1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○政府出資特別會計法外二十一法令の廢止等に關する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年八月二日(金曜日)午前十時二十九分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=1
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002・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) それでは昨日に引續きまして會議を開きます、板谷委員に申上げますが、遞信省の政府委員の方が御見えになつて居ります、農林大臣は又何れ……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=2
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003・板谷順助
○板谷順助君 遞信省の政府委員に御伺ひしたいのでありますが、郵便年金、簡易保險等の此の投資が、或は外地方面、内地方面の社債、債券或は株式、有價證券等には相當に投資をされて居るのでありますが、恐らく外地關係の投資は殆ど是は取る見込がないと思ふ、又内地に於ても同樣のものがあるやうに考へるのでありまするが、是等の取扱に付てはどう云ふ風に其の整理をなさる御考であるか、或は其の結果預金者に相當の影響が來るやうなことがあるのかないのか其の點御答を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=3
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004・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 只今御質問の簡易保險、郵便年金の運用資産の外地に於ける投資額は總計で五億三千四百萬圓と相成つて居ります、御話の如く是は恐らく賠償に向けられることであらうと思ひます、從ひまして、此の額は國の資産から喪失されると云ふ結果に相成るかと思ひます、さう致しまして、ずつと後になりまして、此の賠償に充てられました金額に對して一般會計から補助するかしないかと云ふ問題が殘る譯であります、假に補償しないと致しますれば、それだけが永久に穴が空くと云ふことになります、さう致しまして、此の穴を如何にして補填するかと云ふことになりますと、それは或程度既存の契約者に損失を轉嫁すると云ふより外仕方がないと思ひます、但し保險金の削減と云ふやうな、基本的な權利を侵害すると云ふやうなことは極力避けまして、唯民間保險に於きまする利益配當に相當致しまする長期還付金或は滿期返還金、斯う云ふものは額も僅かでありますので、此の位は契約者も忍んで戴かなければならぬと思つて居ります、此の長期還付金或は滿期返還金に充てる爲に積立てて居ります額は約八億圓足らずと思ひますが、先程申上げました五億三千四百萬圓が假に全部喪失致したと致しましても、契約者の被むる損害は、長期還付金或は滿期返還金を削減する程度を以ちまして十分やつて行けると、斯樣に思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=4
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005・板谷順助
○板谷順助君 さうすると預金方面には一切迷惑を掛けない……實は先般或方面から政府の意嚮を聽いたのでありますが、郵便貯金は割合に少額であるから、是は他の銀行の預金の如く、それを制限するとか打切ると云ふやうなことはしないと云ふことを聞いたが、今あなたの御答辯でははつきりしないやうですが、どうなつて居るか、まだ其の點あなたは、御聽きになつて居りませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=5
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006・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 只今申上げましたのは簡易保險と郵便年金に付てでありまして、郵便貯金に付きましては、運用致して居りまする在外資産の運命がどうなるかと云ふことに付きましては、私の方では分りませぬ、大藏省の預金部の特別會計になつて居りますので、其の方でやつて居りますことでありますから、從ひまして私の方と致しましては、在外資産の喪失の點で預金がどうなるかと云ふことは私の方から申上げられませぬ、唯假に在外資産がどうありませうとも、其の在外資産の喪失に依つて預金者が迷惑を被むると云ふことは恐らくないと思ひます、唯今外地で預金して居りました預金者に對する拂戻制限を致して居りまするが、是は全く別な觀點からさう云ふ制限を致して居るのであります、其の制限と申しますのは、昨年の九月二十三日其の筋の指令がございまして、對外金融取引禁止令と云ふものが出まして、それに基く勅令及大藏省告示に依りまして、外地で預金した預金、或は爲替は一切内地に於ては支拂つてはならない、斯う云う告示が出たのでございます、併しながら郵便貯金と云ふものは元來零細なもので、且又金額制限もあることでありますし、引揚者は他の財産は一切抛擲して郵便貯金通帳だけ持つて歸つたと云ふ人が多いのでありますから、若し之を全面的に拂戻さぬと云ふことになりますれば、引揚者が非常な窮乏に陷る、それでは困るから郵便貯金に限つては何等かの特例を設けて貰ひたいと云ふことを、再三其の筋へ懇請致しました結果、それではと云ふので現在の取扱を致して居るのでございますが、現在の取扱と申しまするのは、外地で預けました貯金に付きましては一箇月五百圓の範圍内に於て拂戻しする、外地で預入致しました貯金の中には普通の貯金と軍事郵便貯金と云ふものがございますが、普通の貯金は今申しました一箇月五百圓、軍事郵便貯金に付ては一千圓、是は併し一囘限り、其の外は當分停止、斯う云ふ取扱を致して居ります、唯併し外地に於きましてずつと長く、いつ迄も預入したものを拂戻すと云ふことは、是は困ると云ふ其の筋の又指令がありましたので、十月一日以降に外地で預入して、さうして此方へ引揚げて來た人に對しては、其の分は拂はない、九月三十日以前に預入したものに限つて月五百圓、軍事郵便貯金ならば一囘限り千圓、是は支拂つて宜しいと云ふので、現在も其の方法でやつて居ります、外地引揚の預金者の中には、是では非常に困る、五千圓も六千圓も貯金して、其の中から僅に月五百圓、軍事郵便貯金でありましたら千圓、是では困る、不公平でないかと云ふやうな非難や或は陳情等が參つて居りまして、成る程情に於きましては私共も其の通りだ、何とかして支拂つて上げたいと、斯う思つて居りますけれども、何分にも其の制限の出所が、先程申上げました通りの事情でございますので、私共としては今の所、如何とも仕樣がない次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=6
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007・板谷順助
○板谷順助君 郵便貯金は今御話の通り大藏省の預金部關係で、是は大藏省の方で取扱ふべきものであるが、併し簡易保險或は郵便年金と言ひ、同じ郵便局の關係であるからして、私は萬一それに對する投資が非常な損害を被つた場合に於けることを豫想なさるかと云ふことを聽いたのですが、あなたの御答辯は餘り要領を得ないやうだけれども、大體了承致しました、そこで在外關係の、例へば朝鮮、樺太、臺灣の如き、此の郵便貯金に對して一部受取つた者と、又其の後關係筋の命令に依つて受取が出來ないと云ふ關係があつて、此の間非常に不公平のやうに思ふのでありますが、是も已むを得ぬとして、あとの詰り支拂に付て、勿論郵便貯金の如きは零細の金であつて、さうして人々が現在非常に生活が困つて居る譯でありますが、之に付ての拂戻に付て其の筋の了解を得ることに御努力になつて居りますか、或は又之に對する將來の何か目鼻が付いて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=7
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008・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 制限の緩和に付きましては、其の後に於きましても機會ある毎に懇請致して居ります、但し何分にも先程申上げました通り、原則として支拂つてはいけないものだ、但し郵便貯金の特質に鑑みて、特にさう云ふことを許されて居るから、それ以上は絶對にいけないと云ふ、今の所其の筋の意向のやうでありますが、併し私共と致しましては、其の後も出來るだけ預入者の迷惑のないやうに、制限緩和方に付きましては懇請、努力致して居ります、左樣に御承知願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=8
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009・板谷順助
○板谷順助君 萬一在外關係の郵便貯金が其の儘凍結をされて、或は將來打切の問題でも外地關係に於て起る場合に於ては、内地に於ける郵便貯金と同樣に政府が責任を以て之を拂ふと云ふことに付てあなたは何か御考がありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=9
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010・岡井彌三郎
○政府委員(岡井彌三郎君) 金の面に於きましては、私はどんな手段を講じましても支拂ふべきだと思ひます、唯併し問題が先程から申上げました如く、拂つていけないけと云ふことは、是は其の筋の指令に依るものでありますから、假令金があつても政府の取扱に依つて然るべく支拂ふと云ふことは是は致し難いのではないかと思ひます、金の問題ではどうしても指令違反と云ふことになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=10
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011・板谷順助
○板谷順助君 遞信省關係は此の程度で宜うございますが、後引續いてやつて宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=11
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012・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) どうぞ……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=12
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013・板谷順助
