1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○國家總動員法及戰時緊急措置法廢止法律案
○戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法廢止等に關する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十年十二月十一日(火曜日)午前十時五十分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=1
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002・向山均
○委員長(男爵向山均君) 只今から開會致します、本日本會議に上程され當委員會に併託されました戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法廢止等に關する法律案に付きまして、大藏大臣の御説明を伺ひたいと思ひます、尚大臣は衆議院の豫算總會の方に御用を持つて居られるさうでありますから、大臣に對する御質問を先に御願します、政府委員で宜い質問は其の後に御願したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=2
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003・澁澤敬三
○國務大臣(子爵澁澤敬三君) 本委員會に付託せられました戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法廢止等に關する法律案に付きまして、提出の理由を御説明申上げます、政府は大東亞戰爭勃發前から、戰爭危險の保險を以て、戰時經濟秩序の維持及戰時國民生活の安定に缺くべからざるものと考へまして、戰爭死亡傷害保險法、戰時特殊損害保險法等を制定致しまして、國營的戰時保險制度を整備したのでありますが、今春、生命保險中央會法及損害保險中央會法等に依りまして、兩中央會が設立せらるるや、是等の戰時的保險は兩中央會の業務として、それぞれの分野に於きまして、綜合的に運營せられる所となつたのであります、然るに今次終戰に伴ひまして、是等戰爭危險發生の虞は、特殊の場合を除きまして、最早發生の虞なきに至つたのであります、茲に於きまして今囘政府は、是等戰時的保險制度を廢止するを適當と認めまして、戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法を廢止すると共に、生命保險中央會法及損害保險中央會法に所要の改正を加へることとし、茲に本法律案を提出した次第でございます、本法案の趣旨を申述べますると、先づ戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法は之を廢止致しまして、兩法に基く保險、即ち戰爭死亡傷害保險、戰爭保險及地震保險は、今後中央會及各保險會社に於て、原則として其の引受をしないことと致したのであります、唯戰爭死亡傷害保險に付きましては、今日尚多數の同胞諸君が海外に殘留せられまして、數多くの危險に遭遇せられる現状に鑑みまして、現存契約に付てのみ一囘の更新を認め、以て是等の方々の御便宜を圖ることと致したのであります、一方戰爭保險に付きましては、右の如き特殊の事情がない關係上、斯かる特別の措置を講ずることなく、現存契約の保險期間滿了を俟つて同保險を終了せしむる方針であります、唯地震保險に付きましては、同保險が戰時中に生じた地震損害のみを填補するものとせられ、終戰後の今日の實状に即せざる點もございます、旁旁國家財政の現状をも考慮しまして、現在契約に付きましても、其の效力を打切ることと致したのであります、固より現存保險契約者の利益は、之を不當に損せざるやうに、未經過保險料の返還等、十分の措置を講ずる考であります、尚是等の保險に付きましては、まだ保險金の支拂を了せざるものもある關係上、今後の殘務整理に支障なきやう、若干の規定の效力を當分の間存置せしむる爲に、必要なる經過規定を設けた次第でございます、次に生命保險中央會は、戰時的保險業務としましては、戰爭死亡傷害保險の引受と、生命保險に於きます戰爭危險の再保險の引受を爲し來つたのでありますが、今囘此の二つの業務を廢止することと致しました、之に伴ひ同會の經理に關する規定にも所要の改正を加へることと致したのであります、尚同法には生命保險契約に關する戰爭危險免責約款を無效とする強行規定が存して居つたのでありますが、是は生命保險中央會が戰爭危險の再保險を行ふことを前提とする規定でありました關係上、右の再保險業務の中止と共に、戰爭危險免責約款の復活、竝に將來其の效力を既往契約にも及すことを認めることに致したのであります、更に損害保險中央會法の業務規定にも修正を加へまして、同會の爲す業務の重點は、今後普通保險の再保險に關する取引、及び特殊の損害保險の元受に置かるべき旨を明かに致したのであります、尚兩中央會の業務より戰時色が拂拭されました關係上、秘密漏泄罪等、軍機保護の爲に設けられて居りました罰則は、之を削除致しました、又兩中央會の廢止業務の殘務處理に遺憾なきやう、必要な經過規定を設けた次第であります、何卒御審議の上御贊成あらむことを希望致す次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=3
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004・三須精一
○男爵三須精一君 戰爭死亡傷害保險法竝に戰時特殊損害保險に付きまして、戰災に依りまして保險金が相當支拂はれたのでありませうが、全額としてどの位拂つたのでありませうか、尚其の保險金支拂の了せざる、目下調査中のものがどの位ありませうか、同時に生命保險の、死亡傷害保險の支拂金額の未濟の金額に付て、御分りになつたら伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=4
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005・澁澤敬三
○國務大臣(子爵澁澤敬三君) 全額で三百九十億になつて居りますが、十月迄に支拂ひましたのが百九十億であります、戰爭死亡の方の損害で拂ひます見込が全部で十億位ございます、はつきりした數字がまだ分らぬさうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=5
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006・竹内可吉
○竹内可吉君 ちよつと今の問題に關聯しまして、其のやうな數字をもう少し伺ひたいのですが、資料を戴ける御用意はないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=6
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007・澁澤敬三
○國務大臣(子爵澁澤敬三君) 差上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=7
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008・向山均
○委員長(男爵向山均君) 當局の方で用意をして戴きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=8
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009・竹内可吉
○竹内可吉君 一言ちよつと大臣に御伺ひ致しますが、御伺と云ふよりも御願になるかと思ひますが、聯合軍の總司令部から指令されて居りますものを讀みますと、私共に能く分りませぬけれども、既に支拂はれたものでも返還をせしめねばならぬのぢやないかと云ふ風に讀まれる節が實はあるのでありますが、果してさう讀むべきでありませうか、それでなければ宜しいのでありますが、若しさうだとすると、重ねて御尋を致したいと思ひますが、大臣から御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=9
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010・澁澤敬三
○國務大臣(子爵澁澤敬三君) 其の點は今仰せの通りでありまして、總司令部の方としましては、根本觀念が「インフレーション」防止と云ふことと、日本の財政が頻りと拂ふことばかりをして居ると云ふことに非常な注目をして居る譯でありまして、そんな基本觀念がある譯でありませう、根本は全部「ブロック」をしろと云ふことと、それから若し拂つたもので五千圓以上のものは、それを全部一應日本銀行に纒めろと云ふことを言つて居るのであります、而もそれに對して不當に拂つて居るものがあれば返還をしろと言つて居りますが、まだ是は折衝中であります、さう云ふやうな無理なことは到底出來ないことでありますので、それに對して目下色々交渉中であります、尚さう云ふ一遍拂つたものを取返すと云ふやうなことは、法律上から言つても問題でありますし、そんなことは出來ないと云ふことを言つて、今頻りと交渉中であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=10
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011・竹内可吉
