1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○商工協同組合法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年十月二日(火曜日)
午前十時二十一分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=1
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002・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) それでは昨日に引續きまして、本日も亦商工協同組合法案の質問を繼續致します、今日は昨日も申上げました通り、工務局長と鑛山局長の出席を得て居りまするので、若しも御質問がございますれば鑛山局關係、或は工務局關係を先に一つ御願を致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=2
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003・秋田三一
○秋田三一君 折角工務局長さんが御出でになつて居るやうでありますから、總括的に私の聽きたいと思つて居ることを御話し致します、斯うした終戰に依つて經濟界に大きな變動を來して居るのでありますが、色々の賠償問題、財閥の解體其の他が現實に行はれて居りまするが、今後の工業の在り方と中小工業の今後の行き方と云ふことに對して、總括的な御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=3
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004・鈴木重郎
○政府委員(鈴木重郎君) 今回の陪償實施、或は財閥解體等の措置の實行に伴ひまして、向後に於ける我が國の工業のあるべき姿はどう云ふ風なものであらうかと云ふ御質疑でございまするが、寧ろ今後に於きまする我が國の民需生産の確保、或は輸出産業の確保、向後に於きまする經濟再建の基礎になりまする各種工業に付きましては、聯合軍方面に於きましても我が國の經濟事情を十分了解を致して呉れて居るのでございまして、今後に於ける民需の充足なり、經濟復興に必要な最小限度のものは相當國内に存置することを認めて居るのでございます、工作機械に致しましても、或は硫酸、「ソーダ」等の各業種、或は「ボール・ベアリング」と云ふやうな各種の業態を見ましても、勿論賠償實施の現實は相當強度のものではございまするが、尚國内に殘存して居る、許容されて居る限度も、今申しました趣旨に於きまして向後の整理復興に必要な最小限度は、十分に存置すると云ふ好意ある理解を示して居るのでございまして、是等の重要な業態に付きましては是もそれぞれの業種、業態の實情に即應致しまして、無論財閥的な獨占的な經營なり、發達と云ふことは固より是は阻止すべきものでございまするが、是等の各業態が眞に公正な競爭の下に、自由に發展することに付きましては、何等の制限を受けて居らないのでございまするし、又特別の業種に付きましては必ずしも中小工業のみに依つて發達し得ざるものも相當あらうと存ずるのでございます、從ひまして斯う言つたやうな中核を成すやうな、相當の規模程度の工業も、今後に於て相當に維持育成を致さねばならぬと存ずるのでございます、併しながら今後に於きまする各種の工業の規模を大體想定致して見ますれば、只今御質疑もございましたやうに、財閥も解體される譯でありますし、又軍需工場、兵器工場として從來大規模に發展致して參りました工場はそれぞれ色々の觀點から整理をされる、或は中小工業化して行く必然的な運命にあると存ずるのでございます、又今後起きて參りまする工業形態も、矢張り此の狹い土地に多數の人口を擁して居りまするので、是等の發達する途は矢張り中小工業の過程に入つて來ると存ずるのであります、而して是等の中小工業の形態は過去に於きましても我が國に於ける産業の中心をなし、又我が國産業の獨特の強味でもあつたのでございまして、それ等の工業生産が中小規模に於て經營せられて行くやうに相成らうと存ずるのであります、之に付きましても各方面から、それぞれの業種の間に於ける共同提携の下に御互の切瑳琢磨を加へ、而して公正な意味に於ける競爭の下に、發達をして行くと存ずるのでありまして、之に關する色々の組織化も必要であり、又技術の指導向上に對する色々の措置も必要であり、又是等の中小工業の發展して行く爲の、資金の問題なり、或は資材の問題なりに付きましても、之に支援を與ふべきものと存ずるのでありまして、其の結果は今迄ありましたやうな所謂個々の商品、工業生産品と云ふよりも、我が國に於きまする是等の中小工業の形態に即應し、又海外市場の需要にも應じたやうな、新しい製品の創造生産が行はれて來ると存ずるのでありまして、從來の所謂輸出品或は國内民需品と云つたやうなもののみでなくして、今後新しいさう云つた中小工業製品と云ふものがどんどん生れて來る、所謂「ヴァラエティー」に富んだ産業形態と云ふものが出て來ると存ずるのでありまして、又さう云ふ方面に出來得る限り指導助成を致すべきものであらうと考へるのであります、無論一つの陶磁器工業、一つの纎維工業を取りましても、矢張り斯う云つた意味に於きまして、大量の生産、或は大きく纒つた製品も無論ある譯でありますが、それと同時に今申上げましたやうな、過去に於て餘り問題にされなかつたやうな製品も、今後我が國の各地方的の傳統なり、或は技術なり、日本の持味を織込んだやうな、各種の「ヴァラエティー」に富んだ工業生産と云ふものが、どんどん生れて來るのであらうと存じまするし、又さう云ふ風に指導を致したい、斯う考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=4
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005・秋田三一
○秋田三一君 只今の御意見大變結構だと思ひますが、若し中小工業が段々發展致しまして、さうして矢張り相當の大きい規模になつた方が、色々生産「コスト」其の他の點に於て有利と云ふやうな點から、段々擴大して行きまして大きくなつて來ると云ふ場合に、何かそれは或限度で抑へられると云ふことになりますか、それは發展して大きくなつて來たものは、其の儘大規模になつて行くことを認めておいでになる方針ですか、どちらでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=5
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006・鈴木重郎
○政府委員(鈴木重郎君) 産業の發展の状況から考へますれば、無論小規模の單位に於て爲すことが、所謂合理的であり、經濟的であるやうな業種も、多々あるであらうと存ずるのでありまして、斯う云ふ風なものに付きましては、必ずしも大規模經營が適當であるとも考へられないのでありまして、又業界も中小單位であることが經濟的、合理的であるものは、恐らく其の過程を歩むであらうと存ずるのであります、併しながら固より其の事業が發達して行くことを、無論望んで居る譯でございまして、是等の中小工業の中に、今御話のございましたやうな、將來有望な又需要方面も旺盛であるやうな製品に付きまして、其の資金なり技術面に於て漸次發達を致しまして、小工業が中となり、是が大量生産のやうな大工業に發達して行くことは固より望ましいことであると存ずるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=6
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007・秋田三一
○秋田三一君 只今の御説明に依りまして、中小工業に對して非常に御援助下さるやうなことですが、具體的に協同組合と云ふ組織を如何に致しておいでにならうと云ふ御考でありますか、此の協同組合の設立等に對して十分な御力を御入れになるだらうと思ひますが、工業方面に付てどう云ふ方法で御やりになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=7
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008・鈴木重郎
○政府委員(鈴木重郎君) 此の協同組合法の根本精神は御承知の通り、各關係業著の方々の心からなる結付きに依る協同精神を基礎として組織化される所にあるのでございまするが、今日の現状は御承知の通りでありまして、嘗ての所謂統制の爲の統制、或は統制組織に餘りに慣らされて居りまする關係から、斯う云つた中小工業著の方が本當に提携をして、どう云ふ風な組織にどの程度の規模に於て協同提携をすることが適當かと云ふことの實際の判斷に付きましては、色々困難な事情もあらうと存ずるのでありまして、之に付きましては、本法の精神をそれぞれ各業界の方にも十分徹底理解をして戴くやうに措置を致しますると同時に、それぞれの業種業態に應じまして、それぞれ地域的なる、或は此の關聯業種の方々の御相談に、十分政府と致しましても御相談に乘り、又それに對して出來る限りの「アドヴァイス」も與へまして、出來得る限り其の組織化を推進するやうに援助協力を役所側としても努力致したい、それと同時に、從來關係して居られましたやうな關係業者の方々にも其の趣旨を十分理解して戴きまして、其の業種なり或は地區に適當な組織の出來るやうに指導して參りたい、斯う存じて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=8
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009・秋田三一
○秋田三一君 先程ちよつと御話のありました技術指導とか、其の他色々具體的の指導方法がございませうが、さう云ふ方は今度出來ます商工協同組合中央會の方を通じて御やりになりますか、或は商工會議所がさう云ふ面に活動して居りますが、今後はどう云ふ形を取つて御指導になりますのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=9
