵、「プラス」糠、合
計致シマスト六圓ヲ突破致シマス、尙ホ
其ノ間政府ハ運賃トシテ一圓二十錢ト
云フモノヲ食糧營團ニ渡ス前ニ取ツテ
居ルノデアリマシテ、農家カラ消費者
ニ渡リマス所ノ米一石ニ對スル手數料
ト云フモノハ、私ノ計算ニ依リマスト
七圓近クニナリマス、一體斯ウ云フ澤
山ノ費用ガ途中デ取ラレテ居ルト云フ
コト自體、配給機構トシテ正シイノカ
ドウカ、私ハ大臣ニ細カイ數字ニ付テ
承ラウト云フノデハアリマセヌ、併シ
本當ニ戰時下ニ於ケル所ノ農業統制ト
云フモノニハ横流レ等ヲ防ギ、徹底的
ナ是等ノ配給機構ノ完備ト云フモノガ
ナクテハナラナイト思フノデアリマス
ガ、都市ニ於ケル生鮮食料品ノ價格ノ
撤廢等ノ大臣ノ農業政策ニ現ハレテ居
リマス思想ニハ、或ル程度ノ自由主義
的ナル問題ヲ採用スルコトニ依ツテモ
ノガ旨ク流レル、自由主義的ナル採用
ト云フモノガ農相ノ頭ニ相當コビリ付
イテ居ル結果、斯ウ云フ配給機構ト云
フヤウナモノニ付テモ、相當弛ンデ居ル
ノデハナイカト云フヤウナ心配ガアルノ
デアリマス、此ノ點ハ洵ニ大臣ニ失禮ナ
言葉ノヤウデアリマスケレドモ、少クト
モ根本的ナル配給統制機構ヲ御考ヘニ
ナルニ當リマシテハ、是等ノ食糧營團、
是等ノ重要ナル農產物ヲ扱フ、機構ニ
付テハ、十分ナル監督ト國家性ノ完璧
ヲ期セラレナケレバナラナイト思フノ
デアリマスガ、之ニ對スル大臣ノ御所
見ハ如何デアリマスカ、以上三點ニ付テ
明確ナル御答辯ヲ得タイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=20
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021・島田俊雄
○島田國務大臣 米價ノ改訂ト云フ間
題ニ關聯シテ自作農、小作關係、斯ウ
云フコトニ付テノ御話デアリマスガ、
是ハ價格ガ動クモノト致シマスレバ、
自然サウ云フ所ニ影響ヲ多少ナリトモ
及ボスコトハ當然ダト考ヘマス、隨テ
之ニ付テ相當ナ用意ヲ以テ臨マネバナ
ラヌコトモ當然デアリマスカラ、ソレ
等ノ點ニ付テハ十分〓究ヲ致シテ居リ
マンク、併シナガラ米價ノ改訂ト申シマ
シテモ、是等ノ方面ニ非常ナ影響ヲ及
ボスヤウナ突飛ナ改訂ヲ政府ハ目論ン
デ居リマセヌ、左樣ナコトハ又考ヘル
ベキモノデモナイト思ツテ居リマス、
唯現在ノ米價ニ付テ、是ガ他ノ諸物價
トノ關係、ソレカラ今ノ米價ノ決メ方
政府ノ買フ値段ト云フヤウナモノニ付
テ、結局國庫ノ負擔ニナルモノヲ總計
シテ見ルト相當ナ高ニナルノニ、ソシ
ヲ或ハ奬勵金ト云ヒ、或ハ報奬金ト云
ヒ、種々ナル名目ノ下ニソレガ別々ナ
形デ渡ツテ居ル爲ニ、ソコニ複雜ナ關
係ガ起ツテ利弊ト云フモノガ出テ來マ
スカラ、是等ノ點ヲ一般ノ事情等ト考
ヘ合セテ改訂ヲ加ヘルノ必要ガアル、斯
ウ云フ風ニ考ヘテ居ルノデアリマス、
併シナガラ左樣ニ致シマシテモ、改訂
ノ場合ニハ是ガ自作農創設ノ上ニドノ
程度ニ影響ヲ及ボスカ、又小作ト地主
トノ關係ニ付テドウ云フヤウナ考ヘ方
ヲシナケレバナラヌカト云フコトニ付
テハ、愼重ニ〓究ヲ致シマシテ、遺憾
ノナイヤウニ措置シタイ、斯樣ニ考ヘ
テ居リマス
ソレカラ食糧配給ノコトニ付テ、營團
ノ運營ノ仕方、ヤリ方、ソレカラ其ノ
間ニ於ケル種々ナ營團ノ手數料ト云ヒ
マスカ、取リ分ノヤウナ事柄ニ付キマ
シテハ、是ハ更ニ數字ニ付キマシテ能
ク〓究ヲシテ見ルコトニ致シマセウト
考ヘテ居リマス、居リマスガ、一ツ此
處デ御述べニナリマシタ中ニ、或ル主
義ヲ以テヤツテ居リハセヌカト云フヤ
ウナ御疑問デ-質問デハアリマセヌ
ガ、サウ云フヤウナ御批評ノ御言葉ガ
アリマシタガ、之ニ付テハ私ハ一言辯
明ヲシタイト思フノデアリマス、私
農商省所管ノモノニハ限ラズ、大體主
義ト云ヒマスカ、「イズム」ト云ヒマスカ、
「イデオロギー」ト云フカ、サウ云フモ
ノニ依ツテ政治ヲスベキモノデハナイ
ト考ヘテ居リマス、政治ハ國民ノ生活
ヲ安定ニスル、平和ニ導ク、サウ云フ
コトヲ目途トシテ、其ノ目途ノ爲ニ必
要ナル事柄ニ付テ適當ナ處置ヲシテ行
クト云フ考ヘデヤラナケレバナラヌ、
「イズム」トカ、主義トカ云フコトニナ
リマスト、私ノ經驗カラ申シマスト、
ソレヲヤルト行過ギガ何時デモ起ル、
斯ウ思ツテ居リマス、ソレ故ニ私ハ敢
テ「イズム」ヲ-學者ガ「イズム」ヲヤ
リ、主義ヲ唱ヘルコトニ付テ別段ニ批
評ハ致シマセヌガ、政治ヲ執ル者トシ
テハ傾カナイヤウニシテ行カネバナラ
ヌ、現實ノ事實ニ卽シテ事ヲ行フ、就
任當時ノ大都會ノ〓糧事情ヲ考ヘテ見
マシテ、日本國ノ戰時下ニ於テ動ク場
合ノ眼目ガ何處ニアルカト云フト、大
ナル消費地、斯ウ云フ所ノ人心ガ動搖
スルト云フヤウナ虞ガアル場合ニハ
動搖シテハ居ラナカツタケレドモ、動
揺ノ虞ガアルト云フヤウナ場合ニハ、
ソレニ對シテ應急ノ手ヲ打タナケレバ
ナラナイ、火事ニハ水ヲ持ツテ行ク、
斯ウ云フ考ヘ方デ、急ヲ救フモノガア
レバ、其ノ時ニハ急ヲ救フダケノ處置
ヲシナケレバナラヌ、斯樣ナ考ヘ方ヲ
以テ其ノ時ニ處シタノデアツテ、其ノ
時ニシタコトヲ一ツノ主義デヤツテ居ル
ト、斯ウ御考ヘ下サルト甚ダ私ノ眞意ト違
フノデアリマス、ソレ故ニ他ノ事柄ニ
付キマシテモ、殊ニ農商省關係ノ農家
ヲ相手ニシテヤル色々ナ仕事ニ付キマ
シテハドウモ或ル方針、主義ト云フ
コトノヤウナ意味デ、斯ウ云フ理窟デ
アルカラ斯ウダト云フコトノミヲ以テ
推シテ行クコトハ、農家相手ノ仕事ト
シテハドウモ適當デナイカノ如ク考ヘ
やっと、ソレナラバ出鱈目ニヤルト云フ
コトハ、又非常ナ弊害ノアルコトハ固
ヨリデアリマス、今自由主義的ナ傾向
ト云フヤウナ御話ガアリマシタガ、自
由主義デ行カネバナラヌ時ニハ自由
主義ニ依ラネバナラヌカモ知レナイ、
又統制デ行カネバナラヌ時ニハ統制モ
用ヒナケレバナラヌ、事實ニ卽シテ事
ヲ處シテ行クト云フコトガ一番肝腎ナ
ノデハナカラウカ、遠キ所ヲ見透シテ
居ツテ、サウシテ事實ヲ見テ足ヲ地ニ
着ケテ步ンデ行クト云フヤリ方デナケ
レバナラヌノデハナカラウカ、斯樣ニ
考ヘテ居リマスカラ、ドウゾ平野君ニ
於テモ農商大臣ガ主義ニ依ツテナドト
云フ若シ誤解ガアリマシタナラバ、是
ハ御取除キヲ願ヒタイト思フノデアリ
そう、自作農創設、小作トノ關係、ソ
レカラ食糧ノ配給機構ニ關シテ、食糧營
團ノ問題等ニ付テハ、是ハ現在ノ食糧
營國ニ關スル中央ノ營團、地方ノ營國
食糧營國ニ關スル法制ノ上カラ〓究シ
マシテ、中央地方ノ間ノ連絡ガ執レヌ
所ガアツタリ、營團ノ問題ニ付テハ色
色マダ〓究ヲ要スル點ガアルヤウニ考
ヘマシテ、是ハ折角考慮ヲ致シテ居ル
所デアリマスカラ、只今御質問中ニ御
指摘ニナツタヤウナ事項ニ付テハ十分
注意ヲシマシテ、有力ナル參考トシテ、
此ノ問題ノ解決ヲ考ヘル場合ニ酌ミ入
レテ處置ヲ致シタイ、斯樣ニ考ヘテ居
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=21
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022・高橋熊次郎
○高橋委員長 山口君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=22
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023・山口馬城次
○山口(馬)委員 私ハ生活ノ安定ト闇
取引ノ絕滅ノコトニ付キマシテ、簡單
ニ御伺ヒシタイト思ヒマス、戰局ガ斯
ウ云フ風ナ戰局ニナリマシタノデ、特
ニ此ノ點ハ飛躍的ニ考ヘナケレバナラ
ヌト私ハ考ヘテ居ルノデアリマス、現
實ニ於テ需給推算ヲスルマデモナク、
國民ノ常識トシテ本土ノミデヤツテ行
ケル、斯ウ云フ感ジガスルノデアリマス、
又本土ダケデヤツテ行クト云フ態勢
マデ行カナイ今日ノ實情ニ於キマシテ
モ、闇ト云フモノハ非常ニ深刻ニナツ
テ居ル、大都市ノミデナク最近ハ農村
ニ於キマシテモ、非常ニ深刻ナ狀態ニ
ナツテ居ルノデアリマス、ソレデナゼ
モツト旨ク行ケナイカ、生活必需物資
ノ適量ガ適時ニ適切ニ、ナゼモツト旨ク
行カナイノダラウ、闇デ動ク品ガアル
ノデアリマスカラ、品物ハ全體トシテ
モウ少シアルノデハナイカト云フ感ジ
ヲ今日デサヘモ持ツテ居ルノデアリマ
ス、隨ヒマシテ內地ガモツト苛烈ナ戰
場ニ入リマシタ時分ニハドウナルカト
云フ不安ガ募ツテ參リマスト云フコト
ハ是ハ容易ナラヌ事態デアルト思フ
ノデアリマス、隨ヒマシテ此ノ生活ノ
安定ト云フコトニ付テノ御所信ヲ承ツ
テ置キタイト思フノデアリマス、國民
ノ心構ヘトシマシテハ)ドンナコトニ
ナツテモ、木ノ根、草ノ葉ヲ嚙ツテモ頑
張ル、斯ウ云フ考ヘデ參ラナケレバナ
ラヌコトハ勿論デアリマスガ、政治ノ
アリ方トシマシテハ、ドンナ事態ニ入
ツテモ心配ハナイカラシツカリヤレ、
斯ウ云フ强イ安定感ヲ與ヘルダケノ御
方針ヲ明カニ承ツテ置キタイト思フノ
デアリマス、之ニ關聯シマシテモウ一
言御尋ネ致シテ置キマスガ、最近農村
ニ於キマシテ闇ノ急激ナ機運ヲ釀成致
シテ居ルモノノ一ツト致シマシテ、軍
需會社ノヤリ方ニ付テ非常ナ非難迷惑
ヲ感ジテ居ル點ガアルノデアリマス、
此ノ點ニ付テノ御所信モ併セテ承ツテ
置キタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=23
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024・島田俊雄
○島田國務大臣 生活ノ安定、闇ニ關
係シテ、ト云フヤウナ色々御意見ガア
リマシタ、私ハ本議場デモサウ云フコ
トヲ申シタカト考ヘテ居リマスガ、人
間ハ生キテ行クモノデアリマス、サウ
シテ何時カハ死ヌモノデアル、ダカラ
之ニ付テ安定感ト云フモノヲ根本的ニ
與ヘルト云フコトハ、是ハ農林行政ノ
區域デハナクテ、寧ロ精神方面ノ宗〓
トカ云ツタヤウナ問題ニ究極ハナルノ
デアリマス、米ガアルカ、麥ガアルカ、
藷ガアルカト云ツテモ、是ハ皆是カラ
出來ルモノデアリマス、サウシテ其ノ
出來ルノニハ、天候ト云フモノガ最モ
大キナ働キヲナスコトハ今更申上ゲル
マデモナイコトデアリマス、寒中ニ寒
ガ强ケレバ、雪ガ多ケレバ今年ハ豐作
デアラウ、斯ウ云フコトヲ普通ニ古來
言ツテ居ル、マア多クハ當ル、ケレド
モ本年ノ東北地方ノ靑森邊リノ交通ガ
杜絕スル程ノ量ノ降雪ガアリマスト云
フト、必ズシモドウモ古來ノ言ヒ傳ヘ
通リニ行クカドウカ分ラヌト云フコト
モアル、ソレヲ心配シテ、ドウダラウ
カ、ドウダラウカト云フコトニナルト、
是ハドウモ際限ノナイコトニ私ハナリ
ハセヌカト思フ、ソコデ統計ト云フモ
ノガアル、何年間ノ統計ヲ見テ、私ノ
知ツテ居ル限リニ於キマシテモ、私ノ
知ツテ居ル最近十數年間ニ於テ、米ニ
付テ申シマスレバ、一番米ノ出來ノ惡
カツタト云フ時ハ五千五、六百萬石デ
アツタト思フ、一番好カツタ時ハ七千
萬石、是ガ十幾年ノ間ノ最高最低デア
リマスカラ、是等ノコトヲ考ヘテ見ル
ト、大體天候、色々言ケケレドモ、農
民モ相當努力ヲシ、相當ニヤツテ、人
事ヲ盡セバ先ヅ其ノ程度ノモノハ穫レ
ル斯ウ云フコトハ腰ダメ勘定デ、必
ズシモ獲ラヌ狸ノ皮算用デナシニ、ソ
レハ勘定ニ入レテ宜イノデハナカラウ
カト思フ、麥デモ其ノ通リデアリマス、
十八年度ヨリハ十九年產ノ麥ハ五百萬
石以上多ク穫レタ、ソレナラバ今年モ
穫レルカ、斯ウ言ハレルト、請合フコ
トハ出來ナイ、併シナガラ本年ハ作付
ノ面積モ昨年ヨリ劣ツテハ居ラヌ、綜
合作付トシテ割當テタモノハ殆ド植付
ヲシテ居ル、廣幅薄播ノ宣傳モ可ナリ
徹底シテ居ル、今後ノ手入レガ宜ケレ
バ相當ナ收量ハアルベキ筈デアルケレ
ドモ、天候ノ關係ニ依ツテハ、是ガ減
ルカモ知レヌト云フコトガアル、併シ
サウ云フヤウナ點ヲ種々綜合シテ考ヘ
テ見ルト、ソコニ凡ソ麥ノ產額、米ノ
產額、雜穀ノ產額、甘藷ニ付テ云ヘバ
本年ハ十一億ト云ヒ、十二億ト云
ヒ、十三億ト云ヒ、分量ノ多イモノ
デアリマスカラシテ、精密的確ナ數字
ハ擧ゲラレナイニ致シマシテモ、先ヅ
十二億內外ノ收量ガ甘藷ニ付テハアツ
タ、サウスルト之ニ對シテ反別ヲ多ク
シ、努力ヲ拂ヒ、非常ナ勉强ヲシテ行
ケバ、藷ハ天候ニ支配サレル所ガ比較
的少イ强イ作物デアリマスカラ、是
相當ナ量ガ得ラレル、二十七億貫ト云
フノガ三十億貫ニナルカ、二十五億貫
ニナルカト云フコトハ言ヘナイケレド
モ、相當ナ量ガ得ラレルモノト見ナケ
レバナラナイ、滿洲或ハ臺灣、朝鮮等
ノ外地カラ來ル所ノモノモ、是モ今ノ
ヤウナ狀況デハ中々當ニ出來ナイ、滿
洲ハ豐作デアルケレドモ、輸送ガ旨ク
行カナケレバイカヌト云フコトデアリ
マスガ、ソレハ輸送ノ關係デアルカラ
シテ、戰局ノ模樣ニ依ツテハ輸送ノ關
係ハ善クナルコトモアリ得ルノデアリ
さい、物ガアルノデアリマス、サウ云
フ風ニ考ヘテ見ルト、之ヲ樂觀スルト
云フコトハ出來ナイケレドモ、悲觀ヲ
スルト云フ、コトモ亦適當デナイノデハ
ナイカ、ソコデ私ハ本議場ニ於テ、責
任者ヲ初メ關係者ガ皆ヤラウ、斯ウ云
フ氣分ニナツテ、作ル者ハ作リ、配給
スル者ハ配給シ、世話ヲスル者ハ世話
ヲシテ、眞劔ノ努力ヲシテヤル氣ニナ
ツテヤレバ、敢テ不安アリト云フコト
ヲ申ス必要ハナイ、安心ダト云ツテ樂
觀ヲスルト云フコトハ許サレナイコト
デアルケレドモ、殊ニ戰爭中ハ安心ハ
禁物デアリマスケレドモ、併シ不安デ
アルカラト云ツテ、不安ダ〓〓ト言ツ
テ騒グヤウナ程ノ危險ハナイ、斯ウ云
フ風ニ私ハ思ツテ居ルノデアリマス、
ソレハ農商大臣トシテノ島田ト云フ者
ガ一人サウ云フ風ニ思ツテ居ツテモ、
全國民ガ皆不安ダ〓〓ト言ヘバ、是一
ドウモ不安ニナラザルヲ得ナイノデア
リマスガ、先ヅ大體ノ數字ヲ常識的ニ
腰ダメニ考ヘテ、米ハ六千二、三百萬
石、良ク出來レバ六千五百萬石「レコー
ド」カラ言ヘバ七千萬石モ出來タコ
トガアルカラト云ツテ、サウドウモ樂
觀ノヤウナコトバカリモ言ヘナイガ、
併シ米ノ增產ニ付テハ品種ノ改良其ノ
他ニ付テ相當政府モ力ヲ入レテ居ルカ
ラシテ、天候ノ工合ガ好ケレバ七千萬
石ヲ突破スルカモ知レナイ、突破ヲシ
テモ決シテ不思議ハナイ、ケレドモソ
レヲ、ソンナニ見ナイデ、六千三、四百
萬石トカ云フヤウナ程度ニ之ヲ見テモ、
サウ云フヤウナ見方ヲシテ、中位若シ
クハ少シ內輪ニ見ルヤウナ見方ヲシテ
モ、私ハ內地ノ主要食糧、雜穀ト云フ
モノニハサウドウモ本年ニ限ツテ特別
ナ不作ガ、ドノモノニ對シテモアルト
ハ考ヘラレナイト見ルコトガ適當ノ見
方デハナカラウカ、斯ウ思フノデアリ
マス
ソレカラ現在供出ヲシテ居ルモノニ
付テ、私ハ闇ヲ適當ダトハ決シテ思ヒ
モシナケレバ、サウ云フコトヲ是認ス
ルヤウナ意味ノ言葉ヲ申スノデハアリ
マセヌケレドモ、闇ニ流シ、橫ニ流シ、
大口買出シヲスル、ソレデアルカラシ
テヤリ方ニ依ルト、マダ物ハアルンダ、
斯ウ云フコトヲ言ヘバ、ソレハ確カニ
サウ云フコトガ言ヘルト思フ、言ヘル
ト思フケレドモ、ソレヲヤルカラ、ソ
レヲ取押ヘテ禁ジテ、サウシテ一般ノ
者ニ配給ヲ良クスルヤウニスレバト云
フヤウナ考ヘ方ヲスルコトモ、亦是ハ
簡單ニハ行カナイト思フノデアリマス、
ヤハリ現在政府ガヤツテ居ルコトガ、
ソレガ總テニ於テ萬全トハ固ヨリ申シ
マセヌ、ソレハ色々ナルヤリ方ニマダ
及バザル所ガアルケレドモ、現在ヤツ
テ居ルヤウナ方針ヲ以テ需給推算ノ算
盤ヲ固ク握リナガラ大勢ヲ見テ動イテ
行ケバ、食糧ニ關スル限リハ、少クト
モ生活上ノ不安ト云フヤウナコトハナ
イモノト考ヘマシテ、其ノ點ニ於テサ
ウ云フ說明ヲ以テ、先ヅソレナラバド
ウカカウカ行ケルト云フコトデ、安定
ヲスルト云フコトガ得ラレルナラバ、
是ガ私ハ國家ノ幸ヒ、ソレデ戰爭モ出
來ル、斯ウ思フノデアリマスガ、アレモ
不安是モ不安ト云ツテ心配シテ手ヲ空
シウシテ居ルト云フヤウナ氣分ニナレ
バ、ソコニ戰爭ヲ續ケテ行クト云フコ
トノ上ニ、戰力ノ增强ト云フ上ニ色々
ナコダハリガ生ジテ來ルヤウニ考ヘマ
スノデ、私ハ國民ニ對シテ食糧方面ノ
責任ノアル大臣トシマシテ、不安ナシ
トハ樂觀的ニハ言ハナイケレドモ、不
安アリト云フコトハ大イナル考ヘ間違
ヒデアル、斯ウ云フコトヲ言ツテ居ル
ノデス、瞬眛ダト云フコトニヨク批評
サレマスケレドモ、天候相手ノ仕事デ
是レ以上確實ナコトヲ申上ゲルコトハ
出來ナイ、私ハソコデ統計學ノ上ニ、
大量觀察ノ原理ト云フモノガ大キニ働
イテ居ルコトヲ國民ニ告ゲタイノデス、
十年、五年、何年ノ間ニ其ノ物ノ生產
ヲサレ、又人口ノ增減ニ致シマシテモ、
是ガ多ク殖エル年ト少イ年トアル、併
シナガラ何年カヲ平均シテ見ルト、ソ
コニ「パーセンテージ」ト云フモノガア
ツテ、人口ノドレダケノモノガ生レテ
ドレダケノモノガ死ンデ、差引七十萬
ナリ八十萬ナリト云フモノガ增加ヲス
ル、ソレダカラ昭和十二年ノ人口ヘ其
ノ率ヲ掛ケテ行クト、昭和十九年ニハ
七千六百萬、ケレドモ外地ニ出テ行ク
者ヤ何カヾアルカラ、二月二十日ノ現
在デヤツテ見タナラバ七千三百萬デア
ル、斯ウ云フコトガアル、人口ノ增加
率ト雖モ、戰爭ガアツテ戰死者ガアル
カラ大變減ルヤウニ人ハ思ウテ居リマ
スガ、サウデハナイ、戰時下ニ於ケル
人口統計ヲ取ツテモ、平時ニ於ケル人
口統計ヲ取ツテモ、戰死者ヲ含メタ死
亡者ト生レタ者トヲ比ベテ見ルト、大
シテ統計ノ原則ニハ外レテ居ラヌノデ
アリマス、隨テ天候相手ニシテ居ル仕
事デアルトハ言ヒナガラ、米麥其ノ他
ノ農產物ニ付キマシテモ、私ハ統計ノ
〓ヘル大數ト云フモノハ動カナイモノ
デアル、斯樣ニ考ヘル、隨テ米ニモ平
年作アリ、麥ニモ平年作ガアル、平年
作ニ對シテ大々的馬力ヲ掛ケレバ一割
五分、二割ト云フモノガ增產出來ル、
現時ノ我國ノ國內事情カラ言ツテ大增
產可能ナ餘地、自給態勢ヲ確立スル上
ニ於テ可能ナ餘地ハ何處ニアルカト云
フト、米ハ多少アツテモ餘地ハ少イ、
麥ニモ米以上ニハアルケレドモ餘地ハ
少イ、何處へ持ツテ行クカト云フト、
藷ニ持ツテ外ク、ソコデ政府ノ自給態
勢確立ニ付テノ國策トシテ藷ノ大增產
ヲヤル、是ハ「アルコール」其ノ他ノ關
係ガアリマスケレドモ、ヤル、是モ二倍モ
三倍モ急ニヤルト云ツテモ、中々ソレハ出
難イカラ、先ヅ現在ノ二倍程度、ソコ
カラ二十七億トカ云フモノガ出テ、是
ガ天候其ノ他ノ工合ニ依ツテ多ク出來
ルカモ知レヌ、或ハ少シハ減ルカモ知
レヌト云フコトガアリマスケレドモ、
ソレ等ノモノヲ目ヲ瞑ツテ考ヘテ見ル
ト、ソコデ樂觀ト云フコトニナル、ド
コニ不安ガアルカト云フコトヲコツ
チカラ聽キタイノデス、ドウ云フ所
ガ不安デサウビク〓〓スルノカト云フ
コトヲ聽キタイ、人口ハ七千六百萬、
殖エタトコロデ七千八百萬ニハナリマ
スマイ、七千六、七百萬ノ人口ヲ抱ヘ
テ、サウシテ未ダ是レ位、麥ガ是レ位、
藷ガ是レ位、「アルコール」ヲ造リ色々
ヤルケレドモ、大數ニ算盤ヲ寄セテ見
タラ大シタコトハナイヂヤナイカト云
フコトニ結論ガナル、ドコヲ摑マヘテ
不安ト言フノカト云フコトヲ言ヒタイ、
ヤルコトハヤル、ソコデ戰爭ヲヤルニ
付テハヤラウト云フ氣持ガナケレバ
戰ニハ勝テナイ、諸ニ付テモ其ノ通リ
デアリマスカラ、皆ガヤル氣ニナツテ
起チ上レバ〓糧ニハ不安ナシ、斯ウ云
フコトヲ私ハ申上ゲテ居ル譯デアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=24
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025・高橋熊次郎
○高橋委員長 森川君ト吉田君ガ殘ツ
テ居リマスガ、朗讀程度ニドウカ御願
ヒシマス-森川君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=25
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026・森川仙太
○森川委員 極ク簡單ニ要點ノミヲ質
問致シマス、水產關係ニ對スル質問デ
アリマスガ、先ヅ本年度ノ水產物ヲド
ノ程度ニ御考ヘニナツテ居ラレルカト
云フ點、是ハ勿論色々ナ資材、勞務其
ノ他ノ關係モアリマスノデ、是モ今ノ
大臣ノ御話ノ通リニナルカモ知レマセ
天カ -ドンナ程度ニ考ヘテ居ラレルカ
ト云フコトヲ御伺ヒシタイ、ソレカラ
水產關係ハ天候ヨリモ特ニ資材關係ニ
重要ナ點ガアラウト思ヒマスガ、其ノ
資材ノ點デアリマス、水產物ハ農產物
ト違ヒマシテ、天候ヨリモ資材ニ左右
サレルト思ヒマス、此ノ資材ノ流シ方
ニ付テハ後程水產局長ニ伺ヒタイト思
ツテ居リマスガ、端的ニ申シマスト、
水產局ガ漁獲ノ點及ビ配給其ノ他ヲ受
持ツテ居ルノデアリマスガ、此ノ資材
ノ流レルノハ農商省ノ總務局ガ持ツテ
居ルト云フ所ニ非常ナ矛盾ガアルノデ
ハナイカ、之ヲ思ヒ切ツテ水產局ノ方
ヘ資材ノ面ヲ持ツテ行ツテ、本當ニ機
動的ニ重點的ニ流スト云フコトガ、今
ニナツテハ必要デハナイカト考ヘマス
ノチ、此ノ點ダケヲ伺ヒタイト思ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=26
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027・島田俊雄
○島田國務大臣 只今森川君ノ水產物
ノ增獲ト云フコトニ付テハ遺憾ナガ
ラドウモ平年ヨリ非常ナ減收ニナツテ
居ルト云フコトハ已ムヲ得ナイ事情デ
アリマシテ、是ハ御諒承下スツテ居ル
コトト思フノデアリマスガ、政府トシ
マシテハ、先ヅ之ヲ現在ヨリ下ゲナイ
ヤウニスル、斯ウ云フコトヲ努力ノ目
標トシテ考ヘテ居ル譯デアリマスガ、
之ニ付テハ遠洋ノ方面ハ中々難カシク
ナル、結局淡水漁業トカ色々云ヒマス
ケレドモ、沿岸ノ方面ニ於ケル漁獲物
ヲ主ニ當ニスルト云フコトニナルノデ
アリマセウガ、ソコデ問題トナルノハ
資材ノ關係デアリマス、是ハ又油ト云
ヒ、、其ノ他關係ノ資材ハ、網デアリマ
ストカ、總テ非常ニ窮屈ニチツテ居ル、
是ニ付テモ先般總動員法ノ運用ニ依ツ
テ、漁業ニ付テハ要員ノ制度ヲ布クコ
トニナリマシテ、勞力ノ確保ハドウシ
テモ現狀ノモノヲ維持スルヤウニヤ
ラネバイカヌト云フコトデ、其ノ點ニ
付テハ一ツ枠ヲ作ルコトニナツタノデ
アリマスガ、其ノ以外ノ資材ニ付テハ
相當困難デアリマス、唯今ノ漁業者ハ
非常ナ勇敢ナ氣魄ヲ持ツテ、南方等ヘ
還送油ノ爲ニ危險ヲ冒シテ行クト云フ
コトガ各府縣ソレ〓〓アリマシテ、是
ハ相當ナモノガ得ラレルシ、又既ニ多
少ノモノハ得テ居リマス、又魚油其ノ
他ノモノヲ利用シテヤルト云フ種々ナ
工夫ヲ凝ラシテ居リマスケレドモ、尙
ホ及バナイト云フノガ現在ノ狀態デア
リマス、而モ獲ツタモノニ付テ、値段其
ノ他ノ關係デ又其處ニ隘路ガアルト云
フヤウナ色々ナコトデアリマシテ、ソ
レ等ノ點ヲ手直シヲシテ、サウシテ統
一的ニ圓滑ナヤリ方ニスルコトニ付テ
ハ只今水產局ト總務局トノ關係ニ付
テ御話ニナリマシタヤウナ點モ自然ア
ルノデアリマス、是モ御話ノヤウニ實
行ノ上ニ於テ、場合ニ依ツテハ圓滑デ
ナカツタヤウナ嫌ヒノアツタ事實モナ
イトハ言ヘナイト思ツテ居リマスガ、
是等ノ點ニ付テハ農商省內部ノ機構ノ
關係等ニ於テ障碍ニナツテ居ル部面ニ
付キマシテハ、是ハ一ツ十分〓究ヲシ
マシテ、圓滑ニ行キ、當業者ノ不便利
ヲ除クヤウニ努力ヲシタイト思フノデ
アリマス、全體ノ資材ニ付キマシテハ
軍需物資等トノ關係ガアリマシテ桂當
困難デアリマスガ、先ヅ勞力ニ付テ要
員確保ヲ致シタ其ノ方針ヲ堅持シマシ
テ、資材ノ部面ニ於キマシテモ、今日
ハ陸ノ產物ト云フコトヨリモ海ノ產物
ニ重キヲ置カネバナラヌト云フコトガ
一般ニ言ハレルヤウニナツテ、輿論ノ
傾向ガソコニ向ツテ居ルヤウデアリマ
スカラシテ、此ノ方面カラ致シマシテ
十分努力ヲシテ、現在ノ漁獲高ヲ上廻
ルヤウナ風ニヤリタイト云フコトヲ目
標トシテ、折角努力シテ行キタイト考
ヘテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=27
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028・高橋熊次郎
○高橋委員長 農商大臣ノ時間ハ非常
ニ食ツテ居リマスカラ、ドウカ極ク簡
潔ニ御願ヒ致シマス-野村君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=28
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029・野村嘉久馬
○野村委員 大臣ニ二點御尋ネ致シタ
イト思ヒマス、第一ハ林務砂防ト河川
砂防ニ關スル問題デアリマス、此ノ問
題ハ洵ニ不可分ノ關係ニアルト思フノ
デアリマス、昔カラ水ヲ治メルモノハ
先ヅ山ヲ治メル、斯ウ言ツテ居ルノデア
リマシテ、如何ニ河川砂防ヲヤリマシ
テモ、林務砂防ヲ忘レテ居ツタナラバ
其ノ救果ハナイ、又林務砂防ヲヤツタ
ツテ河川砂防ニ及バナカツタナラバ、
其ノ救果モナイノデアリマス、其ノ實
例ハ幾多ゴザイマスルガ、一昨年山陰
地方ヲ襲ヒマシタアノ洪水デアリマス、
アレハ大臣ハ能ク御承知ノ通リ、其ノ
災害ハ非常ニ大キナモノデアル、ソレ
ハ卽チ河川砂防ダケヤツテ居ツテ林務
砂防ヲ忘レテ居ツタ、斯ウ云フ傾キガ
アルノデアリマシテ、ドウシテモ此ノ
關係ハ緊密ナ關係デアリマス、所デ此
ノ事務ガ、今ヤ御案内ノ通リ林務砂防
ハ農商省デヤリ、又河川砂防ハ內務省
デヤル、斯ウ云フヤウナ關係デ、實ハ
其ノ綜合立案計畫ガシツクリ行ツテ居
ナイト云フ事實ガアルノデアリマス、農
商省トシテハ農商省ノ獨自ノ考ヘデ、
ラ、或ハ內務省ハ內務省トシテノ個々
ノ計畫ヲサレテ居ル嫌ヒガナシトセナ
イノデアリマシテ、詰リ豫算ノ上ニモ
統一スベキモノガアルノデアリマス、
是ハドウシテモ效果ヲ十全ニスル爲ニ
ハ此ノ機構ヲ綜合一元化スルコトガ先
ヅ喫緊ナコトデハナイカト思ヒマス、昨
年第八十四議會ニ於テ建議案トシテ是
ガ現ハレ、而モ滿場一致ヲ以テ決定サレ
タ、然ルニ之ニ對シテ今日マデ何等ノ
手ヲ著ケテ居ラレナイ、是ハ洵ニ我々
遺憾ト存ジテ居ルノデアリマシテ、.此
ノ場合一刻モ早ク此ノ院議ヲ尊重サ
V、實現方ニ邁進サレンコトヲ希望ス
ル者デアリマスガ、之ニ對スル大臣ノ
所見ヲ伺ヒタイ
第二點ハ山林團體機構統合一元化ニ
關スル點テアリマス、山林國體ニハ大
體三ツアル、森林組合ノ生產團體ト、
又地方木社系ノ販賣ヲ掌ル經濟團體、
竝ニ伐採ヲ業トスル素材生產者デアリ
マイク。此ノ三ツヲ一丸トスルコトガ國
家ノ要請ニ應ヘテ木材供出ニ非常ニ役
立ツノデハナイカト思フノデアリマス、
御案內ノ通リ此ノ森林組合ハ森林所有
者デアリ、生產者デアリ、又地方木社
ハ業者デアリマスガ、此ノ業者ガ行ツ
テ居リマス所ノ木材供出ニ對シテモ、
勿論森林組合ハ協力シテ居ル、又森林
組合ノ生產事業ニ對シテモ、此ノ木材
會社ハ寄附或ハ色々ナ名目ヲ以テ助成
ヲシテ居ル、或ハ林道開鑿、或ハ種苗
養成トカ、色々是等ノ生產〓ニモ協力
シテ居ル、斯樣ナ譯デアリマスノデ
此ノ場合之ヲ一元化スルコトガ今日ノ
喫緊事デアルト思フノデアリマス、昨
年ハ旣ニ農業團體ハ經濟團體デアル所
ノ產業組合ト、生產團體デアル所ノ農
會ト云フモノヲ統合シテ、國家ノ要請
ニ應へ、能ク〓糧增產ニ挺身シテ居ル、
所ガ此ノ山林方面ハバラ〓〓ニナツテ
居ル、又水產團體モ既ニ統合サレテ居
ル、唯殘サレテ居ルノハ山林團體ノミ
デアルノデアリマシテ、是ハ一刻モ
早ク此ノ統合ヲシテ、木材快出、軍需
材ノ供出ニ十分貢獻寄與スルコトガ出
來得ルヤウナ機構ヲ此ノ際作ツテ戴キ
タイト存ズルノデアリマス、之ニ對ス
ル大臣ノ所見ヲ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=29
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030・島田俊雄
○島田國務大臣 林務砂防ト河川砂
防此ノ關係ニ付キマシテハ御話ノ通リ
デアリマシテ、之ヲ連絡ヲシテ緊密ナ關
係ニ結ビ付ケテヤラナケレバ、折角ヤ
リマシタ治水ガ效果ヲ擧ゲ得ナイ、或
ハ却テヨリ大キナ害ヲナスヤウナ場
合ガ起ルコトハ今御話ノ中ニアリマ
シタ一昨年ノ島根縣ノ水害ト、昨年續
ケテアツタ水害ノ跡ヲ見マシテモ能ク
分ルノデアリマス、是ハ御話ノ通リノ御
趣意ニ考ヘテ居リマシテ、建議等モア
リ、又豫テ問題トナツテ居ル所テアリ
マスガ、此ノ點ニ付キマシテハ直チニ
之ヲドウ云フ風ニ機構ノ統一ヲスルカ
ト云フコトニ付テハ、成案ヲ得テ居リ
マセヌケレドモ、實行方法トシテハ內
務省、農商省ト此ノ點ニ付テハ緊密ナ
連絡ヲ持ツテヤラネバナラヌト云フ
コトヲ、オ互ヒニ能ク理解ヲ致シマシ
テ、將來過チヲ繰返スコトノナイヤウ
ニ、差向キノ仕事ニ付テハヤラウト云
フ方針ヲ以テ進ンデ居リマス、唯機構
ニ付テ之ヲ官制トカ其ノ他ノ上ニ現ハ
シテヤルト云フコトニ付キマシテハ、マ
ダ意見ノ一致ヲ見ズニ、其ノ程度ニ進
ンデ居ラナイコトハ遺憾デアリマスケ
レドモ、ヤリ方ニ付テハ連絡ヲ十分ニ
取ツテヤル、尙ホ農商省ガ手ヲ著ケル
所ハ內務省モ手ヲ著ケル、內務省ガ手
ヲ著ケル所ハ農商省モ連絡ヲ取ツテ手
ヲ著ケテ、ヤリ方ヲ其處テハ統一シテヤ
ラウト云フ考ヘ方デヤツテ居ルト云フ
コトヲ御答ヘ致シテ置キマス
ソレカラ林業ノ各種ノ團體ノ統合ノ間
題デアリマス、ガ是ハヤハリ御話ノ通リ
デアリマシテ、是カ統合シテ一ツノ系統ア
ルモノニナツテ來ルコトハ、洵ニ望マシイ
コトデアリマスガ、農業團體ノ場合ニ於
テモ御承知ノヤウニ、ヤハリ團體内部
ニ色々ナ議論カアリマシテ、サウシテ
機運カソコニ至ツテ、ソレデモ色々ナ
迂餘曲折ヲ經テ現時ノ中央農業曾ガ出
來農業經濟會ト云フモノガ出來タノ
デアリマス、サウ云ツタヤウナコトガ
アリマスシ、是ハ外廓ノ〓體テアリマ
スカラ、政府ノ方カラ唯强墜的ニ行ク
コトハ出來ナイノデ、團體內ノ指導
者ノ方々ガ各〓其ノ氣分ニナラレ、其ノ
氣分ニナラレタ點ニ乘ジテ、之ヲ系就
アルモノニ仕直シテ行クト云フヤウナ
運ビニ行クコトガ、最モ圓消ニ行クノ
デハナカラウカト思ツテ居リマス、併
シ何分此ノ戰爭デ今ハ緊迫シテ居ル時
期デアリマスカラ、無理押シヲシテ却
テ逆ナ效果ヲ生ゼシムルコトハ、最モ
避ケナケレバナラヌコトデアリマスノ
デ、唯出來ルノヲ待ツテヤルト云フ考
ヘ方デハアリマセヌケレドモ、其ノ邊
ノ點ヲ十分睨ミ合セテ、サウシテ政府
トシテハソコヘ善處シテ行クヤウニシ
タ方ガ宜イノデハナカラウカ、斯樣ニ
考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=30
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031・高橋熊次郎
○高橋委員長 吉田君、時間モアリ
マセヌシ、アナタノ第一ト第二ノ質問
ハ、多少他ノ委員ノ質問ト重復致シマ
スカラ、第三點ノミヲ御質疑願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=31
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032・吉田賢一
○吉田(賢)委員 食糧自給態勢確立ノ
重大ナル使命ニ鑑ミマシテ、諸般ノ施策ハ
一應御說明ヲ受ケタノデアリマスガ、
例ヘテ形容スレバ落葉ヲ拾ヒ集メルト
云フ面ガ殘ツテ居ルト思ヒマス、足八
努力ノ如何ニ依リマシテハ食糧供給源
トシテ、非常ニ重大ナモノガマダアル
ト思ヒマス、ソコデ官民一體トナリマ
シテ粉食化ヲ重點的ナ施策トシマシテ、
凡ユル面ニ食糧ノ新資源ノ積極的ナ開
發ト、ソレカラ食品ニ付キマシテ新シ
イ格段ノ工夫ヲナス、斯ウ云フコトガ
必要デナイカト思フノデアリマス、之
ニ對シテ强力ナ施策ヲ講ゼラレンコト
ヲ望ムト共ニ、大臣ノ御所見ヲ同ヒタ
イノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=32
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033・島田俊雄
○島田國務大臣 食糧ニ付テ現在言ハ
レテ居リマスル色々ナ品物以外ニ、未
利用資源ト云ヒマスカ、サウ云フモノ
