1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十年十二月十一日(火曜日)
午後一時三十五分開議
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議事日程 第十號
昭和二十年十二月十一日
午後一時開議
第一 昭和二十年勅令第五百四十二號(「ポツダム」宣言の受諾に伴ひ發する命令に關する件)(承諾を求むる件)(貴族院送付)
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一、去十日議長に於て撤囘を許可したる議案左の如し
海外同胞緊急歸還決議案
提出者
一宮房次郎君 今井健彦君
加藤鐐五郎君 作田高太郎君
齋藤隆夫君 田邊七六君
高橋守平君 東郷實君
中井川浩君 八角三郎君
鶴見祐輔君 太田正孝君
愛野時一郎君 猪野毛利榮君
金井正夫君 窪井義道君
久山知之君 小平權一君
小高長三郎君 小山邦太郎君
豐田收君 濱野徹太郎君
松永東君 松村光三君
前田房之助君 小山倉之助君
食糧輸入促進決議案
提出者
一宮房治郎君 今井健彦君
加藤鐐五郎君 作田高太郎君
齋藤隆夫君 田邊七六君
高橋守平君 東郷實君
中井川浩君 八角三郎君
鶴見祐輔君 太田正孝君
愛野時一郎君 猪野毛利榮君
金井正夫君 窪井義道君
久山知之君 小平權一君
小高長三郎君 小山邦太郎君
豐田收君 濱野徹太郎君
松永東君 松村光三君
前田房之助君 小山倉之助君
戰災復興促進決議案
提出者
一宮房次郎君 今井健彦君
加藤鐐五郎君 作田高太郎君
齋藤隆夫君 田邊七六君
高橋守平君 東郷實君
中井川浩君 八角三郎君
鶴見祐輔君 太田正孝君
愛野時一郎君 猪野毛利榮君
金井正夫君 窪井義道君
久山知之君 小平權一君
小高長三郎君 小山邦太郎君
豐田收君 濱野徹太郎君
松永東君 松村光三君
前田房之助君 小山倉之助君
一、政府より提出せられたる議案左の如し
貿易資金設置に關する法律案
(以上十二月十日提出)
一、議員より提出せられたる議案左の如し
在外同胞救援に關する決議案
提出者
上田孝吉君 藤本捨助君
小山田義孝君 楠見省吾君
中村三之丞君 中谷武世君
福家俊一君 原口純允君
濱田尚友君 藤生安太郎君
岸井壽郎君 木下郁君
杉山元治郎君
食糧輸入促進決議案
提出者
一宮房治郎君 今井健彦君
加藤鐐五郎君 作田高太郎君
齋藤隆夫君 田邊七六君
高橋守平君 東郷實君
中井川浩君 八角三郎君
鶴見祐輔君 太田正孝君
愛野時一郎君 猪野毛利榮君
金井正夫君 窪井義道君
久山知之君 小平權一君
小高長三郎君 小山邦太郎君
豐田收君 濱野徹太郎君
松永東君 松村光三君
前田房之助君 小山倉之助君
眞藤愼太郎君 木下義介君
有馬英治君 川島正次郎君
眞崎勝次君 星野靖之助君
松野鶴平君 安藤正純君
紫安新九郎君 牧野良三君
星島二郎君 松岡俊三君
北れい吉君 藤生安太郎君
大口喜六君 木村武雄君
箸本太吉君 松山常次郎君
三木武吉君 庄司一郎君
河野密君 松本治一郎君
川俣清音君 正木清君
山崎常吉君
戰災復興促進決議案
提出者
一宮房治郎君 今井健彦君
加藤鐐五郎君 作田高太郎君
齋藤隆夫君 田邊七六君
高橋守平君 東郷實君
中井川浩君 八角三郎君
鶴見祐輔君 太田正孝君
愛野時一郎君 猪野毛利榮君
金井正夫君 窪井義道君
久山知之君 小平權一君
小高長三郎君 小山邦太郎君
豐田收君 濱野徹太郎君
松永東君 松村光三君
前田房之助君 小山倉之助君
眞藤愼太郎君 木下義介君
有馬英治君 川島正次郎君
眞崎勝次君 星野靖之助君
松野鶴平君 安藤正純君
紫安新九郎君 牧野良三君
星島二郎君 松岡俊三君
北れい吉君 藤生安太郎君
大口喜六君 木村武雄君
箸本太吉君 松山常次郎君
三木武吉君 庄司一郎君
河野密君 松本治一郎君
川俣清音君 正木清君
山崎常吉君
新聞雜誌の用紙に關する建議案
提出者
山口喜久一郎君 庄司一郎君
戰災復興促進竝戰災者の生活安定確保に關する建議案
提出者
石坂繁君 小浦總平君
寺田市正君 伊豆富人君
府縣知事公選竝地方制度改革に關する法律案提出に關する建議案
提出者 小野秀一君
(以上十二月十日提出)
一、昨十日委員長及理事互選の結果左の如し
入營者職業保障法及國民勞務手帳法癈止法律案(政府提出、貴族院送付)委員
委員長 小柳牧衞君
理事
坂本宗太郎君 仲井間宗一君
藤井伊右衞門君
一、昨十日議長に於て選定したる委員左の如し
勞働組合法案(政府提出)委員
安藤覺君 伊藤東一郎君
泉國三郎君 小高長三郎君
小野義一君 川崎巳之太郎君
黒田巖君 小浦總平君
小林鐵太郎君 下出義雄君
角猪之助君 添田敬一郎君
田中貢君 中川寛治君
長井源君 野田武夫君
野本吉兵衞君 廣野規矩太郎君
福田重清君 松村光三君
村松久義君 吉川大介君
米田吉盛君 安藤孝三君
稻葉圭亮君 今井新造君
菅野和太郎君 喜多壯一郎君
原口純允君 船田中君
信正義雄君 星島二郎君
本多市郎君 山口喜久一郎君
正木清君 山崎常吉君
鹽專賣法中改正法律案(政府提出)
外一件委員
赤松寅七君 大石齊治君
大橋清太郎君 大村直君
片山一男君 佐久間道夫君
崎山嗣朝君 田村秀吉君
田村みのる君 西川貞一君
深澤吉平君 池田正之輔君
小野秀一君 永山忠則君
松浦伊平君 池本甚四郎君
岡本傳之助君 川俣清音君
一、昨十日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第四部選出
豫算委員 阿子島俊治君(田中貢君補闕)
第六部選出
豫算委員 池本甚四郎君(木村武雄君補闕)
第七部選出
懲罰委員 佐々井一晁君(濱田尚友君補闕)
一、昨十日に於ける特別委員の異動左の如し
農地調整法中改正法律案(政府提出)委員
辭任河盛安之介君 補闕牧原源一郎君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=0
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001・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 是より會議を開きます
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=1
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002・長野高一
○長野高一君 議事日程變更の緊急動議を提出致します、即ち此の際上田孝吉君外十二名提出在外同胞救援に關する決議案を議題となし、其の審議を進められんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=2
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003・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 長野君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=3
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004・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 御異議なしと認めます、政府は此の議事日程變更に同意せられました、仍て日程は變更せられました在外同胞救援に關する決議案を議題と致します、其の趣旨辯明を許します――贊成者喜多壯一郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=4
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005・会議録情報2
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在外同胞救援に關する決議案(上田孝吉君外十二名提出)
在外同胞救援に關する決議案
在外同胞救援に關する決議
終戰以來既に五閲月在外同胞竝に復員將兵七百數十萬人の中故國に歸還し得たる者極めて寥々たり其の大多敷は今猶アジア大陸及太平洋上の島嶼に在りて忍ひ難き敗戰屈辱の精神的打撃と慘憺たる生活上の窮乏迫害に堪へ日夜遙に想を家郷に寄せつつあるの状寔に想察に餘りあり
殊に滿洲北鮮樺太等に在る同胞の運命に至りては其の安否を審にするに由なきも内外の情報を綜合推斷するに該地域に殘留する同胞の多數は概ね飢餓と凍死に瀕し其の慘状言語に絶するの境遇に在るものの如し
而も政府は情報入手の困難と救援交渉の途なきを理由として荏苒日を送りつつあり斯の如くにして空しく推移せむか季既に沍寒を迎へて朔北殘留同胞の運命や知るへきのみ茲に衆議院は院議を以て在外同胞救援に關し人道的見地より汎く世界の公正なる批判に愬ふると共に政府をして速に同胞の救援と歸還の方途を講せしめむことを期す
右決議す
〔喜多壯一郎君登檀〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=5
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006・喜多壯一郎
○喜多壯一郎君 只今上程せられました衆議院各派共同提案に依る在外同胞救援に關する決議案の提案理由を説明致します、先づ案文を朗讀致します
〔在外同胞救援に關する決議〕
終戰以來既に五閲月在外同胞竝に復員將兵七百數十萬人の中故國に歸還し得たる者極めて寥々たり其の大多數は今猶アジア大陸及太平洋上の島嶼に在りて忍ひ難き敗戰屈辱の精神的打撃と慘憺たる生活上の窮乏迫害に堪へ日夜遙に想を家郷に寄せつつあるの状寔に想察に餘りあり
殊に滿洲北鮮樺太等に在る同胞の運命に至りては其の安否を審にするに由なきも内外の情報を綜合推斷するに該地域に殘留する同胞の多數は概ね飢餓と凍死に瀕し其の慘状言語に絶するの境遇に在るものの如し
而も政府は情報入手の困難と救援交渉の途なきを理由として荏苒日を送りつつあり斯の如くにして空しく推移せむか季既に沍寒を迎へて朔北殘留同胞の運命や知るへきのみ茲に衆議院は院議を以て在外同胞救援に關し人道的見地より汎く世界の公正なる批判に愬ふると共に政府をして速に同胞の救援と歸還の方途を講せしめむことを期す
右決議す
〔拍手起る〕
帝國議會開かれて茲に八十九囘、其間議會では幾多の決議案が議決せられたでありませうが、本決議案の如く悲痛極まる決議案其のものは未だ曾てなかつたと吾々は斷言致します(拍手)如何に戰に敗れたとは言ひながら、我々の悲懷實に限りなきものがあると申上げなければなりませぬ、吾々は茲に在外同胞諸君と未だ歸還し得ざる復員兵士諸君とが、一日も早く祖國日本に恙なく歸られんことを衷心から祈願して已みませぬ(拍手)今、日本の祖國では親子、妻子、兄弟、姉妹達が、一刻も早く家に歸つて來て欲しいと日夜待ち焦れて居る在外同胞諸君、未だ復員せざる、歸還せざる復員兵士諸君は、其の數實に七百數十萬であります、而も其の人々は遠く「インド」大陸に、支那大陸に、又は不便極まる太平洋上の島々に居るのみか、曾ては一衣帶水、ほんの僅かな隔りでありましたが、今までは既に遠き感ある滿洲、北鮮、樺太等の廣い範圍に亙つて散在致して居るのであります、終戰後既に五箇月に垂んとするにも拘らず、是等の人々に付ては其の生死は無論のこと、安危さへも十分詳しく知ることが出來ないのみか、恐らく是等の諸君は敗戰的な絶望感と、深刻なる精神的打撃を受けて、果して其の生死の程も危ぶまれるのであります、加ふるに、是等の諸君は食ふに食なく、着るに衣類なく、住むに家と安住の地もありませぬ、其の上に所に依つては絶えざる迫害と、怖るべき非人迫的な暴行掠奪の下、更に峻烈なる自然の脅威とに晝夜間斷なく曝されて、怖れ戰いて居るであらうと想察し來る時に、是等諸君の脅怖と窮乏に付ては、我々は此の壇上から國民諸君に愬へる言葉すらも發見し得ないのであります(拍手)此のことは單に人間が生活の窮乏のどん底に陷つて居ると云ふ其のことだけではなぃ、寧ろ人間としての生存さへも奪はれつつあるのだと云ふことは、敢て過言ではないと信じて疑ひませぬ(拍手)是は一言にして言へば、生きながらの焦熱地獄だと解釋せざるを得ない、其の生きながらの焦熱地獄の中に居る是等の諸君は出征以來幾年、或は祖國日本を出て、海外雄飛の志を抱いた諸君として既に年久しい人もあるだらう、相別れて幾年、聲なく、便りなくして別れた儘の父の姿、子の姿として、故國に待つ人々の瞼に私は當然映つて居るのだと考へざるを得ない、隨て巷には「父を返せ」、「子を戻せ」と云ふ聲が渦卷いて居ることを政府當局は耳を開いて聽かなければなりませぬ(拍手)其の慘状十二分の情報も入手し得ませぬから、此の壇上でそれ等に付いて語ることは省略致しますが、兎に角在外同胞諸君と、まだ歸らぬ復員兵士諸君の現状は、實に敗戰に依る民族の一大悲劇であると我々は信じます(拍手)同時に世界人類の大きな悲哀でなければならないと我々は世界に愬へたいのであります(拍手)此の悲劇、此の大きな悲哀は一刻も早く之を取除かなければなりませぬ、取除くこと自體が取りも直さず我々は平和世界への近道だと信じて疑はないのであります
飜つて在外同胞救援と未歸還復員兵士諸君とに關する帝國政府の態度を見ますと、そこには國民的憤激を爆發せざるを得ないことが多々あると申上げたい、無論終戰直後の前内閣も亦現内閣、即ち幣原内閣も此の在外同胞救援、未歸還復員兵士問題に付ては努力もなすつたし、現に大いに努力すると今議會中凡ゆる機會に於て、我々は承つた、併し國民は、日本國民は此の程度の努力に對しては到底滿足し得ないのであります(拍手)滿足して居らぬどころか、寧ろ心の底には聯合國最高司令部の「スピーディ」なやり方に對する帝國政府ののろのろとした非能率的な、而も小心翼々たる、後手々々と遲れがちな、もう一つ附加へて言へば右顧左眄的な外交交渉に對しては千萬無量の憤激さへ抑へ切れずに居るのであります(拍手)特に聯合國、否全世界に向つて敗戰日本の力なき現状を、寧ろ大膽率直に、赤裸々に披瀝して、以て此の救援處理に對する前途に光明を齎すやうな人道的主張を、帝國政府はもつと強く儼然としてなすべきだと我々は主張したい(拍手)然るに其のことがなされつつあると御考へであらうと思ふ、なして居ると云ふ言明もなされるであらうが、眞の民主主義日本建設に邁進しようとして居る國民的感情と、帝國政府の執られつつある速度とは、全く相容れぬものがあることを、はつきり我々は此の決議案を議するに當つて申上げて置きたい、それは一に國民から游離した官僚的な、事務官的な外交處置のみに囚はれて居るからだと我々は更に聲を大にして國民の立場から現内閣に對して警告を發せざるを得ないのであります
