1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○地方競馬法案(衆)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=0
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001・会議録情報2
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委員氏名
委員長 子爵 西尾忠方君
副委員長 男爵 三須精一君
公爵 徳川慶光君
侯爵 四條隆徳君
伯爵 南部利英君
子爵 北小路三郎君
小山松吉君
松村眞一郎君
男爵 徳川誠君
男爵 斯波正夫君
瀧川儀作君
安田伊左衞門君
有馬忠三郎君
名古屋三吉君
渡部信君
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昭和二十一年九月十一日(水曜日)午前十時三十分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=1
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002・西尾忠方
○委員長(子爵西尾忠方君) 只今より地方競馬法案の委員會を開會致します、審議に入りまするに先立ちまして、私からして一應審議の參考になる二點に付きまして、政府當局に此の際伺つて置きたいと思ひますが、それは此の衆議院提出の此の地方競馬法案に對しまして政府は之をどう云ふやうに御考になつて居られますか、詰り御同意であるか、どうであるかと云ふことを、實は本會議で御尋ねしたいと思ひましたけれども、農林當局がおいでになつて居りませぬであつたので、先づ此の委員會の劈頭に於て其の點を一つ御尋ねしたいと思ひます、第二には此の法案を拜見致しますると、第八條に優勝馬票の發賣を認めて一口金十圓以下となつて居りますし、尚第十條に優勝馬票の的中者に對して拂戻金は八百倍以内で認めて居られますが、是と現在行はれて居ります競馬法の勝馬投票券の是等の點と比較致して見ますと、競馬法の方は勝馬投票券の發賣の枚數制限もありますし、拂戻の金額等に付きましても、制限に於きましても少額になつて居りますので、是が行はれますと其の二つの競馬の間に一致しないやうな點が出來ると思ひます、是等の點に付きまして、政府はどう云ふやうに御考になつて居りますか、此の二點を此の機會に御尋ねしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=2
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003・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 私は農林政務次官であります、大臣は本日農地調整法、其の他の事情に依つて衆議院に出席を致して居りますので、私が代つて出席して御答を申上げます、只今委員長よりの御尋の第一點、政府は此の議院提出の法律案に對する態度は如何なるものであるかと云ふ御話でありますが、政府に於きましては、曩に此の地方競馬規則の廢止せられました後、總動員法の發動に基きまする法律に依りまして、地方競馬と等しき鍛錬競走と云ふものを致して居りました、總動員法の關係に依りまして此の法律が廢止せられましたので、其の後地方競馬に對する政府の提案を要求する民間からの切望もありまして考慮致して居りましたけれども、政府と致しましては色々の都合から提案するに至らなかつたのであります、それで議院より提出をせられることになりました、此の案に對しまして政府と致しましては、同意致して居りますので、此の法律の一日も速かに成立せむことを希望して居る次第であります、と申しますのは、此の地方競馬關係の立法的の根據がなくなりました今日に於きまして、昨年來、殊に最近に至りましては、各地に何等の法的根據のなき地方競馬が續々と實施せられて居ります、それが地方長官の許可と云ふ建前で行はれて居ります、東海道、關東殊に北海道其の他の色々の地方に於て行はれて居りまするが、相當の賣上がございまするが、是等の國としての本當の取締の方法もございませぬ、地方長官は認可し放しでありまして、地方的取締を致して居るのでありまするが、從つて是等の收入、獲得をしました利益金の費途に付きましても、或は馬事とか、社會事業とかと云ふやうな方面に使はれても居りませず、又公式の法律に依りまする場合には國庫收入を得る課税も出來まするが、それ等も出來ませぬと云ふやうな、誠に取締上、又此の種の仕事の弊害が認められて居りませぬ、仍て同法案の速かなる成立施行に依りまして、斯樣な根據なき競馬の中止を致し、法律に依る所の競馬を明朗に施行さしたい、斯樣に考へて居るのであります、第二點の第八條、第十條即ち馬券の枚數に關することでございまするが、此の地方競場法には枚數制限を認めて居りませぬ、又優勝馬の配當金に付きましても百倍以内の配當を致すと云ふ建前でございます、現在競馬法即ち公認競馬に於きましては、一人一枚と云ふ制限を致して居り、配當に於きましては十倍を超えることを得ずと云ふ制限を加へて居るのでありますが、地方競馬法が成立施行の曉に於きましては、現在の競馬法と其の釣合が取れませぬので、政府と致しましては適當な時期に競馬法の改正を致さねばならぬと考