1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○戰時補償特別措置法案
○金融機關再建整備法案
○特別和議法案
○大藏省預金部等損失特別處理法案
○厚生年金保險法及び船員保險法特例案
○企業再建整備法案
○財産税法案
○財産税等收入金特別會計法案
○企業整備資金措置法を廢止する等の法律案
○帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律案
○復興金融金庫及び産業復興營團出資拂込金支辨のための公債發行に關する法律案
○自作農創設特別措置特別會計法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年十月十日(木曜日)午前十時十五分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=1
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002・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 是より開會致します、大河内君はまだありますか……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=2
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003・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 私のは政府委員で宜しうございますから、折角大臣が御出でになつて居りますからどなたか大臣に御尋の方は……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=3
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004・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 大臣は午前中居られますから、あなたを濟まして戴いて外に……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=4
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005・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それでは私成るべく急いで質問を致します、昨日のやうにやつて居つたら切りがございませぬから、算出の根據等は書面で出して戴くことに致しまして、さうして速記録へ載せて戴きたいと思ひますが、差支ございますでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=5
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006・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 宜しうございませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=6
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007・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 ちよつと一般に諮つて戴きたい、豫算の項目の重要な費目に付きまして、昨日質問を始めましたのですが、時間の節約を圖ります爲に細かいことは書面で出して戴きましま今日は大體の質問だけに止めます、さうして其の出して戴いた書面を速記録へ載せて戴きたいと存じます、委員長の御許可を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=7
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008・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 皆さん御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=8
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009・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 左樣取計ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=9
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010・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それでは伺ひますが、主計局長にそこへ書いて出した項目でございますが、此の項目は大體來年度是が矢張り同じやうな項目が出て來ますでせうか、さうすると、或は純粹今年限りと云ふのがございますでせうか、それだけを御指摘を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=10
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011・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 御答へ致します、御示の第一點は終戰處理費でございます、此の終戰處理費は改定豫算には百九十億圓計上してございます、是は御承知の通りに、進駐軍が參りまして、色々の費用を使ふのでありますが、之を大雜把に分けて見ますると、進駐軍が色々な工事を致します、飛行場を色々と整備するとか、兵舍を整備するとか、色々な工事をする、さう云ふ經費か、或は進駐軍關係の住宅を、是は住む方の住宅でございます、住宅を建設する經費、或は新たに兵舍を建設する經費、其の外に進駐軍が昨年進駐して參りましてから今年七月頃迄に要した經費と云ふものは、大體豫算を通さないで、日本銀行の立替拂をして居るのでありますが、其の立替拂金額を約四十六億圓を返濟する、さう云つたやうな諸般の經費を百九十億圓含んで居るのであります、此の中來年度なくなると云ふことの明瞭なのは、日本銀行の立替へて拂つた四十六億圓を返濟すると云ふ、是が今年限りの費用でございます、其の他の進駐軍の住宅の建設費用或は兵舍の建設の費用と云ふやうなものに付きましては、是は只今工事を進行して居るのでありますが、工事の實情を調べて見ますと、豫定より餘程遲れて居る譯であります、それで一例を住宅に取つて申しますと、本年中に七千五百戸の住宅を建設しろと云ふ初の計畫でありましたが、只今の見透しでは三千戸の建設完了が少し危い、二千戸は確實に出來ますが、三千戸はむづかしいと云ふやうな状況だと聞いて居ります、從ひまして若し七千五百戸を建設する必要があるとすれば、來年度も引續いて相當量の經費が計上されなければならぬ、それで一面から申しますと、今年七千五百戸の建設費用を豫算に組んであるとすれば、それが若し工事が遲れれば當然繰越の問題が起るぢやないかと云ふ疑問でございますが、之に付きましては初め進駐軍に於て、司令部に於て非常に査定を加へられました單價が餘り低過ぎて現情に即せず、只今は此の單價より遙かに高い所で工事が實際行はれて居る、斯う云ふやうな實情でごさいますので、經費は工事の進捗の進まない割合に餘計食ふ、斯う云ふことに相成らうと存ずる次第であります、それから兵舍のことに付きましてはまだ向ふで是は直營的にやつて居ますので能く分り兼ねます、それから飛行場の建設等の費用に要します經費に付きましては、本年度見積りました經費と實際に使用して居る經費に比べると、實際使つて居る經費の方が多少多いやうに見えます、是は來年度は相當少くなるのぢやないかと云ふ見込でごさいます
それから第二の御示の特別住宅建設の費用でありますが、是は追加豫算を加へますと二種類に岐れまして、第一は朝鮮に於ける「アメリカ」の進駐軍の使ふ住宅建設資材を内地から迭ると云ふ問題であります
〔「豫算委員會ではない」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=11
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012・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 ちよつとそれに付きまして申上げます、私が茲で質問し始めましたのは、此の財政上に於ける此の税の效果を伺ひたいと思ひまして、それには餘程細かい質問をしなければ分らないのです、それで其の一部を聽きますので、斯う云ふ風に之を伺つて居るのですから、どうか左樣御承知を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=12
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013・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 成るべく簡單に御答へ致します、特別住宅建設資材の朝鮮軍の十二億、沖繩軍が一億ございます、合計十三億、是は來年度是と同じものが要るかどうか今の所は全然不明でございます、それから日本銀行政府債務處理十二億圓と云ふやうなことに付ては、是は本年限りの費用でございます、是は外國から還つて參ります、在留邦人が還つて參ります場合には、港で一人當り二千圓の通貨交換を致します、其の關係の費用でありまして、今年の七月頃迄に借りた金を返すと云ふ本年限りの費用であります、それから經濟安定費五十五億圓であります、是は御承知の公共事業を營んで、一面生産増強に資し、他面失業の救濟に資すると云ふ經費でございます、是は目下進行中でありますが、只今の日本の經濟情勢で參りますれば、明年度も相當程度の經濟安定費も必要ではないかと云ふ、斯う云ふやうな見透しを持つて居る次第であります、それから文部省所管の國民學校職員給與特別措置補助と云ふのでございますが、是は小學校の先生の待遇が他の一般官吏に比しまして非常に菲薄であると云ふやうな點に鑑みまして、之を是正するやうに引上げたいと云ふ關係から生じて居ります經費の補助でありまして、是は當然明年度も繼續される性質のものであります、それから次に引揚民の對策費、是は厚生省所管の約十八億五千萬圓の費用でございますが、是は明年度は本年度よりも少くなつて參ります、少し引揚民が本年中に完了する豫定のが來年殘つて居る、其の部分でございますので、相當額減少する見込であります、それから其の次に、最後に民生安定施設費三十億圓でありますが、是は所謂「ソーシャル・リリーフ」の關係で、生活に困窮した者に對して生活援護金を與へると云ふ問題でございます、是は生活保護法の關係の費用であります、どの程度本年出ますか、我々一部の見込では三十億は必要はないのではないかと云ふ見積りをして居ります、來年此の金額がどうなりますか、今の所ははつきり致しませぬが、相當程度の金が矢張り要るのではないか、斯う云ふ見透しを持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=13
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014・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 大河内委員に御相談致しますが、直接案に關係の疑點のある人がまだ三四人居るから、それを濟ませて……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=14
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015・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 もうちよつと私は大臣に質問すれば濟みます、只今伺ひました通り、來年度豫算の全體をすつかり實際伺ひたいのですけれども、それは迚も時間が許しませぬから、まあ今伺つた程度のものを前提として申すより仕方ありませぬが、段々伺つて見ると云ふと、大分減る所もございます、來年度に殘る所のものもごさいます、さうして此の財産税はどうなつたかと云ふと、是で一體公債をすつかり返すと云ふ筈だ、公債をすつかり返すと云ふことならば一つの目的が備つて居りますから、我々も財政の目的の爲に之を負擔すると云ふことになつて、非常に財政的に貢獻する所があらうと思ふのですが、其の目的でなくなつてしまつて、赤字公債の代りに財産税を負擔すると云ふやうなことに、財産税を以て充てると云ふやうなことになつたものですから、果して財産税が財政的に成功するや否やと云ふ前途が非常に怪しくなつて來た、併し伺つて見ると云ふと、大分金も減りますやうですし、それから大臣の御言明から云つても、まあ公債は出すけれども、それは國力を増進するやうなものに限ると云ふことにしたい、それならば差支ないぢやないかと云ふ御言明もあつた所を見ますると、餘程又樂觀すべき所がある、併し一方から言ふと、又十萬圓以下五萬圓のものも何か狙つておいでになるやうに見える、旁旁以て折角斯う云ふ劃期的の大變なる負擔を國民に課ける税が、財政上成功しないと云ふやうなことになつたならば非常なことになりますし、是は宜しうございますが、今度入れても入れても赤字でどうにもならぬ、之を今年取つて、今年は取つたから宜うございますが、來年もどれだけ取れるか分りませぬが、どうしたつて赤字は出るだらうと思ふ、再來年が來るとどうするかと云ふと、又今度出る、結局燒石に水で、幾ら注込んでも仕方がないと云ふやうな不安が多少ないこともないのですが、其の點は大體の御見込は如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=15
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016・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 御話のやうに兎に角日本の經濟が斯樣な状況で非常な損害を受けて居る、そこに終戰の爲に今御尋のやうな色々のあと始末と申しますか、其の費用がどうも萬已むを得ず出て來た、さう云ふことでありますから、財政が非常な困難であり、色々の矛盾があることは御話の通りで、實に已むを得ないことなんです、併し此の赤字を、唯無意味に赤字を毎年續けると云ふことでは、是は日本の財政經濟が持てないのであります、是はどんなことをしても合理的な所に食止めると云けことを致す外はない、で是は何と申しますか、寧ろ至上命令でやらなければならぬと云ふことで、從つて進駐軍費其の他に付ても、まあ是は相手のあることでありますから何とも言へませぬが、現在でも段々さう云ふ話を進めて居る譯であります、日本としてやれるだけのことをやる、其の上で一つ聯合國とも話合をして、日本の財政が健全に建直るやうに致して行きたいと考へ、又さう云ふ話を現在進めつつあります、左樣な方針で一つ善處して參りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=16
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017・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 是はなかなか大藏大臣の御苦心は非常なものだらうと思ひますが、兎に角是だけ犠牲を拂はして、劃期的なことをやつて置きながら、若しそれが何にもならぬ燒石に水に歸するやうなら容勿にならぬことであります、どうか來年の豫算編成に付きましては十分其の點を御考慮下さつてやることを希望致します、私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=17
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018・三土忠造
○委員長(三土忠造君) それでは河端君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=18
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019・河端作兵衞
○河端作兵衞君 戰時補償打切の結果、税金の拂戻が出來るやうな氣分がするのですが、さう云ふことは果してやれるかどうか、之を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=19
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020・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 戰時補償特別措置法に依りまして、戰時補償特別税が課せられた場合に、既往に於て利益が戰時補償請求權等から發生致しました場合には、其の利益に對しまする法人税竝に所得税の輕減の規定を戰時補償特別措置法第五十四條乃至五十六條に規定致して居ります、又相續財産に付きまして、相續財産中に戰時補償の請求權等を含んで居りました場合には、其の戰時補償請求權を上積の計算を致しまして、相續税を輕減免除を致します、又相續財産に加へられた財産が、戰時補償請求權に變りました場合、さう云ふ方が今相續税の延納中でありました場合に付きましては、其の戰時補償特別税を課せられました相續財産と、他の財産とを按分して相續税を輕減又は免除する規定を戰時補償特別措置法第五十七條及び五十八條に規定致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=20
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021・河端作兵衞
○河端作兵衞君 さう致しますと是から納める財産税に付て直ちに是が相殺出來るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=21
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022・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 戰時補償特別税が課税になりましてそれが三月三日の財産に影響致します場合に、それを控除する規定を財産税法に設けて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=22
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023・河端作兵衞
○河端作兵衞君 度々皆さん方の御質問で大分分つて來たのでありますが、財産税の目的は二つあるやうに承つて居ります、「インフレ」とさうして富の再分配、處が間もなく一千億に垂んとするやうでありますが、四百三十五億の茲に課税して現在物其のものの動きが大分あります、其の動きが此の一千億の中に落込んで居る、さうすると此の一千億に垂んとする金の所在をはつきり政府が之を握つて居らぬと、將來妙な工合に、又戰時中の財産が戰後の金の所有者にずつて行くと云ふやうなことが、富の公平なる分配と云ふ風なことが、餘り公平でないと云ふ結果になるのぢやないか、斯う私は考へます、之に付て大藏大臣はどう云ふ風な自信を持つて居られるか、其の點を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=23
