1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○金融緊急措置令(承諾を求むる件)
○日本銀行券預入令(承諾を求むる件)
○昭和二十一年勅令第九十號(承諾を求むる件)
○臨時財産調査令(承諾を求むる件)
○昭和二十一年勅令第百二十八號(承諾を求むる件)
○昭和二十一年勅令第百十一號(承諾を求むる件)
○昭和二十一年勅令第百二十七號(承諾を求むる件)
○昭和二十一年勅令第百五十九號(承諾を求むる件)
○昭和二十一年勅令第百七十九號(承諾を求むる件(
○昭和二十一年勅令第百八十號(承諾を求むる件)
○昭和二十一年勅令第二百四十一號(承諾を求むる件)
○昭和二十一年勅令第二百四十二號(承諾を求むる件)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年七月十六日(火曜日)午前十時二十六分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=1
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002・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 開會を致します、前回税關係の御質問がございましたが、丁度主税局長が出席して居られませぬので今日に延期を致して置きました、今日は出席がございましたから、もう一度御質問を繰返すやうになりますけれども願ひたいと思ひます、其の上で一つ御答辯を…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=2
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003・膳桂之助
○膳桂之助君 此の前の質問は片倉さんの質問であつたのですが、今日は御見えにならないやうですが、實は昨日私に、自分は已むを得ない用事で或は出られないかも知れぬ、一つ答辯だけはよく承つて呉れと云ふことを言傳てして參られたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=3
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004・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 左樣でございますか、どなたか他にございませぬでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=4
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005・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 昨日御説明戴いた數字が合はない所がありますが、それをちよつと聽かして戴きたいのであります、是は財産調査の關係になつて居りますが、五月末現在の日銀券三百六十三億圓の内譯として農漁村に百七十五億圓とありますが、是は總計して二十五億圓ばかり不足して居りますが、それをちよつと伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=5
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006・江澤省三
○政府委員(江澤省三君) それは金融機關の手許に二十五億の差額が殘つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=6
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007・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 それから是は新圓になつてからの分布状態ですが、財産調査をなさつた時の現在の通貨の分布状態はお分りになつて居りませぬでせうか、六百億圓程の通貨がどう云ふ風に分布されて居りましたか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=7
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008・江澤省三
○政府委員(江澤省三君) 其の邊は十分な調べがまだ出來て居りませぬ、五月末の御話を申上げた數字、それと大體同じやうなことになつて居ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=8
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009・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 大體同じと仰せられますと、「パーセンテージ」が大體其の位と云ふことですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=9
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010・江澤省三
○政府委員(江澤省三君) はい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=10
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011・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 重ねて御伺ひ致しますが、調査の時の數字が基礎になつて來るべき財産税課税の模樣が決められることにならうと思はれますが、三月三日現在の状態と財産税が課税される當時の状態とは、大分状態が變つて來るものとも思はれるのですが、之に對して新しく財産税を課せられる前に、もう一度財産調査をなさる御意向でありませうか、それを伺ひたいのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=11
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012・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 財産調査令に依りまして三月三日に調査致しました金錢的財産並に契約に基く財産が、其の後の状況を見ますと非常に變つて居る、從つて今後行はるべき財産令の調査期日を變更する意思があるか、斯う云ふ御質問と拜承致しました、其の後の預金状態は變つて居りまするが只今の處、主税當局と致しましては、三月三日の調査時期を變へると云ふ考は持つて居りませぬ、之を變へると云ふことになりますと財産調査に非常な手數を掛けますのみならず、三月三日程完全に調査が行きにくいのぢやないかと云ふ考を持つて居ります、其の後の移動はございまするが、是は矢張り預金の引出等に依りまして新圓が殖えたのであつて、個人財産關係に於きましてはさう大した變化はないのではないか、又假令ありましても、其の後に非常な儲けをなさつた方なんかには、一般の税法で相當課税し得る途が開けて居るのでございます、從ひまして只今の處、今一度手數を掛けると云ふことは止めたいと云ふ氣持を持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=12
