1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○政府出資特別會計法外二十一法令の廢止等に關する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年八月一日(木曜日)午前十時七分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=1
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002・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) 「會計法戰時特例廢止等に關する法律案」審議の特別委員會に併託になりました
「政府出資特別會計法外二十一法令の廢止等に關する法律案」の審議を開始致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=2
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003・上塚司
○政府委員(上塚司君) 「政府出資特別會計法外二十一法令の廢止等に關する法律案」提出の理由に付きましては、昨日本會議に於きまして申上げました通りでありまするが、今囘本委員會に付託と相成りましたのを機會に、更に其の大要を御説明申上げたいと存じます、第一は特別會計法の廢止等に付てでありますが、其の一は歳計の統一的經理に關する原則に對する例外である特別會計を、可能な限度で減少せしめ、會計制度を簡明にすることが必要であると存ぜられますので、此の趣旨の下に今囘比較的設置の理由を失ふに至りました政府出資及び營繕用品資金に特別會計を廢止致さむとするものであります、其の二は終戰に伴ひまして存置の理由を全く失ふに至りました舊陸海軍關係の陸軍造兵廠、陸軍製絨廠、海軍工廠資金、海軍火藥廠、海軍燃料廠の五特別會計と朝鮮總督府、臺灣總督府、樺太廳、關東局及び南洋廳の特別會計等、所謂外地關係の十特別會計を廢止致さむとするものであります、而して是等の各特別會計は何れも本年度に入りましてからは、事實上其の機能を停止致して居るのでありまして、今囘廢止致しましても、何等會計經理上支障を來さないものであります、以上の如く今囘廢止致しまする特別會計は、其の數合計十七であります、又曩に廢止致しました臨時軍事費特別會計を加へますると、前年度に比し、十八の特別會計を減少致すこととなり、昭和二十一年度に於ける特別會計の數は、二十二と相成る次第であります、尚前述の各特別會計の廢止に伴ひまして、之に關聯する「大正十二年法律第七號東京砲兵工廠及び大阪砲兵工廠の各特別會計の合併に關する法律」等の、八法律も此の際併せて廢止することと致しました、第二は特別會計法の一部改正に付てでありますが、其の中作業會計法、厚生保險特別會計法及び簡易生命保險及郵便年金特別會計法の一部改正は、何れも前述の特別會計の廢止に伴ふ所要の改正であります、次に地方分與税分與金特別會計法の一部改正でありますが、同會計の所屬と相成つて居りまする地租、家屋税及び營業税の收入は、之を從來會計事務の簡捷上、會計法戰時特例第十三條の規定に依つて一般會計に便宜所屬せしめ一般會計から税收額を同會計に繰入れて參つたのであります、然る處今囘會計法戰時特例を廢止することと致しましたのでありまするが、此の制度は同特別會計の收入事務取扱機關の實状に顧みまして、尚當分の間存續せしめ、從來通り會計事務の簡捷を圖るのを適當と認めまして、之に關する所要の改正を行はむとするものであります、次に食糧管理特別會計法の一部改正でありますが、其の一は證券の發行限度に關する改正でありまして、其の限度額に付きましては、現行法に於きまして食糧の買入代金交付の爲に發行する證券の最高發行限度價額三十八億圓と、會計法戰時特例第十三條の規定に依つて便宜同會計の所屬と致して居りまする米穀の生産確保補給金交付の爲、發行致しまする證券の最高發行限度價額十四億圓と合計五十二億圓と相成つて居りまするものを今囘之を一本に統合致しまして、其の區分を廢止致したのであります、其の二は同會計の將來に於ける決算上の損失を一般會計から補填し得る途を開きまして、同會計の運營を一層圓滑ならしめむとするものであります、尚之に關する一環の措置と致しまして、現代同會計の負擔と相成つて居りまする證券の中で、大體從來迄の損失額に相當する四十五億圓を限り一般會計で肩替り致しまして、同會計の運營を更に活溌ならしめむとするものであります、次に通信事業特別會計法の一部改正でありますが、其の一は從來會計法戰時特例第十三條の規定に依りまして一般會計所屬の電氣試驗所に於ける經費及び收入は、之を通信事業特別會計の所屬として經理致して參つたのでありまするが、終戰後の電氣試驗所に於ける試驗、研究等の内容は戰時中と一變致しまして、通信事業に關するものが大部分と相成りました關係上、之を此の際同特別會計法の第一條の通信事業に含め、同會計の歳入歳出として經理するのを適當と存じまして、所要の改正を行はむとするものであります、其の二は同特別會計の收支状況及び資本勘定の性質に顧みまして、同特別會計法第二條に規定して居りまする公債を財源として、支辨し得る經費の範圍を擴張する爲、之に關する所要の改正を行はむとするものであります、尚是等の外、豫備費を以て支辨し得る事由の範圍の擴張等、二三の改正も此の際併せて行ふ次第であります、次に帝國鐵道會計法の一部改正でありますが、是は通信事業特別會計法の改正に付て申上げましたと同樣の趣旨に依りまして、同會計法第二條に規定致して居りまする公債を財源として支辨し得る經費の範圍を擴張致さむとするものであります、第三は國有財産法の一部改正に付てでありますが、國有財産法第二十六條の規定に依りますと、政府は、毎會計年度の國有財産増減總計算書を調製致しまして、會計檢査院の檢査を經て、帝國議會に報告することと相成つて居るのでありまして、從ひまして昭和十九年度分の國有財産増減總計算書も之を調製致しまして、帝國議會に報告致すべきものでありますが、同年度の分は戰災等に依りまして、其の調製は相當困難であり、又國有財産の増減が十九年度のものか、或は二十年度のものか、其の區分の不明瞭のものも、相當の件數に上るものと豫想せられまする關係上、昭和十九年度分の國有財産増減總計算書を獨立のものとして調製致しますることは、困難と存ぜられまするので、特に其の調製を省略致しまして、昭和二十年度分と一括調製して帝國議會に報告致したいと存じまして、國有財産法中之に關する改正を行はむとするものであります、最後に、「昭和二十年法律第十九號地方鐵道及軌道における納付金等に關する法律」の一部改正に付てでありまするが、現在同法に依りまして納付致しまする納付金は、帝國鐵道會計資本勘定所屬の特別の資金として經理致しまして、其の一部は臨時軍事費特別會計への繰入金に充當致して參つたのでありまするが、御承知の如く、臨時軍事費特別會計は、本年二月末日限り廢止せられましたので、今後之を一般會計への繰入金に充當するのを適當と認めまして、同法中所要の改正を行はむとするものであります、簡單でありますが、以上を以て説明を終ります、何卒御審議の上、速に御協贊あらむことを御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=3
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004・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) 御質疑が御ありになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=4
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005・板谷順助
○板谷順助君 私は此の前の會計法の委員會で、資料の要求を致して居りましたが、其の一部は只今頂戴致しました、そこで今度廢止をされます政府の出資額は幾らかと云ふことと、それから後の整理に付て、更に國家の負擔となるべき金額はあるかないかと云ふこと、それから外地關係に於ては、北支開發、中支那振興、内地關係に於ては、食糧管理特別會計、是等の收支計算を御提出願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=5
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006・上塚司
○政府委員(上塚司君) 承知致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=6
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007・松本勝太郎
○松本勝太郎君 ちよつと御尋ね致しまするが、此の特別會計廢止後の殘務を御取扱ひになる主管省は、何省でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=7
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008・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 是は各特別會計に依つてそれぞれ異つて居りますのでございます、先づ政府出資特別會計、是は大藏省で所管して居ります、それから營繕用品資金は大藏大臣の所管になつて居りますが、實際の實務は戰災復興院であります、それから陸海軍關係の特別會計に付きましては、所管大臣と致しましては大藏大臣でありますが、實務は復員廳で所掌致して居ります、それから外地關係に付きましては目下の所整理が全く不可能の状態にある譯でありますが、所管と致しましては外務省の所管に相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=8
