1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○隱匿物資等緊急措置令(承諾を求むる件)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年七月十二日(金曜日)午後一時四十二分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=1
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002・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 是より開會致します、皆さんに御諮り致しますが、今日の議事進行は、先づ頂戴致しました商工省の參考書、それに付きまして政府委員から極く大要の説明を伺つたらどうかと考へますが、左樣取計つて御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=2
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003・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=3
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004・中山太一
○中山太一君 資料を少し併せて希望して置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=4
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005・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) どうぞ追加の參考書類の御請求は、隨時、いつでも仰しやつて下さい、取次ぎますから……、今でも宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=5
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006・中山太一
○中山太一君 隱退藏物資としての重要な關係のあります産業設備營團の所有して居る物、それから交易營團の所有して居ります其の物資の詳細な報告を戴きますと、此の議事を進める上に非常に便宜だと存じます、又食糧營團關係の方で差支ないのがあれば、終戰後と現在とのものがありますと、是も一層審議を進めるのに便宜であると思ひます、以上御願ひしたいと思ひます、更に終戰後に於て、交易營團の物資、産業設備營團の物資が他に流出したとすれば、其の高がどれだけであるか、場合に依れば其の活用程度を御尋ねするかも分りませぬけれども、それは餘りに繁雜になりますから、其の大體の數だけを資料として戴けば結構だと思ひます、以上御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=6
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007・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) それでは御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=7
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008・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 隱匿物資等緊急措置令に關しまして御配り致しました資料に付きまして、大體の御説明を申上げたいと存じます、前囘と今日で御配り致しました資料は、法令關係及び其の適用を受けました各物資の數量等の資料を申上げた譯であります、先づ御説明の便宜から、法令の大體の骨子を申上げます、且つ此の運用の大體の經過を申上げまして、併せて最後に數量の點の御説明を致したいと考へます、此の隱匿物資等緊急措置令を緊急勅令として出しました當時の事情は、大臣の御説明にもございましたけれども、此の終戰の際に於て放出せられました相當多數の物資が民間の各地に流れて居る、是が色々の噂の種になつて居りますし又一面、國民はさう云ふ物が隨分なくて困つて居る方面もございますので、之を適當な「ルート」に乘せて配給すると云ふことの必要を認めました爲に、他の金融關係、食糧關係の緊急措置と一緒に併せて實施せられたのでございます、尚此の勅令は、物資の關係では、商工省と農林省兩方に跨つて居ります、實際の施行に當りましては、内務省方面の警察の力も相當借り、此の三省が共同致しまして實施の衝に當つて居るのでございます、商工省が幹事役として主として制定等に付て中心になつて居りましたので、關係法の説明を私の方より申上げたいと思ひます、先づ此の仕組でございますが、是は此の勅令が施行せられました二月十七日現在に於きまして、第一條に書いて居りまする物資、是は別表の中に書いてございまするが、石油製品以下十六品目に付きまして、さう云ふ物を所有又は占有して居る人又は團體から三月十日迄に屆出を出して貰ふと云ふことが、第一條の内容でございます、即ち此の十六品目に付きましては、或數量以上を所有又は占有して居ります者は、之を商工大臣に屆出ねばならぬ、斯う云ふ規定になつて居ります、之を所謂調査物資と申しまして、先づ數量を調査することを目的と致して居ります、さうして此の十六品目は、それぞれ或數量以上を持つて居る人に報告の義務を課して居るのであります、此の數量を限りました理由は、勿論或數量は當然各團體なり、家庭なりに於て持つて宜しいと認めらるる線を引きまして、其の範圍内は一々申告をする義務を免除致しまして、或數量以上を持つて居る人だけに申告の義務を課して居るのでございます、勿論團體の状況、個人の家庭の人數の多寡に依りまして、此の數量も一律に決めるのはどうかと云ふ議もございますが、便宜一本の標準を置きまして、此の標準以上に所有又は占有して居る者に調査物資の申告をさせることに致して居るのでございます、次に第三條の規定が重要でございます、斯う云ふやうにして申告されました所謂調査物資、及び其の外國民生活の安定を確保する爲に必要と認められまする物資で主務大臣が指定致しまする物資、之を指定物資と申して居りますが、此の指定物資に對しましては、配給の適正又は價格の安定其の他國民經濟の正常な運行を圖る爲必要ありと認められまする場合は、是等の物資を持つて居りまする者に對して強制的に讓渡命令を主務大臣が發し得ることをはつきり規定致して居ります、此の指定物資と致しまして掲げられまするものは、御手許に差上げてございまする資料の中で、商工省告示第三十五號以下數件ございます、農林關係は農林省告示第八十六號以下三件程でございます、商工關係の品物は棉花、羊毛等以下約三十數品目でございます、農林關係は此處にありますやうに、米穀、大麥、か麥等十數品目が掲げられて居るのでございます、此の規定に依りまして、調査物資の中買上げを適當とするもの、或は此の摘發を致して參りました數量の中買上げを適當とする數量に付てそれぞれ強制讓渡の命令を主務大臣が出すと云ふ建前になつて居ります、他の規定は此の制度の施行に必要な關係の規定でございまして、此の措置令の骨子となつて居りますものは第一條及び第三條の二箇條でございます、斯く致しまして、調査の結果、買上げし得る數量として報告のございました數量、是は御手許の資料最後のの所に書いてございます、七月八日現在の數量でございます、其の中に調査物資の買上見込數量と讓渡命令數量、斯う云ふ二つの項目がございまして、それぞれの品目に付きまして數字が掲げてございます、此の調査物資は、商工省關係のものだけでございまして、農林省の方の關係の物資は第三條の所謂指定物資の中に入つて居る譯であります、此の調査物資の數字は申告數量の中正當な「ルート」にあるものも申告せられて居りまするので、之を除きまして、所謂隱匿物資として買上げて宜しいと云ふ見込數量を大體府縣廳の方で認定を致しまして商工省に報告して來た數字が是でございます、石油製品は大體揮發油が千六百七十七「キロリッター」、以下逐次ございまして、絲の關係は原絲が五十八萬貫、縫絲が十五萬九千貫と云つたやうな程度であります、織物は四百八十萬反、以下此の上の欄の數字が申告されました數字の中買上げられると云ふ方に見込まれる數字でございます、次の欄は其の中強制讓渡の命令を出しましたものの數字でございます、石油製品等は大體半分程讓渡命令を出して居ります、絲は八割程を出して居ります、尚此の表はさう云ふ程度のものが讓渡命令を既に出しました數量でございまして、尚此の讓渡命令は逐次各府縣知事に於て、或は商工大臣に於て讓渡命令を出しつつあるのでございます、從ひまして、此の報告は若干前になつて居りまするので、今日は更に此の數字は殖えて居るものと豫定を致して居ります、それから此の制度を實施致します際に、商工省と致しまして、一體此の措置令に依つてどれ位の物があるだらうかと云ふことを豫想を置いた表を、御手許御配り致して居ります、隱匿物資でございますので、其の數を豫想することは非常に困難であつたのでございますが、係の者の是は勘でございましたけれども、大體の豫定を置いて仕事を致しました、此の表の數字を衆議院の方でも御要求がありましたので、同じものを御配り致した譯であります、之に依りますと、揮發油が一萬五千「キロリッター」の見込でありましたものが、今日の見込では千六百七十七「キロリッター」と云ふことになつて居ります、燈油は二千「キロリッター」の見込でありましたのが千三百八十八「キロリッター」、輕油は三千五百「キロリッター」が九百「キロリッター」、機械油は千四百「キロリッター」が約五千「キロリッター」程あります、織物あたりは五百萬「ヤール」と豫定致して居りましたのが大體二千六百萬「ヤール」程になつて居ります、其の外多少凸凹はございますが、大體所期の數字に近いものになつて居ると思ひます、尚其の外に摘發物資の數字を御手許に御配り致してございます、是は内務省の警保局の調査でございまして、隱退藏物資の摘發實績調査(商工物資)と云ふのがございます、之に依りますと、揮發油が一萬二千八百「キロリッター」程あります、是と先程の調査物資の千六百「キロリッター」を足しますると、商工省の豫定致しました一萬五千「キロリッター」に近いものになつて居ります、内務省の調査は、此の勅令の施行せられまする若干前から警察の手で摘發されたものを全部含めて居ります、どこから此の勅令の適用があつたと云ふことがはつきり數字の上で分つて居りませぬが、當時人民摘發と云つたやうな問題がございまして、各所に摘發が行はれて居りました際に警察の方に報告が參りましたのを、其の都度地方長官に於て適當な「ルート」に乘せて流して居りました數字の是は總量でございますので、此の數字と隱匿物資の數字と合せて考へねばいかぬものと考へられます、如何程重複致して居りまするかは、先程申しましたやうに私共の方でははつきり分つて居らないのでございます、之を兩方合せて考へますと、大體豫定の數字に近いものが出て來て居るのではないかと考へて居るのであります、それから次に運用状況でございますが、三月十日迄に調査物資の報告を此の措置令は命令を致して居る譯でございますが、實際はなかなか此の趣旨が徹底致しませぬ爲に、三月十日迄に正當に報告されました方々は少なかつたのでございます、從ひまして、當時更に工場、倉庫等に付きまして、多量にありさうな所には縣廳の職員が參りまして指導致しまして、報告をして戴いて居ります、さう云ふものを附加へて報告せられましても、第一條の報告と致しまして受取りまして、調査物資の數量に加へて居ります、無論それを受けたことに依つて罰するとかどうかとか云ふことはない筈でございます、斯く致しまして、三月十日迄に出るものが若干遲れまして、四月末頃に大體所謂調査物資の最後の數字が纏まつて居るのでございます、此處で約一月半ばかりの仕事が遲れて居ります、それから此の報告がありましたものに付きましても、一々現地の調査を致しまして、さうして最後に、確に是は買上げて宜しいと云ふ資料を作りまして、それを各府縣に置きました所の買上の諮問委員會、是は關係官は勿論、消費者の代表或は産業團體の代表等を加へました買上諮問機關と云ふものの意見を聽きまして、さうして一々買上命令を出すことに致して居るのでございまするが、此の仕事が大體五月末頃から六月になつて讓渡命令が發せられて居るのでございます、次に此の調査物資の報告の外に、尚若干相當の物があると云ふ聲もありましたし、且第三條の指定物資に付きましては相當現地に付て摘發をする必要がございましたので、府縣の係官、或は警察官、市町村の職員、其の外ざう云ふ事情に通じて居りまする其の地方の有力者等を調査員に委託致しまして、是等の人が一緒になりまして、澤山に物のありさうな所又さう云ふ噂のある所に付きまして事情を調査致しまして、其の數字を掴むことに努力致して居ります、是は主として六月以降に其の仕事を始めて居りまして、大體はもう既に終つたかと思はれまするが、尚若干さう云ふ仕事が殘つて居る地方もあるかと考へて居ります、是等の數字が此の摘發物資の數字の中にも全部含まれて居る譯でございます、尚讓渡命令は、さう云ふやうな物に付て段々に買上委員會に掛けて方針を決めましては讓渡命令を出して居る譯であります、是等の仕事は少くとも今月一杯には終りまして、最後の配給を大體八月末頃に終りまして、消費者に渡りまするやうに急いで居る譯であります、勿論大部分のものは讓渡命令が恐らく出て居りまして、逐次必要な方面に配給されて居るのでございます、尚讓渡先に付きましては、先程もございましたやうに、國民生活の安定を期する上に於て必要な方面に流して居るのでございます、先づ第一に食糧の見返り物資として纎維製品等は主として流して居ります、其の外戰災者、引揚同胞等の方へ先づ流すと云ふことに主力を擧げて居ります、尚鐵鋼、非鐵金屬と云つたやうな生産用の原材料に付きましては、之を肥料とか或は農機具工場等に優先して配給を致して居るのでございます、大體商工省關係の施行の状況は以上の通りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=8
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009・谷川昇
○政府委員(谷川昇君) 私の方から特に御報告申上げる點はないのでありますが、大體本件に關しまする警察事務と致しましては、六月一杯で一應打切つて居るやうな次第であります、先達て警察部長會議を招集致しまして、最後の努力を傾到致すやうに指示致して居りまして、今御報告致しました數字は六月二十日現在であつたのでありますが、最後の十日間に於きまして相當の隱退藏物資の摘發を致したことであらうと思つて居る次第であります、尤も各府縣に付て色々調査致して見ますると、相當問題になつて居るものもあるやうでありまして、之が整理に付きましては、今後關係方面とも十分に連絡を致しまして適切なる措置を講じたいと考へて居ります、此處に主要食糧の摘發に付きまして數字を持つて居りますので、ちよつと御報告を申上げて置きたいと思ひます、是も矢張り六月二十日現在のものでありまして、米は合計致しまして八萬五千九百七十八石と云ふことに相成つて居ります、麥類に於きましては五萬七千九百二十七石、雜穀關係に於きまして五萬七千八百七十七石、小麥粉竝に澱粉は合計を致しまして百二十五萬九千「キロ」と相成つて居ります、乾「パン」は百五十九萬九千九十八「ロキ」、乾麺に於きまして十萬三千八百四十一「キロ」と云ふ數字に相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=9
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010・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 御諮り致しますが、只今迄承りました説明に付て、それに關聯して何か御質疑があれば此の際願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=10
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011・中山太一
○中山太一君 只今の御説明だけと云ふのでなしに、總括して質問が出來るやうにさして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=11
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012・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) どうぞ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=12
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013・中山太一
○中山太一君 産業設備營團、交易營團、食糧營團等に於て買受けられたる數と讓り渡された數、そして現存して居る殘高、是等は明確になつて居るものと思ひます、是は勿論のことでありますが、其の中、讓り渡された内容に付て、又は現存して居る所謂現在高に對しての、其の内容等に付ては常に正確な監査が行れて居ると存じますが、唯がどんな方法を以て行はれて居るか御尋を致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=13
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014・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 中山君に御伺ひしますが、大臣が見えて居りますが、大臣か次官か又は政府委員でも宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=14
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015・中山太一
○中山太一君 大臣も此の間御旅行の時に直接に大阪で或人が發言して御耳に達したやうなことがありますが、斯う云ふことは權威ある團體の信用にも關係しますので、民間の隱退藏物資を調査する場合、國民が絶對信頼して居る機關に於ては極めて正確でなければならぬと思ひます、必ず正確であると確信して居ります、それが政府の監査の行はれて居る方法がどんな風であるかと云ふことを聞かして貰はうかと思ひまして、大臣の御氣持か又は御係りの方に一應聞かして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=15
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016・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 中山議員よりの御注文の材料は後程提出致すことに致しますが、只今御尋の問題に付きましては誠に仰せの通りでありまして、斯かる厖大なる數字、色々な材料を扱ひますものでありますから、嚴重に監査を行はなければならぬことと思ひます、殊に商工省に於きましては整理部と云ふやうな特別な部を設けまして、其の部の方に於きまして産業設備營團の方は監督を致し、それから交易營團の方は、貿易廳が外廳と致しまして出來ましたので、其の方で直接監督致して居るのでありますが、併し産業設備營團のことに付きましては主として帳簿上の管理を致して居ります、現物に付きましては、相當な厖大なものでありまして、一々箇々に亙つて監督を致して居ないのでありますが、此の場合に付きましては後程材料を持ちました時に十分に責任ある御答辯を致したいと斯様に思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=16
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017・中山太一
○中山太一君 只今御尋しました問題は、資料の參りました時に御當局の仰せの通り承つて結構であります、此の緊急措置令の第一條の六にありまする最近四月間の使用又は販賣の數量及今後四月間の使用又は販賣の見込數量と云ふことでありますが、是はどう云ふ所に目標を置かれて此の期間を決定されたのでありませうか、御當局の御考を聞かして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=17
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018・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 此の第六號の數量は、大體販賣されまする方々或は工場等で使用されまする方々の大體の平均した數量と云ふものを伺ひまして、之に依つて、現在調査報告しました中で買上げをやつてはいけない數字、保管して戴いて宜い數字を大體知りたいと云ふことで、御報告願つた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=18
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019・中山太一
○中山太一君 最近四ケ月間の使用又は販賣數量と云ふ意味で標準が取られ、さうして今後の四ケ月間の使用又は販賣見込數量と云ふのが目標になりました時に、商工當局のやうに産業に深い理解のありまする方面では何等茲に間違はないと思ひますけれども、警察當局では唯此の取締を正確にしたいと云ふ意味で、此の期間に重きを置かれると云ふことは無理からぬことだと思ひます、其の時に原料材料が四ケ月の使用で果して産業の繼續が出來るかどうか、生産の繼續が出來ずして隱退藏物資としてそれを買上を決定されて、出した時の四ケ月後の生産は、政府は供出したものは必ず其の生産が出來るやうに原材料の保證をされる御考であるかどうか、是がなかつたならば其の事業と云ふものは廢止しなければならぬ、更に失業者を出さなければならぬ、非常に危險な點があると思ふ、又一方販賣の方は、販賣する物に依れば半月でも宜しい、一月は多過ぎる物もあります、必しも販賣は四ケ月間之を退藏する必要がない、どんどん出來て來るならば是は成るべく早く賣る、現に食料品あたりは一ケ月でも十分である、後の段取りさへ出來れば宜い、斯う云ふことは非常に大事なことでありながら、生きた産業經營と全然相反した此の期間が決定されて居ることは、思はない犠牲、損害を關係者に與へる虞はないかと思ひますが、御當局の御考は如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=19