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013・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 只今御説明の趣了承しましたが、それは表面に現はれた状態が、現はれない状態が澤山にあるやうに思はれるのであります、例へば財産調査の時に目標となつたものは動産でありますけれども、不動産の移動に付て、財産税が實行されてからの取引をすると云ふやうな約束の下に不動産の授受が行はれて居ると云ふやうなことがあるのぢやないかとも思はれるのでございますが、それ等に付てどう云ふ風に御處置なさる御意向でございませうか、重ねて調査なさらないとしますと財産税を課せられるのは極めて近い將來であらうと思はれますが、餘り課税される時期が遲れると、それを負擔する國民の一部の者には相當影響があらうと思はれるのでございますが、それ等をどう緩和なさる御考でございませうか、伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=13
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014・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 三月三日現在に依りまして金錢的債權等を調査致しましたが、其の他の動産並に不動産に付きましても飽く迄三月三日の状態に於て課税を致します、從ひまして三月三日以後に動産或は不動産を賣買致しましても、それは預金が不動産になるか、或は不動産が現金になるか等でございまするから、財産税課税に付きましてさしたる支障はないと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=14
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015・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 私の質問は一先づ是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=15
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016・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 昨日片倉委員より、上諏訪税務署管内の某氏の宅に參りまして、在庫品其の他を調べた、是は臨時財産調査令に規定のないことであり、税務官吏の越權行爲ではないかと云ふ御質問があつたと聽き及んで居ります、此の事件に付きましては私も財務局を通じまして先般調査致しました、結論から申しますと、某なる方は營業者ではございませぬ、從ひまして財産調査令に對しまして税務官吏の質問に答へる義務もないのであります、從つて税務官吏が某氏宅に參りまして有らゆる財産を調査致しましたことは越權行爲でございます、從ひまして税務署長又は其の當該官吏をして某なる方に釋明謝罪を致さして居ります、是が結論でございます唯斯う云ふ風な過誤を犯しまするに至りました原因は多々あるのでございます、財産申告に付きまして非常に疑はしき點が多々ありました、又其の疑はしい氣持を起しますのに非常な澤山の投書がございまして、税務官吏は税務署長の代理と致しまして某なる邸宅に出向き、預金調査に付きまして質問し、さうして家財を搜査致しますには、某なる方の家族の承認を得てやつたさうであります、併し如何なる事情がありませうとも、法規の範圍を逸脱致しまして税務官吏が調査致しましたことは、是は行過ぎで全く越權でございますので、適當の處置を執つた次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=16
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017・種田虎雄
○種田虎雄君 昨日荒川君の御質問に對して政府委員から御答辯になつた點に付て、重ねて私から御尋ねしたいのであります、大體此の金融緊急措置令其の他は、何れも通貨の面から「インフレ」を防がう、斯う云ふ趣旨で此の緊急勅令が發布されて居ると思ふのであります、然るに政府としては運賃料金等に付きましてそれそれの政府事業を通じて値上をして居る、此の値上は寧ろ通貨の面に於て吸收されるので「デフレ」の傾向を持つて居る、斯う云ふやうな御説明がされて居つたやうに思ふのであります、然るに昨日御配付になつて居る所の日本銀行券の發行状況の此の表を見ますと、終戰以來最近の七月十二日迄の間に、殊に三月の時には相當に收縮して居る、其の後日を經るに從つて發行高は殖えて居ります、從つて政府委員の御説明に依りまする「デフレ」の傾向ありと云ふ御話は、ちよつと私に受取れないのであります、政府當局の御考がさう云ふ風な考へでさうして政府として違つた政策を遂行して行かれると云ふことは如何なものであらうか、斯う思ふのであります、重ねて御伺ひする次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=17
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018・櫛田光男
○政府委員(櫛田光男君) 御答へ申上げます、昨日私が申上げましたことに付て色々今重ねて御質問がございましたが、昨日申上げました趣旨をもう一度茲で申上げて見たいと思ひます、昨日申上げたのでありますが、或は鐵道運賃の値上げとか、煙草の値上げとか、左樣な政府がやつて居りますものの値上げを致しますることは物價の關係等から言ひまして、國民生活に影響する所が決して少くないやうな事態もありますので、出來る限りやりたくないと云ふことを先づ申上げました次第であります唯財政の關係とか色々な事情がございますので、結局各方面の御意見を伺ひ、或は委員會でありますとか、さう云ふ風な手續を經まして、先般行はれましたやうな結論が出た次第であります、其の際一言附加へて申しましたことは、政府がやつて居ります限りに於て、何と申しますか、それだけ通貨を吸收すると云ふ役割を持つと云ふ意味に於て、「デフレ」的な效果と申しますか…全體がそれに依つて「デフレ」の傾向に向ふと申した譯ではございませぬので、「デフレ」的效果を持つと云ふ一面もございませうが、さう云ふことを申上げた次第なのであります、さう云ふ風に御了承を願ひたいと思ふのでありまして、政府がやつて居りますものをどんどん上げたら、銀行券が現實の效果として何億か減つて行くと取りますと、是は餘り誇大されたやうな關係に相成るかと思ふのでございますが、申上げました趣旨は通貨の吸收と云ふ意味に於て何がしかの效果があると云ふことを一面に於て認めても宜くはないか、唯それが他面に於て色々物價の關係から、直接又は間接に國民生活に色々影響がございまするので、其處等邊の工合がなかなかむづかしい問題でありますが、そこを考へまして、委員會等を經まして、其の御意見に從つて先般、左樣な措置が執られたと云ふことを申上げた次第であります、御承知を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=18
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019・種田虎雄
○種田虎雄君 只今政府委員の御説明で大體御説明の趣旨は分りましたが、斯う云ふ緊急勅令を御出しになるのには、相當愼重な態度で、色々研究の上で御出しになつたと思ふのであります、是等の點に付きまして、何れ全體のことを伺つた後に又重ねて御尋ねする機會もあらうと思ひます、私の質問は是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=19
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020・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) ちよつと申上げますが、昨日は金融緊急措置令、日本銀行券預入令、昭和二十一年勅令第九十號、此の三つに付きまして、御質問を願ひましたのでございますが、是から臨時財産調査令に移りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=20
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021・膳桂之助
