1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
付託議案
○國家總動員法及戰時緊急措置法廢止法律案
○石油業法外十三法律廢止法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=0
-
001・会議録情報2
―――――――――――――――――――――
昭和二十年十二月十日(月曜日)午前十時十八分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=1
-
002・向山均
○委員長(男爵向山均君) 只今から委員會を開催致します、石油事業法外十三法律廢止法律案に付きまして商工大臣の御説明を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=2
-
003・小笠原三九郎
○國務大臣(小笠原三九郎君) 商工省關係の提出法律案でありまする所の石油事業法外十三法律の廢止に關する法律案に付きまして御説明を申上げます、當省關係の法律案の内容は一言にして申しますれば戰時色濃厚なる法律で、此の際廢止しましても別に混亂の起らぬ性質のものを撤廢致さうとするものでございまして、即ち石油業法以下九つの事業法の廢止、軍需會社法の廢止、輸出入品等臨時措置法の廢止、國家總動員法の廢止に伴ひ廢止せられる「國家總動員法第十八條の規定に依る法人等をして行政官廳の職權を行はしむることに關する法律」の廢止及石油専賣法の廢止が是であります、先づ第一に石油業法外九事業法の廢止の問題に付て御説明致します、所謂事業法の内容は各種事業法に付て共通に申しますれば、事業の開始に付許可制を採用して居ることと、免税其の他の經濟上の特典を與へられて居ること、及事業に對する必要な監督規定を置いて居ることが其の骨子を成すものでありまして、其の狙ひは各軍需事業の發達を助成せむとするにあるのであります、併しながら終戰と共に、經濟の基調に變化を來し、法律の規定を以て許可制度を採用することは、是等の事業に付ては、不適當でありますのみならず、免税其の他の經濟上の保護も企業の自由なる活動を基本とする今後の經濟の下に於きましては、當然撤廢すべきものでありますので、此の際一括して廢止することと致したいと存じます、以下各法律の一つ一つに付きまして、重複は致しまするが、御説明申上げたいと存じます、先づ石油業法でありますが、石油業法は石油精製業及輸入業の濫立、無統制に陷るの弊を防止し、併せて國防上の見地より、義務貯油の制度を設くることを主としたる内容の法律でありますが、今後に於ける事業の運營は官廳の指導に依り、十分其の目的を達することが出來まするし、且終戰と共に、義務貯油制度存置の意義も全く喪失致しましたので、此の際戰時經濟法規撤廢の一環と致しまして、本法を撤廢し、煩雜なる手續の負擔より免れしめむとするものでございます、次の自動車製造事業法は、國防の整備及産業の發達を圖る爲、自動車製造事業の確立を圖ることを目的として、之が達成の爲免税等の經濟上の助成援助竝に所要の監督を加ふることを規定したものでありますが、終戰と共に從來軍事的色彩が相當濃厚でありました自動車製造事業に付きましては、積極的擴充は不可能となり、且本法の根本原則たる許可制の存續も其の意義を喪失致しましたので、撤廢するも差支ないと認められますので、此の際戰時諸法令撤廢の一環と致しまして、之を廢止し、國家の手を加へない自由なる競爭の下に、斯業の發達を期待することと致したのであります、次に人造石油製造事業法でありますが、本法は國防國家建設を目標とし、液體燃料の國内自給確立を目指し、人造石油事業の積極的擴充を、推進助長せむが爲に制定せられたものでありますが、終戰と共に人造石油事業は其の異常に高い原價より致しましても、又原料資材等の面より考へましても、之が擴充は經濟的に到底許されませぬのみならず、却て當面の緊急問題たる硫安工業への轉換等を推進するの必要がある状態でありまして、本法の存置は最早其の意義を有せざるに至りましたので之を廢止せむとするものであります、次に製鐵事業法でありますが、本法は國防國家の基磐たる鐵鋼の増産を圖る爲、斯業の健全なる發達を企圖して制定せられたのでありますが、終戰と共に鐵鋼業に付ても經濟民主主義化の要請に依り、許可制度も政府の監督も亦免税其の他の助成も共に取除かれた自由なる天地の下に經營を遂行せしめるのが、寧ろ斯業の健全なる發達を招來するものと考へられますので、之を廢止せむとするものであります、尚製鐵業に付きましては、許可制撤廢の結果、特殊製鐵濫立の虞なきやの疑を持たれる向もないでもございませぬが、今後補給金其の他經濟面よりする助成が一切撤廢されますれば、起業費の大なる製鐵關係の事業は採算問題より致しまして、餘程健實且有利な見込がなければ新事業を開始する者はないと豫想せられ、且萬一採算可能なものあらば、寧ろ其の儘自由に發達せしめるのが合理的であると信じまするので、本法は此の際撤廢すべきものと考ふる次第でございます、次に工作機械製造事業法でありますが、本法も亦國防の整備及産業の發達を圖る爲工作機械製造事業の確立を圖る爲に特に制定せられたものでありまするが、終戰に伴ふ新事態に於きましては、斯業は寧ろ整理縮小不可避の傾向にございますので、其の基本たる許可制も積極的に存續すべき理由を喪失したものと見られ、之を廢止致しましても支障なきものと考へられますので、是も戰時諸法令撤廢の一環と致しまして廢止せむとするものでございます、次に航空機製造事業法でありますが、本法も亦航空機に付きまして、前記各法律と共に軍事上の必要より、其の助成、監督を規定致したものでありまするが、終戰と共に其の必要性が失はれましたのみならず、聯合軍側の指令に依りまして、航空機の製造は全面的に禁止せらるることになりましたので、之を廢止せむとするものであります、次に輕金屬製造事業法でありまするが、航空機工業の基礎原料たる「アルミニウム」「アルミナ」「マグネシウム」に付、他の事業法と全く軌を一に致しまして、許可制を採用致しますると共に助成竝に監督を規定せむとするものでありまするが、終戰と共に其の意義を失ひましたので、之を廢止せむとするものであります、次に有機合成事業法でありまするが、是は合成「ゴム」、「ベンゾール」、「トルオール」、醋酸、「アセトン」、「メタノール」、「ホルマリン」等各種有機合成事業に付て許可制を採ると共に、助成竝に監督を圖り、其の事業の確立に依つて、國防の整備を企圖せること、他の事業法と全く軌を一にするものでありまするが、終戰と共に是等事業は、寧ろ業者自體の責任に於て遂行せしめ、政府の監督助成は共に撤廢することを妥當と認めまして、之を撤廢せむとするものであります、次に重要機械製造事業法でありますが、各種機械、即ち蒸氣罐、蒸氣「タービン」、内燃機關、電氣機器、炭素棒、眞空管、蓄電池、各種運搬機等に付、事業の助成監督を圖りたること、他の事業法と全く同樣でありますが、終戰と共に是等事業は業者の自主的活動に依り遂行せしむるを適當と認め、之を撤廢せむとするものであります、以上を以ちまして事業法關係の廢止の問題を終りまして、第二に軍需會社法の廢止に付御説明申上げます、軍需會社法は御承知の通り戰時中、就中既に情勢極度に逼迫し來れる昭和十八年十月末に、軍需省の設置と歩調を合せまして制定せられたのでありまして、其の内容は御承知の如く軍需生産増強の爲、軍需企業に付、生産責任體制を確立せむとするにあつたのでありまするが、戰爭終結と共に、斯かる戰時中のみに存續意義を持つて居りまする法律は、之を殘して置く必要を全然認めませぬので、既に昭和二十年八月十五日附を以ちまして、其の指定の取消を實施致しました結果、本法は現に死文と化して居るのでありまして、此の際之を廢止せむとするものであります、但し軍需會社法の規定を基礎と致しまして、損失補償を伴ふ命令を發したものが少くございませぬので、補償の問題に付きましては、取敢ず法律措置としては廢止法案中に補償に關する經過規定を設けることと致した次第でございます、次に輸出入品等臨時措置法の廢止の問題でありまするが、御承知の通り此の輸出入品等臨時措置法と同樣、各種戰時統制法規の基礎を爲した國家總動員法は、此の議會に其の廢止が提案せられて居るのでありまして、戰爭が既に終了致しました以上、斯かる戰時立法が其の廢止を見るべきは當然であると考へるのでありますが、唯問題は終戰後未曾有の窮境に惱みまする我國の經濟に於て物資統制の枠を、今直ちに撤廢することは到底許されぬではないかと云ふ點でございます、從ひまして同法廢止の經過規定として、同法廢止の際現存する命令に付きましては、六箇月の期間を限り、其の效力を有することと致しまして、目下準備中の新事態の基本となるべき經濟立法の完成を見る迄の暫定措置を講ずる次第であります、從つて措置法關係の各種統制法令は、一應其の效力を存續することとなる譯でありますが、終戰後廢止するも支障なきものは、逐次撤廢致して居るのでありまして、其の數は今後も相當増加する見込でございます、尚總動員法と關聯しまして、昭和十七年法律第十七號、即ち重要産業團體令に依る統制會に行政官廳の職權を行はしむることを規定した法律の廢止に付て申上げますと、統制會の廢止に付きましては、まだ聯合國側とも打合せ中でございまして、斷定的なことを申述べられませぬのでございますが、權限移讓の對象となりました各種の事業法統制法規等は逐次撤廢せられて行つて居るのでございまして、各種統制會自身も、それぞれ自主的團體に改組せむとする氣運強き情勢に鑑みまして、總動員法廢止の此の機會に、戰時統制の殘渣たる權限移讓の法律をも撤廢せむとするものでございます、最後に石油専賣法の廢止に付て御説明申上げます、戰時中に於ける石油需給の逼迫に付きましては、今改めて申上げる迄もございませぬが、此の不足せる石油を軍需産業等に迅速的確に行ひまする爲には、通常の配給統制方式たる民間機構に現物を把握せしめまして、政府は配給上の指示のみを爲すと云ふ方式では不十分と認め、之が管理、把握の徹底を期する爲、専賣制度を採用するに至つたことは御承知の通りでございます、併しながら斯樣な措置は戰時中の必要に基く變則的なものでありますのみならず、専賣制の運用自體も政府自身に貯油設備及輸送設備等の施設を有せざる爲に殆ど其の實效を擧げ得て居なかつたのでございまして、終戰と共に能ふ限り官治統制を廢止し、自治統制に移行する爲に國家専賣の方式を撤廢し、石油配給統制規則を中核とする石油配給統制會社の運用に依り今後の統制を行ふこととなし、茲に石油専賣法の廢止を提案致した次第でございます、以上多岐に亙ります商工省關係法律の廢止に付て申述べましたが、要するに其の内容は、戰時色の濃厚な法律及存置する必要のない法律の廢止と云ふことに落著く譯合でございまして、今後の經濟組織をどうするかと云ふ基本問題に付きましては、聯合國側、民間、其の他關係各方面の意見を十分に徴して、愼重に立案する必要がありまする關係上、今議會には提案するの運びに至らなかつた次第でございます、以上を以ちまして私の御説明を終りたいと存じます、何卒愼重御審議の上に御協贊あらむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=3
-
004・向山均
○委員長(男爵向山均君) 只今大臣の御説明を伺ひましたが、尚商工省關係と致しまして、國家總動員法及戰時緊急措置法廢止法律案の中に關係のこともございまするので、今日大臣御出席の時に其の方に關聯の御質問を、此の機會に併せて御願ひしたいと存じます、尚御質問の前に總動員法其の他に付て、今申上げた二法律案に付きまして、何か初めに當局の方から伺ふことでもあれば……若しございませぬければ質問致して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=4
-
005・小笠原三九郎
○國務大臣(小笠原三九郎君) どうぞ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=5
-
006・野村益三
○子爵野村益三君 只今御話になりました國家總動員法廢止に關して、以前に生れ出た商工省關係の法律、それの存廢ですが、大分もう御調になつて居ると思ひますが、御知らせ願へませうか、例へば價格等統制令、物價統制令、是は存續と云ふやうに聽いて居ります、尚形を變へて制定されるものもありませうし、全然廢止と云ふことに決つたものもありませう、それを御示し願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=6
-
007・小笠原三九郎
○國務大臣(小笠原三九郎君) 相當ございます、ちよつと政府委員から御答辯致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=7
-
008・菅波稱事
○政府委員(菅波稱事君) 國家總動員法に基きまして商工省關係の勅令と致しまして、今迄既に廢止致したものは、工場事業場管理令、企業整備令、特許發明等實施令、金屬囘收令、此の四つの勅令を既に廢止致しました、まだ現在殘つて居りますものは、價格等統制令、電力調整令、物資統制令、貿易統制令、重要産業團體令、配電統制令、企業許可令、統制會社令、戰時建設團體令等であります、此の現在殘つて居りますものは、只今其の個々の勅令に付きまして檢討中でございまして、今後の統制方式の決定次第逐次撤廢する方針で居ります、尚一部存續の必要あるものもございますが、さう云ふものは内容を一部改正致して存續すると云ふ豫定に致して居ります、尚此の勅令に基く省令と致しまして既に全體で三十八件程ございますが、其の中既に二十四件は廢止致しまして、尚十二件程現在殘つて居りますが、是等も今後特に必要なものに限り、後は全部撤廢する方針で居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=8
-
009・野村益三