ニ付テ更ニ工夫ヲ凝ラス、又ヤリ方ニ
付キマシテモ粉食等ノコトヲ考ヘテ、
モツト面ヲ擴ゲテ行クト云フ考ヘ方ニ
付テ、强刀ナ施策ヲスルヤウニト云フ
コトニ付テマシテハ、御尤モデ御同感
ニ堪ヘマセヌ、未利用資源等ニ付キマ
シテハ、旣ニ食種管理局ノ方ニ於キマ
シテ〓究ヲ致シテ居リマス、サウシテ
色々ナ〓究ノ成果ヲ得テ居リマス、唯
サウ云フ場合ニ、ソレ等ノ〓究サレタ
品物ヲ、量的ニ確保スルト云フコトニ
付テ相當ナ困難ガアルノデアリマシテ、
是等ニ付テハ今落葉ヲ拾フトカ云フ御
話デアリマシタガ、此ノ分量トシテド
レダケノ量ガ主要食糧ニ代替シ、或、
主要〓糧ノ缺之ノ場合ニ、ソレ等ヲ以
テ充テ得ルカト云フコトノ大キナ數字
ノ計畫ヲ立テルコトニ於テ、困難ガア
ルノデアリマス、併シ未利用資源ノ色
色ナ草ノ葉デアルトカ云フヤウナモノ
ハ全國到ル處ニアルノデアリマスカ
ラ、之ヲ目算トシテ目分量ニシテ見マ
スト、相當ナモノガアルニ違ヒナイノ
デアリマスガ、之ヲ國ノ計畫トシテ數
量ニ持ツテ行クト云フ場合ニ、中々困
難ナヤリニクイコトガアルノデアリマ
ス、例ヘバ諸ノ葉ナラ藷ノ葉ヲ考ヘテ
見マシテモ、一反歩五百貫ノ諸カ穫レ
レバ何頁アルト云フヤウナコトガアル
ガ、此ノ方〓ニ付テ之ヲ考ヘテ見マシ
テモ、之ヲドレダケノ分量ニ見テドウ
云フ風ニ處理スルカト云フコトニナリ
マスト、ソコニ又相當ナ困難ト言ヒマ
スカ、隘路ト云フモノガアリマスノデ、
未ダ量的ノ觀點カラ大ナル計畫ヲ以テ、
强力ニ進ンデヤルト云フ所マデ至ツテ
居リマセヌガ、是ハモウ以前カラ相當〓
究シテ居リマスカラ、遠カラズ之ニ付テ
相當ナ結朱ヲ發表スル機會ガ、少クトモ
一部分ハアリハセヌカト考ヘテ居リマス
粉食ノコトニ付キマシテハ是ハ方々デ
意見ノアル所デアリ、又粉食ノ奬勵
ト云フコトハ保存ノ關係、保存食糧
ト云フヤウナコトカラ言ヒマシテモ、
非常ニ大切ナコトト考ヘテ居リマス、
併シ是モヤハリ設備等ノ關係ガアリ
マシテ、之ヲ全般ニヤルト云フ時ニ
ナリマスト、設備其ノ他ノ關係デ制約
ヲ受ケマスノデ、單ナル「パン」トシテヤ
ルト云フコトニモ相當ノ制限ガ加ヘラ
レマスケレドモ、併シ是等ノ點ニ付テ
モヤハリ相當强ク進メテ、粉食ヲ好ム
人ニハ一食テモ二食テモ是デヤレルヤ
ウニスルト云フヤウナ位ニ、進メテ行
キタイト云フ考ヘヲ持ツテ居ル次第デ
ゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=33
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034・高橋熊次郎
○高橋委員長 是テ農間大臣ニ對スル
質問ハ終リマス、土屋君ハ今政府安
員ガ大分居ラレマスカラ、此ノ場合政
府委員ニ對スル御質問ヲ願ヒマス-
土屋君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=34
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035・土屋源市
○土屋(源)委員 先ヅ私ハ極ク簡明ニ
山林局長ニ御尋ネシタイノデスガ、戰
局ノ推移ニ伴ヒマシテ、空襲ノ激化ス
ルコトハ申スマデモナイノデアリマス、
只今デハ主トシテ航空機ノ方面ヲ襲ウ
テ居リマスケレドモ、行ク〓〓都市ノ破
壞或ハ資源ノ破壞ト云フヤウナコト
ガ起ルノデハナイカト思フノデアリマ
ス、サウシタコトヲ考ヘマスル時ニ、
我ガ國ノ山林ニ對スル所ノ空襲ト云フ
コトモ、或ハ豫想セナケレバナラヌ事
態ガアルノデハナイカト思フノデアリ
R つ、山林局トシテハ此ノ空襲ニ對ス
ル森林保護ニ對シテ、何等カノ御考ヘ
ガオアリニナルダラウト思ヒマスガ、
之ニ對スル御所見ヲ承リタイト思ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=35
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036・鈴木一
○鈴木(一)政府委員 只今御尋ネガゴ
ザイマシタ戰局ノ推移ニ伴ヒマシテ、
山林資源ガ壞滅ニ歸スルヤウナ場面ガ
起リハシナイカ、之ニ對スル方策ガア
ルカト云フ御話デゴザイマスガ、我々
ノ方モ豫テヨリ此ノ事ヲ豫期致シテ居
リマス、(尙ホ現ニ數度ノ敵ノ空襲ニ依
リマシテ、是ハ燒夷「カード」ヲ撒イタ
譯デハゴザイマセヌガ、燒夷彈其ノ他
ニ依リマシテ、山林火災ヲ生ジテ居リ
マス例モ相當ゴザイマス、林野面積ニ
致シマシテ大シタ燒失面積ニナツテ居
ラナイノハ幸ヒデゴザイマスガ、是等
ニ對シマシテ昨年ノ二月以來デゴザイ
マシタカ、內務省トモ能ク〓究ヲ致シ
マシタ結果、林野警防要點ト云フ林野
火災ノ警防ニ對シマシテノ措置ヲ一ツ
ノ要點トシテ定メマシテ、之ヲ各地方
廳ニ通達ヲ致シマシテ、林野火災ニ對
シマシテ豫防竝ニソレノ消火、是等ニ
對シマシテ責任ヲ以テ警〓ニニルト云
フ態勢ヲ確立致シテ居リマス、何ニ致
シマシテモ山ノコトデゴザイマスノデ、
其ノ要點ガ完全ニ運用サレマシテモ、
中々大火ニナリマシタ場合ニ消火スル
ト云フコトハ、事實非常ナ困難ガ伴フ
モノト私達ハ思ヒマスノデ、其ノ點能
ク地方ノ警察官、靑年團、警防團、國
有林ニ於キマシテモ營林署、部落民、
林野報國隊ト云フヤウナ凡ユル勞力ヲ
總動員シマシテ、統制アル指揮ノ下ニ
林野火災ノ警防ニ當ルト云フ態勢ヲ整
ヘルコトニ致シテ居リマス、大體サウ
云フコトニナツテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=36
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037・土屋源市
○土屋(源)委員 大體サウシタ態勢ノ
執ラレテ居ルコトハ結構デアリマスル
ガ、山林火災ハ都市ノ火災ナドトハ大
分其ノ性質ヲ異ニ致シマシテ、殊ニ此
ノ山林火災ノ防止ノ上デ大切ナ問題ハ、
主要ナ林地ニ對シテ豫メ防火線ノ設定
ノ如キハ、最モ效果ガアルト思ヒマス、
貴重ナル林分ニ對シマシテハ、豫メ斯
ウシタ施設ヲ國有林ナドニ於テハ執ラ
レテ居ルコトヲ見ルノデアリマスガ、
私有林ニ於テモ豫メ斯ウシタコトヲヤ
ル必要ガアリハセヌカト思フノデアリ
きくり、殊ニ防火訓練ニ付テモ、餘柱異
ルモノガ山林火災ニ於テハアルノデア
リマス、年々經驗シテ居ル所ノ火災地
方ニ於テハ、防火ニハ非常ナ熟練シタ
效果ヲ發揮スルノデアリマスルガ、都
市ノ防火ナドノヤウナ消防ノ意味デハ、
中々其ノ火災ノ防止ガ出來ニクイノデ
アリマス、是等ニ對シテ此ノ上トモ防
火線ノ設定デアルトカ、或ハ特殊ナル
事情ニアル所ノ山林火災ノ警防訓練ト
云フコトニ、十分ノ留意ヲ願ヒタイト
思フノデゴザイマス、是ハ希望ニ止メ
テ置キマス
次ニ山林局長ニ御尋ネシタイノハ、
是ニ先程吉田委員カラモサウシタ意味
ノ御話ガアリマシタガ、緊迫シタ食糧
事情下ニ於キマシテ、私ハ落葉ヲ拾フ
ト云フヤウナ意味合カラ、山ノ栗ト云
フモノガ食糧價値トシテ相當ナモノデ
アルト思フノデアリマス、山ノ栗ノ實
ト云フモノハ、古來國民ニ親シマレテ
居ルモノデアリマシテ、又アノ味ヒト
言ヒ、主要食糧ニ代替致シマシテモ申
分ノナイ價値ノアル存在ダト思フノデ
アリマス、是ハ生栗デヤリマスト、米
麥ニ混用スルコトモ勿論十分出來マス、
之ヲ又乾燥シマシテ勝栗ニ造リマスレ
バ、是ハ昔カラ勝果ト云フ緣起物トシ
テ扱ハレテ居リマスガ、此ノ價値ハ又
格別貴重ナモノダト思フノデアリマス、
殊ニ斯カル空襲下ニ於テ防空食糧ト云
フカ、待避壕ニ入ツテ避難スルヤワナ
場合ニ於テモ、勝栗ノ二合、三合ヲ持
ツト云フコトハ、或ハ一日分ノ食糧ニ
堪へ得ルト思フノデアリマス、斯ウシ
タ落葉拾ヒノ意味ニ於テハ非常ニ價値
ノアルモノデアリ、而モ此ノ栗ノ如キ
ハ山野ニアルノデアリマスカラ、我ガ
國ノ食糧ガ耕地ニノミ依存スルト云フ
考ヘ方ガ彈力性ノナイト云フコトモ、
確カニ考ヘラレルト思フノデアリマス、
山林ニ斯カル資源ガアルト云フコトハ、
マサカノ際ノ非常ナ彈力デアル、斯樣
ニモ考ヘマスガ、近來木材ノ增產或ハ
薪炭ノ增產ト云フヤウナ情勢ニ迫ラレ
マシテ、勢ヒ栗ノ木ヲ伐採スルコトガ
相當過度ニナツテ居ル、栗ノ如ク材ト
其ノ實トヲ兩方ニ活用ノ出來ルヤウナ
モノハ、食糧資源トシテ相當ニ保護ヲ
加ヘルベキデアルガ、其ノ保護ノ狀態
ハ遺憾ナガラ私ハ完全デナイヤウニ思
フ、此ノ點ニ對シテ山林局長ノ御所見
ヲ承リタイト思フノデアリマス、又栗
ハ十九年度ノ如キハ相當豐作デアツタ
ノデアリマス、私ハ中部地方デアリマ
スルガ、中部地方ニ於テハ栗ノ豐作ニ
依ツテ、獨リ農家ノミナラズ、附近ノ
非農家ナドハ〓糧ヲ非常ニ緩和サレテ
居ルト云フ事實ヲ見ルノデアリマス、
其ノ證據ニハ栗ノ闇ガ非常ナ高値ヲ以
テ盛ンニ賣買ガ行ハレタト云フヤウナ
コトカラシマシテモ、栗ノ實ハ都市ニ
向ツテ相當ニ流レテ居ルト云フコトモ
事實デアリマス、林產物ノ主要ナルモ
ノデアリマスル所ノ栗ノ實ノ量ノ何カ
ハツキリシタモノガナケレバ、推算的
ノモノデモ結構デアリマスガ、凡ソノ
見込ヲ御知ラセ願ヒタイノデゴザイマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=37
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038・鈴木一
○鈴木(一)政府委員 御話ノ栗ノ木ヲ
食糧政策ノ上カラ云ツテモ、モウ少シ
保護ヲスベキデハナイカト云フ御尋ネ
ニ對シマシテハ、現狀カラ申シマスト、
栗ニ對シマシテハ御指摘ニナリマシタ
ヤウニ、特別ニ食糧增產ト云フ意味カ
ラ保護ヲ致シテ居リマセヌ現狀デゴザ
イマス、唯山村ニ於キマシテハ栗デア
ルトカ、栃デアルトカ、其ノ他凡ユル山
ノ資源ヲ食種ニ供スルト云フ意味デ、
之ノ利用ニ付キマシテハ相當努メテ居
ル譯デアリマスガ、政府ノ方デ取上ゲ
マシテ、特ニ是等ニ對シテ保護ヲ與ヘ
ルト云フ所マデハ參ツテ居リマセヌ、
之ニ對シマシテ差當リマシテハ、接木ヲ
致シマシテ、栗ノ實ヲ食糧ニ充テルト
云フ、栗ノ增產ト云フ方面ニ付キマシ
テハ、今後勞力其ノ他學徒動員等ノ方
面デ御協力ヲ願ヒマスレバ、相當ナ效
果ハアラウト思ハレルノデアリマス、
此ノ接木ノ材料ニ付キマシテハ、我々
ノ方ト致シマシテハ相當ナ凖備ハ出來
ルモノト思ハレマスルガ、御話ノヤウ
ニ、是等ニ對シマシテ當然考ヘナケレ
バナラヌ時期ニ至ツテ居ルト思ヒマス、
ソレカラ栗ノ量カドノ位アルカト云フ
御話デゴザイマスガ、實ハ所謂巣園ト
シテ栗ヲ採集シテ居リマス量ハ相當ア
ラウト思ヒマスガ、山村ノ方ニドノ位
栗ガアルカ、栗ノ實ヲ從來ドレ位取ツ
テ居ツタカト云フコトニ付キマシテハ、
我々ノ方ト致シマシテ何等資料ガナイ
ノデゴザイマス、出來ルダケノ資料ヲ
集メタイト思ツテ居リマスガ、數字的
ニ御答ヘヲ致シマス程度ニ纏マツテ居
リマセヌコトヲ遺憾ニ存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=38
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039・土屋源市
○土屋(源)委員 推定的ナ數ダケデモ
承リタイノデアリマスガ、其ノ數ノ推
定モ出來ヌト云フコトデアリマス、是
ハ甚ダ遺憾デアリマス、斯樣ナ食糧事
情ノ緊迫下ニ於テ、栗ノ如キ、或ル意
味ニ於テハ非常ニ貴重ナ存在ダト思ヒ
マスルガ、一ツ早ク大體ノ數位ハ調ベ
テ貰ヒタイト思ヒマス、ソレカラ先程
御話ノ接木ノ方法ニ依ツテ栗ノ栽培ヲ
進メテ行カウト云フ御話デアリマスル
ガ、甚ダ結構ナコトデアリマス、桃栗
三年ト言ヒマシテ、栗ハ非常ニ早ク結
實スルモノデアリマスカラ、戰爭長期
化ニ伴ヒマシテ、斯カル施策モ今日執
ルベキ必要ガアラウト思ヒマス、六百
萬農家ガ十本ヅツノ栗ヲ養成致シマシ
テモ、六千萬本ノ栗ガ得ラレルノデア
リマス、假ニ一斗ヅツナルト致シマス
ト、六百萬石ト云フ栗ガ出來マス、之
ヲ保管ノ最モ出來易イ勝栗ニ致シマス
レバ、大體三升ヲ以テ一升ノ搗栗ガ出
來ルノデアリマスカラ、二百萬石ト云
フ勝栗ガ出來ル計算ニナリマス、今日
ノヤウナ事態ニ臨ンデ政府ハ大イニ計
畫的ニ將來ヲ考ヘナケレバナラヌデハ
ナイカト、斯樣ニ考ヘルノデアリマス、
ドウカ恒久的ナ計畫ヲ御願ヒシタイト
思ヒマス、之ニハ大シタ勞力ハ要リマ
セヌ、靑年學校ノ生徒ナドニ接木法ヲ
〓ヘマシテ趣味的ニヤラセマスレバ、
一戶當リ十本、二十本ノ栗ノ養成ノ如
キハ易々タルコトデアリマス、道ハ近
キニアルノデアリマスカラ、ドウカ斯
ウ云フ點ニ御留意ガ願ヒタイト思ヒマ
ス
山林局長ニ對スル質問ハ此ノ程度ニ
シマシテ、以下農政局長ニ御尋ネシタ
イト思ヒマス、ソレハ家畜ノ增殖、殊
ニ有畜農業ハ國モ非常ニ力ヲ入レテ增
殖ヲヤツテ居ラレルノデアリマスルガ、
此ノ有畜農業ノ實施上一番至雜ナ問題
ハ、飼料ノ問題デアリマス、飼料ノ點
ニ於テ其ノ目的ヲ達シ難イ現狀ニアル
ト思フノデアリマスルガ、殊ニ又都市
輓牛馬、或ハ軍需ノ急速ナル要求ニ應
ズル爲ノ「カゼイン」ノ增產、其ノ爲ニ
ハ乳牛ノ飼料、斯樣ナコトガ特ニ戰局
下ニ於テ要請サレテ居ルノデゴザイマ
スルガ、最近ノ飼料事情竝ニ二十年度
ノ見透シニ付テ大體承リタイト存ジマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=39
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040・西村茂生
○西村政府委員 畜產ノ指導奬勵ノ根
本ハ飼料ニアルノデアリマスガ、飼料
ハ滿洲等ノ輸入飼料ガ非常ニ激減ヲ致
シテ居リマシテ、是ハ濃厚飼料ヲ主ト
シテ配給スルコトニ致シテ居ルノデア
リマスガ、併シ此ノ計數上ノコトハ、
餘リハツキリ申上ゲルコトハ困難デア
リマスケレドモ、大體所要ノ四分ノ三
位ナ程度ノモノガ供給シ得ルト云ツタ
ヤウナ狀態デアリマス、隨テ其ノ不足額
ヲドウ云フ風ニスルカト云フコトハ非
常ナ惱ミデアルノデアリマス、政府ガ
統制飼料トシテ配給致シマスル所ノモ
ノハ、都市ニ於ケル輓牛馬又乳牛、種
畜、此ノ三ツノモノニ重點ヲ注イデ飼料
ノ配給ヲヤツテ居ルノデアリマシテ、
其ノ他ノモノハソレ〓〓自給ヲシテ貰
フト云フヤウナコトデ、農家等ニハ
ソレ〓〓作付反別ノ割當モアリマスケ
レドモ、農家ハ飼料ヲ出來ルダヶ自給
シテ貰フ、斯ウ云フ方針デヤツテ居ル
ノデアリマシテ、飼料ノ狀態ハ中々困
難ナ事情ニアル譯デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=40
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041・土屋源市
○土屋(源)委員 大變抽象的デ十分納
得シ兼ネルノデアリマスガ、飼料事情ハ
要スルニ非常ナ困難ヲ來スデアラウト
私共想像スルノデアリマス、殊ニ南方
ヨリ相當額入ツテ居ル所ノ玉蜀黍ノヤ
ウナモノハ、恐ラク將來期待出來ヌデ
ハナイカト思フ、サウ云フコトヲ考ヘ
マス時、又現在都市ノ輓牛馬ニハ、成
程只今御話ノヤウニ飼料ガ配給ニナツ
テ居リマスケレドモ、其ノ一日量タルヤ
私ノ知ル所デハ、四「キロ」半カ五「キロ」
ニ滿タヌモノデアラウト思フノデアリ
やっ、又乳牛ニシテモ二「キロ」ヵ二
「キロ」半程度ノモノデハナイカト思
フ、ホンノ言譯ニ飼料ヲ配給シテ居ルゾ
ト云フ形デアリマス、斯樣ナ事情デア
リマスルカラ、今日戰力增强上非常ナ
大キナ障碍トナツテ居リマスル小運送
ニ從事シテ居ル所ノ輓牛車ノ狀態ヲ見
マスルノニ、其ノ輓牛馬ガ都市ニドノ
位居リマスカ、牛馬合セテ十萬頭カ十
一萬頭シカナイト思フノデアリマス、
其ノ十一萬バカリノ輓牛馬ガ飼料不足
ノ爲ニ、實際ニ於テハ半バシカ働イテ
居ラヌト云フノガ、今日ノ實情デアル
ト思フノデアリマス、御承知ノ通リ、
小運送ハ賃金ガ非常ニ高イノデアリ
マイク、或ハ一日ニ百五十圓、二百圓
ト云フヤウナ賃金ヲ貪ツテ居ルノデア
リマスガ、彼等ニシテ見マスレバ、飼
料ガアリマセヌカラ、之ヲ每日働カス
譯ニハ行キマセヌ、ソコデ一日働クト
一日休ム、或ハ數日休ムト云フモノモ
出來ルノデアリマス、其ノ間ニ飼料ノ
買集メヲスルトカ、或ハ其ノ飼料ハ非
常ナ高價ナル闇ニ依ツテ之ヲ得ルト云
フヤウナ實情ニアリマスカラ、折角輓
牛馬ノ數ガ十一萬アリマスケレドモ、
働クノハ其ノ半バデアル、故ニ小運送
八盛、逼迫ノ一途ヲ辿ツテ居ルノデア
リマス、是ガ都市ヲ初メ一般小運送ノ
面ニ於テ、非常ナル障碍トナツテ、戰
力ニ大ナル影響ヲ來シテ居ルコトハ御
承知ノ通リデアリマス、今日飼料ヲ相
當豐富ニ配給シテ、是等ノ活用ヲ全般的
ニ行ヒマスナラバ、今日ノ小運送ノ狀
態ハ、倍或ハ倍以上ノ能力ガ發揮出來
ルト思フノデアリス、斯ウ云フ〓點カ
ラ見マシテ、ナイモノハ仕樣ガナイト
云フ結論ニナリマスガ、是ハ過日豫算
總會ニ於テ、豫算委員デアリマス西川
委員カラ、飼料源トシテ米ノ搗精度ヲ
高メテ、米糠ヲ飼料ニ廻ハシタラドウ
カ、實際ニ於テ實情ヲ見ルト、馬或ハ
牛ノ飼料ノナイ爲ニ、實ハ農家ハ麥ヲ
出シ惜シンデ居ル、サウシタ麥ヲ出シ
惜シンデ居ル一面ニ於テ、糠ハ玄米ト
シテ生產ヲシナイ、斯ウ云フ矛盾ハイ
カヌデハナイカト云フ質問ニ對シテ、
農商大臣ハ、玄米食ノ可否ハ別トシテ、
差當リ甘藷ニ糠ガ必要ナノデ、實ハ甘
藷增產上揭精度ヲ高メテ、其ノ糠ヲ甘
藷ニ使フコトニシタ、飼料問題ニシテ
モ、其ノ必要度ニ依ツテハ斯カル處置
ヲ講ズルカモ知レナイト云フヤウナ、
非常ニ含ミノアル答辯ガアツタノデア
リマス、私ハ此ノ都市輓牛馬、或ハ飛行
機增產上最モ大切デアル「カゼイン」增
產ノ爲ノ乳牛ノ飼料、斯樣ナ點ヲ考ヘ、
又濃厚飼料ノ海外カラノ輸入困難ナル
事情ナドノ關係ヲ考へ合セマス時ニ、
正ニ甘諸ト同ジヤウナ必要度ガ飼料ノ
面ニ於テモアルノデハナイカト考ヘル
ノデアリマスガ、農政局長ハ此ノ飼
料問題ノ重要性カラ考ヘマシテ、左樣
ナ認識ヲ御持チニナリマスカドウカ、
御所見ヲ承リタイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=41
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042・西村茂生
○西村政府委員 飼料ノ需給狀況ニ付
テハ、抽象的ニ申上ゲテ甚ダ恐縮デアリ
マスガ、何レモ機密ノ數字ニナツテ居
リマスノデ、極ク大雜把ナ割合ヲ申上
ゲタノデアリマス、飼料ノ問題ガ甚ダ
深刻テアルト云フコトハ、旣ニ十分御
承知ノコトト思フノデアリマシテ、
ソレニ對シマシテハ、私共モ及バズナ
ガラ色々處置ヲ致シテ居ルノデアリマ
ス、昨日モ他ノ委員ノ御質問ニ對シテ
色々申上ゲタノデアリマスガ、結局自
給的ナ飼料ヲ此ノ際增產ヲシテ戴クヨ
リ外方法ガナイノデアリマシテ、昨年ノ
秋冬ノ綜合作付計畫ニ於キマシテモ、從
來ノ主要作物ハ三萬町步カ四萬町步程
度デアツタモノヲ、一擧ニ十一萬三千
町步ニ增加致シマシテ、主要作物ヲソ
レゾレ增殖ヲシテ貰フコトニ致シマシ
タ、而シテ之ニ對シテ燕麥其ノ他ノ種
子ノ二分ノ一ノ助成ヲシテ、本格的ニ
種子ノ配給ヲスルト云フヤウナコトヲ
致シテ居リマスシ、又「サイロ」ノ增設テ
アルトカ、或ハ藁ノ處理ノ方面ニモ非
常ナ力ヲ注ギマシテ、東北地方ニ於テ
ハ、冬期ノ所謂未作付ノ土地ニモ作付ヲ
增加シテ貰フヤウニ、又牧野其ノ他ノ
土地ニモ燕麥其ノ他ヲ植付ケテ貰フヤ
ウニ、非常ニ力ヲ注イデ居ルノデアリ
やく、ソレニ致シマシテモ、只今御述
ベニナツタヤウニ、都市ノ輓午馬、乳
牛等ニ對スル飼料ハ非常ニ不足ヲ告ゲ
テ居ルノデアリマス、輓牛馬ハ近來非常
ニ增加シテ居ルノデアリマシテ、都市ノ輓
牛馬ト乳牛ニ對シマシテハ、特ニ六大都巾
ニ於キマシテハ、消費量ノ大體八割ハ確保
致シテ居ルノデアリマシテ、輓牛馬ノ
方ハ、六大都市等ニ於テハ比較的宜ク
行ツテ居ルノデアリマスガ、乳牛ニ對
シマシテハ七、八割ノ所デ、飼料ガ少
イ爲ニ乳ノ出方ガ非常ニ少イト云フノ
デ、東京、大阪方面ニ於テハ牛乳ノ
不足ヲ告ゲテ居ルノデアリマス、是等
モ乳牛業者ガ都市ノ周邊ニ移リマシテ、
其ノ不足ノ部分ハ自給ノ飼料ニ依ルト
云フヤウナコトヲヤツテ居ルノデアリ
マシテ、是等ニ對シマシテモ極力援助
ヲ致シテ居ルノデアリマス、御述べニ
ナリマシタ小糠ノ問題ニ付キマシテハ、
是ハ地方ニ於テハ農家ガソレ〓〓家畜
ノ飼料ニモ使ツテ居ルノデアリマスガ、
大都市等ニ於ケル米ノ精白度ノ關係ニ依
リマシテ、小糠ガ相當得ラレルナラバ、
都市其ノ他ノ家畜ニ對スル飼料ハ非常
ニ裕リガ出來ルコトニナルノデアリマ
ス、併シ是ハ御承知ノ通リ、結局主要
食糧トノ關係ニ依ルノデアリマシテ、
精白度ヲ非常ニ高メマスナラバ、ソレ
ニ依ル〓糧ノ不足ヲ他ノ食糧ヲ以テ又
補ツテ行カナケレバナラナイト云フヤ
ウナコトニナルノデアリマシテ、現在
ニ於テハ家畜ノ食料ヲ人間ガ上前ヲ刎
ネテ居ルヤウナ狀態ニナツテ居ルノデ
アリマス、是等ニ付テハ肥料等モ、有
機肥料ニ付テハ一遍家畜ノ腹ヲ通シテ、
之ヲ堆〓肥トシテ用ヒルヤウニシテ、
ソレニ依ツテ家畜ノ增產ヲ圖リ、食糧ノ
增產ヲ圖ルト云フヤウナ方針モ執ツテ
居ルノデアリマスガ、小糠ノ問題ニ付
テモ、ソレガ乳牛用トナツテ乳トナレ
バ、ヤハリ食糧ノ關係ニモ出テ來ルノ
デアリマス、是ハ一般ノ〓糧事情トノ
關係ニモ依ルコトデアリマスケレドモ、
其ノ點ハ一般ノ〓糧事情、或ハ甘藷ノ
增產ノ見込等色々ナ點ヲ考ヘマシテ、
家畜ノ增產モヤハリ食糧ノ問題デアリ
マスノデ、兩方ノ睨ミ合セニ依リマシ
テ十分善處シテ參リタイト云フコト
デ、將來ニ付テモ十分〓究ヲ致シテ居
ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=42
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043・土屋源市
○土屋(源)委員 次ニ一ツ御伺ヒシタ
イノハ、朝鮮牛ヲ移入シテ、日本ノ農
村或ハ都市ノ輓牛トスルト云フヤウナ
コトガ從來行ハレテ居ルノデアリマス
ルガ、最近船腹ノ關係其ノ他色々ナ事
情デ、非常ニ移入困難ナ實情ニアルト
思フノデアリマス、政府ニ於テハ斯樣
ナ買付ノ困難、或ハ移入ノ困難ナドヲ
突破シテ、從來通リ朝鮮牛ヲヤルト云
フ御考ヘガアルカ、アルトスレバ、ド
ノ位ノ程度ノ計畫量ヲ持ツテ居ラレル
カ承リタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=43
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044・西村茂生
○西村政府委員 朝鮮牛ニ付キマシテ
ハ、是ガ比較的飼ヒ易イノト、農家ガ
役畜トシテ使フニハ非常ニ便利デアリ
マスノデ、今後モ引續キ極力朝鮮カラ
移入ヲ圖リタイト思ツテ、具體的ノ折
衝ヲ致シテ居ルノデアリマシテ、昭和
十九年度ニ於テモ約五萬頭近クノ朝鮮
牛ヲ入レタノデアリマスガ、今後モ之
ニ劣ラナイ數字ヲ、運送其ノ他ノ困難
ヲ排シテ移入ヲスルト云フ計畫ノ下ニ、
進メテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=44
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045・土屋源市
○土屋(源)委員 私ハ現在ノ農家勞力
ノ不足ノ上カラ考ヘテモ、又小運送ナ
ドノ關係カラ言ウテモ、斯カル朝鮮牛
ノ活用ト云フコトハ結構デアリマスル
ガ、併シナガラ日本ニハ朝鮮牛ト同ジ
ヤウニ、農家ガ使ヒ、或ハ車ヲ挽カセ
ルニハ申分ノナイ和牛ト云フモノガ二
百萬頭、或ハソレ以上カモ知レマセヌ
ガ居ルノデアリマス、僅カナ朝鮮牛ヲ
萬難ヲ排シテ御入レニナルコトモ、非
常ニ御苦勞ナコトデアリマスルガ、ソ
レハ實ニ僅カナモノデアル、之ヲ以テ
本當ニ農家ノ勞力ノ緩和ヲ圖リ、或、
小運送ノ問題ヲ解決スルニハ足ラヌノ
デアリマス、寧ロ我ガ國ノ二百萬頭ノ
和牛ト云フモノガ、農用役用ノ爲ニ存
在シテ居ルノデアリマスカラ、之ヲ十
分ニ活用スルコトガ、當然デハナイカ
ト思ヒマス或ハ朝鮮牛デナイト仕事
ヲシナイトカ、使ヒニクイ、性質ガ良
クナイト云フヤウナコトヲ聞クノデア
リマスガ、是ハ飛ンデモナイコトデア
リマシテ、寧ロ朝鮮牛ノ分布狀況ヲ見
マスルト、朝鮮ニ近イ所ノ九州、中國
アタリデハ、和牛ヲ使ツテ居ルノデア
リマス、比較的牛ノ產地ニ緣遠イ所ノ
北陸デアルトカ、關東、東北ノヤウナ
所ノ、新シイ牛ノ飼育地ニ向ツテ朝鮮
牛ガ非常ニ持囃サレテ居ルノデアリマ
ス、是ハ曾テ不景氣ナ時ニ、朝鮮牛ノ
捌ケ口ヲ朝鮮牛ヲ扱フ商人ガ盛ンニ宣
傳シタモノデアリマス、朝鮮牛ニアラ
ズンバ、牛ヲ使フコトガ出來ヌヤウナ
宣傳ヲ盛ンニヤツタノデアリマス、此
ノ誤ツタル宣傳ガ全國ヘ瀰漫シマシテ、
使フナラ朝鮮牛ダト云フ觀念ヲ植付
ケ、比較的幼稚ナ畜產地ニ其ノ聲ガ高
イノデアリマス、論ヨリ證據、最モ朝
鮮牛ヲ能ク知ル所ノ九州アタリデハ
殆ド皆地方產ノ和牛ヲ使ツテ居ルノデ
アリマス、和牛ノ中ノ牡牛ナドヲ去勢
シテ使ヒマスレバ、朝鮮牛ヨリモウン
ト力ガ出ル、又性質ノ點ニ於テモ、去
勢シテ使ヘバ何等差支ヘナイノデアリ
マン、斯樣ナ立派ナ牛ガ日本ニ二百萬
頭モアル、此ノ船ノナイ時ニ、鐵道ノ
輸送ノ困難ナ時ニ、萬難ヲ排シテ是非
トモ前年位ノ數ヲ入レヨウト云フ御考
く、私ハ根本的ニ間違ヒデアルト思
フ、朝鮮牛ノ移入ノ現在ノ狀況ハ、農
政局長モ御承知ト思ヒマスガ、非常ニ
困難デアル、產地ノ朝鮮ニ於ケル買付
ガ非常ニ困難デアル、寧ロ朝鮮ノ牛ハ、
我ガ國カラ滿洲開拓ニ出テ居リマスル
此ノ開拓農民ニ差向ケルベキモノデア
ツテ、滿洲カラノ希望ガ非常ニ强イノ
デアリマス、而モ御承知ノ如ク、朝鮮
カラ日本ニ出ルト云フコトニナレバ、
檢疫ヲ受ケナケレバナラヌ、買付困難
ナル上ニ、釜山デ檢疫ヲ受ケ、更ニ又
下關ニ於テ檢疫ヲ受ケルト云フ二重ノ
檢疫ガ要ル、相當ノ期間ヲ要シ、其ノ
間ノ飼料ガ要ル、其ノ間ニ今日ノヤウ
ナ飼料狀況カラ見ルト、牛ガ衰弱シテ
シマツテ、中ニハ相當斃レルモノモ出
來ル、私ハ確聞デハアリマセヌカラ申
上ゲニクイノデスガ、聞ク所ニ依レバ、
最近ニ於テモ朝鮮牛ノ移入ニ付テハ
數百頭ノ牛ガ餓死シタト云フヤウナ事
情モ聞クノデアリマス、是ハ檢疫ノ爲
ニ非常ナ日子ヲ要シ、或ハ輸送ノ事情
ノ爲ニ待機シテ居ルト云フヤウナ無駄
ナ日數ヲ要シテ居ル間ニ、飼料ノ不足
等カラ衰弱シテシマフト云フコトガア
ル、是ハ從來執ラレタ考ヘ方カラ、役
用ハ朝鮮牛ト云フヤウナ先入主ガアル
爲ニ、斯樣ナコトニナルノデアツテ、
寧ロ二百萬頭ノ和牛ヲ、斯樣ナ意味ニ
於テ活用シ、サウシテ需給ノ關係ヲ適
正ニ按配スルナラバ、是レ程困難ナ時
代ニ於テ、朝鮮牛ノ移入ヲ圖ラナケレ
バナラヌ必要ハナイト思フ、是ハモウ
少シ御〓究ニナリマシテ、速カニ此ノ
切替ヲナサルベキデアルト、私ハ存ズ
ルノデアリマス、或ハ所見ヲ異ニスル
カモ知レマセヌガ、此ノ實情ハ十分ニ
御調査ノ必要ガアルト私ハ思フ、唯是
マデヤツテ居ツタカラヤルノダト云フ
ヤウナ考ヘ方ハ、此ノ決戰下ニ於テ
ハ、思ヒ切ツテ切替ヲナスベキ時デハ
ナイカ、斯樣ニ考ヘマスルガ、是ハ意
見ニナリマスケレドモ、重ネテサウシ
タ事情ニ對スル農政局長ノ所見ヲ質シ
タイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=45
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046・西村茂生
○西村政府委員 土屋委員カラ色々御
述ベニナリマシタガ、現在デハ非常ニ
急激ニ牛ヲ增加致シマシテ、全國五百
五十萬ノ農家ノ內、百十萬戶ガマダ家
畜ヲ持ツテ居ラヌノデアリマシテ、此ノ
百十萬戶ニ向ツテ、コヽ二、三年ノ間
ニ、牛ナリ馬ナリヲ必ズ一頭乃至二頭
持タセヨウト云フコトデ、昨年來大計
畫ヲ以テ進ンデ居ルノデアリマス、昨
年ハ臨時議會ニ於テ協贊ヲ得テ、牛七
萬頭、馬一萬頭ヲ農家ニ導入スルコト
三八、又今年ハ牛十萬頭、馬二萬頭ヲ
導入スルコトニ致シテ居ルノデアリマ
ス、此ノ際朝鮮牛ト云ハズ、內地ノ和牛
ト云ハズ、出來ルダケ之ヲ殖ヤサナケ
レバナラヌノデアリマシテ、朝鮮牛ニ
對スル御質問ガアリマシタノデ、朝鮮
牛ヲ此ノ際極力入レルト云フコトヲ申
上ゲタノデアリマシテ、色々御述べニ
ナリマシタ內地ニ於ケル和牛ノ關係ニ
於テ、之ヲ無視シテ居ル意味ハ一ツモ
ナイノデアリマス、併シナガラ牛ノ增
加ト云フモノハ、中々困難デアリマシ
テ、從來純粹ノ增加ト云フモノハ、精々
十萬頭內外デアリマシテ、今後ハ人
工受精等ニ依リマシテ、內地ノ和牛乳
牛等モ、極力殖ヤサウト云フコトデ、
昨年ノ臨時議會ニ於テモ協賛ヲ得マシ
テ、人工受精ノ方法ヲ全國的ニ普及ス
ルヤウナ方策ヲ執ツテ居ルノデアリマ
ス、內地ノ乳牛トシ、又役畜トシテ兩
方ノ用ヲナス所ノ和牛ヲ、廣ク擴メル
ト云フコトナリ、又牡牛ヲ去勢ヲシテ、
之ヲ農業用ニ使フト云フコトニ付テモ、
極力力ヲ注イデ居ルノデアリマシテ、
食糧ノ關係カラ、牛ハ相當殺サナケレ
バ、增加モ困難デアリマシテ、相當肉
牛トシテヤリタイ積リデアリマスシ、
又和牛ニ付テハ之ヲ廣ク農村ニモ普及
シヨウ、斯樣ナ考ヘ方ヲ持ツテ居ルノ
デアリマス、五萬頭ヤ六萬頭ノ朝鮮牛
ヲ入レタ爲ニ、內地ノ牛ノ增加ガ多少
デモ影響ヲ來スト云フヤウナコトハ
全然ナイト思ヒマスシ、又朝鮮牛ヲ入
レタカラ.ト云ツテ、內地ノ和牛ニ付テ
農政局ガ輕イ考ヘヲ持ツテ居ルト云フ
コトハ全然ナイノデアリマシテ、此ノ
點ハ牛ニ付テハ非常ニ力ヲ注イデ居ツ
テ、現在ニ於テモ內地ニ於ケル牛ノ頭
數ガ二百五十萬頭位ニ上ツテ居ルノデ
アリマシテ、是ハ最近三、四年間ニ、
百萬頭近クノ增加ヲ來シタヤウナ譯デ
アリマシテ、和牛竝ニ其ノ他ノ牛ニ對
スル所ノ私共ノ熱意ハ相當アル積リデ
アリマスノデ、其ノ點ハ一ツ誤解ノナ
イヤウニ御願ヒヲ致シタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=46
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047・高橋熊次郎
○高橋委員長 一寸土屋君ノ只今ノ朝
鮮牛ニ對スル御質問ニ關聯シテ、委員
長カラ補充ノ質疑ヲ致シテ置キタイト
思ヒマス、地方々々ニ依ツテ色々ナ習
慣モアリ、土地ノ農業事情モアツテ、
朝鮮牛ヲ嫌ハレル所モアリマセウ、併
シナガラ東北地方等ニ於キマシテ、寧
ロ改良和牛ヨリハ朝鮮牛ヲ農耕ニ適ス
ルトシテ望ミ手ガ多イノデアリマス、
ソレデ馬ガ少クナツタ補充ニ、改良和
牛ノ稍〓重イモノヨリモ、輕イ敏速ナル
朝鮮牛ノ方ガ宜シイトシテ望ミ手ガ多
イノデアリマス、若シ關西地方デ朝鮮
牛ヲ嫌ハレルナラバ、寧ロ朝鮮ヨリ全
部東北地方ヘ移入サレル方ガ東北人ガ
望ンデ居リマスルカラ、之ニ付テ御考
慮ヲ願ヒタイ、將來サウ云フ時分ガア
リマシタナラバ、御考慮戴ケルカドウ
カト云フコトヲ此ノ場合御伺ヒシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=47
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048・西村茂生
○西村政府委員 御話ノヤウニ家畜ニ
對シテハ色々好ミモアリ、又地方ノ農
業事情モアルノデアリマシテ、從來北
陸トカ東北地方ニハ、比較的朝鮮牛ヲ
希望スル向キモ多イノデアリマシテ、
是ハ地方ノ農業事情、又農民ノ希望其
ノ他ヲ勘案致シマシテ、出來ルダケ地
方ノ希望ニ副フヤウニ善處スル考ヘデ
居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=48
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049・土屋源市
○土屋(源)委員 私ノ意見ニ對シテ可
ナリ委員長ガ補正サレタヤウデスガ、
私ハ朝鮮牛ヲ必ズシモ惡イト言フノデ
ハアリマセヌ、併シナガラ和牛ノ活用