○竹内可吉君 今の大臣の御心持で能く分りましたのでありますが、申上げる迄もないことでありますが、例へば火災保險に致しましても、大體は五千圓以上のものは保險金の支拂は今停止されて居り、唯それを御認めになつて支拂つて居られますのは、本當に必要なものと、竝に極く金額の小さいものに限られて居るやうでありまして、支拂を受けましたものは、それで既に何かの形で又先に支拂はれて居る、之を囘收すると云ふことになりますと、それからそれへと非常な困難を來して、實際は不可能なことではないかと云ふ風に思はれるのであります、あの指令を見ました時に、是は大變な事が起つたと實は心配したのでありますが、只今のやうなことでありますれば誠に結構でありますが、どうか一つ向ふへ能く御懇請下すつて混亂のないやうにして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=11
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012・澁澤敬三
○國務大臣(子爵澁澤敬三君) 御趣意は能く分りました、出來るだけ努めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=12
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013・向山均
○委員長(男爵向山均君) 他に大臣に對する御質問がなければ……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=13
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014・竹内可吉
○竹内可吉君 先刻の資料の問題でありますが、斯う云ふやうな數字が戴けると大變仕合せだと思ひます、政府の此の保險契約は保證になつて居りましたか、再保險でありましたか、能く存じませぬけれども、保險事故の發生に依りまして、兎に角政府が支拂の義務を生ずる契約額と申しますか、保證額でせうか、其の總額、それから其の中に既に保險事故發生に依つて支拂義務を政府で負ふに至つて居るものがあると思ひます、其の中で、只今御尋がありました既に支拂濟のものと、今後支拂ふべきものと云ふ風に分けられるのだらうと思ひます、それを御伺ひ致したいと思ひます、尚分つて居りますならば、各保險會社の保險の件數を、是は總數で宜しうございますが、若し今ございましたら御説明を願ひますけれども、御用意がなければ本委員會に御配り下さるやうに御願を致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=14
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015・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 只今御要求の資料に付きましては、多少持つて居りまするが、御要求にそつくり合ひまするものを準備致して居りませぬので、後刻至急作成致しまして御配付申上げたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=15
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016・向山均
○委員長(男爵向山均君) ちよつと竹内君に伺ひますが、今の資料を俟たなければ本委員會の續行が出來ないと云ふのでございませうか、それは委員會が濟んでからでも宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=16
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017・竹内可吉
○竹内可吉君 私はさう云ふむつかしいことではありませぬけれども、率直に申上げますと、此の法律案に付ては、只今申上げましたやうな資料は、一應御用意になつて居るだらうと實は思ひましたのでありますが、若し出來ませぬければ、それが爲に審議を延すと云ふ程のことを考へて居る譯ではございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=17
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018・向山均
○委員長(男爵向山均君) 成るべく早く御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=18
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019・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 承知致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=19
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020・野村益三
○子爵野村益三君 議事進行に付て御尋ね致します、何しろ本特別委員會に付託さるべき案件は非常に多いのであります、而して審査の期限は殆ど限定されて居りますから、委員長から關係當局に御交渉になりまして、資料は一つ成るべく早く政府委員の出席と共に持つて來られて配付されるやうに御注意を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=20
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021・向山均
○委員長(男爵向山均君) 左樣取計らひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=21
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022・三須精一
○男爵三須精一君 參考資料を戴く時に一つ、戰災に因つて相當保險證書と云ふものが燒失されて居るだらうと思ひます、それでそれが結局未拂になつて居りませうが、それがどれ位ありませうか、若し御分りでございましたら、それも一つ御付けを願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=22
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023・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 只今御要求の戰災で燒けました保險證書の量がどれ位あるかと云ふ點でございますが、ちよつと是は調査が困難ぢやないかと思ひます、努力はして見ますが、或は殆ど不可能ぢやないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=23
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024・三須精一
○男爵三須精一君 今のあれは兎に角會社の方に控へがあつて、さうして或は未濟の分と云ふのは大體共通ぢやないでせうか、今問題になつて居る支拂の未濟の分に付ての調査が完了すれば拂ふのだらうと思ひます、それが保險證書がない爲に拂へないと云ふことになつて居るのだらうと思ひます、其の分だけで宜しうございますから、分りましたら……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=24
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025・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 會社に原簿がございますが、被保險者の方で持つて居りまする證書がなくなつたと云ふやうなものに付きましては、其處に證據がある譯でございますので、さう云ふ分に付きましては、事情を能く勘案致しまして、出來るだけ被保險者の利益を圖りたい、斯樣に存じて事務を進めて居る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=25
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026・向山均
○委員長(男爵向山均君) それでは此の際暫時休憩致します
午前十一時十二分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=26
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027・会議録情報3
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午前十一時二十七分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=27
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028・向山均
○委員長(男爵向山均君) 再開を致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=28
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029・三須精一
