1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十年十二月十一日(火曜日)午前十時五分開議
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議事日程 第八號
昭和二十年十二月十一日
午前十時開議
第一 戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法廢止等に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第二 國民貯蓄組合法中改正法律案(政府提出)
第一讀會の續(委員長報告)
第三 防空法廢止法律案(政府提出)
第一讀會の續(委員長報告)
第四 大日本航空株式會社法廢止法律案(政府提出)
第一讀會の續(委員長報告)
第五 石油業法外十三法律廢止法律案(政府提出)
第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=0
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001・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 報告を致させます
〔寺光書記官朗讀〕
去る八日本院に於て可決したる左の政府提出案は即日之を衆議院に送付せり
裁判所構成法戰時特例廢止法律案
戰時民事特別法廢止法律案
戰時刑事特別法廢止法律案
判事及檢事の退職竝に判事の轉所に關する法律案
鐵道敷設法戰時特例廢止法律案
同日本院に於て承諾することを議決したる左の政府提出案は即日之を衆議院に送付せり
昭和二十年勅令第五百四十二號
同日政府より左の議案を提出せり
戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法廢止等に關する法律案
同日委員長より左の報告書を提出せり
國民貯蓄組合法中改正法律案可決報告書
防空法廢止法律案可決報告書
大日本航空株式會社法廢止法律案可決報告書
請願文書表(第一囘報告)
昨十日委員長より左の報告書を提出せり
石油業法外十三法律廢止法律案可決報告書
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=1
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002・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 是より本日の會議を開きます、議事日程に入るに先立ちまして御諮りを致します、酒井副議長故障に付、議長のみにては何時議事に支障を來すやも測られませぬから、此の際假議長の選擧をして置く方が、議事の進行上便宜かと存じます、以上議長の發議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=2
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003・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=3
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004・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました假議長の選擧に付きましては、先例に依り、本院規則第十四條第二項に依りまして、本會期を通じ議長に委任することの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=4
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005・島津忠彦
○男爵島津忠彦君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=5
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006・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=6
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007・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=7
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008・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 日程第一、戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法廢止等に關する法律案、政府提出、第一讀會、澁澤大藏大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=8
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009・会議録情報2
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戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法廢止等に關する法律案
右
勅旨を奉じ帝國議會に提出す
昭和二十年十二月八日
内閣總理大臣 男爵幣原喜重郎
内務大臣 堀切善次郎
大藏大臣 子爵澁澤敬三
運輸大臣 田中武雄
…………………………………
戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法廢止等に關する法律案
第一條 左に掲ぐる法律は之を廢止す
戰爭死亡傷害保險法
戰時特殊損害保險法