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010・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 中央會の方は主として此の協同組合の共同施設を色々實施する譯でございますが、其の共同施設の實行上に付ての指導を中心に考へて居るのでございます、要するに協同組合としての經營の仕方に付ての色色な御指導を重點として考へて居ります、技術的な方面に付きましては、是は只今まだ確定は致して居りませぬが、度々商工大臣が議會に於て答辯して居られますが、中小工業に對しまして特別なさう云ふ援助をする何と申しますか機關を政府として考へたいと云ふことで、政府と致しましては中小工業の助成局と云つたやうなものを安定本部か、或は實際の仕事を商工省でやると云ふやうなことになると思ひますが、さう云ふ組織を中央にも大體或程度組織を置きまして致します譯でございますが、其の第一線の仕事と致しましては、出來るだけ各種の團體を使つて行きたいと考へて居ります、勿論商工會議所も其の一つとして考へて行きたいと思つて居りまするし、ものに依りましては、此の商工協同組合の聯合會、或業種に付てはさう云ふ同業者の聯合會が出來て居りますので、さう云ふものも使つて行きたい、色々の方面の御協力を得まして、中小工業の助成局に附置されます所の技術官と云ふものと連絡を取りまして、實際の御指導に當つて行く、斯う云ふことにして參りたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=10
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011・秋田三一
○秋田三一君 戰時中は中小の工場とそれから大工場との間に親子の關係が出來たり、或は又要するに協力的な形が出來て居りましたが、今後はさうした大工場と子工場との關係と云ふものは、餘りない見込でありますか、或は又同じやうな種類の工場が相寄つて一つの大きな規模のものをやると云ふやうな形態が出來る、又出來る方を御奬めになるやうな御考ですかどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=11
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012・鈴木重郎
○政府委員(鈴木重郎君) 親工場を中心にした企業系列の一つの一環と致しまして、中小工業と其の結付きに於て、協同組合の組織との關係の御質疑でございますが、是も亦必ずしも一律には論ぜられないと存ずるのでありますが、矢張り私共の考へて居りまする業種に付きましては、矢張り假に協同組合が出來ましても、それが例へば部品工業であつたり、或は關聯の工業等に付きましては、矢張り其の納入先と申しますか、發註先と申しますか、さう云つた關係に於ては、此の組立工場なり或は大工場の完成品の一部として、矢張り協同組合と大工場との結付きが當然に必要に相成らうと存じます、又さう云ふ場合には其の下請工場なり、部品工場なりの組織化は、さう云ふ意味に於て協同組合の組織を作らせると同時に、發註工場、親工場との結付きも、特に連繋を密にするやうな措置を執りたいと考へて居るのであります、併しながら又ものに依りましては、各一つの製品を目的とした各種の部品の縱に結付くやうな協同組合と云ふ風なものも當然豫想せられるのでありまして、例へば或完成品を中心にし、それに關聯を持つた部品工業、下請工業等を一つの協同組合に組織化すると云ふ風な場合も考へて居るのでありまして、それぞれ其の生産する製品なり、其の需要先なり、又それを一つの完成商品として取纒める爲に最も適當である場合に於きましては、其の關係の業者の方々の協同組合と云ふものの組織も亦極めて、各業者の仕事を圓滑に經營して行く上にも便利であらうと存じまして、さう云ふ縱割りの場合、横割りの場合と、二通りを大體考へて進めたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=12
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013・吉田久
○吉田久君 私は二三の點に付て質問させて戴きたいのであります、第一は、本組合の目的とする共同施設に付てでありますが、此の點に付ては昨日本員から御伺を致しました、又それに對する政府の御答辯があつたのでありますが、多少はつきりしない點がありますので、本日改めて御聽き致したいのであります、共同施設に付きましては共同性がなければならぬ、であるからして、組合員が此の施設を利用するに付ては、其の施設の利用は部分的でなければならぬ、全般的であつてはならぬと云ふことが、昨日政府委員から御説明になつたのであります、でありまするから、織物に付て申上げますれば、糊付は是は共同でやる方が宜いから共同施設にするが、併し更に一歩進んで其の糊付をした材料を基にして織物を拵へて、更に之を販賣をすると云ふことは共同性がない、從つて本組合も爲し得ない所である、斯う云ふことになるやうであります、處が施設の利用が部分的でなければならぬと致しましても、只今申しました織物に付ても、更に此の糊付をした糸を材料にして機を織ることが矢張り共同でやつた方が都合が好いと云ふことになると、それも出來る、更に又一歩進んで尚共同的に販賣した方が宜しいと云ふことになりますと、結局施設の利用と云ふものが部分的に止らないで、全般的になつてしまふ、さう云ふことになりますると云ふと、結局此の共同性關聯とでも申しまするか、それが失はれてしまひまして、中小商工業者の業務を壓迫すると同時に、本組合は獨占事業を營むと云ふ結果になると思ふのであります、又本組合の目的とする保管業務に付きましても、此の業務を大規模に組合員が利用すると云ふことになりますると云ふと、現在の倉庫業者の部分も妨げると云ふことになると思ふのであります、でありまするから、共同施設に付ても共同性の關聯に付きましても、之を認める實際的の處置に十分なる用意と工夫をしなければならないと考へるのであります、此の點に付て政府は如何なる用意を有せらるるのであるか、それを先づ御伺ひ致したいのであります、此のことは只今秋田委員からの御質問にも觸れたのでありまするが、尚一つ此の際はつきりした御答辯を御願ひ致します、第二には組合員の資格に付てでありますが、此の點は過日奧委員から御發言がございましたが、組合員の資格をどう決めるかと云ふことは、是は定款に依つて決め次第如何樣にも決められると云ふことになるやうであります、處が本法の組合員の中核となるべきものは中小商工業者である所謂大商工業者は組合員にはなれない建前だと斯樣に是迄の政府の御説明では了解致して居るのであります、そこで中小商工業者とそれから大商工業者との限界を決めなければならない、處が此の限界は實際的にはむつかしいと云ふことは過日來の委員の御質問に對する政府の答辯で明かであると思ふのであります、組合員の資格を定款で決めると云ふことは宜しいけれども、それを實際的に定款で決めるのにはどう云ふ風に其の定款の規定を拵へさせるのであるか、此の點に付て政府の御所見を伺ひたいのであります、それから此の第七條に依りますと、第一號に「一定地區内において商業、工業又は鑛業を行ふ者」是が組合員たる資格者になつて居る、そこで東京都内ならば、東京都内で商業を營む者が所謂商業協同組合と云ふものを作ることになる、工業を營む者は工業協同組合と云ふものを作ることになると思ふのであります、そこで商業協同組合の組合員が東京都内の工業協同組合員になれるかどうか、此の點に付て政府委員からして此の業務の關聯性がなければならぬと云ふ御説明がありましたが、此の關聯性と云ふことも實際に於ては甚だ微妙なものがあると思ふのであります、若し其の限界が紊れると云ふことになりますと、商業協同組合であるか、工業協同組合であるか、得體の知れない組合と云ふものが實際的に出來上ると同時に、又其の組合の内部を攪亂すると云ふやうな意味合を以て、工業關係者が商業關係者の方に入つて來る、又商業關係者が工業關係者の方に入つて來ると云ふやうな結果が實際的には生じはせぬかと思ふのであります、此の點に付きましても實際上の運營に付ては大いに考慮しなければならぬ場合があると本員は存ずるのであります、それに付て私ちよつと疑問にして居りますのは、露店商人の如きは第一の商工業者の商業を行ふ者と云ふ中に入るものであるかどうか、之を此の際承つて置く方が都合が宜しいのであります、第三には出資の金額でありますが、本案に依りますと組合員は出資一口以上持たなければならぬ、出資一口の金額は均一でなければならぬと云ふことになつて居りまして、其の出資金額の最低最高と云ふものが本案では決められて居らないのであります、是は思ふに此の施行令の規定に御讓りになる、讓ると云ふ趣意ではないかと思ふのでありますが、それに致しましても施行令に於ては大體どれ位の金額を一口の出資金額とすると云ふ政府の積りであるのか、それを一つ伺ひたいのであります、此の出資金額の一口の多いか少いかと云ふことは本組合の成立、又は延いては本組合の業務の運營に非常に關係を持つて居る重大なる事柄であると思ふが、敢て此の點に付ても政府の御考を明かに致して置きたいと思ふのであります、第四には經費の賦課であります、組合員から經費を賦課徴收することでありますが、此の賦課は、是は一方的に出來るのであると思ひますが、此の賦課した經費を取立てると云ふ方法に付きまして強權を加へると云ふことは本案では認められて居らないやうであります、果してそれで實際の運營が付くかどうか、尤も經費の徴收に付て權力を持たせると云ふことになりますと、本組合は私法人でなくして公法人と云ふことになるかも知れない、併しながらそれは兎も角として、實際的には經費の徴收に付て、賦課した經費の徴收に付てどうも或程度の強權を認めるのが宜いのではないかと私は考へて居るのであります、若しさう致しませぬと云ふと、滯納した組合員に對しまして、經費を取立てる場合には、一々裁判所へ訴へ、裁判所の保護に依らなければ其の取立が出來ないと云ふ結果になるのであります、詰り賦課した經費の徴收に付て或程度の強權を認める必要がありやせぬかと云ふことに付ての政府の所信を伺ひたいのであります、それから第五には、五十三條で、「この法律又はこの法律による命令に基く行政官廳の處分に不服のある者は、行政官廳に訴願し、又は行政裁判所に出訴することができる」とあるのであります、例へば總會の招集の手續が違法である、又其の總會の決議が定款若しくは法令の規定に違反して居ると云ふ場合には、其の決議の取消を行政官廳に申立が出來る、其の行政官廳の申立に對する處分に付ては、矢張り五十三條の適用に依つて訴願し、行政裁判所に出訴することが出來る、斯う云ふことになると思ふのであります、又行政官廳が解散を命じた場合に、其の解散の命令に對する不服の申立も矢張り五十三條に依つて訴願若しくは出訴が出來る、斯う云ふことになると思ふのであります、處が此の前の總會の決議が違法であると云ふことに依る出訴、取消の申立に付ては、三十日の制限が附せられて居るのでありまするが、解散命令に對する不服の申立等に付きましては、訴願及び出訴に付て其の制限規定が設けられて居らないやうに見受けるのであります、若し見落しであれば宜しうございますが、さうすると解散の處分に對して、解散の命令に對しては何時でも訴願若しくは出訴が出來る、斯う云ふことになつて甚だ面白くないことになりはせぬかと思ふ、それから勞資關係の調整法では、勞働組合の解散を命ずることは、是は裁判所の行ふ處分に委せて居るのであります、而して此の裁判所の處分に對しては不服の申立が出來ると云ふことになつて居るのでありまするが、本法では、本組合の解散は行政官廳の處分に委ねられて居る、而も此の行政官廳の處分に對しては訴願出訴が認められる、斯う云ふことになつて居つて、どうも勞資、關係の調整法の解散の場合と、本法の本組合の解散の場合とが法律上の取扱に於て異なるものがあります、是はどう云ふ理由に依つたのであるかと云ふことを伺ひたいのであります、それからもう一つ小さいことでありますが、五十三條の規定に依りますと云ふと、「行政裁判所に出訴することができる」とある、處が御承知の通りに、改正憲法の下に於きましては、行政裁判所と云ふものはなくなるのであります、まだ改正憲法は出來上つて居りませぬけれども、もう出來上る氣運になつて居るのでありますから、其の改正憲法の下に認められない行政裁判所に出訴することが出來ると云ふことを條文に書表はすと云ふことは、立法技術の上に於て如何なものであらうかと云ふことを私は考へて居るのであります、國の裁判所に出訴することが出來ると云ふ風にした方が宜いのではないかと存じて居ります、それから解散の場合に付てでありますが、解散をして清算人が出來て、債權債務の處理をする、債務を辨濟した上でなければ組合の財産を處分することが出來ないと云ふことになつて居ります、處が債務超過で組合の財産を以てしては債務を完濟することが出來ない場合には、是は法律手續に移さなければならぬ、此の法律手續に移す階段に於て、清算人は債務の辨濟をどう云ふ風に處置して宜しいかと云ふことに付ては、民法の公益法人の清算に付きまして大いなる疑問が多多あるのであります、殊に辨濟期の到來せるものと處置はどうするか、それから又辨濟期の到來せる債務に付て請求があつた時は、清算人は其の請求を拒むことが出來るかどうかと云ふやうなことに付て多くの疑問がありまして、又それに對する規定が不備になつて居るのであります、此の不備な民法の公益法人の清算に關する規定が、本法では大部分準用されて居る、此の準用の關係に於きましては、今申しましたやうに、清算手續の遂行の上に於て起る所の幾多の疑問を消す爲には、此の民法の財産分離の千三十條、千三十一條、千三十三條等の規定を本組合の清算に付きましても、少くとも準用されるのが宜くはなかつたかと思ふのであります、然るに此の民法の極く粗笨な公益法人の清算に關する規定を其の儘御準用になつて、さうしてそこに或缺陷を殘されて居ると云ふことは、是亦立法技術の上に於ては甚だ面白くない事柄であると本員は考へて居るのであります、以上の諸點に付きまして政府の御答辯を煩します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=13
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014・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 只今の御尋の第一點の商工協同組合の共同施設の限界に關する問題でございますが、之に付きましては、昨日商務局長からも御答へ致しましたやうに、組合の共同施設と云ふ言葉は必ずしも言葉それ自體に於きましては明確でないものがあるのでありまして、要するに共同事業と云ふ程度の意味でございまして、代表的な例と致しましては、共同仕入をしたり、或は共同販賣をしたり、保管事業を行つたり、運搬事業を行つたり、乃至は金融事業を行ふ等、各種の共同施設があるのでございまするから、其の場合に於きまして、御指摘のやうに織物の製造業著が其の工程の一部分である糊付であるとか、或は染色と云ふやうな部分だけを、部分的の共同事業をすると云ふのが通常の例でございますけれども、御話のやうに場合に依りましては、原材料の、絲の購入からそれの織上げ、染色、糊付と、各種の工程、最後の製品の販賣に至る迄一貫致しまして、全部組合の事業としてやつてしまふと云ふことになりますると云ふと、其の場合に於きましてそれが組合員の總意に基くものでありましても、結局組合員個々の營業と云ふものの獨立性が全くなくなりまして、組合員個々の營業の獨立性を全部奪ひまして、組合員が本來爲すべき事業を、組合が全部やつてしまふ、組合員は單に組合の出資者であり、株主であり、或は職員であり、勞務者に過ぎないと云ふ風な、極端な段階に立到りました場合には、是は商工協同組合の本質に反するのでありまして、組合と申しまする以上は、株式會社とは違ふ譯でありまするので、個々の組合員は矢張り業者としての獨立性を持つて居なければならぬのでありますから、其の限度に達しますると云ふと、是は組合の共同施設、或は組合と云ふことさへも出來ないのではないか、斯樣に考へまして、其の線に限界を取つて居るのでございます、併しながら組合の共同施設が相當廣範圍になりまして、場合に依りましては、相當其の製造業に致しましても、工程の大部分のものを共同作業場を設けまして、其處で製造してしまふと云ふ風なことになりましても、それが組合員全體の共同の出資に依りまして、共同の設備に依りまして、共通の事業として行はれる限りに於きましては、是は必ずしも組合員を壓迫して居ると云ふ風なことにもならないかと考へるのでありまして、組合員が御互の利益を増進する爲に、總會の意思決定に基きまして、皆でさう云ふ事業をやらうと云ふことになりますれば、必ずしも是は排除すべきものでないかと考へまするが、それが最も極端な場合になりまして、組合員は自分では仕事をしないで、專ら組合だけが仕事をして居ると云ふ風な段階に立到りましたならば、是は組合とは認め難い、斯樣に考へて居るのでありまして、其の邊の所で共同施設の限界を考へて居る次第でございます、具體的の例を申しますれば、過去の事例でございまするが、丁度食糧營團が出來まする直前に於きまして、米の小賣業者の商業組合があつたのでございまするが、此の商業組合は全く組合だけが米の販賣を致して居りまして、組合員は單に組合の株主でありまして、組合から一定の給料を貰つて居ると云ふ程度の段階に立到つたことがございまするが、斯う云ふやうな事例が若し將來再び起りまするとしますれば、是は殆ど組合員の本體を成さないものである、斯樣に考へて居りまするが、さう云ふ風な極端な場合は別と致しまして、相當程度に共同事業を行ふと云ふことは、是は必ずしも排除すべきものではなからうと斯樣に考へて居る次第でございます、それから第二點の組合員の資格に關聯する御尋でございますが、御話の通り此の協同組合は中小企業の振興と云ふことを主眼に致して居りまして、其の邊に重點を置いては居るのでございまするが、組合員の資洛と致しましては必ずしも大企業者を排除して居る譯ではないのでございまして、却て大きな親工場であるとか或は問屋と云ふ風なものを中心に致しまして、それに關聯のある下請業者なり、或は加工業者と云ふものが一緒になつて組合を作ることに依りまして、結局中小企業全體の振興を圖ることが出來ると云ふ場合もございまするので、大企業者であるからと云つて此の組合の「メンバー」になれないと云ふことはない譯でございまするが、飽く迄其の組合の運營なり狙ひは、御話の通り中小企業の振興と云ふことに在る譯でございます、そこで具體的の問題と致しまして商業者だけが組合を作つたり、或は工業者だけが組合を作つたりするのが、大體同業者が作るのが原則でありまして、場合に依りましては商業者と工業者が一緒に組合を作ると云ふ場合が出來て來るのでありまして、其の場合に組合の性格がはつきりしないではないかと云ふ御話でございますが、是は結局嘗て重要物産同業組合法と云ふものがございまして、是は或一つの織物なら織物と云ふ製品に關聯のある業者、結局問屋さんも加工業者も卸賣業者も小賣業者も、商業工業一緒になつて凡そ關聯のありまするものでありますれば、皆組合を結成すると云ふことが本體であつたのでございますが、今度の商工協同組合ではさう云ふ事例も相當多からうと思ひます、從ひまして法人の上に於きましては、商工合體の組合を豫想致しまするものも多いのでありまするが、矢張り其の場合に其の本體となつて居る所の取扱の物資と云ふものを見ますればどう云ふ性質のものであるかと云ふことが自から明かになると考へて居りまして、必ずしも商と工とが一緒になつて居るから性質が明確でないと云ふことは言へないと思ふのでありまして、要するに如何なる産業に關聯して商業者工業者が一緒になつて居ると云ふこと、産業を見ますれば自から線が引けるのではないかと斯樣に考へて居る次第であります、それから尚之に開聯致しまして露店商が組合を作れるかどうかと云ふ御話でございますが、勿論露店商と雖も、一定の場所に於きまして一定の商品を小賣致す小賣業者の一つの形態に過ぎない譯であります、從ひまして組合の定款に於きまして、定款の決め方如何に依りましては露店商と雖も組合を結成することが出來ます譯でございます、唯其の定款に於きまして、例へば恒久的な一定の店舖を以てやると云ふ風な特別な制限を設けまして、それを組合の資格に致して居りまする場合に於きましては、さう云ふ組合には露店商は入れない譯でございますが、露店商は露店商だけで組合を作ると云ふことは勿論可能でございまして、現在は此の露店商組合と云ふやうな任意組合になつて居りまするが、斯う云ふものを將來段々健全な協同組合に發展する方が寧ろ宜いのではないかと斯樣に考へて居る次第でございます、それから次に出資金額の御尋でございますが、出資の一口の金額は御話の通り均一でなければならないと云ふ規定が第二十一條にある譯でありまして、其の出資金額の最小限度は何圓である、或は最高限度は何十圓迄と云ふやうな制限は法律の上に設けて居りませぬし、又是は施行規則其の他の命令に於きましても何等制限を致さない積りでございます、是は各組合員の自由な意思に依りまして、事業を行ひます上には一先づ幾らが宜いかと云ふやうなことを御互に相談して決めれべ宜しい譯でございまして、別段之に付きまして最低限、最高限を設ける必要はなからうと、斯樣に考へて居る次第でございます、それから次に經費の賦課に關する第二十七條の規定でございまするが、是は此の經費の賦課と申しまするのは、本來組合は共同事業を行ひまするので、其の共同施設、共同事業と云ふものは飽く迄も出資金に依つて之を行ふべきで、經費の賦課を致しまするのは、唯組合の事務費でありまするとか、或は人件費でありまするとか云ふ風な經常的に要しまする經費を賦課するに止まるのでありまして、是は寧ろ全體の組合運營の上から申しますれば附隨的なものでありまするし、此の經費の賦課金の強制徴收をやると云ふことは、是は協同組合が本當に民主的に組織せられました團體と云ふ本質から申しまして、其の本質に反するものと考へるのであります、過去に於て商工會議所と云ふものなり、現在の商工經濟會が矢張り強制加入、それから強制徴收、經費は市町村税の例に依りまして強制徴收が出來ると云ふ規定なのでございますが、是等は各人の自由な意思を壓迫するものであると云ふ考に基きまして商工會議所、經濟會法も廢止になりまするし、其の後に於きましては全く民主的な會議所を作ると云ふ關係になつて居りまして、協同組合に於きましても統制組合の如く統制事業を行ひませぬ純然たる私的な事業でありまするので、強