1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法廢止等に關する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00819451212&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十年十二月十二日(水曜日)午後二時二十二分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00819451212&spkNum=1
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002・向山均
○委員長(男爵向山均君) 只今から委員會を開きます、戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法廢止等に關する法律案の審議でございますが、昨日問題となりました第七條の第二項、之に關しまして政府委員の方から昨日伺ひましたことに關する補足的なことを御話し願ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00819451212&spkNum=2
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003・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 第二條第二項の「責に任ぜず」と云ふ言葉の意味に付きまして申上げますが、現行生命保險中央會法第二十六條が存在して居ります間に締結されました生命保險契約に關しましては、保險會社は同條の規定が削除された以上は之に依つて法律上強制せられて居りまする保險金支拂の責任を、法律上當然に負擔するものではないと云ふことを、此の「責に任ぜず」と云ふ言葉に依つて明にしただけの意味であります、從つて此の規定とは別個に契約に依りまして保險會社が責に任ずると云ふことを禁止した意味は少しも含まれて居りませぬ、即ち保險會社が約款に基く義務として保險金の支拂を爲さむとすることを法律上自由に委されて居ると云ふ趣旨と御了解願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00819451212&spkNum=3
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004・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 昨日御質問にござまいした本法案第七條第二項の法律的趣旨に付きましては、只今法制局次長から御話がございました通りに解釋致して居るのでございまして、此の第七條第二項の趣旨は戰爭其の他の變亂に依る死亡に對する保險金の支拂に關する生命保險會社の約款を、生命保險中央會法第二十六條施行前の状態に戻さうとするものでございます、中央會法第二十六條施行前迄の舊約款に於きまする戰爭危險に關する條項は、保險會社は戰爭其の他の變亂に依る死亡に對しては、保險會社の計算の基礎に重大なる影響を及すと認めたる時は、主務大臣の認可を得て保險金の削減乃至特別保險料の徴收を爲し得る旨の規定でございます、而して本法律案施行後に於きましては、保險會社と致しましては戰爭危險を無條件に支拂ふと云ふことになつて居りますのを只今申上げましたやうに舊約款に戻す次第でありまして、從つて保險會社の計算の基礎に重大なる影響を及さざる限り、戰爭危險に對しましても保險金の完全なる支拂が續行されるものと存ずるのであります、何となれば、死亡の原因が本法施行前に發生し、死亡が本法施行後に發生するが如き場合、例へば御質問の廣島に於ける原子爆彈に因る施行後の死亡と云ふやうな場合は、全般的に見て非常に稀なる發生でございますので、保險會社の計算の基礎に重大なる影響を與ふる心配はないと考へられまするので、御質問のやうな場合に於ては保險金の支拂を受け得るものと存ずるのであります、尚又保險會社が中央會法第二十六條施行前迄の舊約款に戻します爲には、保險業法第十條の規定に依りまして主務大臣の認可を受くる必要がございますので、舊約款に還しまする點に付きましては主務省に於きまして之を指導し得る次第でございますので、御心配の點はないものと存ずるのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00819451212&spkNum=4
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005・竹内可吉
○竹内可吉君 能く了解致しました、そこで念の爲でございますが、七條の二項に依りまして戰爭危險に關する舊約款が其の儘生きて來るのではないので、舊約款の程度に戻させると云ふ指導の機會がある、斯う只今の御説明で了解するのであります、そこで是は多少念の入り過ぎた御尋かも知れませぬが、第七條の二に依りまして兎に角今の戰爭危險を負擔をして居る此の義務を會社が免れようと思ひました場合には、舊約款の程度であらうが何であらうが、兎も角も一遍は大藏大臣の認可を受けなければ現在の責任を輕減すると云ふことは出來ないのだ、斯うまあ了解しても宜いことのやうに只今の御説明で思ひますが、それで間違ないのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00819451212&spkNum=5
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006・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 御質問の通り御了解願ひまして差支ございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00819451212&spkNum=6
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007・竹内可吉
○竹内可吉君 今の七條の二項に關する御質疑が終りましたらば、別の問題でもう一つ御尋ねしたいのでございますが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00819451212&spkNum=7
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008・向山均