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009・松本勝太郎
○松本勝太郎君 只今所管省に付て御説明を伺ひましたが、尚御尋ね申したいのは、ちよつと私が聽漏したのではないかと思ひますが、朝鮮の特別會計に付ては大藏省、外務省、斯う心得て宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=9
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010・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 外地の、朝鮮、臺灣、樺太、それから關東局の特別會計に付きましては外務省で所管して居ります、大藏大臣は勿諭國務大臣として統轄は致して居りますが、實際の後始末の問題は外務省、局で申しますと管理局で所掌致して居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=10
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011・田島道治
○田島道治君 細かいことを御伺ひ致しますが、此の法律で政府出資特別會計と云ふものが此の度廢止されますと、先程明細を戴きました大藏省所管政府出資特別會計出資明細表に載つて居りまするものは一般會計になると云ふ譯と存じますが、處で此の中に帝國鑛業開發株式會社に對する出資金が載つて居りますが、殘存する特別會計に屬する金資金特別會計中から矢張り同じ帝國鑛業開發株式會社に對する出資があるんぢやないかと思ひますが、是は戴きました書面の大藏省所管金資金特別會計資金運用明細と云ふ中にありますのでございますが、斯う云ふのは同じ帝國鑛業開發株式會社に對する出資が一般會計に一部殘り、それから金資金特別會計に一部殘る、斯う云ふ結果になりますのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=11
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012・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 此の政府出資特別會計は今囘廢止致しますので、當然一般會計に其の權利義務を引繼ぐことに相成る譯でございますが、金資金で内譯が細かく出て居りませぬでしたか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=12
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013・田島道治
○田島道治君 出て居ります、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=13
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014・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) さうですか、千萬圓の株式を持つて居りますが、是は資金の運用として持つて居りますので、金資金特別會計が存續致します以上此の特別會計の所屬に相成つて行くことになって居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=14
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015・田島道治
○田島道治君 只今のことは御答辨を伺ひませぬでも書面の上でさうなのですが、ずつとまあ斯う云ふ風に續けますのでございませうか、同じ會社に對する出資が一般會計に殘つたり、特別會計に殘つたるするのは、色々な點に不便はございませぬでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=15
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016・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 是は沿革から申しますと、御承知の如く金資金特別會計と申しますのは、産金奬勵の經費を此の會計で負擔して居つた關係がございますので、當時帝國鑛發で金の開發もやつて居りました時代に、此の株に資金の運用を致しましたのであります、それで後此の儘殘して不都合はないかと云ふ御尋でありますが、別に不都合は差當り感じて居らない次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=16
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017・板谷順助
○板谷順助君 農林大臣の出席を要求致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=17
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018・松本勝太郎
○松本勝太郎君 大藏政府委員に御尋ね致しますが、特別會計を廢止するに付て、其の會計に屬する未決濟の債權債務は如何に處置せられるか、又今後の御方針はどう云ふ御方針でありますか、此の御説明を一應承つて置きたいと思ひます、本案を審議する上に於きましても非常に便利かと思ひます、大樣御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=18
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019・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 特別會計を廢止致します際には、原則と致しましては全部特別會計の始末を付けまして、特別會計の剰餘金が出ます場合には一般會計に之を歳入として徴收致すことになります、若し不足が出るやうなことになりますれば、其の不足部分は一般會計に於て決濟を致すと云ふことに相成る譯であります、それで今廢止致します特別會計に付きまして、此の朝鮮、臺灣、樺太、南洋廳、關東局あたりの所謂地域の特別會計に付きましては、目下の所其の收支状況は、終戰に伴ひまして見込不明の状態でございます、之をどう云ふ風に處理致しますかは國際關係も勿論ございますことでありまして、日本政府だけでどうと云ふ處置は出來ないのではないかと云ふ風に考へて居ります、それから内地の各會計に付きましては、此の政府出資特別會計に付きましては、持つて居ります株式が、今御手許に配りましたものを御覽になりましても分りますやうに、外地關係の株式を相當所有致して居ります、是は在外財産の處理の問題とも關係を致しまして、どう云ふ風に相成りまするか、此の會計と致しましては相當の影響を受けることであらうと考へて居ります、それから内地の關係の株式に付きましては目下の所缺損を生ずると云ふ風にも考へて居らないのでございます、それから後の廢止致します會計に付きましても、それぞれ今結末を付けつつある状態でございますが、缺損を生じて一般會計に於て其の經費を新しく御協贊を願つて結末を付けねばならぬと云ふものは目下の所ないと云ふ見込で居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=19
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020・松本勝太郎
○松本勝太郎君 尚押して御尋ね申上げますが、債權債務の中、就中債務に付きまして、特別會計全體から言ひますと隨分色々の問題があると思ひますが、一つの例を擧げて申上げますると、朝鮮特別會計の如き補償とか辨償とか云ふやうな債務でなくして、未拂金、はつきりした決濟濟みになつて居る筈であります、それ等の如き政府の支拂ふべき未拂金に付て今日迄其の儘放任されて居るのであります、それ等の如きものに向つて今後どう御處置爲さる御積りであるか、其の點を一つ伺つて置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=20
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021・上塚司
○政府委員(上塚司君) 戰爭に起因したるもので、國家の負擔となるべき債務と云ふやうな問題に付きましては、外地の分に付きましても目下其の處置の方法に付て考究中でございます、まだ茲に其の具體的の方法を申上げる時期に達して居りませぬ、暫く御待ち戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=21
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022・松本勝太郎
