1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○商工協同組合法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年十月一日(火曜日)午前十時九分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=1
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002・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) それでは昨日に引續きまして商工協同組合法案の委員會を開會致します、咋日に引續きまして法案の總括的御質問を願ひたいと思ひます、尚咋日交野子爵から御要求がございました御質問に對しましては、纎維局長が後程出まして御説明を致すことになつて居りますから、他に御質問がございますれば此の際御願を致します、尚昨日の委員會に於て御手許に參考資料を差上げることになつて居りましたが、咋日中に多分御手許に廻つたと思ひますが、御入手でございますか、まだ御手許に參つて居らない方は御注意を戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=2
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003・鳥居忠博
○子爵鳥居忠博君 今迄の御質問では重複した點があるかも知れませぬが、今度の商工會議所と臨時物資需給調整法の産業團體、それから今度の協同組合とそれから今度又次に參ります産業復興營團、此の四つの關聯性とか特異性と云ふものを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=3
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004・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 先般御協賛を經ました商工經濟會法の廢止後、あの法律は近く施行せられまして、施行に依りまして當然に商工經濟會と云ふものは解散をされるのであります、其の後に民間の任意の發意に依ります所の商工會議所と云ふものを、各大體都市單位に組織を願ふことに、政府は御指導を致して居る譯であります、其の商工會議所として豫定致して居りますものは、其の土地に於きまして商工業を經營して居られる方を中心に致しまして、更に之に關聯を致して居りまする事業、或は其の團體を其の會員と致しまして、其の土地特有な經濟界の色々な状況を反映致しました意見を纒めて戴くと云ふことが、一番重要な仕事になつて居るのであります、要するに土地の商工業、其の他經濟一般に關する輿論の代表機關として、商工會議所と云ふものを考へて居りまして、是には單獨に加入されて居る方もありますが、小さい中小商工業者の方は單獨に加入することは經費の負擔の上から言つても、亦會議所と致しまして會員として御扱するにも、餘りに澤山の人員になると云ふ點もありまして、成るべく商工協同組合を組織致しまして、組合がそれに參加して行く、或は組合の聯合體と云ふものが之に參加をすると云ふやうな、形を取らせたいと考へるのであります、さう云ふ意味で商工會議所と、協同組合と云ふものは、さう云ふ關係に立つのでございます、次に臨時物資需給調整法第二條にあります、産業團體と此の協同組合の關係でありますが、此の協同組合は、提案の理由と致しまして大臣から御説明申上げましたやうに、專ら共同施設を中心とした組合でございまして、所謂統制事業と云ふものは、此の組合では行はないことになつて居ります、苟も統制に關する仕事と云ふものは、總て臨時物資需給調整法の範圍内に於てのみ、行つて行くと云ふ建前になつて居るのであります、從ひまして此の法律の表から申しますと、臨時物資需給調整法と、商工協同組合法と云ふものは關係のないことになつて居るのであります、商工協同組合は飽く迄所謂「コオペラティヴ・ユニオン」と云ふ點に重點がありまして、御互の協同の力に依つて各組合員の事業の合理化を圖つて行く點に重點がありまして、其の範圍を越えてはならぬことになつて居るのでありますが、偶偶組合の組織が、地區内の業者を殆ど網羅して居るやうな場合、又一つの地區に一つの組合が存在して居るやうな場合、即ち臨時物資需給調整法に於きまして、必要且適當と認められる状態にありまする場合には、之を臨時物資需給調整法第二條の規定に依つて指定を致しますと、指定することに依つて、物資の割當と云ふ統制の仕事をやる權限が附與されることになるのであります、共同事業の外にさう云ふ統制の仕事が附加されて來ることになるのでございます、臨時物資需給調整法と、協同組合はさう云ふ關係になつて居ります、從ひまして從來のやうな商工經濟會法の下に於きまする統制組合のやうに、統制事業だけを目的とする組合と云ふものは今後は出來ないのでありまして、他に共同設備を設けますとか、或は原料を共同購入するとか、製品を共同販賣すると云ふやうな共同事業をやつて居る組合が、偶偶物資の割當等をやるに適當な状況にある時に於て、臨時物資需給調整法に依つて、團體と組合との物資需給の關聯が出來て來る譯であります、次に産業復興營團法、目下衆議院に於て御審議願つて居りますが、是は協同組合と法制上の特別の關係はございませぬ、産業復興營團と申しますものは、戰時中の産業設備營團に非常に類似した内容を持つて居るのでありまして、産業設備營團が戰時に際して國家が産業設備を作りまして、之を民間の工場に貸し與へて行くと云ふことに依つて生産力の擴充と云ふことをして居りましたのに對しまして、勿論さう云ふ仕事は終戰と同時に政府としては是は廢止すべきものでございますから、其の法律案は今回廢止することに致したのでございますが、一面産業の復興と云ふ立場から致しまして、只今のやうな考へ方は矢張り必要でございまするので、産業設備營團を廢止致しますと同時に、之に代るやうな機關と致しまして復興營團と云ふものを考へたのでございます、其の仕事の内容は先づ第一に産業設備營團が從來持つて居りました設備、資材等を譲り受けることが一つでございます、今後新しい産業に之を振當てる爲に現在保有致して居ります所の設備資材を譲り受けることが一つございます、是はまあ經過的の仕事でございます、其の次に重要なことは軍需補償打切りに依りまして會社、工場等が整理を致します、自然廢業する會社等も出來る譯でございます、それ等の遊休になりました設備を、今日の状態から申しますと、一齊に遊休になる譯でございますから、之を買取つて仕事を始めようと云ふ人も恐らく見付からぬのが普通であらうと思ひます、さう云ふ場合に之を荒廢に歸せしめては將來我が國の産業の起ち上りに誠に遺憾なことでございますので、さう云ふものを此所に保有せしめると云ふことが第一の主な目的でございます、次の目的と致しまして、今日の此の物價高の際に於て新しく資本を寢かせて産業設備を擴充すると云ふ必要もございます、一例は肥料でございますが、是は是が非でも今日の状況から致しまして國内で或程度のものを生産して行かなければならぬのでございます、と申しまして其の「イニシヤル・コスト」と云ふものは今日の物價から申しまして非常に高いものでございまして、是はなかなか民間だけの「リスク」に於て新しく企業をやれと申しましてもなかなかむつかしいことであらうと考へられますので、さう云ふ設備に對して國家は融資をして行くと云ふことを先づ考へて居ります、普通の金融業者が融資をすると云ふことは今日は非常に危險でこざいますので、さう云ふ融資をする爲に其の設備營團を作つて、さう云ふ肥料の設備を作つて貸す代りに、金を借りまして融資をすると云ふことを今一應考へて居るのであります、差當り昭和致し電工が目下硫安の設備を擴充て居ります、其の爲に復興金融金庫から新しい産業復興營團に資金を融資致しました、此所で融通を致しました金で、硫安の設備の擴充をやつて行くと云ふことを只今緊急な問題として取上げて居るのでございます、次に是は最後に申上げます仕事が中小商工業、特に戰災を受けました中小商工業の復興の爲に一つ仕事を此の復興營團の方で取上げまして、例へば戰時中の軍需工場等で只今遊休になつて居りますさう云ふものが設備營團から引繼ぎまして、此の復興營團に參りますが、さう云ふ設備を或程度改造致しまして、工場として中小工業の方へ貸し與へて行くと云ふやうな仕事も豫定致して居ります、又物に依りましては新しい設備を作りまして、それを中小商工業の方へ貸し與へて行くと云ふ斯う云ふ仕事も考へて居ります、さう云ふ場合に此の協同組合等に於て今後新しく共同設備等を作つて參ります場合に、或程度産業復興營團が自分でさう云ふ設備を作りまして貸し與へて行くと云ふことがあると考へます、中小商工業の一つ一つにさう云ふ設備を作つて貸すと云ふことは國家としても非常に數多い人に對しまして非常に因難な状況にありますので、出來得るならば矢張り斯う云ふ共同設備と致しまして之を作つて貸し與へて行くことに依つて事實上の助成をして行く、例へば倉庫を作つて貸してやる、或は共同工場を作つて貸してやると云ふやうなことをすることに依りまして、従來の補助金でさう云ふ設備を作つて居つたことに代りまして、國家が助成をして行くと云ふ方法に之を使ひ得ると云ふことになると思ひます、産業復興營團と協同組合と共同設備と云ふものとはさう云ふ點で仕事の上に關聯があるのであります、大體四つの關係はさう云ふ風なものになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=4
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005・吉田久
○吉田久君 只今の御説明に關聯致しまして共同の施設をすることを目的とするのが本組合の事業の眼目であると云ふことになつて居るのですが、共同の施設と云ふ意味合はどうも能く分りにくいのですが、今の御説明で個々の業行爲の遂行される状態は稍稍窺ひ知れたやうでありますけれども、共同施設と云ふものの範圍に付きまして尚具體的に例を御話下すつたら結構だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=5
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006・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 共同施設と云ふ言葉で質問されましたが、此の組合では組合員の爲に色色な原材料を組合で買つて組合員に分けると云ふ仕事がございます、是は勿論一種の共同仕入だらうと思ひますが、今後資材の配給等は出來るならば斯う云ふ中小工業の方面に於きましては組合等で共同で買つて貰つて分けると云ふことが一番宜からうと思ひます、例へば織物なら織物で纎維の仕事を考へますと、原材料の或物に付ては、絲などに付ては別にはつきりした統制がある譯でありますが、それ以外の副資材等に付ては矢張り組合で共同購入して之を組合員に分ける、或は糊の原料である澱粉を買ふと云ふやうな場合には、是は恐らく一種の配給統制をする譯であると思ひます、自治的の統制になると思ひますが、さう云ふ場合には組合單位に大體割つて參りまして、それを組合が買入れて共同購入して組合員に分けて行く、斯う云ふことがあるかと考へて居ります、又其の場合は工業者の場合でありましたが、商工業者も矢張り所謂小賣業者の方々が集つて共同購入して商品を共同仕入をして組合員に分けて行く、或倉庫なら倉庫を作りまして共同仕入をした商品を其處で預りまして、それを適當な時期に組合員に分ける、或は共同購入した都度組合の持つて居る「トラック」で組合員の店舖に其の商品を運んで行くと云ふやうな仕掛けに依つて、是は一種の共同施設になると思ひますが、さう云ふやうなことも商業組合等で從來やつて居りました、が、今後もさう云ふ仕事が組合の、殊に商工業關係の協同組合の方の中心の仕事として考へて居るのであります、さう云ふ例等があつて今後もさう云ふことで進んで行けること考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=6
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007・吉田久
○吉田久君 共同の施設と言ひますと、業行爲の設備を組合がやる、さうして組合員にそれを利用させると云ふ場合の外に、組合自身が業行爲を對世間に向つて行くと云ふことも入るかのやうに思ふのですが、又此の本案の規定を見ますと云ふと組合が商品を販賣すると云ふこと、それから商品切手を發行すると云ふやうなことが認められて居りますからして、組合が對世間の關係で商品材料等を販賣すると云ふことも矢張り此の共同の施設と云ふことの中に入ると思ふのですが、さうしますと云ふと共同の施設と云ふのはどうも言葉がどうだかと思ふのでございますが、兎に角倉庫を拵へて、組合員に其の倉庫を利用させる外に、尚世間からも組合が貨物を保管することが出來るのであるか、是はちよつと問題ぢやないかと思ふのでございますが、それと組合員だけの商品材料等を保管する爲に倉庫を利用させると云ふやうな關係、其の點がどうも私此の共同施設と云ふ中に含まれるやうな、含まれないやうな感じが致すのであります、組合が組合員の商品及び材料を預る、さうして保管をする、それに對して倉庫證券を發行する、其の倉庫證券を以て組合員が色々利用すると云ふやうなことになると思ひますが、さうしますと云ふと組合員と組合との寄託の關係になつて、別に倉庫を利用させると云ふことになるかどうか、第三者、世間の人が組合の倉庫を借りて、さうして組合に貨物を寄託すると云ふやうなことは、是は認められないのではないかと思ふのですが、さう云ふ條項や、それから商品販賣の方は、組合員の取扱に係る商品の材料を捌くと云ふことになるやうでありますが、此の關係は稍稍分ると思ふのでありますが、詰り私が共同の施設と云ふことに付てちよつと疑を持つて居るのは、一體其の共同の設備だけを組合が作る、さうして組合員に利用させると云ふことが眼目か、それとも進んで組合員の取扱に係る商品を販賣し、又それを保管すると云ふやうな、組合自身が受託者となつて保管をすると云ふやうなこと迄も主にやるのであるかどうか、詰り此の業行爲の主體が、組合が主體になるのか、或は組合が唯組合員の爲に代理とか云つたやうな關係で働くと云ふことになるのか、さう云ふことがどうも此の共同の施設と云ふ觀念では、其の觀念に含まれるやうな含まれないやうな、何だかぼうつとした所がありはせぬか、或はぼうつとした所がある方が宜いのかも知れませぬけれども、さう云ふ風に考へますので、此の本案の適用の範圍をしつかり決めると云ふ點に於て、共同の施設と云ふものの範圍を明かにして置くことが必要である、斯樣に考へて居ります、それに關聯して共同の市場、共同の「マーケット」、あれを組合が設けて、商品を賣ると云ふやうなこと、是も共同の施設の中に含まれるかどうか、今は東京都などでは東京都の經營に係る共同の市場と云ふものが澤山ありまして、やつて居ります、あの共同の市場では、各商人が、内部の關係はどう云ふ關係になつて居るか知りませぬが、自分が其の市場の一部を利用して、さうして各人が物を賣つて居ると云ふ事柄が多いことぢやないかと思ふ、あの共同の市場を組合が設けて、さうして組合員に使はせる、市場で商品を販賣すると云ふやうなことが共同の施設と云ふことの中に入るものであるかどうか、さう云ふやうな事柄に付てもう一度御説明を請ひたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=7
