1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十年十二月八日(土曜日)午前十時三分開議
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議事日程 第七號
昭和二十年十二月八日
午前十時開議
第一 防空法廢止法律案(政府提出) 第一讀會
第二 大日本航空株式會社法廢止法律案(政府提出) 第一讀會
第三 昭和二十年勅令第五百四十二號(承諾を求むる件)
會議(委員長報告)
第四 裁判所構成法戰時特例廢止法律案(政府提出)
第一讀會の續(委員長報告)
第五 戰時民事特別法廢止法律案(政府提出)
第一讀會の續(委員長報告)
第六 戰時刑事特別法廢止法律案(政府提出)
第一讀會の續(委員長報告)
第七 判事及檢事の退職竝に判事の轉所に關する法律案(政府提出)
第一讀會の續(委員長報告)
第八 鐵道敷設法戰時特例廢止法律案(政府提出)
第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=0
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001・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 報告を致させます
〔長谷川書記官朗讀〕
一昨六日本院に於て可決したる左の政府提出案は即日之を衆議院に送付せり
入營者職業保障法及國民勞務手帳法廢止法律案
昭和十二年法律第七十八號廢止法律案
映畫法廢止法律案
同日委員長より左の報告書を提出せり
昭和二十年勅令第五百四十二號(承諾を求むる件)可決報告書
裁判所構成法戰時特例廢止法律案可決報告書
戰時民事特別法廢止法律案可決報告書
戰時刑事特別法廢止法律案可決報告書
判事及檢事の退職竝に判事の轉所に關する法律案可決報告書
鐵道敷設法戰時特例廢止法律案可決報告書
正二位勳一等 南次郎君
昨七日願に依り貴族院議員を免せらる同日政府より左の議案を提出せり
防空法廢止法律案
大日本航空株式會社法廢止法律案
石油業法外十三法律廢止法律案
同日内閣總理大臣より左の通第八十九囘帝國議會政府委員仰付られたる旨の通牒を受領せり
司法省所管事務政府委員
司法省調査官 荻野益三郎君
運輸省所管事務政府委員
鐵道監 郷野基秀君
運輸省航空局長 飯野毅夫君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=1
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002・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 是より本日の會議を開きます、日程第一、防空法廢止法律案、政府提出、第一讀會、堀切内務大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=2
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003・会議録情報2
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防空法廢止法律案
右
勅旨を奉じ帝國議會に提出す
昭和二十年十二月七日
内閣總理大臣 男爵 幣原喜重郎
司法大臣 岩田宙造
農林大臣 松村謙三
内務大臣 堀切善次郎
厚生大臣 芦田均
大藏大臣 子爵 澁澤敬三
運輸大臣 田中武雄
商工大臣 小笠原三九郎
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防空法廢止法律案
防空法は之を廢止す
附 則
本法は公布の日より之を施行す
防空法第五條の五の規定に基く命令にして本法施行の際現に存するものに付ては本法施行後六月間を限り同法第五條の五の規定及第十九條の二第三號の規定中第五條の五に關する部分は仍其の效力を有す此の場合に於ては同法第五條の五の規定中防空上建築物の分散疎開を圖る爲必要あるときはとあり又は防空上空地を設くる爲必要あるときはとあるは都市計畫上必要あるときはとす
本法施行前に發生したる事由に因る扶助金、本法施行前に爲したる處分に係る移轉費、損失補償、實費辨償、費用の負擔及補助竝に本法施行前に施行したる防火改修工事に要したる費用の辨償に關しては舊法は本法施行後と雖も仍其の效力を有す
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〔國務大臣堀切善次郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=3
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004・堀切善次郎
○國務大臣(堀切善次郎君) 只今議題と相成りました防空法廢止に關する法律案に付きまして、其の提案理由の概要を説明申上げたいと存じます、終戰に伴ひまして民防空は全く其の必要なきに至りましたので、茲に本案を提出致しました次第であります、併しながら既に防空法に依りまして行政官廳の爲したる處分に依り給すべき移轉費、同法に依り行政官廳の爲したる處分又は命令に基く損失補償竝に損失補償に關する訴訟、實費辨償、費用の負擔、費用の補助及防火改修工事に要する費用の辨償等の如きは、本法廢止後と雖も金錢の支拂其の他の措置を講ずる必要がありますので、之が爲附則に於きまして經過規定を設けた次第であります、尚防空法第五條の五の規定に基く命令に付きましては、都市計畫上の要請に基きまして、都市計畫法に之を承繼せしむる必要があります、之が爲都市計畫法の改正を準備中でありますので、暫く其の效力を存續せしむることと致しまして、必要な經過規定を設けた次第であります、何卒御審議の上御協贊あらむことを御願ひ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=4
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005・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました防空法廢止法律案は入營者職業保障法及國民勞務手帳法廢止法律案外七件の特別委員に併託せられむことの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=5
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006・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=6
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007・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 戸澤子爵の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=7