○松本勝太郎君 尚押して私は御尋ね申上げたいと思ひます、只今の次官の御説明に依りますると、外地關係の支拂ふ金にしても、今直ちに處置する譯には行かないと云ふことに付ては、相當の御理由があるかと考へて居ります、然るに唯さう云ふことで此の場合は濟ますことが出來ないと云つたやうな、差迫つた觀方に依つては相當大きな問題である、今日では軍需補償打切り問題とか云ふやうな大きな問題もあり、其の他大きな問題が横はつて居りまするが、又金額にしましても大きな問題があります、只今私が一つの例を擧げて御尋ね申上げたいと言ひますのは、先程申上げました通り、朝鮮の未拂金の問題でありまして、國家の全體から言へば僅かの問題のやうに見へまするが、此の問題は結果に於て影響する所が甚だ大きな問題になる、一つの例を擧げて申しますると、御承知の如く朝鮮三十八度以北は「ソ」聯の占領地域であります、終戰當時交通は杜絶し、總督府支拂金の如きは未決濟の儘當局は内地に引揚げられた、内地に還つて直ぐ拂ふ、斯う云ふことであつたのであります、之が今以て支拂になつて居ない、此の支拂になつて居ないことは今次官の御説明にもありました色々の問題に引掛りがあるかのやうに思ひます、然るに實際問題としまして、是等地域にあつた同胞は命からがら引揚げつつあります、是等は概ね土木關係者が多いのであります、引揚民の多數殆ど土木關係が多いのでありまするが、此の引揚民と企業者との中間機關である土木業者は此の引揚民を救濟せなければならぬ、救濟と云ふけれども寧ろ勞銀の支拂の義務がある、然るに企業者側よりは多額の受取るべき金があるにも拘らず入つて來ない、現に朝鮮總督府の如き政府直接の下渡金さへも下渡がないのであります、多數業者は如何ともする術なく困憊の極に達して居ります、是は説明すればなかなか長くなるから簡單に申上げますが、全く相手が相手、多少預金してある金は一切凍結されて居る、さうしてもう既に決濟濟みになつて居るやうな補償とか辨償と云ふやうな金でなくして、はつきりした總督府の支拂ふべき金も支拂にならぬ、責任を持つて居る業者としましてはまるで手も足も括られて大道に放り出されて、さうして救濟もやれ、活動せよと云つたやうなことでどうして此の場が過されますか、此の儘捨て置く譯に行かない状態にあるのであります、裸一貫で歸つて來た避難民は頼りにする雇主は以上の有樣である、其の日を過すことも出來ない、普通尋常一樣の救濟では救はれないのであります、相當多額の金が要るのであります、又多額の金を出して救濟しなければ收りがつかぬのであります、誠に慘状を呈して居ります、事實は想像以上であります、此の儘經過せば自暴自棄に陷り、遂にはどんな椿事を惹起すか憂慮に堪へないものがあります、當局も斯う云ふ點を能く一つ含味して貰つて、何とか之に向つて方法を設けられなければ此の場がもう收りませぬ、是等に付て當局はどう云ふ御方針を持つて居られるか、唯先程の次官の御答辯の如く今はどうすることも出來ないと云つては濟まされない實情にある、どうなさる御積りであるか、再度私は御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=22
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023・上塚司
○政府委員(上塚司君) 終戰當時外地にありました同胞は軍隊と合せて約一千萬を數へて居ります、非常なる勢を以て東亞の各地に進出致しまして、帝國發展の第一線に働いて居つた人々であります、敗戰と云ふ結果の爲に一時に顛落して、殊に數十年來外地に働いて居りました一般同胞の如きは、汗と脂との結晶であります所の外地に於ける財産又多年の努力に依つて築き上げた所の社會的地位と云ふものを全く顛覆致しまして、今迄の地位とすつかり變つた立場に置かれ、非常なる苦しみを嘗めて歸つて參りつつありますることは、我々が日々接して、實に同情を禁じ得ないものがあります、さうして多年外地に在つて築き上げた所の資産の如きも、悉く奮はれ、或はなくしてしまひまして、唯體一貫、僅かに上陸するに當つて千圓を補給せらるるに止つて居りまするからして、歸還後の困難、又自己再建の上に非常なる苦痛を嘗めて居ることも、十分に我々は了得することが出來るのであります、併しながら此の外地全域に亙りまする極めて多數の人々の失ひました所の財産を國家が補償し、或は各地より送金致しました所の資金を日本に於て拂戻すと云ふやうなことは、其の金額に於ても非常に大きな高に上りまするので、それの處置に付きましては、今後どう云ふ風にやるべきかと云ふことに付て、まだ政府としても決定的の方策が定つて居ないやうな次第でありまして、目下考究中であります、唯歸りました人人に何とかして生活の途を得せしめ、生業に就かしむると云ふ方法を採らねばならぬのでありまするから、先づ當面の問題と致しましては、庶民金庫を通じまして一人三千圓程度の資金を貸與致しまして、今日の物價高に於きましては決して十分とは申すことが出來ませぬけれども、此の金融機關に依つて一般の人々の生業に就く途を拓きたいと云ふことを考へて居ります、尚大きな事業の再興等に付きましては、近く復興金融機關が出來まして、其の方から出來るだけ將來國家として奬勵しなくちやならぬ、或は良い産業と認めるものに對しましては、出來るだけの金融の途を拓くと云ふ方針を採つて居るのであります、只今の處では、先づ以上の方法を以て處理したいと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=23
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024・松本勝太郎
○松本勝太郎君 只今御説明を承りまして、政府で只今御考になつて居ること、又御計畫のことは承りました、私が御尋ねしまするのは、もう一歩進んで今、今日をどうするかと云ふ非常に危機を孕んで居る、誠に危險の場合に推し移つて居るのであります、そこで何とか政府直接になさるか、或は中間業者をしてなさしめるか、どちらにしましても忽せに出來ませぬ、尚私は進んで實際の實状を御話しすれば宜いのでありますけれども、どうした所で窮極する所は、どうしたら宜いかと云ふ問題に落ち著くのであります、大體政府の御方針も分りましたので、比の上は外務省の政府委員も御出でになつて居ることと思ひます、どうか此の問題は、尚御考究を願ひたいのであります、應急處置に付て、私は此の場合の質問と致しましては、留保して一應打切つて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=24
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025・上塚司
○政府委員(上塚司君) 松本委員の御質問に對しまして先程の答辯にちよつと補足を致して置きますが、當面の處理に付きましては、尚厚生省方面とも協議致しまして、此の失業對策と云ふ意味から、それと關聯致しまして、外地から歸つた人々に對しましても、豫算の中でも非常な大きな部分を割いて行はれる所の土木建築等の事業が非常に多いのであります、さう云ふ方面にも出來るだけ引揚者の人々をそちらに向く勞務を向けて、さうして少しでも生活の途を開きたいと云ふやうなことを考へて居ります、是等も相當に莫大な經費を計上されてある次第でありまするからして、身體の丈夫な人で其の勞務に堪へる人であれば、十分に生活の道を開く餘地があるかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=25
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026・松平親義
○子爵松平親義君 只今此の廢止法律案に付きまして御説明を戴きましたのですが、私今此處で實は思ひ付きのやうなことを御伺ひするので、甚だ恐縮でありますが、御許し願ひます、此の第一條に、先程御説明にもありましたやうに此の終戰に伴つて可能な限度で特別會計は廢止する、そして會計制度を此の際簡明にすると云ふやうな意味合で、それから現に陸海軍の特別會計、斯う云ふものは實際に必要がなくなつた、又外地の特別會計、是も自然に必要がなくなつたと云ふので之を廢止すると仰しやる御話であります、一應了承致しますのでありますが、そこで私感じますことは、斯う去ふ會計法はもう既にあつてもなくても同じことなのでありますから、御廢止になると云ふ其のことに付て私は敢て異議ありませぬ、併し考へて見ますと、此の外地の會計、樺太廳にしましても、朝鮮總督府、或は臺灣總督府、斯う云ふ風な會計にしましても、現に會計其のものは先程も政府委員の御説明がありましたやうに、現在どうなつて居るか一向分らない、詰り會計其のものの實體が全く分つて居ない、斯う云ふ状態であると云ふ御説明なのであります、でありますから、さう云ふ點から考へますと、此の唯特別會計法其のものを形式の上で法律だけを廢止して見た所で、實體其のものがどうなつて居るか分らぬと云ふやうなことでは、是は私は會計制度を簡明ならしめると云ふ先程御話がありましたが、片手落だと私は思ふのであります、寧ろ私は此の際、是は希望であり、意見でございますけれども、斯う云ふ風な法律其のものを今廢止するとか、しないとか云ふ問題よりも、現に外地の特別會計、是がどう云ふやうな今現在會計状態になつて居るかと云ふことに付ての其の點を寧ろはつきりなさると云ふことが、私は寧ろ必要なんぢやないか、斯う思ふのであります、併しそれも説明を伺へば今現に此の終戰になつた際にどう云ふ風に是がなつて居るか分らないと云ふ御話なのでありますから、それは一應は已むを得ないと思ふのであります、併し考へて見ると、例へば臨時軍事費特別會計と云ふやうなものに付きましては、是は勿論此の間も御説明がありましたやうに、是は決算を明かにすると云ふやうなことはなかなか是は大變なことであると云ふことは私共でも想像が付くのであります、併し是は昨年の暮あたりでありましたか、私覺えませぬが、確か新聞にも大體臨軍費がどの程度に使はれて居るかと云ふ大體の目安と云ひますか、大體の我々國民が見て臨軍費がどう云ふ風に使はれたのかと云ふ程度のことは新聞に、あれは政府が御發表になつたのだかどうだかは知りませぬけれども、我々國民として見た場合に、どう云ふ風に臨軍費がなつて居るかと云ふことは國民の常識としては大體私はあれで宜いのぢやないかと斯う思ふ、さう云ふ點から言ひますと、此の樺太廳にしましても、南洋廳其の他の外地關係の特別會計の状況、それから更に此の陸海軍の作業會計とか、工