○子爵野村益三君 私は只今法律と申しましたが、無論勅令であります、色色御話を伺はなければならぬと思ひますし、又外の諸君より色々の方面に向つて御尋があらうと思ひますが、私は取敢ず石油、液體燃料のことに付て忌憚なき御話を伺つて見たいと思ひます、液體燃料のことを我々が話合ふと何だか敗戰の經過を辿るやうな氣がして誠に心寂しいのでありますが、併し戰爭には非常な影響があると共に、再興日本の、殊に産業の方面に非常に關係があるので、過去現在將來と云ふことに亙つて一通り話合ひたいと思ふことがあるので、さう云ふ式から伺つて置きたいのであります、先づ第一に伺ひたいのは、一問一答で行くと非常に宜いのですが、又政府當局の方に御考もありませうから、一通り御尋ねしたいことを申述べて見ませう、第一には石油、殊に液體燃料に對する當局の見解と云ひますか、もう少し詳しく言ふと、聯合國の當事者と商工省竝に政府との話合の要點、只今申したやうに軍事色を拂拭すると云ふことになれば、石油と云ふことは第一番に考へられることでありますが、併し又一面産業、殊に農業とか水産の方面にはどうしても液體燃料がなくちやいかぬ、從つて起上る將來の日本の産業に對しては餘程考慮を拂はなくちやならぬ、そこで痛し痒しの問題が起るので、本來當局の現在の御考としては、液體燃料に對してどう云ふ根本的の考を持つて居られるか、そこで對策と云ふものも立つのだらうと思ふ、で謂はば液體燃料は施設に對する基本的條項とでも言ひますか、理念と言ひますか、どう云ふやうに御考になつて居るかと云ふことを第一に伺つて見たい、そこで第二は液體燃料工業の現況であります、どうしても若干のものがなければ、産業殊に農林水産業の、發展よりも寧ろ囘復なのですが、それが期せられない、それでどの位のものが今使用出來るのであるか、例へば軍部の方から移管されたものもありませう、それから從來の生産能力を承繼いで現に生産されて居るものも無論入るでせう、それから近頃最近に聯合國の司令部と交渉されて若干輸入を許可されたと云ふことでありますが、さう云ふこともありませう、そこで移管された量、最近に生産された量、而して最近に輸入される量、斯う云ふものに付て現在ありの儘の状況を承つて見たい、第三には、本業に對する將來の考、將來の對策であります、是は生産の方面もありませうが、私の伺ひたいのは、技術の方面であります、で御承知のやうに平年二百萬「キロリットル」の生産は夢物語のやうになつたやうに思はれる、實は我々も承知したいのですけれども、御尋ねするに痛し痒しなんです、どうも當局も液體燃料に關することは語るに難く、我我も問ふに憚つたので、我々の之に對する知識と云ふものは、平年二百萬「キロリットル」位のことしかない、其の後の經過と云ふものは承知せぬのであります、併し滿鐵の液體人造石油の工程はどうである、或は咸興の生産はどうである、或は燃料研究所の研究はどうであると云ふ大體のことに付て新たに一つ承つて見たい、殊に北支那開發の方では、液體燃料を造るべく計畫したのですが、恐らくまだ手が著いて居ないと思ふ、液體燃料の生産とは言ふものの、例へば低温乾溜もあらうし、石炭液化の方面もあらうし、それから又最近に起つた例の甘藷から「ブタノール」を造ると云ふこともありませう、最も窮境に達してから松根油の問題もあるやうですが、例へば原油の液體燃料、人造石油の生産、咸興の同じこと、斯う云ふものが取られてしまつたことは、實に同樣に身を切られたやうな心地がするのです、數年間御承知のやうに非常に研究もされ、努力も經て、漸く目鼻が付いた所をすつかり持つて行かれてしまふ、是は由々しき大事だと思ひます、併し内地と雖も燃料研究所とか、或は海軍の燃料廠とか云ふことで相當技術上の發達を經て居るものと認めます、そこで色々御話しましたが、兎に角將來の液體燃料の生産と云ふものをどう云ふ風に向けて行かれるか、又其の御見込はどうであるか、而して過去數年間には非常な混亂を生じたと思ひますが、其の間に技術上色々の發達と云ふものはあらうと思ひます、我々研究した時にも實は「カタライザー」の研究を方々でやつて居つた、三箇所も四箇所もやつて居つて、さう云ふことをやるのはなかなか面白くないので、せめて「カタライザー」の研究位はそれ等統合してやるやうにしたら宜からう、又さう云ふことを指導奬勵するのに、只今で申せば査察と言ひますか、さう云ふものの機構を商工省の中に設けたらどうか、總てがてんでんばらばらに方々でやつて居ると云ふことは甚だ不經濟の話であると云ふやうなこと迄も考へたのですが、併し只今申すやうに液體燃料の生産に付ての技術上の發達と云ふものは色々なものがあるだらうと思ふ、是も一つ大事なことですから承つて見たい、それから尚液體燃料の生産額でありますが、近時事變間には絶對の何でありませうが、若し事業別と云ふのは只今申したやうに、人造石油と天然石油の方面と致します、人造石油にしても、低温乾溜とか石炭液化とか、さう云ふものの種別に、それと地方別、地方別と云ふのは内地とか、或は滿洲とか朝鮮とか云ふ區別、事業別地方別でも液體燃料の累年、と申しても大東亞戰爭勃發以後を指しますが、それの生産額と云ふものを御示が願へれば、それも今でなくて宜しいが、伺つて見たい事は色々ありますが、次は轉業の問題であります、商工省關係が重要なる軍事色を帶びた會社が十六、七もありますか、其の中で十位は轉業したらしい、商工省の御努力と指導に依つて轉業されたものと承つて居りますが、あとはどうなつて居りますか、どう云ふ風な經過になつて居りますか、それも一つ承つて置きたい、終りには補償の問題で、只今もちよつと補償の問題に付て御話がありましたが、一體補償額も尨大なもので、漏聞く所に依ると、無慮三百億に達すると云ふやうな話である、是は非常に我々の注意を惹いて居る、それで補償をされる方面に各各種類に依つて順序とか輕重があらうと思ふ、其の輕重に依つて順序を立てられると思ひますが、どう云ふ順序に依つて考へられるのか、其の順序竝に現在に於ける經過と云ふものに付て大體御示を願ひたい、之が私の質疑の要領であります、どうぞ宜しく御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=9
-
010・小笠原三九郎
○國務大臣(小笠原三九郎君) 御答へ致します、細かい計數は仰せになりました通り後から差上げます、御承知の通り戰時中は全部計數が伏されて居りましたから、御質疑を爲さるにも色々資料がなくて其の點は御察し申上げます、今日は全部許されて居りますから全部の資料を差上げることに致します、どうぞ左樣御了承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=10
-
011・野村益三
○子爵野村益三君 どうぞ私のみならず全委員の方にも御廻しを願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=11
-
012・小笠原三九郎
○國務大臣(小笠原三九郎君) 全委員の方に差上げることに致します、あと極く大雜把の問題のみ私から御答を申上けまして、細かいことは此處に居ります政府の石油課長をして便宜説明を致させます
最初に仰せられました液體燃料に關する根本方針でございますが、是は子爵の御存じの通り、日本の石油の天然資源は三十萬「トン」でも現在は足りぬと云ふやうな状況でありまするので、自然人造石油等に相當重きを置いたのでありまするが、終戰後になつて見ますると、ああ云ふ費用の高く掛かるものは、今日其の儘に續けて行くことが非常に困難な事情でありますから、勢ひ輸入に俟たなければならぬと云ふことになつて參るのであります、從ひまして先般此の食糧等の輸入と共に、日本の必要な棉花等も色々な物を、なくちやならぬ物を聯合國側に頼んで居るのでありますが、其の中に石油も本年度所要分と致しまして、六十五萬三千「トン」の石油の輸入方に付きましても依頼を致して居つた次第でございます、軍其の他が持つて居りましたもの、解放を受けましたもの、數字ははつきり記憶致しませぬが、相當數量がございます、さう云ふやうな關係もありますので、本年度は是だけの輸入がありますると云ふと、略略所要量を賄ひ得ると云ふことになりますので、只今輸入と致しまして、六十五萬三千「トン」の輸入を聯合國側に依頼して居る次第であります、將來に於きましても大體石油は主なるものは輸入に俟つ外はないと考へて居りまして、此の點に付きましては能く事情を向ふへ話をして居り、「アメリカ」側に於きましては能く了解を致して呉れて居ります、特に野村子爵の仰せになりましたやうに漁業、此の日本の食糧事情等は漁業其の他の水産物に俟たなければならぬ部分が多いのでありますが、其の水産物と云へば、何と申しましても一番最初に來るものは石油なのでありまして、從つて此の輸入が日本の食糧解決の爲に必要であると云ふやうな面から、今後五箇年位に亙りまして、大凡の見透しを付けまして、先方へ數字的にも差出してございます、さう云ふやうなことで誠に殘念なことでありますけれども、國内石油のみで賄ひ得るのは需要の恐らくは五分の一程度位しかないのではないかと考へられまするが、細かい數字は後から申上げますが、已むを得ず輸入に俟つと云ふことで、現在の處方針を樹てて居りまして、國内の今野村子爵の色々仰せになりました各種の人造石油に關する施設は、只今の處は「コスト」其の他の關係がありまして、それにどうも重きを置いて行く譯にも參らない事情になつて居ることをどうぞ一つ御了承願ひたいと思ふのであります、それから尚轉業の問題は、商工省でやりました外に地方廳の方へそれぞれ商工省の轉換に關する方針を示して居りますので色々やつて居る、相當出來て居ると云ふことでございます、それから補償問題は、國家の公約に依る分に付きましては、是は十分考へなければいけませぬので、單り是は石油業に限りませぬが、他の軍需産業全般に亙つて補償問題を考へて居るのであります、但し或は設備の轉換をしたとか、轉換したと云ふか設備を空襲其の他のことがあつて地方へ移しましたとか、ああ云つたものに付きましては、相當見積等に付ても嚴重なる査定を要しまするので、どれだけ作らしてどう云ふ風にしたと云ふやうなはつきりしたものに付きましては、補償の決定も容易でございますけれども、さもない部分に付きましてはなかなか査定と云ふものがむづかしい問題になつて參ります、同時に今の國民感情から申しましても嚴重な査定をすると云ふことは極めて必要でございますから、色々私の方でも基本的の調査を致して居ります、基本的の調査を致して居りますが、そればかりでなく、個々のものに亙りまして、此の點に付て補償をどの程度要するかと云ふ問題は今一つ一つ調べて居りますが、尚補償委員會と云ふか、さう云ふやうなものに各方面の權威者の方々に御參加を願つて、それ等の御協力に依つて補償問題に付て國家としては爲すべきことを爲す、併しそれに關しましては極めて嚴重なものであると云ふことで行きたいと云ふやうな風に考へて、大藏當局とも相談を致して居る次第であります、尚技術の方面に付て野村子爵の仰せになりました燃料研究所の方の仕事は是は引續き研究を進めて參りまして、先刻申上げましたやうに、國内で人造石油等に俟つことは餘り多く期待が出來ないのでありますけれども、併し技術的の方面の進歩改善に付きましては是は飽く迄研究を致さなければならぬので、燃料研究所の研究に付きましては今囘も相當豫算を大藏省の方に要求致して居りまして引續き其の研究を續けて參りたい、又一層石油資源が少ないだけに其の研究をすると云ふか、積極的に行きたいと云ふ風に考へて居る次第でございます、細かい數字的のことは説明員をして説明を致させますから御了承を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=12
-
013・向山均
○委員長(男爵向山均君) 御諮り致します、説明員の説明を承りたいと思ひますが、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=13
-
014・向山均
○委員長(男爵向山均君) 御異議ないと認めます、それでは説明員……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=14
-
015・中島征帆
○説明員(中島征帆君) 液體燃料關係の數字的の御説明を申上げます、第一に聯合國關係との交渉の經過でございますけれども、概略申上げますと、最初に大體本年度の年間の需要量を二百六十萬「トン」と見積りまして、差當り第三四半期分と致しまして、原油其の他各種の石油合計十一萬五千「キロ」の輸入を要請して居ります、之に付きまして聯合軍の方では即答を留保致しまして、先づ國内の原油の増産を圖れと云ふ指示でございまして、専ら其の方に努めつつある譯でありますが、此の中で差當り輸入を許されましたものが第一に潤滑油の一萬四千「キロ」、是だけを聯合軍の方で比島向に要求してありましたものから割いて呉れまして、二囘に亙つて横濱に揚つて居ります、潤滑油の一萬四千「キロ」は相當の數でございまして一期、二期程度は是で行けるのぢやないかと思ひます、次に認めて呉れましたのは桐油でございまして、是は數量は餘り多くないが、三千百七十九「キロ」と云ふ數字でございます、是も近々入る見込になつて居ります、それから最近に至りまして、其の他のものに付きましては尚研究中と云ふ返事でございましたけれども、非常に國内の重油が逼迫致しまして、特に漁船、船舶輸送等に相當の支障を生じたから、此の點に付きまして特に強力の要請を致したのであります、之に對しまして、つい數日前に聯合軍の方から新聞で御覽になりました通り一萬一千「キロ」の原油の輸入を認めて呉れまして、是も近く入る豫定になつて居ります、是だけのものが入りますると第三四半期分としては大體に於て心配はないと云ふ風に考へて居ります、第四四半期以降に付きましては總計少くとも十萬「キロ」乃至十五萬「キロ」の輸入をしなければ辻褄が合はない譯でありますが、之に付きましてはまだ聯合軍側として別段の意思表示を受けて居りませぬ、それから需給關係でございますが、昭和五年に基準を採りますと云ふと、石油の需要と云ふものは國内では二百九十萬「キロ」要ると云ふことになつて居りますが、差當り斯樣な大きな數字を見込むことは不當でありますので、今少し内輪に考へて居りますけれども、國内の原油から採ります二十五萬「キロ」乃至三十萬「キロ」では十分賄ふことを得ませぬので、相當な部分をどうしても輸入に俟たなければならぬと云ふことで、先程大臣の御説明になりましたやうに十一萬「キロ」の要請を一應致して居る譯であります、之に對しまして輸入を見込んで居る譯であります、國産の原油から三十萬「キロ」、それから先程御質問になりましたやうな「アルコール」、人石等から若干出ます、「アルコール」の方から大體三萬五千「キロ」豫定して居ります、人石關係からは、是は明確には申上げられませぬが、大體一萬五千「キロ」乃至二萬「キロ」期待出來ます、それから松根油等は本年度相當の増産をして居りますが、是は松の根が大體是以上掘起すことが不可能でありまして、大體只今迄に起しました程度のもので製油して使ふと云ふ方針を執ります、出來ました油は大體其の地方に還元すると云ふことになつて居りまして、從つて松根油から出ます油を一般の配給用として枠の中に組入れると云ふことは只今迄考へて居りませぬ、是は枠外として而も本年限り消費されるものでございますので、明年度の需給計畫の中に松根油は入れないことになつて居ります、從つて殘りの不足の部分は總て之を輸入に俟たなければならぬ、斯う云ふことになつて居ります、それから人石關係の今後の問題でございますが、人石は最近迄建設を續けて居りまして、段々と擴充計畫も實現する譯でございますが、大體人石の品質が主として航空燃料を頭に置いて製造されたものでありまして、從つて相當に「コスト」も高い代りに品質も良いと云ふ風な實情でございます、從つて終戰の結果航空用の油が餘り利用されないと云ふことになりますと、「コスト」の非常に高い人石を飽く迄増産し續けると云ふことは、現在の事態と致しましては適當でございませぬので、之を今後増産する或は擴充すると云ふことは中止致しまして、現在の設備の中でも最も能率の好い比較的樂に出來るものだけを殘しまして、後は別途考へ直すと云ふ風な方針の下に色々研究致しました結果、戰災で相當程度やられましたものを除きまして或程度手を加へれば復舊されると云ふものを含めまして、硫安に轉換出來るものは之を硫安に轉換する、硫安以外の尿素系統の肥料と云ふものに轉換するものもございますが、大體肥料方面に轉換出來るものは肥料に轉換する、殘りの設備で以て若干の人石の製造を繼續する、斯う云ふ風になつて居ります、工場と致しましては硫安に轉換するものが二工場、それから是はまだ確定ではございませぬが、尿素系統に轉換するものが一工場、從つて人石を専門に製造するものは二工場殘る譯であります、大體此の二工場から出來ます人造石油を、之を如何樣に一般の石油と竝べて流すかと云ふことに付きましては研究を要することでございまして、一般の石油の「コスト」に比べまして相當な原價高になる關係上、之を「プール」するか、或は別々の二本建で行くかと云ふことに付きましてはまだ確定した方針が出來て居りませぬが、さう云ふ問題は含んで居ります、それから滿洲關係の人石の事情、或は油母頁岩の採油の數字等は、只今明確でございませぬので、外地關係からの數字が手に入りましてから御報告申上げます、それ以外の事業別、或は方法別の生産實績、是も或程度は分つて居りますが、細かい點に付きましては只今直ぐ申上げられないこともございますので、此の點に付きましても後刻數字を整へまして御報告申上げたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=15