制的に經費を取上げると云ふことは、是は適當でなからう、斯樣に考へまして強制徴收に關する規定は置かなかつた譯でございます、それから次に第五十三條の行政訴訟に關する御尋でございまするが、此處に申して居りまする行政訴訟が出來まする場合と申しまするのは、此の法律又は此の法律に依る命令、即ち地方令でありまするとか、或は施行規則と云ふものに依つて行ひまする行政官廳の色々な監督處分に對しまして不服がありまする場合に對しまして、其の行政官廳に、是は大體主務大臣と考へて居りまするが、主務大臣に訴願し、或は行政裁判所に出訴することが出來る、斯う云ふことを規定したに過ぎないのでありまして、從つて行政官廳の何等かの處分と云ふことが前提になつて居りまして、行政官廳の行政處分がない場合に於きましては、之に對しまして、いきなり行政訴訟をすることは出來ないのでございます、で、それに關聯致しまして總會の招集手續が違法であると云ふ風な場合、之に對しまして第二十六條の規定に依りまして組合員が其の總會の決議の日から三十日以内に決議の取消を行政官廳に請求出來る、斯う云ふ規定がある譯でございまするが、此處に申して居りまする決議の取消の請求と云ふのは、五十三條に言つて居りまする行政訴訟ではないのでございまして、是は單に一部の組合員が總會の招集手續はどうも違法であると云ふ場合に決議の取消と云ふ一つの行政處分を行政官廳に御願をする、行政處分の發動を願ひたい、斯う云ふことでありまして、其の決議の取消と云ふことがあつて始めてそこに行政處分が出て來る譯でありまして、其の處分に對して更に不服がありまする場合に、始めて第五十三條の行政訴訟と云ふことになつて來る譯でありまして、解散の場合等と別段不均衡はないものと考へて居る次第でございます、それから次に勞働組合法との關係に於きまして一般に解散命令其の他は司法裁判所に於て管轄して居る譯でありまするが、此の法案に於きましては行政裁判所が之を取扱ふと云ふのはどうかと云ふ御話でございましたが、此の協同組合法に依ります行政官廳と云ふものの運營は大體に於きまして、一般的に此の監督上の行爲は裁判所が直接には「タッチ」しないことになつて居ります、唯登記の關係等に於きまして、司法裁判所が關與するだけでございます、勿論是は日本の法制全體の建前から申しまして、一般的に斯う云ふ風な行政的な法律に付きましては、總て行政官廳が關係し、從つて行政裁判所が關與すると云ふのが通例でございまして、「アメリカ」等の例に於きましては是と全然異りまして、普通の裁判所と云ふものが非常に行政方面にも十分の能力を持つて居りまして、色々な許可認可等は大體裁判所がやるので、行政官廳が之に「タッチ」するのは寧ろ例外になつて居りますが、日本の從來の慣例又司法裁判所の從來の經驗等から申しまして、之を裁判所に持つて行くと云ふことは適當ではなからうと考へまして、一般の例に從つた譯でごさいます、勞働組合の場合に付きましては、私詳しく其の立法の理由を承知致して居りませぬが、恐らく勞働爭議其の他に於きましては相當司法裁判所の「タッチ」すべき事態もあり得ると云ふやうな關係もあるではないかと考へて居りますが、少くとも協同組合に關しましては行政官廳の系統に於て一貫して之を取扱ふ、斯う云ふ風な建前に致したのでございます、そこで新憲法に於きまして、行政裁判所と云ふ制度が勿論變る譯でございますが、其のことを豫め豫定致しまして、此處に行政裁判所と云ふものを廢めて、他の新らしい憲法に基く裁判機構を織込むべきではないかと云ふ、斯う云ふ御尋は御尤もでありますが、併しながらまだ憲法は草案の程度でございまして、まだ實施はない譯でございますので、現行憲法が出來て居ります限り、此の現行憲法の下に於て法律を立案せざるを得ないのでございます、又實際問題と致しましても、此の協同組合法が施行になるのは新憲法の施行よりもずっと早くなりますので、斯う云ふやうな規定に致したのでございます、勿論將來新憲法が實施になる時に於きましては、有らゆる法律は新憲法の鑑に照しまして、それと調整を圖ると云ふ事態が當然起つて來ることは勿論でございますが、現在の所に於きましては斯う云ふ風なことにせざるを得ないと思ふのでございます、それから最後の解散の場合の清算の問題でございますが、御話の通り清算に入りまして、債務超過破産の手續の段階に入ると云ふやうな場合の規定に對しましては、民法の規定を大體に於て、準用致して居るのでございますが、其の場合に民法の規定が不備でありまして、第千三十條或は第千三十一條等の規定を準用すべきではないかと云ふ御尋でございますが、大體從來の各種の組合の法制に於きましても、此の程度の準用に致して實際上運營致して參つたのであります、若し尚民法の解釋上色々專門的に不備の點等がございますれば、尚十分研究致しまして、是は場合に依りましては施行規則と云ふやうな點に於きましても多少考慮の餘地はあらうかと考へて居ります、尚其の點は十分に我々と致しましても御意見を尊重致しまして研究を致したい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=14
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015・吉田久
○吉田久君 大體御説明で了解致しましたが、第一の共同施設に付きまして私が申上げましたのは、組合員以外の中小商工業者の業務を壓迫することになりはせぬか、組合の業務の運營如何に依りましては、組合員でない、組合に入らない中小商工業者の業務を壓迫しやしないか、又小工業者の如きは、本組合にも入らないだらうと思ひます、さう云ふ小工業の壓迫をすることになりはしないかと云ふことに付て心配がありますので、其の點を主として伺つたのであります、組合員自身は自己の意思に基きまして、取決めをしたことに付て業務を運營して行くことに付て、如何樣なる結果が自分等の身に振掛つて參りましても、是は自業自得、少しも他から彼此れ言はれる筋合はないのでございまするが、併しながら本組合は強制組合ではないですから、組合に入らない所の業者もあるだらうと思ふ、又隨分相當の數ありはせぬかと思ふのである、其の業者の業務を壓迫すると云ふことが、本組合の業務の運營に付て、多大の心配があると考へて居るのであります、でありまするから矢張り申上げましたやうに、本組合の目的とする所の共同施設、共同生産の關聯と云ふことを認める一切の處置に付ては、十分なる考慮を拂はなければならぬ、先程御説明がありましたやうに共同施設が一本になりますと云ふと、結局組合が結果に於ては獨占業を營むと云ふことになるのであります、此の開係が餘程微妙なものがありまして、其の實際の處置の如何に依りましては、隨分惡い弊害が起つて來ると考へて居るのであります、此の點を心配致しまするが爲に、本員はどうか當局に於かれては共同施設に付ても、共同性の關係を實際的に認める處置に付て、十分なる御考慮、御用意を願はなければならぬと云ふことを要望致すのであります、それから出資金額でありまするが、此の定め如何を見ますると云ふと、是は最高最低は法律では決めない、各組合の自治に任せると云ふことでありました、それで宜からうと思ひますが、さう致しますと、どうも色が着きまして、其の組合を組織する組合員に一種の色が着きまして、民主的でないものが私は出來やせぬかと思ふのであります、でありまするから、私の考へでは、最低、どんな小さな商工業者でも、組合に入らうと思へば入れる位の程度の金額を、法律の上で大凡そ決めた方が宜いぢやないか、さうして又出資の額に應じて、表決權に差等を設けるのが宜いではないか、斯樣に考へて居るのでありますが、本案では表決權は各人一個平等と云ふことで、其の點は非常に民主的と言うて宜しいことでありませう、或は民主的になり過ぎて、實際の組合の運營、又組合を組識する各種の活動と云ふことに、阻碍を來しはせぬかと云ふことを私は心配するのであります、それだけ申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=15
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016・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 共同施設の設置、竝に運用に付ての御注意は、實行の上に於て特に考慮して參りたいと考へて居ります、仰せのやうな共同施設、共同設備等を作ります場合に、例へば先程の織物の例の中で、染色加工の設備をやると云ふ場合に、織物業者としては非常に生産の合理化となるのでございますが、同時に染色加工を專門にやつて居る業者がありまして、其の方が失業する例がございます、染色加工業者の壓迫になつたと云ふ例がございますが、さう云ふ場合には過去の實例と致しましては、其の設備を買收することに依つて補償したと云ふやうなこともございまして、運用に於て成るべく不當の壓迫のないやうに致して參りたいと思ひます、併し原則と致しまして、矢張り今後はさう云ふ競爭に依つて優勝劣敗の事態が、産業の伸展には是非とも必要でございますので、經營を合理化して行く爲に、合埋化の線に遲れた人が仕事の上に壓迫を受けることは、或程度今後に於ては起ることではなからうかと考へまして、從ひまして成るべく同業者の方で、さう云ふ共同設備に依つて事業の改善を圖つて行くと云ふ場合には、成るべく之に參加して戴きまして、又仲の良い人達に依つて別の組合を作ることに依つて、其の事業の合理化を圖り、進歩を圖る、斯う云ふやうに進めて行きたいと思ひます、日本の産業も今後海外の産業と競爭して、輸出市場等を確保する爲には、相當の合理化を圖つて行かなければならぬかと考へまするので、現状維持のみに重點を置きますると、其の心配と云ふものがなくなりまするので、或程度の進歩、改良、發達の出來ますやうなことを矢張り組合の事業に依つてやつて行くことがあると思ひます、さう云ふ場合には成るべくそれに皆さんが合流をして戴きまして、其の改善の線に沿ふやうに御協力を願ふやうに致したいと思ひます、又行政官廳の方面に於きましても、さう云ふやうな御指導で不當の壓迫がないやうに、合埋化の方に參畫をして戴くと、斯う云ふやうにして行きたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=16
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017・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 只今工務局長と鑛山局長が出席して居りますので、工務局、鑛山局關係の御質問がございましたら、此の機會に御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=17
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018・交野政邁