廠資金とか、斯う云つたやうな會計に付きましても、矢張り分らないと云ふものの、或程度のことは是は分ると斯う思ふのであります、それは會計制度の法律の上から行きまして、又政府が會計の決算をなさると云ふやうな點から言つたならば、さう杜撰な決算は出來ないと思ひますけれども、一應國民に是がどうなつて居るかと云ふことを此の際示すと云ふことは、是は私は必要なことぢやないかと斯う思ふ、殊に是からの政治と云ふものは、今日迄の政治でも勿論さうでありましたが、殊にやつたことに對しては我々責任を十分に持つ、是は戰爭中でも勿論私はさうであつたと思ひます、結局此の責任の氣持がないと云ふ點がまあ色々な其處に事情があつたのだと私も考へて居るのでありますが、殊に今後我々政治を致します場合に於きまして、我々やつたことに付てはそれに對して責任を明かにすると云ふこと、是は獨り會計法に限らず、今後の政治の行き方としまして、最も大切なことだと私は思ふのであります、さう云ふ意味から致しましても、唯此の會計法を斯うやつて竝べて、二十幾つかの會計法でありますか、十八でありましたか、廢止すると云ふやうな御話でありましたが、之を廢止すればそれで政府の責任が濟んだと云ふやうなものでは毛頭私はないと思ふのであります、之と同時に是等と併せまして、或は法律の規定がどうだとか斯うだとか云ふ點に付ては、問題があるかも知れませぬが、同時に此の廢止する會計其のものが實體が分らなくても宜しい、分つた程度で宜しいから之を一つ明かにすると云ふ方策を一面に於て御考になると云ふこと、是が最も必要なんぢやないか、又今動もすれば日本が此の敗戰の現在に於きまして、實際私此處で斯う云ふことを申上げるのは烏滸がましいのでありますが、一體國民は此の際左に行くのか、右に行くのか、何處に行くのか非常に迷つて居るやうな状態なのであります、一日も早く此の際一體どうするのかと云ふことをはつきりと一つ肚を決めると云ふことが先づ新日本建設の一番大切な出發點であると私は思ふのでありまして、さう云ふ意味から致しましても、此の法律案に付ての會計制度の廢止と云ふやうなことに付ても、其の點を十分考へたならば、此の際矢張り一應は臨軍費がああ云ふ風に發表されましたと同樣に、外地の特別會計がどうなつて居るかと云ふことは、一應之を發表爲さる、分らない儘に中間報告の程度でも宜いから發表爲さると云ふことが政治としての取るべき途ぢやないかと斯う思ひます、甚だ意見がましいことを申上げましたが、此の點に付きまして、政府の御所見を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=26
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027・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 此の外地の特別會計に付て事實上運用を停止して居るのであるから、形式的にさう急いで廢止する必要もないではないかと云ふ第一點の御尋でありますが、是は此の昭和二十一年度に付きましては、全然新しい收入もありませぬし、支出もない譯であります、唯十九年度と二十年度に付きましては、それぞれ收支があつた譯であります、現在の所ではどう云ふ状態になつて居りますか不明でありまするが、是は出來るだけ早く分らせまして、決算を議會にも提出をしたいと云ふことを考へて居ります、それで提出致しました法律案の附則の第十二條の所に付きまして、此の廢止致します特別會計に付きましても、十九年度分の歳入歳出の決算、それから二十年度分の歳入歳出の出納及決算等に付きましては、舊法は法律施行後に於ても尚其の效力を有する譯でありまして、從來の收支は之を一般會計に入れてしまつて、整理をすると云ふことではございませぬので、矢張り廢止致します會計の分として整理をして其の收支を明確に致す所存に考へて居ります、それから更に外地の會計に付て其の收支がよく分らないにしても、何か中間的な報告であるとか、或は概略の説明をすべきではないかと云ふ御尋でありますが、至極御尤もな御意見と拜聽致した譯であります、それで私共と致しましては、種々手を盡しまして、何か十九年度、二十年度分の中間的な報告でも此の議會に御報告出來ないかと云ふので、色々工夫を致して見たのでございますが、當時彼方から歸還して參りまする總督府の職員其の他は全く書類の携行を禁止されて居ります、從ひまして擔當者の斷片的な記憶でありますとか云ふやうな程度のものしか現在の處は資料として使ひ得ない状態であります、其の記憶も相當に色々あの人の記憶と此の人の記憶が喰違つて居りましたり、其の邊りを基礎としての報告も作成致し兼ねると云ふことで、甚だ遺憾なことでありますが、目下の處中間報告も致し兼ねる状態に相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=27
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028・松平親義
○子爵松平親義君 一應承りました、さうしますと、政府の御見込としまして、外地の決算はどうでせうか、之を將來明かにする見込が御ありでせうか、例へば此の十五條に、當分の内十九年度、二十年度の歳入歳出の決算は之を延期すると云ふことでありますが、斯う云ふやうなことで我々實際に延期すると云ふことで信用して宜いでございませうか、今の御話に依りますと、どうも今のやうなことでは永久に分らないで濟んでしまふと云ふやうなことになりはしないかと思ふ、私はさうなつても已むを得ないと思ひますけれども、併し少くともさうなつた場合に、さうなつたことに付て誠に責任を明かにしなければならぬけれども、已むを得なかつた事情で決算がどうしてもつかなかつたと云ふことは、是は將來どうしても明かにして置かなければならぬと斯う思ふのであります、どうですか御見込がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=28
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029・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 是はどうも確たる見込と申す迄にも參りませぬのでございますが、是は媾和條約とも關聯致しまして、當時の日本の收支が外地に於てどうであつたかと云ふことも必ず問題に相成る時期があらうかと思ふのでございます、それ等と關聯致しまして、日本政府の方にも其の資料なり、數字なりが入手出來ると云ふ時期が恐らくあるのではないかと云ふ風に目下の處は考へて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=29
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030・松平親義
○子爵松平親義君 一應今の御答辯で私それを信頼して置きたいと思ひます、尚外地のことに關係しますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=30
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031・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) ちよつと御待ちを願ひます、板谷委員に御伺ひしますが、今農林大臣は衆議院の豫算會議に出ておいでになつて居つてちよつと御外しになれないさうでありますが、政府委員の方で宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=31
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032・板谷順助
○板谷順助君 政府委員ではいけませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=32
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033・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) さう云ふ事情ですからおいでになり兼ねるさうでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=33
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034・松平親義
○子爵松平親義君 先程は外地のことに付て御答辯がありましたが、陸海軍の特別會計法、斯う云つたやうなものに付きましてはどうなりますですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=34
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035・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 是は目下決算を調製中でございまして、次の通常議會に正規の手續に依つて議會に提出して、御審議を願ふと云ふことに相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=35
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036・板谷順助
