1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○國家總動員法及戰時緊急措置法廢止法律案
○國民貯蓄組合法中改正法律案
○裁判所構成法戰時特例廢止法律案
○戰時民事特別法廢止法律案
○戰時刑事特別法廢止法律案
○判事及檢事の退職竝に判事の轉所に關する法律案
○鐵道敷設法戰時特例廢止法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十年十二月六日(木曜日午前十一時十二分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=1
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002・向山均
○委員長(男爵向山均君) 只今から開會致します、本日本委員會に付託になりました鐵道敷設法戰時特例廢止法律案に付き運輸大臣の御説明を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=2
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003・田中武雄
○國務大臣(田中武雄君) 鐵道敷設法戰時特例廢止法律案提案の理由は、本會議で御説明申上げた通りでございますが、此の戰時特例は大東亞戰爭に際しまして、戰力増強上緊要の必要ある時は、政府は敷設法第一條及第二條の規定に拘らず、即ち鐵道敷設法の定める豫定線路以外のもの、或は豫定線でございましても繼續費豫算に計上せられざるものを、早急に調査敷設することを得るものと致しまして、此の場合鐵道會議の諮詢を經べきことを規定致して居るものでございます、政府は遂に戰爭中、本戰時特例に依り鐵道線路の調査、敷設をすることはございませぬでしたが、終戰に伴ひまして、此の戰時特例は必要がなくなりましたので、茲に之を廢止せむとするものでございます、どうか御審議の上御協贊下さいまするやうに御願を申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=3
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004・野村益三
○子爵野村益三君 本法律案に關聯するのでありますが、近來の鐵道の非常状態に付て、大臣の御考を承つて見たいと思ひます、近頃主として石炭の不足に依つて、鐵道が正に非常な悲慘な状態、我々から見れば誠に御同情に堪へない状態になつて居るのであります、我々の承知して居る所に依りましても、旅客の列車が五割、貨物の列車が三割にならむとする状態に在る、從つて急行の乘客竝に短距離の旅客と云ふものは、非常な制限を受けなければならないと云ふやうな譯であります、申す迄もなくさう云ふ風な輸送關係であれば、戰災後の復興、或は住宅の問題、殊に食糧の問題なども非常な茲に惡影響を蒙らなければならぬ、正に社會の一大事と危惧される状態に立到つたのであります、我々も心配に堪へないのでありますが、どうぞ一つ其の現状と、竝に之に對する處理と云ふことに付て、腹藏ない御話を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=4
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005・田中武雄
○國務大臣(田中武雄君) 私は御承知の通り就任後日淺うございますので、御滿足の行く御答辯が出來ないかも存じませぬから、其の節には政府委員から詳しいことを御話申上げることを、豫め御許し願ひたいと思ひます、最近の鐵道に於きましては、毎月列車運轉用と致しましては、石炭の事情から申上げますと、大體五十五六萬「トン」の石炭を使つて居つたのでございます、終戰後に於きましても、貨物輸送の激減にも拘りませず、旅客輸送の方向はどう云ふ状態かと申しますと、或は復員の輸送であるとか、或は俘虜、鮮人、華人の歸還輸送であるとか、或は疎開復歸等に附帶しまする色々な輸送、又は殊に目立ちまするのは、食糧の不足に依りまする買出し旅行、詰り一人で以て二人分も三人分もの面積を取ると云ふ風な、唯さへ足りませぬ上にさう云ふ風な状態が激増致しました爲に、戰時中にも劣らないやうな状態が實は出て參りまして、我々と致しましては、是ではどうも困る、何とか假令少しでもと思ひまして、列車の運轉方に付て考へて居りましたのですが、戰時中の貨物列車の方を減しまして、其の方の分を今度は旅客列車の方へ向けたらばどうだらうかと云ふ風なことで、「ダイヤ」の編成を致したのであります、御承知の通り此の編成は、鐵道省が見透しを誤つたと云ふ御叱りを受けましても、何とも申上げやうもないのでございますが、兎に角斯う云ふとんとんのことにして能率を良くしようと云ふ風なことでやつたのでございますが、今日新聞でも能く御覽のやうに、十二月の石炭割當と云ふものが意外に少いものでございまするから、どうしても身を切るやうな思ひで、折角民生安定の爲の一助と云ふやうな意味で致しましたのに、又近いうちに只今仰せのやうに減さねばならぬやうな状態が出來ましたのは、誠に遺憾で、申譯なく存じて居るやうな次第でございます、併し石炭の割當を初めからちつぽけに致して參りましては、能く御承知のやうな状態の上、此の儘で餘りに消極的に致しましても、是は尚ひどいことに相成りますので、まあ出來る範圍に於て何とかしたいと云ふ風なことで致したやうなことでございますが、唯併し其の割當をずつと受けた儘ではどうにもなりませぬので、是は商工省の問題であるとか、運輸省の問題であるとか、或は又農林省の關係であるとか云つたやうなことが一丸になつて當つたら宜からうと斯う云ふ譯でありまして、先日來各一丸となつて連絡致しまして、石炭を餘計に廻すと云ふことが第一の問題でありますが、せめて所要量を本州で以て三十萬「トン」、北海道、九州で十一萬「トン」、計四十一萬「トン」位で客車、貨車の運行計畫を編成致しまして、只今極力努力中でございます、之が爲には各鐵道の方も數千人の人間を、一つ山へ向けようと、只今差當り東鐵の管内で千五百人位の人を、是は今日の新聞にもちよつと出て居つたと思ひますが、入れて居りますが、全國に亙りまして必死の努力を致しまして、是は一丸となつて、兎に角鐵道自身が自分の所のものでございまするから、若し汽車が止まると云ふやうなことになつては、是は大變なことでございますから、一生懸命になつてやつて居るのであります、打ち明けて申しますと假りに割當量の儘で汽車を動かすと云ふことになりますと、實の所、客車を全部止めてしまひまして、貨物だけ動かすと云ふことになりましても、それでまだ石炭が五千「トン」位足りないと云ふやうな状況の中から、何とか立上らうと云ふ努力を致して居るやうな譯でございます、從つて旅客の輸送人員を愈愈其の中から、只今仰せになりましたやうな標準で、減らすことに相成りますと、一般旅客と定期旅客との比率が四十五「パーセント」對五十五「パーセント」でございますので、其の四十五「パーセント」の一般旅客に付きましては、約五十「パーセント」程度の旅行規正を行ひまして、又定期の旅客に付きましても十二月十日から一月末日迄汽車區間學生定期券の全面的使用の停止を行はざるを得ないやうな窮状でございまして、結局旅客輸送全體と致しまして、三十四「パーセント」程度の規正となるのでございますが、此の規正率は從來戰時中から色々と實施致しました經驗に徴しまして、もう是は最大限とも言ふべきものでございまして、是以上の規正は事實上不可能ではないかと存じて居るやうな現状でございます、他方石炭の確保に付きましては、先程ちよつと申上げましたが、今後先程申上げましたやうな線に沿ひまして、一生懸命で以て全力を擧げて、之に付きましては、こちらの首腦部、技師、それに熟練せる者等は全部動員致しまして、何とかして此の國家の動脈を停止しないやうに、動脈硬化に陷らさぬやうに誠に微力ながら努力を致して居るやうな次第でありまして、一つ此の上共國民諸君の御協力を御願して、何とか難關を切り拔けたいと考へて居るやうな現状であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=5
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006・野村益三
○子爵野村益三君 御苦心の數々は誠に御同情に堪へませぬ、尚此の上必死の御努力を期待する譯であります、只今申せられた四十何萬「トン」の石炭の入手が出來まして、さうして尚先刻申上げたやうな旅客列車に於て五割、貨物列車に於て三割と云ふものに止まる譯になるのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=6
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007・田中武雄
○國務大臣(田中武雄君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=7
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008・野村益三
○子爵野村益三君 旅客に對しての制限は今伺つた通りでありますが、貨物の運輸に付て、そこに何等かの、謂はぱ大小輕重を測つて重點主義に運輸されると云ふことがなければならぬと思ひますが、それはどう云ふことになりますのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=8
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009・田中武雄
○國務大臣(田中武雄君) 仰せの通りでございます、只今貨物を減らした程度でございますと、正直に申上げてしまひますと、石炭と食糧で手一杯でございます、そこでそれなら一體「セメント」はどうなるのか、若しくは其の他必要な物はどうなるのだ、色々と今日肥料關係でございますとか、何とか、色々なものがございますから、それはどうなるのか、斯う云ふ風になつて參りますと、そんなら運べないぢやないか、斯う云ふことになりますのでございますが、そこは輸送の間に、例へば木材なら木材を混ぜて運ぶと云ふよりは一つ所へかたつと固めてずつと引張つて行くと云ふ風な方法で大體解決出來るだらうと云ふ見込で只今やつて居るやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=9
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010・野村益三
○子爵野村益三君 北海道に付ても色色食糧難があり、當局者は苦心されて居る、又我々も北海道から輸送さるべく期待すべき食糧がある、其の北海道から本州に至る輸送關係と云ふものは、只今御苦心に相成つて居る範圍に於てどうなるのでございますか、餘程減りますか、減ればどの位になりますか、今の現状に照らした御考はないと云ふ御見込でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=10
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011・田中武雄
○國務大臣(田中武雄君) 一番窮屈なのは本州なんでございます、それで北海道と九州は本州に較べますと少し裕りがございますので、本州に於ける規正のやうな非常な窮屈な比率をあちらの方にはやらなくても濟むのではないかと私今考へて居ります、それから御承知の通り連絡船を全部やられてしまひまして、全體の損害で二十三隻すつかり食はれてしまつて居るのでございます、そこで只今色々は融通を致しましてやつて居りますが、是はちよつと鐵道から曲りまして船の方になるのでございますが、優先的に連絡船を造船所でどんどん今拵へて居ります、斯う云ふ風なことで、現に最近出來て居るものも確かあると思ひます、此の交通の方は本州のやうな窮屈な状態でなくて行くだらうと云ふ所かと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=11
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012・野村益三