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008・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=8
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009・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 日程第二、大日本航空株式會社法廢止法律案、政府提出、第一讀會、田中運輸大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=9
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010・会議録情報3
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大日本航空株式會社法廢止法律案
右
勅旨を奉じ帝國議會に提出す
昭和二十年十二月七日
内閣總理大臣兼第一復員大臣第二復員大臣 男爵 幣原喜重郎
外務大臣 吉田茂
内務大臣 堀切善次郎
大藏大臣 子爵 澁澤敬三
運輸大臣 田中武雄
…………………………………
大日本航空株式會社法廢止法律案
大日本航空株式會社法は之を廢止す
附 則
本法は公布の日より之を施行す
舊法は舊法に依り爲したる命令に係る損失補償及租税の免除其の他課税に付ては本法施行後と雖も仍其の效力を有す
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〔國務大臣田中武雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=10
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011・田中武雄
○國務大臣(田中武雄君) 只今議題となりました大日本航空株式會社法廢止法律案に付きまして、其の提案の理由を御説明申上げます、御承知の通り、大日本航空株式會社法は昭和十四年第七十四帝國議會の協贊を經て制定せられましたるものでありますが、本法に依り設立せられましたる特殊會社大日本航空株式會社は、國家の特別なる助成と指導監督の下に我が國内外航空運輸事業の振興を圖りますると同時に、大陸航空輸送事業の興隆を助成するの目的を有するものであります、然るに帝國今次の敗戰に因りまして、聯合國は我が國に對し、凡そ航空に關する國民の活動は原則として一切之を禁止するの方針を採つて居るのでありまして、右目的を有しまする所の大日本航空株式會社は到底其の存立を許されざる事態に立到りましたので、同社は去る十月三十一日を以て解散し、目下清算手續を進行中なのでございます、茲に於きまして政府は大日本航空株式會社法を廢止するを適當と認めまして、同法廢止法律案を提出致しました次第であります、何卒御審議の上速かに御協贊下されまするやうに御願を申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=11
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012・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました大日本航空株式會社法廢止法律案は、入營者職業保障法及國民勞務手帳法廢止法律案外八件の特別委員に併託せられむことの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=12
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013・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=13
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014・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=14
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015・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=15
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016・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 昨日政府より提出せられました石油業法外十三法律廢止法律案を、此の際議事日程に追加して第一讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=16
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017・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます、小笠原商工大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=17
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018・会議録情報4
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石油業法外十三法律廢止法律案
右
勅旨を奉じ帝國議會に提出す
昭和二十年十二月七日
内閣總理大臣兼第一復員大臣第二復員大臣 男爵 幣原喜重郎
司法大臣 岩田宙造
農林大臣 松村謙三
文部大臣 前田多門
外務大臣 吉田茂
内務大臣 堀切善次郎
國務大臣 松本烝治
厚生大臣 芦田均
國務大臣 次田大三郎
大藏大臣 子爵 澁澤敬三
運輸大臣 田中武雄
商工大臣 小笠原三九郎
國務大臣 小林一三
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石油業法外十三法律廢止法律案
左の法律は之を廢止す
石油業法
自動車製造事業法
人造石油製造事業法
製鐵事業法
工作機械製造事業法
航空機製造事業法
輕金屬製造事業法
有機合成事業法
重要機械製造事業法
石油專賣法
戰時行政特例法
軍需會社法
昭和十二年法律第九十二號
昭和十七年法律第十五號
附 則
第一條 本法施行の期日は勅令を以て之を定む
第二條 本法施行前に爲したる行爲に對する罰則の適用に付ては舊法は本法施行後と雖も仍其の效力を有す
