1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
鹽專賣法中改正法律案(政府提出)(第一〇號)
昭和二十年法律第十八號中改正法律案(昭和二十年度一般會計歳出の財源に充つる等の爲の公債發行に關する件)(政府提出)(第一六號)
貿易資金設置に關する法律案(政府提出)(第一九號)
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昭和二十年十二月十二日(水曜日)午前十時四十一分開議
出席委員左の如し
委員長 崎山嗣朝君
理事 田村秀吉君 理事 西川貞一君
理事 小野秀一君
赤松寅七君 片山一男君
佐久間道夫君 深澤吉平君
池田正之輔君 永山忠則君
松浦伊平君 池本甚四郎君
川俣清音君
同月十二日貿易資金設置に關する法律案(政府提出)の審査を本委員に付託せりれたり
國民貯蓄組合法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)の審査を本委員に付託せられたり
出席政府委員左の如し
大藏政務次官 由谷義治君
大藏省外資局長 野田卯一君
專賣局長官 植木庚子郎君
專賣局部長 長沼弘毅君
委員長の許可を得て出席したる者左の如し
商工書記官 石原武夫君
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本日の會議に上りたる議案左の如し
鹽專賣法中改正法律案(政府提出)
昭和二十年法律第十八號中改正法律案(昭和二十年度一般會計歳出の財源に充つる等の爲の公債發行に關する件(政府提出)
貿易資金設置に關する法律案(政府提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=0
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001・崎山嗣朝
○崎山委員長 是より委員會を開會致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=1
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002・由谷義治
○由谷政府委員 大藏大臣が豫算總會に出席して居りますので、私から提案の理由を説明することを御許しを願ひたいと思ひます、本委員會に付託せられました鹽專賣法中改正法律案外二件に付き、其の提案の理由を御説明致します
先づ鹽專賣法中改正法律案に付き説明致します、本會議に於ても申上げました通り、終戰後我が國に於ける鹽の供給は、海外よりの輸入杜絶、國内生産の減退に依りまして極度に減少致して居ります、殊に去る九月十七、八兩日の瀬戸内海周邊地區を襲ひました颱風に因りまして、主産地方の鹽田は未曾有の損害を被り其の生産に及ぼす影響は甚大なるものがございます、一方需要方面に付きましては、食料用鹽として國民の生理的所要量は絶對に之を確保すべきは勿論であり、工業用鹽としても、民生安定上必要なる限度は、之を輕視することが出來ないのでありまして、食料用及び工業用を通じまして、最低限度の鹽の供給は是非とも之を確保しなければならないのでございます、仍て政府は罹災鹽田の急速なる復舊を促進すると共に、所謂自給製鹽を強力に推進する等、各般の措置を講じて居る次第であります、然るに自給製鹽に付きましては、官民一致の努力に依り其の成果も或る程度擧つて來たのでありますが、所期の目標達成の爲には今後尚ほ一層強力に之を推進する必要がございますが、此の自給製鹽は戰時行政特例法に基き、鹽專賣法の特例として實施せられて居るのでありましたが、今囘之を鹽專賣法自體に、是が實施に必要なる法制的措置を講ずることとしたのであります、是と共に從來著しく低廉に失する鹽の價格を相當大幅に引上げまして、鹽の生産意欲の昂揚を圖り、自給製鹽の普及に努め、他面鹽の效率的利用と消費節約とを一層國民に徹底せしめ、併せて累年赤字續きの鹽專賣收支の改善に資するの必要があるのでございます、現行法に於きましては其の第十八條第二項に「鹽の賣渡價格は、賠償價格に對し一石當り二圓五十錢、百斤當り一圓四十八錢の割合の金額を加算したるものを超えて定むることを得ず」と規定し、極めて窮屈なる制限を設けて居りますので、此の際當分の間右の制限規定を適用せず、諸般の見地より最も妥當なる賣渡價格を決定し得るの途を開く必要があるのでございます
次に昭和二十年法律第十八號中改正法律案に付き説明致します、昭和二十年度一般會計歳出の財源に充つる等の爲の公債發行に關する法律は、曩に第八十六囘帝國議會の御協贊を經まして、二月十五日法律第十八號及び三月二十八日法律第三十三號を以て公布せられて居るのでありますが、今囘提出致しました昭和二十年度歳入歳出總豫算追加案第二號に計上してあります經費の總額二億五百四十餘万圓に付きましては、其の全額を公債財源に依るの必要がありますので、同法第一條に規定する公債の發行限度を二億五百四十萬圓だけ増額致します爲め、本法律案を提出した次第でございます
次に貿易資金設置に關する法律案に付き説明致します、貿易資金設置に關する法律案提出の理由は本會議に於ても申上げました通りでありまして、今囘聯合國最高司令官の指示に基き、政府に於て物資の輸出及び輸入を行ふことと相成りました所、是が運營に付きましては、爲替相場等も未だ決定して居りませぬ現状に鑑みまして、新たに貿易の決濟に關する資金を設け、本資金の運用として輸出物資の買入、輸出物資の引渡に依る外貨の取得、外貨に依る輸入物資の買入、輸入物資の賣却等を行ひ、以て貿易の圓滑なる運營を期するを適當と認めたのでございます、而して本資金の運用に伴ふ歳入歳出は之を爲替交易調整特別會計の所屬とすることと致し、又資金は同特別會計の昭和十九年度の決算上の剩餘金の中より、五千万圓を割いて、之に充當することと致したのでございます、以上三件の法律案に付きましては、何卒御審議の上御協贊あらんことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=2
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003・崎山嗣朝
○崎山委員長 先づ鹽專賣法中改正法律案から審議に入りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=3
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004・片山一男
○片山委員 最近に於ける鹽の需給状態は洵に憂ふべきものでありまして、今日主要食糧の増産に對しましては國を擧げて大問題となつて居るのであります、私は此の主要食糧の確保も絶對に必要でありますが、或はそれ以上に私共が生きて行く上に於て鹽の方が大事であるのではないかと私は信じて居る者であります、此の主要食糧を如何に増産致しましても、又代用食物を如何に多量に造りましても、鹽がなかつたならば生きて行くことは出來ないのぢやないかと云ふやうなことも考へられますので、昨今の鹽の不足は、米の闇値段と照し合せても、或はそれ以上に今日は上廻つて居ると云ふ状態であります、中國地方に於きましては御承知のやうに、風水害に依つて鹽田が非常な災害を被りました關係もありませうが、既に今日三十里の道を瀬戸内海の鹽水を汲んで來て居ると云ふやうな状態に置かれて居るのであります、そこで其の鹽の需給状態の數字に付きましては、一昨日の豫算總會に於て大體御發表になりましたが、政府は國内に於ける下半期の鹽の需要量に對しまして、配給計畫は三十九万「トン」を必要とするとのことでありましたが、專業製鹽八万「トン」、自給製鹽四万五千「トン」、輸入二十六万五千「トン」で大體賄つて行く、其の中の輸入は漸く二千「トン」を輸入したのみであると云ふ、心細い御報告であったのでありますが、國内産鹽より輸入が其の二倍を必要とするのに、漸く二千「トン」位しか輸入されて居ないと云ふのでありましたならば、眞に國民は生きて行かれるでせうか、茲に私は實際的に不安を感じて居るのでありますが、第三、第四、四半期の配給計畫を十三万五千「トン」とせられて、前期の繰越が二万「トン」、專賣製鹽が二万「トン」、自給製鹽が五万「トン」、斯う云ふ御計畫の下に合計九万「トン」と云ふものが大體出來る見込の下に、更に輸入を四万五千「トン」必要とすると云ふのでありましたが、是は聯合國の御諒解は得ては居られることと思ふのでありまするが、前期の實績から考へて、果して此の四万五千「トン」が輸入出來る見込があるのでありませうかどうか、是は船舶の關係、色々の都合もあるのでありませうが、此の點に對して先づ御見透しの點を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=4
