1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十年十二月六日(木曜日)午前十時七分開議
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議事日程 第六號
昭和二十年十二月六日
午前十時開議
第一 國民貯蓄組合法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二 裁判所構成法戰時特例廢止法律案(政府提出) 第一讀會
第三 戰時民事特別法廢止法律案(政府提出) 第一讀會
第四 戰時刑事特別法廢止法律案(政府提出) 第一讀會
第五 判事及檢事の退職竝に判事の轉所に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第六 鐵道敷設法戰時特例廢止法律案(政府提出) 第一讀會
第七 入營者職業保障法及國民勞務手帳法廢止法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第八 昭和十二年法律第七十八號廢止法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第九 映畫法廢止法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
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001・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 諸般の報告は御異議がなければ朗讀を省略致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=1
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002・会議録情報2
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〔參照〕
昨五日委員長より左の報告書を提出せり
入營者職業保障法及國民勞務手帳法廢止法律案可決報告書
昭和二十年法律第七十八號廢止法律案可決報告書
映畫法廢止法律案可決報告書
同日政府より左の議案を提出せり
國民貯蓄組合法中改正法律案
裁判所構成法戰時特例廢止法律案
戰時民事特別法廢止法律案
戰時刑事特別法廢止法律案
判事及檢事の退職竝に判事の轉所に關する法律案
鐵道敷設法戰時特例廢止法律案
同日内閣總理大臣より左の通第八十九囘帝國議會政府委員仰付られたる旨の通牒を受領せり
政府委員
情報局情報官 久山秀雄君
遞信院總務局長 鈴木恭一君
遞信院郵務局長 小池行政君
遞信院電務局長 長得一君
遞信院工務局長 篠原登君
遞信院貯金保險局長 岡井彌三郎君
遞信院電波局長 宮本吉夫君
遞信院電氣通信復興局長 林一郎君
大藏省所管事務政府委員
大藏省國民貯蓄局長 今井一男君
大藏省物價局長 工藤昭四郎君
大藏省參事官 加藤八郎君
同 木内信胤君
專賣局長官 植木庚子郎君
厚生省所管事務政府委員
厚生省健民局長 宮脇參三君
厚生省臨時防疫局長 勝俣稔君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=2
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003・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 是より本日の會議を開きます、請暇の件に付御諮りを致します、伯爵柳原義光君病氣に付會期中請暇の申出がございました、許可を致して御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=3
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004・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=4
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005・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 日程第一、國民貯蓄組合法中改正法律案、政府提出、第一讀會、由谷政務次官発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=5
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006・会議録情報3
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國民貯蓄組合法中改正法律案
右
勅旨を奉じ帝國議會に提出す
昭和二十年十二月五日
内閣總理大臣 男爵 幣原喜重郎
内務大臣 堀切善次郎
大藏大臣 子爵 澁澤敬三
…………………………………
國民貯蓄組合法中改正法律案
國民貯蓄組合法中左の通改正す
第一條中「戰時(戰爭に準ずべき事變の場合を含む)に於ける」を削る
附 則
本法は公布の日より之を施行す
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〔政府委員由谷義治君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=6
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007・由谷義治
