1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○所得税法の一部を改正する等の法律案
○臨時租税措置法を改正する法律案
○地方税法及び地方分與税法の一部を改正する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年八月二十二日(木曜日)午後一時五十三分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=1
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002・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 開會致します、昨日藤井子爵の御質問が殘つて居りますので、只今主税局長が見えまして、便宜上同局長から昨日殘りました第三問に對して御答があるさうでありますから、もう一度念の爲に御質問を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=2
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003・藤井兼誼
○子爵藤井兼誼君 實は増税案其のものに關係した問題ではございませぬが、唯納税を致します上に付きまして、國民の生活の根本條件になります生活資金の問題でありましたのと、一つは既に金融緊急措置令で一度御尋ね致しました質疑でございますので、甚だ恐縮でございましたんですが、政府委員の御深切から御答辯を今日戴きますことは誠に有難うございます、斯う云ふのでございます、即ち建物疎開に依りまして、正式讓渡契約が致されまして、それが特殊預金になりまして封鎖されて居つたのでありますが、其の中から事業費、生活必需費、それから生活費、それは各各或限度を以て拂戻解除を受けることが出來て居つたのでありますが、六月四日に新らしく指令が出まして、其の特殊預金から一萬圓だけは封鎖預金に替へても宜しい、其の代りに七月迄許されて居りました生活資金を引出す、拂戻解除を受けると云ふことは停止をすると云ふことになりました、そこで其の一萬圓の中から其の生活資金を受けることが出來る筈であると云ふ、さう云ふ政府委員の御答辯でありました、實際問題は生活資金は其の封鎖預金の一萬圓からは出すことが出來ない、生活費は一萬圓の封鎖預金から出す條件になつて居らない、さう云ふのが今日世の中の事實なんでございます、さうしますと、金融緊急措置令で御答辯になりました一萬圓の封鎖預金から生活費を出すことが出來る筈であると云ふ御答辯と、今日世の中で行はれて居りまする一萬圓の封鎖預金からは生活資金は拂戻解除を受ける條件でないと云ふこととは少し喰違ひがありまして、又事實是が國民の日常生活には、生活資金のことでありますから、非常に大きな、深刻な影響を與へて居りまするので、此の點どう云ふものでございませうか、御尋ね致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=3
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004・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御答へ申上げます、御話の通り六月四日から取扱を全面的に變へまして、特殊預金から變りました封鎖預金に付きましては、生活資金は出すことが出來ない取扱ひになりました、生産資金とか、或は住宅復興資金は出すことが出來まするが生活資金は、一人百圓の生活資金は出せないことに相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=4
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005・藤井兼誼
○子爵藤井兼誼君 只今の御答辯ではつきり致しました、併し斯う云ふ生活資金を受けて居りませぬ連中の中には、建物疎開に依りまして除却せられました建物から上ります收入が唯一の殆どそれが頼りにする生活費であつたと云ふ連中も少なからずあつたと思ひまするのですが、それを特殊預金に致しまして、さうして生活費が出て居りましたのを、六月四日の指令で生活費は出せなくなり、非常に生活に困つて居る國民がございますのですが、此の點は何とか御考慮を願へれば、全く他に金錢を持たない、そして除却された建物から上る收益が其の人間の生活の大部分の源泉であり、且又直ちに今日勤勞することが出來ないと云ふやうな家庭に對しては、どうか特別の取扱を願へれば大變結構かと思ひますのですが、希望として申上げて置きます、私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=5
