1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
付託議案
○戰時補償特別措置法案
○金融機關再建整備法案
○特別和議法案
○大藏省預金部等損失特別處理法案
○厚生年金保險法及び船員保險法特例案
○企業再建整備法案
○財産税法案
○財産税等收入金特別會計法案
○企業整備資金措置法を廢止する等の法律案
○帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律案
○復興金融金庫及び産業復興營團出資拂込金支辨のための公債發行に關する法律案
○自作農創設特別措置特別會計法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=0
-
001・会議録情報2
―――――――――――――――――――――
委員氏名
委員長 三土忠造君
副委員長 男爵 高崎弓彦君
侯爵 池田宣政君
侯爵 西郷吉之助君
侯爵 鍋島直泰君
伯爵 二荒芳徳君
伯爵 黒田清君
子爵 大河内輝耕君
子爵 京極高修君
子爵 瀧脇宏光君
子爵 綾小路護君
子爵 梅溪通虎君
慶松勝左衞門君
男爵 周布兼道君
長谷川赳夫君
男爵 八代五郎造君
男爵 中村貫之君
男爵 林忠一君
男爵 倉富鈞君
男爵 宮原旭君
黒田英雄君
板谷順助君
橋本辰二郎君
名取和作君
河西豊太郎君
小山完吾君
高橋龍太郎君
有馬忠三郎君
中島徳太郎君
片岡直方君
片倉兼太郎君
河端作兵衞君
岸本彦衞君
松岡潤吉君
小汀利得君
上野喜左衞門君
―――――――――――――――――――――
昭和二十一年十月七日(月曜日)午前十時十九分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=1
-
002・三土忠造
○委員長(三土忠造君) それぢや是より委員會を開きます、澤山の議案がありまするが、先づ戰時補償特別措置法案、金融機關再建整備法案、企業再建整備法案、特別和議法案、此の四つが關聯を持つて居りまするからして、先づ是だけを先に議題として質問を願ひ、其の次に財産税法案に付て、後は細かなものでありますから後で又御相談することに致しまして、先に申上げた四點に付て御質問願ひたいと思ひます、如何でせうか、政府の御説明をもう一遍伺ひますか、昨日はつきりしたやうなものでありますが、膳國務大臣の説明は非常にはつきりして居り大體分つたと思ひますから、直に質問に入つたら如何でせうか、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=2
-
003・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 御異議ないと認めます、それではさう致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=3
-
004・板谷順助
○板谷順助君 私は簡單に質疑に入るに先き立ちまして、政府當局に對して、議事進行に付て質問したいと思ふのでありますが、宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=4
-
005・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=5
-
006・板谷順助
○板谷順助君 是等の法案は聯合國の關係もあり、或は政府に於ても非常に御苦心をせられたことと思ふのでありまするが、豫てより政府が發表された所の所謂構想と、又此の法案を見ますと云ふと、勅令は僅かでありまするが、大體に於て命令に依つて定むと云ふ箇條が多いのであります、從つて此の命令と云ふものが分らなければ、我々は此の全貌を明瞭に理解することが困難である、又政府に於ても此の法案は早急に作つたのであるから缺點もあり、或は不備もあると云ふことを仰しやる、そこで我々は之を審議する上に於きまして、勿論相當の時間を要する必要がありまするけれども、會期が逼迫して居るのでありまするが、併し一面に於て此の重大法案、即ち國民の負擔を増すことに付ての重大の案でありまするから、我々としては國民の怨嗟の聲の起らないやうに、最も公平に審議せねばならぬ必要を感ずるのであります、或場合に依りましては政府の答辯如何に依つては修正案を提出する必要があるかも知れぬ、そこで政府の此の原案は昨日の大藏大臣の説明に依りますと云ふと、免税點十萬圓を五萬圓に引下げることがあるかも知れぬと云ふやうな御話があつたのでございまするが、今後此の法案を實施する上に於きまして非常な困難が伴ひ、或は實情に即しないと云ふ場合も起るかも知れぬ、又從つて我が國の現在の國情を聯合軍に能く了解せしめる必要もあるのでありまするが、政府の原案と致しましては、是は確定的のものでないと斯う解釋して宜しうございますか、其の點を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=6
-
007・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 御答へ申上げますが、此の法案の中に勅令、省令等に讓つて居りまする部分の多いのは、只今御質問の通りでありまして、尚是等の内容等に付きましては、何れ大藏、商工當局から其の内容に付ての御説明も申上げ、又内容を書いたものを差上げる豫定になつて居ります、尚只今御質問の御本旨でありまする此の法律案は、確定的のものであるかどうかと云ふことでありまするが、只今の御尋に關聯致しましたことで、斯う云ふ御尋のやうに存じますが、此の本案は諸般の情勢から鑑みまして、又之を最も適正と考へた確定的の案でございます、假に是が若し財産税等の問題が、將來財産税收入の模樣等に依りまして、多少範圍の擴張のやうなことがありましても、それは別箇の問題としまして、將來別の法制で立てると云ふことであります、今囘提出致しました一聯の法律案は、是で確定的のものであり、又昨日も總理大臣が提案の理由の中に説明がありました通り、此の非常時的の立法は、是で一貫する積であります、御了承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=7
-
008・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 御質問の順序は片岡君、大河内君、橋本君が今申込んで居られますが、其の外の方が御申出でになりまするには、成るべく先刻二荒伯の仰つしやつたやうに、質問の内客を「トピックス」だけを書いて戴くと、都合が好からうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=8
-
009・片岡直方
○片岡直方君 それでは私質問さして戴きます、第一番に御質問申したいことは、此の補償打切りに依りまする債權者負擔の問題であります、具體的に申しますると、補償打切りと云ふ問題に伴ひまして、債權者の損失を負擔する場合に、企業再建整備法と、金融機關再建整備法と、特別和議法の三つ、斯う云ふことに關聯して居るものでありますので、此の點に付きまして關聯して御伺したいのでございます、先づ第一に御伺うたいことは、企業再建整備法第七條第二號に依りますると云ふと、舊債權の中知れたる特別損失負擔債權は、其の十分の七に達する迄債權者が損失負擔することになつて居ります、それから金融機關再建整備法案の第二十四條の四、五、六、七に依りますると、金融機關の整理債務を、法人の預金と其の外のものと區別しまして、更に法人の預金を一口が五百圓以上のもの、百萬圓以上のもの、それから十萬圓を超えるもの、それから十萬圓以下のもの、斯う云ふ風に數階段に區別して居ります、さうして別別に債權の損失負擔の割合を規定して居るのであります、債權の性質大小に依りまして負擔する金額に差等があるのでございます、さう致しまして此の企業及び金融機關再建整備法案では、只今申上げたやうな負擔割合に從つて、債權者は一律に損失を負擔すると、斯う云ふ風なことになつて居るのであります、然るに特別和議法の第五條に依りますると、特別和議の條件と云ふものが各特別和議債權者に付て差等があるのであります、所謂正義原則と申しまするか、さう云ふものに合致致しまするものであれば、裁判所は特別和議の開始認可を決定することが出來ることになつて居るのであります、即ち衡平の觀點に立ちまして、債權の大小とか、或は其の發生の時期とか、其の他諸般の事情を斟酌しまして、解決方法が取られるやうになつて居るのであります、只今申上げた通り三法案に付きまして、それぞれ規定する債權者の損失負擔の大要に於きまして一貫性がないのであります、斯樣に變つて居るのでありまするが、此の相違を設けました理由を伺ひたいのであります、次に企業及び金融機關再建整備法案と云ふのは共に經濟の速かな再建を目的とするのでありまするが、是等に於きましても、矢張り特別和議法案にありまするやうに、衡平と云ふ原則から「スタート」しまして、債權者の債權を一律に切棄てると云ふやうなことを止めて、債權者が経濟再建に必要な重要部門にあると云ふ場合には、損失の負擔金を輕減するとか、或は免除するとか云ふやうことなど、特別の事情を考慮すると云ふことが必要ぢやないか、斯う云ふ風に考へますので、之に付きましての政府の御答辯を願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=9
-
010・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 結局此の三法案に於きまして、自己の資本で先づ負擔すべき損失の割合の計算方法でありますが、三法案とも仰せの如く多少相違致して居るのであります、其の理由は結局一口に申しますると云ふと、一般の工業其の他の企業、金融機關、又個人や法人等の性格の相違から參つて居ると斯う申上げて宜いのであります、又衡平觀念の外に負擔の能力の問題も考へ合せられた問題でありまして、一般の企業の場合に於きましては、先づ自己資本で損失を補ふべき部分を相當に見まして、先づ外部資本に付きましても、一時はどう云ふ風に負擔をさすべきかに付きましては色々問題もあつたのであります、或は普通の債權と又社債の如きは別にすべきかと云ふやうな研究もあつたのでありますが、色々考慮致しまして、先づ一般企業に付きましては自己資本の負擔の割合を先づ多く、外部債權の負擔を先づ少くすると云ふことが適當であらうと、斯う云ふやうなことに落著きましたのであります、又金融機關の方に於きましては、要するに預金者の保護を如何にするかと云ふことが重點でありますので、是は此の負擔力に應じまして、負擔能力の多い、即ち預金の分量の多いものには餘計負擔させると云ふやうな觀念から、先づ法人に付きましては預金の多いものから切棄てると云ふやうな此の程度が適當であらうと云ふことで參りました譯であります、又個人と是等の企業及び金融機關の間との違ひは、法人に於きましては業務の種類はもう既に定つて居るのであります、併しながら個人生活に於きましては、個人の負債の生じた原因が此の補償打切りばかりぢやありませぬ、色々の個人の状態は他の種々な方面からの負債もありますので、之を法人のやうな工合に或率を定めてやつて置くと云ふことが困難でありますので、個人や法人は各各の人、各各の法人の其の事業、及び財政状態、或は生活の状態と云ふやうなものを考慮致しまして、個別的に和議の方法に依りまして、如何に外部の債權を切棄てて貰ふかと云ふことの協議をして貰ふと云ふことが適當である、要しまするに、一般の企業、金融機關、個人と、其の經濟生活の本質に違ひのありますること、竝に債權者の負擔能力と云ふやうな點も考へ合せまして、それぞれ立案致しましたので、此の三つの間には多少の相違の生じた譯であります、御了承願ひたうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=10