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005・植木庚子郎
○植木政府委員 鹽の問題に付きましては、食糧以上に或る意味から考へれば大事なのではないかと云ふ御話でございますが、全く仰せの通りでございまして、食糧の問題に付きましては、何と申しましても代用品もあり得ますが、鹽に付ては代用品と云ふものが全然考へられない問題でございます、隨て此の鹽がなくなるが爲に、我々國民の生活に及ぼす影響と云ふものは、實に深刻なるものがあるのでありまして、其の點に於きまして我々當局と致しましても、今日鹽の需給状況が非常に逼迫して居ると云ふことに付きましては、甚だ申譯なく存じて居る次第であります、之に付きまして鹽の輸入の見透し如何と云ふ御質問でございますが、本年度の第三四半期に於きましては、今日までの所、過日他の席でも申上げました通り、二千「トン」餘の輸入に止まつて居りますが、第四四半期に於きましては、我々希望の數字を聯合軍司令部に對し申入れまして、さうして色々懇談も重ね、要請も致し、何とかして比の輸入を實現して行きたい、斯様に存じて居るのであります、幸ひにして釜山には若干の鹽があるやに考へられますので、差當り手取早い所と致しましては、釜山にある鹽を何とか内地に持つて來ると云ふことを考へて行きたいとも思つて居ります、又支那に於きましては、青島には十數万「トン」の港頭貯鹽があることも略略明かになつて居ります、隨て凡ゆる工夫を致しまして、是等の鹽を内地へ持つて來ると云ふことに付ての努力を、是非ともやつて參りたい、斯樣に存じて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=5
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006・片山一男
○片山委員 どうか御話の通り、私共輸入と云ふことに依つて、鹽の問題がここ當分は是れ以外には方法はない、斯う信ずるものでありまするから、十分な御交渉が出來て居る、又御取計らひが出來て居ることと思ひまするが、比の上とも一段と御努力を願つて、鹽の不安のないやうに一つ十分に御配慮を願ひたいと思ふのであります
次に日本の國内に於ける食料鹽を、絶對に確保すると云ふ御方針でありますが、そこで最低限度の鹽を確保すると致しましたならば、日本に七千七、八百万の人口があると致しまして、實際四百五十「グラム」、或は五百「グラム」を以て一箇月の絶對最低量と致しましたならば、其の人口に對するものが要ると思ふのでありますが、それが果して今御計畫になつて居るやうな所で十分に確保出來るのでありませうか、此の點を一つ伺ひたいと思ふのであります、最低必要量が實際に一箇年に日本國民全體として、何ぼ要るかと云ふことを、一つ聽きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=6
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007・植木庚子郎
○植木政府委員 食料用鹽と致しまして、我々國民の要する最小限度の數量如何と云ふ御質問でございますが、鹽の使用方法に付きましては、從來の使用方法には色々無駄な點もあります、隨て是が最小限度に切詰めた場合に一體どの程度になし得るかと云ふことに付きましては、非常に問題が多いのであります、隨て寧ろ我々の食生活に於きましての鹽の使ひ方と云ふものの姿を眺めて見ますと、昭和十八年度に於きましては、大體に百十万「トン」程度の食料用鹽を使つたのであります、それが昭和十九年度に於きましては、九十二万「トン」ばかりの食料鹽を使つて居ります、昭和二十年度に於きましては、御承知の通り年度初めは戰爭の最中でございまして、當時に於ての鹽の生産見込、或は輸入可能見込等を考へまして、非常な消費規正をせざるを得ない姿に相成りました、そこで年度初めと致しまして、昭和二十年度假に戰爭が継續致しました場合に、どれ位の食料鹽を是が非でも確保したいかと云ふ場合に考へました數字は、實は六十五、六万「トン」程度のものを考へたのであります、六十五、六万「トン」と申しますと、一番最近に於きましての十九年度の九十二万「トン」、十八年度の百十万「トン」に比べまして、相當な激減でありまして、是では果して國内に萬遍なく總ての國民に鹽を行渡らし得るかどうかと云ふことに付ては、非常なる不安な數字でありまして、斯くの如き數字は、是は假に戰爭が續いて居るやうな場合でありますれば、是は忍ばなければならぬ、或は忍ばざるを得ないと云ふ結果になつたかも知れませぬが、併し終戰後の今日、我々計畫を立てるものと致しましては、少くとも年に九十万「トン」の鹽と云ふものは是が非でも必要なものだと斯樣に考へるのであります、日本人一人の身體所要量が月當り五百「グラム」六百「グラム」と云ふやうなことから、人口に割掛けて計算致しますれば、數字と致しましては五十万「トン」餘、五十五、六万「トン」でありますから、其の程度のものが最小限度であらうと云ふやうに見えるのであります、併し五百「グラム」とか、四百五十「グラム」とか申しまする數字は體内に攝取すべき鹽分の量でありまして、それだけの鹽分を體内に攝取する爲には、鹽と致しましては概ね其の倍見當のものを考へて行かなければ體内に攝取出來ないのであります、隨て五十五、六万「トン」の倍、約百万「トン」或は百十万「トン」、或は少し遠慮しても九十万「トン」と云ふやうな數字が、最小限度と考へて宜いのではなからうかと我々としては存じて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=7
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008・片山一男
○片山委員 能く分りましたが、そこで民生安定の爲に必要な工業用の鹽、此の工業用の鹽が最低今日の考へに於てどの位のものを必要と致しますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=8
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009・長沼弘毅
○長沼政府委員 終戰後、日本の工業の生産能力から申しますると、實は破壞其の他色々な惡條件が備つて居りますので、具體的な數字を申上げ兼ねるのでございますが、一般的な状況から考へまして、假りに食糧鹽百十万「トン」年間所要量を要ると考へますと、工業鹽は百万「トン」が先づ常識的に所要量であると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=9
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010・片山一男
○片山委員 何れに致しましても少くとも日本國民が、今後生きて行きまするには工業鹽、或は食糧鹽を加へて二百十万「トン」の所要量と云ふことになりますと、今日の鹽田の状態、或は自給製鹽、輸入の現状等を考へて見ますと、日本が鹽を獲得する見込みに於て、遙かに少い數字ではないかと云ふことが想像出來ますが、是等に對しては十分なる施策を研究されまして、是非鹽の獲得に一つ御努力を一段と願ひたいと思ふのであります
次に御願ひ申上げたいのは、本年の九月十七、八日の風水害と云ふものは最近四十年間にない大暴風雨であつたのでありますが、此の風水害に依つて鹽田の被害は、大變なものだと云ふ御説明がありましたが、此の鹽田の被害状況、即ち其の反別及び其の爲に製鹽が、どの位減産致しましたかと云ふことを先づ御聽きしたいと思ひます、それから之を復舊するに如何程の補助金を要するか、又被害鹽田は大體復舊せしむるとして是は何年間の計畫でやられるのでありますか、さう云ふ一つの豫定を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=10