へて居つたのであります、又若し議院が自發的に地方競馬法の附則に於て直し得るならば、それでも宜からうと考へたのでありますが、議院側に於きましては其の修正の意見がないやうでありますから、斯くては近く開催を見まする公認競馬と地方競馬との釣合せ上、公認競馬が不況に陷る虞がございまするから、政府と致しましては、當臨時議會に其の改正案を提出致す準備を今致して居る次第であります、此の枚數制限撤廢と讓渡制限の撤廢、又配當は地方競馬と同樣の百倍を超えることを得ないと云ふ關係、尚罰則の上に於きましても地方競馬等の釣合の取れますやうに改正を致したいと存じて居ります、尤も競馬法に付きましては、他に時局に關して改正すべき點なしとは申せませぬけれども、先づ差當つての地方競馬法との餘り距りのないやうな釣合の取れるだけ應急改正を致したい積りで審議中でございます、尚ちよつと此の際申上げて置きたいことは、政府と致しましては此の地方競馬法の原案に對して、第一條に馬事振興と云ふことがございますから、之を畜産振興と云ふ風に修正が出來ることを望んだのでありますが、衆議院に於きましては原案通りに通りました、それは事情を能く見聞致しますると、此の開催箇所數が前にありました鍛錬競走を認めて居りました當時の箇所數を限定致したのでありまして、北海道三箇所、他の都道府縣は各一箇所と致して居りました、處が猛烈なる箇所の増加希望があり運動がございまして、なかなか衆議院に於きましても是等の問題が取扱ひにくいやうな状態に迄陷つたのであります、でそれ等の修正を致せば、此の目的の修正を致すと同時に全般の修正を致すと云ふことになりますると、非常な弊害を助長する虞があると云ふので原案を通しました、併し政府と致しましては、強ひて馬事の振興を畜産振興と必ず直さなければならないと云ふ程の主張は持つて居りませぬ、御參考迄に申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=3
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004・四條隆徳
○侯爵四條隆徳君 ちよつと伺ひたいのでございますが、此の際戰後有らゆる社會施設が戰爭中、戰前と云ふものから一新して切換へがある、無論我が國の馬産が軍馬要求で一本建になつて居つた、さう云ふことは當然茲に大變革を來すべき時期であると考へるのであります、それに付きまして從來競馬竝に之に關する法案が提出される時には、必ず我が國の馬政計畫が先づ發表され、然る後に馬の改良として公認競馬、且之が補助機關であるとして地方競馬が檢討されて居つた、民間側の要望で地方競馬が提出された、それに依つてどうも刺戟されて公認競馬も改正を見ると云ふ風に一手遲れて居るやうな憾がある、只今の御説明に於きましてもそれが窺はれる、して見ますると、我が國の馬政計畫も或は確然としたものが立つて居らないのぢやないかと云ふ疑が茲に起る、凡そ是等の馬の改良機關を審議するに當りましては、先づ以て戰後の我が國の馬政計畫の確立と云ふことが當然行はれなければならない、之に關しまして新馬政計畫既に樹立して居りますれば之を御發表願ひたい、更に是がまだ變更されて居らぬと云うことであれば色々御事情もあると思ひますが、さう云ふ點に付て一應御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=4
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005・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 只今四條侯爵からの御尋ねでございますが、誠に御説御尤もと存じます、戰爭中に於きましては、軍馬中心主義の建前に於ける馬産の方針と云ふものが立つて居りました、御承知の通り日露戰爭直後に於きまして、明治天皇の深き御思召に依り、第一期馬政計畫が三十年間の期間を以て樹立せられました、其の第一期は終り、更に第二期計畫を立てまして、其の實行に入りませぬ内に日華事變がございましたが、日華事變の色々な軍隊の作戰其の他の關係から第二期馬政計畫の實施後間もなく之を變更せざるを得ないやうな状態になりまして、從來軍隊に於ける速力を尊びました騎兵は速力は必要でなく、却て馬のなかつた歩兵であるとか、其の他の部隊に澤山の馬が入つて參る、駄馬、輓馬と云ふやうなものが、最も重要視せられることになりましたが爲に、之に伴ふ計畫を立てると云ふやうなことになりまして、それに進んで居つたのであります、戰爭の終局と共に是等の軍事關係の馬の要求がなくなりまして、專ら今後の馬は産業馬に適當なるものを澤山生産を致しまして、國内にそれを繋養すると云ふことに依りまして食糧の増産確保も出來得ると信じて居ります、從つて新なる馬政計畫を立てねばならぬ時期に遭遇致して居りますることは御説の通りでございます、併し現在の政府に於きましては其の研究、檢討を致して居りまして、まだ具體的に茲に御説明を申上げまするだけの計畫は立つて居りませぬ、唯政府と致しましては、獨り馬に拘らず、他の畜産と睨み合せ綜合致しました關係も考へねばならぬのでありまするし、將來の國内に於ける耕地面積、人口の配置、其の他主要畜産の頭數等詳細なる調査の必要もあるのであります、で當議會に農林省と致しましては、農業協同組合法案を出しまして、此の畜産全體の團體の立て方を考へたのでありまするけれども、只今の處、協同組合法案は今期議會には出さないと云ふ考へ方になりましたので、從つて具體的の茲に御滿足を得るやうな計畫を申上げる機會には至つて居りませぬ、併し近き將來に於きまして、是等に對する所の具體的方策を定めて申上げる機會があると存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=5
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006・四條隆徳
○侯爵四條隆徳君 只今伺ひましたが、我が國の新生日本としての馬政計畫もまだ出來て居らぬ、斯かる状態に於きまして、根本がないのに此の末梢を必要があるかないかと云ふことを檢討することは既に極めて困難と考へる次第であります、各種の産業が新計畫の下に進んで居るのにどうも此のやうな根本問題がはつきりして居ないと云うことはちよつと了解に苦しむことなんであります、特に競馬のこと、馬の改良増殖と云ふやうな問題は孰れも馬政計畫、畜産計畫と云ふやうな根本問題が決定した後でなければ、是非を論ずることが出來ぬ状態だと考へるのでありますが、此の點に付きまして追つて計畫をすると云ふやうな今御話なのですが、又左樣な場合には競馬法が變つて來やせぬが、現在之を定むるのには少し時期が早いのであつて、且現に行はれて居る各地方の競馬があると云ふ御話でしたが、斯かるものは何も此の地方競馬法と云ふものの結果を待たなくても差止めることは出來るし、仲裁することも出來ると云ふ風に考へるのでございますが、此の法案の結果を待たなければ、現在行つて居る各地方の競馬は手を著けることが出來ないのですか、此の點ちよつと伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=6
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007・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 御答へ申上げます、現在各地に行はれて居りまするものは差止めることは出來ないとは申しませぬ、又政府の取締り方面の力に依つて差止めることは出來るかも知れませぬ、又出來ると存じます、併しまあ之を、情勢を視察致しまして、さう無理に止めると云ふことは馬産奬勵上から申しまして如何かと存ずるのでございます、申上げる迄もなく公認競馬は其の競馬の目的が地方競馬と違ひまして、地方競馬は公認競馬と非常に違ひまするのは、直接産業馬の能力、或は素質等、農村に於て直接生産をし、或は之を飼育致して居りまする馬を、職業的に亙らせない程度に於て之を競馬に出して行くのでありますが、此のことは直接に馬の改良及び生産の奬勵に資すると存ずるばかりでなく、現在の日本に於きまする馬の數はどうしても尠くとも百五十萬頭を繋養致さなければならないと存じて居ります、殊に今後數年間に百六十萬町歩の耕地を擴張致すのでございますから、之に對しても數十萬頭の大動物を必要と致すのでございます、同じ大動物でございましても、馬でなければならぬ地方と、牛でも宜しい地方とございますが、出來得れば馬を以て、産業の方面、又輸送上の有力なる補助機關でありまする輓曳用と致しましては、遙に牛に勝つて居ることだけは御認識のあることと存ずるのであります、然るに現在我が國に於ける馬の頭數は非常に減つて居りまして、百二十萬頭にも逹しないのであります、尚今後五十萬頭も七十萬頭も之を増殖致して參らねばならない時に際會を致して居りまして、是等の馬を増加致しますることは、唯産業馬、産業馬と申しましても、飼料も乏しいと云ふやうな場合で、政府に於きましては從來生産育成の上に助成を致して居りました數百萬圓の豫算も全然なくなつてしまつたのであります、從つて地方に於ける馬事に關係を致しまする奬勵指導の任に當る團體の所謂財源の上に、又奬勵上の上にも非常な打撃を、影響を蒙つて居るのでございまして、此の地方競馬と云ふものは一面直接馬の改良振興の働きをなすばかりでなく、間接に於きましては經濟的にも競馬の利益を中央團體を通じ、若しくは直接其の團體の財源に當てまして、馬産の改良増殖に資することが甚大であると考へる次第であります、斯樣な關係から、御承知の通り只今は過渡期でございまして、どうも既に馬産計畫も立てなければならぬ筈でありますけれども、目下其の調査研究途上にございまするもので、はつきり申上げ得ないことは甚だ申譯のないことであります、併し假令馬産計畫が確立致しましても、此の法律の上に定められました地方競馬の根本方針には大なる變化がなからうと存じます、唯所謂地方競馬に走らせる所の色々な番組であるとか、或はさう云ふやうな部分的の改正の必要は起ることと存じまするけれども、根本の立て方に於きましては現行法が決して覆へされることはない、斯樣に御承知を願いたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=7
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008・四條隆徳