諸君、我々日本人は未だ曾てない苦悶と徹底的な反省とを強ひられて居ります、だが日本の歴史上に見ざる今日の日本國民が背負つて居る苦悶と反省とから、 新しい民主主義日本の建設が出發して行くのであります、同時に、世界も亦今苦悶と反省の裡に新しい平和の建設に邁進して居るのであります、此の苦悶と反省は世界を通じて軈て平和と自由と博愛とを生むであらうと我々は信じて疑はない、是れこそ人道主義世界の復活となるのであります、而も人道主義こそ民主主義の基盤であり、土臺であつて、人道主義なくして、何の民主主義ぞやと私は世界に向つて主張せざるを得ない(拍手)戰爭の罪惡と禍ひの激しさに對して、深刻且つ痛烈な反省を徹底的に行ひ、さうして「ポツダム」宣言の完全遂行に對しては、民族を擧げて、國民を擧げて、飽くまで眞實でなければならぬと信じます、併し人道の立場から正しい道理は強く堅持すべきであります、之に依つて主張すべきは主張し、從ふべきは從ひ、而も謙虚なる態度を以て世界の公正なる道義と批判とに愬ふべきが、今日の日本帝國の態度でなければならぬと我々は斷言致します(拍手)斯くして在外同胞救援問題の處理も當然本筋に乘るものであると云ふことを深く信じて居ります
衆議院は曩に海外同胞救濟に關して、島田議長を委員長とし、全議員諸君を委員として、海外同胞救濟委員會を組織致しました、此の委員會は國民の心を心とし、國民の感情を感情として、海外同胞救濟に付て、聯合國最高司令部に島田議長は態々我々の申入をなすつたのであります、是れ亦當時の帝國政府の在外同胞救濟に對する生温い態度に慊らなかつたからであると言はざるを得ませぬ、今本議會に於きまして再び本決議案を院議を以て議決せんとする所以のものは、一に國民の眞情を吐露して、政府を鞭撻し、急速且つ完全なる在外同胞救濟問題の解決を希望するが爲めであります、政府は宜しく本決議案の意のある所を把握せられて、勇敢に善處しなければならぬことも附加へて置きます、と同時に我々は本決議案を通じて、人道的見地から汎く世界の公正なる批判に愬へんとするのでありますから、聯合國は勿論のこと、世界各國の赤十字、其の他凡ゆる權威ある平和團體、宗教團體等が、我々が處理すべき在外同胞救濟處理に關して、擧つて理解と同情とを以て支援せられんことを、衆議院は國民代表として冀つて已まぬものであります、以上概括的に本決議案提出の理由を申述べました、滿場の諸君の御贊成を願ふ次第であります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=6
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007・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 討論の通告があります、之を許します――楠美省吾君
〔楠美省吾君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=7
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008・楠美省吾
○楠美省吾君 私は日本進歩黨を代表しまして、本決議案に贊成の意を表する者であります
國敗れて山河あり、他國の言葉としてのみ聞いた此の句が、我々の現實として今體驗しつつあり、殊に在外同胞が飢ゑと寒さに震へつつある有樣を想像致し、斷腸の思ひであります、八月十五日、終戰の御詔勅を承り、敗戰後在外同胞が被るであらう大犠牲を偲び、私は外聞も憚らず男泣きに慟哭致したのであります、其の想像以上に外地、特に滿洲、北鮮、樺太等の同胞は言語に絶する慘憺たる状態に陷つて居るのであります、脱出者の言に依れば、夫や父の前で妻や娘は暴行され、掠奪、強盜、其の限りを盡し、自殺する婦人は續出して居る現状であります、夫を殘して脱出の途中、三人の子供の中二人は病氣の爲に危篤となり、其の二人の子供を犠牲に殘して、一人の子を連れて内地に引揚げた婦人、又飢ヱと病弱の爲に歩けないやうになつた子供と當人、縁もゆかりもない旅行先に於て、其の子と運命を共にして斃れて行つた婦人、聞くも哀れな話ばかりで、算へ擧ぐれば枚擧に遑がないのであります、此の世の生きた地獄が展開されて居るのであります、以上の慘状に比較して、中南支方面は蒋介石主席が終戰に當り、暴に報ゆるに暴を以てせす、日本人に危害を加へる者は嚴罰に處すとの布告を出した、例外を除いては平穩に暮して居るのでありまして、私は蒋主席に對して滿腔の敬意を捧げて居る者の一人であります、抑抑我が邦人の海外發展は斷じて軍國主義に依るものでないのであります、私の乏しい滿洲に於ける體驗を以てしても、我々は治安治まらず、秩序の紊れた彼の地に渡り、生命を捧げて貢獻致したのであります、殊に開拓民などは住み馴れた家郷を後に、肉親と袂を別つて不毛の地を拓き、北滿の大自然と鬪って建設致し、滿洲農民には新しき農法を教へ、種子を分ち、民生の安定に寄與致し、著々と其の實績を擧げて居つたのであります
今や終戰に依り農地は奪はれ慘憺たる塗炭の苦しみにあるのであります、然るに政府は同胞の斯うした情報すら國家として取り得ず、荏苒日を送つて居る状態であります、曩に在外同胞救援會を作つても、其の豫算すら未だ決定を見ないのであります、此の終戰に依り最も悲慘な目に遭ひ、多年海外に在りて一切の財産を奪ひ取られ、裸一貫歸還する同胞に對して、洵に熱の足らぬものがあると存ずるのであります、世界の人道的見地より聯合國司令部を通じ、或は國際宗教團體、萬國赤十字社等に愬へて、速かに送金通信の途を拓き、救濟の具體的なる方途を進められんことを切望して已まないのであります
曩に衆議院は全員を以て海外同胞救濟委員會を作り、政府を鞭撻し、更に聯合國司令部へ懇請する所あつたのでありまするが、今囘改めて院議を以て本決議案を提出するのであります、以上を以て私の本決議案に贊成する理由と致します(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=8
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009・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 是にて討論は終局致しました、採決致します、本案に贊成の諸君の起立を求めます
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=9
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010・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 起立總員、仍て本案は全會一致可決致しました、此の際外務大臣より發言を求められて居ります――吉田外務大臣
〔國務大臣吉田茂君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=10
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011・吉田茂
○國務大臣(吉田茂君) 只今在外同胞救援に關しまして御決議及び最も熱誠なる各位の御演説を拜聽しまして篤と御趣意は諒承致しました、又聯合國政府、其の他に於ても今囘の御決議及び御演説の趣意は十分諒承することと考へます、又在外同胞諸君に於かれても、此の御決議及び御演説の趣意を承知せられたならば、此の多大なる同情熱誠に對して在外同胞諸君は、非常な感激と感謝の念に燃ゆることと存じます、又當局と致しましては、是まで終戰以來全力を盡して在外同胞の引揚救援に付ては、十分努力致して居りました積りでありましたが、併しながら不幸にして御期待に副ふだけの實績を擧げ得なかつたことは洵に殘念に存じます、併しながら只今御決議の趣意及び各位の御演説の御趣意を體しまして、今後に於て益益全力を盡して此の救援の事業に當る決意で居ります、善處致す考へで居ります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=11
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012・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 日程第一、昭和二十年勅令第五百四十二號(承諾を求むる件)を議題と致します――楢橋法制局長官発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=12
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013・会議録情報3
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第一 昭和二十年勅令第五百四十二號(「ポツダム」宣言の受諾に伴ひ發する命令に關する件)(承諾を求むる件)(貴族院送付)
昭和二十年勅令第五百四十二號
勅令第五百四十二號
政府は「ポツダム」宣言の受諾に伴ひ聯合國最高司令官の爲す要求に係る事項を實施する爲特に必要ある場合に於ては命令を以て所要の定を爲し及必要なる罰則を設くることを得
附 則
本令は公布の日より之を施行す
〔政府委員楢橋渡君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=13
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014・楢橋渡
○政府委員(楢橋渡君) 只今上程せられました昭和二十年勅令第五百四十二號「ポツダム」宣言受諾に伴ひ發する命令に關する件に對し、帝國議會の承諾を求むる件に付きまして、其の提案の理由を御説明申上げます
本年九月二日調印を終りました降伏文書に依りますれば、爾後帝國政府が聯合國最高司令官の要求に從ひまして、「ポツダム」宣言所定の事項實現の爲め、必要なる一切の措置を執るべきことに相成つたのであります、而して右最高司令官の要求に付きましては、法制の上に於きましても、必要に應じ強制力を行使し得るやう萬遺憾なき體勢を整へることが必要と相成つたのであります、而も最高司令官よりの要求の處理は、御承知の通り時に極めて急速を要することがありますので、政府は帝國憲法第八條第一項の規定に基き、本件勅令の制定を仰ぎ、聯合國最高司令官の發する要求に係る事項を實現致す爲め、特に必要ある場合に於ては、隨時命令を以て所要の事項を規定することを得る旨の御定めを願つたのであります、何卒御審議の上速かに承諾を與へられんことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=14
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015・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 質疑の通告があります、之を許します――清水留三郎君
〔清水留三郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=15
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016・清水留三郎
○清水留三郎君 私は只今議題となりました勅令第五百四十二號に付きまして、特に「ポツダム」宣言受諾に關する各般の實情に付きまして、主として總理大臣及び農林大臣の御答辯を要求する者であります
質疑の第一は外務省を廢止致しまして、内閣直屬の一機關を設くる意思が政府にあるかどうかと云ふ問題であります、御承知の如く「ゼネヴァ」に於ける國際聯盟より日本が脱退致しましてからと云ふものは、外交は全く孤立に陷つたのであります、而も大東亞戰爭に於きまして、日本の同盟國でありました所の「イタリア」は早く同盟より脱退し、「ドイツ」も遂に屈服の已むなきに至つたのであります、共榮圏内の國國、滿洲國、中華民國、「タイ」國、「フィリッピン」國、或は其の他の國に於きましても、終戰と同時に日本との關係は全く中絶致しまして、今日は何等の外交交渉は出來なくなつて居るのであります、又戰時中中立を維持して居りました「スイス」、「スエーデン」、「スペイン」、「ポルトガル」、「アフガニスタン」等の國々も「マッカーサー」司令部の命令に依りまして、此の外交關係は絶滅し、我が在外使臣等は是等の國より召還しなければならなくなつたのであります、外務省の任務の一番重大でありましたる是等の事務が外務省の手から離れたのであります、今日殘つて居りますのは、只今議題となつた海外同胞に關する問題とか、渉外事務とか云ふ僅かの部面に限定されて居るのであります、此の場合今の外務省を其の儘に存置して置く必要があるかないかと云ふことが、民間に於て相當喧しくなつて居るのであります、或は内閣の一直屬機關を設けて、外務省に殘されて居りまする事柄を擔任せしめても宜くはないかと云ふ意見が多いのであります、政府は果してどう云ふ考へを持つて居るか、或は政府は近く行政整理を斷行すると言はれますが、行政整理斷行の場合に於て、外務省廢止と云ふ問題を考慮する餘地があるかどうか、唯私共外務省を廢した場合、若し外交が復活した時に於て、如何なる惱みを生ずるかと云ふ問題も、考慮しなければならないのであります、日本は軍國主義を清算致しまして、國際協調を保ち、而も「デモクラシー」國家を建設すると云ふことに付ては、今日國民の上下殆ど一致して居るのでありますが、「ポツダム」宣言に依りましても、日本が再び戰爭を惹起するやうな傾向が見えずして、眞の平和國家が建設された場合に於ては、日本より撤兵すると云ふやうなことも規定されて居るのであります、私共は日本の國民が今日一致結集して、さうして平和國家を建設し、撤兵の一日も速かならんことを國民殆ど全部が要望して居ると申しても差支へないのであります、其の場合に於て、或は其の前後に於きまして、外交關係は復活されるでありませう、外交關係が復活した場合僅かの費用を節約する爲に、外務省を廢止して居つて、其の時に再び外交をやると云ふことで、幾多の不利不便を感ずる場合がないとも限りませぬ、斯う云ふ場合も考慮して、外務省廢止と云ふ問題に付ては、愼重なる考慮を政府に御願ひ致したいのでありまするが、行政整理の曉に於て之を斷行するかどうか、先づ此の點を私は第一に總理大臣に御伺ひ致したいのであります
第二は戰時中大本營の發表致しました戰況報告中に、虚僞誇大のものはなかつたか此の點であります、曾て米機が群馬縣の太田の中島飛行工場を空襲した時のことでございました、附近の人の實際の調べに依りますると、墜落した「ビー」二九は三機と云ふのでございました、それ以上は如何にしても何處に落ちたかと云ふことは分らなかつたとのことであります、然るに大本營の發表に依れば二十數機墜落したと云ふことを發表して居るのであります、其の際私は或る關係者から「アメリカ」の放送を聽いたと云ふ話を聞いたのである、「アメリカ」の發表に依りますれば、墜落未歸還五機と云ふことを發表されて居つたのであります、實際見たのは三機である、所が「アメリカ」の發表は五機である、日本の大本營發表は二十數機である、どちらが正しいか、其の時より私共はどうも大本營發表と云ふものに付ては、何かの掛引があるのではないかと云ふ風に感じたのであります、私は軍部の或る人に對し此のことを尋ねました、さうすると、例へて見れば一つの米機を數機の日本機で墜落せしめた、其の場合に於て墜落せしめた飛行家は各各一機づつ落したと云ふ、所が五、六機寄つて一機落したのであるから、計算上或は五、六機に計算する場合があるかも知れない、故にさう云ふやうなことは出來るだけ嚴重に調べて居るが、多少の誤りはなきにしもあらずと云ふことを言はれたことがございましたが、兩三日前「アメリカ」の發表致しました或は「アリューシャン」の海戰、珊瑚海の海戰、是等の事實と、從來あの當時政府の發表した、大本營の發表したる所の數と非常なる相違があると云ふことを私共は見て居るのであります、所謂大本營の發表したことに果して虚僞、誇大なるものはなかつたか、又政府の、殊に大本營の樂觀的の報道、是が如何に戰爭を不利に招いたかと云ふことを私共は痛切に感ずるのであります、而も當時に於ける言論の壓迫は甚だしきものがございまして、例へて見れば「アメリカ」の眞相を説けば、彼は親米論者なりと云つて排撃し、悲觀論を唱へれば、厭戰思想なりと言つて迫害を加へたのであります、私自身のことを申して洵に恐縮ではありまするが、或る時斯う云ふことがございました、それは一般にどうも「アメリカ」には各種の人種が入込んで居る、或は「ドイツ」人の子孫、「イタリア」人の子孫、日本人の子孫等がある、又「アメリカ」は一億三千六百萬の人口中、千二、三百萬と云ふものは「ニグロ」である、是等異人種の集合體の「アメリカ」であるから、戰爭になると内輪は治まらぬ、國内は紛糾をする、日本が長く頑張つて居るならば、きつと「アメリカ」の國内事情に於て日本は勝てると云ふことが盛んに宣傳されて居つたのであります、私は或る懇談會の席上に於て、それは大いなる誤りである、「アメリカ」と云ふものは、各國人種の集合體ではございまするが、之を「アメリカナイズ」する「アメリカ」化すると云ふことに於ては確かに成功して居る、現に丁度戰ひの前夜でございました、所謂昭和十六年の議會終了の直後でありました、私は山道襄一代議士と二人して、此の瞼惡なる所の日米の空氣、之を何とか融和したいものだと云ふ風の考へから、「ハワイ」から「アメリカ」に參りました所が、山道君が「ニューオルリアンス」に於て客死されましたので、不幸中途にして遺骸を携へて私は歸朝したのであります、其の後でございましたが、高見之通君がやはり宗教家を連れまして、さうして日米親善の爲に「アメリカ」を旅行せられたのであります、世間では動ともすると、議會人は軍部官僚に迎合して、戰爭を誘發した責任があるかの如く言つて居る者もありまするが、併し議會人の大多數と云ふものは、其の當時如何にして戰爭を惹起せしめないで、さうして平和的に、日米關係を圓滑にしようと云ふことに苦心して居つた者が多かつたのであります、偶偶「ハワイ」に於きまして多くの二世との懇談會を開きました其の席上、私は二世の主なる人々に對しまして、若し不幸にして日米衝突するやうなことがあつた場合に於ては、諸君は日本の勝つことを希望するか、「アメリカ」の勝つことを希望するかと云ふことを、露骨に質問致しました、さう致しますと日本に歸つたことのあります二、三人の人はさうでございませぬでしたが、日本に歸らざりし大部分の二世の方々は、自分達の兩親は日本で生れ、日本で育つて日本の恩顧を受けて居る、併し自分達は「アメリカ」で生れ、「アメリカ」で育ち、「アメリカ」で教育を受けた、將來も日本に歸って住まうと云ふ觀念は毛頭ない、「アメリカ」は自分の家である、自分達は純然たる「アメリカ」の市民である、故に日米戰爭の曉には我々は「アメリカ」の勝つことを希望して居る、私共は喜んで「アメリカ」の兵隊になる、兵役の義務を行ふ、之を「アメリカ」を勝たしめんが爲に希望して居ると言つて居る、最近種々なる情報から聞きますと、此の間の「ヨーロッパ」の戰爭に於きまして「アメリカ」に於ける日本の二世が、二世軍を組織致しまして、「イタリア」から「ドイツ」に參つた、而も能く戰つた、あの普通の「アメリカ」の兵隊以上に戰つたと云ふので、今日「アメリカ」の内地に於て日本の二世が非常にもてて居ると云ふ話を聞いて居る、所謂日本人すら然りである、故に「アメリカ」が國内に於て、内輪に於て紛糾を生ずるやうなことはあるまいと云ふことを、私或る所で申上げると、直ちに私に向つて壓迫が加はり、それのみならず、私の郷里に居ります實兄を警察は拉致しまして、十數日留め置いた、お前の弟は郷里へ歸ればお前の家に泊まるであらう、何か弟から聞いたことはありはしないかと云ふことで、凡ゆる壓迫を加へましたが、幸ひ私も話したこともなければ、兄も聞いて居らぬと云ふことで助かりました、さう云ふ風に所謂眞實を話さうと思へば、直ちに是が抑留されたと云ふ風な状態であります、所謂政府が樂觀的の報道のみやつて居る、是が日本が緊張しなかつた最大の原因と思ひます、「アメリカ」に於ては「グルー」駐日大使が日本から歸りますと、日本民族の優秀なること、日本人は敵として恐るべきものなりと云ふことを言はれて、さうして「アメリカ」の輿論に愬へて「アメリカ」國民をして眞劔味を帶びさせしめた、然るに日本は是の反對でございます、是等の最大原因は、政府が極力誇大なる報道をした、日本國民を樂觀的に導かしめたと云ふことが最大の原因であらうと存じますが、所謂戰爭に日本が敗けたと云ふ原因が茲にあるのではないかと思ひます、政府の是等に對する御考へはどうであるか
第三には敗戰を招いた責任者に對して、政府は如何なる處置を講ぜんとするのでございますか、戰爭の誘發者及び戰時法規の違反者、是は聯合國側に依つて處罰せらるるのであります、併し敗戰の責任者に對しましては、是は聯合國關係から官吏の指令はありますまい、併し日本の國家と致しましては、是等敗戰を招いたる責任者に對しては、此の儘にして置くと、日本今後の状態がどうなるか、私共は敗戰責任者と云ふものの中に於ては、戰爭中に於ては傍觀的態度を執つて協力しなかつた者でありまして、戰爭中に於て政府の命令したる供出を拒んだとか、物資を死藏して居つたとか、今になつて是等を出して、或は暴利を貪つて居つたとか、或は軍需工業等に於て工場自身、所謂會社自身は損害を蒙つて居りながら、其の重役が自ら懷ろを肥して戰爭を不利に陷らしめたと云ふ風なもの、是等所謂敗戰の責任者と云ふものは、是は國家として十分調査をして、之に對する或る處置を講ずると云ふことが必要であると思ふ、斯う云ふことに對して恐らく聯合國側から別に制裁は來るまいと思ひますが、制裁が來た時は仕方がない、制裁の來ない間は、日本政府としては當然是等敗戰責任者と云ふものに付て、十分調査して置くことが今日必要であつて、之を如何に處理するかと云ふことに付て政府の御意見を承りたいのであります
次に政府は「マッカーサー」司令部と絶えず連絡を保つて居るかどうかと云ふ問題であります、「アメリカ」は輿論の國であります、「アメリカ」人の多くは話せば能く分る國民なのであります、輿論の國「アメリカ」に對しては、話せば能く分る「アメリカ」人に對して、日本はどう云ふ行動を執つて居るでございませう、從來日本の官僚の一部に於ては、動とも致しますると、一旦主張したことは假令それが非であつても、それを何とか我意を通さうとして、正論を退けると云ふ傾向が隨分多いのであります、所が「アメリカ」人と云ふものは、それが惡いと知ると改むるに何等憚る所のない國民性の國である、私共は別に躊躇する必要はあるまいと思ふ、若し「マッカーサー」司令部から、或る司令が發せられると云ふことが分つた場合に於ては、事前に日本の國情を説明して、其の諒解を求むることが必要であります、一たび發せられた司令であつて、而もそれが實際に副はざる憾みがある場合に於ては、其の善處方を要望すると云ふことも亦當然であります、無論「マッカーサー」司令部の指令と云ふものは絶對的である、是は我が法律を超越して居るのでありまして、之に對して阻止する權能は現在日本に遺憾ながらありませぬ、併し「アメリカ」の國民性に愬へ、「アメリカ」の輿論に愬へて、若しそれが日本の國情に副はざる時には、日本の要望を正々堂々と主張することが、寧ろ「アメリカ」をして誤らしめざる所以、又日本の國を維持する所以になるのであります、是等に對して政府は遺憾なき行動を執られて居るかどうか、今までは動ともすると、敗戰の爲め已むを得なかつたかも知れませぬが、卑屈に流れて居る、日本の國情と「アメリカ」の國情を同樣に見て、言ふべきことを躊躇して居ると云ふ傾向なきにしもあらずであります、議會に於ても我々議員と致しまして、國民の代表者として言ふべきことはどしどし言ふことが必要であると思ふ、之を餘り考慮することは、却て彼我國交上に不利益を釀す所以でありますから、それ等の點に於ては大膽率直に、政府は「マッカーサー」司令部に對して要望することが必要だと思ひます、是等に對して政府は遺憾なきを期して居るかどうか、尚ほそれ等の内容、其の他に付ては、委員會に於て質疑を致したいのでありますが、此の席上に於て其の概念だけを承つて置きたいのであります
第五に私は農林大臣に御伺ひ致したいのであります、米其の他の輸入を許可せられました聯合國側の好意に對しましては、國民と致して衷心より感謝して居るのであります、今日婦人に參政權が許された、併し多くの婦人は何と言つて居るか、參政の權利を得るよりは、米を一勺でも宜いが増配して貰ひたい、是が今日日本國民一般婦人の叫びではありませぬか、飢餓線上にある我が國食糧の問題、是が實際國民の死活問題になつて居るのであります、「アメリカ」の輸入許可、是は私共實に有難く思ふ、併し其の輸入にして遅延せんか、若し時期が遲れんか、日本は一體どうなるでありませうか、問題はいつ輸入せられるか、いつ米其の他が内地に到來するかと云ふ問題に歸するのであります、「ヨーロッパ」に於て、或は「ドイツ」に於て、「フランス」に於て「バルカン」の國々に於て、「イタリア」の如きは、米英軍に依つて救濟された、「フランス」も同樣である、「バルカン」の國々も同樣である、所が其の「イタリア」はどうであったか、米英が高遠なる「デモクラシー」に依つて「イタリア」を感化せしめんとした、併し「イタリア」國民の生活はどん底に陷つて居つた、之に偶偶手を染めたのは「ソ」聯である、「ソ」聯は生活問題を中心とした、其の結果今日「イタリア」に於ては如何なる内閣が組織せられやうとも共産黨員を無視しては組織出來ぬやうになつてしまつた、「フランス」に於ては、「フランス」と「ソ」聯が同盟條約を結ばなければならなくなつたと云ふ理由は、何處に存在して居るか、「バルカン」の國々に於ても「チャーチル」「スターリン」、此の兩巨頭の會談に於て「ルーマニア」「ブルガリヤ」は「ソ」聯の勢力圏たらしめ、「ユーゴスラヴィア」は「ソ」聯と「イギリス」の共同管理たらしめ、「ギリシャ」は「イギリス」の勢力範圍たらしむると云ふ協定が、出來たと云ふ説を聞いて居りましたが、今日是等「バルカン」方面はどうか、殆ど「ソ」聯の勢力が滲透して居るではありませぬか、若し日本に於て「アメリカ」が特に「デモクラシー」の高遠なる理想を我々に注入して呉れて居る、日本が軍國主義を清算し「デモククラシー」國家を作ると云ふことに付ては、私共「アメリカ」の好意を多として居ります、併しそれと同時に日本の生活の直接問題である米などの輸入の到來が遲かつた場合に於て、動ともすると「ソ」聯の勢力が、日本にどしどし入つて來るのではないか、現に樺太に於ける實情を我々は新聞で見ましたが、樺太に於て初めは隨分悲慘なる状態であつたと云ふが、先日の新聞に依りますと、樺太に於ける内地人を悉く勞働に服せしめた、併し勞働に服して居る者に對しては「ウラヂオ」から或る一部の米を輸入して、さうして是等の生活を援助して居ると云ふことを聞いて居る、若し日本の生活上に於て更に更に危機が來た場合に於ては、折角「アメリカ」の好意と云ふものも無になつて、却て日本が「ソ」聯の勢力圏内に入るかも知れない、之を思ひました場合に於て、私は此の議會を通じて「アメリカ」の輿論に愬へたい、「アメリカ」全部の國民に愬へたい、今日の日本の一番の問題は、生活の問題死ぬか活きるかの問題である、此の場合に於て「アメリカ」の輿論が日本を救ふ爲に一日も早く米の到來するやうに御盡力を願ひたい、無論米を輸出する國々の状態もございませう、船腹の關係もありませう、中々思ふやうには行かぬと云ふことは、私共は知つて居りますが、一日遲れれば一日だけ國民が飢餓に陷るのであります、之に付きまして政府は無論現在の農林省として分りますまい、是は向ふの事情如何に依つて決めるのである、我々は如何ともすることは出來ませぬが、せめて農林省の豫想して居ります何時頃米が日本に到來するか、之に付ても多少なりとも農林省が觀察し得られる點がありまするならば、其の内容に付て農林大臣から御説明が願ひたい、是は私は無理は申しませぬ、向ふの關係である、日本は如何ともすることは出來ませぬが、併し今農林省が大凡此の時分には、此の位の米は入るであらうと云ふやうな、若し見込が付いて居りまするならば、其の見込の程度に付て農林大臣より御説明を願へれば結構であります
更に最後に私御尋ね致したいのは、政府は農地調整法改正案、勞働組合法案の兩案の審議が終了するまで、議會の會期を延長する考へがあるかどうかと云ふ問題であります、十日「マッカーサー」司令部は、日本農民を封建的不在地主の抑壓から解放せしむる爲め、農地制度改革の要を強制した指令が發せられたと云ふことを、私は新聞に於て今朝拜見したのであります、政府の農地に關する法案と「マッカーサー」司令部が政府に寄越した内容との間に於て、そこに何か齟齬があるかどうか、政府の議會に提出した案と「マッカーサー」司令部の指令との間に何か齟齬する點があるかどうか、若し齟齬する點があると致しましたならば、政府は其の法案を一旦撤囘して、更に新しい案を此の議會に提出する考へであるかどうか、若し齟齬する點がない、政府の提出したる案其のもので宜いと致しました場合に於て、議會が若し其の案に修正を加へたと致しましたならば――議會は議會の權能に於てやるのでありますが、議會に於て之を修正したと云ふ場合に於ては、政府は如何なる處置を執るのでございますか、此の點に付て私は最後に御伺ひ致したいのであります