第三條 自動車製造事業法、人造石油製造事業法、製鐵事業法、工作機械製造事業法、航空機製造事業法、輕金屬製造事業法、有機合成事業法又は重要機械製造事業法に依る所得税又は所得に對する法人税及營業税の免除竝に課税の禁止に付ては個人の事業に在りては昭和二十年分、法人の事業に在りては本法施行前に終了したる事業年度分を限り舊法は本法施行後と雖も仍其の效力を有す
第四條 人造石油製造事業法、工作機械製造事業法、航空機製造事業法、輕金屬製造事業法、有機合成事業法又は重要機械製造事業法に依る土地の收用又は使用にして其の收用又は使用の時期が本法施行前のものに付ては舊法は本法施行後と雖も仍其の效力を有す
第五條 本法施行前製鐵事業法第十四條又は有機合成事業法第十二條若は第二十一條の規定に依り交付したる奬勵金の返還に付ては舊法は本法施行後と雖も仍其の效力を有す
第六條 工作機械製造事業法第三條の許可を受けたる株式會社の設備の償却金額の補給及補給金の償還又は返還竝に同法第十條第一項の認可を受けたる株式會社の利益金の處分に付ては舊法は本法施行後と雖も仍其の效力を有す
第七條 石油專賣法第七條の規定に依る賠償金に付ては舊法は本法施行後と雖も仍其の效力を有す
第八條 本法施行前軍需會社法第八條、第九條、第十一條又は第十二條の規定に依り政府の爲したる命令又は處分に因り生じたる損失の補償に付ては舊法は本法施行後と雖も仍其の效力を有す
第九條 本法施行の際現に存する昭和十二年法律第九十二號に基く命令又は處分に付ては本法施行後六月間を限り舊法は仍其の效力を有す此の場合に於ては大東亞戰爭に關聯し國民經濟の運行を確保する爲とあるは終戰後の事態に對處し國民生活の維持及安定を圖る爲とす
前項の規定に依り效力を有する命令は其の規定する事項の範圍内に於て之を改正することを妨げず
第一項の規定に依る期間内に爲したる行爲に對する罰則の適用に付ては舊法は同項の規定に依る期間經過後と雖も仍其の效力を有す
第十條 燃料局特別會計法中左の通改正す
第一條及第十條中「軍需省」を「商工省」に改め「及石油」を削る
第二條第一項中「及石油」を削り同條第二項中「一億五千萬圓」を「一億三千萬圓」に改む
第十一條 本法施行の際燃料局特別會計に屬する石油に關する收入及支出の未濟額は之を燃料局特別會計の收入及支出の未濟額とす
第十二條 軍需金融等特別措置法中左の通改正す
第二條中「軍需會社其の他」削る
第二十二條第一項中「軍需會社法」を削る
〔國務大臣小笠原三九郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=18
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019・小笠原三九郎
○國務大臣(小笠原三九郎君) 商工省關係の提出法律案でありまする石油業法外十三法律の廢止に付て御説明申上げます、先づ第一に石油業法外九事業法の廢止問題に付て御説明致します、抑抑所謂事業法の内容は各種事業法に付て殆ど共通でありまして、事業の開始に付、許可制を採用して居ることと、免税其の他の經濟上の特典を與へられて居ること、及び必要なる監督規定を置いて居ることが其の骨子を爲すのでありまして、其の狙ひは各軍需事業の發達を助成せむとするに在るのであります、併しながら終戰と共に經濟の基調に變化を來し、法律の規定を以て許可制度を採用することは、是等事業に付ては不適當でありまするのみならず、免税其の他の經濟上の保護も、企業の自由なる活動を基本とする今後の經濟の下に於きましては、當然撤廢すべきものでありまするので、此の際一括して廢止することと致したいと存じます、第二として軍需會社法の廢止に付、御説明申上げます、本法は御承知の通り、戰時中、就中既に情勢極度に逼迫し來れる昭和十八年十月末、軍需省の設置と歩調を合せて制定せられたものでありまして、其の内容は軍需生産増強の爲、軍需企業に付、生産責任體制を確立せむとするにあつたのでありまするが、戰爭終結と共に斯かる戰時中のみに存續の意義を有する法律は之を殘置するの必要は全く失はれましたので、既に昭和二十年八月十五日附を以ちまして、軍需會社の指定取消を實施致しました結果、本法は現に死文と化して居るのでありまして、此の際之を廢止せむとするものであります、次に輸出入品等臨時措置法の廢止の問題でありまするが、是は別に提案されまする國家總動員法の廢止と歩調を合せたものでございまして、戰時中經濟統制の基本を爲した此の兩法律が、終戰と共に廢止されまするのは寧ろ當然の措置と考へられるのであります、唯俄かに何等の見透しもなく統制を撤廢致しまして、混亂を招來することのないやう、總動員法の場合と軌を一にし、六箇月間の期間を限り、一應既に爲されました命令又は處分の效力は經過的に存續せしむることと致しましたが、撤廢するも支障のない規則に付きましては、今後と雖も逐次廢止する方針で進む次第であります、尚總動員法廢止と關聯致しまして、昭和十七年法律第十七號即ち重要産業團體令に依る統制會に行政官廳の職權を行はしむることを規定した法律の廢止に付て一言申上げます、統制會廢止に付きましては、未だ聯合國側とも打合せ中でありまして、斷定的なことは申上げられませぬが、權限委讓の對象となりました各種の事業法、統制法規等は逐次撤廢せられつつあるのでありまして、各統制會自身もそれぞれ自主的團體に改組せむとする機運強きに鑑みまして、總動員法廢止の此の機會に戰時統制の殘渣たる權限委讓の法律をも撤廢するものであります、次に多少毛色の違つた問題でありまするが、石油專賣法の廢止に付て御説明申上げます、戰時中極度に不足せる石油を軍需産業等に迅速的確に配給する爲、專賣制度を採用するに至りましたことは御承知の通りでございます、併しながら斯かる措置は戰時中の必要に基く變則的なものでありまするので、終戰と共に能ふ限り官治統制を廢し、自治統制に移行する爲、國家專賣の方式は之を撤廢し、石油配給統制規則を中核とする、石油配給統制株式會社の運用に依りまして、今後の統制を行ふこととし、茲に石油專賣法の廢止を提案致しました次第であります、最後に各省共通に關係ある事項でございまするが、戰時行政特例法の廢止に付て申上げます、本法は大東亞戰爭中生産力擴充其の他綜合國力發揮の爲には、第一に必要に應じ法規に基く禁止又は制限の解除をなし得ること、第二に甲の行政廳又は官吏の職權を、乙の行政廳又は官吏をして、之を行はしめ得ることを其の内容とするのでありまするが、是は戰爭中の非常事態を前提とするものでありまして、終戰と共に撤廢すべきことは論を俟たぬものと考へるのでございます、以上多岐に亙りまする商工省關係法律の廢止に付て申述べましたが、要するに其の内容は戰時色濃厚な法律及び存置する必要のない法律の廢止と云ふことに落著く譯でございまして、今後の經濟組織をどうするかと云ふ基本問題に付きましては、聯合國側、民間其の他關係各方面の意見を十分に徴しまして、愼重に立案する必要がありまする關係上、今議會には提案するの運びに至つて居らぬ次第であります、以上を以て私の説明を終りたいと存じまするが、何卒愼重御審議の上、速かに御協贊あらむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=19