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008・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 共同の施設と云ふ言葉の範圍の御質問でございましたが、是は非常に廣い意味に私共は解釋し、從來亦さう云ふことで運用されて居るのでございます、最初に御示のやうに、組合員が作りましたものを賣る場合を考へまして、是は組合員が組合に委託して物を賣ると云ふ場合も一種の共同販賣と考へて居りますし、組合が完全に自己の業務として、共同販賣事業として賣る場合も矢張り共同施設として考へて居ります、詰り代理で賣る場合も、組合が組合員から買入れて賣ると云ふ、さう云ふ意味での共同販賣も、共同施設と致しまして廣く解釋致して居る次第であります、尚組合員外に對して此の共同施設を利用する場合に付ての御話もございましたが、是は原則ではございませぬ、勿論共同施設と云ふものは組合員が利用するのが當然であります、但し餘裕がある場合、さう云ふ倉庫なら倉庫に餘裕がある場合に、組合員外に利用させるのも差支ないと云ふこと、是は産業組合時代からさう云ふ建前を取つて居りまして、此の協同組合に於きましてもさう云ふ趣旨でやつて居ります、勿論組合員の方を差措いて組合員外に利用させると云ふことはないのであります、餘裕があつて差支ないと云ふ場合だけに利用すると云ふことに致したいと思ひます、又最後の御話のやうな共同市場と云ふことでも、店鋪を共同で作りまして、組合員は銘々別に商賣をして行く、場所が同じだけである、組合員の御仕事と云ふものは獨立して居りますが、其の店舖だけを共同に作つて行くと云ふことも、矢張り共同設備の一種と考へて居ります、詰り共同施設と云ふものはさう云ふ物的の施設は勿論、物的でない共同販賣とか協同購入と云ふやうな御仕事、それも矢張り共同事業と致しまして、共同施設の一部と考へて居ります、非常に廣い意味で共同施設と云ふものは考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=8
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009・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 只今纎維局長が御見えになりましたが、交野子爵の御質問がありましたから御願ひ致したいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=9
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010・交野政邁
○子爵交野政邁君 纎維工業に付きまして資材の配給は、元來は其の機械に配給權が附いて居るのでありますが、昨日の政府委員の御説明では、将來迄も其の機械單位にするのが公平であらうと云ふことでありましたが、是は戰災に依つて燒失したものが非常に多いやうに考へるのであります、現に機械の權利、或は機械を持つて居ても、操業をしないで資材の配給權だけを持つて、所謂眠り口錢を取つて居る者が非常に多いやうであります、是は協同組合法の施設後配給が行はれるかどうか疑問な點が多いと思ひます、此の點御説明を願ひたいと思ひます、又是と反對に終戰後數十臺の紡織機械を設備したが、之に資材の配給がないので休業の状態になつて居る工場も多少あるやうに聞いて居ります、斯う云ふ資材の配給の公平をどう云ふ風になさいますか、其の點を御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=10
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011・松田太郎
○政府委員(松田太郎君) 繊維關係の工業に付きまして、資材其の他原料等の割當に付きましては、御話のやうに勿論原則と致しましては、其の工場の設備能力と云ふものを基準に致しまして、配當を致すと云ふやうなことにして居るのであります、處が實際の今日迄の實情に於きまして、是は勿倫一半は政府に於ても責任があることは重々承知して居るのでありますが、戰時中、或は終戰後色々な事情から致しまして、原料なり、或は石炭なりが其の設備能力に應じただけのものを持つて居らぬ所もあります、又さう云ふものを戰時中から或程度持つて居ると云ふやうな所もある、従つて實際其の設備能力に應じまして割當を致しましたやうな場合に、結局さう云つた原料資材の手持ち其の他の入手關係が拙い爲に、折角羊毛なり、羊毛に例を取つて見まするならば、毛の原料は配給したけれども、石炭が足りないとかさう云つたやうな關係で、十分に成績の擧つて居ないと云ふやうな工場も實はございましたし、又現在もさう云ふ所は多少あるのであります、從ひましてさう云ふやうな部分に對しては、今日一刻も早く生産を上げると云ふ意味から致しまして、其の際割當を他の方に變へると云ふやうなことも實はやつて居るのであります、是は今日の情勢から申しましたならば、已むを得ない措置かと思つて居ります、併し此の問題に付きましては、飽く迄生産能力と云ふものが十分にあります以上は、それに應じた燃料の問題に付きましても、或は電力の問題に付きましても、政府に於て出來るだけそれに應じた行き方をしなければならぬと考へまして、十分其の設備能力を中心として、今後の纎維關係の原料なりさう云ふものの配給を進めて行きたいと斯樣に考えて居ります、尚戰災を受けた工場等に對しての資材原料等の割當問題でありますが、是は纎維工場で現に設備がないやうな場合には是は已をむ得ませぬから、原料資材の配給は一時停止をせざるを得ぬと云ふ原則でやつて居ります、併しながら一方中小の織物業者なり、或は中小の染織業者なり、さう云つた方々を救濟する意味に於きまして、特に最近一時的の便法として考へて居りますのは、一定期間後さう云ふ工場の復舊が可能であると云ふ見透しが付きました場合には、其の復舊された時に直ぐ操業が出來ますやうに豫め復舊の可能の程度を勘案致しまして、資材なり原料と云ふものを配當して置くと云ふやうな便法を多少今日考へて居ります、併し是とても御話のやうに出來るだけ早く、本當に宜い所であれば、我々の方と致しまして其の工場が復元出來るやうに計らひまするし、又復元する時に於て、中小工業の方々は、出來るだけ協同組合其の他を活用して戴きまして、さう云ふ組合の共同施設と云ふ關係で、此の中小工業の育成と云ふものを期して參りたいと云ふことも、今後特に指導して參りたい、斯樣に考へて居ります、何れに致しましても先程から御話のやうに、設備の大小或は有無と云ふやうな色々な問題を睨み合せまして、今後資材なり原料と云ふものを公平に配給して行かなければならぬのでありまして、實は先般來纎維全體に付きましては、所謂二、三箇年間の再建計畫と云ふものを立てまして、先週の土曜日、再建計畫の委員會の方針を得たのであります、間もなく之を聯合軍の方と交渉致しまして、其の經緯に從つて進めて行く譯でありますが、さう云つた場合にさう云ふ資材なり原料を、具體的にどこそこに充足して行くのが宜いかと云ふ計畫を十分檢討致しまして、其の設備能力に應じ、其の工場の從來の經驗なり技術なり、さう云ふものを十分見まして、本當に實力のある所に對してさう云つた資材、原料の配給を最も公正にやつて行かう、必要に應じては、其の配給に付きましては現在纎維協會にやらして居りまするが、特にさう云つた委員會等を、或は更に作るなり、又現在作つて居りまする再建委員會と云ふやうなものを活用致しまして、其の邊に萬遺憾のない甦生策を圖りたい斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=11
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012・交野政邁
○子爵交野政邁君 只今の御説明で大體了解致しましたが、其の配給の原料に付きまして、従來統制組合がありました時には、原料の配給、製品の集荷等をやつて居つたのでありますが、統制組合一本建になつたやうに聞いて居りますが、是が解散致しまして、統制會社と云ふことになりますと、其の配給並に製品の集荷はどう云ふ風になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=12
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013・松田太郎
○政府委員(松田太郎君) 從來の機構では御承知のやうに、織物統制會社なり或は日本衣料統制會社と云つたやうな、それぞれの纎維別に中央の統制機關がございまして、そこがそれぞれの製造業者者或は工業者に對して一括して其の統制機關に於て、原料なり資材と云ふものを配給をして、其の「メーカー」なり加工業者で出來たものを、其の統制機關の方に賣つて貰ひまして、それを更に各地方の纎維配給會社の方に出しまして、さうして國民の手に段々渡ると云ふやうな仕組になつて居つたのでありますが、色々統制機關、所謂中央の統制會社と云ふものの運營等に付て見まする場合に、戰時中に色々の業種と云ふものを五つも六つも一緒に致しまして、一つの統制機關を作り、而もそこが配給の問題のみならず、生産の問題迄「タッチ」して居つたと云ふ關係で、統制機關の運營と云ふものが、必ずしも迅速的確に參つて居らなかつたのであります、今回總動員法の廢止を機會と致しまして、さう云つた中央の統制機關に付きましては、之を飽く迄原則としまして、配給機關と云ふことに致しまして、所謂生産の方の關係に付きましては、從來の統制組合が出來て居る所は、そこら普通の任意組合なり協同組合の方に變へるやうに致します、又さう云ふ組合が出來て居らぬ場合には、差當り施設組合とか或は任意組合を作らして、何れ此の協同組合法が施行された曉に於きましては、さう云ふ協同組合に移らせる、言ひ換へれば生産者の關係に於ては統制組合なりさう云つたものを今後の協同組合に形を變へまして、さうして各生産者の自主的な協力に依つて又同時に其の創意工夫を飽く迄活かすと云ふ點を、生産部門であるだけに十分産さう云つた色彩を發揮させまして、其の間資材、原料等の配分に付きましても飽く迄各組合間に區々のことがないやうに、例へて見れば服地に付て例を取つて見ますならば、表生地は入つたけれども裏生地が入らぬ、裏生地は入つたが縫糸が入らぬと云ふやうな區々のことがないやうに、それは飽く迄生産者の團體に於てさう云ふやうな圓滑な割振と云ふことをして貰ふやうに致しまして、そこで出來たものを今度は配給機關である從來の統制會社、今度は商事會社に切換へた譯であります、さう云ふ風に出來たものをそこで賣ると云ふやうな形に致しまして、言ひ換へれば生産の方は飽く迄從來の組合なり又出來て居ないものに付ては新しい組合を作ります、所謂協同組合的性格の下に創意工夫を生産面に活かすやうにして、唯配給の面に付ては矢張り是は今日の需給關係から致しまして、何處かで一本として一元的に纒めなければなりませぬ關係上、さう云ふ工合に切離して今後進めて行きたい、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=13
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014・交野政邁
○子爵交野政邁君 從來統制組合が扱つて居つた頃でも資材の配給其の他非常に遲延することが多いやうに聞いて居りますが、今回統制會社となつて商事會社の體系を持つやうになりますと、自然原料の値上りを増すとか色々な利潤の關係に依つて故意に配給が遲延されると云ふ懸念もないとも考へられるのでありますが、其の點御考を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=14
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015・松田太郎
○政府委員(松田太郎君) さう云ふ御懸念もございますので、先程ちよつと觸れましたように生産關係の仕事とそれから配給關係の仕を全然切離しまして、さうして生産者に必要な原料なり資材の配給と云ふものを從來のやうな統制會社に行はしめないで、飽く迄生産者の團體である將來協同組合となるでありませう其の團體の自主的な力に依つてやつて戴く、それから出來た製品と云ふものは商事會社に代るべき配給機關に待つ譯であります、商事會社ではありまするが、併し是は飽く迄統制會社が廢止になります關係上商事會社に變へたのであります、併し性格的に申しますならば纎維のやうに需給關係の非常に逼迫して居るものに付きましては、飽く迄形は商事會社でありましても、性格は公益的な機關として之を政府としても指導して行かなければなりませぬし、又其の會社自體としてもさう云つた氣持で之を運營して貰はなければならぬのでありまして、從つて其の運營に當る人々の人選の問題とか或は運營をして行く上に於ての其の會社の機構の問題とかさう云ふことに付ては十分政府としても注意致して居る譯であります、又先程申しましたやうに更に其の會社と云ふものが本當の形は商事會社であつても、公益性と云ふものを十分認識して動いて行けるやうに政府としても今後一層其の監督なり指導と云ふものは公益的の性格であるだけに十分愼重な態度を執り、皆樣に御迷惑の掛らないやうに、言ひ換へれば消費者に對して一般国民に對して迷惑の掛らないやうに指導したい、斯樣な所存で進んで行く譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=15
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016・交野政邁
○子爵交野政邁君 私の質問は終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=16
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017・鶴殿家勝
○男爵鶴殿家勝君 今のそれにちよつと關々しまして、關係資材なんかどの位あるのでございますか、又其の資材と軍の放出物資でございますね、あれとの關係をちよつと御話願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=17
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018・松田太郎
