1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○生活保護法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=0
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001・会議録情報2
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委員氏名
委員長 男爵 高木喜寛君
副委員長 子爵 京極高鋭君
公爵 島津忠承君
公爵 三條實春君
侯爵 黒田長禮君
伯爵 前田利男君
子爵 北小路三郎君
子爵 實吉純郎君
子爵 安藤信昭君
子爵 榊原政春君
小山松吉君
佐々木惣一君
男爵 奧田剛郎君
男爵 團伊能君
男爵 北大路信明君
男爵 小原謙太郎君
原泰一君
長谷川萬次郎君
野田六左衞門君
板谷順助君
木内四郎君
江口文雄君
正田貞一郎君
岩淵辰雄君
中山壽彦君
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昭和二十一年八月二十日(火曜日)午前十時十一分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=1
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002・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) 是より開會致します、先づ政府當局の御説明を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=2
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003・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 只今議題となりました生活保護法案に付て説明申上げます、本法を提案致しました理由に付きましては、既に本會議で申述べた通りでありますが、現今の社會情勢下に於きまする多數の、而も今後尚豫想される生活困難者の最低生活を國が責任を以て保障する爲には、現行の保護諸法令の如く對象を限定的に規定してあるものを以てしては、十分に其の目的を達することが出來ないので、新たに本法を制定して、保護の徹底を圖らうとするものであります、以下本案の内容に付て説明致します、第一に申上げますのは、本法の目的は第一條に規定してありまするやうに、事由の如何を問はず、現に生活の保護を要する状態にある者の生活を、國が差別的又は優先的な取扱をなすことがなく、平等に保護致しまして、社會の福祉を増進することにあるのであります、但し本法の保護に依存して、徒食する者が生ずることを防止する爲に、第二條に於て、怠けた者や素行不良な者には保護をなさないことに致して居ります、次に申上げまするのは、保護を行ふ機關のことでありまするが、保護を行ふ機關には、保護手續の便宜を考慮致しまして、第四條の規定に依り、原則として保護を受ける者の居住地の市町村長が當ることに致して居ります、民生委員令に依る民生委員が之を補助すると云ふ建前になつて居ります、次に第三に申上げますることは、本法に依る保護を全からしめる爲には、公共團體、公益法人、私人等の施設を活用する必要がありますので、第六條以下に保護施設に關する規定を設けまして、指導監督を加へ、義務を課すると共に、補助、免税等の特典を與へることにして居ります、次に第四に申上げますのは、保護の種類でありますが、保護の種類は第十一條に規定してありまするやうに、生活扶助、醫療、助産、生業扶助及び葬祭扶助の五種類でありまして、其の程度及び方法の詳細は勅令で定めることに致して居ります、保護は居宅に於て行ふのが建前でありまするが、第十二條に依り收容保護も行ふことが出來るのであります、又第十四條の收容された者の作業に關する規定、第十六條の市町村長の指示に關する規定等は、第二條の規定と相俟つて、徒らに本法に依る保護のみに依存することを防止しようとするものであります、次に第五に費用に付て申上げますが、保護に要する費用は第十八條の規定に依りまして、原則として保護を受ける者の居住地の市町村が負擔することに規定して居りますが、國庫及び都道府縣が之に對して補助をなしまして、結局國庫が十分の八、都道府縣及び市町村がそれぞれ十分の一づつを負擔して居ります、又保護施設の設備費は國庫が二分の一、都道府縣及び設置者がそれぞれ四分の一づつを負擔することになつて居ります、最後に本法の制定と共に現行の救護法、軍事扶助法、母子保護法、醫療保護法及び戰時災害保護法は其の必要が無くなりますので、之を廢止することに致して居ります、大體本法は完全なる社會保障と云ふことを行ふ先づ第一前提としまして目下の社會事情にも應じまして、生活保護を先づ第一に行ふて行くと云ふ點に特別な特徴を持つて居る法律であります、何卒御審議の上速かに協贊を與へられむことを希望致す次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=3
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004・板谷順助
○板谷順助君 資料の要求を致します、衆議院に於ける委員會に御提出になりましたる參考資料全部を此の委員會に御提出あらむことを要求致します、それからまだ衆議院の本委員會に於ける速記録が配付になつて居りませぬでありますから、大臣から此の本法案に於ける組織其の内容、或は或程度迄全貌を明かにして戴いた方が審議上便宜と考へるのでありますが、如何でこざいませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=4
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005・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) 其の衆議院の方の資料は全部提出になつて居るさうでございますから……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=5
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006・板谷順助
○板谷順助君 さうですか、まだ配付になりませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=6
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007・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 本法案の大體の此の全貌に付きまして、社會局長から一つ御説明致しますから、御了承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=7
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008・葛西嘉資
○政府委員(葛西嘉資君) 