私の質問は全六項でございまするが、初めの四項目に付ては總理大臣より、後の二項目に對しては農林大臣の答辯を御願ひ致しまして、私の質疑は是で終了致したいのであります(拍手)
〔國務大臣男爵幣原喜重郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=16
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017・幣原喜重郎
○國務大臣(男爵幣原喜重郎君) 只今清水君の御質問の第一點は、外交機能が大部分現に停止されたのであるから、外務省を一省として存置する必要ありや否やと云ふことであります、御話の通り外交機能は現在大部分停止されて居ります、併し終戰連絡事務、海外同胞引揚事務、斯う言つたやうな重要事務が山積致して居りまする今日、之を直ちに廢止して、内閣直屬の一機關とすることはまだ適當でないと考へます、且つ外交機關の機能の停止と云ふことは必ずしも永續的の事態と思はれませぬ、他日其の機能の再び更に復活する、其の復活を列國より認められる時期は來るものと考へられます、其の時期が何時來るかと云ふことは、今日より豫想は出來ませぬけれども、一朝其の外交機能の復活に至りました際に於きまして、外交事務に當つて堪能なる者は急速に養成し得られるものではありませぬ、我々は斯かる事態、來るべき事態の要求をも考へて、之に備へる所がなければなりませぬ、之を思ひますと云ふと、外務省の此の機構は急激に、且つ徹底的に此の際縮小し得られるものとは考へませぬ、併しながら今日の事態に於て若干の縮小の餘地がある、過剩人員が生じ得るのでありませうから、此の點に付きましては行政整理の問題と關聯して十分に考慮を致したいと考へて居ります
次に第二點は、大本營發表の眞僞の問題であります、大本營の發表に付きましては、實際の結果から見て、事實と相違する所があつたやうに思はれるものがありまするけれども、其の發表の當時に於て故らに虚僞誇大の事實を宣傳する、傳へると云ふやうな意思に出たものとは考へられませぬ
第三に、敗戰の責任に付て政府は如何に考へて居るかと云ふことであります、戰爭を開始し、延いては敗戰に至らしめたる責任の點に付きましては、勿論其の事實を究明し、將來再び斯かる過ちを繰返さないやうに、十分に此の點は注意を致して處置を執りたいと考へて居ります、先般政府に於きまして大東亞戰爭調査會なるものを設置致しましたのも、此の一端に資する所があると考へます、他面戰爭責任者と認められる人々は、既に輿論に依つて其の責任を問はれつつあるのであります、輿論の制裁は實際に於て相當に深刻なものがあります、此の意味に於て、此の責任の追究と云ふことは事實上或る程度まで行はれて居るものと見て宜からうと思ひます、其の以上、政府として如何なることをすべきやと云ふことになりますると、戰爭の責任の嫌疑ある者を法律的に査問し、制裁を加へると云ふことは、是は政策論として愼重に考へなければならぬ點が澤山あるのであります、此の點は輕率に判斷し得られないものと考へます、能く其の結果も考へ、將來に於ける利害得失も考へて決定致したいと考へて居ります
それから第四點は「マッカーサー」司令部との指令發布前の事前連絡に付て、政府は如何なることを致して居るかと云ふことであります、政府と聯合軍司令部との連絡の内情を申述べますることは、今後其の連絡の圓滑を期しまする上に於て、重大なる影響を及ぼすの虞がありまするから、私としては此の問題に對する御答辯は差控へるの外ありませぬ、此の段は宜しく御諒承を願ひます
〔國務大臣松村謙三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=17
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018・松村謙三
○國務大臣(松村謙三君) 御答へを申上げます、輸入の要請に對する將來の見透しの御話でありますが、清水君の御話の通り、輸入許可の原則に付ては同情ある許可を得たのでございますが、其の後の具體的な、何處からどれ位入れると云ふ點に付きましては、只今の所未だ御報告申す所までに參つて居りませぬ、御話の通り是が具體的に要請が許されまするならば、供出は其の爲に促進し、國民の元氣は之に依つて囘復して、さうして新しい日本の建設に邁進することが出來るのでありまして、私共も日夜其の許しを得るが爲に苦心を致して居るのでございます、私共は是れ以上のことは申上げ兼ねますけれども、何とかして此の具體的の許しが近くあることを期待し、且つ念願を致して居る者でございます
又昨日「マッカーサー」司令部からありました農地改革に付ての指示でございますが、此の點に付きましては司令部の指示の點は、御承知の通り一九四六年、明年三月十五日までに左の諸計畫を内容とする農地改革案を本司令部に提出すべし、さうして其の内容にありますのは一、不在地主より耕作者に對する土地所有權の移譲、是が一つでございます、次は耕作せざる所有者より農地を適正價格を以て買取る制度、第三は小作者收入に相應せる年賦償還に依る小作人の農地買取制度、此の三つを指示して參つて居るのでございます
此の三點とも、今囘政府が提案致しました農地改革のあの法案の中の主眼をなして、全部あの中に包容せられて居る觀念でございまして、此の指示とちつとも相悖る所なしと信ずる者でございます、隨ひまして本案を更に撤囘して改めて提出するが如き考へを持つて居りませぬでございます
尚ほ其の次に指示せられてありますことは、小作人が自作農化したる場合、再び小作人に轉落せざるを保障する爲の制度、右保障の策は左記條項に依るべし、一、適正利率に依る農村長期及び短期信用の普及確保、二、加工業者及び配給業者の搾取に對する農民の保護手段、三、農産物價格の安定策、四、農民に對する技術上其の他の啓發事項普及の計畫、五、非農民的利害に支配せられず、且つ日本の農民の經濟的、文化的進歩を目的とする農村協同運動の釀成竝に獎勵計畫是が一項であります
最後に尚ほ、日本帝國政府は上記項目以外に於て農民の國民經濟への寄與に相應する農民の國民所得の分前の享受を保障する爲め、必要と認めらるる計畫を提出すべし、斯う云ふのでございます、此の二項に付きましては、現に施策を致して居る所もありまするし、又次の議會に此の指示に依つて、必要なきものは提案を致し、又其の間に急ぎますものは緊急勅令を以て措置を致したいと存じて居ります、以上御答へを申上げます
それからもう一つ失念致しましたが、此の指示を受けました以上は、議會の修正はどうかと云ふ御尋ねでございます、勿論議會に於ける修正權は是は當然の權利でございまして、之に對して私共は彼れ此れ申すことは出來ませぬ、併しながら「マッカーサー」司令部の此の指令は、其の上に立つ絶對のものであることは、是れ亦申上げるまでもない所でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=18
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019・清水留三郎
○清水留三郎君 簡單でありますから、此の席から御許しを願ひます――只今農林大臣の御答辯を承りましたが、只今此處に總理大臣が見えませぬ、私の質疑の中に於きまして、若し農地關係の法律が此の兩院の審議が終るまで、所謂會期中に、是等の案が審議終了しない場合に於ては、政府は議會の會期を延長する考へがあるかどうかと云ふ質問を致したのでございまするが、此の點に付て御答辯がありませぬ、若し農林大臣から之に付て御答辯が出來ますれば結構であります、さうでなければ、何かの機會に於て總理大臣から御言明を戴きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=19
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020・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 他の機會に於て總理大臣から御答へがあるでありませう――是にて質疑は終了致しました、本件の審査を付託すべき委員の選擧に付て御諮り致します
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021・長野高一
○長野高一君 本件は議長指名三十六名の委員に付託せられんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=21
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022・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 長野君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=22
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023・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 御異議なしと認めます、仍て動議の如く決しました
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=23
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024・長野高一
○長野高一君 議事日程追加の緊急動議を提出致します、即ち此の際政府提出貿易資金設置に關する法律案を議題となし其の審議を進められんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=24
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025・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 長野君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=25
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026・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 御異議なしと認めます、仍て日程は追加せられました――貿易資金設置に關する法律案の第一讀會を開きます 澁澤大藏大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=26
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027・会議録情報4
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貿易資金設置に關する法律案(政府提出)
第一讀會
貿易資金設置に關する法律案
第一條 政府の行ふ貿易の決濟の爲貿易資金を置く
第二條 本資金は五千萬圓とし爲替交易調整特別會計昭和十九年度の決算上の剩餘の中を以て之に充つ
第三條 本資金に不足を生じたるときは政府は爲替交易調整特別會計の負擔に於て借入金を爲し一時之を補足することを得
前項の借入金は遲くとも翌年度に於て之を償還すべし
政府は第一項の規定に依る借入金に代へ當該年度内に限り國庫餘裕金を繰替使用することを得
第四條 本資金は之を貿易物資、外貨又は勅令の定むるものに運用することを得
本資金の運用に關する事務は大藏大臣の定むる所に依り日本銀行をして之を取扱はしむ
第五條 本資金の運用に伴ふ資金運用利殖金及附屬雜收入竝に本資金の運用に伴ふ事務取扱費、資金運用手數料、附屬諸費及資金運用損失金は之を爲替交易調整特別會計に屬せしむ
爲替交易調整特別會計に於て前項の規定に依り屬せしめられたる經費を支辨する爲必要あるときは政府は同會計の負擔に於て借入金を爲すことを得
第六條 本資金に屬する資産にして滅失し又は價格の減損を生じたるものあるときは爲替交易調整特別會計設置等爲替交易調整法第四条の規定に拘らず爲替交易調整特別會計の決算上生じたる剩餘を以て之を償却し又は資金より之を償却すべし
附 則
本法は公布の日より之を施行す
〔國務大臣子爵澁澤敬三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=27
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028・澁澤敬三
○國務太臣(子爵澁澤敬三君) 只今議題となりました貿易資金設置に關する法律案提出の理由を御説明致します
今囘聨合國最高司令官の指示に基きまして、政府に於きまして、物資の輸出及び輸入を行ふことと相成りましたる所、是が運營に付きましては、新たに輸出及び輸入の決濟に關する資金を設け、輸出物資の買入及び輸入物資の買入等を此の資金の運用として行ひ、之に伴つて生ずる所の歳入歳出は之を爲替交易調整特別會計の所屬と致し、貿易の圓滑なる運營に萬遺憾なきを期するを適當と認めまして、茲に本法律案を提出致しました次第であります、何卒御審議の上速かに協贊を與へられんことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=28
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029・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 本案の審査を付託すべき委員の選擧に付て御諮り致します
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=29
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030・長野高一
○長野高一君 本案は政府提出鹽專賣法中改正法律案外一件委員に併せ付託せられんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=30
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031・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 長野君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=31