-
011・片岡直方
○片岡直方君 次を急ぎますので質問を致したい……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=11
-
012・板谷順助
○板谷順助君 委員長、ちよつと關聯して、今のことでちよつと聽くだけです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=12
-
013・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 一通りやらしたら宜い発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=13
-
014・片岡直方
○片岡直方君 先程の御話で續けて質問させて戴きまして、後からやつて戴かないと時間も掛かるのと、それから全體に於て論旨が崩れて來るやうに思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=14
-
015・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 關聯質問ですか、關聯質問は成るたけやらぬやうにせんと……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=15
-
016・板谷順助
○板谷順助君 それならば……あなたやると仰しやつたから、宜しうごさいます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=16
-
017・片岡直方
○片岡直方君 次の問題に入ります、次は我が國産業の獨立保持の問題であります、企業及び金融機關再建整備法案に依つて生じまする未拂株金の徴收の問題、それから財産税法に依ります物納、株式の處分、換價の問題、財閥解體に依つて惹起します所の財閥株式の處分法などの諸問題に對して、斯う云ふものを中心として色々の議論が今行はれて居るのでありますが、第一に伺ひたいことは、政府は是等の株式を入手するものは、如何なる社會層の者であると云ふ風に御考になつて居るかどうか、私は此の新興所得層に依りまして、株式は或は取得せられるのではないかと云ふことを、或は杞憂かも知れませぬが、さう云ふ風にも考へられるのでありますが、今日の經濟の激動の時期に非常にうまく立廻つて、非合法的な手段で以て新圓を獲得したと云ふやうな者が、我が國の企業の主要の株式を大量に取得すると云ふことになりますると、我が國の産業に對する支配層が全くさう云ふ者に變つて行くと云ふことになるのであります、而も新圓を獲得した者が……、斯う云ふ無理をして新圓を獲得した者が、經濟建設の擔當者になつて行くやうな氣も致すのであります、斯う云ふことは誠に國家の前途に對して憂へることと考へるのであります、之に對しまして政府は如何なる處置を以て臨まれると云ふ御考であるかどうか、日本經濟の再建の爲には、此の重要基本産業の株式と云ふやうなものは、政府が自ら手に收めると云ふ方法に依るのか、或は企業再建整備法の第十三條にも規定してありまするやうに、何か議決權の行使に對する制限と云つたやうなものに依つて、我が國の産業の獨立性を確保して行くと云ふことが必要でないかと斯う云ふことを考へますので、之に對する政府の御所見を伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=17
-
018・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 只今御質問になりました點は政府に於きましても特に憂慮を致し、又其の將來に付きまして深く考慮しつつある問題であります、此の法案が實施されます際に、未拂込株金が徴收せられ、其の爲に拂込不能の場合も隨分起きようと思ひます、其の爲に失權する株主も亦出來ようとも存じます、又之が處分株となりまして好ましからざる方面に此の株式が買取られると云ふ懸念のあることも十分警戒しなければならぬ問題と存ずるのでありますが、尚差當りの問題と致しましては、是等處分されるやうな株式を一時健全な機關の手に「プール」をさせて置きまして、漸次は之を企業或は金融機關の整備と共に、是が適當に處分せられるやうな方法に付て目下考慮致して居るのであります、併しながら是等の企業、金融機關の整備の結果、從來の何と申しますか、指導層と申しますか、是等の株式の所有の層が變はると云ふことは、是は已むを得ないことと存ぜられます、殊に我が國が「ポツダム」宣言に基きまして課せられて居る大きな問題に、經濟民主化と云ふ問題があります、財閥の解體、其の他日本の經濟の機構が一部分の手に從來のやうに委ねられて居るのは宜しくない、之が民主的に、此の企業の經營が民主的になると云ふことが希望せられて居るのでありまして、政府の今考へて居りまする施策も、其の點に相當考慮致すのでありまして、將來處分さるべき、或は株式其の他のものが、斯う云ふやうな所謂、或は振興と云ふ言葉が適當であるかどうか存じませぬけれども、廣くさう云ふものが國民の全般の手に擴がると云ふことは、寧ろさう云ふ方面に關する限りは積極的になさなければならないものではないかと考へて居りまして、經濟民主化と云ふ問題に付きましては、是等の株式の分配などと考へ合せまして、政府では目下頻りに研究を致して居る點であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=18
-
019・三土忠造
○委員長(三土忠造君) ちよつと此の際先刻懇談の場合に申上げたことを正式に申したいのでありますが、委員諸君も、それから政府の方も、會期切迫の際でありまするから、出來るだけ質問の言葉を簡單にして要領だけを述べる、それから政府の方もはつきりと簡單に出來るだけ述べる、さう云ふ風にして戴きたいと云ふことを先刻申上げましたが、此のことを正式に申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=19
-
020・片岡直方
○片岡直方君 一應次の問題に入ります、次は經濟再建整備委員會と云ふ規定が今度ございますが、其のことに付て御尋したいのであります、此の五法案を見ますると云ふと、非常に政府の權限が増加せられるやうになつて居るのであります、例へば企業整備法案の第五條、それから二十二條、それから金融機關、是は二十七條であります、それから財産税法三十條、三十六條、それから六十四條、條文は省略致しますが六十四條、それから五十三條、是等は皆關係があるのでありますが、企業整備法に於ける整備に依る整備計畫の認可權、それから金融機關再建整備法に於ける最終處理方法の認可權、それから財産税法に於きまする評定決定權、是等の權限が政府に與へられるのであります、さう云ふことになりますと、國民に對して、政府は戰時中に於ける統制經濟に比しまして、それ以上の非常な強力なる發言權を持つやうになると、斯う云ふ風に私は考へるのであります、戰爭中に於きましては、國民は隨分官僚の唯我獨尊のやり方、繁文褥禮、それから徒らに尨大なる形式的書類を要求されまして、事務が非常な澁滯を來したのであります、斯う云ふ官僚の政治の缺點は、實に怨嗟の的となつて居つたのでございますが、此の戰後の民主化を要望せられる今日に於きましては、經濟の所謂民主化と云ふ見地から申しますると云ふと、此の五法案を實行すると云ふ場合に、同じやうなことが繰返されては相成らぬのであります、斯う云ふやうな弊害をなくして行くと云ふ役割を持つて居る所の、只今申述べました企業及び金融機關再建整備法に謳はれて居りまする所の經濟再建整備委員會と云ふやうな構成、是は戰時中の所謂色々ありました諸委員會と違つて、民主的の機構がどの程度取入れられて居るかどうかと云ふことを先づ伺ひたいのであります、次に伺ひたいことは、整備委員會には、昨日膳國務大臣よりも御説明がありましたが、民間の學界の「ヱキスパート」を入れると云ふことでございましたが、どう云ふ方面から、又どう云ふ割合で御入れになるか、どう云ふ風に之を運營せられるかと云ふことですが、又拜見致しますと諮問機關と、斯う云ふやうになつて居りまするが、私は考へますのに、斯う云ふ時代になりまして、成るたけ民間の意見を取入れて本當に運營されるのが宜いと云ふやうな氣が致しまするので、寧ろ積極的に活動せしめることが必要ぢやないか、斯う云ふやうに考へるのであります、其の意味に於きまして、只今申述べました企業再建整備法竝に金融機關再建整備法に於てのさう云ふやうな委員がどう云ふ役割を持つて演ぜられて行くかと云ふことに付て御説明を煩はしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=20
-
021・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 只今御尋の委員會は、民主的に之を運用したいと思ふのでありまして、此の委員會には學界の代表、又或場合に於きましては勞働の代表の方も入れまして、此の委員會は中央に、中央の經濟再建整備委員會があり、又地方にも之を設けまして、出來るだけ官僚統制或は官僚獨善の弊に陷らないやうなことを考へて居ります次第であります、尚其の構想は……委員長、如何でありませうか、政府委員に述べさせませうかしら……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=21
-
022・片岡直方
○片岡直方君 時間を取りまして御迷惑を掛ければ後に……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=22
-
023・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) それでは後に詳細政府委員より申述べさせます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=23
-
024・片岡直方
○片岡直方君 次に御質問申したいのは、戰時補償特別税の物納と云ふ問題、是は財産税の方にも關係がございます、關聯がございますので御質問を申したいのでありますが、戰時補償特別措置法に於きまして關聯があります、納税の義務のある者が金錢で完納すると云ふことが困難である場合には、物納出來ると云ふことになつて居るのであります、一方財産税法でも同樣に、五十六條で以て同樣に認めて居りまするが、戰時補償特別措置法の規定しまする物納の種類と云ふものはどう云ふものでありまするか、又是と關聯ある所の財産税の物納の對象と同じものでありまするかどうか、違ひがあるならばそれも御示しを願ひたい、それからもう一つ、戰時補償特別措置法、それから財産税に於ける物納處分の……財産の處分と云ふことの爲に、特別の國有財産部と云ふ言葉は惡いかも知れませぬが、假に國有財産部と云つたやうな機關でも御作りになつて、さう云ふ機關に依つて物納の處分方法を具體的に處理せられると云ふ御考があるかどうか、さう云ふことに付ての御答を願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=24