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006・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 大藏省政府委員に對する御質問がございますれば、此の際御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=6
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007・黒田英雄
○黒田英雄君 私細かい點ですが、一、二御伺ひしたいのですが、所得税法に於きましては「重要物産の製造、採掘又は採取を業とする個人」に對して免税の規定があつて、之を奬勵されて居る、今日の我が國の状態に於きましては、色々な生産の増強を圖る上に於きましては、それの資材は非常に必要であつて、殊に海外から取得して居つた資材が入らないと云ふ風な状況に於ては、我が國に於てさう云ふものを色々調査又は増産を圖ると云ふことは非常に今後益益必要ぢやないかと思ふのであります、それに付て、此の採掘、採取でも重要なものに付て、開業の年及び其の翌年から三年間其の業務より生ずる所得、又其の設備を擴張したやうなものに付ても免除すると云ふやうな規定がありますが、外の方を見ますと、例へば鑛區税法に於きまして鑛區税を非常に増額をされて居るのであります、或は登録税法に於ても試掘、採掘、其の他に付ての登録税も非常に増額をされて居るのでありまするが、是は先般の説明では今迄ずつと据置きになつて居つたから今度上げたと云ふやうなことであつたのでありますが、それはさう云ふ事情であつたかも知れませぬが、先程申したやうに、今日に於ては斯う云ふ鑛産物に付ても色々な物が國内に於て若し發見され、増産せられるならば、是は非常に有益なことだらうと思ひます、是は寧ろ奬勵されなければならぬものだらうと思ふのです、然るに鑛區税、登録税を非常に引上げられた御趣旨はどう云ふ譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=7
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008・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 産業の振興に増税が或程度の影響を及しますことは御説の通りでございます、唯他面財政需用も相當速度を加へて參つて居りますので、其の點を見計らひまして、生産増強にさして支障のない程度の増税を圖つた次第でございます、鑛區税を三倍程度引上げましたのは、先般の委員會で申上げました如く、鑛區税の税率は明治三十八年の税率でございますので、其の後の状況を考へますと、此の際三倍程度の増税を致しますことは已むを得ないのではないか、又登録税に付きましても大した増税は致して居りませぬ、唯定額税に付きましては物價騰貴の關係上二倍、三倍と云ふこともありますが、是は生産増強にさう關係のない方面でございます、それで我が國の生産増強の爲には、現行税法に於きましても重要物産の製造に關しましては租税の減免を致して居りますので、今後國民生活の安定、或は國力の發展上必要なる事業に對しましては出來るだけの輕減、免除の規定を置いて行きたいと云ふ考を持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=8
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009・黒田英雄
○黒田英雄君 御説明で御提案の趣旨は能く分りましたが、一方に於て、所得税に於てはそれ等を奬勵する爲に減免の規定迄も設けられて居るのであります、成る程税は長い間据置かれたものであるかも知れませぬが、又今度増税されたからと云つて、それが生産を阻害する程の效果はないかも知れませぬ、ないかも知れませぬが、併し趣旨に於て、一方に於て奬勵する爲に免税すると云ふ時に、特に潔癖を圖られると云つちや語弊があるかも知れませぬが、今迄手を著けなかつたのに此の度手を著けようと云ふ趣旨から斯う云ふものに増額されると云ふことは、どうも矛盾があるやうに思ふ、僅かのものであれば、寧ろ奬勵費を以て其の儘据置かれて置いた方が宜いのであつて、それを……是が爲に收入は相當な増額にはなつて居るやうですが、併しそれは昨日も御尋ねしたやうに、大體幾らを増税しようと云ふ目標でもなかつたやうに御説明でもあるのであります、私はそれを此の際斯う云ふものに税を増されると云ふことはどうも矛盾があるやうに考へるのであります、併し是はまあ議論でありますから是以上御答辯は求めませぬ、それからもう一つ序でに御伺ひしたいのですが、「アルコール」の原料として砂糖を用ひた場合に於ては、砂糖消費税が免除になるやうな規定があつたと思ふのですが、それを今度止められたのですが、成る程砂糖は今我々の生活にも殆ど手に入らぬやうな状況で、「アルコール」の原料迄も到底考へるべき状況ではないのでありますが、併し將來砂糖が入つて來るやうなことになり、從つて砂糖は假にさう餘裕はないと致しましても、糖蜜等の、或は砂糖も、或は潮を被つたと云つて用ひられないやうなものがあれば、是も使へるだらうと思ひますが、糖蜜等も製造の用に供するやうな場合が、あるのではないかと思ふのです、特に此の際之を御削りになつてしまつた御趣旨はどう云ふことですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=9
