1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
付託議案
○昭和二十年勅令第五百四十二號(承諾を求むる件)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=0
-
001・会議録情報2
―――――――――――――――――――――
昭和二十年十二月五日(水曜日)午前十時十五分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=1
-
002・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 是より特別委員會を開會致します、本日は大藏省所管の命令等の件に付て政府委員より説明を願ふことに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=2
-
003・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 昭和二十年勅令第五百四十二號に基きまして發せられました大藏省關係の勅令及省令の數は總計十五件に上つて居ります、其の中勅令が五件、省令が十件と云ふことになつて居ります、最初此の十五件の中大別致しますと、對外金融關係と對内金融關係との二つに分れて居ります、私から對外金融關係のことに付て御説明を申上げまして、對内金融關係の問題は後程金融局長から申上げることに致します、第一に申上げますのは大藏省令第七十九號と云ふのであります、日附は九月二十四日附の大藏省令第七十九號、名前は聯合國占領軍の發行する「ビー」號圓表示補助通貨の件、少し重要な省令でございますので、内容を短かうございますから讀み上げます、「聯合國占領軍の發行する「ビー」號圓表示補助通貨は法貨として公私一切の取引に無制限に通用し、日本銀行券、貨幣、政府の發行する小額紙幣及臨時補助貨幣と等價とし且相互に交換せらるるものとす、前項の「ビー」號圓表示補助通貨の收受を拒みたる者は三年以下の懲役若は禁錮又は五千圓以下の罰金に處す」斯う云ふ省令でございます、是は進駐軍が本邦内に於て使用致します「ビー」號圓表示補助通貨と云ふのがあるのでありますが、それに付きまして完全に日本の通貨と等價で無制限且有らゆる取引に使ひ得るやうにと云ふ先方の希望がありまして、それに基きまして此の省令を制定致した次第でございます、是は九月の二十四日に公布されて居りますが、それ以前に政府と致しましては、聯合國占領軍の使用する「ビー」號圓表示補助通貨に關する聲明を出して居ります、其の聲明は九月十六日に大藏省聲明として出されて居りまして、其の中には此の「ビー」號圓表示補助通貨以外のことも含まれて居りますが、重要な問題でありますので、一應内容を御紹介致します、九月十六日付大藏省聲明の内容は五つに分れて居ります、第一點は聯合國占領軍は「ビー」號圓表示補助通貨及日本銀行の發行する通常の圓の通貨、政府紙幣竝に硬貨を使用する、要するに聯合國占領軍が使用する通貨の種類を明示致しました點が第一點であります、次に第二點は右の圓表示補助通貨は普通の日本の圓通貨と相互に等價、「パー」であります、等價且無制限に交換し得るものなるに付き日本國民は進んで之を受領すべしと云ふことを謳つて居ります、第三點は一切の銀行及其の他の金融機關、郵便局其の他一切の政府機關は右兩通貨を要求に依り交換すべし、要するに向ふの發行致します「ビー」號圓表示補助通貨と日本側の通貨と要求に於て交換すると云ふことでございます、第四點は日本政府及陸海軍の發行せる一切の軍票及占領地通貨は無效且無價値として一切の取引に於て之が授受を禁止すると云ふ規定でございます、第五點は米國通貨、各聯合國通貨又は他の一切の外國通貨の流通竝に一切の取引に於ける是等通貨の授受の禁止を致しましたが、禁止する米國通貨、其の他の所謂英國通貨も濠洲の通貨も色々ございませうが、さう云ふ外國通貨の流通取引に於ける授受を禁止すると云ふのが第五點であります、其の大藏省聲明は九月の十六日に發せられて居るのでありますが、是は法律的に申しますと單に政府聲明と云ふことでございまして、此の儘では法貨效力を持たぬと云ふが爲に、之を裏付ける方法と致しまして、只今申しました大藏省令第七十九號を九月二十四日に公布した、斯ふ云ふ譯でございます、之に關聯致しまして、進駐軍、聯合國占領軍の使ひます通貨の經緯に關して極く簡單に申上げたいと思ひます、始め聯合國占領軍が本邦に參りました際に、占領地に軍票を使ふと云ふ情報が入つて參つたのであります、政府の側と致しましては、内地に於きまして、軍票を使はれると云ふことはこちらとしては成るべく避けて戴きたいと云ふ考を持つて居りまして、其の理由と致しましては、本土は戰場とはなつて居ない、戰鬪行爲は行はれて居ない、まあ大體申しますれば平和的に入つて來られる、戰場と化して居る所でない、さう云ふ所へ軍票と云ふものを使はれると云ふことはどうかと思ふと云ふのが一つ、それからもう一つは内地で假に占領軍が軍票を使用致しますと、内地の現在の通貨と云ふものと二本建の通貨になりますので、通貨政策上面白くない現象を生ずると云ふ點から、成るべくなれば日本側の通貨一本にして貰ひたい、斯う云ふ希望を先方に表明致しましたが、先方と致しましてもこちらの希望を十分に理解されたのでありますが、聯合軍と致しましては、自分達が通貨手段を持たない、日本側の通貨に頼らなければ、日本に於て何等の支拂手段を持たないと云ふのでは具合が惡い、自分達としては矢張り何時と雖も通貨を發行し得ると云ふ權限を飽く迄留保して行きたい、斯う云ふ考でございまして、其の結果實質上は成るべく日本の通貨を使つて、さうして占領軍の持つて來られた軍票は使はない、併し建前としては、飽く迄占領軍は自分側の通貨を發行し得る權限を有すると云ふことに相成つたのであります、實情を申上げますと、占領軍が日本に進駐して參りました時に先方から得た情報に依りますと、約三億圓の聯合國軍票を持つて來られた、それを色々な各部隊に渡しまして、部隊がそれぞれ將兵に渡すと云ふことになつて居りますが、其の三億圓と稱せられる「ビー」號軍票がどうなつて居るかと云ふことは、まだ我々の方には實情が詳かではありませぬ、併し相當下の方に渡りましてそれが市中に出ると云ふことは事實でありまして、極く最近迄に此の「ビー」號軍票が市中に出てそれが銀行などに入りまして、之を囘收した數字が分つて居りますが、それに依りますと約二千五百萬圓位の札が囘收されて居ります、まだ囘收されないものもあると思ひますが、相當額が出て居ると云ふことが窺はれるのであります、始め三億圓持つて來られた中で部隊に渡されて使つた以外は使つて居らないやうに認められます、恐らくは出來るだけ日本側の通貨を使ふと云ふ建前を執つて居られます、我々の方と致しましても、聯合軍が本邦内で使はれる通貨に付きましては、出來るだけ早く、且圓滑に供給する方法を講じて居ります、現在では日本銀行に一時立替と致しまして、假勘定で整理して日本の通貨を聯合國占領軍に渡して居ります、是はどう云ふ風にやつて居るかと申しますと、先方からどれだけの金が要るから出して呉れと云ふ申出を受けますと、大藏省は日本銀行に對しまして、是々の金が聯合軍の方で要るからと云ふので、其の勘定にどれだけの金を振込むやうにと云ふことを指令致します、現在聯合軍は東京の日本銀行に一つの勘定を持つて居りまして、そこに必要額を我々の方から指令致しまして、日本銀行に振込む、さうすると振込まれた金は或ものは東京で使ひ、或ものは北海道、或ものは九州、斯う云ふやうに各地々々で使ひます、それは日本銀行に振込んだ勘定から各方面に支出して消費するのであります、それからもう一つ是は少しそれと離れるのでありますが、聯合軍の方で色々な物的施設の提供を命ぜられることがあるのであります、物的施設の提供に關聯致しまして、各種の費用も現在色々な意味に於て聯合軍側に支出致して居りますが、其のやり方は、聯合國占領軍の方から各地の終戰連絡事務擔當官の方に是々のものを出して貰ひたい、或は是々のものを設備をして戴きたいと云ふことを申出でられる、それに對して幾ら位の金が要ると云ふことが分りますと、其の金を終戰連絡部の方から大藏省に通知して來る、大藏省の方から日本銀行に是々の金を、是々の終戰連絡事務擔當官の勘定に振込んで呉れと云ふことを指令致しまして金を出すと云ふ方法を採つて居ります、さう云ふ譯で其の方の金も漸次増加して居りますが、極く最近私の記憶では十二月の三日の數字でありますが、一億七千六百萬圓程度、斯う云ふ實情であります、第一番の省令七十九號に關する説明は其の程度に致して置きます、其の次に大藏省令第八十號、是は九月二十六日附になつて居ります、件名は聯合國財産の保全に關する件と云ふことになつて居ります、此の内容は聯合國又は聯合國人が其の全部又は一部を所有し又は支配したる一切の財産及之に關する帳簿其の他の書類に付て大藏大臣の許可を受くるに非ざれば本邦内に於て聯合國財産の得喪、滅失、毀損、變更又は移動を生ずべき取引又は行爲を爲すことを禁ず、それから之に違反しました取引は效力を生じない、次に此の聯合國財産を所有し、保有し、管理し又は支配する者は當該財産を善良なる管理者の注意を以て其の保全を爲すことを必要とする、最後に聯合國の財産を所有し、保有し、管理し又は支配して居る者は、本令施行後一週間以内に之を大藏大臣に報告する必要がある、主な内容は以上申上げましたやうなことであります、聯合國は「アメリカ」「イギリス」其の他を加へまして、全部で五十箇國になつて居ります、さう云ふ聯合國及其の國人の財産を只今申しましたやうに保全をしようと云ふことになつて居ります、一應保全を致しまして、其の結果後でどうするかと云ふことに付きましては、まだ司令部の方から何等の指令はございませぬ、目下此の實状を調べて、さうして今後如何に之を處理するかと云ふことを檢討して居られる模樣であります、それから次に勅令五百七十七號十月十五日附で公布されて居ります、名前は長うございまして、「昭和二十年勅令五百四十二號「ポツダム」宣言の受諾に伴ひ發する命令に關する件に基く金、銀若は白金の取引等取締に關する件」と云ふ名前になつて居ります、此の勅令の内容を要約して申上げますと、金、銀、貨幣、又は金、銀若しくは白金の地金若しくは合金の本邦内に於ける得喪、滅失、現状の變更、又は異動を生ずべき取引、又は行爲は大藏大臣の許可を受くるに非ざれば之を爲すことを得ず、之に反して爲された行爲は之を無效とす、と云ふのでございます、國内に存して居ります所の金、銀、白金と云ふものを移動することを抑へて、取締つて其の儘にぢつとさせて置く、言葉を換へて言ふと凍結をしたやうな意味合の勅令でございます、次に省令第八十七號、是は十月十五日に出て居りますが、是は只今申上げました勅令の施行に關する省令でございます、極めて簡單なものでありまして、只今申上げました勅令の規定に基いて、大藏大臣の許可を受くる爲の承認申請書を大藏大臣に提出すると云ふことであります
それから次に勅令五百七十八號、十月十五日附、勅令五百七十八號に付て御説明致します、勅令第五百七十八號の表題は長うございますが、「昭和二十年勅令第五百四十二號、「ポツダム」宣言の受諾に伴ひ發する命令に關する件に基く金、銀又は白金の地金又は合金の輸入の制限又は禁止等に關する件」、要するに金銀又は白金の地金又は合金の輸入の制限又は禁止等に關する取締規定でございます、内容を簡單に申上げますと、金の地金又は合金の輸入、銀又は白金の地金又は合金の輸出又は輸入に付て、大藏大臣は命令を以て禁止又は制限することが出來る、それから右の制限又は禁止、又は外國爲替管理法第一條の規定に違反して爲されたる行爲は無效とすと云ふことが書いてございまして、要するに外國爲替管理法の第一條に於ては金の輸出の方は取締つて居るのでありますが、金の輸入の方は取締つて居なかつたのであります、此の勅令で金の輸入を取締り、それから別に銀又は白金の地金の合金の輸入を取締ることに致した次第であります、次に省令第八十八號、十月十五日附であります、省令第八十八號に付て御説明申上げます、此の省令第八十八號の内容は簡單に申上げますと、金貨、銀貨、金銀若は白金の地金又は是等のものの合金、通貨、有價證券、小切手、送金手形等の金融上の各種の證書、本邦の内外に於ける金融上及財産上の取引に關する權限を授與すべき證書若は指圖書と云ふものであります、其の他の一切の債務證書又は財産權を生ずる證書は大藏大臣の許可を受くるにあらざれば輸出又は輸入をすることが出來ないと云ふのが第一であります、今申上げましたやうな金、銀貨幣、金、銀若は白金の地金と合金、通貨、有價證券、各種の金融上の證書、指圖書、それから權限を現すやうな證書、其の他の財務證書、財産權を證するやうな證書、さう云ふものの一切輸出入は大藏大臣の許可を要すると云ふのが第一點であります、第二點は本邦内に居住して居る者が所有又は管理して居りまする外國にある財産、それから昭和十六年十二月七日以降に於て、外國に居住して居る者が所有又は管理して居ります本邦内にある財産、それから外國爲替取引は大藏大臣の許可を受くるにあらざれば之を爲すことが得ないと云ふ、此の二つの點を内容として居ります、非常に廣汎なる取締規定でございます、其の次に申上げたいのは、是は十月三十一日附の勅令第六百十五號であります、「外國爲替管理法の罰則の特例に關する件」、此の勅令第六百十五號の内容は、聯合國の最高司令官の要求事項に處する爲に、外國爲替管理法に基き發する命令とか、或は命令に依る政府の命令に違反した者は外國爲替管理法の第十條の規定に拘らず、三年以下の懲役若は禁錮又は一萬圓以下の罰金に處すると云ふことになつて居りますが、是は要するに、外國爲替管理法第十條の規定に依りまして、色々な報告事項を違反した場合には六箇月以下の懲役若は禁錮又は五千圓以下の罰金に處すと云ふことになつて居りまして、罰が少し輕いのであります、之を重くして「三年以下の懲役若は禁錮又は一萬圓以下の罰金」と云ふ風に致すと云ふのであります、爲替管理法の規定は非常に重くございまして、普通の許可事項を許可を受けないでやつたと云ふ場合には、三年以下の懲役若は禁錮又は一萬圓以下の罰金と云ふことになつて居りますが、報告事項の違反は是は輕く罰して居るのであります、それを聯合國最高司令部の考へ方では、報告事項の違反でも或は許可事項の違反でも同樣に處斷すべきだと云ふやうな見解に基きまして、罰を重くすると云ふのが此の内容であります、其の次は十一月二十四日附の勅令第六百五十六號であります、是は件名は「昭和二十年勅令第五百四十二號「ポツダム」宣言の受諾に伴ひ發する命令に關する件に基く外國爲替資産等の分離保管に關する件」と云ふ名前でありまするが、内容を申上げますと、是は比較的簡單なものでございまして、銀行とか信託會社、保險會社、有價證券業者、其の他金融事業を營む者が、本邦に於て所有する外國爲替資産、外國資産に關する證書、及是等に關する帳簿、其の他の書類を其の他のものと分離保管する必要がある、それから其の保管場所を他に移轉せむとする時は大藏大臣の許可が要ると云ふことでありまして、外國爲替資産と云ふものに關する調査等が、極く簡單に出來るやうに、それを外のものと區分して置きまして、金庫とかさう云ふ別な所に分離保管して置くと云ふ意味合の下に大した内容はないのであります、それから同じ日附の十一月二十四日附の大藏省令九十九號と云ふのがございます、是は只今申しました分離保管をして居るものに付きまして、其の保管場所から他に移轉する場合に大藏大臣の許可を受けると云ふことになつて居りますので、其の許可を受けることに關する手續を規定したものであります、それから其の次に十一月二十六日附の大藏省令第百一號であります、是は名稱は「昭和二十年勅令第五百四十二號「ポツダム」宣言の受諾に伴ひ發する命令に關する件に基く外貨債處理法、外國爲替管理法中改正の件、左の通り定む」と云ふことになつて居りますが、内容を要約致しますと、外國人に對