1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○農業團體法中改正法律案
○水産業團體法中改正法律案
○戰時森林資源造成法中改正法律案
○蠶絲業法改正法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十年十二月十六日(日曜日)午前十時十二分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=1
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002・徳川宗敬
○委員長(伯爵徳川宗敬君) それでは昨日に引續きまして、會議を開きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=2
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003・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 昨日の村上さんからの御質問に對しまして、私が御答へ致しました點に於て間違ひのことがございましたので、此の際改めまして、それを訂正して御答へ申上げたいと思ひます、それは東京都の農業會の問題でございますが、御尋の趣旨は、農業團體法の第一條に、道府縣農業會と云ふ字があつて、東京都の都道府縣と書いてございませぬ爲に、東京都の農業會は一體どうなるのかと云ふ御尋でございました、實は農業團體法は東京都の都制施行前に制定せられたのであります、從つて團體法施行後に東京都の問題が出て參りましたので、道府縣と云ふ字の中に都を含ませると云ふ法律上の字句の讀替への問題は、東京都制の第百九十條、第二項の規定に依りまして、字句の讀替へを致して居るのであります、從ひまして法律上、農業團體法と致しましては、道府縣と云ふ字になつて居りますが、都制の方の關係から當然此の中に都も含まれる、斯う云ふ風に解釋致して居るのでございます、それから施行令の方の問題でございますが、農業團體施行令は、實ば東京都制の施行後に施行せられたのであります、そこで此の農業團體法の施行令に於きましては、團體の名稱の字句は、法律と同じやうに、道府縣農業會と云ふ字句を一般的には使ひまして、特に東京都に付きましては、此の施行令の中で東京都の特例をはつきりと記載致したやうな次第であります、右のやうな次第でありますので、昨日御答へ申上げました點が間違つて居りましたから、御訂正申上げて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=3
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004・村上恭一
○村上恭一君 只今の御説明で略略了解致しましたが、御指摘になりました東京都制の經過規程には、條文はどう書いてありますか、今ちよつと手許にございませぬので…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=4
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005・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 御答へ申上げます、都制の方では、他の法律の中で、府縣制とか府縣とか、其の他府縣會とかと云ふやうな風になつて書いてあるものは、勅令で以て別段の定を爲す場合を除くの外、之を東京都制とか、東京都とか、或は東京都會と云ふものを含むものとする、それ以外に、其の他府縣に係る規定に關しても同樣に之に準ずる、斯う云ふやうな意味の規定がございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=5
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006・村上恭一
○村上恭一君 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=6
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007・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 私は農業や水産のことには全く素人で、從つて御尋ね申上げることは幼稚であるか、間違つて居るかも分りませぬから、質問と云ふより御教を仰ぐやうなことになるかも存じませぬが、豫め御了承願つて置きます、此の法に於て、農業と云ふものは何々を指すかと云ふ定義があるものでございますか、其の中に果樹は含まれて居るのでありませうか、含まれて居るとすれは、耕作の部に入るのでありませうか、先づそれを御尋ね申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=7
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008・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 御答へ申上げます、農業の定義に付きましては、是は一般の例に倣ひまして、特別に規定を致して居りませぬ、唯農業會の會員となりまする場合に、多少疑義の存して居りまする事項に付きまして、特に農業團體法施行令の第一條に規定を致して居るのでありますが、是は法律に於きましては、農業を營む者或は土地を有して居る者、是等のものに準ずる者と云ふやうな意味で以ちまして、法律上は會員の資格を認めて居りまするが、其の内容を施行令の第一條で規定致して居るのであります、例へて申しますと、孵卵業を營む者、荒茶の製造業を營む者、或は耕地に付ては、耕地又は牧野、原野に付ては永小作權或は賃借權を有する者、斯う云ふ風に規定を致して居るのでございます、それから只今御尋の果樹の栽培を致して居ります者は、是は當然農業を營む者と云ふ風に解釋致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=8
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009・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 左樣致しますれば、法の上から是は耕作の一部と見ることになるのだと思ひます、それで地方に依りましては、普通の田畑を耕す者と、それから蜜柑であるとか林檎であるとか云うて、どつちが主體だか、寧ろ其の林檎の栽培の方が主體の地域もあるのであります、さうなつて來ると、從來とても他の方と果樹の方と、是は春であれば其の時期が重なり合つたりする、そこで從來政府としては先づ田植を先にやれ、米の方をやつてからでなければ林檎の方をやつてはならぬ、斯う云ふやうなことを申す、其の中に林檎の方が手遲れになつて藥液撒布も遲れれば、或は針通し等の蟲喰ひも出來ると云ふ譯で、常に對立關係があるので困つて居る状況です、是は一つの農會の中に、即ち地域別の市町村の農會と云ふ一つのものが、今度は純農業も果樹も一緒にやると云ふことになつた時に、其の地方が果樹を主體とする場合には、果樹の方が勢が好くなり、水田が多くて其の方の力が強ければ、其の方に力が入つてなかなか統制もうまく行かない、肥料の分配などに於きましても同樣であります、從來政府が食糧事情に鑑みて、主食に重點を置かなければならぬ、何でも米だと云ふ風になつて來て居るけれども、今度はそれと反對に政府の行政官廳の力よりも、農業會自體の活動に俟つと云ふことになりますからして、必ずしもさう云つた從來のやうな行政官廳の仕向が徹底するとは思はれない、斯樣なことが起つたりするのでありますが、それ等の點に付てどう云ふ風にやつて行く御考でありませうか、一つの農業會でやるのか、それとも別に又林檎の方は林檎の生産業の組合と云ふものでも作つて、別途にやるのであるか、一つの農業會で一括して仕事をさせるのであるか、是等の點に付て伺ひたいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=9
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010・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 御答を申上げます、農業團體に於きましては、只今御述べになりましたやうな各種の團體が從來ございました、是が色々昨日も申上げたのでございますが、ばらばらの指導を致して參りまする爲に農民自體にも非常に迷惑を掛けました、從つて之を是非一本の農業團體にして綜合的に指導をして貰ひたい、斯う云ふやうなことで現在の農業團體が出來たのでございます、そこで農業團體が出來ました結果、色々今御述になりましたやうなことが、各部門に付て起つて參つて居るのでございますが、結局綜合的に農業經營をやつて行く、殊に此の食糧問題の重大な時でありますので、どうしても主要食糧に重點が置かれると云ふことは、現在の情勢から見て已むを得ない事實ではないかと思ふのです、尤も例へば養蠶の盛な地方、或は又御述になりましたやうな果樹の盛んな地方と云ふやうな所は、勢ひ從來の經緯に鑑みましても、それに適當な專門的指導者とか、さう云ふやうな陣容も整つて居りますので、結局さう云ふ方面に相當力を入れられることになると思ふのです、唯先程から申上げますやうに、現在の此の食糧事情の窮迫して居る實状でございますので、どうしても重點は主要食糧に置かれる、殊に肥料の配給等になつて參りますと、是は政府と致しましても意識的に米、麥と云ふやうな主要食糧に最重點を置きまする關係上、どうしても果樹であるとか、さう云ふやうな他のものには勢ひ肥料の配給も少くならざるを得ないと云ふやうな情勢になつて居るのであります、此の情勢は漸次肥料等が増産せられますと、自然解消する問題ではございまするが、肥料の苦しい間はどうしてもさう云ふ情勢なり事情の下に、國と致しましては配給上の操作も加へて參らなければならぬ、斯う云ふ風に考へて居る譯であります、結局結論と致しまして各種の農業の部門の中でも、狹い意味の各種の部門と云ふものに付きましては、結局農業會に於て綜合的に之を運營して參る、さうして地方地方の産業上の實情に即應した特性を發揮して行くやうに運營して參る、斯う云ふやうな考へ方で行きたいと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=10
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011・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 それと關聯致して居りますが、第二十七條の「地方農業會に理事及監事を置く」、是は一人なんでせうか、何人なんでせうか、それから其の次の第二十八條を見ると「前項の規定に依る理事の外一人を限り總會の承認を得て理事を選任することを得」、斯うあるのだから前の二十七條が數が多ければ二十八條の此の規定は要らぬやうに思ふ、是は一人のことですか、若干名と云ふ從來の通りの規定と同じものでせうか、どうでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=11
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012・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 御答へ申上げます、第二十七條の「地方農業會に理事及監事を置く」と云ふ風に書いてございますのは、實は地方農業會と申しますのは、市町村農業會と道府縣農業會を總稱した言葉になつて居るのでございます、それは此の改正法の中には現はれて居りませぬが、現行法の第十條で「市町村農業會及道府縣農業會(以下地方農業會と稱す)」と云ふ風になつて居るのであります、そこで御尋の點は理事及監事の數でございますが、是は現在通り若干名を置くことになつて居ります、二十八條の第二項でございますが、此の規定の趣旨は、只今申しました地方農業會の中の市町村農業會の分でございますが、市町村農業會に於きましては今囘の改正に依りまして、理事は會員の中から會員が選擧する、即ち直接選擧の方法で參りたいと存じて居るのであります、道府縣の方は此の二十八條の最後の方に「總會に於て之を選任す」とあるのでございますが、市町村農業會は今申上げますやうに、直接選擧で行く積りであります、さう致しますと此の農業會の選擧に付きましては、他の議員の選擧のやうに立候補と云ふやうな制度もございませぬので、結局選擧の結果選ばれた理事が決りまして、併し理事の人々が結局非常に忙しい人でありますとか、或は直接農耕に從事して居つて、なかなか片手間に農業會の御世話を燒けないと云ふ人ばかりが選ばれたと云ふやうなことも想像されるのでございます、尤も斯う云ふ場合はさう大して多く起るとは考へませぬが、今申しますやうに、さう云ふ風な場合も起つて參らうかと思ふのであります、處が市町村農業會と致しましては、御承知のやうに色々の經濟事業を行つて居りますし、特に信用事業を致して居るのでありますので、事業の分量と致しましても、決して小さいものではないのであります、從つて、どうしても是は專念して仕事をやつて行く人、所謂專務理事と申しますか、さう云ふやうな人も必要になつて來るのでありますが、先程も申上げますやうに、選擧致しました結果、さう云ふ人が出られないと云ふ場合も、市町村農業會に於きましては考慮されますので、其の場合に一名を限つて此の總會の承認を得て、選擧の方法に依らなくて理事を選任出來ると、斯う云ふ救濟の規定を設けたのであります、道府縣農業會以上になりますと、此の二十八條の第一項の如く、會員の中から會員を選ぶと云ふやうな狹い解釋方法も採つて居りますので、適當なる農業に關係のある、又農業に熱心な方でありますれば、必ずしも會員でなくても、會員外からも理事及監事は選べる、是は現在の規定に於きましても左樣でございますが、さう云ふ風な方法を採つて居りますので、此の二十八條の第二項のやうな救濟規定を設ける必要はない、唯市町村だけは救濟規定を設ける必要があると存じまして、斯う云ふ規定を置いたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=12
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013・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 大體それで分つたのでございますが、第二十七條が全體の文句に地方農業會に理事及監事を置くと斯う直るのだらうと思ひます、從つて舊來の第二十七條の會長一人副會長何人、理事若干名と云ふものが全部消えてしまつて、唯理事及監事を置くと、斯う云ふ風に改まるのだらうと思ふので、理事若干名と云ふ字も消えて來るから、是は一人なのだか幾人だかと云ふ疑問が起るのでありますけれども、私の讀み方が惡いのでございませうか、其の點はどうでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=13
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014・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 御答へ申上げます、御述になりましたやうに、現在の二十七條には、會長、副會長、理事とそれから監事の規定がございます、是は實は此の現在の選任方法にも極めて密接な關係を持つて居るのでありますが、現在に於きましては、會長は行政官廳が任命を致しまして、副會長及理事は會長自ら選任をして、行政官廳の認可を受けると云ふ風に、所謂指導者原理と申しますか、さう云ふ意味から致しまして、特に此の役員の種類を規定致しますと同時に、さう云ふやうなことも含まして居るのであります、今囘に於きましては、斯う云ふ一切の行政官廳の任命とか、認可制度とか云ふものを除きました爲に、農業會の役員としては、唯理事と監事を置くと云ふだけに致したのであります、數名に付ては全然制限を設けなかつたのであります、從つて理事及監事は複數を置くことは一向差支へないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=14
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015・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 一人も宜いのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=15
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016・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=16
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017・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 私は其の一人でも宜かつたりする時に、非常な弊害が起るのぢやないだらうか、どうしても複數でないと非常な弊害を惹起するのではないかと云ふ點を憂へて、單に唯茲に理事及監事を置くと書いて置けば一人と云ふ場合も起る、其の時に色々な情弊が發生するだらう、それをどうして防ぐかと云ふことを憂へて居るのであります、それから其の一人であるか否やと云ふ問題は、只今初めに御尋ね申上げました其の地方は養蠶業であるか、或は果樹を主體とするかと云ふことに依つて非常に又偏ると云ふことになるのぢやなからうかと思ふのであります、會員の中から選擧をして理事を設ける、其の理事は養蠶地であるなれば養蠶業者、果樹主體の所なれば果樹業者が理事になる公算が多いのであります、さうなつて參りますと、總て主食を作ることに重點を置く本來の農業會よりも、さうでない方の仕事に、頭數から、會員の數から言つても、役員の關係から言つても偏り易いからしてそれは構はぬのであるか、其の點を伺ひたうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=17
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018・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 理事及監事の數に付きましては、會則に於て其の數を規定さしたいと存じまするし、又只今御述になりましたやうな理事を一名と云ふやうなことは、是は實際の農業會を運營して參ります上に於きましても、必ずしも適當とは存ぜられませぬので、複數で以て行くやうに指導をして參りたいと考へて居ります、それから各産業に付ての代表と申しますか、さう云ふやうな意味の御尋でございますが、結局それぞれ其の地方で盛んな産業に關しましては結局それに從事して居りまする農民が多いのでありますから、其の會員たる農民の有志に基く選擧を以ちまして理事を選任致すのでございますから、結局それ等の人の要望を擔つた理事が選擧される、斯う云ふことになるのではないかと斯樣に推察致す次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=18
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019・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 只今の御答で能く了解致しました、次は馬の關係でございますが、「養畜(馬に關するものを除く)」と云ふことになつて居るのでありますけれども、從來馬と言へば馬政、馬政と言へば軍馬、總て軍馬中心で以て來て馬のことが定められてありますけれども、今後に於きましては我が國は專ら農業をやらなければならぬ、農業に馬がなければならぬ、馬の重要性が益益高まる、さうして軍馬と云ふ如きことは轉換をされて、競馬もありませう、輓馬もありませうけれども、馬の主たる任務は農耕と云ふことに振向けられたいと思ひます、さうなつて來ると、矢張り農業會が馬に付て關係を持つ方が宜いのぢやないか、現實の問題として畜産と云ふ部類に飼料のことが書いてある、馬政のことに飼料はない、そこで「養畜(馬に關するものを除く)」と斯う書いてあれば、馬の飼料は扱はないのであらうか、さう云ふ風に色々考へて來る時に、今度此の新情勢に基いて馬に關することも多分に農業會の仕事に移すのが妥當であると思ひますけれども、如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=19
