1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○商工協同組合法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=0
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001・会議録情報2
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委員氏名
委員長 男爵 肝付兼英君
副委員長 子爵 柳澤光治君
侯爵 大久保利謙君
侯爵 佐竹義榮君
伯爵 清閑寺良貞君
子爵 交野政邁君
子爵 鳥居忠博君
子爵 京極高鋭君
中田薫君
吉田久君
男爵 奧田剛郎君
男爵 鶴殿家勝君
男爵 田中龍夫君
結城安次君
石川一郎君
高橋龍太郎君
奧主一郎君
秋田三一君
橋本萬右衞門君
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昭和二十一年九月三十日(月曜日)午前十時五十九分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=1
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002・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) それでは只今から商工協同組合法案の特別委員會を開會致します、開會に當りまして商工大臣から本法案の御説明を承ることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=2
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003・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 商工協同組合法案に付きましては、先刻本會議に於きまして申上げましたやうに、中小企業振興の重要な一方策と致しまして、中小企業の自主的組織化を圖ります爲に、戰時統制經濟の殘滓たる統制組合及び施設組合の制度を廢止し、之に代つて新たに民主的商工協同組合制度を設けようとするものであります、御承知のやうに中小企業は其の性質上其の簡易な設備と、勞務管理の徹底等に依り、經營が彈力性に富むと云ふ利點があるのでありますが、其の反面資金の小規模な關係上、金融の利便が少く、從つて設備の改善、技術の向上等と云ふ方面が甚だ不十分であり、又眼前の利害に捉はれて無統制な競爭に陷り易く、業者個人經營に打撃を與へるのみならず、其の事業一般の健全な發達を阻害する弊も少くないのであります、從つて先づ中小企業を組織化致しまして、關係業者の緊密な自主的協同の力に依つて、其の合理化、能率化を圖ると共に、大局的見地より中小企業家に適切な指針を與へ、其の進路を誤らせないやうに指導致しますことが、是非とも必要な次第であります、現行の商工組合法は統制團體としての性格を持ち、戰時經濟統制遂行の便宜を圖る爲に、組織化を狙ひと致して居りまして、直接中小企業の振興、向上を圖る爲の組織化を目的としては居ないのであります、此の點に於て既に戰後の新經濟情勢に相應しくないと申さなければなりませぬが、更に具體的に御説明致しますと、第一に其の運用方法ですが、理事長が原案執行權、役員任免權を持つと云ふ例にも明かでありますやうに、理事長を中心とする指導者原理を基調と致して居りまして、總會の權限が非常に弱く、組合員の總意が輕視せられて居ります點、第二は設立に付ては、政府の命令に依る強制設立の制度を認めると共に、組合員は當然加入制となつて居りまして、脱退の自由は認められない、解散も政府の命令又は認可がなければ出來ませぬ等、組合員の自由意見が著しく束縛せられて居ります點、第三は組合は、組合員に對しては統制規程に依つて法令に依る場合に劣らぬ位の強力な統制權限を有して居る、經費、過怠金等に付ては強制徴收權を有する等、強權的色彩が強い點、第四は從つて又政府は組合自體の設立、解散の命令權を始め、役員の任免權、各種の認可權等煩鎖に近い監督權を留保して居ります點等、戰後經濟民主化の線に沿ひまして、組合員自體の發意に依る自主的なる團結に依りまして業界を組織しようと云ふ要望とは相去ること遠いものがあるのであります、他方施設組合は中小企業の共同經營組織體でありまして、比較的現下の要望に適するやうにも考へられるのでありますが、施設組合は沿革的には舊商業組合法、工業組合法の小組合法の系統をつぐものでありまして、極く小規模な業者の統合體として利用せられ、檢査事業等も行へぬことになつて居りますので、今回施設組合の制度を擴充致しまして、中小商工業者の純粹な協同組織としての民主的な新組合制度を作ることと致したのであります、以上の説明に依りまして、大體明かになりましたことと思ひますが、此の法律に依つて設立せられます商工協同組合は、商業、工業又は鑛業を行ふものが自由に寄り集つて、其の事業經營の合理化を圖る爲に必要な共同施設を行ひ、延いては當該産業の改良發達に寄與することを目的とする協同組合でありまして、從つて設立、加入、脱退、解散等は總て組合員の意思に委ねられて居ります、組合の運營に付きましても、此の法律の中には公益上必要な最少限度の規定を置くことに止め、他は役員の任免、經費の徴收等總て總會を中心とする組合員の自由意志に基きまして民主的に運營することとし、組合員の創意と責任に於て極力其の民主化を圖ることとしたのであります、從つて行政官廳の監督規定も必要な最小限度に止めまして、必要に應じ變轉する經濟状勢と各業界の實状に即する事實上の行政指導に依りまして組合の健全な發達を圖りたいと存じて居ります、又組合自體の自治的指導連絡機關として商工協同組合中央會を法定致しまして、中央會に依る組合經營の實務指導を更に一層活溌ならしめたいと存じて居ります、最後に商工組合に依る統制組合は、戰時中の殘滓を一掃する意味に於きまして此の際全部解散し、新たなる構想に基いて再出發すると云ふことに致しまして、新機構へ移行の一線を劃しますると共に、施設組合は其の性質上當然新法に依る協同組合と看做すことに致したいと考へて居ります、商工協同組合法案の内容は大體以上の通りでありますが、衆議院に於きまして若干の修正があり、政府も之に同意したのであります、尚詳細の點は御質問に應じ御答申上げることと致します、何卒御審議の上速かに御協賛あらむことを御願する次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=3