○膳桂之助君 臨時財産調査會令に付て二三御尋ね申上げて見たいと思ひますが、先程既に御質問がありまして、政府は財産税の基礎となるべき財産の調査の時期を三月三日と御定めになつたものを御變更になる意思を持つて居らぬと云ふ御話でありましたが、多少是は意見に亙るやうに思ひましてどうかと思ひますけれども、考へ樣に依りますと先程も御質問の中にもう既に現はれて居りますやうに此の三月三日と御定めになつた其の譯は、もう少し財産税法が早く御施行になれると云ふ御見込の下に期日を御定めになつたではないかと思ひます、又一つには、昨日もどなたから御質問に對する御答辯の中に拜承致したのでありますが、大體財産税は、戰時中の利得に依つて増した財産に付て税を御取りになる御積りなんだと、さう云ふ趣旨から大體調査時期を御定めになつたかのやうな御説明のやうにも拜承致したのであります、それにも幾分理由のあることと拜承するのでありまするが、先づ第一番の税の時期の問題であります只今又御説明の中では、其の後の所得に付ては所得税等に依つて相當の税が付くから別に不公平はないと思ふ、と云ふ風な意味に御説明でありましたが、財産税に依つて課せられまする税率、それから所得税に依つて課せられまする税率の間には、自ら相當の隔りがあるのではないか、又財産税の税の標準を拜見致しませぬから分りませぬけれども、必ずしもそれで調節が取れるかどうか、斯う云ふ色色の情勢から既に財産税を課すべき時期が遲れた、殊に初めの話では、少くとも金錢とか或は有價證券、預金も含んでありますが、さう云ふものに對する課税は七月、八月頃には本當に徴收するのだと云ふ御申込のやうにも承つたのでありますが、目下の情勢から言へば、果して何時財産税が施行になりますのか、大分其の間に情勢の變化があつて、假に三月三日の調査時期を決めたのが正當なりとしましても、其の後に大分所持金、預金等の變動がありまして、其の當時に相當のものを持つて居りましても、相當の理由の爲に後でなくなりましたものが、果して所期される税金が納め得られるかどうか、さう云ふ異動の問題もさう簡單に片付けられないものがあるのではないか、大體税の制度から言つても、法律が出來てから後ものが決まるのですが、遡つて取ると云ふことは非常に異常な、どつちかと言へば權道的のことで、既往に遡る制度、法律を後から作ると云ふことは、普通の法律觀念から言へば餘程例外的のことで、さう簡單に是認さるべきものでないやうに思ふのであります、それから第二の點でありますが、戰爭中に利得したものに對する税金と云ふ御考、是は一應理窟のあることでありますが、實は最近の物價の異動の激しいこと、それから又終戰後の色々の經濟状態の混亂…寧ろ戦爭中の利得と云ふものは今度補償の打切とか色々の點で是正されるのでありますけれども、實は世間で目に餘る者、戰爭後の混沌たる經濟状態に乘じて好ましからぬ方法に依つて相當多額の利得を得て居る人達の財産税、是は相當問題になるのぢやないかと思ふのでありまして、公平の上から見ましても、三月三日の調査時期を固守すると云ふことが社會的公正であるかどうかと云ふことは、相當考へなければならぬのぢやないかと云ふ感もするのであります、勿論是は見解の相違と言へばそれ迄でありますけれども、又今の御説明に依りますると非常な手數で困ると云ふ御話なんでありますけれども、是は手數が掛るやうな方法でやらうと思ふから手數になるので、財産税の取り方も手數にならないやうな方法もあり得るのではないか、宜いか惡いかと云ふことは別問題として、思ひ付きを申上げて見ますれば、例へば預金等に對しまする課税にしましても、全體の財産を綜合するやうに考へたら複雜でありませうけれども、或は別の方法で、預金は預金で或一定の源泉…丁度所得税に源泉課税と綜合課税のあるが如く、或程度の金額のものには一應源泉課税を取つて置き、それから尚綜合する場合の爲に或程度の留保をさせて置くと云ふやうな途も、或はあり得るのではないか、是はほんの思ひ付きで、良いか惡いかは別問題であります、新しく圓を切換へると云ふことは相當是は問題であらうと思ひますけれども、政府は再び圓の切換へはしないのだと云ふやうなことを仰しやつて居られるやうでありますけれども、兎に角物價が將來安定され經濟状態が安定されました時に、貨幣價値の切換へと云ふやうなことは、もう好むにせよ好まざるにせよ是は當然來べきことなのでありましてさう云ふやうな時に又貨幣價値の單位を改めることはないとも豫期出來ないことでありますけれども假にさう云ふやうな根本的なことがないにせよ、矢張り税の衡平を保つ爲には、御手數であらうが何かもう少し過去の經驗に鑑みまして簡單な方法も實は出來るのではないか、さう云ふ氣持でもう一度財産調査と云ふことをやり直すと申しますか、補充的に、一應三月三日の調査は其の儘活かして置きまして、其の後何かの或時期に調査しまして是の加減をすると云ふこと位は矢張り税負擔の公正を圖る上に考ふべきではないかと考へられるのでありますが、其の點に付て御所見は如何でありませうか重ねて御尋を申上げたい、それから之に關聯しまして、其の次に不動産及動産でも、預金や株式や現金等になつて居らない動産、即ち骨董でありますとか家具と云ふやうなものの調査の方法と調査時期に付て、重ねて御伺ひしたいのでありますが、先程の御説明に依りますると、矢張り同じく三月三日の状態に依ると云ふ御説明でありますけれども、もう既に數箇月も經て居り、殊に愈愈課税されます際には半年以上も經るのではあるまいか、其の際迄に隨分色々な物の賣買も行はれて居る、成る程不動産は一々其の都度登記をされると云ふことがありませうから分りますけれども、骨董や其の他の動産になりますと、過去に買はれたもの、賣られたものは隨分色々變動があると思ふのでありますが、後に財産税を取る、或は十月か、月はどうですか分りませぬけれども、將來のことに付て調べると云ふことは簡單でありませうけれども、遡つて之を調べると云ふことはどう云ふ方法をなさる積りであるのか、相當困難なものがあるのではあるまいか、其の點に付て如何なる方法で御調べになるのであるか、其の御腹案が承つて見たいのであります、と申しますのは、矢張り遡つて課税するのが宜いのか、或は現實の時に課税するのが宜いか、金錢の場合には三月三日で御調べがあるのでありますが、不動産に付て、或は動産に付て、果して三月三日の調べがさう簡單に出來るのか、乃至は遡つて課税するのも、將來に課税の日を決めるのも程度の差ではないかと云ふやうな感もするのでありますが、さう云ふ點の參考にもなりますから、不動産の調査方法、調査時期に付てどんな方法の御腹案でありますか、其の點を伺つて見たいのであります、之に關聯して尚二三御伺ひしたいこともございますが一應承りまして後に…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=21
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022・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御答へ申上げます、財産調査令に依りまして三月三日の調査時日を變更する意思はないか、又變更することが財産税課税に付て適當ではないかと云ふ御意見でございます、財産税等の内容が如何に相成りまするか、只今關係方面と折衝致して居りますので、はつきりまだ見透しが付いて居りませぬ、殊に軍需補償等と絡み合ひまして、なかなか此の内容を決めることは困難の状態になつて居ります、唯私が是から申上げますことは、本年一月發表致しました政府原案と云ふことを大體の基と致しまして、考へ方を御話申上げたいと思ふのであります、三月三日以後の財産状態が非常に變つて居るのではないか斯う云ふ第一の御疑問と思ひますが、私の見方は、全體の國民の財産と致しましてはさう變つて居ないと考へて居ります、勿論食料品等の關係に依りまして、新圓或は封鎖預金の一部が非常に農村、漁村等の方面に移つて居ることは認めますけれども、全體の富の分布状態から申しまして、さしたる異動はないと考へて居ります、是は見方の相違でございますが、私の氣持はさう思つて居ります、次に其の後に儲けた者は所得税で取れる、斯う云つても、財産税の税率と所得税の税率がどうか、斯う云ふ御質問でございます、財産税の税