1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
付託議案
○地方競馬法案(衆)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=0
-
001・会議録情報2
―――――――――――――――――――――
昭和二十一年九月十三日(金曜日)午前十時二十四分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=1
-
002・西尾忠方
○委員長(子爵西尾忠方君) 只今より地方競馬法案の委員會を開會致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=2
-
003・徳川誠
○男爵徳川誠君 此の法の提案理由と云ふのをまだ組織立つて伺つて居ないのですが、改めて詳しく伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=3
-
004・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 今徳川男爵からの御質問の提案理由の點でございますが、御承知の通り本案は議院提出のものでございまするが故に、政府としての提案理由を此處で申上げると云ふ譯には參りませぬのでありますが、議院の提案理由を此處で申上げまして、其の提案理由は政府と致しましても、適當のものであると云ふ考へ方を申上げて御參考にしたいと存じます、地方競馬法提出に至りまする徑路を、聊か申上げて御參考に致したいと存じますが、地方競馬と申しまするものは、御承知の通り餘程古き以前から、農林省の省令に依る地方競馬規則に依りまして、全國各地に開催せられて居つたのでございます、其の開催箇所は少くとも一縣一箇所、多くは三箇所に相成つて居りまして、全國を通じて百二十幾箇所になつて居つたのであります、其の後日華事變になりましてから、軍馬資源保護法と云ふ法律が、總動員法と關聯して出まして、此の法律の中に軍馬を、或は軍馬候補馬を鍛錬する手段と致しまして、普通鍛錬、鍛錬競技、鍛錬競走の三種類が行はれたのであります、其の鍛錬競走と申すのが、從來地方競馬規則に依つて行はれて居りました、地方競馬を接收致して、それと同時に地方競馬が廢止せられて、鍛錬競走として、軍馬資源保護法の下に行はれて居りましたのであります、それが昨年總動員法の廢止に伴ひまして、此の法律も廢止せられたのでありまして、爾來地方競馬に關しましては、何等の法的根據がなくなつてしまつて居るのが、現在でございます、然るに其の地方競馬を開催せられまするのは、現在に於ては、開催地方の知事の認可と云ふ形になつて居るのでありますが、之に對する取締法も制定してござりませぬし、又法律或は規則に依つて行はれますれば、之に國が課税をする、或は地方税を賦課する、或は中央團體に對する納付金と云ふやうなものに依つて馬事の振興改良を圖ると云ふやうな費用の捻出も出來るのでございますが、現在に於ては左樣な根據がございませぬから、殆ど自由放任の状態に置かれて、今地方競馬法に制定せむとする馬券の賣買、配當が之と同樣の手段に依つて行はれて居るのでございます、斯樣なことが日に月に多きを加へて參りまして、政府として之を禁止し或は停止することは出來得るのでございますけれども、只今申上げましたやうな事情の下に起つたのでありまするから、之を禁止すると云ふことはなかなか困難の事情にございますことを御了解願ひたいと思ひます、斯樣に致しまして政府と致しては、此の地方競馬をより合法的のものにさして行かねばならない、社會秩序の上から申しましても、又さう云ふ馬事經濟、馬事改良振興の建前から申しましても、孰れにしても競馬の必要を認むることに相成つたのでございますけれども、政府は其の準備を致しませぬ前に、議院より提案することになつたのでございまして、其の提案の大體の條項を見まして、餘り政府の意見と異つた點がございませぬので、それで政府の意見を保留致しまして……保留と申しませぬで、衆議院を通過致したのでございます、それで議院に於きまして提案しまする理由としての根據は、第一は馬産の振興を圖ると云ふのでございます、それは一昨日の委員會に於きまして、四條侯爵の御質問に對して一應説明を申上げて置きましたやうに、我が國に於きましては、日露戰爭の直後、明治天皇の深き思召しに依りまして第一次馬政計畫を定めまして、此の期間三十年、それが日華事變の勃發後に於て終りを致しました、仍て日本の馬の素質、能力等、非常な發達向上を致しまして、馬産計畫の目的を大部分達成することが出來たのでありますけれども、尚第二次馬政計畫を繼續する必要を認めまして、日華事變中に於きまして、第二次馬政計畫が同じく三十箇年を以て樹立せられまして、其の實行に入つたのでございます、然るに日華事變の實際の作戰計畫、軍馬の利用方面が段々と變りまして、從來斥候用として非常に尊ばれたる速力は乘馬と致して現れて居りましたが、是が飛行機に變つた結果、速力を尊ぶ騎兵馬の必要がない、それで寧ろそれに代るに、非常に多數の駄馬、又輓曳馬が要求をせられることになりましたので、軍の要求を容れまして、第二次馬政計畫は殆ど根本的に改組せられたのでございまして、此の軍の要望を中心として日本の馬の生産、育成、訓練が行はれて居つたのであります、然るに其の後終戰となりまして茲に軍馬と云ふものの必要が全然消滅を致したのでございますが、併しながら日本と致しましては、軍馬であるから必要であると云ふばかりではございませぬで、日本の農業經營の上に於きましても、食糧増産確保の點から申しましても、馬の或數を保有せねばならぬ必要は認めざるを得ないのでございます、即ち第二次馬政計畫に於きましても、第一次馬政計畫に於きましても、本國内に保有する馬を、農村の事情に照し合せまして、飼養能力、生産能力が百五十萬頭を適當と致して居りましたが爲に、百五十萬頭を標準として居つたのであります、然るに日華事變中に於きましては、馬産の奬勵を一生懸命致したが爲に、生産頭數が著しく増加を致したのでございますが、終戰前から漸次是が減退を致しまして、百五十萬頭を保有することは不可能に陷つたばかりでなく、年々此の消費部面が殖える傾向を呈して參りましたが爲に、一段と馬の不足を告げまして、現在に於きましては、正確なる統計は能く申上げ兼ねまするけれども、大體百二十萬頭を割つて居るかとも考へられるのであります、然るに一面、食糧増産の計畫から五箇年間に百六十五萬町歩の新たなる開墾地を計畫實行中でございまして、是等に對するものを合せますれば、現在の馬では少くとも七十萬頭の不足を告げて居る、斯う云ふ状態でありまして、此の軍馬を必要とせざる後に於きましても、農耕馬として、又陸上輸送力の足りない補助機關としての荷馬車其の他の輓曳馬の必要と云ふものが、漸次増加の傾向を呈して居りまして、斯樣な關係から政府と致しましては、馬の増産及び其の改良を必要と致して居るのであります、只今申しました曩に軍馬中心の生産指導を致し、それに伴ふ所の育成訓練を致して居つたのでありますが、軍馬が必要ない今日に於きましては、專ら此の農耕用の産業馬を目標として生産、育成、訓練を致さねばならない、又一部の只今申した輓曳馬、俗に荷馬車馬と申しまして宜しうございませうが、輓曳馬を作り供給致さなければならない、斯樣になりまするが爲に、馬政計畫を建直さねばならぬ時になつて居りまするが、未だ其の馬政計畫の計畫途上にございまして、之を發表するには至つて居りませぬ、でありまするが、どうしても此の馬格、能力、色々の方面に於て馬の生産方針、育成方針等を改めねばならないと云ふ時期に遭遇致して居るのであります、然るに斯樣な場合に立到りましても、從來政府は馬産育成に對して相當巨額の補助、助成金を與へて居つたのでございまするけれども、御承知の通り、補助、助成は全部終戰後打切られることになりまして、政府と致しましては、遺憾ながら助成金を持たない、補助を致すことは出來ないと云ふやうな立場に立ち至つたのでございます、此の馬の生産、改良の上に、當業者と致しまして、又是等指導の團體と致しまして、非常に困つて居ると云ふ實情にあるのでございます、もう一つ此の提案理由の大きいものは、食糧の増産確保を致しまするには、第一に肥料を必要と致すのであります、今日肥料の不足は御承知の通りでございまして、硫安を初め所謂化學肥料の生産に全力を盡して居りまするけれども、需要の數分の一にも達しないやうな生産不足でございまして、是が幾年かの後に需要量を充し得るかは容易に見透