1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○戰時補償特別措置法案
○金融機關再建整備法案
○特別和議法案
○大藏省預金部等損失特別處理法案
○厚生年金保險法及び船員保險法特例案
○企業再建整備法案
○財産税法案
○財産税等收入金特別會計法案
○企業整備資金措置法を廢止する等の法律案
○帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律案
○復興金融金庫及び産業復興營團出資拂込金支辨のための公債發行に關する法律案
○自作農創設特別措置特別會計法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年十月九日(水曜日)午前十時二十四分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=1
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002・三土忠造
○委員長(三土忠造君) それでは是より會議を開きます、片岡直方君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=2
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003・片岡直方
○片岡直方君 昨日大河内委員及び橋本委員から非常な詳細な御質問がありまして、池田主税局長から又詳細な御答辯がありましたので、殆ど私の質問することがなくなつたやうな次第でありますが、併し少し角度を變へまして、少しく理窟張るかも知れませぬが、財産税には無論關係があると思ひますから、さふ云ふ見地から御質問したいのと、それから同じ質問でも少し掘下げて伺ひたい點があると思ふのであります、其の點は御了解願ひたい、先づ第一に物納の處分方法、時期の問題であります、大體財産税收入と云ふものは、大部分が物納で、全收入の何割かの豫定になつて居ると、昨日大體御説明がありましたから、あれ以上の御説明は出來ないと思ひますが、主税局長如何でありますか、もう少し御説明願へませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=3
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004・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 財産税の物納に付きましては、昨日大體御説明申上げたのでございますが、今少しく詳しく申上げたいと思ひます、即ち財産税收入額四百三十五億圓の中、現金、或は第一封鎖預金で納入になります見込を九十二億圓と計算致して居ります、又舊勘定預金から納入になりますものを七十五億圓と見込んで居ります、其の他が物納でございまして、全體で二百四十七億を見込んで居るのでございます、此の内譯が國債が二十七億圓、株式が七十二億圓、地方債及び社債が八億圓、土地、建物及び動産を含めまして、百四十億圓と計算致して居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=4
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005・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 昨日私は之を表にして皆に配つて戴くやうに要求致して置きましたが、其の點委員長の方から発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=5
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006・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 是は多分財産税等特別會計の内譯に載つて居ると思ひますが、若し豫算表に載つて居りませぬければ、午後表に致しまして発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=6
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007・三土忠造
○委員長(三土忠造君) それから先に言うた税率の適用のやつも発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=7
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008・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) それでは午後表にして提出致すことに致します、是は單に本當の「ラフ」な見積りでございまして、斯う云ふ風に土地、建物が百四十億にもなることは我々としては希望して居ないのでありますが、大體の見込としては此の程度ではないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=8
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009・片岡直方
○片岡直方君 次に御伺ひしたいのは、此の物納と云ふのは、政府の財政面から言へば、一應之を短期公債を發行するとしても、出來るだけ早く處分して金錢化すると云ふことを政府としては考へなければならぬかと思ふのであります、併し非常な厖大な物納になつたものを一度に之を賣り出すと云ふことになれば、價格は非常に暴落する、政府は豫期して居つた所の財産税の收入が得られないと云ふことになる、それならば徐々に之を處分したらどうか、さうすると一體處分完了迄は何年掛るかと云ふこと、之を伺ひたいのであります、實は豫算第一分科會で御尋ね致しました際に、政府委員の御答辯に依ると、是は四、五年掛る、斯う云ふ御答辯があつたのでありますが、其の通り政府委員は御認めになるかどうか、此の點も伺ひたい、それから民間の通貨收縮が行はれずして、政府の財政支出のみ一方に續けて行くと云ふことになりますと、此の爲に「インフレ」が拍車を掛けられると云ふことは、是は問題ない譯であります、又生産方面から申しましても、今は極力物と云ふ物を利用して生産を興さなければならぬと云ふ時に、徒に國有財産と云ふものに止めて置いて、さうして錆びさせて置くと云ふやうな考であるかどうか、此の點を伺ひたいのであります、更に此の國有財産として、只今も御説明がちよつとありましたが、斯う云ふやうな多くの土地、家屋と云ふものが此の財産税竝に農地調整法の關係から非常に増加して來ると云ふやうに思ふのであります、此のことは結局地租、家屋税の減少を來すのではないか、結局地方財政に相當な影響があるのではないかと云ふことを考へますので、是等に付ての政府の對策、どう御考になつて居るか伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=9
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010・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 非常に多額の物納が豫想されるのでありまするが、之を一時に賣却すると云ふことになると、價格の低下を來し、歳入にも影響を來すのではないか、斯う云ふ御話でございました、御尤もでございまして、物納になりました財産に付きましては、個々の財産、即ち田畑はどうするか株券はどうするか、所謂各種の財産に依りまして、處分方法は異なると思ふのでありまするが、出來るだけ早い機會に賣りますと共に、又市場の状況等も考へて行かなければ相成らぬと思ふのであります、それで此の物納財産の處分が何年位掛るかと云ふことに付きましては、是は財産税徴收後の經濟界の状況、其の他生産の状況等を考へて決めなければならぬのでございまするが、大體整理してしまひます迄には、五、六年を要するのではないかと思つて居ります、尚此の機會に申上げて置きますのは、今囘十萬圓以下の方には、徴税して居りませぬので、斯う云ふ方に相當の購買力があるのではないか、所謂下層階級の方に相當物納財産が買受けられるのではないかと云ふことを想像致して居ります、不動産が國有財産になつた場合、地方の財政收入に、所謂地租、家屋税等の財政收入に影響を及し、地方財政を危殆に瀕せしめないかと云ふ御質問でございまするが、此の田畑に付きましては、農地調整法の精神に依りまして、小作人に早急に賣却出來ると考へて居ります、又家屋、宅地に付きましても、家屋の不足の現況から考へまして、相當早く賣れるのではないか、それが非常に賣れ殘りがあると云ふことになりますると、或程度地方財政に影響を及すことは考へなければなりませぬが、大體に於きまして不動産は相當早く賣れて行くのではないかと考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=10
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011・片岡直方
○片岡直方君 それから次の問題に入りますが、私の次に質問したいことは、債務と第二封鎖預金の關係を御尋ねしたいのでございます、是は財産税法の第五十五條、此の規定に關しての問題でありますが、結局第二封鎖預金は所謂上積の計算として、之に對する財産税は第二封鎖預金から支拂を認めると云ふ御趣意であると解して居るのでございますが、私は此の場合に於きまして、債務があつたらどう云ふ關係になるかと云ふことに付て當局の御説明を煩したいのであります、即ち第五十五條第一項の後段に參りますと、「納税義務者は、その納付すべき財産税額と、課税格から舊勘定財産の價額を控除した金額により計算した財産税の額との差額に相當する税額について、舊勘定預金等による納付を申請することができる。」斯う云ふことが書いてあります、先づ此の納税義務者の納付致しまする財産税の金額と云ふのは、勿論此の財産税法の第十二條に依りまして、讀むのは省略致しますが、之に依りまして財産の價額から債務金額と云ふものを控除した課税價格を本にして決定されることは當然であると、斯う考へて居るのであります、さうしまして課税價格から舊勘定財産の價額を控除しました金額と云ふ文句、それから此の課税價格と云ふ概念は既に債務を控除したものでなければならない理由から致しまして、此の場合に債務の金額は先づ舊勘定財産、即ち第二封鎖預金以外の財産から全額控除されたものである、斯う解釋して宜しいか、此の點を分り易く御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=11
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012・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御話の通りでございます、財産の計算に當りましては、積極財産から債務を控除したものを課税財産價格と致して居るのでございます、從ひまして舊勘定預金の財産は別に致しまして、債務が外にありますれば、舊勘定預金以外の財産から債務を控除したものが、茲に規定致した金額に相成なるのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=12
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013・片岡直方
○片岡直方君 實は地方の税務署に於きましては、此の點に付きまして少し徹底して居らぬやうに思ひます、それは斯う云ふことであります、所々に依つて命令が徹底せぬからさうなるのだと思ひますが、此の負債額と云ふものは第二封鎖預金、舊勘定と、それから第一封鎖勘定とに按分されるのだと、斯う云ふ解釋をして居るのがありました、さう云ふことも聽きました、今の局長の御説明で明瞭になりましたが、さう云ふ間違つた考へを持つて來ると非常に迷惑しますが、斯う云ふことは當局に於てはつきりと能く分るやうにして戴きたい、念の爲に申上げて置きます、其の次に御伺ひしたいのは、是は昨日も御質問がありましたが、財産税に對する評價の問題でありまして、是は少し角度を變へまして伺ひたいのと、もう少し具體的に伺ひたいのであります、或はだぶるかも知れませぬが、御了承願ひたいのであります、大體私の考へまするのに所得税、營業税、法人税と云ふやうな法律がございましても、總て中心となりますものは課税の價格と云ふものと税率、此の二つが何時でも對象になつて居る、然るに此の財産税法案を見ますると云ふと、税率のことは二十三條に明確に規定してあります、處が課税價格と云ふことになりますと、頗る曖昧になつて居りまして、財産税に於て課税價格は、詰り財産の評價と云ふのでありますが、此の評價の點は、全部命令に委任されて居るのであります、私共が此の法律案に贊成致しましても、實質的内容と云ふものが後で命令でどうでも左右されると云ふことでは非常に國民は迷惑致します、凡そ民意と違つた所になつて行くのぢやないか、此の法律を見ますと、私共今の時代に合はない、民意を無視した一方的な法律であると、斯う云ふ風に言へるやうに思ひます、此の點に付きまして、政府は評價の方法をもつと詳細に法律に何故規定しないのかと云ふことを御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=13
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014・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 先程の税務署の解釋が區々になると云ふ御話は御尤もでございまして、只今各財務局の其の擔當の係官を集めまして、財産税法竝に戰時補償特別措置法に付きまして、十分打合せを致しまして、區々にならないやうに出來るだけの努力を續けて行きたいと思ひます、次に評價の問題でございまするが、是は實は財産税の基本を成すものでございます、之を出來るだけ明確に規定することが最も必要であると考へるのでございます、唯出來るだけ其の點は努めたのでございまするが、今此處で勅令に譲って居りますものは、極く例外の場合でございまして、又財産價額の割に少いものでございまして、其の他のものは概ね是で賄ひ得ると考へて居ります、尚御手許に配つて居ります命令案要綱に於きまして、大體所謂最高最低を決めて居りますので御了承を願ひたいと思ふのであります、保險料の計算に付きましては昨日申上げたのでございまするが、是が主なる點でございまして、年金等に付きまてしは、大體最高最低は命令案に書いて居るやうな状況でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=14
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015・片岡直方
○片岡直方君 私も此の財産税法の命令案要綱を能く拜見致しました、只今の局長の御示しになる通り條項に付ては能く調べまして書いてあります、此の郵便年金、生命保險、それから使用品、在外の財産、是は皆決めてあるのは能く分りました、伺ひたいのは三十五條に前條に斯う云ふ風に規定してありまする以外の財産の評價と云ふものは、矢張り調査時期に於ける時價に依ると謳つてありますが、そこで皆ずつと列擧してありまする各評價規定は例外のものでありませうか、それとも此の三十五條の規定から類推して、右に擧げてある各規定の財産評價と云ふものも、時價主義であるのか、即ち評價と云ふのは時價主義で一貫して居るのか、それとも時價とそれ以外との評價との二本建てであるのかどうか、此の點伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=15
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016・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 各種の財産に付きまして評價方法を決めますことは、餘程困難でございます、「ドイツ」の財産税法に於きましては、評價法と云ふ特別の法律を設けまして、非常に細かに規定致して居ります、我が國に於きましては經濟事情がちよつと違ひますので、事細かに財産税各種に付きまして、評價法を決めると云ふことは非常に至難でありまして、主なる財産に付きまして二十五條から三十四條迄に、斯う云ふ評價の方法をするのだと云ふことを決めました、二十五條以下三十四條迄に掲げましたもの以外のものに付きましては、原則として調査時期の時價に依ると、斯う云ふことに致して居るのであります、出來るだけの評價方法は一應掲げて置きました、三十五條の適用を受けますものは、概ね動産と云ふことに相成ると思ふのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=16
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017・片岡直方
○片岡直方君 別の所から御伺ひしたいのでありますが、只今の説明で分つて居るやうでありますが、政府の言はれる時價と云ふものは、何を基準としたのでありますか、詰り闇價格とか、或は公定價格とか、或は統制價格とか、取引價格と是とはどう云ふ違ひがありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=17
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018・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 所謂公定價格に依つて計算致すことに致して居ります、さうして又動産等に於きましては、所謂中古品等がございますので、さう云ふものは減價償却を見て後の價額に依りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=18
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019・片岡直方
○片岡直方君 それではもう一つ此の問題に關聯して評價の問題を伺ひたいのでありますが、昨日御説明がありました家屋に對する税率は、新らしい家と古い家に對しては税率が違ふのであるが、家屋の基準は三十年が原則である、新らしく建てられた家の税率と、古く年數の經つた家屋のそれに對する税率と云ふものは、少し斟酌をすると、斯う云ふ言葉を以て御説明になつたと思ひますが、何か之に付て御説明願へませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=19
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020・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 家屋に付きましては、調査時期の状況に依りまして決めますので、新らしい家屋と古い家屋に付きまして、税率が異なると云ふことは毛頭考へて居りませぬ、是は財産も全部集めまして、さうして二十三條の超過累進税率を適用致すのでございまして、其の財産の内容種類に依りまして、個々に税率を適用すると云ふことはございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=20
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021・片岡直方
○片岡直方君 それで次の問題に移ります、大體財産税を今度御取りになつた趣意から申しますと、法案の一番仕舞ひの所に理由が書いてあつて、之を拜見しますと國庫の收入を確保する、富の均衡化と云ふ二つを謳つて居られるのでございます、さう致しますと財産税を初め御取りになる前々の所は、公債を償還すると云ふ意味であるから、「インフレ」防止と云ふ意味であつたのが、さう云ふ風に變つて來て、富の再分配、それから歳入不足を填補する、斯う云ふ風に變つて來たと云ふ風に見られるのでありますが、政府に於ては此の二つのみを御考になつて、「インフレ」防止と云ふことに付ては、何等考へて居られぬかどうか、此の點を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=21
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022・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 財産税を施行致しました場合に於きましては、尚此の目的以外に矢張り「インフレーション」の防止等にも、相當役立ち得ると云ふことを期待致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=22
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023・片岡直方
○片岡直方君 それでは伺ひますが、其處の所が、私共どうも了解出來ないのでございます、何となれば先程も御質問申した通りに、提案の理由の二つの條項であれば分るのでありますが、「インフレ」防止に役立つと云ふことは、實質上あり得ぬことぢやないかと、只今の御説明になりました通り、物納が五、六億あるのだと、是はそれで宜いのでありますが、提案の理由の一つの、歳入の填補を圖るのだと云ふことになつて參りますと、どうしても一方に於て、大藏大臣の始終言はれまする生産再開と云ふものが、實質上凝つとして、寧ろ石炭などは段々減つて行くと云ふ憐れなる状態であります、外國から、度々御質問申したのですが、石炭は一切入らないのだと云ふ状況でありますので、大藏大臣の一番御考になつた石炭の問題は、是は生産の再開を圖るのだから、價格を上げても宜いと云ふ風に言はれて居りまするけれども、實質上生産再開が出來ない、それから戰時補償打切りに伴ひまして、色々な法案が出る、段々企業が追詰められて行って、色々な状態が段々惡くなりつつあるやうな状態であります、さう致しますると、どうしても勞働問題とか、色々な問題も關聯致しまして、費用が段々と嵩んで、要するのに例へば新らしく炭坑を開くと云ふやうなことでありましても、さう簡單には開けぬのでありますので、數年間は掛るのであります、それら著手致しましても、數年間の日子を要すると云ふことでありますから、其の間にはどうしても惡性「インフレ」の傾向を辿ると思ふのであります、そこで大藏大臣の御説明に依ると、通貨の膨脹が只今六百五十億位と思ひますが、是は恐るるに足らないのだと云ふ御説明でありますが、結局矢張り通貨と云ふものは段々殖えて參りまして、産業が開かれなければ財産税を御取りになると云ふことであつても、其の歳入の填補にするのだと云ふことになれば、どうしても是は惡性「インフレ」になるやうに思ふから、只今の御説明に依ると防止になると云ふことも含まれると云ふ御話でありまするけれども、此の點私は了解出來ないので、もう一遍重ねて御説明願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=23
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024・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 「インフレーション」防止に生産の増強が絶對的であると云ふことは、御話の通りでございます、唯、今囘の財産税は、前内閣で發表致しました財産税よりは餘程性格が變つて來て居りまして、直接に「インフレーション」の防止の役割は持つて居りませぬ、持つて居りませぬが、通貨の吸收と云ふことに付きましては、相當の役割が期待出來るのではないかと考へて居るのでございます、先程もちよつと申上げましたやうに、十萬圓以下の方々の預貯金或は現金が、物納になりました財産に向つて行くならば、是は或程度の通貨の吸收が出來る、斯う云ふ意味に於きまして、今囘の財産税は通貨收縮、即ち「インフレーション」の防止に或程度の役割を爲し得るものと期待致して居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=24
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025・片岡直方
○片岡直方君 私はどうも其の説明には承服出來ませぬ、まあ是以上は議論になりますから、私は打切りますが、次の問題に入ります、此の提案の理由の「富の均衡化により」と、斯う書いてある、新聞紙上で言はれまする所謂富の再分配と云ふことでありますが、此の點に付て政府の所信を伺ひたいのでごさいますが、將來我が國には貧富の懸隔と云ふものを全部なくなすと云ふ御考であるかどうか、それから經濟の民主化と云ふのは、富める者の存在を認めないと云ふことであるかどうか、それから資本主義經濟に對して、どの程度の社會主義理念を織り込んで行かうと云ふ御考へであるかどうか、それから政府は、我が國將來の經濟界竝に國民生活をどう云ふ政治思想の下に指導せむとする御考へであるかどうか、又米國其の他の所謂「デモクラシー」と云ふ所の國家は、富の偏在、それから不均衡是正の爲に、どんな政策を執つて居るかどうか、之に付て併せて伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=25
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026・三土忠造
○委員長(三土忠造君) それは大藏大臣が來た時分に発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=26
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027・片岡直方
○片岡直方君 それぢや今のは大藏大臣に発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=27
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028・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 保留致して置いて発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=28
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029・片岡直方
○片岡直方君 それぢや、さう致します、それでは、是は前に御質問申上げまして、未だに私は承服出來ない點でありますが、是も或は大藏大臣に御尋ねしたら宜しいかも知れませぬが、實は私、豫算總會でも大藏大臣にも御尋ねしましたし、又總理大臣にも御尋ね致しました問題でありますが、一年据置の預金に對する控除の問題ですが、委員長、是は矢張り大藏大臣に御尋ねしませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=29
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030・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 主税局の問題でないから発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=30
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031・片岡直方