ニ尙ホ殘ツテ居ルモノガアルト思フノ
デス、ソレハ農政局長モ只今御說明ニ
ナリマシタガ、犢ガ大體年ニ四十萬頭
出來マスレバ、牡ガ二十萬頭、半々位
出來ル、其ノ牡ノ實情ヲ見マスルト云フ
ト、牡犢ト云フモノヲ非常ニ粗末ニ
致シテ居ル、比較的早ク屠殺シテシマ
ツテ居ル、肉量ノ充タナイ時ニ、三十
貫四十貫ト云フヤウナ洵ニ幼稚ナ時
ニ、牡犢ト云フモノガ牛ノ役目ヲ果ス
ベキ運命ヲ以テ生レタモノヲ、此ノ牛
ノ一番大切ナ時ニ早ク潰シテシマフ、
肉量カラ言ツテモ勿體ナイコトデアル、
之ヲ相當大キクシテ潰スト云フノガ結
構デスガ、早期屠殺ガ相當多イノデス、
牡ノ大部分ハ早期屠殺ニナツテ居ル、之
ヲ相當ニ去勢シテ、今ノ農耕用トシ、
役用トシマスナラバ、是ハ非常ニ農村
方面ニ大キナ力ヲ致スノデアリマス、
ダカラ其ノ點ニ於テ、私ハ農商省ノ指
導ガ兎角牡ノ早期屠殺ヲヤラザルヲ得
ヌヤウナ狀態デアリ、之ヲ放任セラレ
テ居ル所ニ、只今ノヤウナ不足ヲ來シ、
朝鮮カラデモ無理ヲシテ入レナケレバ
ナラヌコトニナル、朝鮮牛モ良イ所ガ
アリマセウ、併シナガラ和牛ト雖モ之
ヲ活用シマスレバ、確カニ朝鮮ノ牛ヲ
凌駕スルダケノ長所モアルノデアリマ
ス、長年日本ノ牛ヲ改良シタ所以ガソ
コニアルノデス、ダカラサウ云フ早期
屠殺ト云フコトヲ見逃サナイデ、之
ヲ成ベク全生涯ヲ通ジテ十分役立ツヤ
ウナ風ニ畜產政策ヲ持ツテ行クコトガ、
私ハ適當ダラウト思ヒマス、此ノ點私
ノ意見ヲ差加ヘテ置キマス
次ニ又畜產ノ問題デアリマスルガ、
近來牛ノ密殺ガ非常ニ多クナツタコト
ハ事實ナンデス、是ハ何時カ内務省、
司法省ナドノ次官通牒ニ依ツテ、ソレ
ゾレ嚴重ナ密殺取締ノ涌牒ガアツタヤ
ニ聞クノデアリマスルガ、其ノ害績ハ
ドウナツテ居リマスルカ、或ハ取締當
局デアリマセヌカラ、農政局長ニハ十
分御分リガナイカモ知レマセヌガ、農
政局長ニ於テ其ノ後ノ情勢ノ分リマス
點ヲ一ツ御知ラセヲ願ヒタイト思フノ
デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=49
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050・西村茂生
○西村政府委員 密殺ノ問題ハ甚ダ憂
慮スベキ問題デアリマシテ、昨年來司
法當局、內務省ノ警察常局トモ打合セ
ヲ致シマシテ、又農村ニ於ケル牛ノ馬
篶簿ノヤウナモノヲ作ル譯ニハ行キマ
セヌケレドモ、牛ノ在處ヲハツキリサ
セルト云フヤウナコトモ色々考ヘテ居
ル譯デアリマスルシ、尙又牛ハヤハリ
相當食用ノ方ニ屠殺スル必要モアリ
又屠殺場ガ各府縣マダ完備シテ居ラナ
イヤウナ所ガアルノデアリマシテ、是
等ヲ漸次擴ゲテ居リマスガ、食糧ノ關
係上牛ヲ殖ヤス爲ニ、或ル程度屠殺ノ
方モ數多クシテ居ルヤウナ關係モアリ
マシテ、現在ノ所デハ密殺ハ或ル程度
減少シテ居ルヤウニ私共承知致シテ居
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=50
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051・土屋源市
○土屋(源)委員 御承知ノ通リニ牛ガ
肉トシテ、國民ノ生活ノ上ニ蛋白給源
トシテ非常ニ重キヲ成シテ居ルコトハ、
申スマデモナイノデアリマスルガ、其
ノ他最近血液ナリ、或ハ脂肪トカ、或ハ
他ノ臟器等ガ軍需ノ方面ニ非常ナル役
目ヲ果シツヽアルヤニ聞クノデアリマ
ス、サウ云フ時ニ、只今ノ御答辯デ大
體密殺取締ハ或ル程度成績ヲ示シテ居
ルト云フ風ニ見テオイデニナルノデア
リマスガ、ソレデモ尙ホ私共ノ推測
スル所ニ依レバ、相當ナル密殺ガ行ハ
レテ居ル、此ノ密殺ニ依ツテ肉ハ闇カ
ラ闇ヘト活用スルデアリマセウ、ケレ
ドモ皮トカ、或ハ血液トカ、臟器其ノ
他貴重ナル部分ガ葬ラレテ居ルト云フ
コトハ、非常ニ遺憾ナコトデアリマス、
之ヲ明ルミニ出シマシテ、屠場ニ於テ
處理シ、最モ活用スルコトニ依ツテ戰
力ノ增强ニ役立ツノデアリマスガ、是
ハ多少少クナツテ居ルト云フ程度デハ
甚ダ遺憾ナノデアリマシテ、斯カル時
代ニ於テ唯ノ一頭ノ牛ト雖モ、受付中
十分ニ利用ノ出來ルヤウニ持ツテ行カ
ナケレバナラヌト思フノデアリマス、
ソレニハ密殺ノ如キコトハ徹底的ニ取
締ルト云フコトニ一ツ農商當局モ肚ヲ
決メテ、司法省、內務省或ハ厚生省ナ
ドト御協議ナサイマシテ、相當根絕ノ
出來ルヤウナ程度ニ取締ノ勵行ヲ望ン
デ置キタイノデアリマス、私ノ質問ハ
之ヲ以テ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=51
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052・高橋熊次郎
○高橋委員長 土屋君カラ只今牡牛ヲ
早期ニ屠殺スルコトヲ防グ爲メ心配サ
レタ御意見ガアツタノデアリマスガ、
我々モ同感デアリマス、ソレデモウ一
段ト去勢牛ノ値段ヲ上ゲテ、實際ニ肉
トシテハ牝牛ニ勝ルトモ劣ラナイノデ
アリマスカラ、此ノ閣牛ノ値段ヲ上ゲ
ルト同時ニ、豚ニ對シテ臺灣ガヤツテ
居ルヤウナ工合ニ、牡牛ハ全部去勢ス
ルト云フ法律ヲ出サレタラ、或ハ命令
ヲ出サレタラ宜カラウト私ハ思フ、サ
ウスレバ肉ガ良クナル、皮ガ良クナル、
サウ云フ所カラ致シマシテ、私ハ一層
今マデ憂ヘラレテ居ルヤウナ早期屠殺
ダトカ云フコトガナクナルノヂヤナイ
カ、斯ウ考ヘマスガ、之ニ付テ御意見
ヲ拜聽シテ置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=52
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053・西村茂生
○西村政府委員 牛ヲ增加セシムル場
合ニ於テハ、牡ノ犢ニ對シテ特別ナ考
慮ヲ拂ハナケレバナラヌト云フコトハ、
土屋委員モ委員長モ御述ベニナリマシ
タ通リデアリマシテ、肉ノ價格ハ相當
上ゲタノデアリマスルガ、犢ノ價格ヲ
上ゲルコト勿論結構デアリマスケレドモ、
價格ヲ上ゲタダケデソレノ引取方ガナ
イヤウニナツテハ、犢ダケノ助成ニハ
ナラヌヤウナ點ガアルノデアリマシテ、
之ヲ去勢ヲサセテ、犢ガ相當ナ期間大
キクナルマデ飼養サセラレルヤウナ具
體的ナコト、其ノ他ノ關係ニ於テモ特
別ノ考慮ヲ拂ヒタイト思ヒマシテ、此
ノ點ハ尙ホ能ク〓究ヲ致シタイト思ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=53
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054・高橋熊次郎
○高橋委員長 只今ノ御答辯ハ了承致
シマシタガ、私ハ犢ノ價格ヲ上ゲロト
云フノデハナイノデアリマシテ、犢肉
ノ價格、詰リ去勢シタル犢、所謂闊牛
ノ肉ノ價格ヲ十分上ゲテ、サウシテ經
濟ノ引合フヤウニ一段ノ力ヲ注ガレル
ト云フコトト、種牛ニ用ヒザル以外ノ
モノハ全部去勢スベシト云フ法律的ノ
處置ヲ執ラレタラバ、尙ホ一層是等ノ
繁殖ニ都合ガ宜カラウ、斯ウ云フコト
ヲ申上ゲタノデアリマス、ドウゾ御承
知ヲ願ヒマス午前中ハ此ノ程度デ休憩
致シマシテ、午後ハ一時ヨリ開會致シ
マス、尙ホ本日ヲ以テ質疑ハ終局ニ導
キタイト思ヒマスカラ、各位ハ其ノ積
リデ御奮鬪ヲ願ヒタイト思ヒマス、是
デ休憩致シマス
午後零時九分休憩
午後一時二十四分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=54
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055・高橋熊次郎
○高橋委員長 開會致シマス-恒松
君厚生省關係ノ政府委員ニ對スル御
質問ノ殘リヲ此ノ場合御願ヒシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=55
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056・恒松於莵二
○恒松委員 現在地方ノ農村ノ側カラ
見マスト、例ノ職工農家ト云フモノガ
著シク殖エテ來テ居ル、サウシテ又今
後ニ於テ非常ニ激增スル傾向ガアリ
マシテ、今後ヤハリ工場等ガ疎開ニナ
ルトカ云フヤウナ關係ニ伴ヒマシテ、
一層激增スルコトデアラウト思ヒマス、
其ノ點ガ〓糧增產方面ニ付テ非常ニ重
大ナ關係ヲナスノデアリマシテ、所謂
職工農家ト云フコトハ、賃金收入ガ非
常ニ工場方面ハ宜シイ譯デアリマシテ、
賃金ナドニ付テモ相営規制ガヤル筈デ
アリマスケレドモ、ヤハリ工場トシテ
ハ職工ヲ得ル上ニ付テ、又徵用工ヲ得
ル上付テ相當ナ待遇ヲ施シテ居ル、
斯ウ云フヤウナ狀態ニナツテ居リマス、
是ハ賃金ニ違反シテハ居ルケレドモ、
中々是ハ合法的ニ色々ナ部面カラ待遇
ヲ良クシテヤツテ居リマスカラ、勢ヒ
農家トシテモ自己ノ保有米、消費米ヲ
獲得スルト云フ程度デ所謂飯米ダケヲ
得テ、サウシテ其ノ餘分ナ所ハ工場ニ
出テ働ク、斯ウ云フコトニナツテ居リ
マス、サウシテ工場デ賃金ヲ澤山得ル、
斯ウ云フ兩股ヲ掛ケテ居ルノデアリマ
シテ、サウ云フコトニナツテ來ルト食糧
增產モ徹底シナケレバ、工場能率モ徹
底シナイ、農繁時期ニ於テハ工場ノ方
ヲ、病缺トカ何トカ云フ色々ナ理由ニ
依ツテ缺勤スル、サウシテ其ノ間ニ食
糧ノ方ノ仕事ニ携ハルト云フコトニナ
ツテ居リマスカラ、兩股ヲ掛ケルトド
ツチモ完全ニ能率ヲ增進スルコトガ出
來得ナイ、斯ウ云フヤウナ關係ニナツ
テ居リマスノデ、是デ農村ノ方面ニ於
ケル農工ノ勞務ノ調整ト云フモノガ、
非常ニ必要ニナツテ來ル譯デアリマス、
コヽラアタリヲ一ツ調整ヲ巧ク取ツテ
貰ヒタイト思ツテ居リマス、之ニ對シ
テノ御所見ト、ソレカラ同時ニサウ云
フヤウナ關係ハ賃金收入カラ來ル譯デ
アリマスカラ、所謂農工ノ勞銀ノ均衡
化ト云フコトガ最モ必要ニナツテ來マ
ス、此ノ點ニ付テノ御所見ヲ一ツ承ツ
テ置キタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=56
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057・佐伯敏男
○佐伯政府委員 只今農工勞務ノ調整
ノコトニ付テ、實情ニ卽シタ御意見ガ
アリマシタガ、昨日モ此ノ委員會デ申
上ゲマシタヤウニ、戰時農業要員ニ付
キマシテハ徵用シナイ方針デ、明確ニ
ヤツテ居ルノデアリマスガ、御話ノヤ
ウニ段々工場疎開モ進ンデ參リマスト、
農村ノ勞力ニモ影響ガアルノデアリマシ
テ、殊ニ御話ノヤウニ賃金收入等ノ關
係カラ片手間ニ工場ニ出ルト云ヒマス
カ、二重稼働ヲスル者ガ殖エテ來ルノ
ヂヤナイカト云フ御心配ハ、洵ニ御尤
モニ存ジマス、此ノ點ニ關シマシテハ、
政府ニ於キマシテ昨年ノ中頃カラ、所
謂日傭勞務者ノ就勞統制ト云フコトヲ
是非ヤラナケレバナラヌト云フコトデ、
御意見モアリマシタヤウニ賃金規制ト
相俟チマシテ、就勞統制ヲ相當强化致
シマシテ、只今實行ニ移シテ參ツテ居
リマス、其ノ方法ト致シマシテハ各地
方ノ實情ニモ依リマスケレドモ、農村
ノ人々ガ外ノ方面ニ働キニ出ラレテハ
困ル場合、或ハ出テ貰ハナケレバナラ
ナイト云フ時ニ、町村長ニ實情ヲ能ク知
ツテ貰ヒ、之ヲ把握シテ貰フト云フ形
ニ於テヤルノガ一番望マシイト云フノ
デ、サウ云フ方法デ就勞統制ヲ强化シ
テ參ツテ居リマス、御話ノヤウニ二重
稼働ト云フモノハ、兩方ノ能率ニドウ
モ惡イヤウデアリマスノデ、段々サウ
云フ方面ハ是正セラレルノデハナイカ、
斯樣ニ考ヘテ居ルヤウナ次第デアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=57
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058・恒松於莵二
○恒松委員 尙ホ續イテ、是ハ私ノ希
望デアリマスガ、サウ云ツタヤウナ徵
用工トカ、工場ニ必要ナル雇傭關係ニ
付テハ、地方ニ於テハ勤勞動員署ガ專
ラ當ツテ居ル譯デアリマス、多ク動員
署ノ署長ヲ初メ其ノ他ノ人々ノ視界ハ、
所謂工場方面ノミ見ラレタ私見ヲ有シ
テ居ルノデアリマシテ、サウ云フヤウ
ナ關係カラ、ドウモ農村側ノ食糧增產
部面カラ眺メルト云フヤウナコトモ必
要デアリマシテ、是ハ兩方トモ睨ミ合
ハシテ取扱ハナケレバナラヌ問題デア
リマスノデ、ドウカ一ツ今後ニ於テ
ハ-中ニハ相當優良ナ署長モアル譯
デアリマスガ、併シ其ノ多クハヤハリド
ウモ一方的ニ傾キ易イ感ジガアルノデ
アリマシテ、ソコラアタリノ是正方ヲ
厚生省トシテハ一ツ十分力强ク御指導
ヲ願フト同時ニ、此ノ勤勞動員署長ト
云フモノハ今日デハ非常ニ重大ナ仕事
ヲ擔當シテ居リマスカラ、今少シク是
ガ素質ノ向上ニ付テ、是ハ待遇改善ト
云フコトモ伴ウテ來マスガ、素質ノ向
上ト待遇ノ改善等ニ付テハ今一步進ン
デ、少シ立場ノ高イ者ヲ振向ケル、サ
ウシテ此ノ重要ナ仕事ヲ擔當セシムル
ト云フヤウニ一ツ御考へヲ願ヒタイト
思ツテ居リマス、此ノ點ニ付テノ御所
見ダケヲ一先ヅ御伺ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=58
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059・佐伯敏男
○佐伯政府委員 只今恒松委員カラ、
勤勞動員署ノ行政ノ運營ノ問題、竝
之ニ伴フ職員ノ素質ノ改善其ノ他ニ付
キマシテ、剴切ナル御注意竝ニ御激勵
ノ御言葉ヲ戴キマシテ、洵ニ感謝ニ堪
ヘナイ次第デアリマス、御話ノヤウニ
國民勤勞動員署ハ國民勤勞動員ノ第一
線機關ト致シマシテ、洵ニ廣汎ナ權限
ヲ持チ、重要ナ職責ヲ持ツテ居ルモノ
デゴザイマス、是ハ國民勤勞動員署バ
カリデハゴザイマセヌガ、從來此ノ戰
爭ニ入リマシテカラノ勤勞行政ノヤリ
方ハ、ドチラカト言ヒマスト、工場勞
務ト云フモノヲ主眼ニシテヤツテ來タ
憾ミガ實際アツタト私ハ思ツテ居ルノ
デゴザイマス、今日斯ウ云フ情勢ニナ
リマスト、苟クモ國民勤勞動員ハ全般
ノ產業ニ視野ヲ廣ク及ボシマシテ、其
ノ間ノ適正ナル配置ヲシ、管理ヲシナ
ケレバナラヌコトハ御說ノ通リデゴザ
イマス、其ノ意味ニ於キマシテ、今般
制定セラレマス國民勤勞動員令モ、各
產業ニ亙リマシテ適正ナ運營ヲ致スヤ
ウナ仕組デ、我々ト致シマシテハ勅令
ノ制定ヲ致ス心組デゴザイマシテ、將
來御注意御希望ニ副ヒマシテ、十全ナ
ル運營ヲ致シタイト考へテ居リマス、
ソレニ付キマシテハ御說ノヤウニ、現
在ノ國民勤勞動員署ノ素質ナリ待遇ハ
決シテ十全ナモノデハゴザイマセヌ、
從來此ノ國民勤勞動員署長ヲ初メ動員
署ノ職員ハ、ドチラカト申シマスト、
職業紹介所時代カラノ專門家ヲ以テ形
成セラレテ居ルヤウナ形ガアツタノデ
ゴザイマシテ、是デハ私共モ全般ノ產
業ニ視野ヲ及ボスノニ適シナイト云フ
コトヲ考ヘマシテ、昨年ノ暮、從來ノ
地方職業官、地方職業官補ト云フ制度
ヲ改メマシテ、地方事務官竝ニ府縣一
般ト同ジヤウニ屬ヲ以テ之ニ當テルト
云フコトヲ致シマシテ、各方面カラ人
材ヲ採用シ得ル途ヲ開イテ居ルノデゴ
ザイマス、尙ホ御話ノヤウニ勤勞動員
署ノ職員ノ素質モ決シテ十全トハ思ヒ
マセヌノデ、現在中央ニ於キマシテ色
色養成施設、議習施設モ講ジテ居リマ
スルガ、旁へ、待遇改善モ考慮シテ、素
質ヲ十分ニ引上ゲマシテ、御希望ノ點
ニ十分副フヤウニ、我々ト致シマシテ
ハ全幅ノ努力ヲ拂ヒタイ、斯樣ニ考ヘ
テ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=59
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060・恒松於莵二
○恒松委員 洵ニ今ノ御答辯ハ意ヲ得
タモノデ、私ハ滿足致シマス、ドウゾ
サウ云フヤウニ御願ヒ致シマス、最後
ニ私ガモウ一言御所見ヲ承ツテ置キタ
イノハ、動トモスルト工場ノ經營者ト
云ヒマスカ、サウ云フヤウナ方面ニ於
テハ、待遇ヲ善クスレバ能率ガ上ルト
云フヤウナ考ヘ方ヲ多ク持ツテ居ルヤ
ウデアリマス、是ハ農業方面ノ勞働ニ
携ハル所ノ農家ニモサウデアリマスガ、
私ハ所謂收入ヲ多クシテヤレバ、ウン
ト增產方面ニ馬力ヲ掛ケルカト言ヘバ、
强チサウ云フコトバカリニハ行カヌ譯
デアリマシテ、ヤハリ今日デハ精神力
ト云フモノガ基礎トナラナケレバナラ
ヌト云フコトハ是ハ申上ゲルマデモナ
イ、ダカラシテ私ハ此ノ委員會ニ於テ、
當初所謂農兵隊組織ヲ以テ、精神薰育
ト勞務ノ調整ヲ農業方面ニヤリタイト
考ヘテ居ルト云フ意見ヲ出シタノデア
リマスガ、ソレト同樣ニ、ヤハリ工場方
面ニ於テモ賃金ダケ多クナサツテモ能
率ハ上ラヌ、寧ロ多クハ反對ニ參リマ
ス、餘リ收入ガ宜イト人間ガ橫着ニナ
ツテ來ル、斯ウ云フ風ニ反對ニナツテ
來ル、多ク收入ヲ得ルト却テ惰弱ニ流
レテ能率ガ上ラナイト云フヤウナ傾向
ガ、凡ユル方面ニ於テ見ラレ得ルノデ
アリマシテ、斯ウ云ツタヤウナ考ヘ方
ノ工場ノ經營者等ニ付テハ、相當厚生
省トシテハ活ヲ入レテ、モツト精神薰
育ノ下ニ規律正シク能率ヲ增進シテ貰
ハネバナラヌト私ハ思ツテ居リマス、
サウ云フ方面ニ付テノ厚生省アタリノ
指導方針等ニ付テ承ツテ置ケバ結構デ
アリマスガ、私ハソレヲ承ルト同時ニ、
サウ云フモノヲ一ツ强硬ニ工場方面ヲ
指導シテ戴キタイ、斯樣ニ考ヘテ居ル
譯デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=60
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061・齋藤昇
○齋藤(昇)政府委員 只今工場ノ工員
ニ對シテ物質的待遇ヲ善クスルノミデ
ハ能率ガ上ラナイ、寧ロ精神的ナ訓練
或ハ精神的ナ優遇法ヲ考ヘル必要ガア
ルノデハナイカト云フ御意見デアリマ
ス、洵ニ其ノ通リト考ヘテ居リマス、
賃金給與ノ形態自身ニ付キマシテモ、
或ハ所謂刺戟給、能率給ト云フモノニ
重キヲ置クベシト云フ議論モアリ、或
ハ固定給ニ重キヲ置クベシト云フ色々
ノ議論ガアルノデアリマスガ、今日我
我色々〓究シテ見マスルト、御說ノ通
リ、結局收入ヲ增サセルト云フコトデ
ハ能率ハ上リマセヌ、一時或ル程度能
率ガ上ルカノヤウニ見エマスケレド
モ、極ク僅カノ期間ヲ經過致シマスト、
結局能率ハ元ノ通リニ戾ツテ參リマス、
給與ノ形態ト致シマシテハ、結局工員
ガ相當ノ生活ヲ營ムニ適當ナ金額ヲ保
障スルト云フコトガ第一ノ要件デアラ
ウト考ヘマス、隨ヒマシテ我々ト致シ
マシテハ、單ニ給與ヲ增スト云フコト
ニ付キマシテハ、相當ノ抑制ヲ加ヘル
ヤウニ指導ヲ致シテ居ルノデアリマス、
唯或ハ意外ニ御感ジニナルカモ分リマ
セヌガ、今日工場ニ於キマシテハ、必
要ナ要員ハ多クハ徵用或ハ女子挺身隊、
勤報等、國ノ要請ニ依ツテ要員ガ獲得
出來マスル關係カラ致シマシテ、トモ
致シマスルト、勞務者ヲ得ル爲ニ從前
多額ノ給與ヲ支給致シマシタ弊害ガ、
今日ハ逆ニナリマシテ、勞務者ノ日常
ノ生活ニ事缺クヤウナ程度ノ給與シカ
出シテ居ナイ、賃金統制令ニ依ツテ認
メラレテ居ル給與スラモ出サナイト云
フヤウナ工場ガ、相當ニアルト云フコト
ヲ一ツ御含ミ置キヲ頤ヒタイト思ヒマ
ス、給與ト能率ノ關係ニ付キマシテハ
左樣ニ考ヘテ指導致シテ居ルノデアリ
マンク、隨ヒマシテ我々今日一番力ヲ入
レネバナラヌ、又入レテ居リマス點ハ
工場、事業場內ニ於テ工員ガ眞ニ皇國
ノ爲ニ、生產ヲ增强スルト云フコトガ
御國ニ盡ス所以ダト云フ心掛ヲ愈〓、振起
セシメルヤウニ指導致シテ居ルノデア
リマス、御承知ノヤウニ、最近軍需省
ト色々打合セヲ致シマシテ、工場ノ作
業ノ統率組織ヲ確立致シマスルト共ニ、
工場內ニ於テ各統率者、及ビ之ニ統率
サレル工員ノソレ〓〓ノ心構ヘヲ明確
ニ致シマスル爲ニ、勤勞規範ナルモノ
ヲ設ケマシテ、之ニ依ツテ能ク工員全
體ガ一家ノヤウナ氣持ニナリ、上ニ立
ツ生產責任者、生產擔當者ガ能ク部下
ノ痒イ所ニ手ノ屆クヤウニシナガラ、
而モ嚴格ナル規律ヲ以テ、之ヲ統率シ
テ行クト云フヤウナ指導ヲ致シテ居ル
ノデアリマス、今後トモ此ノ精神的ノ
指導、特ニ規律訓練ト云フ點ニ付キマ
シテ、重點ヲ置イテ指導シテ參リタイ、
左樣ニ考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=61
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062・恒松於莵二
○恒松委員 私ハ以上デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=62
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063・高橋熊次郎
○高橋委員長 總務局長所管ノコトデ
吉田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=63
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064・吉田賢一
○吉田(賢)委員 私ハ簡單ニ此ノ法案
ニ對スル質疑ヲ致シタイト思ヒマス、
戴イタ資料ニ依リマスルト云フト、中
央金庫ノ餘裕金ノ使途ニ付キマシテ、
大臣ノ說明竝ニ資料ニ依リマスルト、
社債ガ相當アルヤウデアリマスルガ、
其ノ種類ヲ先ヅ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=64
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065・楠見義男
○捕見政府委員 社債ノ種類ト致シマ
シテハ、內國社債ト外國社債ニ分レテ
居ルノデアリマスガ、外國社債ノ方ハ、
主トシテ滿洲國關係ノ特殊會社ノ社債
デアリマシテ、電々會社ノ社債デアリ
マストカ、其ノ外滿洲ノ特殊會社ノ社
債ヲ持ツテ居リマス、併シ是ハ全體ノ
社債ノ額カラ申シマスト、左程大シタ
數量デナイノデアリマス、大キイノハ
ヤハリ內國社債、內國社債ノ中デ、興
業銀行及ビ戰時金融金庫ノ財源ニ付キ
マシテハ、先般本委員會ノ冒頭ニ申上
ゲマシタ通リデアリマスガ、ソレ以外
ニ更生金庫ノ社債財源ノ外、主トシテ
持ツテ居リマスノハ軍需工業ノ社債
ガ多イノデアリマス、卽チ日本製鐵ノ
社債、或ハ輕金屬會社ノ社債、其ノ他
各種ノ軍需工業ノ社債、斯ウ云フモノ
ヲ持ツテ居ルノデアリマス、其ノ種類
ハ、概ネ二十種類程度ニ上ツテ居リマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=65
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066・吉田賢一
○吉田(賢)委員 過日大臣ノ說明ニ依
リマスルト、社債ノ總顧ハ二十八億圓
ニ及ンデ居ルト、速記錄デ見タヤウニ
記憶スルノデアリマスガ、是ハヤハリ
餘裕金ノ支途ト致シマシテ、非常ニ重大
ナ分野ヲ占メテ居ルノデゴザイマス、
ソコデ御說明ニナリマシタ戰金、更生
金庫等ノ戰時金融機關ヘノ資金、ソレ
カラ軍需會社ト云フヤウニ分レテ居ル
ヤウデアリマスガ、何レモ最モ必要ト
スル方面へノ資金デアラウト考ヘルノデ
ゴザイマスルガ、大體其ノ餘裕金ノ費
途ハ、ドウ云フ方面ニ今後使ツテ行カ
ウトサレルノデアラウカ、是ハ非常ニ
問題ハ大キイト思ヒマス、ト云ヒマスノ
ハ米價ニ付キマシテモ近イ中ニ引上
ゲガアルコトヲ豫想致シマス、サウ致
シマスト、假ニ石四十圓ト云フコトニ
デモナリマスト、推算十數億圓ノ金ガ
當然是ハ外ノ銀行ヘ行カズシテ、村デ
此ノ系統ノ金庫ノ餘裕金ノ方ヘ〓ツテ
行クベキモノデハナイカト思フノデア
リマス、サウ云フヤウナ場合ニ、是ガ
對物流動ト云ツタヤウナコトモ、警戒
スベキハ勿論デアリマスガ、種々論議
サレテ居リマス「インフレ」ノ原因ニナル
ヤウナコトニナツテモイケナイト存ジ
マスノデ、旁ち、非常ニ厖大ナ餘裕金ガ
生ズベキ將來ノ其ノ使途ニ付キマシテ
ハ相當今カラ用意アツテ然ルベキデ
ナイカト思ヒマスノデ、此ノ餘裕金ノ
使途ノ大キナ方針ニ付テ、伺ツテ置キ
タイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=66
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067・楠見義男
○楠見政府委員 現在ノ餘裕金ノ運用
額ハ、大體六十億圓程度デアリマスガ、
其ノ中ノ大キナモノハ、只今御述べニ
ナリマシタヤウニ社債、株式合セマシ
テ約二十八億餘デアリマス、ソレ以外ノ
中デ最モ大キナモノハ、是レ亦先般申
上ゲマシタヤウニ國債デアリマス、國
債ガ二十七億八千萬圓、約二十八億持
ツテ居ルノデアリマス、兩方合セマ
シテ、此ノ餘裕金運用ノ大部分ヲ占メ
テ居ル、斯ウ云フヤウナ情勢デアル譯
デアリマス、只今御尋ネノ今後農作物
ノ價格ノ騰貴等ニ伴ヒマシテ、農村ニ
資金ガ出來テ、ソレガ資金中央集中ノ
行キ方デ參リマスト、結局中央金庫ノ
手持資金ガ多クナリ、隨テ又餘裕金ガ
多クナル譯デアリマスガ、是ガ運用ノ
方針ト致シマシテハ、ドレノミニ限ル
ト云フヤウナコトハ、考ヘラレマセヌ、
ヤハリ我々ト致シマシテハ、先ヅ國
債ノ消化ト云フコトヲ第一ニ考ヘナケ
レバナラヌト思フノデアリマス、ソレ
ト同時ニ、是レ亦今囘法律改正ヲ御願
ヒ致シテ居リマスル一ツノ要點デアリ
マスル興業銀行、或ハ戰時金融金庫等
ノ金融機關ヲ通ジマシテ、一面非常ナ
戰時下ニ於ケル軍需產業方面へノ資金
需要ニ對スル寄與ト云フヤウナコトヲ
考ヘナケレバナラヌト思フノデアリマ
ス、ソレトモウ一ツノ問題ト致シマシ
テハ、一面國策會社ノ統合ノ間題等モ
アリマスガ、農商省關係、農產物關係
ノ國策會社ト云フヤウナモノモ、相當
アルコトハ御承知ノ通リデアリマス、
是等ノ資金運用面モ、結局農村カラ物
ヲ買ヒマス場合ノ資金、是ハヤハリ又
農村カラ來マシタ貯金、是ノ循環利用
ト申シマスカ、斯ウ云フヤウナ方面ニ
對スル貸出ト云フヤウナコトモ相當重
視シテ參リタイ、大體以上ノ三本建デ
アリマスガ、特ニ重點ヲ置キマスノハ
國債及ビ社債、株式、斯ウ云フヤウナ所
ニ重點ヲ置イテ參リタイ、斯樣ニ考ヘ
テ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=67
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068・吉田賢一
○吉田(賢)委員 軍需會社ノ社債ヲ持
ツト云フヤウナ方針ハ、是ハ其ノ企業參
加ト云フヤウナ根本方針デモオアリニ
ナツテ、サウシテ然ルベキモノヲ物色
スルト云フヤウナコトニナルノデアリ
マスカ、サウデナクシテ、或ハ兎モ角
必要デアルカラ政府ガ選擇シテ之ヲ許
ス、左樣ナ趣旨ヲ含マズシテ御許シニ
ナルト云フコトニナルノデスカ、其ノ
邊如何デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=68
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069・楠見義男
○楠見政府委員 軍需會社ニ對スル關
係ハ、只今御述べニナリマシタヤウナ
企業參加トカ、サウ云フヤウナ、意味
デ以テヤルコトハ毛頭考ヘテ居リマセ
ヌ、其ノ方面ニ對スル資金需要ニ付テ
ノ寄與デアリマスガ、其ノ寄與ノ形式
ハ出來ルダケ興業銀行ナリ或ハ戰時金
融金庫ト云フヤウナ、其ノ方面ノ特殊
ノ金融機關ガアル譯デアリマスガ、是
等ノ金融機關ヲ通ジテ寄與スル、斯ウ
云フヤウナ方針デ進ンデ參リタイ、斯
樣ニ考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=69
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070・吉田賢一
○吉田(賢)委員 自作農創定ニ付テノ
資金ハ色々是ハ論議モアルカモ知レマセ
ヌガ、長期固定ノ資金ノ誘導ニナリマ
スルノデ、如何カト議論ハアルカト思
ヒマスガ、兎ニ角農村ノ最モ大キナ資
金需要ノ面ニ付テ、中央金庫ノ餘裕金
ヲ何トカ利用スルト云フヤウナ途ヲ今
後立テヽ行クコトガ一ツノ考ヘ方デバ
ナイカト思フガ、如何デアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=70
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071・楠見義男
○猫見政府委員 自作農ノ創設維持ニ
關スル資金需要ニ對スル中央金庫ノ寄
與デアリマスガ、此ノ點ハ我々ト致シ
マシテモ、出來ルダケ此ノ方面ニ努力
シタイ、斯樣ニ考ヘテ居リマス、唯從
來ノ經緯ハ御承知ノヤウニ、預金部ノ
資金竝ニ勸業銀行ノ資金、ソレカラ農
林中央金庫ノ資金、斯ウ云フモノガ自
作農創定ノ方面ニ流レテ居ルノデアリ
やっ、ドチラカト申シマスト、農林中
央金庫ノ方ハ他ノ預金部資金ナリ、或
ハ勸業銀行資金ノ合計額ニ比較致シマ
スト、ソレ程多クハナイノデアリマス
ガ、併シナガラ一面各方面ノ資金需要
面ノ情勢カラ考ヘテ參リマスト、預金
部ノ資金ナリ或ハ勸業銀行ノ資金ト云
フヤウナモノハ、今後從來以上ニドン
ドン期待出來ルカドウカト云フヤウナ
コトヲ考ヘマスト、必ズシモ我々ガ所
期スル通リニハ參ラナイノデハナイカ、
斯樣ニモ考ヘラレマスノデ、是等ノ不
足スル部分ラ補强ノ意味ニ於キマシテ
モ、農林中央金庫ノ今後此ノ白作農創
定ニ對シマスル貸出ト云フヤウナ點
三、、相當力ヲ入レテ行カナケレバナ
ラヌ、斯樣ニ考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=71
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072・吉田賢一
○吉田(賢)委員 了承致シマシタ、ソ
レカラ第五條ノ出資組合ガ踏分殖エタ
譯デアリマスガ、此ノ出資ノ割合ナド
ハ大體ドウ云フ見常デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=72
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073・楠見義男
○楠見政府委員 現在ノトコロ出資ノ
割合ハ豫定致シテ居リマセヌ、より
マスノハ今囘新タニ認メマスル是等ノ
組合團體ハ、主トシテ經着賦課徵收ヲ
致シマス團體デアリマシテ、從來ノ產
業組合ノヤウニ經濟團體デハゴザイマ
セヌ、隨テ出資能力ト云フモノハ左程
大キイモノデハナカラウト考ヘテ居リ
マス、ソコデ是モ先般申上ゲマシタ所
デアリマスガ、現在ノ所屬團體ガ持ツ
テ居リマス出資日數ト云フモノノ中デ、
出來ルダケ新タニ今囘加入ノ資格ヲ認
メラレマシタ團體ノ希望ニ應ジテ、分
ケテ戴クト云フ風ニ勸奬シテ參リタイ、
斯樣ニ考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=73
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074・吉田賢一
○吉田(賢)桑員 第十五條ノ六號ノ「日
本興業銀行戰時金融金庫其ノ他ノ金融
機關ニ對シ」ト云フ其ノ他ノ金融機關
ハ、ドウ云フ金融機關ヲ御豫定ニナツ
テ居リマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=74
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075・楠見義男
○補貝政府委員 只今ノトコロ國民更
生金庫、ソレカラ商工組合中央金庫、
斯ウ云フヤウナ金融機關ヲ考ヘテ居リ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=75
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076・吉田賢一
