1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十年二月五日(月曜日)
午後二時五十九分開議
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議事日程 第七號
昭和二十年二月五日
午後一時開議
第一 戰時民事特別法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二 會社等臨時措置法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第三 司法官試補及辯護士試補たる資格の特例に關する法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=0
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001・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 諸般ノ報告ヲ致
サセマス
〔書記官朗讀〕
本日政府ヨリ提出セラレタル議案
左ノ如シ
昭和十八年度第一豫備
金支出ノ件
昭和十八年度特別會計
第一豫備金支出ノ件
昭和十八年度特別會計
豫備費支出ノ件(承諾ヲ
昭和十九年度第二豫備求ムル
金支出ノ件件
昭和十九年度特別會計
第二豫備金支出ノ件
昭和十九年度特別會計
豫備金外豫算外支出ノ
件
〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照
ノ爲玆ニ揭載ス〕
議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ
如シ
靑年禁酒法制定ニ關スル建議案
提出者
高木義人君高橋壽太郞君
號外
衆議院議事速記錄第八號
坂東幸太郞君金子定一君
杉山元治郞君松山常次郞君
佐々井一晁君木下郁君
深澤吉平君黑澤酉藏君
江藤源九郞君村松久義君
食糧ノ綜合供出制度實施ニ關スル建
議案
提出者
大石齊治君赤間德壽君
夘尾田毅太郞君中川寛治君
未利用食糧資源活用擴大强化ニ關ス
ル建議案
提出者杉山元治郞君
(以上二月二日提出)
警防團員ノ待遇改善ニ關スル建議案
提出者
〓水留三郞君泉國三郞君
船田中君靑木精一君
長內健榮君松永東君
植松練磨君蠟山政道君
駒井重次君渡邊善十郞君
中等學校〓職員待遇改善ニ關スル建
議案
提出者
石坂繁君伊豆富人君
深水吉毅君中井亮作君
林信雄君伊禮肇君
曾木重貴君森田重次郞君
學童體位向上ニ關スル建議案
提出者
石坂繁君伊豆富人君
深水吉毅君中井亮作君
林信雄君伊禮肇君
曾木重貴君森田重次郞君
軍需產業戰士ノ榮養確保ニ關スル建
議案
提出者
小野寺有一君吉田定次郞君
信太儀右衞門君
(以上二月三日提出)
昭和二十年二月六日
去三日貴族院ニ於テ本院ノ送付ニ
係ル左ノ政府提出案ヲ可決シタル旨
同院ヨリ通牒ヲ受領セリ
昭和二十年度一般會計歲出ノ財源ニ
充ツル等ノ爲ノ公債發行ニ關スル法
律案
金資金特別會計法外五法律中改正法
律案
外資金庫法案
地方鐵道及軌道ニ於ケル納付金等ニ
關スル法律案
鐵道抵當法中改正法律案
日本通運株式會社法中改正法律案~
郵便法中改正法律案
一議員ヨリ提出セラレタル緊急質問
左ノ如シ
必勝國內體制確立ニ關スル緊急質問
提出者勝田永吉君
(以上二月二日提出)
議員ヨリ提出セラレタル質問主意
書左ノ如シ
日滿支必勝體制確立ニ關スル質問主
意書
提出者
山崎常吉君楠美省吾君
(以上二月三日提出)
去二日議長ニ於テ選定シタル委員
左ノ如シ
戰時森林資源造成法案(小山邦太郞
君外百三十五名提出)委員
靑山憲三君石榑敬一君
宇田耕一君小田彥太郞君
大橋〓太郞君岡本馬太郞君
岡本傳之助君加藤弘造君
木下信君北勝太郞君
北村又左衞門君楠美省吾君
四王天延孝君南〓武夫君
堀內一雄君松浦周太郞君
三善信房君村上國吉君
去二日ニ於ケル特別委員ノ異動左
ノ四川
戰時民事特別法中改正法律案(政府
提出、貴族院送付)外二件委員
辭任仲西三良君補闕庄司一郞君
去三日委員長及理事互選ノ結果左
/四
戰時森林資源造成法案(小山邦太郞
君外百三十五名提出)委員
委員長木下信君
理事
大橋〓太郞君岡本馬太郞君
松浦周太郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=1
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002・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 是ヨリ會議ヲ開
キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=2
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003・小泉純也
○小泉純也君 議事日程變更ノ緊急動
議ヲ提出致シマス、卽チ此ノ際昭和十
八年度第一豫備金支出ノ件、昭和十八
年度特別會計第一豫備金支出ノ件、昭
和十八年度特別會計豫備費支出ノ件、
昭和十九年度第二豫備金支出ノ件、昭
和十九年度特別會計第一一豫備金支出ノ
件、昭和十九年度特別會計豫備金外豫
算外支出ノ件、此ノ六件ヲ一括議題ト
ナシ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望
ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=3
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004・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 小泉君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=4
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005・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ日程ハ變更セラレマシ
タ、昭和十八年度第一豫備金支出ノ件
外五件、承諾ヲ求ムル件ヲ議題ト致シ
マス-石渡大藏大臣
昭和十、八年度第一豫備
金支出ノ件
昭和十八年度特別會計
第一豫備金支出ノ件
昭和十八年度特別會計
豫備費支出ノ件承諾ヲ
昭和十九年度第二豫備求ムル
金支出ノ件件
昭和十九年度特別會計
第二豫備金支出ノ件
昭和十九年度特別會計
豫備金外豫算外支出ノ
件
〔國務大臣石渡莊太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=5
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006・石渡莊太郎
○國務大臣(石渡莊太郞君) 只今議題
トナリマシタ昭和十八年度第一豫備金
支出ノ件外事後承諾ヲ求ムル件五件ニ
付キ大體ノ說明ヲ致シマス
昭和十八年度一般會計第一豫備金ノ
豫算額ハ八千萬圓デアリマシテ、內支
出致シマシタ金額ハ七千百九十餘萬圓
デアリマス、今其ノ重要ナル事項ヲ申述
ベマスレバ警察費連帶支辨金、軍事
扶助費、諸拂戾金、義務〓育費國庫負
擔金等デアリマス、次ニ昭和十八年度
ニ於テ其ノ第一豫備金ヨリ豫算超過支
出ヲ致シマシタ特別會計ハ朝鮮總督
府外二十八ノ特別會計デアリマス、又
其ノ豫備費ヨリ豫算超過支出ヲ致シマ
シタモノハ臺灣米穀移山管理、食糧
管理、通信事業ノ三特別會計デアリマ
ス次ニ昭和十九年度一般會計第二豫
備金ノ豫算額ハ二十億圓デアリマス
ガ、內昭和十九年四月十五日ヨリ同年
十二月二十三日ニ至ル間ニ於テ支出致
シマシタ金額ハ十七億四千五百五十餘
萬圓デアリマシテ、其ノ重要ナル事項
ハ防空緊急施設諸費、石炭價格調整
補給金補足、學童集團疎開補助、食糧
增產應急諸費、船舶運營會損失補償
金鐵鋼特別增、奔對策費、國民勤勞援
護事業補助、災害費等デアリマス、次
ニ昭和十九年度ニ於テ其ノ第二豫備金
ヲ以テ豫算外支出ヲ致シマシタ特別會
計ハ、朝鮮總督府、臺灣總督府、樺太
廳關東局、南洋廳、通信事業ノ六特
別會計デアリマス、又豫備金外ニ於テ
其ノ國庫剩餘金又ハ歳入金ヲ以テ豫算
外ノ支出ヲ致シマシタモノハ、臺灣總
督府及ビ南洋廳ノ一特別會計デアリマ
ス、何卒御審議ノ上速カニ御承諾アラ
ンコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=6
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007・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 各案ノ審査ヲ付
託スベキ委員ノ選擧ニ付キ御諮リ致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=7
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008・小泉純也
○小泉純也君 六件ヲ一括シテ議長指
名十八名ノ委員ニ付託シ、直チニ委員
ヲ.指名セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=8
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009・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 小泉君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=9
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010・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認
メマス。仍テ動議ノ如ク決シマシタ、
委員ノ指名ハ書記官ヲシテ報告致サセ
マス
〔書記官卽讀〕
昭和十八年度第一豫備金支出ノ件
(承諾ヲ求ムル件)外五件委員
安藤覺君逢澤寛君
石坂養平君大村直君
沖藏君河上丈太郞君
木下郁君窪井発売日
小柳牧衞君(Restauration)
小平權一君角猪之助君
田中亮一君手代木隆吉君
中島彌團次君濱野〓吾君
松田正一君森田重次郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=10