-
016・野村益三
○子爵野村益三君 大體承りましたが、尚一つ補足的に承つて置きたいと思ふのですが、只今人造石油の中で比較的經濟的と申しますか、能率的と申しますか、さう云ふものに付きましては從前に引續いて奬勵もし生産も増さうと云ふ御話ですが、それは何ですか、低温乾溜ですか、液化の方ですか、それとそれから先刻大臣から御話がありました現在の需給關係、生産が先づ三十萬「トン」輸入が六十五萬三千「トン」其の他軍部からの移管が若干ある、それを加へたものが先づ目下の需給關係でどうやらやつて行かれやうと思ふのですが、移管の方がどれ位になつて、結局移管と生産と輸入とを合せますと幾何になるのですか、それと補償轉業の問題ですが、私の伺つたのは是は獨り石油業のみでないので、殊に補償問題になりますと、是はまあ將來の財政計畫には非常な關係がある、或は賠償の方面にも増税の方面にも矢張り響く譯なんで、先刻申されたやうに三百億と云ふやうに聞いて居りましたが、それに付て伺ひたいのは、それの對象となるべきものの順序、第一番に是、段々に斯う云ふ風なことで考へて居るのだ、其の順序と現在どうなつて居るのか、三百億と云ふのは大藏省の發表と思ひますが、さうしますと其の事は既に大藏關係と御協議は出來て居るのか、まあ了解を得て居られるのだらうと思ひますが、其の經過ですね、それから無論愼重なる調査を要せられますが、餘り愼重過ぎて遲くなつても非常な産業發達に影響があるのです、少くとも御調査だけは、或は大藏省當局との御話合だけは本年中にでも濟んで、來る通常議會には御報告が得られるのか、其の邊の所も承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=16
-
017・小笠原三九郎
○國務大臣(小笠原三九郎君) 大體軍からの移管の分は十萬「トン」ばかりでございます、それから補償の問題でありますが、實は補償問題はなかなかむづかしい點がありまして、既に出しましたものもございます、それは法律に基いたりしまして、きちつと確約の出來て居る分に付きましては、是は當然の措置と致しまして支拂つて居るものもございます、特に臨軍關係を打切る關係がございまするので、さう云つた點から終戰直後に色々な措置が執られた分がございまするが、數字的にちよつと私は記憶致して居りませぬ、但し何れも資金は凍結されて居ります、一つも支拂つては居りませぬ、全部資金は凍結されて居ります、其の後のものに付きましては、是は大藏大臣の説明中にも保險金と云つたやうなものも四百數十億の中には含まれて居ります、保險金以外のものは軍需會社等に對する補償の分でございますが、之を今申上げましたやうに法律の規定等に基いて、又公約に基いたもので終戰直後に色々措置を執りましたものがございますけれども、其の後の分に付きましては一時もう少し精査を要すると云ふことで、先刻申上げましたやうに、私の方に於きまして軍需會社に對する個々の調査は一應致して居りますが、其の概數を總括すると云ふと、さつき仰せのやうな數字になるのでございますけれども、それはまだ適確な數字とは申されませぬ、そこで例へば軍需會社が地方に疎開致しまして、其の費用等に付きましても、假に疎開費用其の儘申出て來たものを合せますれば、約百億近くにもなるのぢやないかと思ひます、併しながら私の方で今後査定を致しますと、さう云ふ大きな査定には上らぬのでありまして、又そこで査定も非常に嚴重なることが必要になつて參ります、それともう一つは總括的に物を觀たいと云ふことになつて居りまして、例へば其の軍需會社が是々だけの補償を要すると致しましても、それが既に保險金でどれだけ得て居る、それから疎開なら疎開のものとしてどれだけ得て居る、それから仕掛け品とか、半製品とかと云ふものに、どれだけ得て居る、それではそれだけに見る必要もないのではないかと云ふやうな關係もありますので、總括的に物を觀ます關係上、まだきちつと順位が定つて居りませぬ譯でございます、定り次第今子爵の仰せの通りに、誠に軍需會社に對する決定が遲れて居ることが一般金融界にも相當大きな影響を投げて居りまするし、又それが遲れて居りますことが、軍需會社が他に轉換をして民需産業をやつて行くのにも、資金上其の他の點で非常な不利を與へて居る、それが又民需産業の遲れて居る原因にもなりまするので、事柄としては急いで居るのでございまするが、先般丁度向から命令が參つたことも子爵御存じの通りでありまして、今それ等に對しては、大藏當局ともどう云ふ風にして處理するかと云ふことに付て打合せして居りますけれども、打明けて申しますれば、議會になりましたのでまだ仔細の點を一々に付て打合せて居らぬと云ふ實情を率直に申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=17
-
018・中島征帆
○説明員(中島征帆君) 人石關係の其の前に、ちよつと先程申落しまして只今大臣から御話がございましたが、軍關係から移管になりました數字をもう少し詳しく申上げますと、約十萬「キロ」でございまして、其の中で第三四半期分として豫定して居りますのは四萬九千「キロ」、殘りを大體第四四半期に配當すると云ふ豫定で進んで居ります、唯是は其の程度あるだらうと云ふ見込でありまして、實際各種の製品に付きまして、豫定數字と、今日迄出て居りまする實績を比べますと、若干凸凹がございまして、例へば重油の如きは豫定通りなかつた、其の爲に最近非常に逼迫して居ると云ふ實情もございますので、ちよつと申添へて置きます、それから人石の轉換の問題でございますが、只今轉換の考へられて居りますのは帝燃の第一事業所、即ち宇部の工場と、それから日本人石の瀧川工場及び同じく日本人石の留萌の工場、此の三つでございまして、帝燃の第一事業所、即ち是は宇部の工場でございますが、是は硫安の方に轉換して二十五萬「トン」造る、それから日人の瀧川の工場も、是も同じく合成法の工場でございまして、是も硫安に轉換しまして、約五萬「キロ」出來て居る、それから留萌の工場は、是は工場自體が未完成でございますが、將來尿素系統の方に轉換したらどうかと云ふことの研究が進められて居る程度でございます、殘りますものが尚數工場ございますが、戰災を蒙つて居るものもございますし、又規模の極めて小さいものもございますが、其の中で最も大きな三池の日本人石の工場がございます、是は御承知のやうに合成法の工場でございますが、それは最も時期的に有利な工場と考へられまして、特に石炭の供給期にございますので、又「ガス」の經濟の關係からも、附近に肥料工場其の他の工場が澤山ございまして、色々融通も出來ると云ふ風な關係から、大體人石を中心に今後經營すると云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=18
-
019・野村益三
○子爵野村益三君 大體承りまして了解致しましたが、先刻御願ひした資料は適當の時期に一つ御配付を願ひたい、それから丁度好い機會であるので、私の十年來の主張をもう一遍此處で申上げて置きたい、それは先刻申上げましたやうな工業に對する、是は工業に限りませぬで總ての方面に私はありたいと思ふのですが、殊に新興日本を背負つて起つべき重要工業に對する今の査察團とか云ふやうなもの、是は一つ商工省内にでも特別の擔當者を置かれまして、さうして隨時各方面の工場なり事業場を巡廻させて、さうして監督とか何とか、さう云ふ冷い意味でなく、深切に丁寧に奬勵をし、指導をすると云ふやうな趣旨で御始になつてはどうか、是は教育の方面にも無論さうです、總ての方面に必要と思ひますが、殊に商工關係と鉱業關係ではそれが必要と思はれる、自分のことを申して甚だ恐縮ですが、實は私も十數年前ですが、東京都の内外の色々の工場や試驗場を視察した時の所感はどうもさう云ふことが多いんですね、一例を擧げると、先刻「カタライザー」の御話をしましたが、其の外でも龍腦から樟腦を拵へると云ふ操作、それもあらうことかあるまいことか、つい近所で三箇所やつて居ります、そんなことは申合せて協同してやつたら何でもないことでせう、尤も學者とか或は研究と云ふものは、矢張り氣質がありまして、どうもさう云ふ點で一緒になると云ふことを嫌ふ、それはまあ無理はありませぬけれども、それが極端に行きますと、非常に貴重な力を浪費すると云ふことになる、又一方から云へば完成を阻むと云ふことにもなります、どうか一つ此の際御考へ下さいまして、今申したやうな趣旨の下に査察をやるやうに特別の機關を、機關と云ふと大きいのですが、兎に角係りと云ふやうなものを御拵へになつたら宜からうかと思ふのですが、一つ大臣の御考を伺つて置きたいと思ふのです、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=19
-
020・小笠原三九郎
○國務大臣(小笠原三九郎君) 誠に仰せの點は御尤もでございまして、私共も是非それをやりたいと考へて居りますから、近く實行に移すやうに措置致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=20
-
021・竹内可吉
○竹内可吉君 今の野村子爵の御質問に關聯して極く簡單なことを政府委員からでも宜しうございますが、石油は軍から移管を受けるものが約十萬「キロ」と云ふ御話がございましたが、是は日本軍から聯合軍に引渡されて、聯合軍の方から内務省の方に民需として返還を受けたあれのことでありますか、其の他でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=21
-
022・小笠原三九郎
○國務大臣(小笠原三九郎君) 其の分でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=22
-
023・竹内可吉
○竹内可吉君 さうしますと實は昨日の新聞で拜見したのですが、目録と合はぬ實數と云ふので、民需轉換で引取られた民需物資が目録と大分違つて引取られたと云ふやうなことをちよつと新聞で見ましたので、細かいことを御尋しますが、目録と合はぬと云ふことも推定し得るのですが、大體配分はどう云ふやうなことに豫定されて居つたのでありますか、即ち私共の想像では、聯合軍から一括して内務省へ之を貰つた、政府としてはそれぞれの物資に從つて適正に是が分配されるものだらうと斯うも實は豫想して居つたのでありますが、話に聞きますと、竝に昨日の新聞で見ますと、内務省から直ぐ地方廳へ是が移管されたのではないかと想像されるのでありますが、其の現物の所在に依りまして、至急に之を民需に轉換させる爲には大變便利であつたかと思ひますが、果してそれで本當に必要な所に全國を通じて之を見ることが出來たであらうかどうかと云ふ點をちよつと疑問に持つのであります、生活に直接の關係のあるものは別と致しまして、例へば機械類でありますとか、鐵鋼資材でありますとか、就中石油と云ふやうなものが適正な配分が必要だと思ふのでありますが、之の配分に付きまして、商工省は御關與になる仕組になつて居つたのでありませうか、それをちよつと伺つて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=23
-
024・小笠原三九郎
○國務大臣(小笠原三九郎君) 竹内君も御承知のやうに石油は色々な所に隱されて居ると云ふと語弊があると思ひますが、發見されて居るものの中から漸次やつて居ると云ふのが實情であります、まだ發見されて居ないものもあるのぢやないかと思ひますが、さう云ふのが實情でありまして、從つて是から出ましたものは、現在の所主に特配に向けて居ります、例へば水産用に向けますとか、石炭を出す爲に、「トラック」を増配する、其の方面に出しますとか、大體は特配に現在向けて居る次第であります、商工省の方も勿論關與致して居りますが、所在の地方に依つて多少偏る所が豫想される關係からさう云ふ風に出て參つて居ることは御話の通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=24
-
025・竹内可吉
○竹内可吉君 よく隱されて居ると云ふことを聞くのでありますが、是は序に御尋ね致しますが、所在に依つて發見すると云ふのでありますが、隱した人は分つて居るのぢやないかと斯う常識的に考へるのでありますが、それが復員して居なくなつたと云ふので、それを探して居ると云ふのでありますか、本當に探して見ないと分らないのか、其の手續が遲れて居るのか、どう云ふことなんでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=25
-
026・小笠原三九郎
○國務大臣(小笠原三九郎君) それは色々ございますが、例へばそこにどれだけ物があると申しましても、更にそこから先へ持ち出して居ると云ふので分らないやうな分が出て參るのであります、竹内君御存じのやうにあの終戰後のごたごたにやつたものですから、運び易い所に運んで行つたり、言葉がちよつと惡いかも知れませぬが、隱し易い所へ隱したり、中には民間の會社に入り込んだりして居る分がございまして、中には受取つたものは實は嚴格な意味からは所有權はないのでありますが、自分の所にあると是は自分の物だと云ふことになつて參りますので、それ等の點が十分はつきりしない點があつた實情があの時のごたごたで御諒察が願へるのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=26
-
027・竹内可吉
○竹内可吉君 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=27
-
028・矢吹省三
○男爵矢吹省三君 石油の問題に關聯して御尋ねしますが、先程説明員の御説明に、從來の石油工場を二箇所か、三箇所殘して置くと云ふ御話でございますが、併しさう云ふ工場から今後生産される石油は質の良い割に直段が高いと云ふ御話でございますが、直段の高いのを將來賣るに付て「プール」するか、外の物資と「プール」するかまだ決つて居ないと云ふことでございましたが、若しも「プール」しないものとしますと、其の高い石油を市場に出す爲には補助金等もやらなければならぬやうなことが起ると思ひますが、さう云ふやうな御考が政府にあるのでありますか、御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=28
-
029・中島征帆
○説明員(中島征帆君) まだ其の關係のことは政策的に決つて居りませぬが、補助金と云ふことは今後はむづかしからうと思ひます、それで我々の方の今研究案としましては「プール」するか、或は「プール」しないとすれば二本立ての價格にして、多少品質も違ひますし、用途も違ひますので、片方は品質以上に假に高くても、一般の石油の配給の外に瘤附の特配の恰好にしたら需要があるだらうと云ふ見込であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=29
-
030・矢吹省三
○男爵矢吹省三君 人造石油の工場を硫安工場に轉換をすると云ふ御方針を承りましたが、硫安工場に處理することは「マッカーサー」司令部で既に承認して居るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=30
-
031・中島征帆
○説明員(中島征帆君) 承認されました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=31