○政府委員(由谷義治君) 大藏大臣が只今衆議院豫算總會に出席して居りますので、私から只今議題となりました國民貯蓄組合法中改正法律案に付きまして、提案の理由を説明することを御許を願ひます、戰後財政經濟の運營に當りましては、惡性「インフレーション」の發生を防止致しますことの肝要なるは多言を要せざる所でございます、之が爲には各般の施策と竝行し、戰後に於きましても自主的運營を主眼とする國民貯蓄組合を存續し、以て國民貯蓄の増強に力を致さねばならぬ次第でありまして、國民貯蓄組合法中戰時なる文言を削除する爲、茲に本法律案を提案致しました次第であります、何卒御審議の上速かに御協贊あらむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=7
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008・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました國民貯蓄組合法中改正法律案は、入營者職業保障法及國民勞務手帳法廢止法律案外三件の特別委員に併託せられむことの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=8
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009・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=9
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010・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=10
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011・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=11
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012・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 過日總理大臣出席なき爲、二瓶君及び中山君の質疑に對する答辯が保留されて居りましたが、本日總理大臣より、答辯の爲發言を求められました、此の際許可を致します、幣原内閣總理大臣
〔國務大臣男爵幣原喜重郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=12
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013・幣原喜重郎
○國務大臣(男爵幣原喜重郎君) 過日二瓶君より、農村に對して私が如何なる關心を持つて居るかと云ふことの御質疑があつたのでありますが、當時私は此の議場に居りませぬ爲に、御答が留保されて居りました、茲に御答を申上げます、農村は我が國、殊に今後の我が國の根幹を成すものでありまして、政治、文化、經濟等各般に亙つて重大なる使命を持つて居るものであります、私は農村の健全なる發達は即ち我が國の再建であると考へて居るのであります、此の點に出來るだけの努力を盡したいと考へて居るのであります、就中農村は國民生活の安定上最も重要なる食糧問題の解決の鍵を成すものでありまするから、農業生産の増強の爲に、供出制度の合理化、農業資材の確保、肥料の供給、必需物資の配給等に付きまして萬全を期すると共に、農地制度の根本的改革を圖る所存であります、それから中山君から在外同胞の窮状に關する處置に付きまして御質疑があつたのであります、終戰に伴ひまして北朝鮮、滿洲等に於ける在外同胞の窮状は、誠に同情痛心に堪へぬ次第であります、政府に於きましては、是等の同胞の引揚の促進に關して再三聯合軍の司令部に對しましても交渉を重ね、有らゆる方面に亙つて努力を續けて居るのでありまするが、現地の状況に關する正確なる情報を入手し得ない状況で、誠に憂慮に堪へませぬ、此の點は遺憾に存ずる次第でありますが、政府と致しましては、今後本問題の解決に一層努力を致したいと考へて居ります、尚今日迄分りましたる情報に付きましては、追つて皆樣に御報告申上げたいと考へて居ります、それは今丁度おいでになつて居りませぬけれども、復員次官から御説明をするやうに取計らふ私は積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=13
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014・中山太一
○中山太一君 只今總理大臣から御答辯がありましたけれども、此の重大問題に對して只今の御答辯では、我々國民は滿足致し兼ねるのであります、復員次官の御説明を承りまして、其の上で又御尋をせねばならぬかと思ひます、それ迄重ねて御尋することを留保して置きます、御承知を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=14
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015・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 宜しうございます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=15
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016・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 日程第二裁判所構成法戰時特例廢止法律案、日程第三、戰時民事特別法廢止法律案、日程第四、戰時刑事特別法廢止法律案、日程第五、判事及檢事の退職竝に判事の轉所に關する法律案、政府提出第一讀會、是等の四案を一括して議題と爲すことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=16