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011・植木庚子郎
○植木政府委員 去る九月十七、八日の鹽田被害の計數を申上げますと、岡山、兵庫、廣島、山口、香川、愛媛、徳島、大分、鹿児島、此の各縣の鹽田面積四千「ヘクタール」に對しまして、被害を生じました面積は約千八百町歩でございます、減産の數量と致しましては、大體の見込が九万五千「トン」位の減産にならうか、斯う云ふ風に考へて居ります、尚ほ罹災鹽田の復舊の見透しと致しましては、當局及び鹽業者お互に協力しての努力の目標と致しましては、大阪の地方專賣局管内に於きましては稍稍被害が大きくございましたので、昭和二十一年の一月を目標として居りますが、廣島、高松の地方專賣局管内に於きましては、是が非でも本年末までに復舊をしてしまはう、其の他の地域に於きましては昭和二十年の十一月末を目標として既にそれぞれの手配を致して居ります、是は何れも非常なる努力がなければ出來ない目標でありますから、若干は是等の目標よりも遲れるものと考へる次第であります、復舊の所要經費と致しまして四千三百万圓、之に對しましての補助豫算額三千五百餘万圓を、別途豫算に於て要求致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=11
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012・片山一男
○片山委員 どうか至急に一つ是等の鹽田の復舊に馬力を掛けて貰つて、鹽の生産を確保せられんことを希望致します、更に御尋ねしたいことがありますが、政府は新に鹽田を新設せしめると云ふことになつて居りまするが、之にはどの位の鹽田を作る總面積になつて居るのでありまするか、さうして反當りはどの程度の補助金を出して作ることになつて居るのか、又それは大體何年間位の豫定で全體の新鹽田を作る豫定になつて居るか、其の點を一つ伺ひたい、それから出來上るに從つてどの位の生産量を見込まれて居りますか、此の點を御聽きしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=12
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013・植木庚子郎
○植木政府委員 現在我々當局の持つて居りまする計畫と致しましては、昭和二十年度、昭和二十一年度と概ね此の二箇年度間に是非とも所要の設備能力を完成したい意気込みで計畫致して居ります、其の計畫に依りますると、所謂鹽田に依るものの外電氣製鹽であるとか、其の他温泉熱利用の製鹽であるとか、或は軍需工場の轉換設備を利用しての製鹽であるとか、色々な種類がございますので鹽田面積は幾らかと云ふことは一寸御答へ困難でございます、併しながら所要の設備費總額として考へて居りますのは、二十年度、二十一年度を通じまして十億六千万圓の設備所要總額でございます、之に對して補助金の所要見込は八億數千万圓でございます、若し是が完成致しますれば、之に依つて年産の能力と致しましては九十餘万「トン」と云ふものを新たに擴張して行きたい、斯う云ふ計畫を持つて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=13
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014・片山一男
○片山委員 能く分りました、どうか計畫の齟齬を來さないやうに御進行を願ひたい、次に自給製鹽の成績でありまするが、是は今日までは相當宣傳もし、色々な手を打つてあつたやうに考へまするが、其の成績が餘り今日まで良くなかつたのではないか、期う云ふ風に私共は考へて居るのでありまするが、當局の之に對する御所見を承りたいと思ひます、そして今日まで行はれて居りまする所の自給製鹽法の主なものは大體どう云ふものでせうか、そしてそれが大體どれ位な筒所と言ひませうか、數が出來て居りますか、そしてそれ等から生産せられた大體の數量が今までどれ位出來て居りますか、斯う云ふ點を一つ承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=14
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015・長沼弘毅
○長沼政府委員 私共考へて居りました自給製鹽が、御説の如く期待の如き成績を擧げ得なかつたことは、遺憾至極に存じて居りますが、本年初頭から全般的の國民運動と致しまして、極力自給製鹽の推進を圖つて參つたのでありますが、最近までの所は、何分にも技術上の問題も十分に解決されませぬ爲に、海濱の地方に於ける小規模のものが多數であつた譯でありまして、技術の相當備はりました大規模の製鹽と云ふものは、現在著々計畫致して居りますのでありますが、是から生じまする生産と云ふものは、まだ十分に至つて居らぬと云ふ現状でございます、御尋ねの現在まで大體出來上つて居りまする箇所は、一万五千箇所程度のものは確認されて居ります、是から出て參ります數量の問題でございますが、是は實は極めて捕捉が困難でございまして、小規模のものは一々確認することは非常に困難であります、のみならず正直な報告を致しますると云ふと、それを取上げられると云ふやうな虞を抱いて居りまする爲に、はつきりした報告を寄越さぬと云ふやうな問題もございまして、實情が甚だ不明確になつて居るのでありますが、私手許に持つて居りまする資料から申しますると云ふと、四月から九月までの生産實績は大體一万「トン」乃至一万五千「トン」程度のものがはつきり確認されて居るのであります、でございますが、私共はつきり掴み得ない數量は尚ほ此の數倍あるのではないか、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=15
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016・片山一男
○片山委員 自給製鹽と云ふ問題は、今日鹽の不足から大變な威力を以て擡頭して來て居るのでありますが、どうか此の點は尚ほ十分に、是等の希望者に極力施設を行はしめて、さうして増産を圖られんことを望むのでありますが、自給製鹽の目的を達しますには、私は今後はどうしても今日の電氣力の情勢から考へまして、電氣製鹽に依る外はないと思ふのでありますが、電氣が鹽になると云ふことになるのでありますから、電氣が茲で當然絶對に必要であると云ふことに結著するのでありますが、此の電力は十分あるのでありませうか、さうして電氣製鹽をする製鹽用の電力はどの位を見込まれて居りまするか、此の點を一つ御聽きしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=16
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017・長沼弘毅
○長沼政府委員 只今の所電氣製鹽として考へて居りまするのは、大體二十万「トン」でございますが、一「トン」當りの電力の使用量を、平均少し甘く見まして三万五千「キロアワー」と云ふ計算を致しますと、約七十億「キロ」時の電力を必要とする譯でございますが、現在の所から申しますと、此の程度の電力でございますれば、先づ安心して宜いのではないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=17
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018・片山一男
○片山委員 次に專業製鹽のことに付て御尋ね致したいと思ふのでありますが、此の專業製鹽の燃料として先づ石炭が絶對に必要でありますが、今日の石炭飢饉から考へて見まして、石炭の確保が出來て居るかどうか、此の點を一つ承りたい、そして其の石炭は大體どの位な「トン」數を見込まれて居るのであるか、斯う云ふ點を一つ御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=18
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019・長沼弘毅
○長沼政府委員 石炭の問題でございますが、是は御承知のやうな石炭事情でございますので、私共所要の石炭を常に物動上の割當に於きましても百「パーセント」割當を受けましたことはないのでございます、大體に於て第一四半期、第二四半期に於きましては、所要の石炭量の七〇%乃至八〇%の物動上の割當を受けて居つたのであります、鹽一「トン」大體石炭一「トン」と云ふ計算で計畫を立てて居るのでございますが、此の入手の實績は、第一四半期、第二四半期を通じまして、約四七%——半分に足らぬと云ふ數字でございます、下半期に於きましては極力斯樣な石炭の問題に關聯しました隘路を打開致しまして、現物を獲得することに努力を致して居るのでございますが、第一の問題は機帆船に依ります輸送力を極力増して行くと云ふことでございます、是は御承知の如く終戰直前に於きましては、瀬戸内海が殆ど航行不能の状態に陷りましたので、九州炭及び山口炭共に四國方面及び備州方面に輸送することは、極めて困難な状態になりました、終戰後に於きましては航行の點に於きましては幾分樂になつたのでありますが、機帆船に對しまする統制力と云ふものが非常に弱たなりまして、是れ亦困つて居る次第でございます、私共と致しましては極力山元まで入り込みまして、又若松、宇部等の石炭の發送元に參りまして、極力督促を致しまして、又石炭輸送に關聯のある乗組員等に對しましては、物資の特配等も考慮致しまして、それから又發送元に於きましては、一船々々、是は製鹽用の石炭であると云ふはつきりした確認行爲をして貰ふ、又受取りました方では、それを他の産業に轉用すると云ふことを絶對にしないのみならず、私共自身として機帆船等の輸送力を直接持つ必要があると考へますので、外廓團體でございます鹽業組合中央會に機帆船を入手致させまして、尚ほ農林省等の御配慮に依りまして油等も入手致しまして、直接自分で運ぶと云ふ風なことまでも一緒に考へて、努力致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=19
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020・片山一男
○片山委員 御話を承りましたが、輸送力が最も隘路になつて居るやうな御説明でありましたが、昨日の豫算總會では、運輸大臣から機帆船が非常に澤山餘つて居ると云ふ御説明がありました、斯う云ふ點をどうか拔かりなくやつて戴いて、製鹽用の石炭を運ばれたら、もつと旨く行くのではないかと考へられますが、斯う云ふ點に一段と御努力を願ひたいと思ひます
次に御尋ねしたいのは、自給製鹽の生産費と云ふものは、是は製鹽方法に依つて差がありませうが、大體どの位になつて居りませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=20
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021・長沼弘毅
○長沼政府委員 御説の如く是は地方に依り、又方法に依りまして非常な差がありますが、大體の所今買上値段を一應六百圓と考へて居ります、一「トン」當り六百圓で大體賄つて行けるものと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=21
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022・片山一男
○片山委員 私共は六百圓は少し安いのではないか、迚もそれでは出來ない、少くとも千圓位は掛るのではないかと考へるのでありますが、政府が六百圓で之を買上げると云ふことは、自給製鹽を奬勵して居ながら、經營者が損をすると云ふ状態になるのでありまするから、自分の必要なものは造るけれども、必要以外のものは造らないと云ふことに陷りはしないかと考へられますが、今少し買上値段を變更される御意思はないでせうか、此の點を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=22
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023・植木庚子郎
○植木政府委員 自給製鹽に依る生産鹽の買上價格六百圓が安過ぎると云ふ御話でございますが、此の點に付きましては、我々の方でも折角各地の實情、製鹽方法等の内容を調べまして、能ふ限り善處を致したいと考へて居ります、勿論「トン」當り六百圓で足りない、千圓も掛るではないか、或は千五百圓も掛るではないかと云ふやうな話も實は我々既に承つて居るのでありまして、其の所要生産費の内容等を色々打合せして、こちらで納得の行くやうな内容であります場合には、適當な價格で買つて行くと云ふやうなことを致して居ります、又今後も其の方針で居るのでありますが、唯内容のはつきり分らぬ部分が現在の所大部分であります爲に、大部分は買つて居る場合でも、六百圓、但し若干の例外としては、千圓を越えて買つて行くと云ふやうな例も一、二例ないではないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=23
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024・片山一男
○片山委員 次に承りたい問題は、沿岸町村には鹽の配給を禁止されて居るのでありますが、是は今後ずつと續けられる豫定でありまするか、或は相當の量が出來たならば無論御止めになると思ひますが沿岸の者で鹽に直接關係のあるものはそんなに窮屈でもないのでありますが、關係のない沿岸民も相當澤山あつて困つて居ると云ふ状態でありまするが、是等に對して特別の考へを御持ちになるやうな御考へはありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=24
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025・植木庚子郎
○植木政府委員 沿海地方に付きましての官鹽の配給問題に付きましては、それぞれ各地の地方專賣局長と當該地方長官と能く相談の上配給するか、或は配給を減らすか、或は配給なしにするかと云ふ方法を打合せをしてやつて居ることになつて居ります、隨て全國の中で所に依りますと、沿海地方に全然官鹽の配給をして居らぬ所もあるやうに聞きますが、所に依りましては唯配給の量を減らしただけでやつて居る向もあります、又府縣に依りましては、全縣一律に或る程度の官鹽の量を配給を減すと云ふやうなやり方をして居られる所もあります、なぜ沿海地方に對する官鹽配給を減すなり、なしにするかと云ふことを地方專賣局長と府縣長官と、相談の上やるやうなことに致したかと申しますと、是に付きましては、何と申しましても自給製鹽の普及推進を圖る上に於きまして、鹽が造れる所の沿海地方民に於ては是非一つ自分の鹽は自分で造つて戴きたい、斯う云ふ考へを前提と致しまして、それには官鹽が安く手に入つたのでは中々自分で高い經費を掛けて鹽を造ると云ふ氣にはなれませぬ、是は人情の弱點であります、そこで此點を考へまして、成べくさう云ふやうな施策もやつて見ようかと云ふやうな心構へから、今申したやうな實情にあるのであります、併し我々當局と致しましては、其の爲に當該地方の方々に、全然鹽が行渡らぬと云ふやうなことがあつては是亦申譯がないと考へますので、斯樣な場合に於きましても、或る程度の鹽は當該沿海地方の專賣官署なり賣捌所と云ふ方面に手持をさせて置いて、どうしても困ることが起つた場合には當該官鹽を配給するやうな措置を後楯として講じて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=25
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026・片山一男
○片山委員 御説を拜聽しましたが、國民生活の上に最も必要なものであります鹽が、自給製鹽をやる者は自ら非常な犠牲を拂つて鹽を取ることが出來ると云ふことは、國民が公平なる負擔をすると云ふ上に於て、そこに自ら差別を生じて來ると云ふやうなことは、專賣法を布かれて居る上に於ては私はいかぬと思ふ、どうか斯う云ふ點に對しては、地方民の不平の起らないやうに、一つ御施策を願ひたい、斯う思ふのであります