命に依りまして法案の極く大雜把のことを申上げたいと思ひます、先程も御話がございましたやうに、此の救護關係の法令と致しましては救護法、母子保護法と醫療保護法と云ふ一つの體形がございますし、それからもう一つは戰時災害保護法、それからもう一つは軍事扶助法と云ふ五つの法律があるのでございます、此の救護法、母子保護法、或は醫療保護法等に於きましては、對象は限定をされて居る譯であります、救護法に於きましては、六十五歳以上の老人でありますとか、或は十三歳以下の子供でありますとか、或は不具癈疾の者でありますとか云ふ風に、さう云ふ限定をされたもので生活困難な者を救護すると云ふ風な建前に相成つて居ります、母子保護法に於きましても、子を有する母を救護するもので、それで生活の出來ない者を保護して參ると云ふやうな建前に相成つて居るのでございます、それから戰時災害の方は、戰災を蒙つたことに依つて、それを原因としますものに付きまして、應急の救護、或は給與金等の保護、或は生活の保護と云ふやうな風の、戰災を蒙つた者と云ふ限定がございます、それから軍事扶助法は是も亦、御存じのやうに兵役に掛りました爲に生活……一家の支柱が兵役に參ります、應召されたり、或は現役に參つたりします、それであとの者が生活出來なくなつた、或は又傷痍軍人等で生活力が無くなつたと云ふ風な者、或は又傷痍軍人、或は現役で戰死した人の遺族と云ふやうな者、さう云ふ風に對象が皆限定されて居るのでございます、從つて今問題になつて居りまする引揚者でありますとか、或は引揚者の留守宅の家族でありますとか、或は又單なる失業者で衣食を與へることが出來ないと云ふやうなものに付ては今迄の救護法令に依りましては、保護をすることが出來ないやうな工合に相成つて居る譯でございます、それでさう云ふことでは先程大臣からも御話がございましたやうに、今の時代に對處して行くことが出來ないと云ふやうな譯で、是等五つの法律を全部廢めまして、さうして原因の如何を問はず、對象の如何を問はず、生活の保護を要する状態にあるものを皆保護して參る、斯う云ふことであります、第二にもう一つございますのは、此の五つの法律の中でも軍事扶助法の救護の方は、是は勅令で決めて居るのでありますが、保護の程度が軍事扶助法が一番厚いのであります、保護の程度に差がある譯でございます、軍事扶助法が一番厚くて、救護法、母子保護法、醫療保護法は一番低いのであります、それから戰時災害保護法の方は中間を行くと云ふ三段階に保護が岐れて居るのであります、是は今の終戰後の日本の現在の状態と致しましては如何と云ふやうなことでありまして、之を第一條に規定してありますやうに、差別的、優先的な取扱を爲すことなく、平等に保護して參ると云ふことが必要になつて參りまして、苟も保護を要する状態にある者に付ては總て無差別、無優先、平等的な保護をして行くと云ふやうな風に改める必要があると云ふやうなことから此の法律が出來たやうな次第でありまして、對象に於ての點と、保護の厚薄の點等に付て非常に違ふ點があります、さう云ふことになつて參りまするのと、もう一つは保護のやり方と云ふものが多少まあ從來の保護法令に於きましては……前後致すのでありますが、何と云ひましても、救護法と云ふやうな法律の匂ひと云ふものは如何にも慈善的と申しますか、恩惠的と申しますか、さう云ふやうな色彩が非常に多い、此の際國が全部全責任を持つて、それ等の人を保護して參ると云ふ風なことが、今衆議院で議論されて居りまする憲法等に於きましても、基本的な人權尊重と云ふやうな立場にありますことから考へましても、國が責任を持つて保護をして參る、慈善的、恩惠と云ふやうな色彩を拂拭して參らなければならぬと云ふやうな點が、本法と從來の一部の保護法とは違ふ點だらうかと云ふ風に了解を致して居る譯でございます、大體總論的には斯樣な風に致しまして、國が苟も保護を要する状態にあるものは無差別平等の保護をして參ると云ふやうな原則を打立てまして、多數の生活困窮者に國家が責任を持つて保護をして參ると云ふことを宣言して實行して參る譯であります、さう云ふ風なことになりますると、もう一つ心配になります點は、惰民養成と申しますか、之に係ることに依つて殆ど働くと云ふ風なことをしないで、唯徒食する、保護に狎れてしまふと云ふやうな心配も起きて參る譯でありますので、先程大臣からも御説明がございましたやうに、さう云ふやうな惰民養成を防止すると云ふやうな意味から致しまして、本法ではさう云ふことのないやうに注意を致して居る譯であります、それが一番大きな點だと思ひますが是が第二條であります、苟も働き得る者で、而も勤勞署で御世話すれば職があると云ふやうな者に付ては、それで働かない者は保護をして參らない原則を第二條に掲げてある譯であります、それから第十六條でございますが、保護を是から受けようとする者、或は現に受けて居る者に付ては、勤勞其の他生計の爲に働き得る者は働けと云ふやうなことを言つて、さうして是の指示に從はない者に付ては保護を止めると云ふことが出來ると云ふ規定を設けて居ります、保護施設等に入つて居る者に付ても、適當な作業を課すると云ふ規定が第十四條にある譯であります、それから尚もう一つさう云ふ點に關聯して居ると思ひますから申上げますれば、是は國が保護をすると云ふ建前を採つて居りますので、直接國なり或は知事なりが、保護機關になると云ふことも考へられる譯であります、現に軍事扶助法、戰時社會保護法等に於ては市長、府縣知事、或は地方事務所長と云ふやうなものを保護機關に致して居ります、救護法と母子保護法とは町村長を保護機關と云ふことに致して居りますが、本法に於ては多數ある要保護者の實情を一番よく知つて居る者は第一線の市町村長であると云ふ建前から本法に於ては市町村を保護機關にする、是には一番事情をよく知つて居る第一線方面委員と云ふことに相成つて居るが、今度方面委員も性格を改めまして、名前も改めて、民生委員と致すことになつて居ります、此の民生委員が第一線の市町村長を補助致しまして、一番よく實情を知つて居るものを保護機關にすると云ふやうな點も、法が適切に行くと云ふやうなことを願つて居りますると同時に、徒らに保護に頼る者をなくすると云ふやうなことだと思ふ、それからもう一點は費用の負擔の點でございますが、保護費第五章以下でありますが、大體保護の方は國が責任を持つてやると云ふ建前を採つて居るのでありますが、矢張り國と言ひましても要保護者に付ては、市町村或は府縣等も無關心で居られぬ譯であります、又一面幾らか地方費に負擔させると云ふ風なことが、自分の仕事であるやうに考へて戴くことが、保護の濫給を防止すると云ふやうな點に役立つのではないかと思ふのでありまして、大臣から御説明がありましたやうに、一部地方費負擔を命じて居る譯であります、併し性質が斯う云ふ風な性質でありますので、保護法施行の費用は分與金で府縣市町村長に流すことになつて居ります、實際上は矢張り殆ど國の持つ分としては全額國費と大差ないやうなことになつて居る譯でありますが、一應先程大臣から御話がありましたやうに、十分の八を國が持ち、十分の一づつを地方で、府縣市町村長で持つと云ふやうな建前に致して居る譯であります、さう云ふ風にして濫給と云ふやうな點も防止して參りたいと云ふやうなことに相成つて居る譯であります、それから保護機關或は保護施設、保護施設と云ふのは、是は從來の先程大臣から御説明がありましたやうに、居宅で保護するのが本體でありますけれども、さう云ふことの出來ないものは保護施設を設けて、是は町村公營のものもあれば、私宅の施設を保護施設に認可してやると云ふやうなことで、收容保護と云ふやうなことも是で致して居る譯であります、それから保護の種類でありますが、生活扶助、醫療扶助、助産、生業の扶助、此の四つに付きましては從來あつた訳でありますが、今囘新たに葬祭扶助と云ふものを規定致したのであります、是は其の日其の日はどうにか生活を致して居りますが、一度一家の中から不幸があると云ふやうなことになると御葬式が出せないやうな家も相當あるので、若干の費用、器具の貸與と云ふやうなことに依つて御葬式を出さしてやらうと云ふやうなもの、是は多分に地方の實際で、今のやうな實例があつて非常に御困りになつて居ると云ふことを聞いて、今囘は之を入れた譯であります、他は從來の保護法令等のものを其の儘大同と小異の所がありますが、特段に御説明申上げるやうな改正は致して居らぬ譯であります、尚足らぬ點がございまするが、御質問其の他に依りまして御答へ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=8
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009・板谷順助
○板谷順助君 只今の御説明に依りますれば、大いに疑問が生ずる譯でありますが、從來の保護の範圍を擴めて、廣く失業者の困つて居る者も成程度保護する、斯う云ふ意味でありますが、御承知の通り現在の世相に於きましては殆ど富の再分配が行はれむとして居り、又補償打切の結果、相當の失業者も從つて出ることでありますので、大體此の生活保護法の基本となる失業者の解釋、如何なるものを失業者と看做すか、御承知の通り現在の日本の再建と云ふことに付ては、手足の動く者は皆働かなければならぬと云ふ現状であります、今御話の通り惰民を作ることは避くべきでありますが、失業者を一體どの程度に解釋されて居るか、大臣の御答辯を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=9