○吉田(賢)委員 大體木案ニ對スル質
疑ハ是デ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=76
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077・加藤知正
○加藤(知)委員 私此ノ際政府委昌ニ
一寸御尋ネ申上ゲタイノハ、中央農業
會、全國農業經濟會、農林中央金庫、斯
ウ云フ三本建テノ組織ヲ、之ヲ中央モ
ヤハリ一本建テニシタ方ガ宜イデハナ
イカ、下部組織ガ御承知ノヤウニ一本
建テニナツテ居ルノニ、中央ニ於テハ一二
本建テト云フヤウナ関係ニナツテ居ル
ノデアリマス、殊ニ此ノ金融機關デア
ル中央金庫、之ヲ見マストドウモ總テ
ヲ中央農業會ノ方へ合ハシテシマフ方
ガ宜クハナイカ、斯樣ニ考ヘルノデア
リマス、貴族院ノ此ノ農林中央金庫法
中改正法律案委員會ニ於キマシテ、楠
見政府委員ニ對シテ片倉委員ガ、貯金
ノ情勢ニ付テ尋ネラレタノヲ讀ンデ見
マスト、益〓其ノ感ヲ深ウスルノデア
リマス、私之ヲ一寸朗讀致シマスガ、
片倉委員「此ノ貯金增加趨勢ト云フ表
ヲ拜見致シマスガ、是ハ市町村ト都道
府縣ト中央金庫トハダブルヤウナコト
ハナイノデアリマスカ、ダブルト申シ
マスカ、詰リ市町村ノ農業會ノ分ガ中
央金庫ニ來ルノヲ預金ニシテアルト云
フノハナイノデセウカ」楠見政府委員
ノ答「御答へ致シマス、御尋ノヤウニ
數字トシテハダブツテ居リマス、下カ
ラ漸次上ノ系統櫸關ニ上ツテ參リマス
ノデ、サウ云フ風ナ関係ニナツテ居リマ
ス」片倉委員「何等カ正味ノ分ハ御分リ
ニナリマセヌカ、正味ノ貯金ト云フヤ
ウナモノ····」楠見政府委員「正味ノ貯
金ハ結局市町村農業會ノ貯金、是ガ正
味ノ貯金ニナル調デアリマス、ソレガ
漸次上ノ方ニ上ツテ參ル譯デアリマス、
基礎ハソコニアルト思ヒマス」斯ウ云
フ御答ヘニナツテ居ルノデアリマス、
斯ウ云フ譯デアリマシテ、之ヲ中央農
業會ニ金融部ヲ設ケテ、サウシテ總テ
ノ經濟關係ヲヤラセルト云フコト、是
ガ最モ單純ニシテ而モ其ノ方ガ便利ガ
多イト思フノデアリマス、デアリマス
カラ徒ラニ斯樣ナ機關ヲ設ケテ農民其
ノ他ノ負擔ヲ重カラシメルヨリモ、寧
ロ統一シテ、餘計ノ費用ノ掛ラナイヤ
ウニスルコトガ本當デヤナイカト斯樣
ニ考ヘルノデアリマスガ、併シ是非之
ヲ三太建)テニシ、農林金庫ハ別ニ之ヲ
設ケテ置カナケレバナラヌト云フ特殊
ノ理由ガアルノデアリマスガ、中央ニ
農林金庫ヲ設ケテ置ケバ何カ農村ノ爲
メ、或ハ農家ノ爲ニ裨益スル點ガアル
ノデアリマスカ、若シサウ云フコトガ
アルナラバ此ノ際ソレヲ伺ツテ置キタ
イト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=77
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078・長野高一
○長野政府委員 只今加藤委員カラ御
指摘ニナリマシタ三ツノ團體ハ、全國
農村ニ對スル指導、經濟、金融ノ各部
面ヲ擔當シテ、ソレ〓〓厖大ナル組織
ノ下ニ專業ノ限界ヲ異ニシテ、職域ニ
邁進致シテ居ルノデアリマス、今是等
ノ團體ガ竝立スルコトニ依ツテ及ボス
弊害ニ付キマシテハ、旣ニ從前カラ度
度論議ガ行ハレテ居ルノデアリマシテ、
此ノ爲ニ冬關係團體ノ首腦部ニ於キマ
シテモ、密接ナル連絡ノ下ニソし〓〓
調整ガ行ハレテ來テ居ルノデアリマス、
ソコデ政府トマシマシテハ更ニ此ノ點
ニ付テハ一層縣來鬥心ヲ以テ、ソレノ
ノ團體ガ各〓ノ使命達成ニ圓滿ニヤツテ
行クコトヲ、座幾致シテ居ルノデアリ
やっ、併シナガラ只今御指摘ニナリマ
シタヤウナ點ニ付キマシテハ、先般來
本議會ニ於キマシテモ或ハ豫算總會、
分科會等ニ於キマシテモ、御熱心ナル
御要求等モアリマスノデ、此ノ點ニ付
キマシテハ十分之ヲ綸討致シマシテ善
處シタイ、斯樣ナ考ヘヲ持ツテ居リマ
ス、更ニ金帥部而特ニ此ノ農林中央金
廣ヲ、中央農業會ニ併合シタラドウデ
アルカト云フ點ニ付キマシテハ、今囘
ノ中央金庫法ノ改正ト相俟チマシテ、
中央金庫ノ使命ト云フモノガ更ニ一層
擴充サレテ行ク點ニ鑑ミマシテ、相當
考慮ヲ要スルノデハナイカト云フヤウ
ナ考ヘヲ、現ニ政府ト致シマシテハ持
ツテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=78
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079・加藤知正
○加藤(知)委員 三團體ガ圓滿ニト云
フ御話デアリマスガ、ソレハサウナク
テハナラヌト思フノデアリマス、私ノ
御尋ネスル要點ハ、詰リ此ノ市町村農
業會ヘ貯金シタモノガ、段々上ニ上ツ
テ中央金庫ノ方ヘ入ルノデアル、ダブ
ツテ居ルノデアル、斯ウ云フヤウナ楠
見政府季員ノ御答辯デアル、大部分ハ
詰リ農業會ノ貯金ナノデアリマスカラ、
何モ別ニ中央金庫ヲ置ク必要モナイノ
デハナイカ、中央農業會ガ金融部ヲ置
イテ之ヲ管理監督シテ、サウシテ其ノ
必要ニ應ジテ各種改良專業ノ施設ニ對
シ貸付ヲスルト云フコトハ十分ナシ得
ルト考ヘルノデアリマシテ、殊更ニ農
林金庫ナント云フモノヲ別ニ拵ヘル必
要ガナイト思フノデアリマス、併シ私
ハ斯樣ニ考ヘマシテモ、中央金庫ナル
モノヲ別ニ設ケテ置ケバ、此ノ點ガ農
村ノ爲ニナル、此ノ點ガ農民ノ爲ニナ
ルト云フヤウナコトガアルナラバ、私
ハハツキリト此ノ席上デ御伺ヒ致シタ
イノデアリマス、此ノ點ヲ私共ノ諒解
ノ出來ルヤウニ御說明ヲ願ヒタイノデ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=79
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080・楠見義男
○補見政府委員 私カラ御答ヘ申上ゲ
やっ、農業方面ノモノダケヲ御覽ニナ
リマスト、只今加藤サンカラ御述ベニ
ナリマシタヤウナ御議論モ一應立ツ譯
デアリマスガ、實ハ御承知ノヤウニ農
林中央金庫ハ、單リ農業國體ダケノ金
融機關デナイノデアリマシテ、勿論其
ノ大キナ部分ハ農業團體デアリマスケ
レドモ、水產業關係ノ團體、中央水產
業會、道府縣水產業會、漁業會、斯ウ
云フヤウナ水產關係ノ團體ニ關スル水
產金融ヲ取扱ツテ居ルシ、更ニ又森林
組合關係ノ全國森林組合聯合會、道府
縣森林組合聯合會、森林組合、斯ウ云
フヤウナ森林組合系統ノ金融モ取扱ツ
テ居リマス、更ニ今囘ハ耕地整理組合
或ハ馬匹組合、日本馬事會、牧野組合、
家畜保險組合、漁業保險ノ組合、斯ウ
云フ風ニ農林、水產業ノ全般ニ亙リマ
シタ金融ノ中樞機關トシテ、特異ノ存
在ノ意義ヲ持ツテ居ルノデアリマス、
隨ヒマシテ是ハヤハリ別箇ノ存在トシ
テ、農林、水產業全般ニ亙ル金融機關
トシテノ存立ノ意味ガアラウ、斯樣ニ
考ヘテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=80
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081・加藤知正
○加藤(知)委員 只今楠見政府委員ノ
仰シヤツタコトハ能ク承知シテ居リマ
ス、私ハ水產ハヤハリ水產ノ方ニ金融
部ヲ置キ、山林ハ山林ノ方ニ金融部ヲ
置キ、又中央農業會ハ中央農業會ノ方
ニ金融部ヲ置ク、ソレデ私ハ宜イト思
フ、ヤハリ同一ノ論旨ノ下ニ-例ヘ
バ中央農業會ト云フモノヲ離レテ別ニ
農林中央金庫ヲ設ケテ置ケバ、是ダケ
ノ利益ガ農村ニアツテ、是レ〓〓ノ利
益ガ農民ニアルト云フコトデナケレバ
ナラヌト思フノデアリマス、水產業モ
同ジコトデ、中央水產業會ノ外ニ別ニ
農林中央金庫ヲ設ケテ置ケバ、是レ是
レノ利益ガ漁村ニアリ、漁師ニアルト
云フコトデナケレバナラヌト考ヘルノ
デアリマス、徒ラニ機關ノミヲ拵ヘテ
國民ノ負擔ヲ重カラシムルト云フコト
ハ、國家ノ爲ニ大イニ考ヘナケレバナ
ラヌコトデハナカラウカ、ト私ハ斯樣ニ
考ヘルノデアリマス、唯此ノ農林中央
金庫ナルモノハ、農業ノ方面バカリデ
ハナク、水產ノ方面ニモ、山林ノ方面
ニモ皆金融上ノ關係ヲ持ツテ居ルカラ
必要ダト云フコトダケデハ、別ニ之ヲ
設ケテ置カネバナラヌト云フ論旨ガ立
タヌト思フノデアリマシテ、ソレデハ
我々ハ諒解ガ出來ナイノデアリマス、
繰返シテ申シマスガ、中央農業會ノ外
ニ農林中央金庫ヲ設クレバ農村ノ爲
メ、農民ノ爲メ、漁村ノ爲メ、漁民ノ
爲メニ是レ〓〓ノ利益ガアルト云フコ
トヲ、ハツキリト私ハ伺ヒタイノデア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=81
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082・楠見義男
○補見政府委員 中央金庫ニ於キマシ
テ各農業團體或ハ水產業團體、山林關
係團體、是ノ中樞機關トシテノ必要ガ
多年論ゼラレタノデアリマス、本帝國
議會ニ於キマシテモ特ニ其ノ問題ガ大
キナ問題トシテ採上ゲラレタノデアリ
マンク、卽チ一面ニ於テ只今御述ベニナ
リマシタヤウニ、農業關係ハ從來產業
組合中央金庫ガアリマシタコトハ御承
知ノ通リデアリマス、其ノ外ニ水產關
係ニハ水產關係ノ水產中央金庫ヲ設ク
ベシ、森林ニハ森林關係ノ中央金庫ヲ
設クベシ、斯ウ云フヤウナ議論ガ一面
アリマシタト同時ニ、大勢トシテノ强
イ御意見ハ、農業關係ノ諸團體ヲ統合
致シマスト同時ニ、金融機關ニ付キマ
シテモ之ヲ一本ノ眞ニ農林水產業全般
ニ亙ル原始產業ノ金融機關トシテ、特
別ニ之ヲ擴充スル必要ガアルト云フ御
意見ガ相當强カツタノデアリマス、此
ノ意味ニ於キマシテ從來ノ產業組合中
央金庫ガ、御承知ノヤウニ水產關係及
ビ農業關係ヲ入レマシテ、今日ノ農林
中央金庫ニナツタノデアリマシテ、是
ハ極ク最近ノコトデアリマス、只今別
別ニシタ方ガ宜イデハナイカト云フ御
議論デアリマスガ、我々ト致シマシテ
ハ先程來申シマスヤウニ、此ノ原始產
業ニ關シマス綜合金融機關トシテノ農
林中央金庫ト云フモノハ、愈〓、今後モ擴
充シテ參リタイト考ヘテ居ルノデアリ
そく、玆ニ其ノ一例ヲ申シマスト、水
產關係ノ方ハ貯金ト致シマシテハ千三
百萬圓程度デアリマスガ、之ニ對スル
貸出ハ七千萬圓、森林關係ノ方ハ貯金
ハ四百萬圓程度デアリマスガ、之ニ對
スル貸出ハ三千百萬圓程度デアリマシ
テ、卽チ此ノ貯金ト貸出トノ差額ト云フ
モノハ、農業關係ノ方カラ賄ツテ居ルノ
デアリマス、斯ウ云フ風ニ農林水ガ眞、
ニ原始產業トシテノ、又綜合金融機關
トシテノ機能ヲ發揮致シマス爲ニハ、
ドウシテモ現在ノヤウニ農林中央金庫
ト云フ態勢デ以テ進ムノガ宜イ、斯樣
ニ考ヘテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=82
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083・加藤知正
○加藤(知)委員 只今ノ御說明デハマ
ダドウモ御尤モトシテ肯定スル譯ニハ
參リマセヌガ、是ハ更ニ〓究致シマシ
テ、他日改メテ御伺ヒスルコトニ致シ
マス、今斯樣ヲ議論ヲシテ居ツテ、更ニ
御尋ネスルノハドウカト思ヒマスガ、
先刻私ハ農商大臣ニ對シテ、蠶作ノ保
險制度ヲ設ケテハドウデアルカト云フ
御尋ネヲシタノデアリマス、ソコデ私
ハドウシテモ此ノ蠶作ノ保險制度ヲ設
ケテ、養蠶業者ヲシテ安心シテ養蠶ニ
從事スルコトガ出來ルヤウニ致サナケ
レバナラヌト云フ考ヘヲ持ツテ居ルノ
デアリマスガ、更ニ其ノ蠶作保險組合
ヲ組織スルト同時ニ、是ガ組合ヲ組織
セシメ、而シテ此ノ農林中央金庫法中
ノ第五條ノ中ニ加ヘルト云フヤウナ御
考ヘガアルカドウカ、此ノ際一寸政府
委員ノ御所見ノアル所ヲ伺ツテ置キタ
イト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=83
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084・楠見義男
○楠見政府委員 便宜私カラ御答ヘ
致シマス、蠶作ノ保險ノ問題ニ付キマ
シテハ、是モ加藤サン能ク御承知ノ通
リデアリマス、隨分前カラ此ノ問題ガ
アツタノデアリマスガ、御承知ノヤウ
ニ、保險制度ト云フコトニナリマスト、其
ノ保險ノ基礎ヲナシマス危險率ナリ、
其ノ他色々ノ基礎ガ必要ナノデアリマ
ス、隨テ普通ノ保險制度ト云フ考ヘノ
下ニ蠶作保險ト云フモノヲ取上ゲマス·
ト、保險危險率ノ算定其ノ他ノ關係カ
ラ致シマシテモ、中々保險トシテ取上
ゲルコトハ難カシイノデハナイカ、寧
口是ハヤルト致シマスレバ、共濟制度
ト云フヤヴナコトデ取上ゲナケレバナ
ラナイノヂヤナイカト云フ風ニ考ヘラ
レルノデアリマス、此ノ共濟制度ト云フ
ヤウナコトニ付キマシテハ、我々トシテ
モ當然考慮シテ行カナケレバナラヌ問
題デアラウト思ヒマス、隨テ保險組合
ト云フヤウナモノガ出來、ソレガ此ノ
農林中央金庫法ノ第五條ニ入ルカドウ
カト云フコトハ、サウ云フヤウナ問題
ガ解決致シマシタ後ニ於テ、我々トシ
テハ考ヘテ行キタイト考ヘテ居リマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=84
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085・加藤知正
○加藤(知)委員 私ノ總務局長ニ對ス
ル質問ハ是デ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=85
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086・高橋熊次郎
○高橋委員長 山田六郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=86
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087・山田六郎
○山田(六)委員 二三御尋ネ致シタ
イト思フノデアリマス、第一ニ斯ウ云フ
問題ニ付テハ、是ハ總務局長デモドナタ
デモ宜シイノデアリマスガ、ソレハ最
近ニ於ケル農業生產意欲ノ變化ト云フ
モノニ付テ、政府ガ御注意ニナツテ居
ルカドウカト云フ問題デアリマス、
昨年アタリカラ戰爭ニ付テノ認識ヲ深
カラシメ、必勝ノ信念ノ下ニ生產ニ邁
進シナケレバナラヌト云フヤウナ氣分
ガ、全國的ニ橫溢シテ居ツタヤウデア
リマスガ、最近ニ至ツテハ、其ノ信念
ニ大分動搖ヲ來シテ居ルノデハナイカ
ト云フ感ジガスルノデアリマス、私共
ハ田舍ニ始終居リマシテ、各農村等ヲ廻
ツテ、始終生產問題ニ對シテノ協議會
等ヲ催シテ居ルノデアリマスガ、最近
ニナツテ參リマスト、サウ云フ點ニ對
シテ非常ナ變化ガアルト思フノデアリ
やっ、ソレハドウ云フ點カラ來テ居ル
カト申シマスト、戰爭ノ結果ガ良カラ
ウガ惡カラウガ、日本ノ兵隊ハ支那ニ
於テ、或ハ「フィリピン」ニ於テ、南洋
ニ於テ「ビルマ」ニ於テ、斯ウ云フヤウ
ナ働キヲシテ居ル、斯ウ云フヤウナ戰
果ヲ擧ゲテ居ル、或ハ斯ウ云フヤウナ
拙イ點モアルト云フヤウナコトヲ常ニ
理解シテ居ツテ、惡ケレバ惡イヤウニ
新タナル憤激ノ下ニ、何處マデモ我々
ノ努力ニ依ツテヤラナケレバナラヌト
云フヤウナ奮發モシテ參リマスシ、良
ケレバ良イヤウニ非常ニ勇氣ガ增シテ
來テ、非常ニ熱心ニ生產意欲ニ努力ス
ルト云フヤウナ傾向ニアリマシタガ、
最近ニ至ツテハ各農村等ヲ步イテ見
マスト、一體戰爭ハドウナルカ、或ハ
「レーテ」島ニ於テ、或ハ「フイリピン」
ニ於テ、或ハ「ビルマ」等ニ於テ日本ノ兵
隊ハ一體何ヲシテ居ルノダラウカ、サツ
パリ此ノ頃戰況ノ發表ガナイ、是マデ過
去ノ例カラ言フト、戰況ノ發表ノナイ
地方ノ戰爭ノ結果ハ必ズ惡イ、デアル
カラ必ズ惡イノデアル、例ヘバ「タラ
ワ」トカ、「サイパン」トカ、各地ノ報
道ガ薄ライデ來ルト、其ノ後ニ來ルモ
ノハ必ズ惡イ、デアリマスカラ此ノ戰
爭ノ樣子ガハツキリ報道サレナイコト
ハ、單リ軍事上ノ問題ダケデナク、農
業方面ノ生產ニ於テモ、又各工場ノ生
產ニ於テモ、非常ニ生產意欲ナルモノ
ニ惡影響ヲ與ヘルノデハナイカト云フ
コトヲ私ハ非常ニ心配サレルノデアリ
せい、是ハ各地ノ農民達ヲ集メテ懇談
會ヲ開イテ見マスト、能ク其ノコトガ.
明カニ現ハレルヤウナ感ジガスルノデ
アリマス、是等ニ於キマシテハ農商省
ノ御當局トシマシテハ、如何ナル御考
ヘヲ御持チニナツテ居リマセウカ、若
シ私ノヤウナ御考ヘヲ持ツテ居ラレル
トシマシタナラバ、之ニ對處スル爲ニ
ハ如何ニスベキカト云フコトニ付テノ
御所見ヲ承リタイト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=87
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088・楠見義男
○捕見政府委員 便宜私カラ御答ヘ致
シマス、戰爭ヲ致シテ參リマスル上ニ
於ケル基盤力ト申シマスルカ、支ヘ棒
ト申シマスルカハ、是ハ勿論皇國農民
デアルコトハ御說ノ通リデアリマス、
又我ガ農村ニハ三千年來傳統ノ農民魂
ト云フモノガアルノデアリマス、此ノ
農民精神ノ振起ニ依ツテ、飽クマデ戰
爭完遂ニ邁進シナケレバナラナイト思
フノデアリマス、特ニ戰局ガ我ニ不利
ニナレバナルダケ、此ノ農民ノ努力、
農民ノ活動ト云フモノニ深ク期待シナ
ケレバナラヌト思フノデアリマス、最
近ノ事象ヲ擧ゲテノ御尋ネデアリマス
ガ、私共ハ必ズシモ農民ニ付テサウ云
フヤウナ不安ノ念ヲ持ツテ居ラナイノ
デアリマス、唯本委員會ヲ通ジマシテ
色々論議セラレマシタヤウニ、此ノ農
民魂ヲ振起シ、又農民ガ眞ニ食糧增產
ニ邁進シ得ル上ニ於テ、色々必要ナ部
面ニ對スル手當ガ足リナカツタリ、或
ハ又之ヲ蔽フ「ヴェール」ヲ掛ケルヤウ
ナ色々ノ支障ガアルト云フコトガ、此ノ
委員會ニ於テモ論議セラレタノデアリ
やっと、勿論我々トシマシテハ、能ク此
ノ戰局ノ情勢ト云フモノヲソレ〓〓ノ
機關ヲ通ジテ農民諸君ニ徹底、シ愈〓以
テ農民ノ重大使命ヲ自覺シテ戴キマス
ルト同時ニ、是ガ精神ノ振起、或ハ農
業增產ノ上ニ於テ色々支障ニナツテ居
リマスル事柄、斯ウ云フモノヲ出來ル
限リノ努力ヲ以チマシテ善處シテ參リ
タイト考ヘテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=88
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089・山田六郎
○山田(六)委員 御意見ノ通リデアルト
スレバ非常ニ宜イノデアリマスケレド
モ、尙ホ斯ウ云フヤウナ問題ニ對シマ
シテハ、政府ハ特ニ御力ヲ加ヘラレ御
配慮ヲ御願ヒ致シタイト思フノデアリ
マス
次ニソレト關聯シテ居ルヤウナ問題
デアリマスガ、各官廳ニ於ケル所ノ生
產ノ奬勵指導ニ對スル御方針ニ付テ承
リタイノデアリマス、ソレガ本當ニ精
神的ニ指導サレテ居ルカドウカト云フ
コトニ付テハ、非常ニ疑ヒガアルノデ
アリマスルガ、極ク近イ例ヲ擧ゲテ言
ヒマスルト、總テニ付テ自己ノ小サナ
範圍サヘ責任ヲ果セバ宜シイト云フ傾
向ガ到ル處ニアルノデアリマス、今政
府ガ數千萬圓ノ金ヲ投ジテ全國ニ堆肥
ノ奬勵ヲヤツテ居リマス、是ハ各地ト
モ盛ンニヤレルダケヤル積リデ皆努力
シテ居リマスガ、此ノ堆肥ニ必要ナル
所ノ堆肥枠ヲ作ラウトシテモ、木材ノ
供給ヲ受ケルコトガ出來ナイ、農政課
·とう、農務課トカ云フヤウナ方面デハ
堆肥ヲ作ルコトハ奬屬ヲシテ、堆肥ノ
枠ガ必要ナコトハ分ツテ居リマスケ.レ
ドモ、是ハ山林課ノコトデアリマスカ
ラ山林課ニ行ツテ交渉セイト言フ、山
林課ニ行ツテ交渉スルト、ドウモ軍需
品デ間ニ合ハヌカラ、ソンナモノハ入ツ
テ居ラヌト言フ、斯ウ云フ情勢デアル、
是ハ一方ノ方デ國ノ大キナ農業政策ノ
一ツトシテ斯ウ云フ事業ヲヤツテ居ル
時分ニハ、サウ云フ方面ニ對シテモ、徹
底的ニヤラナケレバナラヌコトハ當然ダ
ト思ヒマスルガ、一方ノ方デ係ガ違フト
云フノデ閑却サレマスカラ、農家ノ方デ
モヤハリ完全ナ仕事ハ出來マセヌデ
唯堆肥ヲ集メテ來テ其ノ邊ニ積ンデ置
クト云フヤウナ所ガ到ル處ニアル、是
ハ實ニ驚クベキデアリマス、又一面カ
ラ言フト、鎌ノヤウナ小サナ農機具デ
サヘモ、更ニ配給ヲ受ケテ居ナイ農村
ガ到ル處ニアル、ソレハナゼカト云フ
ト鋤先デアラウガ、サウ云フ農具デ
アラウガ、配給申請ヲ出サナカツタカ
ラ其ノ村ニハ配給ヲシナイト云フコト
デアル、サウ云フノヲチヨイ〓〓聽キ
マスルガ、私ハ斯ウ云フコトニナツテ
來ルト、配給申請ヲ出サナカツタ所ヘ
ハ、農業上必要ナコトガ分リ切ツテ居
ル小サナ農具デモ配給シナクテ差支ヘ
ナイノダト云フヤウナコトニナル、サ
ウスルト其ノ町村ハ非常ナル不自由ヲ
シー、古イモノヲ使ツテ居ル、或ハ篤
農家ハ到ル處ヲ駈ケ廻ツテ五圓トカ、
十圓ト云フウナヤ途方モナイ高イ値段
ヲ出シテ、一挺ノ鎌ヲ買ヒ求メテ步ク
ト云フヤウナコトヲ各地方デ見テ居ル
ノデアリマス、是等ニ付キマシテモ、
本當ニ必要ナル農具デアルカラシテ、
彼處ノ耕地ノ反別ハ幾ラアル、或ハ山
林原野ノ反別ハ幾ラアルカト云フヤ
ウナコトハ大體分ツテ居リ、其ノ町村
ニ必要ナル所ノ農具ノ數量ハ大體分ツ
テ居リマスカラ、要求ガアラウガナカ
ラウガ、サウ云フ必要ナ農機具、而モ
極ク小サナ農機具、サウ云フヤウナモノ
ハ到ル處ニ相當ナモノヲ配給スルト云
プヤウナコトニオヤリ願ツタナラバ、
サウ云フヤウナコトガナクナルノデハナ
イカト思フノデアリマス、例ヘバ鋤先
ノ如キモ其ノ通リデアリマス、是モ到
ル處ニ鋤先ガ來ナイト云フノデ、殆ド
農耕ガ出來ナイ、偶.來タト云ツテモ型
ガ合ハヌデ使ヘナイ、鎌ノ如キモ地方
ノ狀況ニ依ツテ六寸ノ鎌ヲ使ツテ居ル
所モアルシ、或ハ七寸ノ所モ、八寸ノ
所モアル、ソレヲ大小構ハズ配給サレ
テシマフカラ、使ヒニククテ困ツタト
云フ例モ到ル處ニアルノデアリマスガ、
是等ニ付テハ、今ノ增產態勢ニ必要ナ
ル所ノ堆肥枠ニシロ、或ハ小サナ必要
缺クベカラザル農機具ニシロ、其ノ必
要ナル數量ハ、現ニ其ノ地方ニ於テ分
ツテ分ル筈デアル、デアリマスカラ、
是等ハ必ズ全國的ニ普遍的ニ配給ヲシ
テ下サル、サウシテサウ云フヤウナ分
リ切ツテ居ル農機具ニ對シテハ、農家
ニ不自由ハ掛ケヌト云フヤウナ御方針
ヲ御執リ願ツタナラバ非常ニ宜シイト
思フノデアリマス、一方ニ於テ堆肥ノ
奬勵ヲシ、一方ノ方デハサウ云フ機具
ニ付テ係ガ違フ、或ハ地方ノ木材會社
ニ要求シテモ到底其ノ要求ニ應ズルコ
トガ出來ナイト云フヤウナコトデ、現
ニソレガ爲ニ完全ナ積ミ方ニナツテ居
ナイ町村ガ澤山アルノデアリマス、是
等ニ對シマシテモ中央ニ於テハイザ知
ラズ、地方ニ於ケル官吏ノ間ニ、之に
依ツテ生產ノ增加ヲ圖ルノダ、其ノ目
的ヲ達スル爲ニハ如何ナル努力モシテ
ヤルノダト云フヤウナ觀念ガアツタナ
ラバ、コンナヤウナコトハナイ筈ダト
云フ風ニモ考ヘラレルノデアリマスル
ガ、サウ云フ點ニ對シマシテ尙ホ一段
ノ御督勵ヲ御願ヒ致シタイト思ヒマス
ルガ、今後ノ御方針或ハ現在ノ各地ノ
狀況等ニ付キマシテモ、御意見ガオア
リニナレバ、此ノ機會ニ御聽キ致シタ
イト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=89
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090・長野高一
○長野政府委員 山田委員ノ御指摘ニ
ナリマシタヤウナ事柄ガ遺憾ナガラ從
來アツタト存ジマス、就キマシテハ今
後ニ於ケル問題デアリマスガ、省內ニ
於ケル事柄ニ付キマシテハ、省ノ局課
總テヲ擧ゲテ相協力シテ其ノ目的ヲ達
成スルヤウニ努力セシメタイト考ヘテ
居リマス、又假令農商省關係デアリマ
シテモ、國ノ方針トシテ決定致シマシ
タル事柄ニ付キマシテハ、國ヲ擧ゲテ
之ニ協力シ得ルヤウニ努力ヲシナケレ
バナラヌ、斯樣ニ考ヘテ居ル次第デア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=90
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091・山田六郎
○山田(六)委員 纖維局長サンニ一寸
御尋ネ致シマス、先般繭ノ値段ニ付テ私
共度々要求ヲ申上ゲタノデアリマスル
ガ、其ノ要求ヲ御容レ下サイマシテ、
二百掛ト決定サレテ居ルノデアリマス、
洵ニ喜バシイコトト考ヘテ居リマス、
二百掛ト決定ハサレタノデアリマスル
ガ、此ノ二百掛ト決定シタガ爲ニ本年
度繭ノ生產ガ上ルカト言ヒマスルト、
是ニハ餘程疑問ガアラウト思ツテ居リ
マツ、値段ダケデハ中々生產ヲ殖ヤス
トカ、維持スルトカ云フヤウナコトハ
困難ダラウト云フコトガ考ヘラレルノ
デアリマス、其ノ當時、値段ヲ上ゲテ
戴クト同時ニ、種々ナル施策ヲ計畫ヲ
シテ戴キタイ、兩々相俟ツテ生產ノ增
强バ必ズ出來ルト云フヤウナコトヲ申
上ゲテ置イタノデアリマシタガ、最近
御聞キ致シマスルト、或ル程度ノ追加
豫算モ出來上リ、又第二豫備金等ヲモ
支出シ得ル御見込ガ稍御立チニナツ
タト云フヤウナコトデアリ、マスルガ、
ソレ等ノ內容ニ付テ此ノ機會ニ御聽キ
ヲ致シタイト思ヒマス。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=91
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092・篠山千之
○篠山政府委員 山田委員ノ御言葉ノ
通リニ、繭ノ價格ヲ上ゲマシタダケデ
ハ、現在ノ情勢カラ申シマシテ增產ヲ
直チニ望ミ得ルト云フコトハ相當困難
デアル、是ハ御言葉ノ通リデアルト考
ヘルノデアリマス、隨テ二十年度ノ繭
ノ生產ニ付キマシテ出來得ル限リノ手
段ヲ講ジテ、生產意欲ノ昂揚ニ努メ、
又其ノ隘路ノ除去ニ努メタイト考ヘテ
居ルノデゴザイマシテ、十分トハ申シ
兼ネルノデゴザイマスガ、豫算等ニ於
キマシテモ、ソレ〓〓計上致シテ居ル
ノデゴザイマス、主トシテ現在ノ桑園
ニ於テ穫レマスル桑葉ノ全部ヲ繭化シ
タイト云フコトヲ中心ニシテ居ルノデ
アリマス、隨テ從來ハ大體全國デ一割
程度ノ殘桑ガアツタノデゴザイマスル
ガ、此ノ殘桑ヲ全部繭ト致シマスル爲
ニ、養蠶ノ其ノ時ニ於ケル實際ノ
要求ニ應ジマシテ、或ル場合ニハ桑葉
ノ輸送等ヲ考ヘナケレバナラヌト存ズ
ルノデアリマス、之ニ要シマス輸送
費ノ補助ヲ計上シテ居リマス、從來
養蠶ガトモスレバ勞力ノ不足等
ニ依ツテ衰頽シ勝チニナツタノ
デアリマスルガ、殊ニ稚蠶期ニ於ケル
勞力ノ關係等ガ一ツノ隘路ニナツテ居
ツタト思ハレルノデアリマス、今年度ニ
於キマシテハ、從來ノ共同飼育ノ外ニ、
出來レバ全部ヲ蠶兒ノ配給ニ依リタイ
ト考ヘテ居リマス、大體從來六、七割
程度ガ共同飼育ヲシテ居ツタノデアリ
マスガ、三割程度マデ出來ル限リハ蠶
兒トシテ配給致シマシテ、大體二眠起
位ナ蠶兒ニマデ育テ上ゲマシテ之ヲ配
給致シマシテ、計畫的ニ今マデノ反別
ニ對シテ割當テ居リマシタヨリハ、出
來ル限リノ大量ノ蠶兒ヲ配給シテ飼ツ
テ貰ヒタイト云フ考ヘヲ持ツテ居ルノ
デアリマス、尙ホ從來ノ蠶品種ニ付キ
マシテ、絲質ニ重キヲ置キマシタ關係
デ絲量ニ於テ劣ルト云フヤウナモノモ
アリマシタノデ、本年度ニ於キマシテ
ハ多量ノ生產ニ適シタ蠶種ヲ配給致
スコトニシマシテ、多生產繭ノ生產ニ
付テモ豫算ヲ計上シテ居リマス、是等
ノ仕事ヲ致シマス上ニ於テ、何ト申シ
テモ地方ノ農業團體、或ハ地方廳ノ力
ヲ借リルコトガ極メテ多イノデアリマ
ス、其ノ地方廳及ビ地方農業團體ニ對
スル活動ノ資金ニ付キマシテモ計上シ
テ居ル譯デアリマス、大體以上申上ゲ
マシタモノガ主タル內容ニナツテ居リ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=92
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093・高橋熊次郎
○高橋委員長 山田君ニ御相談シマス
ガ、今纖維局長ニ對シテノ質疑ヲ繼
續サレテ居リマスケレドモ、農政局長
ガ貴族院ノ方面デ非常ニ出席ヲ要求サ
レテ居リマス關係上、急イデ退席サレ
ナケレバナラヌノデアリマスカラ、農
政局長ニ對スル質疑ヲ急イデ願ヒタイ
ト思ヒマス、又他ノ委員諸君ニモ農政
局長ニ對スル質疑ヲ先ニヤツテ戴キタ
イト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=93
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094・山田六郎
○山田(六)委員 農政局長ニ對スル質
疑ハ米ノ生產ニ關スル間題デアリマス
ガ、私ガ缺席シテ居ル間ニ、米ノ問題
ニ付テハ大分質疑應答ヲ重ネラレテ、
大抵議論ガ盡キテ居ルヤウニ聞イテ居
リマスカラ、速記錄等ニ於テ承知スル
コトニ致シマシテ、私ノ質問ハ一應是
デ打切ルコトニ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=94
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095・高橋熊次郎
○高橋委員長 野村君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=95
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096・野村嘉久馬
○野村委員 農兵隊ノ問題デアリ.マス
ガ、昨日、一昨日ノ兩日ニ亙ツテ勞務
ノ問題ガ非常ニ論議サレテ居リ、此ノ
機動性アル農兵隊ガ地方ニ於テ非常ニ
歡迎サレテ居ルコトハ事實デアリマシ
テ、今マデ食糧增產ニ非営巾ニ寄與シテ
居リ、其ノ成果ハ非常ニ擧ツテ居ルト
私ハ見ルノデアリマス、而シテ政府ハ
之ニ鑑ミテ昭和二十年ニハ其ノ人員ヲ
倍ニ增强スルト云フコトデアリマス、
私ノ聞イテ居ル所デハ是ハ大體九萬
人程度ニナリ、恐ラク甘藷增產ニ挺身
セシメル意圖デアラウ、斯樣ニ思ヒマ
スガ、是ハ尙ホ其ノ他ノ〓糧增產ニモ
挺身セシメルノデアルカ、尙ホ農政局
長ノ御話ハ、主トジテ町村ニ移動セザ
ル增產陰ヲ結成シテ、其ノ組織ノ中ニ
ハ商工者ノ遊休勞力ヲ之ニ拘擁スルト
云フ意味デアラウカト思ヒマスガ、サ
ウシタ場合機動的ナ農兵隊ト、此ノ種
ノ增產隊ト合セテ〓、增增產(ニ寄與セシ
メルモノト思フノデアリマス、所ガ是
ガ屋債ニ依ツテ取扱ハレルノデ、面白
カラザル結果ヲ生ム場合ガナイデモナ
イト云フ譯デアリマシテ、之ニ付テハ
ヤハリ〓農業會、町村農業會等ニヤラセ
ルノガ宜イノデハナイカト云フヤウナ
意見ガアツタヤウデアリマスガ、之ニ
對シテ局長トシテハ、縣ト農業會、此
ノ二本建デ之ヲ强ク監督シテ行カウト
云フヤウナ御話デアリマス、所ガ私ノ
問及ンデ居ル所デハ、昨昨年或ル縣ニ於
テ、此、ノ農兵隊ノ殆ド過半ヲ澁洲ノ義
勇軍ニ持ツテ行ツタト云フコトデアリ
そう、是ハ履違ヘタコトデハナイカ、
大體是ハ其ノ縣ニ勞力ヲ留保スル意味
デ組織サレテ居ルノデアリマス、ソレ
ニモ拘ラズ滿洲へ持ツテ行ツタ、ソレ
ガ其ノ縣ニ於テ非常ニ問題ニナツタ、
是ハ國カラ見レバ、甲カラ乙ヘ其ノ勞
力ヲ移讓スルノデアルカラ、別ニサシ
タコトハナイト思ハレルカモ知レヌガ、
其ノ地方ニ取ツテハ非常ナ問題デアリ
マスシ、又今後農兵隊ヲ募集スル上ニ
於テ、ソレガ非常ニ影響スル所ガアル
ト思ヒマスガ、是等ノ指導監督ニ付テハ
十分ノ注意ヲ要スルノデハナイカ、之ニ
付テハドウ云フ御所見デアリマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=96
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097・西村茂生
○西村政府委員 農兵隊ノ問題ニ付キ
マシテハ、甲種乙種ヲ通ジテ大分人數
ガ殖エマス爲ニ、其ノ運用ニ付テハ餘
