1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○生活保護法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年九月三日(火曜日)午前十時十二分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=1
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002・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) 是より開會致します、皆樣に御諮り致します、昨日午後の委員會は質疑の申出がありませぬので延會になりました、本日若し質疑をされる方がありますれば申出て戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=2
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003・江口文雄
○江口文雄君 衆議院の方でも健康保險組合のことでは御質疑のあつたやうに思ひます、大體承つて居りますけれども、或は現在一萬四百とか云ふことでありますが、非常に宜く行つて居る所もありますけれども、休眠状態になつて居る所も可なりある、其の理由が何處にあるかと云ふことに付きまして、醫者の非協力と云ふことが第一に擧げられてありますけれども、醫者の非協力と云ふことがどう云ふ理由で非協力になるか、醫者も矢張り徳義心もありますし、色々人徳もある御方でありますから、唯無暗に非協力と云ふことではなからうと思ふ、そこにはさう云ふ風な非協力な態度に出ねばならぬやうな突詰めた理由があるのではなからうかと云ふ風に考へます、それから組合員の方では組合に加入されて居つて、組合費を納めて居りながら健康保險組合の診療所には行かなくて、普通の開業醫の方に行くと云ふのが可なりある譯です、是は非常に安いから普通の開業醫の方には御氣の毒だからと云ふ心持もありますけれども、もう一つは何と云ひますか、あれは御醫者の方でも診療してやつても診療費の取立に非常に手數が掛りまして、普通の患者なら即金で納めるけれども、診療券を持つて來た人は二十日も一箇月も色々な面倒な手續をして、藥價の計算を致しまして、それから取ると云ふ風になると、特別にそれに關する事務員を餘計置かなければならぬと云ふ風な現状にもなつて居るやうであります、普通の患家の人も外の御醫者に氣の毒になると云ふ風な心持も非常に動いて居ると思ふ、兩方から御醫者さんも協力しにくいと云ふ理由があるのではないか、又普通の患者も健康保險組合の診療所には診療券を利用してはどうも行きにくいと云ふ兩方から、需要供給の兩方から、事業の運營がなかなかうまく行かないと云ふ風に、實際私達はさう云ふ風に感じます、其の點をよく御調査下さいまして、矢張り國營の方が宜くはないか、衆議院での御説明は豫算の關係上一括して國營と云ふことはむづかしいと云ふ御説明でございますが、一括して出來なければ之を計畫的に繼續的に本年度は幾ら、來年度は幾らと云ふ風に順次に健康保險組合の優良なものから國營にして行くと云ふ風な手段を御採りになつたならば、さう大して一箇年一時に澤山の豫算が要る譯でもないと云ふ風に考へます、それからもう一つ是は小さい問題でございますけれども、健康保險組合の組合員は其の町村と云ふか市と云ふか、どちらでも宜いが、其の三分の二以上の人が組合に加入したならば、後の殘りの人は強制的に加入しなければならぬと云ふやうな法規があるかどうか、それはよく讀んでないから知りませぬが、併し其のことが實際問題としては非常にややこしい問題になります、三分の二か四分の三かそれはよく知りませぬが、加入する方では皆強制加入の義務があると云ふやうなことを言ふ人もある、一般の人はそんなことはない筈、それぢや組合費は強制徴收の權利があるかと云ふやうなことを言ふ人もあります、かたらぬでも宜ければかたらぬで置かうと云ふ人もある、意見が非常に區々でありまして、健康保險組合取扱上非常に支障を來して居ることは事實であります、かたらぬで宜いならかたらぬで、成るべく現金で御醫者に掛つた方が匙加減も宜かろうと言ふ人もある、片方では、いやそれはかたらなければならぬ義務がある、組合費は強制的に徴收する權利があると云ふやうな話も出て居るし、どつちが本當かよく分らない、其の邊運營上各町村では非常に支障を來しては居らないかと考へます、其の點御示し願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=3
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004・葛西嘉資
○政府委員(葛西嘉資君) 突然の御質問でございまして、是は保險局長の所管になつて居りますので、私から申上げるのは如何かと思ひますが、聞噛つて居る程度で御許を戴けますれば、ちよつと申上げさせて戴きたいと思ひます、此の國民保健の問題は衆議院でも色々委員會で議論があつたのでありますが、實は不振な組合が全國的に見れば相當あるのは事實のやうであります、此の組合員は、或は間違つて居ることを恐れるのでありますが、一口に申しますれば普及を急に致しましたので、色々組合の素地が出來て居らない所に組合の格好を作つたと云ふやうなことが、根本の原因ぢやないかと思ふのであります、言葉を換へて申しますれば、健康保險の趣旨が十分組合員の中に徹底して居らずに、頭から格好を作つて行くと云ふやうなことから、出來ては見たが具合が惡くなつたと云ふやうなことが根本だらうと思ひます、其の後に於きましては一般の中で醫療費の負擔等にも餘り困らない階級も出來たと云ふので、或は又藥價が非常に上つたり、或は改正したり、或は人件費が掛つたと云ふやうなことで、經營上成立ちにくいと云ふやうなことが相當あるやうに聞いて居ります、是ではいけないと云ふやうなことで、大臣首め關係當局から大藏省にも御願ひ致しまして、若干國庫の方から補助を出すと云ふやうなことで、今具體的に大藏當局と折衝して居るやうに聞いて居ります、之をやりまして、出來るだけ成立ち得る組合に付きましては助成をして參りまして、息を吹返へしてから再び活動状態に入らすと云ふやうにしたい、良いものと惡いものを區別致しまして、良いものは助成して成立つて行くやうにしたい方針で進んで居るやうに聞いて居ります、國營と云ふやうな問題に付きましては、ちよつと私から申上げるのは如何かと思ひますので、差控へさして戴きたいと思ひます、それから法律が今手許にありませぬので、能く分らぬのですが、町村民の三分