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010・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 御答へ致しますが、それと關聯致しまして、只今社會局長から段々内容に付て説明致しましたが、もう少し基礎的のことで私から二三申上げて、其の問題と關聯致しまして、失業者問題の關係を申上げたいと思ひます、大體此の法律は憲法草案の第二十三條と思ひますが、結局最低生活の保障と云ふことの爲に法律を立案されなければならぬと云ふ風な規定になつて居りまして、今度多分衆議院の小委員會で多少それが變更されるかも知れませぬが、勿論趣旨はちつとも變はらないのでありまして、其の點に基きまして、どうしても國民の最低生活を保障して行かなければならぬと云ふことが、國家が責任を持つて行くと云ふことが、法の基礎になつて居ります、併し其の最低生活の保障と申しますか、もう少し廣く言へば、社會保障と申しますか、それが此の法律だけでやれる性質のことぢやありませぬ、社會保險の制度も入りませうし、それから失業對策の如き問題も入りませうし、色々の面からやつて行かなくちやならぬが、是は兎も角も、言葉は惡いが、一つの線から落ちたやうなものを拾ひ上げて行くと云ふ一つの考へ方が根本になつて居ります、それで皆を保護して行くと云ふ建前が、縱の保護でなく、横の保護と、言葉は少しく抽象的でありますけれども、と申しますのは例へば今迄の日本のやり方では、戰災者は戰災者で保護して來ました、軍人の遺族は軍人の遺族、それから一般の貧困者は貧困者、母子は母子と云ふ風に斯う縱にやつて、そこで戰爭遂行と云ふことと關聯しまして、其の間に自から厚薄が出來て來て居る、それで其の點に付きまして、聯合國側から「デイス・クレヂット」を生じまして、さう云ふやり方は面白くない、原因の如何は問はず、或程度以下の生活者と云ふものはもう擧げて救はなければいかぬのだから、結局横に線を引いて、それからどうしても叶はぬと云ふものは、全部優先的と云ふことは言はないで平等にやつて行くそれが今の民主的なやり方だと云ふ考へになつて居ります、それを基調にして今度の法案だ出來て居ります、そこでそれぢや其の横に線を引いて、共の横の線から以下にどう云ふ人がなるかと云ふ問題になりますると、是は非常に區々であります、一番多からうと思ひまするのは、引揚者であります、是は八十萬家族、もう殆ど御承知の通り「リユックサック」一つで子供の手を引いて歸つて來る、国を離れて長い間經つて居れば縁故も少いし、なかなか旺盛な氣力を持つて居りますけれども、どうしても生活に困ると云ふ者も非常に尠くないのであります、それから戰災者であります、戰災者は大分日が經ちましたのと、大分縁故關係があるので引揚者から見ますると、大分安定して居ります、それから戰爭に依つて戰沒した人の遺族、或は傷痍軍人、或は癈疾者と云ふ御方は、もう是は申す迄なく非常に御氣の毒な状態である、それから海外引揚をまだ了せぬ人の、所謂在外者のこちらに居る留守家族、是も非常に困つたもので、それから今迄の所謂貧困者、是は富の分配も御承知の通り色色變化がありました、前よりは餘程變つて來ました、さう云ふ色々な原因が相當澤山あります、それを横の線を引いて考へて見る、そこへ失業者と云ふものが今度は加はつて來る譯であります、失業者のことに付きましては、是はもう失業對策として色々考へつつあるのでありますが、是は四月の二十六日の人口調査の時に出ました數字から見ますと十三歳以上六十一歳迄の人で、就業して居ない者と、一週間以内しか就業して居ない者は男女共ありまするが、二百五十五萬人と云ふものがあるのであります、其の外に一週間から二十日迄就業して居ると云ふ者、是は失業者にもなるし、ならぬ者もあるし、潜在失業者と申しますか、それも多數あるのであります、現に就業して居ない者及び一週間以内しか就業して居ない者は二百五十五萬、其の後色々海外引揚者、復員軍人が非常に參りますので、是はずつと積算致しまして、引揚者全體を考へますると百五十萬位の者は矢張り失業に準ずる失業であらうと思つて居ります、それから今度の軍需補償の打切などで約五十萬ばかりの數字が出て居ります、是は各業別に推定した數字でありますが、それから補償撤廢などで矢張り十五六萬、其の外で二三十萬と申しますのは、軍需補償の打切の直接の會社、軍需補償金を貰ふ會社を對象にしたのですが、それから間接の影響があると思ひますので、全體に補償打切に伴つて約百萬位を想像しなくちやならない、さうしますると、此の年度に於て約五百萬と云ふものは想像しなくちやならない、其の外に「プラス」として潛在失業者が相當出來る見込であります、此の中、日本の失業者と云ふ状態は「アメリカ」の失業者や「ヨーロッパ」の失業者とは多少性格の違つた點がありまして、昭和六七年の失業の状態の如きに於きましては、自然と日本の家族制度などの影響で田舍に吸收されたと云ふ状態も餘程顯著なものもありました、今日と非常に事情は變つて居りますけれども、どうも外國の失業者とは多少性格は變つて居ると云ふやうな事情もありまして、此の失業者が本當に街頭に現はれて來なくちやならぬと云ふやうな状態になるにはどう云ふ風になるかと云ふことは非常に豫測の困難な問題であります、例へて申しますと、二百五十五萬と云ふ失業者が四月の二十六日の數字には出て居りますけれども、是はどう云ふ風にどう存在して居るかと云ふことは、なかなか捕捉出來ない問題でありますけれども、何れに致しましても、其の中で生活の因難を來す者も相當あらうと云ふ推定になります、それは退職金を貰ふ人もあれば、貯蓄を持つて居る人もありますから、さう云ふことはさう云ふことでやつて行ける、それもやつて行けぬと云ふ人が此の方法になる譯であります、其の失業者が必ずや今申上げました戰災者とか、引揚者とかと云ふ者の外に入つて來る、勿論引揚者なども其の失業者の一人に數へて居りますけれども、是は矢張り失業問題と生活保護問題は一つの線になつて居ると思ひます、此處らでぼけてしまつて一つの線になると云ふ風になると思つて居ります、それからもう一つ申上げますことは、失業者の性格と申しますか、特徴と申しますか、今迄非常に爛熟したとか、中毒現象を起したとか云ふことで、物が過剩生産で失業者が出來た、丁度千九百三十年から三十四五年に掛けての當時のやうな風に、物が出來過ぎて失業者が出來たと云ふのが今迄の通則でありますが、今度のは別でありまして、戰爭の終了と云ふことの爲に偶發的に出來て居る、補償の打切とか、海外の引揚とかと云ふやうな偶發的の問題から出て來て居りまして、一方生産が非常に少いので、どうしても此の失業の對策としては生産本位と云ふ一つの太い線に沿つてやつて行かなければならぬ、旁旁積極的に失業者を救ふと同時に生産擴充をして行く、一石二鳥の狙ひでやつて行かなければらならぬ、併し是も徹底的には行きませぬ、迚も失業者が溢れて來れば矢張り戰災地の跡片付けとか、直接生産にならぬこともやつて行かなければならぬものが多いと思ひまするが、出來るだけ生産部面に沿つてやつて行かなければならぬと云ふ一つの特徴を持つて居ります、又それが國家に大切なことと思ひますので、矢張り生産保護の面も唯金を與へるだけでなく、出來るだけ仕事を與へたいと云ふ意味を以て行かなければならないと云ふことで、段々普通の失業對策と生活保護と云ふものとは、性格が餘程似た所が出來て來ると云ふ風に全體を解釋して居ります、そこで廣い意味の失業對策としましては三つの段階を考へて居る、第一は軍需補償打切に伴ふて、或は退職慰勞金とか解雇手當とか、或は俸給の支拂とか生活を樂にする金融施設とかと云ふ軍需補償打切の直接の處理が第一段、第二段には公共事業、六十億を中心にしました公共事業、或は職業補導、或は共同作業所と云ふやうな失業對策「プロパー」のものを第二段に考へる、第三段には矢張り補充的に生活保護と云ふもので失業者を救つて行くと云ふ風に、失業對策の體形を只今頭に描いて居り、政府の施策として一部は實行しつつあります、將來も實行する積りで著々進めて居ります、さう云ふ意味に於て此の問題は失業對策と同時に關係を持つと云ふことを御了承願ひたいのであります、それから尚此の問題に關係しまして、先程社會局長の説明の外に、私から一、二申上げたい點がありまするが、それは此の第三章の保護施設と云ふ問題であります、是は政府でも市町村を通して作らして行きますけれども、在來の民間の社會事業の施設も出來るだけ利用して行く積りで居ります、此の民間の社會事業及び政府のやつて居りまする社會事業と云ふものに對して、此の生活保護法以外の面に於きまして、例へば一般の民間社會事業、或は不良兒とか浮浪者とか孤兒とか癈疾者などの施設とか、斯う云ふ面に對しまして、どうも今迄のやり方は少し細か過ぎると云ふことを私共實は感じて居る次第でありまして、矢張り此の生活保護法の趣旨に副ひまして、此の線に沿つて民間社會事業及び政府のやつて居りまする社會事業で、此の保護に入らない不良兒とか浮浪者とか孤兒とか癈疾者とか、それから賣笑婦の如き處迄、徹底的に此の施設を太い線でやつて行きたいと云ふ考を持つて