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020・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 御答へ申上げます、今囘の農業團體法を改正致しますに當つて馬の問題をどうするかと云ふことが、只今御述になりましたやうな觀點から特に論議をされました、一部からは是非之を入れるやうにと云ふやうな意見もございましたし、又一部からは是は從來通りにするやうにと云ふやうな意見もあつたのであります、我々と致しまして是等の點を能く檢討を致し、又尚將來に研究を殘す必要のものもございましたので、結論と致しまして馬關係は現在通りと致したのであります、馬を除きましたことに付きましては、御述べになりましたやうに、馬は軍馬中心の、勿論一般産業にも極めて密接なる不即不離の關係もございますが、併し又軍馬と云ふ觀點から相當此の問題を別個に取扱はなければならぬと云ふやうな理由も、理由の中の一つの大きな理由と致しまして、農業團體法制定當時には馬を除いて居つたのであります、然る處、此の終戰に伴ひまして軍馬の關係がなくなつて參りました爲に、馬關係を別個に致しました理由の中の全部と迄は行きませぬでも、相當大きな理由が除かれたのでありますから、此の方に入れるべきではないかと云ふ意見も一部に出たことは、先程申上げました通りであります、併しながら馬の問題に付きましては、結局農家は有畜農業として馬を飼つて居りまする場合には、馬の所有者と云ふ意味でなくて農耕に從事して居ると云ふ意味から致しまして、當然其の人が農業會に入るのでありますが、一面又、馬を所有して居ると云ふ觀點から別個の團體に入ると云ふことになりますと、二重の指導が來ると云ふやうな問題もありますので、此の問題に付ては篤と研究を重ね、出來るだけ早くはつきりとした態度で必要な法律改正を致したいと考へて居るのであります、唯現在の儘で參りますと、「馬に關するものを除く」と云ふ此の條件を外しますと、專門の馬産業者或は又輓馬業者と云ふやうなものも、一應は全部農業會に入つて來る建前になるのであります、現在是等のものは別個に馬事團體を形成して居りますが、それをなくしてしまひますると、結局さう云ふものも入つて來る、さう致しますると、個々の農家の馬の指導と、專門的に馬産をやつて居りまする者に對する指導と、或は又輓馬業者と云ふものに對する指導と云ふものも總て農業會で之を取扱ふと云ふことに付きましては、尚研究を要する點もあらうと思ふのであります、それから先程申しました一般の意嚮と申しますか、輿論と申しますか、斯う云ふ點もはつきりとまだ固まつて居りませぬので、さう云ふやうな方面の意嚮等も十分見据えまして、然る後に此の問題を取扱つて行きたい、是は畜産の專門業者に於きましても同樣な問題もございますので、さう云ふことと併せて暫く研究をして行きたい、斯う云ふ意味で今囘は之を改正の中に加へなかつた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=20
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021・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 他日調査研究の上で何か又御改正があるやの御口吻と承つたのでありますけれども、是は「馬に關するものを除く」と斯う限定してしまうから、さうであらうけれども、農耕馬と云ふ字を此處に用ひて、農耕馬に關する限り是は此の範圍である、農耕馬以外のものは除くのだと、斯う云ふやうにすれば、簡單なる明文を以てはつきりとして參る、さうでないと「馬に關するものを除く」と云ふ限り誠に是は不都合千萬になつて來る、即ち飼料は一體誰が扱ふのだ、馬に食はせる飼料は矢張り是は農業會が扱はなければならぬ、馬に關するものを除くとしてしまへば如何にもぎごちなく、もうそれでちやんと極附けられてしまう、之を括弧の中を改めることに依つて本法が生きて來る、即ち軍馬中心主義から農耕馬中心と云つても宜い程我が國の農業が非常に大切になつて來た、此の機會に於てこそ括弧の中を農耕馬と云ふ字を以て現して改められて行くのが妥當だと思ひますが、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=21
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022・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 御尤な御意見と存じますが、先程申上げましたやうに、馬に關しましては別個の團體が現在存在致して居りまして、單に農耕馬と云ふだけで、こちらの農業會關係の方はそれで宜いと致しましても、殘つた馬事團體に付て、馬の取扱をどう云ふやうにして行くか、馬事團體をどう云ふ風に持つて行くかと云ふことに付ての方向がまだはつきりと致して居りませぬので、結局其の方の團體なり、馬の行政と云ふものをどう云ふやうに持つて行くかと云ふはつきりした見据を付けて同時に此の問題を處理致したい、斯樣に考へましたので、今囘は改正に觸れなかつたのでございます、御了承を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=22
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023・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 それならば此の法には農耕馬に關するものはこつちの範圍だとして、其の外の法令に農耕馬に關するものは、是は農業團體法にするのだとすれば、さうなればはつきりする、雙方直ぐ處理出來るやうに思ひます、此の點如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=23
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024・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 先程申上げましたやうに、此の問題に付きましては、獨り馬に限りませぬで、畜産に付ても同樣の問題があるのであります、そこで現在は馬の問題と、それから馬以外の家畜も併せて農林省の機構を改正致しまして畜産局を設置致したのでありますが、獨り馬だけを此の際に切離して考へずに、併せて他の畜産に付ても同樣に考へる必要がありましたので、さう云ふ方面のことと、一般の畜産と云ふもののはつきりした方針の樹立を急ぎまして、其の確立と合せて此の問題を取扱ひませぬと、畜産の中の馬だけが斯うなり、牛はどうなると云ふやうなことを合せて考慮致したいと考へました次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=24
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025・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 牛、其の他の畜類に付て、養畜と云ふものは、是はちやんと農業會でやることになつて居るのだから、私は問題はないと思ふ、「養畜又は養蠶の業務」とはつきり書いてあるから問題はない、問題があるとすれば、別の觀點から問題を處理するでありませうけれども、馬に關しては、是は除くのだからして、全然最初から切離して「養畜(馬に關するものを除く)」であるから、今牛の例を以て御答を戴きましたけれども、それは養畜に關する業務と云ふものは農業會の仕事になつて居るのでありますから、何もそれはそれで其の通り、其處で殘るものは馬だけで、他の畜類と關聯をして考へる必要はないぢやないか、それから先は議論になりますけれども、どうでございませうか、假に若し私が申上げて居るやうなことを、斯うきちんと「馬に關するものを除く」とせずに、何か緩和をして、馬の重要性、新時局に基いて大いに農業會で馬を取入れて、馬のことも一つ力を入れてやらなければならぬと云ふやうに考へさせるやうに、極く簡單に直るものでせうか、直らぬでせうか、私は直るのだと思ひますが、括弧の中を改めることに依つて如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=25
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026・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 字句の修正に付きましては、色々の書方もあり又考へられることと思ひますが、先程申上げますやうに、馬以外の畜産に付ては成る程御話の如く、現在農業會で取扱つて居るのであります、併し馬の問題を此の際扱ふと云ふことになりますと、特に此の軍馬關係のなくなりました今後に於きましては、馬と牛と、或は豚とか鷄とか、さう云ふ風な一般の畜産の問題も併せて考へなければならぬやうになつて參るのであります、そこで馬の問題に關しまして、從來の状態を變更すると云ふ際には全般の畜産の問題も併せて考へたいと云ふことが我我の念願であります、從ひまして是は一般の畜産の問題の處理と云ふ中に入れて此の問題を研究さして戴きたいと存ずるのであります、是が農林省と致しまして、今囘特に此の問題に觸れなかつた理由であります、御了承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=26
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027・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 只今の御説明ではしつかりと腑に落ちませぬけれどもそれなりにしまして、其の次は加工と云ふ言葉と製造と云ふ言葉でありますが、何かそこにはつきりとした分界があるのでございませうか、それは農業會に於ては農産物の加工をすることが出來る、水産業の方に於ては製造業者と云ふものがある、そこでどうしても加工と云ふことと製造と云ふことと何處に區別があるか分りませぬ、はつきりしたことを教へを願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=27
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028・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 加工と製造の區別でございますが、製造の方が範圍が廣い、斯う云ふ風に思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=28
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029・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 さうすると、農産物わ以て何か色々なものを作ります、それは矢張り製造業者でなくても農業會がやり得ることだらうと思ふのであります、水産の方になりますと云ふと、今度は製造業會と云ふものがある限り、漁業會はさう云ふものを生産することが出來ないのだらう、そこでどの限度迄漁業會が加工することが出來るか、製造業者は何處から先の製造をするのであるか、斯う云ふ分界がはつきりして居りませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=29
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030・笹山茂太郎
○政府委員(笹山茂太郎君) 水産業團體法の中に製造加工とありますが、製造業會の方は製造の方だけの業者を以て組織する團體でございます、今御質問の漁業會はどう云ふ程度のそれでは製造加工をやることが出來るかと云ふ點でございますが、單位漁業會に於きましては簡單なる加工は現在も營んで居りますし、又今後も繼續することと存ずるのであります、例へば煮干とかさう云つたやうなものは、單位漁業會の方で現在やつて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=30
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031・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 さうすると、農業會の方は製造業會と云ふものがないからして、農産物を以てする各種の製造業を營んで宜いと云ふことになるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=31
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032・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 農業會の方の指導と致しましては、其の會員の生産したものを簡單に加工致しますとか、或はそれに他の必要な工程を加へて加工致しますとか、結局會員である農業者が生産致しましたものを基礎に致しまして、それに種々の工程を加へて參る、斯う云ふことを實際問題として考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=32
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033・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 さうすると、只今の御言葉では罐詰業を營むと云ふやうなことも差支ありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=33
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034・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=34
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035・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 其の點分りました、其の次、國民學校、青年學校、中等學校等に於きまして農園を持つて居る所もあり、又校庭を農園に轉換した所もありますが、公共團體であるからして農業會に必ずしも入らないでも宜いのかも知れませぬ、入りたければ入れるのでせうか、入つたとすれば、色色其の農業會員としての義務を負はせられるのであるが、是は公共團體であつても平等なる義務を負はせられるものであるか、さうなつて來ると、出資があるとすれば農業會と云ふものは一口どの位の金を拂つて居るものか、又賦課金と云へば一體一年にどう云ふ程度の金を拂ふべきものであるか、斯う云ふ點に付て、即ち學校が農業會に入り得るのであるか、入り得ないのであるか、入つた方が宜いのか惡いのか、入つた時にどうなるのか、斯う云ふ點を一つ伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=35
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036・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 現在は公共團體其の他のものは、農業會の會員とは致して居りませぬ、是は當然會員でございますが、それから任意會員の場合も、特に法律で條件を規定致して居りまして、具體的に地區内に住所を有して居る人、それから或は又農業に密接な關係を有して居る者等、制限を設けて居りまして、又法人に付きましては特に規定致しました、例へば産業組合とか或は負債整理組合とか、斯う云ふやうな一般の農業と密接な關係のあるものに限つて居りますが、學校とかさう云ふものを會員とは致して居りませぬ、唯學校の校長さんとかさう云ふやうな人で、或は先生もさうでありますが、地區内に住所を有して、農業に指導面に於て密接な關係を持つて居りまする人は、其の人達の御希望に依つては農業會の任意會員にする、斯う云ふ途を設けて居るのであります、結論と致しまして、學校に付きましては農業會の會員とは致して居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=36
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037・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 從來は農業會員でありませぬでも、學校であれば縣廳に直接の關係がありますので、學校の營む農業に付ては、色々縣を通して農業會に反映せしめることが出來たのでありましたけれども、今度行政官廳の權限は縮小せられた譯でもありませぬけれども、大體に於て手放して自治的に農業會の活動を促す、斯う云ふことになつて來た、そこで學校と云ふものは矢張り農業會に關係を持つて居る方が便宜である、種子を得るにしても、或は生産、それから購買、色々な意味に於て、農業會に入つて居る方が得策な場合が多い、さう云ふ風に考へて居りますので、入らうと思へば、農業を營む農園を持つた所の學校は入り得るのであるか、入つた時に今度は外の會員と同樣な義務を負ふべきであるか、此の點をもう一遍はつきり致して置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=37
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038・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 學校は農業會の會員とは致させない積りであります、併し實際問題として只今御述べになりましたやうに、色々學校の面から一般の農業者を農業會を通じて、或は又直接に感化と申しますか、指導誘掖する場合もございませうし、又さうでなくて、學校が自給菜園とか或は自給農園とかを設けて、其の爲に色々又農業會方面から助けを受けなければならぬ場合、此の兩方の場合があらうと思ふのであります、從つて學校に付ては出來るだけ私共も斡旋を致しまして、後者の農業會から、地元の農村から御世話を受けなければならぬやうな場合には私共中央は勿論でありますが、地方廳にもよく其のことを話して、具體的の場合で言へば、例へば君の方の斯う云ふ村に斯う云ふ學校がある、是は斯う云ふ趣旨で出來て居るのだから、特に面倒を見てやつて貰ひたいと云ふやうなことを直接中央から依頼致しましたり、或は又地方を通じて致して居るのであります、問題は寧ろ其の方に問題があるのでありまして、前者の學校の施設其の他が地方の農村に對して非常に大きな指導的役割を演じて居ると云ふ所では、是は御承知の通り進んで農業會なり或は農民の方から學校に御願ひをして、色々技術上の指導をして戴きましたり、其の他の御話をして戴きますとか、色々なことをやつて居りますので、其の方の問題はなからうと思ひます、寧ろ後者の方に問題がありますので、只今申しますやうに色々此方から斡旋を申上げ、或は又努力を御願ひする、斯う云ふことに致して居るのでありますが、其の點は今後も同樣に致して參りたい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=38
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039・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 農業會で行ふ事業の第一項目として、「指導奬勵及統制其の他農業の整備發達に關する施設」、斯う云ふ工合になつて居ります、抑抑農業の指導も、奬勵も、統制も、是は矢張り行政官廳に於てもそれぞれの機關があつてやつて居るのであります、從來と今度の法の改正とに、文句が同じでも何か仕事の上に變つたことが起りますか、例へば農業の指導と言へば、農業會も指導する、それから地方の行政官廳も指導する、奬勵も同樣だ、統制も同樣だ、であるからして、文句は變らないから、内容も變りはないのでせうか、それとも民主的である、それから自主的である、權限を委讓したと云ふ譯ではないけれども、農業會員の活動に大いに期待をする、官廳の方は手を引く、手を引くのではないかも知れませぬが、從來は官廳の別働隊たる感があつたけれども、今度はさうぢやない、仕事の内容に付ても大いに農業會の方に委せる、從つて官廳の方は手を引く、斯う云ふやうに範圍に變りがあるのでございませうか、どうでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=39
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040・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 御答へ申上げます、事業の内容に付きましては、今後と雖も從來と變らないやうに存じて居ります、唯之に對する外からの壓力と申しますか、或は御世話と申しますか、斯う云ふ點に付て、從來の壓力を減殺し、又御世話に付ても、餘り手を取り足を取つてやるやうな御世話は却て組合の爲にも迷惑であるので止める、具體的に申しますと、例へば從來は會員の福利に關して必要なる施設、是は從來の規定では第十一條の第二項の第四號に「農業に從事する者の福利増進に關する施設」、斯う云ふものがあつたのでありますが、此の施設を致しまする場合にも、矢張り行政官廳の認可を必要と致したのであります、併しさう云ふやうな農業會が會員の爲に自分自身で福利増進をやらうと云ふやうなもの迄、行政官廳が一々認可制度を執ることは如何なものかと云ふやうなことで削つたのでありますが、さう云ふこと以外は、農業會と致しましては自主的に從來の事業内容に包含されて居つたことをやつて參るのでありまして、内容に於ては變らないと存じて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=40