し兼ねて居ると云ふ實情であります、仍て此の不足なる肥料は、概ね畜類の堆厩肥、之に俟つことが必要でございまして、堆厩肥なく致しましては、日本の食糧の増産確保は絶對に不可能だと申上げても差支ないと思ふのでございます、それで現在に於きましては、馬の生産致しまする堆厩肥は、化學肥料の十倍も多く生産致して居るのであります、同じ大動物でありまする牛と馬の堆肥の製造能力を見ましても、馬は牛の約二倍半乃至三倍近くの多くの堆肥の生産を致すのでありまするが、又肥料の效力に於きましても、牛と馬とでは非常に違つて居るのであります、牛は御承知の通り、同じ物を食べましても反芻動物でございますから、從つて肥料成分と云ふものは馬よりも遙かに劣つて居る、もう一つは、馬の生産致しまする堆厩肥と、牛の堆厩肥とを比較致して見ますると云ふと、温度に於きましても數度違ふのでございます、氣温の低い東北、北海道、北陸方面に於きましては、どしうても牛の堆肥では水田には間に合ひませぬ、馬の堆厩肥を用ひねばならないのでございます、もう一つ、假令化學肥料が需要量に滿ちまして、堆厩肥に頼らなくても宜いと云ふ時代が出來まするならば、其の時は農村疲弊の先づ第一歩であると申さねばならないのでございます、日華事變前に於きましては、化學肥料が非常に發達し、供給力を持ちましたが爲に、此の堆厩肥と云ふものが兎角粗略に扱はれまして、農村に繋養致して居りまする所の牛馬の數が著しく減少したのであります、其の時に於て、化學肥料が十分に利用せられましたが、是が三年、四年となりますると、土壤が非常に痩せ衰へまして、如何に化學肥料を多量に施しましても、決して收獲を確保することが出來なくなつたのであります、不幸中の幸と申すべく、此の日華事變、戰爭になりまして、化學肥料が供給不足になりまするや、再び堆厩肥は盛り直して參つて居りまして、幸に化學肥料に乏しき今日此の食糧生産力を保持して居りますることは、化學肥料を補ふ所ではない、其の土壤を肥やして、尚其の年の肥料分を提供しての外に、更に次の年、次の年にと段々と土壤を肥やす、堆厩肥と云ふものが盛返されましたことは、誠に結構なことでありまして、是が我々政府と致しましても、馬と云ふものが、或は大動物と云ふものが食糧の増産確保の上に必要缺くべからざるものでございまして、之を奬勵したいと云ふ建前を持つて居るのであります、是が提案者の唱道致しました提案の第二の理由でございます、又次に、先刻申しました通り、何等の法の根據なくして濫に地方長官の一片の認可と云ふので行つて居りまする亂雜さでは、取締上から申しましても亦大藏省、地方廳等に於ける課税から申しましても、亦馬事團體が補助助成を失ひましたので、經濟力補給の上から申しましても誠に宜しくないのでございまするから、茲に法律を作りまして、其の法律に依つて是等の缺陷を補ひ、是正を致してやらせる方が宜からう、又もう一つは、競馬は御承知の通り、相當の浮動資金を集め得ると云ふ作用を爲すのでございます、所謂「インフレ」防止の上の一環ともなるであらう、斯う云ふやうな見方も提案理由の一つになつて居つたのであります、それで競馬の施行に依りまして得ました所の利益を、中央團體に納付致しまして、中央團體は全國の畜産及び社會事業に其の金を振向けて、畜産の振興、殊に馬産の改良、振興、増産に資したい、斯樣な建前が提案の主なる理由でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=4
-
005・徳川誠
○男爵徳川誠君 詳しく御説明を戴きまして有難うございました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=5
-
006・三須精一
○男爵三須精一君 私はちよつと政府に二、三御尋ねしたいと思ふのでありますが、政府は此の法案に對して贊意を表され、近く公認競馬法の改正案も御提案になると云ふやうな御話であります、且只今も詳細に亙つての御話でありまして、競馬開催の目途が十分樹つたのであります、併しながら私は此の機會に於て、終戰後平和日本に於ける所の馬産振興としての競馬開催に依つて其の目的達成を十分にする必要があると思ひまするので、之に付きまして二、三御所見を承りたいと云ふのでございます、現在第三條に掲げてありますやうに、競馬場の數と云ふものは、全國で北海道の三箇所以内、都府縣各一箇所以内と云ふやうにありますが、現在終戰後に於きまして、競馬の出來る頭數と云ふものも非常に減少して居りますから、且又競馬場に充てべき場所と云ふものも相當色々食糧増産、其の他で使用して居りまするので、急速に之を全部やると云ふことは思はれないのでありますが、大體此の中最も近き年次に於て開催せられるのは一體どれ位開かれると云ふ御豫想でありますか、其の點を御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=6
-
007・西尾忠方
○委員長(子爵西尾忠方君) ちよつと皆さんに御諾り致しますが、段々會議の進行に連れまして、非常に專門的の御質疑があるやうな場合もあらうと思ひまして、さう云ふやうな場合に於ては、政府の方の專門の方も見えて居られますから、説明員として御説明を願ふやうにしたらどうかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=7
-
008・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 只今の御質問に御答へ致します、只今の御尋の開催個所の移動は、御質問の通り嘗ては地方競馬開催を致さない地方がなかつたのでありますけれども、事變、戰爭中に於きまして、漸次それが減りまして、終戰直前迄開催致して居りましたものは、全都府縣には亙つて居らなかつたのでございます、又北海道に於きましても休んで居つたのがございました、此の法律が成立つて實施せられると云ふ場合に、先づ以て開催せらるると云ふ場所は、此の法律に決めまする數の半分以上には達するであらうと存ずるのであります、一昨日も申上げましたが、大體從來の成績に鑑みますると、馬の生産地方は兎角地方競馬が振はないのでありまして、今農村、山漁村の經濟「インフレ」で相當浮動資金がありまするから、假令生産地方でありましても開催致しましたならば、相當な利益を見るであらうとは存じまするけれども、それに致しましても到底關東、關西と云ふやうな方面には及ばないと存じまして、是等の地方に於ては、現在開催し得る競馬場を持つて居るものは別と致しまて、持つて居りませぬ地方は直ちに開催が可能でなからうと思ふ、御承知の通り耕地の關係、食糧増産の關係上、嘗てありし馬場も潰れてしまつたのであります、併し競馬場は、公認競馬と違ひまして、地方競馬は、出場馬も特に專門的の訓練した馬と云ふやうなものでございませぬので、地方に散在して居る其の儘の農耕馬、或は輓馬を二、三箇月間の訓練を致しました程度に於て、之を出場させると云ふやうな状態でありまするから、馬の數に於きましてはどうやら間に合つて參ると存じます、又競馬場の設備に於きましても、さう廣い多くの面積の要しませぬ、唯、廻り馬場道が幾分かあれば、馬場の埓外は耕地として使ひ得るのでございまするから、是等の設備は追々完成することが出來るではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=8
-
009・三須精一
○男爵三須精一君 尚一つ伺ひたいのですが、現在騎手と云ふものの資格を決めるにはどう云ふ方法で參るのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=9
-
010・井上綱雄
○説明員(井上綱雄君) 地方競馬に付きましては、騎手の資格は現在の處、何等據り所がございませぬ、從來共に、前の省令に依る地方競馬規則の時もございませぬし、軍馬資源保護法に依る鍛錬競馬に於ても、騎手の資格と云ふものは明瞭に決めて居らなかつたのでございます、唯如何はしい勝負をしたやうな者に付きましては、主催者に於て適當に之を省くと云つたやうな、便宜的な方法をやつて居りましたのであります、此の點は公認競馬の所謂競馬法に依る競馬の場合と大分違つて居る點でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=10
-
011・三須精一
