1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○昭和二十年勅令第五百四十二號(承諾を求むる件)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十年十二月三日(月曜日)午前十時三十三分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=1
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002・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 是より開會致します、大變皆樣御揃ひになつたのに御待たせを致しましたが、漸く商工省の政府委員が出席せられましたから、是より聯合國最高司令官の要求に係る事項に付きまして、商工省が緊急勅令に基いて執つた措置に付て説明を承ることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=2
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003・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 私より此の緊急勅令に基きまして商工省の執りました處置に付きまして御説明申上げます、先づ第一に昭和二十年勅令第五百四十二號「ポツダム」宣言の受諾に伴ひ發する命令に關する件に基く工鑛業關係會社の事業報告に關する件と云ふものを昭和二十年九月二十九日附を以ちまして農林商工省令第一號として出しました、本件は九月十九日附を以ちまして聯合軍司令部から工鑛業關係會社の報告を要求して參りまして、それに基きまして其の報告書を調達する爲に斯う云ふ省令を出したのでありますが、其の内容は第一條にございます如く、工業又は鑛業、是は土石採取業を含んで居りますが、それを營む會社で昭和十九年に係る一ヶ年間の事業年度に於ける其の事業の總額が百萬圓を超えるものは一定の報告書を十月十日迄に本店所在地を管轄する地方長官に提出する樣と云ふことを命じた譯でございます、之に依りまして事業總額百萬圓を超える會社に付きまして一定の形式を決めまして報告書を取り纒め、是は十月の十九日を以ちまして聯合軍側に報告書を提出致しました、次に商工省として執りました處置は此の印刷物の三十七頁にございますが、工場事業場、研究機關等の事業報告等に關する件でございます、本令は聯合國最高司令官の發しました指令第三號に依りまして、特定業者に對し施設、帳簿等の良好状態に保持する義務を課しまして併せて研究所、實驗所等の毎月の事業報告の提出義務を課したものでございます、本令に依りまして所謂施設、財産及之に關する一切の帳簿、其の他の書類を良好な状態に保持する義務を負ふ者は大東亞戰爭終結の際に指令第三號に依る禁止品目、其の他の軍需品の生産又は加工の業を營んで居つた者及其の外大東亞戰爭の遂行に必須の物資の生産、加工若くは配給を擔當し、又は是等の業務の統制を擔當して居つた者竝に輸送擔當者及輸送の統制を擔當して居つた者でございまして、主務大臣の指定した者に付きましても同樣の規定を致してあります、それから科學、技術に關する研究所、實驗所、試驗所等の經營者に對しまして一定の事業報告書の毎月提出義務を之に依つて課して居ります、尚之に關聯しまして、聯合軍代表者の臨檢、檢査に關する規定及び違反者に對する罰則をも設けてございます、それから尚一つ、此の刷り物の三十三頁にございます兵器、航空機等の生産制限に關する省令が出て居ります、此の省令は聯合軍最高司令官の發しました指令第三號に依りまして、兵器、航空機、戰鬪用艦艇、彈藥等の生産を禁止致しますと共に、且是等の物資の生産工場の操業の轉換、竝に産業用爆藥の生産及使用に付きまして許可を要すと云ふことを定めました、又併せて「ウラニウム」の研究、又は實驗作業を禁止致したものでございます、本令に依りまして、生産又は加工を禁止せられて居りますのは、茲に第一條にあります如く、兵器、航空機、戰鬪用艦艇、彈藥竝に是等の物資の生産に使用する爲、特に考案し、又は生産せらるる部分品、原料及材料等でございます、そして此の物資を生産する工場、事業場、設備等を民需物資の生産に轉換致します時は、地方長官の許可、特に主務大臣の定めました場合には主務大臣でございますが、地方長官の許可を受けしむることと致しまして、此の場合に於きまして地方長官は聯合國の第八軍、又は第六軍の承認を得て之を爲すと云ふことに致しました、既に相當數の工場、事業場に對しまして其の許可が與へられて居ります、次に産業用爆藥の生産又は使用に付きましては、之を主務大臣、即ち商工大臣でございますが、今之を地方長官に權限を委讓して居ります、其の許可に係はらしめまして、先程と同樣の、詰り第八軍又は第六軍の承認を得て、之を爲すやうな手續に依つて處理することに致してございます、以上が商工省に關する主なる省令でございまして、其の外に、此の刷り物にもございますやうな要求物資の使用、收用令及土地、工作物の使用令と云ふものが出て居りますが、是は商工省關係のみならず、廣く各省全般に關聯するものでございまして、商工省關係と致しましては、聯合軍側の設營或は各種の物資の要求に對しまして本令に基き聯合軍側の所要の物資の調達を圖る爲に本令を活用致さうと思つて居りますが、現在の所本令の適用に付きましては、成るべく民間から使用收用することは避けまして、出來るだけ現在の保有物資を以て之に充て、さもなければ官廳の持つて居るもので役立たせ、どうしても已むを得ない場合のみ此の省令の發動に依つて使用收用を爲さうと云ふ考へ方で居ります、以上甚だ簡單でございましたが、商工省關係の省令に付きまして御説明申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=3
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004・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 商工省政府委員から只今御説明あつたのを補足致しまして申上げますが、勅令六百三十五號要求物資使用收用令と申しますのと、それから土地工作物使用令と云ふ二つの勅令がございまして、是は主として商工省關係に問題がございますけれども、必ずしも商工省のみでなく、外の省にも相當關聯がある勅令でございます、初めの要求物資使用收用令と申しますのは、聯合國最高司令官の方から色々な物資に付きまして使ひたいと云ふことを言つて參りました時に、日本政府と致しましては、民有の各種の施設に付きまして之を適當に取上げまして聯合國の使用に供する必要が起つて參ります、そこで矢張り是も法律的事項だと云ふ趣旨から要求物資使用收用令と云ふ勅令を急遽制定した譯であります、是は大體の建前は總動員法の物資使用收用令と云ふ勅令がございますが、まあ其の型を踏襲致しまして、使用收用の手續等を定めて居ります、例へば使用收用する場合には收用令又は收用令書を當事者に交付するとか、其の外第三者の權利との關係等を調整する規定とか、色々な規定をここに置いてあるのであります、さうして此の要求して參りまする物資は色々なものが出て參ります關係で、勅令の上には明示はして居りませぬが、例へば煖房設備であるとか、「エレベーター」の設備であるとか、色々なものが當時考へられて居つたやうであります、現に是は運用しつつあるのであります、それから土地工作物使用令と申しますのも、矢張り聯合國側から一定の土地又は設備に關しまして色々な要求がありました時に、其の要求を充すが爲には一定の土地又は工作物がどうしても必要であると云ふ風な時には、主務大臣又は地方長官が、其の土地又は工作物を使用すると云ふことが必要であると云ふ所から、此の土地工作物を強制的に使用する途を認めた譯であります、其の土地を使用しつつ、それに依つて聯合國側の要求を充すと云ふのが其の土地工作物使用令の趣旨でありまして、之に付きましては矢張り總動員法の土地工作物使用收用と云ふ勅令が現在ございますけれども、それに類似の規定を置きまして、使用をする場合には矢張り令書を交付するとか、或は第三者の權利との關係等を調整するとか、或は又補償をするとか、さう云つたやうな規定を此の中に掲げてございます、大體さう云ふ風なことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=4