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011・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 只今指名致シマ
シタ委員諸君ハ本會議散會後第四委
員室ニ御參集ノ上、委員長及ビ理事ヲ
互選シ引續キ審査セラレンコトヲ望
ミマス-日程第一乃至第三ハ同一委
員ニ付託シタル議案デアリマスカラ、
一括議題トナスニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=11
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012・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ日程第一、戰時民事特別
法中改正法律案、日程第二、會社等臨
時措置法中改正法律案、日程第三、司
法官試補及辯護士試補タル資格ノ特例
ニ關スル法律案、右三案ヲ一括シテ第
一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報〓
ヲ求メマス-委員長金井正夫君、
第戰時民事特別法中改正法律
案(政府提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第二會社等臨時措置法中改正法
律案(政府提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第三格ノ詞 (三の補)法律養養生活佛教室
(政府
提出貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
一戰時民事特別改正法律案(政府提
出貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議
決致候此段及報告候也
昭和二十年二月二日
委員長金井正夫
牢議院議長岡田忠彥殿
報告書
一會社等臨時措置法中改正法律案
(政府提出、貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議
決致候此段及報〓候也
昭和二十年二月二日
委員長金井正夫
衆議院議長岡田忠彥殿
報告書
一司法官試補及辯護士試補タル資格
ノ特例ニ關スル法律案(政府提出、
貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議
決致候此段及報〓候也
昭和二十年二月二日
委員長金井正夫
衆議院議長岡田忠彥殿
〔金井正夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=12
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013・金井正夫
○金井正夫君 只今議題トナリマシタ
戰時民事特別法中改正法律案外二件ノ
特別委員會ノ經過竝ニ結果ニ付キ御報
告申上ゲマス
委員會ハ去ル一月二十九日以來二月
二日マデ連日五囘ニ亙リ開會致シマシ
タ先ヅ委員長及ビ理事ノ互選ヲナシ
マシタ後、三決律案ニ付キ政府委員ヨ
リ本會議ニ於ケル說明ヲ敷衍シタ提案
理由ノ說明、及ビ各條ニ付テノ解釋的
說明ヲ聽取致シタノデアリマス、次イ
デ委員ト政府トノ間ニ於テ熱心ナ質疑
應答ガ重ネラレマシタガ、其ノ內容ハ
法案自體ニ關スルモノト、法案以外ノ
司法部一般ニ關スルモノトニ分ツコト
ガ出來ルノデアリマス是等ノ詳細ハ
速記錄ニ讓リ之ヲ御覽願フコトト致シ
マシテ、此處ニハ其ノ主ナルモノ一一、
三ニ付キ其ノ大要ヲ御紹介致シタイト
思ヒマス
先ヅ法案自體其ノモノニ付テノ質疑應
答ト致シマシテハ、戰時民事特別法ノ改
正法案ニ付キ、所謂休止ハ示談ヲ進メ
ル等ノ爲ニ、却テ利用セラレテ居ル實
情デアルカラシテ、强ヒテ之ヲ排斥ス
ル要ハナイデハナイカト思フガドウデ
アルカト云フ質問ニ對シ、政府ハ其ノ
ヤウナ正當ナ理由ノアルモノニ付テ
ハ期日ノ變更ノ申請ガ許サレル、第
八條ノ二ノ規定ハ示談モ訴訟モ進行シ
ナイヤウナ懈怠セラレタル訴訟ノ促進
ヲ圖ルノガ目的デアルトノ答辯デアツ
タノデアリマス、又第八條ノ二第一
項但書ニ依リ期日指定ノ申請ガナサレ
タル後ノ手續ハドウナルカトノ質問ニ對
シマシテハ、現在ノ民事訴訟法第二百
三十八條ニ依リ、訴ノ取下アリタルモ
ノト看做サレタル後ニ、其ノ效果ヲ生
ジテ居ラナイモノトシテ、期日指定ノ
申請ガアツタ場合ト同樣ニ、裁判長ハ
期日ノ指定ヲナシ、裁判所ニ於テ理由
アリト認ムル時ハ直チニ口頭辯論ヲ續
行シ、理由ナシト認メタル時ハ判決ヲ
以テ訴訟ノ終了ヲ宣言スベキモノト考
ヘテ居ルトノ答辯デアリマス
會社等臨時措置法中改正法律案ニ付
テ其ノ第四條ノ一一ニ依リ、取締役又ハ
〓算人ニ於テナシタル決定ニ對シテ
ハ株主カラノ無效又ハ取消ノ訴ヲ許
サナイカトノ質問ニ對シテハ取縫役
又ハ〓算人ノ業務執行行爲ト見テ居ル
カラ、株主カラノ無效又ハ取消ノ訴ハ
之ヲ許サナイ、併シ其ノ代リ監督官廳
又ハ裁判所ガ事前ニ認可ヲナスコトト
シ、認可ヲナスニ際シテハ利害關係人
ノ意見ヲ聽タノ途ヲ開イテ、不實ノ陣述
ヲナシ、又事實ノ障蔽ヲナシタル取締
役、〓算人又ハ監査役ニ對シ、刑事制
裁ヲ科シテ其ノ適正ヲ圖ツテ居ルノデ
アル、又監督官廳又ハ裁判所ガ一旦認
可シテ決シタルモノニ付テ、後日之ヲ
取消スコトヲ認ムルコトハ制度トシ
テハ適當デナイト思フトノ答辯デアリ
マス
司法官試補及辯護士試補タル資格ノ
特例ニ關スル注律案ニ付テハ、銓衡ノ
方法如何トノ質問ガアリマシタガ之
ニ對スル答辯バ目下腹案トシテハ第
一次ニ履歷書、成績語明書等ニ依ル書
面審理ヲ行ヒ、第二次ニ第一次ノ銓衡
ニ入リタル者ニ付キ、物ノ見方、考、
方ノ審査ヲ主トシタ、口頭ニ依ル人物
考査ヲ行フコトトシ、專門的ナ法律知
識ヲ試ミルガ如キ口述試問ハ避ケタイ
トノコトデアリマス
次ニ法案以外ノ司法一般ノ問題トシ
テハ極メテ多方面ニ亙リ活潑ナル意
見ノ開陳ガアリマシタガ其ノ主ナル
モノヲ申上ゲマスルナラバ、先ヅ第一
ニ司法官ノ優遇問題デアリマス、是一
度々ノ機會ニ於テ論議サレテ居リマス
ルガ、司法官、殊ニ裁判所職員ハ、他
ノ行政官吏ニ比シ待遇上遜色アリ、殊
ニ現下ノ時局ハ極メテ重大ニシテ、治
安ノ維持ハ最モ必要トスル所デアル
ガ、其ノ衝ニ當ル重大ナル職責ニ鑑
ミ、寧ロヨリ以上ノ偏遇方法ヲ講ズベ
キト思フガ如何、又現下〓常ノ方法ニ
於テハ、生活物資ノ入手困難ニシテ、
動モスレバ牛活ヲ脅カサントスルノ今
日、裁判所職員ノ如キ其ノ職務上〓廉
潔白ノ士ニ於テハ其ノ生活狀況一層
苦境ニアルヲ以テ、其ノ生活ヲ保障
シ其ノ職務ヲ全カラシムルノ方途ヲ
執ルノ要ナキヤトノ皆問ニ對シ、政府
ハ司法職員ノ待遇是正ニ付テハ、從來
相當努力シ來ツタノデアリマスルガ
來年度薄算ニ於テ多少此ノ點ニ關スル
豫算ヲ計上シ、其ノ改善方法トシテ俸
給ノ單價是正竝ニ當與ノ增加ヲ圖ルコ
トニシタ、併シ之ヲ以テ滿足スルモノ
デハナイカラシテ、、少便小儿整體ヲタンクション
力ヲ得テ一局努力
リマシタ
第二ハ、最近刑事訴訟法ノ規定ニ依
リ、拘束ヲ必要トセズ、其ノ事由止ミ
タルモノアルニ拘ラズ、徒ラニ保釋ヲ
許サヌ弊風ガアル、是ハ殆ド全國的ノ
裁判所ニ於テ其ノ例ヲ見ル所ニシテ、
甚ダ遣憾トスル次第デアル一體是ハ
何ニ其因スルカ、眞ニ不可解トスル所
デアルガ司法省ハ此ノ點ニ付キ訓令
又ハ通牒デモ發シテ居ルノデハナイカ
ト思ハレルガ如何、又或ル裁判所ニ於
テハ記錄ノ整理ノ煩瑣ヲ避クル爲
丈、又ハ白己ノ裁判ノ非難ヲ惧ルヽ
爲メカ、ト訴申立ヲ嫌フノ餘リ、之
ヲナサザルコトヲ條件トシテ、保釋ヲ
許ス場合スラアルト云フ如キコトハ實
ニ不可解デアル、殊ニ今日ノ如キ時局
ニ於テ、人的資材不足ノ折柄、徒ラニ拘
束シテ戰力增强ニ寄與セシメヌガコト
キハ時局ノ要請ニ副ハザルモノ甚ダ
シク、又司注部ハ最近頻リニ遵法精神
ノ昂揚ヲ强調シナガラ、自ラ法ヲ守ラ
ザルノ謗リヲ免レザル憾ミアリトノ非
難サヘアツタノデアリマス、此ノ點ハ各
委員カラ凡ユル角度ニ於テ、又實例ヲ
擧ゲテ政府ニ質問サレタノデアリマス
ルガ、之ニ對シ政府ハ、司法省ヨリ斯
カル訓令ヲ與ヘタル如キコトナキハ勿
論拘束ノ事由止ミタル者ニ對シ保釋
ヲ許サザルガ如キコトハ愼マネバナラ
ヌコトデアルカラ、若シ實際ニ於テ斯
カル行過ギアリトスルナラバ司法部
長官會議又ハ其ノ他ノ機會、或ハ通牒
ニ依リ之ヲ是正スル積リデアルトノ答
辯デアリマス
第三トシテ、裁判所權成法戰時特例
ニ於テ一審制度ガ認メラレ事害審理
ガ一審限リトナツタ爲メ、動モスレバ
誤審ノ虞ガアリ、。延イテハ裁判ノ威信
ヲ失墜スル場合ナキニシモアラザルヲ
以テ、寧ロ上〓審ヲ排止、事害審ノ二
審制ニ改ムルガ適當デハナイカ、特
ニ辯護人ヲ附サナイ被〓人ノ如キハ
法不知ニ依リ上〓手續ヲ執リ得ズシ
テ、其ノ與ヘラレタル權利ヲ抛棄スル
場合スラアル、又前陳ノ如キ保釋ガ許
サレナイ原因モ、畢竟スルニ上訴ノ效果
薄キ上〓審ノ二審制度ヲ認メタルノ結
果ニアラズヤトノ疑ヲモ生ズルヲ以
テ、是ガ改正ノ要アリト思フガ如何ト
ノ質問ニ對シ政府ノ答辯トシテ是
ハ最近ノ時局ニ鑑ミ制定セラレタルモ
ノニシテ、施行後日尙ホ淺キヲ以テ、
今直チニ之ヲ改正スルノ意思ナシトノ
コトデアリマス
第四トシテハ、統制法規其ノ他戰時
立法ハ動モスレバ煩雜ニ流レ、離解ノ
モノガアリ、又實際ノ社會事情ニ適セ
ザルモノモアルヲ以テ、是ガ整理ヲナ
スノ要アリト思フガ如何トノ問ニ對
シ政府ハ目下內関直屬ノ統制法規
其ノ他戰時立法ノ終備ノ爲ニ、季員會
ヲ設ケテ其ノ統一ヲ圖ルベク準備中ナ
リトノ答辯デアリマス
其ノ他最近ノ裁判ハ時局犯罪ニ對シ
嚴罰主義ヲ採ルノ餘リ、然ラザル輕微
ノ犯罪ニ對シテモ嚴罰ヲ以テ臨ムノ弊
ガアル、略式裁判ニ對スル正式裁判請
求ガ動モスレバ阻止セラルヽノ嫌ヒモ
アリ事實審ガ第一審限リトナリタル
爲メ、一層右能ノ判事ヲシテ第一審ノ
裁判ニ當ラシムベク要望セラレテ居
ルニモ拘ラズ、今尙ホ是ガ徹底セザル
ノ憾ミアリ、辯護士ノ中、最モ社會
ノ實情ニ通ジ、練達堪能ノ士ヨリ判檢
事採用ノ途ヲ强化シテハ如何、其ノ他
色々有益ナル諸問題ガ、委員ト政府ト
ノ間ニ取交ハサレタノデアリマスガ、
之ヲ一々申述ベルノ煩ヲ避ケ、速記錄
ニ讓ルコトニ致シマス
斯タノ如クシテ本委員會ハ質疑ヲ終
了致シ、去ル二日討論ニ入リ、翼、政政
治會ヲ代表致シマシテ信正義雄君ヨリ
本案ニ對シ贊成意見ノ開陳ガアリ、採
決ノ結果全員一致原案ヲ可決致シタ次
第デアリマス何卒太會議ニ於キマシ
モ衞レ成アランコトヲ御願ヒ致シマ
此ノ段御報告申上ゲマス
Cミ計長(岡田忠彥君)三案ノ第二讀會