居ることを此の際申上げて置きます、それから其の次の第四章の保護の種類と云ふことに付きまして、是も此の機會に説明申上げて置きまするが、第一は生活扶助、是が一番此の法律の本體をなして居るものでありまするが、是は五人家族、三人家族と言ひましても働く人を中心に考へる家族でなく、先づ三十一歳の寡婦が六十歳の親を一人持ち、子供が六歳、三歳、一歳の三人の子供を持つて居る、斯う云ふ家族に想定致しまして、さうして家族の食ふ食物の「カロリー」、多少の家賃とか或は光熱費とかを多少加味しました其の最低の「カロリー」を考へまして、其の「カロリー」が公定價格、配給で得られると云ふことの大體の前提の下に、先づ東京のやうな大都市では一家族三百圓と云ふことが其の算定の基礎になります、それで家族の數にも依りますが、今の前提の下に於て三百圓、地方ではそれを少し低くすると云ふやうな大體の基準を以て民生委員で色々協議させまして、さうしてどうも迚も敵はぬと云ふ家族に扶助を與へて行くと云ふ建前に生活扶助はなつて居るのであります、併し此の金は相當彈力を持つて居りまして、物價が高くなります場合は、事情に依つてはもう少し増せると云ふ餘地も持つて居りますので、堅く三百圓と決つた譯ではありませぬ、大體の基準はそこにあると云ふ風に致して居ります、それで豫算も三十億の豫算を以てやつて、今日迄大分日が經ちましたので、生活保護法ではないのですけれども、生活困窮者援護要綱と云ふものを只今實施して居りまして、其の方にも大分金は使つて居りますけれども、それをもう少し強化して行くと云ふ建前に實は今なつて居る譯であります、強化して其の範圍を廣くして行くと云ふ譯であります、それで三十億の豫算も補充費と云ふことになつて居りまして、法律實施の爲に足らなければ豫備費とか追加豫算で又請求し得ると云ふ建前の豫算になつて居ります、それでやつて行くことになつて居ります、それから其の次の醫療と申しますのは、是は只今國民健康保險と云ふものが、御承知の通りに一萬四百ばかりの組合が全國に出來て居りまして、都市はまだ遲れて出來て居りませぬが、地方には一切出來て、被保險者が三千萬人も居ります状況であります、此の保險が、只今ちよつと物が騰つて、殊に御醫者さんの診斷費が騰つた爲に、運用が完全に行きませぬので、只今追加豫算を大藏省へ請求して居る次第でありまするが、矢張り國民健康保險と云ふものの療養が、此の生活保護法の醫療の問題の前提と申しますか、もつと前線になつて居る譯であります、それでうまく行かぬのをこちらの醫療で補つて行くと云ふ大體の見當になつて居ります、それから第四の生業扶助と云ふ問題でありますが、是は生活保護は受けぬでも、生業をやつて身を立てて行かうと云ふ所には矢張り扶助金を出さうと云ふことで、四百圓ばかりの豫定で居りましたが、衆議院あたりでは是は千圓位に殖やしてはと云ふ議論になつて居ります、併し是は何も四百圓と限つた譯ではございませぬで、現に先日も三十億の豫算の中の、大體三億ばかりの金を府縣へ渡しまして、府縣が庶民金融金庫を中心にしまして、之を頭金にすると云ふ譯ですから、さうしますると、まあ損をしても宜い金にしますると、約十億の金になります、十億の金を貸付けることが出來ると云ふ譯で、十億の金を三千圓を一口としまして、生活扶助として困つた人に貸付けようぢやないかと云ふことで進行して居ります、それはどう云ふことかと申しますと、一番主なのは海外引揚者であります、海外引揚者百八十萬家族ありまするから、之に三千圓づつ貸付けることが出來れば、三千圓ですから三十三萬家族はそれでまあ貸付けられる譯、併しながら此の保護の建前は海外引揚者と云ふ縱の線だけぢやいかぬのであります、横の線にしても、引揚者も亦戰災者も同一に扱ひまして、庶民金融金庫から三千圓貸付ける方針で進めて居ります、併しながら恐らく一番多いのは海外引揚者であらうとは思ひます、けれども、海外引揚者に決して限定して居る譯ではありませぬ、數が海外引揚者が多い、さうして企業力が最も多いですから、之へ生業扶助をやつて行かうと云ふことでやつて居りまするから、此の面が今の失業救濟と同樣矢張り増産面に進めば餘程是が積極的に活用出來ると云ふ心組で居ります、大體申上げますと、さう云ふやうな考を以ちまして結局社會保障と申しますか、今度の憲法の狙ひとして一番重大な一つの點を先づ此の法案でやつて行く、其の後を矢張り社會保險制度を完備し、失業完全雇傭の目標に向つて進む、自然さう云ふ風になりますると、此の法律と外の法律との關係でもつと綜合的のものになりまするか、もつと進化するとは思ひまするが、只今は斯う云ふ終戰後のごたごたの状態でもありまするので、一面に於ては取敢へずと云ふ問題、一面に於ては生活保護と云ふ大きな社會政策の面へ大きな足を踏み込んで行く、さう云ふ二つの意味を以て此の法律を實施すると云ふ考でごさいます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=10
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011・板谷順助
○板谷順助君 只今の御話ではまだ私了解し兼ねまするが、御話の通り、戰災者であるとか、或は海外引揚者、又母子其の他で體の達者な者には金を貸し適當な仕事を與へてやる、又病人で今日非常に困る者は助けてやる、是は當然であります、當然でありまするが、今御話の中に失業者であつて一週間働くとか或は十日より働かぬと云ふのはどう云ふ意味で仰しやつて居るか分らぬけれども、要するに廣く失業者を救濟すると云ふことが此の法案に含んで居るとすれば、現在の世相は御承知の通り樂をして金を多く取らう、是は人情の然らしむる所でありませうが、あなたが地方の民生委員に御指示をなさる上に於て、失業者と云ふものはどう云ふものである、此の解釋です、それをどう云ふ程度に於て御指示なさる御積りであるか、それを承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=11
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012・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 只今失業者と考へまするのは、働く意思は持つて居るが職業がない、假に職業がありましても一月に一週間位しか働けない者と云ふ者を失業者として居ります、それで失業救濟の目標は是でやつて行くのでありませぬ、六十億のあの公共事業費と云ふものを見込みまして、其の公共事業費の内容は、開墾とか、土木とか、治水とか、道路とか、港灣とか、學校建築も多少入ります、裁判所の建築も多少入ります、さう云ふものが主です、それから都市の失業者救濟の目標としまして、都市の失業者を皆「プール」しまして、戰災地を片付けたり、或は道路を直したりと云ふ臨機的の機動的の公共事業、それからもう一つ大きいのは戰災地の都市計畫、跡片付け、清掃と云ふ大きな問題、それから其の外に尚共同作業所のやうなものを所々設けたり、授産所を設けたり、或は職業輔導、大工とか鍛冶屋の職業輔導、知識階級の人も特別の扶助を與へて團體會社に入れたりと云ふやうなことをやつて行きまして、兎に角遊んで居る人に職を與へる、働く意思のある者はもうどしどし働かして行くと云ふことでやつて行きますが、失業對策面はそれで行くのであります、處がどうしても働かうと思つても仕事がないと云ふ場合も起きるのであります、さうして自分では生活が出來ぬと云ふ場面も起きまするから、さう云ふ生活保護で行かぬとやつて行けぬと云ふのは矢張り仕事のある迄は生活保護に入り込んで來ると云ふ氣持を持つて居ります、それが失業者と是との關係でありますが、此の法律の本來の狙ひは、働かうと思つても働けぬと云ふ者が主な點なんであります、例へば寡婦で子供を連れて居るとか、或は病氣だとか、體が弱いとか、色々な條件で働かうと思つても働けないと云ふのが主で、働けるんでありますけれども懶けると云ふのは入らないと云ふ建前になつて居ります、さう云ふ意味で失業者の方と相當交錯して來ると云ふことに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=12
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013・板谷順助
○板谷順助君 其の點がどうもはつきりしませぬが、大體に於て失業者は生活保護法案には入らぬ、さう承知して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=13