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005・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 御質問がございますれば、此の際御質問を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=5
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006・山田三良
○山田三良君 ちよつと御伺ひしたいのですが、第三十四頁にあります兵器、航空機等の生産制限に關する件に付てでありますが、第五條に原子爆彈の「ウラニウム」の研究と云ふものを爲すことを得ずとなつて居りますが、兵器を製造することは、無論此の「ポツダム」宣言に依つて出來ないことは當然でありますが、併し「ウラニウム」の研究其のものは重要な自然科學であつて、兵器のみならず平和の産業の爲にも必要なものであるのでありますが、それを今日本の東京では理化學研究所とか、或は京都帝國大學等に於て「ウラニウム」を研究する機械を破壞し、研究其のものを止めてしまつた、斯う云ふことは司令部の要求に對して兵器の製造に關係なく純粹な學術研究と云ふもの迄も止めなくてはならないと云ふ點に付ては、どう云ふ風に交渉があつたのでありますか、其の顛末を御説明願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=6
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007・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 本件に付きましては聯合國側の指令第三號に於きまして、「ウラニウム」から「ウラニウム」二三五の大量分離を來さしめるか又は如何なる他の放射能を有する不安定原素の大量分離をも來さしむることを目的とする一切の研究又は實驗作業を禁止すべし、と云ふ命令が參りましたので、之に基きまして、當方としましては直ぐにそれを禁止する省令を出したのでございますが、御話の如く「ウラニウム」の研究は兵器關係のみならず、一般の平和産業にも此の研究を活用すべきものと考へますが、併しながら只今の所は向ふの命令を一應其の儘實行致すことに致しまして、將來此の研究を日本として繼續する必要ありと云ふ場合には、又改めて先方に交渉を致しまして、其の研究を續けさして貰ふと云ふやうに致したいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=7
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008・山田三良
○山田三良君 さう云ふ風に將來研究の必要ある時は改めてと云ふ御話ですが、此の研究の必要であることは、もう改めて言はなくとも當然であつて、斯かる學術研究は日夜間斷なく繼續して行かなくてはならないものでありますし、其の研究自身が「アメリカ」の研究にも亦役立つこともあるのであります、世界的に科學の研究は御互ひに競爭して行くのでありますから、兵器製造の爲に危險があると云ふならば、其の日本の研究の程度を常に「アメリカ」、聯合國司令部に於て之を視察し、檢査して居ればどんなものであるか分るのでありますから、何も兵器製造の危險も何もない筈であります、それを唯向ふから命ぜられた中にあると云ふので、直ちに其の儘に其の命に從つて行くと云ふことは、私は是は日本の方の説明が足らない爲だと思ひます、若しも此の命令の説明の交渉のあつた際に我が國に於きまして學術の研究の爲の見地から其の研究を進める、兵器製造の點は有ゆる監督なり、監査なりを司令部に於て爲さつて宜しいのであるが、何等の危險がないのであるから、唯學問進歩の爲に研究を繼續すると云ふことは當然やるべきものであり、又それを差止めることはない筈であると云ふことを十分に説明をし、又交渉をしたらさう云ふ風にならなかつたと思ひますが、それを甚だ遺憾とするのでありますから、總て斯う云ふ點に付ては、唯司令部の命令であるからと言つて易々諾々として從つて居ると結果がさう云ふ風になると思ひますから、能くさう云ふ命令に對しては總て條理を糺して御交渉になつた上で、さうして已むを得ざるものは其の司令部の要求に從ふ、斯う云ふ風に總ての點に於てやつて戴きたいと云ふことは、此の前にも、此の委員會の始めにも申上げたのでありますが、斯う云ふ點も其の一つの例であります、私は甚だ以て是は遺憾とする、學問研究と云ふことを司令部の方で抑へると云ふことはない筈だ、唯兵器製造に關係ある點に於てのみ制限がある、斯う云ふことにありたいと思ふのでありますが、さうなつて居らないと云ふのは甚だ遺憾である、是だけを申述べて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=8
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009・大谷五平
○大谷五平君 今山田先生の仰しやつたことと同じでありますが、關聯して伺ひます、塩酸「ヂアセチル・モルヒネ」と云ふものは醫者の方が大變大事なものでありまして、是がなければどうも仕樣がないと云ふことも聞いたのでありますが、私共は素人で其のことは分りませぬが、之に代るべきさう云ふ鎭痛劑と云ふやうなものが向ふの最高司令部と何か交渉があつたのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=9
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010・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 大谷君に申上げますが、今政府委員から其の問題は厚生省の方に關するから、厚生省の場合に讓つて貰ひたい、斯う云ふ希望であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=10
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011・松井貞太郎
○松井貞太郎君 工業、鑛山業關係會社の事業報告書に關する件、其の中の第一條に當該會社の事業總額が百萬圓を超ゆるものはと書いてあるのでありますのですが、其の事業總額と云ふのはどう云ふ額を以て御計上になるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=11
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012・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 茲で謂ひます事業總額とは、營業價額即ち販賣總額と云ふ意味に解して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=12