次に農村に對する問題でありますが、沿岸でない所の農村は今日も漬物であるとか、或は味噌とか醤油等を造ると云ふ季節に入つて居るのでありまして、今日鹽がなくて折角の漬物も出來ない、或は味噌も造れない、醤油も仕込めない、斯う云ふ状態にあるのでありますが、何とかして斯う云ふ時期に特配をやつて、一時繰替へてでもやらすと云ふやうなことは、今日出來ない状態にありますか、或は幾分かでもそれはやつてやると云ふことが考へられないでせうか、此の點承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=26
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027・長沼弘毅
○長沼政府委員 實は越冬用の爲の野菜の貯藏と云ふことから考へまして、第三四半期は最も農村に於ける鹽の必要な時期でございます、例年相當の特配を致して居るのでございますが、今年は先程申上げましたやうな點から致しまして、思ふやうに參らなかつたのでありますが、越冬用の漬物の相當部分は賄へるやうな配給の手配を現在致してございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=27
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028・片山一男
○片山委員 どうか御特配を願ひたいと思ひます、次に今囘改正法案に出て居ります鹽の大幅値上の問題でありますが、是は御説明にもありました如く、色々な觀點から値上をなさるのでありますが、此の値上は現在の値段から幾許を引上げられるか、此の點伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=28
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029・植木庚子郎
○植木政府委員 政府鹽の賣渡價格の値上の問題は、まだ當局として確定的に此の程度と云ふ腹案は持つて居りませぬ、何れ其の數字を決める場合には、適當なる民間の方々或は貴衆兩院の議員の方々、或は若し其の際不幸にして現職の方が居らなければ、それぞれ適當なる經驗を持たれた方々に御集りを願ひまして十二分に御意見を承つた上で決定したい、斯樣に考へて居ります、唯極めて大雜把なことを申上げますと、現在の價格から少くとも四、五倍若し許されるならば更に倍數を高く上げざるを得ない状況であらうかと想像致される次第であります、尚ほ此の機會に先程私の御答へ申上げました鹽田の被害面積の數字が、一寸間違つて居りましたから訂正さして戴きたいと思ひます、大體先程擧げました鹽田面積四千「ヘクタール」の中被害面積千八百「ヘクタール」と申上げましたが、二千八百「ヘクタール」の間違ひでありますから訂正致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=29
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030・片山一男
○片山委員 政府は国民生活に必要な鹽を造る爲に、色々な施策をされて買上等に對しては、特別な手段を講ぜられて居る爲に、自然茲に相當な缺損を生じて居る、さう云ふやうなものも埋合すと云ふやうな意味からも、大幅の引上をすると云ふ御説明でありましたが、私共は既にもう支拂つた缺損を今後上げて行く鹽の利益を以て、之を補填すると云ふやうな吝な御考へを御持ちにならずに、是は少くとも國庫負擔にしてしまつて、今後上げるものは成べく上げる値段を少くして、政府は鹽の專賣で利益を絶對に取得する考へを持つ必要はないと私は考へて居るのであります、是は國民生活の上から斯う云ふものから利益を少しでも見ると云ふ考へ方から値上をされると云ふことは、甚だ遺憾に存ずるのでありますが、斯う云ふことは絶對にないと信じて居りまするが、大幅引上に依つて相當の利益を見込まれて居るのでせうかどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=30
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031・植木庚子郎
○植木政府委員 御趣旨に於ては全く仰せの通りに我々も同感して居るのでありまして、只今の所政府と致しまして賣渡價格の引上に依つて、利益を得ようと云ふ程のことは考へて居らないのでございます、成べく國庫の負擔を緩和したいと云ふ考への下に善處して行く積りであります、次に賣渡價格の引上が過去の穴埋を考へて居るかと云ふことに對しましては、寧ろ考へて居らないと申上げて宜いと存じます、唯場合に依りますれば昭和二十年度に於きまして、自給製鹽の設備補助金として相當の國庫負擔を致しますが、斯う云ふ部分に付きましては、若干之を加味せざるを得ないのではなからうかと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=31
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032・片山一男
○片山委員 御答辯にもありましたやうに、鹽に依つて利益を得ると云ふ考へを持たないと云ふことは、洵に結構だと思ひますが、どうかさう云ふ意味に於ての、必要經費の引上程度に止めて戴くことを特に申上げて置きたいと思ひます、次に私共は此の鹽の專賣を廃止される意思はないかと云ふことを問うて見たいのであります、是は鹽を專賣にされたと云ふことは、日露戰爭後に當時の戰後經營に於ける財政の關係からも一應考へられたのでありますが、官業を民業に移すと云ふことは、今日の場合眞劍に考へて見ねばならない問題になつて居ると思ふのであります、鹽は之を民間に自由に製鹽せしめたならば、專賣よりも成績が擧がるのではないかと考へるのであります、現在の專賣局は唯事務的にのみ陷つて居つて、製鹽業者の所謂企業に對する理解と云ふものが本當に少いのではないか、そこで成績が擧らぬのではないか、斯う云ふことが考へられるのであります、今日は先にも御話がありましたやうに、既に一部には沿岸町村への配給も休止されて居りまするし、一方自給製鹽も認められて居ります、それも著々其の緒に就いて居ります、斯う云ふ工合で既に專賣でなくても鹽は配給され、或は自家製鹽に依つて補はれて居ると云ふやうな情勢から考へて見ましても、之を廢止されると云ふことも一つの考へ方ではないか、又さうする方が宜いのではないか、斯う云ふことが考へられるのでありますが、之に對する御所見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=32
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033・植木庚子郎
○植木政府委員 鹽の專賣事業を拂下げる意思があるかと云ふ御意見でございまするが、之に對しましての我々當局としての目下の考へ方は、未だ其の時期でないと考へるのであります、其の理由として擧げますれば、現在の状態に於きましては、專業製鹽あり、自給製鹽も段々勃興して來たと云ふことは仰せの通りでありまするが、是等の專業製鹽、自給製鹽に付きましても、當分の中相當尚ほ國家の援助を與へると云ふことをやつて行きませぬと、中々其の仕事は困難であらうかと考へられる點が第一點であります、其の次の點と致しましては、配給の問題でありまして、今直ちに專賣の事業を外してしまつた場合に、今日の如き鹽逼迫の状態に於きましては、やはり非常なる配給上の統制が必要と考へられるのであります、現在の專賣制度を外しましては、之に代るものを拵へるのに殆ど專賣でやつて行くと同じやうな統制を必要とする状態であらうかと考へられるのであります、隨て此の際としては專賣事業の拂下をやるのは、まだ其の時期ではないと斯樣に存じて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=33
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034・片山一男
○片山委員 鹽の專賣は廢止するかせぬかと云ふことは、まだ此の時期でないと云ふ御説でありましたが、其の時期は何時でも時期でないとも言へますし、何時でも適當な時期であると云ふことも言へると思ふのでありまして、今日鹽に對して、國民が非常に關心を持つて居る時でありますから、此の際民間事業に移したならば、茲に創意工夫に依つて非常な増鹽が出來る、斯う考へて居る次第でございますから、尚ほ一段と御研究を願つて見たいと云ふことを特に申上げて置く次第であります