○板谷順助君 農林大臣が御見えになりませぬので、大藏當局に伺ひたいと思ふのですが、現在特別會計の殘つて居るのが二十二あるやうです、私は此の内容を拜見致しますと云ふと、或程度是は廢合すべきものがあるのではないかと思ふのであります、御承知の通り餘り特別會計が多い爲にどうも豫算關係に於て分りにくくなつて居る、だから是は私はもつと特別會計と云ふものを或程度縮めて、さうして一般會計と睨合せて分り易くすべきものではないか、ちよつと素人が見ても特別會計がどう云ふ關係になつて居るか分りませぬ、それから又例へば特別會計の目的、内容が變更された場合に於て、唯部分的に一部の改正々々と云ふのが行はれて居るやうです、是では私は段々複雜になつて尚分りにくくなると思ひますから、廢止すべきものは廢止し、更に立法すべきものは立法して、是は其の區分を明かにした方が却つて前後の連絡を考へて見ても分り易いやうに思ふのでありますが、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=13
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014・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 後に殘存致します特別會計の數が二十二ございます、其の中で尚廢止しても差支ないものがあるのではないかと云ふ御尋でございますが、元來特別會計と申しますのは一般會計に對しまする例外でございますので、理想と致しましては少い程宜い譯であります、一般會計を見ますれば國の財政活動、國家活動の全貌が分ると云ふのが理想の姿であらうと存じます、併しながら一般會計の經費の性質から申上げますと、どうも例へば鐵道でありますとか、通信でありますとか、其の外の或は專賣局でありますとか、印刷局でありますとか、さう云ふやうな事業を致しますものは、一般會計で支辨致しますのはどうも不適當であると云ふ風に現在に於ても考へて居る譯であります、唯此の中で今一應問題にして考へられる特別會計は、例へば學校の特別會計でございます、是は設置の趣旨から申しますと、學校にそれぞれ資金を積立てまして、其の資金の運用に依つて學校の經營をやつて行く、さう云ふ時代になれば一般會計からの繰入がなくても自立してやつて行けると云ふ考へ方から、學校の特別會計が出來て居るのであります、處が此の學校の積立金は、なかなかさう自分の學校を經營する迄の資金の積立と云ふことは非常に困難な状況にございます、それで是あたりは特別會計として存續する必要があるかどうか、相當に疑問のある特別會計でございますので、目下其の存廢に付て研究を致して居ります、或は昭和二十二年度、來年度からは或は廢止致さうかとも事務當局としては考へて居りますが、まだ確定は致して居りませぬ、後の特別會計に付きましても絶えず存置の理由に付きまして、事業の變更でありますとか或は設立當初の趣旨が無くなつて居ると云ふものに付ては、絶えず毎年度其の再檢討を致しまして、存廢を研究を致して參つた次第でございます、御趣旨の點は私共も全く同感でございますので、出來るだけ特別會計の數は少い方が宜い譯でありますが、目下のところ差當り更に整理するとして考へられるものは學校の特別會計であらうかと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=14
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015・板谷順助
○板谷順助君 立法關係はどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=15
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016・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 是は廢止致します場合には、現在學校特別會計法と云ふものがございますので、此の法律を廢止致しませぬと、學校特別會計は廢止すると云ふ譯には參らないのであります、勿論此の點に付きましては議會の御協贊を得なければ出來ないことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=16
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017・板谷順助
○板谷順助君 私の御尋ね致しましたのは、例へば食糧管理法案の如き當初の目的と現在の目的とは目的も内容も違つて來て居ると云ふやうなものは、唯一部の改正と云ふことでなく、一方は廢止する、一方は更に立案すると云ふことがはつきりするぢやないか、斯う云ふ御尋であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=17
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018・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 食糧管理特別會計の前身は先程も御話が出ましたやうに米穀需給調節特別會計であります、其の時代に於ては米穀需給の實態を規定致して居ります法律があつた譯でございます、それに對應致しまして、其の法律の運用の爲に米穀需給特別會計と云ふものが設置致されまして、先般迄それで參つた譯でありますが、食糧管理法の制定と同時に此の特別會計は一歩前進致しまして、單純なる需給の調整と云ふことから管理と云ふところ迄進んだ譯であります、其の時の改正の仕方と致しましては、米穀需給特別會計を廢止して、食糧管理特別會計を作ると云ふ方法を確か採らないで、其の目的を變更致しまして其の儘存續したと存ずるのでありますが、それは從來も此の米穀需給特別會計に於きまして、食糧證券でありますとかと云ふ風なものを發行致して居りましたので、其の權利義務を圓滑に引繼いで行く上にも、或は會計の運營を圓滑に致します點から考へましても、片方を廢止して新しい特別會計を作ると云ふ手續は致さなかつたやうに記憶致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=18
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019・板谷順助
○板谷順助君 今一點大藏當局に伺ひたいのであります、此の資料を拜見致しますと、政府出資の株式の未拂込或は營團の未拂が相當あります、外地關係は勿論會社其のものは打切られて居る譯でありますが、併し清算事務に入つた場合には、商法の規定に依つて未拂金と云ふものを徴收される、又内地に於ても同樣でありますが、此の整理に付てはどう云ふ風に御考へになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=19
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020・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 此の外地の會社の整理に付きましては、聯合軍司令部の方とも連絡致しまして其の整理の方法を目下考究中であります、此の後の拂込を取ることに相成りますか、或は別の方法を講じて參りますか、目下のところ申上げる迄に至つて居らないのであります、内地の特殊會社に付きましては、まだ未拂込になつて居るものが相當ございます、之に付きましては、例へば農地開發營團でありますとか、或は住宅營團でありますとか、是は片方は農地開發の爲に、片方は戰災後の復興の住宅建設の爲に相當の資金が必要な譯であります、昭和二十一年度の改定豫算に於きましても、若干の出資拂込金を計上して御審議を願ふことに相成つて居る次第であります、其の外の特殊會社に付きましては、二十一年度の出資の拂込を必要とすると云ふものは、目下の處ないのでございます、將來會社の事業の状況に依りまして、或は更に拂込徴收と云ふ必要が起らうかと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=20
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021・板谷順助
○板谷順助君 是等の内地の特殊會社に付きましては、御承知の通り政府は相當に補助金を出して居る、處が此の補助金が打切られて無くなる、從つて政府以外の株主が非常に之に對する迷惑を感ずる、所謂政府の勸誘に依つて其の當時各方面でそれぞれ株を持つた、處が今度愈愈終戰の結果、政府は補助金は打切り、又今後の拂込に對して之を積極的に恐らくは政府はやる意思もないと思ひます、從つて今後會社を活かすと云ふことに付きまして、政府が出資した其の株を、それを打切つて、其の會社の内容を堅實にすると云ふことが私は適當なんぢやないかと考へるのでありますが、其の點に對する御意見は如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=21
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022・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 從來特殊會社に付きましては、其の設立の經緯なり其の目的から見まして、政府の株式に付きましては、民間株に對して、一定の配當をすることが出來ない場合には配當しなくても宜いと云ふ劣後株の規定でございますとか、或は一定の民間株に對して一定の配當を保證する爲に補助金を交付する、配當補助金を交付すると云ふ風な規定があつた譯でございます、それが終戰に伴ひまして、國内經濟の民主化と云ふ風な觀點から、矢張り政府の出資に付ても民間の株式と同樣の立場に於て權利義務を負擔すると云ふことが適當であると云ふので、別途法律案を提出致しまして、政府の劣後株の規定でありまするとか、或は一定の配當を可能ならしむる爲の政府の補給金と云ふものは、今後廢止すると云ふことに致した譯でございまして、是は關係方面の意嚮と申しますか、指令に基いての措置でもある譯ございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=22
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023・板谷順助
○板谷順助君 私の御尋ねしたのとちよつと御返答が違ふやうですが、私は兎に角政府が有らゆる方面に於て、補償打切或は財産税の取り上げをやる、是は刻下の非常の場合に於て已むを得ぬことでありますが、政府が勸誘をして特殊會社を作り、民間の人々に相當に株を持たしたのでありますから、政府に於ても、其の持株を此の際打切るのが當然ぢやないか、斯う云ふ意味です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=23