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013・松井貞太郎
○松井貞太郎君 生産總額でなしに販賣總額になるのでありますか、それでは會社の資本とか積立金と云ふやうなものは全然無關係のものでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=13
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014・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 關係ございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=14
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015・松井貞太郎
○松井貞太郎君 よく分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=15
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016・大野緑一郎
○大野緑一郎君 此の三十四頁の第四條の三に關聯して、ちよつと伺ひたいのですが、最近飛行場の開墾をまあ頻りに計畫してやつて居られる所もあるやうでありますが、それに付て開墾するのに如何にも滑走路が堅くて爆藥がなければ開墾は出來ないと云ふ状況は是は御承知の通りであります、それに付て、なかなか爆藥の入手が非常に困難である爲に一向それが著手されないと云ふことを聞いたのでありますが、さう云ふ點の取扱はどう云ふことになつて居りますか、之を得ることがなかなかむつかしくなつて居るし、又むつかしい理由もあるやうですが、さう云ふはつきり農業用開墾と云ふやうな明瞭なものに付ては手取早くやる方法は出來ないものでありませうか、事實どんな風に扱つて居りますか、御承知ならば其の點を説明して戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=16
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017・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 爆藥は先程の「ウラニウム」と共に先方が最も大きな關心を持つて嚴重な態度で以て臨んで來たものでありますが、爆藥に付きましては、今御話のやうな開墾用にも直ぐ必要である、それから石炭其の他鑛山開發用にも直ぐ必要であると云ふので、當方と致しましては、直ちに必要な所以を力説致しまして、先方に交渉致しまして、現に其の許可を只今ぼつぼつと受けて居りますが、尚包括的に許可を與へて貰ふやうに只今努力致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=17
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018・大野緑一郎
○大野緑一郎君 誠に結構なことですが、最近新聞などで散見する所に依ると聯合軍の方では日本は食糧が非常に困難であると云ふことで、飛行場を開墾すると云ふやうなことを言ひながら一向著手しないと云ふやうなことを非難して居るやうなことも散見したのですが、今の話のやうに全く素手では何とも仕樣がないので、兎も角爆藥が手に入らなければ、開墾が手に著かない、差當つての食糧問題に付ても來春に間に合せる爲には非常に必要なものであるのですから、其の點に付ては御如才がないことであらうと思ひますけれども、更に十分其の事情を釋明して成るべく簡潔に施行して容易く出來るやうに、さう云ふ危險などは聯合國の心配して居るやうなことはないと思ひますから、さう云ふ點に付て十分更に御努力爲さるやうに希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=18
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019・西郷吉之助
○伯爵西郷吉之助君 軍需會社、軍需工場なんかの轉換を許可申請して、聯合軍の許可しなかつた場合も相當あつたのでありませうか、どうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=19
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020・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 此の軍需工場轉換の問題は今後の國民生活必需品増産の爲に非常に必要なことでありますので、私共の方でも非常に力を入れまして、聯合軍側に折衝致して居りますが、今迄向ふで許可致さなかつた實例も多少ございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=20
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021・村上恭一
○村上恭一君 從前の軍需工場の今日平和工場に轉換する、それは許可事項になつて居るのですね、即ち此の昭和二十年商工、文部、農林、運輸省令第一號兵器、航空機等の生産制限に關する件、此の省令の第二條に依つてさうなつて居ることのやうに解せられますが、さうなんですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=21
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022・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 此の第二條で許可を要することになつて居りまする工場は、此の第一條に掲げてあります、兵器、航空機、戰鬪用艦艇、爆藥及第五號の部品及原料、材料、是れだけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=22
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023・村上恭一
○村上恭一君 そこで我が方の主務官廳が右の工場轉換の申請を許可すると云ふ場合には、内部に於て聯合國の最高司令部と交渉する、さうして先方の同意を得ると云ふことが要點になつて居るのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=23
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024・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 此の轉換を聯合國側の諒解を得ます爲には、轉換せむとする各工場側から、地方長官に申請をさせまして、地方長官が聯合軍の第六軍又は第八軍の承認を受けまして、さうして更に地方長官から其の工場主の方に許可をする、さう云ふ建前を取つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=24
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025・村上恭一