○子爵野村益三君 そこで今炭坑に鐵道關係から増援隊を送られる、既に一千五百人送られたと云ふことでありますが、なかなか一千五百名位では事足らぬと思ひますので、尚是から相當増加をされることと思ひますが、さうなると鐵道に關する從業者の關係はどうなりますか、無論鐵道の結滯を生じたのは、石炭の不足と云ふことは是は明瞭な事實でありますが、或は從業者の關係、勞務者の關係と云ふものがあらうと思ひます、さう云ふことから又幾千名の増援隊を送る、尤もさう始終ではなく、或一定の時期を區切つておやりになるのでせうが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=12
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013・田中武雄
○國務大臣(田中武雄君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=13
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014・野村益三
○子爵野村益三君 そこで從業者の方には關係が無論ありませうが、大した支障はなく御やりになる、斯う云ふことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=14
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015・田中武雄
○國務大臣(田中武雄君) 勿論關係はございますけれども、只今仰せになりましたやうに、是はもうさう何時迄もと云ふことでございませぬので、其の間の繰合せ等は大體付いて居るやうに承知を致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=15
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016・野村益三
○子爵野村益三君 大體目下の憂慮すべき状態に付ては御話を承つたのでございますが、尚外の重要事に付て好い機會であるので大臣の御考を承つて置きたいのですが、それは誠に只今運輸關係が正確を缺いて來たと云ふ事實でございます、無論其の道程に於ける色色の混雜、それから不整頓と云ふことは、是は目に餘ることなんで、私も實は自白を致しますと、此の間甲州から信州に旅行をした時に初めて窓から飛び込んだ、已むを得ない、飛び込まなければ入ることが出來ない、車内の混雜、不整頓と云ふものは、是は言ふ迄もなく話なんですが、私は豫ね豫ね思つて居るのでありますが、一體國民、殊に日本國民の社會道徳と云ふものは車内から始る、電車にしろ、汽車にしろ、車内道徳と云ふものが日本、殊に國民道徳の根源である、斯う見て居る、其處で八月十五日の大詔を拜して御互に二、三日は目先が眞暗になつて、呆然として暮らしたのですが、兎に角あの混亂の末、一道の曙光を見出して漸く其の元氣を囘復した、それは結局將來の日本國民をどう云ふ風に仕立て上げるかと云ふ問題に付て私は斯う云ふ風に考へる、將來の日本國民と云ふものは世界に於ける最も道義に厚くなければならぬ、第二は世界に於て最も勤勉なる國民でなければならぬ、此の二つを築き上げることが、必要だ、それには色々條件があります、或は科學知識の昂揚と云ふやうなこともありますし、色々ありますが、或は秩序を守ると云ふことも必要である、數箇條ありますが、兎角其の二つが最も必要なことで、我々も其の點に副うて出來るだけの御奉公をしなければならぬと云ふことで、さう云ふ曙光を認めたので、實は元氣を囘復したのですが、大部是から老ひ先の御奉公が出來ると思つた、處で只今申すやうに國民道徳、殊に公民道徳の根源は車内、それから最も秩序正しいのは日本の鐵道にある、是はもう世界に轟いて居たのである、さう云ふやうに思ひ込んで居つたのに近頃の車内の状態を見ると其の混雜、無秩序、不整頓は御承知の通り、而して世界に無比を誇つた所の我が鐵道の發著の正確さはまるでなつて居らぬ、是も御承知でありませうが、此の帝都の附近の驛にも時計がない所が澤山ある、驛員に時を聞いても時計がなくて分らぬ、さう云ふやうなことで一體是はどうなるのかと思つて、是が所謂國民道徳の根源であり、正確を誇るべき基準になるのであると云ふことはまるで夢のやうになつてしまつた、其處でどうでせう、近頃せめては時刻の正確を期する爲に、驛員若しくは驛に正確な時計を出來るだけ早く配付なさると云ふことが是がまあ根源だらうと思ふ、其の點に付ては少くとも大臣はどう御考へになるか、どう云ふ風な方法を御採りになるか伺つて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=16
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017・田中武雄
○國務大臣(田中武雄君) 御尤もなことでございまして、物が三ある時に三が三の通りに付くと云ふのは是は當り前のことでございまして、斯う云ふ風に足りなくなつた時に正確に行くと云ふことが、本當に望ましいことと思ふのでありますが、それがどうも只今のやうな状態になつて參りまして、甚だ正確を誇つたと云ふのも其の正確さと云ふものに疑問を生じて來るやうな現況になつて居りますので、是は何とかして、時間が生命でございますので、取直しをやりたいと存じて居るやうな次第でございます、又時計の御注意も誠に適切な御説でございまして、是は當局も非常に苦心して居るやうでございますが、御承知の通り戰災でひどくやられまして、配給等もなかなか廻りませぬので、配給が廻らなければ直せば、宜いぢやないかと云ふ御叱りを受けるかも存じませぬが、極力やつて居りましても何分受入れ先が相當な多數に上るものでございますから、そんなに愚圖々々してどうするのだと云ふ御叱りを受けるかも知れませぬが、今年中位には只今仰しやる時計等の問題は何とか解決が付くのではないかと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=17
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018・野村益三