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010・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 先程の問題で、所得税法の五條に重要物産の製造、採掘又は採取を業とする個人或は法人に對する増設の免税の規定を置いて居る、さうして、鑛産物の増加を圖る規定を置いて居るに拘らず、鑛區税を引上げたのは矛盾ではないか、斯う云ふ御話でございますが、此の増設の免税は、從來臨時租税措置法に規定して居つたのでありますが、臨時租税措置法は、今度特別租税措置法と改めまして、さうして輕減免除或は國民生活安定と云ふことで一つの法律を設けましたけれども、根本法に入られるものは、出來るだけ根本法に入れることに致しました、從來の規定を所得税法、營業税法、法人税法に規定致したのであります、新たに設けたものではありませぬ、而して鑛區税を増徴するのはどうかと云ふのは、昔から増税を差控へて居つたので、他の税との權衡が取れぬのであります、地租などは御承知の通り相當増税を致して居ります、鑛區税を其の儘に据置くと云ふことは、他の税との權衡が取れない、斯う云ふことから今囘増税致したのであります、勿論鑛區税に付きましては、現に動いて居るものでございますし、又權利の上に眠つて居ると云ふやうなのも相當ありますので、斯う云ふことを考へまして、千坪二圓程度の税ならば已むを得ないのではないか、斯う云ふ考で鑛區税の増税を致したのでございます、次の砂糖或は糖蜜を「アルコール」に製造した場合には、砂糖消費税を免除することになつて居る、それを今囘止めたのはどう云ふ理由か、斯う云ふ御質問でございますが、此の砂糖、糖蜜を「アルコール」の製造の用に供した場合の免税は、戰時中特に設けたのでございます、戰後の只今の状況と致しましては、差向き砂糖を使つて「アルコール」を製造すると云ふことは只今の所では到底考へられませぬ、從ひまして戰時中設けました規定でありますので除いたのでありますが、情勢の如何に依りまして、糖蜜等を輸入して「アルコール」を製造する場合には、矢張り砂糖消費税法の十一條の第四號の規定、「其の他命令を以て定むるものの製造の用に供するもの」、斯う云ふ規定がございますので、其の必要があれば大藏大臣は何時でも砂糖消費税を免税し得る裕りを殘して居ります、御話の如く今後糖蜜が入つて來て、さうしてそれを「アルコール」にし、色々な工業用或は致醉飮料等に使つた方が宜いと云ふ状態になりまするならば、只今申上げましたやうに、十一條の第四號の規定に依りまして、直ちに砂糖消費税の免税が出來ることに相成つて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=10
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011・黒田英雄
○黒田英雄君 砂糖消費税に付きましては、御説明で能く了承致しました、唯所得税の關係の點に付て今御説明がありましたが、私も此の設備の擴張に付ては、新たに入つたものでないと云ふことは承知致して居るのですが、唯一方にさう云ふ奬勵をする、是は適當なことと思ひますが、さう云ふことをして居る時に、さう大して支障がないかも知れませぬけれども、増税をすると云ふことは矛盾を來すやうに考へたのであります、唯是は意見でありますが、ちよつと申述べて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=11
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012・奧平昌恭
○伯爵奧平昌恭君 私ちよつと砂糖に關係して御伺ひ致したいのでありますが、砂糖に付きましてちよつと私考へまして、税目から考へますと第三條の消費税の税率が重いでありますが、現行法と改正法の差が激しく、極端な重税のやうに思ふ、此の點を第一に考へますが、其の理由を一つ説明して戴きたいと思ひます、それから第二にもう一つ御伺ひ致したいのは、税率を重くしなければならないと云ふ事情に付ては、特に今言つたやうな工合に、「アルコール」の如きものも、もう免税してしまつても宜いと云ふやうな、寧ろ是は「アルコール」などと云ふことでなく、外の方に國民全體の健康の問題からして必要な問題ではないかと實は考へますが、それに付きましても是はどう考へても、一體砂糖と云ふものは、日本の今日の状態から見まして、砂糖が非常に將來に對して我々はどう云ふ風になつて行くかと云ふことを一番懸念するのであります、