第二條 生命保險中央會法中左の通改正す
第十九條第一項第三號中「第一號に掲ぐるものを除くの外」及同項第四號中「第一號及」竝に同項第一號及第二號を削り同項中第三號を第一號とし第四號を第二號とし第五號を第三號とす
同條第二項を削る
第二十六條 削除
第二十八條 削除
第三十條及第三十一條中「戰爭危險の保險に關する業務以外の業務に因りて得たる」を削る
第三十三條 削除
第三十四條第四項中「及第二項」及同條第一項を削る
第三十五條第一項中「及第二項」を削る
第三十六條中「五億圓」を「二億圓」に改む
第四十六條 削除
第四十九條第一項第六號及第二項を削る
第三條 損害保險中央會法中左の通改正す
第十八條 削除
第十九條第一項第一號中「普通保險」を「損害保險」に改め同項中第二號を削り第三號を第二號とし第四號を第三號とす
同條第二項中「第三號」を「第二號」に改む
第二十四條第一項を削る
第二十五條中「普通保險」を「損害保險」に改む
第四十一條 削除
附 則
第四條 本法は公布の日より之を施行す
第五條 戰爭死亡傷害保險法第一條及第五條乃至第八條の規定は本法施行後と雖も當分の内仍其の效力を有す
戰爭死亡傷害保險法は本法施行の際現に存する戰爭死亡傷害保險契約及第三項の規定に依り更新せられたる戰爭死亡傷害保險契約に關しては本法施行後と雖も仍其の效力を有す本法施行前(前項の場合に於ては同項の規定に依り戰爭死亡傷害保險法第六條の規定が其の效力を有する間)に爲したる行爲に對する罰則の適用に關し亦同じ
本法施行の際現に存する戰爭死亡傷害保險契約は本法施行後と雖も仍從前の例に依り一囘を限り之を更新することを得
第六條 戰時特殊損害保險法第一條、第十條、第十四條、第十五條及第十八條の規定は本法施行後と雖も當分の内仍其の效力を有す戰時特殊損害保險法は本法施行の際現に存する戰爭保險契約に關しては本法施行後と雖も仍其の效力を有す本法施行前(前項の場合に於ては同項の規定に依り戰時特殊損害保險法第十五條の規定が其の效力を有する間)に爲したる行爲に對する罰則の適用に關し亦同じ
本法施行の際現に存する戰時特殊損害保險法に依る地震險契約は將來に向て其の效力を失ふ
戰時特殊損害保險法第五條の損害保險契約に在りては損害保險中央會又は保險會社は同條に規定する事故にして本法施行後に發生したるものに因りて生じたる損害を填補する責に任ぜず
第七條 生命保險に於ける戰爭危險(戰爭其の他の變亂に因る死亡を謂ふ以下同じ)の再保險及戰爭死亡傷害保險にして本法施行前に生命保險中央會の引受けたるもの竝に第五條第三項の規定に依り更新せらるる保險に關しては仍從前の例に依る
本法施行の際現に存する生命保險契約に在りては保險會社は本法施行後に發生したる戰爭危險に因る保險金の支拂を爲す責に任ぜず
第八條 本法施行前に爲したる行為の處罰に關しては第二條及第三條の規定に拘らず仍從前の例に依る
第九條 前四條に定むるものの外本法施行の際必要なる事項は命令を以て之を定む
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〔國務大臣子爵澁澤敬三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=9
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010・澁澤敬三
○國務大臣(子爵澁澤敬三君) 只今議題となりました戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊傷害保險法廢止等に關する法律案に付きまして、提案の理由を御説明致します、今次終戰に伴ひまして、戰爭危險發生の虞は、特殊の場合を除き、殆ど消滅するに至りましたので、戰爭危險の保險を目的とする諸般の戰時的保險制度を原則として廢止するを適當と認め、其の爲に戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法を廢止すると共に、是等諸般の戰時的保險の運營機關たる生命保險中央會及損害保險中央會の業務の内容等にも所要の修正を加へることと致しまして、茲に本法律案を提出致しました次第であります、本法律案の趣旨を申述べますれば、先づ戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法は之を廢止し、是等兩法に基く戰爭死亡傷害保險、戰爭保險及地震保險は、今後原則として成立せしめないことに致しました、唯戰爭死亡傷害保險に付きましては、今日尚多數の同胞諸君が海外に殘留せられ、今後内地歸還に至る迄は相當程度危險に曝される場合もあり得ると考へられますので是等の方々の便宜を考慮致しまして、今後尚一囘を限り現存契約を更新し得ることと致した次第であります、他方戰爭保險に付きまして、斯かる特別措置を講ずる必要を認められませぬが、地震保險に付きましては、同保險が戰爭中に生じた地震損害のみを填補するの趣旨のものである關係上、終戰後の實状に即せざる點もありますし、旁旁國家財政の状況等をも考慮致しまして、本法施行と同時に將來に向つて其の效力を失はせることと致しました、固より現存地震保險契約者に對し不當なる損失を與へざるやう此の點は十分考慮致し、未經過保險料の返還等、適宜の措置を講ずる所存でございます、次に生命保險中央會に付きましては、其の業務の中、戰爭死亡傷害保險の引受及び一般の生命保險に於きます戰爭危險の再保險の引受の二つの業務を廢止することと致しまして、之に關聯して同會の經理に關する規定にも所要の改正を加へると共に、從來生命保險契約に於ける戰爭危險免責約款を無效ならしめて來た強行規定は、右戰爭危險再保險の停止に伴ひまして、之を撤廢することに致した次第でございます、更に傷害保險中央會に於きましては、其の業務の重點を戰爭保險の分野から普通保險の分野に移すことを明かに致しました、尚右四法の改廢に關聯致しまして、必要なる經過規定を設けまして、殘存事務の處理の圓滑を期した次第でございます、何卒御審議の上速かに御協贊あらむことを希望致す次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=10