○子爵野村益三君 どうぞ一つ此の上ながら御努力を願ひたい、時計の話が出ましたが、私共は斯う考へて居ります、日本で惠まれて居るのは一つは水力電氣で、一つは時計であります、ああ云ふ精巧を誇るやうな技術と云ふやうなものは日本に於て最も發達すべきものだと思ふのであります、「スイッツル」の如きもさうなんです、ああ云ふことは日本の手先の器用な技術者の手に相應しいことだと思ふ、それで旁旁我々も時計で困つて居りますが、直接運輸省の御關係ではありませぬが、時計工業と云ふやうなことを、餘程好い機會であるので御主張になつて、商工省をして十分眞面目に其の方面に進むやうに是は御協力を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=18
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019・田中武雄
○國務大臣(田中武雄君) 御注意有難うございました、左樣に一つ尚此の上とも致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=19
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020・野村益三
○子爵野村益三君 私の質問は是で一先づ打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=20
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021・向山均
○委員長(男爵向山均君) 外に御質問ございませぬか、鐵道敷設法戰時特例廢止法律案に付きまして御質問ございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=21
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022・河瀬眞
○子爵河瀬眞君 ちよつと關聯して伺ひたい、今度戰爭になつて大部「レール」を取外した所があるのでございます、詰り廢めた所がある、あれは今後どう云ふ風にされる御豫定でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=22
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023・田中武雄
○國務大臣(田中武雄君) それは仰せの通りでございまして、「レール」を取外しまして片方へ流用致しました、其の時にも必ず是は戰爭が濟めば元の方へ返すからと云ふ風な約束も相當出來て居るのでございます、私の就任の前のことでございますが、之に付ては無論公約は實行する積りで居りますので、其の状況に應じまして無論原則として是は其の前の状態に復歸するやうに計りたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=23
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024・向山均
○委員長(男爵向山均君) 外に御發言はございませぬですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=24
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025・三須精一
○男爵三須精一君 ちよつと伺ひます、此の度五割の規正をされるのでありますが、是は一方燃料局の方でも採炭に付ては非常な馬力を掛けて居りますが、大體是が元に復歸するには、何時時分になるかと云ふ御見込があれば、それを伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=25
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026・田中武雄
○國務大臣(田中武雄君) 只今の所では先づ一月一杯位には上向になつて來るだらうと思ふのでございます、御承知の通り、あの「ダイヤ」を組みましても、處理の方法としては運轉休止、運休と稱するやつでございます、あれでずつと棒を引きまして、ずつと出廻りに連れまして、運休の板を剥がして行かうと云ふやうな風なやり方でずつと元に戻して參ると、大體一月一杯で以て、出來ることならば復元の状態に置きまして、所期の計畫を進めたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=26
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027・三須精一
○男爵三須精一君 もう一點伺ひたいのは、地方から非常に貨物を輸送するに對して、紛失事件が非常に多いのでございます、之に付きましては十個出しても一個必ず無くなるとか、非常に非難があるのであります、此の點に付きまして、當局としては如何に取締り、或は其の他に付ての御考に依つて御努力なさつて居るのでせうか、其の點を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=27
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028・田中武雄
○國務大臣(田中武雄君) 是は誠に申譯ないことでございまして、殊に此の頃の特徴は宛名の人が相當著名な人でございますと、却つて反感的に物の頭を撥ねるやうな状況が殖えて參りまして、誠に心配をして居るのでございますが、是は各局を通じまして、全國に發令を致しまして、嚴重にそれをやるやうに今申して居る、具體的に申しますと査察隊と申しますか、監視隊と申しますか、と云ふやうなものを配りましたり、構内の色々な設備を、詰りまあ泥棒に入るやうな口を開けて居ると云ふやうなこともございますので、さう云ふ所は今度は垣根を嚴重にするとか、何とか云ふやうなことと、それから不寢番のやうな制度を拵へまして、絶えず監視をして居るとか、それから此の運搬をする人間の内部に向つても、十分取締を強化しまして、外から來る方を取締つて、内輪から變な手癖の惡いのが出ませぬやうに嚴重にして、内外應じたやうな處置を一齊に講じさせて居るのでございますが、御滿足の行くやうなまだ結果が出ませぬことは申譯がないと思ひます、さう云ふことだけ申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=28
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029・河瀬眞