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024・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 此の問題は色々の形で屡屡御答をして居る譯でありますが、斯う云ふ經濟界の變動の激しい場合でありますししますから、色色の關係で一部の者に通貨が集まると云ふ傾向があることは確かであります、是は今所謂新興所得階級と云ふやうな、戰時中から言はれて居る、それも變つて居りますけれども、實は所得税其の他で以て是は捕捉が出來る筈なのでありますが、實際に於ては捕捉はむづかしいものでありますから、實際相當の所得が有りながら、課税を免れて居ると云ふ向があるのであります、是等の點に付て技術上非常に困難がありますが、尚一つ税制の再檢討をやつて見て、さうして出來るだけ左樣な新興所得階級にも課税が出來るやうな方法を執りたいと斯う思つて居ります、戰時中に御承知の通り是等の色々の批評がありますが、矢張りさう云ふ考から丙種事業所得なるものを作つて居ります、是等も初まりの收入の豫定は極く僅かなものだと思つて居りましたが、今相當大きなものになつて居ります、何等かさう云ふやうな方法で課税の公平を期したい、其の方で是正して行くより他ないと思ひます、同時に又いつも申上げますやうに新圓、舊圓の區別と云ふものがあるから、却て變なものになります、さう云ふことの撤廢出來る時期を早く齎したい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=24
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025・慶松勝左衞門
○慶松勝左衞門君 昨日の私の質問を少し延長して尚政府委員に二三御伺したいと思ひます、即ち三月三日以來所謂移動變化した財産に關して物納の取扱に付ての點であります、昨日は國債のことを御伺しましたが、本日は株式のことを御伺したいと思ひます、即ち三月三日迄に「エー」なる株式を所有して居つた者が其の以後之を賣却して「ビー」なる株式を現に所有して居ると致しますと、此の場合に政府は「ビー」なる株式を物納の對象にはなさらないのでありますか、如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=25
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026・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 原則として「ビー」なる株式の物納は認めない考で居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=26
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027・慶松勝左衞門
○慶松勝左衞門君 さうすると言ひ換れば、三月三日ありの儘の株式以外は何物をも株式に付ては御認にならない、斯う云ふことですね、念の爲に……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=27
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028・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 他にそれの賣却代金又は他に不動産等がございますれば、それに依つて物納して戴くのが建前でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=28
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029・慶松勝左衞門
○慶松勝左衞門君 それでは重ねて御伺ひ致しますが、三月三日迄の株式であつて、例へば半額拂込即ち未拂込を持つて居る株式が未拂込の請求に依つて全部其の以後に拂込んだと致します、即ち株式の内容の性質に依つて變化して來て居りますが、それ等は物納の對象にならないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=29
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030・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 全額拂込の株ならば對象に致したいと考へて居りますが、原則が三月三日現在の株式と云ふことに致して居りますので、其の後の拂込の株式を入れるか入れないかと云ふことに付ては研究致したいと思ひます、出來れば入れたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=30
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031・慶松勝左衞門
○慶松勝左衞門君 ちよつと御答が前後一貫しないやうに考へます、全額拂込に付ては別に議論して居りませぬ、三月三日迄の全額拂込のものは當然前の御答辯で濟んで居ります、未拂込が三月三日にあつたものが三月三日以後に於て拂込を完了するやうに、現に今度色々な御規則に依つてさう云ふことを致さなければならぬものが澤山出て來る、其の全額拂込になつた株券が物納の對象になるか否やを承つて居るので、先程の原則から申せば當然それはいけないと御答があつて然るべきだと思ひます、尚研究中とはどう云ふ譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=31
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032・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 原則と致しまして未拂込の株は物納に充てられない考で居ります、其の未拂込の時は何時かと申しますと、三月三日の場合でございます、唯以後に於て外の財産がない、而して三月三日には未拂込であるけれども、其の株があつたと云ふ場合には、或程度研究の餘地があるのではないかと御答へ申上げたのでございます、原則から申しますると、未拂込の分は入れない、物納の中に入れない、其の後に拂込濟になつたものも入れないと云ふ原則はあるのでございますが、事情に依りましてはさう云ふ場合も入れたが宜いのではないかと云ふ場合も起り得ると思ひます、それで先程のやうな御答辯を申上げた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=32
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033・慶松勝左衞門
○慶松勝左衞門君 さうしますと、どうも政府の仰しやることが、私は前後一貫しないやうに思ふのでありますが、詰り簡單に申せば、二十五圓拂込の株券が即ち三月三日ありの儘の現状であつて、其の株券の性質は二十五圓の價値よりないものと、斯う致します、それが三月三日以後に於て二十五圓の拂込の追徴を命ぜられて五十圓の滿株になつたとしますと、其の株券は全然性質を異にし、其の金額に於て同じだけのものを持つて居れば、最早倍の財産になつて居る、それを原則として居るとか、或は例外として居るとかと云ふ御言葉がありますが、明瞭に外の「エー」なる株券が「ビー」なる株券に移り行きましても、若しもさう云ふことであれば、「ビー」なる株券と雖も、誰人かが三月三日に持つて居つて、政府がそれを認めて居る株券なんであります、唯持主が、甲なる者が乙なる者に讓渡しただけであつて、決して其の株券は公然と認められて居らない譯はないのでありますから、未拂込のものが拂込になつたから、是は考慮の餘地があると云ふことになると、非常に其處に前後一貫しないものがあるのぢやなからうかと思ふのでありますが、其の點に付ての御説明を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=33
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034・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) はつきり御答を申上げます、原則論は三月三日に御持ちになつて居つたものに限るのでございます、株券に付きましては、未拂込の儘の株券は物納に充て得ないことに致して居ります、而して御話の三月三日に半額拂込が其の後全額拂込になつたと云ふ場合をどうするかと申しますと、原則論から申しますると、是は御話の通りに、物納に充てられらいのが、原則でございます、併し斯かる場合にそれは全然充てられないと云ふことも、拂込があつただけの問題でございまするから、研究の餘地があるのではないかと思つて居ります、斯う云ふ場合は、其の他の動産或は不動産なんかに付きましても、優先的に物納し得る場合と、後順位になる場合とありまして、個々に決めて行きたい、繰返して申上げますが、三月三日の株式は、未拂込でずつと行つて居るものは、物納に充てませぬ、拂込完了したものは一番後の順位として考慮しなければならないのぢやないかと云ふことを申上げただけのことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=34
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035・慶松勝左衞門
○慶松勝左衞門君 議論は私は申しませぬが、度々政府委員から承りますと、三月三日現在の財産に付て課税をしたのだから、飽く迄其の當時のありの儘の物品に限つて之を物納を認めると云ふ、斯う云ふ度々の御説明で其の點は能く分つたのでありますが、併し私の別の意見を申上げて甚だ恐縮でありますが、一般の常識と致しますと、物納と云ふことを認めて戴くと云ふことはどう云ふことかと申せば、納税をする時期に於て納税義務者が所有して居る物品を金錢に代へて納入を御許し下さると云ふことを物納と云ふのぢやないか、私は一般の常識から言ふと、三月三日の物納を認めて、納税期の物納はそれはいけないのだ、如何となれば、三月三日のものに對照して税を取るのだから、三月三日の財産に對して税を取ると云ふことは、是はもう當然で異議のないことでありますが、それは唯税額を決定する基礎となつて、税額を決定するのはもう御説明迄もなく、三月三日の財産のありの儘に依つて税額を決定する、是は言ふ迄もありませぬ、併しそれは唯其の人が財産税を幾ら出すかと云ふ計算の基礎を三月三日に置いたに過ぎないのであります、三月三日の物品とか、金錢とかに限つて、それを納めるとか、納めないとかの議論は私は立たないと思ひます、物を納めるとか、金錢を以て納税すると云ふことは納税期に於ける其の納税義務者が持つて居る物を出すことを言ふのぢやないかと思ひます、假に納税義務者の方から言ふと、今のやうに政府は御認にならないと、外の株券を持つて居るものを御認にならないと、然らば其の時にどうして納税するかと云ふと、即ち私の所謂「ビー」の株を現金に換へて、さうして納税すると云ふことになると思ひます、詰り政府が物納を御認になると云ふことは、左樣な煩はしい、さうして不利益な、煩瑣なことを國民をして一つ一つやらせないで、さうして國民の持つて居る物を物納に取つてやるんだと云ふことに於て、私は初めて物納と云ふ名前が出て來たのであらうと思ひます、さうすると物納と云ふものは三月三日に起る問題でなくして、納税期に於て初はて納税義務者が言ふことであつて、感ずることであらうと思ひます、其の時に三月三日の財産税を計算する基礎の期日を以てある物でなければ物納にならないと云ふことは、ちよつと常識の上から言ふて、非常に考にくいやうに私は思ふのでありますが、そこの所を分るやうにもう一つ説明を政府委員から御願したい、議論でありませぬから、政府の御懇篤なる御考さへ承れば宜いのでありまして、况や此の三月三日から此の規則が出るのが、既に六箇月も七箇月も遲れて、それから又それに關聯する命令が出るのは、もう一箇月も二箇月も遲れて、さうして愈愈納税のことを通告して、或は納税をするのは來年の三月三日になるかも知れませぬ、此の一年の間左樣な流通性のある物の移動を政府が許して置いて、何等それに對する警告も制限もして居らないで、さうして其の物納と云ふことを言ひながら、物納は實は三月三日にお前等が持つて居つた物に限るんだと云ふやうなことを初て其の命令に於て發表すると云ふことは、今日迄納税義務者は物納を許されると云ふことは、税を納める時に、自分の持つて居る財産を、且それが正當な方法に依つて所有して居る財産を、物品を出すことが出來るのだと云ふやうに皆了解して居ると私は思ひますが、其の點に付て政府はどう御考でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=35
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036・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 物納に對する觀念は、御説のやうな考へ方も出來ないことはございませぬ、併し物納制度と云ふものは、我が國に於きましても、昭和十七年度に相續税法に規定を設けまして、是は矢張り世界の物納制度の例を參考にして、相續税の物納制度を置いたのでありますが、其の物納制度に於きましても、はつきり相續税の課税を受けます相續開始の時の財産に付てのみ物納を認めて居るのでありまして、其の時以外の價格で物納を認める制度はないのであります、それで若し三月三日に所有して居られない財産を御話の通りに物納に充てると云ふことになりますと、其の財産を納付する場合の時の評價に非常に困難を來す譯であります、到底手續上からもなかなかむづかしいので、物納制度と云ふものは、先程來度々申上げますやうに、課税になる時の其の所有財産を納め得ると云ふのが物納制度の考へ方で、是は各國共統一して居ると思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=36
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037・慶松勝左衞門
○慶松勝左衞門君 只今物納制度に付て御説明を承つて能く分りましたが、併し相續税に付てのさう云ふ物納制度があると云ふことは、是はもう私も存じて居ります、素人ながらも存じて居ります、相續税に付ての物納制度と云ふものは、豫めさう云ふことが決めてあつて、相續した人は其の時に持つて居つた所の物納をせなければならぬと云ふことは豫め法律で決めてあるから、それは能く分ると思ふ、併しそれと今日の財産税の場合と同一に若しも政府が御考になつたら、それは大きな誤りではないだらうか、今囘の財産税のやうなものは、是は所謂今迄にないことであるし、又恐らく後世にもないことであらうと云ふ一つの場合であつて、さうしておまけに先程から縷々申上げるやうに、三月三日で押へて置きながら、それの本當のそれの實行なり詳しいことが分るのが六箇月も七箇月も八箇月も後だと云ふさう云ふやうなのと、相續税に於て豫め我々がまだ相續人の前の者が生きて居る時分から、決めて居る相續税の物納と同一に御議論になると云ふことは私は分らない、それはどう云ふ工合に心得たら宜しいでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=37
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038・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 相續税に付て設けました物納の制度は、其の制度が矢張り財産税の物納の制度にも適用になると云ふことは、私は常識的に考へて普通ではないかと思ひます、又相續税に付きましては、相續開始後大きい相續財産になりますと二、三年を要するのでございます、是が通例になつて居ります、財産税の場合に、三月三日から、さうして此の物納制度がはつきり命令案で書かれます迄に、六、七箇月を要しましても、私は納税者は、相續税の物納の場合と同じやうな規定が設けられると想像せられて居ると、確信致して居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=38
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039・慶松勝左衞門
○慶松勝左衞門君 私は是より以上になるともう私の意見になつて恐れ入りますから、もう質問を止めますが、最後に唯大藏大臣に御聽きしたいのは、物納を認めると云ふことは、納税期に於ける納税義務者が所有する物品で、而もそれは正式に評價し得る物であれば、其の正式の評價に依つて現金に換へて物品を納めることが出來るのだと云ふやうに、此の物納と云ふことを命令を御設けになる時に御決め下さると云ふやうな御考はないでせうか、一言大藏大臣から御伺したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=39
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040・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) まあ物納のことは今局長から縷々御説明申上げましたが、建前は局長が言ふ通りと私も信じて居ります、殊に物納の範圍を御質問の御趣旨のやうに非常に擴げると云ふには、色々の弊害……まあ昨日の國債の問題もございましたが、色々の弊害もあらうと思ひますから、さう簡單には片付けられないと思ひます、併し今囘の税は御話のやうに非常に特殊のものであり、又納税者が非常な苦痛を感ぜられるのでありますから、此の點はさう云ふ弊害のない限りに於ては、納税者に成るべく便宜を圖るやうな左樣な考慮を致したいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=40
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041・長谷川赳夫
○長谷川赳夫君 財産税法案に付きまして伺ひたいことが多々ありましたけれども、他の方々の是迄の御質問に依りまして、私の御伺ひ致したいと思ひましたことは殆ど皆了解致しました、唯一點私の伺ひたいのは、此の第十九條の戰災者又は引揚者に付ての控除額、此の規定に依りますと、結局一人に付ては五千圓と云ふことに相成つたのでありますが、實際を考へますると、戰災者引揚者もさうでありますが、戰災者や引揚者と普通の人との打撃の程度と云ふものは、是は比較にならぬのであります、けれども、是は先づ關係方面との折衝の結果、斯う云ふ所に落著きましたのですから、是はもう仕方がないと思ひまするが、此の範圍、是はまあ第三項に依りまして、命令に讓つてあるのでありまするが、是は餘程實際に即したやうに此の範圍を決めて戴きたいと私は思ふ、一例を申上げますと、東京都に於きまする昨年の第六次強制疎開の場合であります、強制疎開は無論戰災者に當然該當しないことは申す迄もないのでありまするが、實際に於ては戰災者と同じやうな人があるのであります、第六次強制疎開に於きましては、御承知のやうに殆ど十日ばかりの間に三月末日を以て強制疎開が行はれたのでありまして、其の時に運輸省の方では、強制疎開の人達の家具や什器は一切引受けて呉れなかつたのであります、六月にならなければ引受けられぬ、斯う云ふことだつたのであります、從ひまして強制疎開に遭つた人は、自分の家具什器等を親戚に預けるとか、倉庫に入れるとかと云ふやうな方法を執つて居つたのでありまするが、其の後の空襲に依りましてそれが全部燒けたと云ふ人が澤山あるのであります、是は單り東京都に限らず、外の都市にもきつと同じやうな例があつたと思ふのでありますが、斯う云ふものは是は決して不注意で燒けたと云ふやうな場合とは違ふのであります、運輸上ちやんと連絡が取つてあつて、直ぐ其の什器等を適當の所へ皆運搬して貰つたならば、斯う云ふことにならなかつたのでありますが、一切引受けないと云ふことの結果、斯うなつたのでありまするが、さう云ふやうな者も戰災者の中に網羅出來るやうに、此の勅令で御決め願へぬものでございませうか、ちよつと伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=41
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042・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 戰災者の定義は勅令に於きまして、戰鬪行爲に依りまして住宅家財を滅失毀損し而も罹災證明書の交付を受けて居る方、斯う云ふ風に決めたいと思ひます、御話のやうに罹災證明書の交付を受けて居られれば、税法では罹災者として取扱ふ見込でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=42
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043・長谷川赳夫
○長谷川赳夫君 さう致しますと、其の意味を此の第三項の命令の中に規定されますのですか、それは實際の取扱に御任せになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=43
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044・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 命令には、戰鬪行爲に依りまして住宅家財の滅失毀損した方で而も證明書の交付を受けて居る者、斯う規定致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=44
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045・長谷川赳夫
○長谷川赳夫君 濟みました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=45
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046・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 昨日私病氣の爲に休みまして、其の間にどなたかが御質問になつたかも知れませぬが、簡單な質問を一二させて戴きます、財産申告當時に長期の預貯金に對しては財産税の課税が相當額輕減される、さう云ふことの了解の下に、長期の預金をした者が相當あらうと思ひます、其の後の情勢から了解しますると、其のことはもう沙汰止みになつたと云ふやうにも了解して居りますが、それに對して政府の御説明として、如何にも遺憾ではあるが、預貯金者に對して得心の行くやうな方法を講ずる、さう云ふ言明があつたさうでございますが、其の得心の行く方法と云ふのはどう云ふことでございませうか、具體的に伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=46
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047・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 實は是は御察しの通り、色々の關係から前内閣時代にさう云ふ約束がある、それは落した譯であります、唯我々としては之を落したのも、其の當時は財産税も二萬圓程度からと云ふ積りでありましたのが、今度十萬圓以上と云ふことになりましたから、事實上に於ては其の預金に付てのさう云ふ特點を廢止しても、又それでも影響される方も無論ありませうが、高額の人達より普通の人達は是で十萬圓以下のものは財産税は課からないから、事實に於ては大した支障はあるまい、斯樣な考で居ります、特に十分納得が行くやうなと云ふことを實はなかなか方法はないのでありますが、今申し上げますやうに十萬圓以下財産税が課からないから大多數の方にはそれで我慢をして戴けるだらう、斯う云ふことを申上げる以外にはないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=47
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048・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 私の申上げるのは預貯金者に利益を與へると云ふ意味ではないのであります、得心の行くやうな方法を講ずると云ふ言明があつたやうでございますが、政府の言明されたことを信用して、自分の持つて居る預貯金を長期の預金にして、相當經濟界の窮迫して居る時期に、自分達も非常な難儀をしながら、其の預貯金を忠實に長期預金に囘して居つた者が、其の特點と云ふものが全然なくなつてしまふとすると、政府に瞞されたと云ふ感じを持つ順序になる譯であります、それで長期の預貯金をした者と云ふのは、恐らくは國民の中の中堅階級で、資産生活をして居る者が多からうと思ふのであります、さう云ふ者が政府に對して信用を置かなくなると云ふことも相當恐ろしい結果になりはしないかと思ふのであります、現に市中の金融機關なんかでも、長期預金の特點はなくなつたから、何時でもそれは取消が出來ますと云ふ、さう云ふ金融機關もありますし、それから又大藏省の何等の指令がないから、依然として長期預金の制限をして居るのだと云ふのもあるやうであります、さう云ふやうに末端に於ては統一されて居ないやうでございます、益益中堅階級の資産生活者が困惑する譯でありますが、此の點に付て何等か具體的に政府の方が發表されて、安心の出來るやうに此の際國家の爲に税金の額を輕減されると云ふことを、何處迄も約束だからと言つて主張すると云ふ、さう云ふ國民もそんなに澤山はなからうと思ひますけれども、併し政府が一旦約束されたことを唯其の儘有耶無耶に葬つてしまふと云ふことも、政府の威信として甚だ遺憾なことと思ふのであります、何か御腹案でもありましたら伺ひたいと思ふのでありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=48
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049・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 今の長期預金は解除することに通牒は出してあるのでありますが、御話のやうに末端に十分徹底しなかつたのもあるかも知れませぬ、尚其の點は一つ調べまして徹底するやうに致します、其の辯明は先程申上げましたやうに、事情已むを得ず斯樣なことになりました、併し實質に於ては財産税の性質が非常に變りましたから、打撃を受ける人もありませうけれども、まあそれは割合に富裕な人が打撃を受けると云ふことで、斯う云ふことで我慢を願ふより外、實は斯う頭を下げる以外はないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=49
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050・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 次の質問でありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=50
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051・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 立つて御願ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=51
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052・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 財産税の物納の中に、土地其の他百四十億となつて居るやうでありますが、是はどう云ふ風になさいますか、相當大きな金額でありますから、之を政府が納税者から取つて金に換へる迄に於ての期間があると思ふ、之を其の間管理するのにどう云ふ風になさるか、又それに要する費用及び金に換へる費用が、百四十億の何割位がさう云ふことに費されますか、御見込がございませうか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=52
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053・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 是は先般もどなたかに御答したやうに思ひますが、此の管理に付ては、特に新しい工夫を致す積りで、今研究を致して居ります、と云ふのは民間の專門の人達の一つ協力を受けて、どう云ふ機關を作るかと云ふことは、今考究中でありまして、決定して居りませぬが、何等かの方法で以て適當な管理をし、成るべく一度に賣出して、物が下がると云ふやうな弊害を防ぐと同時に、有利に處分が出來るやうに致したいと思つて居ります、管理費のことは、今ちよつと分りませぬが、左樣な謂はば今の信託會社其の他でやるやうな方法で管理をし、處分をして行きたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=53
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054・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 財産税の總額が四百三十五億、是だけの税金を取立てるに付ての費用は全體としてどの位要るものと御計算になつて居るのでありませうか、それを伺へば大體分ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=54
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055・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 本年度一億一千五百萬圓の豫算を計上致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=55
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056・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 私の質問は終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=56
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057・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 是で大體質問は終つたと思ひますが、膳國務大臣に對する質問をどなたか保留して居られましたが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=57
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058・板谷順助
○板谷順助君 私はまだ終りませぬ、あなたに通告してあります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=58
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059・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 財産税關係は是で一應終つたことに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=59
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060・板谷順助
○板谷順助君 大藏大臣に重要な問題に付て質問があります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=60
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061・三土忠造
○委員長(三土忠造君) それでは財産税關係は、一應是で濟んだとして、後の諸案を一括して議題に致します、板谷君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=61
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062・板谷順助
○板谷順助君 實は復興金融金庫の特別會計として公債を發行する件、此の件に付きまして、私は此の法案の委員會の討論に於て、役員或は委員を御選びになる際には、清廉潔白、練達堪能の士を目標として御選び願ひたいと云ふことを申上げて居つたのでありまするが、遺憾ながら第一歩として、此の復興金融金庫から融資したことに付て問題が起つて居る、それは即ち石炭の補給金を目當として復興金融金庫から二億五千萬圓の融資をし、其の金を取敢へず炭鑛業者に「トン」八十圓の融資をすると云ふことで、順序から申しまするならば、日炭から直接炭鑛業者に送るべき筋合のものである、然るに民間の團體としての石炭鑛業會と言ひますか、此の礦業會の手を通じて、或方面に其の金を送ることになつて居つたのが、人の名前は申しませぬけれども、其の内百萬圓貸せ、若し出來たならば六十萬圓貸せと云ふことで、其の一部の金を押へて炭鑛業者に渡さない、斯う云ふ事實があるのであります、段々調べて見ましたところが、所謂此の石炭鑛業會の部會長になつて居る者は札付きの前科のある者で、斯う云ふ人間を採用して居つて、其の結果日炭の方の側に言はせますると云ふと、此の手を通ずるならば、炭鑛業者に早く其の金が渡ると言ふのでありまして、先般石炭廳の長官を呼びましたけれども、まだ就任勿々で事情が分らない、次長に來て貰つて其の點を質しましたが、自分は能く分らぬから調査をすると云ふことでありまするが、大藏大臣は、即ち此の復興金融金庫を監督なさる上に於て、其の御話を御聽きになりましたかどうか、其の點から一つ……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=62
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063・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) いや私知りませぬ、一つどう云ふやうな事情であるか、調べます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=63
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064・板谷順助
○板谷順助君 兎角斯う云ふ金は、先年あたりは選擧費などにも流用された例があるのであります、でありますからして、今申上げまする通り、兎に角此の復興金融金庫は、所謂再建の、即ち産業の振興の爲に敏速果敢に出さなければならぬのでありまするけれども、又此の融資に付ては、判斷を誤らぬやうに、十分に一つ御注意を願ひたい、此の點を能く一つ御調になつて、十分に一つ之に對する所の善後處置を御講じを願ひたい、それだけです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=64
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065・黒田英雄
○黒田英雄君 私の御尋ね申したいのは、大藏省預金部等損失特別處理法案に對してでございます、それの第四條に於て、預金部特別會計に於きまして、色々なもので評價損を填補しました後に、「なほ評價損の殘額があるときは、政府は、一般會計から大藏省預金部に、評價損の殘額に相當する金額の範圍内において勅令で定める金額の補償金を繰り入れる。」と云ふ風になつて居りまするが、此の「勅令で定める金額」と云ふのは、どう云ふことを御定めになる御考でありますか、其の點をちよつと御説明願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=65
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066・河野通一
○政府委員(河野通一君) 御答へ致します、預金部に出ました損失の補償に付きましては、金融機關一般の場合と若干異つた取扱を致すことになつて居ります、其の内容は、大體先づ第一に、預金部の持つて居りまする所謂郵便貯金の内、是は第一封鎖預金、第二封鎖預金と郵便貯金が岐れて居りますが、此の第一封鎖預金に該當する郵便貯金、之を支拂ふ爲に必要な金額を先づ政府が補填致します、然る後に於きまして、一般金融機關の再建整備法に基きまする補償を致します、さうして其の兩者が合計で百億圓、詰り金融機關の再建整備法案に書いてあります、三十三條に書いてございます百億圓に滿たない場合、詰り百億圓がまだ餘裕が殘りました場合に於きましては、其の百億の範圍内に於て、郵便貯金の中第二封鎖預金になつて居るものがございます、此の第二封鎖預金に對する補填に充てる、從ひまして郵便貯金に對する政府の補償は二段に岐れる、第一段は第一封鎖預金、是は全額其の儘補填致します、それから第二段のものは、金融機關の再建整備法に基きまする補償と、郵便貯金の第一封鎖預金の補償とを併せて百億に滿たない場合に於ては、其の剰つた金額の中で、郵便貯金の第二封鎖預金に相當する部分の補填に充てる、斯う云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=66
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067・黒田英雄
○黒田英雄君 それで能く分りましたが、さうしますると云ふと、結局郵便貯金の第一封鎖預金に充てる分は、是は優先的に全額補償が出來ることに相成る譯でありますが、第二封鎖預金に當る部分に付ては、殘額があつた場合でないと補償は出來ない、繰入れが出來ないと云ふことになる譯でありますから、勅令では其の順序を御定になるだけであつて、金額が凡そどうなるかと云ふ御見込は今の所は立つて居らぬと云ふやうに了解して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=67
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068・河野通一