○板谷順助君 只今の御話に付て私補足して伺ひたいと思ふのですが、東京に大體外地の出張所がありませう、ある以上は、分らぬのは仕樣がないですけれども、分るのだけ數だけでなく、對照をするに付て、此の會計はどうなつて居る、ああなつて居る位のことは具體的に御話にならぬと、今御話のやうに廢止してしまふと云ふと、有耶無耶になつてしまつて、後は何も分らなくなると云ふやうに思ふのですが、それは外地の方の聯絡が取れぬ爲に外地の模樣は分らぬかも知れぬが、之を廢止するに付て或程度矢張り理由が斯う云ふ理由で以て、是は廢止せねばならぬ、内容は斯うなつて居ると云ふ風に國家の損失になる問題でありますから出來ませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=36
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037・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 外地の官廳は事務所を從來内地に持つて居りまして、今日に於きましても、外地から引揚げて參ります職員でありますとか、或は一般同胞の色々な世話を致して居ります、まだ今日迄、事實上事務所のやうなものを存續して仕事をやつて居る譯でありますが、會計の事情がどうなつて居りますかと云ふ點に付きましては、こちらの事務所としても不明でございます、是は私共も絶えず事務所と連絡を取つて居りまして、何でも宜いから色々會計の状況が分つたら、大藏省に報告して呉れと云ふやうなことで、向ふにも申上げ、私の方からも隨時さう云ふことを連絡致して居るのでございますが、今日迄の處、甚だ遺憾なことでございますが、不明な状態でございます、それから此の特別會計法を廢止致しましても、先程申上げました附則の第十二條に於きまして、從來收支致しました分に付きましては、尚特別會計法は效力を持つて居る譯でございまして、是で全然もう廢止してしまつて、後のことはどうならうと分らなくなると云ふことではないのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=37
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038・板谷順助
○板谷順助君 軍事關係は御承知の通り是は内容は分らぬでも、此の際廢止されても是は已むを得ぬことであると思ふ、けれども例へば朝鮮、樺太、臺灣の如き兎に角此の儘廢止してしまつたら、後は有耶無耶になると云ふことは分り切つて居るのです、だからして此の際どうしても之を廢止しなければならぬと云ふ理由は何處にあるのですか、或程度迄分る迄延期したらどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=38
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039・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 是は特別會計法が存續致します爲に新しい收入支出の必要がある場合、初めて存續の理由がある譯であります、處が二十一年度以降に於きましては當然收入支出はない譯でございますので、是は當然廢止すべきものと考へて居ります、唯從來の整理に付きましては、此の附則で以ちまして舊法の效力が存續をして居る譯でありまして、廢止と申しましても將來に向つての廢止でありまして、從來の收支に付きましては、尚依然として此の特別會計法が效力を持つて居る、それに從つて決算も調整し、議會にも提案して御審議を仰ぐと云ふことに相成つて居る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=39
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040・田島道治
○田島道治君 勉強しませぬことを御伺ひするので御教を戴くことになる譯ですが、此の前の會計法戰時特例廢止法律案と、今日の政府出資特別會計法外二十一法令の廢止法律案、此の二つで以て大體會計法に關しまする本議會に於ける改正法律と云ふものは外にはないので、是だけでごさいまするか、近頃の立法の例に依つて色々な法律が一つの法律になつて改廢されます、私共素人でなかなか分りにくいのですが、大體是でおしまひなのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=40
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041・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 尚後に今衆議院に提出致して居ります改定豫算に關します法律案が一件ございます、是は何れ御審議を願ふことになりまするが、概略を申上げますと今年は通常議會が解散になりましたので、前年度豫算を施行致して居ります、處が前年度豫算は御承知の如く戰時中の豫算でございますので、終戰後の今日とは全く其の樣相が變つて居る譯でございます、之を前年度豫算を其の儘施行致しまして、從來のやうな方法に依りまして、不必要な經費に付きましては政府が自制をして使はない、それから新しく所要の經費に付きましては追加豫算を提出して御審議を願ふと云ふやり方を致しましたのでは、二十一年度の豫算の姿がどう云ふ風になつて居るのか、非常に分りにくく相成るのでございます、さう云ふ點を避けます爲に、今日は前年度豫算を施行して居りますが、それに不必要な經費は減少を致し、それから新しく必要とする經費を追加を致しまして、差引をして改定豫算額と云ふものを作成して、此の改定豫算額を基礎にして議會の御審議を願ふと云ふ今手續を取つて居る次第でありますが、それは會計法から申しますと一つの變則的なやり方でありますので、會計法の一種の特例でございますので、其の法律案を提出致してございます、それからまだ議會には提出を致して居らないのでございますが、通信と鐵道の兩特別會計に付きまして、最近の物價騰貴でありまするとか、或は待遇改善の經費と云ふものが増大を致しまして、それの經費を賄ふに付きまして通信事業に付きましては、最近議會の御協贊を經まして、郵便料金の改訂を致した譯であります、唯是だけの改訂では尚其の經費を賄ふに十分でございませぬので、それの補填の方法を何か考へなければ相成らない譯でございます、鐵道に付きましても同樣な状能がございまするので、其の經費の支辨をどうするかと云ふ點に付きまして、或は法律案を更に一件通信と鐵道の兩特別會計に付きまして提出しなければならないのではないかと云ふ風に今考へて居るのでございます、唯其の點に付きましては、政府と致しましては、最後的な決定の段階には未だ參つて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=41
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042・田島道治
○田島道治君 只今最後に御話がございました通信竝に鐵道の兩現業特別會計に付て、現下の事情上、會計法の改正案が或は出るかも知れぬと云ふ御話でございましたが、前の會計法戰時特例廢止に伴ひます一般會計法の規定の改正が昨日議決されたのでありますが、あの三箇條の規定と云ふものが、通信事業及び鐵道の二つの特別會計に於ても、あれに相當致しまする規定の改正はどう云ふ風になつて居りまするか、其の點を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=42
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043・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 特別會計法に付きましては、先日御審議願ひました一般會計法に對しまして例外をなしまする規定だけを作つて居る譯でございます、それで只今仰せになりました事柄に付きましては、あの會計法の規定が其の儘、通信事業特別會計に付きましても鐵道に付きましても、其の儘適用になると云ふことに相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=43
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044・田島道治
○田島道治君 さう致しますると、現業官廳の購買であるとか請負とか云ふことが、是からはあの規定の結果として、盛んに前渡金と云ふものが利用され得ることになると思ひますが、是は戰時中軍需金融に付きまして、指定金融機關と云ふものがあつたりなんかしましたが、同時に一方政府と云ふ外消費者の前渡金と云ふものが非常に大きな役割を果して、通貨の膨脹の面にも其の點は大なる影響があつたのではないかと思ひますが、大藏省の御考では、現業官廳のやり方次第、詰り會計法の此の度やりましたことの適用の範圍次第に依つては、相當通貨の面に大きな影響があるのぢやないかと思ひますが、若し政務次官の御考を御伺ひ出來ましたら仕合せであると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=44
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045・上塚司
○政府委員(上塚司君) 甚だ恐縮ですが、もう一度簡單に要旨を仰しやつて戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=45
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046・田島道治