○片岡直方君 それぢやさう云ふことにさして戴きます、それからもう一つ伺ひたいのでありますが、財産税としての意見を伺ひたいのでありますが、今、現在、法人税と云ふものが千分の三掛つて居るのであります、是は資本に對して掛つて居るのでありますが、私は自分の我流の考でありますと、是は一つの財産税であると、斯う考へて居るのであります、實は何囘も大藏大臣に御尋ね致しますと、是は財産税は一囘限りである、取らないのである、斯う云ふ御説明がありました、併し是ももう一遍重ねて、財産税に付ては大藏大臣はさう云ふ風の御答辯でありましたが、政府委員は本當に財産税は一囘限りかどうか、それから現に今、只今申上げました通りに、法人税と云ふものは一種の財産税だと私は解釋する者であるが、是が間違って居なければ、さう云ふので實行されて居るのでありますから、矢張り將來に於ては法人財産税は、更に財政が窮屈になれば御取りになるやうな基礎がもう出來て居るのぢやないか、更に御取りになる御考はないかどうかと云ふことを此の機會に御尋ね致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=31
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032・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御承知の如く、財産税には名目的財産税と實質的財産税がございます、今囘の財産税は元本を侵蝕する財産税でございまして、是は實質的財産税と言はれて居ります、名目的財産税とは、先年、昭和十一年に、馬場財政の時に計畫致しました、所謂所得から支拂はれるやうな、非常に低率の、低い税率の財産税、此の名目的財産税は、是は毎年でも出來るものであります、所得税の補完税と致しまして、此の名目的財産税を施行して居ります國は多々あるのであります、それで今御話の法人税の中に、其の資本金に對しまして千分の三で徴收致して居ります資本に對する法人税は、是は一種の財産税で、名目的財産税と言ひ得ると思ひます、沿革的に申しましても、昭和十一年馬場財政の時には、千分の一・五の税率で法人の財産税とし、又個人の方にも、財産税を課ける計畫で居りましたが、個人の財産税は取止めになりました、今日法人の資本に對する名目的財産税が今殘って居るのであります、それで大藏大臣が、財産税は一囘限りで、二度とはやらないと仰しやることは、是は實質的財産税、即ち今囘の財産税は二度やらないと、斯う云ふ御話であります、それで又實際やらうと思ひましても、斯う云ふ「ドラスティック」な財産税は、是はもう到底永久にやるべきものではないと自分も考へて居る次第であります、唯名目的財産税に付きましては、是は所得税の補充税と致しまして採用すると云ふことは、税制の根本的改革の時には、一つの研究題目と相成ると思ひます、併し是は飽く迄名目的の財産税で、其の税率は非常に低い、所得の補完税として、所謂所得から拂はれるやうな財産税でなければならぬと思ふのであります、最後に、法人に對して財産税を課税するかと云ふ御質問でございまするが、其の財産税は實質的財産税の意味と考へます、今囘法人に對する財産税を止めましたのは、戰時補償打切りに依りまして、大部分の法人は相當痛手を蒙つた、從つて強ひて斯う云ふ實質的な財産税を施行するに及ばない、又もう一つは、個人、法人に財産税を課税致しますと、二重課税にならないか、又第三には、法人に實質的財産税を課税致しますと、生産の障碍になりはしないか等を考へまして、取止めたのでございます、併し補償打切りの措置を講じました後にです、或法人の中では非常に含み資産を持つて居る、非常に擔税力がある者が相當ありまするならば、今後の財政状況に依つて考へられない問題でもないと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=32
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033・片岡直方
○片岡直方君 それぢや政府委員に對する質問は是で終りまして、大藏大臣が見えましたら、質問を繼續致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=33
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034・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 私は此の財産税法の申告とか、納付と云ふことだけに付て御伺ひ致したいと思ひます、昨日物納に依る取扱方法に付ては、順位其の他、橋本委員の御質問に付て御答辯になつて能く分りましたが、延納の場合に對しまして、財産税として利子などを徴ると云ふ御見込でありませうか、如何ですか、之を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=34
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035・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 財産税の延納を申込まれた場合に付きましては、利子を徴收することに相成つて居ります、六十五條に規定致して居ります、其の利子額は年百分の十で計算することに相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=35
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036・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 此の財産税に對して、萬已むを得ないので納付が出來ないと云ふやうな者に利子を認めると云ふことは如何なものでありませうか、是は非常に考慮を要することと存ずるのであります、之に付てもさう云ふ風に六十五條で出來て居りますならば、是は又別でありますが、是は餘程考へて行かなければ私はむづかしいと思ふのであります、第二は普通の個人が自己の家庭の者竝に親族などで拵へました合名會社、合資會社などは、殆ど全財産を投じて、さうして事業の經營に從事して居る者が澤山あると思ひます、此の合名會社とか合資會社とか云ふものの出資に對する御取扱ひ、或は其の方が土地を持つて居るとか、家屋を持つて居るとか、或は他の有價證券などを持つて居ると云ふことでありましたならば、納税が容易であると思ひますけれども、斯う云ふものは有價證券と看做すのでありまするか、或は物納の對象となるのでありませうか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=36
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037・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 財産税の延納を認めますことは、是は例外的の場合でございます、金錢で納めて戴く、又物納して戴くと云ふことが非常に困難な場合、例外的に延納を認めて居るのでございまするが、其の延納を認めました場合に付きましては、矢張り相當程度の利子を附した方が、負擔の權衡から言つても適當であると考へて居ります、殊に或程度物價が騰ると云ふ風なことが考へられます時には、矢張り百分の十程度の利子を附すと云ふことが適當でないかと考へて居ります、次に出資が物納の對象になるかと云ふ問題でございまするが、無限責任社員等の出資に付きましては、餘程考慮を要するのでありまして、斯かる場合は、矢張り納税義務者が同族會社の出資だけだと云ふ風な場合に付きましては、納税の爲に減資なすつて、さうして納めて戴くのが、兩者とも一番便利ではないか、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=37
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038・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 さうして又御承知の通り、事業の經營に從事致して居る者は、或は株式會社などで社長となり、其の經營を擔當して居る者としますれば、會社が金の必要な時に、萬已むを得ないから自己の資産である有價證券などを會社に貸付けると申しまするか、融通をした關係上、其の會社が擔保を以て銀行から金を借入れたやうな場合が澤山あると思ふのであります、斯う云ふ場合に於て、其の會社自體が非常な補償打切りに依りまして逆境に陷つて、殆ど其の擔保と云ふものが返つて來ないと云ふやうな場合も非常に多いだらうと思ふ、さう云ふ場合は、此の申告に對して、それを貸付の有價證券として計上すべきものであるか、或は其の實際會社の價値から見て、其の株式が到底返らぬとあれば、それを無價値として申告するのでありまするか、斯う云ふことに付て一應伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=38
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039・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 戰時補償特別税が課税になりまして、會社が非常な損失を蒙り、資産内容が餘程惡くなつたと云ふ場合に付きましては、企業再建整備法の規定に依りまして整備を致します、其の整備致しました後の状況で株價を決めたい、其の株價を決めます場合に付きましては、株價評定委員會と云ふものを大藏省竝に財務局に置きまして、個々の會社に付きまして財産税の課税價格は是々だと云ふことを決定し、官報其の他で報告致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=39
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040・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 私の質問申上げたのは、それとは少し意味が違ふと思ふのであります、謂はば私が或會社の社長をして居りまして、其の會社が金融をしなければならぬと云ふことの爲に、自己の所有する所の有價證券を其の會社へ持つて行つて、其の會社で擔保に提供して銀行から金を借りたと云ふ場合があるのであります、其の會社が今度補償打切りに依つて非常な痛手を蒙つて、到底資本金でも之を賄ふことが出來ないと云ふやうな場合になれば、其の擔保に提供した所の有價證券は銀行で之を競賣に付して、銀行の收入になるべきものであるか、私が貸した其の有價證券と云うものは無價値だと思ふ、其の會社に對して貸したと云ふことの帳簿上の計算は附きませうけれども、恐らくさう云ふやうな時には、銀行では其の擔保に提供した株式を賣却してしまふのでありまするから、其の貸した有價證券は無價値である、併しながら其の提供した有價證券は立派な有價證券であつて、今日十分なる價値があるものであります、併しながら實質的には無價値になるべきものでありますから、さう云ふものに對して、財産の申告をする時に如何取扱ふべきものでありますかと御伺ひ致したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=40
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041・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 納税者の財産の評價は、三月三日現在で參ります、三月三日現在に既に其の株を會社に譲渡して居られると云ふ風な場合に付きましては、是は債權として評價するのでございまするから、其の債權が其の三日現在にどれだけの價値があつたかと云ふことに依るより外に仕方がないと思ひます、最近に於きまして、さう云ふ財産が非常に惡くなつた、價値が少くなつたと申しましても、法律的には三月三日の現在に依るより外には致し方ないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=41
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042・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 どうも私の申上げることと少し違ふと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=42
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043・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 三月三日の現在に依りますので、其の後、斯う云ふ措置に依りまして財産が非常に滅失した、或は減額致したと云ふ場合に於きましても、控除は致しませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=43
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044・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 私は補償打切りと云ふことが、三月二日前にすべきものでありますか、或は財産税を決定した後に補償打切りをなさるものでありまするか、若し三月二日の時に補償打切りと云ふことにすれば、それが爲に生じた會社の詰り缺損と云ふもの、其の會社へ金を貸した貸付と云ふものは、殆ど只と見て申告すべきものでありませうか如何かと云ふことを御伺ひしたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=44
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045・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 三月三日に其の方が、補償打切りに依りまして非常に價値の下つた株式を御持ちであつたならば、株價の評價に付きましては、補償打切り後の状況に依つて評定致しますから、其の評定價格を三月三日の財産と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=45
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046・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 どうも私の申上げることが、少し局長に御分りにならぬと思ふのですが、私は斯う申すのであります、假に甲と云ふ立派な有價證券があるのであります、是は三月二日であらうが八月十一日であらうが今日でも、立派な有價證券として價格を持つて居るのであります、其の價格を持つて居る有價證券を、三月二日以前に、會社運營の爲に、其の會社の經營を擔當して居ると云ふ關係上、其の會社へ其の有價證券を貸付けたのであります、其の貸付けた有價證券を、其の會社では金融上已むを得ないから、擔保に提供して銀行から金を借りたのであります、其の銀行から借りた會社が所謂戰時補償特別措置法案のやうなことの爲に、非常な惡い結果になつた結果、其の有價證券を貸した所の、經營して居るものが取戻すことが出來ないのであります、何故ならば銀行はそれを競賣して自分の貸付の收入にしてしまふのでありますから出來ないのであります、さうなりますると云ふと、其の貸した人は、貸したことは事實でありますが、貸した金は取れないのであります、會社から其の取れないものに對しても、申告は甲と云ふ立派な會社の株式を持つて居るから、其の株式に對して申告を、矢張り其の時の、三月二日の時價でありますか、三月二日に所有して居る所の價格に依つて届出をすべきものでありませうか、斯う云ふことを御伺ひした譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=46
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047・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御答へ申上げますが、價値のある有價證券を自分の關係會社に御貸しになる、そして單に有價證券を貸したと云ふことだけで、銀行からの債務に付て連帶の責任、或は保證の責任がない場合を考へますると、斯かる場合に付きましては、其の株は矢張り三月三日其の納税者の所有に掛つて居るのでありますから、其の價格で申告なさるのが至當だと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=47
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048・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 是は私と考へ方が違ふのでありまするから、どうも是以上致し方がないと思ひます、御質問を申上げても同じだと思ひますが、唯若しか、私が株式以外に何も持つて居ないやうな場合に於て、其の株式を、全財産を外に貸せてやつたやうな場合に於ては、財産税の納税の方法はないものだと私は思ふ、其のことだけは御考へ置き戴きたい、何れ各委員の方で、私と同意見の方がありましたら、其の方から御質問を願はなければ、私どうも申上げることが下手でありまするか、どう云ふ關係でありまするか、意味が分らないやうな氣が致しまするので、私は此のことは是以上申上げませぬが、假に此處に一つ斯う云ふ例がありますとして、是は如何取扱つたら宜しうございますか、戰災保險金が二十萬圓あつたとして、此の二十萬圓を銀行の借入金と、昨年の八月十五日以前に決濟したものがあると致します、是は無論決濟致しましても、措置法案に依る打切りの對象となることはない、詰り其の二十萬圓は濟んで居つたと云ふ譯には參らぬと思ひます、此の場合、個人として控除金が五萬圓ありますから、其の殘額の十五萬圓と云ふものは、保險金を取つたものに百「パーセント」の税金が賦課されるのであります、然らば此の十五萬圓は財産税申告の時に、借入金十五萬圓計上すべきものでありまするか、或は銀行の方で其の場合申告をなさるものでありまするか、それを一つ誰がするか、させるか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=48
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049・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 只今御話の決濟と云ふのが問題でございまするが、昨年八月十五日以前に特殊預金が現金化して居つた、銀行に債務を支拂ふ爲に現金化してしまつたと云ふ場合に付きましては、措置法第一條第一號の規定に依りまして戰時補償特別税は課税になりませぬ、それが單なる決濟で、所謂企業整備資金措置法第五條の規定に依りまして、特殊預金としてまだ殘つて居つたと云ふ場合に付きましては、今囘の措置法に依りまして、其の方は十五萬圓課税になりますから、是は其の分は三月三日の財産價格から引くことに致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=49
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050・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 さうすると銀行の、早い話が借入金と決濟をした額であります、其の銀行よりの借入金と決濟をした額が、銀行でそれを現金化したかしないかはこちらでは分らないのでありますが、銀行で現金化してあれば課税の對象にはならぬ、なければ課税の對象になると心得て宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=50
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051・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 昨年の八月十五日以前に保險金等が現金化して居ります場合には、今囘の課税の對象にはなりませぬ、現金化されずに特殊決濟の預金證書を持つて居つた場合には、八月十五日以後に現金化した場合には、課税の對象になることを措置法第一條に規定して居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=51
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052・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 私は現金化したか、しないか知りませぬが、今言つた二十萬圓の戰災保險金を持つて居つた、去年八月十五日以前に銀行に二十萬圓の借入金があつた爲に、其の二十萬圓で銀行へ拂ひをして、銀行から詰り借入れした所の證書をこつちで戴いてしまつたのであります、それに對しまして、税金が掛りますか、掛りませぬか、私は現金化したかどうかと云ふことは不敏にして分りませぬが、それはどうなりますか、平易に伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=52
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053・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 斯かる場合に付きましては、戰時補償特別措置法第一條の第一號の既に特殊預金等、即ち二頁の終ひから二行目の方で「決濟のため設定された政府特殊借入金、債務者特殊借入金、特殊預金、特殊金錢信託その他命令で定める債權について、同日以前に」、即ち八月十五日以前に「償還、拂戻若しくは解除又は混同に因る消滅があつた金額に相當する部分を除く。」、此の部分は課税外でごさいます、從つて二十萬圓の銀行からの借金があつて、保險に付きまする特殊預金を二十萬圓貰つて、銀行にそれを提供致しまして、所謂「混同」に依つて「消滅」致しました場合は課税になりませぬ、是は昭和二十年八月十五日以前のもので、所謂現金化したものと見て課税になりませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=53
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054・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 能く分りましたが、尚「家庭用の動産以外の」と云ふのが此處にありまする、三十六條であります、三十六條の中に斯う云ふことがあるのであります、「五十萬圓以下の者については、その家庭用動産の價額は、」と書いてありますから、家庭用動産でも税金を御徴りになるやうでありますが、是は如何でありませうか、又五十萬圓以上のものは、どう云ふ御處置を御執りになるか、伺ひたいと思ひます、第十條で見ますると、私は斯う云ふやうに思ふのでありますが、第十條の一項に、「生活に通常必要な家具、什器、衣服その他の動産で命令で定めるもの」と書いてあります、それに依りまして、三十六條の五十萬圓以下に對しましては五「パーセント」とか申しまするものを家庭用動産の對象としてお課けになるのでありますか、家庭用動産以外の價額として御認めになつてお課けになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=54
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055・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 三十六條の「家庭用動産」と云ふのは、所謂家庭用の動産に課税するのでございまして、是は十條に規定致して居ります生活に通常必要な家具、什器を除いた家庭用の動産でございます、其の除きますことは第十二條に、「第四條第一項又は同條第三項の規定に該當する者については、調査時期において有してゐた財産」、全部の財産でございます、さうして括孤して「第十條に掲げる財産を除く。」と斯うやつて居りますから、十條に規定致して居ります生活に通常必要なる家具、什器、衣類を除きました其の他の家庭用動産でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=55
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056・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 五十萬圓以上のことを一つ伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=56
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057・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 申し遅れましたが、五十萬圓以上の方に付きまして、即ち正確に申しますると、家庭用動産以外の財産が五十萬圓以上の方に、五十萬圓を超える方に付きましては三十六條の規定に依らずに、個々に計算して申告をして戴くことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=57
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058・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 次に財産税の徴收に付ては、種種の順位があるのでありますが、徴收も無論問題になりませうが、所謂財産額より順次昨日の御話のやうに物納しますと、殘りまするものは非常に換金價値のないものになつてしまひ、今後の事業とか仕事の上に於て差支を生ずることは當然と思ひますし、又戰災に依つて家屋を燒失した者で、家財、什器、衣類等を燒失した者に付ては、一人五千圓財産價額より引くと云ふことだけでは非常なる無理だと私共は思ふ、罹災せざる者と罹災した者とに雲泥の差異と申しますか、非常に違ひのあることは御承知の通りでありますが、此の國民生活に差支へることは當然出て來ると思ふのであります、此の場合、どうか取扱の税務署の方に温情ある取扱ひ、所謂國民が生活の出來得るやうに一つ御取扱ひ願つて、相當の斟酌をせられるやうに特に御願ひしまして、私は此の質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=58
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059・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 戰災者の控除に付きましては、御話誠に御尤もでございまして、課税に當りましては十分注意致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=59
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060・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 五十萬圓以下と以上區別したのはどう云ふ譯ですか、金額で五分なら五分と云ふ風にしたら宜いぢやないですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=60
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061・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) それは五十萬圓以上となると金額が大きくなりますから、一千萬圓だと五十萬圓、五百萬圓だと二十五萬圓と云ふ風に比例的に行かないと思ひますので、是は何處迄も拙速主義です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=61