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032・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 御異議なしと認めます、仍て動議の如く決しました
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=32
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033・長野高一
○長野高一君 委員に付託したる議案の審査終了を待つ爲め暫時休憩せられんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=33
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034・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 長野君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=34
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035・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 御異議なしと認めます、暫時休憩致します
午後二時五十三分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=35
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036・会議録情報5
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午後六時三十分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=36
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037・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 休憩前に引續き會議を開きます
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=37
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038・長野高一
○長野高一君 議事日程追加の緊急動議を提出致します、即ち此の際政府提出、衆議院議員選擧法中改正法律案及び昭和十三年法律第八十四號中改正法律案の兩案を一括議題となし、委員長の報告を求め其の審議を進められんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=38
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039・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 長野君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=39
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040・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 御異議なしと認めます、仍て日程は追加せられました――衆議院議員選擧法中改正法律案、昭和十三年法律第八十四號中改正法律案、右兩案を一括して第一讀會の績を開きます、委員長の報告を求めます――委員長清瀬一郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=40
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041・会議録情報6
――――◇―――――
衆議院議員選擧法中改正法律案(政府提出)
第一讀會の續(委員長報告)
昭和十三年法律第八十四號中改正法律案(大東亞戰爭に際し召集中の者の選擧權及被選擧權等に關する件)(政府提出)第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━
報告書
一衆議院議員選擧法中改正法律案(政府提出)
右は本院に以て別紙の通修正すへきものと議決致候此段及報告候也
昭和二十年十二月十一日
委員長 清瀬一郎
衆議院議長島田俊雄殿
〔別紙〕
衆議院議員選擧法中改正法律案中左の通修正す
第二十七條第一項を左の如く改む
選擧人は投票所に於て左の區分に從ひ投票用紙に自ら議員候補者一人又は數人の氏名を記載して投函すべし
一 選擧すべき議員の數五人以下の選擧區に於て一人
二 選擧すべき議員の數六人以上十人以下の選擧區に於ては二人以内
三 選擧すべき議員の數十一人以上の選擧區に於ては三人以内
第五十二條第一項中「左の投票」を「第二十七條第一項第一號の規定の適用ある選擧區に於ける票にして左に掲ぐるもの」に改む
第五十二條の二 第二十七條第一項第二號又は第三號の規定の適用ある選擧區に於ける投票(以下連記投票と稱す)にして左に掲ぐるものは之を無效とす
一 成規の用紙を用ひざるもの
二 議員候補者に非ざる者の氏名を記載したるもの
三 議員候補者の氏名の外他事を記載したるもの但し官位、職業、身分、住居又は敬稱の類を記入したるものは此の限に在らず
連記投票中の左に掲ぐる氏名の記載は之を無效とす
一 第二十七條第二號又は第三號の規定に依り選擧すべき議員の數を超え記載したる末尾の氏名
二 被選擧權なき議員候補者の氏名
三 自書せざる議員候補者の氏名
四 議員候補者の何人を記載したるかを確認し難き氏名
五 衆議院議員の職に在る者の氏名
前項第五號の規定は第七十五條又は第七十九條の規定に依る選擧の場合に限り之を適用す
第五十二條の三 投票に同一議員候補者の氏名の二以上の記載あるときは之を一の記載と看做す
第八十八條乃至九十七條 削除
第九十八條の二及び第九十八條の三を削る
第百條及第百條の二を削る
第十一章中第百一條の前に左の二條を加ふ
第百條 議員候補者は選擧運動の費用の支出に關する責任者(以下支出責任者と稱す)一人を選任すべし但し議員候補者自ら支出責任者と爲り又は推薦届出者(推薦届出者數人あるときは其の代表者)議員候補者の承諾を得て支出責任者を選任し若は自ら支出責任者と爲ることを妨げず
議員候補者の承諾を得ずして其の推薦の届出を爲したる者は前項但書の承諾を得ることを要せず
議員候補者は文書を以て通知することに依り支出責任者を解任することを得支出責任者を選任したる推薦届出者に於て議員候補者の承諾を得たるとき亦同じ
支出責任者は文書を以て議員候補者及選任者に通知することに依り辭任することを得
支出責任者の選任者(自ら支出責任者と爲りたる者を含む)は直に其の旨を選擧區内警察官署の一に届出づべし
支出責任者に異動ありたるときは前項の規定に依り届出を爲したる者直に其の届出を爲したる警察官署に其の旨を届出づべし
第百一條の二の規定に依り支出責任者に代りて其の職務を行ふ者は前項の例に依り届出づべし其の之を罷めたるとき亦同じ
第百條の二 支出責任者故障あるときは選任者代りて其の職務を行ふ推薦届出者たる選任者(自ら支出責任者と爲りたる者を含む)も亦故障あるときは議員候補者の承諾を得ずして其の推薦の届出を爲したる場合を除くの外議員候補者代りて支出責任者の職務を行ふ
第百一條 立候補の届出ありたる後に於ては議員候補者又は支出責任者と意思を通ぜずして支出する費用を除くの外選擧運動の費用は支出責任者に非ざれば之を支出することを得ず但し支出責任者の文書に依る承諾を得たる者は此の限に在らず
第百四條 左の各號に掲ぐる費用は之を選擧運動の費用に非ざるものと看做す
一 選擧の期日の公布又は告示ありたる日前に於ける選擧運動の爲に要したる費用
二 選擧の期日後に於て選擧運動の殘務整理の爲に要したる費用
三 議員候補者又は支出責任者と意思を通ぜずして支出したる費用(立候補の届出前に於て其の者と意思を通ぜずして支出したる費用を含む)
四 議員候補者か乘用する船車馬等の爲に要したる費用(其の者の立候補の届出前に於ける當該費用を含む)
第百六條第一項中「選擧事務長」を「支出責任者」に、「第八十八條第五項」を「第百条第五項」に改む
第百九條中「選擧事務長」を「支出責任者」に、「第九十五條」を「第百條の二」に改め「選擧事務所、選擧委員、選擧運動の爲使用する勞務者其の他に關する事務と共に」を削る
第百十六條第一項中「、選擧事務長若は選擧委員」を「若は選擧運動者」に、「選擧事務所」を「選擧運動事務所」に改む
第百二十四條及第百二十五条 削除
第百二十六條中「前條但書の例に依る」を「仍其の編輯人及實際編輯を擔當したる者を罰す」に改む
第百二十九條中「第九十五條の二、第九十六條第一項、」、「若は第九十八條の二」及「又は第九十四條の規定に依る命令に從はさる者」を削る
第百三十條 削除
第百三十一條中「第八十九條第一項、」を削る
第百三十二條第一項中「第八十八條第五項乃至第七項又は第八十九條第四項」を「第百條第五項乃至第七項」に改め同條第二項を削る
第百三十四條中○「一年以下の禁錮」の下に「又は五百圓以下の罰金」を加ふ
第百三十七條第一項中「第百三十條及」を削る
第百四十條第一項中「選擧事務長」を「推薦届出者」に改む
附 則
本法は次の總選擧より之を施行す
陸海軍軍人にして現役中のもの及召集中のものの選擧權及被選擧權に付ては仍從前の規定に依る
本法に依り初て議員を選擧する場合に於て衆議院議員選擧法第十八條の規定に依り難きときは勅命を以て別に總選擧の期日を定むることを得
前項の規定に依る總選擧に必要なる選擧人名簿に關しては勅令を以て特別の規定を設くることを得但し其の選擧人名簿は次の選擧人名簿確定迄其の效力を有す
戸籍法の適用を受けざる者の選擧權及被選擧權は當分の内之を停止す
前項の者は選擧人名簿に登録せらるることを得ず
昭和二十年十二月二十日以後昭和二十一年十二月十九日迄の間に行はるる選擧に關しては選擧人名簿に登録せらるることを得ざる者選擧人名簿に誤載せられ投票を為すも之を理由として衆議院議員選擧法第八十一條又は第八十三條の規定に依る訴訟を提起することを得ず
衆議院議員選擧法第百四十條第一項の規定は次の總選擧に限り之を適用せず
沖繩縣、北海道廳根室支廰管内國後郡、沙那郡、擇捉郡、藻取郡及色丹郡竝に花咲郡齒舞村水昌島、勇留島、志發島、多樂島及秋勇留島竝に海上交通杜絶其の他特別の事情ある地域にして勅令を以て指定するものに於ては勅令を以て定むる迄は選擧は之を行はず
前項に掲ぐる地域に於て初て行ふ選擧に關し○必要なる事項は勅令を以て之を定む
━━━━━━━━━━━━━
報告書
一 昭和十三年法律第八十四號中改正法律案
(大東亞戰爭に際し召集中の者の選擧權及被選擧權等に關する件)(政府提出)
右は本院に於て可決すへきものと議決致候此段及報告候也
昭和二十年十二月十一日
委員長 清瀬一郎
衆議院議長島田俊雄殿
〔清瀬一郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=41
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042・清瀬一郎
○清瀬一郎君 只今議題に供されました衆議院議員選擧中改正法律案外一件の審議の經過と結果を御報告申上げます
本案は終戰後日本の新發足の第一歩でありまする重大議案であります、委員會は本月四日の午前から本日の午後に至るまで一週間、毎日連續午前午後熱心なる審議を重ねたのであります、審議致しました事項は實に多岐に亙つて、而も重大なことばかりでありまするが、詳細は速記録に譲りたいと存じます、何卒御覽を願ひます、唯主な事項だけを申上げますれば、本案では選擧權の年齡を二十五歳から二十歳に下げ、被選擧權を三十歳より二十五歳に引下げて居ります、婦人に參政權を輿へ、年齡資格に付ては前同樣に致して居るのであります、尚ほ本案の特色は大選擧區制を採用したのであります、又比例代表の代案と致しまして、制限連記を或る程度採用したのであります、尚ほ政府は選擧運動を簡素化する、又明朗にすると云ふので、現行法にある多數の制限規定を削除するの案を出しました、此の外に衆議院議員選擧法には多數の重要問題を含んで居りまするが、是は政府の提案の中には入つて居りませぬ、例へば衆議院議員の他の官職兼任の問題、華族の選擧權、被選擧權の問題、なぜ是が入つて居らぬかを聽きますると、政府の辯明は、此の選擧法で新たに代議士を選出して、新議會が出來れば、そこで選擧法の審議會のやうなものを作つて、更に選擧法全體に付き徹底的審議をして戴くのだ、今囘は緊急なるものばかりを提案したのであると云ふ辯明であります、今申す通り質疑應答の詳細は申上げませぬが、委員會を代表致しまして昨日午後には、委員長より内閣總理大臣に對し重要なる質問を致したことが一つあります、是だけを申上げて置きます
それは政府は今囘の選擧法の改正の目標は、純正健全なる新議會を建設するのだと云ふことを本會議でも、委員會に於ても繰返して言つて居るのであります、併し其のことは如何にも形式的の答辯である、新しい議會を作ると云ふことは形式的な答辯である、更に今度の選擧には具體的の政治目的がなければならぬ、彼の「ポツダム」宣言には占領軍は日本人が自由に表示した意思で、平和的の責任政府を確立したならば撤退すると云ふ規則があるのです、それ故に我々は今後必ず責任政府と云ふものを打樹てなければならぬ、而も責任政府を打樹てるのには中間で其の論が出ても駄目である、日本國民自身の、女も青年も國民自身の意思を根源とした責任政府を樹てると云ふことが「ポツダム」宣言であつて見れば、今囘の選擧に於ては其の點を國民に問ふと云ふことが、選擧の目標ではあるまいかと問を發して見たのであります、之に對して内閣總理大臣は此の問を肯定せられて、「ポツダム」宣言の其の趣旨は若し議會を解散すれば、選擧の際には國民に能く徹底するやうに取計らふと云ふのでありました、是れだけを報告申上げて置きます、其の外に選擧干渉の問題とか、公民教育の問題、婦人參政の問題、婦人の民法上の地位と選擧の關係等、種々有益なる質疑應答のあつたことは前に申上げた通りであります