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024・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 特殊會社の設立に付きましては、其の使命から申しまして、成るべく株式の募集に應じて戴きたいと云ふことを政府も勸誘したと思ふのでありますが、必ずしも其の株式を持つことを強制した譯でもございませぬし、片方の所謂軍需補償として今論議されて居ります問題は、總動員法に基きまする、例へば設備の建設命令でありますとかと云ふ風なものに基いて、否應なしに設備したものであります、更に契約解除の補償金等に付きましても、同樣と申しますか、大體似たやうな性質のものがあると思ふのでありますが、それ等をさう云ふ風に措置しなければならない状態に今日在る譯でございますので、それ等と勘案して考へて見ました場合には、特殊會社の株式を政府の一方的な負擔に於て打切つてしまふと云ふことは、適當な措置ではないと云ふ風に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=24
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025・板谷順助
○板谷順助君 失禮だが、あなたの獨斷的な御返事でなく、委員會に於て斯う云ふ意見が出たと云ふことを、大臣なり、或は次官に一つ御話を願ひたい、それは詰り政府の責任としてさうすべきが當然だ、斯う私は考へて居ります、あとは農林大臣が參ります迄質問を保留致して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=25
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026・松本勝太郎
○松本勝太郎君 今日は大藏大臣は御出席になりませぬですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=26
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027・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) むづかしからうと云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=27
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028・松本勝太郎
○松本勝太郎君 只今外務省の政府委員が御出席になつて居りますが、大藏大臣が御出席になりますれば、同じ趣旨の質問を繰返すやうになりますので、一緒にして戴くと云ふことになると都合が宜いと思ふのですが、只今の委員長の御話では、今日は御出席がむづかしいのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=28
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029・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) 今日は御承知のやうに貴族院の豫算總會をやつて居りますので、席を御外しになることがちよつと出來ないのぢやないかと云ふ御話でありますが、次囘でも宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=29
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030・松本勝太郎
○松本勝太郎君 それでは次の委員會迄御待ちすることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=30
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031・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) さうすると外務省關係も御一緒に……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=31
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032・松本勝太郎
○松本勝太郎君 先程申しました通り、同じ趣旨のことを繰返すやうなことになりますので、實は外務省の政府委員なり外務大臣に御答辯願ひたいと云ふ考でありますが、おいでになつた時に致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=32
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033・松平親義
○子爵松平親義君 少し教へて戴きたいと思ひます、第一條に於て陸軍作業會計法、それから其の次に海軍工廠資金會計法、此の二件の廢止と云ふことでありますが、第十二條是はもう政務次官の御説明の時にもありましたが、私どうもはつきりと聽き取れませぬので、もう一遍教へて戴きたいと思ふのですが、第十二條の「陸軍造兵廠、陸軍製絨廠、海軍工廠資金、海軍火藥廠、海軍燃料廠」、是と第一條の陸軍作業會計法、海軍工廠資金會計法、此の關係が私には分らぬのですが、之をもう一遍御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=33
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034・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 第一條の陸軍作業會計法に基きまする特別會計が第十二條の陸軍造兵廠と陸軍製絨廠でございます、それから海軍工廠資金會計法に基きまする特別會計が第十二條の海軍工廠資金特別會計でございます、それから更に飛びまして、第三條の第一項を御覽願ひたいのでございますが、其の中に「第一條第一號乃至第四號を次のやうに改める」と致しまして、「印刷局、專賣局」と相成つて居ります、是は現行法に於きましては印刷局、專賣局の他に海軍火藥廠と海軍燃料廠とが規定してございまして、其の規定に基きまする特別會計が第十二條の海軍火藥廠と海軍燃料廠の特別會計に相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=34
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035・松平親義
○子爵松平親義君 此の海軍火藥廠、海軍燃料廠は特別會計、此の特別會計は是は廢止すると云ふことは何處に謳つてあるのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=35
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036・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 是は先程の第三條に於きまして作業會計法の第一條が變つて參りまして、印刷局と專賣局だけに相成りまするので、海軍火藥廠と燃料廠との特別會計の根據の規定がなくなる譯でございます、之に隨ひまして特別會計が廢止せられる、斯う云ふ恰好に相成ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=36
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037・松平親義
○子爵松平親義君 次に伺ひますが、此の第一條の政府出資特別會計法、それから營繕用品資金特別會計法、是は先程御答辯の中にありましたかとも思ひますが、聽き漏しましたのですが、此の二つの法律を廢止すると云ふことに付きましての御説明が、會計經理を簡明にする爲め、或は可能な限度に於て特別會計法を減少すると云ふことでありましたのですが、もう少し積極的に、之を廢止して是等の會計は全部一般會計でやると云ふ其の積極的な理由、之を一つ御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=37
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038・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 特別會計は成るべくまあ作らない方が理想的な姿でございますので、存置の理由が乏しくなりますものは逐次整理致す方針を執つて居る次第であります、政府出資特別會計は、是は昭和十三年に制定を致したのでございますが、其の當時に於きましては、當時の状況に鑑みまして相當國策會社と申しますか、政府の出資を必要とする會社の設立が豫想致されましたので、此の特別會計を作りまして特別の經理を致して參つた譯でございます、處が今日の状態に於きましては、御手許に配布致しました資料を御覽になりましても御分りになりますやうに、相當外地の會社の株式を持つて居ります、是は將來どう云ふ風に相成りまするか、目下の所ははつきりとはまだ致して居りませぬけれども、恐らく將來の收入支出と云ふものは、配當金でありますとか、さう云ふものは全然なくなる譯でございます、收入は全然なくなつて參りまするので、其の以外の内地の特殊會社に付きましても、明細書に載つて居ります大日本航空株式會社でありますとか、日本蠶絲統制株式會社でありますとか、是は目下解散を致しまして清算中でございます、さう云ふ風な状況に相成つて居りまするので、後に殘りますものは僅かな會社でありますとか、銀行とか、金庫に限られて參る、尚戰時金融金庫に付きましても、御承知のやうに同樣の状態に相成つて居ります、斯う云ふ關係で、一つの特別會計を作つて特別に經理する程の必要もないと云ふ風な状態に相成りましたので、之を一般會計に移して特別會計を整理致す方が適當であらうと云ふやうに考へて參つた譯であります、營繕用品資金特別會計に付きましては、是は昭和十八年度に設立を致したのでございますが、設立の趣旨から申しますと、大藏省で主掌して居りました營繕の事業に使ひまする物品を豫め買つて「プール」致しまして、それを必要に應じて一般會計の方に賣渡してやる、尚其の材料物品は大藏省以外にも時宜に應じて賣渡をして宜しいと云ふことに相成つて居つたのであります、處が此の特別會計の運用が、當時の物資の需給が相當窮屈でございましたので、當初豫期致した通りに實は參つて居らないのでございます、それで今日に於きましても、此の特別會計を作つて餘剩の物品を「プール」すると云ふ風な餘裕もございませぬので、寧ろいきなりそれぞれの經費から物資を調達した方が却つて手續が簡單であると云ふ風な所から、之を廢止致すことに致した次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=38
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039・松平親義