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020・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今日程に上りました石油事業法外十三法律廢止法律案は、是亦入營者職業保障法及國民勞務手帳法廢止法律案外九件の特別委員に併託せられむことの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=20
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021・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=21
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022・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 戸澤子爵の動議に御異議はございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=22
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023・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=23
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024・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 日程第三、昭和二十年勅令第五百四十二號、承諾を求むる件、會議、委員長報告、委員長八條子爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=24
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025・会議録情報5
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昭和二十年勅令第五百四十二號
右承諾すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十年十二月六日
委員長 子爵八條隆正
貴族院議長公爵徳川圀順殿
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〔子爵八條隆正君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=25
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026・八條隆正
○子爵八條隆正君 只今上程せられました昭和二十年勅令第五百四十二號、即ち「ポツダム」宣言の受諾に伴ひ發する命令に關する件及び承諾を求むる件の特別委員會の經過竝に結果を御報告申上げます、本案は去る十一月二十八日特別委員に委託せられまして、委員會に於きましては二十九日以來七囘に亙りまして開會致しまして、愼重審議の上に本件は承諾を與ふべきものと全會一致を以て決議致したのであります、今提案の理由を申上げますが、是は過日本會議に於て政府より大體説明があつたのでありまするが、即ち「ポツダム」宣言受諾の結果、本年九月二日調印の降伏文書に於きまして、聯合國最高司令官の要求ある時は帝國政府に於て直に之に依る措置を執るべきことを規定致して居るのであります、當初政府に於きましては、是等の要求は行政上の運用に依つて措置せむと致したのでありますが、爾後其の要求は多事多端に亙りまして、行政上の運用のみに依ることが出來ない、又法制上の措置を執るを必要とする事項が多々あるのでありまして、尚最高司令官の要求に從ひ、之を敏速に措置を要するものが多く、而して一面急速に之を措置致すことは、對外信用を繋ぐ上に於て又必要であつたのであります、之に依つて憲法第八條第一項に依りまして、本勅令の發布を必要としたものであるとのことであります、從つて本議會に於て憲法第八條第二項に依つて帝國議會の承諾を求むる爲に、茲に之を提出したものであるのであります、本勅令は去る九月二十日前内閣に於て發布したものであると云ふことを申添へて置きます、而して其の内容とする所は先づ「ポツダム」宣言の受諾に伴ひ、聯合國最高司令官の爲す要求に係る事項を實施する爲に必要なる場合に於きましては、所要の定めを爲すことを廣く命令に委任致して居ることが一點であります、而して第二は必要なる罰則を設くること、此の二點が其の内容となつて居ります、又本勅令公布と同時に別に施行に關する件として勅令第五百四十三號が公布せられて居ります、此の施行勅令に於きましては、緊急勅令に於て謂ふ所の命令とは勅令、閣令、省令に限定する、又勅令に依る場合に於ける罰則は制限はないのでありますが、閣令、省令に規定し得る罰則は三年以下の懲役又は禁錮、或は五千圓以下の罰金、科料、拘留に制限致して居るのであります、而して此の緊急勅令の委任に依りまして、只今迄公布せられたる命令の數は勅令に於て二十件、閣令、省令に於て二十四件、合せて四十四件と相成つて居ります、茲に質疑應答の中、主なるものを御紹介申上げますが、質問に對しましては主として松本國務大臣が答辯の任に當られたのであります、最初に憲法論、法理論に付ての質疑を申上げます、先づ本緊急勅令はそれ自身に於て働いて居ない、廣く命令に委任を致して居る、斯くの如き命令に緊急勅令が委任したと云ふ例はないと思ふがどうかと云ふ點でありますが、之に對しましては前例は一つある、即ち明治四十三年勅令第三百二十四號の緊急勅令であつて、朝鮮に施行すべき法令に關する件、と云ふのであります、即ち朝鮮總督の制令の定めが出來る前に、緊急勅令に依つて朝鮮總督に命令を委任したのであります、此の一つの前例があると云ふことであります、次に緊急勅令の委任に基く所の命令を發するのは、又憲法第八條第一項の條件を具備することを必要とすると思ふ、即ち此の委任命令を發布するのは議會閉會中に限るべきものではないか、議會開會中に於ては法律の手續を必要とするものと思ふがどうか、此の點に付きましての政府の見解は、法理論としては委任に基く命令は、議會開會中と雖も何時にても出すことが出來るのである、併しながら政治上の實際より言へば、是は不穏當と思はれるが故に、實際の運用に於きましては議會開會中に於ては、法律の手續を爲し得る場合には立法の手續に依るを可と考へて居る、併しながら事實は最高司令官の要求は極めて敏速に處理を要することが多いのであつて、議會開會中と雖も絶對に命令を以てすることはないと云ふことを保證は致し難いと云ふことでありました、此の點に付きましては、質問者と政府との間に於きまして、法理論としては意見は相違を致して居るのであります、併しながら實際に於て政治上の運用として、議會開會中は努めて法律の手續を執ると云ふことで、政治論としては滿足すると云ふことであります、而して此の點に付きましては、單に質問に對する