○男爵三須精一君 尚此の機會に御尋ねしたいのでありますが、最近に於ける此の一般競馬に依つての收入と云ふものは一箇年どれ位になつて居りますか、且其の中馬の改良竝に増殖方面に支出した金額が、大體御分りでしたら御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=11
-
012・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 御尋の競馬の收入と仰せられるのは公認競馬に依るのでございませうか、或は鍛錬競走に依る競馬でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=12
-
013・三須精一
○男爵三須精一君 全部であります、詰り馬の改良保護に依つて入つて來た金は、大體どれ位あらうと云ふことでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=13
-
014・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 數字を申上げることは出來ないのであります、何故かと申せば、終戰前と申しても、昨年も、一昨年も殆ど競馬の大部分は休んで居ります、殊に公認競馬は昨年來全然開いて居りませぬ、一昨年の經濟界と本年の經濟界とは御承知の通り非常な激變を致して居りまするので、從來の競馬に於て收得致しました收得金と、新しき競馬法に依つて行ひまする收得金とは、比較にならぬ程の差があると考へて居ります、何故かと申せば、近來神奈川縣であるとか、或は靜岡縣であるとか、北海道であるとか、各地に所謂、是は潛り競馬と申しては語弊がございますが、地方長官の認可に依るだけの競馬を行つたものを仄かに聞きますると、先月神奈川縣の戸塚で行ひましたのは、三日間で一千萬圓以上の馬券の賣上げがあつたと云ふことを聞いて居ります、六日間の開催に於て二千九百二十五萬千五百三十圓の賣上げがあつたやうでございます、又少くて岐阜縣の笠松の五十七萬二千圓と云ふやうな状態であります、嘗て開かれて居りました競馬收入と云ふものは、今後開かるべき競馬に對しては、殆ど比較にならぬやうな状況であります、尚公認競馬に於きましては、競馬の收入の四分の三迄は馬事に使ひ、其の餘は社會事業に使つて居りまして、相當の金額に上つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=14
-
015・小山松吉
○小山松吉君 此の地方競馬法案を拜見しますると、法律を以て地方競馬法と云ふ獨立したものを制定することになつて居るのでありますが、從來の競馬規則は内務省、農林省の省令であります、今度どう云ふやうな譯で地方競馬法となつたのでありませうか、此の現行の競馬法等の關係は法的に見ますとどう云ふことになりますか、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=15
-
016・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 先刻私から御説明申上げました中に地方競馬の關係を申上げて置きました、農林省、内務省の省令に依つてやりました地方競馬は其の後法律に變つたのでございまして、此の地方競馬規則が廢されまして、軍馬資源保護法と申す矢張り單行法に依つて戰前迄行はれて居りましたが、終戰後それが廢止になりましたのであります、又農林、内務兩省令の地方競馬規則に依つて行はれまする場合には非常な不便と不利が伴つて居りましたので、之を單行法化して行かねばならぬ、さうして戴きたいと云ふことが民間關係者の殆ど總意であつたのであります、今日は軍馬資源保護法も廢止せられまして、規則も法律もございませぬ場合でありまするから、願へれば單行法が一番宜い、宜からう、斯う云ふ建前から出て居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=16
-
017・小山松吉
○小山松吉君 御説明で能く分りましたが、もう一つ御尋ね致しますが、此の地方競馬法案に依りますると、競馬の施行者が競馬を開催しようとする時は地方長官に届出をすれば宜い譯ですね、從來は認可を受けなければいけないので、地方長官は條件を定めてそれに依つて認可をして居つたやうでありますが、是はどう云ふ譯で届出と云ふだけで宜いことになりましたか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=17
-
018・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 提案者の考へ方を申上げて見ますと、今新しく制定せられます或は改正せられむと致して居りまする色々なる團體の組織、或は運營其の他に付きましても大分民主化せられたる傾向を持つて居りまして、所謂民主主義とでも申しませうか、傾向でございまして、許可、認可と云ふ官衙の制限を漸次取拂ひ、薄くして行く傾向がございます、さう云ふやうな建前から認可をしなくとも届出の程度に於て取締上から申しましても差支なからう斯う云ふ政府の見方を致して居ります、詰り此の開催團體となりますものは、現在に於きまして、其の都道府縣の馬匹組合聯合會、若しくは一府縣を區域と致して居ります馬匹組合でございます、其の他には中央に唯一つあります中央馬事會、是だけが開催の主體になりますので、是等の團體は常置の團體として常に信用を持ち得る團體である、斯う云ふ建前から届出で宜しからうかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=18
-
019・小山松吉
○小山松吉君 從來の競馬法なり其の他競馬規則に依りますと、學生生徒未青年者に對しては勝馬投票券の發賣を禁じてあつたのであります、此の法案ではさう云う制限が無いやうでありますが、是も何か事情がございませうか御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=19
-
020・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 是も只今申上げましたと同樣に、時勢の變化に伴ふものと御了承願ひたいのであります、言論、集會、結社が自由になりまして、政談演説の如きものも、結社の如きものも殆どそれ等の制限を撤廢せられて居りますと云ふ時局でありますから、矢張り斯う云ふやうな場合に於きましても、それ等の從來の見方は變へねばならぬと云ふ建前で斯う云ふ提案になつたと存ずるのであります、政府も亦それを認めて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=20
-
021・小山松吉
○小山松吉君 尚一つ御尋ね致します、此の地方競馬法案の中罰則が大分規定してあります、公務員に關するやうな罰則が規定してあります、是は何か特別の必要があつて……賄賂を取つていけないと云ふやうなこと其の他のことが禁止されてあるのであります、此の事情を御伺ひすることが出來れば結構であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=21
-
022・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 是は開催者、或は執務委員、或は其の他の者が不正な競走を行ふ、俗に言ふ八百長をやる、例へば馬主と結託してさうして騎手連が所謂何々の申合をして或馬を勝たせて澤山馬券を買つて居つた者に利得を得せしめようと云ふやうな不正なる手段等無しとは限らぬのであります、或は馬の資格審査に當りましても、開催の手段に依りましても、色々なる所にさう云ふやうな不正な、或は競馬の正しきを紊すやうなことがありますといけませぬので、罰則を現競馬法よりも強く致したのであります、現競馬法の如き中央一つの團體を以て訓練せられて居る執務委員であり、開催者でありますれば、さう誤りが無いと存じますけれども、澤山の地方競馬をやります者の中には、又認識不足、或は訓練の不足、或は種々なる強制力に依つてさう云ふ不正を犯さんとも限らないのでありますから、之を設けた次第でありまして、體刑に關する規定はさう違ひを持ちませぬけれども、罰金の金額は貨幣價値の關係もございまするので、斯樣に相當に重くしたことになつて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=22
-
023・有馬忠三郎