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062・瀧脇宏光
○子爵瀧脇宏光君 私質問致したいことは、昨日と今日で殆ど終つて居りますので、後の方に御譲り致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=62
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063・板谷順助
○板谷順助君 此の動産、不動産の調査時期、申告の時期、徴收の時期が大體豫定されて居ると思ふのでありますが、それを御知らせ願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=63
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064・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 申告の時期は只今の處、一月十五日と豫定致して居ります、納期限は一箇月後と云ふことになつて居りますから二月の十五日になると思ひます、で、只今の處一番問題になりますのは、不動産、預貯金、或は有價證券等は、臨時財産調査令で三月三日現在で分つて居ります、さうして評價の基準を、議會を通過致しましたら、直ちに專門委員會に掛けまして決めて發表致したいと思つて居りますが、唯株價の問題に付きましては、御承知の通りに評價基準をどうするか、未拂込の問題はどうなるか、是が餘程重大な問題でございまして、此の整理が出來るだけ早く着くやうに、關係方面にも言つて居りまするが、如何に早くても十一月以前に決ると云ふことは、なかなかむづかしいと思ひます、我々の方では大體の評價基準を作りまして、今年の七月頃から各會社に付きまして、一應の調査を今進めつつあります、評價基準が決りましたら、それに基いて、我々の見た所を格上するとか格下すると云ふことに依つて、十一月一杯で評價基準が決り準備が出來れば、今年中十二月末迄には、各會社の株價を財産税の課税價格と致しまして決めたいと思つて居ります、今年中にそれが決らないと云ふことになりますと、先程申上げました一月十五日の申告はなかなかむづかしいのであります、之を延しますと今年度の歳入になりませぬので、其處が一月十五日の申告の非常な惱みの點であります、出來るだけ早く關係方面とも折衝致しまして、評價基準を決めて會社の資産を定める手配を執りたいと、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=64
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065・板谷順助
○板谷順助君 それから納税の順序、それは昨日も御話があつたやうでありますが、十分呑み込めませぬので、例へば公債を三月三日以後に所有したものは勅令に依つて定めると云ふやうなこともありまして、之をもう一遍はつきり説明して戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=65
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066・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 物納財産の種類竝に納税し得る範圍でありまするが、物納財産は現金、預貯金を以て納税することが困難な場合には発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=66
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067・板谷順助
○板谷順助君 私は御尋ねして居るのはさう云ふ意味ではありませぬ、先づ第一に、現金、第一封鎖、それから公債、それから第二封鎖がどの順序になるのか、或は又三月三日以後に所有した公債がどう云ふ順序で納まることになるか、それを仰しやつて戴きたいと云ふ意味です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=67
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068・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 第二封鎖預金は別に考へまして、第二封鎖預金に課税になりました財産税は第二封鎖預金から別個に納税致すことにして居ります、さうして第二封鎖預金を除きました財産に付きましては、三月三日に所有なさつて居られる國債、不動産等が納税に充てられるのでございます、調査時期後に取得されました財産を以ての物納は原則として認めないことに致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=68
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069・板谷順助
○板谷順助君 さうすると、今の御話に依ると三月三日以後に所有した其の公債は一切認めない、斯う云ふ御話ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=69
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070・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 左樣でございます、唯譲渡命令に依りまして、政府が交付した公債は是は三月三日の財産が公債に變つたのでございますから、是は認めて行きたいと思ひますが、一般市場で御買いになりました公債は、財産税の物納には充てないと云ふやうに致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=70
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071・板谷順助
○板谷順助君 第二封鎖預金はどう云ふ順序になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=71
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072・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 第二封鎖預金は別個に第二封鎖預金に課税になります分を、第二封鎖預金から納める、即ち第二封鎖預金が五十萬圓でございますと、其の五十萬圓を上積みに致しまして、課税金額三十萬圓と云ふ時には五十萬圓の中から三十萬圓の小切手を切りまして納税に充てる、外の財産とは別個に取扱ひたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=72
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073・板谷順助
○板谷順助君 只今の御説明に依ると、先づ第一に現金、第一封鎖預金で九十二億圓を豫定されて居るやうでありますが、御承知の通り第一封鎖一萬五千圓と云ふものは、生活費の意味に於て是はもう別になつて居る、後は第二封鎖になつて居る、それから又現金と言ひましても、三月三日以後新圓を持つて居る者は、恐らくは十萬圓以上の財産を持つて居る人々には、さう大した現金所有の方はないと思ふ、所謂新圓を現在持つて居るのは農民、漁民或は闇商人、是が大體です、又賃金俸給者の人達も、恐らくは十萬圓以下の納税者であるとすれば、大體此の九十二億を豫定されたのは、どう云ふ御見透しで豫定されたのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=73
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074・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 財産税がどう云ふ財産で納まるかと云ふことは、先程も申上げましたやうになかなか困難な問題でございます、一應私が斯う云ふ風な見込を致しましたのは、現金も或程度十萬圓以上の方も御持ちでせう、又封鎖預金も一萬五千圓と云ふのは、一銀行でありますから、或は三つ、四つの銀行と取引がおありの御方もありませう、又さう云ふものを大體平均的にどの位御持ちだらうかと云ふことを想像致しまして、此の程度の金は入つて來るのではないか、又別に此の財産の評價に付きまして、重大な關係があるのでございまするが、非常に不動産を澤山持つて居られる、殊に家屋を澤山持つて居られる方は、大藏省の不動産評價委員會の評價がどの程度になるか、それが非常に低かつた場合には、物納を致しますと非常な損になる、斯う云ふやうな考へ方の下に、或程度財産を處分せられつつある傾向が見えるのでございます、さう云ふ點を勘案致しまして、又家屋の課税價格は幾らに決るか分りませぬから、兎に角相當財産税納付の爲に財産の處分が行はれつつある等を想像致しまして、斯く見込んだ次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=74
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075・板谷順助
○板谷順助君 恐らくは、あなたの見込は私は外れると思ひます、兎に角一萬五千圓の生活費として第一封鎖に政府が認めて居る此の金は、何と云つても放す譯には行かない、之を納めろと云つたら明日から食ふことが出來ない、さう云ふ問題が起るのでありますから、第一封鎖の預金を此の納税に充てると云ふことは私は無理だと思ふ、從つて結局物納と云ふことになる、物納と云ふことになるのでありますが、此の點に付、さつき株式の問題がありましたので、恐らくは三月二日にはぼろ株で値のないやうな株も、是は届けろと云ふので、持つて居る以上は皆届けた者があると思ふ、又其の後に於て株價が大變動があつたと云ふことはあなたも御承知の通り、補償打切り、其の他の關係に於きまして、先程の御答辯が私ははつきりしなかつたのでありまするが、要するに調査時期と云ふことが此の法文にありまする以上は、調査時期に於て其の株價が幾らの値があるかと云ふことの御計算になるのが當然でないかと思ふのですが、如何ですか、どう御考へになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=75
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076・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 現金、第一封鎖預金に付きましての收入見込が、度々申しましたやうに本當に「ラフ」な見込でありまして、私の見込が非常に違ふと云ふこともあるかも知れませぬが、私は大體其の位は入つて來ると云ふことを期待致して居ります、次に株價の評價を三月三日にするのが當然でないかと云ふ御話でございますが、誠に御尤もな御議論でございまするが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=76
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077・板谷順助
○板谷順助君 三月三日にするのが當然とは言ひませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=77
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078・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 其の原則に從ふのが宜いのぢやないか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=78
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079・板谷順助
○板谷順助君 いや、三月三日に總ての所有株を届けて居るでせう、處が唯表面を見れば、所謂拂込五十圓、或は百圓と云ふ株なんだ、それが中にぼろ株もあり、値のない株も政府は届けろと云ふのであるから、恐らくは納税者は全部届けて居ると思ふ、だから此の株價の評價をするに付ては、今私が申した通り、法文に調査時期と云ふことの明文があります以上は、調査時期に於ての實際の其の株價を斟酌することが當然でないか、斯う云ふ意味の質問をして居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=79
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080・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 此の株價の評價に付きましては、三十條の第三項に規定を致してあります、正確を期する爲に讀んで見ます、「株式その他の出資の價額は、命令の定めるところにより、その取引價額、當該法人の資産及び收益の状況、類似の他の法人の株式その他の出資の取引價額等を參酌して定めたものによる。」と、其う規定致しまして、調査時期とは言つて居りませぬ、而して此の「命令の定めるところにより、」と申しますのは、是は大藏大臣の指定した期間と云ふことに致して居ります、何故そんなに書いたかと申しますると、三月三日から餘程期間が離れて居ります、又其の間に軍需補償打切り、其の他一聯の非常にひどい施策が執られました爲に、却て其の施策後の状況に依つて決めた方が適當である、所謂納税者が其の方が實際に即し、納税し易いだらうと云ふ考で、斯く株式に付きまして、調査時期に依らないことに致したのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=80
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081・板谷順助
○板谷順助君 大藏大臣の命令に依つて定めた時期と云ふのが何時であるか分らぬが、恐らくは私は今申上げまする通り、三分の二以上は物納だと思ふ、又物納する人は延納を希望されて居ると思ふが、併し尚一割の利子を附けられるので、斯う云ふ馬鹿げた利子があるべき筋のものでないと思ふが、それは兎に角として、此の命令に依りますと云ふと、延納した場合に於ては、税務署長に於て確實と認めたる有價證券、斯う云ふ文字がある、確實と認めたもの、さうすると、反對に考へると云ふと、税務署長が認めない所の株は價がない、或は中にはまる切り値打のないものもあるだらうし、半額のものもあるだらう、さうすると云ふと、税務署長が確實の株でないと云ふ場合に於て、株價の評價が其處に問題になる譯でありますが、是はどう御考になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=81
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082・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 其の株に付きましては、確實なりや否やと云ふことは、一應財産税の課税の對象になつた價格の程度は確實なものと見るべきだと、其う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=82
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083・板谷順助
○板谷順助君 其の株價を決めるに付ては、財産評價審査委員會と云ふものがあるのですが、之に御掛けになりますか、是はどれ諮問機關でありますけも、詰り何ですか、期間に依つて定めることになるのですか、税務署長が唯單に世間の事情も分らずして、此の株は是だけの價と云ふやうなことになつたら、非常に茲に危險が起るのでありますがそれはどう御考になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=83
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084・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 株價の評價に付きましては愼重を期しまして、大藏省と財務局に株價評價委員會を設けまして、さうして定めて行きたい、さうして其の評價に當りましては、民間の精通者の意見を十分御聽きする考で居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=84
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085・板谷順助
○板谷順助君 さうすると大體審査委員會と云ふものが重大な役割になることでありますが、矢張り其の經驗を有する者と云ふやうなことの、茲に命令事項の規定がありますが、一體どんな風な構成でおやりになると云ふ、大體何か腹案がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=85
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086・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 只今の處大藏省に置きまする株價評價等委員會に付きましては、是は資本金一千萬圓以上の會社を大藏省で決めたい、而して其の場合に於きましては、貴衆兩院の方々、或は會社に關係して居られる方方、或は事業に精通された方々、又取引の状況等に通曉して居られる方々においでを願ひたいと思ひます、又財務局に置きますものは一千萬圓未滿の會社の株價の評定でございます、是は勿論株式會社の本店所在地の財務局で決めるのでございますが、東京、大阪が殆ど大多數を占めて居ります關係上、東京、大阪に付きましては、只今申上げたやうな方法で行き、地方の財務局に參りますと、是は只今申上げた程度の方が、取引員なんかもさう居ない所でございますので、或程度構成が違つて參ると思ひまするが、飽く迄是は、地方の實際經濟面の御分りになる方、勿論貴衆兩院の方も御入り願ふやうに相成ると思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=86
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087・板谷順助
○板谷順助君 まあ兎に角不動産なり、或は有價證券の評價と云ふことは、是は重大な問題でありまして、餘程愼重に御取扱にならぬと云ふと、恐らくは殆ど苦情百出で、なかなか納らぬと思ふのでありますが、まあ十分一つ御注意を願ひたい、其の次に伺ひたいことは第二條に、財産税は命令で定める外國人には此の税を課さない、其の命令なるものは、世界聯合に加入する外國人とすることと思ひますが、さうすると云ふと朝鮮人或は臺灣人の如きは、聯合國に加入して居らない臺灣はどうか分りませぬが、之に對して現在御承知の通り國内に於て彼等は非常な財産を持つて居る、是はどう云ふ風な御取扱をなさるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=87
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088・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御話の通りに、世界聯合に加入して居ります外國人には課税致しませぬ、朝鮮人には課税致します、臺灣人に付きましても、只今の折衝の結果では課税致すことに致して居ります、さうして是等の者は矢張り三月三日に財産を申告致して居りまするから、此の申告に依つて課税して行きたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=88
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089・板谷順助
○板谷順助君 尚序に伺ひますが、中國人が東京に於て支那料理屋をやつて、月に三百萬圓以上の商ひをして居ると云ふ例があります、是は無税だと云ふ御話ですが、其の通りですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=89
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090・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 中國人に付きましても所得税竝に物品税、遊興飮食税は課税する建前になつて居ります、それは先般聯合國司令部から確認せられて居ります、原則は課税するのでございますが、今ちよつと、或税に付きまして向ふが困る、其う云ふので折衝中でございますが、敦れに致しましても、課税することは理論上も當然でございまして、課税すべく努力致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=90
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091・板谷順助
○板谷順助君 先方が困るからと言つて、非常な暴利を貧つて居るのに、それをどうも、どう云ふ事情があるか分りませぬが、如何に敗戰國と雖も、もつと強く出て、徴るものはお徴りになつたらどうですか、次に伺ひたいのは第七條と第三十二條の關係が明かでありませぬが、之をもう一遍御説明を願ひたいと思ひます、と云ふのは第七條には「調査時期において現に存した郵便年金契約で、その時までに云々」、「契約者がその契約に關する權利の全部を有してゐたものとみなして、」と云ふことが書いてある、三十二條には、郵便年金或は生命保險契約で、「その時迄にまだ保險事故が發生してゐなかつたものに關する權利の價額は、調査時期までに拂ひ込まれた掛金又は保險料の合計額に、命令で定める割合を乘じて算出した金額による。」と云ふやうになつて居るのですが、例へば一例を申上げますると、兎に角三月二日の時期に三萬圓の保險を掛けて居つた場合に於て、三萬圓の届出をして居る、處が、保險の年限がまだ長い關係から、今後受取る場合に於ては、保險協會の話では恐らく三割位は引かれるだらう、それから又三月二日以後に於きまして、三萬圓を契約した者が途中で解約した場合に於きましては、殆ど半分も取れない、其う云ふ問題があるのですが、是はどう云ふ風に御取扱になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=91
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092・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 此の七條は保險契約の場合に、誰の財産か、其う云ふことを決めるのが第七條でございます、斯かる場合に、其の評價をどうするかと云ふのが三十二條の規定でございます、保險契約は三萬圓でございましても拂込濟保險料が、例へば一萬二千圓と云ふ場合に於きましては、拂込濟の保險料の六掛を財産價額として計算するのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=92
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093・片岡直方
○片岡直方君 議事進行のことで質問して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=93
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094・三土忠造
○委員長(三土忠造君) どうぞ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=94
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095・片岡直方
○片岡直方君 先程私、質問を留保して居ります件に付きまして、幣原國務大臣の御出席を要求するのでありますが、委員長に於て御取計ひをして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=95
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096・板谷順助
○板谷順助君 次に伺ひたいのは、第二十五條に「土地又は家屋の價額は、その賃貸價格に一定の倍數を乘じて算出した金額による。」と云ふことがありますが、此の一定の倍數と云ふのは、何か基準がありますか、次に土地の權利金、即ち借地權の價格もそれと同樣に一定の倍數を乘じて算出した金額に依る、例へば一例を申上げますと、東京都の銀座方面に於きまして權利金を一坪一萬圓乃至それ以上も取つて居ると云ふやうな状態でございます、斯う云ふものはどう云ふやうな算出をなさる御考へですか、一定の所謂倍數に依つてと云ふ、其の基準は何處にありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=96
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097・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 其の一定の倍數とは、次の二十六條に掲げてあります、即ち「前條第一項の一定の倍數は、命令で定める區域ごとに、」斯う申しますのは、勅令案の要綱に規定致して居りますが、東京都では區、市制施行地、郡、を單位に決めたいと思ひます、「前條第一項の一定の倍數は、命令で定める區域ごとに、その區域内において標準となるべき土地又は家屋について、取引價額を參酌して、政府において算定する價額の、その調査時期における賃貸價格」、是は法定賃貸價格でございます、此の賃貸價格に對する倍數を言つて居るのであります、從ひまして全國各土地に付きましては、法定の賃貸價格がございます、さうして一定區劃の標準となるべき土地に付きまして、時價がどの位して居るかと云ふ時に、其の法定賃貸價格に對する時價の倍數を決めて、さうして其の倍數を状況の類似して居る土地に對しまして乘じて價額を算定する、斯う云ふ仕組になつて居るのでございます、御話の最近銀座邊で、通りに面した所は非常に高い地代なんか拂はされて居ると云ふことを聞いて居りますが、大きい面積の筆の中で、極く一部分を使つて居ると云ふ場合の評價は、なかなか困難と思ひます、臨時的にさう云ふやうな高値を呼んで居る價格に直ぐ囚はれて行くと云ふことも如何かと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=97
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098・板谷順助
○板谷順助君 併し是は不公平のないやうに御取扱にならぬと、東京都の繁華地方面に於きましては、無法な所謂權利金を取つて居るから、是等に對しては實情に即して矢張り課税なさる方が私は宜いと思ふ、唯一定の倍數と云つて見た處が、之を見ても能くはつきりしませぬから、今御尋ねした譯であります、それから物納した場合に於ける土地家屋の處分に付ては、屡屡他の委員からも御質問になつたのでありますが、私は或は三年、五年掛ると云ふやうな御見込であるならば、寧ろ勸業銀行あたりに年賦で以て金を借りて政府に納める、成るべく戰爭前から持つて居つた家屋は、其の所有者が所有し得るやうな方法を御執りになるのが當然ぢやないかと思ふ、それに付ては今申上げるやうに、是は或は競賣に附すとか、或は色々な問題が起りましても、又住んで居る家屋を明け渡しすると言つても、是はなかなか出來はしませぬ、恐らくは立退を命ぜられましても、三年も五年も、今斯う云ふ時代になりましたから、其の儘私は皆居るだらうと思ふ、其の處分なんか出來やしない、出來やしないから、例へば株に致しましても、不動産に致しましても、勸業銀行あたりで年賦鎖却をする、斯う云ふ途を矢張り御開きになるのが當然ではないかと考へるのでありますが、御意見如何でございませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=98
