1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○所得税法の一部を改正する等の法律案
○臨時租税措置法を改正する法律案
○地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年八月二十一日(水曜日)午後一時四十三分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=1
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002・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 開會致します、皆さんに申上げます、御質問の際は成るべく大聲で御願致します、部屋の加減でありますか、風の加減でありますか、少し聽取りにくいさうでございますから其の御積りで……、昨日小山君から大臣が御見えになつた時に御質問の御要求がございました、大臣は今日衆議院の方の御關係で非常に時間に御制限があるやうでございますが、それ迄御都合下さるやうでありますから、此の機會に於て小山君の御質問を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=2
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003・小山完吾
○小山完吾君 どうも大臣には大變御多忙の所をおいで下さいまして恐縮でございます、御質問申上げまする私の心持は、本年度の豫算に於て收支相償はせる爲に出て參つた増税案ですから、其の率とか、其の徴税技術とか云ふやうなことに付ては餘り意見を申述べる必要はないと思ひますが、唯私共が之を協贊するに當つて一應承つて置かなければならぬ問題は、既に今年度の豫算は不日我々の委員に廻つて來ると致しましても、來年度の豫算は既に編成時期に近づいて居ることで、平年と違つて茲二、三箇月の間に來年度の豫算は殆ど形が出來なければならぬ筈のものでありますから、政府としても先づ來年度の財政計畫に付ては略略御見透しは付いて居るだらうと思ひます、それで此の案を此の儘増税と云ふことに決してしまふと致しましても、既に今年度に於ても甚だ收支はつき兼ねて居るのでありますから、來年は更に又大いに歳入不足と云ふやうなことがありはしないか、それから又私は必ずしも觀念論に囚はれて、唯「インフレーション」必至だなんと云ふやうなことは何としても言ひたくない、どうしても是は大藏大臣に協力して我々國民としては「インフレーション」を阻止しなければならぬのでありますから、我々そんなことは言ひたくないのでありますが、併し戰爭中國家の公費を使ふと云ふことに付て頗る放漫な考になつて、是が習ひ性となつてしまつて、單り行政幹部と言はず、議員其のものがさう云ふ心持になつて居る、殊に選擧權が非常に擴張せられて、所謂民主的の議會と云ふものが出來た此の時期に於ては、何れの時に於ても國家の公費の番人であるべき所の議員と云ふものは、徒に眼前の人氣に囚はれて、國家の公費を使ふことばかり政府に向つて要求する、それですからそれ等のことを考へますと、今年是だけのものを要求して居つても來年どうなるか、茲に出て參つた案と云ふものは國家收入の主要なる税源でありますから、是等のことに付て、願はくば腹臓なき御意見を御話下さいまして、それに依つて我々は安心して政府に協力したいと云ふ、さう云ふ心持で、今日甚だ御多忙の所をおいで願つた譯であります、其の點に付て出來るだけの御説明が願へれば仕合せと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=3
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004・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 明年度の豫算に付きましては、段々見當を付けて居る譯でありますが、數日中に……今日は改定豫算が多分衆議院の本會議を通過するでありませうから、二三日の中に貴族院の方の御審議を煩はすことにならうかと思ひます、其の際に多少の御説明を申上げようと思つて居りますが、本年度の豫算の中の略略半分が一應本年度限りの經費であります、引揚の爲の經費でありますとか、それから進駐軍の住宅及兵舍の建築費でありますとか云ふやうなものでありますから、明年度に於ては相當に今年度の改定豫算に出て居る歳出を減らし得る、又減らさなければならぬと考へて居ります、唯併し一應本年度限りの豫算と雖も、全部が來年はなくなると云ふことは、特別の時局でありますから、さうは行かないだらうと思ひますけれども、兎に角明年度の豫算と云ふものは、現在の見込でも相當に減ると思つて居ります、又必ず減らすやうな措置を講じたいと考へて居ります、それでは明年度の財政は全然收支償ふか、斯う云ふ話でありますが、まだ其の點ははつきり致しませぬが、多少の赤字は矢張り出る、併しそれは又本年度の豫算で見ましても、相當多額のものが、所謂失業救濟、詰り公共事業でありますとか、或は民生安定費とか、さう云ふものに費されて居りますので、明年度の豫算で殖えるものがあるとすれば、進駐軍費の外に殖えるものは、左樣な人に職業を與へると云ふ方面の經費だらうと思ふ、でありますから、是は是からのやりやうでありますが、幸に石炭の増産でありますとかと云ふやうなものが是から緒に就いて參ると致しますれば、人を動かす費用ならばそれは或程度の赤字を暫く忍んでも、それに依つて「インフレ」が起ると云ふ懸念はないと、斯う云ふ風に考へて大體の處置を致して居る次第であります、細かいことはまだ實際は進駐軍の方の問題などは相手が相手ですから日本の政府だけで以て確定的に決める譯に行きませぬので、是から段々さう云ふ交渉を致さなければなりませぬ、今は何れにしても明年度の豫算は相當の緊縮を行ふやうな方面に先方とも交渉する積りで準備を致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=4
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005・小山完吾
○小山完吾君 只今の御説明を伺つたのですが、進駐軍の費用とか或は復員費用とか云ふやうなものは、或は來年大いに減ると云ふことは豫想されないこともないでせうが、同時に先刻申上げた通り、俄に選擧權が擴張せられて、さうして斯う云ふ際に現れて來る議會の輿論と申すか、議論と申しますか、何れにしても公費を使つてさうして大衆に、惡く言へば阿ねると云ふ政策を要望するに決つて居る、それですから大藏大臣は餘程の御決心を以ておやりにならなければ、なかなか國費を要求する勢と云ふものは強いだらう、それでどうしても行政各部の緊縮と云ふやうなものも非常な力でやらなければならぬと思ひますが、それ等のことは何れ豫算會議の問題に上るのですが、唯今既に具體的に大臣の頭の中におありであらうと想像致しますのは、來年度に於て今年より更に大いなる經費を要する科目があるかないか、若しそれが相當な額に達するとすれば、今年度に於て既に非常な赤字で財産税迄も使つて、是で以て今年の辻褄を合せなくちやならぬと云ふ經濟の下に於て、來年度はさうするとどうしても租税收入と云ふことに寄り懸るより外に仕樣なくなつて來るのですから、其處の邊をもう少し具體的に伺へれば仕合せと思ひます、是は別に豫算其のものの問題ではないし、私は協贊するに當つてあなたの御便宜の爲に御説明の出來る限り承れれば承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=5
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006・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 國内的には失業以外には非常に大きなものが出て來るとは思ひませぬ、殊に閣内でも申して居るのでありますが、是は物があり、食ひ物があれば經費を出すことは一向差支ないのでありますが、其の方と睨み合さなければなりませぬ、でありますから、學校の建築とか色々ありますが、さう云ふものはどれだけやれるものか、物と見合さなければいかぬ、是は矢張り、人氣取りに經費を増しても出來ないと思ひます、問題は今はつきりしないのでありますが、例の賠償の關係で、第一に賠償物件を解體し輸送する費用が是は別に責任あるものでありませぬが、商工省の當局が事務的に計算して百億圓になると云ふ計算も出て居るのであります、之をどうするか、「ジー・エッチ・キユウ」の關係がありまして、向ふとも多少の連絡をして居るのでありますから、向ふでも頻りに研究して居ります、それで以て日本の財政に非常な負擔を掛けるやうなことはしたくない、或はそれが爲に失業者が起るやうなことはしたくないと云ふやうな方向で研究を進めて居るやうであります、心配なのは其の邊でありますが、是は是からの政治交渉な譯でありますが、是非何とか話合を付けたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=6
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007・小山完吾
○小山完吾君 私は今日は大變御忙しい、時間も切り詰つて居りますので、其の位で次のどなたか御質問に……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=7
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008・黒田英雄
○黒田英雄君 私は大藏大臣に二、三御尋ね致したいと思ひますが、其の第一は増税案は要綱を拜見致しますれば、國庫の收入の増加を圖るとか色々ありますが、此の金額は平年度に於て三十七億餘圓でありまして、此の收入を増加になつて居りますが、増税案を立てられる時に於てどれだけの歳入を得ようと云ふ目標を以て増税案を拵へられたものでありますか、或は色々經濟界の情況とか、物價の騰貴とか、或は負擔の權衡と云ふやうなことを考へてやつて斯う云ふ金額になつたと云ふのでありませうか、其の點でありますが、詰りそれは昨日主税局長の御答辯の中にあつたかと思ひますが、尚今日に於ても負擔能力は相當ある、まだ餘力があると云ふ風に御考へになつて居るのでありませうか、詰り國民の所得が一體どれだけあるか、是はいつの議會にも問題になるやうでありますが、正確なものは餘程むつかしい問題と思ひますが、強いてそれは御尋をしませぬけれども、大體さう云ふやうな目標に置いてどれだけのまだ相當餘裕があるものであるかと云ふ考で、本年度に於ては差當り是だけの増税をすると云ふ御考であるか否や、それから尚引續いて御尋ね致しますが、御説明の中にもあつたかと思ふのですが、更に税制の根本的改正をしようと云ふ御計畫のやうでありまするが、是は税制法の適正化を圖ると云ふことが目的であるのでありまするか、矢張り財政の基礎を鞏固にする爲に相當増税をしようと云ふ御考で、増税をするのには、矢張り税制を根本的に變へて行かなければ、益益負擔の均衡を失つて來るから、根本的に後に變へてやらうと云ふやうな御考を以ての根本的の改正と云ふことを考へられて居られるのでありまするか、先づ差當り其の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=8