-
032・矢吹省三
○男爵矢吹省三君 それから石油の需要量は先程承りましたが、其の内譯は用途別にはどう云ふことになつて居りますか、御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=32
-
033・中島征帆
○説明員(中島征帆君) 色々數字はございますが、本年度の上半期の數字を一つの例として申上げて置きます、是は用途別と製品別と兩方ございまして、非常に複雜になりますが、揮發油で申上げますと、本年度の上半期で大體總需要量割當量が一萬八千八百「キロ」ございます、其の中で自動車用として一萬四千「キロ」、それから工鉱業の關係で三千二百「キロ」、其の他細かいものもございます、それから燈輕油でございますが、是は兩方合せて約一萬一千「キロ」ございます、其の中で一番多いのは、農林水産關係でございまして、大體四萬五千「キロ」程度でございます、それから工鉱業方面で三萬八千「キロ」で、其の他のものが船舶、或は其の外に細かいものでございます、それから重油でございますが、是が大體總計で六萬七千「キロ」、此の中で四萬一千「キロ」が船舶用に使はれまして、工鉱業方面に一萬九千「キロ」、農林水産關係に四千七百「キロ」と云ふことになつて居ります、あと機械油、「グリース」等は略します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=33
-
034・矢吹省三
○男爵矢吹省三君 今迄に伺つた數字を總計しても、大した數量にならないのでありますが、それ以外のものは軍需用となる譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=34
-
035・中島征帆
○説明員(中島征帆君) 只今の上半期の總計は、之に機械油と半固體油を入れまして、一萬一千七百「キロ」ばかりでありますが、是は本年度の上期で、此の外に軍需用がございます、從つて軍需用を差引いた殘りの割當でありますので、非常に壓縮された割當になつて居ります、從つて今後こちらで要求致しますやうな大きな數量になると、比較的壓迫されて居ります、農林關係とか自動車用とかが相當含まれて參る、從つて只今申上げました數字の比率は、今後は多少違つて來ると云ふ風に御考へになつて結構であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=35
-
036・小笠原三九郎
○國務大臣(小笠原三九郎君) ちよつと補足致して置きますが、殆ど軍需用でありまして、民需用として取扱つたものを數字的に御參考に申上げて置きますと、昭和十八年度で八十三萬三千「キロリットル」、昭和十九年度で六十八萬六千「キロリットル」、昭和二十年度で六十七萬八千「キロリットル」と云ふやうな具合でございます、從つて今のやうな一見奇異に感ぜられる程少い數字になるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=36
-
037・矢吹省三
○男爵矢吹省三君 さう致しますと、今後軍需用がなくなりますと、民需用は非常に裕りが出て參る、其の裕りが何割位になるか、大體伺ふことが出來ますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=37
-
038・小笠原三九郎
○國務大臣(小笠原三九郎君) 裕りが出て參る譯でありますが、併しそれは輸入が許可されました場合に裕りが出て參るので、先刻申上げましたやうに六十五萬三千「トン」と云ふやうなものを入れると相當出て參りますけれども、國内のものは三十萬「キロリットル」そこそこです、それから今軍から來たものが十萬「キロリットル」ばかりございますから、只今申上げました昭和二十年度として擧げた數字より尚少いと云ふ事情にありますので、どれだけのものが輸入が許可されるかと云ふことに依つて、今後は分れて參ると云ふことになるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=38
-
039・三須精一
○男爵三須精一君 ちよつと此の機會に大臣に御伺ひしたいのですが、戰災跡地に多くの「スクラップ」が山積されて居り、未だに處理せられないやうな状態を見受けます、殊に工作機械の如きは、將來色々の工場に於て使はれる品物も、錆の爲に其の時機を失して使はれないことになりはしないかと云ふことを私は憂慮するのでありますが、此の方面に付きまして、商工省としましては之を如何に利用するかと云ふことに付きまして、どう云ふ風に御考へになつて居られるか、此の點を御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=39
-
040・北野重雄
○政府委員(北野重雄君) 御答へ申上げます、戰災に依る被爆地に於ける金屬類の囘收に付きましては、戰時中に於きましても又終戰後に於きましても、商工省が中心になりまして、其の實施の面は各地方廳が擔當致しまして御承知と存じますが、金屬囘收統制會社と云ふ一元的な會社がございまして、其の各現地に於ける機關であります囘收工作隊が地方廳の直屬の實施部隊となりまして、囘收清掃に當つて居るやうな次第であります、終戰後は都市の清掃整地の見地から、此の仕事を速かに實施致したいと思ひまして、關係方面と特に連絡を執り、それぞれの對策を講じて進めて居るのでありますが、何しろ輸送施設が足りませぬし、又燃料も不足でございますので、囘收工作隊の實際の仕事をします勞務者も得難く、又其の食糧を十分に配給出來ないと云ふやうな、關係もございまして、其の進行が甚だ十分でありませぬことは申譯ないと思つて居ります、併しながら段々と進んで參つて居るのでございまして、まだ御覽になりますと、御目障りの點もあらうと思ひますが、今後は特に力を入れて進めて行きたいと思つて居ります、大體燒け「トタン」とかああ云ふ風ながさがさしたものは比較的集め易くて、中間置場、或は大集積所に一應集積して居るのでありますが、機械類の燒けました物、或は「トラック」、乘用車と云ふやうなものは、其の解體、或は燒切り、それの運搬と云ふものが、資材勞務の關係上十分に出來ませぬので遲れて居りますが、比較的大物は、表面が錆附きましても、勿論良くはありませぬけれども、今後の製鐵所の「スクラップ」として利用する見地より考へますれば、或は大きな支障はないと云ふやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=40
-
041・矢吹省三
○男爵矢吹省三君 商工省關係の色々の法律の廢止の御説明を伺ひましたが、其の御説明の中にもありましたが、斯う云ふ法律を制定されても、中には十分所期の目的を達し得なかつたものもあるやうであります、從つて廢止する法律の中、或ものは非常に所期した目的を達し、或はそれ以上に達したものもあるが、遺憾ながら十分に目的を達しないものもあると云ふやうな風に、色々の程度の差があると思ひますが、それ等のものに付て、實際運用した結果から見て、各法律の效果に付て大臣の御所感を伺へますれば仕合せであると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=41
-
042・小笠原三九郎
○國務大臣(小笠原三九郎君) 廣汎に亙つて居りますが、數字的にちよつと申上げて見ます、石油業法に付きまして數字に付てちよつと申上げますと、許可を致しましたのが精製で五十三件、原油輸入が十九件、自動車製造事業法に依りまして許可致しましたのが四つでございます、日産、「トヨダ」、「ヂーゼル」、車輛工業、此の四つでございます、それから人造石油製造事業法に基きまして許可を致しましたのが九つでございます、製鐵事業法に依りましたものが四百九十三ございます、それから工作機械製造事業法に依りましたものが百八十二ございます、それから航空機製造事業法に依りましたものが二十五でございます、輕金屬製造事業法に依りましたものが二十五でございます、有機合成事業法は二百五十でございます、それから重要機械製造事業法が六百ございます、それから軍需會社法に依りまして指定を致しました會社の數が七百二ございます、事業場の數で申しますと殖えまして二千八百三十九ございます、石油専賣法に依りまして石油を取扱ひました高は、金額で申しますると云ふと三百七十萬圓程でございます、數量に付て申しますると二百十萬「キロ」ばかりございます、まあそれが大體でございまして、そんなのが數に基いての成績でございまするが、大體を通じまして、何れも是等が非常な成績を擧げたとは申しにくいのではないかと云ふ風にも考へられて居りまするが、部門に依りましては相當成績を擧げて居る部門もあるやうに存じますが、唯軍需會社法と云ふものは、時期が十八年になつて遲れて參つたものでありますから、折角軍需會社法が出來上りながらも餘り成績を擧げ得ず、今日の終戰を見るやうになつたことは、甚だ遺憾に存じて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=42
-
043・松本學
○松本學君 石油のことに付てちよつと大臣に御尋ね致します、先刻の御答辯の中に聯合國側に六十五萬三千「キロ」ですか、「トン」ですか……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=43
-
044・小笠原三九郎
○國務大臣(小笠原三九郎君) 「キロ」ださうでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=44
-
045・松本學
○松本學君 是だけの數量の輸入ですが、此の數量が出ます目標と云ひますか、基礎はどこにあるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=45
-
046・中島征帆
○説明員(中島征帆君) 大體需要が二百六十萬「キロ」と云ふ風に考へられまするが、終戰以後の各種の事業が萎靡して居りまして、旁旁石油の精製設備其のものが、空爆に依りまして約三分の一程減じまして、現在百二十萬「キロ」程度の製油能力しかないと云ふ現状でございます、從つてそれから申しましても、二百六十萬「キロ」の代りに原油が入りましても、それだけの處理能力しかない、然らば之を全部製品で入れますと、それだけ今直ちに殖えるかと申しますと、始めに申上げました通りに、各産業がまだそこ迄態勢が舊に復して居ないと云ふ關係から、大體現在の製油能力の程度位しか消化出來ないだらうと云ふことから、第一年度と致しましては、今の六十萬「キロ」に國産原油其の他を加へまして、百萬「キロ」程度の供給を見込めば宜からうと云ふ見地から、是だけの數量を出しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=46
-
047・松本學
○松本學君 石油は申す迄もなく國民生活にも、又産業の上にも非常に大事な要素と云ふべきものであります、今後の我が國の産業の目標と云ひますか標準と云ふものが或程度立つて居る、さうして石油の所要額と云ふものが出る譯でありますが、戰爭前の石油の所要額と輸入額などが分つて居りましたならば、ちよつと御知らせ願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=47
-
048・中島征帆
○説明員(中島征帆君) 戰爭前に於きまして、昭和五年の實際の消費高が二百九十萬「キロ」に上つて居ります、其の際、國内で生産しましたものが大體三十萬「キロ」程度でございます、從つて其の差額は殆ど全部輸入に仰いで居つた、但し此の輸入の中で、原油の輸入と製品の輸入の二つに分れて居りますが、此の内譯を手許に持つて居りませぬけれども、原油も相當當時は入つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=48
-
049・松本學
○松本學君 石油の輸入と云ふことに付きまして、是は色々な考へ方があると思ふのでありますが、石油にも限りませぬが、今日以後の日本の産業として、國内の産業の復興と云ふことに付て、出來るだけ輸入を避けると云ふやうな方策が立てられなければならぬのぢやないかと云ふやうに考へられるのであります、若し將來に於て輸入と云ふものを安易に聯合國側に依頼して、此の許可を受けて、どんどん輸入することになりますと、爲替關係から「インフレ」の問題が非常に惡性になつて來る虞があると云ふやうなことを考へられるのでありますので、まあ他にも色々其の例がありませうけれども、私は石油も一つの例だと思ひますが、其の邊の御見込は如何なるものでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=49
-
050・小笠原三九郎
○國務大臣(小笠原三九郎君) 御尤もな御意見でありますが、唯石油の如きは國内でも出來るだけの奬勵方法を採りましたにしても、是は到底所要量の四分の一位以上に上ることはむづかしいのぢやないか、然らば之を人造石油で代へ得るかと云ひますると、此の設備に付ては、恐らく聯合國側の許可を得ることはむづかしいであらうと思はれます、從ひまして必要なものは、是は國内の生産力を増加し、或は輸送力を増加し、延いてそれが見返り物資となつて國際收支の引當に充てられる譯合でありますから、是は石油の如きものは出來るだけ國内で増産に努めることは固よりでありまするけれども、それを輸入することが「インフレーション」の因になるとは、或は又爲替安の因になるとは私共考へて居りませぬ、それは生産力を加へることに依つて見返り物資の増産にもなることでありますから、例へば先刻野村子爵が水産のことを仰せられましたが、日本の水産の罐詰と云ふやうなものは、是は多量に輸出向になつて來ますので、私共は石油の點に付ては左樣に考へませぬ、又全體に付て申しますると、此の戰時中に於ける自給自足、所謂「アウタルキー」的な考へ方は、此の終戰後に於ける國際情勢から考へますると、昔の「アウタルキー」的な考へ方のみで行くことは宜くないのぢやないか、寧ろ矢張り日本も出來得るだけ速かに國際貿易に參加することは、是は向ふ側の了解とこちらの努力に依つて國際貿易に參加致しまして、それで平和的な産業の促進を圖つて行くと云ふことに相成りまするから、此の點は在來の戰時中のやうな、何でも國内で自給自足しなければいけないのぢやないか、斯う云ふ「アウタルキー」的な考へ方は、少し變へて行かなければならぬのぢやないかと私共考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=50
-
051・竹内可吉
○竹内可吉君 大臣はまだもう少し宜しうございませうか、外に御質問がございましたら、私大臣への御質問を御遠慮しても宜しうございますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=51
-
052・向山均
○委員長(男爵向山均君) どうぞ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=52
-
053・竹内可吉