○子爵交野政邁君 鑛業は大體大事業のものが非常に多いやうに考へて居りますが、協同組合を拵へる必要のあるやうな、中小の業者は鑛業の方面ではどんなものがございますか、其の點御説明願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=18
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019・池田欽三郎
○政府委員(池田欽三郎君) 只今御質問のございました鑛山方面は、今御話のございましたやうに、大體大きな鑛山が主體をなして居るのでありまするが、鑛種に依りまして中小のものが相當あるのであります、例へば鐵鑛山に付きましても大きな山もあるのでありまするが、中小の山も相當ございます、特に「マンガン」、「クローム」と云ふやうな鑛山に付きましては、中小の山が中心をなして居ると云ふやうなことになつて居るのでありまして、是等の山に付きまして、例へば共同物資の購入でありますとか、或は共同金融と云ふやうな面に於きまして、協同組合を活用して行きたいと、斯樣に考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=19
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020・交野政邁
○子爵交野政邁君 只今の御説明のやうに、比較的小規模な鑛業もあるやうな御話でございましたが、大體鑛業は非常に遠隔な地位にありまして、各各非常に離れた地位で一つの獨立した企業をやつて居るやうに思はれます、さう云ふ場合に共同購入だとか、色々なさう云ふ共同的の利益を受けることは非常に少いやうに考へられますが、其の點…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=20
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021・池田欽三郎
○政府委員(池田欽三郎君) 鑛山の數は大體金屬山に於きまして千位あるのであります、其の中所謂重要鑛山として商工省の方で指定して居ります山が二、三百と云ふやうな數でありまして、後は所謂中小鑛山と云ふことになつて居るのであります、御話のやうに鑛山は地理的關係から致しまして、他の中小の商工業のやうに共同施設をやると云ふやうな分野は甚だ少いのでありまするが、從來統制組合と云ふやうなものもございまして、先程も申しました共同物資の購入でありまするとか、共同金融とかさう云ふやうな面に働いて居るものもございまして、今後さう云ふやうな面に於きまして此の協同組合法を運用して行きたい、斯樣に考へて居るのであります、御話の通り他の商工業に較べますると、其の活動範圍に付きましては相當制限を受けると云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=21
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022・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 他に鑛山局長に御質問はございませぬか、別に御質問もないやうでございますなら、一言私質問さして戴きます、是は鑛山局と工務局と兩方に開聯する問題だと思ひますが、御承知のやうに勞働組合法が制定されまして、勞働者の地位が向上され、内容が充實されると云ふことは、一面非常に結構なことではございまするが、之が爲に中小商工業者に及す影響も決して少くないと思ふのでございますが、在來のやうな中小商工業竝に小鑛山等に於きまして、極く原始的な手段に依つて經營して居りまする所の業者、事業者と云ふものが今後是等相當恒久化される勞働力を利用する力が十分ない場合が想像致されるのであります、さうなりますると、自然中小商工業、鑛山も加はりまするが、さう云ふ方面に於きましても、或程度の機械化と云ふことが當然考へられて來る譯であります、處が機械化すると云ふ爲には生産額の増加、或は商品の捌け口の擴大と云ふことが當然考へられねばならぬのでございまするが、現状に於ては其の目的を達する爲に色々な障碍がある譯であります、此處に非常な苦しい問題が起らうとは思ひまするが、併しながら勞働力と云ふものが相當能率化し高度化すると云ふことは否めない事實である以上、事業者、經營者と云ふ者に於きましても、勞働條件に對應するだけの手段は、好むと好まざるとに拘らずどうしても採つて行かなければならぬと云ふことにならうと思はれます、又將來の發展の上から云つても、在來のやうな所謂「ドメステイック・インダストリー」と云ふやうな形で行くことは、日本の將來に決して望ましくないと思ふのでありますから、是等に對しましても相當に小規模ながらも有らゆる部面に亙つて機械化すると云ふことが、私は當然考へられなければならぬと思ふのであります、是等に付ては矢張り政府が指導的立場に依つて、機械化すると云ふことを當然考へられる、それには此の協同組合法の如きものを活用されることが非常に私は賢明だと思ふのでありまするが、さう云ふ難局に立つて居る現在の日本として、それを出來るだけ機械化すると云ふことに付ての御計畫と云ふやうなものがおありでありませうか、又さう云ふ御意思がおありでございませうか、此の點を兩局長から承つて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=22
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023・池田欽三郎
○政府委員(池田欽三郎君) 鑛山の面に付きまして私から御答を申上げたいと思ふのでありますが、御話の通り、中小の鑛山に於きましては御話のやうな點もございまするし、又日本の鑛石の品位なり埋藏量が他國に較べまして非常な見劣りがすると云ふやうな關係から致しまして、餘程合理的に經營をしなければ採算がとれない、又外國の製品に對抗出來ないと云ふやうな實情にあるのでありまして、御説の通りに之が合理化を圖りまして、機械化を促進すると云ふことは、是非やらなければならぬと思ふのであります、其の點に付きまして今回の協同組合を活用致しましてやることは勿論でありまするが、現在商工省と致しましてとつて居りまするやり方は、御承知の通り極めて鐵鋼其の他の資材が現在に於きまして不十分でありまして、新たに機械を作つてそれを廻すと云ふやうなことは、さう云ふ面に於きましても、又資金其の他の面に於きましても、なかなか十分に參らぬと云ふのが實情でございます、それで現在やつて居ります方法と致しまして、戰爭中戰力増強と云ふ爲に採算其の他を總て度外視しましてやりました山、主として鐵山、「クローム」山、「マンガン」山、さう云ふ所に多いのでありまするが、さう云ふやうな所の山にあります現在遊んで居る機械設備、それを、今後増産しなければならぬ所の例へば銅山でありますとか或は硫化鐵鑛の山でありますとか、硫黄の山とかさう云ふ必要な方面に向けて行きたい、斯樣に考へて居りまして、其の具體的な計畫を全國鑛山會を中心と致しましてやつて居るのであります、又戰爭中宇久須、是は伊豆にあります明礬石の山でありますが、それを開發する爲に相當あちこちの山から機械設備を運び込んだのでありまするが、さう云ふやうな設備を必要な山に再配置致しまして、必要な鑛石の増産を致したい、斯樣に考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=23
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024・鈴木重郎
○政府委員(鈴木重郎君) 一般工業方面に於きましても全く同樣でございまして、御承知の通り今迄の中小工業が眞に堅實な發展を遂げるに色々な困難な事情の最も大きなものは、矢張り技術の低劣な點にあつたやうに見受けられるのであります、今後の中小工業が眞に健全な發達をする爲には、何と言ひましても其の技術水準を向上し、其の經營の合理化を圖ると同時に、優秀な製品を、而も規格統一の取れた優秀なものを作り出すと云ふことが根本でなければならないと存ずるのであります、それに付きましては從來の中小工業者個々の設備はそれぞれ所謂纒つた機械を持たない、又最後の仕上の工程に必要な機械を持たないと言つたやうな事柄が其の缺陷を成して居るのでございまして、今後或製品を規格統一の取れた、而も揃つて優秀な製品に纒め上げると云ふことに付ては、どう致しましても此の共同施設等に依りまして、個々の業者には入手し難いやうな機械設備を補ひまして製品統一を圖り、優秀な製品を作り上げると云ふことが最も必要であると存ずるのでありまして、其の意味に於きましては今後の中小工業等に於きましては色々の面に於けるさう云つた機械化と云ふことよりも、さう云つた意味の製品の技術向上なり、或は規格統一の取れたものを作る爲の機械化を特に必要であると考へまして、恐らく協同組合の方面の利用せられる理由も中小工業に於てはさう云ふ點から改善されて行くと存じて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=24
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025・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 只今の御説明で一通り了解致しましたが、私の最も心配するのは、今後に於ける勞働問題に對しては如何なる立場を執つて行くかと云ふことが相當問題ぢやなからうかと思ふのでありますが、商工業者にしても、五人、十人、或は數十人を使つて居ります會社が決して少くないと思ふのでありまするが、是等の勞働者が在來の賃銀と違ひまして、非常な高率な賃銀を要求して仕事をして行くと云ふことになりますれば、規模が小さければ小さい程其の採算が當然合はないと云ふことになつて來ると思ひます、大規模の工場に於きましてはそれを十分合理化することに依つて、或程度それを「カヴァー」すると云ふことも得るかも知れませぬが、小規模の所謂中小商工業者の方は合理化することに依つて其の賃銀を「カヴァー」する餘地のないのが、私は非常に多いのぢやないかと思ひます、さう云ふ時にどうしても勞働力を減らす意味に於て機械力に替へると云ふことが當然考へられて來るのであります、此處にどうしても勞働問題に正面衝突をする問題が私は起きて來るのぢやなからうか、普通の場合に於ての合理化でございますれば、直ちに職工を減らすと云ふことで解決する譯でございますが、今日のやうな大勢に依つて馘首絶對反對と云ふやうな立場で勞働者が掛つて來る時に、若しも此の本當の現状、理論的な事實と云ふものを押さずして此の勞働力に壓迫されるならば、恐らく中小商工業は私は全滅してしまふのぢやなからうかと云ふことをすら實は心配して居るのでありますが、此の邊に付ての處置に付て、當局の御決心を伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=25