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009・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 實は御承知の財産税が色々の關係で延びて居りまして、而も其の内容がなかなか決定をしなかつたやうな爲に、率直に申上げますが、此の増税案を立てる時には、財産税との見合がどう云ふ風になるか、十分見極めが付いて居らなかつたと云ふことを申上げざるを得ない、でありますから今後の國民の負擔の能力がどうなるかと云ふことも正確には掴めなかつた譯でありますが、今囘の増税案は兎に角御承知のやうな財政状況でありまして、さうして出來るだけ國民に此の際負擔をして貰つて、さうして出來るだけの赤字を少くすると云ふことで研究を進めて居りました、でまあ今年としてはまだまだ改正をしなければならぬ、例へば物品税でありますとか云ふやうなものに付て改正をしなければならぬのでありますけれども、今の財産税の問題も決らないし、斯う云ふ關係でさう云ふやうな改正は是非共必要だと認めらるる小部分に止めまして、大體現行の税制其の儘で國民にどれだけの負擔がして貰へるかと云ふ見當で案を建てました、今後の問題は財産税を何れ近い中に決定を致して御審議を願ふことになりますが、其の財産税の關係から申しまして、相當高額の資産を持つて居る人達の資産は大分減りますから、さう云ふ方面の負擔能力は今迄よりもぐつと減りますけれども、併し下の方の財産税は前の豫想よりも非常に切上げられますので、小額の資産者には餘り財産税の負擔が課からないやうになりますから、日本の實情から申しまして、國民の税の負擔能力は將來に相當殘されて居ると、斯う云ふやうに考へて居ります、此の議會が終りまして、或は中途でも税制の改正をやりたいと政府でも案を立てつつある譯でありますが、只今私の考へて居りますのは、根本的と申しますけれども、現在の所得税中心の税制は根本的に變へる餘地は恐らくないだらうと自分は考へて居ります、戰時中に色々やりました點に付て、物品税其の外のものに付て改正をする、さうして直接税と間接税との均衡を得しめる、尚國民の今迄と變つた負擔能力を見定めつつ、若し増税が出來るならばそれを檢討して見たい、斯う云ふやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=9
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010・黒田英雄
○黒田英雄君 それでは大藏大臣は國民の負擔能力はまだ相當あると云ふ風に御考になつて居るやうでありますね、此の初年度の改正案に依りましての増税額は二十三億餘萬圓に相成つて居るやうであります、さうして來年度、平年度として三十七億餘萬圓と云ふやうな見積りで居るやうでありますが、此の點は豫算總會か或は分科會あたりで御尋をした方が宜いかも知れませぬが、是はどう云ふ御考に基いて居るものであるか、詰り本年度の現實の實相から、税率の變更に依つて率を定めて居るのだと思ひますが、來年度に付きましては、本年度に財産税の徴收があると云ふことになりまするし、それから色々、補償打切とか、其の他に依つて事業の變更もあるのですが、それ等も十分御考になりまして、見積りを立てられて居るものだらうと思ひますが、それ等の點はどう云ふ風な御考の下に、詰り經濟界が本年と同じやうに行つて色々な收入、收益等も大體同じやうに上つて行くと云ふ御考へでありますか、或はそれがどう云ふ變化を來すかと云ふやうな御考へでいらつしやいますか、其の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=10
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011・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 經濟界の大體の見極めは、今囘の整理に依りまして、一方に於ては相當に打撃を受けますけれども、併し其の他の處置に依つて此處兎に角金融機關の如きは出來れば二、三箇月の間に整理をしてしまひたい、あと企業の方には多少整理の殘される部分もありますけれども、是等も端から整理をして、今の見當では兎に角半年位の間には全部整理したい、のみならず其の整理中に於ても新勘定に依つて事業は進ませる、斯う云ふ見當でやつて居ります、でありますから、經濟界の状況は漸次順調に、徐々であるとしましても、混亂があり、生産が尚減ると云ふ風な考へ方でなく、漸次順調に持つて行く、斯う云ふ考へ方で以て税の關係も考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=11
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012・黒田英雄
○黒田英雄君 それでは財産税の關係に於きましては、財産税が徴收されても、來年度の所得收益には變化がないと云ふ風な御考でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=12
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013・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 財産税は先程申しましたやうにまだ内容を申上げる段階になつて居らないやうでありますが、比較的前の豫想よりは少く、さうして高額な財産者のみに掛かるやうなことになると考へて居ります、でありますから其の方面からの平時の收入は減ると見なければならぬのでありますが、日本の所得の分布から見まして、比較的少額の所得者が多いし、又其の方面には是から公共事業其の他の政府事業に依りましても收入がありますので、それから會社の方面にも先程申しましたやうに整理はあるのでありますけれども、一方に於ては仕事がやつて行ける、斯う云ふ見當でありますから、平時の税收入も今日考へて居る現在の増税程度には無論堪へて行くものと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=13
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014・黒田英雄
○黒田英雄君 此の點の御考は分りましたが、もう一つ伺ひたいのは、是は申上げる迄もなく、現行の税制の主體は所得税を中心に徴税をするやうになつて居ります、其の所得税に於きましては各人の所得と云ふものを綜合して、さうして各人の擔税能力と云ふものを計り、それに適應する課税をしようと云ふ建前に行つて居るので、誠に私其の通りと思ふのでありますが、是は或は内務大臣に伺つた方が宜いかも知れませぬが、今度の地方税の改正を見ますと、府縣民税だとか、或は市町村民税、是が六十圓と四十圓の平均になつて居る、百圓になつて居るやうで大分増して居るのであります、さうして其の上に最高の制限二千圓と云ふものが撤廢されて居るやうであります、さうなつて來ると總額と云ふものは動かないのでありますけれども、其の中で以て個々の人に課税されるものは地方で以て色々變つて來る、さうすると市町村民税と云ふものが相當重く課けられるものが、出來て來る、さうなつて來ると、折角國が綜合して、さうして擔税力を見て居るものが、地方の税に依つてそれが壞されると云ふ結果を來す、場合に依れば或は所得税以上の負擔をしなければならぬと云ふものが生じて來る危險がありはしないかと云ふことを恐れる、斯う云ふものは國税の方で以て寧ろ統合して負擔力に應ずる課税をすることが宜いのぢやないかと思ふのでありますけれども、兎に角今度の改正案に依りまして、さう云ふ弊害を生じないやうに大藏省の立場としてはどう云ふ御考を以て見、どう云ふ處置を御執りになる御考でありますか、其の邊のことを伺ひます、政府委員でも宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=14
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015・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 今囘地方税でありまする市町村民税を増徴し、又府縣民税を創設致しまして、從來の市町村民税の大體十倍程度の増收を圖ることに致しました、從つて今迄は人税は殆ど國税で以て徴つてしまふ、それを各地方に分けてしまふと云ふ風に建て方が或程度變つて來ました、或程度變つて來ましたが、併し地方の財源から申しますと、矢張り十數億圓近くの市町村民税等を徴收する必要がありますので、今囘増徴することに致したのであります、從ひまして増徴し、而も六大都市では最高二千圓、其の他では千五百圓と云ふ額を今囘取つてしまつて居るが、是は非常に高額所得者に對しましては、府縣民税、市町村民税が多額になり、國税を超過する可能性はないかと云ふ御質問でございますが、此の點は内務省でも、大藏省でも所得税を超ゆると云ふことは絶對にないやうに十分各府縣廳を指導したいと思ひます、御話の如く最高の制限を置くか、置かないかと云ふことに付きまして十分研究致したのでございまするが、平均の徴收額を十倍、或は十數倍に致しました關係上、此の最高の制限額を十倍、或は十數倍に致しますと、非常に高くなつて參ります、さうしますと、却て制限を置かないで、國税の税率、所得を頭に入れて、各地方々々の負擔力に副つたやうな府縣民税、市町村民税の課税をした方が實際に合ふのではないかと云ふことに内務省、大藏省の考が纒りまして、實際の課税に方りましては十分負擔が酷にならないやうに指導致して行く考であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=15
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016・黒田英雄
○黒田英雄君 此の點は分りました、私の質問は此の位で止めて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=16
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017・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 松平男爵も質問が御ありになつたやうでありますが、大藏大臣がいらつしやいますから、如何でございますか、此の際……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=17
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018・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 只今大藏大臣の御話に依りまして、今年は所得税中心に大幅の増税をすると云ふ御話でありましたのですが、私の心配するのは、黒田委員からの御心配もございましたが、現在の經濟状態から見ても、戰後の處理按配の上に於て、果して豫算額と云ふものが、現在より減りはするけれども、殖えることはない、例へば本年は五百億だ、是れ以上突破することはない、寧ろ漸次低下する位ぢやないかと云ふ御話を承つたのでありますが、果して御考通りに、此の豫算額と云ふものが、是れ以上上らぬものでありませうか、私の考に依りますと先程も御話がございましたが、賠償額に依りますと、可なり大きい金額に上り得ることも、想像出來るのであります、さうしますと、所謂收入の財源から見まして、或は更に所得税の増額であるとか、或は其の他の國税の増額と云ふものを矢繼ぎ早に行はなければならぬと云ふ事態が生じないとも限らないと思ふのでありますが、現在の見透しでは、此處暫くの間は此の程度で止めて置く、暫くの間は増税する心配はないと云ふ御信念が御ありになりますか、先づ大臣に此の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=18