の一かと思ふのでありますが、或は三分の二ですか、此處はちよつと分りませぬが、或一定の數が國民健康保險を作りたいと云ふことがありますれば、是は強制的に組合員に加入させると云ふ規定はあるのであります、併し組合に一遍掛つたからもうどうしても國民健康保險で掛らなければならないと云ふやうな法律上の義務は當然出て來ないだらうと思ひます、斯かる場合には組合で費用を一部負擔すると云ふ結果が出て來るのでありまして、組合員になつたら當然外の醫者に掛つてはならない、組合員なるが故に醫者に掛らなければならぬと云ふ義務は國民健康保險法からは出て來ないやうに存じて居ります、尚一應聞き噛つて居る程度を申上げましたので、間違つて居りましたならば後の機會に訂正させて戴きたいと思ひます、ほんのあやふやなことを申上げて恐れ入りますが、間違つて居りましたら訂正致します、必要でございますれば保險局長の出席を是から要求致しまして、保險局長から詳しく申上げることに致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=4
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005・江口文雄
○江口文雄君 御尋ね致したいのは今の最後の小さい點でございますが、三分の二町村民の同意があれば殘餘の人は強制加入の義務があるから、從つて組合費に對してはそれは強制徴收ですか、其の權利があるかと云ふことでございます、其の點が非常に町々、村々で、かたつてもかたらぬでも宜いものならばかたらぬで、成るべく現金で普通の醫者に行かう、かたらにやならぬものならば、仕方がない、それで組合に一遍入つてから後の醫者に掛かる掛からぬは別問題でありますから、其の點がはつきりして戴けば非常に運營が宜しからうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=5
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006・葛西嘉資
○政府委員(葛西嘉資君) 只今法律を持つて參りまして調べましてから御答させて戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=6
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007・木内四郎
○木内四郎君 生活保護に關しましては本法の規定に依りまして、政府自ら之を行はしむると云ふことは勿論でありますけれども、同時に社會事業家或は社會事業團體と云ふやうなものを活用して行かれることも必要ではないかと思ふのであります、參考に戴きました此の二十六表に掲げてございます、社會事業團體其の他最近海外同胞救護關係の色々團體などが出來て居ります、さう云ふものを色々活用して行かれることが最も必要且效果的ではないかと思ふのでありますが、斯う云ふ團體に於きましては其の資金の調達上、最近時局に鑑みまして寄附金を集めると云ふことは非常に困難であります、さうしますと此の二十六表にもありますやうに、各團體は相當多額の資金を今年度に於きまして使ふやうになつて居ります、此の儘にして置きますと、社會事業團體の資金と云ふものは枯渇する、財政上非常に困難になりはしないかと思ひます、斯う云ふ點に關聯しまして、此の新憲法の八十五條の關係は一體どんなことになるのでありませうか、公の支配に屬する團體として之に對しましても政府が財政的の援助を爲し得るものでありませうか、或は之に對してはなかなか財政的の援助は困難なものでありませうか、さう云ふ點も伺つて見たいと思ひます、例へば此の二十六表の中にあります同胞援護の如きものは、あの八十五條の規定に依りまして一般的の國庫の補助を受けると云ふことは斷たれて居ると云ふ話であります、さうしますと本年度だけは從來の財源に依つて何とか出來ましても、來年度以降はどうなつて行くか、非常に心配だと云ふやうなことを關係の人々が言つて居るのです、實際そんなやうな状態になつて居るのでありませうか、此の同胞援護會などは政府に於かれましても夙に其の必要なことを認めまして、關係方面の了解も得られて、さうして之を設けられたやうに承つて居るのであります、それでも尚國庫の包括的の補助は受けることは出來ないのでありませうか、どうでありませうか、若し包括的の補助を得ることが出來ないに致しましても、此の生活保護法關係の事業を營みますれば、其の限度に於て國庫の補助を得ることも出來るやうに思ふのでありますが、假に包括的の補助を與ふることがあの八十五條との關係上出來ないに致しましても、本法の適用上成るべく廣く解釋して戴きまして、斯う云ふ事業を生かして行かれるやうにして戴いたらどうか思ふのですが、其の點に付きましてどんなやうな風に御考になつて居られませうか、それから尚之に關聯しまして聞く所に依りますれば、此の同胞援護會の外に補導協會と云ふやうなものが設けられて、斯う云ふ團體に對しては國庫の方からも相當の補助を御出しになると云ふ御話も聞いて居るのですが、若し斯う云ふものに出し得るならば、其の他のものに付ても補助金を出して戴いても差支ないのではないかと思ふのですが、其の點八十五條との關係はどんなやうな風になつて居るのでございますか、此の補導協會だけが例外に何かされる特別な理由があるのでありませうか、或は若しさう云ふものを設けるとするならば、其の他のものに付きましても出來るだけ例外と言つてはおかしいですが、出來るだけ廣く法律を解釋して戴いて、國庫の補助も必要なものは出して戴けるならば、社會事業團體を活用して行かれる爲に、又斯う云ふ事業を發展さして行く上に於きまして非常に宜いのではないかと思ふのでありますが、さう云ふ點に付きまして政府の御所見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=7
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008・葛西嘉資