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017・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます、岩田司法大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=17
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018・会議録情報4
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裁判所構成法戰時特例廢止法律案
右
勅旨を奉じ帝國議會に提出す
昭和二十年十二月五日
内閣總理大臣 男爵 幣原喜重郎
司法大臣 岩田宙造
内務大臣 堀切善次郎
…………………………………
裁判所構成法戰時特例廢止法律案
裁判所構成法戰時特例は之を廢止す
附 則
本法施行の期日は勅令を以て之を定む
舊法第一條の二の規定に基き發したる勅令は本法施行後と雖も仍其の效力を有す
舊法第二條、第九條及第十條の規定は本法施行後と雖も當分の内仍其の效力を有す
舊法第三條の規定は本法施行前公訴を提起したる事件に付ては本法施行後と雖も仍其の效力を有す
舊法第四條乃至第六條の規定は本法施行の際舊法の規定に依り現に繋屬中の上告事件又は抗告事件に付ては本法施行後と雖も仍其の效力を有す
本法施行前舊法の規定に依り爲したる手續は本法施行後と雖も仍其の效力を有す
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戰時民事特別法廢止法律案
右
勅旨を奉じ帝國議會に提出す
昭和二十年十二月五日
内閣總理大臣 男爵 幣原喜重郎
司法大臣 岩田宙造
…………………………………
戰時民事特別法廢止法律案
戰時民事特別法は之を廢止す
附 則
本法施行の期日は勅令を以て之を定む
舊法第三條、第五條及第十四條乃至第二十二條竝に昭和二十年法律第九號附則第三項の規定は本法施行後と雖も當分の内仍其の效力を有す
舊法第十條の二及第十條の三の規定は本法施行の際裁判所構成法戰時特例の規定に依り現に繋屬中の上告事件に付ては本法施行後と雖も仍其の效力を有す
舊法第十一條第二項及第十二條第二項の規定は本法施行の際舊法第十一條第一項又は第十二條第一項の規定に依り現に停止又は中止中の強制執行又は破産手續に付ては本法施行後と雖も仍其の效力を有す
本法施行前舊法の規定に依り爲したる手續は本法施行後と雖も仍其の效力を有す
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戰時刑事特別法廢止法律案
右
勅旨を奉じ帝國議會に提出す
昭和二十年十二月五日
内閣總理大臣 男爵 幣原喜重郎
司法大臣 岩田宙造
…………………………………
戰時刑事特別法廢止法律案
戰時刑事特別法は之を廢止す
附 則
本法施行の期日は勅令を以て之を定む
本法施行前舊法第一章に規定する罪を犯したる者の處罰に付ては仍同章の規定に依る
舊法第十九條の二、第二十三條第三項及第二十五條の規定竝に舊法第三十一條の規定中舊法第二十三條第三項の規定を準用する部分は本法施行前公訴を提起したる事件に付ては本法施行後と雖も仍其の效力を有す
舊法第二十七條の規定は本法施行の際裁判所構成法戰時特例の規定に依り現に繋屬中の上告事件に付ては本法施行後と雖も仍其の效力を有す
本法施行前舊法の規定に依り爲したる手續は本法施行後と雖も仍其の效力を有す
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判事及檢事の退職竝に判事の轉所に關する法律案
右
勅旨を奉じ帝國議會に提出す
昭和二十年十二月五日
内閣總理大臣 男爵 幣原喜重郎
司法大臣 岩田宙造
…………………………………
判事及檢事の退職竝に判事の轉所に關する法律案
第一條 終戰に伴ひ官吏の減員を行ふに際し司法大臣は昭和二十一年三月三十一日迄の間に於て判事及檢事中二百二十八人を限り退職を命ずることを得但し判事に退職を命ずるには願に依る場合を除くの外大審院の總會の決議を經ることを要す
前項の總會は大審院の判事の三分の二以上出席して之を開き其の決議は出席したる判事の三分の二以上の意見に依る
第二條 裁判所構成法中判事の轉所に關する規定は昭和二十一年四月三十日迄を限り之を適用せず
附 則
本法は公布の日より之を施行す
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〔國務大臣岩田宙造君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=18
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019・岩田宙造
○國務大臣(岩田宙造君) 只今上程に相成りました裁判所構成法戰時特例廢止法律案、戰時民事特別法廢止法律案及戰時刑事特別法廢止法律案の三法律案の提案理由を申上げます、右各法律案を以て廢止せむとする是等三法律は、孰れも大東亞戰爭中司法制度を戰時態勢下に置き、民事、刑事の全般に亙り司法事務を簡略に運營することを目的として制定せられたものでありまして、戰局の推移に即應し、數次の改正を經て今日に及んだものでありますが、終戰後諸般の情勢が逐次平時状態に復しつつある現在に於ては、右特別法の制定の理由は一應消滅致しまして、最早之を維持する必要がないのみならず、却て國民の權利の保護を全うするに障碍となる虞がありますので、此の際之を廢止せむとするものであります、是等の法律案、殊に裁判所構成法戰時特例廃止法律案が成立致しますれば、二審制度は三審制度に復歸致しますし、又裁判所の設立、廢止及び管轄區域等を定めるには法律を要することとなり、又刑事に於