○子爵河瀬眞君 ちよつと私もう一つ伺ひたいのですが、是は關聯は餘りして居ないかも知れませぬが、丁度好い機會と申すのは如何か存じませぬが、鐵道の煙でございますね、それで山火事を相當起した、處がそれを地方の人が言つても補償して呉れないと云ふことを能く聞くのです、それは私はさう云ふのを二、三の人から地方へ行つて聞いたのでございますが、もつと深い所は存じませぬ、さう云ふ風なことを可なり訴へる人が多いのでございますが、果してさう云ふことも如何になつて居りますか、實際の深い所を存じませぬが、一應御伺ひ致したいと思ふのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=29
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030・田中武雄
○國務大臣(田中武雄君) さう云ふ事故は實際にございます、例へば此の頃石炭が惡くなりましたので、非常に煤煙がぐつと斯う出ます、さうすると斯う切つた道の中なんかを參りますと、此處に木が生えて居る、之にぼうつと行くんです、それから矢つ張り是も炭が惡い例でございますが、火の儘でもつて飛ぶんでございますね、それが藁屋根の民家なんかに點きまして、或時なんか二十何軒も火事を起したと云ふやうな事故もございます、是等に對しては無論向ふの滿足の行くやうなことはございませぬが、正式の手續を經たものに對しては、現に相當に致して居りますのですが、若しさう云ふのが漏れたやうな所がございましたならば、十分に氣を付けて行きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=30
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031・向山均
○委員長(男爵向山均君) 外に御發言ございませぬければ、本案の討論に移りたいと存じます、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=31
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032・向山均
○委員長(男爵向山均君) 討論に入ります、本案に對する御意見が御ありでございましたら…、御發言ないと認めます、然らば本案を政府の提出案の通り可決すべきものと議決して御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=32
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033・向山均
○委員長(男爵向山均君) では鐵道敷設法戰時特例廢止法律案は政府の原案通り可決すべきものと決しました、次に今朝付託に相成りました司法省關係の法律案即ち裁判所構成法戰時特例廢止法律案、戰時民事特別法廢止法律案、戰時刑事特別法廢止法律案判事及檢事の退職竝に判事の轉所に關する法律案の四案を、一括政府委員の御説明を伺ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=33
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034・手代木隆吉
○政府委員(手代木隆吉君) 大臣は只今衆議院の選擧法委員會に出席中でありまして、こちらに御説明に伺ふことが出來ませぬので、私より只今議題になりました司法省提出四案に付て大體の提案理由を御説明申上げたいと思ひます、裁判所構成法戰時特例廢止法律案に付て提案理由を御説明申上げます、本法案は司法制度の戰時態勢を平時態勢に復せしめることを目的とするものであります、裁判所構成法戰時特例は大東亞戰爭勃發後司法制度を戰時態勢下に置くべき審級制度の整理、單獨裁判所の權限擴張等を主要なる内容と致しまして昭和十七年二月交付せられ、爾後戰局の推移に即應致しまして、昭和十八年十月及び昭和二十年六月の兩囘是が改正を行ひ、右の趣旨の徹底を期すると共に手續の簡素化の爲若干の規定を追加したものであります、是等の措置は同法と並行して制定され且つ改正されました戰時民事特別法及戰時刑事特別法と共に、戰時下勞務、資材、交通、通信の困難な状況下に於きまして、尚能く司法をして其の機能を維持せしむるに與つて力があつたのでありますが、之に伴ひます訴訟關係人の不利不便は之を蔽ふことを得なかつたのであります、今や終戰に伴ひまして、戰時中の諸般の障碍の内、或ものは漸く解消しつつあるのみならず、戰後の民力囘復の爲にも右の如き訴訟關係人の不利不便は速に之を除却し、其の保障の萬全を期さなければならないのであります、茲に政府は本法律案を提出を致し、戰時中の特例を一擧に廢止し、必要已むを得ざる經過規定等を設くることに止めむとするものであります、舊法廢止の效果として注意すべき點は以下に述べます三點であります、第一點は戰時中已むを得ず採用した二審制度を三審制度に復歸せしむることであります、唯現に繋屬中の上告事件及抗告事件に付きましては舊法に依つて手續を進展せしめる外ないのでありますから、附則に之を規定致したのであります、第二點は戰時中擴大されました區裁判所の事物管轄が刑事に付ては舊に復歸することであります、其の結果比較的重要な刑事事件は總て合議裁判所である地方裁判所に於て審判されることになるのであります、唯民事に付きましては戰時中擴張されました事物管轄の限度二千圓は其の後の經濟状態に鑑みまする時は、現在既に尚過小の感があり、寧ろ之を更に引上げる必要あることを思はせるのでありますが、今後の情勢の推移の状態が遽に逆睹し難い今日、直ちに之が引上を決定することも其の時期でないと考へますので、當分の間現状の儘に据置くことと致しました、附則第三項中第二條に關する部分が即ちそれであります、第三點は裁判所の設立、廢止及管轄區域竝に其の變更は、事の重要性に鑑みまして爾今戰前同樣法律を以て定むることを要することになつた點であります、以上三點の外舊法廢止の結果として戰時中擴大された判事代理の制度も舊に復し、裁判所書記の立會省略の如きものも將來は之を認められなくなるのであります、唯裁判所の廳舍外の執務、法服の省略等の制度は現状に鑑みまして當分の内之を存置することと致したのであります、以上が本法案の提案の趣旨であります、次に戰時民事特別法