ラ開クニ御異議アリマセスカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=13
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014・議長(岡田忠彥君)
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認
メマス仍テ三案ノ第二讓會ヲ開タニ
決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=14
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015・小泉純也君
○小泉純也君 直チニ三案ノ第二讀會
ヲ開モ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長
報告ノ通リ可決セラレンコトヲ望ミマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=15
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016・議長(岡田忠彥君)
○議長(岡田忠彥君) 小泉君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=16
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017・議長(岡田忠彥君)
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認
メマス仍テ直チニ三案ノ第二說會ヲ
開キ、議案全部ヲ議題ト致シマス
戰時民事特別法中改正法律案
第二讀會(確定議)
會社等臨時措置法中改正法律案
第二讀會(確定議)
司法官試補及織護士試補タル資格
ノ特例ニ關スル法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=17
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018・議長(岡田忠彥君)
○議長(岡田忠彥君) 別ニ御發議モア
リマセヌ、第三讀會ヲ省略シテ、三案
トモ委員長報告通リ可決確定致シマシ
タ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=18
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019・小泉純也君
○小泉純也君 議事日程追加ノ緊急動
議ヲ提出致シマス即チ此ノ際政府提
費現役靑年學校職員準給費國庫補助
法案ヲ議題トナシ委員長ノ報告ヲ求
メ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望ミ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=19
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020・議長(岡田忠彥君)
○議長(岡田忠彥君) 小泉君ノ動議ニ
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=20
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021・議長(岡田忠彥君)
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ日程ハ追加セラレマシ
タ、現役靑年學校職員奉給費國庫補助
法案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマス委員
長ノ報告ヲ求メマスー-委員長村松久
義君
現役靑年學校職職俸給〓國庫補助
法案(政府提出貴族院淫仕)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一現役靑年學校職員俸給書國庫補助
法案(政府提出、貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議
決費候此段及報告假也
昭和二十年二月五日
委員長柱松久義
衆議院議長岡田忠彥殿
村松久義君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=21
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022・村松久義君
○村松久義君 只今上程ニナリマシタ
現役靑年學校職員俸給費國庫補助法案
ニ關スル特別委員會ノ審議ノ經過竝ニ
結果ニ付キ御報告致シマス
本委員會ハ一月三十一日ヨリ四日間
ニ亙リ愼重審議〓シマシタ、政府ヨリ
本案提出理由ノ說明ガアリ、各委員ハ
本案竝ニ文教關係各般ノ事項ニ付キ質
疑ヲナシ、極メテ熱心ニ檢討致サレマ
シタ、先ヅ本法案ニ對スル質疑ノ中
重要ナル一ツヲ御紹介申上ゲマス
本法案ハ靑年師範學校ヲ卒業シタル
公立靑年學校職員ニ對シテ、現役トシ
テ徵集セラレタル場合、其ノ俸給ノ三
分ノ一ヲ必ズ支給シ、之ヲ國庫負擔ト
セントスルニアリマスガ之ニ反シマ
シテ靑年師範學校ヲ卒業セズシテ靑年
學校ノ〓員トナリ、現役ニ服スル者ニ
對シテハ本法ノ適用ヲ受ケナイコトト
ナルノデアリ、スス同ジク公立靑年學
校ノ〓員デアリナガラ甲ニハ適用ガ
アリ乙ニハ遊肥ガナイト云フコトニ
ナレバ適用ヲ受ケナイ〓員ノ精神上
ニ受クル感ジハドウデアテウカ又生
徒ニ對シ甲〓員ト乙〓員トノ間ニ差等
ガアルヤウニ思ハシムルコトガ〓育
上影響ガナイカ寧ロ此ノ際靑年師範
學校ヲ卒業セザル少數ノ是等ノ〓員ニ
付テモ、同樣ナル取扱ヲナスベキデハ
ナイカトノ質疑ガアリマシタ、之ニ對
シ政府ハ靑年學校ハ國費ヲ以テ靑年學
校ノ教員ヲ養成スル官立ノ養成機關デ
アツテ、其ノ卒業者ハ師範學校ノ卒業
生同樣ニ、一定期間ノ義務年限ヲ課セ
ラレテ居ル、靑年學校ヲ卒業セザル致
員トハ此ノ點ニ於テ異ナツテ居リマ
ス本人ニ對シマスル現役期間中ニ於
ケル俸給支給ニ關シマシテハ成程一
方ハ本法案ニ依ツテ國庫支辨トナリ、
他方ハ地方費ニ依ツテ支給セラレルノ
差異ハアリマスガ、實質的ニハ差額ガ
ナイヤウニナツテ居リマス、今囘ハ両
年學校職員中、俸給支給ノ道ナキ靑年
師範學校卒業者ニ對シテ支給ノ道ヲ拓
イタノデアリマシテ、若シ現役ニ服スル
總テノ靑年學校職員ヲ、同等ニ取扱フ
ペシト云フユトニナリマスレバ地方
費支辨ノ官吏全般ニ關スル根本問題ト
シテ鹼討スベキ問題デアリマスガテ、
此ノ點ニ付テハ將來研究致シタイトノ
眞答辯ガアリマシタ
次ニ教學一般ニ關スル質疑中主ナル
モノニ付キ申上ゲマス、第一ノ行學一
體勤勞卽〓育ノ當局ノ方針ハ洵ニ不
徹底デアル實情ハ殆ド〓育ノ停止ニ
近イ狀態)デアルゾレ故ニ學校閉鎖論
モ起ル所以デアルガ當局ノ所見如何
ト云フノニ對シマシテ、行學一體ノ實
ガ擧ラナイ、ト云フ點ニ對シテハ或ル
程度之ヲ認ムルガ他方ニ於テハ學徒
ノ〓養ト其ノ創意工夫トニ依ツテ生產
工場ノ能率ヲ高メ、一般ノ惰氣ヲ拂フ
等行學一體ノ實ヲ擧ゲツヽアルモノ
モ極メテ多イノデアリマス、問題ハ受
入側ノ受入條件ト、學校側ノ指導如何
ニ關ハルノデアリマスカラ、此ノ點ニ
力ヲ天レルト共ニ、〓育ハ出來ルダケ
時間ヲ割イテ進メテ行キ、學徒トシテ
ノ矜持ヲ益〓高メテ行キタイ學校廢
止ノ如キハ將來ノ事態如何ニ依ツテ決
スベキ事害問題デハアルガ、方針トシ
テハ考ヘテ居ラナイ寧ロ能率上カラ
云、バ學校ヲ背景トシ母校中心ノ
集團組織コゾ最モ望マシイ所デアルト
ノ趣旨ノ答辯ガアリマシタ第二ニ
學徒ノ動員、配置及ビ勤勞管理ノ適正
化ニ關スル質疑デアリマス、其ノ要旨
ヲ申上ゲマスレバ學徒ガ其ノ矜持ヲ
把持シ得テルヽヤウニ動員、管理方法
ニ十分ノ檢討ヲ加フベキデアル卽チ
可能ナル限リ適正配置ヲスルノハ勿
論動員ノ方法ニ於テモ學校ト工場ト
ノ地域的緊密化、交代〓勤制度ノ確
立竝ニ勤勞ノダブツイテ居ル工場モ
相當アルノニ鑑ミマシテ、常置ノ査察
制度ヲ設クル等、學徒ニ一定ノ研學ノ
時間ヲ與ヘルコトガ要求サレルトノ要
望ニ對シテ政府ハ、學徒ノ動員配置ニ
關シテハ今日満足スベキ狀態デナイコ
トヲ率直ニ認メ本年新學期ヨリ是ガ
配置轉換ヲ行フ豫定デアリ、且ツ極ク
近イ期間內ニ關係職員ヲ軍需官兼任ト
シテ任命シ、工場ニ於ケル學徒指導上
遺憾ナキヲ期シタイトノ答辯ガアリマ
シタ、第三ハ科學〓育ト科學技術者ノ
待遇ニ關スル問題デアリマス、特ニ注
目セラレタル一、二ヲ御報告申上ゲマ
スレバ科學技術動員ノ機構ハ餘リニ
モ複雜多岐デアル、〓究ハ何ヨリモ人
的要素ニ負ウテ居ルノデアツテ、機構
ガ〓究者ヲ疲レシムルガ如キ弊害ニ陷
ツテハ居ラヌカ、又〓究者ヲシテ精神
的物質的ニモ〓究ニ挺身セシムル措
置ヲ講ズベキデ其ノ一ツトシテ技術
院自ラ率先シテ科學技術者援護ノ爲メ
國民ニ呼掛ケテ、援護團體等ヲ設クル
意思ナキヤトソ質疑ニ對シマシテ、八
木技術院總裁ハ科學技術ノ團體ハ種
種アリマスルガ、是等ハ今日有機的ニ
働イテ相當ノ成果ヲ擧ゲツヽアリマ
ス、時局ニ間ニ合フヤウニ運營ヲ適切
ニ致シタイ、又技術者援護ニ關シテ
ハ國民カラ心厚イ企テガアレバ技
術者トシテ洵ニ嬉シイコトト思フダケ
デ、技術院トジテハ未ダ興論喚起ト云
フ所マデハ至ツテ居ラナイ、援護團體
設立ニ乘出セトノ御話ニハ大イニ啓發
サレマシタトノ率直ナル答辯ガアツタ
ノデアリマス、其ノ他學徒動員ト云フ場
合、學徒ノ範圍ヲ狹義ニ解釋シテ、其ノ數
ニ於テ多クヲ占メル勤勞靑年層ヲ輕ク
取扱ツテ居リハセヌカ工場ノ多クノ
靑年工員ハ同時ニ靑年學校ノ生徒タル
コトヲ忘レテハナラヌトノ意見、又疎
開學童ニ關スル問題、其ノ他數々ノ重
要ナル質疑ガ行ハレマシタガ詳細ハ
速記錄ニテ御承知ヲ願ヒマス
斯クテ討論ニ入リ鞏賛政治會ヲ代
表シマシテ凌邊健君ガ賛成ノ意見ヲ開
陳セラレマシタ、採決ノ結果、滿場一
致原案通リ可決致シタ次第デアリマ
ス此ノ段斷報告申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=22
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023・議長(岡田忠彥君)
○議長(岡田忠彥君) 討論ノ通告ガア
リマス之ヲ許シマス-多田滿長君
〔多田謹長君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=23