○政府委員(松田太郎君) 今日纎維産業に對する資材の問題に付きましては、此の纎維工業と云ふものが所謂平和産業の大宗と致しまして、今後の日本經濟を背負つて立つて行かなければならぬ、斯う云ふ事情でありますので、先程申しましたやうに、色々三箇年計畫等の計畫を立つて居るのでありますが、之に付て從來纎維工業と云ふものは、御承知のやうに、戰時中は資材等の配給を受けるどころか、寧ろ纎維の設備自體が他の軍需工場の資材に振り向けられると云ふ關係から致しまして、非常に行政其の他の關係に依つて辛い目に遭つて居ることは御承知の通りであります、併し最初に申しましたやうに今後の日本の産業を背負つて立つと云ふ大きな使命から致しまして、今の三箇年計畫と云ふものが聯合軍との十分な了解を得ました曉に於きましてはそれに對して其の計畫と云ふものが實行出來ますやうに、鋼材の問題にしましても、或は石炭の問題に付きましても、或は電力の問題とか、さう云つた資材其の他の副原料等に付きましては、十分此の纎維産業と云ふものが成立つて行くやうにさう云うものの配給に付ては考へて居り、又さう云ふ方針で内閣としても進んで行けるやうに御願ひして居る譯であります、特に戰時中私共は特殊物件とか、さう云つたやうなものも相當あるのでありますが、所謂纎維産業を確立して行きます上に色々の鋼材、其の他のさう云ふ方面に付きましては、さうたんとは特殊物件の對象になるものもないのでありまして、其の中から或程度割いて戴けるものは其の方に廻して貰ひますが、矢張り今後のさう云つた方面の増強に伴ひまして、極力纎維産業の方にも充當して戴く、さう云ふ外に方法はない、さう云ふ意味で極力政府全體として纎維産業の再建の爲に努力致して行く、斯樣に考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=18
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019・吉田久
○吉田久君 今御説明がありましたことに付て關聯することでありますが、材料を組合で仕入れて、そうして組合員に配給して、さうして其の配給した材料に依つて組合員をして製品を拵へさして組合員自身に販賣させると云ふことの外に、組合自らが仕入れた材料を製品に化して、さうして之を販賣すると云ふことも、是は加工と云ふ範圍になりまするが出來ると云ふことになりますと、本法の組合の建前はどちらを主として採ることになるのでありませうか、詰り材料を製品に化して販賣すると云ふことは、大體組合員にやらせると云ふ建前のものか、それとも組合自身が積極的に仕入れた材料で製品化してさうして販賣すると云ふ建前になるのでありませうか、實際の運用として…若し、後者であるとすると、どうも組合員である所の中小商工業者の業務を壓迫することになりはしないか、大掛りにやると、さう云ふことが懸念されるのでありますが、此の點は本法ではどんなことにする建前になりませうか、それを一つ御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=19
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020・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 例と致しまして、色々共同購入から共同販賣迄の仕事を申しましたので、總ての組合が是等の仕事を全部始めから終り迄おやりになると云ふことではないのであります、事業々々に依りまして共通の御仕事の一部を共通にされて行くのが一番普通の形であります、纎維の例が出て居りますから、織物の組合で申しますと、小さい方々は糊付の機械等は共通で機械加工を致しますと、從來手糊でやつて居るのを機械で糊付を致しますと非常に製品も宜くなりますし、能率も上ります、又糊付、乾燥等も簡單に出來ますので、さう云ふものを共同でやつて居るものがございます、機を織ります者は銘々の機に掛けて自分の工場に持歸つて居るのでありますが、經絲を揃へまして糊を付ける仕事と云ふもの、是は組合の共同設備でやる、斯う云ふことになつて居ります、又織りましたものを或程度加工する必要があります、又絲を染めると云ふことも必要であります、さう云ふ仕事を共通致しまして絲を織りますと云ふ行爲、是は各組合員が各各の工場に持歸つて居ると云ふのがこざいます、要するに總ての組合員のやつて居りまする仕事を、總て組合で共同的にやると云ふことではないのでありまして、各個人と致しまして、非常に小さい業者の方ではやり難い所を、或一部を共通で纒めてやる、斯う云ふ意味でございます、共同設備等も、さう云ふ風に一部の仕事に付ての共同設備と云ふのが普通でございます、例へば是は戰時中あつた例でありますが、問屋さんの組合で共同で仕入れて共同で販賣する、斯う致しますと、組合員の仕事と完全に同じものになります、さう云ふのはほんの例外的のものでありまして、今後は組合と組合員の仕事が完全に同じであると云ふやうなことは採らぬ方針でございまして、一部の仕事を共通にやつて戴くと云ふことに指導して參りたい、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=20
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021・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 纎維局長に對して何か御質問はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=21
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022・奥主一郎
○奥主一郎君 別に纎維のことで御伺ひする譯ぢやないのですが、全般的に之をちよつと拜見致しますと、所謂此の協同組合と云ふのは同業者の組合でなくて商業、工業、又鑛業と云ふことになつて居りますから、詰り何と云ひますか、色々の職業の人が此の組合に入ることが出來得る譯であります、詰り同業者以外の者でも此の協同組合に加入することは出來る譯ですか、ちよつと御伺ひ致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=22
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023・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 商業者の方同士で作る場合もございますし、工業者同士で作る場合もありますし、又鑛山關係の方同士で作る場合もありますし、同時に商業者の方、工業者の方が一つの組合に御入りになることもある譯でこざいます、其の仕事は矢張り關聯があると云ふことが必要でありますけれども、例へば織物の例を擧げますれば、織物の機屋さんの組合の中に絲の問屋さんが入られても宜しいのであります、其の原料を取扱ふ問屋さんと、加工する中小工業の方が一つの組合に入つても宜しい、さう云ふ風に縱、横、上、下、自由に作られて居る、是は共同の御仕事に關聯があると云ふことが必要でございますけれども、上、下、縱、横は差支へないと云ふことに致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=23
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024・奥主一郎
○奥主一郎君 斯う云ふことは事實に於てないと思ひますけれども、假に關聯のない業者が協同組合に加入した場合に、假に運營と申しますか、總て多數決で決めて行かうと云ふやうな場合に、若しさう云ふことがあつた場合に、非常に何と言ひますか、不都合を生ずることはないでありませうか、ちよつと伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=24
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025・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 先程も申しましたやうに、矢張り御仕事に關聯のある方が組合を組織されると云ふ譯でございまして、之に關聯がなくなつてしまつて、段段之をやつて行く上に、或方は組合員として、もう仕事の上に餘り協同性がなくなつた、關聯がなくなつたと云ふやうな場合には、之は加入、脱退が自由でございますから脱退を願ふと云ふことで宜しいと思ひます、加入して居りますと、色々な經費の負擔等もある譯でございますから、さう云ふ負擔等に堪へないこともございますし、統制事業は此の組合ではやらぬ譯でございますから、營業上の制限と云ふことはないかと思ひますけれども、經費の負擔だけでも少くとも餘計なことでございますから、さう云ふ場合は脱退は自由でございますから、脱退をして戴くと云ふことで宜からうかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=25
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026・奥主一郎
○奥主一郎君 それでは詰り本人が其の協同組合を脱退しない場合には仕方がない譯ですね、それを強制的に罷めさすことは出來ない譯ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=26
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027・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) ちよつと御質問の趣旨がはつきり致しませぬが、或る仕事を組合で共同致しまして、其の仕事を利用したくないと云ふ組合員の方があつた場合に困りはせぬかと云ふ御尋であつたやうに思ひますが、さう云ふことでございませうか、さう云ふ場合に矢張り脱退以外には手がないかと思ひます、其の仕事に依つて利益を受けると云ふことでないやうな立場の方が、依然組合に殘つて居ると云ふことは餘り利益のないことでございますから、自由に脱退を願ふと云ふことになるかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=27
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028・結城安次
○結城安次君 共同施設其の他大變結構なことで、今迄の各統制、配給、有らゆる會社が、此處で法案を審議する時に非常に工合宜く出來て居つたのですが、甚だしいものは、さう云ふ配給統制會社などは、役所の最も惡い所と、民間の最も良い所の良惡を兼ね備へると迄謂はれたが、是はどう云ふ風に監督なさいますか、或地方の全部の同業者が寄つて組合を作る、もうそれ以外にはないことになると思ふ、さうすると或一種の獨占事業と云ふ風なことになつて來る、それで相當の手數料を取る、是は此の組合はどれ位になるか存じませぬが、今地方に依つては、或種の組合の手數料と云ふものは驚くべき多額の金を取つて居る、それに依つて遊んで居る、之を餘り宜しくないと見た場合の監督方法はどう云ふ風にしますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=28
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029・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 此の協同組合は一つの地域に一つの組合と云ふ原則を採つて居りませぬ、一つの地域に三つでも四つでも宜しい、要するに共同の仕事がある方が共同の設備を作つて行かうと云ふことでありまして、統制の仕事は一切やつてはならぬと云ふ建前になつて居ります、先程物資需給調整法の關係で一言申上げたのでありますが、斯う云ふ經濟が非常に不安定の時代に、現在逼迫して居ります時代に、或程度配給して行かなければならぬ、物資の需給調整をやつて行かなければならぬ物資があるのであります、さう云ふものに付ては物資需給調整法で、原則として任意の割當團體を作つて戴くことになつて居るのでありますが、其の場合に協同組合を利用する場合が稀であらうと思ひますが、起り得ると思ふのであります、さう云ふ場合に物資調整法第二條に依つて割當をする民間團體と致しまして、此の協同組合を指定することが出來る譯であります、併しそれを飽く迄も其の共同組合自身が共同事業をして居つて、さう云ふ統制事業をやらぬでも統制組合として立ち得る場合のみに、偶偶其の地區には一つか其の組合がない、一番割當するに適當なる團體であると認められましたならば、物資の配給權限も之に與へますけれども、通常は物資の配給割當をする團體ではございませぬ、飽く迄公共的事業であつて、非常に密接な方が相寄つて共同の仕事をして行くと云ふ建前でございますから、さう云ふ何と申しますか獨占的な形は此の組合では取り得ないことになつて居ります、從つてさう云ふ問題は起ることはないかと考へて居ります、さう云ふ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=29
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030・結城安次
○結城安次君 もう一遍御尋ね申します、さうしますと此の組合は或は町に二つでも三つでも出來た場合に、許可申請した場合に、特別の何がありましたら許可しなければならぬと云ふので、三つでも四つでも許可になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=30
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031・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 三つでも四つでも宜しいのでありまして、但しそれぞれの組合が共同事業として業界を改善するに足る仕事をやると云ふことが豫定されれば宜しい譯であります、許可する譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=31
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032・結城安次
○結城安次君 分りました、私は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=32
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033・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 纎維局長に何か御質問はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=33
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034・結城安次
○結城安次君 纎維局長が折角おいでのことであるので、問題外かも存じませぬが、御參考に伺ひたい、一體今後の纎維に對することは我々が皆困つて居るのです、其の事業の見透して御伺ひしたい、或は今ちよつと其のことに觸れることは御困りなら結構です、若し御差支へなかつたら皆が困つて居る問題ですから、御差支へない程度で御伺ひ出來れば大變結構だと思ひます、是は此の問題に關係のないことで不似合の問題ですが、委員長宜しうございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=34