○政府委員(葛西嘉資君) 御答へ申上げます、社會事業家或は社会事業團體を今後と雖も活用して參らなければならぬ必要のありますことは御述べ戴きました通りに考へて居ります、新憲法案の八十五條との關係に付ての御質問でございましたが、是は此の生活保護法にあります保護施設は規定の中にもありまするやうに、特別の監督の規定がありまするので、國の支配に屬するものと云ふ風に解釋が出來ると考へて居るのでございます、從ひまして此の保護施設に付きましては公の金を出すことは差支ないものだと云ふ風に考へて居ります、それから一般の此の保護施設にならない施設、社会施設でありますが、是も御承知のやうに、社會事業法と云ふ法律がありまして、此の生活保護法のやうに嚴重な監督ではありませぬけれども、一應國の、地方長官でありますかの監督が規定してありますものですから、是も亦矢張り國の支配に屬するものだと云ふ風に解釋致しまして、社會事業法に基く補助金も出し得ると云ふ風に考へて居ります、從ひまして、此の生活保護法では施設を作ります場合に、國の二分の一の補助、都道府縣の四分の一の補助、ですから設置者が四分の一負擔すれば後の四分の三は全部公費で負擔して、さうして施設が出來ると云ふやうなことに相成つて居ります、それから此の生活保護法でありますやうに、保護の委託を致しますれば、此の委託の費用と云ふものが、全部出し得る譯でございます、被保護者の費用が出し得るばかりでありませぬで、此處にもあります施設の事務費と云ふやうなものも今囘出し得ることになつて居りまして、電燈とか、或は其の他の消耗費、それから人件費、若干のそれ等の御世話を戴きます人件費等に付きましても、此の法律に依りまして、施設事務費として金が出し得る、是は憲法にも差支ありませぬし、又出し得ることで、是で出して行く、是は被保護者一人當り延べに致しまして、一圓三十三錢と云ふやうに基準で、病院、診療所、輕費の病院、或は無料の診療所等に於きましては、延べ人員、外來の者も含めまして計算を致すことに致して居ります、そんなやうにして此の保護法の施設に對しましては、相當の公費が出るやうなことに相成つて居ります、それから本法に依らない社會事業法の一般の施設に付きましても、先刻申上げましたやうに國家として出し得る建前ではあるのですが、是は聯合軍司令部の方の其の他の指令等に依りまして、何と申しますか掴み金で幾らと云ふやうな補助と云ひますか、從来のやうに或社會施設が非常に事業をやつて居つて呉れた、是は非常に好いからして、此の事業を助成の趣旨で三百圓なら三百圓、五百圓なら五百圓出すと云ふやうなやり方に付ては、是は憲法と別に、又聯合軍の方で相當な指令に基く監督をして居る譯でございまして、掴み金で幾らと云ふやうな補助は今の所ちよつと許されないやうな状態になつて居ります、從ひまして或特定のものに斯う云ふ仕事を委託するやうな形に於て幾ら國から金を出すと云ふやうなことならば差支ない、斯う云ふやうな風になつて居ります、從ひまして社會事業法等の補助に付きましても、今後さう云う風に從來とやり替へをして行かなければならないと云ふやうに考へて居ります、さう致しますれば聯合軍の方も差支ない見込でありまするし、憲法の關係は先程申上げたやうに毛頭差支ないことに相成つて居ります、それから同胞援護會の點でございますが、御指摘のやうに此の設立に付きましては聯合軍司令部とも打合せを致しまして、設立をした團體であります、併しながら只今申上げましたやうに、包括的に掴み金で幾らと云ふやうな補助は是はちよつと出來ないやうな状態でございます、唯現在でもやつて居るのでありますが、母子寮でありますとか、或は其の他の色々な委託の事業を致しますれば、其の委託に付きましては國家の公費を出すことは差支ないことになつて居ります、現在も相當母子寮でありますとか、或は授産の施設でありますとか、或は引揚民の收容所と云ふやうなものを、同胞援護會でも計畫して居りますが、是等のものに付きましては、經費を出して一向差支ないと云ふやうなことでございます、同胞援護會の財源が非常に苦しくなつて居ります點は只今木内委員の御述べの通りでございますが、他の事業、出來るだけのものを國の方から同胞援護會をしてやらすことが出來ませうと云ふやうなものに付きましては、區別を致しまして、中央地方の同胞援護會に此の仕事を委託するやうな形でありますれば、國の費用も出し得るのであると云ふ風に考へて居ります、それから同胞援護會と、先般厚生省の外廓團體として出來ました職業補導協會と比較しての御質問でございましたが、憲法草案の八十五條にもございますやうに、宗教、慈善、教育と云ふことになつて居りまして、恐らく職業補導協會の方は之に屬さないと云ふやうなことで、監督が割合に緩いのではないか、緩いと申しますと大變どうかと思ひますが、慈善の方は兎角何と言ひますか、人に金錢其の他の物品を給與することに依りまして、弊害を恐れれば、非常に或はまあ精神的に、或は宗教的に何と言ひますか、相當な影響を與へるものでありますからして、そこらの所から慈善事業と云ふものに對して特別の配慮が爲されて居るものであると云ふ風に考へるのであります、同胞援護會の方は、斯樣な意味で可なり從來の補助金を出すやうなやり方とは、變つたやり方をしなければ、現在の状態では許されないと云ふやうな状態になつて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=8
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009・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) 江口委員に申上げますが、係の者が今居らないさうでございまして、先程の御答辯では御滿足ではないやうでございますが、宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=9
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010・江口文雄
○江口文雄君 さうですか、後で宜しうございます、後で又御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=10
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011・高木喜寛
○委員長(高木喜寛君) 他に御質疑はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=11
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012・榊原政春