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019・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 詰り財政の歳出の方は實は心配すれば切りがないので、色々な問題がないではありませぬが、實際問題に於てどの位の負擔に堪へるか、今年もあの改定豫算が隨分、何と申しますか、日本國民の大きな負擔だと云ふことは關係方面も認めて居るのであります、唯「ナット・アンベア」、まあ堪へられないやうなことはあるまいと云ふことなんであります、率直に申上げますが、今年の財政と云ふものは前内閣の引繼でありまして、十分に新内閣になりましてから、本當のことを申しますと、檢討し直し、又は交渉し直しをしなかつたのであります、今年の處堪へられない限りではないと云ふ向ふの認識でありますので、交渉の餘地はあるが、是は必ずやらなければならぬと云ふことは覺悟して居ります、歳出の方は無論今年程の歳出であつては困ると思つて居ります、それから同時に今年は財産税がある譯でありますが、それがなくなる譯でありますから、來年から支出の情勢に依りましては絶對に増税をしないと云ふことは申上げ兼ねる譯でありますが、出來るだけ負擔を減らす方へ持つて行つて處理したいと云ふ希望であります、何しろ斯う云ふのは非常に變態的な財政でありますから、必ずや此の増税をしないとも確言は出來ない譯であります、其の點は税制を十分檢討致しまして、さうして今でも相當の負擔能力ある所もあるぢやないかと云ふ問題もある譯でありますが、さう云ふ點に考慮を致して見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=19
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020・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 それから此の分類所得税と綜合所得税でありますが、是は私自身の考で多少間違つて居るかも知れませぬが、二重課税のやうな感じがするのでありますが、此の二重課税の性質を持つて居るものでありませうかどうかと云ふことが一つと、それから今度は大幅に分類所得税の範圍を擴大されましたが、是は事情已むを得ないと思ひますが、此の點に於きまして一番困るのは、勤勞所得と云ふものは、假に上り方が百分の十八が二十になりましても、外に比べまして比較的に増加率がきついのぢやないか、例へば今度特別の給與か何か貰ひましてもそれは所得に合算するから矢張り相當大きい額になる、從來二百圓貰つて居つた者が千圓になれば、一躍千圓になると云ふことになりますと、「パーセンテイジ」は少いのでありますが、實質的に見ると云ふと、勤勞所得階級者の負擔歩合と云ふものは強くなつたのぢやないかと思ふのでありますが、如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=20
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021・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 分類所得税と綜合所得税と二重ぢやないかと云ふことが前から話が出るのでございますが、是は二重ぢやありませぬ、分類所得税を課されるのは所得でありまして、其の初りの所得に、大體源泉で以て分類所得税を課す、其の所得其のものが何と申しますか、其の課税された元が所得になるのでありますから、それを今度綜合して課税するので別段二重になるのぢやないのです、さう云ふ仕方が誤解があるものですから、若し此の分類所得税を取つて拂つただけを除いて綜合にすると云ふことになれば、今後は税率を上げることになる譯でありまして、同じことになつて行くと云ふ風に前から説明して居る譯であります、それからちょつと説明の仕方が惡いのでありますが、尚專門的な説明は政府委員からさせても宜いと思ひます、二重ではございませぬ、それから此の綜合所得税は、今度は税率を上げましたが、併しながら實際に勤勞所得の二萬圓以下の者は、尤も是は此の春の基礎控除等、此の扶養家族の控除等を上げました關係でありますが、實際に於ては昭和二十年度に比較して、今度増税を致しましても、二萬圓以下の所得者は、是は獨身者であるとか、扶養家族のある者に依つて多少違ひますが、何れにしても實際の納税額は減る譯であります、でありますから如何にも給料を上げられましても、其の中の一部分を所得税に取られますから、殖えただけが實收になりませぬから、非常に詰らないと云ふ感じも與へられますけれども、二十年度と比較すれば減つて居る譯であります、給料を上げられただけは税を取られますけれども、それだけ決して全部が取られる譯ではありませぬから、矢張り上げられただけの効能はある譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=21
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022・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 最後にもう一つ御伺ひ致したいのでありますが、現在地方税の財源になつて居ります地租、家屋税、營業税の問題でありますが、是は多年問題になつて居りまして、地租委讓とか何とか地方で問題になりますが、現在の状況から見ましても、之を地方税に委讓すると云ふことは絶對に困難な御事情がありませうか、又税制の系統上から殆どさう云ふことは不可能でありませうか、名前は國税で取りまして、現實は其の儘地方に戻すと云ふのですから、結局國がそれだけの手間を爲さる譯で、さうしてそれを國の費用に使はぬで、全部今迄通り地方の分與税は財源に戻すならば、形式の問題を變へるだけで、結局地方税にしても、結果から見れば同じと、斯う素人の考かも知れませぬが思はれる、さう云ふ點から考へて、將來地方税制の確立と云ふ點から考へましても、現在の地方税の如く獨立税としては餘り有力な財源がないやうですから大部分は分與税に負ひかぶさつて居ると云ふ状況で、先程黒田さんの仰しやつた通り本年府縣民税、市町村民税が出來ましたに致しましても、矢張り三税が相當大きい財源になつて居りますから、若し其の實際上、取扱上、理論上に於きまして、不可能事でないならば、或時期に於て之を地方税と云ふことに轉換すると云ふことが出來ませぬものでせうか、一應參考に承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=22
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023・石橋湛山
○大藏大臣(石橋湛山君) 地租は前に地租委讓論が盛んでありまして、地租と云ふものの特別の性質上、どうも地方へ委讓するのは困ると云ふやうな議論がありまして、さうして多分其の中を取つて國で徴税して、實際の收入は地方へ還元すると云ふやうなことになつたと歴史的に思ふのであります、それから家屋税、營業税等も、家屋税は元々地方税でありましたが、それを同じやうにやつたのですが、是は地方毎に非常に負擔が違ふから、もつと公平にしなければならぬと云ふ議論から出て來たと思ひます、營業税も亦同樣と思ひます、ですから是は決して地方に委讓出來ないものではないと思ひます、今後の日本の地方自治の發達の状況に於きましては、無論地方へ委讓して差支ないものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=23
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024・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 松尾君に御了解を求めたいと思ひます、先程松平男爵に御質問を許します際に御發言でございましたが、私の申上げ方が或は不足であつたかも知れませぬ、同男爵は、昨日大藏大臣御出席の際に質問をしたいと云ふ御希望が出て居りました、尚ほ重ねて先程御發言もございましたと言ふやうな事情にございました爲に、同男爵に御許しを致したのであります、其の事情を御了承願ひます、松尾君に御發言を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=24
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025・松尾國松
○松尾國松君 私一つ御伺ひしたいが、大體是は所得税でも地方税の増徴でもえらいことである、さう云ふことは色々は申しませぬが、なかなかえらいことである、殊に二十年度の所謂所得收益に付て課せられると云ふことは申す迄もなく、其の課せられる年に更に繼續的にあれば宜いが、無い場合に於ては相當に困難であります、それに付て著しい場合には色々例もあるけれども、要するに是はなかなかえらいと存じますが、併しそれを今どうするかと云ふ點も片一方に要るし、どうも已むを得ぬと私は存ずるのであります、處で大藏大臣の衆議院に於ける、其の他我々が承つても、「インフレ」防止は一面に於ては金融の措置と、尚それの實質的對策としては生産増強にある、斯う云ふ御意見のやうに承つて居ります、又私共もさうでなければならぬと存じますが、それに付ては世間では石橋財政に付ての論議も行はれて居ることは御承知の通りであります、併し私は来年度の豫算編成に付ては今年以上に困難である、大藏當局の苦心は今より御察しする、先程も相當に減額がありました御話でありましたが、左樣希望する者であるが、容易に來ないと、本員はさう云ふ風に考へて居る者であります、さう云ふ考へ方の下に於て、所謂現在政府の財政の成功を立てねばならぬ、私は大體政府の財政と云ふものは、増税案を出せば、増税を徴收する責任もあり、其の徴收した結果に於て國民の經濟、財政も亦豫期以上に惡くならぬと云ふことを前提とするものであるから、政府の財政と云ふものは是非共成功を立てねばならぬと存じますが、それは色々な意見があります、我我もないではないけれども、どう云ふ意見があつても、此の増税を提案されて、増税を協贊した以上は、其の財政が成功して、容易に之を徴收し得ると云ふ、又國民も負擔能力に應じたものであると云ふ氣持で出さねばならぬと云ふことは申す迄もない譯であります、故に政治論、色々は別としまして、是非現在の政府の財政政策を成功せしめねば我が國の再建には非常なる困難を來すものであると云ふことを思つて居る者でありますが、さうすれば現在の石橋財政の一つの「インフレ」に對する所の根幹と申すか、要因と申すかは生産の増強にあり、斯う云ふことに私は考へる者であります、それに付て此の増税案を出し得ると云ふことは、どう云ふことが出し得るか、出す能力があるか、擔税能力があるかと言へば、生産増加より外にないと思ふ、誰がどう云ふ利口さうな理窟を言つても、どんな常識論でも何でも之を樂に出し得ると云ふことは生産増強より外にない、斯う存ずる者であります、それに付て大藏大臣は此の提案に付て幾多の御説明があり、其の通りに私共は成功して貰はねばならぬし、成功させねばならぬと、少くとも松尾には其の一部の責任を持つて居る者と考へるのでありますが、さうすれば大藏大臣の考へて居らる、生産と云ふものを如何にして可能ならしむるか、斯う云ふ問題になるのであります、是は本案の、困難であるけれども、負擔をする、協贊をすると云ふならば、其の大藏大臣の考へ方の生産を増強しなければ負擔能力はないのである、而して其の負擔能力を可能ならしむるのには生産増強である、斯う云ふことに歸すると存じます、それであるから其の生産に付て、現在に於て我々が實際の方面から考へて見ると、果して生産をあなたの言はれるやうに政府は全く可能な状態に置いて居るかどうか、斯う云ふことを私は一言申したいと思ひます、それは一つの物を造ると、假に今後に於ける賠償や其他色々あるでありませう、此處で御話を聽いたり申したり、遠慮することが相當にあると存じます、其の影響は全部生産に及んで來ると、斯う考へます、それを考へる時には何でもかんでも生産と云ふものをもつと政府が理解し、同情し、さうして技術方面にも注意して、其の生産を容易ならしめ、可能ならしむると云ふことにしなければならぬ、處が本員が眺めて見て居る處では遺憾ながらそれに逆な状態にあるのであります、例へば肥料を作る、斯う云ふことを言ふと商工省の工務局長が主管である、又其の外の關係に於て商務局も關係する、それから農林省に行けば農政局も關係する、肥料の方の關係の方も關係する、金融方面では大藏省が關係する、此の頃は經濟安定本部が關係する、何處へ行つて宜いか分らない、現在松尾がやつて見て一つ一つ事實を話せと言ふなら幾らでも話しますが、さう云ふことは時間の關係上考慮しますが、何故私が斯う云ふ詳しいことを申上げるかと云ふと、大臣は御承知で、話に聞いて尤もぢやと言はれるか、言はれないか知らぬが、そんなことがあるとかないとか言ふか知らぬが、實際になるとどうにもならぬ、それだから工務局長に行けば、俺が云うてやらにやならぬ、又こちらに行けば與り知らぬ、俺の方はどうにもならぬと云ふ譯で、石炭の關係は斯うなつて居ると云ふことから、まるで八方頼みに頼んで歩く、終ひには何處へ行つて宜いか分らぬ、僅か一時間か二時間で濟むことに三日も五日も掛つてしまふ、何處へ行つて宜いか分らぬと云ふやうな現状です、失禮なことを言ふけれども、松尾はそんな目には遭はぬ、現在私は大臣の考とは逆な途を云つて居る、斯う見て居る、それに付て大藏大臣は本當に生産増強の爲に、此の擔税能力を容易ならしめ、涵養する爲に、大藏大臣は本當にどうして之を統制してやつて行くか、斯う云ふことです、私は此の頃法制調査會に於ても大藏大臣の權限を強化すると云ふことに付ては有力なる主張者の一人であります、それは今後に於て我が國を再建するには、金融と財政と云ふものに強力なる權限を持たせなければ再建出來ないと思ふ者であります、さう云ふ意味に於て如何にして負擔能力を涵養するか、斯う云ふことに付て、私はあなたの一つ本當のことを承りたいのであります、さうして私が今考へて居ることが違つて居るなら違つて居るとして、違つて居るとさう仰しやれば、明日からの事實に付て考へます、決して私は政府の政策を非難したり、攻撃したりせむとする者ではない、嫌なら……意見はあるけれども、さう云ふことを言ふ者ではない、兎に角此の増税案を贊成する以上は、あなたの考へ方を成功させたい、是だけであります、であるから私はえらく長いことを申しましたが、意見でも何でもない、御尋ねする本當の氣持を申上げたのであります、だから大藏大臣も本當の氣持を聞かして貰ひたい、如何にもさう云ふことが生産に邪魔して居るものぢやと思ふ、殊にもう一つ附加へると、統制會と云ふものがあつて、統制會と云ふものが又一方抑へる、實に迷惑千萬な状態である、私は今肥料のことを言つたが、肥料ばかりぢやない、殆ど皆さうである、若しそれ本員が言ふことが違ふなら大臣が一遍やつて見て歩いたら宜い、書類を何處に出さなければならぬか歩いて貰つたら宜い、成る程と云ふことが御分りになると思ふ、其の點に付ては私は一つ大藏大臣は自己の方針と財政を成功する爲に、本當にどう云ふことを考へて居られるかと云ふことを、私は簡單に承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=25
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026・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) いやもう御話の通りであります、私も多少の體驗を持つて居ります、今なかなか國内が御話の通りであり、又外にも故障があると云ふ譯で、非常な困難がありますが、是は幸に安定本部も出來ましたししますから、現在既に安定本部とも十分緊密な關係を執りまして、無論外の各省とも連絡を執つて居りますが、相當強力に押して行く積りで居ります、具體的にそれはどう云ふことをやるかと云ふことを此處で一々申上げることも出來ませぬが、御意見の如く一つ十分押して行く、斯う云ふことだけ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=26
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027・松尾國松
○松尾國松君 私はそれ以上申上げませぬが、どうやら政治家部長らしく聽える、政治家部長でさう云つてしまへばそれで濟んでしまふ、松尾が斯う云ふことを云つて居つたから、斯う云つて置いたと、斯う云ふことで濟みさうなんですが、私は是は濟まぬと思ふ、此の問題は… 、又あなたの方に行くと安定本部が出來た、農林大臣も云つて居たと、そんなことを云つて居つたつて出來るものぢやないです是は……、ですから私は今の大藏大臣を、あなた嫌味云はれて嫌なら、又野人として書きたくつたら宜い、私は決して此處で大言壯語するのでも何でもない、私も相當に書いて居ります、大臣が自分でやれば分るんぢやと云ふことを書いて居る、だからどうぞ今迄のやうな政治家部長に終らずに、本當に私の熱意のある所を……、もう一遍申上げます、私は自分で直接難儀したことに關係はないが、見て居ると如何にもやる瀬がない、斯ふ云ふ増税法を協贊するからには、どうぞ今迄の政治家でなしに……、
今迄と云ふと惡いが、過ぎたることぢやなしに、本氣で連絡を執つて、さう云ふことの現實化するやうに御願ひ致します、是で私は終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=27
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028・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 大藏大臣に御質問がございますれば此の際願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=28
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029・井川忠雄
○井川忠雄君 遲れて參りまして、或はそれ迄に私が是から御尋ねしようと思ひますことに付きまして、質疑應答があつたかと思ひますが、其の時はどうぞさう仰しやつて戴きます、私は此の増税案に反對する者ぢやありませぬ、唯是だけの増税を此の際爲さるものとしますれば、矢張り納得の行たやうな納め方を國民にして貰はなければならぬ、殊に私共直接色々國民の聲を聞く役をして居りますので、此の際聞きましたことを纒めて極く簡單に申上げて、大臣の御意見を承りたいと思つて居ります、昨日主税局長から各國の國民所得なぞを御比較になりまして、まだ日本に於ては擔税があると云ふやうな御口振りの御説明がありました、數字の上では或はさうであるかと思ひまするが、是は私は日本と海外諸國との色々の事情を比べて何時も感ずることでありますが、數字に現はれて居る所と實際と非常に違ふと思ふ、私の考ではどうも西洋手拭と云ふものは絞つても絞り切れないで潤ひがあります、日本手拭と云ふものは絞つたら潤ひがなく、此の頃では直ぐ乾いてしまひます、それだけの違ひがあります、唯國民所得を國民一人當りの税負擔を比べて、まあ大藏省ではそれと爲替相場など今の相場で比較して見てやつて、遞信省が此の間郵便料の値上の際に出されたああ云ふ比較をされないで、私は大變喜んで居ります、ああ云ふ簡單な比較をされて、まだまだ日本の方が低い、餘力があると、期う云ふ比較をすることは、私は間違つて居ると思ひます、可なり重税であると思ひます、殊に私は斯う云ふ増税案が、今後出て來ます財産税などと一緒になりまして、恐らく我が國の中産階級と云ふものは是で沒落して行くのぢやないか、斯う云ふ風に考へて居るのであります、此の頃の日本の状態を御覽になれば直ぐ分る、話は少し脇へ逸れますが、大變日本贔負の或「イギリス」「ビショップ」が、最近ちよつと見えました、大變敬虔な人で、嘗ての日本の軍部に虐められたにも拘らず、我が皇室に對して非常に尊敬の念を持つて居る、早速宮城の前に敬意を拂ひに參りましたが、夜だつた、あそこを通りまして非常に驚いた、まづい言葉を使ひますが、御本人の仰しやつた通りの言葉を使ひます、あれは草原でない吉原だ、斯樣に日本が零落するとは思はなかつたと言つて、さうして涙ぐんで居られた、其の話を私が皆にしますと、いや東京中の草原は皆吉原に成りかけて居る、此の頃は中産階級の娘さん方も、生活に困つて色々なことをやるやうになつた、段々聽くと此の言葉は必ずしも過言ぢやない、斯う思はれる節が澤山ある、從つて是以上茲に増税を負擔させられる以上は政府として出來るだけ歳出の節約をやつたと云ふ所を、御示しにならなければならぬのぢやないかと思ひます、政府は一體どの位節約したでせうかと、能く地方の代表の方が言つて居る、行政費を見ましても是ぞと云ふやうな節約の跡がないやうに思ひます、勿論「インフレ」も手傳つてなかなか數字を出すことは出來ぬかと思ひますが、例へば鐵道は、嘗て二十萬人の從業員でやつて居つた時代の、交通量しか今日はないのに、それが五十萬人を超えて居ります、復員者などを入れますとそんな數になります、是は鐵道を例に引いただけでありますが、各省の實際を見ましても、御忙しいことは可成り御忙しいことでありますけれども、さうでない方も可成り御ありになるやうに見えます、そこで行政費の節約を、可成り思ひ切つたことを一つ御願ひしたいと云ふのであります、それから國債費であります、是は成程現在の儘では已むを得ないのでございまして、是だけの大きな數字になつて來るのも、或は考へ方に依つては仕方がないと云ふやうなことも言へるかと思ひますが、是も此の儘放つて置けば、來年は此の十倍位になりはせぬかと思ひます、「インフレ」にならぬと仰しやればそれ切りでございますが、今の財政の立て方では「インフレ」になると思ふ、殊に只今の松尾さんが御心配の通りに、増税が出來なければ「インフレ」になると思ひますが、差當つての問題としましては、國債を帳消にすると云ふやうなことは、是は少し行き過ぎて居ると思ひますが、せめて國債の利拂と云ふことに付てもう少し御考を願つたらどうでありませうか、殊に軍需補償の打切と關聯して、終戰前と同じく依然として、三分五厘を維持して置くと云ふことは、餘り立派な論據がないではないかと思ひます、英米等も國債に對しては、例へば御承知のやうな非常に低利、長期なものに借替へて居ります、それは極く長期低利で而も免税約款附でございます、如何なる中央地方の政府でも、之に税を課することは出來ない、一分位の利附きのものでも富豪階級は喜んで之を買ひます、一分でも、一分五厘の金利でも、分類とか綜合の課税がされれば一分そこそこにならぬでも、それは替ります、「コンソル」公債式のものは値段が落ちて居りませぬ、我が國でも無利息と云ふ譯には行きますまいが、之を實質上一分とか何とか御下げになる、或は之を下げる代りに、課税の形式で二分五厘程度御取りになつて、五十年百年の長期公債に御借替になれば根本的な解決法ぢやありませぬが、國債費を節約するのに或は役立つのではないかと思ひます、それから從來の軍事費に代るものが今日の進駐軍の經費だと思ひますが、是も考へやうで、向ふ樣に持つて戴くことを御交渉下さつたらどうかと思ひます、私は「シベリヤ」事件の際に、政務部附になりまして、色々財政經濟問題を扱はしめられたのでございますが、あの際「チエッコ」の兵隊が「シベリヤ」鐵道を通つて本國へ歸る、之を聯合軍が助けたやうなことになつた、一時「シベリヤ」鐵道を「チエッコ」が管理した、聯合軍も「チエッコ」も「シベリヤ」鐵道に使つた、處が聯合軍は「チエッコ」から勘定書を突附けられました、私引續き居りませぬでしたので、記憶致しませぬが、聯合軍の意見は、是は拂はなければならぬと云ふことであつたやうで、私共の考では、「チエッコ」のものではないけれども、假に「チエッコ」のものとしてある、それが而も「チエッコ」を安全に本國へ還してやる、それを聯合軍が手傳ひをやつて、汽車賃を取るのはをかしいと云ふ考であつたが、一方高い所から考へますと、是は聯合軍共通の問題である、平和を維持する爲に必要な問題だから、是は聯合國で當然共通に負擔すべきものだ、と云ふ考へ方であつたやうに思はれる、日本に於ける進駐軍の經費と云ふものも、成る程、日本は戰に負けました、併し今駐在して居られるのは、是は世界の平和の爲に駐屯して居られるのぢやないかと思ふ、それならば其の費用と云ふものは、或は是は世界全體として負擔して宜いぢやないか、日本だけが之を負擔すべきものぢやないぢやないか、と云ふ風に私は考へる、殊に終戰前に「アメリカ」の大統領が「ビラ」を撒きまして、日本の軍閥を相手にするけれども、國民は相手にする譯ぢやない、と云ふやうなことをはつきり闡明して居ります、從つて此の際日本の國民が一圓を納める税金の中、三十三錢でしたが、進駐軍の經費に納めるとしても、負擔に堪へない、又是が爲に「インフレ」防止も非常に障碍を來すと云ふことも、理を以て御盡しになつたならば、或は進駐軍の經費も、或程度迄削減の餘地があるのぢやないかと思はれます、斯う云ふ行政、國債、軍事費に代る今のやうな經費、さう云ふ點から一つ徹底的に歳出の歩調を圖られまして、それでなくとも大勢は「インフレ」進行で、非常に殖えて行くと思はれますから、是は松尾さんの御話がありましたやうに、増産に對する障碍を除かれまして、増産と云ふ方面に、國力の全體が向くやうな財政體系を御整へになつたらどうか、こんな風に考へるのでありますが、一つ是等の點に關しまして、大臣の御所見を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=29