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011・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今日程に上程されました、戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法廢止等に關する法律案は、入營者職業保障法及國民勞務手帳法廢止法律案外五件の特別委員會に併託するの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=11
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012・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=12
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013・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=13
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014・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=14
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015・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 日程第二、國民貯蓄組合法中改正法律案、日程第三、防空法廢止法律案、日程第四、大日本航空株式會社法廢止法律案、日程第五、石油業法外十三法律廢止法律案、政府提出、第一讀會の續、委員長報告、是等の四案を一括して議題と爲すことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=15
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016・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます、委員長向山男爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=16
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017・会議録情報3
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國民貯蓄組合法中改正法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十年十二月八日
委員長 男爵向山均
貴族院議長公爵徳川圀順殿
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防空法廢止法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十年十二月八日
委員長 男爵向山均
貴族院議長公爵徳川圀順殿
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大日本航空株式會社法廢止法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十年十二月八日
委員長 男爵向山均
貴族院議長公爵徳川圀順殿
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石油業法外十三法律廢止法律案
右可決すへきものなりと議決せり依て及報告候也
昭和二十年十二月十日
委員長 男爵向山均
貴族院議長公爵徳川圀順殿
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〔男爵向山均君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=17
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018・向山均
○男爵向山均君 只今議題と相成りました國民貯蓄組合法中改正法律案、防空法廢止法律案、大日本航空株式會社法廢止法律案竝に石油業法外十三法律廢止法律案に關しまして、之が付託を受けました入營者職業保障及國民勞務手帳法廢止法律案特別委員會に於きまする去る七日から昨日午後に亙りましての委員會の經過竝に結果を御報告申上げます、只今擧げました諸案は孰れも先づ政府の詳細なる説明を伺ひ、各委員の熱心なる質疑、之に對して詳細なる政府側の御答を得ました結果、孰れも討論に於きまして、特に發言なく、孰れも政府の原案通り滿場一致可決すべきものと議決を致しました、以下質疑應答の主なるものを簡單に御紹介申上げ、尚政府の説明に付きましても、多少其の前に申上げたいと存じます、先づ國民貯蓄組合法中改正法律案でございますが、是は戰後財政金融運營の爲、又惡性「インフレ」防止等の爲に國民の貯蓄は益益必要である、故に本法第一條中「戰時(戰爭に準ずべき事變の場合を含む)に於ける」と云ふ制限規定を除く必要がある爲に、政府は本法案を提出したのであると云ふことでございます、質疑に於きまして貯蓄組合に付て何か新しい工夫はないかと云ふ問ひに對しまして、決定したものとしては地域組合、是は隣組を中心として婦人會、其の他類似の會を之に統一したものである、尚高額貯蓄者組合、預金者貯蓄組合等は何れ作る、問題の貯蓄額の割當は今十二月分から之を行ひますが、從來の天降り的な方法を改めて、各組合の内容、物價、其の他終戰後の状況を勘案しまして、新たなる方法にて目標を定め、一方組合員各人にも案を立てさせて、兩者を比較して、然るべく折り合ふことにすると云ふことでございます、又隣組の貯蓄は戰時中の勞に報ヰまする爲に拂出を認める、但し之に依りまして通貨の膨脹を避ける爲に一年以上の定期預金とすると云ふやうな點が主な質疑應答でございます、次の防空法廢止法律案、政府の説明の要旨は、防空法は昭和十二年に制定せられ、軍の防衞に即應して實施せらるべき民防空の基礎法として今日に及んだのであるが、今や終戰に伴ひ民防空は全く其の必要性を喪失した、從つて今日之を廢止する爲に本法案を提出した、唯防空に於ける建築の制限に關する規定は本來都市計畫法に規定せらるべきを妥當とするものであつて、防空法廢止の後は之を都市計畫上の制度に移行する必要があるので、此の新制度に移るべき暫くの間效力を保持せしめる爲に經過規定を設くると共に、扶助金、補助金、其の他金錢支拂にして既に支拂義務あるものは、防空法廢止後と雖も之が支給を爲す必要がある、又是等に對しての訴訟に付ても、それぞれ所定の期間は出訴權を認める要があるので、是が爲必要なる經過規定を設けたと云ふことでございます、質問と致しましては、兩委員より、戰災跡地の復興と都市計畫とに付きましての質問に對して、内務當局は前者は戰災復興院、後者は内務省の仕事である、内務省は國土計畫と云ふ見地から、戰災復興院の計畫は之を見て居ると云ふ答に對して、重ねて同委員より戰災復興院の仕事の重要性を述べられまして、復興を單なる燒跡の整理復舊と考へずに、國土計畫上の緊要なる問題であると云ふことを銘記して貰ひたい、之に付ては、内務省は戰災復興院に大なる發言權があると云ふことを能く承知して貰ひたいと云ふことを強調せられました、又強制疎開に關しまして、其の後の状況、扶助金、辨償金等の豫算竝に支拂關係、疎開地の利用の現状、地代、期限等に付て質問がありましたに對しまして、詳しく答辯がございましたが、尚豫算は不足致して居ります現状なので、次の議會に要求をする豫定であると云ふこと迄言及されて居ります、後は速記録に譲ります、大日本航空株式會社法廢止法律案に付きましては、商工大臣より次のやうな説明がございました、大日本航空株式會社は、國際航空の東亞に於ける發達、列強の進出等に鑑みまして、内外航空路の開發をやる爲に設けられた本邦唯一の航空會社であるが、敗戰に依り、聯合國より一切の航空を禁止せられ、本會社も既に十月末日に解散をして居る、目下清算手續中である、從つて不用となりたる本會社法を廢止する、但し附則は經過的に之を殘す、質疑の中に同會社解散に伴ふ株主への配分の程度は如何と云ふ問に對しまして、命令に依る投資に對しては、政府は之を補償する義務があると考へる、聯合國に引渡した財産、之に付ては早急に換價處分が困難な爲、其の他色々の事情で、差向き株主に多くの配分をする餘裕はないと思ふ、又會社の從業員の身上に關します問に對しましては、戰時中は全部軍屬待遇にしてあつた、解散前に全部解傭の手續を執つた、操縱員等特殊の技術者の轉職に付ては、必ずしも滿足すべき現状ではない、善處したいと考へて居るけれども、なかなかむづかしい問題があると云ふやうなことでございました、石油業法外十三法律廢止法律案に付きましては、商工大臣から詳しい説明が先づございました、商工省關係の法律案の内容は戰時色濃厚な法律であつて、此の際廢止しても別に混亂が起らぬ性質のものを撤廢する、石油業法外九事業法、軍需會社法、輸出入品等臨時措置法、國家總動員法第十八條の規定に依る法人等をして行政官廰の職權を行はしむることに關する法律及び石油專賈法の廢止が是である、第一に石油業法外九事業法の廢止であるが、各種事業法共通の内容は、軍需生産増強の爲事業開始の許可制の採用、免税其の他の經濟上の特典を賦與する、又事業に對する監督規定を置くと云ふやうなことである、併しながら終戰と共に經濟の基調に變化を來し、法律の規定を以て許可制を採用することは不適當であり、免税其の他の經濟上の保護も企業の自由なる活動を基本とする今後の經濟の下に於ては、當然撤廢すべきものであるとて、戰時に於ける石油業法其の他九事業法の各各の特質に付て詳しい説明がございました、各事業法に對しての説明を略します、第二に軍需會社法は、軍需生産増強の爲に、軍需企業に付生産責任體制を確立せむとしたものであるが、戰爭終結と共に、斯かる戰時中にのみ存續の意義を有する法律は之を殘置するの必要は全然失はれたので、既に二十年八月十五日附を以て軍需會社の指定の取消を實施した結果、本法は死文と化して居る、但し損失補償の問題に付ては、廢止法案中に經過規定を設けてある、次に輸出入品等臨時措置法は、其の基礎たる國家總動員法の廢止が此の議會に提案せられて居り、終戰後斯かる戰時立法は廢止せられるのが當然である、唯終戰後未曾有の窮境に惱む我が國の經濟に於て、物資統制の枠を今直ちに撤廢することは許されない、從つて經過規定として同法廢止の際現存する命令に付ては、六箇月を限り其の效力を有するの暫定措置を講じて居る、併し終戰後廢止するも支障なきものは逐次撤廢致して居る、次に昭和十七年法律第十五號、即ち重要産業團體令に依る統制會に行政官廰の權限を行はしむることを規定した法律の廢止でありますが、是は統制會廢止に付ては、未だ聯合國側とも打合せ中である、各統制會自身もそれぞれ自主的團體に改組せむとする機運強きに鑑みて、戰時統制の殘渣である權限委譲の法律を撤廢するのである、最後に石油專賣法の廢止に付てでありますが、戰時中逼迫せる石油の軍需産業等への供給を迅速的確に行ふ爲、之が管理把握の徹底を期する爲、專賣制度を採用するに至つたのである、併しながら斯かる措置は戰時中の必要に基く變則的なものであって、且專賣制の運用自體も政府自身に貯油設備及び輸送設備等の施設を有せざる爲、殆ど其の實效を擧げ得なかつたものであるが、終戰と共に能ふ限り自治統制に移行する爲、國家專賣の方式を撤廢せむとするのである、之に對しまして各委員より、單り法律案の内容に付てのみならず、商工行政の全般に亙りまして熱心なる質問がありました、其の主なるものを申上げます、液體燃料に關しまして今後の見透しはどうかと云ふのに對しまして、政府は國産原油の不足分は輸入に待たざるを得ない、此の爲只今聯合軍司令部に要請中である、人造石油事業の將來