○子爵榊原政春君 本法案に付きまして色々御話を承りまして、大體了承致しましたのでありますが、今迄の御話を承りまして、何と申しますか、若干明瞭を缺く所を念の爲に伺はせて戴きたいと思ひます、一番最初に社會局長から御説明がありました時に、實は此の第十一條の生活扶助、醫療、助産と云ふ所の經費の配分でありますが、大體生活扶助を二十二億位、生業扶助を三千六百萬圓位に豫定して居ると云ふ御話であつたのでありますが、今迄の色々な御話に依りましても、何とか本當に最低の生活だけやると云ふやうな人間を長い間止めて置くと云ふことは、出來るだけ之を短時間内に、出來ればさう云ふことのないやうにするのが理想でありますが、さうとすれば成るべく短期に止めるべきで、出來るだけ彼等に勤勞の途を拓いてやると云ふことが大切だと思ひますので、是非此の生活扶助と云ふやうな消極的な使途は成るべく之を最小限に止めて戴きまして、さうして生業扶助と云ふやうに彼等が生きて行く途を拓き、生業を以て自分で自活の途を拓くと云ふやうに一つ指導して、戴きたい、又其の配分等も從つてそれに應じて再考慮を願ひたい、斯思うのでございますが、是等の點に付きましての御所見を承りたいと思ふのであります、更に庶民金庫に三億圓を御充てになつて、彼等に生業資金を貸出してやると云ふ御話で結構と思ふのでありますが、此の中には勿論海外同胞も含みますし又遺家族とか傷痍軍人等の生業扶助をも含んで居るものと私は了承して居りますが、一體是は何時から御實施になるのであるか、或は此の生活保護法案が實施後に於て御實施になるのであるか、今もう御實施になつていらつしやるのであるか、此の點を承りたいと思ふのであります、更に若し之を御實施になるとすれば、此の生業扶助を受ける對象になつて居る人間は恐らく擔保等のものに付ては、殆ど餘りさう云ふものを持つて居ない者が多いんぢやないかと思ひます、庶民金庫に借りに參ります時に、彼等に或程度の査定で以て簡單に貸出して戴くと云ふ途が拓けて居るのでございますか、此の點を具體的に伺ひたいと思ふのでございます、更に御貸出になります三千圓の金は新圓で御貸になりますのですか、それとも封鎖でございますのですか、折角金は借りたけれども、それが實際上封鎖か何かで以て又更にそれを新圓に換へなければならぬと云ふやうな問題が殘るのでは、彼等の生業も迅速に行はれないと云ふことになりますので、此の點に付てどう云ふ風に政府で御處理になつていらつしやいますか、此の點を承りたいと思ひます、此の他に更に……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=12
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013・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) ちよつと江口委員に申上げます、成るべく質疑は重複しないやうに、又昨日は時間がたつぷりあつたのでございますが缺席なさつて居ります、今日はちよつと長くなるといけませぬから……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=13
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014・江口文雄
○江口文雄君 簡單に申上げます、現物給與と云ふことも御認になつていらつしやいますが、現物給與を此の生活保護法の中に御認になつていらつしやるかどうか、是も一つ承りたいと思ひます、更に此の間から問題になつて居ります民生委員でございますが、民生委員も從來の方面委員に付て相當問題がある點を御認になつていらつしやるのでありまして、從つて民生委員令、此の案の十項に依りますと、原則として其の儘方面委員が民生委員となると云ふことになつて居りますが、是は餘り今迄の御話を承りまして、私達の氣持を申しましても適當でないと思ひますので、事務の圓滑上是はどうしても必要であると云ふことは、重々承知致しますが、第十項は此處に特に明記されずに置かれたらどうであるかと云ふ點を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=14
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015・葛西嘉資
○政府委員(葛西嘉資君) 生業扶助に重點を置いて生活扶助を成るべく少くして行く、出來れば生業扶助だけでやつて戴くやうにと云ふ風な強い御話、全く御同樣に存じて居る次第でございます、唯働けない病人でありますとか或はもう非常に年を取つて居る人と云ふやうな者が、是はあるのでありまして、斯う云ふ人に付ては何ともなりませぬので生活扶助をやつて行かなければならない、或は又職の見付かる迄の間の生活扶助と云ふものは、是はどうしても必要だと思ひますが、働き得る者、殊に今度の生活保護法の對象になりますものは、從來の救護法等の對象とは、其の點大いに趣を異に致すのであります、壯年の者或は働き得る者が相當澤山對象になつて居る、從ひまして御述べ戴きました生業扶助に重點を注ぐと云ふことは、全く同樣に考へて居ります、地方等でも是等の點は十分注意を致しましてやるやうにと云ふ風に考へて居ります、是の費用等も豫算の當時には一應一人四百圓と云ふことでありましたのですが、どうも帶に短し襷に長しと云ふのでありますが、さう云ふ譯で若干上げる必要があると云ふので、約一千圓位に上げると云ふやうな風に交渉して居りますので、恐らくさう云ふ風に決めて行けるのぢやないかと思つて居ります、さう致しますと、生業扶助、殊に合同の仕事をやりますれば成立ち得るものが多いと思ひます、是等の點を地方廳の第一線にも徹底致しまして、御趣旨のやうにやりたいと非常に強く考へて居る次第であります、それから庶民金庫からの三千圓の生業資金の貸付の問題ですが、此の點は昨日も大臣から此の委員會で御述べのありましたやうに、對象を引揚民戰災者、其の他生活困窮者と云ふことに致しまして、限定を致して居りませぬ、生活困窮者でありますれば全部借り得る譯でありますので、此の點も通牒にも明かに致して居りますし、限定をせずに、要するに企業能力があつて、之を與へることに依つて獨立し得ると云ふ者には、其の對象が引揚民であらうと、或は遺家族でありませうと、やつて行くと云ふことに相成つて居ります、いつから實施するかと云ふ御話でございましたが、此の點はもう既に先月の初め頃から、大藏大臣厚生大臣で御決定になりまして、やるやうにと云ふ風に御督促を受けて居つたのでございますが、色々實際の手續や何かの關係で、まだ十億の貸付の方は第一線迄徹底して居らなかつたやうな状態でございます、先月の末に此の通牒が地方へ出まして、それから先月の二十七、八日でありましたか、庶民金庫の各地方の代表者を庶民金庫で集めまして、此處で又此の點に付て具體的な打合せを致して居ります、是がずつと徹底を致して參りますれば、今月の中頃には地方で實際に窓口へ行つた場合に金が出ると云ふやうなことに相成るだらうと思つて居りますが、通牒も末日に出た筈でございます、それから打合せも致して居ります、それから地方廳に對する指示は通牒を出しました外に、今月の五日に全國の内務部長、教育民生部長を集めて