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004・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 是より質問を御許し致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=4
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005・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 今の衆議院に於て修正されました點をちよつと一言御説明致したいと思ひます、此の組合の役員を從來の統制組合に致しましても、皆組合員外から所謂學識經驗者と致しまして任命することが出來たのでありますが、今度の此の法律では氣持をすつかり變へます爲に、從來の指導者原理を排斥する爲に全然新たなものとなつて居りましたが、衆議院で色々審議して居ります間にどうも矢張り或所では寧ろ第三者を入れた方が宜いと云ふことが考へられますので、さう云ふ場合には二名を限つて所謂組合員外から選擧をして、さうして之に入れることが出來ると斯樣な修正なんでありまして、是は關係方面とも色々協議致しましてそれは宜からうと、斯樣なことになりまして政府も之に同意を致した次第であります、前後の事情を申述べまして御參考に供したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=5
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006・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) どなたか御發言はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=6
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007・吉田久
○吉田久君 一、二點御伺ひ致したいのでありますが、本案に依りますると云ふと、第四條の登記は對抗要件、第三者に對する設立の對抗要件と云ふことになつて居りますが、近來の立法の趨勢を見ますると、設立の登記は對抗要件ではなくして法人設立の要件とすると云ふやうに相成つて居ると考へて居るのであります、それにも拘らず本案が設立の要件としないで、登記を對抗要件と爲された理由を御伺します、もう一つは舊法の商業組合法に依る所の組合は同法の規定の前半から窺ひまして、公法人であると解釋されて居つたと思ひますが、本法の法人は公法人に屬するのか、それとも、さうでなく私法人に止まるのであるかと云ふこと、其の二點を先づ御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=7
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008・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 只今御尋の第一點の登記の問題でございますが、御話の通り第一章總則の第四條に於きましては一般的な規定と致しまして登記の規定を置いて居るのでございますが、設立の場合の登記の問題に付きましては、第十一條に別の規定がございまして、「商工協同組合は、勅令の定めるところにより、設立の登記をすることにより成立する。」と云ふ明文を置いて居りますので、設立の場合に限りましては登記が設立の要件となつて居ります、此の點は御話の通り從來の各種の制度と同樣に致して居ります、それから今度出來まする協同組合の法人の性質でございまするが、現在の商工組合法に依りまする二つの組合制度がございまして、一つは統制組合、一つは施設組合でございまするが、統制組合の方は專ら國家的な、主として戰時中行ひました色々の統制の下請機關と云ふやうな恰好になつて居りまして、從ひまして非常に其の統制の公的色彩が強い譯でございまするので、現在の統制組合は公法人的な解釋になつて居るのでございます、之に反しまして施設組合の方は專ら組合員の共同の、共通の利益を増進すると云ふ私的な目的になつて居りまするので、施設組合は純然たる私法人、斯樣な解釋になつて居る譯でございます、今度の協同組合も大體現在の施設組合と其の本質が同じでございまして、組合員御互同志の共同の利益を増進すると云ふ所が第一の主眼になつて居りますので、是は公法人と謂ふことは出來ないだらうと思ひます、矢張り私法人としての取扱になるものと考へて居ります、唯此の場合に色々法人の分け方と致しまして、公法人、私法人と云ふやうな分け方もございまするし、或は別個の見地から公益法人か營利法人かと云ふやうな分類をする分け方もございまするが、公益法人か營利法人かと云ふことになりますると云ふと、是は公益と云ふやうな廣い、公の利益を目的として居る譯ではございませぬで、組合員の共通の利益と云ふ所が主眼でありまするので、公益法人と謂ふことは出來ませぬし、さうかと申しまして、組合の事業は營利を目的として居る譯ではございませぬ、組合自身の事業と致しましては、唯利益を追求すると云ふことは主眼ではない譯でございまするので、營利法人でもない、さう云ふことになりまして、從來學者の方々の分類に從ひますれば、公益法人或は營利法人の中間にある、謂はば中間法人とでも謂ふべき性質を持つて居る法人である、斯樣に解釋致して居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=8
