1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○戰時補償特別措置法案
○金融機關再建整備法案
○特別和議法案
○大藏省預金部等損失特別處理法案
○厚生年金保險法及び船員保險法特例案
○企業再建整備法案
○財産税法案
○財産税等收入金特別會計法案
○企業整備資金措置法を廢止する等の法律案
○帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律案
○復興金融金庫及び産業復興營團出資拂込金支辨のための公債發行に關する法律案
○自作農創設特別措置特別會計法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年十月八日(火曜日)午前十時九分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=1
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002・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 是より會議を開きます、板谷順助君、昨日の續……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=2
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003・板谷順助
○板谷順助君 私は先づ第一に委員長から政府委員に御注意を願ひたいと思ひますが、多數の質問者の諸君も御ありになるので、私は出來るだけ簡潔にやりたいと考へて質問して居るのでありますけれども、政府の答辯が兎角的を外れて、不徹底であつて、質問に對する明瞭な御答がないのであります、從つて質問がそれが爲に長引くやうな傾向にありまするので、此の點を委員長から一つ御注意を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=3
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004・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 御聽きの通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=4
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005・板谷順助
○板谷順助君 負債整理と指定負債と云ふ此の區別はどうなつて居りますか、又此の法案を見ますると、大藏大臣が指定をすると云ふ言葉が屡屡使はれて居るのでありまするが、此の指定と云ふ其の範圍はどう云ふ程度でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=5
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006・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 今銀行局長がちよつとおいでになりませぬから、外の方の郵便貯金の……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=6
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007・板谷順助
○板谷順助君 それでは郵便貯金の關係の方がおいでになつて居りまするならば、私が昨日質問を致しましたのは、評價益と評價損がどう云ふ程度に計算されて居りませうか、或は又是が其の預金者に如何なる影響を及すかと云ふ意味の質問をしたのであります、恐らくは昨日の答辯に依りますれば預金部から貸付けた、或は其の他の關係に於きましては其の計算がむづかしいと云ふやうな御話でありましたけれども、併しながら私は是は大體むづかしいと言へばむづかしいが、併し全國の所謂零細資金を持つて居る預金者に重大の關係のあることでありまするから、一日も早く斯う云ふ程度迄は、或場合に於ては預金者が犧牲を拂はなければならぬと云ふ程度の、それ位のことは、外の企業整備と違ひまして、簡潔に或程度迄の計算が、私は出來るやうに思ふのであります、此の點をもつとはつきり一つ御知らせを願ひたいと思ふ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=7
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008・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 是も銀行局長の問題です、板谷君の質問は皆銀行局長の方ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=8
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009・三木秋義
○政府委員(三木秋義君) 當面の責任者は只今まだお見えになつて居られませぬので、私商工省の者で所管外でございますけれども、關聯致す事項でございますから簡單に御答へ致したいと思ひます、銀行の預金に結局どれだけの損失が及ぶかと云ふことは、根本的には企業に、戰時補償の打切りに依つて企業がどれだけの損失を受けるのか、其の損失が、銀行の貸付金に對してどれだけの影響を及すかと云ふことが、はつきりしないと結論が出て來ないと思ひます、それで各企業に於ける所の特別損失が、整備計畫が立たないと、それが結局銀行にどれだけの負擔が行くかと云ふことが最後には出て來ませぬ、從ひまして銀行に於きましては企業家の損失がどれだけ、それから自分自身で受ける所の戰時補償の損失がどれだけと云ふことが出まして、初めて預金者に對してどれだけ負擔を掛けると云ふ數字が出て來る訳であります、從ひましてそれが最後的に分りますのは相當後になるのではないか、斯樣に考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=9
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010・板谷順助
○板谷順助君 私はさう云ふ意味で聽いて居るのではありませぬ、要するに整理負債と云ふのは恐らくは第二封鎖金を指して居るのぢやないかと思ふ、それから又指定負債の債權者と云ふのは、所謂日本銀行或は農林中央金庫、又は資金統合銀行と云ふやうな、此の意味の銀行に對する貸付を、殆ど之を新勘定に廻して居るのであります、從つて此の法案を見ますると云ふと、先づ第一に積立金を以て充てると、それから株主の九割を充てる、それから會社の五百萬圓の預金の七割を充てる、百萬圓の五割充てる、十萬圓の三割充てる、それから法人の預金の殘額を充てる、後の殘りの株式の一割をそれに充てる、是で空つぽになつちやう、其の後で整理債務の債權者の金額を之に充てる、そこで初めて指定債務の債權者、或は政府の補償と、斯う云ふ段取になつて居るのであります、そこで私の質問することは此の經路を辿つて來ますると云ふと、要するに例へば株主と致しましても、細い株主も澤山ある、或は又會社の預金に致しましても、戰時成金のそれは預金もありませう、併しながら先祖傅來の……初からやり直しますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=10
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011・三土忠造
○委員長(三土忠造君) やり直して下さい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=11
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012・板谷順助
○板谷順助君 此の金融機關再建にありまする整理負債と指定負債の區別を一つ御知らせ願ひたい、それから此の法案に大藏大臣が指定すると云ふ言葉が使はれて居るのでありまするが、大藏大臣が指定すると云ふ此の言葉は、私の想像に依りますると云ふと、所謂舊勘定から新勘定に向けたと云ふことに付ての、大藏大臣の指定でないかと想像されるのでありまするが、此の一體範圍がどうか……
委員長(三土忠造君) 大藏大臣が今おいでがないので……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=12
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013・板谷順助
○板谷順助君 それぢや外の質問に移ります、生命保險の問題でありまするが、生命保險が金融機關再建の法案を適用されることになつて居るのでありまするが、此の法案を若し適用することになりますれば、舊勘定に殘る責任準備金と云ふものは、各社共殆ど二割以下であります、即ち反對に新勘定には負債の八割が殘りまして、資産は在外資金或は株式の低落、又は補償打切りの關係に依つて「バランス」が取れない、其の結果恐らくは金融機關の法案を適用することになりますれば、各社共、殆ど全滅だと思ふのでありまするが、之に對する對策を如何に御考になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=13
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014・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 私ちよつと據ろない用事がありまして、後の方しか拜聽致さなかつたのでありますけれども、最後の私の拜聽致しました所の會社の整理を如何するかと云ふ問題に付きましては、是は資本金が全部飛んだと云ふ場合に於きましては、是は解散するか合併するか或は第二會社を作りますとか、此の外ないのでありまするが、資本金が一割殘ります場合に於きましても、會社の實情に應じまして、或は合併をするとか、或は解散致しますとか云ふ場合もあらうかと斯樣に考へて居ります、それから前の方の問題に付きましては、私ちよつと遲れまして誠に恐縮でありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=14
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015・板谷順助
○板谷順助君 私が御尋ね致しまするのは、例へば金融機關であつても銀行ならば恐らくは舊勘定に六割位は殘る、處が保險會社の性質の上から見まして、舊勘定に殘るのは殆ど二割以下、各社ともさうである、之を同一に取扱ふことは不合理である、今御話の通りに會社が損が行つた場合に株が只になつたら解散する外ないでせう、が之を同一取扱をすると云ふことは不條理であるから、之に對する何か對策はありませぬかと云ふ御尋である、だがあなたの答辯は要領を得ないからそれで宜いです、それから膳國務大臣に對して昨日の續きを御尋ね致しまするが、大體此の企業整備の法案は資産に對する所の評價が、是は大體の基準と云ふものが決らなければ、假に此の法案を可決致しましてもそれは無意味だと思ふ、處が昨日の懇談會に於きましては、何か目下調査中であると云ふやうなことでありまするが、併し是は出來るだけ早く、出來るならば此の委員會の開會中に御示しを願ふことが出來るならば、大變都合が好いと思ふのであります、それから特別管理委員と云ふ規定がありまするが、此の規定に依りますと云ふと、債權者側から二人、債務者側から二人出る、若し過半數を以て決することが出來なかつた場合に於ては大藏大臣が之を裁定すると、斯う云ふ文句が載つて居るのであります、處が御承知の通り債權者に於きましても或は債務者に於きましても、成るべく自分の資本を減らしたくないと云ふやうの關係に於て、御互に意見が一致すると云ふ場合が多い、又意見が反する場合に於きましては、債權者側に於ては成るべく資産の評價を低くして、さうして堅實にやらうと云ふやうなものもあるのでありますが、詰り二名づつ出る規定になつて居るにも拘らず、多數決を以て決する其の場合、若し同數である場合に於ては大藏大臣の裁定と云ふ文句がありますが、恐らくは結局此の大藏大臣の裁定と云ふことに歸著するのでないですか、是はどう云ふ風に御考になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=15
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016・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 評價の問題に付きましては、政府に於きましても、關係方面に其の問題に付ての折衝を取急いで居ります、方針が定りますれば後で申上げたいと存じまするが、此の御審議中に決定するや否やは、何とも申上げ兼ねる次第でありまして、何れ是は再建整備委員會に付議致しまして、公正に之を決定したいと存じて居る次第でございます、それから今の清算人のことでございますが、會社側竝に債權者側の雙方から同數を出しまして、公正に協議させるのでありまするけれども、間々意見の合はないこともございませうけれども、是は主務大臣が適當に此の間を折衝せしめまして、無理のない所で之を定めて行きたい、其の間に意見の不一致があることも豫想せられるのでありまするけれども、それは官廳が御世話をする、斯う云ふやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=16
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017・板谷順助
○板谷順助君 經濟再建整備委員會と云ふものが組織されるのでありまするが、此の法案を見ますると、何か紛爭のあつた場合に於ける諮問機關であると云ふ、斯う云ふ程度でありますか、或は又今私が申上げましたやうに、特別管理委員が意見の相違のあつた場合に裁定すると云ふ迄の權限はない訳でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=17
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018・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 整備計畫の審査に付きましては、矢張り整備委員會に關與させる積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=18
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019・板谷順助
○板谷順助君 それから船舶の問題に付きまして、是は先に膳國務大臣或は大藏大臣、運輸大臣にも質問したのでありまするが、即ち政府の低利資金、興業銀行或は産業設備營團の債務の辯濟に充當せる特別預金等を打切りの對象とすることは甚だ不合理である、即ち第一に喪失船舶は新造船に充當し、其の又喪失した補償金を更に新造船に充當する、數囘資本を踊らせて居る、此の質問に對して、只今研究中である、未だ決つて居らぬと云ふ政府委員の答辯でありましたが、其の後之に對する所の方針が決まりましたか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=19
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020・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 御尋の補償金に付きましては、矢張り此の原則が適用せられまして、八月十五日以前に現金になりました分は其の儘でありまするけれども、特殊預金等になつて居りまする分で未だそれが解除されて居りませぬ分は、矢張り一律に此の補償の打切りの對象と相成りまして、課税の對象になることに決まりましてございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=20
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021・板谷順助
○板谷順助君 あと私は、整理關係の問題は重大な關係でありますから、質問は打切りませぬ、大藏大臣なり或は政府當局が來る迄待つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=21
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022・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 今の保險の問題は、政府委員が來ましたよ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=22
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023・板谷順助
○板谷順助君 保險の問題は、幾ら聽いても要領を得ませぬから、宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=23
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024・三土忠造
○委員長(三土忠造君) それでは次に有馬忠三郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=24
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025・有馬忠三郎
○有馬忠三郎君 私は戰時補償措置法案の第六十條に關聯して御尋を致します、第六十條は御覽の通り複雜な規定でありますが、之を簡單に申上げる爲に、國、地方公共團體若しくは特定機關とありますのを私は國だけにして、さう云ふ風に關係の同じやうな所は略して申上げたいと思ひます、即ち第六十條の第一項に依りますと、國が土地若しくは建物を譲受ける、此の場合に譲渡した方に對價の請求權があるのでありますが、其の請求權に付て、戰時補償特別税を課せられて居る、其の場合には、國は譲受けた土地、建物が現存する限り、之を元の所有者に譲渡する、返してやる、斯う云ふ趣旨の規定であるのであります、之を見ますと云ふと、國が土地建物を譲渡するとありますから、此の譲渡の原因になつて居る行爲に差別はないと思ふのでありますが、其の通りで宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=25
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026・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 六十條に譲渡、或は收用と云ふ言葉を使つて居りまするが、是は請負契約等に依りますと、設備を建設し、それを政府に渡したと云ふ場合は入らないやうな解釋に致して居ります、此の譲渡は賣買契約に依る譲渡、斯う解釋を致して居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=26
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027・有馬忠三郎
○有馬忠三郎君 解釋をして居ると云つても、そんな解釋は出來ないのであります、立法の御趣旨は宜うございますが、そんな解釋は出來ないのであります、請負と賣買とを區別してないのであります、解釋をさうなさるなら、何故賣買に依ると云ふことを書かないのでありますか、解釋を承つて居るのではない発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=27
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028・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 此處に譲渡と申しますのは、賣買契約に依りまするものの引渡しを意味して居りまして、請負契約に依りまして、所謂請負人が設備を建設し、それを政府に渡したのは譲渡とは考へられないと、斯う云ふ解釋でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=28
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029・有馬忠三郎
○有馬忠三郎君 趣旨がさうだと、解釋は請負の場合でも所有權の譲渡をする場合もあるし、所有權の譲渡に依らない場合もあるのであります、請負でも御承知の通り、民法では請負人が自ら材料を持つて、例へば家に關係すれば、自ら請負人が家を建てる材料を持つて、さうして家を建てると云ふやうなさう云ふ時分には、家が完成する迄は請負人が所有權を持つて居る、さうして出來上つた時分に譲渡する、是も請負の契約である、其の場合には賣買と一つも變らない、それから又さうでない、例へば政府なら政府が材料を全部を出して、さうして請負はせる、請負の工賃だけを拂ふと云ふ請負契約もあります、さう云ふ場合には、出來上つた時分には所有權が政府にあると云ふことが普通でありませう、けれども初のやうな場合には家が出來上る迄は全部完成する瞬間には請負人の所有なのでありまして、それを渡した時分に賣買とはちつとも變らない解釋と仰しやるが、そんな解釋はどうせ通りはしないのでありますから、今此處でそんなことを仰しやつても、最高裁判所に行けばそんなことは通りはしない、御趣意がさうなら、何故さう云ふことを御書きにならないか、此の點はもう議論になりますから、それだけを承つて置きます、それからもう一つ土地若しくは建物の譲渡と云ふことがありますが、是は土地、建物以外の不動産は含まぬのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=29
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030・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御答へ申上げます、御話のやうに請負契約でございましても、是が實體が賣買のやうになつて居れば入るものと解釋して居ります、又第二の土地、建物、定著物を含んで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=30
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031・有馬忠三郎
○有馬忠三郎君 それでは今の御答辯に付てもう一つ承ります、請負の場合でも、最後の完成した場合には所有權は之に含むと仰しやる、さうでなければならぬ筈です、附則の三號に、「舊兵器等製造事業特別助成法第四條の規定に基く設備建設費の請求權」それから四號に、「舊兵器等製造事業特別助成法第五條の規定に基く設備の買上代金請求權及びこれに代るべき請求權」とありますが、さうしますと、今の所有權の記録だけで、三號の場合の請求權にも第六十條の適用があると云ふことになりますね、それで宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=31
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032・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 左樣でございす発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=32
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033・有馬忠三郎
○有馬忠三郎君 能く分りました、それから次の土地、建物と云ふのですが、是は建物の中にある機械のやうなものは含まないのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=33
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034・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 土地、建物、定着物でございまして、機械器具は含みませ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=34
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035・有馬忠三郎
○有馬忠三郎君 是はどうして含まないのでありますか、含まない理由は……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=35
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036・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 此の程度のものが請求權の課税の對象になるかならぬかと云ふことに付きましては、此の土地、建物、其の定着物、是は必ず其處にあつたものと云ふことが確定し得るのでありまするけれども、設備、機械等になりますると云ふと、他の動産と同じやうに轉換し、又果して當初納入したものと同一物でありや否やと云ふことの判定の困難なる場合もありますので、是は入れないことに致しました、斯う云ふやうなどの程度迄を入れるか入れないかと云ふやうなことに付きましては、遺憾ながら必ずしも公平を維持すると云ふことが困難な場合があるのでありまするけれども、今申上げましたやうな理由で一線を畫しましたやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=36
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037・有馬忠三郎
○有馬忠三郎君 それならば、「現状において」とあるでありませう、「現状において」とあれば、何處へ行つたか分らぬと云ふやうなことはないので、分らなければ、それで宜いのです、それだけの理由では分らない発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=37
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038・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 此の物の變換、又今申します課税の對象として決めるかどうかと云ふ根本の問題に付きましては、是はちよつと私の説明の困難の點のあることは御了承下すつて居ると存ずるのでありますが、只今申上げましたやうな理由で斯樣に備へました次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=38
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039・有馬忠三郎
○有馬忠三郎君 左樣な御答辯ならば、まあ是以上申上げても仕方がない、それから第六十二條、六十二條は要約して申しますと、六十一條は鑛業權に關することでありますから、まあ六十條と見て、此の場合の外は詰り補償を打切つて、さうしてそれの對價のものがあつても返さぬと云ふ非常に不都合な法律なんでありますが、此の理由を承りたい、何故返さぬか、六十條、六十一條以外のものはあつても返さない、斯う云ふ亂暴な法律はないのです、日本では初めてでありますし、私も寡聞にして外國でもないだらうと思ひます、のみならず是は私は違憲の法律と思ふのであります、今日此の法律が通過致しましても、最高裁判所に行けば恐らくは是が通るか通らぬか、違憲の法律として槍玉に擧がる第一のものぢやないかと云ふ疑ひが濃厚であります、御承知の通りに憲法には財産權は之を尊重すと云ふ規定の明文がある、現行の憲法には無論所有權の不可侵の原則と云ふのが御承知の通りある、今は現行憲法下であります、所有權不可侵と云ふ原則です、新憲法でも所有權は之を尊重する、唯公益の場合には法律の制限を受けると云ふ別の規定が十二條に在るのです、是は立法技術で課税だと請求權と云ふやうな言葉を用ひて居りますけれども、其の精神たるや、一口に言へば物を買つて置いて代金を拂はぬで物を返さぬと云ふことなんです、政府のやることなんです、是は公法關係でも何でもありはしない、賣買若しくは請負契約、普通の民法に支配せらるべき關係なんです、それを代金を拂はぬで以て物はあつても返さないんだと云ふ法律なんです、さう云ふことは憲法に所謂財産權の尊重ではない、でありまするから、其の虞があることでありますし、又是は政府の他の政策にも關することで、國民に取つては非常に惡い法律で、斯んなことをやれば、貯金を奬勵するとか、何とか言つても、國民が政府を信用することはどうかと思ふ、それ程のことでありますから、斯んな重大なものでありますから、此の返還せぬと云ふことには確固たる理由がなければならぬ、今の膳國務大臣の御説明以外にもう少し私は理由があると思ふ、此の理由を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=39
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040・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 提案の理由にも申上げました通り、此の補償打切りを斯樣な課税の方法に依りまする時には、公平を失する憾みのあることは、總括的に申上げて置きました、此の戰時補償の打切りをば昨年の八月十五日の線で其の以前に支拂はなかつたものに付きましては、一切を打切ると云ふ建前に致しました結果、斯樣なことが出來るのでありまするけれども、是は已むを得ないことと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=40
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041・有馬忠三郎
○有馬忠三郎君 其の點の國務大臣としての御答辯は是以上申上げませぬ、私は政府委員が持つて居る理由がまだあると思ふ、例へば是は非常に面倒臭い、小さいものは口が非常に多い、斯んなものを一々やつて居つたんぢや迚もたまらぬと云ふやうな、昨日も誰方か仰しやつたことがあるやうに記憶しますが、兎角面倒臭がると云ふやうなことも想像出來るのでありますし、若し金額が非常に上ると云ふやうなことがあれば、今日の國家財政上、斯くの如きことも已むを得ぬと云ふこともあるかも知れぬ、さうでなければ是は其の官吏の怠慢癖から來るのでありまするから、此の通り看過することは出來ない、國務大臣の御答辯は諒と致しましたが、此の以外に私は出來ても、やれるのにしないのぢやないかと云ふ疑があるから御尋をするのであります、特に政府委員に伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=41
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042・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 此の問題に付きましては、政府部内でも色々細かい研究を致しまして、有らゆる色々な場合を考へまして、出來るだけ公平にと云ふことで考へたのでありまするけれども、別に私が申上げましたやうな理由でまあ色々の事情もありまするが、左樣に決定致しました訳で、別に手數の煩瑣、それ等の事務的の理由で斯樣に決した訳では毛頭ございませぬのであります、左樣御了承を願ひたうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=42