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020・谷川昇
○政府委員(谷川昇君) 御答へ申上げます、警察關係に於きましては、今御示しの數字を決定するやうなことは致さないのでありまして、斯様な數字は商工當局に於て決定をされましたるものに付て其の後に於ける取締を警察で致すのでありまして、御心配の點は警察に關する限りはないと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=20
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021・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 只今の御答辯のやうに、此の買上の決定は、主として縣廳であれば縣廳の經濟部が中心になりまして、關係の方面竝に各種の産業の團體の方々、消費者と云つたやうな方を網羅致しました所謂買上諮問機關に諮りまして、其の業に適當する數字を認定致しまして、之を基準として買上の數量を決めるのであります、從ひまして無理の行かないやうな數字を決定して居ることと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=21
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022・中山太一
○中山太一君 是は實際の運營上に誤り易い點があるのと、それから本員の御尋ねして居りますのは、それと共に、原料材料としての期間と販賣する商品との期間が同時と云ふことは、根本に於て其の建て方が違ひはせぬか、茲に觀念を變へて貰はなければならぬ大事な問題だから、例外は販賣でも六箇月も持たなければならぬかも知れない、普通は半箇月か一箇月で宜い、是が物を寢させない意味でもあり、又どうしても或る期間用意しなければならぬ問題がある、是が同一に扱はれると云ふところの根本の理念に於て、何か御考へがあるのかどうか、それでないと、斯う云ふことは今後改められなければならぬ重要な點ではないかと本員は考へるので、御當局に御質疑申上げたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=22
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023・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 此の第一條の關係は、四筒月と致して居りますが、實際の運營では、仰せの通り製品の方は短かくて宜いのでございます、原材料の方は長く持つ必要があると思ひまして、實際の運用では、是も抽象的な共通した數字ではございますが、原材料の方は六箇月間、出來てしまつて居る製品の方は二箇月間の數量の保有を認めて居ると云ふやうな所で運用致して居ります、是は唯參考資料と致しまして平均四箇月を取つたのでございますが、實際の運用は實際に合ふやうに致して居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=23
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024・中山太一
○中山太一君 只今の御説明で能く了承致しました、次には色々の重工業、機械工業又は其の他化學工業等には、使用又は販賣と云ふ中に入らない仕込品であり、半製品であるものが、相當期間、相當量なければならぬのでありますが、是は如何なる御取扱ひになつて居りませうか、是も御説明を承はれれば結構であります、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=24
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025・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 此の第一條の品物は大體六の觀念に入るやうに考へて居ります、唯指定物資の中には仰せの通り中間製品も若干ございますが、第一條の關係の所謂調査物資は大體是で行けるのではないかと考へて居りますが、何か特別にさう云ふ品物がございましたでせうか、從來は大體是で賄つて居るやうに、今迄の地方の状況では伺つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=25
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026・中山太一
○中山太一君 内容に入りますと餘りに討論になりますから、是は略しますけれども、唯内容を見ますと、相當に今のやうなものもあると本員は存じます、之を指摘する必要はないと思ひますが、斯う云ふやうなことも又善處して戴くことが非常に結構だと存じます、それから統制機關に調査物資を讓り渡すと云ふことになつて居りますが、統制機關は皆政府の命令に依つて出來て居る正しき機關であり、正しく運用されて居るものと存じますけれども、往々それと反する正しからざるものもあることがあります、さうして業者はそれを供出して居り、又それが得た物を關係業者に公正に配分する筈でありながら之を爲さない、所謂正しからざることの往々あつた時には、其の責任は政府にもあると思ひますが、どう云ふ風な處置をされますでせうか、色々の生産者が持つて居る製品、生産の目的に持つて居つた物資迄も供出せしめられ、統制機關に付されたものが、今のやうな結果になつた時には、非常に責任は大きいと存じますが、之に對する措置を如何遊ばされますか、承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=26
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027・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 仰せの通り、強制力を以ちまして統制團體には讓りました譯でございますから、此の配給に付きましては特に適正を期する必要があると思ひます、從ひまして其の統制機關に買上げしめました數量は、是は確定した數量が分つて居る譯でございますから、其の行先に付きましては全部最後の所迄追究致しまして報告を取ることに致して居ります、普通の統制團體、統制會社に對する監督の規定……統制會社令が廢せられましたので直接の命令は出来ない關係になつて居りますけれども、今後の運用に付きましては、數量の一定して居るものでございますから、最後迄追究を致しまして、統制機關の持ちましたものが適正な方向に流れて參りますやうに、指導でやつて行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=27
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028・中山太一
○中山太一君 戰時中に金屬の囘收が行はれた時に、唯金屬囘收と云ふあの目標に盲目的に官民共に進みました爲に、結果に於ては大事な施設を取外して、それが何等の用をなさなかつた、又取外す勞力も無駄もあり、又それが爲に色々の機關が迷惑を受けた點もありながら、犠牲になり甲斐がなかつたやうなことが多くありました、今度の隱退蔵物資の上に於ても是と軌を同じうするやうなことがあつてはならぬのではないかと思ひます、殊に今日産業の再建復興に全力を擧げねばならぬ時に、金屬囘收の時のやうな消極的な措置、之に力瘤を入れて果して日本の産業經濟の復興再建が出來るかどうか、當時でも私は、大政治家が居つたならば、 あの「ラジヱーター」なり、「エレベーター」なり、又紡績機械なり、又書凾なりを供出すると云ふやうな無智無暴なことをせずに、何倍掛つても新しい鐵を何十萬「トン」か餘計作ることを當時ならばやられる筈であつたと思ひます、此の際も更に相當力瘤を入れられれば、現在調べてある位の隱退藏物資ならば、相當な方法であれば、僅かな期間に増産の方に於て之を見ることが出來るだらうと思ひます、増産、作り出す、さう云ふことに積極的に力を注がなかつたならば、敗戰日本の産業の再建は絶對に出來ないことだと思ひますが、商工當局は矢張り今後も斯くの如き消極的處置を執つて行かれるか、積極的に生産増強の方法を講ぜられる御考はないだらうか、それで是も應急的には、今の隱退藏物資に依つて支障を來して居る方面に所謂隘路となつて居るものを打開する上に必要と思ひますけれども、徹底的な恆久的な根本的な問題には何にも役に立つて居らない、商工省本來の責務に鑑みられて、之に對しては大臣閣下もおいででありますし、又御當局もおいででありますから、一つ打割つた御意見を御披瀝願ひますと、非常に國民として安心の出來る、又非常に深い信頼の出來ることでありますから、どうか其の點を御述べ願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=28
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029・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 誠に御趣旨に於きましては仰せの通りでありまして、殊に隱退藏の衆議院の委員會の經過等を見ましても、斯かる惡法は一刻も早く廢めろ、是は殆ど一致した御意見であつたやうであります、是は終戰直後の實に恥かしき現象から起つた一つの措直でありまして、此の物資の少い時に、一部の人が、軍等の拂下或は其の他のものをどさくさ紛れに隱退藏して居つたと云ふやうなことが事實行はれて居つたので、それを此の法に依つて出ささう、全く是は一時的な措置であつて寧ろ恥かしき行き方だ、斯樣に衆議院の委員會等に於きましても其の空氣がありましたことは、私も全然同感であります、どうぞ斯う去ふ消極的なことから早く離脱して、積極的に再建の方向に伸びる積りで總ての施策を致さなければならぬのであります、其の點に付きましては中山君と全然同感でありまして、さう云ふ心構へで今後商工行政の上に於きましても、産業の再建の上に於きましても一つやつて行きたい、斯樣に思つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=29
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030・中山太一