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009・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 御諮りを致しますが、御質問は最初總括的御質問をお願ひ致しまして、其の上で各章毎に順を追つて御質問を進めると云ふ風に致したいと思ひます、今日は大體、若しも御質問がございますれば總括的御質問を一つ願ひたいと思ひます、ちよつと申上げますが、政府より色色參考資料を差上げる豫定になつて居るさうでございますが、今日午後でないと間に合はないさうであります、今日引續き午後委員會を開催致します際に、參考資料を差上げることに致します、それでは午後に資料を差上げます前提として、一應色々内容に付て政府委員の方から御説明を申上げるさうでありますから…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=9
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010・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 資料が大體午後の會議には間に合ひますが、其の前に御配り致します豫定になつて居ります資料の大體の内容に付きまして、豫め御説明申上げたいと思ひます、御配り致します資料は第一に府縣別の商工組合の設立状況の調でございます、是は商工組合中央會の調査に基きまして、本年の三月三十一日現在で、全國の組合の設立状況がどう云ふ風になつて居るかと云ふ調でございまして、三月末と申しますれば大分前でございますが、其の後大きな變動はないものと考へて居ります、寧ろ解散をしたものが段々出て來て居ると云ふやうな状況ではないかと考へて居ります、それに依りますと、統制組合の全國に於ける數は七千六百七十六と云ふ組合數になつて居りまして、之に對しまして、施設組合は全國で六千五十七の組合がございます、合計致しまして、一萬三千七百三十三組合と云ふことになつて居ります、是は全國で三月末日の調査でございますが、廣島縣だけは回答が遲れて居りました關係上、昨年の八月末現在の數になつて居りまして、廣島縣は御承知のやうに罹災の激しい地區でございますので、まだ詳細の調査が纒つて居ない状況でございます、それから次の資料は商工組合の戰災状況でございますが、組合の中で、是も同じく中央會の調査に基きまして、四月末日の調査で、組合の戰災を受けました状況でございますが、是は約一萬四千の組合に付て調査を致しました處、三千七百四十六組合と云ふものが罹災を致して居りまして、罹災の率は二十七「パーセント」、全體の二割七分と云ふものが戰災を受けて居ると、斯う云ふ風な状況になつて居りまして、其の中既に復興を致しました組合は、二千八百二十八組合あります、それから復興の見込のない組合と云ふものが二百八十三組合と云ふ風な状況になつて居る譯でございます、尚其の罹災の組合の業種別の、工業、商業の内譯でありますとか、罹災致しました組合の出資總額と云ふ風な詳細の内譯がそれに附隨致して居るやうな譯でございます、あと商工組合中央金庫等の貸付の状況の資料、それから其の中でどれだけ現在の組合は返還したかと云ふやうな金額の調査を御出しすることになつて居ります、昭和二十年度末の國民更生金庫から組合が借入れて居ります借入金の状況、それに對する償還の額、償還の率と云ふやうな資料でございまして、現在迄の共助資金の借入總額は七億四千六百萬圓、之に對しまして償還額は二億五千四百萬圓でございまして、現在迄の償還率は三十「パーセント」と言ふ風な状況になつて居ります、大體さう云ふ風な資料が主なものであつたと考へて居ります、尚詳細は更に午後御配り致します資料に付きまして御質問があつた際に御答へ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=10
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011・交野政邁
○子爵交野政邁君 商工協同組合と今度出來ます商工會議所の關係はどう云ふ風になりますか、其の點に付きまして御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=11
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012・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 新しく出來まする商工會議所の會員の組織に付きましては一應是はそれぞれの會議所の任意に委してございますけれども、大體は其の管内に於きまする所の、地區内に於きまする所の商工業者の御方及びさう云ふ方々を以て組織されるやうな團體を含める積りであります、從ひまして商工協同組合も之に組合と致しまして參加をするやうな方針で行きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=12
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013・吉田久
○吉田久君 先程御話がありました此の參考資料でございますが、實はまだそれ等の資料がありませぬ爲に準備が能く出來て居りませぬので、如何でございませうか一つ本日は此の程度で續行を御願ひ出來ないものでございませうか、參考資料を能く拜見した上で審議を致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=13
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014・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 如何でございませうか、それでは本委員會は午後一時から再會致すことに致しまして、一應是で休憩致すことに致したいと思ひますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=14
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015・吉田久
○吉田久君 それ迄に參考資料を頂戴して直ぐ調べが出來るでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=15
