1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○所得税法の一部を改正する等の法律案
○臨時租税措置法を改正する法律案
○地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年八月二十日(火曜日)午前十時二十分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=1
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002・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 開會致します、今日は最初に大藏省關係の法案に付きまして、主なる要項に對して主税局長から説明を聽取致したいと思ひます、先づ御質問の前に、先日大臣の御説明がございましたけれども、此の際、局長より御話を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=2
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003・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 委員長からの御話に依りまして、今囘の「所得税法の一部を改正する等の法律案」竝に「臨時租税措置法を改正する法律案」の概略を御説明申上げます、提案の理由の説明と致しまして、先般大藏大臣が御説明に相成つたのでございまするが、餘りに多岐に亙りまして、其の問題の重要さを十分盡して居りませぬので、今囘の増税等に付きましての狙ひ所竝に其の主なる點に付きまして、御話申上げたいと思ひます、終戰後の事態を速かに收拾し、さうして國民生活を確保致しますると共に、新らしい日本を再建致しまする爲には、相當巨額の財政需要があるのであります、租税に於きましても經濟諸情勢の變遷又は租税が國民生活に及ぼす影響を篤と考慮致しまして、今囘は税率の引上に依りまして、國庫收入の増加を圖り、健全財政に寄與する、斯う云ふのが狙ひ所の第一點であります、又終戰後の状況に依りまして、出來るだけ負擔の公正を期する、是が狙ひの第二點であります、又税法を出來るだけ簡素化致したいと云ふのが第三點の狙ひ所であるのでごいます、何分にも、只今は我が國の産業、經濟、各般に亙りまして昏迷の域を脱して居りませぬ、又財産税と云ふ劃期的の税法を施行致しますると、所得の分布状況等が餘程變つて參りまするので、此の際と致しましては、税法の根本的改正を致さずに、税率の引上に依りまして財政需要の一端に資する、斯う云ふ考へで税法の根本には觸れずに、税率の引上、簡素化、斯う云ふことをやつて居るのでございます、先づ直接税に於きましては分類所得税の増徴に主眼を置いて居ります、昭和二十一年の基本豫算百三十四億餘萬圓に對しまして、所得税が七十六億圓を占めて居ります、而して其の中分類所得税が六十四億圓に達して居りますので、増徴致しますと云ふことになりますと、所詮分類所得税を手に著けねば相成らないのでございます、分類所得税は御承知の通り、所得の種類に應じまして擔税力を見、所定の控除を致しまして、原則として「フラツト」の税率で課税することに相成つて居るのであります、從ひまして、只今は、資産所得に付きましては、原則としては百分の二十三、事業所得に付きましては百分の二十一、勤勞所得に付きましては百分の十八、又丙種事業所得に付きましては、同樣百分の十八と致して居ります、其の他退職所得、山林所得、清算取引所得は、是は殆ど税額に致しましても、問題はございませぬ、斯かる場合に於きまして、分類所得税に於ては、資産所得に重課し、勤勞所得には成るべく負擔を低くする、所謂増税を致しましても弱く増税する、斯う云ふ建前の下に資産所得は百分の二十三を百分の三十に引上げます、又事業所得は之を百分の四上げまして、百分の二十一を百分二十五に致します、勤勞所得は百分の十八を百分の二十、即ち百分の二だけの増徴に止めて居るのであります、尚從來資産所得の中でも、國債の利子所得に付きましては、百分の十六でございました、又五千圓以下の預貯金に付きましては、百分の七でございました、又長期預貯金に付きましては、百分の六程度の輕減を致して居ります、今囘は資産所得重課の方針と又預貯金、國債に對しまして、特に優遇の必要を認めず、税制の簡素化と云ふ意味に於きまして、各種類の税率を一律に百分の三十に持つて行つたのが、今度の改正の狙ひであるのであります、從ひまして、それが不動産所得でありませうとも、配當所得でありませうとも、或は預金、有價證券の利子でありましても、全部百分の三十に相成つて居るのでございます、綜合所得税に付きましては、従来三千圓から課税致して居つたのでありますが、之を三月九日、緊急勅令の御制定を仰ぎまして、一萬圓に免税點を引上げました、而して緊急勅令に於きましては、一萬圓以上の人に綜合所得税を課けるのであります、三千圓から一萬圓の間の金額にも課税する建前を採つて居つたのであります、今囘之を改めまして、一萬圓を免税點とし、而も一萬圓超える所得に對して課税すると云ふ建前に致しました、さうして税率は百分の三十五から始まりまして三十萬圓超過を百分の六十七に致しました、斯う致しまして、分類所得税と綜合所得税を合せますと、資産所得に付きましては三十萬圓超過を致しました場合に、其の超過部分に對しましては九十七、事業所得に付きましては九十二、勤勞所得に付きましては八十七の税率に相成つて參ります、今囘の所得税の改正は三月九日の緊急勅令と一體を成して居るのでございまして、三月には各種の基礎控除を引上げまして、又扶養家族の控除を引上げました、即ち新物價體系に沿ひまして課税の衡平、適正を期しまする爲に、勤勞所得に付きしては月五十圓の控隊を二百圓に引上げ、又事業所得に付きましては、年四百圓を千二百圓に引上げ、不動産所得に付きましては、免税點百五十圓を三百圓に引上げますと共に、扶養家族の控除を月二圓を六圓に致しました關係と、今囘の税率を併せ考へますと、勤勞所得に於きましては、二萬圓以下の人は昭和二十年分の負擔と本年の負擔を比較致しますと、二萬圓以下の人は全部減税に相成つて居ります、事業所得に付きましては、一萬五千圓以下の方が減税に相成ると云ふことになつて居るのであります、所得税に付きましては、各税率の引上を致しました以外に、配當所得の計算期間を、其の年の三月一日から翌年の二月末日迄、斯う云ふ計算期間を暦年に改めました、即ち前年の實績に改めました、又臨時利得税で課税致して居りました不動産等の譲渡所得に對しまして、新たに所得税に譲渡所得を設けまして、課税することに致しました、是は臨時利得税を廢止致しました關係でございます、又國債、預金の利子を綜合課税致します場合に、三割の控除を致して居つたのでありまするが、是も廢止致しまするし、配當或は積立金を拂込資本金に振當てた場合に、十分の五を控除すると云ふ制度を十分の四に改め、五千圓の控除を止めると云ふことに改正を加へたのでございます、次に法人税に付きましては、先程申上げました臨時利得税を廢止致