率は、政府原案で申しますと、二萬圓超過百分の十から五千萬圓超過百分の七十に相成つて居ります、勿論免税の其の他最高税率は相當變つて來ると思ひますが、現在私の考へて居ります所得税は、事業所得であつて三萬圓の利益がありますと云ふと、其の半ばが所得税に相成つて參ります、茲に五萬圓の財産家が三萬圓の利益を擧げた場合に於きまして、五萬圓の超過部分の三萬圓に對する財産税と所得税との税率は、殆ど同じか、或は所得税の方が高くなるやうな状況に相成つて居ります、斯う云ふ點から、三月三日後の財産異動状況を適確に把握せむが爲に財産調査時期を變へる氣持は持つて居ないのでございます、財産調査時期を變へると云ふことになりますと、新圓の印刷、或はそれが出來ませぬければ先般やりましたやうに證紙の印刷を始めなければなりませぬ、さうして之を全國津津浦々に送りますことは可成りの手數でございます、さうして是は新圓のみならず、其の後の異動は株式等に行きます關係上、又一度株式も調査令に依つて申告濟證紙を貼らなければならぬ、並大抵の苦勞ではないのであります、從ひまして其の後に於ける財産の取得の異動等に付きましては、大體所得税で呑めると云ふ氣持を持つて居るのでございます、遡つて財産を調査し、其の後に財産税法を施行すると云ふことは異例ではないか、原則に反することではないかと云ふ御話でございまするが、勿論普通に考へますとさうでございますが、實際面に於きましては、先般「フランス」で財産税を徴收致しました時も、六月四日から六月十五日迄を申告時期と致しまして、財産税法は八月の議會に提出致して居る事情もあるのでございます、此の財産税等こんな劃期的な税法は、なかなか普通の税と同じやうな考へ方では出來ないと思ひます、私自身が、財産税自體は非常な惡税であつて、出來るだけ避けたいと云ふ氣持を持つて居るのでありまするが、斯う云ふ惡税を尚且敢てしなければならない程日本の經濟状態は非常に變なものになつて居るのであります、一般の税理論で此の財産税を推して行くと云ふことは、なかなか困難な點があるのであります、從ひまして私は三月三日を調査期日と致しまして、今議會に財産税法が通過致しましても、調査に對して大した支障はないのではないかと思つて居るのであります、又御意見と致しまして、財産税を分類財産税にしてはどうか、預金に對して別の財産税を取る、さうして其の他の財産税に付ては綜合して取ると云ふ、斯う云ふ御意見があるやうでございます、拜聽するに十分價値ある御説と思ふのであります、財産税に付きまして分類財産税と云ふことは、學説ではございます併し之をやつた例はございませぬ飽く迄財産税は富の再分配、斯う云ふ觀念から論ぜられた財産税が多いのでございまして、矢張り綜合一點張りで行つて居るやうでございます、實際面と致しましては唯最近例外的に「ベルギー」は昨年分類財産税を施行致しました、是は概ね百分の五「パーセント」で、各財産に付きまして課税して行くと云ふ方法を採つて居るのであります、其の爲に可なりの成功を收めまして、敗戰後の經濟安定状況から見ますと、歐洲では「ベルギー」が一番だと云はれて居ります、私は分類財産税に付て考へないこともございませぬ、又今後の所謂經濟界の整理が如何樣になるかと云ふことを見まして、只今の政府原案と云ふものを根本的に變へると云ふ考へ方もしなければならないのではないかと云ふ覺悟は致して居ります、併し何と申しましても、分類財産税と申しますと、非常に不公平な場合があるのであります、從ひまして假令分類財産税をやりますに致しましても矢張り後から綜合した建前を取らなければ、財産を持つて居る形態に依つて不公平が起つて來ると思ふのであります、矢張り財産税と致しましては原則は綜合で行くのが本當ではないか、唯所謂財政事情の點から申しまして、又免税點の方の關係から申しまして、又擬制資本が如何なる形で經濟界整理後に於て殘るかと云ふ事情を見究めまして、篤と考慮致したいと考へて居ります、最後に三月三日に依つて金錢債權等は調査するが、不動産或は動産に付ても三月三日に依るかと云ふ御質問でございますが、勿論不動産等有らゆる財産も三月三日に依ることに致して居ります、不動産に付きましては、將來の税法施行後の一定期日を押へますよりも、それ以前の一定期日を押へました方が調査に便利でございます、御承知の通り土地が一億二千萬筆ございます、家屋が八百數十萬棟ございます、之を土地臺帳、家屋臺帳を資料に致しまして所轄税務署に送る譯でございまするけれども、將來の時期を押へますよりも、溯つた時期を押へる方が調査に非常に樂でございます、各棟の財産に付てはどうか、三月三日とは非常に異動があるのではないかと云ふ御話でございますが、勿論異動がございませう、併し我々としては飽く迄納税者の三月三日の誠實なる申告に頼りたいと思つて居ります、其の後の異動は事情の許す限り調査し、申告して戴きますが、三月三日現在に於ける課税對象になるものは申告して戴きたい、而も誠實なる申告を期待致して居るのであります、今回の如く非常に重い、實質的財産税でございますから、申告に對しては誠實を期待すると同時に、不誠實な申告に對しては嚴罰主義で臨んで行きたい、斯くすることに依つて所期の目的を達するのではないかと思つて居るのであります、茲に蛇足でございまするが、三月三日の調査時期を變更する意思はなきや否やと云ふことに付きましては、飽く迄政府原案を元として申上げて居るのでありますが經濟界の整理が如何なる範圍、如何なる形を以て出ますか、之に依りまして財産税の形も變つて來ると御了承を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=22
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023・膳桂之助
○膳桂之助君 少し細かいことになるのでありますけれども、財産税の賦課、是は企業整理並に軍需補償等に關係のあるやうな法人の問題に付ては、私は質問を避けます、唯一般大衆に影響ある問題に付て少し承つて見たいのでありますが、巷間何か杞憂されて居りまする問題は、火災保險の、何と云ひますか、特別預金と申しますか一體是がどうなるのであらうかと云ふことの杞憂、是は財産税の賦課及徴收に重大な關係があらうと思ひます、それから又火災に罹らなかつた人達、是の所有の不動産殊に家屋、斯う云ふやうなものがもう終戰後殆ど五倍、或る場合には七八倍になる迄の評價を呼び、可成りさう云ふ値段で賣買されて居るものであります、斯う云ふ現に不動産を所有して居る人達、さう云ふ人達と、本當に戰災を蒙つた人達とに對する國家の處分の公平、不公平と云ふ問題にも關聯のある微妙な問題であらうとも思ひまするし、尚又それが將來一般民衆が再び生業を得て、本當の健全なる平和國民として立ち得るかどうかの一つの岐れ目になる重大なる問題であらうと思ふのでありますが、そこで私が御聽きして見たいことは、第一番に火災保險の問題がどんな風に政府に於て處理されて參るものでありませうか、實は是は一部戰爭に依つて利益を得たであらう所の、或は戰爭の爲に云々と云ふやうな、所謂軍需工業とか、或は戰爭成金と云ふやうなことの問題でないことは申上げる迄もないことであります、寧ろ戰爭の爲には多大に犧牲になつて居る人達の問題なのでありまして、是は一般の政府の補償問題とは全然其の性質を異にして、特別に考へらるべき問題だと思ひます、是は衡平と云ふ考へ方の上からも、將來の國民の復興と云ふ點から考へて見ましても、相當重大問題であらうと思ふのでありまして、此の點に付ては政府御當局の色々の御苦心ある御考案も去ることと拜承致すのでありまするが、財産の是からの調査にも重大な直接關係のある問題であります、そこで私は是等の今申上げました點に關して、二三細かいやうな問題でありますが御伺ひして見たいと思ふのであります、是はなかなか色々事情の變化もございませうが、國民一般は戰爭の犧牲となつた、其の爲、保險料を拂つて、受取ることを確信して居りつつある、此の不動産に對する保險金と云ふものは矢張り自分の財産として考へて、それを本にして將來の財産税並に産業の復興と云ふものを考へて宜いものであるかどうか、此の點が第一番、それから色々公平の問題もありませうし、又税金が負擔出來るや否やの問題もございまするが、將來遡つて行はれようとして居りまする此の不動産の價格の認定の問題でありますが、どんな標準で之を認定なさらうとして居るのでありますか、此の認定の價格には、自ら多くの市民が、自分達の不動産動産をどう云ふ方法で評價して保險に掛けて置いたらうと云ふ、其の價格との釣合の問題もございませう、又現在に於ける賣買價格との釣合もありませうが、現在不法な高價を呼んで居る、それが標準になると云ふものでもないと思ひます、なかなか是はむづかしいことであつて、一概には或は御答を拜承することが無理かも存じませぬけれども、段々將來復興のことを考へ、又居住のことを皆考へて居り、色々な關係もあらうと思ふのでありますが、此の御認定の標準はどの程度を眼目として御考になつて居りますか、此の點を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=23