○中山太一君 産業經營の上に於て能く物と云ふことに執著が多いのでありますが、我々日本人の産業經營には、有らゆる角度から見て大きな無駄があるのであります、二十四、五年前に「アメリカ」の「ブラツク・ヘツス」氏が來て、日本の産業四大工業を調査した其の結果を發表して居ります、當時の産業は餘程今よりは無駄がなかつたのでありますが、それですら其の四大工業の無駄を指摘して、六億七千萬圓づつ避け得べき無駄を年々其の儘空費して居る、それを確實に見て三億圓と云ふ數字を擧げて示して居るのであります、資材の上からも、勞力からも、時間からも、場所の上からも、輸送の面からも、經營各般の上からも、亦管理の面からも、之を檢討して行きますと、我が國の産業、殊に生産、經營、各方面の能率的の改善を爲すべき點が多多あると存じます、此の點に力を入れることに依つて、物資の不足して居る際に其の物資が何割か活用され、無駄に使はれる勞力も亦活用出來る、又良い物を安く提供しなければならぬ時に、物價が徒らに暴騰して行く、之を矢張り緩和しなければならぬ、そこにはどうしても商工省御當局の一大英斷を以て、産業の經營管理の合理的な改善、或は能率増進の徹底化を見なかつたならば出來ないと思ひます、さうして今の生産を増強すると同時に、良い物が安く出來るやうにして行きたいと云ふことである、又是が因果關係を持つて、勞銀も今のやうな惡循環に由る暴騰を來さずして、或程度で喰止めが出來、更に物が大量に出來て安く出來るならば、此の間に餘裕が出來て行くやうな方法もあられると思ひますから、此の點には商工御當局は此の産業再建に重大な關係がある、一方、今大臣閣下から、消極的なことでなく、積極的にやることは同感だと云ふ、大變力強い御意見を御發表戴きました、さう云ふ風に、現在「アメリカ」の産業界は非常に能率的に出來て居る、又有らゆる物が能率的に出來て居るのは、是は三四十年前から之を實施した結果でありますが、日本ではまだ是が眞似も出來て居らぬ程不徹底であります、此の點に付て商工行政の最高の責務の衝に當られる大臣閣下の御決意竝に御當局の御考を承れれば結構だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=30
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031・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 誠に中山君の仰せの通りであります、殊に日本に來て居ります進駐軍の色々な指導を受けて居る中に、私共實に昨今身に泌みて感じますことは、統計等の非常に不十分であつた點であります、斯う云ふものに關する調査を行屆かして、さうして全體の商工行政指導に當ることが、當面最も急を要する、斯樣に今思つて居る譯であります、無駄を廢して行くと云ふことも當然なことであります、唯茲に若干の行き方、所謂米國式と言ひますか、其の行き方に我々多少の考を變へなければならぬ點は、即ち大資本、大工業に依つた流れ作業、詰り勞力を省いて非常に能率を能くすると云つたやうな面から、日本は寧ろ中小工業等に振り向けて、此の多い人口に依つて、機械力よりも寧ろ人手を以て補つて行くと云ふ方面に向けるべき考へ方が、多分に考へられねばならぬ、さうすることは併し一面勞力を失業から之を救ふと云ふ點に行きますると同時に、つい放任しますれば、そこに企畫性がなくなる、或は世界の水準にそれが遲れて來ると云ふやうなことがあつてはならぬことでありますので、特に其の間に於ける協同的な色々な施策を廻らして、小さく人手多く仕事を仕上げても、それが多量生産に決して負けないやうな一つの考へ方を有つて進んで行かなくちやならぬ、斯樣な考を有ちまして、今後の商工行政の上に多分にさう云ふ點を考慮して行きたいと思ふのであります、お互ひ此の八千萬近い人口をうんと働かして、而もそれが小さな仕事であつても、集りになれば大きな流れ作業にも負けない一つの方式を有つて之に進んで行かなくちやならぬ、斯樣な考を有つて、目下中小工業等の振興に付きましては色色研究を致して居るやうな次第でございますが、併し前段に申上げました如く、御趣旨に於きましては全然御同感であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=31
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032・中山太一
○中山太一君 只今仰せになりましたことも、一面にはさう考へられる點がありますが、是は御當局として更に御考へ直しを願ひたいのであります、商品は作れば賣れるかと云ふと、さうではありませぬ、優良な品でなければいけない、さうして價格が正當でなければいけない、若し價格が高くして、良くない物であつたならば、それは國内の消費も止つてしまひます、それから海外に見返り物資として出しましても締出を喰つて、決してさう云ふ物を慈善的に使つて呉れる民族はないと思ひます、矢張り良い物を安く作ると云ふことが絶對の條件であらねばならぬと思ひます、日本のやうな國、人口の多い所は、唯「アメリカ」の大設備、大機械工業を眞似るのでなくして、中工業であつて宜しい、中工業であつて無駄を省く、資材もないから、猶資材も無駄を省くと云ふことにして行かねばならぬと思ひます、それで能率増進は、中工業にこそ一層之を徹底化すれば、良い物が安く作られる譯である、機械を變へてやると云ふことは非常な資本が要りますけれども、さうでなくして、今大臣の御話になつた統計に依つて一人々々の作業を分析し、其の仕事本來の過程をずつと分析して、それをうまく組合せれば宜しいのです、さう云ふやうに正確に統計を活用して行き、さうして作業を管理すれば、そこに一人で三倍以上出來るやうなことは樂なのであります、日本の中小工業の一つの發展策としても亦其の製品の市場を擴大する意味に於きましても、亦國民生活の上にも、良い物を安く供給する上に於ても、絶對に必要なことでありますから、此の點は大臣の御考になつて居る趣旨に全面的に適ふことと存じますので、是は一つ一層御力を入れて戴くことが必要ではないかと本員は存じますが、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=32
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033・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 先程の私の御説明が少し簡單に過ぎて、多少の誤解もありはせぬかと思ひますが、全く仰せの通りでありまして、私の申上げる點は、假に自動車や自轉車が一箇所に於て造られぬでも、部分的に各方面で小さく造られて、それ等を最後に綜合的に仕上げをすると云ふ方向に今後總てで進んで行くだらう、さう云ふ場合に、有らゆる方面に其の協同體を使用すると云ふやうなことを以て、一つの指導行政として行きたい、斯樣に申上げたのでありまして、勿論只今中山君の仰せの通りな氣持で行くのが當然だと思ひます、全然御趣旨には同感であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=33
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034・中山太一
○中山太一君 今一二點だけ伺はせて戴きたいと存じます、各方面の大工業が終戰後の色々の行き詰り打開の一つの策として、一貫作業と云ふ名目の下に原材料を自家消費に充當する傾向が多くなつて居ります、それで、それは原材料を生産して、一般中小工業の生産に寄與して居つたのでありますが、それを一貫作業の下に自家消費に充てましたならば、中小工業は原材料の獲得が絶對に出來ないことになる、是は復興どころではない、現在細々でも經營して居るものが維持出來ないやうな状態になります、日本の特徴である中小工業を復興し、之を殷盛にして行かねば、日本の復興は出來ぬと存じますに拘らず、今の一部の大工業、金屬關係でありましても、化學關係でありましても、さう云ふ風にやつて居りますことは、依存産業を是等の人の爲に滅亡さすと云ふことは、放置することの出來ぬ問題ぢやないかと思ひます、殊に商工大臣閣下を始め御當局は、中小工業を何處迄も健全に振興させようと云ふ御考のやうでありますが、斯う云ふ矛眉した現象があることは御承知と思ひますが、之に對する御對策は如何なものでございませうか、又今迄全然製品を造つて居らなかつた者が、製品を造つて闇にどんどん流して行くと云ふこともありますが、それ以外に、之が解決方法としては、全然其處で製品を造ることを阻止する必要はないが、今迄の依存産業に惡影響を與へずに、原材料の八割はさう云ふ方面に廻す、二割は自家消費に充てる、段々生産が殖えて行けば、其の二割が量に於て大きくなるから、さう云ふやうにして自分の家の消費量が殖えて行くのは是は當然でありますけれども、只今の儘でありますと、由々しき結果を見るだらうと思ひまして、是は一つ色々商工大臣は御經綸が御有りになるやうでありますが、斯う云ふことに對しても一つ御英斷を以て善處して戴きたいと存じますが、御所見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=34
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035・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 只今仰せのやうなことが各方面に現はれて居るかと思ひます、假りに之を纖維の例に取つて見ましても、今囘相當の原棉が輸入されましたものを紡績會社等で之を一貫的な作業として外に出すと云ふ如く、一時是は能率を擧げる爲には已むを得ないやうな事情もありますが、末端の業者より色々不平も起つて來るやうなこともありますので、從來の實績主義に囚はれてもいけませぬが、さりとて自由にやつて行くと言ふことは、生産意慾を活溌ならしめる點もありますが、今日のやうに物資需給の不均衡な事情にありまして、全然放任することも出來ませぬが、其の間御意見のやうな所を十分採り入れまして、今後日本の商工行政は特殊なる、從來と變りました方式で仕事をやつて行つて、どうすれば皆で樂しんで生きて行けるかと云ふことを考へる必要があるだらうと思ひます、統制に行過ぐべからず、所謂自由經濟に惰すべからず、新しい考を以てやつて行く、只今御話のやうなことを十分採り入れ、今後に處して行きたいと斯樣に思つて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=35
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036・中山太一
○中山太一君 色々産業の改善に付ての御考も承りまして有難うございました、色々の御政策、商工省の御政策中にもあつたと思ひますが、隨分無理な統制なり其の他の施策があつて、そして水は高い所にも揚がると云ふことは當然ですけれども、それを「ポンプ」で揚げて無理に流すと云ふことにしなければいかぬと云ふことにせずに、自然に流れる水を活用するやうな風に、政治は、殊に産業行政は行つて戴きたいと思ひます、時々電氣が通じない爲に高い所に水が揚がらないで支障を來すことも往々あります、水を活用して之を水力電氣にも、用水にも、飮料水にも有らゆる方面に利用しますが、さうでないものは却つて無計畫であつて、水を徒らに止めようとして却つて之に溺れて死んだり、又色々の田地を流してしまつたりするやうなこともないとも限らないので、此の産業の振興の衝に當られる商工當局に於かれては、極めて聰明な一つ御政策を以て有効適切に、民を活かすやうに、産業の復興するやうに、今後御配慮を戴きたいと存じて居ります、それから又場合に依れば、是だけ聯合國側から指示を受け、指導を受け援助を受けて居る場合でありますから、日本の産業の經營、根本的な建直し、能率的な調査なり、改善なり、指導には、向ふの權威者を三人か五人招聘されて、さうして代表的な産業を視察し、診斷して貰つて、斯くの如き無駄がある、是だけ無駄があつたら駄目だと云ふことが必ず分りますから、それを聽いて、當局の改善の資料、參考の資料にして戴けば、三年か五年で立直るものが、一年經たぬ中に改善の實績が擧つて行きはしないかと思ひます、之に對しても向ふから指摘される時を待つよりも、寧ろ進んで先方の指導、産業の合理的な經營に付ての指導を受けるやうな御考はないですかどうでせうか、大臣閣下の御意見を伺つて私の質問を打切りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=36