○有馬忠三郎君 ちよつと御尋ねしたいのですが、種馬に付ては此の法律は何にも關係しないのですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=23
-
024・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 種馬、種牡馬でございます、種牝馬の方には別段のことはございませぬが、種牡馬にはまだ法律がございまして、何をやつて居りますが、是は矢張り將來根本的の改正若しくは廢止をなすべき時期に遭遇致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=24
-
025・有馬忠三郎
○有馬忠三郎君 それからもう一つ學生、生徒、未成年者のことはもう御尋になつたからもう宜いのでありますが、私は未成年者などは除いた方が宜いのぢやないかと思ふのであります、是はまあ議論ですが……それからもう一つは言葉であります、此の法案の言葉であります、「競馬の施行者」、それから「競馬の開催」、「競馬を行ふ」と云ふやうな言葉がありますが、之を讀んで見て分つたやうで分らぬ所があるのですが、「施行」「開催」「競馬を行ふ」と云ふやうなことで何か特別の意味があるのでせうか、唯文章の勢ひでさう云ふ風に致したのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=25
-
026・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 此の第二條の競馬施行者、同樣第八條に於てもあります、其の「施行者」の御尋でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=26
-
027・有馬忠三郎
○有馬忠三郎君 第二條には「施行者が、この法律により、競馬を開催しようとするときは、」、第三條には「この法律により、競馬を行ふ」、それから第五條、第六條、第七條、第八條、第九條、其の他澤山あるですね、「競馬を開催する」と云ふこと、「競馬を行ふ」と……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=27
-
028・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 第二條の「施行者」と申すのは、只今申しました開催責任者を指すのであります、それから「競馬を開催しようとするときは」と申すのは、競馬は年四囘、一囘何日間と云ふ工合になつて居りますから、其の施行者は常在するのでありまするけれども、競馬は或時期、或時期に行ひます、其の開催を致すと云ふ意味でありまして、第二條の「競馬を開催しようとするときは」と申すのも、其の開催を現在に競馬を行はむとする其の時を言ふのであります、又第三條に於きまする「競馬を行ふ競馬場の數は」と申しますものは、是は競馬場は常置になります、で年中使つても、使はなくても、競馬場はありまするから、其の「競馬を行ふ」と云ふ風に分けたに過ぎないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=28
-
029・有馬忠三郎
○有馬忠三郎君 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=29
-
030・渡部信
○渡部信君 此の形式のことでありまするが、競馬法と云ふものに對して、又地方競馬法と云ふものを御制定になる案ですね、此の通り競馬法と此の法案は、比較して見ますると、似寄つた規定が非常に多いのでありますが、私は法律のことは素人でありますが、斯う云ふのは一つの法律にして、寧ろ競馬法にある事柄は、先程どなたかの御尋にもありまして、届出でとあるやうに届出でに直した方が宜しい、又學生生徒未成年者……未成年者は問題でありますけれども、さう云ふものも競馬法にある方が寧ろ實際に適して居らぬので改めた方が宜いと云ふやうな御説明もありました、尚競馬法は入場料の金額などは主務大臣の認可を受けると書いてありますが、茲にはさう云ふやうなこともありませぬが、之も同樣認可事項を成るべく減らすと云ふ意味から、此の法律の方が宜いのだと云ふ御趣旨かも知れませぬが、其の外先程御尋になつた賄賂の點でも罰則などが大體現在の競馬法と非常に似て居ります、さう云ふものは形式の問題でありまするが、一つの法律にして其の中の第二條なら第二條が地方競馬と云ふことにすれば、大體總則的なこと、罰則などは共通して……寧ろ違つて居る方が、此の方が進歩的だと云ふやうな御考ならば、さう云ふ風にして此の法律の形式を一つにすると云ふやうな御考はなかつたのでありませうか、其の點をちよつと伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=30
-
031・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 現行競馬法と地方競馬法と一元した一つの法律に致しますることも一つの便法と考へられるのでありまするけれども、地方競馬と、競馬法にありまする公認競馬とは、自ら其の目的も違ひまするし、又開催主體が一方は全國唯一つの日本競馬會が行ふので、斯く全國的の競馬を施行し得るのでありまするが、地方競馬は都道府縣各一箇所以内、北海道は三箇所と云ふやうな工合に、多數の開催施行者を持たねばならぬのでありますから、團體團體の關係も色々違つて居りまするし、之を公認競馬と一緒に致しますることが、ちよつと法律の上から少々面倒ではなからうか、複雜するのではなからうかと思つて居ります、併しさう云ふ關係ばかりでなく、今囘の場合に於きましては、公認競馬は政府と致しましては、他日時勢の變化に伴ひまして改正を要すると考へて居りまするけれども、未だ全體的の改正を行ふと云ふ準備は出來ませぬのでありまして、暫く現行法に依つて行きたい、唯地方競馬法が成立致して施行せらるる場合になりますれば、此の著しく違ひまする點は、馬券の枚數制限に關する點、或は配當の範圍に關する點等でありまするから、或は罰則の金額の點と云ふやうな、著しき應急的の違つて居る點を歩調を合せる爲に改正を致さねばならぬと云ふ考を以て其の準備を進めて居るのであります、他日仰せの如く競馬法と地方競馬法とを一體として行きまするやうな場合には、矢張りさう云ふ風に調査研究を致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=31
-
032・渡部信
○渡部信君 只今の御話で分りましたが、競馬法に依る競馬と地方競馬法に依る競馬とは目的が違ふと仰しやつたのですが、どう云ふ點が違ふのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=32
-
033・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 總括的の意味から申しますると、所謂馬事の振興、馬産の改良と云ふ點に付きましては、大體の目的は同じでございまするが、其の實質に於きましては、地方競馬は專ら地方に散在する所の不斷農村に於て使役をして居る、或は馬車を掛けて毎日使つて居ると云ふやうな馬を或程度の訓練馴致を致しまして、其の地方の競馬に出走をさせる、全國に之を走らせると云ふ意味はないのであります、其の縣内、若しくは場合に依りましては隣縣等に行く場合もございませうけれども、全面的に之を何處の競馬場に出走をしても宜いと云ふことは認めないのでありまして、細則に於てそれは決めるのであります、公認競馬は全國の競馬場何處の競馬場でも同一の馬が出走の出來ると云ふ建前を採つて居ります、もう一つは地方競馬は先刻も申上げました通り、産業用馬を主として訓練をし、其の能力を檢定をする、又馬格等を定めると云ふやうな目的と、それと共に馬事思想の普及發達施行等を盛に致しまして、馬産の意欲を昂揚し、馬の育成飼養を奬勵して行くと云ふ建前を採つて居りますが、公認競馬は大體原原種を作ると云ふ建前を採つて行くと云ふことが適當と思つて居ります、詰り馬の改良に必要なる所の種牡馬の造成、或は種牝馬の造成と云ふやうな建前に於て公認競馬は行うて行くべきものでありまして、競馬專門の馬を訓練育成して行くと云ふ點であります、從つて現在日本に於きまして農耕馬として適當と認められて居りまするのは、大體中間種系のもの、及び、輓曳馬と致しましては重種馬、所謂「ペルシュロン」のやうな大きい太い馬と云ふやうなものの血種を以て作つて居る、公認競馬の方に於きましては「サラブレッド」、「アラブ」と云ふやうな血種のものを以て作つて居る、輕種でございますから、所謂公認競馬に走るのは輕種、片一方は中間種、重種でございますと云ふやうな、大體内容は異つて居りまして、從つて其の使命に向つて開催をさして行かなければならぬ、斯う云ふ考へ方でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=33
