1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○改定豫算に關する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=0
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001・会議録情報2
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委員氏名
委員長 男爵 久保田敬一君
副委員長 子爵 保科正昭君
公爵 桂廣大郎君
侯爵 大炊御門經輝君
伯爵 黒田清君
子爵 綾小路護君
子爵 稻垣長賢君
永井松三君
河井彌八君
松村眞一郎君
男爵 稻田昌植君
男爵 古市六三君
黒田英雄君
諸橋久太郎君
奧村嘉藏君
片岡直方君
長島銀藏君
男爵 坂本大造君
木下謙次郎君
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昭和二十一年八月十三日(火曜日)午前十時十八分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=1
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002・久保田敬一
○委員長(男爵久保田敬一君) 是より委員會を開催致します、大藏大臣より議案の説明を御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=2
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003・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 「改定豫算に關する法律案」の提出の理由は、既に本會議に於て一通り申上げた次第でありますが、昭和二十一年度豫算は、衆議院が解散されまして遂に成立致しませぬでしたので、政府は憲法第七十一條に依りまして、前年度豫算即ち昭和二十年度豫算を施行致したのでございます、併し申す迄もなく昭和二十年度豫算は戰爭の遂行を前提と致しまして編成された所謂戰時豫算でありまして、事態が全く一變致しました昭和二十一年度の豫算と致しましては、之を踏襲致しましても其の大部分は之を使用することが出來ませぬ、斯樣な關係上、政府は年度開始早々に於て第二豫備金を拂切りまして、又緊急缺くべからざる經費は財政上の緊急處分を以て支出致しました、さうして議會開會に至る迄の財政需用を充たして參つた次第であります、從ひまして今後の所要經費は、其の大部分を追加豫算を以て帝國議會の協贊を經ることも考へられるのでありますが、左樣に致しますと、昭和二十一年度豫算と云ふものは形式的には非常に厖大なものと相成ります、歳入歳出の實體にそれは全く適應しないものとなりますのみならず、豫算の實行其の他に於きましても色々不便を見ることと考へらるる譯であります、斯樣な次第でありますので、此の際其の不合理を改めまして、豫算を適實簡明にすると云ふ趣意を以ちまして、施行豫算を更に豫算で改定する、さうして改定豫算案を編成致しまして今囘の帝國議會に提出することに致した次第であります、此の改定豫算は、施行豫算の定額の中から、内外の情勢に顧みまして支出する必要のない費額、又は支出するのを適當としない費額は之を減じまして、さうして同時に昭和二十一年度に於ては緊要であり、施行豫算では處理の出來ませぬとか或は施行豫算では不足する費額は之を改定豫算に加へることと致しました、更に昭和二十一年勅令第二百四十二號に規定する經費も之に統合する等の種々必要な調整を施しまして、實質的な昭和二十一年度豫算を編成した譯であります、さうして之に依りまして帝國議會の協贊を經ようとするものでありまして、現下の事態に於て斯樣に致すことが最も適切である、斯樣に政府は考へて居る次第でございます、而して此の改定豫算、年度當初から今日に至る迄の期間をも含んだ全年度分の豫算として内容を持つて居ります關係上、改定豫算成立前に施行豫算から支出しました金額、或は豫備金支出に基いて支出しました金額、竝に昭和二十一年勅令第二百四十二號に基いて支出しました金額は、之を決算等の關係に於きましては改定豫算の定額から支出したものと看做して整理を致しまして、會計に關する事務の處理の圓滑を期したいと思ふのであります、次に、改定豫算には本會議でも申上げましたやうに、會計法第九條に規定する第一豫備金及び第二豫備金の外に、新しい種類の豫備費と致しまして、經濟安定費と云ふものを設けることが出來るやうに致したのであります、此の經濟安定費は、經濟安定に關する豫算の不足を補ひ、又豫算外に生じた經濟安定に關する費用に充てむとするものであります、此の經濟安定費は、又豫備費でございますから、其の支出に付きましては、憲法第六十四條第二項に基きまして帝國議會の承諾を求める必要がありますが、其の性質に鑑みまして第一豫備金に關する取扱に之を準じまして、年度經過後の常會に於て其の承諾を求めることに致したいのであります、尚帝國議會の御協贊を經て成立致しました昭和二十一年度施行豫算の追加豫算は、後日改定豫算が成立致しました場合には、此の改定豫算に包攝されてしまふものでございますから、其の意味を規定致しますと共に、此の追加豫算から支出致しました金額は、之を改定豫算から支出したものと看做して整理することと致したのであります、それから最後に、昭和二十一年度になりましてから今日迄に、豫算超過又は豫算外の支出に係るものの議會の承諾を求める時期に付きましては、會計法の規定に依りますれば一應今期議會に提出する必要はないのでありますが、併し改定豫算の審議を御願ひ致しまする今期議會に於て其の承諾を求めるのが適當と存じまして、之に關する規定をも設けた次第でございます、以上甚だ簡單でございますが、此の法律案提出の理由を御説明申上げた次第であります、何卒御審議の上御贊成を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=3
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004・久保田敬一