○子爵松平親義君 それから第九條で「國有財産法の一部を次のやうに改正する」、斯う云ふことになつて、此の二十九條の第二に新しい規定が入つた譯でありますが、此の規定は是は謂はば一つの經過規定、此の終戰に伴つて必要とする所の經過規定と云ふことで、將來に於ては此の規定は必要が無くなると云ふことに相成ると思のであります、勿論新憲法が制定されて、會計法も改まると、國有財産法の點にも根本的に變つた點が來ますから、此處で私が御質疑をして無意義かとは思ひますけれども、まあそれは兎に角として、斯う云ふ規定では、是は立法的のことを伺ふのでありますが、是は經過規定ぢやないか、斯う云ふことは、「國有財産法の一部を次のやうに改正する」として財産法の中に此の經過規定を設けると云ふのは、何かをかしい氣がするのであります、大抵經過規定と云ふものは附則か何かで持つて來る、或は勅令に之を委任すると云ふ形が多いのぢやないかと思つて居りますので、一つの形式の問題でありますが、一應伺つて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=39
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040・加藤八郎
○政府委員(加藤八郎君) 御答へ申上げます、御話がございますやうに、全く是は今囘だけ斯う云ふ措置を講ずると云ふ規定でございまして、今後此の規定が生きて毎年此のやうな措置を執ると云ふ譯ではございませぬ、色々の法律を一つの法律に纒めて出すと云ふやうな措置を執りました關係上、此の特別會計の廢止の法律の中に便宜上入れたやうな次第でございまして、特に深く考へてやつた譯ではございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=40
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041・松平親義
○子爵松平親義君 一應分りましたが、形としては私はをかしいと思ひます、尚其の次の十條に付て伺ひたいのであります、此の第十條の此の法律は、是は矢張り資料に依りましても、「今次の戰爭に際し地方鐵道及軌道の輸送力の確保増強を圖る等の爲め必要なる經費及臨時軍事費特別會計への繰入金を之に充用すべし」と云ふ、さう云ふ目的の下に特に此の法律が地方鐵道に關する限り出來たと思ふのであります、詰り地方鐵道に於ての收入、運賃の値上に依る所の收入、それを輸送力の確保、戰爭に際しての輸送力、詰り國家總力を擧げてのあの戰爭に此の輸送力を擧げようと云ふ其の爲に、此の地方鐵道に入つて來た收入、之を特に臨時軍事費に繰入れて、さうして戰爭の完遂を期すると云ふ所から此の法律が私は出來たのだと思ふのであります、處が今度は勿論臨時軍事費と云ふものを無くしてしまつた爲に、此の方の收入は全部之を一般會計に繰入れる、斯う云ふのでありますが、此の法律の精神から行きますと、どうも一般會計に繰入れても宜いものではないか、今日恐らくは地方鐵道の收入と云ふものは、今迄此の増加した收入を戰爭に役立たせる爲に特に之を臨時軍事費に入れたのでありまして、今日戰爭が濟んだ此の状態に於て、矢張り此の地方鐵道の收入金を一般會計に繰入れてしまふと云ふことは、何か私はおかしいやうな氣がするのであります、是は却つて運輸省の方に伺つた方が宜いと思ひますが、一應大藏當局で御分りになる程度で宜いのでありますが、御説明を戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=41
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042・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) 運輸省の政府委員から御答へがあります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=42
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043・郷野基秀
○政府委員(郷野基秀君) 上納金に關する法律に付きましては、終戰後此の法律を此の儘置いて置くべきかどうかと云ふ點に付きまして、運輸省に於きましても大藏省とも相談致しまして、色々檢討致したのでございます、今後の事態に於きましても矢張り國有鐵道の運賃變更に伴ひまして、地方鐵道に於きまして、之が爲に特に收入の増加すると云ふこともあり得るのでありませうし、又さう云ふ場合に地方鐵道軌道の相互にさう云ふ賃金を持ちこして、輸送力増強の爲に資金を利用して行くと云ふ、戦時中に出來ました此の制度を殘して置きますることが、矢張り地方鐵道軌道の今後に於ける交通機關として使命を達成して行く上に於きまして必要であると云ふ風に考へまして、戰爭終結後の今後に於きましても、此の法律を存置して貰ふことに致したのでございます、從ひまして此の際戰爭中は臨時軍事費に一部繰入れることに相成つて居りましたので、一部の財源を此の共同の資金から除外致しまして、國の會計に寄與すると云ふ考へ方を存置致しまして、臨時軍事費がなくなりました關係上、一般會計に繰入る制度に改めた次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=43
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044・松平親義
○子爵松平親義君 どうも今の御説明だけでは私ははつきりと納得が行かないのでありますが、幸ひに運輸省の委員が御出でになりますので、もう少し説明して戴きたいと思ひます、私が此處で申上げる迄もなく地方鐵道の状況と云ふものは、私が地方に旅行して見ましても、實に氣息奄々たるもので、鐵道の壽命と云ふものが國鐵より以上に情ない状態になつて居るのではないかと云ふことを、我々旅行して見ましても感ずることが非常に多いのであります、ですからさう云ふ點から考へて、詳しく私は分りませぬが、斯う云ふ風なことは矢張り地方鐵道の收入を地方鐵道に然るべく受入さして、地方は地方で然るべく鐵道の普及を圖らしむることが宜いのではないか、之を一般會計に取上げてしまふ、全部でありますか、一部でありますか、其の邊は私能く知らないのでありますが、さう云ふことをして果して輸送力の確保が出來るかどうか、終戰後の日本の復興と云ふことに付て、此の物の輸送と云ふこと、是は非常に大切な事柄であると云ふことは此處で私が申上げる迄もないことであると思ふのであります、此の地方鐵道の輸送能力増強と云ふやうなことに付ては運輸省に於ては一體今どう御考になつて居るのでございませうか、御尋ねして見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=44
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045・郷野基秀
○政府委員(郷野基秀君) 尚先程ちよつと申殘しましたので、一言御説明を補足さして戴きたいと思ひます、此の上納金の法律に付きましては、地方鐵道補助法が只今の所今年度一杯しか存續制限がございませぬ、地方鐵道補助法と併せまして、今後の地方鐵道の助成の爲にどう云ふ法規を整へ、どう云ふ制度を以ちましてやつて參りますかと云ふ點に付きまして、此の上納金の制度と併せまして檢討を加へて、今後の處置に付きまして只今研究を致して居る次第でございます、尚地方鐵道、軌道の只今の輸送の運營の状態に付きまして御話がございましたが、地方鐵道、軌道に付きましても、只今國有鐵道が赤字の問題に付きまして惱んで居りますると同樣、鐵道の所要の資材に付きましては、最近著しい價格の昂騰がございましたし、昨年の暮以來從業員の給與、待遇に付きましても急速に改善して參らなければならないものがございまして、斯う云ふ點から見まして、戰災の痛手を急速に復舊し、輸送力を整備して行く上に於きまして、運營上の非常な惱みを持つて居ります、此の上納金の法律、或は地方鐵道補助法等を運用致しまして、今後の助成方法に付きましても十分の檢討を遂げ、對策を立てて參らなければならないと考へて居りまするが、尚個々の地方鐵道に付きまして必要な運賃改正も終戰後認めて居りまして、資材の調達、其の他の方面に付きましても出來るだけ斡旋も致しまして、國有鐵道と共に、地方鐵道が輸送力増強に今後に於きましても進んで行きまするやうに、色々な方面から對策を講じ、實施致して居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=45
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046・松平親義
○子爵松平親義君 重ねて伺ひますけれども、今御話の地方鐵道補助法の法律、それから此の第十條の此の法律、之を併せての何か地方鐵道を助成すると言ふか、地方鐵道の輸送力を上げると云ふことに付て必要な立法、さう云ふものを此の冬の議會にでも又御提出になる御考でありませうか、さう云ふことを今此處で私が伺ふのは、どうも斯うやつて一般會計へ繰入れてしまふ、さうして其の金を一般會計で唯使つてしまふと云ふやうなことは、どうも地方鐵道に少し酷なやうな氣がするのであります、戰爭であるならば是は分りますが、今日戰爭の終了した際、殊に是からは地方分權と云つたやうなことで、それぞれ地方々々に或程度仕事を委してやると云ふやうな行き方に、段々なつて來たやうな傾があるので、さう云ふ點から考へても、斯う云ふことを矢張り何でも中央に一遍之を持つて來なければ、いかぬと云ふやうな、さう云ふ氣持で此の地方鐵道を考へると云ふことは、私は一つ考へて見なければならぬことであると思ふのであります、それは兎に角として、さう云ふ風なことでありますので、此の今御話した補助法或は此の第十條の二十年法律第十九號のやうな措置、それらを引括めて、將來何か茲に地方鐵道に關する新しい立法を設けられると云ふやうなことでありますのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=46
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047・郷野基秀
○政府委員(郷野基秀君) 御答へ致します、地方鐵道補助法が、何れに致しましても來年度以降只今の補助法を適用して參りますることが出來ないことになつて居りまするので、上納金の法律と併せまして、此の地方鐵道補助に關してどう云ふやり方で行くかと云ふことを研究致しまして、次の議會に何か之に關する法律案が出ることになるのではないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=47
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048・板谷順助
○板谷順助君 只今の御質問と關聯して伺ひますが、今御話の通り兎に角一般會計に繰入れて、僅か繰入れて、一般會計から大きく取る、だからして例へば鐵道、通信の如きものが特別會計を拵へた趣意は、從來其の益金の一部を一般會計に繰入れる、斯う云ふ建前で出來て居る、それは今度御承知の通り赤字がどんどん生れるやうなことから、どうも此の特別會計の基礎が崩れて、さうして今度の改正の内容がちよつと見ても分らぬ、だからして大體どう云ふやうな點が詰り此の改正の目的であるかと云ふことを、若し御分りであつたならば、簡單で宜しうございますからはつきり一つ御話を願ひたいと云ふことと、それから聞く所に依ると、十四億の赤字が出て居ると云ふことでありますが、御承知の通り運賃も此の春以來値上げされて、又更に値上の問題も起つて居るが、交通機關も殆ど今の所では整備も碌に出來て居らぬと云ふやうな状態で、或は給與其の他の關係で斯う云ふ赤字が出たのか、十四億と云ふとなかなか大きな數字でございますから、一番赤字の主なる原因は何處にありますか、若し御分りであつたならば御示しを願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=48