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043・有馬忠三郎
○有馬忠三郎君 それでは宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=43
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044・板谷順助
○板谷順助君 委員長、銀行局長來て居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=44
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045・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 來て居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=45
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046・板谷順助
○板谷順助君 來て居りましたら繼續したいと思ひます、此の金融再建整備法案の中に整理負債と指定し負債と云ふ文字がありますが、其區別、それから大藏大臣が指定すると云ふ言葉が使はれて居るのでありまするが、是は一體どう云ふ範圍に於て使はれるのかと云ふことの御答辯を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=46
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047・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 此の整理債務と云ふのは、法案の第十二條を御覽戴きたいと思ひますが、そこで此の第十二條の、第二項に「前項の整理債務とは、舊勘定に屬する債務(責任準備金及び支拂備金に關する債務を含む。)のうち、主務大臣の指定する債務(以下指定債務といふ。)以外のものをいふ。」と斯樣な規定に依りまして整理債務と指定債務と云ふものが金融機關の舊勘定の債務の中に分割されるのであります、而して此の指定債務と申しますのは、是は舊勘定に置きまする資産の中、優先的に支拂を可能ならしめると云ふ種類のものを指定せむとするものでありまして、それ以外のものを以て整理債務と致す、さうして此の整理債務と云ふものは指定債務に遲れまして辨濟される、逆に申しますると、債務整理の場合に於きまして先づ整理債務の方は整理される、さうして資産に餘裕のある場合に於きましては、整理債務と云ふものは殘つて來ると斯樣な關係になるのであります、而して主務大臣の指定する債務と申しますのは、只今考へて居りまするものは公租公課、それから舊勘定の管理保全に要する費用、それから新勘定、又新銀行に對する所の債務、左樣なものを指定債務として考へて居るのでありまして、此の種類の債務は一般の預貯金等の即ち整理債務よりは優先して支拂を實行しようと、斯樣な趣旨であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=47
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048・板谷順助
○板谷順助君 さうすると、今御話の整理負債の中には第二封鎖金を含んで居ると云ふ意味に解するのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=48
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049・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 是は總て第二封鎖預金を對象とするものであります、第一封鎖預金にありましては、總て是は新勘定の方に行つて居ります、第二封鎖預金に於きましても、場合に依りましては整理債務が出て來る、斯樣な規定であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=49
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050・板谷順助
○板谷順助君 今御話の指定負債の債權者と云ふものの範圍が私能く分らぬし、此の二十四條の法案に依りますると云ふと、先づ第一に積立金を充當して株主の九割、會社に對する所の百萬圓の五割、十萬圓の三割、其の次に法人の預金の殘額、更に又株式の一割、此處でも株式は空つぽで返さぬ、其の後に於て、尚殘つた場合に於て、整理債務の債權者、所謂今御話の第二封鎖預金、そこで始めて指定債務の債權者が其の義務を負ふ、其の後に政府補償と云ふことになつて居るのでありますが、一體御話の指定債務の範圍と云ふものは今あなたが御話の程度ぢやないのではないですか、例へばです、率直に申上げますならば、日本銀行の貸付金は昨日の御話では三百五十億あると云ふ、又統合銀行或は農林中央金庫、是等の預金は恐らくは總て皆新勘定に廻されて居ることと思ふ、さうしますると云ふと結局政府が強制的に軍需會社に對する貸付をさして居つて、所謂日本銀行其の他から金を引き出さして、さうして其の尻拭ひをするに付て、所謂何と言ひますか、小さなものを殺して大きなものを助けると云ふ私は結果になると思ふ、共の點に付て若し衆議院に於て審議を急がれず、或は其の點に付て分つて來たならば恐らくは此の案は通るまいと思ふ、(拍手)衆議院の話を聞いて見ると斯う云ふ問題に觸れて居ない、指定債務の範圍と云ふものは昨日の政府委員の答辯はそんな程度ぢやない、私は恐らくは新勘定が最後に於て之を負擔をする、斯う云ふ意味だと思ふのでありますが、之に對する最も明確な……、是は重大問題であります、場合に依りましたら、是が世間に公表されたならば恐らくは全國の預金者或は株主は承知しないと思ふ、もう一遍確な御答辯を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=50
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051・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 指定債券と申しますのは只今申上げた通り公租公課、それから舊勘定の管理保全の經費、それから新銀行に對する所の債務、斯樣なものを考へて居るのでありまして、此の只今御話のありまする點は、新銀行に對する債務が指定債務の中に入つて居るかどうかと云ふことが一つの重點だつたと思ふのでありますが、是は新銀行に對する債務と云ふものは、指定債務と致しまして是は優先的に絶對に確保すると云ふ建前を執るのであります、それで指定債務の中に於きましても、只今考へて居りまするのは、新銀行に對する債務、是は最後迄確保するのであります、是だけは指定債務の中で格別のものでありまして、是は他の整理債務が先づ飛び、指定債務が次に飛ぶと云ふ後に於きましても是だけは確保する、さう致しますと金融機關の「バランス」はどうなりますかと云ふと、結局舊勘定が整理の最終段階になりまして、新勘定から舊勘定に對する貸しが殘る、即ち舊勘定の新勘定に對する債務だけは殘つて居る、此の殘つた額に對しまして政府は國家補償を致す、左樣なことになりますと新勘定は八月十一日現在の勘定に於きまして停止せられる、資産負債見合ふ所の勘定になるのであります、之に依りまして新勘定の自由預金、第一封鎖預金、是は總て確保される、斯樣な仕組になつて居るのであります、只今大問題になると仰しやる點は左樣な新銀行に對する債務がどうなるかと云ふ點に觸れてのことだらうと思ふのでありますが、此の仕組に依りまして新勘定の預金と云ふものは絶對に確保される、斯樣な訳であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=51
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052・板谷順助
○板谷順助君 私は何も新銀行に對する所のことを聽いて居るのでありませぬ、要するに此の二十四條の法案から行きますると云ふと、最後に指定債務の債權者は之を負擔すると云ふことが書いてある、今此の指定債務と云ふものは公租公課のやうなことをあなたは言つて居るけれども、兎に角之を負擔すると云ふ責任が此の法案に書いてある、だから私は恐らくは今申上げまする通り、日本銀行或は中央統合銀行又は農林中央金庫の如きものの此の貸付金が相當にある、是は殆ど新勘定に廻つて居るので、其の金を國民一般を犧牲にして……なぜそれを此の金融機關整備法案に織込まぬかと、斯う云ふのです、どう云ふ理由で織込まぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=52
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053・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 今囘の金融機關の勘定を分離するに當りまして、新勘定、舊勘定を分けるに當りまして、此の金融機關間の債權債務と云ふものは特別の扱を致しまして、總て銀行「プロパー」の勘定に戻した形に於きまして整理をして見たい、斯樣なことを考へた訳であります、と申しますのは、是は金融機關の同業者の預り金と云ふものは、是は業務運營上のものでありまして、出入りも非常に多いのであります、そこで是は金融機關全體と致して見ますれば、大體一體として見て宜しいんぢやないか、それからもう一つは、左樣な性質のものでありまするから、一應其の銀行に引戻して計算をするのが適當ぢやないかと云ふことで、是は特別の扱ひと致しまして、總て銀行間の勘定と云ふものは新勘定にして行く、債權も債務も新勘定に持つて行くと云ふ建前を執つたのであります、其の結果場合に依りまして多少の負擔と云ふものが、一般の債務者に行くと云ふこともあらうかと思ふのでありますが、此の仕組に依りまして、まあ出來た所の損失と云ふものは、國家に於て補償すると云ふやうな點とも併せ考へまして、先づ已むを得ざる措置ではないかと、斯樣に存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=53
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054・板谷順助
○板谷順助君 あなたの答辯は答辯になつて居りませぬ、私の御尋するのは、新勘定に廻したのは政府の機關だ、政府の機關の金を殆ど全部新勘定に廻して居る、而して此の金融機關の整備に當つて、御承知の通り私が今申上げましたる通り、或は株主に對しても預金者に對しても、それを皆負擔をさして、其の後でやらうと云つたつてもう空つぽになつて、負債を充當すると云ふやうな場合は、恐らくは私は起きないと思ふ、先づ第一に政府が犧牲を拂ふのが當然ぢやないか、あなたの答辯は答辯になつて居りませぬ、膳國務大臣に之に對するはつきりした御答辯を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=54
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055・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 結局政府の補償して居りまするものは、預金者に對しましては、新勘定に廻しまする自由預金竝に第一封鎖預金、此の分は絶對に政府が保證するのでありまして、其の點は最後の金融機關の決濟の際に金融機關が支拂の出來ませぬ場合は、其の金額は政府が百億萬圓の範圍内に於きまして之を補填する、斯う云ふ點に於きまして、最後の點は政府が補償する訳であります、又保險に付きましても一萬圓迄の保險金の支拂に付きましては、政府が最後迄之を保證する、左樣に相成つて居りまするので、其の點に付ては、國民、預金者、被保險者に對しまして不安は懷かせないやうに致して居る訳でありまして、其の間の色々經緯に付きましては、むづかしい色々計算の方法は採りまするけれども、結末に於きましては政府は補償致しまして、今の新勘定及び第一封鎖預金、是は絶對に保護して居るんだ、斯樣に御了承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=55
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056・板谷順助
○板谷順助君 私の御尋して居るのはさう云ふ意味ではありませぬ、要するにですね、要するに其の政府の機關が先づ以て相當の犧牲を拂はるべきで、然るに國民に有らゆる犧姓を拂はして、其の後で政府が補償する、或は新勘定に廻つた金融機關が之を負擔すると云うても、先づ第一に政府が優先的にやるべきものである、國民に多大の迷惑を掛けて、其の後で政府が尻拭ひをすると云ふことはいかない、今日國家非常の場合に於て、國民は財産税を取られても、補償を打切られても、或程度迄忍んで居る、一體政府が何の爲に自分が責任を取らぬかと云ふ、私は斯う云ふ意味で御尋して居る発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=56
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057・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 全體の今囘の補償打切りの課税方法にあります其の根本の考へ方の問題でありまして、誠に此の犧牲をば色々、國民の債權者、株主等に掛けることは甚だ忍びない所でありまするけれども、結局此の戰爭に起因致しました國家の莫大の財政上の缺陷、是をば救ひ、又企業が戰爭に基いて出來ました所謂擬制資本をば整理致しまして立て直しますには、先づ企業、又金融機關、又さう云ふ直接の金融機關、企業の株主ばかりでありませぬで、其の債權者に先づ此の戰爭から齎された負擔をば忍んで戴きまして、最後の結末をば政府が保證する、斯樣な建前にするのが宜しいのだ、外にも色々考へ方もございます、今御話のやうに、先づ政府が先に自分で斯う云ふやうな損失に付ての負擔をなして、後をば株主及び債權者等に行くのが當然だ、さう云ふ考へ方も出るのでありまするけれども、是も縷縷提案の理由に述べましたやうな色々の研究の結果、斯樣な方法に依るのは已むを得ないし、又之に依るのが最善であると、斯樣に結論が到達しまして成りました訳で、考へ方に依りますれば御説のやうな風に行く道もあつたのでありまするけれども、政府は其の事を取りませぬで、只今形付けられたやうな一聯の斯う云ふ仕組で行きたい、行くのだ、左樣に相定まりました次第であります、御了承願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=57
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058・板谷順助
○板谷順助君 私が御尋して居るのは、政府の補償は最後でも宜しい、宜しいがだ、例へば日本銀行の三百五十億或は其の他統合銀行、農林中央金庫の如きものは、此の貸付金に對するですな、之を優先的に取扱ふのが甚だ不都合だと斯う云ふのです、之を何故です、何故金融機關の此の方面に織り込んで倶にです、倶に此の苦しみを分つ、所謂或程度迄責任を負ふと云ふ其の態度に出ないかと云ふ、之を質問して居るのです、何も別に今あなたの御話のやうに、國家の保證は成る程整理して見なければ分らぬ、百億と言つたところで恐らくは是はどう云ふ程度になるか分らぬ、私は斯んなことで今一萬五千圓の第一封鎖を保證するとか、或は又戰災の五萬圓を保證するとか、殊に重大問題は郵便貯金であります、是等に對する、是は百億を超えちやいかぬと云ふことであるが、果して出來るかどうか、私は非常に不安に思つて居る、それは兎に角として、今甲上げたのは政府が強制的に貸付をさした所の日本銀行其の他の金融機關、政府の金融機關、之を總て新勘定に廻して、さうして國民に非常な重い負擔をさせると云ふのは不都合ぢやないか、斯う云ふのです、是は出來ぬ訳はないのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=58
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059・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 政府機關と申しましても色々あるのでありまするが、其の中で日本銀行だけは今囘の整理に當りましては、仰しやる通り特別の扱を致したのであります、而して日本銀行の貸金と云ふものは新勘定に於で計上すると云ふ風な取扱を致したのでありますが、結局此の日本銀行と云ふものも、今日の措置其の他色々の事情に依りまして、相當の打撃を受けて來る模樣であります、而して此の日本銀行の左樣に出る所の赤子と云ふものは、結局廻り廻りまして國家の負擔にならざるを得ないものでありまして、今囘の一聯の措置の考へ方とも關聯致しまして、日本銀行の一般の貸出と云ふものは新勘定で之を經理する、而して日本銀行の貸出を確保すると云ふ建前を採つたのであります、併しながら御説の通り、左樣な措置は執りましたのですが、日本銀行が此の重大な經濟界の變轉期に於きまして犧牲を一切分擔しない、斯う云ふ建前を採るのも極めて不適當な措置だとは思ふのであります、左樣な見地に於きまして、日本銀行に於きましても今囘整理に付きまして應分の分擔をし、責任を擔ふ、斯樣な措置は是非執りたい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=59
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060・板谷順助
○板谷順助君 私は今の答辯には滿足致しませぬ、何れ大藏大臣が御出席になりましたならば、直接御尋したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=60
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061・小山完吾
○小山完吾君 委員長、私は此の問題に關聯してちよつと御伺したい、大變重要なんですから、如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=61
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062・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 關聯は成るべく止めて行かうと云ふのです、議事の進行で……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=62
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063・小山完吾
○小山完吾君 是は私は板谷委員と意見を同じうするので、非常に重大なことと思ふので、ちよつと聽きたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=63
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064・三土忠造
○委員長(三土忠造君) いや、大藏大臣が來たらおやりになつたらどうですか、其の時……それでは片倉兼太郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=64
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065・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 私は本委員會に委託になりました法案に付きまして、本會議竝に委員會、又咋日懇談會に臨んで、總理及び關係大臣から御説明がありまして、御苦心の點も能く分つて、敬意を表する次第でありますが、此の總ての法案が不統一と申しますか、亂暴と申しますか、國民に取り不公平であり矛盾であつて、幾多の批判はありませうし、又法案に付ても幾多伺ふことがあることとは存じまするが、私は敗戰の我が國として已むを得ざることでありまするので、此の法案に對する所の批判と云ふやうなことは伺はない積りで居ります、唯本案の施行に當りまして、國民に對して公平深切に取扱はなければならぬことは、私が申上げる迄もなく、當然であることと存じまするが、唯私が是から伺ひたいと思ふことは、各方面の實際の取扱つて居る者が、解釋が皆違つて居るやうであります、或は大藏本省であるとか、或は税務署であるとか、日銀當局であるとか云ふものが、悉く其の御話が多少づつ意味が違つて居るやうに聞いて居るのであります、私は直接でありませぬから分りませぬが、其の取扱つている實際の者から見ると、幾らかづつ違つているやうで、現在整理に當つて居る者と致しましては、非常に困るやうなことが多いやうに存ずるのであります、其のことに付ては私は出來るだけ各關係の所で御打合せ願つて、さうして御決定になつて、其のことを爲さらないやうにして、或は「ラヂオ」であるとか、新聞であるとか云ふものに依つて國民に知らして、取扱をする者が其のことがどう云ふことであらうとも、仕事の出來るやうに私はさして戴きたいと思ふことを御願するのであります、又各新聞の方もさうであります、我が國民の一人として此の補償打切其の他の法案が國民に非常な關係を及し、又折角取扱ひになつたことが、萬一考が違つて居るやうなことがあれば再度やり直さなければならぬと云ふ矛盾も起るのでありますから、どうか御協力を願つて各新聞としても御打合せを願つて國民に早く知らせる、さうして正確なことを知らせるやうに御配慮を願つて置きたいと思ふのであります、私は此の法案に對する取扱で既に御發表になつて居ることもあるかは存じませぬが、私寡聞にしてまだ存じないやうなことを二三伺つて、さうして大臣の御説明でなくとも、政府委員の御説明で取扱に當つて居る方に御伺を致したいと存ずる次第であります、第一は企業再建整備法案に付てでありますが、戰時補償特別税を課せられたる損失額と云ふやうなことの中に、在外資産とか或は戰時補償の打切りに依ります損失が僅少な場合に於て、會社の存續が容易である、樂に出來るやうな場合と雖も、之を解散することに差支がないのでありませうか、又解散をすると云ふことに付て是は許可の必要があるものでありませうか、之を一つ伺ひたいのであります、それから第二は特別損失の「カバー」でありますが、在外資産とか戰時補償特別税とか、其の他の損失に依り生ずる場合に於て、第一に積立金を以て充つると云ふことであります、其の次は資産の見積に依つて之を許可をし、又資本金の十分の九を償却して舊債權の十分の四、それから資本金の十分の一と云ふことで、其の次は舊債權の十分の三と云ふことで、之を「カバー」することになつて居ますが、其の當期の利益金に付ては如何なることを望むことが出來るのでありませうか、或は是は何遍目に「カバー」をする時に、當期の利益金を加へるものでありませうか、それを伺ひたいのであります、從つて此の利益金は御承知の通り平素でありますれば當然税金も付くのであります、利益金として計上される以上は其の利益金として之を賦課するものでありませうか、或は税金は賦課しないで「カバー」するものに對しては普通の積立金、其の他所有物の見積と云ふやうなものと同じことにするものでありませうか、それを伺つて置きたいと思ひます、承る所に依りますれば在外資産に充當する爲に本期の利益金の使つた場合は税金は課からないのだ、併し戰時補償に對する、或は特別預金に對する所のものに充當した場合は税金を賦課すると云ふやうなことを市中では申して居りますが、之に對する御答を願ひたい、第三は損失に對する補償順序の中で資本金の十分の九と云ふのがあります、是は公稱資本金を御指してなるのでありますか、或は之に對しては拂込の資本金を指されるのでありますか、恐らく公稱資本金を指されることと思ひますが、さう云ふことになりますと、是が三番目の詰り補償順序であります、さうすれば場合に依れば未拂込を徴收しなければならぬ場合に於きましても、未拂込が滿足に徴收出來ないやうな場合には、恐らく整備計畫と云ふものが滅茶々々になつてしまふと思ふのであります、之に對する政府の所感は如何でありませうか、それを一つ願ひたいと思ひます、それから在外地に於ける銀行其の借入はどう云ふ取扱をするか、矢張り内地銀行と同じことに計上して、整備計畫を立てても宜いでありませうか、之を伺ひたい、其の次は或は是は今度は財産税迄參りますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=65
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066・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 片倉君、其の邊で一應打切つたら如何ですか、政府委員……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=66
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067・三木秋義
○政府委員(三木秋義君) 只今の第一點の御質問でございますが、資産内容の相當良い會社が解散をしても宜いかどうかと云ふ點でありますが、解散するか存續するかは、專ら整備計畫の中で決めるのでありますけれども、其の場合に於て、事業の内容其の他から考へて、解散の方が宜いと御考になりましたならば、解散の整備計畫を立てて御認可を申請されて一向差支ないと思ひます、唯其の場合に於て、日本の國の爲にどうしても殘さなければならぬ企業でありました場合は、政府側に於て之を認可しない場合があるかも知れませぬ、其の點を御了承願ひたいと思ひます、それから第二點の利益金の關係でありますが、是は當然當期の利益金が一番最初に損失負擔をして戴くと云ふことになるのでありますが、其の利益金は一切税金を負擔したものが賦課されるかと云ふ點でありますが、一應税金を差引いた額で計算して戴くことになります、尚税金の點に付きましては大藏省から主税局長が後で詳細御説明申上げます、第三點の資本金の關係でありますが、十分の九を負擔することになつて居りますが、是は當然公稱資本金を指す訳でありまして、未拂込は此の中に入つて居ります、從つて此の場合に、未拂込を事實徴收することが必要な場合が起きるぢやないか、それが整備計畫に影響しないかと云ふ御質問のやうに承つたのでありますが、誠に仰つしやる通りであります、我々も此の未拂込徴收の點に付て、今後整備計畫を實行致します場合に、非常に大きな問題を起すでであらう、又非常に困難があるであらうと云ふことを豫測して居りますけれども、唯之を出來るだけ圓滑にやつて參りたいと考へまして、商法に對する特例を設けるとか、或は昨日膳國務大臣から御話がありましたやうに、株式の引受機關を設けるとか、其の他の合理的な具體的の措置を講じて、出來るだけ之を早期に解決して參りたいと考へて居ります、第四點に付きましては松尾政府委員より御答へ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=67
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068・松尾金藏
○政府委員(松尾金藏君) 最後の御質問の點は在外地銀行からの借入金を今度の解散の場合にどう扱ふかと云ふ御質問と承りましたが、此の點は解散の場合には、在外資産に付ての損失額をどう云ふ風に計上するかと云ふ點に係つて來るのであります、此の計算の仕方は、在外資産に付きまして、其の債務と債權を「プラス・マイナス」を差引いて、損失額を計上するか、或はさうしないで在外資産に付て、「プラス」は「プラス」として掲げる、「マイナス」は「マイナス」として兩方に掲げるやうな損益計算の方法を取るかと云ふ點が尚問題がございますので、今度此の施行命令を出します迄更に研究をして明確に致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=68
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069・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 今の御質問申上げました中の第二の問題でありますが、是迄損失額を「カバー」する爲に當期利益金の税金を御取りになると云ふことになれば、恐らく私は全部所謂經理管理會社になつてしまふと思ふ、假に一千萬の利益金を出して六百萬も七百萬も税金を出すのは馬鹿々々しいからそんなものを出さないので、其の儘會社をやつて行くと云ふことに私はなりはしないかと思ふ、それを憂ふるのです、又政府が補償打切りに依つて生ずる所の損失を今度利益金で「カバー」すると云ふことになつたものを其の儘私は平素の利益金と同じ扱ひをせられると云ふことが、果して會社の企業再建と云ふことが出來得るものか、私は疑問を持つものであります、之に對しては政府としても、相當に御考になつてお置きにならなければ、恐らく私は今度は此の利益金と云ふものは出さないで、皆經理會社になるやうなことに相成る虞があると思ふのであります、是は尚一つ御考を願つて置きたいと思ふ、それから第四項の問題でありますが、私の御質問申上げましたことが、或は言葉が足りぬので分り難いと思ひますが、在外資産が損失であることは是は明かでありますが、所謂帳簿から缺損として除くのが當然だと思ふ、併し在外の銀行から借入れた場合の借入金を如何に處置するかと云ふことを、之を御伺ひしたいのであります、唯私は見合ふとか見合はないとかと云ふことでなくて、假に臺灣で仕事をして居る、東京に本社を持つて居る者が臺灣の銀行から三百萬圓借りて居るけれども、其の借りた金を如何なる取扱ひに帳簿上に記入することが宜いか、又或は之を打切る時に向ふの臺灣銀行から恐らく管理人が出て居る訳ではないから、それは或は十分の七と云ふもので打切つた計算にして差支ないものかと云ふことを伺つた訳であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=69
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070・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 經理會社になるかならないかと云ふ場合に、其の期の益金に對して税引で計算するか、税込で計算するかと云ふことに付きましては、片倉委員の仰しやる通りに日頃の場合と違ひますので、税金を引かない所で計算するやうに考へてはどうか、と斯う云ふ氣持を以ちまして折角關係方面と話をして居る所でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=70
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071・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 それでは企業整備法案の質問は是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=71
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072・倉富鈞