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024・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御質問の第一點は、個人の戰爭保險金は如何になるか、自分のものと考へて宜いかどうかと云ふ御質問でございます、此の點は一般軍需補償等と共に只今研究致して居るのでございまして、御説の如く、國民の再建の上から言つても出來るだけ優遇したいと云ふ氣持を持つて居りまするが、各要素がこんがらがりまして、なかなか只今の所御話申上げる所の結論に參つて居りませぬ、第二點の價格の評價基準を如何にするか、是は我々と致しましても日夜心痛致して居るのでございます、實際現在の賣買價格は非常な高値を示して居ります、終戰後の東京都内の或區の賣買實例を調べますと、大體八月十五日以前六箇月間の實例は一坪當り八百二十圓程度を示して居りました、併し最近の東京都内の賣買實例は日に日に上昇して居るやうでございます、之を如何なる基準でやるか、勿論家屋に付きましては、土地と同樣に公定賃貸價格の一定倍數に依りたい、其の倍數は各地各樣に決めたいと云ふ氣持を持つて居りまするが、東京都内では家屋の評價を賃貸價格の何倍にするかと云ふことは、先程申上げました終戰前の實例、或は終戰後の状況を勘案致しまして決めるより外にはないと思ひます、斯う云ふ考へ方に付きましては、大藏省に強力な財産評價の基準を決めまする委員會を設置致しまして、篤と考究致したいと思ひます、實際最近、或は三月三日直前に、坪二千五百圓或は三千圓で御買ひになつた建物を、評價と致しまして、千圓とか千百圓に致しますると云ふと、換物をせられた人は、そこに換物した爲に税の輕減が起つて參ります、之を又見逃すことも如何かと云ふ氣持も持して居ります、然らば逆に今の三月三日の實際の時價で全部家屋を評價すると云ふことになりますと、ずつと昔から其の家屋に住はれた方々が、名目的に價格が騰貴したと云ふ其の名目價格で課税を受けると云ふことは、是亦實際上非常に苛酷でございます、又それに依つて財産税を課税致しましても、徴收上に非常な困難がございますが、斯く考へて見ますと、適當な所で、皆さんの納得の行くやうな基準を一應定めまして、さうして其の基準を定めた場合に、換物其の他に依つて非常に利益を得た人を、方法があれば抑へて行くと云ふことに落着くのではないかと只今考へて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=24
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025・膳桂之助
○膳桂之助君 もう一點御伺ひ致します、此の間私、資料を請求申上げまして、其の後御配付戴きましたものがあります、それは三月三日の御調査に基きます調査の結果が若し得られて居れば數字で拜承したいと、斯う申上げたのですが、私は大體どの位の、調査の項目に依る金額の概數が得られたかと云ふことを、御尋ね申上げたかつたのでありますが、件數だけを御示しがありまして、件數だけでは一件で何十萬圓のものもありませうし、何萬圓のものもありませうから、ちよつと見當が付かないのでありますが、數箇月を經たる今日でも、大體三月三日の標準に依ります預金、債券、株券等の全國的統計の概數でも、まだ御分りにならないのでありませうか、若しまだであれば大體いつ頃さう云ふ御調べが濟む御見込でありませうか、それから是も亦將來決まる問題で、今は御答を願ふのが御無理かも存じませぬけれども、大體財産税の徴收の時期は、いつ頃の御見當になりませうか、若し御差支があるならば御答辯を戴かなくても結構でありますが、御差支がない部分は御答へ戴きたうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=25
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026・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 三月三日現在に依りまする申告が如何なる金額に上ぼつて居るかと云ふ第一の御質問でございまするが、是は御承知の通りに、預金等に付きましては五十圓以下のものは申告不要、それから無盡であれば三百圓以下の拂込金は申告不要、保險金であれば契約金額千圓以下のものは申告不要と、斯う申告を要せざる額を除きました、其の他の財産は全部申告に相成つて居ります若し申告がなければ其の權利者は失權其の他無效と相成る規定を置いて居りますので、我々は申告を要する殘りの金額は全部申告に相成つて居ると考へて居ります、然らば如何なる人がどれだけの申告をして居るかと云ふことは、なかなか調査が困難でございまして、御承知の如く、大阪在住の人が西の宮とか京都とか伊丹とか、各地で申告をなし得ることになつて居るのでありまして、又例へば東京の人が疎開して居れば疎開先で申告をし、東京でも自分の住宅のある附近の金融機關若くは勤先附近の金融機關に申告をする、斯う相成つて居りますので、之を纒めますことはなかなかの手數でございます、又其のことは財産税自體の問題ではございませぬので、財産税法が通過致しましても、課税に當つて綜合すべきものでありまして、只今の御質問に對しましては、兎に角申告を要する金額は全部申告に相成つて居ると考へて居ります、次に財産税の徴收時期でございまするが、先程來申上げますやうに、財産税法が如何なる恰好で何時議會の協賛を經ますか分りませぬ、從ひまして今申上げることは出來ないのでございまするが、財産税法が議會の協賛を經まして愈愈施行に相成りましたならば、我々としては出來るだけ早く一日も早く之を徴收致したいと考へて居ります、私の只今の目算では、政府原案と云ふものに依りまして考へた場合には、税法施行後三箇月目位には徴收を始めたいと云ふ考を以ちまして、着々準備を進めて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=26
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027・膳桂之助
○膳桂之助君 ちよつと今御問ひ申上げたのと御答辯が少し食ひ違ひがあるのですが、大分しつこいやうですが、私は今財産調査令の結果の數字のことを御尋ね申上げたのは、一人々々がどうなつて居る、それがどうだと云ふやうなことを御問ひ申上げたのではない積りなんで、實は財産税を賦課し得る其の對象となる預金なり色々さう云ふやうなものが、總計で大體どの位あるのだらう、其の御見込が知りたかつたので、勿論財産税の御計畫をなさる際には、大體法人個人を合せて一千億取り得ると云ふ初めの御計畫であつたやうでありますから、それには恐らく不動産はどの位債券はどの位、預金や現金はどの位と云ふ目安は御付けになつたのだらうと思ふが、大體既に調査をして數箇月も經つた今日でありますから、銘々の集計や何かはありませうけれども、何か達觀的か、收支の總計や何かでも宜いのでありますから、當初の御見込のやうな數字になつて居るのかどうなのか、私共が是から物を考へます時に、税率とか云ふ問題はそれは財産税の問題でありますけれども、大體此の調査令施行の結果どんな結果があつたのか、そこらを色々の問題の考へ合せの一つの目安に拜承したい、斯う云ふ積りなんで、別に五十圓以下の切捨てがどうであつたとか、三百圓がどうであつたと云ふことを御問ひして居るのではなくて、全體がどの位になつて居るか、目安が付いて居るか、之を御尋ねしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=27