居りまして、そこで保護法の大體の準備、三千圓の貸付に付て打合せを致すことに致して居ります、尚地方廳にそれぞれ「ブロツク」會議を開きまして、今月十二日迄の間に全府縣の課長或は事務擔當者に一應本省の者から口で其のことを更に傳へることになつて居ります、從ひまして、其の會議でも濟みますれば、地方でも庶民金庫の方も打合せが濟んで居ります、地方廳の方にもさう云ふ打合せが濟んで居りますから、出來ることに相成るのぢやないか、遲れまして大變申譯のないことでございますが、斯樣になつて居ります、それから擔保の問題に付て御尋で……其の前にちよつと申上げて置きますが、此の三千圓の貸付をします迄の間の繋ぎと致しまして、御承知の萬世倶樂部と云ふ社團法人がありますが、萬世倶樂部から融資を願ひまして、一千數百萬圓と思ひますが、其の萬世倶樂部と、それから庶民金庫と、それから同胞援護會と、此の三者の共同で一千數百萬圓の金を萬世倶樂部の保證に依りまして實行する、是が今の十億の金が動きます迄の繋ぎと云ふ譯でありまして、地方廳へ之を流して居ります、そんなやうなことになつて居ります、それから擔保の問題に付ての御話でございましたが、是は引揚民或は戰災者等に、物的な擔保、或は人的擔保も得難いと云ふやうなこともありますが、一應一人の人的な保證を持てば、一人の人が借りられると云ふことになつて居ります、それから數人共同して共同事業を營むと云ふやうな場合に於きましては、擔保は必要なし、御互ひの共同事業者が御互ひに連帶の責任を負ふと云ふやうな恰好で、それで宜しいと云ふやうなことになつて居ります、それから三千圓貸した場合に、一體新圓は幾ら出すかと云ふ點でありますが、此の點既に或は決つたかも知れませぬのですが、一兩日前迄に私が聽いて居りました所では、まだ決つて居らなかつたのでありまするが、是は三分の一位を新圓にして、あと三分の二をまあ封鎖で行くと云ふやうなことでやるより外はないのぢやないかと思ひます、半分どうだと云ふ風なことがあり、三分の一、三分の二にならうとして居ると云ふ風に一兩日前には承りましたのでありまして、恐らく今日あたりは決つて居るのぢやないか、尠くも此の五日の内務部長會議迄には之を決める、さう云ふことになつて居ります、若干の新圓を「プラス」致しまして、殘りを封鎖で行くと云ふやうなことになつて居りますそれから民生委員の問題の要旨の第十項の點でございますが、昨日もちよつと御質問がありまして申上げたのでありまするが、此の民生委員令は、方面委員令を廢止致しまして、新らしく民生委員令を作ると云ふことになりますると、此の民生委員の方は地方の推薦委員會を町村で作つて戴いて、推薦委員會に民生委員の候補者を推薦して戴く、それを都道府縣に設けました銓衡委員會で銓衡をして、さうして厚生大臣から委囑をすると云ふやうな順序になりまして、相當手間が掛かるのであります、さうなりますと此の穴が空きまして、大事な此の民生委員の仕事に支障を來すやうなことがあつては困ると云ふやうなことで、一應斯う云ふ案に到したのでありまするが、衆議院でも此の點に付ては全く御同樣の御意見がございまして、咋日も申上げましたやうに、是は事務的に若干斯う云ふ手續をやつて、新らしく設ける、而も色々な地方廳の仕事等に差支のない程度の機關を置いて、出來るだけ早い機會に民生委員をやり替へると云ふやうな方針に致したいと云ふ風に考へて、勅令の方も斯樣な趣旨で書いて、御公布を願ふと云ふやうな風にしたいと云ふ風に考へて居ります、近日出ることにならうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=15
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016・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) 外に御質疑はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=16
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017・葛西嘉資
○政府委員(葛西嘉資君) 先程の國民健康保險の點に關しまするあれでありますが、是は大變申譯ないのでありますけれども、國民健康保險法の第十三條に「第十一條の規定に依る組合に付其の組合員たる資格を有する者の二分の一以上組合員たる場合に於て地方長官必要ありと認め其の組合を指定したるときは」と云ふ條件があります、「二分の一以上組合員たる場合に於て地方長官必要ありと認め其の組合を指定したるときは組合員たる資格を有する者は總て組合員と爲るものとす」、斯う云ふことになつて居ります、所定の二分の一の者が組合員になつて居つて、さうして地方長官が必要であると認めましたならば當然組合員になる、組合員になつたものは第八條の規定に依りまして保險料は全部組合員が當然納めなければならぬ、それを納めない場合に於ては、或は徴收金を滞納する場合は市町村税の例に依つて色々處分が行はれると云ふ風なことに相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=17
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018・江口文雄
○江口文雄君 組合員に入つた者は要するに組合費を強制徴收が出來る譯でせう、處が組合員に入つて居ない者ですね、例へば三分の二組合加入の申込があつて、後の三分の一は申込んでないと云ふ際に、其の人も強制的に入らなければならぬ義務があるかと云ふことですな、入れば無論組合費を拂はねばならぬが、三分の一が入つてなくてもそれは強制的に入らねばならぬことになるか、さうだとすれば復員者、引揚者が澤山歸つて居りますが、未加入の人が澤山歸つて來て居る譯ですが、それが三分の一以上になつた場合はどうなるか、それから現在組合に加入して居つても其の中から脱退は自由か、又脱退をしたが爲に總數の三分の二以下に組合員が減少したる場合はどうなるか、今迄は非常にそれがこんがらかつて居りまして、健康保險組合を運營して行く衝に當つて居る者は非常に實際問題として困つて居る、君は是非入らなければならぬぞ、入つて組合費を納めなければならぬと強く言ふても宜いのか、或は言はれぬのか、其の邊がはつきりして居ない発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=18
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019・葛西嘉資