-
025・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御答へ申上げます、戰時補償特別税竝に財産税は御話の通り物納の制度を認めて居ります、而して其の範圍竝に順位に付きましては、各種の財産を物納せしめ得ることに致すのでありまするが、其の順位は先づ國債を第一に致しまして、二番目に株式又は不動産、最後に動産の物納を認めた譯でございます、而して物納された財産の換價處分に付きましては、是は各種の財産の種類に依りまして、其の方法を變へたいと思ひます、是は當然國有財産と相成るのでございまするが、株式に付きましては、先程御質問もありましたやうに、經營の經驗のない人が之を持つと云ふことは餘り好ましくございませぬので、一應特定の所謂金融機關等の團體に持たせまして、適當な時期に、又適當な方面に賣られるやうに努力致したいと考へて居ります、又不動産に付きましても、田畑に付きましては農地調整法の關係に依りまして相當小作人に參りますでせう、又市街宅地竝に家屋に付きましては、觀業銀行或は信託會社等をして其の換價方法に協力せしめるやうに、只今研究致して居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=25
-
026・片岡直方
○片岡直方君 私は關聯のある質問は是で終りますので、又後で別の質問を致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=26
-
027・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 私は立つて質問を致す譯でございますが、足が惡いので坐つた儘願ひます、どうぞ國務大臣も坐つた儘御願ひ致します、一番先に伺ひたいのは、議事の進行の爲に便利かと思ひますから、誰方からでも宜しうございますが、衆議院でどんな質問があつたのでございませうか、大要御話を願ひたいと思ひます、衆議院であつたことの御話を伺へば、此處で又伺はずに濟みますから……、若し只今ではいけませぬなら後の機會で結構であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=27
-
028・吉田茂
○國務大臣(吉田茂君) 後の機會に一つ御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=28
-
029・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それでは次に伺ひたいと思ひますが、戰時補償特別措置法案の第一條に八月十五日で區別してありますが、是は八月十五日と人爲的に區別されたのはどう云ふ理由があるのでございますか、何か其の爲に幸不幸が起ると思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=29
-
030・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 八月十五日で區切りましたのは、日本が降伏した日、其の以後には日本の諸財政も占領軍の管理下に在るのでありまして、丁度其の時を以て財政の處分の分界點とするのが最も適當と考へましたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=30
-
031・大河内輝耕
○公爵大河内輝耕君 さうしますと、それに依つて幸不幸が出來やうと思ひますが、それは如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=31
-
032・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 本法案の施行に付きまして幸不幸の出來まする問題は、是は昨日も提案の理由に述べましたやうに、他にも途があつたのでありまするけれども、内外の情況を考へまして、此の方法を執るに致しましても、八月十五日で仕切りまするか、或は九月二日で仕切りまするかと云ふやうな、兎に角或一線を劃する必要がどうしても出來ます、是も内外の情況に鑑みまして八月十五日、是が適當だ、其の爲に出來る不公平もありまするけれども、是は已むを得ない、何れに致しましても或分界點が出來ますると、其の前後に付ての公平不公平が出來まするが、それは已むを得ぬことと存じまして、決定致しました次第でごさいます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=32
-
033・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 之に付きましては、私素人で何も伺つて居りませぬから、愚問かも知れませぬが、別に是は御區切りにならなくても皆同じ軍需會社なんですから、區切らなくても宜ささうなものでございますが、さう行かないものございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=33
-
034・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 軍需會社等に對しまする支拂は、開戰後間もなく支拂つたものもありますし、又終戰後拂つたものもありますし、何れかで區切りませぬといけませぬ、殊に終戰後支拂ふべからざるものも支拂はれたる感がありますから、此の終戰の前後に或一線を劃する必要を感じた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=34
-
035・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それで御話のことは能く分りましたが、私の意見ではもう少し根本に行きまして、此の補償の打切りと云ふことは大變なことだ、軍需會社、一部の人にばかり不利益を與へるやうに考へられるのですけれども、勿論戰爭で儲けて居ることは是は分つて居りますから、其の點相當考慮する必要はあらうと思ひますが、何だか之に對してのみ百分の百課けるので、是ばかり苛めるやうな感がある、寧ろ損をしたのは國民一般なんですから、國民一般が損をするのは分つて居りますが、軍需會社ばかり損をするのは何だか解し難いやうに思ひますが、其の點は如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=35
-
036・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 昨日も提案の理由に申述べましたやうに、今囘の補償の打切りは軍需會社、及び之に類似の軍需品の製造及び納入に從事したものばかりではありませぬ、一般國民に及びまする戰爭に基きまする火災保險、又企業整備に基きまする補償金、轉業資金、又強制疎開等に基きまする補償金、斯う云ふやうな有らゆる戰爭に基因して政府に請求權を持ちました請求權の範圍全部に及ぶのでありまして、是は軍需會社のみ等に限られて居ない譯であります、御了承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=36
-
037・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 能く分りました、私の申すのはさうでない、さう云ふやうな請求權は御拂になるものは御拂になつて、取るものは一般的な收入、例へば税とかと云ふもので御取りになるものぢやないか、唯さう云ふ偶然請求權を持つて居たものばかりに不利益を生ずるのはいけないぢやないか、又不公平ぢやないかと云ふことを申上げるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=37
-
038・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 戰爭に基きまする國家財政を救ふと云ふことと、又所謂擬制資本に依つて水膨れをして居りまする企業の整備をするには如何樣にしたら宜いかと云ふことに付きましては、色々御意見もありまして、御意見のやうな方法に依つてやりまして、拂ふべきものは先づ拂つて、其の後に衡平の觀念から適當に租税の形式で取り上ぐべきものは取り上げる、是も一つの考へ方でありまして、政府も現内閣組織以後此の方法に付て十分考慮致したのでありまするけれども、尚又一つの方法としましては今囘の提案のやうな方法もありますので、先づ此較研究の結果、此の本法案の方が國家の財政を急速に整理をして企業の再建を急速に圖る上に適當だと考へまして提案致したのでありますが、考へ方と致しましては只今御質問のやうな考へ方も十分に理由のあることではあります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=38
-
039・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 此の上議論になりますから申しませぬが、次に伺ひたいのは戰時補償特別措置法案の第十條でございます、ちよつと片岡君も御質問の中に御觸れになりましたが、私は別の意味から伺ひたいと思ひます、此の納税義務者が個人の場合に於て五萬圓、法人の場合に一萬圓、是だけの控除額があります、此處に出て居ります是は兎に角控除は意味は分りますが、五萬圓、一萬圓を決められた數字の根據は他にありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=39
-
040・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 大體の考方と致しましては、法人に付ては原則的に一つの請求權毎に一萬圓だけは控除致さうと云ふことでありました、尚五萬圓と云ふ制限の出ましたのは、多く是は個人に掛かる請求權の場合でありまして、補償の打切りは已むを得ないと致しましても、成るべく中小産者、中小商工業者、さう云ふやうな方面に出來るだけ控除を考慮致しまして、それ等の方々の經濟の再起を助けるやうにしたら宜からう、左樣な考慮から中小商工業者、或は中小産者、さう云ふ者を成るべく助けたいと云ふやうな考から五萬圓迄の控除額を、企業整備に基くもの、又火災保險に基くもの、強制疎開に關しますもの、此の三つに付きまして五萬圓迄の控除を認めた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=40
-
041・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 能く分りました、唯法人の場合に一請求權毎に一萬圓、是は成る程一つのやり方ではごさいますが、それでは法人の方も矢張り個人と同じやうに再起の金だけは殘してやると云ふやうな方法を御執りになつたら宜いと思ひますが、是は一請求權毎に一萬圓となさつたのはどう云ふ譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=41