○村上恭一君 聞く所に依りますと、其の間我が方の取扱が甚しく遲延して居ると云ふ事實があるやうでございますが、是は本院の或議員から承つたことでありまするが、或時先方の職員が我が方の或工場を臨檢した、處が其の工場では轉換の申請を疾くに出して居るのに、主務官廳から一向許可、不許可の指令がない、手を拱いて日を空しうして居ると云ふ状況だつたさうであります、それで其處に臨檢しました先方の職員が事實を調査して、是は一向差支ない、速に轉換して其の事業を開始するが宜い、自分が取敢へず假に許可證を與へるからして、之に基いて早速仕事を始めるやうに、斯う云ふことを言うて居つたと云ふことでございます、一方又其の議員の話でありましたが、或る官廳、是は主務省でありますか、或は地方廳でありますか、そこはちよつとはつきりして居りませぬでしたが、そこには右樣の申請が山のやうに積んである、關係職員は一向之を處理せずに抛棄して居ると云ふ状況であります、若し果して左樣な事實がありと致しますれば、是は如何にも遺憾なことであると思ふのであります、今日軍需事業を平和事業に轉換して、一日も早く、出來るだけ多く成績を擧げねばならぬことと思ひまする際に、右樣な怠慢の事態のありますことは如何にも遺憾でございまして、政府當局に於きましては、其のやうな事實を御認めになつて居りますかどうか、又之を御認めになつて居るとしますれば、どう云ふ處置を執つて居るのでありませうか、其のやうな點を的確に御答辯願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=25
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026・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 軍需工場の民需轉換は差當り最も急を要する問題と私共は考へて居りますので、此の手續を早く進めるべきものと思ひます、然るに從來地方廳に對する手續の執り方の不徹底等に依りまして、多少遲れた嫌ひもございました、尚今一つ遲れました理由としましては、聯合軍側に於て定めました轉換申請の書類樣式、是が色々區々になつて居りまして、第六軍、第八軍で又取扱方が違ふ、色々書式がまちまちでありました爲に時日を要したと云ふ事例がございまして、それで先般當方より其の書式の統一を向ふに要請致しまして、近くそれが決定することになつて居りますので、今後は早く行くものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=26
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027・黒田清
○伯爵黒田清君 只今工場の生産轉換に付て、商工省も隨分努力して居りますけれども、許可されなかつたものもあると云ふ御話でございましたが、それはどう云ふ理由で許可されなかつたか、又どう云ふ種類のものが許可されなかつたのでありませうか、其の點一つ伺ひますことが出來ますれば……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=27
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028・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 許可を受け得なかつた者は大體其の内容が不明確であると云ふ理由、又書式の不備に依るもの、さう云ふものでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=28
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029・明石元長
○男爵明石元長君 只今問題になつて居りますのは「ポツダム」宣言の受諾に伴ひ發する命令に關する件でありますけれども、今日の日本の状態から考へまして、兎も角自主的に生産を促進して行くと云ふことは百の言論に増しても必要であると思ふので、商工省は色々形態は變りましたけれども、戰時中統制の基本をやつて居つた所であります、今日尚此の戰時中の統制法規が十分解消される所迄行つて居ない、例へば企業統制令とか、其の他色々のものが殘存して居ると云ふことに付ては、之を大膽にあれされまして、早く平時の省に還つて、さうして生産意慾を増強すると云ふことが非常に必要のことであらうと思ふのであります、尚それ等の點に付て、もう少し思ひ切つた踏切を爲さつて宜いのではないかと思ひます、此の御所見に付ては大臣にでも伺ひたい所でありますけれども、一應此の際只今執つて居られる態度に付て伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=29
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030・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 今後の民需生産の爲に統制法規等の撤廢をもつとやれと云ふ話は至極御尤もなことと思ひます、商工省と致しましても、終戰後直ちにさう云ふ方針を立てまして、既に廢止致しました勅令及省令合計約四十件もありまして、只今殘つて居りますのは、之を急に廢止致しますと、色々後の混亂が豫想せられるもの、急には廢止出來ない、何等かそれに對する對策を講じてからでなければ廢止出來ないもの、さう云ふものだけが殘つて居る次第であります、是等に付きましても早く統制法規を撤廢致しまして、出來るだけ早い時期に於て此の統制と云ふものを全面的に廢止出來るやうな方法に進みたいと思つて居ります、尚法律に付きましては此の議會に約十四程の法律の廢止を提案する豫定でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=30
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031・明石元長
○男爵明石元長君 只今直ちに廢止することが困難を豫想せられると云ふことは、事實色々あると思ひますが、要するにそこの認識或は踏切の問題も大いに關係して來るのであります、即ち世に所謂官僚的意識と云ふやうなことで攻撃される點がないではなからうと思ひます、今主なるものに付て例で宜しうございますけれども、斯う云ふものを廢止すれば斯う云ふ支障を生ずるのだと云ふことを一應御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=31
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032・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 既に廢止致しまして、尚殘つて居ります所の統制關係の法令と致しましては、商工省關係で勅令が十件、省令が三十九件ございます、其の中で主なものは總動員法に基くもの及び輸出入品等臨時措置法に基くものでございまして、是等も今議會に其の母體であります總動員法及輸出入品等臨時措置法廢止の法律案が出ることになつて居りますので、何れ其の際に全面的に是等の殘つて居ります法令も廢止されることになるのでございますが、其の中まだ我々としてどうしても存續を要すると云ふ風に考へて居りますのは、例へば石炭の配給統制規則、今後石炭と云ふものがまだ當分は非常に需給状況が逼迫すると考へられます、今後の日本經濟の再建にも、石炭に付てはどうしても或程度の配給統制と云ふものを存續して行かなければいかぬのではないかと云ふ風に考へられますので、石炭及「コークス」等の配給統制規則は置いとかなければならぬのではないかと思ひます、又同樣の理由で石油の統制法令も必要であると云ふ風に考へられます、それから只今御指摘の企業許可令に付きましては、是は出來るだけ廣く許可制を撤廢する考の下に、只今其の改正案を考へて居りますが、併しながら今申上げました石炭の如きもの、或は今後國民生活上、衣料品と云ふものがどうしても尚相當の配給統制を要すると考へますので、さう云ふものに付きましては、矢張り企業許可と云ふものの存續が必要ではないかと云ふ風に考へて居ります、それから問題の價格等統制令がございますが、是も今後極く重要な物資、産業の基本となるべき重要物資、或は生活必需品として重要なものに付きましては、矢張り公定價格の存續と云ふことが極く一部ではありますけれども、必要ではないかと云ふ風に考へられますので、さう云ふ線に沿うて、其の内容を改正するに致しましても、其の法律としての存續は矢張りどうも必要ではないかと云ふ風に考へて居ります、今後まだ殘る法律に付ての大體の考へ方は以上申上げたやうな譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=32