-
034・渡部信
○渡部信君 さう致しますと、此の地方競馬の方は主として「ヘビー・ホース」と云ひますか、「ライト」でない方の馬の育成奬勵、それを主として爲さる、斯う云ふ御考でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=34
-
035・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 左樣でございます、公認競馬は主として所謂速力を以てそれに堪へる所の體力、或は體形、或は體高と云ふやうなものを作るのでありまして、所謂「サラブレット」、或は「アングロ・アラブ」、「アラブ」と云ふやうな、輕い血種を持つた農耕馬は速力を主と致しませぬので、實際農耕馬に使へる、日本人の背の高さ、荷を積む、或は耕すこと等に應じまして、樂に行けると云ふやうに…從來軍馬は日本人には農耕馬として不適當な體高を持たせられたのであります、五尺何寸とか、何「メートル」とか云ふやうな工合で、日本人には不適當な馬が現在日本の大部分を占めて居るのであります、斯う云ふものを改良致して居ります、さう云ふ意味に於きましても、體形、體力、體高、素質と云ふやうなものを競馬に於ても亦能く見て行かう、斯う云ふ意味でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=35
-
036・四條隆徳
○侯爵四條隆徳君 ちよつと今の御答辯の中にありましたことで伺ひたいのですが、公認競馬の「サラブレット」の原原種を奬勵する、地方競馬は全くそれと目的が違つて、中間種を奬勵する、斯う云ふやうな御話でしたが、實際に競馬をやるとすれば、公認競馬に成績の好いやうな種類のものは、地方競馬でも矢張り勝つと云ふことは、是は分り切つたことで、同樣な競馬をやれば、公認競馬に近いもの程有利であると云ふことになりますので、地方競馬出場馬は、餘程競馬執行の方法を變へないと、公認競馬の種の一段下つたものが一般に歡迎される、斯う云ふことになる譯であります、そこで如何なる方法を以て此の地方競馬の馬の種を、成るべく公認競馬の「サラブレット」にあらざる中間種が有利であるやうな方法で執行されるかと云ふことに付て伺ひたいのですが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=36
-
037・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 御話御尤もですが、此の地方競馬を開催するに當りましては、更に施行規則も出まするし、更に又競馬開催の色々なる規則、規約等も作られるのでありまして、それに依つて出場馬の所謂血種とか、或は訓練、馴致は姑く措きまして、公認競馬に走つた馬であるとか、或は商賣的に競馬を賭けてやる馬であるとかと云ふやうなものは自ら制限を加へることになりまするし、又さう云ふ馬の能力如何を、大體出走前に檢定致しまして、所課「ハンデキヤップ」を付けるのであります、負擔重量に於てとか、或は速歩の場合に於ては「メートル」の差に於てとか、色々の方法に依りまして出場馬の能力の均衡を圖ると云ふやうなことは、是は開催執務委員、其の他で調節を執つて參ります、又公認競馬に走る馬でありますれば、全國一年中走ることが出來ますから、さう云ふ馬を特に飼育訓練をさせて多額の經費をかけて居つても宜いのでありますけれども、地方競馬に對しては其のやうな專門的の所謂育成する調教師とか、騎手とか、馬とか云ふものを農村の人々が之を持つと云ふことは、到底經濟的に非常に不利益でありまするし、自ら公認競馬と地方競馬と云ふものは、さう云ふ區別が生ずるであらうと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=37
-
038・四條隆徳
○侯爵四條隆徳君 是は只今の御話は從來は公認競馬に出て居つたものが一旦地方競馬に下がつて出ると、再び公認競馬に出られないと云ふやうなことがあるやうに聞いて居ります、實際問題から言ふと、今御述になつたやうな地元の競馬に出るよりも公認競馬の何流か下がつた馬が出る方が有利であることは事實である、餘程個々の出場馬と云ふものの種類を限定する、例へば「サラブレット」が入つたものは出ていかぬとか、特別なことがない限りは、出場馬は公認競馬に近い程有利であることは決つて居る、此の競馬目當の地方では輕馬を飼ふだらうと云ふことが考へられる譯であります、是は法案以外に實行する細目に付て十分御考慮を願はなければならぬと思ひます、それに付きまして只今御話の車を挽く競馬、速歩競走と云ふものは、是は從來は餘り馬産方針に宜くないと云ふので、日本の速歩馬と云ふものは禁止されて居つたのでありまするが、地方競馬に於ても、公認競馬に於ても速歩競走と云ふことは今後やる御考へでせうか、之を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=38
-
039・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 公認競馬に於きましては別でございまして、公認競馬は主として輕種を主とする、速歩繋駕は大體中間種の血統を持つて居つたものが入つて居つたのであります、實は競走に色々の不正が行はれると云ふやうな關係から今日は止めて居るのであります、地方競馬に於きましては、速歩、或は繋駕と云ふやうなものは…繋駕は容易に行はれるものでありませぬけれども、大體に於て行はしめても宜しいと云ふ考を持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=39
-
040・四條隆徳
○侯爵四條隆徳君 只今公認競馬で速歩は餘り歡迎しないと云ふやうな御話でありましたが、實際速歩馬と云ふものは或は一時は軍の要求に適はぬと云ふので廢められたかも知らぬですが、今後の日本としては此の速歩馬と云ふものはさう重い馬でない、實際問題に中間種の種を今迄は「フランス」其の他の「ヨーロッパ」から多量に輸入して居つたものが今後どうなるか分らぬ、尤も手近い所の「アメリカ」で速歩馬は非常に發達して居る、私が戰前に歸國する所の「アメリカ」の馬に詳しい米人から聞いた所に依りましても、強ち戰爭中に軍から排斥されたやうな如何はしいものでもなく、「アメリカ」の軍隊の速歩馬と云ふものは非常に立派なものがある、斯樣なものを日本が今後寧ろ民間として要望するのではないかと考へられるのである、そこで公認競馬に於ても斯う云ふ使役馬の競爭と云ふものは必要でないかと思ふのですが、追つて公認競馬法の御改正もあると云ふやうな御話ですから、其の時には斯う云ふ點も一つ御説明願ひたいと考へるのであります、今すぐ是は色々伺へれば大變結構ですけれども、是は公認競馬の話ですから、公認競馬の法案が提出されたと云ふやうな場合に一つ詳しく伺ひたいと斯う思ふのであります、只今それに依つてもう一つ伺ひたいことがあるのですが、是は馬の改良とか、或は馬の増殖と云ふ一本槍であつた競馬が、一昨日も御話のやうに運動、「スポーツ」と云ふやうなことを非常に今後は加味する、斯う云ふ御話であつた、是は非常に結構なことなのですが、「スポーツ」と娯樂と云ふものは凡そ私は違ふものだらうと思ふ、實際「スポーツ」と云ふものは競馬ならば乘る人が「スポーツ」で、觀て居る御客さんは實際は娯樂であります、斯う云ふ點は相當外國でははつきり取扱はれて居ると思ふ、處で昨日御話の地方競馬では騎手は誰が乘つても宜いと云ふ無資格、公認競馬は是は職業騎手で、さうすると實際は地方競馬が非常に「スポーツ」と云ふ意味が餘計になる、公認競馬に於てはまあ騎手の資格のない者も乘り得る競走であれば、無論「スポーツ」と云ふやうな取扱を受けても差支ない、それがない限りは是は娯樂に外ならない、さうすると實際は現在の儘で置けば地方競馬と云ふものは、其の地方の馬に其の地方の人が乘る「スポーツ」で非常に結構である、處が從來の色々競馬の状況を見ますと、公認競馬はなかなかしつかり監督されて立派なものであるが、地方競馬には往々如何はしいことを聞く、之を「スポーツ」化すると云ふことは容易なことではないと思ふ、寧ろ我々の乘るのは、今後公認競馬に於ても無資格の者も出場出來ると云ふやうな、所謂競馬「スポーツ」化と云ふことも私共は必要だと思ふのですが、斯樣な點如何でせうか、御意見を伺ひたいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=40
