1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○電氣事業法の一部を改正する法律案
○商工經濟會法を廢止する法律案
○工業所有權法戰時特例を廢止する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=0
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001・会議録情報2
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昭和二十一年八月十六日(金曜日)午後一時十二分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=1
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002・八代五郎造
○委員長(男爵八代五郎造君) 只今より委員會を開會致します、昨日に引續きまして「電氣事業法の一部を改正する法律案」、之に對する質疑を續行致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=2
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003・作間耕逸
○作間耕逸君 質疑に御入りになる前に資料の件に付て御願ひ致したいことがあります、此の電氣事業法中の改正法律案の中の命令事項、例へば第十五條の二、それから勅令事項、例へば第三十二條の五、其の他にもあるやうですが、此の勅令又は命令事項の内容となるべき綱領、之を一つ御提出を願ひたいのであります、浩瀚なものでありますれば最も緊要と認められます部分だけでも宜しうございます、併し此の制裁を附した條項が若しありますれば、それだけは省略されないやうにして御提出を交渉して戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=3
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004・飯田精太郎
○男爵飯田精太郎君 逐條の質疑に入ります前に、戰時中殆ど此の電氣事業の内容に付ての御發表がなかつたのでありまして、我々としては殆ど其の内容がどうなつて居るかと云ふことが分らなくなつて居つたのであります、昨日來戴きました參考資料で大分状況が分つたのでありますが、尚二、三御伺ひして置きたいと思ふのであります、第一に御伺ひしたいと思ひますのは、發送電と配電に對する空襲其の他の戰災の状況、特に配電會社に對する被害は相當甚大なものがあつたやうに聞いて居るのであります、是等の復舊の現状、それから今後之を復興される御見込、等の概要を御伺ひ致したい、尚之に關聯しまして、今囘行はれました軍需補償の打切りが色々な形で相當影響がひどいと思ふのであります、我が國の産業再建の基礎になる電力の建直しを出來るだけ早くしますには、此の復舊、復興と云ふことを急速にやらなければならぬと思ふのであります、從つて其の補償打切の打撃に對して何等か特別な措置を執つて、復舊、復興に支障のないやうな方法を御執りになつて居るのだらうと思ふのですが、何か特別な措置を御執りになつて居りますれば之を一つ伺つて置きたい、第一に其の點に付て御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=4
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005・古池信三
○政府委員(古池信三君) 只今の御尋に對しまして御答へ申上げます、先づ第一に今囘の戰災に依つて日發及び各配電會社の設備がどう云ふやうな被害を受けたか、又それの復興の模樣はどうであるか、斯う云ふ御尋でございました、其の内容に付きまして掻摘んで御答へ申上げます、今囘の戰爭の末期に於きまして、各地が爆撃されたのでありまするが、之に依りまして水力、火力發電所、變電設備、送電線、配電線等にそれぞれ被害があつたのでございますが、水力發電所に付きましては、被害の程度が極めて輕微でございました、大體發電所の數と致しまして、發送電會社の發電所が四箇所、九州配電の發電所が一箇所、全國で合計五箇所が襲撃を受けたのでありまするけれども、其の被害は極めて微々たるものでありまして、出力に影響のあるやうなものではありませぬでした、從ひまして現在完全に囘復して居ります、次に火力發電所でありますが、是は相當大なる被害を受けたのであります、設備の箇所數と致しましては、日本發送電が八箇所、關東配電一箇所、中國配電一箇所、九州配電一箇所、之に運輸省の發電所が一箇所ございまして、合計十二箇所に相成ります、此の戰災に依りまして減退致しました出力は、日本發送電の分が六十一萬「キロ」、關東配電が九千五百「キロ」、中國配電が三千「キロ」、九州配電が二千「キロ」、運輸省の發電所が四萬「キロ」でございまして、其の合計が六十六萬四千五百「キロワット」と云ふ數字になつて居るのでございます、御參考の爲に其の發電所の名前を申しますと、日本發送電の發電所と致しましては、鶴見、潮田兩發電所、是は關東地方にございます、東海地力に於きましては、同じく發送電の名港發電所と名古屋發電所であります、それから大阪附近に於きましては、日本發送電の尼ケ崎東、尼ケ崎第一、尼ケ崎第二、春日出第二、是が近畿に於ける日本發送電の發電所であります、其の他關東地方に於きましては、運輸省の川崎發電所が被害を受けて居ります、更に關東配電の日立の發電所でございます、中國地方と致しましては、中國配電の廣島の千田町の發電所が被害を受けたのであります、九州に於きましては、九州配電會社の長崎の發電所でございます、尚稍稍詳しく相成りまするが、火力發電所は最も大きな被害を受けましたので、其の内容を「ラウンド、ナンバー」で御説明申上げたいと思ひます、尚是等の火力發電所は戰爭中、勞務資材其の他の不足の爲に、又一方、殆ど休みなく之を動かしたと云ふやうな意味合から申しまして、十分に補修をすると云ふ餘裕がなかつたのであります、從ひまして設備の所謂認可出力に對しまして、實際の可能出力は相當に落ちて居つたのでございます、そこで各發電所に付きまして、其の認可出力と、戰災を受ける前に既に落ちて居りました可能出力、更に戰災を受けて減退致しました出力、斯う云ふ風に分けて御説明申上げます、此の鶴見の發電所でございますが、是は認可出力は十七萬八千五百「キロワット」ございます、併しながら戰災直前には八萬「キロ」に下つて居つたのであります、是は殆ど完全にやられまして、八萬「キロ」全く減退したやうな次第であります、次に潮田の發電所でございますが、是は鶴見發電所と殆ど竝んで居る發電所でございます、是は認可出力六萬四千「キロワット」でございまが、戰災直前に四萬五千「キロ」に下つて居りました、是も殆ど完全に壞されまして、四萬五千「キロ」と云ふものは全く出力を減退を致したのでございます、次に運輸省の川崎の發電所でありますが、是も認可出力は五萬五千「キロワット」でありますが、矢張り戰災の直前に四萬「キロ」に下つて居ります、是も完全に被害を受けまして四萬「キロ」減退した譯であります、次に關東配電の日立發電所でありますが、是は一萬「キロ」の發電所であります、是が戰災に依りまして、全部やられまして、九千五百「キロ」の出力減退を見て居ります、次に名古屋方面の名港火力發電所、是は十三萬八千「キロ」の認可出力でありましたが、十一萬「キロ」位に能力が落ちて居りました、一部被害を受けまして六萬「キロ」の出力減退を來して居ります、名古屋の發電所は十二萬九千「キロワット」の認可出力でありましたが、戰災直前に六萬五千「キロワット」に下つて居りました、是が一部被害を受けて三萬五千「キロ」の出力減退と云ふ譯であります、更に大きい發電所は、近畿の尼ケ崎發電所でございますが、尼ケ崎東が十四萬七千「キロワット」の認可出力に對しまして、戰災の直前には八萬「キロ」に落ちて居りました、戰災に依つて四萬「キロ」出力減退を見て居るのであります、尼ケ崎第一發電所は、認可出力三十一萬八千「キロワット」、是が戰災直前に十四萬「キロワット」に下つて居りました、是が完全にやられまして十四萬「キロ」出力を減退した譯であります、同じく尼ケ崎第二は三十萬「キロワット」の認可出力でありましたが、十七萬「キロワット」に下つて居りまして、是もすつかり被害を受けて十七萬「キロワット」出力を減退した譯であります、次に春日出第二は、認可出力六萬五千「キロワット」の發電所が四萬「キロワット」に下つて居りまして、戰災に依り是も全くやられまして四萬「キロワット」出力を減退した譯であります、中國配電の千田町は三千「キロ」、同じく九州配電の長崎は三千「キロワット」でありますが、何れも全く出力を減退致した次第でございます、其の合計と致しましては、認可出力に於て百四十一萬「キロ」になりますが、其の中戰災直前に可能であつた出力は七十八萬五千「キロ」、是が戰災を受けまして六十六萬五千「キロ」、餘出力が減退致しました、即ち十二萬「キロ」餘が一部の被害で助かつたと云ふ、斯う云ふやうな譯合でごさいます、次に變電設備に付て申上げますが、是は全體の數字で三百六箇所、「キロ・ボルト・アンペア」に直しまして百十六萬「キロ・ボルト・アンペア」と云ふことに相成ります、次に送電設備でありますが、是は斷線を致しました件數が大體六千六百件ばかりあつたのでございます、支持物の損傷を受けたのは九百六十四基と云ふことになつて居ります、次は配電設備でありますが、是は大都市が殆ど損害を受けました結果、非常な被害を蒙つたのでございます、帳簿價格に致しまして、大體二億圓近い被害になつて居ります、固より帳簿價格は相當古くからの、帳簿價格でございまして、現在の再生産業價格に直しますと、迚も其の位のものではないと考へますが、帳面の上から言ひまして二億圓位の損害と云ふことになつて居ります、次は此の戰災を受けました設備の復舊の状況でございます、火力發電設備の復舊計畫と致しまして、昨年度即ち本年の三月迄に直ちに復舊に著手して完成致しましたものが九萬五千「キロ」に上つて居ります、是は名古屋に於きまする兩發電所と大阪の春日出第二發電所であります、本二十一年度の復舊計畫は日本發送電の鶴見發電所四萬「キロ」、川崎一萬五千「キロ」、日立九千五百「キロ」尼ケ崎東二萬「キロ」、尼ケ崎第一が十二萬「キロ」、合計二十萬四千五百「キロ」の復舊計畫を立てて、著々作業に努力を致して居るのでございます、今迄の模樣竝に今後の見透しと致しましては、是だけの復舊は本年中には必ず達成し得るものと云ふ確信を持つて居ります、更に明年より三箇年掛りまして、昭和二十四年度迄には完全に是等の設備は復舊致す豫定でございます、變電設備に付きましても、大體此の火力發電所の復舊に對應致しまして進めて居るやうな次第でございます、次に送電設備に付きましては、戰災を受けました直後直ちに關係者總動員致しまして修理致しました結果、比較的速かに囘復致しまして、現在は全く復舊を見て居るやうな次第でございます、配電設備の方は御承知のやうに努力は致して居りまするが、一面に於て資材が思ふやうに入手出來ないと云ふ面もございますし、又復興建築の方が是同樣に遲々として居りまする關係上、配電に關しましては計畫も立てにくいやうな情勢でございまするけれども、大體に於て今迄建ち上つて居りまする「バラック」の電燈の供給に付きましては遺憾なく供給致して居るやうに承知致して居ります、以上が第一の御尋に對する御答であります、次は電氣事業會社が今囘の軍需補償の打切に依つてどう云ふ影響を受けるのであるか、又之に對してどう云ふ特別の措置を執るかと云ふ御尋ねでございます、之に對しまして簡單に御答を申上げます、今囘の戰爭に依りまして喪失致しました資産は、發電、變電、配電迄加へまして、總額で全國合計致しまして約三億四千萬圓に相成つて居ります、勿論是は減價償却を致しました現在の帳簿價額に依つたものでございます、尚戰爭保險と致しましては、四億八千萬圓餘の保險を契約致して居つたのでございます、次に狹義の軍需補償と致しまして政府に請求權を持つて居りまするものは比較的少いのでございまして、防空法に依りまして地下建設命令を受けて工事を致しました損失の分が約百三十萬圓ばかりあります、それから海外の投資關係でございますが、是は北支那開發會社、中支那振興會社、朝鮮電業會社關係、朝鮮の三渉會社關係、沖繩縣の問題であります、それから南方關係の立替費、是等を合計致しまして約五千萬圓ばかりに上る見込でごさいます、從ひまして今囘の一般軍需補償の打切の影響を受けまする金額は、今申上げました滅失資産の三億四千萬圓、それから狹義の軍需補償の百三十萬圓、之に海外投資關係として五千萬圓と云ふことに相成るのでございますが、是等の特別の措置と致しましては、今關係各社が集まりまして、色々實際の數字に付て經理方面の研究を致して居るのでございます、大體の見透しと致しましては、現在昭和二十年度の上期、下期の決算が延期中でございますが、此の二十年度の決算及び二十一年度の上期の決算に於きまして無配の措置を講じまするならば、大體是だけの損失は「カバー」出來るのではないかと考へて居ります、併しながら正確なる數字は今檢討中でございまして、茲に御答へする迄には準備が出來て居ないのでございます、以上簡單でございましたが御答へ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=5
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006・飯田精太郎
○男爵飯田精太郎君 次に御伺ひしたいと思ひますのは、先達ての御説明に依りますと、九月の末日で配電統制令は消滅する、それで今囘此の改正案を出したと云ふ御話でありましたが、配電統制令が消滅しますると、自然一應此の配電統制と云ふことが解除されたやうな形になると思ふのであります、勿論此の今囘の電氣事業法の一部改正に依りまして、統制令に代つて統制の出來るやうな風にはなつて居るのでありまするが、是は今後の運營の如何に依つてどうにでもなると云ふ、自然其の結果でありませう、東京都とか新潟縣邊りで既に公營の計畫をして居られると云ふやうなことが新聞に見えて居る、此の統制が解除された形になりますると、自然民主的と言ひますか、自由に營業が出來ると云ふやうな考から、色々又同じ場所に二つ以上の事業者の出願が出ると云ふやうなことが起つて來るのぢやないか、其の結果、統制以前にありましたやうな自由競爭で、隨分無駄な設備をする、無駄な競爭をすると云ふやうなことが繰返されるやうなことになりはしないかと云ふことを恐れるのです、政府とせられましては、是だけの事業法を改正せられまして或程度の統制は續けて行かれるのだらうと思ふのですが、どう云ふやうな御方針で今後やつて行かれるのでありますか、其の點を一つ御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=6
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007・古池信三
○政府委員(古池信三君) 只今の飯田男爵の御尋ねは、誠に重要なる御尋でございまして、私共の考へて居りまする所を率直に申上げて御考へ致したいと存じます、只今御指摘になりました如く、電氣は他の物資と餘程違つた點がございますので、統制の根本方針でありますとか、又其の統制の方法と云ふことに於て、自から他の諸々の物資と違つた行き方が要請せられるのではないかと考へて居ります、以前は今御話の如くに、比較的自由と申しまするか、統制された行政の面の其の枠の中に於きましても、相當自由な競爭が行はれたのでございまして、之に依つて時には非常に極端な弊害も出て參つたのであります、例へば設備を二重に作る、區域を色々な理由から二重、三重にも許可を取りまして、各社が爭つて電氣を送る爲に、場合に依ると、競爭の爲に適正なる「コスト」を切つて迄も料金の値下げの競爭をして見ると云ふやうなこともあつたのでございます、斯樣に致しまして、所要資材竝に電力の「ロス」と云ふものは少からぬものがあつたと考へて居ります、事業者の數に致しましても數百と云ふ事業者がありました、中には數億の資本を有する大會社もありますれば、中には一町一村と云ふやうな小さい單位を企業の單位と致しまする事業もございます、中には極端な場合には個人が經營をすると云ふやうなものもあつたのでありまして、此の大小數百の事業が謂はば全國に濫立し、所に依つては入亂れて競爭をした、斯う云ふやうな實態にあつたのでございます、そこで當局と致しましては斯樣な無駄はどうしても省かなければいけない、最も合理的、經濟的に運營をすることが適當であると考へまして、之が整理統合を圖つて居つたのでございます、最初は各事業者に慫慂致しまして、自發的に、任意的に整理統合を致すやうに勸奬をして參つたのでございますが、之に依つて多少の效果は擧げたのでありまするけれども、尚全國的に見渡す時は、到底豫期するやうな效果を擧げ得なかつたのでございます、其の中に戰爭は、其の當時は日華事變中でございましたが、段段進んで參りまして、愈愈斯樣な資材、電力の無駄を放置することが出來なくなりまして、遂に當時の國家總動員法に基く配電統制令に依つて、全國を九地區に分けまして、是等大小の事業をそれぞれ整理統合して配電株式會社を設立することに相成つたのでございます、此の配電株式會社の設立に依りまして、今迄重複して施設されて居りました設備が速かに、整理致されまして、少からぬ資材の捻出を見たのでございます、又其の他費用の點に於きましても相當の節約を實現致しましたし、電力の「ロス」と云ふものに付きましても、極めて之を減少致しまして、事業の無駄排除、合理化と云ふことを具現致したのでございます、又一面に於ては年々激増して參りまする電氣の需要に對しまして、電源の開發は相當な期間を要しまする關係もあり、又資材、勞務等の關係もありまして、十分之に追ひ付くことが出來なかつた爲に、特に渇水期に於ては年々消費規正を行つて參つたのでありますが、斯樣な消費規正を爲します場合に於ても、極めて合理的に順位を立てて消費規正が行はれると云ふことも可能に相成つたのでございます、斯くして今囘國家總動員法の廢止に依りまして、配電統制令も九月末日を以て効力を失ふと云ふことに相成つたのでありまするが、只今御説明申上げましたやうな電氣事業の合理化、無駄を排除して最も效率的に事業を運營して行くと云ふ事柄は、戰時中必要であつたと同時に、又今後の平和日本建設の上に於て、決して戰時中に劣らぬ重要性を有して居ると私共は考へて居るのでございます、從ひまして配電統制令に規定されて居りました條項の一部を電氣事業法に織込みまして、之に依つて現在ありまする配電株式會社を尚存續せしめると共に、現在迄政府の執つて參りました所の電氣事業を統制して濫に自由な營業をすると云ふことのないやうにして行きたいと云ふ方針は、堅持して變りない積りで居る次第でございます、大體以上御答へ申上げました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=7
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008・飯田精太郎
○男爵飯田精太郎君 次に伺つて置きたいことは、是は前内閣の時でありますが、戰災を機會に周波數の統一をやつたらどうかと云ふやうな考から、委員會を作られて、委員會としての答申が出て、それを閣議で實行するやうな決定があつたやうに新聞で拜見して居つたのですが、其の後何等の進展もありませず、從つて今後或はどうなるかと云ふ見透しが立たない爲に、電力の復舊其の他に對して非常な支障を起して居るやうに思ふのであります、産業再建をする最も大切な此の電力の復舊がさう云ふことの爲に非常に阻害されて居ると云ふことは、今日非常に困つたことのやうに思ふのであります、尚それがはつきり決りませぬと、つい色色無駄が出て來るやうにも察せられます、やられるならば此の際急速に御やりにならないと時機を失すると思ふ、御止めになるなら此の際きつぱりと早く止めてしまふ、兎に角方針をはつきりして、復舊其の他の建直しを促進させるやうに願ひたいと思ふのでありますが、どう云ふことになつて居るのか、一應御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=8