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024・多田溝長君
○多田溝長君 只今上程セラレマシタ
本案ノ委員長報告ニ贅意ヲ表シマス、
〓育ノ事業ハ國家興隆ノ基礎デアリマ
ス其ノ施策ノ如何ガ延イテ國力ノ消
長ニ重大ナル影響ヲ持ツテ居ルコトハ
申スマデモアリマセヌ、此ノ見地ニ立
ツテ我ガ國〓育施策ノ撿討ヲ致ジテ見
マスト、幾多改善ヲ要スル點ガアリマ
ス、文政當事者ノ一大英斷ヲ揮フ必要
ガアリマスガ、今ヤ征戰半バニシテ遽
カニ之ヲ實現シ得ザルハ甚ダ遺憾ニ存
ジマス、今靑年學校〓育費國庫補助ノ
途ノ開カレチ居ル今日本案ノ如キ靑
年師範學校ヲ卒業シタル公立両年學校
ノ職員デアツテ、陸海軍現役ニ服スル
者ノ俸給ニ對シ、國庫ニ於テ之ヲ補助
スルコトハ當然デアリマシテ、私ハ此
ノ意味ニ於テ、本案ニ贊成ノ意ヲ表シ
タイト存ジマス
此ノ場合私ハ勤勞學徒ニ對シテ感謝
激勵ノ言葉ヲ呈シタイト存ジマス國
家ノ危急ニ赴カンガ爲ニ「ペン」ヲ設ジ
テ蹶起セル全國幾百萬ノ學徒諸君、前
線ニ於テハ勇戰奮闘、敵陣營ノ心膽ヲ
寒カラシメ、其ノ義勇報既ノ精神ハ壯
烈鬼神ヲ哭カシムル彼ノ特攻隊ノ精神
トナリ、偉勳ハ畏クモ幾度カ上聞ニ達
シ、精忠洵ニ萬古ニ傳フルモノガアリ
マス本院ハ曩ニ是等出陣學徒ニ對シ
感謝激勵ノ衷情ヲ披瀝致シマシタガ、
銃後ノ學徒亦之ニ劣ラズ、今ヤ前線ニ
續ケノ聲澎湃トシテ起リ、只管勤勞ニ
精進シ軍國學徒トシテノ本分ヲ遺憾
ナク發揮致シテ居ルノデアリマス(日)
き惟フニ將來國家必須ノ人材タル
ペキ學徒ヲシテ、勤勞其ノ他非常任務
ニ從事セシムルコトハ蓋シ我ガ國〓育
史上空前ノコトデアリマシテ、其ノ盡
忠至誠ヲ傾ケ、其ノ總力ヲ戰力增强ニ
集結セシメントスルハ現下當然ノ措
置デアリマスガ、學徒亦此ノ國家ノ要
請ニ卽應シテ起チ、其ノ若キ體軀ヨリ
〓リ出ヅル熱烈ナル鬪魂ト、何モノヲ
モ粉碎セズンバ已マザル體力トヲ以
テ、國力增進ニ傾倒シツヽアルハ我
等ノ頗ル欣快トスル所デアリマス(チロ
き征戰既ニ五年、學徒勤勞ノ姿ヲ
路上ニ、工場ニ或ハ農村ニ見ル、其
ノ纏ヘル物ハ綻ビ、其ノ被レル物、其
ノ穿テル物ハ破レタリト雖モ、其ノ心
中不屈不撓、撃チテシ止マン又勇猛
心愈こ固ク、此ノ大戰我レ引受ケタリ
トノ氣慨ヲ以テ、軍需ニ、食糧ニ、唯
一筋ニ增產ニ挺身シ、前線補給ノ萬全
ヲ期セントシテ居リマス女子學徒亦
汗ニ塗レ、泥ニ埋モレ、髮ヲ梳ル暇サ
ヘナク、工具ト取組ミ、鋤鍬ヲ握リ、
男子ノ間ニ伍シテ何等ノ遜色ナク、日
本女性ノ特質ヲ遺憾ナク發揮致シテ居
リマス(拍手)正ニ是レ行學一體ノ本
義ヲ實踐シ、報國ノ大義ニ徹シタル我
ガ國學徒眞ノ姿デアツテ、限リナキ賴
モシサヲ感ズルト共ニ、我等ノ感謝措
ク能ハザル所デアリマス(拍手)私ハ
玆ニ二一三ノ實例ヲ擧ゲテ、勤勞學徒ガ
獨自ノ組織ト、平素ノ〓養訓練トヲ生
カシテ、如何ニ敢鬪ヲ續ケテ居ルカ、
又其ノ規律節制アル態度ト、高度ナル
勤勞意欲トガ、職場全體ニ好影響ヲ與
くら、氣風刷新、能力增進ニ寄與シツ
ツアルカ、或ハ又如何ニ偉大ナル犠牲
的精神ヲ發揮シテ居ルカノ實證ヲ提示
シタイト思ヒマス
大同製鋼ノ名古屋工場ニ於テ龍谷大
學生徒ガ、一般工員ノ忌避スル電爐ノ作
業ニ率先挺身致シマシテ、愛爐、卽チ
「愛スベキ爐」ト稱シテ高熱作業ニ從事
セル結果、工場全體ニ多大ノ感銘ヲ與
ヘ、士氣ヲ昂揚シ、惰氣ヲ拂ヒ、能率ヲ
增進セシメ、爲ニ學徒ハ全工員ノ衷心ヨ
リノ尊敬ヲ受グルニ至リマシタ、又埼
玉縣川越中學校生徒ハ補給運搬作業
ヲ擔當シ、出動狀況ハ勿論、規律嚴正、
協力一致、一般工員ノ三日間ノ業務量
ヲ、僅カ一日ニシテ完成致シテ居ルノ
デアリマス、神奈川縣住友通信工場ニ
於テ、秋田縣本莊家政女學校ノ生徒ガ、
創意工夫ヲ凝ラシテ、眞空管製造工程
中ノ一部ニ於テ、顯著ナル、量產ヲ可能
ナラシメル方法ヲ考案致シ、電波兵器
生產上多大ノ貢獻ヲ致シテ居ルノデア
リマス(拍手)個人トシテモ亦特筆スベ
キ例ハ頗ル多イノデアリマス、香川縣
立大川中學校第三學年ノ大山巖君ハ
三井造船玉野造船所ニ勤務中デアリマ
シタガ、平素溫厚、禮節極メテ正シク
他ノ模範デアリマシタ一日甲板作業
中、不足工具ヲ受取ル爲ニ率先上陸ヲ
致シマシテ、將ニ現場ニ歸ラントテ、
急ギ上甲板ヨリ「タラップ」降下中、誤
ツテ墜落、重傷ヲ負ヒ、左大腿部ノ骨
折下顎ノ裂傷、上下ノ齒ヲ折リ、瀕
死ノ重傷ヲ負ヘルニモ拘ラズ、咽喉ニ
溜ル鮮血ヲ吐キナガラ苦シキ呼吸ノ
間ヨリ、一語々々簡單ニ事故ノ模樣ヲ
述べ、恩師、學友、工員ニ對シテ生前
ノ謝辭ヲ述べ、作業ノ進捗ニ迷惑ヲ掛
ケタルヲ詫ビ、最後ニ自ラ取リニ行ケ
ル玉鑢ニ言及シ、「道具ハアレデ役ニ立
チマシタカ、濟ンダラ跡始末ヲ願ヒマ
ス」ト述べ、之ヲ確カメタル後、漸ク
安心シテ先輩知友ニ見守ラレツヽ惜
シクモ此ノ世ヲ去ツタノデアリマス、
洵ニ淚ナクシテ聞クコトノ出來ヌ話デ
アリマス、此ノ身ヲ以テ示セル作業敢
圖工具愛、是等ノ〓訓ハ醇乎タル學
徒精神ト共ニ全工場ヲ奮起セシメ、作
業ノ躍進ニ多大ノ貢獻ヲ現ハシタト云
フコトデアリマシテ、大山君ニ對シテ
是レ以上ノ追善供養ハナカラウト存ジ
マリー、去ル三十一日デアリマシタ、新
聞ニ發表セラレタル第一一十六囘陸軍論
功行賞ノ中ニ、勤勞學徒、初ノ敍勳ガ
異彩ヲ放ツテ居ルノデアリマス、茨城
縣茨城郡吉田村田口保司君ハ、縣立水
戶丁業機械科三學年生デアリマシテ、陸
軍航空學校ニ出動致シマシタ、飛行機
ノ整備作業ニ敢鬪ヲ續ケテ居リマシ
テ、十月二十三日デアリマシタガ、自
分ノ擔當シテ居ツタ飛行機ガ、演習ガ
終ツテ着陸致シマシタノデ、之ヲ格納
庫ニ誘導中、突然走リ出シマシタ、放
ツテ置ケバ飛行機ノ大破ハ勿論デアリ
マスガ、ドンナ重大ナ事故ガ起ルカモ知
レナイ、田口君ハ其ノ瞬間、敢然ト躍
リ出テ、是ガ防止ニ努メ、間一髪ニシテ
危機ヲ救ヒ、機付整備員トシテノ責任
ヲ果シ、自分ハ機體ニ觸レテ遂ニ最期
ヲ遂ゲタノデアリマス、同君ノ殉職ハ
同ジ工場ノ級友ヲ初メ各方面ニ出動中
ノ全生徒ニ、深キ感動ヲ與ヘ「田口魂
ニ續ケ」ヲ合言葉ニ致シマシテ、凡ユ
ル困難ヲ突破致シタノデアリマス、茨
城縣知事ハ勤勞學徒ノ龜鑑トシテ、表
彰狀ヲ靈前ニ捧ゲ畏多クモ勳八等ニ
敍セラレタノデアリマス
農村ニ於テイタイケナル國民學校生
徒ガ、敵機ノ襲來ヲ睨ミ付ケナガラ、
麥踏ミニ、肥料運ビニ、或ハ薪炭ノ供出
ニ、懸命ノ努力ヲ拂ツテ居ルアノ姿ヲ
見テ、私共ハ肅然トシテ襟ヲ正サザル
ヲ得ナイノデアリマス、千葉縣下ノサ
ル農村ニ於テ、農學校男女生徒ガ、地
主ト小作人トノ問ニ紛爭ガアツテ、放
任セラレテ居リマシタ土地ノ耕作ニ從
事シテ、百俵餘リノ收穫ヲ得マシタ、
學徒諸君ハ全村ノ收穫、豫定ノ如カラ
ズ供出ニ苦心スル樣子ヲ見テ、其ノ
全部ヲ提供シテ之ヲ完納セシメ、其ノ
結果ソレ以來ト云フモノ地主小作ノ紛
爭絕ヘ、村內ニ不毛ノ土地ガ絕滅シ
村民ノ氣風一變シテ、皇國農村ニ轉換
シタト云フ實例ガアリマス、斯カル事
例ハ殆ド枚擧ニ遑アリマセヌ、勤勞學
徒諸君ハ皆職場ノ特攻隊ヲ以テ任
ジ、其ノ全身全靈ヲ唯增產、唯戰力增
强ニ打込ンデ居ルノデアツテ、此ノ總
テガ私共ノ深ク心ヲ打タルヽモフノミ
デアリマス、學徒ヲシテ斯クノ如キ成
果ヲ擧ゲシメタル所以ハ、一面派遣〓
官ノ垂範指導、竝ニ各學校內ニ於ケル
配置係ノ〓職員ニ俟ツ所大ナルモノガ
アリマスガ、勤勞學徒ノ持ツ皇國護持
ノ信念ト、出征學徒ノ殉國精神トハ
一致直結セラレタル皇國ノ眞髓デアリ
マシテ我ガ國體ノ精華ガ玆ニ華トナ
ツテ咲イタモノデアルト共ニ、育英造
上、多年ノ效果玆ニ結實シタモノト申
サネバナリマセヌ、薰化ノ功實ニ偉
大其ノ任ニ當リシ教育者諸君ニ對シ
テモ亦深キ感謝ノ意ヲ表セザルヲ得ナ
イノデアリマス(拍手)
勤勞學徒ト共ニ、學窓ニ殘リ、愛國
ノ至情ヲ傾ケツヽ〓鑽究理ニ餘念ナ
キ或ル部分ノ理化學系統ノ學徒諸君
ニ對シテモ、亦感謝ノ念ヲ捧ゲザルヲ
得ナイノデアリマス、今囘ノ戰ガ人ノ
戰ト共ニ、物ノ戰デアリ、更ニ進ンデ
科學ノ戰デアルト云フコトハ言フマ
デモアリマセヌ、去ル日、本院ニ於テ
八木技術院總裁ガ、同僚ノ質問ニ答
〓、科學的ニ技術的ニ、或ル種ノ示唆
ヲ與ヘタルコトガ如何ナル反響ヲ與
へ如何ナル感激ヲ齎シタカ、諸君ノ
旣ニ知ラルヽ通リデアリマス、敵擊滅ノ
爲ニ、我ガ科學陣營健在ナレ新兵器
出デヨトノ叫ビハ大旱ノ雲霓ヲ望ム
ヨリ更ニ急ナルモノガアリマス、我等
ハ諸君ガ全智全能ヲ傾ケ、〓鑽ニ沒頭
スル眞摯熱烈ナル態度ヲ見テ、軈テ此
ノ戰爭ニ偉大ナル貢獻ノ現ハレ來ルベ
キヲ確信シ、多大ノ信賴ト感謝ノ意ヲ表
スルモノデアリマス
今囘ノ戰爭ガ如何ニ重大ナル局面ニ
到達シテ居ルカ、「フイリピン」つきか
マ」ノ戰況ニ思ヒヲ致シ、頻々タル皇
土空襲ヲ目ノアタリ見テ、戰局眞ニ危
急我等ハ總力ヲ擧ゲテ飛躍的ニ戰力
ヲ增强シ、敵撃滅ノ一途ニ邁進スル外
ハナイ、生カ死カ、皇國興亡ノ岐ルヽ
所ナド、私ハ再ビ口ニシタクナイ、此
ノ秋ニ方ツテ、眞ニ國家ノ信賴スルモ
ノハ若キ人々デアル、我等ハ諸君ノ手
ニ依ツテ、此ノ戰爭最後ノ勝利ヲ得ル
コトヲ確信致シマス(拍手)學徒諸君ノ
早朝ヨリ夜晩クマデノ勤勞ハ決シテ
樂デハアリマセヌ、併シナガラ學窓ニ
於テノミノ勉學ガ、其ノ眞ノ學問デハ
アリマセヌ、工場ニ於テ、農場ニ於テ
敢鬪ヲ續クル諸君ノ勤勞ガ軈テ實ト
ナリ花トナツテ、諸君ヲ大ナラシムル
素因ヲ作ルモノデアルコトヲ、深ク心
ニ銘記シ、凡ユル困苦缺乏ニ耐ヘ、其
ノ特有ノ才能ヲ發揮シ、感謝ノ念ヲ以
テ勤勞ニ從事シ其ノ熱情ヲ一段ト戰
爭完遂ニ傾倒セラレンコトヲ切望致シ
マハ國家亦幾多ノ施設ヲ講ジテ諸君
ニ報ユルノ必要アルハ申スマデモア
リマセヌ、必勝ノ策ヲ練ツテ、諸君ノ
健鬪ニ呼應スル必要ガアル、我等亦國
民ノ意欲ヲ新政治力ニ結集シ、國內必
勝體制ヲ確立シテ、此ノ戰爭最後ノ勝
シテ居ルノデアリ
マス利才有ツトートゥークハートウォット政府當局者、
我々ノ意中ヲ解セズシテ、我々ノ考へ
ト隔リノ相當アルト云フコトヲ、私
頗ル遺憾ト思フ(拍手)今日ハ戰時施策
ヲ立テルハ結構、併シ、立テタナラバ卽
時之ヲ實行ニ移ス、果敢斷行ノ勇氣ガ
ナケレバナラヌト云フコトハ申スマデ
モナイ(拍手)我々ガ政治力ヲ結集セン
トスル根本ノ考ヘハ國內ニ於テ相剋
摩擦ヲ防ギ、一本ニナツテ國民ノ考へ
ヲ玆ニ集結シテ、以テ戰爭ニ當ラント
致シテ居ルノデアル、政府。我等ノ意圖
ヲ理解シ、一步前進セラレン事ヲ希望
スル、私ハ再ビ言フ、救國ノ英雄若キ
人々ノ中ヨリ續々ト出デヨ、靑年英雄
ニ待望スル聲、今全國津々浦々ニ漲ツ
テ居ル、願クバ勤勞學徒諸君、自重加
餐セデレテ、以テ此ノ戰爭終局ノ大眼
目ヲ達セラルヽ爲ニ御努力アランコト
ヲ、之ヲ以テ感謝激勵ノ言葉ト致シマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=24