-
042・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 法人の場合には一つの會社、法人で請求權が相當重複して居ることも豫想せられますので、其の場合には其の最後の所にありまする十萬圓迄を限りまして、請求權が重つて居つた場合には各々に付て一萬圓迄を認めて行かう、個人の場合には請求權の重なることが比較的少ないので、先づ總括的に或種類の請求權に付ては、五萬圓迄を助けて上げよう、斯う云ふことにした譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=42
-
043・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 能く分りました、さうすると個人は五萬圓法人は十萬圓、斯う區別してありますが是はどう云ふ譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=43
-
044・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 私の申上げ方が惡かつたのでありますが、此の十萬圓の制限がありますのは、法人は今申します通り請求權が色々重なりまして、或場合には火災保險の場合もあり、或は物品の納入もありと云ふ風に重なりますので、先づ此の位が適當であらうと思ひまして、此の所に制限を付けたのであります、考へ方に依ればもう少し多く、或はもう少し少く、色々ありませうけれども先づ個人と法人との間の見合が此の位が適當であらう、斯う考へました次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=44
-
045・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 甚だ恐縮な御尋でごさいますが、個人と法人との區別をした理由がちよつと分り兼ねるのであります、略略見當は付いて居りますけれども、政府當局としての御考を一つ伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=45
-
046・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 只今申上げました處で一つ御了承願ひたうございます、尚なかなか本法案に付きまして或場合には公平及び比較の問題もありますけれども、又何れかの機會で申上げることも出來やうかと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=46
-
047・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 ちよつと私の質問の意味が分らぬといけないから申上げますが、私のは是はいけないからやめろと云ふことでもなし、議論して居る譯でもない、唯政府の御考を伺へば宜いのですが、ちよつとむつかしうございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=47
-
048・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 適當の機會に申上げたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=48
-
049・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 其の次に伺ひますが、此の金融機關再建整備と云ふのがございますが、是は金融機關だけに限つて整備をされる譯で、他の工業の整備や何かの方には餘り念頭に置かれないのですか、それはどんなものでせうか、何れ斯う云ふ風なことになりますと、軍需産業は皆潰れてしまひます、さうしますとそれを利用して新しい工業を起して行くと云ふ處置は當然考へられなければならぬ、其の點は如何でございませうか、或は問題外ならば宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=49
-
050・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 一般の企業に付きましては企業再建整備法で矢張り金融機關と同じやうに考慮致す譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=50
-
051・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それでは是で伺ひますが、企業を再建されるにはどう云ふ企業を再建される目的でありますか、具體的に伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=51
-
052・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 此の企業再建整備法で整備致しますのは、此の間會社經理應急措置法と云ふものを御協贊を經たのでありますが、それの目的となつて居ります特別經理會社、之を此の企業再建整備法でやるのであります、一口に申しますれば、補償の打切りに依りまして非常な影響を受けます企業、此の企業の財政をば整理して、再び健全なる財政の下に新しく企業を發足させよう、斯う云ふ目途でありますので、相當廣汎な範圍に亙りまして此の目途とされます企業が包含される譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=52
-
053・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さう致しますと此の御趣旨は日本の企業を再建してやらうと云ふのではなくして、或特別の事情でさう云ふやうな境遇に立つた者ばかりを再建してやると云ふので、日本の企業を、日本の工業を再建をするのだと云ふことは此の此案には入らない、それは又別の方法でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=53
-
054・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 日本の殆ど全部の會社と申して宜い有力な會社は何等かの形で此の戰爭に關します政府に對するか、或は公共團體其の他に對します請求權があります、實質的に於きましては矢張り日本の殆ど主要な會社は全部と申して宜い程此の法律に依りまして再建をせられることになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=54
-
055・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 大變結構なことで、何か方法がなければ、政府の方でも努力されると云ふことがなければ意氣地のないやうな話でありますが、日本の産業は起りつこないと思ひます、さう致しますと御差支ない限り一つ問題が少し廣くなりますが、簡單で宜しうございます、どんな産業を是から起してやつて行かうと云ふ御考で、御答の便宜の爲に申しますが、海外の産業に對してどうせ輸出のことなど必要でせうが、さうすれば纖維工業と工藝品とが主なものでありませうし、それから國内にしては電力の後始末もしなければならず、又其の他色々化學工業とか或は肥料であるとかと云ふやうなこともやらなければなりませぬが、さう云ふやうに我々は考へて居りますが、政府の重點を置かれる點を成るべく具體的に伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=55
-
056・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 此の法律は別にどのどう云ふ種類の産業と云ふ譯でありませぬので、先程も申上げた、又提案の理由にも申上げましたやうに、政府の補償を打切られる爲に非常な損失が出來て、是では立つて行かないと云ふ爲に會社の財政を整理すると云ふだけを目的と致します、御尋ねのやうに是から積極的に日本の工業をどう云ふ部面に助長して参るか、或は國内の重要基礎産業であるか、輸出産業であるかと云ふ部面は又別の方策に依りまして助長致します、是は全くの整備の爲の法案でございます、御了承願ひたうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=56
-
057・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それでは其の整理に付て、助けてやると云ふ具體的の方法、或は其の標準等ございますれば御示し願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=57
-
058・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 此の企業整備の方針は先づ第一番に、此の會社を一應新勘定と舊勘定の二つに分けまして、新勘定と申しますのは、是から事業を經營して行きます爲の一つの經理部面でありまして、舊い勘定の方に補償打切りがありますと、出來ます會社の損失等をそこに計算させまして、どう云ふ風に其の損失をば整理するか、其の損失を先づ自己の積立金で行く、或は繰越金で行く、自己資本で行く、其の次には外部資本で行くと云ふやうな會社の整理方法を先づ作らせまして、それを整備計畫と申します、整理計畫を立てさせまして、それを政府が認可をしてやる、其の整備計畫に基きまして、會社の不良な資産を切捨てる、或は及び難い負債を切捨ててやる、又自己の資本もそれに依つて整理を致しまして、それで新しい綺麗さつぱりとなりました經理部面で、新しい事業が繼續出來て行ける、さう云ふやうな世話を致すのが此の法律の建前になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=58
-
059・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 能く分りました、さう云ふ状態で御整理の結果、赤が出たらどうしますか、それは和議の方法もありますから、色々なこともありませうが、何でも赤が出てしまふと云ふやうなことになりますと、放つて御置きになりますか、或は政府でそれだけ見ておやりになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=59
-