答辯と云ふだけでなく、更に委員中より政府の言明として求められましたが、政府は同樣の趣旨を以て出來るだけ火急な場合は別として、法律案を出す、議會開會中は立法の手續に依ると云ふことを言明せられたのであります、次に此の緊急勅令は一般的に命令に委任を致して居るが、何故に聯合國司令官の要求のある毎に緊急勅令を一々出さないかと云ふ問であります、それに對しましては聯合國側の要求する事項は、踵を接して殺到するのである、而して議會開會中は緊急勅令を出すことが出來ない、一々立法の手續を要するのであつて、急速を要する要求に應じ難い場合があるからして、命令に委任して敏速に處理を爲す必要があるのであると云ふのであります、又施行に關する勅令第五百四十三號に於て、閣令、省令の罰則を定めて居る、是は罰則に關しては本緊急勅令の解釋を定めたものと見るべきである、緊急勅令の解釋ならば緊急勅令を以てすべきである、故に此の罰則に關する制限も、解釋は本緊急勅令中に規定致して置くべきではないか、何故に別の勅令を出したのであるか、と云ふ意見であります、之に對しまして政府と致しましては、此の勅令は緊急勅令の解釋を定めたものではない、即ち閣令、省令の場合に於ては罰則は之に制限を加へたのである、而して之を何故に緊急勅令に規定しなかつたのであるかと云ふことは、前内閣時代のことであつて、現内閣としては分らない、強ひて言へば緊急勅令中には廣く規定を致して置いて、必要に應じて適宜之を狹くすることとしようとの方針であつたと思はれると云ふ答辯であります、又本緊急勅令に依る委任命令は先程も申上げました通り、廣く命令と云ふことに規定致して居るのでありまして、別の勅令を以て一應勅令、閣令、省令と云ふことに範圍を定めて居るのであります、制限致したのであります、でありますからして、緊急勅令自體に於きましては、更に勅令、閣令、省令に止らず、廣く地方長官の命令、即ち都道府縣令をも之に含むこととなつて居るのである、さう致しますると緊急勅令自體に於きましては、地方長官の命令を以て法律を動かすことをも得ることとなつて、甚だ濫用の行はれる心配があるのではないか、穏かでないと云ふ論議であります、之に對しましては緊急勅令立案の過程を推察すると云ふと、當時大なる權限を持つて居つた所の地方總監と云ふやうなものの存在があつて、其の命令をも想像し得るし、或は又各地方に於ての交通杜絶と云ふことも考へられるのであつて、地方長官の命令をも此の點からして考へたものであると思はれるであらうが、其の濫用を避けるが爲に勅令を以て、勅令及閣令、省令の範圍を限定したものであらうと思ふと云ふ答辯であります、又更に此の緊急勅令の承諾を求めた理由は、一つは緊急勅令を發したる措置に付きまして、議會の批判を求むると云ふことが一點、又將來に向つて存續して效力保持の爲に承諾を求むると云ふことにあると思ふと、併しながら將來に向つて效力を保持せむとする必要があるならば此の緊急勅令を廢止して別の法律案を提出して、變態立法を改めて正常立法と爲すが適當ではないかと云ふ意見でありました、之に對する政府の見解は、此の點は從來議論の存する所である、別に法律を提出すると云ふことは惡いと云ふことは決してない、併しながら緊急勅令を廢止して是と同樣の法律を出したと云ふことは實例がないのである、先程申上げました明治四十三年の朝鮮總督の制令に關しまして、前の緊急勅令を以て定めたことを、後に法律を以て取替へたと云ふことがあるのでありますが、此の法律は政府提出の法律案ではありませぬで、衆議院の提出に係る法律案であります、法律は帝國議會の議決を經るものであり、又緊急勅令も承諾を求むるものが爲に議會の議決を經るのであつて、共に民意に於て變りはないのである、故に別に法律を以て取替へねばならぬと云ふ理由はないと思ふと云ふことであります、又更に委任に依り發したる省令を段々見て行きますると、其の中に省令を以て法律を廢止したものがある、併しながら省令を以て法律を廢止すると云ふことは穏當とは思はれない、法律を廢止するが如き重大なることは勅令を以て廢止すべきではないかと云ふ意見に對しまして、省令を以て法律全部を廢止したなどと云ふことは例外であつて、非常に急に施行することを要したので勅令を出す遑がなかつた場合である、法律全體を廢止し、又は重大なる變更を爲すと云ふことは出來る限り愼重に取扱つて、勅令を以てするやうにしようと思つて居ると云ふ言明があつたのであります、法律論的の質疑應答は此の程度に止めまして、一般の質問に移らうと思ひます、先づ近時に於ける社會相の急變に伴ひ、過激なる言論が急に増加したが、之に對する政府の方針に付て種々御質疑があつたのでありますが、大體政府の意見を申上げますと、政府は言論、思想の自由は絶對に之を認むるものである、思想に對しては思想を以て對抗すべきである、多數の意思を以て少數者の言論、思想を抑壓すると云ふことは民主主義ではないと思ふ、總ての人の意思を自由に發表せしめて、其の上を政治すること、即ち民意を盡さしめ、言ひたいことを言はせると云ふのでなくてはならぬと思ふ、我が國に於て天皇制の如きも一部少數者を除いて、萬世一系の天皇の國家の中心たることに付ては、國民の堅き信念である、併しながら天皇制に關する論議は刑法の犯罪を構成せざる以上は、特に之を取締らないと云ふことは政府の一致して居る意見である、思想を法律を以て壓迫することは反動の起る因である、我が國に於ても、外國に於ても實例の多々存する所であるのみならず「ポツダム」宣言を受諾したる以上は、言論の自由を徹底的に認める義務を負つて居り、之を尊重する所以であると云ふのが政府の意嚮であります、又「ポツダム」宣言受諾の結果、天皇の統治權は聯合國最高司令官の命令に依つて制限を受けるものであるが、此の制限は行政上のみならず立法、司法の作用にも及ぶものであると思ふ、即ち廣義の統治權に對する制限であると思はれる、從つて議會の審議權も拘束せられるものであると思ふがどうであるか、從つて例へば今囘の選擧法改正の婦人參政權の如きも、或は時期尚早として反對すべからざることと思はれるが、此の點に付ての政府の考はどうかと云ふ質問がありましたが、是は極めて重大な問題であるが、統治權の制限は行政は勿論、立法、司法の作用にも及ぶものと思ふ、又司法權にも及ぶものであるが、併しながら其の範圍は天地の公道に依つて自ら制限ありと思はれる、婦人參政權の問題は正式に要求があつたと云ふものではない、併しながら憲法民主化の爲に希望として表明せられたるものでありまして、政府としては自體のこととして進んで提案するものであつて、審議權の束縛と見るべき要求があつたのではないと云ふことであります、次に「ポツダム」宣言受諾の結果、朝鮮臺灣に於ける領土の喪失、又兩地人民の帝國臣民たるの權利喪失の時期は何時であるかと云ふ問であります、之に對しましては、「ポツダム」宣言受諾に依つて直ちに領土權喪失の行はれるものと見たくはない、「ポツダム」宣言受諾に依つて之を私法的に言へば、債權的に領土權は喪失したものであるが、物權的效力は講和條約の締結に依つて確定するものと見るべきものと思ふ、又朝鮮人、臺灣人の國籍も他日條約に依つて其の國籍は決定せられるものである、今日は