しまする關係上、法人臨時利得税を法人税に統合致しまして、法人の超過所得として課税することに致したのでございます、其の税率は資本金に對しまして、八分を超過し、一割五分以下の金額に對しましては百分の三十、一割五分超過二割五分以下の金額は百分の四十、二割五分を超過するものは百分の五十と税率を定めまして、大體臨時利得税の百分の五十五乃至百分の八十五の負擔と同樣になるやうに致しました、さうして既存の法人税は之を普通所得に對する税と致しまして、百分の三十五に引上げたのでございます、其の他繰越缺損金の控除は前三年間所得に付て之を行ふと云ふ制度を、前一箇年の繰越缺損金のみを控除することにし、又資本金の計算に付きましては、繰越缺損金を控除しないと云ふことに改めたのでございます、特別法人税に付きましても、大體法人税と睨み合せまして、百分の二十二と云ふ税率を百分の二十五に引上げました、法人に付きましては斯く改正致しまして、大體從米の負擔よりも一割前後の負擔増に相成ります、是は敗戰後の生産増強共の他から鑑みまして、成るべく此の際法人の増税は手控へようと云ふ考の下に増税を少く致したのでございます、次に直接税で問題になりますのは、相續税でございまするが、財産税等の施行を考へまして、相續税の税率引上は餘程躊躇致したのでございまするが、百萬圓以上の相續財産に對しましては百萬圓を超えまする金額に對しては、此の際或程度の増徴を必要と致しましたので、百萬圓超過の部分に幾分の税率の引上を致しました、即ち家督相續の第一種に付きましては、百萬圓を超える金額に付きましては、従来千分の三百六十五でありましたのを、千分の三百七十に致しました、又五百萬圓超過、是は最高税率でありましたが、千分の四百四十と云ふのを、五百萬圓を超える金額千分の四百七十五に致しまして、一千萬圓を超える金額千分の五百十、二千萬圓を超える金額千分の五百五十、斯う云ふことに致しまして、相續財産の多額の方に對しましては、或程度の増徴を行ひました、併し別に免税點五千圓を二萬圓に引上げ、又扶養家族一人千五百圓を三千圓に引上げまして、扶養家族ある者の相續財産に對する負擔の輕減を圖つたのてございます、斯う致しまして、相續税に付きましては三百萬圓程度の減收に相成つたのでございます、地方の財源となりまする地租家屋税、營業税に付きましては地方財政の窮屈な點を考慮致しまして、今囘相當の増税を致しました、即ち地租に付きましては本税百分の三でありましたのを、百分の四に上げ、家屋税に付きましては百分の二・五でありましたのを、百分の三・五に引上げ、營業税に付きましては百分の二を百分の二・五に引上げました、而して附加税に付きましては、從來府縣は本税に對しまして百分の百でありましたのを、百分の二百とし、又市町村附加税に付きましては、本税に對しまして百分の二百であつたのを百分の三百に致しました、斯く致しますると、實際の負擔は本税の六割に相成つて參ります、從つて地租で申しますると、從來は百分の三の本税、さうして別に百分の九の府縣税竝に市町村の附加税を附けまして、合計百分の十二でありましたのを、今囘は合計百分の二十四に相成ります、家屋税もそれと同樣に相當の負擔増、倍額餘りの増になつて居ります、營業税に付きましては本税が百分の二で、附加税を入れまして全體が百分の八であつたのが、今囘は百分の十五と相成ります、斯う致しまして相當の増收を圖り、地方財源の枯渇を救ふことに致したのでございます、其の他有價證券移轉税、登録税等にも改正を加へ、相當の増税を致しました、間接税に於きましては間接税の大宗である酒税に増税を致しました、只今一級酒、一升壜詰二十三圓、二級酒十五圓でありますのを、小賣價格が各各四十圓、或は三十圓に相成りまするやうに税率を盛りまして増税致しました、麥酒に付きましては普通壜詰三圓の小賣價格を六圓になりまするやう税率を盛つて居ります、雜酒其の他の酒類に付きましても、其の酒類の品質等を考へまして、酒、麥酒と大體似寄つた増税を致しまして約十億圓の基本收入を二十九億圓程度に相成りまするやう、即ち十九割程度の増税を致したのでございます、清涼飮料税、砂糖消費税に付きましても、相當大幅の増税を行ひました、又織物消費税に付きましては、百分の十五の税率でありましたのを、後から申しまするやうに、織物竝に織物製品に對しまして課税致しました物品税を廢止致しまして、織物消費税と統合することとし其の税率を百分の四十に致したのでございます、又從來免免致して居りました綿織物に付きましては、此の際其の需要の状況を考へまして新たに課税することにし、其の税率は百分の十に止めて居るのでございます、斯う致しまして織物消費税は、物品税を從來負擔して居つたものに比べますと、非常に税率が低くなつて參つて居るのでございます、次に物品税に付きましては、御承知の通りに小賣の際課税致しまするのと、製造場から引取ります場合に課税致しますのと、二通りになつて居るのであります、どうも小賣課税は徴税がなかなか不便であります、又課税の適正が十分に期し得られませぬので、此の際小賣課税制度を止めまして、全部製造課税に改めたのでございます、中には製造課税を致しますことが、非常に不便なものがございます、例へば愛玩用動物とか盆栽とか、或は花、花輪、斯う云ふものに付きましては、此の際物品税を課税しないで、製造課税一本で行くと云ふことに致しました、斯く致しまして徴税の便利、課税の適正が十分期し得られると考へて居るのでございます、尚物品税に付きましては遊興飮食税、入場税を三月に税率の引下を行ひました際に、物品税の税率は引下を行つて居りませぬので、最も贅澤品と目される甲類物品に對しまして百分の百二十の税率を百分の百に引下げたのでございます、遊興飮食税に付きましては三月に免税點の引上竝に税率の引下、又簡素化を行ひました關係上、今囘は手を觸れませぬ、唯、昨年八月戰時緊急措置法に依りまして、納税切符の制度を停止致して居りました、此の戰時緊急措置法が最近廢止に相成りますので、此の戰時緊急措置法に規定して居りました納税切符制度の廢止を今囘の改正案に規定したに止めて居るのでございます、入場税も同樣、三月に相當思ひ切つた改正を致しましたので、今囘は手を觸れませぬ、唯、最近盛になりました舞踏場に對しまして、入場税を課する規定を新たに設けただけでございます、其の他骨牌税、印紙税、狩獵免許税等の改正を行ひました、尚別に關税法等に付きましては、戰時特例に依りまして戰時中荷役の増強、運送、其の他を圓滑に致しまする爲に、或程度の戰時特例を認めて居つたのでございます、此の戰時特例に關する法律を廢止致すことに相成りましたが、此の規定に盛られて居つた事柄は、戰後も尚運送等の便宜の爲に必要と認められる點がありまして、其の點を一般の税法に入れる必要がありますので、關税法、關税定率法、或は保税倉庫法等の改正を加へて居るのでございます、尚國税徴收法に付きましても、或程度の改正を加へ、納税施設法に付きましても、戰時納税貯蓄と云ふ制度を止める改正を行つて居ります、又國庫出納金端數計算法に付きましても、十錢、五錢未滿の場合に切捨ての制度を十錢に擴張致しまして、計算の簡素化を圖つたのでございます、斯く税法に亙り、即ち二十七の法律に付きまして改正を加へますると共に、