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033・竹下豐次
○竹下豐次君 三十三頁に書いてあります第二條の許可を要する工場の轉換ですね、兵器、航空機等がありますが、先程、許可されて居る例が餘り澤山現在の所ない、で許可に暇の要るのは、書類の不備、其の他の理由であると云ふ御説明でございましたが、是で許可になつた場合には速急に轉換することが極めて必要な譯だと思ふのです、處が或は許可になつても直ぐ轉換が出來る凖備がなくして、そしてまあ早く願書を出して許可を受けようと云ふやうな業者が、相當にあるのぢやないかと云ふことを想像される譯であります、さう云ふことになりましては、折角許可になつて來てもなかなか轉換が事實出來ないと云ふことになつたら、聯合軍の方の氣持としては決して良いことぢやありませぬ、さう云ふ場合が頻々と起ると云ふことで干渉も益益激しくなつて行くと云ふやうなことになりはしないかと思ひますが、固より地方長官の方でさう云ふ點は十分に調査された上で許可の豫め認可を全國に亙つて求められることとは思ひますけれども、其の邊の實情は如何でございませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=33
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034・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 此の工場の轉換には二種類ございまして、一つは軍需工場等が現在持つて居ります所の軍需資材、さう云ふものを活用して直ぐ差當り必要な生活必需品をどんどん造つて行かう、是は何も將來さう云ふ産業を引續き經營すると云ふ意向の下にやるのでなく、差當りの生活必需品の不足を充たす爲に一時的な仕事としてやる場合であります、それから今一つの場合には從來の航空機工業等が將來は鐵道車輛の工場になるとか、或は其の他の本格的な斯う云ふ工場に將來轉換すると云ふ根本方針に基く轉換、其の二つ種類がございます、差當り轉換致して居りますものは一時的なものが多いと思はれます、さうして斯う云ふものは許可が出ますれば、直ぐ從來からの手持の資材を以ちましてどんどん生産する、さうして其の生産計畫と云ふものも豫め作りまして、さうして聯合軍の方に出して居りますので、それに基いて仕事は直ぐ致して居ります、併し第二の本格的の轉換の方は、是も今色々案を作りまして、もう色々進めて居りますけれども、是は今後の日本の産業の規模、或はどの程度將來生産が聯合國側に依つて容認せられるかどうかに依りまして、又今一つは轉換致しましても本格的に原料材料等がまだ當分の間は入手出來ませぬ爲に、さう云ふ方面に於きましてはまだ本當の仕事に著手出來ない状態になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=34
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035・竹下豐次
○竹下豐次君 只今の御説明能く分りました、此の二條の許可を要する場合以外の轉換と云ふのが非常に多いだらうと思つて居ります、それも資金關係とか物資關係であるとか、色々な點でなかなか容易なことではなからうと想像致して居りますが、それの現在の状況、政府の方で指導して居られます現在の實情などに付きまして、簡單で宜しうございますが、御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=35
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036・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 轉換の實績ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=36
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037・竹下豐次
○竹下豐次君 實際の今日の状況でございます、二條以外の點に付てであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=37
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038・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 軍需工場以外の分に付きましては、是は各地方地方で地方長官に委任致しまして實施致して居りますので、まだ其の實際の轉換の概況と云ふものを能くこちらで承知致して居りませぬ、近く本年末現在位で轉換の實績を調査するやうに計畫致して居りますが、まだ其の實績は我々の手許に入つて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=38
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039・土岐章
○子爵土岐章君 只今の轉換工場の問題でありますが、此の轉換に對して色色民需品を造るに付きまして、商工省當局としましては、今迄も技術院の中に規格を定めてそれぞれの工業製品に對して指導されて居りますが、今日のやうに假令軍需工場に資材があるとしても、非常に其の無駄が多いのぢやないか、而して之に對して當局としては如何なる方針を以て民需品を造らせるのであるか、所謂規格統一と云ふことを私は非常に必要でないかと思ふ、現に市販されて居る鍋に致しましても釜に致しましても、區々である、而も其の材質から言つても非常に不統一である、農具に致しましても現に地方廳が勝手に規格を作る、我は製粉機にしても勝手に造る、出來て居る物は形は似て居るけれども使へないと云ふことが多いのでないか、今日は斯う云ふ風な終戰等になつて非常に國民が、茫然自失と申しますか、寄り所がないと云ふ状況であることは已むを得ないと思ふのでありますが、少くとも政府としては之に對して或方針を與へてやられなければ、非常に資材の無駄が多いのぢやないかと思ふのであります、是等に對して商工省當局としては、或は委員會を作られるとか、或は商工省として一定の今迄の規格統一委員會に依つて決定された規格を示してやらせると云ふ風なことをやつて居られるのか、此の點を非常に私は今日の状況として重大だと思ふのでありますが、其の點をどう云ふ風にやつて居られますか、伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=39