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035・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 結構です、纎維局長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=35
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036・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 纎維の將來の問題に付きましては、御承知のやうに先程來申上げますやうに、纎維工業を日本の平和産業の大宗として、是は何とか守立てて行かなければならぬと云ふことは當然でありまして、特に聯合軍との關係から申しましても、非常に纎維工業の將來と云ふことに對しましては、色々の角度から好意的な協力をして貰つて居るのであります、今日御承知のやうに米棉が既に約四十六、七萬俵ばかり入つて居りまするが、年内には彼此れ九十萬俵近く入ることになつて居ります、實は現在の國内の生産能力では少し餘計過ぎるのぢやないかと思はれる位に、實は入つて參つて居るのであります、さう云ふ工合に實例を採りましても、聯合軍として、日本の纎維工業と云ふものを何とか樂にして行きたい、勿論之に對しましては日本の將來を考へて呉れると同時に、此の世界の今日の衣料飢饉と云ふものを何とか救つて行きたいと云ふ意味で、日本の設備も活用して行きたいと勿論考へるのですが、何れに致しましてもさう云ふやうに非常に好意的な態度を執つて來て呉れて居るのです、同時に此の日本の纎維工業と云ふものが餘りに昔のやうな發達を致しまして、從つて世界の輸出市場と云ひますか、世界の纎維の市場と云ふものを餘りに荒されると云ふのは困る、飽く迄戰勝國と申しますか、英米、さう云つた方面の從來の需要と云ふものと牴觸しないやうにして貰ひたい、飽く迄輸出の問題に付きましても、日本と地理的な關係から申しましても、又經濟的の從來の關係から致しましても、日本に依存しなければならぬと云ふやうな市場だけを一つ輸出の面に付ても考へて貰ひたい、それから又國内の需要の問題に付きましては、勿論國内の有らゆる平和産業と云ふものを起す上に於きまして纎維を供給しなければならぬ、所謂生産資材として纎維を供給しなければならぬ面に付きましては、勿論是は考へなければならぬ、併しながら一般の國民の衣料と云ふ問題に付ては、今日の世界の情勢を考へて見る場合に、日本の衣料は決して是は比較的の問題でありまするが、さう今苦しい筈はない、又假に相當苦しいにしても、まだまだ苦しい國が所謂戰勝國と名の付く國に於てもあるのであるから、今は出來るだけ日本は一般國内消費と云ふものは節約をして、さうして其の代り先程申しましたやうにに、極力餘り戰勝國と競爭にならぬ範圍に於て輸出して貰ひたい、さうして其の代りにそれに依つて食糧を得るとか、或は其の他重要な日本に取つて缺くべからざる物資を早く輸入した方が日本として宜いのであるし、又聯合軍としてもそれを非常に期待すると云ふやうな建前に今日なつて居るやうであります、從ひまして今回三箇年計畫と云ふものを作りまして、三箇年目には此の計畫に依りまして戰前、言ひ換へますれば昭和十年、十一年、十二年當時の……又當時が此の纎維關係では日本の一番最盛期でありまして、當時「ポンド」に換算して纎維全體の生産量は約二十二億乃至三億「ポンド」の生産であります、大體半分程度の十二億「ポンド」を三箇年計畫の目標として、實は先般來纎維産業の再建委員會と云ふ委員會に於きまして答申を得て居ります、併しながら其の數量と云ふものを此の儘聯合軍として認めて貰へるか、又其の中輸出の量が幾ら、國内に向ける量が幾らと云ふ、具體的の計畫を立つて居りますが、其の通りにそれを認めて呉れるかどうかと云ふやうなこと、又、それに關聯して自然設備の新設なり、操業を圖らなければならぬやうな計畫になつて居りますが、それも其の通り認めて貰へるかどうかと云ふことは、今後一に懸つて聯合軍との折衝に依るものであります、又聞く所に依りますと、さう云ふ面に付きましては、聯合軍としましても所謂極東委員會に其の計畫を出しまして、極東委員會の承認を得て最後に聯合軍から日本に其の計畫が宜いかどうかと言つて參るのでありまして、從つて今日今申上げましたやうに數字が、其の儘認められるかどうかと云ふことは、今日此處で御話申上げることは出來ないのでありますが、一應其の委員會の答申ではさう云ふやうな結論を得て居るのであります、そこで一番國民として一般に關係ございますのは、それでは一體一般の國民の衣料と云ふものはどの程度の割當になるのであらうと云ふことでありますが、是は矢張り先程申しました昭和十年乃至十二年當時は、一人當りが一年間を通じまして約十「ポンド」半位の割當があつたのであります、それが色々の情勢から致しまして、先程申しましたやうに特に輸出に重點を置くと云ふ意味からして、已むに止まれず今度の三箇年計畫に於きましては、第一年目が一人當り三「ポンド」、第二年目は五「ポンド」、第三年目には六「ポンド」と云ふやうなことを割當目標に一應して居ります、從ひまして少くとも最初の年等に於きましては、相當皆樣方に對しましても御迷惑を掛けなくちやならぬことと思ひますが、併し其の中でも出來るだけ配給面に於てもどう云ふ方面に配給するとか、或は現實に同じそれだけのものも、例へば晒類を主に作るとか、縫糸を主に作るとか、出來るだけ、國民の困つて居られる用途はどう云ふ用途であるか、それにはどう云ふ品を餘計に作つたら宜いかと云ふやうな、同じ僅かな量でも最も有效に消費する、今どう云ふ工合にそれを捌いたら宜いかと云ふことに付きましては、別にさう云つた方面の專門家の方からなる委員會を作ることに致しまして、そこでさう云ふ問題に付ては、十分檢討して戴くやうに致して居りますが、何れにしましても、ここ一年そこそこと云ふものは、國民一般に對する衣料と云ふものは、相當苦しいことは、是は覺悟して戴かなければならぬことと思ひます、從つて我々としましては、出來るだけ引揚民とか戰災著であるとか、一般國民としましては、さう云ふ方方に重點を置き、尚或は、又姙産婦であるとか、嬰兒とか、さう云つたやうな、特に衣料を必要とする方々に對しましても重點を置くやうに致して居りまするが、何分にも、一般國民に對する衣料關係は當分は相當辛抱して戴かなければならぬ状勢になつて居ります、併し其の邊の實情と云ふものは、刻々と色々の状勢に依つて變つて參りますから、一應三箇年計畫と云ふことに付ては、大體はさう云ふことにして居りますけれども、又必要ある際には十分聨合軍に實状を述べまして、其の間の調整等に付ては、怠らず折衝する、斯樣に考へて居ります、簡單でございますが、大體のことを御説明申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=36
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037・鶴殿家勝
○男爵鶴殿家勝君 今の問題にちよつと關聨して伺ひたいと思ふのでありますが、三箇年計畫と云ふことは大變結構なやうでございますが、其の資材は一體ちやんと御考になつて居られるのでせうか、それが今迄は米棉と印棉と交ぜて居りましたけれども、今來て居るのは印棉も來て居るのでございますか、此の頃入つて來たのは、印棉も混ざつて居ると云ふことでせうか、それから又それに次いで、戰災で「スピンドル」の工場が、大分やられて居るのが多い、今殘つて居るのはどの位の割合で、此の計畫に又「スピンドル」以外の紡機ですか、「トラベラ」とかさうものを皆總てが揃つて三箇年計畫は順調に行くやうに數量がございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=37
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038・松田太郎
○政府委員(松田太郎君) 只今申上げました三箇年計畫の中の、第一年の計畫を完成致しますに付きましては、殆ど此の設備等に付きましては、勿論修理或は補修、是はしなければならぬのが、相當ございますけれども、新しく新設なり、増設すると云ふ必要はないのであります、それでそれに必要なる先づ第一に原棉の問題に付きましては、是は先程も觸れましたやうに、今日入つて參つて居りますものは米棉で、十分使ひこなせない位、實は米棉が入つて來て居るのであります、それから印棉の御話に付きましては、多少其の話はございます、併しながら何分にも今日の此の米棉を使ひ切れぬやうな状勢でありますと云ふと、なかなか印棉の輸入の問題が具體化すると云ふことが、事實むづかしいぢやないかと、斯樣に考へて居る次第でありまして、米棉の消化に付きましては、只今極力努力致しますが、是は寧ろ設備の問題、言換へれば錘數に付きましては今後約二百三十萬錘位ございます譯でありますが、此の錘數の問題よりも、寧ろ先般來の食糧の非常な危機でありました關係上、自然女工等が折角集まつたのが又田舍に歸つてしまつた、それから又最近になつて段々と食糧事情も良くなつて參つて居りますが、一遍歸つた人がなかなか俄かに集まらぬ、それから或は御承知のやうな石炭の問題が、是は有らゆる産業に付て隘路でありますが、さう云ふ石炭の入手難、而もそれが質的に申しましたり、又「カロリー」の點から申しまして、我慢の出來る點は我慢して居りますが、同時に併し何とも其の量から言つて困つて居るやうな向きもある、それから又先般來の電力の制限、或は又此の冬場を控へて渇水期になつてからの電力饑饉と云ふやうなことも豫想されると云ふやうな、色々の隘路が現在もあり、又將來も豫想が付く譯であります、從つてさう云つたやうな問題を極力政府と致しましては之を解決して行かなければならぬ、我々としましてはさう云ふ問題に付きましては、先般も實は閣議等にも其の問題を持ち出しまして、斯う云ふ纎維産業と云ふものを、是だけ聨合軍の方として協力をして貰つて居り、又何と云つても平和産業の大宗としてやつて行く上には、是非纎維産業と云ふものを日本の産業の有らゆる資材其の他を供給をする上に最優先として考へるべきものの一つとして取上げて貰つて、是非さう云つた今の原料は入つたが、それをこなせないと云ふやうなことになりませぬやうに、十分一つ努力をして貰ふと云ふ譯でありますから、要するに此の初年度に於きましては、さう云つた設備自體に付ての隘路と云ふものは餘りございませぬ、併し二年目、三年目となつて參りました場合には、段々と設備の増強、新設と云ふやうなことを考へて行かなくちやなりませぬから、自然今申しました三箇年計畫と云ふものが内外共に認められました場合に於きましては、それに必要な鋼材なり、或は其の他非鐵金屬なり、其の他色々の設備を擴充するに於て、必要な鋼材資材と云ふやうなものに付きましては、是又政府全體としてそれに計画通りに實行出來るやうに是は協力をして戴かなければならぬ、斯う云ふ問題になつて參つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=38
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039・交野政邁
○子爵交野政邁君 只今の御説明で、現在は工場設備が十分だと云ふ御説明でございましたが、當分新設の工場は御許可にならぬ御方針でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=39
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040・松田太郎
○政府委員(松田太郎君) 只今申しましたやうに、差當りに付きましては大體修理補修の程度で參るのでございますが、併しながら三箇年計畫と云ふものが聯合軍に依つて認められました場合に於きましては、矢張り相當新設の問題が起つて參ります、さう云ふ場合に、此の新設と申しましても一朝一夕で出來る譯ではないのでございまして、從つて二年目に何處迄行き、又最後の三年目には何處迄行くと云ふ所の目標を見透しまして、今から新設なら新設をして行かなければならぬ状態になつて參ると思ひます、從つて今申しましたやうに、三箇年計畫と云ふものがはつきり決りました場合に於きましては、其の線に沿つて今日から新設をしなければならぬものは新設をするやうな準備を整へ、又それに必要な資材等に付きましても、將來を見越しまして供給をして行くと云ふやうな状況であります、一に懸りまして其の三箇年計畫が要するに聯合軍の好意に依つてどの程度認められるかと云ふことに依つて、さう云つた問題が動いて參ります、今日に於きましてはさう云ふ意味から致しまして、新しく新設なり増設の要求が出て參つて居ります今日に付きましては、何れも今日は保留と申しますか、さう云つたはつきりした計畫が決まる迄は暫く待つて置いて戴きたい、斯う云ふ工合に業界の方には御話をして居ります、斯う云ふ實情でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=40
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041・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 他に纎維局長に對して御質問ございませぬか、他に御質疑がないやうでございますれば、御許しを得て私二三質問させて戴きたいと思ひます、日本の纎維工業の中でも、特殊な性質を持つた優秀な工業は見返り物資として相當考慮し得ると思ふのでありますが、さう云ふものの中でも例へば「タイプライター・リボン」だとか、或は「トレーシング・クロス」と云ふやうなものの如きは、其の原料として在來印度棉乃至「エジプト」棉を主として用ひて居つたのでありますが、斯う云ふ方面の工業が幸に見返り物資として認められた場合には、特殊なる「エジプト」棉と云ふやうなものの輸入と云ふものが懇請出來るものでございませうか、其の點を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=41
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042・松田太郎
○政府委員(松田太郎君) 今日の纎維工業の現段階に於きましては、矢張り何と申しましても色々の輸入を申請致します場合には、飽く迄それに依るなり、或はそれに依らずとも日本として出來るだけ世界各國に色々な意味で貢献するだけの輸出をしなければならないことは當然でありまして、從つて今御話のやうな具體的の問題に付きまして、今直ぐさう云ふやうなものを各國に輸出をする、從つてそれに必要な印棉なり、「エジプト」棉を輸入して貰ひたいと云ふことは、恐らくそれだけの理由に依つて要求すると云ふことはなかなかむつかしいかと思ふのでありますが、併しながら飽く迄日本の綿紡績と云ふもの、綿工業と云ふものが、段々と先程申しましたやうに三箇年計畫に從つて進んで參りまして、從つて其の原料に付きましても唯米棉だけでは足りぬ、或は更に今御話のやうな色々な用途を考へる場合に、矢張り印度棉なり或は「エジプト」棉と云ふもの、ああ云ふ特に細い特質のある絲を多量に使はなければならぬと云ふやうな、色々用途全體からしてさう云ふ問題も起つて來ると思ひます、從つてさう云ふ場合には矢張り正式に米棉以外にさう云つたやうな他の棉花も輸入をして貰ふと云ふことを要請する機會も是はあると思ひます、それが入つて來た、さう云ふ場合に、今御話のやうな方面にも用途々々に從つて配給割當をして參り、さうして又良い品が出來れば、それを輸出に向けて行くと云ふことは勿論考へられると思ふのでありますが、唯今現在の實情に於きましては、さう云ふやうな御話の品があるから直ぐ「エジプト」棉なら「エジプト」棉を輸入して貰ひたいと申しましても、先程申しましたやうに米棉すら今日消化出來ない状況でございますから、さう云ふ問題に付きましては今後出來るだけ紡績産業と云ふものを大いに復興し、又其の能力を十分發揮出來るやうに業界は勿論、政府の方と致しましても出來るだけの御手傳を致しまして、其の曉に於て今御話のやうな點も順次解決して行くと云ふやうに進んで參るのが適當ではないかと、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=42