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016・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 政府の方は一時迄には間に合せると申して居りますが、只今本省の方へ取りに行つて、出來るだけ早く御配りするさうでございますが、時間が相當掛りますので、皆樣の御部屋の方へでも差上げることに致しますから、それで御準備を願ふと云ふ意見を申出て居りますが、如何なものでございませうか、大體政府の方では本日午後一時から開會するものと豫定を致して居つたらしいのでございますが、ちよつと手許が狂つたやうでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=16
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017・中田薫
○中田薫君 大體是は本案はいつ頃迄に審議を終ると云ふ御見込なんですか、政府は御急ぎですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=17
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018・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 只今大臣に伺ひましたが、別段急がなければならぬと云ふ理由はないさうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=18
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019・中田薫
○中田薫君 それならば私共も内容を拜見して居らないのでありますから、せめて今日午後位にでも資料を持ち歸りまして、十分研究したいと思つて居るのでございますが、如何なものでございませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=19
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020・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 只今の御提案もございましたやうな次第でございますが、別段總括的な御質問でもございませぬければ、參考資料を御手許に配ります迄休憩を致したら如何でございませう、總括的な御質問がございますれば、どうぞ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=20
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021・石川一郎
○石川一郎君 今中小商工業の金融は、今度の復興金庫も出來ますし、商工組合中央金庫もありますが、どう云ふ風なことになります御見込でございませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=21
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022・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 從來中小商工業の特別な金融機關と致しましては商工組合中央金庫、只今資料に付て貸出の状況も御説明致しまするが、是がございまして、所謂組合金融と云ふことで中小商工業者に對しまして金融を致して居つた譯であります、勿論此の制度で十分ではなかつたのでありまして、中小商工業者としては普通銀行も利用されて居りましたし、或は市街地信用組合等の資金も吸收せられて居つたやうであります、今度金融に對しまして斯う云ふ措置が執られましたに付きまして、商工省と致しましても特別な金融に付て色々考へたいと存じて居つたのでありますが、一應此の際は復興金融金庫と云ふもので金融の關係を全部統一すると云ふことになりまして、中小商工業者に對しまする金融も此の復興金融金庫が一應之を賄ふと云ふ建前になりまして、今日と致しましては復興金融金庫の資金を矢張り中小商工業者の爲にも使ふと云ふ建前を採つて居るのであります、其の貸出の方法と致しまして、復興金融金庫と云ふやうな大きな産業をも相手にする金融機關では手數の掛ります中小商工業者に十分滲透しないと云ふ虞がありますので、取敢ずの問題としては從來の商工組合中央金庫に所謂代理業務をさせることに致しまして、復興金融金庫の資金を融通すると云ふ途を今考へて居るのであります尚普通銀行も復興資金に付きましては之を融通し得る途が色色考へて居られるやうでありますから、從來普通銀行と取引のありました中小商工業者の方は、普通銀行を通じまして日本銀行に申出をして復興資金の供給が出來ますし、さう云ふ普通銀行と取引のありませぬでした業者の方は、今日としては商工組合中央金庫に申出まして、五十萬圓以内の資金に付きましては組合に復興資金を貸付けて組合員に更に之を融通すると云ふ建前を採つて居ります、將來の問題としては色々の又金融機關を考へねばならぬと思ひますが、取敢ずの問題としては金融機關と致しましては只今甲上げました「ルート」だけでございます、尚別途今日衆議院に提出せられます所の産業復興營團と云ふ法律がございます、是は直接金融を致しまする機關ではございませぬが、工業關係の設備を造りまして、之を中小商工業者に貸付けることを一部の仕事として豫定を致して居ります、主として狙つて居りますのは共同設備等を營團に造りまして貸付をすると云ふやうなことをやりたいと思つて居りまして、是が一部の資金融通の代りになることと考へて居ります、さう云ふ程度で一應金融の梗塞して居る時代の中小商工業者の爲めの資金係通の便宜を圖りたい、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=22
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023・石川一郎