他面戰時緊急措置法で停止致して居りました外貨債特別税、配當利子特別税、建築税、電氣瓦斯税、廣告税、砂糖特別消費税等に付きまして、之を復活することは不適當と考へまして、之を廢止することに致して居るのでございます、尚特別行爲税に付きましては從來課税致して居つたのではございますが、徴税其の他の點から考へまして、此の際廢止することを適當と認めまして、特別行爲税を廢止することに致して居るのであります、尚先程申上げました臨時利得税に付きましても、從來相當の收入を擧げて居つたのでありますが、租税の簡素化と云ふことと、又其の中の相當部分は法人税或は所得税に織り込めることが出來ますので、臨時利得税も廢止することに致しました、以上が所得税法の一部を改正する等の法律案の概略でございます、別に臨時租税措置法の改正案がございますが、是は御承知の通り事變或は戰時中、有らゆる戰時生産遂行の爲に、租税上輕減免除の規定を盛り澤山に設けて居つたのでございます、併し終戰後になりましては、最早其の必要のない規定が澤山出來ましたので、之を改めまして、新たに租税特別措置法と云ふ名前に致しまして、終戰後に於きましても尚生産の増強、國民生活の安定上、特に必要なる規定だけを殘すことに致すやう改正致したのでございます、以上が今囘の改正案の大體でございます、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=3
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004・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 黒田委員に申上げますが、前囘御要求がございました衆議院に於ける本法案の委員會の質疑應答に付て、大藏當局より御説明がございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=4
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005・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 衆議院の委員會に於きまして行はれました質問應答の主なる點に付きまして御説明致します、先づ基本問題と致しましては、政府は本年度の歳入をどう見て居るか、殊に二十一年度の歳出には財産税の收入を當てると云ふことに致して居るが、昭和二十二年度になつたらどうなる、財政の見透し如何、斯う云ふ質問がございました、政府と致しましては、今年度の歳出は五百六十億に上つて、相當巨額な數字を示して居るのであるが、此の内容を檢討致しますると、進駐軍費或は復員費其の他一年限りの經費が相當盛られて居る、此の經費が昭和二十二年度に必ず其の儘で出ることは勿論ないし、相當減額されると期待して居る、而して又一面財界の整理をし、本格的に經濟界が立直つて來れば、國民所得も殖えて來る、大體經濟界の建直しが思ふやうに行くならば、租税收入等も從つて殖えて來るのであつて、餘り心配ない、唯、さう云ふ場合でも尚歳入に不足が出來たと云ふ場合に付きましては、是は公債に依るより外仕方がないが、其の公債も生産に向けられる公債ならば、何も意に介しないと云ふ答辯があつたのでございます、又現在の租税制度は非常に復雜である、又戰時中、所謂のべつに増税して、其の負擔關係も可なり不明確であつて、平時の税制としては適當でないと思ふが、此の點を改める考はないか、又改めるとすれば、何時改めるか、斯う云ふ質問がございました、政府と致しましては、或るべく早く戰時税制を平時税制に切替へたいと、斯う思ふのであるが、何分にも今の經濟界は非常に混亂して居る、又財産税を徴收した後の富の分布状況、斯う云ふことも考へて税制を建直さなければならないので、根本的の税制改正と云ふものは、經濟界が一應平靜になつてからやるべきである、唯、出來るだけのことは致したいので、今囘の税制改正案に付ても、税制を出來るだけ簡素にし、又出來るだけ平時の税制に移行するやう努めて居る、而して税制の根本的改正に付きましては、主として民間の學識經驗者の意見を聽いて改正したい、さうして強力な税制委員會を設けて審議致したい、斯う云ふ風に答辯があつたのであります、其の委員會の構成に付きましても、又運營に付きましても、従來は政府が原案を作つて、それに承認を與へる、斯う云ふ風な従來のやり來りのやうな委員會ではないので、寧ろ原案を政府以外の學識經驗者から出して貰ふ、斯う云ふ風な方向で行きたいと云ふ答辯があつたのでございます、又今の税制は、此の「インフレ」時代には適當でないのぢやないか、前年の實績に依つて課税すると云ふことは、一年遲れになつて、所謂購買力の吸收とか、税の本來の目的が相當曲げられる、政府は其の點を改める考はないか、斯う云ふやうな質問があつたのであります、政府と致しましては、只今は所得税に於きましては、實績課税を致して居る、で、此の實績課税を豫算課税に改めることに依つて「インフレ」時代の税制としては相當效果を擧げ得るけれども、豫算課税に致しましても、實際の上から言ふとどうしても「インフレ」の進行には遲れるのだ、此の豫算課税制度に付きましては、將來税制改正の時に十分研究をする、斯う云ふやうな答辯を致したのであります、又闇の所得に課税すると云ふことは不當ではないか、斯う云ふ質問がありました、政府と致しましては、所得税は實際の收入に課税するのだ、それが闇であるか、ないかは、税務行政としては行かない、唯理論的に言ふと闇の所得は法律上違法なものであるから、課税の對象にはならない、從つて闇をして所得を擧げた人が、司法處分に依つてそれは闇所得なりと云ふ判決を受ければ、税の方からは其の所得は引きます、併し、それのない限りは、税は實際の所得に課税するのが適當であり、又さうしなければ不權衡であるので、實際の所得に課税して居るのだ、斯う答辯致したのでございます、個々の問題に付きましては、所得税に付きまして議論があり殊に勤勞所得税は現下の物價事情から言って非常に勤勞者に酷である、殊に勤勞所得と云ふのは、戰時に設けられた税であるから、終戰後は逸早く、之は廢止すべきだ、又基礎控除の二百圓と云ふのは最低生活を保障しない、之を引上ぐべきだと云ふ議論が各方面から相當出たのでございます、之に對しましては政府としましては、勤勞所得税は戰時中の税ではない、是は所得税施行以來勤勞所得には課税して居る、是は我が國のみならず各國とも、勤勞所得は所得税の重要なる部分でありますので、戰時中に設けた税ではない、昔からやつて居る税だ、そして非常に物價が高くなつて居るのだから、此の際勤勞所得者に對して税率を引上げるのは酷であると云ふ點に對しましては、三月九日に新物價體系に基いて基礎控除を五十圓から二百圓に引上げると共に扶養家族の控除も三倍に引上げ、さうして負擔の公正を期した、殊に事業所得に付きましては基礎控除額を三倍にしたのでありますが、勤勞所得に付ては四倍にして居る、又一萬圓以下の所得に對しましては、綜合所得税を課税しないことにしたので、勤勞所得者の負擔は昭和二十年度に較べますと先程御話をしましたやうに一萬圓以下は非常に減つて居る、