○男爵三須精一君 昨日國有財産問題に付きまして、軍用地が此の度國有財産に編入されました、それに付きまして其の軍用地を更に農耕方面其の他に使用されるのでありませうが、それに付ての民間團體に對する貸下或は拂下の方法、竝に軍用地が國有財産に編入された面積がどれ位になつて居りますか、其の點に付きまして政府當局の御答を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=29
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030・加藤八郎
○政府委員(加藤八郎君) 先づ元の軍用地の國有財産、更に雜種財産として大藏省に引繼になりました數量の點に付て先に申上げます、陸軍關係に於きましては二十四萬五千町歩程に相成つて居ります、それから元の海軍關係に於きましては一萬八千町歩程になつて居ります、合計致しますると二十六萬三千町歩程になつて居ります、尚此の數字は、或は今後引繼の整理に伴ひまして、若干動いて參るものと存じますが、大體此の數字はこんな程度でございます、尚拂下等の方法に付ての御尋でございますが、廣大なる土地でございますもので、一刻も早く之を活用致しまして、戰後に於ける民生に資したいと云ふ考から致しまして、取敢ずの處置と致しましては、一時使用或は開墾著手と云つたやうな形で、一刻も早く之が開墾に當つて貰ふと云ふやうな風に致して居るのでございます、それで農耕可能の土地に付きましては、先般閣議決定に相成りました緊急開拓事業實施要領と云ふものに基きまして、之を農林省或は地方長官と協議致しまして、農耕計畫の實行に移ることになつて居りまして、其の事業主體に國有財産を貸付けて、早急に開墾して貰ふと云ふやうなことに致して居ります、又海岸地帶の鹽田に適するやうな飛行場等に付きましては、之を鹽田にすると云ふ方針を樹てまして、大藏省の專賣局が之を一括して計畫を樹てまして、專業化に著手をさせて居ります、一般宅地等でございまするが、此の戰災地竝に戰災地の近傍にございます土地等に付きましては、戰災者收容の簡易建築物の用地等に當てるやうに致して居りまして、公共團體であるとか、住宅營團、其の他戰災援護會の社會事業團體に之を貸付けて、利用させることにして居ります、尚此の際に其の土地が寄附に係るものでありますとか、尚急速軍備擴充の爲に、最近に於て買上になつたと云ふやうな土地に付きましては、前所有者に於て希望があります場合には、成るべくさう云ふ人達に優先的に之をやると云ふ風に取扱つて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=30
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031・渡邉覺造
○渡邉覺造君 國有財産の中でちよつと御尋ね致します、戰災地近郊の飛行場に於ける建物を戰災者の收容、或は公共團體に之を利用させると云ふ御話でありますが、近郊に在りましても、飛行場と云ふものは相當の距離があるので、或は國民學校の兒童をさう云ふ所へ收容出來ないですね、其の時に其の建物を戰災地へ移築すると云ふことを御考になりませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=31
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032・加藤八郎
○政府委員(加藤八郎君) 私只今國有地と云ふ御質問でございましたので、土地だけに付て申上げましたが、建物を落して居りましたから、附加へて建物に付て申上げたいと思ひますが、建物の活用はどう云ふ風に致して居りますかと申しますと、戰災地竝に極く近くにございますやうな建物でございますと、御説の通り確かに戰災者を收容し得るのでございまするから、それに最も優先的に使はせるやうに致して居ります、唯非常に遠い所にございまして、現地に於て其の儘利用することは甚だ困難であると云ふやうな建物も點點ございまして、而もそれが、「バラック」の簡單なものであると云ふやうなものもございますのであります、さう云ふものは之を移築させまして、もつと便利な所に運びまして、應急にそれを戰災者等を收容し得るやうな設備にして置くと云ふやうなことに致しまして、現にさう云ふことをやりたいと云ふ住宅營團等の申込もありますので、厚生大臣からの御話もありましたので、左樣に致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=32
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033・渡邉覺造
○渡邉覺造君 飛行場に於ける建物ですね、それは政府で實際現地を御覽になれば御了解が付くと存じますが、殆ど建物と云ふ建物は地方民が持つて行つて、所謂骨となつて居るやうな状態で、或はあの儘政府が利用しようと思つても、直ぐ利用出來ないやうな状態で、あれは早急に私は戰災地へ早く渡して、戰災地の國民學校なり、或は公共團體に渡して、其處へ移築さした方が宜いと思ひます、重ねて政府の御意見を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=33
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034・加藤八郎
○政府委員(加藤八郎君) 飛行場の建物の現状を見ますと、御説の通り大分荒れて居りまして、管理に付きましては、内務省、大藏省共、極力萬全を期して居る次第でありますが、唯其の飛行場は、陸海軍を通じまして大體二百十幾つございますのですが、其の中聯合軍が進駐して使つて居るものもございまするし、又現に進駐はして居りませぬけれども、聯合軍の都合に依りまして將來使ふと云ふ御豫定でありませうか、どうでありますか存じませぬけれども、まだ引繼にならない飛行場が相當ございまして、さう云ふものに付きましては、我々と致しまして、立入つて運んで來るやうなこともまだ認められて居りませぬので、手を著け兼ねて居りますが、はつきりと引繼になつて居るやうなものに付きましては、十分此の管理に注意致しますと共に、利用出來るものは早急に利用し、或は假建築等に於きまして移築出來るものは、移築してでも利用致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=34
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035・渡邉覺造
○渡邉覺造君 斯う云ふ場合はどうなりますか、進駐軍が其處へ來まして、戰災地の慘害の甚だしいのに非常に同情しまして、さう云ふ飛行場の建物を其の戰災地の國民學校なり或は病院に持つて行つて移築しても宜いと云ふ指令が出た場合に、此の時はどう云ふ風に取扱ひますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=35
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036・加藤八郎
○政府委員(加藤八郎君) 聯合軍の方の話と致しましては、之を元、軍で使つて居りましたものは、一括して之を内務省に、内務省を公式の代理機關として、それに引渡すと云ふことを示達されて居るのでございます、それで内務省を經ないで、勝手にと申しますか、さう云ふ個々に地方に於てやられると云ふことは、聯合軍と致しましても、さう云ふ積りで居ないやうでございまするが、それが徹底して居ないのでございませうか、地方の聯合軍部隊なんかでさう云ふやうな措置を、例へて申しますと、一部の建物を自由に勝手に誰それにやると云ふやうなことをされて居るやうな話も聞きますので、さう云ふ點に付きまして、聯合軍の方には、最初の指示通り内務省に正式に引繼いで貰ふやうに、申入をして居る所でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=36
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037・渡邉覺造
○渡邉覺造君 内務省へ移管される前に、其の建物が現地の進駐軍から戰災地へ許可を得た場合にはどうなりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=37
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038・加藤八郎
○政府委員(加藤八郎君) まあ實力を持つて居ります向ふの方で處分されてしまはれると、非常に困ると存じますが、さう云ふ實例を調査致しまして、其の結果に依りまして、向ふの現地部隊と話合ひを致し、別に考へて貰ふとか、何か考へて見たいと思つて居りますが、現にさう云ふ實情の所を私まだはつきり存じて居りませぬので、一概に御囘答出來ないと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=38
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039・渡邉覺造