○石川一郎君 中小商工業と云ふものは今どう云ふ風な定義になつて居るか、それも伺ひたい、中小商工業と云ふものはどの位の規模のものを言ふかと云ふことですが、それを伺ひたい、それから只今御話のございました商工組合中央金庫をして代理せしむると云ふことは、責任は復興金庫の方にございますか、或は商工組合中央金庫の方にございますか、貸倒れとか何とか云ふ場合です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=23
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024・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 後の方の御質問、責任の問題でございますが、是は勿論商工組合中央金庫は代理業務がございますから、貸倒れ等のありました場合に責任と申しますか、損失は復興金融金庫が負ふ譯でございます、責任は全然復興金融金庫にあると云ふ譯でございます、最初の中小商工業、特に中小工業の定義に付ての御質問でございますが、是は非常にむづかしい分類でございまして、大分前から色々と論議されて居つたのでございます、資本金で區分致しまするもの或は生産能力で線を引かうと致しまするもの或は使用の職工數で制限をすると云ふやうなもの、色々な分類があつたやうでございます、併しながら此の中小商工業と申しましても色々政策を實施致しまする場合の目的に依りまして、其の範圍は非常に廣い差を以て動いて居るやうでございます、或は職工數で申しますと、五百人を單位に致しますもの、或は二百人で宜いと云ふもの、色々な説がございますのでありますが、此の明確な線と云ふものはなかなか引きにくいと考へます、要するに大工業と云ふものと中小商工業の此の二つの觀念を對立させて考へますと、何か漠然として其處に線が引けさうでありますが、さらばと言つて之が中小商工業の線だと云ふ劃然たる線はなかなかむづかしいのでございます、産業の種類に依りましても假に、使用人と云ふことで分けますと、化學工業などに於きましては割合に少い人で大きな工業がございまして、綜合致しますると、機械工業には千人、二千人の工員が居りますので明確な線はございませぬ、中小商工業には唯特有な特徴があると云ふことを取りまして、色々施策は考へて居ります、どうも線に依りましてはつきりと劃然たる線を引いての區別と云ふのは非常にむづかしいのでございまして、從ひまして商工協同組合も中小商工業者の組合として考へて居る譯でございますが、此處からは組合を作つてはいかぬと云ふやうな線は引きにくいのであります、大體は從來一番多い例で申しますと、職工數で申しますと五百人と云ふのが一番多うございます、工員の數で百人から五百人位を中と見る位の見方があつたやうであります、資本金に付きまして百萬圓を限度とすると云ふやうなこともあつたやうでございます、色々ございます、是は段々經濟状況も變つて參りますと、其の線も非常に不明確になつて來るやうでございます、要しますに正確な線は確定して申上げることは非常に困難であらうと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=24
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025・石川一郎
○石川一郎君 只今の御話で、我我もどうも中小商工業と云ふのははつきり分らないのであります、それを分らないで斯かることを申上げてどうかと思ふのでありますが、唯實は金融方面は是から復興金庫も出來ますし、斯う云ふものの組織が出來て相當敏活に行くやうになるのではないかと思ふのでございますけれども、唯中小商工業に對する資材の問題でございますが、今重點産業或は國家として最も今必要である石炭とか肥料と云ふものでさへも十分資材等がございませぬ時に中小商工業に對する資材面のことはどう云ふ風になさる御積りであるか、どうも之をはつきりせぬと、色々な政策、其の他新聞等にも出て居ります中小工業を育成すると云ふやうな御話がありますけれども、育成が果して出來るのかと云ふことを實は心配をして居るのでございますが、今中小商工業で相當活溌に動いて居るものがあるのでございますが、或は手持であるとか、或はさう申してはなんであるが、闇相場で材料を得ると云ふやうなこともあると思つて居ります、正常に斯かる中小工業と云ふものは今の原材料の關係でうまく動くやうな御見込はあるか、又それをどう云ふ風に育成なさるのか、之を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=25
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026・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 今後日本の産業規格と致しまして、中小工業と云ふものが非常に多くなると云ふことを政府も豫ねがね申上げて居りますし、恐らくさうなつて來るだらうと考へて居ります、財閥の解體なり、其の他色々の政府の施策の上から申しますと、中小工業と云ふものが廣い分野を占めると云ふことは間違ひない所でございます、其の資材をどうするかと云ふ御話でございますが、現在の状況から申しますと、中小商工業で的確に資材を持つて居りますものは所謂重點的な産業として取扱つて居る分だけでございまして、例へば農機具と云つたやうな工業でありますが、中小工業でやつて居ります、寧ろ大工業が少い、斯う云ふものには政府は特別の需給計畫の枠を設けまして、其の資材の配給を致して居ります、それ以外のものに付きましては所謂重點産業に屬するものが少いのでございまして、唯一つ御承知かと思ひますが、進駐軍の住宅兵舍等を造ります爲に、所謂進と名付けまして、特別に資材を配給致して居ります、是は家具「テーブル」、さう云ふものから致しまして、建築用の色々な道具に至ります迄、隨分所謂中小工業の手を煩して居ります、其の方の資材は相當的確に廻つて居ると考へます、それ以外の所謂小さい人達の資材と云ふものは、所謂手持資材が資材でありまして、政府が特に賄つて居ると云ふものは却て少いかと思ひます、唯其の中でも所謂輸出品でありますもの、所謂見返り物資と云ふものの生産に付きましては、是は資材等も考へて居ります、又斯う云ふ所謂輸出品なり見返り物資を造りますものは主として中小工業の部類に屬するものが多いのでございます、