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049・郷野基秀
○政府委員(郷野基秀君) 鐵道會計に於きましては、昭和二十年度に至りまして、初めて收益勘定に大きな赤字を出すと云ふことになりまして、二十年度に於きましては、借入金を以ちまして收益勘定の赤字の補填を致しまして、今年の三月に旅客運賃二倍半、貨物三倍の運賃改正を致したのでございまするが、大體此の三月に於きまして實施致しました運賃改正は、昭和二十年の十二月頃の物價の水準に依り、又給與の關係に於きましても、臨時手當給與令の關係なども十分に見込んでない歳出を豫想致しまして、之に對しまして必要な財源を得る爲に約五十四億、一年間の運輸收入約五十四億と云ふものを目標として運賃の改正を致したのでございます、處が三月に於きまして物價の基準が更に改訂になりまして、石炭の如きは十二月に一「トン」八十五圓になりましたものが、更に百五十圓になる、其の他の物資に付きましても、鐵道關係の資材に付きましては相當大幅に價格の改訂がごさいました、從ひまして本年度に於きまして、更に又今度議會に提出になりまする改定豫算に於きまして約十四億程度の赤字を見るやうになつて居りまするが、是は三月に於ける物價の基準の改訂竝に三月に於きまする臨時手當の關係、斯う云ふ關係から致しまして、物價騰貴竝に給與の關係の經費が殖えましたのが大きな原因でございます、尚併しながら鐵道會計の收益勘定に於きましては、今後に於きましても、六月以降の臨時手當の増額、又七月から實施せられることに相成つて居りまする給與のある外、尚又、三月以後に於きまして大きな物資に付きまして、主要の資材に付きましては公定價格はまだ改訂を見て居りませぬが、こまごま致しました物に付きまして相當價格の上つて來て居るものもございます、さう云ふ點を考へて見ますると、本年度中に石炭の補給金が消費者に轉嫁されると云ふことになりますれば、それだけ赤字が殖えることになると思ひまするが、大體三十二億程度の赤字が出るのではないかと豫想致して居ります、尚其の同じ考へ方で來年度を推定致しますると、此の儘では四十數億の赤字が收益勘定に於て出るやうに考へられます、鐵道の運賃は、昭和十一年を基準と致しまして、他の諸物價の昂騰と比較致して見ますると、現在の所尚非常に運賃は低い水準に置かれて居るやうに考へます、從ひまして今囘鐵道會議で答申に相成りました旅客運賃二割五分、貨物三割程度の運賃値上を實施すると致しましても、昭和十一年を百と致しまして旅客が六百六十六、貨物が九百程度の指數になるのでございまして、他の物價の水準から見ますれば必ずしも高いとは言ひ得ないと存ずるのであります、從ひまして一應此處で他の物價との釣合を此の程度に取りまして、今後國家の執りまする經濟、財政方策に依りまして物價が安定致し、此の運賃を維持する必要がなくなりましたならば、適當な時期に出來るだけ早く又運賃も下げると云ふやうなことも考へまして、尚一面、是だけの運賃値上もしなければならないやうな状態でございまするので、先づ以て經營の合理化に付きましては、現在も既に相當の努力を致して居りまするが、今後に於ても大いに其の徹底を圖る、尚資材其の他の關係に於きましても、非常に窮屈ではございまするが、戰災の復舊も急速に致しまして、「サービス」の向上も今後に於きまして一段の努力を傾けると云ふやうなことを考へて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=49
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050・金子武麿
○伯爵金子武麿君 今の御話で、鐵道運賃値上のことも承知致して居りますが、大藏省なり商工省なりも御贊成になつて實行になるのでございませうね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=50
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051・郷野基秀
○政府委員(郷野基秀君) 運輸大臣から鐵道會議に、鐵道の收支改善方策、特に運賃値上の方策に對しまして諮問がございまして、之に對しまして、昨日鐵道會議から、運賃値上も已むを得ないが、運賃値上をするに當りましては、只今申上げましたやうに、經營の合理化を更に徹底すること、それから「サービス」の向上に一段の努力をすること、尚運賃を引下げ得るやうな時期になりましたならば速かに引下げると云ふことも考慮すると云ふやうな條件を付せられまして、運賃値上も已むを得ないであらうと云ふ答申を戴いたのでありまするが、大體只今迄の所、今度議會に御提出になりまする改定豫算に於きまして、約十四億の運賃値上に依る増收を取敢へず見込んで居るのでありまするが、此の運賃値上をすることに付きましては、既に大體閣議に於きまして方針は決められて居ります、今後運賃値上の時期に付きましては、鐵道會議に於きましても、他の施策と共に運輸大臣の責任に於て決めて貰ひたいと云ふ答申もございましたので、此の時期に關しましては、さう云ふ意味に於きまして、更に愼重なる考慮が拂はれることと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=51
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052・金子武麿
○伯爵金子武麿君 さうしますと、今後此の鐵道運債の値上り分と云ふものが其の他の色々の製品の値上りに入つて來る譯でありますね、さうなりますと、例へば、細かいことを申上げて相濟まないけれども、生産原價を商工省若くは農林省、さう云ふ所を通じて大藏省の物價局あたりに申上げると、割合に抑へる方が急で、鐵道運賃とか、もう一つは通信費、さう云ふやうな値上り分が公定價格の改訂の時に何時でもぶつかるのであります、大藏省物價局としては成るべく上げたくない、斯う云ふ御意見、さう云ふ譯でありますから、今後運賃とか、斯う云ふ官業の値上を御計畫になつて御實行になる際は、大藏省の物價局あたりと能く御了解を願つてやつて戴かないと、是から段々物を生産して行かなければならない時に非常に支障になることがあると思ふのです、其の點は能く御實行になる場合に大藏省の物價の擔當の方と御打合を願つて、十分御了解の下に御實行願ひたい、いつも了解が足りないやうなんです、私の方は餘り贊成ぢやないけれども、運輸省がやつたのだから仕方がないと云ふやうな無責任のことも從來ありますから、どうか其の邊の所を……十分是から生産増強に向つて行く必要の際ですし、此の官業の値上と云ふものは必然的に物價面に響きますから、其の點の御了解を十分御連絡願ひたいと云ふことを希望として申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=52
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053・松本勝太郎
○松本勝太郎君 大藏省の政府委員にちよつと御伺ひ致しまするが、朝鮮總督府、臺灣總督府、其の他關東廳から南洋廳、斯う云ふ特別會計に屬して居りまする所の政府直接の未拂金の額がどの位の額に上つて居るかと云ふことを、分つて居れば御示し願ひたいのであります、尤も特殊會社の辨償とか賠償とか云ふやうなものでなくつて、政府直接のものだけで結構だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=53
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054・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 御尋の點に付きましては、先般もちよつと申上げましたやうに、甚だ遺憾でございますが、目下の所不明な状況であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=54
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055・黒田英雄
○黒田英雄君 私脇へ參つて居りまして、私が御尋ねしようと思つた問題に付て御答があつたのではないかと、御答辯中の終ひだけ伺つてさう感じましたから、若し政府のさう云ふ趣旨の御答辯がありましたら、簡單で宜しいのですが御答辯願ひたいのです、私は大體此の特別會計を整理されると云ふことは大いに贊成なんですが、外地とか、或は陸海軍の關係でない關係に付ての整理は、政府出資特別會計とか、營繕用品資金特別會計と云ふやうなもので示されて居りますが、是等のものは、殊に營繕用品資金特別會計の如きは昭和十八年に制定されたので、誠に最近に拵へられたものでありますが、今日之を廢止されようと云ふのは、設定する時の趣旨、目的が達せられないと云ふ、詰り簡單に言へば、こんなものを設けたのは甚だ失敗であつたと云ふやうに感じられて廢められるのですか、其の當時はそれだけの必要があつて、之をやれば物資の確保を圓滑に行き、或は經濟的にも國家の歳出を少くすることが出來るとか、色々な利益があつたのでありまするか、或は會計を設けたが全然其の目的も達せられない、失敗であつたから此の際廢めると云ふやうな趣意でありまするか、其の點を一つ伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=55
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056・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 營繕用品資金特別會計は是は極く最近に設置を致しました特別會計でありまして、又兩三年してから直ぐ廢止をしなければならないと云ふことに相成つたのでありまして、當初の目的から申しますと、此處で營繕用品を買つて貯藏を致しまして、必要に應じて一般會計なり、特別會計なりに賣拂つて事業をやつて行くと云ふことであつた譯でありますが、實際の運用の状況を見て參りますと、どうも豫期したやうに動かないと云ふのが、甚だ殘念でございますけれども、實情でございまして、今後之を更に改善を致してやつて行ける見込もどうか立ち兼ねますので、斯う云ふ特別會計を通して買ふよりも、寧ろそれぞれの經費で直接に所要とする物品を買つて事業をやつて行つた方が簡明であると云ふやうなことから、廢止を致すことに致した譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=56
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057・黒田英雄
○黒田英雄君 それでは、要するに此の法律を拵へたことは失敗であつたと云ふことになると思ひまするが、實際の運用に於て、五百萬圓となつて居りまするが、是はどれ位御使ひになつたのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=57