例へば五千圓の勤勞所得者は昭和二十年度分と致しましては扶養家族四人ある者は八百十數圓の負擔であつたのが、昭和二十一年度は二百三十二圓である、即ち四分の一程度に減つて居る、決して勤勞者の負擔は、他の所得者よりも苛酷にして居ない、寧ろ非常に低くして居るのだ、事業所得者は、營業税を加へまして五千圓以上のものは千二百數十圓になつて居るが、勤勞者は二百三十圓、約五分の一以下になつて居る、決して勤勞所得者に對して辛く當つて居ない殊に租税と云ふものは、廣く國民が其の分に應じて納めるのが其の建前である、民主主義税制としましては、一般國民が出來るだけ納めると云ふのが、本來の趣旨であるから、勤勞所得者もそれが所得である以上課税しなければならない、而して外國の例と比較しましても、日本位、勤勞所得者に對して、税の輕減に有らゆる措置をして居る國はない、「イギリス」とか、「アメリカ」は、外の所得と勤勞所得とは何等違へて居ない、従來「アメリカ」は勤勞所得に一割控除をして居りましたが、千九百四十三年から其の控除を廢めました、斯う云ふ情勢から考へましても、日本の勤勞所得者に對する課税は實に適正であると云ふ答辯を致したやうな次第であります、次に地租、家屋税等の委譲をしてはどうか、又入場税及び遊興飮食税も地方に委譲すべきではないかと云ふ質問がございました、地租、家屋税、營業税等に付きましては、一應國税として徴收するけれども、其の徴收税額は全部現地に還付して居るので、實際上から言ふと、是は地方税である、併し、税制の建前として之を名實共に地方税にするか、或は今のやうな程度にして置くかと云ふ問題は、今後中央、地方を通じた税制改正の時に篤と考慮したい、又入場税、遊興飮食税の委譲問題に付ては、是は地租、家屋税と違つて、入場税は必ずしも地方税たる性質を持つて居ないから、是には相當に問題がございます、遊興飮食税に付きましては委譲を考へて宜いだらう、併し遊興飮食税自體が非常に良い税ではない、委譲なんかより全廢するかどうかと云ふことが先づ問題だらうと云ふことを政府が答辯したのでございます、次に酒税に付きましては、非常に酒が不足して居るが、之を何とか造石することは出來ないか、又供出完了の農家には、委託釀造を認めてはどうか、斯う云ふ質問がございました、酒類の造石に付きましては、大藏省、農林省共に努力致して居るのでありますが、食糧の現況から申しまして、是れ以上の造石は今の所なかなかむづかしい、又委託釀造に付きましては、是は相當考慮する點があると思ふ、即ち供出の割當がうまく行き、皆が納得出來るやうな割當が出來、さうして全部供出が行はれた、斯う云ふ場合に付きましては、農家の酒不足を緩和する爲に、又密造を防止する上から言つても、考慮して宜いのではないかと云ふ政府の答辯があつたのであります、又酒を專賣にしてはどうかと云ふ質問に對しましては、政府は製造專賣は酒の性質から言つて困難である、又販賣專賣は、只今色々な統制會社を置いて、實際上販賣專賣と同樣なことをやつて居るので、今更政府の役人が酒を賣つたりなんかする必要はない、專賣制は考へて居ないと云ふことを答辯したのであります、遊興飮食税に付きましては、最近の物價事情から言つて、免税點を引上げてはどうか、又第三國人から遊興飮食税を徴收もしないし、又政府に納めて居ないぢやないか、之を何か取締る必要はないかと云ふ質問がありました、遊興飮食税の免税點に付きましては、三月に一圓五十錢を十圓に引上げた關係上、此の程度に止めて置かなければいけない、さうして又第三國人の納税に付きましては、先般聯合軍司令部と打合せまして、十分今後取締ることに致しましたから、今後は徴税の實を擧げ得るだらうと云ふ答辯を致したのであります、其の外昭和二十一年度分の綜合所得税、或は賦課課税の所得税は封鎖預金で收められるか、即ち第二封鎖預金で收められるかと云ふ質問がありました、それは第二封鎖預金で只今申上げたやうな税は收め得る、又財産税に付きましては免税點、或は評價、或は徴收時期に付て質問がございましたが、此の點はまだ十分決つて居ないから、暫く猶豫を願ひたいと云ふ答辯がありました、最後に税制の運用でございますが、今の徴税機構は不完全である、又殊に調査委員會制度は、あれは非常に機構も薄弱であり、又實際所期した效果を擧げて居ない、税務機構を擴充する上に於ては、税務官吏の素質の向上竝に機構の擴充、即ち人員増加又所得調査委員會等に於きましては、納税者の選出致しました委員ばかりに限らず、職能代表、斯う云ふ者を入れて、もつと強化してはどうかと云ふ質問がありましたので、政府は其の通り今後努めて行きたいと云ふ風な答辯があつたのでございます、大體思附きの儘でございまするが、以上申上げたやうな點が、衆議院の委員會に於ける主なる質疑應答でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=5
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006・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 御諮りを致します、是より御質問を願はうと思ひますが、御質問の順序は、先づ大藏省關係に付て先に御願を致しまして、それから、其の後に内務省關係を致す積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=6
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007・徳田昂平
○徳田昂平君 私が前囘御願ひ致しましたことは、只今局長より御説明願ひまして了解致しました、是より御尋ねしたいと存じまするのは、先日兩院を通過致した金融機關経理應急措置案及び會社經理應急措置案及び近く議會へ提案されると存じます財産税等、實施に當りまして、財界には非常な影響があると思ふのでありまするが、政府は此の増税案立案に際しまして、是等の點を考慮の中に御置きになつたのであるや否や、又所定の税金が徴收し得らるる、御見込があるかどうかと云ふことに付て、御尋ね致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=7
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008・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 財産税法の施行は、昨年秋以來考へて居りましたので、當然今度の所得税法の一部を改正する等の法律案を立案致す時考へて居りました、其の他は、先般兩院を通過致した應急措置法案に付きましては、此の法案を立案致します時には考へて居りませぬ、併し、あの二法案が實施致されましても、歳入の點に付きましては、心配は要らないのでございます、是は、あの法案に依りまして、直接に影響を受けますのは、法人税と考へて宜いと思ひます、是は從來は法人税は法人臨時利得税を加へまして四十数億圓に達して居つたのでごさいまするが、昭和二十一年分の見込と致しましては十數億圓しか見込んで居りませぬ、而も是は既に一、二年前に事業年度が濟んで、まだ未決定の法人もありますので、十數億圓の今年度の收入は十分擧げ得られます、直接、處置に依りましての影響は、昭和二十二年分の歳入に響いて來ることに相成るのでございます、先般通過致しました應急措置令が施行になりましても、本年分の歳入の百六十三億圓は十分確保出來ることに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=8