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028・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 當初財産税の收入を見込みます場合には、大體全國の國民の財産を四千數百億と考へて居りましたが、其の後物價の騰貴其の他に依りまして、大體只今では五千七八百億の國民財産を計算致して居ります、其の中、今回申告をして戴きました中、銀行預金は先般銀行局より御要求の資料として提出致しました二千三百億餘を豫定致して居ります、唯先程申上げましたやうに、非常に口數は多うございますが、五十圓以下の金額が如何程あるかと云ふことに付きましては、只今の處結果が分つて居りませぬ、二千三百億と申しますのは、私の計算では銀行預金等でございまして郵便貯金も加つて居るのでございます、それから申告をして戴きました公社債、株券と云ふものに付きましては、是は大體個人の所有して居る公債は千三百數十億ではないかと思つて居ります、それから株券は拂込價額が二十年末で四百四十億でございまするから、此の四百四十億の中個人が幾ら持つて居るかと云ふことは、大體の推算でございまするが、六割程度は個人所有ではないかと考へて居ります、從つて四百四十億の六割程度が申告に相成つて居ると思ひます、此の株券に付きましては申告を要しない、制限がございませぬので、全部申告に相成つて居ると思ひます、社債に付きましては三百億餘りございまするが、是は個人の所有に相成つて居るものは一割程度ではないかと推察致して居るのでごいます、無盡契約、信託預金等に付きましては是は個人が相當多いと思ひますが、是なんかに付きましても相當な申告があると考へて居ります、幾ら申告があつたかと云ふことは、是はどうしても財産税を決定致しましてから後に統計資料として集めることを豫定して居りまするが、財産税施行前にどれだけの申告があつたかと云ふことを今我々として調べる手配は致して居りませぬ、何れ財産税を決定致しましてから、暇を見まして斯う云ふ統計は十分に調査して置きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=28
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029・膳桂之助
○膳桂之助君 私は宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=29
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030・種田虎雄
○種田虎雄君 此の財産税の申告の中に生命保險に關する方がありますが、是等は御承知の通り保險には色々の種類があります、滿期になつて居りますものもありますし、途中のものもありますし、終身生命保險と云ふものもありますさう云ふものに付てはどう云ふ風に御課税になる御方針でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=30
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031・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御話の通りに各種の生命保險がございまするが、先づ第一に簡易生命保險に付きましては課税しないことに致して居ります、其の他の生命保險に付きましては全部課税する建前でございます、唯保險金額千圓以下のものに付きましては、申告を要しないと云ふことに致しまして、申告を要しないが、課税をするかしないかと云ふことは只今の所決めて居りませぬ、申告だけはしなくても宜しうございますと云ふことを言うて居ります、保險契約に依る其の債權をどう云ふ方法で課税するかと云ふ問題でございますが、是は從來から各國で議論せられた所でございますが、結局歸一する所、拂込保險料に各國共據つて居ります、然らば拂込保險料全額に課税するかと申しますと、是はさうでなしに、或國では拂込保險料の三分の二、又或國では七掛、斯う云ふことに致して居ります、我々と致しましても、財産税法に付きましては、保險契約の裁定に付きましては大體其の程度で規定しようかと云ふ考へを持って居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=31
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032・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 御諮りを致します、只今議題になつて居りまする臨時財産調査令は誠に重要なものでございます、尚御審議には相當の時間の必要がお有りと存じます、併し今日は大分時間も經過致しましたので、臨時財産調査令は次回に讓りまして、宿題と致して置きます、其の間昭和二十一年勅令第百二十八號に付きまして、丁度主税局長も出席されて居りますので、便宜上此處で御質問がありますれば願ふことと致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=32
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033・種田虎雄
○種田虎雄君 只今此の勅令第百二十八號の問題が議題にされたのでありますが、最近の勞働組合は、殆ど是は全部に亙つて居ると申しても宜しいのでありますが、勤勞所得に對する免税と云ふことをやかましく執拗に主張して居るのであります、之に據りますと、或程度の免税點を緩和されて居りますし、又綜合所得に付きましても一萬圓以下は綜合所得税を課さない、斯う云ふことになつて居ります、實情を申しますと、官廳はさう云ふことはありませぬが、會社等に於きましては、此の勤勞所得に對する課税は或所では個人に負擔させないで會社が負擔して納めて居る、斯う云ふやうな所もあるのぢやないかと思ふのでありますが、斯う云ふ税に付きましては、國民に對する納税の義務と申しますか、さう云ふ點が相當に變つて居るのぢやないか、是は生活苦から起きた問題であります、今度の憲法の改正案に付きましても、納税の義務を入れたらどうかと云ふやうなことも非常に論議されて居るやうでありますが、御當局の御考へとしましては、勤勞所得に對する課税と云ふことはどう云ふ方針で將來御進めになるのでありませうか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=33
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034・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 勤勞所得に對する課税は、昭和十五年の中央地方を通ずる根本的税制改正後に設けられました分類所得税中最も重要なる税でございます、甲種勤勞所得の分類所得税中に於ける重要さを申しますと、昭和二十一年度の基本豫算の税收入六十四億圓の分類所得税中、三十一億數千萬圓を勤勞所得が占めて居るのであります、従ひまして之を全廢すると云ふことになりますると、租税收入中最も重要なる部分を失ふことに相成るのであります、而して又一面勤勞所得者は擔税力がないかと云ふ問題になりますと、私は他の資産所得或は事業所得に較べますると勿論擔税力が少いと云ふことは首肯出來るのでありますが、全然勤勞所得者には所得税の擔税力なしと云ふことには絶對反對であるのであります、從ひまして今の税法に於きましても、勤勞所得は純然たる資産所得たる不動産所得或は配當利子所得等よりも、同じ所得に致しましても百圓當りの負擔が低くなつて居ります、又之を事業所得に較べましても百圓當りの負擔税率は非常な低額に相成つて居るのであります、私は此の程度の負擔ならば勤勞所得者も此の際當然負擔すべきものと考へて居るのであります、私は寡聞でありますが、勤勞所得税を全廢すると云ふ議論は、過去又現在に於ても財政學的に聞いたことはないのであります、從つて私見と致しましては、勤勞所得税は勿論課税しなければならぬ、併し其の負擔に付きましては他の所得よりも出來るだけ輕減したい、斯う云ふ氣持を持つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=34