廢止に關する法律案提案の理由を御説明申上げます、終戰に伴ひまして一切の戰時色を拂拭し新日本建設の第一歩を踏出すが爲戰時に於ける臨時に關する特例を定めた戰時民事特別法、以下説明の際には之を舊法と申しまするが、それを廢止することになつたのであります、而して本法案の本文に於ては舊法は一應之を全面的に廢止することを建前と致して居りますが、同法中特に緊急已むを得ないものに限り暫定的に尚當分の間效力を有せしむることとし、本法案は之を其の附則に規定致しました、以下簡單に之を御説明致します、第一に舊法中には、戰時に於ける諸物資、就中新聞紙等諸用紙の供給の極端に窮屈なることに原因致しまする幾多の規定があるのであります、裁判所が官報及新聞紙を以て公告をすべき場合新聞紙等に於ける公告を取止めた第三條、又裁判所の爲すべき登記事項に關する公告全體を取止めました第二十條、登記簿、謄本又は抄本、其の交付に代へまして其の記載事項に變更なきことの證明書を以て致しました第二十一條、登記簿の作成、登記申請等に關して簡易な手續を規定致しました第二十二條の諸規定は主として、此の種の立法の趣旨に基くものであります、然るに右新聞紙を初め其の他の諸用紙の需給事情は終戰後の今日に於きましても、戰時中と殆ど異らないものがあるのであります、從つて本法案に於きましても前述の各規定は當分の間尚其の效力を有せしむることと致したのであります、第二に舊法中には必ずしも戰時中に限り之が適用を必要とする規定ではなく、豫て實務取扱の經驗上多年之が立法を要望せられて來ました幾多の事項中特に緊急なものを民事法の改正を機會に同法中に規定したものもあります、斯くの如き規程は一旦舊法廢止と共に一應其の效力を消失せしむるも、政府は更に檢討の上後日恒久法として立案提出することを考慮して居りますが、其の内に付特に舊法第十四條乃至第十九條に規定した民事調停に關する規定は戰時中に於けるよりも終戰に接著する今日に於て其の適切なる運用が一層期待せらるると共に他日恒久立法に繰入れられました際に於ける戰後連絡を缺く等のことをなからしむる必要上、本法案に於て一應當分の間尚其の效力を有せしむることと致したのであります、第三に本法案には舊法廢止に關し、立法技術の上から當然考慮せらるべき經過的規定と致しまして、前述の第二十條に於て登記事項の公告の取止めに關聯して規定せられた、昭和二十年法律第九號附則第三項の規定、舊法の規定に基き停止又は中止した強制執行、又は破産手續の爾後に於ける進行に關聯致しまして規定せられた、舊法第十一條第二項及第十二條第二項の規定は、當分の内尚其の效力を有すべきことを規定致したのであります、第四には本法案と同時に提出致しました、裁判所構成法戰時特例廢止に關する法律案に於て、裁判所構成法戰時特例第二條の規定、即ち區裁判所に於ける事物管轄の範圍を二千圓に擴張致した點でありますが、之を當分の内其の效力を有せしむる旨規定しましたのに對應致しまして、訴訟物の價額算定に關する舊法第五條の規定を、又右法律案に於て、現に繋屬中の上告事件に限り、尚裁判所構成法戰時特例第四條乃至第六條の所謂、二審制度の規定が效力を有せしむる旨規定したのに對應して、其の上告審に於ける手續に關する、舊法第十條の二及第十條の三の規定を本法案に於ても、尚當分の内現に繋屬中の上告事件に對し其の效力を有せしむべき旨の經過規程を設けたのであります、最後に舊法廢止の結果舊法の規定に依つて爲したる手續の效力に付、注意的規定を致したのであります、以上が本案提出の理由であります、次に戰時刑事特別法廢止に關する法律案の提案理由に付て御説明を申上げます、戰時刑事特別法は昭和十七年三月二十一日施行せられ、爾來數次の改正を經て今日に至つたのでありまするが、同法律は申す迄もなく、刑法竝に刑事訴訟法が主として平時を對象として規定されて居り、戰時下に於ける犯罪の豫防、竝に鎭壓を目的とする法規としては不十分であります、爲に戰時下に於て國内の治安等を著しく阻害する犯罪に對しては、刑法所定の刑罰を加重整備し、一般豫防の目的を徹底化しますると共に、刑事手續に付ても應急の措置として、戰時に相應せる特例を設けて、事件の迅速なる處理を期する爲に制定せられたものであります、然るに御承知の如く大東亞戰爭は既に終局を告げまして、國内に於ける諸般の情勢も逐次平時の状態に復しつつあるのであります、從ひまして戰時刑事特別法を制定するに至りました理由は一應茲に消滅した譯でありまするので、是が廢止法案を提出致した次第であります、本法案の條文は極めて簡單でありますが、先づ本文に於ては戰時刑事特別法を廢止することに規定したのでありますが、一先づ全般に亙りまして之を廢止することと致して居るのであります、次に附則第一項は本法施行の期日は勅令を以て之を定むることとし、附則第二項以下に於きまして若干の經過規定を設けたのであります、即ち附則第二項は本法施行の日迄に戰時刑事特別法第一章に規定する罪を犯しました者に對しましては、本法施行後と雖も、從前通り同法第一章の規定に從つて之を處斷することと致しまして、處罰の公平を期した次第であります、附則第三項は、戰時刑事特別法第十九條の二の、裁判所が土地管轄に關する規定に拘束されることなく、自ら事件を審判し、又は他の裁判所に之を移送し得る所の旨の規定と、同法第二十三條第三項の、裁判所が審判の必要上、商工會議所其の他の團體より求めたる報告書は、原則として公判廷に於て取調べなければならぬ旨の規定、及同法第三十一條中陸海軍の軍法會議の刑事手續に付、右の規定を準用する部分、竝に同法第二十五條の地方裁判所の事件に付、被告人等の供述を録取しる書類にして、法令に依り作成した訊問調書にあらざるものに付、既存の證據力の制限を排除する旨の規定は、本法施行前に公訴を提起したる事件に付ては本法施行後と雖も尚其の效力を有するものとし、附則第四項は曩に御説明致しました裁判所構成法戰時特例廢止に關する法律案の附則第五項に依り裁判所構成法の戰時特例に定むる裁判の二審制に關する規定が現に繋屬中の上告事件に付ては同法律廢止後と雖も、尚其の效力を有することと相成りまするので、之に對應致しまして、本法施行の際、裁判所構成法戰時特例の規定に基き、現に繋屬中の上告事件に付ては、上告理由及上告審の手續に關する戰時刑事特別法第二十七條の規定も亦、本法施行後と雖も尚其の適用あることを明かにし、附則第五項は本法施行前戰時刑事特別法の規定に依り爲したる手續