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043・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 尚もう一つ御質問致したいのでございます、棉花を中心とする所謂纎維工業に付ては先程來十分御説明を戴いたのでありますが、在來日本は人造絹絲が相當に發達を致しまして、其の目的は人造絹絲と云ふよりも寧ろ綿の方に相當な需要の廣がりを見せつつあつたのでありますが、今日の場合所謂「パルプ」を原料とする人造絹絲と云ふものが、製紙工業の將來性と共に相當に問題になし得るのではなからうかと思ふのでありますが、此の點に付てはどう云ふ現状になつて居りますか、又將來どう云ふ風に御考になつて居りますか、此の機會に序でに伺つて置きたいと思まひす発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=43
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044・松田太郎
○政府委員(松田太郎君) 此の化學纎維の關係に付きましては、御承知のやうに特に是は石炭なり、或は苛性曹達なり、何れも一方は内地に原料があつてもなかなか生産が思ふやうにいかぬ、鹽は是は海外に依存しなければならぬが、是亦なかなか輸入して貰へないと云ふやうな、何れも大きな隘路になつて居りますものが、其の原料になる、而も之に加へて「パルプ」等も、矢張り紙との關係から致しまして非常に苦しい原料を中心として居りますやうな關係でありまして、今日の人絹、「ス・フ」方面の生産と云ふものは極めて微々たるものであります、併しながら例へば一例を申しますれば、此の絹の問題に付て考へます場合に、聯合軍關係の要望は出來るだけ生絲の儘之を聯合軍の方に輸出して貰ひたい、其の代りにそれに依つて從來の絹の織物業者、特に中小工業の最も多いさう言つた方面に對して相當の失業問題が起つて參りますので、さう云ふ點に付ては一つ出來るだけ人絹の増産を圖るやうにして貰ひたい、それから又棉の問題に致しましても、先程申しましたやうに相當今日は輸出に重點を置かなくちやならぬと云ふやうな情勢でありますので、國内の消費に付きましては出來るだけ之に「ス・フ」を混紡する、或は又將來羊毛等の原料も、或は輸入されるやうな時期も遠からず來るのではないかと考へて居りますが、矢張り羊毛等に付きましても良い製品は之を輸出なら輸出に向ける、併しながら又國内に於ては之に「ス・フ」を混ぜて國内の用途に取敢ず致すと云ふやうな意味で、今後の人絹なり、「ス・フ」と云ふものの用途と云ふものは、決して棉が入つて來る、或は羊毛が入つて來ると云ふ爲に、從來の使命と云ふものが一擧に葬られるものでは決してなくて、寧ろさう言つたものに付きましては、それぞれ其の特徴を活かして、矢張り今後の日本の纎維産業の一環として大いに活躍をして貰はなければならぬ分野と信じて居ります、先程申しましたやうに聯合軍等の御意向もさう云ふやうにあるやうであります、從ひまして之に必要なる石炭でありますとか、或は苛性曹達でありますとか、或は更に遡つて「パルプ」問題等に付きましては、どうしても是との計畫を立つて行く上、言換へれば先程申しました三箇年計畫を立つて行く上に於きまして、聯合軍の承認を受けた以上は、どうしてもそれの原料資材を國内に於て確保出來ない場合には、飽く迄聯合軍の方に其の必要なる原材料の輸入の申請も致しまして、出來るだけ化學纎維工業と云ふものに付きまして、今後も他の纎維産業に劣らず之を助長育成をして行く、さうして先程申しましたやうな國内消費に充つべき色々な用途に對して出來るだけの應援を御願ひすると云ふやうに考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=44
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045・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 尚それに付きまして今の人造絹糸の方の工場の設備等は、戰災に依つてどの程度に痛められたのでございませうか、其の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=45
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046・松田太郎
○政府委員(松田太郎君) 大體戰前に較べまして四割乃至五割程度のものが今日殘つて居る、斯う云ふやうな状況であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=46
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047・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 他に纎維局長に對して御質問ございませぬか、それでは午前の委員會は此の程度で休憩致しまして、午後は一時から再開致します、是にて休憩致します
午前十一時三十九分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=47
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048・会議録情報3
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午後一時十九分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=48
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049・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) それでは是から開會致します、午前に引續き總括的御質問がございますれば、此の際御願ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=49
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050・橋本萬右衞門
○橋本萬右衞門君 ちよつと御尋ね致しますが、第十八條ですか、倉庫業を營む、是はどう云ふ風な趣意なんですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=50
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051・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 商工協同組合が其の共同事業の一つと致しまして保管事業を營むことが出來るやうになつて居る譯でございますが、協同組合が共同設備と致しまして自ら倉庫を設置致しまして、其處に組合員の取扱商品の寄託を受けて保管をして置くと云ふ風な事業を行ひまする場合に、其の保管事業が更に圓滑に行はれまする爲には、矢張り其の組合員の寄託物に付きまして倉荷證券を發行すると云ふことに依りまして、倉庫保管事業の圓滑なる遂行が更に一層促進されるのではないか、斯樣に考へまして、倉荷證券の發行を認めた譯でございます、勿論之に依りまして協同組合が倉庫營業を營むと云ふ譯ではございませぬので、倉庫營業を一般的な規定に付きましては、御承知のやうに倉庫業法と云ふ、所謂營業倉庫の關係に於きましては倉庫業法の規定を受ける譯でございまするが、商工協同組合の倉荷證券と云ふのは、さう云ふ營業事業としての倉庫業を營むと云ふやうな趣旨ではございませぬで、組合の共同施設として行ひまする保管事業の圓滑なる遂行を助ける爲に倉荷證券の發行を認めた、此の程度のことになつて居るのでございます、此の規定は既に從來から現在の商工組合制度に於てもございまするし、又其の以前の商業組合或は工業組合に於きましても、矢張り保管事業を行ひまする組合に付きましては、特に行政官廳の許可がございますれば倉荷證券の發行が出來ると、斯う云ふ風な規定を設けて居ります、其の趣旨を引繼ぎまして、今度も斯う云ふ制度を認めることに致した譯でごさいます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=51
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052・橋本萬右衞門
○橋本萬右衞門君 從來小さな組合等で倉庫業類似の仕事を營みますに、往々にして空券事件等の不詳事件が起つたことがあるのでありますが、そんな點は御心配ないでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=52
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053・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 御尋ねの通り、此の商工協同組合が保管事業を行ひまする場合に、無制限に倉荷證券の發行を認めることになりますると云ふと、色々其の間に組合の實情如何に依りましては、組合の實力が之に伴はないと云ふやうな場合もございまするし、又組合員の利用の仕方等に於きましては、色々弊害の生ずるやうな場合も勿論豫想せられる譯でございます、其の意味に於きまして今度の組合法制に於きましては、一般的に認可制度或は許可制度と云ふ風な事項を極度に制限を致したのでございまするが、倉荷證券の發行に付きましては矢張り行政官廳の許可を要することに致したのであります、行政官廳の許可を致しまする場合に、例へば組合の事業の基礎でありますとか、或は組合員の營業の状態でありますとか、又倉庫自體の設備内容とかと云ふ風なことを十分に檢討致しまして、其の上で本當に適正であつて弊害の生ずる虞のないと認められまするものに付きまして、初めて行政官廳は許可をすることになる譯であります、萬一許可を致しました後で色々弊害が發生すると云ふやうな事態が起ました場合には、直ちに此の許可の取消しと云ふことも出來る譯でございます、其の點に於きまして適當に運營が出來るものと考へて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=53
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054・橋本萬右衞門
○橋本萬右衞門君 十三條に商品券を發行することが出來るやうになつて居りますが、商品券の發行は矢張り通貨の増發と同じやうな惡結果を生ずるのではないかと思ひますが、之に對してどんな風な御考を持つていらつしやいませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=54
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055・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 商品券の發行に付きましても、同樣に、行政官廳の許可の下に組合の事業の一つと致しまして出來ることに致したのでございますが、御話の通り、現在の段階に於きましては、商品券と云ふものの效用に付きましても、まだ經濟一般の状態が其處迄は或は行つて居ないかとも考へられるのでございまして、從來から戰時中百貨店に於て發行して居りました商品券に付きましても、一時之を停止して居りまして、百貨店に於きましてもまだ今日に於ては商品券を發行するに至つて居ないのでございますが、段段經濟状態が平時的に復活して參りまするに伴ひまして、再び商品券の復活活用と云ふことが當然起つて來るものと考へまして、協同組合に於きまして、具體的に考へて見ますれば、例へば銀座通りの商品街の業者が集りまして、銀座通り商店街協同組合と云ふやうなものを假に作つたと致しました場合に、其の組合が發行致しまする商品券を持つて參りますれば、銀座通りの組合員の店であれば、何處に行つても商品と交換出來ると云ふ風なものが將來豫想せられまするので、其の途を豫め開いた譯でございます、其の際に於きまして勿論御話のやうに、此の商品券が恰も紙幣類似の如き證券としての弊害を生ずる虞も十分に考へられます、從ひまして、一方に於て商品券取締法と云ふ法律が、是は大藏省所管に於て現在存在して居りまするし、此の商品券取締法の運營に於てさう云ふ弊害の矯正も出來まするし、又紙幣類似證券の取締に關する法制もございまするので、さう云つた方面の弊害はそれ等の面からも矯正出來ると考へられまするし、又組合が商品券を發行致しまする際に於きまして、既に第十三條にございまするやうに、行政官廳の許可と云ふことに矢張り係らしめて居りますので、それ等の組合の實情なり或は商品の内容等を能く調査致しまして、弊害の起らないやうな適正なもののみに付て之を許可をする、斯う云ふ風に致した次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=55
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056・奥主一郎
○奥主一郎君 只今倉庫業のことに付て御話がありましたが、是が實施されると、既存の假に倉庫なら倉庫事業と云ふものが、考へ方に依ると非常に脅威を受けるやうに考へられるのですが、まあ假に倉庫の場合で申しますれば、設備に致しましても非常に尨大な設備でもされると、現在の倉庫業者が非常に影響を受ける、唯是は組合員のみに限ると云ふ風に私は考へて居りますけれども、それは組合に加入は何時でも出來るのですから、詰り品物でも預けたいと云ふ者は組合へ入れば預つて貰へる、斯う云ふ風になつて、將來非常に紛爭を起しやせぬか、或は運輸の方面にも、是は確か運搬、加工、斯う云ふ風なこともやれる譯なんですが、斯う云ふことに付て何か御當局としては御考はございませぬですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=56