する差別的待遇を撤廢しろと云ふ聯合國最高司令官の指示に基きまして、斯う云ふ外國人に對して差別的待遇を含んで居ります外貨債處理法外十二件の廢止、それから外國爲替管理法外十一件中の改正等、大藏省關係の法律、勅令及省令に付きまして必要な改廢を加へたのであります、極く簡單に申上げまして外貨債處理法でありますが、此の外貨債處理法は、昭和十八年三月に制定されました法律でありまして、本邦の、政府、地方團體、民間の會社等が發行致しました英貨債及米貨債の處理を規定したものであります、内容を極く簡單に申上げますと、只今申しました英貨債、米貨債であつて、日本人とか日本の友好國の……「ドイツ」人等でありますが、友好國人の持つて居りまするものには、是は適正なる價格に依つて邦貨債に借換へる、それから英貨債、米貨債を發行して居ります地方團體或は會社が邦貨債を借換へると云ふことに付きまして損失を蒙つた場合には、政府が之を補償する、次に英貨債、米貨債で地方團體及會社が發行して居りますもので借換の出來なかつたもの、即ち英米人等が持つて居りまして借換の出來なかつたものに對しましては、政府が其の債務を承繼する、さうして地方團體及會社はそれに對しまして證券の對價を政府に提供する、斯う云ふやうなことを内容とした規定であります、米英人の持つて居ります所の英貨債、米貨債は借換へてやらない、日本人「ドイツ」人等の持つて居るものは借換へてやると云ふことを内容に致して居るものでありまして、差別待遇をして居ると云ふことを明かにして、之を廢止することに致したものであります、次に敵産管理法でありますが、是は昭和十六年十二月大東亞戰爭勃發直後に制定せられましたものでありまして、米國、英國、「オランダ」等の關係の財産を管理する爲に作られた法規でございまして、是も當然廢止すべきものと考へて居るのであります、其の他に付きましてはそれに關聯したやうな問題が多いのであります、其の他外國爲替管理法中の改正の主なる點は、外國爲替管理法の第一條第九號第十號と云ふ規定があるのでありますが、是は少し重要性がありますので、御説明申上げて見たいと思ひます、外國爲替管理法の第一條第九號には斯う云ふことが規定してあります、「外國居住者、本邦内に居住する外國人又は命令の定むる本邦法人の本邦内に於て爲す財産の取得若は處分、預け金の引出又は貸出金の囘收」之を命令の定むる所に依つて政府が禁止又は制限することが出來ると云ふのが一點、それから只今申上げましたものを申しますと、外國居住者、本邦内に居住する外國人又は命令の定むる本邦法人の爲又は之を相手方とする本邦内に於て爲す取引、斯う云ふものを矢張り禁止又は制限することが出來ると云ふことになつて居ります、是は御分り難いだらうと思ひますが、要するに御承知の英米に對する資産凍結と云ふことを實行致したのでありますが、是は大東亞戰爭に先立ちまして、昭和十六年七月二十八日に「アメリカ」が我が國の在外財産を凍結致しましたので、それに對する對抗措置と致しまして、本邦に於きましても英米人等の財産を凍結したのであります、凍結するのは大藏省令で以て實施致したのでありますが、其の根據となつて居るのが只今申上げました條文であります、是は昭和十六年三月に外國爲替管理法を大改正致しまして、全文改正を致しまして作り直したのでありますが、其の際に將來さう云ふやうなことがあり得ることを豫想致しまして規定した條文であります、之に基きまして資産凍結令を實施した、斯う云ふ經緯を持つて居ります規定でありますので、此の度此の規定を削除することに致したのであります、其の他に付きましては日本銀行法中改正、其の他正金銀行條例中改正等色々ありますが、是は何れも其の出資者竝に株主が外國人はなれないと云ふことになつて居りますのを、外國人でも株主になり得るやうに致したいと云ふことであります、大體以上を以ちまして對外關係のものは御説明申上げました譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=3
-
004・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 久保金融局長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=4
-
005・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 「ポツダム」の緊急勅令に基きまして、大藏省として國内關係的に措置致しましたものに付きまして簡單に御説明申上げます、先づ國内的なものとして第一番に措置致しましたものは、本年十月二十六日の大藏省、外務省、内務省、司法省令第一號外地銀行、外國銀行及び特別戰時機關の閉鎖に關する件、斯う云ふ省令でございます、之に付きましては御承知のやうに、本年の九月三十日、外國系…何と言ひますか國外に於きまして色々仕事を致して居ります金融機關、例へば朝鮮銀行でありますとか、臺灣銀行、或は南方開發金庫、斯う云つたやうなものとか、或は戰時金融金庫の如き特別の戰時機關と認められましたもの、二十九行の閉鎖を命じて參つたのでございます、之に付きましては此の九月三十日に斯樣な指令を受けますと同時に、事實上の行政措置と致しまして直ちに營業所竝に代理店等の閉鎖をやり、又是等の支店長、重役等の者を罷免を致したのであります、斯樣な事實行爲をやりますと同時に、十月の二十六日、是等に關しての省令を公布致しました次第でございます、此の措置に依りまして、今日迄に閉鎖致しましたものは戰時金融金庫以下二十九に及んで居る譯でありまして、是は今後聯合軍司令部から要求がございましたならば、それを受けまして更に告示を以て必要の機關を附加して參る、斯樣な建前に相成ると思ふのであります、それから只今申上げました外地銀行等の閉鎖に關する省令、第一號それに關聯致しまして、本年の十一月二十四日、大藏、外務、内務、司法の省令第二號を出して居ります、是は九月三十日に閉鎖を命ぜられました、外地銀行、外國銀行或は戰時特別機關に付きましては、其の資産竝に負債を整理致すと云ふことの方針を執つて居りますので、其の整理の方針等に付きまして、聯合軍司令部と折衝中であるのでありまするが、差當り朝鮮銀行、臺灣銀行、朝鮮殖産銀行、日佛銀行竝に獨乙東亞銀行、此の五つのものに付きまして其の特殊の整理人と致しまして、日本銀行を指名して參つたのでございます、其の指名に從ひまして政府から日本銀行を只今申上げました五つの金融機關の特殊整理人に任命し、政府の監督の下に主要なる整理事務を遂行し得る權限を與へたのでございます、第三番目に出しましたものは本年の十一月二十六日、勅令の第六百五十七號を以ちまして會社の解散の制限等に關する件と云ふものを公布致しました、是は所謂財閥の解體と云ふやうな聯合軍最高司令部側で意圖して居りまする諸措置に伴ふものと想像せらるるのでありますが、財閥系會社のみならず、それ以外の會社等に付きましても多額の資本金を擁して居りますものの解散或は事業全部の讓渡、斯う云つたやうなものに付きましては聯合軍司令部の事前の承認を得るやうにして貰ひたい、斯樣な指令を受けましての措置でございまして、資本金五百萬圓以上の會社に付きましては、其の會社の解散を制限致しまする爲に、事業全部の讓渡又は解散に關しまする株主總會等の決議を大藏大臣の認可事項に致した譯であります、それと同時に又三井、三菱、住友及び安田の所謂四大財閥に付きまして、それぞれ本社竝に財閥一族の方々の持つて居ります財産の處分を制限する爲に、之をも大藏大臣の許可事項と云ふことに致した譯であります、それから只今申しました會社の解散の制限等に關しまする勅令第六百五十七號に關聯致しまして、其の解散の制限等に關しまする手續を決めます爲に、十一月二十四日、同日でございますが省令第九十七號を出しまして、認可申請の手續を決めました次第であります、それから更に本年の十一月二十五日附で省令第百號を公布致して居ります、是は日本證券取引所の改正に關するものでございまして、外國人に對しまする均等待遇と云ふものを要求して參つたので、之に對應致しまして取敢ず十一月二十五日省令第百號を出しまして、取引所の取引員になる爲には、外國系法人と云ふものはなれなかつたのでございますが、資本金の半額以上及び議決權の過半數が帝國臣民又は帝國法人に屬するものでなければなれなかつたのでありますが、斯樣な制限を削除致しまして、外國系、外國法人と雖も取引所の取引員になり得る、斯樣に機會均等を認めました趣旨のものであります、それから同日省令第百一號及び百二號と云ふものを出しまして、只今申上げましたやうな外國人に對しまする機會均等と云ふことの要請に應じまする爲に、内地關係に於きましては、日本銀行法中の改正、それから横濱正金銀行條例中の改正、朝鮮銀行法中の改正、朝鮮殖産銀行令中の改正、それから保險業法等に關しまする改正等を行ひましたのでございまして、何れも外國人に對しまして内地人と同樣な機會均等を與へると云ふ趣旨から出て居りますものか、或は又外國人なるが故に、外國系法人でありますが故に、日本法人等に較べて特殊の負擔なり監督なり重いものを受けて居りましたものを日本人並に直した、斯樣な趣旨のものでございます、大體國内關係に付きまして今日迄の「ポツダム」緊急勅令に基礎を置きまして、今日迄に處置致しました勅令省令等は只今御説明を申上げた程度のものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=5
-
006・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 御質疑がありましたら此の際願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=6
-
007・大野緑一郎
○大野緑一郎君 先程聯合軍が日本銀行に、何と言ひますか勘定を設けて、其の支出の金が一億七千六百萬圓とか仰しやいましたね、十二月三日の現在、それはどう云ふ内容でありますか、進駐軍の總ての費用が進駐以來の費用と云ふ意味なんでせうか、其の外に更に「ビー」號ですか、あれが出されて居るものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=7
-
008・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 只今の御話の十二月三日現在の一億七千六百萬圓、此の計數は進駐軍が日本側に對しまして物的施設の提供を命じましたもので、其の費用を出して參りましたのであります、是はどう云ふ方法に依つて支出されて居るかと申しますと、各地に終戰聯絡事務を擔當して居るものがあります、さう云ふものに對しまして、各地の進駐軍の關係官等から是々のものをして貰ひたいと云ふ要望がありますと、それに對して金が要ります、それを大藏省側に請求して參る、大藏省は其の請求を受けまして日本銀行に通知しまして其の擔當官に金を送らして居る、それが只今申しました十二月三日迄に一億七千六百萬圓になつて居る、それが此の數字であります、それから其の外に進駐軍が自分の部内の給與を支拂ふ、斯う云ふ場合に日本の通貨を使つて居ります、それと致しまして渡したのが十一億、此の十一億は進駐軍の名前の口座の勘定が日本銀行本店にある、其處に大藏省の命令に依りまして日本銀行が振込んで居る、從ひまして此の十一億の中から進駐軍の方で各地に送金をすると云ふことになつて居ります、それから「ビー」號軍票の金額は是以外に進駐軍が使つた金でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=8
-
009・大野緑一郎
○大野緑一郎君 さう致しますと十一億と一億七千六百萬圓と、其の外に「ビー」號の補助通貨と云ふか、それを合せたものが今迄の進駐軍の費用と承知して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=9
-
010・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 其の三者で略略全部を「カバー」して居りますが、其の外に進駐軍の方の要望に依りまして道路を改修するとか、色々のことをやつて居るのがございます、之が普通の豫算で支出されて居る金は、私は金額ははつきり覺えませぬが、相當額あると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=10
-
011・大野緑一郎
○大野緑一郎君 さうすると今の道路の費用と云ふのは國の費用もあるし、又府縣費等の費用もあると承知して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=11
-
012・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 地方廳もあると思ひますが、私の知つて居りますのは豫備金等で國庫が支出した金額があると承知して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=12
-
013・山田三良
○山田三良君 今の御説明に關聯して伺ひますが、此の二十九の會社ですね、斯う云ふ會社は營業は今總て停止して居る譯ですが、解散をして清算の手續を執ることになるのですか、どうなるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=13
-
014・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 只今閉鎖を致しまして居りまする二十九のものに付きましては、逐次清算をすると云ふ方法に參る豫定で居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=14
-
015・山田三良
○山田三良君 其の清算をした財産はどう云ふ風になるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=15
-
016・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 清算致しまする場合の清算の内容でございますが、預金者等に對しましての預金の拂戻等は出來るだけ之を行ふ、斯う云ふことで參りたいと思つて居ります、殘餘財産等が出ました場合の處置に付きましては、是等の金融機關は概ね外地に於きましても同樣の自己の資産を持つて居るものが多いのでございまして、是等に對しまする外地に於ける處置、聯合國側の處置等と睨み合せまして、結局に於きましては、外地に於ける財産と、内地に於きまして分離してやりまする清算上殘りまする財産との兼合に於きまして考へなければならぬのぢやないかと、斯樣に思つて居る次第でございます、唯内地だけで仕事をして居りまするものに付きましては、所謂完全なる清算が出來るのでごさいまするが、内地と外地に跨つて居りまするものが概ね大部分でございますので、さう云ふものに付きましては、外地だけの所謂法律上の清算と云ふものは出來ませぬで、事實上整理的清算と申しますか、斯樣な變則的なことをやらなければならぬやうな事態になつて居りまするので、只今申上げたやうなことになるのぢやないかと推定を致した譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=16
-
017・山田三良
○山田三良君 尚伺ひますが、此の二十九の中最も顯著なるものは南滿洲鐵道株式會社と思ひますが、斯う云ふものを清算してどう云ふ風になるのですか、株主の利害關係、又それに對する社債等を持つた者、斯う云ふ者の關係はどう云ふ風になるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=17
-