○侯爵四條隆徳君 只今の御説明に依りますと、地方競馬は、馬の改良と云ふより寧ろ増殖其の他經濟上の方面でまあ重要であると云ふやうな御話でありますが、公認競馬は今迄本院に於て檢討されました所も、馬の改良、特に軍馬の改良と云ふことが一方にありまして、近く公認競馬を改正なさる御話もありましたが、左樣な際にはどうしても今後の馬産計畫と云ふものが茲に呈示されなければ、公認競馬は到底それを檢討することが無理ではないかと云ふ風に考へるのでございますが、公認競馬を改正なさるやうな際には、日本の馬産計畫を呈示されるやうな御考がありませうか、此の點ちよつと伺ひたいのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=8
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009・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 公認競馬現在のものは御承知の如く、主なる種類は「サラブレッド」、之に次ぐものは「アラブ」系のものであります、嘗て繋駕等中間種系のものもございましたが、地方競馬は中間種及び重種と云ふやうな産業馬、輓曳に供するやうな農耕馬、輓曳馬と云ふやうなものを主として競馬に出場させ、又其の奬勵を致すことに致したいと存じます、公認競馬は所謂輕種、我が國の馬の原原種と稱すべきものを作る建前に於きまして此の競馬の馬産の改良の目的を逹して行きたい、斯う云ふ公認競馬と地方競馬とは自ら其の任務と致す所が違ひがあることを御承知戴きたいと思ふのであります、將來馬産計畫を立て、又競馬法の改正を要する場合に於きましても、是等の點に重點を置いて參りたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=9
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010・四條隆徳
○侯爵四條隆徳君 今一點伺ひたいのですが、本案にも馬券の發賣と云ふことが附て居ります、從來競馬法の委員會の速記録を見ましても、馬券の發賣と云ふことに付きまして多々議論がある譯であります、常に問題になるのは此の一點なのですが、其の時の速記録を見ますると、馬の生産が、從來社會上の色々非難もあるが、軍馬と云ふことに依つてのみ、是が支持されたことは毎度の委員會の速記録に殘つて居る、今囘實際問題に於て只今の御話のやうに、軍馬生産と云ふ目的がなくなり、最も馬券を支持して居つた所の條件が一つ取れた譯であります、其の今日に於て從來よりも餘計に馬券の枚數も賣る、配當も餘計にすると云ふことであれば、當時に於ては軍用馬と云ふものは非常な必要性があつたものでありますが、現在より以上に馬の必要性があれば納得の行く話なんですが、此の點ちょっと了解出來ない點も種々あるのであります、細かい點は又追つて御質問申上げたいと思ひますが、此の根本概念に付て御説明願へれば幸と思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=10
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011・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 御尤もの御尋でございます、軍隊のありまする際に軍馬の要求は相當強かつたのでございますが、併し日本全體の生産頭數と日本全體に保有を致して居りまする馬の頭數から申しますれば、軍隊の要求せられまする頭數は僅かに其の幾割にしか過ぎなかつたのでございます、けれども軍の要求を中心と致した奬勵方針を採つて居りましたる結果は、所謂馬の高さであるとか、或は素質であるとか、能力であるとかと云ふやうなものは、軍隊の要求する點を大體の目標として作りましたのでございまして、現在日本國内に散布して居りまする馬の大部分は、背の高さが農耕馬としては高過ぎる虞がございます、それで今後の農耕馬と致しましては、相當是等の改良を必要と致して居るので、どう云ふ馬とどう云ふ馬を付け合せましたならばどの馬が出來るかと云ふやうなことの大體の試驗の關係は分つては居りまするけれども、矢張り粗食に堪へ、又農民の使ひ易い、或は病氣に罹らない、背が農民の背の高さと云ふやうなものとの釣合を圖つたやうな馬を作るのであります、其の一面今度は輓馬でありまして、輓曳用の馬でありますれば、是は又太く逞しい大きい馬でなければならぬと云ふやうなことにもなるのでありまして、是等の關係に付きまして今後の馬政方針と云ふものも定められねばならぬのでございまして、從つて地方競馬は斯う云ふやうな點に付きましても出場馬に注意を拂ひ、能力、素質等を實際に示して參りたい、もう一つ競馬の目標と致しまするものは、今迄馬券の制限を致して居りまして、一人一枚、從つて配當も十倍以内、斯う云ふことになつて居りましたが、戰爭に於ける幾多の債券の募集、或は公債の募集等非常な變化がございまして、一人一枚とか、十倍以内とか云ふやうな程度に於きましては、到底國民の嗜好に投ずることも出來ず、興味を惹かないと云ふことになりますと、却て競馬を開催して經濟的に打撃を受けて、馬産奬勵上の障碍とならぬとも限らぬと思ふのであります、時局の推移に相應致しまして、適當なる枚數、適當なる配當が行はれるのではないかと思ふのであります、無制限と申しましても、自ら需要者の方に於きましては制限がございまするし、百倍と申しましても、今迄各地に於て「インフレ」景氣の場合實行致した成績を見ましても、百倍の配當になつたものはないのであります、大抵二三十倍で、五十倍にもなることはございませぬ、でありますから假令十倍のものを百倍と致しましても、非常なものにはならぬではなからうかと考へられて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=11