而して昨日の午後に質疑は終了致しまして、本日午前より討論を始めたのであります、其の際に社會黨の木下郁君、自由黨の原玉重君、進歩黨の原夫次郎君から、各各政府案に對する修正の動議が出ました、社會黨、自由黨の修正のことは第二讀會に於て本議場に紹介さるると思ひますから、今は省略致します、進歩黨の修正案を要約して申上げまするが、進歩黨の修正案は大凡三つの主義から出來て居るのであります、三つの主義とは何ぞやと言へば、一つは制限連記制の政府案に對する修正であります、もう一つは選擧公營の擴大であります、第三は選擧運動の合理化であります、此の三つの「プリンシプル」から成つたのが進歩黨の修正案であります、其の第一の制限連記制のことを一言申しますれば、凡そ選擧權の實體權それ自身は國民平等です、之に差等があつてはなりませぬ、唯選擧手續は大體均整を得れば宜い、けれども選擧手續と雖も非常に均整を失し、一方の選擧區の手續と、他方の選擧區の手續とに開きがあつてはならぬのであります、然るに政府案では、我が國選擧區に於て僅かに七縣に於ては單記投票をやらせ、他の四十何府縣に於ては制限連記をやらす、こんな一民族一國家の國で選擧手續がそれ程違ふと云ふことは、是は立憲の本旨に反するから、全部均一なる制限連記制を採らうと云ふのが我が進歩黨の修正の一點であります
其の次は選擧公營の擴張でありまして、現行法に於ても選擧公營は御承知の通りやって居るのでありまするが、更に一つは、公營に依つて各候補者に付き同一の條件を以て政府が新聞廣告をすると云ふ公營の手段が一つであります、もう一つは、公營に依つて各市町村内適當の場所に候補者の連名廣告をして、立看板の補充をすることが一つであります、更に選擧運動の合理化と致しましては、立候補前の候補者の選擧運動は之を禁止する現行の規定を復活して居ります、事務所の制限はやはり之をすることと致しまして、其の數は原則として一箇所、命令の定むる所に依つて五つまでは増設を認める、選擧當日は投票所入口から三町以内に之を設けざることは、現行の通りに致して居るのであります、休憩所其の他の類似設備は之を禁止する、演説會の告知は、候補者開催の分も第三者開催の分も張札のみで告知をする、張札の數は制限致しませぬが、其の大きさは之を制限する、斯う云ふ目的の爲に法第百條を復活したのであります、選擧後の挨拶行爲は張札二百枚に限ると云ふ趣意で、是も百條の二を復活致しました、尚ほ原夫次郎君の強き要望としては、百條を復活致しました結果、内務大臣に於て文書、圖畫の制限をする權限がある、第三者と雖も無制限に文書、圖畫を頒布することは幣害の因であるから、之を規制するの法規を作るべきことを要望されて居つたのであります、尚ほ現行法では選擧に際して氣勢を張る行爲、不法行爲を煽動する行爲は禁じて居るのでありますが、それを政府案は削除して居るのであります、是は妥當ならずとして、原君提案の中には、氣勢を張る行爲、不法行爲を煽動する行爲は現在通り之を處罰する規定を復活致したのであります、
概ね斯くの如き案であります
そこで討論を終局致しまして採決に入りました、採決は漏れなく逐條の採決を致しましたが、其の結果は進歩黨の修正案と、社會黨、自由黨の修正案の中、進歩黨と共通の分が可決されまして、其の他は否決になつて居ります、次に其の餘の政府原案を諮りました所、是は承認せられたのであります、是が衆議院議員選擧法中改正法律案の經過の大略であります
次に昭和十三年法律第八十四號中の改正でありますが、是は現役を解除になりました軍人、陸海軍の學生、内地に歸還致しました今までの在外者の選擧人名簿を作ることであることは、第一讀會に於て政府發表の通りであります、之に付きまして採決致しました所、滿場一致贊成を得たのであります、以上を以て此の委員會の經過竝に結果の報告と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=42
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043・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 先づ衆議院議員選擧法中改正法律案を審議し、次に昭和十三年法律第八十四號中改正法律案の審議に入ることと致します
是より衆議院議員選擧法中改正法律案の審議に入ります、本案に對しては西尾末廣君及び松野鶴平君外十二名よりそれぞれ成規に依り修正案が提出されて居りますが、其の趣旨辯朋は第二讀會に於て之を許すことと致します――本案の第二讀會を開くに御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=43
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044・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 御異議なしと認めます、仍て本案の第二讀會を開くに決しました
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=44
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045・長野高一
○長野高一君 直ちに本案の第二讀會を開かれんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=45
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046・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 長野君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=46
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047・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 御異議なしと認めます、仍て直ちに本案の第二讀會を開き、議案全部を議題と致します、此の際順次修正案の趣旨辯明を許可致します――木下郁君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=47
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048・会議録情報7
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衆議院議員選擧法中改正法律案
第二讀會
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衆議院議員選擧法中改正法律案に對する修正案(西尾末廣君提出)
衆議院議員選擧法中改正法律案中左の通修正す
第二十七條第一項の改正及第五十二條第一項の改正を削る
第五十二條の二及第五十二條の三を削る
第五十八條 一府縣又は一市一選擧區たる場合に於ては其の地方長官又は市長、其の他の選擧區に於ては地方長官の指定したる官吏選擧長と爲り選擧會に關する事務を擔任す
第六十四條但書中「第五十八條第一項第三號の規定に依り」及「(支廰長を除く)」を削る
第六十九條第一項中「有效投票の最多數を得たる者」を「得票最多數の者」に、「有效投票の總數」を「各議員候補者の得票の總數」に改む
第八十八條乃至第九十七條 削除
第九十八條第二項を削る
第百條及第百條の二を削る
第百四條 左の各號に掲ぐる費用は之を選擧運動の費用に非ざるものと看做す
一 選擧の期日の公布又は告示ありたる日前に於ける選擧運動の爲に要したる費用
二 選擧の期日後に於て選擧運動の殘務整理の爲に要したる費用
三 議員候補者又は支出責任者と意思を通ぜずして支出したる費用(立候補の届出前に於て其の者と意思を通ぜずして支出したる費用を含む)
四 議員候補者が乘用する船車馬等の爲に要したる費用(其の者の立候補の届出前に於ける當該費用を含む)
第百二十九條中「第九十五條の二、第九十六條第一項、」、「若は第九十八條の二」及「又は第九十四條の規定に依る命令に從はさる者」を削る
第百三十二條第一項中「第八十八條第五項乃至第七項又は第八十九條第四項」を「第百條第五項乃至第七項に、改め同條第二項を削る
━━━━━━━━━━━━━
衆議院議員選擧法中改正法案律に對する修正案
(松野鶴平君外十二名提出)
衆議院議員選擧法中改正法律案中左の通修正す
第二十七條第一項の改正、第五十二條第一項の改正、第五十二條の二及第五十二條の三を削る
第五十八条 一府縣又は一市一選擧區たる場合に於ては其の地方長官又は市長、其の他の選擧區に於ては地方長官の指定したる官吏選擧長と爲り選擧會に關する事務を擔任す
第五十九條中「縣廳」を「都道府縣廳」に改め、支廳を削る
第六十四條但書中「第五十八條第一項第三號の規定に依り」及「(支廳長を除く)」を削る
第六十九條第一項中「有效投票の最多數を得たる者」を「得票最多數の者」に、「有效投票の總數」を「各議員候補者の得票の總數」に改む
第七十二條第一項中「、得票數及其の選擧に於ける有效投票」を「及得票數、其の選擧に於ける各議員候補者の得票」に改む
第七十九條第一項中「同一選擧區に於て二人」を「當該選擧區内の議員の定數の四分の一(其の數二人に滿たざるときは二人以下之に同じ)」に、同條第五項第六項中「同一選擧區に於て二人」を「當該選擧區内の議員の定數の四分の一」に改む
第百二十四條及第百二十五條 削除
〔木下郁君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=48
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049・木下郁
○木下郁君 私は只今上程されました衆議院議員選擧法中改正法律案に對する修正案に付きまして、日本社會黨を代表して修正の趣旨の辯明を致さんとするものであります
修正案は十四箇條に亙りまして、相當複雜且つ多岐に亙るので、一つ一つ其の條項を朗讀致すことを省略致します、唯殊に重要と思ひまする部分に付てのみ、朗讀致すことに致しまするから、どうか其の餘の點は委員會に於ける速記録等に於て御檢討を願ひたいのであります
修正の趣旨の第一は、條文と致しまては、第二十七條、五十二條、五十二條の二、三、五十八條、六十四條及び別表の修正であります、是は選擧區に關するものでありまして、東京都其の他七つの都道府縣の選擧區が二つに分れて居るのであります、原案に於て二つの選擧區と相成つて居るのでありまするが、之を他府縣同樣に一選擧區に改めんとするものであります
修正の趣旨の第二は、第六十九條に關するものでありまして、此の修正案中に於て最も重要な部分でありまするから、一應案文を朗讀致します、「第六十九條第一項中『有效投票の最多數を得たる者』を『得票最多數の者』に、『有效投票の總數』を『各議員候補者の得票の總數』に改む」と原案にありまするものを、「有效投票中第一位の多數を得たる者を第一順位の當選者とし其の得票中次順位の者との差數を其の當選者と同一政黨に屬する次順位の者の得票數に加算し其の加算したる得票數と前記次順位者の得票數とを比較し第二順位の當選者とし以下同一方法に依り同一政黨所屬の次順位得票者に第一順位以下の當選者の得票を移譲し定員數に達する迄の得票の計算を爲し當選人を決定す」と改め、同條末項として「議員候補者は第六十七條第一項の届出の日に所屬する政黨あるときは之を選擧長に届出づべし若し右期日に本項の届出なきときは本條第一項に依る得票の移譲を受くることを得ざるものとす」の一項を加へると云ふのであります、此の條項の修正は、前に申しました第二十七條と併せて、日本社會黨の主張する比例代表制を採用するものであります、所謂單記移譲式の投票の計算の方法を採るものであります、原案と進歩黨の修正案の採用致しまする制限連記式に、原則的に相反するものであります、是が此の修正の最も大きな特色であります、此の方法に依りますれば、眞に國民の意思が議會に按分して反映せらるるのであります、と同時に得票の偏りを避けまして、從來ありましたやうな地盤割と云ふやうなことは必要がなくなつて、隨て選擧界の弊害の一つの原因を除去することが出來得る訳であります(拍手)此の點が原案竝に進歩黨提出の修正案と最も違ふ點であります、原案の立案の趣旨は、地域が廣く且つ人口が多いと云ふ點にあると思ひまするが、併しながら是等の事柄は他の府縣と比較致しまして、單に比較的のことであります、從來行政上は勿論、社會的にも政治的にも經濟的にも都道府縣と云ふものが、我々國民の生活の重大な一つの單位となつて來て居るのであります、さうでありまするから、之を二つの選擧區に分けると云ふやうなことは、其の從來の生活單位を二つに分けることに相成るのであります、殊に東京、大阪、愛知、兵庫と云ふやうな府縣は、戰災に因りまして人口が一時的に都市の中心から附近に散つて居るのであります、併しながら其の分散して居ることは、一時的な意味が多分にあるのであります、況や今度の改正案原案が、大選擧區制を採用致して居りまする以上、其の原則に從つて是等の都道府縣も、其の行政區劃單位にすべきであると信ずるのであります、又原案及び進歩黨の修正案の採用して居りまする候補者の數に依つて連記の人數に差等を設けますと云ふことは、實質的には選擧權の效力に差等を設けることに相成るのであります、さうしてそれは結果的には選擧權を擴張すると言つて居りましても、選擧權の中に甲乙がある、隨て少いものを選擧する人は、選擧權がそれだけ縮小されると云ふやうな結果に相成るのであります
修正の趣旨の第三は、第八十八條乃至百條に關するものでありまして、届出前の運動禁止の現行法第九十五條の二を削除して居るのを、削除せぬのであります、其の要旨は、第一は選擧運動事務所の制限と、休憩所の設置の禁止であります、要旨の第二は立候補届出前の選擧運動の禁止と、選擧後の當選御禮など云ふことの制限と、第三者の選擧運動を演説に重點を置きまして、其の推薦状、引札、「ビラ」等に依る運動を原則的に禁止して、自筆に依るものだけを許容すると云ふ點にあるのであります、要旨の第三は選擧公營主義を徹底して、其の範圍を擴張せんとするものであります、要するに以上の三點は選擧費用を少くすることを主眼とするものでありまするが、同時に休憩所を禁止すると云ふ如きことは、議員の威信を保持し、併せてあの忌まはしい買收、饗應と云ふやうな事柄の機會を少からしめんとするものであります、此の點が我々の修正案が、自由黨の修正案と最も違ふ點であります、選擧に金が多く掛ると云ふことは、無産新人の進出を阻碍し、又反面に於きましては、資本家に暗躍の機會を與へて、政界に所謂「ボス」と云ふやうなものを誘致する最大の原因でありまするから、我々は此の點の修正に依りまして、此の短所弊害を除去防止せんとするものであります(拍手)
修正の趣旨の第四は、第百二十九條、第百三十條、第百三十二條等に關するものでありまして、是は以上の修正に伴ふ罰則規定の立法技術的修正でありまするから、説明申上げる必要はないと存じます、要するに修正の眼目は、原案の制限連記制では投票が偏つて、民意が十分に反映されぬことと、投票權が實質上二、三にせられると云ふ選擧權の公平の原則に反するものなるが故に、此の點を一人一票の比例代表に改め、同時に選擧費用を縮減せんとするものであります