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099・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 個々の場合に付きましては、さう云ふ風な方法で行つた方が、政府も納税者の方にも利益であり、便利である場合は多からうと思ひます、斯かる場合に付きましては、勸銀其の他の銀行から年賦で借り入れて納めて戴く、斯う云ふ方法になる場合も相當あると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=99
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100・板谷順助
○板谷順助君 斯う云ふ方法になる場合もあると云ふことでなく、進んで、矢張りさう云ふ方法を御執りになつたらどうかと思ふ、それは要するに大藏省の御考で以て、勸業銀行方面に積極的に之に對する所の融資をやれと云ふやうな御運びになつたならば如何です、場合に依つてやる方法もある位の程度では、私はどうかと思ふ、さうせぬと、物納で以て不動産或は株券を納めた者が、兎に角自分の家を離れると云ふことは、是は重大問題であります、だから、是は積極的に一つ御考を願ひたいと思ふ、それから船舶を、若しですな、物納した場合に於ては、海運局で大體の標準價格と云ふものを定めて居りまするが、それにお據りになる御考へでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=100
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101・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 船舶の評價に付きましては、海運局竝に業者の意見を聽きまして、適當に決めたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=101
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102・板谷順助
○板谷順助君 私はまだ厚生大臣に對する質問もありますが、是で保留さして戴きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=102
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103・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 厚生大臣ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=103
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104・板谷順助
○板谷順助君 はい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=104
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105・三土忠造
○委員長(三土忠造君) それでは、もう時間がありませぬから、是で休憩致します、午後一時から開會致します
午前十一時五十三分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=105
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106・会議録情報3
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午後一時四十一分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=106
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107・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 午前に引續いて會議を開きます、板谷君、大藏大臣に……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=107
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108・板谷順助
○板谷順助君 先程來、政府委員の主税局長に質問致したのでありまするが、どうも主税局長の立場では、所謂税本位に國民から出來るだけ税を徴りたい、又世間の状態が如何なる變化になつて居るかと云ふことに付ても、餘りどうも失禮ながら深く御注意を拂つておいでにならぬやうに感ぜられる、そこで私は大藏大臣に質問せねばならぬのでありますが、先づ第一に御尋ねしたいことは、今囘の財産税の徴り方に付きまして、先程の御説明に依りますと云ふと、現金第一封鎖で以て九十億圓を豫定されて居る、處が御承知の通り、一萬五千圓は第一封鎖として是は生活費に當てられる、又新圓と申しましても、あれは農村漁村は相當の新圓を持つて居りまするから、新圓に依つて納めることは出來る、併しながら今日一般の財産家と稱せられて居るものは、新圓の獲得と云ふものは殆ど不可能であります、或は事業をやつて居りましても、株の配當はなく、或程度赤字でありまする關係から、賃金、俸給其の他の支拂と云ふことに付ても、是も殆ど收支が其の方面に取られて居るのでありまするから、なかなか其の點は私は困難と思ふのであります、處で此の點に付きましては、恐らくは私は財産税の納付、先程の御話に依れば三月三日の公債、是は勿論認める、其の後に買求めた所の公債は絶対に認めない、又第二封鎖預金に付きましても、是も今後如何なる状態になるか分らぬと云ふやうな有樣でありまするから、定めし今後の財産税の納付は大部分が物納と見ねばならぬ、物納と見た場合に於きまして、恐らくは延納になるものが私は多いと思ふ、それが爲に政府としては成るべく早く納めさせたいと云ふ御考から、年一割の高利の利子を附せると云ふやうなことになつて居りまするけれども、併しながら例へば利子を納めると云ふことになつても延納が私は多いと思ふのであります、そこで問題は例へば土地家屋を物納に致しました場合に於きまして、先づ第一に先祖傳來多年の間住居した家を放すと云ふことは誠に心苦しい、又空けろと言つても恐らくは三年や五年は頑張つて空けない人々が多いと思ふのであります、そこで私は成るべく現金其の他に依つて納めさせたいと云ふ政府の御趣意でありませうけれども、此の物納、所謂住宅に對する取扱に付きましては、例へば勸業銀行其の他の銀行を利用致しまして、低利資金に依つて之を順調に納め得ると云ふ其の手段を政府が積極的に御採りになるべきものではないかと思ふのであります、處が、先程主税局長の御答辯では、或はさう云ふやうな場合もあり得ると云ふやうな、極めて簡單な御答辯でありましたが、大藏大臣と致しましては、今日の世の中の變化情勢に應じて、之を積極的にさう云ふ手段を御執りになるべきものぢやないか、實は委員會の空氣が或程度迄但書を附けて修正したらどうだと云ふやうな御意見も相當にありまするので、之に對する大臣の御答辯を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=108
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109・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) それは昨日も御答へしたやうに記憶して居りますが、無論御話のやうな場合があることを想像して居りますので、それは豫ね豫ね大藏省の中で其の場合に勸業銀行、其の他の信託會社と云ふものの利用を納税者にして貰ふと云ふことを研究致して居ります、積極的にと云ふことが、併しそれは全く已むを得ない時のことでありまして、何でも彼でも貸すと云ふ、斯う云ふこともいかぬかと思ひますが、出來るだけは一つさうでない方法で納めて行くのが税の建前から言ひましても、或は今後の「インフレ」問題に付きましても、必要だと思ひますが、住宅の如きは確に御話のやうな困難があります、其の場合も亦十分に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=109
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110・板谷順助
○板谷順助君 それは大臣、委員會の空氣は、あなたが十分に御考になつて居る、或は研究して居ると云ふ程度ぢや、滿足を議員諸君は致しませぬ、場合に依つては但書を入れて、さうして所謂自分の先祖傳來の財産、或は自分の住宅を保護する爲に、之を積極的に今申上げまするやうに、場合に依つては但書を入れると云ふ迄の空氣であります、であるから、今あなたが研究するとか、或は場合に依つてはと云ふやうな御意見では滿足致しませぬ、若しさう云ふやうな御答辯であるとすると云ふと、或は此の委員會に於て今申上げるやうに、但書を入れて修正するかも知れませぬ、もつとしつかりした御言明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=110
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111・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) いや、私は相當しつかりした御返事をして居る積りなのであります、唯具體的に、それぢやどう云ふ手段方法と云ふことはもう少し細かく研究しなければなりませぬから、そこで手續とか何とか云ふものが決つて居りませぬから御答が出來ないのであります、それはさう云ふ場合には、金融の方法に依つてやる積りがあると云ふことは衆議院に於ても、さう御答へして居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=111
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112・板谷順助
○板谷順助君 他の委員諸君はどう御考になつて居るか分りませぬが、兎にも角にも大臣が確かにやると云ふ言明で滿足は出來るかどうかと云ふことは、是は後日の問題に譲ります、そこでもう一點伺ひたいことは先程主税局長の御答辯に依りますと云ふと、株價の評價に付きましては、三月三日を基準にすると云ふ初めに御話があつた、是は要するに今申しますやうに、主税局長としては税を徴る本位で御考になつたことと思ふ、併しながら其の後の更に御答辯に依ると云ふと、調査時期、即ち所謂政府に於て調査時期に於ける其の當時の評價を斟酌をする、斯う云ふ御答辯があつたのでありますが、三月三日の政府の所謂有價證券を届出をした場合に於きましては、殆どぼろ株同樣で、値打のない、或は又其の後に於ける所の補償打切り、或は財産税の徴收其の他の關係に於きまして、重大な變化が今日來て居るのでありまするが、此の點に付きまして、或は既に或程度の御答辯になつて居るかも知れませぬが、此の機會にもう一遍一つ其の方針に付てはつきり御答辯を一つ御願ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=112
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113・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 是は私からも、或は主税局長からも御答を屡屡申上げて居るやうに存じます、基準は無論三月三日でありますが、併し其の後非常に變化して居りますから、殊に私共が始終今囘の法案に付て心配しましたことは、戰時補償特別措置の關係であります、株價と云ふものが非常な變化を來して居る譯であります、其の點は十分考慮して評價をする、斯う云ふことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=113
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114・板谷順助
○板谷順助君 さう致しますと、大體政府の方針は分りましたが今の不動産の取扱に付きましては、私は大臣の言明だけで滿足は出來ませぬ、が併し他の委員諸君からも、又色々御意見もあると思ひます、で、私は大臣に對する質問は此の程度にして発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=114
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115・片岡直方
○片岡直方君 大藏大臣に御尋ねしたいのでありますが、先刻主税局長に御尋ねしましたことは、此の財産税の目的が奈邊にあるか、それの御答辯に依りますと、「インフレ」防止と云ふ意味も含まれて居るのである、私は色々御話しして含まれて居ると言うても、實際は違つて居ると思ふ、それは議論だつたので、私はそれは撤囘致しました、何時迄やつても切りがありませぬから、それで、それならば此の理由書にあります通り、財産税税の終ひにあります通り、「緊要な國庫收入を確保するとともに、富の均衡化」、斯う云ふやうに書いてあるのだから、詰り財産税と云ふのは富の再分配、歳入の不足填補、斯う云ふことに考へられますかどうか、それは正に其の通りだ、斯う云ふ御答がありました、そこでそれに關聯して御尋ねしたいのであります、さう云ふ風になつて參りますると、私が特に御質問したいことは、富の再分配と云ふことを考慮して居られると云ふことならば、特に是は重大なことでありますから、明確に御答を願ひたいのでありますが、將來我が國に於ては貧富の懸隔と云ふものを絶對になくなすと云ふ根本的の御考へであるのかどうか、それから經濟の民主化と云ふのは、富める者の存在を認めないことになるのかどうか、それから資本主義經濟に對して、どの程度の社會主義理念を織り込まうとする考であるのか、此の點は特に重大なことでありまして、今日の時代に於きまして、政府の御答辯を拜聽して居りますると、どうも明確な御理想がないやうに思ひます、例へば色色物價の問題を質問致しましても、闇値と公の間とか云ふやうな風で、何か斯う中間を行つて居るやうな風に聞えるのでありますが、現代に於きましては此の問題は特に重大でありますので、一つ日本として現在の政府としてははつきりと明確に、資本主義で行くのか、或は社會主義で行くのかと云ふことの明確な方針を一つ御示しを願はないと、非常に今の時代は唯中間を行くのだ、兩方を突き合はして行くのだと云ふことでは、國民は納得しないと思ふのであります、もう其處迄來て居るやうに私は考へますので、之を特に大藏大臣に一つ明確に御答辯を願ひたいのであります、それから政府は、我が國將來の經濟界竝に國民生活を、どう云ふ政治思想の下に指導して行くのかと云ふことに付ての明確な御方針も承りたい、それから又米國其の他の所謂「デモクラシー」國家と云ふのは、富の偏在とか不均衡を是正する爲にどんな政策を執つて居るのか、之に付ても併せて明確な御答を願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=115
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116・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 社會の理想としては、貧富の懸隔を成るべくなくすると云ふことは、是は理想的な社會であらうと思ふのであります、併し是は皆を貧乏にしようと云ふのでなく、皆を大盡にしようと云ふのであります、是は日本の現状に於ては遺憾ながら、國全體の經濟界が斯うでありますから、皆貧になつてしまふので困るのでありますが、皆貧でなく、皆富にしなくちやいかぬ、是は理想であります、是は理想でありますから、今日明日に出來ると云ふ譯でありませぬが、それを目標に進まなければならぬと考へて居ります、それから資本主義と社會主義の問題は、なかなか面倒でありますが、現在の政府の方針は、無論資本主義と斯う言つても、其の資本主義にも色々ありますから、社會主義、資本主義の定義が世界中に何十とあるさうでありますから、其の解釋如何に依つては色々になるかも知れませぬが、大體まあ私共の考は、個人の「イニシアチヴ」を認めて居る、もう一つ具體的に申せば、私有財産を認めて居る、其の建前で經濟を營んで行く、併しながら其の中には現に國有鐵道の如きものもあるのでありますが、公共の利益に關するものに付ては、私有財産を認めると言ひながら、それを公營、或は國有國營にすると云ふことは、是はもう今更でありませぬ、過去からの流れであります、ですから、之を若し修正資本主義とでも云ふ言葉を使ふならば、修正資本主義と云ふ言葉で、曖昧でありますが、使ふならば、或は修正資本主義と申して宜いかも知れませぬ、大體其の程度の立場に我々は今立つて居ります、それから今後の國民を指導する政治思想と云ふ御尋は、實はちよつとはつきりしないのでありますが、是は私は自由主義、「デモクラシー」と理解する、正しい意味の個人主義、其の立場で我々は今後、指導と云ふか何と云ふか知りませぬが、それを政治理想として居る、是は現内閣全體左樣な立場に立つて居ると私は信じて居ります、それから最後の「アメリカ」や英國の「デモクラシー」、まあ「アメリカ」でありますが、「デモクラシー」で、貧富の縣隔問題と云ふのでせうか、之をどう取扱つて居るかと云ふことは、ちよつと此處で詳細なことを申上げ兼ねますが、まあ今迄のやり方は、大して顯著なことは、「ドラスチック」のことはないと思ひますが、併しながら生活費の確保でありますとか、或は同じことでありますが、最低賃金俸給の確保でありますとか、或は又日本でもさう云ふことを近くやられなければならぬかと思ひますけれども、「アンチ・トラスト」法とか云ふやうなことで、直接に貧富の懸隔をなくなすと云ふやうな、「ドラスチック」な方法は大して執つて居らぬと思ひますが、まあ色々の側面から富の分配を成るべく衡平にしよう、國民の收入を衡平にしよう、斯う云ふ努力は、是も今更でなく長くやつて居りますが、矢張り日本に於ても、まあ少くも當分の日本の社會と云ふものは、左樣な行き方で參るべきものだ、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=116
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117・片岡直方
○片岡直方君 どうも、もう一つ私御答辯がはつきりせぬやうに思ふ、それでまあ議論して居つても仕樣がないのですが、先程も申上げました通りに、今の現代は非常にむづかしい時でありまして、寧ろ積極的に方針を、今はさう云ふ御答辯で宜いのかも知れませぬが、本當に一つ政府としてははつきりとした明確な指導方針を御立てになると云ふことが、非常に必要になつて來たんぢやないか、斯う云ふ風に私は感じますので、議論をして居つても始まらぬが、さう云ふ風に感じますので、是は一つ大藏大臣も御考慮願ひたい、斯う思ふのであります、是は速記を止めましても結構でありますが、然らば米國は日本に對して、日本の國をどう云ふ風にしようと考へて居るか、之に付ての御意見を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=117
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118・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 前半は御質問ぢやありませぬが、それはまあ片岡さんの仰つしやることと同感であります大、體の氣持は皆一致して居ると思ひますが、はつきりとした、それでは申合せか何かあるかと言へば、是は左樣な段階に實はなつて居りませぬが、閣内で折々さう云ふ話はして居りまして、はつきりした方針を立てる積りで居りますが、尚一層はつきりさせることに努力致したいと居ひます、それから米國が日本に對してどう云ふ氣持で居るかと云ふことは、實はさう明確には聽いた譯ではありませぬから、向ふにどう云ふ積りだと言へば、極り切つた返事をするのであります、はつきりしたことは私から申上げ兼ねるのですが、私などが民間に居りまして、向ふの者と接觸し、又政府に入りましてから、殊に色々の問題で接觸致しました結果から申せば、今日色々のことをやつても、矢張り一應此の財閥解體と云ふことが非常に強く、從つて獨占資本と言ひますか、獨占資本の排撃と云ふことが非常に強く氣持の中にあると思ひます、是はこちらへ來て居る司令部の人達が必ずしも考へて居ると云ふだけでなく、或は來て居る人達は日本の實情を知つて、寧ろ違ふ考を持つて居る人もあるやに私は考へますけれども、矢張り「アメリカ」の輿論、若しくは「アメリカ」以外の外國の輿論もあるかも知れませぬが、さう云ふやうな輿論はまだ日本には何と言つても財閥と云ふものが、私共は財閥なんと云ふものはもう潰れてしまつたものだと思つて居りますけれども、まだ潰れて居ない、いつ何時さう云ふものが擡頭して來るかも知れぬ、それに又一種の軍閥みたいなものが結附くかも分らぬと云ふやうな懸念を持つて居ります、是は最近やつて居る色々の點から見ると了解が出來る、さう云ふ點を強く感じます、併し是は惡意を持つて居るとは思ひませぬ、矢張り日本を再興させなければならぬと云ふことは確かに考へて居る、併し今の財閥等を解體させる、之を何處迄も滅してしまふと云ふことと、それから日本を再興させると云ふこととが兩方結附いて居りますから、我々から見ると、其處に何か矛盾を生ずるやうなことがある、さう云ふ點は無いか、是はまあ私の想像でありますから、さうであると斷言は出來ませぬが、只今私のちよつと感じて居ります所を率直に申上げれば、さう云ふ風であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=118
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119・片岡直方
○片岡直方君 此の問題に付ては議論ではいかぬのでありますから、私は是で打切りますが、實は幣原國務大臣の御出席を願ひましたが、委員長どう云ふ風に御計ひになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=119
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120・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 差支へがあつて今外出されたやうですが明日にでも発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=120
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121・片岡直方
○片岡直方君 それでは明日にでも致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=121
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122・黒田英雄
○黒田英雄君 私の御尋ね致しますことは、必ずしも大藏大臣の御答辯を得なくても宜いのでありますが、併し大藏大臣に是非聽いて戴きたいと思ふことがあるのであります、先日來の各委員の質問應答に依りまして、財産税の課税の目的となりまする財産に付きましては、土地建物の如き其の價格の標準が賃貸價格の一定の割合と云ふことでありまして、どれ程であるかと云ふこともまだ分らないやうな状況であるのであります、其の他只今の板谷委員の御質問に依りましても、株價の如きも、まだどれ位になるかも分らないと云ふ風な状況であるのでありますが、併し參考として御提出になりました表に依りますれば、個人の財産總額は四千三十二億圓と見積られて居ります、其の中十萬圓を超えるものは千三百五十一億圓と云ふ風に見積られて居りまして、さうして税額は四百三十五億圓の收入があると云ふ風に御計算に相成つて居るのであります、此の總額はどう云ふ風な基礎に依つて御算出になつたのでありますか、先程申しましたやうに、まだ住宅、土地等に付ても、どれ位の倍數と云ふことも分らぬと云ふ御説明であるに拘らず、之を御算出になつて居るのでありますから、恐らくは凡そ賃貸價格の何十倍と云ふことを標準にして出されたのぢやないかと思ふのであります、先づ第一に此の點の御説明を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=122
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123・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 大體最近の經濟事情を加味致しまして土地、建物に付きましても、各地方に依つて餘程違つて居るのでありますが、只今の處では、村落部の家屋に付きましては、大體一坪百六十圓程度、町制地に付きましては、二百三、四十圓程度、市制施行地に付きましては三百五、六十圓程度、斯う云ふ風な全體的の見方で、一應の計算を致して居るのでございます、市制施行地も只今申しました數字は、六大都市を除いたものでございまして、六大都市に付きましては大體是は各地に依つて餘程違つて居りまするが、千圓位の見込で一應計算致しました、宅地に付きましても其の地方々々に依りまして、餘程倍數は變つて居ります、東京都内で申しましても、例へば昔から繁華であつた日本橋、京橋邊の倍數と、新市域即ち世田谷、杉並の倍數とは、賃貸價格の附け樣が、昭和十一年の十年も以前のものでございますので、餘程變つて來ると思ひます、又六大都市の中でも、京都と大阪とは餘程變つて來るのでありますから、平均的に何倍と云ふことは申上げ兼ねるのでございます、例へば畑に致しましても、黒田委員御承知の通りに、畑の賃貸價格は畑として附けて居ります、そこで東京都内にありまする所謂三十五區内にあります畑も、或は三多摩邊の畑も、畑としての利用價値で賃貸價格は出來て居るのでありますから、廣い意味の東京都内の畑に付きましても、或は百五十倍、二百倍も時價から申しますと附けなければならぬやうな畑もあるのでございます、是はまあ幸に畑は農地調整法のあれに依りまして、一律に決まり得るから、田畑に付ての問題はございませぬが、山林等に付きましては、山林としての利用價値で見て居りますので、住宅地になるやうな山林に付きましては、相當の倍數、例へば千倍位の倍數を附けなければならぬ土地もございます、又山間僻地の山林になりますと、五十倍とか六十倍とか云ふやうな倍數になると思ふのでございますが、大體の基準と致しましては、只今申上げましたやうな全國の概算を總體的に見まして、少くとも評價は此の位に行くのではないかと云ふ達觀で決めたやうな次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=123
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124・黒田英雄