は本法施行後と雖も尚其の效力を有するものと致しまして、孰れも手續の無用なる紛淆、混亂を避けむとしたものであります、以上本案提出の理由の概要を御説明申上げたのであります、最後に判事及檢事の退職竝に判事の轉所に關する法律案提出の理由を御説明申上げます、本法律案は終戰に伴ひ一般官吏の減員を行ふに際しまして、判事及檢事に付ても減員を行ふ爲、減員豫定數二百二十八人に付て裁判所構成法に定められた判事及檢事の地位の保障を一時制限せむとするものであります、元來判事は終身官として憲法上其の身分を保障せられ、刑法の宣告又は懲戒の處分に由るの外其の職を免ぜられることがないことになつて居り、又之に退職、轉所等を命ずることも裁判所構成法に依つて制限されて居ります、檢事の退職に付ても同法に同樣の制限がございますので、今囘の行政整理を判事、檢事にも及ぼす爲には、法律を以て裁判所構成法の右制限を排除するの必要があるのであります、仍て本法案では此の制限を最小限度に排除する爲、判事、檢事を通じ減員豫定數二百二十八人に付昭和二十一年三月三十一日迄を限り之に退職を命じ得ることとなさむとするものであります、加之憲法の精神は行政權を以て濫に判事の地位を動かし得ないことを保障するにあるのでありまするから、判事に退職を命ずるにしましても、司法大臣の專權に委ねることは適當にあらずと考へまするので、其の願に依る場合の外は大審院の總會の決議を經ることを要するものとし、更に其の決議を愼重ならしむる爲、其の總會は大審院の判事三分の二以上出席して之を開き、其の決議は出席者の三分の二以上の意見に依り之を爲すこととしたのであります、尚以上の措置に依り判事及檢事に退職を命じた場合には、之に伴ひ判事及檢事の配置換への爲、之に轉所を命ずる必要がありまするので、判事の轉所に付ては同年四月三十日迄前述裁判所構成法に定むる保障を一時撤廢せむとするものであります、以上が本案説明の大要でありまするが、以上御説明申上げました四案に付きまして何卒愼重御審議の上速かに御可決あらむことを御願ひ致す次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=34
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035・向山均
○委員長(男爵向山均君) 午前は是で休憩することに致します、午後は一時半から引續き只今の法案に付ての審議に入りたいと思ひます
午前十二時十四分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=35
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036・会議録情報3
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午後一時三十九分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=36
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037・向山均
○委員長(男爵向山均君) 只今から午前に引續きまして委員會を開催致します、先づ御諮りしたいのでございますが、司法省關係の法律案中裁判所構成法戰時特例廢止法律案、戰時民事特別法廢止法律案、戰時刑事特別法廢止法律案の三案を一括して審議に移りたいと存じますが、如何でありますか──左樣に致したいと存じます、之に關する御質疑なり、御發言を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=37
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038・三須精一
○男爵三須精一君 私は此の廢止法律案に付きまして戰時中に於きまする所の、此の特別法が出ましてからの犯罪の状態を知りたいと思ふのであるが、其の大略でも宜しうございますから、一度御話を願ひたいと思ひます、戰時中に於きまして、此の特別法が制定されまして後、現在迄に色々な犯罪事項に付て之に牴觸するやうなものも可成り多かつたらうと思ひますが、其の状態はどう云ふやうな状態であつたか、此の廢止せられない前の現在迄の事件でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=38
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039・岩田宙造
○國務大臣(岩田宙造君) 只今の御尋は此の戰時中の特別法に觸れた事件がどう云ふ風であつたかと云ふ御尋でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=39
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040・三須精一
○男爵三須精一君 其の状況でございます、大體で宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=40
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041・岩田宙造
○國務大臣(岩田宙造君) それは相當數あつたのでありますが、其の數、其の他に付きましては政府委員の方から御説明申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=41
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042・向山均
○委員長(男爵向山均君) ちよつと御諮り致します、説明員の説明を聽かうと存じますが、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=42
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043・向山均
○委員長(男爵向山均君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=43
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044・野木新一