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012・四條隆徳
○侯爵四條隆徳君 私が伺つたのは、戰爭終結前迄は、此の競馬法政正に際しましては馬券がいつも問題になつたのでありますが、是では國防上困るからと云ふので、其の結果は馬票を賣ることになつて居るのであります、國防上困らなければどうなるかと云ふことが又茲に問題になることなんで、其の時の話からは、率直に申せば、國防上馬が要らないと云ふ時期になれば一應考へ直さなくちやならぬと云ふ風に取れるのですが、現在富籤も賣つて居る世の中で、馬票を賣ることが全然いかぬと私は考へる譯ではないのですけれども、實際問題に於て、當時の軍馬と云ふものはもう如何なる非難があつても之を是非共作らにやならぬと云ふので馬票を賣ることになつたのであります、其の時と今の状態が餘りにも違ふものですから、私は斯う云ふ質問を申上げたやうな譯で、實際問題に於て、當時國防上必要であつたより以上に馬の重要性があれば、茲に馬票を賣ると云ふことも成立つ譯でありますが、實際に奬勵しようと思へば、何も馬だけでなくて、石炭を掘るんでもなんでも、奬勵金と云ふ方法があるので、特に今は馬票を賣つて奬勵しなければならぬと云ふ何人にも納得の行く話を伺へれば非常に幸だと思つたのであります、それに關して御意見ありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=12
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013・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 率直なる御尋でございます、餘り諄くなりますと御迷惑であると存じまして差控へたのでありますが、先刻も申上げました通り日本の此の耕地を完全に耕して、さうして不足なる食糧の増産をなさしむると致しまするには、どうしても馬の必要を私共は痛切に感じて居るのでございます、先刻も同じ大動物でありましても、牛と馬の關係が違ふと申上げましたことは、東北、北信、北海道と云ふ穀倉方面に於きまして一番食糧の増産を致しまするに缺くべからざるものは肥料でございます、其の肥料は硫安を初め金肥等を以て致しましても、現在に於ては需要の數分の一も生産はございませぬので、肥料の不足は所謂收獲の不足を來して居るのであります、之を確保致しますことは、どうしても堆厩肥に俟たなければならぬのでありまして、堆肥を生産致しまする一番の生産力を持ち、其の肥效力を多く持つて居りまするのは馬の堆厩肥であることは御承知の通りでございます、從つて此の東北、北海道、北信方面の如き氣温の低い地方に於きましては早植ゑを致して參る、水田に牛の堆厩肥を施しますることは、馬の堆厩肥と牛の堆厩肥とは、五度以上の保温力の差がございまするから、丁度東北、北海道、或は北信と云ふやうの氣温の低い地方に於て田植を致しまして丁度分蘗になる項、此の保温力の關係に依つて氣温が低い時に分蘗をして施肥效力を生じて參つて居るのでございます、若し是が牛であつたと致しますると、温度の低い堆厩肥に於きましては發酵期、分解期が遲れまして、本當に稻を肥して結實させると云ふ間に合ひませぬのでございます、斯う云ふやうな關係もございまするので、牛の肥料の生産と馬の肥料の生産とは二倍半も三倍も違ふ、況んや他の小動物に於きましてはなかなか追付かぬのであります、假令金肥が硫安、石灰窒素に致しましても、豫定の數が生産せられまして悉く金肥に頼ると云ふ時期がありまするならば、日本の農業界は是が爲に非常な破滅に陷ると私共は考へて居るのであります、嘗つて畜産が農村に非常に減退を致して金肥が著しく進出普及を致しました時に於ては、一時は收獲の増大を見たのでありますけれども、是は數年ならずして土壤が非常に瘠せ衰へて參りまして、之を囘復することが出來ないのであります、で金肥一方に依ると云ふことは非常な農村經營の上に危險を持つて居りまするから、永久に日本に於きましては此の堆肥と云ふものを用ひて行かなければならぬと云ふ考へ方を持つて居るのでありまして、其の堆肥を供給致しまする主なるものが馬である、其の肥效力も只今申上げましたやうな地域關係等もございます、斯樣な次第でありまするから、食糧の生産力を申しましても其の不足を補ひまする日本に於きましては、どうしても軍隊が必要であるとか、國防上どうであるとか云ふ問題でなしに、日本それ自身の國民生活の上に馬の必要は御認めを下されて居ることと存ずるのであります、其の馬が年々減退を致す傾向を持つて居ります、今迄政府は多額の補助助成を致して生産或は飼育の奬勵を致して居りましたものが、御承知の通り終戰後其の筋の註文もあり、全然此の助成費と云ふものは削られまして、昭和二十一年度に於きましては、一文もなくなつたのでありますそれでありまするから、此の馬の生産を殖して行く、素質を改めて行くそれには矢張り種牝馬であるとか、種牡馬であるとか云ふやうな基礎的なものも改めなければなりませず、なかなか容易な業ではないのであります、一面直接奬勵の用に供すると共に、他面經濟的助成の資源たらしめる上に於きまして地方競馬、又公認競馬と云ふものの必要を政府と致して認めて居るのでありまして、此の觀點から致してまし現在の馬は假令一割二割の生産増加を致しましても、どうも此處で申上げては如何かと存じますが、屠殺數が多くなつて參りまして、なかなか是が防ぎ切れなくなって參りました、所謂食糧の不足と肉の値段の關係から、今迄は廢馬、老馬と云ふやうなもののみが屠殺に向けられて居りました馬も、何となく相當の馬が屠殺に向けられると云ふことは、誠に殘念なことではありまするけれども、政府と致して是が防遏を致すのではありまするが、なかなかそれを根本的に防遏することが出來ませぬ、從つて奬勵上餘程の此處に手段を講ずる必要があると、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=13