に付きましては只今の状況から擴張は不可能である、又原價高の爲に將來普通の方法では迚も算盤に乘らない、從つて只今ある設備の大部分は、之を人造肥料工業の方に轉換をする、軍需會社の補償の問題に付きましては、大藏當局と連絡を取つて、補償委員會と云ふものを作つて審査したいと考へる、命令に依る工場疎開等の費用は、嚴重に之を査定した上に補償したいと思ふ、査察制度に付ては近く實行に移したい、戰災地に於ける金屬囘收の現状は極めて遲い、運諭其の他の事情で已むを得ない點があるけれども善處したいと思ふ、統制會の將來に付きましては、可及的速かに之を廢止することとして只今折角聯合軍司令部と折衝して居る、尚各法律、特に製造法關係等の戰時中に擧げました功績、色々許可の數でありますとか、或は石油專賣法等に付きましては、扱つた石油の量、金額、色々な數字的な説明がございましたけれども、時間の關係上速記録に譲つて、報告を終らして戴きます、以上で初めに申上げましたやうに、全法律案を總て原案通り可決すべきものと議決をした次第であります、是で報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=18
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019・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 別に御發言もなければ四案の採決を致します、四案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=19
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020・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=20
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021・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに各案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=21
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022・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=22
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023・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=23
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024・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=24
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025・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 四案の第二讀會を開きます、御異議がなければ全部を問題に供します、四案全部、委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=25
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026・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=26
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027・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに各案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=27
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028・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=28
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029・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=29
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030・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=30
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031・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 四案の第三讀會を開きます、四案全部、第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=31
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032・徳川圀順
○議長(公爵徳川圀順君) 御異議ないと認めます、次會の議事日程は、決定次第彙報を以て御通知に及びます、本日は是にて散會致します
午前十時三十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008903242X00819451211&spkNum=32
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