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014・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 失業者は失業救濟で行つて、職にあり付ける者は入らぬ、それから失業者であつても、食つて行ける者は入らぬのであります、金を持つて居る人とか、さうでなくて、失業者であつて働ける人でも、どうしても働く機會を得ることが、出來ない、國家が色々世話しても出來ないと云ふ人は、矢張り是は幾らか入ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=14
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015・板谷順助
○板谷順助君 餘り質問が長くなつて相濟みませぬが、どうもはつきり致しませぬから……、例へば失業者の解釋は、自分が二百圓貰ふだけの力がある、それが丁度百圓の口よりない、或は又中等學校卒業程度ならば幾らも需要があるけれども、專門學校、大學と云ふやうなことになると口がない、さう云ふ者が、中等學校卒業程度の給料ぢや嫌だと云ふことになれば、從つて是は失業者になる譯です、又或は技術家に事務をやれと言つても出來やしない、又事務家に技術をやれと言つても出來やしない、それが口がない間は遊んで居ると云ふ者は失業者と見て、之を地方民生委員に査定をしろと言つても出來やしませぬ、從つて實際病人であるとか、或は子供であるとか、食ふに困る、此の者を救濟すると云ふのが本旨であるならば、其の邊をはつきりして御置きにならぬと、どうも失業者で體が丈夫であるが、併し仕事がなくてぶらぶらして居る、或は又自分の思ふやうな仕事がないから遊んで居ると云ふやうな者が出來る、だからして、之を適當に限界を付けておやりになりませぬと、國家が赤字に赤字を重ねて居る此の状態に於て、それは三十億あつても、五十億あつても足りはしない、此の邊が失禮ながら、あなたの今の限界がはつきりしないと思ふのでありますが、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=15
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016・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 私の説明の仕方が甚だまづいのですが、はつきり致して居るのであります、それは第一、貯蓄とか何か持つて居る人は、勿論是は失業者でない、是はもう此處には入らぬのであります、それからまあぶらぶらやつて居ると云ふ人でも、それは畚を擔いだり鍬を持つことは、それは人間だからやれる、さう云ふことをやれるのに、俺は知識階級だからと言つてけろつとして居れば、それは入れぬのであります、だけれども、本當の勞働者などで今度どうしても職がない、何處か働かうとしても働く職もなくて、どうしても仕樣がない、食つても行けぬと云ふのは、寡婦や孤兒のやうな人でなくても、矢張り是は是で暫定的にさう云ふのを拾つて行かぬと、食へないから仕方がない、それは矢張り失業者であります、さうだから線は引けるのであります、引けますけれども、さう云ふ者は、それぢや今日は食へないが、明日から仕事があればどうか、仕事があれば直ぐ仕事をすると云ふ風になりまするから、絶對に是は働く能力のない者ばかりかと云ふと、さうでない、働く能力は持つて居つても「チャンス」がないと云ふ者、それは自分で勝手に選んで「チャンス」がないと云ふのではなく、客觀的に見て是はどうしても「チャンス」がないと云ふ時には、矢張り此のやうにしなければいかぬ、だから失業者と云ふものは多少此の中に混つて來ると云ふことは認めなければならぬと云ふ意味なのです、尚説明が不完全でありましたら申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=16
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017・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) 板谷君に申上げますが、大臣は衆議院の委員會で待つて居るさうですから、あなたの質疑は此の次にしては如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=17
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018・板谷順助
○板谷順助君 承知しました、保留して置きます、それから御願があります、私ばかり質問して相濟みませぬけれども、適當の時期に大藏省の主税局長を御呼び願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=18
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019・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) 承知しました、尚質疑を續行致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=19
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020・原泰一
○原泰一君 板谷君の質問に關聯しまして、適當な時に大藏大臣においでを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=20
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021・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) 尚板谷君に申上げますが、材料は明日の會議迄には間に合はせる筈です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=21
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022・佐々木惣一
○佐々木惣一君 大臣は他日又此の委員會においでになりますでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=22
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023・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) それは必ずおいでになりますと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=23
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024・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それでは私は今日は質間は止めて、おいでになつた時に致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=24
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025・木内四郎
○木内四郎君 先程來板谷委員の御質問になつたことに關聯しまして、政府委員からちよつと伺つて置きたいのですが、色々御質問になつて居つたやうですが、要するに私は或は間違つて居るかも知りませぬが、板谷委員が色々御質問になつた御趣旨は、第一條の生活の保護を要する状態にある者と云ふのは、一體どの程度のどう云ふ人を生活の保護を要する状態にある者と認めるか、或は能力があるにも拘らず働かないか、勤勞の意思のない者とか、或は勤勞を怠る者とか、さう云ふやうな者はどう云ふやうな標準で誰が判定するのか、さう云ふ點を事務的に伺へば、先程からの御質問は大體氷解するのぢやないかと思ふので、政府委員から御説明願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=25
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026・葛西嘉資