○竹内可吉君 此の重要産業統制會の問題に付きまして、ちよつと御尋ね申上げて置きたいと思ひますが、まあ重要産業統制會の設立の趣旨等を此處で繰返す必要は全然ないと思ひます、唯色々な統制會が出來ましたけれども、時局が段々と急轉囘をして參つた關係もございまして、まあ率直に申しますと、政府の統制會の利用と云ふものは實は豫期に反したのぢやないかと思はれるのでございます、もつと露骨にあけすけに申しますれば、最も軍需生産が急速に増強されなければならぬと云ふ時に、例へば軍に於きましては、統制會と云ふものを一つの組織體として利用すると云ふことをしないで、統制會の中の職員の、詰り「エキスパート」と申しますか、役に立つやうな人間を勝手に使ふと云ふやうなことが、非常にあつたのぢやないかと思はれます、軍需省自體に於きましても、實は是は自分を責める譯でありますが、一番の責任者である統制會長と云ふものを拔きに致しまして、其の下の職員を官廳の謂はば補助機關のやうにして使つて居た、さうなりますと、企業者の方では多くの者が軍と直取引をする方が便利であり、資材を獲得する上から申しましても、色々都合が好いと云ふことになりまして、一番の責任者である統制會長と云ふものが、全く協議を要すると云ふに過ぎない存在となつたと思ふのであります、從つて統制會が圓滑に運用されると云ふ筈はないのでありまして、無用であるだけでなく、國家總力の發揮上から見まして、却て妨げとなると云ふ非難さへ蒙つたと思ひます、顧みますれば統制會自體も無力ではありましたけれども、軍官の側に於きましても斯樣な不注意、不謹愼の過を犯して居つたと云ふことは率直に認めなければならぬのぢやないかと思ひます、今日の事態になりますと、斯樣なことを生ぜさせないで、此の統制會制度と云ふものを利用して行き得る見込は十分あると思ふのでありますけれども、例へば必要な産業に付ては之を存續して行つて、之に必要な改變を加へて行く、新しい産業再建に協力せしめると云ふことも考へられぬではないと思ひます、併し一面今日の時代は此の統制會方式のやうなああ云ふ強力な制度を必要と致さないかと思ひます、又ああ云ふ餘り我が國民に好まれない、又經驗のないやうな制度でありますので、非常に一般に不評判でありましたから、此の制度は此の際思ひ切つて廢止して、新らしく出發すると云ふことが大變望ましいことだと存じます、總動員法の廢止になりますれば、自然是は廢止される譯でありますが、そこで例へば石炭のやうに、其の外にも物資の調整上全然自由に放任の出來ないものが澤山ありますので、斯う云ふものに付て今後どう云ふ新らしい構想で、統制なり調整なりをおやりになるのでございませうか、私の考へます所に依りますと、今申しました石炭のやうな、特に此の需給状況の極度に逼迫して居るものはまあ姑く別と致しまして、其の他の多くのものは或程度の統制、調整を必要とするものがあらうと思ひますが、それに付きましては其の據るべき基準を示されまして、其の大きな枠の中でも活動は出來るだけ自由にする、從來のやうに其の枠の中迄入つて來て、一々官廳で世話をし、又指導をすると云ふことから一歩退いて、據るべきものとして示された基準の實行は之を大きく、又強く監督をすると云ふことにして、さうして此の監督の爲、又は基準の適用上必要な場合にのみ發動する法律と云ふものを背景に持たして行く、さうして民間業者に積極的に産業の再建に協力せしめる、奉仕せしめると云ふことが宜いのぢやないかと思ふのであります、そこで總動員法の廢止法案が通過致しまして、是が施行されますと、其の後六箇月以内には統制會も自然になくなるのでありますが、實は世間ではもう統制會の廢止を豫想致して居るのでありまして、之に代はるべき新らしい構想と云ふものを非常に待望んで居るのぢやないかと思ひます、御承知でもございませうが、一面に於きまして、統制會自體の役員、職員の數も相當數に上つて居りまして、是等の者が統制會の廢止と云ふことの運命を反映致しまして、彼等も新事態に即應する迅速、活溌な活動を實は待望んで居ると思ひます、多少其の點に手持無沙汰と云ふ恰好で遺憾の點がないでもないやうに見受けられる、さう云ふ風に傳へ聞いて居るのであります、就きましては御伺ひ申上げたいのは一、二點ありますが、曩に申しました統制會廢止後の新らしい構想はどう云ふ風に御考になりますか、又廢止法案は何時頃御施行になるのでありますか、施行せられましてから六箇月間は有效でありますけれども、成るべく統制會は其の前の法律の有效期間内に於きましても出來るだけ早く廢止せられまして、新らしい制度に切換へられる方が極めて望ましいやうに思ふのであります、其の見透しに付て極く大體のことで宜しうございますが、御伺ひ出來ましたら御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=53
-
054・小笠原三九郎
○國務大臣(小笠原三九郎君) 竹内委員の統制會に付ての色々の御意見は私も御同樣に考へて居るのでございます、統制會の現状に鑑みまして、且又世間の空氣、又將來の産業の編成方法等から考へまして、統制會は出來るだけ速かに之を廢止したいと云ふ考へ方を以ちまして、目下聯合軍側と打合せ中でございます、其の打合せが纒り次第、向ふの承認を得次第、可及的速かに統制會に關する勅令を廢止致したい、斯樣に考へて居るのでございます、唯統制會を止めるから統制を全部止めるかと云ふ問題になりますと、左樣に參りませぬのは竹内委員も能く御承知の通りでありまして、重要なる基礎物資であるとか、或は食料品であるとか、或は又國民生活必需品でありまして、品物の原材料が不足して、之を公平適正に配給する爲には、例へば纖維製品の如くに何等かの統制を必要とするものは、是は野放しにする譯には參り兼ねますので、一日も早く統制は廢止する方針でございます、向ふの承認を得次第廢止する方針でありますが、但し其の後に備へる爲には、今ちよつと竹内さんも御話のやうに、統制會の方では今後に對處する爲に統制會社の廢止に備へる方法を當局者の方で考へて居られるやうであります、組合で行かうとか、工業會だけで行かうと云ふやうな工合に自主的な統制團體を考へて居られるやうであります、之に付きましては私の方も、今後統制を要する業界に付きましては、さう云ふ團體をして統制主體たらしめてはどうかと云ふ風に考へまして、左樣な工合に指導して參りたい、斯樣に考へて居る次第であります、さう云ふ團體の統制をするのは、何等か法的根據が要ると云ふことに付きましては、是は配給統制規則等を活用致しますればやれるのであります、纖維製品は纖維製品配給統制規則でやれるのでないかと云ふ風にも考へて居りまするし、又物に依つては行政的の措置に依つても幾らか行けるのでないかと云ふ風にも考へて居るのであります、それから又團體自體が自分で統制をやつて行くと云ふやうなことも、或程度の統制をやり得るのでないかと云ふ風にも考へて居る次第であります、尚今後の産業團體をどう持つて行くか、此の基礎的編成方針に付きましては、實は私の方で目下一應の案を得て居るのでありますが、關係する所も相當廣汎でございまするので、此の議會には提案の運びに至りませぬけれども、次の議會には必ず之を提案したいと斯樣に考へて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=54
-
055・竹内可吉
○竹内可吉君 御趣意は能く分りました、そこで今聯合軍側と御相談になして居ることの内容に少し亙りますけれども、統制會制度と云ふ一つの制度として、御相談になつて居るのだらうと想像するのでありますが、一つ一つの産業に付て、例へば纖維工業の如きものは、御話のやうに相當強力なと申しますか、組織だつた新らしい制度が之に變はらなければならぬと存じますけれども、澤山あります統制會の中には、もう即刻止めて後のことは心配せぬでも宜いと云ふものも實はあるのではないか、さう云ふものは一つ一つに付て聯合軍側に御申請になりましたならば、片つ端から片付いて行くのでないかと云ふやうな感じがするのでありますが、御差支なければ伺ひたいのは、矢張り聯合國側としては、統制會制度自體として一括でないと許可がない譯でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=55
-
056・小笠原三九郎
○國務大臣(小笠原三九郎君) 實は私の方も一つ一つの問題と致しまして、業種別に是は斯う云ふ譯で必要がないと云ふ風に説明し、或は是は自主的團體として殘る必要があると云ふ風に説明しても、物に依りましては、是は引續き此の儘の形を今暫く續けて行きたい、丁度今度の總動員法を廢止致しましても、尚六箇月間は有效なんでありまして、新らしい改正の立法をする迄は之を其の儘續けて行きたい、斯う云ふやうに一つ一つに付て、殘すものは斯う云ふ譯で暫く殘さなければならぬ、此の分はもう全然必要がないのであるから止めて行く、此の殘す分だけは自主的團體として殘して行きたいと云ふやうに説明して居るのでありますが、尚私共の説明が十分了解を得る迄に至りませぬので、引續き了解を得るやう努力して居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=56
-
057・合田健吉
○合田健吉君 軍需會社の協力工場に付て伺ひたいのですが、各軍需會社に相當協力工場があります、それを全國的に見ますと、相當厖大な數の協力工場があります、此の損失の補償に對しましてどう云ふ御意向を持つて居られますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=57
-
058・小笠原三九郎
○國務大臣(小笠原三九郎君) 直接此の命令、或は公約の分に付きましては、軍需會社と同樣に考へますが、軍需會社の協力工場の中にも、全然直接關係のない部分がございます、多數は寧ろそれであります、從ひまして其の直接關係のない分の多數に付きましては、是は軍需會社と其の協力工場との間に話を付けて貰ふ以外に、其の途はございませぬ、實例に付て一、二申上げますと、能く事情を私の方からも軍需會社等の本部へ話をしてやりまして、協力工場の方で、何と申しますか、軍需會社の理解を早めて都合好く行つたと云ふ實例がございますので、若し協力工場等の事情に依りまして、私共の方で一應説明して上げる方が軍需會社の理解を早めて、問題の解決になるやうな場合には、其の御骨折は致したいと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=58
-
059・向山均
○委員長(男爵向山均君) 外に御質問はございませぬか、ないやうでございますから、只今議題になつて居ります石油業法外十三法律廢止法律案に付きまして討論に入りたいと存じます、御發言がなければ採決致したいと存じます
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=59
-
060・向山均
○委員長(男爵向山均君) 石油業法外十三法律廢止法律案の採決に入ります、政府の原案通り可決すべきものと議決致して御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=60
-
061・向山均
○委員長(男爵向山均君) それでは左樣議決致します、午前は是で散會致します、午後は一時から再開致しまして、國家總動員法及戰時緊急措置法廢止法律案に關して審議を續けたいと存じます
午後零時六分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=61
-
062・会議録情報3
――――◇―――――
午後一時十八分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=62
-
063・向山均
○委員長(男爵向山均君) 只今から午前に引續いて當委員會を開會致します、國家總動員法竝に戰時緊急措置法廢止に關する法律案、此の審議を續行したいと存じます、只今法制局の政府委員と司法省の説明員が見えて居りますから……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=63
-
064・四條隆徳
○侯爵四條隆徳君 司法省關係に付て伺つて宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=64
-
065・向山均
○委員長(男爵向山均君) 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=65
-
066・四條隆徳
○侯爵四條隆徳君 地代家賃の統制令が撤廢されると云ふことになりますと、現在の國民生活の最も緊要なる土地の地代、家の賃貸借關係は新らしい法規の下に立案されて居るのでありまするか、此の處置を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=66
-
067・向山均
○委員長(男爵向山均君) 司法省の説明員から説明を伺ひたいと思ひますが、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=67
-
068・向山均
○委員長(男爵向山均君) それでは……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=68
-
069・原増司
○説明員(原増司君) 御答へ申上げます、御質問のございました地代家賃統制令は國家總動員法に基いて居るものでございますから、固より國家總動員法の廢止と共に廢さるべきものでありますけれども、此の附則に依りまして、尚六箇月間其の效力を有せしめると思つて居ります、從つて其の間に於きまして、十分此の地代家賃統制法廢止の爾後の處置に付て考へて居りますけれども、御質問がございましたやうに、國民生活に非常に深い關係を有つて居るのでございますからして、只今の所無條件に廢止せしめることは考へて居りませぬで、何等かの方法を以て或程度の規正は繼續せしめねばならないのではないかと考へて居ります、唯其の際從來の法律を其の儘行くことは今迄の法律の結果に關して相當考慮を加へねばならぬと存じますけれども、其の考慮の程度に付ては目下愼重に研究致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=69
-
070・竹内可吉
○竹内可吉君 今の問題に關聯致しまして少し伺つて見たいと思ひます、法律の有效期間が切れる迄に色々御考になると云ふことなんですが、どう云ふ點をどう云ふ風に御考になるのでありませうか、根本の方針として、御方針だけで宜いのですが、まあ續けて行くとしても、どう云ふ點が考慮になるのでありますか、御話を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=70
-
071・原増司
○説明員(原増司君) 御答へ申上げます、法律の根本の方針としては繼續して參ることを考慮致して居ります、其の具體的の所はまだはつきり申上げる點迄進んで居りませぬけれど、之を只今の抱いて居る考と申しますか、さう云ふものを申上げますれば、土地と建物に付て、或は同一の態度を取つて宜いかどうか、地代ど家賃と同じ歩調を執つて行けば宜いか、或は別個に考へるか、建物に付ては新たに建てるものと從來に建てられたものとに付て同じ歩調を執つて宜いものであるかどうか、殊に舊來の家賃等は相當安くなつて居りますから、それを今迄のやうに單に据置くが適當であらうかどうかと云ふやうな點を目下考慮中でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=71
-
072・竹内可吉
○竹内可吉君 其の場合に非常に事情は違ふと思ひますけれども今度提案になつて居ります農地調整法ですか、あれでは地主の土地を小作人に強制的に分割讓渡せしめると云ふ根本の方針を執つて居られるのでありますが、ああ云ふ問題と思想的に關聯して考ふべきものと御考になつて居るか、或は其の點は御考になつて居りませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=72