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030・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 御意見如何にも御尤もでございます、第一の行政整理のことは、無論前内閣の時には一應やつた譯でありますが、尚一つ根本的に考へて見たいので、是は私ばかりぢやない、閣内全體の意見であります、それから第二は後としまして、第三の此の進駐軍の經費は、先程ちよつと申上げた、實はあれだけの費用でも、多少前内閣の時に減らして貰つた譯であります、けれどもまあ減らしたのは、實質は二萬戸家を建てると云ふのを一萬戸立てると云ふことになつたのでありますが、一向其の效能がなかつた、實質に於ては、金額の上に於ては、それにしてもあんなことになつてしまつた、斯う云ふ譯です、御話の如く相手のあることでありますからやりますけれども、極力之をやらざるを得ないと考へて居ります、それから第二の國債の利子の問題でありますが、是は實に前大藏大臣も財政の歳出緊縮の目的で色々國債問題を考究されて居りました、其の引繼を受けて居ります、其の中には三分五厘を一分に下げると云ふ案もあります、併しながら唯實に困ることは、今日の日本の國債は九割何分が銀行、それから郵便貯金其の他の金融機關が預金見返りに持つて居る譯であります、ですから英國あたりのやうに、まあ私は英國あたりのなにを能く知りませぬが、さう云ふ風に、金融機關が大部分持つて居るんでなく、大部分は今御話のやうに金持が世襲財産的に持つて居ると云ふやうなものでありますと、「コンソル」のやうな處理が出來るのであります、今日本のものをいきなり一分に下げると云ふ風になりますと、第一、郵便貯金の利拂からして變へて行かなければならない、各銀行の利拂も變つて來る、それから一分に下げれば自然國債の價格も下つて來る、さうすると銀行等の資産に動きを生ずる、さう云ふ點を十分に考慮しませぬと、此の國債の問題には急に手が附けられない、斯う云ふ譯で實は前の大藏大臣はさう云ふ研究をされて居りましたが、其の案を採用せずに、今度は三分五厘と云ふことにしたのであります、其の他補償問題などと同時にやつて又何か處理の方法はあらうかと考へて居つたのでありますが、是も色々の關係上補償問題だけを矢張り處理して行くと云ふことになりましたので、現在に於ては、色々衆議院等にも御意見はありますが、國債を打切るとか或は國債の利子を下げるとかと云ふことは事實困難である、それをやれば預金を切下げるとか預金の利子を下げると云ふことになります、ですからどうしても預金の整理と云ふ問題に入つて來るのでありますが、今度の補償の關係で以て預金の整理がどれ程實際に於て行はれるかはやつて見ないと分らないのでございます、まあ相當に預金にも關係がある、斯う云ふ譯でありまするから、國債には矢鱈に手を觸れることは現状に於てはまあ困難であるばかりでなく、將來に於ても是はもつと大きな何か處理が行はれる場合は、是は別問題でありますが、私は國債だけに手を付けると云ふことは實際に於て不可能であると斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=30
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031・井川忠雄
○井川忠雄君 もう一つ御伺ひしたいのでありますが、今日五百圓生活がやり切れなくなりまして、皆が已むを得ず闇の物も買つたりして居るやうであります、それが落付く先は何處かと申しますると、所謂第三國人、噂に依れば九十億から二百億近い新圓が其處に集つて居る、或は日本の闇取引專門家も入つて居ると思ひますが、之を矢張り捕へて課税なさるとか何かなさらなければ、甚だ不公平ぢやないかと思ひます、或は又一括して二百億位になつた時に百分の一に切下げて二億位にしてしまふと云ふ御考へであるかも知れませぬが、税制に關する委員會としては之を何か御課税なさると云ふやうな御意向であるかないかを一つ御尋ねして置いて考へるのが當然ぢやないかと思はれますが、如何なものでありやせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=31
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032・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 是は課税することになつて居ります、現在でも課税をし得ることになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=32
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033・井川忠雄
○井川忠雄君 けれども實際上なかなか捕捉出來ませぬが、又三月の御手段のやうなことを御執りになつて強制貯蓄でもやらせない限りは、或は新圓に御引替にならない限りは、幾ら彼等が持つて居るかと云ふことは分らないのであります、さう云ふ御手段でも御執りになつて徹底的に御課税なさる御考へでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=33
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034・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) それは三月二日のやうなことはやらない積りであります、普通の課税で行く積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=34
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035・井川忠雄
○井川忠雄君 なかなか捕捉し難いのぢやないですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=35
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036・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) それは例へば飮食店邊りと云ふやうなものは、是は第三國人ばかりでなく、日本人の營業でも捕捉が税の上から困難でありますが、併しながら是は今迄は捕捉が唯困難だと云ふばかりでなく、何か色々誤解もあり、第三國人には課税が出來ないとか何とか云ふやうな誤解もあつたり、又實際彼等もさう云ふ風に考へて亂暴するとか何とか云ふことで實際の處理がなかなか付き兼ねて居つたやうなことがありました、是からさう云ふことをびしびしやつて行かう、斯う云ふことで、段々關係方面とも協議をし、やつて行く積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=36
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037・井川忠雄
○井川忠雄君 私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=37
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038・奧平昌恭
○伯爵奧平昌恭君 大藏大臣はもうお歸りになるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=38
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039・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 衆議院が始れば歸ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=39
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040・奧平昌恭
○伯爵奧平昌恭君 此の次で宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=40
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041・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) それでは申上げます、大藏大臣は時間の都合で退席をされました、就きましては此の委員會の進行の順序と致しましては、前囘にも申上げましたやうに、大藏關係の分から議して參る積りでございましたが、偶偶衆議院との方の關係から、大臣の時間を割愛されることが段段に窮屈になつて參りましたので、便宜の處置でございますが、只今内務大臣が幸に出席をされましたので、此の際變更致しまして内務大臣に對して御發言がございますれば願ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=41
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042・黒田英雄
○黒田英雄君 内務大臣が見えましたから、先程大藏省に御尋をしたのですけれども、内務大臣の方の御考をも序でに伺つて置きたいと思ふのです、それは地方税に於て縣民税、市町村民税、縣民税は新たに出來たのですが、兩方通じますと云ふこと、平均まあ百圓と云ふことになるやうです、之に納税者數を掛けたもので總額を抑へられるやうですが、其の中では色々各地方に於て實際に課税する上に於ては色々なやり方があると思ひますが、今迄は市町村民税に於ては二千圓で最高を抑へられて居る、町村に於ては千圓と云ふことになつて居るのですが、今度それを取られた、さうすると云ふと、規定の上から云ふと、何處迄でも行ける譯であります、さうすると折角國税に於て所得を綜合して、さうして各人の負擔能力と云ふものを調べて、さうしてそれに應ずる課税をして行かうと云ふことで建前になつて居るに拘らず、地方税でそれを勝手に變へられては、勝手と云ふのは語弊がありますけれども、國税と違ふやり方で變へられては、負擔と云ふものの公平を失ふのみならず、場合に依つては所得以上の負擔をしなければならぬと云ふことも生ずることがないとも限らないのであります、是等を適當に制限して、大藏省は能く相談してやられると云ふうやな御説明があつたのでありますが、内務省としてはどう云ふ處置を御執りになる考へでありますか、其の點を一つ伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=42