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057・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 商工協同組合は保管事業を行ひまする場合に、倉荷證券を發行したりすると云ふことに依りまして、段々是が一般の營業倉庫の方面に對しまして脅威を與へると云ふ風な發展をする虞はないかと云ふ御尋でございまするが、只今の御話にもございましたやうに、此の商工協同組合が保管事業を行ひまする際に於ける倉荷證券の發行は、第十七條にありまするやうに、組合員の寄託物に付て發行するのでございまして、組合だけの範圍に限りまして倉荷證券の發行が出來ると云ふ譯でございます、従ひまして不特定多數の人の商品なり或は品物を廣く預つて、それに依つて其處に保管料を取つて、其處に利潤を儲けて行くと云ふ風な營業倉庫とは根本的に其の狙ふ所も違つて居りまするし、又さう云ふ場合に於きましても、御話のやうに組合員になれば誰でもそれで預けられるではないか、斯うことも考へられるのでございますが、組合員と云ふのは矢張り組合員となることの出來る資格と云ふものが豫め定款に定つて居りまして、例へば纎維製品ならば纎維製品の小賣業を營む者と云ふのが組合員の資格でありまする場合には、纎維製品の小賣業と關係のない人が誰でも組合員になれると云ふことには當然ならない譯でございます、極めて限定された範圍に於ける倉庫保管事業でございまするので、廣く是が一般の營業倉庫を脅威すると云ふやうな事態は、先づ心配は要らないのではないか、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=57
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058・奥主一郎
○奥主一郎君 もう一つ御伺ひしたいのですが、此の今の倉庫に關聯して、所謂倉庫證券、是は「行政官廳の許可を受けて」と、斯う云ふことに相成つて居るやうでありますが、此の所謂何と云ひますか、協同組合が倉庫證券を發行する時は商工省の許可を受けられるのぢやないか、斯う考へて居りますが、併し倉庫業で若し倉庫事業の倉庫證券であれば、確か是は運輸省の管轄になつて居るのではないかと、斯う考へて居りますが、假に斯う云ふ風に所謂官廳が異つて居ると云ふと、そこに非常に連絡が十分に行かない、だから寧ろ是は行政官廳と云ふ意味は、要するに此の何と云ひますか、運輸省、或は商工省で能く打合せて、それで許可を與へると云ふ風になされないと云ふと、兎に角官廳が違つて居る爲にそこに非常な連絡上不都合が起ることがないか、其の點を御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=58
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059・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 御話の通りに倉庫業の一般的な所管官廳は現在運輸省でございまして、從ひまして營業倉庫との關係、或は倉庫自體の設備の關係等を十分に之を從來から調査もし、研究も致して居りますのは運輸省でございますので、御話の通り、此の行政官廳の許可は、本來それぞれの物資を所管して居りまする商工省、或は農林省の關係に於て許可をするのでございますが、其の許可に當りましては運輸省と御打合せを致しまして、運輸省と協議をして許可をする、斯う云ふことに豫め此の本法案立案の際に兩省の間に於て打合せが出來て居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=59
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060・橋本萬右衞門
○橋本萬右衞門君 今、奧委員の御質問に關聯したことですが、十三條の商品券の御話に戻りますが、此の「行政官廳」と云ふのは何處のことですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=60
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061・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 十三條の商品券の發行に付きましては、是は其の組合の取扱ひ物資の内容に從ひまして、商工省或は農林省が其の所管官廳になつて居ります、之に付きましては、勿論大藏省も關係を致して居りまするが、商品の取締法と云ふものは、是は大藏省の所管に現在なつて居ります、從ひまして取締の關係から致しますれば大藏省でございまするが、是は具體的に色々の弊害等が出て參ります場合に於ける制限を設けました法律でございまして、其の運用に關しましては大藏省でございますが、此の組合の商品券の發行に付きましては、特に大藏省と一々其の都度協議をし、打合せをすると云ふことは考へて居りませぬ、唯一般的に將來商工協同組合の商品券と云ふものは、大體どう云ふ風な方針で其の發行を認めるか、例へば金額の點でありますとか、さう云ふやうな點に付きまして、或は額面、券面の金額の最高限度を設けるとか、或は最低限度を設けると云ふやうなことに付きましては、豫め大藏省と打合せまして、一般的な根本原則を定めまして、それに從つて商工省なり農林省に於て許可をして行く、斯う云ふ風に致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=61
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062・橋本萬右衞門
○橋本萬右衞門君 名前は申兼ますが、從來六大都市にある大きな百貨店で、商品券を濫發したと云ふことを聞くのであります、此の組合のやうな小さな規模で商品券を發行するに際して、頗る危險が多いと思ひますが、之に對しては出資額の何分の一を限るとか、何等かの制限を加へる御意思はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=62
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063・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 商品券の效用と申しまするか、其の意義は御指摘のやうに金融と云ふ效力は相當な分野を占めて居りまして、從來百貨店の商品券と云ふものの一つの大きな狙ひは、御話の通り金融的な機能を持つて居ると云ふ點にあつたことは事實でございまして、唯是が金融的な機能を持つと云ふこと自體を弊害として規定することは出來ないかと思ひますが、是が非常な濫發と云ふ風なことになりますると、或は小額紙幣と同じやうに、紙幣類似…證券的な點で類似と云ふことは勿論弊害を生じまするので、それ等の點に付きましては、御質問の御趣旨は十分に尊重致しまして、豫め大藏省と十分連絡致しまして、さう云ふ風な弊害の一切起らないやうな方針を確立して參りたい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=63
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064・交野政邁
○子爵交野政邁君 中小商工業者の金融に付きまして、此の協同組合法では協同組合中央金庫と云ふことになつて居りますが、是は中央に近い農村等の中小商工業者は利用出來ると思ひますが、中央から遠隔の地にある商工協同組合の利用は非常に困難かと思ひますが、さう云ふ點はどう云ふ風な御考でありませうか、それを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=64
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065・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 現在商工組合關係の特殊な中樞的な金融機關と致しましては、御話の通り商工組合中央金庫と云ふものがある譯でございまするが、今後も此の商工協同組合に代りました…現在の組合に代りました以後に於きましても、此の商工中央金庫を協同組合の中樞的な金融機關として一層活用して參りたいと云ふ根本方針は變りはないのでございます、そこで今御話のやうに、中央金庫と云ふものは非常に中央に偏り過ぎて居つて、極く邊鄙な地方等に於きましては利用に困難ではないかと云ふ御話でございまするが、現在中央金庫の支所、出張所と云ふものの状況を申上げますと、中央金庫は勿論本所は東京にございまして、支所は現在八つございます、大阪、名古屋、福岡、仙臺、富山、札幌、廣島及び高松と云ふ八つの場所に支所がございます、それから更に京都、神戸、青森、福島、此の四箇所に出張所を設けて居るやうなことでございまして、大體それぞれの地方に於ける地方的な中心の所に手足を持つて居る譯でごさいます、勿論是だけでは非常に不十分でございまして、更に一層田舍の方面に對しましても、是等の支所、出張所、或は代理店と云ふ風なものを擴充して貰はなければならぬ、斯う云ふことは絶えず我々も考へて居るのでありまして、出來るだけ早い機會に是等の支所、出張所、詰り窓口と云ふものをもつと殖して參りたい、それに依りまして一層利用率を高めたい、斯樣に考へて居る次第でございます、唯何分にも現在の處、色々人件費なり或は事務費と云ふ風な點等から申しまして、なかなか急速に其の擴充の實現に至らないやうな状況でございまするが、今後中小企業の金融に一層力を入れまする趣旨から申しましても、出來るだけ早く之の擴充には何とか力を盡したい、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=65
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066・秋田三一
○秋田三一君 既に御質問があつたかと思ひますが、今の御話に關聯して御尋したいと思ひますが、從來の例の企業整備の時の共助金と云ふやうなものはどう云ふ風に跡始末になりますですか、それから前の組合で買つたものは組合で解散して協同組合になる譯でありますが、さう云ふやうな移り變りはどう云ふ風になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=66
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067・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 戰時中に行ひました各種の企業整備の結果、相當多數の方が轉廢業をされた譯でございますが、其の際に轉廢業者に對する救濟の措置の一つと致しまして、轉廢業致しました營業者の營業補償をする、詰り營業權を買取つてやる、暖廉代を補償すると云ふやうな意味に於きまして、企業整備の結果、尚殘存致しました業者の團體、主として統制組合、或は其の他統制會と云ふ風な同業者の團體に於きまして轉廢業者に對して、營業權買取りの共助金を相當に出した譯でございます、其の共助金の財源と致しまして、國民更生金庫、或は市中銀行等から相當の額の共助資金を借入れて居りまして、其の借入の状況は御手許に配付致しました資料の中にも出て居る通りでございます、共助資金の返濟償還に付きましては、尚今後相當の年數を要するやうな契約になつて居る譯であります、そこで今御話の通り、之を何時迄も其の儘の状態に致して置きますと、戰時中に於ける戰時中の色々な滓が今後何時迄も殘りまして、結局中小業者がすつきりした姿になつて再び立直ると云ふやうなことが出來ないやうなことになりますので、出來るだけ早く此の共助資金の結末を付けたいと云ふ意味に於きまして、先般政府に於きまして企業整備共助資金整理審査會と云ふ委員會を設けたのでございます、此の委員會には國民更生金庫の理事長を會長に致しまして、關係官廳、或は關係業會の方を委員に御願ひ致しまして、此の審査會に於きまして、それぞれ業種別に戰後に於ける各業界の實情を能く調査致しまして、其の償還能力と云ふものを十分に檢討し、其の能力に應じまして共助資金の結末を付けると斯う云ふことの方針の下に只今審査を致して居る次第であります、第一回の委員會は六月でありましたかに開きました、只今業種別の調査が大體完了したものと思ひます、そこでどう云ふ風な方針で此の結末を付けるかと云ふ問題でありますが、それは第一に償還能力が戰後に於ける非常に各種の經濟事情の變動等に依りまして、激減致しましたものが相當ございます、さう云ふやうなものに付きましては、出來るだけ債務を減免すると云ふ方針で行きますと同時に、其の反面に於きまして、商品の價格の値上り等に依りまして、案外償還能力が戰後却て増加して居ると云ふやうなものもございまするので、さう云ふやうな業界に付きましては、此の際繰上げ償還を致しまして、償還の結末を早く付けると云ふことを一方に於て考へたのでございます、さう致しまして、先程申しました償還能力は非常に減りましたものに付きましては、其の實情に應じまして、或場合に於ては、例へば償還期限を延長するとか、或は中間の据置期間を設けるとかと云ふやうな方法もございますし、場合に依りましては、債務の總額の中の一部を免除してやると云ふことも考へられますし、又更に最惡の場合に於きましては、債務の全額を棒引きする、全額を免除すると云ふこと迄もやりたいと斯樣に考へまして、只今業種別に其の調査を致して居る次第でございます、是は補償打切りの關係等も大體見透しが出來ましたので國民更生金庫自體に對する政府補償の問題等も大體見透しが付きました今日に於きまして速かに業種別の方針を決定致しまして、それぞれの業界に御示しを致したいと斯樣に考へて居ります、それからもう一つの問題は只今御話がありましたやうに、其の業種自體が現在の商工組合法に依る統制組合であります場合に、其の統制組合が更に今度協同組合に變ると云ふ場合の處置でございますが、統制組合は此の法律に依りますと云ふと、總て一應解散をすることになつて居りまして、従つて解散から清算すると云ふことになる譯でございまして、其の際に結末を付けなければならぬことになるのが原則でございます、併しながら統制組合が解散を致しましても、其の後に大體其の統制組合と同じ「メンバー」、同じ内容の協同組合が出來ると云ふ場合も考へられますので、其の場合には其の組合全體の意思に基きまして前の組合の債權なり、債務を次の組合に移すと云ふことが皆の總意に依りましてそれが認められますれば、それを引繼ぐと云ふことも可能になつて居る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=67
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068・橋本萬右衞門
○橋本萬右衞門君 私は最近中耳炎を致しまして聊か耳が遠いので聽違ひかも知れませぬが、先程倉庫業に付きまして組合員以外に利用させないと云ふ風に伺つたのですが、第十二條の末文に組合員でない者にも之を利用させることが出來ると云ふ項目がございますが、それでも倉庫業を組合員に限ると云ふ意味でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=68