○政府委員(河野通一君) 御話の通りでございます、但し大體私共の見透しでは今第二封鎖預金になつて居りまする郵便貯金は僅か六、七億だと思ひます、從ひまして其の程度のものは百億の内で拂へるのではないかと考へて居ります、是は的確な數字は、先般も申上げました通り企業全體の整理をやつて見ませぬと數字ははつきり分りませぬ、的確に申上げ兼ねます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=68
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069・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 どなたもございませぬければ、小さい法案で二、三點伺ひたい、此の企業整備資金措置法を廢止する法律案が出て居りますが、是は修正になりましたが、此の修正になつた理由と、之に政府は同意したかどうかと云ふことに付ては、本會議で御説明があつたと思ひますが、あつたら別に二度は伺ひませぬが、あつたのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=69
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070・河野通一
○政府委員(河野通一君) 本會議で御説明申上げて居ります、政府としては異存ないと云ふことで、同意致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=70
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071・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それから次いで帝國鐵道、通信事業の借入金の何が出て居りますが、是は資本勘定だけでごさいますか、收益勘定の不足もやられる譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=71
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072・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) 此處に出て居ります、借入金の全部收益勘定から出て居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=72
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073・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 ちよつとはつきり聞えませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=73
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074・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) 全部收益勘定の分であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=74
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075・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 收益勘定に是だけ赤字が出ると云ふことになるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=75
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076・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) さう云ふ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=76
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077・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 次に復興金融金庫と産業復興營團の拂込公債ですが、此の數字の根據はどつから出て居るのですか、四十二億八千六百萬圓……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=77
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078・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) 現在の發行價額がございますので、現在の發行價額で計算を致しまして四十二億と云ふ、何と申しますか手取金額が出る計算でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=78
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079・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 其の四十二億の手取金額はどれから來て居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=79
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080・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) それは現在の公債の發行價額が九十八圓であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=80
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081・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうぢやありませぬ四十二億と云ふのは、發行價額を私は伺つて居るのぢやない、どうして是だけの金が要るのかと云ふことを伺つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=81
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082・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) 復興金融金庫に於きまして四十二億の……、ちよつと伺ひますが、此の四十二億八千六百萬圓が復興金融金庫の方でどうして要るかと云ふことでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=82
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083・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=83
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084・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) 四十二億八千六百萬圓と云ふのは、先程申上げましたやうに、九十八圓の金額で換算致しまして四十二億八千六百萬圓の公債を出します、是は公債額面でありまするから、從ひまして其の手取金は四十二億八千六百萬圓に相成ります、それの四十億圓を復興金融金庫に、二億圓を産業復興營團の出資金にするのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=84
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085・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 其の算出の根據を伺つて居るのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=85
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086・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) 算出の根據は九十八圓……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=86
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087・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 四十二億圓の根據を伺つて居るのです、丸で見當が違ふ、何度も同じことを聽かなければならない発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=87
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088・三木秋義
○政府委員(三木秋義君) 産業復興營團の關係は出資金を二億圓と計上して居る譯でありますが、其の二億圓の算出の根據と致しましては、一應産業復興營團と致しまして、差當つて近く十億圓内外の金が要る譯でありますが、其の事業に使ひまする資金は、是は全部復興金庫から借りる譯でございます、一般の流動資本として、例へば從業員の給料を拂ふとか、其の他の什器消耗費に使ふとか、さう云ふ風な一般の經費に充てますものを此の出資金の利子の中から出して行きたい、斯樣に考へて居るのであります、今迄の産業設備營團の經費の前例から申しますると、大體二億圓程度の出資金があれば、其の利子で以てさう云ふ經常費を賄ひ得ると云ふ計算になりまするので、一應茲に資本金と致しまして二億圓を計上致したと、斯う云ふ結果であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=88
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089・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 其の公債は一體どう處分される譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=89
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090・三木秋義
○政府委員(三木秋義君) 産業復興營團と致しましては、此の公債は出資金として其の儘持つて居る譯であります、別に處分をする譯でございませぬ、其の金利で以て日常の經費を賄つて行きたい、斯様に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=90
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091・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 併し終ひには清算になりませうな、此の仕事が濟んだらば、公債は返さなければいけない発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=91
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092・三木秋義
○政府委員(三木秋義君) 最後の清算の場合には、當然産業復興營團の資産と致しまして整理の對象になると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=92
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093・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 次に自作農創設特別會計法案の中で、證券 出すと云ふことがありますが、此の證券はどの位になります御見込でありますか、數字を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=93
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094・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) 今手許に數字がございませぬから後程御答へ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=94
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095・板谷順助
○板谷順助君 私は運輸大臣に伺ひたいのでございますが、先般全國の乘合自動車業者が東京に大會を開きました、其の際運輸大臣竝に自動車局長は、將來省營としては現在民營がやつて居る路線に對してはやらないと云ふ御言明があつたさうであります、然るに先般鐵道會議に於て、運輸省が計畫されて居る所の路線に付て之を認めたと云ふやうな關係から、其の路線なるものが現在民營が相當にやつて居る線に當つて居ると云ふやうの關係から、是は北海道でありまするが、更に又北海道から之に關する所の有志が出て參りまして色々本省に參つて話合つた所が、本省の或課長が非常に不穩な言動を弄して、率直に申すならば、大臣が何と言はうが、次官が何と言はうが、決つたことはやるのだと云ふやうな問答があつたさうであります、大體現在の省營自動車が、是はちよとつ數字が間違つて居るかも知れませぬが、一億五千萬の經費を要する所、收入は殆ど八千圓である、恐くは省營を望む者は、國家の仕事であるからして、或は設備も完全だらう、或は運賃も安いだらう、と斯う云ふ意味に於て全國に於て省營希望者があるのであります、併しながら現在の運輸省と致しましては、赤字に赤字を重ねて居ると云ふ状態でありまするからして、所謂民營に對して出來るだけ之を奬勵して、設備の改善すべきものは監督官廳として十分之を監督して、さうして成るべく鐵道と致しましては、現在の鐵道の幹線を、主として之の改良工事を行ふと云ふやうな方針の下に、今申上げまする通り、民營が相當にやつて居るものを、之を壓迫すると云ふことは甚だ其の當を得ないと思ひます、又大臣の言明に對しましても、いや決してそんなことはないと言つて、北海道から出て來た者を私は歸したのでありまするが、之に對して此の委員會に於てはつきり一つ御答辯を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=95
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096・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) 省營「バス」の問題でありますが、是は原則的には業者をしてせしむると云ふことになつて居りまするけれども、此の地方に於きましては主要物資の搬出などに關聯しまして、鐵道の敷設豫定線、是は先行と云ふ言葉を使つて居りますが、其の線に於てはどうしても省營でやらなければならぬ路面もあるのであります、假にそこに業者が居りましても、現在の業者だけでは民衆を滿足せしめることが出來ないと云ふやうな特殊の事情のある所に限つてだけ、若干省營をやると云ふことでありまして、是は全體のものから見ますると極く少部分であります、原則的には省營をやらないで、現在新しい車でも大部分は民營に渡して居るのであります、唯やらざるを得ない少部分に對して計畫を持つて居ると云ふことは事實であります、積極的にはさう云ふものはやらぬ、其の場合でも業者と協定をしてやると云ふ方針を執つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=96
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097・板谷順助
○板谷順助君 尚念の爲に伺つて置きまするが、例へば現在民營がやつて居る、多少路線が近寄つて居りましても、所謂竝行線なるものは、業者の了解を得ざる限りは絶對にやらぬ、斯う云ふ御方針でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=97
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098・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) 大體さう云ふ方針で進んで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=98
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099・板谷順助
○板谷順助君 分りました、更に伺ひたいことは、船舶の傭船料の問題であります、御承知の通り鐵道に於きましては二倍、三倍、最近に於ては春も上げ、又更に實行されると云ふことでありまするが、現在の船舶の傭船料では、殆ど經費も償はれないやうな状態であります、又船舶に對する保險料を五倍に値上げして居る、斯う云ふ實情でありまして、現在のやうな状態で進んで行きましたならば、殆ど船舶は全滅の状態に陷るのでありますが、此の傭船料の値上げに付て御考慮になつて居ると云ふことは聽いて居りますけれども、一體幾ら御上げになるのか、又何時之を御發表になる積りでありますか、其の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=99
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100・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) 傭船料が二年位前に決めた傭船料其の儘になつて居りまして、御説のやうに船主は非常に困つて居るのであります、最近保險料の上つただけでも傭船料の半分以上も拂はなければならぬと云ふやうなことは承知して居ります、そこで私の考としては運營會を成べく早く改組致しまして、船を船主に戻し、其の戻した後に船主の計算に合ふやうに運賃の値上げをして行くことが一番宜いのだと云ふ考を以て今傭船料を上げるよりも其の方が根本的に解決出來るのではないかと斯う云ふ風に考へて居つたのでありますが、色々「ヂーエッチ・キュー」との關係で改組が遲れて居るのでありまして、改組が遲れる以上は傭船料を上げることが當然であると考へまして、目下幾らに上げたら宜いのかと云ふことに付きまして價格を今調査中でありまして、成るべく早い機會に傭船料の値上げを實行したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=100
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101・板谷順助