○政府委員(葛西嘉資君) 十三條の規定に依りまして、二分の一以上が組合員になつて居つた場合に地方長官が必要ありと認めた時に其の組合を指定致しますと、當然其の者は組合員に入らなければならぬことになるのであります、地方長官の指定がなければ入らぬでも宜い譯であります、三分の二あらうと、五分の四あらうと地方長官の指定と云ふことがある場合の條件でございます、それから脱退の點は組合の規約を作る場合に脱退に關する規定がある、十二條でありましたか、組合員の加入及び脱退に關する事項と云ふのがあります、組合員の方の規定にあるのであります、費用の組合員の負擔の關係は是も或は間違つて居りましたら、後で訂正を許して戴きたいのでありますが、組合費は御承知のやうに皆差がありまして、極く低い負擔の能力のない者に付ては組合費を免除すると云ふことに組合で規約の中を規定して居るものがあるやうに思ひます、さう云ふ場合には勿論さう云ふ人は假令組合員になりましても、保險料は持たないで宜しい、併し組合員でありますから、其の組合の利益は受ける譯でございます、さう云ふ風なことになつて居るやうに思ひます、尚後程保險局の方から人が參るさうでありますから、間違つて居りましたら、其の際は訂正をさして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=19
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020・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) 江口委員はもう宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=20
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021・江口文雄
○江口文雄君 はあ、宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=21
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022・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) 大體質疑は終了したやうに思ひますが、是で質疑を打切つて宜しうございますか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=22
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023・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) 實吉委員に申上げますが、先達ての貴方の御質問に對する復員省の御答が間違つて新聞に傳へられて居りますので、ちよつと明かにしたいと云ふことを復員省の方が申されて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=23
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024・荒尾興功
○政府委員(荒尾興功君) 昨日榊原さんから未復員者の調査に付きまして御質問がございまして、私が御答へ致しました部分で、調査の時期に關しまして、多少誤つて傳へられて居るやうでありますが、是は未復員者の家庭に取りましては極めて重大關心事でございますからちよつと御説明を追加させて戴きたいと思ひます、昨日申上げましたやうな方法で調査は復員の開始以來續行して居るものでございますが、本格的の調査がなかなか行はれませぬ理由は、外地の司令部が外地に於けるそれぞれの報告を處理したる後に歸つて參りますので、最近北方地域を除きまして、大部隊の集團歸還は大きな部分が終つて居りますので、從つて是等の司令部が八月の中旬に相當數歸つて參りました、是等の司令部の中、部隊の移動、若しくは人事の異動を受持つて居るものを現在集合中でありまして、九月中旬迄本格的調査の準備をするのであります、然らば是等の調査は何時頃終はるか、其の結果最終の處理、或は生存者の最後の保護の方法をどう云ふ風にするか、それで何時其の調査が終はるかと云ふことでありますが、今の所九月中旬迄本格的調査準備を進めて、出來れば、本年度内に北方地域を除いた其の他は一應完了したいと云ふ熱意を以て仕事に努力して居る次第であります、我々と致しましては、御留守宅の心持と同樣の氣持で此の仕事を完成したいと思つてやつて居る譯でありますが、多少誤つて傳へられて居るやうな部分もありますので、ちよつと申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=24
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025・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) 質疑は終りましたので、是より討論に入る譯でありますが、其の前に皆樣に御諮り致しますが、懇談會にしたらどうかと思ひます、如何でありますか
〔「贊成」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=25
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026・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) それでは是より懇談會を開きます
午前十一時三分懇談會に移る発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=26
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027・会議録情報3
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午前十一時三十八分懇談會を終る発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=27
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028・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) 此の程度で懇談會を閉ぢまして、午前は是で打切りまして、午後は一時から開會致しまして討論に移りたいと思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=28