060・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) それは此の法律の第二章に特別損失と云ふ章がありまして、其のことが規定されるのでありますが、先づ其の或企業の補償打切りに伴ひまして莫大な損失が出來た、到底立つて行けないと云ふやうな場合になりますると云ふと、先づ其の損失の中から繰越益金、積立金等を控除致しまして、尚損失の殘りました場合には、此の法律にありまするやうに、先づ自己資本の九割迄を切捨てて其の損失に當てる、尚損失が殘りますると云ふと、外に對する借金の七割迄を切捨ててしまふ、尚足りませぬ場合には自己資本の殘つて居る一割を切捨てる、尚足りませぬ場合には、外の借金の更に三割を切捨てる、斯樣に致しまして、それでどうしても整理の出來ないものは、是は破産をするか或は解散をするかと云ふやうな途より仕樣がありませぬれけども、斯くの如くに致しまして、負債の整理を此の法律で助長してやりまして、それに依つて企業の再建を圖つてやらう、斯樣な法律案の仕組に相成つて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=60
-
061・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうしますと、其の爲に國庫の負擔は大分増しますのですか、それとも國庫の負擔は唯世話をしてやると云ふだけなのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=61
-
062・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) それが二段に相成るのでありますが、企業の整理を斯くの如くに致しまして、それから其の企業で金融機關に對する負擔も澤山ございますから、其の負債も自然と切捨てられることに相成ります、左樣になりますると云ふと、金融機關に大變穴が空くことになりますから、其の金融機關に空く穴を如何に整理するかと云ふことが、今度同時に出ました金融機關の再建整備法の規定に依りまして、金融機關が各各整備されるのでありまするが、是も金融機關の中にも、企業と同樣ではありませぬが、趣旨を同じうするやうな方法で、損失を切捨てまして、最後に國が保障致しました個人の預金、保險會社に於きましては國が保障致します最後の保險金額がございます、其の金額に迄手が及ぶやうな場合がありました場合に、一般の預金者、即ち過般の金融の緊急措置に依りまして、個人に付て保障しました例の第一封鎖預金と又自由預金、斯う云ふやうなものは國家で保護しなくちやなりませぬから、金融機關の整理の場合に必要な限度の國庫の補助金が出ますのでありまして、個々の工業其の他の企業に付ては、直ちに國の救濟は及ばないのであります、國は此の法律に於きまして企業を整備させる、整備させた結果金融機關が損失を蒙る、金融機關もそれぞれの規定の内容に依りまして整理を致しますが、最後に最小限度の國民の預金、保險金を保護する爲に、國家は百億萬圓を限度と致しまして、金融機關の方面に、何と申しますか、補助金と申しまするか、補給金が參る仕組に相成つて居りまして、個々の企業には參りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=62
-
063・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 細かいことを伺ふのは時間がないから止めまして、百億で十分でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=63
-
064・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 國が保護をしようと致しまする最小限度の預金、保險金の方には、事足ると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=64
-
065・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 是は若し問題外だつたら私止しますが、個人の保險金ですが、色々な生命保險だの、又色々損害保險もありますが、是は矢張り斯う云ふやうなことで、今のやうな御話だと云ふと影響して來るのだらうと思ひますが、其の點は如何でございませう、別に影響はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=65
-
066・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 過般の緊急の金融措置に依りまして、又今囘の諸般の一環の法律に依つて、保護されますのは、個人の生命保險は一萬圓迄、預金は第一封鎖預金が一世帶一萬五千圓、家族が大勢ありまする際には四千圓宛三萬二千圓迄、是が最小限度に保護されまして、其處迄に損失が及びます際には國家の補助が及びまして、保護されます譯であります、又火災保險に付きましては、五萬圓迄の救濟が認められる譯でありまして、それ迄は國庫の補助が及ぶ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=66
-
067・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それはどう云ふ標準で切捨てられますか、例へば大變澤山借金の多い始末の惡い銀行に預金して居つたものは澤山切捨てられ、良い銀行に預金して居つたものは少なくて濟むんだ、斯う云ふやうに考へて宜しいのですか、それとも、皆一律一件に削られることになるのでありませうか、どちらでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=67
-
068・河野通一
○政府委員(河野通一君) 御答へ致します、各金融機關に於きまする第二封鎖預金と申しますか、それから保險に付きましては、舊勘定に入りました保險金、債險に付きましては、各金融機關の内容に依りまして整理を致されます、從ひまして「プール」計算と云う方法は採つて居りませぬ、惡い銀行に預金致されましたものは切捨てられる額が多くなる、斯う云ふことに相成ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=68
-
069・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それで一體第二封鎖はどの位の割合切捨てられますか、例へば五割切捨てられるか、七割切捨てられるか、大體……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=69
-
070・河野通一
○政府委員(河野通一君) 此の點は今後金融機關の整理を致しまして、金融機關の整理と申しますと、結局企業等に於ける整理の結果が金融機關の債權に影響致します、此の整理を致しました結果でありませぬと、今の所は的確のことを申上げ兼ねる、斯う云ふ状態にあります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=70
-
071・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 次に伺ひたいのは、財閥解體民主主義とか云ふやうなことが非常に流行つたんですが、私はどうも是は觀念論で、甚だ感服しないのですが、それはどつちでも宜いとして、兎に角其の爲に日本の経濟界の影響を受ける所は非常に大きいと思ふですな、それで是も問題外なら何ですが、財閥、所謂大資本家に對してどの位の影響を及すものでありませうか、是は財産税とも關係して來ますけれども、大體の御見込を伺ひたい、例へば斯う云ふものは私は、軍の言葉で言つちや惡いかも知れませぬが、海軍で言へば、戰艦みたいなもので、どうしてもなければならぬものである、それを皆巡洋艦だか驅逐艦にしてしまつたんぢや、隨分ひどいと思ふ、是はまあ財産税の方にも影響して來ますが、併し企業整備の方にも影響がありますが、大體の御考を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=71
-
072・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 財閥の解體其の他大資本の産業に於きまする獨占を防止すると云ふやうな意味合の一聯の施策に付きましては、「ポツダム」宣言に基きまする聯合軍からの「デイレクション」がありまして、之に基きまして政府が色々な政策をやつた譯でありまして、是は日本の敗戰に基きまする聯合軍の命令でありまして、當然爲さなければならぬことに相成つて居ります譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=72
-
073・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それは分りましたけれども、さうすれば、率直に申上げてですよ、私は誤解かも知れませぬが、日本では利益がないと思ふのです、そんなことをするのは……それは命令ですから其の通り遵法しなければならぬ、是は勿論でありますが、何かそれに對する善後策があつて然るべきとい思ふのですが、別にそれは必要はないのでございませうか、それとも放つて置いても宜いものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=73
-
074・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 矢張り是等の命令も日本の經濟の民主化と云ふものを圖る爲の命令なんでありまして、矢張り其の趣旨に基きまして我が國の將來の經濟の在り方は從來とは異なる一つの民主的……民主化された經齊の機構を考へる、是が平和日本の將來を建設する上の一番宜いことと存じまして、左樣な考でやつて居りますやうな譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=74
-
075・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 能く分りました、それからもう一つ伺ひたいのは、特別和議法ですが、此の法文を見ただけでは、ちつとも、と云つては失禮ですけれども、能く私共素人には呑み込めない、一條には「この法律は、今囘の戰時補償に關する特別措置に關聯して經濟上多大の損失を受ける債務者のため、その損失を債權者及び債務者間に衡平に分擔させ」と斯うありますけれども、具體的に申しますと、是はどう云ふ風なことになるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=75
-
076・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 補償打切りに伴ひまして、會社、所謂企業會社であるとか、或は金融會社、金融機關等が色々影響を被るのでありますが、是等に付きましては、各各企業再建整備法、或は金融機關再建整備法等に依つて整理致されまするのでありますが、是等の會社ではない外の一般の公益法人であるとか、或は個人と云ふものも、或は直接に戰時補償の打切りの結果、或は又他の會社等が打切られる結果に伴ひまして、間接にそれ等の個人等も非常な損失を被る場合が出て參りますので、是等のものを其の儘に放置して置きますと破産に陷る處がありますので、破産を防止すると云ふ意味から以ちまして、現在破産防止の爲に和議法がありまして、此の和議に依つて、各各債權の辨濟を猶豫して貰ふとか、或は債權の或程度の打切りをして貰ふ、或は利息を負けて貰ふとかと云ふ風な、債權者との間に於ての協定に依つて破産に陷ることを防ぐ法律が和議法でありますが、此の和議法では今囘のやうな緊急の場合に於て稍稍不十分であると考へまして、特に特別和議法と云ふものを作りまして、一般の個人、一般の法人、所謂企業會社とか、或は金融機關ぢやない公益法人と云つたやうなものの法人、單なる個人と云ふものの破産を防止したいと云ふのが特別和議法の趣旨なんであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=76