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041・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 次は指揮系統の關係でありますが、縣廳から道府縣の農業會に行つて、其の農業會から今度は市町村の農業會に指令が行くのでありませうか、それとも縣廳から地方事務所に行つて、地方事務所から直ちに市町村の農業會に指令が行くものでありませうか、元來命令系統の本筋はどう云ふ工合になるのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=41
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042・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 農業會自體の自治的の系統と致しましては、全國から道府縣、それから市町村と云ふ風に流れて參りますし、行政系統から申しますと、中央から道府縣、それから地方事務所、市町村、斯う云ふ風に別別に參るのであります、それが結局行つた先で兩者の間に密接な關係を保持するかどうかと云ふことでありまして、色々從來も法律上に於て、供出關係では其の間の連絡が不十分な點があつたのであります、從つて今囘も供出方法に付てさう云ふ點を改正致したのでありますが、それぞれの段階に於て、各機關が相互に極めて密接な關係を持つやうに指導して參りたいと思つて居りますが、根本的の問題と致しましては、農業の、特に生産方面の指導と云ふやうなことになつて參りますと、どうしても指導が輻湊致しまして、其の間に昏迷を來す虞がありますので、出來る限り將來の問題と致しましては、行政官廳は指導の大綱に止めまして、實施は擔當團體でありまする農業會をしてやらせる、斯う云ふやうな方向に進んで參りたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=42
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043・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 先程の學校の問題に戻りますが、學校で物を生産する、さうすると供出する、どの位の供出をするかなんぞと云ふことは、其の學校農園の屬する市町村農業會から割當が來るものでありませうか、協議を受けるのでありませうか、或は割當を指令せられるものでありませうか、或は又それと反對に、縣廳の方から學校に對しては指令が來るのでありませうか、どうでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=43
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044・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 現在の供出割當の制度は行政系統で致して居ります、即ち地方長官から地方事務所、それから市町村長、さう云ふ系統で參つて居ります、そこで先程申しましたやうに、市町村農業會が、今迄は全然相談に與つて居りませぬ爲に色々の問題が起こりましたので、本年から密接な關係を持つやうに委員會等を設けたのでありますが、兎に角供出に付きましては現在は行政系統で以て致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=44
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045・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 私は蠶絲業法の條文の中で少し疑問とする所を承つて見たいと思ひます、蠶絲業法の第二條でありまするが「蠶種製造業を營まんとする者は命令の定むる所に依り主務大臣の許可を受くべし」と書いてありますが、他の生絲製造業の如きものは第何條に於て大臣の許可を受くべきものであるか、受けないで宜いものであるかと云ふことを一つ御聽かせを願つて置きたいと思ひます、私共はどうも見當りませぬので、初めには第十八條がさう云ふことであらうと思ひましたが、命令に基く事項として、第十八條の命令事項では繭短纖維製造業者を指定することとありますから、生絲製造業は何處の條文に出るものであるか、伺ひたいと思ひます、次に第五條でありまするが、私は此の蠶種の選出育成者に對して補償とか、或は奬勵金を出して戴きたいと思ふのであります、處が昨日戴きました命令事項の中に第五條には育成者に對する報奬に付て必要なる事項を、規定すると書いてあります、結構でありますが、是は誰が補償をして、金を御出しになる御見込でありますか、伺つて置きたいと思ひます、其の次が第十五條の繭の賣買でありまするが、「繭は命令の定むる所に依り都道府縣の行ふ檢定に依る品位に依るに非ざれば其の賣買取引を爲すことを得ず」と云ふことに限定して居りますが、蠶種製造等に要する所の繭取引はどう云ふ風なことにして取引をなさせる御見込でありますか、之を伺ひたいと思ふのです、其の次は先程申しました第十八條は、さう云ふことになつて居りまするから、第二條と第十八條に依つて生絲製造業などを入れるものと思ひましたが、繭短纖維業でありまするから、十八條はさう云ふ風に承つて置きます、其の次は第二十二條でありまするが、蠶絲協同組合と云ふものは、是は以前の産業組合製絲のやうなことでありませうか、或は他に生絲製造業とか或は玉繭製造業とか、眞綿製造業とか云ふものに迄及すものか、一項にありまする「組合員の生産」と申しますると、養蠶業者でなければならないのでありますが、「又は取扱に係る」と云ふことがありまするから、或は生絲を製造する者が繭を持つて來ると云ふことで、生絲製造業者のやうな者も蠶絲協同組合員として仕事が出來るかどうか如何でありますか伺ひたいと思ひます、それからして此の二十三條でありまするが本日の新聞を見ますると、協同組合の聯合會などが、出來るやうに新聞で拜見を致しますのであります、矢張り此の二十三條の蠶絲協同組合も何等拘束せられることがなくて、聯合會と云ふやうなものを拵えて差支なきものでありませうか如何でせうか、假に只今申上げました蠶絲協同組合が二十二條に依つて生絲製造業のやうなものが、協同組合が出來るとなれば、第二十四條の七人と云ふものは、餘り多くて到底出來得ないことになりはしまいかと思ふのでありますが、それを伺ひたいと思ふのであります、其の次は三十一條の蠶絲業會の設立でありますが、「地區内の會員たる資格を有する者の三分の二以上の同意を得て」云々とありますけれども、是は其の適當の地區で御拵へになることとは存じますが、此の場合に於て會員たる資格と云ふものは、農業會に於ては市町村の農業會が主となり、或は道府縣か何かさう云ふことになるだらうと思ひますが、養蠶實行組合のやうなものは會員とすることは出來得ないものでありませうかどうかと伺ひたいと思ひます、尚又地區の蠶絲業會と全國蠶絲業會との間に三十條に於ける蠶絲業會の目的を達する爲に意見の相違を來した場合は、地區内に於ける事業者は非常に困る事態が起りはしないかと思ひまするので、是は如何にして御防ぎになるか承つて置きたいと思ひます、まあそれだけ私伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=45
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046・山添利作
○政府委員(山添利作君) 製絲業に關する許可はどう云ふ風になつて居るかと云ふ御尋でございますが、是は製絲業法と云ふ法律に依つて致すのであります、其の製絲業法は今囘何等廢止は致して居りませぬ、それから政府が選出育成者から原蠶種と原原蠶種でありますかを提出せしめまして、之を作つて配付をする爲に、誰が其の補償のことに任ずるか、是は本來から申せば、政府が提出せしめてやるのでありますから、政府自體がやれば非常に都合が好い譯でありますが、併し斯う云ふことを一々の場合に豫算を取ると云ふ、政府の會計を通ずると云ふことは、實行上非常に不便でありますので、結局政府から貰つた所の蠶種製造業者若くは政府から府縣に行き、府縣から其の蠶種を貰ふ所の蠶種製造業者、斯う云ふ人に對して、選出育成者に對して、一定の補償金額を支拂ふやうな措置を執りたいと考へて居ります、是は豫算制度、會計制度と云ふものをさう云ふ方法で適當にやつて行きたいと思ひます、それから繭檢定を致しまして、それに依つて取引するのが原則でありますが、種繭の如きはどうするか、是は十七條に依つて主務大臣が其の必要がないと認めれば、命令を以て適用を除外することを得ると云ふことになつて居りまして、さう云ふ所で處置を致したら宜しいと云ふ風に考へて居ります、それから協同組合の範圍はどう云ふ所であるかと云ふ御尋でございますが、此の協同組合は、今迄蠶絲協同施設組合と云ふ制度がございましたが、實は其の名前を變へたのでございますが、廣く蠶絲業者は此の協同組合を作ることが出來るやうになつて居ります、從つて其の範圍も必ずしも今實際問題にして居りますのは、種の組合でございますが、それに限定すると云ふ意味ではございませぬ、爲さうと思へば組合製絲の如きも是で爲し得ると考へて居りますけれども、組合製絲のことは又別に處置を致したいと云ふ考でございます、それから協同組合の聯合會が出來るかどうか、是は聯合會の規定は何等設けてございませぬ、併し行政の實例に於きましては、蠶絲協同施設組合の聯合會を、規定がございませぬけれども、今迄實際上認めて參つて居ります、此の行政上の取扱を變更すると云ふ必要はなからうと考へて居ります、それから蠶絲業會を作るのに付て養蠶實行組合等を入れて作れるかと云ふことでございますが、養蠶實行組合は現在農業會の系統に屬して居るのでありまして、此の法律にさう云ふものが入つて來ると云ふ所迄は豫想を致して居りませぬ、從つてさう云ふ問題は將來農業會と云ふものに付て檢討せられて來れば、又さう云ふ問題が起り得るかと思ひますけれども、現在及近い將來食糧事情が斯う云ふ窮屈な時に、養蠶の方が農業會の方から分離をすると云ふことは考へて居りませぬので、其の間中に於きましては養蠶實行組合が入ると云ふことは法制上にも考へて居らない譯であります、概ねさう云ふ程度であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=46
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047・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 今一つの全國を地區とする會と蠶絲業會とが三十條の目的の爲に意見の相違が起きた場合には如何なる御取扱を願ひませうか、今一つは此の二十二條でありますが、養蠶家が共同組合を拵へるとか或は實行組合が共同組合を拵へるとかと云ふことが出來得るのでせうか、生絲製造業をやつた者が蠶絲共同組合を拵へて差支ないのでせうか如何でせうかと云ふことを伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=47
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048・山添利作
○政府委員(山添利作君) 蠶絲業會は中央に出來、又地方にも出來るだらうと考へて居りますが、其の間意見の相違があつた場合にどうなるか、是は實際問題としまして地方にさう云ふものが出來ますれば、是は當然中央の團體に加入を致すと考へて居ります、さうすれば中央で何等か統制を致します場合には其の所屬して居る蠶絲業會は中央で決めました決定に從ふ譯でありまして、恐らく實際問題として只今御述になりましたやうなことは起らないだらうと云ふ風に考へて居ります、尚製絲業者が蠶絲共同組合を作ることが出來るかどうかと云ふことは、出來ます、實は之の前身であります蠶絲共同施設組合は一番初めに製絲業者に付て作らしたのでありまして、それから出發したのが本來の元であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=48
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049・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 私は今の地方の蠶絲業會と全國の蠶絲業會のことでどうも少し分り兼ねますが、只今の御説明では地方に出來たものが、全國の中に加入するからと云ふやうなことになつて居りまするが、加入する者は其の地方で出來ましても、地方で出來た會員が矢張り全國の蠶絲業會に加入すべきものである、其の團體として加入すべきものは、農業團體と云ふ以外のものにはちよつと入ることが出來得ないやうに、二十九條にはあるのでありますが、それでも矢張り其の會へ加入して行くことが出來得るものでせうか、如何でせうか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=49
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050・山添利作
○政府委員(山添利作君) 其の「農業を含む」と云ふのは註釋的に農業團體を含んだと云ふことを明かにしたのでありましてそれに限ることではございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=50
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051・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 今一つ伺ひたいと思ひますが、蠶絲共同組合と云ふものは税金は納めないで宜いやうになつて居ると思ひますが、如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=51
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052・山添利作
○政府委員(山添利作君) 特別法人税を納めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=52
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053・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 私の質問は濟みました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=53
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054・白根竹介
○白根竹介君 市町村農業會は今度の農地調整法に依つて大きな仕事をなすやうになりましたが、農地調整法に依つて市町村農業會が得た仕事に付て伺ふと云ふことは、農地調整法の委員會で伺ふのが筋ぢやないかと思ひますけれども、併し市町村農業會の仕事とすれば從來のことですから、此の場合伺つて宜しいのですか、どうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=54
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055・紅露昭
○政府委員(紅露昭君) 大臣が今日一時から二時頃迄に出ましてさう云ふ問題に付て御答したいと言つて居るのですから、其の時に願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=55
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056・白根竹介
○白根竹介君 それでは外のことをちよつと……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=56
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057・徳川宗敬
○委員長(伯爵徳川宗敬君) 白根君に申上げますが、今總務局長が見えてからの方が御便宜ぢやないかと思ひますが、如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=57
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058・紅露昭
○政府委員(紅露昭君) 此の際私から御答へ申して置きたいのですが、昨日土屋子爵から將來財産税が實施された場合に木材の評價方法に付ての御質問がありました、今各省から委員が選任せられます、無論業會からも專門家が御入りになるさうであります、さうして其の委員會に於て運營とか或は評價方法或は納税の方法、さう云ふやうな詳しいことを研究することに相成つて居るさうであります、從つて昨日御質問のことはまだ決つて居らないさうでございます、是だけ御答へ申して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=58
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059・徳川宗敬
○委員長(伯爵徳川宗敬君) それでは午前中は此の程度に止めて置きまして、午後一時から農林大臣が御見えになるさうでありますから其の機會に御質問を願ひたいと存じます、午前中は是で休憩致します
午前十一時二十八分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=59
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060・会議録情報3
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午後一時十四分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=60
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061・徳川宗敬
○委員長(伯爵徳川宗敬君) それでは午前に引續いて會議を開きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=61
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062・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 農業團體法のことに付きましてちよつと御尋ね致します、小作料が金納制となりたる場合、一般地主と市町村農業會役員とを混同し、其の事實上の差違の直視を避けると云ふことは、折角本選擧制度への改革の意義を曇らせることとなるやうに思ふのであります、それで農業會の役員の特性と今囘自分が考へます所は、一、選擧制度に依り眞に民主的なる農民の農業會として、又現實に食糧増産に役立つ役員たるべき者で最も適當なる活溌な仕事の出來る資格者は實際の耕作者であり、供出責任ある者であり、恐らく選擧制度の狙ひも其處にあると推察されるのでありますが、農林當局は如何なる御考でありますか、然らばそれ等の者が役員に選定せられたる結果、自然供出責任完了は不可能となり、殊に自給肥料を要し、其の他各方面の生産條件の惡い現下の農耕には家長が役員の仕事に係はり、事業の計畫を考へるが如きことは絶對に出來ないのであります、非耕作者なるが故に保有米を認められざるに至るであらう本案の場合では、役員の職務に熱心なる者程配給米を戴くやうになつてしまふのであります、然るに農業會では供出の各戸への割當及他方一般の配給事務迄其の從來の保有米を取られ、配給制度に無理やりに押付けられた役人が決定按配するのであります、其の當然の結果として從來非耕作者でも田畑を持てるが故に保有米を認められて居る時と同じでは、此の點に多大の無理が實在するものであると思ふのであります、之が爲に或は最好適者が役員たることを欲せず、又農耕に熱心なる田畑に取殘された奧さんからは役員になることを止められるとか、本人は安心して職責を全うすることが不可能となるのでありまして、現下の逼迫せる食糧増産時代に眞に獻身的なる役員を得ること切なるものがあるのでありますから、此の點何等かの特例を認め、萬難を排して適當なる手當を此の際講ぜざれば不慮の違反行爲の發生を防止し難い、或は一般會員の誤解の發生、事務の不活溌を保し難く、役員の保有米を配給米にすると云ふけちなことをして、結局角を矯めて牛を殺す結果になりはしないかと思ふのであります、從つて要するに本案の改正案の審議に當りては、斯くの如き無理を包藏して居るものと考へますので、或は小作料の金納制を期しつつある農地調整法の改正案の審議と併行し、或は其の決定後に審議致した方が宜いやうに思ふのでありますが、農林當局は此の無理を意に介せられず、簡單に一般と同じ配給が受けられるのだから宜いぢやないかと云ふ御答を爲され、折角の此の案の意義を弱體化し敢て意とせられないのであるか、此の點の明瞭な御答辯を伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=62