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029・木内四郎
○木内四郎君 どうですか、時間がありますから午前中に濟ませてしまつたら発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=29
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030・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) どうですか皆さん、午前中續けてやりますか、御贊成ならまだ二十分あります
〔「贊成」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=30
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031・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) 贊成多數のやうですから、それでは續行致します、是より討論に移ります、木内委員発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=31
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032・木内四郎
○木内四郎君 私は本法案に贊成する者であります、此の法案の趣旨は、國の責任に於て最低生活を保障しようとするものでありまして、戰爭の結果、幾多の犠牲者を出し、非常に多くの人が生活困難な状態に陷つて居り、又現に更に陥らうとして居る際に於きまして、此の法律に依りまして、國の責任に於て最低生活を保障されると云ふことは非常に結構だと思ひます、勿論此の法律の規定に依りましては、尚多少挿入して戴いた方が却て宜いのぢやないかと思ふやうな規定がないでもありませぬけれども、要するに問題は、法の運用であり、又人の問題であると思ふのでありますからして、政府當局に於かれましては、特に其の運用と民生委員等に適當な人を得ることに努められまして、本法の目的達成に努められむことを切望して止まない次第でございます、尚此の生活保護は之を實行致しますると云ふと、國庫に重大な負擔を及すものでありますからして、之の實行に當りましては、成るべく生活保護をしなければならないやうな人の數を少くする意味に於きまして、職を失つて居る人に職を與へるやうに、而も職を與へるに當りましても、非生産的な仕事でありませぬで、生産的な仕事を與へるやうにして、さうして國庫の負擔を少くし、同時に我が國の此の生産増強に貢献されるやうな風に御考を願ひたいと思ふのであります、尚同じ趣旨に依りまして、此の保護を行はれる場合に於きましても、度々各委員からも御意見がありましたやうに、生活の扶助を與へて行くよりも、成るべく生業扶助に力を注がれまして、生活の扶助を與へる方を出來るだけ少くするやうな風に努められたいと思ふのであります、それから尚先程申しましたやうに、此の財政上非常に大きな負擔を伴ふことでありますので、勿論此の保護は必要な保護は、飽く迄之を實行しなければなりませぬけれども、其の保護を與へるに當りましては、國庫の重大なる負擔と云ふ點も考へて、成るべく濫に流れないやうに、政府に於かれまして特に注意されむことを希望致しまして、私は本案に贊成致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=32
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033・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) 前田委員発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=33
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034・前田利男
○伯爵前田利男君 私も贊成する一人でございます、只今木内委員より御述べになつた點が御同感の點が澤山ございますから、唯極く簡單に申上げます、民生委員は其の地方の經驗ある公私施設の者と能く協調しまして、高潔なる人格と、仁愛の精神を具備して、而も正義に立脚し、他の如何なる力に對しても屈しないと云ふ誠意を極度に要求するのでございます、それでございますから、當局に於かれましては、特に此の點に御注意になりまして、地方と常に連繋を御取りになりまして、屡屡懇切に有效適切な御指導をなされまして、萬遺憾なきを期せられたいと云ふのが、私の希望でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=34
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035・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) 板谷委員発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=35
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036・板谷順助
○板谷順助君 私は遲れ馳せに參りまして……、大體此の法案には贊成致しまするが、先般來、委員各位と政府當局の間の質問應答を承りますると、どうも生活保護の範圍がはつきりして居ない、勿論生活保護に付ては、今日非常に困つて居る人々を救ふと云ふことは、司令部の命令でもあり、或は又國民と致しまして、義務觀念を以て救はなければならぬことは當然である、當然でありまするが、私は今日本の現状が所謂敗戰國の苦しみを受けて、殊に財産は殆ど富の再分配をされ、又國家も國民も有らゆる貧弱などん底に陷らむとして居る現在の状態であります、であるからして我が國を建直すに付ては、何と言つても國民皆勞主義、如何なる人間と雖も今日働かざる者は食ふべからずと云ふやうな方針の下に、非常な決心を持つて國家の前途に處さなければならぬと云ふ現状であります、然るに此の法案を見ますると、勿論海外の引揚者、或は、戰災者、其の他の非常に困つて居る人々を國家の力を以て、國家の義務として之を保護しなければならぬと云ふことは當然である、當然でありますが、先般來私は大臣の御話を承りますると云ふと、何としても失業對策に之を