諸君、「ポツダム」宣言は敗戰國日本に取りまして至上命令であります、之を忠實に履行致しますことが、我々日本國民に取つて最高の義務でありますると同時に、此の度の戰ひの如き恥多き戰ひに參與しました我々議員、苟くも國政に參與する我々議員としては、過去の誤謬を勇敢に清算し、改めて軍國主義、封建主義の殼をはつきりと取去つて、一切の行掛りを捨てて、速かに民主主義の日本、眞に平和愛好國たる日本を建設する爲に邁進することが、我々議員に課せられた義務であると思ふのであります(拍手)斯くすることが我々が此の際我々の祖先及び先輩、竝に我々の子孫に對しましてなすことの出來るせめてもの罪の贖ひであると私は信ずるのであります(拍手)此の意味に於きまして、私は政府が現行選擧法の官僚的な繁文褥禮の部分に付て大斧鉞を加へ、選擧干渉の機會を少くしました點、及び婦人參政權を初めと致しまして、選擧權の大幅な擴張をなしましたことに對しましては、多大の敬意を拂ふものでありまするが、唯惜むらくは以上述べました諸點に付て、畫龍點晴を缺くと申しますれば、少しく言葉が過ぎるかも知れませぬが、少くとも百尺竿頭一歩を進めなかつた點に付て、甚だ遺憾に存ずるのであります(拍手)
尚ほ此の機會に直接選擧法には關係致しませぬが、選擧法施行令に規定さるる選擧公營の方法に關しまして、政府が公費を以て侯補者の氏名、閲歴、政見等を掲示するとか、或は新聞紙に公告するとか、演説會場を斡旋するとか、「ラジオ」の放送を利用するとか、無料郵便物を禁止する等の措置を徹底的に講ぜられんことを希望致しますると共に、選擧法の改正と竝行しまして、選擧訴訟手續を迅速にする、殊に普通裁判所が原告の請求を通さない場合には、請求を棄却すと言つて居りまするが、行政裁判所に於きましては、原告の請求相立たずと云ふやうな、封建的な言葉が用ひられて居ります、而も行政裁判所に於きましては、審理が終りまして判決を言渡すまでの間に、二年三年掛ることは稀でありませぬ、甚だしきは二十幾年を待たして居るやうなことがあります、斯樣な非常識な裁判所の制度に對しまして、根本的に改廢されなかつたことを遺憾に存ずるのであります、此の革命の渦卷の漂つて居る現下の國政を擔當する政府としまして、私は積極的氣魄に缺けて居ると云ふ點を感ずることを、甚だしく遺憾に思ふのであります(拍手)少しく長くなりましたが、以上述べましたのが、私共の修正案を提出致しました趣旨であります、どうか其の趣旨を十分御酌み取り下さいまして、一切の行掛りを捨てて御贊成あらんことを切に希望する次第であります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=49
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050・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 原玉重君
〔原玉重君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=50
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051・原玉重
○原玉重君 只今提案されて居ります衆議院議員選擧法中改正法律案に付て、修正案を提出し其の趣旨を辯明致します、先づ案文を朗讀する所でありまするが、御許しを得まして此の儘速記に載せて戴き、其の要旨だけを述べることに致したいと思ひます
大日本自由黨よりの修正案は、大體に於て三點であります、第一は大選擧區制の徹底であります、第二は單記移譲式比例代表の採用であります、第三は現行法百二十四條、百二十五條の存置であります、今日の日本の現状に付て、愈愈我々は眞正なる民主主義を確立致しまして、新日本を建設しなくてはならぬ時に到來したのでありまするが、此の際此の劃期的な選擧法の改正案が提出されたことに付ては、當局に其の勞を多とする者であります、殊に婦人の參政權、或は選擧權、被選擧權の年齢低下等に付きましては、滿腔の贊意を表する者であります、此の選擧權擴張、或は取締規則の解放、明朗闊達なる選擧の要望と云ふやうな政府の本案提出の理由に付きましては、洵に御尤もでありまするが、併し其の政府の要望して居られる所の目的を達する爲には、どうしても茲に二、三の修正が必要と考へるのであります、政府案に付ては其の言はるる所は洵に尤もでありまするけれども、事實其の案に付ては相當不徹底なる曖昧模糊たる所があると考へるのであります、先づ第一に選擧區制の問題でありますが、選擧區制に付きましては大選擧區、大選擧區と言はれまするが、本案に於ては我が國都道府縣七つに付て之を一都道府縣を一選擧區にせずに二つに割つてあるのであります、抑抑選擧に付て大選擧區制が議員候補者の選擇の自由を増大せしめ、固著して居る此の選擧基盤を打破して新人物を出し、國家的人物を當選せしめて新日本を建設するには最も適して居ると云ふことは、是はもう輿論の一致して居る所でもありまするし、又政府當局に於ても本案提出の理由に於てはつきりと申されて居るのであります、にも拘らず案其のものに於きまして、七つの都道府縣に於ては之を二つにすると云ふことに付ては、洵に矛盾撞著も甚だしいものと思ふのであります、殊に之を二分しなくてはならぬと云ふ理由は一つも政府は述べられませぬ、質問に對して間々答辯はありましたけれども、肯定するやうな理由を申述べてはないのであります、何の理由で此の七つだけが二分しなくてはならないかと云ふことに付ては、全く唯從來の行掛り上、此の七つだけは縣が餘り大きいからと云ふやうなことで二分すると云ふことになつて居りまするが、社會黨の修正趣旨を辯明せられた方から言はれた通りに、各府縣都道各各の事情があつて、一つの都道府縣をなして居るのでありまして、それが或は小さく或は大きくありましても、若し大選擧區制其のものが宜かつたならば、當然是も同じやうに大選擧區制を用ふべきものであらうと思ふのであります、斯う云ふ意味合に於て此の原案の七都道府縣に付きましても、一都道府縣を一選擧區とすると云ふやうに、本當の大選擧區制を採用したいと云ふのが修正の第一點であります
修正の第二點である所の單記移譲式比例代表の問題でありまするが、原案は制限連記制を採つてある、是は洵に不合理極まるものと考へます、是亦只今木下君から申述べられましたから、其の詳細の説明を省略致しますが、全國の人口に依り、各各選擧區に對して其の人口の比例に依つて公平に議員定數が割當ててあるのにも拘らず偶偶定員數が少いから一人が一票しか投票出來ない、定員の議員數が多いから二票三票を入れることが出來ると云ふ風なことは、何處までも不合理極まることであらうと思ふのであります、大選擧區制を採つた以上は比例代表にならなくてはならぬと云ふことに付ては、もう世界の定論であると言つて少しも違ひはないと思ふのであります、政府に於きましても其の點に付てははつきり比例代表が理想であると、此の本案提出の理由に申されて居るのであります、唯比例代表は理想であるけれども我が國の今日に於ては時期尚早であると言ふ、何で時期尚早かと言へば、現在の政界の實情と選擧人の政治訓練の點から言つて時期尚早だと言って居られますが、現在の政界の實情が時期尚早たらしめて居ると云ふことは、一體何を意味して居るか、政界の實情、即ち政黨の關係を言つて居るかとも考へまするが、其の政黨關係に付きましては、最近堂々と澤山の政黨も出來て居ります、尤も黨首を迎へることの出來ないやうな、中々問題の政黨もあるやうであるまするから(拍手)さう云ふ點を政府は見て居られるかも分りませぬが、今日の場合に於て斷じて左樣な政黨關係ではない、比例代表を用ひることの出來ないやうな政黨關係ではないと考へるのであります、進歩黨の諸君は此の政府の原案、謂はば現在の政黨を侮辱したやうな政府の此の説明を容認されて、さうして以て何等修正の擧に出られないと云ふのは洵に怪訝に堪へないのであります(拍手)我々が自分から本當に立派な政黨である、之を以て立派な政治が行はれると云ふ自信があるのでありましたならば、斯くの如き政府の、現在の政界の實情が、理想である比例代表を行ふのに足りないなどと云ふ言葉を其の儘容認して、此の案を通過させることは出來ないと考へます(拍手)願はくは進歩黨の其の他の皆さんに於かせられましても能く御考へ下さつて、此の政府の侮辰的時期尚早論を排して、理想であると決定的に決つて居る比例代表制を御採用あらんことを希望するものであります(拍手)又政府は選擧人の政治訓練が足らないのだ、斯う言はれますけれども、是は又政府の説明に矛盾撞着があると思ひます、政府は婦人參政權や年齡低下の點に付ての説明と致しましては、非常に我が國の國民が進歩發達して居つて、今國政參與の能力と責任觀念とに於ても聊かも缺くる所がない、斯う言はれて居るのであります、左樣な國政參與の能力と責任觀念とに於て聊かも缺くる所のない國民に對して、一方に於て比例代表制を用ひることを時期尚早だと云ふのは洵に矛盾撞著せる説明だと言はざるを得ないと思ふのであります(拍手)私は何の理由があつて此のはつきり自ら認めて居られる比例代表制を政府が御採りにならぬか、是亦不可思議に考へざるを得ないと思ふのであります、私は此の制限連記制と云ふ政府案に致しましたならば、色々の弊害が起ることは間違ひないと思ひます、殊に日本の國民と云ふものは非常に人情深い、或る候補者と或る候補者とに頼まれた、或は自分の故郷から二人の候補者が出て居ると云ふやうな際には、何とかそこに人情が發露して、どの黨派と云ふことを考へずに投票されるやうな場合もなきにしもあらず、左樣な場合に於きまして、甲黨と乙黨の兩方へ一票々々を入れたならば、其の投票と云ふものは差引「ゼロ」になると云ふ結果に相成るのであります、一方に於て時期は尚早だ、選擧人の政治訓練が足らないのだと云ふ風に言はれるならば、尚更左樣な危險性のある所の此の制限連記制は廢すべきではないかと思ひます、殊に本案は明治二十三年と云ふ大昔に用ひられて、既に廢せられた所の制度であります、成程我が國は無條件降伏をした、聯合國では日清戰爭以前に日本を押戻さうとするかも知れませぬが、政府自らが何も明治二十三年に用ひた法律に逆戻りをする必要はないと思ふのであります(拍手)殊に進歩黨に於ては此の點に付て修正案を出されて、四名以下の議員定數の場合に於ても、尚ほ二名の候補者に投票することが出來ると云ふ案に修正すると云ふのでありまするが、是は又政府の此の愚に上塗りをするものではなからうかと思ふのであります、只今の委員長報告にもありましたやうに、或る部分に於ては一人が一票しか入れられない、或る部分に於ては二票、三票入れられるのが不公平だからして、一票入れる所を訂正して二票づつ二名の連記にするのだと、斯う云ふのでありますが、それなら二名連記に全部直すなら又格別でありますけれども、十名までの所は二名、十一名以上は三名とせられると云ふことに付ては、一名と二名との差と、二名と三名との差と、其の點に付ての理論は少しも變らないと思ふのであります(拍手)どう云ふ理論を以て進歩黨は此の一名の所を二名に修正されるのか、殆ど其の理由が相立たぬと思ふのであります、左樣に制限連記と云ふものが矛盾撞著甚だしく、不公平極まる、殊に日本人として自分の信ずる一人の人に投票を入れれば宜い、二人も三人も入れる必要は斷じてない(拍手)さう云ふ所に色々の問題も亦起ると思ふのでありますから、もうはつきり決つた、學者間に於ても定論があり、實際的にも世界で用ひて居られる所の大選擧區に付ては單記移譲式比例代表、之に此の際修正して、以て憲法附屬の大法律が修正され、新日本の建設される際に完璧なる法律とされんことを希望するのであります
第三の修正點は現行法の百二十四條と百二十五條であります、百二十四條は氣勢を擧げる場合に於て、之を罰することになつて居る現行法を内務省に於ては之を罰しないと云ふ、之に對しては進歩黨に於ても此の原案を修正して罰するやうにすると云ふ御意見のやうでありますが、是は全く日本獨得の日本式の良い法律と考へるのであります、選擧と云ふものは神聖なものである、眞面目にお祭騒ぎをせずに、本當に氏神樣にも參拜をして投票をすると云ふ氣持こそ我が日本式であらうと思ふのであります、それにも拘らず世界に立法例がない、餘所の國がちんどん屋で騷ぐ、花火松明を揚げ、「ラッパ」を吹鳴らすから、日本でも是はやつて宜いと云ふ譯のものではなからうと思ふのであります、折角の從來の日本式の此の良い法律だけは殘して置いて、さうして眞面目に嚴肅に選擧が行はれるやうに致したいと思ふのであります、又百二十五條は選擧犯罪を煽動する者を罰すると云ふのでありますが、犯罰を煽動する者を罰するのは當然だらうと思ひます、内務省に於ては何の必要があつて之を解放せんとされるのでありませう、或は餘りに自由解放をしなくてはならないと云ふやうな點から行過ぎて、さうして以て此處まで解放せよと云ふ風に著眼せられたのかと思ひまするが、是こそ自由ではなくて、全く放埓なる選擧界を現出するものではなからうかと思ひます、尤も我が黨に於ては總て自由溌剌たる選擧を行はしめたいと云ふ意味に於て、内務省の今度の原案である諸取締規則を解放する、選擧運動を自由ならしめると云ふ點に付ては萬腔の贊意を表し、進歩黨の如くに之を元へ戻して色々の細かい規則を作らうとするものではありませぬ、此の點に付ては此の選擧法改正其のものの根本精神が自由溌剌たる所の選擧を行はしめようと云ふのにあります、民主的にしようと云ふのにありまするので、此の根本精神を考へても斷じて色々の取締規則を又再び作るべきものではなからうと思ひます、殊に此の細かい取締規則、形式犯と云ふものが選擧干渉の導火線になり、政府が此の細かい規則に依つて勞務者や、選擧委員を先づ引つ張つて、僅かなことを以て留置場に入れ、それから段々人權蹂躙をして、選擧干渉をすると云ふのが今までの總ての前例であらうと思はれます、是は皆さん能く御存じのことと思ひますが、此の政府の選擧干渉の導火線になるやうな細かい面倒臭い規則を再び又拵へて、あれをやつてはいかぬ、之をやつてはいかぬと云ふやうにすると云ふことは正に逆轉と云はざるを得ないと思ふのであります(拍手)又社會黨の方に於ては事前運動を禁ずると云ふやうな御話でありまするけれども、是亦其の事前運動の何ものなりやと云ふことの識別は頗る不可能である、其の識別不可能な事前運動と云ふものを禁ずると云ふ規定からして、是から色々の選擧干渉が行はれ、人種蹂躙が行はれることに相成るのであります、斯くの如き選擧を自由闊達なるものにさせる爲に置かれたる所の總ての今度の原案に付ては、我々は贊成でありまするが、第百二十四條、第百二十五條と云ふやうな、是とは餘り關係のないものに付ては、特に存在せしむる理由のあるものに付ては原案を修正して、從來通りに殘さうと思ふのであります