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040・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 只今の御話は至極御尤もな御意見だと思ひます、商工省と致しましても、現在の此の物資不足の際に色々粗惡品が出ますことは非常に無駄が多いと考へまして、只今特許標凖局に生活必需品を中心とした規格委員會を設置致しまして、取敢ず生活必需品から其の規格の制定に掛らうと云ふことで、只今其の仕事を進めて居ります、從來商工省としまして規格統一にも相當力を入れて居りましたが、是は色々機械、或は其の部分品等に主眼を置いて居りました、今後は差當り生活必需品の増産が必要であるのであります、處が其の生活必需品に付きましては餘り規格の決つた物がございませぬので、それで差當り急いで鍋、釜、或は電氣焜炉等に付きまして規格を作りまして、それに基いて今後各工場で生産して貰ふと云ふ考で、只今其の委員會を開いて研究中でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=40
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041・土岐章
○子爵土岐章君 從來から政府としてやられると云ふことに付て色々、計畫は長いのでありますが、どうも其の委員會の決つた時分には材料がなくなつてしまふと云ふ結果になるのぢやないか、大體今の當局としては一體どの位の期間で今の委員會の結論を御出しになる積りであるか、是は非常に私は早くおやりにならなければいかぬと思ふ、從來は月並的に顏振れは非常に澤山の、色々な關係者を入れなければいかぬとか、此の役人を入れなくちやいかぬとか云つた顏振れは、非常に整ふのでありますけれども、其の結論たるや甚だ實際間に合はぬと云ふ結果が多いと思ふのであります、今日は非常に拙速を尚ばなければいかぬと思ふのであります、大體商工省としては委員會を作られて居ると云ふことに對しては非常に多とするのでありますが、一體それはどう云ふ風に、早くと云はれるが一體どの位の速さで御進行になるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=41
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042・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 私直接其の委員會の方の仕事に關係して居りませぬので、能く存じませぬが、各種の生活品に付きまして既に専門部會に入りまして、技術的の研究を進めて、既に終つて居るものも相當あると思ひます、是は御話の如く早くしなければならぬと思ひますのと、今後も十分注意致しまして早く出來るやうに致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=42
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043・土岐章
○子爵土岐章君 只今の點に付きましてはどうぞ成るべく早くおやり下すつて、規格を御決め下さることを希望致しまして、私の質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=43
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044・東郷安
○男爵東郷安君 今出て居る問答に關聯して伺ひたいのですが、轉換工場の種類及其の生産數量等に對して、最近危機を唱へられて居る石炭の需給關係から見て、先づ今月の出炭量等から、それ等の生産がどう云ふ影響を受けますか、其の點に付て一つ御話を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=44
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045・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 石炭の生産は、戰爭中は大體一箇月四百萬「トン」以上の生産を擧げて來て居つたのでございますが、其の後終戰後次第に色々な原因から生産が減りまして、此の十月には六十何萬「トン」であつたと記憶致しますが、其の位に下りまして、十一月はまだ其の總計が出て居りませぬが、五十萬「トン」を或は下廻るのではないかと云ふやうな状態でございます、其の爲に此の十二月に於ける石炭の配給も非常に苦しくなりまして、是は聯合軍から要求されて居る方面に向けます他は、鐵道其の他極く必要でどうしても缺かすことが出來ない方面だけでありまして、一般の産業には十二月には殆んど石炭の配給が出來ないやうな状態に立到つて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=45
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046・東郷安
○男爵東郷安君 さうすると、一月、二月、其の邊の見透しはどう云ふことになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=46
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047・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 只今石炭の増産に付きまして色々の對策を講じまして努力致して居りますが、其の結果が次第に現れまして、今後石炭の生産は段々上向いて來ることと存じます、併し石炭のやうなああ云ふ大きな仕事は、急に好くなると云ふことを期待することはむつかしいのではないかと思ひます、徐々に囘復して行くと云ふ形を取ると思ひますので、此の一月、二月は現在の状態よりは多少上向くとは思ひますけれども、之を急に半年又は一箇年前の状態迄に期待することは、困難ではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=47
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048・東郷安
○男爵東郷安君 只今統制經濟の枠を外して、各種物資の生産を促進して居る次第でありまするが、先程から色々御質問もありますが、軈て或種の品目に付ては過剩生産を近く豫想せられつつあることは、申す迄もないのであります、それ等に對して商工省としては何等か豫め措置をなされる御積りでありまするか、それとも自由經濟の今日、それ等は自然淘汰に俟つ、例へば先程土岐子爵の規格の問題でもさうですが、是等もまだ其處迄行くのは早いのだ、やつて、物が落付いてから規格等に付て處置しようと云ふ風に考へることも、まあ今迄の我々のやり方ならばさうなんで、其の邊はどう御考になつて居られるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=48
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049・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 今後の生産の問題に關しましては、統制、殊に官治統制と云ふものは撤廢致しますが、出來るだけ民間側の自治的の統制と云ふもので重要な物資の需給關係を押へまして、仰しやるやうな過剩生産と云ふやうなことにならぬやうに、民間側の自治的統制にそれを我々としては期待して行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=49
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050・東郷安