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009・古池信三
○政府委員(古池信三君) 御答へ申上げます、周波數統一の問題がどうして出て來たか、又政府は之に對して、今迄どう云ふ態度を以て、どう云ふやうな調査をしたか、更に今後はどう云ふ風に此の問題を扱つて行く方針であるかと云ふ御尋ねでございまして、此の機會に簡單に其の經緯を御説明申上げたいと存じます、周波數の統一の問題は御承知のやうに相當古くからありましたのでございますが、今迄色々其の時の事情が許しませぬので、遂に全國的な統一と云ふことは實現を見ないで、只今に至つて居つたのでございます、然るに昨年突然斯樣な終戰に相成りまして、急激に電氣の需要は減退致しました、又一面機械の製造工場に於きましても、其の作業が一時に停止したと云ふやうな情勢に相成つたのでありまして、此の際電氣事業界としては、多年の懸案でありまする周波數の全國的な統一を致したらどうかと云ふ聲が、期せずして官民電氣關係の方々から出て參つたのであります、そこで政府と致しましては、是非是はやるべきであると云ふ意圖の下に、それには先づ準備調査委員會を設けるが適當であると考へまして、昨年十二月の二十八日に、閣議に於て、周波數統一準備調査委員會を設けると云ふことに決議を見たのでございます、さう致しまして、民間電氣關係者に委員を御願ひ致しまして、之に對し政府は、周波數を統一する場合、其の標準の周波數は何であるかと云ふこと、更に此の統一實施に對する方策はどうしたら宜いかと云ふ二つの問題を諮問致したのでございます、委員會に於きましては非常に熱心に審議をして戴きまして、本年春、前内閣の時に答申書を提出致されたのでございます、相當厖大な答申書でございまして、其の後之を印刷に附して居つたのでありまするが、最近印刷も出來上りましたので、此の委員會に參考資料で出しまして、御覽に入れたいと考へて居る次第でございます、從つて内容の詳細に付きましては、其の印刷物に依つて、御覽を戴ければ大變幸せに存ずるのでございますが、其の中のあらましを茲で御紹介申上げます、先づ第一は周波數統一の必要性竝に緊要性と云ふ問題が取擧げられてあります、其の中には次のやうに記載されて居ります、周波數の統一に依つて電力の全國的融通が自由となり、供給力の安定性増大せられ、産業再建の基礎たる動力、即ち水力、石炭等の資源の有效なる利用を期し得るのみならず、電力機器製造能率の向上、之が製作資材の節約を可能ならしめると共に、機器の能力及互換性を増進する等、産業の復興の促進に資する所甚大なるものがある、而して之が著手の時期に關しては、電力供給力及電力機器の製造能力に相當餘裕のあるのを前提とするが、終戰後に於ける事態は本問題解決の好機を成すものであつて、今日を逸しては今後殆ど之が實現の見込のなくなることは過去の經緯に徴しても明かであると云ふやうに、其の緊要性を此處に謳つてございます、次に標準周波數は幾つにすべきであるかと云ふ問題に對しましては、電力周波數は六十「サイクル」を標準とすることを適當と認める、元來五十「サイクル」と六十「サイクル」との兩者間には、理論的には實質上殆ど優劣はないが、標準周波數として六十「サイクル」を適當と認めるのは、主として次のやうな理由に依るのである、さうして其の理由として三つばかり大きい事が述べてあります、其の一つとしましては、電力界の現状から見て、且變電設備容量も、電力の需要量も大體六十「サイクル」の方が一倍半になつて居る、殊に六十「サイクル」には周波數變更工事の困難な火力發電設備が多い、第二は周波數變更の難易を技術的に見ると、設備に依つて種々事情が異なるが、五十「サイクル」の變壓器は大概其の儘六十「サイクル」に轉用出來るに反して、其の逆の場合は困難である、第三と致しましては、經濟的見地からは、周波數變更に伴ふ所要資金及資材は、推算に色々の過程を含みますけれども、大體に於て六十「サイクル」に統一する場合の方が遙かに有利であつて、約二分の一乃至三分の一程度で濟むであらう、斯う云ふ見込が掲げられてあるのであります、次に統一實施に對しまする具體策と致しましては、六十「サイクル」への變更統一を成るべく短期間に一擧に實施することが望ましく、理想的ではあるが、此の爲には多額の資金と多量の資材とを一時に要するので、我が國現下の社會經濟情勢に徴して、且緊急度を勘案して、差當つて最も效果的な次のやうな第一次計畫に依ることとするのが宜しい、其の計畫と申しますのは、先づ實施期間及實施地域に付きましては、第一次計畫としては、本年度を準備年度としまして、明年より五箇年計畫に依つてやるが宜しい、其の地域は九州、關東及關東と直接關聯のある東北の一部竝に長野縣の小地域、先づ是だけに限定してやるべきである、次に所要の工事費としては、總計十二億六千八百萬圓が計上されて居るのであります、所要資材と致しましては、鋼材が二萬四千四百「トン」、銑鐵が八千八百「トン」、電氣銅が三千六百餘「トン」、木材が十三萬石、凡そ是位の資材は必要であるに、今申しました此の工事費の十二億六千八百萬圓は、之を内譯致しますと、日發及び配電會社等の電氣事業者が施設して居りまするものの變更に要する費用として四億三千九百萬圓、それから需用家の設備の改修に要する費用が八億二千九百萬圓、斯う云ふやうになつて居るのでございます、尚之に要しまする勞務者としましては延で百三十六萬六千人と云ふやうな數字が出て居ります、そこで此の委員會の答申書に依りますと、右費用の負擔は、電氣事業者の設備に關係するもの即ち四億三千九百萬圓に付ては、一應日本發送電の負擔と致しまして、其の調達の爲には全國の配電會社及び發送電の共同の社債を發行して調達したら宜からうと云ふことが出て居るのであります、一應日本發送電の負擔とすると云ふことは、一時的の措置として左樣に致しまして、あとは電氣料金に之を振掛けて償却しよう、斯う云ふやうな考であります、次に此の需用家側の設備の改修に要しまする費用は、第一は國家が之を負擔すると云ふことが望ましいと云ふ意見であります、併し財政の現状に照しまして、若し國家が之を支出すると云ふことが困難であるならば、全額を電氣事業者の負擔に一應致しまして、之を電氣料金の値上に依つて「カバー」して行くと云ふ方法も已むを得ないと認めると云ふやうに書いてございます、そこで此の周波數統一と云ふ事業は、或程度國民に對して義務を負擔させるものでありまするから、其の國家的な施策であることを明確にして、其の事施を確實ならしめる爲に、特別な法律を制定する必要があるであらう、大體以上御紹介申上げましたやうな趣意が此の答申書に盛られて居るのでございます、そこで政府と致しましては、只今擧げられましたやうな相當多量の資材が必要でありまするし、又資金にしましても十數億と云ふやうな資金が要ることでもあります、其の資金を國家が少くとも需用家の分に付て負擔することが出來るかどうか、又政府が負擔しないと云ふ場合には電氣料金の値上を十數億やる、是は一般の事業運營上の原價とは別に、更にそれだけのものが電氣料金の値上と云ふことに掛つて行くと云ふやうな重大な問題になつて來ますと、餘程愼重に檢討しなくてはならぬと云ふやうな考で、目下色々考慮中であるのでございます、併しながら一方技術的にはいつからでも著手出來るやうに關係者の方で其の調査を具體的に進めて居るやうな次第でございます、今囘茲に議題になつて居りまする電氣事業法の改正の中に、中央電氣委員會を設置する條項がございますが、此の法律が通過致して、中央電氣委員會が設置されましたならば、先づ此の問題は其の委員會に第一に諮りまして、しつかりした國の方針もそれに依つて決めて行きたいと考へて居るやうな次第でごさいます、尚「サイクル」のことはもう御承知と存じますけれども、大體中央部、即ち長野縣、靜岡縣あたりを境に致しまして、それより西の方は殆ど六十「サイクル」になつて居ります、但し九州のみは五十「サイクル」と六十「サイクル」と略略相半して居るのでありまして、九州の中の東部が五十「サイクル」、西部が六十「サイクル」となつて居ります、それから關東、東北、北海道は大體に於て五十「サイクル」に統一されて居るのでありまして、一部六十「サイクル」の所もございますが、是は極めて僅かなのでございます、茲に實施すべき地域として擧げられて居りまする九州、是は最も早く周波數の統一を致さねばならぬと考へて居る、のでございます、甚だ簡單でございましたが以上御説明と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=9
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010・飯田精太郎
○男爵飯田精太郎君 今の御説明で周波數統一の内容は能く分りました、唯之を實施なさる御積りならば出來るだけ早くおやりになることが必要だと思ひます、是が決まらぬ爲に隨分迷惑して居る所もあるやうでありますし、又遲れれば遲れる程時機を失してしまつて、非常な又無駄をやらなければならぬと云ふやうなことも起つて來るかとも思ひますが、おやりになる積りならば出來るだけ一つ早くおやりになるやうに御願ひして置きます、それから最後にもう一つ伺つて置きたいのは、最近失業者が澤山出さうだと云ふので、失業救濟事業の非常に大きな計畫を政府がなさつておいでのやうであります、處が先年、前の内閣の時に、幣原總理大臣の車中談として新聞にちよつと出たのでありますが、多分電力局方面から出たのぢやないかと想像したのですけれども、例の發電用の貯水池を造ると云ふ計畫であります、是は火力の發電所を復舊する代りに大きな貯水池を適當な場所があれば造つて、さうして其の代用をさせて、結局石炭の節約にも役に立つと同時に、灌漑、治水の效果も擧げられるのであります、適當な地勢の所があれば、此の際失業救濟事業としてやられるには最も適當のやうに考へられるのであります、先年電力の管理法が問題になつた時に、遞信省方面からも大分此の貯水池を彼方此方に造る計畫を伺つたのであります、其の後餘り實行はされて居らぬやうであります、地點が適當でないのか、どう云ふ關係か知りませぬが、やるならば此の際失業救濟と云ふことでおやりになると宜いのぢやないかと云ふ風に考へるのでありますが、今囘の失業救濟事業の中に何かさう云ふやうな計畫をしておいでになりますか、御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=10
