1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了のものを除く)
防空法廢止法律案(政府提出、貴族院送付)(第二一號)
大日本航空株式會社法廢止法律案(政府提出、貴族院送付)(第二二號)
石油業法外十三法律廢止法律案(政府提出、貴族院送付)(第二三號)
國家聰動員法及戰時緊急措置法廢止法律案(政府提出、貴族院送付)(第二四號)
戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法廢止等に關する法律案(政府提出、貴族院送付)(第二五號)
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昭和二十年十二月十四日(金曜日)午前十時二十八分開議
出席委員左の如し
委員長 小柳牧衞君
理事 坂本宗太郎君 理事 仲井間宗一君
理事 藤井伊右衞門君
毛山森太郎君 酒井利雄君
高城憲夫君 中瀬拙夫君
南條徳男君 船渡佐輔君
別所喜一郎君 柳川宗左衞門君
山田竹治君 三田村武夫君
松本忠雄君 岸井壽郎君
瀧澤七郎君 松本治一郎君
出席政府委員左の如し
法制局長官 楢橋渡君
法制局次長 入江俊郎君
内務省國土局長 岩澤忠恭君
大藏政務次官 由谷義治君
大藏省金融局長 久保文藏君
商工政務次官 木暮武太夫君
運輸政務次官 新井堯爾君
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本日の會議に上りたる議案左の如し
防空法廢止法律案(政府提出、貴族院送付)
大日本航空株式會社法廢止法律案(政府提出、貴族院送付)
石油業法外十三法律廢止法律案(政府提出、貴族院送付)
國家總動員法及戰時緊急措置法廢止法律案(政府提出、貴族院送付)
戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法廢止等に關する法律案(政府提出、貴族院送付)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912881X00519451214&spkNum=0
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001・小柳牧衞
○小柳委員長 是より會議を開きます、初めに戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法廢止等に關する法律案に付きまして政府の提案理由の説明を御聽き致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912881X00519451214&spkNum=1
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002・由谷義治
○由谷政府委員 本委員會に付託せられました戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法廢止等に關する法律案に付きまして提出の理由を御説明致します、政府は大東亞戰爭勃發以前より戰爭危險の保險を以て戰時經濟秩序の維持及び戰時國民生活の安定に缺くべからざるものと考へ、戰爭死亡傷害保險法、戰時特殊損害保險法等を制定し、國營的戰時保險制度を整備したのでございますが、今春生命保險中央會法及び損害保險中央會法に依り兩中央會が設立せられまするや、是等の戰時的保險は兩中央會の業務としてそれぞれの分野に於て綜合的に運營せらるる所となつたのであります、然るに今次終戰に伴ひ、是等戰爭危險發生の虞は特殊の場合を除き最早發生の虞なきに至りました、是に於て今囘政府は是等戰時的保險制度を廢止するを適當と認めまして、戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法を廢止すると共に、生命保險中央會法及び損害保險中央會法に所要の改正を加へることとし、茲に本法律案を提出した次第でございます
本法案の趣旨を申述べまするれば、先づ戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法は之を廢止致します、今後兩法に基く保險、即ち戰爭死亡傷害保險、戰爭保險及び地震保險は今後中央會及び各保險會社に於て原則として其の引受をしないことと致しました、唯戰爭死亡傷害保險に付きましては、今日尚ほ多數の同胞諸君が海外に殘留せられ數多くの危險に遭遇せらるることを豫想せらるる現状に鑑み、現存契約に付てのみ一囘の更新を認め、以て是等の方々の御便宜を圖ることと致しました、一方戰爭保險に付きましては、右の如き特殊事情なき關係上、斯かる特別措置を講ずることなく、現存契約の保險期間滿了を待つて同保險を終了せしむる方針であります、唯地震保險に付きましては、同保險が戰時中に生じた地震損害のみを填補するものとせられ、終戰後の今日の實情に即せざる點もあり、旁旁國家財政の現状をも考慮し、現存契約に付ても其の效力を打切ることと致しました、固より、現存保險契約者の利益は之を不當に損せざるやう、未經過保險料の返還等十分の措置を講ずる考へであります、尚ほ是等の保險に付きましては、未だ保險金の支彿を了せざるものもある關係上、今後の殘務整理に支障なきやう、若干の規定の效力を當分の間存置せしむる爲め必要なる經過規定を設けた次第でございます
次に生命保險中央會は、戰時的保險業務としては戰爭死亡傷害保險の引受と、生命保險に於ける戰爭危險の再保險の引受をなし來つたのでありますが、今囘此の二つの業務を廢止することとし、之に伴ひ同會の經理に關する規定にも所要の改正を加へることと致しました、尚ほ同法に於ては生命保險契約に於ける戰爭危險免責約款を無效とする強行規定が存して居たのでありますが、是は生命保險中央會が戰爭危險の再保險を行ふことを前提とする規定でありました關係上、右の再保險業務の中止と共に戰爭危險免責約款の復活、竝に將來其の效力を既往契約にも及ぼすことを認めることと致しました
更に損害保險中央會法の業務規定にも修正を加へて、同會のなす業務の重點は、今後普通保險の再保險に關する取引及び特殊の損害保險の元受に置かるべき旨を明かに致しました、尚ほ兩中央會の業務より戰時色が拂拭されました關係上、祕密漏泄罪等、軍機保護の爲に設けられて居りました罰則は之を削除致し、又兩中央會の廢止業務の殘務處理に遺憾なきやう、必要なる經過規定を設けた次第であります、何卒御審議の上、御贊成あらんことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912881X00519451214&spkNum=2
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003・小柳牧衞
○小柳委員長 引續きまして國家總動員法及戰時緊急措置法廢止法律案に付きました、政府より提案理由の説明を御願ひすることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912881X00519451214&spkNum=3
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004・楢橋渡
○楢橋政府委員 本委員會へ付託せられました國家總動員法及戰時緊急措置法廢止法律案に付き御説明致します
國家總動員法は、昭和十三年四月法律第五十五號として公布、同五月施行せられたのでありますが、其の第一條に於て、其の目的として、「戰時に際し國防目的達成の爲國の全力を最も有效に發揮せしむる樣人的及物的資源を統制運用する」と掲げられました如く、施行以來國防目的達成の爲に各般の統制の基礎として、戰爭中最も活用せられたる、所謂戰時統制法令の根幹をなす法律であり、又戰時緊急措置法は、去る第八十七議會の協贊を經て昭和二十年六月法律第三十八號として公布せられ、戰時の最終的段階に於て國家の危急を克服せんが爲に、應機の措置を講じ得る根據法となり、政府に對し強力なる非常措置の權限を與へたるものであります、終戰後の今日に於きましては、戰時中の法令は何れも能ふ限り速かに整理改廢を致すべきでありますが、特に此の二法律は之を至急整理するを適當と考へ、茲に兩法律廢止法律案の提案をなした次第であります、而して兩法律を廢止することに依つて起る混亂を避ける意味に於て、附則に於て必要なる規定を設けたのであります、以下各項に付き其の大樣を御説明致します
本文は國家總動員法と戰時緊急措置法を廢止する旨を規定したのであります
附則第一項は、本法施行の期日は勅令を以て定むることと致したのでありますが、施行に必要なる手續等を急速に進め、能ふ限り速かに施行致したいと考へて居ります
附則第二項の前段は、兩法律に基き現に存する勅令に關する限り、是等の法律に依り得ることを認むる爲め、其の法的根據として本法施行後六箇月間、國家總動員法及戰時緊急措置法の效力を認むることと致したのであります、既に終戰以來國家總動員法に基く勅令以下の命令に付きましては、續々其の整理を行つて參り、既に整理濟の勅令、省令等は相當數に上るのみならず、今後と雖も其の整理を急いで居るのでありますが、終戰後の各般の情勢に鑑みまして、其の善後措置を十分に講ずることなく凡ゆる規制を遽かに撤去致しますると、却て急激なる社會不安、秩序崩壞を招來する虞がありますので、本法施行の際現に存する勅令に關する限り、且つ終戰後の事態に對處し國民生活を維持安定せしむるに必要なる限度に於て、六箇月間を限り是等の法律に依り得ることを認め、其の間に於て整理すべきものは之を整理し、法制的、行政的措置を要するものは之を行ひ、圓滑平穏に事態を推移せしめ、以て國民生活の維持安定を圖らんとする次第であります。即ち以上のやうな限度に於て兩法律は其の效力を存續せしむることと致したのでありますが、國家總動員法の目的を掲げました同法第一條と、同法中に所謂「總動員物資」と「總動員業務」の定義を規定しました同法第二條及び第三條は、今日に於ては全く意義なき爲め、是等の條項は之を除外致すことと致しました次第であります