○委員長(男爵久保田敬一君) 是より審議に入るのでございますが、本案の審議上是非伺つて置きたいと思ひますことを私から一二點伺つて置きたいと思ひますのは、本案の最初に書いてございますやうに、昭和二十一年度に於て改定豫算を今期の帝國議會に提出することが出來ると云ふことが、此の法律の一番初めに書いてあるのでごさいます、それは反面から申しますと、此の法律がなければ此の改定豫算を今期の議會に提出することが出來ない、詰り改定豫算を今期の帝國議會に提出するのには法律を要すると云ふことを政府では御認めになつて居るだらうと思ひますが、其の通りでございますか、是が第一點でございます、第二點は、然らば此の法律がまだ成立して居らない時に、七月二十五日に政府が此の法律なしで以て改定豫算を今期の議會に提出なさつたのは、如何なる理由でございますか、之を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=4
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005・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 實は私法律のことは一向不案内でございますが、大藏省の解釋と致しましては、是は無論法律を要するものと考へまして此の「改定豫算に關する法律案」を提出致したのでございます、尚第二點の、然らば法律が成立せざるにどうして改定豫算を提出したかと云ふ御尋でございます、是は昨日佐々木博士の御質問に對して本會議で一應御答へ申上げました通り、實際上是が已むを得なかつたと云ふこと、それから從來特別豫算と云ふやうなものに對しまして、矢張り法律と同時に豫算其のものを提出したと云ふ例が多々あるのでございます、從つて一方に於て改定豫算を出し得ると云ふ法律を議會の御審議に掛けると同時に、事實必要と認めまして豫算其のものを提出した、斯樣な次第でございます、從來の慣例に依りますと違法ではない、斯う云ふ風に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=5
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006・久保田敬一
○委員長(男爵久保田敬一君) 尚續いて伺ひます、只今御説明の豫算と法律を別々に出すと云ふことは從來の慣例に依ることでありまして、若し法律が成立しなければ、豫算は不用額として落してしまはれるので差支ないと思ひますが、今囘のはそれと少し例が違ひまして、改定豫算を帝國議會に提出することが法律がなけれれば出來ないと云ふことを御決めになつて置いて、さうして其の法律がないのに七月二十五日に改定豫算を帝國議會に御提出になつたのでありますからして、政府がそれを若し不當でない、違法でないと云ふことを御認めになるならば、此の法律は審議をする餘地が無いもの、意味を成さないものだと私は考へるのであります、此の法律には施行期日が書いてございませぬので、此の法律は公布されて相當な時が經つてから是が施行されることになるのだらうと思ひます、それは法律が遡及致しませぬから、其の施行期日の前に於ては此の法律は無いものだと思ふ、此の法律が無いのに改定豫算を帝國議會に提出されて、政府がそれを違法でない不當でないと云ふことを御考になるならば、此の法律を成立させまして、さうして帝國議會に豫算が提出された時期以後に是が效力を生じても何等法律は意味を成さないと思ひます、元來法律と云ふものは、昭和二十一年度に於て改定豫算を今期の帝國議會に提出することに對して法的根據を與へるのが目的だと思ひます、其の法的根據が無いのに、政府が勝手に之を提出されて、さうして之を違法でない、違法でないと言はれるならば、此の法律は審議する意味を成さないと思ふのであります、私が此の委員會の審議の必要上承つて置きたいと思ひましたのは此のことで、之に對する我々の納得の行くやうな御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=6
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007・河野一之
○政府委員(河野一之君) 先程大臣からの御答辯に、法律を要すると云ふ點に付ての御話がございました、此の點に付きまして多少敷衍して申上げたいと思ひます、改定豫算を出すに付て、法律の規定がなくても宜いぢやないかと云ふやうな解釋も一應はあらうかと思ひますが、現在の會計法に於きましては、追加豫算の提出は認めて居りますが、斯う云つた特別の豫算の提出を認めて居りませぬ、從つて會計法の例外を成すと云ふ意味で斯う云ふ法律を出した譯であります、それから第二點の、法律が成立しない内に改定豫算を提出するのはおかしいではないか、不當ではないか、斯う云ふ御尋ねでございますが、是は御趣旨誠に其の通りだと存じますが、之に付きましては昨日本會議に於て大臣が御答辯申上げました通り、色々な事情がありまして、斯く相成つたのでありますが、政府と致しましては、從來斯う云つたやうな例は相當あるのでございます、例へば特別會計を設置すると云つた場合に、特別會計法の法律と、それに關する豫算が提出されると云ふ例は、最近幾らも例のあることでございます、或は特別會計法を廢止すると、をれに伴つて豫算が出ないと云つたやうなこともございまして、豫算と法律が一體を成して、同時に進行して行く、特別會計法が成立しない内に、豫算も同時に進行して行くと云ふやうな例は澤山あつた次第でございます、それから第三點に、此の法律には施行期日がないぢやないか、從つて法律が出來ないのに豫算が成立することがあるのではないか、斯う云ふ御尋ねでございます、又議會として此の法律を審査する意味はないぢやないかと云ふやうな御話だつたと承りますが、此の法律には成程施行期日がございませぬ、從ひまして此の施行に付きましては、公式令の規定に基きまして、公布の日から二十日を經て施行されることに相成る譯であります、併し此の法律は本文を御覽になりましても分る通り、昭和二十一年度の改定豫算に關するものでございます、特に此の法律の第一項に、「昭和二十一年度においては」云々と規定してあるのでありまして、今囘の改定豫算に適用すると云ふことを建前として居ります、從ひまして今囘の二十一年度の改定豫算の調整提出に付て適用される譯でありまして、此の法律が成立すると同時に、政府の改定豫算の調整提