第二は其の點に付て説明して戴きたい、處で此の砂糖に付きましての輸入に付きましては、過去に於きまして昭和二十一年に一囘、四月二十七日に大東島から輸入した以外の砂糖と云ふものは外にはなからうと私は思ふのでありますが、著きますと云ふと、此の砂糖に對しまして、輸入した人の名前は分つて居りますけれども、それは個人的のことになりますから、それに付ては質問致しませぬけれども、斯う云ふやうな大事なものに對しましては、特に此の取扱に對してはどう云ふ風に將來爲されるか、此の砂糖を入れた人に對しては然るべき方法を考へてやつて、取扱の上から言ひまして妙な關係になつて居ります、例へばそれが商工省の關係から行きまして、是が何と申しませうか、例へば三井物産とか、三菱商事とか、有馬洋行とか、日本砂糖貿易とか、或は復利洋行とか云ふやうなものが、其の砂糖に對しまして、特に是は專賣みたいな工合に是等の人が之をやり得るのだ、外の者では是は出來ないのだと云ふやうにされてしまつたならば、將來日本に於ける所の砂糖の輸入に對しては非常な阻害を來しやしないかと思ひますが、此の點に付てはどう考へて居りますか、例へば之に付きましては四月の二十七日に入れた砂糖の取扱に付て考へて見ますと、之を芝浦に艀で取つた時分の五月二十一日に考へて見ますと、例へば大東島から、又奄美大島から持つて來た三百十六「トン」の砂糖に對しましてもあちらに動き、こちらに動く度に砂糖の容量が減つて來る、此の取扱に付きましては無論税務監督の方の關係からも之を取扱つて見てどうも量目が段々減つて來る、關税の問題から芝浦から横濱に持つて來、横濱からこつちに持つて來ると段々減つて來る、實際に於てはさうなつて來るが、さう云ふ風になりますと、大事な砂糖がそんなに無暗に減つてしまはれたのでは國民の健康の上から言つて、小さい子供の爲にも是は非常に困る問題でありませう、之に對する御取扱に付て將來共一つ御考慮を願ひたいと私は思ふのであります、大事な其の點に付て御説明を願ひたいのでありますが、如何でございませうか、第一に税率の關係から御返事を願つて、ずつと續いて御願ひ致したうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=12
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013・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御質問の第一點の砂糖に對しまする増税の度合が非常にきついではないかと云ふ問題でございます、砂糖は其の消費の状況、或は又實際の需要の點から申しまして、今後外國から入つて來た場合、又内地でも或程度の砂糖が出來て居りますので、大體一貫目三十圓位に持つて行つたならば、物價の關係、他の物資の値段の關係から言つて適當ではないか、現行の税率は非常に低くなつて居りますので、さうして又砂糖の税率は昭和二十年の増税の時にも据置きました關係上、まあ百斤十七圓五十錢が三百六十圓になるので如何にも高いやうでございますが、大體一斤四圓八十八錢、一貫目三十圓程度ならば、外國から來ても大體宜いのぢやないかと云ふ氣持で税率を三百六十圓に致したのでございます、さうして又それは分蜜白糖と黒糖に付きまして、今の小賣價格の方を勘案致しまして増率を致しました、從ひまして分蜜白糖の増税割合よりも黒糖の増税割合が非常に強くなつて居ります、是が砂糖に對しまする從來の増税の仕方よりもちよつと逆に行つて居るやうな状況であります、それは即ち矢張り小賣價格と云ふものを考へまして税率を彈いた關係上、以上申上げましたやうなことに相成るのでございます、然らば日本の砂糖の生産の状況或は消費がどう云ふ風になるか、是が御質問の第二の點だと思ひます、從來我が國の砂糖は主として臺灣の砂糖、後には「ジヤバ」島から入れて居りましたが、内地で消費致しますのは、大體戰前に於きましては、千四五百萬「ピクル」が通常の状態でございます、其の中、一般家庭に向けますのは三割五分で、六割餘と云ふものが業務用に使つて居ります、それが最近は非常に減りまして、昨年度は大體割當が六十四五萬「ピクル」であつたと考へて居ります、本年度は軍の放出致しました砂糖等がありますので、三十四五萬「ピクル」を豫定して居るやうでございます、併し我が國で出來ます砂糖は主として北海道でございますが、其の他の産地と致しましては鹿兒島或は四國地方一帶、靜岡、愛知、岡山、斯う云ふ風なものがございましたが、分蜜糖、含蜜を合せまして昭和二十一年と申しますか、昭和二十年の暮から二十一年に掛けましての生産が大體二十萬足らずと考へて居ります、それで申しますと、どうしても二十萬「ピクル」位では國民の需要には迚も當嵌りませぬ、一家庭一年に一斤半程度になりますので、どうしても輸入をせなければいかぬと思ひます、聯合軍司令部に於きましても、砂糖の輸入は大體認めるやうな考のやうであります、又臺灣が從來通りに二千萬「ピクル」も出來ると云ふことになりますると、どうしても日本内地が消費地に當然なつて來るのではないか、我々と致しましては、砂糖の輸入は出來るでけ早く行はれるやう期待致して居る譯でございます、第三に砂糖輸入業者に對しまする取締はどうかと云ふことであります、砂糖を輸入致します場合には、臺灣、大東島等から輸入致しまする場合には、全國に輸入場を指定致しまして、其處にのみやつて行く建前になつて居ります、さうして輸入場に入りますと、直ちに税務官吏が參りまして、量目を檢査致しまして、砂糖消費税を課税すると云ふことになつて居ります、如何なる輸入業者に砂糖の輸入を認めるか、又輸入されます砂糖をどう云ふ風に取扱ふかと云ふことは、配分其の他に付きましては、實は大藏省でやつて居りませぬので、輸入の砂糖に付きましては、第一の港に於て課税すると云ふことだけをこちらの方でやつて居ります、勿論斯う云ふ立場から必要なものでございまするから、輸入業者の取締又は輸入された後の砂糖の取扱に付きましては、十分注意しなければ相成らぬことと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=13
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014・奧平昌恭
○伯爵奧平昌恭君 もう一言ちよつと甚だ諄いやうでござまするが、どうでございませうか、税率を立てる時に、例へば分蜜砂糖ですが、此の砂糖の第一種の部分に付きまして、只今迄は百斤に付八圓七十錢でありましたのが、今度は百斤に付て二百八十圓となつて居ります、斯くの如くして百斤に付ての税率が高くなつて居ると云ふことが、是が問題となりまして、其の爲に物價が騰つて來るのぢやないかと、斯う私は考へるのでありますからして、此の物の税率が低くければ、物價は騰りませぬけれども、是が高くなればなる程物價が高くなつて來るのではあるまいか、其の點が一つと、第二に此の點から考へまして、若し平和條約になつた時分に是は何れ此の儘ではございますまいけれども、多少は税率は變つて參りませうけれども、それに對しまして「ダンピング」の方がやり易くなるのぢやないかと云ふ危險に付ては、全然ないと云ふことをあなた方が考へて居るのか、改めてもう一遍其の點説明して戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=14
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015・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 砂糖の第一種の分蜜せざる砂糖、是が百斤に付て八圓七十錢であつたのが、二百八十圓になつて居るのは、其の他の増率割合よりも、非常にきついではないかと云ふのが御質問の第一點だと思ひます、現在の砂糖に付きましては含蜜糖は一斤一圓三十二錢、分蜜糖は一斤一圓四十五錢でございまして、小賣價格は餘り差がないのでございます、今度に於きましても、分蜜白糖を四圓八十八錢、含蜜糖を四圓三錢に致しましたならば、大體小賣價格の權衡は取れるのぢやないか、斯う云ふ風に致しまして、小賣價格の方から税率をやつて行きましたので、斯う云ふ風になつたのであります、同じやうに税率の引上げを致しますと分蜜白糖と含蜜黒糖が非常に小賣價格に差が出て參ります、さうしますと云ふと、所詮含蜜黒糖の方に走つて行く斯う云ふことになりますので、現行の小賣價格の差と云ふ所に増税後の砂糖の小賣價格を持つて行くと云ふ譯で、低い税率が多少高くなつて來た次第であります、第二に斯う云ふやうに砂糖消費税の非常な増税をやると云ふことは物價騰貴を來しはしないか、是は我々が常に間接税の引上げの時に物價騰貴を來しはしないかと云ふことは考へなければならぬ重大な問題でございます、出來るだけ間接税は低いに越したことはない、是は財政事情、國民の消費量、之を考へまして斯く増税致しました譯であります、外國から「ダンピング」する場合に是は輸入税の問題は別でございますが、内國税の問題ならば、さうして認めなくても宜いのぢやないか、併し將來砂糖がどんどん入つて來ると云ふ場合に付きましては、情勢の變化に依りまして更に減税することも考へなければならぬと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=15
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016・小山完吾