○渡邉覺造君 斯う云ふ實例があるのです、終戰直後、其の戰災地から約三里ばかりの所に飛行部隊がある、其の飛行部隊は終戰前に他へ移轉するので、廢めたのです、其の廢棄になつた飛行部隊に付て、終戰直後其の部隊が戰災地の状況を見まして、非常に同情しまして、此の建物を其の戰災都市の國民學校及病院其の他公共團體の建物に利用して宜いから、早く之を持つて行つて呉れと云ふので、其の戰災都市當局が其の建物の取毀しに早速取掛つたのです、さうしますと、八月の二十日頃から取掛つて八月一杯に全部之を取毀して呉れと云ふ其部隊からの好意ある申入で、其の戰災都市の市當局は全力を出して其の建物の取毀しに掛つた、すると九月の初めになつて、進駐軍の飛行部隊が之を偵察して停止命令が來た、そこで一時停止した、停止して居ると、其の取毀した中途半端のものは、地方民が夜列をなして皆持つて行つてしまつた、非常な莫大な費用を掛けて取毀したものはもう殆ど役に立たなくなつた、停止命令が來たので、其の市當局は非常に困りまして、何とも仕樣がなかつたのですが、進駐軍が九月の末に其の戰災都市に進駐して來ました、それで早速市當局は米軍に其の進駐軍に事情を訴へた、すると其の其の進駐軍の司令が其の現場を見まして、早速其の建物を全部矢張り取毀して、戰災都市の學校、病院其の他の公共建物に持つて行つても宜いと云ふ指令が出たのです、それは「サイン」迄して貰ひまして、それから縣當局にも市當局が事情を話しました、それなら宜しからうと云ふので、其の市では建物の取毀しに目下取掛つて居る譯です、其處へ七日の日附で以て、東京財務局長から取毀し中止命令が來たのです、其の市當局は今非常に困つて居るやうな次第です、之に付てどう云ふ風に政府は致しますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=39
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040・加藤八郎
○政府委員(加藤八郎君) 只今非常に詳しく御話戴きまして能く分りましたが、先程も申上げましたやうに、聯合軍との話合ひから申しますと、聯合軍が現地に於てさう云ふ風に處分されることは、向ふの話と違つて居るのでありますが、現實にさう云ふ風に取運びが進んで居り、又其の建物が飛行場から取毀して持つて行けると云ふやうな御話でございますと、假建築か何かのものぢやないかとも存じますが、さう云ふ建物は結局、國有財産になりました場合でも、大藏省に引繼がれた場合には、それは結局戰災者の爲であるとか、或は學校の爲であるとか、さう云ふ方面に使はせる趣旨でございますので、結局聯合軍が進駐致しまして、使用方が妥當でございますれば、我々としてもそれを追認致しまして、認める外ないと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=40
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041・渡邉覺造
○渡邉覺造君 政府委員に御伺ひ致します、それでは取毀しを續行して居つても宜しい譯ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=41
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042・加藤八郎
○政府委員(加藤八郎君) 東京財務局長がどう云ふ見地からそれを差止めるやうに致しましたか、能く聞いて見ないと分りませぬですが、能く聞いて見て善處致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=42
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043・渡邉覺造
○渡邉覺造君 政府に重ねて申上げたいですが、さう云ふことがありますと、進駐軍は現地の状況に非常に同情して、其の飛行場の取毀し及移築を許可して居るに拘らず、政府が之を中止して、戰災者が政府に對して恨みを持つやうな傾向がある、政府頼むに足らず、それならば我々が聯合軍に此の事情を訴へて所期通りやらうと云ふ形勢が見える、是では總理がいつか衆議院で申されたやうに、血で血を洗ふやうな爭になつて、甚だ遺憾だと思ひます、斯う云ふことに付て政府の十分御注意を御願ひ致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=43
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044・加藤八郎
○政府委員(加藤八郎君) 御趣旨御尤もでございますから、能く注意して善處したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=44
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045・向山均
○委員長(男爵向山均君) 國家總動員法及戰時緊急措置法廢止法律案に關して他に御質問ございませぬか、本法律案の討論に入りたいと存じます、御發言もないやうでございますから、採決に入りたいと存じます、國家總動員法及戰時緊急措置法廢止法律案を政府提出の原案通り可決すべきものと議決して宜しうございますか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=45
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046・向山均
○委員長(男爵向山均君) 左樣決定致します、では休憩に入りたいと存じます、午後一時から再開したいと思ひます
午前十一時四十七分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=46
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047・会議録情報4
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午後一時二十四分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=47
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048・向山均
○委員長(男爵向山均君) 再開致します、今朝に引續きまして、戰爭死亡傷害保險法及特殊損害保險法廢止等に關する法律案に付て、質疑を續行致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=48
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049・竹内可吉
○竹内可吉君 第七條の第二項の條文の讀み方がちよつと分りませぬが、何か例を擧げて御説明を御願ひ出來ませぬでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=49
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050・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 第七條第二項の規定の趣旨は、一般の生命保險に付きましては、戰爭に關しまする被害の免責約款と云ふものがありまして、原則と致しましては、一般生命保險は戰爭に伴ひまする危險を負擔しなくともよいと云ふことになつて居つたのでございますが、それを戰爭中は此の法律の力を以ちまして、免責約款を無效に致して居つた譯でございます、從ひまして一般生命保險に入りますれば、戰爭危險に因つて生命を落し、或は被害を受けました場合には、保險金を支拂つて貰へた譯でございますが、戰爭が濟みまして其の必要が全般的になくなりましたので、今囘戰爭被害免責約款を元に復さう、斯う云ふ趣旨の規定でございます、具體的な事例を申上げますと、例へば、私が一般の生命保險に入つて居りまして、戰爭中でございますれば、戰災を被つて私が死亡をしたと云ふやうな場合には、保險金を拂つて貰ひ得たのでありますが、此の法律が施行されますと、今後戰爭に伴ふやうな問題に因りまして怪我をすることがありましても、一般普通生命保險等の契約に於きましては、金が支拂つて貰へなくなるかも知れない、斯う云ふ趣旨の規定でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=50
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051・竹内可吉
○竹内可吉君 それでは私の方から例を擧げて御尋して見たいと思ひますが、例へば原子爆彈で被害を受けまして、此の法律の施行後に保險事故が發生したと云ふやうな場合には、之に依りまして保險會社は免責されるのでありますか、少し違ふと思ひますが、又もう一つ例を擧げますと、我が國竝に敵側に於て敷設しました機雷の掃海の際に死亡したと云ふやうな場合、さう云ふ風な問題は、此の兩方とも第二項に依りまして保險會社が戰爭保險の責を免れ得るのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=51
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052・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 本法が施行になりますれば、前の廣島の原子爆彈に因りまして、本法施行後死んだと云ふやうな場合に於きましては、此の法律が施行になりますと、保險會社は義務的には支拂はなくて宜しいと云ふことになる譯であります、それから御設問の機雷の場合に於きましては、一般生命保險の戰爭免責約款と云ふ方の問題としては、處理しては居なかつたのでございまして、是は戰爭保險の方で「カバー」を取つて居つた譯でございます、それから先程私が答辯の際に、怪我をした場合を申上げたのでございますが、是は入りませぬ、死んだ場合だけでございますので、訂正致して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=52