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009・徳田昂平
○徳田昂平君 次に御尋ね致したいと存じまするのは、昭和二十一年度の所得額の査定に當りまして、其の決定が非常に不公平であつた、先程局長の衆議院に於ける應答の御説明にもありまするやうに闇が多かつた爲に、其の査定が非常に困難であつたと云ふことに付ては十分御察し致すのでございますが、闇を致して非常に不當利得を得た者に割合に徹底的な課税がなくて、眞面目にして居つた者に闇に等しいやうな所得があつたことに決定して居ると云ふことから、非常に其の査定に非難があると云ふことを聞いて居りますが、是は税務官吏の不足等に依りまして、或程度已むを得ないと思ふのでありますが、今後政府は、如何なる方法で其の公正を期する御考へであるか、其の點を御伺ひ致したいと思ふのであります、更に、近頃漁村に非常に新圓が多く集つて居る、或一漁村の如きは全村民擧げて數萬、若しくは数十萬圓、新圓を所持して居る、斯う云ふやうな噂を聞くのでありますが、是等に對しまして、政府は如何なる方法で税を課するか査定をするかと云ふことに付きまして、政府の御意思を伺ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=9
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010・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 闇取得に對しまする課税は、衆議院の質疑應答で申上げましたやうに、税務官廳と致しまして、それが闇であるかどうか存じませぬ、實際の收益から諸經費を控除したものが所得なりとして課税致して居るのであります、昨年は米價の値上、又野菜の自由販賣等に依りまして、農家の所得は非常に増加致しました、昭和二十年に於きましては、基礎控除後、所謂控除致しました後の所得金額は十九億圓でありましたが、昭和二十一年分の所得は九十三億、即ち三倍半に相成つて居ります、人員は餘り殖えて居りませぬ、斯く致しまして、農村に於ける實際の所得の増加は相當捕捉し得たと考へて居ります、斯く致します副作用として、實際供出價格だけで賣つた人、又野菜等を餘り作らなかつた者に付きましては、是は個々に當つて、或は例外的に課税に苛酷な點があつたやうに聞き及んで居ります、斯かる方に付きましては、至急訂正を致しますやう指示致しまして、大體全國的に數箇所位問題が起りましたが、只今では全部解決濟と報告を受けました、漁業所得に付きましても、昨年の漁業者に對する所得は一億七千萬圓でございましたが、今年は七億二千萬圓の所得金額として課税致しました、相當漁村に付きましては課税の充實を致して居るのであります、最近漁村に於ける所謂新圓の滞溜と云ふことは聞き及んで居ります、今年漁業家の所得の増加致しました分に付きましては來年十分之を捕捉致しまして課税に努めたいと思つて居ります、何分にも、只今の状況と致しましては出來るだけの努力は致して居りますが、人手不足と申しますか、又職員が十分能力を持つて居ないのも相當ありますので、御期待に副ふやうな課税の適正が期し得ない憾みもなきにしもあらずでありまするが、我々と致しましては、十分國民の租税の適正負擔と云ふことに付きましては、之を信條としまして、日夜努力致したい、又それを續けて行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=10
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011・徳田昂平
○徳田昂平君 只今の御答辯了承致しましたが、次に今囘の改正に依りまして、年額收入三萬圓ありまするものが五割強、五萬圓の收入がありますものに付ては六割強、十萬圓になりますると七割強の税率になりまして、最早、此の上増徴の餘地はないやうに考へまするが、政府は財政の状態に於ては更に増額すると云ふやうな御考があるや否や、尚又本邦の租税と歐米各國の税率の比較表でもありますれば、御示し願ひたいと思ひまするが、如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=11
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012・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 我が國の所得税も、戰爭中の累次の増税に依りまして、相當の負擔の過重を來して居ります、併し、之を間接税の方から比べますと云ふと、私は尚直接税の方に、増税の餘地があるのではないかと考へて居ります、今囘の増税に依りまして、三萬圓の方に付きましては、百圓當り五十何圓、即ち半額以上に相成ります、併し、斯かる負擔は世界各國、文明國は同樣でございます、まだ強ひて言へば、一萬圓から四、五萬圓、或は十萬圓程度のものは、外の國と比べまして高過ぎると云ふことは言へないと考へて居ります、唯、是は國民所得をどう見るか、或は他國との比較で、爲替相場をどう見るか、色々な觀點から、一概には言へませぬが、敗戰國の日本と致しましては、尚財政事情の如何に依りましては、増税の餘地もないとは言へないと考へて居ります、最高税率に致しましても、「アメリカ」は二十萬「ドル」超過が九十四になつて居るさうであります、日本は不動産所得で九十七でございます、事業所得でありますると、九十二に相成つて居りまするから、是も三十萬圓超過、さう大した負擔でもないと思ひます、「ドイツ」は戰爭中、最高負擔は六十五「パーセント」でありまするが、敗戰後九十五「パーセント」迄に引上げました、我が國竝みに相成つて居ります、「イギリス」は先般戰爭後の所謂御土産と致しまして、減税を致しました減税を致しましたが、尚且二萬「ポンド」以上には綜合所得税として四十七・五分類所得税として五十、合計九十七・五でございまするが、分類所得税の五十を四十五、計九十二・五に先般の議會でなりました、是も尚二萬「ポンド」以上は九十二・五でございまするから、さう我が國が、殊に高いとは言へませぬ、さうして又今の綜合所得税の負擔の額が二、三萬圓どころ、それから十萬圓どころとは、ちょつと比べまして低過ぎた嫌ひがありましたが、今囘はさう云ふことを頭に入れまして、負擔を盛つたのでごさいます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=12
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013・徳田昂平