○黒田英雄君 各地方に於きまして土地、建物の賃貸價格の決め方竝にそれの倍數の違ふことは御説明の通りであらうと思つて、是は能く承知して居りますが、此の數字を出されました、起算の根據にされたのが何倍になつて居るかと云ふことを實は伺ひたかつたのであります、然らばそれを一々御話になるのもどうかと思ひますので、御尋を變へまして、是は全國を纏めて御算出になつたのでありますか、或は各税務署毎に、税務署から凡そ自分の管内に是だけあると云ふ風にして、それを財務局で纏めて集計なさつたものでありますか、其の點を先づ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=124
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125・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御答へ申上げますが、各税務署で調査した數字を纏めたのではございませぬ、財務局で大體の意見、其の財務局管内に於ける村部の、例へば住宅はどの程度か、或は町制地はどうか、市制施行地はどうか、斯う云ふ意見を聽きまして、さうしてそれを集計し、主税局としての達觀を加へた數字でございます、で個々の場合、即ち市、郡にどう云ふ倍數を使ふかと云ふ問題に付きましては、今年の八月頃から調査に取掛りまして、只今財務局の擔當官が一局數名づつ參りまして今月の七日から審議に掛つて居ります、それを審議致しまして大體大藏省の案を作り、法律にありまするやうに、各財務局の不動産評價委員會に提出する原案を作成しよう、斯う云ふ段取りになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=125
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126・黒田英雄
○黒田英雄君 それで大體御算出の方針は分りましたですが、それに依つて茲に四百三十五億圓と云ふものの税額が算出されて居るのでありまするが、政府の御方針と致しましては、此の四百三十五億圓を取ると云ふ目標で參りますと、今申しますやうに、此の算出の基準が大體達觀でおやりになる、殊に各地方財務局に於て其の管内を調べて、大體どれ位になつて居る、どれ位徴れるだらうと云ふ風な案が出て居るものと思ふのでありまするから、從つて此の今の見込が若し輕きに過ぎて居るものであるとしますれば、四百三十五億圓以上のものが自然に入つて來ることになりますけれども、若し其の見積りが過大であつたとしますと、四百三十五億圓の收入を擧げまするに付きましては、どうしても課税價格をそれに必要なやうに引上げて來なければ、是だけの收入が入らないと云ふ結果に相成つて來ると思ふのでありまするが、勿論大藏省として各財務局に四百三十五億圓を割當てて、是だけのものを徴れと云ふ風な御指圖をなさらないことは、從來の大藏省に於てもさう云ふことは決してなかつたことは私は承知致して居るのでありまするが、世間ではさう云ふ疑も持つて居るやうであります、併し今囘の財産税は初めてのものであり、又一時的のものでもあるのでありまするから、さう云ふ疑惑を持つ人も無理からぬことと思ふのでありますけれども、若し此の見積りが今迄のが寛であつたとするならば、さう云ふ結果を起しはしないかと云ふ心配も出て來るのも無理からぬことと思ふのでありまするが、其の點は大藏省と致しましては、勿論さう云ふことはなく、實際に之を適用する上に於て此の算出が少し大きに失したと云ふ風な結果を來した場合に於ては、此の税收入は減じても差支ないと云ふ今御考へであるのでごさいませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=126
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127・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 四百三十五億圓の收入は、動きましても餘り大差はないと云ふ確信を持つて居ります、是は土地に付きましても、或は家屋に付きましても、皆評價委員會で決めますものでございまするから、四百三十五億、所定の收入が足りないから、大藏省が割當てるとか何とか云ふことは、是は實際的にも又理論的にすべきものでもございませぬし、又出來ないやうになつて居るのであります、從つて各財産に付きまして私が一應見込んだ數字は、各種類の財産では高目になつて居るのも、低目になつて居るのもあると思ひまするが、大體に於きましては見込が違はないと、斯う考へて居ります、又見込が違つたやうな場合に付きましては、是は人爲的に作爲すべき筋合のものではないと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=127
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128・黒田英雄
○黒田英雄君 從來所得であるとか、營業の收益であるとか云ふものは、どつちかと云へば豫算に少く見積られて、其の收入を多く、所謂自然増收が起つて來ることが例であつたやうに承知致して居るのでありまするが、併し今囘のは全く新たなものであつて、只今御説明のやうに、色々委員會もあることであるし、それで決められるのでありまするから、大藏省の此の御算出になつて居りまする見込が、今主税局長の仰つしやるやうに極めて正確なものであれば誠に仕合せと思ふのであります、十分色々御研究になつて御決めになつたものでありますから、大した間違はないと思ひまするけれども、世間で心配致しまするやうに、どうしても此の際税收入を上げると云ふ目標を以て、色々課税標準の上に無理のないやうにあること 私は切に御願をするものであります、此の點は先づそれ位に致しまして、もう一つ、極めて簡單な質問でありまするが、税法の第十六條の第一號でありまするが、債務の金額とみなすものが掲げられて居るのでありまするが、之に昭和二十一年度分の色々な分類所得税とか、或は總合所得税額と云ふものが債務に見られることになつて居りますが、矢張り本年支拂ふべきものであつて、第二封鎖から支拂つても宜いものになつて居りまする家屋税などは債務に見られて居りませぬやうでありますが、是はどう云ふ譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=128
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129・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 茲に掲げて居ります債務として控除致しまする租税は、前年の實績に依つて課税致しまする税でございますので、之を債務金額として控除することに致しました、營業税、地租、家屋税は、其の納付に當りましては、舊勘定預金から納付が出來まするが、税の性質と致しましては物税でございまして、實際は其の年の損金に計算するものでございますから、此の財産税からは建前上控除しないのが適當だと思ひまして、前年の實績に依つて課税致します賦課税の分類所得税竝に綜合所得税、臨時利得税に限つた次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=129
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130・黒田英雄
○黒田英雄君 それで能く分りましたが、第二封鎖預金から本年の家屋税を支拂つて宜いと云ふ風になりましたのは、あれは前年の所得から拂ふのでありますから、第二封鎖から拂つて宜いと云ふ風にされたものではないかと思つて居りますが、それは違ふ根據から、さう云ふ風にされて居るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=130
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131・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 左樣でございます、家屋税、地租に付きましては、其の年の所得から拂ふと云ふ建前に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=131
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132・黒田英雄
○黒田英雄君 只今の御答辯で、ちよつと御尋ねしたことに對する御答辯がないやうでありますが、第二封鎖預金から支拂ふと認められた根據は何處にあるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=132
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133・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 今年一月から上つて居りまする家賃、或は地代が第二封鎖になり得る場合も考へられますので、第二封鎖預金からの支拂を認めた次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=133
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134・黒田英雄
○黒田英雄君 私は是で宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=134
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135・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 河西豊太郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=135
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136・河西豐太郎
○河西豊太郎君 第五十條の財産審査委員會の權限に付てちよつと承りたいと思ひます、是は申す迄もなく勅令に依つて決定されることでありまするが、政府は之に對してどう云ふ風の權限を與へる構想でありますか、それを伺ひたいと思ひます、勿論勅令であるから今此處ではつきりした御答辯が出來ぬかも知れませぬ、少くとも構想はおありになると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=136
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137・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 財産審査委員會……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=137
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138・河西豐太郎
○河西豊太郎君 いや違ひました五十二條発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=138
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139・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 今囘の財産税は、納税義務者の申告に依つて納税して戴くことに相成つて居ります、其の申告が政府の調査に依りまする課税價格よりも違つて居る場合、或は申告がない場合に付きましては、政府は財産調査會に諮問致しまして、決定することが出來ることに相成つて居ります、尚政府の決定致しました金額に不服がありました時、又は異議がある場合に於きましては、審査の請求を爲し得る規定を設けて居る、從つて此の審査會を税務署の上級官廳でありまする財務局に設けまして、さうして税務署長の決定に對しまする異議の申立を審査致し、税務署長の決定の宜いか惡いかを判斷することに致して居るのでございます、此の點は所得税、營業税、法人税と同じやうな考へ方で規定を致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=139
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140・河西豐太郎
○河西豊太郎君 委員會の構成はどうなりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=140
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141・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 税務署に財産調査會と云ふものを置きまして、民間の學識經驗者を調査委員になつて戴くことに致して居ります、而して此の財産審査委員會は財務局に置くのでございますから、税務署の財産調査會の委員の中から選任致したいと考へて居ります、只今の所得税等の審査委員會に於きましては、各縣から一人づつ出て居られるのでございますが、今囘の財産審査委員會に付きましては、いま少しく數を殖やすのが適當ではないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=141
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142・河西豐太郎
○河西豊太郎君 次に御伺ひしたいと思ひますのは、三十條の第三項、是もなかなか此の法律は文句がむづかしいからちよつと私共にはうまく分り兼ねますが、「株式その他の出資の價額は、命令の定めるところにより、その取引價額、當該法人の資産及び收益の状況云々」とありまするが、是は文字のある通りに解釋して宜い譯ですか、一應之に對するちよつと御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=142
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143・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 株式の評價に付きましては、先程來御質問が度々あつたのでありまするが、株式の所有の状況は三月三日で決めます、併し三月三日の株式はどう評價するかと申しますると、此の三十條の第三項の只今御讀みになりました規定に依つて決定致すのでございます、「命令の定めるところにより」と申しますと、是は本法案が通過致しましてから後の或一定時を押さへたいと考へて居ります、戰時補償特別措置法、企業再建整備法の實施に依りまして餘程株價は動いて來ると考へて居ります、且今囘の一聯の施策が實行に移されましてからの一定時を捉まへまして、さうして其の取引價額、或は其の法人の資産及び收益の状況、又其の法人と類似して居ります他の法人の株式の取引價額を參酌して、政府が株式評價委員會の諮問を經まして決定することに相成つて居ります、尚「命令の定めるところにより」と云ふ此の内容には、先般御話申上げましたやうに、調査時期後、非常に價額が騰貴して居るやうな株がございます、其の場合に、今後の株價に依りまして、三月三日の株の價額の基準にするのでありますが、偶偶其の方が三月三日直後安く株を賣つてしまはれた、斯う云ふやうな場合に付きまして、最近の状況から、高いからと云ふのでそれで決めて行くことが困難であると思ひますから、其の場合に命令の定める所に依ると云ふ規定を使ひまして、政府が評定しました價額よりも、それ以前に安く賣られた者には、其の賣られた價額に依ると、斯う云ふ規定であるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=143
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144・河西豐太郎
○河西豊太郎君 次に伺ひますのは第六十四條、是は「政府がその報告に因つて課税價格を決定し又は更正したときは、政府は、命令の定めるところにより、その報告者に対し、課税價格の決定又は更正に因り、徴收することができた税額の百分の二十五以下に相當する金額を、」と、是が所謂通告制と云ふものと了解致しますが、今度新たに斯樣の箇條を設けた理由、どう云ふ理由に依るか、之を御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=144
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145・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) それは私から御答へ申上げませう、是は實は此の間も申上げたかと思ひますが、實は「アメリカ」の制度には租税に付て極く普通に採用されて居るさうであります、そこで「チヤーン」氏がこつちに來て財産税を研究し、其の後も司令部側から色々此の財産税に付て「アドヴァイス」をして呉れた中に、矢張り此の一項があるのであります、是は是非日本でもやつたら宜い、殊に此の財産税と云ふものは、斯う云ふ項目がなければ、なかなかうまく行くものでないと云ふことで、そこでこちらでは、殆ど今迄日本には例のないことでありますから、色々大藏省としても研究し、内務省、司法省とも研究し、是が租税の爲に良くても、他に惡い影響を及すことがないかと云ふので、愼重に研究しましたが、結局此の程度のことはあつた方が宜いと云ふことで加へました次第であります、と云ふのは、色々最近の隱匿物資の問題に付ても分りますが、財産税に付きましては、又色々の「デマ」を飛ばす者なども出て來るのではないか、却てそれで皆が迷惑をすると云ふことが起りはしないか、さう云ふ時に、斯樣に公に法律の上で以て、何か疑があるならば、税務署に通告したら宜いじやないか、其の通告する途を開いて居ると云ふ方が、却て社會的にさう云ふ好ましくない状況を防ぐ途にもなるだらう、斯う云ふ點、それから、併しながら通告者に必ず謝禮を出すと云ふことは、是はどうも日本の事情としては不適當である、「アメリカ」の事情を聞いて見ると、規定はあるけれども、殆ど出した例はないと云ふことであります、是は率直な話を聞きますと、通告者が税務署に通告をする場合に、いやそんなことは疾つくに税務署が知つて居る、お前が通告をして呉れなくても、税務署はさう云ふことを知つていたと云ふことで、事實は「アメリカ」には禮を出したと云ふ例がないさうであります、それにしましても報償金を出すと云ふことは日本としては變つたことであります、そこで是は出し得る、それから特に此の間主税局長から申上げましたやうに、全く其の通告の爲に大變な效果があると云ふことが明白な場合には、大藏大臣の考で謝禮を出し得る、併し其の最高限は其の爲に増加した税の二十五「パーセント」、金額にすれば十萬圓止りと云ふことであれば、禮を出しても宜しいと云ふことに止めて置かうと、同時にそれが惡用されて詰らない通告をやると云ふことを防ぐ爲に罰則をやる、それから又之に口實を藉りて、人の所へ脅迫するとか、或は押込んで何か調べをするとか言ふものは、それは現在の刑法で取締り得るのであります、それを嚴重に取締りたい、斯う云ふ理解の下に此の條項を加へたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=145
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146・河西豐太郎
○河西豊太郎君 只今大臣の御説で分りましたが、是は今御話に「アメリカ」には此の制度があるが餘り用ひたことがないと云ふ、我が國の今日の現状、殊に私が痛感致しますのは、今日の如き現状に於て、若し此の法律が實際に行はれると云ふやうな場合に、固より財産の隱匿をし、申告をしない、財産があつても申告をしない、さう云ふ惡い人を相當の處分をし、之を摘發すると云ふことは、是は當然のことで、尤ものことでありまするが、唯、是が實際以上に用ひられる處が多分にあるのぢやないか、今日の如き場合に於て社會不安を惹き起すと云ふやうな懸念も相當あるのぢやないかと云ふことを心配する一人であります、何れは之を決定されることとは存じまするが、斯う云ふ法律を實際に行ふと云ふやうな時に於ては、今大臣の御話の如く十分愼重にも愼重の御取扱ひになつて、混亂を招かぬやうに御願ひしたいと思ひます、尚ほ此の終ひに「又は不法の行爲に因り知得した事實に基くものである場合もまた同じ。」と、是は今御話の罰則と思ひますが、此の「不法の行爲」と云ふことはどう云ふ程度を指しますか、是は政府委員から御答を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=146
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147・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 通報しました事實が不法行爲に依つて知得し得た場合、例へば家宅侵入罪に問はれるやうな行爲を致しまして、さうして事實を知つて通告した、此の場合に付きましては、家宅侵入罪として罰せられることは勿論でありますが、さう云ふ不法の行爲に依りまして課税價格の脱漏、或は不申告を通告しても、是は報償金を出さないと、斯う云ふ規定でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=147
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148・河西豐太郎
○河西豊太郎君 是も政府委員に御伺ひしたいと思ひますが、財産申告の場合に於て、書畫、骨董其のやうなものを申告致します場合、是が評價は勿論評價委員に依つて評價されることと存じまするが、其の選任はどう云ふ風のことになりまするか、申す迄もなく物品に依つて眞僞もあり、それから又鑑定をする人とそれから評價をする人とは自ら異なつて居ります、書畫の鑑定をする人は鑑定委員ですか、それから評價をする人は評價委員、斯う云ふ風に分けて御取扱になりまするか、是はどうなるのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=148
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149・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 書畫骨董物の評價は非常に困難な問題でございまして、只今研究致して居るのでございまするが、是は飽く迄申告納税主義を貫きまして、其の所有者から書畫骨董に付きまして、出來れば一品毎に所謂品物を届けて戴きたい、それが先祖代代のものでありまするならば、取得價額等も分りませぬ、自分の代になつて御買ひになりましたやうな場合に付きましては、買得價額を申告して戴くことになります、買得價額のない祖先からの傳來のものに付きましては、納税義務者が大體是位のものだと云ふ自分で評價をなすつて申告して戴きたいと思ひます、唯自分が申告をする場合に、他の專門家の御意見を納税義務者が御聽きになることは是は適當ではないかと思ひまするが、專門家に致しましても書畫骨董の價格に付きましては、確定的の値段は附けにくいと思ひます、又税務署に於きましても、なかなか評價は實際問題として出來にくいと云ふ状況で、今非常に私も困つて居るのでありまするが、申告納税の趣旨を徹底致しまして、納税者から出來るだけ細かに、自分の見積つて居られる價額を申告して戴く、税務署と致しましては出來れば一品毎に調査は致したいのでございますけれども、實際問題としてなかなか其の域まで行く譯には行かないと思ひまするから、大體の品目を皆達觀して、其の納税義務者の申告が妥當なりや否や、全體的に評價を致したいと思ふのであります、是は土地とか何とかと違ひまして、財産税徴收後にさう云ふ書畫骨董がどんな値段で取引されるかと云ふことは、丁度今頃値段を定めることが困難である、より以上に困難なる問題でございます、從ひまして私は骨董の評價に付ての基本的考へ方、又書畫骨董の所在がどう云ふ方面にありどう云ふ方がどの程度持つて居られると云ふ風なことを、出來るだけ澤山の方に一つ御聽きしたいと思ひまして、只今さう云ふ專門家の方に自分自身でちよいちよい當りつつあるのでございまするが、今の骨董物に對する評價、又所在等に付きましては適當な機關を非公式に設けまして、今少しく研究致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=149
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150・河西豐太郎
○河西豊太郎君 元来財産税と云ふ問題は非常にむづかしい問題だと思ひます、先般來、委員諸君から御話があつたやうに、孰れを見てもなかなか困難で、殊に今細かい書畫、骨董の如きは尚更むづかしい問題だと思ひますが、是等に對しては愼重に御取扱ひの上で遺憾のないやうに御願ひ致したいと思ひます、今政府委員の御話、誠に結構であります、どうかそれを十分に徹底するやうに致して戴きたいと思ひます、今一つ伺ひたいのは二十五條の土地建物の評價のことであります、是は勿論先般來各委員諸君から御質問があつて御答になつて居りまするが、其の内細かい問題のやうでありまするが、例へば祖先傳來持つて居る土地建物、それから最近に於て、昨年とか一昨年とかに買入れた土地建物、是は評價する上に付て何等かの手心と言ふか、何と言ふか、御取扱上に異なつた點をお附けになりますか、なりませぬか、其の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=150
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151・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 賃貸價格に對する一定の倍數で定まるものでございまするから、其の家屋が祖先傳來の家屋でありませうとも、又最近に買入れました家屋、或は建築した家屋でありましても、差別を設けますることは技術的に不可能が伴つて參ります、從つて差別は設けませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=151
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152・河西豐太郎
○河西豊太郎君 私は宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=152
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153・慶松勝左衞門
○慶松勝左衞門君 私御伺ひ致したいと思ふことは、今迄各委員から御尋になりました條項の中でありますが、併し質問の性質を異にすると思ひますので、或は重複になる點があるかも知れませぬが、政府委員から御答辯下さつて宜いやうな問題でありますが、御伺を二、三したいと思ふのであります、先づ第一は二十五條の只今御話になつた土地建物の届出でありますが、是は勿論御示しの如くに、三月三日所有のものを届出る、私は主として移動した財産に付て御伺ひしたいのでありますが、三月三日以後假に家屋があつたものを賣つたと致します、さうしますと、御承知の如く、登記所で以て賣買價格を認可しまして、それに對して最近、名前は忘れましたが、譲渡税と申しましたですか、隨分重大な課税を致すことになつて居るのであります、確か十萬圓に付て三萬圓以上ですか、其の以上は五割と云ふやうな重大な譲渡税が課かるのであります、それで以て既に家屋の賣買と云ふものに對する納税の義務は、財産税と同じ位の程度の重税を課せられて居るものでありますが、第一に伺ひたいのは、重税を課せられた其の税だけを引いたものを尚財産の一部として届出ると云ふことは、何だか私は二重課税を受けるやうな氣持になりますが、其の點に付て一つ局長から御答辯願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=153