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053・竹内可吉
○竹内可吉君 私實は保險のことを知らないので、御尋することが適切な表現が出來ないかも知れませぬが、今の例でもう一つ細かく考へて見ますと、例へば此の法律施行前に原子爆彈の被害に因つて死んだ者がある、それは保險金の支拂を必ず受ける、其の翌日施行後に死んだ者は受けられなくなる、斯う云ふことになる譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=53
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054・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 御話の此の法律が施行されまする前に、原子爆彈が原因で死んだと云ふ場合には、當然に一般生命保險に加入して居りましても、保險金の支拂を受けます、此の法律施行後に死にました場合には受けないのでございますが、併しながら實際の運用と致しまして、原子爆彈が因で病氣になつた、又其の病氣が因で死んだと云ふやうに考へまして、保險會社は恐らく支拂ふと云ふこともあり得ると思ひまするし、又左樣な場合に於きましては、政府と致しましても、常識に從ひまして、病氣で死んだのだと云ふ、其の病氣の原因は原子爆彈であるが、死んだ原因は病氣であると云ふことに致しますれば、其の間の調整を圖られて行くのではないか、斯樣に存じて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=54
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055・竹内可吉
○竹内可吉君 さうすると、施行前と施行後の區別の生ずる、何と申しますか、さう云ふ區別が保險會社の自由に任されると云ふことになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=55
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056・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 其の點に付きましては、保險會社だけの判斷でやらせると、區々になると思ひますが、御質問のやうな場合の點に付きましては、政府の方で同一的な考へ方を決めまして、各保險會社に同一歩調でやらす方が宜からう、斯樣に存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=56
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057・竹内可吉
○竹内可吉君 實際の運營としてはさう云ふことをおやりになるのでありませうが、さうなりますとですね、戰爭保險の目的から言うて、徹底を缺くのではないか、斯う思はれるのであります、是は意見の相違になるかも知れませぬが、或はさう云ふものを此の際引續き責任のあるものとして置く方が、戰爭保險の性質上の目的に適ふのではないか、斯う云ふ風に思ふのでありますが、其の點はどう云ふものでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=57
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058・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 戰爭死亡傷害保險に付きましては、御説の通り現在契約に入つて居るものに付きましては、考へて行つた方が宜いと思ひますが、一般生命保險の場合に於きましては、多少是と考へ方を違へた方が宜いと、斯う思つて居ります、それから又全般的に日本全國を考へて見まする場合に、一般的に戰爭的状況と云ふものはなくなりますので、其の全面的な客觀情勢を基と致しまして、斯樣な法律改正案を考へて居る譯であるのでありまして、御話のやうな廣島でございますとか、或は長崎であるとか云ふ、極く一部の地區に特別に存しまする原因になりますれば、先程申上げましたやうに、行政的な範圍に依りまして、特殊事情に適合し得るやうに處置し得るのではなからうか、斯樣に考へます次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=58
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059・竹内可吉
○竹内可吉君 御趣旨は分つたのでありますが、意見としましては直ぐ承服し兼る點があります、そこで、尚もう少し研究します爲に、參考の爲に伺つて置きますが、斯う云ふ風になさらなければいけない積極的な理由はどう云ふ點でありますか、戰爭が濟んだから、戰時色を拂拭すると云ふことは大變宜いのでありますが、斯う云ふ契約を續けて、新規に續けて所くと云ふやうな必要のないことは言ふ迄もないと思ひますが、既に存して居る契約に付て、此の際打切らなければならない積極的な理由、それがありましたら伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=59
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060・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 斯樣な國營的の戰爭保險制度を打切る根本的の理由如何と云ふ點でございますが、それは戰爭と云ふ現象が全面的に終戰に依つてなくなつたと云ふことと同時に、國の方で全部危險を「カバー」して參るやうな制度を存續せしめますことは、國家財政の現状から行きまして、到底耐へ切れないと云ふ點もございますので、旁旁斯樣な改正案を考へた次第でございます、尚又戰爭死亡傷害保險法に付きましては、例へば現地から在外同胞の方々が内地へ歸る迄の間に於て、機雷等に觸れまして、生命を落すやうなことも考へられますし、又場合に依つては此の近所に於きまして不測の災害を受けるやうなこともあるかと思ひますので、戰爭死亡傷害保險法の運用と致しましては、原則として廢止致しますが、經過規定を以ちまして、現在の契約者に關する限り、一囘だけ契約の更新を認める、斯樣な措置を執つて、海外に居ります者が家へ歸還する迄に於て、戰爭に關聯ある原因に依つて死亡傷害を受けた方には、國で面倒を見て行くことに致してある譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=60
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061・竹内可吉
○竹内可吉君 御話を伺ふと段々分らなくなりますが、今の第五條の第二項の問題に付ては分つて居ります、寧ろ私は是との權衡上から言つても、此の第七條の二項が問題だと思ひます、それから今の御答の中に、國家の負擔云々と云ふことを仰せられましたが、そんなに澤山此の件數があり得るのでありませうか、そんなに澤山件數があるとすれば、愈愈問題は大きくなると思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=61
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062・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 只今の御質問は、左樣な場合の契約件數と申しますか、契約金額と云ふものは、相當巨額なものに達する、國家財政から見て心配になる程、巨額に達するのかと、斯樣な御質問であつたのでありますが、件數或は契約金額に付ては後程數字で御説明申上げたいと思ひますが、契約金額全部が直ちに國の負擔になる譯でございませぬので、危險の發生率如何に係るものと思ふのであります、唯性質的に斯樣な制度を殘して置きますと、生命保險に入る限り、左樣な原因に依りまして死んだ場合には、國で面倒を見て行くと云ふ「システム」が相當何時迄も續く譯であります、從つて何時迄も繼續することが、長い眼で見て、國の負擔になると云ふ質的の問題もあるのでありまして、斯樣な制度を打切る時期を何時にするかと云ふことは相當考へなければならぬ點でございますが、併し私共と致しましては、何時か切らなければなりませぬし、切るべきものとも考へますので、今議會に之を提出致しまして、出來るだけ早く國の負擔する關係を、此の關係から斷ち切つて置いた方が宜からうと、斯樣に判斷致した譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=62
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063・竹内可吉
○竹内可吉君 何時迄も無制限にさう云ふ義務が殘つて居ると云ふことは困ると云ふ御話は分りましたが、併しそれは本法施行後に發生したる戰爭危險に因る所の保險金の支拂と云ふことになつて居りまして、戰爭危險に因ると云ふ、此の戰爭危險と云ふものが何時迄續くかと云ふことに係る問題ではないかと思ふのであります、併し質問は是以上重ねましても同じことだと思ひますので、質問は一應打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=63