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011・古池信三
○政府委員(古池信三君) 御答へ申上げます、只今御話のございました前内閣の時に、昨年の秋頃であつたと存じますが、其の時の幣原總理大臣が失業救濟として發電「ダム」を建設せねばならぬと云ふ談話の發表がございました、是は率直に御話申上げまして、別に電力局方面から資料を差上げた譯ではなく、幣原男爵が御自身の御意見から御發表になつたものと私は承知して居ります、併しながらあの時に私共も、全く今後の我が國の電力事情其の他を考へて見まして、どうしても急速に貯水池を作つて、天然の資源でありまする水力を十二分に利用しなくてはならないと云ふことは、申す迄もなく考へて居つたのでございます、今囘の失業對策の豫算の問題に付きましても、是非此の中に幾らかでも織込んで貰ひたいと考へまして、目下大藏省方面と折衝を續けて居るやうな次第でございます、唯非常に遺憾なことは資材が足りないと云ふ點でございまして、今「ダム」建設の最も基本的な資材でごさいまする「セメント」に付て見ましても、數年前には年間に數十萬「トン」のセメントを使用出來たのでございますが、今年配當を受けて居りまする「セメント」は、恐らく今迄の實績から考へて見ますと、三、四萬「トン」に過ぎないのではないかと考へるのであります、而も三、四萬「トン」の「セメント」を以て、先程御説明申上げた發電、變電所等の復舊から、或は水力發電所の維持修繕用と云ふやうなものも皆出さなければならないのでございまして、大規模な堰堤を作るには餘りに資材が貧弱なのでございまして、此の點誠に遺憾に存じて居る次第でございます、併しながら「セメント」を要しない準備的な工事と申しますか、例へば堰堤地點の工事を進める前に堰堤地點に行きまする道路を作るとか、或は工事用の軌道等を設備するとか、又は砂利、砂等を蒐集するとか、さう云ふやうな殆ど資材の要らない勞力を要する仕事もあるのでありますから、さう云ふ方面に失業者を此の際使つて行くと云ふやうなことは、是非考へねばならぬと存じまして、目下其の意味に於て折衝を續けて居る次第でございます、尚ほ御質問の中にございました發送電會社が出來ましてから餘り大きな「ダム」は出來て居ないぢやないかと云ふ點でございますが、其の後戰爭に入りまして刻々に増加して參りまする需用を直ちに充たさねばならぬと云ふ關係から、餘りに將來長く掛るやうな大きなダムに著手する餘裕がなかつたのでございまして、溪流の手入或は從來の「ダム」の嵩上げ等、謂はば應急的の電力増強の設備の施設を執つて居りまして、遺憾ながら非常に大きな貯水池と云ふものは極めて僅かしか出來なかつたのであります、唯其の僅かなものと致しましては、木曾川の上流、御嶽の奧に三浦の貯水池を作りました、それから北海道に是は少し著手されつつあつたのでありますが、日本發送電が引受けまして雨龍の貯水地を作つたのであります、是等が戰爭中出來ました貯水池の最も大きな代表的なものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=11
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012・飯田精太郎
○男爵飯田精太郎君 只今の御説明で大體分りました、失業救濟事業に資材が足りない、殊に「セメント」が手に入りにくいと云ふ御話でございますが、只今失業救濟として大きく採上げられて居りまする道路の築造其の他にも「セメント」が相當要ると思ひます、結局は「セメントが」手に入るか入らぬかと云ふことは、熱と力の問題だと思ひます、折角御努力を願ひたいと思ひます、私の質問は是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=12
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013・赤木正雄
○赤木正雄君 戴きました電源開發の資料に付て見ますと、矢張り貯水池の堰堤が大分あるやうであります、又今後電源としまして矢張り貯水池にお入れになりますものが多いと思ひます、併し此の貯水池も當初計畫された當時の貯水能力が減じて來はしないとか云ふやうな心配がします、其の甚しいのは岐阜縣の落合堰堤、又長野縣で餘り古くありませぬが安岡の堰堤、是は上流で洪水があつた爲に災害の原因になつて居ります、其の外京都府の宇治川の堰堤は大戸川からの多量の土砂が流れて居る、大井川堰堤も是は中津溪谷の奧の方からどんどん土砂が流れて來る、斯う云ふ譯で折角計畫された堰堤の貯水「キヤパシテイー」が減じて來はしないか、之に對して御調査なさつたことがありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=13
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014・古池信三
○政府委員(古池信三君) 御答へ申上げます、只今御指摘になりました點は誠に御尤なことでございまして、澤山の貯水池の中には矢張り其の川の性質、或は上流の岩盤の性質等に依りまして、相當多くの土砂が流下致しまして、之が溜つて貯水容量が年々減つて行くと云ふことは、疑ふべからざる事實なのでございます、是も非常に其の程度の多いものと、又比較的緩漫なものとある譯でございまして、日本全國を全體的に見ますならば、それ程心配したものではないと考へて居る次第でございます、併しながら只今御引例になりましたやうな地點に付ては、相當特色のある川と申しますか、其の爲に豫期以上に土砂が沈澱して居ると云ふやうなものもあるやうに承知して居ります、尚安岡の發電所の問題も私の方でも色々取調べて居るんでございますが、是は甚だ技術的にも調査が困難でありまして、果してあの發電所の「ダム」を造つたが爲に上流の溢水と云ふ現象が起つて來たのかどうか、或は又天龍峽と云ふやうな非常に狹隘なる狹谷があります爲にも原因して居るのではないだらうかと云ふやうな意味合から、專門の者が目下研究調査を致して居るやうな次第でございます、大體政府の水力調査の結果に依りましても、それぞれ其の川に依つての土砂の性質等から見まして、どの位の期間にどの位沈澱して行くのであらうかと云ふ凡その見當は、技術關係の方で付いて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=14
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015・赤木正雄
○赤木正雄君 大分戰時中に森林を伐採されましたが、今後益益奧地の森林迄伐採される形跡がありまするが、其の結果今後計畫される堰堤、又既に計畫された堰堤に對しても相當影響のあることと思ひますが、是等に對して或は山林局とかさう云ふ方面とは、今後の森林伐採關係は十分御打合せなさつて居るのでせうか、どうでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=15
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016・古池信三
○政府委員(古池信三君) 御答へ申上げます、只今御指摘の問題は全く大切な問題でありまして、私共も常々森林に關しては心掛けて居るのでございますが、何分戰爭中には伐採することに急でありまして、其の後の植林と云ふものも、多少は致して居りますけれども、まだ伐採致したものに代るだけの數量の植林は遺憾ながら實現を見て居ない次第であります、之に付ては農林省とも能く話合ひまして、今後も殊に水源地の涵養と云ふ意味からも、植林は是非進めて行きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=16
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017・赤木正雄
○赤木正雄君 大體此處にありました表の如きは、非常に高堰堤であると云ふやうですが、斯う云ふ風な高堰堤でなくても、例へて申しますと、砂防を設ける工事の爲で、其の出力は固より少ない、併し之を、全國的に綜合すると私の承つた所では、内務省系統の砂防工事の關係では百二十萬「キロワット」であると云ふことであつたのであります、さう云ふ電力を農村に御利用になれば影響する所が大きいと思ひますが、それに對して何か御考になつて居りませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=17
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018・古池信三
○政府委員(古池信三君) 只今御話のございました所謂小水源地點の小堰堤に依る出力の増加と云ふことは、決して侮ることの出來ないものがあると存じます、併しながらまだ私共で調べました所で、全國百二十萬「キロ」と云ふやうな數字は正確には出て居りませぬ、併しながら是は地點も極めて無數にあることでありまするし、之を徹底して行ひますならば、相當な出力の増加が出るのではないかと考へて居ります、殊に其の中には餘り「セメント」を要しない、謂はば土堰堤式にやることが可能な地點もあらうかと思ひますので、斯う云ふ所に小さい溪流を取入れまして、下流の發電所の出力増加と云ふことを圖りますならば、是は決して輕視し得ないものがあると思つて居ります、私共も戰爭中にも既にさう云ふことは發送電會社及び配電會社に指示致しまして、出來るだけさう云ふ方法も執らして居るのでありまして、今後に於きましても十分其の點配慮致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=18
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019・赤木正雄