出と云ふことが合法化されると云ふ、普通の法律とは多少意味合が異なるかと思ひますが、さう云つた意味に相成る、それから改定豫算と法律案とは別々に審議……別々に審議と申しますか、非常に改定豫算を離れて此の法律案を審議するのは意味がないぢやないかと、斯う云ふ御話でありますが、此の點は此の改定豫算を提出すること自身が法律を要すると云つた點で、此の改定豫算と一體を成して居るものでありますが、此の法律と豫算とは同一の議會に提出される譯でありまして、法律案が不成立になる、或は改定豫算が不成立になる、何方か片一方は成立して、一方は不成立になると云ふやうなことは、議會一體の趣旨から見て考へられないと云ふ意味合で、同時に審議を進行して戴き、さうして同時に兩方共成立或は不成立と云ふやうな、運命を共にする法律と考へまして、決して兩者別々に審議する意味ぢやない、と云ふ意味合に考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=7
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008・久保田敬一
○委員長(男爵久保田敬一君) 御説明に依つて政府の御意思は能く分りましたが、豫算と法律の關係では、法律が否決されれば豫算がなくなるので差支ないと思ひますが、兎に角此の法律は、改正豫算を今議會に提出するのには法律を要すると云ふ問題でありまして、それに拘らず提出されたと云ふことは大いに疑義あることと思ひます、尚此の法の遡及のことに付ては、何等此の法律に書いてないのでありますが、若しさう云ふ御趣旨ならば或は此の法律に、遡及すると云ふことは明かに書かなければならぬのではないかと云ふことを考へて居りますが、政府の御意思は能く分りましたからして、私の御尋ねした目的は達した譯であります、是より質問に入ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=8
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009・松村眞一郎
○松村眞一郎君 是は憲法七十一條から來て居る關係ぢやないかと思ふのでありますが、此の法律を見ますと、理由書の方にも、本文の方にも、憲法七十一條の關係と、それから大臣が説明されました戰時中の豫算であつて終戰後の事態に適せないと云ふ趣旨とが現はれて居ない、さう云ふやうなことは非常に重大な關係ぢやないかと思ひます、憲法の七十一條の規定で、前年度豫算を施行しなければならぬと云ふ事態が一つ、さうして終戰後の状態は、戰時豫算を以ては行ふことが出來ないと云ふことが第二點でございます、此の二つがあつて初めて此の法律の意義があるものと私は考へるのでありまして、此の法案それ自身を見ますと、或年度に於て豫算を施行する際に、其の豫算か適實簡明でない場合には、之を適實簡明ならしむる爲に立法をすることが出來ると云ふが如き先例を作る虞れが私はあると思ふ、此の法律を見ますとさう云ふやうになつて居るのであります、昭和二十一年度に於ては豫算を適實簡明ならしむる爲に、政府は茲に斯う云ふ改定の法律案を出すのだ、斯う云ふ思想であれば矢張り同じことなんです、「昭和二十二年度においては」と云ふ法律を又出し得る形に私はなると思ふのであります、さう云ふことは此の法律の期待して居る所でないのであつて、憲法七十一條に於て前年度の豫算を施行すると云ふ事實が先づ茲に生じた、さう云ふ場合でなければ、決して斯くの如き法律は出す譯がないのである、且其の場合でも出さないのである、終戰と云ふ問題があつたのだから出すのだと云ふことは、是は明瞭でありますから、其のことは法律の中に書く必要があると思ふのであります、理由書にも書いてない、さう云ふことは法律の本文にも書いてない、率然として此の法律を眺めた場合に、後の世に於て、或豫算を見た時に適切でないから改正出來ると云ふが如き先例を茲に作ることになつて、私は是は甚だいけないと思ふ、私はどうしても形は、憲法第七十一條と云ふことを茲に謳ひ、さうして終戰後と云ふことを謳つて、而して此の法律の意味を明確にする必要が私はあると思ふ、此の改正案では私はいけないと云ふ考を持つて居る、單純な特別會計と法律の關係と云ふやうな問題ぢやないのであつて、斯う云ふことは憲法を改正すべき問題ぢやないかと私は思ふ、憲法七十一條を見れば、「前年度の豫算を施行すへし」と云ふことが書いてあるのでありますから、それ以上に餘地がない筈である、併しながらそれ自體は憲法の規定を其の儘執行することが出來ないからと云ふので、私は或意味に於ては是は責任支出と同じぢやないかと思ふ、責任支出と云ふのは、憲法にはないけれども、從來認めて居るのは、憲法を補充する意味に於て解釋して居る、此の法律も憲法を補充する意味に於て解釋すべきものであつて、會計法の改正であるとか、特別會計の聯關であるとか云ふ小さい問題でないと思ひますが、憲法の七十一條の規定を見て、直ちに此の法律の如きことを平生の場合に於て想像し得ないのぢやないか、今度に於て想像し得るのぢやないかと思ひますが、其の點はどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=9
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010・河野一之
○政府委員(河野一之君) 此の法律に付きましての色々憲法上の解釋にあらうかと思ひますが、昨日大臣が本會議に於て御答辯に相成りました通り、政府に於ては之を何等違憲とは考へて居らない次第であります、憲法の第七十一條に於きまして、「豫算成立に至らざるときは政府は前年度の豫算を施行すへし」と云ふ規定に相成つて居りまして、本年度と致しましては憲法の條章に從ひまして昭和二十年度の豫算を施行したのであります、併し終戰後の事態がすつかり一變致しまして、前年度の戰時豫算を其の儘使ふことが出來ないと云ふやうな状態に相成りましたので、斯う云ふやうな改定豫算の形式で豫算を改定すると云ふことを考へた次第であります、と申しますのは、前年度の豫算は二百九十二億でありまして、其の中使へますものは約八十億であります、其の主なるものは國債費でありますとか、其の他中央官廳の經費で、後の二百十二億は使へない、或は使ふのが適當としないと云ふことに相成ります、從ひまして從來の行き方では、