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064・向山均
○委員長(男爵向山均君) 今朝御約束になつて居ります資料の御説明を政府委員に御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=64
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065・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 今朝御要求を受けました資料は、時間の關係で印刷に付する遑がございませぬでしたので、取敢ず茲で數字を御紹介申上げます、其の第一は、現在の人的保險及物的保險に於きまして、契約高がどれ位になるかと云ふ點であつたと思ひますが、其の契約高の方から申上げます、先づ人的保險の契約高でございますが、本年の十月末の數字を取りますと、契約高は約一千二百萬件でございまして、契約金額は三百三十億圓に上つて居ります、是は戰爭死亡傷害保險の方を申上げました、此の金額に對しまして、既に支拂つた保險金額は何程かと云ふ、斯う云ふ御要求でございましたが、それを申上げますと、昭和十八年四月から、即ち戰爭死亡傷害保險を實施致しましてから、昭和二十年十月末迄に支拂ひました件數は、約四萬一千件でございます、支拂金額は九千五百萬圓であります、それから今後支拂ふ見込のものでございますが、昭和二十年十一月から後のものでございますが、件數が約三萬二千件、支拂見込額八千萬圓、此の兩者に伴ひまする保險料收入を申上げますと、約一億五千萬圓でございます、其の數字が戰爭死亡傷害保險に關しまする契約金額、それから今日迄に支拂ひました金額竝に件數、今後支拂はるべき件數竝に金額でございます、次に生命保險に伴ひまする戰爭危險の支拂保險金でございますが、生命保險の契約高は現在約六百億圓でございまして、件數は一千四百萬件に及んで居ります、昭和十二年七月から昭和十九年十二月末迄に支拂ひました件數は二十二萬件、金額四億九千萬圓でございます、昭和二十年一月以降支拂ふ要支拂の見込額は、件數に於て十五萬件、金額に於きまして約三億六千萬圓と見込まれて居ります、そこで先程大臣から十億圓と云ふ數字を申されたのでございますが、十億圓と申上げました數字は、戰爭死亡傷害保險と生命保險と生命保險の戰爭危險支拂保險、此の兩者を合せました數字が約十億二千五百萬圓と出て參りますので、之を概略十億圓と云ふことで御話になりましたものでございます、次に、只今申上げましたのは人的保險のものでございますが、物の方の保險關係を申上げます、物的戰爭保險の契約高は、本年の九月末現在で件數が五百八萬件でございます、保險契約高は一千六十八億圓に及んで居ります、之に對しまして、昭和十八年三月から昭和二十年八月末迄に於きまして、保險金を支拂ひ若しくは今後支拂はなければならない數字を申上げますと、保險金を今日迄に支拂ひました金額が百八十八億圓でございます、此の件數約百六十萬件、それから今後、九月以降を含めますが、今後拂はなければなりませぬものが約百四十億圓でございます、此の九月以降を今後と申上げて居るのでありますが、拂はなければならないもの百四十億圓の中、住宅或は家財關係と云つたやうな金額の小なるものに付きましては、大體處理を了しつつありますが、企業等の保險で金額百萬圓以上に及びますものに付きましては、委員會に掛けるやうな關係からと、又其の査定を嚴正に致す必要がありますので、住宅、家財等に對しまする保險金の支拂とは多少事務的に遲れて居るのでございますが、併し之に付きましても、來年の三月末迄には、大體事務的には此の査定を了しまして、支拂ひ得るやうになるだらう、又さう致したいと云ふことを目途に致しまして、鋭意保險會社を鞭撻致して居るやうな譯でございます、尚物的戰爭保險に伴ひます保險料の收入は、今日迄に約五億四千萬圓入つて居ります、そこで物的戰爭保險で今日迄に支拂ひました金額百八十八億圓と、今後支拂ふべきもの百四十億圓を加へまして、合計約三百二十八億圓餘のものが物的戰爭保險に伴ひまする國家の負擔と相成る見込でございます、それから資料の第三として御要求になりましたものは、各保險會社毎に契約の件數竝に契約金額はどうであるか、斯う云ふ御要求でございましたが、戰爭保險の件數とそれから支拂濟金額の數字の御要求でございましたが、本年八月末の數字を申上げます、住友保險でございますが、件數は約八萬五千件ございます、支拂ひました保險金額が約十三億五千萬圓、同和火災海上保險を申上げますと、件數が十五萬四千件でございます、支拂金額二十億圓、大倉火災海上保險會社、契約件數約五千七百件、支拂金額約十四億九千萬圓でございます、日本動産火災保險會社、契約件數十八萬二千件、支拂金額九億四千萬圓、日産火災海上保險株式會社に付きましては、契約件數六萬三千件、支拂金額八億二千萬圓、興亞海上火災保險株式會社、契約件數三萬七千件、支拂金額四億六千萬圓、大正海上火災保險會社、契約件數四萬九千件、支拂金額八億三千萬圓、日清海上火災保險會社、契約件數六萬四千件、支拂金額九億一千四百萬圓、千代田火災海上保險會社、契約件數二萬四千三百件、支拂金額三億九千八百萬圓、大東京火災保險會社、契約件數二十萬九千件、支拂金額十四億四千萬圓、大成火災海上保險會社、契約件數三萬九千件、支拂金額四億四百萬圓、共榮火災海上保險會社、契約件數八千五百件、支拂金額一億九千九百萬圓、安田火災海上保險會社、契約件數十八萬六千件、支拂金額二十三億五千萬圓、日本簡易火災株式會社、契約件數二十六萬件、支拂金額八億六千萬圓、日本火災海上保險會社、契約件數十萬八千件、支拂金額二十二億五千萬圓、東京海上火災保險會社、契約件數十二萬四千件、支拂金額二十一億四千萬圓、是等の會社に付きまして契約致しましたものを合計致しますと、件數で百六十萬件、支拂金額百八十八億九千萬圓、斯樣に相成る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=65
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066・竹内可吉
○竹内可吉君 先刻私質問をもう打切ると申上げましたけれども、どうも私常識的に考へまして會得し兼ねますので、或は私が質問しますことと御答が喰違ひが少しありはせぬかと云ふことを實は心配するのであります、それでもう一言念の爲に御尋しますが、免責約款が復活する結果、本法施行後死亡した人が、戰爭危險に因るものであると云ふことが極めて明瞭であつた場合に、保險會社は保險金を支拂はなくても宜いと云ふことになる譯ですね、明かに戰爭危險に因るものだと云ふことが分つて居るものは保險金を貰へない、それが明瞭でないものに付ては保險金を拂つてやれと云ふことを行政的に指示するのだ、斯う云ふことになる譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=66
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067・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 御質問の廣島の原子爆彈で、斯樣な法律が出ました後、相當經過した後に、本當の原因が原子爆彈であつたのだと云ふやうな場合の御質問に付きましては、そこに常識から行きましても、又人情から行きましても、多少無理なやうな感じが殘るのでありますが、此の法律が施行されました後は、法律的には支拂はなくとも宜いと云ふことに致す譯でございます、が併し實際の常識的な處理と致しましては、左樣な場合に於きましては、原子爆彈が直接の原因であるか、或は病氣と云ふやうな、原子爆彈とそれに伴つて病氣になつたと云ふこととの間の因果關係を一應斷ち切りまして、さうして結果的には病氣で死んだと云ふやうな取扱を致しますれば、左樣な被保險者は救はれて參りますので、左樣な特殊な場合に於きましては、保險會社等を指導致しまして、所謂普通の病氣で死んだと云ふやうな取扱をさせると云ふことが宜いのぢやないか、斯樣に考へるのでございます、全國的に亙る法律的現象と致しましては、此の法律が施行されました後は、一般保險契約に伴ひまする戰爭免責約款と云ふものは復活する譯でございますので、それは支拂をする義務はない、斯樣に致したい、斯う云ふ趣旨であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=67
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068・竹内可吉
○竹内可吉君 度々繰返しますが、其の行政的な運用に依つておやりになると云ふのには限度があつて、明かに戰爭に基因するものだと云ふことが分つて居るやうなものに付て、政府がそれを拂つてやれと云ふやうな御指示が出來るものでありますか、明かに免責約款ですね、支拂の義務のないやうなものを拂つてやれと云ふやうな御指示が出來ませうか、尚重ねて御尋しますが、是はまあ方針の問題になりますけれども、戰爭に基因して死んだと云ふ者に付て、會社には成るべくそれを普通の死亡として拂へと云ふことを指示されると云ふことが、既に私は不合理ぢやないかと實は思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=68