○田島道治君 詰り、それでは郵便とか鐵道とか申しませぬでも、例へば進駐軍の家を茲に一萬戸建てると云ふことになつた場合に、從來の會計法の規定に依りますれば、之を請負つた建築業者は其の爲に自分の取引銀行へ行つて、是だけの請負をしたが、材料は是だけ要る、それから工賃が是だけ要ると云ふことを、自分の取引先銀行に話をして、さうしてお金を借りなければなりませぬ、處が今度の會計法の改正に依りまして、勅令の定め方次第では、戰爭の時に飛行機會社に相當大金を前渡金をやつたと同じことが今後も起り得ると致しますれば、通貨膨脹の面に、銀行へ話をして貰ふのと、消費者である、詰り注文主である政府へ御話をして前金で渡して戴くと云ふのと、一般經濟面に對する影響は相當違つたものになると思ふのですが、此の點はあの戰時特例廢止に關して二十一條の但書削除に付て政府はどんな御方針でおいでになりますか、斯う云ふことを伺つたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=46
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047・上塚司
○政府委員(上塚司君) 一般企業の金融に付きましては、今日殆ど預金が封鎖せられて居りますから、非常に困難を感じて居ることは御案内の通りであります、之に關しましては先程もちよつと申しました通りに、復興金融機關が出來まして、其の方を通じて融通をすると云ふことに依つて、金融の途を開くと云ふやうに致して居るのであります、それに依つて出來るだけ梗塞せられて居る所の資金を有用な方面に振向けると云ふやうに致す考で居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=47
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048・田島道治
○田島道治君 私の伺ひましたことと今政府委員の御話になつたこととは、少し喰違があるのでございますが、大藏省の政府委員の方、其の點如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=48
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049・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 政務次官の御説明をちよつと補足して私から申上げます、其の點に付きましては正に仰せのやうな事態が起ることは全然ないとは申上げられないのであります、是が戰時中、全般とは申しませぬけれども、或特殊の方面に付きまして相當前金拂、概算拂の行過ぎがあつた、其の爲に業者の方ではそれを預金にして利子稼でもするとか、或は手許がふんだんである爲に徒に闇取引をやるとか云ふやうな弊害があつたやに聞及んで居るのでございます、此の點に付きましては、將來に於きましても前金拂、概算拂を非常に緩かに致します場合には、同樣の弊害が起つて來る可能性がある譯でございますので、此の點に付きましては一般の金融情勢、それから取引界の實情等を勘案致しまして、十分愼重な態度を取つて行きたいと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=49
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050・田島道治
○田島道治君 只今の政府委員の御話は諒承致しましたが、事實今日市井の間に傳はることは、農漁村に於ける新圓が相當多額な比を示して居ると云ふことの次には、土建業者の持つて居りまする新圓と云ふものが相當莫大だ、是は眞に違ひないと思ひます、さうして其の土建業者の持つて居りまする新圓の多いと云ふことは、今もちよつと觸れましたけれども、進駐軍の家を作りますることの内容などを漏れ聞きますると、是は相當多額なお金が出ると思ふのでありまするが、もう明治の初以來、軍艦を買ふとか或は兵器彈藥を買ふとか云ふ以外には、買物をする時には、政府は前金を拂はぬと云ふことを、政府は今日迄堅持して來て、終戰の際に之を緩やかにされますると、意外な所に戰爭中に、今政府委員自身も御認めになりましたやうな、變な所謂前渡金の濫用と云ふものがあるやうにも伺つて居りまするから、終戰後の今日、而も新圓舊圓などと云のことの喧しい、通貨に關する國民の眼が非常に緊張して居りまする時に、誤つてさう云ふことになるやうな運用を政府がおやりになると云ふことは甚だ望ましからぬことだと思ひまするから、殊に今も現業官廳のものに付てはさう云ふ點が多いと思ひまするので、其の邊の十分なる御用意を以て勅令案を御作りになりたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=50
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051・園田武彦
○男爵園田武彦君 ちよつと御伺ひしたいのですが、現在日本政府の保有する正貨と云ふのは此の表にあります金地金とか、外貨の合計と看做して宜しいのでございますか、又是等は賠償金の對象物として現在は一應聯合國側から此の移動を禁じられて居るのでありますか、其の點を先づ伺ひたいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=51
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052・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 政府の持つて居ります正貨と申しますか、或は金地金と申しますかは此處に掲げました是だけでございます、唯日本として持つて居りますのは、政府でなくて日本銀行で相當の金地金を從來持つて居つた譯であります、此の兩者共、今日の状態に於きましては聯合國軍最高司令部の方から移動を全く禁止されて凍結されて居る状況でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=52
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053・園田武彦
○男爵園田武彦君 現在對米爲替として扱はれて居る一「ドル」對十五圓と云ふのは、是は暫定的のものと存じまするが、實際の所謂「ドル」の賣買と云ふものは遙かにそれより高く相成つて居りまして、六十圓とか、七十圓と云ふやうなことを聞いて居りまするが、將來此の金地金の正貨化に伴ひまして、對米爲替と云ふものがどんな所に落著く御見込でございませうか、是は將來のことで甚だむづかしいと思ひますが、御考へ如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=53
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054・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 現在に於きましては日本の通貨の對外價値と申しますか、爲替相場と申しますか、是は無いのでございます、一「ドル」十五圓と申しますのも、唯米軍の部隊内に於て一應部隊内に於ける換算率として使つて居るだけでありまして、是は別に「ドル」と日本圓との間の爲替相場を定めたものではない譯であります、從ひまして市中で或は六十圓、或は七十圓と云ふやうな一種の取引があると云ふ御話でございまするが、是は勿論認められて居らない取引でありまして、爲替相場に付きましても同樣でございます、それから將來の爲替相場がどう云ふ風に相成りますかに付きましては、目下の處全く申上げる迄に至つて居りませぬのでございまするが、是は結局日本の全體の經濟力と申しますか、或は輸出能力と申しまするか、それと輸入の必要と云ふ風なもの、それから更にそれぞれの國内の物價水準の問題でありますとか云ふものが綜合された結果、そこに一つの爲替相場が生まれて來るものだらうと云ふ風に考へて居るのでございまして、唯金の所有高の多寡に依つて爲替相場と云ふものは決定されるものではないのではないかと云ふ風に考へて居る譯であります、勿論金を持つて居りますれば、國際貸借の收支尻の決濟に極めて便宜であると云ふことはございますけれども、必ずしも金の多寡に依つて爲替相場がどう云ふ風に變動すると云ふことには相成らないと云ふ風に考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=54
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055・園田武彦
○男爵園田武彦君 御答辯了承致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=55
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056・板谷順助
○板谷順助君 政府出資の外地關係に於きましては、御承知の通り或は賠償に取られるので、殆ど是は只と見なければならぬ、處で内地關係の株は今の御話に依れば凍結されて動かすことは出來ないと云ふやうなことでありますけれども、中には或は官僚統制が廢止されて是が民營に移ると云ふやうなものもあり、何か整理に付て案でも御持ちになつて居りますか、將來之をどう云ふ風に扱つて行くか、それから又是等の會社に對する補助は全面的に打切られるのでございますか、其の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=56
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057・上塚司