今後輸入を圖ります爲に輸出業を段々殖やして行く譯でありますが、輸出品の加工を致します工業と云ふものは主として中小工業、戰前もさうであつたのであります、戰前も恐らく五割六割、過半數のものは所謂中小工業の手になつた物を輸出して居つた譯でございます、今後の輸出品もさう云ふ形、それ以上のものを以て中小工業が大きな分野を占めるものと考へます、從ひまして輸出に對しまする資材と云ふものは特別の考慮をしなければならぬと思ひます、特に輸出に付きましては輸入原料を使つて加工を致しますものが多いのでございます、纖維など一番多い例であります、纖維の加工、絲を紡ぎます迄は、是は大工業でありますが、織布部分、之を布帛加工致します部分、或は染色整理と云つたやうなもの、或は「メリヤス」を編みまする仕事は中小工業が壓倒的に多いのでございまして、さう云ふ部分に付きまして輸入に依る原料の確保と云ふことが相當望みがあらうと申して宜からうと思ひます、さう云ふ風に漸次中小工業に對する資材と云ふものは段々めどが付いて行つて居るやうな状況であります、唯鋼材或は化學製品等に付きましては今後の石炭の増産と睨み合せて考へなければいかぬのでございまして、國内的に見ますと、さう急速に澤山の供給力が出來るものと考へられませぬ、從つて是等の部分も出來得れば輸入に依つて輸出用の原料は確保したいと思ひます、輸出用を造れる限度に於てはさう云ふものを何とか供給致しまして事業が繼續出來ますやうに努めて行きたいと考へて居ります、併しながら仰せの通り此の方面に於きましては中小工業の資材と云ふものはさう急に樂になると云ふ状況でございませぬ、寧ろ此の半年或は一年後に於ては相當窮屈な状況になるのぢやないかと考へます、主として纖維方面或は木工方面で相當の分野を開拓すると云ふことが希望が持てるのぢやないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=26
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027・石川一郎
○石川一郎君 中小工業に對する不足物資の枠を政府の方で御作りになる譯に行かないものか、ほんの僅かの枠のものをやると云ふこと、さう云ふ風な、勿論品物の日本で要る程度、重要さに依つても違ひますけれども、さう云ふやうなことがきつちりと段々と育成して行くと云ふやうなことに參らないでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=27
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028・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 工業製品に付きまして、今後物資需給計畫を作る譯でございます、其の場合に、其の部門に付ては、是は中小工業に分ける部門である、是は大工業で造る部門であると云ふ風に枠を作ると云ふことは、是は考へられぬことはないのでございますが、先程も御尋になりましたやうに、中小工業と云ふものの分野が、非常に線が引きにくいやうな状況でございます、從ひまして是が中小工業と云ふ風に枠を決めましても、其の實行上はなかなかむつかしからうと思ふのであります、從ひまして資材を分ちまする場合に、是は經濟安定本部で根本的の方針は御決めになる譯でありますが、其の際には何と申しますか、斯う云ふ枠のものに對してはどれ位の「パーセンテージ」を大體やると云ふやうな、實行上の案を考へてやるより致し方ないと思ひます、枠と致しまして線を引きますると、非常に融通のむつかしい困難な問題も出來まするので、さう云ふ分野、例へば組合を作るもの、或は組合以外の大きな業者だけのものが出來て居ると云ふやうな、分野がはつきり致して居るものに付きましては、さう云ふ實施も可能でございますが、業者も一本になつて居るやうなものに付きましては、まあ商工省、農林省等、色々製造工業者に對して監督致して居る官廳が、實際上の運用と致しまして之を御進めをすると云ふことであらうかと思ひます、物資動員計畫の中の枠として確定すると云ふことは、なかなかむつかしいと思ひますが、さう云ふことで成るべく中小工業の資材の確保を圖つて行きたいと考へます、主として中小工業の造ります物は、國民の生活必需品であり、大工業の御造りになる物は、寧ろ基礎的な資材と云ふものが多いのでございますから、基礎的な資材の方面に付きましては、寧ろさう云ふ設備の復興と云ふ風に資材を重點的に造つて行く時代でございますので、之には矢張り相當の資材を廻して行かなければならぬ、將來の生産を伸ばす意味から申しまして、相當是は重點を置いて資材を配給をして行くべきものと考へまするので、矢張り此處一年二年と云ふものの間に於きまする資材の配給は、何と申しましても、基礎資材の復活と云ふことに重點を置き、國民生活一般の爲に對する資材の配給と云ふものは、矢張りさう多くのものを期待は出來ない、併し少いながら之を中小工業の少くとも現在あるものを活かす形に於て分けて行くと云ふ意味で、さう云ふ一種の枠を考へまして、それぞれの官廳が公示すると云ふことは結構だらうと思ひますし、私共さう云ふ風に行きたいと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=28
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029・交野政邁
○子爵交野政邁君 只今の御質問に關聯致して居りますが、資材の配給の點に於きまして、纖維工業の如きは、現在所有して居ります機械に配給の量が付いて居るやうでございますが、今後もそれを繼續せられる御積りでありますか、又全然新たに配給の方法を御考になるのでございませうか、共の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=29