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037・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 全く仰せのやうな御趣旨で、今後從來の所謂成り來りに囚はれないで、進んで新しき日本の再建の上には勇敢に一つやつて行きたいと、斯樣に思つて居る次第でございます、それに付けましても、私は「ジー・ヱッチ・キュー」方面の意見を十分採入れて一つやつて行くことが宜くはないか、日本が敗戰しても、悲觀をしないで、希望を持つて、寧ろ此の敗戰が逆に却つて日本の總ての平和な民主的生活の上に宜かつたと云ふことが言へる迄に、一つ之を十分採入れて行きたい、率直に申しますと、今司令部の方面の色々なことは、一つの法案を出しますのにも全部關係筋の御相談を受ける譯でありますが、現在個々の人を顧問として戴きませぬでも、十分實は教へを戴いて居る譯でありますが、それ等も僻んで取らないで……私は今日も家庭で話したことでありますが、今年は蠅が少い「デー・デー・テー」の御蔭で本當に蠅が少い、斯う云ふことを思へば、他の經濟其の他樣々の總てのことに付ても、日本は戰爭に負けたのだが、此の調子で經濟界方面にも相當な變革が行はれることがあつても、是は或程度迄信頼して、大きな顧問を持つて居るのだと云ふ考を持つて善處して行きますれば、相當日本の將來の爲に私は宜いかと思ひますので、改めて一人々々の顧問を御願ひして一々行政の上に當つて居らなくても、事實上大きな顧問が日本に見えて居る譯であります、併し聞く所に依りますれば、今囘出來まする経濟安定本部に相當程度の人が入つて來ると云ふことも想像出來て居りますから、御趣旨のやうな結果になるだらうと斯樣に想像致して居ります、或は此の問題は、私が若し喋べり過ぎて居りますれば、後で速記の方で訂正させて戴きます、事實はさうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=37
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038・中山太一
○中山太一君 有難うございました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=38
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039・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 先程頂戴して居つた參考書類の説明に農林省關係がまだございませぬから、此の際それを宜しく御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=39
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040・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 農林省關係の隱退藏關係事項に付きまして一應概略の御説明を申上げたいと思ひます、元來食糧關係に付きましては、御承知のやうに生産者から出來るだけ供出をして貰ひ、又其の供出を得ました食糧を國内で出來る限り公平に配分をして參る、即ち赤字搬出として各縣出來るだけ平均化を圖ると云ふことと、尚、中間流通過程に於きまする配給機關でありますとか、其の他の配給徑路に於ける不正を徹底的に防遏し、又消費者方面に於きまする例へば幽靈人口の一掃でございますとか、其の他不正受配を取締ると云ふやうな事柄を中心に致しまして、更に商工省方面の特に御協力を得まして、農村必需物資の見返品を出來るだけ多く農村に出す、斯う云ふやうなことで食糧對策を立て、昨年の暮から本年に掛けまして進んで參つたのであります、其の一端と致しまして、供出に付きましては、何れ是は近く貴族院の方で御審議を願ふ譯でございますが、例の食糧緊急措置令と云ふやうなものの御制定を仰いで今日迄參つたのであります、大體食糧の供給關係、又消費に付きましては、今申しますやうなことが大筋で參つて居つたのでございます、又それ等のことは、別に現在の食糧管理法に於きましては、主要食糧の取扱を業とする者に對しましては讓渡命令等が出し得る途も設けられて居つたのでありますが、主要食糧以外の食糧、それから藷類でありますとか、其の他の加工品、「パン」、澱粉、罐詰、砂糖、或は味噌、醤油、澱粉乳、食用油、斯う云ふやうな主要食糧以外の食糧に付きましては、さう云つた措置を講ずる法的の根據が實はなかつたのであります、そこで、大筋と致しましては先程來申すやうな方法で進んで參りましたが、一面に於て食糧事情が非常に窮迫を告げて參りますと同時に、一面隱退藏の物資の供出促進と申しますか、是等の動員、斯う云ふ方面に對しましても相當是は力を入れなければならぬ客觀情勢になつて參りましたので、本年の四月二十七日に先づ主要食糧と、それと近い關係のあるもの、「パン」でありますとか、澱粉、罐詰、砂糖、それから主要食糧の加工品、斯う云ふやうなものを第一次に指定を致したのであります、同じく第二次の指定と致しまして、是は食糧品ではございませぬが、家畜原皮を指定致したのであります、家畜原皮を指定致しました理由は、御承知のやうに是は需要に比べまして集荷状況は非常に從來も芳しくなかつたのでありますが、特に終戰後の混亂に乘じまして、又本年の經済緊急措置の實施等の際に、所謂財産隱匿と申しますか、域は新圓獲得の手段として、相當量のものが此の家畜原皮の隱退藏に廻された形跡があつたのでございます、而も是等のものは、場合に依りましては食糧輸入の見返物資としても相當重要なものでございますので、茲に家畜原皮を第二次指定と致しまして本年の五月十三日に指定をして戴いたのでございます、第三次と致しましては、先程ちよつと出ました食糧の中、味噌、醤油、澱粉乳、食用油、斯う云ふやうなものを指定を致したのであります、是は五月二十三日に指定を致したのであります、最近に於て、是は載つて居りませぬが、化學肥料の指定を致して居ります、其の點が一つ加はつて居るのであります、從來の成績に付きましては、内務省方面に中心になつて戴きまして御調べ願ひました結果、御手許に配付せられて居ると思ふのでありますが、大體其の表にございまするやうな數字であるのであります、尚此の問題に關聯致しまして、最近政府で決定を致しました食糧危機突破對策要領の中に、隱退藏物資の動員を更に徹底する爲に、官民合同の調査機關を設けると云ふことがあるのでありますが、此の點に付きまして附加へて御説明を申上げて置きたいと思ふのであります、是は從來の隱退藏物資の摘發を致しまする場合に、主として警察方面、或は官廳方面と云ふ方面に投書があり、又其の投書に基いた以外でも、色々聞込等でやつて居つたこともあるのでありますが、一面投書する方面から見ますと、役所に投書しても何時迄經つても梨の礫で沒書になると云ふやうな非難の聲も間々ありましたので、其の窓口は官民合同の隱退藏物資供出促進委員會と云ふやうなものを各地方廳に設けて戴きまして、さう云ふやうな投書の窓口の役目をする、さうして色々此の隱退藏物資の動員に付ての重要な事柄に付ては、其の地方長官の諮問機關たる役割を果して貰はう、又其の供出促進の結果等は委員會の名に依つて公表して戴く、斯う云ふやうな趣旨で官民合同の委員會が設けられることになつたのであります、尤も此の隱退藏の動員を致しまする場合に於きまする具體的の實行に當る人は、飽く迄官廳或は官の委託を受けた者がやる、斯う云ふやうなことに致して居りますので、其の點は從來と何等異なる所はないのでありますが、唯さう云ふやうな合同の委員會に依る窓口を設けたと云ふことであります、此の點は最近の食糧危機突破對策に掲げられて居りますので、御參考迄に申上げて置く次第であります、大體食糧關係に付きましては、さう云ふことで今日迄來て居るやうな次第でございます、以上を以て簡單でございますが、御報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=40
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041・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) これで參考資料に付ての政府當局からの説明は全部終つたやうでございますが、どうぞ御質疑がございましたら引續いて御發言を望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=41
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042・稻垣長賢
○子爵稻垣長賢君 農林關係で特に主要食糧問題に付て今後隱退藏物資と云ふものをどの位見込まれて居るか、又それを何日頃迄に處理されるものかそれを伺ひたい、それからもう一つは、只今御話の點で見返り物資にどれだけ隱退藏物資の供出が役立つて居るか、其の點御示しを戴くことが出來ますれば仕合せでございます、それからもう一つは、是は農林關係ではありませぬけれども、説明の中十條、十一條を今迄に發令されたことがあるかどうか、若しあるとすれば其の點を伺ひたい、此の三點を一つ御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=42
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043・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 最初の二點に付て御答へ申上げます、隱退藏の數量がどれだけあるかと云ふことでございますが、實は色々巷間では軍の終戦時に於ける食糧が極めて厖大なる數量があるとか、或は其の他農村に於ける數量、或は横流れを致しました數量に付て、極めて厖大な數量を發表して居るやうな向もあるのでありますが、併し私共の見方から致しますと、實は隱退藏の數量と云ふものは全體的に見まして左程大きな數量ではないのではないか、斯う云ふ感が強いのでございます、例へて申しましても、軍の食糧が例へば六百萬石あつたとか、五百萬石あつたとか、云ふやうに無責任な數字も出て居るのですが、色々此の二三年來、軍に對して政府から賣渡して居りました數量、或は當時の動員兵力量と云ふやうなものから推算致しますると、結局さう多くのものは期待出來ないと云ふ風に考へて居るのでございます、而も大體百二十萬石程度のものは所謂特殊物件として聯合軍の手に移り、それが内務省の手を經て政府に正式に引渡されたのであります、此の中の約二十萬石近いものは、是は味噌、醤油等の原料として、主として大豆でございますが、大豆、大豆粕、斯う云ふものは其の方面に向けて居りまするし、其の他の主食代用として或は主食として供用し得るものは、總て之を食糧營團と云ふ正規の配給「ルート」を通じて流し、而も其の數字は政府の需給計畫の上にも乘せてやつて居ると云ふやうな状態でありまして、巷間傳へられまするやうな大きな數字は到底ないと思ふのであります、唯個々的には、軍に引渡した數量で、私共の方で食糧需給特別會計では既に軍に引渡して、帳面づらからは落ちて居る、併し終戰のどさくさ、又前の混亂した状態で軍が取りに來なかつた、そこでさう云ふものが所謂無籍米として此の農業倉庫其の他の倉庫に殘つて居る、斯う云ふやうなことがあらうかと思ふのであります、是が所謂無籍米と稱せられるものの中の大きなものではなからうかと思ふのであります、そこで斯う云ふやうなものに付きましては、結局倉庫の一齊調査をする必要があらうかと考へて居るのでありまして、實は前々から色々準備を致して居りまして、七月の中旬に農業倉庫其の他食糧を取扱つて居る倉庫の一齊調査を實は致したいと考へ、現に著々其の手配を進めて居るのであります、或は御答になつたかどうか分りませぬが、隱退藏に付きましては大體さう云ふやうな見透しを持つて居ります、それから見返り物資に付て隱退藏摘發に依つてどれだけのものがやれるかどうかと云ふ御尋のやうに承つたのでありますが、此の點は例へば先程申上げました家畜の原皮に致しましても、或は其の他の見返り用物資のものに付きましては、まだ私共の方では正確には掴んで居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=43