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069・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 第十二條の末項に於きましては組合の施設は組合員の利用に差支ない場合に限り組合員でない者にも利用が出來ると云ふことが書いてある譯でありまして、御話の通り組合が倉庫を持つて居りまして、其の中に組合員の商品が預入れて、尚「スペース」が餘ると云ふやうな場合には、組合員の利用に支障を來しませぬので、組合員以外の人の品物を預つても宜しい、斯う云ふことになる譯でございまするが、それは保管事業と云ふ一つの協同施設に關する一般的な規定でございまして、具體的に倉荷證券を發行する場合の規定に付きましては第十七條に規定がございまして、第十七條に於きましては「保管事業を行ふ商工協同組合は、行政官廳の許可を受けて、組合員の寄託物について倉荷證券を發行することができる。」此處で「組合員の寄託物について」と云ふ制限を設けて居りまするので、其處に品物を預るのは、組合員外の者でも宜しい譯でございますが、倉荷證券を發行する場合は組合員の寄託する品物に限る、斯う云ふことになる譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=69
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070・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 他に御質問はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=70
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071・秋田三一
○秋田三一君 商工協同組合は營業税を課さないと云ふ特典がありますが、個人の營業主には營業税がかかる譯であります、此の點が將來に於て元の産業組合が色々と商業者の間に摩擦があつたのですが、是は協同組合はさう云ふ業者を組合員として居りまするから、問題は起らないだらうと思ひますが、其の邊は何か特に御考になつたことがございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=71
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072・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 商工協同組合に對する免税の特典と致しましては、第五條の營業税の免除と云ふことがございます外は、八十條、八十一條に於きまして登録税或は印紙税の減免と云ふ規定があるだけでございまして、從つて一般的の法人税、所得税と云ふやうなものは課税になる譯でございます、斯う云ふ風に致しましたのは現在の統制組合に於きましては是は統制事業と云ふことが主眼であつて、一つの公法人的な性格を持つて居りますので、是等に付きましては營業税の外に法人税、所得税と云ふものも免除致しまして一つの特殊法人としての特別法人税が課せられると云ふ恰好になつて居るのでございますが、現在に於きましても、施設組合は矢張り此の協同組合と同じやうに營業税の免除だけでございまして、一般の法人税、所得税が課せられることになつて居ります、今度の協同組合も大體現在の施設組合と同じ性質の組合でありまして、營利を目的として事業を行ふ譯ではございませぬが、其の行ひまする事業は矢張り純然たる經濟事業でございまして、而も其の目的は公益と云ふやうな廣いものでなくして、組合員の共通の利益を増進すると云ふ私的な性質のものでございますので、營業税だけは免除致しますが、其の外の一般の税は課せられる、斯う云ふことになつたのでございます、其の場合に組合と組合員の關係でございまするが、組合員は矢張りそれぞれ獨立で營業を致して居ります以上は組合員がそれぞれ獨立の營業者として營業税を納める、或は其の他の税を納めると云ふことは當然でございまして、組合事業のみが營利事業ではございませぬが、それを構成して居る組合員個々の人の事業は總て營利性があると云ふことが普通でございますので、之に付きましては營業税が取られる、斯う云ふことになる譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=72
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073・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 外に御質問はございませぬか、別に御質疑がないやうなら、御許しを得て私に二、三の質問をさせて戴きます、此の協同組合法の地域的問題に付ては何等の制限が置かれて居ないやうでございますが、各府縣に跨る場合、或は全國を一つにした場合それぞれ協同組合が結成し得ることになつて居ると思ひますが、さう云ふやうな場合に同一種類の業著が各地區に銘々出來ると同時に、又業種を異にした者同志が協同組合を結成した者が又各地に出來ると云ふことも當然考へられるのでありますが、さう云ふやうな場合に是等をどう云ふ風に區別して御扱ひになるのでございませうか、尚又、大體此の協同組合法は例へば東京都なら都に出來たと致しますと、其の大體の取扱は東京都廳が直接の監督官廳として扱ふことになるのではないかと考へて居りまするが、さう云ふ風になりますと、尚更只今のやうな地區が二つに跨り、或は全國に跨る、而も同一種類のものが各地に跨つて幾つも出來ると云ふことになりますと、監督官廳の立場が非常に複雜になつて來ると思ひますが、是等の點に付てどう云ふ風に御取扱になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=73
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074・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 商工協同組合の地區問題でございますが、今度の協同組合は經濟事業を行ふと云ふことが主眼でありまして、統制事業を行ひませぬ、全く組合員個々の人と人との繋りを基礎に致しました一つの人的の結合體でございますので、或意味から申しますれば、統制を行ふ場合には地區と云ふものが必要でございまするけれども、統制を行はない場合には地區と云ふ觀念さへも必要がないのではないかと云ふ風な議論も成立つ譯でございまして、唯其の場合に行政官廳の色々な監督の關係等から致しましてさう云ふ便宜から申しましても、或は對外的な關係から申しまして、初めて地區を置いた方が宜いと云ふ程度の必要性が出て參るに過ぎないと考へて居る譯でございます、從ひまして實際問題と致しまして同じ東京なら東京の中に同じ業種のものに付きまして二つも三つも組合が出來る、或は東京だけの組合、それから東京と大阪に跨つた組合、或は東京と神奈川に跨つた組合と云うやうな全くそれぞれ組合員のお互ひの共通の利益のある人であればどう云ふ組合せでも出來るのでございますので、其の間は全く自由になつて居りまして、之を制限すると云ふことは協同組合の本質から申しまして適當ではなからうと考へた次第でございます、唯其の場合に是が非常に亂雜になりまして無統制になつて非常に混亂を來す虞はないかと云ふことでございますが、誠に御尤もな懸念であると考へるのでございます、其の場合に於きましては行政官廳の監督の範圍でございまするが、是は其の地區に依りまして行政官廳の範圍が決つて来るのでございまして、組合員が總て東京都の中にのみ存在して居ると云ふ場合には其の行政官廳は第一次には東京都長官が之が各種の許可、認可をし、或は監督をすることになつて居りまして、府縣の範圍を超えまする場合には主務大臣が直接之を監督致すことになつて居ります、唯鑛山關係、炭礦と云ふ風な關係の組合員になりますと、地方商工局長が大體に於て之に關與をすることになると思ひます、要するに府縣知事或は主務大臣と云ふ關係になつて居りまして、府縣の範圍を超えまする場合には直接本省で之を監督致しますので、實際上の混亂は來さないものと考へて居ります、唯統制と云ふことを考へますとどうしても其の間に地區なり、或は同じ地區内に幾つも組合が出來ると云ふことは統制の效果を確保する上から言つて不便でございまするので、例へば協同組合法に依つて協同組合を臨時物資需給調整法に依つて指定をすると云ふやうな問題が起る場合に於きましては、大體に於てさう云ふ統制をする物資に付きましては豫め組合の設立に付て其の設立方針と云ふものを大體業種別に各地方長官にも御示しを致しまして、それを強制することは出來ない譯でございますが、大體の行政官廳の方の地方長官の指導方針と云ふ程度のものは御示しをして、餘り此の組合が亂雜に設立されて關係中小商工業著の更生振興に却て弊密を生ずると云ふことのないやうに致したいと、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=74
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075・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 地區的の問題に付ては只今の御説明で一應了解致しましたが、人員の方面に付ても別に何等の制限がないやうでありまするが、例へば二人でも組合が成立出來ると云ふことになりますると、一つの組合から二人宛脱退して各各が協同組合を作ると云ふことになれば無制限に出來ると云ふことになります、さう云ふ極端な例は兎に角もとしてそこに何等の制限がないと故意に或協同組合を破壞する目的で以てさう云ふ行動に出たやうな場合には殆ど之を取締る方法が付かぬと思ふのでありますが、斯う云ふ問題に付てはどう云ふ御處置を御執りになる積りでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=75
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076・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 協同組合の組合員の員數に付きましても、御話の通り二人以上、詰り複數でありますれば組合が出來る譯でございまして、極端な場合を考へますれば二人でも出來ると云ふことになる譯でございまするが、結局此の組合は一つの事業體でございまして、營利を目的として居ない譯でございまするが、恰も株式會社が一つの事業單位であると同じやうな意味に於きまして、是も一つの中小企業の一企業體と云ふ風な考へ方で運營される組合が多からうと考へます、從ひまして特に其の爲には何人でなければならぬとか、或は其の最低限を決めたり、乃至は其の最高限を決めると云ふことは、却て業界の自由なる意思を阻碍すると云ふ風に考へまして、特に人數の制限を置かなかつたのであります、唯實際問題と致しましては二人だけでは大した協同事業も出來ませぬし、實際上として組合として果して適當であるかどうかと思はれるやうなことになりますると云ふと、業界に於ても、敢てさう云ふ無理をして迄、此の組合制度を固執すると云ふやうな實際上の問題は起らないのではないかと斯業に考へて居ります、又只今御指摘のやうに、組合を攪亂する目的を以て組合の中に一旦入つて、直ちに之を脱退して事業の進行を阻碍すると云ふやうなことになりますると云ふと、是は結局組合の定款に於て豫めさう云ふ風な者に對する何等かの自主的な制裁と云ふ風な規定を設けまして、さう云ふ不當に組合の事業に協力しないと云ふ者に對する措置を自主的に行ふこと以外には適當な方法はないと思ひます、又組合自身の運營が非常に法の精神に反し、公益に反するやうな運營をし、或は更に進んでは法令に違反すると云ふやうなことになりますると云ふと、其の組合自身の解散、或は役員の解任と云ふやうな監督權の發動も最小限度は出來るやうになつて居りますので、相當程度行政官廳なり、或は中央會の指導に依りましてさしたる弊害を生ぜずに大體行けるのではないか、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=76
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077・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) さう致しますると、茲に實際問題として色々な問題が起きて來る譯であります、例へば其の協同組合員の中では相當の有力な立場にある人が、相當數の協同組合の組合員として仕事をする場合に於ては、自己の有利なる立場を相當分散しなければならぬ場合が多いと思ひますが、さう云ふ場合に此の組合員が寧ろ同志數人と別に協同組合を設立して、其の自己の有する勢力を小範圍に止めてやつて行きたいと云ふ風なことは當然考へられる問題だと思ひまするが、さうした有力者が公共的な道義心と云ふやうなものを無視して、自己の利益のみに出發して、さう云ふ態度に出た時に、他の協同組合員が非常な迷惑を蒙ると云ふことが起り得ると思ひますが、斯う云ふやうな問題に對しましても、そこに何等かの社會的制裁があつても然るべきものではなからうかと思ふのでありますが、斯う云ふ點はどう云ふ風に御考でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=77
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078・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 只今御指摘になりましたやうな、一部に有力なる人がさう云ふ風な目的を以て組合制度を惡用すると云ふことも勿論豫想せらるべき事態だと考へられるのでありますが、之に對しましては此の協同組合法の法律自體の規定の上から申しますれば、直接之を取締をするとか、或は之に對して命令權を發動すると云ふ風な規定はない譯でございまするが、結局是等の場合に付きましても、先程から申しましたやうな組合の内部的な制裁、是は協同組合として、組合員として、それぞれ假令澤山の出資を持つて居る人でありましても、其の總會に於ける發言權と云ふものは一人一票になつて居りまして、株式會社の如く餘計株を持つて居るから餘計發言權があると云ふ風な關係になつて居りませぬし、平等の權利の上に立つて同等の發言權を持つて居りますので、結局輿論力に依つて相當内部的な制裁も出來まするし、又中央會の指導、或は行政官廳の指導に依りまして、協同組合本來の精神と云ふことに付ての啓蒙も相當に行ふ必要は勿論あると考へられまするが、それ等の啓蒙に極力力を致しまして、出來るだけさう云ふ弊害を未然に防止するやうに努めたいと考へる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=78
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079・橋本萬右衞門
○橋本萬右衞門君 只今肝付男爵の御懸念されたやうなことは地方に於ては多々あることでございます、それで良い意味に於ては勢力扶植、惡い意味に於ては組合の解消と云ふやうな、破落戸肌の者が或何かの職業の假面を被つて居る組合員があつて、住々さう云ふことがあると思ひます、之を法文か何かに織込んで三分の二以上の同意を得れば除名することが出來るとか、何とかして、除名規定を御入れになる御意思はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=79