○男爵倉富鈞君 極く小さな問題でありますが、金融機關の再建整備法案の第七條の暫定評價基準及び確定評價基準と云ふのは、昨日來の御質問の評價の問題が關係方面との關係で今日迄伺ふことが出來なければ強ひて伺ひませぬが、差支なければ大體暫定評價基準と確定評價基準と云ふことはどう云ふ風に了解すれば宜いかと云ふことに付て、若しも御差支なければ簡單なことでも宜しうございますが、説明を承りたい、それから其の次には金融機關の再建整備法の二十二條に最終處理費引當金を計上しなければならぬと云ふ規定があります、是が恐らく舊勘定に對する舊勘定の最終處理費の引當金だと思ひますから、新勘定の舊勘定に對する貸しとなるのだらうと思ひます、此の最終處理費と云ふものの算定をどう云ふ風に一應やるのか、或はまあ人件費だとか、何とか云ふものを刻明に記載するのか、と云ふやうなことを御尋ね致しますのは、舊勘定の整理をやつて行く間に大體の見當で最終處理費と云ふものを最初に計上して置きますと云ふと、後に行つて段々過不足が出き來やしないか、さう云ふ場合にどう云ふ風な處理を爲さる御見込かと云ふこと、それから其の次には三十三條でどうしても「カバー」の付かなかつた損失に對しては補償を政府が爲さる、それは國債で交付されるやうに見えるのでありますが、之を結局額面金額と發行價格との其處に若干の金額の相違が出て來るだらうと思ひます、之を交付を受けました金融機關は恐らく交付發行價格で以て帳簿の整理をしやしないか、其の後事情の變遷に依つて公債の時價が變つて參りましたやうな場合に、其の公債を將來日銀あたりに擔保にして金融を付けなければならぬと云ふやうな問題が起つた場合に、日銀が其の時に擔保價格をどう見るか、銀行の方では最初の受けた時の發行價格で計算が整理されても、其の後價格の變動があつて、それが日銀の擔保になつた時に價格の變動があると云ふことになりますと、金額の大きいものとすれば、金融機關の整理に若干それが影響しやしないかと云ふ感じがするのであります、それ等の點に付て事務當局から勿論結構でありますが、大體の御考を承りたい、それから最後に四十一條で新勘定を新金融機關に譲渡すと云ふやうな構想が見えて居るのであります、是は恐らく他の銀行に合併すると云ふやうな場合は問題は比較的ないと思ひますが、整理の爲に第二銀行を作らなければならぬと云ふやうな時に、其の新に出來る第二銀行と云ふものの規模とか、資本の構成と云ふやうなものを銀行法の現在の規定に依りますと云ふと、六大都市の銀行は資本金がよく分りませぬが、五百萬圓以下ではいけないと云ふやうな規定があつたと思ひます、今度の第二銀行の設立と云ふものが矢張り銀行法の規定に拘束されるのか、或は現在の銀行の詰り第二銀行として仕事をやつて行くに差支ない程度の資本金の構成で宜いのかと云ふやうな點に付て簡單で宜しうございますから御考を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=72
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073・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 先づ御尋の評價基準に關する點でありますが、金融機關にありましては企業と異りまして暫定評價基準と確定評價基準と此の二つの基準を設けることに致したのでありますが、其の理由は金融機關にありましては早く勘定の見透しを付けさせる、さうして見透しの付いた部分の支拂を先づ行ひたいと、斬樣な趣旨からでありますが、大體の仕組を申上げますと、此の法律案が通りますと、直ぐ評價基準と云ふものを作成致して之を發表することに相成るのであります、其の評價基準を基と致しまして、只今の所大體十一月末位迄に考へて居るのでありますが、十一月末迄に企業側に於きまして企業經理の假計算を致しまして、さうしてそれを金融機關に通告する訳であります、そこで金融機關はそれを受けまして金融機關側の大體の見透しを立てる、其の場合に於きまして此の金融機關が見透しを立てる場合に於きまして、斯樣な標準でやつたら宜からうと云ふことを政府に於て指示するのであります、其の標準が暫定評價基準でありまして、只今の所は一月一日現在に於きまして暫定評價基準を作定する、左樣なことを考へて居ります、さうして此の一月一日に暫定評價基準を公表致しまして、それに基きまして、金融機關は整理を致しまして、大體二月十五日迄に其の評價基準に依る所の評價替を全部完了する、即ち其の二月十五日以降に於きましては先程申上げましたやうな此の舊勘定預金の見透しに依る所の支拂と云ふものが可能になりまして、さうして二月末、三月には第二封鎖預金も何がしか支拂ひ出來る、斯う云ふことに相成ります、確定評價基準の方は、是は物件毎に隨時公表致して參ります、是は最終處理の參考になる訳であります、最終處理の經理の基準になる訳であります、それから次に御尋の點は第二十二條に關聯致しまして、此の最終處理引當金と云ふものはどう云ふ意味のことであるかと云ふことと存じますが、是は極く見透しに依りまして經費を計上致しますると、萬一それで足りないと云ふやうな場合に於きましては、是は新勘定に於て負擔させるやうなことを只今考へて居ります、それから此の第二十六條に關聯致しまする所の金融機關の事業譲渡の場合であります、此の事業譲渡と申しますのは、第二銀行を作りまして、さうして其の第二銀行に事業を譲渡する場合と、それから既存の銀行に事業を譲渡する場合と、此の二つの場合を考へて居るのでありますが、第二銀行を作る場合に於きましては、只今御質問の銀行法の制限に依るかと云ふ點、此の點に付きましては只今の所此の銀行法の制限に依りまして、例へば資本金に付きましては資本金二百萬圓以上と云ふことを堅持する方針であります、それから次の御質問は第三十三條の補償條項に關する點でありまするが、此の國債を交付致しましてそれが將來値下りをしたと云ふやうな場合にはどうなるかと云ふやうな御話でありまするが、國債に付きましては只今の所是は市價が發行價格を下ると云ふやうなことのないやうな措置を講ずると共に、其の爲には國債を以ちまして日本銀行から借入をすると云ふやうな場合に、是が不當に低い値段で評價されると云ふやうなことのないやうな……是は申上げる迄もなくさう云ふ方針で行きたいと云ふ風に存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=73
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074・倉富鈞
○男爵倉富鈞君 暫定評價基準と確定評價基準の算定の基礎と云ふこと、今の御話は大體此の法律が出來まして、是がどう云ふ風に動いて行くか、例へば一月に暫定評價基準を發表して、それに依つて整理されて、二月十五日迄にやると云ふやうな、それから確定評價基準と云ふのは最終處理の評價基準だと云ふやうなことは此の間から新聞にも發表されて居りまして、大體其の動き方に付ては一應分つて居つたのであります、御尋したのは評價基準を、是は今の御話でも企業會社の或程度の見透しが付いて、それを銀行の方で檢討して見なければ金融機關の整理は出來ない、さう仰しやつてしまへばそれ迄の問題になるのですが、大體評價基準と云ふやうなものをどう云ふ風に考へるかと云ふやうなことに付て、何等かそこに御示しになるものがあつたらば承りたいと思つたのでございますが、それを押問答して居りますと徒らに時間が掛りますから、大體餘り十分私の承りたいことを聽き得なかつたのでありますが、質問は是で止めて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=74
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075・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 片倉君、先に御質問の第四點か知らん、まだ答辯がなかつたと思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=75
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076・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 在外地の銀行のことに付て御答を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=76
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077・松尾金藏
○政府委員(松尾金藏君) 私先程説明が不十分でございましたが、在外地銀行、例へば先程の例で御觸れになりました臺灣銀行の借入金を今後どうするかと云ふ點は、大藏省の方でもまだ未決定でございますので、計算の仕方としては一應債務を其の儘計上して戴いて置く以外には方法はなからうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=77
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078・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 私が今迄御質問申上げたことでも、御考になると云ふことが四項の中既に三點ばかりあるやうであります、斯う云ふことは早く御決めを願つて、さうして早く爲さらなければ、既に又管理會社の計畫案なども來月十日迄には出さなければならぬやうに私共存じて居るのであります、一日も早く御決めにならなければ、會社の當事者としては仕事をすることが出來得ないのであります、從つて整理案も出來得ることがむづかしいと思ひますから、一日でも早く、どう云ふ風なことになるかは存じませぬが、所謂先程私が申した通り、出來得るだけ斯う云ふ機會でありますから、國民に深切に、さうして公平になるやうに、一つ御配慮を戴きたいことを御願ひ致しまして私は質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=78
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079・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 小山完吾君
〔「御留守です」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=79
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080・三土忠造
○委員長(三土忠造君) それでは大體申込は濟んだのですが、片岡君は、初め私が此處で申しましたことを堅く守られまして、此の四案の中で關聯するもののみ質問をすると思つて居たらしいのですが、實際はさうは行かぬやうでありますから、各委員の御質問も終りましたから、片岡君はまだ少し質問があるやうでありますから、此の際片岡君……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=80
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081・片岡直方
○片岡直方君 私は企業再建整備法の第六條の七、詰り第二會社設立の問題、之に付て御尋をしたいのであります、大體日本經濟再建の爲には、必要な重要産業としては、どんな損失がございましても第二會社を設立すると云ふこと、又舊債權を整理して著實に再建に乘出すと云ふことは、是はもう國民の誰も異議がない所であります、政府が企業再建整備法及び整備計畫に於て考へて居られまする第二會社の構想と云ふものは、どう云ふものであるかと云ふことを詳細に説明して戴きたいと思ひます、具體的に申すならば、大體第七號にずつと書いてあることでありますが、之に付て御尋したいのですが、特別經理會社から現物の出資の評價はどうするのであるか、又評價を高くすれば大體に於て再建第二會社と云ふものは、水膨れ資産を受取ることになつて、非常に不健全な發足をしなければならぬ、それから又製品の原價高を來すと云ふことになるのであります、又反對に評價を低くすると、不當に債權者を害すると云ふことになるのであります、此の點政府の御考になつて居る評價の基準はどう云ふものであるか、それから現物出資に對して發行します株式の賣出方法はどう云ふものであるか、それから更に株式と舊債權者との關係はどう云ふ風になるかと云ふこと、それから企業再建整備法の第二十六條でありますが、それに依りますると云ふと、株式又は處分益は舊債權者に歸屬すると云ふ考へ方でありまして、是は非常に重要な規定であると思ふのであります、之を能く靜かに拜見しますと、いつ迄も最後迄此の舊債權者と云ふものが債權の追求を受けると斯う云ふことになつて、果して本當に此の企業再建整備が行けるかどうか、結局は企業再建整備と云ふものは不徹底で終るのぢやないか、斯う云ふ風に考へる、之に付ての政府の御所見を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=81
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082・三木秋義
○政府委員(三木秋義君) 第二會社の設立が此の再建整備法の一つの大きな眼目になつて居る訳なのでありますが、今後事業の運營の爲に必要とする設備、原材料竝に勞務者等は、之を極度に切詰めまして、出來るだけ切詰めて、すつきりした形に於て第二會社の方に移しまして、第二會社を本當の清新な形に於て發足せしめたい、斯樣に考へて居ります、從ひまして當然只今の出資すべき物件の評價と云ふ點が問題になつて來る訳でありますが、尠くとも現在の事業を繼續することに依つて赤字を出さないやうに十分に、現在の丸公に於て採算の合ふやうな形で以てやつて參りたい、斯樣に考へて居ります、當然資産の評價と云ふものは、此の第二會社に關する限り、相當「シヴィア」に査定をしなければいけないのぢやなからうかと云ふ風な考へ方をして居ります、それから此の場合の株式の割出しをどうするのかと云ふ問題でありますが、此の引受機關の株式をどう云ふ風に分散するかと云ふことが、實は非常に大きな問題であります、當然の普通の考へ方でありまするならば、從來の舊會社が之を引受けるべき筈であるのでありますが、舊會社が概ね財閥關係其の他になる向が多いだらうと云ふことも考へられまするので、我々の一應の考へ方と致しましては、場合に依つては從業員に分散するとか、或は取引先、其の他の消費者の方に之を引受けて戴くと云ふやうな措置が必要でないだらうか、或は又曩の未拂込の場合の株式の處分株式と同じやうな方式に依りまして、必要なる引受の機關を別途に作りまして、之に引受けさせると云ふやうな方法も講じて置かなければいかぬ、斯樣に思ふのであります、それから舊債權者と株式との關係と云ふ御趣旨がはつきり致しませぬが、御質問の御趣旨は、恐らく舊債權を株式に轉化出來ないかと云ふ御質問であらうと存じまするが、さう云ふやうな意味でございましたならば、是は整備計畫の中に書いて戴きまして、斯う云ふやり方に於て株式を轉化するのだと云ふことで、それが認可になりますればそれで結構だと思ひます、唯左樣な場合に於きましても、相當多額に債權者側に移りまして、それに依つて事業の運營が「コントロール」されると云ふやうなことがありました場合に於きましては、是は當該事業の活動を阻害すると云ふことも考へられまするので、之に對しては其の株主權の行使に付きましては、場合に依つては制限する、或は其の株式を特別な管理機關に委託すると云ふやうな措置が別途に講ぜられなければならぬと云ふ風に考へて居ります、それから第二十六條の處分資産の處分益を、舊債權者の打切つた債權に返還すると云ふやうな問題でありまするが、片岡委員の御質問の通り、誠に此の點は困難な問題であります、特に會社の資産の處分と云ふものが、今後の情勢から言ひまして非常に困難であらう、從つて斯う云ふことを若しやりまするならば、相當に整備が延引する、長びくと云ふことも考へられまするし、又いつ迄も此の關係が續くと云ふことで、會社の經營者の意氣も沮喪せしめると云ふことも實は考へられるのでありまして、是は大きな問題であると云ふ風に思ひまするけれども、唯何分にも實際處分致しました結果が利益になつたと云ふやうな場合には、先に債權者側に相當大きな迷惑を掛けて居る、ですから其の迷惑を是は御返しするのが當然ぢやないかと云ふやうな考へ方から、一應此處には書いて居ります、併し此の問題も只今申しましたやうに、相當經濟的に、或は又今後の再建整備の爲に支障を來たすやうな場合も場合に依つては考へられるのぢやないかと云ふことも思はれまするので、將来の經濟情勢の如何に依りましては、斯う云ふ點に付きまして、何等かの措置が必要でないだらうかと云ふことに致して、今後の問題として此の問題は殘して置きたい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=82
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083・片岡直方
○片岡直方君 次の問題に入りますが、此の企業再建整備法の附則を見ますと、理由書の所を拜見致しますると、非常に大きな改正が加へられて居るのであります、實は私議論するのではありませぬが、一應政府委員に御尋したいのでありますが、大體企業再建整備法の改正であれば、本當は純理論から言へば、改正案を出して訂正を爲すのが本當ではないかと思ひますが、それを今度斯う云ふ附則の方で御出しになつた、偶偶私調べまして發見したのでありますが、恐らくは多くの方が御承知ないのぢやないか、斯う云ふことを實は心配するのであります、それで民主化の今日に於きましては、矢張り何とか之が分るやうに、政府委員は非常に技術の方はお上手なんですから、斯う云ふ風に織込んでも濟む訳ですが、國民は非常に困る、偶偶發見して驚いた、それは出來る訳です理窟は……法律を以て法律を改正するのは宜い訳ですが、それをどう云ふ訳でおやりになつたか、已むを得ずおやりになつたものと思ひますが、是は強ひて理窟を言ふのぢやなくして、輕い意味に於て御尋ね致します、それから本論に入ります、此の條文を讀むことは省略致しまして、從來は戰時補償、それから在外資産に依る損失と云ふものがありましても、會社の財産には時價又は取得價格、帳簿價格の差額である財産、之に評價益を出し得る含みがあつて、之と積立金で損失を賄へる會社は特經會社から除外の認可が得られたのであります、然るに此の改正案に依りますと、評價益を出し得る含みのあると云ふことはまあ別と致しまして、矢張り四十頁ですが、八月十日の決算の事業年度の利益金と積立金と云ふもので損失を償へない會社と云ふ會社は總て特經會社にする、斯う云ふ風になるのであります、詰り特別會社の數が非常に今迄より殖えて來る、斯う云ふことになりはしないかと云ふことを憂ふるのであります、一體どれだけの數が殖えるものか、御見込を承りたい、むづかしいことですが、御答辯が出來なければ宜しいのですが、是は非常に殖えて來るやうに思ひます、之を伺ひたい、それから何故に斯う云ふやうな改正が必要になつたと云ふやうな實質な理由と效果を承りたいのであります、それから企業再建整備法の第八條を拜見しますと、さうしますと、此の八條は會社財産の評價換に付て規定してあるのでありますが、其の内容は命令、それから整備計畫に委任してあるのであります、政府は此の評價換に關する如何なる具體的の案を持つて居られるか、詰り商法の二百八十五條の規定に認められて居りまする事項、それから固定資産に付ては取得價格迄評價替を認める、斯うなつて居るのでありますが、之に對してどう御考になりますか、若し只今評價替と云ふものが十分に認められるものでありましたら、只今申上げました附則の改正は實質的には何等意義がない、斯う云ふ風に考へるのでありまして、不必要に徒らに會社の經理事務と云ふものを煩雜ならしめるやうになり、生産再開と云ふことに非常に意氣込んでやると云ふことが、實質に於ては逆になつて來る、日本の經濟に取つては非常な損失になるのではないかと、斯う云ふ風にも考へる、又それと反對に、評價替と云ふものを極めて嚴格にするとか、或いは實質上評價替と云ふものを認めると云ふことであれば、特別經理會社の多くは資本の切捨て、それから債權の切捨てと云ふものを行ふことは當然であります、我が國經濟界の影響も非常に甚大なものであると、斯う云ふ風に考へます、混亂を來すことは明かであると斯う云ふ風に考へるのであります、是等に付て政府の所見を政府委員で宜しうございます、一つ詳細に御説明を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=83
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084・三木秋義
○政府委員(三木秋義君) 非常に重大な法律事項を附則で改止するのは不當ではないかと云ふ御質問では誠に恐れ入るのでございますが、實は此の問題は相當重大でございますけれども、特に一項目立てて、其の爲の改正案を出すと云ふだけの問題でもございませぬし、傍傍應急措置法の姉妹篇として此の再建整備法が出て居りますやうな關係になつて居りますので、當然一本の法律と考へまして、茲に附則で以て改正を致した訳であります、唯斯樣な重大な事項を附則で改正を致しましたことに付きましては、今後其の趣旨徹底の方法は是は政府の責任に於て十分にやつて參りたいと考へて居ります、それから其の内容でございまするが、從來商法の許す範圍内の評價益を以て、尚それに積立金を加算しまして、今度の補償打切りの損失を填補出來まする場合には、特別經理會社の除外の申請は出來たのでありますが、若しさう云ふことを致しまするなならば、それを非常に若し「ルーズ」に致しまするならば、不當な評價益を出し、之に依つて不當な利益を出す、場合に依つては之に依つて樣々の企業の實體を脆弱化せしめると云ふ虞もありまするので、苟も評價益を出して特別に損失を填補すると云ふ場合に於ては、總て之を整備計畫に於て計上せしめ、整備計畫に於て之を認可致しまして、之を嚴重に監視して行かう、詰り本法の再建整備法の制定の趣旨が、日本の經濟の再建整備と云ふことにありまする以上、實質上弱體會社は今後作りたくない、左樣な意味に於きまして、出來るだけ經理内容の立派なものを作つて行かなければならないと云ふやうな趣旨に於きまして、特に斯う云ふ改正を加へまして、資産内容を優良化する、資産内容に穴を殘さないと云ふやり方を致して參りたい、認可に依つてそれを見て行く、不當な評價益を出すやうなことがないやうに一致したい、斯樣な考で特に此の一項目を加へた次第であります、唯之を加へることに依りまして、非常に多くの會社が、比較的優良な會社が、特別經理會社に包含されるのではないかと云ふやうな御質問の趣旨でございまするが、誠に仰しやる通りであります、唯此の場合に於きましても、我々と致しましては、優良會社に付きましては出來るだけ速かに認可の指令を出して、今後の經濟活動に支障のないやうに致して行きたいと考へて居ります、尚之に依つてどの位の會社が新たに特別經理會社になるのかと云ふ御質問でございまするが、此の點は數字的には誠に困難なものでありまするが、只今の見込と致しましては一應資本金二十萬圓以上の會社が、全國に一萬二千位ございます、特に整備計畫を出しまする百萬圓以上の會社に付きましては、非常に其の數が減つて參りますので、從ひまして此の規定を新たに加へましたことに依りまして、極めて多くの會社が新たに此の網に掛つて來る、特別經理會社になると云ふことは、我々は餘り期待をして居らない次第であります、尚又商法の許す範圍内の評價を許すかどうかと云ふ問題でありまするが、今度の整備計畫の中に書きまする所の資産評價の點に付きましては、我々と致しましては資産の内容が極めて弱化しない以上は出來るだけ企業者側に有利な解釋を致して參りたいと、斯樣に考へて居りますので、當然商法の規定の許す範圍内の評價と云ふものは許されて然るべきぢやないだらうかと云ふ風に考へます、併しさう云ふことをやるならば、新たに附則の改正を要らないぢやないかと云ふ御質問の御趣旨は誠に御尤もでありまするが、左樣な場合に於きましても不當な評價益を出す……要らない評價益を出さしめないやうに、矢張り整備計畫に於て之を監視して參ると云ふことが必要ぢやないか、斯樣に考へて居る次第であります、尚評價の基準を一體どうするのかと云ふ御質問でありまするが、我々の一應の考へ方と致しましては、評價基準に付きましては屡屡、各大臣からも御説明がございましたが、餘に甘い査定と申しますか、是は今後の經濟再建の爲に絶對に避けなければならない、本法の立法の趣旨が、固より日本の經濟の再建と云ふことにありまする以上は、當然其の趣旨に副うた評價基準と云ふものが作られて參らなければならぬと、斯樣に考へて居ります、從ひまして一應の評價基準の只今の考へ方と致しましては、出來るだけ評價基準は簡單明瞭なものに致して參りたいと云ふやうなこと、それから又日本の經濟の再建に支障を來さないやうに、其の事業の基礎を弱化せしめないやうに評價基準を作つて行かなければならないと云ふこと、それから又物價水準との關係をどう考えるのかと云ふことでありまするが、少くとも現在の物價水準と云ふものを是れ以上に引上げないと云ふやうなものでなければならない、從ひまして或程度安全率を見まして、基準と致しましては、現在の物價水準よりも幾分下目の基準と云ふものを考へて參らなければならないのぢやなからうかと云ふやうなことも實は考へて居ります、尚又もつと具體的な問題と致しましては、原材料等に付きましては、當然公が適用されて然るべきでありまするけれども、現在の事業の實體から言ひまするならば、原材料と雖も、公を以てやつた場合に於ては、慨ね赤字になる場合が多いと云ふやうなことも考へて參らなければならない、又鑛山一つ例に採りましても、現在一般の取引價格が公以下に下つて居ると云ふやうな場合も考へられまするので、さう云ふやうな場合に於ては、其の下つた、公以下になつたものが時價を取らなければならないと云ふことも考へて參らなければならぬと思ひます、尚株式或は固定資産の評價等に付きましては、是は相當問題が多からうかと思ひますが、株式の評價に付きましては、是は主として財産税の評價委員會と同じやうな考へ方で進んで參りたいと思ひまするが、固定資産の評價の問題は、實は最も問題でございます、我々と致しましては、先程申上げましたやうに、事業の基礎の安固を期すると云ふ建前で以て、出來るだけ「シヴィア」な査定を以てやりたいと思ひますが、之も債權者に迷惑を掛けない、餘り不當なる迷惑を掛けないと云ふ點と兼合ひのことになりまするので、其の點を考へて參りたい、尚又今後の問題と致しましては、日本の經濟の復興、囘復を圖りまする爲には、どうしても自由貿易になつた場合のことを考へて參らなければならぬと思ひまするので、今後日本が自由貿易に囘復致しましても、例へば鐵鑛であるとか、或は硫安であるとか、其の他の國際商品に付て、十分他國と立打ちの出來るやうな基礎を此の際作つて行かなければならないのぢやないかと、斯樣に考へまするので、さう云ふ點からも査定の評價基準と云ふものを、或程度引下げたもので考へて參らなければならないのぢやないかと云ふことも考へて居ります、尚其の他に稼働率を見るかどうか、或は複成價格を見るかどうかと云ふことを、或は又別途の考と致しまして、事業の收益還元法を採用するかどうかと云ふやうな問題もございます、斯う云ふやり方は、基準を作ります場合の非常な大きな問題でありまするので、只今關係方面とも十分協議を遂げつつありますので、早急に此の問題を解決して參りたいと考へて居ります、尚外の其の他の問題と致しましては、業種別の評價基準と云ふものを作つたらどうかと云ふやうな問題もあると思ひます、さう云ふ各般の問題に付きましては、只今各關係省方面及び其の他の關係方面とも協議中でございますので、暫く御待ちを願ひたいと存じます、各方面の御意見も承り、殊に又經濟再建整備委員會に付議致しまして、終局的な、最後的な決定を致して參りたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=84
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085・片岡直方
○片岡直方君 後の此の二つの質問は簡單なものでございますから、簡單に質問したいのであります、是は戰時補償特別措置法案の一番終ひに「理由」がございまして、之を拜見致しますと、是は後で申上げますが、之に關聯して參るのでありますが、之に付て先の御尋したいことは、戰時補償特別措置法案の第十條の別表に、之を拜見致しますと、それが戰爭保險契約に依る所の請求權と云ふものは、納税の義務者が個人の場合五萬圓、法人の場合は一請求權毎に一萬圓、それぞれ控除して全體で十萬圓は超えないのだ、控除は出來ない、斯う云ふ風になつて居ります、其の百「パーセント」課税される、斯う云ふ風になつて居ります、此の場合に私の御尋したいことは、保險金の拂込總額が右の課税に於きまする課税額を超過したる時は、其の超過した金額は全額を取られると云ふことになるのでありますが、併し此の戰時補償特別措置法と云ふものは、其の理由書に書いてありまするが、戰時補償請求權に對する課税の措置と云ふものが目的であります、さうなりますと、戰時補償請求權でない拂込の保險料は返還請求權と云ふものを打切つて拂込保險料を取ると云ふことは、國が取つてしまうと云ふことは、何となしに不當利得をして居るやうな感じがするのでありますが、此の意味に於きまして、戰爭保險契約に於ける拂込が濟んで居る、斯う云つたやうな保險金と云ふものは課税價格から控除するのが至當ではないかと思ひますが、之に付て御意見を政府から承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=85
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086・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 其の點は、先程の政府に納入品がありましたやうな場合に、代金の支拂金は課税の方法で取られる、物品は政府に納入した儘になつてしまうと云ふやうなものと同じやうな問題であります、是等の點に付きましても、色々考へたのでありまするけれども、結局政府に對しまする請求權は、戰爭に起因する限り、原則的に總てを課税される、此の點に付きましても、先程も申上げましたやうに、不公平の感を生ずる憾みはあるのでありまするけれども、是等は已むを得ざる措置として、一律にさう云ふ請求權は全部打切られた訳であります、御了承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=86
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087・片岡直方
○片岡直方君 それから最後に伺ひたいのでありますが、是は前渡金の問題をちよつと御尋したい、是で御終ひであります、終戰前に斯うした前渡金と云ふものがあります、是は一體どう云ふ風になるのか、今の法案に依りますと云ふと第一條に規定してありまするが、之に依りますと、第一號に規定してありますが、辨濟期が八月十五日前であつたもので既に決濟の濟んだものは戰時補償特別税の課税の對象にならぬと、斯う云ふ規定があるのであります、さう云ふことはございますから、之に關聯して御伺ひしたいのでありまするが、終戰前に於て、政府から受けた前渡金と云ふものは、決濟が、或は一部決濟と認められまして、戰時の補償特別税を課せられないのであるかどうかと云ふ點を先づ先に御伺したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=87
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088・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 前渡金の關係は斯う云ふやうに考へて居ります、八月十五日前に拂はれました前渡金が、八月十五日前に其の本來の目的に使はれて居ります場合に於ては、第一號の關係に於きましては、八月十五日以前に支拂はれたものと云ふ風に考へます、但しそれが八月十五日前に前渡がされて居りましても、八月十五日後に他の目的に充當されたと云ふ場合は、それが八月十五日前の支拂に當らない訳であります、少し具體的に申上げますと、百萬圓前渡金を渡してある場合、大砲百門ならば百門注文して、一門どの位するか知りませぬが、十萬圓として千萬圓に當るものが注文されて居つた、終戰前に、其の中で以て十門の引渡しが濟んだと云ふことでありますれば、其の百萬圓の前渡金は當然十門の代金に當つて居る訳でありますから、是は支拂は濟んで居るものと考へます、併し其の前渡金が、例へば五百萬圓であつた、十門の引渡しが濟んだと云ふ場合は、百萬圓は支拂が濟んで居りますが、殘りの四百萬圓に付ては、實際行はれた所を見ますと、他の完成品代と相殺して居りますから、或は損害賠償の金に引當て、其の損害賠償請求權の方と相殺して居りますが、其の方は八月十五日前に決濟があつたと見得ないと思ひます、此の點に付きましては、色々私の方でも考へまして、若し相殺が濟んだならば其の規定を入れるやうにと思つて色々研究して見たのでありますが、關係省とも交渉の結論としては、それは入れないと云ふことになりまして、只今申上げたやうなことになつたと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=88