○小山完吾君 食糧のことでちよつと伺ひたいのですが、酒と云ふものは、「ビール」の如きは、是は製造する場合に稍稍手數が掛かる、清酒に至つては手數が掛かると云つても知れたものだ、さうして一方需要する方から見ると、是は需要力の強いものです需要の強いと云ふことも一つの御考への資料となつてこんな高率な税金が決つて居るのでせうが、併し私共惧れる所は、其の増産が出來るもので、非常に需要率の強いものに對して斯くの如き高税を課けて、どうして脱税の監督が出來るか、例へば紡績の如きもの、あれは幾ら税を課けたつて構はぬ、關税で税を課けると云ふものは比較的造作もないことであります、にも拘らず外國の例を見ますと、比較的「モデレート」になつて居る、「クリエート」することは造作もないと云ふことで「モデレート」になつて居るのですが、此の酒が一石千九百圓とか千七百圓とか、清酒が二千七百圓とか、濁酒にしても千二百三十圓と云ふことになつて居る、濁酒の如きは殆ど山の中の一貧村の一農家に至る迄出來るもので、之をどうして監督なさるか、それを監督出來ないことになれば、あつちこつちで不正をして酒を飮むと云ふことになりますが、是等の點に付て何か御考がありますれば、御參考の爲にちよつと伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=16
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017・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御質問の第一點は酒と「ビール」の税率の違ひ……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=17
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018・小山完吾
○小山完吾君 違ひぢやありませぬ、「ビール」と云ふものは製造するに比較的に手數が掛かる、併し清酒と云ふものは造るに譯もない、何處でも出來るものなのですが、さうなれば、それに高税を課すると云ふことになれば脱税を防ぐのはむづかしいことになる、其の點に付ての御考をちよつと承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=18
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019・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 酒税が非常に高くなつて居るから脱税が行はれはしないか、餘り間接税を高くすることは、却て脱税を助長する結果に陷りはしないかと、斯う云ふ御話のやうでございまするが、此の清酒或は「ビール」、燒酎、味醂、斯う云ふ風な物に付きましては、只今の處脱税は行はれて居ないと考へて居ります、脱税の行はれますのは御話の濁酒、或は濁酒を造り、又自分で之を漉しまして清酒にする、斯う云ふことが相當行はれて居るのぢやないか、斯う云ふ御話でございますが、是は勿論酒税が高くなつたと云ふことも一つの原因でありませうが、濁酒の密造が行はれて居ると云ふことは、酒の製造が非常に減りまして、需要を充し得ないと云ふことが最大の原因であると考へて居るのでございます、私は税率の引上げが密造を助長する重大な原因であるとは考へて居りませぬ、從ひまして、少くとも濁酒の密造が相當行はれて居る、之に對して大藏省はどう考へて居るかと云ふ問題でありますが、濁酒の密造に付きましては、極力之が防止に努めて居ります、併し何と申しましても、山間僻地の一戸々々迄に付きまして密造を調べると云ふ譯に行きませぬので、出來るだけの努力は致して居ります、相當な密造が行はれて居ると云ふことは事實であると考へて居ります、之に對しましては食糧の許す限り、出來るだけ多くの米を酒に使ひ、又其の酒も出來るだけ農家の供出用、増産用に使つて行つて、さうして田舍の濁酒の製造の防止に寄與したい、斯う云ふ氣持で居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=19
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020・小山完吾
○小山完吾君 只今の御話に依りますと、濁酒の外は餘り密造が現在の所行はれて居ないと云ふ御話ですけれども、それは現在の所どうであるか知れませぬけれども、一體濁酒にした所で、誠に造ることは譯のないことである、燒酎なんと云ふものは、こんなものは醗酵さして、蒸溜すれば直ぐ出來る、或は酒の粕も酒屋から買つて來れば取れるものである、又果實の酒の如きは極めて簡單に出來る、さうしてそんな大した設備は要らないものである、又第九の雜酒、こんなものでもそんなにあなた方が御考になつて居るよりも、私は譯なく出來るものと思つて居ります、私は現に生れは酒屋の倅で能く知つて居るのですが、斯う云ふどうも一石に二千圓とか二千七百圓と云ふ税が掛つて來たら、自分で造つて無税の酒を飮む、或はそれを密賣して儲けると云ふことは大變な問題になるのですから、そんな安易な御心持で之を増税なさつて居られると云ふと、私は甚だ懸念に堪へないのですが、それでも、いや、それは間違へないと云ふことですならば、私は左樣ですかと言ふだけの話ですが、如何なものでありますか、それだけのことを御聽きしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=20