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035・種田虎雄
○種田虎雄君 只今の御趣旨で能く分りましたが、實際今申上げましたやうに、民間に於ては相當個人に代つて會社が其の勤勞所得税を納めて居る所があるのぢやないかと云ふ風に考へられるのであります、私の心配しますのは、さう云ふことは間違つて居るのぢやないかと云ふ點なんです、さう云ふことに付きまして國民が勤勞に對しての課税を嫌ふ、斯う云ふ風な考が起きたならば、私は國家の財政はどうなるかと云ふことを心配するのでありまして、それ等の點に付きまして、政府としてもう少し徹底した御考を國民に滲透させるやうにして戴きたい、斯う云ふ考を持つて居る譯なのでありまして、其の點に付ての御所見を伺ひたい、斯う思つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=35
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036・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 甲種勤勞所得税に付きましては、御承知の通り支拂者が支拂の時徴收することに相成つて居ります、從ひまして御説のやうなことは私としては萬々ないと承知して居るのでありまするが、數多い中でございまするから、所謂使用者が自分で負擔する場合も想像出來ないことはございませぬ、若し使用者が分類所得税を負擔致しましたならば、其の分類所得税額だけ俸給の金額に加へたものを俸給と致しまして分類所得税を徴收しなければ相成らぬと思ふのでございます、先般新聞に依りますと、或所では分類所得税を使用者が支拂ふべし、斯う云ふ決議を致して居りまするが若し斯かることが事實として支拂はれましたならば、俸給に分類所得税額を加へたものを支給額と致しまして分類所得税を計算して徴收することは、勿論だと思ひます源泉徴收と云ふことは非常に手數が省けまして、我々としては樂に税金を徴收し得るのでございますが、之を徴收義務者にすつかり委せ切りにすると云ふことは非常に危險でございますので、機會ある毎に人手の許す限度に於て徴收義務者を個々に調査致して居ります先般も東京都内の大會社に付きまして調査致しましたが、非常に良く徴收事務が進んで居ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=36
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037・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 他に御質問はございませぬか、それでは次に移ります、昭和二十一年勅令第百十一號、昭和二十一年勅令第百八十號、此の二件に付て御質問を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=37
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038・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 今の議題になりましたのは、是は鐵道と遞信關係の政府委員は御見えになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=38
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039・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 今政府委員の方に交渉に參りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=39
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040・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 私、此の次に何かの機會に兩大臣が御出席なさいましたら、今一應御質問申上げたいと思つて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=40
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041・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 伺ひますが、兩大臣の御出席を特に御要求ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=41
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042・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 特に要求は致しませぬ、若し兩大臣の御出席がなければ政府委員に御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=42
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043・種田虎雄
○種田虎雄君 此の遞信と鐵道の關係の兩特別會計の勅令案でありますが、大藏省の政府委員の方に承りますが、今日特別會計の制度に付きましては、從來と同じやうな方針で將來も御進みになる御積りでありますか、又特別會計を一般會計に繰入れると申しますか、引直すと申しますか、或はもつと徹底した特別會計の制度を御執りになりますか、さう云ふやうなことに付ての御方針を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=43
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044・河野一之
○政府委員(河野一之君) 特別會計の廢止整理のことでありますが豫算の簡明を期しまする上に於ては、特別會計は成るべくない方が宜いと云ふのは當然なことでございます、併し事業會計其の他に付きましては一般會計と違ひまして國民の負擔に直接關係しないものも相當ございますので、斯う云ふやうなものに付ては特別の會計を設置して、そして企業の經營の收支を明かにすると云つた意味で、別に設けた方が宜いぢやないかと考へるのでございます、昭和二十一年度に於きましては、外地關係の特別會計、それから陸海軍の廢止に伴ひまして、其の關係の工廠でありますとか或は其の他の作業廳の特別會計を廢止すると云ふことになつて居ります、それから政府出資特別會計と營繕用品資金の兩特別會計に付きましては戰後の實情に鑑みまして之を置く必要がないと思ひまして、今回之を廢止致して居ります、其の外今年度としまして復興關係或は財産税の關係等で多少新しい會計が出來るものもあるかと思ひますが、方針と致しましては成るべく特別會計は作りたくないと云ふ考で進んで居ります、現在の處大體二十四程の特別會計がございます、今後増加するものを除外しますと大體二十四だと記憶して居ります、十八廢止致しまして二十四になると斯う考へて居ります、鐵道と通信に付きましては、是は一般會計に入れて經理致しますと、豫算の經理上非常に複雜になつて參ります、外地の會計に付きましては、鐵道とか通信と云ふものは其の外地關係の中に含んで居りますが、内地の鐵道と通信は非常に規模が尨大であり、それから其の運營が非常に複雜でございます、現金の出入等に付ても、驛で切符を賣つて、其の金が振替拂になつて諸種の經費に當てられるやうな特別會計の經理手續をやつて居るので、さう云ふ關係から言つても、一般會計と統合致して經理致すことはなかなか困難ではないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=44