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069・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 其の點に付きましては、先程來申上げて居りまするやうに、此の法律が施行されますれば、戰爭に伴ふ危險と云ふものは免責され得る譯でございますので、建前としては會社は支拂ふ必要はなくなる、斯う云ふのでございます、唯御設問のやうに、原子爆彈が原因で死んだ、相當病氣をして、それから長く掛つて死んだと云ふやうな場合のことに付きましては、會社自體と致しまして、會社の自發的な氣持から行きまして、原子爆彈と云ふ戰爭に直結する原因ではなく、病氣と云ふことに依つて死んだのだ、從つて會社自體の判斷に依りまして支拂つて行くのだと云ふやうなことをやるであらう、又さう云ふ場合に於きましては、左樣に仕向けるやうに致すことが強ち無理でもないでありますから、通牒を出しまして、廣島、長崎に關する限り、或は原子爆彈に關する限り、それは除くのだと云ふやうには申上げて居ないのでございまして、具體的な御設問のやうな場合に於きましては、さう大きな計數もごさいませぬでせうし、又會社自體の經理から行きましても、左樣な場合に於きましては常識的に判斷をして行くのぢやなからうか、其の場合に、甲の會社と、乙の會社とが、結果に於て違ふやうなことがあつては、まづいぢやないかと云ふことでございますので、左樣な場合に於きましては、今後此の法律が施行されました後の状況を見まして、政府でも必要がありますれば、其の中に介在致しまして、色々と、方針と云ふと語弊がありますが、考へ方を一つに致しまするやうにやつて行つたらどうであらうか、斯う云ふ趣旨を申上げた積りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=69
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070・竹内可吉
○竹内可吉君 さうしますとですね、行政の運用に依つて、成るべく戰爭危險に因つた死亡に對しては、面倒を見てやるやうにしたいと云ふ御趣旨だと思ひます、其の御趣旨は大變結構なんですが、國はどうなるのでありますか、會社でさう云ふ面倒を見させて、戰爭に因る危險と云ふものは會社が負擔をする、政府はもう是で法律を出したから責任はないのだと云ふことになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=70
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071・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 此の法律が施行されますれば、一般保險の所謂約款に伴ひまして生ずる會社の負擔と云ふものは、政府が再給付を致しませぬので、會社の危險になる譯でございます、が併し保險の會社と致しまして、先程來御設問のやうな場合に於きましては、恐らく會社の算盤だけと云ふことぢやなしに、特殊の地帶に於きまして非常に氣の毒な何で、而もそれが長く病氣をして死んだと云ふやうな場合に於きましては、普通の生命保險契約に伴ふ病氣に因る死と云ふやうなことも、強ち左樣に認定することが非常に無理であると云ふやうなこともない場合もあり得ると思ふのでございます、左樣な場合に於きまして、會社自體と致しまして左樣にするであらう、斯う云ふことを申上げた譯でございまして、それが會社に依つて皆違つたらどうするかと云ふ御質問でございますので、左樣な場合に於ては會社同士が色色横の相談をするであらう、又さう云ふ場合に横の相談をするやうに政府も斡旋をしたらどうだらうかと云ふことの、假設の御質問でございましたので、左樣に申上げました次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=71
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072・竹内可吉
○竹内可吉君 私は其の會社同士の取扱が苦になるだらうとか云ふことをちつとも言つて居らないのです、會社に支拂をさせるが、政府は其の尻を拭つてやらぬぞと云ふことが公平でないのぢやないかと云ふことを私は言つて居るのです、戰爭保險の制度から是ぢやおかしくないか、斯う云ふことを私は申上げて居る譯なのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=72
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073・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 國が面倒を見てやらないのに、會社が假令自發的な意思にしろ、御質問のやうな場合に、會社が金を支拂ふのに、其の儘見て居るのは、政府として少しひどいのぢやないかと云ふ御趣旨と思ふのでありますが、其の場合に於きましては、法律の建前と致しまして之を打切り、而も戰爭免責約款を復活する譯でありますので、原則と致しまして戰前の状態に立ち歸る譯なのであります、唯其の間に戰爭の餘沫が殘ります關係もあり、又國と保險會社との關係が法律の施行に依つて即座に變つて參りますので、經過期間的に考へますと、多少、色々の場合を、具體的に考へますと、無理な場合もあり得るやうに存ぜられると云ふ御趣旨と思ひますが、政府と致しましては、全體的には日本全國に亙りまして左樣な現象がなくなつて居る譯でありますから、旁旁永く斯樣な關係を政府が續けて、未來永劫、此の一般保險契約に入りましたものは、戰爭と因果關係が考へられる限り、何時迄も政府が之を負擔して行くのだと云ふことは、どうも宜しくない、そこで其の打切る時期を今日に致したいと云ふ趣旨なのでございます、唯實際問題と致しましては、各保險會社は政府に對しまして、政府が面倒を見ない反面に於きまして、再保險料を政府に收める必要がなくなる譯でございまして、それ等の關係もございますので、政府だけが面倒を見て居ると云ふのぢやなしに、再保險料を取りまして、それで面倒を見て行く、さうして被害が大きかつた場合でありますので、政府がどんどん出して行くと云ふことになつた譯でございまして、會社自體と致しましても、戰爭被害が非常に大きく出て來ない場合に於きましては、政府に拂ひます再保險料等との關係から行きまして、色々經理上の問題があり得たと思ふのであります、さう云ふものが完全に斷ち切られて參りますので、其處を狙つての改正なのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=73
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074・竹内可吉
○竹内可吉君 少し細かい問題になりますが、今御答辯の中で思ひ付いたのですが、今頻りに原子爆彈が問題になつて居りますので、それを例に取りますが、廣島縣、長崎縣、特にあの方面に生命保險金契約を餘計にして居ると云ふ會社があるのかないのか分りませぬですが、會社別に付て、廣島縣と長崎縣に於て、或會社に重なつて保險契約があると云ふ實例は別にございませぬでせうね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=74
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075・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 御質問のやうに、或一定の會社が廣島、長崎等を特に御得意にして居ると云ふやうな關係はないやうでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=75
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076・松本學
○松本學君 竹内委員と政府委員との間の質疑應答に付て、私ちよつと今差支で此處に出て居りませぬで能く分りませぬでしたが、今の御答辯でまあ大體分りましたが、まだどうもはつきりしないことがあるので、唯一つ此の點をちよつと承つて見たい、「本法施行後に發生したる戰爭危險に因る」と云ふ、此の「本法施行後に發生したる戰爭危險」と云ふものは、どう云ふ意味になりますか、其處がちよつとどうも分り兼ねて居ります、本法施行後に於ても戰爭危險に因る保險金の支拂と云ふ意味になるのであるか、本法施行後に發生すると云ふのは、戰爭危險が發生すると云ふことは豫想出來るかどうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=76
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077・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 「本法施行後に發生したる戰爭危險」と云ふことの趣旨でございますが、例へば瀬戸内で敵の敷設致しました機雷に觸れまして死ぬと云ふやうな事件がありました時を、具體的な一例と申上げ得ると思ふのでありますが、さう云ふやうな場合に、機雷に觸れて死ぬ、其の機雷に觸れると云ふこと自體が本法施行後でございますれば、本法施行後に發生したる戰爭危險と斯樣になる譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=77
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078・松本學