○政府委員(葛西嘉資君) 生活の保護を要する状態にある者と申しますのは生活困窮者と申しますか、生活困難な者と申しますか、生活の出來ない者と申しますか、さう云ふ者でございます、從ひまして先程大臣の仰しやいました生活扶助の點は、寡婦が年寄と子供三人を抱へて居るやうな者ならば、大體此の豫算編成當時に於きましては、東京都では三百圓あれば最低の生活は出来るのぢやないかと云ふやうな見當を立てました、さう云ふことに依りますると、先づ大體其の邊の所が客觀的に見て生活困難な者と云ふ風に抑へられるのぢやないか、併し此の法律にもございますやうに、程度、方法等は勅令で決めると云ふことになつて居りますが、是は非常に價格の變動等が多いのでございますから、勅令でも地方長官が大臣の認可を得て其の時其の時に決めると云ふ決め方にして參らうかと思つて居ります、現に今でも葬祭なんかの關係で、昨日東京都から言つて參りましたのですが、豫算としては一應御葬式の費用は百圓と云ふことに致して居りますが、どうしても百圓では御葬式は出來ぬさうであります、それで、是非二百圓やつて呉れと云ふことを大臣に認可を求めて參りました、是は一兩日中に認可してやるかと思ひます、生活扶助の方もさう云ふ風に時に應じて必要な最低限と云ふものを知事と大臣と相談を致しまして、此の邊で線を引かうと云ふことで一應線を引いて居るのでございます、地方々々に依つても違ふ譯です、土地に依つても違ひますから、さうして決めて參らうと思ひます、或線以下の收入の者が生活困難の者と云ふやうなことに相成ると思ひます、それからもう一つ、さう云ふ保護を要する、状態に在る者との認定は誰がするかと云ふ點でございますが、是は第一線の報告機關である市町村長がすることに相成ります、市町村長が致しますには、民生委員が之を補助致しまして、其の家庭の實際の状況を見まして、是は收入皆無、或は若干の收入があると云ふやうなことから、是れ位の援助は必要であると云ふことを民生委員が市町村長に申達を致します、さう云ふ風に致しまして最後の決定權は市町村長が有します、唯市町村長の決定が間違つて居るやうな場合に於きましては、監督權に依りまして、地方長官なり何なりがそれを訂正して參ると云ふことは、或は時にはあり得るかと思ひますけれども、決定は斯樣にして市町村長がすると云ふことに相成る積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=26
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027・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) 他に御質疑はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=27
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028・板谷順助
○板谷順助君 民生安定費の豫算を見ますと人件費、物件費で大した金額が計上されて居りますが、是は大體都道府縣なり或は市町村が自治的と云ふか、兎に角地方にやらせると云ふ、斯う云ふ組織になるのでせうが、本省の方では一體此の三千萬圓からの費用は何處で使ふのですか、民生安定費として俸給は千二百四十二萬五千圓、賞與が三百三十五萬二千圓、二十一年度の改定歳出豫算に出て居りますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=28
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029・葛西嘉資
○政府委員(葛西嘉資君) 大體は只今御指摘のやうに地方へ補助致しまして、地方で大部分の仕事をやつて貰ふことになります、全部府縣に補助致しまして、それを市町村に更に補助する、市町村費、府縣費で大部分の仕事をすると云ふことに相成ります、それで前の方の民生安定施設費の中にあります若干の費用は、それを指導するとか監督するとか云ふやうな本省關係の事務費でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=29
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030・板谷順助
○板谷順助君 地方に任せてやらせるのに、監督は勿論必要ですけれども、或程度迄詰り本省が補助金を出すと云ふ程度にして、府縣なり或は市町村に責任を持たせるやうにしてはどうかと思ひます、今此處に三千萬圓からの人件費其の他給與が計上されてありまするが、こんなに金をかけて大仕掛にやらなければならぬ必要がありますか、昭和二十一年度の一般會計改定歳入歳出豫算分類表、之にあります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=30
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031・葛西嘉資
○政府委員(葛西嘉資君) 御指摘の資料が、どつちか能く分らぬのでございますが、本省機構に要しまする經費としまして、人件費として三萬三千圓、それから施設費の方として二十三萬三千餘圓、あと大部分のものは地方費の補助と云ふことになつて居ると了解致して居りますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=31
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032・板谷順助
○板谷順助君 それから此の法案を見ますと云ふと、必要限度の給與をすると云ふことでありますが、勿論必要限度の給與と云ふことになれば、最低生活に觸れる譯ですが、最低生活の算定は今の物價の大變動の場合に於て「インフレ」防止が出來ざる限りは此の見當はなかなか付かぬと思ふのです、それはあなたの方では今御話のやうに三百圓給與すると云ふ御話ですが、どんな風に見ておいでになりますか、最低生活の保障、所謂必要限度と云ふことは最低生活になりますが、是で最低生活の保障になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=32
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033・葛西嘉資
○政府委員(葛西嘉資君) 只今も木内委員の御質問に對しまして御答へ申しましたやうに、地方々々で最低生活の限度を決めると云ふことになつて居りますが、東京等の場合に於きましては、今缺配等が非常に多かつたり、闇のものを入れなければならぬと云ふ風なことでは、三百圓で今申しました家族ではなかなかむづかしい實情でございます、併し實際物資の「ルート」を確保致しますれば、一應それ位の所で最低は行けるのぢやないかと云ふ風に考へて居ります、それで物資等の特配、缺配になりましてからは、御承知のやうに陸海軍が保有して居りましたものを聯合軍に納めまして、それを更に放出して戴きました乾「パン」、罐詰等を相當救濟用に政府に又拂下げて戴いて居りますので、之を先般來、先月の終り頃からだと思ひますが、聯合軍の承認を得まして無償で貧困者には配給すると云ふやうなことも致して居る譯でございます、そんなやうなことで、今の所はどうにか此の限度で最低の生活だけはやつて居るのぢやないかと云ふ風に見て居るのですが、併しどんどん物價は變つて參りますので、或は又物資の配給の状態等が惡化して參りますれば、なかなかそれだけでは出來ぬのぢやないか、或程度金額を上げて行かなければいかぬのぢやないかと云ふ風なことも考へて居ります、現在各府縣で生計の調査を致して居る次策でございます、實は先月の末頃に纒めて貰ふふやうな風に致しまして、各府縣それぞれ色々な對象を調べまして、厚生大臣が地方長官から相談を受けました場合に認可をする材料にと思ひまして、各府縣で生計費の調査を致して居るのでありますが、是はまだ纒つて居りませぬので、具體的にどう斯うと云ふことはないやうでありますが、地方廳に於きましては、矢張り之を基礎に致しまして、一應の最低生計費と云ふものを作る豫定であります、今の所では是位のもので、今申しました主食等が非常に困つて居るものですから、今の放出物資等で若干間に合はして居るやうな状態であります、從ひまして物價の變動で是では足らぬと云ふことになりますれば、此の額を増して參らなければならぬ、斯う云ふ風に考へて居ります、是は三百圓と申しましても、一應の基準でございますから、實際に其の家庭々々で、此の家庭ではどうしても三百五十圓要る、或は三百六十圓要ると云ふ風な場合に於きましては、それぞれ必要な額だけ支出すると云ふ建前に致して居ります、大臣が先程三百圓と申しましたのは一應の基準でございまして、線を引くと申しましても、なかなか個々の家庭に依りまして、實際の庭家生活と云ふものは、乳の出るお母さんの家と乳の出ないお母さんの家庭とでは最低生活が明かに違つて參ります、そんなやうなのを睨み合せまして、個々の家庭でそれぞれ最低生活と云ふことは違つて來るのぢやないか、一應平均の最低と云ふことは只今申しましたやうに線を引て居るのでございまして、限度は設けないと云ふ建前に致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=33