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080・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 協同組合法の法文の上から申しますれば、第三十條に於きまして組合員が脱退をする場合に關する規定がございます、「組合員は、左の事由により脱退する。」其の中に死亡、解散、或は破産と云ふ風な當然なことが書いてありまするが、其の最後に第五號と致しまして「除名」と云ふことがございまして、除名と云ふことも組合員が其の資格を喪失する一つの脱退の事由になつて居ります、從ひまして然らばどう云ふ場合に除名をするかと云ふやうなことに付きましては、是は定款の規定に一切を委ねて居りまして、從ひまして其の定款に於て不當に組合の平和を紊すと云ふ風なもの、さう云ふものに付きましては一定の條件の下に除名をすると云ふことに關する規定を設けることも勿論可能でございまして、此の除名に關する定款の規定の活用に依りまして相當程度に御話のやうな弊害を矯正出來るものと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=80
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081・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 只今の御答辯に關聯して…成る程一つの組合からは除名されましても同樣の組合が他に澤山ある場合に於ては、他のどの組合にでも又自由に入れる譯でありまして、或組合に依つては除名處分を受けた者はこつちにも入れないと云ふ定款のあるのもあるかも知れませぬが、さうでないのもあるとすれば、外の方へ行つて平然として又仕事が出來ることにもなりまするし、現に又さうした實例は非常に多いと思ふのでありますが、是から先さう云ふ問題が複雜に各方面に起つて來た場合に、俄に之に對して處置を執ると云ふことは困難だと思ひますが、豫めそれ等に對する適當なる御準備があつても宜いのではないかと云ふ風に考へるのでありますが、さう云ふ點に付て何か御考へになつたことはございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=81
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082・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 一つの組合から非常に不當な事實に基きまして除名を受けました者が、直ちに他の類似の組合に入ると云ふことは、是は勿論特に之を制限する意味の規定はない譯でございまして、結局さう云ふ場合を豫め豫想致しまして、之に對し特に制限を設けると云ふやうなことは考へて居ないのでございます、是は結局或程度それぞれの組合の根本に於きましては、自由競爭と云ふ見地に立つて御互に實力に依つて競爭する以外にはないのではないか、斯樣な根本的な立場に立脚して居る譯でありまして、不當にそれ以上に個々の人の事業の開始、或は組合の加入と云ふことを一般的に制限をすると云ふことは適當ではないのではないか、斯樣に考へて居る譯であります、勿論統制と云ふことを前提に考へて見ますると云ふと、さう云ふ風な場合は非常な不當な弊害を生ずるのでございますが、統制と云ふことに關係のないやうな物資に付きましては必ずしもさう云ふ風な弊害は起つて來ないのではないかと考へるのであります、若し今後に於きましても臨時物資需給調整法等に於きまして統制を繼續する物資に付きまして、假に協同組合を活用すると云ふ風なことになりまする場合には、先程申しましたやうに需給調整法の運用を成るべく圓滑ならしめるやうな工合に組合を組織し、運營することに付きまして或程度の基準を設けまして、地方長官にも之を示し、中央會等を通じまして其の組合の結成の仕方、或は定款の規定の仕方と云ふことに付きまして或程度の指導を致しまして、統制と云ふ點が根本から崩れないやうに出來るだけの配慮を致して行きたい、斯樣に考へる譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=82
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083・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 尚それに直接關聯は致しませぬが、茲に中央會を結成することが出來るやうになつて居るのでありますが、先程のやうに各地區に雜多に多數の組合が出來ます場合に、其の中央會を結成すると云ふ場合には地區的にも中央會が出來、全國的にも中央會が出來ると云ふやうな問題も考へ得るやうにも思ひますが、其の中央會の性格と云ふものをもつと明確にきちつと規定すると云ふ風に行かないものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=83
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084・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 商工協同組合中央會の方の問題でありますが、中央會は現在商工組合法に依つて商工組合中央會と云ふのが出來て居りまして、此の中央會と其の性質は殆ど全く同じでございまして、第六十四條に書いて居りまするやうに「商工協同組合中央會は、商工協同組合の指導及び連絡を圖る目的を以て、これを設立することができる」と云ふ風に書いてあるのでございまして、其の中央會の行ひまする機能は指導と連絡と云ふことでございます、從ひまして組合の定款を作つたり或は設立の認可申請をする御世話をしたりすると云ふ風の一般的な指導連絡、或は之に關係した調査と云ふ程度のことでございまして、此の中央會自身が統制を行つたり或は經濟事業をやる、乃至は政治團體になると云ふ風なものではないのでございまして、全く單なる指導、連絡と云ふ風な意味のものであります、尚又此の中央會は全國を通じまして一個でございまして、第六十六條の未項に「商工協同組合中央會は、全國を通じて一個とする」と云ふことに致して居ります、唯是が各府縣に支部を設けると云ふことは勿論可能でありまして、支部は出來る譯でございます、中央會はさう云ふやうなことでございまするが、此の他に聯合會、幾つかの組合が集りまして、東京、大阪の組合が集つて其の上に更に聯合會を作るとか、或は全國の聯合會を作ると云ふことは勿論是は出來ることになつて居ります、聯合會と云ふ名稱は此の法文の中に書いてありませぬが、定款に於ては聯合會を作ると云ふことは、さう云ふ名前を使ふと云ふことは出來ることになつて居ります、此の聯合會は單位の普通の協同組合と全く性質の同じものでございまして、聯合會自身が經濟事業をやる、或は出資金を以て事業を行ふと云ふことが其の主眼でありまして、聯合會と云ふものと、更に其の上に中央會と云ふのは、それ等の聯合會なり單位の組合全體を會員と致しました指導連絡機關、斯う云ふ意味に於きまして全國に於て唯一つの中央會を設けることに致しました、各地方に其の手足としての支部と云ふものを恐らく中央會の定款に於て設けることが出來るやうになるものと豫想致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=84
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085・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 尚只今の中央會は全國的に一つと云ふことは、此の法律に依つて決められた商工協同組合法に基く組合が一つと云ふ意味でありますか、それとも各業種別に一つと云ふ意味でありませうか、其の點がはつきり致して居らないやうでありますが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=85
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086・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 是は商工協同組合中央會と云ふ名稱のものは全國に一つでこざいまして、業種別ではないのでございます、凡そ協同組合でありますれば如何なる業種の協同組合でも總て此の中央會の會員となることが出來るのでありまして、勿論中央會に加入する脱退するは自由でございますが、中央會と云ふものは有らゆる業種に亙りまして、此の法律に基く制度に依つて出來て居ります協同組合を總て其の會員の中に包括的に入れて居る、斯う云ふ關係になるのでございまして、業種別に幾つかの中央會を作ると云ふ趣旨ではないのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=86
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087・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 商務局に關係を持ちます一般的な御質疑がございましたらば、此の機會に御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=87
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088・秋田三一
○秋田三一君 今の商工協同組合の地方の支部ですか、或は聯合會と云ふか、さう云ふものの會長はどう云ふ人を以て、元商工組合の時には縣の經濟部長がなつたり何かしたのですが、今度は商工省で指導せられるのに御希望か何かある譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=88
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089・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 現在の中央會の各府縣の支部の支部長は御話の通り従來大體に於て其の府縣の經濟部長が支部長になり、それから副支部長には商工課長がなると云ふ風な例が多かつたのでございますが、戰後に於きましてさう云ふ風な官僚が斯う云ふ機構の中に入込んで、而も現職の儘で之を指導すると云ふことは必しも中小企業者を指導すると云ふ意味に於きましては便宜な點もございますが、弊害もございまするので、戰後に於きまして昨年の終でありましたか、本年の初でありましたか、正確な日附は忘れましたが、通牒を發しまして、中央會の支部長は業界からも或は行政官廳からも、何れから出すと云ふことに付きましては何等特別などちらを採ると云ふ制限を設けない、全く其の地方々々の會員の總意に依つてどちらからでも出せると云ふ意味の通牒を出して居りまして、大體現在迄の所各地に於きまして依然として經濟部長に御願ひして居る所もありますし、又商工經濟會の會頭が之を兼務して居られる所もあります、或は組合の理事長がなつて居られる、それぞれ自由に致して居るのでありまして、今度此の新しい中央會の支部に付きましても之に關しましては、政府の方から斯う云ふ人を支部長にすると云ふやうなことに付て特別の指示を致さない積りでございまして、全く其の地方に於ける中央會の會員の總意に任せる、斯う云ふ方針でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=89
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090・橋本萬右衞門
○橋本萬右衞門君 從來地方に商業組合とか何かございまして、多少統制機關の代行をやつて居りましたが、其の理事長とか云つたやうな人が時にまるで生殺與奪の權があるやうな横暴なことをやつて居る、今後さう云つた時はそれを罷めさせるやうなことを矢張り中央でおやり下さらないと非常な弊害があるのですが、此の點に對してはどんな御考ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=90
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091・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 現在各地に起って居りまする統制組合に付きましては、所謂理事長の指導者原理でありまして、此の運營を致して居るのでありまして、理事長を選任する場合に於きましても一應總會で選任致しますが、行政官廳の認可が要ると云ふことになつて居りまして、行政官廳が先づ其の選任に付て關與を致しまして、さうして出來ました理事長は他の役員を理事長自身が任命すると云ふやうなことになつて居りまして、非常に理事長の獨裁的の傾向が強かつたのであります、御話のやうに此の理事長が色々統制團體と云ふものの、獨裁的地位を惡用致しまして色々弊害を生じたと云ふことも、確かに事實としてあつた譯でございます、併しながら今度の協同組合の役員、理事及び監事は總て組合員の總意に基きまして總會で選任をすることになつて居ります、從ひまして組合員全體の意思に基いて選任せられましたものでありまする以上、其の組合員全體の信任がなくなりました場合には、何時でも解任が出來ることになつて居りまして、任期中でありましても、總會の決議さへあれば解任することが出來ることになつて居ります、勿論其の役員が何か法令違反であるとか、或は定款に反するやうな行爲がありました場合には、行政官廳は之を解任すると云ふ權限も勿論監督權として留保されて居るやうな譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=91
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092・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 他に御質問はございませぬか…、別段御質問がないやうでございますから、明日午前十時から委員會を開きまして、工務局長と鑛山局長の出席を煩して、其の方面に關する御質問を願ふことに致したいと思ひます、從つて本日は此の程度で散會を致します
午後二時二十二分散會
出席導左の如し
委員長 男爵 肝付兼英君
副委員長 子爵 柳澤光治君
委員
侯爵 佐竹義榮君
伯爵 清閑寺良貞君
子爵 交野政邁君
子爵 鳥居忠博君
子爵 京極高鋭君
中田薫君
吉田久君
男爵 奧田剛郎君
男爵 鶴殿家勝君
結城安次君
石川一郎君
高橋龍太郎君
奧主一郎君
秋田三一君
橋本萬右衞門君
政府委員
商工事務官 吉田悌二郎君
同 松田太郎君
同 小出榮一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00219461001&spkNum=92
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