程注意ヲシテ行カナケレバナラヌト思
ヒマスガ、最前モ申上ゲタヤウニ、縣
ト農業會トデ然ルベクト云フヤウニハ
私考ヘテ居ラヌノデアリマシテ、甲種
增產隊ハ主トシテ地方長官ノ手兵ノヤ
ウナ工合ニシテ、機動的ニ縣內ヲ動カ
シテ貰ヒタイト思ヒマス、又乙種ノ增
產除ニ專ラ農業會等ガ主ニナツテ動カ
シテ戴カナケレバ、殊ニ働ク農兵隊ガ
アツテモ、之ヲ農家ノ方ニ旨ク導入ス
ル受入熊勢ガ整ハナケレバナラヌノデ
アリマス、農業會ガ生產ノ方ノ指導責
任ヲ持ツテ居ルノデアリマシテ、其ノ
生產關係ノ農業會ノ方デ受入、利用、
活用ノ法ヲ極力考ヘテ戴カナケレバナ
ラヌノデアリマス、特ニ乙種ノ增產隊
ノ方ハ其ノ訓練ナリ、又移動ノ經費ハ
縣ヲ通ジテ國ガ出スコトニナツテ居リ
マスガ、專ラ其ノ活用ハ農業會方面ニ
於テ考ヘテ貰ヒタイ、斯樣ニ考ヘテ居
ル譯デアリマス、尙ホ御話ノ此ノ農兵
隊ヲ滿洲ノ方ニ出シタト云フノハ、ソ
レハ私ハマダサウ云フ例ヲ聞イテ居ラ
ヌノデアリマシテ、御承知ノヤウニ滿
洲ノ義勇軍ト申シマスノハ、十六
歳カラ十八歲ノ者デ、滿洲ノ開拓農民
ノ基幹トシテ行ク者ヲ、內原ノ訓練所
ニ於テ訓練ヲ致シマシテ、是ハ向
フノ屯田兵的ノ意味ヲ以テ國境ニソ
レゾレ配置ヲ致シマシテ、向フニ永住
シテ、滿洲ノ開拓農民トナルト云フコ
トデアリマス、初メカラ是ハ滿洲義
勇軍トシテ募集ヲ致シテ、其ノ目的ノ
爲ニ內原ニ於テ六箇月ノ訓練ヲヤツテ
向フニ行クノデアリマシテ、農兵隊ヲ
左樣ナ風ニヤルト云フコトハ全然致シ
テ居ラヌノデアリマスガ、何カ或ハ我
我ノ知ラナイヤウナサウ云フコトガア
ツタカト思ヒマス、モウ一ツハ滿洲ニ
報國農場ト云フモノヲ設ケマシテ、是
ハ餘リ多クノ人數デハアリマセヌケレ
ドモ、四月カ五月頃ニ向フニ行キマシ
テ、蕎麥トカ麥トカ云フモノノ作付ケ
ヲヤツテ、十月頃ニハコツチヘ歸ツテ
來ルト云フコトデ、ソレ〓〓何々縣ノ
報國農場ト云フ百町步カ二百町步ノ農
場ヲ向フニ設ケマシテ、向フデ作付ケ
ヲシテ歸ツテ來ル、斯ウ云フ滿洲ニア
ル自分等ノ縣ノ報國農場ニ、食糧ヲ持
ツテ出掛ケテ行ツテ、其處デ蕎麥トカ
麥トカ色々ノ物ヲ作リマシテ、ソレヲ
內地ノ方ニ移入スル、斯ウ云フ制度ヲ
若干ヤツテ居リマスケレドモ、是モ亦
農兵隊トハ全然別デアリマス、甲種ノ
農兵隊ハキチントシタ組織デスガ、乙
種增產隊ノ方ハ從來農業會ノ方デヤツ
テ居ラレタノヲ、昨年秋カラ色々組織
化シタモノデ、此ノ增產隊ハ其ノ町村
ニ在住シテ居ルノデアリマシテ、之ヲ
向フノ方ニヤルト云フコトハシナイ積
リデアリマス、尙ホ農兵隊ノ數ガ多ク
ナリ、唯人ヲ集メテモ之ヲ色々旨ク動
カシマセヌト、唯工場ノヤウナ工合ニ
機械的ニ動クモノデハナイノデアリマ
スカラ、其ノ運用活用等ニ付テハ十分
注意ヲシテ參リタイト思ツテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=97
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098・野村嘉久馬
○野村委員 尙ホ農兵隊ニ關シテ伺ヒ
やって、此ノ農兵隊ノ受入レニ關シマシ
テハ、大體受入レ町村トシテハ非常ニ
歡迎ヲシテ喜ンデ居ルノデアリマスガ、
其ノ半面ニ非常ナ惱ミガアル事實ガア
リマス、ソレハ〓糧ノ問題デアリマス、
大體農兵隊ガ各府縣ニ行クニ付テハ、
食糧ヲ携行シテ參ルノデアリマスガ、
是モ大體僅カバカリデアリマス、所ガ
町村ニ受入レラレルト、土地改良其ノ
他〓糧增產ニ挺身致シマスガ、一週間
十日或ハ二週間ト、斯ウ云フヤウニ日
ガ長クナルノデアリマス、ソレニ付キ
マシテ其ノ地方農民ノ保有米ニ食込ン
デ行ク、或ハ町村配給米ノ枠內ニ入ツ
テ行ク、其ノ爲ニソレガ米ノ供出ニ非
常ニ影響スル、又一般配給ニモソレガ
影響スルト云フ狀況デアルノデアリマ
シント是ハドウシテモ何トカ考ヘテ戴
カナケレバナラヌト思フノデアリマス、
ソレニハ私ハ先ヅ國有地內ヲ開放シテ、
農兵隊ラシテ自給自足ノ途ヲ取ラシメ
ル、詰リ精神訓練ヲ致シマスルト共ニ、農
耕ニ從事セシメテ其ノ〓糧ヲ獲得サセ
ル、サウ云フヤウナコトニシタナラバ
其ノ弊ハ止マルデハナイカト思フノデ
アリマスガ、ソレ等ニ對シマシテノ御
所見ヲ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=98
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099・西村茂生
○西村政府委員 甲種ノ農兵隊ヲ縣內
ニ移動致シマス場合ニ於テハ、縣ノ方
デ原則トシテハ〓糧ヲ世話シテ、其ノ
町村ニハ迷惑ヲ掛ケナイヤウニスル、
又其ノ町村ニ長ク居ルヤウナ場合ニ於
テ、其ノ町村ノ食糧ヲ消費スルヤウナ
場合ニ於テハ供出其ノ他ノ場合ニ於
テモ特別ノ考慮ヲ拂フ、斯ウ云フコト
ニ致シテ居ルノデアリマスケレドモ、
事實ハ無報酬デ非常ニ働イテ貰フト云
フコトデ、色々食糧ヲ給與スルト云フ
ヤウナコトモアルト思フノデアリマシ
テ、サウ云フコトデ以テ其ノ地方ノ〓
糧事情ガ若干デモ窮屈ニナル、斯ウ
云フコトハ御話ノ通リデアルト思フノデ
アリマス、此ノ甲種ノ增產隊ハ專ラ食
糧增產ノ方面ニ働クノデアリマシテ、
農閑期等ニ於テマダ土地改良ガ遲レテ
居ルト云フヤウナ時ニハ、早ク植付マ
デニ其ノ地方ノ工事ヲ濟マスト云フヤ
ウナコトデ、極力ヤツテ居ルノデアリ
マスケレドモ、一年間通年シテ之ヲ動
員スル譯デアリマシテ、一面ニ於テハ
國有地ナリ、或ハ又民有地デアツテモ
開墾ヲシテ、蕎麥ヲ植ヱルトカ玉蜀黍
ヲ植ヱルトカ、或ハ藷ヲ作ルトカ云フ
ヤウナコトニ依リマシテ、食糧ノ增產
ニ兎ニ角「プラス」ニナルヤウニスル、
サウ云フ農兵隊ハ今後トモ十分動カシ
テ、其ノ縣デ餘計働イテ貰ツテ、其ノ
爲ニ食糧ガエライ食込マレタト云フヤ
ウナコトノナイヤウニ、十分一ツヤツ
テ行キタイト思ツテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=99
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100・野村嘉久馬
○野村委員 大體農兵隊ニ關シマシ
テハ私モ六イニ意ヲ强ウシ得ル譯デア
リマスガ、唯國有地ノ開放ノ問題、是
ガ實ハ私ノ地方デハ、山林局ノ方面ニ
開放ヲ願ヒ出タ所ガ中々ヤカマシイノ
デアリマス、スラ〓〓トソレガ運ンデ
行キマセヌ、デアリマスカラ、是ハ農
商省ノ所管ノ仕事デアラウト思ヒマス
ガ、ドウカ是ガ圓滑ニ運ブヤウニ一段
ノ御努力ヲ御願ヒ申上ゲテ此ノ問題ヲ
終リマス
次ニ自作農創設ノ問題デアリマス、
是モ昨日來非常ニ論議セラレタノデア
リマス、而モ此ノ自作農創設ハ大正十
五年カラ布カレタノデアリマシテ、既
ニ二十年ト云フ年月ヲ經テ居リマス、
尙ホ一昨年ヨリ皇國農村ヲ設置セラレ
マシテ、一層此ノ方面ニ拍車ヲ掛ケラ
レテ居ルノデアリマス、所ガ中々是ガ
遲々トシテ進マナイ、進マナイ理由ニ
付テモ昨日カラ平野委員ヨリ色々述べ
ラレマシタガ、洵ニ肯ケルノデアリマ
ス、尙ホ木村、前川兩委員カラ此ノ進マ
ザル理由ハ、報奬金ノ低イ點ニアル、
モウ少シ高クシナケレバイカヌデハナ
イカ、ソレカラ戰時利得稅ヲ撤廢シナ
ケレバナラヌデハナイカト云フ御意見
ガアリマシタ、私ハ此ノ進マザル理由
ハ價格ノ點デアラウト思フノデアリマ
ス、地價デアラウト思フノデアリマス、
其ノ地價ガ外ノ物價ニ對照シテ安イ、斯
ウ云フ譯デ手放サレナイノデハナイカ、
殆ド地主モ今日ハ色々ナ關係カラ手放
シタイ、斯ウ云フ意向ガ非常ニ旺盛デ
アル、是ハ事實デアリマス、所ガ値段
ノ關係ニ依ツテ是ガ行詰ツテ居ル、其
ノ値段ハ詰リ公定價デアルト思フノデ
アリマシテ、公定價ニ抑止サレテ居ル、
公定價ハ御案內ノ通リ賃貸價格ニ對シ
三十乃至三十四、五ト云フモノガ課カ
ツテ居ルト思フノデアリマス、サウ致
シマスト、是ガ外ノ物價ト對照シテ非
常ニ割ガ安イ、此ノ爲ニ是ガ左樣ニス
ラスラト參ラナイ、斯ウ云フコトニナ
ツテ居ルノデハナイカト思フノデアリ
マイ、私ノ地方ニ於テハ斯ウ云フ事實
ガアルノデアリマス、田反當七百圓ト
云フヤウナ所ガ、實際ハ是ガ百五十圓
位ニ於テ賣買サレテ居ル、爾カ致シマス
ト殆ド半分以下デアル、報奬金ヲ戴イ
テモ尙ホ漸ク半分ニナルカナラヌカ、
斯ウ云フ譯合デアリマス、デアリマス
カラ此ノ公定價デ取引サレルト云フコ
トハ、中々至難ナコトニ相成ツテ居ル、
爲ニ自作農創定ガスラ〓〓ト行カナ
イ、此ノ理由ハ此處ニアルノヂヤナイ
カ、斯ウ思フノデアリマス、尙ホ又愈〓
米價ガ引上ゲラレルト云フコトニ相
成レバ、此ノ方面モ相當價格ヲ吊上ゲ
ナケレバ、絕對此ノ運行ハ出來得ナイ
ノヂヤナイカ、斯樣ニ思フノデアリマ
スルガ、ソレ等ノ御意思ガゴザイマセ
ウカ、農政局長ノ御意見ヲ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=100
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101・西村茂生
○西村政府委員 自作農ノ創定ニ付テ、
土地ノ賣買價格ト云フモノガ色々問題
ニナルコトハ御話ノ通リデアリマス、
其ノ地方ノ事情ニ依リマシテハ、農用
土地トシテ賣買スレバサウ高クハ賣レ
ナイケレドモ、工場ノ敷地其ノ他ニナ
リマスルト、相當法外ニ賣レルト云フ
ヤウナコトカラ、其ノ地方ノ地價ガ非常
ニ上ルト云フヤウナコトモ隨分アル譯
デアリマシテ、左樣ナ譯デ自作農創定
ノ爲ニハ、餘リ高價デアツテハ其ノ小
作農家ノ生計ガ立チ行カナイト云フヤ
ウナコトデ、資金ノ償還計畫等モ立テ
テ居ルヤウナ譯デアリマスノデ、小作
人ニハ餘リ高クナイ價格デ入手サセタ
イ、斯ウ云フ考ヘ方ガアリ、一面ニ於
テハ土地ノ所有者ノ方ニハ相當ナ價格
デヤリタイ、斯ウ云フコトデアリマシテ、
マア左樣ナ意味ニ於テ、十分デハナイ
ケレドモ昨年カラ報奬金ト云フモノデ、
地主ガ自作農ノ維持創設ノ爲ニ土地ヲ
ヤル場合ニ於テハ、田畑ニ付テソレ〓
一定ノ報奬金ヲヤル、斯ウ云フヤウナ
コトニ致シタ譯デアリマシテ、御話ノ
ヤウナ御意見ニ依レバ、其ノ報奬金ヲ
モツト將來ウント殖ヤシタラドウカ、
斯ウ云フコトデアリマスルガ、是モ現
在土地ノ價格ガゾレ〓〓統制ヲサレテ
居ルヤウナ譯デアリマシテ、御話ノ點
ニ付テハ十分考ヘタイト思ヒマスガ、
昨年モ大分財務當局トヤリ繰リヲシテ
其處マデ漕ギ付ケタノデアリマシテ、
中々急激ニ增加スルト云フコトハ困難
ナ事情モアルト思ヒマスケレドモ、尙ホ
十分考ヘタイト思ツテ居リマス.尙ホ
米價等ガドウ云フ風ニ改訂セラレルカ
ハ問題デアリマスルケレドモ、米價ガ引
上ゲラレタカラト云ツテ、直グニ土地
ノ價格ガ餘リ上ラナイヤウナ風ニモ亦
考ヘテ行カナケレバナラヌト思ツテ居
リマスガ、併シ上ルベキモノニ付テハ
自作農創定ノ場合ニ於テハ、是ハ又十
分考ヘテ行カナケレバナラヌト考ヘテ
居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=101
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102・野村嘉久馬
○野村委員 自作農ノ地價ヲ上ゲルト
云フコトハ、小作者ニ對シテ無理ガ行
クノヂヤナイカ、斯ウ云フヤウナ御答
ヘデアツタノデアリマス、勿論其ノ通
リデアルト思ヒマス、併シ今日ハ此ノ
小作者モ相當ナ購買力ヲ有シテ居ルノ
デアリマシテ、昨日モ平野委員カラ其ノ
御說ガアツタヤウデアリマス、斯ウ云フ
ヤウナコトデゴザイマスカラ、是ハ一應篤
ト御考慮ヲ願ヒタイト思フノデアリマス
次ニ食糧增產ノ隘路ノ問題デア
リマスルガ、私ハ實際之ヲ體驗シ
テ居リマシテ、勞務トノ關係ガ非常ニ
此ノ食糧增產ノ問題ニ關係シテ居ルコ
トガ多イノデアリマス、ト申シマスル
ノハ、地方ニ於キマシテハ農家ニ對シ
テ非常ナ貯蓄ガ背負ヒ切レナイ程負ハ
サレテ居ル、斯ウ云フヤウナ關係デ、
食糧增產バカリニ挺身シテ居ツタノデ
ハ貯蓄ガ出來ナイ、斯ウ云フ譯デアリ
マスカラ、サウ云フヤウナ者ハ隨テ自
分ノ農耕ノ方ヲ或ル期間棄テテ、或、
荷馬車或ハ其ノ他ノ自由勞務ニ就イテ
居ルノデアリマス、サウシテソレデ貯
蓄ヲスル、荷馬車ノ如キハモウ私ノ方
デモ一日五十圓取レル、斯ウ云フヤウ
ナ譯デアリマシテ、其ノ爲ニ食糧增產
ノ面ニ勞務ガ非常ニ不足ヲ來ス場合ガ
ナイデモナイノデアリマス、是ハ又警
察方面ト致シマシテ、警察ガ小運送業
ノ認可權ヲ持ツテ居ツテ、ソレヲ非常ニ
奬勵シテ許スト云フ傾向ガアル爲ニ、
農家ガ其ノ方面ニ流レテ行ク、斯ウ
云フヤウナ傾向デアリマス、隨テ〓糧
增產ニソレガ影響スルコトガ非常ニ夥
シイノデアリマス、之ニ對シテ何トカ
防止ノ手ヲ打タナケレバイケナイノデ
ハナイカ、斯樣ニ思ハレマスガ、私
大藏省ガ今日新興所得層エ增稅ヲサレ
ル、是モ此ノ防止ノ一ツデモアル、又
農業要員ノ資格ヲ引上ゲルト云フコト
モ此ノ防止ノ方法デハナイカ、ト思フ
ノデアリマス、只今ハ九十日從事シテ
三反步以上作ツテ居ル者ガ農業要員
ニ指定サレテ居ルヤウデスガ、ソレヲ
日ニチヲ增シ、農耕反別ヲ增ス、斯ウ
云フ風ナコトニシテ、行クナラバ、自
然ト勞務ノ方へ流レル日ニチガ少クナ
ツテ來ル、斯ウ云フ風ニナルノデハナ
イカト思フノデアリマスガ、ソレニ對
シテ何トカ對策ヲ御考へデアリマセウ
カ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=102
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103・西村茂生
○西村政府委員 軍需工場ガアリマシ
タリ、或ハ軍事上ノ施設ガアルヤウナ
農村地方ニ於キマシテハ、御話ノヤウ
ニ荷馬車トカ、或ハ自由勞働者ガ相當
アリマシテ、其ノ賃金ガ相當高イ爲ニ、
農村ノ勞務者、農業者ガソチラノ方へ
誘惑サレテ流レテ行クト云フコトニ付
テハ、十分考ヘテ行カネバナラヌコト
デアリマシテ、ソレ等ノ點ハ自由勞働
者ノ賃金ノ方モ稍〓不徵底デハアリマス
ルケレドモ、先頃カラ統制スルヤウニ
ハナリマシタシ、又警察ガ運送ノ爲ニ
荷馬車ヲ無理ニ殖ヤサシタリ、或ハ又
賦課的ニ色々出役ヲ强制スルト云フコ
トハ、十分取締ツテ行キタイト思ツテ
居リマス、農業要員制度ノ日數ナリ反
別ナリヲ增加スルコトニ依ツテ、左樣
ナモノヲ考ヘルト云フコトモ一ツノ考
ヘ方デアリマスケレドモ、九十日三反
步ト云フノハ一ツノ基準デハアリマス
ケレドモ、現在ノ農業要員ト云フモノ
ガ、全般的ニ見マシテモ、現在ノ農業
生產ヲ上ゲル上ニ於テハ、數ガ少ナ過
ギルト云フヤウナコトニモナツテ居リ
マスノデ、直チニ其ノ基準ヲ引上ゲテ
云々スルト云フコトモ、是ハ考ヘモノ
デハナイカト思ツテ居ルノデアリマス
ガ、御話ノヤウナ點ハ農村ノ實情カラ
云ツテ非常ニ困ル點デアリマシテ、
ツ十分〓究致シタイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=103
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104・野村嘉久馬
○野村委員 次ニ甘藷ノ價格ノ問題デ
アリマス、農產物ノ價格ノ問題ニ付テ
ハ非常ニ論議サレテ、旣ニ大體當局ノ
言明モ得テ居ルヤウデアリマス、必ズ
上ルト思ツテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=104
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105・高橋熊次郎
○高橋委員長 一寸···今ハ農政局長
ニ關スル點ダケアナタニ御願ヒシテ居
ツタノデスカラ、他ノ問題ハ後ニシ
テ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=105
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106・野村嘉久馬
○野村委員 ソレデハ價格ノ問題ハ後
ニ讓リマシテ、甘藷ノ處理ニ關スル問
題デアリマス、甘藷ハ本年ハ飛躍的增
產デアル、而モ二十七億貫ト云フ目標
デアル、今マデノ二倍或ハ三倍ニ近カ
ラントシテ居ル數量デアリマス、之ヲ
シツカリ穫レタダケヲ確保スルト云フ
コトガ、一番今度ハ大事ニナルノデハ
ナイカ、所ガ今マデノ例ヲ見テ居リマ
スト、非常ニ腐ル藷ガ出ルノデアリマ
ス、私ノ方ニ於キマシテ其ノ例ヲ擧ゲ
テ見マスト、十二月マデハ大體ニ於テ
是ガ腐ラナクテ生諸ノ儘處理サレテ行
ク、所ガ一月以降ニナルト、一月ニ於
テ約三%、二月ニナルトソレガ尙ホ倍加
シテ行ク、斯ウ云フ狀況デアリマス、
デアリマスカラ此ノ腐ルニ付テハ色々
ナ點ガアラウカト思ヒマス、或ハ病的
ノコトモアリマセウシ、又種類ノ問題
モアル、或ハ氣候ノ關係モアラウカト
思ヒマス、是等ニ對スル防止方法トシ
テハ貯藏法ノ完璧ヲ期サナケレバナラ
ヌ、所ガソレガ中々旨ク參ラナイ、斯
ウ云フヤウナ譯デ、非常ニ腐ル藷ガ出
ル、是ハ洵ニ惜シイコトデアリマシテ、
國家ノ上カラモ、又農家經濟カラモ非
常ニ是ハ惜シイコトデアリマスカラ、
之ヲ絕對確保スル上ニハ、此ノ處理ヲ
旨クヤルト云フコトガ大事デハナイカ
ト思フノデアリマスガ、此ノ處理ト申
シマシテハ、私ハ出來ルダケ之ヲ加工
シテ行クト云フコトガ宜イノデハナイ
カ、今「アルコール」工場デモ大體五十
以下シカナイト云フ狀況デアル、國內
ニハ左樣ナ數シカナイヤウデアリマス
ガ、之ヲ二倍乃至三倍ニ殖ヤスト云フ
コトモ一ツノ方法デアリマス、併シ又
資材ノ問題カラ、今日直チニ是ガ增設
擴充ト云フコトハ困難デアルカモ分リ
マセヌ、就キマシテハ地方ニ於ケル所
ノ遊休ノ釀造會社ヲシテ之ニ當ラシメ
ル、或ハ又地方ノ澱粉會社ヲシテ之ヲ
擴充增製セシメル、斯ウ云フコトモ
ツノ手デアルノデハナイカ、斯ウ思フ、
尙ホ私ハ此ノ場合特ニ市町村農業會ニ
此ノ簡易ナ加工施設ヲヤラセルト云フ
コトガ、處理ノ上ニ非常ニ旨ク行クノ
デハナイカト思フノデアリマス、只今
松根油ヲ市町村農業會ガヤツテ居リマ
スルガ、而モ政府ノ助成ヲ得マシテ、
ソレ〓〓今準備中デアリ、又著手シタ
所モアラウカト思フノデアリマスガ、
左樣ナ方法ヲ以テ市町村農業會ニ之ヲ
ヤラセテ行ク、斯ウ云フヤウナコトニ
相成ルナラバ、手近ニソレ等ノ問題ガ
出來ルノデハナイカ、而シテ此ノ藷ノ
腐レヲ防止スルコトガ出來、サウシテ
目的通リノ確保ガ出來ル、斯樣ニ私ハ
思フノデアリマスガ、是等ニ對スル御
意見ヲ伺ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=106
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107・西村茂生
○西村政府委員 甘藷ノ大增產ニ伴ヒ
マシテ、處理加工ヲ極メテ敏速ニヤツ
テ行カナケレバナラヌト云フコトハ御
意見ノ通リデアリマシテ、藷ガ腐ルト
云フノハ農家ガ自分ノ穴藏デ旨ク貯藏
シテ參リマスモノハ種藷ヲ初メトシテ
サウ腐ラヌノデアリマスガ、之ヲ輸送
方面ニ出シタリシテ、鐵道其ノ他ノ所
ニ堆積ヲシテ居ルト云フ爲ニ、色々腐
敗ヲスル危險ガアルノデアリマシテ、
隨テ搬出サレタモノハ極メテ敏速ニ處
理加工ヲシテシマハナケレバナラヌ譯
デアリマス、農家ノ貯藏ニ付テハゝ更
ニモツト積極的ニ穴藏貯藏等ヲ奬勵ス
ルヤウナ手段ヲ講ジテ居リマスガ、處
理加工ノ方面ニ付キマシテハ、御話ノ
ヤウニ切干ニスルノデアリマスガ、切
干ノ機械等モ今後ハ倍位ニ致シマシテ、
市町村農業會其ノ他デ以テ、國民學校
等ヲ使ツテドン〓〓切干ニシテ乾燥ヲ
スルト云フ設備ニ付テ、切干機ノ鋼材
ニシテモ其ノ他ノモノニシテモ、積極
的ニ國デ以テ心配ヲシテヤル積リデア
リマス、尙ホ澱粉工場等ニ付キマシテ
モ、府縣ノ農業會等ニモ色々指圖ヲ致
シマシテ、相當諸ノ出來ル町村等ニ於テ
ハ、町村農業會モ積極的ニ澱粉工場、
素澱粉ヲ拵ヘルヤウナ工場ヲ一ツヤツ
テ貰ヒタイ、ソレニ要スル資材ハ國ガ
優先的ニ配給ヲスル、斯ウ云フコトヲ致
シテ居ル譯デアリマシテ、藷畑ノ眞中ニ
澱粉工場ヲ拵ヘルト云フ位デナイト、
今ノ輸送ノ狀態デハ中々處理加工ガ旨
ク行カナイデハナイカト思ツテ居ルノ
デアリマス、尙ホ「アルコール」工場ニ
付キマシテモ、今ノ「アルコール」工場
ノ分布ハ、必ズシモ藷ノ產地ト並行シ
テ居ルヤウナ譯デハナイノデアリマシ
テ、關西地方ニハ比較的「アルコール」工
場ガアルケレドモ、關東地方ニハナイ、
又九州地方ニ於テモ「アルコール」工場
ノ分布ガマダ少イノデアリマシテ、是
モ其ノ消費ガ少クトモ一一倍、三倍近ク
ニナル譯デアリマスノデ、「アルコー
ル」工場ニ付テモ其ノ資材ヲ軍等モ大
イニ優先的ニ考ヘテ、「アルコール」工
場モ諸ノ出來ル中心地ノ藷畑ノ眞中ニ
拵ヘルヤウニ致シマセヌト、御話ノヤ
ウニ全ク二十七億ト云フコトニナリマ
スト、一府縣一億萬貫以上ヲ生產スル
所ノ縣ガ相當數多クツナテ來ルノデ
アリマシテ、一億萬貫ノ生諸、之ヲ一
月或ハ二月ノ間ニ處理スルト云フコト
ハ、是ハ中々大變ナコトデアリマシテ、
處理加工ニハ十分一ツ氣ヲ配リマシテ、
折角農家ガ營々トシテ生產シタ生藷
ヲ、假ニモ腐敗ヲサセルト云フコトノ
絕對ニナイヤウニ考ヘテ參ル積リデア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=107
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108・野村嘉久馬
○野村委員 終リマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=108
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109・高橋熊次郎
○高橋委員長 次ニ小笠原八十美君ノ
農政局長ニ關スル質問ニ限リ此ノ場合
願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=109
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110・小笠原八十美
○小笠原(八)委員 私ハ農政局長ニ關
スル所ノ點ダケヲ申上ゲマス、先ヅ本委
損會デ一番大キナ問題トシテ取上ゲラレ
タモノハ、ヤハリ、食糧ノ增產問題デアリ
マスガ此ノ食糧增產ノ目的ヲ達成セシ
ムルニハ、何ト申シマシテモ第一線デ働
イテ居ル所ノ農家ヲシテ、本當ニ敢鬪シ
得ルヤウナ政治ノ斷行デアリマス、サウ
シマストヤハリ政府ノ方デ肚ヲ決メテ、
是ハイケナイコトダ、隘路デアルト思ツ
タナラバ、之ヲ思ヒ切ツテ矯正スルト云
フコトノ勇氣ガ一番必要ナンデアリマ
ス。ソコデ私ハ先ヅ恒久對策ノ隘路ト
云フ問題ハ別トシテ、今年直チニ耕作
スルニ對スルコトノ最モ重要ナ點デ農
政局ニ關スル點ヲ二、三點伺ツテ見タ
イ、斯ウ思フノデアリマス、第一ハ勞
力ノ問題、其ノ次ハ肥料ノ獲得、斯ウ
云フ問題デアリマスガ、是ハ同僚諸君
カラモ勞力關係ハ色々ナ角度カラ御質
問ガアリマシテ、又農商大臣カラモ御
答ヘニナツテ、此ノ問題ハ民間ノ方デ
モ大變關心ヲ持ツテ居リマシテ協力ス
ルコトニナツテ居ル、或ハ學徒ノ應援
トカ、或ハ又農兵隊ノ協力、色々ナコ
トニ御答辯ガアツタノデアリマス、私
ノ申上ゲルノハ畜力ノ關係デアリマス
ガ、利用ヲ有效ナラシメルト云フコト
ハ勞力ノ補ヒニ最モ必要ダ、斯ウ考
ヘテ居ル、所ガ此ノ問題モ同僚カラ畜
力關係ヲ御質問ガアリマシタガ、其ノ關
係ハ唯數量ノ關係、牛ヲ何頭貸付ケ
ルトカ、或ハ馬ヲ何頭貸付ケルト云フ
コトノ解決ノ方ニ質疑應答ガアツタノ
デアリマス、私ハモツト之ヲ掘下ゲテ、
此ノ畜力ノ利用ト云フコトハ決シテ
數ヲ無畜農家ニ貸付ケタカラト云ツテ、
是ハ解決シ得ラレルモノデハナイ、此
ノ畜力ノ活用ニ付テ先刻ハ朝鮮牛ノ問
題モ出、和牛ノ問題モ出マシタ、又馬
ノ問題モ出マシタガ、是ハ朝鮮牛ガ宜
イトカ惡イトカ云フ問題ハ其ノ所ニ依
ツテ決マルノデアリマシテ、小農家ニ
對シテハ、殊ニ女子供バカリ殘ツタ所
デハ、是ハ朝鮮牛ハ自由自在ニ操縱シ
得ラレルカラ朝鮮牛ヲ歡迎スル、所ガ
能率ノ點カラ行ケバコンナ能率ノ上ラ
ナイモノハアリハシナイ、和牛ノ方ガ
宜イノデス、之ヲ相當馴致訓練スルト、
是レ位能率ノ良イモノハナイ、モウ
步進ンデ馬ハ速度そ迅イシ耕作能力モ
上ルシ、是レ位宜イモノハナイ、足川
ヤハリ耕作スル面積トカ、或ハ地域ト
カ、或ハ共同作業トカ云フコトニ依ツ
テ各々分レルト思フノデアリマス、ソ
レガ何レニ致シマシテモ馬ノヤウナ最
モ大切ナ耕作ニ直當ナモノデモ、耕作
訓練ノ馴致ガウマク行ツテ居ラヌト、
是ハ馬位駄目ナモノハナイ、癇ガ强イ
爲ニ、或ハ自動車ヲ見ルト跳ネ〓リ、
汽車ガ來タト云ツテ飛出スト云フヤウ
ナ馬デアツテハドウニモナラヌノデ、
ヤハリ牛馬共ニソレ〓〓是等ヲ農耕ニ
適スルヤウニ、今銃後ノ方ニハ老幼婦
女子ノミシカ殘ツテ居ラヌ、隨テ其ノ
人達ニ依ツテ自由ニ操縱シ得ラレルヤ
ウニ家畜ヲシテ訓練スルト云フコトガ、
<
一番大事ナ問題ダト私ハ考ヘテ居ルノ
デアリマス、政府ノ方デモ此ノ問題ハ
ヤルニハヤツテ居リマスケレドモ、是
ハ餘リニ小規模デ、本年ノ耕作ノ勞力
ノ補ヒノ使命トシテハ、本當ニ小サナ
問題デアリマスカラ、之ヲ大キナ部回
デ擴大ヲシテ、統制ヲ執ツテ之ヲ指導
スルト云フコトニ努メルコトハ、最モ
手取早イ所ノ勞力ノ解決問題デハナイ
カト私ハ思フノデアリマス、今年ハサ
ウ云フ風ナ計畫ニ對シテ、ドレ位ノ輻
ニ其ノ計畫ヲ立テテ居ラレルカト云フ
コトヲ伺ヒタイ、是ハ特ニ馬ノ點ハ馬
政局トモ關聯ガアリマスルケレドモ、馬
ヲ能ク指導スルノニ素人ヲ集メテ、弱
イヤウナ馬ヲ引張ツテ來テ、指導スル
ト言ツテ女子供ヲ集メテヤツテモ、ア
ンナコトデハ駄目ダ、馬ヲ取扱フ者ハ、
家畜商ノ如キ日本ニハ一萬人モアリ、
其ノ配下ニ子分ガ五人アルトスレバ五
萬人ニナル、彼等ハ利潤ヲ漁ツテ生活
ヲシテ居ルノダガ、ソンナコトヲサセ
ヌデモ、彼等コソ之ニ多少ノ指導ヲ加
ヘルト、農耕馬ノ訓練ヲ最モ發達サセ
易イ能力ヲ持ツテ居ルノデアリマスカ
ラ、彼等ヲ指導シテ馴致訓練ヲサセ
ルナラバ、立派ナ農耕馬ガ澤山現ハレ
ルメデアリマス、ソレデヤハリアナタ
ノ方回ト關聯ヲシテ居ルノデアリマス
カラ、アナタニ御尋ネスルノデアリマ
スガ、政務次官モ能ク聽イテ戴キタイ
ノデス、一體馬ノ制度ト云フモノハ詰
ラヌコトヲヤツテ居ルノデス、元ト同
ジコトヲヤツテ居ル、價格ヲ定メルニ
モ三歲馬ハ幾ラ、二歲馬ハ幾ラ、四歳
馬ハ幾ラト云フヤウニ公定價格ヲ付ケ
テ居ル、コンナ年齡ニ依ル必要ガアルヤウ
ナ今日ノ狀態デハナイ、ヤハリ馬ハ人
ト同ジク、熟練者ガ高ク初心者ガ安イ
ヤウニ、ヤハリ輓馬デアレバ輓曳刀ノ
强イモノ、駄馬デアレバ駄載力アルモ
1或ハ又耕馬デアレバ農耕ニ對シテ
訓練馴致兼ネ備ハレルモノ、ソレ〓〓ノ
能力ニ依ツテ其ノ價格ヲ認メテヤラナ
ケレバナラヌ、ソレガ體形ダトカ、骨
ガ太イトカ、昔ノヤウナ恰好デ價格ヲ
付ケテ公賣スルヤウナ、コンナ昔ノ儘
ノコトヲ改革シナイデ置クト云フコト
ハ、增產ニ對シテ非常ニ大キナ影〓ガ
アル、ソレヲ家畜問ナルモノハ自分ノ
利潤ト國家ノ目的トガ合致シテ、此ノ
五萬人ノ者ガ活躍スルコトニナレバ、
全部ノ馬ガ或ハ農耕ニ、或ハ輓曳ニ、
或ハ駄載ニ非常ニ能率化サレテ、是カ
使役スル者ニ直接手渡シスルヤウナ制
度ニナリマスレバ、ドンナニカ小運搬
ト去ヒ、農耕作ト云ヒ、非常ニ發達スル
ダラウト思フノデアリマス、ソレヲ唯
馬問ヲ警察ノ取締ノ對家ミタイニシテ、
馬〓ガ惡イトカ良イトカ、天下ノ批評
ノ店曝シニシテ置クト云フコトハ、是
ハ此ノ馬商取締ヲ改正シテ今日政府ノ
方デ彼等ヲ認可シテ居ル制度ト相反ス
ル行爲ダト思フノデアリマス、斯ウ云
フ風ニシテ捨テテ置ク所ニ改革スベキ
非常ニ大キナ隘路ガアルト思フノデア
リマス、是ガ卽チ勞力ヲ解決スル大キ
ナ部門ダト思フノデアリマス、馬ガ其
ノ先手ヲ打ツテ先立ツタトスルト、牛
ノ訓練モ之ニ伴ツテ具ハル、是等ヲ配
給スルト云フノナラバ、唯無畜農家ニ
配給スル、配給スルト云フヨリ、其ノ
訓練シタモノ、直グサマ使ヘルモノヲ
配給スルコトノ方ガ非常ニ能率化スル
ノデアリマスカラ、此ノ點ニ重點ヲ置
イテ御〓究ナサルベキダト私ハ考ヘテ
居ルノデアリマス、之ニ對スル御意見
ヲ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=110
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111・西村茂生
○西村政府委員 家畜ヲ唯單ニ農家ニ
殖ヤスダケデナクテ、其ノ畜力ヲ機動
的ニ動カサナケレバナラヌト云フコト
ハ、全ク御說ノ通リデアリマシテ、從
來モ貸馬ノ制度等ノアル所ノ慣行ヲ助
成〓シマシテ、馬ノ移動ニ對スル經費
ヲ助成シタリ色々ヤツテ居リマスケレ
ドモ、是ハ慣行ノ行ハレル地方ダケデ
アリマシテ、マダ全山的ニ機動的ニ動
クト云フコトニハナツテ居リマセヌ、
農商省ノ食糧增產部ノ中ニ、畜力動員
本部ト云フモノヲ設ケマシテ、馬政局
ト連絡ヲ取ツテ、此ノ動員本部ニ於テ
色々機動的ニ動カシタイト云フコトモ
ヤツテ居リマス、家畜ノ繫留ヤ之ニ從
事スル職員ノ手當ヲ助成スルト二フフ
ウナコトデ、二百數十萬圓ノ經費ヲ以
テヤツテ居リマスケレドモ、之モマダ
不徹底ノ憾ミガアリマス、又新炭ノ輸
送テアルトカ、或ハ東京、大阪方圓ニ
於ケル輸送部隊ト云フヤウナコトハ、
馬政局ニ於テモ相當槓極的ニヤツテ居
ラレルノデアリマスケレドモ、御話ノ
ヤウニ農村ノ家畜ヲ旨ク訓練ヲシテ、
是ハ農兵隊ノ制度ガ必ズシモ百點滿點
デアルトハ申シマセヌケレドモ、農兵
隊ノヤウナ工合ニ訓練シタモノヲ更ニ
機動的ニ動カシテ行クト云フコトハ、
非常ニ必要ダト思フノデアリマシテ、
之ニ馬ナリ牛ナリガ一〓ニナツテ、人
馬一體ニナツテ、是ガ旨ク動クト云フ
コトヲ考ヘテ行カナケレバナラヌト思
フノデアリマシテ、此ノ方面ニ關スル
訓練モ必要デアリマスシ、其ノ訓練ニ
伴ツテ尙ホ機動的ニ動クヤウニ、場合
ニ依ツテハ農兵隊ノ中ニ畜力部隊ト云
フヤウナモノヲ設ケテ、家畜ヲ能ク訓
練出來ル者ガ家畜ト一體トナツテ、特
攻隊的ニ動クト云フコトモ考ヘテ行カ
ナケレバナラヌト思ツテ居リマス、又
馬政調査會等ニ於テ、馬ノ規格其ノ他
ノコトニ付テハ一部改正ハ行ハレマシ
タケレドモ、斯樣ナ時期ニ於キマシテ
ハ、農村ノ實除労力對策ニ役立ツヤウ
ナ馬ヲ奬勵シテ行カナケレバナリマセ
ヌ、其ノ奬勵シタ馬ヲ訓練ヲシ、機動
的ニ動クヤウニト云フコトニ付テハ、
經費ノ點ニ付テモ考ヘテ、一ツ機動的
ニ畜力ガ本當ニ農村ノ勞力對策ニ役立
ツヤウニト云フコトヲ考ヘタイト思ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=111
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112・小笠原八十美
○小笠原(八)委員 只今御答辯ニ依ツ
テ是カラ熱心ニ御〓究ヲナサルト云フコ
トハ能ク分リマシタガ、併シ此ノ問題
ヲ大キク取上ゲテ、ドウカ政府ノ方モ
大臣ニ御相談ナサツテ、一ツ本當ニ實
行スルヤウニ御願ヒシタイノデアリマス
次ニ伺フコトハ、無音農家ガ百萬以
上ト云フ先刻ノ御話テアリマシタガ、
無畜農家ニ家畜ヲ配給スルト云フコト
ハ牛七萬、馬二萬トカ云フコトデア
ルノデアリマスガ、一體無苗農家ト云
フモノハ、家畜ノ配給ヲ受ケテ何處ニ納
メテ直クノデアリマスカ、其ノ邊ノ調
査ガ出來テ居ルノデアリマスカ、一體廐
舍ヲ持ツテ居ルノデアルカ、或ハ廐舍
ガアツテ何カノ事情デ家畜ヲ失ツタト
云フコトノ調査ニ依ル無畜農家デアリ
マセウカ、全然初メカラナイモノト云
フ、サウ云フ區分ヲ末端マデ御調査ヲ
ナサレテ居ルノデアリマスカ、唯漫然
ト無畜農家ニ家畜ヲ持タセルト云ツテ
モ、豚ヤ兎ナラバ兎モ角、牛馬ニ至ツ
テハ中々廐舍ノ設備資材ヲ要シマシテ、
假令獲得致シマシテモ、飼養管理不備