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058・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 今五百萬圓の資金を持つて居るのでございますが、昭和二十年度に於きまして幾らの買入を致しましたかと申しますと、約三百萬圓程度しか買入を致して居りませぬ、それから後十九年度あたりに於て買ひましたものをずつと續けて持つて參つたものも若干ございますけれども、戰災で相當燒失致したものがございまして、缺損を若干生じて居るやうな状況でございます、精々二、三百萬圓程度の事業分量しか致して居りませぬので、此の程度のことでは當初の特別會計を設けた趣旨にも合致しませぬ、まあ率直に申しますれば、是は半ば失敗であつたと云ふやうなことかとも存ずる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=58
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059・黒田英雄
○黒田英雄君 もう一つ伺ひます、政府出資特別會計の方で、之を廢止致しますと、持つて居りまする有價證券の出資は、各省にそれぞれ分けられるのですか、或はそれは矢張り大藏省が管理されることになるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=59
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060・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) それは特別會計を廢止致しましても、從來同樣に大藏省で管理を致すことに相成つて居ります、具體的には、國有財産部の方で從來も管理を致して居つたのでありますが、矢張り同樣に管理を致して參ると云ふことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=60
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061・多久龍三郎
○男爵多久龍三郎君 政府出資特別會計の明細表を拝見致しますと、株式に相當未拂込がございますが、補償打切、其の他の場合に、此の未拂込は如何御處理になるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=61
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062・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 是は外地の會社に付きましては關係方面との關係もございますので、どう云ふ風に此の整理を付けて參りますか、目下の所申上げる迄に至つて居らないのでございます、補償の打切の關係で、内地の問題に付きましても、相當に影響を受ける所があらうかと思ひまするが、是は一般の補償打切に伴ひます措置と同樣に處理されることに相成るであらうと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=62
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063・板谷順助
○板谷順助君 今の問題に付きましては、私先程質問したのでありますが、一般の補償と睨み合せて處置をすると云ふ御話でありますが、御承知の通り一般の會社は所謂財産税と云ふものを或程度に取られます、さうすると、政府は如何に株式を持つて居るからと云つても別に財産税を納めると云ふことはないと思ひます、其の點から行きまして、私が先程申上げましたやうに、此の株式を一般補償の打切と同樣の意味に於て取扱ふと云ふことは、政府の態度としては甚だ不都合だ、私が先程申上げましたやうに、會社の内容の如何に依つては色々な違ひもありませうが、それを一般持株を打切ると云ふことはどうかと思ひますけれども、其の邊は適當に按排して、政府が財産税を取られると同時に、或程度迄持株を打切つて、さうして其の殘つた會社の堅實なる發達を圖ると同時に、補償金は打切られ、株價は暴落をする現在でありますから、或程度迄株主に對しても相當に利益を與へる、利益にならぬでも大した損失にならぬやうに施策を執るのが當然政府の責任ぢやないか、斯う私は考へるのであります、從つて、あなたに伺つて甚だ失禮でありますが、兎に角此の委員會の空氣、委員會の發言で斯う云ふ意見があつたと云ふことを一つ十分に御檢討になつて、大臣、次官あたりと御協議を願ひたい、斯う云ふ考へでありますから一つ……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=63
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064・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) 御意見の程は、十分上司に申傳へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=64
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065・板谷順助
○板谷順助君 私は此の法案の改正に付て、重大な件に付てどうしても農林大臣に質問せねばならぬのでありますが、若し農林大臣が差支へ……兎に角衆議院も別に何等等差がある譯はないので、此の法案審議の上に於きまして、何としても農林大臣直接に聽かなければならぬ必要がありますから、若しどうしても來られないならば、どうか此の委員會を延期してでも一つ御取計ひを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=65
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066・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) 農林大臣が只今直ぐお見えになるさうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=66
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067・加藤八郎
○政府委員(加藤八郎君) 先程國有財産法の二十九條の關係の御質問がありました際に、是は國有財産法の改正として出すべきものであつて、會計法の廢止に關する法案として出すのは適當でないのではないか、と云ふ御質問だと伺つて御返答申上げたのでありますが、今伺つて見ますと、それは本文の改正ではない、附則の改正であるべきだ、それで此の會計法の廢止に入れて出すこと自體が惡いのではないけれども、本文改正でなしに、附則改正でやるべきだと云ふ御話ださうでありますから、ちよつと補足して置きたいと思ひます、二十九條の規定は國有財産法の附則になつて居りますので、御趣旨の點は附則改正の點と一致すると思ひますから、其の點だけを申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=67
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068・板谷順助
○板谷順助君 私は農林大臣に對して食糧政策に付て御尋ね致したい點は多多ありますけれども、大臣も豫算總會其の他で御忙しいやうであり、又時間が參りまして委員各位にも御迷惑かと存じますので、此の改正法案に現れました二三の點に付て御尋ね致します、どうか暫く御辛抱になつて御答あらむことを願ひます、今度の改正案に依りますと、當分の間決算上の損失を補填する意味に於て一般會計から食糧管理特別會計に對して補填をする、現に四十五億が計上されて一般會計から之を補填されることになつて居るのであります、又明年度の豫算には二十億圓の主要食糧費が計上されてある、そこで私は御尋ね致したいことは、大體米穀特別會計が作られた動機は、大正から昭和に掛けて米が非常に安い、農家が殆ど困る、或る年の如きは、或は御記憶があるでありませうが、政府が幾ら買上を致しまして之に對する所の需給調整を圖らう、價格の調整を圖らうと云つても、なかなか値段が安くなつて止まらない、場合に依つては海に棄てる、或は燒き棄てると云ふ迄の極端な年があつたのであります、「インド」方面に米が足りないと云ふので、「インド」に輸出を試みたこともある、所が「インド」人は御承知の通り手で食ふのであつて、日本の米の如きは粘りが強くて手に絡まつて適しないと云ふやうなことで、是も失敗に終つたことがある、所が其の當時は詰り生産者を保護する、生産者を救濟すると云ふ建前に於て此の法案が生れた、そこで詰り出盛りの時分に米を出來るだけ政府は買つて、さうして適當の時期に金利或は倉敷其の他を計算をして、さうして此の特別會計の收支を償ふ、是が大體の趣旨なのである、所が此の案は意の如くならず、其の後此の特別會計と云ふものは赤字々々で以て遂に此の目的を達することの出來なかつたことは御承如の通りである、所が今囘の此の法案は、要するに生産者は供出米の値段が安い、是では引合はない、何も生産者を保護すると云ふ性質のものでない、一面に於て或る程度政府が補給金を出して、さうして之に依つて消費者を保護すると云ふのが現在の立場なのである、さうすると云ふと、當分の間此の特別會計の損失を補填する爲に一般會計から補充すると云ふ、其の當分と云ふのはどう云ふのであるか、將來に於て特別會計と云ふのは、果して自給自足の見込があつて斯う云ふ改正をなさるのか、或は又四十五億の赤字を補填すると云ふことに付ては、是は財政上重大問題である、一般會計から此の損失を補填すると云ふのであるが、一體此の金はどう云ふ方面に使はれるか、恐らく補給金もあるでせう、或は又大部分は私は人件費が厖大なるものではないかと思ふのでありますが、今申上げまする通り、此の特別會計が作られた其の時に於ける目的が違ふ、此の點に付てどう御考へになるか、或は又四十五億の損失と云ふものの内譯は一體どうなつて居るか、先づ第一に此の點を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=68