018・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 御話の滿鐵等になりますと、内地に於て持つて居りまするものは、其の滿洲に於て持つて居りまするものに比べれば、もう微微たるものでありまして、大部分は所謂滿洲現地に於て持つて居りまする資産でございます、滿鐵等の現地に持つて居りまする資産等に付きましては、恐らく是が今日の常識から行きますると、賠償の對象になるのぢやないか、又賠償の對象になるやうに日本と致しましては處置しなければならぬのぢやないかと思つて居りますが、左樣なことになりまする場合には、滿鐵の株主でありまするとか、或は滿鐵社債を持つて居りまするものに對しましては、賠償の對象になるものに付きましては政府が補償措置を講ずると云ふことに相成るのぢやなからうかと、斯樣に存じて居る譯でありまして、今後聯合國側の滿鐵資産の處理と云ふものと噛合せまして考へて行くと云ふことになるだらうと存じて居る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=18
-
019・山田三良
○山田三良君 只今の御説明で大體諒了致しましたが、例へば滿鐵の如きは莫大なる價額を持つて居る、それが聯合國側に沒收せられると云ふことになれば、無論それは賠償として價額を認められるべきものと思はれます、さうしますれば其の賠償の價額と云ふものは現在の價額に於ては非常に莫大なるものに上ると思ひますが、是等のことを考へますると、其の賠償價額の中に包含せられて居る株主の權利だとか、社債者の權利だとか、斯う云ふものは政府に於きまして十分に補償せらるるやうに御配慮あらむことを希望する次第であります、其の點に付て政府はどう云ふ措置を執られますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=19
-
020・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 其の點に付きましては、政府と致しましては株主或は社債權者等に付きましては、出來るだけ最善の努力を致したい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=20
-
021・關義壽
○男爵關義壽君 大變知らないのですが、「ビー」圓表示補助通貨と云ふのは何處で作つてどう云ふ風に使はれて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=21
-
022・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 「ビー」圓表示補助通貨は現物を私只今持つて居ります、御希望なら御覽下すつても宜しうございますが、是は「アメリカ」の方で印刷して持つて參りました、それで只今見本もございますが、向ふで用意したのは百圓、二十圓、十圓、五圓、一圓、五十錢、十錢の七種類あります、之を讀んで見ますと、「アメリカ」と云ふことは別に書いてないのでありまして、唯「ミリタリー・カレンシー」、詰り軍票、軍票布告に基き發行すと云ふやうなことを書いてありまして、其の外は書いてありませぬで、極く簡單な「オフセット」版のものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=22
-
023・關義壽
○男爵關義壽君 現在それを使用して居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=23
-
024・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 之を現在三億圓持つて來て、それを保管して置いて、其の一部分が占領軍の各部隊に渡つて居るのぢやないか、如何程渡つて居るかは能く分りませぬが、相當使つて居るやうであります、と思はれますのは、先程申しましたやうに今迄に向ふの將兵が使つて、それが銀行に戻つて來る、一旦銀行に還つて來ると出しませぬ、銀行で囘收したものが金額にして二千五百萬圓、さう云ふものが大部分ぢやないかと推定されます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=24
-
025・關義壽
○男爵關義壽君 追加をする見込はもうございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=25
-
026・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 今の處は我我の知つて居ります範圍では追加の見込はないやうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=26
-
027・關義壽
○男爵關義壽君 日本語は少しも書いてありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=27
-
028・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 日本語は書いてありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=28
-
029・關義壽
○男爵關義壽君 印刷は「アメリカ」でやつたものですか、或は支那でやつたものですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=29
-
030・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 「アメリカ」で作つたものと推定されます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=30
-
031・東郷安
○男爵東郷安君 金融機關に關する聯合國側の申入に懸かる機會均等に付て伺ひたいのですが、大藏省の所管事項以外に逸脱するのでありますが、他にも政府關係の會社等に外國人竝に外國法人の所有を禁じて居る株式がありますが、さう云ふものに付ては、政府としてどう云ふ措置を御執りになるのですか、若し御承知ならば御答を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=31
-
032・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 其の點に付きましては政府全體の、各省のことに付きまして申上げる知識を有つて居ないのでありますが、私共大藏省と致しまして措置致しましたのは、本年の十月四日に指令を受けて居るのでございます、其の指令は政治的、民生的且宗教的自由の制限の撤去、斯う云ふ十月四日附の先方からの指令がございまして、之に依りましては、勿論國内に於ける色々な機會均等と言ひますか、さう云ふことの要請もあると思ひます、例へば宗教の自由、信教の自由と云つたやうなこともあると思ひますが、同時に又此の指令に關しまして、先方の聯合軍司令部内に於きまする係官の御意見を具體的な問題に觸れまして聽取致した所に依りますと、内外人の所謂經濟上に於きましての平等と言ひますか、機會均等と言ひますか、斯う云ふものに付きましても、此の指令で以て實現方を命令して來て居るものと存ぜられまするので、大藏省關係に於きまして個々の會見、或は仕事上の協議等の場合に、具體的に先方が此の指令を援用致しまして、處置方を命令して來ました、例へば取引所の場合のやうな省令、或は又正金、其の他の株主になると云つたやうに具體的に觸れて來ましたので、大藏省と致しましては、此の十月四日の指令を左樣に解釋致しまして、省令を出しましたやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=32
-
033・東郷安
○男爵東郷安君 一例を申上げますと、從來軍事上の見地から外國人及外國法人の株式所有を制限したものがあるのです、さう云ふものに付てはどうでせうか、何か御説明を承れませぬでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=33
-
034・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 其の點に付きましては、私共大藏省政府委員から考へ方を御答へ致すのは如何かと思ひまするので、商工省、其の他から御聽き願ひました方が適當ぢやないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=34
-
035・東郷安
○男爵東郷安君 財閥の所有に屬する財産の處理に付て先程御説明になりましたが、其の整理をした結果、之が「アメリカ」、其の他の聯合國側に所有が移されることは、今の聯合國側の方の考へ方に於て差支ないのですか、どうですか、言葉を換へて言へば、財閥の所有財産を一旦整理せしめて置いて、之を外國資本家が壟斷すると云ふやうな嫌ひはないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=35
-
036・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 只今迄聯合軍司令部側と色々打合せを致しまして、財閥解體に關しまする措置の手續を急いで居るのでありまするが、今日迄向ふと折衝と言ひますか、協議致して參りました印象と致しましては、解體の結果結局殘りました其の事業に對しまして聯合國側が干與して參ると云ふやうなことに付きましては、何等積極的な意思表示を向ふとしては致して居りませぬ、私共としては御話のやうなこともあるのぢやないかと云ふことも想像は致しますけれども、何等積極的な意思表示は受けて居りませぬので、恐らく左樣なことは今の所では先方は考へて居ないのぢやないか、斯樣に存じて居る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=36
-
037・東郷安
○男爵東郷安君 外國人の機會均等に基いて從來制限があり、若しくは制限がなかつた金融機關其の他の會社の株式の所有に付て、將來外國資本が過半數を占める場合が想像されるのですが、それは自由經濟に基いて何等政府としては干渉する意思は持つて居られないのでせうか、どうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=37
-
038・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 將來の問題と致しまして外國資本が日本に進出して參りまして、其の結果日本の或種の會社の株の過半數が外國資本に依つて占められると云ふことも將來の問題としては起り得るのであると云ふ風に考へられます、それに對して政府側としてはどう云ふ風な方法を執るかに付きましては只今の所は別にそれを措置しなければならないと云ふやうなことは考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=38
-
039・東郷安
○男爵東郷安君 ちよつと速記を止めて下さい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=39
-
040・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 速記中止
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=40
-
041・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 速記開始発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=41
-
042・東郷安
○男爵東郷安君 金の買上價格をどの點に置かれるか、それに付て御説明を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=42
-
043・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 金の價格は御承知のやうに、只今は買上價格が一「グラム」三圓八十五錢でありまして、それに割増金が付きまして、平均致しますと一「グラム」五圓八十錢の見當になつて居ります、此の五圓八十錢では今日の情勢に比べまして、非常に安過ぎる、生産費をどうしても「カバー」することが出來ないと云ふ譯で、業者から引上げを要望されて居ります、最近の情勢で見ましては新らしく日本で産出された金は、日本が外國から物を入れる資金に當て得ると云ふやうな大體の了解が得られて居るのであります、從ひまして出來るだけ今後は産金を増加して、對外決濟資金を殖やしたいと考へて目下進んで居ります、金の價格に付きましては、先般來各金鉱業者から細かい原價計算的の資料を取りまして檢討致して居ります、相當山に依つて事情が違つて居るのでありまして、例へて見ますと、或山に例を取りますと、一「グラム」十二三圓でありますし、又或山に依りますと二十圓以上でないと取れない、非常に良い山と惡い山とでは、惡い山は良い山の倍も掛かると云ふ計算になつて居るのであります、只今目下商工省と檢討致して居りまして、どの邊に直段を決めたら宜いかと云ふことを研究して居ります、方針と致しましては、今迄のやうに基本の價格を決めまして、それに割増金を色々な種類に依つて付ける、此の山は割増金は八十錢、此の山は三圓と云ふ風に、山に依つて割増金に差別を付けると云ふ方法は廢止致しまして、出來るだけ一本の價格で行く、斯う云ふ風に考へて居ります、從ひまして一本價格に致しますと、良い山に取りましては、其の價格は生産費を補つて餘りがある、併し惡い山は生産費に達しないと云ふやうなことに必然相成るかと思ひますが、是は全般的に見まして致し方ないことかと考へて居ります、尚金と關聯致しまして、銀の問題でありますが、御承知のやうに日本の山では金と銀とが繋つて出て來る、相伴つて出て來ると云ふ傾向を持つて居ります、是は伴ひ方、例へば金が一「グラム」出る時に、銀が何「グラム」出ると云ふことに付きましては、山の性質に依つて非常に違つて參ります、金が一「グラム」出る場合、銀が百「グラム」出る山もあり、金が一「グラム」出る時に銀が十「グラム」と云ふ山もございます、之を平均致しますと、金一「グラム」に付て銀が十五「グラム」乃至二十「グラム」と云ふやうな現状でございます、從ひまして金の價格を考へる場合に、併せて銀の價格も考へませぬと、非常に山の側から申しますと、金だけ上げても銀が上らないと云ふと、そこに採算が取れないと云ふ場合がありますし、或は金の方が割に安くても、銀の方が上つて居れば採算が合ふと云ふこともあります、只今金と銀との兩方を睨み合せて價格を決めたいと思つて居ります、銀の價格は只今は一「キロ」四十六圓八十錢、是は「グラム」にしますと、一「グラム」四錢六厘八毛と云ふことになつて居ります、是は非常に安い價格なんであります、之を相當程度引上げて、相當思ひ切つて大幅に引上げて、金と銀と合せたもので出來るだけ生産者の「コスト」を償つてやりたい、斯う云ふ風に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=43
-
044・東郷安
○男爵東郷安君 將來貿易を再開した時には金に關聯して爲替基準を決めなければならぬと思ふのでありますが、それに對してはどう御考でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=44
-