次に是は鹽に關係ないのでありますが、是も專賣ですが、大藏大臣は豫算總會で官業の民間への移行に付て説明されて居ります、此の官業の中で煙草の專賣を民間に移す御考へはないかと云ふことを大藏大臣に聽いて見たいと思ふのでありますが、大藏大臣がおいでにならないから、政府委員から御聽きしたいと思ふのであります、煙草は御承知の通り是は一つの事業として成立つて居ります、鹽は前の御話の如く利益を目的として居ないのでありまして、唯公平なる配給が目的であるのでありますから、御説の如く尚ほ必要かも知れませぬが、煙草に至つては是は一つの企業として成立つものでありまするし、さうして民間に此の企業を許したならば、是等の事業に對しては、相當の消費税も取れて參りますから、現在政府が得て居るやうな煙草の專賣收入の點に於ては何等差支ない、斯う考へるものでありまして、品質も官營よりは民營に移された方が、立派なものにもなつて參ると云ふことが考へられますが、是非一つ煙草を民間に移行して行く、斯う云ふ御考へが少しでも今日あるでせうか、御考へになつて居るでせうか、斯う云ふ點を承つて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=34
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035・由谷義治
○由谷政府委員 片山君の御質問に御答へする譯ですが、民間に移して煙草の品質を良くするとか、或は生産量を非常に増すとか、結局民需に適應せしめるやうにと云ふ、此の點からの拂下論は、屡屡別の機會にも拜聽する譯ですが、政府の現在の立場から申しますと、露骨に申上げて煙草の問題は、財政收入の上で非常に大きな、寧ろ絶對的な役割を持つて居ると思ひます、隨て此の際財政的な役割を棄ててしまつて、民間に移すとすると、其の間大變な「ギャップ」が生じて來ると云ふ結論になります、勿論民間に移しましても、消費税等を課して、それで埋合せをすると云ふ手もあらうと思ひますが、中々現行專賣法の如く、手際の宜い財政收入にならぬと云ふこと、此の意味から申しましても、今直ちに煙草專賣事業を民間移讓と云ふことは、許されない客觀情勢にあるかと考へて居ります、尚ほ是は鹽の場合と同じやうに思ひますが、目下のやうな煙草の原料或は生産設備、さう云つた現實の情勢から考へても、詰り戰災後の製造設備或は原料葉煙草の需給關係、斯う云ふ點から考へても、中々配給の面に於て今以上に立派な手段方法は、到底期待し得ないかと思ひます、隨て此の點からも專賣制度を今引放すやうなことは實際上宜しくない、斯う云ふ風な考へ方もあり得る譯でありまして、旁旁今直ちに煙草事業を民營に移すと云ふことは、政府今日の立場に於て考へて居りませぬ、どうぞ御諒承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=35
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036・片山一男
○片山委員 私の質問は終りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=36
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037・崎山嗣朝
○崎山委員長 小野君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=37
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038・小野秀一
○小野(秀)委員 關聯を致して居りますから極く簡單に承りたいのですが、先程電氣製鹽の電氣力量のことを承りましたが、七十億「キロワット」の「キロ」數字が、製鹽「トン」當り三萬五千「キロワット・アワー」を甘く見て居ると云ふことでありますが、是は實際問題に付て照して見ますると、餘り甘くないやうに考へて居ります、是は類推して勘定して見れば分ることでありますが、一體基本の電氣力量をどれだけに置いて、どう云ふ「アワー・ファクター」を「ロード・ファクター」に掛けて居りますか、それを技術的に一寸御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=38
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039・長沼弘毅
○長沼政府委員 大分技術的の問題でございますので、商工省の説明員が參つて居りますから、それに御願ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=39
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040・石原武夫
○石原説明員 今の御質問に對して御答へ致したいと思ひます、電氣製鹽の所用電力量に付きましては、電氣製鹽の方法に依りまして色々相違がございます、現在普通行はれて居りますのは、先づ最初の濃縮から最後の結晶の濃縮まで、全部電氣を使ふ方法でございまして、それに依りますと大體三万「キロ」から四万「キロワット・アワー」、斯う云ふやうな標準になつて居ります、現在其の中間を取りまして、三万五千と踏んで居ります、尚ほ現在我我技術的な研究を進めて居りまして、此の電氣製鹽の過程に於きまして電氣「ボイラー」を使ひますれば、其の所用電力量は大體一萬五千「キロワット・アワー」、其の程度で濟む方法もあるやうでございます、尚ほ結晶の最後の過程に於きまして電力を利用致しますれば、大體「トン」當り五千「キロワット・アワー」位で濟むのでございます、將來は技術の改善に依りまして、消費量は相當低減させ得ると思ひますが、現在の先程政府委員の説明のございました數字は、三万五千「キロワット・アワー」に見込生産「トン」數を乗じまして、七十億「キロワット・アワー」と申上げた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=40
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041・小野秀一
○小野(秀)委員 其の基本の電氣力量をどれだけに置いて居るかと云ふことを、一寸御説明願ひたい、どう云ふ「ファクター」を掛けてさう云ふ七十億になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=41
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042・石原武夫
○石原説明員 一「トン」當り三万五千「キロワット・アワー」に、二十万「トン」の所要生産量を乗じまして、七十億と計算しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=42
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043・小野秀一
○小野(秀)委員 それは分りますが、何万「キロワット」の電氣を使つてさう云ふ數字が出るかが斯う云ふ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=43
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044・石原武夫
○石原説明員 大體現在に於きましては生産量日産一「トン」に付きまして、所要電力は一千三百「キロワット」程度と見て居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=44
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045・小野秀一