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043・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 終戰後の状態からしまして、地方公共團體は非常に税源と申しますか、財源に苦んで居ると云ふやうな點が是は團體に依つても程度が違ひますけれども、概括しましてさう云ふやうな、状態があります、そこで從來のやり方でありますと、まあ分與税を増額すると云ふやうなことで急場を凌いだこともあるのでありますが、國の財政もなかなか困難でありまして、さう分與税を何處迄も出して呉れと云ふことも言へないやうな實情もございますし、又一面に於きまして府縣なり市町村の公共團體で從來の財政のやり繰りに付ては皆分與税とか、補助金とか云ふやうなことで國に依存をして居つて、財政の自主性と云ふものが全然ない、此の點に付ては地方自治を強化すると云ふやうな見地から言つて、財源的にももう少し自主性の持てるやうにして呉れと云ふ要望も強い點もございますし、又一面に於きましては個人の所得、收益を國税だけで完全に補足をすると云ふこともなかなか出來にくいやうな實情になつて居る、其のやうな所を彼れ此れ考へまして、府縣民税、市町村民税を相當程度賦課をすると云ふことに致しますと、只今申上げましたやうな諸條件、諸要求に大體順應することが出來るであらうと云ふやうな所から、市町村民税に於きましては、從來の制限額を撤廢しまして大幅に一戸平均四十圓と云ふ所迄引上げ、それから府縣民税に付きましては、是も相當大幅に廣く一戸當り六十圓と云ふやうな府縣民税を新設しようとするのであります、只今御質問になりました點に付きましては是は今後の行き方と致しまして、一方的の指導とか、命令とか云ふやうなことはまあ成るべく避けまして、能く此の徴税の實體を地方當局に把握さして、其處に不當な賦課の起らぬやうに十分此の點に付ては打合せを遂げて納得づくで一つ過ちのないやうに致したいと云ふやうに考へて居るのであります、個人に付て申しまするならば、所得税を賦課する場合の所得と云ふ點に付きましては、相當國税の調査に於きましてはつきりしたものがあるのであります、其處で正確な税引所得表と云ふやうなものを作成致しまして、大體此の税引所得の一割以上に亙つて賦課することのないやうに能く其の點を呑み込ませまして誤りなきを期したい、大體さう云ふやうな所で市町村民税及び府縣民税の不當賦課の起らぬやうにして行くことが可能であると云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=43
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044・黒田英雄
○黒田英雄君 只今の初めの方の御説明に依りますと、如何にも國税の所得税と云ふものは安全に綜合されて各人の所得を掴まへると云ふことは困難な問題であるから、此の府縣民税或は市町村民税で以て別の觀點からそれを補完的の作用をさせると云ふ風にも説明では聞えますが、又後の説明に依ると、如何にも所得税と云ふものは其の儘持つて、其の所得から税を引いたもので其の餘のものを標準にして或制限で課税するやうにも見えるが、國税の所得税と云ふものを基礎に置かれて、詰り國税を引かれて尚府縣民税が掛つて、納税者としては兩税を以て所得の税を納めると云ふ風な結果になると思ふのであります、其の點はどうですか、初めと終りとでは少し觀念が違ふやうに思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=44
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045・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 御指摘のやうに二つのことを申上げましたが、そこは矛盾したやうな觀がございます、併し所得税の課税が極めて正確に出來て居ると云ふやうな場合に於きましては、曩に申上げたやうに税引所得の一割以上は課税をしないやうな取扱を致しましてそこに過當賦課のないやうに致したいと存じます、併し市町村民税の場合等に於きましては、是は能く町村民、殊に小さい村等に於きましては村民の擔税力と云ふやうな點は村會邊りで相當はつきり掴めることがありますので、只今申しますやうな所得税を基準に致してやります以外に於きましても、確かに擔税力があると云ふやうなことがありましたならば、町村會に於きましてそこを掴へて或程度の課税をすると云ふやうなことは是は認めて宜いではなからうかと云ふやうに考へて居る譯であります、尚又實際の賦課に當りましては、町村民税或は府縣民税と云ふやうな人税的な所に著眼致しまして、大體町村民税額の三分の一位は均等割と云ふやうなものを加味することも考へなければならぬ、さうして殘りの三分の二程度のものを所得割にすると云ふやうなことに致したい、さうして均等割及所得割と云ふものを合算致しました際に於きまして、正確に所得が國税に於て「キヤッチ」されて居るやうな場合に於きましては、曩に申上げますやうに税引所得の一割を合算額が超へないと云ふやうな所で運用して行けば大體適實な賦課が出來、過當な課税も避けることが出來ると云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=45
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046・黒田英雄
○黒田英雄君 御説明で大體分りました、唯所得税額に必ずしも依らずして色々地方で以て各人の負擔力を色々の方面から調査して居ると云ふことは實際に於ては良いことでもあるのですが、併し過去の見立割、戸數割のやうな弊害を起し易いですから、其の點は只今御説明がございましたが、十分に能く各地方で以て趣旨を了解して適正な課税をするやうに御取計ひ願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=46
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047・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 今囘地方税の制度に付きまして若干の御改正がありましたのでありますが、現行法を拜見致しますと、獨立税としまして府縣税に八種目、それに町村税と致しまして七種目あるのでありますが、現在矢張り獨立税として徴收して居りまするものでございますかどうか、先づ第一にそれを伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=47
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048・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 此の税法の上に規定致して居りまする獨立税は大體に於きまして取つて居ります、一部止めて居るものもあるやうでありますが、先づ大體に於て之を取つて居ります、併し何に致せ、細々致したものでありまして、地方の財源と致しましては、さう有力なものは今の所先づない譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=48
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049・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 大體了承致しました、さうしますると内務大臣の御立場として、將來地方税の中心をなすものに付きまして、何か御考へ、御見込はありますか、大體承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=49
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050・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 此の地方團體の財政を運用致して行きます上に於きましては、現在のやうに收入を國家其の他の他人に依存をすると云ふやうな點は出來るだけ之を少くして行きまして、成るべく地方團體が自分の收入で自分の仕事を賄つて行くと云ふやうなことに仕向ける必要があるだらうと思ひます、殊に此の地方行政の民主化と申しますか、地方自治の伸張と申しますか、さう云ふやうな時勢の要求から致しましても其のやうなことに致して行きたいと思つて居るのであります、併し是は徹底的に百「パーセント」の經費を全部自前でやつて行くと云ふことは出來るかと申しますと、必ずしもさうは行かないのであります、殊に日本の過去の經驗から申しましても市町村等の各團體の間に於きましては、非常に財源の多い團體があります、それから或は財源の非常に貧弱な團體もあります、其のやうな場合に於きまして、貧弱な團體は相當高率の税金を取りましても尚且極めて貧弱な行政しかやつて行けない、處が富裕な團體に於きましては比較的低率の税金を取りましても收入が相當に上つて參りまして、なかなか行政上行き屆いたことが出來ると云ふやうな所があるのであります、此のやうな點を何年か續けて行きますると、愈愈富裕團體は富裕になり、貧困團體は益益貧窮化すると云ふやうな傾向も認められますので、そこに何がしかの各公共團體間の課税力の厚薄を考慮致しまして、行政上の調整をするやうな分與税の制度を加味することは必要だらうと思ひます、此の割合に付てどうするかと云ふやうな點に付ては、色々今後研究しなければならぬ問題でありますが、私一應の考と致しましては、先づ地方の財源の中で三分の一位は分與税的な、調整作用のある收入に據り、殘り三分の二、六七割の所は自前で切盛が出來ると云ふやうな所に致しますれば、一應望ましい結果になるのではなからうかと云ふやうなことを考へて居ります、併し此のやうな地方財政制度を立てると致しましても、是は現在の制度に則りましたのでは到底其の目的を達することは出來ない、餘程根本的なる改革をやらなければ出來ぬことであります、又是は到底自治體だけの間でやれる問題でございませぬ、國の税制及び國の財政上の措置を改革をすると云ふことと相併行してやらなければ到底其の目的は達せられないと思ふのであります、さうして國税に於きましても度々大藏大臣が聲明されて居りますやうに、成るべく近い機會に於きまして國の税制及財政の根本的改革は致すと云ふことになつて居ります、それと相即應致しまして地方の税制及財政に付きましても改革を致さなければならぬ、さうして改革を致すに付きましては、私只今申上げましたやうな一應の所見に付きましても、廣く民意を聽きまして、所謂官僚獨善に墮さないやうな適當な案を得なければならぬと思ひます、從つて今分與税に依つて始末をするものは凡そ三分の一と申上げましたが、是も民主的なる研究に依りまして三分の一をもう少し減すのが宜しいことになるかも知れない、或はもう少し多くても宜しいと云ふことになるかも知れぬ、それ等の點も含めまして一つ地方税制及財政の根本的改革と云ふことを國税と相呼應致しまして致したいと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=50