-
073・原増司
○説明員(原増司君) 只今の所さう云ふ點迄考慮して居りませぬ、殊に地代家賃は勿論全國的でございませうが、主として都市に關聯が深いので、農村を主として居る農地調整の問題とは深い關聯を持つて考へては居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=73
-
074・四條隆徳
○侯爵四條隆徳君 馬事團體に付て少し御質問申上げたいと存じます、從來馬事團體は、馬は家畜の中でも特殊の位置にあり、馬は一つの兵器である、活兵器として馬の奬勵には國防上、産業上兩方の意味で指導奬勵をして居つた、外の家畜は經濟動物として指導して居つた、今度馬事團體令が總動員法に依り解除を見ますと、それ以前の状態に歸る、即ち日本馬事會、競馬會と云ふやうなものが、個々獨立のものになつて相變らず存在すると云ふ状況になるのでありますが、元々此の統制令を國家總動員法の制定せられる前に於きましての多年各馬事團體は、馬の奬勵に付て國防上と云ふことが第一義であり、第二義は産業上と云ふことを以て指導奬勵して居つたやうな状況であつた、處が是が撤廢されますと、矢張りそれ以前の今申上げたやうな状況は今後繼續されるのでありますか、實際問題には馬は兵器と看做して居ることは日本だけでなく、各國さう云ふ工合に見て居ります、そこで若し是が撤廢されて、昔の馬事團體として繼續する場合に於ては、無論其の指導、或は奬勵に國防上と云ふ見解を撤廢しないと、將來如何なる指令を蒙るかも知れない、さう云ふ虞があるし、それはまあ多少對外問題にも觸れますが、對内的にも實際問題に國防上の馬の意義はなくなつた、さうすれば實際に他の家畜と同樣の經濟上として取扱ふものと考へるのであります、そこで御質問申上げたいのは此の馬事團體令が取れて、各箇に馬の指導團體が殘つて存在する場合に、如何なる指導方法を執るか、實際に指導の内容、或は其の殘つた所の各馬事團體の會則と云ふものも根柢的に變へなければならぬ現状に直面して居る、それに付ての御方針と云ふものが第二、第三には斯かる現在の日本の情勢になりましても、馬は他の家畜と同樣に取扱ひ得るのか、或は馬だけ矢張り特殊の取扱をして指導奬勵するのか、其の點なのであります、即ち馬が實際家畜として經濟動物であると云ふことに於てのみ指導するならば、他の家畜と同樣、畜産團體に包含さるべきものである、特に馬の團體を殘して馬を奬勵しなければならぬと云ふ理由を伺ひたい、それだけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=74
-
075・西村彰一
○政府委員(西村彰一君) 私開拓關係の仕事を受持つて居りますが、最近迄馬政局長官を致して居りまして、只今御質問になりましたことは大體承知を致して居りますので申上げます、今囘馬事統制令を廢止することになりますと、只今御尋になりましたやうに、馬事團體令に基きまして、設立を致して居りまする日本馬事會は改組をしなければならないことになります、日本競馬會は競馬法に依つて設立されて居りますので、競馬會の方には關係がございませぬが、日本馬事會の方は改組をしなければならないことに相成るのでありまして、先頃來色々準備を致しまして、民法に依りまする社團法人として、全國の馬匹組合、其の他を網羅致しまして、中央馬事會と云ふものを設立することになりまして、設立の總會等も既に濟みまして、其の方は公益法人として行くやうな大體の手續を完了致して居る譯であります、尚御質問のございまする馬と云ふものが終戰後どう云ふ指導方法になり、どう云ふことになるかと云ふことでございますが、終戰直後から色々今後の方針等に付て協議をし、又馬が軍馬として終戰當時に於ては相當の軍馬もありましたので、聯合國の司令部の方とも色々打合せを致しまして、從來軍馬として徴發されて居つたものを、之を全部民有え移しまして、農耕及輓馬、あの方に使ふことに改めたのであります、今後の馬の指導方針と致しましては、御承知のやうに軍馬とすれば、相當の體高、體の大きなものを不斷から相當用意して居りましたので、其の中から必要なる軍の徴發馬を徴發されて居つたのでありますが、今後農耕及び輓馬と云ふことになりますと、さう大きな體高の馬、體重の多い馬は必要としないのでありまして、今後は比較的身體の小さな飼ひ易い馬が段々飼はれることになるのでありまして、左樣に方針を改めて居るのであります、尤も小さい馬と申しましても、農耕開墾等を致します時には相當の體重の馬でないと、二頭立てで鋤を引くに致しましても相當困難がありますので、今迄重輓馬と謂はれて居つたやうなものは當然なくなりますが、中輓馬以下と云ふことに相成るのであります、從來軍馬として相當大きなものが徴發されたのは、主に滿洲支那の方面に行つて居りまして、是は終戰後内地の方に送還することは困難でありまして、内地にありました馬は比較的中輓馬に近いものでありまして、是等の數は非常に僅かなものであつたのでありますが、それぞれ農村に歸つて、農耕其の他に使はれることになつたのであります、今後馬は兵器であると云ふことは全然なくなつた譯でありまするが、我が國の現在の農耕の事情から考へまして、小運送なり、又開墾其の他には相當の馬が必要でありますし、又戰災地の復興等にも輓馬が非常に必要でありますので、馬の數は今後も減らすことなく、馬を農耕及び輸送方面に極力用ひるやうに、又馬を飼ふことが經濟上引合ふやうにと云ふことで進めて參りたいと思つて居るのであります、尚御尋のございました馬が農耕其の他に使はれるやうになれば、馬の團體も畜産組合と云ふやうな團體と一緒で宜くないかと云ふことは一應御尤もでありますが、實は馬が農家に飼はれます場合に於きましては、馬は牛とさう大して變らないのでありまして、農業會なり畜産組合の組合員として馬を飼つて居る農家があることは一向差支ないのでありますが、御承知の通り東北、北海道其の他の産馬地方に於きましては産馬家と云ふものが相當ありまして、非常に苦勞をして、種馬の保持なり改良なりに努力を致して居るのでありまして、是等は一般の畜産組合或は農業會等と一緒に見ますことは困難でありますので、今後馬の團體は現在の馬匹組合等を中心と致しまして、馬の指導奬勵を圖ることに致しまして、其の中央の團體として中央馬事協會と云ふものが公益法人としての團體として、全國を總括して馬の指導奬勵をやる、斯樣なことに致したいと存じて居るのでありまして、尚競馬法に基きます日本競馬會は競馬の關係のことをやりまして其の收入を以て産馬の改良の方面に行くと云ふやうな風に致して居るのでありまして、是は其の儘存續するやうに致したい、斯樣に存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=75
-
076・四條隆徳
○侯爵四條隆徳君 只今ので大體了解致したのでありますが、實際に地方で、日本の現状を見まして農牧と云ふことは非常に重要なことだらうと思ひます、實際に特殊な馬産地と云ふものもありますが、一方牛に付ても特殊の牛の産地があり、鷄に付ても特殊の産地があると云ふことで、各家畜同じやうな現象である、處が實際地方で農業家を指導するには特に馬だけしか指導が出來ぬと云ふやうな技術者では寧ろ困るので農牧一體になつて、立體的農業を經營するに付ては、一人の技術者で畜産の有らゆる部面を指導し得ると云ふやうなことが非常に重要なことと考へるのであります、處が現在の馬政局は廢止されたやうな譯であるが實際は畜産局内に他の家畜が全部一つの課で取扱はれる、馬だけは別に獨立して居る、或は馬事團體が特にあつて、外の畜産團體はそれ以外の家畜を全部取扱ふと云ふやうなことがあるものですから、比較的畜産を指導する技術者に於ても、地方で馬は變則的に、まあ馬の指導者には外の畜産のことは比較的指導しにくい、斯う云ふやうな状態にある、此の馬が經濟動物として、今後取扱はれると云ふやうな状況に於ては多少今迄の行き方と變へなければ工合が惡いのでないかと云ふやうな聲が可なりあるやうな次第で、今の質問を致したのであります、私の伺ひたいのは、例へば日本の農牧畜は大農法では無理で、小農の手に依つて行かなくちやいかぬと云ふやうなことがありますので、有らゆる種畜を日本に分散させる爲には、從來の種馬所と云ふやうなものも、馬だけでなく、他の動物を飼つて種畜を廣く行亙るやうにする、或は馬を飼はない種畜場のやうな所にも寧ろ馬を飼つて、此の繁殖を圖ると云ふやうなことが非常に望ましいぢやないか、斯う云ふことを考へて、今の質問を致したやうな譯であります、そこで今後中央馬事協會、斯う云ふものが出來るに付て私の伺ひたいのは、馬を指導する技術者も他の家畜を指導すると云ふやうな努力をし、他の家畜を指導する技術者も矢張り馬を指導出來るやうにしないと、非常に變則的なことになりはせぬか、之に付て技術者をどう云ふ風に指導されるか、御方針を伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=76
-
077・西村彰一
○政府委員(西村彰一君) 御話のやうに從來馬の方の關係と一般家畜の方の關係が、軍の要求に基いて居りまする爲に、其の間の關聯がうまく行つて居らなかつた、農業上或は畜産改良上、或程度の無理があつても、馬の方に特別に力を入れると云ふやうな關係にあつたのでありますが、今囘馬政局を廢止されまして畜産局になりまして、唯單に畜産局と云ふものが馬の關係、畜産と云ふものを綜合しただけでなくて、御話のやうに地方の牧畜、家畜の改良と云ふことになりますると、馬は特別な所も勿論ございますけれども、牛、馬其の他の家畜を一括して考へて行くことが、御話のやうに必要だと存ずるのであります、大體私共の考へと致しましては、種馬所は特に種馬を國が保有し、或は民間に貸付けて、馬匹の改良をやつて居ります爲に、種馬所の機能と云ふものを止める譯には參らないのでありますが、種馬所は今後畜産指導所と云ふ風に改めまして、馬を主として居るけれども、一般家畜にも東北、北海道に於ては相當力を入れると云ふ風にやつて行きたいと思ひますし、又從來の畜産試驗場、或は畜産試驗場の分場等に於きましても、馬は全然顧みないと云ふやうなことのないやうに致しまして、是等に於ても馬を飼つて、綜合的に試驗研究が出來、又技術者も相互に理解を持つてやつて行くやうに致したいと思つて居ります、團體の關係に於きまして、馬匹組合等を郡單位に作りまするが、是は何れの所に於ても馬が居るから馬匹組合を必ず作れと云ふ考へ方ではなくして、先程申上げたやうに産馬家の多いやうな、特に馬の多い所に於て馬匹組合を作りまして、其の他の地區に於きましては農業會其の他のもので結構でありまして、馬を飼つて居る者も農業會の中に入つてやる、中央馬事會は馬匹組合其の他農業會……畜産組合は今問題ございませぬが、家畜の團體等を網羅して、中央馬事會と云ふものが、中央に於ては馬のことを主として指導致しまするが、府縣其の他以下に於きましては、全般的に家畜の指導が出來るやうに、又技術者も兩方の知識を持たせるやうな風に今後指導して參りたい、斯樣に存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=77
-
078・四條隆徳
○侯爵四條隆徳君 それから競馬を續行する競馬會は、是は法律で制定されたもので、是は現在の議題になつて居ることとは多少外れますが、地方競馬はどうなる御見込なんですか、之をちよつと御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=78
-
079・西村彰一
○政府委員(西村彰一君) 地方競馬、又中央の競馬に付きまして、實は聯合軍の方に或程度の打合せを致して居るのでありまして、中央の競馬は出來るだけ早い機會に於て開始致したいと斯樣に考へて居るのであります、併しながら從來十一箇所に競馬會でやつて居りまする中央の競馬があつたのでありますが、何れも競馬場等は食糧増産の方面に使はれて居りまして、之を整備するに相當な手數も掛かりますし、國民齊しく食糧の増産、食糧難でありまする時に、餘り方々に於て競馬を始めると云ふことは、こちら側としても如何かと考へて居るのでありまするが出來れば東京、大阪のやうな所に於ては、健全なる「スポーツ」の意味に於きましても、中央の競馬を始めたい、斯樣に考へて居るのでありまするが、地方競馬に付きましては、現在の所地方競馬は直ちには始めないで行きたい、併しながら地方に於て軍馬と云ふものがなくなり、馬に對する刺戟が相當少くなつて居りますので、地方に於て馬事大會のやうなものをやりまして、そこで産馬熱を色々鼓吹し又産馬家、育成家の表彰其の他をやると云ふやうなことに致しまして、地方の馬匹の改良に資したいと思つて居りますが、地方の競馬を今直ちに許可して始めると云ふことは、現在に於ては考へて居らないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=79
-
080・四條隆徳
○侯爵四條隆徳君 今私の申上げた地方競馬と云ふのは、昔地方競馬と言つたもので、此の總動員法が布かれる前後に軍用保護馬鍛錬競爭と云ひますか、之に變つたものを指して言つたやうな次第であります、さうすると軍用馬の鍛錬と云ふことは今囘無くなる、是が馬事團體が解かれればどう云ふ風になるのですか、名前が殘るのでありますか、それとも或は軍用保護馬鍛錬協會は消滅するのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=80
-
081・西村彰一
○政府委員(西村彰一君) 軍馬資源保護法に基きまして、鍛錬馬競走を御承知の通りやつて居りますけれども、今後それ等の關係は一切消滅することになりますから、從來の鍛錬馬競走のやうなものは是は取止めまして、先程申上げましたやうに、地方の馬事團體に於て馬事大會的のものでやつて行く所のものを奬勵して參りたい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=81
-
082・矢吹省三
○男爵矢吹省三君 今の御話に關聯して御尋ねしたいと思ひます、馬匹に關する國家の政策が今迄は軍事を目的としたのが、今度は軍事を離れて馬匹に付て政策を執られるやうに拜承致したのでありますけれども、從つて其の改良の目的も從來と自ら違ふものが出來て來るのではないかと思ふのですが、速力と云ふやうなことを餘り重く見ないのぢやないかと思ひますけれども、是は一例ですげれども、先程伺つた農耕用或は運搬用に馬匹を使ふと云ふことでありますから、自然今迄とは馬に求める要件が違つて來ることになつて來たと思ふので、馬匹の改良に付ても自ら變つて來る、同時に種馬に關する條件も從來と變つて來ると思ひますが、さう云ふ所には何等の變化なく、從來通りの方針で馬匹改良をして行かれる積りですか、序に伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=82
-
083・西村彰一
○政府委員(西村彰一君) 馬匹の改良に付きましては、今後は競走用の馬、或は軍の方の乘馬に使ふと云ふやうな必要はなくなりますので、種付の場合等に付きましても所謂輕種と云ふやうなものとの種付を行はないことになりまして、所謂農耕用輓馬の方に適する所の種付を行ふと云ふ風に自然變つて來ると思ひます、唯輓馬の方になりますと、或程度の速力が必要なのでありまして、非常に「スピード」は必要でないけれども、或程度の速力は伴ひまするから、色々種付を致します時に其の他の血液の關係を考慮して今後やつて參りたいと斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=83
-
084・矢吹省三