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063・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 御答へ申上げます、農業會の經營に付きましては、是は他の團體と同樣でありますが、特に人が中心でなければならぬことは申上げる迄もないのであります、そこで從來の役員制度に付きましては、是は結局農民の信頼を得た方が大體はなつて居られるのでありますが、併し實際の取扱と致しましては、總會で選任致しました人に付て市町村長が意見書を附けまして、其の意見書の附いたものが地方長官の所へ參りまして、地方長官がそれを任命すると云ふことになりましたので、結局眞に名實共に農民の輿望を擔つて居るかどうかと云ふ點になりますと、其の間非常にはつきりせぬ所がありますばかりでなく、寧ろ官廳の任命だと云ふことに依りまして、農業團體自身が官廳團體と云ふやうな非難を受け、又農民自身も例へば供出を致しまする上に於ても、役員は縣の任命の役員である、我々の役員ではないと云ふやうな感じを持ちまして、是が増産なり供出に少からぬ影響を持つて居る地方もありますことは、御承知の通りであります、そこで此の運營の中心である役員、さうして又會員である農民から申しますると、我々の役員である、我々の會長であり、我々の副會長であると云ふことをはつきり意識させる爲に、此の度行政官廳に依る任命制度等を止めまして、其の農民の自由意志に基く直接選擧と云ふことになつたのであります、從ひまして是からの農業會の役員には、結局會員である農民の輿望を擔つた御方が選任せられるものと存ずるのであります、我々と致しましては役員の資格に付きましては、例へば耕作者に限るとか、或は地主を排除するとか、さう云ふやうな制限は一切設けてはございませぬ、結局農民の爲の農業會、其の役員と云ふのでありますから、總て會員の自由意思に基き其の輿望の赴く所に依つて役員は選任されることを期待致して居るのであります、併しさう致します結果、是は午前中にも申上げたのでございますが、此の輿望を擔つた御方が出られますけれども、色々複雜な仕事がございますので、どうしても場合に依つては、又地方に依りましては、一人位の人を專任の理事として選ばなければならぬと云ふやうな事態も生じて參らうかと存じまして、特に例外的にさう云ふ救濟の規定を設けたのでございます、只今御述になりました小作料金納制の問題と農業會の問題でありますが、是は申上げる迄もなく小作料金納制の方は、農地制度の改革と云ふ大きな觀點から、自作農創設と同時に小作料金納制の問題が起つて參つて居るのであります、此のことは農業團體法の改正如何に拘らず實現せらるべき筋合のものでありまして、直接此の農業會の役員制度とは關聯を持つては居らないのであります、併し只今御述になりましたやうなことも起らうと思ふのでありますが、結局それは先程來申上げましたやうな特別理事の選任規定、之に依つて救濟をして行くと云ふやうな行き方にして參りたい、斯樣に考へて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=63
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064・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 現在の統制の失敗、闇の現状を能く勘案されての御答だと存じますから、農地調整法其の他諸般の情勢を察しまして、私は前記の點を強調致しまして、今囘は御警告申上げて置くに止めたいと思つて居ります、さうして此の問題に付ては、實際本案が運用された結果、他日の機會を捕へまして、又論義致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=64
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065・佐竹義履
○男爵佐竹義履君 國有林の拂下のことに付きまして、ちよつと御伺ひしたいと思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=65
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066・紅露昭
○政府委員(紅露昭君) 今山林局長がちよつと外の方に行つて居りますから……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=66
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067・佐竹義履
○男爵佐竹義履君 それでは後に致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=67
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068・紅露昭
○政府委員(紅露昭君) 何でしたら、私から御答辯が出來ることなら……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=68
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069・佐竹義履
○男爵佐竹義履君 極く簡單なことであります、農村に近い、又運搬に便利である小さい地面積の防雪林でもなし、又防風林でもないやうな所が、伐採されて居るやうでございますが、ああ云ふ所は拂下になつて、さうして開墾さして、田とか畑にしまして食糧の増産の方に一つ役立つやうにしたらどうかと考へられますが、さう云ふ御考はおありでございますかどうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=69
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070・紅露昭
○政府委員(紅露昭君) 御答へ致します、只今御質問のやうな所は御示しのやうな方向へ進んで居るさうでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=70
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071・佐竹義履
○男爵佐竹義履君 拂下すると致しますと個人でも差支はないやうな御考へでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=71
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072・紅露昭
○政府委員(紅露昭君) 個人でも宜しいさうでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=72
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073・佐竹義履
○男爵佐竹義履君 有難うございました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=73
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074・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 大臣が御見えになりましたから……國有林の拂下の問題が只今佐竹委員から述べられたのでありますが、只今の政府委員の御答で國有林を大幅に是から民有に移すと云ふ御方針が農林省で御決定になつて居るやうでありますが、それをはつきりと伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=74
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075・松村謙三
○國務大臣(松村謙三君) 之に付きましては大幅と申しましてはどうかと存じますけれども、開墾適地に關しますものは、國有林に付きましては、適地と認められるものは拂下げる考へを以てまして、其の適地を只今開拓局と打合せを致して決定を致しつつある所でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=75
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076・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 是は年來の問題でございます、殊に東北地方、秋田縣、青森縣、岩手縣等が最も關係が深いのでありまして、從來盛んに此の問題は論議せられ、又各代議士などから云爲せられて今日に及んで居るのでありますが、なかなか開墾適地と言つても人の見解も違ひませうし、今迄の問題は開墾適地と云ふよりは森林保護、治水の關係から、開墾適地であつても、一方其の治水の關係からそれが行はれぬ、斯う云ふやうなことと睨み合せて、地方民の思ふやうに行かぬで居るやうな状態でありますけれども、今囘此の終戰に伴ふ新事態に即應して、從來よりはもつと積極的に此の問題を御解決なさる御方針でございませうか、もう一遍伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=76
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077・松村謙三
○國務大臣(松村謙三君) 國有林の造成に關する從來の方針は決して變つて居ないのでございます、併し斯う云ふ場合でございますから、開墾適地に對しましては是は前と違ひまして十分の思切つた拂下なり開墾を致したい、斯う云ふ積りで居るのでありまして、其の地點等に付て只今申述べました通りに調査を至急致して居るやうな次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=77
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078・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 丁度大臣の御出席を戴きましたから、私御役所の方のどう云ふ風に御扱になりますか伺つて見たいと思ふのであります、昨日の本會議に於きましても、大臣から蠶絲業は我が國經濟再建の上に於て、又見返り物資として重要なる役目を果すべきものであつて、此の振興を圖らなければならぬと云ふやうな御話があつたのであります、私は此の蠶絲業の中で最も原料となるべき繭の生産が漸次減少しつつあるやうな状況になつて來たことは、所謂我が國民が食糧と云ふことに非常なる關係を持つて居るのでありまして、桑園であつても、周圍を桑園にして中に野菜などを作つて置くと云ふやうなことは供出關係總ての上に於て免れることが出來るのでありまするので、如何にしても食糧が斯う云ふ風に緊迫して來れば漸次桑園は減つてしまふやうなことになります、從つて繭其のものが減ります、減りますれば生絲の出來ることも漸次減少せざるを得ないやうな状態になつて居るのであつて、是は昨日の新聞を見ますると云ふと、何を作つても宜い、來春から作付統制を廢止するのだ、昭和十九年秋冬作物から實施して來た綜合作付計畫は今議會で審議中の農地調整法が成立すれば當然廢止されることになるが、農林省では其の後に於ても農業の民主化推進上斯る作付統制は行はぬ方針を執る模樣である、斯う云ふ風に出て居るのです、從つて今後は農家が如何に國を思ふとしても、矢張り結局利益のある方へ段々移つて、さうして作物を作ると云ふことになることと存ずるのでありますが、私は之を綜合供出にして、さうして米、所謂主要食糧即ち蠶絲と云ふやうなことに結び附けて戴くことが出來るのぢやないか、只今聯合軍司令部にも見返りとして生絲を輸出すると云ふ御計畫のあることも聞いて居るのであります、從つて生絲が米に代ると云ふこと、是は當然あるのでありますから、同時にさう致しますと云ふと、生絲が米である以上は米の供出と同じやうな割合に繭を出した者には其の供出を綜合して計算に入れると云ふやうなことを政府は御考へなさるものでありませうか、如何でせうか、私共見ますると云ふと、蠶絲業法を盛ならしむることは、所謂繭を出した者は主要食糧を出した者と同じ扱をする、或は一石と何貫と云ふことは私も今考へて居りませぬが、或程度出來るものを兩方から持つて來たことが、同じやうに行くやうにして綜合供出をなさることが結局農家の方が都合が好いのぢやないか、さうすれば其の田や畑、所謂耕地に對する適作なるものを植えて、さうしてやることになりはしないかと存じます、其の邊に付て大臣は如何に御覽になつて居られるか伺ひたいと思ひます、尚私は今度蠶絲業法が新しく御制定になることになつて居るのでありますが、此の中には第二十條に於て必要があれば蠶絲の生産とか配給とか消費とか使用、價格、輸出、輸入に對する統制のことに對して命令を出すことが出來ると云ふやうなことが書いてあるのであります、其の中に私は價格の問題でありますが、價格は御承知の如く現在のやうな「インフレ」傾向のある時にあつては、餘程他の物價と睨み合せると申しますか、能く合ふやうにして戴いて、出來ることならば何時御決めを願つても、斯う云ふ他の物價が高くなるやうな時には、丁度鳥を鐵砲で射たうと思つても鳥をためて射つたのでは落すことは出來ないと思ふのであります、矢張り行く先を見て射たなければならぬと云ふことになるのでありますから、是は私は無論さう云ふことは御配慮を戴いて、御心配になつて居ることと思ひますが、是は私の希望として附加へて置きたいと思ふのですが、どうか其の邊御承知を願つて置きたいと思ひます、先程申しました綜合供出と申しませうか、其の中に繭と云ふことを入れると云ふことに付ての大臣の御所見を伺ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=78
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079・松村謙三
○國務大臣(松村謙三君) 繭を綜合供出の中へ加へると云ふことに付きましては、色々考へて見て居るのでございますが、食糧以外のもので間接に食糧になる、食糧を得る爲になると云ふものを綜合供出に加へて、さうして食糧の特別會計からそれを出すと云ふことはどうも少し不穩當のやうに考へられまするので、まだ十分の結論迄には達して居りませぬけれども、困難なのではなからうか、それで今要しまする問題は、養蠶業者が食糧に困つて居るから、さう云ふことにして食糧を確保するか、然らざれば他の方法で食糧の増配を得たい、斯う云ふ趣旨であるのでありまして、只今それに付ては色々考慮を致して居るのであります、今も御話のやうな綜合供出の方に或はなるのかも知れませぬが、是も今申したやうな譯で困難性がありますし、と申しまして食糧の増配と云ふことになりますと、なかなか全國の養蠶者は大變な數字でありますので、色々只今協議を致し研究を致して居るやうな次第でございます、それから矢張り生産を刺戟致しまするのは價格の問題で御示しの通りでございますが、之に付きましては時機を失しないやうに、十分他の物價等と睨み合せて考へたいと思つて居る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=79
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080・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 分りました、どうも有難うございました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=80
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081・白根竹介
○白根竹介君 農業團體の中で市町村農業會と云ふものは今日の我國に於て一番重大な使命を持つて居るものと思ひます、國民生活の安、不安は一に懸つて其の活動如何に依ると云つても過言ではないかと考へるのであります、從つて此の最下級の農業團體である市町村農業會に對する指導監督、或は育成と云ふやうなことは最も大事なことでありまして、之に對して、今日の時勢に即して農林大臣はどう云ふ新たなる御考を持つて居りますか、それを承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=81
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082・松村謙三
○國務大臣(松村謙三君) 御尋の點は、是は最も今日では重大なことでございまして、技術指導の徹底と云ふことは、是は相當に力を注がなくては増産を期し難いことと考へて居ります、今度技術指導の面に於て、系統的に一つ踏込んでやつてみよう、斯う云ふ考へ方から致しまして、昨日かの新聞にも發表致して居りましたが、要點は今日試驗場と云ふものと、それから技術の浸透と云ふこととは全然懸け離れて居りまして、技術指導の面で、試驗場では相當の優秀な成績を見て居りましても、是が實行せられない、寶の持腐れとなつて居ります所が非常に多いのは御承知の通りでございますから、試驗の成績と技術とを結付けてやりたいと思ひまして、各府縣の農業會と縣内の試驗場とを結付けまして、さうして其處に一つの試驗田と申しますか、試驗圃と申しますか、さう云ふものを附設しまして、そして其處に技術者、篤農家等皆寄集つて、其處で模範を示して、そしてそれを町村の末端迄浸透さす、斯う云ふことに致したいと考へて計畫を立てた譯であります、試驗場の成績は試驗場の成績でありますが、之を一般化することは、是は矢張り篤農家でありますとか、或は現在末端に接觸して居ります技術者の經驗に依つて採入れて初めて實效が擧りますので、是等のことを考へて指導したいと考へて居ります、それからもう一つは、末端單位に於きまする技術指導が、戰爭中に技術員が兵隊に行きましたとか、工場に徴用されたと云ふことで、技術優秀な者が非常に少くなつて居り、殘つた者も亦煩瑣な事務に追はれて、指導の面に携はらぬと云ふことが非常に多いのでありまして、是等も人を充實すると共に、出來るだけ煩瑣な事務から離れて技術指導の本職に精勵をさしたい、斯う云ふ考へ方でやつて居るのでございます、今度豫備金から恐らく九千万圓程度のものを出しまして、是は一つ大仕掛に、是迄もやつて居つたのでありますが、今度はさう云ふ方法で徹底的にやりたいと思つて居ります、唯茲に一つの問題は、農林省の持つて居る技術だけを採入れて、其の他の民間技術を排除するやうな傾向がありましては、本當の生産の妨げになる點も多いのございますから、是等のことは過去の實績等に鑑みまして、十分民間のものも獨立して普及をさせる、又之を指導の技術の中に採入れてやるやうに門戸を開いてやりたいと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=82
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083・白根竹介
○白根竹介君 只今技術面の方面に付ては詳しく御話がありましたが、まだそれに付て伺ふことがありますが、其の他監督指導と申しますか、只今では地方廳を通じて市町村農業會を指導監督して居る譯ですが、地方廳と言ひますと、地方の經濟部長が直接當る、知事がやる、どうも其の關係が前よりは餘程良くなつたやうですけれども、地方長官が本當に自分のものとして、農林關係で、殊に此の農業會の問題に付て踏込んでやる、何と申しますか、意思が少し足りないのではないかと思はれるので、此の點時々色々の方から不平も聞きますが、内務行政と農林行政と、其の點に於て餘程緊密連絡を持つて戴いて、内務大臣も或場合に於ては、農林大臣の考へ方を以て地方長官に農業會の育成をやつて貰ふ、又農業會の仕事を監督指導する立場になつて戴きたいと思ふのでありますが、其の邊に付ての連絡等はどう云ふやうに御考になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=83
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084・松村謙三
○國務大臣(松村謙三君) 御指摘の點は、矢張り非常に地方の増産、其の他の徹底に關する隘路になつて居るのでございまして、殊に經濟部長などが頻繁に送りますこと等に依つて困難な事情も來る、斯う云ふ状態でございます、それでありまして内務省と只今は極めて緊密な聯繋を取つて居りまして、總て内務省と打合せて其の仕事の徹底を期する方針の下に兩省一致して只今やつて居ります、例へて申しますならば、農林省と致しましても、農林省の役人が農林省の机の上だけにこびり付いて居りましては本當に農村のことが分らなくなりますし、又地方の經濟部長などが農林省の實情を知りませぬと、本當に指導する氣分にもなれないやうに思ひまするので、先般も内務大臣と能く御相談を致しまして、約十人ばかりの經濟部長と私の方の課長との入替を行つて、さうして御互に農林省を知り、地方を知ると、斯う云ふ入替をやつて居るのでございます、是なぞは將來更に之を大規模にやりまして、農林行政と内務行政との間に緊密な連絡を保つてやつて行き得るやうな風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=84
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085・白根竹介
○白根竹介君 今の點は、只今の御答辯誠に結構と思ひますが、一番大事なことであらうと思ひまするので、地方廳の經濟部長で其の道に非常に通じて、又活動も出來るやうな者に付ては、どうか餘り動かさないやうに農林大臣の方から内務大臣に御進言を爲すつて、成るべく其の位置に居つて徹底的に農業會の指導に當ると云ふやうな恰好に將來行きたいものと私は考へて居りますが、どうか御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=85
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086・米原章三