ける裁判所の廣汎なる事物管轄は平時の状態に復することとなるのであります、唯民事訴訟に於ける區裁判所の事物管轄の限度二千圓は、現下の經濟状態に鑑みまして、尚之を存續せしむる必要があるのであります、其の他にも現行法中尚存續せしめる必要のある規定が若干ありますので、是等は附則を以て最小限度其の效力を維持する旨規定致しました次第であります、次に判事及檢事の退職竝に判事の轉所に關する法律案の提案理由を申上げます、本法案は終戰に伴ひ、一般官吏の減員を行ふに當りまして、其の一環として、司法官に付ても減員を行ふ必要がありまする處、判事及び檢事には、裁判所構成法に依る地位の保障がございますので、退職豫定數二百二十八人を限り、一時此の保障を撤廢して之に退職を命じ、右減員を實行せむとするものであります、尚判事に付きましては、憲法に依る身分の保障もあることでありまするし、其の精神は之を十分に尊重し、取扱の愼重を期する爲に、特別の法的措置を講じまして、其の規定を設けたのであります、尚右減員を實施するときは、之に伴ひまして、職員の配置替へを行ふ必要がありますので、判事の轉所の制限も一時之を撤廢せむとするものであります、何卒愼重御審議の上、速かに協贊を與へられむことを御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=19
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020・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました裁判所構成法戰時特例廢止法律案外三件は、入營者職業保障法及國民勞務手帳法廢止法律案外四件の特別委員に併託せられむことの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=20
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021・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=21
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022・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=22
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023・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=23
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024・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 日程第六、鐵道敷設法戰時特例廢止法律案、政府提出、第一讀會、田中運輸大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=24
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025・会議録情報5
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鐵道敷設法戰時特例廢止法律案
右
勅旨を奉じ帝國議會に提出す
昭和二十年十二月五日
内閣總理大臣 男爵 幣原喜重郎
運輸大臣 田中武雄
…………………………………
鐵道敷設法戰時特例廢止法律案
鐵道敷設法戰時特例は之を廢止す
附 則
本法は公布の日より之を施行す
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〔國務大臣田中武雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=25
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026・田中武雄
○國務大臣(田中武雄君) 只今議題となりました鐵道敷設法戰時特例廢止に關する法律案提案の理由を御説明申上げます、鐵道敷設法戰時特例は、大東亞戰爭に際し、緊急の必要あるときは、鐵道敷設法の規定に拘らず、政府に鐵道敷設法の豫定線路以外のもの、或は豫定線路にして豫算に計上なきものの調査、敷設を早急に行ふことを得せしむる戰時法でありますが、戰爭終結に伴ひ、其の必要を認めざることとなりましたので、之を廢止せむとするものであります、何卒御審議の上、御協贊あらむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=26
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027・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました鐵道敷設法戰時特例廢止法律案は、是亦入營者職業保障法及國民勞務手帳廢止法律案外八件の特別委員に併託せられむことの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=27
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028・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=28
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029・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=29