○政府委員(上塚司君) 只今の御尋の中の政府の補助に依る會社、補助金のことは是は打切ることになるのであります、それから整理の問題でありますが、是は今囘是から議會中出ます軍需補償の打切りに依りまして、會社中に於きましては當然大きな整理をしなくちやならぬことに相成つて來るものもあると思ひます、さう云ふものは其の際に於て整理が自然と行はれて來ると思ひます、政府自體から或特殊の會社に付て整理を進めて行くと云ふことには只今相成つて居りませぬ、それから御尋の會社は政府の關係して居るもののみでございますか、或は他の會社にも……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=57
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058・板谷順助
○板谷順助君 政府關係以外の會社です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=58
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059・上塚司
○政府委員(上塚司君) 財閥の會社の整理に付きましては、持株整理委員會と云ふものが出來まして、其の委員會に依つて整理せられることに相成つて居ります、只今迄政府として積極的に決めて居りますのは、其の持株會社の整理の範圍にあります所の財閥關係の會社のみでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=59
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060・板谷順助
○板谷順助君 關聯事項でありますが、私農林大臣に御伺ひ致したいのであります、外の方の御質問があれば後廻しに致しますが、宜しうございますか、實は先般大藏大臣に向つて、新圓と舊圓との取扱が甚だ不公平であると云ふことを話をしたのでありますが、處で昨日も亦大藏次官に向つても此の點に付て力説をしたのでありますが、要するに私の申上げますることは、舊圓は三月二日を基準として封鎖をされた、處が現在の新圓の獲得者は、要するに新たに出直して、此の物價の大變動を利用して、要するに暴利を貪つて居ると云つては語弊がありますが、其の間に一方に財産税の殆ど取られる、一方の新圓獲得に對しては何等手を觸れないと云ふことになると、非常に不公平が起ると云ふことを私は大藏大臣に向つて力説をした、昨日も御話したのであります、君は政界に長い間御出でになつて、色々經濟事情も勿論詳しい、だからして何とか此の際政府はどうしても新圓を金融機關に集め、さうして是が事業方面へ相當に廻ると云ふことをせぬと、今の偏在の状態では如何に産業振興を叫ばれても新規の事業は起りやしない、だからそれに付ては兎に角一定の規準を決めて、さうして或程度金融機關に集めて、封鎖と云ふのぢやありませぬが、それに對する何か考案を廻らして「スタンプ」でも押してどんどん流通させる、さうすれば兎に角今の處政府を信用しないが、政府はさう云ふ便法を用ひてやれば寢かして置くより相當の利息が附くから、從つて銀行に或程度集まる、何時でも引出が出來ると云ふことであるならば、銀行に集つた金が事業資金に相當流通する、今新圓は殆ど流通は梗塞して居る、あなたは多年の間高橋さん以來大藏省に於ては財政通なんであるがどう考へますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=60
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061・上塚司
○政府委員(上塚司君) 新舊圓の取扱が不公平であり、又新圓が非常に偏在致して居ることに付ての御説は誠に御同感でございます、此の新圓をどう云ふ風に囘收するかと云ふことは、政府でも今日非常に頭を惱まして居る所であります、是は今囘の財界方面の整理方策が進むと共に出來るだけ早く新舊兩圓の區別をなくしまして、さうして一本として出來るだけ銀行の方に集めるやうに努力する考で居るのであります、色々と方策に付ても事務當局に於て考へて居ります、又協議も致して居りますが、まだ申上げる時機に達して居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=61
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062・板谷順助
○板谷順助君 通貨と云ふものは萬遍なく流通して始めて效用をなす、今の状態では殆ど新圓は梗塞して居る、恐らくは退藏、死藏が相當の額に達して居るでせう、だから先づ第一に所得に對する不公平の問題は二の次としても、如何にして此の通貨の流通を圓滑にするかと云ふことが、現在最も必要なことであります、それを偏在して居ると云ふことを認めて居りながら、死藏、退藏が相當にあると云ふことを考へて居りながら今考究中であるとか、或は封鎖預金なんと云ふものは、其の中に財産税に大部分取られてしまふ、殘つて居るのは新圓だけです、新舊一本にすると云ふが、舊圓はろくに殘りはしない、此の間も大藏大臣は三月二日の封鎖をするに付ても半歳も掛り、技術上困難だ、手數が掛るから困るとは仰しやらぬけれども兎に角面倒臭いからやらぬと云ふやうな態度ぢやないかと私は思ふ、更に今申上げるやうに新圓を金融機關に集めると云ふことになれば、再封鎖をするやうに一般が感じて、政府を信用しなくなると云ふことも言つて居られる、けれども今御話しするやうに殆ど信用はありませぬ、信用取引は殆どない、是で産業振興をやらうとしても一體何處から金が出るか、今度興業銀行を利用して事業資金を出すと云ふが、銀行へ行つて見た處で前途がどうなるか分らぬから、是は新規の事業で確かに見込があると思つても金は出さぬ、こんなことでは産業の振興は出來はしませぬ、今考究中であると云ふことでは、其の間に世の中がどうなるか分らぬ、あなたに言ふのは無理かも知れぬが、大いに大藏大臣に進言して場合に依つては一つうんとやつて下さい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=62
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063・松本勝太郎
○松本勝太郎君 私は、復員省の經理部長が御見えになつて居るやうでありますからちよつと御尋ね致します、朝鮮の駐屯軍の陸軍の幹部の方は、久留米に引揚げられて事務を執つて居られる、其の事務上のことに付て先般御尋ね致しました時に、さう云ふ問題は外務省の問題であるからと云ふ御答でありましたので、其の儘留保致して置いたのでありまするが、今日は此處においでになつて居りますのを幸に、尚一應復員省としての御意見を一遍承つて置きたい、私が先般御尋ね致しました金は、金高約三十萬圓程で、其の金の大部分は引揚げられたりする爲に御立替をした、誠に誠意と言ひますか、便利を御計りした金であります、其の金が今の状態では拂ふことも出來ない、久留米の取扱者もどうすることも出來ない、何處へ行つたら宜いかと云ふこともはつきりしたことは分らない、さう云ふ問題に付ては何處へ言うて宜いか、何處へ請求して宜いのかと云ふ意味のことを、先般御尋ねしたのでありますが、それは外務省でないと分らないと云ふ御話であつたのであります、今日は外務省の政府委員は御見えになつて居ないやうでありまするが、私は御尋ねしても恐らく要領は得ないのぢやないかと思ふのでありまするが、經理部長さんの御手許で御分りになつては居ないかと思ひます、必ずや斯う云ふ問題に付ては連絡が附いて居らなくちやならぬものと思ふ、軍としてまだ支拂ふべき債務を持つて居る、澤山の中だからはつきり分らぬと云ふやうなこともあるかも知れませぬが、朝鮮から引揚げられた軍隊の幹部が、九州の久留米で事務を執つて居られる、それと復員省との連絡に付き、又それ等の問題に付て部長さんの今少し深切な御説明を得たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=63
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064・遠藤武勝
○政府委員(遠藤武勝君) 先般申上げましたのは一般に外地に於て軍が持つて居る債務を内地に於てどう取扱ふかと云ふ點に付て申上げたのでございまして、今仰しやいますやうな特殊な事由に付て申上げた譯ではなかつたのであります、今仰しやることを伺ひますと、何か軍が引揚に付て金が足らなかつたからとか何かで、何處からか金を御借りして歸つて來たと云ふやうな具體的な事件のやうでありますが、其の問題に付きましては朝鮮軍の殘務整理部が殘つて居りますが、其の方からの連絡がございませぬので承知して居りませぬが、尚さう云ふ話もございますれば問合せて調査致して見ます、一般的に申しますと軍が所要としました經費は十分ございまして、尚經費を殘して向ふに封鎖されて歸つて來たと云ふやうな状態でございますので、軍それ自身の所要經費として不足を告げたやうな事態は恐らくなかつたのではないかと思つて居ります、何か一般邦人の引揚等の爲に必要であつたかどうかの爲に或は御立替になつたと云つた風なことであるかも知れぬと思ひますので、具體的な事情に付きまして調査した上で御答へ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=64
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065・松本勝太郎
○松本勝太郎君 尚もう一つ御尋ねしたいのでございます、陸軍の特別會計と云ふものは外地であらうと内地であらうと、同じ性質のものであるやうに我々は考へる、それを特に朝鮮なるが故に外地の支拂であるからと云ふので實行が伴はずに居ると云ふことはちよつとどうも、其の間の同じ特別會計にしましても、朝鮮總督府の特別會計と軍の特別會計とは自ら問題は別ではないかと思ふのでありますけれども、結果は同じやうな結果になつて居る所を見ますと、どう云ふ所に陸軍の御取扱が、支拂ふべきものを支拂はないと云ふやうなことに付て、どうも不思議に堪へないのであります、其の點をもう一度伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=65