○米原章三君 私は此の農業團體法中改正法律案の閣議決定の要綱を見まして、「農業團體の民主主義化を圖り、系統農業團體の活溌なる自主的活動を促進し、以て農業者の利益増進竝に食糧の確保に寄與せむとするものとす」とありまして、改正の要旨は明瞭であります、唯不審に思ひますのは、昨日白根委員、村上委員からも御質問がありまして、政府委員の御説明を承つたのでありまするが、尚了解し兼ねる點があるのであります、それは農業團體法中第十條の「農業に關する國策に即應し」と云ふ、此の重大なる點を削除されたる事由は如何なる點にありますか、此の點を承りたいと思ひます、且又重ねて、此の農業團體法及び水産業團體法には「道府縣」とあつて、「都」が拔けて居る、さうして蠶絲業法には「都道府縣とある、此の點に付ての大臣の御説明を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=86
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087・松村謙三
○國務大臣(松村謙三君) 此の第十條の「國策に即應し」と云ふのを削りましたことには色々相談も致したのでございますが、是は此の團體の趣旨から申しましても、特に「國策に即應し」と云ふやうなことを明記致して置きませぬでも、是は大體盛り上がる機構に變りました時に、上から又「國策に即應し」と斯う書いて置きますのは、從來とは指導の方針が變つて來て居るのでありますから、斯う書いて置きませぬでも、斯う云ふ法律に依つて作られた團體法と云ふことになりますと、勿論國の考へ方に即應して行くと云ふことには是はもう大體間違はなからうから、それで戰時中の強い統制、強い國の意志と云ふものを之に反映するのだと云ふやうな感じの言葉は削つて置きましても、國策に順應せぬやうな、逆のやうなことにはなるまい、此のやうに考へまして之を削つたのでございます、從ひまして茲にちよつと第十條中「國策に順應し」と書いてあるのを削ると書いてありますと、如何にも際立つて居りますけれども、心持は左樣でありませぬので、當然書いて置きませぬでも、農業團體としては國の最大の必要……只今ならば食糧問題、供出の點と云ふことに付て十分に即應して呉れることは、是はまあ心配はなからう、此のやうに考へます、但し何もかも戰時だと言つて無理な押付け方をして國策だと云ふやうな考へ方は、是は官僚の獨善になりますので、其のやうな考へ方を此の農業團體に押し付ける考は持ちませぬけれども、國策に順應すると云ふやうな大綱に付ては間違はなからう、此のやうに考へて削つた譯であります、それから「都」と云ふ文字を削つてある點に付きましては、私よりも局長の方から今一應御説明申上げることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=87
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088・徳川宗敬
○委員長(伯爵徳川宗敬君) 其の御答辯は後で願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=88
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089・米原章三
○米原章三君 大體今の削除された意味は分りますけれども、矢張り民主主義化する、さうして自主的活動を爲さしめると云ふ意味に於ては、戰時中の立法でなく、平時の立法としては、あの「國策に即應し」がある方が宜いと思ふのですが、是は意見の相違であります、次に御尋ねしたいと思ひますのは、松村農相は今期議會に於て、新日本再建の基盤として健全なる農家を育成し、農業生産力の發展を圖り、食糧生産確保を目途として、農地制度の根本的改革を企圖せられまして、農地調整法の劃期的改正を提案せられました、昨日衆議院を通過し、今本院に提出せられて居るのであります、此の重大法案が多分茲一兩日中に成立することと信じて居ります、就きましては、此の農地調整法の實施に當りまして、農相の企圖せられる農地制度の一大革新を圓滿無碍に實現せられるの途は、所謂國策に順應して農業會を積極的に活躍せしめることの必要なることを信ずるものであります、それは農業會に課せられた重大なる使命と思ふのであります、私は此の觀點より致しまして、極めて簡潔に所見を申上げまして、農相の御意見を伺つて見たいと思ふのであります、敗戰國日本の再建の爲に、無血革命とも言ふべき此の農地制度の改革を見まして、私は遺憾ながら未だ完璧なるものと申上げ難いのであります、農地制度の改革が唯單に封建制度の遺物である地主制度を撤廢する、此の意味でありまして、唯農地の再分配を目途として居られるならば、今囘の方法も一つの方策であります、併し農相の企圖せられて居る健全なる農家を育成し、農業生産力を發展せしめて、食糧生産を確保せむとせられるならば、先づ第一に農地の交換分合に依る耕地の整理、農道の建設乃至各種の劃期的施設を行つて、農地の合理化即ち農耕地の國土計畫を實施せられることが必要ではないかと思ひます、而して之を實施するに當りましては、農地を再分配する以前に於て、國家が農地の耕作權を把握することであると思ひます、即ち地主、小作、自作を問はず總ての農地の耕作權、地役權を握つて、之が運營を全國の農業會に委囑して、適正小作料を制定せしめ、小作人からは地主に小作料を支拂はしめる途を開いたならば、摩擦なく解決するのではないかと思ひます、さうして農業會が耕地の交換分合と農道の建設を完備致しまして、先づ農地の合理化を圖ることが先決問題ではありませぬが、御承知の通りに日本の農業は原始的な農地を基盤として、猫額大の狹小なる面積に過大なる家族勞力を集中し、多量の肥料を施用し耕作して居るのが現状であります、即ち日本農業の特徴は、狹小なる面積に多大の勞力と多量の肥料を以て多量の收穫を得、最大多數の人口を抱擁して居ると云ふことは、世界に類例のなき集約的の農業國なのであります、而も農地は原始的で、耕地整理も全からず、殊に交換分合が行はれて居りませぬから、小作地に耕作する上に、勞働の無駄が非常にあります、即ち一家の農家に致しましても、其の耕地を東西南北に亙つて居る、東に一段、或は西に二段、南に一段、北に五畝、斯う云ふ風に非常に一家の農家が耕作する土地も點々と分散して居ります、從ひまして是が經營の上に非常な隘路があることは御承知の通りであります、從つて農地制度の改革の焦眉の問題は、寧ろ此の整理分合に依る農地の合理化が先決ではないかと思ふて居るのであります、農地所有權の再分配を考へられるよりも、國家が耕作權を把握して、農地の交換分合、整理することに依つて農地の合理化と、適正農家の建設、即ち實際に農耕の業に從事する精農のみに、適正なる面積の耕作權を與へることが全く適正農家建設の要諦ではなからうかと思ひます、斯くして農民生活の安定と、其の文化生活の向上を期し得られると信ずるものであります、さうして農地を合理的に整理したる上に、尚地主制度が封建制度の遺物としての存在を許さないとするならば、合理化せる農地を小作に移讓せしめて、適正な農家を創設することが、新日本建設に對處する農地制度の改革ではありますまいか、私は今囘提案せられました農地調整法の改正は、所謂龍を畫いて點睛を缺いて居られるの憾があるのであります、今後五箇年間の年月を要して之を實施せらるるよりも、寧ろ焦眉の問題は食糧生産の問題であります、斯くの如き緩慢なる政策よりも、寧ろ速かに農地の整理分合に依る合理化せる農地を作る、其の方法は一應國家が耕作權を把握して、そして合理的なる農地を作つた上で分配されるが宜いではないか、斯う云ふ風に考へるのであります、之に付て御意見を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=89
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090・松村謙三
○國務大臣(松村謙三君) 土地制度の改革に對する法案を今囘の臨時議會に出しましたのに付きましては、是は耕地問題は多年の懸案でありまするし、又之を此の儘に致して置きますると、色々の紛亂を生じ、農村の不安の状態を年と共にと言ひますが、月日と共に加はつて來る危險がありまして、之を社會的に見まして、穩便妥當に解決することは一日も早い方が宜しいと考へたのでございます、此の意味に於きまして、多年日本に於て實行して參りました自作農創設の方法を以て、土地制度改革の要旨と致して、そして之を現實的に解決致して行きたい、土地の國有とか、或は色々の意見もありますが、さう云ふやうな觀念は一切採らないで、唯從來の自作農に話が折合はぬ最後の場面に於て強權を使ふ、斯う云ふことで土地制度改革の目的は一應達せられるのである、是位のことをやつて行きませぬと、農村の安定と云ふものが日を經るに從つて加はつて參りまして、其の結果は地主も小作も共に其の弊を受けて來るだらうと考へますし、延いて新しい日本の出發を害することも多いと思つてやつた譯であります、それで此の制度に結付けて、御話のやうな交換分合もやらうかと考へたのでございます、併しさうすると餘りに一緒にやつて混雑過ぎますので、それで是は一面農地委員會で自作農を設置する場合に、之を其の村の實情に應じて此の點を加味して、土地の分配を決めたい、斯う云ふ指導を農地委員會に致す積りで居りましてございます、それでやつて見まして、若しも尚且成績が權力を背景とせねばやれないと云ふやうなことになりますれば、其の時には考慮を致して然るべきぢやないかと存じまして、今囘の提案の中に加へなかつた、斯う云ふやうなことでございます、御了承を御願ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=90
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091・米原章三
○米原章三君 大體御趣旨は能く分りました、矢張り私共から言へば、今囘の調整法の改正の際に、強く交換分合の案を御採り戴けば宜かつたと思ふのみであります、次に今一つ御急ぎのやうでありますから簡單に御尋ね致したい、第一は食糧供出に付ての問題であります、殊に米の供出に關する問題であります、戰時中強力なる統制の下に、官廳に依る供出統制が行はれましたが、而も戰爭が緊迫するに伴ひ、食糧事情は惡化し、闇取引は盛んに横行するに至りましたことは御承知の通りであります、而も其の闇取引に用ひられる數量は、恐くは一千万石に近い數量ではないかと稱へて居る者もあるのであります、是は官廳統制の招來した現實の姿であると思ひます、即ち供出手段、方法に缺陷があつたのではないかと思ふものであります、茲に於て私は供出の方策を官廳統制の枠から速に切離して、農村人の自治的統制を即時斷行せられてはどうかと思ふ者であります、即ち戰時中は勝つ爲の供出であり、農民は其の「スローガン」に踊つて喜んで供出して居つたのであります、併し敗戰後の今日は此の巧妙の「スローガン」はなくなつた、今や殆ど大和民族が餓死線上に立つて居る此の現状を農民の心魂に愬へるならば、農民の同胞愛は湧然として起ることと思ひます、さうして私の提唱したい問題は、玄米の供出を籾の供出として、全國の農業會、乃至今後誕生すると想像されます農民組合に、脱穀機械を把握せしめて、農家各自の脱穀を嚴禁してしまつて、そして農業會に全責任を持たせて籾の供出に依り農業會が脱穀する、斯う致しますれば供出は極めて公正に行はれ、且又供出の割當は割當の不公平を稱へて居る點を完全に是正し得られるのではないかと思はれるのであります、さうして脱穀致しました玄米を再還元して農民に返し、其の際に供出米を確保する、斯う云ふ方法を御採りになることが喫緊の急務と私は信じて居ります、此の點に付て大臣の深甚なる御考慮と、其の實現を待望して已まないのものであります、併し此の方策を實施せられるに當りましては、農民は自己の生産した米一粒も保有することを一應しないことになるのでありまして、一應は全部を供出する、此の點に強く御考を戴きまして、農民の再還元の量は、一般民衆に對する配給よりも相當多量に配給する、さうして農民生活の必需物資の特配、即ち農機具、肥料、農業用の衣料乃至生鮮食料と云ふやうなものの特別の配給を考慮せられるならば、農民は感激を以て同胞愛に燃えることが出來、圓滿に自治的な供出制度が確立することと思ひます、就きましては、脱穀機を農業會に把握せしめて、さうして自治的に供出せしめ、大臣の御考へになつて居る所謂食糧の綜合的自治供出を農業會に全面的に責任を持たしてやることが、私は最も適切なる方法ではないかと思ふのでありまして、此の點に付て大臣に承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=91
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092・松村謙三
○國務大臣(松村謙三君) 只今御話の通りに考へて居ります、籾摺機に付きましては、少し遲うございまして、東北地方などには少し遲れたかと思ひますが、既に其の管理を御話の通りに農業會へ依託して、さうして農業會が其の統制をして、さう云ふ場合にはやらせない規則を出しまして、地方廳へ通達して全面的にやらせることに致しました、是は少しまだ宣傳が足らぬかも知れませぬで、御耳に入れなかつたかと思ひますが既に御趣旨の通りやつて居ります、唯違ひます所は、其の全部を政府へ一應取り上げると云ふ所迄は強く行つて居りませぬけれども、所謂農業會で生産高が分るやうな所迄やることに致して居ります、それから農業會等を通じて必需品を流すことは、私も地方へ廻つて其の點を痛感致して參りました、今日のあの物々交換と云ふやうなものが總てを破壞して居りますから之に付ては全力を擧げてやらうと思ひまして既に供出と「リンク」しまして、肥料等も今月窒素肥料は地方へ六、七千「トン」も廻しまして、來年の三月頃迄に五万「トン」ばかりのものを、地方農業會を通じて供出に「リンク」したいと思ひます、酒も廻しました、それから農機具も大分農業會に廻るやうに致しつつあります、斯樣にして御趣旨のやうに致したいと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=92
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093・米原章三
○米原章三君 能く分りました、實は籾供出の問題は、本年の六月に石黒農相に私は進言しました、農相も了解されて、其の向に指導すると云ふ御話でありまして、其の結果御説の通りに漸次各地に行はれて居りますが、私の特に松村農相に御願ひしたいのは、之を強力に斷行さるることが最も適正でないかと云ふ點であります、今一つ申上げたいのは、食糧事情が御承知のやうに非常に急迫して居ります今日、先年來甘藷、馬鈴薯の生産に付きましては、國策として相當強力に指導奬勵されまして、本年は相當の成績を擧げて居ります、唯私は數年來菊芋の栽培に付て、甘藷、馬鈴薯よりも痩せた土地でも自由に生産出來る菊芋を多量に生産し、其の澱粉に依つて粉食を徹底せられることが最も喫緊な仕事ではないかと考へて、進言して居る一人であります、此の菊芋栽培をもう少し徹底的に御奬勵なさる御意思がありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=93
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094・松村謙三
○國務大臣(松村謙三君) それは私も經驗致しまして、あれが非常に不毛の地にも出來る作物であり、繁殖力の強いことも分つて居ります、之に付ては御話の通り、十分奬勵致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=94
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095・米原章三
○米原章三君 最後に、非常に時間を取りまして恐縮ですが、山林局長にも御願ひしたいと思ひますけれども、唯大臣に御尋して置きたいことは、林業方面には、農業團體或は水産業團體のやうな特殊の法的根據のある團體が出來て居ない、今囘木材統制法を撤廢されて、さうして所謂森林組合法を縱とし、木材統制法を横としたる如き一つの林業團體法を制定なさる御意思はありませぬか、此の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=95
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096・松村謙三
○國務大臣(松村謙三君) 其の點に付きましては、今後どうすれば宜いかと云ふ點に付て、只今研究中でありまして、それを致しますとも致さぬともちよつと茲で申上げる所迄達して居りませぬことを御了承を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=96
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097・白根竹介
○白根竹介君 御忙しい所誠に恐縮ですが、地方の農事試驗場は、今迄色々の所へ其の地方々々に勝手に作つて居りますが、之をもう少し整備する御意思はありませぬか、又内容に付ても、只今色々實地に即して御利用になるやうに承りましたが、詰り權限、試驗項目等に付て、もう少し踏み込んで、其の地方をもう少し大きく見て、試驗項目を農林省の方で統轄しておやりになる御意思はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=97
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098・松村謙三
○國務大臣(松村謙三君) 試驗場の位置等の整理に付きましては、地方の實情にも依りまするので、俄に御答を致し兼ねますが、試驗の目安の設定でありますとか、或はどう云ふものをどの縣にはどう云ふ風にすると云ふことは、是は農林省に於て把握して統一をしてやるやうに致したいと思ひまするし、其の點に付ては色々話を致して居りますから、多分さう云ふ御話のやうなことになり得ようかと存じて居ります、從來とも多少はさう云ふことに致しては居りますが、今後更に促進致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=98
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099・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 先程大臣に御尋になりました東京都の問題でございますが、是は本日最初に實は御説明申上げたのでありますが、生憎御留守でございましたので、私昨日村上さんの御質問に對しまして、御答が間違つて居りましたので御訂正申上げたいと存じます、それは農業團體法が施行されましてから丁度四箇月程後に東京都制が出來まして、其の東京都制に於て、道府縣の文字を東京都に關する限りは都と讀替へると云ふ規定が都制の百九十條の第二項に規定がございます、其の規定に依りまして當然讀替へることになつたのであります、其の點を昨日間違つて御答辯申上げましたので訂正致した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=99
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100・笹山茂太郎
○政府委員(笹山茂太郎君) 只今水産業團體法に關しまして東京都のことに付て御説明申上げます、道府縣水産業會に付きまして、之に付ては書いて居らないと云ふ點でございますが、此の點に付きましては水産業團體施行令の第八十二條に依りまして、東京都特令と云ふ項の中に、「本令中道府縣水産業會とあるは東京都水産業會とし、道府縣とあるは東京都とす」云々と云ふ風にあります、それに依つて御了承を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=100
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101・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 先程から試驗場の問題が色々論議せられて居るのでございますが、私も同樣の考でございまして、農事試驗場にしても園藝試驗場に致しましても、地方の農業とは大變隔離して居るやうな感がございます、それは蓋し試驗場に與へらるる任務が確定して居る、試驗場は其の任務に從つて獨自の見解を以て恆久的な問題を處理するに重點を置いてある、直接其の地方の農業を指導すると云ふことが、私は或は其の試驗場長に課せられて居る任務にはないのぢやないかと思ふ程なのでありますが、先程大臣が仰しやるやうな工合に農事試驗場を活用すると云ふことになりますれば、是等の試驗場に與うる任務を自ら變へなければなるまいぢやないか、斯う云ふ風に思ふのですが、現状の御規則の儘で今の大臣の御意圖が實施出來るのでございませうか、伺ひたうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=101