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089・片岡直方
○片岡直方君 さうすると品物を製作して居る間の材料代、人件費とか云ふものは、今の前渡金の中から引かれて課税せられる訳になるのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=89
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090・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) ちよつと御質問の趣旨が能く分りませぬでしたが、政府の方に其の品物が八月十五日前に引渡されて居りますれば、其の契約に付て支拂はれました前渡金は其の分に付ては決濟があつたものと認めます、但し品物は會社の方にしますれば材料も使つて居る、工賃も拂つて居ると云ふことになつて居りましても、終戰前に引渡しが濟んで居ない、終戰後に或は仕掛半製の儘で以て終つてしまつた、或は仕掛半製の儘で引渡されたと云ふやうな分に付きましては、それに對應する分は八月十五日前に仕拂が濟んで居るものと云ふ風には解し得ないものと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=90
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091・片岡直方
○片岡直方君 最後にもう一點伺ひたいのでありますが、過拂の前渡金と云ふものはどう云ふことになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=91
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092・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 過拂の前渡金は從來の實際やつて居る所を見ますと、外の方の分と相殺されて居りますから、相殺をする分がなくつて結局過拂になつた儘と云ふものに付きましては、政府の方で以て返還命令書を出して居ります、それで既に返還の濟んで居るものもございますし、現在それの取立ての最中であると云ふものもございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=92
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093・片岡直方
○片岡直方君 私の質問は終りますが、昨日膳國務大臣に御尋ねしましてまだ御答辯を得て居りませぬ經濟再建整備委員會の構成の御説明でありますが、是は時間が過ぎましたから今でなくとも宜しいのでありますが、畫からでも結構でありますから詳細に御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=93
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094・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 今説明出來ます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=94
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095・三木秋義
○政府委員(三木秋義君) 經濟再建整備委員會が付議事項と致しましては、其の企業再建整備法の關係、それから金融機關再建整備法の關孫、其の重要事項は總て此の經濟再建整備委員會に付議されることになる訳でありますが、其の構成に付きまして只今一應我我の方で内定致して居る程度でありますが、之を中央と地方に置きます、中央の委員會は是は内閣に直屬致させます、それから地方には各地方「ブロック」毎に八つばかりの各地方の委員會を置きまして、之を行政事務局の管下に置きます、それから其の外に各都府縣の委員會を別に設けることになつて居ります、それから中央の委員會は是は關係各方面と言ひましても産業、經濟、言論界其の他の衆議院、貴族院も當然入る訳でございますが、其の他の各方面の知識經驗者を入れる訳でありますが、特に此の際に勞働界の代表を入れるかどうかと云ふことが大きな問題でありまするが、此の再建整備が對勞務者の關係が非常な大きな問題であると思ひまするので、我々は特に勞働界の代表をも此の委員會に加入せしめたい、斯樣に考へて居ります、それから此の中央の委員會は之を三つの部會に分けます、第一は綜合部會でありまして、之には例へば評價基準であるとか、或は未拂込の徴收に付てどう云ふ方法を講ずるかと云ふやうな、一般的な政策的な問題を此の綜合部會に於て決定致します、それから其の次は、第二に、審査第一部會、第三に、審査第二部會と云ふものを置きますが、其の審査第一部會に於きましては一般の企業に付きましての重要事項、特に整備計畫の認可と云ふやうなことを此處でやつて參ります、それから審査第二部會の方は、專ら金融機關の關係に付きまして重要な事項を決定して參る、斯う云ふ仕組に考へて居ります、綜合部會の部會長は、只今の處安定本部の然るべき方に御願ひ致したい、それから審査第一部會の方は商工次官が部會長になります、審査第二部會の方は大藏次官が部會長になります、斯樣に致して居ります、只今内定致して居る構成は此の程度であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=95
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096・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 先刻小山君より發言を求められましたが、時間の關係上午後に致します、午後は一時十五分からやります、休憩致します
午後零時十五分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=96
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097・会議録情報3
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午後一時十九分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=97
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098・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 是より午前に引續いて會議を開きます、小山完吾君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=98
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099・小山完吾
○小山完吾君 私はほんの唯一言か二言御答を得れば宜いのでありますが、十二條の規定でございますが、「民法第三十四條の規定により設立した法人その他の營利を目的としない法人又は團體で命令で定めるものが、この法律施行の際現に」云々と書いてありますが、其の命令で定める法人、恐らく是は公益法人だらうと思はれるのですが、どう云ふものが入るのでございませうか、此の中に、例へば私は更に一歩詳しく申上げますれば、學校教育に關係して居るのですが、此の命令に學校のやうなものも入るのですか、大臣でなくても宜しいです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=99
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100・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御答へ申上げます、此の戰時補償特別措置法第十二條に現はれて居りまする法人は御話の如く慈善團體、宗教團體、教育團體等が入ることになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=100
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101・小山完吾
○小山完吾君 さうすると此の教育團體の戰時補償に類することを審議するに當つては、矢張りどの位の程度に免除すると云ふことは、時別審査委員會に掛けて御決めになる、斯う云ふ御所見でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=101
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102・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=102
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103・小山完吾
○小山完吾君 それから尚先刻の日本銀行の話は、元々板谷さんの質問ですから板谷さんの質問に譲つて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=103
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104・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 大河内委員から財産税に移る前に、是迄の議題の中に關聯したことに付て御聽きになりたいことが御ありださうですが、大河内子爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=104
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105・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 私はちよつと伺ふのでありますが、日本銀行の貸出金は是は關係ないさうでございますが、金額は四百二十三億五百萬圓、斯う云ふ風に資料に出て居りますが、左樣承知して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=105
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106・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=106
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107・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 尚伺ひますが、是は只今參考書を頂戴したのでありますが、此の參考書に依りますと、特殊銀行等債券二十八億三千四百萬圓、それから國外關係債券十四億五百八十三萬二千圓とありますが、それからまだ國外關係貸付金、それが三億二千九百萬圓、之を三つ寄せた位のものが今度關係して來ると思ひますが、さう承知して宜しうございますか、數字のことですからどなたからでも……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=107
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108・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 預金部にありましては八月末現在六百五十一億圓の勘定になつて居りまするが、此の勘定の中借方の部を御覽願ひたいと思ひます、内訳は左樣になつて居りまするが、此の中外地關係のものが約四十億であります、此の外地關係のものは今囘整理原則に依りますると、先づ大體是は赤と見なければいかぬと云ふ風に考へて居ります、それから尚内地關係のものに致しましても、取立困難なものも相當起ると思ひます、達觀致しますと二十億位に見て居るのでありますが、二十億以内に見て居りまするが、さう致しますと赤全體が六十億と云ふやうな見當に相成ります、只今極めて大雜把でありまするが、損失は其の位に認めて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=108
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109・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 之を全部積立金で償却が出來ないだらうと思ひますが、さうすると幾らを積立金で補填して、それから幾ら一般會計から出しますのですか、數字だけで宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=109
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110・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 積立金は二十二億六千萬圓であります、從ひまして此の六十億の中二十二億六千萬圓と云ふものは、積立金に依つて償却し得ると斯樣に考へます、さうすると差額が三十七億圓となるのでありまするが、是が一般會計から考慮を要すると云ふ風に考へられます、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=110
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111・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 私はそれで宜しうございますが、序でに財産税に入りまして宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=111
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112・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 此の際に伊江男爵から、ちよつと沖繩縣に關する此の法案に關係した問題を、委員外の質問を許して戴きたいと云ふことでありますが、許可致して御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=112
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113・伊江朝助
○委員外議員(男爵伊江朝助君) 會期切迫の際に、特に委員外の質問を御許し下すつた委員長に對して厚く感謝を致します、同時に多數御質問の際、特に御許し下さつた諸君に對して深謝を致します、戰時補償特別法案を見ますると云ふと、納税義務者は法律を施行する際、現に戰時補償請求權を持つて居る者、又は本法施行前にそれに付て決濟を受けた者、詰り企業整備措置法で、特殊決濟を受けた者、戰爭保險を特殊預金で貰つた者、終戰後現金決濟を受けた者等であります、而して是等の義務者の中に、戰爭保險や個人の強制疎開に付て、納税義務者が個人の場合は、請求權毎者に五萬圓、法人の場合に於きましては、一萬圓を控除されることになつて居ります、然るに別表中南洋群島及び沖繩にある、戰爭保險契約者の保險金に對しましては、免税は各請求權毎に一萬圓と差別的に取扱はれて居ります、南洋群島は兎も角と致しまして、沖繩縣を南洋群島と一緒に特殊扱ひにした點に付て伺ひたいと思ふのであります、思ふに現在沖繩は「マツカーサー」司令部の指令に依つて日本の行政權が及ばない爲に、外地扱ひにされたのでありませうが、是は沖繩縣民に對して少し同情のない取扱ひであると思ひます、現在沖繩に對して行政權を施行しないと云ふことは、「マツカーサー」司令部の、占領地に對する行政的の監督上の一時的措置でありまして、永久に日本から分離すると云ふ確定的措置を意味するものではないと思ひます、其の證據には「マツカーサー」司令部の覺書に依りますると、明かに此の措置は「ポツダム」宣言に依るものではないと云ふ意味の但書が附いて居るのであります、而も沖繩縣民は戰爭中強制的に疎開させられた者が約七萬人も居ります、又同地に於きまして十數萬人の人命と、數千萬圓の財産を失つて居ります、而して縣民の忠誠心は沖繩各地に於きまして、第一線は沖繩縣民が當つて、能く不完全な武器と無防備を以てして數十萬の強敵と戰つたのであります、其の證據には數萬の正規の軍隊が無條件降伏をして居る際に、沖繩の青年男女及び中等學校の生徒が、「海行かば」を合唱して枕を竝べて死んだ事實があるのであります、斯くの如く日本防備に甚大なる犧牲を拂はしめたる忠勇なる國民に對して、單なる一時的行政措置の爲に、無慈悲にも請求權を削除して多分の納税を強ひるが如きは、政府の御處理に對して誠に遺憾に堪へない次第であります、私は近い將来に是きまして、現在の「マツカーサー」司令部の行政措置が、必ずや解除されるものだと確信するものであります、又同時に斯くあらなければならぬと念願する一人であります、斯くの如き事情の下に於て設定せられたる法律案の中に、差別待遇を置くと云ふことは、政府自ら自分の領土を放棄すると云ふやうな感じを與へることは、是亦非常に遺憾に堪へないことであります、沖繩縣人の戰爭保險は大凡一億圓であります、而して一萬圓の請求權として計算致しますならば、總額約三千萬圓程度であり、五萬圓として計算致しますならば五千萬圓程度のものになります、即ち一萬圓以下の請求權者が多數あつて、五萬圓に引上げましても其の金額は二千五百萬圓程度の増加にしかならないのであります、沖繩縣人は疎開者、非疎開者共に殆ど全財産を犧牲にされた被害者であります、戰爭保險金を以て些少ながらも生活を維持して行かうとするものであります、斯かる今次の戰爭の最大犧牲者に對して特別扱ひを以て苛酷なる徴税をしようとすのは如何なる理由でありませうかかる尚現在は沖繩縣人の疎開者達は目下歸還する者が多數あるのであります、是等の人々は「マツカーサー」司令部の同情ある措置に依つて特殊の預金から一人當り現金一千萬圓を引出し、尚殘額は通帳を持歸ることを許されて居るのであります、斯かる同情ある措置と、此の法案とには、沖繩縣人の請求權を特別扱ひにすることとは誠に逆の感じを致すのであります、以上の理由で沖繩縣に對する戰爭保險契約の被保險者に對しまして個人一萬圓と限定されたのは無理と思うのでありますが、大藏大臣は之を日本一般竝に五萬圓に訂正される御意思はないのでありますか、以上の點を伺ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=113
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114・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 此の點はどう云ふ風に取扱ふかと云ふことは、日本政府としても研究致しましたのでありますが、結局將來のことは兎に角として、差詰め沖繩は本法施行地外と云ふことにして、聯合國司令部の意思でさう決められた訳であります、まあ其の間にも色々折衝があつたのでありますが、結局茲に法律にありますやうに、沖繩等の人達に對しては一萬圓限度しか之を認めることが出來ない、斯う云ふ事情になつた訳であります、尚沖繩の住宅の復興等に付きましては「アメリカ」がやつて居る訳でありますが、それに對して日本から、今度の追加豫算に現れて居りますやうに、其の資材等を一億圓送る、向ふへ日本の財政負擔に依つて送ることに相成つて居ります、まあ左樣なことで現状に於ては彼處は特別扱ひを受けざるを得ない政治情勢にある、其の政治的關係から斯樣なことになつて居る次第であります、御質問の御趣意は甚だ御尤もと思ひますが、現状に於ては日本政府として之を修正することが出來ない事情にあることを御了承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=114
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115・伊江朝助
○委員外議員(男爵伊江朝助君) 實は斯う云ふ小さな地方問題に對しまして貴重な時間を費やすことは甚だ相濟まぬと思ひますが、實は沖繩縣の被害者の連中が大藏省に參りまして、どうか内地同樣に一つ五萬圓に引上げて戴きたいと云ふ希望を申述べたのであります、さうしたら大藏省の事務當局がお前方へ朝鮮、臺灣を見て見い、少しも貰はぬぢやないか、一萬圓でも結構ぢやないかと言はれて非常に憤慨を致しまして、之を「マツカーサー」司令部に直接に陳情すると云ふことを申して居りましたから、私はさう云ふ國家の問題を「マツカーサー」司令部に言つて呉れては困る、そこで私大藏大臣に御伺するからと言つて私の此の質問をした次第であります、尚附加へて申上げますが、私さつき申上げました通り「アメリカ」は決して向ふの領土をすつかり取つてしまふと云ふ考はないものだと私は確信を致すと云ふことをさつき申上げましたが、實は日本銀行券を通用して宜しい、小學校の國定教科書を皆日本同樣にして宜しいと云ふ指令を聽いたのであります、私は前途に對して非常に楽觀して居るのであります、大藏大臣の已むを得ずと云ふやうな御話がありましたが、是は政局の事情已むを得ないかも知れませぬが、兎に角沖繩縣人の斯くの如き大被害を被つて非常に困つて居ると云ふことだけを一つ大藏大臣に御記憶を願ひまして一層の御同情を願ひたいと思ひます、以上申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=115
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116・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 是で只今議題にして居りました四つの法律案の質疑は一應打切つたことに致しまして、後思ひ付いた御質問がありましたら……是で一應お終ひに致します、財産税法案、之に伴ふ財産税等收入金特別會計法案、此の二つを一括して議題として御質問願ひたいと思ひます、通告順に依りまして橋本辰二郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=116
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117・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 私は質疑に入る前に政府側に御願ひ致して置きます、此の三號委員室は音聲の反響が頗る惡く致しまして、御答辯が室内全部に徹底せぬやうな憾みがありますので、恐入りますが成るべく聲を大きくして御答辯あらむことを御願ひ致します、それから補償打切りの如き國民との公約を無視して國民より背信の譏りを受けることを甘んぜられまして、又私有財産法を否認し、憲法違反の嫌ひある如き此の財産税を忍んで御提出になりましたる所以のものは、餘儀なき事情のあるかのやうに私は仄に承りました、併し其のことは事實であるかどうかは私は存じませぬ、假にそれが事實であると致しましても、それは自明のことであります、此の議場に於きましては表面に現はれたことに付て論議すべきかと存じます、私は所謂野人禮に嫻はずに無遠慮な質問を致すかも知れませぬ、併しながら私の質問に御答辯が時局柄不適當と御認になりますならば答辯を留保せられても宣しうございます、又事務に關する御答辯は政府委員をして御答辯になりまして結構でございます、それでは是より質問に入ります、一昨日の本議場に於きまして、大藏大臣は此の法律に依つて豫期する所の收入、即ち四百三十五億圓が不足した場合に於ては免税點を引下げて五萬圓にするも差支ないと云ふ意思の御説明がありました、さう致しますと、此の四百三十五億圓と云ふ大藏省の計數は杜撰なものであつて、自信が置けないと云ふことになりはしないかと思ひます、自ら提案したものに對して自ら疑を抱くと云ふことは如何なものであるかと私は思ひます、尚五萬圓に引下げても差支ないと仰せになる以上は、五萬圓に引下げた場合に於ては十萬圓より五萬圓迄の間に於て幾何の收入が得られるかと云ふ御見込が付いて居ると思ひますで、先づ其の點を御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=117
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118・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 若し四百三十五億圓の收入を今囘御審議を願つて居ります財産税に依りまして非常に之を割ることがあるならば、十萬圓以下五萬圓迄のものに課税することがあるかも知れないと云ふのは、是は原則の問題でありまして、之には實は私は税制のことは能く知りませぬが、「アメリカ」あたりでは左樣な方法を採りまして、例へば此の前日本に財産税の研究に態態來た「チヤーン」と云ふ人の案の如きは「エー・ビー・シー」と云ふ三階級に分けまして、先づ「エー」の階級を取る、それから次に「ビー」の階級を取る、それで所期の豫算に達しない場合に初めて「シー」の階級を取る、斯う云ふやうなやり方が外國にある、それは色々な意味があるでありませうが、一つは左樣に致しますと其の「エー・ビー」階級、即ち今度の此の税法に依りますれば、十萬圓以上の資産に對する課税、其の課税を監視することになる、詰りそこに非常に足りないと云ふことであれば、今度自分の方へ掛つて來るかも知れないと云ふ民衆の監視が強くなると云ふやうな意味もある訳だと云ふことも聞いて居りますが、兎に角左樣な訳で、所謂「シー・クラス」と云ふものの課税は、事實はしないけれども、取ることがあるべしと云ふやうな制度が類例のないことではないと聞いて居るのでありますが、併し是はそれとは又別でありまして、無論此府は四百三十五億圓の收入に確信を持つて調査をして居る訳でありますが、併し只今申上げました理由もあり、それで又其の爲には、所謂第三者の通告制度と云ふやうなものも今囘の税法には加へたやうな訳で、多少そこと新しい、今迄の日本の税法としては新しい分子を其處へ含めてある訳であります、但し十萬圓以下五萬圓迄と云ふのは、税法の中には入れずに、唯左樣なこともあるかも知れないと云ふ大藏大臣の聲明だけに止めて置いた次第であります、實際は、繰返して申上げますやうに、四百三十五億圓の歳入には、無論十萬圓以上の資産の納税で足りるかと考へて居ります、それから萬一十萬圓以下の課税をすると云ふやうなことになりますれば、是は此の税法と又別に御審議を願つて、新しい税法に依るべきものと、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=118
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119・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 五萬圓に引下げる場合に於て、別の法案を御提出になることは、是は當然でありますが、兎に角此の不足の生じた場合に於ては、斯くの如き手段を執ると云ふことを仰せになれば、其は不足する場合に對して、超過する場合も考へなければならぬと思ひます、若し豫定の四百三十五億圓を超過した場合に於ては如何なる手段を御執りになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=119
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120・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 是は相當研究して居りますから、左樣に無暗に超過することもないと考へて居ります、併し若し超過した場合には、それは別段差支はない訳でありまして、不足の場合だけの話であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=120
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121・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 多々益益辨ずる如き超過差支ないと云ふことは其の意を得ぬですね、それも普通の課税であれば是は恕すべし、併しながら斯くの如きですね、殆ど國民の財産を沒收する如き高率の税制に於て、超過しても一向差支ないと云ふことは、甚だどうも其の意を得ぬと思ひますが、それで宜しいんですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=121
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122・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) それは超過にも依りますね、大藏大臣の聲明も、著しく不足した場合と云ふのでありまして、此の計算に著しく超過すると云ふやうなことがありましたら、是はもう甚だ計算杜撰な訳でありまして、相濟まない訳でありますが、併し其の場合にも、萬一左樣な誤りがあつたとすれば、是は誤りがあつたら申訳ありませぬが、超過したらどうもと云ふことには相成らないのではないかと思ふのであります、あの聲明は飽く迄も不足した場合だけのことでありまして、超過した場合のことに付ては考へて居ないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=122
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123・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 本税は物税が非常に多いと思ひます、私等の推算に依りますれば、現金は四分の一位のものであつて、あとは主として物納であらうと思ひますが、此の物納に付きましては、其の物納の種類は、納税者の任意に御任せになりますか、又は政府に於きまして其の種類を御指定になるのでありませうか、如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=123
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124・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 政府に於て順序の指定する積でありますが、其の點は尚詳しく主税局長から申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=124