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025・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 是ニテ討論ハ終
局致シマシタ、本案ノ第二讀會ヲ開ク
ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=25
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026・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ
決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=26
-
027・小泉純也
○小泉純也君 直チニ本案ノ第二讀會
ヲ開キ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報
告ノ通リ可決セラレンコトヲ望ミマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=27
-
028・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 小泉君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=28
-
029・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ直チニ本案ノ第二唄會ヲ
開キ議案全部ヲ議題ト致シマス
現役靑年學校職員俸給費國庫補助
法案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=29
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030・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 別ニ御發議モア
リマセヌ第三讀會ヲ省略シテ委員長
報告通リ可決確定致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=30
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031・小泉純也
○小泉純也君 議事日程追加ノ緊急動
議ヲ提出致シマス卽チ此ノ際政府提
山、農林中央金庫法中改正法律案ヲ議
題トナシ委員長ノ報告ヲ求メ、其ノ
審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=31
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032・岡田忠彦
○講長(岡田忠彥君) 小泉君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=32
-
033・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認
メマス仍テ日程ハ追加セラレマシ
タ、農林中央金庫法中改正法律案ノ第
一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報告
ヲ求メマス-委員長高橋熊次郞君
農林中央金庫法中改正法律案政
府提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
一農林中央金庫法中改正法律案(政
府提出、貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議
決致候此段及報告候也
昭和二十年二月五日
委員長高橋熊次郞
衆議院議長岡田忠彥殿
〔高橋熊次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=33
-
034・高橋熊次郎
○高橋熊次郎君 只今議題トナリマシ
タ農林中央金庫法中改正法律案ノ、特
別委員會ノ經過竝ニ結果ニ付キ御報告
致シマス
本委員會ハ去ル二十九日午格開會、
委員、長理事ヲ互選シ、委員長ニ不肖、
理事ニ小笠原八十美君、恒松於菟二君、
赤城宗德君、愛野時一郞君、森部隆輔
君ノ五名ガ當選セラレ、翌三十日ヨリ
四日間ニ亙リ質疑ヲ續行シ、本日午後
討論採決ニ入リ、本案ハ可決スベキモ
ノト決宗致シマシタ
先ヅ本案ノ趣旨ニ付テ大要ヲ申述べ
マス、農業諸團體ノ貯金ハ近年飛躍的ニ
增强セラレツヽアリマシテ、其ノ資力
ニ依リマシテ、農林水產方面ノ金融ニ
遺憾ナキヲ期セシメマスルト共ニ、國
債ノ消化竝ニ國家目的トスル事業方面
ニマデ最高度ノ利用ヲナサシムル爲
メ、更ニ一段ト活潑ナル機能ヲ發揮セ
シムル必要カラシテ、大體三點ニ亙ツ
テ改正ヲ加ヘラレタノデアリマス、卽
チ第一點ハ、曩ニ農業團體統合ノ際ニ
除カレテ居ツタ馬匹、農業保險、耕地
整理、願業等ノ組合及ビ是等ノ聯合會
等ガ、新タニ出資者トシテ認メラレル
ト云フコトニナルノデアリマス、改正
ノ第一點ハ後來自己資金ニ依ル年賦
貸付ノ限度ハ抽込出資金及ビ農材債
劵發行額ノ半額トナツテ居ルノヲ全
額卽チ倍額ニマデ擴大スルモノデアリ
マっ、改正ノ第三點ハ餘裕金ノ運用
ニ關スルモノデアリマシテ、所屬團體
以外ニ對スル短期貸付ノ範圍ヲ擴大致
シマシテ、日本興業銀行、戰時金融金
庫其ノ他ノ金融機關ニ對シマシテ
モ、短期債劵ノ引受ノミデナク、餘裕
金ノ貸付ヲモナスコトヲ得ルヤウニ致
シタノデアリマス、其ノ他若干ノ法文
ノ整理的改正ガアルダケデゴザイマス
此ノ場合農業團體ノ預金ノ情勢ヲ簡
單ニ附加ヘテ申上ゲマスガ、年每ニ倍
加ノ狀況デアリマシテ、十九年八月現
在ニ於テ、町村農業會ノ貯金ハ旣ニ、
百十億ヲ突破致シデ居リマス、道府縣
農業會ノ貯金ハ、八十一億五千餘萬
圓、同ジク中央金庫ニ於テハ六十億ヲ
突破致シテ居ルヤウナ情勢ニナツテ居
リマス、以上ガ本改正法律案ノ內容ト
ナルモノデアリマス
本委員會ハ御承知置キノ如ク、本議
會ニ於ケル〓商省所管ニ係ル唯一ノ委
員會デアリマス所カラ、本議案ノ趣旨
ニ關聯シ、時局下〓糧、纖維其ノ他農
產物生產增强ニ關スル幾多熱意ノ籠レ
ル建設的質疑應答ガ展開サレタノデア
リマスガ、玆ニ其ノ主ナルモノヲ御紹
介致シマス、其ノ一、戰局愈、危急ヲ〓
グルニ際シ、主要含糧タル米、麥及ビ著
類ノ割期的增產ノ要請ハ、飛行機等重
要兵器ト竝ンデ焦眉ノ急ニ迫ツテ居
リ、特ニ藷類ノ大量ガ新シク更ニ「ガソ
リン」ニ代ル液體燃料ノ自給體制確立
ノ一環トシテ振向ケラレ、松根油確保
問題ト相俟ツテ、敵英米擊滅ニ邁進ス
ルノ必要ニ迫ラレタノデアリマス、併
シナガラ是等ノ增產計畫豫行上ノ隘路
ハ勞力、資材、肥料、農機具等ノ窮屈
ニ基クコトハ申スマデモアリマセヌ
ガ、最モ身近ニ感ズル隘路ハ、現行農
產物ノ價格ガ一般物價、第銀、農家〓〓
品價格等ニ比シテ、餘リニモ低廉ニ放任
サレ、又冬農產物ノ間ニ於テモ其ノ價格
ガ均衡ヲ失シ、農家ノ生產意欲ヲ阻碣ス
ルコトガ甚ダシクアリマスルガ故ニ、
一日モ早ク之ニ再檢討ヲ加ヘマシテ、
主要農產物ノ價格ヲ杜本的ニ改訂スル
ト共ニ、現行奬勵金、補給金等ノ制度ハ
之ヲ廢止シテ、單純分正ナル適正價格ヲ
制定シマシテ、農民ノ忠誠心ト相俟ツテ、
其ノ增產ニ依ル農產物資ノ迅速ナル戰力
化ニ萬全ヲ期サナケレバナラナイ點ヲ
指摘致シテ、熱烈眞劍ナル質問ヲ繰リ
擴ゲラレタノデアリマス、之ニ對シ政
府當局ヨリ其ノ趣旨ニ付デハ同感デア
リ目下銳意檢討ヲ加ヘ、重要度ノ高
キモノヨリ漸次具體化ヲ圖リタキ方針
ナル旨ノ答辯ガアリマシタ
其ノ二ハ農業用資材竝ニ農家必需
品ノ配給ガ、農業團體ニ於テ一元的ニ
行ハレマセヌ結果、農家ハ多クノ勞勞
ト時間トヲ費シマシテ、遠隔ノ配給所
ヨリ購入シナケレバナラナイ現狀デア
リマス、而モ今ヤ其ノ大部分ハ米穀其
ノ他ノ現物ヲ提供スルニアラズンバ
殆ンド絕對ニ入手シ得ザル驚クベキ實
情ニアルノデアリマス、故ニ農家ハ供
出米ノ外ニ、ソレ等ノ必需物資ノ購入
ニ充ツル爲メ、米ヤ其ノ他ノ農產物資
ヲ保留セネバナラヌト云フ狀況デアリ
マハ仍テ速カニ其ノ配給ハ農業團體
ニ一元的ニ行フヤウニ改メ、是等ノ弊
害ヲ一掃セネバナラヌト思フガ、政府
ノ所見加何トノ質問ニ對シ、政府當局
ヨリ、事情ハ能ク了解シタノデ、十分
檢討ノ上之ニ善處シタイトノ答辯ガア
リマシタ
其ノ三ハ、中央農業會ト全國農業經
濟會ヲ統合シ、一ツノ中央農業團體ヲ
結成シ、系統農業團體ノ整備强化ヲ圖
リ、以テ指導ノ一元的統制ヲナシ、農
業團體ヲシテ眞ニ生產青任國體タラシ
ムルヲ喫緊ノ要務トスル、卽チ現在地
方農業團體ハ旣ニ統合シテ一體トナツ
テ居ルニ拘ラズ、中央ニ於テハ多頭組
織タルハ團體統合ノ趣旨ニ副ハザルノ
ミナラズ、中央ノ指導ハ二途ニ岐レ、
地方農業會ノ事業遂行上ニ著シキ障碍
ヲ來シ、又農產物ノ增產指導ト隼荷配
給必需品ノ供給等ノ經濟事業トヲ分離
スルガ如キハ、增產目的ノ完璧ヲ期ス
ルコトガ出來ヌ、是ニ於テ中央兩團體
ノ統合ハ一日モ遷延スルコトヲ許サ
ザル所デアルトノ質問ニ對シ、政府當
局ヨリ御趣旨及ビ其ノ間ノ事情ハ十分
諒承シテ居ルカラ、速カニ之ニ對シテ
善處シタイトノ答辯ガアリマシタ
其ノ四ハ、者類統制會社及ビ藥工品統
制會社等ノ廢止斷行デアリマス、是等統
制會社ノ事業ハ總テ農業團體ニ於テ實
行シ得ルノミナラズ、現ニ其ノ大部分
ハ農業團體デ代行シテ居ルノデアリマ
シテ、是等諸會社ノ存在ハ徒ラニ無用
複雜ナル手數ヲ重ネ、其ノ間少カラヌ
農家ノ負擔ヲ增加シ、又供出隼荷上著
シキ支障ヲ來シツヽアルノ現狀ニ顧ミ
マシテ、速カニ是等ヲ廢止シ其ノ業
務ノ一切ヲ農業團體ニ移管スベキモノ
ト認メルノデアリマス、特ニ藁工品ノ
原料タル稻藁ハ家畜ノ基本資料デア
リ、又家畜ノ床敷デアリ、且ツ堆肥ノ
原料トシテ缺クベカラザルモノデアリ
マシテ、家畜竝ニ自給肥料ノ增產ヲ必
要トスル今日、此ノ方面ニ於ケル藁ノ
需要ガ激增シテ參リマシタコトト、藁
工品原料トシテノ藁トノ間ニ摩擦ガ熾
烈トナリ、勞力不足ト相俟チマシテ、
黃工品ノ軍需、民需ノ大增加ノ趨勢ニ
反シテ、日ニ減產ノ一路ヲ辿リツヽア
ルノモ其ノ一因ハ此處ニアルノデアリマ
ス、是等需給ノ調整ハ一ニ生產指導ノ
任ニアル農業團體ニアラザレバ克クナ
シ能ハザル所デ、此ノ間ニ處シテ蒿工
品統制會社ノ存在ハ徒ラニ農業團體
ノ相剋摩擦ヲ釀シ、且ツ取引ノ圓滑、
集荷ノ迅速ヲ阻碍致ス實情ニアルノデ
アリマスノデ農村民カラ指彈サレツ