ノ爲ニ非常ニ危險率ガ多イノデアリマ
ス、現ニ死亡率モ相當アルト思フノデ
アリマス、又無畜農家ト云フコトガ實
際ノ無畜農家ニ行カズシテ、有畜農家
ニ配給サレテ居ルト云フ現狀モアル
ノデアリマス、サウ云フ末端ノ御調査
ガ出來テ居ルカドウカ、簡単ニ御伺ヒ
致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=112
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113・西村茂生
○西村政府委員 大家畜ヲ農家ニ飼ハ
セルト云フコトハ、非常ニ難カシイコ
トデアリマシテ、從來何十年ト云フ程
畜產ノ奬勵ヲヤツテ居リマスガ、畜舌
ヲ造ル資材ノ自由自在ニ手ニ入ツタ時
代ニ於テモ、農家ハ中々サウ家畜ヲ飼ツ
テ吳レナイノデアリマシテ、百十禹ノ
無畜農家ガアルト云フコトデ、形式的
ニ家畜ヲヤツテモ、直グニハ中々農家
ガ食付イテ來ナイト云フコトハ分ツテ
居リマスガ、ソコノ所ヲ二十萬、三十
萬ノ家畜ヲ飼ハセルト云フコトハ今
マデ飼ツテ居ツタ者カ、飼料ガナイ爲
ニ廢メタガ或ハ共同テ飼フトカ、或八
畜舍モ共同テ何トカスルト云フコトデ、
二十禹、三十禹ノ家畜ヲ農家ニヤルコ
トハ、農付ノ實情ヲ調ベテヤレバソレ
程困難ハナイト思ヒマス、來年。再來
年ノ內ニ百七、萬ト云フモノヲ假ニ形式
上スツカリナクスルト云フコトニナリ
マスト、御話ノヤウニ餘程旨ク考ヘテ、
農家ニ家畜ニ對スル理解ヲ十分持タセ
テ、サウシテ飼料ナリ其ノ地方ノ事情
ニ合フヤウニシテ家畜ヲヤリマセヌト、
折角配付シタ所デ之ヲ殺シテシマツタ
リ、或ハ又賣ツテシマツタリ、色々ノ
コトニナルト思フノデアリマシテ、畜
產奬勵ノ爲ニ農家ニ家畜ヲ配付スルト
云フコトニ付テハ、御話ノヤウナ點モ
十分考ヘマシテ、其ノ地方々々ニ落著
クヤウニ考ヘテ、其ノ落著キ得ル所カ
ラ先ヅ優先的ニヤツテ行キタイ、斯ウ
云フ風ニ考ヘテ舌リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=113
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114・小笠原八十美
○小笠原(八)委員 其ノ點十分御注意
ナサツテ戴キタイト思ヒマス、次ハ堆肥
ノ獲得デアリマス、是ハ今日ノ增產ニ
最モ大切ナ問題デアリマス、然ルニ此
ノ堆肥ノ方ハ農政局ノ方デ奬勵ヲナサ
レテ居ツテ奬動金ヲ出ス、其ノ奬勵金
ノ出シ方ヲ見マスルト、單ニ三千貫以
上トカ、或ハ三百貫以上トカ云フヤウナ
數量ニ依ツテ、ソレ以上ノモノニ奬勵
スルヤウナ制度ヲ設テテ居ツテ、堆肥
ヲ催保スル、保存スル、堆積シテ置ク、
卽チ肥料分ノ發散ヲ防止スルヤウナ制
度ニ對シテハ何等奬勵ヲシテ居ラヌ、
隨テ奬勵金ヲ貰ヒタイ爲ニ、折角是マ
デハ發散防止ノ爲ニ簡單ナ屋根ヲ掛ケ、
或ハ色々ナ方法ヲ執ルト云フコトデ、
ヤハリソレヲ防止スレバスル程目方ハ
不足ニナル代リニ、ソレハ有效ナ肥料
デアルガ、ソレト相反スルヤウナ
奬勵ノ仕方ニ依ツテ、ヤハリ第一線
ノ方ノ役人モ困ツテ居ルヤウナ事
態モアルノデアリマス、此ノ問題ハ
特ニ政府ノ畜產關係ノ方ノ部門デ、
金肥ガナイ爲ニ相當ニ〓究ヲ致シマシ
テ、サウシテ此ノ有效肥料ノ保存ト云
フコトニハ相當ナ經驗ガアル筈ダカラ、
其ノコトヲ能ク卽座ニ〓究サレテ、サ
ウ云フモノヲ死藏シテ置カナイデ、ソ
レヲ能ク農家ノ方ニ徹底セシメルヤウ
ニ普及宣傳ヲ致シマシテ、其ノ方面ニ
向ツテ奬勵スルト云フコトニシタナラ
バ一層效果的ダト私ハ思フノデアリ
マス、此ノ堆肥ノ問題ニ對シテハ、ヤハ
リ保存スルニハ堆積ノ量バカリデハナ
ク、尿ト糞ト區別スル所ノ尿溜メト云フ
モノヲ粘土デ拵ヘルトカ、或ハ堆槓シ
タ下ヲ今ハ「セメント」ガナイカラ粘土
デ補給シテヤルトカ、色々ナ有效ナ利用
ノ仕方ガ澤山アルト思フ、殊ニ昨今デ
ハ尿ナンカヲ容レルノヲ單ニ木製デ作
ツテ、ソレ等ノ方法ヲ非常ニ有效ニ使
ツテ居ル所モアルノデアリマシテ、色
色アルト思ヒマス、サウ云フ方面ノ實
際ノ進步シタ肥料ノ利用ト云フモノニ
對シテ、報奨ノ方針ガ失ハレテ居ルト
思ヒマスガ、今年ハ何カ之ニ對シテ特
ニ〓究ノ持合セデモアルノデアリマス
カ、伺ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=114
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115・西村茂生
○西村政府委員 御話ノヤウニ堆肥ハ
唯數量ダケヲ殖ヤシタ所デ、有效ナル
堆肥デナケレバ意味ヲナサナイ譯デア
リマシテ、從來モ十分トハ言ヘマセヌケ
レドモ、堆肥盤トカ肥料溜メノ助成ヲ
スルコトニナツテ居ルノデアリマスガ、
實ハ內輪ノコトヲ申シマスト、堆肥ノ
增產獎勵金ヲ作ル時ニ、堆肥盤ナリ尿
溜メナリ、資材ガナクテモ簡易ナモノ
デ以テヤラナケレバナラヌト云フコト
デ、相當色々財務當局トモ話ヲシタノ
デアリマスケレドモ、色々ナ關係上カ
ラ奬勵金ダケデト云フコトニナツテ、
其ノ點ガ不十分ナ豫算シカナクテ後廻
シニナツテ居ルコトハ、甚ダ遺憾デア
リマス、又新シク堆肥ヲ增產スル場合
ニ於テハ、何デモ彼デモ腐ツタモノガ
アリサヘスレバ宜イト云フヤウナコト
ニナツテ、本當ニ熟シタ堆肥ノ造成ト
云フコトノ知識ガ缺ケテ居リマスカラ、
今後ハ豫算ノヤリ繰リナリ色々ナ方法
デ、堆肥盤其ノ他ソレ等ノ缺ケテ居ル
施設ヲ、十分考ヘテ參リタイト思ツテ
居リマス、サウデナイト唯數量的ニ堆
肥ガ增產サレタト云フダケデハ、本當
ノ肥料トシテノ效果ハ擧ラナイト考ヘ
テ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=115
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116・小笠原八十美
○小笠原(八)委員 此ノ問題ハ豫算ノ
ヤリ繰リト云フコトデハナク、政務官
カラ大臣ニ御話ニナツテ、此ノ堆肥ノ
解決ノ爲ニハ豫備金ヲ出シテモ、卽座
ニ大幅ニ解決ヲ付ケルト云フコトガ、
本年ノ重大問題デアル、國內食糧ノ自
給解決ニハ本當ニ是ガ何ヨリモ大切ダ
ト思フノデアリマス、ドウカ其ノ點ヲ
大臣ヲ通シテ能ク御〓究ヲ願ヒタイ
次ニモウ一點伺ヒタイノデアリマス
ガ、先刻來離農問題ニ對シテ方々カラ
色々ナ角度カラ意見ガ出タノデアリマ
ス.私ハ之ヲ凡ユル地方デ聞クノデア
リマスガ、離農問題ハドナタカガ言ハ
レルヤウニ三反步百姓ト云フカ、三反
步ノ耕作者ガ惠マレテ居ツテ、大耕作
ヲシタモノガ經濟的ニ打擊ヲ受ケル、
隨テドウシテモ是ハ離農シナケレバナ
ラヌコトニナル、ソレガ一番ノ問題デ
アルヤウニ伺ツテ居ルノデアリマスガ、
政府ノ方デモ其ノ點ハ能ク御承知ノコ
トデアルト思フノデアリマズ、隨テ今
度相當大幅ニ米ノ價格ヲ引上ゲルト云
フコトモ仄カニ承ツテ居ルノデアリマ
スガ、併シソレデ解決ガ付クト云フ御
考ヘデアツテハ大キナ間違ヒデアルト
思フノデアリマス、價格ガ如何ニ上リマ
シテモ、昨今ノ事情カラドウシテモ闇
ガ先廻リシテ居ツテ、公定價格ガ吊上
ツタ場合ニハ、モウ全部周圍ノモノガ
上ツテ居ツテ、ヤハリ元ノ位置ニ還ルト
云フコトガ往々アルノデアリマス、米
ノ問題デハ特ニサウ云フ感ヲ深ク致スノ
デアリマス、ソコデ之ヲドウシタラ宜イ
カト云フト、此ノ報奨制度ヲ特ニ改メ
テ、耕作反別ニ比例シテ大キク耕作ス
ルモノニ對シテハ特ニ農家ノ必需物
資ノ品物ヲヤル報奬制度ヲ設ケテ、或
ハ「ゴム」長デアツテモ、地下足袋デア
ツテモ、或ハ縫絲デアツテモ、色々ナ資
材ガ不足デアリマセウガ、特ニサウ云
フ風ナモノヲ此ノ不足ノ中カラデ。モ幾
分ナリトモ補給スルヤウニスルト、相
當離農防止モ出來ルシ、又農民モ喜ンデ
定著スルト思フノデアリマス、單ニ財
政問題バカリデナク、サウ云フ物ノ獲
得ニモ非常ナ困難ヲ來シ、色々勞力關
係ヤ其ノ他ニ對シテモ、非常ナ困難ヲ
來シテ居ルコトハ、凡ユル方〓カラ質
疑ガアツタコトヲ綜合シテ御考ヘニナ
ツテモ分ルコトデアリマス、ソコデ同
ジ報奬ヲ致シマスニモ、耕作反別ノ多
イモノニハヤハリソレニ比例シテ、物
資ヲ以テ奬勵スルト云フコトノ御考ハ
アリマセヌカ、其ノ點ヲ伺ツテ置キマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=116
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117・西村茂生
○西村政府委員 價格ノ改訂ダケデ食
糧增產ノ問題ガ解決付クトカ、農業ノ
問題ガ旨ク行クトハ勿論考ヘテ居リマ
セヌ、報奨金ノ問題ハ色々今私共ノ所
デモ〓究致シマシテ、早急ニ大臣ノ御
決裁ヲ得タイト思ツテ居リマスガ、割
合等デ行キマシテ八〇%トカ九〇%ト
カ云フコトデ行キマスト、相當大キナ
面積ヲ耕作シテ居リ、相當收量ノ多イ
モノガ惠マレルモノガ少イト云フコト
ハ、御意見ノ通リト思フノデアリマス、
是等ハ又管理局ノ方トモ相談ヲ致シマ
シテ、本當ニ農村ノ中心ニナツテ餘計
供出ヲシ、餘計働イテ居ル農家ニ十分
行クヤウニ致シ、又物資ヲ以テ報奬ス
ルト云フコトハ、全面的ニハ中々困難
ダト思ヒマスガ、物資ノ出來ル限リハ
左樣ナ方策モ加味シテ參リタイト考ヘ
テ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=117
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118・小笠原八十美
○小笠原(八)委員 是デ農政局ノ方ハ
終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=118
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119・高橋熊次郎
○高橋委員 今專賣局長官ガ見エラレ
マシタカラ、鹽ノコトデ御質問願ヒマ
ス-吉田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=119
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120・吉田賢一
○吉田(賢)委員 鹽ガ全國民ノ非常ニ
重要ナ食料デアルコトハ、今更申上ゲ
ルマデモナイノデアリマス、北支方面
カラ來ルベキ鹽ノ問題ニ付テハ、最近
ノ戰局ノ關係デ輸送等ノコトモアツテ
國民ハ相當心配シテ居リマス、一方自
家用ノ製鹽ニ付テハ、生產ノ指導奬勵
等ガ大分行ハレテ居ルヤウデアリマス
ガ、ドウモ是モ餘リ成績ガ上ツテ居ラ
ヌノデハナイカト存ズルノデアリマス、
彼此レ鹽ニ付キマシテ非常ニ全國民ハ
深イ關心ヲ持ツテ居リマスガ、就キマ
シテハ最近若シクハ本年ノ鹽ノ供給計
畫其ノ見透シ、特ニ支那方回ヨリ入
ツテ來ルモノニ對スル輸入ノ見透シト
カ色々ナ御計晝、自家用製鹽ニ付キマ
シテノ成績ノ狀況、若シ隘路カアルト
スルナラバソレニ對スル對策、斯ウ云
フモノノ御說明ヲ願ヒタイト思ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=120
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121・濱田尚友
○濱田政府委員 只今鹽ノ事情ニ付キ
マシテノ御質問ニ對シテ御答ヘ中シタ
イト思フノデアリマスガ、鹽ノ需給ノ
事情ニ付キマシテ極ク具體的ナ計數ニ
依リマシテ御說明ヲ申上ゲルコトハ、
實ハ國ノ機密ニ關スルコトデモアリマ
シテ、只今私カラ全部ヲ曝ケ出シテ申
上ゲル自由ヲ持ツテ居リマセヌガ、成
ベク事情ガ御諒解ヲ戴ケルコトガ出來
マスヤウニ御話申上ゲタイト思フノデ
アリマス、大體只今御質問ニアリマシ
タノハ所謂食料鹽ニ關聯シタコトガ主
デナイカト思ヒマスノデ、左樣ナ方面
ニ付キマシテ御答辯申シタイト思ヒマ
ス、內地ノ鹽ノ需要ノ大勢ニ付キマシ
テハ既ニ御承知ノコトト思ヒマスルガ、
近時人口ノ增加其ノ他ノ事情ニ依リマ
シテ、段々其ノ量モ殖エテ參ツテ居ル
ノデアリマスガ、內地ニ於ケル鹽ノ生
產量ト云ヒマスノハ、其ノ需要量ノ大
體四割程度シカ出來テ居ナイノデアリ
やっと、大半ハ滿洲、支那、關東州、臺
灣方面カラノ輸入トカ、或ハ移入ト私
共申シテ居リマスルガ、サウ云フ方面
ノ鹽ニ供給ヲ仰イデ居ルヤウナ事情デ
アリマス、只今御話ガアリマシタヤウ
ニ最近輸送事情ガ相當逼迫シテ參リマ
シテ、外地カラノ或ハ外國カラノ鹽ノ
輸入ト云フモノモ、必ズシモ計畫通リ
ニ樂ニハ出來テ居ナイノデアリマス、
昭和十九年度ニ於キマシテモ、當初ノ
食料鹽ト致シマシテ支那、滿洲、關東
州臺灣方面カラ輪移入スル計畫ヲ立
テテ居リマシタ數量ノ或ル程度ノ減少
ヲ實際上來シテ居リマスルコトハ)我
我ト致シマシテモ非常ニ遺憾ニ存ジテ
居ルノデアリマスルガ、全體ノ船腹ノ
事情上、洵ニ已ムヲ得ナイ事情モアル
ヤウニ考ヘテ居ルノデアリマス、內地
ニ於ケル最近ノ生產ト申シマスルト、
昨年ノ生產ノコトニ大體ナリマスルガ、
去年ノ夏頃マデハ比較的天候ガ製鹽ノ
方面カラ見マスルト宜シカツタノデア
リマスガ、秋カラ冬ニ掛ケマシテ又宜
シクナイヤウナ事情モアリマシテ、內
地ノ生產モ理想通リニハ伸ビナカツタ
ノデアリマス、サウ云フヤウナ事情デ
最近ニ於ケル食料鹽ノ需給ノ上カラ見
マスルト、稍、窮屈ナ事情ニハ相成ツテ
居リマスルガ、私共事務當局ト致シマ
シテハ凡ユル手段ヲ講ジマシテ、是ガ
供給ノ確保ヲ圖ルコトニ努力致シテ居
ルノデアリマス、目下ノ所幸ヒニシテ
內地ノ食料鹽ニ付キマシテハ、差迫ツ
テ餘程之ヲ規正スルトカ、或ハ其ノ他
ノ手段ヲ講ズルトカ云フヤウナ必要ニ
モ差迫ツテ居ナイト私共存ジテ居ルノ
デアリマシテ、大體食料鹽ノ供給ハ、
現在ノ所必要ナモノハ確保ガ出來テ居
ルノデアリマス、只今御質問ノ中ニモ
アリマシタガ、一面自家用ノ鹽ヲ奬勵
スルト云フコト、是ハ御說ノ通リニ從
來專賣當局ト致シマシテモ、相當ノ努
力ヲ拂ツテ參リマシタ、所ガ遺憾ナガ
ラ現在ノ所、尙ホ自家用ノ鹽ト云フモ
ノハ理想通リニハ生產ガ出來テ居リマ
セヌ、大體ノ情勢ヲ申シマスルト、現
在國內デ自家用ノ鹽ヲ造ツテ居リマス
ルノハ、件數ニ致シマシテ三、四百件
位ノ程度デアルト思フノデス、サウシ
テ其ノ設備ニ依リマシテ、一箇年約五
百「トン」位ノ鹽ガ取レルヤウナコトニ
ナツテ居ルノデアリマスガ、昨年アタ
リノ實績ヲ見マスルト、其ノ中ノ何分
ノ一位シカマダ出來テナイト云フヤウ
ナ實情デアリマシテ、鹽全體ノ需給カ
ラ見テ、自家用鹽ノ生產ト云フモノハ
ヤハリ九牛ノ一毛ト云フヤウナ實情ニ
アリマスノデ、我々ト致シマシテハ是
ガ普及ニ付キマシテハ、相場ノ努力ヲ
拂ヒタイト思ヒマス、昨年カラ自家用
ノ製鹽ヲ致シマシタ者ニ對シマシテハ、
其ノ設備費ノ大體半額程度ノモノハ專
賣局カラ助成金ヲ交付スルト云フヤウ
ナ方法モ講ジテ居ルノデアリマス、今
後ノ見透シニ付キマシテハ、勿論是ハ
戰局ニ及ボス影響ト云フモノガ相當大
キナモノデアリマスノデ、我々ハ十分
サウ云フ點ニモ留意ヲ致シマシテ、鹽
ノ供給確保ト云フコトニハ努力致シタ
イト思ツテ居リマス、今申シマシタ自
家用ノ製鹽ニ付キマシテモ、今後思ヒ
切ツタ方法ヲ講ジマシテ、是ガ普及ヲ
圖リタイト思フノデアリマスガ、現在
自家用ノ製鹽ト云フモノガ、必ズシモ
理想的ニ普及シテナイ其ノ事情等色々
考ヘテ見マスト、一ツハ鹽ノ値段ノ問
題ニ關係ガアルノデハナイカト思フノ
デアリマス、現在專賣局デ賣ツテ居リ
マス鹽ノ値段ト云フモノハ相當割安デ
アリマシテ、現ニ專賣局ニ於キマシテ
ハ鹽專賣ノ收支ノ上ニ於テ、本年度ニ
於キマシテハ約二億圓以上ノ赤字ヲ出
スヤウナコトニナツテ居リマス、結局
內地ノ鹽ニ付テ申シマシテモ、百「キロ」
當リ十二、三圓程度デ收納致シマス鹽
ヲ、政府ハ五圓以下デ拂下ゲテ居ルノデ
アリマス、結局內地ニ於ケル鹽價ト云
フモノガ比較的安イ、安イノニワザ〓〓
自家用鹽ヲ相當ノ勞力ヲ使ツテ之ヲ造
ルト云フ人ガ案外少ナイ、一面又鹽ノ配
給ト居フ點カラ見マシテモ、或ル程度
窮屈デアリマスガ、マア何トカシテ今
ノ配給量デ大體ヤツテ行ケルト云フヤ
ウナ事情モアリマシテ、旁に、自家用鹽
ノ製造ト云フモノヲ、餘リ廣イ範圍デ
澤山ヤラナイト云フヤウナ事情ガアル
ノデハナイカト思フノデアリマス、自
家用ノ製鹽ヲ普及スルト云フ觀點カラ
見マシテモ、今後鹽ノ値段ニ付キマシ
テハ相當考慮ヲ拂フ必要ガアルノデハ
ナイカト云フコトヲ考ヘテ居リマス、
又內地ノ製鹽全體カラ見マシテモ、現
在ノヤウナ資材ノ點、或ハ燃料其ノ他
輸送關係等色々ナ隘路ニブツカツテ居
ルノデアリマスルガ、今後我々ト致シ
マシテハ、極力內地ノ現在ノ鹽田ヲ活
用シマシテ其ノ生產力ヲ上ゲテ行ク、
ソレニハ勞務ノ確保モ必要ダト思ヒマ
ス、資材ノ點ニモ餘程注意ヲセヌトイ
カヌト思フノデアリマス、昭和二十年
ニ於キマシテハ、私共ハ最近ノ內地ニ
於ケル鹽ノ生產高ノ大體五割增位ノ增
產ヲ是非共實行致シタイト思ヒマシテ、
ソレ〓〓今計畫モ進メテ居ルノデアリ
マイク勿論鹽ノ生產ノ方ハ天候ニ左右
サレルコトガ非常ニ多イノデアリマス
ガ、斯ウ云フヤウナ時局下私共ト致シ
マシテハ、所謂人力ヲ盡シマシテ鹽ノ
生產ノ確保、輸入ノ確保、以テ內地ニ於
ケル食糧鹽ノ供給ニ付キマシテハ、國
民ニ聊カモ御迷惑ハ掛ケナイヤウニ致
シタイト考ヘテ居ルノデアリマス、大
體ノ情勢ハ以上デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=121
-
122・吉田賢一
○吉田(賢)委員 只今ノ內地ノ二十年
度生產ガ昨年ノ五割增シ位ト云ヒマス
ト、結局內地需要ノ六割生產、斯ウ云
フ見込ニナル譯デスネ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=122
-
123・濱田尚友
○濱田政府委員 大體サウ云フ事情デ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=123
-
124・吉田賢一
○吉田(賢)委員 鹽ハ工業原料トシテ
モ絕對ナ重要性ノアルノミナラズ、又
食糧ト致シマシテモ全ク大切ナモノデ
アリマス、從來ノ配給デ大體ヤツテ行
ケルダラウト云フヤウナ御見透シデゴ
ザイマスガ、昨日來本委員會ノ席上デ、
農村ニ於ケル鹽不足ノ悲鳴ノ上ツタ悲
慘ナ狀況ノ話ガ出テ居ル次第デアリマ
シテ、單リ農村ノミナラズ一般ノ消費
國民ト致シマシテモ、鹽ガ少クテアタ
ラ大根其ノ他ノ蔬菜ヲ腐ラシテシマフ
ト云フヤウナ實情ニアル譯デアリマス、
又一般食糧ノ全體的ナ自給態勢確立ノ
爲ノ水產ノ加工ノ爲ニ、相當大量ニ今
後尙ホ要求セラレルヤウナ實情ニアル
譯デアリマス、彼此レ致シマスト、從
來ノ需要ニ比較シテ將來ハ需要激增ノ
理由モ見付カル次第デゴザイマス、サ
ウ云フ際デアリマスノデ、海外カラノ
輸入ニ付キマシテバ、作戰ノ關係デ中
中思フヤウニ行カナイコトハ存ジテ居
リマスケレドモ、配船等ノ手配ニ付キ
マシテモ、食糧ノ國家計畫ノ觀點カラ、
特別ニ御努力アツテ然ルベキデナイカ
ト思フノデアリマスガ、如何デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=124
-
125・濱田尚友
○濱田政府委員 鹽ノ絕對量ノ確保ニ
付キマシテ、只今御說ガアリマシタ、
私共モ全然御同感ニ存ジテ居リマシテ、
及バズナガラサウ云〓フ方面ニハ全力ヲ
注イデ努メテ居リマスケレドモ、只今
御示シノアリマシタ通リニマダ十分デ
ナイ點モ事實多々アリマス、恐縮ニ存
ジテ居ルノデアリマスガ、今後戰況ノ
如何ニ拘ラズ、海外カラノ鹽ノ輸入ニ
付キマシテハ、絕對ノ必要量ハ飽クマ
デモ之ヲ確保スル、是ハ旣ニ配船計畫
ノ上カラ言ヒマシテモ、サウ云フ趣旨
デ現在ヤツテ居ルノデアリマス、今
後事情ガ逼迫スレバスル程、鹽ノ輸入
ノ確保ニ對スル配船ニ付キマシテハ重
要視スベキモノデアルト思ヒマシテ
是ハ申スマデモナイコトデアリマスガ、
單ニ專賣當局ダケデナク、各省關係方
面ソレ〓〓協力致シマシテ、今サウ云
フ仕事ヲ進メテ居ルノデアリマス、鹽
ノ利用ノ點カラ言ヒマシテ、例ヘバ漬
物用トカ、其ノ他漁獲物ノ鹽藏用トカ
云フ方面、斯ウ云フ點ニ付キマシテモ、
實ハ是ハ農商省當局デ寧ロ積極的ニ御
指導下サルコトト思フノデアリマスガ、
鹽ニ關係シテ居リマスル我々專賣當局
ノ者ト致シマシテモ、是ノ效率化ト云
フコトニ付キマシテハ色々〓究シテ居
リマス、現ニ鹽藏用ノ鹽ニ付キマシテ
モ、相當節約致シマシテ、而モ效率的
ニ比較的良イ鹽藏物ヲ作ルヤウナ技術
的ナ〓究モ旣ニ行ヒマシテ、今後斯ウ
云フ方面ニ付テノ普及モ圖リタイト思
ツテ居リマス、其ノ他御承知ノヤウニ、
單ニ鹽ノ形デ使フノデナクテ、海水ヲ
濃縮致シマシテ、所謂鹹水ノ狀態デ醬
油トカ漬物ナドヲ作ルノニ使ツテ行ク
ト云フ方面ニ付キマシテモ、今後餘程
積極的ニ是ガ普及ヲ圖ツテ見タイト思
ツテ、現ニ從來鹹水デ漬物トカ、或八
今申シマシタ醬油ナンカヲ作ツテ居ル
例モ多々アルノデゴザイマス、斯ウ云
フ方面ニモ努メタイ、兎ニ角日本ノヤ
ウニ所謂四面環海ノ國デアリマシテ、
而モ斯ウ云フ戰時下ニ鹽ニ困ルト云フ
コトニナリマスルコトハ、寧ロ我々ト
致シマシテモ不思議ナ位ナ感ジヲ持ツ
テ居ル、專賣當局ト致シマシテ從來行
ツテ居リマス施策ニ尙ホ及バナイ點ガ
多々アル結果デアルト慚愧ニ堪ヘナイ
ノデアリマスガ、今後凡ユル方面ト協
力致シマシテ、食糧鹽ノ絕對所要量ノ
確保ト云フモノニ付キマシテハ邁進シ
テ行キタイト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=125
-
126・吉田賢一
○吉田(賢)委員 內地鹽ノ生產上ノ
ツノ隘路ト致シマシテ、私ハ要員ノ確保
ニモツト積極的ノ處置ヲ講ジナサル必
要ガアルト思フノデアリマス、例ヘバ
兵庫縣アタリニ於キマシテモ、私ハ若
干ノ實情ヲ知ツテ居リマスガ、ドン〓〓
要員ガ徵用工ニ取ラレテ其ノ儘ニナツ
テ居ル、ソレヲ取戾スコトノ努力ハ地
方デヤツテ居リマセヌ、斯ウ云フコト
ガ全國的ニアルト致シマスナラバ、其
ノ邊モ亦生產ニ相當障碍ヲ及ボスト思
ヒマス、其ノ邊ニ付キマシテモ特段ノ
御努力ヲ御希望申上ゲテ置キタイト思
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=126
-
127・高橋熊次郎
○高橋委員長 農政局長ニ關スル質問
ニ限ツテ加藤君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=127
-
128・加藤知正
○加藤(知)委員 私ハ農政局長ニ二點
御尋ネ申上ゲタイト思フノデアリマス、其
ノ一ツハ本年ハ御承知ノヤウニ裏日本
ハ全體ニ非常ナ豪雪デアリマス、表日
本ハ全體ニ晴天續キデ旱魃デアリマス、
寄リ〓〓此ノ天候ニ基キマシテ、本年
ノ作柄如何ト云フヤウナコトニ付テ色
ンナ話ヲ聞クノデアリマスガ、殆ド十
人ガ十人ナガラ非常ニ悲觀シタ考ヘヲ
持ツテ居ルノデアリマス、昨年ハ申年
デアツテ、申年ニ作ノ良イコトハ殆ド
ナイト云フヤウナコトヨ申シテ居リマ
シタガ、全國ヲ通ジテ洵ニドウモ遺憾
ナ點ガ多カツタ、人口ニ膾炙シテ居ル
所必ズシモ迷信的ナコトデアルトハ言
ヘナイヤウナ現象ニ遭遇シテ居ルコト
ヲ私共ハ甚ダ遺憾ニ之コ考ヘテ居リマ
ス、所デ酉年ハドウデアルカト申シマ
スト、其ノ西年ガ申年ニ次デ昔カラ餘
リ良イコトハナイ、斯樣ナコトヲ言ツ
テ居リマスガ、本年ハ其ノ酉年ニ當ル
ノデアリマス、斯樣ナ事ハ如何ニモ迷
信的ナ話ノヤウニナリマシテ相濟マヌ
ヤウニ存ジマスケレドモ、本年ハ酉年デ
アル、其ノ酉年デアル本年ノ一月以來ノ
天候ヲ顧ミマスルト、表日本ニ於キマシテ
ハ晴天續キデアツテ、而モ其ノ寒サガ何
十年ニモナイ嚴シイ寒サデアリマシテ、殆
ド一月一箇月ト云フモノハ氷ノ張ラヌ日ハ
ナカツタ、私東京へ出マシテ約五十年デ
アリマスガ、斯樣ナ季候ノ現象ニ遭遇シ
タコトハ全ク私ハ初メテデアリマス、
斯樣ナ所カラシテ、表日本ハ〓シテ本
年ノ夏ハ大旱魃ニナリ、裏日本ハ非常
ナ冷害ニ襲ハレルト云フヤウナコトヲ
內々話ヲシテ居ル人ガ近頃甚ダ多イノ
デアリマス、私ハ斯樣ナコトガ必ズシ
モ當ルモノト思ツテハ居リマセヌ、隨
テ斯カル迷信的ナコトヲ取リ上ゲテ、
一々論議スルニ及バヌデハナイカト
應ハ之ヲ考ヘテモ見マシタガ、併シナ
ガラ此ノ豪雪-多クノ人ハ雪ガ澤山
降ルト作ガ良イヤウニ考ヘテ居ツテ、
雪ハ豐年ノ兆ト云フヤウナコトヲ宜ク
言フノデアリマス、併シ段々之ヲ聞イ
テ見ルト、雪ハ豐年ノ兆ト云フコトハ
支那ノコトデアツテ、日本ノコトヂヤ
歩ナイト云フ人モアルノデアリマス、兎
ニ角私ノ長イ間ノ體驗カラ中シマスト、
豪雪ノ時ニ殆ド作柄ノ良イト云フコト
ヲ知ラナイノデアリマス、最近ニ於ケ
ル豪雪ト冷害トノ關係ヲ考ヘテ見ルト、
多クハ豪雪ノ際ニハ冷害ガ來テ居ル、
デアリマスカラ本年ノ此ノ裏日本ノ豪
雪ト云フモノハ、私ハ決シテ樂觀ヲ許
サヌト思フノデアリマス、故ニ私ハ今
カラ之ニ對スル諸般ノ用意ト準備ヲセ
ナケレバ、必ズヤ後悔スルコトガアリ
ハセヌカト心配ヲシテ居ルノデアリマ
ス、幸ヒニ是ガ杞憂ニ屬スレバ洵ニ結
構デアリマスガ、若シ然ラザルコトニ
ナルトスレバ如何デアリマセウカ、食
糧問題ノヤカマシイ今日ニ於テ、若シ
萬一稻作等ニ於テ十分ノ成績ヲ擧ゲル
コトガ出來ナイト云フヤウナコトニ相
成リマシタナラバ、洵ニ由々シキ大事
ヲ惹起スルト考ヘルノデアリマス、無
論政府ト致シマシテハ我々ガ喧シク申
上ゲル迄モナク、是等ノコトハソレ〓〓
ノ機關ヲ通ジテ十分御考慮ニナツテ居
ルコトトハ存ジマスガ、不幸ニシテ惡
天候ノ襲來シタ場合ニ如何ニシテ之ヲ
克服スルカ、自然ノ天候ニ打勝ツコト
ハ中々容易ノコトデハアリマセヌ、ケ
レドモ人事ノ凡テヲ盡シテ、而シテ後
ニ天命ヲ待ツト云フコトデナクテハナ
ラヌト思フノデアリマス、故ニ政府ト
シテハ今ヨリ一般農家ヲシテ本年ノ作
柄ニ對シ十分用意ノ出來ルダケ、準備
ノ出來ルダケ之ヲ爲サシムル責任ガア
ラウト斯樣ニ考ヘルノデアリマスガ、
ソレニハ勞力問題、肥料問題、技術問
題ソレカラ品種問題ト云フヤウニ、今
カラ色々ト用意ヲシ準備ヲナサシムル
コトノ外ニ、何等他ニ名案、名策、名
法ガアルトハ思ヒマセズ、政府モ亦是
等ノ點ニ十分打ツ手ヲ打ツテ居ラル
ニ相違ハナイガ、時局ガ時局ダケニ御承
知ノ如ク勞力ハ、彌ガ上ニモ逼迫スル
一方デアルカラ、唯恃ム所ハ肥料問題、
技術問題、品種問題、斯ウ云フコトニ
ナルト思フノデアリマス、其ノ肥料問
題ニ付キマシテハ先刻小笠原委員カ
ラモ御尋ネガアリマシタガ、現在ノ狀
態デハ御承知ノヤウニ、化學肥料ハ全
ク之ヲ賴ルコトハ出來ナイノデ、勢ヒ
自給肥料ト云フコトニナルノデアリマ
ス、其ノ自給肥料中ノ堆肥、之ニ付テ
先刻モ御話ガアリマシタガ、私我ガ縣
ノ堆肥ノ現地査察ヲ致シマシテ、アレ
程ヤカマシク政府ガ奬勵シ、又府縣ヤ
農業團體等ガヤカマシク申シテ居ルニ
モ拘ラズ、餘リニモ其ノ不徹底ナノニ
驚イタノデアリマス、殆ドナツテ居ラ
ヌト申シテ宜シイ、コンナコトデ增產
ナドハトンデモナイ話ダト、實ハ痛感
シテ居ルノデアリマス、故ニ今ノ內ニ
政府ハ各府縣ヤ農業團體ニ對シ、肥料
問題就中堆肥問題ヲ喧シク督勵セラレ、
大イニ造ラセ之ヲヤラセルヤウニ一段
ノ御努力ヲ政府當局ニ切望スルト同時
ニ、私ハ旱魃トカ、或ハ冷害トカ云フ
ヤウナモノニ對シテ如何ナル自給肥料
ガ一番宜イカ、斯ウ云フコトヲ一ツ考
ヘテ戴キタイト思フノデアリマスガ、
ソレニハ今日ノ處、堆肥ト同時ニ私ガ
一昨年來喧シク唱導シテ居ル燻炭肥料
燻燒土肥料是ヨリ他ニハナイト思フノ
デアリマス、勿論若シ他ニアツタラ御
伺ヒシタイノデアリマスガ、此ノ堆肥
燻炭肥料ヲ同時ニ奬勵シテ、大イニ之
ヲ施用セシムルナラバ、或ル程度マデ
ハ冷害ヲ防ギ、或ル程度マデハ旱害ヲ
防グ、斯樣ニ私ハ考ヘテ居ルノデアリ
せっく、然ルニ農商省ノ此ノ燻炭ニ對ス
ル御考ヘガドウ云フ風ニナツテ居ルカ
知リマセヌガ、動モスルト之ヲ毛嫌ヒヲ
セラレ、敬遠主義ヲ執ツテ居ラレルヤ
ウニ感ズルノデアリマス、幸ヒニシテ
然ラズト仰セラルヽナラバ結構デアリ
マスケケドモ、若シ不幸ニシテ或ル
種ノ囚ハレタル觀念ノ下ニ毛嫌ヒヲシ、
敬遠主義ヲ執ラレ、之ニ力ヲ入レラレ
ヌト云フヤウナコトガアルトスレバ、
國家ノ爲ニ甚ダ宜シクナイコトデアル
ト申サナケレバナラナイ、何トナレバ
其ノ結果本年ノ天候カラ來ル不作ト云
フヤウナコトニ或ル程度マデハ肥料ノ
力ニ依ツテ克服シ得ルモノヲ克服スル
コトガ出來ナイト云フコトニナルト考
ヘルカラデアリマス、此ノ點ニ付テ農
政局長ハ如何ニ御考ヘデアルカ、ソレ
ヲ一ツ御伺ヒシタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=128
-
129・西村茂生
○西村政府委員 加藤委員ハ非常ニ本
年ノ天候其ノ他ニ付テ悲觀的ナ御考ヘ
ヲ御述べニナリマシタケレドモ、私
左樣ニハ考ヘナイノデアリマシテ、勿
論表日本ハ雨ガ少ク、裏日本ハ非常ニ
雪ガ多イノデアリマスガ、酉年ハ又勝
取ル年ダト言ツテ、緣起ガ宜イト言フ
人モ澤山アルヤウデアリマス、ソコデ
今年ノ天候ニ付テ、農業關係其ノ他氣
象學者ガ色々懇談致シテ居ルノデアリ
マスガ、今年ハ非常ニ寒サガ早ク參リ
マシテ、雪ノ多イ所ハ唯豐年ノ兆ト云
フヤウナサウ云フ簡單ナコトデナクシ
テ、非常ニ寒イ爲ニ土壤ノ中ニ於ケル
微生物ガ死亡シテ、其ノ點ハ非常ニ宜
イ、表日本ニ雨ガ少イコトハ非常ニ困
ルコトデアリマスケレドモ、一月以來
極メテ日照時間ガ多イノデアリマシテ、
是ガ爲ニ植物ノ、麥等ノ根ハ能ク張ツテ
居リマシテ、上ノ方ハサウ伸ビマセヌ
ケレドモ、農家ガ追肥ヲヤツタリ、又
灌水シタリ、色々勞力ノ少イ時デアリ
マスケレドモ肥培管理ニ非常ニ力ヲ注
イデ居リマスノデ、ソレ等ノ努力ニ依
ツテ雨ノ少イコトモ或ル程度防ギ得ル
ト思フノデアリマス、又裏日本ニ雪ノ
非常ニ多イコトハ、麥ノ腐敗其ノ他ノ
コトモ懸念サレマスケレドモ、是ハ
ドウモ雪ヲ少クスル譯ニモ行カヌノデ
アリマシテ、雪解ケノ頃ニ大イニ雪解ケ
ヲ促進スルナリ、又雪解ヶ水ヲ「ポン
プ」其ノ他テ排水スルト云フコトニ、
今カラ準備シテ行カナケレバナラヌノ
デアリマス、勿論大候ノ關係ハ今俄カ
ニ豫斷ヲ許シマセヌケレドモ、私共肥
培管理其ノ他色々ナ方面ニ萬難ヲ排シ
テ一生懸命ヤツテ行キタイト思フノデ
アリマシテ、必ズシモ樂觀ハシテ居リ
マセヌケレドモ、サウ悲觀モシテ居ラ
ヌノデアリマス、尙ホ最後ニ御述べニ
ナリマシタ燒土燻炭ノ問題ニ付モマシ
テハ、是ハ農林省モ採用ヲシテ居リマ
シテ、能ク地方ノ事情ニ應ジテ奬勵ヲ
シテ參リタイ、斯樣ニ考ヘテ居リマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=129
-
130・加藤知正
○加藤(知)委員 只今農政局長ノ御話
ヲ伺ヒマシテ大イニ意ヲ强ウスルノデ
アリマス、ドウカ農政局長ノ仰シヤル
ヤウニ、本年ノ氣候ガ何等心配ノナイ
天候デアリタイト切ニ之ヲ祈ル次第デ
ゴザイマス、ソコデ私ハ此ノ豪雪地方
ニ對シマシテハ、今日ノ所ドウシテモ
ヤハリ消雪ヲ早クヤラセルヨリ外ニナ
イト云フコトデ、先年來北信六縣ノ雪
害對策委員會デ、此ノ消雪ニ付テ元ノ
農林省今ノ農商省ニ對シテ陳情致シテ
居ルノデアリマスガ、幸ヒニ御當局ノ
御了解ヲ得テ大イニヤレ、助成金ハド
ンドン出スト云フヤウナ御言葉ヲ戴キ、
我々ハ非常ニ之ヲ有難ク御受ケシテ、
大イニ奬勵シタノデアリマス、所ガ其
ノ助成金ガ何時マデ經ツテモ來ナイト
云フヤウナコトデ、大分方々カラ苦情
ヤ非難ヲ受ケ、實ハ大イニ閉口致シタ
ノデアリマス、ドウカ一ツ本年モウン
ト助成資ヲ御出シ下スツテ、同時ニ直
チニ助成金ヲ御交付下サルヤウニ御願
ヒ〓シテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=130