045・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 此の爲替相場の問題は非常に重大なる問題でありますので、色々研究は致して居ります、併し御承知のやうに國内の經濟、状態が極めて不安定であります、特に爲替相場と密接なる關係を持つて居ります國内の物價水準と云ふものが混沌として居る實情でありますので、此の際俄に日本の對外爲替相場を立てると云ふことは極めて困難であらうと考へて居ります、勿論大藏省と致しましては、一旦爲替相場を決めたら絶對固執すると云ふやうな、さう云ふ固いと言ひますか、融通性のない考を持つて居る譯ではありませぬが、併し出來るならば、爲替相場と云ふものは一旦決めれば出來るだけ安定さして行きたいと云ふ希望を持つて居ります、差當り國内の物價體制が殆ど崩壞して居ると云ふ現状でございますので爲替相場を立てられない、立てられないが併し取引もしたい、もう司令部の方からも許されて來て居ります、直段の立て方をどうするかと云ふことを研究中でありまして、只今到達して居ります結論では、大體内と外、對内關係と對外關係を切斷しようと云ふ考へ方をして居ります、其の機構は今後爲される貿易は國營の形を採りますので、政府に會計を設けまして、會計が國内では適正な直段で物を買取る、生絲にしても、色々な物に對しましても、國内の適正な直段で國内の物は圓で買取る、それを「アメリカ」側に賣ります場合には「ドル」で賣る、「ドル」で賣る場合の價格の基準を何處に置くかと云ふと、金の國際價格を「ドル」で表示致しまして、それに依つて向ふに、買つて貰ふ、從つて内地の圓と向ふの「ドル」とが直接關係を持たぬと云ふことに致したいと思ひます、又米其の他の小麥、さう云ふものを外國から輸入致します場合に於きましても、米或は小麥等の直段を國際價格で決めて戴いてそれを「ドル」で拂ふ、さうしてそれを輸入しまして内地で賣る場合には、内地の色々の貿易の價格と云ふものと見合せまして、適當な直段で賣つて行くと云ふことに致したいと思つて居ります、さうすると價格の決め方に依りましては將來其の會計に大きな孔があく虞があるのでありますが、其の點に付きましては大體會計自體と致しましては大きな孔があかないやうに、全體的に見合せて運用して行きたい、斯う云ふやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=45
-
046・東郷安
○男爵東郷安君 後段に御述になりましたやうな事柄は、近く出來る貿易廳の所管事務に屬しませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=46
-
047・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 大體特別會計の方の問題は、現在爲替交易調整特別會計と云ふ會計がございます、其の中に資金を設置致します、其の資金の運用として今申上げました如き働きを爲して行きたい、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=47
-
048・東郷安
○男爵東郷安君 將來の爲替基準は只今御述になりましたやうに國内的の考へ方は左樣であらうと存じますが、一方聯合軍司令部から何處かへ圓の相場を指令して來ると云ふやうなことも多分に考へられると思ひますが、さう云ふ嫌ひはないでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=48
-
049・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 只今「アメリカ」の進駐軍の方で使つて居ります相場でございますが、是は先方は内部關係だと斷つて居りますが、現在一「ドル」十五圓、將兵の給與は矢張り一「ドル」十五圓で渡して居ると聞いて居りますが、將來向ふが日本にどう云ふ相場を言つて來るかと云ふことに付きましては向ふがどう云ふ形で參りますか存じませぬが、何か言つて來るかも知れないと思つて居ります、で其の際勿論先方と致しましても能く日本の事情を調べ、又日本側の意嚮も聽いてやつて來る、只今の處、先方の爲替相場の決定に付ては、向ふは非常に愼重な態度を執つて居りますが、大體向ふが幾らで決めようと云ふ場合には我々の方に相當矢張り前以て連絡をしてやつて來るのではなからうかと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=49
-
050・大野緑一郎
○大野緑一郎君 只今の質問に關聯して居りますが、來年度と言ひますか、或は會計年度でなく暦年ですか、金の生産額ですね、何「トン」位に決めて居るか、まあ價格の決め方や、色々の條件に依つて違ふでせうが、何か御見込を持つて居るでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=50
-
051・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 金の産出額は此の昭和二十年度でございますが、暦年でございます、昭和二十年の暦年に於きましては、大體の見込は五「トン」乃至六「トン」であります、來年度の産金に付きましても、色々と奬勵政策を執りましても、矢張り六「トン」程度であります、急に増加はむつかしいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=51
-
052・松村眞一郎
○松村眞一郎君 交換物資のことに付て確定的の御計畫はあるのですか、今新聞などで現れて居りますのは當座のことのやうですが、將來に亙つて斯く斯くの物を交換物資として政府が生産を助長して行くと云ふやうなことは御決めになつて居りませぬですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=52
-
053・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 只今の問題は寧ろ商工省の所管かと思ひますが、商工省の方が色々な計畫を進めて居られるやうであります、數字の計數も一應上つて居ります、商品別の計數も一應は擧つて居りますし、又「マッカーサー」司令部の方にも輸入計畫に關聯して輸出計畫と云ふものが提出されて居るのでありまして、相當詳細な數字、各品目に付て詳細な數字が擧つて居りますので、商工省あたりでは、相當計畫して居るのではないかと想像致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=53
-
054・竹下豐次
○竹下豐次君 速記をちよつと止めて……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=54
-
055・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 速記を止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=55
-
056・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 速記開始発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=56
-
057・大野緑一郎
○大野緑一郎君 聯合軍の方から言つて來たことに依つて、今外地に於ける金融機關の閉鎖が起りました、それが爲にそこに預金をして居るものとか取引して居るものは、是は凍結されるのは致し方がないのでありますが、例を朝鮮に採りますと、朝鮮から内地に歸つて來る者が國外に出る時に、朝鮮銀行券ですか、或は日本銀行券ですか、千圓の金額を限つてそれ以上持出すことが出來ない、而も内地へ歸つて來ると、總てのものが抑へられて居る爲に生活が非常に困つて居ると云ふことを聞いて居るのですが、さう云ふ者に付て救濟の方法と言ひますか、大藏省と云ふより厚生省關係かも知れませぬが、併し大藏省關係でも預金の通帳なり何なりの金額に依つて、例へば一時それを融通するとか、差當つてやるとか云ふやうな、さう云ふ救濟方法に付て何か御考になつて居るのでせうか、何か銀行其のものの行員に付ては一時何箇月分かを金を拂ふなんと云ふことが、給料を支拂つて居ると云ふことが新聞に出て居りますが、一般の向ふから急いで歸つて來た者に付ての救濟は何も聽かないやうですが、又事實非常に困つて居るやうでありますが、何かさう云ふことに付て御考になつたことがありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=57
-
058・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 外地から引揚げて來られる方の援護の問題、それから外地から内地への送金の關係でありますが、今御話になりましたやうに、外地から内地に引揚げて參りますのが、向ふの港に出る時相當嚴重に取締を受けまして、殆ど總てのものが止められると云ふ形になつて居ります、只今はこつちへ持つて歸ることが許されて居るものは、金額で普通の人が一人千圓、それから極く小量の身廻品に止つて居ります、後は向ふで取り上げられると云ふ状況であります、それで非常に御困りになつて居るので、救濟の措置が各方面で講ぜられ、主として厚生省で講ぜられて居りますが、我々の方の大藏省關係の金融部面として、何とか此の窮状を打開したいと努力して居ります、それで終戰當時からやりましたことを、極く簡單に申しますと、終戰になりますと同時に、臺灣、朝鮮から日本に對する送金が非常に起つて來た譯です、將來臺灣、朝鮮の「ステータス」が變つて來るので、今の内に日本へ金を移した方が宜いと云ふので、非常に送金が起つて參りました、それに對しましては臺灣、朝鮮に付ては、大體向ふから持つて來ることを希望される金額全部を一應内地へ入れることを認める、併し其の金額が直ぐ内地で引出されて使はれると、内地の「インフレ」に影響するので、一應持つて來ることを認めるけれども、それを銀行へ預けて「ブロック」する、さうして月々千圓迄は生活費として引出しを認めると云ふ取計らひを致したのであります、それが第一期であります、それでやつて參りましたが、其の後九月七日になつて朝鮮の方から、入つて參りました進駐軍が取締を致しまして、一切金なんか持つて行つてならぬ、朝鮮から外に送金はいかぬと金融取引を全面的に禁止した、それから問題が非常にややこしくなりまして、向ふからは金を持つて來ることが出來なくなつたと云ふやうな實状であります、それから九月二十三日になりまして、今度はこちらの「マッカーサー」司令部の方が對外爲替取引を全面的に取締る指令を發しまして、それに基いて先刻御説明申上げました省令が出て居るのであります、それで僅かにさつき申しました引揚民が一人一千圓持つだけで、通帳も全部預かると云ふことになつてしまつた、それで我々の方としましては送金に致しますれば、九月二十三日迄に内地に著いて居るやうな送金は之を支拂を認めると云ふやうなことを要望して居ります、又郵便貯金は各地でやつて居りまして、南洋、沖繩、樺太、朝鮮、臺灣、關東州、北支等各地に於て日本の郵便貯金をやつて居る、其の郵便貯金の通帳を持つて來て、内地で拂へると云ふ風にして貰ひたいと云ふやうな、色々な要望を致して居ります、今日迄に認められたのは送金に付ては、送金が九月二十三日迄に日本に到達して居る、それが圓である、所謂聯銀券や儲備券ではいけないので、圓で送金して九月二十三日迄に日本に到達して居るものに付ては千圓を限度として拂ひ得ると云ふことを漸く認められたのであります、それから郵便貯金の問題に付きましては、是は割合に向ふが分つて呉れまして、第一次には樺太、沖繩、南洋の郵便貯金の通帳は持つて來て、内地で支拂つて宜しい、極く最近になりまして朝鮮、臺灣、北支、關東州、此の地方で致しました郵便貯金の通帳も、内地へ持つて來て支拂つて宜いと云ふことになりまして、郵便貯金の問題に關する限りは、問題は全面的になくなりました、御承知だと思ひますが、あの郵便貯金は、大體金が内地に入つて來て居ります、朝鮮でも臺灣でも郵便貯金に預け入れましたものは、内地の預金部に預けられると云ふ關係がありまして、向ふで預けられた金は實は日本に來て居ると云ふやうな關係で、資金の手當に困らない、處が普通の銀行の送金はさうは行かないのでありまして、向ふで送金爲替を取組んで内地に持つて參りましても、其の送金爲替を振出した銀行が、内地に資金を持つて居れば宜しいが、持つて居ないとそれを拂へない、それで昨日、今日あたりも銀行が非常に問題に致しまして、千圓位拂つて宜いと云ふことになつたが、其の金を拂ふ元手が外國から來て居ないのだから、折角許可をしても銀行は拂へない、之をどうかして呉れと云ふ陳情をして居ります、此の點に付て「マッカーサー」司令部に交渉をしたいと考へて居ります、それからもう一つ附加へて申上げて置きますが、こちらに歸つた人が今申上げましたやうに金額は極く少額で千圓より持つて歸れない、持つて歸れる人は千圓でも持つて歸りますが、殆ど丸裸で歸つて來る、それに對して在外同胞援護會と云ふのが出來て居りますが、是が各港に出張して、さう云ふ人々に對して百圓位旅費として支給して居ります、其の外目下計畫中でありますのは在外同胞援護會からさう云ふ人に金を貸す、それはやるのでなく貸すのです、外國に財産を持つて居るので結局辨濟能力が出來ると云ふので、一家族當り月三百圓貸したいと云ふことを在外同胞援護會で申して居ります、大藏省の主計局と折衝の結果、只今認められて居りますのは月々百圓迄は貸しても宜しい、それに對する損失は政府が之を補償して上げませうと云ふことになつて居ります、目下此の問題は、此の間の「マッカーサー」司令部の財政監督に引つ掛かりまして、政府が補償するに付きまして、或は又政府が補償する迄の間、一時其の金を何處からか融通しなければならぬ、融通に付ては預金部から融通が出來るが、是は國家の損失になるので、「マッカーサー」司令部の了解を得なければならぬと云ふ問題が起つて、まだ解決が出來ないと云ふ状態になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=58
-
059・大野緑一郎
○大野緑一郎君 段々御苦心していらつしやることを承りましたが、兎に角歸還した人々が非常に困つて居ります、さう云ふ點に付ては十分聯合軍の了解を得るやうに、結局外地に在る財産を引當てにして或程度の生活が出來るやうに、只今百圓と云ふ御話でして、それでも問題があるやうですが、一月に百圓を貰つても今日の情勢ではなかなか生活が出來ないと思ひます、尚十分御努力を願ふやうに希望致して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=59
-
060・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 他に御質問がございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=60
-
061・中島徳太郎
○中島徳太郎君 印刷がちよつと分りにくいので伺ひますが、大藏省令第八十八號、之に付きましては文面の中に、財産上の取引に關する權限を授與すべき證書若は指圖書、其の他一切の債務證書又は財産權を持する、ちよつと印刷が分らないのでありますが、證書を大藏大臣の許可を受くるに非ざれば輸出又は輸入することを得ず、としてあります、是は證書とか、株券とか、小切手、何々と云ふものは許可を受けなければなりませぬが、財産權を持する證書と云ふことは、どう云ふことを言ふのですか、印刷がちよつと持すると見えますが、薄いので分りませぬが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=61
-