ツアルコトハ洵ニ遺憾千萬デ、政府ハ
速カニ農民大多數ノ要望ヲ容レルベキ
デアルトノ質問ニ對シマシテ、政府當
局ヨリ事情ハ能ク分リマシタノデ愼
重檢討ヲ加へ善處シタキ旨ノ答辯ニ接
シタノデアリマス
其ノ五ハ米ノ還元配給ニ關スル問題
デアリマス、最近ニ於ケル歷代農商大
臣ノ本問題ニ對スル方針說明ノ表現方
法ガ區々デアツテ、一ハ還元ヲ認メズ
ト言ヒ、他ハ還元スルト言明シテ居
ル、果シテ何レヲ信ジテ宜イカ、般
農民ハ迷ツテ居ルガ、此ノ際政府當局
ノハツキリシタ方針ヲ承リタイトノ質
問ニ對シ、國務大臣ハ從來カラ種々ノ
意見ガアルガ、結局還元配給スルト云
フコトハ、農家ノ供出ガ强過ギタ結果
デアリ、換言スレバ農家ガ出シ過ギタ
ト云フコトカラ、自家用飯米ノ不足ヲ
來シ、配給ヲ受ケルコトヲ必要トスル
モノデアル、併シ原則トシテ還元配給
ハシナイ方針デ、卽チ食ツテ行カレナ
イト云フ所マデ供出サセルト云フコト
ハシナイト云フノガ原則デアル、所ガ
一部ニ於テ出セバアトハ何トカシテヤ
ルト言ツテ、供出サセルト云フヤウナ
コトノアツタコトモ聞イテ居ル斯
ウ云フ所ニ問題ガアツタノデアル、併
シ政府ハ還元配給ヲ必要トスル如キ供
出ハサセナイト云フ方針ヲ持ツテ居ル
カラ、左樣諒承ヲ願ヒタイトノ答辯ガ
リマシタ6事青
其ノ六ハ、纖維等十年度ニ於ケル
衣料切符ニ關スル質問デアリマス、蠶
絲業ハ從來ノ平和產業カラ軍需產業ニ
轉換サレ、其ノ前途ニ洋々タル曙光ヲ
認メタノデアリマスガ、ノソレニモ拘ラ
ズ其ノ生產ハ年々減產ニ減產ヲ〓
ゲ加フルニ棉花ノ「ストック」ハ減少
シ、又「スフ」人絹等ノ製造ニ缺クベカ
ラザル石炭、苛性曹達等、資材ノ甚
ダシキ窮屈サハ纖維ニ大キナ異變ヲ齎
ラシ、本年度ニ於ケル衣料切符ノ交付
ハ一般家庭ヲ其ノ對象カラ除外致
シ、專ラ其ノ纖維製品ハ農業者、軍需
其ノ他ノ勞務者、學徒報國隊等ノ作業
衣及ビ消費率ノ多イ小兒用衣料、肌着
等ヲ重點的ニ配給スルノ已ムヲ得ザル
ニ至リハセヌカト考ヘツヽアル旨ノ言
明ガアリマシタ
其ノ外自作農創設ト土地分合問題、
農村勞力對策、農耕勞務ノ調整、軍隊
式ニ依ル農兵隊組織制度ノ問題、農機
具資材等簡易製鐵鐵問、生鮮〓料品
配給制度ノ改革、有畜農業ト飼料問
題未利用資源開發ト粉食ノ問題、山
林政第、水產問題等、現下決戰段階下
ニ於ケル農產物資ノ戰力化、決戰國民
生活ノ平衡化等ニ關シ、各委員ヨリ白
熱的質問ガアリ、之ニ對シテ政府當局
ヨリ懇切ナル答辯ガアリマシタガ、要
スルニ委員會ノ空氣ハ、農村ハ決シテ
無理ナコトヲ望ンデ居ルモノデハナ
イ先ヅ第一ニ生產ニ邪魔ニナル機構
ヤ施設ハ之ヲ悉ク取除イテ貰ヒタ
イ、此ノ緊迫シタ時期ニ臨ンデ、何故
ニ政府ハ斯カル分リ切ツタコトガ決行
サレナイノデアラウカト、農民ガ疑心
ヲサヘ懷クニ至ツテ居リマス、故ニ政
府ハ委員會ニ於テ問題トナツタ諸案件
ハ急速ニ斷行サレテ欲シイ、サモナク
バ政府當局ヤ一般非導者層ガ、如何ニ
聲ヲ大ニシテ、皇國ノ危急存亡ヲ叫ビ
マシテモ、一ツノ空念佛ニ化シ、農民
ノ心カラナル協力ト生產意欲ノ〓揚ト
ヲ求ムルコトハ到底望ミ得ナイノデ
ハナイカト心配シテ居ル次第デアリマ
ス、眞ニ皇國興廢ノ關頭ニ立ツ此ノ
際政府ハ一大勇猛心ヲ發揮サレテ、
縣案ノ悉クヲ直チニ解決セラレテ、以
テ刻下當面ノ緊迫セル要請ニ副ハレン
コトヲ望ンデ居ル次第デアリマス
斯クシテ委員會ハ討論ニ入リ、愛野
時一郞君ヨリ翼贊政治會ヲ代表シテ原
案贊成ノ意ヲ表セラレ、採決ノ結果本
案ハ可決スベキモノト決定致シタ次第
デアリマス、以上(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=34
-
035・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 本案ノ第二讀會
ヲ開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=35
-
036・議長(岡田忠彥君)
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ本案ノ第一一讀會ヲ開クニ
決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=36
-
037・ト泉純也君
○ト泉純也君 直チニ本案ノ第一讀會
ヲ開キ節三讀會ヲ省略シテ、委員長報
告ノ通リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=37
-
038・議長(岡田忠彥君)
○議長(岡田忠彥君) 小泉君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕
〇議長(岡田忠彥君)御異議ナシト認
メマス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ
開キ、議案全部ヲ悉題ト致シマス
農林中央金庫法中改正法律案
第一讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=38
-
039・議長(岡田忠彥君)
○議長(岡田忠彥君) 別ニ御發議モア
リマセヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員
長報告通リ可決確宗致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=39
-
040・小泉純也君
○小泉純也君 議事日程追加ノ緊急動
議ヲ提出致シマス、卽チ此ノ際政府提
出產業設備營團法中改正法律案、及
ビ石炭配給統制法中改正法律案ノ兩案
ヲ一括議題トナシ、委員長ノ報〓ヲ求
メ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望ミ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=40
-
041・講長(岡田忠彥君)
○講長(岡田忠彥君) 小泉君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕
Oモ長(岡田忠彥君)御異議ナシト認
メマス、仍テ日程ハ追加セラレマシ
タ、產業設備營團法中改正法律案、石
炭配給統制法中改正法律案、右兩案ヲ
一早シテ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委
ロニノ報告ヲ求メマス--委員長松永
山君
設備營團法中改正法律案政
府提出貴族に妥付)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
石炭配給統制法中改正注律案政
府提出、貴族〓溪付)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一產業設備營團法中改正法律案
(政府提出、貴族院溪付)
右ハ太院ニ於テ可決スヘキモノト議
演書に此段及報〓候也
昭和二十年二月五日
委員長松永東
衆議院議長岡田忠彥殿
報告書
一石炭配給統制法中改正法律案政
府提出貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議
決致候此段及報告候也
昭和二十年二月五日
委員長松永東
衆議〓議長岡田忠彥殿
〔松永東君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=41
-
042・松永東君
○松永東君 只今上程トナリマシタ產
業設備營團法中改正法律案、及ビ石炭
配給統制法中改正法律案ノ委員會ノ經
過竝ニ結果ニ付テ、極メテ簡單ニ御報
告申上ゲタイト存ジマス
右兩案トモ過日本議場ニ於テ、吉田
軍需大臣カラ改正ノ理由ヲ說明セラレ
タ通リ前者ハ法文中ノ「東京市」トア
ルノヲ「東京都」ニ改メ、政府出資金二
億圓ヲ四億圓ニ增加シ、政府ノ產業設
備營團ニ對スル融資ヲ强化シ更ニ產
業設備債券發行額ヲ拂込資本金ノ十五
倍マデニ擴大シタ改正デアリマス而
シテ後者ハ石炭配給統制法中ニ「コー
クス」ト云フ文字ヲ挿入シテ、「コーク
ス」ヲ石炭同樣ニ取扱フト云フ趣旨デ
ゴザリマス、右兩案トモ現下苛烈ヲ極
ムル戰爭ニ直結シテ居リマスル法案デ
アリマスルガ故ニ、委員ノ多數ノ方々
ト政府トノ間ニ、眞劍ナ質疑應答ガ取
交サレタノデアリマス、詳細ハ速記錄
ニ於テ御覽ヲ願フコトト致シマシテ、
特ニ二三ノ重要ナル聞題ニ付テ、質疑
應答ノ內容ヲ御報告申上ゲテ、御參考
ニ供スルコトト致シタイト存ジマス
先ヅ產業設備營團法ニ付テ、委員ノ
一人カラ斯ウ云フ質問ガ發セラレマシ
タ、元來軍需生產ヲ中心トシテ、我ガ
國ノ赤業企業體ヲ決戰卽應ノ能勢トナ
スベキデアルト云フ問題ハ近衞內閣
當時ニ政治新體制ト共ニ、經濟新體制
ガ指道者原珥ノ下ニ取リ上ゲラレテ、
今日ノ姿トナツテ來タノデアルガ、遺
憾ナガラ共ニ失敗ニ終リ、政治經濟共
ニ速カニ時局卽應ノ體制ヲ作ラザルヲ
得ナイ狀態ニナツテ居ル、卽チ產業ニ
對シテハ經理ト勤勞ノ面カラ國家性ガ
强調セラレテ、特ニ軍需產業ニ付テハ
國家管理、國家借上、共同計算、企業
集團責任制等ガ考慮セラルヽノデアル
ガ、之ヲ一〓ニ觀念的ニ決定シ能ハザ
ルモノガアル、ソコデ各企業ノ實體ニ
卽シ、又時局下各企業ガ足踏ミシナイ
ヤウナ方法デ、國家性ヲ十分ニ產業ノ
面ニ發揮セシメナケレバナラナイ況
ヤ今日竝ニ將來空襲其ノ他ノ事故ニ依
ル機材ノ損耗等ニ對シテ、各企業家ヲシ
テ有無相通ズルノ途ヲ拓カセナケレバ
ナラナイ、ソレニハ隼團責任制ヲ最モ
適當ナル方法デアルト信ズルノデアル
ガ政府ノ所見ハドウデアルカ、斯ウ
云フ質問、更ニ又戰力增强ノ爲ノ企業
整備ガ未ダ完成ヲ見ナイ、特ニ軍需生
產ニ重大ナル關係アル第二種工業部門
ノ企業整備ノ如キ、今日マデ二箇年ヲ
經過シテ居ルニモ拘ラズ、現狀ノ右樣
デハ洵ニ遺憾千萬デアル、中ニモ親工
場ト子工場、孫工場トノ門係ノ如キ、
今尙ホ亂雜ヲ極メテ居ル戰局ハ一日
モ待ツタガナイノダ、猶豫スルコトガ
出來ナイノダ、迅速果敢ニ解決セラレ
ル必要ガアルト思フガ、政府ハドンナ
風ニ此ノ點ニ付テ御考ヘニナツテ居ル
カ、斯ウ云フ質問及ビ各統制會中ニハ
有害無益ナモノガ在在シテ居ル、政府
ハ速カニ之ヲ整理シテ、有益ナルモノ
ハドシ〓〓之ヲ助成强化シ、無益ナモ
ノハ之ヲ統合廢止シナケレバナラヌデ
ハナイカ、斯ウ云フ質問ニ對シテ、政
府ハ大體ニ於テ之ヲ肯定セラレ、人 遂
戰力埼强ニ最善ノ努力ヲ拂ヒタイ、斯
ウ云フ答辯ガアツタノデゴザイマス
更ニ生產青任制ニ付テ幾多ノ質疑應答
ガアツタノデアリマスガ之ヲ要約シ
テ見マスト、政府ハ生產責任制ヲ確立
シテ、各軍需會社ノ社長ヲ靑任者トシ