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131・高橋熊次郎
○高橋委員長 木村君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=131
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132・木村寅太郎
○不村(寅)委員 薩摩ノ問題デアリマ
スガ、種諸ノ確保ガ今年ハ大變腐ツテ
居ルト云フ關係テ、餘計ニ確保シナク
チヤナラヌト思ヒマスガ、是ハ非常措
置ヲ執ツテ置イテ貰ハヌト、種諸ノ確
保ガ出來ナイヤウニ考へテ居リマスガ、
之ニ對シテ御所見ヲ承リタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=132
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133・西村茂生
○西村政府委員 種諸ノ問題ニ付テハ
十分氣ヲ配ツテ居ルノデアリマスガ、
ソンナニ腐ツテ居ルト云フ話ハ聞イテ
居リマセヌ、農家ガ、自分デソレ〓
確保スルモノハ農家ニ確保シテ貰ツテ
居リマスガ、他ノ縣カラ他ノ縣ヘ移動
スルモノハ、食種管理ノ特別會計デ買
上ゲマシテ、種諸ニ不足スルコトノナ
イヤウニ十分注意致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=133
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134・木村寅太郎
○木村(實)委員 其ノ場合現在農家ガ
食糧トシテ持ツテ居リマスモノヲ種藷
トスル場合ガ多イト思ヒマスカラ、米
デ代替ヲスルトカ、或ハ價格ノ非常措
置デ上ゲテ貰ハナケレバナラヌト思ヒ
マンク、ソレカラ今一ツハ生產スル場合
ニ於テ技術指導ヲヤツテ行カナケレバ
ナラヌト思フノデスガ、是カ指導ニ對
シマシテドウ云フ考へヲ持ツテ居ラレ
八七、ソレカラ今一ツハ其ノ生產ヲ上
ゲテ行ク場合ニ於チマシテ、苗ノ問題
ガ重大ニナルト思ヒマスガ、此ノ苗ニ
對シマシテ良イ苗ヲ作ルト云フ意味カ
ラ、全農家ニ苗床ノ品評會ヲヤラシタ
ラドウカ、ソレニ對シテ全農家ニ坪刈
リヲサセルヤウナ方法ヲ執ツタ方ガ非
常ニ農家ヲ刺戟シテ宜イノデハナイカ
ト思ヒマスガ、ソレニ對シマシテノ御
意見ト、今一ツハ陸稻ノ轉換カラ來ル
薩摩ノ問題テスガ、是ハ供出ノ對象ト
シナイ部画モ相當アリマスガ、併シ農
家トスレバ相當自家〓糧ト云フ問題モ
其ノ中ニ考慮サレテ居ルト思フノデア
リマシテ、之ヲ薩摩ニ轉換シタ場合ニ
於テハ、食種問題ヨリ還元配給ノ問題
モ出テ來ルト思ヒマスガ、之ニ對シマ
シテ薩摩ノ反富ノ收量ノ多イ關係デ、
薩摩ヲ供出シタガリマスガ、米ヲ供出
シタ方ガ國家トシテハ有利デアリマス
カラ、此ノモノニ對シマスル所ノ自家
食種ノ問題トノ組合セヲドウ云フヤウ
ニスルカ、ソレカラ今一ツハ陸梢ヲ大
轉換シテ行クト、結局秋ノ勞務問題ガ
非常ニ困ツテ來ルノデアリマシテ、隨
テ此ノ勞務ヲ調整スル場合ニ於テ早掘
リヲスルモノニ或ル程度國ガ手ヲ入レ
ル、サウシテ早掘リヲサセテ之ヲ〓糎
ニ廻サセル、サウシテ長イ間生諸トシ
テ出荷サセルヤウニスル爲ニハ或ル
程度强制的テモ宜イカラ早掘リノ品種
ヲ入レテ、其ノモノニ限ツテ特別ナ價
格操作ヲシテ行ク必要ガアルト思フノ
デスガ、之ニ對シマシテドウ考ヘラレ
マスカ、最後ニモウ一ツ、苗ガ生產ノ
中心ニナルノデ、少クトモ苗ノ目方ト
云フモノガ考慮サレテ來ルガ、之ニ對
シマシテ國ガ或ル程度マデ苗ノ重サヲ
法律的ニナリ限定シテ、是レ以上ノモ
ノヲ一ツ作レト云フヤウナ所マデ手ヲ
入レルカドウカ、此ノ點ヲ御伺ヒ致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=134
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135・西村茂生
○西村政府委員 種諸ノ問題ニ付テ、
農家ガ自分ノ〓糧トシテ取ツタモノモ
出サセルカラ、ソレニ對シテ代替食糧
ヲ考慮スルカト云フコトデアリマスガ、
一應御考ヘトシテハ尤モデアリマスケ
レドモ、今日ノ食糧事情ハ中々大變ナ
コトデアリマシテ、其ノ種諸カラヤハ
リ藷カ相當增產サレルノデアリマス、
自家用食種トシテアルモノヲ外ノ方ニ
供出ラスルト云フヤウナ場合ニハ御
考ヘノヤウナ點モ考ヘナケレバナラナ
イト思ヒマスガ、若干ハ〓種トシテ除
イテ置イタノダカラ、是ハ種諸トスル
カラ直グ代替食ヲ寄越セト云フ御質問
ノ趣旨ハ左樣ナコトデハナイト思ヒマ
スガ、ソレ等ノ〓種事情ト農家ノ實情
トヲ睨ミ合セマシテ、十分ニ考ヘテ
參リタイト思ツテ居リマス、ソレカラ
苗ノ問題ハ十分考ヘテ參ル槓リデアリ
マスガ、從來モ目方ヲ法律デ以テ統制
ヲシタラドウカト云フ御意見モ度々ア
リマシタガ、今年ハ指導奬勵ヲ積極的
ニヤルコトニシテ、法令等ヲ以テヤル
コトハ差控ヘテ參リタイト考ヘテ居ル
譯デアリマス、尙ホ技術ノ滲透ノ問題
ハ唯大キイ苗ヲ作レ、旨ク植エロト云
フダケデハ勿論不徹底デアリマシテ、
今度ハ一箇町村ニ-諸ノ生產ニ非常
ニ努力スル町村ニ付テハ平均二人位、
全國デ二萬人ニナリマスガ、二萬人ノ
篤農家、諸ノ專門家等ニ囑託致シマシ
テ、又縣ノ農事試驗場等ト連絡ヲ執リ
マシテ、藷ノ苗作リカラ末端マデ最後
ノ收穫マデ十分ニ技術ノ滲透スルヤウ
ニ努力スル積リデ、是等ノ經費モ相當
ニ計上サレテ居ルノデアリマス、品評
會等モ從來ヤツテ居リマシテ是ハ考ヘ
タイト思ヒマスケレドモ、斯樣ナ際デ
アリマシテ、作ツタノヲ直グドン〓〓
植ヱルト云フコトデ餘リ品評會等ニ力
ヲ注イデ居ル暇ハナイト思ヒマスノデ、
地方ノ實情ニ應ジテ善處シテ參リタイ
ト思ツテ居リマス、早掘リノ關係ニ於
キマシテハ、是ハ沖繩百號ノヤウナモ
ノハ早掘リニハ宜イト思ヒマス、サウ云
フモノヲ計畫的ニ農家ニ栽培ヲサセマ
シン、是等ヲ計畫的ニ早掘リサセマシ
テ、價格ノ點ニ付テモ十分考ヘテ行キ
タイト思ツテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=135
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136・高橋熊次郎
○高橋委員長 先程中止シテ居ツタ山
田君ノ纖維局長ニ對スル質疑ヲ許シマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=136
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137・山田六郎
○山田(六)委員 先刻蠶種ノ配給、品
種ノ改善指導方四ニ付テ御答辯ヲ戴キ
マシタガ、桑園ノ問題ニ付テ御伺ヒ致
シマス、御承知ノ通リ桑園ハ非常ニ減
ツテ居リマシテ、之ヲ確保セナケレバ
ナラヌト云フ反別ヨリ、全國テ六、七萬
町步モ不足ダラウト云フコトニナツテ
居ルノデアリマスカラ、自然柔園ノ增
植トカ、或ハ荒廢案園ノ改植ト云フコ
トヲ同時ニヤルコトハ當然ナリト思ヒ
マスガ、其ノ邊ニ對スル御計畫カ御ア
リニナルカドウカト云フコトヲ御聽キ
シタイノデアリマス、若シ桑園ヲ此ノ
儘放仕シテ置キマスレバ、ヨリ以上減
反スル一途デ、或ハ二十萬町步ニナリ
或ハ十五萬町步ニナルト云フ虞ガ多分
ニアルト思ヒマスガ、一面ニ於テ增產
ヲスルトカ、或ハ改植スルトカ云フコト
デ、三十三萬幾ラノ桑園ヲ維持シヨウ
ト云フ御計畫ナラバ、今ソレヨリモ少
イ六、七萬町步ト云フモノモ改値セヌ
え
ケレバナラヌト云フ上カラ申シマシテ、
桑園ニ對シテ相富ノ御計畫カナケレバ
ナラヌト思ヒマスガ、其ノ點ニ對スル
御計畫カ御アリニナリマスカ、御聽干
シタイト思ヒマス
モウ一ツハ此ノ桑園ニ對シテ私共ノ
縣デモ繭ノ價格ガ二百掛ニ上ツタト云
フコトハ養蠶家ヲ相當刺戟シテ居リ
マス爲ニ、或ハ植付ケシタリ、或ハ少シ
バカリノ土地ヲ開墾シテ植エタリシタ
人ガアリマスガ、何ニシテモ桑ノ苗カ非
常ニ少イノデ、農業會等ニ於テ幾ラ世話
ヲシテヤツテ居リマシテモ、需要ヲ充ス
コトガ出來ナイ、桑由ノ價裕ト云フコト
ニ付テハ、昨年モ一昨年モ年々繰返シテ
參ツタ問題デアリマスガ、今日ノ斯カ
ル價格デハ桑苗モ無クナリマス、自家
桑苗ヲ作ル以外ニ桑苗ヲ得ル方法ガ無
クナルダラウト思ヒマス、他ノ苗ニ比
較シテ問題ニナラヌノデアリマスカラ、
是ハ是非トモ大幅ノ引上ヲシテ貰ハナ
ケレバナラヌト思ヒマス、併シ農〓省
デモ此ノ問題ハ價格ヲ引上ゲルト云フ
御計畫ノ下ニ御調査中デアルト云フコ
トヲ御聞キシテ居ルノデアリマスガ、
ソレガ少シバカリノ引上ヲ致シタノデ
ハ問題ニナラナイ、斯ウ考ヘテ居リマ
ス、今日栽培ヲ躊躇シテ居ル柿デアル
トカ、林檎テアルトカ、梨デアルトカ
云フモノノ苗ハ何レモ一圓五十錢、二
圓デ賣買シテ居ルト云フコトハ周知ノ
事實デアリマス、然ルニ桑ノ苗ハ僅ニ
五錢トカ八錢、コンナ價格テハ到底ヤ
ツテ行ケナイト云フコトモ餘リニ明カ
一ナコトデアリマスカラ、是ハ大幅ノ引
上ヲシテ貰パナケレバナラヌト思ヒマ
スガ、是等ニ付テドワ云フ御計畫カア
リマスカ、御聽モシタイト思ヒマス、
ソレカラ蠶種ノ品質カ惡クナツタト云
フコトハ全國到ル處テ聞クノデアリマ
ス、是ハ色々ナ原因-價拾ノ點トカ、
勞刀ノ點トカ、種々樣々ナ原因カアリ
マシテサウナルノカモ知レマセヌガ、
サウ云フ聲カ非常ニ多イノデアリマス
カラ、此ノ蠶俚ニ對シマシテハ、政府
ハ思ヒ切ツタ嚴拾ナル監督ヲスルト同
時ニ、製造シタ蠶種ニ對シテ、養蠶家
ガ自由ニ品種ヲ製造場所ニ對シテ選舉
ヲ致シテ注文スルコトノ出來ル制度ヲ
執ツテ或モタイト思フノデアリマスル
ガ、今ノ所デハ殆ト統制曾紅ノ統制ニ
ナリマシテ、コチラノ注文通リノモノ
ガ中々來ナイ、統制ヲ受ケタモクヲ員
フト云フヤウナコトデアリマスル
カラ、中々思ラヤウナ工合ニハ選擇ノ
自由カナイヤウナ實除ノ狀態デアリマ
ス、此ノ點ニ付キマシテ是非改善ヲシ
テ或キタイト思フノデアリマス、ソレ
カラ此ノ蠶俚モ今ノヤウナ制皮テハ
中々何時マデ經ツテモ良クナラヌト實
ハ心配スルノデアリマス、デアリ
マスルカラ是ハ全國農業曾〓ノ系統農
業會ヲシテ、蠶種製造ニ當ラシメルノ
途ヲ開イテ戴キタイ、曩ニ翼政曾ニ於
テ此ノ問題ヲ決定致シマシテ、其
ノ當時モ政府ニ其ノ事ヲ要求シテ置キ
マシタガ、今ノヤウナ制度デ殆ト
競爭ガナイ、種ヲ造レバ統制會社ニ渡
シ、統制曾社ハ養蠶家ニ配給スルト云
フヤウナコトデアリマスルカラ、品位
品質等ニ付テ向上スルト云フヤウナコ
トハ、ドワシテモ望ミ得ナイト思フノ
デアリマスルガ、是ガ系〓農業曾ニ於
テ造リ得ル送ヲ御聞ヤ下サイマスレバ、
幾ラカナリ是寺ノ人々ニ反自ヲ促ス方
法テナイカト云フヤワナ工合ニ考ヘラ
レルノテアリマス、ソレカラ此ノ〓性
ノ成績ニ依ソテモ直チニサウ云フ〓俚
ハ買ハヌ、賣員フ禁止スル、製造ノ禁
止ハルト云フヤワナ信員必割ヲ明スニ
スルト云フヤワナ制度ヲ御執リ願ヒタ
イト思フノデアリマス、モトハ食〓家
ノ方テ若シ一年〓カ外レレバ、其ノ家
ノ種ハ絕對ニ買ハヌト云フノテ、養蠶
家ハトン〓〓〓罰フ與ヘタノデアリマ·
スルケレドモ、今日ハサワデハナイ、
種ヲ造ツテ統制曾紅ニ納メレバ、統制
會社カドン〓〓ソレヲ配給シテ行クト
云フヤウナコトテアリマスカラ、何時
カハ惡〓モノニ對シテハ相冨ナ罰カ與
ヘラレルカモ知レマセヌカ、極メテソ
レハ緩慢ノ程度テアリマスカラ、其
點ハ明カニシテ〓キタイ、斯ワ思フノ
デアリマス
ソレカラ今一ツハ、是ハ何時モ到ル
處ノ地力テ叫ンデ居ル問題デアリマス
ルガ、繭ノ檢定問題デアリマス、此ノ
繭ハ四十日モ五十日モ、或ハ三箇分、
四箇月モ過キテカラ漸ク繭ノ代金カ決
定サレテ、繭代金ノ決濟カ付クト云フ
ヤワナ狀態デアリマス、直チニ繭ノ代
ヲ決定シ、代金ヲ受取リタイト云フノ
ガ一般資區家ノ心理狀態デアリマスカ
ラ、ソレニ對シマシテハ直グニ切步檢
定等ヲ實行致シマシテ、成ベク急速ニ
繭ノ價裕ヲ決定シテ、代金ヲ決濟スル
ト云フ方法ヲ一ツ賃行シテ戴チタイト
思フノデアリマス、是ハ極ク簡単ニ出
來得ルコトト思ヒマスルカラ、是非一
ツオヤリ願ヒタイト思ヒマス
ソレカラ今一ツハ自家用繭ノ制限ノ
問題デアリマス、是ハ全國テ或ハ二百
匁.或ハ一貫刄ト決メテ、ソレ以上ノ
繭フ家テ使ツテハナラヌト云フヤウナ
コトヲ決定サレテ居ルヤウデアリマス
ルガ、之ヲ今少シ緩和シテ欲シイト思
フノデアリマス、現在被確貢源ノ不足
ノ時代ニ、一粒ノ繭フモ多ク供出シナ
ケレバナラヌト云フ時代デアリマスカ
ラ、此ノ時代ニ甚ダ逆行シタヤワナ主
張デアリマスガ、養區家ニ喜ンデ蠶フ
ヤラシメルニハ、此ノ自家用關ノ數量
ヲ或ル程度緩和シテヤル必安カアラウ
ト云フ風ニ考ヘルノデアリマス、理窟
ガドウアリマシテモ、蠶フヤラウト
云フ意飲ヲ昂揚スル上ニ於テ、サウス
ルコトガ必要テハナイカト感セラレル
ノデアリマスガ、此ノ點ニ關シマシテ
モ両考慮ヲ御願ヒ致シタイト思フノデ
アリマス
ソレカラ玉綱、屑繭〓ノ集マル成績
ガ非常ニ惡イヤウデアリマス、是ハ全
國ニ出來上ツテ居ル數量ノ何分ノ一カ
シカ朱マラヌヤウデアリマスガ、是等
ニ付テハ途中集メル任ニ當ル組織ガ、甚
ダ惡イノデハナイカト云フ風ニモ考ヘ
ラレル、是ハ元ノ商人デアリマス、サ
ウ云フ連中ノ中ニハ不道偲ナ者カアリ
マシテ、横流シ等モ行ハレルト云フコ
トモ一ツノ原因デナイカト思フノデア
リマスガ、是ハ農業會ヲシテ集荷セシ
メルト云フコトガ、最モ的確ニ集マツ
テ來ル方法デナイカト考ヘルノデアリ
マスガ、其ノ點ニ付テ御配慮ヲ煩ハシ
タイト思フノデアリマス、以上ニ對シ
マシテ御所見ヲ御伺ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=137
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138・篠山千之
○篠山政府委員 桑園ノ減少致シテ居
リマスコトハ、只今御述べニナリマシ
ダ通リデゴザイマシテ、大體三十三萬
一千町步バカリヲ確保致ス豫定デゴザ
イマシタガ、之ヲ遙カニ割ツテ居ルノ
デゴザイマス、隨テ三十三萬円步ヲ確
保致ス爲ニハ、新値ナリ或ハ荒廢桑園
ノ復興ナリヲヤラナケレバナラヌコト
ハ自明ノ埋テゴザイマス、唯是ハ時期ノ
問題テ、秋ヤリマシテ間ニ合フノデゴ
ザイマス、種々ノ關係上豫備費ノ方デ
偵藪ヲスルト云フコトニ致シマシテ、
今囘ノ豫算ニハ計上致シテ居ラナイ譯
デアリマス
ソレカラ桑田ノ問題ニ付テノ御意見
ハ私共モ至極同感アゴザイマシテ、現
在ノ桑苗ハ安モニ失シマス爲ニ、桑苗
ノ商人モ作ラナイシ、又骨ヲ折ツテ普
通ノ養蠶家モ之ヲ作ラナイト云フヤウ
ナ狀態ニナツテ居ルノデゴザイマス、
相當ノ價格ノ引上ヲヤラナケレバ、桑
苗ノ十分ナ供給ヲスルコトガ出來ナイ
ト存ジテ居ルノデゴザイマス、目下其
ノ引上ニ付テ調査ヲ致シテ居ルノデゴ
ザイマス、適當ナ指直ヲ講ジタイト考
ヘテ居リマス
蠶極ノ問題テゴザイマスガ、蠶。但ニ
付キマシテハ御承知ノヤウニ相當嚴重
ナ檢査ヲ行ヒ、監督ヲ致シテ居ルノデ
ゴザイマスガ、最近ノ蠶種ノ製造ニ付
キマシテハ、御承知ノヤウニ統制會社
ニ於キマシテ、從來ノ蠶種製造業者ノ
實績ヲ基ニ致シマシテ、專ラ實績主義
ニ依ツテ製造割當ヲ致シテ居リマス、
隨テ先刻御述べノヤウニ、競爭ヲスル
必要モナク、大體安心シテ勢力ヲシナ
イノデハナイカト云フヤウナ虞ガアル
ノデゴザイマス、今年カラ之ヲ改正致
シタイト存ジテ、今丁度其ノ準備ヲ急
イデ居ル所デゴザイマスガ、養蠶家ノ選
擇ニ相當程度依ラナケレバ、蠶種ノ改
良ト云フコトハ難カシイノデハナイカ
ト考ヘテ居リマシテ、只今御述べノヤ
ウナ方向ニ向ツテ準備フ進メテ居ル譯
デアリマス、唯之ニ付キマシテハ、
實績補償其ノ他ノ問題ガアリマシテ、
直チニ全面的ニ左樣ニ致シマスルコ
トモ困難カト思ハレルノデアリマス、
系統農業會ヲシテ蠶種製造ヲ行ハシメ
タラドウカト云フ御意見デゴザイマシ
タガ、之ニ付キマシテハ目下ノ所、系
統農業會ニ蠶種製造ヲヤラセヨウト云
フコトハ考ヘテ居ラナイノデゴザイマ
ス、尙ホ檢討致シタイト存ジマス
次ニ蠶種製造業者ノ成績ニ依ツテ信
賞必罰ノ方法ヲ執レト云フ御意見デゴ
ザイマシタガ、是ハ先程申上ゲマシタ
蠶種製造ノ割當ノ改良ニ依ツテ、相當ノ
程度ニ其ノ目的ヲ達シ得ルト考ヘルノ
デゴザイマスガ、尙ホ極端ナ劣惡ノモ
ノニ付キマシテハ、統制會社ヲシテ左
樣ナ措置ヲ執ラシタイト考ヘル次第デ
ゴザイマス
繭ノ檢定ノ爲ニ代金ノ決濟ガ遲レル
ト云フコトガ始終問題ニナルノデゴザ
イマスガ、御承知ノヤウニ繭ノ取引ニ
付キマシテハ、相當高價ナモノデモアリ
マスシ、又繭ノ性質如何ニ依リマシテ
絲ニモ相當ノ影響ガアリマスル關係デ
現在操絲檢定ヲ全然廢止スルト云フコ
トハ困難デアルト考ヘルノデゴザイマ
ス、昨年カラ地方長官ニ切步檢定デア
ル範圍ヲ相當ノ程度任セテアルノデゴ
ザイマスガ、實施面ニ於キマシテ、我
我ガ考ヘタ程マデニハ擴ガツテ居ラナ
イヤウデゴザイマスガ、大體現在ノ檢
定ヲ全廢致スト云フコトハ考ヘラレナ
イノデハナイカト思フノデゴザイマス、
尙ホ出來ルダケ簡易ナル檢定ニ依ルト云
フコトニ付テハ、〓究致シタイト考ヘマス
次ニ自家用ノ繭ノ制限ヲ今少シ緩
和シタラト云フ御意見デゴザイマシ
女ガ、自家用ノ繭ハ、所ニ依ツテ非常
ニ從來ノ自家用ニ供シタ量ガ違フノデ
ゴザイマス、五、六百目平均ノ所モア
リマスシ、ヒドイノニナルト五貫目モ
自家用ニ供シテ居ルト云フ所モアルノ
デゴザイマス、昨年カラ之ヲ大體八百
目平均ニ致シマシテ、割當以上ノ供出
ヲシタ者ニハ、其ノ超過量ノ三分ノ一
=
ノ範圍內ニ於テ、一戶當リ二貫目ト云
フモノヲ增配致シタノデアリマスガ、
其ノ結果ト致シマシテ全國平均ニ於テ、
相當ノ自家用ノ繭ヲ使用致シテ居ルノ
デアリマス、大體正確ナ統計ハマダ出
テ居リマセヌカト存ジマスルガ、二貫
目前後ガ平均ニナツテ居リハシナイカ
ト考ヘラレルノデゴザイマス、私共ト
致シマシテハ、現在ノ生絲ナリ、繭ナ
リノ不足ノ狀況カラ考ヘマシテ、寧口
此ノ量ハ多キニ失スルノデハナイカト
考ヘテ居ルノデゴザイマス、全國平均ノ
問題トシテ、現在以上ニ緩和スルコト
ハ困難デハナイカト考ヘル次第デゴザ
イマス
玉屑繭ノ蒐集ノ量ガ非常ニ少クナツ
テ居リ、其ノ原因ガ中間ノ商人ノ不道
德ニアルノデハナイカト云フ趣旨ノ御
質問デゴザイマシタガ、先程モ申上ゲ
マシタヤウニ、自家用ノ繭ハ相當ニ量
ふ
ガ增加致シテ居リマシテ、其ノ自家用
ノ繭ニハ第一順位ニ於テ玉屑繭ヲ充當
致シテ居リマス、隨テ自然ニ其ノ方ニ
流レルモノガ相當アリマスル關係モア
リ、又或ハ御話ノヤウナ不都合ナモノ
モアルカトモ存ジマスガ、現在繭ノ扱
ヒ商人ノ業者ノ整備ヲ行ヒマシタ後ニ
於テハ、以前程ノ不道德ナ行動モナ
イノデハナイカト考ヘテ居ル次第デゴ
ザイマス、尙ホ之ヲ如何ニスルカト云フ
コトニ付キマシテハ、只今ノ御質問モ
ゴザイマシタノデ、實情ヲ十分ニ〓究
致シテ善處シタイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=138
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139・山田(六)委員
○山田(六)委員 只今ノ御答辯ノ中ノ
蠶種ヲ農業會ニ造ラシテハドウカト云フ
問題ハ、農業會ニ造ラシメルト云フノハ、
農業會ノ中デ自己蠶種ヲ造リタイト云
フ意味ニ於テ造リタイト云フ申込ノアツ
タ際ニハ、之ヲ許可ヲスル途ヲ開イテ戴キ
タイト云フ意味ナノデアリマス、是ハ農
業會ヲシテ造ラシメタイト云フ意味デ
ハナイノデアリマス、農業會ノ中ニド
ウシテモ自分ノ造ツタモノハ安心デア
ルカラ、自家用ノ種トシテ造リタイト
云フ農業會ガアリマシタ際ニハ、基
農業會ニ製造ヲ許スト云フ途ヲ御開キ
願ヒタイ、サウ云フコトガ出來レバ、
餘程蠶種ノ方ノ製造ニ當ル人ノ反省ヲ
促ス上ニ於テモ、相當ノ力ガアルデハ
ナイカト云フ風ニモ考ヘラレルノデア
リマス、ソレカラ自家用繭ハ私共ハ全
國平均八百目、斯ウ云フ風ニ考ヘテ居
ツタノデアリマス、今御話ノヤウニ二
貫目ヤルト云フコトニナレバ、二貫目
モアレバ十分ダラウト思フノデス、尙
ホ私ノ考ヘテ居ツタノガ或ハ間違ツテ
居ツタカモ知レマセヌ、ソレカラ全體ヲ
通ジテ、養蠶或ハ種ノ製造ヲシテ居ル
人々ヲ要員トシテ御認メヲ願ヒタイト
云フコトガ、是レマデヨク叫バレタ問
題デアリマスガ、是ハ大抵ノ農家ガヤ
ツテ居リマスカラ大抵要員ニナツテ居
リマス、併シナガラ場所ニ依リマシテ
ハ)田ヲ作ラズシテ、全ク畑百姓ト云
フノデ畑バカリヤツテ養蠶ヲヤツテ居
ル地方デ、要員ニナル百姓モ相當アル
ヤウデアリマスガ、是ハ全體トシテハ
少イモノト私ハ思ツテ居ル、或ハ其ノ
他ノモノハ田モヤリ畑モヤル農業要員
ニナツテ居ル人デアリマスカラ、此ノ
養蠶ニ從事シテ居ル者ヲ要員ト認メル
トサレテモ、全體ノ數トシテハ比較的
少イト云フ風ニ考ヘラレルノデアリマ
スガ、之ヲ一ツ農業要員ニ編入シテ貰
ヒタイ、又此ノ指導ニ當ル人モ農業ノ指
導員ト同等ノ待遇ヲ與へテ戴キタイ、
斯ウ云フ希望ガ到ル處ニアルノデアリ
マスガ、此ノ點ニ對シテ御所見ヲ御伺
ヒシタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=139
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140・篠山政府委員
○篠山政府委員 先程私御答ヘ申シマ
シタ中ニ、或ハ言葉ガ足リナカツタカ
ト思ヒマスルガ、自家用繭ノ保有量ハ
大體普通ノ養蠶家ニ於テ、先ヅ八百目
平均ト云フコトニ致シマシテ、サウ
シテ其ノ割當以上ニ供出致シマシタ養
蠶家ニ對シテハ、其ノ超過量ノ三分ノ
一以內ニ於テ、又二貫目以內ト云フコ
トデ增加ヲ認メタノデゴザイマス、其
ノ結果ト致シマシテ、昨年ノ全國ノ平
均ハ二貫四十四匁ヲ自家用ニ保有シタ
ト云フ結果ニナツテ居ルノデアリマス、
是レ以上ニ增スコトハ出來マセヌシ、
又少シ多キニ失スルノデハナイカト云
フヤウニ考ヘテ居ル次第デゴザイマス、
次ニ御質問ノ養蠶ノ要員ノ問題デゴ
ザイマスガ、大體御說ノヤウニ農家ガ
副業的ニヤツテ居ルモノガ多イ關係上、
大部分ハ農業要員トシテ指定サレテ居
リマス、新タニ指定ヲスルト致シマス
レバ、指定ヲ要スルモノハ全國デ四、
五萬ト云フ程度デハナイカト云フ程度
ナノデアリマス、目下養蠶ノ關係者ノ
ミヲ農業要員ニ指定シ得ル制度ニ、勅
令ノ改正ヲ御願ヒシタイト存ジマシテ
手續ヲ致シ、折衝ヲ致シテ居ル所デゴ
ザイマスカラ、左樣ニ御承知ヲ願ヒタ
イト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=140
-
141・山田(六)委員
○山田(六)委員 更ニ今一ツオ聽キ致
シタイ問題ハ、今囘二百掛ニ繭ヲ上ゲ
ラレタ、此ノ上ゲラレタニ付テ重大ナ
關係ガアルト思フコトハ、日本蠶絲製
造株式會社ノ問題デアリマス、最近ニ
於キマシテ繭ノ生產ガ非常ニ減リマシ
タノハ色々ナ原因ガアリマセウ、價格
ノ低イノモ其ノ一ツデアリマセウ、勞
力ノ不足モ其ノ一ツデアリマセウ、或
ハ〓糧問題等ノ逼迫ヲ〓ゲテ居ルノモ
其ノ一ツデアリマセウ、色々ナ原因ガ
アリマセウガ、各地方ニ於テ大ナル工
場ガナクナツタト云フコトガ、最大ノ
原因トモ考ヘラレルノデアリマス、現
ニ私共ノ方面ニ於テモ、製絲ノ大キナ
工場ノアリマシタ附近ハ中々盛ンニ蠶
ガ行ハレルガ、其ノ工場ガナクナルト
同時ニ其ノ附近ノ蠶ガナクナツテシマ
フ、是ハ山陰道ニ於テモ東海道ニ於テ
モサウ云フ傾向ガ著シイノデアリマス、
デアリマスルカラ製造會社、或ハ製
絲場ト云フヤウナ場所ヲ各地ニ盛ンニ
ヤツテ貰フコトハ、養蠶ノ意欲ヲ昂揚
スル上ニ於テ非常ニ力ガアルコトダト、
斯ウ云フ風ニ考ヘテ居リマスシ、又價
格ガ上ツタ關係カラシマシテ、是等ノ
會社ニ長纖維若シクハ短纖維其ノ他ノ
問題ニ對シテモ、價格ノ上ニ相當ノ影
響ガアリ、込入ツタ問題ガアルノダラ
ウト思フノデアリマス、承リマスルト
現在ノ蠶絲製造會社ニ於ケル繭、短纖
維等ノ生產費ハ、共榮ノ製造費ト比較
致シマシテ非常ナ差額ガアル、著シキ
ニ至ツテハ二倍位ノ差額ガアルト云フ
コトヲ聞イテ居リマス、果シテ斯ウ云
フ事實ガアルカドウカ問題デアリマス
ガ、果シテサウダトシマスルト、是尺
生產費ニ付テハサウ澤山ナ違ヒガナイ
ノデアリマセウガ、一方ハ、創立當時
ニ一億四千五百萬圓ト云フ投資金ヲ出
シテアル、會社ノ拂込ハ一億圓トシマ
スト、會社ノ創立ノ當時ニ直チニ四千
五百萬圓ノ「マイナス」ヲ以テ營業ヲ經
營スルト云フノデアリマスルカラ、其ノ
外ニ土地、機械、建物等ヲ買收致シマ
スルト、ソレニモ四、五億圓ノ金ハ掛
ル、流動資本ヲ其ノ外ニ入用ダト致シ
マスレバ、ドウシテモ十億圓ノ借金ヲ
シナケレバ此ノ會社ノ運營ハ出來ナ
イ、斯ウ云フ情勢ニナツテ居ル筈デア
リマス、サウ云フヤウニナリマスレバ、
此ノ會社ハ生產費ノ半分ハ金利ノ爲ニ
費ヤサナケレバナラヌト云フコトニ相
成ルノデハナイカト思フノデアリマス、
ソコデ此ノ會社ノ生產費ト云フモノト、
此ノ會社以外ノ生產費ト云フモノノ上
ニハ、大變ナ差額モ生ズルコトニナリマス
ルガ、此ノ會社ノ生產費ヲ基礎ト致シテ長
纖維、短纖維ノ價格ヲ計算致シマスレバ、
其ノ負債ノ爲ニ支拂フ所ノ利子ヲ國家ガ
負擔シナクテハナラナイト云フコトニ
相成ル譯デアリマス、若シ又共榮製絲
組合ノ方ノ生產費ヲ基礎トシテ是等ノ
價格ヲ決定致シマスレバ、此ノ製造會
社ノ方ハ存立出來ナイ、獨立スルコト
ガ出來ナイト云フ結果ニナルノデアリ
やっと、是等ニ對シテハドウ云フ風ナ御
方針デ御ヤリニナル御考ヘデアリマス
カ、段々聞ク所ニ依リマスレバ、此ノ
製造會社ノ中ノ二十何工場ト云フモノ
ガ、近來處分ヲサレテ他ニ賣ルトカ云
フヤウナ話モアルノデアリマスガ、國
內ニ一千八百モアツタ工場ガ、現在ノ
所僅カ三百位ニ減ツテ居ル際ニ、其ノ
中ノ工場ガ減ルト云フコトニナリマス
カラ、此ノ工場ノ減ルコトガ生產ノ上
ニ非常ニ影響スルコトト、又每年四千
萬貫或ハ五千萬貫ト云フモノヲ作ラセ
ル上ニ於テ、ソレヲ消化スル機關ガウ
マク行クカドウカト云フ問題デアリマ
ス、是ハ餘程其ノ點ニ付テ懸念シナケ
レバナラヌト思フノデアリマスガ、其
ノ邊ニ付テノ御所見ヲ御聽キ致シダイ
ト思フノデアリマス、更ニ又承リマス
レド·斯ウ云フ大キナ金利ヲ支拂ツテ
居ル會社ノ存立ハ極メテ困難デアルカ
ラ、是ハ國トシテ何トカシテヤラナケ
レバナラヌ、斯ウ云フ議ガアリマシテ、
其ノ議ガ、一ツハ政府ノ手ニ依ツテ救
濟サレルト云フコト、今一ツノ案ハ日
本蠶絲統制株式會社ニ合併スルト云フ
計畫ガ一ツ、サウ云フ案ガアルト云フ
コトデアリマスガ、私共ノ見ル所ニ依
リマスト、此ノ製造會社ナルモノハ所
謂國立會社デハナイ、國家ノ統制會社
デハナイノデアリマス、創立前ニ此ノ
議會ニ於ケル質問ニ對シテ大臣ノ答辯
ニハ、本會社ハ政府ノ發意ニ依ツテ創
立シタルモノニアラズシテ、業者ノ再
三ノ陳情モアリ、放任シテ置ク譯ニモ
參ラズ、政府トシテハ是ガ設立ニ關シ
斡旋ノ勞ヲ執ツタノニ過ギヌ、隨テ固
ヨリ其ノ加入脫退ハ業者ノ自由デアリ、
强制セントスル意思ナシ、斯ウ云フコ
トヲ言明サレテ居ルノデアリマスカラ、
無論國家トシテ國立會社トシテヤツタ
會社デナイコトハ極メテ明瞭デアリマ
ス、此ノ明瞭ナル會社ヲ國家ノ資金ヲ
投ジテ救濟スルト云フコ〓ガ行ハレマ
スコトニナレバ、ドウ云フ風ニナリマ
セウカ、是ハ事實ヤリ得ナイコトダラ
ウト思ヒマス、是等ノ人々ハ一億何千
萬圓ト云フ共濟金ヲ取ツテ居リマスカ
ラゝ其ノ金ヲ取ラヌ他ノ共榮製絲ノヤ
ウナモノニ對シテハ、ドウ云フ態度ヲ執
ラレルカ、一方ニ於テハ斯ウ云フ計畫
ヲシタカラ政府ノ方カラ取レルガ、
方ハ計畫シナイカラ一文モ取レヌノダ
ト云フコトニナリマスカラ、ソコハ疑
問デアリマス、又蠶絲統制株式會社ニ
統合スルトカ云フコトニナレバ、是ハ
大問題ダト思ヒマス、結局會社ノ機構
宜シキヲ得ナイガ爲ニ、半分ガ政府ノ
出資、半分ハ全國ノ養蠶家悉ク株主ニ
ナツテ居ル會社デアリマスカラ、其ノ
會社ニ其ノ機構ノ不備カラ來ル所ノ〓
陷ヲ負擔セシメルト云フ結果ニナリマ
スカラ、、是ハ容易ナラヌ問題ダト思ヒ
マス、デアリマスカラ、是等ハ双方トモ
實行スベカラザル案ダト思ヒマスガ、
世上デ能クサウ云フ話ヲ聞グノデアリ
やっ、併シ此ノ儘放任シテ參リマシタ
ナラバ、生產費ノ問題ニ致シマシテモ、
或ハ今後ノ蠶絲關係ノ物價ヲ決定スル
上ニ於キマシテモ、相當ノ影響ガアル
モノト思ヒマスシ、又蠶絲ノ政策ノ上
カラ考ヘマシテモ、相當深刻ナ影響ガ
アルモノト思ヒマスガ、其ノ點ニ對シ
テ如何ナル御考ヘヲ御持チデアリマス
カ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=141
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142・篠山千之
○篠山政府委員 蠶絲製造會社ノ問題
ニ付テ色々御質問ガゴザイマシタガ、
現在ノ生絲ノ製造費ノ計算ニ付テハ
蠶絲製造會社ノ共助金ノ問題ハ加ヘテ
居リマセヌ、各工場ニ於ケル投下資本
等ヲ計算シテ居ルノデアリマス、此ノ
共助金等ハ入ツテ居リマセヌ、隨テ之
ニ依ツテ製造費ガ特ニ高クナツテ居ル
ト云フコトハナイノデゴザイマス、蠶
絲製造會社ノ生產費ト、他ノ工場ニ於
ケル生產費トノ問題ハドノ程度ニナツ
テ居リマスカ、記憶シテ居リマセヌノ
デ、是ハ他ノ機會ニ申上ゲタイト存ジ
マス、製絲工場ガ整備サレマシテ、其
ノ數ガ非常ニ少クナリ、殊ニ大工場ガ
他ノ工業ニ轉換シタ爲ニ、養蠶業ノ衰
ヘル一ツノ原因ニナツタノデハナイカ
ト云フ御趣旨ノ御意見モアリマシタガ、
私モ同ジヤウナ感ジヲ持ツテ居リマス、
大體工場ヲ中心トシテ發達シタ養蠶業
デアリマスル爲ニ、中心ノ工場ガナク
ナルト云フコトハ、養蠶業ノ上ニ相當
ノ影響ヲ與ヘルノデゴザイマス、成ベ
ク良イ工場ヲ必要ナ所ヘ分散致シテ置
キタイト考ヘルノデゴザイマスルガ、
事實ニ於キマシテハ、戰爭ノ要求ガ、
ドウ致シマシテモ其ノ工場ヲ轉用シナ
ケレバナラナイ狀態ニナツテ居ルノデ
ゴザイマス、蠶絲製造會社ガ出來マシ
タ時ノ整備モ、戰力增强企業整備ト同
ジヤウナ氣持デ以テヤル、又今囘ノ轉
用ニ付キマシテモ、是ハ更ニ强イ要請
ニ依ツテヤツテ居ルノデゴザイマシテ、
己ムヲ得ナイト申上ゲル以外ニ仕方ガ
ナイノデハナイカト考ヘルノデゴザイ
マス
次ニ日本蠶絲製造會社ヲ政府ガ救濟
スルカ、或ハ統制會社ト合併スルト云
フヤウナ案ガアルカト云フ御趣旨ノ御
質問ガゴザイマシタガ、只今ノ所製造
會社ト統制會社ヲ合併スルトカ、或、
直チニ政府ニ於テ救濟スルト云フ左樣
ナ案ハ何レモゴザイマセヌ、隨テ製造
會社ニ加盟シナカツタモノニ付テノ取
扱如何ト云フ問題モ起ラナイ譯デゴザ
イマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=142
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143・山田六郎
○山田(六)委員 只今ノ御話ノ中ニ、
今年ノ繭ノ生產ヲ消化シ得ル機能ヲ持
ツテ居ルカドウカト云フコトガナカツ
タガ、其ノ點ヲ御聽キシタイト思ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=143
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144・篠山千之
○篠山政府委員 現在ノ繰絲、及ビ短纖
維工場ヲ合計シマスレバ、本年度ノ繭
ノ處理ニハ相當餘裕ノアル設備ヲ持ツ
テ居リマス、又今後ニ於キマシテモ二
十年度ヲ豫想致シテ見マシテモ、設備
ト致シマシテハ不足ヲ致ス虞ハアリマ
セヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=144
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145・山田六郎