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030・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=30
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031・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 日程第七、入營者職業保障法及國民勞務手帳法廢止法律案、日程第八、昭和十二年法律第七十八號廢止法律案、日程第九、映畫法廢止法律案、政府提出、第一讀會の續、委員長報告、是等の三案を一括して議題と爲すことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=31
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032・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます、委員長向山男爵
〔左の委員長報告書は朗讀を經ざるも參照のため茲に載録す以下之に傚ふ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=32
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033・会議録情報6
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入營者職業保障法及國民勞務手帳法廢止法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十年十二月五日
委員長 男爵向山均
貴族院議長公爵徳川圀順殿
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昭和十二年法律第七十八號廢止法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十年十二月五日
委員長 男爵向山均
貴族院議長公爵徳川圀順殿
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映畫法廢止法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十年十二月五日
委員長 男爵向山均
貴族院議長公爵徳川圀順殿
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〔男爵向山均君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=33
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034・向山均
○男爵向山均君 只今議題と相成りました入營者職業保障法及國民勞務手帳法廢止法律案、昭和十二年法律第七十八號廢止法律案竝に映畫法廢止法律案に關しまして、特別委員會の經過竝に結果に付て御報告申上げます、去る二日及び四日に本委員會に付託されました右三法律案は、三日午前より昨五日午後に亙りまして、連日委員會を開き、各案に付政府の説明の後、審議を行ひ、孰れも政府提出の原案の通り滿場一致可決すべきものと議決致しました、以下政府の説明竝に質疑應答の主なるものに付て申上げます、第一の入營者職業保障法及國民勞務手帳法廢止法律案に付きましては、厚生大臣より本議場に於ける説明を敷衍せるもの、即ち國民勞務手帳法運營に關し、手帳受有義務者の種別數、本法の效果等に付きまして説明がありました、政府から提出されました本法に關する參考資料中の主なる點を二、三加味致しまして申上げたいと存じます、本法は第七十六議會の協贊を經まして、昭和十六年三月法律第四十八號として公布、同年十月より施行、但し手帳發行に關する規定は同年七月から施行されました、手帳受有義務者は、技術者十九種、勞務者二百十種、手帳交付數は十六年末五百七十四萬餘、爾來逐年百餘萬を増加致しまして、終戰直前には千九萬餘と相成つて居ります、本法の戰爭中に果しました效果と致しましては、從業者の恣意に依る移動防止、使用者側に於ける從業者の引拔防止、移動及引拔に伴ひまする賃金昂騰の抑制、勞務需給の調整、徴用其の他緊急勞務需要の解決等が擧げてございます、本法施行の前後を通じて見た統計に依りますと、勞務者の移動の状況には顯著なる開きが現れて居ります、次に質疑に移りまして、一委員より、手帳の效果の大なること、他の色々の手帳、例へば學校の通信簿、國民體力手帳、軍隊手帳等の效果の大きいことに鑑みまして、勞務手帳の廢止後、之に代るべきもの、尚進んでは本法規定の範圍外の從業者、例へば女中等の手帳は、歐米に於ては極めて有效に運用されて居る、我が國に於ては是がない爲に、從業者にも雇ふ方にも色々不都合が生じて居る現状に鑑みまして、より廣き範圍の手帳の制定に關して政府は考へて居らぬかと云ふ質問に對しまして、政府は、趣旨には贊成である、代案は只今研究中であるけれども、只今の紙の不足其の他の事情に依つて、直ちに實行は困難な旨の答がありました、又同委員より、石炭不足の現状と勞務關係に付きまして、關係各省との連絡の不十分の點に觸れての質問に對しまして、今迄の勞務の不足は主として人が足りなくなつて居つたけれども、終戰後の今日は人は居る、併し就職希望者が少い、勤勞意慾の不足の爲である、現在の失業者の多數の者は、離職に際して多額の退職手當を貰つたことが大なる原因であると思ふ、軈て金を使ひ切つたならば人は出て來るであらうけれども、之を漫然と待つ譯には行かないので、商工當局と十分連絡して大いに努力をして居る次第である、各省との連絡は相當能く行つて居る積りである、又終戰時に於ける炭礦の勞務者は約六十萬人であつたが、九月末現在は三十三萬人となり、それと共に華人、半島人勞務者の現地に於ける暴動、退出又は之に依