○徳田昂平君 有價證券の清算取引は目下休止して居りまするが、當分開始の見込がないやうに思はれるのでございまするが、從つて清算取引所得の收入の見込は立たぬと思ふのでありまするが、之に對して政府の見解と言ふか、收入の豫算額はどの位になつて居りますか、それも承りたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=13
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014・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 清算取引所は御話の通りに、何時再開するとも目鼻がつきませぬやうでございます、從つて税收入に付きましても、餘り多くを見込んで居りませぬ、「フル」に取引所が動きましても、從來二、三千萬程度であつたのでございまするから、今囘に於きましても、大體四百萬程度の收入と認めて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=14
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015・徳田昂平
○徳田昂平君 今囘の立案の清算取引の所得と有價證券移轉税が、何れも十割以上の改正になつて居るやうでありますが、外の税率に比べまして、少し高過ぎるやうに思ひますが、之に對して政府の御考を承りたいと思ふのであります、更に此の移轉税が移轉税法第二十條と第二十一條の規定に依りますると、税を免れた者に罰金を課するとなつて居りますが、罰金を取りましたやうなことがありますや否や、若しありますれば、其の金額等も承りたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=15
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016・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 只今清算取引所得と云ふ御話でございまして、私は取引税の方かと考へを居りましたが、所得の清算取引の方でごさいますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=16
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017・徳田昂平
○徳田昂平君 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=17
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018・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 所得税の方でしたら、收入見込が百四十萬程度でございます、それから清算取引所得の税率の引上は、他の分類所得の引上、綜合所得の引上と睨み合せましてやつたのであります、高過ぎるかと云ふ御話ですが、さうは思ひませぬ、それから有價證券移轉税に付きましての引上は、是は徳田さん御承知の通りに、昭和十一年に決めた税率でございます、外の税は度々上げましたが、是は今迄据え置いたので、今囘相當思切つて上げたのであります、從ひまして、例へば廣告税の如き、明治三十八年創設以來引上げて御ない税に付きましては、三倍以上引上げました、有價證券移轉税に付きましては、昭和十一年の税率其の儘で、相當思切つて引上げたのであります、清算取引所得は高いか安いかと云ふ問題でございますが、他の譲渡所得、退職所得と比べまして、決して清算取引所得は高いとは考へて居りませぬ、是は本當に取引所に於ける差金の收入に依る決濟で儲けた所謂泡錢と申せば、是位泡錢はないのでございますから、斯う云ふものに對しまして、此の程度の税は、私決して高くないと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=18
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019・徳田昂平
○徳田昂平君 もう一つ御尋ねしたいと思ふのでありますが、所得調査委員のことに付きましては先程局長から衆議院の應答を承りましたが、それで了承致しましたのでありまするが、本年九月に任期滿了するとなつて居りますのを、一年延ばしましたのはどう云ふ都合でございますか、其の點を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=19
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020・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 今日の改正案で、所得調査委員の任期を一年延期致したのであります、是は財産税の課税に對しまして、此の夏から秋に掛けまして、選擧名簿の作成、選擧等の手續に忙殺せられますと、財産税の課税に十分に力を入れられませぬので、一年間延期することに致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=20
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021・徳田昂平
○徳田昂平君 私だけ長くて相濟みませぬ、是で了承致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=21
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022・黒田英雄
○黒田英雄君 相續税を千萬圓に限つて、それ以上の相續と云ふものは、二千萬圓三千萬圓に階段をつけない何か「イデオロギー」があるのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=22
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023・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 從來、相續税の最高の税率を申しますと、是は五百萬圓でございました、ずつと昔から五百萬圓で來て居つたのでごさいます、今日は或程度の増徴をすると云ふことになりますと、矢張り率を上げますのは、五百萬圓から百分の五十五と致しますと、急激に負擔が増になりますから、千萬圓を設け、二千萬圓を設けた次第でございます、さう致しますと、日本の相續税は如何にも相當高くなつたと云ふ風に見えが好いのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=23
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024・黒田英雄