猶日本人と見るべきであると思ふ、此の考の下に今囘提出したる選擧法改正案に於きましても、其の附則に於て「戸籍法の適用を受けざる者の選擧權及被選擧權は當分の内之を停止す」斯う云ふ規定を設けてあるのであつて、朝鮮人、臺灣人の如き不確定なる人に選擧權被選擧權を付與するを否と考へた次第である、尤も此の解釋は我が國側の解釋であつて、聯合國側の考と一致するや否やは不明である、而して聯合國に於て現在朝鮮、臺灣に對しまして、日本領土に非ざるが如きことを致して居るのは、是は軍事占領の結果であると云ふ説明であります、次に今囘設置せられたる大東亞戰爭調査委員會の運營に付てでありますが、同委員會に於ては敗戰の原因のみならず、廣く大東亞戰爭の開戰に至りたる事情其の他をも研究して之を發表し、日本人を以て好戰國民、或は軍國主義國民と見るやうな聯合國の誤解を一掃するやうに努むべきではないかと云ふ意見に對しまして、政府と致しましても、大東亞戰爭調査會の目的は、啻に敗戰の原因の調査に止らず、大東亞戰爭の近因、遠因二遡り、又支那事變、滿洲事變にも及び、軍閥の跋扈、軍國主義の擡頭の原因、状況迄をも研究致して、我が國の好戰國たるの誤解を解き、寧ろ平和愛好國とも謂ふべきことを明かし、戰爭の原因、經過が明かとなりましたならば、申開きの材料も出來るであらうと云ふ考の下に、迅速周到に調査の出來ることを希望致して居る次第であると云ふことであります、次に戰爭責任者として聯合國の謂ふ所の戰爭犯罪者の外に、國内的に見て戰爭責任者と謂ふべきものがある、即ち開戰の責任者、敗戰の責任者に對する政府の處置は如何であるかと云ふ問に對しましては、是は大東亞戰爭調査會に於て調査し、經緯が明かとなつたならば、責任者も自ら明瞭となると思ふ、敗戰の責任者の行爲にして刑法に觸るることはあるかも知れない、又政治的責任ある者に對して制裁を作る意思ありやと云ふのに、是は遡及的の制裁法を作る考は今の所ない、唯大東亞戰爭調査にて明かとなつた事柄は其の實相を發表する、之に依つて責任を感ずる人が自發的行爲を爲した時は、障碍となるべき法令があるならば之を除去して、自由に自己の責任を感じたことを表明せしむることを得るやうにすると云ふ答辯であります、又聯合國司令部の要求に依つて、時に依つては政府としては其の意に非ざることを已むを得ず實行することがあるのであらう、併し斯かる場合に於て、國民をして政府に對する信頼の念を失はしめざる爲には、其の已むを得ざりし事情を明かにして、之を知らしむるが適當ではないかと云ふ御意見に對しまして、政府は聯合國司令官の指令のある前に、豫め國内の實情を話し、了解を求むることに努力を致しつつある、最高司令官の考は善意であつて、我が國の爲に親が子の爲に爲すが如きやうなことも、親の子に對する深切が年齡の相違、或は思想の相違等よりして、子に取つて喜ばれざるやうなことがなきにしもあらずと思ふ、併しながら一旦決したる以上は政府の責任であつて、總て司令官の指令であるからと言つて責任を輕減せむとするが如きことは致したくない、措置を執りたる以上は責任は政府の責任としなければならぬと云ふことであります、次に聯合國司令部と政府との連絡に付きまして二三の意見がありましたが、之を要約致しますると、司令部との連絡は努めて緊密にしなければならぬ、兩當局が其の胸襟を披いて話合ひ、彼をして能く日本人を理解せしめたならば、萬事極めて圓滑に進行すると思ふ、又明治の初めに於て、日本は日本の傳統を維持すべしと云ふことを教へた者は「アメリカ」の識者である、故に能く我が國の實情を理解せしめて、日本の傳統の維持に努力しなければならぬと云ふ意見に對しまして、是は全然同感である、唯連絡上障碍となるのは、言語の不十分なること、或は日本人の交際の不得手であること、西洋の作法を知らぬこと、其の他是等の爲に外國人との交際が十分出來ざることが多々ある、併し心と心と相接し話し合ふならば、自ら圓滑に行くものと思ふので、之を希望するものである、明治の初めに於て、米國は極めて深切に我が國を指導した、我が國の實情が明かとなつたならば、米國の今日に於ける一時的感情疎隔は氷解し得るものと思ふ、此の點は我に於て十分努力しなければならぬと云ふ答辯であります、次で委員會に於きましては、本勅令に依りまして公布せられたる勅令、閣令、省令總計四十四件、先に申上げた通りでありますが、各省當局者よりして、是等の命令に付きましてそれぞれ其の説明を聽取致しまして、質疑を重ねました、又之に關聯致しまして、當面の諸問題に付きまして、政府の施策、所見等に付きまして十分に質疑應答を重ね、愼重に審議を遂げました、併しながら事極めて複雜になりますから、茲には之を省略致します、而して此の諸命令と云ふものは、孰れも聯合國最高司令官の要求に係るものでありまして、帝國が「ポツダム」宣言を受諾して之を履行する上に於きましては、執るべき措置であつたと云ふことを認めたものであります、斯くて討論に移りましたが、兩委員より、聯合國司令部との連絡に付きまして、今後一層意思の疎通に努力せられたいとの希望の開陳がありました、採決を致しましたが、其の結果は全會一致を以て、本件は承諾を與うべきものなりと決議致した次第であります、以上御報告申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=26
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027・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 別に御發言もなければ、本件の採決を致します、本件に對し承諾を與へることに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=27
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028・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=28
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029・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 日程第四、裁判所構成法戰時特例廢止法律案、日程第五、戰時民事特別法廢止法律案、日程第六、戰時刑事特別法廢止法律案、日程第七、判事及檢事の退職竝に判事の轉所に關する法律案、日程第八、鐵道敷設法戰時特例廢止法律案、政府提出、第一讀會の續、委員長報告是等の五案を一括して議題と爲すことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=29
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030・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます、委員長向山男爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=30