つて内地の勞務者が半島人勞務者を恐がる、炭礦に居ることを好まないと云ふ理由で山を逃出したり、新しい希望者の出足を鈍らして居るのである、山に依つては鮮人の先山が非常に澤山居つた所もある、鮮人、華人の歸國に伴ひ、治安も落著きつつあるので、彼等が皆歸れば十二萬五千「プラス」一萬、十三萬五千の穴が開きますが、之に對しまして、本年中に六萬人、來年三月迄に七萬人、計十三萬人の募集に既に著手をして居る、此の滑り出しは良好と判斷して居る、六萬人は十二月中旬を目標として居る、徴用はなくなつたけれども、之に代る就業命令等の爲に、茲數日間の募集状況に依つて、已むを得ざれば或は強權の發動等も考へて居る次第であると云ふことでございました、又同委員から厚生省の三大主要政策、一、國民生活、即ち衣食住の改善、二、國民體力の向上、三、勞務者對策等に付きまして、具體的な例を色々擧げて、官民共に創意工夫が足りないと云ふことを痛歎され、再び關係各省との連絡の改善を強調されました、色々と御質問がありましたに對しまして、政府委員は、榮養に付て只今大いに勉強中である、例へば同一量の肉を食べるに致しましても、之を一度に食べずに、三食に食べれば其の榮養の價値は遙かに上なのである、又住宅の改善に付きましては、色々實例の御指摘があつて、是は復興院の方と能く連絡を取つて善處したい、色々良いことの國民に對する周知を廣く實行されることに付て大いに努めたいと思つて居る、勞務者の對策中、特に教育の不足には同感である、考へ直す必要があると考へる、體力檢定は制定當時は戰力増強が目的でありましたけれども、今日尚別な意味から大いに必要でありますので、之の今迄の效果等に付ての具體的の數の御質問等がごさいましたが、是は他日述べたいと思ふ、又各省の間の連絡の不良、是は我が國の役所の通弊のやうに考へる、例へば鮮人を歸國させることは厚生省が受持つ、彼等を呼ぶ時には外務省と云ふやうなことになつて居つては、うまく行かないやうに考へると云ふやうな意見を申述べられました、又他の委員より戰災復興に住宅の建築が非常に遲れて居る、大なる闇が出始めて居る、物、人共に不足して居ると云つて、具體例を擧げられまして對策を質されたに對しましては、政府は他の同樣の實例を擧げられて實情の不良な状況を肯定されました、人及び物の不足以外に市區改正等の計畫の未決定のことも原因の一つと考へて居る、勞務對策に付ては石炭の場合と同樣に重要に扱ひたいと思つて居る、と云ふ答辯でございました、又恩給法改正に伴ひまして社會保險法の制定に關する質問に付きましては、近く委員會を設けて、此の方は大いに研究したいと云ふことでございました、次に徴用制度の運營に關しまして非常にまづい點があつた、例へば呉服屋を炭礦に入れる、數のみ揃へて素人玄人の區別を無視したと云ふやうな例を擧げられまして、專門を重んじろ、強權を用ひずに專門家を活用する、其の勤勞意慾を昂める策がないのであらうか、特に炭礦夫に付ては、是の兵役に就いた數、其の後の復員の状況に付て統計的の數が承知したい、又日本の工業は、只今の各工場がひどく戰災を被つた状況等に鑑みて、將來は工場工業から家庭工業に移ると考へるが、之に對して營務對策はどうであるかと云ふ問に對しまして、職業別國民登録の活用等に依つて適材を適處に用ひることにしたい、將來手工業が多くなり、人手を多く要するやうになる結果、多數の失業者を此の方に吸收すると云ふ結果にならうと考へて居る、炭礦勞務の統計は他の機會に述べたいと云ふやうな答辯がございました、斯くして討論を經て採決に入りまして滿場一致可決して居ります、次に昭和十二年法律第七十八號、即ち紀元二千六百年記念日本萬國博覽會抽籤券附囘數入場券發行に關する法律廢止法律案に付て申上げます、政府委員より萬國博覽會の計畫の大要を述べられました後、本事業を財政的に援助する爲に政府の措置の一つとして、本事業の主催者日本萬國博覽會協會に昭和十二年度に於きまして國庫より金五十萬圓を交付した、尚本法律に依つて抽籤券附囘數入場券の發行を許可し、此の賣行の状況等の話がありました、日支事變勃發に依り本事業は延期するに至り、尚本年八月大東亞戰終戰以來の現下の情勢に於ては、是が開催の不可能になつたことに付て述べられました、本法律の不必要の理由を述べられました、尚廢止に伴ひまして本協會が過去に於て得ました利得に付きまして、既に發行しました入場券を一册十圓、即ち發賣の原價で以て買戻すことを只今手續進行中であると云ふ説明がございました、本案は別に質疑もなく、其の儘討論を經て滿場一致可決すべきものと決しました、最後の映畫法廢止法律案に付て申上げます、政府委員より、映畫法が本邦最初の文化立法と致しまして重要なる使命目的を以て昭和十四年に誕生致しましたが、此の度聯合國最高司令官の要求に基き之を廢止するの已むなきに至つたので、本案を提出するの旨の説明がございました、詳しくは速記録に讓ります、質疑に入りまして、一委員より聯合國最高司令官の指令に關しまして、今迄の經緯を質されたに對しまして、内務省當局より本法廢止の經緯の要點は、九月二十七日に先づ抽象的の指令があつた、十月四日に政事公民的自由制限除去に關しまする覺書を受領し、十月十六日に詳しい具體的の指令を受領した、映畫の民主主義國としての重要性に鑑みての處置である、本件に關しては度々聯合國最高司令部と話合を致しました結果、映畫の檢閲及び指導に付きましては、之を全部聯合國軍の方で受持つことに決り、日本政府は何もやらないこととなつた、此の新事態に對しまして政府は目下必要と認むる新法律を立案中である、又同委員から映畫法は國民文化進展の爲映畫の健全なる發達卜云ふ立派な目的を持つて居つたにも拘らず、本法は取締及び制裁に重點を置き過ぎたる結果、育成と云ふ點に對して不備であつた、此の缺點の改正の必要があつたのであります、本法の廢止に伴つて「フィルム」が無差別に輸入され又劇映畫のみが氾濫する心配があるやうに思ふ、文化映畫の普及を必要とする、良い「フィルム」を造れ、又映畫業者には如何はしい者もある、温き手を以て之を善導