062・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 只今のは財産權を證すると云ふのではないかと思ひます、證明するの證です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=62
-
063・中島徳太郎
○中島徳太郎君 さうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=63
-
064・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 「ミスプリント」だと思ひますが、私の方の省令の原文に依りますと、さう云ふ風に取れるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=64
-
065・中島徳太郎
○中島徳太郎君 三行目ですが、「金融上又は財産上の取引に關する權限を授與すべき證書若は指圖書、其の他一切の債務證書又は財産を證する」と云ふ、此處がちよつと分りにくいのですが、財産を證する證書と云ふのは何のことですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=65
-
066・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) それは法文に付て申上げた方が御分り宜いかと思ひますが、法文の第一條の五號と云ふのに、本邦の内外に於て金融上又は財産上の取引に關する委任状又は代理權、其の他の權限を授與すべき證書若は指圖書、六號に、其の他前各號に掲げざる債務證書又は財産權を證する證書、斯う云ふ風に書いて居ります、之を縮めて書いたものだらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=66
-
067・中島徳太郎
○中島徳太郎君 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=67
-
068・松村眞一郎
○松村眞一郎君 私のは極く形式論ですが、初めに斯う云ふ表を戴いて居りますが、「昭和二十年勅令第五百四十二號に基く諸法令調」と云ふものがありますが、之を見ますと、大藏省以外の省は法律を廢する場合には勅令でやつて居られるのですが、大藏省は省令で法律を改正されて居られる、と云ふのが百號と百一號で、法律を省令で廢止されると云ふことはどうも今後は一つ御改めを願ひたいと思ふ、それは法律は議會の協贊を經て、勅裁を經て公布施行されて居る、勅令も亦勅裁を經て公布施行されるので、省令は大臣限でおやりになる、大臣限りの省令で、勅裁を經たり議會をも通過したものを簡單と申してはいかぬかと思ひますが、それを省令で廢されると云ふことは、將來私は御改めを願ひたいと思ふ、どうぞさう云ふやうに御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=68
-
069・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 是は實は法律を廢止するものでありますので、勅令を以てすべきものと考へますが、實は或種の事情で以て非常に急がなければならないことがございましたので省令を以て行つた次第であります、御了承を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=69
-
070・松村眞一郎
○松村眞一郎君 將來どうぞ勅令で成るべくやつて戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=70
-
071・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 出來るだけ御趣旨に副ふやうに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=71
-
072・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 御質疑がなければ大藏省所管の事項に付ては是で終つたものとしまして、次は農林省關係に移ることに致しますが、是にて休憩致しまして午後一時より再開致します
午後零時四分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=72
-
073・会議録情報3
――――◇―――――
午後一時四十五分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=73
-
074・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 開會致します、是より農林省關係の説明を求めることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=74
-
075・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) それでは農林省關係の事項に付きまして御説明申上げます、農林省と致しまして此の「ポツダム」宣言の受諾に伴ひ發する命令に依りまして處理致しましたのは、軍馬資源保護法と、昭和十二年法律第八十九號、此の二つの法律と、是等に伴ひまする勅令二件、之を併せまして四件の廢止を致したのであります、御承知のやうに軍馬資源保護法は、軍用保護馬を指定致しまして軍の徴發の便益に資しますると同時に、常時其の指定されました軍用保護馬に付きまして、色々の鍛錬を致して居つたのであります、それから昭和十二年法律第八十九號は、是も軍の徴發に支障を來さないことを目途と致しまして、臨時馬の移動制限を致します法律であつたのであります、終戰に伴ひまして軍の徴發と云ふやうな問題も自然解消致しましたので、今申上げました二つの法律案を廢止致しますと同時に、此の法律を施行するに必要な施行勅令二件を廢止致しました、大體廢止の事項は以上の通りであります、省令と致しましては、工場、事業場等に對しまする色々の報告義務に關する省令を出したのでありますが、是は他の主として商工省でありますが、商工省或は厚生省、斯う云ふやうな所の關係省と協同で以て出しました省令が三件でございます、是等に付きましては、一昨日商工省の總務局長から御説明申上げた通りでございます、聯合軍の命令に基きまして、主として農林省は研究機關に對する報告命令でありますが、試驗場、其の他の研究所が色々の試驗研究を致して居りますので、それ等を取纒める爲の報告命令を出したやうな次第でありまして、大體簡單でございますが、以上御説明申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=75
-
076・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 御質疑がありますれば此の際願ひます、御質疑がありませぬか、御質疑がなければ他の省に移ります、それでは運輸省の方の所管事項に移ります、是より運輸省所管の御説明を願ふことに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=76
-
077・滿尾君亮
○政府委員(滿尾君亮君) 運輸省の陸運の關係に於きまして、「ポツダム」宣言の受諾に伴ひ發する命令に關する件に依りまして自動車の特別使用收用規則を御願ひ致しました、是は進駐軍が關東地區に進駐しました時に、自動車の供出の要求が澤山ございまして、最初の中其の要求に應じて居つたのでございまするが、「トラック」や「バス」、それから乘用車もございましたけれども、其の中に進駐軍の幹部用と致しまして極く高級の一流の機械の「コンデション」の乘用車を五十輛ばかり九月の下旬に請求があつたのであります、色々努力致しまして要求に應じようと致したのでありますが、向ふの檢査が非常に嚴しくてなかなか要請を達し得なかつた、其の結果として、どうしても懇談的に話を進めて居つただけでは達せられないので、茲に特別收用規則を出した譯であります、實際は今日迄まだ此の規則を發動せしめた例はないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=77
-
078・福原敬次
○政府委員(福原敬次君) 海運關係の御説明を申上げます、海運關係と致しましては省令が三つございます、其の第一は、十月六日附の運輸省令第二十四號であります、是は造船關係の事業者に對して報告を求めたのでございます、聯合軍からの要求に依りまして相當の廣範圍の重要産業に對しまして一定の報告を求められた、其の大部分は商工省の所管でございますが、造船關係が運輸省にあります關係上、運輸省令を以て報告を提出せしむることに致しました、此の報告は十月十日迄に地方長官に業者から報告を出すと云ふことになつて居ります、是は既に處理濟でございます、それから第二の省令は厚生、運輸兩省の省令で、十月十二日附厚生、運輸省令第一號であります、是は造船業と港灣に於ける荷役、此の二つの事業を二十四時間制を採る、それから一週七日作業をする、之を主たる目的として制定せられました、此の省令に於きましては今申上げました二十四時間制、七日作業制を第一條に掲げました、其の他事業設備の新設とか、擴張、改良、讓渡、讓受、貸借、使用方法の改善とか、斯う云ふやうなことに付きまして運輸大臣が命令をし得る建前を採つて居ります、第二條に於きましては造船關係を是亦一日二十四時間制、一週七日制、事業設備の新設、其の他第一條の港灣と同じやうな構成を採つて居ります、それで此の省令が出ました、聯合軍からの指令が出ました原因を尋ねて見ますと、當時日本の總ての事業がちつとも動いて居らぬ、事業の一番初めに動くべきものは運輸部門である、斯う云ふ見解の下に運輸部門に於て二十四時間制を先づ採るべきであると云ふ風に考へられた結果、指令が出たものと想像されるのでございます、此の省令に基きまして運輸省と致しましては、主要造船所、それから主要港灣の港運會社の云ふやうな所に二十四時間制を布くことを命令致しました、大體に於て二十四時間制の實施は順調に進行致して居ります、是は關係省とも色々協議を致しました結果、或は食糧、煙草、酒と云ふやうな物の特配を關係省で特に心配して呉れました、其の結果相當人數も集つて、兎に角曲りなりにも二十四時間作業と云ふものを繼續致して居りますが、併し其の内容を申上げますと、今日の食糧事情、或は勞務の不足の事情等から制約されまして、未だ二十四時間制が完全に遂行されて居ると云ふことは言へないと思ひます、大體聯合軍側も今日の日本の状況に於きまして、此の程度で已むを得ないのだらうと云ふやうなことを此の頃は考へて居るやうに見受けれらます、それから第三の省令は、十一月二十六日附の運輸省令第四十號であります、是は第一條に於きましては、運輸大臣が航路或は區域を指定して、又は船舶を指定して、航海の制限又は禁止することが出來ると云ふことを規定してございます、聯合軍が進駐致しました當時、百「トン」以上の船は全面的に航行を禁止せられまして、其の後數日經ちまして此の禁止は解かれたのでございますが、一隻づつ聯合軍の許可を經て運航せねばならぬと云ふ條件、それから機帆船の如きは沿岸から十二浬以上を出る時には聯合軍の許可を得る、十二浬以内の場合には許可が要らぬと云ふやうな建前になつて居ります、それから第二條では百「トン」以上の船舶の讓渡其の他所有權に關聯して居りますることを制限してございます、それから第三條に於きましては船の出入手續とか旗を擧げるとか通信の方法と云ふやうなものを制限致すことが出來るやうになつて居ります、例へて申上げますならば、航行の許可を得た船はどう云ふ旗を擧げるとか、或は海難救助をなす場合の通信の方法と云ふものを今後規定する積りでございます、それから第四條に船舶の救助、引揚、解撤、斯う云ふ事業者、船舶所有者、運航業者に對して救助、引揚、解撤の手續を決めることが出來ると云ふことを規定して居ります、是等の具體的のことはまだ運輸省としては告示を出して居りませぬ、只今告示を出します準備を致して居りまして、數日中には其の具體的の告示が發せられることと存じます、以上三つの省令でございます、細かい點は御質疑を戴きまして御答へ致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=78
-
079・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 御質疑に移ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=79
-
080・竹下豐次
○竹下豐次君 荷役等の二十四時間一週間作業繼續の義務は事業主に負はされるのでせうか、勞働者の方は直接何等の拘束を受けない自由の勞働と云ふことになつて居るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=80
-
081・福原敬次
○政府委員(福原敬次君) 先程申上げました厚生運輸兩省令の中に勞務者に對する規定もございます、是は兩省令の第三條でございます……間違ひました、厚生省令で以て一種の徴用みたやうなことが出來るやうな規定が別に出て居ります、兩省令にはございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=81
-
082・竹下豐次
○竹下豐次君 徴用とは違ふのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=82
-
083・福原敬次
○政府委員(福原敬次君) 徴用とは書いてございませぬ、一定の經驗のある勞務者を記録致しまして、其の記録されたものの中から地方長官が命令しまして其の業務に從事させると云ふことが規定してございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=83
-
084・竹下豐次
○竹下豐次君 それは拒むことは出來ないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=84
-
085・福原敬次
○政府委員(福原敬次君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=85
-
086・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 御質疑はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=86
-
087・山田三良