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154・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御話の通りに、不動産、船舶等の賣買に付きましては、本議會で協贊を經まして、從來臨時利得税にありました不動産に對する譲渡所得を所得税法に規定を致したのでございます、而して譲渡利得の計算に付きましては、三月三日の財産税の評價基準になります價格と、さうして其の後に御賣りになつた價格とを比較しまして、三月三日の價格よりも高く賣られた場合に付きましては、五千圓の控除を致しまして、相當きつい譲渡利得が課かります、而して財産税の方は、三月三日の價格を基準に致しますので、二重課税にはならないのでございます、三月三日の價格と同じ程度で御賣りになれば、譲渡利得は課かりませぬ、三月三日の價格以下で以て御賣りになれば課からないのは當然でございます、其の價格以上に御賣りになつた場合、其の越えた價格が五千圓を越える場合にのみ課税致すのでございますから、二重課税と云ふことには相成らぬと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=154
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155・慶松勝左衞門
○慶松勝左衞門君 其の三月三日以後に賣りました場合に、事實は登記所に於て賣買の價格と云ふものを認可しまして、それに依つて今御話の譲渡税と云ふものは決るのでありますが、其の登記所に於て決つた賣買價格と、それから此の二十五條にある所の賃貸價格に「エックス」を乘じた詰り認定價格と申しますか、それとの相違があつた場合、現に登記所が認可した賣買價格と云ふものは既定の事實ですが、どちらを以て標準としたら宜いのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=155
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156・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 財産税の計算に付きましては、此の法案に規定致して居ります賃貸價格に御話の「エックス」を乘じた價格に依るのでございます、登記所の價格は其の後に於きまする價格でございますから、財産税の課税の價格とは關係はございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=156
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157・慶松勝左衞門
○慶松勝左衞門君 其の問題は分りましたが、次に先程御伺ひすると、國債は、三月三日に届出たものの以外は物納に對しても御取りにならぬと云ふことでありますが、其の理由は何處にあるのでせうか、均しく國債である以上は、三月三日以後に一つの賣買の形式に於て國債と云ふものは相當に取引されるものと思はれます、或は國債の價格の上に付て三月三日迄ならば、或は其の額面價格であるとか、或は賣渡價格で以てやれるから宜いが、實際の市場の價値が非常に少くなつて居るから、さう云ふものを持つて來て値の高い代償、物納にするのはいかぬから、國債は取らぬと云ふ御趣旨でありませうか、然らば、若しそれならば、株式と同じやうに委員會のやうなもので國債の市場價値を評定して、さうして物納に國債と云ふものがなり得ると云ふやうにも考へられるのでありますが、何が故に三月三日に届出た國債以外は物納にはならぬのでありませうか、私共の考では立派に國債は市場性があり、さうして市場では所謂無記名のやうなものは國債として賣買されて居る、それをどう云ふ譯で物納で御取りにならぬのでありませうか、其の理論が私には分らないのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=157
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158・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 財産税の物納は、課税になつたもので納めるのが原則でございます、課税になつたもの以外の物で納めると云ふことになりますと、評価の問題も出て參りますので、凡そ物納は相續税に於きましても、課税になつた財産から納めるのが課税の原則でございます、其の外色々な御話がございましたが、私はさう云ふことは末節のことで、財産税の物納は課税になつたものを納めると云ふのが原則と考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=158
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159・慶松勝左衞門
○慶松勝左衞門君 強ひて私爭ふのぢやありませぬが、今の私の言ふ國債と雖も、一應は全部課税の對象になつたものぢやないでせうか、詰り三月の三日に全部政府が一應證券を貼つて、悉くそれは政府に届出た價値のあるものが、偶偶甲の者から乙の者の手に移つたと云ふだけであつて、それが政府では三月三日の詰り届出の國債と何等價値は變らないと思ふのですが、其の點に付て偶偶甲から乙に移つた、又甲から乙に移ると云ふことを政府は禁じて居る譯でも何でもなしに、一般に例へば先に申した家屋の賣買の場合でも、紙幣を受取る代りに國債を受取ると云ふことは一般の國民の經濟觀念に於て行はれて居ることだらうと思ふ、どうして三月三日に證券を貼つた國債が何故本人でなければいけない、他の者が持つて居るから取らない、或意味に於ては無價値……無價値とは申しませぬが、差別待遇をすると云ふことはどう云ふ理論でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=159
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160・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 三月三日に納税者が實際御持ちになつて居つた財産に對して課税するのでございます、從つて其の財産に課税するやうになつた財産税でございますから、其の時の財産で納めて戴くのが原則でございます、從つて其の場合に現金で持つて居られた、それが家を買つたと云ふ時には、後から買つた家で物納が出來るかと申しますと、是は物納の觀念には入れて居りませぬ、さう云ふ場合には其の家を御賣りになつて、現金で納めて貰ふ、斯う云ふ建前でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=160
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161・慶松勝左衞門
○慶松勝左衞門君 例へば然らば書畫骨董のやうなものでも届出はしてないのですが、三月三日以前に所有して居つた物と、三月三日以後に買得した物との區別は、唯申告者が自ら良心的にやるだけの話になりますのですか、それは何等の證據も何もない譯ですか、伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=161
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162・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 去る三月三日に届出られた財産に付きましては、調査が出來て居ります、又届出のない財産、即ち不動産等に付きましては、土地臺帳、家屋臺帳で三月三日の所有者が分ります、御話の動産殊に骨董品に付きましては、三月三日現在の財産なりや否やと云ふことは分りませぬ、是は飽く迄納税者の申告に依りまして、其の時に御持ちになつて居つたかどうかと云ふことを見るより外には仕方がないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=162
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163・慶松勝左衞門
○慶松勝左衞門君 多少私意見がありますが、唯質問ですから此の位にして置きまして、もう一つ、最後に一つ御尋ねしたいのは、例の六十四條で度々皆樣から御質問のある密告制度でありますが、まあ私自身と致しましても、意見を申せば、斯樣な密告制度は我が國の善良なる習慣に反することと思つて、甚だ遺憾に存ずるのでありますが、六十四條の分のを見ますると、「納税義務があると認められる者が申告書を提出しなかつた事實又は課税價格に脱漏があると認められる事實を、政府に報告」する、斯う云ふ者が世の中に現れて來る時、斯う云ふことを假定したのでありますが、左樣な者がどう云ふ工合にして現れて來るのでせうか、是が我々が申告致しますと云ふことは、我々が申告書に書いて之を適當なる税務署或は税務監督局へ持つて行くと云ふのでありまして、是は公に私共が申告する場合に貼出すものでもなし、皆に示すものでもなし、申告者が郵便か何かで以て税務署へ持つて行くものであります、其の途に於て申告者とそれから其の當該官吏との外に、斯樣などれだけ申告をしたとか或はしないとか、課税價格がどれだけ誰があるとかないとか云ふことは、誰が見ても分らぬ筈でありますが、然るにそれがどうしてさう云ふ事實を「政府に報告した者がある場合」と云ふことを御假定になつたのでありますか、それから其の次に、此の前項の規定は官吏又は待遇官吏であつてはいけないと書いてある、官吏竝に待遇官吏は此の事實を知り得る機會がありますが、他人にては斯くの如き事實を知り得る機會が如何なる場合にありませうか、御伺ひ致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=163
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164・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 今囘は六十二條の規定に依りまして、納税者の申告がありました場合には、「申告期限後四箇月以内に、申告書の記載に從ひ、氏名、課税價格、税額竝びにその財産及び債務に關する事項を公告する。」ことに致して居ります、此の公告がありますし、一般人は又六十三條の規定に依りまして、其の税務署の帳簿書類に付きまして閲覽を申出で閲覽する機會を拵へてございます、併し第六十四條第二項の規定に付きましては、官吏や待遇官吏は、是は税務官吏も含まれて居るのでございますが、さう云ふ者がやつた場合には報償金を出さない、斯う云ふ規定なんでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=164
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165・慶松勝左衞門
○慶松勝左衞門君 私の解釋したことが、それは私の解釋は誤りでありますが、六十三條の納税義務者が提出した申告書とか、更正とか、決定とか、修正に關して閲覽すると云ふが、是は其の自身でないのですか、他人がさう云ふことをやると云ふ規定なんですか、六十三條は発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=165
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166・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=166
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167・慶松勝左衞門
○慶松勝左衞門君 私質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=167
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168・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 今通告してある方は大體濟んだんですが、まだ片岡君など厚生大臣への御質問ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=168
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169・板谷順助
○板谷順助君 いや、私は黒田君の質問に關聯する質問で発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=169
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170・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 片岡君のは発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=170
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171・片岡直方
○片岡直方君 幣原國務大臣であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=171
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172・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 財産税に對する質問は、是迄で通告は濟んだんですが、委員外の方で発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=172
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173・板谷順助
○板谷順助君 まだ濟みませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=173
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174・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 私のはまだ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=174
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175・三土忠造
○委員長(三土忠造君) ちよつと濟んだ恰好になるのですが、後で大河内委員が何かあるのです、一番終ひに発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=175
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176・板谷順助
○板谷順助君 私は黒田君の質問に對して、まだ不徹底であるから、委員長に通告してあります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=176
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177・三土忠造
○委員長(三土忠造君) それぢや板谷君、それから大河内委員に行きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=177
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178・板谷順助
○板谷順助君 屡屡立つて相濟みませぬが、先程黒田委員の質問に對して、財産税の見積りが四百三十五億、是は大體に於て見込が違はない積りだと云ふ御答辯があつたのでありますが、恐らくは之を標準として各管内に割當てられるやうなことが若しありとすれば、從つて苛歛誅求が起ることでないかと思ふのであります、それで東京都に於ける大體の御説明が先程ありましたが、まだ私能くははつきり致しませぬので、東京都に於ける土地家屋はどう云ふやうな標準で此の算定をなすつたか、それをもう一遍御聽かせを願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=178
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179・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 東京都に於きましても各區で區々でごさいまして、實際の倍數は土地の種類と家屋の種類とに依つて、或程度變つて來ると思ひます、全體の家屋に付きまして平均賃貸價格は、東京都は十六圓三十八錢に相成つて居ります、從ひまして之にどれだけの倍數を掛けるかと云ふことは、餘程むづかしい問題でございます、で、個々の例で申しますると、銀座邊の店は家其のものの造作は惡うございましても、利用價値が非常に高いので、一坪當り三、四十圓、或は四、五十圓の賃貸價格が附いて居ります、又新市の方になりますと、相當の良い住宅でございましても、賃貸價格は十五、六圓になつて居ります、まあ非常に惡い長屋に付きましては、是は相當低い賃貸價格が附いて居ります、而して實際の倍數は、目拔の商ひの能く利く所は、昔から賃貸價格を相當強めて行つて居りますが、先程申しましたやうに、新市の方は餘り強く行つて居りませぬ、斯う云ふ場合に付きましては、其の倍數を餘程變へて行かなければならぬ、斯う思つて居りますので、五十倍位から八、九十倍、或は所に依つては百倍と云ふ倍數を家屋に付て使ふやうなことがあると思ひます、併し其の倍數は飽く迄土地家屋の所謂調査委員會で公正に決めて行きたい、さうして又同じ區でも最高、最低、中庸、斯う云ふやうに決めて參りまして、さうして此の區域は最高の區域を使はう、此の區域は最低の區域を使はう、斯う云ふ風に決めざるを得ないと思ふのでございまして、土地に付きましても同樣でございまして、實際の時價が非常に區々になつて居りますから、倍數は餘程違つて行く、然らば東京の全體的の倍數はどの位に見るか、斯う云ふことになりますと、之を見積ります場合にはどちらかと云ふと、私は低目に行つて居るんぢやないか、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=179
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180・板谷順助
○板谷順助君 實はさつき千圓と仰しやつたのが、土地であるか家屋であるかはつきりしなかつたのでありますが、つい最近に魚藍坂通りの電車通りで、土地が三百二十圓で出來て居ります、であるからして、現在の状況では家屋は成る程高いけれども、土地は高くなつて居らない、だから此の點はあなた方、餘程實際に就いて御調査になつて、苛歛誅求にならないやうに一つ能く各方面の實情を御調査願ひたい、而も先程あなたは公定價格に依つてやると云ふことであつたから、さう云ふ點は御配慮願ひたいと思ひます、更に御願ひしたいのは、株の評價の問題であります、株の評價が出來ました場合に於て、色々皆株を持つて居ります、例へば貴下の方で調査をなさる、或は審査委員會に於て調査をして、其處に大體評價額が決る、其の場合に於て、どの株を以て納税しても宜いか、或は又評價委員會に於て決つた株は、税務署長が確認した株でなければいかぬと云ふ命令事項がありますが、其の場合に於ては評價委員會で決つた株は、所謂税務署長が確認したる株と看做して差支ないか、此の點一つ伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=180
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181・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 株の評價に付きましては、先程來申上げましたやうに、政府で決めて全部公告致します、全國各會社の株を此の會社は舊株幾ら、新株幾らと公告する、それに依つて納税者が物納に當てることが出來るのであります、唯物納に當てる時の價格は、政府で決めた價格に依ります、甲乙丙の株の中どれを先づ取るかと云ふことは、納税者と税務署長と協議して決めたい、命令に於ては、税務署長之を決定するとなつて居りますが、實際は納税者の意見を聽いて税務署長が決めるやうにしたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=181
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182・板谷順助
○板谷順助君 其處が問題で、税務署長と協議すると言つても、なかなか圓滑に行くかどうか分らないが、要するに政府と委員會に於て決めた評價に依つて、納税者がどの株でも構はぬ、納めると云ふことに一つ御了解を得て置きませぬと、税務署長が自分の考で以て、此の株はいかぬ、是はいかぬと云ふことになると、第一納税者も迷惑するし、又例へば自分が會社の社長であるとか、或は役員であるとかで、其の株を放す譯に行かぬと云ふ場合も起ると思ふ、だから評價委員會に於て決めたものが、所謂公定價格であるとすれば、其の選擇は納税者に委せると云ふ方針を御執りにならぬと、色々私は問題が起きると思ふのであります、署長と協議しろと言つても、署長がそれはいかぬと言へばどうなりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=182
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183・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 政府で決めました株價が絶對的適正であることを望んで居りますが、株價と云ふものは、市場の状況に依りまして、其の後相當動くと思ひます、其の後の株價の動きに依りまして、値段の違つたものを納税者は納めたがるでありませう、又税務署は値段の上つたものを取りたがるでありませう、そこは矢張り兩者協調で行つた方が適當でないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=183
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184・板谷順助
○板谷順助君 其の點は能く御研究になつて、民間の納税者の不便にならぬやうな御取計ひを願ひたいと思ひます、それからさつきの三月三日以後の公債の問題、是はどうも私は此處で聽いて居りますと、あなたの御意見が少し無理ぢやないかと思ふ、課税の對象になつたものを以て納めろ、それが政府の方針と言はれる、然るに新圓は無論物ではありませぬが、三月三日以後に於ける新たに發行された所の紙幣がある、之を取ると言ふ、之を取ることになれば、公債は從來と雖も、殆ど金同樣に、何時でも通貨に換へ得ると云ふ、政府が責任を持つて、公債の信用を維持して來て居る、だから是は價格の査定如何に依つて、或は其の後に公債を安く買つたものもある、納税しようと云ふやうな目的に於て……、だから價格の査定は適當に按配なさつても課税の對象になるもの以外は納めちやいかぬと云ふことは、私は先程の質問應答を聞いて居ります間に、あなたの意見が少し弱いやうに思つたが、是はどうです、御取りになつたら発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=184
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185・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) それは矢張り主税局長の申す方が宜いと思ひます、實際問題として、色々國債に付ては、御承知のやうに、殘念ながら、價格の點で好ましくない現象が起つて居ります、さうかと言つて政府が其の價格で國債を取ると云ふことは、實際上政治的に出來ませぬ、通貨の方はちやんと如何なる取引にも差引なく受取ると書いてあるから、問題ないが、國債の方はさう書いてないから、だから是は矢張り處分して納めて戴くと云ふことに御了解願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=185
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186・岸本彦衞
○岸本彦衞君 私は今度の財産税の徴收が、非常に困難であると云ふことを感じますが、若し財産税が政府の豫期せられる金額に達しない時は、其の大きな差額に付て、政府はどう云ふ御考へでおいでになりますか、それから次に先程御尋のあつた物納をする場合、國債を使ふ、國債を茲で第一順位と見てありますが、三月三日以後に保有して居る國債を、此の物納の第一順位の中に入れることが私は絶対に必要であり、又方法として最も良い方法ではないかと思ひます、と申しますのは、元元此の財産税の目的は、國債を償還すると云ふ目的があつたやうに思ひます、併し今はそれはございませぬ、ございませぬけれども、政府の意圖としては成るべくさう云ふ風に行きたかつたことは事實だらうと思ひます、それから國債が今日非常に下落して居りますが、下落はして居るけれども國債を今日の財産税の中に御含みがなかつたと云ふことは、恐らく銀行其の他金融機關に集つて居るのを此の際、若しそれを入れたら混亂を來すと云ふ御考からと思ひますが、若し國債の價格が此の爲に上つたら、政府としても喜び、國民としても喜ぶことになるぢやないかと思ふ、上ると言つても、此の財産税に、自分の祖先傳來の土地、或は家屋、或は色々の財寶を人手に渡すとか、或はそれを擔保にするとか言ふことを避けて、若し公債を買ふことが出來れば、公債を買つて納めると云ふことは、萬人の望む處だらうと思ふのであります、さう云ふ場合に此の方法が一番宜いことになるぢやないかと思ひます、さうして其の萬人の望む方法に依つて國債は上るかも知れませぬ、一時上つても、上つたものに對しては、今日新圓を出來るだけ各自が獲得して買ふ外はないのであるから、一面に於ては矢張り國債を持つて居る銀行に、其の金が集るから、「インフレーション」防止と云ふ點に於ても、有效な働きをなすものと思ひます、それで若し相場が上る爲に、一部利得するものが起るかも知れませぬけれども、全體の利益から考へれば、それは僅かのことではないかと思ふのであります、公平不公平と云ふ點から考へれば、一部の人が、今迄買つて居るものは、或は利するかも知れませぬけれども、又是から徴税に之を充當することが出來ることになれば、恐らく相當の價格が上ると思ひますけれども、今日何百億とある國債が全部買はれる譯でもありませぬから、其の中の一部であるから、上つても其の程度で止まると思ひます、さうして將來此の全額が取れない場合でも、國債を鎖却すると云ふ政府の目的に達することが出來るのと、それから徴税上不動産、或は財寶を處分する場合、非常に混亂が起る、それを避けることが出來ることが第一に國として簡單な方法ぢやないかと思ひます、さう云ふ風に考へまするので、私は三月三日後に獲得したものでも、其の國債を以て物納に代へ得ると云ふことになさることに考へて戴けないだらうかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=186