して貰ひたい、常設館の現状等は當局に於て常に能く見て置いて貰ひたい、子供映畫觀覽等に付ても問題がある、只今迄のやうに警官のみに委せて置くのは宜くない、衞生上にも問題がある、教育映畫を大いにやつて貰ひたい、文部省の映畫の豫算は少な過ぎて、本法第一條の目的達成の爲には代案を早く作つて貰ひたい、之に對して文部大臣より本法は廢止されますが、映畫の重要性は之を十分重く考へる、奬勵助長する、教育映畫協會の會長を自分は辭めたけれども、本協會の活動に對しては大いに屬目をし、又助長もしたいと考へて居る、役人が會長をやる位なら官が自分でやる、民間の專門家に委す方が可なりと信じて、斯う云ふ風にしたのである、豫算の點に付ては十分努力したい、又文部政務次官より本法廢止後は優良映畫の選獎に付て此の度其の委員會を改めて大いに力瘤を入れたい、文化映畫の濫造の弊も之を認めて居る、質の向上を圖りたい、子供の一般映畫の觀覽は自ら不適當な映畫も出來るであらうし、衞生上の問題もある、大事な問題で本法廢止の曉、之に對して善處したいと考へて目下研究をして居る等の御答がございました、討論に入り、是亦最後に全會一致を以て政府の原案通り可決すべきものと決定致しました、之を以て報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=34
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035・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 別に御發言もなければ三案の採決を致します、三案の第二讀會を開くことに、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=35
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036・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異義ないと認めます、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=36
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037・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに各案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=37
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038・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=38
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039・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 三案の第二讀會を開きます、御異議がなければ全部を問題に供します、三案全部委員長の報告通りで御異議ごさいませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=39
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040・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=40
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041・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに各案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=41
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042・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=42
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043・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=43
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044・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=44
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045・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 三案の第三讀會を開きます、三案全部第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=45
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046・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます、次囘の議事日程は決定次第彙報を以て御通知に及びます、本日は是にて散會致します
午前十時四十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00619451206&spkNum=46
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