-
041・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 誠に新しい御意見を拜聽致しました、公認競馬も「スポーツ」化したら宜からうと云ふ御意見は誠に宜い御意見であらうと存じます、唯公認競馬は只今も申上げまする通り殆ど專門家的の騎手を要する建前の開催し方であります、であるから從つて騎手と云ふものの資格を定め、試驗を致し、所謂人柄であるとか、技術であるとか、色々なものを見てやらして行きまする必要があると思ひます、併し公認競馬も一日の開催囘數十一囘或は十二囘、十三囘と云ふやうな場合がございまするから、此の囘數の中には「スポーツ」的の所謂素人の騎手を乘せても宜しいのでありますが、さう云ふやうな種類を設けて行きましたならば其の運營が付くことと存ずるのであります、地方競馬に於きましても無資格と申しますけれども、所謂取締を致しませぬと其の騎手の心掛が宜くない者、或は何かの傀儡に依つて速歩などに於きましては獨り八百長をやるやうな場合があるのでありまして、他の騎手との話合もせずに自分だけで八百長をやつて馬を遲らしたり或は進めたり或は能力を隱したりと云ふやうなことがあります、さう云ふやうな場合を正しくする爲に其の地方の騎手は其の地方の團體へ登録を致すと云ふやうなことになるのでありまして、若しさう云ふ不正を働く不良の者でありますれば、其の開催者から騎手に對して制裁を加へまして出場停止、出場することは出來ないと云ふやうな又制裁法も考へて置かなければならぬのであります、公認競馬に於きましては、矢張りさう云ふやうな點を防ぐ爲にも、亦非常な速力を尊びまするものに不慣れな者が乘りまして怪我過ちがあつた他にも累を及すと云ふことがあつてはなりませぬから、成るべくさう云ふものは訓練を經た、資格の試驗に於て認められたと云ふやうな者だけを揃へて行く必要があるのではなからうかと思ふのでございます、又もう一つの御尋ねのありました出走馬のことは大變曩に申上げましたことと大同小異であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=41
-
042・四條隆徳
○侯爵四條隆徳君 もう一つは先程御質問もありましたが、競馬法の公認競馬、地方競馬と云ふのを一本にする、さうして片方が「エー・クラス」なら片方が「ビー・クラス」にすると云ふことは取扱上極めて便宜かとも思ひますが、御話に依りますれば目的が違ふと云ふので別途法律上取扱ふと云ふ話であります、之を執行するのに公認競馬には競馬會、地方競馬としては中央馬事會と云ふものがある、一つは鍛錬機關であり、一つは奬勵機關である、是は別途の團體であるけれども、此の團體を打つて一丸として將來會場を共にやると云ふ方が便宜かと思ひますが、此の點は一本にするやうな御考はありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=42
-
043・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 今日即時やることの出來ないのは先刻申上げました通りでありまして、將來に於きましては此の競馬と云ふものを所謂調整を致して行かねばならぬ時があるかも知れませぬが、御説の如く能く調査研究を致しましてそれ等に善處致したいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=43
-
044・四條隆徳
○侯爵四條隆徳君 色々長くなりますが、最後に馬券のことを一つ伺ひたいと思ひます、發賣される馬券の種類はどう云ふ種類の馬券を發賣するやうになりますか、單勝式とか複勝式とか…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=44
-
045・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 矢張り現行競馬法同樣な馬の頭數、出場馬の頭數に依り單複兩用の馬券を發賣することが「フアン」の爲に宜からうと存じます、從來の配當制限は遙に擴張せられるのでありますから、擴張せられたる程度の配當は、今日迄各地に開かれました實績に徴してはないやうでありまするけれども、矢張り出場頭數が非常に多いと云ふ場合に於きましては單複二種に分けて行くことが宜いかと存じます、其の點は細則に於て決めて行く考であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=45
-
046・四條隆徳
○侯爵四條隆徳君 實際此の法案を拜見しても、馬券を非常に餘計賣ると云ふ仕組になつて居ります、無制限であります、馬券を無制限に賣ると云ふことは一向差支ないと云ふことになれば、一方世間で富籤も賣られて居るやうなことですから、競馬場の外でも賣れる馬券ですが、「ガラ」札、さう云ふやうなものも發賣すると云ふやうなことを許可をするやうな御考ですか、それとも馬券には種類を矢張り場内だけ、或は斯う云ふ種類の馬券とはつりき規定する必要がありますのですか、此の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=46
-
047・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) それははつきり場内に於ける窓口に於て賣るものに限る積りでございます、場外に於ける「ガラ」籤、中國などで行はれて居ります「ガラ」籤と云ふやうなものは此の法律を以てしては許可を認めない積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=47
-
048・瀧川儀作
○瀧川儀作君 私は前囘申上げました通り競馬の知識は全然持たないのでありますが、先般來衆議院に於ける質疑應答に依り、又今囘政府委員の御説明に依りまして本法案には贊同致して居るものでありまするが、其の主なる理由の一つと致しましては、競馬の畜産に依りまして得る堆肥に依る農産物の増産に對する大きな役割を持つて居ることを常識的に伺ひまして、贊同の第一の理由に致して居るのであります、其の次は目下豫算委員會に於きまして大問題になつて居りまする「インフレーション」であります、是は勞働者階級及び農村に撒布されて居る退藏されて居る所の新圓を吸收して行く、「インフレーション」を防止する働きもなすのであります、それから第三には今度の戰災に依つて全國の百何十と云ふ都市が殆ど大破されまして、是が復興事業に惱んで居ることは御承知の通りでありますが、そこで此の第十一條、十二條でありますが、賣得金額の百分の二十五以内の金額を自己の收入とする、其の以外は購買馬券に向つて割當てて行くことになつて居るのでありますが、此の地方の都市の復興事業と言ひますか、戰災復興事業及び社會事業でも宜しいが、其の方面に之を利用する途はないかと云ふことを考へまして此の法案に私は贊同して居る者でありまするが、此の十一條、十二條では何だか制限が付けられて居るやうでありますが、二十五分の一と云ふものをもう少し殖やすなり何とかして、都市の復興事業の方面で要求のある場合に之を利用する方法のないものでありませうか、此の點に付て當局の御意向を伺つて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=48
-