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051・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 只今明確な御話承りまして有難うございました、御話の通り地方挽の獨立税と云ふのは誠に貧弱でございまして、税額から見ましたら微々たるもので、現在は先づ分與税に頼る、殆ど分與税が中心であると云ふのは是れ事情又已むを得ないことだらうと思ひますが、今御話にあります通り、出來得べくんば各地方自治體に於て特殊の税源を持つて特殊の整備體系を持つて處理するのでなければ將來自治制の圓滿なる發達と云ふ點から見ても非常な阻害が起るのではないかと思ひます、只今御話のありましたことは出來るだけ近い將來に於て是が實現するやうに御努力願ひたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=51
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052・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 内務大臣に對する御質問は只今ございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=52
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053・長島銀藏
○長島銀藏君 税制に對しましては主として大藏大臣に御尋ねすることばかりしか研究して參りませぬでしたのでありますが、税金を澤山徴收致しますと云ふ方法に付てちよつと思ひ付いたものですから、殊に私今申上げることは、監督の任に當つて居る所は警視廳關係又は地方の警察關係でございますので、ちよつと内務大臣に御伺ひ致したい譯でありますが、我々は日常生活して居る經費失費と云ふものを大體勘案して見ますると、何に一番澤山失費が嵩むかと云ふことを第一番に考へて見ます、さうしますと、現下の事情から致しますと、食糧關係或は飮料關係と云ふものが非常に大きな額を占めて居ります、それで昨今の如く汽車が滿員になつて居つたりなんか致しまして、地方に行つたりした場合、殊に我々は宿屋住ひ或は其の他の飮食店あたりに始終行く機會が多い譯でありまするが、宿屋或は飲食店あたりでどう云ふ程度の代金を要求して居るかと云ふことを見ますると、實に大きな金額を請求致します、或例に依りますと、一皿七百圓もするやうな請求書を突付けられた例もございます、斯う云ふものが果して眞面目に飮食税として税務署に申出るかどうか、それから宿屋の如きものに於きましても、一定の公に依りまする支拂の分以外に、特別料理と云ふやうなことで、又それを要求致しませぬことには食糧が足りませぬものですから、已むを得ずさう云ふものを御願ひする譯でありまするが、さう云ふ特別な、詰り決められたもの以外のものの注文に對する品物に對して、完全なる國民義務としての税金を納められて居るかどうか、或は例へば東京あたりの話に致しますると、お茶を飮む場所も隨分澤山ございますが、さう云ふ所へ行つて見ますと云ふと、税額幾らと云ふことが皆書いてありますが、「キヤッシュ、レヂスター」を持つて居つて、それへ料金を一々入れて居る所は人數で調査をする方法がありますけれども、さうでない所はどうして其の税金を取立てる對象にするかと云ふことが非常に私は疑問だと思ふ、で我々の日常生活から考へた、詰り或意味では惡口になりますが、脱脱部門と云ふものは非常に多い、之を完全に徴收なされば、私は財源に餘程大きな「プラス」される筋があるのぢやないかと斯う考へますが、それ等の點に付きまして警視廳、或は其の他に對しまして、執られる御方針が何か御ありでございましたら此の際承れば幸だと存じまます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=53
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054・大村清一
○國務大臣(大村清一君) どうも或は從來の警察部に於て課税上のこと迄口を出したことが一再ではなかつたかも存じませぬが、終戰後は警察の行き方と致しましては、行政面に於きましても、積極面の、或は課税上の義務を果して居らぬ、公正に行はれて居らぬと云ふやうな面、乃至は警察の力に依りまして、警察の權力に依つて農作物の増産をすると云ふやうな、さう云ふやうな積極行政面に警察の進出することは、最近に於きましては全部之を後退させまして、今日に於きましては警察は犯罪事件、或は罰則を伴ふやうな事件、さう云ふやうな違法事件を豫防、禁遏をすると云ふことに專念させまして、そこに從來の警察の行き方に百八十度の轉囘をさせると云ふことが、終戰後の警察の行き方であらうと云ふことで懸命な努力を致して來て居ります、まだ其の點に付きまして完全に下部迄滲透して居ると云ふことは言ひ切れない面も殘つて居るかと思ひまするが、併し最近に於きましては其の警察の行き方に付きましては、大體に於きまして餘程下部迄滲透致し、違法事件の豫防摘發と云ふことに專從すると云ふことで、今其のことに依りまして一つ警察の民衆からの見方を是正をさせて、變へて貰ひ、又本當に其の意味に於きまして警察が國民の公僕であると云ふ所に持つて行きたいと云ふやうに、實は考へて居りまする次第でありまして、只今のやうな、此の國の課税が適正に行はれて居るかどうかと云ふやうな點に付きましては、是は專ら税務當局の計ひに俟つことに致しまして、警察は關與してはならぬと云ふ實は方針を執つて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=54
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055・井川忠雄
○井川忠雄君 只今のことに關聯しましてちよつと御伺ひしますが、あの納税證紙の制度はもう御止めになりましたか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=55
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056・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 納税證紙の制度は只今置いて居ります、又施行致して居りまするが、實際上證紙の印刷竝に配付に非常な手數と技術を要しますので、只今は實際は行はれて居りませぬが、制度としては、何時でもやり得るやうになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=56
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057・井川忠雄
○井川忠雄君 どうも此の制度が、甚だ遊興飮食税の徴收と云ふことがうまく行つて居らぬのぢやないかと思ひますが、私共行きましても、是は税務署長の諒解を得て居ると云ふことで、「ゴム」判か何かが捺してありまして、好い加減に遊與飮食税を取るやうでありますが、果して之が税務署の方に納つて居るかどうかと疑はしい、私共急いで居るものでありますから、一々勘定書に捺してある番號も附合して居りませぬが、非常に大きな脱税が行はれて居るのぢゃないかと云ふ風に考へるのでありますが、何か印刷が間に合ひませぬならば、例の「スタンプ」制度もありませうし、何か之に代る方法で、例へば領收書を百圓の納税濟の領收書と云ふやうなものをお作りになつてそれに受取を書かせるとか何とか云ふ方法でもやつて行かれませぬと、いかんのぢやないかと思ひますが、如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=57
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058・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 遊興飮食税の脱税に付きましては、我々も非常に苦心を致して居るのでありまするが、受取書を出すこと自體にも實は業者の方で可なり迷惑を感じて居る、斯う云ふ状況でありまして、實際は出來得る阻り收税官吏が營業者に付きまして、實地に調査する斯う云ふ建前を取つて居ります、で御話の相當脱税がある、斯う言はれるのでありまするが、勿論他の税よりは脱税の可能性が相當多いのであります、實際では業者の方を使ひまして、さうして共同申告をさせて居ります、從ひまして業者毎に或程度牽制し合ひますので、さうひどい脱税はないと思ひます、又業者團體の共同申告以外に税務署から個々に付て調査を致して居りますので、外の税よりは非常に脱税は多いと思ひますが、是は遊興飮食税自體の持つ惡い所でありまして、而も非常に税率が高いと云ふ此方にも税法自體の缺陷があることでありますので、極力脱税防止には努めて居りまするが、今後もさう云ふ方面に付きましては出來得る限り研究を致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=58
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059・井川忠雄
○井川忠雄君 重ねて御伺ひ致しますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=59
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060・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) ちよつと井川君に御尋ね致しますが、内務大臣に對する御質問はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=60
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061・井川忠雄
○井川忠雄君 ええ、ございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=61
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062・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) それでは内務大臣は退出されるかも知れませぬが、誰方か御質問がありませうか、如何でありますか、今日ございませぬければ、大臣は退出をされます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=62
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063・井川忠雄
○井川忠雄君 續いて伺ひますが、只今のやうな場合に酒の配給量と云ふやうなものを何か標準にして推定して課税されると云ふやうな手はないものでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=63
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064・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 酒の配給量と申しましても、只今は實は高級料理店に對しましての酒の配給は殆ど停止致して居ります、それから遊興飮食税で藝者の花代に付きましては是はもう正確に行つて居ります、之に付きましての脱税はございませぬ、唯、料理の點に問題がございます、其の料理を殆ど配給しない酒の分量でどう斯うと云ふことは、なかなか實際問題として困難であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=64
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065・藤井兼誼