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102・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 御答へ申上げます、現在の試驗場に於きましても、例へば講習、講話とか新しい技術の普及、宣傳、指導が出來まするやうに、實はなつて居るのであります、實際問題として併しながら十分の成果を擧げて居らぬ所のありますことは今御述になりました通りであります、併し例へば農業指導員の短期訓練を致しますとか、或は技術の再訓練、やり直しと申しますか、さう云ふやうなことを致しましたり、戰爭中は是も御承知のやうに女子の短期訓練を致しましたり、色々技術指導の第一線に立つ人々の指導を致したのであります、併し此の具體的の個々の農民に對する指導と云ふことになりますと、只今申上げましたのは間接的の指導でありますが、直接的の指導と云ふことになりますと、結局農民が其の目で見、又直接目の前で色々の試驗場の試驗成績なり、或は苗圃の成績なり、或は試驗圃の成績なり、斯う云ふものが直接目に映ると云ふことが、是は農民に對する指導としても最も有效な行き方なのであります、さう云ふ點に於ては或は從來は遺憾な點があつたかと思ふのであります、從つて先程大臣から御話申上げましたやうに郡の試驗場の分場と申しますか、出店と申しますか、さう云ふやうな只今私申上げましたやうな趣旨の見地で、模範展示と申しますか、さう云ふやうな方向に力を入れて行きたいと云ふことを申上げたのでありますが、矢張り今後はさう云ふ方向で以て進んで行かなければならぬと思ふのであります、是は現在の試驗場の規定と致しましても、當然出來るものと承知致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=102
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103・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 只今の御話で分つたやうでございますけれども、縣の方は技術員の養成とか色々やるのですが、國立試驗場竝に其の分場等に於きましては、餘程程遠い基礎研究を主體と致して居るのでありまして、直接林檎なら林檎、蔬菜なら蔬菜、それを直ちに利用すると云ふことは殆ど考へて居ない、さう云ふ状態であるのはどう云ふことかと云ふと、恐らく其の國立園藝試驗場なり、其の分場なりに與うる所の任務と云ふものが確定して居りますので、それが其の試驗場の任務である、其の他のことは附帶することである、であるから主たる任務を先づやらなければならぬ、斯う云ふことで超然主義になつて居りますので、隨分行つて見て變なことが澤山あるのでありますから、此の點を是正する爲には、唯さう云ふ方針であると云ふのでなくて、新たにそれ等の試驗場に任務を課さなければならぬのぢやないか、其の任務を課する御考へがあるかどうか、斯う伺つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=103
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104・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 國の試驗場、或は其の支場の問題に付ての御尋でございますが、是は實は御承知のやうに、基礎的のことを先づ中央の試驗場で研究致しまして、それを各地方地方に適用致しまする爲に、國の支場と致しましてそれを地方の試驗場に廻して居る、斯う云ふ行き方を取つて居るのでございますが、勿論御述になりましたやうな實際の指導と云ふことも忽せには出來ませぬが、併し何と申しましても、國の試驗場は基礎的の研究に依つて色々新品種の發見でありますとか、其の他の育成方法の研究でありますとか、色々基礎的の研究に大きな任務を持つて居ることは御承知の通りであります、從つて此の所謂勸農試驗場的になりますことは、結局其の半面に於て、最も大事な基礎的研究が動もしますとそれだけ勢力を殺がれることにもなりますので、國の試驗場と致しましては、重點は飽く迄も基礎的研究、さうして其の餘力を以て其の實地模範展示式の方に向けて行くと云ふ風に致したいと考へて居るのであります、其の點は現在の規定の範圍内でも矢張り講習、講話其の他の項目がございまするので、當然出來ると思ひますが、主と從との關係はどうしても國立試驗場でやります以上は、從來の方法で進んで參りたい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=104
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105・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 それは人と施設の問題でありまして、國立試驗場の分場邊りに行つて見ると、實に其の規模は只今の基礎研究をなさるには十分でございませうけれども、技師の數も技手の數も至つて少ない、もう少し施設を添加し、人を増加すれば本來の基礎研究に加ふるに、只今大臣の仰しやつた仕事も出來るのぢやないかと思ひますから、左樣にして施設を擴充し、人を増加し、さうして現實其の仕事に縣の方よりは國立園藝場にいらつしやる方の方が優れた御方でありますから、新たにさう云ふやうな方面からも御進めになつたら宜いのぢやないかと思ひます、之に付て如何なものでございませうかと御尋ねして居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=105
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106・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 誠に御尤もな御尋でございました、是非私共もさう云ふ方向に進んで參りたいと斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=106
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107・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 其の次は、先程から屡屡多くの御方から論議されました所の、國策に即應云々と云ふ言葉を取去つたと同じやうな觀點から致しまして、第十一條の「地方農業會は其の目的を達する爲左の事業を行ふことを得」と斯う云ふ此の條項の改正に於きまして、元は「會員に必要なる農業用物資」とか、或は會員に必要なる農業用云々と云ふ特定の字が書いてありましたけれども、今度はそれ等のものは削つてしまつて何もありませぬから、必要なる物の購買と云ふことであれば何でも彼でも是は購買が出來るのであらう、又其の次の農業用資金と云ふのであれば或は資金を貸付けたり、或は貯金受入の施設が出來るのであらう、斯う云ふ風に了解致しましたが、それで宜しいのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=107
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108・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 多少説明を要しますので、申上げて置きたいと思ひますが、實は現在の規定では、是は二つに分れて居りまして、必行事業と、それから任意事業と云ふ風に分れて居りまして、必行事業の方では會員に必要なる農業用物資の、例へば購買でありますと、「購買又は其の加工」と云ふことになつて居るのであります、任意事業の方に於きましては、「會員に必要なる物の購買又は其の加工」云々と斯う云ふ風になつて居るのであります、結局從來の産業組合時代から、産業組合と致しましては、組合員の生産に必要な物と、組合員の日常生活に必要なる物の兩方の購買を致して居つたのであります、今囘は法文の建前が、前は必行事業の場合には「左の事業を行ふ」と云ふ風にありまして、任意事業の方では「左の事業を行ふことを得」と云ふ風に書いてありましたのを、一本に致しまして、「左の事業を行ふことを得」と云ふ風に法文を整理致しましたので、從來の二つの事項を一本の事項と致しまして書き改めましたから、斯う云ふ風になつたのであります、結局此の内容は生産用に必要なる物と、それから會員の日常生活に必要なる物、此の兩方を含めて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=108
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109・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 能く分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=109
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110・渡邊甚吉
○渡邊甚吉君 先程來農業會の運營問題に付きまして、色々御議論もあつたやうですが、之に付て政府委員から御答辯がありましたやうに、當面の問題としまして、農業會の御家風を確立することが最も大切なことと存じます、其の御家風の確立と申しますか、運營上の内部統制に最も大きな障害となりますものは、統合した團體の中の農會と産業組合の性格上の差違にあるのではないかと思ふ譯であります、御承知のやうに農業團體の統合は、大きく申せば從來の農會と産業組合との寄合世帶であります、そこで農會は、昨日も御話がありましたが、農業の指導方面を擔當して居る譯でありまして、自然其の經理は下部組織に對する賦課金と、國庫からの補助金、助成金等でありまして、即ち其の豫算生活をして居る謂はば役所的の性格を持つて居るのぢやないかと思ひます、之に反しまして産業組合は經濟部門を擔當致しまして、所謂購買、販賣、信用、利用など、主に算盤に基礎を置いた所謂商人的の性格があるのではないかと思ふ譯であります、斯樣に根本的に異つた性格を持つて居る團體の寄合でありますから、大きな問題、例へば食糧の増産とか、或は對外的の問題に付きましては、兩者が相一致するのでありますが、内部的の個々の問題、或は事務上の問題とか或は待遇上の問題に付きましては、必ずしも相一致しない場合があるのであります、時には相對立する場合も多々あるやうに見受けられます、此の性格上の差違に依る運營上の缺陷は全國的な大きな問題と存じまするが、之に對する御當局の御所見なり或は今後の運營上に於ける御教示を願へれば仕合せと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=110
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111・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 御尤もな御意見と思ふのでありますが、結局此の農業會の二つの仕事でありまする指導部面、それから經濟部面、是は實は煎じ詰めますと二にして二に非ず、結局此の指導に致しましても、生産指導其の他作付の色々な統制の問題に致しましても、肥料、農機具等經濟事業が裏打となつて居りませぬと、なかなか思ふやうに行かないのであります、又經濟事業の方の販賣とか、或は加工と云ふことになりましても、結局技術面の色々の指導なり又統制と云うふものが伴はなければならないのでございます、從ひましてどうしても此の二つの仕事は別にせずに一本にしなければ、此の食糧危機突破の農業會の大きな任務遂行が困難ではないかと思ふのであります、若し之を別々に致しますると、結局農業者の組織、組合組織と申しまするか、團體組織と致しましては四分五裂の懸念があるのであります、其の間色々他の方面の策動と云ふやうなことも考慮せられるのでありますが、要しまするに食糧問題の極めて窮迫せる今日の情勢竝に將來の推移に鑑みましても、是非此の二つのものは結付けて參りたい、斯樣に考へて居るのであります、さう致しまする爲には、結局此の御家風と申しますか、之に從事する人人が、昔の農會系統、或は産業組合系統と云ふやうな風に、依然として系統的の從來の考へ方を持つて居りましたり、或はさう云ふ考へを拂拭致しまする上に於て障害になるやうなことは、極力避けて參らなければならないと考へて居るのであります、從つて今迄採りました方策と致しましては、全般的には勿論、是は最初に申上げましたやうに、趣旨を能く徹底するやうに申して居るのでありますが、具體的の障りになる事項、例へば農業會の豫算經理の上に於きましても、舊農會の人は事業計畫の豫算と申しまするか、其の方で指導部に屬して居る其の費用から俸給を出す、それから産業組合系統の人は、經濟部の方から金を出すと云ふやうなことを致して居つたのでありますが、是は昨年にさう云ふ人事に關することは、總て例へば總務部と云ふやうな所に一括して其の人の俸給を受持つ、從つて具體的の人が指導部で賄つて居るとか或は經濟部で賄つて居ると云ふやうなことから依然として舊農會系統或は産業組合系統と云ふ意識が殘らないやうに致したのであります、それから上の方の團體としましては、さう云ふことで相當の實を擧げるやうに色々の手を用ひて居るのでありますが、人事異動に付きましても、是も前は中央に二つの團體がございましたから、なかなか面倒でございました、併し結局一本になりましたので、此の一本になりますにも結局建物が問題で、名を一にしましても別々の建物に居りますと、自然融和もなかなか困難なのでありますが、幸か不幸か戰災で燒けましたので、結局建物を一本にしたと云ふことが又兩方の意思疎通なり、融和と云ふことに非常に大きな役割りを演じたことと思ふのであります、中央でもさう云ふ風に一本になり、又人事異動に於きましても常にさう云ふ意識的に見られるやうなことのないやうに、特に其の點には注意を拂つて居るやうであります、從つて形を一本に致しますると同時に、實質も一本になるやうに、積極的に又消極的に阻碍になるやうなことはどんどん之を芟除して行くと云ふやうな方法で進んで居るのでありますが、結局是は此の方法を強く進めて參りまして、是非融和致した一つの優遇の途を作つて參りたい、斯樣に考へて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=111
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112・渡邊甚吉
○渡邊甚吉君 次に信用事業に付て御尋ねしたいと思ひます、昨日も數字の御提示がありましたやうに、農業會の信用事業は戰爭中の通貨の大膨脹を受けまして、其の貯金高は十九年度末に百二十七億と云ふ厖大な數字に上つて居ります、信用事業は申す迄もなく、文字通り信用に基礎を置くものでありますことは申す迄もないことでありますが、終戰後「ポツダム」宣言の受諾に依りまして、民主的傾向の昂揚に依る政黨の復活の爲に、從來もありましたやうに、今後地方には相當其の政黨色が濃化されるものと考へる譯であります、さう致しますと、農業會ばかりでなしに、各種の團體、例へば商工經濟會にしろ、水産會にしろ、其の他色々の地方的の團體が政黨化される虞があるのぢやないかと思ふ譯であります、謂はば從來の政黨の弊害と言はれて居りましたやうに、さう云つた團體が所謂政治家の食物になるやうな場合が起きると思ふのです、處が農業會自體が此の信用事業を合せ行つて居ります關係上、さう云ふ政治屋の食物になるやうなことがあつては由々しき大事だと存ずる譯であります、之に對する御當局の御見透しなり對策は如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=112
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113・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 御尤もな御尋と存じますが、實は此の信用事業に付きましては、戰爭前迄は特に經理檢査と申しますか、之を喧しくレイ行致して居つたのであります、戰爭中特に交通の關係なり或は人手の關係で、どちらかと申しますと、稍稍手が拔けて居つたと云ふ譏りも免れなかつたのであります、現在の經理なりさう云つた方面の監査に付きましては、自治監査聯合會と云ふものがございまして、此の自治監査聯合會で自治的の監査を致しますると同時に、それ以外に官廳に依る監査と云ふものもあつたのであります、此の官廳に依る監査が今申しまするやうに、從來は稍稍手が拔け掛つて居つた、斯う云ふことになるのでございますが、御話になりましたやうに、今後の此の見透しと云ふことになりますと、一面から言ふと、出來るだけ官廳の監督事務は減つて參つたのでありますが、併し事、業務及會計に關する監督の問題、監査の問題になりますと、是は寧ろ從來以上に行政官廳の監督權限を強化して參らなければならぬと考へて居るのであります、從つて現在も法律の第四十三條に「業務及會計に關し監督上必要なる命令を發し又は處分を爲すことを得」と云ふ規定が殘つて居るのでありますが、是は飽く迄存置致しますると同時に、其の運用は今申しまするやうに、特に今後は強くやつて參りたい、事經濟に關し、又個々の農民の貯蓄に關し、又一般金融にも至大の影響を持つ事項でありますから、此の點は嚴重に致して參りたいと考へて居りますので、此のことは機會ある毎に今囘の團體法の改正に於て行政官廳の權限が逆に強くなるのは、此の一點であると云ふことを強調致して居るやうな次第であります、是非さう云ふ方法で行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=113
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114・渡邊甚吉
○渡邊甚吉君 先程大臣からちよつと御答辯がありましたのですが、從來から問題になつて居ります農業用物資を農業會を通じて一元的に配給する一元配給の問題は、是は從來も色々商業者との關係で問題になつて居るやうですが、是ははつきり今後は農業會に一元配給させると云ふやうな御方針でありますか、其の點如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=114
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115・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 農業會に依る一元配給の問題に付きましては實は二つの要素を含まれて居るのでありまして、即ち一つは生産用に必要なものの配給と、一般日常生活に必要なものの配給、此の二つになつて居るのであります、生産用に必要な、例へば肥料でありますとか、農機具でありますとか農業藥劑でありますとか、斯う云ふやうな生産上必要なものの配給は現在農業會に依つて一元配給を致して居るのであります、特に最近起りました問題は、生活必需物資の配給を、同時に農業會で一元配給させるやうにと云ふことが問題の中心であつたのであります、一應事務的にはさう云ふ必要も感じまして色々案も立てたのでありますが、結局是は大きな觀點から特に戰爭終結後、既存の配給業者との關係に思ひを致されまして、結局此の問題は兩者の間に於ける農業團體と商業者の團體との間に於ける緊密なる連繋を保持することに依つて出來るだけ農家の要望が叶へられるやうにと云ふことで、此の方の一元化問題はまだ實現を致して居らないのでございます、併し最近の事例で御覽になりますやうに、供出との關係から、特に特配物資の點に力を今入れて居るのであります、特配物資の點になりますと、是は當然集荷機關である農業會に於て取扱ひ、集荷と均衡してやる、從つて一般必要物資の一元化の問題は、今申しましたやうに既存の業者との關係から、まだ實は致して居りませぬし、將來もなかなか面倒な問題だと思ひますが、一方の特配物資と云ふやうな關係から申しますと、出來るだけ此の供出との「リンク」制と云ふやうなこととも併せ考へまして、特に此の方面に力を入れて參りますから、結局農家と致しましては、其の欲する物が米との闇、横流れと云ふことでなしに得られると云ふことにならうと思ひますので、是等の物資の特配量の増加と云ふことに付きまして、常に商工省と緊密に連絡を執り、又御願をして御配慮を戴いて居るやうなことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=115
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116・渡邊甚吉
○渡邊甚吉君 私の質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=116
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117・大久保利謙
○侯爵大久保利謙君 先程淺田委員の御質問に政府委員の御答になつた、十一條の改正は條文の整理と云ふことでございましたが、其の中で第十一條第一項第二號の「農業の統制に關する施設」と云ふのが整理されて、「農業の指導奬勵及統制」と云ふことになつて居りますが、是は單に條文の整理でございませうか、或は先程政府委員の御答の中に農業指導と、統制の統一と云ふやうな言葉がございましたが、さう云ふ統一と云ふやうな意圖で積極的に御論じになつたのか、便宜御論じになつたのか、どちらでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=117
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118・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 全く是は條文の整理でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=118
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119・白根竹介