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030・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 現在纖維の資材配給、絲の配給の基準と申しまするものは、或は綿の配給の基準と申しまするものは、仰せの通に、設備に依つて基準を決めて居ります、是が一番何と申しますか公平だらうと云ふことで、戰時中でございましたが、織機一臺に絲何「ポンド」と云ふ割當を致して居つたのでございます、之に代るべき方法と申しましても、統制の最初に於ては實績主義を採つて居つたのでございますが、さう致しますと、非常に不公平が出來まして、又織機等の整備を致しました時に非常にやりにくいやうなことになりましたので、要するに織機一臺に付て何「ポンド」と云ふ、所謂織機の型等に依つて能力も違ひますが、大體能力を加味致しました織機一臺當りの製造能力と云ふものを算出致しまして、それを基礎に割當を致して居ります、恐らく今後も矢張りさう云ふ織機或は紡機と云ふものが基準になつて割當を續けて行くものと考へて居ります、此の點は纖維再建委員會の方で目下審議中でありますが、其の結論はどうなるか末だ豫想出來ませぬが、恐らく纖維に付きましてはさう云ふ設備に依るものが一番公平であらうと、斯う云ふ風に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=30
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031・交野政邁
○子爵交野政邁君 大體只今の御説明で能く了解致しましたが、空襲中に大多數の工場其の他が罹災を受けて、此の機械に對する配給と云ふことになりますと、燒けた機械を持つて居ても、權利があると云ふやうな非常な不公平、又其の組合の精神にそぐはないやうな點があるやうに考へられます、其の點は御考へございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=31
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032・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 詳細の點は午後でも纖維局長が參りまして能く御答へ致すことと思ひます、恐らくさう云ふ燒けた機械は配給の割當の基準になつて居ないかと思ひますが、そこは再建委員會の方向等を纖維局長から申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=32
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033・秋田三一
○秋田三一君 中小工業と貿易との關聯に付ては、今ちよつと工業に付ては見返り品の生産其の他に依つて貿易に關係することがありますが、商業の方に於きまして貿易と關係をどう云ふ風に持ちますか、又貿易其のものが現在では變態でありますが、是等の見透しと、中小の商業と貿易との關係を一つ御話し願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=33
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034・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二君) 戰爭前迄は所謂問屋がありまして、中小工業に色々な資材を供給し、製品を買上げまして之を貿易商に持つて來ると云ふことで、商業者が中心になりまして輸出品は製造されて居つたやうでありますが、普通の雜貨工業、纎維工業は皆さう云ふ形であつたやうでありますが、併しながら戰時中之を統制致しまして、段々纎維品等に於きましては所謂「リンク」制を執りまして紡績業者を中心に織物等も取引が行はれまして此の問屋の地位が段々何と申しますか影が薄くなつて參つたのでありますが、戰後に至りまして完全に其の貿易と云ふものは聯合軍の管理になりまして、所謂商業者と云ふものの活動の餘地がない今日の状況になつて居ります、併しながら此の貿易管理の状況と云ふものは、是は恐らく長い間續くものではないと思ひます、和條約も出來ますれば、段々日本が獨立した、或制限は受けるかも知れませぬが、獨立した形に於て貿易と云ふものが出來るのではなからうかと云ふ風に考へて居ります、さう云ふ場合には勿論貿易業者も復活を致して參りますし、又貿易業者と云ふものは從來の問屋と違ひまして、從來の製品、生産の過程に歸つて行くのではないかと豫想致します、併しながら矢張り原料を輸入して之を加工して出すと云ふ形は、當分是は變らぬことと思ひます、原材料は日本でさう澤山ございませぬから、入れた原料を或程度は十分に間違ひなく、國内に流さずに輸出品に出すと云ふことを確保する意味に於きまして、一つの統制された取引状態がまあ持續するものと考へられます、さう致しますると此の協同組合等に資材を供給致しまして、そこが主として中小工業者の方の團體であつて、さう云ふ加工した物が共同販賣と云ふ形で貿易業者の手に必ず戻つて來ると云ふ形を執らなければならぬと思ひますので、さう云ふ場合に先づ所謂貿易業者の下に附いて居つた問屋さん達は出來るならば、此の協同組合の中に入つて戴きまして、從來原材料を買入れて製造をさして共同で買取つて行くと云ふ形を協同組合の中で、例へば上下の關係の方が一つの組合に入つてやつて戴きます、さう云ふ形が非常に良くはないかと云ふことで、此の協同組合もさう云ふことを考へて居るのでありまして、問屋と工業者が一つの組合に入る、さう云ふ商工協同組合を考へて居ります、さう云ふことで協同組合と貿易業者と云ふものが直接に契約を致しまして、貿易業者が原材料の供給を受けて、之を協同組合へ流す、協同組合では責任を持つて其の製品を加工致しまして、又元の問屋さんに賣つて行くと云ふやうな形で、段々統制と云ふものが實行されて行くのではなからうか、今日は貿易廳自身がやつて居りますが、段段國家管理の貿易が解けまして、或統制せられた形の貿易と云ふものが行はれて、貿易業者と云ふものが恐らく貿易組合と云ふやうなものを通じて統制されて參るやうになりますれば、さう云ふやうな形で商人の人々、問屋の人々が段段力を囘復して來る、斯う云ふ形になるではないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=34
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035・秋田三一