二百九十二億と云ふ豫算で八十億だけ使ふことになりまして、後の二百十二億は不用と致します、さうして更に追加豫算を提出致します、從ひまして本年度で言ひますれば、五百六十億でありますから、其の八十億を引きました四百八十億と云ふ追加豫算を提出になり、一方二百九十二億と云ふ施行豫算と云ふものは生きて居る、斯う云ふやうな恰好で豫算が作られる、是が從來の行政慣行であります、併しながら斯う云ふやうな豫算と云ふものは本當に分らないのぢやないか、各方面に於て民主化の叫ばれて居る際に、豫算に於ても或程度民主化しなければいかぬと云ふやうな考へ方から致しても、非常に分りにくい點があらうかと思はれます、それから豫算の實行上に於きましても、非常に金額が厖大となりますのみならず、各不用な款項と、使ひます款項と分れて居りまして、どの款項から出すかと云ふことに付て非常に錯綜複雜致しまして、決算整理上も非常な困難を感ずる次第であります、其の點が第二であります、從ひまして今囘の措置と致しましては、從來二百九十二億の豫算を二百十二億不用に致すと云ふことは、行政官廳の内部決定だけでやつて居ります、勝手に閣議決定を致してやる譯でありますが、閣議決定如何に依りましてはどんどん使ひ得ると云ふことで、一應憲法上有效に成立して居る豫算でありますから、閣議決定さへ直せば幾らでも使へると云ふことになりますが、是は今囘の場合に於ては良くないのぢやないか、從つてそれを議會の協贊を經て其の二百十二億と云ふものを落してしまふ、さうして他方要るものは追加して行かうと云ふ、款項の費額を落すのと、款項の費額を追加するのと、後の部分は追加豫算の提出と云ふことになりますが、其の二つを合せたものを一箇の行爲として出す、改定豫算として出す、斯う云ふ趣旨のものであります、斯う云ふ行き方を致しますに付きましては、色々議論もありました次第でありますが、從來繼續費を改定致します例を取りますると、何年度から何年度迄總額幾らで、各年度の年割額は幾らであると云ふことが繼續費として協贊を經てあります、從つて後年度の年割或は當該年度の年割に付ては、協贊を經てある以上更に協贊を必要としない、其の金額は計畫が變つて行けば不用として落せば宜い、鐵道の新線が五十本なら五十本ある、それに對して一億の金が入つて居る、其の中二十本だけは止めることに致したと云ふことになりますと、それに相當する金額だけは使へないと云ふことにすれば宜い譯でありますが、それを從來の繼續費の慣行でありますると、それに相當する金額を一應減少致します、さうして更に十線なり二十線なりの必要な新線の經費を追加要求する、一方に減じて一方に追加する、之を繼續費の改定と言ひます、此の改定豫算と云ふものは、繼續費の改定の從來の例を追つたものと申上げて宜いと思ひます、豫算全體に付て減らし、追加する繼續費の例を追つて改定する、斯う云ふ趣旨に考へられても支障ないぢやないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=10
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011・松村眞一郎
○松村眞一郎君 私は實質のことを伺つて居るのぢやない、斯う云ふことをなさることが良いか惡いかを御尋ねして居るのぢやないのでありまして、規定上豫算は豫算であつて、法律と關係ないことである、豫算は豫算である、元來法律上の規定に依る豫算はありますけれども、豫算を編成する場合に、或法律に依つてやると云ふことは今日ない、會計法は憲法を承けた會計法で、豫算を斯く編成すべしと云ふ法律がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=11
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012・河野一之
○政府委員(河野一之君) 會計法の規定に、總豫算の外に追加豫算を提出すると云ふ規定があるのであります、追加豫算の以外の豫算の形式は認めて居りませぬ、今囘出します改定豫算は、一部は追加豫算の形式もございまするが、一方費額を減額すると云つた意味に於きまして、會計法上に言ふ嚴格な意味の追加豫算とは多少違ふと考へます、從つて會計法の特例と致しまして、政府にさう云ふことが出來ると云ふ權限を與へると云ふ意味で、法律を要すると考へられるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=12
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013・松村眞一郎
○松村眞一郎君 會計法が憲法の認めないことを規定すると云ふことはおかしいと思ふ、私の申すのは、法律は法律である、豫算は豫算であると云ふ議論を致して居る、斯くの如き法律が豫算を組むべしと云ふ法律はない、法律があつて豫算が組まれるのでなく、憲法があつて豫算が組まれて居る、法律上の既定歳出と云ふことはあります、併しながら斯く豫算を組むべしと云ふことはあるべき譯はないと思ふ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=13
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014・河野一之
○政府委員(河野一之君) 豫算と法律とは其の性質、效力に於て違ふことは明かであります、此の法律は豫算を是々に組めと云ふだけの意味で出した法律ではないのでありまして、豫算は豫算、前年度の施行豫算を改定豫算で改定すると云ふこと自身は改定豫算案で行つて居る次第であります、此の法律は少しく諄々と書いてございますが、會計法の特例と致しまして、斯う云つた趣旨の豫算を出すことが出來るのだと云ふ權能を與へただけのものである、斯う御解釋を願ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=14
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015・松村眞一郎
○松村眞一郎君 それであれば政府の御考は、是は會計法の改正であると御考になつて居るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=15