○山田(六)委員 私ハ是デ質問ヲ終リ
マシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=145
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146・高橋熊次郎
○高橋委員長 小笠原君、馬政局長官
其ノ他ニ對スル質問ヲ終ツテ下サイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=146
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147・小笠原八十美
○小笠原(八)委員 先ニ纖維局長ニ御
伺ヒシタイノデスガ、唯一點ダケ御伺
ヒ致シタイノデス、先般同僚ノ質問ニ對
シテ、二十年度ノ衣料切符ヲ廢止スルヤ
モ分ラヌト云フヤウナ御答辯ガアリマ
シタガ、サウ云フ場合ニハ現物デ隣組
ヲ通ジテ配給スル、纖維ノ生產力ノ不
足ノ關係上、或ハ下着トカ、學童用ト
カ云フヤウナモノニ對シテノ配給ニ重
點ヲ置クト云フヤウナコトノ御答辯ガ
アツタノデゴザイマスガ、一體是マデ
ノ衣料切符ノ配給ニ對シマシテハ、南
ノ方ノ暖カイ地方モ、北海道、東北ノ
ヤウナ零下何度ト云フ地方モ、同一ニ
規正配給ニ依ツテ衣類ハ配給サレテ居
ツタノデアリマス、今後ノ現物ヲ配給
スル制度ニ當リマシテモ、ヤハリ同一
ノ方法ヲ執ラレルヤ否ヤ、此ノ點ヲ明
確ニ御答辯願ヒタイノデアリマス、ド
ウ云フ譯カト云ヘバ、一寸例ヲ申上ゲ
マスト、東北方面、北海道方面ノ學童
ハ今日寒氣ニ堪ヘザル狀況ニアルノデ
アリマス、特ニ東北ナドハ「ストーブ」
ノ設備ガ不完全ナ爲ニ、元旦ノ拜賀式
ニ僅カ三十分立ツテ居ツタ兒童ガ、寒
サニ堪ヘズ倒レル者ガ相當數出タノデ
アリマス、其ノ原因ヲ學校ニ調査セシメ
タ所ガ、「ズボン」下ガナイ、薄イ「ズボ
ン」一枚デアル、上衣ノ方ハ下着等ガナ
イコトハ御察シノ通リデアル、サウ云フ
事情ニアルノデアリマス、支那事變始
マツテカラ九箇年ニナツテ、其ノ當時
裸デ生レタ子供ガ、九歳ニナツテ、國民學
校ニ入ツテ居ル、然ルニ配給事情ガ窮
屈ニナツテ、暖カイ所モ寒イ所モ同一
ニ配給サレテ居ルトスレバ、サウ云フ
結果ガ現ハレルコトハ営然デアルト思
フ、而モ暖地ノ方ニ於テモ纖維ノ配
給ガ不足デアル爲ニ、纖維ノ配給
ヲ渴望シテ居ルト云フ害情ニアリト致
シマスレバ、寒地ニ於テハ由々シキ問
題デアルト思フノデ、其ノ御方針ニ對
シテ此ノ際伺ヒタイト思フ、附加ヘテ
愈。纖維ガ窮屈ニナルナラバ致シ方ガ
アリマセヌガ、然ラバ何カ古イモノヲ
縫ヒ繕ヒヲシテ間ニ合セナケレバナラ
ヌト云フ現狀ニアルノデアリマス、昨
年ノ議會ニ於テモ相當數量ノ縫絲ガ配
給ノ用意ガアルト云フ答辯ガアツタガ、
更ニ實現サレテ居ラヌ、今度ハ纖維關
係ガ窮屈ニナレバナル程、此ノ縫絲ノ
關係ハドウ云フ風ニナツテ居ルカ、此
ノ二點ヲ伺ツテ置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=147
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148・篠山千之
○篠山政府委員 二十年度ノ衣料切符
ニ付キマシテハ、先般來申シマシタヤ
ウニマダ決定シテ居リマセヌガ、申上
ゲルマデモナク纖維ノ供給ガ非常ニ減
少致シマシタ爲ニ、十分ナ衣料品ノ供
給ガ出來ナイノミナラズ、我々ト致シ
マシテハ衣料切符ノ制度ヲ維持シタク
モアリ、維持スルダケノ纖維資材ヲ生
奔致シタイト考ヘルノデゴザイマスガ、
此ノ希望モ達シ得ルカドウカト云フコ
トガ疑ハシイ狀態ニニツテ居ルノデア
リマス、昭和十九年度ノ後半期ニ於テ
旣ニ相営窮屈ニナツテ參リマシタ、殊
ニ只今御質問ノ要旨ニモアリマシタヤ
ウニ、寒地、暖地ノ差ニ付キマシテ、
從來ハサマデ區別ヲ致シテ居ラナカツ
タノデゴザイマスガ、此ノ冬ニナリマ
シテ其ノ取扱ニ差等ヲ付ケナカツタ結
果ガ、痛切ニ現ハレテ參ツテ居ルノデ
アリマス、今御話ノゴザイマシタヤウニ
「シャツ」ノナイ子供、「ズボン」下ノナイ
子供ト云フノガ東北等ニ於テモアルト
云フコトヲ度々耳ニ致シマシテ、十九
年度ノ後半期ヨリ成ベク寒地ニハ寒地
ニ適當シタ品質ノモノヲ送リ、又時期
ヲ早メテ送ルト云フ方法ヲ執ツテ居ル
ノデゴザイマス、衣料切符ノ制度ヲ維
持スルカ否カニ拘ラズ、今後ハ寒暖ノ
理由其ノ他ニ依リマシテ、必要ナ所ニ
適當ナ品物ヲ必要ナ量〓シタイト云フ
希望ヲ、强ク持ツテ居ルナ〓デゴザイ
マス
次ニ縫絲ノ配給ノ問題デゴザイマス
ガ、昭和十九年度ニ於キマシテハ御承
知ノヤウニ、一人當リ十五匁ノ縫絲ヲ
配給スルコトニナツテ居リマシタ、從
來ニ比較致シマスト相當ノ量ガ增加致
ス筈デアツタノデゴザイマスガ、軍ノ
整備其ノ他ノ關係ガ急グモノガアリマ
シタノト、一ツニハ撚絲ノ能力ガ多少
不十分デアリマシタ關係、其ノ他輸送
等ノ關係モアリマシテ、縫絲ノ製造ガ
遲延致シタノデアリマス、昭和十九年
度ノ上半期ニ於テ相當量ヲ配給致シタ
イト考ヘテ居リマシタノガ、上半期ニ
於テハ十九年度ノ殆ドガ配給サレナカ
ツタノデアリマス、現在マデニ於キマ
シテ六割弱ヲ配給シタニ過ギマセヌ、
相常遲レテ參リ不十分デアツダノデゴ
ザイマスルガ、現在極力急イデ十五匁
ヲ確保致シタイト考へテ居ルノデゴザ
イマス、今後ニ於キマシテハ纖維製品
ガ窮屈ニナレバナルダケ、補修用縫絲ノ
配給ニ付キマシテハ更ニ努力ヲ費サ
ナケレバナラヌト考へテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=148
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149・小笠原八十美
○小笠原(八)委員 其ノ縫絲ノ關係デ
アリマスガ、ソレハヤハリ配給ガ遲レテ
居ツタト云フコトハ分リマスガ、ソレハ
寒暖ノ區別ガナイ配給事情デスガ、全
國均一配給デスカ-ソレハ少シヒド
過ギル、纖維ガ不足スレバスル程、多
クノ衣料ヲ用ヒル方ニ多クノ縫絲ヲ配
給シナケレバ均衡ヲ得ナイ、一體國家
ノ政治ニ寒暖ノ區別ヲ知ラナイ政治ト
云フ、モノハ大缺陷デス、ソレヲ九年間モ
其ノ儘ニシテ置イタト云フノハ一體ド
ウ云フ譯カ、寒暖ヲ知ラズニ居テ、寒
イ所ノ子供ガバタ〓〓倒レテ、其ノ親
ニ增產意欲ヲ持テト言ツタツテ持テマ
スカ、是ハ大ナル缺陷デアリマスカラ、
何トカト云フコトデナク、政務官、此
ノ點モ大臣ト連絡ヲ取ツテ、斯ウ云フ
コトヲテキパキ矯正シテ戴カナケレバ
全ク困ルノデアリマス、太當ニ寒地ハ
可哀サウデス、此ノ點ハ是ダケニシテ
アト馬政局長官ニ伺ヒマス
馬ノ方ノ關係ハ先刻農政局長ニ大半
ノ所ハ伺ツテ置キマシタノデ、馬政局
ノ方ニ一、二點伺ヒマス、馬ノ增產ノコ
トニハ大イニ努メテ居ラレルノデアリ
マスルガ、今年ハ小運搬ノ關係デ、ア
ナタノ方デ馬ヲ幾ラ增產シテモ、幾ラ
供給シテモ重大ナ問題ガ起ルト思フ、
是ハ大都市ノ輓馬ガ今日非常ナ勢ヒデ
消耗率ヲ高メテ居ル、是ハ何ガ原因ス
ルカト云フコト、先刻ドナタカ飼料ノ
問題ノコトヲ申サレマシタガ、如何ニ
モ飼料ガ大キナ原因ヲ成シテ居ルノデ
アリマス、併シ飼料バカリデハナイ、
大體都市以外ノ農村デ輓馬ヲ使役シタ
モノガ平均七年間壽命ガ保タレルモノ
ガ、都市輓馬ハ、六大都市ヲ平均シテ
一箇年シカ保タナイ、是ハ何ガ原因ス
ルカト云フト、飼料モ一ツデアルケ
レドモ、アトハ馬夫ノ訓練ノ足ラザル
コト、愛馬思想ノナイコト、モウ一ツ
ニハ厩舎、是ガ學者ガ言フヤウニ馬ト云
フモノハ立ツテ脈ル、立眠デ宜イモノ
ナリ、斯ウ簡單ニ解釋スルガ、ソンナ
コトデハ駄目ダ、厩舍ヲ改造シ輓馬ガ
十分眠レルヤウニ、サウシテ馬夫ノ方
ニハ時々水ヲ與ヘル時間ヲ〓ヘルコト、
使役シタ後デハチヤント脚ヲ洗ツテヤ
ルト云フヤウナ手入レヲスレバ、優
田舍ノヤウニ七年ハ保タヌデモ三年間
ハ保テル、スルト三倍保テルコトニナ
リマス、少シク今年ノ事情ヲ觀察致シ
マシテ、小運搬ハドウナルカト云フコ
トヲ想像スルナラバ、相當ニ田舍カラ
馬ガ入リ込ムト思ヒマスガ、サウスル
ト農耕馬ニモ手ガ掛ル譯デアリマス、
サウスルト增產ノ方ニモ相當大キナ影
響ガアルノデアリマスカラ、唯都市輓
馬ヲ補塡スルト云フコトデナク、都市
輓馬ノ消耗防止ト云フコトニ重點ヲ置
イテ、ソレガ〓究ヲナサラナイト、地
方的ニ小運搬トカ、農耕トカ、隨テ〓
糧增產ニモ非常ナ影響ヲ來スト考ヘテ
居ルノデアリマスガ、何カ其ノ方ノ對
策ヲ講ジテ居ラレルカ、先ヅ第一ニ伺
ヒタイト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=149
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150・梶原茂嘉
○桐原政府委員 只今御話ノ都市輓馬
ノ最近ノ消耗度ノ問題デアリマスガ、
御話ノ如ク重要都市ニ於キマスル輓馬
ノ消耗度ハ最近極度ニ高イノデアリマ
ス、之ニ對スル對策ヲ今ニシテ十分ニ
シテ置カナイト、幾ラ之ニ對シマシテ
補充ノ途ヲ講ジマシテモ、結局圓滑ニ
行カナイト云フ懸念ヲ以チマシテ、種
種施設ヲ行フベク〓究ヲ致シテ參ツタ
ノデアリマス、ソレ等ニ對シマスル國
ノ施設ト致シマシテハ、御承知ノ如ク
極メテ現在ノ所不十分ダト思ハレルノ
デアリマス、共同厩舍ノ問題、或ハ馬
房ノ改善ノ問題、物的設備ノ關係ニ於
テハ、資材等ノ關係モアリ、中々テキ
パキト參ラナイト思ヒマス、又御話ノ
如ク馭夫ノ關係ニ於キマシテモ、馬ノ
數ハ非常ニ殖エマスケレドモ、之ヲ扱
ヒマス人ノ上ニ於テ極メテ不十分、是
等ニ關スル訓練ノコトニ付キマシテ
モ、缺陷ガ甚ダ多イヤウニニモ見受ケ
ラレマス、飼料ノ點モ御話ノ如クデア
リマシテ、ソレデ現在ノ所馬事團體ト
モ十分協力致シマシテ、輓馬組合或ハ
馬匹組合、小運送方面ノ團體等トモ、
整備スベキ點ハ整備モシ、ソレ等ノ點
ニ團體トシテノ活動機能ガ十分及ブヤ
ウニ致シタイト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=150
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151・小笠原八十美
○小笠原(八)委員 先刻農政局長ニ御
尋ネシマシタ家畜商ヲシテ有效ニ之ヲ指
導シテ、今ノヤウニ利潤稼ギデナク、
實際ニ於テ今ノ國家ノ要求スル馬トシ
テノ育成訓練ヲセシムルヤウナ方法ニ、
家畜商ヲシテ統制ヲ執ツテ行クト云
フ方針ヲ御定メニナツテ居ルカドウカ
ト云フコトガ一點、ソレカラ馬ノ評價
ニ付テ能力價格、今日是ハ最モ急速ニ
解決ヲ付ケナケレバナラヌコトデアリ
マスガ、先刻農政局長ニ御尋ネシタ點
ニ付テ御答ヘ〓ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=151
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152・梶原茂嘉
○梶原政府委員 御答ヘ申上ゲマス、
前段御尋ネノ家畜商ヲ馬ノ訓練其ノ他
ニ活用スルト云フ點デアリマスガ、全
國ニ亙ツテ相當ノ人數ガアリ、而モ永
年其ノ途ニ於ケル經驗ヲ積ンデ來ラレ
タ、先ヅ隱サレタ勞力ト云フ風ニ考ヘ
ラレマス、御意見ノ點私極メテ御尤モ
ダト思ヒマス、十分ニ而モ急速ニ調査
檢討致シマシテ、出來ル限リ之ヲ積極
的ニ活用シ得ルヤウニ考ヘタイト思ヒ
やった、ソレカラ價格ノ問題デアリマス
ガ、昨年十月デアリマシタカ、全面的
ニ馬ノ價格ニ付キマシテ、各觀點ヨリ
檢討ヲ遂ゲテ、相當廣範圍ニ亙リマシ
テ改訂ヲ行ツタノデアリマス、其ノ場
合ニ於キマシテモ、從前ノ年齡或ハ馬
格資質其ノ他ニ依リマシテ、公定價
格ニ區別ヲ付ケマシタコトハ勿論デア
リマスガ、同時ニ馬ノ能力ニ應ジテ差
ヲ付ケ得ルヤウニモ致シタノデアリマ
ス、併シナガラソレデモ必ズシモ現在
ニ於キマスル本當ノ馬ノ能力、竝ニ其
ノ馬ニ對スル需要ノ關係ヲ十分反映シ
得ナイ憾ミガアリマスノデ、特ニ輓馬
等ノ取引ニ付キマシテハ、普通ノ公定
價格ニ依ラズ、例外的ノ措置ヲ以チマ
シテ、機動的ニ價格ヲ評價シテ取引ヲ
スルト云フ途ヲ、例外的ニ認メテ參ツ
タノデアリマス、併シナガラ御話ノ如
〃、マダ不十分ノ點ガアルカト考ヘマ
スケレドモ、價格ノ問題ニ付キマシテ
ハ旣ニ實際ニ於テ遺憾ナイヤウニ、今
後、置置シテ參リタイト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=152
-
153・小笠原八十美
○小笠原(八)委員 モウ一點最後ニ伺
ヒタイノデアリマスガ、馬ヲ農耕ニ利用
スルコトニ對シテ、馬其ノモノ一頭ダ
ヶ利用シタノデハ利用價値ハ至ツテ少
イ、隨テソレ等ニ對シテ車、雪國デ
ハ橇ヲ之ニ附帶サセナケレバ馬耕能率
ハ上ラヌ、所ガ其ノ方ノ車ノ關係ハ今
資材ガ困難デ、農家ノ自家用肥料ヲ運
ブノニ非常ニ困難ヲシテ居リマス、今
年ハ〓ハ間ニ合ハヌデモ、來春早々デ
モ此ノ車ノ資材ヲ獲得セザレバ、非常
ニ困難ヲ來スト思フノデアリマス、幸
ヒ此處ニ山林局長サンガ御見エニナツ
テ居リマスガ、一體農耕ニ對スル農具
ノ最モ重要ナ、運搬其ノ他一切ニ關係ノ
アル所ノ車ノ資材等ハ、是ハ今ノ地木
社カラ配給ヲ受ケルト云フ制度ダト本
年ノ間ニ合ヒマセヌ、特ニ農用車ニ對
スル特別ナ製造ヲシタイト云フ希望ガ
アル、特ニ是ダケノ一般的ナ生產能率
ヲ擧ゲテ、農家全體ニ配給出來ルヤウ
ナモノヲ冬地ニ設ケルト云フコトニナ
レバ、食糧增產ニ對シ非常ナ好影響ガ
アルト思フノデアリマス、サウデナイ
ト、是ハ各地デ叫バレテ居ル問題デア
リマスガ、而モ是ガ元來ナレバ樫ノ木
デナケレバ絕對駄目ダト云フコトデア
ツタノデアリマスガ、今極デ上等ダ、
山手標デモ之ニ對シテ耐ヘ得ラレルノ
デアリマス、斯ウ云フコトハ何カ特別
ナ方法ヲ講ズルコトガ必要デアルヤウ
ニ思ハレルノデアリマスガ、是ハ馬政
局ニ附帶シタ事業デアリマセウガ、山
林局ノ方ノ御意見モ伺ツテ、一刻モ早
ク此ノ問題ヲ解決シタイト思フノデア
リマスガ、ソレニ對シテ何等カ御所見
ガアレバ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=153
-
154・梶原茂嘉
○梶原政府委員 御話ノ點極メテ緊要
ナ問題デアリマシテ、過般總務局長カ
ラモ御答ヘ師ツタカト思ヒマスガ、農
用車ノ急速ナル特別ノ增產ヲ圖リマシ
テ、輓馬、牛等ト結ビ合ハシテ、農村
ニ於ケル運搬ノ問題、或ハ其ノ他ノ
農耕關係等ノ關聯ニ於テ、或ル程度ノ
解決ヲシタイト云フ意圖デ、過般豫備金
ヲ以チマシテ農用車ノ急速ナル增產ヲ
計畫シ實行シツヽアルノデアリマス、
引續イテ來年度ニ於キマシテモ、簡易
ナ農用車ノ生產ヲ特別ニ推進シタイト
云フ計畫ヲ進メツヽアル譯デアリマス、
木材等ニ付キマシテハ、山林局ニ於テ
モ其ノ分ニ對シテハ、特別ノ措置ヲ講
ズルト云フ考ヘデ現ニ進ンデ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=154
-
155・小笠原八十美
○小笠原(八)委員 今ノ特別ノ關係ト
云フノハ、山林局ノ方デ地木社ト切リ
放シテ、此ノ方ノ計畫ヲ進メルト云フ
意味デセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=155
-
156・鈴木一
○鈴木(一)政府委員 只今ノ荷牛馬車
ノ資材ノコトデアリマスガ、馬政局ノ方
ノ御要求モアリマシテ、我々ノ方トシ
マシテハ出來ルダケ其ノ御要求ニ副フ
ヤウニ手配ヲ致シテ居リマス、地太社
ノ點ハ、地木社ト致シマシテモ敏速ニ
行キマスヤウニ指令ヲ致シテ居ル譯デ
アツマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=156
-
157・高橋熊次郎
○高橋委員長 山田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=157
-
158・山田六郎
○山田(六)委員 昨年閣議決定ニ依ツ
テ、雜纖維ノ大量生產ヲ御計畫ニナツ
タノデアリマスガ、其ノ御計畫ニナツ
タ結果ハドウデアルカ、御聽キシタイ、
私共ノ方ノ實績カラ言ヒマスルト、非
常ニ澤山雜纖維ニ適當シテ居ル物ガア
リマスガ、割合ニ集マリマセヌデシタ、
ソレハ集メマシテモ輸送ニ非常ニ困難
ナコト、送リ先ノ非常ニ遠イコトナド
ガ原因シテ集マラナカツタノデアリマ
スガ、是ハ集メヨウトスル雜纖維ハ、
非常ニ多クノ數量ガアルト思フノデア
リマス、之ニ對シテハ其ノ地方々々ニ
極ク小規模ナ精選工場ヲ作レバ、ソレ
デヤレルト考ヘテ居リマスガ、ソレニ
對シテ何カ本年御計畫ガオアリニナル
カト云フコトヲ御聽キシタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=158
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159・楠見義男
○楠見政府委員 便宜私カラ御答ヘ申
上ゲマス、雄纖維ノ計畫ニ付キマシテ
ハ御承知ノ通リデアリマスガ、是ガ擔
當機關ト致シマシテ、全國農業經濟會
系統ト、一般ノ旣在業者系統ノ兩部面
ヲ使ヒマシテ、雜纖維ノ增產竝ニ是ガ
製品ノ生產ト云フコトヲ計畫致シタノ
デアリマス、最近マデノ情勢デ申シマ
スト、大體農業經濟會系統、卽チ農業
會系統ノ方ノ集荷竝ニ生產ノ方ハ、豫
定計畫ニ近イ略〓順調ナ成績ヲ擧ゲテ居
ルヤウニ思フノデアリマス、所ガ一般
業者ノ方面ノ進捗狀況ハ、豫定計畫カ
ラ致シマスト、相當遲レテ居ルヤウニ
思ヒマス、是ハ齡送關係、或ハ燃料其
ノ他資材關係等モ伴ツテ居ルト思フノ
デアリマスガ、兎ニ角サウ云フヤウナ
實績デアル譯デアリマス、隨テ只今御
尋ネノ今後ノ計畫ト云フコトデアリマ
スガ、此ノ點ニ付キマシテハ、我々ト
致シマシテハ確實ナ農業會系統ノ方面
ニ相當今後力ヲ入レテ參リタイ、斯樣
ニ考ヘテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=159
-
160・高橋熊次郎
○高橋委員長 森川君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=160
-
161・森川仙太
○森川委員 私ハ水產局長ニ御尋ネシ
タイノデアリマス、極メテ要點ノミヲ
申上ゲマス、昨年十二月七日ノ地震ニ
伴フ海嘯ガ、各方面ニ非常ナ被害ヲ與
ヘタコトハ事實デアリマス、特ニ海嘯
ニ依ツテ水產關係ノ漁船、或ハ漁具其
ノ他ノ被害モ、相常甚大ナモノデアル
ト思ヒマス、現ニ其ノ災害地ニ實地ニ
參ツテ見マシタ時ニ、慘憺眼ヲ俺ハシ
ムルモノガアツタノデアリマス、是等
ニ對シテ政府ハ如何ナル對策ヲ執ラレ
ツヽアルカト云フコトヲ御伺ヒ致シタ
イト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=161
-
162・寺田市正
○寺田政府委員 昨年ノ地震ノ被害ニ
付キマシテハ、早速職員ヲ派遣致シマ
シテ、實地ノ調査モサセマシテ、ソレ
カラ漁具、漁船等ノ被害ニ付キマシテ
ハ此ノ復舊ニ付テ早速計畫ヲ立テタ
ノデアリマス、漁具ノ如キハ其ノ後ノ
報告ヲ徵シマシテモ、大部分之ヲ囘收
シ得タト云フ報〓モゴザイマス、併シ
ソレニ滿足シマ「セヌデ、他ノ漁具ヲ相
常量保有シテ居ル向キニモ勸誘致シマ
シン、震災地ニ特ニ客附ヲ申出ル者モ
アツタト云フヤウナ狀態デ、此ノ復舊
ニ努メテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=162
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163・森川仙太
○森川委員 津浪ニ依ル被害モ、何ト
申シマシテモヤハリ資材ノ點ニ問題ガ
掛ツテ來ルト思フノデアリマス、漁船
其ノ他ニ付キマシテハ、或ハ各方面デ
多少餘ツテ居ル漁船ヲ融通スル方法モ
付キマス、色々ナ點デ多少ヤリ繰ハ付
クト思ヒマスガ、唯問題ハ油、漁網、
漁具其ノ他ノ資材ノ問題ニ關聯シテ參
ツテ來ルト思ヒマス、現ニ午前中大臣ニ
モ伺ツテ、大臣モサウシタ意向ヲ言ツ
テ居ラレタノデアリマスガ、遠洋漁業
ガ戰域ノ關係上段々縮小サレテ參リマ
シン·結局將來ハ沿岸漁業ヲ主トシテ
ヤラナケレバナラヌト云フヤウナ意見
ヲ大臣モ述ベラレテ居タノデアリマス
ガ、斯ウ考ヘテ參リマスト、配給資材
ノ重點的使用、未稼働資材ノ使用ト云
フヤウナ點モ、特ニ考ヘテ見ナケレバ
イカヌト思ヒマス、先ヅ遠洋漁業ト沿
岸漁業トヲ、一本ニシテ資材計畫ヲ立
テル必要ガ特ニ痛切ニアルノデハナイ
カト思ヒマス、最近聞ク所ニ依リマス
ト、遠洋漁業ニハ相當漁具、漁網ガ餘
ツテ居リ、又油ナンカモ相當ナ量ガ「ス
トック」サレテ居ルト云フコトヲ聞イ
テ居ルノデアリマス、若シ事實デアル
トスレバ、斯ウシタモノハ沿岸漁業ニ
廻スナリ、或ハ色々ナ方面ニ未稼働ノ
モノヲ働カシテ戴イテ、國家的ニ少シ
デモ澤山ノ魚類ヲ獲リ得ルト云フ方法
ヲ考ヘル必要ガアルノデハナイカト思
フノデアリマスガ、之ニ對スル御意見
ハドウデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=163
-
164・寺田市正
○寺用政府委員 只今ノ資材ノ問題ニ
付キマシテハ、過般御承知ノ國家總動
員審議會デ決定ニナリマシタ重要水產
物ノ生產確保ニ關スル勅令案要綱中ニ
於キマシテモ、遊休貯藏セラレテ居ル
資材ヲ活用スル意味ニ於キマシテ、漁
業者ノ共同經營、或ハ漁業用資材等ノ
讓渡命令等ノ措置モ講ゼラレルコトニ
ナツテ居ルノデアリマス、目下其ノ勅
令ノ實施ヲ一日モ速カニ致シタイト云
フノデ努力中デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=164
-
165・森川仙太
○森川委員 ソレカラ、資材ノ所謂配
分、流シ方デアリマスガ、是ハ多少從
來ノ方法ヲ改メル必要ガアルノデハナ
イカト思ヒマスガ、從來ノ方法ハ結局
本省カラ縣ノ方ニ渡リ、縣カラ單位業
會ニ渡ツテ居ルヤウナ「ルート」ヲ辿ツ
テ居ルノデアリマスガ、之ヲ拵ヘマシ
タ基礎ト云フモノハ、結局實績主義ニ
依ツテ、石油デ言ヒマスレバ、其ノ當
時ノ石油使用量ニ依ル實績ヲ中心ニシ
テ勘案サレタモノダト思ヒマスガ、現
在ハ狀態ガ非常ニ變ツテ居リマス、之
ヲ一ツ思ヒ切ツテ變ヘテヤル、本省カラ
中水ニ〓シテ、ソレガ縣ノ漁業會ニ參
リ、サウシテ縣、本省ト連絡シナガラ重
點的ニ機動性ヲ持タシムルヤリ方ヲス
ル、或ル方面デ此ノ月ニハ澤山獲レル
ト云フ場合ニハ-其ノ方面ニ流スト云
フヤウナ恰好デ以テ、機動性ヲ持タシ
ムル所ノ資材ノ配給方法ガ必要ヂヤナ
イカト考ヘルノデアリマスガ、之ニ對
スル御所見ヲ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=165
-
166・寺田市正
○寺田政府委員 資材ノ配給ニ付キマ
シント御話ノ通リ段々窮迫シテ參リ
マスノデハ最モ有效ナル使用ヲ圖ラナ
ケレバナラナイト云フ意味ニ於キマシ
テ、漸次漁業ノ盛ンナ時期、盛ンナ地
方へ重點的ニ配給スルト云フヤウナ措
置モ講ジテ參ツテ居リマス、更ニ資材
ノ中代用燃油ノ如キモノニ付キマシテ
ハ、御話ノヤウニ中央水產業會ヲシテ
集荷配給セシメルト云フヤウナ措置ニ
付テモ、漸次考究シテ參ツテ居ル次第
デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=166
-
167・森川仙太
○森川委員 ソレカラ是ハ特ニ希望ヲ
申上ゲテ置キタイノデスガ、午前中大
臣ニモ質問シタノデアリマシタガ、水
產關係ニ關スル資材ハ、本省デハ總務
局ノ方デ扱ツテ居ラレルヤウデアリマ
スガ、勞務關係モ厚生省カラ水產局ノ
方ヘ〓ツタヤウニモ伺ツテ居リマスシ、
又配給關係モ、生活物資局ノ方カラ水
產局ノ關係ニ移管サレタヤウェ伺ツテ
居リマスノデ、資材關係モ漁業資材ニ
關スル限リ、生產部面ヲ扱ツテ居ル水
產局ノ方ヘ廻スノガ本當ヂヤナイカ
ト特ニ此ノ場合考ヘラレマスノデ、
大臣モ本省內ノコトハ能ク考ヘテ居ル
ト云フ御答辯ヲ戴イテ居リマスノデ、
ドウゾ政務官、政務次官モ居ラレマス
ノデ、御考ヘ戴キマシテ、迅速果敢ニ機
動性ヲ持タシムル政策ヲ立テ得ルヤウ
ニ、特ニ御希望申上ゲテ置キマス
尙ホアト簡單ニ一、二點御伺ヒシタ
イト思ヒマス、魚價モ非常ニ飛躍的ニ
上ゲテ戴イタコトヲ漁民モ非常ニ喜ン
デ居ルノデアリマスガ、私ハヤハリ「ア
ンバランス」ガアルヤウニ思フノデア
リマス、殊ニ定置漁業デヤル鰮漁業ナ
ンカ、特別ニ奬勵シテヤル必要ガアル
ノデハナイカ、鰮ハ非常ニ大量ニ獲レ
マス關係上闇ガ出來マセヌ、鯛ナンカ
デアリマスト闇ガ出來マスガ、鰮ハ澤
山獲レルカラ闇ガ出來ナイ、公定價格
デヤラナケレバナラヌノデ、非常ニ苦
シイ狀態ニアル、今鰮ノ公定價格ガ十
貫十三圓位デアリマス、之ヲモツト上
ゲテ二十五圓位ニシテ、鰮ヲモツト餘
計獲ラシ、重點的ニ漁獲物ヲ獲得スル
ト云フヤウナ方法ヲ御考ヘ願ヒタイト
思フノデアリマス、是ハ希望ヲ申上ゲ
マシテ、何トカ御考ヘヲ願ツテ置キマ
ス
モウ一ツハ漁夫ノ食糧問題デス、是
ハ私共漁村ヘ參リマシテ何時モ聽クコ
トデアリマスガ、現在ヤハリ一人一日
四合デアリマス、漁夫ハ御承知ノ通リ
漁ニ出マシタ場合ニハ、本當ニ決死的
ナ奮鬭ヲ致シテ居ルノデアリマス、是
ハ少クトモ炭礦夫ト同ジヤウナ六合六
勺位ノ程度マデ上ゲテヤツテ戴カナケ
レバ、本當ノ働キガ出來ナイノデハナ
イカト思ヒマス、所ガ實際ハ六合モ七
合モ食ツテ居ルノデアリマス、是ハヤ
ハリ魚ヲ持ツテ行ツテ交換ヲシテ居ル
ヤウナ事實ガ實際ニ於テアル、之ヲ止
メル爲ニモ、ヤハリ食糧ヲモウ少シ餘
分ニ配給シテ戴カナケレバナラヌノデ
ハナイカト思ヒマスガ、之ニ對スル御
當局ノ御所見ヲ伺ヒタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=167
-
168・寺田市正
○寺田政府委員 機構ノ點ニ付キマシ
テハ、大臣ノ御答辯ニモアツタ通リデ
アリマス、鰮ノ價格ニ付キマシテハ
昨年ノ魚類ノ價格改訂ノ際ニ、鰮ニ付
テ特ニ考ヘタコトハ御承知ノ通リデア
リマス、今後モ其ノ漁獲ヲ增大セシメ
マス爲ニ必要ナ措置ニ付テハ、十分注
意シテ參リタイト存ジテ居リマス、漁
夫ノ〓糧ノ點ニ付キマシテモ御說ノ點
能ク諒解シ得ルノデアリマス、關係當
局トモ相談致シマシテ十分〓究ヲ重ネ
タイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=168
-
169・森川仙太
○森川委員 最後ニ一點伺ヒタイノデ
アリマスガ、關係御當局ノ御骨折ニ依
リマシテ、我々ガ多年叫ンデ居リマシ
タ水產漁業要員ノ制度ガ決マリマシテ、
洵ニ慶賀ニ堪ヘナイト思ヒマスガ、モ
ウ一ツ伺ヒタイノハ、漁船ノ、殊ニ揚繰
網ナドノ方面ニ徵用ガ頻々トシテアル
ノデアリマス、是ガ徵用サレルコトガ
非常ニ漁業ニ影響ガアルダラウト思ヒ
マスノデ、モウ一ツ百尺竿頭一步ヲ進
メテ戴イテ、特ニ必要ナル漁船ダケハ
徵用ヲ免レルヤウニ、特別ノ御配慮ヲ
御願ヒシタイト云フコトヲ御希望申上
ゲマシテ、私ノ質問ヲ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=169
-
170・高橋熊次郎
○高橋委員長 村上君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=170
-
171・村上國吉
○村上委員 私ハ當局ニ極メテ懇談的
ニ御相談ヲ申上ゲル氣持デ、二、三ノ
點ヲ御尋ネスル積リダツタノデスガ、
大分時刻モ移ツテ居リマスシ、マダ質
問者ガ殘ツテイラツシヤルサウデスカ
ラ、今申シタヤウニ私ノ御尋ネセント
スルコトハ、第一ハ供出ニ關スル事前
割當ノ問題、第二ハ農產物ノ價格ヲ改
訂サレル、サウスルトドウシテモ米ノ
價格ナルモノガ其ノ重心ニナラナケレ
バナラヌ、其ノ重心ヲ形成スル所ノ生
產費ノ決メ方ト云フコトニ付テ御尋ネ
シタカツタノデアリマス、第三ハ農村
勞務ノ確保對策ト云フコトニ付テ、實
ハ懇談ヲ申上ゲタイ、斯ウ云フ積リデ
アツタノデスガ、今申シマシタヤウニ
大分遲クナリマシタ、元々御懇談申上
ゲルト云フ積リデアツタ譯デスシ、又
御懇談申上ゲル機會ハ他日アルダラウ
ト思ヒマスカラ、本日ノ質問ハ致サナ
イコトニ致シマス、ドウゾ左樣御諒承
ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=171
-
172・高橋熊次郎
○高橋委員長 愛野君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=172
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173・愛野時一郎
○愛野委員 私二、三點簡單ニ質問申
上ゲマス、先ヅ甘藷ノ增產計畫ノ內容
ヲ承リタイ、一ガ作付土地ノ問題、是
ハ府縣別-府縣別デナクテモ宜シウ
ゴザイマス、二ガ勞力動員措置ノ問題、
人員、其ノ種別、生產指導ノ責任ハ何
處ニ置クカ、斯ウ云フ風ナ點デアリマ
ス、三ガ加工施設、旣設、新設ノ計畫、
ソレニ要スル資材ノ供給計畫、四ガ輪
送貯藏、加工ヘノ施策、五ガ補助金
交付ノ條件、六ガ豫算、ソレカラ關係行
政官廳ハ何處ニスルカ、色々ナ噂ガ出
テ居ルヤウデアリマスガ、何處デ責任
ヲ持ツテ戴クカ、斯ウ云フ問題デアリ
マス、八ガ收穫ノ目標割當方針府縣別、
此ノ問題ハドウセ決定ノ委員會ガモウ
一度開カレルノデアリマセウカラ、其ノ
直前ニ御答辯願ツテモ宜イト思ヒマス
ノデ、成タケ詳シク知ラシテ貰ヒタイ、
斯ウ云フ風ニ考ヘマス
尙ホ私ノ希望ト致シマシテ、團體統合
ノ問題、中央ニ於テ團體統合ヲシテ貰
フト云フ問題ハ、天下ノ輿論デアル、是
ハ我々ノヤウナ地方ノ農業界ヲ指導ス
ル方面ノ者カラ言ヘバ、モウナスナサ
ヌデナクテナサナケレバナラヌ現實ノ
問題デアツテ、ソコニハ行政上難シイ
トカ、政治的ニ難シイトカ云フ問題ハ
通リ越シテ居リマスノデ、是ハ私ハ希
望的質問ト言ヒマスカ、要求ト言ツタ
ヤウナ意味デ御願ヒ致シテ置キタイ、
此ノ點ニ付テハ明確ナル答辯ハ出來兼
ネルカモ知レマセヌカラ、要求ト云フ
點ニ止メテ置イテ答辯ハ要リマセヌ、
尙ホ〓糧管理局長官ガ御見エノヤウ
デアリマスカラ、食糧營團ノ財源ニ叺ヲ
充テテオイデニナル、此ノ問題ニ付テ
ハ一應〓究シテ貰ヒタイ、此ノ叺ハド
ウシテモ今ノ制度カラ云フト、農民カ
ラ搾取ノヤウナ段階ニ行ツテ居ル、叺
ヲ財源ニシナケレバ立タナイヤウナ食
糧營團ナラバ、其ノ縣ノ實情ニ依ツテ
ハ潰シテ貰ツテモ農業會デチヤント引
受ケル、斯ウ云フ風ニ考ヘテ居リマス
ノデ、ソレモ希望的ニ申上ゲタイト思
ヒマス
尙ホ之ヲ以テ質問打切リノ動議ニ致
シタイト思ヒマス
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=173
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174・高橋熊次郎
○高橋委員長 ソレデハ永ラクノ間皆
樣ニ御奮鬪ヲ願ヒマシタシ、政府委員
諸君ハ大臣ヲ初メ政務官、其ノ他ノ各
局長ニ於キマシテ、熱心ニ委員ノ質疑
ニ對シテ御答辯ヲ願ツタコトハ、委員
長トシテ洵ニ感謝ニ堪ヘナイ所デアリ
やべり。之ヲ以テ質疑ハ終局致シマス、
何レ討論ノ會議等ニ移ルコトニ相成ル
コトト思ヒマスガ、次囘ハ公報ヲ以テ
御知ラセヲ致シマス、本日ハ是ニテ散
會致シマス
午後五時二十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008612942X00519450202&spkNum=174
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