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125・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 財産税の物納致します場合の種類、竝に順序は勅令で規定する考でございます、それで金錢で納付することが困難であつた場合には、其の困難な部分に付きまして、先づ國債、社債の物納を認め、又それも困難であります場合には、株式、不動産の物納を認め、それもまだ足りないと云ふ時には動産の物納をも認める考でございます、而して個々の株式或は不動産に付きましては、納税者と税務當局と協議を致しまして決めたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=125
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126・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 御答辯に依りますと、現金、有價證券等は有りぎり取上げる、其の不足した分を不動産に課けると云ふ、斯う云ふことに解して宜いんでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=126
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127・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 現金は御持ちになつて居るものを全部と云ふ考を持つて居りませぬ、納税者の方に於きまして、只今の如く第一封鎖預金は餘程少くなつて居りますので、餘り第一封鎖預金からの納税は期待出來ないと思ひます、併し其の方が新圓等を澤山御持ちの場合には、新圓を出して貰ふこともあると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=127
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128・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 新圓を退藏して居る人が税金に出すと云ふことは、是は想像が出來ない訳ですが、例へば第二封鎖預金に關する課税は第二封鎖預金より取り、株式に對する課税は株式の内より取ると、斯う云ふ按分的に行ふのでありまするが、總體を見透して、さうして全額に滿てるだけどの財産からでも御取りになると云ふ意味でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=128
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129・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 舊勘定に屬する第二封鎖預金に對しましては、其の第二封鎖預金に課税となる財産税を納め得る規定を置いて居ります、其の他の財産に付きましては按分と云ふ考は持つて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=129
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130・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 其の點は分りました、次に新券の獲得者でありますが、御承知の通り戰爭中よりして、我が國の富の移動、再分配と云ふものは相當廣範圍に亙つて眞劍に行はれて居つたのであります、そこで從來の中産階級と云ふものは、企業整備で職業を奪はれる等、其の他の關係で漸次凋落を致しました、此の反對に當時徒手空拳であつた連中は著しく頭を持上げまして、所謂振興所得階級と云ふものを作つたことは御承知でありませう、處が此の現象はですね、單に戰時中に止まらず、終戰後に於て特に其の勢を盛に致したのであります、それで本年三月、通貨の封鎖後に於きましても、其の勢と云ふものは一層猛烈を極めまして、今日新圓の獲得者と云ふものは無數に出て居ります、三月の末に於て日本銀行券が百六十億に減つたが、今日では六百億に増したと云ひまするが、其の通貨増發の三分の二以上は新券の所有者の手中に在ると云ふことであります、元來此の新券に依つて富を成した人々は實は餘り好ましくない手段に依りまして、利潤の追求に沒頭致しました人々が多いかのやうに思ひます、それで思ふに任せまして金錢を湯水の如く浪費して居る形跡があります、道義の頽廢を來す原因も一は茲に在る、又「インフレ」を激成する原因も亦茲に在ると思ひます、是等の新券連中を其の爲すが儘に傍觀、放任すると云ふことは、社會道徳の上から見ても、是は看過すべき問題ではないと思ひます、殊に其の爲す所は、所謂多くは闇行爲であります、又正しき行ひの下に相當な利潤を得て居る人も無論其の中にありませうが、多數はいかがはしき手段に依つて得たものと見るも差支ないと思ひます、是等の人は課税は確かに逋脱致して居る、税金と云ふものを果してどの位負擔して居るかと云ふことを私等は知りませぬが、少くとも其の大部分は課税を免れて居ると看做さなければなりませぬ、是等に對しまして、政府は何等かの手段を執らなければならぬと思ひまするが、如何なる御準備がありまするか、其の點を承りたい、且又斯う云ふことも考へなければならぬ、此の闇で儲けた連中と云ふものは、日本の識者の多數の意嚮は勿論、進駐軍の意嚮にも反しまして、却て戰爭を歡迎するかの心持ち宣揚すると云ふやうなことになりはしないかと思ひます、是は實に由々しき問題と思ひまするが、是等に對しまして大藏省として如何なる處置を御執りになるかと云ふことを承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=130
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131・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 御質問の御趣意は結局此の新圓なるものをどうするかと云ふことになると思ひますが、先程豫算總會でも其の問題に付て御答した訳であります、結局今最後の御言葉の中に、さう云ふ新圓を今澤山に獲得したやうな連中は戰爭を希望すると云ふやうな御話がありましたが、左樣なことは恐らくあるまいと私は思ふのであります、唯何處迄も斯う云ふ今日のやうな變態的經濟が續いて、新圓、舊圓の區別があることは希望して居るだらうと思ひます、詰り新圓、舊圓の區別あり、それから又色々の統制等があると云ふことが、彼等が跳梁し得る結局原因であります、でありますから、此經濟状態を本當に直さない限りは、今日假に新圓を持つて居る者が不都合なものであると致しまして、之を追つ掛けて何か致したところが、又三月二日でしたか、二月のあの時以後のことを繰返すに過ぎないと思ひます、でありますから、果して彼等と其の新圓を獲得した者だけを果して責め得るやどうやかも問題でありますけれども、假にそれ等が總て好ましからぬ連中だと致しましても、之を一掃するのには、直接に新圓を追つ掛けて之を封鎖するとか何とか云ふ方法に依つては目的を達し得ないものと私は考へて居りますのみならず、今日更に新圓の封鎖を致すと云ふやうなことをやりますと、現在兎に角通貨の信用と云ふものはある、それで通貨の信用があるから、之を退藏もして居て呉れるのであります、唯銀行に預金すれば自分の財産が分る、或は又再び預金を封鎖されるかも知らぬと云ふ心配から預金をしないと云ふことなのであります、退藏して居ると云ふことは宜いことぢやありませぬけれども、併し退藏して呉れないよりは宜い、預金もしない、通貨の退藏もしないと云ふことになつたら、是は收拾すべからざることになります、でありますから、此の弊害を除去するのには、最初に申しましたやうに、根本的に現在の經濟の形を常態に戻すと云ふことが何よりも必要なことでありまして、茲で多少の弊害があると雖も、其の弊害の爲に特別の措置を講ずると云ふことは、私は非常な危險を伴ふ、斯樣に考へて居りまして、政府と致しましてはそれはやらない積りで居ります、昨日も衆議院でそれ等のことを考慮された結果と思ひますが、各派共同で通貨安定決議案と云ふものが出ました、一面に於て經濟界の安定を圖り、出來るだけ早い機會に新圓舊圓の區別が撤廢出來るやうな状熊を作ると同時に、預貯金の大いに奬勵をやる、是は衆議院でも奬勵をやると云ふ昨日も決議がありました、政府と致しましても只今其の奬勵をやり、通貨で以て退藏さして居るものを、預貯金に吸收する方策を極力講じたいと、只今準備を致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=131
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132・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 私は昨日の衆議院の決議のことに反對の意見を持つて居ります、新圓を宜しく封鎖すべしと云ふ意見を持つて居ります、只今大藏大臣は、新圓の退藏の多いのは通貨に對する信用が高いからと云ふことを仰せになりました、是は大變に私は誤りでないかと思ひます、新圓を持つて居る人は、之を銀行に預ければ税務署の手が廻つて、其の金の持つて居ることが分つて課税を受ける、それがこわいので自分の手許に貯へて置く、而して若し必要ある場合に於ては高利貸のやうな非常に高い日歩を以て之を融通して居ると云ふことが今日の實情であります、必ずしも通貨に對する信用の爲に退藏して居るのではない、若しも是が金貨であれば、それは皆喜んで信用を得て何するかも知れませぬけれども、紙であります、日本が崩壊すれば反古になります、之に對して大臣の御考のやうな、通貨に深いどうも執著力、又信用を持つて居ると云ふ御所見は、私は大分誤つて居ると思ひます、併しながら此の通貨の新券の封鎖と云ふやうなことは、之を實行する寸時前迄は、政府當局としては、やらないと云ふことは當然であります、其の點は私はもう分つて居ります、けれども、いつ何時必要に應じて是は封鎖せられるかも知れぬと云ふことは、或一部の人は深く考へて居ります、それはそれと致しまして、其の次に御尋ね致したいのは、財産税を今度施行せられた後に於て、第二次の財産税を起すと云ふ御考はないかと云ふことであります、是は富の均衡化とか、經濟の民主化と云ふことを徹底せしめる上に於ても、第二次財産税を起すと云ふことは適當であらうと云ふことを私は信じます、三月二日以後に於きましても、新券を獲得した連中と云ふものは、それは少くない數に上つて居ります、其の金額も頗る巨額に達して居ります、是は先程申しましたやうに、是は正當なる手段に依つて得たものとは見ることは出來ませぬで、第二の財産税を御課しになりまして、第一次に納めた者に對しては相當なる處置を執る、而して其の第二次に當つて、第一次に財産税を納めざる者に對してのみ、課税をすると云ふ方法もあると思ひまするが、其の第二次財産税を起して、以て政府の御希望せられる所の富の均衡化及び經濟の民主化を圖ると云ふ御考はないのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=132
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133・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 前の方の新圓の問題に付ては、誤解があるといけませぬからもう一度申上げて置きます、今橋本さんの御話の中に、當局者としては斯樣のことは其の直前迄默つて居つて、すぽつとやるのがあたり前でありますから、大藏大臣が屡次封鎖しないと言つて居ることは了承すると云ふのは困るのであります、(「ヒヤヒヤ」と呼ふ者あり)決して封鎖する意思はない、封鎖するが、刹那迄默つて居ると云ふ意味では絶對ありませぬ、私は此の封鎖は何人と雖も今日やるべからざるものと確信して居ります(拍手)それから第二の財産税の問題は、只今の所、左樣の意圖を政府としては抱いて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=133
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134・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 思召のある所は分りましたが、果して之に信を置いて宜いかどうかと云ふことは各人の御考に御任せ致します、次に聯合國より賠償として取上げまする工場、設備其の他に付ては、國家に於て、内地に於ける分ですね、それに對して補償をする御見込と云ふことがありまするが、果してさう云ふことになつて居りませうか、内地に於きまする所の賠償對象物の其の見積價額と云ふものが御分りになつて居るならばそれを承りたい、聞けば單に荷造費、包裝費だけでも三百五十億圓を要し、木材だけでも千七百萬石を要すると云ふことでございまして、其の賠償の對象物の額と云ふものは恐るべき巨額のものと思ひまするが、御調が付いて居りまするならばそれを承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=134
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135・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 只今まだ本當にどれだけが賠償に持つて行かれるかと云ふことも、一應の指定はありますが、はつきりして居りませぬので、其の賠償に持つて行かれるものの額がどれ位あるかと云ふことは分つて居りませぬ、唯何か商工省で一時一つの計算をしまして、大體の想像で計算をしまして、荷造費、それから港迄の運賃が幾ら掛かるかと云ふことを言つて計算をして居つたことがあるやうでありますが、是も一體誰が解體して、誰が荷造して、誰が運ぶのか、此の責任者もまだはつきり致して居りませぬ、果して日本政府がどこ迄やるのかと云ふことも分りませぬ、我々としては、假に商工省等の計算して居つたやうな數百億圓の解體費、荷造費、運賃が要ると云ふことは、今日の日本の財政状態として負擔し得る所ではないのでありまして、從つて若し此の問題が交渉案件になります場合には、一つ工場渡、現場での工場で渡すと云ふ位の、一つ交渉をして貰ひたいと云ふことは常に申して居ります、併し是も唯申して居るだけでありまして、まだ其の交渉等の段階に入つて居りませぬ、斯樣な訳でありますから、從つて賠償施設に對する補償と云ふことも、何かの方法を取らなければならぬ、全額補償と云ふことが可能であるのか、或はさう云ふことが公平なのであるのか、今度の戰時補償特別措置法にも見合せなければならぬ問題でありますので、其の點も考慮は致して居りますが、賠償施設其のものの金額さへもはつきりしない訳でありますから、從つて何等の結論に到達して居ない訳であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=135
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136・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 重ねて承りますが、政府に於きまして、是は誠に氣の毒だから補償は出來るだけして、幾分か救濟でもしてやらうと云ふ思召はあるものと解して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=136
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137・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 勿論如何なる場合でも、今囘の戰時補償特別措置に於ても同樣でありますが、左樣な氣持を持つて居ることは持つて居ります、是は財政負擔の問題、其の他の處置との釣合の問題其の他を考慮しなければならぬ訳でありますが、出來るだけのことは致したいが、偖どれだけのことをすべきかと云ふことは決つて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=137
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138・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 思召の程は分りました、内地に於ける所の賠償の對象物に對して、及ぶ限りの補償はしてやらうと云ふ御深切なる思召が政府にあると云ふことを承りまして私は非常に喜びます、然らば是が海外に於きましての法人、個人の資産も同じく聯合國側より之を殆ど接收せられて居ります、是も接收せられた財産は、先方では賠償の對象と見て居りまするが、内地に於ける所の工場其の他の賠償對象物に對して補償してやらうと云ふ御深切がありとすれば、外地に於きましても同一の境遇にある者に對しては、之を矢張り補償してやらうと云ふ思召のあるものと解して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=138
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139・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 勿論出來るだけのことは致したいと考へて居ります、唯併し此の外地の資産に付きましては、ちよつと申上げて置きますが、まだ賠償として持つて行くのやらどうやら性質は未だはつきり致して居りませぬ、殊に此の産業施設の如きは、大體賠償物資として、或は戰利品として持つて行かれる、或はそこで譲渡されるのではないかと、是は想像するのでありますが、個人の財産、土地ですとか、家屋でありますとか云ふやうな個人の財産に付ては、全然其の性質がどうなりますものか、はつきり致しませぬ、さう云ふ訳で、只今外地のそれ等資産に付ての計算は政府として行つて居りますが、之の處置は先方がはつきりしないものですから、こちらもはつきり出來ない、斯う云ふ訳であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=139
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140・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 次に現在の金利に付きましては、どう云ふ御考を御持ちになつて居るでせうか、近く是は引上げなければならぬと云ふやうな御考でありませうか、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=140
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141・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 是も屡屡何かの機會で申上げたことでありますが、現在の金利の水準は、物價水準すらはつきりしないのでありますが、それ以上に金利の水準と云ふものが、市場がないものですからはつきり致しませぬ、併しながら日本が斯樣な敗戰の結果、資本を失つたと云ふ點から見まして、原則としては、金利はどうも現在よりも高からざるを得ないものと、斯う考へて居ります、但し外資でも入ると云ふことになれば是は別なことに相成りますが、是等も今色々の點で以て考究を致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=141
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142・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 財産税の收入の大部分を物納で占めると云ふことは先程申上げましたが、其の物納は早晩換金、即ち金に換へなければなりませぬが、其の處置に付きましては、どう云ふ方法を御執りになる御積りか、それを承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=142
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143・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 是は財産税の物納で入るものばかりではなく、全國的に、國の、國有財産になつて居りますものに付きましては、何等か新しい處理の方法を講じたいと存じまして、只今研究を致して居ります、それには民間のさう云ふ方面のそれぞれの專門家の援助も受けられるやうな方式を考究致したいと存じて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=143
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144・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 此の物納を金に換へると云ふことは容易なことではないと存じまするが、二十一年度の歳入の不足に補填する爲に用ひられる金額も少なからぬと思ひますが、是もなかなか政府の御期待の通りに、果して政府の必要とする時に、其の金が入るかどうかと云ふことは、大變私はどうも疑を持つて居るのであります、殊に不動産の如きものは是は澤山な幾億と云ふ筆數に上るものでありまして、之を保管するに致しましても大變なことであらうと思ひまして、是は何かの特別の機關を御拵へにならなければ、現在の政府の御役人の手には到底負へないと私は考へます、それから有價證券に致しましても、大藏大臣は其の方の專門家でヰらつしやるので御承知の通りに、市場に於て一萬株を買付けようとすれば容易なことでない、必ず其の株の相場は激落を致します、市場と云ふものは餘程廣いやうにして割合に狹いものでありまして、是もなかなか困難が伴ふと思ひます、又不動産の如きものに付きましては、隨分國寶に準ずべき所の貴重なる建造物も多々あると思ひます、而して之を買ひ得る人間はどう云ふ種類の者かと言へば、詰り是迄の資産階級は悉く不動産から或ものを皆提供するので、無論之を買ふ力と云ふものはないのであります、而して之を買ひ得る者は先程私の申しました好ましからざる新金獲得者である、新金獲得者をして宏莊なる邸宅に昂然として住居し、又は何等の趣味のない何等の鑑賞力のない者に對して、國寶的の書畫骨董類を持たせると云ふことはいかがはしいかと思ひます、是等は丁度沐猴にして冠するやうな形を呈しまして、甚だ面白からぬ結果を生ずるのではなからうかと云ふことを私は恐れますので、此の物納の御處分に付きましては、餘程御考を御願ひ致したいと思ひます、其の點は宜しうございます、次に是は政府に於きましては、國民の最低生活を保障すると云ふ準備があるかどうかと云ふことを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=144
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145・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 是は厚生大臣からでも御答したら如何かと思ひますが、私知つて居る限りに於ては、現在賃銀制度等に依つて最低生活の保障と言ひますか、さう云ふことを考究をして居ると思ひますが、併し現在まだそれを全般的に實行すると云ふ段階には今日の所では入つて居ないと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=145
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146・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 然らば私の意思を大臣より厚生大臣に御傳へ願ひたいと思ふ、此の財産税の如き殆ど私有財産を無視して沒收に等しいやうな法律の課税を斷行せられる以上は其の影響と云ふものは實に甚大なものがあります、是れ實に社會の大革命であります、之が爲に父祖傳來安樂に生活せる人々も本税の徴收に依りまして年々急迫を昂めます、遂には破産に瀕しまして、生活の途を失ひ一家擧つて路頭に迷ふと云ふ者が續出すると云ふことは疑問の餘地はないのであります、現に相續税を三囘收めれば如何なる大家も沒落すると言はれて居ります、斯う云ふ類例から見ますれば、必ずや此の税の徴收後に於きましては餘り長い期間に亙らずして、實に氣の毒なやうな状況を現出すると云ふことは殆ど是は疑ふ餘地がないと思ひます、元來斯う云ふ人々は先祖傳來善良なる國民と致しまして、國家の費用も主として此の階層が負擔を致して居りました、事業の發展に致しましても、國運の興隆にも多大の貢獻を致しまして、國家社會に致せし所の功勞は蓋し顯著なるものがあるのであります、加之平素國民の中堅として温厚にして純美なる品性を備へて居る、聯合國と比肩して毫も遜色のない立派なる人々の集團であつたのであります、然るに是等の高尚なる品性に富む所の人々が、此の財産税納入後に於きまして其の殘存せる僅かの資金を以て致しましては、戰時中又は戰後のどさくさ紛れに於きまして、竦腕を振つて暴富を築きし所の人々と到底角逐すると云ふことは出來ないと思ひます、さすれば必ずや是等の人々は氣の毒なる境遇に陷り、沒落に瀕すると云ふことは自明の理であります、國家社會に多大の貢獻をした人を財産税の爲に路頭に迷はせると云ふことを、政府は之を傍觀して可なりと云ふ道理はないのであります、で政府は此の税制に伴ひまして、必然發生することの疑なき此の憐れむべき所の過去の功勞者に對する救濟の準備に對し、遺憾なきを期せられむことを私は切に祈ります、此のことはどうか厚生大臣に御傳へ願ひとうございます、次に私は大藏省でよく擬制資本と云ふことを言はれますが、擬制資本と云ふものはどう云ふものでありますか、一應の御説明を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=146
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147・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 大藏省では別段擬制資本と云ふことを申しませぬ、私は實は擬制資本と云ふ、言葉を使ふことは嫌ひで使はないのでありますが、世間で申します擬制資本と云ふのは、多分英語の「フィクシアル・キヤピタル」と云ふのでありまして、實質は火事で燃えてしまつたり、戰爭で飛んでしまつて居るが、それに對する金と云ひますか、帳面上の資産だけが殘つて居る、賃借對照表で言へば、物はないけれども、それに對して資本だけが立つて居る、斯う云ふものを謂ふのだらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=147
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148・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 其の或方面で稱へられたる擬制資本と云ふことに對して大藏省も共鳴せられて居つて、大藏省から發表せられる文章の中に斯う云ふ文字を使つたやうな例があるやうに記憶致しますが、そんなことはないのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=148
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149・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) それはございませう、世間で擬制資本と云ふて居るものですから、世間竝の言葉を使つたことは、是はあると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=149
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150・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 さうすると膨脹したる所の資本に對する對象物がない、金だけ殘つて居つて物がないと云ふのを擬制資本と謂ふ、擬制資本と云ふものを、之を一掃するにあらざれば實際の經濟の再建及び經濟の民主化は出來ぬと仰せられるが、若しも其の御意見に御同感でありとすれば、擬制資本の最も甚だしきは公債であります、公債に對しては何の物も殘つて居りませぬが、此の擬制資本を一掃すると云ふことが政府の主たる經濟再建の目的なりとすれば、公債を打切られることが一番私は宜いと思ひますが、之に對してどう云ふ御考を持つていらつしやいますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=150
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151・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 其の擬制資本の論はなかなか面倒になりませうと思ひますが、公債のことに付て御答を申上げます、公債は御承知のやうに、日本に於ては其の大部分が金融機關の所有であります、殊に例へば此處にもありますけれども、先程の資料の中にあると思ひますが、大藏省預金部の如きは預つて居る金の八割が國債であります、さう云ふやうな訳でありますから、此の國債を打切るとか、或は國債の利子を下げる、國債の利子を下げると云ふことは結局國債を打切ることでありまするが、さう云ふことをする場合には、是は預金打切りと云ふことなのです、だから此の郵便貯金を初め、郵便貯金の八割方は國債になつて居る、郵便貯金と見合ひますと、此處にもありますやうに、五百十七億圓、それに對して四百七十六億圓と云ふものが國債になつて居る、其の他の色々の預金を入れまして、此の國債と見合ひまして、八割位になるのであります、全國の金融機關でありますと、郵便貯金迄入れまして、預金の五割は國債になつて居ります、ですから國債を飛ばすと云ふことは預金の五割を飛ばすと云ふことでありまして、是はなかなか容易ならぬことと思ひます、左樣なことを致しましたならば、金融、通貨の安定とか、或は經濟界の安定と云ふことは恐らく得られない、斯樣に考へますので、それが果して擬制資本なりや否やと云ふことは別問題と致しまして、私は實際として斯樣なことは出來ない、又してはならぬ、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=151
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152・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 公債を打切ると云ふことは、非常に困難だと云ふことは、それは私も同感でありまするが、併しながら今日の此の敗殘國と致しましては、總て有るものは悉く是は提供しなければならぬ、是は如何なる人にせよ、如何なる老若男女にせよ、悉く自分の有るだけのものは出して、後の整理に之を提供すると云ふことが今日の場合是は已むを得ぬことではなからうかと思つて、此の際どうも公債を打切ると云ふことは最も私等必要なことと思ひまするが、政府としてはなかなか之に對して色々えむ點があると云ふことは當然であります、然らば公債の利子を改定すると云ふ御考はありませぬか、確か英國の「コンソル」國債は二分と思ひますが、あれはずつと二分据置になつて居るやうでありますが、日本の公債も今の三分五厘にして置きましては、恐らく明年は金利だけで七十億に達し、國民の所得が非常に激減して居る時代に於きまして、公債の利拂はなかなか困難であらうと思ひます、結局是は整理の意昧に於てでも他の金融關係は色々のものもありませうけれども、金利を下げると云ふことが何とか一つ適當ではなからうかと私は考へまするが、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=152