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016・河野一之
○政府委員(河野一之君) 會計法の特例であると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=16
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017・松村眞一郎
○松村眞一郎君 それであれば會計法の改正として御出しになつて宜いと思ふ、會計法中改正法律案とか…戰時特例が會計法の特例として出て居る、會計法の特例であれば會計法の改正として出るべきものぢやないか、併し是はさうでない、憲法第七十一條の施行に於て斯くの如き問題が生じた、尋常一樣の場合と趣きを異にして居ることは先程申した通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=17
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018・河野一之
○政府委員(河野一之君) 是は會計法の特例であるから會計法改正としてはどうか、斯う云ふ御話でありますが、此の法律案は昭和二十一年度だけに限つた問題でありますので、會計法と云ふやうな恆久的な法律を改正すると云ふ手續でなしに、今年度だけの特別の措置と云ふ意味合で單行法を出した譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=18
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019・松村眞一郎
○松村眞一郎君 特例であるとか、恆久であると云ふことには關係がない、會計法の改正であれば會計法の改正として御出しになつたら宜いと思ひますので、恆久であると云ふことになれば、戰時特例に付て會計法の改正と云ふものもおかしい、恆久法でも何でもない、二十一年度の會計法に限つて是でなさると云ふことになれば宜いと思ひますが、何故會計法の改正として出來ないかと言へば、是は憲法の補充であると私は思つて居る、さう云ふ簡單なものとは私は考へて居ない、政府の御考は會計法の改正と御考になつて居りますか、實質上……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=19
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020・河野一之
○政府委員(河野一之君) 御答へ申上げます、是は御意見の相違に相成りますが、政府と致しましては、憲法の補充規定であるとは絶對に考へて居りませぬ、會計法の昭和二十一年度に限る臨時の特例である、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=20
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021・松村眞一郎
○松村眞一郎君 それであれば、是は意見になるかも知れませぬが、大臣に伺ふのですが、會計法の改正であるならば、會計法の改正として御書きになれば宜いのですが、何故會計法の改正と御書きにならないのですか、政府委員の御説明に依ると、會計法の改正と言はれて居りますが、會計法の改正と書いて宜しいではありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=21
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022・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 其の點に付きましては御話のやうな意見もございまして、色々と大藏省、法制局と協議を重ねたのでありますが、それは御承知のやうに、昭和二十一年度と云ふ前古未曾有の變革期の極く特例で、特例と言つても單なる特例でなしに、全く稀有な特例に屬して居る一時的なものでありますので、會計法を弄ると云ふのは適當ではないと云ふ政府の意見に決定致しまして、單行法律を以て致したい、斯う云ふ趣旨であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=22
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023・松村眞一郎
○松村眞一郎君 私は稀有な特例であるが故に會計法の改正が出來ないとか何とか言ふことは議論にならないと思ひます、それならば稀有の改正であると云ふことを法律に何故書かないのですか、憲法七十一條に依つて、前年度豫算を施行しなければならぬやうな状態になつた、さうして是が戰爭の關係があるのだ、故に本當の特例として斯くの如きことを二十一年度に於てやる、斯う云ふことを書かなければいかぬのぢやないか、特例の特例であると云ふ立法ならば、特例の特例であると云ふことを茲に御示しにならなければいかぬ、ちつとも特例の特例であると云ふことが、本文を見ても、理由書を見ても分らない、是は意見になるかも知れませぬが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=23
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024・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 御話の通りと思ふのであります、唯私は素人であるから、さう云ふことを言つて宜いのかどうか存じませぬが、私は謂はば文章が惡かつたと申しますか、私共としては、「昭和二十一年度においては」と斯うあるので、時が限つてあるから、其の御話の意味が茲に現はれて居る、斯樣に考へて居つた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=24
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025・松村眞一郎