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021・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 密造致します場合に一番手つ取り早いのは濁酒でございます、さうして又能くありますのは果實酒でございます、是は葡萄等の産地に付きましては、從來果實酒の密造も相當でございした、併し此の果實酒に付きましては、最近は葡萄の特定産地に組合制度で釀造を認めてやつて居りますので、果實酒の密造は只今の所餘りないのではないかと考へて居ります、さうすると問題は濁酒だけに相成つて居ると思ひます、勿論それは燒酎でも、酒の粕は殆ど配給致しませぬから、酒粕からの燒酎はございますまい、唯麥とか其の他のものをやりましても、燒酎の密造は殆ど成り立たない、燒酎を造るのならば濁酒を密造することと考へて居ります、濁酒の密造に付きましては、先程申しましたやうに相當あると云ふことを我々も感じ、聞き及んで居るのでありますが、之に對しましては極力檢擧、或は防止に努めて居ります、私は税率の引上げが密造を或程度助長すると云ふことも否定は致しませぬ、併し税率が高くなつたと云ふことよりも、酒の配給が少くなつた、斯う云ふことが密造の重大要素でないかと思ひます、税が高くなつたからそれだけ密造が非常に多くなつた、例へば税率が三倍なり或は四倍になつた、密造もさうなるかと言つたら、さうは考へて居りませぬ、濁酒の密造に付きましては、從來大藏省は特に熱心にやつて居つたのでございますが、斯う云ふやうに税が上つて參りますと、一層其の度を強めまして、密造防止に全力を注いで行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=21
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022・小山完吾
○小山完吾君 まだどうも私の懸念する所と當局の御懸念が度合が違ふやうに思ふのですが、酒を造ると云ふことは、是は上等の清酒を造るとか麥酒を造ると云ふのは、是は餘程むづかしい問題になるのですけれども、唯飮むだけの酒を造るならば何でもないことであります、燒酎の如きは必ずしも米を使はないで、麥でも馬鈴薯でも、何でも出來ます、それから濁酒と云ふものは一體乏しき米を使はなければ出來ませぬから、却て濁酒よりも外のものを造らうと考へるだらうと私は思ふ、それだけの私の懸念を申上げて御參考に供するだけですが、それから一つ伺ひたいのは、さう云ふやうな事柄に對して税務署が監督すると云ふのは、どう云ふ方向に於て津々浦々、山の奧迄監督出來るでせうかと云ふ、其の御用意をちよつと伺つて見たいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=22
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023・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 酒類の密造に付きましては出來るだけ意を用ひて、防止に努めて居ります、昨年檢擧致しました件數は大體九千件程度ございます、其の中で御話の通りに濁酒の密造ばかりかと申しましたら、さうではございませぬ、併し濁酒以外の密造は殆ど問題にならないで、私は檢擧のあるから申しまして、濁酒が密造の九割九分位迄だと考へて居ります、外のものを造るのはなかなか見付かり難いからさうなのだらうと云ふかも知れませぬが、大體酒類の密造と申しますと、濁酒が其の殆ど全部を占めて居ります、然らば密造の檢擧をどう云ふやうにやつて居るか、是は昔の状況から申しますと、大體密造をします地方は分つて居ります、はつきり申しますと、全國的に密造の盛んな所と申しますと東北六縣、それから關東では千葉縣、殊に安房方面、それから土佐の國、九州では佐賀の一部と島原、北海道では凾館管内の一部、大體斯う云ふ風になつて居るのでございますが、最近に至りましては、誠に遺憾な話でございますが、全國的に行つて居るやうでございます、で今の状態で密造を檢擧すると云ふことになりますと、是はそんな風で、參りまして大體樣子を聞き、色々の所から此の村はやつて居る、やつて居ないと云ふことが分ります、さうして又さう云ふ密造取締の收税官吏は、特殊の技能を持つて居りまして、能く見付けて來るやうでございます、昔で申しますと、ずつと歩いて見まして、鼻の頭の赤い人が居ると、是は密造常習犯だ、色々な綜合的の考へでやつて居るやうでございます、個々の場合にどう云ふ風にやつて居るかと云ふことは能く存じませぬが、家ならば家に行きましても、どう云ふ土瓶を置いて居るとか、又田圃なんかに行きましても、山の中でも相當やつて居る、色色な實例は聞いて居りますが、併し餠屋は餠屋で、相當熟練した者も居りまして、檢擧に當つて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=23