○小野(秀)委員 何れ詳細なことは計算して見れば分ると思ひますが、其の點は後で能く承ることと致しまして、次に先程の片山さんの御質問で色々承つて了承は致しましたが、海岸の漁民に對して、或は海岸の住民に對しては、鹽の配給を非常に低減をさして居る、或は全く配給をしないと云ふことでありまして、只今電氣製鹽に對して非常な關心を持つて居りますものは、例へば長野縣であるとか、山梨縣であるとか、其の他割合に水力電氣等は持合せがあるけれども、適當な海岸がないと云ふ爲に、其處に色々な設備物資の面に非常に「アンバランス」がありまして、到底適當なる能率を擧げてやるだけの機械を、其處に包合しないと云ふことがあり得るのであります、そこで一番問題になりますのは、折角山國の者が海岸へ出て行つて電氣製鹽をやる、そこで山國のものでありますから、電力量若しくは勞働力其の他のものに對して、海岸のものに「リンク」を致しまして、例へば薪を供給するとか、或は勞務を供給するとか、或は炭を其の勞務の代りに持つて行つて「リンク」をするとか云ふことにする、是は電力會社とも「リンク」が行はれませうし、又海岸の土地の持主或は漁民等に對して、さう云ふやうな「リンク」が行はれるだらうと思ひます、それに對して出來上りました鹽自體の運搬問題も起つて來るし、それから「リンク」をする物資のことも、其處に生産途上には色々な問題が起つて來るだらうと思ひますが、之に對し例へば鹽は運搬物資としては禁制品であると云ふやうなことが言はれて居りますが、電氣製鹽等に即して山國の者が鹽を持込んで行くと云ふことに對する運搬の問題はどう云ふ風に御考へになつて居りますか、或は之に對して非常な御力を御貸しになる所の方策が講ぜられてありますか、どうでありますか、其の點を一寸承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=45
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046・植木庚子郎
○植木政府委員 御答へ致します、只今の自給製鹽に依る生産品の配給に關聯する問題でありますが、それに際して輸送の面で取締をして居るかどうかと云ふ御質問のやうに承りました、現在の状況に於きまして自給製鹽に依つて生産した鹽に付きましては、大體に於て當該自給生鹽者の自由なる處分に任せて居ると云ふ姿であります、併しながら其の生産量が相當多量に達しました場合には、政府當局から適當なる指示を與へることに致して居ります、指示と申しましても、是は必ずしも政府が買取つてしまふと云ふことではないのでありまして、大體に於て斯う云ふ地域、或は斯う云ふ職域で使ふやうにして貰ひたい、さうして其の所要配給先は、何處々々かと云ふやうなことを大體指定をすると云ふやうな場合を考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=46
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047・小野秀一
○小野(秀)委員 其の點は能く了承致しました、先般大藏省の委員會か何かで問題になつたことでありますが、政府は常に増産を奬勵をすると、其の反面に供出を強化すると云ふやうなことをやる爲に、非常にそこに生産意欲と云ふものの抑止の問題が出て來るのだらうと思ひます、山國の者が相當にどつさり鹽を持つて行つて、或は必要量以上に持つて行くかも知れませぬ、さう云ふ場合に成べくさう云ふことを放任して置いて戴くならば、恐らく生産意欲と云ふものは益益向上致しまして、偏在物資の一つの交流の資源になるのではないかと思ふのでありますから、もう一遍山國の者が稍稍多量と思はれる程に自給製鹽を持込んだと云ふ場合に、之に對して其の配給の制限をするかどうか、さう云ふ問題は一般配給としての制限をやると云ふことを御考へになつて居りますかどうか、其の點を一寸承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=47
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048・植木庚子郎
○植木政府委員 全く仰せの如き事態は到る處にあらうかと考へますので、我々當局の自給製鹽に對する指導的立場に居る者と致しましては、出來得る限り寛大に取扱ひたい、斯う云ふ風に思つて居るのであります、例へば日産百「トン」も造り、五十「トン」も造ると云ふやうな大きな工場あたりになりますと、寧ろ我々の方にどんどん買つて呉れと云ふやうな要望が現に出て來て居ります、斯う云ふやうな状態であります、隨て小規模のものに於きましては、我々當局としても出來得る限り其の邊は寛大に扱ひたい、斯う存じて居るのでありますが、唯我々當局の者と致しまして、國民全體の鹽の公平なる配給と云ふことは、當然考へなければならぬ問題でありますので、場合に依りますと、所謂先程申上げた指示と云ふやうな方法に依つて、自給製鹽者に對しては、他の官營に依る配給の方を遠慮して戴くとか、或は若干減らすと云ふやうなことも、起り得ることを申上げざるを得ない次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=48
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049・小野秀一
○小野(秀)委員 只今の御答へで了承は致しましたが、尚ほ一點、今の問題は二つに分けて考へる必要があると思ひます、其の一點は、詰り電力業者が電氣の消化策として自分で製鹽をやると云ふものは、六百圓の單價でありますれば、餘剩電力を相當考へて見ますると、幾らでも是は算盤に乘る譯であります、それでありますから、恐らく多量の生産をするもの、例へば日發であるとか、或は某々配電會社であるとか、或は軍需會社が轉換した工業會社とか、さう云ふものが色々あるだらうと思ひます、比の點に付て先程買上値段は、大體六百圓と云ふ「トン」當りの生産費を考へて居るやうでありまするが、公共團體として、或は個人として自給製鹽をやる者は、例へば一「キロワット」時一錢五厘に致しますと、「トン」當りは五百二十五圓になります、是は六百圓としましても餘り儲けが出ませぬけれども、多量に生産するものが餘剩電力の消化策としてやる場合には、幾らでも切下げ得ると私は思ふのであります、そこで公共團體として、或は素人の製鹽業者として相當に奮鬪して見たいと思ふ者が、斯う云ふ所に打突かると、配電會社自體の消化策から考へ、又買上値段から考へて、詰り公共團體には少しく安い買上値段であるが、斯う云ふやうな澤山電氣を使用する、或は發電をして居ると云ふやうな者から考へて見ると、相當に算盤の好いものでありますから、此の間に相當な差等を設ける必要がありはしないかと私は思ふのであります、詰り此の點は電氣業者に對しては買上値段は非常に甘い、それから普通一般の電氣の持合せのない者に對しては高い、それでありますから、自給の目的で多く製造するが、政府への供出は是は中々ありませぬ、本當の話を打割つて申上げまするならば、只今巷に交換物資として鹽を山國の者が扱つて居る状態から言ひますと、鹽一升米二升、或は甚だしきは鹽一升米三升と云ふやうな交換の價値を持つて居るやうであります、さうして又現金賣買をして居る者の巷の闇の價格を聽いて見ますると、一俵四百圓も五百圓もして居ると云ふやうなこともあるのであります、それで此の價格政策は、自給製鹽に直面して考へた場合に何か之に對して差等を設けると云ふ必要がありはしないかと私は思ふのであります、どうか此の點、もう少し技術的に御研究になつた跡がございますならば、御答辯を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=49
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050・長沼弘毅
○長沼政府委員 御説の如く買上値段の不均衡と云ふやうな問題も、個々に當つて見ますと相當あらうかと存じます、まだ此處ではっきり申上げる程の具體的の研究も致して居りませぬ、早急に一つ研究を致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=50
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051・小野秀一