○松村眞一郎君 私は先程申したやうに「昭和二十一年度においては」と云ふことで、特例であるならば、今度は昭和二十二年度に於ては、「昭和二十二年度においては」と書けば宜しいことになるのであります、それではいけないと云ふことを申して居るのであります、是は意見の相違と言へば意見の相違でありますが、私はさう云ふ意見には承服しないと云ふことだけ申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=25
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026・黒田英雄
○黒田英雄君 ちよつと關聯して居りますので……、此の提出されました改定豫算と云ふものは、憲法上の二十一年度の豫算と云ふものになるのでせうか、二十一年度の豫算と云ふものは、憲法の七十一條に依つて施行豫算が施行されて居る、從つて二十一年度の豫算と云ふものはもう施行豫算で、是はそれを実際實行豫算……從來ならば實行豫算と云ふものを、此の法律に依つて議會の協贊を經て拵へたのだと云ふ風になるのぢやないでせうか、それを伺ふのは、實は決算との關係ですが、決算は總豫算と同一の形式を以て議會に提出しろとあるのですから、其の決算の形式が、此の改定豫算の決算ではなくて、施行豫算、それに追加豫算、或は之に或るものを加へたもので決算が出來るものですか、其の決算の形式にも關するので實はさう云ふ疑を持つのですが、其の點を明かにして戴きたい、尚是は無論會計法の例外にもなつて居るのですから、樞密院の御諮詢は經て居るものでありませうな、其の點を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=26
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027・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 樞密院の御諮詢を經て居ります、それから決算の形は、改定豫算と同じ形で決算を致す方針であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=27
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028・黒田英雄
○黒田英雄君 さうすると、二十一年度の施行豫算と云ふものは消滅することになるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=28
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029・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 二十一年度の施行豫算は改定豫算に依つて形が變へられる、斯う云ふ風に御了解願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=29
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030・黒田英雄
○黒田英雄君 どうも其の點がちよつと私には納得行かないのですが、憲法に依ると、前年度の豫算が施行されて居る譯ですね、それを法律で以て變へてしまふと云ふことは、一體出來るものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=30
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031・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 此の改定豫算に關する法律でそれが變るのでなしに、別途御協贊を願つて居りまする豫算案に依つて、施行豫算の内容が變形させられる、斯う云ふ意味に了解して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=31
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032・黒田英雄
○黒田英雄君 それでは施行豫算の決算と云ふものはなくなる譯で、提出されない譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=32
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033・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 御話の二十年度の豫算と同じ形に於ける施行豫算の決算と云ふものは致しませぬ、改定豫算に依つて「プラス」し、「マイナス」して、是だけ結果が出て來ます、其の改定豫算の形に依つて決算を行ふと云ふ考で居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=33
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034・黒田英雄
○黒田英雄君 ちよつと分りませぬけれども、まあ此の程度にして置いて…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=34
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035・河井彌八
○河井彌八君 二十一年度改定歳入豫算明細書と云ふものを初として、各省の改定豫算參照書と云ふものが昨日でしたか配付になつて居ります、それは詰り此の法律案が通過するものと豫期して是は作つた、詰り初めて議會に出す總豫算と同じ形を以て、總て先程御話のやうに落すべきものを落し、加へるべきものを加へて、さうして茲に編成した、さう云ふものと解せらるべきものであるか、それを一つ伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=35
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036・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=36
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037・河井彌八