テ居ルガ其ノ責任タル制當命令ニ對
スル完全ナ履行ヲ果サナクテモ、未ダ
其ノ青任ヲ執ツタト云フ事例ヲ耳ニシタ
コトハナイノデアルガ、勿論資材モ逼
迫シ、勞力モ逼迫シテ居ル折柄デアル
カラ、外部事情卽チ資材トカ、運送ト
カ、勞力トカ、斯ウ云フモノノ不足等
ノ辯解辯護ノ言葉ハ幾ラデモ出テ來ル
デアラウ、併シ今日ノ時局ハ左機ナ外
部的ニ、斯ウ云フ事情ガアツタトカ、
アヽ云フ事情デ遲レタトカ云フヤウナ
コトヲ日ニスベキ時デハモウナイノ
ダ、手腕力量等ノナイ者ハ、ドシ〓〓
日本的ニ其ノ責任ヲ執ラシムベキガ當
然デハナイカ、更ニ又其ノ責任者中ニ
勞務者モ包含セシメテ、勞務者ニモ責
任ヲ分擔セシメ、彼等ヲシテ奮起セシ
ムル必要ガアリハシナイカ、斯ウ云フ
質問ガアツタノデアリマス、之ニ對シ
テ政府ハ今日マデ外部事情ニ依ルモノ
ハ責任ヲ問ハズニ居ルノデアルガ、
著シク懈怠不良ノ者ハ斷乎タル處置
ニ出デタモノモアルノデアル、今後モ
善處シテ行キタイト云フ答辯ガアツタ
ノデアリマス
次ニ產業設備營團貸付ノ放漫ナル
點事業成績ノ擧ラナイ點等ニ付テ、
一々事實、數字等ヲ指摘シテ詳細ナ質
疑ガアツタノデゴザイマス、特ニ本造
船建造ノ豫宗計畫ニ達シナイ諸點ニ付
テハ相當活潑ナ質問ガ行ハレタノデ
ゴザイマスガ、其ノ後委員ノ一人カ
ラ、現乍何トシテモ寸刻モ早ク重要
工場ヲ神開セシメテ、地下工場ヲ建設
スルトカ或ハ其ノ他ノ方法ニ依ツテ
安全地帶ニ置イテ能率ヲ擧ゲナケレバ
ナラヌコトハ是ハ三ツ子デモ分ツテ
居ルコトデアル、本當、ニ今幾割カノ增
產ヲスルト云フコトガ此ノ日本ヲ救フ
カ否カノ大キナ問題デハナイカ、而モ
是等ノ事業ニ付テハ莫大ナル經費ヲ要
スルコトハ當然デアル此ノ經費ヲ貼
フニハ企業者自身ノ負擔デハ完璧ヲ期
シ難イ、是等ノ事業コソ產業設備營團
ヲシテヤラセルノガ當然デハナイカ、
斯ウ云フ質問ガアツタノデゴザイマ
ス之ニ對シテ政府ハ工事遲延ノ理由
ニ付テハ事業開始ノ當時、營團ニ對ス
ル一般ノ認識ガ乏シクテ、建設ヲ引受
ケタ所ノ工事件數ガ僅少デアツタ爲
之現在ニ於ケル完成件數ハ少カツタ
ノデアツタガ、今後ハ未完成工事ノ打
切リ、其ノ他勞務資材等ノ各面カラ、
工事進捗ノ施策ヲ强化スルト共ニ、
段ト指導監督ヲ强化シテ、營團幹部ト
一體トナツテ、戰時下重要ナ設備ノ急
速ナ完成ニ、萬全ノ努力ヲ致スト云フ
旨ノ等辯ガアリマジタ、更ニ工場疎開
ノ問題ニ付キマシテハ、御說ノヤウナ
事業ハ著々進行シテ居ル、併シ營圍ハ
手足ヲ持タナイ、卽チ勞力資材等ハ陸
海軍ノ協力ヲ願ツテ、著々此ノ方面ノ
事業モ進行シテ居ル、サウシテ是ガ事
業費等ハ實ハ臨軍費デ充テル積リデア
ル斯ウ云フ强イ答辯ガアツタノデゴ
ザイマス、更ニ委員カラ從來ノ政府ガ經
濟原理ノ扱ヒ方ヲ誤ツテ居ルコト、現
在實行ノ統制經濟ガ如何ニモ運用ヲ誤
ツテ居ヤセヌカ更ニ其ノ法ノ精神ガ
忘レラレテ居ルノヂヤナイカ、卽チ法
律ノ爲ニ法律ヲ作ツテ居ルト云フヤウナ
嫌ヒガナイデモナイカト云フヤウナ、
色々ナ意見ノ開陳セラレタ後ニ、我ガ
國民ハ一タビ軍隊ニ編入セラレヽバ
總テガ身ヲ鴻毛ノ輕キニ任ジテ必死必
殺ノ特攻隊トナツテ、身命トカ財產ト
カ云フヤウナ觀念ヲモウ超脫シテシマ
ツテ居ル、所謂三昧ノ境ニ達スル特異
性ヲ持ツテ居ルノデアル、旣ニ一億國
民ノ總テガ其ノ境地ニ達シテ居ルノデ
アルカラ、之ヲ巧ニ指導シ、利用シテ
減私奉公ノ境地ニ至ラシメテ、增產ノ
基礎タラシメルト云フコトガ政府ノ當
然ナスベキ吉任ヂヤナイカ、斯ウ二フ
質問ニ對シテ、政府ハ產業人ヲシテ日
本特有トモ稱スベキ書忠報國ノ三昧境
ニ至ラシムルコトハ洵ニ同感デアル
政府ハ日本的ノ指導原理ニ依ツテ是非
達成スルヤウニ、協力スル決心デアル
ト云フヤウナ答辯ガゴザイマシタ
石炭統制法改正問題ニ對シテモ多數
ノ重要ナ質疑應答ガ行ハレタノデアリ
マシテ、ヘヲ紹介シテ見マス
ト、亞炭ノ問題、是ガ今日マデ閑却サ
レテ居ツタヂヤナイカ、之ヲ石炭ト同
樣ニヤハリ熱意ヲ以テ增產ヲスルヤウ
ニヤランケレバイカヌデハナイカ、斯
ウ云フ質問ニ對シテ、政府ハ從來亞炭
產出ニ政府ノ熱意ノ足ラナカツタコト
ハ御說ノ通リデアルト云ツテ率直ニ認
メ併シ今日デハ價格其ノ他ニ於テ增
產ニ好影響ヲ齎ラスヤウニシテ居ル、
ノミナラズ石炭區域外ニ於テ重點的ニ
色々ノ手ヲ打ツテ居ル、今後モ該業者
ガ精極的ニ進出スルコトヲ切望シテ居
ルト云フ答辯ガゴザイマシタ、更ニ委
員カラ石炭コソ總テノ軍需品增產ノ基
盤ヲ成スモノデアル然ルニ勞務モ資
材モ著シイ不足ノ現狀デアル、政府ハ
外國ノ事例ニ鑑ミテ直接軍隊ノ應援ヲ
求メテ、其ノ生產日標ヲ突破スルト云
フ御意思ハナイカ、現在ノ此ノ儘ノ姿
デ增產ノ確信ガアルカ、斯ウ云フ質問
ガアツタノデゴザイマス、之ニ對シテ
政府ハ頑張レバ必ズ目標ニ達シ得ル確
信ヲ持ツテ居ル、軍ニ於テモ非常ノ熱
意ヲ以テ協力ヲシテ居ラレル、特ニ今
度地方行政協議會長ト軍司令官トノ連
繋ガ强化セラレマシタコトハ本問題
ノ解決促進ニ多大ノ效果アリト信ズ
ル斯ウ云フ旨ノ答辯ガアツタノデゴ
ザイマス、其ノ他色々有力ナル質問ガ
出タノデゴザイマスガ、是ハ速記錄ニ
於テ御覽ヲ願フコトトシ、一言附言シ
テ置キタイコトハ輸送力ノ問題デア
ル、特ニ陸上小運送力ノ不足ガ、戰力
增强ノ上ニ於テ最大ノ障碍トナツテ居
ル點ヲ强ク指摘シテ、政府ノ一大奮起
ヲ要望セラレタコトヲ特ニ申上ゲテ置
キマス
斯クテ一昨日午後六時ニ質疑ヲ終了
致シマシテ更ニ本日午後二時ニ委員
會ヲ開イテ討論ニ入リ翼賛、政治會ヲ
代表シテ薩摩雄次君カラ原安替成ノ趣
旨ヲ述ベラレタノデアリマスガ其ノ
原案智成趣旨發言ノ中ニ、次ノヤウナ
意味ヲ政府ニ警告セラレタノデアリマ
ス卽チ政府ハ常ニ議會ニ於テ議員ノ
質問ニ對シテ御說御尤モデアル仍テ
速カニ之ヲ實行シマストカ、調査〓究
ヲスルトカ云フ答辯ヲ以テセラレテ居
ルコトガ多イノデアルガ、併シ往々口
頭禪ニ終ルコトガナカツタトハ言ヘナ
イノデアル、時局ハ眞ニ緊迫シテ居リ、政府
ノ施策ハ一日モ忽セニスルコトヲ許シ
マセヌ、特ニ苦烈ナル戰爭ニ直チニ繫ガ
リヲ持ツテ居ル所ノ軍需省ノ諸問題ニ
於テヲヤデアル、政府ハ往々ニシテ斯ク
セザルベカラズト感得シテ居リナガラ
モ、色々ノ事情カラ右顧左眄遂巡シテ居
ル事實ガ多イノデアル、之ヲ最近ノ事
實ニ徵シテモ明瞭デアリマス卽チ昨
日神戶地方ニ敵機ガ或ハ八十五機トカ
百機トカ云フ新聞ノ報道デゴザイマス
ガ編隊ヲ以テ來襲シタ、其ノ被害ノ
如キモ數字ヲ擧ゲテ中上ゲルコトヲ憚
ルノデアルガ、食糧品ニ付テモ多少ノ
被害ガアツタトカ云フコトヲ耳ニ致シ
テ居ル、而モ先般來神戶市民、兵庫縣
民ハ、直グ間近ニ在ル所ノ山間ニ橫穴
ヲ發掘シテ、之ニ貯藏シタテ宜イデハ
ナイカト云フコトヲ、一再ナラズ進言
シタト云フコトデアル、然ルニ拘ラズ
荏苒日ヲ空ウシテ居ツタ爲ニ、此ノ際
多少デモ斯カル損害ヲ受ケタコトハ洵
ニ遺、憾デアル、緊迫セル戰爭ニ直接ノ
關係ヲ持ツ軍需省ハ、此ノ議會ヲ通ジ
テ實行スルト約束シタコトハ迅速ニ實
行シ調査〓究ヲ約シタコトハ急速ニ
其ノ施策ニ當ラレタイ、斯ウ云フコト
ヲ要望セラレタノデアリマス、ソレト
同時ニ軍需大臣ノ決意ヲ表明セラレル
ヤウニ迫ラレタノデアリマス、之ニ對
シテ吉田軍零大臣ハ御說洵ニ御尤モデ
アル、此ノ寸刻ヲ爭フ戰爭ノ眞只中
ニ、政府トシテモ實行ヲ約束シタ以上
ハ迅速ニ之ヲ實行ニ移シ、調査〓究ヲ
約束シタモノハ是レ亦急速ニ調査〓究
ノ上デ、之ヲ實施ノ面ニ移スト云フコ
トヲ確約致シマスト云フ强イ御答辯
ガアツタノデゴザイマス、斯クシテ採
決ノ結果ハ滿場一致原案ヲ承認シタ次
第デアリマス、此ノ段御報告申上ゲル
次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=42
-
043・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 両案ノ第二讀會
ヲ開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=43
-
044・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ兩案ノ第二讀會ヲ開クニ
決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=44
-
045・小泉純也
○小泉純也君 直チニ兩案ノ第二讀會
ヲ開キ第三讀會ヲ省略シテ、委員、長
報告ノ通リ可決セラレンコトヲ望ミマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=45
-
046・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 小泉君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=46
-
047・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認
メマス仍テ直チ、ニ兩案ノ第二讀會ヲ
開キ、議案全部ヲ議題ト致シマス
產業設備營團法中改正法律案
第二讀會(確定議)
石炭配給統制法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=47
-
048・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 別ニ御發議モア
リマセヌ、第三讀會ヲ省略シテ、兩案
トモ委員長報告通リ可決確定致シマシ
タ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=48
-
049・小泉純也
○小泉純也君 議事日程追加ノ緊急動
議ヲ提出致シマス、卽チ此ノ際小山邦
太郞君外三十五名提出、戰時森林資源
浩成法案ヲ議題トナシ、委員長ノ報〓
ヲ求メ、其ノ審議ヲ進メラレンココヲ
望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=49
-
050・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 小泉君ノ動議ニ、
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=50
-
051・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ日程ハ追加セラレマシ
タ、戰時森林資源造成法案ノ第一讀會
ノ續ヲ開キマス、委員、長ノ報告ヲ求メ
マス-委員、長木下信君
戰時森林資源浩成法案(小山邦太