○小野(秀)委員 次に軍需會社の遊休設備等で自給製鹽を目論んで居るものに非常な惱みがあると云ふことは、詰り變壓器がないと云ふことであります、是は當局者も能く御存じのことでありまするが、又變壓器を持合せをして居る者が海岸に出て行つても配電會社の地點がない、斯う云ふことも一つの惱みの種になつて居ります、是等をもう少し綜合的に大藏省なら大藏省で考へて見て、他の所管等に何處までも突込んで行つて、謂はば斯う云ふ補助、保護政策を執つて居るからして、鹽はちやんと出來るだらうと云ふやうな安易な考へでなくて、何處までも積極的に突込んで斡旋をしなければならぬ、例へば電力會社が自給製鹽の爲に相當に電力を保留して居るやうな形もあるのでありますから、もう少し斯う云ふ問題に對して補助政策のやり放しでなくして、何處までも親心を以て親切に突込んで行くと云ふやうな御考へがあるかないか、其の點を伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=51
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052・長沼弘毅
○長沼政府委員 洵に御尤もであります、私共と致しましては現に商工省——軍關係の物資は内務省調査部に移管されてありますが、此の關係省と十分連絡を執りまして、電氣製鹽に關する變壓器に關する限りは、私共は綜合的に御世話出來るやうな態勢を執りつつあります、唯何分にも物が物でございますので思ふやうに參らぬと云ふ實情でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=52
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053・小野秀一
○小野(秀)委員 もう一つ配電會社に對する電力單價の問題でありまするが、成るべく大藏省に於きましては、安く賣れと云ふ御指示があるやうではありまするが、只今の所では一「キロワット」時どの位の程度でさう云ふやうな折衝を遂げて居られますか、私は寧ろ大藏省の指示よりも、もう少し電力單價を下げて、少くとも五厘とか六厘とかと云ふやうな値段で電氣を賣るやうに御斡旋を願ひたいと思ふのであります、只今の御交渉、御指示の程度を一つ承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=53
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054・長沼弘毅
○長沼政府委員 只今で決定致して居りますのは一錢乃至一錢五厘であります、是は地域的に相當違つて居ります、御説の如く五厘、六厘と云ふ所まで參りますと、又發送電、配電會社の補給金國庫負擔の問題等が出て參りますので、成るべく御趣旨に副ふやうに、私共と致しましても安いに越したことはないのでありまして、其の線に副つて話合ひを進めて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=54
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055・小野秀一
○小野(秀)委員 早く言へば、專賣局長官も鹽腦部長も其の道に掛けては練達の方でありますけれども、どちらかと云へば電力業者に騙される危險があるのでありまして、御承知の通り只今あります電氣と云ふものは、少くとも「キロワット」當りの建設には二百五十圓、三百圓、四百圓と云ふやうな數字で出來上つて居るのでありまして、御承知の通り電力の人件費と云ふものは非常に小さいものであります、そこで物價騰貴の面からする所の電力製造費と云ふものは餘り向上はして居らぬ筈であります、でありますから恐らく一錢乃至一錢五厘と云ふやうな電力單價は、特に終戰後に水力電氣施設の百「パーセント」が殘つて居つて、そして稼働力が五十「パーセント」しかないと云ふやうな状態を考へて見ますると、餘剩電力は相當に負けさして差支へないと思ふのであります、是はどうか頭の良い大藏省の方々ではありまするが、電力業者に胡麻化されないやうに、何處までも必需物資の低廉なる價格維持に基調を置きまして、十分に御干渉願ひたいと思ひます、是は私の希望意見であります
次に承つて置きたいことは、建設費に付て公共團體に對しては、五十「パーセント」の建設補助があると云ふことであります、一般の業者或は自給製鹽者に對しては、八十「パーセント」斯う云ふ補助の御決定があるやうであります、所が此の建設豫算を立てて見ますると日々變壓器でも何でも非常な高騰を致して居りまして、只今の所でこちらは交渉して居るが、明日言つて見ると前の日よりも更に餘計な値を主張致して居りまして、是は到底手が付かぬと云ふことでありますから、どうか此の點も十分に査定問題に觸れましては、現在の物價の推移に付て能く考慮を煩して、此の點を甘く御査定にならんことを御願ひ致して置きたいと思ひます、例へば一つの問題に付て言ひまするならば、現在電氣製鹽に要する所の變壓器の「キロ」當りの建設單價と云ふやうなものは、どの位の程度のものを目標に置いて居りますか、此の點を一つ御話願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=55
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056・長沼弘毅
○長沼政府委員 是は變壓器の種類に依つて色々違ふかと思ひますが、一「キロワット」當り百圓乃至三百圓と聞いて居ります、尚ほそれよりもつと高い値段も間々出て來るやうに承知致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=56
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057・小野秀一
○小野(秀)委員 最後に一點、此の補助政策は大變結構な御政策と思ひますが、地方の事情が分らない爲に、各府縣の査定を經、或は基本調査を經てやつて參ります故か、基本の方面に於ける補助奬勵政策と云ふものは、自給製鹽者或は補助の對象となる、民衆に對しても結構な御考へでありますが、是が一旦地方長官の手に入ると、何でも補助をやるのだと云ふ親心を曲解歪曲致しまして非常に嚴格なことを主張したり、或は文書の取扱が非常に手間取つたりして、當面の供給には甚だ縁遠い取扱を致すことは甚だ遺憾でありますから、此の點に關する地方長官に對する指示は餘程徹底的に迅速果敢に大藏省の考へて居るやうな必需物資の生産助長政策を十分體得するやうに致す必要がありはしないかと思ひますが、此の點に對する御答辯を專賣局長官より承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=57
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058・植木庚子郎
○植木政府委員 地方廳に於きましての自給製鹽の補助金に對する取扱に付て色々の御希望でありますが、此の點に付ては全く御意見の通りでありまして、我々としても出來る限り自給製鹽者の生産意欲或は自給意欲と云ふものを阻碍しないやうに、或は推し進めて行くやうにと云ふ希望から、機會のある度に通達或は口頭を以て地方廳と聯絡致して居りますが、中々必ずしも我我の思ふ通りに動いて居ないことも聞きます、聞きますれば直に當該地方廳に、我々としては能ふ限りの指示を致して居ります、一定金額以上のものは、當該地方の役人と當該地方に居ります專賣局役人が決めることになつて居ります、斯かる場合に於ては、我々と致しましては、今後の實情を十分に考へて、さうして其の方面に對して適正であつて、而も實情に能く合つて居ると云ふ圓滑なる査定になるやうにと云ふことを指示して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=58
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059・小野秀一
○小野(秀)委員 私の質問は是で終りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=59
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060・崎山嗣朝
○崎山委員長 本日は此の程度で質疑を止め明日は午前十時より開會致します、散會致します
午後零時十分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008910133X00219451212&spkNum=60
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