○河井彌八君 さうしますと、緊急勅令の二百四十二號ですか、あれは大分特殊の財源を持つて居りますが、あの財源は總て是は分配して入つて居るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=37
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038・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) あの財源は主として大藏省證券に仰いだのでありますが、大藏省證券は、改定豫算に付きましては非常に大きな費額を計上致しまして御協贊を願ふことになつて居ります、其の中に含まれることになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=38
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039・河井彌八
○河井彌八君 さうすると、矢張り此の豫算を見れば何處かにそれがはつきり出て居る譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=39
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040・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) はつきり出て居ります、それで且亦此の項目のものは此處から出したと云ふ對照表を付けてございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=40
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041・河井彌八
○河井彌八君 此の中にですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=41
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042・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 此の書類の中に總豫算と云ふ書類がございますが、其の後の方に明瞭に對照表を付けてございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=42
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043・黒田英雄
○黒田英雄君 先程御尋ねした決算の關係は、施行豫算はさうすると此の法律で以て變つてしまつて、消えてしまふやうになるのは穩かでないやうに思ふのです、それから序でに御答を願ひたいのですが、先程松村委員に對しての御答辯もありまして、略略御趣意も分りましたが、今後議會で豫算が議了されないと云ふやうな場合に、成立しないと云ふやうな場合に、矢張り憲法で前年度の豫算を……、今度は憲法が變りますからさう云ふことはないと思ひますが、今後は斯う云ふことは實際に於て全然豫算に於て必要ない、斯う云ふ改定豫算に關する法律で規定するやうなやり方をやる必要はないと云ふやうに、總て會計法は今後變へられる時に考慮して御改正になる御考へでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=43
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044・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 昭和二十一年度は先程大臣からも御説明申上げました通りに、非常に稀有な特例でありまして、將來は、斯う云つた變則的なことをやる必要はないのではないか、さう云ふやうな非常に大きな激動もないのぢやないかと云ふやうな考へを持つて居ります、それから決算に付きましては、施行豫算が、二十年度の豫算と同樣なものが二十一年度の豫算として憲法七十一條に依つて出來る譯であります、それを議會の御協贊を願ひまして、此の法律ではなく別途の豫算案に依りまして、其の二十一年度の施行豫算を之に増減を加へまして、さうして改定豫算として、其の改定豫算の形に依つて決算を致す、それで施行豫算が「モデファイ」されて改定豫算になる、從つて初めの原形の儘の施行豫算と云ふものは、それに依つて變形してしまつて違つたものになる、斯う云ふ風に了解致して居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=44
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045・黒田英雄
○黒田英雄君 併し憲法の七十一條に依りまして今は施行豫算が施行されて居るのだらうと私は思ふのですがそれが是で有耶無耶に消えてしまふと云ふことはおかしいと思ふ、施行豫算と云ふものは既に成立して居るものです、成立と云ふ言葉はおかしいが、施行豫算と云ふものは、出來て居るのですから、矢張り結末が何かなければならぬのぢやないかと云ふ氣が致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=45
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046・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 施行豫算は現に存在致して居るのでありますが、別途の豫算案に依りまして施行豫算が變形させられる、改定豫算と云ふ形に依つて變形させられる、斯う云ふ風になる、それで施行豫算はなくなつてしまふと云ふのではなく、施行豫算が變形をさせられる、斯う云ふ風に御了解願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=46
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047・黒田英雄