049・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 第十一條に賣得金の二十五以内と書いてございますが、實際は二十以内の實行を爲させる積りでございます、二十五となりますと、是でも甚だ過重過ぎるのでございます、二十でありましても、例へば馬券を買ひまする者が五囘買ひますと百圓の金が無くなつてしまひます、差引かれることになりますので、配當の金が非常に少くなるのであります、さうでありまするから、二十五を差引いて殘つた七十五が配當の金になるのでございますから、成るべく是は減らさないやうに致したいと思ふのであります、併し競馬の開催の費用及び馬に對する賞金、或は政府納付金、場合に依りましては地方課税が地方競馬時代にはあつたのであります、各府縣から何分寄越せと云ふやうな地方課税がございましたので、萬一さう云ふ場合には此の五を以てさう云ふものに作用したいと思ふのでありまして、出來得れば二十以内を以てやりたいと思ふのであります、二十以内に上げることに依りまして馬券の賣上げが多ければ相當利益もございまするから、此の利益金を以て政府より今迄與へて居りました補助助成が廢止せられましたものを補はす、それから他の畜産も將來一つの協同組合のやうなものに依つて統合せられる場合があるだらうと思ひます、さう云ふ場合に於きまして畜産の補助助成の問題、又地域的に申しますると、府縣に依りまして、馬が多くあつて、馬事が其の組合の收入に依つて賄はれて居る組合もあります、處が地方に依りますると、牛のみが多くて、馬が少い、仍て馬の收入が少いのでありまするから、牛の方から賄つて貰はなければならぬと云ふやうな所もあります、さう云ふやうな所もあり、競馬を開催致しまするに、關東關西のやうに澤山賣上がございまして、相當に利益のある競馬組合もあります、生産地方の如く開催費を埋合せ兼ねるやうな、損失をするやうな場合もあるのであります、さう云ふ所は生産地方に多いのでありますが、さう云ふ地方へは利益の多くあつた所から奬勵金を廻して行く、斯う云ふことを主としてやらなければなりませぬ、現競馬法に於きましても、馬事に關する利益金の使用は四分の三を下ることを得ずと云ふ風に制限致して居ります、其の四分の一が社會事業其の他のものに使はれます、地方競馬に於きましても大體の標準がさう云ふ工合に致しまして馬事畜産に關することを指導して居ります、更に餘力ありますれば、御話のやうな戰災者であるとか、歸還者であるとか、或は鰥寡孤獨を救ふことであるとか云ふやうな社會事業に向けたい、用ひさせたいと斯樣な考へ方であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=49
-
050・瀧川儀作
○瀧川儀作君 私の質問は是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=50
-
051・西尾忠方
○委員長(子爵西尾忠方君) 御諮り致しますが、委員外からの御質問の希望がありますから、御許し致したいと思ひます、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=51
-
052・西尾忠方
○委員長(子爵西尾忠方君) 山地君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=52
-
053・山地土佐太郎
○委員外議員(山地土佐太郎君) 今の情勢で行きますと、私は思ふのでありますが、賣得金が非常に多額のものになると思ひます、健全に發達すれば、特別に變つたことがない限りは、ここ一二年の中に數億、或は數十億圓位になるとさう云ふやうな所へまあ行くと思ひますが、さう致しますと、今の十二條ですか、二十五以内と云ふことが相當な金額に上つて來る、それで地方競馬法を起案する時には凡そどれ位の賣得金があると云ふことを目標として、所謂二十五以内と云ふことに根據を置いたものでございますか、それを一つ御伺ひしたいと思ひますのと、それから假に是が此の情勢で健全に發達して、數億乃至數十億と云ふやうなことになると巨額な金額が其處へ出て來ると思ひます、さうすると今日地方競馬の改正、續いて公認競馬の改正と云ふやうなことが此處へ出て來ると思ひますが、其の方向の一つの使命としては「インフレ」を防止すると云ふことも考へられて居るのであります、處が從來の經驗に徴しまして、競馬の開催等に付ては餘程監督宜しきを得ぬと云ふと、宜いこともあるけれども、亦弊害が非常に多い、そこで其の多額な金の使ひ方に依りますと、「インフレ」を防止することが逆に「インフレ」を助成すると云ふやうなことも考へて置かなければならぬと思ひます、それで其の使途に付ては、農林大臣の監督を受けることになつて居りますけれども、今政府委員の御説明で四分の三迄はどうしても馬の方に使はなければならぬと云ふことに大體今迄の法律の慣例でなつて居りますが、そこで今日斯う云ふ地方競馬法を改正して、盛に之をやらなければいかぬと云ふ盛り上つて來た空氣は、無論從來軍馬本位で來たものが終戰と同時にそれがなくなつて、今度は地方競馬も産業を主として産業馬の能力發達、興隆を主眼としなければいけませぬけれども、其の半面には、國の民主的の氣分の爲に、「スポーツ」と云ふことも言へませうが、地方に於ても所謂「スポーツ」精神と言ふか、體育運動精神と言ふか、單に産業馬と云ふことを離れて、さう云ふ空氣が盛り上つて來て、斯う云ふ情勢になつたと思ふのです、今政府委員の御説明の通り、或方面から大いに此の際競馬をやつて、民主的娯樂を奬勵せよ、健全なる體育の發達をやれと言はれた、それが動機となつて北海道を始めとして、盛んに此の地方競馬が興隆しつつあるのだと思ひます、さう致しますとどうしても此の産業馬と別に、又乘馬と云ふことも、從來軍が奬勵して居つたより以上に、民間のさう云ふ「スポーツ」と云ふか、或はそれに關聯して、社會的生活の向上と言ひますか、地方農民の乘馬思想と云ふものを喚起する非常に好い「チヤンス」だと思はれる、それで此の法案の内容と言ひますと、畜産組合其の他の費用と云ふやうなことが書いてありますけれども、もう少し強くさう云ふ乘馬に依つて馬事思想の普及とか云ふやうなことに付ても、從來軍がやつて居つたそれ以上に、今日の社會情勢を考慮して、さう云ふやうな點に力を入れて、其の金を十分に廻す、斯う云ふ風に御考になつて居りませうか、そこでそれ等の方の金の使ひ方に依りますと、或は二十、或は二十五、或は今公認競馬は十八半と思ひますが、それでも多いとか少いとか云ふことが其の金の使ひ方に依つて、非常に多くても國家の爲に有效適切であると云ふことが考へられます、其の使ひ方を一歩誤つて、それをやり損ふと云ふと、今申上げた通り寧ろ逆に「インフレ」を助成することになる、又非常に弊害が起ると思ひます、政府はそれ等に付てどう云ふやうな御考でありませうか、従來の賣上金高は極く少い時の百分の二十五と云ふことで、今日の如く世の中が變つて、殊に社會的にも容れられ、非常に歡迎されて居る時には、斯う云ふ賣得金なんかも以前の何倍、何十倍、殆ど之を豫想して何億圓と云ふことになると、從來の公認競馬より以上の賣上金が出ると云ふことになります、是は非常に大きな事業と申しませうか、大きな仕事なんです、それで今迄のやうな考を變へて餘程大きく、所謂地方競馬の使命と云ふものを重大に觀察してやらなければいけませぬが、之に付ては相當新たな構想を以ておやりになつたと思ひますが、もう少し具體的に一つ伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=53
-
054・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 只今山地さんの御尋の賣得金に對する控除額でありますが、此の金額の出ましたのは地方競馬規則に依る地方競馬當時に於きまする割合、或は事變中に於ける鍛錬競走の模樣及び實際開催の關係から此の金額が宜からうと政府は認めて居るのであります、提案者に於きましても同樣の考へ方であると思ひます、御話の如く第二點に付きましては、此の巨額に上る賣得金の増加に依つて、從つて控除額……開催者の收入が多くなると云ふ御觀察は御尤でありますが、假に是が全國を通じて十億圓となりましても、大體控除額は二億圓であります、其の中の大部分は國税及び開催費、諸費となります、假に半分の一億圓が殘つたと致しますれば、其の中の金は、或は開催者の施設の補充其の他の積立金等にも廻るのもございませうし、馬事、畜産の進歩、助成に廻るのもございませうし、社會的に廻るのもございます、さう云ふ場合に於きましては、大體此の馬事に仕向けられて居りました國費は、昭和十七年度に於きまして四千三百二十八萬圓、十八年が四千七百九十萬圓、十九年が五千六百八十四萬圓、二十年は七千四十萬圓と云ふ金でありましたが、是は現在に於きましては、此の半額にも達しない程度に減額せられて居ります、尚それ等のものが國の施設、國の事業等に大部分が振向けられて居るのでありまして、是等の經費の中、減りました部分は概ね地方の團體に對する補助、助成金でありまして、斯う云ふやうな金が二十年度に於きまして三千萬圓も四千萬圓も減つたのであります、之を數年前の助成が假に一千萬圓と致しますれば、今日は其の少くとも五倍乃至十倍を與へなければならないと云ふ貨幣價値の關係がございますから、一億圓の金を廻すと致しましても、大したものにはならないのではないかと存ずるのであります、尤も御話の、獨り是は競馬として、「スポーツ」、娯樂になるばかりではなく、一般の馬事の奬勵を致さなければならないので、從つて健全なる「スポーツ」と致しまして、國内ばかりでなしに、世界的にも認められて居る乘馬の如きは益益奬勵すべきものであると、斯樣に考へて居ります、元は軍事關係の馬術を中心としたものも現れたのでありますが、今日は全く軍事關係のない所の眞の健全なる「スポーツ」として之を奬勵すべきものと存じまするが故に、斯う云ふやうな金が中央の團體に集りまして、融通の出來まする限りはさう云ふ方面にも振り向けさせるやうに指導致したいと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=54