-
077・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それで和議のやり方ですね、詰り何とか和議の率と云つてはをかしいが、半分切捨てるとか、三分の一切捨てるとか、それは見込に依つて色々違ひませうが、どう云ふ風に御立てになる御積りですか、此處には「衡平に分擔させ」とありますが、債務者と債權者が衡平に分擔すると云ふのはどんな意味ですか、半分にすると云ふのでありますか、七分三分にすると云ふのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=77
-
078・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 其の割合等に付きましては、全然此處に觸れて居りませぬ、唯今の大體のやり方を申しますと、和議の申立を致しますと、大體に於て強制執行とか、或は競賣法であるとか、假差押であるとか、假處分であるとか、さう云つたものを一應全部中止し、或は止めて何します、それから各債權者に債權の届出を致しまして、さうして債務者の資産を十分調査致しまして、此の位の條件で各債權者に待つて貰ふとか、或は一部分切捨てで貰ふとか、さう云ふ和議條件を提出致しまして、債權者の集會に於きまして、其の程度のものであれば宜しいと云ふことであれば、其の條件を可決する、或はそれでいけなければ否決すると云ふことになりまして、可決になまますれば、それに付て裁判所が認可をすると云ふことに依つて和議が成立することになりますが、更に此の法案に於きましては、其の間債權者團體と債務者との間の中に立つて調停の所謂勸解と云ふ名前にして居りますが、調停の勞を取つて、其の間の協定を成立し易く、色々調停の勞を取ると云ふ風な新しい試みも設けたのであります、尚現在の和議法に致しますと、各債權者の率が平等でなければなりませぬ、例へば一割切捨てると云ふことであれば、どの債權者も、大口も小口の債權者も皆一割と云ふことに相成るのでありますが、此の五條等に依りまして、大口と小口の間に於て或差等があつても、全體として公平を失はないと云ふ風に考へられます場合に於ては、多少の差等があつても今囘は宜しいと云ふ風な特別な規定を設け、或は又社會政策、或は人道的な考から、六條等に於ても今迄と違つた或債權に付ての特別の規定を設けるとか、或は又更に和議の成立に便宜である爲に、現在でありますと、和議を認可する爲には、出席和議債權者の過半數で、而も其の債權が届出債權の四分の三以上の同意がなければならないのを、今囘は總債權の半額以上の同意があれば宜しいと云ふ風に、和議の成立に容易いやうな規定を設け、尚場合乱依りましては裁判所の方で和議條件を修正することも出來ますし、又其の條件に基いて、假令債權者の方で之を否決した場合でも、場合に依りましては裁判所の方で之を認可して和議を成立せしめることも出來ると云ふ、相當強い力を裁判所に與へると云ふ風な方法等、其の他二三の點に付て現在の和議法とは非常に違つた工夫を凝らして、結局要するに成るべく和議の成立し易いやうに工夫した譯てあります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=78
-
079・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 大變細かいことを伺つて恐縮でありますが、第五條の「債權者間に差等があつても」と云ふことは大變目に付くのでありますが、何か債權者に差等を付ける具體的な標準はありますまいか、茲に色々なことが書いてありますけれども、どうも私は意味が呑込めないのでありますが、貧乏なものは澤山やるとか云ふならまだ分つて居りますが、さうでもないやうでありますし、何か素人の分り易く此の差等を付ける意味を御説明願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=79
-
080・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 實は此の用例は、既に戰時民事特別法と云ふものがありまして、其の十三條と云ふのが其の先例になつて居るのでありますが、必ずしも債權者の大口、小口と云ふことだけで差等を設けるとも限りませぬ、此處にありますやうな債權の額は、勿論債權發生の時期とか、或は擔保があるかないか、其の他各般の事情で、場合に依つては一律平等でなくても差等を設けても、結局に於て公平に反しないと云ふ風に、大乘的にやれる場合に於ては、さう云ふ和議條件の場合でも、之を決定或は認可して差支がないと云ふので、一律にどう云ふ風にと云ふことを具體的に表はすことがちよつと出來ませぬので、諸般の事情を斟酌して、必ずしも一律平等でなくても宜しいと云ふ趣旨であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=80
-
081・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 是は今迄先例があるさうですが、それの實際の執行の状況はどんな風にやつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=81
-
082・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 其の先例と申しましたのは、戰時中の戰時民事特別法第十三條第二項と云ふのでありますが、之に付ては今統計はちよつと手許にありませぬが、大體戰時中でありましたので、さう云ふ和議の事件が殆ど無かつたのではないかと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=82
-
083・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 どうも其の區分が私にはちつと呑込み兼ねるのですが、差等を附けないと云ふのならば、良いか惡いかは別として能く分りますけれども、附けるとなると今迄やつた先例も無いのだし、茲に新しく問題が起つて來て、さうして何か斯う云ふことをやる趣意が何處にあるのだか甚だ捕捉するに苦しむのです、例へば債權の對象だつて、何も澤山貸した人が必ずしも金持だと云ふ譯ぢやなし、發生の時期と言つても、何時發生したと言つても、債務に變りは無いし、擔保權の有無と言つても、それも色々な事情から來るので、擔保を取つた人が必ずしも有利な地位を占めると云ふ譯ではない、何だかをかしな話で、戰時補償とか、色々特殊な事情もありませうから、之を特別な和議の條件に持つて行くのも不思議なやうに思ひます、斯う云ふ譯だから斯ふ云ふ差等を附けるのだと云ふ、何かもう少し一貫した理論は無いものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=83
-
084・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 例へば金融機關再建整備法案に於きましても、大口の預金者と小口の預金者との間に於て、さう云ふ債權を打切る額が大分差等を設けて規定されて居ります、大口のものと小口のものとを一律に一割打切ると云ふやうなことは、却て實質的な公平を得る途ではないと考へますし、古い債權と新しい債權、或は利息の有無とか、或は擔保權を持つて居るものと、擔保權の全然無いものと一律に取扱ふと云ふことも、却て實質的に公平ではないと云ふ風に考へまして、斯う云ふ立案を致したのでありますが、具體的な場合々々にさう云ふ或程度の差別を附けましても、結局に於て是が公平であり、債權者の安定を得せしむる目的を達するに適當であると云ふ場合、各場合々々に於て、それを認可する、或は可決する等の具體的な場合に任すと云ふ意味でありまして、ちよつと茲に其の標準を一律に立法することは稍稍困難でありまして、斯う云ふ條文になつた次第であることを御了承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=84
-
085・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 此の頃財政方法に多いのですが、銀行であの三千圓以下の預金を取つたが、預金帳に書いてあるのはもう其の儘に放つて置くと云ふやうな譯で、第二封鎖に入らなかつたりしたと云ふやうな關係もありますが、段々伺つて見ると、詰り仕事が多くなつて面倒臭いからと云ふやうなことに歸著するので、それも一つのやり方で、必ずしもそれは怪しからぬぢやないかと云ふ程私も野暮なことは申したくないのでありますが、斯う云ふやうな個々の債權者に對して面倒臭いからと云ふ風な意味は少しも含んでないので、詰り何處迄も公平に條理を以てやつて行かうと云ふやうな意味なのでございませう、例へば餘り小口のものを一々やつて居たら大變だからと云ふやうなことだと是はいけませぬが、どんなことなのでせうか、大體の御考を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=85
-
086・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 是はさう云ふ考ではありませぬで、小口の債權者の方に厚く、寧ろ小口の債權者の切捨等の場合に於ての割合は大口よりも少く、或は辨濟期等も小口の債權者の方が困つて居る場合が多いでありませうし、さう云ふ辨濟期の猶豫を求める場合等は、大口よりも小口の債權者の方に先に辨濟すると云ふ風なことも考へて居る譯でありまして、是は面倒だからと云ふのではなくて、寧ろさう云ふ小口の債權者等を場合に依つては、大口よりも多く保護しても、紙局大乘的に見て公平であると云ふ場合に、さう云ふ差等を設け得ると云ふ途を拓いたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=86
-
087・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 是は國務大臣に申述べますが、どうも此の全體の規定を通覽して見ますと、公平を失した箇所が大分ある、是等はもう大臣自身御認のことと思ひます、ですから此の運用をされるに付ては、餘程さう云ふやうな點を御斟酌下さつて、公平にやつて戴かないと、詰り今迄のやうに三千圓以下の預金帳は、面倒臭いから放つて置くのだとか、それから火災保險だつて或程度より以下のものは、それで構はずやるのだと云ふ風なものになつて來て、何も私は小口を特に保護しろと言ふのではありませぬ、小口だつて三千圓以下の預金帳を放つて置くと云ふのは、小口の保護から來て居るのでありますから、成るべく一つ是は非常に大きな變革ですから、面倒臭いと云ふやうなことは御止めになつて戴きたい、さう云ふ弱いものは面倒臭いからと云ふことになつて來ると、決して經濟の安定に資する所以ぢやないと思ひます、是はまあ希望として述べて置きまして、次に政府委員に第六條のことを伺ひますが、此の六條の債權を特別和議から除かれた理由は何所にあるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=87