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031・会議録情報6
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裁判所構成法戰時特例廢止法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十年十二月六日
委員長 男爵向山均
貴族院議長 公爵徳川圀順殿
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戰時民事特別法廢止法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十年十二月六日
委員長 男爵向山均
貴族院議長 公爵徳川圀順殿
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戰時刑事特別法廢止法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十年十二月六日
委員長 男爵向山均
貴族院議長 公爵徳川圀順殿
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判事及檢事の退職竝に判事の轉所に關する法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十年十二月六日
委員長 男爵向山均
貴族院議長 公爵徳川圀順殿
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鐵道敷設法戰時特例廢止法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報皆候也
昭和二十年十二月六日
委員長 男爵向山均
貴族院議長 公爵徳川圀順殿
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〔男爵向山均君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=31
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032・向山均
○男爵向山均君 只今議題と相成りました、裁判所構成法戰時特例廢止法律案、戰時民事特別法廢止法律案、戰時刑事特別法廢止法律案、判事及檢事の退職竝に判事の轉所に關する法律案、鐵道敷設法戰時特例廢止法律案、此の五法律案に付きまして、入營者職業保障法及國民勞務手帳法廢止法律案特別委員會に於きまする審議の經過竝に結果に付て御報告申上げます、司法省關係の四法律案に付きましては、一昨六日午前午後に亙りまして特別委員會を開きまして、司法大臣差支の爲司法省政務次官から詳細なる提案の理由の説明を聽取致しました、大要申上げますと、裁判所構成法戰時特例廢止法律案、戰時民事特別法廢止法律案及び戰時刑事特別法廢止法律案の三法律案の眼目は、要するに司法制度の戰時態勢を平時態勢に復せしめることを目的としたものでありまして、裁判所構成法戰時特例、戰時民事特別法及び戰時刑事特別法の三法律案は司法制度を戰時態勢下に置き、戰時下に於ける司法事務の運行を支障なからしめ、且國内治安を確保せむが爲、審級制度の整理、單獨裁判所の權限擴張、銃後の治安を阻碍する各種犯罪の嚴罰及び訴訟手續の簡素化等を主要な内容と致しまして制定せられ、戰局の推移に即應し右趣旨の徹底を期する爲、數次の改正を經て今日に至つたもので、戰時下勞務、資材、交通、通信等の困難な状況下に於て、能く司法をして其の機能を維持せしむるに與つて力があつたのであるが、終戰後は、斯かる戰時法を制定した理由は概ね解消し、且民力囘復の爲にも、斯かる戰時法に依る訴訟關係人の不利不便を速かに除去して其の保護の萬全を期せなければならぬから、政府は此の三法律案を提出して戰時中の特例を一擧に廢止せむとするものである、唯裁判所構成法戰時特例中民事訴訟に關する區裁判所の事物管轄限度二千圓、それに關する規定のやうに、之を直に戰前の限度千圓に復することが現下の經濟状態に鑑み不適當と認められまするものや、戰時民事特別法中公告の制限乃至廢止、登記手續の簡素化等に關する諸規定のやうに、現下物資需給の状態に照し尚存續を要するもの、戰時調停に關する諸規定のやうに此の點と雖も大いに活用を期待されるもの等に付きましては、尚當分の間其の效力を存續せしむる必要がある、從つて是等の規定と戰時特例法に依り平時法に乘換へる際の必要な經過的事項とを各法律案の附則中に規定した次第である、次に判事及檢事の退職竝に判事の轉所に關する法律案は、終戰に伴ひ一般官吏の減員を行ふに際して、昭和二十一年三月三十一日迄の判事及檢事中二百二十八人を退職せしめる爲、裁判所構成法の定むる判事及び檢事の地位の保障を必要の限度に於て一時制限せむとするものである、唯判事の退職に付ては、其の身分を保障した憲法の精神を尊重して、願に依る場合を除くの外、大審院の總會の決議を經ることを要するものとし、且其の決議の愼重を期する爲、定足數等に付ても規定を設くることとした、尚判事及び檢事の退職に伴ひ、爾餘の判事及び檢事の轉所を命ずる必要があるが、判事に付ては、裁判所構成法中轉所の保障があるので、是も同年四月三十日迄を限り排除せむとする次第であると云ふことでございました、質疑に入りまして一委員より、戰時中戰時刑事特別法に定められた犯罪の状況は如何であつたかと云ふ御質問がございました、之に對して政府側より、戰時犯罪の種別毎に檢事局の受理人員と、之が起訴人員の數字を擧げて説明がございましたが、是は速記録に讓りたいと存じます、外に質問もなく討論に入りましたが、別段の發言もございませぬで、採決の結果全員異議なく認め、四法律案を可決すべきものなりと議決致しました、鐵道敷設法戰時特例廢止法律案は、一昨六日午前同委員會に於て、先づ運輸大臣より提案の理由の説明を聽取致しました、本戰時特例は、大東亞戰に際し戰力増強の爲必要ある時は、政府は鐵道敷設法第一條又は第二條の規定に拘らず、豫定線路以外のもの又は豫定線路でも繼續費豫算に計上しあらざるものを早急に調査敷設することを得るものとし、鐵道會議の諮詢を經べきことを規定して居る、政府は戰爭中遂に本法を活用せす終戰に伴ひ不用になつたのであると云ふことでございました、質疑に入りまして、一委員より、我が國の鐵道が石炭不足、其の他の事情の爲に慘憺たる現状にある、當局に對し同情に堪へぬが、此の爲旅客、貨物が大なる制限を受け、住宅、食糧、其の他萬般に非常なる惡影響を及して居る、將來日本國民、世界中最も道義に厚く、又最も勤勉なる國民にならなければならない、車内道徳は公民道徳の根源である、曾て秩序の正しさ、時間の正確さに於て世界無比を誇つた我が國の鐵道の現状は如何であるか、列車内の無秩序、時間の不正確、時計の不備等目に餘るものがある、當局の腹藏なき意見を聽きたいと云ふのに對しまして、運輸大臣より、終戰に伴つて貨物は激減したけれども、旅客は