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187・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) 第一段の、此の四百三十五億に非常に足りない場合と云ふ、是は先程から色々應答がありましたやうに、政府としては、左樣な非常に足りなくなる場合があるとは想像して居りませぬ、併しながら萬一左樣なことがあれば、それは十萬圓以下五萬圓の又財産税をやらなければならぬ、斯う云ふことになる譯でありまするが、是は無論此の法律ではやれる譯ではありませぬから、改めてさう云ふ必要があれば、法律の御審議を願はなければならぬ譯であります、それから第二段の國債の問題は、矢張りそれでなくても、是はまあ僅かなことかも知れませぬが、近頃の世相として、兎角金持がどう、資本家がどうと云ふ時に、どれ程の取引がありましたか知らぬけれども、財産税を納める爲かなんかに、安い價格で公債を買ひ漁つた者があると云ふ噂が傳るだけでも、世間の響きがある譯です、我々は實際に國家の爲に必要なことであるならば、世の中の評判なんかと云ふことは問題に致しませぬが、是は矢張り問題にした方が宜いと思ふ、ですから、此の際三月三日現在に持つて居らなかつた、其の後に取得した國債で物納を認めると云ふことは、是は矢張り認めない方が全體の爲に利益であります、それから御話のやうに、國債を買ひ得る人があれば、現金で納めて戴けば宜いのでありますから、國債を買ふと云ふことは、現金がなければ國債は買へないのでありますから、それならば現金で納めて戴けば宜いのであります、別段其の後の國債で取ると云ふことは、利益はないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=187
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188・岸本彦衞
○岸本彦衞君 今公債を買へば宜いと仰しやいましたけれども、若し三月三日以後に獲得した公債を以て税金を納めることが出來ると言へば、是から買ふのでございますから、出來るだけ金を作つて買ふのにも、詰り價格の點で段々上つて行きましても、發行價格の百圓なら百圓を納める必要はないのでありますから、自然納める人に取つても安いものが買ひ得るのでございますから、其處に私は非常に惹き附けるものがあるのではないかと思つて居ります、自然徴税が圓滿に行く上に於て非常に助かるのではないかと、斯う存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=188
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189・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) それは非常に困ると思ひます、さう云ふ御話のやうに、成る程、或程度納税者は安い金で納税が出來ることになる譯でありますから、それは惹き附ける力はあらうと思ひますけれども、是は矢張り今の世の中に於て、さう云ふことを國家が認めると云ふことは全體として不利益であると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=189
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190・中島徳太郎
○中島徳太郎君 先刻同族會社の株主の納税に付て、どなたかの御尋がありました時に、會社が減資をして、それで納めれば宜いと云ふやうな御答があつたやうに私は御聽きして居りますが、そこで此の税率が非常に大きなものですから、之に應へるだけの財産を分配するとすれば、其の會社の仕事は到底出來ぬことになると思ひます、又同族會社の株を以て物納すると云ふことになれば、是亦同族會社としての意味がなくなることになります、一方に田畑を所持して居る、之を賣却するなり、或は物納にするのは結構でありますが、それを賣却して税金を納めると云ふことにすれば、至つて簡單と思ひますが、斯樣な場合には、順位が有價證券、不動産と云ふことになつて居ります時に、一方の田畑は今日賣ることは停止になつて居りますから、どうしても取つて戴くには物納より仕方がない、其の場合に、同族會社の株をどうにかして殘すことにして、代りに田畑を以て物納すると云ふことは出來るものか、出來ぬものですか、是が賣却が停止になつて居らなければ賣却して納めれば何でもありませぬが、今日の場合では賣却することは出來ませぬから、此の順位を變へて戴くことになれば、會社事業は完全に續けて行くことが出來ます、其の順位を變へて戴くと云ふことが出來なければ、同族會社は殆ど解散するより外ないと云ふ立場になると思ひますが、其の點如何でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=190
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191・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 物納を致します場合に、有價證券と不動産との順位は大體私は同列に考へて居ります、御話のやうな場合に、同族會社の株だと市場性がないから、なかなか賣りにくい、他に田畑を御持ちでありますれば、田畑の物納をして戴きます、今朝申上げましたのは、田畑も何もないと云ふ場合に、同族會社の株だけしかもう無いのだと云ふ場合に、どうしようかと云ふ問題がございましたから、さう云ふ場合に付きましては、同族會社の資産を賣り、さうして減資、拂戻しをして納税に當てるのも一つの方法だと申上げた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=191
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192・中島徳太郎
○中島徳太郎君 もう一つ御尋ねしますが、同族會社の株價に付ては、市場性のないものですから、資産と負債と差引したものを株數で割つて値段を出すとか何とか云ふことが萬一ありとしますと、殆ど解散價値になりまして、非常に高いものになると思ひますが、其の邊に付ては、市場性のない同族會社の株なんかの評價額はどう云ふやうな方針で御定めになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=192
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193・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 同族會社に付きましても、是は色々な種類がございまして、同族會社で事業して居るものもありますし、單に資産、財産を保有する保全會社的なものもございます、保全會社的なものに於きましては、昔からの資産で非常に値上りして居ると云ふやうな場合には、株價が高くなるのでございまするが、實際其の會社の資産の内容、或は配當の状況、それから他の會社が資産で按分した場合の一株に對する値段と、その取引價額と、之を比べて見まして、さう云ふやうな比率を類推して行けば、適當な價格が見出し得るのではないかと考へて居ります、今の問題は、財産税のみならず、相續税に付きましても、常に起つて居る問題でございまして、適正な課税價格が見出し得ると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=193
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194・中島徳太郎
○中島徳太郎君 結構であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=194
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195・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 私は大藏大臣に伺ひますが、今物納の順位の問題が出て大變なんですが、私はもう少し廣く見たいのです、それは伺はうと思ひましたけれども、時間もないし、何だか議論がましいやうなことになりますから、差控へて居つたのでありますが、大分時間もまだ御許しを願へるやうですから伺ひますが、一體現金、國債、社債、株式、動産、不動産と、斯う云ふやうに順位を御決めになつたのでありますが、こんな酷い財産税を徴る時には、斯う云ふ決め方をなさらぬでも、何でも構はぬから持つて來た物はそれで納めて宜いと云ふことになすつたら宜いと思ふ、政府の方から言へば、面倒だと云ふことは分り切つて居りますけれども、納税者の方からはなかなか苦痛なんですから、どれでも都合の好い物を持つて來て納めても宜いと云ふことになさると非常に便利なんですが、例へば、現金は少し必要だと思へば、不動産を持つて行つて先へ納めるのも宜いし、不動産が必要で、骨董の方を先に持つて行きたければそれも宜い、妙な話でありますが、人は困つたならばどうするか、一番初めに骨董を賣れ、それで困つたら家を賣れと云ふことは能く言ふことなんで、一番先に現金を持つて行くと云ふ人はありやしませぬ、其處らの點もありますから、此の順位は、さう云ふことを言つても、制度を御立てになつてしまつた後で無理かも知れませぬけれども、私の考としては、どれでも持つて行つた物は政府は受けるのだと云ふやうにおやりになるべきぢやなかつたかと思ひますが、どうでございませう、其の位の餘裕は斯う云ふ税をお課けになる場合には御覽下すつても宜いと思ふ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=195
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196・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 物納に付きましての順位は、只今の相續税に於きましても、斯う云ふやうな順位に相成つて居ります、政府と致しましては成るべく換價の樂なものと云ふのを望んで居りますので、是は少し自分勝手な議論でありますが、大體斯う云ふ風に決めましたのが、實際問題として適當ではないか、相續税でも斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=196
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197・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 確かに分りました、自分勝手の都合だと云ふことを御認め下さいましたから、此の上は質問致しませぬ、それから次に伺ひますが、物納の評價で三十六條が問題になつて、本當に分りにくいのですが、甚だ愚問を繰返して恐縮ですが、ちよつと伺ひたい、家庭用の財産動産の中で十條等に該當するもので引いて、殘り、「一般財産の價額に命令で定める割合」と云ふ其の「命令で定める割合」は幾ら位ですか、之を一つ先に伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=197
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198・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 全國的に五十萬圓以下十萬圓を超ゆる財産家の職業別の區分に依りまして調査致しました平均價額は、只今の處、大體家庭用動産以外の財産に對しまして五「パーセント」餘りに相成つて居ります、其の平均率の五「パーセント」を使つて算定しよう、斯う云ふことを考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=198
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199・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さう致しますと、澤山持つて居る者も、少く持つて居る者も、皆五「パーセント」になる譯ですか、さうではありますまい、例へば火事で燒け出されて、相當まあ地所なんかは持つて居るけれども、家具なんぞは殆どないと云ふ人もありますが、それでも矢張り五「パーセント」徴りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=199
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200・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 二項の規定に依りまして、五「パーセント」で算出した金額を、一萬圓以上超過する場合に於きましては、一項の規定に依らずに所謂時價で見て行くと云ふことに相成つて居ります、もう一つの戰災者と非戰災者の區別をどうするか、一律に見るのは不公平ではないか、斯う云ふ御話でございます、又實際問題と致しまして、我々の調査でも非戰災者と戰災者とは可なり違つて居ります、此の率を違へるかどうかと云ふことに付きまして、只今關係方面と折衝中でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=200
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201・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 大分分つて來ましたが、さうしますと、一萬圓以上の者に付ては個々の價額をすつかり御寄せになると云ふことですが、一萬圓以上と云ふものはどう云ふ標準で……、矢張り申告に依つて御認めになりますか、どう云ふ風にそれを認定するのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=201
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202・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 是は一項の規定に依つて算出した金額よりも、實際の家庭用動産が非常に多くて、其の差額が一萬圓以上であつた時には、三十六條一項の規定を適用せずに、所謂時價に依つて評價を變へると云ふことでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=202
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203・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 併し其の一萬圓以上と云ふ家庭用動産は何で御認めになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=203
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204・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 納税の義務者の計算でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=204
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205・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうしますと、納税義務者の計算が良いか惡いかと云ふことは、税務署でそれを又審査することになるのですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=205
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206・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 左樣でございます、是は四十七、八萬の納税者が申告なさいます時に、或程度便宜を考へると云ふ一つの腰だめの制度でございます、實際斯う云ふ一項の規定に依りまして計算した場合よりも懸け離れて居る時には、原則に立還つてやらなければいけないと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=206
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207・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それで骨董をやる場合には……、私は骨董屋の御厄介になつたことがないからはつきり申しますが、此の骨董の評價と云ふものは、隨分厄介なもので餘程公平にやらないといかぬやうに思ひますが、今局長の御話だと方々で聽いて廻ると云ふ御話ですが、方々で聽いて廻る位のことでは分らない、どうせ專門家の鑑定に依る譯でせうが、專門家の判定は、斯う云ふ人なら大丈夫だと誰でも承知するやうな人があるのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=207
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208・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 是は納税者の評價に俟たなければなりませぬ、專門家の意見を徴しますると云ふことは、大體税務當局として骨董に對する評價に付ての心構へ、又どう云ふ方が最近骨董を買入れたかと云ふやうなことは、業者の中で調べると云ふ點でございまして、此所に權威ある評價をなさる方はなかなか見着かりにくいと思ひます、從つて是は矢張り納税義務者の誠實なる申告を飽く迄俟つより外仕方ないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=208
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209・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 結局さうすると、税務署の認定と云ふものと結果に於て同じになるので、誠意ある認定と仰しやるから、税務署長が誠意がないと認めれば増させることになりませうが、結局惡く言へば、税務署長の認定ですが、なだらかに言へば、兩方相談して決めると云ふことに結著しませうね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=209
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210・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 結論だけ申上げると誤解があるかも知れませぬが、財産税全體の問題として税務署長は納税者と常に接觸し、納税者の意見を十分聽いて行かなければ相成らぬと思ひます、殊に骨董物に付ては、其の感を深く致して居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=210
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211・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それから今の密告の報償の所の規定ですが、「命令の定めるところにより」とありますが、是はどんな命令を御決めになりますか、政府は命令の定める所に依つて、其の報告者に對して百分の二十五をやると云ふことになつて居りますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=211
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212・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 「命令の定めるところにより」と云ふ内容は、報償金の交付手續等を規定する考でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=212
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213・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それから「報償金として交付することが出来る」とありますが、どう云ふ場合にやつてどう云ふ場合にやらないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=213
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214・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 先般來申上げましたやうに、非常に良い通報でございまして、其の通報があつたなればこそ、課税價格の脱漏が分つたと云ふやうな場合に大藏大臣が報償金をやり得ると、斯う云ふことに致しましたが、實際問題と致しましては税務署長一存でなしに、大藏省の方で實際の事情を考へて行きたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=214
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215・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 斯う云ふことを確定するのは私も惡いと思ひます、「交付することが出來る」とあるけれども、今の御説明では「交付する」と云ふのと同じことで、政府の命令に依つて交付すると云ふことになると、其の認定がなかなか面倒だし、厄介なことになつて、交付することの出來ない場合は、別に法律で御規定になる、又命令で御決めになつて宜いのだから、そこの點は「交付することが出來る」と云ふのは「交付する」とやつても結果は同じになりはしないか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=215
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216・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 執行上の問題と致しましては「交付す」としますと交付しなければならぬやうに聞えますが、「交付することが出來る」としますると、大藏大臣の勝手でやらない場合もあり得るので、斯樣に書き分けた次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=216
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217・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それが我々外觀から見てをかしいのです、どう云ふ譯で交付しない場合が起るのか、どう云ふ場合には交付される場合が起るのか、此の法律の表面、命令の何では、能くはつきりしないが、良いのは交付すると仰しやるが、それは甚だ分らないのです、もう少し具體的に、斯う云ふ場合は交付する、斯う云ふ場合は交付しないと、斯う云ふことは言へないものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=217
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218・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 其の報告はなくても、當然後から税務署の調査で分る、斯う云ふものに付てはやらない場合も起り得ると思ひます、是は實際問題として個々の事例で考へて行かなければ決められぬと思ふのであります、斯う云ふ規定は税の方では別に又設けてあるやうでございますが、此の程度の裕りを持つた方が宜いのではないかと思ひまして、斯く規定を設けた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=218
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219・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 大分、分つて來ましたが、詰り效果があるかないかで決める、それで分りました、それから次に伺ひたいのは、財産税と云ふものは色々御尋がありましたけれども、結局財政の税だと云ふことになつて、それがどう云ふ目的を達して來て居るのかと云ふことを、もう少し實は時間があれば伺ひたいのですが、そんなことをやつて居るのも如何かと思ひますから発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=219
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220・三土忠造
○委員長(三土忠造君) ちよつと大河内君に御相談致しますが、周布君が聽きたいさうで、先にして宜しうございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=220
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221・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それでは後で宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=221
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222・周布兼道
○男爵周布兼道君 私は只今迄、色々御質問を伺ひましたので大體分りましたけれども、時間もございませぬし、二、三極く簡單に御手間は取らせない積りで伺ひたいと思ひます、此の財産税の法案の如きは、極めて重要なものであることは勿論であります、それに付て考へますのは、先刻も御話がございましたやうに、一月の十五日を申告期限とする豫定である、尚一箇月置いて二月十五日に納期を豫定して居ると、斯う云ふことでございますが、其の間一箇月であります、是は新聞等に於ても相當な工合になると云ふことは承知して居りましたけれども、伺つてそれが確實であることは承知したのでありますが、斯う云ふ込み入つたものを一箇月間に果して完全に行くや否やと云ふことは、非常に其處に疑問があるのであります、所得税とか營業税とか既に税の年々ありまするものは、自づと其の間取扱ひ其他に付ても、一つの空氣が出來て居りますが、斯う云ふ特別のものに付きましては、非常に違ふと思ふのであります、それに依りまして、平たい言葉で言ひますと、宜い加減に之をやられますと、國民は非常な痛手を蒙る、政府としましても事情已むを得ず斯う云ふ税を設けられたので、それは分つたのでありますが、それならば尚更愼重にやつて戴きたい、斯う思ふのであります、四百三十五億と云ふやうな目標が示されますと云ふと、又一方に於きましては、從來にあり勝のことでございますが、各税務署に於きましては政府の命令と申しますか、中央の方針に忠義なるが爲に、それを徹底したいと申しますか、履き違へと申しますか、どうも酷になりたがる、其の目標に近附きたがる、是が實際の所なんであります、さうしますと今囘此の税に付きましても、さう云ふ風な手心でやられますと、國民は非常な痛手を蒙ります、極めて圓滿に折衝をして、さうして落着く所に落着いて税を出す者は出すと、斯う云ふ方針で一つやつて戴きたいと思ひます、それで中央から末端の方に今囘のことは徹底するやうにやつて戴きたいと、其の點を一つ伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=222