○白根竹介君 市町村農業會の保有する金は百二十七億あると云ふ御話ですが、其の管理はどう云ふ風になつて居りませうか、公債には勿論なつて居ると思ひますが、其の内容を一つ承りたい、それから之に對する監督の方法として、只今自治的監査聯合と云ふものの御話がありましたが、其の構成はどうなつて居りますか、果して之が有効適切に監査が出來るものであるかどうか、多少疑があるのでありますが、其の點一つ承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=119
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120・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 農業會の貯金の運用の問題でありますが、是は結局段々と厖大になつて參りますると、之が運用に付ては特に經濟的の知識が豐富でありませぬと、なかなか良く思ふやうには運用が出來ないのであります、從つて從來執つて居りまする方針と致しましては、出來得る限り之を中央に吸上げる、即ち資金集中策と申して居りまするが、大藏省の方とも能く連絡を執り、又大藏省の方もさう云ふ意向でありまして、實は農林中央金庫は大藏大臣と農林大臣が共同で監督をして居るやうなものでありますが、其處へどんどん資金を集中致しまして、そして中央で其の運用を圖つて行くと云ふやうな方法を執つて居ります、從つて事實貯金の八十「パーセント」近いものは中央に吸上げられて居るのであります、殘つたものの中で、是も餘裕金の運用に付きましては制限を設けて居りまして、國債、或は確實な有價證券を持つやうにと云ふ風に致して居るのであります、其の資金運用に付きましても、戰爭中には組合金融統制會と云ふものがありましたが、戰後は之を改めまして、組合金融協議會と申して居りますが、中央竝に地方の各府縣にも組合金融協議會と云ふものがありまして、是等が中央に吸上げられた殘りの資金に付きましても十分指導をして誤りのないやうにと云ふことでやつて居るのであります、併し之は指導面でありまして、先程申しました自治監査聯合會と申しますのは、此の起りは、前には行政官廳に依る監査だけがございまして、府縣にも行政監査を致しまする職員が特に配置してあるのでありますが、府縣が自分の所の管内の産業組合を監査する、併しどうしても矢張り地元關係で或は思ふやうに行けない場合も、是は人情の上からあることも察知されますので、其の上に中央から直接監査に參つて居つたのであります、併し何分にも全國一万に近い組合でありますからなかなか中央では廻り兼ねる、全國一通り廻るのには或は五年も掛る、或はもつとそれ以上も掛ると云ふことにもなりまするので、結局其の輔佐機關として農業團體の御互の間で自治監査聯合會、自治で監査する聯合會を設けようと云ふやうな氣運が起りまして、最初は任意的であつたのでありますが、之を法律上はつきりした團體に致しまして、是が自治的に先づやりまして、それとは別に行政官廳も監査をする、斯う云ふことになつて居りましたのが、行政官廳の方は先程申しましたやうに、戰爭中はなかなか手が廻り兼ねたと云ふ事情でありますので、此の方は戰後特に力を入れて行政監査の方をやつて行きたい、勿論自治監査の方も殘つて居りまするので、兩々相俟つて此の農業會の經理に付ては特に力を入れて行きたい、斯う云ふやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=120
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121・米原章三
○米原章三君 私は森林造成に付て御伺ひして見たいと思ひます、其の以前に木材統制法を最近に廢止せられる御考があるかと云ふことをちよつと伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=121
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122・黒河内透
○政府委員(黒河内透君) 御答へ致します、木材統制法を廢止するかどうかと云ふ點に付きましては、木材統制法が非常時に處する法律である、さう云ふ沿革から致しまして、早晩は廢止をしなければならぬものであると云ふ風に我々共も考へて居ります、唯併し何時如何なる時にどう云ふ形でと云ふことになりますると云ふと、それは今日殊に戰災地復興其の他の關係から致しまして、木材の需要が甚だ多いのに加はりまして、海外から戰爭前に入つて參りましたやうな木材も入りませぬし、亦「パルプ」も入りませぬ、加ふるに樺太、竝に北洋方面の材木も入つて參らないと云ふやうな状態でありまする關係上から致しまして、木材の需給の「バランス」と云ふものが非常に惡化して參つて居ると云ふやうな譯で、從前に劣らぬ非常措置を採つて、伐採をして參らなければならぬやうな事態が、どうも前途に横はつて居るやうに思はれるのであります、從ひまして單に撤廢と云ふやうな形式ではうまく其の間の調整が取れて參らないのではないかと云ふやうに考へられます、彼此れ勘案致しまして、適當な措置が講ぜられますならば、其の機會に於て木材統制法を或は廢すると云ふことが實現されるかも知れませぬ、斯樣な風に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=122
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123・米原章三
○米原章三君 木材統制法が制定されたのは昭和十六年でありますから、其の法案の提出の時の當局の説明では、木材統制は戰時立法ではない、恆久法であると云ふ趣旨に私は承知して居ります、又法文は爾く編まれて居る、唯木材統制法實施後、戰爭が苛烈になるに伴ひまして、所謂國家總動員法の面に於ける需給、配給の規則が發布せられて、茲に木材統制が戰時に即應して、強制的な統制ある組織になつたと思ひます、唯、戰時中は木材の軍需に要した量は申す迄もなく毎年一億石以上であります、而も木材方面は國家の要請に完全に百「パーセント」に應じて、供出が完了された、斯う考へる、而も民間では木材統制は統制法中の惡法と云ふかの如く宣傳されたことは御承知の通りであります、併し實際から言ひますと、木材統制はあの統制法に依つて完全に木材が公定價格で消費された、さうして戰時に即應された此の功績は重大なものだと思ひます、木材位戰時中公定價格を遵守したものはない、併し木材業者なり、林業家に政治力がなかつた爲に、誤られて横闇をする、所謂民需に戰時中木材の供給が足らなかつた爲に惡聲を放たれたことが、我等は此の木材統制法が惡法なりと言はれた原因でないかと思ふ、然れども終戰の結果、最近御承知の通り十一月二十六日を以て非常處置の下に地方木材會社の機構に一大「メス」が加へられて、あの處置に依つて地方木材會社は木材統制法に依つて存立せしむる使命は終つたではないかと思ふ、さうしてあの處置は私共は國家の政治的處置として至極結構と思ふ、殊に國策に順應した地方木材會社があの處置を執られることは當然と思ひますが、唯其の方法手段に宜しきを得なかつた爲に、戰災地救濟の爲に木材供出が最も緊要な時に於て、あの非常處置の爲に恐らく數箇月間所期の木材は出ないではないか、昨年迄は百「パーセント」出て居つた木材が、石炭と同樣にあの處置に依つて、私共の想像では五十「パーセント」を出ないではないかと憂へて居るのであります、此の點に付いての局長の御考を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=123
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124・黒河内透
○政府委員(黒河内透君) 戰時中に於ける木材統制會社の成績と云ふことに付ての御話に付きましては、若干の非難もあつたでありませうが、大體生産に於て御話の如き成績を擧げ、且又統制に於て概ね御話の如き成績を擧げたと云ふことに付ては、私共左樣に考へて、關係業者の方竝に木材會社の方々の御努力に對しては感謝を致して居るものであります、去る十一月二十六日の處置に付きましては、どうも我々も其の後の經過を見まして、御示の如き状態に入つて居るのではないかと云ふことを感ずるものでありまして、此の點に付て今後一段の努力を要するものであると、斯樣に存じます、然らばどの程度に木材が出て來るかと云ふやうな點に付ての見込を話せと云ふやうな御話であつたかのやうに存じまするが、之に付きましては、戰爭が終結致しまする迄は、今年は昨年よりは成績が惡うございましたが、概ね七十「パーセント」乃至八十「パーセント」、或は北海道の如きは殆ど百「パーセント」に近い成績で進んで居つた譯であります、空襲其の他の中に於きまして能くあれだけの成績を擧げ得たものと私共も思つておる譯であります、併しながら戰爭が終へて後の状態は、是は戰爭終結から來る非常な大きな「シヨック」から、又各般の事態が色々な混亂に陷り、又食糧難等のことに依りまして、非常に生産が劣つて參つた譯でありまして、三十「パーセント」、三十五「パーセント」、四十「パーセント」と云ふやうな線を各府縣共辿つて居るやうな状態でありました、尚之に加へまするに、其の後の再度に亙りまする所の水害と云ふやうなことの爲に、搬出と云ふやうなことは、極度に惡化して參りまして、市場に出廻る木材と云ふものは非常に少くなつたと云ふやうな状態になつた譯であります、場所に依りましては生産も殆ど行はれてないやうな所もあつたやうな次第であります、其の當時既に統制撤廢、戰爭が終へたので軍需用材が要らなくなつたから、或は又官材も船材も要らなくなつたからと云ふやうなことで、もう木材は供給過多になるのではないかと云ふやうな宣傳も一部分には行はれたのでありまして、色々な關係から致しまして、統制を撤廢するのだと云ふやうな空氣が次第に濃化して參りまして、十一月の中頃に至りましては、もう殆ど各地共さう云ふ空氣が澎湃として出て居つたと云ふやうな状態にあつたやうに承知して居ります、さう云ふやうな場合に於きまして、戰災地の復興の爲に已むを得ずして地方木材會社の手持の木材の緊急措置を講ずると同時に、各地の情勢に適應致しまして、地方長官が一番良いと云ふ處置を執るやうに致して、それで生産の増強を圖り、且又供出を致したい、斯樣に存じた譯であります、唯それが所期の如く成績を收めなかつたことに付ては、非常に其處に我々共も責任を感ずる次第でありますが、今後尚是からの多山の生産運動と云ふやうなものを大いに展開するなり致しまして、各方面の御助力を得て、幾分なりとも生産を囘復して、戰災地等に木材をやりたいものと、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=124
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125・米原章三
○米原章三君 今御説明で大體了承致しました、あの非常處置の結果、全國の地方木材會社は休止の状態ではないかと思ひます、此の地方木材會社を解散せしむる、然らずんば改組せしめる、急速に其の處置を當局は御執りになる必要はありはせぬか、それに依つてこそ木材は出る、あの處置の儘では恐らくは所期の目的は達せられず、折角集荷された木材が、矢張り山林に其の儘殘つてしまふと云ふのが實情であります、之を農林省が、地方長官に其の責任を轉嫁される氣分を我々は想像して甚だ遺憾に思つて居る一人であります、其の點から急速に地方木材會社を處理せられる必要があるではないかと考へて居ります、之に對する局長の御答辯を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=125
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126・黒河内透
○政府委員(黒河内透君) 責任を地方長官に轉嫁すると云ふ御叱りを蒙つた譯でありますが、私は左樣な考は持つて居りませぬでございます、唯それよりも地方木材會社と云ふものを今後どう處理して行くかと云ふことに付ては、今日迄の所、是は單に日本側だけでは決め兼ねる譯でありまして、色々關係の方面にも打合すべき必要もありまして、今日の所、其の間の打合せも致して居つた次第であります、從ひまして、それに對して明確なる指示を各方面にすることが出來なかつたと云ふ事情にあつた譯でありまして、別段態度を曖昧に致しまして、地方長官に責任をなすり付けると云ふやうな考は持つて居らなかつたのであります、然らば今後の處置はどうなるかと云ふことになりますと、先程も大臣からも御答辯申上げましたやうに、確乎たることは此の際申し兼ねますが唯併し此の際最小限度を申上げ得る所は、私共どう云ふ風に是から木材統制をして參るに致しましても、今日迄地方木材會社が築いて來た地盤と信用と云ふやうなものは、是は出來るだけ活用して參らなければならないと存じます、固より地方の状況に依りまして地方木材會社を中心に致すよりも、或は他のものを中心にして活用した方が生産に或は又供出により效果を擧げ得ると思ひます、左樣な所に於きましては固よりそれに基くべきものと存じますが、併しながら一般的に申しますれば、地方木材會社の過去の地盤と其の信用と云ふもの、組織と云ふものを活用して參ると云ふことは當然のことと存じまするので、一般的には左樣な指示を致して居る次第であります、併し又假に萬一木材統制法が撤廢されて、地方木材會社と云ふものが一つの國策的な機關でない時代が參ると致しましても、之を濫りに解散せしむると云ふやうな處置は適當でないと存じまするので、其の時分に於きましては、議會の御協贊を得て之を法律上當然に商法の改正なり致しまして存續せしめて、其の組織の力を十分に活用し得るやうに致して參りたいものと斯樣に私共は考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=126
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127・米原章三
○米原章三君 今局長の仰せの通り、地方木材會社は統制法より拔けましても商事會社として各府縣に委して置くと云ふ趣向にされぬと、木材の供出が非常に困難である、御承知の通り、東京都を初め百數十の都市の戰災の復興に要する木材は、戰爭中の木材よりもより以上必要であることは申す迄もありませぬ、恐らく明年度も一億石以上の材料が要求せられて居ることと考へられます、其の點から此の戰災地救濟には木材を供出せしめる必要があります、而も今日では停頓状態である、此の點から致しまして至急に其の地方木材會社の生産の機構を完璧ならしむるの方途を御執りになることを希望致します、次に私の御尋ねしたいのは、造林費の決定單價が、植栽二百十圓、播種八十五圓五十錢、下種補整七十五圓、下刈手入百四十圓、斯う云ふことになつて決定されて居るやうでありますが、是では現在の勞銀、資材其の他の關係で果して出來得るや否やと云ふ點に多大の疑問を持つて居ります、御意見如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=127
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128・黒河内透
○政府委員(黒河内透君) 御答へ致します、只今の數字は實は半年前の數字でございます、其の當時議會で、特に衆議院の委員會で御決めになつた數字であります、今日の實情から申しますと、地方に依つては是では適當でない所があらうかと思ひます、殊に苗木の如きは價格を上げて居るやうな次第でありますので、さう云ふ意味から申しますと、多少場所に依つて適當でないものが出て參るだらうと存じます、勞銀の方になりますと、是は實は色々見方がございまして、今日の所謂闇と云ふものから申しますと、固より是では出來ませぬので、此處は一應公定で行ふものと致しての計算でございます、併しそれも半年前よりも概ね各地共上つて居りますので、是も又御話のやうな状態があると存じます、從ひまして此の實施の際に於きましては出來るだけ豫算の關係其の他の關係もありますので、且亦此の恩典が普遍的に行渡ることを欲しまするので、私共と致しましては出來る限りは、元の案の如くに抑制した所に參りたいと存じまするが、併しながら之が實施に當つて實行困難な所がありますれば、其の時の状況に應じて善處致して參りたい、斯樣に存ずる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=128
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129・白根竹介
○白根竹介君 此の農地調整法の中にあることで、町村農會に關係したことをちよつと伺ひたいと思ひます、農地調整法の第四條に「市町村農業會其の他命令を以て定むる團體が命令を以て定むる自作農創設維持の事業に要する土地を取得するの必要あるとき又は當該土地の開發に必要なる他の土地の使用收益の權利を取得するの必要あるときは地方長官の認可を受け」「讓渡に關する協議を求むることを得」と云ふことがありますが、どう云ふ動機があつた場合に農業會が斯う云ふ發動をするのですか、それからもう一つ、町村もさう云ふことが出來るやうになつて居りますけれども、町村が動く時と農業會が動く時と何か、例へば例を擧げてどんな風に違ふ場合があるのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=129
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130・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 私此の方の法律を所管致して居りませぬので、若し間違つたことを申上げるといけませぬので、農地調整法の關係の政府委員から別に御答へ致した方が宜いと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=130
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131・白根竹介
○白根竹介君 是は筋違ひであれば私質問を取止めますけれども、皆さんのご同意を得て……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=131
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132・徳川宗敬
○委員長(伯爵徳川宗敬君) 後程御答へするさうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=132
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133・倉富鈞
○男爵倉富鈞君 大變遲くなつて恐縮ですが、農業團體法案に付て、昨日一點だけ伺ひ漏しを致した點を伺ひたいと思ふのであります、農業團體法の第二十八條を拜見致しますと、道府縣農業會には市町村農業會の場合に御認になつて居るやうな、先程局長が特別理事と云ふ御言葉を御使ひになりましたが、所謂特別理事の御選任は御認めになつて居ないやうに見られますが、さうでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=133
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134・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=134
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135・倉富鈞
○男爵倉富鈞君 其の特別理事と云ふやうなものを、道府縣農業會に置く必要がある場合がございませぬでせうか、と申しますのは、道府縣農業會の仕事と云ふものは、市町村農業會よりも大きいことは當然でございますし、且其の下部組織として市町村農業會と云ふものが網羅されて居るのですが、尚道府縣の事業の運營がうまく行くか行かないかと云ふことは、延て其の下部組織である市町村農業會の發達にも相當影響するのではないかと思ふのでございますが、從來の産業組合の例を見ましても、道府縣聯合會の仕事がうまく行くか行かないかと云ふことが、縣内の單位産業組合の隆昌に相當關係があつたと云ふやうにも聞いて居るのであります、殊に道府縣農業會の理事と云ふ方は、それぞれ市町村農業會の關係者でございますから、道府縣農業會の仕事に專念すると云ふことが、實際問題として相當困難ではないか、先程の御話にも出ましたやうに、道府縣農業會の經濟事業方面殊に信用事業等に付きましては、相當其の道の專門知識のある人が專ら運營の衝に當り、さうして經理とか會計とかを劃然として整理して行くと云ふことが必要ではないか、今度の改正に依りまして、役員の選任が自主的になつて、農村に最も即應した大方針の下に運營されると云ふことは當然だと思ひますけれども、此の會の役員が決めた大方針の下に、日常の業務を誰か專念してきちんきちんと經理して行くと云ふことが道府縣農業會には、見方に依りましては市町村農業會よりも必要ではないかと云ふやうな氣がするのでありますが、其の點如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=135
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136・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 全く御話になりましたと同樣なことを我々も考へて居るのでありまして、それぢやどうして違へたかと申しますと、現在の市町村農業會の方は、法文で御覽願ひますやうに、會員の中から會員が之を選擧する、斯う云ふ風になつて居りまするので、而も選擧に付ては、先程申上げましたやうに、立候補と云ふこともありませぬし、誰が出て來るか分らぬ、其の結果、選擧の蓋を開けました結果、此の第二十八條の二項のやうな規定の救濟を得なければならない場合が出て來よう、斯う云ふやうなことで此の規定があるのでありますが、道府縣農業會の方は、此の理事は市町村農業會と違ひまして、是は現在も左樣でありますが、必ずしも會員の中からだけに限らない、勿論會員の中からも選びますが、それ以外の人も、此の農業會の爲に盡瘁願へる方であれば、是は總會で其の人を選任すれば、其の人が理事或は監事になる、斯う云ふ風な建前になつて居りますが、私共と致しましては、丁度只今御述になりましたやうなことが、一層上になればなる程起つて參らうと思ふのであります、從つて被選擧權と申しますか、被選任權には制限を置かなかつたのであります、是は現在も左樣でありまするし、將來もそれで行きたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=136