○板谷順助君 鐵道運賃でも既に値上げが最近に於て發表されるのでありますから、成るべく早い機會にと云ふことでなく、是と並行して或程度迄上げるのが私は當然ではないかと思ふのであります、さうせぬと釣合が採れませぬ、のみならず現在の船主と致しまして、非常な悲境に陷つて居つて傭船料だけでは今日の計費も償はないと云ふ状態であります、又保險料を一時に五倍値上げすると云ふことは、是は一面實に不都合千萬な話でありまして、之に對しましても矢張り運輸省としては十分に監督するだけの義務があるのではないかと私は考へるのであります、それから更に御伺したいことは現在港に沈沒して居る船を引揚げるに付きまして、此の引揚費用を運輸省の當局としては、之をどうかしてやりたいけれども其の筋の關係に於て之を保險會社が支拂ふことが出來ないと云ふやうなことでありますが、是も其の筋の關係があると致しますれば、出來るだけ御交渉の上、一時も早く其の船を引揚げて、之を利用すると云ふことに付て一つ御考を願ひたいと思ふのであります、此の點に付て如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=101
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102・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) 沈沒船の引揚に付ては運輸省としても關係して居りますけれども、今の費用の出す方法と云ふやうなことに付てはまだ具體的な相談を受けて居りませぬから、直ちにどう云ふ關係にあるかと云ふことを調査して出來るだけ援助をして行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=102
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103・板谷順助
○板谷順助君 運輸大臣に對する質問は宜しうございますが、次に膳國務大臣と河合厚生大臣に對して日本の再建に付ての勞資調整の問題に付て伺ひたいと思ふのでありますが、併し厚生大臣おいでにならぬならば膳國務大臣が責任を負つて一つ御答辯を願ひたい、斯う思ふのであります、要するに現在の社會情勢は申上げる迄もなく勞資問題を解決せざる限りは私は産業の復興は絶對に不可能と思ふのであります、若し此の成行に任せて置きましたならば恐らくは勞資共倒れになつて、再び起つことの出來ないやうな状態になつて初めて目が覺める、是ぢやもう時期が遲い、日本が滅亡に瀕すると云ふやうな状態に私は陷ると思ふのであります、そこで問題は現在の我が國に於きましては資本家らしい資本家はない、今後に於きましても殆ど富の再分配が行はれ、補償は打切られ、財産税は取られた、其の結果と云ふものは「アメリカ」、英國の如く所謂資本と勞働と云ふものの區分がはつきりして居らぬ、そこで何と云つても今後の我が國は中小商工業者が中心となつて之を活かすより外に途がないと私は思ふのであります、其の點から考へまして從來の資本主義なるものは色々弊害もあつたでありませう、併し今後我が國の産業の再建と云ふことに付きましては、新たに打立てられた所の資本主義を基調として進むより外に途はないと思ふ、そこで此の資本主義と云ふことに付きまして此の場合所信をはつきり御示しを願ひたい、と申上げますることは大體勞働者或は資本家と申しましても是は觀念の問題、人間に依つて區分されるべき筋合のものぢやない、然るに戰時中御承知の通り從來勤勞大衆と稱せられたる者が皆事業家に變つて居る、或は今後に於て我れは勞働者なりと言つて居つても何時でも自分の勤勉努力に依つて事業家に變り得る運命を持つて居るのであります、從つて今申上げまする通り平時の國家財政の豐かなる時代に於きましては社會政策も徹底的に行はれると思ふのであります、併し御承知の通り財政は貧困であり、屡屡膳國務大臣の仰せの通り思ふやうになかなか實行が出來ない、例へば卑近な例を申上げまするならば社會政策の意味に於て戰災地に於ける所の住宅營團なるものが出來たが、果して如何なる所の結果を來たして居るか、言ふ迄もなく思ふやうな建物も出來やしない、併しながら一方民間に於きましては如何なる工面をしても如何なる工夫をしてもそれぞれ金融の途をつけ、家を建てて居る、斯う云ふ状態であります、でありますから是は政府が所謂今後に於ける所の我が國の企業は資本主義を基調としたる基礎の上に立つて行かなかつたならば私は此の日本の再建と云ふものは困難と思ふのであります、御承知の通り最近共産黨を跋扈して居る、共産黨なる……世界の共産黨は率知らず我が國に於ける現在の共産黨なるものは日本を建設するのか、破壊するのか了解に苦しむ、殆ど社會を混亂に陷れるやうな状態になつて居るのでありまするが、斯う云ふ點に對して政府が……勿論勞働組合法其の他の關係もありませうが……勇氣と信念を持つて是等に對して嚮ふべきものぢやないかと私は思ふのであります、此の點に付て古い話でありますけれども、司法大臣が生産管理が穩當に行はれたならば干渉しない、生産管理なるものは既に閣議に於て之を否定して居る、又穩當に行はるれ譯はないのであります、所謂爭議の結果にあらざれば、生産管理なるものは行はれはしない、であるからして、率直に申すならばあつちにも宜いやうな、こつちにも宜いやうな、信念に缺けた結果、或は私は社會不安の状態を増させる結果になるのぢやないか、斯う思はれるでありますから斯んな状態で進んで行つたならば、或は今申上げまするやうに、もう共倒れになつて、行き詰らなければ解決が出來ない、斯う云ふ運命を持つて居るのぢやないかと思ふ、我が國の現在の状態が……、でありますから膳國務大臣は資本家代表云々なんと云ふことを屡屡言はれて、あなたも非常に御氣持が惡いだらうが、現在我が國に資本家らしい資本家などありはしない、今申しまするやうに「アメリカ」、或は英國の如き資本と勞働と相當はつきり區別して居る状態ではないのでありますが、之に對して政府は勇氣を持つて自分の信念に向つて、若し私の意見にあなたが御同感であるならば、其の趣旨を明かにして戴きたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=103
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104・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 政府が勞資の問題に付てどう云ふ信念を以て動いて居るかと云ふことに付きましては、色々の外部からの御觀察もありませうが、昨日の本會議で緊急質問に對しまして厚生大臣、又其の他の關係大臣から確乎たる所信を述べられたと存じますので、私はそれが今の政府の考へて居ることだと申上げてどうぞ御了承を願ひたいのでありますが、今御質問の中にありました通り、從來の勞資問題と是からの勞資問題とは餘程觀點を違へて行くべきであると云ふこと、殊に日本の資本家の構成と云ふものが從來のやうでないと云ふこと、是から中小工業者が産業の中心になつて行く實勢にあると云ふこと、是も御説の通りであります、又是からの勞資問題の指導方針と申しますか、是も何より必要なことは分配の問題を言ふよりも先づ、分配すべき一つの富と申しますか、資本を構成して行くと云ふことに、是から中心の努力がなければ結局分配の問題にも及ばないと云ふこと、是も御質問の中に示唆されましたことに全く御同感であります、唯是からの勞資關係の行き樣に付きましては、從來のやうな資本中心の考で事業を管理して參ると云ふことは、是からは少し又形が變つて參りまして、要するに從業者、勞も資も總て納得と、心から出る協力の上に産業の發展を形造ると云ふやうな風に、是からの産業の經營の行き方に付きましては、自ら構想を別にして行くべきではないかと存ぜられるのであります、又同時に從來動もすれば此の勞働運動の履き違へと申しますか、徒に勞働の權利のみを主張して、勞働の義務、責任と云ふやうな點に付ての觀念の缺けて居るやうな點、甚だ是も殘念な點でありまして、是から補償打切に伴ひまして、經濟の再建をやつて行きます際に、政府は健全なる勞働運動の中心點、斯う云ふやうな點を見究めまして、健實な一つの勞働者の保護、又勞働運動と申しますか、斯う云ふものと十分なる協力理解の上に、日本の産業の健全な建て直しを持つて行きたいと、折角今色々の點、色色の具體方策に付て考究中でありまして、只今の御質問の中にありますやうな懸念、是は政府も同憂でありまして、今左樣な途に向つて居ると云ふことを御了承願ひたうごさいます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=104
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105・板谷順助
○板谷順助君 どうも併しなんですな、あなたが勞資協調、出來るだけ勞働者の理解を求めて、其の下に打ち立てた方針で行きたいと云ふ御説明も、御尤もでありますけれども、兎角政府の所謂何と云ひますか、右顧左眄と云ひますか、さう云ふやうな態度が私は却て社會を不安に陷れると云ふやうな因になるのぢやないかと考へるのであります、現在事業家に於きましては、私は資本家とは言はぬ、事業家に於きましては、勞働爭議を別に恐れる譯ではありませぬが、勞働爭議を嫌つて、生産意欲なるものが非常に缺乏して居ります、又一方勞働者に於きましても、勞働意欲なるものが非常に缺けて居る、昨日私は本會議に於ける厚生大臣の御答辯も聽きましたけれども、併しながら勞働意欲の缺けて居ると云ふことは、勿論今日生活不安と云ふ問題もありませう、食糧の問題もありませう、併しながら現在の我が國の状態に於きましては、勞働者が自分の努力に依つて、勤勉に依つて、何時でも事業家になり得る、斯う云ふやうな氣持を起させることが最も必要ぢやないかと思ふ、現に戰爭以來、今申上げまする通り、從來の資本家なるものは沒落して、それに代つて新たに勤勞大衆の事業家と云ふものが簇出して居る、斯う云ふ状態である、だからして、それを能く一面に於て或程度徹底させて、勞働者を指導すると云ふことに付て一つ御考を願ひたい、更に又あなたの御參考の爲に、物價局の長官として申上げて置きたいことは、昨日の質問に於きまして、中國人が支那料理店を東京に、有らゆる方面に於て開いて居る、是が一ケ月の賣上が殆ど三百萬圓以上に達して居る、之に對する所の税に付きましては、「マッカーサー」司令部が許可を與へられて居るけれども、まだ待つて呉れ、まだ待つて呉れと言ふのは誰が待つて呉れと言ふのか分りませぬけれども、斯う云ふ點に付ては、至急課税するものは課税すると云ふの御方針にならなければならぬ、又一面に所謂高級料理店と稱するものが、一夜に千金二千金と云ふやうな莫大な金を使つて、暴利をして取つて居る、是も恐らくは、之に要する所の品物は成り行きで買つて居りませう、幾らでも高いものを買う、斯う云ふものが物價の上に非常に影響があるのみならず、又一面に於て社會不安を釀成して居る、思想が惡化して居る原因になると、斯う私は思ふのでありますが、此の點に付きまして、何か御考がありましたならば、御答辯を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=105
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106・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 尚重ねて勞資の問題に付きましてですが、現下最も憂ふべきことは、勞働運動が本來の經濟運動の埓を離れまして、政冶的の目的の爲に、又其の他經濟運動である埓を離れての運動に、動もすれば傾かむとして居る點、もう一つは只今も御意見の中にありましたやうな、勤勞意欲が缺如して居る、其の爲に本當に生産の再建の協力の努力が足りない、規律を紊り、徒らに要求だけをして、自らの勤勞努力を拂ふ氣風が動もすれば足りない、斯う云ふ點に於きまして、是等の諸弊に對しましては、政府は相當斷乎たる考を以ちまして之に當る考を持つて居ることは屡次關係大臣の御説明の通りでありまして、重ねて其のことを附加へて申上げて置きます、尚又物價問題に關聯しまして色々不當な料理、其の他の闇的の商賣の行はれて居りますること、是は御指摘の通りであります、それぞれ取締り方面は其の方面で取締つて戴く積りでありますが、尚まあ物價廳と致しましては、段々無理な統制を致しますると矢張り、拔けるものが出來ますので、急に現在行つて居りまする統制をどうと云ふことも出來ない事情もありまするけれども、漸次實際に應ずるやうに之を改めて參りまして、出來ないことを取締る、其の爲に却て闇が公然になると云ふやうなことは面白くないことでありますから、段々と物價水準の安定を圖り、其の諸施策と相見合ひまして物價の方面から弊害のないやうに相努めたいと斯う考へて居ります、御了承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=106
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107・板谷順助
○板谷順助君 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=107
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108・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 片岡君は弊原國務大臣に特に質問があると言はれて交渉して置いたのですが、何時でも出られるやうになつて居られたのですが、急に差支が出來て出られませぬから、膳國務大臣が代つて御答辯されますが、宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=108
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109・片岡直方
○片岡直方君 宜しうこざいます、私が何故に弊原國務大臣の御出席を求めたかと云ふことに付きまして一應申上げて、決して膳國務大臣が惡いと云ふ譯ではない、趣意は、先程私が所用がありまして出て居つた間に御質問が出たと云ふことでありますが、昨日ちよつと片鱗に觸れて申上げたことがありますが、或は御質問と重なるかも知れませぬが、さう云ふ意味で申上げたと云ふことを曩に申上げて置きます、それは三月三日に預金を封鎖された時に一年据置をするならば控除すると、斯う云ふ問題であります、實は此の問題に付きましては、私は豫算總會に於きまして總理大臣、大藏大臣、又大藏省の分科會に於て政府委員に御質問したのでありますが、何れも不滿足であります、それで實は此の預金と云ふやうな問題に付きましては、矢張り内閣が迭る度に預金に對する方針が變ると云ふことは是は非常に惡いことである、其の都度變ると云ふことの爲に國民に信を失ふのだ、斯う云ふ風に私は考へますので、何故にさう云ふ風に前の内閣で御決めになつたことを今度の内閣で卒然として御變へになつたか、是は或程度迄我々は了承致しますけれども、通常の多くの預金者から申しますると、是は分らぬ、幾ら事情を御話になつても、具體的にはつきり御話にならなければ、一般の民衆は是は分らぬ、分らぬ中に段々誤解を生じまして今の政府を段々信頼せぬ、斯う云ふことになります、斯う云ふことになりますので、甚だ恐縮でありましたけれども、弊原國務大臣に御出席を求めたやうな次第であります、そこで本論に入りまして御伺ひ致しますが、實は餘りに此の三月三日に御發表になりましたことが具體的であり過ぎるのであります、それは聯合軍司令部の承認を得て政府の責任に於てと斯う言ふ、是は明確なことであります、是は政府委員もはつきり其の通りだと言明になつたのであります、即ち特定の預貯金と云ふのは、三月二日迄になされた一年以上の長期据置の預貯金及び國債控除率は五萬圓以下三割、五萬圓乃至十萬圓二割、十萬圓以上五十萬圓迄一割、五十萬圓以上百萬圓迄五分とする、斯う云ふ風に明確に御示しになつて居る、さうして優遇を受ける所の預貯金の範圍に付ても明瞭に優遇を受ける所の預貯金、金錢信託及び國債は左の通りである (イ)郵便年金 (ロ)銀行及び無盡會社に對する預貯金、定期積立金 (ハ)市町村農業會、信用組合及び市街地信用組合に對する預貯金、定期積金 (ニ)鹽業組合、工業組合、商業組合、統制組合、貿易組合、漁業協同組合、漁業會、製造業會、自動車運送事業組合、鹽業組合聯合會、工業組合聯合會、商業組合聯合會、貿易組合聯合會、自動車運送組合聯合會、都道府縣農業會、農林中央金庫、商工組合中央金庫及び庶民金庫に對する預貯金竝に恩給金庫に對する寄託金 (ホ)金錢信託、斯う云ふ風に明確に非常に國民に能く分るやうに、徹底するやうに御示しになつたのであります、それで國民が全部之を信頼致しまして、通帳に一年据置と云ふことで、第二封鎖と判を捺して貰つて、全く信頼して其の通り實行したのであります、然るに政府は其の點は御質問したけれども要領を得ませぬでした、さうして其の中に財産税法が出た時に定期預金の優遇取止め、斯う云ふことを御發表になつてそれで御終ひになつた、此の事柄であります、是は非常に重大なことでありまして、大體預金を集めるにはどうしたら宜いかと云ふことでありますが、是はなかなか容易ならぬことである、戰爭中は誤れる軍閥の下に我々は嚇されて、非常に強制貯蓄を強ひられてさうして貯金を致したのであります、さうして兎に角必勝の信念の下に貯金をし、預貯金をやつて居つたのでありますが、處が其の後に於きまして、何と申しますか精神的の指導精神がないのでありまして、中心がない、だからどう云ふ目標の下に貯蓄をして宜いか、預金をして宜いかと云ふことが分らぬ、斯う云ふ次第なのであります、でありますから、さう云ふ御發表になりました御示しの下に眞劍に國民は其の通りだと云ふことを固く信じて之を本當に實行したのであります、處がそれが一片の通牒で以て、此の定期預金優遇取止め、据置き預貯金優遇制廢止、是で御終ひ、是で國民は非常に失望落膽したのであります、凡そ銀行に預金を集めますことはなかなか至難のことでありまして、矢張りどうするかと言へばどつちにしても、唯簡單に定期預金でも何んでも金利を上げて優遇したら預金が集ると思つたら是は大變な大間違である、又最近の大流行の富籤、是は限度があります、是は委員會の席上でも主税局長から御示しがありまして、或議員の質問に對して斯う云ふ御話がありました、或議員の質問はどんどん大きな富籤をやつて當つた者にはそれで寄附させたら宜いぢやないか、處が今の日本の現状に於て、民主國に於てはさう言つた考を持つて居らぬと云ふ御話、私は尤もだと思ふ、富籤なんと云ふものは限度があつて、さう無茶苦茶な富籤をやると云ふことは今の時代に合はないことである、さう云ふ國柄ではないのであります、善良なる風俗、考に合はぬ、是はもう御尤もなんであります、まあ地方的に富籤をやると云ふやうな御話が最近にある、是は限度が決つて居る、さうすると云ふと、官有財産を民業に拂下げるかと、之を御質問したら、それはしないんだと、殘る所は強制貯蓄か、或は例へば、利息を高くして集めるか、之より方法がない、併しそんなことでは預金は集つて來ないのであります、さう云ふやうな状態でありますので、私の心配致しますのは、さう云ふ風に國民に本當に餘りに具體的に御發表になつて居つて、唯一片の通牒で是は止めたと云ふことであれば、是は非常な惡い反響を及して來る、私が實は驚きましたことは、分科會で御質問したことが中國の新聞に出たさうであります、私は知りませぬでしたが、送つて參りました、さうして動く日本として出て、私の質問、政府委員との應答が出て居るのであります、斯んな信用の出來ない政府は早く止めて貰ひたい、斯う云ふことであります、私は實に非常に國民に惡い影響を與へたと信ずるのであります、政府は一體之に對してどう云ふ風な御考を持つて居られるか、唯單に斯う云つた取止めたと云つたやうなことで、是で濟むと考へるのかどうか、今後に於てはどうしても是は何か具體的な御考を持つて居られるだらうと思ひますが、之に付ての具體的の御話を承らないと、預金を吸收すると云つて幾ら太鼓を叩き笛を吹きましても國民は踊らない、預金は集らない、矢張り預金と云ふものは銀行に集まつて來なければ産業の再開は出來ない、是は事實であります、之に對しては重大なことでありますので、特にまあ弊原大臣の御出席を求めたのでありますが、おいでになりませぬので已むを得ませぬ、どうぞ膳國務大臣が出來る範圍に於て我々の得心するやうなはつきりした御答辯を願へれば幸ひであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=109