○赤木正雄君 誠に結構な御考へですが、それも私は可成り砂防堰堤を利用することに於て、尚更經濟的の利用が出來ると思ひます、殊に其の點内務省と御協力下さるやうに希望致します、それからもう一つ、確か水力發電に對しては各府縣では河水使用とか水力使用とかさう云ふ名目で、一定の料金を取つて居る譯であります、あの料金はどう云ふ風に使用されて居るか、詳しいことは存じませぬが、私の考としましては、水力發電の出來る爲の料金で、其の金を上流の砂防工事に使ふことにして、貯水池の勢力を長く持たせるとか言ふ風に、内務省其の他と御協力なさつた方が適當と思ひますが、如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=19
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020・古池信三
○政府委員(古池信三君) 御答へ申上げます、御指摘の通り、電氣事業會社が府縣に對しまして、水利使用料として年々相當の額を納めて居ります、是はそれぞれの府縣に於て、御話のやうな砂防事業に主として用ひられて居るやうに伺つて居ります、今後も恐らくさう云ふ方針で行かれるのではないかと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=20
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021・赤木正雄
○赤木正雄君 今砂防事業に主として使つて居ると云ふ風に御答辯がありましたが、或は表面はさう云ふ名目になつて居るか知りませぬが、實際使用されて居るのはそれ以外の用途に大分使はれて居ると云ふ風に考へられるやうでありますから、其の點を十分御調査願ひたいと思ひます、私の質問は是で……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=21
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022・古池信三
○政府委員(古池信三君) 只今御指摘の點は十分に調査致しまして、殊に内務省と能く連絡を取りまして、只今の御所見に出來るだけ副ふやうに努力致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=22
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023・六角英通
○子爵六角英通君 二三基本的の事項に付て質問したいと思ひます、ちよつと他の委員會の關係で中座致しましたので、或は飯田男爵の御聽きになつたことと重複するのではないかと思ひますが、私の積りは現内閣と申しますか、現政府の御意見を承りたい丁度まだ大臣が御見えにならないやうでございますが、そんな積りで御伺ひ致しますのが主でございますから、重複する點がございますかも知れませぬが、御許し願ひたいと思ひます、一つは現下の電氣事業の企業形態は、周知のやうに、昭和十三年に制定せられました日本發送電會社法に依りまして、翌十四年に設立されました日本發送電會社及び先程も御話がありました昭和十六年の總動員法に依る發電統制令に依りまして、翌十七年に設立されました配電會社から成つて居ります、一應さう云ふ面から見ますと、是は所謂「フアツショ」的乃至軍國主義的「イデオロギー」の最も旺盛だつた時代の所産でありまして、民主々義的又は自由主義的形態とは根本的に異ると思はれるのでございますが、現下竝に將來の本法の電氣事業としては、どんな企業形態を成すべきが適當であるか、又理想とすべきか、政府の御所信、御抱負を承りたいと存じます、尤も此の事に付きましては、各所で色々な議論がされて居りまして、十人十色と申しますか、國營論から自由企業論迄、色々な種類のものがあるやうに思ひますが、現在の電氣事業の復興と云ふやうなものの意氣込とか、將來の計畫と云ふやうなものに付ても、非常に大きな關係があると思ひますので、大體の大方針だけで結構でございますが、御抱負の程を承りたいと思ひます、それから次に二番目と致しまして、將來の電氣料金制に付きましての政府の御構想を承りたいと思ひます、で、詰り參考迄に申しますと現下の九州地區のやうに火力發電に依存する所が少くない、從ひまして相當な「コスト」高になる「ハイ・コスト」地區と、中部とか關東のやうに、殆ど現在の所は水力で賄ひ得る、從ひまして大分「ロー・コスト」の地區斯う云ふ地區に於きましても、略略全く同一の料金制を採ることを適當と考へられて居りますか、或は家庭用電燈電力のやうなものの或る限度内程度は、全國均一化を圖りまして、動力とか電氣化學用の電力は、それぞれの地區の生産「コスト」に應ずる料金を適當と見られて居りますか、或は又國土計畫的の他の諸條件と照合致しまして、必ずしも電力の原價には拘泥しない料金制を是なりと考へて居られますか、其の他色々の御考があると思ひますが、先程伺ひました企業形態のこととも不可分のことでございますし、又電力調整の基本ともなることと思はれますので、之に對する政府の御所信を承りたいと思ひます、それから最後に三番目と致しまして、總ての産業又は事業の健全な運營及發展には、何と申しますか、其の全體の經費は勿論のこと、其の經費のそれぞれの素量と申しますかになりまする例へば償却費とか、配當費とか、或は原料費、消粍品費、又は人件費、事業の種類に依つて多少違つて來ると思ひますが、さう云ふやうなそれぞれの素量に適當な割合、詰り全般經費に對する割合、及び其の許し得る變動範圍と云ふものがあると思ひます、それで國家の再建に際しましては、斯う云ふ計數と申しますか、指數と申しますか、斯う云ふものを各産業毎に、又、事業毎に、十分檢討して參りまして、是等を綜合し、比較することが何より各産業の新建設と云ふやうなことには大切なことであり、見透しが付いて來ることだと思ひます、斯う云ふ風にそれぞれ健全且つ具體的な發展を爲さしむる爲には、斯う云ふ指數が必要だと思ひますが、電力事業に關して申しますと、例へば發電所等電力發生又は配給設備の新設に際しての「キロワット」當りの是等の素量の計數、及び電力供給事業と致しましては、「キロワット・アワー」當りの是等の計數と云ふものに對しまして、政府が適當として指導され、又は奬勵して居られる値、及び許容變動範圍と申しますか、枠の範圍と申しますか、さう云ふものを承りたいと思ひます、是は資料として序に御願ひするのでありますが、或は戰災等に依りまして現在御手持がないかとも思ひますが、あつたら頂戴致したいと思ひますのは、昭和五年末、同十二年末同十九年末、同二十年末及び最近の是等の數字竝に米英「ソ」等の實績でありまして、政府が參考として御調べになつたものがございましたら、さう云ふ主要國の値を資料として御提出願ひたいと思ひます、又電氣業と特に關聯の深い商工省所管の石炭とか鐵等の主要産業に付きまして、斯う云ふ計數と申しますか、指數と云ふやうなものも御採りになつて居ると思ひますが、一緒に御示し願へれば幸であると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=23
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024・古池信三
○政府委員(古池信三君) 御答へ申上げます、先づ第一の御尋の今後の電氣事業の企業形態如何と云ふ點でございますが、此の問題は非常に重要なる又根本的な問題でございまして、今後も十分研究を致したいと考へて居る次第でございます、唯さう云ふ前提の下に政府の所見の一部を御答へ申上げたいと思ひます、日本發送電會社が設立されましたのは御指摘の通り昭和十四年の春でございます、又配電會社が設立されましたのも昭和十七年の四月からでございまして何れも日華事變に入つてからの時日でございます、併しながら電氣事業と云ふものは、他の諸物資の生産事業或は配給事業とは餘程趣を異にしたものであることは御承知の通りでございます、先程飯田男爵の御尋の際にも稍稍其の點に觸れて申上げて置きましたのでございますが、我國に於きまして比較的豐富であると考へられますのは、何と申しても天然資源水力であらうと存ずるのであります、色々な物資に不定して居ります我國として、比較的水力には惠まれて居るのでございます、併しながら其の水力たるや又日本的特徴を持つて居るのでございまして、河川が非常に急流であり、又其の流域面積等からも考へて見まして、更に亦日本の國土が北から南に帶の如く細長くなつて居る、從つて其の間の氣候の差と云ふものが著しいのでございます、其の他四季の雨量に非常に變化のある氣象の特徴、それ等が色々集まりまして、我國の河川の流量と云ふものは非常に特徴のある姿を呈して居るのでございます、豐水期に於きましては非常に水量が多いのでありますけれども、渇水期に至ると驚く程流量が減ると云ふのが我國の河の現状でございます、そこで我國の發電の状況は、御承知のやうに豐水期に於て相當需要がございまして、尚且餘剩の水力が出來る、然るに渇水期に於きましては相當の火力發電をしなければ需要を充足することが出來ない、斯う云ふ關係にあるのでございます、併しながら今後我國に於て石炭と云ふものは益益貴重なる資源となつて參りますので、石炭を電氣の爲に火力發電として之を使用致すと云ふことは出來得るだけ避けなければならぬと考へて居る次第でございます、一塊の石炭と雖も十分に之を節約して、さうして水力電氣で之に代へて行くと云ふことは、今後の電源開發の根本的要請であらうと存ずるのであります、斯樣に考へて見まする時に、電源の開發を致し、又發生された電氣を全國に極めて合理的に配分すると云ふ意味から申しますと、どうしても此の運營開發の機關と云ふものは全國一つのものでなければならぬと云ふことは、絶對に言ひ得ることであらうと考へるのであります、それでなければ此の多數の流量の異なつた河川を睨み合せながら其の間に適當なる調整を圖り、順位を決めて開發して行くと云ふことも出來ませぬし、又運營の方面に於きましても、それ等の間に緊密なる連絡を執り、多數の送電網を整備致しまして、或は貯水池、調整池等を睨み合せ、又は他の流域の異なつた河との間の關係を睨み合せながら、そこに適當なる發電の運營を致すと云ふ見地から見ましても、どうしても全國一つの企業體が其の實行に當らねばならぬと云ふことは、疑のないところと考へる次第であります、從ひまして左樣な目的を以て日本發送電會社が生れたのでございますから、是は別に軍國主義的とか或は「フアッショ」的とかと云ふやうな思想的な理由の下に出來たものでなく、眞に電源の開發電力の合理的運用と云ふ經濟的な精神から生れたものでありまして、其の點は今後我國の産業を再建して、平和的な文化的な日本を建設して行くと云ふ上に於ては、絶對に必要なものではないかと私共信じて居る次第であります、是は發送電關係の事柄に付て御答へ申上げたのでありまするが、配電關係に於きましては、先程申上げました通りに、從來是は我國の配電事業の發達の歴史が然らしめたのでございますけれども、大小無數の企業が竝立、或は所に依つては重複して居たのでございます、大きな會社から小さな村營、個人營に迄至つて居つたのでございます、區域から申しまするならば、東京、大阪、名古屋と云ふやうな大都會又其の附近に於きましては、區域が三重にも四重にも相成つて、設備、人員、電力の「ロス」と云ふものは莫大なるものがあつたのでございます、そこで之を合理化致しまして、資材を節約し、又送られる電力の「ロス」を出來得る限り減少する、要するに無駄を省いて合理化を圖り、配電の最高能率を發揮せしめるやうにする爲には、どうしたら宜いかと云ふ風に研究致しました結果、地方々々に依つて相當な規模の「ブロック」に一つ宛の企業體を設けて、之に統制せしめることが最も宜いと云ふ結論に達して作りましたのが、現在の九地區に於ける配電株式會社でございます、從ひまして此の配電會社の設立された時期は正に事變中でございましたし、又其の法令も國家總動員法に基く配電統制令に據つたのでございますけれども、併しながら實際は決して戰爭遂行とか、或は軍國主義とか、さう云ふやうな意味合から出來たものではないのでございまして、今後我が國に許された産業を建設を致しまして、又國民生活を安定せしめると共に、文化的方面に於きまして益益之を向上せしめると云ふ意味合から申しましても、電氣の配電部門に於ける合理化と云ふことは益益考へなければならぬ時代にあると存じまして、今囘配電統制令が失效致しましても、此の配電會社を更に昔のやうに濫立の状態に戻すと云ふことは、私共としては考へて居らぬのでございます、尚時勢の進運は日進月歩でございますから、必ずしも今日の最善のものが明日最善であるかどうかと云ふことは斷言出來ませぬと思ひます、從つて是等の機構、組織に付きましても常に不斷の研究調査は必要であると考へて居ります、さうしまして將來時代が變り、又諸種の條件が變つて參りましたならば、其の環境條件に即應して、最も良い案を作り、實行して行くことが宜いのではないかと云ふ風に考へて居るのでございますが、それに付きましても、今囘提案致しました電氣事業法改正の中に、左樣な重要な事項に付きましては、中央電氣委員會に於て愼重に檢討をして戴くと云ふ機關を設けたのでございまして、其の機關に諮りまして、萬遺憾なきを期して參りたいと考へて居ります次第でございます、次に第二の御質問の電氣料金に關する所見如何と云ふ御尋ねでございますが、電氣料金制の問題も非常に國民生活及び産業の再建に重大な意味を有して居るのでございまして、私共も愼重に研究を致して居る次第でございます、電氣料金と申しましても、其の中には極く小さな、電燈の料金でありますとか、或は家庭用の小口の電力料金もございまして、又大産業に用ひまする大口の電力料金も含まれて居るのでございます、理想と致しますならば、國民が日常家庭等に於て使用致しまする少額の電氣の料金等は、我々が太陽の熱や、或は水や空氣を自由に使用して居りますると同じやうに、是等の電氣は自由に消費出來、又其の料金も極めて低廉なるものに致して、それに依つて今後最も世界に於て高い文化的な生活を國民がなし得るやうにすることが理想であらうと考へますけれども、併しながら一擧に其の理想に進むと云ふことは、なかなか實際問題としてはむづかしいかと存ずるのであります、併しながら可能なる範圍に於て、是等の國民生活に特に密接なる電氣料金は出來得る限り抑制を致しまして、又其の地域差に付きましても、之を原價事情からのみ見まする場合には、先程御指摘がございましたやうに、九州の如く夏冬共に火力發電に依存して居りまするやうな原價を考へますると、左樣な家庭用の電氣料金も、本州の中央部の水力の豐當な地帶と較べまするならば、高くなるのは已むを得ないのでありますけれども、斯樣な國民生活上不可缺の電氣の料金と致しまして、九州と本州とに於て非常な差を設けると云ふことは、日本の國として如何かと存じまするので、出來得る限り全國是等の小さな電燈、電力料金に付ては均一化して行かうと考へて居る次第でございます、併しながら化學工業でありますとか、其の他極めて大口に電力を使用致しまする産業の需用に充てまする大口電力の料金に付きましては、必ずしも、小口の家庭用の電氣料金と同じ、原則、方針を採る必要もなからうかと存じます、勿論是も全國大體に於て均衡を得ることは必要であると存じまするけれども、自らそこに電源地に近い所と遠い所に依つては原價も異なるのでありますから、左樣な原價事情も加味しつつ、而も又産業として十分發展し得るやうな見地を取りまして、適當な決定の仕方を致したいと存じて居るのでございます、次に第三の御尋ねでございますが、是は非常にむつかしい問題で、實は私はよく分らないのでございますが、分つて居る範圍に於て御答へ申上げたいと存じます、電氣事業は申す迄もなく他の産業と非常に異なつた特色が色々の點に於てあるのでございます、先づ第一は、一般の産業に較べまして非常に厖大なる固定資産を要すると云ふことであります、又其の固定資産たるや、殊に水力發電所の如きは、一度投下致しまするならば、其の壽命と云ふものは相當長期に亙つてあるのでございます、又電氣の需用と云ふものは、其の時代々々に依つて多少の變動はあるに致しましても、大勢から見まして決して減るものではない、將來益益増加して行くものでありまして、事業としては比較的安定性の高い事業であります、又一方に於て、基礎的な公共事業と致しまして代表的な公益性を持つて居るのでございます、從つて之が供給に付きましては國としても有らゆる保護監督を加へて、常に完全圓滿なる供給業務たらしめるやうに指導致したいと考へて居るやうな、さう云ふ種類の事業でございます、又一方に於ては、其の供給業務を完全に果す爲には相當多數の人を使はなくちやならぬ事業であるのであります、其處で私共と致しましては、此の莫大なる固定資産に對する資金の利子、又適正なる營業費、人件費等に付ても適當なる人件費を出しまして、優秀なる人を集めなくちやならないと考へて居る次第であります、又公益事業の本資から致しましても、其の事業の安定度と云ふことから考へましても利潤等に付きましても出來るだけ之を抑制致しまして、成るべく安定した利潤を得せしめると云ふことを考へて居るやうな次第でございます、左樣にして自ら其處に適正なる事業の收入支出と云ふことが決つて來るのでございまして、是等の要素に付てどの位が適當であるかと云ふことは、其の時代々々の物價其の他から檢討して見なくちやならぬと存じまするので、茲に抽象的に標準を申上げることはなかなかむづかしいと考へて居る次第でございます、更に御要求のございました資料に付てでございますが、今後此の資料に付きましては十分に檢討致して見まするが、我々の方で從來持つて居りました若干の資料も、戰災等に依つて失つたものが相當にございます、又外國の資料等は古いものは失つたのがございまするし、新しい資料は最近數年間は殆ど入つて居りませぬ、左樣な譯で御滿足の行くやうな資料を整へることは困難と存じまするが、尚局内で十分に研究致しまして、出來得る限り御要求に副ふやうに努力を致したいと存じますから、其の點は御了承を御願ひ致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=24
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025・六角英通
○子爵六角英通君 詳細に御説明をして戴きまして有難うございました、之に付て意見も述べたいと思ひますが、基礎的事項として先づ逐條審議に入る前に御伺ひしたいこととして一つ御尋ねした譯で、又機會があつたら適當の時伺ひたいと思ひます、それで先程色々御話になりました中の二、三のことに付て、私の考の極く概括を申上げます、先程の日本の河川の特徴と、それから開發と云ふ問題に付て、國家的統制の下に開發事業、水力發電事業計畫と云ふもの、又事業をやつて行かなくちやいかぬと云ふ御説は御尤もだと思ひます、それと發送電會社の現在の大きさに於ける業務形態に於ての存在と云ふことは別個の話で、十分檢討をする必要があり、特に此の發送電會社が出來ましたのは、偶偶二・二六事件以後の問題と云ふやうな所にぶつかつたのだと云ふ御話でございますが、當時の零圍氣、議會に於ける有樣と云ふやうなものを御想像になりましただけでも、どんな「イデオロギー」があつたかと云ふことは私から申上げなくても皆さん御感じの通りと思ひます、それで發送配電と云ふものが日本の電氣事業としてどう云ふ在り方があるべきであるかと云ふことは、十分官民共に研究して行かなければならないことと思ひます、尚其の時石炭の御話がございまして、石炭を使つて行くと云ふことを極力節約、節減して行かなければならないと云ふ御説は御尤もと思ひますが、但し電力に相當する位鐵道とか或は瓦斯工業とか云ふことに石炭を使つて居りますが、鐵道に使つて居ります石炭を電力に廻して、鐵道を電化する、よく問題になつて居りますやうなことをやつた方が日本全體として石炭の節約になるのかも知れませぬので、併せてさう云ふ何と申しますか、一電力局の御所管事項ではなく、商工省或は日本全般として常に御考へ戴きたいと思ひます、それから最後に御答へ戴きましたそれぞれの費用に對する計數のことですが、自然に何となくうまく出來て居ると云ふやうな結局の御話だつたと思ひますが、今迄何となく我々がやつて居りましたことには非科學的なことが多く、何だか知らぬけれども、自然に習慣的に斯うなつて居るのであります、昔から斯うなつて居りますと云ふやうなことが、いざ變動が起つた場合に、何等それを應用しまして「エキシタ・ポレート」して行くとか、「インター・ポレート」して次の時代に應ずると云ふことが出來ませぬので、常に色々なものの計數、指數、是は物價が變ればと云ふ御話がございましたが、敢て金の勘定を申上げたのではなくて、計數とか、指數としてどう云ふものであるか、物價が變つて、都合に依つては斯う云ふ事業は成立たないのだぞと云ふことが分る結果にもなると思ふのでございます、それから優秀な人達を澤山雇へるやうにと云ふやうなことは全く必要なこととは思ひますが、其の爲にはさう云ふ計數を明かにして、多數な優秀な連中を採用し得るか如何と云ふことを決めるのだと思ひまして、何だか小うるさいやうなことで、そんなものは何とでもなるのだと云ふやうに御思ひになるかと思ひますが、私自體としては、産業或は事業を成立たして行きまして、之を國家的に見透しを付けて行くのには、是非さう云ふものが必要であると存じますので、適當な御研究を願つて、又さうでなければ御意見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=25