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153・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 是も英國のやうに、まあ英國でも金融機關は或程度國債は持つて居りまするが、併し英國あたりは國債の、今日は知りませぬが、大分以前のことでありますと、大部分は國民が直接に應募しまして、國民が持つて居て呉れるのであります、殊に「コンソル」の如きは資産家が、世襲財産的と申しますか、と云ふ風に持つて居るやうな次第であります、それから又英國では金利が安い、全般の金利水準が安い、是等のことで「コンソル」などと云ふ特別のものがあるのでありまするが、日本に於て今金利を二分に下げると云ふことは、日本の金利水準から言うて困難であります、若しさう云ふことをやれば日本の金融機關の收入が減りますから、從つて預金の金利の下げなければならぬと云ふやうな色々な惱みがありまして、是亦さう簡單には參りませぬ、此の國債の利拂の負擔を如何にするかと云ふことは、是は別途に考慮すべきものでありまして、直接國債其のものの金利を下げる、之を打切ると云ふことに依つて爲すべからざるものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=153
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154・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 御意思のある所は承りました、次に私は本法に付きまして伺ひたい、財産税法第五條に「財産の所在は」と云ふことがありますが、それはどう云ふ意味でありませうか、例を擧げて一つ御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=154
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155・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 財産税の納税義務者には無制限納税義務者と制限納税義務者の二つに岐れて居ります、無制限納税義務者は其の者の有して居ります全部の財産に課税になります、其の財産が内地に在りませうとも、或は建前は外地に在りませうとも、全部の財産に課税になります、併し制限納税義務者は、是は本邦の國籍を有しないで、本法施行地、即ち内地に財産を持つて居る場合に納税義務がありますし、又本邦の、日本に國籍を持つて居ない人が内地に居ります場合に付きましても、内地の財産に付てのみ納税義務があるのでございます、從ひまして財産の所在を決めて置きませぬと、課税上支障がありますので、財産の所在を決めて居る次第であります、是は只今の相續税法に付きましても同樣に規定致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=155
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156・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 第十六條の末項に「調査時期において」云々とありますが、此の御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=156
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157・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 第十六條の末項に付て御説明申上げます、財産税は調査時期、即ち本年三月三日午前零時の財産に付て課税になるのでございます、從ひまして今度戰時補償特別措置法に依りまして別に特別補償税が課りました時には、其の特別補償税は財産價格から控除することに致して居ります、併し特別補償税は御承知の如く一定の控除がございますから、其の控除金額に付きましては、財産税から控除しない、斯う云ふ規定でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=157
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158・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 次に二十九條の戰災、引揚者一人に付き五千圓を控除すると云ふことがありますが、戰災者又は引揚者は一人に付五千圓の課税價格より控除する、此の戰災者の範圍はどう云ふものを戰災者と云ふことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=158
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159・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 戰災に依りまして住宅又は家財を滅失せられた方で而も罹災者證明書の交付を受けて居らるる方と考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=159
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160・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 燒失した人は罹災者たるの證明書を持つて居りまするが、廣島市や長崎市の如き原子爆彈に依つて家が半壊以上の被害を受け、而して其の復舊費と云ふものは數十萬圓を要するやうなものが多々あるのであります、是等のものは矢張り此の戰災の災害に依つて蒙つた損害でありますが、是は戰災者と看做さないのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=160
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161・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 先程申上げましたやうに、住宅、家財に付きまして戰災を受けられた方でございますから、當然此の控除の恩典に與かり得ると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=161
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162・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 其のことは各税務署にでも御通牒を御出しになつたことがありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=162
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163・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 十九條の一末項に「第一項の戰災者及び引揚者の範圍は、命令でこれを定める」と規定致し、勅令で書くことに致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=163
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164・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 第二十四條の相續税に付ては財産を「各各これを區分」すると云ふことがありまするが、普通の場合に於きましては財産の區分はしないのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=164
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165・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御話の通りに從來相續人は、被相續人の所得等に付きまして合算して納税義務を負擔するのが通例でございまするが、今囘の財産税に於きましては、被相續人が調査時期後死亡致しました場合には、被相續人の財産と相續人の財産とは別個に課税することに致しまして、併し納税の義務は相續人が負擔することに致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=165
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166・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 相續税は財産價額より控除すると云ふことに聞いて居りまするが、是等は當然かも知れませぬが相續税を控除すると云ふことになれば、ちよつと世間から見ますれば、相續税の負擔だけは免除するやうな感じを惹起しますが、如何なものでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=166
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167・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 調査時期に於て相續税を負擔して、而も延納になつて居る、斯う言ふ場合に於きましては相續税は控除致します、併し調査時期後の相續に付きましては、是は調査時期の財産からは控除は致しませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=167
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168・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 次に財産の評價に付きまして申上げまするが、二十五條、二十六條に「一定の倍數を乘じて算出した」と云ふことがありまするが、是は一定の倍數と云ふものは何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=168
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169・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 是は一つ詳しく説明して下さい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=169
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170・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 二十五條、竝に二十六條は土地又は家屋の評價に關する規定でございます、御承知の如く、土地又は家屋に付きましては、一筆毎に賃貸價格が定られて居ります、土地に付きましては昭和十一年、家屋に付きましては昭和十七年の現在に依りまして賃貸價格が付けられて居ります、此の賃貸價格に一定の倍數を乘じまして、其の土地なり家屋の時價を評定しようと云ふのが此の規定でございます、而して一定の倍數はどう云ふ風に出すかと申しますると、土地又は家屋に付きましては、其の地區で標準になる土地又は家屋の一般取引價額を調査致しまして、さうして一般取引價額が、其の土地又は家屋に對する賃貸價格の何倍に當つて居るかと云ふのを算出致します、即ち標準になるべき土地、家屋に付きまして賃貸價格の何倍になつて居るか、其の倍數を求めまして、さうして其の倍數を其の區域の土地又は家屋に乘じまして、全部の土地、家屋の時價を評定する、斯う云ふ考へ方でございます、從ひまして標準となるべき範圍をどう云ふ風に見るかと云ふことに付きましては、二十六條に命令で定める地區となつて居ります、從つて此の地區は只今の所、市或は郡を單に決めて行きたいと思つて居ります、六大都市に付きましては區を單位として參ります、從ひまして、例へば區を單位と致しました場合に付きましては、大體最高の倍數、最低の倍數、中庸の倍數、此の三段階位に倍數を決めまして、さうして各其の倍數は區役所或は市町村役場に倍數を公示致します、さうして又其の區域内の各土地には、此の土地は此の最高倍數を使ふ土地、又は最低倍數を使ふ土地と明示することに致して居るのであります、從ひまして土地に付きましては田畑、雜種地、鑛泉地、各地目に付きまして倍數を決めなければなりませぬ、又家屋に付きましても、家屋は是は一本で最高、最低、中庸で宜いと思ひまするが、非常に澤山の倍數になり、非常に混み合つて參ります、此の倍數は財務局に不動産評價委員會と云ふものを置きまして、さうして一般の方々に出て戴きまして、御相談の上決めたいと考へて居るのであります、で二十五條に於きまして括弧で書いて居りまするが、田畑に付きましては自作農創設特別措置法に基きまして、田に付きましては賃貸價格の四十倍、畑に付きましては四十八倍と云ふ規定がございます、財産税に於きましても此の倍數に則つて決めたい、唯報奬金が與へられました場合に付きましては、與へられた報奬金は其の土地の價額に加算する、斯う云ふ考へ方で居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=170
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171・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 土地に付きましては分りましたが、建物に付きましてはどう云ふ評價を爲さるのでありませうか、御承知の通り建築費は日華事變前に比べまして、今日は三十倍乃至四十倍に暴騰致して居る、今日の建築費を以て標準として建物の評價をすると云ふことになれば非常な無理が立たうと思ひますが、それはどう云ふ風な方法で無理のないやうな緩和策を御採りになるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=171
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172・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御話の如く建物の評價に付きましては非常な困難さがあるのでございます、戰災地と然らざる都市に於きまする建物の時價は相當差異があるのでございます、で此の評價に付きましては、各財務局の不動産評價委員會に諮問致しまして決めるのでございますが、それより前に大藏省に一つ專門の方なんかを御集り願ひまして、どう云ふ所謂評價の基準で行くか、財産全體に付きましての評價の基準、殊に家屋に付きましてどう云ふ風な考へ方で行くかと云ふことは篤と考慮致したいと考へて居ります、東京都内では一坪四五千圓、斯う云ふ呼値もございます、又終戰前半年に於ける或區の賣買例は、一坪八百二十圓平均に相成つて居ります、何れの價格に依るかと云ふことは相當考慮しなければならぬ重要な問題だと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=172
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173・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 一般の財産に付ての評價の時期は三月二日か三日になつて居るやうでありまするが、調査時期と云ふことを書入れてありますが、單り株式のみには調査時期と云ふ文字がありませぬが、是はどう云ふ訳でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=173
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174・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 財産の評價に付きましては三月三日現在に依るのが原則でございます、唯其の後定められました所謂限界價格と云ふものに付きましては、其の後に定められた價格を三月三日に遡りたい、斯う云ふ例外を置いて居ります、而して又株式に付きましては三月三日現在に依ると云ふことは、實行上非常に不公平な場合がありますので、企業再建整備法、其の他色々今囘出ました一聯の施策に依りましてから後の株價に依つて、三月三日の株を評價して行きたいと考へて居ります、而して三月三日には幾ら幾らの直段であつた、併し其の後非常に株が下つて居る、而も其の方は三月四日なり五日なりの直段で賣つて居る、斯う云ふ風な場合に付きましては、矢張り別に規定を置きまして、實際苛酷に亙らないやうな措置を講じたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=174
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175・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 補償打切に依つて被つたる法人の株が非常に變動して居ると云ふことは是は誰も想像が出來まするが、それで今日の時價に於て適當なる評價をする、是も分りますが、反對に今日新券所有者が無暗に換物の爲に株を買溜めると云ふ傾向がありまして、株式は著しく騰貴して居るかのやうに聞きますが、是は矢張り騰貴して居る所の現在の準公定價格、それを以て評價の基準とするのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=175
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176・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 最近或種の株に付きましては三月三日の時價よりも相當上つて居るやうに見受けられます、斯かる場合に只今の時價で行きますと、引續いて株を所有して居られる方には何等差支はごさいませぬが、三月三日直後非常に廉い價額で御賣りになつた方に付きましては、先程申上げましたやうに苛酷に當る所謂納税の能力がないと云ふ風な場合もありますので、特別の規定を置きまして善處したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=176
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177・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 三十六條の一つ御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=177
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178・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 今囘の財産税は有らゆる財産に課税することに致して居ります、併し通常の生活に必要な家具、什器は課税しない、非課税に入れて居ります、然らば通常の生活に必要な家具、什器とは如何なる範圍のものか、斯う云ふことが問題になります、而して今囘の財産税は納税者から自分の財産を申告して戴きまして、さうして又其の申告に基いて税率を彈いて納めて戴く、税務署は當初納税又は申告に關與しない建前を執つて居ります、斯かる建前を執りました場合に、通常の生活に必要な家具、什器と申しますものはなかなか實際問題として申告がしにくからう、又申告が非常にまちまちになる、申告納税制度が毀れて參りますので此の規定を置きまして、所謂中庸と見られるものに付きまして、大體財産に對して通常の生活に必要なる家具、什器をどれだけ、通常の生活に必要な家具、什器を超える家具、什器はどれだけ、斯う云ふことを調べまして、所謂十萬圓から五十萬圓の方に付きましては、家具、什器を除いた一般財産の價額に對しまして一定の率を乘じて算出した金額が生活に通常必要なる家具、什器を超えるものと致しまして、一應其の金額を申告して戴く、斯う云ふ建前を執つたのでございます、從ひまして其の二項にございますやうに、所定の率を乘じて算出した生活に通常必要なる家具、什器を超えるものが實際の價額より非常に少かつた、即ち其の方の家具、什器が算出致しました金額に對しまして、一萬圓以上を超えると云ふ場合には、さう云ふ算出方法には依らない、斯う云ふ規定の第二項に入れてあるのでございます、具體的に申しますると家具、什器以外の財産が三十萬圓あつた、此の方は通常の生活に必要な家具、什器を超えるものは何程かと申しますと、一萬五千圓が所謂餘分の家具、什器だ、斯う云ふ考へ方であります、さうして其の方が二萬六千圓持つて居る、必要以上の家具、什器を二萬六千圓持つて居ると云ふ時には、一萬五千圓には依りませぬ、二萬四千圓だと云ふ場合には一萬五千圓で申告なさつて結構だ、斯う云ふ規定でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=178
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179・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 次に申告に付て伺ひたい、此の申告は承りますと一月の中旬頃のやうに新聞に出て居りましたが、さう致しますと、此の調査時期の三月三日とは約十箇月ばかりの差がある、今日御承知の通り財界の變動と云ふものは朝を以て夕を測ることは出來ないやうな場合があります、況や十箇月も經過して居ります間には財産の移動は相當に行はれたものと見なければなりませぬ、時日の相當經過した後に於ては實際實情と違つたことがあると私は思ひます、是でも一向差支はないと御考へですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=179
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180・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 調査時期と實際の徴税の時と相當時間が經過致して居りますことは非常に遺憾でございますが、是も議會の遲れました爲致し方のない點でございます、唯私は實際問題と致しまして、さう移動が頻繁に行はれて居るとは考へて居りませぬ、又移動がありましたに致しましても、所謂對價は其の方が持つて居られるので、財産が非常に滅失したと云ふやうなことは極く少いのではないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=180
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181・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 次に納付でありますが、申告期限後一箇月と云ふことになつて居りますが、一箇月では非常に私は困難だと思ひますが、政府に於てはさう云ふ憂へはないと云ふ御見込でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=181
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182・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 只今申上げましたやうに申告納税でありまして、納税者の方が自分の財産は幾ら幾らと斯う計算なすつて、さうして申告期限は只今の所では一月十五日の見込で居りますが、一箇月後の二月十五日に納めて戴く前から御準備を願へば大體出來るのではないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=182
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183・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 萬一納税日に非常に困難な場合に於きましては、猶豫する何か規定が設けてありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=183
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184・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 物納の規定竝に延納の規定も置いて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=184
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185・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 第四十五條の預金、貯金其の他債權等に付きまして、是等の期限前の拂戻が納税の爲には出來ると云ふことでありますが、其の利息と云ふものも矢張り同樣に取扱つて宜いものでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=185
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186・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 納税の爲に期限前の拂戻の請求も出來ますし、又契約解除も出來るやうになつて居ります、さうしてさう云ふ場合に利子をどうするかと云ふ問題は、四十五條の末項に「必要な事項は、命令でこれを定める」と書いてございまして、此の命令には通常の利子も附ける、又其の爲契約解除とか或は期限前の拂戻と云ふ風な場合に、保證金とか手數料は取らない、斯う云ふ風な規定を設ける積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=186
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187・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 第六章の「課税價格の更正及び決定」に付て御尋したいと思ひます、是は申告者の申告を不當と認めたる場合に於ては、政府に於て調査したる價格に更正すると云ふことでありますが、他人の財産を見積ると云ふことはなかなか容易なことでない、であらうと思ひます、比較的教養の淺い收税吏が果してさう云ふものを的確に更正するの資格があるかどうかと云ふことを大いに疑はなきやならぬ、併し是は査定委員會に掛けると云ふことでありますが、是迄の所得税調査委員會なんぞの例を見ますると、調査委員會と云ふものは調査委員自ら實地に調査したのではなくして、單に書類の上のみで之を調査するのでありますから、矢張り原案に贊成をすると云ふことが主たるものでありまして、委員自らに於て之を更正したと云ふ例は誠に稀でありますが、是でも是は宜いと云ふ御考でありますか、私の聞く所に依れば、第一次歐洲戰爭中の英國の所得税の率と云ふものは相當高いもので、處が是は申告税であつて、詰り申告者の申告を非常に尊重し、而して斯くの如き高率なる所得税と云ふものは、要するに一種の國防費獻納に等しいものである、處で國防費の獻納の如きものは、各人の意思に任せて、政府に於て之を強要すべきものぢやないと云ふことで、大抵其の申告通りにて收税をしたと云ふことを聽いて居りまするが、此の財産税の如きものも申告税とする以上は、申告者の意思を非常に尊重すると云ふことが最も必要と思ひますが、是はどうも一々更正を許すと云ふ途を拓いたと云ふことは、此の申告税の趣旨に反するではないかと思ひまするが、其の點如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=187
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188・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 納税者の意思を出來るだけ尊重致しまするが、其の申告が實際の課税價格より違つて居つた場合、又申告が全然なかつた場合に付きましては、更正の手續を執るより仕方がないと考へて居ります、而して今囘の財産税調査會は、所得調査委員會とは趣を異に致しまして、納税者からの選擧でなしに、大藏大臣の任命せられた相當廣い範圍の調査委員から調査委員會を形成したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=188
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189・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 是迄の所得税調査委員は選擧に依つたのですが、今度の何は大藏大臣からの御指名に依つて相當強いものだと云ふが、大藏大臣の御指名に依つたのは、所謂あなた、御用委員ではありませぬか、それは政府の肩を持つより外には方法ないのです、斯う云ふことではどうも税の其の本當の精神に私は副ふものではないと思ひます、でも是は一種の所見を異にして居るので、それは宜うございますが、それから評價の異議のあつた場合には、其の物品は政府に譲渡すると云ふ命令を出すと云ふことでありますが、其の譲渡をしたる所の代金と云ふものは、現金で御拂になるのでありまするか、如何でありまするか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=189
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190・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 申告のありました財産に付きまして、其の評價が問題になり、政府が更正決定を致しました場合、納税者が其の政府の更正決定は不當なりと云ふ異議の申立がありました場合には、政府は其の更正決定に依らずに、納税者の異議の申立の場合に評價した、其の評價價格に依りまして買上げる制度を設けて居るのでございます、而して其の對價に付きましては、五十三條の三項に「前項の譲渡に對する對價の支拂は、國債證券の交付により、これをなすことができる」、國債證券の交付で對價を支拂ふことに致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=190
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191・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 只今の政府の買上品の代金は國債を以て支拂ふと云ふことでありまするが、納税を延納を許可せられたる人が此の國債を以て納税に代用することは可能でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=191