○松本學君 さうなりますと、今の原子爆彈の場合では認定はなかなか面倒で、原子爆彈に因る死亡であるか、或は其の後の何か他の原因に因つての死亡であるかと云ふ認定が困難であると思ひますが、發生したると云ふことが明確な、只今例示されたやうなものですと、今竹内委員からの質問があつたやうに、國家は相當な矢張り責任を負はれなければならぬのでないでせうか、保險會社だけが今の行政取扱のやうな取扱で責任を負うて保險金の支拂をする、國家はそれの責に任じないと云ふことになる、そこの邊が私にちよつと分らないのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=78
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079・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 説明員からちよつと……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=79
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080・向山均
○委員長(男爵向山均君) 説明員から説明を聽きたいと存じますが、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=80
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081・吉村成一
○説明員(吉村成一君) 御説明申上げます、本法施行後に發生しました戰爭危險に付きまして、政府が再保險の關係で面倒を見ない、其の結果保險會社だけの負擔に於て其の負擔をやると云ふことは、保險會社に取つては酷ではないかと云ふ御趣旨だと思ふのであります、左樣でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=81
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082・松本學
○松本學君 さうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=82
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083・吉村成一
○説明員(吉村成一君) さうなりますと、保險會社と致しましては、自分が持つて居ります生命保險契約全部に付きまして、別段契約者から特別保險料を徴收することなしに、政府に對しまして戰爭危險の再保險料を出して居る仕組なのでございますが、本法施行後に於きましては、其の再保險提供がなくなります關係上、保險會社と致しましては、再保險料を政府に對して納める必要がないのでございます、而して是が明確に戰爭危險なるや否やと云ふことの判斷がむつかしいやうな場合に於きましては、具體的の場合に適當に行政上の措置に於て保險會社の負擔にすると云ふ先程の局長の御説明でございます、さう云ふ風になりましても、保險會社と致しましては、寧ろ其の方を採ると思ひます、と申しますのは、全體の契約に對しまして生命保險の再保險料を出しますことは、現在の保險會社に取つては相當苦しいのでございます、全體的に計數の少い特殊な場合に付きまして生命保險會社が負擔をすると云ふことは、決して酷ではないと云ふ風に考へるのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=83
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084・松本學
○松本學君 只今例示されました機雷に因つて死亡したと云ふやうな場合が、今最初に私が質問しました施行後に發生したると云ふ一つの事例である、其の場合に、若し其の個人が特別の保險契約をして居り、會社に於ても再保險の手續をちやんと取つて居つたと云ふ場合があつた時には、どうなりますか、其の時も矢張り行政手續だけで、まあ保險金を拂つてやれ、此の明文はあるけれども、第七條の第二項で責は負はぬと規定してあるけれども、氣の毒だから、行政上の手續として、保險料を拂へ、斯う云ふことだけで、國家は責任を負はぬ、斯う云ふことになりませうか、今御話になりましたのは、私の理解が惡い故かも知れませぬし、私は保險のことは全くの素人だから分りませぬけれども、其の特殊の契約をして居ない保險會社も、再保險の手續を取つて居ないと云ふ場合は、今御話のやうなことは分ると思ふのですが、唯私が申上げて質問します所以は、法規に斯う云ふ規定が、第七條の第二項が明かに書いてあるのに、行政上の手續で以て保險會社に責を負はせる、保險金を拂はせると云ふ御取扱をなさると云ふことであつたから、まあ御尋した譯なんです、さう云ふ場合は如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=84
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085・吉村成一
○説明員(吉村成一君) 先程御話に相成りました機雷に觸れて死んだと云ふやうな場合に於きましては、是は戰爭危險に因るものであることが明かであると存じます、さう云ふ場合に於きましては、其の保險會社の約款に特にさう云ふものを填補すると云ふことを明示しない限りに於きましては、如何に政府と申しましてもそれを話合で拂はせると云ふことは不可能であると思ふのであります、尚敷衍して申上げますけれども、元々生命保險に於きましては、戰爭危險を擔保しなくとも宜いと云ふことが建前でございまして、さう云ふ前提の下に保險料を決めて居ります、從ひまして此の戰爭危險と申しますのは、戰爭其の他の變亂に因る死亡を謂ふのでございまして、是は將來と雖も出て來る可能性が相當ございますので、それを此の際打切ると云ふことが、先程來局長の申されましたやうに、必要であらうと云ふ意味で、打切るのでございまして、其の何と申しますか、前後不揃ひではないか、戰爭死亡傷害保險との權衡上不揃ひではないかと云ふことに付きましては、戰爭死亡傷害保險に付きましては、其の爲に保險料を取りまして、さう云ふものを擔保して居る譯であります、併しながら生命保險の方に於きましては、全然無償で擔保して居る譯でございますから、其の點の差異の存することは、元々生命保險の性質其のものから申しまして已むを得ないのぢやないか、斯樣に存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=85
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086・松本學
○松本學君 此の際速記を止めて懇談して戴いた方が宜くはないか、私ばかりでなく、他の委員の方からも多少御質疑がありはしないかと思ひますから、懇談して戴いた方が宜いのぢやないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=86
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087・向山均
○委員長(男爵向山均君) さう致して皆さん御異議がなければ、一時懇談に致します
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=87
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088・向山均
○委員長(男爵向山均君) それでは速記を止めて下さい
午後二時二十二分速記中止発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=88
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089・会議録情報5
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午後三時二十六分速記開始発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=89
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090・向山均
○委員長(男爵向山均君) それでは開會致します、戰爭死亡傷害保險及戰時特殊損害保險法廢止等に關する法律案の審議でございますけれども、之を尚明日續行したいと存じます、明日午後一時から再開することに致しまして、今日は散會致したいと存じます
午後三時二十七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=90
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091・会議録情報6
出席者左の如し
委員長 男爵 向山均君
副委員長 子爵 宍戸功男君
委員
侯爵 四條隆徳君
侯爵 佐竹義榮君
子爵 野村益三君
子爵 河瀬眞君
男爵 三須精一君
男爵 古市六三君
竹内可吉君
大木操君
松本學君
合田健吉君
伊藤傳七君
渡邊覺造君
國務大臣
大藏大臣 子爵 澁澤敬三君
政府委員
法制局次長 入江俊郎君
大藏省金融局長 久保文藏君
大藏省參事官 加藤八郎君
説明員
大藏書記官 吉村成一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00719451211&spkNum=91
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