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110・膳桂之助
○國務大臣(膳桂之助君) 弊原國務大臣が御出席の出來ない已むを得ない差支がありますので、私が出て居りますので、私から代つて御答辯を申上げます、預貯金等の長期のものに對しまする財産税の課税の場合の割引の問題に付きましては、確かに嘗て國民にさう云ふ了解をして戴きましたことは事實でありまして、それが今囘實行出來ないことになりますのは、甚だ諸般の事情已むを得ない處もありまするが、大變是は遺憾の點なのであります、尚併し其の問題に付きましては、先程も大藏大臣から御答辯がありました通り、財産税の免除點の引上げと云ふやうな點で、實際に於ては殆ど緩和されて居るのではないかと存ぜられるのでありまするが、それはまあ結果に於ての問題で、實は政府も財産税の問題を考へます時には、單に財産税の問題とばかりは考へた譯ではありませぬので、今囘一聯の提出されました軍需補償打切の此の問題に關聯のある財産税として考へ直した譯であります、御承知の通り從前の考では軍需補償は拂ふべきものは或限度の査定の下に拂ふ、それで後は財産税、法人に對しましても個人に對しましても、それから又戰時利得税と云ふやうなさう云ふ觀念で此の問題をば整備する積りで、財産税に對しまする色色の國民に對する内示と申しますか、約束と申しますか、さう云ふ前提の下に出來て居つたのは御了承下さる通りであります、然るに此の五月以來方針が變りまして、少し無理が行くやうでありまするが、矢張り國家財政の基礎を固め、産業の健全な再建を圖る爲には、色々從前考へて居つたやうな施策ではいけないのだ、茲に非常に忍び難きことはありまするけれども、是は總理大臣の提案の理由にもありました通り忍び難きを忍ぶ、やると云ふ約束したものはやらない、全然補償打切其のものが非常に其處に、何と申しますか、非常的の色彩のものがあるのでありまするが、是は爲すべからざる戰爭を爲した結果、國民の負はなければならない將來に對する慘禍をば思ひ切つて茲に外科手術を致しまして、從來の經緯或は從來のことに捉はれず、諸政茲に一新致しまして、新しいすつきりした姿で是からの金融も經濟も産業も總て打立てて行かう、さう云ふ大勇猛心の下に今囘の施策は考へられました譯で、さう云ふ根本の趣旨に鑑みて戴きまして、國民に御納得をして戴く、それで茲に總理大臣も御聲明になりました通り、斯う云ふやうな一聯の施策は非常な無理ではあるが、是で出盡したので、是で新しく打立てられる經濟政策の上に力強く新しい途を拓くだ、ん此の根本を國民に御了解願ふ外仕樣がないと思ひます、と申しますのは假に今の財産税の問題で、豫め約束であるから長期の利子に付ても茲に多少の考慮をする、若し其の約束を守ると云ふことでありまするならば、況や軍需補償打切りの如き法律を以て支拂ふことを約束して居る、而も現品を購入させて其の支拂つた代金迄も一つの大きな大義名分の爲に取戻すと云ふ、斯う云ふ非常の時に、單に今の預金のことだけで、財産税の問題で特別の考慮を拂ふと云ふことになりますれば、全然補償打切りの施策は何にも出來ないことになるのでありまして、政府はさう云ふ點に付きまして國民に所信を訴へ、又衷心衷情を訴へて、心氣一轉した新しい經濟政策の再建をば國民に御協力を願ふ、斯樣な決心で居る譯で、甚だ御質問の御指摘にありましたやうな事情にありますことは、誠に是は遺憾に堪へない次第でありまするけれども、今申上げましたやうな一つ趣旨に鑑みて國民に御了承願ふ外ないと思ひます、唯實際に於きましては大藏大臣の今朝の御答辯にありました通り實質上に於ては略略財産税の免税點の引上げられました點に付きまして緩和せられることと存ぜられるのであります、言葉は足りませぬけれども、御了承を戴きたうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=110
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111・片岡直方
○片岡直方君 大體の御趣旨は分りましたが、免税點の御話がありましたが、是は成る程免税點は引上げたのであります、又それ以上のものもありますので、矢張り是は非常に影響する所が大であります、それで只今の御話に依ると戰時補償の約束したものを打切つたから、其の御説明に依れば此の方は辛抱して呉れと云ふやうに承はれるのでありますが、個人が苦勞して貯蓄した金と云ふものは大分趣きが違ふやうである、私は議論するのぢやないが、さう思ふ、非常に深刻さがあると斯う思ふのであります、さう話を聽くと何か御事情があるやうに私には推察されますが、一般の國民は能く分りませぬ、餘程此の點は政府が御注意にならぬと非常に惡い影響を與へると云ふことを重ねて申上げます、さうして斯う私が申上げることは單に私ばかりでなく、皆の國民がさう云ふ風に考へて居りますので、どうか出來る機會にさう云ふことが何とか緩和出來る方法を御考慮願ふ、今約束して考慮すると云ふことは仰つしやらないでも、是は出來ないかも知れませぬ、單にさう云ふことを考慮すると云ふことを御了承願ひまして、私の質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=111
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112・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 是で大體質問が終つたやうでありますが、丁度十二時過ぎましたから休憩致しまして、午後二時に會議を續行して、其の際から討論に移りたいと存じます、御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=112
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113・三土忠造
○委員長(三土忠造君) それでは暫時休憩致します
午後零時八分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=113
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114・会議録情報3
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午後二時十八分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=114
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115・三土忠造
○委員長(三土忠造君) それでは是より會議を開きます、此の際二三の質問を、私が全委員に代つて致したいと思ひますが、御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=115
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116・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 御異議ないと認めます、それでは私が質問致します、納税の順位は大體勅令に依つて決まるやうになつて居るやうでありまするが、其の中同一順位に屬する者が、有價證券竝に不動産と云ふものがありますが、其の有價證券と不動産と、之をどちらを先にするか、人に依つては有價證券を先にする人もあり、人に依つては不動産を先にした方が便利だと思ふ人もありませうが、是は税務署と相談した上でと云ふことでありますけれども、さう云ふことでなしに、どつちの順位でも納税者の都合の好い方法を選ばす、斯う云ふことにしては如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=116
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117・小山完吾
○小山完吾君 委員長の質問に少し關聯致しまして申上げたいことがあるのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=117
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118・三土忠造
○委員長(三土忠造君) ちよつと御待ち下さい補足ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=118
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119・小山完吾
○小山完吾君 補足竝に追加したい點があるのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=119
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120・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 濟んでからしたら如何でせう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=120
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121・三土忠造
○委員長(三土忠造君) それでは今のは少し簡單でありましたが、有價證券の中でもどれをやるか、どれを先に取つて貰ふかと云ふことは納税者に任す、例へば片倉君が昨日言はれたやうに或株はどうしても自分の事業經營上持つて居らなければならぬと云ふものもありますが、それは最後に廻したいと云ふことが起ると思ふ、不動産にしても宅地を賣つても山林を納めたくないと云ふこともあるし、畑を出しても田を放したくないと云ふ者もある、寧ろ市外宅地を賣つても畑だけは放さぬと云ふこともありますから、さう云ふことに付ては納税者の自由に任せることが出來るかと云ふことで、それが又皆非常な希望なのでありますから……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=121
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122・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 折角の御話で私から差出がましいやうでありますが、不動産の方に付ては私は御話の通りに致しましても、非常に不公平なことはないと思ひます、唯問題は崖地とか、保安林とか斯う云ふものになると、ちよつと例外的に困る場合があるのではないか、併し原則として不動産に付きましては差支ないと思ひますが、株式に付きましては先達ても申上げましたやうに、政府は十二月一杯に株價を評定致します、併しそれは其の後の經濟界を或程度出來るだけ考へますが、納期に於きまして政府の評定した價格が、其の儘納期に其の價格で流通して居るとは考へられませぬ、斯かる場合納税者がどの株でも宜いと云ふことになると五十圓で甲、乙、丙を評定致しました場合、丙の株は財産價格では五十圓にしてあるが、二十圓しか取れないと云ふ時には納税者は二十圓の方を御選びになると思ひます、斯く致しますると株と土地を持つて居る時に、株の非常に時價の下つて居るものを物納に充てますと、其の場合に評定價格の高いものがある、之を退けて、低いものばかり物納されると云ふことになると、負擔の公平上さう云ふ建前にして置くと云ふことは、如何なるものかと思ひます、そこで私は同族會社の方でどうしても持つて居なければならぬ又株は勿論御持ち戴くことが結構でありまして、市場性のあるものに付きましては價格が動いて參りますから、納税者の選擇にすると云ふことは、株を以て物納をすると云ふことは、全體の負擔の公平上如何なものかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=122
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123・小山完吾
○小山完吾君 只今の政府委員の御説明は甚だ私は手前勝手で誠意がないと思ふ、何故ならば政府は是だけの價格があるものとして税金を課して、さうしてそれに對して納税者は血の出るやうな思ひをして納税をしなければならぬ場合に於て、政府の認定其のものは、私の方では價値あるものと認めると云ふ建前で來て居るから、それならばあなたに差上げると云ふ時、それを取らないと云ふことは、どんなことをしても道理の上に於てさう云ふ手前勝手の理論は許されない、政府の仰しやることは取ることの都合ばかり言つて居る、評價價格と云ふものを公正にし、成るたけ納税者の感じを荒立てないやうにする一つの保證なのでありますから、代物納税と云ふことは課税上に於ける一つの安全瓣でありますから、其の安全瓣を破ると云ふやうな理窟はないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=123
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124・三土忠造
○委員長(三土忠造君) どうも私もさう思ふが、評價して、政府が決めるのであるから、それを政府がそれに對して、課税財産として、財産税を課けるのであるから、どれを取つても宜いと思ふ、不公平と云ふことは起らぬと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=124
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125・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御言葉を返すやうでありますが、全體から考へまして、御説の理窟は十分立つと思ひます、それには我々も十分考へますが、實際問題と致しまして、さう致しますと、株を持つて居る人は株ばかり持つて居る、是は土地ばかり持つて居る方よりも、政府の認定の如何に依りまして、相當裕りがあると云ふ制度になる、さう云ふ制度でも構はないと云ふことになれば宜しうございますが、私はそれでは如何かと云ふ氣がして居りますから、其の時平均價格に行くのが全體として宜いぢやないかと思ひます、さう云ふ理窟は勿論立ちます、併し從來の物納制度に於きましては、さう云ふ場合は兩者協調と云ふことに致しまして、納税者の選擇には致して居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=125
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126・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 相續税の場合と違つて、財産沒收だから、古今未曾有であり、或は將來も絶無かも知れない、さう云ふ場合でありますから、どうしても納税者を泣かすのでありますから、少し位涙を以て見てやらなければならぬ、公平ばかりぢやいけないと思ふ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=126
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127・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 御趣意能く分りました、勿論無理なことをする積りはありませぬ、納税者と、税務署と相談すると云ふのも、私は初から「オクション」にすると云ふこともどうかと思つて居つたのでありますから、御趣意に依りまして、さう云ふ場合には一つ「オクション」でやることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=127
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128・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 次に……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=128
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129・小山完吾
○小山完吾君 只今の御答で私も滿足致しますが、其の課税の衝に……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=129
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130・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 私が今代表質問をして居りますから、それが濟んでから御願します、第二に不動産は、大藏省でも自己の住宅などは一番最後に取ると云ふやうな氣で居られるやうでありますが、其の場合でも最後には取られる人が相當出て來るかも知れませぬ、其の場合家を放り出されても移る家もないし、荷物を運ぶ機關もないと云ふので、其の任み馴れた家を、出來るだけ持ちたいと云ふ氣がするから、それには午前にも問題になつたが、大藏大臣も大體宜いと言はれました、勸業銀行其の他の金融機關に資金を融通さして、其の資金で其の住宅を買つて年賦償還をする、それは何等支障なくして行はれると思ひますが、之に對してもう一度はつきり大藏大臣から御答へ願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=130
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131・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 其のことは屡屡私から申上げたやうに、さうする積りで居りますから、左樣御承知を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=131
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132・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 第三は税務署の役人が隨分急がしい所へ持つて來て、斯う云ふ大きいものを扱ふから、どうしても一時の鐵道の從業員見たいに突樫貪になり易い、それが非常に非難を受けて居るのでありますから、今度は税務署へ人を殖やして、色々民間の納税者との間の圓滑を圖ると云ふのでありますが、處が此の税務署にはなかなか思想上から言つても如何かと思ふやうな人もないことはないと思ひます、是は單り税務署ばかりでなく、何處の官署でもさうでありますが、恐らく税務署には色々さう云ふことがありはしないかと思ふ、勿論税務署の中の人が内外應じて、色々な密告をさすとか云ふやうなことが起つたら大變なことになります、それから政府の大方針は勿論分つて居りますが、其の一々の扱ひ方を懇切丁寧に、財務局長を通じて、各税務署長に指示して、それが下級の税務官吏に迄徹底するやうに、一つ民主的に、深切にやると云ふことを十分落ちなくやつて戴きたい、それに付て大藏大臣の御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=132