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034・服部岩吉
○政府委員(服部岩吉君) ちよつと此の際補足的に私からも申上げて置きますが、「生活の保護を要する状態にある者の生活、」是は各困窮者の生活状態と云ふものが一樣でないことは御承知の通りであります、從つて從來の建前から申しますと、大體三百圓と云ふ程度に決めますと云ふと、其の三百圓と云ふものが、若し其の家庭に於て或は月百圓なら百圓と云ふ收入のある場合に於きましては、其の收入を差引きまして、其の不足額の二百圓を補助する其云ふやうな建前を執つて居つたのでありますが、今日のやうな經濟状態に於きましては、なかなかさう云ふ機械的な方法で行くと云ふことは困難でありますので、例へば今日の場合、都内に於きまして三百圓の生活で出來るかと云ふことになりますと云ふと、是は極めて困難なものだと思ふのであります、從つて若し其の世帶に於きまして僅かながらでも内職でもして、或は月に百五十圓、或は二百圓と云ふやうな收入がありましても、それは一應收入と見ないで三百圓の補助を給與する、斯う云ふことになります、從つて其の家庭は一箇月五百圓の生活になると云ふやうな建前になつて行くのでありますから、さう云ふやうな氣持を以て本案を運營して行くやうにしたい、斯樣に考へて居るのであります、是だけ附加へて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=34
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035・葛西嘉資
○政府委員(葛西嘉資君) ちよつと政務次官の御話を補足して申上げて置きたいと思ひますが、政務次官から若干の内職等の收入がありましても之を差引くと云ふやうなことはしないと云ふ御話、其の通でありまして、是は勤勞意欲を、働いても働かぬでも宜いと云ふやうなことになつてはいけませぬので、若干の内職、或は授産等に依ります若干の收入がありました場合には、之を差引くと云ふことはしないで公費の給與をやつて行くと云ふことは、只今政務次官の御示しの通りであります、額から申しますれば、是は何程にもならぬ譯でありまして、例へば一世帶の中で五人なら五人居りまして、娘が居りまして何處かへ勤めて居つて若干の收入があると云ふやうなことで、家庭の足しをして居ると云ふやうな場合に於きましては、方面委員等の調査に於きましては、其の收入を見積りまして、さうして公費の最低限の費用から之を引くと云ふことは、是は當然爲さなければならぬ、從ひまして全然收入の皆無のものに付きましては、其の最低限「リミット」の所迄は支出して行かなければならぬと云ふことになる譯であります、政務次官の仰しやいましたやうに、内職等で若干の收入がありますものに付きましては、勤勞意欲を昂揚せしめると云ふやうな意味に於きましては差引かない建前に致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=35
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036・原泰一
○原泰一君 さつき板谷委員の御質問になりました其の御氣持は、三百圓の生活標準と云ふのはどこから出て來たかと云ふ、斯う云ふ意味だつたと思ひます、それは何か出て居るのぢやないのですか、例へば五人の家族で二合一勺づつ、それを合せれば、公が出て居るのだから、それが大體幾ら位、それから野菜、公が決つて居ないのは別として、公の決つて居るもので、生きて行くのには是れだけ位は食べなければならぬから、それの配給を受けるのに必要な限度の金は、まあ五人家族で二百五十圓なり三百圓、斯う云ふ風に出來た基がお有りになりますか、闇の物を買ふと云ふことは是は別問題だと思ひますけれども……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=36
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037・葛西嘉資
○政府委員(葛西嘉資君) 只今の御質問に御答へ致します、是は多分明日配付申上げます、配付資料の中にも、大都市に於ける算出した基準額を衆議院にも提出致しましたので、明日お手許へ行くと思ひますが、一應飮食物費、被服費、光熱費其の他と致しまして、一應大藏省の五百圓の新圓生活の算定の標準額と云ふものと今度の生活限度と云ふものを一應見まして、さうして大臣が先程御話になりましたやうに、五百圓限度の生活に於きましては或程度の働く人間が非常に多かつた、それからこつちの方は先程大臣から御話がありましたやうに、三十前後の寡婦が、六十一歳の老人を抱へ、六歳、三歳、一歳の子供を抱へて或程度「カロリー」も少くて濟む譯なのでありますから、さう云ふやうな點から是と比較致しまして、まあ一應飮食費と致しましては二百二十三圓餘、それから被服費の方が二十五圓九十錢、光熱費が二十三圓其の他色々の費用と致しまして、二十七圓餘、合計致しまして、三百圓位と云ふやうなことで、一應出來るのぢやないか、是は原委員の仰せられましたやうに、主食の關係は配給の物を基準に致しまして、今配給されて居る價格、それから調味料等も入れます、家賃等は十何圓でございますか、さう云ふものを入れると云ふ風に致しまして、一應の基礎としましてはある譯でございます、今生活費としましては千何百圓掛かる、色々掛かると申しますのは、闇とか其の他色々な關係がありますので、最低と云ふことになれば、一應配給等がありますれば、此の程度で此の豫算成立當時に於きましては、差支なからうと云ふことで、そんなやうな基礎がございますので、一應……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=37
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038・原泰一
○原泰一君 そんな物は明日戴ける譯でございますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=38
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039・葛西嘉資
○政府委員(葛西嘉資君) 是は併し、物価の變動などに依りましては變へて行かなければならないと云ふことは申上げて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=39
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040・江口文雄
○江口文雄君 先刻から御質問が隨分續きましたが、矢張り法の適用を受ける者が「生活の保護を要する状態にある者」と言ひ、又大臣の御説明では事由の如何を問はずと云ふことがありましたし、又生活の困難な者と云ふ御話もありましたし、斯う云ふことになると云ふと、第一に業務を掌る地方の市町村長が、此の範圍を解釋することに付きまして、非常に困難を來しはせぬかと思ひます、從つて甲の町では此の人は此の法の適用に依つて保護をする、併しながら乙の町ではさう解釋せぬと云ふ風な區々な解釋が起きまして、町村長の謂はば才能の善し惡しを判斷されるやうなことにもならぬとも限らぬと思ふ譯であります、それで「生活の保護を要する状態にある者」と云ふ者、或は生活の困難な者、此の「保護を要する」と云ふことと、生活の困難な者と云ふことは随分意味が違ひはせぬかと考へる譯でございますが、其の點を此の次の委員會迄位にもう少し具體的にはつきりとさせて戴いたらどうだらうかと思ひます、それから民生委員令と云うものがありますが、どんなものか其の邊が分りませぬので、民生委員令と云ふものは何か書いたものがありましたら戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=40