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045・種田虎雄
○種田虎雄君 特別會計を通信事業及鐵道事業に特に設けて置く方が宜いと云ふ御説明でありますが然らば通信事業や鐵道事業に收支の計算を明かにさせる、斯う云ふ意味から此の特別會計を設けて置かれるのだらうと思ひますが、此の原價計算、償却、斯う云ふ方面に付て果して此の遞信事業や鐵道事業が正確にやつて居られるか、大藏省としては當然御監督になつて居ると思ひますが、さう云ふ方面に付ての御見解はどうでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=45
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046・河野一之
○政府委員(河野一之君) 國の會計と申しますのが、是は釋迦に説法を申上げるやうでございますが現在の會計法の建前と致しましては現金會計と云ふことに終始致して居ります、其の外に國有財産に付きましては、所謂不動産に付きましては國有財産法と云ふものに規定されて居ります、それから物品に付きましては物品會計規則と云ふ勅令がありまして規定されて居る譯でございますが、鐵道とか通信とか云ふやうな事業を現金會計で律して行くのが善いのか惡いのかと云ふことは、是は根本問題でございます、從來私共も度々研究致しまして色々考へたこともあるのでございますが、各種の事務に追はれますのと、それから尚研究を要するものがありますので、其處迄に立至つて居りませぬ、御指摘の原價償却と云つたやうなことは、普通の事業と同じやうにやつて行くならばどうしてもやらなければならぬものだと私は考へて居ります、原價償却を政府の事業に付てやつて居らないのは、是は色々理由があると考へます、其の第一は、國の會計でありますから配當をする必要がない、帳簿を作つて、現金の關係は固より財産の増減を入れて利益を出して、さうして配當すると云ふことを考へる必要がないと云ふことが、原價償却をやらないと云ふ一つの原因だらうと考へて居ります、それからもう一點原價償却をやらないと申しますのは、鐵道でも通信でも一定の固定財産を持つて居りまして之を經費として同一の價格を維持して行く、經費として支出する、斯う云ふ建前になつて居ります、例へば鐵道の車輛でありますと、十萬圓なら十萬圓で一旦作りましたものは、毎年々々修費を掛けて行きまして十萬圓の價格を維持して居る、斯う云ふ建前に致して居ります、それが通信ても同じでありまして、それを收益勘定或は業務勘定から其の經費として出して居る、從つて實質的に原價償却に相當するものを經費としてやつて居る、それならば其の車が廢棄された時にどうなるかと申しますと其の固定資産が一時落ちてしまふさうして別に新たに車を資本勘定で作る、斯う云ふやうな經理を實は致して居ります、従ひまして非常に複雜な經理である譯である譯でございまして、此の點に付きましては従來から色々議論もありまして、考へなければならぬと思ひますが、今後憲法の改正に伴ひまして、會計制度或は豫算制度に付きましても相當根本的の改正を致さなければならぬのぢやないかと考へて居ります、其の場合に會計制度としてどう云ふやうなものを殘すか、勿論一般會計はある譯でありますが、其の外にどう云ふやうな特別會計を設けるか、是は私の全くの私案でありますが、先づ資金の特別會計が殘るのぢやないか、預金部の資金でありますとか或は國債整理基金でありますとか一定の「フアンド」を付けてそれを運營して行くやうな會計が一つ殘ると考へて居ります、それから御指摘の鐵道とか通信と云ふやうな事業でございます、此の事業に付きましては、從來のやうな現金會計主義でなしに、其の財産の状況を明かにした本當の「コスト」が出、從つて「ペイイング・システム」と云ふやうなことが現はれるやうな會計として行かなければならぬのぢやないか、斯う考へて居ります、それから其の外に行政事業的會計と申しますか、例へば保險の會計でありますとか、或は食糧管理の會計でありますとか、さう云ふやうなものが特別會計として考へられるのぢやないか、さう云つた方向で特別會計と云ふものを整備して、さうして成るべく民衆に分り宜いやうな豫算を作つて行きたい、斯う云ふ風に考へる次第であります、御指摘の點に付きましては十分研究致しまして、今後の會計制度の方向として採入れて參りたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=46
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047・種田虎雄
○種田虎雄君 實は只今鐵道省あたりのことに付きまして、車輛其の他に付て、平素保守をするから其の費用が嵩んで居るもので、償却はせぬでも宜いだらうと云ふやうな御考のやうでありますが、是は矢張り地方鐵道等に於きましても同じやうな議論が出るのであります、併し此の點に付ては、大藏省としては相當償却のことは嚴重に御考になつて居るやうに思ひます、併し今の配當の點は、民間の會社は配當すると云ふやうなこともありますので、色々御議論もあるやうであります、私はそれよりも收支の計算が立つか立たぬかと云ふことをはつきりすると云ふこと、鐵道の如きは矢張り運賃、料金を取る、運賃、料金を取るのは何に依つて運賃、料金を取るのか矢張り收支の計算をはつきりしなくて、原價計算もせず、償却もはつきりせずに國家が運賃や料金を取ると云ふことが間違つて居るぢやないか、民間に於ても同じぢやないか、ですから斯う云ふやうな見地から國民の負擔になるやうな事業は餘程色々研究して、條理の立つたことで説明しなければならぬ場合が起つて來るのではないか殊に民間の鐵道の如きは、相當の税金も負擔して居る、國有鐵道或は通信事業の如きは何等税金を負擔しない、國家の財政の上から考へましても、之を國營として大いにやつて行くのが宜いのかどうか色々な問題が起る、運賃、料金或は税制の問題、國家の財政に關係のある問題、色々な點から特別會計に付ては大いに研究を要する點があると考へますが、只今の御説明で一應了承致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=47
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048・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 本日の委員會は此の程度に於て止めます、次回は明後日午前十時から開會致したいと思ひます、是にて散會致します
午前十一時五十七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=48
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049・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 男爵 周布兼道君
副委員長 子爵 綾小路護君
委員 侯爵 中山輔親君
子爵 藤井兼誼君
荒川文六君
男爵 八代五郎造君
男爵 紀俊忠君
男爵 斯波正夫君
種田虎雄君
澁澤金藏君
膳桂之助君
伯爵 壬生基泰君
子爵 瀧脇宏光君
政府委員
大藏事務官 池田勇人君
同 櫛田光男君
同 江澤三省君
同 河野一之君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009000567X00419460716&spkNum=49
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