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026・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 最近の勞働運動の傾向が生産と申しますか、企業擔當者の側に於て、何と申しますか、生産意欲を鈍らして居ると云ふやうな傾向があるが、現在さう云ふやうな状況でございます際に、此の中小商工業者の團體でありまする協同組合と云ふものが、矢張りそれに對してどう云ふ立場を取るかと云ふ趣旨の御質問であると考へますが、此の協同組合は成るべくさう云ふやうな問題を緩和する方に指導して行きたいと考へて居ります、中小商工業の場合には使用人の數も只今仰せの通り非常に少いのでありまして、五人、十人、十五人と言つたやうなことで、一々の使用人の性格等も工場主の側で能く分つて居る譯であります、從ひまして御互の立場を成るべく尖鋭化しないやうに致しますることが寧ろ此の問題を解決する一番良い方法であらうと考へます、勿論技術的な改善を致しますることが必要でありまして、勞働力を成るべく「セーヴ」して誠實な製品を作つて行くに付ては、此の機械力の出來るだけの利用と云ふことが必要でありまして、其の爲には共同設備と云ふものが矢張り大いにものを言ふ譯でございますが、それと同時に此の團體を所謂雇主の組合とすることでなくて、所謂勞働者を含めた中小工業の一つの企業と云ふものを單位に寄集めた組合と云ふことに致しまして、強ひて勞働者の勞働組合と對抗する雇主組合と云ふやうな形は成るべく避けまして、勞働者も中に包含して、お互の福利を増進するやうな氣持を此の組合で養成して行きたいと考へます、即ち協同組合の仕事の一つと致しまして、厚生事業と云ふ問題に付ても、組合の厚生事業と云ふものに付ても所謂共同事業を大いに進めて行くことが必要であらうと考へるのであります、例へば厚生物資を共同購入致しまするとか、或は一緒に運動會をやりまするとか、色々此の組合と云ふものを勞務者から見ても、自分達の利益を擁護するやうな風に仕事が仕向けられるのだと云ふやうに進みましたならば、まあ勞資協調と云ふ形ではありまするが、從來の永年の中小商工業に於て見られました所の雇主と勞働者との間の美しい情誼と云ふものを矢張り組合にも活かしまして、組合の事業もさう云ふ風に進めることに於て、今日の尖鋭化した勞働問題を緩和する緩衝的な「クツション」の役目をする機關としても此の組合を發達させて行きたい、斯う云ふ風に考へて居ります、要するに共存共榮と云ふのは事業主だけの立場ではなくて、勞務者を含めた企業それ自體の共存共榮の機關と致しまして、協同組合と云ふものを發達させて行きたい、斯う云ふ風に考へて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=26
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027・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 他に一般的の御質問はございませぬか、一般的の御質問もないやうでございまするから、法案の内容に付て是から御質問を願ひたいと思ひます、相當多數の條項になつて居りまするが、大體各章毎に進めて參りたいと思ひますが、先づ第一章から、「總則」の點に付きまして、一條から六條迄、何か御質疑はございませぬか、別段に御質疑がなければ第二章に入ります、「第二章設立」、第七條から第十一條迄発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=27
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028・中田薫
○中田薫君 私第九條に付てちよつと御質問致したいのですが、此の「定款は、組合が組合員の自由な意思に基き民主的に組織され」と云ふことがありますが、此の民主的と云ふのは近頃流行る言葉ですが、分つて居るやうで分らぬやうな意味の言葉なんですが、此の法文の上に民主的と云ふことを掲げる以上、何か一つの決つた定義と云ふものでも御定めになつて御用ひになつたのでありますか、それから定款が「組織され」と云ふのも甚だ耳新らしい文字でありますが、是は何か特別な意味があるのでありますか、或は單に作成するとか、或は編成するとか、構成するとか云ふやうな意味と變りはないのですか、特に定款が「民主的に組織され」と云ふと非常に新らしいやうに聞えるのですが、其の點を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=28
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029・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 民主的と言ふと如何にも新らしい言葉でありまして、此の法律外には物資需給調整法にも同じやうに「民主的に組織され」と云ふ言葉が使つてあります、是は大體狙つて居りまする所は設立致しますることが組合員の自由な意思に基くと云ふこと、加入脱退等も組合員の拘束せられざる意思に依つて加入脱退が出來ると云ふこと、或は議決等が所謂一人一票の原則に依つて行はれると云つたやうなことが民主的と云ふ言葉に依つて代表された意味でございまして、是等に付きましては、物資需給調整法の場合に於きましては其の内容を勅令に謳ふ積りで居ります、此の協同組合法には既にさう云ふ條文が各條に入つて居りますので、特に細かい點は謳つて居りませぬが、例へば議決權を一人一票を原則にしますとか、加入脱退が自由でありますとか、各條にそれぞれ書いてございますので、さう云ふ趣旨を茲に表して居るのであります、尚只今の定款が民主的に組織されると云ふことでございますね、組合が組合員の自由意思に依つて決定される、さうして且運用するやうに定款を作ると云ふことでございまして、定款と致しましては所謂協同組合が民主的に組織され且運營されるやうに定款を作らなければいかぬと云ふことを考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=29
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030・中田薫
○中田薫君 さうしますと、民主的と云ふのは各組合員の自由な意思に基く、是だけで宜い譯なんですね、本當はさう解しても宜いのですか、別に民主的と云ふ言葉は…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=30
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031・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) もう少し色々ありまして、此處に書いてございます所の「組合員の自由な意思に基き」、是は「組織され」と云ふ言葉に懸つて居りますので、先づ作りますことが自由な發議に依ると云ふことが書いてあるのでございまして、「民主的に組織され」と云ふのは其の外に只今申しましたやうに、「運營され且」以下の方にも懸る譯でございまして、加入脱退が自由でありますとか、議決權が平等でありますとか云ふやうな有らゆる制限を持つて居らぬと云ふことに全部懸つて居る意味でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=31
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032・中田薫
○中田薫君 さうしますと、民主的と云ふのは民主的と云ふ言葉が甚だ瞹昧でございますけれども、詰り自由平等と云ふやうな意味に解して宜いのですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=32
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033・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 大體左樣でございまして、特別な拘束を受けない、個人の意思が拘束を受けないで組合の中で活動が出來る、斯う云ふ意味でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=33
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034・中田薫
○中田薫君 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=34
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035・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 第二章、十一條迄、御質問はございませぬか、第三章に移ります「第三章事業、」十二條から二十條迄、御質問を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=35
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036・橋本萬右衞門
○橋本萬右衞門君 昨日も商品券のことに付て御尋ね申上げたのですが、第十三條ですが、甲の縣に於ては出資額迄許可し、又或縣に於てへ出資額の三倍迄發行を許可すると云ふやうなことがあつては、矢張り銀行券の増發と同じやうに惡現象をなすのではないか、又露店商人の場合に於ては信用薄弱なるに拘らず、又無制限の發行をするやうな場合もあるぢやないかと思ふ、それで出資總額の十分の一とか或は適當なる額に制限する御意思はございませぬか、行政官廳の許可を得て出資總額の何分の一を限度とし云々、と云ふやうな制限を御加へになる御意思はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=36
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037・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 商品券の發行に付きましては、昨日も御答へ致しましたやうに、是が紙幣類似證券の如き發行に於きまして、てんでんに流通すると云ふことは、各種の弊害を生じますことは御指摘の通りであります、從ひまして此の法律の上には直接謳つてはございませぬが、實際之を發行許可を致します時の行政官廳の許可の基準と致しましては、勿論全國地域に依りまして不均衡を生じないやうに致しますと共に、今の出資總額と睨み合せまして、一定の限度を設けるとか云ふやうな、組合の信用力其のものとの關係も十分睨み合せまして、適當の制限を置きたいと思ひます、是は或は施行規則に於てやることになりますか乃至は通牒で致しますか、兎に角行政上は適當の制限を設けることに處置致すことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=37