○山田三良君 運輸省の御方に伺ひたいのですが、こんなことに關係ないのですが、省線とか鐵道で「アメリカ」進駐軍の爲に「レザーブ」した車があるのですね、それが時に依つては三輛位ある時がある、さうして一方では其の殘りの車に、例へば横須賀線などは殺人的な滿員で恐ろしい勢で競爭して窓を壞して乘つたと云ふのがあります、其のことともう一つは「レザーブ」した車へ日本人が隨分乘込むことがある、さうして向ふの「ミリタリー・ポリス」と云ふものが時に依つたら呶鳴つて、非常に制止して居ることを見受ける、甚だ不體裁でございますが、あれを何とかもうちよつと御考慮なさる必要はないかと思ひます、「アメリカ」の方に「レザーブ」した時に、「エッキスプレス」とか「アメリカ・アーミー」とか書いてあります、そんな英語は分らぬものが澤山ありますから、其の車に書いてあるだけでは通じないことがあります、殊に私自ら實見しましたが、三輛「レザーブ」して居つて、其の中の一輛の二等車だけに「エキスプレス」と書いてあるが、其の前後に書いてありませぬ、殊に「ラッシュ・アワー」などにはそれを見る間もなく乘込む、さう云ふことが起ります、何か英語の外に「アメリカ」進駐軍の専用だと、もうちよつと分り易く英語と同時に日本語で窓に掲示なさることが必要だらうと思ひます、さう云ふ向ふの爲に便宜を圖るのは宜いけれども「ラッシュ・アワー」に、三輛の車も「レザーブ」する必要があるなら、それだけ三輛別にして、當り前の連結にする、少い車の中から三輛をさう云ふ風にされると云ふことは、一般の者は非常に迷惑しますから、餘り進駐軍の爲に便宜を圖つて……それで滿員かと云ふとさうではない、殆ど一輛で濟む位しか乘つて居らぬこともある、それを片方で見ますと是は餘り思想的にも面白くない感じがしますから、中には隨分色々な不平を言つて居る者もありますから、何とかあれをもうちよつと都合好く其の邊を御計になることを願ひたいと思ひます、殊に内地人の英語の分らぬ者に、是は「アメリカ」進駐軍の専用だと分るやうに御表示をなさることが絶對に必要だらうと思ひます、それから成るべく一輛位の「レザーブ」にして、二輛以上の「レザーブ」は如何なる場合にもしないと云ふことを斯う云ふことを向ふでも心得て居るのでありますから、何輛も「レザーブ」して呉れと云ふことは言はないだらうと思ひます、其の邊も實際に適するやう、もうちよつと御考慮下さるやうに私は希望して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=87
-
088・伊能繁次郎
○政府委員(伊能繁次郎君) 私から御答申上げます、大變有難い御注意を戴きましたが實に私共もあの問題に付ては甚ぎ困窮致して居ります、殊に横須賀線に付きましては只今御指摘のございましたやうな點で私共困つて居りまして、日本國民側に周知の出來なかつた點に付きましては、早速御注意のやうな手配を取りたいと思ひますが、さう云ふこともやつても居りましたのですが、何時の間にか御承知のやうに車も非常に傷みましたり、紙が直ぐ剥げると云ふやうなことで、十分徹底致しませぬのですが、其の點は今後十分氣をつけまして御言葉のやうに致す積りでありますが、電車に依りまして二輛若くは三輛と進駐軍の方が占有致します點に付きましては、私共としては屡屡進駐軍の方へ折衝致して居るのでございますが、同じ横須賀に居ります軍隊に於きましても、或は航空隊であるとか、或は海軍部隊であるとか、或は其の他地上部隊であるとか、部隊々々に依りましてそれぞれ占有車輛を申込んで參る、さう致しますと私共の方は、横須賀何時發の電車は此の方面の軍隊から一輛進駐軍用として専用車が出て居るから、それで御辛抱が願へまいかと云ふことを申しますと、自分の方の部隊は其の部隊の指揮下にないから、どうしてももう一輛つけろ、斯う云ふやうなことで實は甚だ困窮を致して居りまして、未だに話が付きませぬ、それで進駐軍對我々國有鐵道の方と致しましては、御承知のやうに沼津以東の第八軍と、沼津以西の第六軍と、此の二つに大體分れて居りますが、其の他の航空關係部隊、海軍部隊は、それ等の二軍の管轄下にないものでございますから、さう云ふ方面から申込んで參りますものに對しては、六軍、八軍の方に於ても、どうしても之を強制が致し兼ねるものと見えまして、私共が御願ひしても、其の方は現地の航空軍、或は海軍と折衝して一般旅客に不便のないやうにしてやれ、斯う云ふやうな返事でありますから、時に御指摘のやうな、一時的に此の「ラッシュ」のえらい時に三輛も進駐軍の爲に専用されると云ふやうな事態が、間々起りまして、私共も實は弱つて居ります、此の外に進駐軍自體に、完全に専用でなく、専有されて居ります車輛も相當多數にございまして、逐次是等の點に付きましては、車輛の新造、それから修理竝に輸送の現況を絶えず進駐軍の方にも連絡を致しまして、適正な輸送をし、又協議を遂げたい、斯樣に考へて居る次第ありまです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=88
-
089・山田三良
○山田三良君 今のやうな事情で誠に御困りだらうと思ひますけれども、併し其處に何等かもうちつと司令部に對して御交渉の餘地があるだらうと思ひます、一つの車を「アメリカ」の進駐軍に「レザーブ」して居ると言へば、海軍であらうが陸軍であらうが航空隊であらうが、皆同じ「アメリカ」の進駐軍ですから、一緒になつても宜からうと思ひますが、併し要求が別々になつて各個に出るとなると、今のやうに半分も乘つて居らぬで三輛も續くと云ふのは、向ふの出先から言へばさうでせうけれども、もうちつと司令部の方で、もつと中心部で、「ラッシュ・アワー」に一輛だけ「アメリカ」の軍隊が誰でも乘れるやうに用意してあるからと云ふやうに、御互に滿足するやうに、向ふの方へさう云ふ交渉を更に御盡力になることを希望して、それで質問を終つて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=89
-
090・竹下豐次
○竹下豐次君 從來軍で使用して居りました「トラック」、之を民間の團體等に拂下げて戴くと云ふことになつて居るやうに承つて居りますが申す迄もなく小運送の機關が足りませぬので、各方面非常に困つて居る、地方で申しますると、一番大きな荷物としては木材でありますが、大變困つて居る、非常に首を長くして自分達が使ふことの出來るのを待つて居るのに、今日迄幾らかあつたか知れませぬが、殆ど使はれないで其の儘になつて居ると云ふやうな状態であります、東京ではどうかと云ふと、住宅營團あたりでも矢張り木材が主でありますが、「トラック」が十分でない爲に運べない、罹災民は冬を越すのに非常に困つて居る、斯う云ふやうなことになつて居る、是はあなたの方なり、大藏省なり、元の軍部との關係、色々あちこちの交渉などで暇が相當に掛ることだらうと思つて居ますが、餘りに暇が要り過ぎると云ふやうな感じを持ちます、それからもう一つ私のちよつと聞込みました所に依りますと、例へて申しますれば、住宅營團に五十輛ならば五十輛の車輛が廻ることになつて居る、それがもう直ぐに手に入ることになつて居るに拘らず、幾らも來ない、何故來ないかと云ふことを調べて見ると云ふと、途方もない筋に行つて居る、途方もない筋と云ふのは本當に途方もない筋でありまして外の團體、はつきりした團體で、世間で當然認められるべきものでないやうな所に迄行つてしまつて居る、さうしてなかなか手放さない、それを役所の方で取上げて、さうして、元來受取るべき所に廻さうとして下さる努力も少いやうだと云ふやうなことを聞込んだことがある、あとの例が本當だとすれば、酷いことぢやないかと云ふやうな感じがしますが、どう云ふ風になつて居りませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=90
-
091・滿尾君亮
○政府委員(滿尾君亮君) 御答へ申上げます、軍關係の「トラック」に付きましては、「マッカーサー」司令部の好意に依りまして、陸海軍の車輛を日本の民生安定の爲に放出せられることになり、内務省が元口になつて之を受けまして、内閣に特殊物件處理委員會と云ふものが出來まして、品物別に主務官廳が其の配分の腹案を調整致す譯であります、自動車に關しましては、運輸省が其の任に當るのでありまして、事務的に私共が其の仕事を致しまして、委員會に報告致しまして、配付の案を決定致します、十一月の初めであると思ひますが、直ちに各軍管區別に會議を開きまして、實は最初其の案に掛けましたのは、八千五百輛ばかりの陸軍關係の「トラック」だけでございまして、海軍の「トラック」は未だ配分致して居りませぬ、それは海軍の方は、幾らあるかと云ふことを最初なかなか御出し願へなかつたのでありますが、最近に至りまして分りましたから、是から掛かることになつて居ります、取敢ず分つて居る陸軍だけで話を進めまして、是も兵器行政本部などから各軍管區別に大體の所在數の表を戴きまして、それを基にして案を進めたのでございますが、實は自動車は動くものでございますし、又之を持つて居りました部隊の移動も非常に激しかつたものでありますから、軍當局に於かれても確信がなかつたやうであります、私共も配分致します以上は、所在を確めて、實物を掴んだ上で配分するのが本當なのでごさいますけれども、全國に亙りまして、何處に何輛現在あるかと云ふことを掴んでから配分の案を決めたのでは、益益時日が遷延致しまして、此の暮の緊急輸送迄に間に合はない、從つて多少の食ひ違ひはあらうけれども、それは下部機構に於て適宜調整することに致しまして、軍の提供しました資料に基いて、大體用途別に枠を決めました、それで勿論戰災を受けた者に對しては、四十「パーセント」位の比率で面倒を見てやる、それから進駐軍へ車を供出した者に對しては百「パーセント」にやると云ふやうなことを考へまして、其の他に木材とか食糧とか緊急輸送に重點を置いて配分の計畫を立てまして、それで大體の枠を決めまして、全國の軍管區別に又之を分けまして、今度は軍管區別の會議を開きまして、各縣の輸送課長を招集致しまして、さうして分つて居るだけの實情を聽きながら、各縣別の調整を致した譯であります、處が其の會議を關東地區で開きました處、是は軍の參謀が出て來て説明があつた譯でありますが、最初貰ひました資料では實に三千五百輛あると云ふことであつたのでありますが、それが實際はざつと二千輛そこそこ位しかなく、千五百輛の食ひ違ひを生ずると云ふやうな事情がありました、他所の地區に於てはそれ程大きな開きはなかつたやうでありますが、左樣な譯で、なかなか實體を掴めないで仕事を進めたと云ふ所に、一つの弱點がございます、それから終戰後の混亂に依りまして、車の保守の状態が非常に惡くなつて居り、規律も色々紊れまして、部分品を持つて行く者もあると云ふやうな譯でございまして、車の状態が非常に惡く、動かないのであります、軍の方の見方でも、三割も動く車があれば上乘ぢやなからうかと云つたやうな實は状態であります、現在は十一月十日迄に全國に亙つて各地方別、軍管區別の配分會議を終へまして各縣に渡したのであります、縣で大體中央で決めました枠内に於きまして自分の縣内の現實の車を把握致しまして、こちらの示しました方針に則つて個々の事業者等に配分する段階に至つて居る、仕事の濟んで居る縣もございますが、なかなか其の仕事が延びて居る縣もあるやうな譯でございまして、或は御聞き及びのやうなこともあつたかと思ひます、併し片方で食糧營團へ來るべき車が變な方へ流れて居ると云ふことは、どう云ふ方の情報でございますか、よく分りませぬが、さう云ふ緊急な方面に配屬した車が他へ流用されるやうな心配は萬々ないかと思ひます、唯其の營團の貰はれました車が直ぐ明日から使へる状態かと申しますと、先づ先づさう云ふ状態ではない、當然或程度の修繕をしなければ使へない状態ぢやないかと考へて居りますが、其の點非常に殘念であります、それからもう一言附加へて申しますならば、此の八千五百輛の配分計畫の前に、八月十五日から九月上旬見當に掛けまして、現實に軍から相當の車が流れて居た、是は恐らく此の八千五百輛の勘定の外のものもあり、又其の中を一部食つたものもあるかと思ひます、陸軍の或方方に言はせますれば、終戰當時一萬輛を越える位あつたらうと言ふ方もあります、まあそれは誰もはつきり掴んで居らないやうであります、車は消耗品でございますから……、一萬一千輛位だらうと云ふ見方をして居る方もあります、それだけのものが直後に大體流出致し、それから又八千五百輛の中も一部關東地區で食違ひましたやうな譯で、出で居ると思ふ、之に對しまして運輸省と致しましては、此の八千五百輛の配分の精神に依つて地方長官に再配分をせよ、軍と特別な關係、色々な或は個人的な關係すらも原因となりまして、それ程必要でない所に「トラック」なんか行つて居る面もあるのでございます、さう云ふものは「ナンバー」を所持して居りませぬので、當然近く警察へ屆けて來ます、又屆けを受けた警察の方で車の所在を調べて、現在の保管者を明かにして、其の保管者が今日の情勢で「トラック」を保有するだけの値打があるかどうかと云ふことをよく考へて、配置替をするやうにと云ふ通牒を只今出して指示して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=91
-
092・竹下豐次
○竹下豐次君 詳細な御話で能く分りました、先申しまするやうに、非常に首長く待つて居りまするのと、もう一つは色々な噂がございまして、車體のみならず、軍で持つて居つた「ガソリン」の問題、思想的にも如何はしい結果を生ずるやうな心配もあると思つて居ります、現にさうなんでございますから、特に御急ぎ下さいまして、又力を入れて戴きたいと思つて居ります、それだけ……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=92
-
093・中川良長
○男爵中川良長君 私は此の主題とは少し離れるかも知れませぬが、ちよつと伺ひたいのであります、汽車の運轉でございます、是は既に時間表も公表されて居る、而も公表されて僅かに數日經たぬ中に、汽車の發著の時間と云ふものも變更し、列車の運轉は五割減になる、或は荷物は三割減になると云ふやうなことも新聞で散見するのでありますが、斯う云ふやうなことは鐵道關係としては、豫め豫期せざることが起つたんであらうと我々は想像して居るのであります、然らずんば斯樣な突如として國民を惑はしめるやうな状況が起ると云ふことは想像が付かないと思ひます、故にそこらの實情を打ち明けて伺へますれば、一應國民も滿足することだと思ひます、然らずんば汽車の時間と云ふものが漸く殖えたと發表されて、數日經つて前よりも減ずると云ふやうな朝令暮改の情勢と云ふものは、政府を信ずると云ふことに付て國民は甚だ惑はざるを得ないやうな状態に立至る、事此の重大なる時期に御心配のことも想像以上であらうと云ふことは重々拜察致します、此の見地から、已むを得ざる事情に於て、斯くの如き突如とした改正が行はれたであらうと思ひまするので、どうぞ其の點は忌憚なく發表をされむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=93
-
094・伊能繁次郎