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024・小山完吾
○小山完吾君 もうそれ以上御尋することはないのですが、唯私の感想を尚一言申上げます、一體濁酒は東北が名物だとか、何處が名物とか、今迄密造の名所として知られて居る所は昔から其の通りであります、併しそれは生活の程度と、それから税金を拂つて居る處の酒との相違と云ふことも考へなくちやならない、詰り税金を拂つて居る所の酒を買ひ得る資力を持つて居る所には、斯樣な危險を冒して密造しなくても宜いと云ふことがあつて、それで却て生活程度の低い山間の僻地のやうな所に密造が行はれて居ると云ふものと見なければならぬ、今囘是がどうも非常な高率なものになれば、是は全國的に密造が起るだらうと私は思ふ、濁酒が割合に檢擧し易かつたと云ふのは、詰り濁酒と云ふのは米を使つてやるので、あれを麹にして仕込むと云ふことは、多少器も大きなものが要るのですから、それはさう云ふことから檢擧し易かつた、併し是だけの高率の税を御課けになつて、是は已むを得ず課けられたものですが、其の點に付て私はどう斯う言ひませぬが、密造防止と云ふことは、脱税防止と云ふことは餘程大問題になると私は豫言して間違ひないと思ひます、是だけのことを申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=24
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025・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 皆さんに御諮り致します、大藏大臣に御質問がおありの方は、御申出を願ひます、大臣は段々諸種の委員會に出られますので御多忙になつて參ります、今日只今午後の本會議が貴族院で開かれて居りますが、それが終りました際に、或は御都合上こちらで御質問が受けられるかも分りませぬ、皆さんの御希望に從ひまして大臣の御出席を求めようかと思つて居ります、如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=25
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026・長島銀藏
○長島銀藏君 其の件に付きましてちよつと休憩を戴きまして、或は懇談會のやうな催か何かを致しまして、質問の要點なり何なり檢討さして戴くと宜いと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=26
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027・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 只今大臣の方へ連絡を執るべく取計らはうと思つて居ります、其の間暫く休憩を致したいと思ひます、暫く休憩致します
午後二時四十三分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=27
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028・会議録情報3
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午後三時十一分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=28
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029・周布兼道
○委員長(男爵周布兼道君) 開會致します、本日は都合に依りまして會議は是にて打切りまして、明日午後一時半から開會致すことに致します、左樣御承知を願ひます
午後三時十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=29
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030・会議録情報4
出席者左の如し
委員長 男爵 周布兼道君
副委員長 子爵 綾小路護君
委員
侯爵 池田宣政君
侯爵 鍋島直泰君
伯爵 奧平昌恭君
子爵 藤井兼誼君
子爵 梅溪通虎君
中田薫君
男爵 松平外與麿君
男爵 岡俊二君
男爵 水谷川忠麿君
男爵 長基連君
黒田英雄君
松尾國松君
小山完吾君
塩田團平君
長島銀藏君
子爵 七條光明君
名取和作君
政府委員
内務事務官 郡祐一君
大藏事務官 池田勇人君
同 前尾繁三郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001574X00419460822&spkNum=30
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