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223・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 今囘の財産税法が國民の利害休戚に非常な影響があることは、我々も十分承知致して居るのでありますが、今囘は申告納税を採りました關係上、納税者は自分で調査致して申告なさるのでございます、さうして自分で計算して、自分で申出るのであります、從つて所得税の如く税務署の調査で、所得の調査委員會に諮問しまして、こつちから決定して通知を出すと云ふのではないのでございまして、さう云ふ意味から申しますと、今迄のやうな若し弊害がありと致しましても、是は申告納税と云ふので餘程緩和出來ると思ひます、税務署は申告があつてから後に、それからゆつくり調査するのであります、だから期間が申告後一箇月でありましても納税者の數から申しまして、大體賄ひ得るのではないかと思ひます、さうして色色な評價に關しますることは、法案が通過致しまして、即座に著手致しまして、大體十一月の末頃迄には不動産の倍數は決めて發表致したいと思ひます、さう致しますと納税者は不動産を澤山御持ちでございましても、何處の土地が幾らであると云ふ風に、直ぐ評價し得るやうに手配致し得ると思ひます、唯問題は、株價の評價は先般申上げますやうに、企業再建整備法の評價基準がございまして、是は少し遲れて居ります、それがなければ、私は十一月の中頃迄に申告して戴いても、結構のやうに考へて居つたのでありまするが、株價の問題が出ましたので、一月十五日に致しました、從ひまして一月十五日迄に納税者の方々は、それ迄に十分申告出来るやうに早く準備をして戴きたい、我々はそれに付きましての宣傳其の他に付きましては、萬全を盡す考へで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=223
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224・周布兼道
○男爵周布兼道君 只今の萬全を盡すと仰しやいましたが、何かどう云ふ方法でなさいますか、各個人が一月十五日が期限と云ふことを伺つて、前からやれば宜うございますけれども、なかなか兎角物事は間際になり勝ちなものでありまして、何かの方法で具體的にそれを慫慂なさらぬと云ふと、結局又申告がなかなかやる方も面倒になりますし、又それも杜撰になり勝ちと云ふこともあらうと思ひますが、もう少し具體的に何か御腹案がございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=224
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225・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 財産税の納税義務者は五十萬人位でございます、全國に税務署が二百七十幾つございますから、税務署で千二三百人と考へて居ります、所に依りますと西の宮とか、東京の澁谷には相當の納税者があると思ひまするが、斯かる場所には、熟練の經驗がある職員を臨時的に増員致しまして、納税に付きまして、所謂不動産の倍數などが定まりました時には御通知申上げるとか、出來るだけ早く準備の出來るものは準備して戴くやうに、指導と申しますと語弊がございますが、注意を喚起するやうに致したいと思ひます、申告書等に付きましても、早くから印刷致しまして、御手許に配るやうに致しまして、評價等の分つて居るものは出來るだけ早く出して貰ふ、又事情に依りましては株式の申告よりは別に不動産の申告をなさるのも一つの方法かと考へまして、申告用紙は株式の申告と不動産の申告用紙と別にしようかと、斯う考へまして、折角各財務局の擔當者を集めて研究致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=225
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226・周布兼道
○男爵周布兼道君 今御話もありましたけれども、尚もう少し詳しく承りたいと思ひます、税務署は一體人員が誠に不足な現状でありますが、今囘此の法案が出ましたに付て、今も御話がございましたが、特に人員を増されるやうでありますが、事實現状に於きましては、税務署に行きましても、女學生見たいな、或は極く年の若い男子の連中が居るので、なかなか何をしますのにも要領を得ない、窓口で到頭要領を得ないで歸つて來る、其の間無駄な時間を往き返りをして、結局どうも思ふやうにならぬと云ふのが現状なんです、今囘は人員を増されると言ひましても、經驗ある者と申しますか、頭のある適當な者を増してやつて戴かぬと、非常に困ることだと思ひます、尚序に伺ひますが、先程不動産の御話が出ましたが、進駐軍の方で今使つて居るものがあります、斯う云ふものは所有權はまだ移轉しては居りませぬ、さう云ふものはどう云ふ風に致しますか、それを以て出すと云ふことになると、どう云ふ風になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=226
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227・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 財産税法施行に付きましての事務管掌の陣容に付きましては十分考慮致しまして、適當な人の採用竝に配置を致したいと考へて居ります、第二段の進駐軍に徴用された家屋に付きましてはどうかと云ふ御質問でございまするが、飽く迄三月三日の状況に依つて課税致すのでございます、從つてそれが課税になりまして、物納と云ふ場合に付きましては、政府は其の家屋の物納を認めることに致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=227
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228・三土忠造
○委員長(三土忠造君) ちよつと御諮り致しますが、議員渡部信君が皇室財産の課税と優秀古美術品に對する課税の二件でちよつと聽きたいと云ふので昨日から待つて居られるのですが、私機會があつたら御許ししたいと思つて居つたのですが、委員外ですが、御許ししたいと思ひますが、如何ですか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=228
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229・三土忠造
○委員長(三土忠造君) それでは、此の際御許し致します、渡部君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=229
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230・渡部信
○委員外議員(渡部信君) 貴重な時間を特に御許しを得まして、一つ二つ伺つて見たいと思ひます、一つは優秀な我が國の古美術品、それに對する課税のことをちよつと御伺ひしたいのでございます、尤も、優れた古美術品と申しましても、餘り漠と致して居りますから、其の内特に法律上國家が日本の優秀なる古美術品たることを正式に認められて居る國寶と重要美術品、此の二つのものを中心にして御伺ひしたいと思ひます、若し皇室財産にも課税せられますことになりますれば、皇室では御物として非常に優秀な、御物でなくても優秀なものを御持ちになりますから、それ等も矢張り含んだものとして御聽きを願ひたい、日本が軍國主義に別れを告げました今日、將來我が國の立つべき途と申しますか、進むべき途、是は文化の力を以てする外にないやうに考へます、武力に對する文力とでも言ひますか、文化の力を以て行く外ないのではないか、其の文化の力の基礎と云ふものは、文學とか、藝術とか、宗教とか、道徳とか、其の外精神的な科學の各方面に求めなければならぬのぢやないかと思ひますが、其の内殊に今申上げたいのは、日本の優れた美術の保存發達と云ふことが文化新日本の平和的な姿を世界に示す上に於て、非常に重要であると考へるのであります、殊に我が國の古美術は外國の古美術に比較致しましても優るとも劣ることはないやうに存じますし、又此の古美術は、我が國の現代美術に比較致しましても、優るとも劣らないやうに存じますし、又古美術の優秀なものは、是はまあ何處の國でもさうでありますが、海外に散逸して居りますが、併し割合に能く我が國では保存せられて居るのであります、帝室の寶庫である正倉院の御物を御覽になつた方は、今申上げた日本の古美術品が外國にも劣らない、又現代のものにも劣らないし、比較的散逸したものが少く能く保存せられて居ると云ふことは、恐らく御分りだらうと思ひます、外國人も日本の飛行機や潜水艦、色々な機械類などを見ても大して驚きはしませぬが、日本の優れた古美術品には屡屡舌を卷いて居るやうに思ひます、日本の美術と云ふものを能く解する外國人、是が本當に日本を能く理解して親日になるやうに思はれるのであります、日本では、甚だ相濟まぬことでありますが、率直に申しまして割合に官民を通じ一般に古美術と云ふものの分る人が多くないやうに思はれます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=230
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231・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 渡部君、理由は大抵分つて居るから、餘り長くならないやうに発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=231
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232・渡部信
○委員外議員(渡部信君) 勿論私も古美術は能く分らない一人でありますが、外國の人の中には非常に能く日本の古代美術の時代特徴なんかを專門的に研究して、其の方面に一雙眼を持つて居る者が少くないのであります、それで本論に入りますが、今の我が國の優れた美術品の中で法規を以て正式に認められたものは國寶と重要美術品であります、此の国寶と重要美術品は、美術の模範となり歴史の徴章となると云ふやうなもので、法律に依つて文部大臣が指定されるので、先程から伺つて居ります骨董と云ふものとは少し趣が違ふのでありまして、往々低級な道具屋なんかが扱ふげて物式の下品なものとは違ひまして、國寶や重要美術品は、それぞれ美術に對する學術的鑑識力のある專門家や磧學の士が大勢集つて決めるのでありまして、其の品質、由緒、品格などは外國人でも日本人でも、玄人でも素人でも驚嘆するやうなものが多いのであります、而も國寶、重要美術は法律的にも色々制限を受けるのでありまして、御承知の通り外國に輸出することも出來ず、或は移出することも出來ない、又國寶は博物館なり美術館に出陳しなければいけない、濫に其の現状の變更も許されないし、それから又國寶を譲り渡しましたり、或は壊したりしましたら届出なければいけない、或は神社や寺院が持つて居ります国寶は、之を處分したり、擔保に供したり、若しくは差押へたりすることは出來ない、又國寶は自分の物と雖も、勝手に壊したり隱匿したり、又は現状を變更したり致しますると、懲役に處せられると云ふやうな規定もあるので、斯う云ふ風に自由に使用、收益處分出來ると云ふやうな純然たる私有財産ではないのでありまして、歴代天皇の宸筆とか其の他貴重なる古文書の如きは、實に金錢に見積り得さる歴史的精神的の價値もあるのであります、さう云ふ風に國寶類は、本當に文字通り國の寶でありますから、其の所有者などは本當に公共的の御預り物として能く保存に注意を拂ひ來れる爲、前申したやうに割合に能く保存されて居つたのではないかと思ひます、然るに此の度國寶、重要美術に對して、全く自由に扱ふことも處分することも出來る一般のものと同じやうに重い税を課すると云ふことは、どうも不公正が澤山あると云ふことは大藏大臣も仰しやつて居られますが、餘りに不公正であるばかりでなく、其の爲に自然に是が散逸致しまして、それこそ利潤追求專門の古道具屋とか闇商人とか、更に第三國人等の手に迄陷つて、さうして遠く海外に迄密輸出せられると云ふ心配もあるのぢやないかと思ひます、色々な貴重な古文書、古い書籍などは纏つて居てこそ、特殊なる歴史的値打がありますのに、心なき儲け主義の商人等が之之を數行づつに分割しまして、一行何千圓何萬圓の割に依る高い値段で賣つて、遂に惜しくも滅失分散した例は澤山あるのであります、殊に今日は密輸出の取締と云ふものは非常に困難な事情にあるのぢやないかと思ひますので、日本人の手に再び戻つて來ないやうな危險もありまして、一層憂慮に堪へないのであります、今次の戰爭に當つて、米國も帝室博物館や奈良とか京都とかを爆撃をしなかつたと云ふことも、日本の古文化古美術の破壊、滅失と云ふことを惜しんで、それを保護すると云ふ爲ではないかと思ひますが、然るに今日本が幾らか知れませぬが、御見積りがおありになるかどうか知れませぬけれども、大した税金でもないかと思はれる、其の利益 得る爲に、貴重な古美術品を善良な保管者から手離さしめ、さうして散逸せしめることがあつては、本當に惜しいと思ひます、色々税法にも見ますると、教育用の材料は登録税を免ずる、學校や博物館の陳列、美術館などの陳列の標本などは關税を免ずるとか、學術研究用、教育用の品物は物品税を免ずるとか云ふ、色々税法の中には精神的文化的方面に意を用ひて、租税を減免して居る例もあるやうに思はれまするのに、此の法案は非常の際の非常の措置であることは能く分りまするが、全くと申してはどうか知れませぬが、文化と云ふことを無視して、殆ど一顧も與へてない結果ぢやないかと云ふやうな感がありますのですが、此の臨時措置法案などは文部大臣が副署して居りますのに、財産税法案に付ては文部大臣の副署もないと云ふ風に、何か文化と云ふものに付ては全く御考への下に置かなかつたやうな感がありますから、何も總ての美術品を免税してくれとか、さう云ふ無理なことは申しませぬが、今申上げた國寶とか、重要美術品とかと云ふ風に、國家が公に決めて居ります物は、我が國の美術振興の爲に、國民の情操教育の爲にも非常に大切でありまして、又今申上げた通り法律上にも實際上にも、色々制限を受けて、純然たる私有財産とは違つて居るのでありますから、どうか特別の御考慮を拂つて戴けないでありませうか、殊に國寶重要美術品の中で、個人の所有になつて居るのも幾らもないかと思ひますので、此の法案の十條に免税の場合を規定して居りますが、「その他命令で定めるもの」と云ふこともありますので、其の中に特に國寶とか重要美術品とか云ふやうな物は、免税なり減税なりの處置を御執りになつて戴く御考はないでありませうか、尤も何かさう云ふ恩典を戴けるならば、國寶や重要美術品に付ては、今後尚一層それは公共的の義務を其の所有者に負擔させることは結構ぢやないかと思ひますが、若し皇室財産にも財産税を課せられるならば、帝室の優れた古美術に付ても矢張り同じやうに御考へ願ひたいと思ひますが、一言其の事をちよつと申上げて御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=232
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233・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 美術の必要なることは御話の通りでございます、殊に現下の我が國として美術を大切にしなければならぬことも亦御話の通りでありまして、唯それが非常に必要であると云ふ理由で、個人の所有の國寶、重要美術品を課税外に置くと云ふことは適當でないと考へて居ります、一般の財産税に付きましては、名目的の財産税に付て國寶、重要美術品を除外すると云ふことは從來も考へられて居りました、併し今囘のやうな財産税に付きまして、國寶、重要美術品を除外すると云ふことは、負擔の衡平と云ふ點から申しまして、出來ないことだと考へて居ります、唯國寶、重要美術品が色色な制限を受けて居ります關係と、又美術保存と云ふ色々な點から申しまして、評價に付きましては出來るだけの考慮を拂ひたいと考へて居ります、尚最後に皇室財産に付きましての課税は、昨日大藏大臣から御話になりました通りに、正倉院、帝室博物館の課税に付きまして、只今關係方面と交渉中でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=233
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234・渡部信
○委員外議員(渡部信君) 只今の御答辯に依りまして、免税は不適當であるがと云ふ御話もございまして、是以上は意見の相違でございますから、私としては是非それを御願ひして、せめて今の評價に付きまして、何か特別の御處置を願ひたい、我が國の國寶、古美術の爲に特に御願ひして置きたいと云ふことを申上げて置きます、今一つ御伺ひしたいのでありますが、それは八十二條でございますか、「皇室の財産に對する財産税に關し」、是は昨日もちよつと皇室財産税のことに付て御話がありましたが、「必要な事項は、この法律の定めるところに準じ、皇室令を以て、これを定める。」斯う云ふやうに皇室令を以て皇室の財産に課税すると云ふ明文を認めた例は、どうも寡聞でありますが、初めてのやうに存じます、斯う云ふ法律を以て皇室令に委任したと云ふことは、外に例があるやうでありますが、斯う云ふ課税を認めると云ふことは初めてのやうにに思ひますが、それは初めてでも別問題として、此の皇室令と云ふものは政府で立案されるのでありませぬから、さう云ふこともありますまいが、強制して出すことは出來ない、若し是は宮内省の方と十分御打合があるのでありませうか、詰り皇室令を出す出さないは、宮内省の問題でありまして、強制する譯に行かないと思ひますが、其の點は十分の御打合があるのでございますか、ちよつと御伺ひして置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=234
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235・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 是は御話の通り、十分打合せがありますのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=235
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236・渡部信
○委員外議員(渡部信君) それではもう一つ序に、其の問題に關聯致しまして、此の財産税法案の理由を見ますると、個人の財産に付高率の課税をする、斯う云ふことが書いてあるやうでございますが、皇室財産は天皇個人としての御財産と見て、財産税を課さうと云ふ御考なんでありませうか、憲法の委員會に傍聽致して居りましたら、「すべて皇室財産は、國に屬する。」と云ふことが憲法に書いてあるのであります、其の憲法の説明に依れば、皇室の財産は大部分は天皇一個人の御財産ではない、殆ど皆天皇皇族の公的御財産と見て、從つて財産は殆ど全部國に屬するのだと云ふやうな御話を伺つて居つたのでありますが、若しそれが天皇の個人の御財産、個人的の財産として財産税を課するとすれば、憲法實施後國に屬すると云ふ皇室財産はなくなつてしまふやうに思はれるのですが、其の點はどう云ふ風に御考になつていらつしやいませうか
國務大臣(石橋湛山君) それは新憲法が實施されれば、皇室の御財産の中、まあ大部分でありませうが、國に屬するのでありますが、まだ新憲法が實施されませぬから、そこで皇室の一種の私有財産と同じやうに考へて、さうして財産税が課せられるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=236
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237・渡部信
○委員外議員(渡部信君) さう致しますと、新憲法の實施前に於ては、此の皇室の御財産は、天皇の個人的な御財産と見て、新憲法が實施されれば、公的の御財産と見て全部徴つてしまふ、斯う云ふ風な御解釋になるのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=237
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238・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=238
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239・渡部信
○委員外議員(渡部信君) 其の公的財産とか個人的財産とか云ふことは、是はまあ議論は別と致しまして、もう數箇月後に全部國に屬する皇室御財産でありますのに、未だ曾て規定したことがないやうな立法例をしても、今日急いで皇室財産の大部分を財産税として御徴りになると云ふことは、如何かと思はれるのでありますが、憲法實施の前に皇室から何か自發的に何十億かの御財産を國に無償で下さると云ふことは、別問題でありますけれども、神社とか寺院とかの財産に對してさへも、公的の性質を酌まれまして、課税しないで、天皇に對しては財産税の關係に於きまして、御財産の公的性質は認めない、個人の御財産として徴れるだけ徴つてしまふ、今度憲法が實施されれば、急に皇室御財産は公的財産であるとなつて全部徴り上げてしまふと云ふことは、何か皇室に對して御痛はしいやうな感じがちよつと、私一個人かも知れませぬが、致すのであります、寧ろどうせ、さうするのでありますから、皇室御財産は個人的な御財産でないもの、此の憲法の御説明の時のやうに公的財産が主なものとして、此の際は皇室財産に對しては財産税の徴收を御止めになつて、憲法實施後有難く皇室財産を一括して全部頂戴すると云ふ方が宜しいやうに思はれるのですが、如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=239
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240・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) あなたの仰しやることも御意見でありますが、斯くすることが今日の内外の情勢上、皇室の爲にも、日本の爲にも宜しいと考へてやつた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=240
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241・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 私の質問は甚だ冗長でありまして、遲くなつた時に皆樣に恐縮なのですが、重要な問題でございますから、少し時間を與へて戴きたい、私は此の財産税と財政計畫の關係を伺ひたい、それを伺つて居ると大變なことになりますから、一部分省略致しまして、詰り此の税がどれだけ財政に役に立つかと云ふことをはつきりさせるのには、臨時の經費の大きなものが何年續くかと云ふことを大概見當が附けば自ら分つて來るものであります、それで甚だ一々御面倒で聞いていらつしやる方には、殊に御氣の毒ですが、茲にちよつと費目を指摘しますから、それの性質とそれから大體の算出の根據を極く簡單で宜しいのでございますから、御述を願ひたい、それは主に大藏省所管でありまして、大きな費目だけで、復員諸費、終戰處理費、特別住宅建設資材費、日本銀行政府債務辨償費、經濟安定費、それから文部省へ來て國民學校職員給與特別措置費補助、厚生省の引揚民對策諸費、それから民生安定諸費、是等に付きまして極く簡單で宜しうございますから、算出の根據と性質を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=241
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242・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 只今御話になりましたことの御答の中、漏れることがあるかも知れませぬが、先づ大藏省の所管の方から申上げたいのでありますが、御手許には、此の前の改定豫算の順序に依つて御説明申上げる方が便利かと思ひます、只今御示しの復員諸費は、陸海軍の軍人が海外から引揚げて參ります、それに要する經費なのであります、是は本年の三月末に要する昭和二十一年度、開始の當時でありますが、其の當時陸海軍人が海外に約二百五十萬人居ると云ふ計算で、其の二百五十萬人の軍人が、本年九月乃至十一月の間に復員を終了すると云ふ豫定で組んだ經費でございます、金額で約四十億圓近くの金になつて居ると思ひます、それは其の後の状況を見て居りますと、御承知の通りに、「ソ」聯の勢力下の地域からは軍人は歸つて參りませぬ、それで最近ではまだ百萬人に近い軍人が海外に殘つて居ります、此の者が何時迄に歸りますか、是は今後の情勢に俟たないとはつきり致さないと思ひます、来年にも是が相當後を引いて出て來るのではないかと豫想して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=242
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243・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 四十億圓と云ふのは百萬人に對するものですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=243
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244・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 先程申しました三月末に二百五十萬人位の軍人が海外に居る、それが本年九月乃至十一月位の間に引揚を完了してしまふと云ふ豫定であつたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=244
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245・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 定足數を缺いて參りましたから、是で今日は終ります、明日は午前十時から開きます
午後四時五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=245
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246・会議録情報4
出席者左の如し
委員長 三土忠造君
副委員長 男爵 高崎弓彦君
委員
侯爵 池田宣政君
侯爵 鍋島直泰君
伯爵 二荒芳徳君
伯爵 黒田清君
子爵 大河内輝耕君
子爵 京極高修君
子爵 瀧脇宏光君
子爵 綾小路護君
子爵 梅溪通虎君
慶松勝左衞門君
男爵 周布兼道君
長谷川赳夫君
男爵 中村貫之君
男爵 林忠一君
男爵 倉富鈞君
男爵 宮原旭君
黒田英雄君
板谷順助君
橋本辰二郎君
河西豊太郎君
小山完吾若
高橋龍太郎君
有馬忠三郎君
中島徳太郎君
片岡直方君
片倉兼太郎君
河端作兵衞君
岸本彦衞君
松岡潤吉君
小汀利得君
上野喜左衞門君
委員外議員
渡部信君
國務大臣
大藏大臣 石橋湛山君
国務大臣 膳桂之助君
政府委員
大藏事務官 福田赳夫君
同 野田卯一君
同 池田勇人君
同 河野通一君
司法事務官 奧野健一君
商工事務官 三木秋義君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00319461009&spkNum=246
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