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069・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 四十五億の内譯は、資料を持つて參りませぬでしたから、何れ資料を持つて來まして御答へ致したいと思ひますが、是は特別會計になつて居りますのは、結局今の食糧事情から言つて見ましても、此處暫くの間日本の食糧事情がさう急激に圓滑になると云ふこともなかなか考へにくいだらうと私は思ふのであります、殊に來年度は、現在豐作が傳へられて居りますが、來年度を取つて見ましても矢張り絶對的には或程度の輸入を仰がなければならないやうな事情なんでありまして、特別會計が出來ました時には、それは生産者保護、斯う云ふやうな建前の方が強かつた譯でありますが、併し食糧政策は生産者の方と消費者の方と兩方見合つてやつて行く譯でございまして、其の時々の事情に依つてどちらの面が表面に出るかと云ふことが變つて來るだらうと思ふのであります、勿論現在の食糧政策と雖も、供出價格其の他の點に付て十分生産者側から考へて決定致すのでありまして、それをやりますと同時に消費者の側も考へて、消費者への價格を決定して行くと云ふことになつて行くのでありまして、從つてどうしても、生産者から假に高く買ひましても、或程度は消費者の生活を考へて消費者に安く賣つてやらなければならぬと云ふやうな政策を執らざるを得ない譯でありまして、今のやうな食糧事情が續きます限りは、是は當分已むを得ないことと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=69
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070・板谷順助
○板谷順助君 私はさうは考へて居りませぬ、大體四十五億の赤字と云ふものが、果して有效に使はれて居るかどうか、私は非常に疑問に思つて居る、兎に角國家の負擔として此の金を補填すると云ふことに付ては、生産者、消費者或は又國民一般が之に對する相當の利益を得て居る、處が今御話の如く米穀の需給調節を圖る意味に於て、現在の配給制度が五百圓生活で滿足し得る配給があれば別問題であります、處が此の公定價格が、恐らくは昨年收穫の際に於て之を一升二圓程度に於て引上げたならば、恐らく今強權發動であるとか、或は農村が米を出すとか出さないとかと云ふやうな騒ぎをせぬでも濟んだと思ふ、併し是は後の祭であります、成る程主食は現在の公定に依つて、一石三百圓に依つて一般の消費者は之を受けますけれども、其の結果、一體闇はどうなるか、殆ど闇が二十倍以上の値段になつて居つて、此の公定價格がある爲に、或は供給が十分でないが爲に、御承知の通り五百圓生活では到底食つて行けぬと云ふ意味で、如何なる者と雖も此の高い闇米を買はなければ食つて行けない、此の闇が一升六十圓、七十圓になつた原因と云ふものは一體何處にあるか、勿論色々惡性「インフレ」の影響は受けて居るでありませう、併しながら私共は從來の經驗から行きますと、大體物價の基準と云ふものは米價が基準となつて、之に釣合が取れるやうなことに考へて居る、處が四十五億の赤字を出して一部の主食が成る程公定價格で多少安く手に入るが、現在に於ては遲配、缺配で非常に國民一般が苦しんで居る、併し其の反面に於て、今申上げる通り非常な高い値段を出して補充しなければならぬと云ふやうな問題が起つて居る、そこで私は此の問題の解決と云ふことに付ては、要するに自由經濟、或は計畫經濟で以て色々議論はありませう、議論はありませうが、新聞で拜見すると、供出が或程度濟んだ後に於て米を自由販賣にすることに付ての衆議院の豫算總會に於けるあなたの之に對する御返答は、特殊のものに流れて居る、是は一體どう云ふ意味に於ける御答でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=70
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071・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 私は斯う云ふやうに實は考へるのであります、冷酷な數字的に今日本の食糧を考へますると、供給數量と需給數量とを考へて見ました時に、供給數量は絶對的に足りませぬ、併し經濟ですから、冷酷な數字だけを突合して足る足らぬと云ふ議論だけでは濟まないのでありまして、矢張り各國民がそれぞれの所得を持つて居つて、其の所得の中から主要食糧を買つたり、其の他の必需品を買つて生活を致して居る譯であります、政府がやつて居りますることは、兎に角國民に主要食糧其の他の食糧品の確保をしまして、確實に配給致しまして、食糧に付ては兎に角各所得の者も或點同じやうに安心して居れると云ふやうなことを目標にして、食糧政策をやつて居る譯であります、處が不幸にして御承知のやうに、非常に食糧の事情も惡く、又供出の方も惡くて、政府の操作として必要なものを十分に又的確に得られませぬが故に、そこに遲配が起り、缺配が起つた其の結果、國民は生きる爲にそれぞれの闇と云ふものに流れて行つた、斯う云ふことになつて居るのであります、それならば、斯う云ふ窮乏の經濟の時に全部統制を外してしまつたらどうかと云ふ極端な場合を考へて見ますと、恐らく私は資産のあり、所得のある者だけは食へて、さうでない所得のない一般の人達は飢えると思ひます、是は國の政治としては何處迄も避くべきだと思ふ、それならば供出してしまつた後を自由に販賣したらどうか、斯う云ふことになるのでありますが、元々是は絶對的な量が足りないし、日本人の勞働者の平均の必要な二千二百「カロリー」と云ふものすら得るに足りないやうな事情の下に於きまして、自由に販賣を許すと云ふことと、一面から申しますれば、恐らく買へる人だけが買へると云ふことになるのであります、買へる人だけが買へると云ふことは、購買力のある人が買へると云ふことになるのでありまして、それ等の人達は恐らく萬金を投じても買ふでありませう、さうしますと、價格は其の面から亂れて參ります、價格が亂れて參りますれば、假令其の公定價格が妥當なものでありましても、眞面目な農家で公定價格で供出をする者は恐らくなくなると云ふ……是は極端でありませうが、非常に阻害されると思ひます、それは結果的に見たのでありますが、今度はそれをもう一遍裏返して見ますれば、さう云ふ制度を執ると致しますれば、供出の割當を致します時に、其の供出の割當がなかなか決らないと思ふ、何故ならば、供出をした殘りは總て自由に賣れると云ふのでありますれば、出來るだけ自由に賣れる數量を澤山取つて置かうと云ふのは人情であります、さうしますれば、政府が此の一般の國民のことを考へまして少くとも食糧の主食に付ては公平な配給をしようと云ふ意圖は、私は崩れて來ると思ひます、殊に今のやうな「インフレーション」期に於きましては、御承知のやうに是からは軍需補償の打切に依つて、企業は整理され、失業者は出て參ります、さう云つた時に自由經濟に復歸すると云ふことは、是は私としましてはどうも其の結果が良いと云ふ自信が持てませぬ、理論としては一應自由と云ふ此の抽象的な理論が許されれば、又生産者がそれに依つて生産意欲が昂まると云ふやうな一面だけを考へて見まするならば、或は論理としては、成立つかも知れませぬが、併しさう云ふ一面だけを考へて行くことには行かないのでありまして、生産と同時に一般の配給と云ふことも不可分に考へて行かなければならないのであります、私としましては、衆議院に於て自由黨の宮本君から質問があつたのでありますが、一部の自由販賣を認めると云ふことは此の際採るべき方策ではないと思ひまするので、どうも御同意し兼ねるのであります、農民の大半と云ひますか、多くの者は、恐らく現在は三割、四割と云ふものは、一年間を通じまして自己の保有食糧を持つて居る農家はありませぬ、恐らくは飯米農家の方が多いのであります、それ等の者は還元米として現在でも配給を受けて兎に角やつて居るのでありまして、それ等の農家自身が又高い米を買はなければならぬと云ふことにもなりますし、又自由販賣を行ひますと、今申上げましたやうな困難が豫想されるのでありますので、どうせ自由販賣するものでありますならば、其のものを統制の「ルート」に乘せて、國家が買つて、國家がそれを配給すると云ふことにすれば宜いのではないか、斯う思ふのでありまして、自由販賣の議論には色々な觀點から同意致し兼ねるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=71
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072・板谷順助
○板谷順助君 時間もありませぬから、私は別にあなたと理論鬪爭をやつて行く考へはありませぬ、あなたは實際に即すと云ふ御話であるから申しますが、今國民の所得は一體幾らあると思ひますか、賃銀、俸給其の他に付ては皆闇相場である、比の闇相場では五百圓生活をやれと云つたつて出來ない、主食の乏しいことから、それを、補充する爲に非常に高いものを買はなければならないと云ふ状態である、現在新圓を澤山持つて居る人はどう云ふ方面であるか、あなたは金持々々と仰しやるが、恐らくは現在に於ても所謂中産以上の階級は新圓の獲得は容易ぢやない、其の容易でない金では主食を澤山買ひ集められる者はさうありませぬ、加之六十圓、七十圓の米を買つた其の儲けは誰の所に行くかと言へば、所謂惡徳農家か、又一部の闇商人の手中に暴利が入り込むと云ふ結果になつて居る、又蔬菜の問題に付きましても、今度政府が明年度の豫算に於て一億九千八百萬圓の補給金を出すと云ふ、成る程六大都市に野菜が思ふやうに集らぬ關係から、或程度迄之を補給すると云ふことは必要でもありませうが、現在の配給物の状態はどうです、腐つたやうな物や枯れて居るやうな物を割合に高く配給して居るのです、私は先般來町を歩いて見て、胡瓜は初め十圓に五本であつたものが、最近に於ては十本になつた、だからして、成る程現在の食糧に對して當局としては非常な苦心をして居られるでありませうが、統制の結果必ずしも安全な配給は出來ないと云ふことは、あなたも一つ御考を願はなければならぬ、例へば昨日から公定價を決めて料理屋或は飮食店が休業する、或は野菜、鮮魚が思ふやうに出て來ない、是は都民が飮み食ひしないで居る譯にも行かぬでありませうが、或る程度迄我慢し、辛抱して、是位食へば宜いと云ふ程度を攝れば、矢張り自然需給關係に於て相當に緩和される時代が來る、だから私が申上げますのは、要するに現在の如き食糧の不足の場合、當局としては非常に御苦心になつて居るでありませうけれども、唯一部の公定の爲に非常に高い闇のものを食つて居つて、現在の俸給其の他が皆闇相場になつて居る、此の點に付て御考を願はぬと云ふと、國民としてはなかなか容易でない、生活の面に於て容易でないと私は思ふのであります、併し是以上申上げますならば議論になりますから、私は此の程度で、又適當の機會にあなたの御意見を聽きますが、それに付てもう一點私は伺ひたい、それは、大體日本の狹い地域に人口は恐らく三、四年後には約八千萬になるでせう、それで此の開墾問題に付て政府が厖大な豫算を立てて居る、日本全國に約百五十萬町歩、北海道七十萬町歩、或は八十萬町歩と云ふ、之に對して一段歩八百五十圓の開墾費を掛けると云ふ、私は從來の經驗から言ふと、北海道の如きは或は七十萬町歩百萬町歩と圖面の上に現れて居るでせうが、現在殘つて居るものは殆ど火山灰、或は泥炭地が多い、從來と雖も此の土地の開墾に付て金を掛けて積極的にやつたのは、皆割合に失敗して居る、日本の從來のやり方は、矢張り經驗のある者が其の附近の土地を段々攻めて行つて初めて成功する、現に北海道の如きも、水田が四萬町歩、畑の如きも十萬町歩開墾されて居るのが荒れて居ると云ふ状態である、でありますから、天候と睨み合せて或る程度迄開墾すると云ふ必要はあるだらうけれども、國家が厖大な資本を下して開墾しても、大きなやり方をしたならば、必ず失敗に歸しますよ、又是等に移住する者に付て少くとも三、四年の衣食住の供給をしなかつたならば……住宅は勿論衣食の供給をしなかつたならば、其の土地に落著けるものではない、現に昨年の如きも罹災者、或は歸還軍人、引揚者其の他に付て政府が移住を奬勵されて居る、是は誠に結構、結構だが、併し是等の經驗のない人が行つても、それに對する所の適當な政府が或る程度の衣食を與へ、住居を與へて、少くとも三、四年乃至五年位の間は一人前に自給自足が出來るやうな方法を採らなければ、容易ではないと私は思ふのであります、殊に北海道の如き、例へば御料林、國有林も澤山ある、國有林も澤山あるが、是は國境に近い便利の惡い所である、御料林は割合に便利の良い所に、是が六十萬町歩ある、私は帝室林野局長、或は宮内大臣に、此の點に付て御料林の開放をやれと云ふことを屡屡叫んだことがある、ところが何しろ皇室の財産であるから、それを言へば不敬だと云ふやうなことで、餘り重きを置いて話にならない、けれども現在に於ては兎に角先づ北海道の御料林を開發すると云ふこと、それから又更に、今申上げますやうに、既に起して荒れて居る所の土地は、之に先に手を著けて行く、厖大な開墾費を掛けて大きく擴げたからと云つて決して成功しませぬよ、之に對して將來あなたは日本全體の自給自足を圖る上に於て、今後どれだけの食糧の補給が出來たら宜しいか、本年の如きは幸ひ豐作であつたならば、恐らくは六千萬石以上になるでせう、其の外麥もあり、芋もある、之に對する所の計畫の大要で宜しい、若し御話が出來るならば御願ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=72