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044・谷川昇
○政府委員(谷川昇君) 御答へ申上げます、十條該當事件は相當數に上つて居るのでありますが、今此處に數字を持つて居りませぬので、後刻御報告申上げます、唯該當事件の九十四「パーセント」と記憶致して居りますが、是は色々事情を取調べまして能く訓戒致しまして、送局は致さなかつたのでありますが、取調べました件數の中約六「パーセント」と云ふものが送局されて居ると記憶致して居ります、次に十一條該當の事犯は今の處まだ報告を受けて居りませぬけれども、今後生じて來るかも分らぬと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=44
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045・稻垣長賢
○子爵稻垣長賢君 尚もう一つ農林當局に御伺ひしたいのですが、此の第一條の但書にありますことで、主食の米とか麥と云ふものの個人の數量はどの位になつて居るのでありますか、隱退藏の制限ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=45
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046・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 實は此の隱退藏をどの限度を以て隱退藏とするかどうかと云ふことは非常にむづかしいのであります、假に之を一俵なら一俵と致しましても、それは十人家族の一俵と二人家族の一俵、或は十五人家族の場合の一俵と云ふやうに、非常にさう云ふ事態に依つては違ふのでありますから、一律一體に何俵以上とか、或は何斗以上を以て隱退藏に見るかと云ふことは、實際問題としてはなかなかむつかしいのではないかと思ひます、と云ふことは、結局個人の隱退藏と云ふことになつて參りますると、特に目に餘る惡質な者に對して之が適用されると云ふ結論にも亦相通ずるやうなことになるのではないかと思ふのであります、そこで具體的には、私共も色々從來食糧の對策を講じて參りまする場合に、隱退藏の此の關係とは直接關係はございませぬが、色々保有量の調査を取ることを考へて見ましたり、其の他の色々のことを考へましたけれども、結局此の數量と云ふ問題が常に問題の中心になりまして、實現がなかなか實際問題としてはむつかしいと云ふことで行き惱んだことが間々あるのでありますが、隱退藏に付きましても結局只今申上げましたやうなことであります、正確には數量は決め得ない、其のことは只今申しましたやうに、逆に言へば、個人に付ては惡質な目に餘る人にそれが適用されると云ふことにならうかと思ひます、唯抽象的のことと致しましては、地方長官に對しまして、如何なる場合又如何なる數量に付て讓渡を命ずるかと云ふやうな場合には、食糧事務所長、是は御承知のやうに私共の食糧管理局の出店が各府縣にあるのであります、此の食糧事務所長等の意見を能く參酌して貰ひたい、而も其の場合に於ては其の地方は食糧事情と云ふものを能く睨み合せてやつて貰ひたい、又やると致しましても、其の標準は、是は一縣、一町村と云ふやうな所に限定せずに、大體地方行政事務局單位に置いて、不公正なことのないやうにやつて貰ひたいと云ふやうな、抽象的の指示は致して居るのでありますが、實際問題と致しましては先程から申上げますやうな結論に達し、又さう云ふやうな運營に進んで居るやうでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=46
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047・中山太一
○中山太一君 農林次官がおいででございますから伺ひますが、隱退藏物資の關係は、只今のやうに供出が不十分でありますと、其の結果が一層酷く隱退藏物資と食糧品に於てはなつて居ると考へなければならぬと思ひます、十分に供出されたならば各地各所に隱退藏物資は少いと思つても宜いし、又此の問題に對し隱退藏物資をそれ程發く必要もないかも知れませぬが、只今のやうな供出不十分であると、各方面に矢張り出し惜みになつて居るから、方々にあると斯う考へなければならぬ、之に對して適當な措置を御執りになることも必要でありますが、元來此の供出の不十分な原因、大變供出が宜くない原因は一體何處にあるのでせうか、其のことに對して農林御當局の率直なる御考を聽かして戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=47
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048・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 御答へ致します、供出の不振でございました原因は、私は終戰後に於ける混亂した世相、社會情勢と云ふものが根本ではないかと思ふのでありますが、勿論色々昨年の事態に付きましては問題もございますが、率直に申上げまして、戰爭中米を出して呉れれば戰爭は續けられるのだし、勝つのだ、斯う云ふことで供出を督勵して參つて居りましたのが、現實敗戰の姿となり、而も當時は混沌とした情勢でございました、そこでもう此の戰爭が濟んだのだから、戰爭中のやうな供出と云ふものはさうしなくても宜いだらう、斯う云ふやうな感じを一般的に持つたことが一つの原因であつたやうに思ひます、それから其の次には、當時の大臣が納得供出で行くのだ、戰爭中のやうに無理ではなくして、納得をして貰つて行くのだ、斯う云ふことを放送せられたことがございました、此の納得供出と云ふ意味は、出せるだけの物を、出したいと思ふだけの物を十分に出すのだ、斯う云ふ意味ではなかつたかと私は思ふのであります、戰爭が濟んでも、尚食糧事情は戰爭中以上に苦しくなつたのであるから、そこら邊の事情も農民は納得して戴いて、さうして戰爭中以上に出して貰ひたい、斯う云ふ意味の納得供出であつたと思ふのでありますが、併し表面に現はれた納得供出と云ふ言葉は、結局最初申上げましたやうに、出したいだけ出せば宜いのだ、斯う云ふ空氣に一般をしたと思ふのであります、それから生鮮食料品の統制を撤廢したと云ふことが、又一つの大きな原因であつたと私は思ひます、同じ農作物で生鮮食料品が統制を外された爲に、蔬菜其の他が天井知らずの價格でやつて居る、米に付ても同じやうにさう云ふことを豫想し、又さう云ふ統制に對する觀念が非常に薄らいで來た、更に大きな事柄は、本食糧年度の當初に於て、誰も彼もが今年の食糧需給は大變である、大變な不足であると云ふことが不必要に大きく喧傳をせられましたが爲に、生産者は米さへ持つて居れば何の代りにもなる、消費者としては少しでも餘計買溜めて、さうして將來の飢饉と申しますか、飢餓に備へようと云ふことで、一般に當時殆ど無政府状態のやうな形態の下に於て、横流し或は闇買と云ふやうなものが行はれた、そこへ持つて來て、私共は供出に強權發動に付ての措置もやつたのでありますが、是が又總選擧を前にして色々各方面に利用され、色々の惡條件が實は昨年から本年に掛けて供出不振の原因になり、漸く建直つたと云ふ時には既に農家にはそれ程の米がない、又あつても數字上ないことになつて居るので、出せないやうな建前になつて居ると云ふのが實情ではないかと、斯う云ふやうに私は見て居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=48
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049・中山太一
○中山太一君 只今御話になりましたやうな、供出の不十分であつた原因の一つとして御述べになつた、農林大臣が放送其の他の會合に於て納得供出と云ふことを言はれたことは、全く大きな惡因になつて、今日の結果を見たと思ひます、それで其の時に放送を聞いて居りまして、我々ばかりでなく、農家の人達も、是で總ての拘束はなくなつて自由だ、もう我々任意で宜いのだ、それ迄はまだどうしても出さなければならぬと云ふ、何か道義的にも法律的にも義務を感じて居つたのが、それでやられた時、甚だ放送局に對しては濟まぬけれども、當時放送局でも、政府は瞞した、いや瞞されて來たからと云ふことを繰返して言はれた、又別の政黨關係の人が、出さないやうに反政府的な放送さへやつた、三つのものがこんがらかつて、全く出す者は出さう思つても寧ろ馬鹿らしいやうな感じを起して出さないで居つた、それで私は或會合の席に居りましたが、其の折にも農林大臣が出て、別の大臣も言はれたけれども、矢張り農家が進んで出さうと云ふ氣が起らぬ、現農林大臣が御就任になつてから放送された時に、初めて餓死戰線より都市を救ふ、それから供出した農村に對して農村の必要な物を與へると云ふことを言はれた、私は其の時に、是ならば確かに農家も納得して出すだらう、それから放送局も其の時に非常に農林大臣を援助するやうにやられた、ああ云ふ風にやられると此の問題は解決付くのだと思つて、私は其の時に大變力強いやうな感じがした、それであの氣持で農林當局が臨まれたならば、私は必ず出ると思ひます、聞く所に依りますと、山陰の或縣に於てはまだ五割かそこらしか供出して居らぬ、それで實際無いかと云ふと、思想的に出させぬやうにして居る、其の縣内の青年は三十人、五十人位づつ大阪に一斗或は二斗位持つて行つてそれを闇に賣つて色々して居る、此の點は其の縣の出身の人で或政黨の有力な人が言つたことですが、其の人の所に買つて呉れと言つて來た、それは持つて歸れ、さう云ふものを皆供出するやうにせいと云ふことを言はれたさうであります、相當にありながら不眞面目に出さなかつた縣が其の儘放置してある、縣も御考慮願はなければならぬ、唯穩退藏物資と云ふよりも、寧ろ眞面目に出した縣と不眞面目であつて闇稼ぎして居る所とある、又最近政府が、米の供出が惡かつた所は麥なり馬鈴薯を以て補はせると言つて居る、私は是程いかぬことはないと思ふ、矢張りやれなければ新しい米を以てそれだけ餘計出させると云ふことなら宜いけれども、それを解消されるのは、眞面目に出した人が又馬鹿を見たと云ふことになる、それが本當に無い所とか、非常に天災などで收穫が少くて是は減らさなければならぬと云ふことであれば別ですけれども、横著した縣が其の儘であつてはいけない、此の例は良い縣ですけれども、或縣は、知事さんが更迭して任を解かれたにも拘らず、一月も一月以上も其の縣の供出に骨折られて、成績が惡かつた其の縣が百「パーセント」出たと云ふ美談もあるやうです、それから或村が今のやうな村内で問題があつたのを、都市の餓死するのを見るに忍びないから、暴動が起つた時でも、此の村だけは百「パーセント」供出したと云ふ高札を建てようと云ふことでやつて、指導者が其の上に、此の村で出せば、隣村或は郡内が全部出す、郡内が出せば縣内が全部出すやうになるから、さうしようと云つてやられた村がある、さうして其の村が第一に三月に出して、それから郡内が幸ひに其の村の村長が郡の町村會長であつたので、其の郡が又直ぐ出した、それから其の縣は七十何「パーセント」であつたのが、五月に漸く百「パーセント」になつた、それは其の一面には知事さんが任を解かれながら努力された關係の縣であります、それで一村が眞面目になつて、一郡が眞面目になる、一郡が眞面目にやつて一縣の成績が擧がる、一人が眞面目になつて、任務を離れてもさう云ふ風にやられる、私は當局がもう少し納得の行くやうにされる必要がある、農村の納得が出來ないものだから、所謂不平があり、不滿があり、不安がある、之を解いて行くと云ふことにもう少し骨を折られなければ解決せぬぢやないか、私はまだやり方に依れば相當出得ると思ひますが、御當局はどう御考へでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=49