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192・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 物納は原則と致しまして、三月三日の財産を物納すると、斯ふ云ふ建前を執つて居ります、從ひまして三月三日以後新たに取得致しました公債は、物納に充て得られないと云ふことを考へて居ります、唯又此の場合は此の三月三日のものが之に代つたのでございまするから、此の國債に付きましては物納を認めても差支ないのではないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=192
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193・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 第五十五條の御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=193
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194・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 五十五條は調査時期に於ける財産の中に金融機關經理應急措置令に依りまして、金融機關の舊勘定に屬することになつた預金、貯金等があります場合に付きましては、其の舊勘定に屬しました預金、貯金等に付きまして財産税が課かる場合には、其の舊勘定を、平たい言葉で申しますと、他の財産の上積みに致しまして、財産税額を計算し、又舊勘定に屬します財産を除きました其の他の財産税に付て財産税額を計算し、前の上積に致しました總體の財産に對する財産税額から其の他の財産に對する財産税額を控除致しました金額を此の舊勘定預金から納めることが出來る、斯う云ふ規定に相成つて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=194
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195・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 次に六十四條に密告の制度が設けてありまして、税額の百分の二十五を報償金として交付すると云ふことになつて居りまするが、是は或は必要かと思ひまするけれども、斯う云ふことを御許しになると云ふことは今日の社會状勢上、政府自らいかがはしい行動を奬勵すると云ふやうな嫌ひが十分あるのでありますが、此のことに付きまして、政府は餘程御考になつたのでありませうか、嘗て昭利七年か八年頃でありました、ごろつきと言ひまするか、脅迫者と云ふやうなものを檢擧すると云ふことが行はれまして、各警察で密告、投書を非常に歡迎したことがあります、處が其の投書をする者は、嘗て自分が不義理なことをしてそれを責められたのを逆恨みをし、若しくは無心を言つて斷られた者を意地に持つと云ふことで、善良なる人を陷れむが爲に投書をした者が多いのであります、併し今度の何は記名をしてありますので、誣告の場合に於ては相當の制裁がありまするので、其の點は防ぎ得られるかと思ひまするけれども、此の際斯う云ふ規定を置きますることは、實に歎はしいことと思ひまするが、どう云ふ御考でありませうか、是は大臣より一つ御答辯を御願ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=195
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196・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 是は大分研究を致しました、で結論は利害交交ある訳でありまして、一面から申せば斯樣にはつきり法律で以て通告制度を置いた方が、恐らくは此の財産税に付ては丁度あの最近の隱匿物資などに付て騒いだやうに、色々な問題が騒がれるのぢやないか、さう云ふ場合には却てはつきりした制度を法律で設けて置く方が詰らぬ流言蜚語を放たれる危險がない、斯う云ふことで却て宜いのぢやないか、但し甚だしい誣告をするとか、或之に口を籍つて脅迫をすると云ふやうな者があれば、是は嚴罰を以て臨む、脅迫等に付ては普通の刑法の處罰が行はれますし、それから其の通告が嘘である、何か故意に嘘を言うたと云ふやうな場合には、此の法律に依つて處罰する、斯樣なことで十分其の點の注意を拂へば、却て此の條項のある方が宜からう、斯う云ふ結論に達した訳であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=196
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197・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 第七十條に收税官吏の檢査の條項がありまするが、收税官吏の檢査に付きましては、弱い營業者に對しては隨分亂暴なことをしたかのやうに聞いて居りますのですが、殊に財産税に對しまする罰則と云ふものは非常に重いので、動もすれば此の罰則も斯くの如きものがあると云ふことで、善良なる所の納税者を恐喝するやうなことが往々あると思ひますが、是等の問題に付きまして、其の憂のないやうに十分なる一つ御準備があるのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=197
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198・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 財産税の調査に當りましては、本税が非常に高い税率でございまして、又色々な點がありますので、相當きつい罰則になつて居ります、唯實際調査に當ります者に付きましては、斯う云ふ權限が與へられましても、行き過ぎに亙らないやうに、十分我々の方で監督して行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=198
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199・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 第七十二條と七十三條の御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=199
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200・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 第七十二條は財産税納税義務者の納税地を規定致したのであります、「財産税は、納税義務者の住所地、この法律の施行地に住所のないときは居所地をその納税地とする。但し、納税義務者は、政府に申告して、居所地を納税地とすることができる。この法律の施行地に住所及び所居のない納税義務者は、命令の定めるところにより、納税地を定めて政府に申告しなければならない。その申告のないときは、政府が、その納税地を指定する。」此の書いてある通りであります、第七十三條は、納税義務者が納税地に現住して居ない時は納税管理人を置かなければならない、斯う云ふ規定でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=200
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201・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 先に御説明になりました第三十六條に付きましては、どうもはつきりせぬと云ふ説が大分ありますが、之をもう一度繰返して詳しく一つ御説明を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=201
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202・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 説明が下手なので誠に恐縮でございまするが、三十六條を設けました趣旨は、先程申上げましたやうに、家庭用動産の中には本當に生活に必要な家具什器と、又通常の生活に必要な部分を超える家具什器があるのでございます、而して通常の生活に必要な家具什器を超える分に對しましては、財産税が課税になるのであります、それでは通常の生活に必要なる家具什器を超える分と云ふのはどう云ふ風な基準で見るかと云ふと、納税者が申告なさる時に非常に御困りかと考へますので、實際問題と致しまして、十萬圓から五十萬圓の方に付きまして全國的に財務局で調査致しました、所謂勤勞に依つて生活して居られる人の家具什器は全體がどれ位で、必要以上の分がどれだけ、又農家の人はどう、或は營業者の場合はどう、所謂生産所得者の場合はどうと、斯う云ふ風に全國各税務署で中庸となるさう云ふ種類の職業別に、十萬圓から五十萬圓の方の財産を調べて見たのでございます、其の場合に、通常の生活に必要なものとは大體著物は何枚、箪笥は何箇と、斯う云ふ風にずつと標準を作りましてやつて見ますと云ふと、大體只今の所では五十萬圓の方は必要を超えた分を二萬五千圓位御持ちのやうであります、三十萬圓の方は、先程申上げましたやうに、一萬五千圓位が必要以上のものと推定出來るのでございます、從つて率は家庭用の財産を除きました一般財産に付きまして、大體五「パーセント」餘りに相成つて居るのであります、從つて通常の場合ならば、四十萬圓も一般財産のある方は、生活に通常必要な家具什器以外のものが五「パーセント」の二萬圓あるとして申告をして戴けば宜い、唯其の方が實際に骨董品などの澤山御持ちになつて居りまして、二萬圓以上五萬圓も六萬圓もあると云ふ時には、五「パーセント」の二萬圓では承知出來ませぬから、別に調べて申告をして戴かなければならぬと云ふのが第二項なのでございます、從つて斯う云ふ制度は五十萬圓を超える方に付きましては、此の規定は置いて居りませぬ、今囘の納税者は大體五十一萬二千人位を豫定致して居ります、五十萬圓を超える方は、其の中三萬七千人位でございます、三萬七千人の方に付きましては、家庭用動産に付きまして十分調査して行きたい、併し五十萬圓以下の方の四萬圓七千何ぼと云ふ方は、原則として第三十六條の規定に依つて申告をして載く、唯特殊の場合に多額の斯う云ふ標準以上の家具什器を御持ちの方に付きましては、是は又今の二項の規定に依りまして、別に申告をして戴く、斯う云ふ考へ方で此の規定を置いた次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=202
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203・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 只今の説明で分りましたが、併しながら日華戰爭前に於て百圓の箪笥は、今日は三千圓もすると云ふのですから、買入れた時の價格で評價をするか、今日の時價を以て評價するかに依つてそれは非常に差が生ずるが、それはどう云ふ方法でやりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=203
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204・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 家庭用動産に付きましては、大體今の公定價格に依つて行きたいと思ひます、而して其の古物であります場合には、嚴密に申しますと、所謂耐用年數に依りまして評價減を認めることに致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=204
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205・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 私は長時間發言を御許し戴いたのでありまして、有難うございました、是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=205
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206・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 大河内君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=206
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207・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それでは私大藏大臣に對する質問を始めます、大概私の質問なら政府委員で間に合ふだらうと思ひます、私の伺ひたいのは、最初のは、財産税は斯う云ふ風にして御取りになるのは仕方ありませぬけれども、戰爭に依つて儲けた者から臨時利得税を是より先に御取りになる方が宜くはないか、詰り一口に言へば成金税、戰爭で儲けたと云ふのは土臺間違つて居るのでありますから、斯う云ふものを先に取つてしまつて、尚ほ足りない所は外の税を以てやつたら宜いと思ひます、先づ之を一番先に取られると云ふことが宜くはないかと思ふのですが、政府委員で結構です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=207
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208・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 當初は法人戰時利得税或は個人財産増加税等を考へまして、戰爭利得を徹底的に排除すると云ふ建前でやつて居りましたが、併し其の後に於きまして軍需補償を徹底的に打切ると斯う云ふことになつて參りますと、軍需補償の打切と今囘の財産税で、所謂戰爭利得者は概ね元の木阿彌になると斯う考へて居る次第でございます、まだそれでも先づ先に徴るべきぢやないかと云ふ御話でございますが、實際問題と致しまして、今のやうな經濟界の状況では、所謂始期財産と終期財産の調査が困難であります、戰時補償特別税のない場合、又第一封鎖、第二封鎖の區別のない時なら財産税の増加等も考へられますが、今囘竝に最近の色々の措置に依りまして、終期財産の算定が困難でございますので、事實上財産税の増加は出來ませぬ、從つて戰時補償特別税と此の財産税とで、戰爭利得は殆ど排除出來ると云ふ考の下に、財産増加税を取止めたのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=208
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209・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 實は私すつかり參考書なんかを讀めば宜いのですが、讀んで居る暇もないし、それに夜なぞも電燈が參りませぬから殆ど讀まずに來て居るのですから、何を伺ふか知れませぬが、そこは一つ御勘辯を願ひたい、それで次に伺ひたいのは家族の關係ですが、同居の家族と別居の家族とは税は違ひますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=209
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210・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 三月三日現在に於きまして、同居家族の財産は合算して課税することに致して居ります、唯今囘は疎開とか、或は戰災等で、通常の場合ならば別居して居るのに、特に戰災關係其の他家屋の不足の爲に一緒になつて居ると云ふやうな場合に、同居爲さつて居る方ならば、合算しない方法を執りたい、又從來ずつと一緒になつて居つたが、偶偶所謂疎開と云ふやうなことで別になつて居る、別になつて居るのが異例だと云ふ場合に付きましては、三月三日現在に於て別居されて居つても一緒にする、斯う云ふ風に實際問題に即して考へて行きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=210
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211・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 能く分りましたそれから納付の順序は先程現金から公債になつて、社債になつて、株式になつて、不動産になると斯う云ふ風に承知したのでありますがどう云ふ訳で斯う云ふ風に順序を付けたのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=211
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212・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 先づ早く換算し得るものから選んだと斯う云ふ訳でございます、それで株式と不動産とどつちを先きに取るかと云ふ問題があるのでありますが、株式に付きましては、市場性のある株式とない株式とがありまして、市場性のあるものならば、不動産よりも株式を先に致しますが、市場性のないものは、不動産の方を先に致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=212
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213・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それで現金は、是は命令にあるかも知れませぬが、一文無しに取られてしまつたら大變なことになります、幾らか御殘しになると思ひますが、それはどう云ふ風に……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=213
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214・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 先程も御答へ致したのでありますが、根こそぎ現金を出して戴くと、さう云ふ考は持つて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=214
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215・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それを伺つて居るのぢやない、幾ら御殘しになるかと云ふことを伺つて居るのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=215
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216・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) それは個々の問題でごさいまして、其の方はどれだけ現金を持つて居るか、又他の財産はどれだけであるか、さうして税額はどれだけになるか、斯う云ふことを全部考へて見て、そこで決めるべき問題であります、例へば現金の八割迄出して貰ふと云ふことでありましても、其の方が一萬圓しか持つて居らぬのに八千圓取ると云ふことは、是は酷であります、併し最近物を賣られまして、新圓で三十萬圓も五十萬圓も持つて居られるやうな方には、八割位現金で納めて戴いても結構だと思ひます、詰り是は個々の場合迄考へて決めなければならぬと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=216
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217・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それぢや二萬圓なら二萬圓と切つたら如何でありますか、何か具體的な標準がなければ是は分らない発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=217
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218・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 實際問題として、第一封鎖預金を二萬圓迄持つて、それ以上を税に御充て下さいと申上げることは、是はなかなかむづかしいのではないかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=218
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219・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 もう少しはつきり伺ひたいのですが、私が態態斯んな質問を出したのは、商賣をやつて運轉資金の必要な人には、さう云ふやうな多少例外を認めなければならぬ、現金收入のある方は宜しうございますけれども、是なぞはどうすることも出來ない、明日から困つてしまふ、此の所はもう少し具體的に何ひませぬとはつきり致しませぬ、一體どう云ふ風にやる御積りなんですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=219
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220・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 色々の場合がありますので、ちよつと御答へ出來ないと思ふのであります、實際營業者であるとか、或は農業者であるとか、或は又俸給者であるとか、さうして又第一封鎖預金をどれだけ持つて居るか、現金をどれだけ持つて居るか、斯う云ふことから個々の場合を考へて、適當に判斷するより外に方法はないと思ひます、併し我々の考と致しましては出來るだけ現金或は第一封鎖預金で納めて戴きたいと云ふ、此の原則は動きませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=220
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221・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 是はどうも何ですな、最低限度位を決めて呉れないと實際困つた問題になる、どう云ふ風に御決めになるのだか、是は勝手にやると云ふことになつたならば非常な社會不安を起して來る、そこで此の位の金は殘してやると云ふ位なことは明言されて然るべきだと思ふ、どう云ふ訳でさう云ふことが言へないのですか、經濟安定だと言ふが、ちつとも經濟安定にはならぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=221
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222・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 第一封鎖預金を一萬五千圓持つて居られる方がありまして、之に對して二百圓の財産税を課税されて居る場合があると致します、さうした時に、私はどうしても一萬五千圓殘して置くのだと言つて、二百圓納める場合に、物納をすると云ふことがあつても非常に變なことになります、從つて税額は其の人の資産状態を見て決めるべきであります、それで此の一萬五千圓と云ふのは金融緊急措置令の標準でありませうが、此の一萬五千圓を確保すると云ふ場合に、二百圓の税金を納めるのに、土地を賣らなければならぬと云ふ場面も起りますから、個々の場合々々に依つて適當に處置しなければならぬ問題で、一萬圓とか一萬五千圓とか云ふ風に今から決めて參りますと、却て拔差ならないと斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=222
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223・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 其の拔差ならないことを私は希望して居るのであります、是以上はもう意見の相違になりますから、大變困つたことだと云ふことだけを申上げて置きます、一應大臣に伺ひますが、私の申すことは一般に非常な不安を與へると云ふことを御認になるだらうと思ひますが、もう少し具體的な方法を明示することは出來ないものでありますか、又其の必要を御認にならないでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=223
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224・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 是は税務官吏と言ひますか、當局を御信用にならぬからであります、苛酷のことをしやしないか、今の主税局長の御答は、其の場に當つて、今度のものは申告税であるから、さう云ふこともうまく行かぬだらうと言はれればそれ迄のことでありますが、税務署が御相談役になつて、さう云ふ場合に個々の方々に成るべくひどい負擔を掛けずに、又迷惑を掛けぬやうに取立てる、政府の方でも出來れば處分の容易なものを取りたい、斯う云ふことで相談で行きたいと云ふ考へ方であります、それですから餘りに嚴重な枠を作りますと、今主税局長も申したやうに、困る場合も生ずるだらうと思ひますから、其の點は能く一つ研究して、無理のないやうに致したいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=224
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225・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それではそれは其の位にして置きませう、次に是は政府委員に御伺ひ致しますが、物納と金納との割合は、先程橋本君も斯んなものだらうと仰しやいましたが、一體どの位の割合に見ておいでになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=225
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226・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) なかなか物納と金納との割合の算出が非常に困るのでありまするが、財産税を四百三十五億圓と見ました場合に、現金納付、或は第一封鎖預金での納付を九十二億圓へ考へて居ります、さうして舊勘定預金等で入りますものが七十五億圓、國債、株式、社債、土地、其の他で二百四十七億圓、斯う一應の推算を下して居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=226
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227・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さう致しますと、ちよつと伺ひ落しましたが、不動産はどの位になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=227
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228・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 不動産は百四十億圓となります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=228
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229・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 更に伺ひますが、さうすると、此の特別會計に於ける證券の發行額は最高幾ら位になるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=229
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230・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 財産税等の特別會計から今年度一般會計の財源に充て、居りますのが三百十億圓であります、而して財産税の收入に於きまして、先程申上げましたやうに九十二億圓の現金或は第一封鎖預金の納入がありますが、延納の點も考へなければなりませぬので、八十二億圓ばかり今年度の收入を見込んで居ります、さうしますと、三百十億圓から八十二億圓を引きますと、二百二十八億圓と云ふのが大藏省證券で出るのではないか、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=230
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231・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それで能く分りましたが、其の次は評價のことを伺ひたいのですが、是は橋本君が大變能く詳しく御聽き下さいましたので略略分りましたのですが、何しろ皆んな「命令の定める」「命令の定める」とあるものだから、命令を見ないと分らない、實際見かけたのですけれども、判が惡くて迚も分らない、それで橋本さんに御説明になつた所は宜しうございますが、尚外に重要な點で、斯んなことを言つて置いた方が宜からうと云ふやうなことがあれば、第三章の財産の評價と云ふ二十五條以下の規定ですね、「命令の定める」とか、「命令で定める」とか書いてある命令の内容なんです、重要なことでなければ宜しうございますが、斯んなことと云ふことでもあつたら、注意的に御説明を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=231