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038・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 別段御質疑がなければ第四章「組合員の權利義務」の章に移ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=38
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039・中田薫
○中田薫君 二十一條に關することでございますが、先程も吉田委員から出資のことで、一口の金額の最小最高限度をどう云ふ風に定めるかと云ふ御質問が出ましたが、それに對して定款でそれは定める、それに一任すると云ふ御答であつたやうに思ひますが、私の更に御尋ねしたいことは一人で澤山持つ、或は資本の大部分を一、二の組合員が持つてしまふと云ふことになりますと、成る程二十四條には組合員は平等に此の決議權と云ふものは持つて居りますけれども、併し事實に於ては矢張り大きな資本家の方がものを言ふ、殊に先程の御話では大企業の者も此の組合員になることが出來ると云ふ御話でありましたが、さうしますと一、二の者が大部分の資本を持つ、即ち出資を澤山すると云ふことになりますと、蔭で其の資本がものを言ふことになりまして、折角の二十四條の平等の議決權と云ふものも是は「ノミナル」のものになつてしまやしないかと思ふのであります、それで例へば資本の何分の一、半分なら半分、三分の一以上は一人で持てない、出資を幾口以上は持てないと云ふ制限を置く必要がありはしないか、それでないと折角民主的と云ふことになりましても、民主的でない、矢張り資本の勢力と云ふものは蔭で事實上ものを言ふのですから、表向きは平等の表決權でやるとありますが、其の制限を何故御置きにならなかつたのですか、或は之を定款に一任すると云ふ御趣旨であつたか知れませぬが、併し定款も此の自由意思に依つて定まるのですから、必ずしも其の制限を定款が置くと云ふことは決つて居らぬと思ひます、創立當時に於て色色の加入の組合員の大事業家であるとか、大會社であるとか云ふ場合に於ては、多數斯う云ふ風に資金を御出しになつて宜いと云ふ風になりはしないかと思ひます、此の點どう御考へになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=39
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040・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 此の組合が共同設備などを作ります場合には、成るべく澤山の資金が要るのでございます、と申しまして此の中小の方々の中には澤山の出資が出し得ないのが隨分ございます、隨ひまして原則的に出資を平等にするとか、或は或程度制限を置きますと、非常に少い人が出し得ない爲に、何と申しますか、多額の金が集らぬと云ふことがあるのでございます、實は此の前の法律には此の出資と議決權の問題に付きましては、出資口數に於て議決權に差等を設けるやうな規定になつて居つたのでありますが、今囘は二十四條は一人一個となつて居る譯でありますが、私共が實は心配を致して居りまするのは、只今の御質問よりも、寧ろ逆な例でございまして、出資を僅かしかして居らぬ人が議決權を一個持つ爲に非常に色々な要求を致しまして、爲に澤山の出資を出すことを、割合に中小工業の中でも裕富な産業の方で嫌がるのではなからうか、逆な方に今迄の經驗から考へて居りまして、澤山出すことに依つて其の設備に或程度の威力を揮ふやうなことは、二十四條の規定が出來ました以上は、是は日本の從來の施策も、組合員のやり方も惡かつたやうでございますが、今後も、其の何は急に改らないやうなことになるのではなからうかと考へまするので、寧ろ逆に斯う云ふ出資金を澤山集めまする上に於て障碍になつて居るのではなからうかと、斯う云ふ風に考へて居るやうな譯でありまして、矢張り此の制限は此の出資の、澤山出しまする方の制限を致しませぬで、成るべく一つ澤山出して貰つて、出せる人には澤山出して貰ひまして、立派な共同設備を作つて行く、或は共同施設を行くと云ふ風に、組合の事業を擴充する爲にはさう云ふ制限を設けない方が宜からうと考へて、さう云ふやうな施設を致して居る譯であります、今迄の經驗から申しますると、寧ろ逆のやうな例が非常に多かつたやうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=40
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041・吉田久
○吉田久君 今中田委員から御尋になりましたことに付て、私も多少疑を持つて居るのでありますが、矢張り二十四條で、「組合員は、總會において各各一個の議決權を有する」、平等だと云ふことからして、出資を澤山する者がなくなりはせぬか、一口出資した者も一個の表決權を持ち得る、十口、百口出資した者も一個の表決權を持ち得ると云ふことになりましては、表決權は總會の決議を牛耳る權利でありますからして、總會に於て自分の思ふ通りの意見が通らない、詰り一口持つて居る所の出資組合員の數に壓されてしまつて、自分の意見は通らない、それでは馬鹿々々しいからして出資はしないと云ふことになつて、出資をすることを尻込みしやせぬか、其の結果、出資の口數だけは平等になるかも知れませぬけれども、只今政府委員から仰つしやつた所の、相當に本組合に於ては資金を要する、其の資金を集めると云ふことに於て遺憾がありはせぬか、遺憾のないやうにしたいと云ふことに付ては、どうも今申上げました出資額の制限若しくは二十四條の此の表決權の平等と云ふことに絡んで大いなる疑があると思ふのであります、此の點に付て尚一應御所見を拜聽致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=41
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042・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 只今私少し説明を略したのでございますが、確かに一人一個の議決權になりますと、大きな方も澤山出資を致しましても、權利は一つしかないと云ふことで、多額の出資を澁られる傾向があると思ふのでございますが、唯今度の協同組合と云ふものは從來の組合と違ひまして、仲の良い方同士の協力に依る組合でございます、從ひまして一つの地區に二つも三つも出來ることを豫想して居る譯でございまして、本當に仲の良い人同士が寄つて協同設備などを作つて行く譯でございますから、まあお互に組合員が能く理解されて作る組合でございますから、議決權が一個でもさう云ふ趣旨で行けるのではなからうか、必要であれば相當出資をし得る人は出しても宜いのぢやないか、斯う云ふことが此の組合の基礎的の觀念になつて居るものでありますから、此の現在の規定で相當の資金も集つて行く、斯う云ふ風に考へて居ります、併し今迄の組合では只今申しましたやうな懸念があつたのでございますが、新しい協同施設組合、從來の統制組合と違ひまして、協同施設組合と云ふ、お互に能く利害關係の深い、而も仲の良い者同士の集りと云ふことで、何とか此の規定でやつて行けるのぢやなからうか、斯う云ふ風に考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=42
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043・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 第四章に別段御質問ございませぬか、然らば「第五章管理」に移ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=43
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044・中田薫
○中田薫君 屡屡御質問申して恐縮でございますが、極く簡單に…此の三十一條では衆議院で修正があつたと云ふ此の前の大臣の御説明は、確か此の條文ではなからうかと思ひますけれども、是は修正にならぬ原案なんでございますね、さうすると此の修正の文言を一つ聽かして戴きませぬと、趣旨は分りますが、どうなつて居るかちよつと分らないのですが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=44
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045・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 一應私から御答へ致します、此の委員會では衆議院で修正されたものが原案として係つて居る譯であります、從ひまして御配りしたものには、所謂政府の原案の儘になつて居りますが、其の外に衆議院から送付されました協同組合法案の貴族院議長に宛ての報告の中には、向ふの訂正がはつきりと印刷して載つて居るのであります、之を附けましたのが所謂此の委員會の原案と云ふことになつて居ります、御參考迄に讀み上げます、第三十一條の第三項に「特別の理由があるときには、理事のうち二人以内を限り、前項に該當しない者のうちから、これを選任することができる」、さうして第四項には「第四十一條第二項の規定は、第二項本文の場合に、これを準用する」と云ふことに訂正されて居ります、是が此の委員會に於ける原文でございます、尚此の際御注意申上げまするが、皆樣の御手許にございます商工協同組合法案の中には、印刷の誤りが十箇所ばかりございまして、是は御手許に正誤の印刷物を廻してある筈でございますから、之に依つて御了解を願ひたいと思ひます、從つて此の印刷の訂正されたものとしての原案であることを御了解を願つて置きます、從ひまして第五章管理の第三十一條は、衆議院から訂正されて參りました只今の條項を加へたものとして御審議を願ひたいと思つて居ります、此の訂正に付ては、政府も同意を致して居ると云ふことは、先般大臣からの御説明の内容で御承知だと思ひます、第五章は別段に御質問がございませぬければ…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=45
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046・鶴殿家勝