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137・倉富鈞
○男爵倉富鈞君 了解致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=137
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138・黒崎定三
○黒崎定三君 政府委員の方にちよつと聽きたいのですが、只今農業團體法の第二十八條に付ての御質疑がありましたが、改正第二十八條の第一項に、市町村農業會には理事の選擧に付て特に命令の定むる所に依る旨の定めをして命令に御讓りになつてある、あれはどう云ふ必要からと、從つて又命令の内容はどう云ふことを御定めになる御積りでありますか、それを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=138
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139・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 此の命令では選擧の方法、主として選擧の方法を規定致したいと考へて居るのであります、即ち例へを申しますと、選擧の管理者には誰がなるか、是は農業會の現在で申しますと、農業會の會長、此の會則で申しますと、理事が選擧の管理者になる、それから理事の被選擧權を有するものはどう云ふ者か、是は寧ろ逆に、例へば未成年者とか、禁治産者とか、準禁治産者とか、或は破産者で復權を得ざる者、斯う云ふやうな者、斯う云ふ者以外は被選擧權を有する、斯う云ふ規定を一つ設けたいと思ひます、それから選擧人名簿を作らなくちやなりませぬので、選擧人名簿の調製、期日等を定めたいと思ひます、併し農業會に於きましては、現在會員名簿があるので、出來れば此の會員名簿を選擧人名簿に代へると云ふやうな規定も設けたいと考へて居るのであります、それ以外には結局現在の選擧法、改正選擧法の例に倣ひまして、或は制限連記の方法を採るとか、色々新しい法律の事例を見まして、それに即應した命令を實は定めたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=139
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140・黒崎定三
○黒崎定三君 只今の命令は勅令でありますか、勅令でない命令で御定めになる御考でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=140
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141・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 省令で決めたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=141
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142・黒崎定三
○黒崎定三君 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=142
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143・米原章三
○米原章三君 先刻森林資源造成の問題に付てちよつと御伺ひ致しましたが、御承知の通り、戰時中木材は過伐された、從つて林野は非常に荒廢して居るのは申す迄もない、治水、治山の面、且又平和産業確立の基本である木材の生産面から考へましても、急速に造林を徹底化される必要がある、其の意味に於て森林資源造成法案も生れて居ると考へますが、先刻御示しの程度の額では此の表に示されて居るやうな豫期の年度計畫の植林が出來るや否や多大の疑問を持つて居ります、此の點に付て御説明を得たいと思ひます、且又斯う云ふやうな植林費を妥當に大藏省と折衝されて御決定を戴くことが出來るかどうか伺ひたい思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=143
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144・黒河内透
○政府委員(黒河内透君) 只今の御話は誠に御尤もな點であると存じまして、能く大藏省とも話をし合つて、適正な所へ持つて行きたいと思ひます、唯大藏省もなかなか難色がありまして、特に賃銀の裁定等に付ては、公定を強く言つて居りますので、なかなかむづかしいことだと存じますが、尚能く折衝致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=144
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145・米原章三
○米原章三君 仰せの通り大藏省との折衝はなかなか御困難ではあると思ひますし、又一旦決定して居る價格が事實時期が違つても、此の法案が實際に實施されて居ないと云ふ點から、即時に此の改訂を認めらるることは困難とは存じまするが、實際に此の造林計畫を徹底させることは容易でないと思ひまするから、特に其の點を御尋します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=145
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146・黒河内透
○政府委員(黒河内透君) 御趣旨に副ふやうに出來るだけ努力致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=146
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147・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 先程白根さんから、農地調整法第四條の場合に於きまして、農業會が命令を以て定むる自作農創設維持の事業と云ふのはどう云ふ場合かと云ふ御尋があつたのでありますが、調整法の政府委員がちよつと今手を離せませぬので、私代りまして申上げます、此の命令を以て定める自作農創設維持の事業と申しますのは、現行法の農地調整法施行令に於きましても、其の場合が具體的に例示してあるのであります、即ち「個人の自作地と爲すべき土地の取得を斡旋すること」、或は「個人の自作地と爲すべき土地の取得若は開發に必要なる資金を貸付け又は其の借受の斡旋を爲すこと」と、色々一から十迄の項目を列記致して居りまして、斯う云ふ事業を内容として自作農創設維持の事業をやると云ふ場合に、茲に書いてありますやうな地方長官の認可を受けて協議を求める、斯う云ふことになつて居るのであります、御滿足行きましたかどうか分りませぬが、以上申述べて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=147
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148・白根竹介
○白根竹介君 さうすると、個人が自作地を求めたいと云ふ時に、農業會に其のことを申出でて農業會が動き出すと云ふ譯でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=148
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149・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=149
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150・白根竹介
○白根竹介君 それは、個人が自作地を求めたいと云ふ場合には農業會に申出でても宜し、又市町村に申出でても、どつちへ行つても宜い譯でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=150
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151・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 其の御話の通りでございまして、自作農創設の主體は、市町村とか、市町村農會と云ふものになつて居りますから、市町村に申出でても宜い譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=151
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152・白根竹介
○白根竹介君 それで協議が調つて農業會が土地を持つと云ふことになつた場合に、農業會が取つた土地を更に自作を希望する者に交付する譯ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=152
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153・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 農業會が中へ入ります場合に、二つあるのでありますが、今御述べになりましたやうに、創設の主體として一應農業會が取得をしまして、それを更に自作農に配分して行くと云ふ場合と、單に斡旋だけ致しまして、直接地主と小作人との間で話を進めるやうに斡旋をする、と云ふ二つの場合がある譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=153
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154・白根竹介
○白根竹介君 さうすると、農業會と云ふものは受動的であつて、能動的に自ら進んで土地を取つて或小作人に與へると云ふやうなことはないのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=154
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155・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 大體受動的に農業會は動くものと、斯樣に承知致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=155
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156・徳川宗敬
○委員長(伯爵徳川宗敬君) 此の際御諮り致しますが、大分時間も經ちましたが、尚今日まだ引續いて御審議を進められますか、それとも今日は此の程度で打切りまして、又明日もう一度委員會を開きますか、如何致しませうか、此の儘もう少し審議を進めても宜いかと存じますが、御質問ございませぬか、御質疑がなければ御質問は終了したものと認めて宜しうございますか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=156
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157・徳川宗敬
○委員長(伯爵徳川宗敬君) 別に御質問もなければ、御質問は終了致しましたものと認めまして、討論に移りたいと存じます、それでは只今議題となつて居ります四つの議案を一括して討論を致すことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=157
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158・徳川宗敬
○委員長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=158
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159・淺田良逸
○男爵淺田良逸君 私は此の四案に贊成する者でございますが、農業團體法案に付きまして考へて見まするのに、是は農地調整の重大なる法案と密接なる關係を有するものであります、農業會の發達は極めて重要なことであり、重大な任務を負はされて居るものでありますので、之が指導、育成に付きましては、深甚の考慮を要するものと考へます、從來動とも致しますれば、此の農業會なるものは、各種の團體が統合せられたのでありまして、未だ尚完全なる任務を見るに到らず、其の内部に於て色々な抗爭もなきにしもあらず、又仕事も從つて圓滑に行かないと云ふやうなことがございまするし、且亦行政官廳との關係に於きましても、緊密なる連繋が執れて居らぬのぢやないかと思ひます、受身と致しますれば、あちらからもこちらからも違つた命令が出て見たり通報が來て見たり、誠に實際上困難を感ずる節もあるのでありますが故に、將來に於きましては、此の點に特に留意を拂つて戴きたいと思ふのであります、而して私の考へますのには、將來日本が農業國と相成つて、益益此の農業會を發達せしめて行くに於きまして、馬の問題も、農耕馬と云ふものは、當然農會に於て取扱つて行かなければならぬかと思ふのでありますけれども、從來馬政は軍馬中心でありました爲に、馬のことを農會では除くと云ふことになつて居ります、是は矢張り農耕に缺くべからざる密接な關係のある所の農耕馬を、當然農業會に於て扱ふやうに將來是正すべきではなからうかと考へて居るのであります、此の點、先程政府委員の説明に依りますれば、全面的に畜産と馬政と云ふものを根本的に處理する研究を致して居るとのことであるから、それに信頼を致しまするけれども、成るべく早い機會に於て之が處理を了せられることを希望する次第であります、次に役員の選定は、新しい思想に基き會員の選擧になつたと云ふことは、當然の成行と思ふのでありますけれども、之が取扱ひ方法がうまく行きませぬと、幾多の情弊を惹起することは、本來選擧其のものの弊害に於て明かに豫見せられる所でありますので、先程から政府委員に於きまして、命令を以て定むる色々な方法手段に付きましては、深厚なる研究の下に適當なる規定を設けられることの必要があるものと思ふのであります、更に先程、是は直接關係のないやうでございますけれども、農林大臣から國有林野の拂下の問題に付て御答があつたのでありますが、農耕地として適地である所の國有林野を早く還元をして農地にする、斯う云ふことは地方民多年の翹望でありますけれども、未だ達せられずに居るのであります、就中、此の國有林野は一部方面に局限せられると云ふ譯ではありませぬけれども、殆ど全國に於ける山林の大部分は東北地方であると云つても過言でありませぬ、從つて軒下迄國有林野が來て居る、地方に依りましては村の十分の八、それ以上も、國有林野に屬すると云ふやうな状況があるのでございます、斯かる状況でありましては、食糧増産の見地から考へましても、極めて不合理だと思ふのでありますので、單に唯御座なりな、政府に於きましては、適地を拂下げると云ふやうな年來行はれて來て、實行の出來ない御答辯に依ることなく、實際之を積極的に解決をなさることは、甚だ必要ぢやないかと思ひます、其の他各委員から誠に有效適切なる御意見が幾多あつたのでございますが、私は是等各委員の述べたる希望を、政府に於て尊重致し、成るべく速に之が實現することを希望致しまして、若しそれが出來るならば、此の案で結構だ、斯う云ふ風に考へます、以上贊成の意を表する次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=159
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160・村上恭一
○村上恭一君 私は結論としましては、此の四つの法律案に原案の通り贊成致します、少しく意見を附加へたいと思ひまするのは、農業團體法中改正法律案及水産業團體法中改正法律案、此の二件に於ける改正の一つの主眼は、從前の官僚主義を止めて所謂民主主義、自主主義を採入れると云ふことであると云ふやうに承つたのであります、さうした思想的、理念的の變革と云ふものは、今日の事態に於ては、好むと好まざるとに拘らず已むを得ない次第であると思ひまする、就きまして此の改正法律が其の方向に向つて歩武を進めまするのは當然でありまするが、私共の深く慮りまする所は、私は將來の進み方が、一方に傾き過ぎると云ふことがありはしないであらうか、兎角何事に付きましても、原動と反動とを免れないものでありまして、今日は嘗ての原動に對する反動を喚び起したのでありまするが、軈て或時期には、今日の反動に對する又反々動を起すことがありはしないかと思ひまするので、其のやうなことを考へますると、私共は國家の前途に付て轉轉寒心に堪へざるものがございまする、就きまして此の改正法律を施行なさるに當りましては、餘りに一方に偏することなく、それは實に當面の事態に阿ねるものだと思ひまするから、其のやうなことなく、常に公正を失はないやうに此の改正法律を御實施になることを、私は政府當局の聰明なる方々に特に希望せざるを得ないのであります、蠶絲業法の全部改正に付きましても、矢張りさう云ふ趣旨を含んで居りまするが、之に付きましても同樣の希望を附加へたいと思ひまする、今一つの戰時森林資源造成法中改正法律案に付てでありまするが、是は此の改正案それ自體は大したものではないやうに存じますが、此の法律は確か前囘の議會に、衆議院の提出に依つて成立したもののやうに承知して居りますが、當時に於きまして私共此の法律が結構だと思ひまして、之が實施には相當な成績の擧るやうにと云ふ將來に對する希望を以て、當初此の法律の成立に贊成したのでございます、此の法律が施行されましてから、未だ幾何もないのでありまするから、それが果してどれだけの實績を擧げて居るか、又擧げるべく約束して居るかと云ふことは、今日に於ては當局と雖もはつきり御説明になることは困難だらうと思ひますが、私共は引續き此の法律の將來に多大の希望を繋ぐものでございまするから、當局に於きましては之が施行に十分の御注意を致されむことを希ふのであります、私は以上の希望の下に、此の四つの法律案に原案通り贊成致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=160
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161・徳川宗敬
○委員長(伯爵徳川宗敬君) 御發言もなければ採決を致します、農業團體法中改正法律案、水産業團體法中改正法律案、戰時森林資源造成法中改正法律案、蠶絲業法改正法律案、是等四案を一括して採決することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=161
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162・徳川宗敬
○委員長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないものと認めます、是等四法案共政府原案通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=162
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163・徳川宗敬
○委員長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないものと認めます、之を以ちまして以上四案は可決すべきものと決定しました、之を以て特別委員會を終ります
午後三時五十三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=163
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164・会議録情報4
出席者左の如し
委員長 伯爵 徳川宗敬君
副委員長 男爵 淺田良逸君
委員
侯爵 大久保利謙君
子爵 加藤泰通君
子爵 入江爲常君
子爵 土屋尹直君
村上恭一君
安井英二君
白根竹介君
黒崎定三君
男爵 佐竹義履君
男爵 島津忠彦君
男爵 倉富鈞君
橋本清之助君
合田健吉君
米原章三君
片倉兼太郎君
渡邊甚吉君
國務大臣
農林大臣 松村謙三君
政府委員
農林政務次官 紅露昭君
農林參與官 子爵 北條雋八君
農林省總務局長 楠見義男君
農林省山林局長 黒河内透君
農林省水産局長 笹山茂太郎君
農林省蠶絲局長 山添利作君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008902908X00219451216&spkNum=164
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