郞君外百三十五名提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
一戰時森林資源浩成法案(小山邦太
郞君外百三十五名提出)
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキ
モノト議決致候、此段及報〓候也
昭和二十年二月五日
委員、長木下信
衆議院議長岡田忠彥殿
〔別紙〕
戰時森林資源造成法
第一條政府ハ大東亞職爭ニ際シ森
林資源ノ戰力化ノ徹底竝之ガ造
成ノ確保ヲ期スル爲命令ノ定ムル
所ニ依リ農科中央金庫ヲシテ森林
資源造成證券(以下證劵ト稱ス)ヲ
發行セシムルモノトス
第二條農林中央金庫ハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ森は資源浩成ノ爲ニ要
スル費用ノ二分ノ一ニ相當スル金
額ヲ納付シタル森林所有者ニ對シ
其ノ金額ノ倍額ニ相當スル額面ノ
證劵ヲ交付スベシ
本法ニ於テ森林所有者ト稱スルハ
森林法第一條及第二條ノ森林所有
者ヲ謂フ
第三條政府ハ森林ノ伐採其他必要
アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所
ニ依リ森林所有者ニ對シ森林資源
造成ノ爲ニ要スル費用ノ二分ノ一ヲ
農林中央金庫ニ納付シ證劵ノ交付
ヲ受クベキコトヲ命ズルコトヲ得
第四條證券ノ所有者ハ證劵ニ記載
セラレタル森林資源浩成ニ必要ナ
ル行爲ヲ爲シ命令ノ定ムル。所ニ依
リ農林中央金庫ニ對シ該證劵ノ額
面金額ノ交付ヲ求ムルモノトス
第五條證券ノ所有者ハ大東亞戰爭
終了後ニ於テ政府ニ對シ證券ヲ呈
示シ森林資源造成ノ爲必要ナル行
爲ヲ求ムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ政府ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ分收步合ヲ定メ自ラ
之ヲ爲シ又ハ公共團體其他命令ヲ
以テ定ムル者ヲシテ森林資源造成
ニ必要ナル行爲ヲ爲サシムルコト
ヲ得
第六條前條ノ場合ニ於テ政府ハ森
林資源造成ニ必要ナル行爲ヲ爲ス
ニ要シタル費用ノ支拂其他命令ヲ
以テ定ムル事項ヲ農林中央金庫ニ
對シ指示スベシ
第七條政府ハ第一條ノ規定ニ依リ
證券ヲ發行シタル農林中央金庫ニ
對シ命令ノ定ムル所ニ依リ證券ノ
額面金額ノ二分ノ一ノ金額ヲ交付
スルモノトス
第八條證劵ハ記名式トシ森林ノ土
地ニ付使用又ハ收益ヲ爲スノ權利
ト共ニスルニ非ザレバ之ヲ讓渡ス
ルコトヲ得ズ
證劵ノ所有者タル森林所有者ガ森
林ノ土地ニ付使田又ハ收益ヲ爲ス
ノ權利ヲ壅渡セムトスルトキハ其
ノ證券ト共ニ之ヲ行フベシ
第九條軍事其他公共ノ必要ニ因リ
森林ノ土地ガ森林資源造成ノ目的
ニ供スルコト能ハザルニ至リタル
トキハ第一條及第三條ノ規定ニ依
リ納付シタル金額ハ命令ノ定ムル
所ニ依リ該森林所有者ニ對シ之ヲ
返還スルモノトス
第十條證券ハ大東亞戰爭終了後二
十年ヲ以テ其ノ效力ヲ失フ此場合
ニ於テハ第二條及第三條ノ規定ニ
依リ納付シタル金額ハ之ヲ其ノ納
付者ニ返還ス
第十一條證券ノ模造ニ關シテハ通
貨及證劵模造取締法ヲ準用ス
第十二條本法ニ規定スルモノノ外
證劵ノ發行其他必要ナル事項ハ命
令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
〔木下信君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=51
-
052・木下信
○木下信君 只今議題トナリマシタ小
山邦太郞君外百三十五名提出ノ戰時森
林資源造成法案ノ特別委員會ニ於ケル
審議ノ經過竝ニ結果ヲ御報告致シマ
ス
委員會ハ議案上程ノ翌二日委員長、
理事ノ選擧ヲ行ヒ、引續キ直チニ審議
ニ入ツタノデアリマス、蓋シ諸君御承
知ノ通リ、議員提出ノ法案デ、帝國議
會開設以來今日ニ至ルマデ成立致シマ
シタモノハ二百五十八件ノ多キニ
達シテ居ルノデアリマス、然ルニ第七
十四囘帝國議會以後ハ、一件ノ成立シ
タルモノガナイ狀態デアリマス、若シ
本法案ガ適切ナルモノト認メラルヽニ
拘ラズ、萬一時間等ノ制約ニ依リマシ
テ、不成立ヲ來スガ如キコトガアリマ
シテハ洵ニ遺憾ナリトノ委員會ノ考
ヘヨリ致シマシテ、同日ハ午前、午後
ヲ通ジテ熱心ナル審議ヲ致シタノデ
アリマス先ヅ提出者小山邦太郞君
ヨリ、提案ノ理由竝ニ法案ノ內容ニ
付テ陳述ガゴザイマシタ、提案ノ理由
ハ過日本會議ニ於テ述べラレタ所デゴ
ザイマスノデ、玆ニハ之ヲ省略致シマ
シテ、內容說明ノ〓略ヲ御紹介致シマ
ス
卽チ大東亞戰爭勃發以來山林ノ伐採
ト植林トノ不均衡ノ狀態ニ應ジマシ
テ、少クトモ一年間、人工造林二十萬
町歩、天然造林三十萬町步ノ植樹補
整ヲ目途ト致シマシテ、造林者ハ其ノ
費用ノ半額ニ相當スル金額ヲ、農林中
央金庫ニ納付シ、之ニ對シ農林中央金
庫ハ其ノ倍額ニ相當スル額面ノ證劵ヲ
交付スルノデゴザイマス、而シテ提案
者ハ造林ノ費用ニ付テ、細カニ其ノ數
字ヲ擧ゲテ諸般ノ施設ヲ述ベタノデア
リマスガ、是ハ時間モ掛リマスカラ速
記錄ニ讓リタイト思ヒマス、一言ニシ
テ申シマスルナラバ、十年ノ間其ノ費
用ノ半額ヲ國家カラ補助致シマシテモ、
昭和十八年ノ一年ニ於ケル所ノ水害ニ
因ル損害額ヨリモズツト少イデハナイ
カト云フヤウナコトニ相成ルノデアリマ
ス、斯クテ山林ノ所有者ハ、伐採ニ依ル
山林收入ノ一部ヲ、農林中央金庫ニ納
付スルコトニ依リマシテ、將來ノ造林
費用ヲ確保スルト共ニ、戰時下ニ於ケ
ル貯蓄ヲナスコトトナリ、金融ノ惡性
循環ヲ防止スル所以トモ相成ルノデア
リマス、又證劵所有者ハ現今ノ如キ勞
力供給ノ困難ナ際ニ於キマシテ、勞力
需給ノ實情ニ應ジテ、適宜ノ時ニ造林
作業ヲナシマシテ、命令ノ定ムル所ニ
依リマシテ、農林中央金庫ヨリ額面ノ
金額ヲ受クルカ、又ハ大東亞戰爭終了
後ニ於キマシテ、政府ニ對シ證劵ヲ呈
示シテ、森林資源造成ニ必要ナル行爲
ヲ求ムル場合ハ政府ハ分收步合ヲ定
メマシテ、政府自ラ其ノ行爲ヲナス
カ、或ハ公共團體ヲシテ、其ノ行爲ヲ
ナサシムルコトニ依リマシテ、勞力ノ
調節ヲ圖リツヽ、造林事業ヲ完成セント
スルノデアリマス、卽チ本法案ノ目的
トスル所ハ第一ハ戰時下必然ノ結果
タル過伐、濫伐ニ依ル國土荒廢ヲ防止
シ、將來ノ森林資源ノ造成ヲ圖ルコ
上、第二ハ造林費ノ半額ヲ納付スルコ
トニ依リマシテ、卽チ森林收入ノ一部
ヲ農林中央金庫ニ納入哥セシメテ、
將來ノ造林費ヲ確保シ、山ヨリ得タル
收益ノ一部ハ山ニ返スノ精神ヲ實行セ
シムルト共ニ、貯蓄ニ依ツテ、餘剩購
買力ヲ吸收スルコトヲ圖ルコト、第三
ハ納付金額ノ倍額ノ證劵ノ交付ニ依リ
マシテ、造林費用ノ半額ヲ補助スルコ
トトシテ、造朴ノ奬勵ヲ圖ルト共ニ、
造林勞力ノ調節ヲ圖ラントスルノデア
リマス
次イデ質疑ニ入リマシテ、委員ト農
商省、內務省ノ政府委員トノ間ニ、適切
ナル質問應答ガアリマシタ、其ノ詳細
ハ速記錄ヲ御覽ヲ願ヒタイト思ヒマ
ス、唯政府委員ノ答辯ノ中ニ於キマシ
テ、二點ヲ御紹介申上ゲテ置キタイト
存ジマス、卽チ最近ニ於ケル植樹ト伐
木ノ不均衡ノ狀況如何トノ三對シマ
シテハ農商省政府委員ハ、昭和十四
年ニハ人工植林ノ面積ガ八萬三千町
歩、又同年ノ伐採面積ハ四十七萬町步
デアリ昭和十八年ニ於ケル所ノ人工
造林面積ハ十二萬三千町步、伐採面
積ハ實ニ七十三萬町步ト相成ツテ居ル
ノデアリマスト云フ答辯ガアリマシ
タ、又最近ニ於ケル所ノ水害ノ被害額
如何トノ問ニ對シマシテ、內務省政府
委員ヨリ、昭和十五年ニ於ケル損害額
ハ一億四千一百萬圓、然ルニ漸次
增加ヲ致シマシテ、昭和十八年ノ損害
額ハ七億五千七百萬圓ニ達シテ居ル
ト云フ答辯ガアリマシタ、如何ニ本法
案ガ一日モ忽セニスベカラザルモノデ
アルカト云フコトニ付テ、委員ニ深キ
感銘ヲ與ヘタノデアリマス
斯クテ質疑ヲ終局シ、討論ニ入リマシ
テ、翼賛政治會ヲ代表シテ、松浦周太郞
君ヨリ、本案ノ戰時下コ於ケル必要ニ
付キテ熱心ナル御意見ノ發表ガアリ、
尙ホ修正ノ動議ヲ出サレタノデアリマ
ス、其ノ修正ノ動議ノ文面ハ御手許
ニ配付シテゴザイマスノデ、之ニ依ツ
テ御承知ヲ願ツテ、朗讀ヲ省略サセテ
戴キタイト思ヒマス、次イデ採決ニ入
リマシテ、全員一致松浦君提出ノ修正
察ヲ可決致シマシタゝ右御報告ヲ致シ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=52
-
053・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 本案ノ第二讀會
ヲ開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=53
-
054・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ
決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=54
-
055・小泉純也
○小泉純也君 直チニ本案ノ第二讀會
ヲ開キ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報
告ノ通リ、修正議決セラレンコトヲ望
ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=55
-
056・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 小泉君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=56
-
057・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ
開キ、議案全部ヲ議題ト致シマス
戰時森林資源造成法案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=57
-
058・岡田忠彦
○議長(岡田忠彥君) 別ニ御發議モア
リマセヌ第三讀會ヲ省略ジテ、委員
長報告通リ確定致シマシタ(拍手)次會
ノ議事日程ハ公報ヲ以テ通知致シマ
ス、本日ハ是ニテ散會致シマス
午後四時四十二分散會
衆議院議事速記錄第七號中正誤
九九頁三段末行「依ツテナル」ハ低所
テ結成セラレテ居リマシテ、地方ニ强
力ナル」ノ誤植発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008613242X00819450205&spkNum=58
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