○黒田英雄君 それから先刻、農家など御話がございましたが、所得税の申告者は、全體にしてどの位の割合になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=24
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025・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 國民の數に對する申告の枚數でございますか、或は所得に對してでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=25
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026・黒田英雄
○黒田英雄君 納税者に對しての申告の割合であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=26
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027・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 只今申告に付ての御質問でありますが、最近は手數の簡素化の爲に、農村に於きましては連記制に致して居ります、一枚の紙に數名、七、八名が連記で書くやうになつて居ります、さうして扶養家族が何人、自作が何段何畝、それは田畑にも依ります、さうして所得金額は幾ら、副收入、例へば養蠶所得は幾ら、養鷄は幾ら、斯う云ふ風の「カード」式に七、八人が一緒に書くやうになつて居ります、之を部落常會に持つて行きますと部落の人がずつと書き込みますさうすると、お互に申告を牽制し合つて非常に公正が期し得られると云ふので、農村に於きましては連記制の申告を全國的に採用致して居ります、併し東京其の他の都市に付きましては、相互の繋がりが殆どございませぬ、又同じ町内會、部落會でも、貧富に依つて餘程違ひますので、是は從來と同じやうに、一枚々々御配りして書いて戴くやうにして居ります、從つて申告は相當の數に上つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=27
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028・黒田英雄
○黒田英雄君 納税者に對して、どの位の申告があると云ふ御調べはまだ出來て居りませぬか、其の「パーセンテージ」は発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=28
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029・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 殆んど全部が申告なさつて居ると言つても宜しいかと思ひます、唯問題は、申告して控除の爲に失格した人を申告數に入れますと、實を言へば納税者よりも澤山の申告者があると言つて宜いと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=29
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030・小山完吾
○小山完吾君 是は今日のことを申上げるのではございませぬが、若し此の儘御散會になるならば、次會のことに付て私は希望があるのであります、どう云ふ希望かと云ふと、凡そ國家が税を徴ると云ふことは歳出と云ふものがあつて徴る、それに出合はせる爲に、増徴をすると云ふ根本の問題は、其の率がどの位であるか、或はどう云ふ方法でやると云ふやうなことに付ては、大局から見れば、寧ろ專門家の大藏省の御役人に任せて置いた方が餘程正鵠を得て居ると思ひます、我々の考ふべき問題は、一體、大藏省が日本の今日の財政に對して、如何なる見透しを持つて居るか、物價対策に付て、物價はどの位の所で落ち著く積りか、今年の歳出は、或は進駐軍の費用とか或は復員費とか、今年限りの支出が大部分を占めて居るとのことであるので、然らば來年はどの位節約されて、さうして政府は此の行政各部の支出を減らすことに付て、どんな考を持つて居るか、恐らく民主政治と云ふものの狙ひ所は、歳出を規制する爲に出來て居るのですけれども、それの事實は實際と違つて、どうも近來の風潮では、金を出す方には何でもどんどん贊成する、之を締めると云ふ風にやかましく言ふ人は何だか時代錯誤の觀念のやうに思はれる、是は今日敗殘の日本に取つては重大なる問題で、一文の冗費も之を節約し、さうして生産を増強するに必要なる費用を捻出すると云ふことでなくちやならぬのでありますから、私は次の機會に於ては、大藏大臣が御出席下さつて、それ等のことに付て、我々に篤と了解の行くやうに御説明を願ひたい、それを私の次の會に於ける希望と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=30
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031・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 承りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=31
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032・塩田團平
○塩田團平君 ちよつと御伺ひ致しますが、法人税の普通所得と超過所得ですね、あれは一旦、普通所得を課したものに超過所得を更に課するのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=32
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033・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 左樣でございます、所得に對しまして普通所得を課税し、又其の所得の中で八分以上に對しましては、超過所得を新たに課税するのでございます、從つて從來、所得がありますると、之に臨時利得税を課けて、さうして臨時利得税を控除したものが法人税の課税對象になる所得でありましたが、今囘はそれが變り、從つて税率にも、臨時利得の税率よりも餘程下つて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=33
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034・塩田團平
○塩田團平君 それから、もう一つ御尋ねしたいのは、今度の第二封鎖から納税の出來る税の費目ですね、それを一つ御説明願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=34