○政府委員(伊能繁次郎君) 只今御質問のございました點に付きまして御答を申上げます、御話のやうな點に付きましては、私共も能く承知を致して居りまして、少々時間を頂戴致しまして詳細に御説明申上げますると、終職前の戰時中に於きましては、御承知のやうに貨物を中心に輸送を致して參りました、昭和十七年の十一月から御承知のやうに海の貨物を陸運に轉移すると云ふことで、船腹の逼迫に對應致しまして、貨物を中心の輸送に切換へて參りました、それに即應して旅客輸送に付きましては、逐次制限を致して參りましたが、最も強い制限と致しましては、御承知のやうに昭和十九年三月からの旅客輸送の制限、それ以後は格別に特別な方法を取りませぬでしたが、昭和十九年三月當時に於きましては、一時御承知の如く警察へ參りまして、或は交番署へ參つて證明書を戴くと云ふやうな方法を採りました、それも一時で、其の後は軍、官、公務、其の他の重要旅行者の確保と云ふ觀點で、戰時中を過して參りました、戰前に比較致しまして、旅客の増加率が非常に多くなつて參りましたものでございまするから、實數としては、制限は強化致しましたが、輸送の實數としては餘り減つては居りませぬ、大體十九年度の實績で二十八億人程年間に送りまして、それは十八年度に較べますと、旅客の制限は致しましたが、二億程増加を致して居ります、其の増加の一番大きな原因と致しましては、工員の通勤輸送が激増致したと云ふことでございまして、一般の旅客輸送、普通の乘車券を御求めを願ひまして旅行をされる方面の輸送は二割方減少致したのでございます、さう云ふ姿で終戰當時に於きましては、五月が一番貨物輸送の最高潮に達した時でありまするが、一日平均四十六萬五千「トン」程度輸送を致して居ります、其の當時旅客と致しましては毎日約六百七、八十萬から七百萬近い所を運んで居ります、それで終戰に相成つた譯であります、終戰直後の現象と致しましては、御承知のやうに貨物輸送が逐次減少致しまして、最近に於きましては貨物輸送は大體一日二十萬「トン」前後を動いて居る、今年の五月の一日當りに比べますると半分以下に下つて居ります、下つた原因に付きましては日本の經濟界其の他が停屯状態にあることに依りまして能く御分りと思ひます、旅客の方はそれに對しまして少しもと申しましても、八月下旬から九月上旬當時は定期券で約一割程度、一般旅客で八「パーセント」程度減少致しました、併しながら御承知の如く復員の厖大な輸送、是が既に内地復員は大體完了致しましたが、八月下旬、九月、十月一ぱい、十一月に一部掛りましたが、三百七、八十萬程輸送を致しました、それから俘虜の歸還輸送、是は僅かな數でありまして、四萬足らずであります、それから鮮人、華人の歸還輸送でありますが、是が現在迄に約三十萬強輸送致して居ります、其の爲臨時列車を以て計畫輸送致しましたものが十八、九萬ございます、其の他は各個人が或は博多、或は下關等へ參つて便を求めて歸鮮したと云ふやうなものでございまして、其の他に終戰後の現象と致しまして、旅客輸送が若干の減少で殆ど減らないと云ふ一番大きな原因は、御承知のやうに食糧不足に基きます買出の旅客、それと疎開關係の復歸竝に疎開に伴ひまする連絡の旅行と云ふことに依りまして非常に殖えて居ります、此の情勢に對應致します爲には從來貨物の輸送を中心に考へて居りました列車旅客の運行圖表を旅客の方面に切替へなければいかぬ、斯う云ふ風に考へまして、終戰直後貨物列車の整備を致しまして、旅客輸送に轉換すべく現實には相當各鐵道局管内で出來るものはやつて居ります、又臨時列車を通じて國有鐵道全體を通じて出來るものはやつて居ります、併しながらそれは飽く迄臨時措置でございまして、列車の時刻として正常な姿にしなければならぬと云ふので、貨物列軍の中の數を減少致しまして、旅客列車に振替へましたのが只今御指摘のございました十一月二十日の時刻改正でございます、是は旅客列車の方面は二十六萬七千「キロ」程度定期旅客列車を運行致して居りましたものを、約七萬「キロ」増加致しまして、現在では三十三萬六千「キロ」程度走つて居る譯であります、それに對しまして貨物の方は四十萬「キロ」程度走つて居りましたものを十三萬「キロ」程度減少致しました、從ひまして列車の運行に依つて石炭自體には當時影響致して居りませぬ、それで終戰後九月、十月、十一月當時私共夙に石炭の状況が逐次減産の一途を辿りつつあると云ふことも聞き及んで居りましたものですから、政府部内に於きましては色々と協議をして鐵道輸送の確保に付て商工省等の協力を仰いで居りました、現實の問題として輸送上の運轉用炭の確保には支障がなかつた譯であります、終戰後御承知の如く、終戰前後を通じて鐵道用炭竝に工場用炭、船舶用炭其の他の雜用炭、電力用炭等が、總計昭和十九年度に於ては、國有鐵道は年間七百五十萬「トン」程度の石炭を使用して居ります、終戰後の九月、十月、十一月には大體五十五、六萬「トン」の運轉用炭を要して居ります、之が確保に付ても特別に支障はなかつたのであります、十一月には御承知の如く、十一月が最も惡い状態で、五十萬「トン」を石炭の生産は割るのではなからうかと云ふやうな御話もありましたが、省に對する配給としては特に減少したと云ふ程ではなかつたのであります、從ひまして私共としては既定計畫としては、十一月二十日に貨物列車の數を減して旅客列車に代へる、さうして民生の安定に資したい、實は御承知でもございませうが、九月下旬から十月、十一月當初の旅客の雜沓状況、殊に甘藷の生産時期に於ける、甘藷生産地に於きまする旅客の雜沓は、筆や言葉では盡せない状態でありまして、それに付ては私共千葉管内に對しても、埼玉縣下に對しても、靜岡縣下等に對しましても有らゆる努力を致しまして、客車が御承知のやうに二千數百輛戰災を蒙つて居ります爲に、貨物列車で買出列車を設定して、國民の御希望に應へた譯でございます、さう云ふ關係で努力致して居りましたが、殆ど著驛に於きましては、列車が到著しますともう改札と言はず、線路と言はず、ばらばらと千數百人の人が列車を降りて改札も何もないと云ふやうな状況になる、又乘車の際もさう云ふ姿でありますから、之を何とかしなければならぬと申して居りましたが、兎に角旅客列車を二本や三本増發しただけでは濟まぬと云ふ状態でありましたから、實は十一月二十日の時刻改正に依つてさう云ふ方面を何とか改正したいと云ふ氣持でやつた譯であります、處が十二月以降の状況が非常に惡いと云ふことを連絡を受けまして、端的に申しますと、既に新聞でも御承知だらうと思ひますが、十二月は約五十二、三萬「トン」の生産に對して、北海道に於きましては構内消費竝に道内に於ける煖房用炭を除きますと、生産された石炭が殆ど内地へは送れないと云ふやうな状況に相成りました、九州等に於きましても二十八、九萬「トン」の生産に付て、本州へ送られるものが餘り澤山はない、結局本州に對しては、日本全體としての生産約五十萬「トン」貯炭の拂出、約五十萬「トン」百萬「トン」近いものになつた、本州に輸送される石炭は僅かに三十一萬「トン」程度、それでは國有鐵道は、從來本州だけでも四十一、二萬「トン」を使用されて居るので、全部貰つてもどうにも仕樣がない、いきなり斯う云ふ事態が起りました、そこで色々相談を致しまして、兎も角最小限度本州で三十萬「トン」なければ、殆ど輸送をしない方が宜い状態ではなからうか、貨物輸送だけを確保して、旅客輸送を一時全面的に停止しなければならぬ状態ではなからうか、斯樣に心配を致しまして、各方面に、本州内にもございます各方面の軍の貯炭、重要工場で操業を停止して居ります所の貯炭、それ等のものが本州内に於きまして十數萬「トン」ございます、それは先般來進駐軍の方の了解を得つつ一生懸命に鐵道の輸送の爲に確保しつつあります、又本日の新聞に於きましても、全體の貯炭は二百三十數萬「トン」あるとか、發表して居るやうでありますが、其の中使用可能のものが百三十萬「トン」ある、斯樣な發表を私讀んで居りますが、兎も角内地に送られるものが三十一萬「トン」ある、其の中進駐軍の使ひます煖房用のもの數萬「トン」硫安の増産の爲に當てなければならぬ、又日本鋼管の「コークス」爐の保温用の爲にも當てなければならぬ、東京瓦斯、大阪瓦斯の國民生活の最低限の瓦斯供給にも當てなければならぬ、さうすると結局國有鐵道に對しては内地で十八萬「トン」足らずの炭しかやれないと云ふやうな突然の話になりまして、我々實は爲す所を知らぬと云ふ状態で、是ではどうにもならぬと云ふので、然らば政府全體として貯炭の總拂出をもつと、強力にやらうぢやないか、此處に海運局長もおいでになりますが、海運の御協力を得まして、海の方の貯炭、それ等も船に依つて御協力を願ふ、陸上で輸送し得る所に付ては、萬難を排して貯炭の拂出をやつて、何とかして行きたいと云ふことで、色々部内で折衝致しました結果、それでは本州で國有鐵道は三十萬「トン」、九州、北海道で十一萬「トン」、運轉用炭として四十一萬「トン」で何とか十二月をやつて呉れ、斯う云ふやうなことに相成りました、從ひまして鐵道が本州で三十萬「トン」取りますと、聯合軍の方へも、製鐵關係の方にも硫安關係にも、瓦斯關係にも、其の他最小限度の重要工場への石炭供給が不可能に相成りますから、是は九州、北海道の貯炭の總拂出竝に需要家たる國有鐵道、製鐵業者、瓦斯業者、肥料製造業者は擧げて自ら炭礦の應援に出ろ、勿論出ませうと云ふことで、需要業者が坑に入る、それと同時に貯炭の拂出に付きましても、需要家側が全面的に應援をする、斯う云ふことで差當り十二月には本州へ四十萬「トン」のものだけは持つて來ようと云ふやうな計畫に相成りました、そこで先般新聞で發表致しました旅客輸送の規正竝に貨物輸送の制限と云ふことに相成ります、而も其の間には御承知ではございませうが肝腎な九州炭に付きまして、朝鮮方面へ七萬「トン」香港へ約二萬「トン」近く此の數字が十二月から正式に進駐軍から命令がございました、此の十萬「トン」近い數字が實は國有鐵道に取つて致命的なものになつたのでございます、是等の状況から考へますると、我々強ち商工省にばかり無理を言ふ譯に參りませぬので、一切の貯炭の拂出と、山に對する増産運動を我々自身の手でやらうと云ふ努力を半面致して居ります、從つて本土三十萬「トン」と致しまして新聞に發表致しましたのは、新聞では一部誤り傳へられて居ります、正確に書いて下すつたのもございますが、旅客列車を五割減らすとは私共申して居りませぬ、普通旅客を五割減らす、斯樣に書いて居るのであります、と申しまするのは、普通旅客と定期旅客とを比較致しますと、現在に於きましても定期の方が、全體の旅客輸送の五十三、四「パーセント」、普通旅客の方は四十五、六「パーセント」と云ふ状況でございまして、依然として定期旅客の方が普通旅客より多い、何故であるかと色々調べて居ります、勿論學生の復員に依る通學の増加も見逃がせない大きな原因でございますが、國内の十分に動いて居らない軍需工場、會社等が證明書の濫發をすると云ふことが根本でないかと、斯樣に考へて居ります、私實は是等の點に付きましては通勤の登録制と云ふものをやらなければなかなか防ぎ得ない、又登録制をやつた處が、會社を一つ一つ搜して果して通勤して居るかどうかと云ふことを、毎日三百六、七十萬も乘つて居ります通勤旅客に付て調べることも殆ど不可能に近い、何等か定期旅客の統制ある乘車を考へなければいけない、斯樣に存じて居りますが、今直ちに此の問題には手を著け兼ねて居りまして、差當り此の點は非常に御氣の毒だと存じましたのですが、現に一部の學校に於きましては冬の休暇の繰上をやつて居る所もございますから、差當り列車區間の通學の學徒に付きまして、十二月の中旬から一月一杯程度の休暇を文部省と相談致しまして、それに依りまして約七十數萬の學生通學を列車乘車から御遠慮願ひ、それと約二百五、六十萬の旅客の五割を、普通旅客の切符を御求め願ふ五割を規正致しまして、是で總計致しますと、毎日御乘車を願ふ六百七、八十萬の御客樣の三十三、四「パーセント」の方であります、それで旅客列車の方は約三割強、最前私が申上げました三十三萬六千「キロ」を二十四萬「キロ」程度に減らす、一方貨物の方に付きましては、先刻申上げましたやうに四十六萬「トン」以上運んで居りましたものが、二十萬「トン」前後になりましたので、此の方面を三割減らすと云ふことは、それ程大きな影響は國民生活に來ないだらうと云ふ豫想を持つて居ります、併しながら部分的には東京であるとか、大阪方面であるとか、疎開の復歸、引越等の輸送が相當輻湊致して居りますのみならず、此の點は丁度現在最盛期に掛つて居りまする食糧供出、米の供出の輸送と競合致して居りまして、米の供出、藷の供出に付きましてはどうしても有蓋車を使用致しませぬと、藷に付きましては雨が掛かると直ぐ腐ります、米は勿論有蓋車であります、從ひまして有蓋車が特に戰災を蒙りました關係上、有蓋車の不足から一部引越荷物の方の制限を致して、それに依つて貨物輸送の方は三割を減らしましたが、石炭の輸送、米竝に食糧品、薪炭の緊急輸送等に付きましては萬遺憾ない積りでございます、又木材でありますとか、「セメント」でありますとか砂利でありますとか云ふやうな、所謂復興資材に付きましては出來るだけ重點的に大量輸送、計畫輸送を強化致しまして今囘の難局に處したい、斯樣な積りで、全體と致しまして列車を減らしましたのは三割強でございます、但し普通旅客に付きましては定期旅客の整理が完全に出來まする間はどうしても五割程度減らしませぬと、五割減らしましても全體の毎日の旅客量では二十二、三「パーセント」にしか當りませぬから、斯う云ふやうに計畫して十五日頃から全面的に實施致したい、只今御指摘に與りました色々な經過、政府としては餘りに朝令暮改ではないかと云ふやうな御見解もございましたが、私共と致しましては餘力があれば假令明日變つても一本でも餘計旅客列車を動かしたいと云ふ氣持で、實はああ云ふやうな措置を致したのであります、現實に石炭の状況其の他我々自身も既に五千名も炭坑に乘り出しつつあります、又荷役の方面に付きましては一萬名を目下計畫致して居りますが、それ等に依つて石炭の確保が、現に貯炭で使へるものだけでも百數十萬「トン」あると云ふことでありますれば、さう云つたものの確保に依つて餘裕のある限り一本でも旅客列車、貨物列車を動かしたいと云ふのが私共の率直な氣持でございますので御了承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=94
-
095・中川良長
○男爵中川良長君 詳細に承りまして一應了解致しました、併し一應伺ひますが、進駐軍の十萬「トン」の要求と云ふものは先月の二十日、時間表を改正なさる時には既に決つて居つたことだらうと思ひます、それを一應伺つて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=95
-
096・伊能繁次郎
○政府委員(伊能繁次郎君) 私共は實は承知致して居りませぬ、商工省の方では或は分つて居りましたかと思ひますが、十二月の配給を命ぜられた時に實は私共承知致したやうな次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=96
-
097・中川良長
○男爵中川良長君 十一月二十日以後に十萬「トン」と云ふことは御承知になつたのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=97
-
098・伊能繁次郎
○政府委員(伊能繁次郎君) 二十日以後に、私共の知りましたのは其の後の状況でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=98
-
099・中川良長
○男爵中川良長君 どうもそこ等は鐵道の御當局として、おやりになるのは商工省の關係かも知らぬけれども重大なることだと思ひます、それは或は連絡がなかつたと仰しやればそれ迄ですけれども、此の石炭の不足の時、斯う云ふ影響を及すと云ふのに、其の十萬「トン」を外國から要求があると云ふことを、そちらの方が其の後に知つたと云ふやうなことは、どうも失禮なことを言ふけれども、或は答辯上の御都合であるかとも想像出來るやうなことに我々思ふのであります、是は國家としては重大なことであります、又御計畫を立てる所の根本であらうと思ひます、非常に是等は訝しく思ふ點でございますが、それは偖措きまして、二十日以後に御承知になつたと云ふことであればそれ迄でございますが、併し此の石炭が斯く迄足りないと云ふことを十一月の二十日頃に時間表を御作りになつて、二十日位經つてもう時間表を改正になると云ふことは容易ならぬことで、それ程焦眉の急になつて初めて石炭の足らないと云ふことを御承知になると云ふことがどうも私等は想像し兼ねるのでございます、もう既に鐵道時間と云ふものは殊に重要に御考へになつて居るので、國家もそれに依つて方法を律する譯でありますが、それを今御話を伺ひますと石炭が非常に足りない、それ程足りないものを前に御承知がないと云ふことは、實はどうも私等伺へば伺ふ迄でありますが、餘り突發なことで、政府委員としては御承知ないことかも知れませぬけれども、ちよつと私等には想像の付かないことであります、或は伺ひますが、製炭場とかに何か故障があつて豫期以上の出炭が出來なかつた、即ち製炭場に「ストライキ」でもあつて、出るべきものが出なかつた、或は北海道から輸送するのに船の故障があつたとか云ふやうな顯著な出來事があつて、當然到著すべきものが到著しなかつたと云ふのならば今のやうなことは想像出來ますけれども、さうであらずして、あの表が發表されて僅にして之を改める、それは石炭が無いのだと云ふやうなことはちよつと御理性ある當局の御趣旨としては理解し難いやうに思ひます、何か御豫定のあつた石炭倉庫とか何かに重大な故障があつて、豫想のものが來るのが妨げられたと云ふやうなことでもあるのぢやないかと思ひますが、其の點は如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=99
-
100・伊能繁次郎