以上修正案の趣旨を辯明した次第でありますが、願はくは本案提案の大方針に從つて大選擧區の徹底、單記移譲式の比例代表を用ひることと云ふやうな點に御贊成下さつて、政府の干渉を排する目由闊達なる選擧を行はせる、或は大いに選擧の公營を行はせ、新人を輩出させると云ふやうな措置と共に、是が實現致しまして新しい完璧なる選擧法が出來て、眞に民主的な選擧が行はれ、議會が成立し、新日本が建設出來まするやう皆さんの御贊成を願つて、趣旨辯明を終りたいと思ふ次第であります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=51
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052・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 是より採決に入るのでありますが、修正點が多岐に亙つて居りますから念の爲め其の順序に付て一言申上げて置きます、即ち採決の順序と致しまして、第一に委員長の報告に係る修正と共通ならざる西尾末廣君提出の修正案に付て採決致します、第二に委員長の報告に係る修正と共通ならざる松野鶴平君外十二名提出の修正案に付て採決致します、第三に西尾末廣君提出の修正案と委員長の報告に係る修正との共通の部分に付て採決致します、第四に松野鶴平君外十二名提出の修正案と委員長の報告に係る修正との共通の部分に付て採決致します、第五に共通部分を除きたる委員長の報告に係る修正の部分に付て採決致します、而して最後に其の他の政府原案に付て採決することと致します
是より採決致します、第一西尾君提出の修正案に付き採決致しますが、第九十二條及び第九十五條の二の修正に付ては、委員長報告に係る修正と共通でありますから、之を除きます、即ち西尾君提出の修正案中、委員長報告と共通の點を除きたる部分に付き贊成の諸君の起立を求めます
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=52
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053・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 起立少數、仍て共通の點を除きたる修正案は否決されました
第二、松野君外十二名提出の修正案に付き採決致しますが、第百二十四條及び第百二十五條の修正に付ては委員長報告に係る修正と共通でありますから、之を除きます、又別表の修正に付ては只今否決せられましたから、之を除きます、即ち松野君外十二名提出の修正案中、委員長報告と共通の點を除きたる部分に付き贊成の諸君の起立を求めます
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=53
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054・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 起立少數、仍て共通の點を除きたる修正案は否決されました
第三、西尾君提出の修正案と委員長報告に係る修正と共通の部分、即ち第九十二條及び第九十五條の二の修正に贊成の諸君の起立を求めます
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=54
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055・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 起立多數、仍て此の共通部分は可決せられました(拍手)
第四、松野君外十二名提出の修正案と委員長報告に係る修正と共通の部分、即ち第百二十四條及び第百二十五條の修正に贊成の諸君の起立を求めます
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=55
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056・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 起立多數、仍て此の共通部分は可決されました
第五、委員長の報告に係る修正中、第九十二條、第九十五條の二、第百二十四條及び第百二十五條を除きたる其の他の修正に贊成の諸君の起立を求めます
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=56
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057・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 起立多數、仍て共通の部分を除きたる委員長の報告に係る修正は可決されました
最後に其の他は政府原案の通り御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=57
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058・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 御異議なしと認めます、仍て其の他は政府原案通り決しました、是にて本案の第二讀會は終りました
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=58
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059・長野高一
○長野高一君 直ちに本案の第三讀會を開かれんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=59
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060・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 長野君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=60
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061・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 御異議なしと認めます、仍て直ちに本案の第三讀會を開き、議案全部を議題と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=61
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062・会議録情報8
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衆議院議員選擧法中改正法律案
第三讀會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=62
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063・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 別に御發議もありませぬから第二讀會議決の通り確定致しました(拍手)
次に昭和十三年法律第八十四號中改正法律案の審議に入ります、本案の第二讀會を開くに御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=63
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064・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 御異議なしと認めます、仍て本案の第二讀會を開くに決しました
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=64
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065・長野高一
○長野高一君 直ちに本案の第二讀會を開き、第三讀會を省略して委員長報告の通り可決せられんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=65
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066・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 長野君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=66
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067・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 御異議なしと認めます、仍て直ちに本案の第二讀會を開き議案全部を議題と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=67
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068・会議録情報9
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昭和十三年法律第八十四號中改正法律案(大東亞戰爭に際し召集中の者の選擧權及被選擧權等に關する件) 第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=68
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069・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 別に御發議もありませぬ、第三讀會を省略して委員長報告通り可決確定致しました(拍手)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=69
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070・長野高一
○長野高一君 議事日程追加の緊急動議を提出致します、即ち此の際昭和二十年勅令第五百三十七號を議題となし、委員長の報告を求め其の審議を進められんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=70
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071・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 長野君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=71
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072・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 御異議なしと認めます、仍て日程は追加せられました、
昭和二十年勅令第五百三十七號(承諾を求むる件)を議題と致します、委員長の報告を求めます――委員長清瀬一郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=72
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073・会議録情報10
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昭和二十年勅令第五百三十七號(衆議院議員選擧法第十二條の特例に關する件)(承諾を求むる件)
(委員長報告)
〔清瀬一郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=73
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074・清瀬一郎
○清瀬一郎君 只今議題となつて居りまするのは、衆議院議員選擧法第十二條の特例に關する件であります、現行の第十二條に依れば毎年九月十五日の現在を押へて、六箇月間其の市町村に居る者を名簿に登載して居りまするが、本年春から戰災の結果、人口の非常な移動がありまして、六箇月の住所を固執することを適當としないのであります、九月十五日に差掛つて議會閉會中でありましたから、政府は緊急勅令を以て此の六箇月の期間を削除することにしたのであります、委員會は滿場一致餘儀なきこととして之を承認致しました、此の段報告致します(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=74
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075・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 採決致します、本件に承諾を與ふるに御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=75
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076・島田俊雄
○議長(島田俊雄君) 御異議なしと認めます、仍て本件は承諾を與ふるに決しました、明十二日は定刻より本會議を開きます、議事日程は公報を以て通知致します、本日は是にて散會致します
午後七時三十七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008913242X01119451211&spkNum=76
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