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014・四條隆徳
○侯爵四條隆徳君 最後にもう一點伺ひたいのですが、今迄の競馬の賣上の金を運用する問題でありますが、是は馬にのみ使うと云ふことが常識になつて居つたのであります、先程或は修正したいと云ふやうな御希望の點もありましたが、畜産全般に亙つて之を助成するやうな御考も伺つたのですが、是は競馬として非常に目的を變更せられるやうな風に取れるのでありますが、是非とも畜産部門全般に亙つて此の費用を使つた方が宜しいと云ふ御考ですか、先程修正をしたいと云ふやうな御希望もあつたのですが、此の點もう少し細かい御説明を願いたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=14
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015・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 此の目的は強く要望して居るのではございませぬので、只今の處は馬は一本になつて居ります、他の畜産と合併致した團體もないのでありまするから、一方は農業會に属し、一方は馬匹組合、或は馬匹組合聯合會と云ふやうな建前で參つて居るのでありますが、將來は矢張り畜産と云ふものは綜合的に奬勵して計畫を立てねばならぬのではなからうかと存じて居るのであります、此の地方競馬の目的は馬事の振興、馬事の増殖、是が主なる目的であるのであります、其の得ました財政上、經濟上の餘地がありますれば、馬以外の一般畜産にも奬勵して行く、又獨り畜産に止まらず社會事業にも之を支出して行くと云ふのが提案者の考へ方であるのであります、又競馬法に於きましても、御承知の通り主として馬事に使ひまするものは四分の三を下ることを得ずと云ふことが現行法にございますが、其の四分の一弱は或は社會事業の方面に振り向けられて居つたことも御承知の通りでありまして、地方競馬も矢張り同樣の線に沿うて參ることと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=15
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016・四條隆徳
○侯爵四條隆徳君 私は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=16
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017・西尾忠方
○委員長(子爵西尾忠方君) 御質問がなければちよつと私から政務次官に伺ひたいのです、此の法案はまだ十分拜見致して居りませぬが、衆議院の委員會の速記録もまだ參つて居りませぬので、主としてどう云ふ方向に論議を鬪はされたか、其の邊承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=17
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018・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 衆議院に於かれましては極く簡單な質問だけでございました、唯一日だけの質問で、四人か伺ふ方がありまして、私から答辯を致しまして了承得ただけで終りまして、二日目は自由黨、進歩黨及び其の他の政黨から代表者が出まして、單に原案に贊成するとか、或は極く簡單な理由に依つて原案に贊成すると云ふやうな御話で終りまして、彼此と申上げる程の論戰と申すか、質問應答はございませぬで、頗る平凡に渦ぎて居ります、又本會議に於きましても委員長の報告に對して討論を用ひませぬで、三讀會を省略致しまして即決になりました次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=18
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019・瀧川儀作