附則第二項の後段は、右の如く兩法は現存勅令適用の限度に於て存續せしむる要ありとは申せ、其の目途とする所は戰爭の遂行ではなく、終戰後の事態に對應して國民生活の維持及び安定を圖る爲に之を存續せしめんとするものでありまして、それぞれ必要なる讀替をなし、今後の效力存續上支障なからしめんことを期する次第であります
附則第三項は、存續する勅令の内容に關し、存續を許される六月間に於て其の適用上必要なる改正をなすことを得る旨を定めたものであります、改正する場合に於きましても「其の規定する事項の範圍内に於て」と致してありまして、國民に新たなる拘束を加ふるやうなことは出來ぬ趣旨であります
附則第四項は、兩法律の廢止に依つて各勅令に規定せられたる權利、義務等の關係に混亂を惹起せしめぬ爲め、本法施行前兩法に基いて行はれました命令、處分、行爲に係る措置の中、其の法律關係の未だ完了せざるもので、今後も從前の例に依り措置すべきもの、及び兩法に違反して行はれた行爲の處罰に關しては、何れも本法施行後と雖も之を處理し得ることと致した次第であります、而して現存勅令が本法廢止後六箇月間の經過中行はれる各種事項の處置及び違反行爲の處罰に付ても同樣に行ひ得る如く、括弧内の規定に依つて其の旨を明確に致した次第でございます、何卒御審議の上御可決あらんことを希望する次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912881X00519451214&spkNum=4
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005・小柳牧衞
○小柳委員長 只今提案理由の説明がありました二件竝に昨日提案理由を聽取致しました防空法廢止法律案外二件に付きまして、質疑を御願ひ致します――別に質疑はございませぬでせうか、それでは暫時休憩致します
午前十時四十分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912881X00519451214&spkNum=5
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006・会議録情報2
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午後一時十九分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912881X00519451214&spkNum=6
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007・小柳牧衞
○小柳委員長 休憩前に引續きまして會議を開きます、是より防空廢止法律案、大日本航空株式會社法廢止法律案、石油業法外十三法律廢止法律案、國家總動員法及戰時緊急措置法廢止法律案及び戰爭死亡傷害保險法及戰時特殊損害保險法廢止等に關する法律案の五件を一括して議題として討論に付します――藤井君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912881X00519451214&spkNum=7
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008・藤井伊右衞門
○藤井委員 委員會に付託せられました防空法廢止法律案外四件は何れも終戰に伴ひ其の廢止を必要とする法律を廢止せんとする法律案でありまして、戰時色を拂拭し、平常時状態に復元すると共に、消極的ながら新事態に應ずる基本的措置として、それぞれ廢止を適當と認めます、併しながら戰時立法の廢止に依り多少の混亂は免れ難いと想像せられますが、政府は周到なる用意の下に、速かに必要なる法的、行政的措置を完了し、戰亂より平和への圓滑なる推移に萬全を期せられんことを要望致しまして、原案に贊成の意を表します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912881X00519451214&spkNum=8
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009・小柳牧衞
○小柳委員長 是より採決を致します、原案に贊成の諸君は御起立を願ひます
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912881X00519451214&spkNum=9
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010・小柳牧衞
○小柳委員長 起立總員、仍て本案は原案の通り可決致しました
色々御支援に依りまして無事本委員會付託の各議案を議了致しましたことを厚く御禮を申上げまして、政府竝に委員各位に敬意を表する次第であります、有難うございました、之を以て散會致します
午後一時二十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008912881X00519451214&spkNum=10
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