○子爵藤井兼誼君 三點、共に特殊預金の點に付て質問致したいと思ひます、第一點は會社が企業整備で解散を致しましたる場合に交付金が渡されるのでありますが、是が特殊預金として封鎖されて居りますのでありますが、其の所得額は、其の個人の自由になる所得と一緒に納税さるべき所得額として決定されて來て居るのであります、例へば十萬圓の所得のある者が今會社が解散致しまして二十萬圓の交付金を受けました時には、其の前の十萬圓の所得と、交付金を受けました二十萬圓の所得とを合せて、三十萬圓の所得に對して今度の税の百分の六十四と云ふものが課せられる譯になると思ふのでございますが、此の會社解散の場合のやうな特殊預金はまだ本人が自由に處置出來ない、封鎖されたもの、或は凍結されたものでありまするが、是が自由に處置なし得る所得と同じやうに税率を課せられて、さうして納税をしなければならないと云ふ點は、少しどうかと思ふのでありまするが、先づ第一點は此の點に付て御説明願ひたいと思ひます、もう一度申上げる、會社が解散致しました時に交付金を受けます、さうして其の交付金が特殊預金となりまして封鎖されて居る譯であります、戰災や、それから此の疎開の場合の特殊預金と同じやうに特殊預金として封鎖されて居る、さうして其の特殊預金の金額に對して決定書に税を拂ふべき金額として決定されて當人の所へ來て居る、そこでさう云ふ特殊預金が今拂戻し解除を受けまして、自分の自由に處置し得る所得になりました場合は、之に對して課税せられると云ふことはよく分つて居りますが、さうでなくして、凍結された儘の所得に對して課税額として決定される、さう云ふ申し渡しがあると云ふことはどう云ふやうな工合になつて居りますのでせうか、例へば十萬圓の所得がありまする者が、會社の解散に依りまして二十萬圓の交付を受けます、さうすると其の自由に處置し得まする十萬圓の所得と、會社解散に依り受けました交付金の、特殊預金の、自由に處置し得ない二十萬圓の金額の合計三十萬圓を其の本人の所得と致しまして、之を納税を課する金額、斯う決定して來て居る、斯う云ふ話なのであります、それはどう云ふのでございませうか、もう一つは之を納税と致しましても、納税すべき金額と致しましても、今後第一封鎖預金、第二封鎖預金となりまして、其の特殊預金の一部分が例の第二補償封鎖預金となりまして、法人に於ては五萬圓でございますか、五萬圓の第一封鎖預金にそれを替へる、さうしてそれをまあ自由の條件の下に於て使ふと云ふことになりました場合に、先日御話になりましたやうに、此の第二封鎖預金は其の金額に對して納税の爲には動かすことが出來ると云ふ御話でございましたが、只今のやうな交付金の場合に、それが今日では納税の金額として決定されましたことは、申渡されて居るだけでありまするけれども、實際に納税をする場合にはどうか、此の今日まだ處置されて居りませぬ所の此の特殊預金が、第一封鎖預金、第二封鎖預金と處置されまして、さうして第二對鎖預金で處置出來るやうな風に、それ迄に納税を支拂ふ迄に、さうして戴ければ大變結構である、もう一つございますのですが、第三は是は建物疎開の場合でございます、是は一度私は金融緊念措置令の委員會で政府の方に御尋ね致しましたのですが、其の時政府の方の御答辯と實際とが違つて居りますので、もう一度甚だ恐縮でございまするが質問を致したいのでございますが、建物疎開に依りまして特殊預金が生ずるのでありますが、それは今度六月四日の指令で、其の特殊預金から一萬圓だけを對鎖預金として取扱ふことが出來る、從ひまして從來拂戻解除を受けて居りました所の生活資金、特殊預金から生活資金と云ふものが世帶の一人宛百圓宛出すことが出來て居りましたのが、六月四日の指令に依りまして七月から生活資金が出なくなつたのでございます、處が其の點に付きまして金融緊急措置令の場合に政府委員に御尋ね致しました處が、それは此の六月四日の指令に依つて一萬圓だけを其處から拔き取つて、拂戻解除を受けまして、封鎖預金として拂戻の解除を受けまして、さうして其處から從來一人百圓の生活資金を渡して居りました其の生活資金を、自由に出すことが出來るんだ、さう云ふ御話でございましたが、實際銀行で取扱つて居りまする場合は、生活資金の爲に其の一萬圓から拂戻解除を受けると云ふことは出來ない、さう云ふ條件はない、さう云ふ取扱になつて居りますのですが、此の點政府委員の御方の御答辯と今日銀行で取扱つて居りまする實際の取扱とが違つて居りますのでございます、それはどう云ふのでございませうか、此の三つの點に付きまして……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=65
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066・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御話の點がはつきり私に呑込めないのでございますが、交付金と申しますと、會社の殘餘財産の分配としての交付金でございますか、或は會社が他の會社の解散に依つて受けた拂戻金でございますか、其の點がはつきり致しませぬので……結論が變つて參りますから、解散で交付金を受けたと云ふのは、誰が交付金を受けたのか、此の點を先づはつきりして戴いた方が宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=66
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067・藤井兼誼
○子爵藤井兼誼君 其の持つて居りまする會社を經營して居ります者が經營して居ります會社の解散の場合、企業整備に依ります解散です、企業整備に依ります解散の場合に交付金を受けると云ふことになつて居ります、さつき企業整備を拔かしたかも知れませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=67
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068・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 其の會社の解散は何時頃行はれましたか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=68
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069・藤井兼誼
○子爵藤井兼誼君 其の邊はまだはつきりして居りませぬですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=69
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070・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) それに依つて餘程違つて參ります、會社の解散がずつと以前ならば看做配當としてさう云ふ場合に課税して居りました、個人に綜合課税致して居りましたが、昨年から殘餘財産の分配の時には個人に綜合課税をしないことに相成りましたから、昨年以後の解散に付きまして、他の十萬圓の所得に尚加へて殘餘財産の分配二十萬圓合せて課税すると云ふことはございませぬ、それから特殊預金に付ての第二の御質問もはつきり受取れないのでございますが、恐れ入りますがもう一囘御述を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=70
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071・藤井兼誼
○子爵藤井兼誼君 今の御話の昨年からの會社の解散の場合の交付金は、綜合所得として課税をしないと云ふ御話でございますから、從つて第二の場合も解消した譯であります、第二の場合は斯う云ふ積りであつたのであります、さう云ふ交付金は假令課税されましても、今度特殊預金が封鎖預金に變りますが、其の封鎖預金の方に五萬圓と云ふものを除いた殘餘の分は、第二封鎖預金として税金に出すと云ふことは出來ると云ふ御話でございましたが、事實支拂はなければならぬ時期迄に其の御處置が……、と云ふのは今の御話では昨年からはさう云ふものには綜合所得として課税して居ないと云ふ御話でございましたが、私の御尋ねしましたのは、それが課税されて税を支拂ふべきものとして言うて來られたら、さう云ふ場合には第二封鎖預金の處置が出來るやうに、さう云ふ處置を成るべく早くして戴いて、特殊預金に税がかかると云ふ時に、税として拂ふ金額をどうにも動かすことが出來ないと云ふやうになりませぬやうに處置を願へれば結構だと云ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=71
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072・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御話の點は、法人に付きましては問題がございます、法人に付きまして、壓縮記帳して居ない場合、詰り商品が燒けて特殊預金を貰つた場合の課税に付きましては、相當問題がありますので、我々は只今經濟界、財界整理の問題として研究致して居りますが、個人の場合にはございませぬ、第二の點はそれで解消致しましたが、第三の點は私の所管でございませぬので、所管の政府委員から答辯させますか、或は私が聽いて參りまして、明日御答辯しても宜しいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=72
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073・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 皆樣に申上げます、次會は明日本會議がありますれば午後一時三十分より、又ございませぬければ、午前十時より本委員會を開會致したいと思ひます、引續き政府委員に對する質問の機會を得たいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=73
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074・梅渓通虎
○子爵梅渓通虎君 本會議が午後ございました場合はどうでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=74
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075・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 本會議が午後に續くかも知れませぬが、兎に角さう云ふことに致して置きたいと思ひます、本日は是にて散會致します
午後三時四十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=75
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076・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 男爵 周布兼道君
副委員長 子爵 綾小路護君
委員
侯爵 西郷吉之助君
伯爵 奧平昌恭君
子爵 富小路隆直君
子爵 藤井兼誼君
子爵 梅溪通虎君
中田薫君
男爵 松平外與麿君
男爵 岡俊二君
男爵 水谷川忠麿君
男爵 長基連君
黒田英雄君
松尾國松君
小山完吾君
塩田團平君
長島銀藏君
徳田昂平君
井川忠雄君
子爵 七條光明君
名取和作君
國務大臣
内務大臣 大村清一君
大藏大臣 石橋湛山君
政府委員
内務事務官 荻田保君
大藏事務官 池田勇人君
同 前尾繁三郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00319460821&spkNum=76
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