結び付けて居るのであります、從つて此の法案に對しても、失業者として百八十八萬六千人を計上して居る、私は失業對策は別に考ふべきものであつて、失業者の中に斯う云ふ救護しなければならぬ人々があるとしても、之に結び付けると云ふことは穩やかでないと云ふことを申上げて居るのでありまするが、是は一朝運用を誤りましたならば、惰民を作ると云ふ私は原因になりはしないかと思ふ、と云ふのは、現在の國民或は勤勞大衆、有らゆる國民と云ひまするか、殆ど、道義が頽れて居つて、樂をして遊んで食はうと斯う云ふ氣分である、斯う云ふ氣分が非常に漲つて居るのであります、でありますから此の法案を執行する上に於て、政府當局は最も御考にならなければならぬことは、大臣は先般來三十億計上して居ると云ふけれども、四十億、五十億になるかも分らぬと云ふことを仰しやつて居る、一體此の財源をどうするか、現在の状態では國民齊しく御互ひが此の敗戰の苦しみを味はなければならぬ、斯う云ふ時代でありますから、先程來委員の方々も色々申されましたけれども、此の運用と云ふことに付ては、餘程御注意を願はなければならぬと、私は思ふ、殊に地方の民生委員の選任と云ふことに付ては色々御考になつて居るでありませうけれども、所謂從來の方面委員のやり方を見ると云ふと、縁故、情實に依つて左右せらるると云ふことがある、又醫療の機關に於きましても、是も病人は勿論援けて保護してやらなければならぬが、何時迄も病院に置くと云ふ譯には行かない、或程度迄病人は早く直させる、醫療の設備も出來るだけ充實させて、さうして出來るだけ一人前の人間として世の中に出て働かせる必要があると思ふのであります、從つて恐らくは今後、大臣が此の財源に付て色々御考になつて居るだらうけれども、國家の現状力から見まして、或は此の三十億の財源を捻出することに付ても、私は容易ぢやないと思ふ、大藏大臣は、何も彼も財産税から取ると云ふことを屡屡仰しやつて居る、有らゆるる方面に皆此の財産税がぶつかかつて居る、でありますから、委員諸君から色色御話があつたので、私は諄くは申上げませぬけれども、生活保護法が日本の社會政策としての試金石ぢやないかと私は思ふのです、從つて失業者を救濟すると云ふことに付きましては、速かに社會保險制度の確立を圖つて、さうして兩々相俟つて其の運用を期せられむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=36
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037・小山松吉
○小山松吉君 私も本法案に贊成する者であります、此の法案に付ては先に述べました通り、幾多の不備と思ふやうな點が規定の上にあるのであります、其の一つは、生活の保護を要する者が具體的に決められて居ないと云ふことであります、何人が生活の保護を受くる資格があるかと云ふことを、此の法案の上に書くことはむづかしいのでありますから、私の希望と致しましては、勅令なり其の他の命令の中に、此の法を運用する者が迷はないやうに、又不公平にならないやうに、生活の保護を與ふべき人間を明瞭に表はしまして、それに依つて一方は、國民の何人が當然保護を受けなければならぬかと云ふこと、又國民自身も、自分は保護を受けられるのであると云ふことを了解するやうな規定を置いて貰ひたいと思ふのであります、さう致しませぬと、折角厖大な豫算を費して、國家が平等二保護しよう、何人をも優先させずに平等に保護してやらうと云ふ、此の國家の眞意も徹底しない虞があるのでありますから、此の點を私は希望して贊成をする者であります、それから他の方からも御話がありましたが、要するに法の運用が最も大切でありますから、民生委員の御監督或は御指導と云ふことに付ては一層の御努力を願ひまして、各法規の運用に付ては御注意を願ひたいと思ふのであります、要するに贊成を致すものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=37
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038・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) 他に御意見はございませぬか、別に御意見がないやうでございますから、是にて採決を致したいと思ひますが、宜しうございますか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=38
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039・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) それでは原案贊成のお方の御起立を御願ひ致します
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=39
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040・高木喜寛
○委員長(男爵高木喜寛君) 全會一致可決致しました、一言御挨拶を申上げます、連日に亙り開かれました此の委員會が圓滑に運ばれましたのは、全く委員諸君の御熱心の結果でありまして深く御禮を申上げます、尚會議中御懇切に御答辯下さいました政府委員にも御禮を申上げます、又其の他本法案に關係して、出席して戴いた方々にも御禮を申上げます、之を以て散會致します
午前十一時五十九分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=40
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041・会議録情報4
出席者左の如し
委員長 男爵 高木喜寛君
副委員長 子爵 京極高鋭君
委員
公爵 島津忠承君
公爵 三條實春君
侯爵 黒田長禮君
伯爵 前田利男君
子爵 北小路三郎君
子爵 實吉純郎君
子爵 安藤信昭君
子爵 榊原政春君
小山松吉君
男爵 奧田剛郎君
男爵 北大路信明君
男爵 小原謙太郎君
木内四郎君
板谷順助君
正田貞一郎君
中山壽彦君
江口文雄君
國務大臣
厚生大臣 河合良成君
政府委員
復員事務官 荒尾興功君
厚生事務官 葛西嘉資君
同 上山顯君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009001906X00519460903&spkNum=41
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