○瀧川儀作君 私は競馬のことは至つて不案内でありますが、先逹て我々の調査會で衆議院方面の方から提案の理由を詳しく伺ひまして、肥料の關係から最も必要な提案だと考へて居ります、更に近頃やかましく言はれて居る「インフレーション」の問題、食糧を繞りまして「インフレーション」が盛になりましたのは、一時の軍需成金とでも言ひますか、言葉は何ですが、さう云ふ方面の買占に因ることの如くに宣傳されて居りますけれども、多年私共が多數の勞働者を使って來ました關係、又色々の團體に關係致しました經驗から見まして、戰爭以來勞働者の賃銀が不常に上りまして、其の割合に食糧の不足で以て使ひ所がありませぬので彼等が無闇に食糧を漁る、有らゆる方面に向つて無闇に金を使ふ、彼等は貯蓄心と云ふものはないのでございます、そこで食糧を繞つた「インフレーション」と云ふものは此の方面から來る、戰爭前でも五六百萬人の勞働者が「レヂスター」されて居つたのでありますが、戰爭後には急に殖えて、徴用工を合せて千萬以上の勞働者となり、非常な多額の賃銀を得たのでありましたが、之を濫費することは非常に惜しいことであります、それを一つ吸收しまする方法があれば、「インフレーション」は餘程防止出來るであらう、此のことは政府當局に申上げたこともありますが、それ以外に地方の府縣でありますとか、或は都市の財政が非常に窮乏致して居りますから、あの方面にも集つた金を使つて財政の急を救ふと云ふやうなことにもなるのぢやないかと云ふやうなことを考へて居ります、私は一切競馬場内に入つたこともないのであります、でありますから、此の問題に對して格別な「インタレスト」を持つて居る譯ではありませぬが、競馬を經營して居る者に成績を聽きました結果、勞働者を澤山使つて居りました經驗から見まして、此の方面には相當競馬を奬勵する、と言つては語弊がありますが、先づ奬勵しまする必要があるのぢやないか、斯う云ふ風に考へて居りますが、政府當局では其の方面に付ては何か御調になつたことがありますか、一應伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=19
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020・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 只今の御尋でございますが、政府の意圖致して居ります點も御指摘に合致して居る點がございます、競馬に對する「フアン」と云ふものは非常に多く且熱烈でございます、從つて現在民間に浮動して居る所の資金を集める一つの副作用と致しまして、相當效果あることを信じて居るのであります、所謂一言にして申せば「インフレ」防止の一翼と申しますか、一助ともなるであらうと存じて居ります、殊に公認競馬が復活し、地方競馬が各道府縣に一年四囘、六日間宛の程度を以て最高の開催を致しますれば、地方に於きましても相當の浮動資金の吸收にもなりまするし、又政府に於きましては之に課税することが出來ますので、政府の國庫の收入を増すことが出來るのであります、又開催者に於きましても二十乃至二十五の控除額を持つて居りまするから、是等のものが大部分は馬車、畜産の奬勵費に向けられ、他のものは或は社會的に使用せられると云ふことになるのでございます、唯御話の都市とか地方の公衙のやうなものの財政救濟の方法と致しましては、ちよつと直ちに之を振向けると云ふやうな譯には參らぬではないかと思ひます、唯公衙、官衙等に於てやらうとしてやり兼ねて居りまする豫算を持たないやうなものは、例へば色々あると存じますが、或は戰災者の救濟であるとか、歸還者の救濟であるとか、或は色々なさうしたやうな失業救濟の部面であるとか、或は思想運動であるとかと云ふやうなものがありまする場合には、是等の方面に廣い利益を廻して行くことが出來るであらうと存ずる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=20
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021・北小路三郎
○子爵北小路三郎君 先程四條侯爵の御質問に依りまして、競馬に依る賣上金の用途でありますが、それに對して御話を伺ひますと、馬事の振興、或は増殖、さう云ふ方面が目的であって、主として其の方に用途が向けられるやうな御話を伺つたのでありますが、其の時の御話と致しまして、社會事業方面にも餘りがあれば多少は之を向けると云ふ御話でございましたが、今日終戰後の我が國に於きまして、社會政策の上にも亦色々の問題があると思ひますし、それに連れまして社會施設としましても、世の中が待つて居るものが多分にあると思はれます、此の時に於きまして政府としましても、社會事業にも多少は御向けになる、從來も御向けになつて居つたと云ふ御話でありますけれども、之をもう少し積極的に御考になりまして、此の際其の用途を、二分の一にしてやるとか、もっと多くを社會施設の方に御當になる御考はありませぬでせうか、どうでありませうか、私は能く斯う云ふことは知りませぬけれども、外國に於ても「アルゼンチン」、或は南米方面に於ては相當此の賣上金と云ふものは社會事業方面に振向けられて居るやうに伺つて居るのでありますが、殊に今日の我が國に於きましては、今申上げるやうに非常に社會施設としても俟つべきものが澤山ございます、斯う云ふ意味に於きまして、此の方面にもっと此の收獲が振向けられましたならば、競馬其のものの意味も非常に又社會的に深くなつて來ると云ふ風に考へられるのでありますが、斯う云ふ點に付きましては如何御考でありませうか、御尋ね致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=21