○黒田英雄君 施行豫算と云ふものは、憲法七十一條に依つて出來て居るのですから、法律で以てそれを形を變へると云ふことは出來ないのぢやないかと云ふやうに我々は考へるのです、實際に行くのは此の豫算であると云ふことは言へますけれども、憲法上出來て居る豫算ですから、それを法律で以て變へてしまふと云ふことは出來ないのぢやないかと云ふやうな考へですが、どうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=47
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048・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 是は既に御分りになつて居ることと思ひますが、此の改定豫算に關する法律に依つて施行豫算を變へる、斯う云ふ意味ではごさいませぬのでありまして、別な豫算案に依りまして施行豫算を變形をする、飽く迄施行豫算を變形するものは豫算案である、豫算案で以て變形することは、是は憲法上差支へないものである、斯う云ふ見解を持つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=48
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049・黒田英雄
○黒田英雄君 豫算案で實際上に變へると云ふ御話ですが、それは追加豫算を加へると云ふやうなことは認められて居りますけれども、不用額になるものは不用額として決算に載るだけであつて、施行豫算其のものは憲法上の豫算であるからして、それを變へると云ふことは出來ないのぢやないかと思ふ、唯政府が之を實行されるのは改定豫算で實行されて行くのでありますが、決算の場合には、施行豫算は施行豫算として前に殘つて居つて、それが決算上は追加豫算とか色々なものが改定豫算で出來まして、結局不用額は幾ら不用額と云ふことで行かなければ、憲法上の豫算と云ふものは之に依つて消滅すると云ふやうな結果になりはしないかと云ふことを惧れるのですが、其の點は如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=49
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050・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 同じやうなことを繰返すことになるかも知れませぬが、施行豫算は、年度開始迄に豫算が成立しないやうな場合に、前年と同じ内容の豫算が施行されると云ふことが根本の趣旨でございまして、從つて其の豫算に封しては全然改定を加へられない、斯う云ふ憲法の趣旨ではない、斯う云ふ風に政府としては解釋して居る譯であります、從ひまして、其の存在して居る豫算に對して、政府が發案し、議會の御協贊を得まして、それに對して減ずべきものは修正を加へ、且必要なものを出す、必要なものを出すと云ふことは先程の御話でも從來もあることであり、當然認められて居ることでありますが、寧ろ問題は減らすと云ふ點に御話があるやうでありますが、是は唯政府の行政内部の事實として其の措置を執るに止まらないことを、明白なる形に出して、議會の御協贊を經てはつきり之を減らして使はないやうにすると云ふ措置を執ることは、是は考へ方に依りましては立憲的であり、憲法の精神に副ふのぢやないか、斯う云ふやうな考を持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=50
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051・黒田英雄
○黒田英雄君 只今の御説明で、減らす方のは、唯政府部内で實行豫算を作つて減らすと云ふことを議會の協贊も得ると云ふ御趣旨は、其の通りであると思ひますが、それに依つて施行豫算と云ふものが無くなつてしまふやうになるものではないと思ふ、決算は未だ此の次の問題ですから、それ迄私は御研究を願ひたいと思ふのですが、是れ以上は議論になりますから、質問は此の程度に止めて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=51
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052・長島銀藏
○長島銀藏君 昨日の佐々木さんの御意見、それから又本日の松村さんの御意見、それから政府の今の御答辯等を勘案致しますと、そこに非常な議論の上の議論になりさうな點が相當ございますので、是は愼重研究して事を議さなければなりませぬし、政府の御説明も意の在る所が能く分つたり致しますから、お暑い所御迷惑でも、相當囘數を重ねて能く研究して戴くやうに御取計ひを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=52
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053・久保田敬一
○委員長(男爵久保田敬一君) 本日は此の程度で散會致しまして、明日開會することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=53
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054・久保田敬一
○委員長(男爵久保田敬一君) それでは明日午後一時半から開會致します、今日は是で散會致します
午前十一時九分散會
出席者左の和し
委員長 男爵 久保田敬一君
副委員長 子爵 保科正昭君
委員
公爵 桂廣太郎君
侯爵 大炊御門經輝君
伯爵 黒田清君
子爵 稻垣長賢君
永井松三君
河井彌八君
松村眞一郎君
男爵 稻田昌植君
男爵 古市六三君
黒田英雄君
片岡直方君
長島銀藏君
男爵 坂本大造君
木下謙次郎君
國務大臣
大藏大臣 石橋湛山君
政府委員
大藏事務官 野田卯一君
同 河野一之君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000252X00119460813&spkNum=54
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