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232・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 二十五條竝に二十六條は不動産、或は借地權に關する評價でごさいまして、先程御説明申上げました此の二十五條、二十六條が一番重要なのでございます、二十七條に付きましては、賃貸價格の倍數と申しましても、無租地には賃貸價格の倍數はございませぬ、又減租年期地及び免租年期地には賃貸價格は低く付けて居ります、倍數を別に考へなければならぬ、斯う云ふ場合には倍數に依らずに、近傍類似の土地價格等に依つて決めて行く、それから鑛泉地等に付きましては、是は賃貸價格の倍數と云ふことはなかなか行きにくいので、是は各鑛泉地に付て個々に調査したいと思つて居ります、即ち一分間に出る量とか、温度とか、機械設備とか、或は其の鑛泉地の品格等から決めて行かなければならぬ問題だと思つて居ります、二十八條は、地上權、永小作權は相續税と同じやうにやつて行きたい、二十九條は問題ございませぬ、三十條の國債も原則として發行價格に依るのでありますが、高利債に付きましては發行價格以上の評價を致したい、社債に付きましては、是は今度軍需補償打切り等に依りまして、會社の社債が相當動いて來るのぢやないかと考へて居ります、又株式に付きましても、先程申しますやうに、三月三日現在に依らずに最近の價格に依つた方が納税が便利だと、斯う思ひますので最近の價格に依ります、併し例外的に三月三日直後安い時に賣られたと云ふものに付きましては例外を設ける、斯う云ふことは命令で決めたいと思つて居ります、定期金に付きましては大體今迄の考と同じでございます、唯問題は三十二條の保險金でございまするが、保險金に付きましては、所謂拂込濟保險料の大體六掛を課税の對象に致したい、一時拂に付きましては、拂込保險料を課税價格とする、此處なんか一番重要な點だと思ひます、三十三條に付きましては、統制價格が後から定められた時には其の統制價格に依ると云ふのでございます、家庭用動産に付きましては、先程御説明申上げました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=232
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233・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 ちよつと其の中で保險ですが、そんな馬鹿な保險があるかと仰しやいますけれども、掛金の方が保險金額よりも多いのがあるのです、六掛にしたつて多いのがあるのです、さう云ふのはどうなりませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=233
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234・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) ずつと以前の保險契約の場合には、保險金額よりま掛金の多い場合は相當ございます、併し是は考へ方で、色々ありますが、準備金に依るか、或は解約返戻金に依るか、色々議論がある所でございますが、拂込濟保險料の評價に付きましては、大體三十二條に規定してある通りを「ドイツ」も、「フランス」も、各國共使つて居ります、詰り拂込濟保險料に付きまして、三分の二に依るか、六割五分に依るか、或は六割に依るか、此の三通りでございます、只今は拂込濟保險料の六掛、一番低いので行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=234
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235・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうしますと、保險金額よりも、其の掛金の六割の方が多ければ、掛金の六割で御やりになりますか、何んだかをかしな話だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=235
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236・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) さう云ふ場合はないと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=236
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237・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さう云ふ場合は保險金額で御やりになる、例へば保險金額が一萬圓としても、今の六掛の奴が一萬一千圓だとしますね、さう云ふ場合はどつちで御やりになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=237
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238・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) さう云ふ場合はないと私は記憶致して居ります、若しありましたならば、少い方に依らなければいかぬと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=238
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239・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それで宜しうございます、能く分りました、次にさつき橋本君からも色々御尋でしたが、例の六十四條の密告ですが、密告の場合には金をやつても宜いと書いてあるのだが、是はどう云ふ場合に御やりになつて、どう云ふ場合には御やりにならないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=239
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240・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 其の通報が非常に良い通報でございまして、其の通報がなかつたならば到底税務署の方で調査不可能で課税漏れに終るだらうと、斯う云ふ場合に付きましては、此の範圍内で大藏大臣がやり得ると、斯う云ふことでございまするから、通報に依りまして課税價格が殖えて行つた、斯う云ふ場合に、全部やるとも考へて居りませぬ、非常に良い通報で、是ならばやつて宜いと云ふ大藏大臣の判斷でやり得ると、斯う云ふことに致して居ります、此の規定は、税務署、財務局では使はずに、出來るだけ本省で決めたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=240
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241・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうしますと、是は事實、例へば彼處の家で一萬圓のものが隠してあると云ふ其の事實がはつきり決つて、それから後に御やりになるのでございませうな、まだどつちか訳の分らないのをやると云ふことは生じ得ないものと思ひますが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=241
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242・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 其の通りでございます、申告がなかつたとか、或は申告から脱漏されたと、さう云ふ事實を通報しまして、税務署が其の通報に基きて調査した所が、果して脱漏して居つたと云ふ場合にのみやり得る規定でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=242
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243・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 此の次の問題は、非常に重要な「デリケート」な問題であります、若し私の申すことが惡ければどうぞ速記から御取除けを願ひます、政府委員も、申上げる迄もなく大藏大臣にしても、どうぞさう云ふ場合には御遠慮なく速記でも何んでも御止め下さい、私の伺はうとする所は皇室財産の問題であります、皇室財産に對しては財産税が課かると思ひます、先づ第一に伺ひたいのは、どの位課かるものか、それの皇室財産に及す影響如何、詰り今幾ら位に御覽になつてどの位のものかと云ふことを伺ひたい、それからさう云ふことになりますと、皇室財産と云ふものは皇室の御財政には大變な響きが來ます、之に對しては國民としては默視することは出來ない、是は先日憲法の本會議でも申上げました通り、國民としては是非とも全力を擧げて之を善處致さなければならぬ、さう云ふ御見込はどうでございまするか、是は政府の豫算に依ることでございますから政府が決意をしなければならぬ、尤も國民として獻納する途はございますが、先づ以て政府で以て一つ相當な善後策を御立てにならなければなるまいと思ひます、それからさう云ふやうなことになりますと、今の皇室の御財産中國有に歸すべきものも大分ございませう、どう云ふものが國有に歸しますか、どう云ふものが民有に歸しますか、それを伺ひたい、それでそれに付きましては、茲に特別に問題を出して置きますが、博物館と正倉院と學習院と此の三者、此の三者に付てはどう云ふ御扱ひになりますか、或は特別に御下賜金でもあつて財團法人としてでも御保存せられるやうな方法になりませうか、それともどんな風になりませうか、是は私甚だ無遠慮な質問で伺ふことが或は惡いかも知れませぬですが、併しまあ伺ふだけは伺ふ方が宜からうと考へますので、思ひ付いたことを無遠慮に竝べました、大臣からでも政府委員からでも宜しうございますが、御差支ない限りに於て御答を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=243
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244・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 皇室財産に付ては御話の通り「デリケート」な問題でありまして、又決定して居ないことが大部分であります、が何れにしましても、國有財産に譲渡せられることは決つて居る、唯世襲財産と云ふものがどれだけの範圍に殘るかと云ふことでありますが、皇室の御賄ひに付ては是は次の豫算から其のことを考慮致しまして、豫算へ計上するやうに考へて居ります、それから財産税も實は憲法であのやうに皇室財産のことが決つて居るのでありますから、それで宜いぢやないかと云ふこともありました、我々もさう考へて居つたのでありますが、是は矢張り色々な關係から憲法が施行されて居らないのだから、此の際皇室の御財産にも財産税を課ける方が内外の情勢上宜しいと斯う云ふことで課ける、是は今の法律を以て課ける訳に行きませぬが、皇室令の改正に依つて同じ效果を齎すと云ふことを決めた訳であります、そこでどれ程のものが課かるかと云ふことは實ははつきり致さないのでありますが、相當多額のものが財産税になると考へなければなりませぬ、それから博物館、正倉院、それから學習院の問題、是は只今研究中でありまして、博物館とそれから正倉院の美術に關するものは何等か特別の措置を致したいと云ふので、それがどう云ふ風なことになりますかと云ふことは今總理大臣を中心にしまして、色色案を立てつつある次第であります、適當に處理して、十分博物館或は正倉院等を保存すると同時に、あすこの皇室の何かの、今の例へば名前の上に於て皇室の帝室博物館と云ふやうな名前は何處迄も殘したらどうか、と云ふやうな線に沿ふて只今やつて居ります、學習院の問題も同樣に是は文部當局等で研究して居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=244
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245・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 此の問題はまだもう少し伺ひたいのでございますが、問題の性質上餘り立入つて伺ひますのも如何かと思ひますので、私の質問は財産税法案と財産税收入金特別會計法案、此の二つの問題に付ては質問を終ります、尚其の以外の小さな法案に付てちよいちよい伺ひたいことがございますが、是は其の時に入りまして……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=245
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246・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 先刻財産税法案に移りまする前に板谷君が保留してあつた大藏大臣が御見えになつたら御聽きになりたい、小山完吾君も之に關聯して質問したいと云ふことでありますから、此の際之を許します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=246
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247・板谷順助
○板谷順助君 私は金融機關整備法案に付きまして午前中膳國務大臣、政府委員に伺ひましたけれども、要領を得ませぬので實は保留して居つた訳でありまするが、要するに金融業者の整理案に付きまして大臣既に御承知でもありませうが、先づ第一に積立金を取る、其の次には株主の九割を取る、それで足りない場合に於ては法人の預金の五百萬圓以上の者の七割を取る、更に又それで足りない場合に於ては百萬圓以上の者の五割を取る、又十萬圓以上の者の三割を取る、其の次には法人の取られた預金の殘額の全部を取る、更に又株式の一割殘つて居るものを取る、其の次には整理債務の債權者、是は先程政府委員の説明に依つて個人の第二封鎖預金と云ふことが明かになつたのであります、更に足りない場合に於ては指定債務の債權者から取る、所が此の指定債務の債權者と云ふことに付きましては公租公課であるとか、或は破産管財人のどうとか斯うとか、極めて曖昧な御答辯であつたのでありますが、要するに指定債務の債權者と云ふことは、先づ第一に日本銀行の三百五十億、其の他資金統合銀行及び農林中央金庫の所謂新勘定に移される金、斯う私は考へるのでありますが、大臣其の通りでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=247
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248・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 新勘定に移されるものは入りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=248
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249・板谷順助
○板谷順助君 然らば指定債務の債權者と云ふものは一體何ですか、どう云ふものを指すのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=249
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250・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 舊勘定の指定債務と云ふのは次のものであります、新金融機關に對する債務、是は新しく作られた、詰り舊勘定から新金融機關に對しての債務、公租公課、租税の徴收に依り政府の取得したる預金等に關する債務、是へ例の財産税のことであります……但し財産税の徴收に依るものを除くと書いてあります、それから戰時補償特別税に關し他の金融機關よりの求償に應じて履行を爲すべき債務、それから管理保全の費用、最終處理の費用、一定金額以下の退職金等臨時的給與の債務、それだけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=250
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251・板谷順助
○板谷順助君 其の金額は大凡どの位に見て居られますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=251
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252・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 是は成る程段々金融機關が整理されるに從ひまして出て來るものが多いのでありまして、今の所では是は幾らになると云ふことは分りませぬが、結局大した金額にはならない、斯う云ふ見込であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=252
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253・板谷順助
○板谷順助君 さうでせう、恐らくは私は此の指定債務の債權者と云ふものはそんなに小さいものでなく、私は大きいものと想像して居るのであります、處で御承知の通り戰時中に日本銀行が政府の命令に依つて各一般金融業者に金融をした、又一般金融業者を私は救濟する意味で言ふのではありませぬが……、從つて日本銀行の信用を維持することに御苦心になつて居るのも當然でありますが、併しながら此の順序を見ますと、先づ第一に考へなければならぬことは法人の預金は此の順序に依つて殆ど全部株主の九割位は取られなければならない、又個人の封鎖預金と云ふものも銀行、所謂金融業者の整理が著かない場合に於ては取られる、從つて日本銀行は固より信用を維持する上に於て必要でありませうけれども、併しながら此の三百五十億の貸金と云ふものは當然私は此の金融機關の企業再建整備法案に織込むべき筋合のものと思ふのであります、然らざれば所謂小の蟲を殺して大の蟲を助けると云ふやうな結果になるので、勿論銀行に於きましても或は相當の大株主もありませうが、細かい株主も相當あると見なければならぬ、又會社も、所謂法人に於ける所の株主も同樣であります、從つて政府の屡屡口にされる所の、細かい者は出來るだけ助けると云ふやうな意味に於て、或は一萬五千圓は第一封鎖に分けるとか、戰災者に對しては五萬圓迄は支拂ふと云ふことを言つて居るにも拘らず、政府の機關として強制的に軍需會社の貸付をさして置いて之を後廻しにする、恐らくは今御説明に依りますと指定債務と云ふものの金額は極めて僅かである、私は唯ほんの形式的に此所に御竝べになつたのではないかと思ふからして、今御話する通りに國家が命令に依つて貸出した所の此の三百五十億の金と云ふものは當然此の金融機關の、企業再建整備法に織込んで整備すべきものである、又一般の預金者、或は又株主に先立つて之を適當に優先的に計上すべきであると私は考へるのでありますが、御意見は如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=253
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254・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 結局それは日本銀行に損害を及して整理せよと云ふ御意見と考へますが、是は一體今度の戰時補償金に對する課税と云ふものの趣旨と申しますか、初に起つて來た趣旨が第一に國家の負擔を輕減する、之を補償……全部拂ふと云ふことは迚も國家財政上負擔出來ないと云ふことになります、處で日本銀行に損害を被せることはそれは一部株主等も被ることになりますが、結局國家が損害を被れと云ふことと同じであります、でありますから其の理由から日本銀行には一應損害を被せることが出來ないと云ふので除外されました、それからもう一つは日本銀行は矢張り銀行には違ひありませぬが、矢張り中央銀行でありまして、通貨の發行權を持つて居る、此の日本銀行も一緒に今度の整理の中に捲込んでやると云ふことは、是は一國の通貨の信用の上から言ひましても、後の金融機關の整理の上から言ひましても經濟的に不利益であると云ふやうな大體斯樣な考へから日本銀行は外した、結局全體の「インターバンク・ローン」と云ふものを外して、さうして新勘定に移して置きました、併しそれでは日本銀行が餘りうまいことをするぢやないかと云ふ非難もあらうと思ひますが、日本銀行も能く調べますと、今迄も相當負擔をして居るのであります、でありますが是は別途に負擔をさせる積りで居ります、此の補償問題とは切離して居りますが、是はどうしても日本銀行として相當負擔をして貰はなければならぬ場合があると斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=254
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255・板谷順助
○板谷順助君 私は日本銀行其のものを此の金融機關の整備法案の中に捲込めと言ふのではありませぬ、今御話のやうに三百五十億の貸金と云ふものは今日になつて見れば殆ど溝へ捨てたと同樣であります、であるからして先づ第一に一般の預金者、今申上げまするやうに法人は兎も角として、個人の第二封鎖金も此の犧牲に供すると云ふ案になつて居るのであります、であるから兎に角例へば三百五十億の全部を日本銀行が負擔せむと致しましても或程度迄相當犧牲を拂つて共に苦しみを分つ、斯う云ふ態度に出るべきが穏當ぢやないか、殊に今御話の國家に損害を及すと云ふことがありましたが、國家が國民に對して非常な迷惑を掛けて、國民はそれ以上に苦しんで居るのであります、でありますから今あなたの御話は、所謂國家は成るべく損をしたくない、或は農林中央金庫の如きものはどうなつて居るか分りませぬが、國家は成るべく損をしないで、國民に第一に迷惑を掛ける、斯樣な御考でないかと思ふ、是では世間が通りませぬ、兎に角日本銀行の信用を維持する上に於きましても三百五十億の金と云ふものは今御話するやうに殆ど溝へ捨てたと同樣、之が爲に各一般の普通銀行が再び起つことが出來ないやうな状態になつたならば一般の預金者が迷惑すると云ふことは當然である、其の點も一つ御考慮になつて戴きたい、私は今御話するやうに政府本位、國家本位、國家は成るべく損したくない、一般の國民が迷惑をしても已むを得ぬ、斯う云ふ御處置を御執りになるのは不穏當ぢやないかと考へるのであります、もう一遍御答辯を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=255
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256・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 是は建前の問題でありまして、國家が損をすると云ふことは結局は租税で補償すると云ふこと、詰り御話のやうにするのは一つの建前です、それならば始まりから補償を拂つてしまふと云ふ建前にするのが當然であります、今度のやり方は如何にも是は私共から始終申しますやうに一面に於ては非常に不公平な點があるが、戰時補償を打切ると云ふことが個々の國民に損害を負擔して貰つてさうして全體の租税で賄ふ方の國家の負擔と云ふものを輕減すると云ふ建前で出來て居る、其の建前から申しますとどうしても日本銀行にはさう云ふ多額の損害は掛けられない、何故かと云ふと日本銀行に損害を掛けると日本銀行が背負ふことになる、背負ひ切れれば宜いが、日本銀行が背負ふと云ふことは言ひ換れば國家が背負ふ、租税が背負ふと云ふことになります、さうなりますれば元へ戻つてすつぱり補償を拂つてしまへば宜いと云ふことになりますので、是には利害上の色々の議論が起る訳でありますが、此の法案の建前は左樣になつて居るのであります、其の建前から申しますとどうしても日本銀行へは尻尾は持つて行けない、斯う云ふことになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=256
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257・板谷順助
○板谷順助君 あなたがさう仰しやるのは日本銀行が其の外にまだ澤山の貸出があつて此の整理が付かぬと云ふやうな意味に於て、日本銀行にさう餘計な迷惑を掛けてはいかぬと云ふやうな御考ぢやないかと私は曩の御言葉に依つて想像するのであります、然らば國家が大切であると云ふならば、是は餘計なことでありますけれども、二十一年度の一般會計の如きも聯合軍の費用は已むを得ませぬけれども、ああ云ふ國家の財政に合はして厖大な豫算を立てて國民に非常に負擔を掛ける、それ等の點を考へて見ましたならば、今日今國民が補償は打切られ、財産税は取られ、後が一體どう云ふ状態になりますか、恐らくは私は此の儘で行つたならば日本の再建などは思ひも依らぬ、さう考へるのであります、もう是以上は議論になりますから申上げませぬが、恐らくは國民の多數も私は承服しないと思ふ、是だけ申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=257
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258・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 小山完吾君、關聯質問があるさうですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=258
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259・小山完吾
○小山完吾君 只今板谷君の御質問になつたことで大體ははつきり致しまして、私は此の上結論を動かす爲に申上げる必要はないのでございますが、唯併しどう云ふ訳で日本銀行だけが左樣な優遇を受けなくちやならぬかと云ふ一應の理由だけは私も得心致したいと思ふ、私は細かいことを申上げませぬ、極く端的に申上げて見たい、一體日本の銀行は戰時補償を打切られて損をした、其の總額はどの位になるか、恐らく八百億になるか、九百億になるか、私は存じませぬが、其の位になるだらうと思ふ、さうして其の損はどうして起つたかと言へば、政府の命令でさう云ふ損が起つた、それであるのでありますが、其の當時何困るならば親銀行が見てやる、日本銀行が見てやると言つて日本銀行が貸付けた金である、それであるから今日事が起つてしまつてから之を考へて見ると云ふと、市中の銀行が損する總額から「マイナス」日本銀行の貸付けただけのものを引いてしまつたものだけは、即ち銀行の負擔に屬すべきものだと云ふことは明かなことである、さうすれば其の分は銀行と雖も積立金と株金より外ないのですから、後は預金で營業して居るのですから、即ち日本銀行から借りた金を差引いた額と云ふものは、即ち國民の預金に依つて是は貸した金なんである、それならばそれだけ整理の中にぶち込まれると云ふことならば、道理は著くのですが、日本銀行から貸した金は別に返してしまふ、生きて居るのだと云ふことでは、そこにどうも呑み込めない點がある、ですからそれ自體を少し明かにして置かなくちやいかぬと云ふことを考へるのですが、それぢや日本銀行が非常に困るから、それは三百何十億の金を今出せと言つたら非常に困りませう、併し從來の日本銀行のやり方を見ると云ふと、隨分高率な配當をして、さうして裕福な株主が株主となつて居る、一般の市中の株式會社、例へば保險會社にした所で株金の九割迄打切らなければならぬと云ふ状態になつて居るのに、日本銀行は今日株式會社でありながら、晏然として何等犧牲を拂はないで此の危機を乘切ることが出來ると云ふことは餘りに「フェアー」ぢやありませぬ、併しながらそんなことを言つて見ても發券銀行としても信用が落ちても困るとか、何とか云ふので我々を納得させる理由があるならば、それは納得するより仕方がないと云ふ、斯う云ふ際に至つて、「テッド・ロック」に當つてそれ以上進まうとすれば我々が怪我をするのでありますから、そこ迄は主張致しませぬが、其の邊はどう云ふものであるかと云ふことを伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=259
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260・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 御趣意は能く分るのであります、さう云ふ議論も無論ありましたし、殊に民間銀行家等からはさう云ふやうな御説も屡屡伺ひましたが、是は色々考へて見ますのに、今板谷委員に御答したと同じことを繰返す訳でありますが、結局日本銀行の貸出が三百何十億圓なら何十億と云ふものが穴になると云ふことは、是は日本銀行には之を株主の範圍に於ては幾らでしたかちよつと覺えませぬが、大したものでありませぬ、それで後は日本銀行で被ると云ふことは國家が被る、日本銀行は幾等か評價益もあるかも知らぬが、是はもう大したものぢやありますまいから、結局國家が補償すると云ふことになるのであります、是がそれが本當ぢやないかと言はれれば是は一つの議論でありますが、此の法律の建前がさうなつて居らなかつたと云ふことです、もう一つはそれでもやつても宜いのでありますが、さうすれば是は一種の發券銀行を此の際之に捲込むことは矢張り利益ぢやない、それで日本銀行に負擔をして貰ふことは外にやりやうがあるのであります、殊に近い中に中央銀行制度と云ふものは是非改革しなければならぬことにもなつて居りますから、其の場合に之を譲つた方が宜い、斯樣に私は判斷致しまして、日本銀行は暫く安全と云ふと言葉は惡いかも知らぬが、手を著けないことに致した訳であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=260
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261・小山完吾
○小山完吾君 大體事情ははつきりしましたから、其の邊で私は打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=261
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262・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 今日は是で散會致します、明日は午前十時より開會致します
午後三時五十六分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=262
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263・会議録情報4
出席者左の如し
委員長 三土忠造君
副委員長 男爵 高崎弓彦君
委員
侯爵 池田宣政君
侯爵 鍋島直泰君
伯爵 二荒芳徳君
伯爵 黒田清君
子爵 大河内輝耕君
子爵 京極高修君
子爵 瀧脇宏光君
子爵 綾小路護君
子爵 梅溪通虎君
慶松勝左衞門君
男爵 周布兼道君
長谷川赳夫君
男爵 八代五郎造君
男爵 中村貫之君
男爵 林忠一君
男爵 倉富鈞君
男爵 宮原旭君
黒田英雄君
板谷順助君
橋本辰二郎君
河西豊太郎君
小山完吾君
高橋龍太郎君
有馬忠三郎君
中島徳太郎君
片岡直方君
片倉兼太郎君
河端作兵衞君
岸本彦衞君
松岡潤吉君
小汀利得君
上野喜左衞門君
國務大臣
大藏大臣 石橋湛山君
國務大臣 膳桂之助君
政府委員
大藏政務次官 上塚司君
大蔵事務官 福田赳夫君
同 池田勇人君
同 渡邊喜久造君
司法事務官 奧野健一君
商工事務官 三木秋義君
同 松尾金藏君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00219461008&spkNum=263
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