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022・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 御答を申上げますが、誠に御尤もな御尋でございまして、政府と致しましては出來るだけさう云ふ社會事業方面にも一定額の利益金を使はせたいと考へて居るのでございます、併し御承知の如く、只今御審議を願つて居りまする地方競馬法と現在行はれて居りまする競馬法と二つの法律が出來て競馬を行ふのでございまして、公認競馬の建前と、地方競馬の建前とは自ら違ふ點がございますので、別々の法律に依る必要を認めて居るのでございますが、現行法では「四分の三を下ることを得ず」と云ふ馬事振興費に使ふ制限費を以ちまして、其の四分の一は社會事業に使はれることになつて居るのでありますが、地方競馬法に於きましては左樣な制限を致しませぬのでございまして、其の利益の使ひ方に付きましては、競馬開催の認可に當りましてどう云ふ方面に使へと云ふことを指令する積りでございます、一つの開催條件として此の法律の施行規則の上、或は命令の上に於きまして、さう云ふやうな運營の途を決めようと云ふ考へ方でございますから、唯二分の一を使へと申しましても、地方競馬は全國一道一都二府四十二縣でございます、それに一箇所宛でございまして、北海道は三箇所と云ふ程度でございますから、今日の如き「インフレ」氣分の浮動資金の多いやうな時代に於きましては、相當の利益もございますけれども、從來地方競馬、或は鍛錬競走として行はれたのでありますが、鍛錬競走時代は中央の馬事會の利益に致しまして、其の中央團體から更に地方へ其の利益を以て奬勵致して居つたのであります、曩の地方競馬規則に依つて地方競馬の行はれました當時の箇所は少い所も一箇所ございましたけれども、概ね一縣三箇所、或は二箇所と云ふのでございまして、中央の團體として帝國馬匹協會と云ふものが納付金を取る、それを地方に振向けて居つたのであります、處が地域的に考へますると、馬の生産地方は、今迄の成績は非常に惡いのであります、馬を生産供給をする北海道であるとか、東北であるとか、北信であるとかと云ふやうな方面の地方競馬は、殆ど經濟的に成立致さない、却て損失を招いて非常に苦境に陷つて居ると云ふやうな所がございましたので、當時の經濟緊迫の時は矢張り東京であるとか、神奈川縣であるとか、京都、大阪と云ふやうな關西、東海地方、斯う云ふ方は馬の生産は致しませぬ、馬の使役地でございます、此の方面の賣上が非常に多く、利益が多かつたのであります、さう云ふ方面から取つた利益は地方へ均霑するやうな方法を採つて居ります、此の爲の建て方もさう云ふ工合に運用せられるのでありまして、馬が少く、生産も致さぬと云ふやうな關西の地方に非常に賣上が多くて利益も多い、馬が澤山あって、それぞれの經費を非常に要する東北方面とか、北海道方面に於きますると、賣上が少く、利益がない、或は缺損になる、斯う云ふやうなことになりまするので、さう云ふ所へは多く利益のある方から其の方へ段々と廻して行くと云ふやうなことで立つて參りまするから、政府の助成が復活致しませず、現在の儘で將來行ふと致しますれば、此の地方競馬に依る利益は、なかなか一定額を決めて、社會事業であるとか、他の方面へ之を振向けさせると云ふことは困難でないかと存ずる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=22
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023・西尾忠方
○委員長(子爵西尾忠方君) 如何でせうか、御諮り致しますが、今日法案が出ましたばかりで、御受取になつたばかりでございまして、内容に付ての御檢討の時期もないと思ひます、又今日餘り御質問もないやうに思ひますので、若千時間はありますが、此の程度に致しまして、今日は散會を致し、明日は本會議の關係上ちよつと速記が間に合はないやうに存じますから、明後日十三日午前十時から開會致すことに致したいと存じますが、如何でございませうか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=23
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024・西尾忠方
○委員長(子爵西尾忠方君) では本日は之にて散會致します
午前十一時四十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=24
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025・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 子爵 西尾忠方君
副委員長 男爵 三須精一君
委員
侯爵 四條隆徳君
伯爵 南部利英君
子爵 北小路三郎君
小山松吉君
松村眞一郎君
男爵 徳川誠君
男爵 斯波正夫君
瀧川儀作君
安田伊左衞門君
有馬忠三郎君
名古屋三吉君
渡部信君
政府委員
農林政務次官 大石倫治君
農林事務官 灘波理平君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00119460911&spkNum=25
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