○委員長(男爵向山均君) 七條の二項に付てもう御質問ございませぬですか…ないと認めまして竹内委員に質問を許します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00819451212&spkNum=8
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009・竹内可吉
○竹内可吉君 別の問題でございますが、聯合軍司令部からの政府の補償金の支拂に關して指令が參つて居ります問題で、私一昨日でありましたか昨日でありましたか、大藏大臣に御願を致して置いたのでありますが、斯う云ふことを聞くのでありますが本當でございませうか、保險金の支拂を請求しまして、現金五千圓は支拂を受ける、後の金額に付ては指定銀行に特殊預金をするやうに保險會社から書類を貰ひまして、之を銀行に持つて行つて特殊預金證書を貰ふことになつて居るのであります、處があの聯合軍からの指令がありました後、其の保險會社の書付を持つて銀行に預金に參りました所が、銀行では此の預金を預からないさうであります、支拂をしないことは是は指令に依つて當然だと思ふのでありますが、其の預金をも受付けない、斯う云ふことを聞くのでありますが、大藏省はさう云ふやうな事實を御承知でありますか、何かさう云ふ指令が何處かから行つて居るのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00819451212&spkNum=9
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010・久保文藏
○政府委員(久保文藏君) 只今御質問の點でございますが、聯合軍司令部から戰爭保險金の支拂に付きまして、之を支拂ふ場合には、支拂ひました保險金を封鎖しろと、斯う云ふ指令を受けて居ります、其の方法と致しましては、日本銀行に封鎖をすべし、斯樣な指令でございます、此の指令に依りますと、戰爭保險金を支拂ひました場合に、一應は全額封鎖される形になるのでございまして、只今迄指令を受けます迄にやつて居りましたのは、五千圓迄のものは現金で拂ひ、五千圓を超過致しまするものは特殊預金として封鎖すると云ふことでやつて居るのでございまして、現在迄やつて居りました方法と、指令に依るものとは其の五千圓の點に於て多少嚴重になつて參つて居るのでございます、其の點に付きまんては、只今聯合軍の方に少なくも從來迄やつて來て居りました程度に迄はやるやうにしたい、斯う云ふことで交渉を繼續致して居るのでございます、それから銀行等に對しまして支拂保險金の特殊預金證書を受付けてはならないと云ふやうな意味の通牒等は出して居りませぬ、恐らく日本銀行に於ける預金に封鎖しろと云ふ指令が聯合軍司令部から出て居りますので、一般の銀行は、それは當然日本銀行だけしか扱へない、自分の所では扱へないぢやないかと云ふことで、御得意に御迷惑を掛けて居るのもあると思ひます、それ等の點に付きましては、私の方から左樣なことをしないやうにと云ふことを少くも口頭を以て指導致して居ります、何故さう云ふことになるかと申しますと、日本銀行の預金と言ひましても、日本銀行本店又は支店其のものに對する預金ぢやなくても宜しいのでありまして、日本銀行の業務として、或る銀行との間に約束を致しますれば、其の或る一定の銀行に於て其の預金受入の仕事は日本銀行の仕事を代理するのだ、斯う云ふことに致す積りで指導致して居りますので、それで支障がないのでありまして、其の點が數多い銀行等になりますと、不徹底な所もあるかと思ひます、實は左樣なことのないやうに指導致して居り、又左樣致したいと存じてやつて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00819451212&spkNum=10
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011・竹内可吉
○竹内可吉君 能く分りましたが、現に二三日前に起つた實例を私聞きましたので御尋ねしたのでありますが、能く御趣意の徹底するやうに今後とも御努力を御願ひ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00819451212&spkNum=11
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012・向山均
○委員長(男爵向山均君) 御質疑ございませぬか、ございませぬければ討論に入りたいと存じます、戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法廢止等に關する法律案に關して御意見ございませぬか、御意見ないと認めます、本法案の採決に入りたいと存じます、戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法廢止等に關する法律案は之を政府提出原案通り可決することに關して異議のある向はございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00819451212&spkNum=12
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013・向山均
○委員長(男爵向山均君) 御異議なしと認めます、從ひまして本法律案は原案通り可決すべきものと決定に相成りました、散會致します
午後二時三十七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00819451212&spkNum=13
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014・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 男爵 向山均君
副委員長 子爵 宍戸功男君
委員
子爵 河瀬眞君
男爵 三須精一君
竹内可吉君
大木操君
瀧正雄君
松本學君
合田健吉君
伊藤傳七君
政府委員
法制局次長 入江俊郎君
大藏省金融局長 久保文藏君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902882X00819451212&spkNum=14
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