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133・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 是は御言葉迄もなく、左樣にやる積りで、色々人を殖やし、準備を致して居ります、御趣旨の通りに致す覺悟であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=133
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134・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 第四點としまして、それでまあ宜い譯でありますが、尚税務署の直接民衆に接する人との間に窓口で話しても、うまく纏らぬと云ふので、どうして宜いか、まごまごするやうな人が澤山出來ると思ひます、顏でも利いて居るやうな人ならば、話は出來ますけれども、どうも隨分不丁寧に扱ふ場合があることを屡屡耳にするのであります、今度などは隨分さう云ふことが多いだらうと思ひますから、昨日主税局長が言はれたやうに、相當人を廻して、各税務署へ配置すると云ふことでありますが、今相談所を活かして、そこで民間の納税者が相談する、窓口が忙がしくてもこつちへ來いと云ふやうな十分相談出來るやうな機關を準備して戴きたいと思ひますが、どうでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=134
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135・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 其のことも、各税務署毎にやる積りで、準備を致して居りますが、尚税務協會等ももう少し活躍して貰ひまして、其の點は落ちなく御相談に應じられるやうにやりたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=135
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136・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 小山委員は其の外にありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=136
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137・小山完吾
○小山完吾君 大體分つたのでありますが、尚主税局長が言はれた中に、不動産を出したと云ふ場合に、やれ畦畔を課されては困ると云ふやうな御話ですが、さう云ふ非常識のこともないでせうけれども、是は幾らと認めた以上は、それでは其の値段でも宜い、取引して下さいと云ふ其の原則だけは存置して戴くやうに、土地の平な所はこつちへ……そんな馬鹿なことはあるまいと思ひますが、出す方から云へば、出すことだけは出して置いて、こつちは斯うすると云ふやうなことは、あり得るのですから、餘程そこは一つ御寛大におやり下さることを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=137
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138・三土忠造
○委員長(三土忠造君) それから念の爲に申上げますが、今の同一順位の物納を自由にさせると云ふことを税務署に徹底するやうに御取計らひ願ひたいと思ひます、それでは質問は終了しました、討論に移ります、有馬忠三郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=138
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139・有馬忠三郎
○有馬忠三郎君 私のは實は部分的問題は憲法問題の關係で相當大きいと思ひますが、法案全體に亙つて……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=139
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140・三土忠造
○委員長(三土忠造君) ちよつと御待を願ひたい、議題は十二案ありますから一括では工合が惡いですから、先づ戰時補償特別措置法案、それから企業再建整備法案、金融機關再建整備法案、特別和議法案、大藏省預金部等損失特別處理法案、是等が相關聯して居りますが、之を一括して議題に供します、それで討論を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=140
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141・有馬忠三郎
○有馬忠三郎君 私のは其の中の又一つの法案の一部分なのですから、若し外に總論的の御意見でも御述になる方があれば、私のは各論的ですから、重要ではありますけれども、後になつても宜しうございますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=141
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142・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=142
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143・有馬忠三郎
○有馬忠三郎君 私は戰時補償特別措置法案の第六十二條を主として申上げたい、六十二條は一昨日でしたか少し觸れたのでありますが、一口に申しますれば、政府へ物を賣つた、さうすると代金は税金として百「パーセント」で取られてしまふ、併し政府は物を返さぬと云ふ法律なのであります、前の六十條の方は其の中でも土地家屋に付ては返すと云ふのであります、六十二條の方は多く機械とか、材木とか、動産に關するやうなものだらうと思ふのです、併し是は經濟的にも相當の價格に上る筈でありますし、又思想的にも是は非常に不穩當な規定なのであります、常識から言ひましても、物を買つて置いて、代金は拂はぬで其の物を返さぬと云ふやうなことは甚だ不穩當である、況や法律的常識から言へば斯う云ふ立法は許されないのが本當であります、そこで純然たる法律問題が私は二つ起きると思ふ、其の一つは憲法問題、其の一つは私法上の問題である、此の法案が知られましてから世間では色々な聲があるのでありますが、此の條文なども非難の稍稍大きい聲を聞くのであります、又院内に於きましても最近に此の法律全體に付てでありますが、特に此の點ではありませぬが、相當に不滿の聲が高い、御承知の通り大體それ等の聲を聞いて見ますと云ふと、戰時補償特別法とか財産税法とか、此の税法其のものが第一違憲の法律だと云ふ聲もあるのでありますが、是は無論如何に無慈悲な法律であつても、憲法違反とはならないと私は思ふ、税金でありますから、百「パーセント」の税金と云ふやうなものが、租税と云ふものの性質に合ふや否や、是は別問題でありますが、特に形式的には租税でありますから、其の點を違憲呼ばはりすることは私は採らないのであります、併し六十二條の物を返さぬと云ふのは、全く是とは性質が違ふと思ふ、憲法二十九條に財産權は之を尊重する、其の三項に「財産權は正當な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」公共の用に物を供するのには、財産權を公共の用に供するのには、相當の補償をすると云ふことを憲法は規定して居る、此の六十二條に依つて、税金を取つた後の状態を見ますと云ふと、何等の補償をせずして、財産權を用ひて居る、それが公共の用であるか否か、是は問題である、政府の方で使ふのが必ずしも公共の用ぢやない、假に公共の用に使つて居つたとしても、補償即ち代金なんである、此の場合補償 外して居る、補償をなくして公共の用に用ひて居るのであります、是は憲法違反であると云ふ説があるのであります、憲法に付きましては、我が國有數の憲法專門の學者が非常に綿密に審議をしたのでありますが、此の點に少しもであつたか、觸れてないのぢやないかと、私の聞いて居るだけでは……是は無理のないことでありまして、斯んな法案が出ることを憲法學者は知りはしない、一般の概念論を論じたのであります、此の點が憲法違反かどうかと云ふことを尋ぬれば、恐らくは憲法論者も悉く然らずと即座に答へる人は私はないのぢやないかと思ふ、現に此の點で、私の知つて居る有數の、友人の憲法學者は、成る程是はいかぬと云ふことを言つて居るのであります、私は此の點に付て、之を憲法違反なりと云ふ結論は、まだ私の意見は申述べませぬが、唯さう云ふ問題があると云ふことだけは十分に考へ得るのでありまして、此の點を申上げて、一つ單に此の法律が民間で此の頃囂々と言はれて居るやうな、財産税なり、補償打切りが憲法違反だ、憲法違反だと云ふ其の聲と同一に聞かれては困る、さうでなく、特に政府委員の方なども御研究を願ひたいと思ふのであります、そして是は單に憲法上の學説とか、概念とかを論ずるのではない、軈て私は此の問題は實際の問題として起つて來るのぢやないかと思ふ、それはどう云ふ形で起つて來ませうか、恐らく此の二つの法律に依つて非常に國民は打撃を受けるのであります、是から此の法律の研究と云ふことは實際に民間では行はれる、さうすると是は只今申す通り、法律常識上、法律家でなくつたつて誰だつて氣が付く、代金を取られて物を返して呉れぬ、況んや此の六十條の方では、政府で返して呉れぬと云ふことがあるのだから、誰でも氣が付く、動産なり機械なりでも返して呉れぬ、そこで是はどうも困ると云ふことになつて、研究しますと、元來さう云ふ場合を生ずるのは國家の命令ぢやない、元々賣買とか、請負とか私法上の、民法上の契約の問題なんであります、民法上の問題として此の問題を見ますと云ふと、賣買であります、是は丁度代金を拂はぬと云ふことは、契約を解除した、契約を止めたと云ふ状態、契約を解除すれば其の代價を拂ふと云ふことは當然なんでありますから、さう云ふ所に皆著眼されるのに違ひない、さうすると、是は返して呉れと言ふと返さぬ、其の處分は不當であると言つて行政訴訟と云ふことになりますか、或は人の物は只取られた状態で、之を民法上から説明すると云ふと不當利得になる、或は之を刑法の理論的に申しますと、或は民法の不法行爲の、理論的に申しますと云ふと、不作爲に依る財産權の侵害と云ふ觀念の範疇に屬することになるのであります、此の線に於て私は研究せられることと思ふ、爲すべきことを爲さずして、他人の財産權を侵害して居るのであります、返し得ることを返さないで、財産權を侵害して居る現情でありますから、何等かの法律的救濟があるべきものだと云ふことに、國民は救ひの手を求めて行くことと思ふのであります、さう云ふ形式に於て初めて是が行政訴訟になるのだ、今度は最高裁判所に行くのでありますから、最高裁判所の問題になるのであらうと思ふのであります、此の憲法違反であるかどうかと申すことと、それから民法上どう云ふ状態で取り返し得るのかと云ふこの二つのことは相當「デリケート」であり、且重大な問題であると思ふのであります、私はまだ結論に到達して居りませぬが、唯斯樣な問題があると云ふことを申上げて政府に御考を願つて置きたいのであります、そこで此の二つの法律論が何れにしましても、どうも此の問題は唯經濟上の問題でないのでありまして、思想的にも非常な「ショック」を與へる、若し之に十分な説明をしてやらないと云ふと、直ぐに人の物を只取る、政府が只取るんだと云ふやうに一口に言つて、甚だ好ましからざる結果を生ずると思ふのであります、でありまするから成るべくならば左樣な不平を防ぐのが當然である、それで此の法律には能く命令を以て定めると云ふことがあるのでありまするが、此の六十條にも命令と云ふやうな規定があるのでありますから、多少命令で緩和出來るやうなことがあるかと調べて見ますると、御示しになつた戰時補償特別措置法命令案要綱と云ふ資料に付きまして、此の六十條に關する命令事項には斯う云ふことに付ては無論何等觸れて居ない、序でに此の六十條で申上げますが、六十條には土地と建物と云ふことだけで、機械を入れてない、是も甚だ不合理な話で、工場で家は返すけれども、中に据付けてある機械は返さぬと云ふやうなことは、是はどうして斯う云ふことになるか、据付けた機械と云ふのは工場財團にしましても必ず含めるのが常識である、或は機械は政府の物を返すと云ふやうなこともあるのでありますが、併し此の中には元々民間のものを請負の形でやつて居るものもあるのであつて……、無論機械がないと云ふやうなことはないのであります、六十條の勅令を出されるならば、此の機械の點等も何とか勅令でやれぬかと云ふやうなことを希望するのであります、今の六十二條の動産に付ては命令で定めることが出來ない、出來ませぬから私は是は唯法律ぢやなく、政治上の影響がひどいのでありますから、所謂國民が唱道して政府を恨むと云ふやうな、此の際斯う云ふ思想は片端から少しでも防がなければならないのであります、政冶上の效果が相當にあるのでありますから、若し法律上では斯うなつて押し出し、又命令、勅令で緩和すると云ふやうなことが出來なければ、其の外の政治的の立法をもう少し御考になつてはどうか、例へばどうせ法律でも、命令でも最早林木とか、機械と云ふやうなものは只になつて、返さうと思つても返せぬと云ふやうなことであれば、まあ考へれば縁故者に後で安く拂下げてやると云ふやうなことも一つの方法、其の外立法技術はありませうが、さう云ふことでもして深切に一つ御考を願ひたいと思ふのであります、之を取りつ放しだけで、命令でも何もせぬと云ふことは、是はもう餘勢に益益鞭打つと云ふやうなことになり、決して深切な立法とは申せないのであります、私は此の法律論を留保して、さうして只今申したやうな深切なる善後處置を政府に希望しまして本案に贊成致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=143
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144・板谷順助
○板谷順助君 私は先づ第一に此の委員會で審議されて居りまする全體の法案に對して總論的に討論を致したいと思ひます、今囘此の法案は國際の關係もあり、又我が國として敗戰の現實に鑑みまして、日本再建の爲に執られた處置でありまするから、我々國民と致しましては已むを得ず之に贊意を表するのであります、併しながら今囘の此の法案は國民經濟に重大な關係を持つて居りまするので、國民全體が能く納得して自主的に所謂政府の今囘の處置を快く了解をして進んで國家の爲に納税をし、或は又補償打切りの結果斯う云ふ運命になつても已むを得ぬと云ふ此の政府が先づ第一に積極的の案を執つて戴きたい、恐らくは國民全體が今日は虚脱状態になつて居ります、此の虚脱状態を脱却してさうして所謂丸裸になつても今日國家再建の爲に自分の全力を注いで出來るだけ努力をする斯う云ふ氣持を起すことに付て、政府は先づ第一に十分な用意を拂つて貰ひたい、それから更に此の法案は先般來政府の言明に依りますと、短日の間に是が出來たものである、從つて缺點もあり、或は不備もあると云ふことを政府は御認になつて居る、でありますから、今後此の法案の實施に付ては恐らくは私は非常な困難が伴ふことと思ふのであります、從つて之に對處するに付きましては、政府はどうか此の法案を廣義に解釋して、出來るだけ國民の迷惑にならないやうに所謂公平無私、國民の怨府にならざるやう此の點に付て十分の御注意を御拂ひ願ひたい、又從つて恐らくは短時日の間に出來たことでありますから、果して聯合國の間に十分な了解も出來て居るではありませうけれども、尚法の運用の上に於て、今後幾多の交渉すべき筋合があると思ふのでありまするから、我が國の現在の實情を能く相手の方々に了解をさせて、今申上げまするやうに、日本の再建の上に支障のないことを期して戴きたいと思ふのであります、そこで今議題になつて居りまする所の法案、所謂企業整備、金融機關の整備、此の問題に付きましては、私は例へば補償打切りに付ては債權者と債務者がお互ひに寄つて協議をし、評價替をすると云ふことがありまするが、要するに是は決して財産其のものは逃げるのではないのであります、從つて此の整理に當りましては、或は債權者は成るべく評價替を高くしよう、又債務者に於きましても、成るべく自分の資本に手が付かないやうに、さう云ふことを希望するでありませうけれども、是は先年關東大震災の後の始末に付きまして、整理が不徹底の爲に恐慌の起つた事實もあることでありますから、是は政府が出來るだけ、此の企業整備の結果、事業の再建の出來ますやうに、或は場合に依つて涙を呑まなければならぬ場合もあると思ふ、であるから非常な決心を以て情實縁故に依らずして公平に此の御取扱ひをして戴きたいと思ふのであります、要するに此の問題は恐らくは今後我が國の再建が果して出來るか出來ないかと云ふ岐れ目であると私は考へるのでありまするから、此の點に對する十分の注意を拂つて戴きたい、又聞く所に依れば、最近大阪方面に於きまして、機械の評價などに付ても非常な不當な價格を税務署あたりが算定して居ると云ふことでありますから、斯う云ふやうな點に付きましても、どうか政府の監督を十分にして萬全を期されむことを希望致します、私は只今の法案に對しまして尚其の他に一言申上げたいことは、先般來申上げましたる通り、金融機關の整備問題であります、日本銀行の三百五十億は要するに政府の權力に依つて各銀行に貸付けた金である、殆ど是は溝に棄てたも同樣な金でありまするので、此の金額を生かさむが爲に外の銀行、金融業者を助けると云ふ意味ぢやありませぬが、從つて預金者或は株主、是等にも重大なる影響が來て居ることでありまするので、例へば金融機關の法案に依ると云ふと、生命保險會社の如きは殆ど全滅の状態でありまして、政府の處置甚だ不滿足であります、併しながらもう既に出來上つたことでありまするので、先般大藏大臣の言明に依れば、日本銀行に對しては何か特殊の方法を講ずると云ふことでありまするが、是等も國民の怨府にならざるやうに國民が自ら進んで國家の爲に、所謂再建の爲に努力すると云ふことに付て萬全の注意を拂はれむことを希望致しまして贊意を表します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=144
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145・小山完吾
○小山完吾君 私は本委員會に付託されて居ります一聯の法案に對して異議を申立てないと云ふ意味に於て贊成を致します、色々幾多の法案がありまするが、要するに戰時補償特別措置法案、財産税法案……之を論じて宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=145
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146・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 財産税は後です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=146
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147・小山完吾