○政府委員(伊能繁次郎君) それ等の點に付きましては私の所管ではございませぬが、御承知のやうに鮮人、華人の勞務者が六十「パーセント」、七十「パーセント」程度日本の炭坑には入つて居りまして、それ等の炭坑勞務者の勞務に就かなかつた事實、單に勞務に就かなかつたのみならず、炭坑附近に於て色々と紛擾を釀して、其の爲に日本人の勞務者の就勞が極度に妨げられる、本來であれば日本人だけの勞務者でも相當量の出炭が出來得る程度に日本人の勞務者は居るのでありますが、それが出來ないと云ふことが根本の原因であつたやに私は承知致して居りますが、詳細なる點に付きましては所管でございませぬから正確には申上げ兼ねると思ひますが、其の點が一番大きな原因かと思ひます、從ひまして私共は鮮人、華人の勞務者の輸送に付きましては北海道、本土、九州を通じまして最も優先に臨時列車を以て計畫輸送を致しまして、之を全部歸鮮せしめまして、炭礦勞務の確保竝に石炭の増産を援助すると云ふ緊急措置に出たのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=100
-
101・中川良長
○男爵中川良長君 所管が御違ひになりますので、其の方のことは詳細御話の出來ないと仰しやるのも御尤もであります、併し概括を伺ひますと、矢張り出炭所に故障が起つたやに伺ひますが、それが爲に豫想の石炭が到著すべき時機に到著しなかつた、それ故に只今御指摘になりましたやうに、石炭の不足を生じたものと解釋を致しまして、誠に國家としては憂ふべき現象でございまして、此の情勢が若し續きますなれば、益益交通機關の上に愈愈大きなる支障を來して、有らゆる方面の活動が不圓滑になると云ふことは、當局も定めて御心配のことだと拜察致します、尚商工省の方面其の他とも能く御協議を願ひまして、國家の大局上どうか一日も早く斯う云ふ問題の「スムース」に解決しますやうに、御努力を偏に御願ひ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=101
-
102・伊能繁次郎
○政府委員(伊能繁次郎君) 御言葉の趣旨に付きましては全力を擧げまして努力致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=102
-
103・竹下豐次
○竹下豐次君 輸送の問題に關聯しまして極く簡單なことを伺ひたいのですが、是は地方的な御尋になりますが、田舍の方でさう混雜しない所もある譯であります、尤も日に依り時期に依りまして違ひますけれども、私等觀て居りまして、此の位空いて居たら、もう少し切符を賣出しても宜ささうなものだと云ふ場面にぶつかることが非常に多いのでございます、又翌日行くと成る程混むと云ふやうなこともありますけれども、勿體ない程今の輸送状況から申しますと云ふと空いて居る、東京近くの混雜に比べますと比較にならない程空いて居ります、矢張り驛長さんは賣らないのですね、田舍のことでありますから、一里とか二里とか三里とかに停車場が一つある、三里位の所は歩いて行かなければならぬ、百姓達は用を足すのに一日掛かる、汽車で往復すれば直ぐに用が足せる所を、忙がしい際に無駄に時間を潰すと云ふやうな今日の状態になつて居ります、私は所を申しましても宜しうございますが、宮崎縣の南の方の志布志線、私共の近くでございます、是は具體的に申上げますが、何とかあれは融通の付くやうに驛長に權限を與へられないものでございませうか、どう云ふことになつて居るか私共は存じませぬが、驛長に言つたこともありますが、何とも方法はありませぬ、私共の方では自由に行きませぬと云ふ答を得るのでありますが、殊に近頃は「バス」が併行してあつた所がなくなつて、一層不自由を感じて居りますが、どう云ふことになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=103
-
104・伊能繁次郎
○政府委員(伊能繁次郎君) 御話の内能く私共の方は分つて居りますが、御承知のやうに現在の旅客制限のあらましの内容と致しましては、各鐵道局から他の鐵道局へ跨る輸送、例を申上げますと、今宮崎の話がございましたが、門司鐵道局管内から關門隧道を越えて本土への輸送、それから門司鐵道局管内に於きましても二十「キロ」以上の旅行、それから二十「キロ」未滿の旅行、大體まあ斯う云ふ三段階位に分けて居りまして、他の鐵道局に跨る輸送に付きましては枚數を中央で大體列車の筋と輸送力と睨み合せまして發賣を致して居ります、それから自分の鐵道局内に於きましての輸送は、それぞれ自局の輸送状況に睨み合せて發賣を致します、それから二十「キロ」未滿の輸送と申しますと、俗に下駄を履いて歩くに等しい輸送に付きましては、原則として制限をしないやうにと云ふやうに指令を致して居りますのでございますが、今御言葉のございましたやうに、其の日其の日に依りまして非常に混む、殊に宮崎以南、實は私も終戰直後迄あちらの方に勤務致して居りまして、能く状況を存じて居りますが、志布志線等に付きましては、所謂地方的な交通でありますので、それだけに付てでありますれば、もう發賣を致すことは少しも差支へないのでございますが、御承知のやうに、列車が非常に少くなりましたので、志布志線から本線、日豐本線とか鹿兒島本線に出る客と、又日豐、鹿兒島本線等から志布志線へ流れて參ります其の御客の量と云ふものが大體毎日分つて居りますし、又列車毎に乘客の乘車效率が百何十「パーセント」になつて居ります、特に酷い時には二百「パーセント」か二百五十「パーセント」にもなつて居りますが、さう云ふ調査も略略出來て居りまして、それに應じて發賣を致して居るのでありますが、時に雨でも降りましたとかなんかの事情で、月曜日でございますとか云ふやうな時には、列車に依りましては非常に空いて居る、さう云ふ際に自分の驛の時には空いて居るが次々の驛には果してどう云ふ状況だらうかと云ふことも通信施設も、最近御承知のやうに、あの方面は特に酷い損傷を受けまして、不完全なものですから、つい時に依りますと規定の發賣枚數だけを賣ると御斷りを申上げると云ふやうなことがあつたのではなからうかと存じますが、原則と致しましては二十「キロ」未滿の、自分の驛を中心にした二十「キロ」未滿の輸送は御自由に願ふ、現に省線區間なども、電車區間などは發賣制限を、山手の「ライン」は一時間十分程掛りますが、發賣制限も致して居りませぬし、横須賀線、總武線、大宮方面でも發賣制限を致して居らないのでありますが、さう云ふ状況になつて居りますが、さう云ふ趣旨が或は徹底しなかつたのでありませうが、さう云ふ事態がございますれば、私の方からもさう云ふ點に付て注意致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=104
-
105・竹下豐次
○竹下豐次君 今の御話で筋道は分りましたのでございますが、近い所だから歩けと云ふやうな調子が實はないでもない譯なんであります、それから私共素人で能く分りませぬが、鐵道電話、是も相當に利用が出來る筈でありますから、前の發車驛でどの位の混雜の状態だと云ふことは直ぐ分る筈だと思つて居ります、戰爭中もさう云ふ今申したやうなことが長く續きました、終戰直前は非常に機銃掃射などで此の邊よりも酷い状態でありましたので出來なかつたと思ひますが、此の頃は又大分囘復した筈だと思つて居りまして、そろそろ本調子に還られて良いのぢやないかと云ふやうな氣持もして居るのであります、今私自分の郷里の近くのことだけ申上げましたが、他にも澤山類似したことがある筈だと云ふ感じも致すので、此の席で地方問題を取上げまして御尋ねしたやうな次第であります、出來るだけ簡略に御便宜を圖つて戴くやうに御盡力を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=105
-
106・明石元長
○男爵明石元長君 本數の問題でありませぬが、當局の注意を喚起する意味に於て申上げて置きたいと思ひます、近頃貨物輸送に付ての信頼性と云ふものが非常に世間に薄くなつて居る、非常に物が無くなるとか、中身を拔かれると云ふことが當り前のことの如くになつて居るのであります、是は昔からさう云ふことはあつたのでありますが、特に此の頃は殆どそれが常識であるかの如く世間では言つて居るのであります、國有鐵道として甚だ其の綱紀の上に殘念なことだと思ひます、當局から何等かさう云ふやうな事實を御認になつて居るか、又それに付てどう云ふ風に御考になつて居るのか承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=106
-
107・伊能繁次郎
○政府委員(伊能繁次郎君) 御答へ申上げます、甚だ申譯ないことと存じまするが、御指摘のやうな點が全然ないとは申上げ兼ねるやうな状態に相成りまして、過去の實績を色々調査致して參りますると、御承知のやうに國民道義の低下其の他の事情から、戰前に比較致しますと、戰時中も逐次殖えて參つた、若干づつ殖えて參つたことは仰せの通りでございます、又終戰後の混亂も一部加はりまして、最近に於ては稍稍其の状況が顯著であると云ふやうに私共も存じて居ります、甚だ申譯ないことと存じまして、之に付きましては有らゆる措置を講じて居ります、其の原因に付きましては集團的な、何と申しますか、泥棒のやうなものも相當に取押へも致しましたし、又斯樣な席で申上げるのは申譯ないと思ひますが、一部職員の中に出た者もございます、さうして是等に付きましては、單に國有鐵道だけではないと思ひますが、日本全體の國民道義の問題だらうと存じますが、戰時中成績の不良であつたものに付きましては、最近に斷乎たる處置を執りまして數萬名を解雇致しまして、それと同時に大宮でありますとか、汐留でありますとか、新宿であるとか田端であるとか、ああ云ふ大きな操車場に付きましては、内地人以外のものが相當に集團的に、半ば警察力を以ては押へられぬと云ふやうな事態も既に起つて居ります、それ等のことも心配致しまして、最近ではさう云つた數十「キロメートル」線路のある所、而も其所には毎日數千輛の貨車が出入りをすると云ふやうな所に付きましては、數十名の自警團を組織致しまして、毎時間數名づつそれぞれの構内の各方面から巡察を致しまして、貨車の封印が完全であるかどうかと云ふやうなことも檢査を致しますと同時に、又小口輸送等に付きましても、復員等の職員が大分還つて參りました、それ等を活用致しまして、從來よりも乘務員を倍若くはそれ以上附けまして監察に當る、又旅客列車等に付きましても、御承知の如く單に旅客列車の客車の中だけでなく、荷物車の中と云はず、屋根の上と云はず、滿載の状態に相成りますものですから、偶偶荷物車へ入つた旅客が荷物を持つて行くと云ふやうな事態も絶無とは申上げられませぬ状態でありますが、それ等に對する處置、更にほとほと困窮致して居りますのは、東京附近竝に名古屋附近、大阪附近の驛が殆ど大部分戰災に遭つて居りまする爲に、保管庫が絶無と申しても宜い状態であります、從ひまして保管庫を急造致して居りますが、どうしても無い所は貨車をして保管庫に充てなければならぬ、或は「ホーム」の上屋の下を保管庫にして、其處には竹矢來、若くは看視人を附けて保管すると云ふやうな状態で、私共も有らゆる處置を講じて事故の防止に當り、嘗て國有鐵道の持つて居りました世の中の信頼を囘復致したい、斯樣な考を持つて居ります、只今御指摘のやうな點に對しては最近ないと云ふことは申上げられないやうな状態で誠に申譯ないと思ひます、是が撲滅に付ては全力を擧げて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=107
-
108・明石元長
○男爵明石元長君 只今の御答辯で能く了承致しました、斯う云ふ際で國内が混亂した際であり、殊に國民一般の道義は低下した際でありますから、色色苦心される所はあると思ひますが、特に鐵道部内關係でさう云ふことがあると云ふことは誠に殘念だと思ひますので、それから今日食糧の問題もあり、僅かばかりの戰災を免かれた疎開貨物と云ふやうなものもあるのであります、さう云ふ意味に於て國民生活安定の爲に今後も一層御注意を希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=108
-
109・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) それでは運輸省關係は之に止めまして、次に司法省關係を御願ひします、司法省の政府委員より御説明を煩します、此の緊急勅令に基いて發せられた司法省令の説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=109
-
110・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 司法省と致しましては、まだ此の勅令に基いた、勅令の関係はございませぬでございます、省令として一部變更があつたと思ひます、其の點の調は此處に持合せて居りませぬ、今早速取寄せまして御報告を致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=110
-
111・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 司法省令では昭和二十年司法省令第五十二號で、國防保安法、治安維持法、思想犯保護觀察法等の思想關係法令の廢止と云ふのがありますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=111
-
112・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 御質問の要旨が私の方に連絡が十分執れて居りませぬでしたので、其の資料を持つて參りませぬでした、直ぐ持つて參りますから、暫く御猶豫を戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=112
-
113・土岐章
○子爵土岐章君 議事進行に付て……如何でせうか、只今仰せのやうにまだ御用意も出來て居らないのであるし、今日は此の程度で散會して、明日に爲さつては如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=113
-
114・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) もう時間も相當遲くなりましたから、それぢやさう云ふことに致しませう、明日は午前十時より開會することに致しまして、本日は是にて散會致します
午後三時二十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=114
-
115・会議録情報4
出席者左の如し
委員長 子爵 八條隆正君
副委員長 男爵 東郷安君
委員
公爵 二條弼基君
伯爵 黒田清君
子爵 土岐章君
子爵 松平親義君
山田三良君
松村眞一郎君
村上恭一君
大野緑一郎君
男爵 中川良長君
男爵 關義壽君
男爵 明石元長君
竹下豐次君
唐澤俊樹君
中島徳太郎君
松井貞太郎君
政府委員
法制局次長 入江俊郎君
大藏省金融局長 久保文藏君
大藏省外資局長 野田卯一君
第二復員官 山本善雄君
司法省刑事局長 佐藤藤佐君
文部政務次官子爵 三島通陽君
文部省學校教育局長 田中耕太郎君
農林省總務局長 楠見義男君
農林省畜産局長 蓮池公咲君
鐵道監 滿尾君亮君
同 伊能繁次郎君
運輸省海運總局長官 福原敬次君
運輸省港灣局長 後藤憲一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008901745X00619451205&spkNum=115
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。