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066・遠藤武勝
○政府委員(遠藤武勝君) 會計は陸軍の臨時軍事費特別會計としましては、内地も外地も全體一つでございます、唯終戰後九月に入りまして日本内地以外に於ける軍の債務を内地に於て支拂ふと云ふことはいけないと云ふ禁止指令が聯合軍司令部から出まして、大藏省令で是は出て居ります爲に、會計の問題ではございませぬので、唯さう云つた風な債務を内地に於て支拂ふと云ふ行爲はいけないことになつて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=66
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067・松本勝太郎
○松本勝太郎君 只今のやうに御説明を承りますると、相當理由があるのですから、當局が眞に熱意を以て御取扱になつたならば、それで不可能の問題でないやうに思はれるのであります、尚其の點に付てもう一應御答を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=67
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068・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 今の御尋でございますが、是は中を見ますと非常に御氣の毒な状況のものが多々あらうと思ふのでございます、併しながら是は全般の在外財産の處理の問題等とも關聯を致しまして、今全く聯合軍司令部の方からさう云ふ外地との間の爲替取引でございますとか、或は外地で負擔を致しました債務を内地で返濟をすると云ふやうなことは、全く凍結と申しますか、禁止の状態にあるのであります、此の處理がどう云ふ風に相成つて參りまするか、目下の處全く下明でございますが、政府の努力が足りぬのではないかと云ふやうな御意見でございますけれども、其の點に付きましては遺憾なく種々の状況は追て司令部の方に報告を致しまして、斯う云ふ事態があり、斯う云ふ事態があると云ふことを絶えず報告を致して居るのでございますけれども、全般の政策の問題とも關聯致しますので、個々の取扱は全く不可能な状態に相成つて居ります、それから本日の會議の冒頭に板谷委員から御尋になりました點に付き申上げたいと思ひます、一つは食糧管理特別會計の收支の状況がどうなつて居るかと云ふ御尋でございまずが、是は最近の此の物價政策に關聯致しまして、米の買上價格等は相當の引上を致して參つたのでございまするけれども、販賣價格の方は出來るだけ低目にして行くと云ふ政策を執つて參りました爲に、今日に於きましては相當巨額の缺損を生じて居ります、此の額は此の七月末現在で考へて見ますと、概ね四十五億程度迄行くのではないかと云ふ風に考へて居ります、それで是はどう云ふ風にして今迄賄つて參つたかと言ひますと、食糧證券を發行致しまして賄を致して參つたのであります、併し其の食糧證券を今度は償還を致します財源がない譯でございます、それが今日迄相當累積を致して參りました、是では食糧管理特別會計としての經理が非常に重壓を受けて參りまするのと、會計の立て方としてもどうも面白くないと云ふので、此の法律案にも出て居るのでございますが、此の第五條の所に、食糧管理特別會計法の一部を改正致しまして、其の附則で以て、食糧管理特別會計の負擔になつて居ります所謂食糧證券の中、四十五億圓を限つて一般會計の負擔に移す、從つて食糧管理特別會計としては從來負擔して居りましたものがなくなつて、一應整理が付く譯でございます、それから更に今御承知のやうに米穀は三百圓基準で買入を致しまして、二百五十圓基準で賣渡を致して居りますので、そこに五十圓の開きが出て參つて居ります、是は一種の補助金でございますので、一般會計から食糧管理特別會計へ缺損を見まして、損失を補填して行つて、毎年整理をして行くと云ふ風に改正を致したいと云ふので、其の法案を此の第五條の中に含まして居る譯でございます、それから更に北支開發と中支振興の兩株式會社に付きましては、其の收支の状況をと云ふ御話でございまするが、是は此の兩會社は目下聯合軍司令部の方と連絡を致しまして、整理の途中にあるのでございますが、之も外地の會計と同樣に最近の状況がどう云ふ風になつて居りまするか、報告を差上げる迄に至つて居らない次第でございまして、御了承を願ひたいと存ずるのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=68
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069・板谷順助
○板谷順助君 只今政府委員の御話能く了承致しました、私は明日農林大臣に向つて此の食糧管理の特別會計に對する問題に付て詳細に質問する積りでありますが、大體はあなたの方で原案を御作りになつたと思ふが、今度の改正に付て當分の間此の缺損を一般會計から補充すると云ふことが書いてある、將來一體見込があるのですか、四十五億は殆ど赤字、大體昭和二、三年から昭和四、五年頃ですね、農家が米が安くて困る、それで農家を救濟する意味に於て出盛りに政府が買つて置いて、所謂需給調整、さうして金利或は倉數を計算して、段々それに加算をして特別會計で以て收支償ふ、さう云ふ意味で是は生れた、其の當時私議會に居りました、處が今日は反對に、今御話のやうに、消費者に對して安く賣つてやる、農家から相當の額で買つて安く賣つてやらう、斯う云ふ建前、是はあなたの方で…、是は農林大臣に食糧問題の根本に付て向ふのでありますけれども、當分の間一般會計から補充すると云ふのは、大體將來に於ける成算があつてさう云ふ文字を御書きになつたのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=69
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070・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 食糧管理特別會計の前身は、今仰せのありましたやうに、米穀需給の特別會計であります、其の時代は正に其の通りでございます、自主自辨でどうにかやつて行けた譯であります、處が最近の状況になりますると、色々な、主として物價政策との關係でございますけれども、結局左前になつて參りまして、今迄の所では、極く僅か朝鮮と臺灣から買ひまする、米に付て價格差の補給の手段を講じて參りました、更に麥の價格に付きましても、同樣の手段を此處一兩年取つて參つた譯であります、處が米に付きましては、一般會計で面倒を見ると云ふ建前に必ずしもなつて居なかつた爲に、非常に損失の累積を來たした譯であります、それを一應從來の奴は綺麗さつぱりと一般會計に肩代りしてやらう、將來も損失を補填する爲に、豫算で毎年度繰入れをしてやると云ふことに致した譯でありますが、其處で當分の内と云ふのですが、一體其の會計が自主自辨して行くだけの能力が出て來るかと云ふ御尋と拜承致しましたが、是は色々物價政策、經濟安定との問題とも關聯を致しまして、果して是が何時迄續けねばならないか、目下の處、事務當局と致しましてはちよつとはつきり申上げる段階に至つてない次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=70
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071・板谷順助
○板谷順助君 二十一年度の總豫算に主要食糧二十億圓が計上してありますが、要するに今の食糧特別會計に是は繰入れると云ふ積りで御計上になつた譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=71
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072・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=72
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073・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) それでは今日は是で以て一應散會を致します、明日は午前十時から引續き會議を開きます、尚農林大臣は明日は必ず出ると云ふ今御答がありました
午前十一時五十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=73
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074・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 男爵 古市六三君
副委員長 子爵 黒田長敬君
委員
侯爵 四條隆徳君
侯爵 佐竹義榮君
子爵 松平親義君
男爵 園田武彦君
男爵 多久龍三郎君
黒田英雄君
松本勝太郎君
板谷順助君
伯爵 金子武麿君
子爵 日野西資忠君
田島道治君
政府委員
復員事務官 遠藤武勝君
大藏政務次官 上塚司君
大蔵事務官 河野一之君
同 窪谷直光君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00319460801&spkNum=74
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