○男爵鶴殿家勝君 第五十條の一番終ひの項に「通常到達すべき時に、」と云ふのがございますけれども、それは常識で判斷するのでございますか、それとも此の頃は非常に遲れますが、「通常到達すべき時」とは大體どう云ふ標準で見て宜いものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=46
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047・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 御話の通り「通常到達すべき時」と云ふのは今日の通信事情其の他から申しまして、非常に今日の通信事情が變則的な状態になつて居りますが、結局其の時々の常識と申しますか、社會的な各種の事情に依りまして決定すべきものだと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=47
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048・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 他に御質問もございませぬければ「第六章監督及び違法處分に對する救濟」の章に入ります、第五十一條から第五十三條迄、別段に御發言がなければ「第七章解散」の章に入ります、第五十四條から第六十三條迄、別段御發言がないやうでございますが、御發言がなければ「第八章商工協同組合中央會」の方に移ります、第六十四條から第七十條迄、別段の御發言もないやうでありますから「第九章罰則」に移ります、第七十一條から第八十二條最後の條項に至る迄、別段御質問ございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=48
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049・交野政邁
○子爵交野政邁君 第七十八條に「商工組合中央金庫」と云ふのがございますが、先達ての政府委員の御説明では中央金庫が組合に融資すると云ふ御話でありましたが、此の融資の方法とか手續などは普通銀行より餘程簡略に迅速に行くやうな御考へでありますか、近來の經濟状態では、相當中小商工業者の資金が、以前より數倍のものになると思はれるので、又長期の融資が必要な場合も多々起ると思ひますが、さう云ふ點普通銀行より簡略に、迅速に出來るやうな御考へがあるでありませうか、それをちよつと伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=49
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050・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 從來は此の商工組合中央金庫は、預金部資金を融通致して居りまして、さう云ふ場合には、長期低利の金が出て居つたのでありますが、最近は其の方の資金がございませぬので、何と申しますか、他の一般の金融機關と同じ程度の金融でございます、尚此の金庫の特徴と云ふのは、所謂組合に對する金融でございまして、商工業組合と云ふものは、從來一種の金融機關で、共同事業をやりながら、併せて金融事業を營む譯で、組合に對する金融機關の役目を致して居る譯でありまして、即ち小さい方々の信用のないものを、組合の共同の力で、大體の場合は役員の方々の保證と云ふやうなことで、中央金庫から金融を受けて、之を組合内に融資する、或は共同購入、共同販賣の資金とする、斯う云ふことになつて居るのであります、其の手續が他の普通銀行から比べて簡易であるかと言へば、今日迄必ずしもさうではないやうであります、唯物的の擔保がない場合でも、役員の信用だけで貸し得ると云ふ道が開いてありまして、其の點が多少他の銀行とは違つて居る所ではなからうかと思ひますが、併し今日迄の實績に依りますと、さう樂に金融が出來て居つたやうではありませぬ、併しながら最近の軍需補償打切りに依りまして、商工組合中央金庫自身も金繰りのことは段々窮屈になつて、恐らく出資金も將來に於ては減額をされることに迫られて居るのであります、從つて別に是は建直しを考へなければならぬのでありますが、差當りの問題としては、軍需補償打切りの影響が、此の金庫に付て、どれ位あるかと云ふことが、はつきりして居らないので、取敢ずは産業復興金庫の資金を、此の中央金庫をして、代理業を行はせることに依つて、復興資金を貸出すと云ふことで、一應商工業者の資金融通の道を開いてあります、併しながら其の貸付の方法に付きましては、矢張り金融である以上、或程度の制限はございまして、少くとも役員の方々の保證に依つて、金融をして行く、斯う云ふ建前を執つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=50
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051・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 別段に御質問はございませぬか、それでは私から御伺ひ致したいと思ひます、第七十三條の「この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。」、と出て居りますが、大體何時頃御施行になる御豫定でございますか、伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=51
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052・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 此の法律を施行致します爲には、施行規則を設ける必要がございますので、大體此の議會の御協賛を得ましたならば、一箇月程度の中には施行したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=52
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053・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 各條の審議は一應是で終了致しました、總括的御質問が殘つて居りますれば、此の機會に御發言を願ひたいと思ひます、別段御發言もないやうでありますから、質疑は此の程度で打切りまして、討論に入ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=53
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054・交野政邁
○子爵交野政邁君 此の商工協同組合は非常に進歩した組合だと思ふのでありまして、從つて「デンマーク」、「スエーデン」、「ノルエー」、或は「スイス」と云つたやうな國は、非常な商業道徳が高度に發達して居る國でありまして、殊に人口は稀薄である、さう云ふ所には非常にうまく行はれて居るやうに思ふのであります、今日の日本と致しましては、慘敗の後を受けて、經濟状態は非常に混亂を來し、商業道徳は頽廢して、先程も政府委員から御説明になりましたやうに、戰時中強力な統制で極端に壓迫を受けて來たやうな中小工業が急に百八十度の轉換をするやうな有樣で、此の進歩した組合を運營するに當りましては、幾多の困難が伴ふと思ひます、又勞働組合は時々進歩の徑路を辿つて居りますし、今日斯くの如き進歩した組合が我が國の中小工業の爲に出來ると云ふことは、日本の目下の急務と存じます、それに付きましては、此の儘自由に放任致して置きます場合には、此の發達はなかなか困難だと存ぜられます、就きましては、幸ひ商工大臣も御見えになつて居りますので、特に御願ひしたいと思ふ點は、政府が熱心に御指導になつて、之を一つ育て上げると云ふ親切みが絶對に必要だと存じます、それで此の點を商工大臣に特に御願ひ致しまして、私は此の原案に賛成致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=54
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055・吉田久
○吉田久君 私は質疑の所で申上げましたやうに、本法の共同施設に付きましては、其の共同性の關聯を認める實際的の處置に付て周到な用意と、又之に處する取締とを嚴重に致しまして、以て本組合の運營が獨占業者の運營にならないことを希望し、併せて其の半面に於ては、組合に加入しない中小業者の營業を壓迫することがないやうにと云ふ趣意に於きまして遺憾なきを期せられたいと云ふ點を希望して、本案に付て賛成を表する者であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=55
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056・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 他に御發言はございませぬか、他に御發言がなければ、討論は終結を致します、採決に移ります、「商工協同組合法案」、之を議題に致します、本商工協同組合法案を可決すべきものなりと決定致すことに御異議はございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=56
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057・肝付兼英
○委員長(男爵肝付兼英君) 御異議ないと認めます、是で本委員會は終了致しました、散會を致します
午後零時二十六分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=57
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058・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 男爵 肝付兼英君
副委員長 子爵 柳澤光治君
委員
侯爵 佐竹義榮君
伯爵 清閑寺良貞君
子爵 交野政邁君
子爵 鳥居忠博君
子爵 京極高鋭君
中田薫君
吉田久君
男爵 鶴殿家勝君
結城安次君
高橋龍太郎君
奧主一郎君
秋田三一君
橋本萬右衞門君
國務大臣
商工大臣 星島二郎君
政府委員
商工事務官 吉田悌二郎君
同 鈴木重郎君
同 池田欽三郎君
同 小出榮一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001621X00319461002&spkNum=58
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