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026・古池信三
○政府委員(古池信三君) 御答へ申上げます、只今最後に御話下さいましたことは、誠に私共と致しましても、有益なる御意見でありまして、今後は十分に只今御話になりましたやうな御趣旨を酌みまして、さう云ふ方向に向つて研究を進めて行きたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=26
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027・作間耕逸
○作間耕逸君 私は此の法案に關聯致しまして、總括的實際問題の一つとして、此の場合政府當局の御所見を質して置きたいと思ふのでありあす、即今東京都の大きな問題と相成つて居りまする東京都全體、全區域の電燈、電力の供給事業に於て、關東配電から移管委讓せしめたいと云ふ熱烈な希望を以て、東京都議會に於ては殆ど全員一致の贊成の決議で、市民にも此のことを大いに公表且つ宣傳して、關係の筋へ著々其の運動を開始致して居るやうであります、其の理由に依りますと、もう政府當局は私が申す迄もなく、親しく御承知になつて居られることと思ひまするが、都の手に移せば配給を一層普及せしめる、改良の餘力が多い、料金は割安にして「サーヴィス」はより好くする、斯う云ふことで都民全體の協力を求めて居るのであります、是は相手の關東配電に取つても、東京都の全地域を引つこ拔かるれば、此の中心の營業地帶は周圍の郡部だけが殘される、其の他の地域には直接影響はありますまいけれども、此の地域に於ける影響と云ふものは相當重大なことになるであらうと思ひます、此の問題に對する政府當局の現在の段階に於ける御所見は如何でありませうか、御差支なき程度に於て一つ承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=27
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028・古池信三
○政府委員(古池信三君) 御答へ申上げます、只今御尋のございました東京都營の問題に付きましては、私共若干耳に致して居るのでございます、元來東京市時代に於きましては、當時の東京市營と東京電燈或は京王電車、東横電車等、相當多くの事業が東京市内に於て行はれて居つたのでございます、然るに是等の事業を整理統合致しまして、現在の關東配電株式會社に相成つたのでございますが、今囘其の關東配電の區域の中から、特に東京都の行政區域内に於ける配電事業を讓受けて、東京都が直接自身で此の配電事業を運營したいと云ふ、斯う云ふ希望のやうに承つて居るのでございます、關東配電は御承知の如く東京都の外に、神奈川縣、靜岡縣の一部、山梨縣、埼玉縣、千葉縣、茨城縣、栃木縣、群馬縣、是だけを供給區域として今營業を致して居ります、電源と致しまして日本發送電から必要なる電氣を受けまして、之を配電致しますると共に、多少ながら自分の持つて居りまする發電所からも之に加へまして、適當に按配をしつつ配電を致して居るやうな次第でございます、そこで東京都の方で都營に致したならば、配電の普及は出來、料金も低下し得るし、「サーヴィス」も良くなるであらう、斯う云ふことを言つて居られるやうでありますが、從來の例に依りますと、東京市時代には、此の電氣事業に依りまして上りました利益の一部は、他の一般財政と申しますか、其の方面に相當部分繰入れられて居つたのでございまして、其の意味に於て東京市の財政の援助を致して居つたやうな譯でございます、恐らく今度只今のやうな希望が出て來ましたに付きましても、從來の如く配電事業から利益が上つた場合には、其の利益の一部を矢張り東京都の財政援助の方に向けたいと云ふやうな御意思もあるのではないかと推察致して居ります、そこで考へて見まするのに、先づ第一普及がうまく行くかどうかと云ふ問題でございますが、是は現在に於きましても關東配電は、東京都の復興、配電設備の普及と云ふことに付ては、極力力を致して居るのでございまして、早く復興致しまして、需用家を多くすればする程會社としてもそれだけ收入が餘計になるのでございますから、會社の經營政策から云ひましても、出來るだけ早く普及をしたいと云ふことは當然のことと存ずるのでございます、唯それがまだ完全に其の普及が出來ないと云ふ所は、電線或は變壓器等の資材の方面に於て非常に窮屈な情勢にありますので、それが大きな原因を致して居るやうな次第でございます、從ひまして其の資材面の窮屈と云ふことは、是は左樣な物資の生産状況の低下に依るものでございまして、假令東京都でおやりになつても、直ちに必要なる資材が自由に得られると云ふやうなことは恐らくありますまいと存じまするし、其の點に付ては會社が經營致して居りましても、東京都が經營致しましても、資材の入手と云ふことに付ては餘り違ひはないのではないか、場合に依りますと、東京都の人よりも、寧ろさう云ふ資材等の入手に付ては、民間で專門に長くやつて來たさう云ふ人の方が敏捷に入手はするかも知れないと云ふやうなことも考へられると思ふのでありますが、何れにしましても此の點は左程良くなると云ふことは期待出來ない譯ぢやないかと考へます、それから次に料金の問題でございますが、是は原價等の關係が非常に密接でございまして、どう云ふ計算になるかと云ふことを今直ちに茲に引き出すことは困難でありますけれども、相當東京の復興が進みまして、安定した確實な需用が殖えて參りまするならば、例へば電燈一燈當りの配電の「コスト」と云ふものは當然下つて參るのでございます、併しながら此の料金は要するに他の一般物價との相對的なものでございますから、今後需用が殖えて參りまして果して下るかどうかと云ふことは、是は疑問であらうと存じます、一般の原則と致しましては、都會地の方が電燈料金は安くて、農村とか地方に於ける電燈料金は高いと云ふのは一般の抽象論として言ひ得ることなんでございます、一例を擧げましても、農村等に於きましては、一燈の電燈を點けるのに相當に長い電線も引かなくてはならぬ、其の間には電柱も必要であると云ふこともございまして、一燈當りの標準を見まするならば、確かに田舍の方が都會に較べて原價は上るのでございます、其の意味から申しまして、東京都だけが經營すれば料金は非常に有利になると申され得ると存じます、第三の「サービス」を良くし得ると云ふ問題でありますが、是は簡單には斷定出來ないぢやないかと云ふやうな氣が致します、必ずしも東京都が自分でやれば、「サービス」が良くなり、配電會社がやれば、惡いと云ふことも一概には言へないと存じます、勿論其のやうに申しましても、現在の關東配電會社の從業員が全部が全部良い「サービス」を提供して居るとは決して私共も考へて居りませぬ、中には相當の「サービス」の惡い從業員も居るやうに思ひます、中には又立派な從業員もありますけれども、相當に良くないと云ふ評判も承つて居ります、其の原因も色々あらうと存じます、終戰後一時日本人が精神的に勇氣を失つたと云ふやうな關係から一部は來て居るのではないかと存じます、其の他先程申しましたやうに、資材もなかなか手に入らない、從つて又故障があつても、昔でありますならば直ぐに驅け付けて其の修理箇所を直すのでありますけれども、其の修理に使ふべき資材が容易に手に入らない、或は又電話が掛つても直ぐに走つて行くに要する自轉車がない、或は又一時に電熱器等を多量に使用されますと、其の區域を受持つて居ります柱上變壓器が「オーバー・ロード」致しまして、兎角停電等が起り易い、然らば直ぐに代替用の柱上變壓器を持つて行けば宜いのでありますが、左樣な變壓器もなかなか手に入らない、斯う云ふやうな事情が數々重なり合せまして、「サービス」の低下と云ふことを來して居るのではないかと存じます、無論從業員自身の心掛が良くないと云ふやうな場合も相當あると存じますけれども、是は必ずしも其の配電會社の人だけが心掛が惡いと云ふ風に斷定することは出來ぬのぢやあるまいか、まあ斯樣に考へるやうな次第でございます、之に付きましては、政府としては機會ある毎に配電會社に注意を致しまして、公共の事業の、「サービス」如何と云ふやうな問題ではなく、電氣事業は公共事業の代表である、模範であると云ふやうな氣位を持つて、「サービス」の向上と云ふことには努力をして貰ひたい、斯う云ふ風に御願ひをして居るやうな次第でございます、そこで、以上のやうな理由に付きましての所見は只今申上げたのでございますが、全般的に、大局的に見まして、配電事業の理想と云ふものは、矢張り貴重なる電氣を最も能率的に、最も經濟的に配分すると云ふことは、良い「サービス」を國民に提供すると云ふことが配電事業の理想ではなからうかと考へます、そこで個人個人の「サービス」の點は只今申上げました通りでありまするが、大きく言つて電氣の合理的な配分はどう云ふやうな方法が宜いかと云ふやうなことになりますると、矢張り配電上或程度の區域の規模と云ふものが必要ではないかと考へるのであります、一都市のみを採上げまするならば、成る程其の都市だけは或は良いかも知れませぬけれども、其の周圍にあります地方と全體を含めて、より高い立場から考へて見ますならば、必しもそれは良い方法とは言へないのでございまして、矢張り或程度の規模を以て其の中に縱横に必要なる配電線を張り廻らして、電氣の配給を合理化すると云ふことが必要ではないかと存ずるのでございます、御承知のやうに、電氣は發電すると其の瞬間に消費せられるのでありまして、發電を蓄へて置いて、他の機會に配給すると云ふことの出來ないものでございます、そこで此の配給の方の統制と申しますか、計畫或は實行が極めて適切に行はれませぬならば、折角發電力がありましても、十分に配電の面に於て效果を發揮すると云ふことが出來ないのでございます、從つて關東配電に於きましては、所謂配給司令所と云ふものがありまして、四六時中配給の配電盤を睨んで居ります、一日の中にも刻々に變つて行きます需用に即しますやうに、變電所、發電所と連絡を取りまして一「キロワット・アワー」の電力も無駄にならぬやうに、合理的の配分を注意して居るやうな次第でございます、其の大きな配電の區域の内の一部だけを取擧げまして、それだけが獨立して配電事業を行うと云ふことになりますと、只今申しました配給司令を中途で切ることになりまして、發送電から配電會社が受け、更に配電會社が都に移すと云ふことになりますと、手數が掛り、事業上の技術的經濟的に見ました合理化と云ふことが妨げられるのでありまして、大局から見れば寧ろ時勢に逆行するものではないかと云ふやうな感想を持つて居るのでございます、併しながら、是等の問題は極めて重要なる事項でございますので、今囘提案致しました電氣事業法の改正に依りまして設定されます中央電氣委員會に相談も致しまして、技術的の立場から、或は經濟的の立場から、深く掘下げて、どうしたら宜いかと云ふことを御決定になりたいと考へて居る次第であります、簡單でございますがちよつと申上げました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=28
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029・作間耕逸
○作間耕逸君 只今の御答辯は懇切を極め誠に滿足を致します、其の他各條に付ての御尋もありまするけれども、是は其の場合に致しまして、今日の所は是で終りと致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=29
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030・種田虎雄
○種田虎雄君 發送電會社が出來まして、又配電會社が出來まして後、豫て政府が御聲明になつて、電力を豐富にする、料金を低廉にすると云ふことを申して居りましたのですが、其の點に付きまして今日はどう云ふことになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=30
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031・古池信三
○政府委員(古池信三君) 御答へ申上げます、電力管理法の規定にもございますやうに、豐富低廉な電氣を供給致すと云ふことが電氣事業の理想であると存じます、發送電會社が出來まして、戰爭は年と共に苛烈を極めて參つたのでございまして、平和の時に於きまする計畫と、又戰爭中に於きまする計畫とは、自ら其處に、趣の異なることがあるのは已むを得ないことかと存じますけれども、設立以來相當な電力設備が建設致されました、勿論其の時の需用を全部負ふだけの設備は、戰爭中でございましたので、他の方面に資材、資金、勞力等が多量に廻はされた結果、十分とは申し得ませぬでありましたけれども、其の間に於きましても關係業者は出來得るだけの努力を拂ひまして、建設に邁進致した次第でございます、料金の問題に付きましては、是も政府と致しましても、最初から電氣料金は出來得る限り抑制すると云ふ、所謂低物價政策の基礎たらしめようと云ふ意圖の下に、極力抑へて參つたのでありますけれども、併しながら電氣事業と雖も矢張り一つの企業でありまする上に於ては、其の間の「バランス」と云ふことは取らねばならぬ次第でありまして、誠に已むを得ざる處置と致しまして、昨年の七月及び本年の一月の二囘に互りまして、料金の値上を實施したやうな次第でございます、併しながら是は其の原價を構成致しまする諸種の資材の値上りでありますとか、或は從業員の生活費の昂騰、斯う云ふことが主なる原因でございまして、已むに已まれぬ値上であつたのでございます、其の値上の結果と致しましては、之を指數に致しまするならば、大正三年を百と致しまして、只今に於て電燈料金に於きましては二百二十になつて居ります、又電力料金に於きましては二百七十になつて居るのでございます、無論是は「ラウンド・ナンバー」でございますが、左樣な譯でございまして、他の物價が非常に値上りを見て居りまする際に於きまして、現在是だけの値上りを致して居ると云ふことは、比較の問題と致しまして、相當電氣料金は低廉であると言つて然るべきであると考へて居るのであります、併しながら今年一月に電氣料金を決定致しまして以後、新物價體系に基いて相當な重要物資の値上りも見たのでございます、又人件費に於きましても、其の後生活費は非常に昂騰して參つたのでありまして、是等の原價を反映せしめまして、矢張り公共事業として適當なる運營を將來維持して行き得るやうな適正な料金を決めることは絶對に必要であらうと存じますので、其の適正なる料金と云ふ意味に於て、今後料金の是正と云ふことは或は行はれるのではないかと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=31
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032・種田虎雄
○種田虎雄君 只今の御説明で、能く發送電會社及び配電會社が出來てからの状況は分りましたが、ああ云ふ大きな會社を作つてさうして經營をすると云ふこと、例へば發送電會社の如きは日本全國を一つにしてやつて行くと云ふやうなさう云ふやり方が果して經濟的であるか、能率的であるかと云ふやうなことに付て、隨分議論があつたと思ふのであります、殊に仄聞致します所に依りますれば、電氣廳が出來た時分には、詰らぬことを申しては失禮でありますけれども、人事の末に至る迄隨分御干渉になつたと云ふことを聞きます、所謂官廳が仕事をされるのぢやないかと云ふ位迄、多くの人は色々非難をして居りました、今日の時代に於て此の組織をどう斯うすると云ふことの御考もないやうでありますが、矢張り官廳としては、相變らず事業の經營に付て、發送電會社及び配電會社に付て細かい所迄御干渉になつて居るのでありますか、どうでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=32
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033・古池信三
○政府委員(古池信三君) 御答へ申上げます、只今御指摘になりました發送電會社が設立されました當時に於て、人事其の他細かい點に迄干渉を官廳が致したかどうかと云ふ問題に付きましては、私も其の事情を十分に承知して居りませぬので、茲に正確な御答を申上げることは出來ませぬが、唯斯う云ふことは推測せられると存じます、あれだけの大きな會社が出來上りまして、而も今迄は大會社と雖も、要するに其の地方々々の電氣事情には通じて居られましても、全國的な電氣の事情と云ふことに付ては通じて居られなかつた方が集まられまして、さうして發送電會社と云ふ全國を一つの事業地域とする會社が出來たのでございまして、日本全體的の眼から見ました資料其の他は、恐らく持つて居られなかつたと存じます、從つてそれ等のことに付て政府に尋ねて來られ、政府がそれ等の資料を提供すると同時に、色々御話をし指導をしたと云ふことは、是は實際に於てあり得ることでもあり、又あつて差支ないことではないかと考へて居ります、併しながら其の後既に數年以上を經過致しまして、今では發送電會社の方も皆全國的の電氣事業には相當に通曉して居られますし、其の基礎も確立致して居るのでございますから、政府と致しましては、細かい干渉めいたことは出來得るだけ避けまして、唯國家が出なくちやならぬやうな場合、又國家として決めなくちやならぬやうな根本的なことは、飼く迄政府に於て決定致しまするけれども、其の他の事業運營自體の必要から起りまする色々な細かいことに付ては、政府は一切干渉めいたことはしない、斯う云ふ方針を以て今臨んで居るやうな次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=33
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034・八代五郎造
○委員長(男爵八代五郎造君) 今日は此の程度で打切りまして、明日は午前十時から開かうと思ひます、本日は是にて散會致します
午後三時二十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=34
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035・会議録情報3
出席者左の如し
委員長 男爵 八代五郎造君
副委員長 子爵 柳澤光治君
委員
公爵 徳川慶光君
候爵 東郷彪君
子爵 交野政邁君
子爵 六角英通君
荒川文六君
男爵 飯田精太郎君
長世吉君
男爵 杉溪由言君
男爵 田中龍夫君
種田虎雄君
中山太一君
秋田三一君
作間耕逸君
赤木正雄君
政府委員
商工政務次官 小林かなえ君
商工事務官 古池信三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009002642X00319460816&spkNum=35
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