○小山完吾君 戰時補償特別措置法案に付て申上げるのでございますが、要するに是は敗戰日本の經濟組織の混亂を根本から整理して、さうして再建の方途を發見したいと云ふことを目的とするものであると云ふことは言ふ迄もないのでありますが、唯之を行ふに當つて色々な方法があつて、或は内科的に之を癒さうと云ふこともありませうし、或は外科的に之を癒さうと云ふ方法もあるのでございます、唯政府の執つた處置は外科的で之を癒すと云ふことである、其の外科的療治をして癒すと云ふことに付ては、其の外科手術を受ける所の人の患者の體力如何と云ふことも大いに其の目的を達する上に付ては考へなければならないのであります、で一口に申しますれば、例へば此處に大きな山林地帶があつて、之を開墾して、さうして民生生活の基本にしようと云ふのに當つて、或は新大陸のやり方に行くと云ふと、之を燒き拂つちやつて、さうして皆燒いてしまつて、後から自然に又必要なものが生へて來る、或は其の土地を拓くと云ふことですれば早いぢやないか、それも一つの方法であります、併しながら此の戰時補償特別措置法案と云ふものを見ますと云ふと、恐らく是は其の新大陸式の開墾法の「イデオロギー」でやつて居るものと認められますが、唯此處に困ることはさう云ふことを致す場合に於ては、其の燒き拂つた後の建設と云ふことに付ては建設の資材竝に其の人馬と云ふものは其の土地の外にあつて、さうして之を燒き拂つてやると云ふのが實際問題として起るのでございますが、此の法案を見ますと云ふと、どうも人馬共に燒かれる危險は甚だ多いのです、燒かうとする中に人間も住んで居れば、開懇する道具もあり、誠に困窮を極めた、其の人々もまあどうにか、斯うにか之を燒拂つてやつていけるか知らぬと云ふものが皆其の中に存在して居るのですから、是は容易ならざることで、我々が連日に亙つて憲法の審議を致しまして、さうして是は國體の變更であるとか、政治上の大變革であるとか云ふことを申しましたが、それは政治の運用の上に於て長年に亙る所の影響を考へるのでありますが、此の問題は既にもう直ぐ今年、今日、以後一年に於て社會上の大變革を起し、恐らく日本の經濟生活は根本から仕直す、新規蒔直しと云ふことになります、それで人間の生命を五十年と見まするならば、道徳的に考へて、二十五になる迄は、親なり保護者の輔翼の下に育ち、二十五から獨立して、さうして孜々勉強して、さうして老年に至つては人の厄介にならず暮すと云ふのが、是が道義的觀念の正しい生活方法だと思ひますが、之に依りますと云ふと、五十なり五十五の人は全部倒れてしまふ、是は何もそれに付て苦情を申すのぢやないのですが、實際の結果はさう云ふことになるのです、だから是は非常なことでありまするから、どんな非常なことがあつても、之をやるより外仕樣がない國家的情勢に立つて居る間は、我々は政府に協力して之をやらうと思ふのであります、併し之を實行するに當つては、どうか政府に於ては苟も國民をしは自暴自棄に陷らせると云ふやうなことのないやうに、唯徒に當面の問題を實行するに急にして、さうして民心の上に及す所の影響を恐れないと云ふことを一つ御注文申上げて、之に贊成致す者でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=147
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148・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 是で討論の申し出はありませぬが、先づ是だけに付て決定したいと思ひます、討論終結と見て宜しうございますか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=148
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149・三土忠造
○委員長(三土忠造君) それでは此の分だけ討論終結しまして、戰時補償特別措置法案、企業再建整備法案、金融機關再建整備法案、特別和議法案及び大藏省預金部等損失特別處理法案、此の五案を一括して採決を致します、此の五案に贊成の方は御起立を願ひます
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=149
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150・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 全會一致と認めます、是で可決すべきものと決定致しました、次に財産税法案、財産税等收入金特別會計法案、此の二つを議題と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=150
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151・板谷順助
○板谷順助君 私ばかり屡屡立つて誠に相濟みませぬが、諸君の御許しを得まして……此の法案に付ては、要するに結論は財産税の基準となるべき評價及び此の取扱に付て最も公平無私にやると云ふことが是が論點であります、大體先程委員長から大藏大臣に御質問になつた其の點に付きまして、大藏大臣は其の質問に對して快諾をせられたのであります、言明をされたのであります、私共は此の點に付て安心を致して居りまするが、唯問題は御承知の通り、現在の我が國の國民の道義と云ふものが割合に廢れて居る、例へば民間に於きましても官吏に於きましても同樣であります、勿論今日の物價高の爲に、生活不安に襲はれて居ると云ふやうな關係から來ることでありませうけれども、民間に於ても或は此の法律を適用する場合に於きまして間違つたことをするかも知れぬ、併しながら之を審査する官吏は要するに地方の税務官吏であります、税務官吏が從來のやり方を見ますと、所謂昨日税務局長も御話になりましたる通り、四百三十五億、大體見當は違はない、恐らく各管内に之を配付されまして、それぞれ税務署長或は財務局長は自分の詰り功績を擧げるが爲に、自分の手柄を盡すが爲に、出來るだけの手段を講じて苛歛誅求必ずしもないとは思はれないのであります、殊に人間を新たに澤山御入れになると云ふことでありますれば、從つて此の素人の人々が能く理解せずして、此の法の運用を誤ることが必ずしもないとは言へないのであります、又政府當局の説明に依りますれば、税務署長に協議をすると云ふやうな言葉が屡屡行はれて居りまするが、協議すると云ふことは、是は善意に解釋しますれば、或は圓滿に妥協し、圓滿に公平に事を處置すると云ふ其の半面に於きましては、必ず情實が伴ふと云ふことも考へなければならない、是等の點に對しましても、どうか國民全部が氣持好く國家の再建の爲には已むを得ぬ、若し不公平な處置があつたならば、不平不滿が起り、從つて社會情勢にも非常に惡影響を來すことと考へるのであります、でありますから、是等の點に對しましては、十分御注意になりまして、先づ第一に税務官吏に對する此の取扱ひに付て、本省の意思を能く了解せしめて、萬遺憾なきを期せられむことを希望致しまして、本案に贊成致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=151
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152・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 他に御發言ありませぬか……、それでは討論は終結致しました、財産税法案、財産税等收入金特別會計法案、此の二法案を議題と致します、贊成の諸君は御起立を願ひます
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=152
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153・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 全會一致可決すべきものと決定致しました、次に色色な案が之に入つて居りますが、帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律案、復興金融金庫及び産業復興營團出資拂込金支辨のための公債發行に關する法律案、厚生年金保險法及び船員保險法特例案、自作農創設特別措置特別會計法案、企業整備資金措置法を廢止する等の法律案、此の五案を一括議題に致します、此の五案に付て御意見ありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=153
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154・板谷順助
○板谷順助君 私ばかり屡屡立つて相濟みませぬが、諸君の御許しを得まして……先程大臣に御調を願ひたいと言つた石炭廳の問題であります、聞いて見ますと、石炭次長は之を肯定して居るさうであります、私は先程申上げましたるやうに、此の復興金融金庫法案は大臣も御話の通り、我が國を再建すると云ふことに付て最も必要である、又「アメリカ」方面に於ても、所謂日本を救ふ途は是よりないと云ふやうなことを仰しやつたのでありますが、併し此の運用に付きましては重大問題でありまして、勿論今日の再建と云ふことに付きましては、所謂重要産業として是は國家の爲に必要であると云ふやうなものは勿論、出來るだけ迅速に之を出してやると云ふことは必要でありますけれども、其の間又政府が情實縁故に依つて貸出されることもないとも限らぬのでありますが、先程も申したやうに、先年政府の斯う云ふ機關を選擧に迄利用されたと云ふ例もあるのでありますから、どうか大臣は先程申上げましたるやうに、役員竝に委員の選任に付きましては、清廉潔白、練達堪能の士を御選びあらむことを希望致しまして、原案に贊成致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=154
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155・河西豐太郎
○河西豊太郎君 企業整備に關聯致す一聯の法案に對しまして、既に二つは相濟みましたが、殘つて居るものだけでなく、全體に付て簡單に一言申上げたいと思ひます、先刻來御述になつたやうに、今囘御提出になつた法律は外科的手術、非常に荒療治である、一歩誤れば財界は命取りになる極めて重要なる問題であることは私より申す迄もありませぬ、先刻來板谷委員より御述になりましたやうに、斯樣に重大なる法案に對して其の御取扱如何と云ふことは、國民の利害に是亦重大なる關係を持つて居るのであります、殊に企業整備の問題に對しては非常に尨大な失業者を生ずることは申す迄もないことであります、それに伴つて預金の切捨或は保險金の切捨等、單り勤勞階級のみならず、さう云ふ方面に於ても非常に重大なる關係を持つて居る事柄でありまするが、之に對して政府は十分なる決心、覺悟を持つて、さうして是等の援護に最善の力を盡されると同時に、先刻來御述になりましたやうに國民をして怨嗟の聲なからしめ、而して此の目的を完全に徹底致されますると同時に、此の財産税の如きものを有效に役立たせるやうに御留意あらむことを希望して此の全般の案に贊成するのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=155
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156・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 外に御發言もないやうでありますから、討論は終結したものと認めます、採決致します、此の五案に對して贊成の方は御起立を願ひます
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=156
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157・三土忠造
○委員長(三土忠造君) 全員一致可決すべきものと決定致しました、逼迫した議會の終りに於て隨分無理を申上げましたが、皆樣非常に御鞭撻下さいまして圓滿に諸案を決定致しました、今日は是で散會致します
午後三時十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=157
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158・会議録情報4
出席者左の如し
委員長 三土忠造君
副委員長 男爵 高崎弓彦君
委員
侯爵 池田宣政君
侯爵 西郷吉之助君
侯爵 鍋島直泰君
伯爵 二荒芳徳君
伯爵 黒田清君
子爵 大河内輝耕君
子爵 京極高修君
子爵 綾小路護君
子爵 梅溪通虎君
慶松勝左衞門君
男爵 周布兼道君
長谷川赳夫君
男爵 八代五郎造君
男爵 中村貫之君
男爵 林忠一君
男爵 倉富鈞君
男爵 宮原旭君
黒田英雄君
板谷順助君
河西豊太郎君
小山完吾君
高橋龍太郎君
有馬忠三郎君
中島徳太郎君
片岡直方君
片倉兼太郎君
河端作兵衞君
岸本彦衞君
松岡潤吉君
小汀利得君
國務大臣
運輸大臣 平塚常次郎君
大藏大臣 石橋湛山君
國務大臣 膳桂之助君
政府委員
大藏政務次官 上塚司君
大藏事務官 野田卯一君
同 池田勇人君
同 石原周夫君
同 河野通一君
司法事務官 奧野健一君
厚生政務次官 服部岩吉君
商工事務官 三木秋義君
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〔參照〕
一、終戰處理費
終戰處理費に付項目別に積算の根據を示すと左の通である
(一) 日本銀行立替元利金返濟 四、六三四、〇〇〇、〇〇〇圓
昨年九月聯合軍進駐以來軍費は日本銀行が政府に立替へ同行假勘定より支拂はれてきたのであるが、(尤も本年四月以來は日銀よりの支拂の外暫定豫算にも若干計上されて支拂はれた)改定豫算の議會通過後は此の立替元利金が國庫から返濟されることになる。
(二) 勞務調辨費 一、一七七、一六一、〇〇〇圓
労務調辨費は進駐軍關係の常傭及日傭勞務費で前者は一萬五千人年單價三千五百圓、後者は延人員六千六百六萬八千人とし日給十七圓である。
(三) 施設諸費 一一、七五〇、〇〇〇、〇〇〇圓
(1) 住宅新營費 五、三〇〇、〇〇〇、〇〇〇圓
(2) 兵舍新營費 四、八〇〇、〇〇〇、〇〇〇圓
(3) 工事費 一、一六一、三四三、〇〇〇圓
(4) 物品購入費 二〇九、四二四、〇〇〇圓
(5) 物品借上費 二七九、二三三、〇〇〇圓
住宅新營費(七千五百戸分)及兵舍新營費は司令部より指示のあつた數字である。
工事費、物品購入費及物品借上費は終戰以來本年三月末迄に此の目的の爲に日銀の立替へた金額より平均月割額を算出し其の五割増を見込み積算したものである。
(四) 報償費は爆藥の處理等に依る損害賠償の費用であり終戰以來本年三月迄に日銀の立替へた金額の平均月割より五割増を見込み積算したものである。
(五) 交通通信費は鐵道及通信施設が進駐軍に無料で使用される關係上對價を一般會計より鐵道及通信の特別會計に繰入れる爲のものであるが概ね鐵道四億通信一億の豫定である。
(六) 委員會費 三七〇、〇〇〇圓
(七) 雜費 二〇〇、〇〇〇圓
賠償引當工場管理費は本年三月迄に日銀が此の爲に政府の爲立替へた金額の月割額を一年分に引直したものと四月以降の賠償工場指定の爲の分約三億圓を見込んで算出した。
二、特別住宅建設資材費
朝鮮向の住宅資材は二千五百戸分であつてその算出の基礎は内地の住宅建築費七千五百戸分五十三億圓中の資材費を基礎とし按分的に推算したものである。
三、日本銀行政府債務返償費
終戰後の邦人引揚者が携帶してくる外地通貨は司令部の指令に依り一定限度迄戰前の換算率で圓に交換することを認められて居るが其の限度は一人當り一般人一千圓、軍人は將校五百圓下士官以下二百圓となつてゐる、此の交換は終戰以來日本銀行が政府に代り立替へて支拂に當つてきたので終戰の時からの支拂實績は豫算が通過する迄の期間の人員の豫測を加へて十二億圓と推算した。(五月末迄の交換實績は六億四千三百萬圓である)尚豫算通過後明年三月迄の通貨交換に付ては厚生省所管に別途八億圓計上してある。
四、経濟安定費
改定豫算に計上する豫定であつた道路、河川、砂防、港灣、漁港、開拓、學校建築、官廳營繕、都市復興事業等は合計約三十一億圓あつたのであるが司令部としては各省別に之を計上せずに一括して最少限度六十億圓を大藏省所管に計上する樣に指令してきた、此の六十億圓とした理由は公共事業の施行に依り吸收すべき勞務者の數からみて我方計畫の約倍にする必要ありとした爲であつて、司令部勞働課「コーエン」の發表では百萬人乃至百五十萬人の勤勞者吸收が可能だとしてゐる。併し四―六月の事業費は七億四千百萬圓各省別に改定豫算中に計上されたので本項目に廻すのは五十五億とした(兩者の合計は六十億を超過するが丸い數字をとる爲五十五億とした)七、八月分の暫定豫算に於て各省分に計上されてゐた公共事業費四億三千二百萬圓は元來ならば改定豫算の五十五億より支出する樣取圖るのが普通なのだが單價の値上り等をも考慮して此の分は追加豫算に別途計上することとなつたのである、從つて公共事業費の合計は六十六億七千三百萬圓となつてゐる。
五、引揚民對策諸費 一、八四九、〇三〇、九八九圓
厚生省引揚援護院及十四引揚港に於ける地方引揚援護局同出張所事務費 一二、五八八、五五九圓
引揚者推定五〇〇萬人と豫定し
外地殘留者に對する救濟物資調達費 五一、〇六六、四三〇圓
同じく醫藥品調達費
五三、五四四、一二二圓
引揚船内の給食費
一七〇、六一九、〇〇〇圓
引揚港收容所に於ける收容施設の經費
七四、三七九、五三〇圓
引揚港收容所に於ける醫療衞生埋葬の經費
四、四一〇、四〇〇圓
引揚港より定著地迄の鐵道運賃其他輸送費
八〇、一一二、〇〇〇圓
收容所に於ける被服の給與費
一一五、八〇〇、〇〇〇圓
歸郷旅行中の間食品支給費
三三、四五〇、〇〇〇圓
歸郷旅行中の小遣錢支給費
三八一、五〇〇、〇〇〇圓
携帶通貨交換資金其他雜費
五〇三、〇〇〇、〇〇〇圓
引揚港施設の整備費
一八、五六〇、二四八圓
引揚者七〇萬世帶に對し五〇〇圓程度の生活必需物資を府縣を通じ支給する經費
三五〇、〇〇〇、〇〇〇圓
六、民生安定施設費
三、〇〇〇、〇〇〇、〇〇〇圓
厚生省社會局事務費の増加
二六六、六四二圓
生活保護法施行前に於ける各種の救濟費の補助
一、三九七、一四四、三八三圓
住居未定著者に對する應急援護費
二五、〇〇〇、〇〇〇圓
都道府縣擔當官設置費の補助
六八一、〇三〇圓
方面事業費の補助
二、五七七、一〇〇圓
各種の救濟施設の新設擴張修理費の補助 一五、六一五、四四九圓
浮浪者の收容施設補助
六、四三六、二四〇圓
救濟用生活必需物資の調達輸送費の補助 二九、三五五、四八三圓
家庭藥配給費の補助
三、〇七二、九五二圓
生活保護法の施行により要救濟者六五〇萬人に對し五人家族六大都市の場合三六〇圓を支給する外醫療、助産、生業、埋葬等の保護を與へるに要する經費の補助
一、四六七、三〇二、五三三圓
方面委員手當補助
四、五〇〇、〇〇〇圓
救濟施設の建設改造費の補助
三、五一〇、〇〇〇圓
施設經營者に對する事務費の補助
四四、五三八、二八八圓
備考
右三十億圓の救濟計畫に就ては改定豫算編成當時總額につき司令部より指令せられたのであるが具體的な計畫は必ずしも決定してゐなかつたので中央本省に於て推定積算したる部分が多い、從つて其後地方の具體的計畫の確定するに從ひ若干實行上の異動を生ずる見込である。
七、學校職員給與特別措置費
(1) 臨時手當(三月實施分)の實績 月額の倍額の十ケ月分(六月より明年三月迄)と家族手當二十圓の倍額の九ケ月分(七月より明年三月迄)を差引いたもの
(2) 四、五月分の臨時手當
(3) 勤續手當及物價手當は實績を算定
右三者の合計が特別措置費として計上してある改定豫算は司令部との折衝で二億圓迄にきめられたから不足額を追加豫算に計上した。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002049X00419461010&spkNum=158
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