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050・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 農村から尚今後どれだけの食糧が期待出來るかどうかと云ふ問題でございますが、私も率直に申上げまして、尚出し得る餘力はあると思ひます、唯其の數量が今中山さんの御話になりますやうに相當量であるかどうか、まあ是は見方が、例へば二百萬石とか五百萬石とか或は百萬石とか云ふやうに、數字は色々見方があるだらうと思ひますが、私共は實は此の新しい麥及び薯の場合に尚七八十萬石出して貰ひたいと云ふことで、各府縣に對しましても御願ひをしてあるのであります、是は所謂食糧危機突破對策に於きまする救國米と申しますか、救縣米と申しますか、尚農村に殘存して居る餘力を振ひ出さして、是だけのものは出して貰ひたいと云ふことで進めて居るのでございます、勿論御話になりますやうに、農村から出して貰ひます場合に於きまして、餘程是は方法をうまくする必要があるのでありまして、先程御話の如く不平不滿を政府としては出來るだけ之を芟除する、又從來戰爭中にございましたやうなこと、是は又一面に於ては已むを得ない場合もあつたのでありますが、併し其の理由如何に拘らず、政府が一旦公約したことが、實行出來ない、約束を果さなかつたと云ふやうなことが、不平不滿の又一つの大きな理由にもなつて居るのであります、從つて政府としては公約は飽く迄之を守つて行く、又一面に於て、農家の欲する必需物資の大量集中的な農村への放出と云ふやうなことも、我々としましては最大限度考へなければならぬと存じて居るのであります、主として是等のものは商工省關係の御厄介にならなければならぬものが多いのでありますが、幸ひに商工大臣初め皆さんの非常に協力を得て居るやうな次第でありまして、斯う云ふ方面も著々其の實を擧げつつあるやうな状態である譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=50
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051・中山太一
○中山太一君 當局の御苦心は御察ししますが、もう一つ食糧の供出に對しては、退け目と言つては何ですが、非常な被告のやうな立場があつて、さうして公約云々と云ふことで臨まれる、確かに政府は空手形を出し過ぎて居られる、けれども今度はそれを超越して、今は國民が餓死すると云ふ時だから、其の公約と云ふことは棚へ暫く上げて置いて貰ふ、過去のことは餘り今言はないで、被告的の立場にならぬ方が宜いのではないか、そんなことを言つても、日本の政府には今補償問題、殊に戰災保險の問題がある、是なども果して政府は公約を守られるかどうか、餘り一々言ひ譯をされても、政府は必ずしも約束を立派に實行出來るかどうか分らぬ、それよりも現在餓死する者を助ける爲に、國民として眞に積極的に協力するやうに政府は信念を持つてやつて貰ひたい、どうも言はれる所を聽くと、次官でも引け目を感じて居られるやうな氣分が見える、あれでは農村にもう一つ信念を持つて出させる氣魄が薄いと思ひます、私は新聞で見ますと、此の統制が矢張り維持される限りは、供出を維持される限りは、強權發動は已むを得ないと云ふことを大臣も次官も言うて居られる、普通ならば強權を以て物を出すと云ふことは、丁度「イソツプ」物語の風の神のやうで、宜くはないけれども、確かに供出をさせなければならぬ、私は是が必要だと云ふ御意見は正しい御意見だと思ひます、それで、現に或縣では百何十人やらなければならぬやうになつて居たのが、到頭四十何人だけ發動して百「パーセント」やつた、大部分の人が、あの人はやつて貰はなければならぬと思ふやうな人がやらなくて、善良な農民を壓迫して居る、それで横著なやり方をして居つた者が善良な者に感染してはいかぬと云ふので、それを發動したことに依つてあとの方は發動をやらずにどんどん出して來た、或村では二人だけやり掛けて、警察が行つて調べかけた所が、もうそれで出しますと云ふので、村長の所へ御詫びに來て一人も事故なしに出した、是は確かに濫用しては良くないけれども、なければ絶對いけないものであつて、或政黨なり或派の言ふことは實際農民に迎合するやうなもので、善良なる農民の意志でないから、信念を持つて私は御當りになつて宜いことのやうに思ひます、今どうも引け目が多いやうに思ふ、借金した人が對等な話が出來ぬと同じやうな立場に居られるのでは、此の大事な飢餓突破に甚だいかぬと思ひます、それでもう一つ御尋ねして見たいと思ひます、どんなにしても反感があつては協力しませぬ、同じ事業の經營體の中でも、勞資の問題が縺れて對立的な感情がある所には、生産も出來なければ何にも出來ませぬ、政府に對して反對的な感じがあつてはどうしてもいけないから、是は物の問題だけれども、精神の問題、感情の問題と云ふことに餘程重點を置いて戴きたい、今後農村にもう少し増産に必要な物を出すと云ふことも必要ですけれども、精神と知識を與へる、増産に必要な科學を動員して、農村を一つ幸福ならしめることに付て、農事試驗場もあることですし、場合に依れば文部省と協力して、農林學校其の他も動員して、農村にもう少し空間的に、時間的に耕地面積を活用さして行けば、三毛作、四毛作になる場合もあれば、又其の他色々な利益が起る、さうして増産さすと云ふことにしてやつて戴きたい、積極的に一つ御進め願ひたい、それから農具や何かももう少し都市の産業家に義務付けて、或物に對しては廉く、或數だけは絶對に出せと云ふ風にして、必要物資を義務的に農村に送らせるやうにしたい、當局の引け目を取らぬやうに、都市は餓死を免れる爲だから増産させるやうに、確乎たる考を持つてやつて戴きたい、強權發動發動と云ふことに恐れて居るやうでございますけれども、實際は惡農家のみがやられて、善農の人は喜んで居ると云ふことは一般に分つて居るのであります、更に米其の他の價格に付て、新聞に今度は倍にするとか三倍にするとか、ああ云ふことがちよいちよい出ますと、却つて供出の妨げになります、そして之に付けても供出方法をもう少し考へて貰ふ御意志はないのであらうか、どうであらうか、即ち米なら只今の値段が三百圓なら三百圓に止めて、そして百「パーセント」割當てる、八十「パーセント」迄は三百圓で買ふ、それから上二十「パーセント」は、五割でも宜しい、倍でも宜しい、それは報獎的に或程度出す、併しそれ以上に郷土食、雜穀其の他を利用して家族一致して米を延ばして行く、そして出す場合には、それに付て三倍に買はれても宜いのぢやないか、さう云ふ風に百「パーセント」以上の者に對して、餘りがあるから今年餘計出せば明年も亦餘計取られるだらう、さう云ふやうな意味でなしに、寧ろ家族が一致して郷土食、所謂雜穀、混ぜ御飯でもして米を延ばしたと云ふ意味で、翌年にそれを義務付けるものぢやないことにして進められると、家族が一致して其の消費を節約し、生産に協力したならば、茲に大きな生産を殖やしたものと、消費を節約した兩面から、私は供出量がうんと殖えると思ふ、先程ちよつと商工大臣も申されましたやうに、「ポンプ」で高い處に水を揚げて水が出るのよりも、自然の水の流れを利用する如く、人情の機微を掴んで、農家が喜んで協力するやうな良い供出方法がありはしないか、一つ當局に於て良い案に御立直しを願ひたい、それでないと値段は倍になつても出やしませぬ、昨日の放送では四倍の値段が至當だ、斯んなことをしたら都市の勞働者、失業者は尚のこと、餓死者が多く出ますから、斯う云ふことは輕々に言つてはいかぬことだと思ひます、當局は愼重に御考慮を願つて、此の隱退藏物資の問題も大事だが、今後の問題こそ大事な問題だと思ひますから、當局に御差支なかつたならば、次官は大臣の御積りで一つ抱負經綸を腹藏なく御述べ願ふと大變結構だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=51
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052・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 色々御意見を拜聽致したのでありますが、先づ強權發動の問題でありますが、私自身は強權發動は昨年來の、又當面して居ります食糧事情を緩和する上に於きまして、極めて有効であり、又現在の食糧事情の下に於て供出制度を繼續して行きまする以上、強權發動はどうしても是は必要である、斯う云ふ風に確信を致して居るのでありますが、其の意味で、今迄各方面からも色々一部からは非難も受けて參りましたけれども、飽く迄も其の信念で進んで參つたのであます、要しまするに供出の問題に付ては、本來は一部の斯う云ふ惡質農家の人々に對する強權發動は、是は例外的の考へ方でありまして、飽く迄是はお互ひが國を助け合ふと云ふ氣持に徹しなければならぬと思ふのでありまして、私共は現在國を救ふ爲に都市の人も農村の人も皆が裸の氣持で助け合ふ、而も是は國民運動に依つて之を期待しようと云ふことで、色々各方面の御協力を仰ぎたく努めて居るのであります、農村の科學動員の問題でありますが、今後の農業經營に付きましては、どうしても御話の如く科學動員、科學の注入と云ふことに力を入れなければならぬと同時に、此の技術を末端迄滲透させて參ると云ふことに一番努力を盡さなければならぬと思ふのであります、極く簡單な電氣を使つた温床が、域は藷苗床が非常な好成績を擧げたと云ふ例もあり、極めて簡單なことでも相當な効果を擧げるのでありますから、況んや高度の科學技術が動員され、之が農村に滲透して參りますれば、相當今後の經營の改善上効果があらうと思ひます、本年から色々と豫算面に於ても計畫致して居りますが、斯う云ふ方面に微力を盡したいと思ひます、又供出方法の問題、或は米價の問題に付ての御議論がありましたが、よく御意見のある所は拜聽させて戴きました、供出方法に付きましても、農民が分りますやうな方法を講じて行きたい、價格に付ても只今御述になりましたやうに、實は三段階程度に分けて報奬金を出したことも極く一兩年前にはあつたのでありますが、結局農民には分り易い方法で以て報奬を考へる、而も此の報奬は生産意欲を減退させないと云ふことを根本義と致しまして、生産意欲を向上させると云ふことを根本の狙ひとして、報奬制度も併せて考へたいと云ふ譯で、折角各方面の色々御意見も伺ひ、案を練つて居るやうな状態でありまして、十分に御意見は了承致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=52
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053・西酉乙
○男爵西酉乙君 隱退藏物資の數量は世間で噂される程の數量ではないと云ふ話がありましたけれども、世間の噂は兎に角、是は取るに足らぬものもあるかと思ひますけれども、苟くも公黨である共産黨が所在を指摘して、「ラヂオ」放送迄して隱退藏物資の指摘をして居るのですが、あれは結果に於て事實であつたでありませうか、どうでありませうか、其の點に付て御當局の御發表を願ひたい、或は私が聽き洩らしたのかも知れませぬ、承知して居りませぬのですが、どう云ふものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=53
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054・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) ちよつと速記を止めて戴きたいのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=54
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055・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 速記を止めて
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=55
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056・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 速記を始めて……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=56
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057・楠見義男
○政府委員(楠見義男君) 私共も實は共産黨方面から色々政府攻撃を受けまする場合に、唯抽象的に足を引つ張り、手を引つ張つて、政府の施策に對して之を嫌がらせをするやうなことは止めて、共産黨と雖も正しいことは正しく我々は受諾をするのでありますから、從つて茲に斯う云ふものがある、是は一體どうしたのだと云ふ風に具體的の事實を示して、私共に協力して貰ひたい、又場合に依つては是は尻を叩いて貰ひたい、問題は尻を叩いて貰いたいので、手を引つ張つたり、或は足を引つ張つたり、或は頭を叩かれたのでは、政府は仕事が出來ないのだから、さう云ふことでやつて貰ひたいと云ふことで色々共産黨から若しさう云ふやうな具體的のものが場所を指定しての御話がございますれば、早速何時でも調べて其の黒白を明かにして行きます、別に臭いものに蓋をする必要もないのでありますから、惡ければ惡かつた、斯う云ふものがあつたと云ふことは、是は遠慮なく聽かせて戴きたいことでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=57
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058・西酉乙
○男爵西酉乙君 さう云ふ御方針で大變心強く思ひますけれども、盛んに言はれる隱退藏物資の所在や數量に付て、具體策を以て政府に對する非難はですな、建設的なやり方でありませぬから、殊に今日の日本の状況として國民に惡い影響をする所が非常に多いのでありますから、さう云ふ場合には、今の御方針で、一つ強力に爲さつて戴くことを切望する次第であります、どうも中正な、公平な意見を持つて居る者が餘り大きな聲でものが言へませぬので、必ずさう云ふ御方針に對しては滿腔の支持をすると思ひますから、今中山委員が言はれたやうに官僚の過去の功罪は兎に角、今日日本は新しく出發するのですから、御當局の官僚と言はれる方々も新しい信念の下に、一つ強力に、勇敢に之をやつて戴きたいと思ひます、それを切に御願ひする次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=58
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059・谷川昇
○政府委員(谷川昇君) 先程十條關係の違反件數に付て御尋ねがありましたが、數字が明かになりましたので御報告申上げます、違反件數は三萬二千八百五件であります、其の内説諭を致しまして赦免致しましたものが三萬百十三件であります、送局致したもの竝に送局見込のものが合計致しまして二千六百九十二件と相成つて居ります、是は先程御報告申上げましたのは總件數の六「パーセント」に相當すると申上げましたが、八「パーセント」でありますので訂正を致します、此の數字は六月二十日現在のものでありまして、まだ數件未著のものもありますので、多少殖えるかとも考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=59
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060・中山太一
○中山太一君 發言がないやうですから、ちよつと時間を活用させて戴きまして一言申したいと思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=60
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061・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) どうぞ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=61
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062・中山太一
○中山太一君 商工省當局と云ふよりも、軍需省時代の御當局の關係でありますが、昨年三月に隱退藏物資の問題で、供出がああ云ふことになつたと云ふことで、司法大臣と軍需大臣とが新聞に隨分長文で發表されたのでありますが、是は今日は平和時代でありますから差支ないやうでありますが、あれ程重要な機密に屬することを新聞に堂々と兩大臣が發表されたと云ふことは、能く軍機とか其の他の機密に付て防諜上の取締をやかましく言はれるのだから、兩大臣が斯んな機密なことを……私は民間には隨分強い制裁を加へながら、斯んな不用意なと云ふ感じが起りましたが、それで私は餘りにやり方が惡いと思つたものですから、當時小磯總理大臣、それから米内海軍大臣、陸軍大臣は代理の栗橋局長にも、私は斯う云ふことは誠に……、それで若しも日本が反對の立場であつたならば、此の機會を逸せずに、隱退藏物資は、それが供出されない間に、其の元を斷つ空襲をしてやると云ふことは、私は軍ならばある筈だ、それで矢張りあの聲明があつて三四日經つて、東京、名古屋、大阪、殆ど根こそぎやられてしまひました、是は防諜をやかましく言ひながら實にへまなことをやつて居る、もう少し聰明なやり方をして貰ひたい、こんなへまをやつてはいかぬと云ふ感じを持ちました、それで今の意味は速記から消されても宜しいのでございますから、委員長に御任せ致します、それから同時に方法をもうちよつと檢討して戴きたい、あの時は公定價格で以て三箇月以上のものは皆出さなければならぬ、それでなければ當局の許可を得なければならぬ、一方、生産者は註文を十箇月分も一年分も得て居る、それで原料、材料を高い値段で買つて居つても、それを出す時には公定價格で出せと云ふことであります、こんな實情に反したやうなことは非常に下手な政治であると云ふ感じがする、それで私は其の時に具體的な意見を述べて、もう遲いから駄目ですと言つたが、小磯さんは今からでも遲いことはないと言はれたが、其の中には内閣は御辭めになりました、あの時、第一箇月は公定價格の三倍、さうして何處々々へ持つて來い、第二箇月は二倍で買ふ、第三箇月は公定價格、第四箇月は公定價格より三割減じて、第五箇月は只で取る、それ迄に軍なり政府の承認を得る、所謂必要であると云ふことの了解を得る、其の時は隱退藏物資とか言はれても、それは全く必要で買つて居るのだから、戰力物資とか或は必需物資とか云ふことにして、國民を敵に廻すやうなことをせずに、もう少し心理的に國民が協力出來るやうにして、戰力物資として必要だから協力して呉れと云ふやうな意味に、納得出來るやうにしなければならぬ、註文を受ける爲にどうしても買はなければならぬ、然るにそれが何か惡人のやうに扱はれては出しにくいやうな感じがする、さうして一方には無茶な公定價格、是は政治ではない、こんな無理をして成功する筈はない、政府が手數を掛けない間に燒けてしまつたから問題はないけれども、此の二つの大きな過誤を私は見て居る、是は當時の政治家として重大な責任があるやうに思はれる、是は濟んだことですけれども、今度は平和日本建設の上には斯う云ふことのないやうにして戴きたい、先達ても或席で現商工大臣の御意見を伺つて、力強く感じて居りますが、一つ計畫性のある合理的な善政をやつて貰つて、民も國家も共に良くなるやうに、御配慮を希望する次第であります、丁度時間がありましたものですから、遠慮なく卑見を申上げた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=62
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063・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) もう時間にも大分近寄つて來ましたが、他に御發言ございませぬければ、本日は此の程度に止め置きたいと思ひますが、如何ですか、それでは次會は月曜日の午前十時から開きたいと思ひます、本日は是で散會致します
午後三時五十五分散會
出席者左の如し
委員長 子爵 秋元春朝君
副委員長 男爵 渡邊修二君
委員
侯爵 池田宣政君
伯爵 柳澤保承君
子爵 柳澤光治君
子爵 交野政邁君
子爵 稻垣長賢君
男爵 西酉乙君
男爵 前島勘一郎君
男爵 田中龍夫君
松本學君
諸橋久太郎君
中山太一君
奧主一郎君
國務大臣
商工大臣 星島二郎君
政府委員
内務事務官 谷川昇君
農林次官 楠見義男君
商工事務官 吉田悌二郎君
同 松田太郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000075X00219460712&spkNum=63
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