-
088・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 是は直接生活に缺くべからざる債權でありますし、又社會政策的に見て、是は急を要すると考へられる債權でありますし、又大體に於て小口のものが多からうとも思はれますので、斯う云ふものは打切の對象と云ふことにしないで、特別に保護をして行きたい、斯う云ふ思想は總て此の企業再建整備法竝に金融機關再建整備法に於ても大體同樣な思想で規定されて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=88
-
089・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 能く分りました、さうすると是だけのものは優先的に拂つてやると云ふのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=89
-
090・奧野健一
○政府委員(奧野健一君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=90
-
091・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 私の質問はそれで止めて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=91
-
092・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 私の質問は實は財産税に關係をすることでありまして、財産税審議の場合に於きまして、優先的に發言を御願ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=92
-
093・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=93
-
094・板谷順助
○板谷順助君 金融機關再建整備法の二十四條に「指定債務の債權者」と云ふことがありますが、是は如何なるものを指すのか、或は其の債權の金額、それを御示し願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=94
-
095・河野通一
○政府委員(河野通一君) 御答へ申上げます、第二十四條の十項にございます指定債務と申しますのは、破産法邊りで申して居りまする所謂共益費用と申しますが、具體的に申上げますと、今後舊勘定を整理して參ります爲に、舊勘定に屬して居りまする資産を管理致しましたり、保全致しましたりするのに費用が掛ります、是等の費用でありますとか、或は舊勘定の資産に關しまして、公租公課が掛ります、此の公租公課でありますとか、さう云ふやうな謂はば破産法で言つて居ります財團債權的なものを、特に一般債務と區別致しまして、隨時支拂ふことに致して行きたい、從ひまして切られるのも一番後で切られる、斯う云ふ風に致したい趣旨であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=95
-
096・板谷順助
○板谷順助君 さうすると農林中央金庫とか或は日本銀行の債權はどう云ふ御取扱になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=96
-
097・河野通一
○政府委員(河野通一君) 日本銀行が市中銀行なり其の他に對して持つて居ります債權は、所謂「インター・バンク」の關係でありまして、是は先般御協贊を得まして施行致されて居ります金融機關經理應急措置法に依りまして、新勘定の方に屬して居ります、從ひまして今般の此の整理に於きましては金融機關の舊勘定に屬して居ります、資産負債の整理を中心と致して居りますので、此の限りに於きましては指定債務とか整理債務と云ふ問題には觸れて居りませぬ、但し所謂「インター・バンク」の指定に於きましても、農林中金關係とか、或は興業銀行の發行致して居ります興業債劵、之を金融機關などが持つて居ります場合に、之をどう云ふ風に取扱ふかと云ふことに付きましては、若干色々な點で考慮を要する點がありますので、場合依りましては、是等のものは舊勘定に屬するけれども指定債務として取扱ひ、舊勘定に屬するけれども指定債務として取扱ふ、斯う云ふ取扱に相成るかと思ひます、まだ此の點は關係方面とも色々折衝を要する點がありますので、まだ確定に至つて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=97
-
098・板谷順助
○板谷順助君 其の債權の額は分つたら御知らせ願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=98
-
099・河野通一
○政府委員(河野通一君) 債權の額と申しますと……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=99
-
100・板谷順助
○板谷順助君 日本銀行、中央金庫、興業銀行の今新勘定に移す債權の額、貸出をして居る額、今の御話は例へば日本銀行の貸出を新勘定に全部御移しになると云ふが、其の額……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=100
-
101・河野通一
○政府委員(河野通一君) 日本銀行の市中貸出金はちよつとはつきりした數字は持つて居りませぬが、三百五十億圓前後だらうと思ひます、農林中金關係は資料は持つて居りませぬので、至急取寄せまして御答へ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=101
-
102・板谷順助
○板谷順助君 それから預金部關係に付て伺ひたいのですが、預金部の簡易生命保險、郵便年金貯金が特別會計に於て評價益と評價損は一體どうなつて居るのか、或は又其の結果預金者に迷惑は掛かるのか、掛らぬのか、それを一つ御知らせを願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=102
-
103・河野通一
○政府委員(河野通一君) 預金部其の他に付きましては、大藏省預金部等損失特別處理法案に書いてございます、大體の處理の方法は金融機關債權處理法に基く處理と大體に於て同じやうな方針を採ります、唯それが政府の勘であります關係で若干異に致して居ります、此の整理の結果郵便貯金等に付きましてはどう云ふことになるかと申しますと、郵便貯金の中一般の金融機關にございます新勘定に屬します預金と同じ性質のもの、即ち第一封鎖預金になつて居ります郵便貯金、是は當然に打切りの對象になりませぬ、從ひまして若し之を預金部の資産を整理致しました結果、支拂が出來ないと云ふ場合に於きましては、此の法律の規定に依りまして政府は其の差額に付きまして補償を致すことに相成つて居ります、第二封鎖預金となつて居ります郵便貯金等に付きましては、今申上げますやうな第一封鎖預金に對する政府の補償金と融機關再建整備法に基きます一般金融機關に對する新勘定の補償と具體的に申上げますと、一般金融機關の第一封鎖預金と及び自由預金等に對する補償と其の補償額の額を合せまして、其の合計額が百億に達しませぬ場合に於きましては、其の差額の範圍内に於て郵便貯金等の第二封鎖預金となつて居るものに付きましても之を補償を致す、斯う云ふ取扱に致したいと思つて居ります、尚此の細目に付きましては今の法律の第四條で勅令で定める金額の補償金額を出す、斯う云ふことになつて居りますので、其の勅令で詳しく規定を致すことに致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=103
-
104・板谷順助
○板谷順助君 預金者は非常に不安を抱いて居るのでありますが、大體に於て評價益と評價損と云ふものが計數が出て居らなければならぬ、それから又此の法案を見ると云ふと、百億圓を政府が補償するとなつて居るけれども、此の金額は詰り金融機關の方にも一部廻すことになつて居る、全部を預金部に廻すことになつて居らぬのです、だから此の區別は一體どうなるのか、或は百億圓の中に幾ら廻すと云ふことが、大體の計數が出なければ、從つて預金者に對するどれだけの損が行くと云ふことが、あなたの方で大體分つて居らなければならぬ、だからもつと具體的に一つ御説明を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=104
-
105・河野通一
○政府委員(河野通一君) 金融機關の此の整理に依りまして金融機關及び大藏省預金部等に出まする損失で、政府の補償を要する金額がどの程度に相成りますかに付きましては、先般膳國務大臣から御話もございました通り、百億の範圍内に於て十分賄へると云ふ自信を持つて居ります、但し此の金額が具體的にどの程度に及びますかに付きましては、會社企業再建整備法等に依りまして、企業に幾莫の損失が出るか、從ひまして其の企業の損失を金融機關は大口の債權者として其の損失を被ることになりますが、其の被る金額がどの程度に及ぶかと云ふことを明確に致しませぬことには、はつきりした數字を只今の所申上げ兼ねると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=105
-
106・板谷順助
○板谷順助君 はつきりした數字が出ないと云ふのは、どうも私共解せないのですが、兎に角評價益と評價損と云ふものが大體に於て見當が付くでせう、從つて百億圓の補償をすると云ふことに付て、是は獨り郵便貯金ばかりでなく、一方金融機關に對しても最後に補償すると云ふことは、是は此の明文で明かである、是等もあなたの方が今御返事が出來ぬならば、後で宜しうございますから、之をもつと具體的にはつきりと御説明を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=106
-
107・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 只今の點に付ては政府委員から申上げましたやうに、結局基は企業を整備致します際の資産の評價がどう云ふ風になり、それに依つて企業から金融機關に及す損失がどの程度だと云ふことに依つて定まる譯であります、只今の所は今政府委員が御答へ申上げましたやうな大體の見込に於きまして第一封鎖預金、自由貯金と云ふやうな部類及び一萬圓の限度に於きまする生命保險等に對しましては金融機關方面の決して是は預金者なり、被保險者なり迷惑を懸けずに行ける、斯う云ふ見當は付いて居りますけれども、果して第二種の貯金等にどの位迷惑が縣かるか、又郵便貯金の場合には、今の第一封鎖貯金以外のものにどの位返せるかと云ふことは、結局今はちよつと推定がし兼ねますので、其の數字を明瞭に斯う云ふ數字だと云ふことの計數を御目に縣けることは至難と存ぜられますのですが、御了承を戴きたうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=107