○男爵東郷安君 聯合軍最高司令部の指示の中にも相當各種商品の生産に付て干渉があるやに思はれまするが、まだ日本の各種生産の數量に關する確定の見透しと云ふものは日本政府と聯合軍側との間に出來て居らないと私は承知致して居りまするが、それ等の見地に於て矢張り數量を何等か聯合軍から制限して來る、指示して來ると云ふやうなことは豫見されるのですか、どうなんでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=50
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051・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 只今の處、まだ聯合軍側から生産數量に付て指示したり、或は制限したりして來ては居りませぬ、併し今後此の問題に付きましては、賠償問題等とも關聯致しまして、如何なる業種の産業を如何なる程度迄日本に許容するかと云ふことは當然將來の問題としては起つて來るのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=51
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052・東郷安
○男爵東郷安君 其の數量を決定するのは或種のものに付ては相當早くして貰はぬと、日本の各種の生産業種に於て生産計畫は立ち得ない嫌がある、日本政府としても之を指導することも困難なのですが、何かそこ等に付て斯う云ふ手段なり措置を取つて、其の方向に具體化させると云ふ何か御計畫がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=52
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053・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 其の點は私共も其の必要を痛感致します、併し先方の意嚮と云ふものはまだ分りませぬので、取敢ず商工省に於きましては此の新しい事態に於て、即ち約八千萬の人口と云ふものを新しい狹い領土内に於て賄ふ爲に必要な諸般の物資、其の物資を又造り出す爲に必要な日本の産業の規模、さう云ふものがどれだけ必要であるかと云ふものを商工省自體で今色々研究致して居ります、是は日本の今後に於ける生活水準と云ふものをどの程度に認めるかに依つて異つて來るのでございますが、先般聯合軍側の賠償に關する發表等もありますので、其の「ライン」に副ひまして、又「ポツダム」宣言に依れば最低生活の維持と云ふことは當然認められて、最低生活の維持に必要な産業と云ふものは當然認められると思ひますので、我々としてはさう云ふ點に今用意を整へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=53
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054・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) それでは先程の大谷君の御質問に對して厚生省の方から説明をするさうでありますから、此の際説明をして貰ふことに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=54
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055・矢野庄太郎
○政府委員(矢野庄太郎君) 塩酸「ヂアセチル・モルヒネ」のことに付て御質問がありましたさうでございますが、私は技術に關することで能く存じませぬが、私の知つて居る範圍に於て御答へ申上げまして、若し不足の點がございましたならば、それは他の機會に於て他の政府委員から御答へ申上げることに致したいと存じます、塩酸「ヂアセチル・モルヒネ」は俗に「ヘロイン」と言つて居るさうですが、是は非常に有害であるので、使用を禁止をし、且「ストック」は沒收すると聯合軍側で申して居るのでありますが、他の麻藥に付ては必要量を輸入してやらう、斯う云ふことになつて居るのでございます、左樣御承知を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=55
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056・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 大谷君宜いですか……それでは商工省は此の程度に止めまして、内務省の方に移ることに致します、内務省の所管の事務に付て此の緊急勅令に基いて發したる處置に付て御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=56
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057・鈴木幹雄
○政府委員(鈴木幹雄君) 内務省所管の關係法令に付きまして今囘御承諾を仰いで居りまする緊急勅令に基きまして廢止致しました案文に付て御説明を申上げます、内務省の關係致して居りまする法案は數件に上つて居るのでありますが、其の内、司法省の關係と致しまして一括御説明申上げますものは、司法省の所管と致しまして御説明申上げることに致したいと存じまして、此の際内務省と致しましては二つの法律に付きまして御説明を申上げたいと存じます、其の一つは治安警察法でございます、治安警察法は御承知の通り明治三十三年の三月十日法律第三十六號を以ちまして、言論、集會、結社、多衆運動等の取締を目的と致しまして公布せられたものであります、然る處、本年の十月四日附聯合國最高司令部發の帝國政府宛の覺書に依りまして、其の覺書は「政治的、公民的及宗教的自由に對する制限除去の件」と云ふ覺書でございますが、此の趣旨に基きまして十一月二十日勅令第六百三十八號を以て廢止を致しましたのでございます、第二は、言論、出版、集會、結社等臨時取締法でございます、是は御承知の通り昭和十六年の十二月十九日に法律第九十七號を以ちまして言論、出版、結社等の取締を強化することを目的と致しまして制定公布せられたものでありますが、本年の九月二十二日附聯合國の最高司令部發帝國政府宛の覺書「新聞竝言論の自由に對する新措置の件」に依りまして一部改正を命ぜられたのでありますが、更に先程十月四日附の「政治的、公民的及宗教的自由に對する制限除去の件」と云ふ覺書の趣旨に基きまして之を廢止することになりまして、十月十三日附勅令第五百六十八號を以て其の旨公布致したのであります、兩法の廢止後に於きまする措置に關しましては專ら言論、集會、結社、出版と云ふ方面の自由を尊重致し、之を助長致しますことは勿論でありまするが、之が或は不法行爲に亙り、或は刑罰犯罪を構成すると云ふやうなものに付きましては、内務省と致しましては取締を致しまして、以て治安の確保に資したいと斯樣に考へて居る次第であります、以上簡單でありますが御説明申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=57
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058・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 御質疑を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=58
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059・竹下豐次