復員者、俘虜、鮮華人、疎開復歸者、食糧の買出し等の爲に激増し、而も携帶の荷物が多い爲に、戰時中に劣らぬ、混雜をして居る、對策として旅客列車の大増發を行つたが、十二月に入り石炭の出廻りが豫想外に惡き爲、再び列車を減ずるの已むなきに至つた、始めから石炭が少いことを前提として計畫をすることは消極に過ぎる、從つて立案に際しては、相當な石炭が使へるものとして行つたのであるけれども、見透しを誤つた結果となつて誠に遺憾である、目下商工、厚生、農林等の關係各省と一丸となつて有らゆる手段を盡して居る、運輸省のみでも數千人の從業員を炭礦に向けつつある、石炭は最近毎月五十五、六萬「トン」使つて居つたが、現在は四十一萬「トン」である、石炭の不足は本州に於て最も甚だしく、北海道及び九州に於ては比較的状況は宜しい、本州と北海道の間の交通に付ては、連絡船を全部失つてしまつたので、只今は船を融通してやつて居るが、連絡船の建造は、之を優先的に扱つて居る爲に近く相當囘復するものと考へて居る、尚旅客及び貨物規制の現状等に付て詳しく述べられ、日本國民の社會道徳に關する問題に付ては全然同感の旨を表し、時計は本年中には相當整備を見る見込みであると云うことを述べられました、他の委員より戰時中取り外せる線路の處置、運轉休止列車の囘復の見込、託送荷物の紛失の取締、機關車の煤煙に因る火災等に付きまして、損害の補償が行き渡らないと云ふやうな質問に對しまして、取外した線路は原則として約束通り元に戻す、列車の運轉は一月一杯で上向きになり、漸次囘復する見込みである、荷物の紛失に付ては誠に申譯ない、近頃は宛名が著名な人の荷物が却て紛失が多くなつて居る、目下全國に査察隊、監視隊とでも申すべき者を置き、或は戸締りの完備、不寢番の配置等を行つて取締を強化して居る、機關車の煤煙に因る火災は炭質の惡化の爲であり、相當増加の傾向にある、正式の手續のあつたものに對しては補償を行つて居ると云ふやうな説明でございました、斯くて討論に入り、別に發言もなく、採決の結果、滿場一致、本法律案は可決すべきものなりと議決致しました、報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=32
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033・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 別に御發言もなければ、五案の採決を致します、本案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=33
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034・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=34
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035・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに各案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=35
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036・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=36
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037・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=37
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038・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=38
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039・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 五案の第二讀會を開きます、御異議がなければ、全部を問題に供します、五案全部、委員長報告通りで御異議はございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=39
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040・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=40
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041・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=41
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042・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=42
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043・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=43
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044・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=44
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045・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 五案の第三讀會を開きます、五案全部、第二讀會の決議通りで御異議はございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=45
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046・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます、次會の議事日程は決定次第本院彙報を以て御通知に及びます、本日は是にて散會致します
午前十一時八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00719451208&spkNum=46
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