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073・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 將來の日本の食糧の需給でありますが、是は聯合軍の方へ去年の暮でありましたか、農業五箇年計畫として一應出したのでありますが、其の計畫は日本の現在の人口の趨勢も考へ、それから肥料なり其の他の生産資材の供給の方のことも考へ、色々な要素を考へまして、一應の案として出したのでありますが、矢張り色々のものを綜合致しましても、將來に於て日本で完全に自給自足と云ふことは是は多少困難だと思ひます、殊に是は出來るだけ日本の食糧の供給力を上げて行くと云ふことが必要でありまするので、其の點に付きましては、一面に於ては出來上りました開墾なんかに例を取つて言へば、農家が十分此の經營の點から言つても基礎の鞏固な經營として成り立つて行くやうなことを考へながら、食糧の増産と云ふことも同時に圖つて行かなければならぬのでありますが、直ぐに日本で食糧の完全な自給自足が出來ると云ふやうには今の處言へないのだと、斯う思つて居ります、細かい數字は今材料を持つて居りませぬから何とも言へませぬが、大體の見當は以上の通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=73
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074・板谷順助
○板谷順助君 私は將來の日本が、或は農業立國とか、或は工業立國と云ふやうなことを言ふけれども、何も今からそんな區別をする必要はない、併しながら開墾と云ふことで殘つて居る土地と云ふものが餘り良い所は殘つて居ない、例へば御料林とか、國有林で以て相當に開墾すべき土地、是等は先づ第一に木を伐らなければならぬ、從つて三、四年、五、六年の後でなければいけない、であるからして今後講和會議が出來まして、日本が貿易を許されると云ふやうな時代が來たならば、矢張り日本は或程度迄工業方面に力を入れて、さうして安い米を外國から買入れると云ふやうな政策を執るべきものと思ふ、處で幸に最近聯合國から麥粉の供給があつた、だから大分日本人も、從來は米食に慣れて居つたけれども、將來食糧政策としては「パン」食を出來るだけ奬勵する必要があると思ふのであります、それから今申上げまするやうに農業立國、工業立國と云ふことを、其のどれを本位と言ふことは出來ないけれども、海洋立國と云ふことに付ては、御承知の通り四面環海、太平洋あり、日本海あり、「オホーツク」海あり、此の廣い海に於ける所の利用がまだ十分行はれて居らぬと思ふ、例へば農林省に水産局がありましても、明年度の豫算を見ましてもさう大した豫算が計上されて居らぬ、でありまするから、此の農林省から水産省を作ると云ふことに付ては、大分衆議院方面にも聲があるやうだが、是はなかなか容易でないと思ふ、そこで少くも之を外郭廳として、海洋立國と云ふことに付てもつと御力を御入れになる御考はありませぬか、あなたの進歩的な頭で以て此の際……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=74
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075・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 御答へ致します、私は日本の開墾と云ふものは正直に言ひましてまだ本當の意味では未開の分野だと思ひます、と申しますのは從來開墾と云ふものが行はれました條件と、それから今日本が開墾を行はねばならない條件とは大分違ふと思つて居ります、從つて開墾地には矢張り今後は從來の方式に囚はれない農業經營をやつて行くことも考へて、開墾と云ふものを私はやりたいと思つて居るのであります、從つてそれ等の點に付ては、殘念ながら日本に於きましては技術的にも、それから經濟的にも研究が足りませぬ、それで農林省としましては開拓研究所と云ふものを作りまして、其處で矢張り基本的な、さう云ふ經營の面からも、新しい農業の技術の點からも、開墾地の本當の經營樣式の點からも、色々の研究を竝行してやりまして、それで出來ました開墾と云ふものが、直ぐに經濟的な自由競爭の下に於て沒落してしまはないやうなものを考へて實はやつて行きたい、斯う考へて居ります、其の前提になりまする所は、結局開墾の適地と云ふものを正確に決めると云ふことだらうと思ひます、それ等の點に付ては、是は適地の調査と云ふものを色々な技術者竝に權威者に依つてやります一方、其の適地の決定に付ても、又經驗者其の他の意見を聽きまするやうな何か委員會のやうなものを作つて、其處で決めて行く、其の決つた適地に付て開墾を實質的に實行して行くと云ふやうに致したいと斯樣に考へて居る次第であります、從ひまして板谷さんの仰しやいまするやうに、現在の日本人の食生活は、まあ幸ひと言ひますかどう言ひますか、大分戰爭中竝に戰爭以後變つて來て居ると思ひます、從ひまして此の食生活の變つたと云ふことは、言ひ換へれば日本人の食物の種類に對する需要の方向が變つたとも言へる、さう云ふやうな點を考へまして開墾に付て狙ひまする作物であるとか、其の他色々のことに付ての工夫もやつて行く、斯う云ふやうに考へて、折角研究も致して居りますし、又さう云ふ構想の下に開墾は一面に於てはやつて見たいと思ひます、併し開墾に付て一應御了解を願つて置かなければなりませぬのは、御承知のやうに失業問題等が非常に深刻であります、復員者でありますとか失業者の方をそれに吸收すると云ふことも考へなければなりませぬので、一應其の考へ方がどうしても二本建にならざるを得ないのであります、そこに今の日本の開墾計畫としては二つの謂はば矛盾した要求が出て來るのでありまして、そこに苦心が要ると斯う思ふ次第であります、それから又農業立國か、工業立國かと云ふことは今直ちに決めらるべきものではありませぬ、私自身農業立國でなければならぬとか、工業立國でなければならぬとか云ふことは嚴密には考へて居りませぬが、併し色々考へて見ますると、矢張り日本としましては、何れ是は「ロンドン」會議の結果、世界の貿易機構も決つて來るでありませう、又日本が講和條約を結びますれば、軈ては平和國家として世界の經濟機構の中に入つて貿易が出來るやうになるのでありますが、それ等のこと及び日本の持つて居りまする資源、其の他の技術と云ふものを考へて見ますれば、矢張り日本としましては輸出工業なり其の他の工業と云ふものの發展を、是はどうしても期して行かなければならぬのでありまして、工業と農業と云ふものが共々に私は日本として必要だと思ふのでありまして、假に今私の專門の農業だけの方面から考へましても、農業問題、殊に農業の人口問題が農業内部だけで解決されるとは思つて居りませぬ、又さう云ふことは出來ないと思ひます、是はどうしても工業の方の發展を待つたり、其の外との連繋を待つて、或ものは解決して行かなければならぬ、それから海洋の立國でありますが、成る程戰爭中水産の方は船を徴用されましたり、此の間に行政整理なんかで相當技術者が少くなつたりしまして、内容的には一應昔に較べますれば相當縮小された形になつて居ります、之に付きましては、今直ぐに私は水産局を水産省にしましてもそれで成績が上るとは考へませぬが、水産局自體の此の充實と云ふことは、是は是非圖つて、現在でこそ漁業し得る面積、區域が制限されて居りまするが、將來は是は日本の富を増すと云ふ上から見ましても、日本人の食生活を豐富ならしめると云ふ上から見ましても、それから又日本人が從來持つて居りました優秀な技術を活かすと云ふ點から見ましましても、水産の方は政府と致しましても出來るだけ力を入れて行かなければならない産業と思ひますので、此の點に付きましては水産局を充實すると共に十分な努力を拂つて參りたい、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=75
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076・板谷順助
○板谷順助君 まだ意を盡しませぬけれども、又更に適當の機會があると思ひますので此の程度で質問は打切りますが、皆樣に御迷惑を掛けて相濟みませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=76
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077・古市六三
○委員長(男爵古市六三君) それでは本日の會議は之を以て散會致します、次は先程申上げましたやうに月曜日の午前十時から又御願ひ致します
午後零時三十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=77
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078・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 男爵 古市六三君
副委員長 子爵 黒田長敬君
委員
侯爵 四條隆徳君
侯爵 佐竹義榮君
子爵 松平親義君
男爵 多久龍三郎君
黒田英雄君
松本勝太郎君
板谷順助君
伯爵 金子武麿君
子爵 日野西資忠君
國務大臣
農林大臣 和田博雄君
政府委員
外務事務官 山中徳二君
大藏事務官 加藤八郎君
同 河野一之君
同 窪谷直光君
同 石原周夫君
運輸事務官 郷野基秀君
同 伊能繁次郎君
遞信事務官 小池行政君
同 渡邊音二郎君
同 篠原登君
同 岡井彌三郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000244X00419460802&spkNum=78
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