○男爵矢吹省三君 其の程度の改良をするに付て矢張り競馬は必要なのでありますか、矢張り速力と云ふやうなことに重きを置く場合に於て、競馬と云ふやうなものが成立つのではないかと思ひます、現在伺つたやうな方針で競馬と云ふものを尚存續する必要はございませぬのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=84
-
085・西村彰一
○政府委員(西村彰一君) 競馬は速力の關係と申しますよりも、乘馬方面の健全な「スポーツ」と云ふことにして若干の輕種を保存して行きたい、斯う云ふ意味に於て競馬を……又金融方面の實情等も考へまして、出來る範圍内に於て競馬をやりたいと云ふことを目下の處考へて居るのでありまして、それが爲に澤山の競馬に必要な種馬を保持し、競馬の血液を一般の馬に入れると云ふことは考へて居らないのであります、競馬を今後執行する場合に於きましては愼重に各方面のことを考へて執行致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=85
-
086・向山均
○委員長(男爵向山均君) 農林省關係に付ては外に御質疑ございませぬか……大藏省の政府委員がお見えでありますから、大藏省關係で御質疑がありましたならば御質問を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=86
-
087・三須精一
○男爵三須精一君 大藏省關係の方がおいででありますればちよつと御伺ひ致したいと思ひます、終戰後各飛行場其の他軍用地が不要になつたのでありますが、之が農耕地其の他に轉用される場合に於て、是は國有財産の方に編入され、それが各團體に於てどう云ふ風に處理されるのですか、其の點に付て伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=87
-
088・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 當該の政府委員が參つて居りませぬから後で御答へ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=88
-
089・宍戸功男
○子爵宍戸功男君 ちよつと外資局長に伺ふのですが、終戰の結果、衆議院の方で御話があつたと思ひますが、朝鮮とか、或は滿洲とか、外地に於ける疎開者の財産は凍結されて居りますが、將來是等の投資問題ですが、それあたりは將來の整理の見透しはちよつと今分り兼ねると思ひますが、どう云ふ風な段取になつて行くものですか、概略で宜しいが伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=89
-
090・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 滿洲、朝鮮其の他の外地竝に外國關係に對しまして投資したものは將來どう云ふ風に處理されるかと云ふ御質問でありますが、それに付きましては、大體聯合國側の方針と致しましては、日本及日本國民の海外に於ける財産は原則として之を賠償として取ると云ふことを申して居ります、從ひまして本邦人の投資して居ります各種の在外財産が殆ど全部聯合國の手に賠償として取られると考へなければなりませぬ、其の際に投資者或は所有者に對しまして、政府がどう云ふ風な處置に出るかと云ふことに付きましては、先般來政府の部内に於きましても、事が重大でありますから愼重に考へて居るのでありますが、大體の方針と致しましては、現在向ふの事情が能く分りませぬ、もう既に一部は賠償に充當されつつあると云ふ情報が入つて居ります、事態の判明に依りまして、他の終戰に伴ふ色々な補償とか、救恤等の措置と權衡を失しないやうに適當の措置を執る、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=90
-
091・矢吹省三
○男爵矢吹省三君 今の御質問と御答辯とに關聯致しまして、或事例を申上げて置きたいのでありますが、朝鮮に於きまする或工場、「アメリカ」の進駐軍が占領して居る區域ですが、其の工場が終戰後間もなく閉鎖したのでありますが、其處に居りました朝鮮人の從業員が委員會を作りまして、其の工場の委員會の名に於て運營して行くと云ふことになりました、米軍の認可を得てさう云ふ手續をしたのでありますが、其の工場に關する貸借對照表を作らせて、それぞれの資産を聯合國側に於て評價して、其の工場の資産價格を決め、さうして或一定の價格を評價したと云ふ承認書と申しますか、證明書を渡した譯であります、即ち米軍の見たる工場の價格と云ふものを、朝鮮に於ける米軍の機關が決定して、それを利害關係者に示して書いて渡したと云ふ事實なんであります、是等は今仰しやつた賠償に充てる意味に於て評價して居られる、其の評價した金額を以て賠償金の計算に算入せしめると云ふ意味でやつたものと私は思ふのでありますが、さう云ふ事例が他にもあり、又さう云ふ賠償に充てると云ふことに付てはどう云ふ御觀察でありますか、序に御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=91
-
092・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 只今御話の事例に付きましては、大體向ふは賠償に充てる考で居るのぢやないかと想像されます、他の例に付きましては本年の十月の初から支那でやつて居る例があります、此の場合日本人が持つて居りまする色々な金だとか、或は貴金屬、さう云つたものを或一部分を除きまして全部向ふの銀行に預けさせる、さうして金錢は其の儘でございますが、貴金屬等は時價に依つて支那側の銀行に預けさせまして、さうして之を將來賠償に充當させると云ふやうに致して居ります、と云ふのが我々の耳に入つて居ります、さう云ふ詳しい計算をして呉れるものであれば、恐らく何れは賠償の中に含まれるものではないか、尚それに關聯致しまして、其の場合に日本の政府と致しまして、其の所有者に對して其の賠償に取られた物に付て、どう云ふ補償をするか、どう云ふ措置を執るかと云ふことは目下考究中であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=92
-
093・矢吹省三
○男爵矢吹省三君 此の審議の問題から離れますが、序にちよつと伺ひます、支那に於ける最近の「インフレ」の状況は、終戰前と終戰後と、其の變化はどう云ふ程度になつて居りますか、状況は惡化せずに幾らか良くなつて來て居りますか、外資局長御承知でございますればちよつと伺ひたと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=93
-
094・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 支那の終戰前後に於ける「インフレ」の状況でありますが、非常に區々の情報、或は斷片的の情報で正確を期し難いのでありますが、北支に於ける一例を取つて見ますと、終戰の前、八月の上半の頃は「インフレ」の勢がぐんぐん上昇して來ると云ふ状態であつたのであります、終戰になりまして後、一時物價等が非常に下つたと云ふ實例でございます、而して下つて居りましたが、其の後になりまして又或程度上昇線を描いて居る、斯う云ふやうな状態でありまして、一つの例を金塊に採つて見ますと、戰爭の終ります少し前、八月十日前後の天津に於ける金塊の相場は、一兩と申しますか、三十一「グラム」餘でありますが、それが四十五萬圓位致して居つたのでございます、それが戰爭が終りました後、急に落ちまして四、五萬圓、殆ど十分の一位に下落したのであります、それが最近の情報に依りますと、十一月の初め頃には又二十萬圓乃至二十五萬圓位になつて居る、斯う云ふ状態であります、是が金塊に關する一例でありますが、金塊は比較的物價の状態を或程度反映致して居るものですから、それに依つて大體御推察願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=94
-
095・向山均
○委員長(男爵向山均君) 大藏省關係は他にございませぬか……農林省關係の御質問を御願ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=95
-
096・佐竹義榮
○侯爵佐竹義榮君 ちよつと伺ひます、全國の農業會令と云ふものが今度廢止になりますが、何かそれに代はるものが出來るのでございませうか、其の點農林當局の御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=96
-
097・北條雋八
○政府委員(子爵北條雋八君) それに代ります法律と致しましては、今度の農業團體法の改正がございまして、それに全部包含させることになつて居ります、御承知置き願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=97
-
098・向山均
○委員長(男爵向山均君) では農林省關係が他にございませぬければ、厚生省關係ございませぬか……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=98
-
099・矢吹省三
○男爵矢吹省三君 榮養研究所は厚生省の御管轄と思ふのですが、餘程前に榮養研究所なるものが出來て、色々彼處で研究された發表もあるやうであります、榮養研究所は大分前に設立されて、佐伯博士とか云ふ方が居られて、相當今迄榮養上國策に貢獻したと思ふのですが、最近一向榮養研究所と云ふことを聞かないのですけれども、今でも榮養研究所と云ふものが存在して居ると思ひますが、食糧の不足して居りまする今日榮養研究所の機能を一層發揮せしめて、出來るだけ少い食糧で國民の榮養を保持することを考へることが必要だと思ふのであります、榮養研究所が設立されました當時の意味よりも今日更に其の重要さを加へて居ると思ひます、それにも拘らず榮養研究所なるものの最近の活動を餘り聞いて居りませぬが、厚生省の御所管と思ふのですが、最近の同所の活動状況を知らせて、戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=99
-
100・澤重民
○政府委員(澤重民君) 榮養研究所は厚生省に厚生科學研究所と云ふものが出來ました時に其の中に吸收せられまして、厚生科學研究所の中の國民榮養部と云ふことで從來やつて居りましたやうなことを今研究をやつて居る譯であります、榮養問題が非常にやかましい今日の際でありまして、私共としましても榮養問題の研究竝に榮養問題を實際問題として指導の面を取上げて行くと云ふことに付きまして熱心にやつて居る次第でございます、榮養研究所は御承知の通り研究機關でありまして、現在の國民榮養と云ふものの研究施設としてやつて居ります、其の研究の結果等に付きましては、主として學理と云ふ點から致して居りまするので、世間に發表致す機會がないかと思ひますが、實際問題を指導すると云ふ面に於きましては、各府縣に榮養の指導者を養成する必要があると云ふことから榮養師の規則等も發布致しまして、榮養師の養成に力を注いで居る譯でありまして、更に又民間の團體としましては榮養協會と云ふものを設立致して居りますが、實際問題として色々な榮養の指導宣傳と云ふやうな面に乘出して行くと云ふことで今年の四月からさう云ふ方面の活動を致して居るやうな次第で、從來の榮養研究所、現在の國民榮養部に於きましても主として學理的方面に重點を置いて研究を續けて居るやうな次第でございます、簡單でございますが御答へ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=100
-
101・矢吹省三
○男爵矢吹省三君 依然研究が續けられて居ることは承知致しましたが、其の研究された結果を著々實際に應用して行つて現在の食糧不足を出來るだけ緩和して行くやうなことにしなければ、研究所が存在して居つても其の意味を成さぬと云ふことになるのぢやないかと思ひますが、從つて從來より此の際一層榮養研究に力を入れられ、それを急速に實行に移すと云ふことを厚生省としては爲さるべきものだと思ふのでございますが、最近は大都市に於て毎日何人かの餓死者が出て居ると云ふ状態を聞くのでありますが、恐らく今後に於ては益益さう云ふ不幸な人を増すのぢやないかと思ひますが、是等の現象は榮養研究所に於て更に研究されれば或程度迄緩和出來るやうなことぢやないか、即ち食物が足らなければ特殊な榮養上の藥を作ります、それを注射するなり呑ませたりすることに依つて、食物が缺乏して居つても、其の人の榮養を失はしめないと云ふやうな方法等もあるのではないかと思ひますが、斯う云ふ食糧不足の状況に於て、從來に比して更に適切な研究が出來、それを著々實行して居る實例でもございましたら御話を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=101
-
102・澤重民
○政府委員(澤重民君) 榮養問題は只今御話のございましたやうに、刻々極めて重要な問題でありますので、榮養の研究の面に於きましても、特に所員を總動員致しまして、當面の問題に付きまして研究を繼續して居りまして、其の結果に付きましても出來るだけ之を速かに實施に移すと云ふ方面に向つて努力を致して居るのであります、唯榮養の問題に付きまして、我々衞生當局と致しまして、最も重點を置かなければならぬものは、食生活等に於ける榮養の指導の面であらうと思ふのでありまして、食糧の問題と非常に關係のある問題でありまして、食糧の問題は主として生産と配給と、斯う云ふ面でございまして、此の面に付きましても榮養の見地から尚一層之を有效になし得ると云ふ面に付て研究を致して居るやうな次第であります、實際問題としてどう云ふことをやつたかと云ふ御話でございましたが、先程榮養劑、藥等の御話もございましたが、過般來海外から歸つて參ります引揚同胞、其の他復員軍人等に付きましては、榮養上非常に憂慮すべき状態になつて内地に歸つて來ると云ふ情況でありますので、是等に對しましては御話の榮養劑等を此の方面に送りまして、外地へも送つて居ります、さう云ふ病人に對する補給と云ふことも勿論やつて居るのであります、尚最近食糧の問題に關聯しまして、粉食奬勵と云ふことを致して居るのでありまして、此の粉食の奬勵等に付きましても、團栗の如きものは榮養的の立場から申しましても宜いと云ふので、其の團栗も囘收……是の喰べ方と云ふやうなことに付きましても榮養面から出來るだけの指導を致して居るやうな次第であります、特に取上げて斯う云ふ問題を扱つたと云ふ、さう云ふ名案は、まだ御紹介申上げる迄のものはないのでありますが、常々斯う云ふ方面に留意を致して居りまして、國民榮養の最も大切な今日でありますから、一つ十分努力してやつて參りたい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=102
-
103・矢野庄太郎
○政府委員(矢野庄太郎君) 此の間體力法の經過を説明するやうに申上げて御約束を果して居りませぬが、今日御話して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=103
-
104・向山均
○委員長(男爵向山均君) 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=104
-
105・矢野庄太郎