-
108・板谷順助
○板谷順助君 然らば預金部の金がどの方面に出て居るか、或は又簡易生命保險がどの方面に出て居るかと云ふ具體的な數字で御發表を願ひたいと思ひます、さうすると大體の見當が付きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=108
-
109・河野通一
○政府委員(河野通一君) 今資料を持ちませぬで、至急資料を整へまして御説明申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=109
-
110・板谷順助
○板谷順助君 それで宜しうございます、それから此の金融法案の第四條第一項の規定に依つて申出を爲すべき債權で、主務大臣の指定する日迄に債權を當該金融機關に申出ない場合は、新舊勘定消滅の日に消滅をする、是は一體どう云ふ意味でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=110
-
111・河野通一
○政府委員(河野通一君) 第四條の除斥の問題でございますか、消滅と云ふ言葉は第四條に出て參りませぬが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=111
-
112・板谷順助
○板谷順助君 消滅は其の後に出て居ります、第何條でしたか……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=112
-
113・河野通一
○政府委員(河野通一君) 第三十五條でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=113
-
114・板谷順助
○板谷順助君 ええ三十五條……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=114
-
115・河野通一
○政府委員(河野通一君) 御説明申上げます、申出を要する債權と申しまするのは金融機關の方で債權者であるかどうか分らないやうなものを大體考へて居ります、從ひまして預金者でありますとか金融債の所有者でありまするとか、金融機關が舊勘定の債權者になつて居ります場合には金融機關でありますとか、さう云ふものに付きましては申出を要しないことになつて居ります、從ひまして金融機關に閾しまする限りは、殆ど大部分のものが申出を要しないことに相成ると思ひます、申出を要するものは、例へば一般の買入債務、何か物を買つた場合の其の債權者でありますとか、さう云ふやうなものを大體考へて居ります、是等のものに付きましては一定の期間に申出をしませぬ場合は先づ舊勘定の整理から除斥をされる、除斥をされましたものが第三十五條に依りまして一定の場合に、詰り整理を致しまして、尚積立金が若干殘つて居るやうな場合に於きましては、其の積立金の範圍内に於て他の整理債務と同じやうな條件に於て支拂を受ける、積立金の殘つて居りまする範圍に於きまして受ける、それで尚受けられなかつた場合に於きましては一般の整理の債務が俗に申しまして打切られる、詰り消滅致しますと同じやうな意味に於きまして其の債權が消滅される、斯う云ふことに相成ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=115
-
116・板谷順助
○板谷順助君 私は此の條項を金融機關側から行けば債務であるが、預金者側から行けば債權であると云ふやうな關係から第二封鎖預金を若し申出なかつたならば消滅すると云ふやうな意味に解釋して居つたのですが、そんなことはありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=116
-
117・河野通一
○政府委員(河野通一君) 只今申上げました通り此の第一項に勅令で定めるものとなつて居ります其の勅命では、今の預貯金者等は除外致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=117
-
118・板谷順助
○板谷順助君 其の次に伺ひたいのは企業再建整備案の問題であります、是は御承知の通り資産の評價と云ふことが重大問題であつて、此の評價の如何に依つて有らゆる方面に重大な影響が來る譯であります、始め商工當局の説明では、現在貨幣價値は下つて居る、從つて物價は騰つて居ると云ふやうな關係から、時價に評價するならば大體に於て補償を打切つても損失がないと云ふやうな説明をして居る、恐らくは膳國務大臣も其の當時はさう云ふ風な御考であつたでありませうが、或は關係筋方面の色々の交渉の結果どう云ふ方針に定められたのか、唯此の法案を見てははつきりして居らぬ、其の詰り基準と云ふものがはつきりして居らぬ、債權者と債務者の間に御互に協定して之を決めると云ふやうな意味の程度でないのであります、であるからして今日此の日本の財界を洗ひ浚ひ整理すると云ふことに付ては、若し是が擬制資本となつて將來の禍を爲すやうなことになつては、折角の此の企てと云ふものが水泡に歸する、斯う云ふ結果になる、私はさう考へて居るのです、それから又一方に於ては所謂記帳價格に依る、記帳價格に依ると申しましても戰前の記帳價格と戰後に於ける記帳價格に於ては非常の相違がある、所謂戰後に於ける記帳價格なるものは、水膨れの所謂擬制資本と稱せられるものが多いのでありまするが、大體此の企業を整理すると云ふことに付ては先づ第一に不動産の價格を如何に協定するか、大體に於て基準を御定めにならぬと云ふと、債權者と債務者の間に御互に話合へと申しましても、恐らくは雙方とも損害を少くするやうに、或程度迄妥協的に之を相當の價格に見る、斯う云ふ結果になるのぢやないかと私は思ふのでありますが、之に對して國務大臣は如何に御考になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=118
-
119・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 御尋の資産評價の點が今囘の總ての整備の中心を爲します問題で、もう此の法案と同時に一つの標準を一つ政府の方でも定めて置いて、御示しもしたい位に思つて居つたのでありますが、まだ關係方面との完全な了解點迄達して居りませぬ、遺憾ながらまだ今日迄標準を示すことは出來ませぬけれども、政府も全く同感でありまして、是は債權者と企業主の間の協議に依つて整理計畫に一應書きまして、それを政府が認可することに相成つて效力を發するのであります、其の認可に當りましても、又評定協議するにも、一定の標準がなければいけないと存じまして、其の標準を作る積りで居ります、只今申上げますやうな事情でまだ決定になつて居りませぬ、遠からず是は決定致します、其の場合に考へますことは、申上げる迄もなく餘りに評價を嚴重にしますと、不當に銀行等の債權者に刺戟を與へますし、又之を餘りに緩やかにやりますと、折角の擬制資本の打切りと云ふことが將來に禍を爲しますので、其の邊は愼重に見合ひまして、何れに致しましても其の評價標準に付きましては、政府で標準を定めまして、一應此の經濟再建整備委員會に付議致しまして、決定致しまして、それで其の標準をば定めたいと、斯樣に存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=119
-
120・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 先刻板谷委員から御注文であつた、預金部の資金の運用の御答が出來るさうでありますから、此の場合にどうぞ……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=120
-
121・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 預金部の本年七月末に於ける運用状況を申上げます、資金の合計額は六百五十七億圓でありまして、其の中國債證劵に投資して居る額が四百九十六億圓、それから一般會計及び特別會計等に貸付をして居る額が二十億圓、それから地方債、地方公共團體への貸付額が四十二億、特殊銀行等の債權及び貸付金等が四十二億、それから特殊會社等の債權及び貸付金が三十二億、それから……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=121
-
122・板谷順助
○板谷順助君 途中でありますけれども、どうかそれを印刷にして配つて下さい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=122
-
123・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) それなら後で提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=123
-
124・三土忠造
○委員長(三土忠造君) ちよつと御諮り致しますが、板谷委員の二三點質問が殘つて居りますけれども、今日は議長の招待ですね、今日議長の招待が濟んで、一時半に調査會、總理大臣、大藏大臣、膳國務大臣、商工大臣が出席されまして、經緯を御話になり、それが約二時間掛かる、此の委員會は三時半迄休みまして、三時半以後に又再開致します、それ迄休憩致します
午前十一時五十九分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=124
-
125・会議録情報3
――――◇―――――
午後三時三十七分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=125
-
126・三土忠造
○委員長(三土忠造君) それでは是にて散會致します、明日は午前十時開會致します
午後三時三十八分散會
委員長 三土忠造君
副委員長 男爵 高崎弓彦君
委員
侯爵 池田宣政君
侯爵 西郷吉之助君
侯爵 鍋島直泰君
伯爵 二荒芳徳君
伯爵 黒田清君
子爵 大河内輝耕君
子爵 京極高修君
子爵 瀧脇宏光君
子爵 綾小路護君
子爵 梅溪通虎君
慶松勝左衞門君
男爵 周布兼道君
長谷川赳夫君
男爵 八代五郎造君
男爵 中村貫之君
男爵 林忠一君
男爵 倉富鈞君
男爵 宮原旭君
黒田英雄君
板谷順助君
橋本辰二郎君
河西豊太郎君
小山完吾君
高橋龍太郎君
有馬忠三郎君
中島徳太郎君
片岡直方君
片倉兼太郎君
河端作兵衞君
岸本彦衞君
松岡潤吉君
上野喜左衞門君
國務大臣
内閣總理大臣兼外務大臣 吉田茂君
國務大臣 膳桂之助君
政府委員
大藏事務官 福田赳夫君
同 池田勇人君
同 河野一之君
同 河野通一君
司法事務官 奧野健一君
商工事務官 三木秋義君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00119461007&spkNum=126
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。