○説明員(野木新一君) 生憎統計が燒けてしまひまして、昭和十六年十二月から昭和十九年七月、是は戰時刑事特別法の出る前の戰時犯罪處罰に關する件が一部含まれて居りますが、それ迄の正確な統計がありまして、それ以後は是から推定して見ましたものですけれども、順次申上げますと、一番多いのは第一條の戰時放火關係でございます、是は昭和十六年十二月から二十年八月迄で、其の中十六年十二月から十九年七月迄は實際の統計に依存したものでありまして、それ以後はそれを基礎にして推定したものでございまして、それを加へますと戰時放火關係では裁判所の受理した人員が、第一條の戰時現住建造物等放火が四百七人、戰時非現住建造物等放火が七十六人、戰時放火豫備通謀、是は三人、第二條の戰時建造物等以外放火、是が七人、第四條の戰時強制猥褻、是が五百人、同致死傷四十四人、戰時強姦千百二十八人、同致死傷三百七人、只今裁判所受理と申しましたが、是は檢事局受理でございます、序でに起訴人員迄申上げますと、前後致しますが、最初から申上げますと、一番初めの戰時現住建造物等放火は受理人員四百七人で、起訴人員が二百六十九人、戰時非現住建造物等放火は受理人員が七十六人、起訴人員が四十四人、戰時放火豫備通謀、受理が三人、起訴が三人、戰時建造物等以外放火受理が七人、起訴が四人、戰時強制猥褻が受理が五百人、起訴が百六十二人、同致死傷が受理が四十四人、起訴が十五人、戰時強姦が受理が一千百二十八人、起訴が五百八十人、同致死傷が受理が三百七人、起訴が二百二十七人、戰時窃盜、是が絶對的多數を占めるものでございますが、是が受理が二萬六千二十五人、起訴が一萬八百人、戰時強盜、是が受理が七百七十一人、起訴が四百四十三人、同致死傷が受理が三百六十二人、起訴が二百六十一人、戰時強盜強姦が受理人員が三十六人、起訴が十人、それから戰時強盜強姦致死が受理が七人で起訴が零、それから第六條の戰時恐喝、是は受理が一千百十七人で起訴が三百二十八人、第七條の國政變亂殺人豫備、是が受理が四十九人で起訴が十七人、同じく第七條の國政變亂安寧秩序紊亂等宣傳、是は受理が一人で起訴が一人でございます、第八條の戰時防空公務執行妨害、是が受理が七人で起訴が一人、第十條の防空妨害が受理が十一人で起訴は零であります、第十一條の戰時通信妨害、受理が二十九人で起訴が七人、第十二條の「瓦斯」電氣利用妨害、受理が七人で起訴が二となつて居ります、第十三條の生産事業妨害、是は受理が七十二人、起訴が四十二人、第十五條の戰時賣惜買占、受理が二十一人で起訴が十人、第十六條關係の戰時往來妨害、是は受理が二百十一人、起訴が十三人、同致死傷が受理が十人、起訴は零となります、矢張第十六條關係の戰時電汽車往來危險顛覆、是が受理が三百二十七人、起訴が七十二人、戰時艦船往來危險覆沒、是が受理が十人、起訴が二人、第十七條の戰時住居侵入、是が非常に大きいものでありまして、受理一萬七百六十六人、起訴が五千八百九十九人、第十八條の戰時淨水毒物混入、是が受理が七人、起訴が一人、戰時水道損壞、是が受理が七人で起訴がなし、第十八條の二、三、五の戰時收賄、是が受理が三百八十四人、起訴が二百二十三人、戰時贈賄、是は受理が一千二百六十一人、起訴が六百一人、合計しまして、受理が四萬三千九百七十人、起訴が二萬四十七人と、斯う云ふやうなことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=44
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045・向山均
○委員長(男爵向山均君) 外に御質疑はございませぬか、では此の三案に付きましては、御質疑がないやうでございますから、討論に入りたいと存じます、御發言願ひます、此の三案に付きまして別に御意見がございませぬければ、三案即ち裁判所構成法戰時特例廢止法律案、戰時民事特別法廢止法律案、戰時刑事特別法廢止法律案の三案は全部政府提出の原案通り可決致すことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=45
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046・向山均
○委員長(男爵向山均君) では左樣決定致します、次に判事及檢事の退職竝に判事の轉所に關する法律案に付て質疑に入りたいと思ひます、別に御發言もなければ、本案の討議に入りたいと存じます、御發言願ひます、御發言ないと認めます、判事及檢事の退職竝に判事の轉所に關する法律案は全部政府の提出の原案通り可決致すことに御異議はございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=46
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047・向山均
○委員長(男爵向山均君) 御異議ないと認めます、原案通り可決致すことに決定致したいと存じます、是で司法省關係を終ります、是で本日の委員會を閉ぢます
午後一時五十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=47
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048・会議録情報4
出席者左の如し
委員長 男爵 向山均君
副委員長 子爵 宍戸功男君
委員
侯爵 四條隆徳君
侯爵 佐竹義榮君
子爵 野村益三君
子爵 河瀬眞君
男爵 三須精一君
男爵 古市六三君
竹内可吉君
大木操君
瀧正雄君
松本學君
合田健吉君
伊藤傳七君
國務大臣
司法大臣 岩田宙造君
運輸大臣 田中武雄君
政府委員
大藏省國民貯蓄局長 今井一男君
司法政務次官 手代木隆吉君
司法參與官伯爵 渡邊昭君
司法省民事局長 奧野健一君
司法省刑事局長 佐藤藤佐君
運輸省政務次官 新井堯爾君
運輸參與官 白川久雄君
鐵道監 伊能繁次郎君
同 岡田信次君
説明員
司法書記官 野木新一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00419451206&spkNum=48
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