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035・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 第二封鎖から支拂の出來まする税は、所得税に於きましては昭和二十一年分の綜合所得税、又事業所得税等、賦課課税に依る所得税は第二封鎖から支拂が出來ます、法人税に付きましては、ずつと以前の税に對しましては勿論出來ることに致して居ります、八月十一日以後事業年度の終了するものに付きましては、其の月數按分に依りまして納めることに致して居ります、又法人が解散したやうな場合に付きましては、特例で税務署長の承認に依りまして、第二封鎖から支拂ひ得ると云ふ規定も置いて居る次第でございます、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=35
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036・塩田團平
○塩田團平君 さうしますと、將來賦課になるものに付きましては、第二封鎖から出來ないことになりますね、其の場合に、今迄税の査定は決つて居りますが、年賦償還の相續税等はどうなるのでございませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=36
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037・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 相續税に付きましても、從來課税額が決つて居ります、年賦延納のものに付きましては、第二封鎖から納税を認めることに致して居ります、唯問題は相續財産で課税を受けましたものが、第二封鎖になつた時はどうなるか、第二封鎖が非常に減つて來ると云ふ場合に付ての調整に付きまして、只今研究を致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=37
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038・塩田團平
○塩田團平君 是は税制と直接關係はございませぬけれども、此の前酒税の價格の引上のありました部分、あれは業者の收入に歸屬するのでありますか、或は又何かあれの處置に付て御方針を御立てになつて居りますか、酒の課税の引上のことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=38
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039・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 業者の手持になつて居ります酒に付きましての、今囘の増税に於きましては、増税分は税として徴收する規定を附則に規定致して居ります、是は酒に限りませぬ、清涼飮料でも砂糖でも飴でも、「サッカリン」でも、全部増税に依りまして、値段が上つた分は、此の増税の分だけを政府が取上げることに致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=39
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040・塩田團平
○塩田團平君 ちよつと今の質問が喰ひ違つて居りましたが、此の年末ですか、春にですか、酒の税を引上げた時に、其の價格引上げになつた部分は、單純に業者の所得とするには餘りに大きいやうに思ひます、あれはどう云ふ歸屬になるかと云ふことを御尋ね致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=40
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041・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 本年三月に引上げました價格引上に依りまする業者の收入に付きましては、是は他の種類の物品と同樣に、一部は統制機關に置き、一部は政府が取上げる、さうして他の一部は業者に渡す、斯う云ふ風な制度になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=41
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042・塩田團平
○塩田團平君 其の比率は只今分りませぬですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=42
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043・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 各各三分の一程度に相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=43
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044・塩田團平
○塩田團平君 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=44
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045・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 他に御質問はございませぬか、御質問がないやうでございますから、今日は是にて散會を致します、尚次會は明日午後一時半より開會致します
午後十一時三十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=45
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046・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 男爵 周布兼道君
副委員長 子爵 綾小路護君
委員
侯爵 池田宣政君
侯爵 西郷吉之助君
侯爵 鍋島直泰君
伯爵 奧平昌恭君
子爵 富小路隆直君
子爵 藤井兼誼君
子爵 梅溪通虎君
中田薫君
男爵 松平外與麿君
男爵 岡俊二君
男爵 水谷川忠麿君
男爵 長基連君
黒田英雄君
小山完吾君
塩田團平君
長島銀藏君
徳田昂平君
井川忠雄君
子爵 七條光明君
名取和作君
田島道治君
政府委員
大藏事務官 池田勇人君
同 前尾繁三郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00219460820&spkNum=46
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