-
055・山地土佐太郎
○委員外議員(山地土佐太郎君) 今の七千萬圓、五千萬圓と云ふあれは、政府の支出金でありますか、賣得賣上金でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=55
-
056・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 是は政府の國庫負擔であります、政府の支出であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=56
-
057・山地土佐太郎
○委員外議員(山地土佐太郎君) 此の競馬法の中に、中央馬事會も主務大臣の許可があれば競馬が開催出來るやうな法文になつて居りますが、さうですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=57
-
058・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 左樣です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=58
-
059・山地土佐太郎
○委員外議員(山地土佐太郎君) さう致しますと、是は無論中央に於ける經費の財源にもなると思ひますが、年に何囘位開催する御考でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=59
-
060・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 中央馬事會が主催を致しまする競馬は定期的ではございませぬ、臨時に行はしむるものでありまして、常設の競馬場を持つて居らぬのであります、どう云ふ場合に中央馬事會が開催をするかと申しますれば、例へば地域的に、關東であるとか、東北であるとか、或は關西、或は九州であるとかと云ふやうな地方に於て、馬事畜産に關する共進會とか、或は其の他地域的に全體の共通せる經費を要すると云ふやうな場合に、其の經費の出所を或一つの縣團體が主催すると云ふことは困難な場合がありますので、それ等の地域的の團體を代表して馬事會がそれを開催する、或は日本全國の博覽會をやるとか、或は馬事畜産の何等かの催をやるとか云ふことで、非常な經費を要すると云ふやうな場合には、全國の團體に代つて中央馬事會が主催となつて開催すると、さう云ふ場合の許可でございまして、常設のものでないと云ふことを御承知願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=60
-
061・山地土佐太郎
○委員外議員(山地土佐太郎君) そこで此の競馬が順調に發達して行きますと、北海道に三箇所、各縣に一箇所、それが從來と違つて非常な盛況になる、尤も戸塚とか、或は大阪附近と云ふやうな、殆ど公認競馬に匹敵するやうな大きい所は別と致しましても、金が非常に地方に散在して居り、又非常に通貨が膨脹して居りますから、各地共相當な金額に上ると、之の監督は、從來も相當監督をして居つたのですけれども、今度はさう云ふ點に付ては餘程政府の監督すべき仕事は膨脹するであらうと思ひますが、それに付てはどう云ふ御考でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=61
-
062・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 此の法文には明記してございませぬが、賣得金の剩餘金の費途に付きましては、相當周到なる監督を致したいと存じます、此の法文の第一條の、「第十二條の馬事團體は、命令の定めるところにより、主務大臣の許可を受けて、前項の競馬を行ふことができる」と云ふ規定を應用致しまして、施行細則には、開催に當つて認可する場合に、それぞれの剩餘金の費途に付ての指示を致すと云ふやうな建前で濫費を防ぐと云ふやうなことを考へて居ります、又監督廳と致しましては、主務大臣を初め地方長官は其の監督の任に當りまして、常に一般的に此の團體を監督致して居りまするから、一段と競馬開催に當りましては、誤りなく監督をさせるやうに致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=62
-
063・山地土佐太郎
○委員外議員(山地土佐太郎君) 從來公認競馬では、畜産局に競馬の監督課のやうなものがあつて、相當嚴にやつて居りますが、地方では大抵地方農務課と云ふやうなものがやつて居るやうに見受けますが、今度は非常に今申上げる通り多額な金高に上るし、又政府の方でも十分にそれを監督すると云ふ御意思のことは分りましたけれども、是は従來のやうな行き方でなくして、專任的の人を置いて各地方でやらなければ餘程弊害が生じて來やせぬかと云ふやうな杞憂を抱くのですが、地方廳あたりでもさう云ふやうな專任の官吏、普通の今の畜産技師とか農林技師とか云ふやうな方の兼務でないやうな風に、專任で置くと云ふやうな御意向はどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=63
-
064・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 斯樣な競馬は一面國策的に其の效果もあり、必要を認められて居るのでありまするけれども、其の半面には、從來の成績に徴して兎角弊害が起り勝ちであります、仍て此の弊害をより少く致しまして效果を擧げる爲には、内務司法兩省と協力を致しまして、相當の取締監督を致して參りたいと存じて居ります、併しながら御承知の通り今や總てが民主化と云ふ民主主義の時代に向ひつつあるのでありまして、日本の再建には、此の民主主義と云ふものを徹底せしめねばならぬのでありまするから、封建的のやうな取締方であるとか、強壓的の取締と云ふやうなことに亙らざるやうな程度に於て其の弊害防止除却の爲に善處する積りで居ります、又監督課を置けと云ふやうなお話でありますが、それはどう云ふやうに致しましたならば其の弊害除却防止の目的を達成するかに付きましては、今直ちに具體的の御説明を申上げる機會には達して居りませぬ、御趣旨の點を能く考慮致しまして適當に處理致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=64
-
065・西尾忠方
○委員長(子爵西尾忠方君) 本日は之を以て散會致します、明日は午前十時から開會致すことに致します
午後零時二十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=65
-
066・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 子爵 西尾忠方君
副委員長 男爵 三須精一君
委員 侯爵 四條隆徳君
伯爵 南部利英君
小山松吉君
松村眞一郎君
男爵 徳川誠君
男爵 斯波正夫君
瀧川儀作君
安田伊左衞門君
有馬忠三郎君
名古屋三吉君
渡部信君
政府委員
農林政務次官 大石倫治君
農林事務官 灘波理平君
説明員
農林技官 井上綱雄君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002385X00219460913&spkNum=66
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。