○政府委員(矢野庄太郎君) 先般當委員會に於て、國民體力法實施の成績如何と云ふ野村子爵の御質問の際に、私は就任勿々で能く知らないから後日取調べて詳細の御話を申上げると云ふことを申して置きました、本日其の御答辯を衞生局長から致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=105
-
106・澤重民
○政府委員(澤重民君) 國民體力法施行の状況に付て、私より概略御説明致します、國民體力法は昭和十五年度から施行致して居ります、昭和十五年度に於きましては男子十七歳より十九歳迄約百八十萬人に對しまして實施を致しました、昭和十六年には十五歳より十九歳迄約二百三十萬人に對して實施を致しました、昭和十七年以降は十五歳から二十五歳迄と云ふことに致しまして毎年四百七十萬程度を對象と致しまして、實施致して今日に至つて居る次第であります、此の施行の結果の概略を申上げますと、昭和十八年度を大體境と致しまして、身長、體重等は低下の傾向を示して居るのであります、又結核患者等に付きましても十八年度を基準として非常に殖えて居るやうな状況でありまして、是等は何れも先程御話のありました食糧問題、榮養問題斯う云ふものに大いに關係を持つて居る所と思ふのですります、昭和十五年度以降の實施の細かい成績に付きましては、今日持ち合しては居ないのでございますが、是等の檢査を致しました結果に付きましては、或は結核の患者に對しては治療を命ずる或は筋骨の薄弱者、或は輕度の結核病患者と云ふものに對しては、健民修練所等に收容致しまして、之に對して適切なる指導を加へる、斯樣な施策を講じて參つて居る次第であります、今日此の戰爭が濟みまして以後の措置に付きましては、衞生當局と致しましては、是から先は徴兵檢査と云ふこともなくなります、國民の體力を、健康状態を把握すると云ふのは一に體力檢査を措いて外にないことと相成りますので、やり方等に付きましては十分是から先も事態を能く考慮致しましてやらなければいけないと思つて居りますが、引續いて國民の體位、健康の増強の基礎的資料を十分にはつきりと掴みまして、其の上に保健衞生の對策を執つて參りたい、斯樣に考へて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=106
-
107・矢野庄太郎
○政府委員(矢野庄太郎君) 先般當委員會に於て渡邊さんから現在建築費用が非常に高い、迚も建築工の賃金が高いので、此の儘に放任して置いては復興建築は到底起らないだらうと云ふ御質問がございました、其の際私は事頗る重大であつて、政府委員として御答辯申上げることは出來にくい、仍て御質問の趣旨を十分に大臣に傳へて、大臣から答辯をさせるやうに取計ひますと申上げて置きました、其の後大臣に會ひまして御質問の趣旨を十二分に傳へたのであります、處が本日他に差支がありますので私が代りまして、大臣の意を承けて茲に御答辯を申上げます、それは結局米とか、或は麥とか云ふ食糧、それから酒とか煙草とか云ふ勞務者の必需品が不足で、高い結果、勞銀が高いのであつて、さう云ふ問題を解決しなければ厚生省の政策のみに依つては渡邊さんの御質問に御滿足の行くやうなことにはなりにくいであらう、併し厚生省として懷手で傍觀すると云ふ譯ではないので、それ等建築工の中でも、まだ職業に就かないで、復員者等の中で、遊んで居ると云ふ者も相當あるだらうと思ひますので、さう云ふ者に對して、勤勞意慾の昂揚を圖る方法を執るやうにしたい、斯樣に存じて居ると云ふことでございます、是だけ御答辯を致して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=107
-
108・三須精一
○男爵三須精一君 只今衞生局長が御見えになつて居るやうですから、ちよつと私伺ひたいと思ひます、先程御話の結核病が、食糧の不足から漸次殖えて行くと云ふ御話でございましたが、之に對して色々健康法其の他衞生方面に於て、諸種の設備をなさつて居られるやうでありますが、現在結核療養所と云ふものがありますが、之に對してどの位の「ベット」が療養所に入つて居るか、それに今後殖えた場合には此の結核病の度の過ぎた者を收容することに付きましての何か御計畫がございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=108
-
109・澤重民
○政府委員(澤重民君) 戰爭中食糧の關係、それからもう一つには相當無理をして勞働して居つたと云ふ關係からして、結核患者が漸次増加を致して居るのであります、私本日甚だ勝手でありますが、資料を全然持つて參りませぬでしたのでありますが、確か最近では一萬人に付きまして死亡率が二十三人位になつて居るのであります、過去の最も惡かつた時期と同じやうな状況になつて居るのでありまして、是から先の結核蔓延のことを非常に心配致して居るのであります、戰後に於きましても、勤勞者が徴用等から歸つて參りまして、或は學徒が職場から、工場等から歸つて來る、或は復員の軍人、或は引揚人等がそれぞれ相當無理な生活をし、榮養等の不足を來し、それ等の間にも相當結核患者があるのぢやないか、是等が農村等に入りまして農村等に結核が蔓延する、是等の事態があつては大變であると云ふことで、此の結核問題に付きましては戰後に於きましても、最も重要な衞生問題として我々としては考へなければならぬと思つて居るのであります、現在軍の療養所、或は傷痍軍人の療養所、或は民間の醫療團等に於て經營致して居りまする療養所等は相當數ございます、「ベット」の數は全部合せまして約六萬程度はあると思つて居ります、現在結核に於て死亡致します國の毎年の大體の數が十六、七萬と云ふやうに考へて居ります、「ベット」の數と致しましては大體結核死亡者だけの「ベット」數を備へると云ふことを理想と致して居るのでありまして、更に「ベット」の數を増加を致さなければならぬと斯樣に考へて居るのであります、唯現在の食糧事情其の他の關係に於きまして入院患者が相當勸奬致しましてもなかなか入院を致さない實情であるのでありまして、是等の點が改善致しますならば、「ベット」として、現在尚收容の餘力を持つて居るのであります、併しながら將來のことを申しますと、昭和十五年でありましたか、厚生省に於て計畫を致しました十萬床の計畫、是等も早急に實施致すやうにしたいと、斯樣な考で居るのであります、唯我々の考へて居ります内容を申上げる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=109
-
110・矢吹省三
○男爵矢吹省三君 今伺ひますと、「ベット」の數は十萬床に殖やしたいと御考になつて居られるやうでありますが、是非それは早急に充足を御願を致して置きたいと思ひます、就ては終戰後各地方に休止工場、或は廢止工場とか段々あるやうであります、此のああ云ふ工場の建物を直ちに轉用したならば、比較的早くさう云ふ要求に應ぜられるやうに思はれますが、尤も是等は療養所でありますから、場所を選ぶのは勿論でありますが、相當各地にさう云ふ工場が建つて居ると思ひますので、活用せられるものがあるのではないかと思ひますが、如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=110
-
111・澤重民
○政府委員(澤重民君) 只今御話がございました十萬床計畫に付きましては我々當局と致しましては具體案を持つて居るのであります、それは只今御話がございますやうに現在の條件に於きましては新らしく建築することが非常に困難であります、それで先づ陸海軍の兵舍、其の他の設備にして轉用し得る、さう云ふものを結核の病棟に轉用することが近道であると、斯樣に存じまして、只今日本醫療團或は各府縣に於て、具體的のそれ等の施設の接收に付きまして話を進めさして居るやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=111
-
112・向山均
○委員長(男爵向山均君) 運輸省の説明員が參りましたから御質問がありましたら……尚運輸省に關しましては、説明員の答辯を御願することにして進行したいと思ひますが御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=112
-
113・向山均
○委員長(男爵向山均君) では左樣取計ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=113
-
114・宍戸功男
○子爵宍戸功男君 各種の運輸省關係の統制令が廢止となるのでありますが、之に關聯してちよつと伺ひたいのですが、新興日本としては將來船舶を相當數持つて居る必要があることは勿論でありますが、聞く所に依れば將來我が國の造船所は縮小されるとか、又は賠償の一部に充てられると云ふやうなことを聞くのでありますが、其の邊の見透しに付て伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=114
-
115・岡田修一
○説明員(岡田修一君) 只今の御質問に對して私の知つて居る限りのことを御答へ申上げます、尚必要がありますれば船舶局長其の他が參りまして御説明致すことに致したいと思ひます、造船施設の賠償に付きましては一昨日でありますか、「ポーレー」氏の聲明にありましたやうに、大體二十箇所の造船所に付て其の施設を撤去すると云ふことが言はれて居ります、それ以外に何等未だこちらに對しましては意思表示もない譯であります、其の二十箇所がどう云ふ風に撤去せられるのですか、其の内容はまだ全然分つて居りませぬ、假に之を大きい造船所から二十箇所取ると致しますと、大體造船の能力と云ふものは、一年間の建造能力として十三萬「トン」位に低下するのではないかと思つて居ります、現在一萬「トン」以上の船舶を建造し得る造船所と云ふのは、全國で大體二十九箇所位殘つて居ります、それから千「トン」以上一萬「トン」迄の船を造るものは、其の外に大體二十乃至三十ある見込であります、從ひまして今申上げましたやうに、大きい方から二十箇所取ると致しますと十三萬「トン」程度になる、私共まだ色々基礎研究でございますが、檢討致して居る所に依りますと云ふと、日本が國民生活の最低限度を維持するには大體どの位の船腹が要るかと申しますと、少くとも貨物船で三百萬「トン」から三百三十萬「トン」位、それから旅客船、漁船、油船、斯う云ふものを入れますと四百萬「トン」位は持たなければならないのではないか、全部合せまして四百萬「トン」、それは極く大雜把な見込でありますが、それに對しまして終戰當時持つて居りました船と云ふのは百五十萬「トン」程度であります、是は長期の修理を要するもの、或は南方にあるもの、斯う云ふものを含めてであります、從ひまして其の差と云ふものは非常に大きなものであります、此の差を出來るだけ早く補充するやうにしなければいけませぬのと、更に現在持つて居る船でも、是が毎年災難、或は一般消耗で減つて行く點がありますので、相當程度の造船能力を持たなければいけないのであります、現在今申しました造船所の全能力を出しますと、百二十萬「トン」位に考へて居りますが、それを「フル」に使はない迄も相當程度造船能力の許す限度に於て造船をしなければならぬ、斯樣に考へて居ります、併し實際問題として資材其の他の制約がありますから、さう多量の何は出來ませぬが、最小限能力としては四十萬「トン」から六十萬「トン」位持たなければならぬ、毎年造るのも資材の面は有らゆる無理をしてでも四十萬「トン」位は造つて行かなければいけないのではないか、斯樣に考へて居るのであります、從ひまして造船能力としては六十萬「トン」、それで實際建造し得るものは四十萬「トン」位になりますが、それ位のものは何とか確保するやうに努力をしなければいけないのではないかと云ふやうに考へて居る譯であります、今申しました向ふの賠償委員の方の聲明に對しまして、其の通り實行されますと非常に憂慮すべき事態になりますので、何とか今申しました相當の造船能力を確保するやうに骨を折らなければならぬ、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=115
-
116・宍戸功男
○子爵宍戸功男君 二百「トン」以上の造船所のことは分りましたが、一萬「トン」以下の造船所も相當に殘つて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=116
-
117・岡田修一
○説明員(岡田修一君) 今申しましたやうに二十箇所から三十箇所位あると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=117
-
118・宍戸功男
○子爵宍戸功男君 それが今囘の戰災の状況はどうでありますか、殘つて居るものは、大體でも宜しうございます、一萬「トン」以下の……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=118
-
119・岡田修一
○説明員(岡田修一君) 各工場に付ての戰災のことは私ちよつと今詳しく申上げる何も持つて居りませぬが、全體としては能力として二十「パーセント」乃至二十五「パーセント」位減つて居る、斯う云ふやうになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=119
-
120・宍戸功男
○子爵宍戸功男君 今度は船員の問題でありますが、船員の補充、殊に高級船員の補充で高等商船あたりが二つ殘つて居ると云ふことを聞くのでありますが、殘つて居りますか、或は全部止めになつたのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=120
-
121・岡田修一
○説明員(岡田修一君) 御答へ致します、高等商船は從來東京高等商船と、それから清水高等商船、それから神戸の高等商船、三校ありました、それを昨年でございましたか清水の一校に集約してしまつたのであります、現在其の生徒の收容員は三分の一位に減じまして、其の出て來たものは外の方に轉校する措置を講じて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=121
-
122・向山均
○委員長(男爵向山均君) 本日は是で散會したいと思ひます、明日は本會議散會後引續き開催致したいと思ひます
午後二時五十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=122
-
123・会議録情報4
出席者左の如し
委員長 男爵 向山均君
副委員長 子爵 宍戸功男君
委員
侯爵 四條隆徳君
侯爵 佐竹義榮君
子爵 野野村益三君
男爵 矢吹省三君
男爵 三須精一君
男爵 古市六三君
竹内可吉君
大木操君
瀧正雄君
松本學君
合田健吉君
國務大臣
商工大臣 小笠原三九郎君
政府委員
法制局次長 入江俊郎君
大藏省外資局長 野田卯一君
厚生政務次官 矢野庄太郎君
厚生省衞生局長 澤重民君
厚生省勤勞局長 佐伯敏男君
農林參與官子爵 北條雋八君
農林省畜産局長 蓮池公咲君
農林省開拓局長 西村彰一君
商工參與官男爵 山根健男君
商工省總務局長 菅波稱事君
商工省工務局長 奧田新三君
商工省鉱山局長 北野重雄君
商工省燃料局長 岡松茂太郎君
商工省整理部長 吉田悌二郎君
説明員
司法書記官 原増司君
商工書記官 中島征帆君
運輸書記官 岡田修一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00619451210&spkNum=123
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。