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041・服部岩吉
○政府委員(服部岩吉君) 江口委員の御質問に對しまして多少不正確な申上げ方を致しまして、委員各位の御解釋になります上に大變御迷惑を御掛けしたことは大變恐縮でございますが、申上げ方が惡かつたと思ひますが、一應基準としまして或程度の最低限の生活と云ふものを一應決める、それで市町村で之をどう云ふ風にするかと申しますと、矢張り地方長官が其の時期に於きまして、縣に於きましては、縣廳の所在地のやうな大きい所、町或は村と云ふ風に分けますか、或は村の中でも特に物價の高い所はどうと云ふ風な決め方をする、そんな風に致しまして、一應其の時、其の場所に於きましては、一應の標準は市町村で決まる譯であります、例へば東京なら東京に於きましては、現在では一應の標準は三百三圓と云ふやうなことに一應決めてある譯であります、それが物價が騰りますと、三百三圓が三百六十圓となると云ふやうにしたのであります、現在では決つて居る、五人なら五人と云ふ或特定の家族を標準に致して居りますが、四人の家族なら幾らと云ふ限度表、是も明日配付致します資料に載る譯でございますが、何人家族の場合には幾ら、一人の場合には一日例へば三圓六十錢、二人家族の場合には一日六圓十錢、それから三人の場合には七圓二十錢四人の場合には九圓、五人の場合には十圓十錢と云ふ限度が一應表が出來まして、それを掛けて見ると、其の時、其の場所に依つて一應の基準は決まる譯であります、それぢや具體的に個々の家庭でどう云ふ風に困るか、どうするか、生活に困つて居るかどうかと云ふことが起る譯でございますから、其の場合には民生委員會と云ふものを町村に作つて置きまして、民生委員會で具體的に決めて行くと云ふことをやつて行かうと思つて居ります、あそこの家では三百圓と云ふことになつて居るが、三百六十圓でなければ食つて行けないと云ふことを民生委員會で裁定をして行かうと云ふことに致して居ります、それから民生委員令と云ふものを御示しするやうにと云ふことでございますが、是は今政府部内で法制局等と打合を致して居りますが、要綱は明日委員會の席に衆議院に提出致しますと同時に配付致します積りであります、それから「保護を要する状態にある」者と云ふ文字が非常にあれでありますが、是は成るべく生活困窮者と云ふ風な文字を使ふことを避けた譯であります、「保護を要する状態にある」者と云ふ風に致しまして、何と申しますか、非常に「ミゼラブル」な感じを與へることはどうかと考へまして、斯う云ふ風に表現致したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=41
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042・板谷順助
○板谷順助君 此の三十億の豫算の内容は分つて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=42
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043・服部岩吉
○政府委員(服部岩吉君) 是も明日の配付資料の中に事業費全體、其の中國がどれ位持つか、地方費がどれ位持つか、而も其の市町村の負擔と縣の負擔と云ふものをずつと致しましたものを明日配付することに致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=43
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044・板谷順助
○板谷順助君 明日戴く資料の中に現在の五つの法律ですか、廢止になる五つの法律がありますが、それに依つて保護して居る所の人の數とか、そんなやうなものは載つて居りませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=44
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045・葛西嘉資
○政府委員(葛西嘉資君) 若干でございますが、衆議院でも御要求がありましたので、載つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=45
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046・木内四郎
○木内四郎君 さう云ふ法律とか、即ち今度の法律、此の法律が前から施行されて居つたならば、それに依つて保護さるべかりし者と云ふやうなものですね、さう云ふ數、それから今年の見込の數も載つて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=46
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047・葛西嘉資
○政府委員(葛西嘉資君) 是も一應極く大雜把でありますが、衆議院でも御説明申上げましたやうに八百萬、國民の一割、是はほんの見積りでありますから、或はどうなるか分りませぬが、一應の大見當は付けまして作つた資料はございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=47
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048・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) 他に御質疑はごさいませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=48
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049・原泰一
○原泰一君 今木内委員の御質問にありました救護法、其の他の法律で保護された者の外に、昨年來緊急策の費用で矢張り保護された者の人數が分つて居つたならば御一緒に御提出願つた方が宜いと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=49
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050・高木喜寛
○委員長(子爵高木喜寛君) 他に御質疑ございませぬか、若しございませぬければ、今日は此の程度に致しまして、次囘は先程から申しましたやうに、資料は明日ならば集まると思ひますが、如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=50
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051・江口文雄
○江口文雄君 明日資料を戴いても、此處で即座に讀んでも分りませぬから、相成るべくは一日か二日置いた方が宜くはありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=51
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052・高木喜寛
○委員長(子爵高木喜寛君) それでは明後日午前十時より開會致します、本日は是で散會致します
午前十一時五十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=52
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053・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 男爵 高木喜寛君
副委員長 子爵 京極高鋭君
委員
公爵 島律忠承君
公爵 三條實春君
侯爵 黒田長禮君
伯爵 前田利男君
子爵 實吉純郎君
子爵 安藤信昭君
子爵 榊原政春君
小山松吉君
佐々木惣一君
男爵 團伊能君
男爵 小原謙太郎君
原泰一君
長谷川萬次郎君
野田六左衞門君
板谷順助君
木内四郎君
江口文雄君
正田貞一郎君
中山壽彦君
國務大臣
厚生大臣 河合良成君
政府委員
厚生政務次官 服部岩吉君
厚生事務官 葛西嘉資君
同 加藤清一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=53
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