○竹下豐次君 警察部長其の他の特高關係の警察官の罷免のことに付きまして、一昨日ちよつと私申上げたのでありますが、是は向ふの命令であつて已むを得ず免官と云ふことになつた譯でありませう、免官或は休職でございましたか……其の後どうなつたのですか、罷免された人の中には本當に氣の毒な人が澤山あるでせう、御存じの通り其の後相當日數も經ちましたし、「マッカーサー」司令部の方でも實情が相當御分りになつたのではないのでせうか、固より内務省の方では其のことに御努力になつて居ると思ひますが、警察官と云ふことにはいかないとしても、内務省で復活されると云ふ御取運びにはいけないことになつて居りますか、どう云ふことになつて居りますか、それを一つ伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=59
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060・鈴木幹雄
○政府委員(鈴木幹雄君) 只今の御尋でありまして、誠に我々局に居ります者と致しまして、御同情を戴きまして感謝致すのであります、先般此の十月四日附の覺書に依りまして、罷免と相成りました警察部長、特高課長、竝に特高警察に從事致します者の中に於きましては、拜命日尚淺いと云ふ者が相當にあるのであります、中には拜命を致しましてから、或は十日前後にしか過ぎないと云ふ位で、其の前歴に於きましても警察の經驗がないと云ふ者もあつたのでありますが、覺書の趣旨に依りまして、全部一齊に罷免を見ましたのは誠に已むを得ないかと存ずるのであります、其の後の處置に付きましては、其の當時から引續きまして最高司令部の方面に了解を得べく、色々と我々の方と致しましても努力して參つて居るのであります、何分最高司令部の方から只今迄に決定と申しますか、通告を戴いて居りますのには、指導的な地位に就くことはいけない、斯う云ふやうな趣旨のことを戴いて居りますので、今直ちに警察部長をそれぞれ前官に相當した職に直ちに就けると云ふことは如何かと存ずるのであります、特高課長の處分に付きましては、此の指導的地位と申しますか、此の解釋如何と云ふことにも依りますが、色々解釋出來るのでありまして、機會を見まして最高司令部の方とも了解を遂げた上で、復職其の他の適當な方法を講じたい、漸を逐ひまして警察職員の方にも及して行くと云ふやうに努力して居るやうな次第であります、只今の所は左樣な經過を以ちまして、まだ警察部長、特高課長の方には官職に就いた者は、復活致しました者はないのでありますが、最高司令部の了解が付き次第實現したいと思つて居ります、斯樣な次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=60
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061・土岐章
○子爵土岐章君 私は祕密會を要求したい、そして最近の治安關係に付て政府當局の御説明を承りたいと思ひます、公開では如何かと思ひますし、又政府當局としても話しにくいのぢやないかと思ひますので、委員長御許しになるならば祕密會を御開き願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=61
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062・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 只今土岐子爵から御發言がありましたが、内務當局から最近の治安状況に付て、祕密會に於て説明を聽くことにしたらばどうかと云ふことでありますが、左樣に取計らふことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=62
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063・西郷吉之助
○侯爵西郷吉之助君 それならば警保局長あたりに御出席願つたら……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=63
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064・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 若しもさうならば警保局長に御出席を願ふ積りで居ります、それでは是にて休憩致しまして、午後は一時から再開することに致します
午前十一時五十五分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=64
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065・会議録情報3
――――◇―――――
午後一時九分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=65
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066・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) それでは是より午前に引續きまして會議を開きます、午前に申上げました通りに、是より内務省の政府委員より、最近の治安状況に付て、祕密會に於て説明を承ることに致します、就きましては祕密會のことでありますから、議員、國務大臣、政府委員及び議事に關係ある者以外の退場を願ひます
午後一時十分祕密會に移る発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=66
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067・会議録情報4
――――◇―――――
午後三時二十一分祕密會を終る発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=67
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068・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 是を以て祕密會を終ります、今日は此の程度に止めまして、明日午前十時より開會致します、散會致します
午後三時二十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=68
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069・会議録情報5
出席者左の如し
委員長 子爵 八條隆正君
副委員長 男爵 東郷安君
委員
公爵 二條弼基君
侯爵 西郷吉之助君
伯爵 黒田清君
子爵 土岐章君
子爵 松平親義君
山田三良君
松村眞一郎君
村上恭一君
大野緑一郎君
男爵 中川良長君
男爵 關義壽君
男爵 明石元長君
竹下豐次君
唐澤俊樹君
中島徳太郎君
松井貞太郎君
大谷五平君
政府委員
法制局長官 楢橋渡君
法制局次長 入江俊郎君
内務省警保局長 小泉梧郎君
内務書記官 鈴木幹雄君
大藏省主計局長 中村建城君
大藏省主税局長 池田勇人君
文部政務次官 子爵 三島通陽君
厚生政務次官 矢野庄太郎君
厚生省勤勞局長 佐伯敏男君
農林省總務局長 楠見義男君
商工省總務局長 菅波稱事君
商工省整理部長 吉田悌二郎君
運輸省企畫局長 小野哲君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00419451203&spkNum=69
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