○秋田三一君 現在では貿易廳が見返り物資の輸出に當りまして、其の製品を纒めますのは工業者が直接に取纒めて居りますか、或は其の中間に商業者を入れて、それに纒めさして、さうして其の貿易廳がそれを又輸出に振向けて居るやうな形にあるのですが、どう云ふ風な…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=35
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036・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 現在では形式から申しますと、貿易廳が直接注文を致して居る形になつて居りますが、代行機關と致しまして、從來の貿易業者の方を矢張り使つて居るやうであります、代行して御纒めを願つて現物は直接政府が買入れます形になつて居りますが、實際の色々の資材等に付きましても、代行機關を通じてやる、從つて獨立した仕事ではございませぬが、實際上は介入して居られるのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=36
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037・秋田三一
○秋田三一君 今聯合軍總司令部の方で色々の賠償の爲の設備を撤去して居りますやうですが、さうすると、それには殘存の日本の生産能力を業種別に依つて、どの程度に置くと云ふ風にまあ標準を立てて居りますが、今後中小の工業が新たに起つて行きます際には、其の限度を或は超えるやうになるかも分らないのですが、其の邊の統制と言ひますか、基準はどう云ふ風に政府の方で見て居られますか、或は企業許可と云ふやうな方法に依つてまあやられる譯でありますか、自由に伸びれば伸びるに委して置くと云ふ譯ですか、どう云ふ御方針でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=37
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038・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 今囘の賠償の實施に付きましては、是は「ポツダム」宣言にもありますやうに、日本が生きて行く爲に最小の産業と云ふものは是は維持さしてやらうと云ふ建前になつて居りますので、今囘の賠償の撤去に付きましても、國民生活の程度を何處に見るかと云ふやうな議論はありますけれども、或程度自給をし得るやうな形の、現在あるものの設備は殘して貰ふと云ふことになつて居ります、從つて今囘産業に依つてそれぞれ程度が決つて居りまするが、或線を引かれまして、それ以上の設備は撤去することになつて居るのでありますが、今後日本の産業が興りまして、其の線を超えて生産設備を殖やす場合に、どう云ふやうな形で抑へるか、斯う云ふ御質問のやうでありますが、是は仰せの通りに此の線と云ふものは此處暫くの間は維持しなければならぬだらうと考へます、併しながら日本の實際の状況から申しますと、今囘引かれました線は、鐵にしろ、化學にしろ、原材料の關係から行きまして、其の線を超えて生産が殖へると云ふことは、恐らく五六年先になると考へます、從つて取敢ずは特別の手を打ちませぬでも、其の點は此の線を「オーバー」する程の生産は期待されないのであります、從つて今日直ちに政府と致しまして、是れ以上抑へるやうな特別な法制の手は今考へて居りませぬ、併しながらあの線と雖も永久に日本が超し得ないと云ふことではないのでありまして、段々日本の人口も又將來には増加することも考へなければなりませぬし、又日本の文化、國民生活の水準と云ふものも逐次上つて宜いのでありまして、日本の貿易の力に依つて原材料が入り段々産業が増加致しますに從つて、之に相應して今囘賠償に取られました設備撤去、撤去されました設備關係の産業に付ても伸ばして行つて宜いと思ひます、恐らく聯合軍も永久的に許可制を布くと云ふことではなくして、此處暫く日本の軍事能力を抑へて行くと云ふことであらうと考へます、從ひまして、是はまあ聯合軍の方の輿論等の問題にも關聯する譯でありますが、さう云ふ輿論が緩和致しました後に於ては、あの線は自然に突破されるものであらうと考へられまするので、政府と致しましては取敢ず其の線を抑へるやうな法制或は手段と云ふものは直接考へない積りであります、一日も早く國民の努力に依つて、逐次産業が囘復致しまして、其の線が段々押拂はれて行くやうにしたいと云ふ風に考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=38
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039・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 他に御質問もございませぬければ、今日は此の程度に致しまして、後程政府から參考資料を差上げますから、十分御研究願ひまして、次囘は明朝十時から開會致したいと思ひます、今日は是にて散會致します
午前十一時五十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=39
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040・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 男爵 肝付兼英君
副委員長 子爵 柳澤光治君
委員
侯爵 佐竹義榮君
子爵 清閑寺良貞君
子爵 交野政邁君
子爵 鳥居忠博君
中田薫君
吉田久君
男爵 奧田剛郎君
結城安次君
石川一郎君
高橋龍太郎君
奧主一郎君
秋田三一君
橋本萬右衞門君
國務大臣
商工大臣 星島二郎君
政府委員
商工事務官 吉田悌二郎君
同 小出榮一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00119460930&spkNum=40
4. 会議録のPDFを表示
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